前回 奉太郎「古典部には俺しかいないからな……。」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:29:51.96 ID:eiartHlm0
奉太郎「古典部には俺しかいないからな……。」の続きです。

夜 自宅

奉太郎「ったく……今日はとんでもない目にあったな…。」

奉太郎「よりによって、千反田の名前を叫んでとび起きるとは……。」

奉太郎「不覚だった……。」

奉太郎「寝よう。寝て忘れよう。」

奉太郎「おやすみ、俺。」

奉太郎「………。」

奉太郎「…。」



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:32:59.36 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「昼間寝てしまったから眠れん……。」

奉太郎「可処分エネルギーがまだ残っているのか……?」

奉太郎「何か考えてみるか…。」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:34:20.66 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「それにしても、今日は一体なぜあんな夢を見たのだろうか…。」

奉太郎「確かにあれは悪夢といえる内容だった。」

奉太郎「少し、考えてみるか……。」

奉太郎「あくまで客観的に、だがな…。」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:35:31.15 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「まず、夢の概要についてだが…。」

奉太郎「俺しかいない古典部で、これまでと同じ生活をくり返していた……。」

奉太郎「……俺、一人でな……。」

 
奉太郎「俺が部室に入っても誰もおらず、そこで一人、日々を過ごしていく……。」

奉太郎「………待てよ…。」

奉太郎「………それって悪夢か…?」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:36:32.15 ID:PuhrbVk/0
太郎「客観的にみれば……友人一人おらず、目的なく続けられる部活動は悪夢だろう…。」

奉太郎「しかし、それこそ俺が今まで望んでいた生活だったろう……?」

奉太郎「誰にも邪魔されず、無駄なエネルギーの消費を抑える生活……。」

奉太郎「……。」

奉太郎「………うん、まちがいない……。」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:37:44.00 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「少し、最初に戻ろう。」

奉太郎「まず、最初に俺が出会った古典部員…。」

奉太郎「それは、千反田だ……。」

奉太郎「正確にいえば、あいつは中学校の頃以前に古典部入部を決めていたらしい…。」

奉太郎「そう考えれば、『あいつが最初に出会った古典部員が俺』、と言ったほうが正しいな。」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:39:03.20 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「まあ、その千反田に部室で出会い、俺は一旦古典部に入らなくてもいい、と考える。」

奉太郎「俺の目的は古典部の存続だけだったからな…。」

奉太郎「しかし、まあ俺が余計なことを口走ったおかげでそれは千反田に阻止される…。」

奉太郎「俺たちが初めて一緒に考えたこと……。」

奉太郎「千反田、閉じ込められ事件だ……。」クスッ

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:40:27.77 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「その事件の謎を考えている最中、里志が部室に現れる……。」

奉太郎「俺が女子と二人で喋っているのを珍しがってな……。」

奉太郎「結局そのまま、里志も古典部に入ることになる……。」

奉太郎「……千反田の誘いに乗って、だ。」

奉太郎「そして、三人で古典部の活動を始めるが……。」

奉太郎「正直、最初はただの読書活動だった。」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:41:34.34 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「そこで、千反田が『不毛です!』とか言い出して……。」

奉太郎「俺たちは、図書室に文集を探しに行くこととなる…。」

奉太郎「そこで出会ったのが……。」

奉太郎「……伊原だ。」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:43:41.00 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「そこで毎週、金曜に借りては返される図書の謎を伊原から聞き、」

奉太郎「その謎を俺は解くことが出来た。」

奉太郎「生意気な口を聞く伊原が驚いていたのが少し爽快だったな…。」クスッ

奉太郎「そして伊原も古典部に入ることとなる…。」

奉太郎「詳しい理由は聞いてないが、まあ…里志もいて、千反田とも仲好くなったからだろう……。」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:45:06.97 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「………。」

奉太郎「………なんだ…。」

奉太郎「……今の古典部は、千反田が作ったようなものじゃないか……。」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:46:25.44 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「懐かしくて、話が少しそれてしまったな………。」

奉太郎「さしあたっての謎は、『なぜ俺はあの夢を悪夢と思ったのか』……だ。」

奉太郎「無駄なエネルギーを消費し、千反田や里志に振りまわされる日々……。」

奉太郎「それは、俺が望んでいなかったもののはずだ……。」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:47:26.85 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「…客観的にみると、一人よりも大勢の方が楽しいと考えることが多いだろう…。」

奉太郎「その理由はなんだ…?」

奉太郎「わからないな……。」

奉太郎「明日、少し聞いてみるか……。」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:49:02.03 ID:PuhrbVk/0
翌日 放課後

奉太郎「………。」ペラ…

里志「………。」カキカキ…

ガラララ

千反田「…こんにちは!折木さん!福部さん!」

伊原「あら、福ちゃんに折木、早いわね。」

奉太郎「…ああ、千反田と伊原も来たか……。」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:50:03.77 ID:PuhrbVk/0
里志「こんにちは、摩耶花に千反田さん。」

里志「今日は何だか奉太郎が聞きたいことがあるそうだよ。」

里志「僕たちみんなにね。」

伊原「折木が私たちに聞きたいこと?なあに?福ちゃん?」

里志「それが、まだ僕も聞いていないんだ。」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:51:06.22 ID:PuhrbVk/0
里志「さて奉太郎、みんなもそろったことだし、そろそろ聞かせてくれよ。」

里志「一体、僕たちに何を聞きたいんだい?」

奉太郎「そんな、大した話じゃないぞ…。聞きたいのは簡単なことだ。」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:52:10.10 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「里志、お前は大勢でいるのと一人でいるの、どちらが好きだ?」

里志「大勢と一人…?それは大勢じゃないかな?」

奉太郎「何故だ?」

里志「何故って……。楽しいから?」

奉太郎「なんで楽しい?」

里志「なんで楽しい、か…。それはちょっと難しい質問だね……。」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:53:38.95 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「他の奴にも聞こう。大勢と一人、どちらが好きだ?そして、その理由は?」

摩耶花「私もどちらかと言えば大勢かな…。一人もまあ嫌いじゃないけど……。理由までは…ちょっと…。」

千反田「私も……大勢でいると賑やかでいいと思いますが…。どちらが好きかと言われれば答えづらいです…。」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:55:04.24 ID:PuhrbVk/0
千反田「折木さん。そもそも、その大勢というのはどのような方たちを指すのでしょう…?」

奉太郎「…そうだな。ただ楽しいか、と聞かれれば答えづらいのは当然の話だ……。」

奉太郎「………。」

奉太郎「……じゃあ、こうしよう。」

奉太郎「古典部でいるのと一人でいるの、どちらが好きだ?」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:56:13.66 ID:PuhrbVk/0
摩耶花「そんなの、古典部に決まってるじゃない!」

里志「古典部だね。」

千反田「古典部です!!」

奉太郎「…………理由は?」

摩耶花&里志&千反田「楽しいから!!」千反田「です!!」

奉太郎「……………。」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:57:46.46 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「つまり、まとめるとだな…。」

奉太郎「お前たちは一人でいるより古典部でいる方が好きで、その理由は『楽しいから」だと……。」

里志「そうなるね。実に簡潔なまとめだ。」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 21:58:54.39 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「何故楽しいんだ?」

里志「それは………僕が古典部のメンバー全員のことを気に入っているからだね。」

里志「好きな人たちといるのは、当然楽しいことだよ。」

摩耶花「あ…あたしも、みんなのこと好きだよ?…まあ、折木も含めてあげる…。」

摩耶花「それに、古典部でいると漫研のときと違って落ち着くんだ…。なんでって言われると答えづらいけどさ……。」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:01:08.28 ID:PuhrbVk/0
千反田「………私も古典部のみなさんが大好きだからです!それに………。」

千反田「みなさんとなら、何をしてても楽しく思えてしまうんですよ。…何故なんでしょうね?」


奉太郎「…………。」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:02:51.88 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「…………。」

摩耶花「ちょ、ちょっと折木!あんた、恥ずかしいこと聞いたんだから何か反応しなさいよ!」

里志「そうだね。奉太郎はさっきの質問をして一体何を聞きたかったのかは僕も知りたいよ。」

千反田「折木さんが何を聞きたいのか……」

千反田「わたし、気になります!!」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:05:10.72 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「…………ああ。」

奉太郎「昨日、俺はここで寝ていたろ……?」

里志「あの千反田さんの名前を叫んだことだね?」

奉太郎「ぐっ…………そうだ…。」

奉太郎「そのときに見た夢が少し印象に残っててな……。」

奉太郎「昨日の夜、考えていた…。」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:06:13.01 ID:PuhrbVk/0
千反田「どんな夢だったんですか?」

奉太郎「夢の話をするのは、少し恥ずかしいが……。」

奉太郎「そうだな、平たく言うと古典部が俺しかいない、という感じの夢だった………。」

奉太郎「伊原と千反田の話だと、俺はそのときうなされていたんだよな…?」

摩耶花「そうね。ずっと苦しそうな感じだったわ。」

摩耶花「面白いから見てたけど。」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:07:14.64 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「(……起こせよ。)……まあ、そのうなされていたことに加えて俺自身も昨夜、夢のことを振り返ったときに思った。」

奉太郎「ひどい悪夢だったと……。」

奉太郎「しかし、思い返してみるとおかしいんだ。」

奉太郎「俺はエネルギー消費の激しい生活を嫌い、高校生活は平凡に過ごしたいと考えていた。」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:08:15.85 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「俺以外がいない部活動。静かな放課後。どちらも俺が望んでいたことだったはずなんだ。」

奉太郎「なのに俺はあの夢を『悪夢』と思ったんだ。」

摩耶花「あんた、それは……」

奉太郎「伊原…すまない。俺の中でも結論は出てるんだ……。」

奉太郎「聞いてくれ。」

摩耶花「……。」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:09:18.60 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「……まあ、なんてことはない。」

奉太郎「俺も、お前たちの意見と何ら変わりのない日々を過ごせていたということだ。」

奉太郎「要するに…俺も…。」

奉太郎「『楽しかった』んだな…。」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:10:20.06 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「だったらあの夢を悪夢と思っていた理由がつく…。」

奉太郎「エネルギー消費を抑える生活より、今の生活の方が俺は気に入っているということだ……。」

奉太郎「あくまで、客観的に言えば…だがな…。」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:11:41.88 ID:PuhrbVk/0
摩耶花「……。」

里志「……。」

千反田「……。」

奉太郎「以上だ…。なにかあるか…?」
 

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:14:14.22 ID:PuhrbVk/0
里志&摩耶花「……。」プルプル…

摩耶花「ぷっ……あはははははは!!!」

摩耶花「お…折木……あんた、二日続けて笑わしてくれるわね!!あはははは!!」

里志「ほ…奉太郎…あははははははは!!」

奉太郎「!?」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:15:16.97 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「な…何がおかしいんだ…。」

千反田「ふふふ、折木さんったらおかしいです。」

奉太郎「千反田まで!?」

奉太郎「ほんとに何がおかしいんだ…?教えてくれ……。」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:16:25.26 ID:PuhrbVk/0
摩耶花「べ、別におかしいことなんてないわよ……。ただ…ねえ…?」

里志「くくく……うん、そうだね。今の奉太郎のおかしさを表すなら……。」


里志&摩耶花「「『かわいいこというなあ。』」」

里志&摩耶花&千反田「「「……ぷっ…あはははははっははは!!!」」」

奉太郎「……なっ/////」

57:  012/09/27(木) 22:17:54.10 ID:PuhrbVk/0
里志「だってさ、奉太郎?さっきの君の推論が何を意味しているか分かってるのかい?」

麻耶花「あんた、いろいろもったいぶって言うから何かと思ったら……」

摩耶花「……要するに、わたしたちのことが大好きだって言ってるようなもんじゃない?」

奉太郎「……な!?…違う!………俺はあくまで客観的な話としてだな……!」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:19:17.83 ID:PuhrbVk/0
里志「まあ、そういうことにしとこうか。奉太郎。」

摩耶花「そうね。折木がそういうならそうなんでしょ。」

奉太郎「くっ…お前ら……。」

千反田「折木さんって普通の方と違ってなにか達観している節があったので安心しました。」ニコッ

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:20:23.94 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「別に俺は普通の男子高校生だろ……。」

里志「くくく…そうだね。今の奉太郎は普通すぎるほど普通な男子高校生だよ…。」

摩耶花「あははは……お腹痛いわ……。」

奉太郎「くっ……やっぱり言うんじゃなかったな……。」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:22:17.90 ID:PuhrbVk/0
帰り道

奉太郎「……………ふう。なんなんだあいつらは…。」

奉太郎「人が真面目に話をしているというのに…。」

千反田「ふふふ…。折木さん、私は折木さんの気持ちを知ることが出来てうれしかったですよ?」

奉太郎「だから、あれはあくまで客観的にだな……。」

千反田「…。」ニコニコ

奉太郎「ちっ…。」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:23:51.10 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「…………。」

奉太郎「…………ありがとな……千反田。」

千反田「え?……きゅ、急にどうされたんですか?折木さん?」

奉太郎「昨日、夢のことを考えていたとき、古典部の始まりのことも思い出していたんだ……。」

千反田「始まり……。」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:25:44.14 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「ほんとはあの夢の通りになっていた俺の高校生活は、あのときお前が部室に居てくれたことで変わったんだ。」

奉太郎「くやしいが、俺が現状を気に入っていると認めるなら、それはお前のおかげだ。千反田。」

千反田「!」

奉太郎「お前がいてくれたおかげで古典部はいまの形になれた…。」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:26:47.14 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「だから、お前には礼をいわなければならん。」

奉太郎「いつでも言うわけじゃないぞ。今日はなんというか……。」

奉太郎「気分がいいんだ。」

千反田「……それは違います。折木さん。」

奉太郎「………なにがだ?」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:27:53.86 ID:PuhrbVk/0
千反田「変われたのは………、救われたのは、私の方なんです!」

千反田「あのとき、初めて折木さんと言葉を交わす直前まで……。」

千反田「私はとても暗い気持ちでした……。」

千反田「伯父の痕跡が見つかるかわからないことも不安で古典部の部室に来て……」

千反田「これからどうしていこうか途方にくれていたんです……。」

千反田「それに、何より一人でいることが、とても不安だったんです。」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:29:09.23 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「………。」

千反田「だから、一人であの格技場を見ていたときに、折木さんが入ってきてくれて……」

千反田「私…とてもうれしかったんですよ。」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:30:12.08 ID:PuhrbVk/0
千反田「折木さんがいてくれたから、福部さんも入ってくれて…伊原さんも入ってくれて今の古典部があります。」

千反田「氷菓の謎も、伯父の無念も私一人では絶対に分かりませんでした…。」

千反田「本当にお礼を言うのは……私の方なんです。」

奉太郎「千反田……。」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:31:17.46 ID:PuhrbVk/0
千反田「………だから……おあいこ、です。」

奉太郎「………え?」

千反田「私たち二人、いえ四人のうち誰が欠けても今の古典部はありません。」

千反田「だから、誰かのおかげとか、ないんです。」

奉太郎「おあいこ……か。」

奉太郎「確かにな…。」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:32:19.83 ID:PuhrbVk/0
分かれ道

千反田「では、わたしはここで。」

奉太郎「ん、ああ。」

千反田「さようなら、折木さん。」ニコッ

奉太郎「ああ。また明日、な。」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:33:20.48 ID:PuhrbVk/0


奉太郎「………ふう。」

奉太郎「二日続けてなかなかの恥をかいてしまったな…。」

奉太郎「でも、まあいいか…。」

奉太郎「昨日の疑問については気づかれずにすんだしな……。」

奉太郎「昨日の悪夢から目覚める際……」

奉太郎「なぜ俺は千反田の名前を叫んで起きたのか……。」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:34:23.20 ID:PuhrbVk/0
奉太郎「結論としてはひとつしかない……。」

奉太郎「無為なあの夢の日々を、こうも薔薇色に染めてくれたあいつを、俺は………。」

奉太郎「…………。」

奉太郎「まあ、これは……」



奉太郎「あくまで、主観的な話…になるがな……。」



終わり

引用元: 奉太郎「あくまで客観的な話…だがな…。」