1: ぽむあい(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:44:28.48 ID:COwq51iB
歩夢「……」


侑「…」テクテク


歩夢「あっ、侑ちゃん!お疲れ様」


侑「……歩夢」


侑「終わるまで待っててくれてたの?」


侑「もう、先帰っててって言ったのに…」


歩夢「うん、でも…やっぱり一緒に帰りたいなって思って…」


侑「……ごめん、歩夢」

2: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:45:43.57 ID:COwq51iB
歩夢「え…?」フイッ


タカサキサーン!!


侑「あっ、ごめーん!すぐ行くね!」


歩夢「……」


侑「…音楽科で出来た友達なんだ、これから遊びに行こうって話しててさ」


歩夢「…そ、そう…なんだ…」


侑「…うん、だから待たなくても良かったのにさ…ていうか…」


侑「こうして待たれるの、困るんだよね」

3: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:46:48.48 ID:COwq51iB
歩夢「え…?」


侑「待たせちゃうのも申し訳ないし…」


侑「やっぱりこういうことも増えてくと思うから」


侑「今ね、すごく楽しいんだよ」


侑「音楽の勉強も勿論楽しいし、出来た友達とお話する時間も楽しくて…」


侑「……正直、歩夢との時間よりすごく楽しい」


歩夢「……!」

4: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:47:50.79 ID:COwq51iB
歩夢「っ…ど、どうして…そんなこと言うの?」


侑「前から話そうと思ってたんだけどさ…重いんだよね、歩夢って」


歩夢「へ…」


侑「そろそろさ…一定の距離感がほしいなって、歩夢とは」


侑「このまま進む道も変わってくるだろうし、ていうか変わるし」


侑「いつまでも一緒にいるわけにはいかないでしょ」


歩夢「そんな…で、でも…私は侑ちゃんがいないと…侑ちゃんがいたからここまで…」

5: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:49:01.69 ID:COwq51iB
侑「私がいないと何も出来ないっの…?じゃあ、私は一生自由になれないんだね」


歩夢「っ!そういう意味じゃ…!」


侑「…ごめんね。友達待たせちゃってるし…そろそろ行かなきゃだから」テクテク


歩夢「…まっ…待って…!」


侑「…ほんとにごめんね、歩夢といるのはちょっと…息苦しい」

6: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:49:55.29 ID:COwq51iB
侑「歩夢のこと、一番に応援したいけど…遠くから見てるくらいがちょうどいいや」


侑「もう、お願いだからさ。いつまでも私にばかり構わないでほしいんだ」


侑「…ほんとにごめんね、もう私の事は待たなくていいから…じゃあね」


歩夢「……っ、侑ちゃっ…待っ…」


───

8: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:51:09.09 ID:COwq51iB
歩夢「ッ…まって侑ちゃ…っ…!!」ガバッ



歩夢「はぁ…はぁ…っ」



また、夢…


私は、悪夢を見ることが増えた


最初は怖いピエロに追われるとか


クマに襲われるとか


そんな怖い夢を見てきた


けれど、今回のようなリアルな夢が…最近ではとても多くなった
本当に嫌な夢だ…

10: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:52:30.22 ID:COwq51iB
─歩夢といるのは息苦しい─


歩夢「っ、ぐ、ぅ……!」ドクドク


どうしよう…すごく、胸が締め付けられる…


止まない動悸と汗が鬱陶しい…
窓から差し込む日差しすらも、照らされるだけで嫌な気持ちになった


……落ち着け、落ち着かなきゃ…たかが夢なんだから…深呼吸…


歩夢「はぁ……ふぅ…っ」

12: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:54:03.18 ID:COwq51iB
歩夢「は…っ…もう、なんなの…っ」


歩夢「はぁ…っはぁ…、じっ時間…」チラ


チクタク…


……あぁ…学校か…
準備しなくちゃ


…行きたくないな…

13: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:57:15.77 ID:COwq51iB
────
───

放課後


歩夢「………」


ピロン


侑:歩夢ごめん!また遅くなっちゃうから練習終わったら先帰ってて!


歩夢「……」スッ


歩夢:うん、分かった。帰り気を付けてね?


侑:うんっ、帰ったら連絡するねーっ


歩夢「………はぁ」


歩夢(やっぱり…また一人かぁ)

14: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:58:08.70 ID:COwq51iB
侑ちゃんが音楽科に転科して以降、侑ちゃんとまともに話せる機会が減っていった


ゆっくり話せる時間といえば…メッセージのやり取りを除くと一緒にお昼を食べる時間くらいかな


朝も侑ちゃんは早めに登校して…少し遅めに下校してしまうから、本当にお昼の時間くらいしかまともに話すタイミングがない


それも今だけかもしれないけれど

15: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/30(日) 23:59:28.52 ID:COwq51iB
でもこれから音楽を勉強するんだもんね


多くの人はきっともっと昔から勉強しているんだろうし


侑ちゃんは相当勉強しなきゃいけないんだと思う


…侑ちゃんのことは応援したい


でも、この状態が続いて
そのままどんどん同好会にも顔を見せなくなって…ゆくゆくは幽霊部員みたいになって


私よりももっと仲のいい友達が出来たりして、同好会とも私とも疎遠になって…

16: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:00:41.60 ID:BCW0q2qv
今朝見た悪夢のように…なっちゃうのかな、なんて。



またあの夢のせいで…するはずもなかった不安が募っていく。



どっと気分が落ち込んでいっちゃうな…



こんな事、何度目だろう



……たかが夢だもん
振り回されちゃダメだ

17: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:01:32.42 ID:BCW0q2qv
余計なことは考えないようにしなきゃ



…うん、分かってる
分かってるけど…



歩夢「………ほんとダメだなぁ」



はぁ…結局私は…


───

18: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:03:26.18 ID:BCW0q2qv
練習時間



せつ菜「はっ、はっ…あと一周!頑張りましょー!!」



歩夢「はぁ…はぁ…!」ダダダダッ



かすみ「はぁ…はぁ…っ、歩夢先輩早っ…冒頭からずっとペース落ちてなくない?」



しずく「は…っ、確かに…すごい…ずっと愛さんと並走してるね…」



璃奈「…はぁ…っ…いつにも増して、元気…というか…」



愛「は…っ、は…おーい歩夢ー?めっちゃ苦しそうだけど大丈夫?無理するとこの後の練習に響いちゃうよー?」

19: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:04:12.58 ID:BCW0q2qv
歩夢「はぁっ…はぁ…!止まれないの…!」


愛「えっ?」


歩夢「今止まったら…!色々考えちゃうから!!今の私は誰にも止められないよー!!」ピューッ


愛「!?…あははっ!すごいよ!見てせっつー!いつもの歩夢じゃないー!」


せつ菜「はぁっ…はぁ…ホントにすごいです!やる気に満ち溢れてますね歩夢さん…!」

20: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:05:09.26 ID:BCW0q2qv
せつ菜「私達も愛さんと歩夢さんには負けてられませんね!頑張りましょう!」


せつ菜「やっぱりあと二周で!」ダッ


かすみ「しょ、正気ですか…」


彼方「ひ、ひえぇ~…彼方ちゃん壊れちゃう~…」


果林「…もう言い出したら聞かないし、頑張りましょ…」

21: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:06:17.05 ID:BCW0q2qv
エマ「大丈夫!自分のペースでいこう?彼方ちゃん」


彼方「うん~…」


璃奈「……」


しずく「はぁ、はぁ…ど、どうしたの?璃奈さん」


璃奈「ううん…なんでもない」

22: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:08:19.96 ID:BCW0q2qv
───


休憩


歩夢「はぁ……はぁ…うぅ~…」グッタリ


愛「ほーらバテた…」スト


愛「はい歩夢、水持ってきたよ」


歩夢「はぁ…はぁ…愛ちゃん…ありがとう…」ゴクゴク


愛「まぁそれヨーグリーナだけどね」


歩夢「ぶふっ!?」

23: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:09:17.03 ID:BCW0q2qv
歩夢「あっま…!!」


愛「あっはは!引っかかった~!」


歩夢「もっ!もぉ、愛ちゃん!」プクー


愛「ごめんごめん、でもそんなにいいリアクション見せてくれるとは思わなかったよ~」


歩夢「誰でもこうなるよ…ほんとに水だと思ったんだから」

24: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:12:04.95 ID:BCW0q2qv
愛「ごめんってー、はい!ちゃんと水あるよー」



歩夢「ぁ…ありがと…」ゴクゴク



愛「あ…てか、どしたの?今日の歩夢めっちゃ元気っていうか…がむしゃらだったっていうかさ」



愛「なんかあったん?」



歩夢「…あぁ…ううん、その…普通に今日はすごく走りたい気分だったから…」



愛「またまたー、ごまかしちゃって~!」背中パンパンッ

26: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:23:32.48 ID:BCW0q2qv
歩夢「!ちょっ…もう、またこぼしちゃうよ…」


愛「あっはは、ごめんごめん!」


愛「で、ずっとゆうゆのこと考えてたんじゃないの?歩夢は」


歩夢「うぇっ………別に、そんなんじゃ…」


愛「走ってる最中ずっとゆうゆの名前呼んでたじゃん」


歩夢「え!?うそ…ほんとに…?」

27: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:24:19.50 ID:BCW0q2qv
愛「嘘だけど」



歩夢「なんなの!?」



愛「歩夢って面白いね~」



歩夢「え、ええ…そんなに私をからかうのが楽しいの?」



愛「いやー歩夢ってからかいがいがあるというかさ」



歩夢「わぁ否定しないんだぁ…」

28: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:25:06.04 ID:BCW0q2qv
愛「…で、最近ゆうゆと会話の回数が減っていって寂しくなって余計な不安に駆られ始めてるとかそんなとこかな?」



歩夢「え、は…?な、なんで……分かっ…」



愛「えっ、嘘!当たり!?」



歩夢「当てずっぽうだったの!?…わぁぁ…すんなり認めちゃったよ…」カオカクシ



愛「別に隠す必要ないじゃんかー、丸わかりだし

29: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:26:04.35 ID:BCW0q2qv
歩夢「ま、丸わかりなんだ…でも、大体そんな感じかな…」



歩夢「私ってそんなにわかりやすい?」



愛「うーん少なくとも愛さんにはなんとなくわかったよー?本当に当てちゃったからびっくりはしたけど」



歩夢「そうなんだ…」



愛「まぁ、愛さんには二人ほど仲のいい幼なじみが居ないから正直わかんないけどさ…」

30: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:27:08.15 ID:BCW0q2qv
愛「やっぱり昔からずっと隣にいたゆうゆと一緒じゃないと多少は寂しくなるもんなのかなぁって思って」



歩夢「そっか…正直愛ちゃんの言う通り…ちょっぴり、ね」



歩夢「……でも、その…私ね?同好会に入ってから、みんなと出会えて本当に良かったって思うんだ」



歩夢「みんなと出会えて、私を大好きだって言ってくれる人にも沢山出会えて」



歩夢「毎日が楽しいことの連続で、嬉しいことも沢山あった」

31: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:28:07.52 ID:BCW0q2qv
歩夢「大好きなものも、大好きな人も増えていってね」



歩夢「それは勿論侑ちゃんのおかげだし、侑ちゃんも一緒なんだ。だから…」



歩夢「侑ちゃんがしてくれてるように…私も侑ちゃんの好きなこと、やりたいことを応援したい」



歩夢「でもやっぱり、…お互いに遠くなっていく気がして、恐くなってる自分がいるの」



歩夢「17年間一緒にいたし…元々これからもずっと一緒だって思ってたから」

32: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:29:03.16 ID:BCW0q2qv
歩夢「侑ちゃんの事が見えなくなっちゃうのは…今でもやっぱり、少しだけこわい」



歩夢「…大好きな人は沢山できたけど、やっぱり侑ちゃんは私にとってすごく特別な人なんだって改めて思ったんだ…」



歩夢「…侑ちゃんは、私の世界そのものだったから」



愛「…そっか」

33: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:30:06.70 ID:BCW0q2qv
歩夢「…!な…なんてね!ごめんね?」



歩夢「やだな…こんな話するつもりじゃなかったのに変なこと言っちゃった」



歩夢「もう、何言ってるんだろうね…私」



歩夢(本当に、私は何を言ってるんだろう)

34: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:31:09.28 ID:BCW0q2qv
愛「…ううん、歩夢からそういう話聞けるのって愛さんとしては貴重だったし」



愛「歩夢の本心が聞けて嬉しかったかな」



歩夢「本心…そうだね、正直私も愛ちゃんにこういう話するとは思わなかった」



愛「ふふ、だね」



愛「まぁさ…大丈夫だよ歩夢」

35: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:31:58.84 ID:BCW0q2qv
歩夢「え?」



愛「ゆうゆは同好会の事も、何より歩夢のことを何より大切に思ってるもん」



愛「やりたいことも一番大切な人とのことも中途半端にはしないでしょ」



愛「17年も一緒にいた歩夢なら分かるんじゃない?」



愛「二人を見てて感じるけど、やっぱりちょっとやそっとじゃ無くなる繋がりじゃないって思うな、愛さんは」



歩夢「……」

36: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:32:49.83 ID:BCW0q2qv
愛「…まぁ、不安とか悩みがあるならそれをゆうゆにぶつけるのもいいと思うよ?」



愛「知らず知らずに溜め込んじゃうタイプだと思うし、それで爆発しそうだもん。歩夢って」



歩夢「ぅっ…とても心に刺さるお言葉…」



愛「ん?」



歩夢「そっ、そうだよね…今度話せる時間があったら、話してみようかな」

37: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:34:06.84 ID:BCW0q2qv
歩夢「聞いてくれてありがとう、愛ちゃん」ニコ



愛「うんうん、歩夢はやっぱり笑顔が可愛いね~っ」



歩夢「ふふ、口説き文句みたいだよ愛ちゃん」



愛「えー口説いてないよー、本心で言ってるもん」



歩夢「あはは、分かってるよ。ありがとう」



歩夢「愛ちゃんと話してたらなんだか元気になった気がする」



愛「そーお?話聞いてただけだけどね」

38: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:34:51.50 ID:BCW0q2qv
歩夢「そんな事ないよ、すごく励みになった…」



歩夢「愛ちゃんって、相手を話しやすい空気にしてくれるっていうか…なんだろうね」



歩夢「話してるだけで人を元気にしてくれるんだと思う」



歩夢「こうして話していて初めて知ったかも…」



歩夢「…本当はもっと…」

39: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:35:47.70 ID:BCW0q2qv
愛「…ん?」



歩夢「…ううん」



歩夢「…だから、同好会のみんなとも打ち解けてるし……」



歩夢「特に璃奈ちゃんにはすごく懐かれてるし、皆に人気があるのもわかる気がするなぁ」



愛「………えっへへ。よせやい、照れるじゃんか~」

40: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:36:34.46 ID:BCW0q2qv
愛「歩夢もどんどん懐きにきていいんだぞー?」



歩夢「…うん、行けたら行くね」



愛「わー絶対こない言い方じゃーん!」



歩夢「ふふっ…冗談だよ」



せつ菜「歩夢さーん!愛さーん!練習再開しますよー!」



愛「はいはーい!歩夢動けそ?」スク

41: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/05/31(月) 00:37:34.67 ID:BCW0q2qv
歩夢「うん、大分楽になってきたから平気だと思う」



愛「そっか、でも無理しないでよー?」



歩夢「うん、ごめんね?ありがとう愛ちゃん」



愛「じゃ、行こっか!」



歩夢「うん…!」

55: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/01(火) 00:08:47.05 ID:Hp1dSD5D
────
──
数日後


歩夢「うーん……」


愛「あーゆむ!」ピトッ


歩夢「ひょあぁぁ!?」


愛「おぉおぉ、すごい声」


歩夢「あ、愛ちゃん!?びっくりした…いきなり頬っぺにジュース当てないでよ…」

56: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/01(火) 00:09:40.84 ID:Hp1dSD5D
愛「ごめんごめん、隙だらけだったからつい」


歩夢「もぉ……あれ?そういえばどうして普通科の方にいるの?愛ちゃん」


愛「ん?いやー歩夢達とお昼食べようかなーって思ってさ!たまには!」


歩夢「…そうなんだ、いいよ?でも、今日は侑ちゃんと一緒じゃないんだ、やることあるみたいで…」


歩夢「それで、教室で一人で食べるのもなぁって思って…どこで食べようか悩んでたところなんだ」

57: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/01(火) 00:10:35.90 ID:Hp1dSD5D
愛「お、そうなん?じゃあ愛さんと食べよーよ!」


歩夢「うん、そうだね。誰かと一緒の方が美味しいし」


愛「でしょー?で、歩夢はお弁当?」


歩夢「あ、うん、お弁当だよ…。愛ちゃんは?」


愛「アタシはさっき購買で買ってきた!パン!」ズイッ

58: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/01(火) 00:11:33.02 ID:Hp1dSD5D
歩夢「それだけで足りるの?」


愛「これしかなかったんだよね~、足りなかったら最悪歩夢から分けてもらおうかなって」


歩夢「…もしかして私のご飯を当てにしてた?」


愛「えへへー、半分?くらいそうかなー」


愛「一緒に食べたいのは本当だよ?」


歩夢「もぉ、愛ちゃん…全然いいけどね。とりあえずどこで食べようかな?」

59: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/01(火) 00:12:10.07 ID:Hp1dSD5D
愛「やった!んーじゃあ部室とか?」


歩夢「あ、いいね。部室行こっか」


愛「おっけ!」


歩夢「………」テクテク


愛「…そういえば、歩夢さ」テクテク


愛「今もそうだけどここの所めっちゃ眠そうだよね」

60: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/01(火) 00:12:53.49 ID:Hp1dSD5D
愛「…寝てないの?」


歩夢「ぇっ…あっ…う、うん…眠れないというか…スマホゲームで夜更かししてるからかなぁ…最近ハマっちゃって…」テクテク


愛「へぇ歩夢ってゲームとかやるんだ?」


歩夢「まぁ…たしなむ程度にはね?」

61: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/01(火) 00:13:45.61 ID:Hp1dSD5D
愛「ほーん知らなかったなぁ。でも程々にしてちゃんと寝なきゃダメだぞー?」


歩夢「あはは…そうだね、ありがとう」


愛「じゃさ、食べ終わったらちょっとだけお昼寝した方がいいよ、スッキリするし」


歩夢「う…うん、そうだね…」

65: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:24:41.61 ID:TIu9QIgO
─────


璃奈「……」カタカタ


カチャ


璃奈「ん……?」フイッ


歩夢「あ、璃奈ちゃん」


愛「お、りなりーじゃん!今日は部室いるんだ?」


璃奈「あ…うん、少しだけ編集作業しておこうと思って」


璃奈「二人は…どうしたの?」

66: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:25:23.02 ID:TIu9QIgO
愛「歩夢とご飯食べよーと思って、りなりーはもう食べたの?」


璃奈「ううん、これからだよ」


愛「お昼ある?」


璃奈「うん、ここ来る前に買ってきた」


愛「おっ、じゃあこっち来なよりなりー、三人で食べよ!ねっ、歩夢!」

67: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:27:05.74 ID:TIu9QIgO
歩夢「…うん、一緒に食べよ?」


歩夢「あ、でも…作業遅れちゃうかな?」


璃奈「ううん、大丈夫」


璃奈「私も二人と一緒に食べたい」

68: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:28:55.61 ID:TIu9QIgO
───
モグモグモグ


愛「んっ!歩夢の卵焼きすごいおいしいー!ごちそうさまっ」


璃奈「うん、すごく…おだしが効いてておいしい…歩夢さん、ごちそうさま」


歩夢「ほんと?良かったぁ。うん、今日は和風にしてみようかなって…白だし使ったんだ」


愛「へぇ、形も綺麗だし、ここまでレベル高いとは思わなかったよー」


歩夢「高いかなぁ?でも料理するのは好きなんだ。侑ちゃんすごく褒めてくれるし」


歩夢「あ……」

69: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:29:43.22 ID:TIu9QIgO
愛「へぇ、ゆうゆが絶賛するなら間違いないね~」


歩夢「う、うん…二人は料理とかしないの?」


璃奈「うん、あまりしないかな…出来ないわけじゃないけど」


愛「愛さんはまぁ家の手伝いとかしてるからそれなりにねー、でもカナちゃんや歩夢ほど上手いってわけでもないかも」


歩夢「そっかぁ……愛ちゃんと璃奈ちゃんの料理食べてみたいなぁ」

70: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:30:52.79 ID:TIu9QIgO
璃奈「私も、愛さんの作る料理食べてみたい」


愛「おっ、いいよいいよ!じゃあ三人各々お弁当作って持ち寄ってさ、明日のお昼シェアしようよ!」


璃奈「それ、楽しそう」


愛「でしょーっ」

71: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:39:45.75 ID:TIu9QIgO
歩夢「…うん…確かに、楽しそうだね……」


歩夢「でも、その…あんまり期待し過ぎないでね…?」


愛「えー歩夢のお弁当に関してはもう期待しかないけどなぁ~」


璃奈「…うんうん、間違いない」


歩夢「……もぉ、そこまで期待されるとプレッシャー、だよ…」ウツラウツラ


璃奈「……歩夢さん?」

72: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:42:49.56 ID:TIu9QIgO
璃奈「……その、少し寝た方がいいと思う」


歩夢「え…?」ピクッ


璃奈「今の歩夢さん、すごく眠そう」


歩夢「あっ…ああ、あはは…うん、ちょっと寝不足で…」


璃奈「……そっか、じゃあ少しだけ眠った方がいいよ。歩夢さん、今にも眠っちゃいそう」

73: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:44:36.57 ID:TIu9QIgO
愛「ほら、ここで少し横になりなよ。食後だからちょっと行儀悪いかもだけど」


愛「予鈴なったら起こしてあげるし」


愛「はい、どうぞどうぞー」ササッ


歩夢「……うん…ありがとう」


歩夢「じゃ、じゃああちょっとだけお言葉に甘えようかな…」ゴロン

74: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:45:24.32 ID:TIu9QIgO
璃奈「うん、おやすみなさい。歩夢さん」


歩夢「……うん、ありがとう。おやすみ…」


愛「はーい、おやすみ!」


璃奈「………」


愛「………」


歩夢「スー…zzZ」

75: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:47:13.97 ID:TIu9QIgO
愛「おっ、もう寝ちゃった」


璃奈「それくらい寝てないのかも」


愛「そうだろうねぇ…」


璃奈「……歩夢さん、何かあったのかな」


愛「え?」


璃奈「ここの所…少し元気がないみたいだったから」


璃奈「最近の練習も、正直…動きにキレがなかった気がする」

76: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:47:57.56 ID:TIu9QIgO
愛「あー…見てたらわかるよねぇ、やっぱり」


璃奈「うん…きっと、侑さんと関係があるんだよね」


愛「うん、この間練習の時に歩夢とちょこっと話したけど、やっぱりゆうゆとの事で悩んでたみたいだったから」


璃奈「…そうなんだ」


愛「でもさ、ゆうゆの方ももう少ししたら落ち着くと思うし」

77: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/02(水) 01:49:28.97 ID:TIu9QIgO
愛「また同好会にも前みたいに顔出すようになったら、歩夢も本調子に戻れるよ、きっと」


璃奈「うん、そうだね」


璃奈「…そうだと、いいな」


愛「うん」


璃奈「………?」


愛さんは頷きながらも、珍しく一瞬だけ浮かない表情を見せた

82: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:44:55.00 ID:tbv0Q3Wy
───


侑「」


歩夢「…侑ちゃん」


侑「」


歩夢「…おーい、侑ちゃん」


侑「」


歩夢「侑ちゃん…起きて」ユサユサ

84: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:45:44.53 ID:tbv0Q3Wy
歩夢「ねぇ、どうして寝たきりなの?ねぇ起きてよ侑ちゃん…」ユサユサ


侑「」


歩夢「侑、ちゃん?ねぇ、侑ちゃん…!?」ユサユサ


かすみ「何やってるんですか歩夢先輩」


歩夢「っ!かすみちゃん…!?侑ちゃんが動かないの!」


かすみ「いやいや、正気ですか?」

85: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:46:37.03 ID:tbv0Q3Wy
果林「誰のせいだと思ってるのよ」


歩夢「へ…」


愛「…歩夢がゆうゆを刺したんじゃん」


歩夢「!?な、何言ってるの…?」


彼方「とぼけちゃダメだよ?歩夢ちゃん」

86: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:47:33.76 ID:tbv0Q3Wy
歩夢「っまっ、待って…!どっ、どうしてそんなこと…言うの?私は何もしてな」


エマ「歩夢ちゃん、この状況で嘘ついても無駄だと思うな」


しずく「…歩夢さん、鏡見てください」スッ


歩夢「へ…」


歩夢(っ…!血…?)


歩夢「なに、これ…」

87: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:49:20.17 ID:tbv0Q3Wy
璃奈「あれだけやってたのに…もしかして…覚えてないの…?」


歩夢「ぅ、嘘だよ…そんなの…私は本当に何も」


せつ菜「右手に持ってる包丁はなんですか?」


歩夢「へっ…」


せつ菜「血がついてますよね、歩夢さんの顔にも」

88: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:49:59.80 ID:tbv0Q3Wy
歩夢「ぁっ…ぁ…」


歩夢「…私じゃ、ないよ…っ」


愛「私の傍にいない侑ちゃんなんかいらないって言って、刺したんだよ?歩夢が」


歩夢「…!嘘つかないでよ!!私そんな風に思ったこと一度もないよ!!?みんなデタラメ言わないでよ!」


かすみ「でも歩夢先輩はハッキリとそう言いましたよ?」


せつ菜「身勝手にも程がありますよ、歩夢さん」

89: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:50:35.41 ID:tbv0Q3Wy
歩夢「っ…う…あ、あ…」


璃奈「…人殺し」


歩夢「っ…!」


しずく「人殺し」


歩夢「ゃ…」


彼方「人殺し」

90: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:51:42.63 ID:tbv0Q3Wy
歩夢「やめて…」


エマ「人殺し」


果林「人殺し」


かすみ「人殺し」


愛「人殺し」


歩夢「やめて…やめてっ、やめてよ!」

91: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:52:28.66 ID:tbv0Q3Wy
せつ菜「人殺し…」


せつ菜「…あなたが死ねばよかったんですよ」


歩夢「ぁ…っ…あ…」


侑「……」ガバッ


歩夢「!?ゆう…ちゃ…っ」


グサッ…

92: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:53:12.01 ID:tbv0Q3Wy
歩夢「へ…」


侑「……コノヒトゴロシ」


侑「一生呪ってやるからね、歩夢♪」ニコ


歩夢「」


歩夢「うわあああああぁぁあああぁぁああああ」

93: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:54:19.19 ID:tbv0Q3Wy
─歩夢さん…!


──歩夢!!


愛「歩夢!!!」ユサユサ


歩夢「いやぁぁあ…っ!」ガバッ


歩夢「っ…~っ」ギュゥゥ


璃奈「ぁ、歩夢、さん……?!」


歩夢「はぁ…っ、はぁ…」ダラダラ

94: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/03(木) 20:55:38.63 ID:tbv0Q3Wy
愛「あっ…歩夢!?大丈夫…!?すごいうなされてたよ!?」


歩夢「っ、だ…っ」


璃奈「え…?」


歩夢「っ…もう、やだよ…っ!!」ギュウッ


璃奈「…っ…歩夢さん…」サスサス


歩夢「うぅ…っぅ…」


璃奈「……愛さん」チラ


愛「……歩夢…」

104: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:41:38.09 ID:N0F1tcAa
放課後
─生徒会室


菜々「……」カキカキ


トントン


菜々「はい」


カチャ


愛「やっほ」


菜々「…愛さん」


愛「ごめんまだ仕事中だった?」

105: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:42:23.80 ID:N0F1tcAa
菜々「大丈夫ですよ?あと少しで終わりますし」ニコ


愛「そっかそっか」


愛「じゃあ終わるまで待っとくよ」


菜々「いえ、私が呼び出したんですし…1度中断します」


菜々「こっちの方が重要ですしね…」


菜々「…愛さん。さっきの電話でのこと、聞かせてもらえますか?」

106: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:42:55.56 ID:N0F1tcAa
愛「……いいの?ここで話しちゃって」


菜々「はい、大丈夫ですよ。私一人だけですから」


愛「そっか…」


菜々「その……歩夢さんは、今は家に?」


愛「…うん、ずっと顔色が悪くてさ、すごく具合悪そうだったから」

107: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:43:30.66 ID:N0F1tcAa
愛「家の人呼んで、早退したよ」


菜々「そうですか…それほどまでに…」


愛「うん…」


菜々「愛さん、言ってましたよね?電話でさきほど…」


菜々「…歩夢さんがうなされていたって」


愛「うん、結構うなされ方がさ…辛そうだった」

108: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:44:21.88 ID:N0F1tcAa
愛「…見てるこっちも辛かったよ」


菜々「何かこわい夢を見たって事ですよね」


愛「歩夢さ、ここの所寝不足っぽかったんだよね」


愛「今日なんかも…見ててめちゃくちゃ眠そうだったし」


愛「だからお昼寝した方がいいって言ったんだけど。あんまり眠りたそうじゃなかったっていうか…」

109: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:45:12.38 ID:N0F1tcAa
菜々「ということは…寝不足の原因が」


愛「うん、りなりーも言ってたけど。多分今回だけじゃないのかも」


菜々「そう、ですか…ここの所少し様子がおかしかったのはそのせいだったんですね…」


愛「やっぱ気付いてた?」


菜々「正直、確信にまでは至らなかったですが…きっと皆さんも薄々気付いていたと思います」

110: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:45:43.47 ID:N0F1tcAa
菜々「侑さんだったら違ったのでしょうけど…」


愛「…そうだね」


菜々「きっかけはなんだったんでしょう」


愛「え?」


菜々「もし歩夢さんが悪夢を頻繁に見るようになったのなら、やっぱりストレスが関係してると思うんです」

111: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:46:32.12 ID:N0F1tcAa
菜々「それが部活のことなのか…家庭のことなのか…」


菜々「…友達のことなのか」


愛「………」


菜々「…侑さんに連絡は?」


愛「…変に心配かけたくないから絶対言わないでって、歩夢に」


菜々「そう、ですか…」

112: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:47:10.17 ID:N0F1tcAa
菜々「そうですよね…侑さんは、音楽科の方でも頑張っていますし…今後のイベントの事でも色々動いてくれていますから」


菜々「歩夢さんとしては、そう言うしかないのかもしれないですね」


菜々「それでもやっぱり、歩夢さんには侑さんが…」


愛「かもね、でも…」


菜々「…愛さん?」

113: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:47:47.12 ID:N0F1tcAa
愛「…んーん、やっぱりなんでもないや」


菜々「…そうですか」


菜々「少し気にかけておいた方がいいですね…歩夢さんのこと」


愛「そうだね、愛さんもそうするつもり」


菜々「ありがとうございます、愛さん。話して頂いて」

114: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:49:29.80 ID:N0F1tcAa
愛「ううん、元々歩夢が練習休むことは伝えなきゃなって思ってたし」


愛「あまり話して欲しくなかったかもしれないけど…」


愛「せっつーだけには話しておいた方がいいかなぁって思ったから」


菜々「……私はもう部長じゃないですよ?」


愛「…うーんそういうんじゃなくてさ」

115: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:50:45.38 ID:N0F1tcAa
愛「やっぱりせっつーはゆうゆと同じくらいみんなの事見れてる子だと思ってるから、アタシは」


菜々「……買い被り過ぎですよ、愛さん」


愛「ふふっ、そんな事ないよ。せっつーはすごい子だよ」


菜々「……」


愛「…よし!じゃあそろそろ練習行ってくるね」

116: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 00:51:42.10 ID:N0F1tcAa
菜々「…あ、はい。私もこっちが終わったらすぐ行きますね」


愛「分かった!じゃあ、また後でね!」ガチャ


菜々「はい」ニコ


パタン


菜々「…愛さんだってよっぽど皆さんのこと見れてますよ」

118: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:22:17.79 ID:N0F1tcAa
────
──

─歩夢さんって、侑さんの話ばっかりですね


─…また侑の話?


─二言目には侑ちゃんだよね


─侑先輩しか友達いないんですか?



歩夢「………は」パチッ

119: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:25:03.97 ID:N0F1tcAa
歩夢「…………」ムク


歩夢「…はぁ…」


またか…


…もう、何回目だろう…この夢も


ちゃんと薬飲んでおけばよかった…


…お昼、二人にも迷惑かけちゃったし


…なんかもう、何もかもどうでも良くなってきた

120: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:25:45.33 ID:N0F1tcAa
ピロン


歩夢「………ゆうちゃん」



歩夢「…未読三通」ポチ



侑:歩夢ー!今夜ちょっと話せるかな?


侑:今帰ったよー、もう家いる?


侑:起きてる?



歩夢「……」ポチポチ

121: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:26:27.54 ID:N0F1tcAa
歩夢:起きてるよ


……ピロン


侑:少しだけ話せる?


歩夢「………」


歩夢(…今は話したくない)


……

122: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:27:07.76 ID:N0F1tcAa
trrrrrr…


歩夢「っ…!」ビクッ


trrrrr…


歩夢「…はぁ……」ポチ


歩夢「…はい」


侑「あ、出た…歩夢?今大丈夫?」


歩夢「…っ…ぅ、…うん」

123: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:27:56.88 ID:N0F1tcAa
侑「…?なんか…元気無さそうだけど、既読もずっとつかなかったし…今日具合悪かった?」


歩夢「…ごめん…侑ちゃん、用件だけ伝えてくれるかな」


侑「歩夢…?」


歩夢「……大丈夫だから」

124: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:28:46.90 ID:N0F1tcAa
侑「…あの、さ…私ね、最近まで試験があったんだけど」


歩夢「うん」


侑「何とか合格点までいけて、そろそろこっちの方が落ち着きそうなんだ」


歩夢「そうなんだ、お疲れ様」


侑「ありがとう、少ししたら同好会にも顔出せるから、久しぶりにみんなとも走ったりしたいし」

125: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:29:48.62 ID:N0F1tcAa
歩夢「そっか……」


歩夢「用件はそれだけ?」


侑「…?う、ううん。まだあるんだけど…」


歩夢「……」


侑「その、音楽科で出来た友達にね、作曲の仕方を教わってるんだ。それで」


歩夢「……やっぱり聞きたくないや」ボソ

126: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:30:29.76 ID:N0F1tcAa
侑「え…?」


歩夢「…ごめん、今は侑ちゃんの声も…話も聞きたくないよ」


侑「っ……あ…歩夢…?どうかしたの?」


侑「様子おかしすぎない?」


侑「ていうかここの所元気も無さそうだったし…」

127: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:31:05.14 ID:N0F1tcAa
歩夢「…もう嫌なんだよ」


侑「……」


歩夢「こうして侑ちゃんの声を聞いてるの…嫌になるの」


侑「…どういうこと?」


歩夢「…ごめん、今は私のことはほっといて」


侑「ま…待ってよ歩夢!」

128: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:31:45.79 ID:N0F1tcAa
歩夢「……」


侑「少しだけベランダで話さない?」


歩夢「無理だよ…」


侑「…なんでよ」


歩夢「今は誰の顔も見たくない、話したくもない…」


侑「…本当にどうしちゃったの歩夢…もしかして私が何か」

129: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:32:25.73 ID:N0F1tcAa
歩夢「…もういいでしょ、侑ちゃんが今楽しそうで安心したよ…私といる時間よりも楽しいでしょ?」


歩夢「だから、私の心配なんかしてないで切り捨てちゃえばいいよ…私の事なんて」


侑「…なに、それ…」


侑「そんなふうに思ってるの…?」

130: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:33:21.48 ID:N0F1tcAa
侑「…さすがに怒るよ、歩夢」


歩夢「…」


歩夢「……もう、切ってもいいかな」


侑「………」


侑「…………落ち着いたら、ちゃんと話そ」


歩夢「………じゃあね」

131: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:34:16.18 ID:N0F1tcAa
侑「……」


歩夢「……」


ブチッ


歩夢「…」


…昼間の悪夢の影響で、侑ちゃんの声を聞くことが怖かった


でも次第に侑ちゃんの優しい声を聞いていて
少し安心してしまっている自分が腹立たしくなった

132: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/07(月) 01:36:04.62 ID:N0F1tcAa
そのおかげで侑ちゃんに当たっちゃった、何も悪くないのに


結局侑ちゃんに心配掛けちゃってるし…きっと傷付けてしまった


もう、取り返しがつかないかもしれない。


本当に私は何をやってるんだろう…何がしたいんだろう…。


歩夢「……バカみたい」ポロポロ


もう頭の中がぐちゃぐちゃだ…
私は更に、自己嫌悪に陥った

141: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:49:17.60 ID:sLh8vTDY
────
───
─数日後 昼休み

部室

愛「……」モグモグ


璃奈「ん……愛さんのお弁当、すごくおいしい」モグモグ


愛「おっ、でしょでしょ?」


璃奈「愛さんがアスパラベーコンを作れるとは思わなかった」

142: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:50:02.51 ID:sLh8vTDY
愛「ちょこーっと作り方調べたけどねー」


璃奈「じゃあ初めて作ったんだ…初めてなのにこのクオリティ…私も愛さんを驚かせたい」


愛「あ、でもでも!りなりーの作った卵サンドもすごいおいしーよ!」


璃奈「え、ほんとに…?ちょっと緊張したけど、これでもすごく頑張ったんだ」

143: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:50:44.93 ID:sLh8vTDY
璃奈「愛さんのお口にあって良かった…璃奈ちゃんボード[ウキウキ]」


愛「えっへへ、りなりーは可愛いなぁ」ナデナデ


璃奈「ん……」テレテレ


璃奈「……」

144: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:51:21.52 ID:sLh8vTDY
愛「…?りなりー?」


璃奈「……歩夢さん、今日も来てないのかなって思って」


愛「あぁ…ずっとメッセージ入れてみてるんだけどね、全く反応なくて」


愛「だからさっき教室に行ってみたんだけど…今日も体調不良で休みだって」

145: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:52:09.60 ID:sLh8vTDY
璃奈「…そっか」


愛「やっぱり心配だよね」


璃奈「うん…あんな歩夢さん、初めて見たから」


愛「…うん、アタシもだよ」


璃奈「…愛さ」


ガチャ

146: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:52:53.35 ID:sLh8vTDY
侑「……あ、璃奈ちゃん、愛ちゃんも」


璃奈「?…あ、侑さん」


愛「…お、ゆうゆじゃん」


侑「部室で食べてるんだ?」


愛「うん!ゆうゆはもう食べたの?」

147: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:53:47.13 ID:sLh8vTDY
侑「うん、軽くね」


愛「そっかそっか」


璃奈「なんだか侑さん、久しぶりな気がする」


侑「あはは…確かにね、ごめんね?しばらく顔出せなくて」


愛「いいよいいよー、ゆうゆは今頑張りどころだしね」

148: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:54:43.60 ID:sLh8vTDY
愛「…まぁかすみん達も寂しがってるからさ、たまには顔見せてあげてよ」


侑「ふふ、そうだね…でももう少ししたら落ち着くから、そうしたらすぐ戻るよ」


侑「やっぱり私もさ、みんなともっと居たいし」


璃奈「そっか…侑さんが戻ってきたら、みんな喜ぶと思う」

149: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:55:27.15 ID:sLh8vTDY
侑「あはは…そうかな、そう言われちゃうとなんだか照れるなぁ…」


愛「…あ、ていうか…どうしたのゆうゆ」


愛「部室に用事あったんだよね?」


侑「あー…まぁ、あはは…」

150: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:57:09.84 ID:sLh8vTDY
侑「ふとね、ちょっと部室に来てみたくなっちゃって」


侑「でも二人の顔見れてなんだか安心しちゃった」


璃奈「…侑さん、あの…歩夢さんとは最近…話せてる?」


侑「ああ…最近はちょっとね…でもこの間電話で話したよ」


侑「まぁその…ちょっと喧嘩しちゃったけどさ…」

151: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:57:58.07 ID:sLh8vTDY
愛「えっ、喧嘩…?」


侑「いや、喧嘩っていうか……はぁ…」


侑「どうしてこうなるんだろうね…」


璃奈「…何があったの?」

152: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:58:36.77 ID:sLh8vTDY
愛「…とりあえず座りなよ、ゆうゆ」


侑「うん…」スッ


侑「私にも正直よく分かんないんだ」


侑「この間の夜にね、いつもみたいに歩夢と話そう思って、電話したんだ」

153: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 00:59:10.26 ID:sLh8vTDY
侑「でも、私と話したくないって言われちゃってさ…」


愛「!」


侑「今までこんなことなかったから、流石に動揺しちゃったよ」


侑「17年間もずーっと一緒にいた子にさ…こんなに急に嫌われちゃうだなんて思ってもみなかった」

154: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 01:00:18.99 ID:sLh8vTDY
侑「私が何度も歩夢を悩ませてたのが悪いんだよね、きっと…当然今回も悩ませてたんだと思う」


侑「愛想つかされちゃったのかもね」


愛「そんなことないよゆうゆ」


愛「…嫌われてなんかないよ」


侑「そうかな…」

155: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 01:01:02.36 ID:sLh8vTDY
璃奈「うん…2人がどれだけ仲良しなのかはみんな知ってるから」


璃奈「しっかり会って話した方がいいと思う」


侑「…そう、だね…」


愛「……あのね…ゆうゆ、話しておきたいことがあってさ」

156: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/10(木) 01:02:23.09 ID:sLh8vTDY
璃奈「愛さん…?」


愛「やっぱりゆうゆに黙っとくのもさ…歩夢には悪いけど」


璃奈「…うん、そう…だね」


侑「…?どういうこと…?愛ちゃん」


璃奈「……」


愛「…あのね」

163: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 00:49:50.47 ID:LLDBglvH
───

trrrrrrr…


歩夢「……」


trrrrrr…


歩夢「…はい」


愛「うお!出た…!もしもし?歩夢?」


歩夢「何度も電話かけてこないでよ…愛ちゃん」

164: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 00:51:03.64 ID:LLDBglvH
愛「だって歩夢中々出ないんだもん…」


愛「ゆうゆも心配してたよ?歩夢が電話に出んわーって」


歩夢「………今人と話せる気力がないの」


愛「こうして出てくれたのに?」


歩夢「愛ちゃんがしつこいからだよ…」


愛「あはは…それはごめん。でも電源は切らないでいてくれてたんだね」


歩夢「………」

165: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 00:51:52.91 ID:LLDBglvH
愛「体調の方は平気?」


歩夢「そこそこ…かな」


愛「…そっか」


歩夢「それで、用件は何?」


愛「今から会えないかな?」


歩夢「…どうして?」


愛「二人でちょっと話そうよ、聞きたいこともあるし…謝りたいこともあるから」

166: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 00:53:40.62 ID:LLDBglvH
歩夢「このまま電話でいいと思うけど…」


愛「でももうさ、今歩夢んちの近くにいるんだよね」


歩夢「は…?」


歩夢「え、なんで?」


愛「なんでって、歩夢に会いたいからじゃん」


歩夢「ええ……」

167: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 00:54:36.99 ID:LLDBglvH
愛「ほんの少しでいいからさ」


歩夢「…はぁ…もう…分かったよ、ちょっとだけだからね…?」


愛「やった!ありがと!じゃあ今行くねー」


ピッ


歩夢「………」チラ 鏡


はぁ、見た目酷いなぁ…流石にちょっと直さなきゃ

ていうか、どうして今からなんだろう
まだ夕方だけど、外も暗くなってきてる時間だし…


………ちょっと、面倒だなぁ。

168: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 00:55:49.52 ID:LLDBglvH
───



ガチャ


愛「おっ、やっほ」フリフリ


歩夢「うん…」


愛「…酷い顔してるね、歩夢」


歩夢「え…」


愛「その様子だと休んでる間一歩も外出てないでしょー?」


歩夢「……そんなに酷いかな…」サワサワ

169: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 00:56:44.40 ID:LLDBglvH
愛「うん、めっちゃ表情暗いし」


愛「それに…」チラ


歩夢「…何?」


愛「ううん、やっぱなんでもない!ちょっと気分転換にその辺歩かない?」


歩夢「いいよ、別にここで」


愛「でもちょっとは外歩いた方がいいって」


歩夢「いいってば…」

170: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 00:57:59.94 ID:LLDBglvH
愛「あー…ほらっ、一緒に外歩いてくれたらダジャレ100連発してあげるから!」


歩夢「………分かった、行くからダジャレ100連発だけはしないで」


愛「………思いがけない返答で愛さんびっくりしちゃったよ」


愛「でもやった!じゃあちょっと散歩しながら話そ!」


歩夢「…うん、いいけど…その前にちょっと上着とってくるから待っててくれるかな?」


愛「うん!おっけ!」

171: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:00:04.30 ID:LLDBglvH
────
──





テクテク


歩夢「……」


愛「……」


歩いて数分くらい無言だった
なんか、ちょっと気まずい

聞きにくいことなのかな、それに謝りたいことって…。

一体なんなんだろう、侑ちゃんから何か聞いたのかな

172: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:00:57.06 ID:LLDBglvH
ヒュォォ…


歩夢「寒…」


愛「あー…まだ10月半ばだけど、もうすっかり冬って感じになってきたもんねー」


歩夢「…そうだね」


歩夢「…ねぇ…愛ちゃん、この間は迷惑かけてごめんね」


愛「んー?」


歩夢「お昼休みの時、見苦しいとこ見せちゃったから。愛ちゃんと璃奈ちゃんには」

173: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:01:32.88 ID:LLDBglvH
愛「…んーん、でも本当に辛そうだったからさ。めっちゃ心配したよ」


歩夢「ごめん」


愛「謝んなくていいって」


愛「やっぱり…初めてじゃないんだよね?あんな事になるの」


歩夢「……うん」

174: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:02:01.77 ID:LLDBglvH
歩夢「この間病院に行って診てもらったんだ」


歩夢「私、軽い悪夢障害らしくて」


愛「え…?」


歩夢「…原因は恐らく積もりに積もったストレスのせいかもしれないって」


愛「そうなんだ…じゃあやっぱり、この間話してくれた悩みと関係ある?」

175: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:03:18.32 ID:LLDBglvH
歩夢「かな…始まったのは夏休みが明けて少し経ってからだから」


愛「そっか…」


愛「歩夢。アタシさっきさ、聞きたいことがあるって言ったよね」


歩夢「う、うん…」


愛「…ちょっと、そこの公園行かない?ベンチあるし。そこで聞いてもいいかな?」


歩夢「…ん、分かった。いいよ」

176: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:05:37.05 ID:LLDBglvH
──

街頭一つに遊具が滑り台だけ
あとベンチ一つ…

その横に自動販売機
こんな小さな無名の公園に来るのなんていつぶりだろう…こんな所、存在すら知らなかった
けど、なんだか懐かしい


…ベンチかぁ…このくらいの気温だと冷たそうだなぁ


そう思ってたら、愛ちゃんが自分のハンカチを敷いてくれた。


急なレディファーストに戸惑う。愛ちゃんもレディなんだけど…


レディにレディファーストされるなんて

177: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:06:18.56 ID:LLDBglvH
歩夢「え…いいよ、汚れちゃうよ?」


愛「いいのいいの、冷たいしさ。座って座って」


歩夢「ええ…え、じゃ、じゃあ…座るね?ありがと」スッ


愛「うん、ちょっと温かいの飲もっか」


歩夢「別にいいのに…」

178: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:08:50.76 ID:LLDBglvH
愛「いいのいいの!…えーっと、歩夢何がいーい?」


歩夢「えっ、ぇ…じゃあ、ココアで…」


愛「おっけ、じゃあアタシもこれにしよ」ポチッ


ガコン


愛「おーあったか…ほい、歩夢」


歩夢「ありがと。えっと、お金…」

179: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:09:50.84 ID:LLDBglvH
愛「別にいいよ、飲んで飲んで」


愛「横座るねー」スッ


歩夢「う、うん…ありがと」


横で缶の蓋を開ける愛ちゃんに続いて
自分もカチッと蓋を開けて、一口呷る
冷えた身体にジーンと沁みる感覚がとても心地良かった


歩夢「…ほっ、おいしい…」ボソッ

180: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:10:39.41 ID:LLDBglvH
愛「うんうんっ、久々に飲んだけどめっちゃおいしいよね、ココア」


愛「でも急にこんな寒くなるとは思わなかったよ、今更言うのもなんだけどごめんね?無理に連れ出しちゃって」


歩夢「ううん、別に平気だよ、そんなに辛くないし」


歩夢「わりとここ落ち着くかも…」


愛「そう?」

181: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:11:24.76 ID:LLDBglvH
歩夢「うん、それよりお尻…大丈夫?冷たくない?」


愛「ん?大丈夫大丈夫!愛さんの全身はぶ厚い皮膚で出来てるから!」


歩夢「ふふ…何それ」


愛「おっ、笑った」


歩夢「…笑ってないよ」


愛「わーうそつきー」ジー

182: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:12:00.32 ID:LLDBglvH
歩夢「……も…もぉ、聞きたいことあるんだよね?」


愛「あっ…はは、そうだね」


愛「じゃあ、聞くね?」


歩夢「うん」

183: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:13:49.34 ID:LLDBglvH
愛「あのさ、歩夢が話してくれた悩みの事なんだけど」


愛「ゆうゆがいないと不安だ。って言ってたでしょ?」


歩夢「…うん」


愛「ずっと思ってたんだ、それだけじゃないんじゃないかなって」


歩夢「え?」

184: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:14:50.46 ID:LLDBglvH
愛「あの時の歩夢との会話の中でちょっと引っかかる部分があったから」


歩夢「引っかかる部分…?」


愛「アタシが同好会のみんなと打ち解けてる…皆に人気があるって」


愛「歩夢、そう言ってくれたよね」


愛「…その時一瞬悲しそうで、ちょっと辛そうな顔してたから」


歩夢「…!」

185: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:15:25.51 ID:LLDBglvH
愛「気のせいかとも思ったんだけどね」


愛「で…ゆうゆから今日聞いたんだ、歩夢に拒絶された、嫌われたって」


歩夢「……」


愛「アタシの聞いた歩夢の悩みが全部なら、そんな事になんないんじゃないかなって思ったからさ」


愛「もし他に悩みがあるんだとしたら、その悩みと関係があるのかなって」

186: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:16:21.28 ID:LLDBglvH
愛「ねぇ歩夢…ストレスの根源ってもしかしたら別にあるんじゃないの?」


歩夢「………」


愛ちゃんは、意外と人をちゃんと見てる
ここまで鋭いとは思わなかったけど…

ごまかそうと思った
でも、向けられた愛ちゃんの真剣な眼差しには、どうしてか逆らえなかった

187: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:16:47.16 ID:LLDBglvH
歩夢「…実は…あの時もね、嫌な夢を見たの」


歩夢「私が侑ちゃんをころしちゃう夢」


愛「…!」


歩夢「同好会のみんなに白い目で見られて」


歩夢「沢山責められて」


歩夢「死んだはずの侑ちゃんに…刺されて」

188: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:17:25.32 ID:LLDBglvH
歩夢「今でも鮮明に覚えてるの…おかげで侑ちゃんの顔も」


歩夢「みんなの顔も見るのが怖くなって」


歩夢「だから、この数日間学校にも行きたくなくて、ずっと引きこもってた」


歩夢「怖くて、怖くて堪らなかった…」

189: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:17:52.95 ID:LLDBglvH
愛「思い出させちゃってごめん」


歩夢「ううん…」フルフル


愛「…今は、アタシの顔見ても平気?」


歩夢「うん…なんとか大丈夫」


愛「そっか…」


愛「……」

190: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:20:50.46 ID:LLDBglvH
愛「その夢のせいで、ゆうゆと?」


歩夢「…ううん、それだけじゃないよ」


愛「……話せる?」


歩夢「……」コク



191: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:21:46.20 ID:LLDBglvH
私は、あの夏の大型イベントの出来事を経て…侑ちゃんだけのスクールアイドルとしてじゃなく


私は私を応援してくれるみんなの為にも、精一杯歌って踊りたいと思えるようになった


侑ちゃんと同様に、自分も本当にやりたい事を見つけられたから


侑ちゃんが新しい道で頑張るなら
私もこの道でこれからどんどん成長して、変わっていきたい


ファンのみんなともしっかり向き合っていきたい

192: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:23:55.11 ID:LLDBglvH
それと、これまで私は侑ちゃんとの関係にばかり固執してた


だからこれからは、これまで以上に同好会のみんなの事ももっと知って…知ってもらって…より親密になりたいって思った。


けど…あれから実際みんなと接してみて気付いた


私は無意識に侑ちゃんの話ばかりしていて
侑ちゃんの事ばかり考えてた

193: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:24:34.28 ID:LLDBglvH
…これじゃダメだって思った


だから、相手と話す時は極力侑ちゃんの名前を出さないようにしたかった


でも…いざ話そうとしても、どういう風にみんなと接していいのか分からなくなってた。
これまで普通に話せてたはずなのに


かといって侑ちゃんの話をしてしまえば“またか“って呆れられるかもしれない

194: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:25:21.62 ID:LLDBglvH
私に対してつまらないって思って見えない壁を作られるかもしれない

そう思ったら不安で堪らなくて、上手く踏み込めなかった。


本当はもっとみんなに歩み寄りたいのに、歩み寄る勇気を出すことが出来なかった。


侑ちゃんがいなきゃ何も出来ないのかって、そんな自分に辟易した


そんな後ろ向きにばかり考えるようになった自分が…心底嫌で

195: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:26:10.58 ID:LLDBglvH
侑ちゃんの不在が増えてからそんな気持ちが募りに募っていって


そんな時に、私は悪夢を見るようになった。


不安が募る度に頻度も増えて、おかげで寝不足も続いて…練習にも身が入らなくなって


出来ていたダンスも、歌も満足に出来なくなった


侑ちゃんがいないとここまで自分は不器用だったのかと…何も出来ないのかと、私は焦燥感に苛まれた

196: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:26:48.84 ID:LLDBglvH
それでも、やりたいことを止めちゃいけない…止まっちゃいけない…侑ちゃんがいなくても、一人でも出来るって


そうやってプレッシャーを自分に掛けて頑張ろうと思った。


でも、それもかえって私のストレスになってたのかもしれない。


そこから、侑ちゃんに拒絶される夢を見始めた


それがとてもリアル過ぎて、私の抱えていた不安も、ストレスもまた一つ増えた

197: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:29:25.36 ID:LLDBglvH
侑ちゃんが離れていっちゃう、私には侑ちゃんが必要なんだ…


またそんな風に思い始めてしまう自分が更に情けなくなった


…私は結局、未だに侑ちゃんに固執してるんだ


…あの時からまるで変わってない。


本当に、こんな弱くて醜い自分が本当に嫌になって、全てがどうでも良くなった


そんな秘めていた私の胸中を全部、愛ちゃんに向けて話した


きっと引かれても仕方ないと思う

198: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:30:40.67 ID:LLDBglvH
愛「………」


歩夢「…本当はもう、このまま同好会もやめようって思ってたんだ」


歩夢「このままの精神状態だと楽しいって思えてたことも、楽しめなくなっちゃうから」


愛「…でも、まだやりたいんだよね?」


歩夢「…やりたくない」


歩夢「もう何もやれる気がしないよ」


歩夢「幻滅したよね、みんなともっと仲良くなりたいって思ってたのに」

199: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:32:43.71 ID:LLDBglvH
歩夢「結局みんなの事に最初から興味なんて…知ろうだなんて思ってなかったんだよ、私は」


歩夢「結局ずっと侑ちゃんのことばかり考えて…」


歩夢「その結果勝手にイライラして…」


歩夢「勝手に侑ちゃんに当たって、傷付けて…拗らせて」


歩夢「ほんとに、何もする気が起きなくなっちゃった」

200: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:33:38.14 ID:LLDBglvH
歩夢「馬鹿みたいだよね…本当に…」


─あなたが死ねば良かったんですよ


歩夢「…っ、本当に…死んじゃえばいいんだよ、こんな私なんか」ボソッ


愛「バカ言わない」ベシッ


歩夢「っ…いっ……!?ぇ…っ?」

201: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:34:31.42 ID:LLDBglvH
愛「滅多なこと言うもんじゃないよ」


愛「次そんなこと言ったらホントに許さないぞ?」


歩夢「……ごめん」


歩夢「でも、もう私のことはほっといてよ…」


愛「ほっとけないからここに来たんじゃん」


歩夢「……」

202: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:35:40.19 ID:LLDBglvH
愛「…ていうか、ちゃんとみんなと繋がってるよ、歩夢は」


歩夢「え…」


愛「歩夢が歩み寄ろうとしてくれた時点で…ううん、スクールアイドルを始めた時点から、ちゃんとみんなと繋がり始めてるって思うな」


愛「少なくとも愛さんは、歩夢と繋がってるつもり」


歩夢「それにりなりーも」


愛「この前りなりーと3人で話したじゃん」


愛「3人でお弁当作ってシェアしよーって」

203: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:36:27.42 ID:LLDBglvH
愛「歩夢がアタシとりなりーのお弁当を食べたいって言ってくれて…歩み寄ってくれたから出来た約束だよ?」


愛「その時歩夢と約束が出来て、愛さん達はすごく嬉しかったんだから」


歩夢「……」


愛「…歩夢はゆうゆがいなきゃ何も出来ないんじゃないよ、そう思い込んじゃって考えすぎて、結果自信を無くしちゃってるだけ」


愛「それにいいじゃん、ゆうゆの話をしたって」

204: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:37:28.33 ID:LLDBglvH
愛「ずっと一緒にいた歩夢にしかゆうゆは語れないんだよ?」


愛「歩夢だけの特権じゃん」


愛「歩夢が話したいことを話せばいいんだよ」


愛「持ってるもの全部出さなきゃ、相手だって受け取ることすら出来ないし」


愛「ちゃんと愛さん達は聞くよ?聞きたいもん、歩夢の話も…歩夢が話してくれるゆうゆの話も」

205: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:38:21.72 ID:LLDBglvH
愛「歩夢がどれだけゆうゆが大好きか…これまで二人でどんな体験をしてきたのかって」


愛「やっぱり気になるもん」


愛「だから、自分に規制をかけようとなんかしなくていいよ」


愛「かけちゃったらそれこそつまんないじゃん」


愛「だから歩夢の好きなことを語ってけばいいんだよ」


歩夢「……話したって、こんな私に誰も興味なんて持たないよ」

207: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:39:01.15 ID:LLDBglvH
愛「こんなって…そんな卑下しないの。わかんないよ、それは」


愛「少なくともアタシはさ、歩夢にすごく興味あるんだよ?」


歩夢「えっ?」


愛「あっ…いや、変な意味じゃないよ?」


歩夢「う、うん、分かってるよ…」

208: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:41:16.78 ID:LLDBglvH
愛「…アタシはさ、歩夢と仲良くなってみたいなーってずっと思ってた」


歩夢「……」


愛「なんなら、ゆうゆを超えてやるー!って気持ちでね」


歩夢「……愛ちゃんが…?」


愛「うん、そのくらいの心意気ってこと」

209: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:42:49.81 ID:LLDBglvH
歩夢「そう、でも……無理だと思うな」


愛「え?」


歩夢「一人の人にしか執着できないこんな私と」


歩夢「誰とでも仲良くなれて、誰にも固執しない愛ちゃんじゃ」


歩夢「前提として釣り合わない…相性なんか良くないって思うし」


ああ、だめだ私…すごく嫌なこと言ってる…

210: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:43:59.76 ID:LLDBglvH
でも、愛ちゃんが私となんか…


歩夢「だから…」


歩夢「愛ちゃんが私にとって、侑ちゃん以上の存在になるとは思えない」


愛「わかんないじゃん!」


歩夢「っ…わかるよ」


愛「わかんないってば」

211: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:44:53.72 ID:LLDBglvH
愛「それくらいの心意気でって言ったけどさ、やってみなきゃそれはわかんないもん」


愛「アタシだって正直…同じこと考えてたよ、歩夢とまるで正反対だなぁって」


愛「でも…だからこそそんな自分と違う歩夢がずっと気になってたし」


愛「もっと歩夢のことを知ってみたいって思ったんだよ?」


歩夢「愛ちゃん…」

212: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:45:50.27 ID:LLDBglvH
歩夢「…私」


歩夢「…私ね、本当は誰とでも仲良くなれる愛ちゃんがどこかで羨ましいって思ってた」


歩夢「…羨ましいなって思うだけだった」


歩夢「でも、愛ちゃんはそんな風に思ってくれてたんだね…」


歩夢「ありがとう、愛ちゃん」

213: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:47:26.90 ID:LLDBglvH
素直に嬉しい
愛ちゃんのその気持ちが…言葉が、今の私にはとてつもなく温くて、救いになったと気がした


愛「…わ、わぁ、なんか、ちょっと照れるね」


愛「…でも、言ってることは無茶かもしれないけどさ、完璧に無理だなんて思いたくないんだ、愛さんは」


愛「だからさ、歩夢も今悩んでることを無理だって簡単に諦めないで」


愛「…止まりたい時は止まってもいいんだから」

214: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:48:30.27 ID:LLDBglvH
愛「そしたら一緒に止まって耳を傾けてくれる人がちゃんといる」


愛「勿論ゆうゆだっているし…愛さん達だっている」


愛「だからさ…やめようだなんて言わないでよ、歩夢」


歩夢「…」


歩夢「………」コク

215: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:49:35.98 ID:LLDBglvH
歩夢「……もっと、もっと早くからこの話を皆にしておけば良かったんだよね」


歩夢「勝手に一人で空回りしちゃってた」


愛「今からでも間に合うって」


愛「愛さんだけじゃなくて、ファンは勿論、同好会のみんなだって歩夢のこと大好きなはずだもん」


愛「だから、ここからもっと広げてこ?歩夢の世界!」

216: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:50:24.17 ID:LLDBglvH
愛「まずは愛さんと大親友になるとこからね!」スッ


歩夢「………っ」


歩夢「くっ…ふふっ」


愛「…?」


歩夢「なんだか、変っていうか…不思議な人だよね。愛ちゃんって」


愛「えー??ちょっとー、それ褒めてるの?」ブンブン

217: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:51:28.54 ID:LLDBglvH
その愛ちゃんの言葉も、屈託のない表情も
全てが本気なんだと思った。


ただただ純粋に、なんの計算もなく人の心に触れて、引き寄せて


そんな愛ちゃんだから人から好かれるんだって思った


自覚なんかないんだろうなぁ、だからこそタチが悪いとも思えるけど


でも…だからこそ、つい差し伸べられたその手をとりたくなる

218: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:52:25.57 ID:LLDBglvH
かけてくれた言葉を信じてみたくなる
もしかしたら私がちょろいだけなのかもしれないけど


でも、そういう所が侑ちゃんとどこか似てる気がした


見た目も性格も違うのに…もしかしたら同じくらい眩しくて


だから本当に不思議で…


歩夢「ふふっ…やっぱりおかしいよ、愛ちゃん」

219: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:53:53.54 ID:LLDBglvH
愛「あー!絶対褒めてない!」


歩夢「褒めてるよ」


歩夢「だから…もう一度がんばるね」ギュ


私は、伸ばされたままの愛ちゃんの手をとった

220: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:54:50.91 ID:LLDBglvH
愛「お…?」


歩夢「お友達で良かったら」


愛「…ふふっ、じゅーぶんだよ!」ニコッ


そんな嬉しそうに
子供みたいな笑顔を向けられたら、こっちまで釣られちゃうなぁ

221: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:55:45.38 ID:LLDBglvH
愛「あ…てかさ、歩夢」ジロジロ


歩夢「な…なに?」


愛「やっぱりちょーっとだけ太ったよね」ジー


歩夢「」


歩夢「えっ?」

222: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:56:32.82 ID:LLDBglvH
愛「さっきから思ってたんだけどさ、若干丸くなったよねー」


歩夢「絶交」


愛「あー!うそうそ!嘘だよ!」


歩夢「ふふっ…嘘じゃないでしょ、自覚してるもん…」


歩夢「寧ろこっちこそ嘘、冗談だよ」

223: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:57:37.14 ID:LLDBglvH
愛「意外と意地悪だなぁ…」


歩夢「えへへ…ごめんね」


歩夢「でも本当に何もしてなかったし…月曜日からはちゃんと学校も、練習も出るよ」


歩夢「サボっちゃった分、取り戻さなきゃだし」


歩夢「みんなにも謝らなきゃ」

224: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:58:34.73 ID:LLDBglvH
愛「そっか…まぁ、みんな心配してたからね」


歩夢「え、本当に?」


愛「みんなめっちゃ歩夢にメッセージ送ってたと思うよ?見てないの?」


歩夢「えっ、嘘…」スッ


歩夢「…ほんとだ」


歩夢「気付かなかった…完全通知オフにしてたから」

225: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 01:59:33.91 ID:LLDBglvH
愛「あはは、そりゃ気付かないか」


愛「でも、みんな歩夢の事気にしてるでしょ?」


歩夢「うん…」


愛ちゃんの言う通り、色々後ろ向きに考えすぎてたのかな


歩夢「………」


愛「さ…そろそろ戻ろっか、風邪引いちゃうし」スクッ


歩夢「ん…うん、そうだね」スクッ

226: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 02:00:37.98 ID:LLDBglvH

──


…テクテク


歩夢「…そっか、侑ちゃんとせつ菜ちゃんに話したんだ」


愛「うん、ごめんね?勝手に話して」


歩夢「ううん、逆の立場だったら私も話しちゃってたと思うし…」


歩夢「逆にごめんね、愛ちゃんと璃奈ちゃんに負担かけちゃった」


愛「負担だなんて思ってないって」

227: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 02:01:10.50 ID:LLDBglvH
愛「でもそれ聞いてゆうゆ…すごい思い詰めてたし」


歩夢「そう、だよね…」


本当に申し訳ないことをした…
でも…


愛「まず…ゆうゆとちゃんと話さなきゃね」


歩夢「うん…でも今は、その…心の準備がしたいから…」

228: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 02:02:11.41 ID:LLDBglvH
愛「まだ怖い…?」


歩夢「ちょ、ちょっとだけね」


歩夢「気まずいのもあるし…」


歩夢「だから…」


愛「うん、分かった。ゆうゆにメッセージで伝えとこっか?」


歩夢「お願いしていいかな…?」

229: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 02:02:47.89 ID:LLDBglvH
愛「うんっ」


歩夢「ありがと」


愛「お、到着!結局話が長くなっちゃったね」


歩夢「でも、話せてよかったよ」


歩夢「ありがとね、愛ちゃん」


愛「えへへ…そう言ってもらうとすごい嬉しいよ」

230: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 02:03:36.69 ID:LLDBglvH
愛「……歩夢はさ、今でも見るの?変な夢」


歩夢「あ…ううん、今は薬飲んでるからなんとかなってる状態なんだ」


歩夢「本当はあまり頼りたくなかったけど…」


歩夢「もうそんな事言ってられないよね、人にうなされてる所見せちゃってるし…」

231: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 02:04:40.69 ID:LLDBglvH
愛「なるほど…」


愛「…うん、分かった」


歩夢「え?」


愛「歩夢が薬の力に頼らなくてもさ、めっちゃいい夢を見られるくらい一緒に楽しいことやりまくればいいんじゃん」


歩夢「え、え…?」

232: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/12(土) 02:12:45.78 ID:LLDBglvH
愛「ねぇね、明日の土曜日って予定空いてる?」


歩夢「それは…勿論、空いてるけど」


愛「やった!」


歩夢「な、何…どうしたの?愛ちゃん…」


愛「ふふん、明日ちょっとお出かけしようよ!歩夢♪」


歩夢「え…ええ…?」

246: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:55:00.96 ID:9BcVzcFX
───



愛「─ていうわけなんだ」


侑「……」


侑「そっ…か…」


侑「歩夢がそんな事になってたなんて…気付けなかった」


愛「気付けなかったのはさ、仕方ないんじゃない?だって…」

247: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:55:31.98 ID:9BcVzcFX
侑「ほんとはね、愛ちゃん」


愛「……?」


侑「本当は私も不安でいっぱいだったんだ…」


侑「転科してから、最初は色々上手くいかなかった」


侑「落ち込むことも実はあった」

248: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:56:05.20 ID:9BcVzcFX
侑「みんなと…歩夢がいないと心細いなって思ったこともあった」


侑「…でも、みんなだって頑張ってるし、自分で選んだ道なんだから弱音なんて吐いてらんないなって思ったんだ」


侑「だから、少しでも周りに追いつく為に…これまでの期間は他の時間を削ってでも必死に勉強も練習も頑張った」


侑「…でも、結果それで歩夢の悩みにも最初は気づけなかったし」


侑「歩夢が相談し辛い状況にもしてたんだよね」

249: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:56:41.34 ID:9BcVzcFX
侑「…私のせいだよね…」


愛「そっか…同じだったんだね、二人とも」


侑「……」


愛「そういう時こそさ、二人には愛さん達に頼って欲しかったなー」


侑「…ごめん」

250: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:57:17.01 ID:9BcVzcFX
愛「…ふふ、ほんと変なとこ不器用さんだなー二人とも」


侑「うぅ…返す言葉もないよ…」


愛「歩夢もそうだけどさ…もう、一人で抱え込まないでね?ゆうゆ」


侑「…うん」

251: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:57:55.44 ID:9BcVzcFX
愛「まぁ、また抱え込んでたとしてもこっちから気付いてやるけどね」


侑「え…?」


愛「お節介かもしれないけどさ…大切なメンバーだし、少なくともアタシは勝手に助けに行っちゃうからね?」


侑「かっこいいなぁ、愛ちゃん…」

252: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:58:22.82 ID:9BcVzcFX
愛「ほっとけないだけだよ、おばあちゃんっ子だからかな?」


侑「ふふ、それもあるかもね」


侑「でもかっこいいよ、ほんとにヒーローみたい」


愛「…えへへ」


愛「まぁ、だからさ、これからも二人のこともうやだーって言われるくらい助けに行っちゃうからね」


侑「うん…ありがと、愛ちゃん」

253: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:58:40.34 ID:9BcVzcFX
侑「それと、歩夢のこともありがとう」


愛「愛さんがいても立ってもいられなかっただけだって」


侑「愛ちゃんが悩みに気付かなかったら、下手したら歩夢が本当にやめちゃってたかもしれないもん」


侑「だから、ありがとうだよ」


愛「……仲直りしなきゃね」

254: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:59:19.92 ID:9BcVzcFX
侑「…うん、歩夢がもう少し落ち着いたらちゃんと直接話すつもり」


愛「その為に歩夢の元気、取り戻してくるよ」


侑「ありがと、情けないけど、歩夢のことお願いね…愛ちゃん」


愛「情けなくなんてないよっ、うん、愛さんに任せて!」

255: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:59:37.48 ID:9BcVzcFX
侑「ふふ…じゃあ、明日も早いから切るね?」


愛「あっ、そっか、明日も学校なんだっけ」


侑「うん、やること色々あるからね」


愛「そっか、じゃあもう長くは話せないよね」

256: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/15(火) 23:59:54.20 ID:9BcVzcFX
愛「分かった!じゃ、またね?ゆうゆ」


侑「うんっおやすみ」


愛「おやすみっ」


プツ


侑「………」

269: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:15:51.81 ID:HSHrMC1d
───
──
─翌日 昼

駅前


歩夢「……」キョロキョロ


璃奈「あ、歩夢さん」トテトテ


歩夢「…!…璃奈ちゃん…」


璃奈「こんにちは」


歩夢「こ、こんにちは…」ペコリ

270: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:16:42.05 ID:HSHrMC1d
歩夢「え…えっと、あれ…愛ちゃんは?」


璃奈「…まだ、すぐ来ると思う」


歩夢「そっか…」


璃奈「……」ジッ


歩夢「……ぅ」

271: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:17:56.41 ID:HSHrMC1d
璃奈「……」ジー


歩夢「……っ」


歩夢(ぅぅ…気まずい…)


事前に璃奈ちゃんもいるっていうのは聞いていたけど…


やっぱり少し不安はあるし、緊張する…


でも、璃奈ちゃんにも心配や迷惑をかけちゃったと思うし…ちゃんと謝らなきゃだよね…

272: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:18:52.93 ID:HSHrMC1d
歩夢「り…璃奈ちゃん、あのn」


「あーゆむぅーっ!」ギュムモミーッ


歩夢「こふおおおっ!?」ビクッ


愛「!うおっ…びっくりしたぁ…」バッ


歩夢「へっ…!?あ、愛ちゃん!?」

273: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:20:31.31 ID:HSHrMC1d
歩夢「びっ、びっくりしたのはこっちだよ!?もぉっ、変質者かと思ったよ…!!」


愛「ごめんごめん、でもそんなにびっくりするとは思わなかったよ」


歩夢「いきなり後ろから抱き着かれたらびっくりするよ…っ!」


愛「えっへへ、にしても歩夢の驚き方すごいね、愛さんまでびっくりしちゃったよ」

274: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:21:30.13 ID:HSHrMC1d
愛「ね、すごかったよねりなりー」


璃奈「コバルオンみたいだった」


愛「ほら」


歩夢「ほらじゃないよ!そんなことよりこれ知り合いじゃなかったら普通にセクハラだよ愛ちゃん!」


璃奈「知り合いでもセクハラだと思う」ジト

275: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:22:45.04 ID:HSHrMC1d
愛「あっははは!ごめんってばー」


歩夢「もう、もぉ…まだどきどきしてるよ…」


璃奈「でも歩夢さん、元気そうで良かった」


歩夢「げっ、元気っていうか…今のはびっくりしたから…」


璃奈「…でも良かった」

276: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:23:39.46 ID:HSHrMC1d
歩夢「えっ?」


璃奈「今日、元々愛さんと二人で出掛ける予定だったんだけど」


璃奈「昨日歩夢さんも一緒に来るって聞いたから」


璃奈「だから、すごく楽しみで早めに来ちゃったんだ」


璃奈「今まで歩夢さんと出掛ける事なんてなかったし、そのくらい嬉しいなって思ったから」

277: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:24:38.21 ID:HSHrMC1d
歩夢「璃奈ちゃん…」


歩夢「あの、沢山心配かけちゃったよね…ごめんね…?」


璃奈「ううん、愛さんから少し聞いたけど、歩夢さんが色々辛かったのは知ってるから」


璃奈「だから、今日は一緒に楽しもう。りなちゃんボード 〔むんっ〕」


歩夢「…うんっ、ありがとう、璃奈ちゃん」ニコ


愛「…ふふっ」

278: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:25:28.03 ID:HSHrMC1d
璃奈「じゃあ、とりあえず愛さんを通報した方がいいのかな」


愛「えぇーっ!友達に後ろから抱き着いただけなのに!?ブラックジョークが過ぎるよりなりー!」


歩夢「愛ちゃんどさくさに胸も触ったよね…?ごまかされないよ私は」


璃奈「愛さん…」 从||ㆆ_ㆆ||从

279: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:26:19.70 ID:HSHrMC1d
愛「わーわーごめんってばー!お詫びに二人にお昼奢るからさ!」


璃奈「愛さん、好き」


歩夢「…切り替え早いよ」


愛「歩夢もそれで許して~っ」


歩夢「う、うん…もう別にそんなに怒ってないからいいけど」

280: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:27:02.12 ID:HSHrMC1d
愛「ありがとーっ、今度からは告知するから!」


歩夢「二度としないでね!?」


愛「えへっ、冗談冗談♪」


歩夢「もう…でも、ありがとね」


愛「んー?」

281: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:28:07.70 ID:HSHrMC1d
…愛ちゃんの事だから
私を見つけた時、瞬時に私が緊張しちゃってる事に気付いたんだと思う。


だから方法はどうあれ、私の緊張を解してくれたんだと思う


ほんとに…愛ちゃんはこう見えて結構人のことを見てるよね


でもほんとにびっくりしたからいつか仕返ししようかな…

282: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:28:54.04 ID:HSHrMC1d
歩夢「…ううん、そういえば、これからどこに行くの?駅って事は電車に乗るんだよね…?」


愛「そうだよー、どこに行くと思う?」


璃奈「歩夢さんはあんまり行かないところかも」


歩夢「私があんまり行かないところ…」

283: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:30:03.50 ID:HSHrMC1d
歩夢「うーん…難しいよ、せめてそこに行って何をするのかだけ聞いていい?」


璃奈「基本的にはお買い物だよ、久しぶりにいいお天気だから、お買い物びより」


歩夢「お買い物かぁ…そういえば、ここのところ曇りだったもんね…久々の秋晴れだって」


愛「アキバだけにね」


歩夢「うん…」

284: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/21(月) 02:30:52.56 ID:HSHrMC1d
歩夢「…ん……??あ、あれ…?今答え言わなかった?」


璃奈「やっぱり愛さん面白い」


愛「えっへへ~!今日の愛さん絶好調だからね!」


愛「でも歩夢がパスしてくれなかったら生まれなかったよこのダジャレ!」


歩夢「別に狙ってパスしたわけじゃないけど…」


───

290: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:22:14.89 ID:CuC60wX8
ザワザワ


愛「到着!」


歩夢「わぁ、人いっぱいだね…」


璃奈「土日はこんなものだよ」


歩夢「さすがアニメの聖地って感じだね、すごい…」


愛「で、どこ行くどこ行くー?」

291: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:22:54.33 ID:CuC60wX8
璃奈「まずはせつ菜さんにラノベのおつかい頼まれてるから、それ買いに行きたい」


歩夢「ラノベ?って…小説だよね?ここでしか買えないの?」


璃奈「本屋さんがあればどこでも買えるけど…これから行くお店でしか貰えない特典がついてくるから」


歩夢「そっか、せつ菜ちゃんはそれが欲しいんだ」

292: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:23:34.38 ID:CuC60wX8
璃奈「うん、私も欲しい漫画があるし…まずはそこに行ってもいいかな?数にも限りがあるみたいだから」


歩夢「そうなんだ、じゃあなくなる前に行かなくちゃだね」


愛「だね、早速行こっか!」


璃奈「うん」

293: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:24:23.18 ID:CuC60wX8
───
お店


璃奈「あった…!」


愛「お、あったー?」


璃奈「うん、残り僅かで危なかった」


愛「ほんとだ!危なかったねぇ…じゃあ買っちゃおっか」

294: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:25:16.62 ID:CuC60wX8
璃奈「うん」


璃奈「…?あれ?歩夢さんは?」


愛「え…あれ?どっか見てるのかな…ちょっと探してくるから並んでていいよ!」


璃奈「うん、分かった」

295: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:25:57.56 ID:CuC60wX8




歩夢「…ラノベってこういう感じなんだ…」


どれもタイトル長いなぁ…タイトルというよりもはや文章というか…


タイトルだけ見ると妹を題材にしたお話が結構ある


妹…かわいいよね、私も妹が欲しいよ

だからたまに彼方さんが羨ましかったりする…

296: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:26:45.45 ID:CuC60wX8
私にも妹が出来たらあんな風に溺愛しちゃうのかな


私からしたら侑ちゃんが妹みたいなところはあるけど……じゃなくて


…うーん、他にも長いタイトルの作品が多い…
異世界ってワードもすごく目に入る


SF系なのかな?


それと、アイドル系のもある。侑ちゃんならすごく好きそう


…………。

297: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:27:47.23 ID:CuC60wX8
…あと、他にはハーレム系
バトル系とか
…… 、   なタイトルの作品とかがずらりと並んでる…


加えて際どい感じの女の子の表紙があるけど…あんまり直視できない、恥ずかしくて


せつ菜ちゃんってこういうジャンルのも読んでるのかな…


でもすごいなぁ…中々キャッチーなタイトルの本もあるし
下手したら私まで買って読んじゃうかもしれない。


うーん…こっちは、なんのコーナーだろう?同、人誌…?

298: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:28:23.75 ID:CuC60wX8
…………


愛「あゆむー?…」キョロキョロ


歩夢「……」ジー


愛「おっ、いた!歩夢ー!」


歩夢「…あ、愛ちゃん」


愛「探したぞー?」

299: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:29:00.51 ID:CuC60wX8
歩夢「あ…ごめん」


愛「何見てたの?」


歩夢「ちょっと気になるタイトルの本があったから」


愛「ふーん…?」


愛「…なんかめっちゃ本薄いね?どんなタイトルなん?」

300: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:29:50.19 ID:CuC60wX8
歩夢「えっとね…」


歩夢「東京タワー×通天閣~スカイツリーへの背信~〈 擬人化作品〉だって」


なんだこれ…


愛「どゆこと?」


歩夢「わかんない…」

301: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:30:37.86 ID:CuC60wX8
愛「この表紙の男の子が東京タワーと通天閣ってこと?」


歩夢「わかんない…」


愛「…」


歩夢「……」


愛 歩夢 (どうしよう得体が知れないけどなんか気になる…)

302: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:31:14.91 ID:CuC60wX8
愛「…買ってみたら?」


歩夢「ええ!?」


愛「気になるんでしょ?」


歩夢「…愛ちゃんは気になる?」


愛「ま、まぁ…気にならないといえば嘘になるかも…」

303: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:31:54.93 ID:CuC60wX8
歩夢「そ、そっか…私も気にならなわけじゃないけど…」


歩夢「………」


愛「………」


愛 歩夢「「買っちゃおっか…」」ボソ


璃奈「二人ともなにしてるの…」ジト

304: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:32:35.96 ID:CuC60wX8
歩夢「っ!?わわっ、璃奈ちゃんっ!?」


愛「!…びっくりしたぁ…!もーりなりーいるなら言ってよーっ」


璃奈「そういうのはまだ見ちゃダメ」


歩夢「えっ、なっなんで?」

305: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:33:14.41 ID:CuC60wX8
璃奈「よく見て、成人向けって書いてある」


歩夢「えっうそ…」


愛「……わ、ほんとじゃん」


璃奈「男の子同士が××する内容だから私達にはまだ早い、刺激が強すぎると思う…」

306: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:34:07.04 ID:CuC60wX8
歩夢 愛「えっ、えぇぇぇ!?//」


歩夢「そ、そういうやつなんだ……へぇ…//…わぁ…//なんでこんなとこにあるの//」


愛「あ、危なかったね歩夢…危うく買うとこだったじゃん…//」


歩夢「愛ちゃんがそういうムード出すからだよっ//」


愛「歩夢だって気になってたじゃんっ//」

307: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:35:00.36 ID:CuC60wX8
璃奈「未成年だからどっち道買えないけど…」


璃奈「とりあえずそれ置いて出よう」


歩夢「えっ、も…もう買えたの?」


璃奈「うん、無事買えたよ」

308: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:35:41.87 ID:CuC60wX8
璃奈「あとは他の階でグッズとか見て回ろう、歩夢さんの好きそうな物もあると思うし」


歩夢「なるほど…」


愛「おっ…じゃあ買い物終わったらお昼にしようよっ」


愛「その頃には流石にお腹も空いてるでしょ、愛さん約束通り奢っちゃうよ~!」

309: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:36:19.52 ID:CuC60wX8
歩夢「うん、そうだね、愛ちゃんのお言葉に甘えてご馳走になろうかな」


璃奈「たのしみ!」
从||๑>؂<๑||从


─────
────

310: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:37:11.56 ID:CuC60wX8



──璃奈「…愛さん、ごちそうさま」


歩夢「ごちそうさま、愛ちゃん」


愛「うんっ!めっちゃおいしかったねー」


愛「色んなグッズも買えたし、美味しいオムライスも食べれたし、最高だね!」

311: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:37:58.52 ID:CuC60wX8
璃奈「うん、荷物いっぱいだけど満足。オムライスも絶品だった」


歩夢「ほんとにおいしかったな…メイドカフェに行くとは思わなかったけど」


愛「ふふ、ならではのとこで食べてみたかったんだよねー」


璃奈「いいと思う、私も初めてだから新鮮だった」

312: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:38:50.42 ID:CuC60wX8
歩夢「メイドさんも綺麗だったよね」


璃奈「うん、声が心地好くて脳がとろけそうだった」


愛「あっはは!確かにねっ」


愛「ていうか歩夢とか結構メイド似合いそうじゃない?」


歩夢「え、ええ!?そうかな…私ああいう接客とか自信が無いんだけど…」

313: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:39:54.36 ID:CuC60wX8
愛「出来ると思うけどなー、うさぎの耳つけてあゆぴょんだぴょーん!とか言ってさ」


璃奈「想像が容易い」


歩夢「あ、あゆぴょんはやめて//ほんとに恥ずかしいから//」


愛「えっへへ、でも歩夢のメイド姿見てみたいなー」


璃奈「コスプレレンタルできるところがあるけど、行ってみる?」

314: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:40:49.14 ID:CuC60wX8
歩夢「えっっ…そんなとこ…あるの?」


璃奈「うん、アニメのコスチュームとかも勿論あるし…撮影もして貰えるよ」


歩夢「す、スタジオ!?」


愛「いいじゃんいいじゃん!行ってみよーよ歩夢!」

315: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:41:41.87 ID:CuC60wX8
歩夢「え、うう…まぁ、二人がそんなに言うならいいけど…」


愛「やった!」


璃奈「じゃあ、決まりだね。私も歩夢さんのメイド姿、見てみたい」


────

316: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:42:30.02 ID:CuC60wX8
シャッ

愛「ね、どうどう?りなりー」


璃奈「…うん、かっこいい。愛さんのスーツ姿。SPみたい」


愛「えへへー、ありがと!りなりーのメイド姿もめっちゃかわいいじゃん!似合ってる!」


璃奈「ん…そうかな、ありがとう。りなちゃんボード〔てれてれ〕」

317: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:43:22.56 ID:CuC60wX8
璃奈「愛さんはメイドさんじゃなくて良かったの?」


愛「メイドもいいけどさ、一回こういうのも着てみたかったんだよねー」


璃奈「そっか、すごく似合ってる」


愛「えへへ、そんな褒められると照れるよー。ありがとっ!」


璃奈「あとは歩夢さんだけだね」


愛「うん!お、噂をすれば」

318: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:43:57.25 ID:CuC60wX8
歩夢「……」テクテク


歩夢「ど、どうかな…?」


璃奈「うん、フリフリしてて…うさ耳もついててすごくかわいい」


歩夢「…あ、ありがとう……//璃奈ちゃんもかわいいなぁ」


璃奈「…照れるけど嬉しい、ありがとう」


愛「……」

319: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:45:58.18 ID:CuC60wX8
璃奈「…愛さん?」


愛「ん?あー!うん!二人ともめっちゃかわいい!」


歩夢「嬉しいけど…今の間はなんなの…」ジト


璃奈「歩夢さんに見とれてた?」


愛「えっへへ!そうだね、見とれてた!」

320: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:46:56.33 ID:CuC60wX8
歩夢「…あ…ありがと、愛ちゃんのもかっこいいなぁ」


愛「ふふっ、ありがと!あゆぴょん!」


歩夢「!…あっ…//あゆぴょんはやめてってばっ//」


璃奈「じゃあ…撮影できる所借りれたから、そこで撮ってもらおう」


歩夢「う、うん…//」


愛「おっけ!」

321: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:49:03.44 ID:CuC60wX8
───

撮影終了後
電気街



─愛「いやーいっぱい撮れたね!」


璃奈「うん、結構時間掛けちゃったけど…楽しかった」


歩夢「ふぅ…でも、よく借りれたね?あんなすごいスタジオ」


璃奈「うん、当日予約で運良く借りれたから。今日はついてるみたい」

322: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:50:39.59 ID:CuC60wX8
歩夢「…璃奈ちゃんやることが早いなぁ…」


璃奈「今日は歩夢さんがいるからいつも以上に張り切ってるのかも…」


愛「うんうん、それあるよねーっ」


歩夢「…そんなに気を遣わなくてもいいのに」


愛「んー、気遣いってよりやっぱり今日は歩夢を楽しませたかったし一緒に楽しみたいって思ったからさ…」

323: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:51:53.53 ID:CuC60wX8
愛「愛さんは勿論楽しかったけど…」


璃奈「私も楽しかった…それに歩夢さんには私の好きなものを少しでも知ってもらいたかったから」


璃奈「歩夢さんは今、楽しい?」

324: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:53:15.94 ID:CuC60wX8
歩夢「…ん…どこもかしこも電化製品のお店でいっぱいで」


歩夢「アニメのキャラクターがいっぱいで」


歩夢「なんだか私の知ってる世界とまるで別の世界だなぁって感じて」


歩夢「きっと二人に誘われなかったら知らないままの世界だったと思う」


歩夢「昔から私も侑ちゃんも、愛ちゃんと同じでこういう文化とは無縁だったから…すごく新鮮で…うん、楽しかったよ」

325: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:54:08.28 ID:CuC60wX8
歩夢「……」


璃奈「そっか…今度、侑さんも誘って一緒に行きたいな」


歩夢「…!うん…」ニコ


璃奈「愛さんと二人はもうマンネリ化してたし…」


愛「ええぇ!?りなりーひどくない!?」

326: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:55:02.61 ID:CuC60wX8
璃奈「冗談だよ」テヘペロ


愛「んもー!りなりー意地が悪いぞーっ」ムギュウゥゥ


璃奈「わわっ、ごめんなさい」アタフタ


歩夢「…ふふ、それとね」


愛 璃奈「……?」ピタ

327: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:55:52.12 ID:CuC60wX8
歩夢「ここの所ずっと…塞ぎ込んでて、何もする気が起きなくて」


歩夢「物事を前向きに考えることすら放棄して、アイドルなんて辞めちゃおうって思ってた」


歩夢「でも…さっき衣装を着た時に思ったんだ」


歩夢「メイド服だったけど…またこんなフリフリな衣装を着たりとかして…」

328: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:56:34.24 ID:CuC60wX8
歩夢「歌ったり踊ったりしたいなって」


歩夢「やっぱり大好きなんだなぁって」


愛「…いつかまたみんなで歌いたいよね」


歩夢「うん、そうだね、みんなとまた歌いたいな…」

329: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:57:54.63 ID:CuC60wX8
歩夢「しばらく休んでおいて何言ってるんだって話だけど」


璃奈「そう思ってくれてるだけでみんな喜ぶと思う」


愛「うんうん、みんな歩夢のこと待ってるはずだもん」


歩夢「…ありがとう、二人とも」


歩夢「まだ不安なこともあるけど…また頑張るよ」

330: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:58:46.65 ID:CuC60wX8
愛「また行き詰まりそうな時は誰でもいいから相談してよね?」


歩夢「うん、そうする。ありがとう」


愛「ふふ…じゃっ、次行こっか!」


歩夢「うんっ」


───

331: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 22:59:50.10 ID:CuC60wX8
それから、最後に璃奈ちゃんと愛ちゃんと一緒にゲームセンターでクレーンゲームやプリクラ撮ったりして沢山遊んだ


いつの間にか時間は大きく経過していて、外もすっかり暗くなってて
明るい時とは違って街はとてもキラキラしてた


画面越しで見たことはあるけど、実際に見ると感動してしまうほどに綺麗で


ほんの一端でも、改めてこの世界を知れてよかったなって思うし


お昼からの活動だったけど、久しぶりに充実した一日だったと素直に思った

332: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:00:41.03 ID:CuC60wX8
カタン コトン


歩夢「……」ピコピコ


璃奈「…まだ序盤だね」


歩夢「これでまだ序盤なんだ…」ピコピコ


璃奈「でも…歩夢さんがこういうゲームやってるとは思わなかった」

333: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:01:26.29 ID:CuC60wX8
歩夢「私も璃奈ちゃんがやってただなんて思わなかったよ」ピコピコ


璃奈「流石に飽きちゃったけど」


歩夢「普通だったらやる気無くしちゃうよね…」ピコピコ


璃奈「うん、でも私は頂上まで登ったよ」

334: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:02:08.27 ID:CuC60wX8
歩夢「えっ!すごいな…」ピコピコ


璃奈「続けられる歩夢さんもすごいと思う」


歩夢「中々飽きないんだ、こういうコツコツやるゲーム好きだから…」ピコピコ


璃奈「そっか…今度歩夢さんの好きそうなゲーム探してみるね」

335: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:03:47.52 ID:CuC60wX8
歩夢「わ、嬉しいな…ありがとう、璃奈ちゃん」ピコピコ


歩夢「!あっ…落ちちゃった…」


璃奈「…そこ、鬼門だもんね」


歩夢「うん…また後で挑戦かな」


璃奈「歩夢さんの好きなものが知れてよかった」


歩夢「……え?」

336: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:04:36.20 ID:CuC60wX8
璃奈「こうしてゆっくり歩夢さんを知ることってなかったから…」


璃奈「今度は、歩夢さんが好きなところに連れて行って欲しいな」


歩夢「…うん、勿論。今度また三人で遊びに行こうね」


璃奈「うん」


歩夢「…愛ちゃんの好きな所にも行きたいし」

337: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:07:17.17 ID:CuC60wX8
璃奈「そうだね」


愛「……zzZ」


璃奈「ん…愛さんぐっすり。肩重くない?」


歩夢「ん、大丈夫だよ。疲れちゃったんだね…」


歩夢「…愛ちゃんって不思議だよね」


璃奈「うん…不思議。一緒にいるだけで楽しくなる」

338: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:08:12.71 ID:CuC60wX8
歩夢「うん、ちょっといたずらっ子だけど…すごくそばに居て楽しい子だなって思う」


歩夢「それに強くて…弱い部分なんてあるのかなってくらい強くて、笑顔が太陽みたいに眩しくて」


歩夢「落ち込んでる人がいたら直ぐに手を差し伸べてくれる」


璃奈「ヒーローみたいだよね」


歩夢「本当にね…」

339: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:09:09.88 ID:CuC60wX8
歩夢「私が塞ぎ込んでた時…愛ちゃんに連れ出してもらったから…だから、感謝してる、愛ちゃんには」


璃奈「…私も愛さんにはすごく感謝してる」


璃奈「ラノベだったら、愛さんはハーレムになってたかもしれない」


歩夢「…あははっ、そうかもね」


歩夢「罪深いね」


璃奈「うん、愛さんは罪深い」

340: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:10:03.86 ID:CuC60wX8
歩夢「…璃奈ちゃんもちょっと眠そうじゃない?」


璃奈「…うん、少しだけ」


歩夢「こっちの肩、空いてるよ」


璃奈「いいの…?」


歩夢「うん、あと少ししたら着いちゃうけど…良かったら」

341: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:11:02.84 ID:CuC60wX8
璃奈「じゃあ…少しだけ、お言葉に甘えて…」コテン


歩夢「着いたら起こすね」


璃奈「うん…ありがとう…」


…………

342: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:11:56.52 ID:CuC60wX8
璃奈「……zzZ」


愛「……zzZ」


歩夢「…もう寝ちゃった」


…昨日までの私が見たら、ちょっとびっくりしちゃうかもなぁ…この光景


────

343: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:12:52.06 ID:CuC60wX8
駅前


愛「ふあぁ…ねむい…」ゴシゴシ


璃奈「うん…」ウトウト


歩夢「ぐっすりだったもんね、二人とも」


愛「うんー…とりあえず、ご飯でも食べて帰ろっか?」

344: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:13:47.57 ID:CuC60wX8
璃奈「ん、あ…ごめん、これから家に帰らなきゃいけない」


愛「あ、そうなの?用事?」


璃奈「用事というか…これからかすみちゃんとしずくちゃんがお泊まりに来るんだ」


璃奈「前からお泊まり会しようって話してて」

345: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:15:02.50 ID:CuC60wX8
歩夢「璃奈ちゃんって大分リアル充実してるよね」


璃奈「そう、かな?」


愛「へぇいいなー!アタシ達も泊まりに行きたいよー」


璃奈「一年生だけの会だから二年生はダメ」

347: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:15:53.17 ID:CuC60wX8
愛「フラれちゃった」クルッ


歩夢「こっち見ないでよ…」


愛「んーそっかぁ…じゃあここで解散かな」


璃奈「うん…ごめんね、今日はありがとう。楽しかった」


愛「うんっ、愛さんも楽しかったよ!また行こーね!」

348: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:16:46.07 ID:CuC60wX8
歩夢「そうだね、私も楽しかった…」


歩夢「あの…かすみちゃんとしずくちゃんによろしくね?璃奈ちゃん」


璃奈「…うん、分かった」


璃奈「歩夢さん、月曜日…来るよね?」

349: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:17:41.16 ID:CuC60wX8
歩夢「…うん、行くよ。いつまでも引きこもってられないし…みんなにも心配かけちゃったこと謝らなくちゃ」


璃奈「そっか…じゃあ、また月曜日に」


歩夢「うんっ。またね、璃奈ちゃん」フリフリ


愛「またね!」フリフリ


璃奈「うん、また」フリフリ

350: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:18:29.77 ID:CuC60wX8
テクテク…


………………


歩夢「…………」


愛「…………」


愛「さ、て…じゃあアタシ達も…」


歩夢「うん、帰ろっか」

351: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:19:16.86 ID:CuC60wX8
愛「お泊まり会しよっか」


歩夢「うん……」


歩夢「…ん?…え…?はい…?」


愛「ふふーん…ね、歩夢!今日家に泊まってかない?」

352: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:20:12.06 ID:CuC60wX8
歩夢「えっ、ええ…?!」


歩夢「きゅ、急すぎるよ!何も用意してないし!」


愛「でも思い立ったが吉日っていうじゃん!」


歩夢「一年生が羨ましくなっただけだよね??」


愛「えへへ、バレちゃった?」

353: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:20:55.61 ID:CuC60wX8
歩夢「バレバレだよ…」


愛「んー、ダメかなー…?」


歩夢「………」


愛「楽しいと思うんだけどなー…」


歩夢「も、もう…分かったよ…」

354: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:22:56.43 ID:CuC60wX8
歩夢「一回家に戻って聞いてみるね…着替えも用意しなきゃだし」


愛「やった!じゃあ早速行こ!歩夢ん家」


歩夢「うん…」


…この愛ちゃんの強引さが私にも欲しいよ

355: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:24:19.08 ID:CuC60wX8
でも、侑ちゃん以外の家にお泊まりすることなんてなかったから。


どこかで楽しみにしている自分もいた。

だから愛ちゃんの誘いは断れなかった。
というか断るつもりもなかったかもしれない


…ひとまず私は、愛ちゃんと一度家に戻って
お泊まりの許可を貰ってからお泊まりセット持って家を後にした


…侑ちゃんは、まだ帰ってないみたい

356: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:25:15.81 ID:CuC60wX8
────
──

テク テク


愛「~♪」


歩夢「…元気だね、愛ちゃん」


愛「んー?あはは、まだ体力はあるよー」


愛「歩夢はもう疲れた?」


歩夢「まぁ…ちょっとだけね、久しぶりに沢山歩いたからかな…」

357: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:26:08.43 ID:CuC60wX8
愛「あらら…そっか、ごめんね無理に歩かせちゃって」


歩夢「ううん…運動不足になるより全然いいもん」


愛「おぶってこっか?」


歩夢「い、いいよ…荷物いっぱいだし…全然歩けるから」


愛「そーお…?無理そうだったら言ってね?」

358: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:27:01.01 ID:CuC60wX8
歩夢「うん…そういえば、愛ちゃんの家ってもんじゃ焼き屋さんだったよね」


愛「そうそう!あ、もしかしてお腹空いた?」


歩夢「あはは…実は、ちょっとだけ…」


愛「そっかそっか!愛さんもお腹空いて来たよ~」


愛「流石に今の時間はお客さん多めだからもんじゃは無理だけど…」

359: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:27:54.60 ID:CuC60wX8
歩夢「あ、そうなんだ」


愛「だからお部屋で食べよ!アタシ何か作るし」


歩夢「愛ちゃんの手料理?」


愛「うん、そうだよー」


歩夢「手伝うよ」

360: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:28:45.58 ID:CuC60wX8
愛「んーん、歩夢は愛さんの部屋で休んでてよ」


歩夢「そういうわけにも…」


愛「だいじょーぶだって、せっつーも来るし部屋でじっくり話してて」


歩夢「…そう…?じゃあ…」

361: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:29:37.87 ID:CuC60wX8
歩夢「…え?せっつー…?」


歩夢「えっ!!えっ!!せっ、せっつーちゃんくるの!?」


愛「せっつーちゃんて」


歩夢「い、いつ呼んだの…」


愛「さっき歩夢が家で準備してる間に」

362: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:30:35.21 ID:CuC60wX8
歩夢「か、勝手すぎるよ愛ちゃん…!もぉ、呼ぶなら呼ぶって言って…心の準備が…」


愛「それはほんとごめん、でもせっつーも大分心配してたしさ」


愛「…二年生で遊んだことも無かったし」


歩夢「……?愛ちゃん…?」

363: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/22(火) 23:32:17.49 ID:CuC60wX8
愛「お、ついたよ、愛さん家!」


歩夢「……!」


愛さんの指さした家の前には、大きめの荷物を持った見慣れた少女が立っていた


…せつ菜ちゃんだ


愛「せっつー!」フリフリ


せつ菜「…!愛さん!歩夢さん!こんばんはっ」フリフリ


歩夢「…せつ菜ちゃん…」


───

381: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:14:11.30 ID:FtR5bSS6
愛部屋


─歩夢「………」


せつ菜「そういう事でしたか」


歩夢「話さなくてごめんね…」


歩夢「あの時、私が悩んでる時に…せつ菜ちゃんに背中を押して貰ったのに…」


歩夢「押して貰ったからこそ、話し辛かったっていうのもあるんだけど」


歩夢「言い訳だよね」

382: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:14:54.70 ID:FtR5bSS6
せつ菜「…そんなことで私がどうこう思ったりなんてしませんよ、歩夢さん」


せつ菜「何事も始めることが大切ですから」


せつ菜「私の言葉で歩夢さんの前進する為の糧になれたのなら、それで。ただ…」


歩夢「…ただ?」


せつ菜「やりたいことって、やっぱり上手くいかないことも沢山ありますから」

383: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:15:35.03 ID:FtR5bSS6
せつ菜「ですから、進むのが辛い時…そんな時は立ち止まってもいいと思うんです」


せつ菜「でないと…今回みたいに擦り減ってしまいますから」


せつ菜「歩夢さんには…大好きなものも、大好きな人も…大好きなままでいて欲しいですし」


せつ菜「だから…私は立ち止まってでも大好きを止めて欲しくないです、歩夢さんには」

384: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:16:14.83 ID:FtR5bSS6
歩夢「……そう、だよね…」


歩夢「私は…やりたい事のために結果大好きな人のことも…自分のことも否定しちゃってた」


歩夢「大切なこと、忘れちゃってたよね…」


せつ菜「歩夢さんは歩夢さんのままでいていいんですから、あまり難しく考えないでくださいね」


歩夢「…ありがとう、せつ菜ちゃん」


せつ菜「ふふ、いえいえ」

385: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:16:51.42 ID:FtR5bSS6
せつ菜「…しかし、安心しました」


歩夢「え?」


せつ菜「前に愛さんから聞いた時は、大分参っている状態だと聞いていたので…」


せつ菜「今日、愛さんと璃奈さんと三人でお出かけしたんですよね?」


せつ菜「楽しめましたか?」


歩夢「…うん」

386: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:17:28.07 ID:FtR5bSS6
歩夢「今まで侑ちゃん無しで誰かと遊びに行くことって無かったから…正直ちょっとだけ不安はあったけど」


歩夢「知らなかったことが沢山で、色んな事が新鮮で楽しかった」


歩夢「愛ちゃんからも、璃奈ちゃんからも沢山元気を貰えたし」


せつ菜「…良かったです」

387: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:18:34.14 ID:FtR5bSS6
せつ菜「さっき突然愛さんにお泊まり会に誘われて」


せつ菜「歩夢さんがいると聞いて、考えるより前に飛んで来ちゃいました」


せつ菜「それで、さっき元気そうな顔を見た時に安心したんです」


せつ菜「歩夢さんが少しでも元気を取り戻せたのなら、本当に良かったです」


歩夢「…心配かけちゃってごめんね」

388: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:19:16.16 ID:FtR5bSS6
せつ菜「いえ、私の方こそ…もっとしっかり歩夢さんの変化に気付いていれば…相談に乗れたのに」


せつ菜「ごめんなさい」


歩夢「せつ菜ちゃんが謝るの…おかしいよ。元々私の心の弱さが原因だもん」


せつ菜「最初から強い人なんて中々いませんから、だから歩夢さんはこれからいくらでも強くなりますよ」

389: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:19:54.17 ID:FtR5bSS6
せつ菜「心強い人が周りに沢山いますしね」ニコ


歩夢「…そうだね」ニコ


せつ菜「やっぱり、愛さんのおかげですよね、歩夢さんが立ち直れたのは」


歩夢「…前からずっと、もっと仲良くなりたいって思ってくれてたんだ、愛ちゃんは」


歩夢「あんなに真っ直ぐに私のことが気になるって…」

390: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:20:50.66 ID:FtR5bSS6
歩夢「仲良くなりたいってハッキリ言ってくれたのは…初めてだったし、びっくりしちゃった」


歩夢「誰も私になんか興味ないって…凄く消極的になってた私には、とても眩しい言葉だったから」


歩夢「それに愛ちゃんみたいな人気者に、あんな風に素直な気持ちを伝えられたら…やっぱり…」


歩夢「…正直嬉しいって思うし」


歩夢「私も愛ちゃんみたいに、皆に自分の気持ちをしっかり伝えられたらいいなって思えた」

391: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:21:35.92 ID:FtR5bSS6
せつ菜「…きっと歩夢さんなら出来ますよ」


歩夢「うん、ありがとう。しっかり勇気貰ったから…また自分なりにやりたい事を頑張るよ」


歩夢「勿論無理のない程度にね」ニコ


せつ菜「…応援してます」ニコ


せつ菜「…あっ、勿論私とももっと仲良くしてくださいね!」


歩夢「うんっ、勿論」


せつ菜「ふふ、嬉しいですっ」

392: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:22:27.85 ID:FtR5bSS6
せつ菜「あっ…それと、今日は用事で行けませんでしたが今度は私もお出かけに誘ってくださいね!」


せつ菜「今日のことを聞いて羨ましかったんですから!」


歩夢「あ、うん、そうだね。今度一緒に行きたいな」


せつ菜「約束ですよ?」


歩夢「うんっ」

393: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:23:16.94 ID:FtR5bSS6
せつ菜「ふふ…あっ、そういえば、愛さんの方…やっぱりお手伝いした方がいいですよね?」


せつ菜「ここでじっと待っているのも悪いですし…」


歩夢「…あー…うん、でもせつ菜ちゃんの相手しててって言われたし…」


せつ菜「…ん…?あれ?私子供扱いされてますか??」

394: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:25:12.58 ID:FtR5bSS6
歩夢「あっ、いや!そういう意味じゃなくて…!せつ菜ちゃん疲れてるでしょ?私も疲れてるし、少し休んでようよ」


せつ菜「大丈夫ですよ!歩夢さんの顔が見れて私は元気100倍になりましたから!」


せつ菜「やっぱり手伝ってきます!こんな時のために納豆やヨーグルト!プロテインも持ってきたんです!」スクッ


せつ菜「歩夢さんは休んでてください!」

395: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:26:06.30 ID:FtR5bSS6
歩夢「…!」


…いやいやいやいやいや!


歩夢「…せつ菜ちゃん!」ヒシッ


せつ菜「…あ、歩夢さん!?」


歩夢「ころさないでぇ…!」


せつ菜「ええ!!?な、何言ってるんですか!?」

396: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:27:30.60 ID:FtR5bSS6
歩夢「っ、じゃなくて!その、大人しくして!」


歩夢「…大人しくしないとこのまま締め付けるからね!」ヒシィッ


せつ菜「何故!?」


せつ菜「ちょ、離してください歩夢さん!一旦落ち着きましょう!」


歩夢「離さないよっ、せつ菜ちゃんのこと絶対離さない…!…せつ菜ちゃんいい匂い…」


せつ菜「情緒どうなってるんですか!?」

397: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:28:27.08 ID:FtR5bSS6
ガチャ


愛「…人の部屋で何イチャついてるの二人ともー…」


ぽむせつ 「…!あ、愛ちゃん(さん)!!」


愛「んもー愛さんが準備してる間に除け者にするのは良くないぞー?」


せつ菜「いっ、いちゃついてないですよ!歩夢さんが急にホールドしてくるから…」


歩夢「せ、せつ菜ちゃんがいい匂いだったから…」


せつ菜「それが理由だったんですか!?」

398: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:30:47.49 ID:FtR5bSS6
愛「あはは!もー二人ともなーに言ってんだか…ほら、夕飯の準備出来たから、始めよっか」


ドサッ


せつ菜「…!わ、これは…」


歩夢「…たこ焼き器?」


愛「お泊まり会って言ったらタコパかなーって思って」


せつ菜「わぁ…!タコパ…!感動します!」キラキラ

399: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:31:36.31 ID:FtR5bSS6
愛「お、もしやせっつー初めて?」


せつ菜「はい!タコパするのは初めてです!」キラキラ


歩夢「すごく目がキラキラしてる…でも、いいね。私もした事ないから感動しちゃう気持ちは分かるかも…」


歩夢「でも、下準備大変だったよね?やっぱり手伝った方が良かったんじゃ…」

400: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:33:03.76 ID:FtR5bSS6
もれなくせつ菜ちゃんがついてくるけど…


歩夢「……」チラ


せつ菜「……?なんですか歩夢さん?」


歩夢「う、ううん…」


愛「…まぁ確かに、一人じゃ大変だし折角だからもう一人呼んでちょっと手伝って貰ったんだ」


歩夢「…え?もう一人…?」

401: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:48:01.18 ID:FtR5bSS6
せつ菜「…??」


…待って、これもしかして…


愛「……手伝ってくれてありがとね、どうぞ入って入って!」


……


ドタドタドタドタ!!

402: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 20:49:41.13 ID:FtR5bSS6
「上原ぁぁぁぁ!!」ハグッ


歩夢「ききゅあああーっ!?」ドサッ


突然部屋に駆け込んできたその子の姿より、唐突な突進に物凄くびっくりした…


押し倒されてからも何が起こったのか思考が追いつかなかったけど…


次第に状況を理解できるようになった
…ほんとに、ほんとに愛ちゃんは悪い…


歩夢「っ…は、…ぇ…?」


侑「…………なんだか、久しぶりだね…歩夢」

403: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:28:19.43 ID:FtR5bSS6
歩夢「…ぁ、…ゅ……ゆ、っ」


歩夢「ゅ、侑ちゃん…!!?」


歩夢「ど、どうして…っ」


愛「…………驚き方すごいね歩夢」


侑「あはは、確かに…何かの鳴き声みたいだったよ?ね、せつ菜ちゃん」


せつ菜「ビリジオンみたいでしたね」


ゆうあい「ほら」

404: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:29:18.69 ID:FtR5bSS6
歩夢「ほらじゃないよ!!?もうっ、愛ちゃん!どういうこと!?呼ぶなら呼ぶって言ってよぉ…!」


愛「………あはは、ごめん。最後に歩夢を驚かせてみたかったからさ」


歩夢「いや今日ずっと驚きっぱなしだったよ…!!」


歩夢「…それと…侑ちゃんも!ほんとにびっくりするから急に突撃してこないで…!」

405: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:29:57.33 ID:FtR5bSS6
侑「えへへ、ごめんね…?でも歩夢に会いたいって思ったらもう止まんなかったんだよね」


歩夢「っ…」


鼻の奥が、つんとした
…ほんとにずるい


歩夢「……もう、どうして…あんな事言っちゃったのに…」


侑「………」

406: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:30:49.90 ID:FtR5bSS6
歩夢「………侑ちゃん…」


歩夢「ごめんね…」


侑「…ううん、私こそごめん」


歩夢「っ…あのね」


侑「…全部聞いてる。でも、つもる話は後にしよ?」


歩夢「え…?」

407: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:32:09.86 ID:FtR5bSS6
侑「とりあえず皆でたこ焼きしようよ、お腹空いちゃったし…」


侑「それからの方が多分…お互いに話しやすいと思うし」


侑「…あとで、ちゃんと二人で話そ?」


歩夢「…………ん…」コク


侑「…ふふ、ありがと…」

408: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:33:06.38 ID:FtR5bSS6
侑「…よいしょ」バッ


せつ菜「………びっくりしました、侑さんが来ていたとは…」


侑「うん、さっき終わったんだけどね、愛ちゃんに誘われて急いで準備して来たんだ」


歩夢「……」ムスッ

409: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:34:05.02 ID:FtR5bSS6
愛「歩夢ごめんね…?」 合掌


歩夢「……ううん、いいよ。なんだか慣れてきちゃったし…でもこういうのは最後にしてね…?」


歩夢「あと…いつか仕返しするからね、愛ちゃんには」


愛「えへへ、そうだね…うん、分かった!」


歩夢「もう…」

410: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:34:48.41 ID:FtR5bSS6
────


ジュー…


モグモグ


愛「ど?おいしい?」


せつ菜「はい!すごく!外はカリカリですし」


侑「うんうん!中はトロトロだよね!愛ちゃんすごいなぁ」


歩夢「…うん、ほんとに美味しい。割ってみると分かるけどまるでチーズ入ってるみたい」


愛「えへへっ、良かった!」

411: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:36:15.73 ID:FtR5bSS6
歩夢「次、私が焼くよ」


愛「あ、じゃあお願いしていい?」


歩夢「うん」


愛「じゃあ順番で焼いてこっか」


せつ菜「そうですね!」


侑「うん!あ…そういえば…二人ともお出かけしてたんだよね?璃奈ちゃんと三人で」


愛「うん、そだよー」

412: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:37:03.86 ID:FtR5bSS6
せつ菜「用事がなければ私も行きたかったです…」


侑「ねー、私も行ってみたかったなぁ」


愛「今度行こうよ、行こうと思えばいつでも行けるし!」


せつ菜「そうですね!機会があればいつか!」

413: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:37:58.58 ID:FtR5bSS6
愛「…あ、そういえば写真あるんだよね、見る?」ゴソゴソ


侑「ほんとに?見たい見たい!」


歩夢「え…?」 ジュー


愛「ほい」スッ


せつ菜「わぁ…!歩夢さん可愛いです!」


侑「うさみみだ!あゆぴょんだ!あゆぴょんポーズだ!」 キラキラ

414: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:38:59.57 ID:FtR5bSS6
歩夢「ちょっ//愛ちゃん何見せてるの!?//」


愛「いいじゃーん、見せる為の写真なんだしさ」


歩夢「それはそうだけど…ポーズの写真見られるのはちょっと恥ずかしいよ…//」


侑「わぁ…愛ちゃんのスーツ姿もかっこいいし璃奈ちゃんのメイドさんも可愛いね…!」


侑「いいね…ときめいちゃうなぁ…!」

415: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:40:09.89 ID:FtR5bSS6
せつ菜「意外と歩夢さんのスーツ姿も似合いそうですよね!オールバックとかにして!」


愛「あはは!確かに!ちょっとだけいかつそー」


侑「オールバックにしたらホストっぽくなりそうじゃない?」


せつ菜「なるほど!あゆむさんからあゆとくんになるんですね!」


歩夢「そこは別にあゆむくんで良くないかな…?」

416: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:41:17.82 ID:FtR5bSS6
侑「あゆ兎くんかぁ…」


歩夢「あゆぴょんの名残りを感じるんだけど…」


愛「でもやっぱり歩夢はフリフリ系がいよねー!」


ゆうせつ「ねー!」


歩夢「ねーじゃないよ…もう…//」

417: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:42:08.89 ID:FtR5bSS6
侑「いやぁ、恥ずかしがってる歩夢もやっぱり可愛いなぁ」


歩夢「むぅ…」


愛「…でも逆になんか、ゆうゆが恥ずかしがることってあんまりないよね?」


せつ菜「言われてみれば…ちょっとそういう一面も見てみたいですよね」

418: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:43:09.59 ID:FtR5bSS6
侑「んーまぁ…そういう場面になったことがあんまりないからかなぁ、そういうエピソードもないし」


歩夢「…はい、焼けたよ、みんなの分」コト


侑「お、ありがとー」


愛「ありがとっ、歩夢はやっぱり知ってるんじゃない?ゆうゆの恥ずかしい話とか」


歩夢「………うん、あるよ、侑ちゃんの恥ずかしいエピソード」

419: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:43:59.12 ID:FtR5bSS6
愛「お、あるの?聞きたーい!」


せつ菜「私も聞いてみたいです!」


侑「え?うそ、なんかあったっけ…?」


歩夢「ん…当時…小学6年の夏だったかな」

420: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:48:22.50 ID:FtR5bSS6
歩夢「侑ちゃん…スイカにハマっててね」


愛「もう面白い」


侑「なんで!?」


せつ菜「そ、それで…ハマっててどうしたんですか?」


歩夢「スイカをお腹いっぱい食べて…気を付けてたらしいんだけど、間違って種を飲み込んじゃったの」

421: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:49:13.22 ID:FtR5bSS6
侑「あ、やばい」


歩夢「勿論飲み込んでも害はないんだけどね…」


歩夢「次の日食べ過ぎでちょっとお腹壊しちゃって」


歩夢「腹痛も相俟って色々不安になったんだろうね…」


歩夢「どうしよう私の中でスイカの木ができちゃうよぉぉぉ!!って、一生泣いてた」

422: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:51:37.04 ID:FtR5bSS6
愛「…ぷっ…ふふふふ…っ…あはは…!ちょ、ゆうゆ純粋すぎでしょ!歩夢のモノマネもツボだよ…っ…!」


歩夢「ええ…?」


せつ菜「ふっ……で、でもっ、その…可愛らしいお話ですね…っ」


侑「あーっ//なんでそんなこと覚えてんのっ//普通に恥ずかしいじゃん//」


歩夢「まぁ…確かにまだ幼かったから可愛らしいエピソードだけど…」


愛「う、ん…そうだね………っ」

424: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:56:18.33 ID:FtR5bSS6
侑「愛ちゃん笑いすぎ…//」


歩夢「あと、一昨年のストーカー事件」


せつ菜「ストーカー事件!?」


侑「あーそれちょっと…//」


愛「なになに!?めっちゃ気になる!」

425: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:58:10.03 ID:FtR5bSS6
歩夢「これも夏くらいだったかな…?」


歩夢「よく行きと帰りの時に後ろから気配を感じるって言ってたんだ」


せつ菜「…こ、怖いですね…」


歩夢「私も一緒に登校も下校もしてるけど特にそんな気配は感じなかったし…」


歩夢「振り返っても別に人がいる訳じゃないから気のせいじゃない?って話してたんだけど」

426: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 21:59:21.05 ID:FtR5bSS6
歩夢「それでも侑ちゃんはストーカーかもしれないって騒いでて」


歩夢「その時ね、侑ちゃん一週間くらい気分転換でポニーテールにしてたんだけど…」


愛「へーそうなんだ!」


歩夢「うん…で、その気配の正体が…」


歩夢「自分のポニーテールだったんだよね」


侑「」

427: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:00:33.15 ID:FtR5bSS6
愛「っ、~!ぷっ、く…っ」バシッ


侑「いいっ!?たっ!ちょ、愛ちゃん!?」


愛「あはは!んもー助けてせっつー!ゆうゆがこわいー!」ギュウ


せつ菜「ぅっ、ふふ……っ」

429: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:02:00.34 ID:FtR5bSS6
侑「もー笑いすぎだよ二人ともー!//」


歩夢「大変だね…」


侑「他人事!?」


愛「っあぁーもう涙出てきたよ…」


せつ菜「ふふ…っでも侑さんにもそういところってあるんですね」


侑「しょ、しょっちゅうじゃないよ!?滅多にそんなことになんないし!」

430: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:04:04.48 ID:FtR5bSS6
侑「二人にだってちょっとした恥ずかしいミスくらいあるでしょ!?」


せつ菜「まぁ、侑さんほど強いエピソードはありませんけど…」


せつ菜「ハンドクリームだと思ったらコンデンスミルクを手に塗ってたことならあります…」


歩夢「っ…ぷ…っ」


侑「ちょ……まって…っ…」フルフル


愛「ぷふっ…ぅ…っ、いやそれもおもしろすぎるでしょせっつー……っ」

431: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:06:02.66 ID:FtR5bSS6
せつ菜「そ、その時コンタクトしてなかったんですよ…//」


歩夢「…手が凄いことになってそうだね」


せつ菜「はい…流石に甘い香りがしたのですぐ気付きましたけど…//」


侑「ぶはっ…ぅ、ちょっ、流石に塗るとこで気付いてよ……っ」


せつ菜「……っ//」


愛「はぁ…もー笑った…みんなわりと恥ずかしいエピソードってあるんだねー」

432: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:07:01.20 ID:FtR5bSS6
歩夢「愛ちゃんも勿論あるよね?」


侑「あ、そうそう!散々笑ったんだから愛ちゃんの恥ずかしい話も聞かせてよ!」


せつ菜「是非聞きたいですね!やっぱり愛さんでもそういう天然な話ってあるんですか?」


愛「えー、考えてみたら愛さん特に恥ずかしい話とかないんだよねー……」

433: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:07:48.39 ID:FtR5bSS6
愛「うーん…」


侑「えー、ないの?じゃあ例えばこういうのが弱点!とかそういうのない?」


せつ菜「愛さんの事だから無さそうですよね」


愛「………まぁ、特にないかなぁ」

434: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:08:54.43 ID:FtR5bSS6
歩夢「…愛ちゃんつまんないね…」


侑「ねー」


愛「おおおーい!今の聞き捨てならないぞ!」


せつ菜「大丈夫ですよ愛さん!愛さんはとても面白いです!どんなギャグも侑さんなら笑ってくれますし!」


愛「それあんまりフォローになってないよせっつー!?」

435: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:17:07.35 ID:FtR5bSS6
────


侑「ふぅ、流石にお腹いっぱい…」


せつ菜「あと残りちょうど四個ですね」


歩夢「うん、これ食べて終わりだね」


愛「だね、じゃあ一人一個で!はい!」ヒョイ


せつ菜「ありがとうございますっ」

436: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:18:02.62 ID:FtR5bSS6
侑「ありがとっ」


歩夢「………え」


私に配られたたこ焼きから
茶色い豆のような物がはみ出てる…これって…


歩夢「…ねぇ愛ちゃん」


愛「なになに?」


歩夢「ひとつ聞いてもいい?」

437: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:18:59.79 ID:FtR5bSS6
愛「え、ひと月?ひと月はちょっと流石に泊めるのは難しいかなぁ…」


歩夢「……はい?」


愛「ひと月居てもいい?っていうから…」


歩夢「ちがっ…一つだけ聞いてもいい?って意味だよ!?」


愛「あー!そっちか!」

438: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:20:11.73 ID:FtR5bSS6
侑「ぶふっ……ねぇもうやめてよ愛ちゃん…っ……」


愛「…っ、いやごめんそう聞こえちゃったから…っ」


せつ菜「なんだか漫才みたいですね!お二人のやり取り!」


歩夢「もう、絶対からかってるよ…」ジト

439: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:21:28.27 ID:FtR5bSS6
歩夢「ねぇ愛ちゃん、これ納豆入れてるよね…?」


せつ菜「あ、はみ出てますね!いつの間に入れたんですか?」


愛「あちゃーはみ出てたかぁ、気付かなかったや」


愛「シメはロシアンルーレットにしようかなって思って入れてたんだけど、歩夢に行ったんだね」


歩夢「もぉ、勘弁してよ愛ちゃん…しっかり隠してもらわないと」

440: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:22:22.28 ID:FtR5bSS6
侑「あ、ロシアン自体はいいんだね歩夢」


歩夢「気は進まないけどね、納豆だし…」


愛「まぁまぁ、納豆でも意外と美味しいかもしれないし!ここはぐいっと!」


歩夢「うぅ……まぁ、引いちゃったから食べるしかないよね……」


パク

441: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:23:12.58 ID:FtR5bSS6
せつ菜「……」ジッ


侑「……」ジッ


愛「……」ジー


歩夢「……」モグモグ


コクン

442: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:24:16.15 ID:FtR5bSS6
歩夢「……ん、ごちそうさま」


せつ菜「…どうでした?」


侑「不味かった??」


愛「美味しかった???」


歩夢「…うん、なんか…普通…」


どうにもリアクションがしづらい味だった


……………

443: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:25:24.98 ID:FtR5bSS6
それから、たこ焼きパーティが終わって


四人で談笑を混じえつつ後片付けをした


少しうるさくしちゃったから、愛ちゃんのおばあちゃんに謝ったけれど…全然気にしてないって言われた


寧ろ騒げくらいの感じだったけど…なんだか、愛ちゃんのおばあちゃんだなぁって思った。


…………

444: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:26:32.85 ID:FtR5bSS6
…結果、二年生が集まったけれど、素直に楽しかったって思う


せつ菜ちゃんが泊まると聞いた時も…侑ちゃんが来た時も…本当はほんの少しだけ怖かったけど


会ってみれば不思議と普通に話せた
この前まで、顔を見ることすら怖かったのに…


昨日の愛ちゃんの言葉や…今日の璃奈ちゃんの優しさと、さっきのせつ菜ちゃんの言葉で、少しずつ自信がついてきてたのかもしれない

445: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:27:36.41 ID:FtR5bSS6
流石に愛ちゃんの強引さは目に余る部分がありすぎるけど…


…そして、これから二人ずつ交互にお風呂に入ることになった


愛ちゃんとせつ菜ちゃんが先で、次は私と、侑ちゃん…


一先ず部屋で侑ちゃんと待つことになった


二人には多分、気を遣わせちゃったかな

446: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:28:47.73 ID:FtR5bSS6
──


侑「ふぅ…お腹いっぱい…」ドサッ


歩夢「…牛になっちゃうよ」


侑「今ならもう牛になってもいいやー…なんてね」


歩夢「……」


侑「……二人だね」


歩夢「…っ……」


歩夢「うん…」

447: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:29:40.16 ID:FtR5bSS6
侑「……変な夢、まだ見ちゃう?」ムクリ


歩夢「……大丈夫、薬…飲んでるから」


侑「っ…そっか…」


侑「…ホントは、私も愛ちゃんも悩んでたんだ」


侑「今日…私が来るかどうか…せつ菜ちゃんを誘うのにも多分、愛ちゃんとしては結構悩んだんだと思う」

448: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:30:34.62 ID:FtR5bSS6
侑「…かえってまた歩夢にストレスを与えちゃうんじゃないかって思ったから」


歩夢「………」


侑「…でも、やっぱり歩夢にすぐにでも会いたかったんだ」


侑「せつ菜ちゃんも一緒だと思う」


侑「自分本位で動いちゃってごめんね…」

449: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:31:50.52 ID:FtR5bSS6
歩夢「…ううん、大丈夫だよ。…こういうのは早い方がいいって私も思うし」


歩夢「愛ちゃんもそう思って誘ってくれたんだと思うから…一言くらい言って欲しかったけど」


歩夢「でも…実際四人で色んな話が出来て楽しかったよ」


侑「…そっか、良かった…私も楽しかったなぁ…」

450: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:32:45.27 ID:FtR5bSS6
侑「…事情はさ、さっきも言ったけど全部聞いたんだ」


歩夢「うん…」


歩夢「…ごめんね、あの時…侑ちゃんに心にもないことを言っちゃった」


歩夢「きっと、どこかで侑ちゃんのせいにしてたんだと思う」


歩夢「昔から私は侑ちゃんの陰にいて、誰かと友達になる時も侑ちゃんのおかげだったんだと思う」

451: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:36:48.32 ID:FtR5bSS6
歩夢「だから今回…侑ちゃんがいなくても、自分一人で誰かと深く関われるようになれたらって…なりたいなって思った」


歩夢「それでも私の口からは侑ちゃんばっかりで、侑ちゃんとの思い出しか持ってなくて…」


歩夢「侑ちゃんが居なきゃダメだって思う反面…少しだけ、侑ちゃんが恨めしいって思っちゃったんだ」


侑「…そっか」

452: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:37:48.56 ID:FtR5bSS6
歩夢「でも、大切なことを忘れちゃってた」


歩夢「好きなものは好きなままでいいんだもんね…」


侑「…私も、歩夢が居なきゃダメなんだよ?」


歩夢「…え?」


侑「私も本当はずっと歩夢と、歩夢たちのいない新しい環境が少しだけ不安だったんだ」


侑「上手くいかないこともあったし、だから歩夢と少しの時間でも話すだけで…会うだけでも元気になれた」

453: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:38:45.94 ID:FtR5bSS6
侑「…だからこの間の電話の時、嘘だったとしてもわりとショックだったんだからね?」


歩夢「っ…ご、ごめん…」


そっか、侑ちゃんも…
侑ちゃんも辛かったんだ


ずっと不安の中で、へこたれないように自分を追い込むことで


いつもの侑ちゃんとして成り立ってきたんだ


…私ばかりだと思ってた


自分本位なのは、私の方だ…

454: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:39:39.36 ID:FtR5bSS6
歩夢「……っ」


侑「…」ギュッ


歩夢「わわっ…ゆ、侑ちゃん…?!」


侑「でも、歩夢が辛い時に傍に居られなくてごめんね…」


歩夢「…!ううん、私こそ…気付けなくてごめんなさい…自分のことばっかりで…」


侑「…それはお互い様だよ」

455: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:40:36.57 ID:FtR5bSS6
侑「…また、不安になった時はさ、しっかり話そうよ、私も今度はちゃんと話すから…」


侑「愛ちゃんやせつ菜ちゃん…他のメンバーに話してもいいし」


歩夢「うん、今度からはそうするつもり…」


歩夢「…ありがとう、ごめんね…」


侑「ううん…こっちこそありがとね」

456: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:41:51.47 ID:FtR5bSS6
侑「…歩夢はさ…大丈夫だよ」


侑「私がいなくたってもっと、これ以上にみんなの中に溶け込めるし、色んな人と繋がれる」


侑「だって歩夢は凄くかわいいし、現に歩夢のファンだって沢山いるんだもん」


侑「同好会メンバーのみんなだって歩夢の魅力を知ってるんだから…」


侑「それから…」


侑(…それから、それ以上に…多分あの子も…)


侑「………」

457: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:42:44.27 ID:FtR5bSS6
歩夢「…侑ちゃん?」


侑「あっ、ううん!」


侑「それに、歩夢はちゃんと成長出来てるよ、同好会に入りたての時よりも一層輝いて見えるもん」


侑「努力しようとしてる歩夢を嫌う人なんて絶対いない」


侑「歩夢の親友でファン第一号の私が言うんだし、間違いないよ!」

458: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:43:35.64 ID:FtR5bSS6
侑「だから…もう誰も自分に興味ないだなんて言わせないよ?」


歩夢「……侑ちゃん…」


侑「…それに私たちの関係だってずっと変わらないんだからね!絶対に!」


侑「…この先も、私の想いは変わらないから…歩夢がどんな夢を見たって絶対に変わらないから」


歩夢「……うん…っ」

460: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:44:42.16 ID:FtR5bSS6
歩夢「私も、ずっと変わらない…」ギュ


侑「…ふふ」ニコ


歩夢「…侑ちゃんは、今楽しい?」


侑「…うん、楽しいよ!知りたい事も沢山知れるし…すごく楽しいんだ」


歩夢「……」


今日の私と同じだ…

461: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:45:23.24 ID:FtR5bSS6
歩夢「…良かった」


侑「…今ね、作曲の勉強してるんだ」


歩夢「うん」


侑「歩夢…良かったらさ、作詞してみない?」


歩夢「え…?」


侑「初めて作る曲は、歩夢と作りたいんだ」

462: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:46:22.38 ID:FtR5bSS6
侑「やっぱりさ、一番大切な友達だから」


歩夢「侑ちゃん…」


侑「歩夢の為だけに曲を書きたいんだ」


歩夢「………でも」

463: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:47:28.66 ID:FtR5bSS6
───言ってることは無茶かもしれないけどさ、完璧に無理だなんて思いたくないんだ、愛さんは



歩夢「……そうだよね」


侑「…歩夢?」


歩夢「…じゃあ、私は侑ちゃんの為だけに作詞を書きたい」

464: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:48:21.35 ID:FtR5bSS6
侑「……!」


歩夢「いつ出来るか分からないけど」


侑「ううん、いつでもいいよ!じゃあ…二人のこれからの目標だね」


歩夢「…!…うん…っ」

466: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/06/29(火) 22:49:24.30 ID:FtR5bSS6
侑「…ちょっと泣いてる?」


歩夢「ぅ、な…泣いてないよ?」


侑「うそー?身体震えてるよ?」


歩夢「…うぅ…ごめん…嬉しくて…ちょっと…」


侑「…ふふ…よーしよーし…」サスサス




──────
───

479: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:04:23.35 ID:MU9Mzp7y



せつ菜「やりました!上がりです!!」


歩夢「ああ…!また負けたぁ…」


侑「あびゃー歩夢連敗じゃん」


愛「あははっ、歩夢ってめっちゃ顔に出るもんねー」

480: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:04:48.48 ID:MU9Mzp7y
歩夢「うーん、つい出ちゃうんだよね…ポーカーフェイスって難しい…」


せつ菜「歩夢さんはババを過剰に意識し過ぎてるのだと思いますよ!」


せつ菜「引く時は何か別のことを考えればいいんです!分かってないですね!」


歩夢「なるほ………あれ、今煽られた?」

481: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:05:36.50 ID:MU9Mzp7y
侑「そこが中々難しかったりするけどねー」


愛「言っても実際ババ抜きは4本勝負でゆうゆが優勝だけどね!ゆうだけにね!」


侑「…ぶっ、クッ…ふはははは!愛ちゃんそれっダジャレとしては弱過ぎるよぉ…っ…!」バンバンッ


歩夢「めちゃくちゃ笑ってるけど…」

482: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:06:17.63 ID:MU9Mzp7y
せつ菜「ほんとに侑さん強いですね…その次に強いのが2位の愛さんで、私が3位…歩夢さんが4位ですね!」


歩夢(3位に煽られたのかぁ…)


愛「まぁ割と熱い勝負だったと思うけどね~」


愛「熱くなりすぎて気付いたら時間も遅くなっちゃってたね」


歩夢「…あ…ほんとだ、もうこんな時間なんだ」

483: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:07:11.90 ID:MU9Mzp7y
侑「だねー、楽しいと時の流れって早いや」


侑「タコパもゲームもこんなに楽しくなるなんて思わなかったし」


せつ菜「そうですね!そもそもまさか今日、愛さんと歩夢さん…それから侑さんとお泊まり会が出来るだなんて思ってませんでしたし!」


愛「ふふっ、正直誘った愛さんですらそう思ったよ」


愛「…でも、二人も来たら絶対もっと楽しくなるなぁって思ったからさ」

484: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:08:03.71 ID:MU9Mzp7y
愛「まぁ…やっぱりちょっと急すぎたけどね、当日でのお誘いだったし」


侑「そういうとこも愛ちゃんらしいっちゃらしいけどね」


侑「でも、愛ちゃんが居なかったらきっと、歩夢と今も仲直りしてなかったと思うし…」


歩夢「………」


侑「こんな楽しい時間も大切だなぁって、改めて思ったよ」

485: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:08:47.03 ID:MU9Mzp7y
せつ菜「そうですね、こうして4人でゆっくり遊ぶ事もありませんでしたから…この会だけでより親密になれたと思います…愛さんのおかげですよ」ニコ


愛「…別にこんなの…愛さんがしたいことをしてるだけだよ?結果振り回しちゃってるもん」


歩夢「振り回されても…結果みんな笑顔になっちゃうんだよ」


愛「ええっ?」


せつ菜「そうですね、愛さんにはそういう不思議な力があると思います!」

486: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:09:41.69 ID:MU9Mzp7y
愛「ちょ、待って待って愛さんめっちゃべた褒めされてるじゃんやめてよー!嬉しいけどめっちゃ照れるって!」


せつ菜「こういう愛さんのたまに照れてしまうところもとても可愛いらしいですよね!」


ゆうぽむ「ねーっ」


愛「むぅ…ねーじゃないよもー…」


三人「……」ニコニコ

487: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:10:26.75 ID:MU9Mzp7y
愛「っ…あーもーほら!これからせっつーが持ってきてくれたアニメ映画観るんでしょ!準備するからね!」


せつ菜「あっ!はい!是非観ましょう!お泊まり会をするなら絶対この映画を皆さんと一緒に観たかったんですよ!」


侑「おお…せつ菜ちゃんめっちゃ目がキラキラしてるね」


愛「せっつーお泊まり会自体初めてらしいからね、意外とアタシもだけど」

488: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:11:21.41 ID:MU9Mzp7y
侑「へぇ、ほんとに意外だね。色んな子家に連れ込んでそうなのに」


愛「語弊がある言い方やめよ?!」


侑「えへへっ」


歩夢「………」


せつ菜「……?歩夢さん?どうかしました?」

489: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2021/07/04(日) 15:12:22.39 ID:MU9Mzp7y
歩夢「…あ、あのね…」


歩夢「映画を観る前に、しておきたいことがあるんだ」


三人「……?」


歩夢「お願いしてもいいかな?」


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