絢瀬亜里沙「犯人は・・・あなたです。」ver2.0 前編

127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:54:20.92 ID:tmg9xEjI0

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>絵里「思い出したくはないだろうけど・・・希も首を?」

雪穂「・・・っオエっ。はい。首を横に思いっきり切られていました。」

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128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:54:49.90 ID:tmg9xEjI0
雪穂「・・・!」

亜里沙「雪穂は首を切られていたとか、曖昧な表現では無く、はっきりと『横に切られていた』と言っていました。

おかしいですよね?

証言と遺体の状態が違うだなんて。

おかしいと思った点はまだあります。

それは希さんとにこさんの死後硬直時間が矛盾していたからです。」

真姫「矛盾って・・・?」

亜里沙「死後硬直は八時間程で四肢の関節が硬直します。

もし希さん達が今日の朝に殺されているのなら、四肢は硬直しているはず。

しかし、希さんたちはまるでそれが無かった。

希さん達はつい最近、一時間くらい前に殺したんですよね?海未さん。」

海未はにやりと笑って亜里沙を見る。

その顔は血にまみれていて、恐ろしく、美しかった。

亜里沙「・・・恥ずかしながら、希さん達が朝に殺されたのでは無いと確信して、
初めて私は今回の事件が元々は狂言だったのではないか、と考える事が出来ました。
そう考えて思い出してみると、皆さんの発言は矛盾だらけでしたよ。
例えばことりさん達の事もそうです。 」

129: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:55:37.98 ID:tmg9xEjI0
>雪穂「海未ちゃん達も・・・その首を・・・?」

花陽「うん・・・。首を左からななめに切り裂かれていたよ・・・。」



>絵里は真姫を呼んで耳打ちする。

真姫「・・・えっ!?冗談でしょ!!」

真姫の顔が青くなる。

絵里「・・・。」

絵里は頷くしか無かった。

真姫「・・・そんな、二人が首を縦にって・・・。




>凛「うん、そうにゃ。二人の首は・・・真っ直ぐに横に切り裂かれていて・・・。」




>真姫「何よそれは!?そんな事言ったら穂乃果だって怪しいじゃない!?

何せ海未達と一晩中一緒にいたのよ!むしろ一番に疑う所でしょうが!?」

真姫は穂乃果に指を指す。

穂乃果「真姫ちゃんそんな!?私がことりちゃん達の首を何度も刺したって言うの!?ひどいよ!!」

絵里「・・・!」

亜里沙「同じ死体を見たにも関わらず、どうやって切られたかは、三人共、バラバラです。」

130: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:56:12.47 ID:tmg9xEjI0
真姫「・・・!」

亜里沙「恐らく急に決まった計画だったので、そこまで綿密な打ち合わせは出来なかったのでしょう。
それでもすごいですよ、チームワークで完璧に騙し通したのですから。
花陽さんを死んだ様に見せかけた時のケンカとか、迫真の演技でしたよ。
あれは、私が死体を検死させない雰囲気を作るためだったんですよね?
今思うとお姉ちゃんが死体の状況をスラスラ教えてくれたのもおかしな話ですよ。」

凛「・・・。」

亜里沙「腐ってもラブライブ優勝チームって所ですか?反吐が出ますわ。

最初の事件はことりさんと海未さんは死んだふりをしていて、希さんとにこさんはどこか開いている部屋に隠れていたんですよね?

それを他のメンバーが協力して死んだ様に見せかけた。

次の事件も同じです、メンバー全員で狂言の密室殺人を構築した。

どちらも、真姫さんにしか犯行が出来ない様な状況を作って!」


真姫「・・・嘘よ。」

穂乃果「真姫ちゃん・・・。違うの、これは!」

真姫「嘘よね!あなた達がそんなひどい事をグルでやっていたなんて!冗談なんでしょ!亜里沙の思い込みよね!?

冗談って言ってよ!」

真姫は穂乃果に掴みかかる。

真姫は信じられなかったのだ。

凛「・・・。」

真姫「凛!!何とか言ったらどうなの!?」

真姫は凛にも掴みかかる。

凛「うっさいなぁ!!真姫ちゃんが悪いんだよ!!

一人でお金を持ち逃げなんてするから!!」

真姫「はぁ!?遺産の事を言っているの?それなら私達で平等に分配しようって決めたじゃない!
あなたもその場にいたでしょ!!それともまだ足りないって言うの!?」

131: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:56:46.00 ID:tmg9xEjI0
亜里沙「真姫さん、違うんです。そのお金はまだ手に入れていないんです。」

真姫「はぁ・・・!?何を言って・・・。」

亜里沙「正直分けてもらった身としてこんな事を言いづらいのですが、

正確には・・・『数十億物円もの価値があるインゴットを手に入れた』、です。

お金はまだ手に入れていないんですよ。

もっと言うと、お金を手に入れたのは、五千万円の通帳を持っている真姫さんだけです。」

真姫「いや・・・それはそうだけど・・・そんな事対して関係ない・・・。」

亜里沙「あるんです、それが。真姫さん、あなたが手に入れたと言っている
数十億もの価値がある黄金ですが・・・どうやってお金に換えるんですか・・・?
また、それはいつ頃お金に変わるんですか・・・?」

132: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:57:57.69 ID:tmg9xEjI0
真姫「・・・え?それは・・・。」

亜里沙「真姫さん、地下にあったインゴットを思い出してください。
あのインゴットは、正式な刻印は打たれてありませんでした。
刻印の打たれていないインゴットをどうやって換金するっていうんですか?」

真姫「え、そ、それは・・・。」

インゴットには打たれていなくてはいけない4つの事柄がある。

1つは精錬業者登録マーク。

いわゆる国のマークだとかライオンのマークだとか、インゴットの画像を調べて見れば、大抵何かしらマークが打たれているそれだ。

2つ目は品位だ。

金の中に何割不純物が入っているかが打ってある。(純金の場合は999.9)

3つ目は重量。

4つ目は企業のシリアル番号だ。

別に刻印は法律で必ず打つ様に言われている訳ではない。

が、これが付いていないのは偽物か、古物だけだ。

何故なら、刻印はインゴットが本物か偽物かを分かりやすくする為に出来たシステムだからだ。

インゴットが本物か偽物かを見分けるのはプロでも難しいという。

そこで、もっとてっとり早く判断をしやすくする為に、業者はインゴットを作る際に刻印を打つことにしたのだ。

刻印ならば番号や品質はそれを打った企業に問い合わせれば本物かどうか分かるし、

打たれた刻印を見るだけで本物かどうかを判断する事も、プロならばそう難しくは無い。

しかし、逆に言えば刻印の打たれていないインゴットは本物か偽物かは簡単には解らず、信用できないという事。

インゴットは買う者がいなければ金にはならず、本物か偽物か分からない物を買う馬鹿はいない。

西木野家の地下で見つかったインゴットは琉球王朝の時代にできた物だ。

そんな古い物に刻印なんて打たれている訳が無い。

・・・つまり、あのインゴットが本物であるという客観的な証明が出来ないのだ。

133: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:58:43.27 ID:tmg9xEjI0
亜里沙「理解できましたか?確かにあのインゴットの山は数十億円以上の価値があるでしょう。
ですが、それは世間にこのインゴットは本物だと認められ、換金を経ればの話なんです。
地下に眠っているあのインゴット、黄金の山は、世間から認められていない以上、ただの鉄くずの山なんですよ。」

もちろんこのインゴットをしかるべき所に調査を依頼すれば本物かどうかは『いずれ』分かるだろう。

刻印が打たれていないとはいえ、純金である事は確かなのだ。

調査は難しいが時間を掛ければできない事ではない。

・・・が、メンバーにはそれぞれどうしても今すぐ大金が必要な事情があるのだ。

インゴットが本物と認められ、買い取ってくれる者が現れるのを待つ時間は無い。

それに県との問題もある。

こうしてインゴットが見つかった以上、沖縄の都市伝説は本物だと思った方が良い。

正式に公開すれば奪われる事は無いと思うが、色々とクリアすべき課題はあるだろう。

それらを全部解決するのに、どれだけ月日を待てばいいのか・・・?

つまり、今この場にある大金は、真姫の持っている5千万円しかないのだ・・・。

絵里「私達の家は全員火急で大金を用意しなければいけない事情があった。
でもそれはその通帳の5千万円があれば真姫以外は全員が救われる金額だった。」

絵里が淡々と言う。

自分がどれだけ恥知らずで勝手な事を言っているのかは理解している様だった。

絵里「でも真姫、あなたの家の事情を解決するにはその通帳のお金を全部使う必要があった。
だから、・・・インゴットが発見された後、グループ電話で相談したのよ。
どうやって、その通帳を奪うのかを・・・。」

絵里「そしたら海未が提案してくれたの。
狂言をして、脅迫してお金を誰かの講座に送ってもらおうって!
真姫達には死体を見せないようにして、外部から来た人に見せた仕掛けにしようって!」

真姫「・・・。」

開いた口が塞がらないとはまさにこの事だ。

真姫は今日にこを助けるためにメンバーからの誹謗中傷に耐え、

犯人からの要求に恐怖と不安を感じながらも実行したのだ。

それが、この仕打ち・・・!

134: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:59:20.51 ID:tmg9xEjI0
事件は狂言で、にこは人質どころかお金を奪う為に真姫を騙していて・・・。

真姫の平衡感覚がぐらついてきた。

漫画やドラマで金のために友達を裏切るシーンがある。

その時は共感したが、まさか自分が裏切られる立場になるとは思いもしなかった。

苦しい。

とても苦しかった。

なんで?どうして?

お金のために自分を・・・。

汚れていく・・・。

メンバーと過ごしたキラキラした日々が・・・。

全て、お金と、黄金で、汚く・・・。

もう、誰も信じられない・・・。

真姫「そんな・・・あっあっあぁぁ・・・」

真姫「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

真姫は胸に手を当てながら絶叫する。

亜里沙「真姫さん・・・。」

真姫はどこにもケガをしていない。

しかし、亜里沙には真姫がボロボロのズタボロで、深い傷を負っている様に見えた。

亜里沙「もう一度聞くけど・・・お姉ちゃん、雪穂、あなた達もこの狂言に加わっていたのよね?」

雪穂「・・・。」

絵里「・・・えぇそうよ。亜里沙と真姫以外、全員関わっていたわ。」

亜里沙「・・・そう、ですか。」

亜里沙は浅くため息をつく。

真姫程ではないが、亜里沙も大きいショックを受けていた。

自分の尊敬している姉と、親友が、こんな事件に関わっているなんて・・・。

亜里沙はやってもいないのに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

犯罪者の身内とはこんな感じなのだろうか。

いや、事実その通りだ。

亜里沙「最低ですね。もう口も利きたくないです。」

穂乃果「・・・でも、しょうがなか・・・。」

亜里沙「恥を知りましょうよ!いくら自分の家の事情でも!よそ様に迷惑をかけるのだけは違うでしょ!!」

凛「・・・そうも言っていられない事もあるんだよ。」

亜里沙「っ・・・!」

凛の言葉に亜里沙はカっとなり手を振り上げる。

凛「っ・・・・!」

海未「フフフフフフフフ・・・クッフフフフフフフフ!!!」

今まで黙っていた海未が突然笑い始める。

亜里沙「・・・。」

海未「アッハハハハハハハハハハハハハ!!!見ましたか!?亜里沙。あなたが憧れていたμ’sの本性ですよ!

家の事情とはいえ、お金のためならメンバーすらも切り捨てる!フッハハハハハハハハハハハハハ!!!」

135: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:59:55.16 ID:tmg9xEjI0
穂乃果「っ・・・!あなたが言わないでよ!!っそうよ!海未ちゃん、これはどういう事なの!?
なんでにこちゃんと希ちゃんが本当に死んでいるの!?何があったの!?」

亜里沙「・・・やっぱりそうですか、殺したのは海未さんの独断だったんですね。」

穂乃果「当たり前でしょ!っ・・・どういう事なの!海未ちゃん!話が違うじゃん!」

亜里沙「海未さん、あなたはお金が理由でこの狂言に参加したのではないですよね?
海未さんの狙いは最初から私達を皆殺しにするつもりだった。違いますか?」

絵里「・・・!?私達の・・・」

凛「皆殺しって・・・。」

雪穂「どういう事なの・・・?」



メンバーは唖然とする。

今回の狂言を主導したはずの海未がメンバーを皆殺しにしようとしていたなんて・・・。

亜里沙「私は希さん達の遺体を見てこれが狂言だと思った時、それと同時に狂言とは違う目的で動いている者がいると思いました。
狂言で済ますつもりなら殺すなんてもっての他ですし、
私達の目の前に遺体を出したら遺体の状況から直前まで生きていた事がばれてしまい、
雪穂のついた嘘がばれてしまいます。」

亜里沙「希さんが生きていたと分かったならばもう真姫さんだけが容疑者ではありません。
それに、私が死体を見ていないのは事実なので、きっと疑ったでしょう。
もしかしたら、他にも死んだと言って嘘をついている人がいるんじゃないか?ってね。」

まぁ実際には違う事が原因で狂言である事が分かったのですが・・・と亜里沙は付け加え、

亜里沙「そうなれば穂乃果さん、おねえちゃん、凛さん、花陽さん、死んだふりをしているかもしれないことりさん、海未さん。
更に攫われたフリをしているかもしれないにこさん、つまり全員のアリバイが白紙に戻ります。
狂言をしている者たちにとっていい事はありません。」

海未「なるほど・・・、狂言を行っている人たちには遺体を置くメリットは無い。

だから狂言とは別に目的を持った人物が動いていると・・・。」

亜里沙「ええ。
問題は、その人物を誰か、という事。
死体の状況から、希さん達が最低でも昼を過ぎてから殺された事は分かりましたので、
その時間アリバイの無かった人物は、自分の部屋に籠っていたと証言している真姫さんと、
死体のフリをしていたことりさん、海未さん、花陽さんです。」

海未「・・・それで?」

亜里沙「まずは花陽さんについてですが、これはあなたが一番よく知っているでしょう・・・。」

136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:00:36.05 ID:tmg9xEjI0
絵里「そ、そういえば花陽はどうしたのよ!確か計画では万が一の事も考えて死んだ振りを・・・。」

亜里沙「花陽さんの遺体はこのリビングに運ばれましたが・・・。」

凛「そ、そうだったにゃ。
かよちん、もう起きるにゃ、終わったんだニャ!かーよちーん!!」

凛が殺された事になっている花陽の元に駆け込み、毛布を取る。

凛「かよち・・・っ!!かよちん!?かよちいいいいん!!!うわあああああああ!!!!!どうしてぇ!!!
いやあああああああああ!!」

凛の叫び声が木霊する。

花陽の首はナイフで刺された箇所が沢山あり、水風船から水が漏れ出る様に、止めどなく血があふれ出ていた。

目はぎゅるっと突き出すように上を向いていて、揺すると黒目が昔遊んだ人形の様に上下に動く。

・・・それだけで、花陽は死んでいるんだと、誰もが確認できた。

凛「かよち、かよちいいいんん!!!誰かぁ!!誰か救急車を!!誰かぁ!」

凛の叫び声が木霊する。

亜里沙はそれを流し目で見ていた。

亜里沙「真姫さんを閉じ込めてからリビングで解散した時に確かめた時にはもう・・・。

私達はにこさん達を探しにこの部屋を一度空にしました。

恐らくその時に殺されたのでしょう・・・。」

絵里「・・・そんな。」

雪穂「こんな事って・・・。」

海未「フフフ・・・。正解ですよ、亜里沙。」

亜里沙「ちなみにですが、私が穂乃果さんから聞いたのと殺し方が違うと言う点、
花陽さんが管理室に入室した時鍵をかけていた事を姉が知っていた事も
狂言の手がかりになります。
チェーンがかかっていて部屋から退室する事は難しいですがお姉ちゃんは入室をするのが難しいと言っていました。
どうして花陽さんが鍵をかけていたのを知っていたのか?それは狂言の計画でそうなっていたからでしょう。」

137: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:01:04.06 ID:tmg9xEjI0
>穂乃果「ひどい・・・!また首を切られている・・・!ひどい!!」

穂乃果「・・・ことりちゃん達と・・・同じだ・・・。首が縦にぱっくり・・・いやあああああ!」

>雪穂「・・・っ待ってください!!おかしくないですか!?

窓も閉まっていて、この部屋にはチェーンがかかっていたんですよ!?

犯人はどこから脱出したんですか!?」

絵里「そもそもどうやって部屋に入ったのかしら・・・。

この部屋は施錠されていたのに・・・。」

138: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:01:40.50 ID:tmg9xEjI0
亜里沙「真姫さんについては・・・、希さん達の死体を調べ、この事件が狂言だと分かった時点で疑いはほぼ晴れていました、」

真姫「・・・。」

真姫はやっとの思いで顔を上げる。

亜里沙「何故ならば、この殺人を行った犯人は、狂言をしたメンバーの中にいるからです。
失踪したにこさん達の居場所を知っていて、花陽さんが死んでいない事を知っていた人物。
花陽さんの死体の状況から、私達が部屋を出てから殺されただろうという事は分かっていましたので それからずっと一緒にいた真姫さんには不可能です。
ただ、真姫さんには管理室で花陽さんが狂言を行った時にアリバイがなかったのでその事について、真姫さんを部屋に閉じ込めた時にお聞きしましたけどね。」

真姫「・・・。」

亜里沙「真姫さんは自分がにこさんと家の事で脅されている事を言いませんでした。
しかし、今回の事件が全て狂言である事の可能性を説明し、これから犯人を誘い出すから協力してほしい。
そう話したら、全てお話しして下さいました。
もちろんまだ不確定な事は伏せて話しましたけどね。」

139: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:02:08.64 ID:tmg9xEjI0
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真姫を閉じ込めた時の話。

真姫「ここにいればいいんでしょ・・・?」

亜里沙「真姫さん、お話しがあります。」

真姫「えっ・・・?」

亜里沙「真姫さん、あなたは犯人なんですか?」

真姫「・・・もういいわよ。どうせ信じられないんでしょ・・・?」

亜里沙「もういちど、真姫さんの口から聞きたいんです。
私の目を見て言ってください。」

亜里沙は真姫をじっと見つめる。

真姫は亜里沙の真剣な顔を見る。

そこには緊張したような、真実を見極めようとする、そんな複雑な顔だった。

真姫「・・・私は誰も殺していないわ、本当よ。」

亜里沙「・・・真姫さん、私は希さんの死体を発見するまであなたが犯人だと思っていました。
でも、今はあなたは犯人では無いと思っています。」

真姫「・・・え?」

亜里沙「これから、私は犯人を捕まえるために囮となります。」

真姫「っ!?危険よそれは!!」

亜里沙「一応手は打っておくつもりです。
もちろん殺される可能性もあります!真姫さん、私はなんとしてもこの事件の真相を暴きたいんです! もしあなたが犯人でないのなら・・・何か知っている事があるならば、どうか教えてくださいませんか!?」

亜里沙は土下座をする。

真姫は頭を上げる様に言うが、亜里沙は頭を上げなかった。

真姫「・・・分かったわ、あなたは犯人じゃない
。なんでか知らないけど、そんな気がする。
私の知っている事を、全て話すわ。」
・・

・・・

・・・・

・・・・・

140: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:05:04.45 ID:tmg9xEjI0
真姫「・・・という事があったのよ・・・。亜里沙?」

亜里沙「・・・。」

亜里沙は理解する。

この事件の真実に。

それは、

亜里沙にとって信じられない、筆舌しがたい真実。

141: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:05:31.48 ID:tmg9xEjI0
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亜里沙「全てを聞いて、この事件の裏側が見えてきましたよ。

よくぞかつてのメンバーに、ここまでえげつない事が出来た物です。

これを思いついたのは海未さんですか?」

海未「・・・ええ、真姫の事情は知っていましたからね。

おかげで都合通りに動いてくれましたよ。」

亜里沙「っ・・・!最後にことりさんと海未さんですが・・・。
私はこの二人に絞れた時点で、十中八九、海未さんが犯人だと思っていました。」

絵里「・・・!!」

穂乃果「ど、どうして!?」

海未「ほぉ・・・。何故ですか?」

亜里沙「あなたが殺したにこさんと、希さん、花陽さんの死体ですよ。

希さんは首を右上から斜め下に、にこさんは腹を同じく、花陽さんは首を刺されていましたが、 この三つの死体には、共通点があったんです。
それは、よいしょ。」
亜里沙は身代わりとなった人形を持ち上げてみせる。

亜里沙「それは、左利きの人が刺した、と言う事です。
この人形も滅多刺しにされていますが、人形の中心から左に多く刺し傷がありますよね?
そして、海未さんは左利き、ことりさんは右利きです。
この事から犯人は海未さんだろうと思っていました。
・・・信じたくは無かったですけどね。」

海未「フフ・・・私が左利きな事はプロフィールにも書いていなかったのに・・・さすがμ`sのファンですね。」

※海未が左利き、ことりが右利きな事は漫画から参考にしました。もしかしたら間違えているかもしれません。


亜里沙「伊達にファンやってないんですよ、・・・もう辞めましたけどね。」

142: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:06:46.25 ID:tmg9xEjI0
亜里沙「後は海未さんを拘束する為にワザとスキを作って罠を張りました。
姉たちにはこう話しました。
『真姫さんが犯人だという証拠を見つけるために自分が囮となる。 自分がメールを送ったらすぐにリビングに来て襲っている真姫さんを拘束してほしい』とね。
メンバーの中にも共犯者がいて、海未さんを捕まえると知ったら邪魔をするかもしれないと思ったんで、 真姫さんと言い、海未さんだと分からない様に部屋を真っ暗にしておきました。」

海未「なるほど・・・まんまと引っかかった訳ですか・・・。」

亜里沙「後はこの通りです。
自分のダミーを用意して、私は隠れていました。

そしたらまんまと海未さんが来てくれたので、則メールをして取り押さえてもらった訳です。」

・・・こうして聞くと淡々と犯人を捕まえた様に聞こえる。

しかし、ここまで来るのに葛藤はあったのだ。

まず真姫に今回の事件が狂言だといい、自分に協力してほしいと言った所。

少ない可能性だが、真姫が本当に殺人を起こしている可能性もあった。

もし真姫が犯人だったらいい様に誘導されていたのかもしれない。

もう一つは今生き残っているメンバーと海未が犯人である可能性もあった。

雪穂、穂乃果、凛、絵里はまだ死んでいない訳だから、海未と手を組んでいたのかもわからない、

もし手を組んでいたら亜里沙は生きていなかっただろう。

143: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:07:21.96 ID:tmg9xEjI0
亜里沙「海未さん、ことりさんは・・・もう生きていないのですか?」

穂乃果「っ・・・!そうだよことりちゃんは・・・。」

海未「えぇ・・・ことりは、一番最初に殺しました。

今はインゴットのおいてある部屋の『奥の』部屋に置いてありますよ。」

穂乃果「あぅ・・・ああああああああああああああああ!!!そんな・・・・。あぁ・・・。」


穂乃果はその場で蹲り、泣き叫ぶ。

自分の無二の親友の一人が殺人を犯し、もう一人はその一人によって殺されたのだ。

真姫にした事を思い出すと、とてもではないが同情なんて甚だ出来はしない。

だが、・・・。

亜里沙「最後に・・・改めてお聞きします。
にこさん、希さん、花陽さん、ことりさんを殺したのは・・・あなたですよね?」

海未は付き物の落ちた様な、やり遂げたような顔で、

海未「・・・はい、私が犯人です。」

そう、答えた。

パキン!!!

144: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:07:59.03 ID:tmg9xEjI0
その瞬間、亜里沙の目の前の空間にヒビが入る。

空間だけではない。

さっきまでそこにいた、穂乃果も、海未も、凛も、屋敷さえ割れる。

まるでガラスが割れる様に、割れて、割れて、割れて、そして最後には自分すら割れた。

亜里沙はそんな割れた自分を茫然と見ながら、目の前にある黒い渦に吸い込まれていく。

その先に、また、大きな渦があった。

今度は亜里沙を吸い込まず、その代わりに映像が映る。

それは、亜里沙たちが映っていて、石碑の前に集まって会話をしている。

亜里沙「これ・・・真姫さんの別荘だ!・・・て事は・・・。」

亜里沙にとっては数時間前の事・・・。

これは○月×日の映像だった。

亜里沙「あれ・・・でも。」

映像ではちょうど一通り議論が出尽くした様だ。

確かこの後は亜里沙と穂乃果が残り、碑文を解いていくのだが・・・。

亜里沙「石碑の前で残っているのは・・・真姫さんだけだ。」

映像の亜里沙は欠伸をしながら自分の部屋に帰っていく。

真姫は何かを呟きながら書庫室に向かった。

このパターン・・・これは・・・。

亜里沙「・・・そうだ!この映像は、私が殺された一周目の世界なんだ!」

映像には真姫が映っていて、熱心に碑文を解いている。

亜里沙「てことは・・・あの日の事が・・・分かるかもしれない。」

亜里沙はその映像を食い入る様に見る。

まもなく、真姫が碑文を解いてインゴットの置いてある部屋に行く所だった。

145: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:09:08.02 ID:tmg9xEjI0
23:00 一周目の世界 隠し部屋

真姫「はっはははははははははっ!!お金よりもこの世には素晴らしい物がある!!

お金で買えない物なんていくらでもある!!そう思ってたわ!!

でも、そんなものは嘘だってはっきりわかったわ!!!そんなのはねぇ、持ってないやつの愚かな自分への言い訳だったのよ!」

真姫「この黄金を溶かす事で、この世のありとあらゆる幸せを得る事が、生み出す事ができる!!

やったぁ!!やったぁ!!!うううううう!!!」

ギイイイイイイイイイイン

真姫「誰!?」

真姫はとっさに振り向く。
ドアを開ける音がしたのだ。するとそこには・・・

真姫「希!?あなた何で・・・。」

希「・・・いやっほー、真姫ちゃん。」

希が笑みを浮かべながら、立っていた。

真姫「・・・!?」

とっさの事に頭が回らない真姫。

希はそんな真姫を無視してつかつかと黄金の元に歩いていく。

希「はぇ~すごいインゴットの山やね。

碑文に書いてある事は本当だったんやなぁ・・・。」

真姫「あなた・・・碑文を解いて・・・?」

希「いや?ウチは寝付けなくてこのデカイ館を散歩していただけよ?

そしたらライオンの像の手がいろんな方向を向いているから気になってついて行っただけやで。」

153: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:04:58.00 ID:Z4dhcZc20
真姫「・・・。」

希「そしたら、書庫室の奥にあからさまに隠されていた様な扉があるやん?

ウチは誰かが碑文を解いたと思ってなぁ・・・下に降りてみたって訳や。」

真姫「・・・そう。」

希「そんな怖い顔しなくてもええやん?うちは何も盗ったりはせえへんで?
ただほんのちょっと、お小遣いが欲しいと思ってなぁ・・・?」

真姫「は・・・?」

真姫は希の言葉に燻がる。

希「いやな?身内の恥だから言いたくは無いんやが、ウチの家庭は今金銭的なトラブルに巻き込まれていてな? お金が一銭でも欲しいねん。
やから、ほんのすこーし、この黄金を見つけた、そう!ご祝儀がほしいんや!
ゴルフでホールインワンしたら打った側がお金を渡すやろ?そんな感じや。」

真姫「そんな感じって・・・いくらなのよ?その借金。」

真姫は100万か、そこらなら渡しても良いと思っていた。

しかし・・・。

希「XXXXX万円。」

真姫「・・・冗談でしょ?」

希「冗談じゃないから困っているんやで、なーにお金持ちの真姫ちゃんの事や。
そんぐらいすぐやろ?」

真姫は幹部から家の事情を聞いているので経済状況は知っている。

全財産はどんなにかき集めても5000万円が限度だ。

真姫「・・・悪いけれど、すぐにはそんなお金は出せないわ。
黄金を換金したら、少なからずメンバーにはお金を渡してあげるから、それで我慢してよ。」

154: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:05:49.32 ID:Z4dhcZc20
希「アカン!!!それじゃあかんのや!!」

希は切羽詰まったような顔で希の肩に手を乗っける。

真姫「ちょ、希・・・い、痛い!!」

希「そんな換金なんて待っていられへんのや!!!最低でも後ひと月以内になんとかせんと!! う、うちは・・・うちは・・・。」

それはまさに悪鬼迫った表情だった。

普段冷静で温厚な希が見せる表情ではない。

真姫は希のこんな焦った表情を初めて見た。

真姫「の、希、落ち着いてよ!うちにはそんな大金無いわよ! この黄金を換金しないと・・・。」

希「も、もううちはあんな事はしたくないの!!嘘や!!!絶対持っているはずや!!」

希は真姫を押し倒す。

いつの間にか、肩に掛けられていた手は首にかかっていた。

真姫「の、希・・・苦しい・・・!」

希「なぁ・・・なぁ?なんでお金くれへんの!?別にいいやん。
これからぎょうさんお金手に入るんやさかい。
ええやろ?そんくらい払えるやろ?どうして嘘をつくんや?答えてみぃ!!!」

ギュウウウウ

希の手が首を閉める。

真姫「い、いや・・・。いやぁぁぁぁぁ!!!!!」

ドンッ!!!

真姫は最後の力を振り絞って希を押し出す。

希「えっ!?きゃっ!」

希がよろけてしまったのが原因なのか、それとも真姫の押した力が強かったのか、

希は勢い余ってインゴットの山の角に頭をぶつけてしまう。

155: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:06:28.63 ID:Z4dhcZc20
希「あっ・・・あああああああ!!!!!痛い!!!痛いよぉぉぉお!!!!!」

希の頭からは微量だが血が流れていた。

真姫「え・・・その・・・ごめ・・・。」

希「真、真姫ちゃん、私を殺そうとしたの・・・?」

真姫「ち、違うわよ!!希が首を絞めてきたから・・・。」

希「私を殺そうと・・・い、いやああああああああああ!!!!」

希は錯乱していた。頭を打たれた事の混乱もあるかもしれない。

今の希は正気ではないと真姫は判断した。

真姫「希!!冷静に、クールになって!怪我も軽傷よ!消毒をして、包帯を巻いていれば
すぐ直るわ!縫う必要もない!だから冷静になって!」

希「う、うわあああああああああ!!」

希はインゴットの山から一つをプルプルと震えながら持つ。

重たいのか、両手で持っても上げる事は出来ないらしい。

真姫「希!!!な、何を!!」

希「あああああ!!!!」

希はそれをなんとか上に挙げて真姫に突っ込み、振り下ろしてきた。

真姫「きゃ、きゃああああ!!!」

真姫はなんとかそれを避ける。

希が振り下ろした先にあったPCは、今の衝撃で粉々になった。

・・・完全に運だった。

次は除けられない。

真姫「希!!!落ち着きなさいよぉ!!!」

真姫はそこから後ずさる。

希はもうインゴットを持って体制を立て直していた。

希「死ねぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!!」

真姫は後ろに無意識に下がるがインゴットの山に腰が当たってしまう。



156: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:07:39.05 ID:Z4dhcZc20
真姫「・・・いやああああ!!」

希「っ・・・あ!!」

女子の手でインゴットを持ち上げるのキツイのだろう。

希「あっ!」

希の振り上げたインゴットは狙いが外れてインゴットの山に当たる。

希「あっ・・・!」

希は衝撃でインゴットを落としてしまう。

真姫はそれを奪おうとしたが予想以上に重くてよろけてしまった。

希「あああああああ!!!」

希もそのインゴットを奪おうとする。

二人はそのインゴットを奪おうとへし合いになった。

希「・・・くっ・・・!」

真姫「希・・・!あっっ!」

力負けをしたのは真姫だった。

インゴットは真姫の手を離れ、希の手に渡す。

しかし、引っ張る力が強すぎたのか、インゴットが重かったのもあるのだろう。

引っ張る力とインゴットの重力で、インゴットを持った手は希の意志とは離れて180度回転してしまう。

まるで、観覧車の様に、そしてスタートからゴールまで移動し終わった時、

希の手はインゴットと地面の板挟みになった。

希「ああああああああ!!!!!!痛い痛い!!!!!あああああ!!!!」

157: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:08:15.46 ID:Z4dhcZc20
・・・真姫は必至だった。

家を守らなければいけないという思い。

その為にはこのインゴットを守らなければという思い。

それらを掛け合わせた時、生まれた思いは・・・。

今こうして、二人っきりでいる間に・・・

なんとか・・・

ナントカシナケレバ・・・・

・・・後は、全てがおかしな光景。

真姫の視覚はぐにゃりと歪み、真姫の視界は水面越しに覗く様な気分になっていた。

そしてそれは触覚、聴覚などの五感もそうだった。

水面越しから見えるその世界からは、自分の手がインゴットを掴んで

希の頭に思いっきり、振り下ろしている所だった。

真姫は子供のころに、せっかく組み立てた積み木のお城を壊してしまった事を思い出した。

ブンッ!!

グシャ!!!

・・・あの頃は幸せだったなぁ・・・ママもパパもいっぱい遊んでくれたっけ。

あの頃はママみたいなお医者さんになりたいとか思っていたっけ。

それがどうしてこんな事になってしまったんだろう・・・。

ブンッ!!

グシャ!!!

私はお医者さんになって人の命を救う事が夢だったはず・・・。

でも今私がしているのは・・・。

ブンッ!!

グシャアッ!!

水面から帰ってきた時には、

両の手で数えきれないほど希をインゴットで殴っていた。

158: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:08:53.31 ID:Z4dhcZc20
希の頭は血まみれで、目はぎろりと上を向き、口からは血と涎とも泡ともつかない物を

たらし始めている。

真姫「はぁ・・・はぁ・・・。」

真姫は最後にインゴットを振り上げる。

そして、角を、よーく、よーく狙いを定めて・・・

振り下げた。

グシャアッ!!!

そして、至った。

真姫「・・・はぁ・・・はぁ・・・。」

希の体はピクリとも動かない。

真姫は人を殺した経験はもちろん無い。

しかし、この一撃で確実に殺した、そんな予感がした。

真姫「・・・、そうだ、脈を・・・。」

真姫は脈を計り、目を見る。

・・・脈は無く、目は焦点が合っていなかった。

真姫「はぁ・・・終わった。
っ・・おぷ!!!」

・・・殺人を犯した実感が沸いてくる。

真姫は罪悪感と、初めて見る人の死体に、恐怖を感じた。

何よりその死体はメンバーの希で、誰が殺したのかを改めて理解して、真姫は嘔吐を我慢できなかった。

真姫「お、おえええええええええええええ!!!!」

正当防衛だったのだ。

そう真姫は自己弁護をする。

やらなければやられていた。

自分は家を、家族を守らなければいけない。

そうだ、これは当然の事。

・・・しかし、例え正当防衛だと認められようと、真姫が親友の一人を殴り殺してしまった事に代わりは無い・・・。

159: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:09:24.99 ID:Z4dhcZc20
希はそこに、死んでいた。

真姫はしばらくそこでうずくまって嘔吐していたが、

真姫「・・・。よし。」

真姫は覚悟を決める。

もう殺してしまったのだ。後悔しても始まらない。

なら後悔をする必要はない。

希が死んで真姫が生きているならば、これからも生きてやる。

その為にも希の死体を隠さなければいけない。

真姫「・・・どうしよう。」

希がいなくなった事はいずれ騒ぎになる。

希の死体はこの部屋に隠しておけば、メンバーには碑文さえ解かれなけば分かりはしないだろう。

しかし、警察はどうだろうか。

・・・どこかで聞いた事がある。

警察は失踪事件となれば何百人もが捜査するとかなんとか・・・。

この島は狭い。

何かの拍子で見つかってしまうかも・・・?

真姫「海に流してしまえば、事故として処理できる・・・か?」

しかし、今例えば沖にポイと投げても波に流されて島についてしまうだろう。

やるならば迎えの船が来てから、海のど真ん中から捨てなくては・・・。

160: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:10:28.21 ID:Z4dhcZc20
とりあえず、それまでする事は特にない・・・。

それより今は、この部屋に繋がる仕掛けを解かなくては・・・。

真姫は地上に上がり、仕掛けを解こうと地上に続く階段に・・・、

ゴトッ

真姫「・・・!?誰!?」

何か音がしたので真姫はすぐにその音の方向に向かう。

音は地上に続く階段から洩れた。

真姫「・・・、誰もいないわね。」

真姫は暫くその場で立ち尽くす。

・・・しかし音は聞こえてこなかった。

真姫は気のせいだと思うことにして、地上に出る。

そして、碑文のローマ字、LORDNの順にボタンを押すと、

ゴゴゴ・・・石像の首が元に戻った。

これで部屋も見つからないだろう。

真姫は書庫室に隠し部屋が出ていないか確認した後、

静かに部屋に戻るのだった。

そんな静けさの戻ったホールに、正確には石碑に後ろに隠れている一人の少女がいた。

海未「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」

海未は真姫がホールから出て行ったを見て、石碑の後ろからやっと息を上げた。

海未も部屋に戻ってから眠れなくて碑文に挑戦し、自分で解いたのだ。

そして石碑のあるホールに行くと、石像の首が動いているのを発見し、後を着いていくと

インゴットの部屋に着いた、という訳だ。

海未は一部始終を全て見ていた。


当然希が襲われている所も、最終的には殺された所も、全てだ。

161: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:11:02.78 ID:Z4dhcZc20
何故助けに行かなかったのか、それは海未だけが知る事・・・。

海未「・・・オエ・・・!」

海未は希の死体を思い出して、嘔吐する。

だが同時に笑ってもいた。

人は嘔吐しながら笑うことも出来るんだと海未は知る。

海未「これは使えるかもしれません。」

海未はニヤリと笑いながら再び碑文の仕掛けを発動させる。

そして、隠し部屋に行くと、インゴットの山・・・では無く注目すべきはその真後ろにある、 大きな時計の下にあるテーブルだ。

このテーブルはインゴットの山を真正面から見たら、ちょうど死角になる位置に置いてある。

真姫はインゴットを見てすぐにインゴットに近づいた事、すぐに希に襲われた事もあって、

このテーブルの存在に気付かなかったのだ。

無理も無いだろう。

誰だって、自分の身長より大きいインゴットを見たら、一瞬で虜になる・・・。

しかし、海未は入口から隠れてじっと見ていたのでこの部屋の全体を見ることができた。

海未はそのテーブルの上にある封筒を手に取り、封を切って中を見る。

中には通帳と、印鑑、そして手紙があった。

書かれたのが随分昔なのか、少し黄ばんでいて、達筆だったが頭の良い海未なら造作も無く簡単に読む事ができた。

海未「学校の勉強も、捨てた物じゃないですね。」

手紙の半分は遺産を見つけた事についての取り決めと家族に対しての内容。

遺産はこの島にいる者に平等に配る事を書いてある。

そして、下半分は・・・。

海未「これは・・・本当の事なんですか・・・!?」

162: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:11:42.27 ID:Z4dhcZc20
海未は上のデカイ時計を見る。

そして、その手紙をビリビリに破く。

この手紙は自分だけが知っていた方が良い。

そして、海未の中で組みあがる、殺人計画。

それを思いついた時、殺人鬼は生まれたのだった。

163: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:12:08.33 ID:Z4dhcZc20
3:30 にこの部屋

コンコン、

コンコン!

海未はにこの部屋をノックする。

数回ノックすると、にこはパックをして、出てきた。

にこ「なによぉ・・・こんな夜中に・・・、あら海未、珍しいわね。」

海未「にこ・・・。大事な話があります。
中に入れてもらえませんか?」

にこは最初、凛や穂乃果だったら眠いので突き返そうと思っていた。

しかし、来たのは海未。

それに何やら真剣な顔をしていた。

にこ「・・・まぁ入りなさいよ。」

海未「ありがとうございます。」

にこはベッドに腰掛ける様に合図する。

海未はベッドに座り、にこはイスに座った。

にこ「・・・んで?何よ?つまらない話なら明日に・・・。」

海未「今、碑文を解いて黄金を発見しました。

にこ「・・・は?」

にこは最初海未に言っている意味が分からなかった。

しかし、それを理解した時、

にこ「・・・マジなの?」

海未「はい、大マジです。」

にこ「そっかぁ・・いいなぁ・・・あんたと言い、真姫といい、お金ってある人にはとことんあるけど、

無い人には本当に無いんだねぇ・・・、そっかぁ・・・。」

海未「真姫、私はあなたの事情を知っています。
あなたは家族の事情に腐らずにあんな事をしてまで家族を支えてきました。
そんなあなたを、私は助けられるなら助けたいと思っています。
これは同情ではありません。
あなたの仲間として言ったことです。」
にこ「海未・・・、本当に・・・いいの?」

164: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:12:52.03 ID:Z4dhcZc20
海未「はい、にこ、あなたは頑張り屋です。
あんな事があったにも関わらず、妹たちのために働いて、働いて。
私はそんなあなたに何か良いことがあってもいいと思うんです。
私がそれを、してあげたい。」

にこ「・・・海未、私はこの事をあなたにだけしか相談していない。
ううん。出来なかった。
これを知ったら、メンバーやファンは、アイドルとして私を汚いと言うだろうと思ったから・・・。」

海未はにこを抱きしめる。

海未「汚いだなんて、少なくとも私は思いませんよ。
にこはキレイです。
キレイな心の持ち主です。
じゃなければ、あんな事はできませんよ・・・。」

にこ「海未・・・、じゃあ私はもらっても・・・・。いいのね!?」

海未「はい・・・と言いたい所なんですが・・・、事情がありまして・・・、

聞いてくれますか・・・?にこ?」

にこ「・・・何でも言って?」

海未「実はですね・・・。」

海未はにこに事の顛末を話した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^

にこ「ちょっと・・・!それ本当なの!?」

海未「えぇ、間違いありません。
これを見てください。」

海未は携帯を真姫に見せる。

にこ「こ、これは・・・。」

そこには、真姫が希を殺している瞬間が写し出されていた。

にこ「ひどい・・・、ひどすぎる・・・。」

にこ「でも、海未が言った事が本当なら、遺産は真姫の物になるはずじゃ・・・?」

165: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:13:29.92 ID:Z4dhcZc20
海未はにこに、手紙の内容は言わなかった。

遺産はこの島にいる者に分配する事。

これを教えたら、にこはこれから言うことに協力しないだろう。

にこの協力は海未の計画にはどうしても必要だった。

166: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:13:59.24 ID:Z4dhcZc20
海未「にこ・・・、この島の皆を・・・皆殺しにしませんか?」

にこ視点

海未「にこ・・・この島の皆を・・・皆殺しにしませんか?」

海未は私に向かってとんでもない事を言い出した。

え?何?ミナゴロシ?ミナゴロシってあの・・・?

私の頭で必死に他の言葉に変換してみる。

どうやっても『皆殺し』としか変換できなかった。

にこ「あ、あはは・・・な、何を言っているのよ?海未。

何で私がそんな犯罪なんて・・・。」

海未「これを見てください。
隠し部屋のテーブルに置いてありました。」

海未は私に通帳を見せる。

中を見ると・・・ひい、ふう、み、・・・

にこ「これ・・・5千万も入っているじゃない!!」

海未「はい、印鑑も入っていました。
これで、私達は5千万を得た訳です。」

にこ「で、でもこれ真姫の・・・祖父の・・・。」

海未「これは碑文を解読した者に対する正当報酬ですよ。
つまり、私ももらう資格があります。」

にこ「だ、だったら正々堂々ともらえば・・・。」

海未「えぇ、真姫が希を殺してなければ主張していましたね。」

にこ「え・・・?」

海未「良いですか?希が行方不明になる事はいずれ分かります。
無人島で11人の中の1人が失踪するなんて大事件です。
明日一日私達で探して、いなければ警察に通報しなくてはいけません。
それは私には止められない。
今は台風で警察も明日の昼までは来れないでしょう。
しかし、台風が止めば朝一で警察はやってくる。
その時、どうなるか分かりますか?」

海未は私に鬼気迫りながら話してくる。

167: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:14:33.62 ID:Z4dhcZc20
しかし、分かりやすく話してくれたおかげで何となく事に深刻さは理解できた。

にこ「ど、どうなるって言うのよ・・・?」

海未「私達、逮捕されてしまうかもしれませんよ?」

にこ「た、逮捕!?なんでにこ達が!?」

海未「今希の死体は隠し部屋にあります。
しかし警察ならばその程度、簡単に見つけるでしょう。
日本の警察は優秀ですからね、その後、当然私達に容疑は降りかかるでしょう。
だって、警察からしたら、状況がまるで分からないのですから。
真姫が直接殺した事は判明すると思います。
しかし、私達が間接的に関わったかどうかは分かりません。
もしかしたら、何かの間違いで逮捕されるかもしれませんよ。
そして、何より今回は状況が少し特殊です。
にこは沖縄に隠されたお宝の都市伝説の話を知っていますか?」

にこ「・・・?いや、知らないわね。」

海未「簡単に言うと、沖縄に隠されたインゴットを県が狙っていると言う話です。
私も都市伝説と思っていましたが、これを見たら本当の事としか思えません。
警察が来れば、当然インゴットの事はばれてしまい、この通帳の事もばれるでしょう。
その時に県があらゆる手を使ってインゴットと、この通帳を奪いにくるかもしれないんですよ!」

にこ「そ、そんな事・・・。」

海未「私達個人では、県というでかい組織には勝てません。
それに、犯罪者の財産なんです。
警察ならばどうとでも出来るんじゃないですか?
そうなれば、この通帳も、名義は真姫の祖父ですから当然没収されるでしょうね。」

にこ「そんなの、絶対にいやよ!!!これは私達の物よ!!」
せっかくあんな事を、もうしなくて済むと思ったのに・・・絶対にいやよ!!

海未「そうですよね?私も、にこには幸せになってほしいと思っています。
でも警察がきたらそれも叶わない。」

にこ「ど、どうにかならないの!!?それは!」

自分でも焦る感情が抑えきれない。

海未が何故かニヤリと笑った気がした。

168: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:15:01.97 ID:Z4dhcZc20
海未「そこで、さっき言った提案です、皆を、皆殺しにすれば、良いんですよ。」

にこ「はぁ・・・!?そんな事をすれば、ますます警察が来るじゃない!
それに皆殺しって事は私達以外の全員でしょ!?そんなの犯人って自白している様なものじゃ・・・。」

海未「それが、あるんです、皆殺しにすれば、私達が逮捕されない方法が。

この島の秘密を、お話しします。」

それから海未はその方法を語ってくれた。

それは、単純明快な方法。

私は必至にその案の欠点を探そうとした。

しかし、見つからない!!!

単純な故に・・・見つからない!!

海未「・・・というのが私の計画です、殺人は、私が行います。

しかし、ことり達も馬鹿ではありません。
私一人では無理でしょう、なので、にこには、その手伝いをしてほしいのです。」

にこ「・・・わ、私、人殺しなんて・・・そんな・・・。」

絶対無理よ無理よ!!!でもそれをやらないと・・・通帳は手に入らない。

手に入らないなら・・・あれをしなくちゃいけない!! それだけは絶対に・・・嫌だ!

私の体が震えるのを感じる。

海未はそれを見たのか・・・。

にこ「・・・あっ」

海未が、身体を抱きしめてくれた。

海未「にこ、ここで頑張らなければ、お金は手に入らないんです。

怖いのも分かります。大丈夫です。全て私がやりますから。

あなたは、ちょっと、細工をしてくれればいいんです。」

にこ「さ、細工・・・?」

海未「そうです、後は私がやります。
大丈夫、必ず上手くいきます。
二人で幸せに、なりましょう。にこ。」

海未は頭を撫でながら、耳元で言う。

そうだ。ここでさえ頑張れば・・・!!

もう、妹や母さんに苦労をさせないで食べさせてあげられる!

169: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:16:01.64 ID:Z4dhcZc20
これは、やるしか・・・ないんだ!!

にこ「分かった、やるよ。」

そう決めた時、自分の中で驚く程冷静になる。

にこ「何をやれば良い?教えて。海未」

海未の顔は見えない、でも海未は、笑った気がした。

海未「取りあえず、貸してほしい物があるんですが・・・。」

170: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:16:29.54 ID:Z4dhcZc20
▽月▽日 ~音野木坂スクールアイドル連続殺人事件から2か月前の話~

男A「ふぅ~気持ちよかったぜぇ~。世の中生きてりゃいいことあるってのは本当だなオイ!」

男B「そうっすねぇ先輩!まさか現役JKと れるなんて思わなかったっすよ!

しかもラブライブ優勝チームの一人と!」

男A「いくら優勝しても所詮はスクールアイドル。
本当のアイドルでもないから金も出ない。
精々ペラ紙一枚がもらえるだけだ。」

男B「また りたいっすわぁ!次もお願いしますよ!」

男A「大丈夫また れるさ。何せ、こいつの家庭じゃ借金は他から借りでもしないと返せないしな。

借金を返せるような裕福な親族もいない。精々利子を返すので精一杯さ。」

男B「本当なら借金の返済期日はとっくに過ぎている。にも関わらず、

こうして待ってやっている俺たちはなんて優しいんだろうな!」

男A「ま、待ってやっている代わりにちょいと『副業』させてはいるけどな!」
         
「「ぎゃはははははははははははは!」」

男達の下衆な笑い声がこだまする。それは、人の皮を脱いで代わりに欲望の皮を纏った獣のようだった。

??「・・・。」
男B「じゃ、そういう訳で、来週もお伺いに行きますわ。ちゃんとミミを揃えて返してくださいよ?借金っ!」

男A「ま、どーしても?どーしても返せないのであればぁ・・・?

今回のような『副業』でもいいですよ?クククッ!」

??「・・・。早く消えて。」

男B「おーこわぁ。
じゃ、これにて失礼しますわ、また来週。」

男A「失礼しますね。あ、この事をしゃべったら・・・わかりますよね?」

男A「矢沢にこさん。」
キイイイイイイイイイイイイイイイドン!

男B「そういえば、明日の借金の取り立て先の娘さんもスクールアイドルでしたよね?

男A「そういえばそうだな、確か名前は東條・・・」

男達がある一室から出ると、そこには少女が一人残された。

その少女は一言でいえば・・おかしかった。

少女は上履きを履いていた。ここは学校ではない。

少女はランドセルを背負っていた。

その少女はランドセルを背負う年齢ではない。繰り返すがここは学校ではない。

しかしその少女はそれ以外は何もつけていなかった。

いや、着ていなかったと言った方が正しいだろう。

171: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:17:39.19 ID:Z4dhcZc20
学校でもないのにランドセルや上履きを履いているのは異常だったし、それ以外は何も

着ていないのも異常だった。そして男二人と一室でその姿でいたことも異常だったし、

ここがどこで、どのようないかがわしい事が行われていたのかを想像できたとしても、

それは全てが異常という言葉で示されるしかなかった。

にこ「・・・やっと行ったわね。あいつら、人をおもちゃか何かかと思っているのかしら。

仮にもスクールアイドルのにこちゃんと れるってのに・・・感謝しなさいよ。」

にこ「まったく・・・もう・・・っっっっ!うわあああああああああああああああああ!!!」

にこは男の足音が消えるのを知ると、そのまま情事後のベッドにへたり込み、

シーツを握りしめながら泣くのだった。

172: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:18:22.13 ID:Z4dhcZc20
・・・よくある話だ。

にこの父は誰が見てもパチンコとアルコール中毒だった。

毎晩深夜にお金をスッカラカンにして酒臭い息を吐きながら家に帰ってくる。

母が朝から夜まで働いたナケナシのお金も父はパチンコと酒に使ってしまう。

父は娘たちに暴力を振るうこともあった。にこ達は耐えた。

ずっと耐えながら生きてきた。

そんなある日、前触れも何もなく父が死んだ。

どうやら飲酒運転の末の事故だったらしい。

アル中の父には相応しい死に方だ。

にこはそんな父が死んで喜んだ。

この奇跡に感謝した。

・・・だが拾う神があれば捨てる神もあるというものだ。

父が死に、葬儀を適当に済ませ、これから母と妹達と一緒に家族で助け合っていこうとした矢先。

・・・借金取りが現れた。

父は酒とパチンコで借金をしていたのだ。

父は借金を返すために借金をし・・・そんな自転車操業で借金はブクブクと、まさに肥えてしまっていた。

その額は軽く書類を見たにこでもにこ母が朝から晩まで働いてやっと利息の半分が返せる事が解る額だった。

書類にはトイチとかよく分からない単語があったが詳しい事はにこにはわからない。

にこ母「お願いします!!!後少しだけ!!お願いします!!」

それから地獄は始まった。

毎晩遅い時間に電話がかかってきたり、頼んでもいない出前がかかってきたり、

ドアの向こうから怒号が聞こえてきたり。

それはにこ達の精神を少しずつ蝕んでいった。

まず最初に、にこ母が倒れてしまった。

173: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:18:50.29 ID:Z4dhcZc20
疲労とストレスによる胃潰瘍。

命に別状はないが医療費でまた借金は増えてしまった。

男A「どうしようかねぇ・・・。あ、ねぇにこちゃん。にこちゃんってスクールアイドルなんだよね?」

男B「お母様はしばらくお金を返す事が出来ない。でも借金は増えていく。じゃあ、どうしようねぇ?」

にこ「何が・・・言いたいの?」

男A「社会人って言うのはね?毎日毎日会社で暴言を吐かれてストレスを貯めながら仕事をしている訳ですよ。

それでね、そのストレスを癒すには、甘くて刺激的な『癒し』が必要なんだ。」

男たちの顔つきが変わる。それは獣と表現しても良いものだった。

にこ「私に・・・体を売れって言いたいの?」

男A「いやいやとんでもない!それじゃ売春で犯罪じゃないか!俺たちは犯罪はしないよ。」

闇金な時点で犯罪じゃないか!とにこは思った。

男A「ただ、ただね?俺たちは機械じゃない。

このまま君の家族が借金を返してくれないと俺たちは上に叱られてストレスが溜まり続ける。
そうなると、俺たちもストレスで何をしでかすか、わからなくなっちゃうなぁ!」

男B「確か・・・君はスクールアイドルをやっていたよね・・・?どうしようかなぁ。」

男はにこの体を見ながら

男A「  ちまうかもなぁ?」

にこ「やめて!!!メンバーは関係ないでしょ!」

男B「その通りさ。でもねぇ・・・?君の家族はお金がないでしょ?
だから俺たちはストレスを溜めちゃうなぁ・・・困ったなあ!」

男A「『癒し』さえあればねぇ・・・。

まぁ・・・君がしてくれないのであれば、『他』で発散するしかないよねぇ・・・?」

にこ「・・・っ!」

にこが相手をしてくれなければ、こいつらは他のメンバーを襲うと言っているのだ。

男B「そもそも俺たちがストレスが溜まる原因は君の家庭が借金はおろか、利子も返してくれないからなんだよ?」

男A「君はただ俺たちと一室に入って寝転がっていればいいんだ。
それだけで『癒し』になるんだよ。」

にこの頭の中は恐怖とメンバーの事でいっぱいだった。

こいつらが寝転がっているにこに何をするかは明白だ。
だがしかし・・・。

メンバーに危害を加えさせる訳にも・・・。

174: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:19:28.83 ID:Z4dhcZc20
にこ「・・・とに・・・。」

男B「ん?聞こえないなぁ?」

にこ「本当に私が・・・『癒し』になればメンバーには何も起きないのね?」

男A「あぁ・・・。そうだねぇ。『癒し』があれば俺たちも生きていけるな。」

にこ「・・・わかったわ。それでいい。」

男B「契約成立・・・だな。
じゃあ、さっそく今週中の『癒し』をもらおうかな。」

ごめんね皆、何で謝っているのかは知らないけれど、何となく謝りたくなったんだ。

特になんでか真姫ちゃんの顔が浮かんできちゃった。なんでだろ。

はぁ・・・なんか憧れていた初めてと違うんだなぁ。

でも皆を守れると思えば・・・そもそも私の家族が原因なんだから責任を取るなら私がしないとね。

母さんが入院している今、私が家族を支えないといけないし・・・。

にっこにっこにー!大丈夫!私は大丈夫!こんなの全然怖くない!

にこ「・・・グスッ・・・グスッ・・・う、うう。

・・・・・・・・・・・・いたい!いっ痛いっ!」

にこ「・・・・・・・・・・痛い痛い痛い痛いっ!!!やめてやめてやめえぇぇぇぇえええええ!!!」

男A「お、●●かぁ!こいつはラッキーだぜぇ!」

男B「先輩羨ましいっすわぁ、俺にも後でさせてくださいね!」
ギ ギ ッ

    ギ ギ ギ

        ・・・・・。

体中が痛い。

なんでこんな事をしているんだろう。

焼けた棒を体に突っ込まれたらこうなるのかな。

後どれくらいで終わるんだろう。

後どれくらい我慢していればいいんだろう。

心が壊れそうだよ。

真姫ちゃん。

・・・・・・・・・

175: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:20:01.19 ID:Z4dhcZc20
男A「ふーっきもちよかったぁ!やっぱ初物JKは最高っすわぁ!」

男B「そうっすねぇ!!写真もばっちり撮りましたよ!

あ、学生書も撮っておかないとっと・・・。財布借りるねぇ~。」

え・・・?写真・・・?何それ聞いてない・・・。

男A「・・・写真?っああ。これはね。万が一ばれた時の予防線だよ。

なーに大丈夫大丈夫。君がこの事を誰にも言わなければこれは誰にも見せないよ。」

男B「でもこの事を誰かに言ったら・・・わかるよねぇ・・・?

君はおろか、君の所属していたメンバーにまで迷惑がかかるよ?」

にこ「あっ・・・あっ・・・。」

男A「ほら、ちょっと前にあった三○市の事件の女の子の   り画像も流出して、
ばらまかれたのを知ってるかい? 今はネットにばらまかれたら簡単に流出しちゃうしなぁ・・・。
君のその『かわいい』画像が流出されたらどうなるだろうね?
すぐに何処の誰か判っちゃうだろうなぁ。
ラブライブ優勝チームならなおさらだ。
そして君のメンバーは驚くだろうねぇ・・・。
それだけなら・・・いいんだけどね?」

にこ「い、いや・・・。お願い。誰にも言わないから!お願い!」

男B「もちろんにこちゃんを信じているよ。
君が誰にも言わなければ俺たちは誰にも見せるつもりはないよ。」

男A「ま、そういうわけで。よろしくお願いしますよ!にこちゃん。」

にこ「い、いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

にこはこの日、運命の袋小路に巻き込まれた事を知った。

それからも、これが続いた。

男たちの要求はとどまる事を知らない。

最初は『普通』の要求でもだんだんと『特別』な要求になっていった。

それでもにこはこれで家族が平穏な生活を出来るならと耐えた。

しかし、時が経つにつれ、男たちがにこを呼ぶ回数は増えて行った。

それは今やにこのささやかな平穏を犯し始めた。

平穏な日常を守るために身を捧げたはずの行為なはずなのに

・・・今はそれによって平穏を犯される。

にこは男たちに何故、体を捧げているのか、その意味がわからなくなっていった。

にこには相談できる友達はいなかった。

いや、親友は昔と違って沢山できた。

でもだからこそ、親友だからこそ言えない事もある。

誰が親友に、自分が家族の借金のツケを体で払っていると言えるのだろうか・・・。

また、言ったからってどうなるものでもない・・・。

176: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:21:21.35 ID:Z4dhcZc20
27:30 2階 リビング

海未視点

にこは、私の計画に乗ってくれました。

もちろんそれは、こちら側が誘導させたのですが・・・。

普通殺人の共犯になってくれ、なんて余程追い詰められなければ無理でしょう。

にこは借金取りによってもう、壊れる寸前だった事は相談にのっていた私が一番よく知っています。

にこにはまず、この後起こす計画を説明し、

真姫に送り主のアドレスが解らない様に私の撮った画像を載せてメールを打つ様に頼みました。

また、密室を作る準備をお願いしました。

別にこれくらい私でも出来ますが、行動を起こさせる事が大事なのです。

そして私は、先ほど電話ででことりを呼び出しました。

多分もうじき来・・・、

ことり「海未ちゃん、どうしたの?電話じゃ言えない話って。」

海未「ええ、わざわざ来てくれてありがとうことり、その・・・聞きたい事があるんです。」

ことり「聞きたい事?何かな?」

ことり・・・あなたは私にとって二番目に出来た友達・・・、ずっと、親友だと思っていましたよ・・・。

まだあなたはしらばっくれるんですね。

海未「私、聞いてしまったんです。
あなたが穂乃果に告白してしまった所を。」

177: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:21:52.54 ID:Z4dhcZc20
ことり「・・・!」

海未「何故ですか・・・?ことり、私達、告白は一緒にって約束したじゃないですか。
どうして、抜け駆けなんて・・・。」

ことり「・・・私、メンバーに相談していたの、穂乃果ちゃんが、女の子として好きって。」

海未「・・・。」

ことり「それは、世間から見たら許されない事、してはいけない事。
私は悩んでメンバーに相談した、でも皆は受け入れてくれたの。
それで・・・今日メンバーには気を聞かせてもらって・・・その。」

海未「ことり、答えになっていませんよ!私が知りたかったのは、どうして抜け駆けをしてかってk」

ことり「だって、それなら海未ちゃんを選ぶに決まっているんだもん!!!」

海未「・・・・。」

ことり「私と海未ちゃんなら、誰が見たって海未ちゃんを選ぶ。

海未ちゃんはかっこよくて、優しくて、何でもできて・・・。

順位でも平均で見れば負けているし・・・。

でもそんな私を、穂乃果ちゃんは私も好きって言ってくれたの!

そんな私が良いって言ってくれたの!」

海未「ことり・・・。」

ことり「順位も、センターも、何もかもあなたにあげる。
でも、穂乃果ちゃんだけは、絶対に渡せない!渡さない!」

ことりははっきりとした意志で海未に伝える。

海未はそれを黙って聞いていた。

ことり「だからもう、悪いけれど、私達の間に口を挟まない・・・きゃっ!」

ドンッ!

ことりは海未に引っ張られてテーブルに叩きつけられる。

そして、ことりの上に覆いかぶさると、海未は後ろポケットに隠し持っていたナイフを何のためらいも無く左肩に刺した。

ことり「くっああああああああああ!!!!」

178: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:23:11.73 ID:Z4dhcZc20
ことりのパジャマが赤く染まる。

海未はナイフを斜めに抜く。

苦痛を与える抜き方だ。

海未「さっきから黙って聞いていればことり、よくもまぁそんな事がしゃあしゃあと言える物ですね。
先に穂乃果を好きになったのは私なんですよ?あなたもそれを応援してくださったじゃないですか?
なのに、あなたが穂乃果を好きになったと言うから、本来ならば、私が先に告白する所を、
一緒にって言ってあげたんじゃないですか!!その恩を忘れて、あなたって人は・・・!!」

ことり「確かに・・・一時は海未ちゃんを応援したよ。
でも海未ちゃんは全然穂乃果ちゃんに思いを伝えなかった。
さっき、本来ならば私が先に告白する所を・・・って言っていたけど!
本当は一緒じゃなきゃ告白できないからだよね!?」

海未「な・・・なっ!」

ことり「この恋愛●●!!海未ちゃんはただの臆病者だよ!
海未ちゃんが先に告白?ちゃんちゃらおかしいよ!
そんな事無理だよ無理無理!だって、恋愛映画を見るのも目を背けちゃうんだもんね!
恋愛は不謹慎なんでしょ!?あなたは穂乃果ちゃんが好きって言っているけど!
実際は自分を気にかけてくれる人なら誰でもいいんでしょ!?
所詮独りよがりの恋愛なんだよ!そんな人に、穂乃果ちゃんは任せられない!
穂乃果ちゃんは私が―!」

海未「こ、ことりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

ドンッ!!!!!

ナイフは右目に向かって振り下ろされる。

ことり「あっあっああああああああああ!!ぎゃああああああああ!!!」

海未「あなたに、私の、何が、分かるって!言うんですか!!

恋愛●●!?臆病者!?えぇ、その通りですよ!私にはメンバーの様に、
あんなに明るく振るまえない!私はあなたと比べて友達も少ない!
親友も、あなた達くらいです!
その親友を!好きになってしまった気持ちが分かりますか!?
あなたは私に勝てないと言っていましたが、 その言葉、そっくりそのまま返しますよ!
私と、ことりだったら!間違いなく穂乃果はことりを選ぶだろうと!
ずっと思っていますよ!!でも!それでも!穂乃果を愛しているんです!だから、だから・・・。」

ぐしゃっ!

ぐしゃっ!

ぐしゃ!!

ぐしゃあ!!!!

海未「あっ・・・。」

海未がことりを見た時、ことりの顔は見るも無残な顔になっていた。

顔の中心から左側はもう見る影も無い程穴が開いていた。

血は飛び散り眼球のあった場所と、口からは血があふれている。

海未はことりの体から、静かに離れる。

ボト・・・ボト・・・

179: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:24:01.30 ID:Z4dhcZc20
静かにどいたはずなのに、自分の体から、ナイフから血が垂れて音がする。

海未「こ、ことり・・・。」

ことりはもちろん返事を返さない。

たとえ生きていても返事は出来ないだろう。

何故なら、もう舌はおろか、声帯も潰れているだろうから・・・。

海未「お、おぇぇぇぇぇ・・・。」

海未は初めての殺人という行為に嘔吐する。

自分の中の良心の呵責が悲鳴を上げているのだ。

海未「はぁ・・・はぁ・・・。

これに後何回耐えなければいけないのか・・・。」

2,3回ほど吐いた後、海未は口を拭って携帯を取る。

海未「もしもし・・・、にこ、こちらは終わりました。

そっちは・・・、はい、終わりましたか、了解です。

じゃあ後は知らないふりをして今後の指示を待ってください、では。」

海未は電話を切る。

真姫にメールを送り、希の死体を海未の部屋に誰にも気づかれずに運ぶ事に成功したようだ。

海未は自室の鍵と、希のポッケに入っていた希の鍵、そして真姫から昼に貸してもらい、そのままだった

2階の鍵を持っている。

海未はことりの遺体のポッケをまさぐる。

海未「・・・ありました。」

海未はことりの部屋の鍵を手に入れる。

後はこの部屋と海未の部屋、ことりの部屋、希の部屋に違う鍵を置いて海未が死んだふりをすれば 密室殺人は完成する。

何故密室にする必要があるのか。

難解にすればするほど、内部は混乱し、乱れを生む。

それだけで十分だ。

180: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:24:31.97 ID:Z4dhcZc20
真姫視点 10:08

その日、真姫の世界はある一件のメールから地獄に変わった。

真姫「なによ・・・これは!!!」

誰から送られてきたのか、とにかく知らないメールアドレスから送られてきたメール。

中を開けるとそこには、昨日真姫が希を殺した瞬間を撮った画像が写っていた。

真姫「・・・どういう事・・・?」

他にメールに何か書いていないかを確認する。

そこにはこう書いてあった。

『今日一日、できるだけメンバーと別行動をしろ』

真姫「・・・何を・・・?いや、それより・・・。」

昨日の出来事がばれた事の方が一大事だ。

しかも、この別荘にいるのはメンバーだけだ。

・・・メンバーの中にこの事を知っている者がいるという事!

真姫にとっては、その事が重要だった。

真姫「いや、待てよ・・・?」

真姫は考える

。警察に通報するなら、こんなメールを送らずにとっとと通報すればいい話。

しかし、メールを送ってきたという事は警察に通報する気は無いんじゃ・・・。

真姫「・・・。どうする?」

真姫は必死に考える。

しかし、このメールだけじゃ向こうは何を狙っているのか・・・。

真姫「・・・うぷっ。」

思わず昨日の事を思い出してしまう。

気分は最悪だった。

181: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:26:44.98 ID:Z4dhcZc20
コンコン

真姫「!?っ・・・。」

それは、ドアをノックする音だった。

真姫「だ、誰!?」

にこ「にこだよー、一緒にリビングいこーよ。」

真姫「に、にこちゃん!?ちょっと待ってて!」

真姫は急いで支度を整える。

ドアを開けるとにこは腕を組みながら待っていた。

にこ「あんたねーこの世界一アイドルのにこちゃんを・・・真姫ちゃん大丈夫!?顔が真っ青だよ!!」

真姫「え・・・?」

真姫は鏡を見る。とてもファンには見せられない、そんな蒼白な顔をしていた。

真姫「・・・ゴメン、大丈夫よ。リビングに行きましょう?」

にこ「・・・分かった、でも調子悪いなら早く言いなさいよ。
倒れられたら困るわ。」

真姫「うん、ありがとうにこちゃん。その時はちゃんと言うね。」

182: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:27:23.90 ID:Z4dhcZc20
にこ視点 10:45 希の部屋。

希の部屋では海未が死んだフリをしていた。

真姫「嘘・・・嘘よ・・・!

なんで、どうして・・・!」

穂乃果「いやァ!!どうしてよぉ!!海未ちゃんが何をしたの!?いやああ!!」

海未は口から泡を出して、顔面を蒼白にしている。

芝居と分かっている私でも信じられないのに、知らない人が見たら誰でも死んでいると思うだろう。

真姫「もう何がなんだかわからない・・・。どういうこと?何で?どうして?」

真姫ちゃんは相当混乱していた。

心中お察しするわよ。

当たり前よね。

自分の殺した希が海未の部屋にいて、他に二人も殺されているんだから。

今日のメールも相まって、パニックになっているんじゃないかしら?

亜里沙「・・・。」

部屋内が悲鳴でいっぱいの時、ふと亜里沙が海未に近づく。

そして、亜里沙は海未の手首に手をあてた。

にこ「・・・!」

マズイ!!ドラマで見た事があるけど、あれは確か脈を計るやつ・・・!

ばれる!!!

亜里沙「・・・。」

にこ「ちょっと亜里沙!?ダメでしょ!」

私は注意する。

でも、とっさの事だったので反応が遅れてしまった。

・・・でも亜里沙は特に疑問に思っていないみたい。

ばれていないのかしら・・・?

183: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:29:18.27 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「・・・。」

話を変えようと、ことりの鍵を指して、

にこ「また鍵がおいてあったわ。多分ことりの鍵よね・・・?」

真姫「えぇ・・・そうね。」

なんとか話題は鍵の話にシフトしてくれた。

でもなんで亜里沙に脈を計られても大丈夫だったんだろう・・・?

昨日貸したアレを使ったのかな・・・・?

でもあれをどう使ったんだろう。

花陽「ん・・・?あれは・・・?」

部屋をでる時に後ろにいた花陽が声を上げる。

え・・・?何?

私は部屋を見る。

しかし、部屋が暗いせいか、よく見えない。

花陽「あれは・・・。何でここに・・・?」

凛「かよちんいくにゃ~。」

凛に急かされて花陽は部屋をでた。

何だったんだろう。

ことりの部屋には私が書いた手紙が置いてある。

海未から事情を聞いていたので、それに関する事を書いた。

『悔い改めろ。この犯罪者。金を払えば済むと思うな。』

まァこんなもんかしら?

真姫ちゃんそうとうショック受けているし・・・。

これなら昨日海未から言われた事を実行しやすいわね。

184: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:29:52.19 ID:Z4dhcZc20
12:00 3階 リビング

にこ「警察はどうだった?絵里・・・?」

絵里「とりあえずどこか安全な場所に皆でいるように言われたわ。
しばらくはここで籠城ね。」

その後、私達は三階のリビングに籠城する事になった。

途中で穂乃果がもう一度海未の遺体を見たいと言ってきたから危なかったわ。

でもこの後はどうするのかしら・・・?

今は花陽が今回の事件は密室なのではないか?と話している。

良かった。

海未からは私にこの事件をより複雑にするように、そして真姫の信用を得る様に言われた。

事件を複雑にするのは分かるけど、何で真姫ちゃんの信用を・・・?

まぁ海未だから何か考えがあるんでしょ。

とりあえずこの事件が密室な事を言えば複雑になると思っていたんだけど・・・。

花陽自ら説明してくれてよかったわ。

花陽「そういう事です・・・。
一体犯人はどうやって犯行に及んだのでしょうか・・・?」

それになんか外部犯の仕業になっているわね・・・。よし、ここは・・・、

にこ「・・・トリックとかは別にして死んでいるのは確かよ。
それにさっきから外部犯の犯行の様に皆言っているけどさ、
・・・私達の中に犯人はいないってどうして言える訳?」

「「「!?」」」

真姫「・・・!!!」

穂乃果「そんな!?私達の中にあんな事をしたやつがいるって言うの!?そんな人いるわけないよ!!」

凛「そうだよ!!私達仲間なんだよ!?」

にこ「私だってこんな事口にしたくないわよ!でもしょうがないでしょ!誰かが言わなくちゃいけないのよ!!

絵里「ちょっと待って、今仲間割れしてる場合じゃないわ!」

にこ「そう言って、あんたが犯人なんじゃないの!?昨日のアリバイは無いんでしょ!?」

絵里「はぁ?そういうにこはどうなのよ!?ある訳!?」

良かった、いい具合に混乱してる。

185: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:30:20.68 ID:Z4dhcZc20
この調子でかき回して・・・。

真姫「今ここでそんな事・・・はぁ・・・はぁ・・・言って何になるの!?

急にそんな事言われてもアリバイなんてある訳ないじゃない!

外部犯の可能性もある!数分後には殺されるかもしれない!今私達がしなきゃいけない事は何!?

こうやって仲間同士で疑いあって罵あう事なの!?違うでしょ!?」

穂乃果「・・・。」

にこ「・・・。」

真姫「今しなきゃいけないのは、警察が来るまで生きる事でしょ!違う!?」

絵里「そうね・・・その通りよ。こんな時だからこそ一致団結しなきゃいけないのよね・・・。」

穂乃果「そう・・・だよね・・・ゴメン。私冷静じゃなかった。」

にこ「私こそゴメン。変な事言ったわ。」

真姫ちゃんが流れを変える。

真姫ちゃんの仲間思いに少し感動する。

でも真姫ちゃんは希を殺したんだ。

今はこんな事を言っているけど・・・、でも本当は・・・。

真姫「そうよ・・・それでいいのよ・・・。」

真姫ちゃんは顔が真っ青になっていた。今にも倒れそうだ。

にこ「真姫ちゃん大丈夫!?わっすごい熱!」

花陽「私、風邪薬あります!」

絵里「ありがと!それ飲んで休みなさい。」

真姫「そうさせてもらうわ・・・。
隣りの部屋で休んでいるわね。」

絵里「隣り・・・?真姫、危険じゃない?」

亜里沙「そうですよ!少し窮屈でも外は危険かもしれないんですよ!」

にこ「大丈夫よ。私も一緒に行くわ。」

多分真姫ちゃんはメールにあった事を実行しようとしているんだろう。

でもここで真姫ちゃんから話を聞けば・・・。

186: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:30:56.26 ID:Z4dhcZc20
隣部屋


真姫「にこちゃん、本当にうつるから少ししたらあっちに行きなさいよ?」

こんな時でもにこちゃんは私の事を信用してくれている。

でもゴメンね。

私、その真姫ちゃんの思いを、踏みにじるね。

にこ「うん、でもその前に真姫ちゃんに聞きたい事があるの。」

真姫「えっ?」

にこ「ことりの死体を発見した時、私は確かに聞いたわ。『どうしてことりが・・・?私はことりは殺してないのに・・・。』って。」

真姫「な、何を・・・。」

にこ「『は』ってどういう事なのかしら・・・。詳しく聞かせてもらうわよ・・・?」

真姫「・・・。」

真姫「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

同時期 2階リビングにて

花陽「凛ちゃん、話があるの。」

花陽は凛にだけ声が聞こえる様にこそこそとしゃべる。

凛は何かを察したのか、目立たない位置に花陽を連れて行く。

凛「かよちん・・・?どうしたの?」

花陽「実は・・・さっきの遺体の事で話があるの・・・、私、さっき思い出したんだけど・・・。」

187: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:31:24.95 ID:Z4dhcZc20
隣部屋にて

真姫「に、にこちゃんなの!?」

にこ「えっ?」

真姫「あのメール、にこちゃんなの!?ねぇ!?どういうつもりなのよ!?こんな写真を撮って・・・。」

真姫ちゃんは案の定取り乱していた。

にこ「真姫ちゃん、何の話?写真って・・・?」

真姫「とぼけないでよ!あのメールはにこちゃんでしょ!?」

にこ「だから何の話よ?真姫ちゃん。」

私は真姫ちゃんの手を握る。

にこ「真姫ちゃん、話してみてよ!私、どんな真姫ちゃんでも受け入れられるよ!」

真姫は目に涙を貯めながら上目づかいに私を見る。

うわ・・・かわいい。

真姫「じゃぁ・・・話すね。」

真姫ちゃんは語ってくれた。

黄金を見つけた事、そこで希と争った事、最終的に希を殺した事、そして携帯に知らないアドレスでメールが来て、

自分が真姫を殺している画像が写っていたこと。

私は真姫ちゃんが全てを語ってくれた後、優しく抱きしめた。

にこ「真姫ちゃん、つらかったね、苦しかったよね。」

真姫「にこちゃあん!にこちゃああん!!うわああああああ!」

真姫ちゃんが私の胸の中で泣く。

年上の私のがちっちゃいのがちょっと恥ずかしかった。

188: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:32:01.45 ID:Z4dhcZc20
にこ「じゃあ一端、となりに戻るわね。
大人しくしていなさいよ?」

真姫「すぐに帰ってきてよね。」

にこ「わかったわよ~。」

バタン。

にこは隣部屋の扉を閉めると、ポケットから白いハンカチを出す。

真姫がポケットに入れていた私物だ。

真姫がにこに甘えているスキに、ポケットからくすねてきたのだ。

海未から、真姫の私物をどれか一個手に入れてきてくれと言われていたから助かった。

部屋に戻ろうとすると、扉から絵里達が食糧を取りにいくかどうか議論している声が漏れて聞こえた。

私は部屋の前でこの事と、ハンカチをくすねてきた事を伝えるために海未にメールをする。

返事はすぐに返ってきた。

にこ「・・・了解。」

189: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:33:59.32 ID:Z4dhcZc20
12:30 3階リビング

亜里沙「私は反対です。
別に明日まで何も食べなくても死にはしません。水もありますし我慢するべきです。」

にこ「私は一階から食糧を取りにいくのに賛成よ。」

穂乃果「にこちゃん!?真姫ちゃんは大丈夫なの!?」

にこ「今ようやく眠ったわ。それよりも一階にある食糧はやっぱり欲しいわね。食べる物もなければ薬も飲めないわ。」

花陽「私も賛成です。これから何があるかわかりません。それにこれ以上時間をおけばどんどん暗くなって危険です。」

凛「そうにゃ~今が一番安全にゃ!」

亜里沙「でも・・・。」

私は真姫ちゃんの状態を話して、なんとか食糧を取りに行くように話を持っていく。

絵里「・・・本当に行くの?でも確かにそうね、もし行くなら今しかないわ。」

花陽「それに真姫ちゃんは体調が悪いでしょ?空腹には出来ないよ・・・。」

絵里「わかったわ。十分に気を付けるのよ。」

凛「了解にゃ。んじゃ、行ってくるにゃ~。」

食糧を取りに行くのは花陽と凛に決まった。

凛と花陽はリュックサックを持って外に出てった。

にこ「じゃ、にこはまた真姫ちゃんの様子でも見ていようかしらね。じゃ。」

そう言ってリビングから出る。

私は凛と花陽が出て行った所をすぐにメールする。

またしても早くメールが返ってきた。

にこ「・・・え?でもこれって・・・。」

にこは携帯をすぐに閉じれなかった。

何故なら、そのメールには『1階の階段から私は仕掛けるから、にこは3階の階段から仕掛けてください。 挟み撃ちです。』

とあったからだ。

にこ「仕掛ける・・・って殺せって事・・・?」

にこの体が震える。

この手で・・・殺せって・・・メンバーを・・・。

その時もう一通メールが来る。

にこはすぐに開く。

『困惑しているのは分かります。しかし、相手は二人です。私一人では失敗する可能性もあります。

あなたの力が必要なんです。一緒に幸せを、掴みましょう、にこ。』

と書いてあった。

190: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 12:34:37.65 ID:Z4dhcZc20
にこ「そうだ・・・一緒に幸せをつかむんだ・・・。」

そうだ、誓ったじゃないか。悪魔に魂を売ってでも、幸せになるって・・・。

もう、体を売るのは嫌なんだ!

にこはすぐにメールを送る。

解答は・・・イエスだった。

2F廊下

二人は早歩きで目的地を目指していた。

でもそれは1Fの食糧がある所ではない。海未が死んでいた、ことりの部屋だ。

花陽「凛ちゃん、急ぐよ!。」

凛「ちょっとまつにゃ~。かよちん、さっきの話、本当なのかにゃ?」

花陽「うん!!確かに見たんだ、あの部屋には、にこちゃんが持っていた、
ピンク色のテニスボールが落ちていたんだ!」

凛「でもそれが何で犯人に繋がる証拠になるのにゃ?」

花陽が先ほど凛に話した事、それはことりの部屋に犯人に繋がる証拠があるから取りに行こう、という話だった。

花陽「前に聞いた事があるんだ!脇にボールを挟んで脈を止める方法があるって!」

正確には『圧迫止血法』という立派な医療行為だ。

脇の溝にボールをあてて、肩の力を入れてボール挟み込むようにすると、腕の血管が

ボールに圧迫されて血が止まり、 肩から先に血液が回らなくなるので、脈が止まるのだ。

主に手から大出血した時に使う止血方法。

花陽はそれを偶然知っていたのだ。

凛「よく分からないけど、そのピンクのテニスポールあれば・・・。」

花陽「うん、密室の謎が解るかもしれない。」

凛「でもそれならば何故絵里達に話さなかったんだにゃ?」

花陽「それは・・・あの中に犯人がいるからだよ。凛ちゃん。」

凛「え!?」

191: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:09:26.09 ID:Z4dhcZc20
花陽「凛ちゃん、私はずっと疑問に思っていたんだ。

何で海未ちゃんだけ毒で死んだんだろうって。

他の皆は武器で殺されているのに、おかしいと思わない?」

凛「言われてみればそうだね・・・、それに毒なんてそう簡単に飲んでくれると思わないし・・・。」

花陽「ナイフとかで刺した方が、はるかに手間はかからないよね?」

それに、と花陽は付け加える。

花陽「私、亜里沙ちゃんが死んだ海未ちゃんに近づいて手首を抑えているのを見たんだ。
多分脈があるか、計っていたんだと思う。」

凛「でも無かった、それは、そのトリックを使っていたからって言いたいんだね?」

花陽「そう、もし海未ちゃんが死んだふりをして容疑者から外れようとして

そのトリックを使ったならば、海未ちゃんだけ毒で死んだ事もとても納得がいくんだ。」

凛「でもそれって・・・。」

花陽「うん、そのボールはにこちゃんの物、つまり少なくてもにこちゃんと海未ちゃんは犯人だと思う。」

凛「・・・。」

花陽「でもまだ、そうと決まった訳じゃない。
もしかしたらまだ他に仲間がいるかもしれない。
それに、本当に毒殺されたのかもしれないし・・・、だからそれを捜しに行くの。」

凛「分かった。あ、ここだね。」

花陽「うん。入るよ!」

192: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:36:16.88 ID:Z4dhcZc20
ことりの部屋

凛「あれを探そう!」

花陽「うん!っ・・・!?そんな・・・馬鹿な!」

花陽はある一点を示す。

凛「そ、そんな・・・嘘でしょ!?」

そこにあるはずの、海未の死体は消えていた。

花陽「じゃあやっぱり犯人は・・・!」

ギイイイイイイイイイイイイイ

海未「・・・・・・・・・・。」

193: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:36:51.54 ID:Z4dhcZc20
花陽視点
音がしたので、後ろを向くと、そいつは、いや、海未ちゃんは笑いながら何かを逆さに掴みながら、

私に振り下ろしていきました。

私はただ立っているだけでした。

もうだめだ・・・私はそう思いました。

凛「かよちんあぶない!!」

その時、凛ちゃんが私を後ろに引き戻しました。

私はしりもちをついて後ろに倒れました。

凛「あああああああああ!!!痛いぃぃぃぃい!!!」

凛ちゃんが後ろに後ずさって痛がっています。

その時、手に柔らかい感触がありました。

それは私が探していたピンクのテニスボール。

花陽「見つけたよ!凛ちゃ・・・」

私がそれを持って、前を向くと、

花陽「あっあぁ・・・!」

凛ちゃんが海未ちゃんに羽交い絞めにされて逆さに持っている何かをもう一回振り下ろしている光景でした。

凛「あっああぁぁ!!」

それが振り下ろしきった後、凛ちゃんのお腹あたりから赤い何かがとびちりました。

凛「ごふっ・・・あああああああああああ!!!!!!!痛い痛い!!!!!」

それが海未ちゃんの顔につきました。

不覚にもそれは美しい。と感じてしまったと同時にそれは血で、どこから、

誰から出てきたのかに気付きました。

花陽「いやああああああああああああああああああああああああああああ!!

凛ちゃああああああああああああああん!」

逃げよう。

そう思っても、ひざが動きません。

怖くて息もろくに吸えません。

人は恐怖でマヒすると、この時初めて知りました。

194: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:37:38.43 ID:Z4dhcZc20
花湯「あっあ・・・あっ・・・。」

海未「・・・。」

海未「・・・、フフフフフ。」

海未ちゃんは楽しんでいました。

人を刺して喜んでいました。

ワインを開けた時、快感を覚える人がいると聞きます。

この人もそれと同じ人なのでしょう。

私というワインを開けて、私から出る液体を浴びたいのです。

根っからの殺人鬼。

血が似合う犯罪者。

海未ちゃんの顔がドアの外からの光が漏れて見えました。

あぁ・・・あなたが殺したんですね・・・。血のメイク、とてもきれいですよ。

海未ちゃんと私の目が合い、私の所に向かおうとしました。

どこっ

そいつがしりもちをつき、その上に今度は凛ちゃんがのっかかりました。

凛「かよちん逃げてえええええええええええええええええええ!!!」

花陽「うわああああああああああああああああああああ!!!」

凛ちゃんの声と共に、私は立ち上がりました。

自分の意志では動かなかったのに凛ちゃんの声には言うことを聞くんです。

不思議です。

急いで部屋の出口まで向かいました。

出口までは五歩のはずなのに出口が遠ざかっている様な錯覚に陥りました。

三歩目でそいつが凛ちゃんに向かってなにかを・・・、

ナイフを振り下ろし、四歩目でナイフが刺さり、五歩目で血が飛び散りました。

花陽「いやああああああああああああああ!!!」

私はもうそこから逃げる事しか考えていませんでした。

凛ちゃんは見捨てても、この手に持っているこれは離しませんでした。

これを持ってはやく三階に・・・。その時、曲がり角から影が見つかりました。

しかし私は止まれず、その人にぶつかってしまいました。

195: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:38:20.77 ID:Z4dhcZc20
にこ視点

にこ「はぁ・・・はぁ・・・。」

にこ「お、おええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

にこは激しく嘔吐する。

にこが花陽に振り下ろしたのは、海で遊んだ時にレジャーシートが風で飛ばないように置いたコンクリートブロックだ。

にこは前日のうちに、もしものために、各階に凶器を隠していた。

殺した!!殺した!!やってしまった・・・。

でも、でもでもしょうがないじゃない!

花陽たちが証拠を見つけようと二階に行くから!

もし一階に降りてくれれば海未がXXしてくれたのに!!!

こ、これは私のせいじゃないわよ私のせいじゃ・・・!

わ、私は、ただ見張りを、小細工を・・・小細工をすすす、すればいいって・・・。

でも今目の前で倒れているのは花陽で、これを殺したのはわた・・・。

にこ「おええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」

にこ「はぁ・・・はぁ・・・・そうだ、海未は・・・。」

海未を探すと、海未は希の部屋から出てきた所だった。

にこ「ねぇ・・・、海未、私、やったよ!ちゃんとやったよ!!

また少し汚れちゃったけど!私ちゃんと成し遂げたよねぇ!?」

海未は段々と近づいてくる。

凛の血に塗れたその顔で微笑む。

ナイフからは血がボタボタと垂れていた。

私は神様に縋る気持ちで、海未に近づき、跪いた。

196: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:38:51.43 ID:Z4dhcZc20
にこ「ねぇ!!もう私はこれで!」

海未「はい、そうですね。」

海未は私と同じ目線まで身体を下げる。

海未「もう、いいんですよ。」

にこ「そうだよね!!もう・・・っえっ・・・?」

ドスッ!!

海未「もうあなたは十分頑張りました。お休みなさい、にこ。」

にこ「・・・ゴフッ・・・。」

喉からせりあがってくる血を吐きながら。下を見る。

海未のナイフが、私のお腹を貫いていた。

にこ「何で・・・?海未・・・?」

ズボッ!

海未「あなた達のためですよ、今は眠りなさい。」

にこ「な・・・に・・・を・・・?」

私の芯から大事な物が抜けていく様な気がした。

支えを失って倒れるのが分かる。

手を見ると、真っ赤に濡れていた。

あぁ・・・、これ私の血なんだ・・・。

にこ「う・・・み。」

海未は倒れた私を見る。

そして、右手で頭を撫でながら、目に左手を易しく置いた。

海未「お休みなさい、お眠り。」

それは、まるで菩薩の様。

にこ「・・・う・・・ん、おや・・・す・・・」

私は、その手の中で、静かに自分の終わりを迎える。

余りいい人生では無かったと言えるけど、

殺人鬼に看取られる最後だったけど、

それでも最後は少しだけ、ほんの少しだけよかったと、思うことにしよう。

197: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:39:28.91 ID:Z4dhcZc20
海未視点

にこの脈が止まった事を確認すると、海未はにこのポケットを探る。

海未「ええっと・・・ありました。」

海未が出したのはにこが真姫のポケットからくすねた刺繍の入っている白いハンカチ。

そして、今度は花陽を見る。

花陽の頭からは白い何かが見えていて、にこがどれだけ強く殴ったかが窺える。

海未「花陽、あなた、以外に頭が切れるんですね・・・知らなかったですよ。」

花陽が右手に持っているピンクのにこのテニスボール。

それを海未は回収し、代わりに真姫の白いハンカチを入れる。

これで、また場が荒れるだろう。

そして、花陽の死体を凛の横に、寝かせる様に置いた。

海未「そこで、二人でお休み。」

そして、また手紙を置く。

意味は特に無い。さっきのもそうだが、手紙は主に動揺をさせ、仲間割れさせる為の物だ。

海未「にこ、花陽、凛。
こんな事をして何言っているんだと思うかもしれないですけど・・・
私は今でもあなた達を仲間と思っています。
もちろんことり、希もね。」

海未「だから・・・。」

海未「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

海未は誰もいない廊下で一人呟く。

その声は、誰にも聞こえる事が無いだろう。

だが、それでいいのだ。

殺人鬼は、救いようもなく、憎まれた方が良い。

海未「さようなら。」

直に花陽達がいつまでも帰ってこない事を不審がるだろう。

いつまでもここにいるのはマズイ。

海未は遺体となったにこ達ををもう一度見定めて隠れる場所を探しにいった。

海未「・・・また会えますよ、今度は学校でね。」

198: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:39:58.53 ID:Z4dhcZc20
14:58

真姫視点

真姫「私の、私のせいじゃない私のせいじゃない私のせいじゃない・・・。」

私は自分でもどこを走っているのか分からなかった。

花陽と凛、にこちゃんが死に、その花陽の手からは私のハンカチがあった。

それに、事故とはいえ、自分の不手際で穂乃果の目に怪我をさせる事になってしまった。

失明は無いと思うが・・・、しかし、この先どうすれば・・・。

真姫「にこちゃん・・・どうして・・・。」

真姫は一階に降りて、ホールに降りる。

そこには祖父のデカイ肖像画と、碑文の書いてある石碑があった。

思えば今回の事件はこの碑文を解いた事から始まった気がする・・・。

真姫が解っている事は希を殺した犯人が自分という事、その事を知っている者が、

最低一人はメンバーの中にいるという事、そして、にこや花陽、凛を殺してはいないという事だ。

そもそも花陽の手に握りしめられていた真姫のハンカチ、あれはにこが部屋を出て行ってから無くしたと気づいた。

つまりにこが持って行ったという事なのだろう。

廊下でハンカチの事を聞かれた時は気が動転していて忘れていたが・・・。

もしあそこに、にこの死体が無ければにこだと思った、しかし、にこは死んでいるし・・・。

真姫「どういう・・・っ!」

コツ、コツ、コツ、コツ、コツ、コツ・・・。

その音はホールを歩く音だった。

ホールの床はよく音が響く素材で作られている。

だから、人が歩く音がよく聞こえるのだ。

真姫は追いかけてきた亜里沙かと思い、振り向く。

真姫「亜里沙・・・あなたおいかけて・・・っ!!」

199: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:40:33.90 ID:Z4dhcZc20
グサッ!

真姫は振り向いて信じられない物を二つ見た。

一つは死んでいると思っていた海未が、血まみれで目の前に立っている事。

もう一つは、海未の手に持っている物が血まみれのナイフで、それが真姫の腹に埋まっている事だ。

真姫「あっ・・・!う・・・み!」

ずりゅ!

ナイフを引き抜かれる。

真姫の腹から血が沢山あふれ出した。

真姫「っく・・・!!」

真姫はそれでも倒れずに目の前に殺人鬼の肩に手を掴む。

もはや、海未が犯人な事は、明らかだった。

真姫「あんたが・・・にこちゃ・・・達を・・・!」

海未は真姫がまだ立っていられる事に驚いた。

急所を刺したはずなのだが・・・。

海未「あなたも眠りなさい、真姫。」

真姫「何故・・・こんな事を・・・!?」

海未は再びナイフを『突き』に姿勢で構え、真姫に言う。

海未「あなた達のためですよ。」

真姫「何を・・・!ぐっふっ!」

真姫は再び腹を刺される。

今度は立っていられる事は出来なかった。

200: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:41:14.19 ID:Z4dhcZc20
???? ??:?? 魔女の空間

亜里沙「・・・どういう事・・・?」

今まで一周目の映像を見ていた亜里沙だったがどうにも腑に落ちない事があった。

映像を見ていくうちに亜里沙は一週目の記憶を全て取り戻していた。

希の死亡理由、密室のトリック、花陽達が食糧を取りに行くと言って二階で死んでいる理由、

にこが花陽たちと一緒に死んでいる理由、にこの動機。

一周目の謎は全て解き明かされた様に見える。

恐らくこの映像は二週目の犯人を暴いた黒い魔女のお礼なのだろう。

しかし、それでも一つだけ、というかこれは二週目からなのだが、分からない事があった。

亜里沙「事件の首謀者の海未さんの動機がいまいち分からない・・・、というかピンと来ない・・・。」

二週目の事件は穂乃果達が真姫の通帳を奪おうと仕組んだ物だった。

理由は最低な物だったが理解は出来る。

だが、それを狂言では無く、本物の殺人事件にしてしまったのは海未だ。

一周目に至っては狂言すら起こっていない。

希が真姫に殺された事を海未が見ただけだ。

海未は希が殺される所を見てこう言ったのだ。

『これは使えるかもしれません。』と。

使える?何に?殺人計画にだろう。

この口ぶりから海未は殺人計画をこの合宿に来る前から考えていたという事になる。

そして、たまたま碑文が解かれて真姫が希を殺す所を目撃して、計画を思いついた・・・。

ことりと争っている時に穂乃果の事を意識している描写があったが、そんな事で皆殺しにするのか・・・?

でも人間関係が原因で刃傷沙汰な事件なんて腐るほどある。

案外そんな物なのか・・・?

亜里沙「何かもっと、大事な事を見逃している気がする・・・。」

201: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:41:47.98 ID:Z4dhcZc20
映像では、三階のリビングで絵里と雪穂が殺され、目の見えない穂乃果が嬲られて殺されている所だった。

見るに堪えない映像だが、それに写っている海未は・・・。

確かに笑っている、人とは思えない笑い声を出しながら穂乃果達を殺している、だがその目は・・・。

亜里沙「とても・・・悲しそう・・・。

まるで・・・。」

亜里沙「まるで、何か、違う目的で、無理やりやらされている様な・・・。」

映像では亜里沙が海未に後ろから刺されて絶命した所が映し出されていた。

自分が死ぬ瞬間なんてそうは見れないと思ったが、中々心にクるもんがある。

-プツン-

映像が止まる。

どうやら亜里沙が死んだので一周目をこれ以上やる価値は無いと魔女たちが止めたのだろう。

黒い魔女の勝利条件は亜里沙が事件を解く事。

その亜里沙が殺されては解くことが出来ない。

ゲームオーバー、と言う訳だ。

亜里沙「結局分からなかったな・・・、それにこの後どうすr・・・!」

映像を映していた黒い渦が再び動き始める。

亜里沙「えっちょ、え!?」

それはドンドンデカくなり、亜里沙を飲み込んでいった。

202: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:42:24.10 ID:Z4dhcZc20
・・・亜里沙が目を開けると、そこはほの暗く、寒い。

しかし、とても広かった。

亜里沙「ここは・・・?」

亜里沙は段々と感覚を取り戻し、気づけば狭い椅子・・・というか、映画館にあるような、

そんなシートに座っている事に気付く。

周りを見ると、亜里沙が座っているイスが沢山あった。、

亜里沙「映画館・・・?いや、劇場?」

前には赤のカーテンと、舞台があるからか、亜里沙はそう思った。

亜里沙「どういう事・・・?私は確か、事件を解いて・・・。」

いつからここにいるのか、ここがどこなのか、亜里沙は検討もつかない。

亜里沙「ん・・・ひっ!?」

亜里沙は人の気配がして驚く。

どこかと思い、前を見ると、舞台の上にはとてもでかい十字架があったのだ。

いや、十字架というか・・・この大きさなら人を張り付けにする張り付け台と言った方が良いのかもしれない。

そんな十字架にはすでに先客がいた。

亜里沙「・・・!!!海未さん!!」

海未が十字架に貼りつけられていたのだ。

もちろん、人が浮かぶ訳がない。

その手と、足にはずぶとい釘で打たれていて、そこから血が溢れていた。

そうとう痛いだろうに、海未は何の反応も示さない。

目は開いているが焦点は合わず、亜里沙の呼びかけにも答えなかった。

亜里沙「海未さん!!!!、今助けに・・・えっ!」

ガチャン!!

亜里沙は自分が何か、強い物に繋がれている事に気付く。

亜里沙「何・・・これは。」

亜里沙の両手首と両足首が鎖の様な物で繋がれているのだ。

203: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:43:01.68 ID:Z4dhcZc20
全く動かせないという事は無いが、席を立って移動する事は出来ないようだった。

亜里沙「どういう事・・・?これは一体・・・?」

こんな異質な空間には覚えがある。

黒い魔女と、ピンクの魔女のいた、あの不思議空間。

どうやら自分が今異空間に閉じ込められていると亜里沙は分析する。

亜里沙「黒い魔女!!聞こえている!?これはどういう事なの!?私は事件を解いたわよ!」

フフフフフフフフヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・。

誰かが答える。

しかし、亜里沙が周りを見ても誰もいない・・・。

そして、その笑い声は何かの始まりを意味していた。

カっ!!

照明が上がり、舞台にライトが当たる。

そこには、

黒い魔女「亜里沙、お久しぶり、そして、よく事件を解決する事が出来たわね。

おめでとう。」

ピンクの女「まさか、こうもきれいさっぱりに解いちゃうとはねー。

でもおめでとう、亜里沙。」

204: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:43:35.96 ID:Z4dhcZc20
黒い魔女とピンクの魔女が舞台にいた。

亜里沙「祝うにしては手荒い歓迎じゃないですか?これから何が始まるんです?」

黒い女「亜里沙、あなたは私の駒として、見事に事件を解いてくれたわ。
おかげで賭けに勝つ事が出来た。
だから、ご褒美をあげようと思って。」

亜里沙「褒美・・・?やっぱり先ほどの映像はあなたが・・・?」

黒い女「えぇ、亜里沙、あなたは事件を解く時にこの事件の全てが知りたいと願ったはずよ、だから、それを叶えてあげようと思ってね。」

亜里沙「あぁ・・・なるほど、でもさっきので大体の事は分かりましたよ。

それとも、まだ何かあるんですか?」

黒い女「・・・。」

ピンクの女「・・・。」

「「ぷっはっはっはっはっはっくすくすくすくすくすくすくすくすぷっーくすくすくすくすはははははは!」」

二人の魔女がゲラゲラ笑う。

まるで、自分が何か見当違いの事を話している様に感じた。

黒い女「あなたは、まだ何も知ってはいないわよ?何もね。」

ピンクの女「そうねーま、しょうがないんだけどね。
その時の記憶、消されているんだもんね。」

亜里沙「!?っ・・・消されているって・・・、一周目の時の記憶じゃなくて、ですか!?」

ピンクの女「そうよ、亜里沙、これからあなたに、あの合宿で何が起こったのか、本当の事を教えてあげる。」

亜里沙「何が起こったのかって・・・それは一週目の事じゃ・・・あなた達だって一周目って・・・。」

黒い女「えぇ、『ループして一周目』って事よ。

つまり、一周目が終わった段階であなたはすでに、二週しているのよ。あの合宿をね。」

亜里沙「・・・!?って事は、私は・・・。」

黒い女「そう。あの時に何が起こったのかは、何も知らないって訳
。まぁ記憶は私が消したからなんだけど。」

亜里沙「なんでそんな事を・・・!?それに何でここに海未さんが・・・!?」

ピンクの女「それも、全部見れば分かるわよ、今から見せてあげるわ。」

黒い女『今から見せる映像が、あの時、合宿であった真実よ。』

205: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:44:13.55 ID:Z4dhcZc20
黒い女がそれをしゃべった時、何故かその言葉だけは嘘ではないと身体が、心が信じてしまう。

その言葉に乗せられたその力は魔女だけが使える物。

その力に乗せた言葉は、全て真実・・・!

真実の・・・言葉。

亜里沙は理解する。

これから見せられる映像は、全て本当の事なんだと。

黒い女「じゃ、始めるわよ。カーテンコール!」

黒い女の言葉と共に、赤いカーテンが開く。中からはシアターが出てきた。

パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

どんどん拍手が大きくなる、しかし、亜里沙がいくら周りを見渡そうとも、その姿は欠片も見えない!

パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

開場は、シアターから発せられる、目を開けられないほどの光で覆い尽くされた。

206: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:44:46.47 ID:Z4dhcZc20
○月×日 真実の世界 合宿一日目。

真姫家別荘前

雪穂「これはすごいね!本当にでかい!ペンションみたいだよ!」

真姫「西木野家が持つ、一番でかい別荘よ。
でも良かったわ、 前使った別荘だったら、この二人の部屋を用意するのは難しかったから。」

亜里沙「この度は本当にスイマセン・・・。私は止めたんですが、雪穂がどうしてもと・・・。」

絵里「こら!雪穂ちゃんだけのせいにするんじゃないの!あなたもどうせ、悪ノリして付き合ったんでしょ!?

亜里沙「てへへ・・・。ばれちゃいましたか・・・。」

にこ「別にいいじゃない!全くの無関係って訳でもないんだから。」

花陽「そうだね。むしろ、仲間が増えて、うれしいよ!」

希「二人とも中学生だよね?高校はどこにしたん?」

雪穂「もちろんUTえっ・・・あいて!」

亜里沙「私達、二人とも音ノ木坂学園に入ります!もう合格届も来ました!」

凛「わぁ!つまり、凛たちの後輩って訳なのかにゃ!?」

真姫「なら、尚更送り返す訳には行かないわね、先輩として、示しがつかないわ。」

にこ(先輩ぶっている真姫ちゃんかわいい)

穂乃果「こうして後輩入ってくるって思うと、本当に存続は成功したんだなって思うよ。」

絵里「廃校が嘘みたいよね、それだけでも私達がやってきた事は価値があるなって思うわ。」

真姫「あ、やっと着いたわ。じゃ、開けるわよ。」

凛「楽しみだにゃ~!」

207: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:45:24.43 ID:Z4dhcZc20
この時はまだ11人でした。

今思うと、どうしてこうなったのか、分かりません。

皆が少なからず家庭の事情で悩んでいた事は知っていました。

しかし、それでも皆、この時はそんな事なんて忘れて、まだ

仲の良い、ラブライブを優勝した名誉ある仲間だったと思います。

どうしてこんな事が起こってしまったのでしょうか。

楽しい合宿だったはずなのに、どうして、どうして、どうして。

一人消えて、二人消えて、三人消えて、四人消えて、最後に一人になっても、

私には、どうすればこの事態を回避できたのか、わかりません。

ただ、一つ思うことは、やはり、

あの碑文さえ解かなければ、こんな事は起きなかったのではないでしょうか?

~つひに行く 道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思はざりしを~


これを書いている今、この句がやけに、心に残ります。

園田海未
 

214: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:55:44.86 ID:Z4dhcZc20
22:00ホールにて

食事を終えて、ホールに行くと、真姫の祖父と碑文の書いてある石碑があった。

メンバーはそれを見て、議論を仕出す。

それは、過去二つのゲームと同じ展開。

連続殺人のスタートとも言える・・・。

黄金とは何か?

火払いの王とは?

この碑文の意味は?

いくつもの疑問が沸く、一日目。

そして、時間も時間だし、解散しようという話になる。

これもまた、過去二つと同じ展開。

真姫「私は起きているけど、あなた達は寝ないの?」

穂乃果「あれ、皆はまだ寝ないの?」

真姫「えぇ、私はまだ起きているわ、この碑文をもう少し考えたくて。」

絵里「私も起きていようかしら、なんだかワクワクが止まらなくて。」

亜里沙「私もいつもならまだ寝る時間じゃないので・・・、付き合いますよ。」

海未「私もこういうなぞなぞ、好きなんですよね。
小さい頃に見た探偵アニメの影響で、ハマってしまいまして・・・。」

にこ「私も起きていようかしら、遊び足りないしね。」

希「うちもや、こんなスピリチュアル見逃せへんやろ。」

花陽「はえぇ・・・、皆元気だねぇ・・・、私はもう眠くて・・・。」

凛「凛もだよ・・・、さすがに疲れた。」

ことり「私は今日はいいや、穂乃果ちゃん、ちょっと話があるの。」

穂乃果「・・・?あっ分かったよ、じゃあオヤスミー。」

雪穂「亜里沙、もし解けたら一割分けてね~、おやすみ。」

216: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:56:18.72 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「六人・・・?やけに多いですね。」

過去の事件では一人だったり、二人だったりしたが六人とは・・・。

しかも犯人の海未までどうどうと参加している。

亜里沙「やはり、碑文が解かれた事が海未さんを殺人に駆り立てた動機・・・?」

亜里沙はてっきり、この合宿に行く前に何かあったのかと思っていたのだが・・・。

同じ目的を持った六人は協力して調べものをしようと書個室に向かう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

219: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:58:50.00 ID:Z4dhcZc20
24:00 書個室

にこ「・・・ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!それにしても解けないわねぇ!」

海未「にこ、欠伸しないで下さいよ!移るんですよ?欠伸って。」

にこ「んな事言われても、訳わかめちゃんよ・・・。」

にこが鉛筆を放り投げながらスマホを弄る、

海未「真姫の親族が解こうとしても解けなかったんですから、
部外者の私達が簡単に解けるはずもないでしょう・・・。
でも全く進んでないという訳ではありませんよ、そうですよね、希。」

希「そうやねぇ・・・、おじい様が沖縄で黄金を見つけた事や
碑文を見る事が出来るのはここ、沖縄の別荘な事から、沖縄に関係があると思って
沖縄の地図を見ているんだけど、見つからないなぁ・・・。」

絵里「そもそも今と昔じゃ地形も違うしね・・・、これは骨だわ。」

亜里沙「そもそも『火払いの印を志す王』が分からなければどうにもなりません。
海未さん、お姉ちゃん、どう?」

絵里「ネットが使えないから本で探してはいるけど、それが予想以上に手間よ・・・。
せめて何かもう少し絞り込めれば良いんだけど・・・。」

海未「印なんて、それこそ星の数ほどありますしね・・・。」

にこ「あーもうどこにあんのよお宝ぁ!」
どさ!

220: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:59:25.33 ID:Z4dhcZc20
にこが癇癪を起こして本が机から落ちる。

その中の一冊が偶然開いたまま落ちた。

希「こらこらにこちゃん、あら、これって・・・。」

希がその本を拾う。

希「懐かしいわぁ!皆みてみい!」

希が広げたその本は、祭りの歴史書だった。

海未「うわ、懐かしいですね!小さい頃に行きました。亜里沙はありますか?」

亜里沙「私は今年行きましたよ、すごいですよね!大きい所なら何発も花火を打ち上げるんですよね?」

にこ「そうよそうよー。花火とか見ながら枝豆を食べるの最高だわー。」

真姫「にこちゃんオッサン・・・。」

亜里沙「あれ、この印・・・。」

真姫「どうしたのよ、亜里沙。」

亜里沙が指したのは、太鼓をたたいている写真だった。

亜里沙「確か、この太鼓に書かれている模様、防火の意味があったと思うんですよね。」

221: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 13:59:55.62 ID:Z4dhcZc20
真姫「防火・・・っ!火払い!!」

にこ「確かにそうともとれるわよね?この印って正確にはなんて言うのよ?」

海未「これは『巴』というんですよ、家紋としても有名ですよね、

意味は先ほど言った通り、防火・・・っ!」

にこ「どうしたの、海未。」

真姫「海未?」

海未「・・・!もしかして」

海未は碑文をメモした紙をよく見返す。

海未「これです!!亜里沙!よく見つけました!」

次に沖縄の歴史書をペラペラ捲る。

でてきたのは、琉球王国時代のページだった。

海未「尚巴志王!!これです!」

絵里「ちょ、どういう・・・?」

希「・・・なるほどな、『火払いの印』は『巴』、それに『志』す『王』で、巴志王って事か・・・。」

にこ「・・・なるほどね!!!」

真姫「にこちゃん分かってないでしょ・・・?」

亜里沙「・・・!私もそれが答えだと思います!でも次の『川を三つ下った~』 の部分が・・・。」

海未「それも・・・多分これです。」

海未が開いたのは琉球王国の位のページだった。

亜里沙「位を川と表現した訳ですか。」

222: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:00:28.41 ID:Z4dhcZc20
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

亜里沙「すごい、真姫さんが解いた時よりも何倍も速い・・・。」

黒い女「そりゃ、自力で碑文を解いた事のあるメンバーが三人もいたらねぇ・・・。」

亜里沙(でもここから何が分かるんだろう・・・?多分オチとして海未さんが

誰かに協力してもらって殺人を起こすんだろうけど・・・。)

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223: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:01:07.65 ID:Z4dhcZc20
ホールにて

絵里「真姫、この石碑の名前の所、外せる様になってるわよ!」

真姫「それで正解ね、にこちゃんがメモのアルファベットの綴りを間違えてくれたおかげで助かったわ。」

にこ「わ、わざとよわざと!」

希「スイッチらしき物があるなぁ、後はL,O,R,D,Nの順番で押していけばいいのかな?」

絵里「押してみるわ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

すると、近くのライオンの石像が動き出す。

やがて石像が止まり、手が指す方向を見ると、そこにもまた石像があり、その石像の向く先にも 石像があった。

亜里沙「ハラショー・・・。」

にこ「この石像の首が指す方向に行けって事かしら?」

海未「そうみたいですね、行ってみましょう!」

・・・黄金はすぐそこだった。

224: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:01:45.73 ID:Z4dhcZc20
書個室

絵里「はぁはぁ・・・、散々歩かされて最後の場所が書個室とは・・・。」

希「灯台元暮らしやね・・・。」

海未「でもこれで終わりみたいですよ?見てください。」

海未が指を指した先には暖炉があり、その中には先ほどは無かった階段があった。

亜里沙「黄金は近い様ですね・・・。」

真姫「真っ暗だし、結構深そうよ?懐中電灯は・・・。」

海未「その必要はなさそうです、ここにスイッチが・・・ほら。」

海未がスイッチを押すと、階段の明かりが点く。

メンバーは階段を慎重に下っていく。

すると、階段の先に扉があるのを発見する。

その扉には、

『六の欠片、九の欠片、十六の欠片、十八の欠片、三十六の欠片を引き抜いて鍵に合わせた者だけが黄金に至る。』

と書いてあった。

絵里「あたりね!」

希「そうやな・・・。」

亜里沙「えぇ。開きますか?」

真姫「やってみるわ・・・おっ・・・。」

真姫が思っていたよりもスムーズに開けられそうだったので少し驚く真姫。

真姫「いい?開けるよ・・・?」

にこ「何があるのかしら・・・?」

海未「鬼が出るか、蛇がでるか・・・。」

亜里沙「それとも黄金か、ですね。」

ギイイイイイイイイイイイイイイ

225: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:02:15.45 ID:Z4dhcZc20
重そうな扉がゆっくりと開く。

そして、黄金の積まれた部屋が彼女らを迎えた・・・。

隠し部屋

希「こ、これは・・・!」

希たちが思っていたよりは部屋はキレイだと内装に感想を持ったのは一瞬の事。

なぜならば、その中央にある山と積まれたインゴットに心を奪われ、絶句したからだ。

そして、その絶句は時が経つにつれて驚嘆へと変わる。

海未「素晴らしい!フフ、フフフフフフ!」

亜里沙「こんなに沢山・・・、見たことないわ・・・。」

絵里「ハラショー・・・。価値にして何十億以上の黄金・・・。」

にこ「目がつぶれそうよ・・・眩しい山だわ・・・。」

希「スピリチュアルやわ・・・!」

「「やったああああああああああああああああああああ!!!!」」

これほどの黄金の山は魔力を持つ。それは、人間の素直な感情をむき出しにするのだ。

・・・だから、彼女らが黄金を見つけた事は、本当にうれしかったのであろう。

彼女らはしばらくの間、まるで園児の様に笑い、抱き合い、そして転げまわったのであった。

226: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:02:50.36 ID:Z4dhcZc20
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亜里沙「何・・・?この展開は?」

黒い女「あら、ご不満かしら?」

亜里沙「不満って事は無いけど・・・、何の事件も起きずに碑文が解かれるなんて・・・。」

黒い女「今までに無かった展開って言いたい訳?」

もしかしたら、現実では殺人事件なんて全く起こらなかったという事か?

まぁ・・・その方が現実味あるけれど・・・。

ならば、これで終わり・・・?私達は一人数億を持って家まで帰宅・・・?

じゃあここにいる私は・・・?それにこの鎖・・・。

手と足に繋がっているこの鎖はなんだろうか。

これは嫌でもこの映像を見せようとする明確な悪意を感じる。

それに舞台で貼り付けになっている海未は・・・。

海未「・・・。」

海未はやはり、目の焦点が合わない。

その虚空の目に何も映してはいない様に感じる。

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227: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:03:20.55 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「・・・ん?これは・・・!」

亜里沙の稀有な一言に馬鹿騒ぎが終わる。

絵里「どうしたの!?」

亜里沙「いや・・・、ここに手紙があって・・・。」

黄金の山を中央から見たら、死角にあるテーブルにその手紙はあった。

テーブルの上にあるデカイ時計が今の時間を指している。

絵里「真姫のおじい様が書いた手紙でしょ?私達が勝手に見てもいいのかしら?」

にこ「でもここに、『黄金を見つけた者へ』ってかいてあるにこ?」

海未「・・・開けてもいいんじゃないですか?」

希「せや、真姫ちゃん、良いやろ?」

真姫「えぇ、良いでしょ。」

亜里沙「じゃあ開けますね、よっと・・・これは、通帳と印鑑ですね、

それと手紙が入っています。」

にこ「通帳?どれどれ~いくら入っているに・・・こ・・・?」

にこは愕然とする。

だって、その通帳には0が1,2,3,4,5,6,7個!!

にこ「ご、五千万円!!」

真姫「ヴェエ!?嘘でしょ!?」

にこ「嘘じゃないわよ!ほら!」

にこが通帳を真姫に見せる。

最初は半信半疑だった真姫も、0の桁を一つずつ数える度に表情を変えていった。

真姫「本当ね・・・!!!!あ、中にパスワードも書いてある。」

228: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:04:19.69 ID:Z4dhcZc20
絵里「もうなんか・・・すごいわね・・・。」

海未「手紙にはなんと書いて・・・?」

亜里沙「えーと、うわ達筆ですよメンドクサイ。」

希「読める?」

亜里沙「なんとか、えーっと、最初に遺産の事が書いてありますね。

遺産の分け前は、遺産を見つけた時にその島にいる全ての者に平等に分け与える事。」

絵里「平等!?」

海未「って事は私達にも分け前がでるって事ですね・・・。」

にこ「本当に・・・!?やった!!!!」

真姫「なんとかなったって訳ね・・・。これで病院が・・・。」

絵里「他には・・・?」

亜里沙「えーっと家族に対して書いてありますね。どうやら、真姫さんの家族は
あまりおじい様の事を良く扱わなかったみたいですね。
結構キツイ事が書いてありますよ。」

真姫「そんな・・・希の言うことは当たっていたって事ね・・・。」

希「やっぱりなぁ・・・。」

絵里「下手すれば、家族以外の者がここを発見する事もあったでしょうしね・・・。

素直に渡したくなかったんでしょう・・・。」

亜里沙「で、えっと次は・・・えっ?」

海未「どうしたのです?亜里沙?」

絵里「亜里沙?」

亜里沙「うそでしょ・・・!?」

希「どうしたん!?」

亜里沙「よ、読みますね。」

『以上として、私個人が伝えたい事は以上である。この遺産を見つけたという事は、
この島の本当の主と言うこと。なので、この島の秘密を伝える。』

海未「秘密・・・?」

『この島は戦時中、軍の基地として使われた記録を持つ。私はそこを買い取った訳だ。」

絵里「ほぉ・・・。」

『買い取ってから気づいたのだが、どうやらこの島には、大量の爆弾が眠っているらしいのだ』

にこ「大量の・・・爆弾!?」

『この事を政府に言い、除去してもらおうとも考えた。しかし、

この島を買った事を穿り返されると非常に 面倒くさい。

この島と病院は黄金を換金して建てた訳だが、あの黄金はずっと前から政府が狙っているものなのだ。

もし国に見つかったらあの手この手を使って全額取られる事は無いだろうが、

難癖をつけてかなりの額を取りにくるだろう。政府関係者はこの島には呼びたくはない。

しかし、大量の爆弾をこのまま放置しておくのも 忍びない。

そこで私は、管理の意味で、爆弾を自由に爆発させられる、そんな仕掛けを時計に施したのだ。』

希「・・・なんやて・・・?」

絵里「ちょっと待って?時計ってこの・・・時計?」

手紙のおいてあったテーブルの上にはアンティークで中々立派な貫禄のある時計がある。

229: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:05:16.28 ID:Z4dhcZc20
にこ「この時計が・・・爆発するスイッチって事なの!?」

亜里沙「その時計で間違い無いみたいです、『この手紙が置いてあったテーブルの上の時計』と書いてありました。」

『この手紙が置いてあったテーブル、その上に時計があるな?その裏側を見てほしい。左右に押すことの出来るスイッチがあるはずだ。』

真姫「・・・あったわよ!スイッチ!」

海未「本当にあるとは・・・。」

『このスイッチを右側に押したままにすると、次の24時に爆発する様になっている。

眠っている爆弾の量はおよそ900トンだそうだ。島ごと吹っ飛ぶだろう。』

にこ「900トンって・・・!そんなの爆発したら、この屋敷どころか、クレーターができるわよ!」

亜里沙「昔ある国で、列車の爆発事故があったんですが、
その威力が1トン爆弾の100倍と言われているんです。
その時は半径五百メートルの住宅が完全に崩壊したそうですよ・・・。」

絵里「仮にそれが100トンの威力だと考えても、それの九倍でしょ!?
そんなのが爆発したら・・・!」

希「跡形も残らへんなぁ・・・。」

にこ「でもそれが爆発したら全員死ぬわよ?このスイッチを押した人も。」

亜里沙「それも書いてありますね。」

『なお、この爆発が何かの事故で動いてしまった時のために、脱出路も作っておいた。

テーブルの下にスイッチがあるはずだ。それを押すと脱出路への道が出来るはずだ。』

230: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:05:44.08 ID:Z4dhcZc20
にこ「・・・あった!これね!」

にこはスイッチを押す。

すると、テーブルの横の壁が動き、通路が現れた。

中は真っ暗だ。

にこ「はーまるで映画みたいよね・・・!あいてっ!」

にこは何かに頭をぶつける。

にこ「海未!明かりをつけてー!」

海未が明かりをつける。

すると・・・

真姫「・・・なにこれ・・・。」

海未「嘘でしょ・・・。」

希「なんやこれ・・・?」

そこは通路と言うより、武器庫だった。

『その通路には、昔軍が使っていた武器もしまわれている。これも、国の者を呼べない訳の一つである事は分かるだろう。 この通路を5kmほど行くと、島の反対側にある小さな小屋にでる。その小屋の中なら爆発が起きても大丈夫だろう。 この島に隠されている事は以上だ。この手紙を読んだ者の幸福を願う。  西木野雷道朗』

亜里沙「きゅ、旧日本軍の武器庫・・・?」

絵里「ずいぶん沢山・・・。」

拳銃はもちろんの事、手りゅう弾、ヘルメット。防災ずきん、拳銃、博物館でしか見たことのない物がずらりと並ぶ。

にこ「す、すごい・・・。」

231: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:06:54.38 ID:Z4dhcZc20
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亜里沙「なんて島を買ったんですか、真姫さんのおじい様は・・・。」

黒い女「政府の人をこの島に呼べなかったのは、黄金が理由というだけじゃなかったのね。」

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232: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:07:21.43 ID:Z4dhcZc20
黄金、金とはこの世にある魔力の集合体だ。

数枚の札で簡単に人を殺してしまえるそれは、人を操る魔力を持っていると

考えていいだろう。

それと同等の価値の物が見上げる程に積み上げられていたら、この部屋にはどれほどの魔力が充満しているのだろうか。

にこ「馬鹿いわないでよ!山分けよ山分け!だって手紙にもそう書いてあったじゃない!」

真姫「それは、黄金の事でしょ!?この通帳の事は勘定に入っていないわよ!」

黄金を手に入れた者たちの叫び声が地下室を響かせる・・・。

・・・彼女たちは莫大な価値を持つ黄金を手に入れた訳だが、冷静に考えてみるとこのインゴットがすぐに 換金される訳ではない。

刻印も入って無い上に、歴史的に見てもかなり古いので、鑑定に時間がかかるだろう。

その上、県が狙っている事もある。

全額正しく換金されるかも怪しく、それがいつ頃済むのかも定かではない。

メンバーにはそれぞれ火急に大金が必要な事情があるのだ。

そして今、手元にある大金は、通帳の中の五千万しかない・・・。

彼女たちは数十億の価値のある黄金の前で、五千万の分け方について紛糾していた。

にこ「真姫ちゃん一人で謎が解けた?解けなかったでしょう!?その通帳も含めての

九等分でしょうが!」

真姫「そもそもこの遺産は私、西木野の遺産なのよ!?黄金の場所を解いてもらった事は
感謝しているけれど、それはこれ(インゴット)を換金してわけてチャラでしょうが!
それを通帳もだなんて、図々しすぎるわよ!」

233: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:07:47.44 ID:Z4dhcZc20
希「それはあなたの親族はおじい様を邪険に扱った結果やん?
それを私達に言うのは逆恨みとちゃうんか?」

にこ「それにこの島には、銃とか爆発物とか、危ない物を分かっていて所有しているわよね?これってよく分からないんだけど、犯罪なんじゃないの?」

真姫「にこちゃん、脅そうって訳?」

亜里沙「だから、それをうやむやにする分も、全て含めてチャラにして、なーかよく九等分しましょうよ?悪くない話ですよね?」

海未「ちょ、にこも亜里沙も落ち着いて・・・。」

絵里「海未、少し黙ってて!」

真姫「そこまで言うなら上等じゃない!」

真姫は手紙を手に取る。

希「何をする気や・・・?」

真姫「あなた達に渡さなきゃいけないという制約はこの、 遺言状による物よ。
もしこれが破れて無くなればあなた達は受け取る資格を失うわ!それでもいいの!?」

にこ「それがどうしたのよ!?こっちには通帳と印鑑とパスワードがあんのよ!
あんたがそれを破いたら私達もこの通帳、どうするか分からないわよ!?あんたの焦り様を見ていると、 あんたもこの通帳のお金が欲しいんでしょう!?それも全額!私達はこのお金の一部で良いけど、 あなたの所は困るんじゃない!?」

絵里「それにこの島の事、全部を警察、マスコミ、ありとあらゆる所にぶちまけるわよ?
さぞスクープになりそうだけれど、大丈夫?」

真姫「そ、その程度の事で有利になったつもりなの!?」

海未「ひっ!」

真姫は通路にあった近くの銃を手に取るとそれをにこに向ける。

234: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:08:39.83 ID:Z4dhcZc20
銃を持つ手はプルプルと震えていたが、目は獲物を狙う肉食獣の様に獰猛だった。

にこ「なーにその銃は!?それで私達を殺すの?いいわよ!やってごらんなさいよ!
あんたが殺人を犯したら、あんたの家の親はどうなるかしらねぇ?医者の娘が人の命を奪う殺人鬼とくれば、 こりゃあ大スクープよ!」

気づけば皆、武器庫にあった銃を知らず知らずのうちに持っていた。

それは、身の危険を感じての防衛本能なのか、それとも・・・。

黄金が人の本性を引き出す様に、武器には人の凶暴性を引き出す様だった・・・。

にこと真姫は相手を薄汚く罵りあいながら、とうとう取っ組み合いを始める。

豪華な地下室は、あっという間に低俗な場所と化した。

海未はその光景を訳が分からないと言わんばかりに茫然としていた。

海未「落ち着いて下さいにこ!真姫!黄金は逃げないんですよ!?
もっと冷静になってくださいよ!」

絵里「そうよ!まずは銃を下しなさい!」

希「そうや!銃を置くんや銃を!!」

235: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:15:17.58 ID:Z4dhcZc20
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亜里沙「これは、ひどい・・・!」

亜里沙はこの光景に、出来る物なら目を瞑りたかった。

当たり前だ。

自分の憧れている人たちが、金の事で相手を罵り合っているのだから。

亜里沙「皆、黄金の山に冷静さを失っている・・・、ヒドイ・・・。」

黄金の山は逃げないが、この秘密が洩れてしまったら色々面倒になるのは明らかだ。

利益が減るどころか、受け取る事も出来なくなるかもしれない・・・。

つまり、メンバーが最大利益を得ようとするのなら、

まずはメンバーがこの黄金の秘密を守るという紳士協定が必要なのだ。

もし自分がその場にいたら、仲裁をしていただろう。

しかし、画面に映っている亜里沙は、

亜里沙「・・・。」

絵里と希がケンカを止めている中、亜里沙だけは、手を口に置いて、ケンカをじっと見ている。

自分の事だからよく分かる。

あれは、考えを纏めている時に亜里沙がよく行う癖だった。

亜里沙「こんな時に私は何を考えて・・・。」

黒い女「ククク・・・。」

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236: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:16:02.48 ID:Z4dhcZc20
パアン!!!

その時、大きな爆発音が部屋内を響き渡った。

それを誰も銃声とは思わない。

だって、普通に暮らしていたら、そんな音、聞いた事がないのだから。

ボト、ボトボト・・・。

それは、真姫の顔、顎からでる血の音だった。

銃弾は真姫の顎から頭にかけて貫いていた。

海未「に、にこ・・・?」

にこ「わ、私じゃないわよ!!真姫ちゃんが突っ込んでくるから!」

にこはそう言って銃を落とす。

その銃口からは、煙が出ていて、それの役割を実行した事を表していた。

落とした金属音を合図に、真姫はゆっくりと後ろに倒れる。

ドシャア!!

海未「いやああああああああああああああああ!!!!!!」

絵里「真姫!?真姫!!!」

にこ「わ、私、私じゃない!!」

真姫が倒れた頭の位置からは、血が湯水の様にドクドクと出ている。

それが、真姫の顔を染めていく。

亜里沙「・・・・・・。」

絵里「にこ・・・、あんた!」

希「に、にこっち、あんた何で、真姫ちゃんを撃ったん!?」

にこ「わ、私は撃ってないわよ!!!ち、違うのこれは、やめろって言ったのに
真姫ちゃんが、と、とにかくこれは事故なのよ!!」

238: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:16:40.23 ID:Z4dhcZc20
そう言って一歩にこが踏み出すと、希が一歩後ずさる。

にこ「ちょっと・・・!何で逃げるのよ希ィ!?私は殺していないって言っているでしょ!」

希「こ、来ないでっ・・・!」

にこ「えっ・・・?」

希「来ないでよ人殺し!!来ないでぇぇぇぇぇぇ!!!!」

にこ「こ、殺してない!!殺していないわよ!!!」

そう言いながらにこは今度は希に飛びかかる。

にこは疑惑を晴らしたいだけの様だが、希から見てみれば、親しい友達を撃った殺人犯だ。

それが近づいてきたのだから、希は恐怖でいっぱいだった。

希「来ないで!!来ないでぇぇえ!!」

にこ「ころ、殺してないってばぁぁぁぁぁぁあ!!!」

今度はにこと希が取っ組み合いになる。

海未「ふ、二人とも冷静になってくださいよ冷静に!!」

希「誰か助けて!にこちゃんがうちを殺しにくるううううう!!!」

にこ「ちがっ!!これは事故!!事故なのよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

パアン!!!

再び爆発音が木霊する。

にこの顔に返り血がついた。

二人はにこの持っている銃で相手を押しあう様に取っ組み合いをしていたのだ。

その時にたまたま希の顎の下に入る様になって・・・銃が爆発した・・・?

希の口、いや、顎から血がとろりと出る。

それは一度出ると、勢いを増して止まらなくなった。

239: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:17:12.16 ID:Z4dhcZc20
バタンッ!!

絵里「希ぃ!!!」

にこ「うわあああああああああ!!!!う、うわあああああああああ!!!!」

海未「にこ、あなた!!」

にこ「違う!!違うのよ!!希の指が引き金に・・・これは事故よ!!」

事故、事故と繰り返し叫びながら半泣きのにこに対して、海未、亜里沙、絵里は声をかけられない。

にこ「事故よねこれは!?皆!!見ていたでしょぉ!?海未、亜里沙、絵里!!」

海未「・・・私にはそれが事故かどうか、判断できません・・・。」

亜里沙「私もそうです、偶然暴発したのか、それを装って殺したのか、私は知りません。」

絵里「私もよ、分からないわ。」

三人の表情はとても冷やかで、それがかえってにこの冷静さを失わせる。

にこ「この馬鹿!!誰がどう見ても事故じゃない!!どうするのよ!?銃で死んだ・・・事故でごまかせないわよ! どうすれば・・・そうだ・・・ここに隠せば・・・それか森に!」

絵里「そんなんで誤魔化しきれる訳ないでしょ!?警察が島中を捜索するのよ!?
そもそもなんでこんな雨の中、未開の森に二人が出かけるのよ!?メチャクチャよ!」

にこ「だ、だったら、も、燃やせばいいじゃない!セカチューみたいに燃やして灰にして海にばらまけば!!!」

亜里沙「人の死体を燃やしてもそう簡単には灰になりませんよ。
骨にする事は出来ると思いますけど、それだと銃創がありますから殺されたとバレてしまいます。
そもそも無人の島で人ひとり失踪したとなれば、どんな言い訳をしても怪しまれてしますよ。」

240: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:17:51.93 ID:Z4dhcZc20
にこ「じゃあどうすればいいのよ!?さっきから否定的な意見ばかり出していないで、あんた達も何か建設的な意見を出しなさいよ!!!」

海未「そ、そんな事を言われても・・・。」

にこ「ああああああああ!!どうすればいいのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!」

気が狂った様ににこは頭を掻き毟る。

にこ「どうすればいいのよ!!!どうすれば・・・はっ!!!!」

感情をあらわにしていたにこが突然何か、天啓を受けたかの様に上を見ていった。

海未「な、何か思いついたんですか?」

にこ「事故に見せかけるのよ・・・。」

海未「だから、その事故にするのが無理なんですよ!銃創でばれてしまいます!」

にこ「だから、銃創すら残らない、もっと、もぉっと大きな事故にするのよ・・・。」

海未「・・・どういう・・・?」

にこはゆっくりとテーブルに向かい、あるものを叩く。

それは、時計だった。

にこ「爆発事故よ!全て爆発事故に見せかければいいのよ!!!!」

にこは時計の爆発スイッチをいじりながら、舌を出して、目をぱっちり開きながら、

狂気に満ちた顔と声で言う。

それはまさに狂人の考え。

時計のスイッチを右に入れて次の24時を待てば 九百トンの爆発でこの島は跡形も無く吹き飛ぶ。

死体?そんなの残る訳ない。

そもそも爆発前に何があったかなんて、絶対にわからない。

241: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:18:21.18 ID:Z4dhcZc20
にこ「この島に爆弾があるのは手紙に書いてあった通り!
それが明日の夜、何かの拍子で爆発してしまう!
これならどう!?事故でいけると思わない!?警察にだって分からないわよ!
二人死んだのも誤魔化せるわ!!!」

海未「何を言って・・・。」

海未は何を馬鹿な事を、反論する事を考える。

しかし、ない。全てを吹き飛ばして何もかもを有耶無耶にできる!!

二人が死んだことを誤魔化せる!!!

にこ「完璧よ!さすが私!さすが矢沢にこ!!そうよ!!真姫ちゃん達が死んだのも
事故だもの!もう一個事故が起きるだけ!!!
警察への言い訳は私が考えるわよ!とにかく私達は全員明日、島の反対側にある
小屋にいた!そこで偶然爆発があって無事だった!そういう事にすれば良いのよ!」

絵里「・・・それはどんな言い訳なの?家主の真姫と希を残して全員で隠し部屋から通じる小屋に行っていて都合よく無事って・・・、無茶苦茶すぎるわよ。」

にこ「無茶苦茶でもなんでも、それはこれから考えるって言っているでしょうが!!何でもいいのよ!! 考えてよ!!あんたたちもほら!!何をぼーっとしているの!?
いいから考えてぇぇぇぇぇ!!!!!」

絵里「にこ、質問するわ。インゴットはどうするのよ?」

にこ「・・・はぁ?そんなの運べばいいじゃない運べば!!
爆発は明日の夜24時!まだ1日あるのよ!?1日あれば手分けして・・・。」

絵里「無茶も対外にして!!このインゴット何個あると思ってるの!?
500個以上はあるのよ!?・・・ライブで使うでかいアンプを二人で担ぐのもやっとな私達が、たった一日で一体何個のインゴットを、島の反対側まで通じる地下道を徒歩で往復して運べるって言うのよ!?無茶苦茶でしょ!」

にこ「このカードがあるじゃない!さっき封筒に入っていたカードが!これには
五千万入ってる!黄金は時間いっぱい運んで、それとは別に五千万円あるのよ!」

絵里「嫌よ。」

にこ「何が!?」

絵里「ここに数十億あるのよ?
どうして五千万を分割した数百万で我慢しなきゃいけないのよ?」

にこ「え、絵里・・・。」

絵里はあり得ないと言った態度で告げる。

にこ「あんた何言っているのよ!?協力する気はないの!?」

海未「もう無理なんですよ!!こんな事!!にこ、もう止めましょうよ!!」

海未が絵里とにこの間に入る。

海未「もう、止めましょう・・・?にこ、お願いがあります。」

にこ「な、何よ・・・?」

海未は半泣きになりながら、にこに告げる。

242: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:19:08.30 ID:Z4dhcZc20
海未「素直に、素直に警察に・・・自首してください!」

にこ「は、はぁ・・・!?何を言うかと思えば・・・。」

海未「事故でも故意でも、二人はもう死んでしまったんです!!
ならもうしょうがないじゃないですか!?
全てを話しましょうよ!警察に!」

絵里「確かににこが自首して事件解決っていうのはアリよねぇ・・・?事件が単純ならば、警察もそんなに詳しく調べないからこの部屋まではバレないでしょ、ただこの部屋で事件が起こった事にはしたくないわねぇ・・・?コレがある事がバレちゃうし。
・・・森とかどうかしら?雨降ってるし誤魔化せるかもよ?にこ。」

海未「ちが、私はそういう意味で言った訳では・・・!!」

絵里「イイのよ海未、さっきから事故、事故って言っているけど、それで私達が不利益を被るのはおかしな話よ、自分の罪を人に押し付けないで。」

にこ「あ、あんた達!!!!!」

絵里「いいじゃない、少年院。
未成年だし、事故なんでしょ?だったら何十年も食らう訳じゃない。
数年で出てこれるのよ?出てきて罪を償ったら、その時にこの黄金の山を分けた数十億を好きにすればいいじゃない。」

にこ「ふざけないでよ!私が捕まったら妹たちはどうなるのよ!?」

絵里「知らないわよ、そんな物。」

にこ「え、絵里ィィィィ!!」

絵里は最初からにこの案に賛成する気などさらさら無いのだ。

真姫たちの死を隠ぺいできても、利益は増えるどころか少なくなってしまう。

利益だけを追求するならば、余計な工作をせずにこに自首をしてもらうのがベストなのだ。

ただ現場を変えてほしいだけ。

しかしにこは捕まりたくはない。

数十億が数百万に変わるのは悲しいが、ここで自分が捕まったら・・・。

そもそもにこの借金はその数百万で十分おつりがくるほどなのだ。

例え数十億吹き飛ばすにしても犯罪を隠ぺいしたい・・・!

自分が捕まればどうなる?あの下衆な借金とりの魔の手は必ず妹にまで伸びるだろう。

それだけは絶対に出来ない・・・!何のために自分の初めてを犠牲にしてまで・・・!!

しかしそれは、絵里からすれば世迷言なのだ。

243: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:19:45.90 ID:Z4dhcZc20
にこ「え、絵里ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!」

にこは憤怒の形相で銃を構える。

絵里「何?今度は私を撃つの?ますます言い訳がし難くなるわよ?
三人の死に関わったなんてばれたら、いくら未成年でも相当な罪よね?
それでもいいの?にこ。」

にこ「え、絵里ィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!」

ちりちりと、二人の間で導火線の様な物に火が付くのが分かる・・・。

黄金の部屋で、死神の鎌が、ゆっくりと首にかかるのがわかる・・・。

パアン!!!!

その時、またしても銃声が響き渡る。

にこと絵里はお互いに撃たれたと思って目を瞑るが、どこにも外傷は無い。

絵里「え・・・?」

にこ「・・・?」

二人が驚きを隠せないでいると、

バタンッ!

海未が倒れた。

それは、まるで人形が押されて倒れる様に・・・膝を折りたたまずに、無機質に倒れる。

にこ「う、海未!?・・・ち、違うわよ!!私じゃない!私、本当に引き金を引いていないわ!!」

絵里「わ、私でもないわよ・・・!!あ、亜里沙!?」

亜里沙「・・・。」

動揺する絵里、にことは違い、亜里沙は冷静だった。

亜里沙は銃を静かに下し、煙の出ている銃口を服で拭う。

・・・今撃ったのが誰なのかは、明白だった。

亜里沙は飽きれながら言う。

244: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:20:51.90 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「・・・さっきから聞いていたけどお姉ちゃん、考えが足りないよ。
人が死んだ今、無刻印の、大量のインゴットを世間から隠して換金するのがどれだけ
大変か・・・。
せめて真姫さんが生きていたらどうにかなったと思うけど、真姫さんはもうこの世にいないでしょ?無理だよ、換金なんて。
換金出来ない黄金の山なんて、鉄くずの山と同じだって。」

絵里「亜里沙・・・。」

にこ「・・・ははは、そうよね?」

亜里沙は腰に手を当てて、息を吐きながら言う。


亜里沙「・・・考えてもみて下さいよ。何百個ものインゴットが換金されるだけでも目立つのに、それを本来受け取るはずだった一家の娘が怪死して、全く無関係の私達が受け取るんですよ?これで怪しむなという方が無理な話です。
警察沙汰にしない様がいいです。さっきにこさんが仰っていたみたいに、この島を吹き飛ばして証拠隠滅、インゴットが欲しいならどうぞお好きに。
一人数百万円で十分、それが正しいと思いますよ。」

にこ「あ、ありがとう!亜里沙と同じ考えでとてもうれしいわ!
警察が介入すれば何が起こるか分からない!換金なんて、できる訳ないわ!
真姫ちゃんの祖父が残したあの五千万が私達にとって手に入れられる有一のお金なのよ!
そして、それだけで十分すぎる!」

絵里「・・・有一・・・分け前・・・。」

亜里沙「そういう事ですよ、この数十億に目が眩まなければ、 私達はお金を持ってここから出られる。
この島で起きた事を 無かった事にしてね。」

もはや銃の暴発とか、事故だとか、この島では意味をなさないのだ。

明日の24時に何が起きようと、全て爆発事故という結果で上塗り出来るのだから。

にこ「それを自首しろ・・・?頭が沸いてるんじゃない!? 分かった絵里!?」

絵里「・・・・・・。」

絵里は先ほどから手を口にあてていた。

それは、亜里沙と同じで、考えを纏める時にやる癖・・・。

にこ「分かった!?絵里!!」

にこが絵里に言うのと、絵里がそのポーズを止めたのは、ほぼ同時だった。

245: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:21:17.88 ID:Z4dhcZc20
絵里はもう狼狽している様子はなく、蛇が獲物を捕食する時の様な、そんな目をしている。

絵里「・・・えぇ、やっと『分かった』わ。」

亜里沙「・・・。」

その目を見て、姉はやっと考えに至ったのか、と亜里沙は心の中でほくそ笑む。

亜里沙「やっと『分かった』のね、お姉ちゃん。」

絵里「・・・えぇ、理解が遅くてごめんなさい、亜里沙。」

亜里沙「えへへ、良いよお姉ちゃん。」

にこはそれを見て、皆が自分の意見に賛同したのだと思って、安心する。

にこ「でも亜里沙、海未を殺す事は無かったんじゃない?海未だって話せば分かってくれたわよ。」

それを聞いた亜里沙と絵里は思わず顔を見合わせて、苦笑する。

にこ「・・・何がおかしいのよ?」

亜里沙「何でもないですよ・・・。
殺す必要はありましたよ?だって、海未さんは銃を撃っていないんですから。」

にこ「・・・それはどういう意味?」

絵里「海未の銃はね、まだ発砲していないのよ、亜里沙以外が持っている銃は、一発撃つごとに撃鉄を起こさなきゃいけないの。
・・・簡単に見えて、結構難しいらしいわよ?」

にこ「何の話をしているのよ?あなたたち・・・?あり・・・っはっ!!!」

亜里沙はようやく分かったのかと、苦笑しながら銃をにこに向ける。

にこはやっと亜里沙が何の話をしているのかを理解した。

『海未はまだ撃てる銃を持っていたから先に撃った。』

そして、にこは最後まで気づかなかった。

にこと亜里沙の射線上にいた絵里がいつの間にか、亜里沙の後ろに移動していた事に・・・。

・・・なんでもっと早く気がつかなかったのだろうか。

さっきこの島では全てが爆発で上塗りできると、理解したはずなのに・・・。

246: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:21:54.31 ID:Z4dhcZc20
にこがとっさに姿勢を低くするのと同時に亜里沙の銃が牙を剥く。

パアン!!

だが、人間が実弾より早く動ける訳はない。

にこ「っ!ああああああああああああああああああ!!!!」

亜里沙の弾は、にこの腹部に着弾した。

にこの体を激痛が襲い、思わず蹲り、腹に手を当てる。

にこ「はぁ・・・!はぁ・・・!」

その手は赤く染まっていて、腹からは泡立ちながら血が噴き出していた。

絵里「・・・ごめんなさいね、にこ。」

絵里はにこの持っていた銃を拾い、弾数を確認する。

にこ「え、絵里ィィィィィィ!亜里沙ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あ、っごふ!
・・・最初から、あんた達、これが狙いで・・・!」

絵里「私が気づいたのはさっきだけどね、亜里沙はそのつもりだったみたいよ?」

亜里沙「そろいもそろって、頭が弱いんですね、先輩方。
爆弾の仕掛けを聞いた時、この島から秩序が消え去った事に気がつかないなんて。」

もちろん絵里も亜里沙も最初から独り占めを狙ったわけではない。

亜里沙が最初に銃を取った時、亜里沙はこの銃の弾倉の見方を知っていたのだ。

何故ならば、亜里沙は勉強熱心で、日本が好きだからだ。

だから、日本の歴史についても勉強したし、日本が戦争で使った道具ももちろん勉強していた。

それでこの銃に入っている銃弾は二発と気づいた。

そう、亜里沙の銃では絵里を除いても一人殺せないのだ。

だから真姫、希が殺された時、亜里沙は驚いた。

事故が足りない銃弾を満たしたのだ。

実際に撃つのはもちろん初めてだが、銃の撃ち方と、リロードの仕方だけを覚えておけば

この距離なら誰でも当たる・・・。

二度目の暴発事故で、この虐殺劇はすでに約束されていたのだ。

247: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:23:54.86 ID:Z4dhcZc20
にこ「あんた達ィ!!よくも!っ私をぉ!!」

にこは、亜里沙、絵里を呪い殺す様な目で睨む。

そんなにこを、亜里沙は見下ろしながら、

亜里沙「こういう時に言う言葉は日本なら確か・・・、悠々なる哉天襄、 遼々なる哉古今、 五尺の小躯を以て比大をはからむとす、 ホレーショの哲学竟に・・・なんだっけ?」

絵里「・・・『何等のオーソリチィーを値するものぞ、 万有の真相は唯一言にしてつくす、
曰く『不可解』、我この恨を懐いて煩悶終に死を決す。』よ。
でも亜里沙、辞世の句はこれから死ぬ人が言う物だし、必ずこれを言う訳じゃないのよ?」

亜里沙「へぇ~、また一つ勉強になったよ、ありがと、にこさん。」

そう言うと、亜里沙は落ちている海未の銃を拾い、にこの額に当てる。

・・・銃口は、嫌に冷たく感じた。

にこは己の死期を悟る。

にこ「あああああああああああぁああぁぁぁ・・・呪ってやる!!!あんた達!地獄に堕ちろ!!」

亜里沙「それが辞世の句?・・・じゃあね、にこさん。シーユーアゲイン、また、会いましょ?」

パアン!!

発砲音と共に、にこの頭はぶちまけられ、身体が一、二回跳ねた後、動かなくなった。

絵里「・・・五千万の通帳と印鑑は?」

亜里沙「えっと・・・、あった。床に落ちていたよ。」

亜里沙はそれらを拾い、ポッケにいれる。

真姫の祖父が残した五千万の通帳。

それだけで十分だ。

数十億の価値のある黄金があるから分からなくなる。

人はほんの数十万で十分殺し合いが出来るのだ。

それが、五千万。

今通帳の金は、絵里と亜里沙によって独占された。

248: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:24:21.97 ID:Z4dhcZc20
絵里「この中に五千万かぁ・・・、
微妙な額よねぇ・・・、一生働かなくてもいいって言うほどの金額じゃないし。」

亜里沙「まぁ、借金は返せるからいいじゃないの、その後は『今』を片付けてから決めようよ。」

屍だらけの黄金の部屋で、二人はいつもと変わらない笑顔を浮かべあう・・・。

絵里「どうしましょう?これから。」

亜里沙「聞くまでもないでしょ?」

亜里沙は武器庫から銃を選ぶと、それに合う銃弾を見つけ、弾をこめていく。

亜里沙「時計のスイッチをオンにして、明日の二十四時を待つだけだよ。」

絵里「海未達の姿が見えないと、騒ぎになるわ。」

亜里沙「・・・騒がせなければ良いだけでしょ?」

絵里「・・・やっぱりそうなるわよね。」

亜里沙「覚悟を決めて。お姉ちゃん。ここまで来たら、五千万を得るか、死ぬかだよ。」

絵里「・・・そうね、そうよね。」

亜里沙はテーブルに上り、時計にある爆弾のスイッチをオンにする。

これで明日の二十四時に、この島は全て吹き飛ぶ。

亜里沙「じゃ、行こっか?」

亜里沙の声はこれから遠足にでも行くような、そんな明るい声だった。

絵里「・・・ええ、やりましょう。」

今、第二の虐殺劇が幕を開けたのだった。

249: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:25:55.37 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「そ、そんな・・・!」

こんなバカな話があるだろうか。

映像を見ていた亜里沙は驚愕する、

まさか自分が殺人犯になっているなんて。

亜里沙「しかも、別に誰に先導された訳でもなく・・・。」

完璧に自分の判断で行っている。

そして、これから行う事は・・・。

亜里沙「あ、ああああああ、あああああ、ああああ!!!」

亜里沙は段々と思い出す。

自分がどれだけ恐ろしい事を行ってきたのかを。

亜里沙「お、おえええええええええええええ!!!!」

黒い女「あらあら、汚いったらありゃしない、ちゃんと見なさいよ。

これが、あなたのしてきた事よ?」

亜里沙「う、嘘だ!嘘嘘だ嘘だ!!!嘘嘘嘘嘘嘘だ!!!!あなたは嘘をついている!!!

仮に私が殺したとしても、それはループした世界であって、現実の世界でh」

黒い女『今映っている映像は全て本物で、現実のものよ?』

亜里沙「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおうわああああああああああああ!!」

魔女にしか使えない力ある言葉で言われたら、身も心も信じてしまうしかない・・・。

それは、真実。

ただただ、真実でしかない・・・。

250: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:26:30.71 ID:Z4dhcZc20
25:10 ことりの部屋

穂乃果「あれ、真姫ちゃんからメールだ。」

ことり「なんだって?」

穂乃果「起きている?だって。」

ことり「どうしたんだろ?碑文解けたのかな?」

穂乃果「ことりちゃんと、いるよ・・・っと。」

穂乃果「それならすごいよね!あ、またメール来た、早いな。
ええっと、見せたい物があるから、一人で管理室に来てくれだって。」

ことり「見せたい物・・・?一人で?なんだろうね?」

穂乃果「分からないけど、とにかく行ってくるね、メール返しとこ、りょ、う、か、いっと。」

ことり「はーい、行ってらっしゃーい。」

穂乃果は何の疑問も抱かず、管理室に向かった。

251: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:28:26.85 ID:Z4dhcZc20
書庫室

亜里沙「お、返事返って来た返って来た。」

絵里「穂乃果から?」

亜里沙は真姫の携帯をポイと捨てる。

亜里沙「そうそう、これから管理室に来るってさ。」

絵里「そう、じゃあ決めた通り、私も先に行ってくるわね。」

亜里沙「お姉ちゃん、本当に私がやらなくてもいいの?」

絵里「・・・いいのよ、姉として、妹だけにこんな事させられないわ。」

亜里沙「・・・そうじゃなくて、お姉ちゃん、メンバーを殺せる?
今頃になって良心の呵責とか、出てきたんじゃない?」

亜里沙は絵里を見ながら冷たく笑う。

絵里「・・・見損なわないでよ、もう後には引けないわ。」

亜里沙「・・・。」

本来ならば、穂乃果を呼び出した所を二人で襲うのが一番安全だろう。

しかし、絵里自らが一人でやらせてくれと亜里沙に志願したのだ。

亜里沙は少し考えたが、結局はそれに賛成した。

絵里に覚悟を宿らせる為だ。

ここで亜里沙が全てをやってしまってもいいが、それだと絵里に『手を汚す』という覚悟が宿らない。

絵里自信に自ら手を汚させる事で覚悟をさせる事が出来るのだ。

・・・亜里沙は人間のそういう心理的な物をとても深く理解していた。

亜里沙「・・・・・・。」

絵里「・・・・・・・大丈夫よ、心配しないで。」

亜里沙の冷酷な視線に絵里はつい顔を背けてしまうが、すぐに振り向いて言う。

絵里「五千万が手に入るかどうかの瀬戸際なのよ、こんなチャンス二度と来ないわ。」

亜里沙「・・・、さっすがお姉ちゃんだよ、じゃ、行ってらっしゃい。」

絵里「えぇ、すぐに済ませてくるわ、亜里沙は?」

亜里沙「私は上にいることりさんと、・・・雪穂をやってくるよ。」

絵里「そう、お互いがんばりましょ。」

絵里は銃を持って管理室に向かった。

252: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:28:55.86 ID:Z4dhcZc20
亜里沙はため息をつくと、返り血のついたエプロンを脱ぎ、放り投げる。

亜里沙「お姉ちゃん大丈夫かなー、どう思う?凛さん、花陽さん。」

放り投げたエプロンの先には、凛と花陽が血まみれで倒れていた。

凛は首をすっぱりと切られ、花陽は腹に穴が片手で数えきれない程空いている。

誰が見てもその最後が容易に想像できた。

亜里沙「さてと、穂乃果さんが管理室に向かうまで、隠れていようかな。」

亜里沙は二人を差し置いて隠れる場所を探す。

右手には銃、左手にはナイフを持っていて、今の亜里沙は完全な殺人鬼だった。

253: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:29:32.02 ID:Z4dhcZc20
隠し部屋

海未「・・・ん?ここ・・・は・・・。」

確か自分は亜里沙に撃たれて・・・、

海未は体を確認すると、特に痛みは感じなかった。

弾は頭にあたったが、少しかすった程度で、致命傷には至らなかった。

この部屋には真姫、希、にこの死体。

まさに死屍累々という言葉が相応しい死の部屋・・・。

海未「そ、そうだ・・・!亜里沙と絵里は・・・!」

亜里沙はすでにいなかった。

海未はまわりを見渡すと、 時計の爆弾のスイッチがオンになっている事に気付く。

海未「まさか・・・にこが言っていた事を実行するために・・・。」

海未はそれを見て、まだ自分に出来る事があると気づく。

海未「穂乃果や皆が危ない!助けないと!!・・・!いっつ!」

海未は頭に手を当てる。

掠ったとは言っても銃弾だ。

少し出血していた。

海未はふらつきながらも武器庫に行く。

テレビでよく見るオートマチックの銃を選ぶとそれを持って試し打ちをする。

海未「亜里沙と絵里はきっと皆を殺す・・・。それだけはさせちゃいけない!!」

それは、銃弾の入っていた箱から銃弾が乱暴に掴み取りしていった痕跡があったからだ。

それは、それだけの量の弾を使うという意志が残されている。

海未「無事でいて下さい・・・皆!」

海未はゆっくりと一階を目指すのだった。

254: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:30:20.32 ID:Z4dhcZc20
管理室

その後、管理室で迎えられた穂乃果は、リビングで見せたい物があると絵里に言われて後をついていく。

穂乃果「絵里ちゃん、見せたい物って何?それと真姫ちゃんはどこなの?」

絵里「真姫は今、ある物を持ってここに向かっているのよ。
ちょっと重いからね、少し手こずっているのかも。」

穂乃果「何それ!?もしかしてぇ!もしかするの!?」

絵里「フフー、穂乃果は驚くと思うわ、
まぁそこに座っていなさいよ、今紅茶を淹れてあげるわ。」

穂乃果「ありがとー!」

穂乃果はそわそわと落ち着かない様子で席に座る。

碑文を解くと言っていたチームの一人が見せたい物があると言うのだ。

期待しない方がおかしいだろう。

穂乃果が座った事を確認すると、絵里は予め机の上のバスケットに隠しておいた拳銃を取り出す。

それは、穂乃果から見れば背になっているので気がつかない。

穂乃果「絵里ちゃんは、何か知っているんだよね!?」

絵里「もちろんよ、きっと、喜ぶと思うわ。」

穂乃果「ねぇねぇ!?それってもしかして、おうg・・・、」

振り返った穂乃果の顔の鼻先に、小さい金属がぶつかる。

それが銃口だとすぐに認識すれば見てからでも回避出来ただろう。

・・・しかし、日本に住んでいる普通の女子高生には少々酷な事なのかもしれない。

穂乃果「・・・えr」

パアン!!!

255: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:31:05.37 ID:Z4dhcZc20
雪穂の部屋

パアン・・・。

雪穂「・・・何?今の音は?」

雪穂はぐっすりと寝ている最中だった。

が、今の物音で思わず起きてしまう。

雪穂「雷・・・でもないよね?」

それは、子供のころにクラスの悪がきが仕込んだ爆竹を思わず踏んでしまった時の様な、そんな音だった。

雪穂「・・・?」

雪穂は上に服を羽織ると、ゆっくりと扉を開ける。

ギイイイイイイイイイイイイイ

廊下にひょいと顔を出すが、特に異常は見られない。

が・・・、

雪穂「あれ、何で扉開いているんだろ?」

部屋の一室の扉が開いているのだ。

確かあの部屋はことりの部屋なはず・・・。

何で開けっ放し・・・?

雪穂「何かあったのかな・・・?」

雪穂はことりの部屋に近づき、中を覗き見る。

雪穂「ことりさーん、います・・・きゃあああああああああああああああ!!!」

雪穂は、ことりが玄関の真ん前で死んでいるのを発見する。

何故倒れているでは無く死んでいると分かるのか?

雪穂「うわああああああああああああ!!」

緑色の可愛らしい服は、今や血塗られた花が咲き、首からは上は、やはり赤く染まっている。

その出所は、腹と、額のど真ん中。

そこから穴が開いていて、血が噴き出しているのだ。

雪穂「いや、いやああああああああああああ!!
何これ!?こと、ことり、いやあああああああああああ!!!!!!!」

雪穂は急いでドアを閉める。

256: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:31:31.44 ID:Z4dhcZc20
それは、これ以上現場を荒らしてはいけないと思ったのか、

はたまた、これ以上死体を見たくないと思ったのかは分からない。

雪穂はへたり込みながら無意識に後ずさる。

コツン。

雪穂「えっ・・・?」

雪穂は背中に何かが当たったのと同時に、目の前に自分を覆う様に影が出来たのを感じる。

雪穂はゆっくりと上を見る。

雪穂「えっ、亜里沙、その姿どういう・・・、」

そこにはいつの間にか、血まみれの亜里沙が笑顔で立っていて、右手で何かを力いっぱい振り上げていた。

それは、廊下の明かりに反射してうまく見る事が出来ない。

たた、それは細長く、光が反射している事から金属の様な物なんだろうなぁ、と雪穂が思った所で振り上げられた何かが雪穂に向かって振り下ろされた。

ゴン!!

視界が揺れ、目の前が赤く染まる。

雪穂が倒れるのと、金属バットで頭を殴られた痛みを感じるのは同時だった。

雪穂「あああああああああああああああああ!!い、痛い!痛いよぉ!!!!」

亜里沙「・・・雪穂、来ちゃったんだ。ことりさんを殺す時に、拳銃を使ったのが失敗かぁ・・・。」

雪穂「くっ痛い・・・痛い!!あ、亜里沙・・・?亜里沙なんで・・・?ことりさんをってまさかっ・・・!?」

雪穂は何故か腰から下を動かす事は出来なかった。

亜里沙はゆっくりと雪穂に馬乗りになると、金属バットを振り上げて、頭めがけて振り下ろした。

ごんっ!!

ゴンッ!!

グシャアア!!!

雪穂「ああああああああああ!!!!!やめて!!痛いよ亜里沙!!!あああああ!!」

雪穂は頭を腕で庇うが亜里沙はお構いなしと頭を狙って何度も金属バットを振り下ろす。

頭に当たらない代わりに、手や指、腕に当たり、爪が飛び、小指と人差し指、薬指が折れた。

257: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:31:59.99 ID:Z4dhcZc20
ごん!!

ごんっ!!

ごんっ!!

雪穂の言葉に亜里沙は答えず、頭を狙って振り下ろす。

雪穂「やめて、いたいいたいいたいいたいいたいよぉぉぉぉ!!指折れてるんだよやめてよおおおおおおおお!!!!あっ、ああああああああああああああああ!!!!!」

雪穂の左手が、力を無くした様にペタンと床につく。

肘にバットが当たり、骨が折れてしまったようだった。

亜里沙「はぁ・・・、はぁ・・・。」

亜里沙は静かにバットを下す。

雪穂「な、何で、何でこんな事するの!?ヒドイ!!ひどいよ亜里沙!」

亜里沙「・・・ごめんね?雪穂?痛い?本当なら痛みも感じる暇なく逝ける様に
寝ている所を襲おうと思っていたんだよ?でも雪穂起きちゃうから・・・。」

雪穂「何で?なんでこんな事するの?ことりさんを殺したのって亜里沙だよね!?
ねぇどうしてよ!?答えてよ亜里沙!!!!」

雪穂は半ば狂乱になりながら亜里沙を糾弾する。

それに対して亜里沙の返事はあっけない物だった。

亜里沙「雪穂、この事は忘れて?」

雪穂「は・・・?何を言って・・・。」

亜里沙「この事は忘れてよ、雪穂。
明日の夜には全てが無かった事になっているからさ、
突然の事故で、私とお姉ちゃん以外はみーんな死んじゃうの。
それまで私達は、これでもかって言うくらい楽しんでいたんだよ。
μ'sは、世界で一番仲が良くて、数いるスクールアイドルの中でも
とびっきり最高のチームで、私の憧れの先輩たち『だった』。
・・・そうなるんだよ。だから、これは夢なの、忘れて?雪穂」

亜里沙が何を言っているのか、雪穂に意味が分かる訳もない。

雪穂が分かるのは、亜里沙が自分を殺す事に、なんら躊躇していないという事・・・。

・・・かわいくて優しくて、頭の良い、一番の親友が、どうして・・・。

雪穂は訳も分からず、涙が溢れる。

258: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:32:28.21 ID:Z4dhcZc20
雪穂「亜里沙ぁ・・・、どうして・・・こんな事を・・・。」

亜里沙「ゴメン、続きはまた『今度』にしよ?お姉ちゃんが待っているから。」

雪穂「っ・・・!絵里先輩まで・・・!どうして・・・。」

亜里沙は金属バットを静かに雪穂の額に乗っける。

それは、銃口を額に突きつける行為のそれと似ている・・・。

後は、銃なら引き金を引く様に、

バットなら、振り上げて、そこ目がけて思いっきり振り下ろすだけ・・・!

亜里沙「じゃあね、雪穂、私の一番の親友。シーユーアゲイン。」

亜里沙はバットを振り上げるが、一方で雪穂は片方の腕で頭を庇う事もせず、亜里沙を見ながら泣きじゃくっていた。

雪穂「もういやよ・・・、これは夢なの・・・、そうよ、じゃなきゃ・・・、亜里沙が
人を殺すなんて、信じられない。」

それを見て雪穂は何の躊躇いも無く、狙った場所目がけてバットを振り下ろす。

ゴンッ!!

ゴリッ!!

バットを通じて、何かが割れる感触を味わう亜里沙。

それでも何度も何度もバットを振り下ろしていく。

ゴンっ!!

ゴンッ!!!

ゴンッ!!!!

その度に、亜里沙の顔に、服に、真っ赤な飛沫が付いた。

亜里沙「ねぇ、ねぇねぇ?痛い?・・・雪穂痛い?私、今どんな顔しているのか、なっ!
多分笑っていると思うんだけどっ・・・さ!私を見てよ!雪穂!!雪穂!!」

ゴンッ!

ゴンッ!!

ゴンッ!!!

グシャアア!!!!

259: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:33:18.32 ID:Z4dhcZc20
最初は振り下ろす度に反応のあった雪穂の体も、両の手で数えられない程振り下ろしたら、

何も反応しなくなった。

しかし、亜里沙はバットを振り下ろすのを止めない。

別に、亜里沙は雪穂に対してなんら恨みは持ってないし、親友だと今でも思っている。

じゃあ何故ここまでするのか・・・?

亜里沙自身、それは分かっていなかった。

普通、親友をこの手で殺したとなれば、悲観的な気持ちになるはずだ。

では、何故自分は、口角を釣り上げている?

何故、腹から声を出したくて、出したくてしょうがないのだろう・・・?

ゴンッ!!

亜里沙「くっくく。」

ゴンッ!!

ゴンッ!!

亜里沙「くっくっくくくく・・・クキキキキキキキキキキキ、クッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

ゴンッ!!!

ゴンッ!!!!

破壊音、打撲音、金属音、粉砕音、そして、亜里沙の笑い声。

それらを混ぜた音がこの場を支配する。

すでに雪穂の顔は目は潰れ、鼻は折れ、歯も飛び、もはや血塗れの肉塊と化していた。

亜里沙「雪穂ぉ、この気持ちはなんだろう、教えてよぉ雪穂ぉ!
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

グシャアア!!!!!!!

亜里沙はきっと気づくだろう。

この惨劇が、この音が止む頃には、きっと・・・。

260: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:34:04.37 ID:Z4dhcZc20
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一階ホール

パアン!!!

海未「!?」

海未は、今日だけで片手でも足りない回数を聞いた音を聞く。

海未「銃声!?穂乃果!?」

海未はよろけながらリビングを目指す。

そして、なんとかリビングにたどり着くと、

絵里「・・・。」

絵里が血まみれで倒れている穂乃果を見ている所だった。

海未「ほ、穂乃果・・・、穂乃果ぁ!!!」

絵里が海未に気付く。

絵里「海未っ!?あなた、生きていて・・・。」

海未「動かないで!!!」

海未は絵里に銃を突きつけた。

絵里「・・・。」

海未「よくもぉ・・・・、よくも穂乃果を・・・。」

絵里「・・・亜里沙の馬鹿、運が良いわね、海未。」

海未「えぇ、おかげ様で生きていましたよ!!でも穂乃果は、穂乃果はもう・・・、よくも!!!」

海未は涙を流しながら銃を構えてゆっくりと絵里に近づいていく。

絵里(躊躇は・・・、してくれないか・・・。)

261: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:34:41.90 ID:Z4dhcZc20
悲しみと怒りに震える銃口が、自分の胸元を狙っている事を感じとり、絵里は
少しずつ後退りながら必死に知恵を絞る。

絵里(どうする・・・?拳銃にはもう弾は残っていない。
ポッケには入っているけれど、この状況じゃ・・・。
リロードするのに八秒、いや、せめて五秒あれば・・・っあれは!)

絵里は自分から見て三歩下がり、左に四歩進んだところにソファがあるのを発見する。

絵里(なんとか注意を逸らしてソファまで駆け込んでリロードできれば・・・いける!!)

絵里「お、落ち着いてよ海未!!その銃を下して!!私だって、こんな事望んでいなかった!仕方なかったのよ!!」

海未「人を殺しておいて、仕方なかったで済ませるんですか!?ふざけないで下さいよ!!」

絵里(なんとか、注意を逸らして、・・・そうだ!!)

絵里「と、とにかく話をしましょうよ!ことりもここに来る事になっているの!
あ、ことりー!!」

絵里はさも廊下からことりがやって来たかの様に、声をかける。

海未「えっ・・・。」

海未の関心がそちらに向き、後ろを向く。

絵里(やった!!)

絵里は海未が後ろを向くと同時にソファまで駆けて行った。

絵里(後二歩でソファに・・・、)

パアン!!

262: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:35:47.42 ID:Z4dhcZc20
銃声が聞こえると同時に、走っていた絵里は姿勢を崩し、蹲る。

玉は絵里の腹に命中した。

絵里「・・・っくっ!!」

絵里は傷口を手で押さえながらソファに向かおうとするが、

パアン!!

絵里「ああああああああ!!!」

海未に足を撃ち抜かれ動けなくなった。

海未「絵里、あなたは私と同じで、嘘が下手くそなんですよ・・・!」

絵里「フフフ、ダメ・・・だったかぁ・・・。」

海未は絵里の銃を蹴り飛ばし、額に銃口を突きつけた。

海未「絵里!!!ことりは!?皆は無事なんですか!?」

絵里「・・・ゴメンね、海未、・・・・・・凛と花陽はもう殺したわ。
ことりと雪穂も・・・亜里沙が今頃、殺していると思う・・・。」

海未「そんな・・・!嘘・・・嘘ですよね!?絵里!?嘘って言って下さいよ!!」

絵里「・・・書庫室に花陽と・・・、凛がいるわよ。」

海未「絵里・・・、あなたって人は・・・嘘ですよ・・・!」

嘘と言いつつも、海未には絵里の言っている事が全て本当だと分かっていた。

たった一年間だが、ほぼ毎日の様に一緒にいたのだ。

だからこそ、分かってしまう。

今の絵里の言葉が、嘘ではない事を分かってしまう。

絵里「・・・どうして、こんな事に・・・、なったの・・・、かしら。
自分で引き起こしてナン・・・だけど・・・、わからなくなって・・・きちゃ・・・
ごめ・・・ね、・・・み・・・。」

海未「絵里!?絵里!!!」

海未が最初に撃った弾は急所を打ち抜いていたのだ。

絵里「ごめ・・・ね・・・。」

絵里はそういうと、目を閉じて息を引き取った。

海未「絵里・・・、そうだ穂乃果!!!穂乃果は!?」

263: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:36:16.72 ID:Z4dhcZc20
急いで穂乃果の元に駆けつける。

が、穂乃果の顔は見れた物では無かった。

目は開いたままで、後頭部には飴玉ほどの大きさに、

ひき肉状の穴が開き、血をぶちまけながら中身を晒している。

その中はソーセージの皮の様な脳みそと、脳髄の真っ赤なゼリー。

それを中でグルグルにかき回してから降った後の様な汁が

頭と目、鼻、耳、口という穴という穴から出ていた。

海未「穂乃果ぁ・・・!くっ、うううううううううううう!!!!!!!」

海未「くうううう!!!!・・・いやっ!まだです!!」

海未は立ち上がる。

メソメソしていられない。

ことりと雪穂も今、命を狙われているのだ。

・・・もしかしたら、まだ間に合うかもしれない!

海未「急がなくては・・・!」

海未が部屋を出ようと振り向いたその時、

264: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:36:44.94 ID:Z4dhcZc20



     亜里沙「あー・・・、やっぱりお姉ちゃんダメだったかぁ・・・。」

265: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:37:15.19 ID:Z4dhcZc20
部屋の入口に、いつの間にか亜里沙が立っていた。

海未「・・・亜里沙!!!」

亜里沙「なーんか、嫌な予感はしていたんですよ。
こういう時の私の予感って大抵当たるんですけど、今回も当たっちゃったみたいですね。
こんな事なら、やっぱり一人ずつ呼び出して殺すべきだったんだよなぁ・・・。
そのせいで、雪穂を殴り殺す事になっちゃうし・・・。」

亜里沙の体は、血に塗れていて、髪から血をポタポタと垂らしている。

その風貌は、立派な殺人鬼たる姿だった。

絵里が死んだにも関わらず、亜里沙には焦りも狼狽も無い様に見える。

ただ目を瞑って手で頬に付いた血を拭い、ウンウンと頷いて目を開けた時には亜里沙は笑みを取り戻していた。

海未「なぐり殺すって・・・、亜里沙、あなた、その金属バット・・・。」

扉に立て掛けている金属バットはボコボコに凹んでいて赤く黒ずんでいる。

・・・どの様にして、その形状になったのかは明白だった。

亜里沙「あぁ、これですか?」

カランカラン・・・。

亜里沙は海未に向かって金属バットを放り投げる。

床に落ちたそれは血の線を引きながら、ゴロンゴロンと海未に向かって転がっていき

・・・海未の靴に当たり、紅く染めた。

亜里沙「しっかし、私もショックですよ、海未さん。」
あんだけ近くにいたのに、殺すどころか、傷一つ無いとは。
銃の才能は、私にはどうやら無いみたいです。」

海未「そんな事はどうでもいいんです!!ことりは、雪穂は!?
その金属バットはなんですか!??答えなさい亜里沙!」

亜里沙「ことりさんと雪穂ですか?お姉ちゃんから聞いていません?
殺しましたよ?この金属バットは雪穂を殺した時に使った物です。」

当たり前の事を聞くなと言わんばかりに顔をしかめる亜里沙。

海未「殺しましたよって、・・・!どうしてそんな事が出来るのですか!?
あなたは、私達に憧れていたのでしょう!?
雪穂だってそうです!!あなたの一番の親友じゃないのですか!?」

亜里沙「雪穂は今でも親友だと思っていますし、μ'sも私にとって、永遠の憧れですよ?
でも、それはそれ、これはこれです。
生かして朝を迎えれば、騒ぎになって面倒になります。
この島は別に連絡の取れない吹雪の中の山荘でもなんでもない。
今は雨と風で閉鎖的な空間になっていますが、メールや電話は使えるんです。
メンバーの一人がいなくなったら、誰かがそれを使って助けを求めるかもしれないですよね・・・?
爆発事故にしておきたい私にとっては、これが極めてベストな方法なんですよ。」

266: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:37:44.17 ID:Z4dhcZc20
海未「あなたそれでも人間ですか!?お金の為に人を殺すなんて!!」

亜里沙「資本主義のこの世の中で、お金はいわば、命の様な物、栄養です。
それを養う為に他者を殺す事が、そんなに悪い事ですかね・・?
それに、あなただって、内心これで良かったと思っているんじゃないですか?」

海未「っ・・・!?どういう事ですか!?」

亜里沙「簡単な話ですよ、もしあのまま銃の暴発が起こらなかったら、私達は
ずっと口論を続けていたでしょう。
そうすれば、海未さんなら、いえ、あの場にいた全員が私と同じ答えにたどり着き、
実行したんじゃないですか?」

海未「そんな事・・・、考えもしませんよ!普通の人なら!!」

亜里沙「どうですかね・・・?現にお姉ちゃんは遅かったとは言え、私の企みに気づきましたし、にこさんもこの島を爆発させれば証拠を隠ぺい出来る所までは気づきましたよ?
賭けてもいいですが、もしあのままにこさんの策に乗っかって、私とお姉ちゃんと海未さんが気づかなければ、確実に殺されていたでしょうね。」

海未「・・・。」

亜里沙「そういった意味では、あの場にいた全員が殺人鬼なんですよ。
ただ、考えが早いか遅いかの違いなだけ・・・。
海未さんもですよ?あなたがならなかったのは、暴発に救われた事と、私とお姉ちゃんが先に考えに至ったから、ただそれだけです。
もし海未さんがあの中で誰よりも考えが早かったら、あなたが私の役をやっていたと思います。」

海未「・・・・・・・・・っ!」

・・・わからない。

しかし、海未も亜里沙に言われてうすうすそうかもしれないと思えてきた。

あの時、自分は暴発に救われただけで、口論が続けばにこや、亜里沙に殺意を持ち、それを実行したのかも・・・?

海未はその可能性を否定できない。

その答えは、欠片を渡る事の出来る、魔女にしか分からない。

・・・海未が殺人を犯していた未来も、あるのかもしれない。

だから海未は、銃を握りしめながら、沈黙するしかなかった・・・。

267: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:38:23.61 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「現に、あなただって、私のお姉ちゃんを殺したじゃないですか?」

海未「っ!ちが、違いますよ!あれは正当防衛です!仕方がなかったんですよ!」

亜里沙「『人を殺しておいて、仕方がなかったで済ませるんですか』って海未さん、お姉ちゃんに言いましたよね?」

海未「う、うるさい!!元はと言えば、あなた達が原因じゃないですか!!
あなた達が殺さなければ、こうは!!」

亜里沙「そうです、私達のせいですよ!いやぁ、凛さんも、花陽さんもとても良い悲鳴でしたよ、雪穂なんて、バットで振り下ろす度に体がビクビク震えてね、本当に楽しかった!」

海未「こ、この悪魔め・・・!!」

亜里沙「今この別荘で生き残っているのは、私達だけ。
勝った方が、五千万を手に入れる事が出来る。」

そう言って、亜里沙はポケットから銃を出し、海未の胸のド真ん中に狙いをつける。

亜里沙「さぁ、通帳と印鑑は、ポケットに入っていますよ!欲しいですよねぇ?五千万!私を殺せば手に入れる事が出来ます!同じ殺人鬼同士、殺し合いで決着をつけましょうよ海未さん!!ククク・・・あははははははははははははははははは!!」

海未「この、悪魔めえええええええええええええええええ!!!!!!」

亜里沙「クックックックッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒイヒヒヒ、あははははははははは!」

パアン!!

パアン!!

銃声が二つ重なる。

亜里沙「・・・。」

海未「・・・。」

ドシャア!

倒れたのは海未だった。

海未の撃った弾は外れたのだ。

亜里沙は銃を下して、高笑いをする。

亜里沙「ふっふっふっふっふっふっふっ!はははははははははははははははは!!!」

パアン!!!!

亜里沙「はっ?」

亜里沙は聞きなれた音を聞く。

それは、さっき自分が発した音と同じ音だったからだ。

亜里沙は自分の体が倒れていくのを感じながら、自分の胸を見る。

268: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:39:04.69 ID:Z4dhcZc20
そこからは、血が吹き出し穴が開いていた。

亜里沙「バ・・・な・・・ど・・・し・・・。」

亜里沙は最後の力を振り絞ってなんとか顔を上げる。

海未はフラフラと血まみれの腹をかばいながら穂乃果の方へ向かって行った。

・・・なんて事はない。

海未は撃った瞬間、強い立ちくらみに襲われて姿勢を崩してしまっただけの事。

それで、亜里沙は狙った場所に当たらず、腹にあたり、海未に至ってはあたりもしなかった。

しかし、亜里沙がとどめを刺さずに銃を下げてくれたおかげで、海未はスキをついて撃つことが出来たのだ。


亜里沙「ちく・・・しょうが・・・。」

亜里沙は絶命する。

殺人鬼のあっけない最後だった。

海未「はァ・・・はァ・・・。」

海未はなんとか穂乃果の元へたどり着く。

即死は免れたが、急所を撃ち抜かれた事に変わりは無い。

海未は自分の命がもって後わずかだと確信した。

海未「穂乃果ァ・・・!」

ダンッ!!

海未は拳を地面に打ち付ける。

後少し早ければ・・・、助けられたのに・・・!

海未「あっ・・・」

海未が穂乃果の横で倒れる。

もう海未には目の前が何も見えなかった。

海未(くっそ・・・!)

海未の意識は深い底へ沈んでいった。

269: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:39:30.83 ID:Z4dhcZc20
魔法の欠片 欠片番号1934348538938593942個目

海未「ここ・・・どこですか・・・?」

海未はゆっくりと目を覚ます。

そこは上下左右真っ黒な不思議な世界。

そこに海未は浮いていた。

まるで宇宙の中にいるみたいだ。・・・と思った。

その周りをまるで小惑星が飛ぶかの様に赤、白、黄色と、綺麗な色の欠片が動いている。

黒い女「あら、目覚めた様ね、おはよう海未、調子はどう?」

ピンクの女「ずいぶん派手な展開だったわねぇ・・・。ま、お疲れさま。」

海未「ここは・・・?あなた方は?」

黒い女「私達は魔女。
そうね、人間よりも上の存在だと思ってちょうだい。」

ピンクの女「それと、これを覚えてる?」

ピンクの女が指を振ると丸い球体が出てきた。

その中には小さい別荘のような建物が入っている。

海未「ジオラマ・・・?ですか?」

黒い女「そう。このジオラマは真姫の別荘、あなた、ここで殺されたでしょ?」

海未「・・・はい、そうですね、私は亜里沙に・・・殺されました。」

ピンクの女「本当なら、そのはずだったんだけど・・・私が生き返らせてあげたのよ!」

黒い女「感謝しなさいよ?こんな事滅多にないわ。」

海未「は、はァ・・・。ありがとうございます・・・。」

ピンクの女は気をよくしたようで、

ピンクの女「うんうん。素直な子は好きよ、私。ところであなた、大切な人、守りたくない?」

海未「え・・・?」

ピンクの女「今までの事は私達は全部見たわ、あの高坂穂乃果って子、好きなんでしょ?」

海未「べべ、別に好きとかそういうんじゃ・・・。」

ピンクの女「ああ、はいはい分かっているから。

それでね、助けたくない?穂乃果を。」

海未「・・・はい。助けたいです。」

ピンクの女「あなたを助けたのだから分かると思うけど、私達は人を自由に生き返らせる事なんてちょちょいのちょいなのよ。」

ピンクの女「だからもし言うことを聞いてくれれば穂乃果だけとは言わず、全員助けてあげるわよ。」

海未「本当ですか!?」

ピンクの女「えぇ本当よ。言うことを聞いてくれればね?」

270: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:39:59.84 ID:Z4dhcZc20
海未「何ですか・・・?穂乃果を助けるためなら、悪魔にでも魂を売りますよ・・・!」

その言葉に二人の魔女はニヤリと笑う。

ピンクの女「上出来よ!実は今ね、そこにいるネクラな魔女と賭けをしているのよ。」

海未「賭け?」

ピンクの女「そうよ、賭け。これから起こる殺人事件を解くことが出来るか、それとも

その前に全滅するか、をね、あなたにはそれを手伝ってほしいのよ。」

海未「なるほど・・・つまり私にその事件を解けと・・・。」

ピンクの女「んにゃ?違うよ?だって私は『解けない』方に賭けているんだもの。あなたにやってほしいのは・・・。」

271: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:40:38.71 ID:Z4dhcZc20


     ピンクの女「あなたの親友を含めたμ’sを皆殺しにする連続殺人鬼の役よ。」

272: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:41:12.73 ID:Z4dhcZc20
海未「・・・!!」

海未は衝撃を受ける。

海未「私に・・・人殺しをやれと・・・言うんですか・・・。」

ピンクの女「そうよ、舞台となるのはあなたがさっきまで過ごした別荘よ。
状況も同じ、メンバーも同じ。
そこであなたには台風が去る前にμ’sを皆殺しにしてほしいのよ。」

海未「そんな・・・!そんな事無理・・・・!」

ピンクの女「じゃあこの話はオシマイね、違う人に任せよっかなァ・・・、高坂穂乃果とか。」

海未「分かりました・・・。」

ピンクの女「何がよ?」

海未「その役、引き受けます。」

ピンクの女「ほぉ・・・?二言はないわね?」

海未「ちゃんと、成功したら最後には全員生き返らせるんでしょうね?」

ピンクの女「もちろんよ。」

海未「じゃあ、やります。

ちゃんと皆を殺します・・・。」

ピンクの女「上出来よ、ルールを言うわ。

あなたにはこれから『殺人鬼』として『探偵』に完璧にばれずに殺人を実行してメンバーを皆殺しにする事。

仲間は何人いても構わないわ。でも最後には必ず殺しなさい。

もう一つ、絢瀬亜里沙を殺すのは最後にするか、亜里沙の推理を聞いて、犯人が間違っていたら殺してもいいわ。」

海未「亜里沙を最後に・・・?まさか・・・。」

ピンクの女「そう、賭けをしていると言ったでしょ?私があなたに賭ける様に、」

黒い女「私にも、賭ける人がいるのよ。それが、亜里沙。『探偵』よ。」

海未「なるほど・・・、あなた達、趣味の悪い屑野郎ですね。」

ピンクの女「その屑のゲームをやるあなたは、なんなのかしらね・・・?」

海未「覚悟はしてますよ。私はもう汚れています。しかし、いくら自分を汚しても、穂乃果だけは守りたいんです。」

ピンクの女「その覚悟よし!行ってらっしゃい!あの日へね!!!」

海未の前が緑から赤から黒くなり、眩しくなる。

海未は思わず目つぶった。

あの惨劇を、今度は自分の手で、起こさなくてはいけない。

海未(やってやります。そして、必ず!皆を生き返らせて見せます!)

273: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:41:47.30 ID:Z4dhcZc20
一週目終了後

海未「何故ですか!?ちゃんと私は殺人を遂行したじゃないですか!?」

ピンクの女「完璧に、て言ったでしょ?確かに亜里沙を殺す事が出来たけど、
事件の一部は、過程はどうあれ解かれてしまい、真姫はそれを認めたわ。
あなたは『探偵』に事件を解かれずに殺人をしなければいけないのに、
一部とはいえ解かれてしまった。
これは頂けないわよね?」

海未「そ、そんな・・・!?」

ピンクの女「ただ、完璧に解かれた訳でもない。
私だって鬼じゃないわ、九の成功を、一の失敗があったからって台無しとは言わないわよ。
だから、今回は引き分けって事にしてあげるわ。」

海未「引き分け・・・、と言うと?」

ピンクの女「私も、向こうも、この結果で終わらせる気は無いって事よ。
だから、もう一回、再戦するのよ。
もう一回ね。」

海未「再戦って・・・、また私に仲間を殺させるのですか!?
また、十一人を、穂乃果を殺せって・・・、そんな!?」

ピンクの女「しょうがないじゃない、あなたがミスったんだから。
それとも降りる?別に良いわよ?そしたら、違う人にやってもらうだけだから。」

海未「っ・・・!くっ・・・、分かりました、殺します!今度こそは、完璧に、殺せばいいんですよね!?」

ピンクの女「そうよ、殺しなさいな、皆を救う為に、生き返らせる為に、その血塗られた手で、ね。
自分の手を汚してまで救おうとする絶対の意志が、あなたに力を与えるわ。
・・・ルールはおって、伝えるわね。
くっくっくっくっ!あははははははははははははは!!!!」

海未「今度こそ、今度こそ、完璧に、完璧に殺さなければ・・・、もう私は殺したくない、穂乃果を、皆を殺したくない、でも救わなければ、殺さなければ、救えない・・・。
っうっううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!」

274: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:42:18.33 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「あっあああああああああ!!!!!」

亜里沙は今こそ本当の真実を知る。

こういう事だったのだ!

亜里沙はずっと今まで海未が全ての元凶だと思っていた!

だが、違うのだ!

全て亜里沙が自ら起こした事で、それを助けるために海未が・・・!

亜里沙「うっうううううううううううう!!!!」

自分が愚かで、情けなかった。

どうしてこんな大事な事を忘れてしまったんだろうか。

ピンクの女「いやーやっぱ人が真実を知る時の顔はいいわァ・・・ぞくぞくするもん。」

ピンクの女「海未の時もすごかったわよ。引き分けってなった時の顔と言ったら!

やっとの思いで海未はかつての親友を殺したって言うのに亜里沙が中途半端に解くもんだから

もっかい初めからだもんねー。あんときの海未、気がくるってたんじゃない?」

黒い女「あなたが『完璧に』なんてつけるからよ。あなたの完璧主義には聞いて飽きれるわ。」

ピンクの女「中途半端に勝って後腐れが残るならすぱっとやってボロ負けした方がマシだわ!

別に勝つのは退屈を紛らわす手段であって目的じゃないもの。」

黒い女「あら、負け惜しみ?」

ピンクの女「そんなんじゃないもん!・・・さて・・・、負けた子には罰ゲーム、といきますか。」

275: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:43:03.61 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「!?海未さんに何をするつもりですか!!」

黒い女「簡単よ、一番ヒドイ欠片(平衡世界)に入れて死ぬまで遊びつくすの。」

亜里沙「!?そ、そんな!!辞めてください!するなら私にしてください!」

ピンクの女「だーめ、あなたは勝者でしょ?それに、あなたが代わっても、この子が

ぶち込まれるのはもう決定しているのよ。あなたは一人助かって、真姫の別荘を出る。」

亜里沙「そこを何とかお願いします!海未さんを助けたいんです!お願いします!!」

亜里沙は膝を折って、頭を下げる。

魔女たちはそれを黙ってみていた。

すると、ピンクの女はある事に思いついたのか、突然笑みを浮かべ、黒い女に耳打ちする。

276: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:55:14.46 ID:Z4dhcZc20
黒い女「それは、いいわねぇ・・・。」

途端、黒い女も笑みを浮かべる。

ピンクの女「・・・亜里沙、顔を上げなさい。良いでしょう。
あなたのその態度、そして今までのゲームでのあなたの功績に免じて、
もう一度、ゲームをしましょう。
それをクリアする事が出来たのならば、メンバー全員を生き返らせてあげる。」

亜里沙「ゲーム・・・?」

黒い女「今までと同じ、真姫の別荘で起こる殺人事件。
あなたはそこで『探偵』になってもらう。
ね?簡単でしょ?」

亜里沙「・・・分かりました。『探偵』として、事件を解いて、『殺人鬼』が誰かを推理するんですね?」

ピンクの女「いいえ、事件はもう解かれているし『 殺人鬼』の正体はもう判明しているわ。」

亜里沙「事件はもう解かれている・・・?じゃあ何をしろと・・・?」

ピンクの女「その前に、次の対戦相手を紹介するわね。こいつよ。」

ピンクの女が、紅茶の入ったティーカップを垂らす。

紅茶は地面を濡らす前に煙と化し、人型の姿を作っていく。

亜里沙「・・・まさか!そんな!」

ピンクの女「今、現実の世界で、この事件について沢山の考察がされているわ。
その中で、今一番信憑性のある犯人説。それが・・・。」

煙から現れたのは、青と金色の、血まみれのドレスを着た、青い長髪のストレートの女性。

首には逆十字のネックレスを下げており、瞳は暗く、片手にはトゲの付いた鎖が何重にも絡みついて、

そのトゲを伝って血が垂れている。

亜里沙「海未さん・・・!?」

それは、見た目だけならば、園田海未の形をした物だった。

ピンクの女「紹介するわ、亜里沙。

彼女は現実世界において一番信憑性のある犯人説を概念化し、固定化した存在!『園田海未犯人説』、ウミよ!!」

亜里沙「そ、そんな!!現実の世界では、海未さんが犯人とされているんですか!?」

事件から六年後に流出した、『音野木坂文書』

事件の顛末は流出しなかったが、状況と人物のセリフから、ネットを通じて沢山の者が考察を始め、

沢山の推理、考察が掲示板に公開された。

その文書はある人物が犯人を紛らわせるために書いた者・・・。

だがネットの住民は、少し描写が細かなだけでそれを真実と捉えた。

その文書を元にした考察は、当然文章を作成した者の思い通りの考察となる。

星の数ある考察のうち、殆どが犯人は園田海未であると論じられていた。


277: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:55:56.85 ID:Z4dhcZc20
『園田海未犯人説』と呼ばれたモノは、亜里沙をチラリと見て口を動かす。

その姿からは、これから処刑される魔女の様に、痛々しくも、禍々しいオーラの様な物を
感じられた。

ウミ「初めまして、『園田海未犯人説』、ウミと申しマス。本件において、『絶対』と『奇跡』、御両名の魔女の推薦により、あなたの対戦相手に選ばれまシタ。宜しくお願い致しマス。」

ピンクの女「ウミには『殺人鬼』、そして物語の語り手をやってもらうわ。」

絢瀬亜里沙「・・・あなた、海未さんじゃないんですか?」

ウミ「あなたの仰っている『うみ』と私は違いマス。
そもそも私は人間界において存在はせず、概念化した存在デス。」

亜里沙「・・・つまり、海未さんの形をした偽物って訳ですね?
・・・容赦しませんよ。」

ウミ「あなたが何を言おうと、私が犯人である事は多くの大衆によって望まれて決められた事実デス。真実とは、大衆が決めるものデス。大衆によってつるし上げられた魔女は、拷問より滴る血を持って赤き真実とし、火あぶりの刑を受けなければいけまセン。」

亜里沙「・・・あなた、海未さんじゃないですね。
海未さんは、ちゃんと自分の芯を持っている、とても強くて、
メンバーを助ける為であれば、自分の手を何度も汚す、そんなカッコいい女性なんですよ。
あなたみたいな弱い女性じゃない!!」

ウミ「・・・。」

ピンクの女「亜里沙、あなたがこれから開く物語、それはあなたが
何もしなければ、一人の人間が『犯人』として釣るし上げられ、処刑される。
まるで、証拠がない事を証拠とされる様な、魔女狩りの様にね。
あなたの勝利条件、敗北条件を伝えましょう」

ピンクの女は亜里沙にハートのシールの貼ってある、手紙を渡す。

亜里沙はそれを開けると、二つの条項が書いてあった。

278: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:56:42.33 ID:Z4dhcZc20
=====================================
以下のゲームにおいて、絢瀬亜里沙の勝利、敗北条項を記す。

勝利条項
この物語において、『園田海未を除いた者から事件を推理し、犯人を探し当てる事』

敗北条項
この物語において、『園田海未が犯人と認める事』

========================================

279: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 14:57:33.97 ID:Z4dhcZc20
亜里沙「これは・・・?」

ピンクの女「今からウミには、『園田海未犯人説』の物語を語ってもらうわ。
劇中では殺人事件が起きる訳だけどそこには、園田海未が犯人でなければ説明が出来ない事件が起き、犯人が園田海未だという証拠も沢山見つかる。
あなたはそれを聞いてもなお、『園田海未犯人説』を否定し、真犯人を見つけ出す事が出来るのか?そういうゲームよ。」

亜里沙「・・・園田海未が犯人だという証拠はあるが、園田海未が犯人ではないという証拠は無い・・・。そんな中でも私は海未さんを信じて犯人を捜さなくてはいけない。
まるで、悪魔の証明との対決ですね・・・。」

黒い女「その通りね。この物語はもう、園田海未が犯人という事でオチがついているわ。
物語の1から10までが決まっている以上、そこに入り込む余地は無いわ。
それでもやる?もちろん負ければ、分かっているわよね?」

魔女との取引だ。

もし負ければ、それは死よりもつらく、辱めのある罰を受けるだろう。

しかし、それでも亜里沙は迷わなかった。

亜里沙「やります!私は、絶対に負けません!!!」

ピンクの女「よく言ったわ!じゃあウミ、亜里沙!!始めなさい!!!!」

ウミ「・・・愚かな人でスネ。あなたは今、完結した物語を相手に、違う結末を与えようとしていマス。それがどれほど傲慢で、無謀な事か、知りなサイ。」

亜里沙(海未さん、絶対あなたを助けて見せます!!だから、もう少し待っていて下さい!!)

ピンクの女と黒い女は、舞台の上から姿の見えない客席に向かって、手を叩き、叫ぶ。

ピンクの女「さぁ!!ここに泣いても笑っても!最後のゲームが始まるわよ!!
今までのゲームとは少し違う、魔女のゲーム!お気に召してもらえると、大変うれしいわ!!」

黒い女「『絶対』と『奇跡』の名において、どちらが勝っても負けても、魔女好みの美味しい展開になる事は、保障するわ・・・。」

その言葉に、一斉に観客席からは、拍手が渦巻く。

パチパチパチパチパチパチ!!!!!!パチパチパチパチパチパチ!!!!!!
パチパチパチパチパチパチ!!!!!!パチパチパチパチパチパチ!!!!!!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!パチパチパチパチパチパチ!!!!!!パチパチパチパチパチパチ!!!!!!パチパチパチパチパチパチ!!!!!!パチパチパチパチパチパチ!!!!!!パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!

先ほどと同じく、その姿は見えず、拍手の音しか聞こえない。

ピンクの女も黒い女も、それは同様だった。

だが、この時、奇しくも彼女たちと客席の『ヤツラ』の表情は同じだった。

ピンクの女「くっくくくくくくくく!!魔女のゲーム!!あぁ・・・、楽しみだわ。
亜里沙、あなたが『真実』にどこまで対抗できるかどうか、楽しませてもらうわよ・・・。」

黒い女「フッフフ・・・!ほんっとうに退屈しない、良いオモチャを手に入れたもんよ。
でも、もうダメ、同じネタを四度もやれば退屈はすぐにでもやってくる!!
だからこれで最後。
その分、おもいっきり使って、使って!使って!!使い潰して!!!盛大にぶっ壊してあげるわ!!キッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!」

それは腹を空かせながらも、獲物を今か今かとじっと見つめる猛禽類・・・!

今、魔女による、魔女のための、最後のゲームが幕を開けたのだった。

「「きっひひゃ!!!くっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひくっひゃははははははははははははははきひひひひひひひひひひくはははははははははは!!!!」」

280: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 15:00:51.56 ID:Z4dhcZc20
<キャスト>

絢瀬亜里沙

園田海未

黒い女(ベルンカステル)

ピンクの女(ラムダデルタ)

ウミ(園田海未犯人説)

矢沢にこ

西木野真姫

絢瀬絵里

東條希    高坂穂乃果

南ことり   星空凛

小泉花陽   高坂雪穂

真姫母





絢瀬亜里沙「本当の犯人は、あなたです。」に続く。


引用元: 絢瀬亜里沙「犯人は・・・あなたです。」ver2.0