1: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 01:57:05.49 ID:zy+HOy9x0
魔法少女まどか☆マギカ×轟轟戦隊ボウケンジャークロス
特撮クロス、ご都合主義、唐突な展開、キャラの独自解釈等が苦手な方は注意して下さい
稚拙な部分ばかりですがご勘弁を……




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375203425

2: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 01:57:45.15 ID:zy+HOy9x0
ほむら「……っ」

ほむら「ダメ……みんなに知らせないと……」

ほむら「みんなキュゥべえに騙されてるっ……!」



ほむら「私たち……みんな……まどかも……」

ほむら「あいつの思う壺になんかさせる訳にいかない……私しかいない……!」

3: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 01:58:33.69 ID:zy+HOy9x0
見滝原の郊外に建つ高層ビル……
少しばかり激しい夜風の吹きすさぶ真夜中の闇の中。

シズカ「ふっふーん、ここが見滝原、ね……」

シズカ「ゲッコウ様が『何か不穏な気配を感じる』って言ってたから来てみたけど」

シズカ「もしかしたらプレシャスがいっぱい見つかるかも!」

シズカ「ボウケンジャーに見つかる前に、プレシャス確保!っと……」

「ダークシャドウ」のくのいち、『風のシズカ』も、
この街で起こる怪異の裏に潜む大いなる力・プレシャスの匂いに感づいていた。

シズカ「……ん?なんか、あのビルから変な結界が出来てる……?」

シズカ「もうプレシャス発見ったら私ツイてる~!いや、これは私自身の実力よぅ!」

シズカ「見たところボウケンジャーのお邪魔虫もいないようだし、さっさとプレシャスGET~!!」

4: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 01:59:28.70 ID:zy+HOy9x0
サージェス財団、本部……




明石「……久しぶりだな、お前たち。」



ゲキレンジャーと共に「パチャカマック12世」の陰謀を撃破し、その後再び宇宙プレシャスを回収する冒険へ出発した
明石暁と西堀さくらがたった今、地球へ帰還した。





真墨「なんだ明石、もう帰って来たのか!まさか、地球が恋しくなって帰って来た、なんて言うんじゃないだろうなぁ?」

菜月「あー、ホームシックだね!」


さくら「いえ、回収し続けた宇宙プレシャスがダイボイジャーの収納限界に近くなってきたので」

さくら「ダイボイジャーの修繕も兼ねて一度帰還しただけです。」

蒼太「へぇ、やっぱり宇宙にはプレシャスっていっぱいあるんだね。」

蒼太「ところでさくらさん、チーフとは上手く行ってる?」

さくら「ちょっと、蒼太くん、いきなりそんな話……」

明石「ん……?さくらとは上手く行ってるぞ。さくらのおかげで本来一人では回収出来ないはずのプレシャスをいくつも回収出来た。」

さくら「暁さん……もう……!」

蒼太(鈍感なところは相変わらずだね……)

明石「それにしても、チーフ、か」

蒼太「あぁ!そっかそうだった……」

真墨「今のボウケンジャーのチーフは、この俺様だっつーの!」

菜月「そーだよ、まぁ、チーフの事をチーフって呼びたくなるのはわかるけどさ」

明石「旅立つ前に『チーフの座はいつでも奪い返す』と言ったな……どうやら、それも簡単そうだ」

しゃれのめすような口調で明石は言った。

蒼太「でもでも、中々今のチーフも頼りになるチーフだよ……えーと……」

蒼太「暁さん?」

菜月「暁さん……?暁さん!暁さんっ!」

蒼太の口からこぼれた「暁さん」という言葉に理解の出来ぬ面白さを感じたのか、菜月も同調する。

ドンッ!

さくらがやにわに机を強く叩き立ち上がった。突然の自体に菜月は驚愕し黙り込んだ。

さくら「暁さんの名前をそんな軽々しく……っ!」


5: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:00:17.74 ID:zy+HOy9x0
しばしの沈黙のあと、菜月が笑い出した。

菜月「はははは!さくらさんってば、おっかない!」

さくら「ちょ、ちょっとからかわないでください!」

蒼太「顔、真っ赤にしちゃって」

真墨「なんだなんだ、明石、ホントに気づいてないのか、お前?」

明石「……なんの事だ?」

真墨「ダメだこりゃ」




菜月「そーいえばさ、えいちゃんはまだ帰ってこないの?」

真墨「アイツはサージェスレスキューの方で手一杯なんだろ。」

蒼太「明日くらいには帰ってくると思うよ、そうだ、暁さんが帰って来た事は内緒にしておこうよ」

菜月「そうだね、暁さんをいきなり見たえいちゃん、きっとビックリするゾ~」


6: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:00:56.09 ID:zy+HOy9x0
その時、サージェス基地の壁に大きく設けられているモニターが映像を映し出した。

「いや~明石くん、さくらくん、お久しぶりです。」

サージェスの一大技術者、牧野森男である。

牧野「宇宙でのお勤め、ご苦労様です。久しぶりの地球なんですから、ゆっくりしていってくださいね~」

牧野「本当は私も二人の宇宙の冒険のお話、聞きたいんですが、あいにくプレシャスの分析が先で……」

牧野「次の出発は一ヶ月後ですね。早く終わらせるよう、頑張るので終わったらゆっくり聞かせてください!」

明石「久しぶりです。牧野先生。こちらも持っていった冒険小説を全部読み終わったので」

明石「先生おすすめの本を紹介して欲しかったんです。」

牧野「はは。さくらくんも羽を伸ばしてくださいね。」

さくら「はい。」

明石「ふたり揃って久しぶりに地球の上で冒険したくなってきた所です。」

牧野「冒険の休憩も冒険とは、やっぱり明石くんですねぇ~」

7: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:01:37.70 ID:zy+HOy9x0
久々の仲間との再開に皆それぞれ喜び、歓喜に浸っていた。
だが、そんな他愛のない話もつかの間、モニターからコールが響いた。



『レッドくんとピンクちゃんの帰りで浮かれるのはそこまでにしてほしいな』


蒼太「ボイス……」

サージェス上層部からの命令を伝える橋渡しの存在である、ミスターボイスであった。

ボイス『君たちはいつでも出動出来るように心構えしておいてね、ってボイス何度も言ったよね』

真墨「チッ……わかってるっつうの……」



ボイス『とりあえず要件を伝えるよ ダークシャドウがまた動き始めた』

8: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:02:13.17 ID:zy+HOy9x0
通学路……

さやか「そ、そういえばさ、聞いた、あの胡散臭い『薔薇』の話」

まどか「ばら……?」

マミ「薔薇ってあのお花の?」

さやか「お、モテモテそうなマミさんも気になるか!てっきり毎日ラブレターでももらってそうだったけど」

仁美「ああ、そういえば屋台……?みたいな所で美人の淑女さんが叩き売りしてましたわね」

仁美「女性の客に大人気!注文が殺到!らしいですわね……いつから」

さやか「そうそう!薔薇が山盛りになってて!なんかさ、その薔薇を渡したらどんな恋も成就するって!」

さやか「なんかその場で彼氏に告白したら即OK貰った!百発百中ハズレ無しなんて噂がさ!」

さやか「もう屋台の周りカップルだらけだったよ!」

仁美「山盛り……?私が見たときはもう売れてて何もありませんでしたわ」

さやか「ホント?やっぱ売れるんだねー」

仁美「まぁ、空になった後も人だかりは消えてませんでしたね」

マミ「え……なんか、ちょっと、気味悪いわね……」

さやか「そーすか?……あ、そーだ、じゃあさ、まどか、今日見に行かない?」

まどか「え、えぇ?うん」

マミ(人を魅惑する薔薇、ね……)

不穏な気配を察したのか、まどかとマミは顔を見合わせた。



10: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:03:09.36 ID:zy+HOy9x0
学校

まどか(さやかちゃんの言ってた薔薇……って、もしかして、やっぱり……)

まどか(……やっぱ考えすぎ、かなぁ。どんな恋も成就する、なんて売り文句、何処でだってやるもんね)

まどか(でも不安だし……マミさんも気になってるみたいだからパトロールしておかないと!)

さやか「お!まどかったら随分考え込んでますなぁ!」

さやか「もしやもしやもしや!あの薔薇を渡したい気になる人でもいるのかな?ん?ん?」

まどか「や、やめてよぉ!そんなんじゃないって!」

さやか「ふぅ~ん……ホントかなぁ」



早乙女「はいはい、みんなお静かにしてちょーだい。さて、ところで皆さん?」

さやか「あ、先生来た。」

まどか「あっ……」

早乙女「ホームルームの時間ですよっ!今日の日直は誰?日誌取り忘れてるわよ」

さやか「や、やべっ、あたしだったじゃん」

早乙女「はい、今日は皆さんに大事なお話がありますッ!心して聞くように!」

早乙女「女性はどんな事があっても家庭を守るべき存在であるか!それとも外へ出て夢を追いかけるべきかッ!」

早乙女「はいッ!中沢くんッ!」

中沢「ど……どっちでもいいんじゃ……」


11: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:04:13.26 ID:zy+HOy9x0
早乙女「よろしくないッ!!」

早乙女「女性にだって誰だって夢を追いかける権利はありますッ!それをわからず家庭の仕事をしてろとかぬかす男性とは交際しないように!」

早乙女「男子諸君らもそんなくだらない固定観念にとらわれる大人にならないようにッ!」


さやか「ゲ……先生今回はマジのマジに怒ってるよ……どうしよう……」

さやか「あー!もう!なんで今日に限って日直!それに日誌取り忘れなんて……もう!」

まどか「え、えへへ……災難だったね……」

さやか「災難なんてもんじゃあないよ全く!また放課後愚痴に付き合わされるじゃん!」

さやか「はぁ……中学生に温もりを求める教師ってどうなんだろう……」

まどか「た、溜まってるねー……」



早乙女「ふぅー……心しておくように……さて、転校生の紹介です」


さやか「そ、そっちが後回しかよぉ……でもラッキーかな……」

さやか「もしかしたら転校生関連で忙しいからすっぽかせるかも!」


早乙女「はい、こちらが転校生の暁美さん、です!」




12: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:05:00.75 ID:zy+HOy9x0
ほむら「……」


だが、その少女は声を発さず、震えていた。


早乙女「ア、アレ?暁美さん……?緊張してるのかな……?」

早乙女「あ、焦る事ないのよ、自己紹介、ね」


さやか「あちゃー……あれ完全に人見知り激しいタイプだよね、あれね」

まどか「はは……無理もないよ、初めて来たところだもん、私だってああなっちゃうよ」


他、大勢の生徒たちの目からはほむらは人見知り、と思われた。


しばしの沈黙の後、ほむらの口から言葉が漏れた。



ほむら「……鹿目……さん……ッ!」


まどか「……ほぇ?」


ほむら「鹿目さん……!」


さやか「……は?」


ほむらはまどかの目を見て、感極まった表情で、目尻に涙を浮かべながら、震えていた。


早乙女「え……?あ、鹿目さんと昔の知り合いだったとかかな?な、なら良かった!」

早乙女「よろしくね、鹿目さん!」

まどか「へ……?あ、はい……っ」

13: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:05:33.03 ID:zy+HOy9x0
ほむら「……。」

指定された席に着席した。少し緊張がほぐれたのか、ほむらは顔をあげた。


「ねね、さっき鹿目さんの名前呼んでたけど、どんな関係だったの?」

「知り合い、でしょ?」

「前はどんな学校行ってた、の?」


ほむら「う……その、あの……」

まどか「ごめんね、みんな、暁美さん、保健室行かないといけないんだったよね。」

ほむら「……。」

14: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:06:12.87 ID:zy+HOy9x0
廊下、保健室へ向かい歩いていく二人……

まどか「え、えへへ、いきなりなんか、びっくりしちゃったな」

ほむら「……ごめんなさい。」

保健室の道のりは知っていたが、あんなことをしてしまった手前、足がなかなか思うように運ばない。

まどか「私たちってどこかであったことあるかな……?なんか、どっかに心当たりあってさ……」

まどか「私が忘れてるだけ、かなぁ……?」

ほむら「い、いや、その……」

まどか「ん……?」

ほむら「鹿目さん、って、大切な人、いるんですか……?」

まどか「え……?あ、うん、もちろんだよ、急だね……」

まどか「パパもママも、弟も、友達も、みーんな大事な人だよ?」


15: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:06:49.95 ID:zy+HOy9x0
ほむら「そう……なら、それ、絶対に、忘れないで下さいっ……」

ほむら「貴方が大切に思ってるように、貴方の事を大切に思ってる人の事、絶対に、忘れないでいて下さい!」

ほむら「みんなが助かれば、自分がどうなってもいいなんて、絶対、絶対、思わないで!」





まどか「……」

まどか「……へ?」

まどか「う、うん、わかったよ、……あ!」

まどか「保健室、ここだよ!」





ほむら「あ……はい、ありがとうございます、鹿目さん……」



突然の出来事に、まどかは気が動揺した。


まどか(変な、の……なんで私の事知ってるんだろう……)

まどか(もしかするとほむらちゃんって……)







17: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:07:55.79 ID:zy+HOy9x0
シズカ「げへへへ、もーけた、もーけた!」

見滝原、街中。手にした札束を眺め、、風のシズカは笑っていた。

シズカ「へんなチビヒゲが持ってた薔薇をもしやと思って売ってみたけど、……!」

シズカ「噂が噂を呼んで、買いに来る客が来る、来る!」

シズカ「こんな得体のしれない薔薇に金払うなんて……バッカでぇ~い!」

シズカ「まだまだ売らないといけないし、早速回収にGO、GO!」

シズカ「アホなボウケンジャーに見つかっちゃいないし……売りさばくなら今よ!」

シズカ「……ん?」


浮かれているシズカの手を、誰かが掴んだ。


蒼太「噂をすれば、なんとやら、だよ。シズカちゃん?まーたこんな事して」

シズカ「うげぇ!もう感づかれたッ!なんで上手く行くと思った矢先に感づいてくんのよ!キーッ!」

蒼太「……で、何売ってんのさ。薔薇?どこにあるのさ」

シズカ「で……今来てるのはあんただけなの?」


18: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:08:47.61 ID:zy+HOy9x0
蒼太「ん?まぁね。あくまで調査だから、僕と菜月ちゃんだけがこの街に来てる。」

蒼太「ダークシャドウがまた何かやってる、って聞いてね。菜月ちゃんは今別のところ探してるハズさ。」

蒼太「ま、連絡すれば、いつでも来れるけど。」



シズカ「へー……」

ボゥンッ!

シズカが煙幕弾を炸裂させた。


蒼太「ゲホッ!あーもう、逃げられちゃったなぁ……」

蒼太「やれやれ、でも、シズカちゃんの売ってるプレシャスの元手はこの街にあるらしいし」

蒼太「それが解っただけで、今回は大丈夫かな。チビヒゲ?ってのを探せば良いみたいだね」





19: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 02:10:02.57 ID:zy+HOy9x0
マミ「そう、そんな事があったの……」

まどか「マミさん、やっぱり、ほむらちゃんって子、私たちと同じ……」

マミ「そうね。魔法少女の可能性が高いわよね。」

QB「でも、不思議だよね。僕と契約した覚えがないんだ。普通、そんなことはありえないんだけど」


夕暮れ時。まどかとマミは街に潜む魔女を探し出す為、気配を頼りに街道を歩いていた。


まどか「だけど私たちの仲間に入れても……」

マミ「……まだ、やめておいた方がいいかもしれないわ。」

まどか「え……?どうしてですか?」

マミ「いくらなんでも怪しいと思わないかしら。そんな風にいきなり話かけるなんて。」

マミ「キュゥべえにだってわからない存在を、迂闊に仲間にするのは危険よ。」

まどか「でも、そんな事するような子には見えなかったですけど……」

マミ「そうやって油断を誘って……かもしれないわよ。とにかく、用心するにこした事は無いわよ。」

まどか「確かに、そうですね……」

マミ「いざって時は私たちは二人ですもの、何があっても大丈夫よ。」

マミ「判断は、二人でしましょう。私と、鹿目さんでね。」

22: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 19:44:19.06 ID:ZCFQZ4pU0
マミ「それより、美樹さんが言ってた、『人を魅惑する薔薇』よ……」

マミ「おかしいと思わないかしら……?ただの薔薇に、人だかりが出来て、しかもすぐ完売だなんて」

マミ「しかも、その薔薇を渡すと恋が実る、百発百中って……どう考えても」

まどか「人の心を操る魔女の仕業……ですよね」

マミ「えぇ……まぁ、思い過ごしであれば、それがベストなんでしょうけど。」

マミ「……ごめんね、美樹さんとの約束、破らせちゃって……」

まどか「大丈夫ですよ、だから、今日の内に終わらせて、さやかちゃんとの約束は明日です!」

QB「いいや、知ってるとおり魔女にはほぼ全て、人間を喰らう為の能力が備わってるんだ。」

QB「その薔薇は予想通りで間違いないよ。」



その時、二人のソウルジェムが鋭く魔女の気配を察した。


マミ「……見つかったわね。」

23: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 19:45:37.84 ID:ZCFQZ4pU0





ショッピングモール地下……

シズカ「にひひっ、ココだココだっ!ココから昨日のチビヒゲの匂いがするゾ~!」

マミとまどかより先に、『魔女』の気配を嗅ぎつけた風のシズカが
魔女から薔薇を奪うべく、結界に侵入していた。

シズカ「ま、この結界、ってのに入るのがなかなか手間なんだけれど……この私の術にかかれば!」

シズカ「ぺぺぺのぺー!よ!」



シズカ「どれどれ……よこしなさいよ!」

背に籠を背負い、火バサミで使い魔から薔薇を奪っていく。
無論、使い魔も抵抗するが、抵抗むなしく次々とシズカに薔薇を奪われていく。


シズカ「なになに、今日は大量よ!明日になれば昨日よりたっくさん売りさばける!」

シズカ「こんなちんけな街に、こんな宝が眠ってるなんてね~!さっき気づかれた時はビビったけど、ボウケンジャーも来てないみたいだし……!」

シズカ「さっさと全部集めて、退散よ~!」

目の前の光景に、浮かれ、鼻歌を歌いながら籠に薔薇を詰めて行く


24: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 19:46:48.64 ID:ZCFQZ4pU0
……ドゥンッ!


シズカ「……ギャッ!?」

だが、突然、火バサミごと薔薇を何者かが打ち抜いた。


シズカ「な、何すんのよーッ!ゲッ!ピンク!黄色!ボウケンジャー!?」




マミ「……魔女の薔薇を使って、何をしてるのかしら。」

マミ「魔女の薔薇を街で売りさばいてたって、まさか貴方?」


結界の奥から、マミとまどかが現れた。


シズカ「ほぇ?アンタ誰?」

マミ「先に質問してるのは、こっちよ。薔薇を売りさばいてたのは、貴方かしら?」

シズカ「そーだけど、なんか文句あるっての?」

マミ「文句って……それが何か解ってるの?」

シズカ「そーよ、どういう物かわかってるからこうやっていただいてるのよン!」

マミ「……それは凄く危険な物なのよ、そんな物人に売る何て……ッ!」

シズカ「うるさいわね、邪魔するなら、ただじゃおかないよ!」

手に刃を持ち、マミに向かって走り出した。
すかさず、マミは銃を放つ。


ガキィンッ!


シズカ「じゅ、銃……!ヘン!こ、こんなもんへっちゃらよ!」


マミの隣にいたまどかも身構えた。



25: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 19:47:50.04 ID:ZCFQZ4pU0
まどか「キュゥべえ……?あの人、誰……?」

QB「さぁね、どうやって結界に入ったのかは知らないけど、少なくとも魔法少女ではないね。」

まどか「ど……どういう事?」

QB「ソウルジェムの反応が感じられない。というか、そもそも……」

QB「彼女程の年齢じゃあ、僕と契約する事自体難しいかもね。」

まどか「確かに、結構私たちより年上そうだけど……」



シズカ「……っ!」



シズカ「い……今なんて言ったあああ!」


まどか「へっ……?」

まどか「あ……キュゥべえ……?もしかして、すごい怒らせちゃった……かな?」


シズカ「だっ……誰が……誰が……」

シズカ「誰がおばさんですってェー!」


まどか「ひぇっ!?そ、そんな事言ってないです!」


マミ(……今よ!)

シズカが怒りにかられた瞬間を見抜いてマミのリボンがシズカを捕らえた。


26: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 19:48:40.55 ID:ZCFQZ4pU0
マミ「……おとなしく、その薔薇を捨てて退散しなさい。」

まどか「あ……マミさん、ありがとうございます」


シズカ「くっ……こんくらい……ッ!」

ザクッ!ザクッ!

シズカの刃がリボンを切り裂いた。
拘束から逃れたシズカが走り出す。




マミ「……来るわッ!構えて!」

まどか「は……ハイッ!」



シズカ「許さないわよ……!覚悟なさい!影忍法……」


ゴッ!


シズカ「……ギャッ!?」


しかし、突然の衝撃がシズカの後頭部を襲った。


シズカ「ぐ……いった……だ、誰だッ!」



27: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 19:50:09.40 ID:ZCFQZ4pU0
ほむら「……」




まどか「ほむら……ちゃん……?」


ほむら「……あ、あの、その……」

マミ「あら?鹿目さんの言ってた暁美さんって……あなた?」


ほむら「え……えっと、……」



シュウウウウウウ……



まどか「あ……あれ?結界が……」

マミ「この使い魔を作り出した魔女に逃げられたって訳ね……」



シズカ(『使い魔を作り出した魔女』……?)

シズカ(あのチビヒゲは魔女ってのが作り出したの……?)

シズカ(じゃあ魔女って親玉が無事ならあのチビヒゲは無限に湧いてくるってこと!)


シズカ「ヘンッ!へんぴなコスプレ集団さん、バイビー!」


ボゥンッ!

28: ◆QMA.Fdvs1M 2013/07/31(水) 19:51:15.48 ID:ZCFQZ4pU0
マミ「ッ……!?ゲホッ!ゲホッ!……逃げられたわ。二つの意味でね……」

まどか「……明日、ゆっくり探しましょう、マミさん」





QB「……誰だい、君は」

ほむら「……」


まどか「魔法少女、だよね……?」

まどか「私たちの事知ってた……のかな……?」

マミ(……鹿目さん!あまり知り合わない内に仲間を作るのは、あまり感心しないわ)


ほむら「あ、あの、鹿目さん、巴さん……私、今までずっと一人で戦ってて……」

ほむら「たまたま転校してきたここに二人の魔法少女がいる……って聞いて、その……」


マミ「仲間になりたい、って……?」

ほむら「はい……巴マミって人が優しくて強い人って聞いて……」

ほむら「お、お願いします!」ペコッ



まどか「え、あ、ちょっと、そんな頭下げなくても大丈夫だよ!ね?マミさん?」

マミ(私が優しくて強い人、ね……)

マミ(……もし私達が邪魔で排除したいなら、さっきの戦ってる最中に闇討ちするチャンスなんて、いくらでもあったのに、それをしないって事は……)

マミ「……何だ、私たちの事知ってるから誰かって思ったら、そうだったの。」

ほむら「……はい」

マミ「だったら、大歓迎よ。嬉しいわ、私たちの事、知ってくれてる人がいたなんて!」

まどか「……!ありがとう、マミさん!ほむらちゃん、よろしくね!」

ほむら「はい!ありがとうございます!」

まどか「これから、三人で頑張ろ!」





31: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:32:05.56 ID:B53h/3Jq0



……サージェス本部


真墨「……は?チビヒゲ?」

菜月『ねね、可愛い名前だと思わない?』

蒼太『シズカちゃんがそう言ってたんだ。でも、調べてみてもどこかのマスコットキャラクターしか……』

サージェス本部で待機している3人に、見滝原から蒼太・菜月からの通信が届いた。


蒼太『……街の様子を伺っても、特に変わった様子は。』

菜月『恋愛が必ず結ばれる薔薇なんて、素敵じゃない?さくらさん』

さくら「思いません。そんな努力もしないで道具で何かを得ようなんて、浅はかにも程があります。」

真墨「相手はダークシャドウだろ?まさか、売り出した商品で人が死んだりしたらDSカンパニーの評判ガタ落ちどころの話じゃねーだろ」

真墨「だから、人が死んだりする危険も無いと思うぜ。焦る必要も無いんじゃ……」

明石「いいや、確かにダークシャドウはそのつもりが無いのかもしれないが、プレシャス自身が危険性を帯びている可能性も否定出来ないだろう。」


ボイス『ブラック君、プレシャスに対してそういう態度は感心しないんだけどな』

真墨「あー、解ってる、解ってる」

真墨「焦って息切れするより、落ち着いて探す方が確実だって言いたかったんだよ」

ボイス『そーぉ?なら別に構わないんだけど』

32: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:33:09.01 ID:B53h/3Jq0
さくら「とにかく、人の心を操る薔薇です。見逃す訳には行きません。」

蒼太『……もうちょっと調査続けてみます。わかったことがあったら、連絡するんで、じゃ!』

明石「……百聞は一見に如かずだ。俺たちもそこに向かう。幸い、ここからそれほど離れていないからな。」

明石「総員、出……」

真墨「おい、ちょっと待った。今のボウケンジャーのチーフは?」




真墨「ボウケンジャー、総員出動!」


真墨「っと……、明石とさくら姉さんはここで待機してて良いんだぜ。俺たちに任せてくれよ」

さくら「そういう訳には行きません。ここにいる以上、私たちもボウケンジャーの一員です。」

明石「そうだ。それに……」

明石「お前がチーフにふさわしいかどうか、今一度確かめてやる。」

真墨「へっ、そういうと思ったぜ。チーフの座は譲れねえよって事教えてやるからよ!」



33: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:34:02.02 ID:B53h/3Jq0
翌日朝、通学路


ほむら「鹿目さん、巴さん、おはようございます!」

マミ「おはよう!」

まどか「おはよう!」

さやか「おっ、昨日の転校生じゃん!何、もうお友達?やっぱ知り合いだったの?」

まどか「うん、まぁ、そんな感じ、かな……?」

さやか「へぇ、まどかに幼馴染も知らない秘密のお友達がいたなんてねぇ~」

さやか「まどかの意外な一面とか知ってたりするのかな……?」

ほむら「へ……あ、まぁ、その、一応……」

まどか「え?」

さやか「昨日、予定あるって言ってたの、やっぱこの子と再会の喜びを分かち合ってたとか?」

仁美「そ、それは……!?」

まどか「そうだけどそんなんじゃないって」

34: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:35:32.57 ID:B53h/3Jq0
さやか「あ、そうそう、見てよ、これ!あたし昨日買えたんだ!見てみて!」

まどか「そ、それ……!?」

さやか「人ごみかき分けて買ったんだ!」

マミ「美樹さん……!?……」

マミ(どうしましょう……まさか美樹さんが……)

マミ(魔女の薔薇だ、なんて言っても信じてくれる訳無いし……でも、持たせておくのは危険すぎるし……!)



マミ「あ、あんまり見せびらかすのはよくないんじゃないかしら……?人気商品なんだから、盗まれるかもしれないわよ」

まどか「そう……そうですね!私もマミさんの言うとおりだと思うよ」

さやか「……あー、確かにそうですね。鞄の中仕舞っておこうっと」

仁美(ん……?よく見えませんわ)

仁美「誰か渡すアテがあるのですか?」

さやか「い、いや、そんなの、ないって!ただの珍しい物欲しさだよ!」

さやか「ほ、ほらもう!学校着いたよ!」


マミ(……美樹さんが危険な目に合う可能性がある以上、今日もパトロールね……)

まどか(早く魔女をやっつけなきゃ)

ほむら(私も手伝います……)

35: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:36:44.17 ID:B53h/3Jq0






ダークシャドウ、本拠地……

シズカ「ゲッコウ様!昨日はこんだけ儲けましたよ~!DSカンパニー新商品!『恋慕成就の薔薇』」

ゲッコウ「うむ。よくやった、シズカ。」


山奥に潜む屋敷……それがダークシャドウの本拠地である。
ダークシャドウは本来、ただの商売取引による利益のみを求める組織である。
今回の薔薇騒動の目的もただの金儲けであった。そこには「人類滅亡」や「地球侵略」などの目的は一切存在していない。
もっとも、その目的が今、多くの人々を魔女の危機に晒している事に当の本人たちは気づいていない。


シズカ「それより、もっと耳よりな情報が……!」

ゲッコウ「なんじゃ、言ってみるがいい」

シズカ「それが……ゴニョゴニョ……」

ゲッコウ「なんじゃと!つまり、その魔女というのを捕まえれば……!」

シズカ「この薔薇を、無限に生産させられるって事ですよぉ~!!」

ゲッコウ「うむ、よくやったぞシズカ!」

シズカ「よし!じゃあ行きましょう!」

ゲッコウ「え?儂も行くのか?」

シズカ「当然ですよ、いい考えがあります!」

ゲッコウ「そうか……」

シズカ「こんな事もあろうかと、あのヘンピなコスプレ三人組の服に、逆探知用の御札を貼っておいたんです!」

36: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:39:42.27 ID:B53h/3Jq0
夕方。
すべての授業を終え、下校時間。
通学路を、さやかと仁美が歩いていた。

さやか「ったく、まどかったら、昨日、今日一緒にどっか行こうって約束してたのに……」

仁美「仕方ないですわ、昔の知り合いといきなりの再会、なんて事になったんですもの。」

さやか「まぁ、別に恨んじゃないけどさ……あたしも混ぜてくれたっていいのに……」



心の中に浮かぶ寂しさを誤魔化す為か、鞄から薔薇を取り出した。
その薔薇を見つめ、言葉を紡いだ。


さやか「まったく、友達づきあい悪いぞ、もう……」

さやか「友達づきあい、悪いって……」

仁美「……?大丈夫ですか?目が虚ろに……」

さやか「大丈夫、大丈夫、……」

37: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:40:39.83 ID:B53h/3Jq0
見滝原の市街地。

菜月「もー、全然見つかんないよぉ!」

蒼太「はぁ、シズカちゃんさえ見つかれば、色々手がかりもつかめると思うんだけど……」

『薔薇』『チビヒゲ』の二つの言葉のみを鍵に薔薇の正体を探っていた。
だが、その殆どは徒労に過ぎず、もはや、徘徊と言っても過言ですら無い状態に陥っていた。

その時、アクセルラーの真墨からの通信コールが鳴った。

菜月「あ!真墨!なんか見つかった?」

真墨『いや、全然だ……そっちは?』

蒼太「こっちも、てんで、だよ」

菜月「なーんだ……期待したのに……」

真墨『おいおい、そんなんじゃあいつに笑われちまうぞ!』

蒼太「お、随分対抗意識燃やしてるね」

真墨『ったりめーだ、あいつを超えられるチャンスだからな!』

真墨『あいつとさくら姉さんからも連絡は来てねーけど』

真墨『だから、さっさと俺たちで見つけるんだ!映士もこっちに向かってる。俺がチーフの新ボウケンジャーの力、見せてやろうぜ!』

菜月「真墨、随分やる気だね」

蒼太「ま、こんな機会めったに無いし。燃えるのも仕方ない、かな?」

真墨『おう!』


38: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:42:05.78 ID:B53h/3Jq0





夕暮れの市街地。
薔薇の魔女の気配を追い、3人は街を彷徨っていた。

まどか「さやかちゃん、大丈夫かな……」

マミ「あの薔薇は危険だわ……一刻も早く魔女をやっつけないと」

ほむら「はい……」

マミ「あそこだわ。あの廃ビルの地下よ。」

ビルの並立する中の一つに、廃墟となったビルが一棟あった。
その地下に、魔女は結界を張っていた。

マミ「ここで魔女に暴れられたら……人通りが多い場所、危険すぎるわ!」

ほむら「じゃあ早く倒さないと……!」


39: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:43:03.33 ID:B53h/3Jq0
シズカ「よぉし、そのまま、そのまま……」

ゲッコウ「うぅむ、手際が良くなったな、シズカ」

シズカ「でしょでしょ!」

御札を探知し、ダークシャドウが3人を尾行していた。

シズカ「あとはあいつらの隙を見て魔女を確保するだけです!頼んだよ、ツカミガミ!」

ツカミガミ「私ニオ任セ下サーイ!」



ツカミガミ……『手袋』と『鳥かご』から作り出された。
        魔女を捕らえる為に作られたツクモガミである。

40: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:44:06.12 ID:B53h/3Jq0
マミ「ここが魔女の結界よ……みんな、気を引き締めて」

まどか「3人いれば大丈夫だよ!ね、ほむらちゃん……ん……あれ?ほむらちゃん、背中に何か付いてるよ……」ペリッ

ほむら「え……?」

まどか「何かなこれ……?何て書いてあるのか」

マミ「この文字は……起請文……?じゃあ、これは神札かしら……?」



まどか「詳しいんですね、マミさん」

まどか「神札って何ですか……?」

マミ「神札っていうのは……御札、って言えばわかり易いかしら」

ほむら「御札……?御札って、昨日戦ったあの忍者の……!?」

まどか「御札……忍者……!?」

マミ「……昨日のあのくノ一の仕業かしら!?だとしたら、私たちを追って……!?」

まどか「じゃ、じゃあまた昨日みたいに……!?」

ほむら「あいつと争いになる……って?」

まどか「そうなったら、どうしましょう!?」



マミ「そうね……リボンで縛って、結界の外に追い出しましょうか」

マミ「流石にどう見ても人間の相手を打つなんて、したくないわよね。」

ほむら「そう、ですね……」

まどか「心配ないですよぉ!マミさんが一緒なら百人力です!」

マミ「ふふ、あんまり宛にしないで、鹿目さんも頼りにしてるんだから。」



41: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:45:01.04 ID:B53h/3Jq0






シズカ「今だッ!」

3人が結界前で相談している隙を見て、シズカが飛び出した。

シズカ「影忍法・ひらけごまの術~!!!」

ほむら「あっ!?しまった!」

三人があっけにとられた瞬間を見て結界に侵入する。

シズカ「お先に失礼!」

ツカミガミ「置イテカナイデ下サイ~!」

マミ「追うわよ!早く魔女を倒さないとどうなるか!」

マミ「あんなセンスの無い術名で先を越すなんて……ッ!!」

まどか「はいっ!……え?」

マミ「急ぐわよ!」


42: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:45:35.89 ID:B53h/3Jq0






さやか「……」ウトウト

さやか「……よく見ると、綺麗な薔薇」

さやか「……」ユラァ

下校途中、道端に立ち止まり、薔薇を見つめていたさやかが、ふいにふらりと歩き出した。

43: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:46:51.69 ID:B53h/3Jq0
 薔薇の魔女結界

シズカ「ぼーっとしてやんの!先越されてやんの!」

シズカ「ま、この私にかかれば当然だけどね!」

ツカミガミ「シズカ様!速スギデス!」

シズカ「あんたが遅すぎんのよ!のろま!」


薔薇の魔女結界を最深部めがけて一目散に走り出す。


アンソニー「!!」


シズカ「悪いけど、今興味あんのはあんたじゃなくて、親玉の方だからね!」

使い魔もお構いなしに進んでゆく。









そして、いくつかの階段を経て、魔女の目前に到達した。


ゲルトルート「ウウウ……」

シズカ「うわぁ……何あれ、キモイ!」

ゲッコウ「シズカよ、本当にこやつで合っているのか……?」

シズカ「でもチビヒゲの親玉だし、間違いないですよ!さて、早速……」

44: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:47:53.96 ID:B53h/3Jq0
マミ「待ちなさい!それ以上は許さないわ!」


シズカ「ゲゲッ!?もう追ってきた!」

ツカミガミ「ド、ドウシマショウ」

マミ「鹿目さん、暁美さんはここで彼女たちを足止めして!魔女は私に任せて!」

ツカミガミ「ソウハ行カナイゾ!」

シズカ「ツカミガミはここで彼女たちを足止めして!魔女は私に任せて!」


マミ「ッ!真似しないで!」

シズカ「ぺぺぺの、ぺーだ」

ツカミガミ「今デス!」


一瞬、シズカに反応したマミの隙を狙って、ツカミガミが巨大な手袋を作り出し、3人を掴み捕らえた。

まどか「ひっ!?何これ!?」

ほむら「うっ……て、手袋……!?」

ほむら(なんなのコイツ……!?魔女じゃ、ないよね……?)


45: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:48:43.02 ID:B53h/3Jq0
ツカミガミ「ドウダ!ザマミロ!」

シズカ「よぉし、あんたたちはそこで見てなさい!ゲッコウさま!」

ゲッコウ「うむ。」

シズカとゲッコウが魔女へ向かってゆく。


マミ「……ちょっと、油断したわ。……でも!後輩にこれ以上カッコ悪いところは見せられないわよね。」


そう言うと、マミは胸元のリボンを解いた。すると、そのリボンは意思があるかのように舞い、
3人を捉えている巨大な手の親指を断った。


ツカミガミ「ヒイッ!?」

ほむら「今だッ!」カチッ……



ツカミガミ「オノレ……!?貴様イツノ間にソコに!?」

ほむらは時間を止め、ツカミガミの右方向に回った。

ほむら「えいッ!!」パァンッ!

46: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:49:34.00 ID:B53h/3Jq0
ツカミガミ「銃……?ヘンッ!ソンナモノデコノ……ギャアアア!?」

ツカミガミ「何ダ今ノハ……!?タダノ銃ノ威力ジャネェ……」

まどか「えいっ!えいっ!」シュンッ!シュンッ!

ツカミガミ「コンドハ弓矢……ギャアア!!!」


マミ「行くわよ……!!!」

ドォンッッッ!

空中に銃を大量に作り出し、打ち出す。


ツカミガミ「ギヒィッ……セ、セーフ……」

とっさに横方向に転がり込み、直撃を防いだ。

ツカミガミ「アノ黄色イ奴ガ司令塔ダナ……ナラ!」

マミ「!?」

ガシャァアアアンッ!


とっさに手を振り上げると、マミの頭上から巨大な籠が落下した。
その籠はマミの身体を覆い、閉じ込めた。



マミ「籠……!」

ツカミガミ「ドウダ!コレデ動ケナイダロ!」

47: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:50:38.04 ID:B53h/3Jq0
マミ「……フフッ♪」

ツカミガミ「ソノママ土下座デモシテ許シテクダサイッテイウナラ命ダケハ……!?」

マミ「動けないのは……どっちかしらね!」

ツカミガミ「……?」

地面に打ち込まれた銃弾跡からリボンが飛び出し、ツカミガミに絡みついた。


ツカミガミ「何……!?」

マミ「……私はこの籠の中からでも、貴方を狙い撃てるけど、あなたは私を狙い撃てない……」

マミ「形勢逆転よ!」

まどか「マミさん!」

バシュゥッ!

籠の頭頂部めがけ矢を放つ。
籠は消滅した。


マミ「……どうかしら」

まどか「ど、どうだぁッ!参ったか!」


ツカミガミ「シ、シズカ様~!ゲッコウ様~!コイツラ強スギマス……!」

シズカ「嘘~!?」

シズカ(ちんちくりんのガキ共だと思ってたのに……)

シズカ「でも、私の狙いはこっち…だから…!」

マミたちとツカミガミが攻防を繰り広げている隙にシズカが既に魔女に急接近していた。

48: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:51:48.41 ID:B53h/3Jq0
シズカ「ここまで来たら……ゲッコウ様、あとはよろし……ギャッ!?」

ドゥンッ!

ゲッコウ「シズカ!?」

ほむら「……ッ!」

まどか「ほむらちゃんが……打った……!?」


走ろうとした途端にほむらの銃弾がシズカの右足を打ち抜いた



シズカ「うぐっ、い、痛ッ……ううッ……」




マミ「暁美さん……!?」

シュルシュルシュル……

シズカ「うっ……リボン……!?むぐ、むーむー!」

ツカミガミ「シ、シズカ様ぁ……モウ引キ上ゲマショウヨ……」

マミ「貴方の部下もあの様子。もう私たちと戦っても勝敗は見えているわ。」

マミ「足の怪我は治してあげるから、もうこの結界から出て行って。」




マミ(このくノ一さんの足止め出来たのはよくやったけど……)

マミ(いくら何でも人の足を打っちゃうのはちょっとやりすぎ……かな?)

シズカ「むっ……」

治癒魔法でシズカの足の傷を癒した。


マミ「さぁ、治ったわよ。鹿目さん!暁美さん!魔女をやっつけましょう!」

シズカ「……にひひ」

マミ「……?何がおかしいの?」

49: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:52:38.28 ID:B53h/3Jq0






シズカ「ゲッコウ様!」


ゲッコウ「影忍法・オオガミの術!」





マミ「ッ!しまった、あの鳥を忘れていたわ!」

ほむら「私が気づいていれば……」





ゲッコウ「シズカ……すまん。だがそのおかげで儂がこやつまで近づけたぞ」

ゲッコウ(果たしてこやつに効くのかどうかは定かではないが……うむ)



50: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:53:43.35 ID:B53h/3Jq0
ゲルトルート「グゥゥウウウ……」

まどか「でも、何も起きないよ……?」





ガタガタガタガタ……



マミ「地震ッ!?」

まどか「あ……あぁ……!!」

ほむら「魔女が……大きく……うあっ!」

マミ「嘘……!?」

マミ「結界が崩れるわ!飲み込まれたらどうなるかわからない!脱出よ!」

51: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:55:17.01 ID:B53h/3Jq0
シズカ「へん、3人ともビビって逃げちゃって。さ、ツカミガミ、さっさとこいつを捕まえて!」

シズカ「巨大化したこいつを捕らえておけば、無限供給、一度に大量生産の夢の永久機関の誕生よ~!」

ツカミガミ「ヘイ!カシコマリ!エイヤッ!」

崩壊する結界の中、ツカミガミが手袋を巨大化させ、魔女を押さえ込む。

ツカミガミ「ア、アレ、コイツ、動クナ、動クナ!」


ゲルトルート「グワアアアアオオオオォォォゥウウウウ!」

バシィイイイイイ!

ツカミガミ「アベシッ!」




シズカ「ウワッ!ツカミガミが叩き潰された!?」

シズカ「何でよぉ~!計画台無しじゃないの~ッ!」

ゲッコウ「シズカ、ここは一度退くぞ!」

ゲッコウ「影忍法・どろろん!」

ボゥンッ!

形勢不利と判断し、ダークシャドウの二人は結界から姿を消した。

52: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:56:07.50 ID:B53h/3Jq0
廃ビル前

ほむら(あんな事、今まで無かったのに……!どうして……)

まどか「まさか魔女が大きくなっちゃうなんて……」

QB「巨大化はともかく、魔女が結界から逃げ出すなんて前代未聞だよ」

マミ「なんとか結界から逃げられたけど、これからあの魔女はどうな……えッ!?」

結界から逃げ出した3人の目には、大勢の人間が歩いていく光景が飛び込んだ。
その人々は全員、一方の方向を目指し、進んでいた。


まどか「み、みなさん、何処行くんですか!しっかりして……これ、薔薇……!」

マミ「こっちの人も……みんな薔薇を持ってるわ!ここまで広まってたなんて……」

ほむら「鹿目さん!あれ!」


さやか「……」ボー


まどか「さやかちゃん!」

マミ「この人だかり……どこまで続いてるのかしら……!」

マミ「一番先頭がここからじゃ見えないわ!」

まどか「ここって、一番後ろじゃ……」

ほむら「この人たちはどこに向かってるんでしょう……?」



53: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:57:31.34 ID:B53h/3Jq0











その時、街に巨大化したゲルトルートが降り立った。

ゲルトルート「ガアアアアウウウウウ……」



まどか「あ!魔女!」

マミ「この方向……!魔女の方向だわ!まずい……!」

ほむら「みんな魔女の餌……!?」

まどか「止めなきゃ!」

マミ「本当にどこまで続いてるの……!」



ゲルトルート「グアアアオオオ!!!」

ドォンッ!ダァンッ!

ゲルトルートがムチを振り回し、暴れまわる。
周囲のビルが崩れ、瓦礫が人々目掛けて落下する。



まどか「あっ……瓦礫が……!!!」

マミ「ッ!!間に合わないッ……!!」












ドォォォンッ!ダァアアアンッ!




まどか「へっ……!?」

ほむら「瓦礫が爆発した……?」

54: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:58:25.29 ID:B53h/3Jq0













「……サガスナイパー!ふう、間一髪だったぜ」

「なんだよ、この行列は……!みんなあの気味の悪いバケモン向かって歩いてんのか!?」

「見滝原に来いって真墨に呼び出されてやっと来たと思ったらいきなりこれかよ!」

「クソッ!おい、止まれ!……やっぱり操られてるぜ!」

瓦礫を打ち砕いたのは高丘映士・ボウケンシルバーであった。
ゲルトルートへ向かう行列の先頭に現れた。

シルバー「こうなったら力ずくで止めるしかねぇな!」

シルバー「オイ!止まれ!」

行列を真っ向からボウケンシルバーが壁になり押さえつける。

シルバー「聞こえるか!真墨!菜月!蒼太!今俺様のいる所ででっかいバケモンが暴れてやがる!」

シルバー「さっさと来てくれ!」


55: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/02(金) 23:59:28.69 ID:B53h/3Jq0








真墨「バケモンだと……?何処に……?」

真墨「こっからは何も見えねえけど……!」

真墨「……まぁ行ってみないとな」

真墨「ゴーゴービークル、発進だ!」


『発進シフト・ON!ダンプ!フォーミュラー!ジャイロ!ドーザー!マリン! GOッ!GOッッ!!』


56: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:00:14.23 ID:lRkmWxwv0




ゴゥウウン……

シルバー「来たか……!」

シルバー「ああこの、出てくんなッ!死んじまうぞ!」

シルバー「戻れっての!」

人々の行列はとても一人で抑えきれる人数ではなく、
シルバーの腕をくぐり抜けてなお、ゲルトルート目掛けて進んでゆく。




シルバー「あ……?真墨のヤツから通信か!何だ!」




ブラック『バケモンなんて、どこにもいねぇじゃねえか!』

シルバー「ハァ!?目の前にいるだろうが、気味悪いバケモンがよぉ!」

イエロー『そうだよ!いるじゃん!』

ブルー『……?イエローにしか見えてない、のかな……?』

シルバー「何でもいいからちゃっちゃと片付けてくれよ!」


57: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:00:49.53 ID:lRkmWxwv0



レッド『いいや、俺たちには見えないが、確かに存在している。レーダーを見ろ。』

ピンク『見れば見るほど、おぞましい怪物ですね……奴の体に薔薇が付着しています。』

ピンク『ダークシャドウがばら蒔いていた薔薇はおそらくこの怪物からの物でしょう』


シルバー「明石!?さくら姉さん……!?」

シルバー「あぁもう、こまけえ事は後だ!」



58: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:01:32.74 ID:lRkmWxwv0





レッド『イエロー・ピンクのサポートとレーダーを基にそのバケモノとやらを撃破する。いいか皆』

ブラック『アタック!』



   『合体シフト・オン!ダンプ!フォーミュラ!ジャイロ!ドーザー!マリン!』


             『ボウケンフォーメーション!』




                『轟轟合体!』


5つのマシンと5つのネオパラレルエンジン、そして5つの心が一つになり……
鋼鉄の巨人が君臨する!




        『ダイボウケン!合体完了!ファーストギア・IN!!』



59: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:02:31.43 ID:lRkmWxwv0



ダイボウケン・コクピット内……


ブルー「確かにレーダーに反応がある!10時の方向!」

ブラック「あぁ!まずは……あの行列からこいつを遠ざけるぞ!」

『ハァッ!』


ガチィイイイッ!

ゲルトルート「グワァォ……!?」

脚部のビッグアームを展開、魔女の胴体を捕らえる。


ピンク「3時の方向に人のいない広場があります!そこに投げ飛ばしましょう!」

イエロー「よぉし!おりゃああ!!!」



ゴゥンッ!

ゲルトルート「グゥウウウ!?」

ドォンッ!ダァンッ!



シルバー『フゥ……ひとまず安心だぜ』




レッド「ここでなら思う存分戦える。行くぞ!」

ブラック「おうよ!」


60: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:03:22.20 ID:lRkmWxwv0
ゲルトルート「グアォゥ……」


月光煌く夜空の下、薔薇の魔女とダイボウケンが相対する……!



『ゴービッカー!』

ガァンッ!

ゲルトルート「グゥアッ……」

ブルー「手応えあり……だよね」

ピンク「えぇ、確かに怪物の体に命中しています!」

イエロー「このまま一気に……」

『ゴースコッパー!』

『ハァッ!』

ガァンッ!

ゲルトルート「ガァウッ!?」

ゴースコッパーの一撃がゲルトルートを突き飛ばした!


61: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:04:05.38 ID:lRkmWxwv0
シュルシュルシュル……バチィッ!

イエロー「うわあっ!?」

ブラック「何だ!?今のは!」

ピンク「……蔦です!怪物の蔦が絡みついてます!」


ゲルトルート「グゥゥ……」


ゲルトルートは何重にも蔦を絡め、ダイボウケンを締め付ける!


ブルー「ああもう!ダイボウケンの操縦が効かない!」

ピンク「このままだと、怪物の攻撃を受け続けます!」



ゲルトルート「オオオォ……」





ブラック「あいつ、近づいて来たぞ!」

イエロー「早く脱出しないと!」


レッド「いや、……待て!」

ピンク「えっ……?」

62: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:04:50.11 ID:lRkmWxwv0
レッド「今、奴はきっと俺たちが動けないと思い込んでいる」

レッド「これはむしろチャンスだ。奴が慢心しがら空きの懐に一撃を叩き込む、な」

ブラック「そうか……よぉし!」

ブルー「でも、どうやって蔦から脱出を!?」


レッド「それはだな……」

ブラック「ネオパラレルエンジンの出力を一瞬で引き上げれば蔦を引き裂くくらい可能……」

ブルー「やっぱり、結局それが一番だね」

ブラック「ただし、それはマシンに重大な負荷がかかる……チャンスは一回きり、その一度で相手に必殺技を叩き込む……」

ブラック「相手が射程範囲に入るまでこらえろ……だろ?」

レッド「……あぁ。」

ピンク「了解!」


63: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:05:20.02 ID:lRkmWxwv0
ゲルトルート「グウウウ……」

バシィッ!バシィッ!


イエロー「うわぁっ!」

コクピットから火花が散る。

イエロー「ほ、本当に持つの?」

ブラック「あぁ、大丈夫だ!」


ゲルトルートが距離を詰めて行く。










レッド・ブラック「……今だッ!」

64: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:06:03.49 ID:lRkmWxwv0
『ネオパラレルエンジン!出力全開!』

ブチィッ!ブチィッ!

ゲルトルート「グァオ!?」


                   『轟轟剣!』


ダイボウケンの全身のパラレルエンジンが最大稼働し、轟轟剣にエネルギーを滾らせた!





               『アドベンチャードライブ!!』



ゲルトルート「ガアアアアッ!?」


その一撃は、ゲルトルートの身体を断ち砕いた!



ゴォォォォォォォォ……


ドォォォオオオオオオオオオオオオンッ!


ゲルトルートの体はたちまち爆発を伴い消滅していった



65: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:06:36.62 ID:lRkmWxwv0
イエロー「……勝った!」

ブルー「はー、見えない敵と戦うなんてどうなるかと思ったけど……」

ブラック「あぁ……でも何で見えないんだ?菜月とさくら姉さんにだけ見えてんのか?……あと映士も」

ピンク「どうやら、そのようですね……不可思議です。」

レッド「……新たなネガティブシンジケートの可能性も否定出来ん。」

ブルー「あのおびき出された人たちから何か無いか、調べてみよう」

66: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:07:30.42 ID:lRkmWxwv0







まどか「よしっ!ロボが魔女をやっつけたよ!」

マミ「急いでグリーフシードを回収しましょう。早めに処理しないと、また孵化したり予想外の自体が置きかねないわ。」

ほむら「え……?へ……?」

まどか「ん?どしたの、ほむらちゃん」

ほむら「いや、だって……ロボットが出て来たんですよ……?何かわからない、ロボットが……」

ほむら「どうしてそんな平然と……!?」

まどか「えぇ、そんなのみんなもう慣れっこだよ」

マミ「私達が生まれる前からずっとそうでしたもの。今更驚く方が……」

QB「ここ30年近くはほぼ毎週どこかで巨大な怪物とロボットが戦っているね」

ほむら「何で……?どうして……?」

ほむら(今までこんなのなかったのに……)

67: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:08:28.69 ID:lRkmWxwv0




シルバー「よし、やったぜ!」

ゲルトルートが倒された途端、薔薇も同時に消滅。
おびき寄せられた人たちは一斉に倒れた。

シルバー「おい、大丈夫か?……息はあるな。」

シルバー「念のため、サージェスレスキューで検査しておくか」

コツンッ

シルバー「んぁ……?なんだこれ……?」

シルバー「あの爆発の方向から飛んできたけどよ……つまりあのバケモン体の一部か何かか?」

シルバー「ハザードレベルは……3?……一応、反応がある分、回収しておくか。」





ザサッ

マミ「ちょっと待ってください!」

シルバー「ん?あ、そこの女の子!ストップだ!」

ほむら「……?」ザッ

シルバー「確かにバケモンは倒されたがビルが崩れたまんまだ、いつ瓦礫が降ってくるかわかんねぇからそれ以上近づいちゃダメだ!」

マミ「その黒いのは」

シルバー「あぁ、コイツか?まだ正体がはっきりしてないから、俺たちで解析してみるからよ、じゃあな!体に気ィつけろよ!」

マミ「だからそれはグリーフシードって……あぁ」

ザッ……



まどか「……行っちゃった」

マミ「もう、戦隊の方なんだから話くらいちゃんと聞いてよ……」

ほむら(え……?なんで二人共あの存在を普通に受け入れてるの……?)

ほむら(ここまで世界がまるごと違うイレギュラーなんて初めて……)

68: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:09:06.91 ID:lRkmWxwv0
まどか「どうするんですか、マミさん、グリーフシード取られちゃいましたよ……?」

ほむら「取り返しましょう……!あれがないと……!」

マミ「……そうしたいのは山々だけれど、もう追いつけないわ……。今回は諦めるしかなさそうね」

マミ「でも今回はともかく、問題はこれからよ……?もし、あの人たちが解析した結果、グリーフシードが魔女の卵だって知られて……」

マミ「あの人達と私達で取り合いになる可能性もあるわ……もしそうなったら……」

ほむら「私達の手元に回るグリーフシードがなくなる……!?そんな事になったら私達……!」

QB「あまりにも致命的すぎるね」

まどか「だけど、向こうは戦隊ですよぉ!話せばきっと……」

マミ「そうだと良いんだけど……」

69: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:09:59.45 ID:lRkmWxwv0




真墨「どうやらバケモンの近くにプレシャスらしき物が落ちてたらしい。映士が回収して本部に戻ったとよ」

真墨「サージェスレスキュー隊員達がもうすぐここに来る。ここで倒れてる人達を念のため、検査するらしいぜ」

菜月「あれ~?さくらさん、この人達薔薇持ってないよぉ?」

さくら「怪物の消滅と共に薔薇も消滅したと思われます。」

さくら「……今となってはその薔薇がどんな効果でどんな目的で人々を操っていたのか、分からずじまいですが」

蒼太「おっと、大丈夫、そこの可愛い女の子?立てる?」

さやか「ん……あれ?どこここ……!?」

さやか「あれ……あそこにいんのまどか……?ほむら……?マミさん……?3人で何やってんだろ……」

明石「怪物の消えた跡に何かほかに残った物があるかもしれん。俺たちも捜索するぞ。」





明石「そこの君たち、そこから先は危ない。ここは俺たちに任せて、君たちは離れていてくれ」

マミ「貴方達は……さっきの銀色の人の仲間……ですか?」

明石「銀色……映士のことか。彼は俺たちの仲間だ。」

70: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:10:42.83 ID:lRkmWxwv0



真墨「ブッ……なんだよあいつら……あの格好……!コスプレかよ」

蒼太「こらこら、女の子の服装に口出ししないしない」

菜月「格好良いと思うけどなぁー……ねぇ?さくらさん」

さくら「……私の趣味には合いませんね……いや、でも黒い子の服装は……」


71: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:11:23.48 ID:lRkmWxwv0
まどか「どうします、マミさん……?やっぱりあれは私達に必要な物なんですって言っておいた方が……」

マミ「……果たして話が通じるかしらね」

ほむら「でもグリーフシードを全てあいつらに取られたら私達もう……」

まどか「できますよ!話し合えば絶対通じますって!私達だって、街の平和を守る為に戦ってる者同士なんですから!」

マミ「そうね……鹿目さんがそう言うなら……」








明石(……この地点にはビルの距離からして瓦礫は落ちてこないな……)

3人に注意を促した跡、明石は瓦礫だらけの道路へ乗り出した。
その後、周りを見渡し、何もない事を確認する。

明石「映士が黒いプレシャスを回収していたと言ったが……それ以外には残った物は何もないようだ」

明石「……ん?待て!ここは危険だ、それ以上……」

まどか「すいません!さっきのえーと……黒い物の事でお話がありますっ!」

明石「黒い物……?君たち、怪物から出て来た物の事を知っているのか?」

マミ「えぇ……あれは私達に必要な物なんです……!」




72: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:12:16.64 ID:lRkmWxwv0
蒼太「あれ?チーフが女の子達と話してる」

菜月「あの服どこで売ってるのかな……?教えてもらお!」ダッ

真墨「おい!菜月……」

さくら「菜月には困ったものですね……」




明石「そう、か……あれは君たちの宝だったんだな……」

ほむら(宝……?)

マミ「宝とは違うんですけど……でも、無きゃ困るんです!」

明石「それはすまない事をした。だが、怪物を生み出した以上危険だ、俺たちの方で解析をしなくてはならない。」

明石「少しの間だけ俺たちの方で預からせてくれ。」

まどか「あの……これからもグリーフシード、貴方達で回収する……んですか?」

明石「……それは今は何も言えない。解析の結果が出るまでしばらく待ってくれ。」

ほむら「巴さん、これじゃさっき言ってた取り合いに……」

まどか「お願いします、グリーフシードだけは私達に譲ってください!」

明石「そんな大事な物なのか……?」






菜月「暁さ~ん!何話してるの~!」

蒼太(一人で女の子と話すなんて、ちょっとずるいよね)

マミ「……!」

菜月「ねね、この服すごいかっこいいね!帽子も!何処に売ってたの?菜月にも教えてよ!」

さくら「菜月、初対面の場合はまず挨拶を……」

真墨(ピンクの子の衣装……近くで見ると……結構キツイな……)

73: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:13:09.22 ID:lRkmWxwv0
まどか「マミさん、もう私達の事全部話しちゃいましょうよ!」

まどか「私達が、あの魔女っていう怪物と戦う為に、魔法少女になったって事!」

明石「魔法少女……?」

マミ「えぇ、そう……鹿目さんの言うとおりよ、私達は魔法少女。だから、あのグリーフシードが無いと魔法が使えないの。」

マミ(信じてくれる、なんて期待はしないけれど……)

さくら「魔法少女って……いや、確かに古代から魔女の記録などは多数ありますが……」

蒼太「ほんとにいたんだ……驚きだね……。またプレシャスが絡んで……」






菜月「魔法少女!かっこいい~~~~!!!!」

菜月「魔法使えるの!すごい!見せてよ!」


マミ「……え?」

菜月「え!じゃあその服も魔法で作ったの!?いいなぁ、菜月も欲しい!」

マミ「信じるんですか……?」

菜月「信じるよ!嘘つきには見えないもん!」


74: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:13:55.87 ID:lRkmWxwv0
真墨「魔法って……いくらなんでもそりゃねーよって思うけどよ……でも格好がな」

ほむら(ロボットで戦ったりする方が信じられない……)


明石「そうか。なるほど。君たちの理由も解った。」

明石「グリーフシードと言ったな。あれは解析が終了次第、すぐ君たちに返す。」

真墨「おい、一旦戻るぞ」

菜月「えー、もっとお話したい!」

真墨「えー、じゃないだろ、それにお前、明日休暇じゃねぇか」

菜月「あ……そうだった!じゃあ、またあしたね!」




まどか「……?結局、グリーフシードについてはわかってくれた……んですよね?」

ほむら「そのようですけど……」

マミ「それなら、とりあえずこの件については一安心出来るかな……」

マミ(あの黄色い服の人……私のこと、……)



75: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/03(土) 00:14:37.20 ID:lRkmWxwv0








…………………………………………………………



ダークシャドウ・本拠地

シズカ「どどどど、どうしましょう!ゲッコウ様ぁ~!!」

シズカ「売った薔薇のせいであんな事になったからDSカンパニーの株大暴落ですよぉ~!」

ゲッコウ「ムゥ……」

83: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:13:57.72 ID:I2GtS0qQ0
学校、通学路
ほむら「昨日の人達って信じて大丈夫なんでしょうか……」

まどか「んもう、ほむらちゃんったら心配性なんだから。大丈夫だよ、きっと」

マミ「そうよね……。少なくとも悪い印象は受けなかったけど……」

マミ「今日、昨日のあの黄色い服の方がまたこっちに来るって言ってたけど……」

ほむら「会うんですか……?」

マミ「無視して突き放すのもちょっとどうかと思うし」

QB「だけど、あまり魔法少女以外をこの件に絡ませるのはあまり得策とは言えないね」

QB「思わぬ犠牲が出てしまうかもしれないよ」

マミ「……」


さやか「おーい!ごめんね、寝坊しちゃった!」


84: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:15:15.65 ID:I2GtS0qQ0
マミ「美樹さん……!」

マミ(この話はここまで……ね。)

まどか「あ、キュゥべえ!鞄の中に隠れて!」

QB「そういうならそうするけれど、美樹さやかに僕の姿が見えて不都合な事があるのかい?」

まどか「こんな事にさやかちゃんを巻き込む訳にはいかないよ……!」

QB「どうしてだい?仲間が増えた方が効率的じゃ……」

ほむら「……私も同感です。これ以上増えてグリーフシードの供給が追いつかなくなれば……」

ほむら「美樹さんを魔法少女にするのには反対です!」

マミ「確かにそうね。……私達みたいに魔法の相性が良いとも限らないし……。」

まどか「さやかちゃん、もし私達が戦ってる、って知ったら、私達を助けようってすると思うから……」

ほむら「良いから隠れて!」

QB「わかったよ……」ゴソゴソ




マミ「美樹さん、昨日道端で倒れてたって聞いたけど大丈夫……?」

さやか「それね、あたしも不思議だったんだけど……」


まどか「さやかちゃん!おはよう!」

さやか「うん!たくもう、あたし放って3人で何の話してたのかなぁ~?」

まどか「もう!そんな変な話してないよぉ!」

さやか「そう……?」


さやか(昨晩の事聞いた方がいいかな……?)

さやか(でも見間違いの可能性もあるし……)

さやか(なんか、隠し事してそうなんだよなぁ……)

さやか(まどかが今まであたしに隠し事なんてする事無かったのに……)






85: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:16:40.89 ID:I2GtS0qQ0
翌日昼、サージェス本部

映士「えぇ!そんな大事なもんだったのか!?アレ!」

さくら「そうらしいですが、こちらで解析もしなくてはなりませんから、持ち帰った判断は正しいです。」

蒼太「でも、女の子の話を無視して帰って来たってのは、あんまりよくないよね」

映士「だーから!悪かったっつってんだろ!今度会った時に返しておくからよ!」


菜月「そうだ、今日休暇だからあの魔法使いの女の子達に会いに行ってくるね!」

菜月「いっぱいお話聞きたいの!」

真墨「お前、今日平日だぞ!どうみてもあの子達学生だろ、昼間からじゃ会えないぞ」

菜月「あ!そうだったね……」

真墨「ってか良いのかよ、そんな簡単に会って!プレシャス狙いの嘘かもしんねーんだぞ!」

明石「まぁ良いだろう。この件を調査するのに頼りがいのある仲間になるかもしれんぞ」

明石「昨日あの子たちが話していた事が本当かどうか確かめる事もできるしな」


86: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:17:41.03 ID:I2GtS0qQ0
その時、モニターに通信が映し出される。


明石「牧野先生!映士が回収した物について何かわかりましたか」

牧野『いやぁ……解析したのですが、あれだけでは……』

牧野『中に何も入っておらず、何かの抜け殻であるという事だけは確かなのですが、それ以外の情報が何も……』

牧野『現状では、ただの物体としか』

明石「そうですか……」

映士「何だ?おっさんにも解らない事があるもんだな!」

牧野『ムム……』

牧野『しかし一つ気になる点がございましてね』

牧野『この物体なのですが、材質が地球上……過去のプレシャスデータと照らし合わせても、どれとも一致しないのですよ』

牧野『分析の結果、地球上には存在しない物質で……宇宙プレシャスとはいくつか近い物があったのですが』

牧野『もしかすると、地球外の物体の可能性も』

真墨「ん……?じゃああのバケモンとか言うのは宇宙怪獣って事か?」

さくら「断定はできませんが、……その可能性も考えられますね」

映士「おいおい、宇宙に薔薇があるかよ!」

菜月「そんなのわかんないよ?宇宙にだって地球と同じような星があるかもしれないって、前に本で読んだもん!」

牧野『とにかく、情報不足としか……すみません』

明石「いえ、足りない情報は俺たちの足で探すだけです。」

蒼太「まだまだあの街にかかわらないといけないみたいだね、僕の方でも情報集めてみるよ」



87: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:18:46.26 ID:I2GtS0qQ0
マミ「……ごめんね。何日もつきっきりで付き合わせちゃって。」

また、別の魔女の気配を察したのか、放課後、3人で行動を共にする。


まどか「今日は予定ないから大丈夫ですよ……!」

マミ「そういえば何日も慌ただしい事が続いてたから聞いてなかったけど、暁美さんの魔法……ってどんなのかしら……?」

まどか「なんか急に消えたり出たりしてたよね……?瞬間移動とか……?」

ほむら「時間を止める魔法です……」

マミ「時間停止……!そんな魔法もあったの……」

マミ「それは便利よね……私達二人と相性が良いわ。」

QB「不思議だね……いったいいつどこでそんな魔法を……」

マミ「キュゥべえと契約した訳じゃないの?」

ほむら「……」

QB「僕と契約しない限りそれはありえないはずなんだけれど……」

まどか「まぁ魔法少女だし、不思議な事のひとつやふたつくらい、ね?」

マミ「……確かに鹿目さんの言うとおりかしらね。うふふ。」


88: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:21:37.89 ID:I2GtS0qQ0
菜月「あ!いたいた!みんな~!」

まどか「あ 昨日の人……」

マミ「えーと、こんにちは」

菜月「こんにちは~!あ、私ね、間宮菜月っていうの!よろしくね!」

ほむら「……よろしくお願いします。」

まどか「あの、私鹿目まどかって言います、えへへ、はじめまして」

ほむら(巴さん、名乗って大丈夫なんですか……?)

マミ(名前くらい平気よ。そのくらいしないと、本当に味方かすらわからないわ。)

マミ「私は巴マミ。見滝原中学校の三年生です。」

菜月「まどかちゃんに……マミちゃん!マミちゃんだって、菜月の苗字と最初のふたつ同じだよぉ!偶然!」

マミ「そ、そうですね」



ほむら(口では冷静を装ってるけど、どうしてかなぁ……完全に心を許しきっちゃってる……)

ほむら(……まどかと巴さんの反応を見るからして、今は友好的な態度でいるのが先決……だよね)

ほむら(下手に警戒して、関係が悪化するのも避けたいし……何より)

ほむら(あんなロボットがいる以上、こっちの戦力に引き込まないと……)




ほむら「暁美ほむらです。」

菜月「ほむらちゃんか……!みんな、よろしくね!」

菜月「みんな、私と友達になってほしいの!お願い!」

まどか「もちろんですよぉ!」

QB「間宮菜月……だね。」



菜月「うわぁ!何この子!かわいい!」

まどか「えぇっ!?いや……それ程でも……照れます……」

QB「……僕が見えるのかい?」

QB「とても魔法少女の素質は感じられないんだけど」

まどか「……///」

菜月「そしつ?」

マミ「……そんな事良いじゃない、……これから魔女退治に行くんだけれどもし良ければ見て行きませんか?」

菜月「本当!行く、行く!」




その夜、菜月は3人の少女の激闘を目にした。
見たこともない光景に菜月はただただ、驚きと感動を覚えるしか出来なかった。


89: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:22:52.29 ID:I2GtS0qQ0



そして、翌日。

QB「おはよう。マミ。昨日の魔女は少し手ごわかったようだけど、もう大丈夫かい?」

マミ「全然平気!最近、すごく調子が良いの。」

マミ「今までずっと一人で戦ってきたけれど……鹿目さんと出会って、暁美さんとも出会って……」

マミ「菜月さんとも友達になって……。」

マミ「今まで、魔法少女の使命とかで、誰かと関わることをずっと避けていたけど、同じ使命を持った人と出会えるなんて思ってもなかった。」

QB「……間宮菜月は違うんじゃないのかい?」

マミ「私の事を知って、応援してくれる人がいるだけでも、心強いのよ。」

マミ「……こんなに朝日が綺麗に見えるなんて……いつ以来かしら」

マミ「もう一人で孤独に怯えていた事がまるで嘘みたい。」

QB「良好な精神を保つのはもっともだけれど、あんまり油断しない方がいいよ」

マミ「うんうん、そうよね、私に向けられている期待を裏切れないもの。」


90: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:23:49.88 ID:I2GtS0qQ0
サージェス本部。

菜月「ホント!マミちゃんたちすっごぉぉぉ~~~~くかっこよかったんだからぁ!」

真墨「本当かよ……まだ信じられないけどな」

菜月「嘘じゃないよ!真墨は菜月が魔法使いさんとお友達になったのが羨ましくてそんな事言ってるんだね!」

蒼太「でも、菜月ちゃん嘘つくの得意じゃないでしょ?言ってることは少なくとも本当だと思うけど」

さくら「集団幻覚を見せるプレシャスの恐れも……」

明石「いや、ダイボウケンに戦闘データは残っていたんだ。」

明石「少なくとも怪物が街を破壊したのは事実だ。それに関わるのであるならば、全てが嘘というのはありえないハズだ。」

菜月「そうだよね!」

映士「ま、世の中にゃ信じられないけどホントの事も山ほどあるしな」

映士「俺からすりゃ、サージェス財団がボウケンジャーなんて作ってた方がよっぽど信じられなかったぜ?」


91: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:24:56.26 ID:I2GtS0qQ0
真墨「……で、それが本当だとして、どんなの見てきたんだお前は」

菜月「えーとね……なんかね、魔女っていう悪い奴がいて、それをやっつけるのが魔法少女なんだって!」

菜月「おっきい銃でドーン!って!かっこよかったんだ!」

真墨「って、あんなバケモンがウジャウジャいんのか!?」

菜月「そうみたい……。結界?に隠れてるって。」

明石「俺と真墨と蒼太がその魔女を視認出来なかったのは……?」

菜月「女の子にしか見えないらしいよ」

映士「俺様には見えたぞ!」

真墨「お前、案外女々しい所あるってことじゃないか?」

映士「何言ってんだ!俺様、男らしさの塊だろうが!!」



さくら「……その、魔法の力の元はどこから?」

菜月「なんかね、猫みたいなのと契約するんだって。お願い一つ叶えてくれるって。へんてこな見た目だったけど……名前なんだったかなぁ」

真墨「猫……?そいつの調査も必要じゃないのか?」

菜月「でもあの子はマミちゃんの大事なお友達なんだよ……?取り上げるのはかわいそう」


92: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:25:52.35 ID:I2GtS0qQ0
蒼太「ふぅん……契約ねぇ……」

映士「なんだよ蒼太、そんな顔して」

蒼太「契約ってのは、何か得するかわりに、した方も何か損しなくちゃならない、そういう物のはずだけど」

映士「その魔女ってのと戦うのがお前の言う損ってやつじゃねぇのか?」

真墨「願いを叶えて貰って魔女倒すのすっぽかす奴もいるんじゃねぇか?……俺だったらそうするけど」

菜月「なんか、グリーフシードがないと魔法が使えなくなるって言ってたよ?魔女をやっつけると出てくるんだって、えいちゃんが持ってるやつだよ」

蒼太「……魔法が使えなくなって、そんな困る事ある?」



明石「情報不足のまま憶測だけで判断するのは危険だ。余裕のある内は情報収集にのみ専念する。」

明石「俺たちがまずすべき事はあの魔女と呼ばれる怪物の正体と人々の安全だ。」

映士「俺様の出番だな!」

そう言うと、映士はサガスナイパーを起動させた。

映士「魔女がこれを落とすって事は、魔女はみんなこいつを体の中に持ってるっつー事だろ?じゃあよ」

映士「見滝原まで行って」

映士「こいつで逆探知してやりゃ……」




93: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:26:32.67 ID:I2GtS0qQ0
病院内……

さやか「はぁ……今日もまたまどかほむらマミさんの三人であたし置いてけぼり?」

さやか「これはもうどう考えてもなんか3人で秘密の……」

さやか「仁美が喜びそうな事でもしてるのかぁ~~~!?」

さやか「……はぁ。」

さやか「薔薇事件の時に見た3人、やっぱりまどか達だったのかなぁ……。」

さやか「……そんなわけないか。」



さやか「……恭介、来たよ」

94: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:27:14.99 ID:I2GtS0qQ0
病院、駐輪場付近……

QB「危なかったね、もう数分遅れていれば完全に孵化していた所だよ」

まどか「こんな所でもし魔女が孵化したら……」

ほむら「病院の人達がみんな魔女に食べられてしまいます……」

まどか「ギ……ギリギリセーフ……!」

マミ「迂闊にしていられないわ。早く魔女を退治しないと……!」

ほむら(もし今まで通りなら……この魔女は……)

ほむら(でも今回は私が一緒に戦える……!最悪の状況だけは免れるはず……!)

マミ「入るわよ!」


ヒュゥゥゥ……

95: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:28:21.68 ID:I2GtS0qQ0
結界内……

まどか「何ここ……お菓子……?」

ほむら(この結界……やっぱりあの魔女!……巴さんとは一番相性の悪い……!)

マミ「まだ魔女が完全に孵化していない内に倒さなきゃ!」

ほむら「待ってください!相手の作戦です!油断させて、その隙を狙う魔女かもしれません……!」

マミ「大丈夫よ、私達3人なら。」

マミ「2人も心強い仲間がいるんですもの。絶対、負けたりしないわ!」

マミ(そう……一人で戦ってた時は、いつも結界の中に入るのが、怖くて、怖くて、たまらなかった……)

マミ(でも今は、一人ぼっちじゃない……もう、何も怖くない……!こんな気持ちは初めて……!)

マミ(体が軽い……こんなに心の温もりがあったかいなんて……)

まどか「絶好調ですね!マミさん!よぉし、私も頑張るぞ!」



ほむら(マズイ……!巴さんの最大の弱点はこの油断……!)

ほむら(巴さんから目を離しちゃいけない……!)


マミ(あれ……?キュゥべえどこいったのかしら……?)





3人は使い魔をなぎ倒し、進んでゆく。



96: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:29:13.03 ID:I2GtS0qQ0



映士「さ、お前ら、置いてかれんなよ」

見滝原に、6人は到着していた。

映士「サガスナイパー・サガスモード!」

『サーチスタート!』

グリーフシードの情報を認識させ、魔女の居場所を探知した。

『……HIT!』

映士「こっちだ!」


97: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:30:00.43 ID:I2GtS0qQ0
病室内……

恭介「……これは、レアなCDだね」

さやか「でしょでしょ!店の隅っこに置いてあったんだ!」

さやか「あたしね、恭介のおかげで最近クラシックにちょっと詳しくなってきちゃって!」

さやか「それでね、最近あたしもちょっとハマってきちゃって……」

恭介「そう……」

恭介「……」

恭介(でも……こんな物いくら聞いたって……)

さやか(恭介……泣いてる……)

さやか(そうだよね……バイオリンも弾けないのにこんな曲聞いたって……)

さやか「……きっと、恭介の腕も治るよ!だから……」

恭介「そうかな……。お医者さんも、みんな僕の腕を見るたび、諦めたような顔するけど」

恭介「それに、動くようになっても元のように動くか……」

さやか「そんなの考えすぎだって!ね!」

さやか「あ、きっとお腹すいてるよね?ちょっとコンビニ行ってお菓子買ってくるよ!」



98: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:30:53.50 ID:I2GtS0qQ0
さやかは病院から退き、近くのコンビニでいくつか買い物を終え、再び病院への帰路へ歩いていた。。



さやか(……。なんでだろう、何で何も出来ないんだろう……。)

さやか(どうして恭介だけがあんな目にあわなくちゃいけないのよ……)

さやか(どうして、恭介だけが生きる意味を奪われて、何もできなくなって、……)

さやか(あたしなんか生きていても誰も感動させる事も、勇気づける事も出来やしないのに……)

さやか「……奇跡か、魔法でもあれば……」




さやか(……!?)

さやか(なんか、今、白い猫みたいなのが……?)

さやか(猫……?猫なのかな……?変な耳ついてたけど……)

さやか(駐輪場の方走っていった!気になる!)

さやかはキュゥべえを見つけ、駐輪場へ向けて走っていった。



さやか「……あれ?こっちじゃなかったのかなぁ……」

さやか「見間違い……幽霊……?」

さやか「幽霊はありえないよね……別に誰の恨み買うような事して……」

さやか「壁になんか刺さってる!?……なにこれ、……松ぼっくり……とかじゃないよね」

さやか「……」

さやかは、そっと壁に刺さっていたグリーフシードに手を伸ばした。
触れた途端、結界はさやかを飲み込んだ。


さやか「……うわぁっ!?」


99: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:31:43.43 ID:I2GtS0qQ0
病院、駐輪場……

映士「……ココだ!」

真墨「何も無いように見えっけど」

蒼太「どうやってその結界に入ればいいの?」

菜月「なんか、魔法で結界開けて入ってたけど」

さくら「魔法……という事は、魔法を使わなければ結界の扉は開かないという事でしょうか」

真墨「でも俺たちに魔法使える奴なんて……」

明石「映士、頼むぞ」

映士「俺様に任せろよ!……高丘流・邪気貫通!」


映士の術が結界の扉を開いた。

菜月「おー、えいちゃんすごい!」

真墨「……入るぞ。相手の陣地の中に侵入するんだ。どんなトラップが仕掛けられているかわからないからな。」

明石「その通りだ。」

菜月(真墨ったら張り切っちゃってる……)




100: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:32:46.16 ID:I2GtS0qQ0
さくら「ここは……甘い匂いがしますね……」

明石「菓子で出来た洞窟か……!?」

菜月「食べていいのかな?」

さくら「ダメに決まってるでしょう」

明石「今まで鍾乳洞や鋼鉄で出来た洞窟は冒険した事があるが……こんなのは初めてだ……!」

菜月「あ!あれ、魔女の使い魔だよ!」

映士「ちっこいな!」

蒼太「……戦闘員もいるみたいだね。あいにく僕らには見えてないけど。」

真墨「生身で行くのは危険すぎる。行くぞ、みんな!」




『レディ!ボウケンジャー!スタートアップ!』

『ゴーゴーチェンジャー!スタートアップ!』


掛け声と共に、アクセルラー・ゴーゴチェンジャーを起動させ、6人はアクセルスーツを身にまとう。



ブラック「ハッ!明石、今のチーフの力、思い知らせてやるよ」

レッド「お手並み拝見と行こうか」

ブルー「僕たちには相手の姿が見えませんが、レーダーを使えば座標を確認出来ます。」

シルバー「俺様がついてる上に相手の姿が見えるんだ、大舟に乗ったつもりでいてくれてもいいんだぜ?」

ピンク「シルバー、この状況での油断が一番危険です」

イエロー「よぉーし……」

ブラック「魔女は結界の一番奥に潜んでんだろ?」

ブラック「結界の奥に到達後、魔女を殲滅。」

レッド「あぁ。」


レッド・ブラック「アタック!」




二人が指を鳴らすと同時に6人は結界の最深部へ走り出す。

101: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:34:03.00 ID:I2GtS0qQ0
『サバイバスター!』

ブルー「レーダーの座標だけでも、狙い打つだけなら簡単!」

ピンク「えぇ。しかしブルー、ここは私とイエロー・シルバーが先に立ちます。」

ブルー「頼りにしてるよ!」



シルバー「……ん?あそこに人がいるぞ!」

ブラック「マジかよ……」

シルバー「おい、しっかりしろ!」

さやか「……」

ブルー「あれ?この子……」

イエロー「大変!大丈夫なの!?」

レッド「いや、息がある。気絶してるだけだな。」

レッド「この周辺にこの子以外に人間の生命反応は……奥に3つ……」

イエロー「きっとマミちゃんだよ!」

レッド「あぁ。まずはこの子を無事結界の外まで助け出さなければならない。」

レッド「使い魔達を視認出来て結界の扉を開けるのは映士だけか……」

レッド「なら」



ブラック「蒼太と映士はその子連れて外に脱出しろ。その子を安全な場所に連れて行ったあとは、万が一に備えて外で待機だ。」

レッド「……」

ブラック「へっ!」


ブルー・シルバー「了解!」


ブラック「4人で魔女をぶっ倒すぞ!」

イエロー「うん!」

ピンク(真墨もチーフとして任命されただけあって、状況に応じた的確な判断をできるようになりましたね)





102: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:35:05.90 ID:I2GtS0qQ0
結界、最奥……

ほむら「あの奥にいる人形がこの結界の魔女です!」

まどか「けっこう可愛いと思うけどなぁ……」

ほむら「きっとあの姿は私達を騙す為の囮です!きっと敵は狡猾な罠を……」

まどか「えっ……そ、そうだよね!うん!」


シャルロッテ「……」ポンッ!

向いあった途端、シャルロッテは使い魔を生み出し、3人に向けて放った。




ほむら「使い魔が……まずはこいつらを倒しましょう!」

まどか「うん!」

マミ「いえ、二人はここで使い魔の相手をして。魔女の相手は私がする。」

マミ「二人になら、安心して背中を預けられる!」

マミ「二人の事、信じてるんだから!」

ほむら(ダメ……これじゃあ……また……)



103: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:35:52.34 ID:I2GtS0qQ0
「キーッ!キキーッ!」

まどか「使い魔が邪魔して進めない!」

まどか「早くやっつけて私達もマミさんの所に……!」

ほむら(……!)カチッ

ほむら(時間を止めて……一気に!)

時間を停止させ、動きの止まった使い魔へ向けて銃を放つ。


……そして、時は動き出す。


ドォォォォンッ!


まどか「うわっ!?」

ほむら「急がなきゃ!鹿目さん!」

まどか「今のほむらちゃん!?すごい!一瞬でみんなやっつけられたよ!」





104: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:36:31.69 ID:I2GtS0qQ0
シャルロッテ「……」

マミ「悪いけど、もう決めさせてもらうわ!」

銃でシャルロッテを叩き、宙へ放り投げた。

マミ「……ティロ・フィナーレ!」

ドォオオオオオオンッ!

放たれた弾丸がシャルロッテの体を貫いた!
だが、シャルロッテの仮の体を脱ぎ捨て、本体が姿を現す!





シャルロッテ「グァォ……」グゥゥゥゥンッ


マミ「へっ……?」


ほむら「マズイ……!時間を……っ!」

「キキッ!」

ほむらが盾に手をかけようとした瞬間、使い魔が一斉にほむらを抑えにかかった!

ほむら「うあっ!?離れて!……離れてッ!!」


まどか「マミさぁあああんっ!!!!」



105: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:37:14.91 ID:I2GtS0qQ0





病院、駐輪場……

ブルー「よっと。無事脱出出来たね。……まだこの子は目覚めてないみたいだけど」

シルバー「そのへんに寝っ転がしておくのもこの年頃の女の子にゃあキツイよなぁ……」

シルバー「この病院にいたんだ、待合室かどこかに座らせておけば大丈夫だろ」

ブルー「……もし目が覚めたら、なんて説明すれば」

シルバー「全部、夢だって言っておけばいいんだよ。今回のことには関わらない方がいい。」

ブルー「そうだね……。」

蒼太「じゃあ、待合室まで連れて行くよ。」

106: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:39:36.37 ID:I2GtS0qQ0
魔女の結界、vsシャルロッテ

マミ「えっ……!?」

マミの目の前にシャルロッテが牙を剥き迫っていた。


バシュンッ!

シャルロッテ「ウガァッ!?」

まどか「間に合った……!」




しかし、間一髪の所でまどかの放った矢がシャルロッテの頬を射抜いた

シャルロッテ「……」ギロッ

シャルロッテはまどかを睨み、次はまどかを仕留めようとまどかへ急接近し始めた。


まどか「えいッ!おりゃあ!」

バシュンッ!バシュンッ!


シャルロッテ「グゥゥッッ!」

迫り来る魔女へ矢を打ち放つが、傷ついた側から身体を脱ぎ捨て、まどかを噛み砕こうと迫り来る!


まどか(こっちに……来る……!?止められない……)

まどか(マミさん、ほむらちゃん……ごめん……!)


ほむら(離れて!今すぐ時間止めないと……まどかが、まどかが……!)

使い魔「キキッ!」

ほむら「鹿目さん……!!!逃げて!!」


107: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:40:28.38 ID:I2GtS0qQ0





「ラジアルハンマー!ライトニングアタック!」

ドォンッ!

しかし、突如として飛んできたラジアルハンマーの一撃に、シャルロッテは吹き飛ばされた。



まどか「……誰!?」

ほむら「……あれは!この結界に……!?」

ダダダダッ!

ほむら「うわぁっ!」

ほむらの体にまとわりついていた使い魔達も、撃ち落とされた。





ブラック「……間に合ったぞ!」

レッド「中央に巨大な怪物の反応がある。」

ピンク「えぇ。恐らくそれがこの結界の魔女でしょう。」

イエロー「マミちゃん!まどかちゃん!ほむらちゃん!大丈夫!?」



マミ「ボウケンジャー……さん?」

108: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:41:36.51 ID:I2GtS0qQ0
レッド「魔女を倒す。だが、ここは奴の結界の中。何が起こるかわからん。」

レッド「警戒を怠るな。」

ピンク「奴の武器はあの牙です!」



イエロー「マミちゃん!どうしたの!?座り込んで……!?」

マミ「……」

イエロー「魔女めぇ~!よくもマミちゃんをいじめたな!」

ピンク「あ、待ちなさい!イエロー!魔女に近づきすぎるのは危険です!」





イエロー「……バケットスクーパー!」

ボウケンピンクの忠告も聞き入れず、ボウケンイエローは魔女へと飛んだ。

イエロー「……許さないんだからね!」

魔女へ向かって走り出す。





シャルロッテ「……グゥ」

イエロー「スクーパーファント……うっ!?」


マミ「な……菜月さん!?」


イエロー「か……体が……重い……ッ!?」

突然、ボウケンイエローの体の動きが鈍った。

109: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:42:53.29 ID:I2GtS0qQ0





イエロー「どうして……急に……動けな……うわぁっ!?」

シュゥゥゥゥゥ……ン


菜月「アクセルスーツが!?」





ブラック「変身が解けた!?」

レッド「イエローから魔女を遠ざけるぞ!」

『サバイバスター!』


レッド・ブラック・ピンクの3人が魔女へ向けてサバイバスターを放つ。
 


シャルロッテ「グァァォウ!」

シュゥゥゥゥ……



ブラック「そんなバカな!」

しかし、3人の放ったサバイバスターは、シャルロッテをすり抜ける。



シャルロッテ「グワアアアアッ……」


菜月「ひっ……!?」

シャルロッテが菜月へ牙を剥いた。


……ガオンッ!

110: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:43:45.20 ID:I2GtS0qQ0



病院、待合室。

さやか「……あれ?どこここ……待合室か」

さやか「えーと、コンビニでお菓子買って……戻ってくる途中で……」

さやか「変な猫みたいなの見つけて……」

さやか「……薔薇の時もあたしおかしかったし、二度もこんな事あるなんてあたし変だよ!」

さやか「夢遊病かな……」

さやか「き、きっとそうだよ!あたし疲れてたから道端で寝ちゃったんだ!もう、いけない子だな」

さやか(……。やっぱり、あの時見たまどかとあたしに起こる事って関係あるのかな……)

さやか「そ、そんな事より恭介にお菓子持ってかなきゃ!……」

111: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:45:18.84 ID:I2GtS0qQ0













ブラック「オイ……嘘だろ……」



ブラック「菜月……菜月ぃいいいい!!!」





菜月「ん?」

ブラック「……えッ!?」

ピンク「菜月!あの一瞬でどうしてここまで……!?」


魔女の牙の前にいたはずの菜月が、3人の足元に座り込んでいた。



菜月「……わかんない、いきなりここに……」



ほむら「今度は間に合いました……!」

まどか「ほむらちゃん……!」


魔女が牙を閉じる瞬間、ほむらが時を止め、菜月を後方へ投げ飛ばした。




まどか「もう一度……えいッ!えいッ!」

ほむら「巴さん!しっかりして下さい!」




マミ「……そうよ、私が何とかしなきゃ……」

マミ「私のせいで菜月さんが危険な目に遭ったんだから……私が……」




シャルロッテ目掛け、再びまどかが矢を放つ。
マミも震える手足で銃を支え放つ。

112: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:46:00.10 ID:I2GtS0qQ0
シャルロッテ「グァォ!」ニュルンッ!


まどか「また脱皮!」

ほむら「今です!」


ドォンッ!

脱皮する瞬間、ほむらは爆弾を作動させた。


ほむら「体内からの攻撃なら、やつの脱皮で回復出来ない!」


シャルロッテ「グァアア……」


ほむらの目論見通り、シャルロッテは体内からのダメージに耐え切れず、動きを止めた。

ほむら(もっと沢山爆弾を飲み込ませないと……!)


シャルロッテ「グゥゥゥ……アアアアアア!」

ガオンッ!



113: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:47:13.42 ID:I2GtS0qQ0
まどか「何……してるの……?床を食べてる……!?」

QB「そうか。お菓子の魔女、体外へのダメージは脱皮でゼロにして、体内へのダメージは……」

QB「この床全体に広がる結界のエネルギーを摂取して治癒するんだ。」

まどか「キュゥべえ!?今まで何処行ってたの!?」

ほむら(もっと強い攻撃で、一撃で、体内から爆破する、それがこの魔女への最善手!)





ブラック「クソッ!どうなってんだよ!さっきのラジアルハンマーは通じたのにどうしてサバイバスターは……」

ブラック「あいつに近づけばアクセルスーツは使い物にならなくなるしよ……」

ピンク「あの牙と再生力は驚異です。生半可な攻撃では、かえって奴を刺激するだけに」

ピンク「体内への攻撃も、半端な威力では倒すには至りません。」

レッド「脱皮を封じてやれば勝機はある。」

レッド「ここからなら少なくともヤツに攻撃自体は届かせる事が出来る。」

レッド「さっきのブラックの攻撃は通じたんだ。ならば……」

ブラック「……そうか!」


114: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:47:57.99 ID:I2GtS0qQ0
ブラック「アクセルテクター!」

ブラック「デュアルクラッシャー・ミキサーヘッド!」


デュアルクラッシャーを構え、シャルロッテへ狙いを定める。


シャルロッテが動きを止めた一瞬を狙い、引き金を引いた。



ブラック「GOッ!!」



シャルロッテ「グゥッ……!?」

ドォッ……ビキビキビキッ!

シャルロッテの体はたちまちハイパーコンクリートに包まれる。
身動きを封じられ、石像と化した魔女が落下する。




115: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:49:03.69 ID:I2GtS0qQ0
まどか「あれ……?魔女が石になっちゃった」

まどか「石にしちゃえば、脱皮も出来なくなる!そうか!石にしちゃえば……」

まどか「私には出来ないけど……」


マミ「……助かったの?」

ほむら「魔女の魔力が消えていません……!結界が消えるまで安心はできません」




ブラック「……はぁ、通じて良かったぜ!」

菜月「そうか!固めればいいんだ!」

菜月「でも魔女がやっつけられたら結界も消えるはずだよ!?」

ピンク「早く奴の体を破壊しましょう。」




シャルロッテ「グゥゥゥ……」


ほむら「……!?」


シャルロッテ「ウゥゥゥ……ウウウウウ!!!」

ミシミシミシッ……

石化したシャルロッテの体に亀裂が走った。
そして、シャルロッテを覆っていたハイパコンクリートが弾け飛ぶ。



シャルロッテ「グゥゥ……」

まどか「これでもダメ……!?」


ブラック「デュアルクラッシャーも効かないのか!?」


116: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:50:07.81 ID:I2GtS0qQ0
シャルロッテ「……ウゥ」



ピンク「いいえ、破られはしたものの、奴は消耗しています。」

ピンク「奴が体制を整えられないうちに止めを刺すのが先決です。」


ブラック「ならもう一度……」




シャルロッテ「ウウウウ……ウォアアアアア!!!」


敗北を察したのか、シャルロッテは口を大きく開き、再び床を食べ始めた。


まどか「また回復しちゃう!」

マミ「……鹿目さん!魔女が少しずつ大きくなってるわ!」

ほむら「……魔女が巨大化!?」

QB「あぁ。あの魔女は今結界のエネルギーを摂取して全て自分の力に変えようとしている。」

QB「このままでは魔女にみんな飲み込まれてしまうよ」



レッド「総員退避だ!」


レッドの呼びかけに応じ、全員が結界の外へ向けて走り出す。



マミ(……!足が震えて走れない……!)

菜月「マミちゃん!しっかりして!」

菜月「……掴まっててね!」


マミを背負って菜月は走り出す。


117: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:51:06.38 ID:I2GtS0qQ0
病院、駐輪場……


レッド「ハァッ!」

まどか「みんな無事!?」

ほむら「……うん」

ブラック「……菜月は!?」





5人から少し遅れ、菜月とマミが結界から脱出した。

しかし、そのすぐ背後まで巨大化したシャルロッテが迫っていた!



まどか「……っ!マミさん!後ろっ!」






ブラック「デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」

ブラック「GOッ!」


シャルロッテ「グゥッ!?」


迫っていたシャルロッテの顔面めがけ、ドリルビームを放った。
シャルロッテはわずかに怯み、菜月とマミが逃げ出せる程の隙を作り出した。

菜月「ありがと、真墨!」




シャルロッテ「……ガァアアアウ!」


巨大化した口を広げ、七人を飲み込もうと迫る。



ブラック「まだ来るか……!」


118: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:52:02.98 ID:I2GtS0qQ0





『ダブルウォーターシュート!』

ズガァンッ!


シャルロッテ「グァッ!?」


『ゴーゴーファイヤー!エイダー!ポリス!』

ゴーゴーファイヤーの放った一撃に、シャルロッテは吹き飛ばされた。






シルバー「緊急轟轟合体!」


『サイレンフォーメーション!』




シルバー「ジャッキアップ!」


ガシィィィィンッ!

ゴーゴーファイヤーの車体が立ち上がり、その姿は無敵のファイターへと変化した!


シルバー「サイレンビルダー!合体完了ォ!ファーストギア・IN!」

119: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:52:59.41 ID:I2GtS0qQ0
ブラック「映士!あの野郎また良い所に!」

レッド「グッジョブ!」


ほむら「また、ロボットが……!?」

まどか「頑張れ!ロボット!」




シルバー『へっ!いいとこどりは俺様の専売特許だぜ!』

シルバー『この恵方巻き野郎は俺様が相手をしてやる!オラ、かかってこいよ!』



シャルロッテ「グゥウウウウ……」


シルバー「……!」


巨大化し、現実世界に具現化した魔女とサイレンビルダーの激闘の火蓋が切って落とされた!



シルバー「ナックルバルカン!」

先手を制したのは、サイレンビルダーだった。
両腕から放たれた光弾がシャルロッテを打ち抜いた


120: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:54:01.64 ID:I2GtS0qQ0
シャルロッテ「グアアアアッ!」

シルバー「脱皮した!?気味ワリィ!」


ピンク『奴は脱皮を繰り返し再生します!ゴーゴーミキサーと合体して下さい!』


シルバー「おう、さくら姉さん!」


『発進シフト・オン!ミキサー!GOッ!GOッッッ!』

『合体シフト・オン!ミキサー・パワーオン!』


シルバー「緊急轟轟武装!」


サイレンビルダーからポリスが分離し、左腕にゴーゴーミキサーが合体した。


シルバー「サイレンビルダーミキサー!合体完了!」




シルバー「へっ……その巫山戯た顔毎固めてやるぜ!」

シルバー「……ウォールシュート!」


バシュゥウウウウウウウウ!



シャルロッテ「グアアアアッ!?」

ビキビキビキッ……


121: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:54:57.06 ID:I2GtS0qQ0
シルバー「ざまぁみろ!石ころにしてやったぜ!」


シャルロッテ「……グアアアアアアッ!!!」


バキッ!バキッ!バキィィィィッ!



シルバー「何!?脱出しただと……ッ!?」



シャルロッテ「ガァァアアアアウッ!」


ガキィィィイイイッ!


シルバー「グァッ!こいつ、サイレンビルダーを食うつもりか!」

ハイパーコンクリートから脱出したシャルロッテがサイレンビルダーに食らいつく!




122: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:55:32.63 ID:I2GtS0qQ0
恭介の病室……


さやか「な、何あれ!?」

恭介「あ……ロボット……でも何と戦って……」

さやか「変な黒い怪獣と戦ってるんだよ!」

恭介「……?」

さやか「見えてないの!?いるじゃん!あそこに!」

恭介「……何言ってるんだい?」

さやか「いるよ!」

さやか(あたしにしか見えてないの……!?)

さやか(あたし本当に最近どうかしてるよ……)





123: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:57:11.81 ID:I2GtS0qQ0
病院、駐輪場

ピンク「巨大化してパワーも強力になっています!ミキサーで固めたあとは間髪入れずに攻撃して下さい!」

シルバー『おい!それを早く言ってくれって!』

まどか「どうしよう!ロボが食べられちゃう!」

マミ「でも、どうしようも……」

QB「魔女が自力で巨大化なんて初めて見るよ……」

QB「こんな芸当が出来るのはこの魔女しかいないだろうね」

ほむら(私があの時一撃で仕留めていられれば……)








ゴゥウウウウウンッ……


ブラック「ゴーゴービークル発進だ!」

ブルー『その必要は無いよ!みんな!ゴーゴービークルに乗って!』

菜月「蒼太さん!」

ブルー『シルバーがサイレンビルダーを出動させたって聞いて、待機させてたんだ!』

レッド「俺たちもダイボウケンでシルバーと共に魔女を倒す!行くぞ!」

4人がゴーゴービークルへ搭乗する。



『合体シフト・オン!ダンプ・フォーミュラー・ジャイロ・ドーザー・マリン!』





            『ボウケンフォーメーション!』




                『轟轟合体!』


五つのマシンが一つになり、鋼鉄の大冒険者が降臨する!



  


       『発進シフト・オン!ドリル・クレーン!GO!GOッ!』
 

                『轟轟武装!』

           『ドリル・クレーン!パワーオン!』





        『ダイボウケンドリル&クレーン!合体完了!』

124: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:57:56.50 ID:I2GtS0qQ0
レッド「シルバー、もう一度ウォールシュートだ。その瞬間、俺たちが魔女を打ち砕く!」


シルバー「おう、了解した……いつまでも噛み付いてんじゃねぇ!」

シャルロッテ「グァォッ!」


サイレンビルダーがシャルロッテを引き離した。



シャルロッテ「グ……アアアアアア!!!」



イエロー「今度はこっちに来た!」

ブルー「ダイボウケンも食べるつもり……?」

レッド「イエロー、ピンク!奴の喉目掛けてクレーンを射出しろ!」

ピンク「了解!」



『ワイヤーフックパンチ!』


シャルロッテ「グゥアアアッ!?」

シャルロッテの喉にクレーンフックが直撃した!

125: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:58:50.26 ID:I2GtS0qQ0
『ハぁッ!!』


シャルロッテを宙へ放り投げる。



シルバー「ウォールシュート!」


バシュゥゥゥッ!ビキビキビキ……


シャルロッテ「ア……ガ……」




ブラック「今だッ!」



シルバー「よっしゃ!決めるぜ!」

レッド「あぁ。同時攻撃だ。」


サイレンビルダーからミキサーが分離し、再びポリスと合体する。






                  『トリプルリキッドボンバー!』


                   『リフトアップストライク!』






放水弾とドリルの合体攻撃がシャルロッテの体を貫いた!



ドォオオオオオオンッ……


シャルロッテの体は粉々に砕け散る。




レッド「……ミッション完了。」

ブラック「あぁ……ん?」

ブラック「それ俺の台詞じゃねぇか!」



126: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/11(日) 23:59:46.99 ID:I2GtS0qQ0
病院、駐輪場……


まどか「やったっ!またロボが勝った!」

ほむら(どうなるかって思ったけど……)

ほむら(今は巴さんが無事で安心……)






菜月「みんな~!魔女やっつけたよ!はい、グリーフシード!」

さくら「念のため、ハザードレベルを測定させて下さい。」


ピッ……


さくら「ハザードレベル・3……」

明石「やはり倒した後ではそうなるか……」

蒼太「グリーフシードから魔女のデータは採れそうに無いですね。」


まどか「あの、さっきはありがとうございます!」

菜月「こっちこそ、菜月の事助けてくれてありがとうね!」


映士「あぁ、この前は悪かったな、話聞かないでグリーフシード持って帰っちまってよ」

映士「俺様は高丘映士だ。よろしくな。これ、お近づきと侘びの印だ。」

QB「高丘……?」


127: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/12(月) 00:00:32.39 ID:00NXHMZV0
映士「えーと、黄色い髪の子は……マミだったな!君にはこれだ」

マミ「あ……ありがとうございます……?パプリカ……?」

映士「桃色の子は、まどかだろ?これ!」

まどか「あ、わざわざどうも!セロリですね!」

映士「黒いのがほむら……。君にはナスだ!」

ほむら「……ありがとうございます。」

映士「素直だなぁ。ウチの黒いのとは大違いだぜ!」

真墨「何だと!?」




128: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/12(月) 00:01:28.57 ID:00NXHMZV0
QB「うん……。魔女の無駄に被害が増えなくて何よりだよ」

菜月「あ~!名前なんだっけ!」

QB「キュゥべえだよ」

菜月「そうそう!キュゥちゃんだよ!」

さくら「あなたが彼女たちに魔法の力を……?」

QB「そうだよ。」

さくら「聞きたい事がいくつかあります。」

QB「どうして君が……?魔法少女でも無いのに。聞かれれば答えるけど」

さくら「……一体どのような仕組みで彼女たちは魔法を使えるようになったのですか……?」

QB「彼女たちの願いから『ソウルジェム』を作り出したんだ。」

まどか「これですよ」

さくら「……失礼。」

ピッ

さくら「ハザードレベル・36……。」

QB「彼女たちの心のエネルギーだからね。」


さくら(今の内に聞ける事をいくつか聞いておきましょう。)

さくら「契約によるデメリットは」

QB「まず無いと言えるね。あるとすれば、それは魔女と戦う事さ。魔女との戦いは見たとおり危険を伴う。」


映士「まぁまぁまぁ!まずは挨拶だろ、さくら姉さん!」

映士「お前はキュゥべえ!お前は白いからカリフラワーな!」

QB「君は野菜を生で食べるのか。調理をすると栄養価が損なわれるからね。効率的には良い判断だよ」

映士「なんだお前、理屈っぽいなぁ。そんなんじゃくたびれちまうぞ?」



129: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/12(月) 00:02:11.88 ID:00NXHMZV0





真墨「なんだ、また見えない何かと話してるぞ」

蒼太「僕らはまた置いてけぼりだね……」

明石「……そうだな。」




その後、9人は解散し、サージェス本部、それぞれの家へ戻った。

130: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/12(月) 00:02:59.43 ID:00NXHMZV0




……その晩、マミの家。


QB「いやぁ、それにしても今日は危なかったね。あの魔女は強力だった。」

QB「危うく、鹿目まどかやマミも死んでしまう所だったよ。」

マミ「……そうね。」




マミ(そうだった……魔女との戦いって、命懸けの戦いだったんだ……)

マミ(仲間が出来たからって、それを忘れて、浮かれて、私は……)

マミ(鹿目さんや暁美さん……それに菜月さんを危うく死なせちゃう所だったんだわ……)

マミ(忘れちゃいけなかったのに……先輩のくせに、二人を守れなかった……)



QB「ま、結果はみんな生き残ったんだ。悔やむことは無いよ」




マミ(また、自分の事だけ考えて、誰かを見殺しにする所だったんだ……)

マミ(あの時みたいに……)





136: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:31:39.13 ID:4kYFCeOT0
サージェス本部……



牧野『皆さん、魔女との戦闘ご苦労様です。君たちのデータのおかげで魔女について、いくつか判明しました。』

明石「ありがとうございます、牧野先生。」」

真墨「じゃあ、おっさん……まず聞くけどどうしてあん時菜月のアクセルスーツが消えちまったんだよ。」

牧野『えぇ。君たちから転送された結界からのデータを元にすると……』

牧野『あの結界では深入りするとネオパラレルエンジンからのアクセルスーツの転送が途切れてしまう、と思われます。』

菜月「……そうだ!じゃあ前みたいにパラレルエンジンを強化すれば!」

牧野『いえ……菜月さん、残念ですが、それは……』

牧野『ゴードムエンジンの時は転送を妨害するジャミング、でしたが今回は届かせる事自体が出来ないのです……。』

明石「いや、結界内で全く使えない訳じゃあ無いんだ。戦う術は十分ある。」



137: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:33:05.37 ID:4kYFCeOT0




さくら「サバイバスターの効果が無かったのは……」

牧野『それは……魔女の体は、結界の中では我々の世界とは別の物質で形勢されています。』

牧野『我々の世界で通用する為に作られたサバイバスターでは、魔女の体をすり抜けてしまうのです。』

蒼太「そうそうそうた!僕も少し一緒に研究したけど、通用するとすればネオパラレルエンジンの力を使った必殺技か、デュアルクラッシャーしか無いね。」

蒼太「もしかすると、ズバーンも通用するかもしれないけど。」

牧野『その通りです、蒼太君……。しかし、それでも魔女に対して100%の効果を望めるかどうか……』

さくら「つまり……我々だけで魔女を倒すのは、難しいと?」

牧野『不可能ではないですが、あまりにも危険すぎるという事です。』




映士「結界から引っ張り出しゃ通じるんだろ?だったら、片っ端から引っ張り出して倒せば良いじゃねぇかよ」

真墨「昨日のは魔女が自分から出て来たんだろ!だいたいどうやって引っ張り出すんだよ……」

映士「クレーンでこう、グイッ!と」

明石「……その作戦も視野に入れておく必要があるな。」


さくら「……一番望ましいのは、魔法少女と共に戦う事です。」

菜月「そうだね!マミちゃんたちならきっと一緒に戦ってくれるよ!!」

138: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:34:40.74 ID:4kYFCeOT0
牧野『……気休めにしかならないと思いますが、魔女の体から放たれる独自の波形を解析して、アクセルスーツを改良しました。』

牧野『これで、明石くん、真墨くん、蒼太くんの3人はアクセルスーツをまとえば魔女を視認出来るようになります。』

蒼太「本当ですか!」

菜月「すごい!」

牧野『あと、転送域の限界に近づくと、アクセルラーから警告音が鳴るようにしました。これくらいしか出来ず、面目ないです……』

明石「それだけあれば十分です。感謝します。」



牧野『あとですね、例のキュゥべえという生物ですが……』

さくら「えぇ……隙を見つけて、ハザードレベルを計測しました。ハザードレベルは16です。」

映士「さくら姉さん!……抜け目無いぜ」

真墨「……大したこと無いんだな。」

牧野『はい……しかしですね、太古からの記録に、いくつかそのキュゥべえ君と類似した記録がありましてね』

牧野『これに関しては私が聞きかじっただけで、全然解らないのですが……一応。』

明石「それは、俺たちでも資料を集めてみます。」

139: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:36:06.70 ID:4kYFCeOT0
菜月「キュゥちゃんの……先祖かなぁ」

真墨「魔法を使うことのデメリットは魔女との戦い以外無いって言ってたんだろ?さくら姉さん」

さくら「確かにそうは言っていました。しかし」

蒼太「価値観が違うかもしれない相手の言う事を鵜呑みにしちゃいけない……でしょう?」

さくら「そうです。私達で調べる事を怠る訳には行きません。」



ボイス『みんな、話は聞いたよ。魔女から回収したグリーフシードは大したプレシャスではないそうじゃないか。』

ボイス『そんな意味の無い物集めるよりも、もっと他にやる事あるとボイスは思うんだけど』

真墨(またコイツ、口挟みに来たのかよ……)

明石「お言葉ですが、ボイス。魔女は人を食物にします。それを放っておくのは我々の使命に反するのでは?」

ボイス『んー……そうなのは解ってるけど、君たちの本来の使命はプレシャスの確保だからね?』

ボイス『まーぁ、君たちが勝手にやる分には文句は言わないけど、本来の業務に支障が出ないようにしておくれよ』

真墨「わーってるよ!」

ボイス『君たちが勝手な事すると禄なことにならないからね。正直今回の件もボイスは心配で心配でたまらないんだよ』

菜月「でも女の子が戦ってるんだよ!」

ボイス『とにかく、本来の任務を怠らない事。それだけは絶対守ってね』





ブツンッ……



さくら「……」

蒼太「まぁ、ボイスはああ言ってたけど僕たちも牧野さんも、見滝原の魔女の正体を探る……事に異論は無いよね」

さくら「はい。今後も調査は続行……ですよね、真墨。」

真墨「あぁ。当然だろうが。ああ言われたら余計やりたくなっちまうよな」

明石「人命を守るのは何よりの最重要任務だ。魔女を野放しにするのは危険すぎる。」




明石「それに……」


映士「それに……?」

140: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:37:01.55 ID:4kYFCeOT0
明石「魔女の結界……まさかまだこの世界……この地球に俺たちの踏み入れていない世界があったなんて……」


明石「魔女の結界への冒険……!……冒険してみたいと思わないか!」







菜月「わははははは!やっぱりそんなんだと思った!」

真墨「そう呑気なこと行ってられるかよ……まぁいつも通りだけど」

映士「やっぱ変わんねーな、お前は!」


明石「……あの子達の事も気になるしな。……あの子達は見滝原中学校に通っているらしい。」

明石「牧野先生から下準備の方は既に頼んでおいた。さくら、蒼太。突然で悪いが、潜入捜査、よろしく頼むぞ」

さくら「はい。」

蒼太「了解!」



映士(……あ、挨拶しておいたのに満足しちまってグリーフシード返すの忘れちまった……)

映士(……ま、いいか)



141: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:38:04.44 ID:4kYFCeOT0
通学路……

さやか(……昨日はなぁなぁにしちゃったけど……恭介……。)

さやか(本当、どうして良いのかわからないよ……あたしに会うたびに苦しそうな顔して……)

さやか(あんなCD聞かせて……こんなの恭介にとっちゃ嫌がらせだよね……)

さやか(もう、会わない方が良いのかな……)

さやか(でもそんなことしたら一人ぼっちになっちゃう……)



さやか(まどかはまどかでマミさんやほむらと付きっきりだし……)

さやか(一応あたしのこと気にかけてくれてるけどさ……避けてるようにも見える……)

さやか(……?待ってよ……これじゃまるであたしが一人になりたくないから恭介の所に行ってるみたいじゃん)


さやか「あぁもう!考える事多すぎてもうわけわかんない!」



仁美「さやかさん、おはようございます。……どうしたのですか?そんな目を細めて」

さやか「ん?……何でも無いよ……。ほら、3人待たせちゃ悪いよね、急ご!」




142: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:38:54.10 ID:4kYFCeOT0
さやか「みんなおはようね!」

まどか「うん、おはよう!」

ほむら「おはようございます」

マミ(……。)

マミ「お、おはよう、美樹さん」



その後、5人はいつも通り、登校した。




仁美「今日私日直だから、日誌取りに行ってきますわ!」

まどか「うん、行ってらっしゃい!」

マミ「また休み時間ね!」

ほむら「はい。」

さやか「……。」



まどか「……あれ?どうしたの、さやかちゃん。私の顔じっと見て」

さやか「ねぇ……。まどか、もしかしてだけどさ」

まどか「……?」

さやか「あたしに隠し事とか、してないよね……?」

まどか「……」

まどか「す、する訳無いじゃん!さやかちゃんに隠し事なんて!もう、さやかちゃんったら!」

さやか「そう……。それなら良いんだけど」



143: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:40:39.32 ID:4kYFCeOT0
数分後、教室……

和子「さて、今日は突然ですが、教育実習生をご紹介しまーす!はい!どうぞ!」

ガラッ

まどか「へっ!?」

ほむら「どうして……?」



蒼太「えー、今日からこのクラスで教育実習をさせて貰う、最上蒼太です!よろしく!」


さやか(あれぇ……?あの人どっかで……)


蒼太「早くみんなの事を覚えて、みんなと仲良く思い出を作れるよう、頑張ります!」

蒼太(……!まどかちゃんにほむらちゃん!中学校に来るんだから覚悟してたけどいきなりとはね……)


蒼太「まずは、僕の自己紹介からしたいと思います!僕の好きなことは、冒険!」

蒼太「世界の色んな所を旅する事が大好きです!」

蒼太「みんなも、自分の本当にやりたい事を見つけて自分だけの宝を見つけられるように頑張って欲しいです!」


和子「はい、自己紹介ご苦労様。これから一ヶ月、蒼太先生にはこのクラスで先生をやってもらいます!」

和子「みんなも、蒼太先生が困ってたら手伝ってあげてくださいね!」


まどか(あ、あの人先生だったの……?)

ほむら(どうしてここに……?私達の調査かな……?)



144: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:42:17.30 ID:4kYFCeOT0
職員室


蒼太「ふぅ……。ああやってみんなの前で話すのって緊張するよね。まさかまどかちゃんとほむらちゃんも一緒なんて」

蒼太「ま……僕に与えられた任務だからちゃんとしなきゃ。可愛い女の子とも話せるし!」

蒼太「教師の仕事の傍ら、情報収集もちゃんとしなきゃ。」

蒼太「学校の生徒達から入ってくる情報もバカに出来ないし。」

さくら「蒼太くん、状況はいかがでしたか」

蒼太「……まぁ好印象かな。さくらさんは?」

さくら「私は3年生の教室でしたが……。特に変わったことは。」

さくら「生徒の一人に巴さんがいましたが……。」

蒼太「そっちも?僕も入っていきなりまどかちゃんとほむらちゃんがいたからビックリしちゃって!」

さくら「……とにかく、お互い気を引き締めましょう。いつどんな情報が入ってくるかわかりません。」

蒼太「了解!」



蒼太「っと……一時間目が始まっちゃう!」

さくら「あ!私は授業ありますので、これで」

蒼太「頑張ってね、さくらさん!」

蒼太「僕は待機だけど……」

145: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:44:02.66 ID:4kYFCeOT0
蒼太「そういえば、クラスに一人学校に来てない男の子がいたっけ。名簿で確認しよう。」

蒼太「名前は……上條恭介……君か。」

蒼太「へぇ~!バイオリン奏者でどのコンクールに出ても必ず優勝するんだ……!」

蒼太「僕も聞いてみたいなぁ……。」




蒼太「……!? 去年の末に交通事故に遭って、入院中……?」

蒼太「腕の怪我でバイオリンも弾けなくなって……」

蒼太「……。」

蒼太「事故で自分のやりたい事が出来なくなるって……きっと……凄い悔しいだろうなぁ……。」





146: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:45:14.21 ID:4kYFCeOT0
昼休み、屋上……

さやか「……仁美は日直、3人はちょっと遅れるって……」

さやか「あーあ、なんか、訳わかんなくなっちゃうなぁ……。こんなに一杯頭で抱えるのって初めてかも……。」

さやか「……はぁ。どうするんだろう、これから……。」




QB「何か、叶えたい望みでもあるのかい……?」

さやか「……そうそう。何か望みでも叶えてくれる魔法のランプでもあれば……ん?」

QB「やぁ」

さやか「っ!?」

QB「初めて会うね。僕の名前はキュゥべえ。」

さやか「は……?え……?」

QB「僕は君のお願いを何でも一つ叶えてあげる。だから……」

QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」

さやか「何これ……どっから動いて……え?よく出来てるなぁ……?」

QB「僕の話は理解出来たかい?」

さやか「魔法……?まっさか、そんなおとぎ話みたいな事……」

さやか「戦隊とロボとサンタがいても魔法少女なんている訳ないに決まってるし……!」

QB「冷静に考えたらそっちの方がおかしいんじゃないかな」

さやか「っていうか何こんなのと真面目に話してるのよ……」

QB「君は昨日病院の窓から化物を見ただろう?あれは魔女といって、呪いから生まれ、人間を餌にする厄介な敵さ。」

QB「……と言っても、あれは相当イレギュラーなパターンだね。」

QB「さっき言った通り、彼らは人間を食う。だから、それを退治するのが、魔法少女なんだ。」

QB「理由の無い自殺や殺人……その多くは魔女の仕業さ。」


さやか「自殺……殺人!?それってあの怪物が……?」

QB「そうだよ」

さやか「……何、幻聴が変な事言い出してる……。あたしって中二病の才能合った……?」

QB「まぁいつでも願いを言ってくれれば叶えるよ。またね。」


147: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:46:10.92 ID:4kYFCeOT0
さやか(悩みすぎて幻聴まで……もうダメかも……)

さやか「でも、一つだけ願いかぁ……叶えるとすれば……」

さやか(恭介……。)



仁美「さやかさん、お待たせしましたわ!」

マミ「ごめんね、待たせちゃって……」

さやか「あぁ、良いんです良いんです!」

さやか「まぁお詫びにマミさんの弁当をちょっと貰えれば……」

まどか「さやかちゃん、そんな事言ったらダメだよ、私だって貰うつもり……あ、えと、じゃ、ないですよ、マミさん!」

さやか「そういえば、ほむらの弁当も一回食べてみたいなー、なんて思ったりして」

ほむら「別に構いませんけど……」

まどか「えー!ホント!じゃあ交換しようよ!」




マミ(あんな目に遭ったのに、二人共、いつもと変わらなないように接してくれる……。)

マミ(私を恨んでるようになんか見えないけれど……)

マミ(私も、気にしすぎない方が良いのかな……)



148: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:46:54.78 ID:4kYFCeOT0
そして、いつも通り学校の授業が進み、放課後……


さくら「はぁ……予想以上に疲れた……」

さくら「大勢の人の前で話すのがあんなに疲れるなんて初めてです……」


初めての教育現場での活動に疲労したさくらは学校の近所にある喫茶店に来ていた。


「はい、こちら、苺パフェです、ごゆっくりどうぞ」

さくら「どうも……」

さくら「疲れた時は、甘い物に限ります」





さくら(……それにしても、今日は随分と混んでますね……)

店内を見渡すと、次々に席が埋まっていく。

151: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:50:42.41 ID:4kYFCeOT0
「えー、もう席無いのかい……?そりゃ残念だわぁ……また今度にするよ」

「誠に申し訳ありません!……ですが相席なら……」

「そう?ならお願いね」


「あの、こちら、相席よろしいでしょうか……?」


さくら「は、はい、席ありますよ、どうぞ」

詢子「ごめんねー、邪魔しちゃって。」

さくら「いえいえ、構いませんよ。」

152: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:51:55.70 ID:4kYFCeOT0
詢子「……ところでお姉さん、この辺に住んでるのかい?」

さくら「え……はい、最近越してきたばっかりで……」

詢子「へー!転勤とか?」

さくら「見滝原中学校で教育実習の為に来ました。」

詢子「その学校、ウチの娘も通ってるんだよ!え!じゃあクラスは!」

さくら「3年B組で実習をさせて頂いてます。」

詢子「あー、ウチの娘のクラスじゃないかぁ……あ、ひょっとしたら先輩のマミちゃんのクラスって事も……」

詢子「って、わからないよね、悪い悪い」

さくら「……巴さんの事でしょうか?なら、同じクラスなのですが……」

詢子「そう!きっとその子で間違い無いんだよ!」

詢子「……あんた、若いのに偉いねぇ……。私なんかその年の時将来の事なんか考えないでダラダラ生きてたけど……」

詢子「……ふつつかな事聞くようで悪いけど、彼氏とか、いるのかい……?」

さくら「え……?」



詢子「まだ若いんだから、仕事ばっかやってちゃ勿体無いって!」

さくら「……。」

詢子「あ……。なるほどね。思いの人はいるけどいくら伝えても伝わらないってか」

さくら「えっ……どうして……」

詢子「なんとなく、ね。わかるもんさ。年の功ってヤツよ?」

詢子「きっとあんたみたいな子が好きになる男なんだ。もっと私が振り回してやるんだ!くらいの気持ちでアタックしてもへこたれねーって」

さくら「そう……ですかね……」

詢子「気持ちってのは、そんくらいしないと伝わらないよ!脅かしてやるくらいの気合がないとダメさ」

詢子「……なんて、何で熱く語ってるんだか。ま、おばさんの戯言くらいに思ってくれて結構だけど。」

さくら「いえ……!確かに、そうかもしれません……。」

詢子(この子の顔前にどっかで見たことある気がするなぁ……)

詢子(……前にバラエティで見たっけ……あぁでもあれはチャラいキャピキャピした子だったしなぁ……この子な訳無いよな)



153: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 11:53:13.97 ID:4kYFCeOT0


放課後、帰り道……

まどか「ごめんね、さやかちゃん。今日は用事無いから、遊ぼう!」

さやか「……。」

まどか(マミさんが、私がさやかちゃんに言われた事気遣ってくれて今日はほむらちゃんと2人で魔女退治するって言ってくれて……)

まどか(ううん、魔法少女の事が秘密でも、私とさやかちゃんは友達なの、変わらないんだから!)

まどか「今まで行けなかった所さ、一緒に行こう!そうだ、あそこの展望台から、今日は綺麗な流れ星が見れるって……」

さやか「ごめん、今日はあたしに用事があるんだ……。」

さやか「恭介の奴、あたしがいないと寂しがっちゃうから、はは!だからまた今度さ……ね」

まどか「え……いや、大丈夫だよ!私の事気にしないで!そうだよ、また今度にすれば良いんだよね」

まどか「……じゃあね!またあした!」

156: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:25:41.20 ID:8s76Ea6t0
病院……


さやか「……来たよ!恭介!今日は面白いCD見つけてさ!」

さやか「イタリアのコメディアンが作曲したらしくてさ!クラシックなのに派手な曲調でデスメタルの要素も入ってるって……」

恭介「……あぁ、さやか……。」

さやか(……弾けない曲を聴かせるなんて、辛いに決まってるのに)

さやか(でも今恭介にしてあげられる事ってこれしか思いつかないよ……)

さやか「この曲は恭介も知らないでしょう?ま、あたしも知らないんだけど、だから」

恭介「さやか……もうやめてくれないか……そういう事……僕を苛めてるのかい……」

さやか「……え……そんなつもりじゃ」

さやか「恭介、音楽好きだったから……」

恭介「手も動かない……弾けない……もう……」

恭介「今日言われたんだよ……腕はもう動かないって……どんだけ足掻いてももう二度と……」

恭介「諦めるしか無いんだ……もう……奇跡か魔法でも無い限り……」

さやか「やめて……泣かないで恭介……!諦めないで……」

さやか(奇跡……魔法……?)


157: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:26:33.57 ID:8s76Ea6t0
病院から飛び出したさやか……

さやか(奇跡……魔法……!もしアイツの言ってた事が本当だったら……!)

さやか(願いを一つだけ叶えるって……!)

さやか(信じてる訳じゃないけど……ダメで元々だよ……!)

さやか(確か……キュゥべえだっけ……!何処……!何処にいるのよ……!)

ドンッ!

さやか「うわぁっ!!」

蒼太「うっ…!って、大丈夫!?」

さやか「あ……はい……なんとか……って先生!?」

蒼太「さやかちゃん!どうしたのさ、そんな急いで」

さやか「先生ごめん!今急いでるんだ!」

蒼太(確か……さやかちゃんって上条君の幼馴染だったよな……)

158: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:28:04.60 ID:8s76Ea6t0
蒼太(上条君と会って、もし少しでも勇気づけられたら……って思って来たけれど……さやかちゃんが急いでるって……)

蒼太(何か買い物に行くのにあんなに焦る事なんて……無い)

蒼太(あの顔……何かを夢中で探してる顔だ……上条君のお見舞いの後に病院を飛び出して必死で何か探している……)

蒼太(まさか……!)



蒼太「さやかちゃん、もしかして、願いを叶えて、魔法少女になるつもりじゃ……!」

さやか「……!どうしてそんな事知って……!?」

蒼太「……やっぱりね。」

蒼太「僕がこの街に来たのは、魔女っていう怪物の調査の為なんだ……。」

さやか「……。」

蒼太「さやかちゃん、……きっと君が願う事って、上条君の事だよね……?」

蒼太「……まだ、諦めるのはもうちょっと待っても」

さやか「無理だよ……もう……これ以上あいつを苦しめたら……あいつ、どうなるか……」

蒼太「だけど、諦めたらそれで何も届かなくなるんだ……!上条君が立ち直れるように僕だって協力するよ!」

さやか「先生……冒険が好き、やりたい事を見つけて、って言ったよね……」

さやか「あいつはやりたい事も奪われて……バイオリンだって出来なくなって……」

さやか「あたしはもう一度あいつにバイオリンをさせてあげたい……もうこれ以上あいつの泣く姿なんて見たくない……」

さやか「先生は多分わからないと思うけどあいつもう……毎日、毎日、自分の手を見て、悲しんで……」

さやか「あたしが勇気づける度に何度も何度も治らないって現実を突きつけられて……きっともうこれ以上耐えられないんだって……」

蒼太「……でも、魔法少女になったら、あんな危険な怪物と、命を危険に晒して戦わなきゃいけなくなるんだよ……」

さやか「それぐらい、もう覚悟してます……。」

さやか「あたしは、この街を魔女から守る為に戦うって、覚悟してます……ッ!」

蒼太「っ……」

さやか「……それじゃ」


159: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:30:04.55 ID:8s76Ea6t0
蒼太「……待って!」








蒼太(……ダメだ……見失った……)


蒼太(上条君の腕……そんな酷い怪我だったなんて……)

蒼太(諦めるな、って言いたいけど、これ以上二人を苦しめる事になる……)

蒼太(もし僕が冒険する事が出来なくなったら……そんなの、考えただけで……)

蒼太(だけど、とにかく、さやかちゃんをあんな危険な事に巻き込みたくない……!)

蒼太(今はさやかちゃんを止めないと……!)




さやかを捜索し、途方もなく歩いていると、通りかかった公園で男が数人が集まって焚き火をしていた。



蒼太(……!焚き火……!?この公園……火器使用禁止だよ……。)

蒼太(子供も遊んでるのに危ないなぁ……)

蒼太「ちょっとそこの皆さん!ここ、焚き火禁止ですよ!」

蒼太(こっちは急いでるのに……!早く追いつかなきゃ!)

160: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:31:17.11 ID:8s76Ea6t0
「はよう油まみれになろうぜ」

「世の中に絶望したんだけど……焼いてかない?」

「ああ~いいっすね」

「オイル塗ろっか」






蒼太(……!なんだあの目……この匂い……!ガソリン!?)

蒼太(もしかして、集団自殺……!魔女の仕業……!)

蒼太「……やめて!火から離れて!」


蒼太が火を消そうと人々の中に乗り込む。
だが、人々は蒼太を押さえつけた。


蒼太「くッ……!」

男「死んじゃうよホラホラ!」ユラァ……

蒼太「ダメだ!それは!」




一人の男が火の中にガソリンを注ぎ込んだ。




ゴォォォォォゥッ!


161: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:32:36.61 ID:8s76Ea6t0
「「……!」」



ブルー「……危ない、あと少しでみんな燃えちゃう所だった……!」

間一髪、ブロウナックルから放つ竜巻で火を消し飛ばした!


ズモモモモモ……

ブルー「……!結界が!」

ブルー「みんな離れて!」

結界に飲まれる寸前、ボウケンブルーが操られていた人々を結界から救い出した。

ブルー「……!しまった!」



ブルー「女性がいたのか……結界に飲み込まれた!助けないと……!」

ブルー「みんな!魔女が現れた!」

アクセルラーから5人へ向けて、通信を送る。

ブルー「なんとか僕が足止めする……!」



162: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:33:48.84 ID:8s76Ea6t0
イザベル結界内……



ブルー「あれがこの結界の魔女……!」

ブルー(僕一人で魔女を倒そうとするよりも……まずはあの人の安全が第一!)


ブルー(……!あそこだ!……アクセルスーツの転送域が間に合うか……!)


ミヒャエラ「キィーッ!」

イザベルは使い魔を数体召喚し、ボウケンブルーの行く手を阻む。

ブルー「……サバイブレード!ハッ!」

ジャキィッ!

ミヒャエラ「ギャアアアア!!!」

シュゥウウウ……


サバイブレードに切り裂かれたミヒャエラは次々消滅してゆく。


ブルー(使い魔になら普通の攻撃が通じる!)


ブルー「サバイバスター!」

バシュウウウ!

ミヒャエラ「ギ……」

ドッパァアアアアアンッ!


ブルー「うわっ!?」

ブルー(今の爆発……!)

ブルー(奴はレーザー攻撃をすると爆発を起こすんだ……!)

ブルー(もしあの人の近くで爆発させてしまったら……!)

ブルー(あの人を助けるまで、サバイブレードしか使えない……!ブロウナックルじゃあの人まで巻き添えになりかねない!)

ブルー「ハッ!」

ボウケンブルーは女性目掛けて走り出した。

163: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:34:42.97 ID:8s76Ea6t0
ブルー「まだ……転送域内だ!ハッ!」

ジャキンッ! ジャキンッ!

ミヒャエラ「「ギィィィヤァァアアアア!」」


ブルー(あと数メートル!このまま……!)

ビーッ!ビーッ!ビーッ!……

ブルー(!これ以上……!いや、まだ手が届く!)


ブルー「……届け……!」


ミヒャエラ「ギ……!」

囚われた女性に手を伸ばしたが、手が届く寸前の所でミヒャエラが女性を連れ去った。



ブルー「……!」



ミヒャエラ「ギィッ!」


ブルー「あそこまでは近づけない……!」


164: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:35:44.20 ID:8s76Ea6t0
連れ去った女性の周囲からミヒャエラが再び発生、円陣のように取り囲んだ。


ブルー「囲まれた……!もしサバイバスターで撃てば……」

ブルー「いや……なら、魔女を先に倒せば、結界は消える……!」

ブルー「アクセルテクター!デュアルクラッシャー・ドリルヘッド!」


ブルー「これなら魔女にも通じるハズだ!」ガシャッ


シュゥゥゥゥ……

イザベルは使い魔を発生させた。
その使い魔は、イザベル本体と女性を囲むミヒャエラを繋ぐ一直線上に現れる。


ブルー「!これもダメだ!この状況で魔女を爆破させたら……」

ブルー「爆破が連鎖して……!」


ブルー「魔女とあの人を繋ぐ使い魔を倒すしか無い!」

シュゥゥンッ!


ミヒャエラ目掛け、サバイブレードを投げた。
しかし、直撃する寸前、別のミヒャエラが身代わりとなる。


ブルー「……!なら、あの方法なら……!」

ブルー「だけど、これは……あと1メートル、それだけこっちに奴らが近づかないと……」



165: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:37:01.18 ID:8s76Ea6t0
ブルー「……!あの人はむしろ魔女に引き寄せられて行ってる!」

ブルー(このまま捨て身で救助に行くしか無い……か)






ブルー「……それしか無い!」






「たあああああああああああああッ!!!」



ブルー「くッ……ハッ……!? 」


ザシュゥッ!


「……はぁッ!くらえ!これで……どうだッ!」

ドォッ!


ブルー(……さやかちゃん!……もう契約してしまったのか……)

結界に突入してきたさやかがイザベルと女性を繋ぐミヒャエラを蹴散らした!


さやか「よぉし、いっちょ魔女をやっつけてやりますか!」

さやか「その前にこの使い魔を……」



さやか「……!だ、誰!?どうして戦隊の人が魔女と戦ってんの!?」

ミヒャエラ「ギィ……!」

さやかの姿に気圧されたか、女性を取り囲んだミヒャエラ達が少しずつ後退して行く。


さやか「ビビってんのかよ!……今すぐ倒して、そこの人もちゃちゃっと助けてやるからな!」


ブルー「危ない!後ろ!」


166: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:37:52.85 ID:8s76Ea6t0
さやか「……うわっ!このっ!」


さやかが後方へ攻撃を転換させた隙を突き、女性を取り囲んだミヒャエラがさやかに攻撃の手を伸ばそうとしていた!




ミヒャエラ「ギ…ギ…ギ!」





ブルー「おっと、僕を忘れてもらっちゃ困るよ……!」

ブルー「さやかちゃんのおかげで君たちを射程範囲まで引き寄せる事が出来た……今だ!」

ブルー「ブロウナックル!」



ゴォォォォォォォォォォゥッ!


ミヒャエラ「ギィイイイイイイッ!!!」

バシュウウウウッ!


女性「うっ……」

ブルー「おっと、しっかりして!」


ブルー「……竜巻の中心っていうのは、まったく風の吹き荒れない無風地帯!」

ブルー「だから、真上から放てば、周りを囲んだ使い魔だけ吹き飛ばせる!」

ブルー「人質は助け出した!あとはあの魔女を倒すだけだ!」


167: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:38:45.10 ID:8s76Ea6t0
さやか「もう!倒してもキリがない!」




ブルー「さやかちゃん!跳んで!」

さやか「えっ!?どうして名前知って……!まぁいいや、えいッ!」


ブルー「ブロウナックル・ナックルキャノンッ!」

ゴォオオオオオオオッ!ドォオオオオッ!


「ギィィィィヤアアアアアアアアア!!!」



放たれた猛竜巻が結界の地面にゆらめいていたミヒャエラをまとめて吹き飛ばした。


さやか「はぁあああああああッ!」

その反動を受け、さやかはさらに高く飛び、そして急降下!



さやか「これで……終わりだああああああッ!!!!」

イザベル「コォォォォ……」


168: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:40:32.19 ID:8s76Ea6t0
ブルー「魔女がエネルギーを滾らせてる!さやかちゃんを狙い打つつもりだ!」

ブルー「……デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」


ブルー「GOッ!!!」



ドォンッ!

……ゴオオオオオオオオンッ!


イザベル「カァッ!?」

ドリルビームがイザベルに命中、破壊するには至らなかったが、イザベルの滾らせたエネルギーを拡散させた。



さやか「らああああッ!!!」


ジャキィィィィィンッ!!




……ドオオオ━━━オンッ!



さやか「魔女が……爆発した……!」


さやか「……!やった!初めてのくせに、こんなでっかい魔女やっつけるなんて、才能アリアリかも!」



シュゥゥゥゥ……


ブルー(結界が消える……!)


169: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:41:20.42 ID:8s76Ea6t0
公園……


さやか「……あ、誰か知らないけど、とりあえず助けてくれてありがとーございます」

ブルー「……」



蒼太「……さやかちゃん。」

さやか「ブッ!?先生!?」

さやか「先生って戦隊の人だったの……!だから魔女の事調査してたんだ……!」

さやか「そうか、通りであの時名前を……」


蒼太「どうして、こんな危険な事……」

さやか「え……?だってそりゃあ、……」

さやか「あいつの苦しんでる顔、もう見たくないし……」

さやか「少なくとも、あたしの願いは、命懸けで戦うのに足る理由なんです……!」

さやか「それに、あんな怪物がこの街に蔓延ってるなんて、あたしがやらなきゃ、誰がやる!って……」

さやか「でも、少なくとも、後悔なんてしてません。これはあたしが心から願ってた奇跡なんです。」

蒼太「……」

さやか「あ、もう日も暮れたし、帰りますね。また教室で会いましょう!」


タッタッタ……


170: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:41:57.71 ID:8s76Ea6t0
映士「おい!魔女って何処だ……!」

明石「遅れてすまない。……逆探知に手こずってしまってな。」

蒼太「いや……もう倒したよ……。」

真墨「なんだ、もう終わっちまったのかよぉ」

さくら「……蒼太君、一人で……?」

菜月「どうしたの、蒼太さん、そんなしょぼくれて」

蒼太「僕があの時、止められていたら、さやかちゃんがこんな……魔法少女になる事なんて……」

映士「おい、もしかして、また誰か契約したのか!?」

菜月「さやかちゃん……って誰……?」

蒼太「……うん。さやかちゃんが、幼馴染の上条君の腕を治す為に……」

蒼太「もし僕が二人をもう一度勇気づけるような力があれば、さやかちゃんを危険に放り出す事なんか……」


171: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:43:38.95 ID:8s76Ea6t0





明石「……それもいいじゃないか、蒼太。」

蒼太「……え?」

明石「ま、確かに、お前は止められなかったのかもしれん。だがな、それは彼女自身が覚悟の上で自分で決めた決断だ。」




明石「……これから先起こるかもしれない悔やんでも悔やみきれない後悔も、耐え難い絶望も、……全部道だ。」

明石「俺たちだって、そうしてきた。……今までの決断に、一つも間違いなんて無かった。」

明石「……間違いがあるとすれば、それは、自分の本当の気持ちと向き合うのをやめて、冒険そのものを諦めてしまう事じゃないのか」



明石「好き好んで命を賭けてるのはお互い様だ。……俺たちの宝と同じように彼女の願いにもそれに足るだけの価値はあるって事だろう」

明石「……その決断が正しかったかどうか……決められるのは自分自身しかいない。」

明石「むしろ俺は良いと思う。ちょっとやそっとの説得じゃ動じない程の確固たる決意を胸に持っている。」



明石「……その決意、気に入った。……仲間にしたくなったな。」




172: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:44:42.74 ID:8s76Ea6t0


菜月「あ、また暁さんが格好良い事言ってる!」

映士「……ま、そういう事だ、別にお前が落ち込むような事じゃねーぞ、蒼太、これからって事だろ」

真墨「……くせぇ事かもしんねぇけど何をするべきかわかんねぇお前じゃねぇだろ、蒼太」



蒼太「……!そうだ……僕が今すべき事はここで悩んで、立ち止まる事じゃなくて……」



蒼太「さやかちゃんにどんな事があっても、笑顔を忘れさせない……!それが僕の冒険……!」

173: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/18(日) 21:45:36.06 ID:8s76Ea6t0





その晩、さやかの家……




さやか「あーあ、……綺麗な宝石、これあたしから出て来たの?」

QB「あぁそうさ。それは君の心だ。僕は君の心の力をソウルジェムとして作り出した。」

QB「魔法も、全て君の心の力さ。」

さやか「清き魂は清き肉体に宿る!あたしの心ってそんなに清らかかなぁー!ま、自信はあるけど!」

さやか「今日からこの街の平和は、さやかちゃんがガンガン守りまくっちゃいますからね!」

さやか「恭介もまどかも、仁美も、マミさんも、ほむらも安心して暮らせるようにねー!」

178: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:39:36.11 ID:4HC5UEpt0
翌日、通学路……

さやか「みんな!おっはよう!」

まどか「わっ!びっくりしたぁ……朝からびっくりだよぅ、もう……」

仁美「……?随分ご機嫌ですわね……。何か良い事でもありましたの?」

さやか「えへへ。ま、ちょっとねー。」

まどか「何があったの?」

さやか「ふふふ、秘密、秘密!」

マミ「……元気なのは良いけど、あんまり浮かれすぎて転んだりしないでね」

さやか「ちょ、失礼な!そんなどんくさい子に見えますか!」

ほむら「……。」


ほむら(美樹さんがこんなに機嫌が良いって……もしかして……)

ほむら(いや、でもインキュベーターとの接触は避けてきたはずなのに……!)

ほむら(……私の考えすぎかな……だと良いんだけれど……)


179: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:41:28.92 ID:4HC5UEpt0
サージェス本部……。

明石「……。」


明石(……魔法少女の資料を探してみたが……どうやらどれもキュゥべえとか言う奴の契約で誕生する魔法とは違う……)

明石(今の所……太古からの魔法に関する記述は全てインフェルシア関係か……)

明石(グリーフシード……ソウルジェム……。これらの要素が含まれる資料は見当たらない……。)

明石(ソウルジェム……?『ソウル……?』)

明石(菜月は確か、ソウルジェムは彼女自身から生み出されると言っていた……。)

明石(もしそれが『心の力』であるとするならば……パラレルエンジンを作り出したレオン・ジョルダーナの……)

明石(心の力で作動するパラレルエンジン……『心の力』を研究していたレオン・ジョルダーナが魔法少女のソウルジェムについて調査していた可能性もある……か。)



明石(現在サージェスにはパラレルエンジン以外の資料は無いが……この研究結果を書籍に残している事も考えられる)






……………………




明石(やっぱりな……。どうやら一般に売り出されている本に心の力の調査結果をまとめた書籍があるらしい)

明石(もう廃盤になってるようだが……書店に片っ端から問い合せてみるか。)



そして、明石は書店に問い合わせた。そして、数分後……。


明石「風見野の書店に一つだけ置いてある……。」

明石「風見野……ここからそう遠く離れていないな。見滝原の隣町か。」



180: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:42:45.67 ID:4HC5UEpt0
職員室……

授業の無い、空き時間を使い、蒼太は街の魔女と思われる情報を収集していた。
スパイ時代の技術を利用し、いくつかの機関にハッキングを仕掛け、公に回らない情報を集めていた。




蒼太「……やっぱりね。この街の年間の行方不明者数、ほかの街に比べて段違いに多い。」

蒼太「あまり公にならないけど……早乙女先生達から聞いた情報と照らし合わせれば、全部納得出来る情報ばかりだ。」

蒼太「特に多いのが女の子、女子中学生、女子高校生程度の年齢……か。」

蒼太「魔法少女として、魔女と戦って命を落としている……だとすれば!」

蒼太「……どうして今まで気づいてあげられなかったんだ……!」

蒼太「……?……この記録は……」

蒼太「外傷が全くない遺体……? どういう事……?」

蒼太「魔女に殺されるなら、体に外傷がないなんて事、ありえない……。」

蒼太「そもそも、結界の中で死んでしまったら、結界ごと消えるハズじゃ……?」

蒼太「それがどうしてそんな魂が丸ごと抜かれたような遺体が……?」

蒼太「『遺体の周囲から回収された物品には……ガラス?の破片みたいなのが必ず落ちている』」

蒼太「ガラス……?宝石……?これってソウルジェムの事じゃ……」

蒼太「ソウルジェムと死に何か関係があるのか……?」



181: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:44:44.14 ID:4HC5UEpt0






風見野、書店……


明石「……何とか、無事に購入出来たな」

明石「少し立ち読みした所、これは有益な情報に間違い無さそうだ。」

明石「早い内に読み進めないとな……」


明石は、書店から退出した。








明石「……?」



「万引きだー!捕まえろ!」


明石(万引き……?)


少し離れたスーパーから、赤い髪の少女が万引き犯として、走って出て行くのを明石は見た。



「うっせーな、しつけーんだよ……!ちょっと眠ってろお前!」



明石「!あれは……ソウルジェムか……!」


「ん……う……?」





「……落ちたな。そのままじっとしてろな、アタシが逃げるまでよ!」




明石(間違い無い。今のは、魔法少女だ。)

明石「まさかこんな所でも会えるとはな。」

明石「っと、その前に……」ジャラッ

明石(これだけあれば足りるだろう、多分……)


明石は、眠っている店員の近くに小銭を数枚置き、その場を去る。




182: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:46:03.47 ID:4HC5UEpt0







橋の下……

杏子「へっ……とりあえず、今日の分の飯は確保、確保……」

杏子「いっただきまーす!」


杏子「へへ、うめぇ、うめぇ……!」ムシャムシャ







明石「……俺にも少しくれないか。丁度、昼飯時だからな。」スッ


杏子「やだね、誰がやるもんか……」

杏子「……?」


明石「どうした、そんな顔でこっちを見て」







杏子「……何だこのオッサン!?」

183: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:47:19.43 ID:4HC5UEpt0




明石「俺か……?俺は明石暁だ。プレシャス回収を」




杏子「そういう事聞いてんじゃないんだよ、……」

杏子「何の用だって聞いてんの!」

杏子「まさか、万引きにネチネチ文句つけに来たとか言うんじゃあ無いだろうね?」



明石「いや……。どうやら君の様子を見てると今日一日まともな物を食べてはいないようだ。それなりの事情があるんだろう。」

明石「ま……それについては文句は言わない。無論、褒められた事じゃないが……」


杏子「ンなこたぁ覚悟の上でやってんだよ。それだけか?ならとっとと」


明石「君は、魔法少女だろ……?」


杏子「……ハァ?……それに文句言いに来たの?」

杏子「『魔法を悪に使っちゃいけない』だの偉そうな説教かますんじゃねーだろうな?」

184: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:49:06.16 ID:4HC5UEpt0
明石「魔法少女である事に関しては文句は無い。それは君自身が選んだ道だ。」

明石「……俺は君に協力を願いに来た。」

明石「今、俺たちサージェスは魔女の正体を調査している。その為には魔女のデータがもっと必要だ。」

明石「しかし俺たちでは結界内に潜む魔女の居場所を探る事は出来ん。」

明石「映士のサガスナイパーを使う方法もあるが、それは魔女が活動し始めないと使えない。あまりにも効率が悪い。」




杏子「サージェス……?あの世界中の宝だかなんだかを集めてるっていう連中か?」

杏子(ジャケットについてるバッジはサージェスのマークだから嘘はついてないみたいだが)

杏子「で……?その、情報収集の為に足でまといを背にして戦えって?」

杏子(だいたいサガスナイパーって何だよ……アイツよりセンスねーの……)


明石「俺は自分の身は自分で守る。そして、使い魔退治くらいなら出来るさ。」

明石「グリーフシードは必要無い。使い魔を退治する魔力も節約出来る、互に得をする取引だと思うが、どうだ?」

明石「さっきの魔法の使い方を見るに、君は相当の熟練者と見る。それを見込んでの頼みだ。」




杏子「ハッ……成程ねぇ。確かに、それは良い提案だよねぇ……」

杏子「でも、誰かと馴れ合うなんてごめんだね。アタシは一人で自分のために生きていくって決めてんだ。」

杏子「誰かの協力なんて必要ねぇ。とっとと帰んな。」




185: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:50:27.43 ID:4HC5UEpt0
明石(……まぁ、初めから受け入れられる等とは思ってもいなかったが)

明石(だが例え事情があるとしても万引きする子を放っておく訳にはいかない。)

明石(それに共に戦う仲間は一人でも多い方が良い。)

明石(とはいえ……このまま正面から行っても難しいだろうな。……真墨と同じタイプか。なら……)

明石(こういう場合は……一度引く。強引な手だが致し方ない)





明石「そうか……。熟練者の魔法少女なら、この程度、朝飯前かと思ってたのだが……。」


明石「自信が無いなら仕方ない。」


186: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:52:00.26 ID:4HC5UEpt0
杏子「自信が無い……?随分舐めた口効くね。」

杏子「冷静に考えろよな。いきなり現れたおっさんに協力しろ、って言われて素直に信じるなんて……」

杏子「普通に考えれば解るよな?」







明石(やっぱりな)

明石「……違うのか?」

明石「……目の前にあるチャンスをみすみす逃すのはそうとしか思えないが……」

明石「もしも、俺が君を騙していたとしよう。……そうなった時に自分じゃ対処出来ないと察したからじゃあないのか」




杏子(黙って聞いてりゃ……!)

杏子「……いいぜ、乗せられてやんよ、その鼻へし折ってやる。」

明石「……そう来なくてはな。」

杏子「ただ、お前がどんな目にあってもアタシは助けねーからな?」

杏子「お前が怪我しても、自業自得って事だ。そんくらい覚悟しろよ。」

杏子「それに、アンタの事、信用した訳じゃないからな。ちょっとでも変な事してみろ。その時は……」

杏子「今日目と鼻を合わせた相手をぶっ飛ばさないで受け入れてやるだけ、ありがたいと思えよ」

明石「あぁ。用心する。」

杏子「ケッ……」

杏子(いきなり現れて偉そうに……癪に障る奴だ……。大人気ねぇにも程があるぜコイツ……)



明石(……ま、とりあえずとっかかりは掴めた。)

明石(女子中学生相手にイヤミを言うのは良い気もしないが……そんなのは過ぎた事だな、気にするような事じゃない)


187: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:53:19.71 ID:4HC5UEpt0

学校、昼休み、屋上……

さやか「……ふー、今日も屋上一番乗り、……?」

さやか「あれ、蒼太先生?」

蒼太「あ……!さやかちゃん!君も屋上で食べるんだ」

さやか「いっつもそうですよぉ?蒼太先生はどうして?」

蒼太「……この学校、屋上がすごく綺麗でさ……。こういう所で食べるの、良いな、って」

さやか「ま、確かに清々しいですよね。特に昨日みたいに一仕事終えた次の日のはね!」

蒼太「うん……。さやかちゃん、魔法少女の事なんだけど……」

さやか「はい?」

蒼太「僕も、魔女退治協力するよ!……後方支援しか出来ないけど、それでも僕はできる限りの事、するから!」

さやか「いえ、もちろんですよ!蒼太さんがいれば怖いもの無しっす!」

さやか「二人で街の平和、守りましょう!」

蒼太「そうだね……!」

蒼太(……初めから、誰かの為に戦える……なんて、さやかちゃんは凄いな……。)

蒼太(僕なんかより、ずっと……)

188: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:54:23.61 ID:4HC5UEpt0
蒼太「そういえば、まどかちゃん達とは一緒に戦ったりしないの……?」

さやか「……え?まどか……?」

蒼太「……まどかちゃん達も、さやかちゃんと同じ、魔法少女だって……キュゥべえ?が教えてくれたりしてる物だとばっかり……」

さやか「いえ……。」

蒼太「そう……。でも、みんなならきっと一緒に戦ってくれるよ!」

さやか「……。」

さやか「そうです……かね……。」

さやか(やっぱり……。何か怪しいって思ってたら……)

さやか(でも……当たり前だよね……。あたしだってまどか達に隠そうってしてたんだし……)

189: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:56:42.14 ID:4HC5UEpt0
まどか「お待たせ、さやかちゃん!」

ほむら「遅れてすみません……。」

マミ「美樹さん、今日は美樹さんが欲しがると思って、いつもよりちょっと多めにお弁当作って来たのよ!」

さくら「……こんにちは。さやかさん。……会うのは初めてですね。」

さくら「マミさんのクラスで教育実習生をさせて頂いている、西堀さくらです。……担当教科は世界史です。」


さやか「あぁっ……ど、どうも、みんな!」

さやか(指輪……ポケットに手入れて隠しておこう……)

さやか「マミさんのお弁当、美味しそうだなぁ!」

さやか「あ、あとさくら先生?いつもマミさんがお世話になってます」

マミ「え……? ふふっ……」

まどか「さやかちゃん、マミさんは先輩だよぅ……」

さくら「いえ、こちらこそ、よろしくおねがいします。」

マミ「……まぁ、挨拶はそこまでにして、お弁当食べましょう。」

ザッ

さやか「……すごい!」

蒼太「これ、一人で作ったの!?」

マミ「えぇ……。家事には、慣れてますから」

まどか「い……いただきますっ!」

さやか「えいっ」ベシッ

まどか「いだっ!」

さやか「もう、ただでさえ食いしん坊なんだから、ほっといたら全部食べちゃうでしょ!」

まどか「うぅ……」

マミ「まぁまぁ、心配しなくても大丈夫だから。暁美さんも、遠慮しなくて良いのよ?」

ほむら「ありがとうございます……。」

さくら(……私のお弁当より綺麗……。)




ほむら(さっきから美樹さん、頑なに手のひらを見せようとしない……。)

ほむら(もし契約したのなら、指輪があるハズ……)

ほむら(それを見せないってもしかして……)



190: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/24(土) 02:58:20.91 ID:4HC5UEpt0


そして、放課後間際、職員室。
蒼太はサージェス本部へ電話をしていた。



蒼太「で……ごめんね菜月ちゃん、みゆにご飯あげておいて、よろしくね」

菜月『それは良いけど蒼太さん、蒼太さん、最近帰り遅いでしょ?』

菜月『だから最近みゆちゃん元気無いよ……?』

蒼太「……、近いうちに早く帰れるようにするから、そう言っておいて!」

菜月『うん……わかった……。』


193: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:28:10.11 ID:IVNmExOE0
サージェス本部

菜月「今日も蒼太さん、帰り遅いって。……多分さくらさんも」

菜月「二人共、マミちゃん達と一緒に魔女退治だって。」

菜月「……菜月もそろそろマミちゃん達と会いに行きたい。」

真墨「んな事言ったって仕方ないだろ。サージェスからの正式な命令じゃ無い以上、本部には常に3人以上残らないといけねーんだから」

映士「おう……そういや明石何処行ったんだよ」

菜月「カザミノ?って所まで本買いに行ったみたい」

映士「風見野……ってそんな離れて無いだろ? せいぜい3時間ありゃ十分帰って来れるじゃねぇか」

映士「あいつ出て行ったの昼前くらいだろ……?もう5時だぞ?」

映士「あいつ……まさか!」

真墨「……!」

菜月「もしかして、魔」


映士「迷子か?」

真墨「……」

菜月「無いよー、それは」


194: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:29:45.80 ID:IVNmExOE0



病院……。

さやか「そっか……。まだ、リハビリあるよね……。」

恭介「まだ退院まで時間は結構かかるみたいでさ……でも、医者の人もすごいびっくりしてたよ……。」

恭介「いきなり手が治るなんて……何がどうなってるのかさっぱり……」

恭介「さやかの言う通りの奇跡だよね、これ……。」

さやか「ほらね。……もう、悩まなくて良いんだよ、恭介。」

蒼太「……良かったね、腕が治って。」

恭介「はい……?」

蒼太「……僕は最上蒼太。ちょっと前から見滝原中学校のさやかちゃんのクラスで教育実習生をやってるんだ。」

蒼太「はじめまして、よろしくね、恭介君。」

恭介「はぁ……。どうも……。」









その後、しばらく、他愛のない談笑が続く。





さやか「……あ、もうこんな時間。ごめんね、ちょっと用事あるから。」

蒼太「うん……。僕も。じゃあね、学校で待ってるから!」





195: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:30:46.31 ID:IVNmExOE0







風見野……



杏子「で……?ここが魔女の結界だけど」

明石「あぁ……。流石に、手際が良いな。」

杏子(今日会ったヤツといきなり行動を共にするってのも良い気分じゃないが、あんな事言われちまって引き下がるのも気分が悪い。)

杏子(クソッ……つくづく人を口車に載せるのが上手いヤツだ……初対面のクセに人の神経逆撫でする技術に長けてやがる)

明石「……頼む。」

杏子「……。」



196: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:33:00.04 ID:IVNmExOE0


落書きの魔女、結界内……


杏子「……なんだ、この結界。センスねー落書きだらけじゃねぇか」



アーニャ「ぶぅん!」



結界に侵入した二人の前にアーニャの大群が現れる!



杏子「群れ雀共がウジャウジャと……!」

杏子「こんだけ使い魔がいるって事はこの結界は当たりだね!」


明石「そうか……使い魔がいるのか……」


杏子「あ……?もしかしてオッサン、使い魔、見えねーの……?」

明石「まぁな」

杏子「は?」

杏子「おい、じゃあどうすんだよ……」

明石「……ちょっとした冒険だな。」



197: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:34:00.48 ID:IVNmExOE0



杏子「お前……ふざけんな!」

杏子「アタシはお前が自分の事は自分でするって言うから仕方なく連れてきたんだぞ……!」

杏子「お前みたいな足でまといの世話なんかゴメンだ!」



明石「いや、何も出来ないとは言って無いぞ。」


杏子「使い魔も見れねーでどうやって倒すって……オイ!後ろッ!」


アーニャ「ぶぅぅぅぅぅん!」



その時、明石の背後から、一体のアーニャが明石目掛けて突撃してきた。



杏子「バカ!さっさと避けろつってんだよ!」



198: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:35:28.14 ID:IVNmExOE0







「ボウケンジャー!スタートアップ!」


「……ボウケンジャベリンッ!」





アーニャ「ぶっ!?」

ザシュッ! ドォォォォンッ!



杏子「……へ?」


レッド「生身の状態では見えないが、アクセルスーツを纏えば使い魔と戦う事はできる。」



杏子「え……!?あんた……戦隊のヤツだったのか……!?」

レッド「あぁ。轟轟戦隊ボウケンジャーだ。」

杏子「何戦隊かまではどうでもいいっつうの……」

杏子「第一あんたら人数多い上に数多すぎて誰が誰だか言われても毎年毎年覚えてらんねーから」


レッド「さぁ、魔女を倒しに行くぞ。アタック!」

杏子「オイ!待て!……どこまで他人を振り回しゃ済むんだ!」





レッド「サバイバスター!」


バシュゥッ!バシュゥッ!


杏子「どぉらあああああ!」

ザクッ!ザクッ!ザクッ!



二人は、アーニャを倒し、結界奥まで進んだ。





199: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:37:05.60 ID:IVNmExOE0



結界最深部、vsアルベルティーネ……



アルベルティーネ「ウフフ、フフフ!」


杏子「アイツか……。さっさとぶっ倒しちまおうか」

レッド「あぁ……」

ビーッ!ビーッ!ビーッ!


レッド「……すまんが、俺はこれ以上近づけない。魔女の討伐は君に任せた。」

杏子「はぁ!?」



杏子(そういやコイツさっきから、使い魔退治としか言って無かったっけ……)

杏子(いや……?魔女に近づけないフリして、後ろから撃つって可能性もな……)

杏子(ここらでいっちょ一芝居打って確かめてやるか……。)



杏子「だぁッ!」

杏子は魔女へ向けて跳んだ。



アーニャ「ぶぅうううん!」


杏子「……しまった!」


杏子の周囲からアーニャの大群が襲いかかる。




バシュゥッ!バシュゥッ!バシュゥッ!

ドォォォォォンッ!

杏子(……!)

レッド「油断するな!」



杏子「……まんざら信用出来ない訳でも無いみてぇだな……。」


200: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:38:03.20 ID:IVNmExOE0
杏子「……だぁッ!」


槍を構え、アルベルティーネに突進する!

だが、その瞬間、アルベルティーネは姿を消した。


杏子「空振り……!何処行った!」

杏子(結界の中じゃ逆に反応が強すぎて魔女の気配を察知出来ない!)



アーニャ「ぶぅううううん!」



杏子「クソッ……自分は隠れて使い魔にアタシらを倒させるのかよ……!」

レッド「まずは使い魔を可能な限り始末する!」






……

201: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:39:10.00 ID:IVNmExOE0
杏子「倒してもキリがねぇぞ……!」

レッド「……いや、ひとまず二人の周辺の使い魔を潰した。……これで邪魔をされる心配は無い。」

杏子「でも魔女の居場所がわかんねーんだよ!」

杏子「このままアイツは使い魔を潰させて、消耗してくたばりかけた所を殺しに来る!」

レッド「……そうでもない。」

レッド「魔女を隠れられない状況にすれば良いんだ。」

杏子「どうやって……!」





レッド「……デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」


杏子「バズーカ!?んなもんぶっぱなした所で……」



レッド「……GOッ!」



ゴォォォォッ!ドォオオオオンッ!



物陰に向けてドリルビームを放った。




アルベルティーネ「……ギャアアアアア!?」


杏子「ま……魔女が飛び出してきた!?でも何で解ったんだ!?」

レッド「あぁ。アクセルスーツに内蔵されているレーダーは魔女の探知はできないが魔女の形態は見る事ができる」

レッド「この狭い結界の中じゃ隠れてもこれがある限り無駄という事だ」

レッド「さぁ、ヤツも安心して隠れる事は出来なくなった。ヤツは短期決戦で俺たちを仕留めなければならない。」


202: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:40:10.61 ID:IVNmExOE0
アルベルティーネ「ウウウ……」ポンッ!



アーニャ「ぶううううううううううううううううんん!!!」



杏子「また使い魔大群作戦か!芸がねぇの!」

レッド「この使い魔に気を取られている瞬間に魔女は俺たちを狩りに来る。君は後ろで待機していろ。」

レッド「使い魔は俺が始末する。」

杏子「でもお前近づけ無いんだろ!」

レッド「あぁそうだ。だから行くんだ。」


杏子「訳わかんねぇ……何でそんな自信満々なんだよ……」

レッド「困難を目の前にした時こそ心が奮い立つ。それが冒険だ。」

杏子「は?」


レッド「ハッ!」


ボウケンレッドは使い魔目掛けて走り出した。




203: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:41:18.30 ID:IVNmExOE0
レッド「レッドゾーンクラッシュ!」


ザシュゥウウウウウウウ!


アーニャ「「「ぶうううう!?」」」」

ドォオオオンッ!



ビーッ!ビーッ!ビーッ!


アーニャ「ぶうううん!」

レッド「ハッ!サバイブレード!」



アクセルラーから響く警告音を気に求めず、アーニャの大群へ殴り込んで行く。



杏子「何やってんだよ……!」




レッド「グッ……!」


アクセルスーツの転送限界域に到達した。
ボウケンレッドの動きが鈍る。



その隙を狙いアーニャの大群が一斉に襲いかかった。


レッド「使い魔如きで俺を倒す事は出来んぞ!」


レッド「……ジャベリンクラッシュ!」


ズガァアアアアアアアッ!


ドオオオオオンッ!



204: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:45:34.71 ID:IVNmExOE0



アルベルティーネ「ウフフフフフ!」

取り囲んでいたアーニャは全滅した。
だが、ボウケンレッドが身動きの取れない事を察し、使い魔撃破後の隙を狙っていたアルベルティーネが
上空に姿を表しボウケンレッド目掛け降ってきた!






レッド「……今だ!」

シュゥゥン……


明石「ハァッ!……杏子!」


明石暁はその機会を狙っていた
身動きの取れないアクセルスーツを解き、その場から飛び退く!



アルベルティーネ「ウゥッ!?」






205: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:46:15.55 ID:IVNmExOE0
杏子「おっと、アンタの相手はそいつじゃなくてこっちだよ!」

杏子「……だああああらああああああッ!!!」



ザクザクザクザクッ!


アルベルティーネ「ヒィッ!?」


アルベルティーネが呆気にとられた瞬間、杏子の槍が炸裂する!



杏子「……もってけダブルだ!」



ザクゥウウウウウッ!!



アルベルティーネ「ヒ……ギ……」








ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!!!!!





杏子「よっしゃ!決まり!」




明石「グッジョブ!」







シュウウウウウウ……










206: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:47:07.44 ID:IVNmExOE0
魔女撃破後、風見野……



杏子「はぁ……バカじゃねぇの、なんであんな事したんだよ」

明石「共に戦うパートナーを信用しただけだ。別に普通だと思うが」

杏子「パートナー……!?そんなんじゃねぇよ!」

明石「君は俺を受け入れてくれたんだ。ちょっとは信頼してくれたって事だろ?」

明石「本当に嫌だったら何を言われても断っていたハズだ」

杏子「あそこでアンタを助けたのは魔女を倒すのに都合が良かっただけだからな!」

杏子「もしあれが使い魔だったらアンタなんか助けてねーから!」

明石「そうか」




207: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:48:16.27 ID:IVNmExOE0
アーニャ「ぶうううううううううん!!」



杏子「!?」

明石「どうした?また魔女か?」

杏子「いや……さっきの魔女の結界で倒しそこねた使い魔が三匹、多分アタシらにびびって逃げたんだろ」

杏子「……ま、使い魔3匹じゃロクな結界も作れねーよな」

明石「倒さなくてはならないな。」

杏子「おいおい、魔女はともかく使い魔退治なんてやってられないからな」

杏子「使い魔倒したって見返りなんて無い。そんなんで魔力消耗するなんてバカらしい。」

明石「……そうか。まぁ、確かに君にとっての魔力消費は生命線だったな。……君の言う事ももっともだ。」

明石「だが、俺としても人間を襲う使い魔を黙認する訳にはいかないのでな。俺は追わせて貰う。」

杏子「勝手にやってろよ」

杏子(何だよ人助け人助けって……)

杏子(……でもコイツ、見てる限りだと、本当のバカ……突き抜けたくらいのバカ……)

杏子(アタシもこいつくらいバカだったら……そんな事今更悔やんでもしょうがねぇけどさ……)




208: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:49:38.85 ID:IVNmExOE0
路地裏……


蒼太「……でも、本当に僕ら二人で大丈夫なの……?」

さやか「へーきっすよ!……まだまだあたし、未熟ですし……」

さやか「秘密で強くなって、まどか達が大ピーンチ!の時に颯爽と駆けつける!とかカッコよくないですか?」

蒼太「けど、僕と一緒に戦うよりも、みんなと戦ったほうがこれからの事もあるし、安全じゃないかな……?」

さやか「もう、ヒーローのくせに何そんな情けない事言ってんですか、頼りないですよ!」

さやか(……何て言い出せば言いんだよ……)

さやか(あたしに秘密にしてたって事はあたしを巻き込みたく無かったって事でしょ……?)

さやか(そんな事知ったら……みんなにショック与えちゃうかもしれない……)




さやか「……!こっちから反応です!」

蒼太「うん……!行こう!」








209: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:50:40.37 ID:IVNmExOE0





杏子「……ん?なんだこの反応……?魔法少女……?」

杏子「あっちの方か……。何だよ、使い魔なんかに手出しやがって……」

杏子「なんだっけ……?この前なったばっかのトーシローに誰かの為に願ったっていう奴がいるってキュゥべえから聞いたけど……」

杏子「使い魔狩なんて何トンチンカンな事やってんだよ……マミとも違うよな、この反応は……」

杏子「……現実の厳しさってのを教えてやっか……」



210: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:52:03.43 ID:IVNmExOE0
見滝原、パトロール中の4人……

マミ「……こっちの方に反応が少しあるわ。恐らく使い魔ね。」

さくら「……私がまともに使い魔と戦闘をするのはこれが初めてです。私の腕がどこまで通用するのか、確かめなくてはなりません。」

まどか「いやぁ、でもさくら先生戦隊の人でしょう!きっとダイジョーブですよぉ!」

さくら「いえ、しかし私達の武器の殆どは結界内の魔女に通用しません……。」

さくら「……非力ですが、後方支援以外は不可能です。」

まどか「え……そうなんですか。ま、そこはそれです、それはそれで心強いですよ!」


さくら(さやかさんが魔法少女になった事を、みんなに言うべきなのでしょうか……。)

さくら(でも、それはきっと本人の意思に任せるべきでしょう……)


まどか「それにしても、ほむらちゃん凄いね!ほむらちゃんの行く道が最短でまっすぐに一直線で魔女にたどり着いてる感じするよ!」

ほむら「……たまたま、です」


ほむら(今まで通りなら、あの路地裏で使い魔をめぐって戦っているハズ……!)

ほむら(……でも、願うなら……使い魔だけに居て欲しい……)







211: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:53:27.25 ID:IVNmExOE0
路地裏……


さやか「!ここです!使い魔は3体!」

蒼太「ここか……!」カチャッ


蒼太「レディ!ボウケンジャー!スタートアッ……」






さやか「うああああッ!?」


ガシャンッ!


蒼太「!さやかちゃん!大丈夫!?」

さやか「うっ……いきなり攻撃が……!」

蒼太「……!誰!?」



杏子「あれ、使い魔だよ?見てわかんないの?」


さやか「……!あんた……!」

蒼太「魔法……少女……?」


杏子(なんだコイツ……男引き連れやがって……)

杏子(コイツも戦隊のヤツか……?ユニフォームが明石の野郎とそっくりだ)



杏子「アンタさ、卵産む前の鶏締めてどうすんだよ。もうちょいほっときゃグリーフシード孕むんだからさ。」

杏子「それとも、正義だのなんだの、いい子ちゃんな正義振りかざす為に魔法少女になったとかってんじゃないよね?」



212: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:55:08.92 ID:IVNmExOE0
蒼太「……そこの女の子!同じ魔法少女なんだろ!なら争う必要なんて……」

杏子「部外者はすっこんでなよ!」


ガシャーンッ!


蒼太「!結界……!これじゃさやかちゃんの所に……!」

杏子「そっから出てこなけりゃアンタの安全は保証してやるよ。」




さやか「お前……使い魔をほっといたら、人が……」

杏子「はぁ。だから良いんだよそれで。食物連鎖って知ってるよな?」

杏子「人間と魔女と魔法少女ってそういう関係なの。当たり前だよなぁ?」

杏子「強さの順番わきまえろよな」

さやか「ふざけるな……ふざけるなあああ!!」




213: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:56:12.30 ID:IVNmExOE0
蒼太「!ここから出られれば……!」



明石「……?どうした、蒼太」

蒼太の背後から、明石が現れた。


蒼太「暁さん……!大変です!あの二人を止めないと!」

明石「杏子……!」





杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねーよウスノロ!」

ガキンッ!ガキンッ!ガキンッ!


さやか「うああああっ!」


杏子「よえー、うぜー……よくそんなんで正義の味方ヅラ出来るよね」

杏子「その上言っても殴ってもわかんねぇとなったらもう……」




蒼太「……さやかちゃんが……!」

蒼太「こうなったら僕が……!」


明石「待て」

蒼太「……!?どうして……!」


214: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:57:32.84 ID:IVNmExOE0
明石「……今の一瞬の内に、心臓、頭……さやかの急所を狙うチャンスはいくらでもあった。」

明石「だが杏子はそれをしなかった。……杏子は敵の隙を見逃すような事はしない。」

蒼太「……!」

明石「さっき一緒に戦ったんだ。……杏子は人の為に戦う事に何か人一倍、拒絶感があるらしい。」


明石「今杏子はさやかを倒す為に戦ってはいない……。何かを伝える為に戦ってる。」

明石「だがさやかも負けていないぞ。これは思いと思いのぶつかり合いだ。」

明石「……面白い。二人は反発しあい、引き寄せ合う。ツボにハマれば二人はきっと良いパートナーになるな。」

蒼太「でもこのままじゃ、どっちかが、死ぬまでは行かなくとも大怪我に……」

蒼太「それに使い魔だって!」

明石「あぁ。歯止めが効かなくなったらその時は止めてやれ。」

明石「俺は使い魔を追う。頼んだぞ。」





215: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 14:59:04.17 ID:IVNmExOE0
杏子「ハァ……ハァ……ヒヨっ子が……!体力だけは有り余ってんのか……」

さやか「くっ……アンタなんかに負けたら……この街を守れない……!」


杏子「上等じゃねぇかよ……!」



ガキイィイイイン!


槍と剣が衝突し、拮抗する!



さやか「負けるもんかあああああ!!」

杏子「!?こんな力……何処から……!?」


ジジジジジッ……



杏子「くっ……どらぁっ!」


バチィンッ!


さやか「あぁっ!」ダンッ!



杏子「チッ……ビビらせやがって……」

杏子「おかげで無駄な魔力使っちまったよ……これに懲りたら使い魔退治なんて無駄な事すんなよ、目障りだ……!?」


バシュゥッ!



杏子「今度は何だ!?」


216: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:00:34.17 ID:IVNmExOE0
まどか「……さやかちゃんをそれ以上いじめるな!」

さやか「まどか……!?」


杏子「何だコイツ!」


ほむら「……!」



杏子「何だ……いかにもひよっこそうなのが二人……?お前ら二人なんかに負ける訳ねぇだろ!」

ほむら「動かないで!」ジャキッ



杏子(コイツッ……!後ろに……!?)



バンッ!シュルルルルル!




杏子「リボンッ!?って事は……!」

マミ「佐倉さん……?お久しぶりね。」




ピンク「ハイドロシューター!」

ガシャアアンッ!

蒼太「!」

ハイドロシューターの放水弾が蒼太を遮っていた結界を破壊した。

蒼太「さくらさん!」







杏子(ウゲッ……3vs1かよ……!)

杏子(チッ……こんな不利なのやってられっか!)


杏子「くそ……今日のところは勘弁してやらぁ。」

217: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:01:43.51 ID:IVNmExOE0






まどか「よぉし……!大丈夫……さやかちゃん!」

さやか「……うん。一応ね……。」

まどか「はぁー、一安心だよぉ……」

まどか「え……?」



まどか「さやかちゃん魔法少女だったの!?」

マミ「いつ……!」

ほむら(……もう手遅れだったの……)



さやか「ごめん……内緒にしててさ。」

さやか「でも、まどか達も内緒にしてたんだもん……。言い出せなかった。」

まどか「……私も、ごめん…。」



218: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:03:35.15 ID:IVNmExOE0




蒼太「……一緒に戦う仲間が増えて良かったじゃん!ね、さやかちゃん!」

さくら「後方支援しか出来ない我々よりも、彼女たちと戦った方が安全ですね。」


まどか「ほらさ、一緒に戦おう!……私もさやかちゃんと一緒に戦えるなんて嬉しいよ!」

ほむら「……」



さやか「でもさ……さっきの戦いじゃあさ……あたしだけ完全に弱かったじゃん……。」

さやか「そんな訳にいかないよ……みんなのお荷物なんかになりたくない……。」

さやか(前だって蒼太さんのアシストがあってやっとまともに戦えたのに……)

さやか(みんなと入り乱れて戦うなんて事になったらどうなるか……)


蒼太「でも一人だけで魔女と接近戦なんて無茶じゃない?……」

蒼太「もしさっきみたいな状況になっても、僕じゃ止められないかもしれない」

蒼太「だから……」


さやか「そんな心配しなくて大丈夫ですよ……先生は何も心配なんかしないで……」


さくら「ですが我々の力だけでは魔女に対処仕切れません。万が一の状況を考えて組んだ方が得策です」

さくら「より安全な方法で、実戦経験を積んだ方が互の為にも……。」





219: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:05:04.39 ID:IVNmExOE0
マミ「そうね……じゃあ、私と美樹さん、蒼太先生の3人で組みましょうか……」

マミ「私も蒼太先生も、どっちも遠距離からの攻撃しか出来ない……美樹さんとぶつかり合う事もないわ。」

マミ「……これなら理にかなってるでしょう?」


蒼太「そ、そうだよ!……マミちゃんは先輩なんだから、安心出来るって!」

さやか「……それなら……。」


マミ「それじゃ、決定!これからは私・美樹さん・蒼太先生と鹿目さん・暁美さん・さくら先生で行動しましょう!」


さくら「私から、異論は無しです。」



蒼太「じゃ、決まった所で、暗くなってきたから帰ろうか」


220: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:06:03.45 ID:IVNmExOE0




QB(暁美ほむら……君は……)

QB(何故、あんな遠くから感知できない程度の反応をここまでピンポイントに探し当てる事が出来たんだい……?)

QB(まるで、ここで二人が争っているのを知っているかのような動きだ……。)

QB(彼女は何を知っているんだい……?聞いても、答えてくれないだろうね。)

QB(彼女の記憶を読み取る事ができれば……記憶……)

QB(高丘映士……彼は僕が見えるだけではなく、脈拍、体温……どれも普通の人間と比べると異常だ……)

QB(これに近い生物は……僕が見てきた中ではアシュだね。)

QB(もし高丘映士があの高丘一族であり、それがボウケンジャーとして戦っているのであれば、ここ数年で封印されたアシュが一度甦ったという事だ。)

QB(アシュの呪術であるならば、彼女の記憶を読み取る事ができるはずだ。)

QB(……試してみる価値はありそうだね。)




221: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:07:47.27 ID:IVNmExOE0
帰り道……

二人きりになった、蒼太とさやか。

蒼太「……心配無いって。一番大事なのは、信頼出来る仲間だよ!」

さやか「仲間ですか……?」

蒼太「そうだよ!……僕だって一人でみんなの笑顔を守れた訳じゃない。」

蒼太「僕がつまづいても、手を差し伸べてくれる仲間たちがいるから、僕は今こうしてられる。」

蒼太「僕の一番の宝物がそれなんだ。」

さやか「宝……ですか……。」


蒼太「君にもきっとあるハズなんだ、君にしか見つけられない宝が。」

蒼太「さやかちゃんにしか見つけられない宝……。」

さやか「あたしにしか見つけられない宝……」

さやか(あるのかな……そんな物……)





さやか「そういえばさっき蒼太さんと一緒にいた赤いジャケットの人、誰なんですか……?」

さやか「あの悪い魔法少女の事知ってる……みたいでしたけど」


蒼太「あぁ……あの人もさくらさん達と同じ僕の仲間なんだ。」

蒼太「あの子……杏子ちゃん?と一緒に戦ったと言ってたよ」


さやか「えっ……じゃああの人もアイツと同じ……!アイツに加担してるって事じゃないですか!」

蒼太「……暁さんは悪い人じゃ無いよ。確かにちょっと一人で先走り過ぎな所はあるかもしれないけど……」

蒼太「……暁さんが仲間にしたって事は、あの子もきっと悪い子じゃ無いんだと思う。」

さやか「そんな訳無いですよ!アイツはグリーフシード欲しさに人を犠牲にしようとした!」

さやか「そんな事するヤツ、悪人以外に何があるって……」

蒼太「きっと何か理由が……」

さやか「理由があれば人殺しを容認するんですか!アイツは自分のために人を苦しめてる!」




さやか「……すいません、蒼太先生と言い合ってもどうにもならないよね……。」

蒼太「……。」



蒼太(自分の為に誰かを傷つける……か)

蒼太(……嫌なこと思い出しちゃったな。)

222: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:09:16.96 ID:IVNmExOE0
さくら「マミさん、ご協力、感謝します。」

マミ「いえ……別に。ただ後輩の事、面倒見るのはやらなきゃいけない事ですから……」

さくら「……あまり無理をなさらずに。私達はいつでも力になります。」


さくら「……私達は人数が減る事になりますが……」

まどか「ほむらちゃんがいるから大丈夫ですよ!だって時間止められるんです!」

ほむら「……できる限りは、します……。」

さくら「私達二人に合わせて戦っていただけるのは、頼もしい限りです……。」



マミ(うん……暁美さんがいれば、私がいなくても大丈夫よね……。)

マミ(……私が美樹さんのサポートをしなきゃ……。)

マミ(……もう危ない目に合わせた事とか、悔やんでる訳にはいかない……。私にはみんなを守る義務がある……。)

マミ(だから……私がしっかりしなきゃいけないの!……落ち込んでいられる暇なんて……)





223: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:11:47.10 ID:IVNmExOE0




杏子「ハァ……ハァ……。さやかの野郎……トーシローのくせになんてバカ力だ……」

杏子「このアタシを怯ませるなんて力が何処に……」



明石「気持ちだよ。」



杏子「……なんだアンタ、また追っかけてきたのか……。」

杏子「気持ち……どういう意味だ……?」


明石「あの時、彼女の心には『君を倒したい』という強い思いがあった。」

明石「その何としても相手に勝ちたいと思う気持ちが爆発し、一瞬だけ杏子に匹敵する力を生み出したんだ。」


杏子「……」


明石「……だが、気持ちだけでは打ち勝つ事はできない。彼女には実力が足らなかった。」

明石「ま……きっとその強い気持ちがあれば今後彼女は急成長して行くだろうな。」



杏子「そんときはまたぶちのめしてやらぁ……!」




明石「あぁ……。俺も期待してるぞ。君達がどれほどのコンビネーションを見せつけるのか」

杏子「はぁ……?コンビネーション……?あんなトーシロと組めって……?」

杏子「冗談言うのも大概にしろよ!そんな事する訳無いだろ!」

224: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:12:32.57 ID:IVNmExOE0
明石「……そんな事はその内解る事だ。」

明石「それより、あの時君は彼女を使い魔を退治しようとした……という理由だけで攻撃した。」

明石「使い魔を退治しようとしたのは俺も同じだが……何故彼女だけに?」


杏子「あん?……そんな、てめーなんかろくに使い魔なんて探せねーだろ」

杏子「あそこであんたの邪魔して無駄な魔力を使うくらいなら使い魔3体程度いなくなってもどうでもいいさ」


明石「……そうなのか」

杏子「何だよ、ジロジロ見やがって……」




明石「……」





杏子「……。」







杏子「何だよ……!」

225: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:13:50.00 ID:IVNmExOE0
明石「……何か、思いを伝えたかった……そうじゃないのか?」



杏子「……。」




杏子「……ああやって、何の得にもなんねぇ、誰かの為を思ってだかなんだか知らんけど貴重な願いを使ってさ……」

杏子「そういうの見ると虫唾が走っちまうんだよ……」

杏子「魔法ってのは自分の力だ。だから徹頭徹尾自分の為に使うべきなんだ」

杏子「人間は皆自分の為に戦ってんだ。自分の欲望に背いてたら絶対どこかで歪が自分に跳ね返ってくる」

杏子「そのくせアイツは一人で全部背負い込もうってしてんだよ……」

杏子「自分の為に戦わないとロクな目にあわない。……身をもって経験したのさ」


杏子「その点、アンタは違うんだよな。……アンタは自分の為に戦ってる。」

杏子「アンタ言ったろ……冒険だのなんだの……何かをする過程こそがアンタの喜びなんだろうよ……」

杏子「人助けだって、助けちまえばそれで万事OK、アンタは全部満足さ……」

杏子「ある意味、究極の自己中かもな……ま、そんくらいじゃなきゃ曲りなりにも正義のヒーローなんかやってらんないだろうけど」



明石「……まぁな。否定はしない。」

明石「でもな……。人間は絶望から這い上がる力がある。」

明石「君の言う歪……その壁にぶち当たって、もう奇跡には頼れない……。」

明石「その時に本当の思いと向き合って一歩を踏み出す……それが冒険だろう。」

226: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:16:26.79 ID:IVNmExOE0
杏子「本当の気持ち……か。確かにアンタは向き合ってるかもな……。歪も乗り越えたんだろ、多分。」

杏子「あんたは間違いなく強い人間だよ。……でもあんたみたいに強い人間ばっかじゃないのさ」

杏子「……そこで迷っちまって、ポッキリ折れちまう人間もいるんだよ。」

杏子「今の自分の絶望に耐えられなくなって、目の前の奇跡に頼っちまう人間が耐えられると思うか……?」

杏子「むしろほんのちょっとの絶望で人間はあっさり死んじまうんだよ……」

杏子「……思いの力とか、そんなんで簡単に解決できりゃあ誰も困んねえよ」




明石「時には迷い道もある。……俺も何度も迷ったさ。」

明石「でもその度に仲間が俺を導いてくれた。」

明石「……仲間がいなかったら俺も今頃は折れてたかもな」


杏子「仲間……か。」

杏子「アイツにそんな仲間、いるのか……」


明石「いるじゃないか」


杏子「まぁ……あのマミと二人のひよっこ共は仲間かもしれねぇけど……」


明石「……ま、この場にいない第三者の事をいくら話してもどうしようもないな。……その内解る事だ」

杏子「自分から話降って閉めがそれかよ……!」

227: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/25(日) 15:17:26.13 ID:IVNmExOE0
明石「……もう帰るのか」

杏子「あぁ……適当なホテルの連中だまくらかして泊まって来るんだよ」

明石「……」スッ

ヒラッ

杏子「なんだよ……紙なんか投げて……」

杏子「千円札……?」


明石「無駄な魔力は使うべきじゃないんだろう。」

明石「明日の食事はそれを使ってくれ。」

明石「……また会ったら頼むぞ。」







杏子(何だよ保護者ぶりやがって……むかつく……)

杏子(……腹いせにこの金全部ゲーセンでスッてやろうか……)

230: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:15:23.17 ID:Tzq3/VAg0
QB「そうか……こんな所で戦い、死んでいたのか。」

QB「この武装は……怒りの鬼神・ガイ……そして、大いなる獣・レイ……」

QB「……多少の不純な反応はあるが……恐らくアシュと見て間違い無いだろうね。」


キュゥべえが立っていたのは……ボウケンジャーがクエスターとの最終決戦の場であった。



QB「君達は昔から随分僕たちの邪魔をしてくれたね。」

QB「それを封印してくれた高丘の一族はありがたい存在だよ。」

QB「まさか、君達を倒す存在が君達の最も嫌う人間とアシュの混血児だとはね。因果な物だよ」





231: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:18:08.96 ID:Tzq3/VAg0


時は遡り……十数年前。
『百鬼鏡』より現世に開放されたアシュ。
その目的は人間の殺戮。


ガイ「あぁ……?なんだお前ら……変なカッコしやがって」

レイ「ただの人間か……?」




二人の前に数人の魔法少女が立ちふさがった。
アシュを倒す為に、人々を守る為に、この存在を許してはおけない。



ガイ「何だ何だ、ただの人間がこの俺様達を倒そうってそれはちょっと……」

ガイ「思い違いが激しすぎんじゃねーのォン?」

レイ「どうする……?ここで排除するか?」

ガイ「まーまー、何も俺たち二人がかりでまでやるようなこった無いだろ」

ガイ「ま、俺様がチョチョイとやってやっからお前はそのへんで見てろ」

レイ「あぁ。」



「覚悟しろ!」

「許さないんだから!」

「たぁッ!!」


ガンッ!






ガイ「……ガァッ!?」



レイ(……ガイの奴を吹き飛ばした……!?いや……)



ガイ「ど……どうなってやがる!?……この俺が吹っ飛ばされるなんて……ッ!」




「ッ……!」

「トドメだああああああ!」



その内の一人、リーダーとして仕切っていた魔法少女がガイへ向け走り出し
槍をガイの胸部目掛け、突き刺した!

232: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:19:16.34 ID:Tzq3/VAg0
ザンッ!




ガイ「ガッ……クッ…………」


レイ「……。」






「……!」


ガイ「クッ……クッ……ククッ……」

「……!?」







ガイ「なぁ~~~~んちゃってぇ~~~~~~♪」



少女の槍は確かにガイの胸を捕らえた。
だが、ガイの体表を貫く事は出来なかった。





レイ「お前は相変わらず悪趣味な芝居が得意だな……。」

ガイ「だってェこっちの方が面白いんだもん!」




「そんな……!」

「えいッ!!!」




リーダーの少女の危険を察して後方で待機していた少女たちも再び攻撃を始めた。



バシュゥッ!ザンッ!ズシャッ!





ガイ「カスが効かねぇんだよ!」




233: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:20:38.81 ID:Tzq3/VAg0
「ひっ……!」

ガイ「待てって。まさかここまでやって逃げるとかツレない事言わないよな。」

逃げようと背を向けたリーダーの少女の肩を掴む。




ガイ「まずはその……目障りなキラキラしたヤツをぶっ壊してやんよッ!」

ガシャンッ!バキィッ……


「うぁッ……」


バタッ



ガイ「あれれ~ン?もしもぉ~し、もしもぉ~し」


ガイ「お……?なんだコイツ、宝石砕いたら死んじまったぞ?」

レイ「あぁ、そいつらは『魔法少女』とか言う奴らだ。……その宝石はソウルジェムと言って奴らの魂だ」

レイ「当然それを砕けば奴らは死ぬ。……お前には伝えない方が楽しめると思って言わなかったんだが」


ガイ「おいおいおいおいおいおいおいおい!ジョーダンだろジョーダン!」

ガイ「なんで元の人間より弱っちくなってんだよ!」

レイ「俺に聞くな。」

レイ「逆をいえばそれさえ砕かなければ半永久的に戦えるぞ。」

ガイ「さっき戦ってわかったけどよ、こいつら全然強くねーもん!そんなんと戦いたくねーよ!」

レイ「人間の力に期待するな。」

ガイ「ま……ストレス解消には良いかもな……!」


ガイ「……さ、逃げられるもんなら逃げてみなちゃいっ♪」


「あぁっ……うわぁあああああああああっ!!!!!」

234: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:21:30.30 ID:Tzq3/VAg0












QB「……魔女になる前に君達は何人もの魔法少女を殺してくれたね。」

QB「かと言って僕らではアシュに対抗する術はなかった。」


QB「ま……君達の細胞の破片を回収させてもらうよ。」

QB「……無駄な殺生や侵略行為は契約に反するからしてはいけないのだけれども、記憶を読み取るくらいなら問題ない。」

QB「これを僕の体で試験的に培養して、その呪術のメカニズムを解明する。」

QB「そうすれば、より効率的な契約ができる。」

QB「利用させて貰うね。」

235: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:22:29.67 ID:Tzq3/VAg0



翌日、サージェス本部……


蒼太「杏子ちゃん、そんな事言ってたんだ……。」

明石「あぁ。……少し手は強引すぎたが、杏子はさやかの事を傷つけようとしてた訳では無いようだ。」

明石「何が杏子をそこまで駆り立てるのかは知らないが……。」

明石「あの様子だと、過去に誰かの為に戦って、それが原因で誰かを傷つけてしまったらしい。」

映士「それで自分の行いで誰かを傷つけんのが怖くて突っ張ってんのか……?」

映士「だとしたらよ……ただ不器用なだけでホントは優しい奴なんじゃないか……?その杏子って子は」




さくら「しかし……。さやかさんを襲撃した以上、争いになる危険性はあります。」

さくら「戦闘になれば、どちらかが負傷を負う事も。悪意が無いからと言ってこのままにしておく訳にはいきません。。」

映士「それは……そうだけどよぉ……」

明石「まぁな……そこはその時になってから考えよう」

菜月「その杏子ちゃんって子……一人で暮らしてるの……?」

さくら「万引きを繰り返しているという事は、そうであると考えられますね。」

菜月「じゃあ……一人ぼっちで寂しいんじゃないかな……。」

菜月「その子……お父さんもお母さんもいないんじゃ……」



明石「……。」

236: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:23:32.70 ID:Tzq3/VAg0
明石「……俺はこの書籍から今日はいくつか情報が無いか探ってみる。」

明石「……蒼太。昨日調べたというデータをまとめて俺に寄越してくれ」

蒼太「了解。プリントしてまとめてあるよ」


明石「あと、見滝原にはさくらと蒼太、あとこの中の一人が向かう3人体制で当たる事にする。」

明石「明確な命令が出れば、6人全員で行けるんだが、現状はこれが限界だ。」

真墨「で……?今日は誰が行くんだ?」

明石「真墨、お前だ」

真墨「え!?」

明石「出来ないのか?」

真墨「ばかやろう!お前に出来て俺が出来ない事なんかあるもんか!」

真墨「行ってくる!」

菜月「この時間行ってもまだ登校時間だよー」




さくら「では、……学校に向かいます。」

蒼太「あ、もうこんな時間か……。遅れちゃう、じゃあね!行ってきます!」







237: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:25:15.02 ID:Tzq3/VAg0
学校、教室……

さやか(マミさんと組むの……心配だなぁ……)

さやか(……あたしがするヘマのせいで迷惑かけちゃったりしたら……)


QB(それなら心配無いと思うよ。マミは君よりベテランで、素質もあるからね。)


さやか(ゲッ……あんた聞き耳立ててたの……趣味悪いわー)

QB(魔力をコントロール出来れば僕が念話に入り込む事も出来なくなるよ)

さやか(それより素質って……?)


QB(才能……って言った方がわかり易いかな)

QB(元々持ってる魔力さ。)


さやか(才能……って、……)

さやか(あーもう!不公平だぁ!)



マミ(美樹さん……心配しないで。ちゃんと経験を踏めば才能なんて微々たる差よ)

マミ(だから私についてきてね。)


さやか(う……はい!……強くなってまどかとほむらをびっくりさせてやる!)

マミ(……)


238: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:26:16.22 ID:Tzq3/VAg0
マミの教室……


マミ(……美樹さんが戦うのは、二人の為……。)

マミ(鹿目さんはずっと暁美さんに付きっきりだし……。)

QB(そうだね。まどかにとってのほむら、ほむらにとってのまどかは互に守らなくちゃいけない存在のようだ。)

QB(さやかにとってのまどかもそうだね。)

マミ(……ううん、私は先輩なんだ……。)

マミ(美樹さんは私を頼りにしてくれてる……しっかり守らなくちゃ)

QB(……君のために戦ってくれる存在はいないのかい?)

QB(例えば……間宮菜月、とか)

マミ(……。)

マミ(私って、みんなにとっての先輩でしか無いのかな……。)








239: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:27:48.47 ID:Tzq3/VAg0
ホテル、入口……。


バタンッ!

杏子「いっで!何すんだこの野郎!」

「このガキ勝手にホテルに忍び込みやがってよ……人間の屑がこの野郎……」

杏子(クソ~!ヘマしちまった……!)

杏子(忍び込んでたのがバレちまうなんてよ……不運にも程があるぜ……)

「俺のことねぇ!おじさんの事本気で怒らせちゃったねぇ!」

杏子「こうなったら魔法で眠らせて……」




「ズンズンズンズン!」



「!?何だこいつ!」


ズバーン「ズ・バーン!」

ガシッ

杏子「え!?ちょ、ちょっと待て!」

ズバーンは杏子の身体を抱え走り出した。


杏子「ふざけんな!やめろバカ!」

「あのガキ!逃げやがって……覚えてろ!」







240: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:28:47.76 ID:Tzq3/VAg0
……………………………………………………………






ズバーン「バーン!」

杏子「なんだここ……取り壊し予定の空家……?」

ズバーン「ズンズン!」

杏子「その前にお前何もんだよ……人間じゃねーよなどう見ても」

ズバーン「ズバーン!」

杏子「……明石の差金か何かか?」

ズバーン「ズンズン!」

杏子(今のは……頷いてたから合ってるって事だよな……?)



杏子「ならちょうど良かった……腹減ってたんだ。これ使ってコンビニであんドーナツとコーラ買ってこい」

ズバーン「ズン!」

241: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:30:11.25 ID:Tzq3/VAg0
……数分後



ズバーン「ズンズン!」

杏子「あ……早いじゃん」

ズバーン「バーン!ズバズバ!」

杏子「……ちゃんと言われたとおり買ってきてんのな」

ズバーン「ズン!」バリッ

杏子「おい!食うのはあたしだぞ!」

ズバーン「バーン」スッ

杏子「!?よせよ、あーんなんてやらなくても一人で食えるから!」

杏子「おら、よこせ!」

ズバーン「ズン……」シュン

杏子(落ち込んだ……?)



杏子「あ~……」モニュモニュ

杏子「……食うかい?」

ズバーン「ズンッ!ズンッ!」パァァァァ

杏子(今度は元気になった……)

ズバーン「バーン!」グシャッ

ズバーン「ズン……」


杏子(口がないから食えないのか……)

杏子「あぁもう!落ち込むな!」

ズバーン「ズン!」






杏子「はぁ……今……11時か……」

杏子「……普通だったらみんな学校行って……。友達と遊んで……」

杏子「……なんて考えても仕方ねぇよな……。」

杏子「……昼寝でもするか……。」


242: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:31:55.17 ID:Tzq3/VAg0





学校、放課後……。

さくら「……では、昨日のチームに別れ、魔女の探索に出かけましょう……。」

まどか「私達は……こっちのルート探すけど……」

さやか「ごめん……今日、あたし、途中までしか付き合えない……。途中から用事あるから抜けさせて貰うね……」

蒼太「うん、了解したよ」

真墨「おう」

マミ「じゃあ……私達チームは今日は途中までね……。」

ほむら「分かりました……。」

真墨「……じゃあ出発するか」





243: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:33:27.96 ID:Tzq3/VAg0
まどか・ほむら・さくら・真墨チーム……



ほむら(……)

まどか(えーと……この人……誰……?)

まどか(うーん、どっかで見た……というかさくら先生の仲間だからボウケンジャーの人だよね)

真墨「えーとよ……俺は伊能真墨……。ボウケンジャーのチーフをやってる……。よろしくな」

まどか「あ、そうなんですか!てっきり一番偉いのはあの赤い人かと……」

真墨「……」ムッ

さくら「現時点で、チーフは真墨です。……今後はどうなるかは真墨次第ですが……。」

真墨「この先も変わんねーよ!さくら姉さん!」

まどか「……ライバルですか……?」

真墨「……まぁ、そんな所だな。」

真墨「明石は俺の超えるべき壁なんだ……。だから、俺はあいつを超える為に冒険するんだ。」

まどか「へー、かっこいいですね」

ほむら「超えるべき壁ですか……」


まどか「……そういえばさ……さやかちゃん達、大丈夫かな……」

さくら「マミさんの実力と、蒼太君のサポートを考えれば心配ないかと……」

まどか「……また、あの子と会ったりしたら……。」

まどか「さやかちゃん……上条くんの為に願って、誰かの為に闘うって決めたのにさ……」

まどか「それなのに、誰かと闘う事になるっておかしいと思うんだ……。」

ほむら「仕方ないんです……それは。私達は何かを願った……。」

ほむら「……誰かとぶつかり合う事になったって当然の代償でしか無いんです……。」

ほむら「それと引換にすべてを諦めなければならないんです。献身なんてありえない。」

ほむら「自分自身でさえも……。」

まどか「でも、……私達……同じ人間なんだから……。」

まどか「伝えあえばきっと分かり合えるよ……」

さくら「そうですね……。相手を知らず敵と決め付けるのは軽率です。」

ほむら(……いつも美樹さんには、誰の言葉も届かない……。)

ほむら(もう……美樹さんの事は……諦めるしか無い……。)


244: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:34:37.81 ID:Tzq3/VAg0
真墨「……そういえば二人は何の願いでその魔法少女ってのになったんだ?」

さくら「……もし差し支えなければ。」

ほむら「……。」

まどか「そういえばほむらちゃんの願い、まだ聞いてなかったなぁ……なんて」


ほむら「……」

まどか「あぁ、いや、嫌だったら言わなくても良いんだよ?」

さくら「えぇ。あくまで差し支え無ければなので……まどかさんは?」

まどか「私……?私は……」

まどか「ちょっと前に。弟……タツヤって言うんですけど……タツヤが事故に遭っちゃって……。」

まどか「それで……何で私、事故で苦しんでるタツヤの為に何も出来ないんだろう……って思ってたらキュゥべえと会って……。」

まどか「タツヤを助けたいって願いで魔法少女になったんです」




真墨(やべっ……なんか空気重くしちまった……)

真墨「す、すまねぇ……嫌な事思い出させちまったな……」

まどか「良いんです、もう過ぎた事ですしタツヤだって元気ですから!」

さくら「……そういう事だったんですね。」

まどか「それで……困ってる人を助けたいから……。だから私は今の私に満足しています。」



245: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:36:26.33 ID:Tzq3/VAg0





さやか・蒼太・マミチーム

さやか「……今日は魔女の気配が見つかりませんね……。こんなもんなんですか?」

マミ「えぇ……日によっては連続だったり、一週間くらい一度も出会えなかったりとかまちまちだわ。」

蒼太「……魔女探索を続けてたら、また昨日の子と会うんじゃないかな……」

さやか「そうなってもこっちは3人ですよ。」

蒼太「……戦う前に話をつけておくべきだと思う……。あの子も悪気があったと限らないし……」

さやか「アイツは使い魔を放っておくんですよ!それが悪じゃなくて何なんですか!」




マミ「あの子……佐倉さんって言うんだけど、あの子ね、以前私と組んで戦っていたの。」

マミ「自分の願いのせいで家族を失ってしまって……それから……。」

マミ(あの後……佐倉さんはどう変わってしまったのかしら……)

さやか「どんな事情があったって悪人を放っておく訳にはいきませんよ!」

さやか「あの逃げた使い魔が狙うのは次はあたしの友達かもしれない……そんなの許せません!」

蒼太「あの使い魔は暁さんがやっつけておいたよ……。」

蒼太「……僕の仲間が言ってたんだ。あの子はきっと悪い子じゃないって……」

さやか「アイツとつるんでるなんて……その暁って人はあたしも信用できません……。」

蒼太「大丈夫だよ……暁さんは……」

さやか「蒼太先生……それ以上は言わないでください……」

さやか「それ以上言われると蒼太先生の事まで信用出来なくなるから……」

蒼太「……。」


246: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:37:26.28 ID:Tzq3/VAg0



空家……


杏子「……ふわぁあああ……」

杏子「なんだ……もう夕方じゃねーの……」

杏子「あれ……?あのズバズバ野郎いねーぞ……」

杏子「……帰ったんだろ……多分」



杏子「……あいつ、今日も使い魔退治とかやってんのかな」

杏子「うっとおしい。……目障りなんだよな……」




杏子「……なんとか説得出来ないもんかなぁ……」









ズバーン(剣状態)「……」




247: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:38:54.09 ID:Tzq3/VAg0




ほむら・真墨・まどか・さくらチーム……


まどか「……魔女の反応です」

さくら「使い魔ではなく、魔女……ですか?」

まどか「えぇ。この強い反応は間違いありません。」

真墨「魔女と戦うのか……!へっ、腕が鳴るな!」

さくら「二人のアクセルスーツでは魔女と正攻法で戦う事は出来ない事、忘れないでください」

真墨「わかってるってさくら姉さん!そこでどう戦うのがちょっとした冒険だろ?」


まどか「そうです……呪いの魔女を倒すんです!みんなで!」

真墨「え……?呪い?」

さくら「はい。呪いを振りまく魔女です……。」

真墨(そうだった……魔女って確か呪い……)

さくら「……怖いのですか?」

真墨「ばか言うな!そんな事あるもんか!」


ほむら「……結界の扉を開けます、入ってから、どんな攻撃が来るかわかりません。絶対に油断は禁物です。」

真墨「あぁ……さくら姉さん、行くぜ!」

さくら「はい。」



『ボウケンジャー!スタートアップ!』


ブラック「……アタック!冒険したいヤツはついてこい!」

ほむら(……うるさい人!)

まどか「はーい!」

ピンク「いつになく上機嫌ですね。暁さんと張り合えるからでしょうか」









248: ◆QMA.Fdvs1M 2013/08/31(土) 22:39:57.89 ID:Tzq3/VAg0
さやか・蒼太・マミチーム……



さやか「……ごめん、今日あたしこの時間までだわ……すいません。」

蒼太「うん……。じゃあ、気をつけてね!」



そう言い残し、さやかはその場から去って行った。



蒼太「……僕たちはどうしよう。残って魔女を探す……?」

マミ「いえ……これだけ探してもいないのであれば、これ以上探しても見つからないでしょう……」

蒼太「……そうなんだ。やっぱりベテランはそういうの解るんだね」

マミ「……まぁ」

蒼太「じゃあ僕らも早く帰ろうか。夜道は危険だから、危険な道通っちゃダメだよ?」

マミ「はい」








蒼太(……とは言ったけど、何かあるかわからないからね。昨日の子とばったり会う可能性もある)

蒼太(帰るのはもう少し後にしてからにしよう)



253: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:01:45.27 ID:3XOYMIII0
……魔女の結界内



ブラック「……なんだぁ?何も見えやしねぇ」

ピンク「この結界……明かりが一切ありません。」

ピンク「レーダーで反応を探りましょう。」

ブラック「そうだな……」

ほむら(これは……暗闇の魔女!こいつの弱点は光!)

ほむら(……閃光弾を使えば簡単に倒せる相手!)



ブラック「ッ!みんな離れろ!魔女がぶちかましてくる!」



ボウケンブラックの呼びかけに応じ、3人はそこから飛び退いた。


ズライカ「ギィィィィィィアアアアアア!!!」


ブラック「……近づいてくれるとは好都合だぜ!ラジアルハンマー!」

ブラック「ハンマー……ダイナマイトッ!」



ゴォオオオオオオンッ!



ズライカ「キィッ!」


ブラック「チッ!外した!」

ピンク「……ヤツは奥へ逃げます!」

まどか「暗くて何も見えないよ……」

ほむら「鹿目さん、魔法を使えば視力を強化する事が出来るよ!」

まどか「えっ……し、知ってたよ!もちろん!でもありがとうほむらちゃん!」





254: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:02:22.71 ID:3XOYMIII0
病院……


さやか「えっ……もう退院したんですか……?」

「そうよ……昨日のうちにね」

さやか「……そうですか。」

さやか(どうして教えてくれないんだよ……恭介のヤツ……)



さやか「ん……?テレパシー……?誰から……」

さやか「……!この前のヤツ!」

255: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:04:08.49 ID:3XOYMIII0




ブラック「俺たちもレーダーだけじゃ頼りない。ヘッドランプを使おう」

ピンク「!使い魔が押し寄せてきます!」

ブラック「使い魔は俺たちが対処する!二人は道が開けてから魔女に突撃してくれ!」


『サバイブレード!』


ブラック・ピンク「ハァッ!」


カキィンッ!カキィィンッ!カキョウインッ!



ウラ「「ギャアアアアアッ!」」




まどか「行くよ!ほむらちゃん!」

ほむら「はいッ!」



二人は魔女への距離を詰めて行くッ!





まどか「はぁああああッ!!」



バシュゥンッ!


ズライカ「ヒィッ!?」


ほむら(……時間を止める!)


カチッ……




ほむら(そして今のうちに閃光弾をばらまいて!)





カチッ




……シュパパパパパパパパーン!

ズライカ「ヒィイイイイイイイイイアアアアアアアッ!」


ほむら「よしッ!」


256: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:05:40.38 ID:3XOYMIII0
ピンク「二人共!避けてください!」



まどか「了解しました!」サッ








ブラック「ラジアルハンマー!ライトニングアタック!」

ピンク「ハイドロシューター!シューターハリケーン!」



二人が避けた間を突き、二人の必殺技がズライカへ炸裂する!





ドオオオオオオンッ!


ズライカ「ヒアアアッ!」



ブラック「よしっ……!動きが止まったッ!」



まどか「今だッ……!」シュゥゥゥゥ……



まどかは弓矢にエネルギーを込めた。




まどか「ハアアアアアッ!」




バシュウウウウウウウッ!



ズライカ「ヒ……」




ドバアアアアアアアアアアアアアンッッッッッ!








シュウウウウウ……


ピンク「結界が消滅します……。無事撃破できました。ミッション完了です。」



257: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:06:44.87 ID:3XOYMIII0








真墨「よしッ!初めてのコンビネーションにしてはなかなか冴えたんじゃないか?」

さくら「そうですね。……まどかさんとほむらさんが上手く立ち回ってくれたおかげです。」

真墨「おい……ちょっとは俺の事褒めてくれよ……」

さくら「いえ、真墨の指示があってこそですよ。下手にバラバラにならないよう指示を仰いだのは状況把握能力が優れている証拠です。」


まどか「やった!やったよほむらちゃん!」

ほむら「うっ!」

まどか「あれ?照れてる?」

さくら「しかし奴の弱点が光……なのはともかく、閃光弾を大量に持っていたなんて用意周到ですね。」

ほむら「……いえ……たまたまです」

真墨「……」

真墨(そういやあの病院で戦った魔女へ最初に最善手を打ったのもこの子だったよな……)

真墨(……なんか、全部知ってるような……?でも明石みたいな見透かす感覚とも違うんだよな……)

真墨(まるであらかじめ知ってるみたいな……)



258: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:07:59.55 ID:3XOYMIII0
橋の上……



さやか「何だよ……こんな所に呼び出して……!」

さやか「どういう風の吹き回し?」

杏子「……いやさ。アンタと話つけたくてさ」

杏子「あんた、坊やの腕を治す為に一回しか使えない願いを使ったんだって……?」

さやか「それが何だっての!?」



杏子「……それで?……魔法ってのは自分のために使うべきなんだ。」

杏子「何もいいことなんかありゃしないんだ、他人の為に使っても……。」

杏子「……あんたになんか見返りあったか……?」

さやか(……。)

さやか「見返りなんていらない!あたしはみんなを守れればそれで良いの!」

さやか「マミさん達と一緒にみんなを守る……!それだけでいいの!」

杏子「そんな事やってたらいつかお前だって……」



さやか「あんたに心配されても嬉しくない。自分だけしか考えないあんたなんかにね!」

杏子「……そうかよ……。」

杏子「話だけじゃこれもうわかんねぇな……」

杏子「ちょっと痛めつけてやらなきゃダメだってはっきりわかんだね!」


259: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:08:57.12 ID:3XOYMIII0


空家……



ズバーン「ズンッ……!」

キュイーン!

ズバーン「ズ・バーン!」





剣状態から変形したズバーンが空家から飛び出した。



260: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:10:48.70 ID:3XOYMIII0
橋の上……

さやか「……やるっての?いいよ……あんたを倒して、この街を平和にする!」

杏子「この野郎……!」

杏子はソウルジェムを掲げ、魔法少女へ変身した。

杏子「遠慮はしねぇよ!この街で一番弱い魔法少女ちゃん!」






マミ「……そこまでよ。佐倉さん。私の後輩にそれ以上手出しはしないで。」

さやか「マ、マミさん!?」

杏子「……マミ!?」

マミ「……手出ししたいなら私を倒してからにして。」

杏子「ウザい奴にはウザい仲間がいるもんだね……」

杏子(クッ……マミとまともに戦えるか……?いや、さやかも加勢するとしたら……)

杏子「こうなったら……!」



マミ「ッ!」

杏子「邪魔すんな!」

バシッ!

マミ「……!?」

マミが変身しようとソウルジェムを出した瞬間、マミの手の甲を槍の柄で叩き、ソウルジェムを吹き飛ばさせた。
ソウルジェムはトラックの荷台へ降りる。


261: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:11:34.55 ID:3XOYMIII0
マミ「なんて事を……!ふざけないで!」

杏子「これでお前は手を出せない……すっこんでろ!」

マミ「……!?」

バタッ……




さやか「マミさん!?」

杏子「へっ……なんだいきなりブッ倒れて……」

さやか「マミさん!しっかりしてください!」

杏子「おい……マミ……死んでるぞコイツ……!?」



QB「今のはマズイよ……いくらなんでもマミを投げ飛ばすなんてどうかしてるよ」

杏子「何言ってんだよ……?オイ!どういう事だ!」







262: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:12:52.56 ID:3XOYMIII0






街の中を最上蒼太は彷徨っていた。
蒼太にはさやか達を探索する能力は無いが、街の中を適当な宛をつけて歩いている。


蒼太(人目につくような場所ではやらないハズ……!路地裏を探せば……)

蒼太(……目立たない場所で、派手に戦える程の場所なんて限られているから……)

蒼太(……もちろん、これが全部無駄足……喧嘩になってないのが一番なんだけど……)





蒼太「あれ……ズバーン!?」

蒼太「どこに向かって走ってるんだろう……」

蒼太「そういえばズバーンって……争いを好まない性格……争いがあれば争いを止めるために……」

蒼太「もしかして……!ズバーンについて行けば!」



263: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:13:34.79 ID:3XOYMIII0
橋の上……

QB「ソウルジェムは君達の魂そのものさ。元の弱い体で戦ってくれなんて頼めない。」

QB「……君たちの魂は運用しやすいよりコンパクトな形態が与えられる。……合理的じゃあないかな。」

さやか「それ……って」

杏子「あたしら……ゾンビにされたようなもんじゃねぇかよ……ッ!」

QB「?便利な事じゃないか。君たちは心臓を破られても、どんな重症を負っても無敵だ。ソウルジェムが存在し続ける限りね。」

さやか「ゾン……ビ……!?」

QB「それより、マミのソウルジェムを取り返す方が先なんじゃないかな……」








264: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:14:30.36 ID:3XOYMIII0






蒼太「橋の上に……さやかちゃん!杏子ちゃん!?」

ズバーン「ズンッ!ズンッ!」

蒼太「この先に行けって……?」

ズバーン「バーン!」

蒼太「あのトラックを追いかければいいのか!……スタートアップ!」


ブルー「……ブロウナックル!」

ブォオオオオオ!


ボウケンブルーはブロウナックルから放たれる竜巻を利用し宙を舞い、トラックを追いかける。




265: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:16:10.13 ID:3XOYMIII0





さやか「マミさんっ……マミさんッ……!」


蒼太「……これ。」

さやか「蒼太先生……?」


蒼太はマミの手のひらにソウルジェムを戻した。



マミ「う……ん?」

蒼太「……マミちゃん!しっかりして、大丈夫!」


マミ「……私、どうしていたの……?」




杏子「……」


杏子「知らない方が良いんじゃないか」

QB「僕の方から説明するかい?」

杏子「うるせえ!」


ズバーン「ズンッ……!」

QB「おや……」

階段を上ってきたズバーンが突如キュゥべえに襲いかかり始めた。



ズバーン「ズンッ!ズンッ!」

QB「やめてくれ。僕を潰しても無駄なのは知ってるだろう、君も」

杏子「お前……何でここまで!?」

蒼太「ズバーン!落ち着いて!」

QB「やれやれ。撤退するよ。」


マミ「……どうなってるの……?」




266: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:16:55.40 ID:3XOYMIII0





QB「……ふぅ。確かあれはレムリア文明の……大剣人ズバーンだね」

QB「どうして僕を目の敵にするんだろう わけがわからないよ」

QB「……そんな事よりも今問題なのは……見滝原を担当していた個体だ。」

QB「アシュの細胞を培養した弊害かな……?通信がとれず行方不明。」

QB「早くアシュの呪術のデータを採取したいんだけれど……」

267: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:18:47.44 ID:3XOYMIII0
繁華街……


真墨(……このまま帰るのもつまんないな……。コンビニで立ち読みでもして帰るか)

真墨(ん……?何か誰かが俺の跡をつけてる気が……)

真墨(悪趣味なヤローだ……。物陰に隠れて様子を伺おう)

スッ




真墨(やっぱりな……顔はよく見えねぇけどあいつが俺をつけてんのか。何が目的か吐かせよう)

真墨「……動くなッ!」ガチャッ


物陰から現れ、真墨はサバイバスターを突きつけた。


ほむら「……!?」

真墨「お、お前っ……わ、ワリィ!」

ほむら「いえ……すみません……。」

真墨「おう……でも何で俺の事コソコソつけてたんだよ……」

ほむら「頼みたい事があって……」

真墨「頼みたい事……?」

268: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/02(月) 23:19:40.68 ID:3XOYMIII0








真墨「ワルプルギスの夜……?」

ほむら「はい。ボウケンジャーの皆さんにはそれを手伝ってもらいたいんです。」

真墨「そりゃあ……でかい怪物ってんなら手伝うけどよ……」

真墨「なんで……?皆何も言わなかった……どうしてお前だけ知ってんだ」

ほむら「……統計です。」

ほむら「……伝えたい事は伝えました。では……。」

真墨「おい!……消えやがった。」

真墨「やっぱアイツ何か隠してるな……」

273: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:38:30.53 ID:0m2OoaiB0
……山奥。


ジャリュウ「ウオォォ~ン!リュウオーン陛下ァ~!」

ジャリュウ「コンナミズボラシイ姿ニナッチマッテヨォ~!」

山奥。ジャリュウ一族、唯一の残党である二人のジャリュウがリュウオーンの遺体を運び歩いていた。


ジャリュウ「デモヨォ~!黄泉ノ心臓……ッテノヲ使エバ生キ返ルンダロォ~!」

ジャリュウ「バカヤロー!ソノ場所ガワカラネーンジャネーカ!」

ジャリュウ「ウゥ……俺タチニプレシャスヲ探ス力ガアレバ」


QB「何かお困りかな?」


ジャリュウ「何ダコイツ オ前知ッテルカ?」

ジャリュウ「知ルワケネージャン!」



QB「その男の遺体が創造者・リュウオーンだね。」

QB「どうやら、生命エネルギーが枯渇しているせいで怪人形態を維持出来ないらしい。」

ジャリュウ「何言ッテンダコイツ」

QB「だから……」


キュゥべえは腕を伸ばしリュウオーンの体にエネルギーを与えた。


274: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:40:45.46 ID:0m2OoaiB0
ジャリュウ「……リュウオーン陛下!?」

QB「少しだけアシュのエネルギーを分け与えたのさ。」

パァァァ……

ジャリュウ「スグ戻ッチマッタゾ!?オイコラ!」

QB「当然だよ。これしきのエネルギーで維持できる時間なんてほんの数秒だ。」

QB「それで……だ。僕と取引をしてみないか?」

QB「エネルギーを継続的に供給できるのは君達の探す「黄泉の心臓」だね。」

QB「僕はそのありかを……正確な位置までは把握できないが、大体の位置は探索できる。」

QB「それを教えるかわり、そのリュウオーンの細胞をほんのちょっぴりだけ欲しいんだ。」


ジャリュウ「ドウスル……!?」

ジャリュウ「デモヨォ~!乗ルシカ無イダロォ~!」

ジャリュウ「ソウダナ」


QB「じゃあ契約成立だね。リュウオーンの細胞を少しだけ貰う。」

QB「黄泉の心臓の潜む場所は……あ、君達運がいいね。ちょうどこの山奥だ。」

ジャリュウ「エッ何ソレハ」

QB「じゃあ、契約完了。じゃあね。」

ジャリュウ「オイ!ドコニアルカッテ聞イテンダヨ!」

QB「言っただろ、大体の位置しかわからないって」

ヒョイッ トテトテトテトテ……


ジャリュウ「待チヤガレコノヤロォ~~~~」





QB「さて……リュウオーンの細胞も得た。」

QB「そして、あの瞬間リュウオーンの記憶を読み取った……。」

QB「大神官ガジャ……!君まで復活していたのか」

275: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:43:11.48 ID:0m2OoaiB0



翌日、サージェス本部……

菜月「マミちゃんたちがゾンビ……うそ……でしょ……」

真墨「本当かよ……蒼太……そのソウルジェムが本体ってのは……」

蒼太「……うん。本当だ……」



菜月「おかしいよ!マミちゃんは街を守る為に戦ってたんだよ!なのにそんなの……」

さくら「……やはり価値観の違う相手でしたか……。」

さくら「……こんな裏があったとは……。」

蒼太「さやかちゃん……。自分が人間じゃないって事知って……。」


明石「……ソウルジェムを砕かれん限り無敵か。確かに理には叶ってるな。」

明石「だが、そんなウィークポイントをさらけ出しているのは致死的すぎるな。」

さくら「暁さん!?いくら何でもそんな言い方!」

菜月「そうだよ!マミちゃん達、死んだような体にされて……どうしてそんな事言えるの!」


明石「まぁな……。現に彼女たちは苦しんでいる。」

明石「……だが苦しんでいるのは紛れもなく生きている証拠だ……。」

明石「例え体が何者になっても、心がある限り彼女たちは人であり続ける……。死んでなんかいない。」


276: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:44:42.10 ID:0m2OoaiB0
映士「あぁ……。俺も明石と同じ意見だ……。」

映士「……例え体がバケモンでもよ……自分の気持ちがあるんだからな……。」


真墨「まぁ……そうだけど……」

蒼太「だけどそんな簡単にさやかちゃんたちが割り切れるかどうか……」


映士「自分の思いに、引くか進むかどっちかハッキリさせないとダメなんだよ。……体がどうだとか関係ねぇ」

菜月「でもマミちゃんたちはまだ中学生なんだよ!?誰もえいちゃんみたいに強い訳じゃ……」

映士「戦うって使命を持った者に、ガキだとか女だとか、そんな甘ったれた事言ってちゃ進めねえよ!」

映士「強くなくたって自分の心と戦うくらいはしねぇと」



明石「俺も簡単に割り切れるような問題じゃないってわかってるさ。」

明石「……俺は何度もくじけそうになった。その度に何度もお前たちが支えてくれた。」

明石「……支えてくれる仲間がいれば、なんとかなるもんさ。」

明石「本当の自分を忘れかけた時に誰かから気づかせて貰えた事なんてしょっちゅうじゃないか」






277: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:45:55.38 ID:0m2OoaiB0
ボイス『みんな!ワルプルギスの夜が来るって本当かい!?』


さくら「ボイス!何故そんな慌てて!」


ボイス『いや、それは緊急事態だ!魔女や魔法少女でどこかにつっかかりを感じてたんだけど……』

ボイス『正式な命令として出すよ みんなで見滝原に向かってくれ。』


菜月「……!」

明石「そういう事だ。行くぞ。」




明石(ソウルジェムが魔法少女の本体……)

明石(蒼太のくれた資料にあった外傷の無い遺体……それはソウルジェムを砕かれ死んでしまったと考える……)

明石(しかしジョルダーナの記録にあった事例が気になる……)

明石(『魔女狩りの生贄』として処刑される事になった宝石を持った少女……)

明石(その少女の宝石は処刑される寸前黒く穢れ、そして弾け飛んだ。)

明石(そして、記録者のジョルダーナを除いてそこに集まった処刑執行人……生贄の少女を含めて全員が一瞬の内に消え去ったという話だ。)

明石(宝石がソウルジェムだとすれば、黒く穢れきった時にソウルジェムは……)




278: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:49:51.38 ID:0m2OoaiB0
牧野の部屋

牧野「しかしボイスがワルプルギスの夜という単語にそれまで反応するなんて……。」

牧野「ヴァルプルギス・ナハト……ヨーロッパ地方のお祭りの名ですが」

ボイス「お祭りなんてめでたい物じゃぁ無いよ牧野先生。」

ボイス「まぁボイスも全部が全部覚えてる訳じゃないんだけどね。魔法少女とか魔女の事とか全然覚えてなかったし」

ボイス「転生する度に記憶を全て引き継げる訳じゃないし。ただ、ワルプルギスの夜だけはとっても危険だって事で覚えてたの」

279: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:51:43.50 ID:0m2OoaiB0
学校……



まどか(本当……なんですか……?私達の体が……そんな……)

マミ(……私も信じられないけど……本当らしいわ……)

マミ(キュゥべえがそんな事秘密にしてたなんて……)

マミ(……美樹さんは……どうしてるの……?)

まどか(……学校に来てません……。)

マミ(何でキュゥべえはそんな大事な事黙っていたのかな……)

ほむら(……何を言っても、聞かれなかったから……で通すような奴です)

ほむら(決定的に価値観が違うから……何を言っても奇跡の対価としか言わないでしょう……)

まどか(ほむらちゃんは平気なの……?)

ほむら(……今更悔やんでも仕方ないんです……。)



280: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:53:24.91 ID:0m2OoaiB0
さやかの家……

さやか「こんな体になって……」

さやか「恭介の腕を治せると思って……正義の味方になれて……で……心がどんどん曇ってく……」

さやか「どうしてかなぁ……いくら街が平和になっても……あたしが恭介と一緒に幸せになれないなんて……」

さやか「どうして……どうして……うぅっ……」

さやか「もう……死んでる体で……どうしろって……」

杏子『いつまでしょぼくれてんだよ、ボンクラ。……ちょっとついて来い、顔貸せ』

さやか「……え?」





281: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:55:38.12 ID:0m2OoaiB0
杏子の教会……



さやか「……どういう風の吹き回し……?こんな所に連れ込んで何する気……?」

杏子「……やっぱあんた、昨日のこと、ショックだったりする……?」

杏子「あたしはさ……自業自得だって思ってんだ……なんだかんだで好き勝手出来るしさ。」




杏子「ちょっと長い話になるけど良い……?あんた見てると色々思い出しちまってさ……。」


























……


さやか「何でそんな話あたしに……?」

杏子「さっきも言ったろ……全部が全部誰かの為に戦ってたりするとさ……必ずどっかでしっぺ返しが来るんだって。」

杏子「そんなら開き直って自分の為に生きろ……って事が言いたいんだ」

杏子「自分の為の後悔なら背負えるもんさ、案外……」



さやか「へぇ……あんたにもそういう所あったんだね……意外……」

さやか「でも……ごめん。あたしは後悔しない為に……誰かの為に戦うって決めたんだ……。」

さやか「これがあたしの本当の思いだから……あたしのやり方だから……。」

さやか「この力を正義の為に使うのがあたしの報われる道なんだ……。」


杏子「……ッ……お前……」


さやか「あたしはあたしのやり方を曲げたくない。……もし文句があるなら、ぶつかったってあたしはあんたを恨んだりしない……。」


282: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 01:57:42.99 ID:0m2OoaiB0
学校、職員室……

さくら「……?暁さんから通信……」

アクセルラーに明石からの通信が届いた。

さくら「はい。こちらさくら。」

明石『あぁ……一つ伝えておきたい事があってな』

さくら「……なんでしょう」

明石『昨日読んだレオン・ジョルダーナの記録にソウルジェムとグリーフシードと思わしき記録があった。』

明石『きっとこれはソウルジェムが穢れ切った時の運命を示唆している記録だと思われる……』

明石『お前はあのキュゥべえという奴と話ができるだろう。……この話について聞いておいてほしい事がある。』

明石『……もし、ソウルジェムが穢れ切った時……魔法少女は……魔女に変貌するかという事をだ……』

さくら「……!」

さくら「……どういう事ですか!魔女に変貌……!?」

明石『……確証は無い。だが事実だとすれば……』

明石『……キュゥべえという奴の反応を見ればお前なら察せるハズだ……。』

明石『……頼む。だが、彼女たちがいない所で聞いて欲しい。この事実を知って、今の彼女たちでは耐えられないかもしれん……』

さくら「……了解。」

明石『キュゥべえと解析が出来次第、すぐこっちに知らせてくれ。みんなには俺から伝えておく。』



283: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 02:00:10.02 ID:0m2OoaiB0
……
さやか(……。いや良いんだ、これで……。)

さやか(誰かの為に戦えれば……あたしは満足のハズなんだよ……!)


QB(……?学校へは行かないのかい?)


さやか(……アンタ!どうしてあたしを騙してのうのうと……!)

QB(騙す?……僕は嘘なんかついてないじゃないか。説明は少しだけ省略したけれど)

さやか(……どうしてあたしをこんな目に……!)

QB(戦いには合理的じゃないか。)

QB(そんな事より、学校へは行かないのかい?まどかたちが君のことを心配しているようだよ。)

さやか(っ……!)








学校、教室……




蒼太「……じゃあ、今回の授業はここまで……」



ガラッ……

さやか「……おはようございます。」



蒼太「……さやかちゃん!?」



さやか「……遅刻してきて、すいません……。職員室には挨拶に行ってきたから……」

蒼太「……そう。……良かった……。」

さやか「……。」






284: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 02:02:14.32 ID:0m2OoaiB0
休み時間……



「……もう怪我の方は大丈夫なのか?」

恭介「うん……まだ足がギクシャクしてるけど、来週までには歩けるくらいにはなりたいな……」



まどか「……さやかちゃんも声かけないの……?」

さやか「……」







仁美「さやかさん、話があります。」

さやか「……え?」

























……


仁美「……丸一日だけお待ちします。……その間にどうすれば後悔しないか決断してください。」

さやか「う……」

285: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 02:05:07.01 ID:0m2OoaiB0
放課後……




さくら「……さやかさんの様子は、如何でしょうか……」

まどか「一応学校には来ましたけど……まだ、自分の体の事でのショックは引きずってるみたいです……。」

さくら「……。何とかして、私達で元気づけてあげられない物でしょうか……。」

まどか「そうですね……。私達がやらなきゃ……!」


さくら「しかし、まどかさん自身は平気なのですか……?」

さくら「貴方だって状況は同じなハズ……。もし辛いなら、今は自分の事で精一杯になっても構わないですよ……?」

まどか「……。でも私はキュゥべえに願ってなきゃ、タツヤが死んじゃったかもしれないんだ」

まどか「だから……その代償なら、割り切れるかな……あそこでタツヤを失うよりはマシだったから……」

まどか「マミさんも事故で死んじゃうよりマシだからって少しは割り切れてるみたいです。」

さくら「……無理はしないでくださいね。」

まどか「解ってます……。」


さくら(どうして、まどかさんは誰かの為であるなら……自分の身の事を気にかけないのでしょうか……。)



286: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/08(日) 02:07:30.01 ID:0m2OoaiB0
さくら「……本日は魔女退治はするのですか……?」

まどか「はい……。」

QB「そうだね。……君みたいに事実に落ち込まないでやるべき事をやる事ができる魔法少女は中々いないよ。」


まどか「キュゥべえ……!」

QB「……ん?さっき、奇跡の代償として仕方ないって事、自分で言ってたじゃないか」

さくら「……キュゥべえと話しても何の解決にもならないでしょう……。」

さくら「まどかさん、私は少し仕事が残っています……。すぐ終わるので、先に学校の外で待っててください。」

まどか「はい……。」



QB「じゃあ僕も……あれ?何でしっぽを踏みつけているんだい?」

さくら「……話を聞かせて貰います。」

QB「あぁ、構わないよ。」


289: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/10(火) 00:01:10.01 ID:gdFZ/YQy0
そして、さくらはキュゥべえに明石から頼まれていた伝言をぶつけた。





QB「その通りさ。魔法少女のソウルジェムが穢れ切った時、魔法少女は魔女になる。」

QB「しかし人間が、君達だけの知識で魔女に達するなんて珍しいね」

さくら「っ……!!白饅頭野郎……!」

さくら「どうしてそんな事を……ッ!」

QB「……彼女たちの奇跡の為の契約さ。通常じゃ起こりえない奇跡を起こした。」

QB「その結果としては……妥当だと思うのだけれど。」

QB「これに関しては双方の価値観の違いも現れるけどね。だけれど、聞かれれば答えたんだ。僕らは嘘をつかない。」

QB「知ろうともせず軽率な行動をとった責任はあるんじゃないかな……?」

さくら「彼女たちは……そんな……考える余裕なんて無いほど追い込まれていた!」

さくら「それをお前は……!」

QB「じゃあ余裕の無い状況に追い込まれて、そこから先に行けただけで本望じゃないのかい?」

さくら「何故あの時、デメリットは無いなどと嘘を……!」

QB「嘘じゃあないよ。君達の得になる取引なのだからね。」

QB「まぁ魔女と戦うのがデメリットというのは確かだ。魔女になる前に死んでしまっては何の意味も無い」

QB「……正直これ以上話しても双方の価値観の違いが致命的すぎてどうにもならないと予測するから僕は失礼するよ」


さくら(これ以上話しても奴らには……!クッ……)

290: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 00:03:23.11 ID:gdFZ/YQy0
QB「あ、そうだ。一応、念のため警告しておきたい事がある。」

QB「……この街を担当していた個体が一つ、行方不明だ。」

QB「……僕たちは複数で一つの意識を共有してるから普通はありえない。」

QB「だが、その個体は……アシュの細胞を試験的に取り込んだ個体だ。それが行方不明となると……」

QB「君達は用心しておいた方が良いんじゃないかな。」

さくら「クエスターの細胞を……!アレはそんな簡単に扱って良い物ではありません!」

QB「僕としては合理的な方法を模索していただけさ。ただ、それが失敗に終わってしまった。」

QB「これからどうなるか、皆目見当もつかないけどね」



さくら(ッ……彼女達を利用した挙句……!クエスターの細胞まで……!)

さくら(許す訳には行きません……!こんな卑劣な奴らを……!)



291: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/10(火) 00:05:14.12 ID:gdFZ/YQy0




マンション……




ピンポーン……

マミ『はい……誰でしょうか……』


菜月「菜月だよ!会いに来たよ!」

マミ『菜月さん……。 入って……どうぞ』






菜月「……久しぶり!元気だった……?」

マミ「……。」

菜月「……ごめんね。そんな訳無いよね……。」

マミ「私の事は良いんです……それよりも……」

マミ「私がしたヘマのせいで美樹さんにあんな残酷な事を知らせてしまった自分が許せないんです……。」

マミ「私は美樹さんの先輩なのに……。私が美樹さんを安心させなきゃいけないのに……。」







菜月「……うん」

菜月「そうだ!!今度二人で遊びに行こう!気分もサッパリしてリフレッシュしたら、少しはいい風吹くかもしれないよ!」


マミ「でも、私が魔女を倒さないと……」

菜月「それはさくらさんやまどかちゃんに任せてさ。一日くらい任せても大丈夫だよ!」

菜月「真墨やほむらちゃんもいるんだし!さやかちゃんは蒼太さんやえいちゃんに任せて!」



マミ「なら……」

菜月「よしじゃあ決定!……明日とか大丈夫かな?菜月の休暇が明日なんだけど……」

マミ「大丈夫です……」

菜月「じゃあ明日!迎えに来るから!」



マミ(……菜月さんは私の為に来てくれる……。)

マミ(ちょっとだけ……救われるかな……。)





292: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/10(火) 00:08:38.64 ID:gdFZ/YQy0
















夜、街中、魔女探索中のさやか、蒼太……

さやか「……こっちの方です……。」

蒼太「あ……うん……。」

蒼太「マミちゃんとは一緒に魔女退治は……しないの……?」

さやか「……あたしのせいであんな事になったのに……会いに行けないですよ……」



蒼太「だけどさやかちゃん、大丈夫なの……?ちょっと休んで心落ち着けても……。」

さやか「いいんです……あたしがしなきゃいけないんです……。」

さやか「先生だけじゃ、魔女を探す事もまともに戦う事できませんよね……。」


蒼太「……折角上条君も学校に来れるようになったのに……」

さやか「こんな体で……もう恭介に抱きしめてなんて言えない……ゾンビなんだから……」

蒼太「そんな事無いよ!なんでゾンビだったらそんな苦しんでるのさ……」

蒼太「それは生きている証拠じゃないの……?」

さやか「……。」

蒼太「さやかちゃん……君の本当の気持ちを忘れないで……。」

蒼太「上条君の事……好き……なんでしょ……?ずっとお見舞いして、大事に思ってたんだよね……?」

蒼太「それは魔法少女の使命とは関係無いから……。君の確かにある心の声なんだから」

蒼太「苦しかったらみんなに頼ったって」

さやか(良いなぁ……先生は……)

さやか(人間を捨てなくたって戦えて……仲間も居て……)

さやか(……どうして先生を恨んでいるんだろう……嫌な子だ……)

293: ◆QMA.Fdvs1M 2013/09/10(火) 00:10:57.98 ID:gdFZ/YQy0


さやか「……こっちから……魔女の反応が……!」






魔女の結界、工場……


蒼太「……!もう人々が魔女におびき寄せられてる!」





「俺ぁもうダメなんだ……こんな工場満足に切り盛り出来ないんだ……車一つ満足に修理できないなんて……」

「もう疲れた~やめたくなりますよ部活~」

「ぶつけたのは俺なのにどうして先輩を売っちまったんだ……俺は人間の屑だ……」

「大切な植木鉢……種から大切に育ててたんだよなぁ……高かったんだよなぁ……」




集められた人々は絶望し、恨み言を呟いていた。



蒼太「この周辺に危ない物は無い……早く魔女を倒せば!」

さやか「結界の扉を開きます!」

蒼太「うん、ありがとう!……スタートアップ!」



二人は変身、結界内に侵入した。