1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/31(金) 23:17:23.91 ID:tmffbC9Y0
折木「聞いたことはありますね」

入須「月に二度満月があることが原義だそうだ」

折木「なるほど」

入須「だが今は珍しいこと、という意味で使うようだよ」

 

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/31(金) 23:26:46.58 ID:tmffbC9Y0
折木「へぇ…。先輩は物知りですね」

入須「ありがとう。嬉しいよ」

折木「…本心ですか?」

入須「さぁどうだろうね」

折木「…」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/31(金) 23:34:09.77 ID:tmffbC9Y0
入須「…さすがに本心だ」

折木「先輩のそういうところが嫌いです…」フゥ

入須「悪いね。ところで今夜は何か予定あるか?」

折木「…あります」

入須「ほう。言ってみろ」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/31(金) 23:39:56.46 ID:tmffbC9Y0
折木「ご飯を食べます」

入須「ああ」

折木「お風呂に入ります」

入須「うん」

折木「だらだらします」

入須「…」

折木「寝ます」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/31(金) 23:42:22.08 ID:tmffbC9Y0
入須「…それで終わりか?」

折木「それでって…酷いですね先輩」

入須「普通の反応だと思うんだが」

折木「俺は省エネ主義です」

入須「ふむ」

折木「素晴らしい予定だと思いませんか?」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/31(金) 23:45:06.70 ID:tmffbC9Y0
入須「君は私をからかってるのか?」

折木「そんなはずないじゃないですか」

入須「ならば今日は予定なしだな」

折木「えっ…先輩?」

入須「じゃあ一旦家に帰って、すぐ来てくれ」

折木「…俺に拒否権は」

入須「ない」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/31(金) 23:54:25.63 ID:tmffbC9Y0
夕方

折木「(9月とは言えまだ暑いな)」

折木「にしても立派な家だな…」

ピンポーン

入須「はーい。って折木君か」

折木「なんですかその反応は…帰りますよ?」

入須「まあ待て、冗談だ」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/31(金) 23:58:44.70 ID:tmffbC9Y0
折木「(この人が言うと冗談に聞こえない)」

入須「失礼だな」

折木「!?」

入須「あらかた私の悪口でも言ってたんじゃないか?」

折木「…流石です」

入須「ま、それぐらいで私は拗ねたりしないさ」

折木「ほっ」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:03:23.27 ID:REyuJ6ag0
入須「まあ立ち話もなんだし家に入ってくれ」ガチャ

折木「じゃあお言葉に甘えて」

オジャマシマース

入須「まあ適当にくつろいでいてくれ。お茶でもいれてくる」

折木「わかりました」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:06:05.82 ID:REyuJ6ag0
折木 (にしても…なぜ先輩しかいないんだ?)

折木 (仕事にいってるとか…)

入須「どうした?」ハイ

折木「いえ、ご両親がいないなと思いまして」

入須「ああその事か」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:13:42.72 ID:REyuJ6ag0
入須「昨日から親が旅行に行っててね」

折木「先輩は行かなかったんですか?」

入須「私は疲れるのは苦手でね」

折木「先輩…」

入須「ん?」

折木「仲間ですね」キラキラ

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:17:39.69 ID:REyuJ6ag0
入須「君と一緒にするな…」

折木「なんだ残念ですね」

入須「それより折木君、晩御飯は?」

折木「食べてきてないですよ…すぐ来いって言ったので」

入須「それはいい。じゃあ今から作ろうと思うんだけど…」

折木「先輩が…?」

入須「なんだ不満か?」

 

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:25:14.20 ID:REyuJ6ag0
折木「不満ではないんですけど…」

入須「料理なんてできるわけないと思っていると」

折木「まあ簡単に言えば」

入須「失礼な。料理くらいできるぞ」

折木「以外です(へぇ…)」

入須「おい本音が出てるぞ」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:32:19.39 ID:REyuJ6ag0
入須「まあ少し待っててくれ。作るから」

折木「じゃあ俺はその辺でくつろいでます」

入須「ああ」

タッタッタッ

折木 (ああは言ったけど)

折木 (じっとしてるのもつまらん)

折木「さて、入須先輩の部屋に行くか」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:36:00.84 ID:REyuJ6ag0
入須部屋

折木「と、来たのはいいがどうするか」

折木「おっ。これはまさか…」

>熊のヌイグルミ

折木「(先輩…)」

入須「おーい。折木くーん?」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:38:31.50 ID:REyuJ6ag0
折木 (ふぅ。今回はこの辺でやめておこう)

入須「折木くーん?」

折木「はーい!今いきます!」

スタスタ

入須「まったく…どこに行ってたんだ?」

折木「ちょっとトイレに…」

入須「そんなに迷わないだろ…」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:47:33.62 ID:REyuJ6ag0
入須「まあ、冷めないうちに召し上がってくれ」

折木「ではお言葉に甘えて…」

…ゴチソウサマデシタ

折木「んー。美味しかった…」

入須「それはなによりだ」

折木「いや、思ったより…」

入須「思ったより…?」ゴゴゴゴ

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:48:52.92 ID:REyuJ6ag0
える「きな臭いのきなって何でしょう?」

折木「知らん」

える「んー!」プクー


えるたそ可愛すぎwww

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 00:51:59.31 ID:REyuJ6ag0
折木「いや、何でもありません」

入須「そうか。では少し縁側でくつろいでいてくれないか?」

折木「…?わかりました」

入須「洗い物をしたらすぐいくさ」

…カチャカチャ

折木 (そういえば)

折木 (なんで今日呼ばれたんだろう)

折木 (あとで聞いてみるか)

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:00:52.58 ID:REyuJ6ag0
スタスタ

入須「…すまないね。待たせてしまって」

折木「いえ、だらっとしてたので」

入須「君はぶれないな…」

折木「まあ入須「省エネ主義」なもので」

折木「おお…」

入須「君のことはだいたいわかってきたよ…」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:04:11.39 ID:REyuJ6ag0
折木「…ところで先輩」

入須「なんだ?」

折木「今日はなんの用事で俺を呼んだんですか?」

入須「ふむ…特にこれといった用事があるわけではないのだがな」

折木「そうなんですか?」

入須「強いて言えば月を二人で見たいと思ったから…かな」
 
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:08:49.85 ID:REyuJ6ag0
折木「珍しい月だからですか?」

入須「まあな」

折木「それなら千反田とでもよかったんじゃ…」

入須「まあそういう選択肢もあったな」

折木「なら…」

入須「いやなに、君のことを偶然見かけたのでね…呼んだわけだよ」

折木「白羽の矢が俺に…」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:11:19.69 ID:REyuJ6ag0
入須「何か言ったか?」

折木「いえなにも」

入須「そうか」

折木「それにしても」

入須「?」

折木「涼しくて気持ちいいですね」

入須「そうだな…それに鈴虫も鳴いて風流もある」

折木「ああ…心が安らぐ」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:14:12.75 ID:REyuJ6ag0
入須「なあ…折木君」

折木「はい?」

入須「月が綺麗だな」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:16:39.97 ID:REyuJ6ag0
折木「ブルームーン…満月ですからね」

入須「…」

折木「いや、今日はひとつ学ばせてもらいました…」

入須「折木君」

折木「なんですか?」

入須「意味わかってる?」
 

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:19:28.51 ID:REyuJ6ag0
折木「だって満月ですよ」

入須「そうだな」

折木「綺麗じゃないですか」

入須「」

折木「それ以外に何か…」

入須「折木君」

折木「はい」

入須「君は夏目漱石を知ってるか?」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:22:47.85 ID:REyuJ6ag0
折木「馬鹿にしてますか?」

入須「いや純粋に」

折木「…知ってますよ」

入須「では月が綺麗の意訳は?」

折木「知らないですね」

入須「…はあ」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:27:27.58 ID:REyuJ6ag0
入須「では心して聞くように」

折木「そんなに重要なことか…?」

入須「重要だ!」ドンッ

折木「うぉっ!」ビクッ

入須「わ…悪い」

折木「いえ…こちらこそ」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:29:42.03 ID:REyuJ6ag0
入須「…」

折木「あの…先輩?」

入須「なんだ…」

折木「教えてくれるんですよね?」

入須「そうだが…そうなんだけど…」

折木「何か問題でも…」

入須「いや…」

入須 (いざとなったら恥ずかしい!)」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:33:30.05 ID:REyuJ6ag0
入須「あのな」

折木「はい」

入須「昔、夏目漱石が先生だったとき、生徒がI love youを我君ヲ愛スと訳したそうだ」

折木「ふむ」

入須「だか漱石はそれをやめさせて、月が綺麗ですねにしとけと言ったんだ」

折木「なるほど」

入須「…」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:36:13.45 ID:REyuJ6ag0
入須「ちなみにその返しは私、死んでもいいわと言うらしい」

折木「ほう」

入須「…え?」

折木「はい?」

入須「ここまで言っても気づかないのか?」

折木「何がですか」

入須「つまりだな!私は君のことが好きってことだよ!」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:39:40.92 ID:REyuJ6ag0
入須 (はっ…勢い余って言ってしまった!)

入須「あ…あ…」パクパク

折木「」

折木 (まじですか。先輩まじですか)

折木 (いや確かに先輩は可愛いけど…うん)

折木 (でも苦手だしな…)

入須「///」プシュー

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:42:42.92 ID:REyuJ6ag0
折木 (うん…でも実際、あれ以降先輩のこと目で追ってるんだよな)

折木「あの…」

入須「ひゃ…ひゃいっ!」

折木「ひゃい?」

入須「いや!…はい」

折木「意味は理解しました」

入須「…うん」

折木「正直嬉しいです」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:45:25.43 ID:REyuJ6ag0
入須「じゃ…じゃあ!」

折木「ただ、俺は人を好きになったことがありません」

入須「…」

折木「だからこの気持ちが好きってことなのかはわかりません」

入須「…うん」

折木「だからですね、先輩」

入須「うん?」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:48:44.57 ID:REyuJ6ag0
折木「もう一度言ってください」

入須「何をだ?」

折木「月が綺麗ですねって」

入須「なんでまた…答えは決まってるんだろう」ドヨーン

折木「まあまあ」

入須「はぁ…わかったよ」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 01:52:27.31 ID:REyuJ6ag0
入須「折木君、月が綺麗だな…」

折木「今は…」

入須「?」

折木「死にたくないですね」

入須「!」ウルウル

折木「ですが…」

入須「…」




折木「そのうち死んでもいいですよ」


終わり

引用元: 折木「ブルームーン?」入須「知ってる?」