赤馬(仮にも親睦会だというのにこれはまずい。

　　　なにか話題になる様な物は…)

ｼﾞｭ～

赤馬｢あ、肉が焼けた｣

『『『！！！』』』ｶﾞﾀﾀｯ



遊矢｢ランサーズって言っても、オレは納得したわけじゃないからな｣ﾑｼｬﾑｼｬ

権現坂｢同感だ。いくら目的のタメとはいえ何も知らぬ者も巻き込むこのやり方は

　　　　男して許せぬ｣ﾑｼｬﾑｼｬ

沢渡｢ま、このＬＤＳ最強の男ネオ・ニュー沢渡様がいれば融合次元如き他愛もねぇさ｣ﾑｼｬﾑｼｬ

黒咲｢口先だけは一丁前か。戦場ではお前の様な奴が真っ先に死ぬな｣ﾑｼｬﾑｼｬﾑｼｬﾑｼｬ

月影｢然り。勝って兜の緒を締めよ。次からは融合次元の手先も本気を出してくるであろう｣ﾑｼｬﾑｼｬ

デニス｢まぁまぁ、今日はランサーズ結成初めての親睦会なんだからみんな仲良くなろうよ｣ﾑｼｬﾑｼｬ


赤馬(肉が焼けるのを待っていたのか…)

赤馬(っていうか食べるか喋るかどっちかにしろキサマら)

セレナ｢………｣

零羅｢………｣

赤馬(セレナと零羅はさっきから食べてない様だな…

　　零羅はこんなに他人に囲まれたのは初めてで緊張しているんだろうが、セレナは……)

遊矢｢……セレナ、お前食べないのか？｣

セレナ｢遊矢……これは、食べ物なのか？｣

遊矢｢焼肉だよ。知らないのか？｣

セレナ｢……私は幼い頃から決闘戦士になるべくアカデミアで育てられてきた。

　　　こんなもの、アカデミアでは無かったからどうすればいいのかがわからない｣

赤馬(なるほど、焼肉は初めてだったのか)

セレナ｢だいたい肉を伏せてどうするんだ？いつリバース効果は発動する？｣

遊矢｢肉が焼けてきたらこうやってひっくり返すんだよ、ホラ｣ﾋﾟﾗ

セレナ｢なるほど、鉄板で焼くと属性が変化するんだな｣

遊矢｢意味がよくわからないけど……ほら、これもう食べ頃だぞ｣

セレナ｢よし、頂こう。(ﾊﾟｸｯ)　！！！　あっつい！！！口の中あっつい！！！｣ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

遊矢｢うわっ！？ちゃんと冷ましてから食えって！！ほら水｣

セレナ｢あひゅい……｣ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

赤馬（よし、いい感じだ。柊柚子の共通の知り合いという事で打ち解けるのも早いな。

　　　そのまま仲良くなれ、もういっそのこと超融合しろ私が許す）

遊矢｢……懐かしいな。オレも小さい頃に父さんに母さん、塾長と柚子と一緒にこうやって

　　焼肉食べに行って、オレもその時に舌火傷して今みたいに柚子に水飲まされてたっけ｣

セレナ｢……柊柚子とは、幼い頃からの知り合いだったのか｣

遊矢｢あぁ……オレと柚子は子供の頃からずっと一緒で、父さんがいなくなって落ち込んでた時も

　　ずっと傍にいてくれたんだ｣

セレナ｢柊柚子は、お前にとって大切な人だったんだな。それが、わたしのせいで………｣

遊矢｢柚子……｣ｽﾞｰﾝ

セレナ｢柚子……｣ｽﾞｰﾝ

赤馬(湿っぽくなるなぁぁぁ！！！折角の仲良しムードがぶち壊しだろぉぉぉ！！！)

赤馬(しかしこうして見るとなかなか興味深いな。人間の本性は食事をする時に現れるというが

　　よく見るとそれぞれ焼肉の食べ方が違う)

黒咲｢………｣ｼﾞｭ~

赤馬(黒咲は自分の分だけちゃっかり目の前に持ってきている…しかも肉の周りに野菜を配置する事で

　　バリケードを張るという徹底ぶり。なんと意地汚い。)

赤馬(まぁ彼がいるエクシーズ次元は融合次元によって戦場になっている。食料の供給もままならんのだろう。

　　だからこそあそこまで食事に関しては必死なんだろうな)

権現坂｢………｣ｼﾞｭ~

赤馬(権現坂は食事の際は喋らないタイプか。確かに食事の時に喋るのは行儀が悪いからそれは正しいが

　　親睦を深める今喋らないというのは困る…それにしてもさっきから何を待っているんだ)

権現坂｢………｣ｼﾞｭ~

権現坂｢………｣ｼﾞｭ~

赤馬(彼は決闘の際には山の様に動かぬ不動の決闘の信条している。それをこの焼肉にも使おうというのか)

権現坂｢………｣ｼﾞｭ~

権現坂｢………｣ｼﾞｭ~

権現坂｢………｣ｼﾞｭ~

赤馬(おい焦げてるぞ待ち過ぎだろ)

月影｢………｣ｼｭﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ

赤馬(月影は黙々と食べている。彼にとっては食事はただの栄養補給以外の意味は無い様だな。

　　　っていうか今黒咲の陣地の肉も食ったぞこいつ。黒咲が親の仇を見るような目で見てる。ホント意地汚いなコイツ)

零羅｢……｣ﾎﾟﾂｰﾝ

赤馬(零羅はさっきから肉を一口も食べていない。こんなに他人に囲まれているのは初めてだから緊張しているのだろう。

　　だがここで私が助け舟を出しては零羅の為にはならない。今後の事も考えて様子を見よう)

月影｢…む？おぉ、零羅。お主さっきから何も食べておらぬな｣

赤馬(よし、気づいたか。日影月影兄弟には零羅の警護も命じてある。

　　　これで零羅にも少し肉を分けてやればこれを切欠に零羅も他人に心を開くかもしれないな)

月影｢腹が減っては戦は出来ぬ。男たるもの沢山食べねば大きくなれぬぞ、たんと食べなされ｣

ﾄﾞｻｰ

赤馬(野菜ばっかり載せるなぁぁぁぁ!!!!しかもそれ隅の方で誰にも食われずに残ってた奴だろ！！

　　肉を食わせろ肉をぉぉぉぉ！！！！)

零羅｢(´；ω；｀)｣

赤馬(泣いたぁぁぁあ!!!!後であの忍者ファンサービスしてやる……！！)

デニス｢へぇ～すごいね！そのスイートミルク・アップルベリーパイ・とろけるハニー添えってケーキ、

　　　僕も食べてみたいなぁ！｣

沢渡｢あの店のケーキは絶品だぜ？スイーツプリキュアシリーズの弾けるレモンパイもオススメだが

　　　ニッサンハッピービューティーふかふかキャンディセットが最近のイチオシだな。

　　　日曜朝早くから並ばないと手に入らない逸品ものさ｣

デニス｢いいねぇ、後でちょっとその店に僕も行ってみたいなぁ。僕のブロードウェイ校の近くにも

　　　ケーキ屋があってねぇ……｣

赤馬(どうやら彼らにとってはお喋りが主な目的で焼肉にはさほど興味がないらしい。

　　　その証拠にロクに肉を見ないで口に運んでいる。あ、今の肉半ナマだぞ。また食った。

　　　っていうか今の完全に生だ。口に入ればなんでもいいのかこいつら)

赤馬(ここまで見てふと、思ったのだが………)



赤馬(さっきから私が肉を焼いてばかりで、私はまだ一枚も肉を食べてない)

赤馬(イカン…いつの間にか私が肉を焼いて彼らが肉を食べるという謎の方式が出来上がってしまっている)

赤馬(確かに主催は私だし今回の目的は彼らの交友を深める為だが私にも肉を食べる権利くらいはある)

赤馬(っていうか私が金出すんだから食べてもいいだろ)

赤馬(まずは私が肉を焼く、というフェイズから脱却しなければならない)

赤馬(よし、私はこれから肉を焼かない。これでターンエンドだ)


遊矢｢………｣

セレナ｢………｣

権現坂｢………｣

黒咲｢………｣

月影｢………｣

零羅｢………｣

沢渡｢………｣

デニス｢………｣

赤馬｢………｣

赤馬(誰も肉を焼かない………)

赤馬(っていうか肉が無いとこいつら喋る事すらもしないのか)

赤馬(いかん、このままでは私が肉を食えない。こうなったらホストにあるまじき行為だが

　　自分の分だけ焼くしかない)ﾍﾟﾀﾍﾟﾀﾍﾟﾀ


赤馬｢………｣ｼﾞｭ~

赤馬(よし、焼けた。今こそ食い時)ｽｯ……　

ｻｯ

黒咲｢赤馬零児、お前に一言言っておくがオレはお前の部下になったわけではない。

　　オレは飽くまでお前の父、赤馬レオを倒す為に共闘をするだけだ。勘違いをするな｣ﾑｼｬﾑｼｬ

赤馬(お前こそ勘違いをするなそれは私の肉だぞ)

ｻｯ

権現坂｢黒咲よ、お前の思惑が何かは知らぬがこれから俺たちは共に戦う仲間なんだ。

　　　　変な諍いを持ち出すものではないぞ｣ﾑｼｬﾑｼｬ

赤馬(なぜこんな時だけ早く動く!不動の決闘はどうしたそこで胡座かいて一生守備表示でいろ)

ｻｯ

沢渡｢まぁ安心しろよ赤馬社長。こんな奴よりこの沢渡様がいればアカデミアなんて一捻りだぜ｣ﾑｼｬﾑｼｬ

赤馬(今はまず貴様の首から一捻りしてやろうかコラ)

ｻｯ

月影｢心配無用にござる零児殿。

　　　命とあらばこの月影、命を捨てても敵を迎え撃つ覚悟にござる。｣ﾑｼｬﾑｼｬﾑｼｬ　←肉三枚重ね

赤馬(言ってる事は一番忠誠心あるけどやってる事は殺したい位にムカつく)ﾋﾞｷﾋﾞｷﾋﾞｷ


沢渡｢あーなんかいい加減焼肉にも飽きてきたなぁーダーツバーに行こうぜ｣ﾑｼｬﾑｼｬ

赤馬(肉頬張って何言ってるんだこいつは)

遊矢｢………そうだな。なんか、今日はあまり焼肉って気分じゃないし｣ｽﾞｰﾝ

セレナ｢あぁ…出来れば私もそろそろ休みたい所だ｣ｽﾞｰﾝ

赤馬｢！？｣

権現坂｢確かにな。犠牲者が多数出てしまった以上、今日は騒ぐ気にはなれん｣

黒咲｢元よりオレはこんな下らんお遊戯会に用は無い。｣ﾑｼｬﾑｼｬ

零羅｢おうちに帰りたい……(´；ω；｀)｣

赤馬(不味い……なんだかもう焼肉という雰囲気じゃなくなってきた。

　　私はまだ一枚も肉食べてないんだぞ)

赤馬(いや待て落ち着け。そもそもの目的はランサーズの親睦を深める会。

　　まだ全然打ち解けている感じがしないぞ、これでは赤馬レオはおろかアカデミアの連中でさえ倒せる気がしない)

月影｢拙者ちょっと厠に●●●してくるでござる｣ｼｭﾊﾞｯ

赤馬(イチイチ大か小かの報告なぞしなくていい！！あぁクソやばい●●●だけに

　　もう食事どころじゃなくなってきたぞ)

デニス｢う～ん、じゃあボクはそろそろお暇しようかな？｣ｶﾞﾀｯ

沢渡｢んじゃ、ここで各自解散って事だな｣ｶﾞﾀｯ

黒咲｢この茶番も終わりの様だな。ならオレもここで帰らせて貰う｣ﾑｼｬﾑｼｬ

赤馬(おい待て勝手に帰るな！！散々飲み食いしただけで終わって親睦もクソもないだろ

　　っていうか黒咲肉まだ食ってるのかしかもタッパーに肉詰めてるぞコイツ)

赤馬(どうすればいい！？ネーミングの時点ですでにどうかと思ったがランサーズ崩壊の危機が！！

　　　なにか、なにか彼らの心をひとつにする方法は……！！)



月影｢た、大変でござるー！！！｣ｼｭﾊﾞｯ

月影｢先ほど厠で小耳に挟んだのでござるが、あの武藤遊戯と海馬瀬人の出る映画の試写会が

　　この近くで行われる様でござる！！！｣

遊矢セレナ権現坂零羅黒崎沢渡デニス『『『なにィっ！？』』』ｶﾝ✩ｺｰﾝ

赤馬｢！？｣

セレナ｢武藤遊戯とはあの、伝説のキングオブデュエリストの事か！？｣

黒咲｢知っているのかセレナ！！｣

セレナ｢当たり前だ！！デュエリストならば遊戯の名前を知らぬ者はいない！！｣

黒咲｢同感だ…しかも海馬瀬人も青眼の白龍を操るただ一人の伝説のデュエリスト！！｣

デニス｢その二人の活躍を描いた映画がこの近くでやっているんだって！？｣

沢渡｢マジかよ飯食ってる場合じゃねえ！！！｣ｶﾞﾀﾀｯ!!

遊矢｢月影、日時と場所は！？｣

月影｢マイヤミシティホール三階の会場にて１３時からにござる!!｣

沢渡｢よっしゃ！パパに電話して車手配してもらうぜ！」

黒咲｢いや、その建物ならばここから三丁目の方角へ行くのが最短ルートだ。

　　車を使うより裏道を通れば徒歩でも約３０分で着ける｣

権現坂｢今しがた権現坂道場の門下生に手配してグッズの買取に向かわせた。恐らくこれならば買い逃しはあるまい｣

セレナ｢店員に頼んで色紙とペンを人数分用意して貰ってきた。カメラのバッテリーも十分ある！｣

遊矢｢でもこれで肝心の席が取れるかどうか…｣

零羅｢大丈夫、今中島に連絡して席をとってもらえたから｣

遊矢｢本当か零羅！ありがとうお前ってすげぇな！！｣

零羅｢………///｣

遊矢｢よし、それじゃあ、みんな！｣

セレナ｢あぁ！｣

権現坂｢うむ！｣

沢渡｢へへっ｣

デニス｢うん！｣

黒咲｢…｣

月影｢御意｣

零羅｢……｣ぐっ


遊矢セレナ権現坂零羅黒崎沢渡デニス『ランサーズ、出動！！』


ドタタタタタタ………

赤馬｢………｣

赤馬｢………とりあえず、ランサーズの親睦を深めることには成功したな｣ｼﾞｭｳ～

赤馬｢………｣

赤馬｢……うまいな｣ﾑｼｬﾑｼｬ


ｴﾝﾄﾞ☆ミ