泰葉「お疲れ様です」
愛海「おつかれさまでーす」
茄子(ある日の事務所。泰葉ちゃんと愛海ちゃんがやって来ましたが、私は二人に構う余裕がありませんでした)
茄子「ほたるちゃん~」
ほたる「つーん」
茄子(原因は目の前にいるほたるちゃん)
茄子(私が何度も呼びかけても無視されてしまい、一向にこちらを向いてくれません)
茄子(このほたるちゃんにはある秘密があります)
ほたる「ほたるちゃんじゃありません! 僕は男です!」
茄子(白菊ほたる君は男の子なのです)
3: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)20:53:16 ID:oZNy
茄子(ほたる君は事情があり男の子であることを隠してアイドルをやっています)
茄子(私は偶然にもその秘密を知ってしまいましたがほたる君のことを受け入れ、前よりも固い絆で結ばれるようになりました)
茄子(今まさにその絆が綻びはじめているのですが……)
愛海「……どうしたの?」
泰葉「喧嘩ですか? 茄子さん早く謝った方がいいですよ」
茄子「何で私が原因だと決め付けてるんですかっ!」
泰葉「違うんですか?」
茄子「実は……」
4: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)20:55:51 ID:oZNy
…
……
………
茄子(それは今からほんの少し前のことです。事務所に来た私は雑誌を読んでいるほたる君に話しかけました)
ほたる「ふむふむ……」
茄子「何読んでるんですか?」
ほたる「これですか? ファッション誌を読んでるんです」
茄子「ほー、勉強熱心ですね~」
茄子(横から覗き込むと、今話題の俳優さんがビシッとした服を着てポーズを決めています)
茄子「あれ? これってメンズじゃないですか!」
ほたる「そうですよ」
茄子「どうして……」
ほたる「僕ももう中学生ですし、かっこいい服の着こなし方やポージングも勉強しとこうと思いまして」
茄子「でもほたる君には必要ないことなんじゃ……」
ほたる「そんなことないですよ。いつか僕だって男として再デビューしてこういうお仕事をやるかもしれないんですから」
5: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:00:49 ID:oZNy
茄子「っ……」
茄子(男として。この言葉を聞いて私は心臓を掴まれたような感じになりました)
茄子(ほたる君は男の子。そんなこと分かってはいましたが、ほたる君が男の子としてアイドルをするということは想像していませんでした)
茄子(男の子として再デビューするときはここから移籍するのでしょうか? 今みたいに一緒にいることが当たり前ではなくなってしまうのでしょうか?)
茄子「……ちょっとやってみませんか?」
ほたる「え?」
茄子「実際にやってみないとわからないことってあるじゃないですか? そうだ、このモデルさんみたいに壁ドンしてみてくださいよ」
ほたる「は、はい! やってみます……」
茄子「ドンしたらカッコいい台詞もお願いしますね」
茄子(ほたる君を壁まで引き連れ私は壁に背を向けました)
ほたる「いきますよ…………えいっ」
茄子「……」
ほたる「今夜は帰しません」
茄子「……」
ほたる「……茄子さん?」
茄子「……ふふっ」
ほたる「?」
茄子「あははははっ! ほたる君、ダメです、可愛すぎます!」
ほたる「えっ、えっ?」
茄子(あまりの面白さに私はつい笑ってしまいました)
茄子(今夜は帰さないって……意味を分かって言っているのでしょうか?)
茄子(少し背伸びして壁ドンする姿はカッコいいというよりも可愛いと表現するのが適切だと思いました)
茄子「ひー、ひー……ふぅ。すみません」
ほたる「……」
茄子「やっぱりほたる君にカッコいいはまだ早いですよ~。今まで通り可愛くやっていきましょうほたるちゃん♪」
ほたる「……知りません」
茄子「えっ?」
ほたる「もう茄子さんなんて知りません!」
………
……
…
6: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:04:02 ID:oZNy
茄子「……てことがありまして」
泰葉「茄子さんが悪いですね」
茄子「そんなことありません! ほたる君が可愛すぎるのが悪いんですよ!」
愛海「茄子さん、そんなこと言ったら……」
ほたる「……ふんっ!」
茄子「ああ、ほたる君……!」
愛海「ありゃりゃ、ほたる君怒って出ていっちゃった」
泰葉「大人気ないですよ」
茄子「だって、急に男の子になろうとして……不安だったんです」
泰葉「気持ちはわかりますけど、だからと言ってほたる君の気持ちを考えなさすぎです」
茄子「それは……そうですね」
茄子(泰葉ちゃんに諭され、私はあまりに自分勝手であったと反省しました)
茄子(その後ほたる君に謝ろうとしましたが見つからず、その日のうちに仲直りすることはできませんでした)
7: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:08:01 ID:oZNy
美世「仲直りの仕方?」
茄子(次の日。私はユニットを組んでいる美世ちゃんと友紀ちゃんにほたる君のことを相談しました)
茄子「はい、とあることでほたるちゃんを怒らせてしまって……」
美世「へー、あのほたるちゃんでも怒るんだね」
茄子「何かいいアイデアはないですか?」
美世「うーん、あたしだったらドライブに誘うけど……」
茄子「運転はちょっと……」
美世「だよね……」
友紀「それならいいアイデアがあるよ!」
茄子「本当ですか友紀ちゃん!」
友紀「野球だよ野球!」
茄子「野球?」
友紀「そう、昔お兄ちゃんと喧嘩したときはキャッチボールして仲直りしたんだ! 一緒にスポーツをやれば自然と仲直りできるよ!」
美世「そんな小中学生の男の子じゃないんだから……」
茄子「いいですね!」
美世「いいの!?」
友紀「でしょ? それにちょうどいい企画があるんだ~! これ見て!」
茄子「これは?」
友紀「アイドルで野球チームを組んで試合する企画があって、あたしがキャプテンに選ばれたんだ。そして現在メンバー募集中!」
美世「友紀ちゃんがメンバー集めるんだ」
友紀「うん。ちょうど今日誘おうと思ったんだけど、ふたりともチームに入ってくれない?」
美世「もちろんいいよ、楽しそう!」
茄子「やります! これでほたるちゃんともバッチリ仲直りです!」
美世「でもほたるちゃんチームに入ってくれるかな? 仕事の予定もあるし、野球好きな女の子ってそこまで多くはないんじゃない?」
友紀「そんなことないよ! オリンピックで金とってから野球は男の子だけじゃなくて女の子にも人気でもはや日本を……」
茄子「大丈夫です。ほたるちゃんはああ見えてスポーツ好きですから」
友紀「最後まで聞いてよ!」
美世「言われてみればよく晴ちゃんとサッカーしてるよね」
友紀「晴ちゃんもいいね。早速誘ってみよ~」
茄子(二人と話して希望の光が見えてきました。やはり持つべきものは頼れるユニット仲間です)
8: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:10:38 ID:oZNy
友紀「みんな! 大会まで1週間しかないからビシバシ鍛えていくからね! 頑張ろう!」
茄子(後日。野球メンバーが集まり友紀ちゃんによるトレーニングが行われました)
茄子(メンバーは私、友紀ちゃん、美世ちゃん、ほたる君、晴ちゃん、幸子ちゃん、紗枝ちゃん、小梅ちゃん、裕子ちゃん、杏ちゃん……。事務所にいた子に片っ端から声をかけ十人集まったようです)
友紀「それじゃあまずは二人ひと組でキャッチボール!」
茄子(早速ペアでの練習。ここはほたる君と……)
茄子「ほたるちゃん、一緒に……」
晴「ほたるペア組もうぜ」
ほたる「はい!」
茄子「……」
茄子(私が声をかける前に晴ちゃんにほたる君を取られてしまいました)
茄子(そういえば晴ちゃんにほたる君と喧嘩していることを知りませんでしたね。事前に伝えておけば私に譲ってくれたかもしれません)
美世「あちゃー、ほたるちゃん取られちゃったね。茄子ちゃんはあたしと組もっか」
茄子「うぇーん、美世ちゃん~」
美世「おー、よしよし」
9: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:12:15 ID:oZNy
友紀「フルスイング千本ノック、どんどんいくよ! 美世ちゃん!」
美世「はい!」
友紀「晴ちゃん!」
晴「ほい!」
友紀「足で止めない! ……ほたるちゃん!」
ほたる「はい!」
茄子(キャッチボールの次は守備練習。友紀ちゃんが打った球を捕球して塁に送ります)
茄子(これが終わったらほたる君と話をしましょう)
友紀「茄子ちゃん! あっ、やば」
茄子(ほたる君に続いて私の番。加減を間違えたのか強烈な打球が飛んできました)
茄子「きゃっ!」
友紀「ごめん思いっきり打っちゃった……でもナイスキャッチ!」
茄子「怖かったですよ~」
茄子(打球は顔を守るため咄嗟に出したグラブにきちんと収まりました。運が良かったですが生きた心地がしません)
友紀「それにしてもあれを取るのか……よし、もう一回茄子ちゃん!」
茄子「えっ、わっ!」
友紀「くー、ナイスキャッチ! これならどうだ!」
茄子「ちょ、ちょっと……」
茄子(何故か連続で、しかも強烈な打球を取らされる私)
茄子(練習が終わった頃にはすっかりヘトヘトになってしまいました)
茄子「ぜえ……はあ……」
友紀「茄子ちゃんおつかれ! 茄子ちゃんにはセンターのポジションを任せよう!」
茄子(私が疲れて地面に倒れている間にほたる君達は帰ってしまいました。せっかくの仲直りのチャンスが……)
友紀「茄子ちゃんどうした? 水飲む?」
茄子「友紀ちゃん……来年のおみくじ、覚悟しておいてください」
友紀「怖いよ!?」
美世「はい!」
友紀「晴ちゃん!」
晴「ほい!」
友紀「足で止めない! ……ほたるちゃん!」
ほたる「はい!」
茄子(キャッチボールの次は守備練習。友紀ちゃんが打った球を捕球して塁に送ります)
茄子(これが終わったらほたる君と話をしましょう)
友紀「茄子ちゃん! あっ、やば」
茄子(ほたる君に続いて私の番。加減を間違えたのか強烈な打球が飛んできました)
茄子「きゃっ!」
友紀「ごめん思いっきり打っちゃった……でもナイスキャッチ!」
茄子「怖かったですよ~」
茄子(打球は顔を守るため咄嗟に出したグラブにきちんと収まりました。運が良かったですが生きた心地がしません)
友紀「それにしてもあれを取るのか……よし、もう一回茄子ちゃん!」
茄子「えっ、わっ!」
友紀「くー、ナイスキャッチ! これならどうだ!」
茄子「ちょ、ちょっと……」
茄子(何故か連続で、しかも強烈な打球を取らされる私)
茄子(練習が終わった頃にはすっかりヘトヘトになってしまいました)
茄子「ぜえ……はあ……」
友紀「茄子ちゃんおつかれ! 茄子ちゃんにはセンターのポジションを任せよう!」
茄子(私が疲れて地面に倒れている間にほたる君達は帰ってしまいました。せっかくの仲直りのチャンスが……)
友紀「茄子ちゃんどうした? 水飲む?」
茄子「友紀ちゃん……来年のおみくじ、覚悟しておいてください」
友紀「怖いよ!?」
10: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:12:52 ID:oZNy
茄子(仲直りの機会が得られないまま日は進み、とうとう野球大会当日となってしまいました)
茄子(こんなにも予定が噛み合わないなんてツイてないです)
友紀「みんな! 気合入れていくよ! ファイトー!」
「「「おー!!!」」」
11: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:13:43 ID:oZNy
友紀「おりゃあ! 豪速ストレート!」
茄子(試合が始まり、まずは相手の攻撃。ピッチャーは友紀ちゃんで私は外野の真ん中。ほたる君はショートを守っています)
友紀「よし、三球三振!」
友紀「え、なに、プロデューサー? ガチすぎるのは駄目? 下投げ? 分かった! アンダースローだね!」
友紀「え~軽く? いやいや、本気で投げないと相手に失礼……」
友紀「……はーい。よし、ピッチャー交代してほたるちゃん!」
ほたる「なんでですか!?」
12: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:15:50 ID:oZNy
ほたる「それ!」
友紀「ほたるちゃんナイスピッチ!」
茄子(ピッチャーをほたる君に変えどんどん試合は進んでいきました。山なりのボールであるため基本打たれますがそれはこちらも同じ条件であり、点取り合戦となっています)
ほたる「あっ!」
友紀「センター! 茄子ちゃーん! !」
茄子(途中の回。ボールを完全に捉えた打球は大きくほたる君の頭上を超えて私の方に飛んで行きました)
茄子(友紀ちゃんの指示通り動き落下地点まで移動した私は空の打球を見上げました)
茄子(眩しっ……!)
茄子(しかし打球は太陽に背を向けており、その眩しさでボールを見失ってしまいました)
ほたる「茄子さん、お願いします!」
茄子「……!」
茄子(ほたる君の声が頭の中を駆け巡りました。私はまっすぐ手を伸ばすと、ちょうど構えた位置に打球が収まりました)
友紀「茄子ちゃんナイスキャッチ!」
ほたる「ナイスキャッチ!」
茄子「ふふっ、やりました♪」
茄子(ピンチを防いだことでチームの士気が上がり、なんとかこの回を無失点で抑えることができました)
13: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:16:50 ID:oZNy
茄子(その後の攻撃、バッターはほたる君です)
審判「ストラーイク!」
友紀「コラー、ビビんな振ってけー! それでもタマついてんのかー!」
ほたる「つ、ついてませんよ!?」
茄子「がんばれ~♪」
ほたる「せや! ……ぐふっ!」
友紀「ほたるちゃん!?」
茄子(ほたる君が振りぬいたバットはボールを掠り、ボールはワンバウンドしたあとほたるちゃんに襲いかかりました…………股間に)
友紀「大丈夫!?」
ほたる「ォ!※△×?!……」
美世「無理そうだね……」
友紀「いやあファウルボールが捕手に当たることはよくあるけど、まさかバッターの股間に当たるなんてね……」
茄子「まさに珍プレーですね。チンだけに」
美世「いやほたるちゃん女の子だからね!?」
ほたる「~~~!!!」
美世「とりあえずベンチまで運ぶね」
友紀「えっと……じゃあ選手交代して杏ちゃん!」
杏「えっ」
14: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:19:17 ID:oZNy
茄子(アクシデントはありながらも試合は続いていき、一点負けた状態で最終回裏の私たちの攻撃となりました)
茄子(友紀ちゃんは敬遠、続く私がヒットで出塁しましたが、攻撃は繋がらずツーアウトとなってしまいました)
茄子(バッターは杏ちゃん。交代してから送りバントしかしていません)
杏「よし、選手交代! カエダーマ……じゃなくて代打ほたるちゃん!」
茄子(杏ちゃんの提案にキャプテンの友紀ちゃんも異論を唱えることなく、打席には怪我?から復帰したほたる君が立ちました)
友紀「ほたるちゃんかっ飛ばせー! 打ったら茄子ちゃん全力疾走ね!」
茄子「了解です」
茄子(逆転のチャンスの大事な場面)
茄子(その初球、ほたる君は思いっきりバットを振り抜き気持ちのいい打球音が響き渡りました)
友紀「っ! 茄子ちゃんゴー!」
茄子「はい!」
茄子(打球音を聞いた私と友紀ちゃんは一斉に走り出しました。打球は外野の頭上も超えた深いところに落ち、足の速い友紀ちゃんはあっという間にホームまで到達しました)
友紀「回れ回れ~! ホームまで突っ走れー!」
茄子(三塁で止まろうと思いましたが友紀ちゃんがそれを許しません。私はそのまま走り続けました)
茄子(こんなにも全力疾走したのはいつぶりでしょうか。マスタートレーナーさんのダンスレッスン並のキツさがあります)
ほたる「茄子さん! 頑張れ!」
茄子「っ……」
茄子(それでも……ほたる君が応援してくれるなら、もう少し頑張れそうです)
茄子(無我夢中になった私はとにかく全力で走りホームベースを踏みました。アウト? セーフ? ボールは今どこに……)
友紀「やったー! 大逆転勝利だ!」
茄子(肩で息をする私のもとに友紀ちゃんたちが駆け寄りました。その表情を見るにどうやらセーフだったみたいです)
茄子「良かった……」
友紀「ほたるちゃんもナイスバッティング! 悔しいけど文句なしのMVPだよー!」
茄子(一塁側に目を向けると、ほたる君が嬉しそうに私に向かって手を振っていました)
茄子(私も呼吸を整えながら小さく手を振り返しました)
15: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:23:25 ID:oZNy
茄子「ふぅ……」
茄子(私は一人ベンチに座って休憩していました。日頃レッスンで使わないところを使ったので明日は筋肉痛になりそうです)
茄子(試合には勝ちましたけど、当初のほたる君と仲直りするという目的は果たせませんでした)
茄子「このあとの打ち上げでどうにかしてほたる君と……」
ほたる「僕がどうしたんですか?」
茄子「え! ほたる君!? どうして……」
ほたる「美世さんに言われたんです。茄子さんがここにいるだろうから呼んできてって」
茄子(美世ちゃん……ありがとうございます)
茄子「その、ほたる君……」
ほたる「今日の野球楽しかったですね!」
茄子「え? はい……」
ほたる「最後の茄子さんの走りを見て感動しました!」
茄子「あのときは本当無我夢中で……」
ほたる「あと茄子さんの守備! あんな大きい当たりを取れるなんてすごかったです!」
茄子「手を伸ばしたらなんか取れてました~」
ほたる「あとあと……」
茄子(ほたる君はつらつらと今日の試合の感想を話してきます)
ほたる「またこのメンバーで野球したいですね!」
茄子「は、はい……!」
茄子(ほたる君はにっこりと優しい笑顔を私に向けてくれました)
茄子(あれ、もしかしてほたる君怒ってない?)
友紀『一緒にスポーツをやれば自然と仲直りできるよ!』
美世『そんな小中学生の男の子じゃないんだから……』
茄子(私は友紀ちゃんと美世ちゃんの会話を思い出しました)
茄子「……ふふっ」
ほたる「どうしたんですか?」
茄子「やっぱりほたる君は男の子ですね」
ほたる「当たり前じゃないですか」
茄子「ごめんなさい、この間はあんなことを言って……」
ほたる「あんなこと?」
茄子「ほたる君に壁ドンしてもらったときのことです」
ほたる「ああ……」
茄子「ほたる君が離れていってしまうと思って、ひどいことを言ってしまいました」
ほたる「茄子さん……」
茄子「でも今日のほたる君を見て分かりました。やっぱりほたる君は男の子です」
茄子「今日のほたる君かっこよかったですよ」
ほたる「あ、ありがとうございます……」
茄子「いつか男の子としてデビューしてもユニットとして一緒に活動しましょうね」
ほたる「もちろんです」
茄子(私は手を差し伸べてほたる君と握手をしました。これで仲直り、一件落着です)
友紀「茄子ちゃーん、ほたるちゃーん!」
茄子(ちょうど良いタイミングで友紀ちゃんの声が聞こえてきました)
友紀「いつまで休憩してるの? 美世ちゃん車で待ってるよー」
ほたる「あ、はい。今行きますね」
友紀「勝利の後はビールで乾杯だー!」
茄子「楽しみです♪」
茄子(ほたる君と無事に仲直りでき、心のモヤモヤが綺麗さっぱりとなくなりました)
茄子(今日はいつも以上に楽しい打ち上げになりそうです♪)
16: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:24:50 ID:oZNy
数日後 事務所
泰葉「お疲れ様です」
愛海「泰葉ちゃんおはよー」
泰葉「ほたる君いる?」
愛海「いるけど、あそこ……」
泰葉「ん?」
茄子「ほたるちゃーん……そろそろこっちを向いて欲しいなあって……」
ほたる「……」
泰葉「……また?」
愛海「みたい……」
茄子「うぇーん、泰葉ちゃん愛海ちゃん助けてください~」
泰葉「今度は何をしでかしたんですか?」
茄子「それがよく覚えてなくて、この間の野球の打ち上げのことらしいんですけど……」
17: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:29:03 ID:oZNy
…
……
………
友紀「それではあたしたちドリームチームの勝利を祝して、カンパーイ!」
茄子「乾杯♪」
美世「乾杯!」
ほたる「か、乾杯……!」
茄子(打ち上げは近く居酒屋で行われました。私と友紀ちゃんはお酒、車を運転する美世ちゃんやほたる君のような未成年の子達はジュースを手にして乾杯をしました)
茄子(野球で身体を動かし見事に勝利した私たちは気分が高揚していて、自然とお酒のペースが上がっていました)
友紀「あははは!! そうだっ、せっかく今日未成年の子達がいるんだし茄子さんアレ見せちゃえば?」
茄子「え~、アレですか? 別にいいですけど…………アレってなんですか?」
友紀「分からない!」
茄子「あははは!!」
友紀「あははは!!」
美世「ちょっと2人とも酔いすぎ……」
友紀「ふーっ、ちょっとトイレに……あっ!」
茄子(友紀ちゃんが立ち上がるとグラスが倒れてしまい、そのまま床に落ちて割れてしまいました)
美世「あーあ」
友紀「あちゃー、流石にちょっと酔いすぎちゃったかな」
茄子「ふふふー♪」
ほたる「割れたグラス拾いますね」
美世「待ってほたるちゃん。ちっちゃな破片があるから……」
ほたる「痛っ……」
美世「危ないよ……って遅かったか。今店員さんを呼ぶね」
友紀「ほたるちゃん大丈夫? 指から少し血出てるよ」
ほたる「このくらい大丈夫です。舐めておけばすぐ治ります」
友紀「ワイルドだね」
美世「確かあたし、もしものときのために絆創膏を持っていたはずだから……」
茄子「私が治療します。ほたるちゃん指出して」
ほたる「はい」
茄子(ほたる君は純粋な瞳で私に指を差し出しました。綺麗なほたる君の指と真っ赤な血。ある種の芸術的な美しさを感じます)
茄子「綺麗…………あむっ」
ほたる「え?」
美世「は?」
友紀「は?」
茄子(私は両手で優しくほたる君の手を握り、その人差し指を口に咥えました)
茄子「あむっ……ちゅっ……」
ほたる「な……なっ……!」
友紀「なんだこれは……たまげたなあ」
美世「茄子ちゃんなにやってるの!?」
茄子「アルコール消毒ですよ~」
友紀「あ、なるほど! 茄子ちゃん日本酒飲んでたもんね!」
美世「そんなアルコール消毒ないから! いやあるかもしれないけど!」
ほたる「あう……あぅあ……」
美世「ごめんねほたるちゃん、こんな酔っ払いに巻き込んじゃって……ここはあたしがなんとかするから向こうで晴ちゃん達と……」
ほたる「……」
美世「ほたるちゃん?」
ほたる「……きゅぅ」
美世「わあああ、ほたるちゃんが鼻血を出して倒れちゃった! 誰か、誰か、プロデューサーさん助けて~!」
茄子「うふふふ~♪」
………
……
…
18: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:30:52 ID:oZNy
茄子「……ということがあったみたいで。美世ちゃんとプロデューサーさんにこってりと叱られちゃいました」
泰葉「……」
愛海「……」
茄子「あれ以来ほたる君が私を避けていて、どうしたら……」
泰葉「知りません」
愛海「自業自得だよ」
茄子「そんな~!」
茄子(せっかく仲直りしたのに、再びすれ違ってしまった私とほたる君)
茄子(仲直りのため、新たなスポーツ企画を探しに私は部屋を出たのでした)
19: ◆r5XXOuQGNQ 21/10/11(月)21:33:20 ID:oZNy
終わりです。ありがとうございました
次回最終回です
引用元: ・鷹富士茄子「白菊ほたるは男の子」
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