1: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 13:28:20.52 ID:Vk55g1D70
響「記念すべき第一回は、司令室特別スタジオからお送りするよ」

提督「なんで俺が仕事中なのに秘書艦がそういうこと始めるの?」

響「パーソナリティは私、鎮守府の白き不死鳥、響と」

暁「鎮守府ナンバーワンレディ、暁よ。よろしくね」

提督「話を聞いてくれませんかね」

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2: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 13:32:15.78 ID:Vk55g1D70
提督(まあ、ラジオごっこなんて可愛いもんか…)

響「ちなみに、遊びじゃないからね」

提督「え?」

暁「明石さんと夕張さんが暇つぶしに開発したこの機材、なんと本物!」

響「鎮守府全域に放送されてるよ」

提督「開発担当が暇になるほど平和だったかなあ、この辺…」

3: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 13:37:03.94 ID:Vk55g1D70
響「さっそく始めよう。といっても、勢いだけで始めたからね、なにをすればいいかよくわからない」

響「というわけで、リスナーの言葉を適当に拾っていこう。お便りもたくさん届いてるしね」

提督「一回目なのに?」

暁「細かいことはいいじゃない」

響「記念すべき最初のお便りは、この人だね」

響「ラジオネーム、なのですさん」

提督「ちょっとは正体を隠そうという気概を見せろよ」

4: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 13:40:41.73 ID:Vk55g1D70
響「お姉ちゃんがなかなかピーマンを食べてくれないのです。どうすればいいですか?」

響「だそうだよ、暁」

暁「べ、別に私と決まったわけじゃないじゃない!」

響「じゃあ、食べられるのかい?」

暁「うっ…」

暁「…」

暁「………たっ、食べられるわよ!」

響「そう言うと思って用意しておいたよ」

暁「えっ」

5: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 13:44:50.91 ID:Vk55g1D70
響「司令官、例のものを」

提督「なんで仕事中の俺がウェイターの真似事を…」



響「調理済みのものがこちら」

暁「…」

暁「なにこれ」

響「ピーマン炒め」

暁「ほんとにピーマンしかないじゃない! 普通お肉とかも一緒に入れるでしょ!?」

響「ピーマン大好きな大人のレディなら、これくらい食べられるはず」

暁「!」

7: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 13:50:09.58 ID:Vk55g1D70
暁「…」

暁「い、いいわ! やってやろうじゃない!」

提督「とうとう暁が大人の階段を上るのか…」

響「あ、そうだ。司令官」

響「暁がピーマンを食べる様子を実況してくれないか?」

提督「どういうことだよ」

響「これ、ラジオだから。音声だけだと、暁の勇姿がみんなに伝わらないからね」

提督「仕方ないな…あとで仕事手伝ってくれよ」

響「もちろん。往年の古舘さん的な実況をよろしく」

提督「お前は俺に何を求めているんだ」

8: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 13:55:02.82 ID:Vk55g1D70
響「不死鳥ラジオ、緊急特別企画」

響「暁、ピーマンを食べる。スタート」

暁「…」

提督「震える手で箸を取った暁…おっと、箸をこぼしてしまった!」

提督「宿敵を目の前に、それほど緊張しているということでしょうか!」

響「苦手なだけだよ、箸」

暁「…」

提督「ヤジにも反撃できない! 額に浮かんだ汗が、彼女が極限状態にあることを教えてくれます!」

響「意外とノリノリだね、司令官」

9: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 13:59:39.30 ID:Vk55g1D70
提督「おっと、目を皿のようにして、暁、なにかを探している!」

提督「現実から目をそむけるな! その皿には、ピーマン以外のものはないぞ!」

響「…いや、違う。あれは」

暁「…」

暁「!」

提督「意を決したか、暁! いまゆっくりと箸を…おおっと、あれは!」

提督「小さい! つまみ上げたピーマンは、わずか数センチの極小サイズだー!」

響「小さいのを探していたようだね」

12: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:04:32.40 ID:Vk55g1D70
暁「…」

提督「小さな敵とにらみ合う暁! だが、私の気のせいでしょうか! 暁、顔が引きつっているぞ!」

響「ピーマンは強敵ということだね」

暁「…」

提督「さあ、勝負の時! ゆっくりと、慎重に箸を口に近づけ…」

暁「やっぱり無理いいいいい!」

提督「あーっと! 暁、敵前逃亡! 宿敵の匂いに気圧されたか!」

提督「無念! これは無念です! 箸を投げ捨て、椅子をひっくり返した暁、一目散に部屋から逃げ出しました!」

響「壁にぶつかってたけど大丈夫かな」

14: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:09:25.34 ID:Vk55g1D70
響「そういえば、なのですさんのお便りに答えてなかったね」

響「今のように、苦手な人は見た目とか匂いだけでも拒絶反応を起こすからね」

響「定石ではあるけど、細かく刻んでほかの料理に混ぜてあげるとか、そういうのがいいかもしれない」

提督「あーあ、椅子ちょっと欠けちゃったなあ…響、気は済んだか?」

提督「パーソナリティが片方いなくなったんじゃ、続けられないだろ」

響「そんなことはないさ。そもそも、相方は毎回変えるつもりだったし」

提督「第二回以降もやる気なのか…」

響「それに、ゲストも呼んでるしね。予定より早いけど、出てきてもらおうかな」

15: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:16:43.74 ID:Vk55g1D70
響「今日のゲストはこの方。年末年始で完全にデレたと話題の」

響「曙」

曙「ちょっ、誰がデレたのよ、誰が!」

提督「ほう、曙がゲストか」

曙「なによ、文句あるの? クソ提督!」

提督「いや、こういうのは金剛とか那珂とかがいの一番に名乗りを上げるイメージだったからな」

響「司令官は、こういう遊び心がわかる曙は素敵だ、と言っているよ」

曙「なっ…」

16: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:19:51.35 ID:Vk55g1D70
提督「え? いや、そこまでは…」

曙「ふ、ふん! ご機嫌とろうったって、そうはいかないんだから!」

曙「クソ提督!」

提督「ほら、軽率な発言じゃ彼女の機嫌を損ねるだけだぞ」

響「司令官は、戦況だけじゃなくて女心を読む勉強もするべきだね」

響「曙にも、たくさんお便りが届いているよ」

提督「人気者なんだな」

曙「そ、そんなことないと思うけど…」

17: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:23:25.93 ID:Vk55g1D70
響「ラジオネーム、提督と紅茶LOVEさん」

提督「もう本名でいいよ」

響「あなたは提督のことが大好きなのに、どうしてあんな態度をとるんですか? 私にはよくわかりません。教えてください」

提督「活字だと流暢だなあいつ!」

響「むしろ、活字で片言になるはずないと思うけど」

響「で、どうなんだい?」

曙「だ、誰が大好きですって!?」

曙「そんなわけないじゃない!」

18: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:29:14.06 ID:Vk55g1D70
提督「そりゃそうだろう。まったく、金ご…提督と紅茶LOVEは何を考えて」

曙「…」ゲシッ

提督「痛っ!? 蹴るな蹴るな!」

響「まあ、司令官のこれは仕方ないとして…」

響「曙、提督と紅茶LOVEさんに答えてあげてくれないかな」

曙「だ、だからそういうのじゃないって…」


「ヘーイ! 聞き捨てなりまセーン!」バーン


提督「おおっとぉ! 金剛が扉を粉砕してのダイナミックな登場だー!」

提督「…ってなにやってんだ!」

金剛「テイトク! さっきの実況、very goodネー!」

提督「どうでもいいわ!」

19: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:33:32.51 ID:Vk55g1D70
金剛「ボノボノー、素直になった方が自分のためですヨー」

曙「ぼ、ぼのぼの?」

曙「い、いや、だから私は別に…」

金剛「じゃあ、テイトクのこと、嫌いデース?」

曙「…」

曙「ずるいじゃない、そんな聞き方。首を縦に振る奴、この鎮守府にはいないわ」

金剛「私もそう思いマース! さあ、ボノボノ! テイトクLOVE勢として、いっしょに頑張りまショー!」

曙「ら、ラブ…!?」

金剛「ボノボノをティーパーティーに招待デース! さあ、レッツゴー!」

20: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:35:46.10 ID:Vk55g1D70





響「さて、ゲストが勝手に帰ってしまったし、第一回はここまでにしておこうか」

提督「第二回はいつやるんだ?」

響「私の気が向いたら、かな。不死鳥は自由なんだ」

提督「その理屈はよくわからんな…」

響「気が向かなかったら、今日が最終回になるかもしれない」

提督「自由すぎないか」

21: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/01(水) 14:37:24.13 ID:Vk55g1D70
響「聞いてくれてありがとう。次回があれば、また会おうね」

響「さて、司令官。約束通り、仕事を手伝うよ」

提督「そうだな。まず…」






提督「扉、直すか」

響「そうだね」

27: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 20:22:51.51 ID:R9q+g9KI0
響「こんばんは。不死鳥ラジオの時間だよ」

提督「不死鳥ラジオの時間は昼なんじゃないのか」

響「言ったじゃないか、不死鳥は自由。気が向けば、朝でも昼でも夜でも、世紀末でも不死鳥ラジオの時間さ」

響「今日も司令室特別スタジオから、鎮守府の白き不死鳥、響と」

雷「鎮守府の母、雷がお送りするわ! よろしくね!」

提督「今回もここでやるのか? 俺が仕事中なのに?」

響「金剛さんたちからのリクエストでね。曰く…」


「テートクの声が聞けて、very happyデース! 今後も期待してマース!」


響「だって」

雷「同じようなリクエストがたくさんあったみたいよ。人気者ね、司令官!」

提督「お、おう…」

28: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 20:25:58.25 ID:R9q+g9KI0
響「ところで、前回の放送で苦情が来ていてね」

雷「あら、そうなの?」

響「ラジオネーム、メシウマさんから」

提督「苦情もラジオネームで受け付けてるのか…」

響「我らのアイドル、ボノボノの出番が少ない。訴訟」

雷「たしかに、出番短かったわよね」

響「ノープランで臨んでたからね。反省点かな」

提督「いや、あれ金剛のせいだろ」

29: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 20:30:28.48 ID:R9q+g9KI0
響「というわけで、今日はコーナーをちゃんと考えて来たよ。第六駆逐隊のみんなと一緒にね」

雷「暁はピーマンのせいで寝込んでたけどね」

提督「そんなに深刻なダメージが…」

響「まずは、いわゆる『ふつおた』のコーナー。リスナーのみんなから寄せられたメッセージに答えていくよ」

雷「近況報告とか、お悩み相談とかね」

響「あと、司令官への文句とか」

提督「なんでだよ」

響「ちなみに、このコーナーに限らず、読むお便りは二通厳守で行くよ」

雷「あら、どうして?」

響「1通だと少ないけど、3通だとダレる」

響「気がする」

30: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 20:41:34.90 ID:R9q+g9KI0
響「まず一通目。ラジオネーム、猫じゃないにゃさん」

響「散歩していたら、猫じゃらしを振り回す子供たちに絡まれたにゃ。笑顔で走り回る強敵だったにゃ」

響「でも、日が暮れるまで粘ってたら逃げるように帰って行ったにゃ。子供がこのタマを手なずけようなんて100年早いにゃ」

提督「たまの休暇に何やってんだこの猫」

雷「真顔でにゃって言う響はシュールね」

雷「ところで司令官、今のって、たまとたまをかけたギャグなの?」

提督「たまたまだよ!」

響「たまだけにね」

提督「うるせえ!」

31: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 20:46:32.97 ID:R9q+g9KI0
響「2通目。ラジオネーム、ウサギさん」

響「虫を捕まえるために罠を張ったら、司令官が引っ掛かったっぴょん! 大爆笑ぴょん!」

提督「あれあいつかよ!」

雷「なんで虫の罠に人がかかるの?」

提督「外歩いてたら、突然上からバカでかい籠が降ってきて閉じ込められたんだよ」

響「その時のびっくりした司令官の写真がこちら」

提督「ま た 青 葉 か」

響「欲しい方は響まで。格安で提供するよ」

32: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 20:50:26.06 ID:R9q+g9KI0
響「じゃあ、今日のゲストに登場してもらおう」

雷「どうぞー!」

山城「はあ…姉さまと静かにお茶を飲む時間なのに、どうして私はこんなところに」

山城「不幸だわ…」

提督「と言いつつ付き合ってやるのか」

山城「駆逐艦の子のお願いを断るような、器の小さい女じゃないの」

山城「はあ…」

提督「でも、露骨な溜息はどうかと思う」

山城「そもそも、おしゃべりは得意じゃないのよ。姉さまと二人きりならともかく…」

33: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 20:53:52.64 ID:R9q+g9KI0
響「改めて、今日のゲストは」

雷「改二実装で大活躍! 航空戦艦の時代をけん引するのは、間違いなくこの人!」

雷「山城さんよ!」

山城「よろしくおねがいします。はあ、空はあんなに…」

山城「今、夜だったわ。姉さまのセリフをパクってお茶を濁すことも許されないなんて、不幸だわ…」

提督「愛しの姉さまの扱いが雑だぞ」

響「さあ、今日は何をするかをちゃんと考えてるからね。山城さんには、たくさん喋ってもらうよ」

山城「視聴率がガタ落ちしても、責任はとれないわよ…」

34: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:00:40.16 ID:R9q+g9KI0
響「まずは、こちら。ゲストのトークコーナー」

響「山城さんにはこれを振ってもらって、お題に沿った話をしてもらうよ」

山城「サイコロ…?」

提督「熱心に仕事してるかと思ったら、これ作ってたのか」

雷「響、工作上手なのね! よくできてるわ!」

響「自信作だよ」

山城「それはいいけど、苦情が来ないかしら。最近、パクリとかヤラセに厳しいけど…」

提督「まあ、鎮守府内限定の放送だし、それは大丈夫だろ」

35: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:04:56.23 ID:R9q+g9KI0
響「今日のテーマは、この6つだよ」

雷「テーレレ、テッテン!」

山城「効果音もセルフなのね」


・不幸な話

・胃に穴が開きそうになった話

・心が痛くなった話

・テンションが下がる話

・笑えない話

・今日の当たり目


山城「不幸だわ…」

提督「ギャグを通り越して悪意すら感じるラインナップだな…」

36: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:07:06.75 ID:R9q+g9KI0
響(案ずることはないよ、司令官)

提督(なに?)

響(実は、このサイコロには細工がしてあってね)

響(当たり目が出るようになっている)

雷(そ、それってヤラセなんじゃ…)

提督(いや、こういう場でくらい、山城にいい思いをさせてやってもいいだろう。ナイスだ、響)


響「じゃあ、山城さん。サイコロを」

山城「わかったわ…」

37: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:10:54.22 ID:R9q+g9KI0
響「なにが出るかな、なにが出るかな」

提督「歌う時も真顔なのか」

雷「テレレレッテ、テレレレン」

山城「…」


コロコロ


提督(って、サイコロの動きが不自然すぎる!)

雷(あれじゃあさすがにバレ…)

山城「…」

雷(目が虚ろだー!? サイコロが視界に入ってない!?)

提督(今まで、くじとかでいい思いをしたことがないんだろうな…)

38: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:15:25.76 ID:R9q+g9KI0
響「司令官、実況。リスナーのみんなは、今ぽかーんとしているよ」

提督「おっと、そうだな」

雷「司令官は実況というポジションを受け入れているのね…」

提督「さあ、徐々にさいころが減速してきました! 狙うは当然6分の1、当たり目!」

雷「あ、いけそう! 山城さん、当たりが出るかも!」

山城「え…?」

提督「最後の力を振り絞って、サイコロがゆっくりと前転する! 1回…2回…」

響「もう1回転がれば…」

山城「当たり…? 私が…?」

39: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:18:47.77 ID:R9q+g9KI0
雷「いけ! そこよ!」

提督「3回………止まったあ! 山城、引いたのは…」

山城「姉さま、やりま」


パリーン


響「!?」

雷「!?」

山城「!?」

提督「!?」

雷「え? え? なに!?」

提督「…なぜか窓ガラスをぶち破って飛来したサッカーボールがサイコロに直撃」

提督「出目を変えてしまった…」

山城「不幸だわ…」

提督「っていうか誰だよ、こんな時間にサッカーやってんの!」

40: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:23:38.31 ID:R9q+g9KI0
響「ノーカン、かな?」

山城「いえ、いいわ。これが私の宿命だというのなら」

山城「私は受け入れる、扶桑型の妹の方として…!」

雷「山城さん…!」



提督「いや、感動するところじゃ…っておい、武蔵! 大和! 部屋に戻れ!」

「出撃させてもらえないのだから、こうしてストレスを発散しているんじゃないか」

提督「夜9時に艦娘がサッカーやってる鎮守府とか、俺の沽券に係わるんだよ!」

41: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:28:12.57 ID:R9q+g9KI0
響「山城さんがそう言うなら…お題はこちら」


・不幸な話


山城「ふふ…これを引くのも、ある意味必然」

雷「今のくだりが、すでに不幸な話として成立してるんだけど…」

山城「いえ、話すわ。そうね…」

山城「あれは、先月。提督にお休みをもらって、一人で街に出かけた時のことよ」

山城「財布を落としたの」

雷「えっ? もうオチ?」

42: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:31:05.63 ID:R9q+g9KI0
山城「いえ、これは序章…途方に暮れて公園のブランコで佇んでいると」

山城「ある男性が声をかけてきたの。スーツを着た…二十代くらいの人かしら」

山城「この財布、あなたのですかって」

響「よかったじゃないか」

雷「いい人がいるのね!」

山城「ええ、私もそう思ったわ。事実、その人はいい人だったし」

山城「でも、私はやっぱり不幸だったわ…」

44: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:36:39.29 ID:R9q+g9KI0
山城「よく見ると、中身がないのよ。残ってたのは小銭だけ」

雷「えっ」

響「それは…」

山城「そのあとも、2階のベランダからじょうろが落ちてくるし、顔面にハエが激突するし」

山城「ヒールが折れるし、通行人とぶつかってどぶに落ちるし」

山城「コーヒーのボタンを押したはずなのにコーンスープが出てくるし、にわか雨だし…」

山城「ああ、私ってやっぱり不幸だわ…!」

提督「彼女の心の闇はここまで深かったのか…」

雷「ちょっと響、どう収拾つければいいの!?」

響「計画が失敗したときのことは考えてなかったな…」

45: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:41:18.74 ID:R9q+g9KI0
響「…おや」

響「お便りだね。ラジオネーム…書いてないな。名前を読み上げろということかな」

響「扶桑さんから」

山城「! 姉さま…?」

響「ごめんなさいね、山城。私は自分の不幸をあなたに愚痴るばかりで、あなたの話をあまり聞いてあげていなかったわ」

山城「そ、そんなこと…! 私だって、姉さまに」

響「でも、安心して。私は不幸だけど、あなたがいるから、大丈夫なの」

山城「!」

響「だから、山城ももっと私に頼っていいのよ」

雷「私のセリフ!」

山城「ね、姉さまあ…」

46: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:44:26.60 ID:R9q+g9KI0



「山城!」バーン!



提督「おおっとぉ! 扶桑が扉を粉砕してのダイナミックな登場だー!」

提督「…ってお前もか!」

扶桑「山城、大丈夫よ。さあ、いっしょに帰りましょう」

山城「姉さま…姉さまあ………!」



響「…」

響「こうしてまた、一人の少女の心が救われたのだ…」

提督「発端は誰だと思ってんだ」

47: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:46:43.31 ID:R9q+g9KI0
雷「私知ってるわ! こういうの、テンプレっていうんでしょ?」

提督「戦艦が扉壊してゲストを連れ去るのが?」

提督「そうなのか?」

響「…」

響「…」

響「もちろんさ。計算通りだよ」

雷「さすが響ね!」

提督「もしかして、第六駆逐隊ってツッコミいないの?」

48: ◆zAYMCO/OeE 2015/04/02(木) 21:50:09.84 ID:R9q+g9KI0
響「じゃあ、ゲストも帰ったし、今日はここまでだね」

響「次回があればまた会おう」

雷「お疲れ様! 司令官、仕事が残ってるなら手伝うわ!」

提督「そうか、助かるよ。なら…」





提督「扉とガラスと床を直すか」

響「大和型の脚力は伊達じゃないね」

雷「扶桑型の腕力もね」

引用元: 【艦隊これくしょん】響「こんにちは。不死鳥ラジオの時間だよ」