1: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:10:47.56 ID:Rf3hXiTd0
凛「……ごめん、もう一回言って」

卯月「その……凛ちゃんは……生えてるって……」ボソボソ

凛(聞き間違いじゃなかった……)

凛(生えてるって……そういうことだよね)

凛(事務所に誰もいなくて良かった……)

凛「ええと……卯月は、違うの?」

卯月「……うん」

凛「あー……」

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2: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:11:14.16 ID:Rf3hXiTd0
凛(どう答えるべきなのか……)

凛(わざわざ聞くってことは、気にしてるってことだよね)

凛(卯月の方が年上なのに、生えてないっていうのは不安になるか)

凛(……だからどうしろと)

3: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:11:42.15 ID:Rf3hXiTd0
凛「……まあ、ほら。人それぞれだし、あまり気にしても仕方ないよ」

卯月「え、他にも生えてる人がいるんですか?」

凛「……と思うよ。私達くらいの年齢なら」

卯月「じ、じゃあ! 幸子ちゃんや蘭子ちゃんも!?」

凛「そ、そうじゃない?」

卯月「そっかぁ……」

凛(なんで嬉しそうなの?)

5: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:12:41.86 ID:Rf3hXiTd0
卯月「り、凛ちゃん。お願いがあるんですけど!」フンス

凛「な、なに?」

卯月「見せてくれませんか!」

凛「えっ」

卯月「出来れば触りたいです!」

凛「」

6: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:13:10.95 ID:Rf3hXiTd0
卯月「駄目……ですか?」

凛「いやそんな可愛く言われても。いくら卯月でもそれはさすがに……」

卯月「ささやかな夢なんです! どうしても駄目、ですか?」ウワメヅカイー

凛(あっグラっときたヤバイヤバイ)

凛「いや違う違う。というかそれが夢って、ちょっと将来が心配になるんだけど」

卯月「そんなことないですよ! 可愛いものは誰だって撫でたくなるはずです!」

凛「対象がアレじゃなかったら同意してるんだけどね」

7: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:13:50.74 ID:Rf3hXiTd0
卯月「じ、じゃあせめて見せるだけでも!」

凛「いや、大してハードルの高さ変わらないから」

卯月「……やっぱり、恥ずかしいですか?」

凛「恥ずかしく無い奴は、それはそれで問題あると思うよ」

卯月「どうしても……ですか」

凛「どうしても」

卯月「……絶対に誰にも言いませんから」

凛「いや、感想聞かされる方も困るから」

卯月「友達の私にも……見せられないんですか」

凛「むしろ友達とかのほうが見せたくないと思うんだけど」

卯月「……」

8: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:14:16.72 ID:Rf3hXiTd0
凛「納得して――」

卯月「とうっ!」

凛「えっ、卯月ちょっ」

ドサッ

凛(ソファーに押し倒された!?)

凛「う、卯月?」

卯月「ごめんなさい凛ちゃん。やっぱり我慢できません」

凛「卯月……」

卯月「触らせてもらいます」

凛「だ、駄目! 卯月!」

9: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:14:51.34 ID:Rf3hXiTd0
卯月「凛ちゃんごめん……。でも、もう我慢できない……」

凛「だ、誰か来たりしたら……」

卯月「その前に終わらせます」

凛「乱暴なのは……いや……」

卯月「優しくします。だから、触らせてもらいます」

10: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:15:34.12 ID:Rf3hXiTd0


卯月「凛ちゃんの犬耳を!」



12: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:16:16.60 ID:Rf3hXiTd0
凛「……え。ごめんもういっかい」

卯月「凛ちゃんの犬耳を!」キリッ

凛「……犬耳? 耳じゃなくて犬耳?」

卯月「はい。犬耳です」

凛「…………私、犬耳なんて生えてないんだけど」

卯月「……」

凛「……」

卯月「ええっ!?」ガビーン

凛「マジで驚いてる!? 本気で私に犬耳生えてると思ってたの!?」

卯月「生えて……ないんですか……?」

凛「むしろ生えてると思った理由を教えてよ……」

卯月「えっと、この間楓さんが――」

13: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:17:27.43 ID:Rf3hXiTd0
~回想~

凛「プロデューサー、お疲れ様。お茶淹れたよ」

凛「自分たちのついでだから、気にしなくていいよ」

凛「気が利く? そう、ありがと」

凛「私達のために頑張ってくれるのは嬉しいけど、無理しないでよ」


楓「ねえ、卯月ちゃん。凛ちゃんって犬っぽいでしょ?」

卯月「そうですねー。プロデューサーさんに褒められてる時とか、忠実な大型犬っぽいですよね」

楓「……私ね、裕子ちゃんほどじゃないけど透視できるの。まだトーシローだけど」コソコソ

卯月「えっ、そうなんですか?」コソコソ

楓「見える……見えます。プロデューサーさんに褒められて、嬉しそうに尻尾を振るのが」

卯月「ええ!? 凛ちゃんって尻尾が生えてるんですか!?」

楓「可愛らしいピンとした耳も見えますね……」

卯月「凛ちゃん、犬人間だったんだ……」

楓「まあ、嘘ですけ――」

楓「なんですかプロデューサーさん?レッスンの時間? あら、ホントですね」

楓「それじゃあ、卯月ちゃん。お疲れ様です」

卯月「凛ちゃんに犬耳……」

楓(……マヂになってるか、間近で確かめたい。ふふ……)

14: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:18:14.11 ID:Rf3hXiTd0
卯月「……って」

凛「……」

卯月「やめて! やめてください! 残念な人を見る目をやめてください!」

凛「卯月らしくていいと思うよ」

卯月「心のこもってないフォローが痛い!」

凛「……とりあえず、どいてくれない?」

卯月「あっ、ごめんなさい」

凛「……はあ。なんで露骨な嘘を信じるのかな」

卯月「だ、だって……凛ちゃん犬っぽいし……。それに」

ガチャ

ありす「おはようございます」

15: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:19:00.97 ID:Rf3hXiTd0
凛「おはよう」

卯月「おはよう、ありすちゃん」

ありす「橘と呼んでください」

卯月「うん、ありすちゃん」

ありす「橘と」

卯月「ありすちゃん」

ありす「……もういいです」

凛(つよい)

16: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:19:37.38 ID:Rf3hXiTd0
ありす「ああ、凛さん。最近仕事で疲れていると思って差し入れを持ってきました」ゴソゴソ

凛「私に?」

ありす「はい、きっと気に入ってもらえるかと」スッ

卯月「……スーツ、ですか?」

凛「このスーツ、私には大きすぎない?」

凛(……というか、何処かで見覚えがあるような)

17: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:20:19.65 ID:Rf3hXiTd0
凛「いや、これプロデューサーのスーツだよね?」

ありす「わかりましたか、流石ですね」

凛「毎日のように見てるからね。それで、これをどうしろと?」

ありす「近づければわかります」

凛「……匂いを嗅げとでも?」

ありす「ええ、そうです」

凛「……」

ありす「……」

凛「面白いやつだ、気に入った」

ありす「気に入ってもらえましたか」

凛「レアメダルにするのは最後にしてやる」

卯月「り、凛ちゃん落ち着いて!」

18: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:21:25.03 ID:Rf3hXiTd0
ありす「そんな……そんなはずは……」

凛「なんでそこまで愕然と出来るのか私にはわからない」

ありす「確かにネットには『【速報】渋谷凛、クンカーだった【画像付き】』という記事が……」

凛「お願いだから嘘を嘘と見抜けない人がネットやらないで! というかその画像絶対クソコラでしょ!?」

ありす「アンテナサイトに確かに……」

凛「読んですらいなかった!? 一番タチ悪い!」

ありす「あてが外れて残念です。これはプロデューサーに返しておきましょう」

凛「そうしておいて……」

ありす「では、私はレッスンがあるので。失礼します」

19: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:21:55.16 ID:Rf3hXiTd0
凛「…………」

卯月「り、凛ちゃん大丈夫?」

凛「私……そんなに犬っぽいかな……」

卯月「ちょ、ちょっとだけ……」

凛「そう……じゃあ、犬系アイドルしぶわんとして売りだそうかな……」アハハ

卯月「め、目が死んでいる……

20: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:22:55.92 ID:Rf3hXiTd0
卯月「ご、ごめんね。私が変なこと言うから……」

凛「気にしなくてもいいわん」

卯月「ああああごめんね本当にごめんね!」

凛「……そもそも、何であからさまな嘘を信じたのさ」

卯月「そ、それはそのー、願望が混じったというか」

凛「願望? そういえばさっきそんなこと言ってたね」

卯月「その……凛ちゃんの頭撫でたいなーって」

凛「……うん?」

21: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:23:32.87 ID:Rf3hXiTd0
凛「それと犬耳がなにか関係あるの?」

卯月「犬は撫でられたら喜ぶじゃないですか。けど、凛ちゃんくらいの年になったら、撫でられるの嫌って人も結構いますし」

卯月「凛ちゃんが犬人間だったら、撫でても嫌がらないかなと思って」

凛「私の頭を撫でたい理由は?」

卯月「それは……凛ちゃんの髪、綺麗だし触ってみたいなって」

卯月「それに、あまり顔に出さないで喜んでいるの見ると、よしよし、ってしたくなっちゃって……」

凛「……」

22: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:24:19.62 ID:Rf3hXiTd0
卯月「す、すいません。変なこと言っちゃって……」

凛「はあ……。最初からそう言えば良かったのに」

卯月「えっ、凛ちゃん?」

凛「誰でもは嫌だけど、卯月なら別にいいよ」

卯月「本当ですか!」パアァア

凛「うん(かわいい)」

卯月「えっと、あ、手を洗った方がいいですか」

凛「いや、いいから」

卯月「で、では失礼します……」オソルオソル

24: ◆QbMLM0d8YE 2015/04/23(木) 20:28:17.85 ID:Rf3hXiTd0
凛「……」

卯月「……」ポン

凛「……」

卯月「……」サワサワ

凛「……」

卯月「……」ナデリナデリ

凛「……」

卯月「……」グシグシ

凛「……」

卯月「……えへへー」

凛「卯月」

卯月「はいっ!」

凛「結婚しよ」


おわり

引用元: 卯月「凛ちゃんって……生えてるんですか?」