れいか「す、すいません！」ﾀﾀﾀｯ

みゆき「あっ！ちょっと！」

みゆき「行っちゃった…」

みゆき「はぁ…やっぱいきなりじゃ無理かぁ…」ｶﾞｸｯ

なお「みゆきちゃんと敬語を使わないで話したい！？」

れいか「そうなの…みゆきさんが敬語じゃない方がうれしいと…」

なお（みゆきちゃんがそんなことを…）

なお「…それなら簡単だよ！」

なお「あたしと話してるときみたいに話せばいいんじゃないかな？」

れいか「それができたら苦労はしないわ…」

れいか「みゆきさんの前だと…どうも緊張してしまって…」

なお「うーん…」

なお「そうだ！じゃあまず呼び捨てにしてみようよ！」

れいか「呼び捨て…？」

なお「うん！れいかはあたしのこと『なお』って呼ぶでしょ？」

なお「だからまずは『みゆき』って呼べるようになれば…」

なお「自然に敬語も使わなくなるんじゃないかな？」

れいか「なるほど…流石はなお！」

れいか「ありがとう！早速行ってくるわ！」ﾀﾀﾀｯ

なお「うん！ファイト、れいか！」

なお「…」

なお（とは言ったものの…少し心配だな…）

なお（よし！あたしも見に行こう！）ﾀﾀﾀｯ

なお「えっと…れいかは…」ｷｮﾛｷｮﾛ

なお「見つけた！」ｻｻｯ

れいか「あ、あの…」

みゆき「なぁに、れいかちゃん？」

なお（は、はやっ！もう話しかけてる！）

れいか「み、み…//」ﾎﾞｿ

みゆき「み…？」ｷｮﾄﾝ

れいか「み、みゆ…//」ﾎﾞｿ

みゆき「みゆ…？」ｷｮﾄﾝ

なお（がんばれ！れいか！）

れいか「み、みゆ…みゆ…！」ｱｾｱｾ

なお（あと一歩！）

れいか「…見ゆれば！！！」

みゆき「ミユレバ？」

なお（ズコー）

みゆき「なにそれ！？」

れいか「は、はい…見ゆればとは…！」

れいか「ヤ行下二段活用の動詞『見ゆ』の已然形である『見ゆれ』に、接続助詞『ば』が付いた形です！」

れいか「『見ゆ』の口語形としては、ヤ行下一段活用の動詞『見える』が…」

なお「ちょっとれいか！ストップ、ストップ！」

れいか「な、なお！？」

れいか「ここで何を！？」

なお「それはこっちのセリフだよれいか！」

なお「れいかが難しい話しするからみゆきちゃんショートしちゃってるよ！」

みゆき「活用…？動詞…？ナニソレ…？」ﾌﾟｼｭｰ

れいか「ま、まあ！」

なお「はぁ…」

なお「れいか、ちょっとこっち来て！」ｸﾞｲ

なお「れいか…あたしの言いたいことわかるよね？」

れいか「はい…」ｽﾞｰﾝ

なお「呼び捨てであんなに緊張しちゃうの？」

れいか「はい…」ｽﾞｰﾝ

なお「うーん…これは重症だ…」

なお「あたしだけじゃ手に負えない！」

なお「助っ人を呼ぼう！」

れいか「助っ人…？」

なお「うん！やっぱりこういうときに頼りになるのは…」

あかね「で、ウチかいな。」

なお「うん、あかねは人と話すの得意そうだし。」

あかね「まあ、苦手ではないな！」

れいか「それは心強いです！」

あかね「ようはみゆきと話すときに敬語使わんかったらええんやろ？」

れいか「それが難しいのですが…」

あかね「いや…！」

あかね「大阪弁を使えば楽勝やでー！」

れいか「な、なるほど…！」

れいか「確かに大阪弁で喋れば自然と敬語はなくなります…！」

あかね「せやろ？」

れいか「それでは行ってきます！」ﾀﾀﾀｯ

あかね「おう！がんばってきい！」

なお「うーん…」

なお（なんか違うような気がする…）

あかね「なお、どないしたん？」

なお「れいかが心配だから見に行かない？」

あかね「さすがに心配しすぎやないか？」

あかね「話すだけやろ？」

なお「でもさっきもかなり緊張してたし…」

なお「やっぱり心配だな…」

なお「きっとれいかのことだから…」

なお「『今日はいい天気やねん…ですね！』とか言いそうじゃない？」

あかね「いやいや、それはないやろー」ｱﾊﾊ

なお「うーん…大丈夫かな？」

あかね「なおは心配性やなー」

あかね「ほな、見に行ってみるか！」

れいか「今日はいい天気やねん…ですね！」

あかね、なお（ズコー）

みゆき「れ、れいかちゃん！？」

みゆき「しゃべり方変だよ！」

みゆき「いったい誰にタメ口なんか利いてるのかな、優等生ぼっちのれいかちゃんは？」

れいか「あ、あの……あの時は、つい、気持ちが高ぶってしまって……」

あかね「れいかのくせしてホンマ生意気やなー。久々にアレはイラッてきたわ」

やよい「れいかちゃんなんかあたしたちのお情けでお友達やれてるくせにね。契約切られちゃってもいいのかな？」

れいか「うう……お金は払いますから、どうかそれだけは……」

なお「………………」

れいか「なお……　なお、あなたからも３人に許してもらうように言って――」

なお「――いい加減、あたしにだけタメ語使うの、ウザイんだよね」

れいか「え」

なお「幼馴染だからってさぁ。あたしのこと、ナメてるよね、バカにしてるでしょ？」

れいか「なお……違う、私そんなこと」

なお「金持ちの家のお嬢様だからってさぁ！　貧乏の子沢山だって、影で笑ってるんでしょう！？」

れいか「違うわ！　わた、私はそんなこと思って――」

キャンディ「クル～？　キャンディ聞いたクル、『なおは２日に一回しかお風呂はいらないから獣臭いわ』ってれいか笑ってたクル！」

れいか「キャンディ！？　ウソ、私そんなこと……」

れいか「そ、そんなことはないやねんです！」ｱﾀﾌﾀ

みゆき「そ、そうかなぁ…？」

あかね「あ、あかん…見てられんわ…」

なお「これはきつい…」

れいか「そ、それにしても…」

あかね「れいか！それ以上喋ったらあかん！」

れいか「あ、あかねさん！？」

あかね「ちょっとこっちきい！」ｸﾞｲ

みゆき「えっと…」ﾎﾟﾂｰﾝ

みゆき「なんだったんだろう？」

あかね「いや、なんでやねん！」

あかね「なんで大阪弁と敬語混ぜとんねん！？」

れいか「すいません…みゆきさんが目の前にいるとやはり緊張してまって…」ｽﾞｰﾝ

あかね「はあ…どないすればええんや…？」

なお「うーん…」

なお「あと頼れる人っていったら…やっぱり…」

やよい「わ、わたし！？」

れいか「はい…どうかお願いします…」

やよい「…わかった！れいかちゃんのためにがんばっちゃうんだからっ！」

あかね「ほんまにやよいで大丈夫なんか？」ﾎﾞｿ

なお「でも、もう相談できる人はやよいちゃんしかいないし…」ﾎﾞｿ

やよい「ずばり…！みゆきちゃんと敬語無しで話すためには…！」

やよい「みゆきちゃんともっと仲良くなっちゃえばいいんだよっ！」

れいか「みゆきさんともっと仲良く…？」

やよい「そう！例えばみゆきちゃんと趣味の話しで盛り上がるとか！」

れいか「しかしみゆきさんの趣味と言われても…」

やよい「絵本だよっ！」

やよい「れいかちゃんが絵本にもっと詳しくなれば…」

やよい「今よりもっとみゆきちゃんと仲良くできるはずだよっ！」

れいか「な、なるほど…！」

れいか「それでは今から絵本の道を極めてきます！」ﾀﾀﾀｯ

やよい「がんばってねー」

あかね「やよいにしてはなかなかのアドバイスやったな。」

やよい「その言い方ひどくない！？」

なお「たしかにやよいちゃんにしてはいいアドバイスだったけど…」

なお「れいか…大丈夫かな？」

やよい「もう！なおちゃんまで！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

～次の日、教室

なお「れいか…遅いね…」

あかね「寝坊やないか？」

やよい「れいかちゃんが寝坊なんて珍しいね。」

みゆき「あっ！れいかちゃんだ！」

れいか「…」ﾌﾗﾌﾗ

れいか「おはようございます…」ﾄﾞﾖｰﾝ

やよい「れ、れいかちゃん！？」

あかね「目の下にめっちゃクマあるやん！」

なお「どうしたの！？」

れいか「絵本のことをいろいろ調べていたら…」

れいか「気づいたら朝になっていました…」

なお「てことは一睡もしてないの！？」

れいか「はい…」

あかね「マ、マジかいな…」

れいか「しかし絵本の道を極めることはできました…」

れいか「さあ…みゆきさん…私と絵本の話しを…」ﾌﾗｯ

れいか「…」ﾊﾞﾀﾝ

みゆき「れ、れいかちゃん！？」

なお「れいか！！」

やよい「ど、どうしよう！わたしのせいで…！」ｱﾀﾌﾀ

あかね「落ち着きい。」

あかね「まずはれいかを保健室に運ぶのが先や！」

あかね「なお、手伝ってくれへん？」

なお「待った！」

なお「その前にみゆきちゃん…」

なお「ちょっと話したいことがあるんだけど…」

みゆき「わ、わたし！？」

なお「れいかがこうなったのはみゆきちゃんが深く関係してるから…」

みゆき「ええー！わたしが！？」

～保健室

れいか「んん…」ﾊﾟﾁｯ

れいか「ここは…？」

みゆき「保健室だよ！」

れいか「私…なんで保健室に…？」

みゆき「寝不足で倒れちゃったんだよ。」

れいか「す、すいません…ご迷惑をおかけして…」

みゆき「ううん、わたしの方こそごめんね…」

れいか「な、なぜみゆきさんが謝るのですか？」

みゆき「なおちゃんから話し聞いたよ…」

みゆき「わたしが敬語じゃない方がうれしいって言ったから…」

みゆき「無理させちゃったんだよね？」

れいか「い、いえ…私が勝手にやったことですし…！」ｱｾｱｾ

れいか「そ、それに…」ｱｾｱｾ

みゆき「無理しなくていいんだよ、れいかちゃん。」

みゆき「ゆっくりでいい…ほんの少しでいい…」

みゆき「少しづつ進んでいけばいいから…！」

れいか「み、みゆきさん…！」

みゆき「あとね…話すときに緊張してるの…れいかちゃんだけじゃないよ…！」

みゆき「わたしもれいかちゃんと話すときはいつもドキドキしてるんだ…//」

れいか「えっ？なぜですか？」ｷｮﾄﾝ

みゆき「ひ、み、つ！」ﾆｺｯ

れいか「そ、そんな…みゆきさんは意地悪です！」

キーンコーンカーンコーン

みゆき「ごめんね！もう授業始まっちゃうから！」

れいか「それなら私も…」

みゆき「だーめ！れいかちゃんはもうちょっと休んどかないと！」

みゆき「ばいばい、れいかちゃん！」

れいか「あっ…」

れいか「ま、待って！！」

みゆき「れいか…ちゃん？」

れいか「そ、その…」

れいか「ありがとう…みゆき…//」

みゆき「ふふっ…//」

みゆき「どういたしまして！」

おしまい