???『バケツ………』

織莉子『…………今、私の「帽子」を見て何か言った?』



???『な………、なんでもないよ……』

織莉子『…………』




???『いや、ね。「バケツパフェ」ってのが雑誌に載っててさ。

    なんとなく思いだしてさ…』


キリカ『「バケツパフェ」………だって!?』

キリカ『それは…、バ、バケツいっぱいに、パフェが詰まってると、か、解釈していいのかな…?』


???『そうそう、そんな感じ!』

???『すごくキレイで、美味しそうで、それがバケツいっぱいなの!』



キリカ『バケツ……パフェ………』


???『わぁぁぁぁぁぁっ! キリカ涎垂れてる! 涎垂れてる!』

キリカ『う、うわ! ほんとだ!』

7: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:30:39.49 ID:rZ8uhS8q0

織莉子『ほら…、拭くからじっとして…』

キリカ『ん……む……』


織莉子『もう、貴女達は…。そんなにはしゃいで…』

キリカ『だって、バケツいっぱいのパフェだよ…!?』


織莉子『本当に貴女は甘い物が好きね…』

キリカ『む…。キミはそうやって私を子供扱いして…!』



???『しょうがないよ。キリカっていざって時はともかく、普段は子供みたいだし』

キリカ「キミにだけは言われたくないね!」



織莉子『はいはい。「二人とも」子供の喧嘩はやめなさい』

???『…………』

キリカ『…………』



織莉子『良い子にしてるなら、今度そのお店に連れていってあげるから…』

キリカ『ほんとかい? 織莉子!?』


???『約束! 約束だよ!』


織莉子『えぇ…。約束…』

8: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:31:35.21 ID:rZ8uhS8q0

???「…………」


???「約束…、叶わなかったね…」


???「バケツパフェ……」

???「二人と…、食べたかったなぁ…」




???「わたし……、嬉しかったんだよ…」

???「二人はさ…。今までのわたしなんて、どうでもいいって励ましてくれて…。

    友達でいてくれたよね…」



???「友達、だったんだよね……?」


???「なのに………、わたしは……」

???「二人に何も…………」


???「何もして………、あげられなかったよ………」

9: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:32:08.36 ID:rZ8uhS8q0








―【第二十一話】迫り来る聖者達―










10: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:32:43.99 ID:rZ8uhS8q0

「~~~っ」


声が………。

聞こえ…………る。



何て…………言って……る…の…?




「~~~っ!!」


ま…。

ま…ど…。




「~~~っ!!!!」


か…。

まど、か。

『まどか』。なんだわたしの事かぁ。



でも、まだ眠いの…。

もうちょい…。

もうちょっとだけ…。

11: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:33:13.85 ID:rZ8uhS8q0

さやか「って、やってる場合かぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


まどか「うぉぉわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」




さやか「まどかっ! まどかっ!! まどかっ!!!!」

さやか「起きろ! 起きろ!! 起きろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


まどか「お…起きて…! 起きてぇるっ、起きてぇ…!?」



仁美「さやかさん、さやかさん! 起きてます! まどかさん起きてます!

   これ以上やったら逆に伸びちゃいます!」



さやか「へ…!?」

まどか「きゅ~~~~~」

12: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:34:00.28 ID:rZ8uhS8q0

まどか「も~! さやかちゃん酷いよ~!」


さやか「いや~、ごめんごめん。

    なかなか起きないもんだから、ついついやりすぎちゃって…」

さやか「でも、人ん家で揺すっても起きないくらいの居眠りしちゃう、まどかもまどかでしょ…?」


仁美「ふふっ、まどかさんは大物になりそうですわね」



まどか「だって…」

まどか「だって、昨日から楽しみにしてたから………、あんまり眠れなかったんだもん!」


さやか&仁美「ぷっ……………」

さやか&仁美「あははははははははははははははは」


さやか「あっはははは! いや~、まどかってやっぱり…」

仁美「くくくく…。可愛い……、ですわよね…?」



まどか「二人ともわたしの事、馬鹿にしてぇ…!」


さやか「いやいや、馬鹿にはしてないって!」

まどか「む~!」


仁美「機嫌直してください、まどかさん…。

   ほら…、そろそろみんなでお風呂入りましょう?」

13: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:34:44.72 ID:rZ8uhS8q0

まどか「話には聞いてたけど…」

さやか「広っ…! でかっ…! つーか大浴場じゃん!」


仁美「いつもは広過ぎて、むしろ寂しさを感じてしまうんですけど………。

   今日ばかりは広くて良かった、と思いましたわ」


さやか「そうだねぇ…、おかげさまで三人一緒に洗いっこできるわけだし…。

    ぐふふ…」

まどか「その笑い方怖いよ、さやかちゃん…」



仁美「あの…」

仁美「三人一緒ってことは、私も参加してもよろしいんですよね…?」


さやか「もち、だけど…」


仁美「よかった…」


さやか「よかった?」

まどか「あんまり良くないよ。さやかちゃん絶対悪ふざけするし」

さやか「…………」


仁美「その…///」

仁美「いつも私は二人がじゃれ合ってる時は眺めるだけでしたから…。

   ちょっぴり、羨ましかったんですの…///」

14: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:36:19.42 ID:rZ8uhS8q0

さやか「…………」

まどか「…………」


さやか「ほ~う…?」

まどか(あ、さやかちゃん、悪い事思いついた時の目だ)



仁美「あ、あの…、さやかさん…?」



さやか「そう言う事でしたら、不肖美樹さやかめが、仁美お嬢様のお身体を洗ってしんぜますっ!」

仁美「ちょ…、まっ…!」


さやか「あ~、この白い肌、大きなモノ、整ったスタイル!

    むしろあたしの方が羨ましいですなぁ!」


仁美「ひっ! ちょ…! くすぐったい/// ですわ…///」



まどか(さやかちゃんが言うと結構嫌みなんだけど…)

まどか(気付いて、ないね…)


まどか「て言うか、さやかちゃん悪ふざけし過…」


さやか「ちょ…! きゃ…、ぎゃははは! そこは自分で洗え…!」

仁美「ふふふ…! 私がやられっぱなしの女だとお思いで…!?」


まどか「……………ぎでもないか」

15: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:37:08.70 ID:rZ8uhS8q0

────────

────

──

まどか「ん…、良い湯加減」

さやか「は~、しかし…、なんか疲れた」

仁美「でも、楽しかったですわ」



まどか「もう…、さやかちゃんはともかく、仁美ちゃんまで…。

    お風呂場は滑るから、あんまり悪ふざけしない方がいいよ…?」

さやか「いえっさ!」

仁美「了解、ですわ」



さやか「しかし…、夕食は美味しかったし、お風呂は広々だし…、この後も寝るまで三人で遊べるし…、お泊まり会最高!」

さやか「こんな楽しい時間をありがとね、仁美」


仁美「私は…、三人でいる時間が楽しいから…。その時間を増やしたかっただけですわ…」

さやか「そっかぁ…」



さやか「これからも…さ、三人仲良くやれると良いよね」

仁美「はい…!」


さやか「………と、一人返事の無いヤツがいるな」


さやか「おい、まどか、寝るな」

さやか「まどか~、まどか~」

さやか「ま、ど、か!」

16: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:38:31.85 ID:rZ8uhS8q0


「まろか~~~~~!!!!!!!!」








まどか「ふぅぇぇぇぇぇぇっっっ!?!?!?」



タツヤ「まろかおねえちゃ、起きた!」

まどか「あれ…?」



まどか「なんで、たっくん…?」

まどか「わたし、仁美ちゃん家で、お泊り…」


タツヤ「おねえちゃ、お寝ぼけしてる?」



まどか「寝ぼけ…?」



まどか「あぁ、そっか…」

まどか「夢、か…」


まどか「夢、だったんだ………」

17: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:40:24.43 ID:rZ8uhS8q0

まどか「ふぁ~あ………」


あの夢…。

さやかちゃんと二人、仁美ちゃん家にお泊りに行った時の懐かしい記憶…。

こんな夢を見るって事は、仁美ちゃんと仲直りしたいってそう思ってるんだろう…。


だけど、あの時とは何もかもの状況が変わってしまった。



わたしとさやかちゃんはもう人間ではなくなってて…。

それを思い知らせるかのような大事件が起きて、学校には今もその爪跡が残ってる…。

うぅん、それ以上に…。

18: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:41:05.36 ID:rZ8uhS8q0

仁美ちゃんの行動は、悪意はなかったとは言え…。

結果的にさやかちゃんを潰れる寸前まで追い込んでしまった。


その行動で仁美ちゃんを責める事は出来ない。

出来ないけど…。




まどか「さやかちゃんに、仁美ちゃんのこと許してあげてって、そう言うのは…」


まどか「残酷…、過ぎるよね………」



さやか「そうでもないよ」



まどか「……………」

まどか「…………………え?」






まどか「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」

19: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:42:10.23 ID:rZ8uhS8q0

さやか「ちょっと、驚き過ぎ」

まどか「だって、さやかちゃんが何でウチにいるの…!?」


さやか「再三連絡しても全く音沙汰が無いから、心配して駆けつけたんだよ。

    そしたら、わたしのまどかは気持ちよさそうに寝てるではありませんかぁ…」

まどか「う……///」


さやか「ま、可愛い寝顔が見れたからいいけどさ」

まどか「うぅ~~~///」



さやか「はいはい、怒らない怒らない。

    これから仁美と仲直りしに行こうってのに、アンタとまで揉めてたら最早お話にならないしさ」


まどか「仁美ちゃんと…………」


まどか「ホント!?」



さやか「おう、ホントホント」


まどか「でも…………。また、無理してるんじゃ………」

さやか「してないしてない」

20: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:43:47.48 ID:rZ8uhS8q0


まどか「だって…………」


さやか「仁美は、あたしがその身を捧げてまで救った相手との間に割り込んだ………?」


まどか「……………うん」



さやか「ま、その辺は今も割り切れてるかって言うと微妙なんだけどさ…」


さやか「でも、魔女になった仁美はさ…。

    あたしにした事、すごく後悔してた」


さやか「あんな状況になってるのに、『ごめんなさい』って謝る為に足掻いて…」


さやか「元々、色々複雑だったんだけど…。やっぱそれ、見たらさ…。

    仁美の事、憎む事出来なくなってさ…………」


さやか「ほら、仁美も悪い事したって訳じゃないしね」



まどか「さやかちゃん…………」




さやか「けどさ、どういう訳か、こっちから仁美に連絡しても出てくれないんだ。

    だから………」


まどか「うん! そう言う事なら任せて!」

21: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:45:04.62 ID:rZ8uhS8q0

――志筑邸前――



まどか「はぁ………、そうですか……」



さやか「やっぱり、面会謝絶?」

まどか「………………うん」


さやか「そんなら仕方ない。日を改めよう」

さやか「今はあんな事があった後だから、仁美も滅入ってるかも知れないし、お家もナーバスになってそうだし」



まどか「あの………、さやかちゃん………」

さやか「大丈夫。わかってるって」


さやか「あの時の言葉。それが仁美の本心だって信じてるから」

まどか「うん…………、そうだよね」



さやか「さって、あたしはマミさんに呼ばれてるんだけど、まどかは?」

まどか「ん~、わたしは留守電にゆまちゃんからのお呼び出しがあったから…」


さやか「こっちにも来てるっぽい…。悪いけど、ゆまちゃんには都合が悪いって伝えといて貰える?」

まどか「了解。じゃあ、ここからは別行動だね」


さやか「杏子が妙な奴と戦ったばっかりだって言うし、十分に気を付けてよ?」

まどか「わかってる。じゃあ、またね」

22: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:45:53.27 ID:rZ8uhS8q0

仁美「…………」



志筑家メイド「あの、お嬢様……、本当にこれで………」

仁美「良いんです」


志筑家メイド「ですが、あのお二人は………」

仁美「用件は済んだのでしょう? もう下がりなさい」


志筑家メイド「…………失礼します」




仁美「……………」


あの二人は、私が本当に信頼できた大切な友人。

そう言いたいのでしょう?

わかっていますわ…。


ですけど…。

だからこそ、私はもうあの二人と一緒にいる資格がありませんの…。


私が、さやかさんにどれだけ惨い事をやってのけたか…。

それを知ってしまった以上、もう…。

23: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:46:24.01 ID:rZ8uhS8q0

あの事件の日の事。


他の皆さんは全く覚えていないようで、私の記憶も所々飛んでいますけど…。

それでも…。


私が化け物になって、さやかさんに襲いかかっていたと言う信じられない事実と…。

その後のさやかさん達の会話だけは…。




はっきり、鮮明に思い出せる…。


24: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:47:02.16 ID:rZ8uhS8q0

仁美『…………』


わ…、私は……………。

どう、なったんですの…?




仁美『……………』


体が………重い……。

全身が、痛い…………。

声も……、出ない…………。

意識が………、朦朧とする……。


私………、ここで死ぬんですの……?




ダメ………ですわ……。

まだ…。

私は死ぬ前に………、さやかさんに……。

謝ら………ない……と…。

25: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:47:35.83 ID:rZ8uhS8q0

痛みで動かない身体。

飛んで行きそうな意識。

けれど、私はどうしてもやらなければならない事があったから…。

必死に意識を保ち、足掻こうとしました…。



そして、そんな中、二人の少女の声が聞こえてきました。

聞き覚えのあるその一つは紛れもなく…。





杏子『さやか、本当に良いのか?』


さやか…?

さやかさんがそこにいるんですの…?

だったら、何とかして伝えなくては………。

26: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:48:55.63 ID:rZ8uhS8q0

さやか『仕方ないよ。さすがに連れ歩く訳にはいかないから、一旦物陰に…』


杏子『違う、そうじゃねぇ』

杏子『今のコイツは起きれば他者を傷つける魔女だ。討つだけの大義名分がある…』


さやか『何が言いたいの?』


杏子『コイツを殺すなら、これが最後のチャンスだぞ…?』


仁美『…………』



さやか『ふざけてんの? 本気で怒るよ…?』


杏子『ふざける? 大真面目だ』

杏子『コイツはお前の大好きな坊やを横恋慕した上に、立場上はお前の「親友」…。

   言っちまえばお前の「毒」そのものだ』



さやか『そんな言い方…!』


杏子『本当に良いのかって言ってんだよ!』

杏子『アンタは、あの坊やの為に願って人間やめて…。

   化け物同然の魔法少女になったのに…』


杏子『その上、自分が本当に望んだ幸せまで、コイツに掻っ攫われちまって本当に良いのか!?』

27: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:50:45.69 ID:rZ8uhS8q0

仁美『…………』


さやか『……………いいよ』

仁美『……!?』


さやか『あたしが願ったのは純粋に恭介の為だから……。

    あたし自身の願いが叶わないのはもう……、仕方ないよ……』


杏子『まだ間に合うぞ…?

   ほんの少し自分勝手になるだけで、お前の願いは…』


さやか『もういいよ、杏子』

さやか『いちいち悪役を買って出てまで、あたしの決意を確かめてくれなくても大丈夫』


さやか『あたしは、正義の魔法少女であり続ける。

    だから、身勝手な理由で人を殺したり、見捨てたりはしない』

さやか『そして、その事をもう絶対に後悔なんてしない』


さやか『そうでなきゃ………、あたしを救ってくれた「相棒」と肩を並べて歩けないからね!』


杏子『そうかい………。なら、もう何も言う事はねぇよ』





仁美『……………………』

28: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:51:20.71 ID:rZ8uhS8q0

私は……。

私は………。

私は……………!


なんて、事を………。



さやかさんが……、失踪するのも無理はないですわ………。

私が……。

やったのは…………。


ただの横恋慕なんかじゃない。

さやかさんが全てを投げ打ってまで救ったモノを……。

横から奪い取る行為だ………。

29: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:51:59.64 ID:rZ8uhS8q0

さやかさんは上条君をその身を犠牲にしてまで救いたいほど愛していて…。

上条君だって……。



恭介『ごめん…………』

仁美『……………』


恭介『僕はね、やらなくちゃいけない事があるんだ……』


恭介『ずっと…、ずっとね、支えてくれた子がいるんだ』

恭介『僕が苦しい時にずっと一緒にいてくれて……。

   当たり散らしたってニコニコ笑って傍にいて、僕を見捨てたりしなかった…』



恭介『その子がね、すごく気に入ってくれてるんだ。僕のバイオリン』


仁美『……………』


恭介『だから、聞かせてあげたいんだ』

恭介『バイオリンくらいしか能の無い僕だから………。

   せめて、最高の演奏を……』


恭介『彼女に負けないくらい強くて、素晴らしい演奏を…!

   いつか………!』

30: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:52:36.92 ID:rZ8uhS8q0

彼はその名前を出さなかったけれど、それが誰かはもう聞くまでもない…。


さやかさんが、上条君の為に全てを捧げたように…。

上条君もまた、さやかさんの為に在ろうとしている…。



わかっていた筈だった…。

私のような部外者が立ち入れば、二人の仲を拗れさせて、傷つけてしまう事くらい…。


それでも、私は………。

諦められなかった…。

どうしても、彼への思いを断ち切れなかった…。


結局自分の事しか頭になかった私は…。

さやかさんに許されるべきじゃない……。



だから、私はもうさやかさんに会う訳にはいかない。

会えばきっと、さやかさんは私を許してしまう筈だから…………。


そんな事は許されない。

許されては………、いけないから………。

31: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:54:03.66 ID:rZ8uhS8q0

――見滝原市内とあるファミレス――



ゆま「あ、まどかおねえちゃん! こっちこっち」

杏子「よぉ」


まどか「ゆまちゃん、それに杏子ちゃんも」


さやかちゃんと別れてゆまちゃんに連絡したわたしは…。

隣町の目と鼻の先にあるファミレスで、ゆまちゃんと一緒にいる杏子ちゃんと会う。

どうも様子から察するに、連絡手段を持たない杏子ちゃんがゆまちゃんを通じて連絡を付けたみたい。



杏子「そっちは、さやかは一緒じゃないのか?」

まどか「うん。マミさんと先約があるからって」



杏子「そうか…、マミと一緒なら良いか。

   とりあえず座れ。なんか食うかい?」


まどか「食べる……けど、今日はまた何の用なの?」



杏子「…………まぁ何だ、最近元気か?」

まどか「…………?」

32: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:54:41.27 ID:rZ8uhS8q0

いつもははっきり物を言う杏子ちゃんなのに、今日は何か要領を得ない。

横にいるゆまちゃんはそれを見てニコニコ笑うばかりだけど、

やがて杏子ちゃんの様子を見かねたのか、代わりに説明をしてくれた。



ゆま「キョーコはね、まどかおねえちゃんを心配してるんだよ」


まどか「わたしの心配…?」



杏子「最近色々あったからな…」

まどか「うん…?」


杏子「魔法少女は絶望によって魔女になる。

   言いかえれば精神状態が生死に関わるって事になる」


杏子「だからまぁ…、一応はこうして様子を身に来た訳だ」




まどか「杏子ちゃん……」


杏子「う…/// そんな目で見るな…///

   やりづれぇから!」

33: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:55:45.53 ID:rZ8uhS8q0


魔法少女は絶望の果てに魔女になる。

それはすなわち、魔法少女の精神状態の管理は最も気を付けなければならないって事になる。

それに気付いた杏子ちゃんは、わたしやさやかちゃん、ゆまちゃんの様子を見る為に呼び出したんだろう。


相変わらず、どこか不器用だけど…。

やっぱり杏子ちゃんって誰よりも仲間思いなんだなって、改めて感じた…。



ゆま「わぁ、来た来た」

まどか「それじゃあ、みんな分揃ったし…。いただきます」

杏子「おう、食え食え。今日はアタシの奢りだ」


杏子「しかし………、一番の問題児の様子はどうなんだ?」

まどか「問題児…?」

杏子「さやかの事だよ」

杏子「アイツって、強がりが過ぎる癖に中身は脆い…。

   エビカニみたいなところがあるじゃんか…」


まどか「エビカニって…」

まどか「大丈夫だと思うよ。心配な事はたくさんあるけど、さやかちゃんなりに吹っ切れたみたいだから…」

杏子「そっか…。なら、後はアタシ達でフォローするだけ…。

   って、ゆまどうした?」


ゆま「これ美味しくない……」

34: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:56:30.60 ID:rZ8uhS8q0

ゆま「残してもいい…?」

杏子「あ…?」


ゆまちゃんは、ピーマンらしき物をお皿に残してそう言う。

苦味が強くて、苦手な子供も多いし、実際わたしもあんまり得意じゃない。


けれど…。

それを見た杏子ちゃんの表情は釣り上がって、まるで敵と対峙した時のような表情になり…。

本気でゆまちゃんを怒鳴りつけた。



杏子「食い物を粗末にするんじゃねぇ!!!!!!」


ゆま「う………うぅ…」



まどか「ちょっと、杏子ちゃん…。

    言いすぎじゃ………」


???「うぅん、あなたは良い事言った」



まどか「え…?」



???「御飯を粗末にしちゃ駄目だよ! それは悪い人のする事なんだから!」

35: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/02(木) 23:57:25.92 ID:rZ8uhS8q0

わたしたちの会話に割り込む声…。

後ろの席から体を乗り出すようにして、会話に入ったその子は…。

黒髪のショートカットに、赤いぱっちりした目に、可愛らしい外見…。


全く見た覚えのない初対面の子…。




杏子「……………」

まどか「ちょっと、杏子ちゃん…!」


やっぱり見知らぬ子に割って入られるのは面白くないんだろうか?

突如割り込んできたその子を、杏子ちゃんは睨みつけるように見つめながら口を開く…。


一触即発…。

そう思った、その時…。




杏子「おい、アンタ…!」

まどか「杏子ちゃん!」


杏子「話がわかるじゃないか…!」





まどか「………………え?」

36: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/03(金) 00:01:01.64 ID:OQ8YtXck0

────────

────

──


杏子「へぇ…、気が合うじゃんか…!」

???「そうだよねっ! やっぱり御飯を大切にする人に悪い人はいないねっ!」



杏子「気に入ったよ、アンタ。名前は…?」

???「わたしはかずみ」


杏子「かずみね…。アタシは杏子。

   佐倉杏子だ。よろしくな」

杏子「せっかくだ。アンタも食うかい?」


かずみ「わぁい! いただきま~す!」



まどか「……………」


一触即発、と言うのはわたしの勘違いだったみたいで…。

何故か二人で意気投合し始める…。


食べ物を大事にすると言うのをきっかけに…。

何やら食べ物の話題で盛り上がり、二たくさん注文してあった料理を二人で次々に平らげ始める…。

37: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/03(金) 00:02:10.94 ID:OQ8YtXck0


杏子「もう片付いちまったのか…」

かずみ「ごめんね…。たくさん食べて…」


杏子「いいや、いっそ気分がいいな」



ゆま「おいしくなぁい…」

杏子&かずみ「え……!?」



まどか「頑張って食べようね…」

ゆま「うぅ………」


片付いていく料理の中でわたしは、ただ溜息をつき…。

ゆまちゃんは、さっきのピーマンと格闘して愚痴を漏らしては、二人に睨まれて皿と格闘する…。


そんな事をやっていた時だった。

38: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/03(金) 00:03:05.58 ID:OQ8YtXck0

???「お~~い、かずみ~!」

かずみ「あ、カオル! 海香~!」



カオル「あんた、何やってんの!

    知らない人達に迷惑かけちゃ…」

海香「…!?」



杏子「………知り合いか?」

かずみ「うん。私の親友のカオルと海香」




カオル「……………」


かずみ「な、何…、カオル…?

    そ、そんなに怒らなくたって……」



海香「落ち着いて聞きなさい………」



カオル「そこにいる二人は、鹿目まどかと佐倉杏子………」


カオル「アンタが探しまわってた、織莉子とキリカを倒した連中だよ…!」

39: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/03(金) 00:03:57.05 ID:OQ8YtXck0

――マミのマンション自室――



さやか「……………」

マミ「………………」


さやか「……………」

マミ「……………」


さやか「……………ふぅ」

マミ「……………!?」



マミ「ど、どうだった!? 美樹さん!」

さやか「お、落ち着いてください………」



さやか「凄くよかったと思いますよ…!」


マミ「よかった…………」

40: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/03(金) 00:04:56.22 ID:OQ8YtXck0

さやか「でも、驚きましたよ…」

さやか「最初は何かと思いましたけど……。

    マミさんがそんな事考えてたとは………」


マミ「魔法少女の問題について、私なりに考えて………。

   その答えがこれなの……」


マミ「美国さんみたいに直接的なやり方じゃないし、私にそんな才能があるかもわからないから…。

   きっと時間はかかると思う。けど………」


マミさんが自分の決意を熱く語ろうとした時…。

部屋のチャイムが鳴り響く…。


間の悪い奴もいたもんだと呑気に笑おうとしたあたしに対し、マミさんの表情は真剣そのもの…。

ゆっくりと立ち上がりながらも、あたしに注意と指示を出し…。


自分は玄関へと歩いていく…。

41: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/03(金) 00:06:28.80 ID:OQ8YtXck0

??「お忙しい所すいません…」

マミ「どちら様かしら…?」


??「私は浅海サキと言う者です。

   後ろにいるのは、神那ニコと若葉みらい」


ニコ「どうも」

みらい「よろしく」


マミ「…………回りくどいのね」



マミ「言い方を変えるわ」

マミ「魔法少女が三人揃って、何の用かしら……?」




サキ「やはり、こちらの正体は気付かれていたか」

みらい「さすがだね………」


ニコ「じゃあ、こう言ったら少しは驚いてもらえるかな…?」


マミ「……………」




ニコ「私達はプレイアデス聖団」


ニコ「美国織莉子や呉キリカと協力関係にあった者達です、と」



―to be continued―

42: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/03(金) 00:07:03.07 ID:OQ8YtXck0

―next episode―



「彼女達の残した置き土産、と言うヤツだね…!」






―【第二十二話】滅びの足音―



52: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:23:59.81 ID:wtxlXnb30

魔女「*#%ηи~~~!!!!」

カオル『くっ…、すみれ……』



かずみ『どうして……?』

かずみ『どうして、ソウルジェムから魔女が出てくるの…!?』


???『簡単な事さ』

???『力尽きた魔法少女の行きつく先…、すなわち私達魔法少女の馴れの果てが魔女だからよ』


突如魔女へと変わるソウルジェム。

ふとした事から知った魔法少女の真実。

そして、その魔女を見下ろす形で現れた二人の魔法少女…。

これが二人との出会いだった。

53: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:24:42.96 ID:wtxlXnb30

???『初めまして、で良いかしら? プレイアデス聖団の牧カオルさん』

カオル『…………何者?』


織莉子『私は美国織莉子、こちらは呉キリカ。諸事情から貴女達の存在を知ってね…』

織莉子『貴女達と取引がしたくて、今日は…』



魔女『’>☆§ΘΞη!!!!!!』


織莉子『邪魔ね…』

キリカ『アレなら私一人で十分そうだ。織莉子は交渉を続けて』

織莉子『任せるわ』



かずみ『じゅ、十分って………?

    まさか、殺しちゃうつもりなの…!?』

キリカ『そうだよ』


かずみ『だって…! 今は魔女になってるけど……。

    アレは魔法少女の…』


キリカ『いいや、彼女は死んだよ』

キリカ『魔女から魔法少女へは不可逆…。

    つまり魔女は、魔法少女の意思の残滓だけを残した唯の死体の同然だって事さ』

54: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:25:40.97 ID:wtxlXnb30

かずみ『けど…!』

キリカ『自分の死体が他者に迷惑をかけて喜ぶ人間がいると思うかい…?』


かずみ『…………』

かずみ『だから、私たち魔法少女は魔女が他者を傷つける前に殺してあげる事しかできない…』

かずみ『そう……なんだね……?』


キリカ『わかったなら退いてなよ…』

かずみ『……………うぅん。わたしもやるよ』

かずみ『わたしも…………やらなきゃ……!』



かずみ『みんなに……』

かずみ『みんなにだけ、こんなつらい事押し付けるなんて……、できない…。

    だから………』

かずみ『わたしも背負わなきゃ…………!』

55: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:26:29.53 ID:wtxlXnb30

カオル『かずみ………』

キリカ『…………』



織莉子『………真実を知りながら、尚それに目を背けず、

    堕ちた他者を想う………、強く、優しい心…』

かずみ『え…?』


織莉子『その想いを大切にしなさい…』

織莉子『今の貴女のような強い心を持つ者だけが、絶望だらけの魔法少女の未来を切り開く鍵となるのだから…』


かずみ『……………』



キリカ『話は…?』

織莉子『一応は付けて来たわ』


織莉子『最も、「よい返事」を貰えるのは二日後の昼ごろになるけれど』

キリカ『そう…、じゃあ一気に片を付けようか…!』


織莉子『さようなら…。

    己が心に潰され果てた悲しき少女よ…、せめて最期は安らかに眠りなさい…!』

キリカ『引導は私達が降してやるからさッ……!!!!!』


かずみ『…………』

56: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:27:38.59 ID:wtxlXnb30

瞳に強い意志を持つ、どこか不思議な雰囲気を持つ二人の魔法少女。

プレイアデス聖団のみんなと何かしらの同盟を結んだのもあって、わたしはより強く二人に興味を持ち…。

彼女達の所へよく出入りするようになって…。



かずみ『こんにちはぁ!』


キリカ『かずみ…、キミはまた…』

かずみ『えへへぇ、来ちゃった』

キリカ『………』


かずみ『ひょっとして、お邪魔虫だった…?』

キリカ『わかってるじゃないか』

かずみ『うぅ………』


織莉子『でも、本当にいいの? ここに来るのは止められているんでしょう?』

かずみ『うん………』


キリカ『私たちのしている事は知っているだろう?

    なら、彼女達の言っている事の正しさも…』


かずみ『いいの!』

57: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:28:14.77 ID:wtxlXnb30

かずみ『プレイアデス聖団のみんなの事も大事だけど…。

    二人の事も、みんなと同じくらい大事なんだから』


かずみ『それに…』

かずみ『みんなは優しいけど…、それは「昔のかずみ」に対する優しさもあるからさ…。

    だから、昔を思い出せないわたしには、「今のかずみ」になってからの友達の二人といる方が落ち着くって言うかさ…』

織莉子『…………』

キリカ『…………』



かずみ『お、重くなりそうだからこの話題やめ! やめ!』

かずみ『ん~~と、そうだ! 織莉子』


織莉子『何?』

かずみ『織莉子は未来が視えるんだよね? それってどんな気分なの?』




キリカ『かずみ…、織莉子の未来予知は他者の為、世界の為…。

    そんな遊びのような…』


織莉子『キリカ!』

織莉子『…………やめなさい。

    大義と言うモノは掲げ貫いても、振りかざして他者を見下す為のものじゃない…!』


キリカ『…………』

58: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:28:56.59 ID:wtxlXnb30

かずみ『あの………』


織莉子『とても便利よ』

かずみ『…?』


織莉子『先の事がわかるから、こうしてかずみの分のお茶菓子も最初から用意できる。

    だけど、そうね………』

織莉子『貴女が今毎週楽しみにしてるアニメだけど…。

    来週の話で、動くぬいぐるみの正体は透明になれる女の子だって判明するわよ』



かずみ『ふーん………』

かずみ『って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?』




かずみ「酷い! 酷いよ!!!!! どうして言っちゃうの!!!!!」


織莉子『ふふ…、ごめんなさい…。

    でも…、ガッカリしたでしょう?』

織莉子『それと同じ事が常々起こると思うと…。気が滅入らない?』


かずみ『…………』

59: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:30:08.57 ID:wtxlXnb30

キリカ『キミは記憶が無く、過去すら見れないから…。

    未来の視れる織莉子を羨んでいたんだろうけど…。

キリカ『これでよくわかったろう? 見える事が必ずしも良い事であるとは限らない…と』


かずみ『うん…………』

キリカ『そして、それは過去だって同じさ』

キリカ『できるのなら、切り取って、切り裂いて…。

    捨ててしまいたい過去だってある…』


かずみ『…………』

織莉子『過去にしても、未来にしても知る事が幸せとは限らない。

    むしろ…、知ったが故に縛られる私のような者もいる…』


キリカ『自分で選んだ道とは言え…、そんな生き方はとても窮屈だ。

    だから…』


織莉子『貴女は「今」を大事にして生きて欲しい』

キリカ『過去に何があったとしても、未来に何が待つとしても…。

    キミはキミらしく、キミの思うままに…』

織莉子『私達にはもう………、そう言う生き方は出来ないから……』


かずみ『うん…!』

60: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:31:34.92 ID:wtxlXnb30











―【第二十二話】滅びの足音―








61: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:32:12.33 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内とあるファミレス――




杏子「織莉子とキリカ……」

まどか「じゃあ、この人達は…」


ゆま「あの人たちの仲間…!?」




かずみ「…………」


さっきまで杏子ちゃんと語り合い笑ってた、黒髪ショートの女の子。

かずみちゃん。

けど、その笑顔はもうある筈もなくて…。


席を立ち、怒りと悲しみが入り混じった様な目でわたし達を睨みながら…。

彼女は口を開いた。

62: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:33:21.89 ID:wtxlXnb30

かずみ「鹿目まどか、それに佐倉杏子…」

杏子「あぁ…………?」


かずみ「織莉子とキリカを倒したのは………、あなた達で間違いないね?」



杏子「あぁ、キリカも織莉子もアタシが…」

まどか「違うよ」



かずみ「…………」

杏子「おい…!」


まどか「呉さんはともかく…。

    美国さんに事実上の止めを刺したのは、わたしだよ」



杏子「まどか、お前…!」


まどか「良いんだよ、杏子ちゃん。

    自分だけが汚れ役を引き受けなくても………」

まどか「わたしが、自分でやった事くらい………。

    自分で奪った命くらい…………」


まどか「わたし自身に背負わせて…!」

63: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:34:02.49 ID:wtxlXnb30

かずみ「…………」

かずみ「織莉子の事はわかった………。

    じゃあ、キリカは?」


杏子「アイツが死んだのは別の要因だが…。

   死ぬほどの手負いにまで追い込んだのはアタシの攻撃だ」


杏子「だから、アタシが呉キリカの仇だと思ってくれて差し支えないと思うぜ?」


かずみ「そう……………」




杏子「じゃあ、今度はこっちから質問だ」

杏子「まぁわざわざ、聞くまでもないと思うが…」


杏子「お前らはアイツらの何だ?

   そして、ここには何をしに来た…?」





かずみ「二人は、わたしの友達、だった…。

    そして、わたしは…………」



かずみ「二人の仇である、あなた達に決闘を申し込む!!!!」

64: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:35:46.83 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内山奥――



かずみ「…………」



海香「あの子らしいと言うか、らしくないと言うか…」


カオル「らしいと思うよ」

カオル「結局は、『友達の為』だからね………」


海香「わからないでもないけど……、やらせて良いの?」

カオル「仕方ないよ。やらせなきゃ納得しないだろうから……」



海香「……………」

カオル「って訳で、敵チームの弱点を調…」

海香「もう済んでるわ。だから、かずみを呼んで」


カオル「へぇ………。さっすが、仕事が早い」

海香「それはこの間締め切りギリギリだった私に対する嫌みかしら…?」


カオル「お、落ち着いて、海香大先生…」

65: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:37:42.81 ID:wtxlXnb30

ゆま「むこうも三人だから、ゆまたちも一人づつ相手すればいい?」


杏子「いや…」

杏子「まどかはソロ向きじゃねぇ。

   だから、まどかとゆまは二人協力して、かずみとやれ」


ゆま「キョーコが二人とたたかうの…? だいじょうぶ?」


杏子「あぁ。お前らとは場数が違うんでな」



まどか「杏子ちゃん…………」

杏子「さっきまで語らってた奴を嬲るのは、あんまりいい気はしないからな…」

   悪いけど任せる」


杏子「勿論、余計な手心は加えなくていい。潰すつもりでやれ」

杏子「でないと、やられる。それが戦いだからな」


まどか「………わかった」



杏子「悪いな……」


まどか「いいって」

66: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:38:36.44 ID:wtxlXnb30

杏子「さぁて…」

杏子「そろそろ、おっぱじめるか!?」


かずみ「うん…」

海香「では…」

カオル「いくよッ!」


互いに武器を構えて向き合い、最期の確認の末に戦いが始まる。

アタシとゆまを前にし、後方にまどかがいるアタシらの陣形に対し…。

敵は眼鏡、かずみ、オレンジ髪の三人が横一列に並び…。

そこから眼鏡女だけが飛び出し、両端に刃を持つ槍を作り出しながら、ゆまへと向かっていく…。


予定によれば、そいつの相手はアタシだ。

だから、アタシは眼鏡女を抑える為に前に出るつもりだったんだが…。



杏子「そっちへは行かせ…」

かずみ「リーミティ………」


杏子「!?」




かずみ「エステールニッ!!!!!!!!!!!」


かずみが繰り出した十字型の棒の先端から、光の束が放たれ…。

アタシの真横を駆け抜けた。

67: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:39:23.14 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内河川敷――



マミ「ここならどうかしら?」


みらい「いいんじゃない? 広いし」

サキ「人通りもほとんどなさそうだ…」


私の前に現れた三人の魔法少女。

かつて主張の違いから、私達と死闘を繰り広げた美国さんの協力者を名乗る彼女達。


その要求は、私達との交戦。

そして、私達は彼女達の要求に応じる為に、人気がなく暴れても問題ない広い場所へと案内したわけだ。


しかし…。

目的の為なら手段を選ばない彼女達の仲間を自称するにしては、腑に落ちない点が多すぎる…。


美国さんと目的を同じとするのなら、暁美さんを黙って狙えば良いし、そうする筈なのに…。

美樹さんに連絡してもらった所、彼女の身に異変は起きていないようだし、持たせた保険に反応もなし…。

彼女達の仇討が目的なら、これもまた変身前の私を強襲するのが有効なのに、これも行わない。


単純に、彼女達よりも目的の成就に対する執着はないと見る事も出来るけど…。

68: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:40:56.23 ID:wtxlXnb30

考えながらも指示を出し、美樹さんと同時に変身を済ませる。

けれど…。


サキ「互いに変身も済ませたし…」

みらい「じゃあ、やろっか…!」


マミ「そっちの人は変身しなくていいのかしら…?」



ニコ「見てのとーり」

ニコ「あっしは手を出さないんで…。好きにやってくださいな」


他の二人の変身を見届けた三人目の魔法少女は、変身もせず…。

ここまで持ち歩いていた中型のトランクを放り捨てつつ、欠伸をしながら堤防の傾斜に腰掛けた。




マミ(まただ…)

マミ(また、この人達は自分から自分たちが有利になる条件を潰した)


勝利する為に便利な条件を次々に潰していく割に…。

彼女達の名前を出して、私達への警戒心と敵対心だけは煽ってくる…。


陽動と言う線も考えられるけど…。

彼女達が最も狙いそうな暁美さんには変化が無く、さりげなく連絡した美樹さんによると平穏無事が確か。


しかし、そうすると目的がまるで見えない。

69: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:41:46.17 ID:wtxlXnb30

さやか「二対二…、互いに公平な状況で正々堂々とやろうってわけ?」

さやか「さっぱりしてていいじゃん…!」



マミ≪美樹さん…?≫


さやか≪色々怪しいし、危険性があるのもわかります…≫

さやか≪けど、考えてたって敵の狙いが見えなきゃ一緒。むしろ時間が経てば状況は悪化するかも…≫


さやか≪それよりかは、敵が有利な条件を出したのに乗って、手早く倒しちゃいましょう≫

さやか≪そこからわかる事もあるかもしれない…≫


さやか≪もちろん、十分に警戒して……、ですけど≫



マミ≪下手な考え休むに似たり………か≫


マミ≪了解、まずは戦いに集中≫

マミ≪敵の要求に応じて交戦。その上で敵の目的を探りましょう≫

70: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:42:55.50 ID:wtxlXnb30

さやか「悪い、待たせたね」


みらい「いつまでもダラダラやってるから待ちくたびれちゃったよ」

サキ「準備ができたのなら………、遠慮なくいくぞ」


マミ「どうぞ…!」


サキ「では…!」


モノクルにベレー帽、ダークレッドの乗馬服に身を包んだ魔法少女が短めの鞭を振るい…。

その先端から火花を放つ魔力を放つ。


そして、それに合わせるように私達の真上、上空に魔力が集中する…。



マミ「!?」

さやか「っ…!」


空に集まった魔力は雷撃と言う形を取り、私と美樹さんの丁度真ん中目掛けて突き刺さる。

が、私達はそれぞれ左右に飛んでそれを回避した。

71: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:44:08.47 ID:wtxlXnb30

さやか「ひゃあ~、あっぶねぇ…」

マミ「魔力を使い、雷を強制発生させる魔法か…。

   大した威力ね…」




みらい「まぁ初撃は避けて当然だよね」

みらい「けど………、ここからはどうかな?」


みらい「さぁ来い! ボクの仲間達…!」




みらい「ラ・ベスティア!!!」


私達が雷撃の回避をしている間にその準備を終えた…。

ピンク色のドレスを纏ったもう一人の魔法少女が、呪文と共に杖を振る。


すると…。

それに反応する形で発生した魔法陣から…。

数十を超える大量のくまのぬいぐるみが飛び出してきた。

72: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:44:54.56 ID:wtxlXnb30

さやか「くま…?」

さやか「なんか可愛いかも…」


マミ「油断しないで!」

さやか「!?」


マミ「アレは全部彼女の使い魔よ…!」




みらい「へぇ…、そっちのキミは魔力感知能力が鋭敏みたいだね」

みらい「けど、んなこたぁ関係ない!」


みらい「さぁ、いけッ!!!!」


サキ「……………」




マミ「無数の使い魔で足止めして、もう一人が高威力の雷撃を当てる…」

マミ「単純だけど、それ故に効果的なコンビネーションだわ」


マミ「さて……、どうしたものかしら」


迫り来るくまの軍勢を眺めながら…。

私はそう呟いた。

73: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:45:44.62 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内山奥――



杏子「くそッ…!」


かずみの放った魔力砲。

それはアタシ達三人の誰にも当たる事はなく、ただ空を裂いている。

だが、敵にはそれで十分だった。



海香「決めさせて貰うわ…!!」


魔力砲に合わせて突撃し…。

その隙を突くように接近していた眼鏡女が、その槍をゆまに繰り出す…。



ゆま「そうは………」

ゆま「いかないもん!!!!!」


海香「くッ…! なんて力…!」


魔力砲を回避した直後にも関わらず…。

ゆまは、眼鏡女の攻撃に完全に対応し…。


敵の攻撃を受け止め、逆にそのまま競り勝ってハンマーを振り抜き…。

強引に敵を弾き飛ばす。


けれど…。

74: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:46:29.56 ID:wtxlXnb30

杏子「ゆま、避けろッ!!!!」

カオル「もう遅いよ…!」



カオル「パラディ・キャノーネ!!!!!」


眼鏡女の攻撃の間にも敵の三人目は、魔力球と共に飛びあがって、攻撃態勢に入っており…。

その魔力球をオーバーヘッドキックで蹴り飛ばす。




ゆま「…!?」


杏子「ゆまッ!!!!!!!」


吹っ飛ばされる眼鏡女と入れ替わる形で飛んでくる魔力球。

眼鏡女を飛ばしたばかりのゆまには、当然それに反応する事なんてできる筈もなく…。


アタシとまどかは、かずみの放った魔力砲に遮られて満足なカバーもできない。

一応まどかが魔力球を狙ったが、魔力砲のせいで角度にも制限があり、時は既に遅い。



高速で迫る魔力球はゆまに直撃した。

75: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:47:17.38 ID:wtxlXnb30

まどか「杏子ちゃん、ゆまちゃんを…!」


杏子「悪ぃ!」


魔力砲の減衰に合わせ、まどかが拡散弾を放つ。

アタシはその隙にゆまの元へと駆け寄る。



杏子「ゆま………」

ゆま「う……うぅ…………」


カオル「大丈夫、大丈夫。死にゃしないって」

カオル「と言っても、もう戦闘続行へ無理だろうけど…!」


海香「一番倒しやすい少女の撃破に成功…。

   回復役も居なくなり、これで大分勝機が出てきたかしら…?」



杏子「こいつら…」

76: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:48:00.21 ID:wtxlXnb30

敵の連携は完璧だった。


いきなり繰り出す大技は繰り出し、それを避けさせつつアタシらを分断。

その僅かな隙に眼鏡で足を止め、サッカー女が決める。

電光石火の速さと、絶妙なタイミング…。

息のあった完璧な連携だった。



対してアタシたち…。

いや、アタシは…。

戦い慣れていないからと連携も陣形も碌に意識せず、各個撃破を指示した。

敵は事前調査したのか、ゆまが一番未熟で、かつ回復役である事も理解していた。


だから、まずは三人がかりでゆまを撃破する事を狙い、

個別対応を意識していたアタシとまどかは対応が遅れ、結果的にそこを突かれる形となっちまった…。



結局は…。

一番のベテランであるアタシが二人のカバーをしなきゃならないのに…。

それを真っ先に放棄したアタシの責任だった。

77: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:48:27.13 ID:wtxlXnb30

杏子(ざまぁねぇな…)

杏子(守るだの何だの言いながら、出し抜かれて…)


杏子(連中が加減してなかったら、ゆまは今頃死んでるぞ…)


杏子(本当に………、情けねぇな…)

杏子(けど……)



杏子(ゆまは生きてる……。アタシらも負けてねぇ…!)



杏子「なら、これ以上好きにはやらせねぇ…!」


かずみ「…………」



さっきまで駄弁った仲とやり合う事。

自分が倒した奴の仇を狙う奴を返り討ちにする後味の悪さ…。

そして、ゆまのダメージ、自分自身の不甲斐なさ…。


大小様々な雑念を捨てつつ、アタシはゆまを物陰に隠して寝かせ…。


再び槍を構えて敵の元へと飛んだ。

78: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:49:26.36 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内河川敷――



マミ「…………」


ピンクのドレスの魔法少女が召喚したぬいぐるみ型の使い魔達。

可愛らしい外見通り、一体一体はそう強くないだろうけど…。

あの数は明らかに驚異的だ。


それを対処するには…。



マミ≪美樹さん…、少しの間で良いの。接近してくる敵の迎撃をお願いできる?≫

さやか≪少しと言わず…≫


さやか「迫ってくる奴はあたしに任せて…!

    マミさんは援護の方よろしくお願いしますっ!!!!」


そう言いながら、私の前に立った美樹さんはいつのまにか作った鞘に剣を収め…。

居合のような構えを取りつつ、その刀剣に魔力を込めつつ敵を引き付ける…。





さやか「食らえぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!!」


その刀剣をそのまま居合の形で振り抜き…。

美樹さんに飛びかかった大量のくまをまとめて切り裂いた。

79: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:50:04.52 ID:wtxlXnb30

みらい「な…!?」


さやか「じゃーん!」

さやか「本日初公開…!

    さやかちゃんの新技はどうよ…?」


鞘から飛び出した刀身は瞬く間に伸び続け、さらにその刀身はバラバラに分かれ…。

中央のワイヤーのみで繋がった、刃を伴った鞭のような蛇腹剣へと姿を変えていた。


撓りながら振るわれる蛇腹剣は、美樹さんの前方広範囲をまとめて斬り払い、

彼女に襲いかかろうとしたくま達を、まとめて薙ぎ倒したのだ。




さやか「そらッ! もう一撃!」


魔力によって本来の刀身の長さを明らかに越える長さとなったその剣は…。

圧倒的なまでに広い攻撃範囲を誇り…。

再度引き付けて振るうだけで、何十と言うくまの大群を薙ぎ倒す。


数に物を言わせたが故、一体一体の性能はそう高くないのが仇になったのだろう。

攻撃範囲に入ったくまのほとんどが回避する事なく、倒されていく、

80: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:51:05.76 ID:wtxlXnb30

マミ「やるじゃない! 美樹さん…!」


さやか「杏子の奴の見よう見真似なんですけど…。

    どうにか形になってきてたんで、使ってみたんです…!」



みらい「くっ…!」


みらい「でも、その分隙は大きい!」

みらい「ほら今だって……! 伸びた分懐がガラ空きになってんじゃん……!」


敵の言う通り、鞭状の刀剣を振り回す美樹さん自体は大きな隙があると言えた。


攻撃を捌こうにも剣は伸びきって扱いづらい、あの状態…。

さらに今の美樹さんは剣を振るったばかりで、無防備そのもの…。


振り抜かれ、左側に走っていく蛇腹状の刀身。

それが再び来るまでの大きな隙を逃さんとばかりに、右側に現れたくまのぬいぐるみ達が美樹さんに迫る…。



しかし、くまのぬいぐるみ達は美樹さんに届く事はなく…。

穴だらけになって、綿を撒き散らしながら地面に転がった。

81: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:51:34.68 ID:wtxlXnb30

みらい「ッ…!」

マミ「仲間が優秀なのは助かるけど…。

   任せっきりにするつもりはないわ」


マミ「先輩としても後衛としても、格好がつかないものね……!」


言う間も私は、宙にマスケット銃を次々と作り出し…。

美樹さんの攻撃を逃れたくまのぬいぐるみを狙い撃ちにしていく…。


その数を減らしていくくまの使い魔達。

そして、それを見た美樹さんが追撃をしかけようとする…。




さやか「このまま一気に…!」


サキ「あまり図に乗って…」


サキ「私を忘れてもらっては困る…!」


使い魔の数が減り、焦ったのか…。

あるいは美樹さんの虚を突こうとしたのか…。

攻撃の機会を伺っていたんであろう、モノクルの魔法少女が動く。

82: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:52:12.47 ID:wtxlXnb30

サキ「落ちろ…!」


振るわれた短めの馬上鞭の先端から電撃が走って魔力が放たれ…。

彼女の放った魔力が上空に収束し、雷撃と言う形へと変わる…。。



しかし…。


その雷撃は私とも美樹さんとも全く関係の無い…。

明後日の所へと落ちた。




サキ「…!?」


マミ「勿論忘れていた訳ではないわ」

マミ「既に手は打っていた、と言うだけの事よ」



サキ「これは…」

マミ「そう、避雷針よ」

83: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:54:31.87 ID:wtxlXnb30

美樹さんの活躍により、手の空いた私はサポートに徹する事が出来た。


地中からリボンを遠距離まで伸ばし…。

地面から突き出させると同時に性質変化の魔法をかけ、自分自身に電流が来ないようにリボンは切り離す…。

こうして即席の避雷針を作った、と言う訳だ。



美樹さんの援護をしつつ、かつ早く…と言う条件がやや厳しかったものの…。

攻撃力を補う為に使っている主武装のマスケット銃も、この性質変化や物体生成の技術を磨いて作ったモノ。

ようするに性質変化自体は私の得意分野。

このくらいの事はお手の物だったりする。



ともかく…。

これで敵の主軸である物量と、高威力の雷撃。

その双方を封じ込める事に成功した、と言う事になる。

84: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:55:43.00 ID:wtxlXnb30

さやか「さっすがマミさん! 頼りになるっ!」


マミ「私一人ではあれを作ってる暇なんてなかった…。

   あなたが頑張ってくれたおかげよ、美樹さん」




みらい「くっ…。みんなが…」


みらい「あいつらッ!!!!!」

サキ「落ち着け! みらい…!」


みらい「落ち着いてるよ! けど…!」

みらい「どうせこうしてても埒が明かない…!

    ならイチかバチかでも斬り込むしかないだろッ!!!!!」


先ほどまでと形相を変えながら、ピンクドレスの魔法少女が美樹さんに向かって走り出す…。

扱い慣れていない美樹さんの蛇腹剣は使い魔のくまは捉えられても、魔法少女の彼女は捉えきれず…。

繰り出した攻撃は掻い潜られ、一気に距離を詰められていく…。

85: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:56:30.93 ID:wtxlXnb30

さやか「当たんないっ!!!」

マミ「任せて…!」


隙の生じる広範囲をカバーするのはこちらの仕事。

だからこそ先ほどまでと同じように、接近しようとする魔法少女に狙いを定めようとするも…。



サキ「これ以上はやらせない…!」


マミ「…!?」

マミ「いつの間に…!」


サキ「彼女は武器を抜きにしても、運動能力が高そうだから…。

   不覚を取らないようみらいに任せ、私は射撃型の君を叩かせてもらう」


突如背後に現れたモノクルの魔法少女…。

彼女の振るった鞭に襲われ、援護攻撃を中断させられ…。

その隙にピンクドレスの魔法少女は、美樹さんの懐へと飛び込み…。



みらい「くたばれぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!」


さやか「くッ…!?」


持っていた杖を振りあげて、巨大な大剣へと変え…。

そのまま美樹さんへと振り下ろした…。

86: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:57:01.97 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内山奥――




海香「イクス・フィーレ」


海香「鹿目まどか。経験はまだ浅いが、高い魔力による破壊力抜群かつ多様な射撃と高い命中を誇る強力な射撃型。

   弱点は運動能力の低さから来る近接戦」

海香「ただし耐久は高く、鍔迫り合いになった際に出す衝撃波に注意。

   一気に敵の得意なレンジへと離される…」


カオル「了解っ!」

まどか「っ………」




海香「佐倉杏子。近接戦や一対多を得意とする魔法戦闘のスペシャリスト。

   ただし防御力は低い」


海香「厄介な多節槍は使用中は使用中は防御不能。さらに味方のいる乱戦時にはキレが落ちる…」

海香「使われれば最後の幻術は発動に時間がかかる為、絶え間ない攻撃が必須…」



かずみ「わかった…」


杏子「チッ……!」

87: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:57:48.39 ID:wtxlXnb30

眼鏡女に構えた本に次々に浮かび上がる文字。

アレは分析魔法らしく、それを読み上げられたアタシ達の手の内は次々に暴かれていく…。

恐らくは、ゆまが狙いどころだってのもこの魔法で調べたんだろう。




杏子「どけっ!!!!!」

かずみ「うわっ…」


ともかく、使われれば使われるほど、こちらの手の内は丸わかりになり、

情勢はますます悪くなっていく、そう言う類の魔法だ。

これ以上の情報が引きずり出される前に奴を叩く必要がある…。

そう判断したアタシは、十字型の杖で打撃を繰り出してきたかずみを蹴飛ばし、眼鏡女に攻撃を仕掛けようとするも…。



まどか「きゃあっ」

杏子「くぅッ……」


サッカー女に蹴飛ばされ、飛んできたまどかと正面衝突し、

その動きは止められてしまった。

88: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 21:58:49.73 ID:wtxlXnb30

カオル「狙われてたぞ~」

海香「ごめん、助かったわ」


海香「ともかく、これ以上イクス・フィーレを続けるのは無理みたいね」



カオル「で、どうすんの?」


海香「大きいのは狙わず近接メイン。

   かつなるだけ二人の距離を離さないように戦う」

海香「これで、佐倉杏子の幻術と鹿目まどかの弓の両方を封じれる。

   多節槍も味方の事を考えれば出しづらくなる」


海香「ただ、それでも手強い相手だから、佐倉杏子にはかずみとカオルの二人で当たって。

   二人の魔法の威力は見せているから、回避された時のリスクを考えればますます多節槍が使いづらくなる筈…」



カオル「だとさ、かずみ」


かずみ「………わかった」

89: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:01:00.96 ID:wtxlXnb30

カオル「と言う訳だから、悪いけど二人がかりでいくよッ…!」

かずみ「…………」


杏子「チッ!」




海香「さぁ…、付き合ってもらうわ」


まどか「くっ…………」


こっちの性質や得意技、弱点が見えた敵は当然ながら、最も嫌な選択を選んでくる…。


アタシの相手はかずみとサッカー女。

まどかの相手は、眼鏡女。


それぞれの分担を受け持っているものの、互いの距離が離れない絶妙な位置取りを続け、

形としてはほぼ乱戦に近く…。

それは言うまでもなく、アタシ達にとって最悪な状況であると言えた。

90: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:01:34.57 ID:wtxlXnb30

杏子「いつまでも…」

杏子「調子に乗ってんじゃねぇッ!!!!」

カオル「くっ………」


かずみ「…………」

杏子「!?」


かずみ「リーミティ・エステールニ!!!!!」




まどか「杏子ちゃん!」

海香「あなたの相手はこっちよ!」


まどか「うぅっ……」


アタシに付いてるのは近接戦がそれなりに手慣れている二人。

マークがきつく、幻術はとても繰り出せない。

多節槍は繰り出せなくもないが、

眼鏡女に振り回されてフラフラしてるまどかの事を考えれば、思う様には振るえない上に、

マークしてる二人にクリーンヒットできなきゃ、防御できない隙を狙って今みたいに大技が飛んでくる。


そして、それを意識してるのか、二人のうち一人は必ず僅かに距離を開けて、絶妙な間合いにいやがる…。


状況を打破できるだけの手段を封じられ、アタシ達はどんどん追い込まれていく…。

91: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:02:14.71 ID:wtxlXnb30

カオル「へぇ、あの体勢から直撃を避けたんだ」

カオル「さっすが!」


杏子「…………」



海香「甘いわねッ!」

まどか「くぅっ………」



杏子(アタシはともかく………)

杏子(このままじゃまどかが保たねぇ…)


杏子(なんとか、この状況を打破しねぇと…)



けど、どうすればいい…?

アタシも、まどかもできる事のほとんどが封じられてる。

おまけにまどかは、自分の得意な距離で戦う事もできねぇ…。


せめて、まどかが一度でも距離をおく事が出来れば…。

でも、そんな手段ある筈が…。


いや………。





杏子(ある………!)

92: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:02:46.48 ID:wtxlXnb30

まどか「はぁぁぁぁッ!!!!」


海香「無駄よ…!」

まどか「ぐ……くぅッ…」


海香「繰り出す攻撃は遅く、反応も鈍く、体捌きも素人のそれ…。

   この程度はイクス・フィーレを使うまでもなくわかる…」


海香「私も近接攻撃が極めて得意と言う訳ではないけど…。

   それでも、あなたには遅れはとらない…」


まどか「挑発のつもり…?」

海香「えぇ。けど、事実よ」

93: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:03:17.99 ID:wtxlXnb30

まどか「確かにそうだね…」

まどか「わたしが居るから、杏子ちゃんは思うように戦えない…。

    だったら…」


まどか「わたしが何とかしないと………!」


杏子「その必要はないぜ」



まどか「え…?」

杏子「アタシさ……、もう好きにさせてもらう事にしたわ」


杏子「だから………」





杏子「消えてくれ」


そう言いつつ、アタシは多節槍を繰り出すと…。

辺り一帯へと振り回す。


その攻撃を敵三人には惜しくも回避、ないし防御されたが…。

まどかのどてっ腹に直撃。

そのままあいつの体は大きく宙を浮きつつ飛んで行き、受け身も出来ずに転がった。

94: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:04:36.56 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内河川敷――




みらい「くたばれぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!」


さやか「くッ…!?」




ピンクの魔法少女は振りあげた杖を大剣へと変え、美樹さんへと勢いよく振り下ろす。

蛇腹剣を振るったばかりで防御も回避も行えない美樹さんは、その攻撃をまともに食らい…。


右肩から真っ直ぐ…、体を引き裂かれる直撃を受け、血飛沫を上げた。

95: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:06:22.53 ID:wtxlXnb30

さやか「かはっ………」

みらい「……………ふん」


丁度頭や両足を避けたとはとは言え、肩口からざっくりと切り裂かれる斬撃を受けた美樹さん。

繋がっていた肩を失って、斬り落とされた右腕と握っていた蛇腹剣が、

ぐらつきながらも倒れない美樹さんよりも早く地面に落ちる…。




みらい「安心しなよ…」

みらい「魔法少女はこの程度じゃ死なない」


さやか「………」



みらい「全部終わったら回ふ…」


さやか「…………せて」








みらい「え…?」


さやか「骨を断つッ!!!!!!!!!!!!」

96: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:07:16.47 ID:wtxlXnb30

みらい「ぐはぁっ………」


血飛沫を上げながらも尚倒れる事の無かった美樹さんは……。

左手で刀剣を作り出し…。


今度は敵に逆袈裟斬りを浴びせる。

美樹さん同様に無防備だった敵はやはり直撃を受け…。

彼女とは違い、血飛沫と共に倒れた。




みらい「嘘……でしょ………?」


みらい「あん…………なの………食らっ………。

    動け………なん……て…」



みらい「まさ…か………、痛…、みを………」



さやか「うん…、消してる」


さやか「あたしの能力は治癒能力…。

    ほら…、さっき受けた傷もこうして治ったでしょ?」

さやか「だから、痛覚遮断とすごく相性がよくてね。

    戦闘時はこうして動きが鈍らないようにうまく使ってるわけ」

97: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:09:45.50 ID:wtxlXnb30

みらい「それ…じゃあ………」

みらい「それ、じゃ……、化け……物……、じゃん………」


さやか「……………そうだね」

さやか「あたしもそう思う」


さやか「けど、守りたいモノを守る為なら…。

    その為に化け物であるなら…………、もういいかなって」

さやか「そう思えるようになったんだ」



みらい「強いね………」


さやか「弱いよ」

さやか「だから、自分自身も大切な友人も傷つけて、もうどうしようもなくなって…」


さやか「でも、そんなあたしをあの子は救ってくれた。

    体を張って向かい合ってくれて、大好きだって言ってくれた」


さやか「だから、今度はあたしの番」

さやか「あたしがあの子を守る為なら……。あの子に応える為なら………。

    化け物だろうと何だろうと構わない………」


さやか「それがあの子の認めてくれた『あたし』だから」


みらい「……………」

98: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:10:20.95 ID:wtxlXnb30

サキ「みらいッ!!!!!!」


マミ「私が射撃型だからって長々と他所見を続けるのは感心しないわね…」


サキ「!?」

マミ「あまり近寄られるのは鬱陶しいから…」




マミ「ちょっと離れてもらえるかしら!!!!!」


敵が繰り出した鞭でマスケット銃を失い、丸腰となっていた私は…。

仲間を気にした隙を突いて、その懐へと飛び込み…。

足先に魔力を込めたハイキックを、モノクルの魔法少女の鳩尾へ食らわせた。




サキ「くふっ………」



マミ「チェックメイト……!」


蹴り飛ばされ、意識を失いながら地面へと派手に倒れた敵にさらに追い打ち。


突如地面から飛びだしたリボン状の拘束魔法は、敵の四肢へと巻き付き…。

彼女をそのまま地面に張りつけにした。

99: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:11:00.85 ID:wtxlXnb30

さやか「勝負あり………」

マミ「かしらね………?」


ニコ「……………」

ニコ「よろしい」



さやか「さぁ、アンタ達の目的から何から白状して……」


ニコ「今度はこの私がお相手してしんぜよう………」


ニコ「いや………」

ニコ「正しくは私『達』と言うべきかな?」



マミ「!?」

さやか「これは………」


気が付けば、私達の周囲は…。

三十…、いや四十を超える、変身を終えた三人目の魔法少女の分身達に取り囲まれており…。



ニコ「さらば」

ニコ「プロルン・ガーレ!」


それぞれの分身の両手の指をミサイルに変え、それを一斉に放たれ…。

絶体絶命の危機を迎えた。

100: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:12:56.57 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内山奥――



杏子「さぁて………」

杏子「邪魔者も消えた事だし……、仕切り直しと行こうぜ」



カオル「コイツ……」

海香「自分の仲間を………」


かずみ「平然と攻撃した……!」



杏子「仲間、ねぇ……」

杏子「足手纏いの間違いだろ?」


杏子「もともとアタシは一匹狼。

   色々と便利だから、アイツらとつるんじゃ居たが…」


杏子「そんなもん作ったつもりは微塵もないね…!」




かずみ「あなたはッ………!!!!!!」



杏子「だからわからねぇのさ」

杏子「仇討ちなんかの為にノコノコやってきたアンタらの気持ちがさ…!」

101: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:13:59.78 ID:wtxlXnb30

かずみ「あなたみたいな人に…! 織莉子とキリカはッ…!」


杏子「な~にキレてんだよ!」



杏子「つ~かさぁ? アイツら唯の極悪人じゃん!

   大量虐殺のイカレ野郎に何そんなに入れ込んでるわけ…!?」


かずみ「ふざけないでよ…」

かずみ「確かにあなた達にはただの敵だったかもしれない…! ただの虐殺者だったかもしれない…!」


かずみ「だけどッ! わたしには…」


かずみ「わたしにとってはッ! 大事な友達だったんだよッ!!!!!!!」



海香「かずみ! 一人で前に出過ぎ!」


カオル「しゃーない! 今私が支援にっ…………」

カオル「ぐっ………」


海香「カオル…!?」



海香「!?」

102: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:14:38.93 ID:wtxlXnb30

かずみ「極悪人でも…! 何でも…!」


かずみ「わたしには…、優しかったんだ!」



かずみ「二人のやった事はわかってる……!

    それでも、わたしは……!」


杏子「……………悪いな」



かずみ「今更、何をッ!」


杏子「けど………、これで」

杏子「終わりだ」



かずみ「え…………?」


遠方より一瞬で迫るピンク色の閃光。

それは、かずみの両足を勢いよく吹き飛ばした。

103: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:15:20.90 ID:wtxlXnb30

まどか「あ……あぅ…。

    い……いたた……」

杏子「悪いな、まどか」


まどか「いいって」

まどか「杏子ちゃんが同士討ちを演じてくれなかったら、わたしはあの人を振り払えなかったし…。

    そしたら二人ともやられてたかもしれないし…」


杏子「後で倍返しにしてくれて構わない……」


まどか「……………じゃあ、また御飯御馳走してよ」




まどか「わたしは、そう言うの方が好きだから、ね」

杏子「ふっ………りょーかい」




杏子「さて………」


杏子「もうだいたいわかったっちゃわかったが…」

まどか「改めて、今回の決闘の理由を教えてくれないかな…?」




かずみ「……………」

104: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:16:18.69 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内河川敷――



空を駆け、私達の元へと迫り来る無数のミサイル。

幸い、弾速はそう早くないものの…。

一切の退路は無く、全周囲を埋め尽くすように次々と迫って来ている…。




マミ「…………」


さやか「マミさん………!」

さやか「二人で踊れば何とかなるんじゃないですか……?」


マミ「………そうね」



マミ「やってみましょうか!」

さやか「はい!」


私と美樹さんは互いの背中を合わせるようにして立ち…。

私は被っていたベレー帽、美樹さんはマントの端を握りつつ、右手に魔力を込めると…。


右手を大きく振るって魔力を放ち、自分たちの周囲一帯に、

それぞれの獲物の銃と剣を大量に作り出した。

105: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:17:15.43 ID:wtxlXnb30

さやか「さぁ………、やってやりましょう! マミさん!!!!」


マミ「えぇ……、見せてあげましょう! 美樹さん!!!!」


言いつつも互いに手近にあった獲物…。

私は美樹さんの剣を右手に、自分の銃を左手に取り、美樹さんは私の銃を握り…。

迫るミサイルを斬り払い、飛んでくるミサイルを撃ち抜く…。


互いに使った獲物を捨て、右回転しつつ、さらに新しい獲物を手に取り…。

今度は三発の銃弾でミサイルを撃ち抜き、私に迫ってきたミサイルを美樹さんの剣が払い、私はその美樹さんの背後へと回る…。




獲物を捨て、剣を振るい、投げ当て、獲物を捨て銃で殴り、狙い撃つ…。

それを両手で行いながら、互いに背を合わせたまま時計周りに回り続け、その回転の速度をだんだん速め…。

時に逆に回ったり、その速度を落として緩急をつけたりしながら…。


まるで踊るかのように武器を振るい、迫り来るミサイルの山、ひいてはそれを放つ敵の分身を次々に片していく…。

106: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:21:48.99 ID:wtxlXnb30

ニコ「これはまた…」

ニコ「おっそろしく派手かつ華やかなことで………」



さやか「あたしとマミさんの協力技…!」


マミ「名付けて『魔姫達の舞踏』ってとこかしらね…!」


私の『魔弾の舞踏』をベースに…。

美樹さんの投剣生成の魔法を加え、さらに舞踏の如く攻撃も二人で行う合体技…。

こんな技が出来れば面白いと言う話はした事はあっても、その練習自体はした事が無く、ぶっつけ本番。

何にしてもうまくいってくれてよかった…。



さておき…。

気付けば、迫るミサイルは一つも無く…。

その分身もそのほとんどが失われ、本体らしき者も無防備となっていた。

107: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:23:33.15 ID:wtxlXnb30
マミ「……………」


マミ「美樹さん!」

マミ「あそこの僅かに物陰に隠れた彼女…、あれが本体よ!」


さやか「了解っす! 一気に決めますよ!!!!」


私の指示に従い、敵の本体へと駆けていく美樹さん。

その圧倒的な速度で一瞬で距離を詰め、自分の間合いへと持ち込み…。




ニコ「速い!?」

さやか「これで…!」



ニコ「けど、迂闊だ」



ニコ「あっち向いて……ホイ!」


108: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:24:39.80 ID:wtxlXnb30

さやか「あ…、れ…?」


美樹さんが敵に斬りかかろうとした瞬間…。

何故か美樹さんの顔は、敵の一指し指の動きに合わせる形で明後日の方向を向き、そのまま動きが止まり…。





ニコ「トッコ・デル・マーレ」


さやか「え………ぁ……」


その僅かな隙に唱えられた呪文により、美樹さんのソウルジェムは抜き取られ…。

変身が解けた美樹さんは、そのまま地面に倒れ込んだ。

109: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:25:42.62 ID:wtxlXnb30

ニコ「…………」

マミ「…………」


ニコ「…………やって、くれるね」


引き抜かれた美樹さんのソウルジェム。

青く輝くそれは、敵の手に触れられる事は無く、地面にぽとんと落ちて、転がる…。



ニコ「背後からの拘束魔法……か……」

ニコ「あのやたら速い彼女だけで飽き足らず…、後ろからはコレ…。

   どこまでも容赦ない…」


ニコ「恐ろしや恐ろしや…」


マミ「言ったでしょう? 仲間が優秀だからと任せきりにするつもりはない…と」



美樹さんを単騎で突撃させるのが危険だと感じた私は…。

彼女に指示を出す前から予め、地中から拘束魔法を伸ばしていた。

そして、美樹さんの攻撃に合わせ、それを敵の背後から繰り出した、と言うだけの事


放たれた拘束魔法は彼女のジェムを掴む前にその右腕を縛り、骨をへし折り…。

さらに全身に巻き付き、その動きを完全に封じた。


今度こそ、勝負ありと言っていいだろう。

110: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:26:21.30 ID:wtxlXnb30

ニコ「参ったよ…」

マミ「イマイチ信用ならないわね」


私は美樹さんのソウルジェムを拾い上げ、彼女の胸元へと戻す。

ソウルジェムは彼女の胸の中へと吸い込まれ、魔法少女の姿に戻った彼女が目を覚ます。

目をパチクリさせている所を見ると、どうも状況がよくわかっていないようだ。


ともかく…。

これで、奇襲を仕掛けてきた胡散臭い彼女とも、落ち着いて交渉ができると言うものだ。



ニコ「そこのトランクを開けてごらん」

さやか「アンタ…、また罠じゃないでしょうね…?」


ニコ「ん…、そう言われるのも仕方ないね」

ニコ「じゃあ、君がここに持ってきて、私の目の前で開けると良い。

   それなら何かあったら私も巻き添えだし、もう一人が離れてれば何かと対処もできるだろう?」


マミ「勝ったのは私達よ。

   開けない、という選択も取れるのだけど」

ニコ「それは構わないけど……、私達がやって来た理由もそれにあるんだ」


渋々ながらも、私はトランクを拘束魔法を伸ばして回収し…。

美樹さんに少し距離をとらせ、彼女の足元でそれを開いた。

111: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:26:48.95 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内山奥――



まどか「…………」

かずみ「…………仇討ち、とかそんなつもりはなかったの…」


杏子「だったら、なんでまた…」

かずみ「わかんない…」


杏子「わかんないって…」

かずみ「わかんないけど…。このまま二人に何もしてあげられないまま…。

    二人の為に何もしないままなんて………、そんなことできなかった…」

かずみ「わたしは二人にたくさんのものを貰ったのに…。優しくして貰ったのに…。

    私は二人に返せないなんて…!」


かずみ「二人がやってた事は知ってた。

    だから相手を責める事も出来ないし、一緒に戦う事は二人に止められていたから、わたし自身を責める事も出来ない…」

かずみ「でも、せめて二人の為に怒って…。

    二人の仇の顔を………、一発だけでもぶん殴ってやろうと思ったの…」


まどか「………」

かずみ「こんなことしたって、何にもならないってことくらいわかってる…。

    でも………、それでも……」


かずみ「このままじゃいられなかったんだ………」

112: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:27:25.63 ID:wtxlXnb30

杏子「…………」


杏子「なら、後でアタシの顔をぶん殴れ」

杏子「互いに譲れないモノがあったとはいえ………、織莉子やキリカを殺したのはアタシ達だ」



まどか「わたしもいいよ………」


まどか「かずみちゃんの気持ち…、よくわかる…」

まどか「わたしも大切な人に色んなモノを貰いっぱなしで…。

    でも、何も出来ずにいて、ずっと思い悩んでいたから…」


かずみ「…………」


まどか「わたしは、たまたま………、その人が苦しんでいる時に立ち会えて…。

    ほんの少しだけそれを返す事ができたけど…」


まどか「わたしがかずみちゃんの立場だったら…。

    何も出来ずにその人を失っていたら…」


まどか「かずみちゃんと同じ事をするか…。もっと酷い事するか…。

    何も出来ずに一人で悲しみに暮れてたと思う…」


かずみ「…………」

113: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:27:51.28 ID:wtxlXnb30

まどか「だから………」


かずみ「もういい………」



まどか「え…?」


かずみ「ここでこうしてたら、すっきりしちゃった」

かずみ「まどかも杏子も………、悪い人じゃなかったし、

    お互いに事情があった事もわかってるから………」


杏子「…………」


かずみ「それにね……、二人に言われたんだ」


かずみ「過去でも、未来でも無くて………。

    『今』に生きろって」


かずみ「二人は、『過去』と『未来』に縛られて、生きて死ぬつもりだから…。

    せめて、わたしには自由に、思うままに『今』を生きて欲しいって……」


かずみ「だから…、もうあなた達は恨まない…」

かずみ「『今』のわたしはそう決めたから…」


まどか「そっか…………」

114: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:28:25.76 ID:wtxlXnb30

杏子「お前の事はわかったが……」

杏子「あの二人も同じなのか?」


かずみ「カオルと海香? 違うと思う。

    あの二人や他の皆は、織莉子達とはあんまり仲良くなかったから…」


かずみ「たぶんだけど…。二人とも優しいから、わたしに付き合ってくれたんだと思う…」



かずみ「ダメだなぁ、わたし。自分勝手に友達を巻き込んで………」

まどか「………本当に辛い時は、それもいいんじゃないかな?」



まどか「悪い事してるってわかってるけど、割り切れない、止まれない…。

    そういう時ってあると思うんだ」

まどか「そして、そんな時に付き添ったり、受け止めたりするのが…」



まどか「『友達』なんじゃないかな?」



かずみ「…………」


まどか「だから、今度はかずみちゃんが二人の何かを背負ってあげればいい…」

まどか「そうやって、支えたり、支えられたりしていけばいいと思うな」




かずみ「うん………、ありがとう………」

115: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:29:01.26 ID:wtxlXnb30

――見滝原市内河川敷――



マミ「これは…………」


マミ「グリーフシード………」


不意打ちまで仕掛けてきた三人目の魔法少女の提案。


それに従って、開いたトランクの中に入っていたのはグリーフシード。

しかも未使用の物がトランク中に敷き詰められている…。




マミ「これをやるから見逃せ、と?」

ニコ「いやいや、それは最初から君達の物だよ」


マミ「何を…」


ニコ「それの送り主は織莉子とキリカ」





ニコ「彼女達の残した置き土産、と言うヤツだね…!」

116: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:29:45.64 ID:wtxlXnb30

マミ「馬鹿な…」

マミ「なんで敵である私達にこんな物を用意する必要が…」



ニコ「ワルプルギスの夜」

マミ「…!」


ニコ「あれが今から四日後にやってくる…。

   これはその為の備え、と言う事だね」



マミ「あの美国さんが、その事を全く考えていないって事は無いと思っていたけど…」


ニコ「うん」

ニコ「ワルプルギスの夜との戦闘も例外ではなかった」



ニコ「彼女はその為に、私達『プレイアデス聖団』と手を組んだんだから」

117: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:30:32.97 ID:wtxlXnb30

マミ「どういう事…?」


ニコ「簡単さ」

ニコ「元々私達『プレイアデス聖団』と彼女達では、思想も目的も全く違う。

   私個人としては試薬の実験データを取ってもらったりしたけれど…。

   特別に親しい訳でも無く、とある一点に置いて互いに利害が一致したから手を結んだ………、とてもドライな関係だよ」



マミ「…………」



さやか「その一点が、悪なんちゃらってやつなの…?」


ニコ「悪プルギスの夜」

ニコ「あまりの悪さ故に封印された古代帝国の王『プルギス』が、夜鍋して作った…」


マミ「…? 文献も多少調べたけれど、そんな話はどこにも…」


ニコ「いや、冗談だよ」

ニコ「君にまで本気にされると……その…、困る」



さやか「ふざけんな!」

マミ(この人…………)

118: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:32:08.52 ID:wtxlXnb30
ニコ「まぁジョークは捨て置いても、今までの魔女とは比較にならない化け物だと思って良い」

ニコ「そうだね…。ゲームで言えば今までの魔女が中ボス程度で、ヤツは大魔王とでも言うと正確かな」


さやか「…………」

ニコ「今度の例えは冗談ではないよ?」

さやか「わかってるよ…」



ニコ「伝承上の妖怪や悪魔の正体や、大災厄の原因の幾つかが魔女だって言う話があるんだけど…。

   『ワルプルギスの夜』はまさにその生ける伝説そのものと言える存在でね」

ニコ「力の強さもさながら、その強さが為に結界を必要とせず、

   それ故に大災害クラスの多大な被害を現実世界に残す厄介な相手なのさ」


マミ「だからこそ、こちらも準備をしてはいたんだけどね…」

ニコ「あぁ…、君は感知能力が優れているんだったね」


マミ「えぇ、彼女と違って薄らと…、近々来るだろう…、くらいの気構えだったから、

   その備えもそう多くなくて、彼女との戦いで使い果たしてしまっていたんだけど」

ニコ「で、その彼女から新たな備えが届く…、それはまた皮肉だ」


ニコ「話を戻すと、私達『プレイアデス聖団』は、彼女達が『ワルプルギスの夜』と戦う為のグリーフシードを集める代わりに…。

   彼女達の予知で、その『ワルプルギスの夜』の進路及び実害の及ばない区域を教えてもらう、と言う約束だったのさ」

119: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:33:01.01 ID:wtxlXnb30

さやか「その言い草だと…、アンタ達はワルプルギスとは戦わないわけ?」


ニコ「悪いけど、そう言う事になる」

ニコ「私達は私達で絶対に成し遂げたい事がある。

   申し訳ないが、ここで倒れる訳にはいかないんだ」


さやか「…………」

ニコ「で、彼女達の遺言に『私達が倒れた場合は、代わりにワルプルギスと戦う事になる見滝原の魔法少女達にこれを渡す』

   とあったから、こうして、届けに来たと言う事だね」


ニコ「これで、こちらの事情説明は終わりだよ」



マミ「だいたいわかったけど、一つだけ」

ニコ「何かな?」


マミ「グリーフシードを届けに来ただけのあなた達が、何故交戦する必要性があったの?」



ニコ「身分証明の為、かな?」

マミ「身分証明…?」


ニコ「グリーフシードは魔法を使う為に欠かせない物、それもこの量になればかなりの事が出来るだろう。

   扱いには十分注意が居る。迂闊な奴に渡したら大問題に発展するだろう」


ニコ「なのに最近見滝原には、変装魔法を得意とする魔法少女やらピックジェムを行う魔法少女やら、妙なのが向かったと聞いたからね。

   君達が本物であるか、戦ってでも確認する必要性があったのさ」

120: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:34:56.04 ID:wtxlXnb30

マミ「………そう」

ニコ「うん。じゃあ、そろそろこの拘束を解いて…」



マミ「五分後には勝手に解けるわ。

   行きましょう、美樹さん」



さやか「えぇ…、って良いんですか?」


マミ「ダメージがあるとは言え、彼女は動ける。モノクルの彼女もそう大きな傷はない。

   魔法少女が二人いるなら、後の始末は自分たちで出来るでしょう」


さやか「そうっちゃそうか…。了解」




ニコ「飽くまで信用はされてない……と言う事だね」

ニコ「………これは手厳しい」


ニコ「誰かに見られたら、変な趣味の人って思われるんだろうなぁ…」

121: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:35:56.07 ID:wtxlXnb30

────────

────

──


ニコ「やれやれ、酷い目にあった…」



ニコ≪君からの報告がもう少し早ければ、私はこんな痛い目にあわずにすんだんだけど…≫

里美≪ごめんね、ニコちゃん…≫


みらい≪いいよ、謝らなくて。自分だけ楽しようと思うのが間違いなんだよ≫

ニコ≪ごもっともで…≫


サキ≪言うな、みらい。戦闘目的が勝利で無い以上、先発と後発に分けたのは正解だったよ≫

里美≪下手に勝って彼女達が戦ってくれなかったら、ワルプルギスがあすなろ市にも来ちゃうかもしれないのよね…≫


サキ≪で、例の物は回収できたのか?≫

里美≪うん。バッチリよ。皆が頑張ってくれたおかげね≫

みらい≪戦闘で気を逸らし、その間に里美がピックジェムの子の集めたソウルジェムを巴マミの家から盗む作戦は成功、と≫


みらい≪そう言えば、そのピックジェムの子は?≫

里美≪彼女も無事に回収できたわ≫

里美≪織莉子ちゃんを殺したって言う例の変装魔法の子は見かけなかったけど…≫


サキ≪そっちは恐らくは逃がされたんだろう≫

122: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:37:09.74 ID:wtxlXnb30

ニコ≪で、大丈夫? さっきから喋って無いお二方~?≫



カオル≪ん…≫

海香≪平気…≫


サキ≪かずみを巻き込んだこと、か?≫


カオル≪うん……、正解だったのかなって≫

カオル≪なんか一生懸命探してて、目の前にそいつが居るのに教えないってのもなんかさ…≫


海香≪それに、あの子は彼女達にべったりだったから…≫


ニコ≪こうでもしないと、またフラフラ見滝原に行きそう、か…≫



サキ≪まぁいいさ、肝心のあの子が無事なら≫

みらい≪やりたいことやったなら、迂闊に見滝原へ行く事も無くなるだろうし、結果オーライでしょ≫

サキ≪そうだね。心配事の種は除いておくに限る…≫


里美≪………≫

里美≪彼女達にご執心と言う時点で心配だけど…≫


ニコ≪里美…?≫

里美≪うぅん、何でも無い≫

123: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:38:04.97 ID:wtxlXnb30

ニコ≪ともかく、作戦は無事完了≫


里美≪お部屋、なるだけ汚さないようにしたけれど、それでも驚いてるだろうなぁ…≫

海香≪空き巣か…、やられたらと思うとぞっとする…≫


カオル≪悪い事はしていない。私達に回収されるのは彼女達の為にもなる≫

里美≪あそこに残っててもワルプルギスの攻撃に巻き込まれるだけだものね…≫



みらい≪とにかく~!≫

みらい≪ボクお腹すいたーーーー!!!!≫


里美≪もう…、みらいちゃんったら≫

サキ≪わかったわかった。帰ったらかずみに何か作ってもらおう≫



ニコ≪…………≫

ニコ≪さぁ…、頑張ってくれよ。見滝原の魔法少女達≫


海香≪さっさと逃げて、高みの見物を決める私達の言う事じゃないかもしれないけど…≫



カオル≪私達だって、一人でも多くの人たちが救われるよう祈ってるんだから…≫



―to be continued―

124: ◆.2t9RlrHa2 2012/02/28(火) 22:38:30.55 ID:wtxlXnb30

―next episode―



「また、こうして皆で集まって…。御飯食べたり、遊んだりしたいですね」






―【第二十三話】明日への誓い―





128: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:53:02.17 ID:YkANte9p0

ほむら『私が………、世界を滅ぼす存在…?』

ほむら『だから…、だから、あの人達は私を…』


ほむら『悪いのは………、私……、そうだったんですね…?』

ほむら『正しいのはあの人達で……!

    間違ってるのは……、消えるべきなのは私の方だったんですね…!』


まどか『ほむらちゃん!!!!』

マミ『落ち着きなさい、暁美さん!』



ほむら『巴さん……』

ほむら『私……、死にます……』



まどか『ほむら……ちゃん……?』

さやか『ほむら、アンタ何言って…………』



ほむら『鹿目さんや美樹さんは知ってますよね…?』

ほむら『私は…、誰かと居ても迷惑をかける私が大嫌いでした…」


ほむら『でも、迷惑どころか世界を滅ぼすなんて…!

    そんな…、そんな私は死んじゃった方がいいんです!

    その方がみんなの為になるんなら、私はッ!!!!!!!!』

129: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:53:35.40 ID:YkANte9p0

杏子『………死んじまえよ』


さやか『ちょっと杏子!』

マミ『佐倉さん! あなたなんて事を…!』


杏子『何の確証も無ければ、碌に信憑性もねぇ与太話聞かされて、

   自信が無くなっちまうほど、お前は自分が信じられねぇんだろ…?』

杏子『まどかやさやかやマミの友情や信頼も…。

   お前の病気を治療する為に毎日苦労して、今も碌に休まず働いてるお前の両親の思いも…。

   何もかも信じるに足らないんだろ…?』


ほむら『それは………』


杏子『くだらねぇ予知の方が、ダチや両親よりも信じるに値する…、そう思ったんだろッ!

   てめぇはッ!!!!!』

ほむら『違います! 私はただ、みんなに迷惑をかけたくなくて…!』


マミ『確かに…、皆を守る魔法少女の立場から考えれば…。

   世界の事を第一に考えるなら…、美国さんの選択が正しいんでしょうね…」


ほむら『そうです! だからッ…!』


マミ『でも、私は彼女の意見には賛同しない。

   そう思えるだけの根拠も確証もない内に、相手を責め立てるのは………、傲慢だと思うから』

130: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:54:32.24 ID:YkANte9p0

マミ『ねぇ暁美さん、よく考えてみて…?』

マミ『仮に魔法少女の才能があったとして、今のあなたは唯の中学生に過ぎない。

   その唯の中学生が世界を滅ぼすなんて出来ると思う…?』


ほむら『………いいえ』

マミ『そうよね。だから、もしもあなたが世界を滅ぼすとしたら、一つ大きな過程を踏む事になる。

   それも、あなた自身の意思が絡む選択がね』


ほむら『私の………選択……?』

ほむら『魔法少女の………契約…!』


マミ『そう…。そして、それはあなたの意思一つで回避できる物と言えるわ…』

マミ『なら、わざわざ殺さずとも世界は救える。

   あなたは全てを知り、その危険性を理解しているのだから…』

ほむら『……………』



さやか『ねぇ、ほむら。あたし達は、敵からアンタを守ってあげることはできる…。

    でも、ほむら自身の弱さから、ほむらを守ってあげる事は出来ないんだよ…』


ほむら『私の…、弱さ…』

さやか『アンタを狙う敵と戦うのがあたし達の戦いなら……。

   「絶対に契約しない」、それがアンタの戦いだよ、ほむら』


さやか『あんな奴の見た予言なんかさ、覆してやろうよ!』

131: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:55:03.44 ID:YkANte9p0

ほむら『なんで……、皆さんは私を守ろうとするんですか…?』

ほむら『私を殺そうとする敵の魔法少女の方が、きっと正しいのに…!

    私がみんなを裏切れば………、何もかも終わりなのに……!』


まどか『それはすごく簡単』

まどか『わたし達はみんな………、ほむらちゃんの事が大好きだからだよ』

まどか『だから、どんな事を言われてもほむらちゃんを信じるし、

    美国さん達からも絶対に守り通す』


まどか『だからさ、前にも言ったけど…。

    自分を信じてあげようよ、ほむらちゃん』

まどか『わたし達も一緒に………、ほむらちゃんの事信じるからさ』


マミ『そうよ。あなたはもう少し自分を信じなさい』

杏子『仲間の事もな。一人で背負うとこう言うのは大概碌な事になんないもんさ』

さやか『ほむらはネガティブ過ぎ! もっとポジティブに考えなって』



ほむら『う……うぅ………』

ほむら『私………、私はっ…』


まどか『泣きたい時は泣いて良いよ』

まどか『辛い時、苦しい時は振り返ってみて』


まどか『その為に友達………、うぅん、仲間がいるんだから!』

132: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:56:28.07 ID:YkANte9p0










―【第二十三話】明日への誓い―















―【第二十三話】明日への誓い―










133: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:57:25.92 ID:YkANte9p0









―【第二十三話】明日への誓い―










134: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:57:58.42 ID:YkANte9p0

ほむら「ん………ふぁ…」


ほむら「私……、寝ちゃってたんだ……」


いつも見上げている天井を眺めながら一人呟く。

窓の外はいつの間にか日が落ちて、すっかり暗くなっている。


いつ頃寝てしまったのか、と考えようとしてやめた。

今さっきまで見ていた夢…。


かつての敵の目的と自分の危険性を知り…。

同時に仲間との絆を知ったあの日…。


全てを知った上で私が運命に抗ってでも生きようと思ったあの日の事を…。

135: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:58:38.50 ID:YkANte9p0

ほむら「どんな事を言われても信じるし、絶対に守り通す、かぁ…」


鹿目さん達の言葉を思い出し、それに耽る…。

ただ、あの日の事を思い出す時は美談だけでは終わってくれない…。




ほむら「世界を滅ぼす、存在……」


それを改めて認識させられ…。

あの人との戦いが終わってからは、その最期の言葉も一緒に思い起こされた。



『暁美ほむら…』

『貴女はどうしようもなく、弱く、脆い』

『その貴女の歩みは世界を滅ぼす…………』



『だから、貴女は前を向くな………』


私を追いたて、みんなを苦しめた強敵。

白の魔法少女『美国織莉子』。


彼女の言葉が…。

136: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 01:59:22.15 ID:YkANte9p0

ほむら(どうしようもなく弱く、脆いか…)


自覚はある。

元々病弱で、この前まで入院していた私は肉体的な意味でも無力で…。

ずっと学校を休んでいたから勉強だってあまり出来ない…。

何も出来ない、何の取り柄も無い私は確かに弱い…。


そして、みんなにあれほど想って貰っている事を知り、生きようと思ったにも関わらず…。

今尚こうして悩んで、僅かでも揺らいでしまうほど脆い…。




ほむら「その私の歩みは、世界を滅ぼす、か…」


当然かな?と言う気はしてくる…。

力も無ければ、頭も悪く、おまけに心も弱い私が…。

魔法少女の力を手にした所で、それを正しく使えるかは自信が無い…。


そんな私が力を得た事で調子に乗って、何か大きな、とんでもない事をしでかすとすれば…。

何もかも辻褄は合う…。

137: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:00:01.91 ID:YkANte9p0

ほむら「前を向くな、か…」


何をやってもお前は駄目。

むしろ頑張れば状況を悪化させる。

だから、私は前を向くな。


わからないでもないけれど、やっぱり面と向かって言われるのは…。

まして、死に際の恨み事として言われるのはきついものがあった…。




ほむら「…………」

ほむら「遠回しに、私なんて死んじゃえってそう言ったんだろうなぁ…」


ほむら「はぁ………」


ほむら「おっと、いけないけない…」

ほむら「鹿目さんは、こんな私でも大切な仲間だって言ってくれたんだから…」


ほむら「あの人の予言の言葉なんかに………、私は負けない…!」




ほむら「でも、鹿目さんか…」

ほむら「何か忘れてるような…?」

138: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:00:38.91 ID:YkANte9p0

噂をすればなんとやら。

言った直後に玄関のチャイムが鳴り…。

開いた扉の向こうには、笑顔の鹿目さんと、少し呆れた様子の美樹さんが立っていた。



まどか「こんばんは、ほむらちゃん」

さやか「ち~っす」


ほむら「こんばんは…」

ほむら「あーーーーー!!!!」



まどか「遅いから迎えに来たんだけど…」

さやか「その様子じゃすっかり忘れてたみたいね」



ほむら「すいませんすいません! 今すぐ準備を…!」


まどか「連絡しといたからゆっくりでいいよぉ」


二人の顔を見て、私はようやく今晩の予定を思い出す。

三日前にメールで巴さんから連絡があり、食事会をしないかと誘われていたのだ。


そして、鹿目さんから連絡があり、私達は指定時間の19時の15分前に駅前に集合予定だったんだけど…。

今の時間は19時15分…。


完全にやってしまった…。

139: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:01:39.69 ID:YkANte9p0

――マミのマンション自室――


杏子「遅ぇ!!!!!」


ほむら「ごめんなさい、ごめんなさい………」


まどか「ごめんなさい、杏子ちゃん、マミさん、ゆまちゃん…」

さやか「ごめん、みんな…」



杏子「手伝いや買い物はアタシやマミ、ゆまに全部やらせて…。

   おまけにお預けくらったみたいにさんざん待たされて…。

   お前らは後からやって来るなり、御馳走にありつこうってか…?」


さやか「しつこいなぁ…、さっきから謝ってんじゃん…」

さやか「第一、アンタはいいわよ。最初からマミさん家に居候してるんだから、

    どうやったって遅刻出来ないでしょうが!」


さやか「料理だってほとんどマミさんの自作でしょ? アンタがえばるな!」

杏子「ほぅ…、遅刻した側が口応えすんのか…?」



マミ「やめなさい!!!!!」

マミ「二人の分だけ抜きにするわよ…?」


さやか&杏子「ぐっ………」

140: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:03:08.43 ID:YkANte9p0

ほむら「あ………、あの……。私が悪いんです…。

    約束を忘れて寝過ごして、二人を待たせたから…。怒るなら私だけに…」


まどか「ほむらちゃん…、そんなに気にしなくていいって…」

さやか「そうだよ。こう言うのは連帯責任。

    あたしらももうちょい早くアンタの家に行けばよかったんだし…」



ゆま「キョーコがあんまりしつこいから、ヤなムードになっちゃったよ…?」

杏子「アタシは悪くねぇ…!」


マミ「そうよね…」

マミ「佐倉さんは食べ物の事が絡むと少し攻撃的になるのよね?」


マミ「この間の深夜だって、私の…」



杏子「あぁ~~~~!!!!!」


杏子「言うな! 言うな! その事はこいつらに言うな!!!!!!」


マミ「この間の深夜に…」

杏子「悪かった! アタシが悪かったって!」


マミ「よろしい」

141: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:03:50.86 ID:YkANte9p0

マミ「でも、暁美さんも待ち合わせの遅刻には気を付けてね。

   お友達同士だから笑って済ませるけど、時間に遅れると言うのは何に置いても大変失礼な事だから…」

ほむら「はい…、気を付けます…」


マミ「美樹さんも暁美さんを庇うのは良いけど、相手に喧嘩腰なのはいただけないわ」

さやか「はい…、気を付けます…」




マミ「じゃあ、仲直りしなさい」


杏子「んと…、悪かったよ…」

さやか「こっちこそ言い過ぎた。ごめん…」

ほむら「本当に…、すいませんでした…」




マミ「よし、じゃあ冷めた料理も温めなおしたし、頂きましょうか」

142: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:04:59.70 ID:YkANte9p0

ゆま「でも…、キョーコは何をしたの?」

ほむら「私も、あの佐倉さんがそんなに慌てるなんて、興味あるかも…」


杏子「な、なんもねぇよ…///」

マミ「~♪」

杏子「言うなよ? 絶対言うなよ!」

マミ「わかってる、わかってる」


ゆま&ほむら「………気になる」




まどか「このシチュー…、おいしい!」

さやか「こっちのもメチャうまっすよ!」


マミ「うふふ。自信作なの。気に入ってくれて嬉しいわ」


まどか「後でレシピ教えてもらえませんか?」

マミ「勿論良いわよ」


さやか「おやぁ…? 最近まどたんも花嫁修業中ですかぁ…?」

まどか「え…? あ、う、うん…」


さやか「まさかとは思うけど…。レシピだけ聞いて、パパに作ってもらおうとか考えて無いよね…?」

まどか「………そ、そん、なこと、ないよぉ…?」


さやか「目泳いでるし、噛みまくりだし、バレバレだっつぅの…」

143: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:05:53.01 ID:YkANte9p0

マミ「料理で思い出したんだけど…。

   最近ゆまちゃんのお母さんはどう? 御飯作ってくれる?」


ゆま「うぅん…」

杏子「あのヤロウ…!」


ゆま「ち、違うの…! 暴力とかはしないの。

   ごはん買うお金もちゃんと渡してくれるし…」

ゆま「でも、最近ますますパパとうまくいかなくて元気ないみたいだから…」


杏子「それでも、親としては最低だ。同情はできねぇな」



マミ「まぁ他所の家庭問題に首を突っ込む訳にはいかないけど…。

   毎日コンビニ弁当とか外食ばかりと言うのは感心しないわね…」


マミ「そうだ」

マミ「来れるときだけでもウチに来なさい。

   前もって言ってくれればゆまちゃんの分も用意するから」


ゆま「ほんと…?」

ゆま「でも、マミおねぇちゃんに迷惑なんじゃ…」


杏子「ゆま、こう言う時は礼だけ言って甘えとけ」

ゆま「うん…。マミおねぇちゃん、ありがとう」

144: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:06:39.43 ID:YkANte9p0

杏子「マミ、悪いけど頼む」

杏子「この借りは必ず………、バイトとかできるようになったら必ず…。

   必ず二人分返すから……」


マミ「気にしないで良いわよ。

   あなたこそこう言う時は甘えなさい」


杏子「悪い………」



さやか「食生活と言えばさ…。

    あたし、ほむらも結構心配なんだけど」


ほむら「私………ですか?」


さやか「アンタん家もウチと一緒で共働きでしょ?

    ちゃんと自炊できてんの……?」


ほむら「………」

ほむら「……………」


ほむら「てへへ…///」


さやか「可愛く笑ってごまかしても、駄目なものは駄目」

145: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:08:14.89 ID:YkANte9p0

マミ「だったらウチに…」

さやか「これ以上はどう見ても無理ですよ…」



さやか「よっし! 教え込めるほどの自信は無いけど…。

    ここはさやかちゃんが一肌脱ぎますか」


杏子「お前料理出来んのか…?」

さやか「そこそこ。マミさんと違って、凡人に毛が生えた程度のレベルだけど」


まどか「一時期、パパの元に通って練習したもんね」

さやか「そうだねぇ…。その事もそうだし、他にも色々…」


さやか「まどかのパパとママには、他にもたくさんお世話になったし…。

    足向けて寝れないわ…」

杏子「ふぅん…、ちょっと意外だわ…」



杏子「ん? でも、まどかの家で特訓してたのに、まどかは出来ないんだよな…?」

まどか「うぅ~………、言わないでぇ///」

146: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:09:29.32 ID:YkANte9p0

さやか「と言う訳でほむら。アンタの食生活改善も兼ねて、あたしが御飯作りに行くよ。

    行ける時は……、って条件が付くけど」

さやか「あ…。ちゃんと一人でも作れるようにほむらもやるんだからね!」


ほむら「はい、わかってます。でも…、いいんですか? 美樹さん」


さやか「いいっていいって。アンタとあたしの仲じゃん

    それに、ほむらならわかると思うけど…」

さやか「一人で食べる御飯って寂しいもんだからさ…」


ほむら「そうですね……」


さやか「ま、大したもんはできないから、あんま期待すんなよっ」


まどか「大した物作りたくなったらウチに来ればいいよ。

    パパも忙しいからいつもは無理だけど…、二人の頼みならきっと断らないだろうし」

まどか「…………わたしも仲間に入れるし」


さやか「最後に何かボソっと言ったのが本音ではないかね? まどか君」

まどか「………///」


ほむら「二人ともありがとうございます。よろしくお願いします…」

147: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:10:45.17 ID:YkANte9p0

マミ「酷いわ、三人とも…。そうやって私は除者にするのね…」

さやか「いや、これ以上マミさんの負担が増えないようにって…。

    つーか、マミさんの所にも三人いるし、除者じゃないじゃないですか!」



ゆま「ゆまもお料理教えてほしいなぁ…」


マミ「ゆまちゃん…」

マミ「わかったわ。一緒に美樹さんに教わりましょうね」


さやか「へ? そこで何であたし!?

    マミさんはあたしより料理上手じゃないですか!」



杏子「飯食うのならアタシも呼べよ。

   多少の失敗作でも食ってやるから。勿体無いし」

まどか「それじゃあ、今日のメンバーと何も変わらないよぉ…」



ほむら「ぷっ…」

ほむら「あははははははははははっ」


ほむら「でも、本当に…」

ほむら「また、こうして皆で集まって…。御飯食べたり、遊んだりしたいですね」

148: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:11:37.38 ID:YkANte9p0

杏子「そうだな…」

さやか「また、こうやってみんなで集まって…。

    ワイワイやりたいよね」

マミ「そうね…。せっかくみんなとこうして出会えて…。

   こんなに仲良くなれたんだから…」



まどか「……じゃあ、約束しよう」

まどか「わたし達はずっと…、ずっと仲良しで居続けよう」


まどか「それで、またみんなで集まって御飯食べたり、遊んだり…、しよう。

    そうやって、ずっとずっと仲良しで居続けよう…!」



さやか「勿論…!」

マミ「えぇ」

ゆま「うん…!」

杏子「…おぅ」


ほむら「…………はいっ!」

149: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:12:04.36 ID:YkANte9p0

────────

────

──


さやか「じゃあ、あたし達、こっちだから」

まどか「夜道だから気を付けてね」


ほむら「はい。お二人も気を付けて」



まどか「そうだ……、ほむらちゃん」

ほむら「はい…?」


まどか「約束ついでに、わたしともう一つ約束してくれないかな?」

ほむら「はい…、何でしょう?」


まどか「絶対………、例え、何があっても………。

    魔法少女にはならないで」



ほむら「…………なりません」

150: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:13:10.11 ID:YkANte9p0

ほむら「それは私の存在を憂い、殺そうとした美国さんを肯定する事…。

    そして…」

ほむら「私を信じて戦ってくれた鹿目さん達を裏切る事になるから…」



まどか「そっか…。よかった…」

ほむら「でも…突然どうして…?」


まどか「うぅん、一応確認してみただけ」



まどか「じゃあ、おやすみ。ほむらちゃん」

さやか「おやすみっ、ほむら」


ほむら「はい、おやすみなさい」






ほむら「今日も楽しかった」

ほむら「やっぱりみんなといると楽しいな…」


ほむら「また、やりたいな…」

ほむら「あ、そっか…。約束したんだから、またできるんだよね…」


ほむら「でも、なんだろう…」


ほむら「この…、胸騒ぎは…」

151: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:14:05.44 ID:YkANte9p0

――マミのマンション自室――



杏子「ゆま、寝ちまったな」

マミ「はしゃいでたものね」


杏子「人に説教かましたりするのに…。

   こういうとこは、しっかり子供なのな…」

マミ「いいじゃない。可愛くて」


杏子「まぁ、な…」




杏子「けど…、ワルプルギスのこと、ほむらに言わなくて良かったのか?」

マミ「あの子をできるだけ、魔法の事に関わらせたくないから…」


杏子「さすがにバレるんじゃねぇか…?」

マミ「だとしても、彼女には何も出来ないわ」



杏子「いいや、できるだろ…?」


マミ「けど、それを彼女は選ばない」

マミ「私はそう信じてるわ…」


杏子「そうだな…」

152: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:14:42.60 ID:YkANte9p0

杏子「ワルプルギスの夜、か…」


マミ「怖い…?」




杏子「…………」


マミ「私は怖い………」

マミ「せっかく、こうしてみんなで仲良くできるようになったのに…。

   そのみんなを失うかもしれない事が…」


杏子「…………させやしないさ」

マミ「…………」


杏子「だって…、馬鹿みたいじゃん」

杏子「手放した大切な人の元へと戻れて…。面白おかしいダチもいっぱいできて…。

   新しい居場所まで見つけて…」


杏子「なのに、それをむざむざ手放してたまるかよ…!」


杏子「もう二度と……、失ってたまるか……」

153: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:15:33.57 ID:YkANte9p0

マミ「そうね…」

マミ「絶対に守らなきゃ…」


マミ「お互い……、ようやく手に入れた大事な居場所だものね…」

杏子「あぁ…」



マミ「その為には先輩の私達が弱気になってちゃダメよね」


マミ「うん……。弱気になるのはこれで最後」

マミ「ここから先は、私が一番のベテランとして…。

   みんなの先生として………、あなたたちを守るわ!」


杏子「ふっ………、その意気だ」




杏子(大丈夫だよ……、マミさん)


杏子(アタシがアンタを死なせたりしない……)

杏子(さやかも、ゆまも、まどかも、ほむらも………、みんなアタシが守る)


杏子(今度こそ………、失ったりしない)

杏子(守り通してみせる)


杏子(例え…………、この命に代えても!)

154: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:16:37.39 ID:YkANte9p0

――見滝原市内公園――



まどか「…………」

さやか「…………」


まどか「色んな事があったよね…」

さやか「そうだね…」


まどか「わたしが魔法少女になっちゃって…。

    マミさんと出会って…」

さやか「あたしも魔法少女になって、まどかとコンビ組んで…。

    杏子とやりあって…、わかり合って…。

    ほむらがやってきて、ゆまちゃんとも仲良くなって…」


まどか「二人で協力して魔女を倒したりしたよね」

さやか「杏子の特訓はきつかったなぁ…」


さやか「人間やめちゃってたって聞いた時はきつかったけど…。

    それと引き換えにできるかはわからないけど…、その分色んな物を手にできた気がする…」


まどか「そうだね…」

まどか「あのままだったら、ほむらちゃんはともかく…。

    マミさんや杏子ちゃん、ゆまちゃんとは出会えなかった…」

まどか「さやかちゃんとも、こんなに通じ合えたかもわからないしね…」

155: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:17:25.31 ID:YkANte9p0

さやか「…………ありがとう、まどか」

さやか「今あたしがここに居れるのは、全部アンタのおかげだよ」


さやか「アンタがずっと隣にいてくれたから…。

    アンタがあたしの事を諦めずに向き合ってくれたから…。

    あたしはこうして、ここにいられる」


まどか「それは違うよ」

まどか「わたしはただ………、さやかちゃんにして貰った事を返しただけ。

    ただ、さやかちゃんが隣に居て欲しいから頑張っただけ」


まどか「最初に手を差し伸べて………、ずっと支えてくれたのは………。

    さやかちゃんの方だよ」



さやか「…………そっか」


さやか「互いに支えたり、支えられたり…。

    それが友達ってもんだものね」



まどか「それも違う……かな?」

さやか「あり…?」

156: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:18:06.97 ID:YkANte9p0

まどか「それはあくまでも副産物」

まどか「本当の友達ならそうしちゃうし、そうされちゃう…。

    すごく自然な流れ…」


まどか「でも、友情自体はもっと根本にあるもので、もっと単純なものだと思うんだ」


まどか「わたしがさやかちゃんを好きで…。さやかちゃんもわたしを好きで居てくれる…。

    これくらい簡単なこと」

まどか「たったそれだけの事が、友達とか友情とかなんだと思うな」



さやか「ふ………」

さやか「随分大きな『それだけ』だね」


まどか「そうかな…? …………そうかも」



さやか「うん。少なくとも、あたしは口じゃとても言い表せない」

まどか「…………そうだね」




さやか「だから、あたしは体でこの気持ちを表現するッ……!」



さやか「まどかはあたしのッ! 嫁にッ! なるのだぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

まどか「きゃー」

157: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:18:47.13 ID:YkANte9p0

まどか「…………もう! さやかちゃんったら」

さやか「へへ…、まどかはあったかいなぁ…」



まどか「…………」

さやか「…………」


まどか「さやかちゃん………?」

さやか「…………なぁに?」



まどか「死なないでね」

さやか「…………まどかこそ」


まどか「じゃあ、約束しよう」

さやか「おうっ」

158: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:19:22.86 ID:YkANte9p0

まどか「指きり……」

さやか「げんまん…」


まどか「嘘吐いたら針千本…」

さやか「飲~ますっ」


まどか&さやか「ゆ~びきったっ!」



まどか「絶対…」

まどか「絶対だからね…」


まどか「嘘吐いたら、ホントに針千本飲ますからね…?」

さやか「………うん」


まどか「だから………、ずっと一緒にいようね」

さやか「…うん」




まどか「ずっと………一緒に………」




―to be continued―

159: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/05(月) 02:19:49.62 ID:YkANte9p0

―next episode―



「そんな当たり前の結末を裏切りだと言うなら、そもそも願い事なんてすること自体が間違いなのさ」






―【第二十四話】絶望の夜に(前編)―


164: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:18:55.78 ID:8T74D1s80

タツヤ「今日はお泊り~? キャンプなの~?」

知久「ああ、そうだよ。今日はみんなで一緒にキャンプだぁ~」


ほむら「………」


突如、見滝原付近に発生したスーパーセル。

それはそのまま見滝原に進路を進め…。

その危険性から、私達見滝原市民は、他より比較的安全と思われる巨大な興業施設へと避難している…。




早乙女「ほむらちゃんは先生と一緒にいましょうね」

早乙女「大丈夫。ご両親が働いてるのは市外だから、きっとここより安全よ」


ほむら「はい…」



詢子「おい、まどか」

詢子「お前ビビり過ぎだ。

   そんなんじゃ、ほむらちゃんに笑われるぞ?」



ほむら「………」

165: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:19:37.68 ID:8T74D1s80

詢子「ったく…、大丈夫だっつーの!

   ほら、ほむらちゃんからも何か言ってやってくれよ」


ほむら「はい……」


さっきからずっとこうやって…。

鹿目さんのお母さんは、鹿目さんを励まし続けている…。


けど、その鹿目さんは本当はここには居なくて…。




『魔法少女のわたし達には、何かできることがあるかもしれないから…』

『ちょっといってくるね』


そう言ってここを出ていった…。



そして、その際に多分…。巴さんか佐倉さんが催眠魔法か何かをかけたんだろう。

鹿目さんや美樹さんの家族や友人はみんな…。


私には見えない幻に向かって話し掛け続けている…。

166: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:20:10.35 ID:8T74D1s80

恭介「ねぇ、さやか」

恭介「絶対生きて帰ろうね」


恭介「無事に戻れたら……、聞いてほしい曲があるんだ」



仁美「………」


ほむら「………」


誰も居ないところへ話し掛ける上条君。

美樹さんを勇気付けようとする、その姿を見ているといたたまれない気持ちになる。


いいや…。

鹿目さんも、美樹さんも…。

巴さんも、佐倉さんも、ゆまちゃんも…。


みんな、絶対戻ってくる…!



だから私は、聞き続けなきゃ。

鹿目さんや美樹さんに向けられた言葉を…。


みんなで戻って来た時に、それを伝えられるように…。

167: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:23:12.89 ID:8T74D1s80

??≪……むら≫

ほむら「……?」


??≪………ほむら≫


ほむら「え…、誰?」



早乙女「どうしたの?」

ほむら「今誰かが呼んだような…」



??≪君の頭に直接話しかけてるんだ。他の人には聞こえないよ≫


ほむら≪それってまさか…≫


??≪恐らく君の予想通りだね≫




??≪初めまして≫

??≪僕はキュウべぇ≫


QB≪魔法の使者さ≫

168: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:23:54.94 ID:8T74D1s80







―【第二十四話】絶望の夜に(前編)―










169: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:24:37.38 ID:8T74D1s80












ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!」



マミ「出たわね…」


見滝原上空の空間を歪ませ…。

まるで、お祭りかパレードのように、騒々しくも不気味に姿を現す最悪の魔女。



ワルプルギスの夜。

頭を下へ向け、逆さ空に浮かぶ邪悪な巨体。


深い青のドレスを纏った魔女の上半身に…。

スカートから覗く下半身の代わりに、止まる事無く回り続ける巨大な歯車が収まっている。


遥か離れたここにまで響く耳障りな笑い声を上げながら、無数の人の影のような使い魔を引き連れ…。

恐らくはより多くの生贄を求めているんだろう。


避難所のあるこちらの方向へと向かい始める…。

170: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:25:45.81 ID:8T74D1s80

ゆま「大きい………」

ゆま「あんなのに……、勝てるの………?」


さやか「勿論!」

杏子「勝つんだ! 絶対にな…!」



マミ「約束したでしょ? ゆまちゃん」

マミ「また、みんなでパーティやろうって」


ゆま「うん…」

マミ「だから……、みんなで生きて帰らなきゃ、ね?」





まどか「大丈夫…………、できるよ」


まどか「みんなで力を合わせれば…」

まどか「わたし達、五人で力を合わせれば……」




まどか「絶対に………、勝てるよ!!!!!」

171: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:26:20.47 ID:8T74D1s80

ワルプルギスの夜「アハハ! アハ! ア~ッハハハ!」




杏子「さぁ、無駄話はここまでだぜ…?」

マミ「じゃあ、打ち合わせ通りに…!」


さやか「気をつけんのよ…?」

杏子「アホか、誰にモノ言ってやがる…!」


杏子「お前こそ気を付けるんだな…?」

さやか「ふん…、言ってくれるじゃない!」



ゆま「じゃあ、行ってくるね!」


マミさんとまどかに見送られ、あたしと杏子、ゆまちゃんが前に飛びだす…。

三人の真ん中にいるあたしは、さらに速度を上げて一人いち早く敵の使い魔の群れに突っ込み…。

敵の攻撃を掻い潜りながら、その合間を縫うように通り抜けていく…。

172: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:27:04.78 ID:8T74D1s80

さやか「さ~てっ! 捉えたよ!」


さやか「このデカブツッ!!!!!」


突然の敵の来襲に対応できていないらしい、使い魔の合間を抜け…。

あたしは、魔女の巨体を射程に捉える。

そのまま一気に斬りかかろうとしたものの…。




ワルプルギスの夜「アハハハハ…」



ワルプルギスの夜「アハッ!!!!!」


さやか「どぅおわっ!? あっぶねっ!!!!」


突如振り向いた魔女は、その口を大きく開き…。

口から灼熱の業火を吹き出し、あたし目掛けて吐き出してきた。

173: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:27:51.15 ID:8T74D1s80

さやか「ったく…!

    炎の吐息って、ますますラスボスじみてきやがって…!」


途中で魔法陣を作り出して、それを蹴って真横に飛び…。

その業火をかわしたあたしは、その業火の向かった先にあったビルの惨状を視て、ますます唖然とする…。



さやか「ひゃあ…。あんなの食らったら自己修復も何も無いわ…」

さやか「十分に気を付けないと…!」


まるで熱を浴びたチョコレートのように容易く溶けていく高層ビルに背を向け…。

あたしは後方に十分な注意をしつつ、空を駆け始める。

当然、それを見ている敵はむざむざ獲物を見逃す筈も無く…。




ワルプルギスの夜「ハハハッ! ア~ッハハハ!」


さやか「か~っ! 傍迷惑な奴!」

さやか「そんなモン撒き散らしながら暴れまわるなっての!」


敵は口から火炎を噴き散らかし、それであたしを狙いながら…。

離れていくあたしを追いまわし始める……。


対するあたしは魔法陣を作ってはそれを蹴り、失速して来た先でさらに陣を作ってそれを蹴り…。

そうやって、空を駆けぬけていく…。


敵の目に付く、高い高度を保ちながら。

174: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:28:32.95 ID:8T74D1s80

さやか「…………」


ワルプルギスの使い魔「キャハ!」

ワルプルギスの使い魔「キャーハハハ!!!」


上空を駆け抜けていくさやか….

目に付くように駆けるあいつを追うようにワルプルギスが続く…。


そして、そこに割って入ろうと気も足も速い使い魔が前に出る…。




ワルプルギスの使い魔「キャハ!」

ワルプルギスの使い魔「キャ………」


しかし、使い魔の事を気に掛ける魔女などそうそう居はしない。

さやかの迎撃を受け、魔女の攻撃に巻き込まれ…。

一人、また一人と姿を消していく…。


そして…。

ワルプルギスに尽き従うように、その後ろを追っていた使い魔どもの大部分は…。

175: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:29:36.51 ID:8T74D1s80

杏子「今だ! ゆまッ!」


ゆま「えぇぇぇぇぇぇいッ!!!!!!」




ワルプルギスの使い魔「キャハ…?」

ワルプルギスの使い魔「…!?」


ゆまの繰り出した一撃で、崩れ落ちた高層ビルの上部が襲いかかり…。

それに押しつぶされる形で最前面に居た連中は消滅。


残った連中もワルプルギス達に大きく後れを取り、その前には………。




杏子「てめぇらの相手は…!」

ゆま「ゆま達だよッ!」


アタシとゆまが立ち塞がる…。


そう、アタシらの役割はワルプルギスと使い魔どもの分断。

及び連中の相手。


ワルプルギスだけでもとんでもないのに、使い魔と連携されちまったらますますヤバイだろう。

実際、魔女の中には使い魔と連携する事で真の力を発揮するのも少なくない…。


だからこそ、アタシらがこいつらを引き剥がし、その相手をする事になったって事になる。

176: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:33:49.98 ID:8T74D1s80

杏子「じゃあ頼むわ、ゆま!」

ゆま「うん! 任せて!」


使い魔どもの群れを抜け、前に出た奴のほとんどはアタシが叩き落し…。

大部隊自体は、ゆまが予め柱を折って崩しやすくしていたビルの上階を降らせて分断した…。


さやかに付き纏ってるのもまだいるだろうが、その大半をここに足止める事に成功…。

後は引き止めたこいつらを片づければ良いだけ。


と、言ってもその数はざっと見ても未だ40近く…。

二人で相手するには、ちょいときつい数だ…。


だからこそ…。



使い魔「キャハ! キャハハ!」

ゆま「キョーコの邪魔は、させない!!!!」



杏子「……………」


杏子「よし、十分だ! 下がれ!」

杏子「行くぜ………!」


杏子「ロッソ・ファンタズマ!!!!!!!」


分身魔法の使い手である、このアタシの出番って訳だ。

177: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:35:42.18 ID:8T74D1s80

アタシを直接叩こうと一斉に迫った使い魔共を、ゆまが次々と叩き潰し…。

風船のように破裂し、紙吹雪のように舞う、連中の肉片らしき黒い何かが無数に浮かぶ中で、

アタシはそれを発動する…。



ロッソ・ファンタズマ。

本物であるかの如く強力な幻覚をアタシ自身の分身と言う形で発生。

それによって与えられたダメージさえも現実であったかのように錯覚させる、アタシの固有魔法。


その性質上、多数の敵相手に圧倒的な力を発揮する…。

と言うより、分身を作り出すだけの時間さえ用意できれば、単機で敵の大部隊と集団戦をこなすことだってできる。


元々燃費がいい魔法じゃないが、アタシ自身がこの魔法に良い思いを持ってないせいもあって、

色々と消耗が厳しいが、幸いグリーフシードはたんまりある。


まどかと一緒に戦った先日と違い、ゆまは後方に下げ、撃ち漏らしの遊撃を任せてある。

つまり、アタシは分身共々好き勝手暴れ続ければいいだけ…。


それなら…。




杏子「いっちょ、派手に暴れてやるとしますか………!!!!」


迫り来る使い魔達を迎え撃つように…。

現実には存在しえない、アタシの分身の軍勢が立ち塞がった。

178: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:36:30.31 ID:8T74D1s80

――避難所――



ほむら≪キュウべぇ……!≫

QB≪ふむ、やはり僕の事は聞いてるみたいだね≫


ほむら≪何しに来たんですか…?≫

QB≪……………≫



QB≪場所を変えよう≫

QB≪君の知り合いが訝しげにしているからね≫




早乙女「…………どうしたの? 急に立ち上がって壁を睨んで…」


ほむら「え? あの…、その…」



ほむら「ちょ、ちょっとトイレに行ってきますね」



仁美「……………」

179: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:37:25.70 ID:8T74D1s80

ほむら「それで私に何の用ですか」



QB「わかっているだろう? 僕のやる事はたった一つ」


QB「魔法少女の契約。ただそれだけだよ」





ほむら「私は魔法少女にはなりません…!」



QB「『君が世界を滅ぼす』と言う織莉子の予知か…」


ほむら「世界が滅びたら魔法少女どころではなくなります…。

    あなたとしても困るんじゃないですか?」


QB「別に代わりの星は幾らでもある」

QB「それに、仮に世界が滅ぶほどの願いを叶えられる魔法少女がいたなら、こっちのノルマもクリアーできそうだ」


QB「もっとも…、君にそれほどの力があるとは、とても思えないけどね」


ほむら「…………」

180: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:38:07.62 ID:8T74D1s80

ほむら「ともかく、私は…」

QB「まぁ結論を焦る必要はないさ」


QB「これでも見て、ゆっくり決めるといいよ」


兎と猫を足して二で割った様な謎の生物。

彼は赤い大きな目を光らせると…、その背後に二つの何かを映し出す…。




ほむら「これ……は…」


その光景は、影のような何かの軍勢と戦う佐倉さんとゆまちゃん…。

逆さまで浮かぶ巨大な魔女に追われている美樹さん、それに待機している鹿目さんと巴さん…。


避難所を出ていったみんなが、魔女達と戦っている姿だった。




QB「彼女達の様子を見て…。

   その上でゆっくり決めてくれればいい」


白い生物の表情は変わる事は無かったけれど…。

私には彼が、意地悪くほくそ笑んでいるように映った。

181: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:39:05.83 ID:8T74D1s80

――見滝原市内市街地――



ワルプルギスの夜「アハ! アハハ! ア~~ハハハハハハ!!!!」


さやか「ひぃぃぃぃぃっ!?!?」


逆さまになった魔女を引き付けつつ、星一つ見えない夜空を駆ける。

多分、当たれば灰に…、いや消し炭すら残らないであろう火炎を必死に避けながら…。

襲い来る使い魔を振り切りながら…。


魔法陣を蹴り、ビルを蹴り…、目的地へ向かって進み続ける…。




さやか「あと…」

さやか「あと少し…」

さやか「あと少しで……」


さやか「!」


使い魔「キャハハハハハハ!」



さやか「来たか…」


まどかやマミさんの待つ指定の交戦ポイントまであと少し…。

そこへ、追い付いてきた影のような使い魔達の新手が、再度あたしに襲いかかってくる…。

182: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:40:02.38 ID:8T74D1s80

さやか「くっ………」


使い魔「キャハハ!」

使い魔「キャハハハ~?」



さやか「クソッ………!」


さやか「振り切れない…!」


纏わりついてくる使い魔。

その動きは速く、その攻撃も激しい…。


やがて、敵を振り切れないあたしは速度を落としつつ応対せざるを無くなり、

速度を落とした事によって後続にも襲われ、ますます状況は厳しくなっていく…。


そして…。





ワルプルギスの夜「アハハハーーーー!!!!!!!!」



さやか「!?」

さやか「しまっ………」











マミ「美樹さん!!!!!!!!!!」

183: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:40:47.05 ID:8T74D1s80

動きを止めたあたしに向けて放たれる魔女の業火。


それに当るか………と言う瞬間に聞こえた声。

それと共に伸びた黄色いリボンがあたしを掴んで引き寄せ、それにより間一髪で難を逃れる……。


同じく火炎に巻き込まれなかった使い魔達が、リボンに引っ張られるあたしを狙おうとするも、

次の瞬間に襲い来る無数の銃弾に撃ち抜かれ、その足を止められる…。




さやか「マミさん! 助かりました…」


マミ「いいから、急いでここを離脱…!

   巻き込まれるわよ」


さやか「巻き…!? わかりました!」


ビルの高層にいたマミさんの元へ引き寄せられたあたしは、疑問やお礼もそこそこに、

リボンが解けるなり、指示通りにマミさんとともにそこを急速離脱する…。


そして、そのあたし達と入れ替わるように、ピンク色の何かが花火のように撃ち上がり…。

空に巨大な魔法陣を作り出し…。


そこから閃光の雨を降らせた。

184: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:41:17.13 ID:8T74D1s80

まどか≪さやかちゃん! 大丈夫…?≫

さやか≪お、おう………≫


マミ「驚いた?」

さやか「かなり…………」


まどかの放つ矢と同じ色に輝きながら、絶え間なく降り注ぐ光の雨。

それは一発一発が光の矢となっており…。


逃げ回ろうとする使い魔を捉え、次々と貫いては数を減らし…。

同時にワルプルギスの巨体さえも完全に釘付けにして、地面に縫い付けている…。


見るのも圧巻の超ド級の広範囲攻撃。

あたしはそれを見て、度肝を抜かれると共にまどかの成長を嬉しく思い、

同時に差を見せつけられたような気がして、少しだけ悔しく思った…。



ともかく、まどかの放った攻撃で、あたしが連れてきてしまった使い魔共をまとめて薙ぎ倒し…。

予定通り魔女を孤立させることに成功した。

185: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:42:03.10 ID:8T74D1s80

マミ「さぁここからが本番ね…!」


まどかの光による猛攻を受け、地上付近まで高度を落としていた魔女が、

ゆっくりと浮上を始めていく…。


しかし…。

不用意に浮かび上がった敵を、巴マミは見逃さない。



自分の周囲に発生させていた無数のマスケット銃を一斉に掃射…。

まどかの攻撃により痛んだビルや地面に次々とその銃弾を撃ち込んでいく…。


そして、魔女が周囲のビルの高さにまで浮かびあがろうとした瞬間…。





マミ「あなたにはここで止まって貰うわ…!」


撃ちこまれた銃弾を『種』として、そこから拘束魔法が飛び出し…。

ビルや地面から無数に伸びるリボン状の魔法が、魔女の巨体を縛り付けた。

186: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:42:54.20 ID:8T74D1s80

拘束魔法で捉え、大技を叩きこむ…。

マミさんの基本戦法。


そして、そこにあたし達も便乗し…。

敵の拘束が解け、攻撃を振り払いって満足に動けるようになる前に、

みんなで強力な攻撃を叩き込まくって敵の反撃を封じつつ、できるだけ多くのダメージを与える。


その最初の一手を放とうと、マミさんはその身よりも何回りも大きい砲台を作り出し…。




マミ「さぁ一気にいかせてもらうわ…!」

マミ「ティロ・フィ…」



ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハ!!!!!!」


マミ「!?」


マミさんが、その一撃を放とうとした瞬間…。

敵を縛りあげていた拘束魔法が突如色を失って千切れ飛び…。


その拘束を解いた魔女がこちらを向き、灼熱の息を吐き出した。

187: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:43:31.99 ID:8T74D1s80

さやか「危ない!!!!!」


咄嗟に反応したあたしは、マミさんに抱きつき…。

そのまま押し倒すようにして二人ビルを飛び降りる…。


あたし達が離れたビルの屋上にはマミさんが作った砲台だけが残り、

ビルの上層ごと火炎に飲まれて消滅した…。



マミ「拘束魔法が、効かない…!?」

さやか「みたいですね…」


落下途中でマミさんが拘束魔法をビルに向けて放ち、

そのままターザンのようにして、そのビルのガラスを蹴って割りつつ、その階層へと足を着ける。


敵の追撃が怖かったが、外でピンク色の閃光が走ったのを見て、まどかがフォローに回ってくれたのがわかった。



さやか≪さんきゅー!≫

まどか≪うん…、それは良いんだけど…、どうしよう?≫


敵の動きを都度封じ、一方的に攻撃を浴びせる。

オーソドックスかつ安全な攻撃法と言えるけれど…。

頼みの綱の拘束魔法が効かないんじゃ、当然ながらこの戦法はとれない。


そしてこうなった以上、できる戦法はそう多くない…。

188: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:45:00.46 ID:8T74D1s80

さやか「………」

さやか「………あたしが囮になります」


まどか≪さやかちゃん…≫

まどか≪危ないよ…? もし、もしも攻撃に当っちゃったら…≫


さやか≪危ないのはみんな一緒≫

さやか≪それに、あたしは二人程攻撃の射程は長くないし、攻撃力も一番低い≫

さやか≪代わりに、足と打たれ強さには定評がある…!≫


さやか≪どう考えてもあたしが適任で、それ以上の戦法は無いと思うけど…?≫


まどか≪でも…≫

マミ「…………」


マミ「ごめんなさい、美樹さん…。頼めるかしら?」

さやか「はい! 任せて下さいよっ!」


マミ「本当に、ごめんなさい…」



さやか「な~に言ってんですか!」


さやか「あたしが引っ掻き回して、まどかが崩し、マミさんが決める…」

さやか「今までと何ら変わりない…、あたし達三人の必勝パターンじゃないですか!」

189: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:45:40.79 ID:8T74D1s80

マミ「そうね…」

マミ「そうだったわね…」


さやか「心配しなくても、あたしは大丈夫です」


さやか「約束が…………、ありますから!」


まどか≪さやかちゃん…………≫

マミ「……………」




マミ「美樹さん」

さやか「はい…?」


マミ「その約束、必ず守るのよ…?」


さやか「勿論!」

さやか「じゃあ、あたしは行きます!

    移動後と攻撃の際は位置の報告よろです!」

190: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:46:09.24 ID:8T74D1s80

まどか「………」


さやかちゃんが窓の無くなったビルから飛び出し、魔女へと向かっていく。


さやかちゃんの役割は前衛で、わたしとマミさんの役割は後衛。

確かにこの形は変わらない。

でも…。


今度だけは、絶対にこの形を取りたくなかった………。




ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハ!!!!!」


さやかちゃんの能力は治癒能力。

多少のダメージなら瞬く間に回復できる強力な能力だ。


だからこそ、わたしは今まで、

さやかちゃんが前衛と言う危険すぎるポジションにいながらも、どこか安心して見ていられた。


けれど…。

今度ばかりはどう考えてもまずいと言うのがわかっていた。

だからこそ、なるだけ危険な目に遭わせたくなかったのに…。

191: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:46:56.70 ID:8T74D1s80

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハ! ア~ハハハハハハ!!!」



まどか「あなたの……」

まどか「あなたの思い通りには………」


まどか「させないッ!!!!!」


念話でさやかちゃんに退避指示を出しながら、あたしは魔力で弓を作り、それを射る。


放たれた矢はさやかちゃんを追っていた魔女の背中に直撃し、炸裂する。

けれど、それだけじゃ終われない……。



まどか「まだ……!」

ワルプルギスの夜「アハッ…」


まどか「まだッ!」

ワルプルギスの夜「アハ…」


まどか「まだぁ!」

ワルプルギスの夜「アッは………」



まどか「まだまだだよッ!!!!!」


次々と炸裂弾を作り、その体に、顔に、歯車に、ぶつかっては弾け続ける…。

192: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:48:48.40 ID:8T74D1s80

マミ「飛ばしてるわね……、鹿目さん」

マミ「私も負けてはいられない……!」


マミ「いくわよ…! ティロ・フィナーレ!!!!!!!」


次々と小気味よく弾け続ける鹿目さんの炸裂弾を眺めながら、私は再びその巨大な銃身を作り出し…。

今度こそ、それを放つ…。




マミ「はぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」


ワルプルギスの夜「ア、アハ………」


ありったけの魔力を追加注入し、その放出時間を伸ばす。

敵の腹部に直撃した魔力砲は、魔女のその巨体を押し戻し、

再び地面へと叩きつけた。




まどか≪このまま畳みかけます…!≫


好機と思ったんだろう。

鹿目さんが、さらに追撃を入れる旨を入れてくる。


しかし、強大な力を持つ魔女が何時までもそれを許す筈も無く…。

193: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:49:39.07 ID:8T74D1s80

ワルプルギスの夜「アッハハハハハハハハ!!!!!」

まどか「……!」


地面に落ちた魔女に向け、放った光の矢。

しかし、それは敵に届く事無く弾け飛ぶ…。


わたし達の猛攻にようやく、その重い腰を上げたのだろうか…?

敵は周囲の瓦礫を砕いて、小さい物は小石程度、大きい物は小さな小屋程度はあろうかと言うほどの物を、

文字通り、形振り構わず、まるで当たり前のように大量に浮かべ…。



それを防壁のように纏って、わたしの矢を防ぎ…。

さらに、その瓦礫を辺り一面に無差別に放ち、また上空からも降らせた。



さやか「やっぱり飛ばせんのかよっ!」


マミ「攻防一帯と言うわけ……? また、厄介な…」


当然のように、瓦礫を次々と浮かべては飛ばし…。

空に放っては降らせる…。


弾速はそう速くない為、回避に専念すれば避けるのはそう難しくは無いものの…。

攻撃が激しいのも、それが防壁代わりとなっているのもあり、反撃の機会を失う…。

194: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:50:41.59 ID:8T74D1s80

まどか「このまま防戦一方じゃやられちゃう…」


まどか「それも、真っ先にやられる危険性が高いのは…」


言うまでも無く、最前面にいるさやかちゃんだろう。

まして、さやかちゃんは言うまでも無く無鉄砲な所がある…。

危険を冒して状況を打破しようとするくらいの事はやりかねない…。



まどか「そんなこと………」



まどか「絶対、させないよ…!」


炸裂弾は勿論…。

普通の矢じゃ、防壁としての昨日まで果たしている瓦礫に相殺される。


だったら…。



まどか「まとめて撃ち貫くだけッ!」


わたしは右手に一際大きな光の矢を作り出し…。

その弓を引きながら、さらに魔力を込めて放つ…。


眩し過ぎるほどの光を纏って放たれた光の矢は、瓦礫の防壁を『貫通』し…。

魔女の胸の辺りに直撃した。

195: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:51:27.31 ID:8T74D1s80

さやか「また派手にやったねぇ…」


さやか「こりゃ後れはとれないな…!」


クリーンヒットした鹿目さんの攻撃をみた美樹さんもまた、それに負けじと…。

刀身を蛇腹剣へと変えて、それを振るって伸ばし…。




さやか「ちょこざいな瓦礫ごと…!」


さやか「まとめて消し飛ばす!!!!」


その刀身を爆発させ、無数の瓦礫を纏めて砕いて、それのない空洞を作り出す…。

その行動は勿論…。



さやか「マミさん!!!!!」


マミ「任せて…!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!!!!!!」


攻撃を回避しながら、グリーフシードを使って穢れを取った私は…。

予め作っておいた砲台の照準を、美樹さんが瓦礫を飛ばして作ってくれた空洞に合わせると…。


それを放って魔女へと叩き込み、またもその魔力を追加して威力を増幅…。

魔女にできるだけ多くの打撃を与えていく…。

196: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:52:28.19 ID:8T74D1s80

――避難所――



ほむら「やったっ…!」


QB「うん。さすがだね」

QB「マミは元より…。まどかもさやかも見違えるほど強くなった」


ほむら「そうです…! 鹿目さんも美樹さんも…!

    巴さんも佐倉さんも、ゆまちゃんだって…!」


ほむら「あんな魔女なんかに…!」



QB「彼女達の実力は認める」

QB「だけど…」



QB「ワルプルギスの夜は幾つもの災厄を作り出し、多くの悲劇を生みだしてきた伝説の魔女だ」


QB[この程度で倒せるほど、甘い相手ではないよ」

197: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:53:25.67 ID:8T74D1s80

ほむら「それでも鹿目さん達は負けません…!」


QB「僕も彼女達の勝利を否定するわけではないよ」

QB「ただ、冷静に分析してその可能性は極めて低いと言っているだけさ」


ほむら「そんなもの…」



QB「相手は歴史に語り継がれるほどの力を持つ魔女…」

QB「ならば、その魔女の使い魔もまた、恐るべき力を持っている…。

   そうは考えられないかな?」



ほむら「…………」


QB「ワルプルギスの夜。別名『舞台装置の魔女』

   その性質は『無力』にして、この世の全てを戯曲に変える為に回り続ける『愚者』の象徴」


QB「そして、その使い魔は…。

   その象徴に、火に群がる虫のように集まった魂達にして、役割は『道化役者』」



ほむら「まさか………!」


QB「彼女の謡う『戯曲』とは、魔法少女の理の事なんだろうね…」

198: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:54:11.41 ID:8T74D1s80

ワルプルギスの使い魔「キャハ!」


ワルプルギスの使い魔「キャ~ハハハハハ!!!!」



杏子「馬鹿……な……!?」


ロッソ・ファンタズマ、それは…。

敵の五感に訴えかける事で、現実さながらの存在感を作った幻がダメージを受けたと錯覚させる強力な幻惑魔法。

発動さえすれば、まず敵にはどうしようもない筈のこの攻撃…。



だが、この魔法にも欠点がある。


それは、強力な幻術を掛け続ける魔法である為…。

術者であるアタシの集中が途切れれば、幻が解ける恐れがある事。




もう言うまでもないだろう。


ようするにアタシは…。

不意打ちによって、一瞬とは言え意識が途切れる程の大打撃を食らってしまった。

199: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:55:53.92 ID:8T74D1s80

ゆま「キョーコッ!!!!!!!」


杏子「あ……がァ……」


分身を作り終え、アタシの合図でゆまが後方へ下がる。

現れた分身の軍勢への警戒をしていたのか、動きを止めていた敵達が突如動き出し…。


その連中へ応戦する為、分身共を動かそうとした瞬間だった。

周囲にいた自分の分身共から次々と爆発が起こり、アタシは吹っ飛ばされて転がった…。





杏子「くっ……そ……」


辛うじて意識を取り戻し、受け身を取って立ち上がる。

だが…。


その際に術が解けたんだろう…。

ヤツの使い魔共が吹っ飛んだアタシに群がり、取り囲み始める…。

200: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:57:39.96 ID:8T74D1s80

杏子「ロッソがなきゃ怖くないってか…?」


杏子「ナメるんじゃねぇッ!!!!!」


言いつつ、アタシは手持ちの槍を思い切り振るう…。

瞬く間に伸び、柄の節々で別れ、鎖を伴った多節槍へと姿を変えたアタシの獲物は…。

アタシの思うがままに、まるで生き物のように暴れまわる。



固有魔法を失ったアタシが磨きに磨いた、槍術、体術、そしてこいつを振るう技術…。

長い間使えなかった幻惑魔法と違い、アタシが本当の意味で当てにし続けてきた自慢の戦技…。

しかし…。



ワルプルギスの使い魔「キャ~ハハハハ!!!!」

ワルプルギスの使い魔「キャハハハハ~!」


杏子「速いッ…!?」



杏子「がッ…!」


影のような使い魔達は、暴れまわる多節槍を平然と掻い潜り…。

次々に攻撃をぶつけてくる…。。

201: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 00:58:32.10 ID:8T74D1s80

杏子「こん………な………」

杏子「化け物か………! こいつら…?」


ゆま≪キョーコッ!≫

杏子≪ダメだ! お前は来んなッ!≫


敵の攻撃をどうにかこうにか流しながら、こちらへ来ようとするゆまを一蹴する。


先日のまどかとの共闘のように、アタシは味方との共闘はあまり得意でなく…。

アタシが手を焼く程の相手の元にゆまが来た所で、どうにもなる筈も無い。

あのさやかが顔まで青くなるであろう速さの敵に二人まとめて翻弄され、袋叩きにされるだけだろう。



ゆま≪けど…!≫

杏子≪とりあえず、マミにこの事知らせて、まどかと交代して来い≫

杏子≪あいつの範囲攻撃なら、あるいは…≫


ゆま≪念話は通じないの…?≫

杏子≪妨害されてんのか、遠すぎるのか…、さっきから通じねぇんだよ…≫

ゆま≪わかった!≫


ゆま≪死んじゃ………ダメだよ?≫

杏子≪わーってるよ! いけ!≫


ゆま≪うん!≫

202: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:00:22.59 ID:8T74D1s80

杏子「かっ…!」

杏子「ぐッ……、そっ……!」


相変わらずの化け物染みた速さで襲い来る人影達。

それでも一人二人速いなら、まだどうとでもなるんだが…。


連中はアタシを取り囲んで逃げれないようにしている上、

複数が、全員まとめてそのインチキ染みた速さを見せ付けてくれる始末…。




使い魔「キャハッ!」

使い魔「キャハハハハ」


杏子「んのヤロウがッ!!!!!」

使い魔「ハ…!?」


どうにかこうにかカウンターで、一人に致命傷を食らわせてやったが…。

そこから戦法が変わって射撃がメインになり、いよいよ詰み始める…。

当然のように、その弾丸も馬鹿速い始末だ。

203: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:02:00.76 ID:8T74D1s80

杏子「参った…な………」


杏子「何から何まで……、速すぎる…、だろ………」


杏子(待て……)

杏子(何から、何まで…、速い…!?)


杏子(そういう……ことか!)





杏子「くっ……くくくくくくくっ…」


杏子「ようやく……、ネタがわかったぜ………」



杏子「速いんじゃなくて、アタシが遅い…」


杏子「そして、先が視えるからこそ、その陣を予めここに敷き…」

杏子「かつ、仲間の死骸を隠れ蓑にしたアタシに見つからないルートを視て、そこを通して炸裂弾を近づけて…。

   かつ分身の発生ポイントを視て、そこに炸裂弾を重ねる事で、分身の中にそれを自然に隠せた…」



杏子「そうだろ…?」





杏子「なぁ、織莉子! キリカ!!!!!」

204: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:02:41.38 ID:8T74D1s80

アタシの呼びかけに応えるように…。

ピタリと敵の攻撃が止む。

そして、アタシを取り囲んだ敵陣の中から、二人の人影が前に出る…。





織莉子?「…………」


キリカ?「…………」


一人はバケツのような帽子に長い髪、色を失っても尚高貴さを感じる堅苦しいドレス…。

そして、もう一人はショートカットに眼帯、スーツのような上着にミニスカート、両手に五本の鋭い爪…。


周りの連中同様に人影のようになり、色を失っているが、その姿は見間違える筈もない…。

アタシ達を苦しめた二人の魔法少女そのもの。


奴らが、ワルプルギスの夜の使い魔となって、アタシの前に立ち塞がっている…。

205: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:03:23.83 ID:8T74D1s80

杏子「チッ……」

キリカ?「…………」


杏子「悪い………冗談だぜ……」

織莉子?「…………」


いや、まさに悪夢とでも言うべきだろうか?


マミと二人がかりで倒したあの強敵二人…。

抜群の相性を誇る、未来予知の織莉子と速度低下のキリカのコンビネーション。

それが今、この最悪のタイミングで再現されているのだから…。




キリカ?「………」

織莉子?「………」


杏子「ちっくしょうッ!!!!!」


対処の難しいキリカの型破りな体術。

的確過ぎる織莉子の支援攻撃。


さらにヤツの味方であるが故に、速度低下の補正を受けない他の使い魔ども。


現実となった悪夢は、確実にアタシを追いこんでいく…。

206: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:08:51.84 ID:8T74D1s80

――避難所――


ほむら「そんな……佐倉さんが……」

QB「やはり、あの二人が混じってたか…。

   これで杏子の敗北は確定だね」


ほむら「なんで美国さんと呉さんが…。

    これは、どういう事なんですか!?」


QB「彼女の使い魔の役割は『道化役者』」


QB「わからないかい…?」

QB「希望を信じ、絶望に散った魔法少女の魂…。

   これ以上の道化は無い」



QB「だからこそ、彼女はそうやって強大な魔力で『愚者』達の象徴として在り続け、

   散っていった魔法少女達の魂の残滓を集めるのさ」


QB「自分の作る舞台で、踊り続けてもらう為にね」

207: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:10:18.63 ID:8T74D1s80

ほむら「酷い………」


QB「そうだね。酷い姿だ」

QB「かつては大いなる願いを叶えられる可能性の塊、希望に満ちた存在が、

   魔法少女としての感情、魔女と言う個すら失い、ついには空っぽの傀儡として虚ろに踊っているのだから」



ほむら「何を、他人事みたいに…!」

ほむら「何もかも………、あなたのせいじゃないですか!!!!!」


QB「それは違う」

QB「確かに僕達の目的は、魔法少女が魔女になってくれる際に発生する感情エネルギーにある」


QB「けれど、希望を叶えたいと願い…。

   魔法少女になったのは他ならぬ君達自身じゃないか」


QB「そして、どんな希望もそれが条理にそぐわないものである限り、必ず何らかの歪みを生み出すことになる。

   やがてそこから災厄が生じるのは当然の節理だ」


QB「そんな当たり前の結末を裏切りだと言うなら、そもそも願い事なんてすること自体が間違いなのさ」

208: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:11:20.98 ID:8T74D1s80

――ワルプルギスの夜発生ポイント付近――



杏子「ぐッ……が…!」


魔力球に体勢を崩され、束ねられたキリカの爪撃で槍が折られ…。

その槍先が舞う中、顔に飛んできた二撃目を避け損ない…。

左眼の視界が鮮血に染まる。




織莉子?「…………」

杏子「ぐ……ぉッ……」


キリカ?「…………」

杏子「くっ……」


ワルプルギスの使い魔「キャハハハハハハハ!!!!!」

杏子「うぁッ………」


まず、絶対に回避できない織莉子の魔力球から始まり…。

次に単品でも対処がきつめのキリカの連撃が来る…。

そして、それを耐えても他の使い魔からの援護攻撃が飛んでくる…。


どうしようもない連撃を、敵の援護付きで受ける。

さすがにこんな状況をどうにかできる筈も無く、『アタシ個人は』完全に手詰まりである事を悟った。

209: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:12:42.87 ID:8T74D1s80

杏子(潮時、だな…)


アタシは一瞬の隙を突き、自らのソウルジェムに火を灯す…。

点けられた薄紫の火は、アタシのジェムの中に満ちる穢れを燃やすようにしてその勢いを増し始める…。




杏子(諦めるには早い…!とか、さやか辺りなら言いそうだな…)

杏子(けど、予知、速度低下、包囲できるほどの物量…)

杏子(どれかが…消えれば、突破できる…。今の内に…、仕掛けるからこそ…!)



杏子「奴ら全員を………潰せる!」


アタシがあいつらを突破できないのは、さっき上げた三つの全てが重なっているからだ…。

けど、その何れかが欠ければ突破できそうなのは余力のある今の内…。

もう少し弱っちまえば、二つなり、一つなりでも抑えられるようになり、

どれほどの広範囲攻撃だろうと予知で予見されて、どれかには逃げられちまう…。



だからこそ…。

アタシがあいつらの為にできる事はもう…。

これしか……ないんだ…。

210: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:13:49.64 ID:8T74D1s80

杏子(情けねぇな…)

杏子(刺し違えるなら違えるで、ワルプルギス本人とすべきだってのに…)

杏子(偉そうな事ばっか言ったのに…)


杏子(不甲斐なくて………、悪いな………)



杏子(けどさ…)

杏子(こいつらだけは絶対行かせねぇから…!)


アタシの思いに応えるかのように、穢れきったアタシのソウルジェムが紫色の炎が満たす…。

こうなれば、ジェムを砕いてももう遅い…。

やがて、アタシ自身の体もその炎が付き始め、動かなくなり始める…。


髪止めが解け、解けた髪を揺らしながら両膝を落としたアタシは…。

両手を前で組み、祈りの姿勢を取る…。



別段、信じている神が居る訳じゃない。

祈りや願いが無意味だって事も知ってる。

それでも…。


最後くらい、アイツらの為に祈ってみたいと思ったから、さ………。

211: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:14:38.74 ID:8T74D1s80

さやか…。

馬鹿野郎だけど、お前は正しかったよ。

お前が居てくれたからこそ、アタシは踏み外した道から帰って来れた…。


まどか…。

さやかを……、頼むな。

アイツ、強がりだけは一人前だから…。


ほむら…。

お前はもっと自分に自信を持て…。

世界を滅ぼすなんて、お前みたいな優しい奴にできるはず無いんだ…。


マミ…さん……。

アンタにはずっと迷惑かけっぱなしだったよね…。

勝手にアンタを否定して出ていって、都合よく戻って来てそれでも許してくれて…。

ずっと、ずっと支えてくれたよね……。



最後に………、ゆま…。

お前には謝らないとな…。


ごめんな…。

一人に………しちまって………。

212: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:15:18.89 ID:8T74D1s80

はは…。

馬鹿だよな……。

こんな事考えたってあいつらに届く訳無いのに………。



でも…。

それでも………。

伝えたかったんだ。

あいつらの事、大好きだったから。


言いたかったんだ。

ありがとうって。





お前らのおかげで…。

ずっと見たかった幸せな夢が…。



見れたから、さ………。

213: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:15:47.39 ID:8T74D1s80

杏子「時間………か………」


杏子「我ながら………女々しいな………」

杏子「悪い事……、たくさんして……、こんな良い思い、したのに………」


杏子「せめて、もう……、一目あいつらに………」




杏子「……………」


杏子「父さん、母さん…」

杏子「モモ………」








杏子「今、そっちへ逝く………」

214: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:16:19.50 ID:8T74D1s80

――見滝原市街地――



まどか≪何!? この魔力…!≫


さやか「爆発音………、杏子のいる方…!?」



マミ「あ………あぁ……あぁぁぁ………」



まどか≪マミ………さん?≫

さやか「どうしたんですか…?」



マミ「佐倉さんが……。

   佐倉さんがッ………!」



さやか「杏子がどうしたんですか…!?」


まどか≪まさか………≫



マミ「死ん…………だ…………」

215: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:16:53.65 ID:8T74D1s80

――見滝原市内道路――



ゆま「ウソだ………」

ゆま「ウソだよ…………」



ゆま「こんなのウソだよ………」






ゆま「ウソだ…」


ゆま「ウソだ!」


ゆま「ウソだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」


―to be continued―

216: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/08(木) 01:17:27.99 ID:8T74D1s80

―next episode―



「後…、任せたよ…………、相棒」






―【第二十五話】絶望の夜に(後編)―




219: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:25:45.90 ID:A2vERv1L0

――避難所――



ほむら「そんな………佐倉さんが………」

ほむら「佐倉さんがッ………」



QB「さすがは杏子だね」

QB「予知能力を持つ織莉子や速度低下を持つキリカ、取り囲んだ周囲の何れかが欠ければ突破できる程度の余力を残しつつも、

   早期に自分に見切りを付け、その準備をし…」


ほむら「黙ってください…」


QB「二人の能力を以てしても逃げれない広範囲攻撃となる自爆で、周囲はしっかりと倒し、

   自分の役割だけでも遂行する…」


ほむら「黙りなさい…」


QB「魔女にもならず、味方にも迷惑をかけない、か。

   うん。実に良い判断だ」




ほむら「黙りなさい! 黙れッ!!!!」



QB「ただ、残念かな…」

QB「彼女の英断がわかるほど、あの子は強く無かったようだね」

220: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:26:19.70 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの使い魔「キャハハハハハハハハハ!!!」

ワルプルギスの使い魔「キャ~ハハハハハハハハハハ!!!!!」



ゆま「キョーコ…」

ゆま「ウソだよね………」


ゆま「キョーコが死んじゃったなんて………」




ゆま「イヤだよ……、キョーコ…」


ゆま「…………しないで」


ゆま「一人ぼっちに………しないで…」



ゆま「ゆまを、一人ぼっちにしないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」

221: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:27:01.24 ID:A2vERv1L0

魔女「…………」




マスコットの魔女。性質は依存。


今は亡き持ち主を探して彷徨い歩く。

嬲られても罵られても折れないが、孤独には耐えらない。

もしも、この魔女が一人でないのならば、

役立たずではない事が証明されるだろう。


222: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:28:29.74 ID:A2vERv1L0

ほむら「ゆまちゃん!!!!!!」


QB「ゆまは魔女になってくれたね。

   このエネルギーはありがたく回収させてもらうよ」

QB「君達がくれる穢れたグリーフシードでもエネルギー回収はできるんだけどね…。

   やはり魔女になってくれると効率が段違いなんだよ」



ほむら「あなたは……!」


QB「君は彼女達が強いと言ったね?」

QB「確かにそれは事実だ。単純な力だけで言うなら、遥か先の文明を持ち、君達に力を与えた僕らでさえ及ばない。

   けれど…」


QB「その力が幾ら強くとも、些細なミス、些細なすれ違い、些細な疑念、些細な消失…。

   ほんの些細な事で簡単に崩れるのが君達だ。………そこが興味深い所なんだけどね」




QB「まぁ見ていると良い」


QB「仲間を失った事によって総崩れになる結末は…」






QB「魔法少女の最期としては実にありきたりだよ」

223: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:29:28.84 ID:A2vERv1L0










―【第二十五話】絶望の夜に(後編)―










224: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:30:29.65 ID:A2vERv1L0

――見滝原市街地――



まどか≪杏子ちゃんが……≫

さやか「死んだって………」



さやか「は………はは……」

さやか「い、嫌だな…、マミさん…。そんなことあるわけないじゃないですか…」


さやか「だって…、アイツはすごく強くて……。

    精神面だって魔女なんかに絶対ならないくらい、図太くて…!」


マミ「…………」



さやか「マミさんッ!!!!!!!!」



マミ「………私だって」

マミ「私だって、信じたくないわよ!!!!!!!!」



マミ「けど………、わかるのよ…」

マミ「わかっちゃうのよ………」


さやか「マミさん…………」

225: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:31:28.25 ID:A2vERv1L0

足の力を失ってへたり込み、そのままそこでただ涙を流すマミさん。

彼女らしい冷静な様子が微塵も見られない隙だらけの放心状態…。


そんなマミさんの様子が、杏子の死を否応なしに実感させる…。



けれど…。

泣いてるばかりと言う訳にも行かない…。


こうしてる間もまどかが、涙を堪えてあたし達をフォローしてくれている…。

だったら、あたしも今は泣いてる場合じゃないんだ…。



さやか「マミさん…」



マミ「…………」


さやか「少しそこで休んでてください。

    あたしは、まどかの援護に戻………」


立ち上がり、再び戦いに戻ろうとした時だった。


感じ慣れた、どうしようもなく嫌な気配と、ソウルジェムの反応が走り…。

魔女と、その結界が生まれたのを確かに感じ取った。

226: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:32:16.69 ID:A2vERv1L0

さやか「これ………魔女!?」

まどか≪こんな………時に!≫




マミ「ゆま…………ちゃん………」


さやか「…!?」

まどか≪そんな…!≫




マミ「彼女のソウルジェムが消えると同時に、同じ場所に魔女…。

   続けて結界の反応が現れた………」

マミ「多分…、いいえ。ほぼ間違いないわ……」


さやか「どこへ…?」


放心状態から一転…。

涙を拭きながら立ちあがったマミさんは…。

あたしに背を向けて、この場を立ち去ろうとし、それを呼び止める…。


もっとも、質問自体は聞くまでもない事だったのだが…。

227: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:35:09.18 ID:A2vERv1L0

マミ「魔女になったゆまちゃんの所へ…」


マミ「反応からして……、佐倉さんは自爆して敵を纏めて倒してくれた…」

マミ「だからこそ、魔女がここへ来てしまったら佐倉さんのしてくれた事が台無しになってしまう…」


マミ「それだけは…、させられないから…。

   例え、相手が誰だとしたって……、佐倉さんのしたことを……、無意味になんて……」




さやか「だったら、あたしが行きます」


マミ「美樹さん…?」



さやか「あたしが三人の中で一番攻撃力が低くて、あいつに対して最もダメージが入れられない…。

    囮戦法も火炎だけならともかく、辺り構わない瓦礫飛ばしがメインになってからはあまり意味が無い…」


さやか「それにマミさんの精神状態を考えれば、一人で戦わせるのは危険だと思いました…」

さやか「そう考えれば、あたしが一番適任だと思います…」


マミ「状況判断からすれば、確かにその通りね。

   けど…」



マミ「あなたにゆまちゃんが討てるの…?」

228: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:35:43.26 ID:A2vERv1L0

さやか「………討ちます」



さやか「あの子は一人で居る事に苦しんでたから…」


さやか「魔女にされて、杏子と引き剥がされるなんて………。

    可愛そう過ぎるから………」


マミ「……………」



さやか「だから………、討ちます」


さやか「あたしの為にも、杏子の為にも…。

    ゆまちゃんの為にも………」


マミ「……………」




さやか「あいつの次に…………、あの子と………

    仲良かったのは…………」



さやか「あたしっ………だからっ………!」

229: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:36:25.25 ID:A2vERv1L0

思わず涙が溢れ、それでも自分の決意を伝えきる…。


マミさんは何も言わずに、そんなあたしを抱きしめて…。

泣くのを堪えているのがわかる、少し上ずった声で続けた…。




マミ「………わかったわ」


マミ「でも…」

マミ「あなたは………、ちゃんと帰ってくるのよ?」


さやか「わかってます…」

さやか「それまで、まどかを頼みます…」



まどか≪さやかちゃん……≫

さやか≪ごめん、ちょっと行ってくる≫


まどか≪約束忘れてないよね…?≫

さやか≪勿論…!≫



まどか≪絶対! 絶対だからね…!≫


さやか≪…………うん!≫

230: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:37:06.76 ID:A2vERv1L0

――避難所――



QB「思ったより、さやかもマミも冷静だね。

   まどかに至っては継戦し続けている…、大したものだよ」



QB「ただの中学生だった彼女達が、この状況で取り乱さず、

   あまつさえ戦闘を続行するとは…」


QB「これが、成長と言うモノなんだろうね」




ほむら「…………」


QB「ただ、このままでは彼女達の敗北はほぼ確定だ」


QB「ほむら、君が手を下さない限りはね」



QB「もっとも、ゆまか杏子か…。選べるのはどちらか一人」



QB「どちらかが欠けたままなのはもう変えられないから、君達が望む状況はもう作れないだろうけどね…」

231: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:38:07.26 ID:A2vERv1L0
ほむら「…………」

QB「どうしたんだい? 急に黙って…」



ほむら「この世界が滅びれば、魔女も魔法少女も関係なく全てなくなる…」


ほむら「あなたも困るんじゃないですか…?」



QB「君も冷静なようだね…」

QB「ただ、さっきも言った通り君にそんな力は無い。

   それはただの意識過剰だよ」


QB「ただ、まぁ本当にそんな事になるとしたら、その君が魔女になる際のエネルギーもノルマをクリアできるほど大きいだろうし…

   こちらに不都合はないね」


ほむら「……………」



QB「しかし、君達は本当に不思議だよ」


QB「自分たちを付け狙った敵の言葉を、何故そう頑なに信じれるんだい?」

232: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:38:56.89 ID:A2vERv1L0

QB「…………あぁ、予知の力か」

QB「だけど、その織莉子もまどかに敗れたじゃないか」




ほむら「…………」


QB「彼女もまた、意識過剰だったんだよ」


QB「上には上が居る事を考えもしなかった」





ほむら「上…?」


QB「ほぼ全ての事情を聞いている筈の君が知らないと言う事は…」

QB「やはり、未だに自覚は無し、か」



QB「この戦いの勝率は激減…、いや…」



QB[もはや勝機は無いと言っても良いかもしれないね」

233: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:40:25.68 ID:A2vERv1L0

――見滝原市内車道――


段々と近くなる嫌な気配。

魔女が作り出した結界が、静かに、でも確実に…。

あたしの大切な人達の元へと移動を続けている…。


動き続ける結界の中は、今まで戦ったどの魔女達のそれよりも狭く、

学校の体育館程度の広さしかない一部屋だけ…。


代わりに、性質の違う様々な悪寒が入り交じっている…。




さやか「ゆまちゃん…」


魔女「………」


狭い結界の真ん中に、あの子らしき魔女の姿を見つける…。


見覚えある猫の耳と尻尾を目印に…。

両手は熊、両足は馬、口は犬のような…。

あちこちをボロ布でパッチワークにしたような、継ぎ接ぎだらけの魔女…。


未だ敵意なく歩き続けるその子の周りには、あの逆さの魔女の使い魔である人影が四人ほど付き従っていた…。

234: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:41:18.93 ID:A2vERv1L0

さやか「どうして…、こうなっちゃったんだろうね…」


言いつつも、あたしは刀剣を作り出し、次々に投げつける。


けれど…。

本来なら、あの子を守る立場の筈のあたしが、あの子を殺そうとする…。

そんな歪んだ状況があたしの手を僅かに鈍らせ…。

その隙を突くようにあの子の前に人影の一人に、投げ付けた剣を払われてしまった。




ワルプルギスの使い魔「キャハハハハ!」

さやか「あの子を守ってるってわけ、か…」


刀剣を防いだ人影は鋏のような獲物を地面に刺して、そこから茨の弦のような触手を伸ばし…。

その横に立った別の人影も地面から樹木のような物を伸ばして追撃してくる。


どこか見覚えのあるその攻撃を思い出す間もなく、避け、払い…。

それに乗じて動いた残りの二人の攻撃に備える。

235: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:42:16.16 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの使い魔「キャハ!キャハ!」


杏子「さやか…」

ゆま「サヤ、カ…」


さやか「こいつッ!」


追い撃ちをしかけた三体目の人影は、苦しそうにする杏子とゆまちゃんの姿を見せる。


動揺を誘ったんだろうが、逆に怒りを覚えたあたしは…。

三体目の動きに合わせて飛んできた四体目の人影…。


組んだ手を巨大化させ、あたしを叩き潰そうとしたそいつを…。

思い切り、横一文字に斬りつけて返り討ちにした。

しかし…。



ワルプルギスの使い魔「キャハハハ!」

さやか「これって…」


攻撃動作中に大きなダメージを受け、バランスを崩して倒れた人影。


その傷口から、手品か何かのように無傷の人影が飛び出し…。

倒れている方の人影は脱皮した抜け殻のように萎む…。


その姿を見て、彼女達が何故見覚えがあったか、その疑問にようやく答えが出た。

236: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:43:11.34 ID:A2vERv1L0

さやか「こいつら…」

さやか「あたし達が今まで倒した魔女ってわけか…」


あたしがマミさんに弟子入りした日に倒された、鋏と弦を使う薔薇の魔女。

三人がかりでどうにか倒した、傷ついた肉体を脱皮する魔女。

ほむらと仁美を襲った、人の心の隙を突くモニターの魔女。

まどかと力を合わせて撃破した、影の結界の魔女…。


奴らの攻撃は間違いなく、過去に倒した彼女達のそれ…。


姿は違うけれど、それは恐らく…。

今の姿は魔法少女だった時の姿なんだろう。




さやか「再生怪人とか、本当なら燃える展開なんだろうな…」

さやか「けど、今は悪い冗談としか思えないよ」


魔女になって苦しんだ彼女達が今もこうして徘徊している様…。

彼女達に同情しながらも、いや同情したからこそ…。




さやか「アンタ達の呪縛はあたしが断ち切るッ!」

叫び、決意しながら、一気に踏み込んだ。

237: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:44:25.65 ID:A2vERv1L0

さやか「………いくよ」


ワルプルギスの使い魔「キャ…ハ…?」


まずは、一瞬の内に間合いを詰め、一番厄介な幻を見せる人影を切り捨てる。

攻撃しようとしていたのか、その両手から電撃を撒き散らしながら飛び散った。



さやか「…………」

ワルプルギスの使い魔「キャハハハ~!?」


次に鋏を構えた人影に斬り掛かり…。

右手で鋏を弾きつつ、左手に作った二刀目の剣で空いたその体を袈裟斬りにした。


倒れゆく人影。

しかし、あたしはそれを見届けず、振り向きながら剣を振るった。

238: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:45:20.56 ID:A2vERv1L0

さやか「………甘いよ」

ワルプルギスの使い魔「!?」


二体目を倒した隙を狙ったんだろう。

犬や猫と言った動物の姿をした影を横薙ぎで一気に払い、それらと二体目の影が飛び散る中で…。


追加の召喚をしようと無防備な三体目に踏み込み、その首を跳ねる。

魔女の時と違い、そこからは何も起こらず、仰向けに倒れて弾けた。

そして…。



さやか「………」

ワルプルギスの使い魔「キャハハハ!」

さやか「………」

ワルプルギスの使い魔「キャハハハハハ!」



さやか「ごめんね…」

ワルプルギスの使い魔「キャハ! キャハ……ハハ……ハ…」


自分の周囲に作り出した刀剣を、迫って来た最後の人影に刺し…。

攻撃をかわしては、また剣を拾って刺し…、拾って刺してを繰り返し…。


大きく後ろに飛びながら、その剣を一斉に爆破…。

再生を上回るダメージを一気に受けた人影は跡形もなく消滅した。

239: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:46:05.42 ID:A2vERv1L0

さやか「…………」


倒れ逝く人影を横目で眺めながらも未だ敵意を見せず…。

結界ごと歩み続けるパッチワークの魔女。




さやか「いくよ、ゆまちゃん…」


さやか「今、楽にしてあげるからね」


あの子を守る連中を倒したあたしは、一度だけ深呼吸して覚悟を決め…。

次の瞬間には、一瞬の内に間合いを詰め、身構えることさえない無防備なあの子を横から斬り付けた…。

けれど…。



さやか「…!?」

さやか(無傷、なの…!?)



さやか「それなら…!」


あたしは再度地面を蹴って今度は背面から斬り…。


続けて側面、背面、正面、背面、側面と高速で移動しながら…。

同時に斬撃を繰り出し続けていく…。

240: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:46:59.90 ID:A2vERv1L0

スクワルタトーレと名付けた高速の連続剣。

速さで撹乱しつつ、回数で威力を補う、この技…。


斬撃を喰らわせれば喰らわせるほど傷は増え、相手は弱り、やがて倒れるはずの技なのに…。

斬りつけられているパッチワークの魔女はほとんど弱る事なく、攻撃を無視して歩みを続け…。

やがて、息の上がったあたしの方が攻撃を止めた。




さやか「なんて…、耐久…」

さやか「いや…、ゆまちゃんの魔女なら当然か…」


斬撃がダメなら爆撃でと、剣を生成しようとした矢先…。

背後に殺気を感じ取る。




さやか「チッ…!」


飛びかかって来たのは先ほど切り払ったのと同じような、犬猫の姿をした数匹の動物の影。

あたしはまたも振り向き様にそれらを切り伏せるも…。


それらは倒れることは愚か、怯む事すらなくあたしに組み付き…。

それを払おうとした次の瞬間…。




あたしの右胸を鋭利な刃物が貫いた。

241: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:48:03.06 ID:A2vERv1L0

さやか「ごふッ…」

ワルプルギスの使い魔「ギャハハハハハ!」


あたしを貫いたのは鋏の刃。

振り向いて確認すれば、そこにはあたしが倒した人影が鋏を突き刺していた。



さやか「こんのッ!」

ワルプルギスの使い魔「ギャハ…」


あたしは剣を逆手に持ち直して背後にいた人影に思い切り突き刺す。

剣の刺さった人影は鋏を離してふらつくも、先程と違い倒れる事は無く…。

平然と剣の柄を掴む…。




さやか「爆ぜろ!」


そのまま剣を引き抜こうとする人影に止めを刺す為、剣の刀身を爆破させ、その上半身を消し飛ばす…。

しかし…。

242: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:50:02.16 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの使い魔「ギャヒ!?」

ワルプルギスの使い魔「ギャヒヒ!? ギャハハハハハハハハハ!?!?!?」


噛み付いた犬猫の影を振り払い、鋏を引き抜いていたあたしの前で…。

吹き飛ばされた人影の上半身は、瞬く間に再生する。


いや、ただ再生したばかりか凶々しさを増した化け物の姿へと変わっていた…。




さやか「再生…、それに強化…。あの子の魔法…、か…」

魔女「…………」


さやか「周囲の味方を強化、再生し続け…。当人自身も超耐久…」

さやか「さすがに…、ゆまちゃんは…、手強い、ね…」


歎くように呟いたあたしの周囲を取り囲むように…。

当然の如く強化再生された、他の三人の人影が立ち…。



ワルプルギスの使い魔「ギャッハハ!!」

ワルプルギスの使い魔「ギャハ! ギャハハハ!」

ワルプルギスの使い魔「ギャーハハハハ!!!!!」


ワルプルギスの使い魔「ギャヒヒヒャハハハハハハハハ!?!?!?」


あたしに向かい、一斉に襲い掛かった。

243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/10(土) 20:50:45.00 ID:A2vERv1L0

――見滝原市街地――



まどか≪通って………!!!!!≫

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハ!!!!!!!」


鹿目さんの放った貫通弾。

魔女にクリーンヒットしたその矢が、また『貫通せず』に消える。


しかし、さすがに攻撃を放たれたと言う自覚はあるらしく、それを行った対象である鹿目さんの方へと振り返る。

そして、この好機を逃さない…。


敵の放つ瓦礫を避ける為にいた、ビルの物陰から飛び出して巨大な砲台を生成…。

ありったけの魔翌力を込めて、それを放った。



マミ「ティロ・フィナーレ!!!!!!!!!」


ワルプルギスの夜「アハハハハ! アハハハ………」


まどか≪もう………、一発!!!!!!≫


私の放った魔翌力砲に飛ばされないよう耐える逆さまの魔女。

そして、その隙を見計らった鹿目さんがさっきとほぼ同じ位置に貫通弾を撃ち込む…。


でも…。

244: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/10(土) 20:51:18.69 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ!!!!!!」


こちらの攻撃も虚しく、魔女の巨体はそれを耐えきると…。

自らの真下にある地面を巻き上げて、大小問わない無数の瓦礫を浮かべ…。

所構わず放ち、撒き散らした。



マミ「ッ…!」


まるで巨人の放った散弾のように、撒き散らされる無数の瓦礫。

それを防ぐように、予め用意しておいた拘束魔法が展開…。

無数のリボンは瓦礫を防ぐヴェールへと変わる…。




マミ「頼むから壊れないでね…」


魔翌力砲を放った反動から来る硬直をカバーする為の防壁。

ただ、元が防御用の魔法ではない為、その耐久は過信できる物ではない。

大型の瓦礫が飛んできたら容易く千切れる実に危なっかしいモノで…。


魔女の攻撃が大雑把であるから、ここまでどうにかなっているものの…。

何時破られるかと思うと気が気ではなかった…。

245: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:52:38.87 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの夜「アハ! アハ! アハハハ!!!!」


マミ「ッ…!」


耐久の限界を超えた拘束魔法が千切れ、間に合わせの防壁が破られる。

硬直の解けた私は急いで横に飛び、飛んできた大きめのビルの破片を回避するも、

代わりに魔女の目に止まり…。




ワルプルギスの夜「アハハハハ!! アーハハハハ!!!!!」


執拗に瓦礫を放たれ、それを避ける為に物陰から物陰へと走り続ける…。

しかし、敵はそんな私が段々と煩わしくなったんだろう。




ワルプルギスの夜「アハハハハハーーーーーッ」


魔女は口裂け女のような大口を開き…。

私の隠れた建物へ向けて、灼熱の吐息を放った。

246: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:53:31.30 ID:A2vERv1L0
マミ「危………」

マミ「ないわねっ!!!!!」


手から拘束魔法を伸ばして、ビルの一角へと巻きつけ…。

それを急速に縮める事で、その身を引っ張らせ、ビルへと寄せ…。

間一髪で敵の火炎を回避する。


さっきまで私のいた建物は跡形も無く消滅…。

その威力に息を飲みながらも、再度走ってそこを離れる…。


飛んできた瓦礫を避けつつ、再び物陰に隠れながら…。

そろそろ、鹿目さんが次の手を打つ筈、と考えながらグリーフシードを使って次の攻撃に備える…。



そして、私の考え通り…。

鹿目さんの魔法の象徴とも言える、ピンク色の魔力の光が空へと走り…。

空に広がった魔法陣から、魔力で出来た光の矢が地上に降り注いだ。

247: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:54:36.59 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの夜「アハハハハ! アハハハ……ハハ…」


豪雨のように降り注ぐ無数の光の矢。

ワルプルギスの巨体を地面へ押さえつけ…。

同時に持ちあがり、浮ぼうとする瓦礫の山を崩し、撃ち砕いていく…。


しかし…。

それでも、物ともしていないとでも言わんばかりに、魔女は耳障りな笑い声を上げ続ける…。




マミ「いい加減に………、倒れなさい!!!」


マミ「ティロ・フィナーレ!!!!!!!」


降り注ぐ光の雨の終息に合わせ、私はまた魔力砲を作りつつ、狙いを定め…。

砲撃を魔女に浴びせる。


放たれた砲撃は魔女を地面へと追いやろうとするも…。

そのまま耐えられ…。




ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハ!!!!!」


私達を嘲り笑う甲高い笑い声とともに…。

数百、数千を超える無数の瓦礫が、一斉に宙へと浮かび上がった。

248: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:55:23.52 ID:A2vERv1L0

――マスコットの魔女 結界内――



魔女「……!」

魔女「…!」


さやか「はぁ……はぁ……」

さやか「はぁ……」



ワルプルギスの使い魔「ギヒ……!?」


ワルプルギスの使い魔「グギャギャハハハヒャハハァァァァァッ!?!?!?!?」




さやか「うっさい……、邪魔」


ワルプルギスの使い魔「グギャ……ァ……」



魔女「…!」

魔女「……!」


さやか「さすが………、ゆまちゃんだ………」

さやか「タフ………だね………」


さやか「さやかちゃん………、疲れちゃったよ………」

249: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:56:13.40 ID:A2vERv1L0

さやか「左手………もう…ないし……」

さやか「身体中、傷と穴だらけ………」


さやか「はは…は…」

さやか「こんなんじゃ…、お嫁に……いけない……よ…」


さやか「な……なんて……ね…?」




さやか「けど…」

魔女「…!」


さやか「そっちも………、さっきの、奴に使ったの、が……。

    最後……、みたいだ…、ね…?」


魔女「…!」

魔女「……!」



さやか「どこへ……、行き…、たいの…?」


さやか「杏子……なら……。

    そっ……ち…、には………。


さやか「いや…、どっちにも……、いない……よ…?」

250: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:57:30.02 ID:A2vERv1L0

魔女「…!」

魔女「……!」

さやか「それでも……会いたいんだ…ね……」



さやか「大丈夫………」

さやか「わかってる…………」


魔女「!?」


さやか「痛いけど………」

さやか「最後だから……、我慢して、ね……?」


ボロボロになっても尚………。

優しい姉代わりをを探そうとする悲しい孤独な魔女………。


同じくらいボロボロのあたしは……。

どうにか力を振り絞り…。




さやか「もう………、離れ離れになっちゃ………」






さやか「ダメだよ…?」


その刃を振り降ろした。

251: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:58:10.44 ID:A2vERv1L0

さやか「…………」


さやか「まどかの……とこに………。

    帰らな………きゃ………」


さやか「まず……は…………ソウル……ジェムを……」



さやか「…………」


さやか「………………」


さやか「…………あ……れ?」

さやか「おかしい……な……」



さやか「グリーフ……シード…、つかっても………つかっても………」

さやか「穢れ………とれないや………」



さやか「なんで……だろ…?」

さやか「絶望とか………した覚え………。

    ないんだけど……なぁ………」



さやか「ま………いいや………」

さやか「ともかく………、戻らな……きゃ…………」

252: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:58:51.84 ID:A2vERv1L0

――避難所――



ほむら「美樹さん!!!!」


ほむら「なんで…!? どうして…!?」


QB「あぁ、ソウルジェムを破損したようだね」



ほむら「約束したのに…!」

QB「アレは普通の魔法じゃ修復できない上に、一度破損するとそこから穢れが溢れ続けるから」


ほむら「御飯の作り方……教えて……、くれるって……」

QB「魔法少女としては致命傷と言え……」



QB「………もう聞こえていないみたいだね」


QB「彼女も随分近くに来たみたいだし………。

   後の二人もそろそろかな…?」

253: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 20:59:52.24 ID:A2vERv1L0

――見滝原市街地――




マミ「ティロ・フィナーレ!!!!!!」

まどか「いっけぇぇぇぇぇぇぇッ」


ワルプルギスの夜「………………」



ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」


まどか「くっ…」


相手が魔法少女達の間で語り継がれるほどの伝説の魔女だと言う事は聞かされていた。

それと戦う心の準備もしたつもりだった。

けれど、現実は自分たちの考えを遥かに凌駕していて…。

わたし達は、その強さをこの身で実感していた…。



まどか(炸裂弾が11、貫通弾は20以上、広範囲攻撃も6………)

まどか(いつも以上に出力を上げてるマミさんのティロ・フィナーレだって15発以上入ってて…)

まどか(さやかちゃんの爆撃、マミさんやわたしの間接攻撃だって当たってる筈なのに…)


倒れない。

普通の魔女なら数十回は倒れているだろう攻撃を受け続けても突き進む魔女は…。

わたし達を無力と嘲り笑う。

254: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:00:27.22 ID:A2vERv1L0

マミ≪鹿目さん、グリーフシードは?≫

まどか≪まだ残ってます≫


マミ≪まだ、やれるわね?≫

まどか≪やれます…!≫



マミ≪これ以上進まれたら間違いなく避難所へ到達する…≫

マミ≪ここが最終防衛ラインと言っても良いわ≫


まどか≪せめて、魔女を避難所から離して人気の少ない方向に誘導できれば…≫


マミ≪難しいでしょうね…≫

マミ≪人を襲うのは魔女の本能だから…≫


まどか≪でも、わたしは諦めません…!≫

マミ≪……………そうね≫



マミ≪来たわ≫

まどか≪了解、さっきの打ち合わせ通り、今度はわたしから仕掛けます≫


マミ≪………無事でいてね≫

まどか≪マミさんも……!≫

255: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:01:03.12 ID:A2vERv1L0

まどか「これ以上は行かせない…」

まどか「行かせられない!!!!!」


この状況で、もっとも優先べきなのは、まず敵の足を止める事。

さっきからワルプルギスには満足なダメージが通ってるようには見えないけど、

足止め、と言う意味なら効果のある手段が一つある。




まどか「これなら…」


空に放った魔法陣から光の矢を降らせる広範囲攻撃。

これなら、魔女の足止めくらいにはなるのがわかっている。

消費も反動も大きい魔法だけど、そんな事は言ってられない。




まどか「お願い…、止まって!!!!!!!」



とにかく、ここでわたしが足止めをすれば…。

マミさんの追撃でいつかは魔女を倒せるかもしれないし…。

それが無理でもさやかちゃんが戻って来てくれれば、撹乱役をお願いして体勢を整えられる。


けれど…。

見上げた空には、そんなわたしの考えを打ち砕く光景が映っていた…。

256: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:02:14.78 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの夜「ア~ッハハハハハハハハハハ!!!!!!!」


まどか「う………そ……」


わたしが魔力を込めた矢を放ちながら、見上げると同時に…。

地響きとともに、巨大過ぎるモノが宙へと浮かび上がっていく…。




数階建てのオフィスビルが、宙にまるまる持ちあがった。






マミ≪馬鹿な…………≫


マミ≪さっきまでの激しい攻撃でさえ、手加減してたと言うの……?≫


ワルプルギスの夜の目の前を通り過ぎて、より上空へと登ったオフィスビルは…。

わたしの放った広範囲魔法の魔法陣の展開を邪魔して、それを消滅させると…。




そのまま…。


巨大な弾丸として、わたしに向けて放たれた。

257: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:02:45.74 ID:A2vERv1L0

まどか「あ…………」



強力な拡散魔法を放った反動で逃げ遅れ…。

いや、それ以上に目の前の光景に圧倒されたわたしは…。

その場でただ、立ち尽くす…。


そして、そのわたしに構う事も無く…。

わたしの数倍はあるオフィスビルが近づいてくる…。





マミ「くっ………、間に合え!!!!!!!!!」



迫り来る灰色の光景。


その光景を黄色い閃光が打ち砕くも、時は既に遅く…。



もはや勢いの死ななかったビルの残骸が、

巨大な拡散弾か、崩れた土砂か何のようになり…。


わたしごと周囲を飲み込んだ。

258: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:03:30.46 ID:A2vERv1L0

魔女に放とうとしていた砲撃を咄嗟に鹿目さんへ向けられたビルへ向けるも…。

ビルの中央を打ち抜き、それをへし折っても間に合わず…。

砕かれても勢いの死ななかった残骸の山が、そのまま鹿目さんを襲った…。



ワルプルギスの夜「ア~ハハハハハハハハハ!!!!!!!」

マミ「何が………」


ワルプルギスの夜「アハハ! アハ! アハハハハハハハ!!!!!」

マミ「何がおかしいのよッ!!!!!!」


そして、その様子を見ながら…。

ワルプルギスは、その強大な魔力で次のビルをゆっくりと浮かべはじめる…。




マミ「これ以上は…」

マミ「これ以上はやらせない…!」


狙っているのは、私か…。

それとも私の後ろにある避難所か…。


どちらにしても、さっきまでの魔女の動きから見れば…。

私が逃げれば、魔女は私達の守りたいモノの元へと一直線で向かうだろう。


そして、みんなの為にもそれだけはさせる訳にはいかない…!

259: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:08:42.01 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハ!!!!!!」


浮かび上がったのは、ワルプルギスの夜を覆い隠す程の巨大な…。

さっきのオフィスビルと比べて、階層も純粋な大きさも三回り以上はあろうかと言う高層ビル…。

それをそのまま撃ち放つ…。


そして、私もそれを迎え撃つように…。

作り出した魔力砲を放ち…。



マミ「ティロ…………」

ワルプルギスの夜「アハハハハハハァ………」




マミ「フィナーレぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!!!!!」

ワルプルギスの夜「ア~ハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」



高層ビルと魔力の砲撃…。

それは私と魔女のちょうど真ん中でぶつかった。

260: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:11:22.44 ID:A2vERv1L0

ぶつかりあう高層ビルと魔力砲…。

横になった高層ビルの上部に当った魔力砲は明らかに押され、高層ビルは確かに私に迫ってきている…。

私はそれを押し戻す為に、ありったけの魔力を砲撃につぎ込んでいく…。



私が…。

私が、この攻撃を防げなければ避難所のみんなが、あのビルに押し潰されてしまう…。

それだけは…、絶対に…。




マミ「させられないのよ!!!!!!」


限界まで魔力を追加して威力を増強した事で、魔力砲はついに高層ビルを貫く。

圧倒的な出力で放たれ続けるその砲撃を下へと走らせ、切り裂くように高層ビルを二つに両断する。


二つに分かれ、そのまま轟音を立てて地面に落ちる高層ビル…。

しかし、その向こうには…。

261: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:12:08.02 ID:A2vERv1L0

マミ「そん…………な………」


そのすぐ後ろには…。

私が砕いた高層ビルと同サイズのビルが既に迫っており……。






























それに押し潰されて、私の視界は真っ暗になった。

262: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:12:48.22 ID:A2vERv1L0

――避難所――



ほむら「鹿目さん……、鹿目さん……」

QB「さぁ、急ぐんだ! ほむら!!!!」


ほむら「嫌だ……、嫌だよ……」

QB「契約しないと君の命が……!」



ほむら「けど、私が………、私が契約したら………!」


QB「言ってる場合かい!?」

QB「君が契約すれば誰か一人は助けられるんだよ…!?

   いや、そもそもすぐ契約しないと…」



QB「……………」


QB「………もう手遅れのようだね」



ほむら「え………?」


凄まじい轟音と地震ともに…。

私の光景は揺れ、崩れ、ひっくり返り…。


目まぐるしく変わりながら、消えていく……………。

263: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:13:26.71 ID:A2vERv1L0

――???――



まどか「……………」


???「あ~~あ………」


???「アンタまでこんなになっちゃって………」




まどか「え………」


まどか「さやか………ちゃん……?」



さやか「うん」



まどか「さやかちゃん! その身体……!?」


さやか「は……はは…、ごめん……。

    しくじった………」


さやか「針千本……、飲まなきゃ………ね……?」

264: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:14:13.42 ID:A2vERv1L0

まどか「そんなのいいよ!」

まどか「それよりも無茶しないで……!」


さやか「あたしね………、もう……ダメみたい……」

さやか「ジェム壊れてさ……、穢れ…、取れない………から…。

    身体……治しても………もう………」



まどか「そん………な………」


さやか「でも………、まどかだけは………治すから……」


さやか「魔女に堕ちても………、アンタだけは守るから…………」



まどか「やだ…」

まどか「いやだよ……」


まどか「こんなのいやだよ………!」


まどか「さやかちゃんッ!!!!!!!!!!!!!」





さやか「ごめん………」








さやか「後…、任せたよ…………、相棒」

265: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:14:56.15 ID:A2vERv1L0

わたしの体の傷を癒しながら限界を迎えたさやかちゃんのソウルジェムは…。

鈍い音とともに砕け散り、グリーフシードへと変わると…。


衝撃を放ちながら結界を生みだし、魔女を生みだす……。



けれど…。

生まれた魔女はこの世界に何ももたらさず…。

持っていた剣を逆手に構えると、自らの腹に突き刺して消滅した。








人魚の魔女。性質は友情。

戦い続けて疲弊し、己の信念を全うした魔法少女の成れの果て。

僅かに残った友への思いからか、穢れきった自らの存在を嫌悪し、

守って来たモノを傷つける前に、その身を消滅させる事を使命とする。

266: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:15:28.76 ID:A2vERv1L0

――避難所跡――



ほむら「う………」


ほむら「私……助かったの……?」


目の前にも、見回しても黄色、黄色、黄色…。

黄色のリボンが私を取り囲み、包んでいた………。




ほむら「これ………、まさか………」


QB「さすがはマミと言った所だね」

QB「狙われていた君が襲われた際に、自分が駆けつけるまで持つよう…。

   自動防御魔法を君に仕掛けてたのか……」



QB「彼女に感謝するんだね」

QB「マミ自身の生命反応が消えたにも関わらず、これが残ってるのを見るに…。

   相当手の込んだ作りのようだよ…?」



ほむら「巴………さん………」

267: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:16:08.44 ID:A2vERv1L0

巴さんが残してくれた形見の防御魔法。

私を守ってくれたそれの上部はすっかり弱って、薄くなっており…。

そこから外へと出られた…。


しかし、防御魔法の繭の外では…。

目を覆いたくなるような凄惨な光景が広がっていた…。


それでも、私は知人を探して歩き回り…。

倒れた柱に身体のほとんどが埋まった友人を発見した…。




ほむら「志筑さん!」


ほむら「志筑さん! しっかりしてください!!!!」



仁美「あ………」

仁美「暁美さん………」


彼女は頭から血を流し…。

左手と顔意外が倒れて来た瓦礫に埋められてしまっていた。


私はどうにかそれをどかして彼女を助けようとするも…。

非力な私一人でそんな事が出来る筈も無く…。

268: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:16:47.51 ID:A2vERv1L0

仁美「もう……良いんですの……」


ほむら「そんな……だって……!」



仁美「私はもう………、助からないでしょう………」


ほむら「そんな…………」



仁美「ねぇ、暁美さん……?」

ほむら「はい………」


仁美「私の懺悔を聞いて下さいませんか…?」




ほむら「懺……悔………?」


仁美「はい………」

仁美「魔女の………懺悔ですわ」

269: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:17:30.72 ID:A2vERv1L0

ほむら「…………」


仁美「私ね………、上条君の事が好きだったんですの。

   どうしても………、友人であるさやかさんを蹴落としてでも手にしたいと思うほどに………」


ほむら「でも、志筑さんは……、正々堂々と……」


仁美「正々堂々………ね…」

仁美「あれは………建前、ですわ」


ほむら「え……?」



仁美「賭けを………したんですの」

仁美「さやかさんの気持ちが固まる前の今なら、まだ勝機があるから………。

   あぁやって時間を決めて嗾けて、どうなるか………」


仁美「もしもさやかさんが上手くいけば、その時は諦めが付くし…。

   うまくいかなくとも私の体裁は取り繕われた上で、上条君に告白ができる…」


仁美「汚い………女でしょう…?」


ほむら「…………」



仁美「だから、せめて元気な時にと思ったのですが………。

   それすらわからずに追いつめてしまって………」

270: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:18:14.71 ID:A2vERv1L0

ほむら「志筑さん、美樹さんは………」

仁美「今更………、こんな事言っても信じられないかもしれませんが…」


仁美「私は私で、さやかさんの事が好きでしたの…」

仁美「そして、憧れ、いいえそれを越して嫉妬さえ覚えていましたわ……。

   強くて、優しい人だから………」


仁美「だから、私はその強さに甘えようとしてしまった……」

仁美「さやかさんの気持ちを知りながら………、彼女は、強いから大丈夫だって…」

   彼女なら、その程度の物を失っても大丈夫だって…………!」



仁美「けど、そんなこと………なかった……」

仁美「あの人はあの人で脆い所があって………。譲れないものだってあって…………」


仁美「私は…………、知らなかったとは言え、さやかさんが一番大切にしてきた物を……。

   命を賭けて救ったモノを、横から奪い取とろうとしてッ…………!」


ほむら「志筑………さん……?」


仁美「おまけに私は………、上条君の気持ちも知りながら……。

   それも伝えなかった………」


仁美「会うのが怖かった………。結局は……、ただ、それだけの理由で……。

   二人の……、関係修復さえ……、しませんでした……」

271: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:19:54.90 ID:A2vERv1L0

ほむら「…………」


仁美「伝えて……あげればよかった……」

仁美「さやかさんに、上条君はきっと貴女を愛していますって………」


仁美「打ち明ければよかった…」

仁美「上条君に、貴方の手を治したのはさやかさんですって……」




仁美「上条君が………死んでしまう前にッ………!」


ほむら「ッ………」



仁美「あの人……、馬鹿ですわ………」

仁美「なんで、二人を引き裂いた………、私……なんかを庇って………」


ほむら「…………」




仁美「…………」



仁美「………これで、横恋慕の魔女の懺悔は終わりです。

   聞いてくれて、ありがとう………」

272: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:21:09.84 ID:A2vERv1L0

ほむら「志筑さん…」

ほむら「美樹さんも……、鹿目さんも……、あなたの事、嫌いになんかなって無いです…!

    だって二人は…!


仁美「………ありがとう」

仁美「なら、尚更………、直接、謝りたかった………」


ほむら「…………」



仁美「最後に………、勝手な事を言います……」


仁美「もし、できるのなら………、戻りたい………」

仁美「まどかさんとさやかさんと三人…。いいえ、貴女も含めた四人で……」


仁美「笑い………あえた……ころに……」


懺悔を終えた志筑さんは、眠そうに瞼を落としながら最後の願いを口にする…。


確かに志筑さんは美樹さんの大切な物を奪い取ろうとした形になってしまった。

でも、人を好きになる事自体は悪い事じゃない。

だからこそ全てを乗り越えた美樹さんなら、きっと彼女を責めたりはしなかったろう…。

きっと二人は仲直りができた筈……なのに………。


それはもう………。

叶う事は………ないんだ………。

273: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:21:44.77 ID:A2vERv1L0

ほむら「……………」

ほむら「……………」


ほむら「何もなくなっちゃった………」


ほむら「もう………何も………」




???「あなたがいるよ」



ほむら「その声…………」

ほむら「鹿目さん!!!!!!!!!!」


まどか「よかった…。ほむらちゃんは無事だった…」



ほむら「鹿目さん! 鹿目さん!!!!!!」

まどか「うん………」



ほむら「よかった………」

ほむら「鹿目さんが居てくれるなら……。私は……一人じゃないんだ……」



まどか「ごめんね…」


まどか「わたしは行かなくちゃ…」

274: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:22:41.58 ID:A2vERv1L0

ほむら「な………、なんで…?」

ほむら「ここはこんなになっちゃって………。みんなもやられちゃって………」


ほむら「もう、みんな終わったんだよ…!?」


まどか「うぅん、終わりじゃないよ」




まどか「………ほむらちゃんがいるもん」


ほむら「…………」

まどか「それに……生存者は絶対にいる。それも、結構な人数」




まどか「だから、ワルプルギスはこうして引き返して来てるんだ」


ほむら「嘘…………」

ほむら「…………」


ほむら「あ…………あぁ……」


遥か遠くの空を見つめる鹿目さん。

その視線の先に映るのは、逆さの魔女の巨体…。


絶望の魔女は、一人の生存者も許さないと言わんばかりに、通り過ぎたこの避難所跡へと引き返して来ている…。

275: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:23:08.14 ID:A2vERv1L0

まどか「それなら………、いかなきゃ」

ほむら「無理よ! 巴さんも佐倉さんも、ゆまちゃんも、多分美樹さんだって………。

    もういないんだよ!?」


まどか「うん…」



ほむら「一人だけであんなのに勝てっこない…。鹿目さんまで死んじゃうよ………?」


まどか「だからだよ。

    もうワルプルギスの夜を止められるのは、わたしだけしかいないから……」


ほむら「ねぇ…逃げようよ……?」

ほむら「だって、仕方ないよ…。誰も、鹿目さんを恨んだりしないよ…」


まどか「それでもわたしは魔法少女だから…。

    みんなのこと、守らなきゃいけないから…」



まどか「ほむらちゃん、わたしね…」


まどか「今日までほむらちゃんの事守り通せて………。

    それがわたしの自慢なの」


ほむら「…………」

276: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:23:57.65 ID:A2vERv1L0

まどか「辛い事もいっぱいあったけど………、楽しい思い出や、自慢にできる事、たくさんあるんだ…」


まどか「それに、もし魔法少女にならなければ、マミさんや杏子ちゃん、ゆまちゃんとは出会えなかった……」


まどか「ほむらちゃんを助ける事も………。

    さやかちゃんと向き合うことだって、できなかったかもしれない……」


まどか「たくさんの人を助ける為に戦って…………。

    その代わり、わたしはわたしの守った場所で仲間のみんなからたくさんの幸せを貰って……。

    そんな世界や毎日が、大好きだった………」


まどか「だから、わたしね………。魔法少女になって、本当に良かったって、そう思うんだ」


ほむら「鹿目さん……」



まどか「だから、わたしはいくね」


まどか「そのほとんどは守り切れなかったけど………。

    大切な人達に託された思いと、わたしの最後の自慢を守る為に………」



まどか「さよなら、ほむらちゃん…。元気でね」

ほむら「いや……」



ほむら「行かないで………、鹿目さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!」

277: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:24:59.23 ID:A2vERv1L0

私の制止を振り切り、鹿目さんはその背中に光の翼を生やすと……。

空に浮かぶ魔女の元へと飛んで行く…。



ほむら「あの羽………」

QB「まどかの固有能力が発動したようだね」


ほむら「鹿目さんの固有能力……?」


QB[あれを多少なりとも制御…。

   いや、もう少し早く発動させられたなら、少しは勝機もあっただろうに…」


あの羽を生やす事…?

違う、魔法少女の固有能力は願いに起因するって聞いた。

鹿目さんは飛びたいなんて願ってないから、あれは力そのものじゃない。


鹿目さんの願いは『死んだ猫を蘇らせる事』。

でも『蘇生』ができるなら倒れたみんなは生き返る筈。

じゃあ何? 鹿目さんの力って…。



そもそも鹿目さんの固有能力の発動と関係がありそうな、あの羽が見えたのは今回と美国さんを倒した時の二回。

どっちも絶望的な状況だった…。

278: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:25:34.69 ID:A2vERv1L0

まどか「………任されたんだ」

まどか「わたしの大切な………相棒に! 仲間達に!」


まどか「だからッ………!」


空を飛んだ鹿目さんは右手に強い光を纏い、左手に弓を構えると……。

魔女に向けて、その矢を次々に放ち続ける。

そして、その様子を見て、私はそこまでに考えていた思考を停止し、諦観した。





ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ!!!!!!」


先ほどまでと同じ。

繰り出した攻撃は魔女の体に当っては消える………。


何もかもが無駄…………。

全ては絶望に染まって、何もかも無くなるしかないんだ………。




ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハ!!!!! ア………」














ワルプルギスの夜「ギャアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!」


そう思った瞬間、ついに奇跡は起きた。

279: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:26:48.20 ID:A2vERv1L0

ワルプルギスの夜「アァァァァ……… アァァァァァァ…!」

まどか「通ったの………?」


突如苦しみ始める逆さまの魔女。

良く見れば、下半身に収まる歯車に大穴が空き、小さくないダメージを負っているのがわかる…。

そして、それを見て一度捨てた予測は確信へと変わる…。




ほむら「鹿目さんの固有能力………」

ほむら「それは、絶望的な状況の変化!」


QB「概ね正解だ」

QB[正しくは『定められた結末』、すなわち『運命』の変化とでも言えば良いかな?」


ほむら「だから美国さんは…」

QB「そうだね。『結末を視る』彼女の力の上位互換…。

   天敵とも言える力だったからこそ、彼女は敗れた」


QB「そして、今回もその力によって太刀打ちできていない筈のワルプルギスにも大打撃を与えた…。

   すなわち、全滅する筈の『結末』を『変えた』のさ」




QB「まぁ…」


QB[彼女自身の『結末』は変わらないんだけどね」

280: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:29:25.16 ID:A2vERv1L0

相変わらずしれっと喋る白い生物が事を言い終わらない内に………。

上空の状況が変化を起こした………。




ワルプルギスの夜「……………」


まどか「消え………た……?」



輪郭を薄め、幻のように消えていく魔女の巨体。

その様子を見て、身構えたままだった鹿目さんの表情が緩む。









まどか「わたし、やったの……?」



まどか「やっ…………」


しかし、最悪の魔女がただで引き下がる筈も無く……。

奇跡の代償が鹿目さんを襲った。

281: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:30:24.32 ID:A2vERv1L0

まどか「あぅ………ぐっ……」

まどか「がはッ………あ………あぁッ……」



ほむら「鹿目さん!!!!!!!」

QB「始まったようだね」



ほむら「これはいったい………」


QB「ワルプルギスと言う呪いの塊を傷つけた反動だよ」


QB「他者を呪うと言う行為自体は魔女そのものの本能だ。

   ただ、普通はその恨み故に行動はしても、恨み自体が何らかの現象を起こす力は無い」


QB「けれど、ワルプルギスクラスの魔女ともなるとまた話が変わってくる。

   怨念の化身とも言える彼女の恨みは強く、深い…………」



QB「その魂を穢れさせるほどにね…」



ほむら「じゃあ、鹿目さんは……」



QB「あぁ、ソウルジェムが穢れて限界を迎え………。

   魔女になろうとしてるのさ」

282: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:32:58.53 ID:A2vERv1L0

光の翼を失い…。

胸を抑え、苦しみながら落下する鹿目さん…。


変身した鹿目さんのジェムの位置を考えれば、奴の言葉を疑う余地はなく………。

私はその様子を見て、ただ泣き叫ぶしかなかった……。



まどか「あ…………ぐ………」

まどか「い………ぎ………かふっ……ぐうッ………」



まどか「イヤだ………」

まどか「わたしは…………ならない………」



まどか「大切な物………、壊す………」

まどか「魔女には…………」




まどか「絶対にならないッ!!!!!!!!!!!!!」


そう言って最後の力を振り絞った彼女は…。

右手に細く頼りない光の矢を作り出すと…………。




自分の胸を突き刺し、命そのものであるソウルジェムを砕いた。

283: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:33:33.61 ID:A2vERv1L0

まどか「……………」


ほむら「鹿目さん……………」

ほむら「鹿目さん……、鹿目さん………」


ほむら「鹿目さんッ…………!」


物言わぬ彼女の亡骸を抱き、止まらぬ涙を流し続ける…。

冷たくなっていく彼女の体温から………。

私は、全てを失った事を実感していく………。



一人ぼっちだった私に手を差し伸べてくれた鹿目さん。

私に笑いかけ、友達になってくれた鹿目さん。

こんな私を命を賭けて守ってくれた鹿目さん………。


彼女のおかげでたくさんの出会いがあって……。

彼女のおかげで色んな物を手にして……。

彼女のおかげで毎日が楽しくて………。



なのに…。

彼女のくれたモノは全て壊され……。


彼女自身も…。

今、目の前で奪われた……。

284: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:34:52.84 ID:A2vERv1L0

ほむら「…………」

ほむら「……………」



ほむら「……………私は」



ほむら「…………私は、許せない」


QB「ワルプルギスかい? それとも僕かい?]




QB「まぁ恨むのは勝手だけど、そんなことに…」


ほむら「私……自身……」

ほむら「鹿目さんに助けられるばかりで………。

    何も………できない………、私自身が………!」


QB「へぇ…」




ほむら「キュウべぇ……、契約しよう………」

QB「……わかった」


QB「では聞こうか…。

   君がその魂を捧げてまで望む願いはなんだい?」









ほむら「私の、願いは……………!」



―to be continued―

285: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/10(土) 21:35:25.31 ID:A2vERv1L0

―next episode―



「だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから」






――【最終話】運命が変わる時―





290: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:11:23.17 ID:YKfj8zWA0

ほむら「キュウべぇ……、契約しよう………」

QB「……わかった」



QB「では聞こうか…。

君がその魂を捧げてまで望む願いはなんだい?」



弱い自分が憎かった。

何も出来ない境遇が悔しかった。


それでも私の事を想ってくれた人達は………。

そんな私に手を差し伸べてくれた人は…。



もういない。

291: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:11:54.17 ID:YKfj8zWA0

こんな『何も無い世界』はいらない…。

そして、『何も出来ない自分』ももういらない…。



だから、私は…!

何を捨ててでも…!

大切な約束を破ってでも…!

願う…!



全てを一からやり直す…!

そして、惨めな守られる私を棄てて、今度は私が守る…!





ほむら「私の、願いは……………!」



『鹿目さんとの出会いをやり直したい』

『そして、彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい』

292: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:12:29.21 ID:YKfj8zWA0

結局、あなたの言った通りだったよ、美国さん…。

何もかも…。

全部、全部、全部…!

今頃、せいせいしながら笑ってるんでしょうね…。



『貴女はどうしようもなく、弱く、脆い』

その通りですよ…!

だから、強くなってやり直す…!

弱い私はもう、いらない…!



『その貴女の歩みは世界を滅ぼす…………』

知るものか…!

私の世界はもうない……、大切な人ももういない…!

だから、失った物を取り戻すんだ…!

そして、惨めな私を捨てた上で全部やり直すんだ…!



『だから、貴女は前を向くな………』

前を見なきゃどこを見るんだ…!

後ろでも見ろって言うのか…!




後ろ………でも……。



後……ろ……?

293: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:12:59.89 ID:YKfj8zWA0

ほむら「…………」




QB「どうしたんだい…?」


ほむら「少し………、待ってください……」



QB「…………わかった」


目の前にいる鹿目さんの亡骸を抱いたまま…。

体だけを傾けて、私の後ろにあるものを見る…。



当たり前のことだけど…。

そこにあるのは崩れきった避難所と、ボロボロになった街並みだけ…。




ほむら「やっぱり………」


ほむら「何も無いじゃない………」


何も無い世界を振り返るのをやめようとした時…。


吹いた強風に乗って、見覚えのある物が私の前を舞い…。

地面に落ちて泥にまみれた。

294: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:13:29.35 ID:YKfj8zWA0

ほむら「あれ………は……」


風に乗って落ちて来たのは、ボロボロになった黒いリボン…。

特に何の変哲もない唯のリボンだ。

だけど、これは……。




ほむら「佐倉…さん………」


彼女が長い髪を纏めるのに使っていたそれに酷似していて…。

私はそれを見つめながら、もう一つのリボン……。


私を救ってくれた色鮮やかな黄色いリボンを思い出し………。




ほむら「巴さん………」


その名を呟く…。



粗雑で、少し不器用だけど仲間思いだった佐倉さん…。

優しくて、面倒見の良かった巴さん…。

そして…。

295: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:14:11.60 ID:YKfj8zWA0

ほむら「あ………」


俯いた時、ふと目に入る…。

涙で視界が狭くなり、さっきは気付かなかったけれど…。


鹿目さんの耳の上あたりには、黄色の髪止め…。

あの美樹さんが何時も身に着けていた髪止めがあって……。




ほむら「美樹さん………、鹿目……さん………」


少し無鉄砲な所もあるけど、いつも明るくて元気だった美樹さん…。

わたしに手を差し伸べてくれて、色んな物をくれた鹿目さん…。

二人の姿を思い出し、自然と涙が溢れる…。



そして、同時に胸に閊えていた言葉…。

鹿目さんがわたしにくれた言葉を…。

やっと…。



まどか『泣きたい時は泣いて良いよ』

まどか『辛い時、苦しい時は振り返ってみて』



まどか『その為に友達………、うぅん、仲間がいるんだから!』


思い出した。

296: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:14:38.06 ID:YKfj8zWA0

『何も無い世界』

本当に…?

本当に何もなかった…?


『何も出来ない自分』

これは確かだけど…。

こんな私を認め、共に居てくれた人達は…?



この街で過ごした日々には…。

仲間たちとの絆は…。

捨ててしまっていいの…?


私がみんなと出会ってから本当にいろんな事があったけど…。

その間に皆が築き上げてきてくれた物や、その生き様さえも否定して、勝手に捨てるの…?



憎しみや劣等感に流された私の願いじゃなくて……。

私が叶えるべき私達の願いは……。


何…?

297: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:15:21.31 ID:YKfj8zWA0

ほむら「…………」


QB「さぁ、どうする?

   やっぱりやめておくかい?」


QB「僕としては……」



ほむら「契約しましょう…、キュウべぇ…」



QB「ふむ…」



QB「それでは、改めて聞こうか」


QB「君がその魂を捧げてまで望む願いはなんだい?」





ほむら「私の…………願いは…………」

298: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:15:56.05 ID:YKfj8zWA0












ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!」



マミ「出たわね…」

ゆま「大きい………」

ゆま「あんなのに……、勝てるの………?」


さやか「勿論!」

杏子「勝つんだ! 絶対にな…!」



マミ「約束したでしょ? ゆまちゃん」

マミ「また、みんなでパーティやろうって」


ゆま「うん…」

マミ「だから……、みんなで生きて帰らなきゃ、ね?」



まどか「大丈夫…………、できるよ」


まどか「みんなで力を合わせれば…」

まどか「わたし達、五人で力を合わせれば……」


???「いいえ、勝てませんでした」





???「でも、今度こそ………」


ほむら「今度こそ絶対に…………、勝てます!」

299: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:18:51.70 ID:YKfj8zWA0







――【最終話】運命が変わる時―










300: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:19:28.99 ID:YKfj8zWA0

マミ「暁美さん…」

さやか「アンタ……、なんで……」

まどか「ほむら……ちゃん……」



杏子「ほむら! テメェ!!!!!!!」

ほむら「ぐっ………」


ゆま「キョーコ、ちょっと…!」

マミ「落ち着きなさい! 佐倉さん!」




杏子「あれほど……、魔法少女になるなって言っただろうが!!!!!!」

ほむら「…………ごめんなさい」



ほむら「私は鹿目さんとの約束も、みなさんの信頼も全て裏切って願いを叶えました…」

ほむら「本当に………、ごめんなさい…」




杏子「ごめんですむか! お前の行動が世界を…」


ほむら「滅ぼしません。絶対に………」




杏子「そんなもん、絶対かはわからないだろうが!!!!!!」



ほむら「滅ぼしません………!」

301: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:19:55.57 ID:YKfj8zWA0

ほむら「絶対に………、滅ぼしません!!!!!」


杏子「お前…………」



ゆま「ほむらおねえちゃん、すごい迫力………」

マミ「……………」


さやか「…………良い目、してんじゃん」

まどか「だね」




ほむら「色々と不安材料はあるでしょうけど………。

    今はワルプルギスを倒す事を先決にしましょう」



ほむら「私は………、この日の為に準備をして………。

    みんなで明日を迎える為に………」




ほむら「願ったんですから…!」

302: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:22:28.06 ID:YKfj8zWA0

――避難所――


恭介「ねぇ、さやか」

恭介「絶対生きて帰ろうね」


恭介「無事に戻れたら……、聞いてほしい曲があるんだ」



仁美「………」


仁美(上条君には、さやかさんが見えるんですのね…)

仁美(私には………、誰も見えないのに………)




仁美「…………」


早乙女「あっ、志筑さん」


仁美「早乙女先生……、何か?」

早乙女「暁美さんを見ませんでした? 気付いたらいなくなっていて……」


仁美「さっき私の元へ来ましたけど………。

   行き先まではわかりませんわ」


早乙女「そう……、どこへ行ったのかしら……」


仁美「…………」

303: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:23:02.08 ID:YKfj8zWA0

暁美さん………。

いつの間にか居なくなっていたさやかさんやまどかさん程ではないにしろ…。

彼女も何か様子がおかしかった……。


恐らくは多分、彼女もさやかさん同様不思議な世界の住人なんでしょう。


けど、それだけじゃない。

今までの彼女とは違う、何か……。

決意か何かのようなモノがあって………。



ほむら『…………』

仁美『暁美さん、どちらへ………?』


ほむら『ちょっとやらなければならないことがあるので………』

仁美『やらなければならないって………、今はそれどころでは………』



ほむら『志筑さん、あなたもあるんじゃないですか?』

仁美『え……?』


ほむら『やってしまった事………、そして自分の気持ちから逃げても………』



ほむら『何も変わりませんよ?』

304: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:23:27.38 ID:YKfj8zWA0

『ちゃんと自分の気持ちを見つめて………』

『自分の本当にしたい事、すべき事、見つけてください』


『それがきっと志筑さんの為にも、他の誰かの為にも一番の筈ですから…!』



彼女はこう言い残して去っていった。


そう、まるで…。

さやかさんへの謝罪が出来ず、燻っている私を見透かしているかのように…。



仁美(私のしたい事、すべき事………、そんなのわかってますわ…)


仁美(けど、人が命を捨てて救った人を奪い取るなんて仕打ちをした私が………)


仁美(のうのうと許されるなど………あってはいけないんです……)



仁美(私は………、それだけの事を、さやかさんにしたんですから………)


仁美(許されては……………)

305: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:23:57.84 ID:YKfj8zWA0

杏子「今だ! ゆまッ!」


ゆま「えぇぇぇぇぇぇいッ!!!!!!」




ワルプルギスの使い魔「キャハ…?」

ワルプルギスの使い魔「…!?」


ゆまの繰り出した一撃で、崩れ落ちた高層ビルの上部が襲いかかり…。

それに押しつぶされる形で最前面に居た連中は消滅。



杏子「じゃあ頼むわ、ゆま!」

ゆま「うん! 任せて!」


使い魔どもの群れを抜け、前に出た奴のほとんどはアタシが叩き落し…。

大部隊自体は、ゆまが予め柱を折って崩しやすくしていたビルの上階を降らせて分断した…。


さやかに付き纏ってるのもまだいるだろうが、その大半をここに足止める事に成功…。

後は引き止めたこいつらを片づければ良いだけ。


と、言ってもその数はざっと見ても未だ40近く…。

二人で相手するには、ちょいときつい数だ…。


だからこそ…。

306: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:24:47.36 ID:YKfj8zWA0

杏子「やるぞ! マミ!!!」

マミ「了解! 下がって、ゆまちゃん!!!」


ゆま「わかった…!」



杏子「広域殲滅型………」

マミ「コンビネーション…!」



杏子&マミ「『フォーメーション・ステルミニオ』!!!!!」


アタシら二人のコンビネーションの出番って訳だ。


地中から飛び出した無数の拘束魔法が空に伸びながら、使い魔共を取り囲む檻を作り…。

その中にアタシの分身が次々と現れ、次々と襲いかかり……。

それを逃れた連中には、檻の外を囲むように配置された無数のマスケットによる一斉射撃が放たれる……。


互いの固有能力と得意距離を合わせた連携範囲攻撃で、敵の群れを一気に片付けていく…。

307: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:25:17.18 ID:YKfj8zWA0

マミ「まずは、成功ね」

杏子「あぁ…」


マミ「ルーキートリオが心配?」

杏子「ほむらはともかく……、まどかとさやかはぼちぼちルーキー卒業だろ」


杏子「そもそも………、これ自体あいつの提案だ」


そう、ベテラン二人による使い魔殲滅の案はほむらの奴が切り出した話だ。

未来を見て、それを変える為に最も効率的な戦法だとか言いやがって、

時間もないし、まどかとさやか、そして何よりやたら頑ななほむらに押し切られる形でアタシが折れた。


まぁサポートも上手い上に一応は昔組んでたマミとなら、さっさと片付くだろうし…。

それにアイツの情報が本当なら、この判断は間違ってない事になる…。




マミ「でも………、まさかあなたが押し切られるなんてね」


杏子「あいつ………、何か変わったよ」

杏子「自信なさそうなのが吹っ切れて………、なんつーか強くなった」


マミ「けど、代わりに契約してしまった…」

杏子「まぁ、な…」

308: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:25:44.09 ID:YKfj8zWA0

杏子「けど、宙ぶらりんのままじゃ却って危なっかしいし…」

杏子「それにアタシらが全滅したんじゃ、あんまり偉そうな事は言えねぇなって…」


マミ「そうね」

マミ「私達の責任もあるんだし、私たち全員で彼女をサポートしてあげないと…」


マミ「その為にも自爆なんて馬鹿な真似できないわね?」

杏子「しねーよ、バーカ! 誰がお前らの為なんか…」

マミ「…!」


マミ「来たわ…!」





織莉子?「………」

キリカ?「………」



マミ「後で暁美さんにお礼言わないとね」

杏子「その前に説教だけどな!」


ほむらの情報通り、現れた難敵の影…。

アタシとマミは、厄介な力を持つ奴らを真っ先に潰す為、予定通り一気に踏み込んだ。

309: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:26:18.97 ID:YKfj8zWA0

――見滝原市内市街地――



ワルプルギスの夜「アハ! アハハ! ア~~ハハハハハハ!!!!」


さやか「ひぃぃぃぃぃっ!?!?」


逆さまになった魔女を引き付けつつ、星一つ見えない夜空を駆ける。

多分、当たれば灰に…、いや消し炭すら残らないであろう火炎を必死に避けながら…。

襲い来る使い魔を振り切りながら…。


魔法陣を蹴り、ビルを蹴り…、目的地へ向かって進み続ける…。




さやか「あと…」

さやか「あと少し…」

さやか「あと少しで……」


さやか「!」


使い魔「キャハハハハハハ!」

使い魔「ハー!?」



さやか「来た…か……?」

さやか「と思ったらいきなり穴開いて吹っ飛んだ!?」



ほむら≪ここまでで十分です! 一旦下がってください≫

さやか≪お、おう…≫

310: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:26:51.75 ID:YKfj8zWA0

ほむら「…………」

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハ!!!!!」



ほむら「………食らえ」


あたしが下がり、入れ替わりに前に出たほむら。

一度は背が高めのビルに立つも、すぐにそこを飛び降り…。

次の瞬間には…。


あまり建物の無い個所に誘い込んだとは言え、それでも幾らかはある周囲の建造物が一斉に爆発し…。

同様に空に浮かぶ魔女自身も無数の爆発に襲われていた…。




ワルプルギスの夜「アハ! ……ハハハ………アハ……ハ! ハ……ハ……」


さやか「何が………、どうなってんの……?」


ほむら≪私の魔法です≫

ほむら≪まぁ爆発してるのは拝借したダイナマイトとか、お手製の爆弾とか魔法関係無かったりしますが…≫


さやか≪爆弾だのダイナマイトだの……、アンタ見かけによらずド派手だねぇ…≫

ほむら≪え、えへへ…≫


ほむら(派手な事でも、法に触れるような事でも………、何だってする……)

ほむら(この願いを………、叶える為なら………!)

311: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:27:25.64 ID:YKfj8zWA0

私の願いがどういった形で叶ったのか…。

あるいはまだ叶っていないのか、それとも自分で叶えなければならないのかはわからない。


けれど、私は契約を終えた後、美国さんが倒れた翌日の朝に飛んでいた。

そこから、ワルプルギスの夜の来襲までの時間はたったの10日。

ほとんど時間は無い…。


だからこそ、やれる事は何でもやった。




ほむら『ワルプルギス・ナハト……。中欧や北欧で行われる祭事……。

    これじゃない………』


可能な限り、敵の事も、自分の事も調べて…。





ほむら『ここをこうやって………、火薬を……うわっ!!!!』


どうやったら効率的に戦えるのか、考えて…。

そして…。

312: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:27:59.36 ID:YKfj8zWA0

???『人の縄張りの魔女を勝手に倒すなんて…!』

ほむら『ごめんなさい……。

    でも、こうすればあなたたちと会えると思って……』


ほむら『お願いです…。力を貸して下さい………』


???『図々しいなぁ!』

???『そんな伝説の魔女とやりたくないです…』

???『第一、こちらにはメリットが全くありませんしね』


????『…………』

???『どうしたの………?』

????『いえ………ちょっと、ね…』


???『ま~た悪い癖が出そうになってるんでしょ?

      ほら、お人よしが気まぐれ起こす前にさっさと帰って!』


ほむら『そこをなんとか………』


???『帰ってください!』


こっそりと周辺の街へ出かけ、探し歩き、時に魔女と戦ったりしながら、

その土地の魔法少女達に協力を仰ぎ……。

313: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:28:31.55 ID:YKfj8zWA0

??『私達は協力しないと伝えた筈だが?』

ほむら『そこを……何とか……』



???『気持ちはわかるけどさ……』

??『悪いけど協力はできないね…』


ほむら『お願い………します………』




??『しつこいし、面倒ね…………』

??『あの子に見られて、せっかく沈めた妙な気を起こされても面倒だし……』


??『この子にも「眠って」もらいましょうか…?』


ほむら『ひっ………!』




??『止せ!』

???『手荒なのはまずいっての!』



??『…………早くここから去った方がいい』


ほむら『はい…………』


邪見にされ、時に殺されそうになりながらも協力を仰ぎ……。

314: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:29:04.45 ID:YKfj8zWA0

ほむら『やっぱり………ダメか…』

??『…………なんで、そこまでするの?』


ほむら『ひっ! あなた……は……?』

??『慌てないで。特に危害は加えないですから』



??『さっきのを見てたんです』

??『あなたがあんまりしつこいから、さっきの人結構怒ってましたよ?

   下手すれば殺されてたかもしれない……』


??『にも関わらず、説得を止めない。何故?』



ほむら『あなたも魔法少女………ですか?』

??『…………だったら?』


ほむら『お願いです………、力を貸して下さい!』


??『形振り構わず………か』



??『何があなたをそうさせる…?』

315: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:29:36.58 ID:YKfj8zWA0

ほむら『どうしても………、どうしても叶えたい…。

    成し遂げたい事があるんです……』

ほむら『でも、その為には私一人の力じゃ足りないってわかったんです。だから………』


??『成し遂げたいこと………? それは……?』



ほむら『どうしても守りたいモノが……………』

ほむら『どうしても助けたい人達が居るんです…………!』


??『…………』




ほむら『あの人達は私に手を差し伸べてくれました。

    私を救ってくれました。私と一緒に笑ってくれました………!』

ほむら『今の私があるのは………、みんなのおかげだから………、だから………!』


??『……………』



??『………場所と日時は?』


ほむら『協力してくれるんですか!?』

??『考慮はしてみる…………』


魔法少女達への助力を要請し続けた………。

316: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:30:11.00 ID:YKfj8zWA0

ほむら(結局、色良い返事がもらえたのもその一人だけで、ここには誰も来てくれなかった…)


ほむら(だからと言ってくじけても居られない………)

ほむら(こうなっても良いように、昨日は犯罪紛いの手段で武器や爆弾を掻き集めたんだ…)


ほむら(今やれる事を………やらなきゃ!)





ワルプルギスの夜「アハハハハハハハ!!!! アハハハ!!!!」


ワルプルギスの夜の強さは尋常じゃない。

ビルやその瓦礫、火炎を使った圧倒的な攻撃力も…。

火力自慢の鹿目さんや巴さんの攻撃を何十発受けても倒れない驚異的な耐久力も…。

あれを正面切って倒すのは多分、相当難しいだろう…。

だからこそ、一人でも多くの助勢が欲しかった。


けれど、その助力は得られなかった。

だからと言って諦める訳にも行かない。


そこで私が考えたのが鹿目さんの固有能力、状況をひっくり返す『運命変化』の発生を待つ事。


極論を言えば私と美樹さんの支援があれば、鹿目さんは後方から攻撃を撃ち続けられる…。

それまでに能力が発動すればよし、発動しなくても巴さん達が合流してくれれば今度は総力戦を挑める…。

317: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:30:47.92 ID:YKfj8zWA0

ほむら(巴さん達の方は、二人とも実力も高い上に、優秀な回復役のゆまちゃんもいる)



ほむら(なら、問題なのは私達、特に鍵を握るのは私だ………)

ほむら(鹿目さんに大きめの負担がかかるとは言え、鹿目さんと美樹さんのコンビネーションは完成してる)


さやか≪………ら≫




ほむら(私の能力はそれを邪魔しないように使える力だけど………)

ほむら(いや、だからこそ私が…………)



さやか≪………むら≫





さやか≪ほむらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!≫


ほむら≪ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!?!?!?!?≫

318: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:31:13.50 ID:YKfj8zWA0

ほむら≪び、びっくりしたぁ………≫


さやか≪いやぁ、ごめんごめん……。けどさ≫



さやか≪アンタさ、自分一人で何とかしようとか考えて無い?≫


ほむら≪え……? え、えと…………≫



まどか≪ダメだよ、ほむらちゃん!≫

さやか≪一人で突っ走った奴の悪い見本をアンタはみたでしょーが!≫



ほむら≪けど………≫


まどか≪言ったでしょ? わたし達は仲間なんだから≫

さやか≪互いに助け合わないと、ね?≫



ほむら≪…………はい!≫

319: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:31:46.55 ID:YKfj8zWA0

さやか≪まずはあたしが掻き乱す≫

さやか≪で、アンタは隙を見て攻撃を仕掛けて…!≫


念話でそう言いつつ、魔女の元へと飛び、その周囲を駆ける美樹さん。

囮としての役目は十二分に果たしてくれている。



ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハ!!!!!!!」


ほむら(もっとも、隙を探す必要自体は………)

ほむら(ないんですけどね…!)


言いつつ私は能力を発動し、爆弾を魔女へ投げつける…。

魔女のスカートの中に放り込まれた爆薬は、私の能力解除と共に炸裂し、

その巨体を火の海に包む。


しかし、私はまだヒヨッコ。

自分の力の加減がわからず、大きなミスをやってのける。




さやか「ちょ!? 何…!!!!!!!!!」


ほむら「しまった!!!!」


想像以上に強かった爆風は美樹さんを巻き込み……。

それ自体には耐えた物の、美樹さんはそれに足を取られて体勢を崩して落ちていく…。

320: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:32:16.01 ID:YKfj8zWA0

ほむら「時よ……」


ほむら「止まれ!!!!!!!」


私は左手にある盾を操作し、そこにある砂時計の流れを止め……。

自らの持つ固有能力を再び発動する。



『時間停止』。

私の願いから生まれたらしい固有能力は強力無比。

止まった時の中では、私と私の触れていた者以外は誰も何も、全てが凍りつき動く事は無い………。



そして、私は凍りついた時の中を一人駆けぬけて、吹っ飛んでいた途中だった美樹さんの元へ……。

そのまま彼女を抱き上げて、能力を解除した。

321: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:32:47.30 ID:YKfj8zWA0

ほむら「大丈夫ですか………?」

さやか「え? は………?」



さやか「あたし、何でほむらに…………?」

ほむら「ちょっと待ってくださいね……」


突然私に抱きかかえられる形になったんだろうか?

動揺する美樹さんを横目に、私は先に用事を済ませる。




ほむら≪鹿目さん! 炸裂弾を!≫

まどか≪へ? 貫通弾じゃなく?≫


ほむら≪それは溜めがないと威力が。瓦礫は退けますから…!≫

まどか≪わかった!≫




ほむら「じゃ、いきますよ…!」

さやか「な、何…」


鹿目さんに指示を出し、ダメージが回復していく美樹さんを抱きかかえたまま…。

私はどうにか盾を操作し、能力を発動させた。

322: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:33:13.16 ID:YKfj8zWA0

さやか「これ………」


ほむら「『時間停止』。時間が無くて説明を省きましたが、これが私の固有能力です」

ほむら「私の能力の発動中は、私と私の触れている物以外は全てが停止…。

    逆に私から離れた物は暫く進んだ後にやっぱり停止します」


ほむら「もっとも、発動中は私の魔力を消費し続けますし………。

    代わりに私自身は火力も無ければ、身体能力も皆さんに比べるとあんまり向上………してない…みたいで……」

さやか「だったら、一旦降ろしなって!」


さやか「こうやって………」

ほむら「あ………」


さやか「手でも繋いどけば、能力は解けないんでしょ?」

ほむら「はい…!」



さやか「それで、さっきはいきなり吹っ飛んだわけだ」

ほむら「はい…、ごめんなさい……。

    私が自分の能力を過信したばかりに………」


さやか「…………許さん」



さやか「とか言うと思う?」

さやか「そうだねぇ…、缶ジュース一本で勘弁してあげる」


323: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:33:42.24 ID:YKfj8zWA0

ほむら「美樹さん………」


さやか「そんな顔しなくていいって」

さやか「あたしだってソウルジェム騒動の時、アンタにも迷惑かけた。

    でも、アンタは許すどころか、あたしを助ける為にまどかと来てくれたじゃん」


さやか「だから………、お互い様」

ほむら「はい…………!」



さやか「あぁ、でも何度も吹っ飛ぶのはごめんだから、次からは攻撃前には連絡お願い」

ほむら「了解です」



さやか「よし! んじゃアンタに負担もかかるし、さっさとまどかの為の道を作って能力解除しよ」

ほむら「了解です………と」



さやか「どこから爆弾取り出してるのかと思ったら………。

    盾の中が四次元ポケットになってるんだ」


ほむら「四次元ポケって………美樹さんったら」



さやか「くすっ……」

ほむら&さやか「あはははははははははは」

324: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:34:12.72 ID:YKfj8zWA0

私は鹿目さんと魔女の間にある瓦礫に爆弾を放り投げ…。

美樹さんは、鞭のように分かれながら伸びた剣の刀身を魔女の首に巻きつけ……。

能力を解除する。


そして…………。




まどか「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」


ワルプルギスの夜「アハ……ハハ…………ハハっ!?!?!?」


攻撃態勢に入っていた鹿目さんの炸裂弾が、突如消えた瓦礫のないルートを通って魔女に命中し、炸裂………。

さらに………。




さやか「吹っ飛べッ!!!!!!!!」


ワルプルギスの夜「!?!?!?!?」


美樹さんが巻きつけていた鞭のような剣の刀身を爆発。

魔女に更なる追い打ちをかけていく…………。

325: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:34:38.20 ID:YKfj8zWA0

まどか≪すごい…………、今のほむらちゃんがやったの?≫

ほむら≪はい≫


まどか≪すごい! すごいよ、ほむらちゃん!!!!≫

ほむら≪そ、そんなこと………≫


さやか≪そうそう、本当に凄いよね、ほむら≫


さやか≪まさかほむらにお姫様だっこされる日が来るとは思わなかったなぁ≫

ほむら≪そ、それは………///≫



さやか≪けどさ、あたしらも結構イケるじゃん!≫

まどか≪そりゃそうだよ、だってわたし達仲良し三人だよ…!≫


まどか≪三人揃えば出来ない事なんて………ないよ!≫



ほむら≪鹿目さん、美樹さん………≫




まどか≪ともかくさ、見せてやろうよ≫

さやか≪あたし達、クラスメートトリオの力をさ!≫


ほむら≪はいっ!!!!≫

326: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:35:16.45 ID:YKfj8zWA0

ほむら「時よ…………、止まれ!!!!!」

ほむら「これで足を止めて……、爆弾を仕掛けて……」



ワルプルギスの夜「アハハハハ………ハ! ハッ!?」


ほむら≪今です! 鹿目さん! 美樹さん!!!!!!≫


まどか「おっけー! いくよぉっ!!!!!!!!!」

さやか「よっしゃ、こっちも………いっけぇ!!!!!!」



まどか「続けていくよ………!!!!!!」

さやか「まだまだぁッ!!!!!!!!」



ほむら≪……………よし、もう1セット行きましょう!≫




まどか≪了解≫


さやか≪らじゃー!≫

327: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:35:42.89 ID:YKfj8zWA0

ワルプルギスの夜「アハ…ハ…!?!?!?!?」

ほむら≪どうぞ…!≫


まどか「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

さやか「そぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」



ほむら「はっ………はぁ………」

ほむら(ここまでは……順調………)

ほむら(私………以外は………かな………?)



まどか「とりあえず、これ以上は………」

さやか「一旦攻撃を中断……」



ほむら「はぁ……はぁ……」

ほむら(情けない………、この程度で息が上がるなんて………)

ほむら(けど、二人の足は引っ張れない……どうにか……)




さやか≪ほむら!!!!!!!! 前!!!!!!!!!≫


ワルプルギスの夜「アハハハハハハハ~~~~ッ!!!!!!!」

ほむら「しまっ……………」






??「ボサっとしてんじぇねぇぞ! ボケッ!!!!!!!!!」

328: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:36:20.17 ID:YKfj8zWA0

息が上がり、油断しきった私を攻撃しようとした魔女。

しかし、その魔女に突如現れた巨大な槍がぶつかり、さらに強烈な砲撃が追い打ちをかける…。


そして、私の前には緑色の小さな背中が………。

私を守るように前に立った。



ほむら「巴さん! 佐倉さん! ゆまちゃん!!!!!」



ゆま「お待たせっ! ほむらおねぇちゃん!」

マミ≪全く…………、一人で張り切りすぎよ?≫

杏子≪ったく、あんまり冷や冷やさせんな!≫



ほむら≪無事………だったんですね………?≫

ほむら≪よかった………、よかったよぉ……≫


杏子≪くっ………、泣くなよ…≫

マミ≪心配かけちゃったみたいね≫



ゆま「だいじょうぶだよ、ほむらおねぇちゃん」

ほむら「はい……………」

329: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:36:58.61 ID:YKfj8zWA0

杏子≪…………まぁいい、状況報告っ!≫

さやか≪おう!≫


さやか≪予定通り建物の少ない河原付近の誘導し、こっちに被害もなし≫

さやか≪ただ……、攻撃も結構ぶちこんだんだけど…≫


杏子≪ダメージらしいダメージは通らず、か…≫



マミ≪鹿目さんの固有能力の方は?≫

まどか≪すいません………≫


マミ≪いいのよ、急に言われたってそうそう使えるものでもないわ≫

杏子≪だな。そうそう運命なんて変わってたまるか≫


マミ≪じゃあ最後にもう一つ、作戦を立てる為にも暁美さんの固有能力を教えて?≫

さやか≪えぇと、かくかくしかじかで…≫



杏子≪ま、全員無事揃った事だしな≫

さやか≪まどかの能力が発動してくれる事を密かに祈りつつ……≫

マミ≪予定通り正攻法で総力戦を仕掛けましょう!≫

ゆま≪わかったっ!≫



まどか≪ほむらちゃんも、がんばろっ?≫


ほむら≪はいっ………!≫

330: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:37:29.94 ID:YKfj8zWA0

マミ≪とりあえず、陣形を変更≫

マミ≪美樹さんと佐倉さんは基本魔女の周りで囮役で、状況に合わせて攻撃して≫

マミ≪互いの位置、攻撃役の位置にも十分に気を付けるのよ≫


さやか≪了解≫

杏子≪あいよ≫



マミ≪私と鹿目さんは遠距離からの攻撃でダメージを与える役≫

マミ≪今日は囮役が二人だから、味方の位置には十分に気を付けるのは勿論、ジェムの穢れにも注意する事≫


まどか≪了解ですっ!≫



ゆま≪ゆまは…?≫


マミ≪ゆまちゃんは私の護衛、回復役が前に出てやられちゃったらまずいからね≫

ゆま≪わかったっ!≫



ほむら≪えと…………≫

マミ≪暁美さんは、ゆまちゃん同様鹿目さんに同行しつつ、護衛役≫


ほむら≪私も、ですか?≫



マミ≪あなたと鹿目さんは多分、能力的に凄く相性がいいと思うわ≫

331: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:38:09.35 ID:YKfj8zWA0

────────

────

──


まどか「いけぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!」


ワルプルギスの夜「アハっ! はっ! ハ…!?」


鹿目さんの放った力強い光の矢が空を駆け抜けていく。

一発、二発、三発、四発、五発…!


限界まで魔力を溜めこんで放たれた五本の貫通弾は、全て魔女にクリーンヒットする。

さらに………。




マミ「ティロ・フィナーレッ!!!!!!!!!」

ワルプルギスの夜「アハハハっ……………!」


巴さんの放つ強力な魔力砲がさらに魔女に追い打ちをかける。

魔力を追加して威力を高めているらしいそれは、かなり長い間放出され続け、魔女をとうとう地面へと押し戻す…。

そして……。

332: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:38:54.10 ID:YKfj8zWA0

さやか「今って絶好のチャンスだよね…!」

杏子「だな…!」


さやか「よし…、なら…!」

杏子「正直さ…、お前に速さで抜かれたって納得いってないんだよね」



さやか「そういや斬撃はほとんど試してないし、回数型のバリアとかなら破れるかもしんないね…?」

杏子「やるか…?」


さやか「速さ比べ、いってみようか…!」

杏子≪悪い、ほむら! 試したい攻撃があるから、最悪フォロー頼むわ!≫


念話の後、巴さんの砲撃が途切れると………。

前衛として囮役を引き受けていた二人が魔女の元へと走り、姿を消す………。



さやか「はぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!」

杏子「おらぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!」


目にも止まらない二人は一瞬だけ姿を現しては、また消えて………。

赤と青の影が映っては消え、映っては消えを繰り返し…。

刃の鋭い音だけが確かに響きながら…。

魔女を完全に抑えつける…。




さやか&杏子「デュエット・スクワルタトーレ!!!!!!!!!!!!」

333: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:39:23.25 ID:YKfj8zWA0

まどか「二人とも、張り切っちゃって…!」


ほむら「グリーフシードを使い終わりました」

まどか「よし! じゃあ次いこっか!」


美樹さん達二人の攻撃終了、そして退避したのを確認しつつ…。

私は盾を操作して時を止める。


そして、全てが止まった空間には私ともう一人…。



まどか「ほむらちゃんのおかげで助かるよ…」

まどか「私の攻撃は絶対命中させられるから、気兼ねなく全力でぶつけられる…!

    グリーフシードも安全に使えるしね」


ほむら「はい、巴さんの言った通りでした」


巴さんの言った通り、私と鹿目さんの相性は驚くほど良かった。


私が鹿目さんに触れつつ時間停止を発動させることで、鹿目さんも停止の対象外になり…。

止まった時間の中で安全に、限界まで力を注いだ全力の貫通弾を、魔力が尽きる寸前まで放て…。

さらにその場でグリーフシードまで安全に使用でき、おまけに射撃型の鹿目さんはその場から動く必要もない。


高火力の鹿目さんの攻撃を次々と叩き込め、さらにみんなはそれを起点に攻撃に移れる

まさにこれ以上に無い抜群の相性。

私達は、私と鹿目さんのコンビを中心に少しづつ、けれど確実に魔女を追い詰めていく…。

334: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:39:56.44 ID:YKfj8zWA0

――???――


QB「ふぅん……」


QB「使い魔を全滅させ、その上六人全員生存して魔女へそう攻撃を仕掛ける…」

QB「見事な手際だと言わざるを得ないかな」


QB「さすがのワルプルギスにもなかなかのダメージが蓄積してるみたいだし…。

   かなりの善戦と言えると思う…。本当に見事だよ」



QB「結末は決まってるとは言え、ね」




QB[状況の推移は興味深いけど…。

   そろそろ僕は僕のすべき事をしないとね」


QB「災害級の魔女の暴れるこの状況は僕にとって理想的な状況だから」




QB「……………」




QB「ほら…」


QB「さっそく一人、資質を持つに至ったみたいだ」

335: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:40:36.78 ID:YKfj8zWA0

――見滝原市内河川敷――



ゆま「てぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!」

さやか「砕け散れ!!!!!!!」

杏子「ぶちぬけぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!」


ゆまちゃんの繰り出したハンマーから放たれる衝撃波…。

美樹さんが次々に投げつけた刀剣とそれによる爆撃…。

佐倉さんが作り出した巨大な多節槍による打撃、斬撃、突撃…。


その全てがクリーンヒット…。





ほむら「もう………倒れてッ!!!!!!」

まどか「倒れて…………!」

マミ「それなら、もう一撃ッ!!!!!」


さらに鹿目さんの全力の貫通弾がまたも五発、同時に襲う私のお手製爆弾が七発…。

止めと言わんばかりに巴さんが得意の魔力砲を最大出力で撃ちこむ…。


しかし……。

336: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:41:04.71 ID:YKfj8zWA0


ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」


逆さの魔女は私達を嘲り笑いながら………。

またも平然と空へと浮かび上がる…。



杏子「化け………物め……」

さやか「どんだけ………タフなのよ………!」

マミ「気合………入れ直さないとね……」


ほむら(時間が戻る前に鹿目さん達が戦った時と違って、六人全員居て………)

ほむら(私の時間停止も使って、これだけ………、多分、前の三倍以上の攻撃を入れてるのに…)




ワルプルギスの夜「ア~ハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」



ほむら(あの魔女は未だにダメージらしいダメージがほとんど見れない…)

ほむら(本当に………勝てるの………?)


ほむら(いいや駄目だ、諦めちゃ…!)

ほむら(私は、みんなに明日を…)


諦めかけた自分に活を入れた時だった。

私のすぐ後ろに居た鹿目さんに………。

いや、この戦場全体に大きな変化が起きた。

337: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:41:41.88 ID:YKfj8zWA0

まどか「…!」

まどか「ほむらちゃん、危ないっ!!!!」


ほむら「鹿目さん!!!!!!」


ほむら「今、助け………ぐッ!」


背後から音もなく突然迫った弦のようなモノが私の背後に迫り…。

それを庇った鹿目さんはそれに捕われて引きずられていき、

鹿目さんを助けようとした私はどこからか飛んできた黒い球体を次々と受け、それを妨害される…。


くの字に曲がった身体をおこして前を見た時…。

そこには、見覚えのある人影のような存在が鹿目さんを捉えた弦を操っていた………。



ワルプルギスの使い魔「キャハハハハハハ!!!!」


ほむら「そんなっ……どうして……!」


言うまでも無く、そこに居たのはワルプルギスの使い魔である魔法少女の人影。

身動きの取れない鹿目さんを持ちあげたまま、私を見下すように嘲る…。

338: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:42:20.99 ID:YKfj8zWA0

そして、当然、人影が私の前にだけに現れた筈もなく…。



ワルプルギスの使い魔「キャハ!」

ワルプルギスの使い魔「キャハハハハ~!」

ワルプルギスの使い魔「キャ~ハハハハハハ!!!!」


杏子「くそっ…、こいつら出鱈目に速い…!」




さやか「杏子!!!!!!!」

さやか「!? くっ…………!」


ワルプルギスの使い魔「キャッハハハハハハ!!!!!!!」



ほむら「佐倉さん!!!!!!! 美樹さん!!!!!!!」


佐倉さんは数十体のやたら動きの速い使い魔に袋叩きにされ…。

美樹さんは現れた小動物の影に纏わりつかれ、それを払おうとした瞬間、突如現れた樹木に飲まれて消えた。

339: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:42:47.59 ID:YKfj8zWA0

ワルプルギスの使い魔「キャーハハハハー!!!!!」


ゆま「こ、来ないで!」

ゆま「い、痛いよ! 痛いよ!!!!!!」


ゆま「もうやめて……、ママ!!!!!!!」



マミ「お父さん……、お母……さん……」

マミ「くっ…、そんな筈…ない! これは幻か…!」


現れた人影の幻術らしき攻撃で苦しむゆまちゃんと巴さん…。

巴さんがそれを振り切って敵に攻撃しようとするも、それを庇うように別の人影が現れ…。




ワルプルギスの使い魔「キャハハ!」


マミ「邪魔………しないで!!!!!」


その人影を巴さんが作り出したマスケット銃を撃ち込んで倒し、ゆまちゃんを攻撃している敵を狙おうとするも…。

倒れた人影の口から、人影が飛び出して巴さんに迫り………。






マミ「え…………?」


頭の半分を吹き飛ばした。

340: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:43:17.44 ID:YKfj8zWA0

ほむら「巴さん!!!!!!! ゆまちゃん!!!!!!!」



ほむら「助けなきゃ………、私がみんなを……」


まずは一番近くに居る鹿目さんを助けようとするも、二人の見覚えのある人影が阻む…。

そう、この二人は………。



織莉子?「……………」

キリカ?「……………」


ほむら「美国さん………、呉さん………!」



ほむら「う………」


ほむら「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


その強さもさることながら、二人に命を狙われた私に恐怖心が走る…。

それでも不幸中の幸いで、自分の能力だけは忘れず、時間停止を発動させ、

その上で、取り出した拳銃を全弾撃ち込み、さらにお手製の爆弾にスイッチを入れて投げつける。


しかし…………。

341: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:44:00.86 ID:YKfj8zWA0

ほむら「うそ………、嘘だ………!」


織莉子?「……………」


敵は私の繰り出した攻撃を綺麗に回避し………。

爆煙の中から平然と姿を現し、さらに…………。




ほむら「か………ふっ…………」

キリカ?「……………」


ほむら「うし………ろ……?

    はや………すぎ……るよ…」


背後から迫っていた呉さんの爪に胸を貫かれ…。

力づくで引き抜かれると同時に、地面に叩きつけられた。

342: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:44:26.51 ID:YKfj8zWA0


ワルプルギスの夜「アハハハハハハハ!!!!!!!」


ワルプルギスの使い魔「キャハ…!」

ワルプルギスの使い魔「キャハハ………!

ワルプルギスの使い魔「キャ…ハ……!」



ほむら「使い魔の……再召喚……?」


ほむら「そん………な………」




ワルプルギスの夜「ア~~~ハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!」



突っ伏した事で、見上げる形で絶望的な光景。


それは、あの魔女の巨体の足元…。

もとい頭の上の地面にできている巨大過ぎる影から…………。

頭のようなものが飛び出しては競り上がって、魔女の使い魔である人影となる…。


それが魔女の影の中で次々と行われ、人影は数を増やしていき…。

やがて、佐倉さん達が全滅させる前の………。

戦闘開始当初の50を越える大群へと変わった。

343: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:44:55.49 ID:YKfj8zWA0

ワルプルギスの夜「アハハハハハハ!!! アハハハハハハハハ!!!!!!!」




ほむら「だめ………なの……?」

ほむら「やっぱり………無理なの………?」


ほむら「私の………願いは…………叶わないの………?」



再び現れた使い魔の大群…。

ほとんど無傷の最強の魔女………。

絶望的な状況に私は顔を伏せる…………。


しかし………。




まどか「諦めちゃダメ!!!!!!!!!!!!」


まどか「諦めないで、ほむらちゃん!!!!!!」





まどか「わたし達ならきっと……………」



何か言おうとした鹿目さん。

しかし、その彼女の前に鋏を持った使い魔が立つと…………。



その体を真っ二つにした。

344: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:45:37.80 ID:YKfj8zWA0

ワルプルギスの使い魔「キャハハハハハハ!!!!!!!!!」



ほむら「鹿目さん!!!!!!!!!!!!!!!」





ほむら「鹿目さん…………、鹿目………さん…………」


ワルプルギスの使い魔「キャハハハハハハハ!

ワルプルギスの使い魔「キャーハハハハハハハハ!!!」



ほむら「もう…………ダメだ…………」


ほむら「やっぱり駄目だったんだ…………」




ほむら「私なんかが…………頑張ったって…………」





???「そんなに簡単に諦めちまうのか?」



???「必死になってみんなに頭を下げたんだからさ………」


かずみ「もう少し、頑張ってみようよ!」

345: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:46:13.29 ID:YKfj8zWA0

私の前に立ちはだかる人影を追い払い、その前に立ったのは二人の魔法少女…。


一人は黒を基調とした露出の多い衣装と黒のショートカットの見慣れない魔法少女。

そして、もう一人は…………。


美国さん達の学校襲撃の際に暴れまわり、最後は美国さんい止めを刺した紫の魔法少女…。




ほむら「あなた………達は………」

ユウリ「一応とは言え………、約束したからな…」


ほむら「え………?」

ユウリ「アタシは変装魔法が得意だからな………」


??「こうすればわかるか?」


煙と共に変わったのは、ただ一人私にそれらしい返事をくれた女の人の姿に変わる…。

そして、もう一人の魔法少女の身元もすぐに判明する………。



かずみ「あなたの話をこっそり聞いて、わたし一人でも来ようとしたんだけど、止められてね…」


かずみ「でも、その子が手伝ってくれて、どうにかみんなを説得できたよ!」



ほむら「みん………な………?」

かずみ「ほら」

346: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:46:50.38 ID:YKfj8zWA0

さやか「く………う………出れ……たの…?」


みらい「無様だねぇ!」

みらい「紛いなりにも一度はボクに勝ったんだからさ……。

    もうちょいしっかりしてよ」




ゆま「あれ…? ママは……?」

サキ「あれは幻術。君をいじめる人はここにはいないよ」


ゆま「おねえちゃんが助けてくれたの?」

サキ「………………まぁ、ね」


ゆま「ありがとう」


サキ「……………ジュウべぇ、ソウルジェムの穢れを。

   精神攻撃は魔法少女には一番まずいから」


ジュウべぇ「ったく、人遣い…。いや、オイラ遣いが荒いぜ」


ゆま「キュウベェ………?」

サキ「いや、彼はあいつとは違う。私達の味方だよ」


ジュウべぇ「よろしくな、お嬢ちゃん」

347: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:47:51.94 ID:YKfj8zWA0

杏子「……………」

カオル「あたしらに救われるのは気に入らない?」

杏子「だとしても、助けられた事自体を感謝出来ない程馬鹿じゃないさ。

   礼を言う…」


カオル「貸し一ね! この貸しは何時かちゃんと返してもらうって事で」




ニコ「うわ……我が能力から作った薬とは言え……、頭が生えてくるとかグロいな…」

マミ「……………」


ニコ「ジェムに当らなくて良かったね。

   それとも頭飛ばされたのに魔女化しないよう意識を保ったって意味ではお見事、かな?」


マミ「どういう風の吹きまわしかしら…?」


ニコ「ちょいと怒られてしまってね」

マミ「怒られる……?」


ニコ「仲間の一人がね…、君達の事を助けないって聞いてさ…。

   そしたら『みんなには大事な人失う気持ちなんてわからないの?』だってさ…」


マミ「……………」



ニコ「かずみとあの子に感謝するんだね」

348: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:48:29.07 ID:YKfj8zWA0

海香「身体の方は?」

まどか「うん、平気です…。ありがとう」



ほむら「みなさん…! 来てくれたんですね!」


海香「礼なら、かずみとそっちの魔法少女に言ってくれ」

海香「見捨てるつもりだった私達に対し、かずみとその子が食ってかかったからこそ…。

   私達も折れたのだから………」



ほむら「ありがとうございます!」


かずみ「……………あなたは大事な人、失っちゃダメだよ」


かずみ「わたしには…………、できなかったから………」




ユウリ「大事な人、か…………」

349: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:49:12.55 ID:YKfj8zWA0

まどか「ともかく…………、これで魔法少女が13人…。

    使い魔は戻されちゃったけど、これなら……」


かずみ「13人じゃないみたいだね…………!」





こまち「ちぇっ! 一番良いタイミングはとられちゃった」


エリーゼ「最後まで反対していたあなたがそれを言うのかしら?」

こまち「うぅ…………」


クレア「ともかく…………色々事情が変わって協力に来ました!

    感謝してくださいね!」


ひより「あれ………、まだ他にも来てるみたいですよ………」




魔法少女A「おぉ~、やってるやってる」

魔法少女B「ひゃ~でけぇ……」


魔法少女C「……………」

魔法少女D「はぁ~、めんどくせぇ……」

350: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:49:55.17 ID:YKfj8zWA0

鹿目さん達を助けてくれた魔法少女達の他に………。

私が説得したけれど、それを断った筈の魔法少女達、それに全く顔も知らない魔法少女達……。


20、いや30を超える圧巻の数の魔法少女達がこの見滝原に集まっていた。




ほむら「みなさん………、来てくれたんですね………」


こまち「あっちにいる馬鹿どもに舐めた事言われたからね!」


クレア「『このまま放っておいたらアンタらのとこにもワルプルギスが来ちゃうよ?』

    『アンタらだけじゃ勝てないよ~』だって!」


エリーゼ「ダメよ、仲間割れは………」


カオル「~♪」




魔法少女A「こっちはただの野次馬ついでだけどね」

魔法少女B「伝説の魔女を倒す瞬間、見れるもんなら見たいからね…!」


魔法少女C「腕を試すいい機会…」

魔法少女D「とりあえず軽く援護するだけでもグリーフシードくれるって聞いたんだけど」

351: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:51:10.83 ID:YKfj8zWA0

マミ「…………どういう事?」


ニコ「私達だけが駆りだされるのも癪だったからね………」


ニコ「美国織莉子から貰ったワルプルギスの夜の移動経路のデータを見せつつ……。

   時に真実を伝えて危機感を煽り、時に伝説の魔女を倒す瞬間に立ち会わないかと興味を煽り…。

   あの手この手で魔法少女達の有志を募ったのさ」


マミ「……………さすがに、頭がキレるのね」



ニコ「質で敵わない圧倒的な存在なら、こちらは量で対抗する…………最も単純かつ効率的な手段だよ」


マミ「幾ら伝説の魔女と言えど、奇跡と希望の象徴である魔法少女達をこれだけ相手にしたら………」


ニコ「まぁ、面白い事にはなるだろうね」



ニコ「ただ、それも彼女が必死の思いで説得して回ったのがあってこそだ」

ニコ「今回は彼女のお手柄って事で良いと思うよ」



ニコ「プライドを捨てて必死に頭を下げて回った………。

   暁美ほむらのね」

352: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:52:20.59 ID:YKfj8zWA0

ワルプルギスの使い魔「キャハ…?」

ワルプルギスの使い魔「キャハハハ………!?」

ワルプルギスの使い魔「キャハハハハハ~?」



こまち「使い魔達が同士討ちを………?」

ほむら「これは一体…………」



??「私の魔法よ」


里美「ファンタズマ・ビズビーリオ」



里美「これでこの子達は私の思うがままに踊るしかない…」

里美「さぁ、今の内にみんなは魔女に攻撃を…」



まどか「はい!」

ほむら「ありがとうございます!」



里美「……………」


里美「何か面倒な事になってしまったけど………。

   私は使い魔ちゃん達をこうして相手すればいいだけだから………、一安心かな?」

353: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:53:44.67 ID:YKfj8zWA0

キリカ?「…………!」

織莉子?「…………!」


ユウリ「お前らにはその強制操作魔法も効きませんでしたってか」


ユウリ「ひゃははははははは!!!!!!!」

ユウリ「いいねぇ…! もう一度お前らをぶっ殺せる…!」



かずみ「…………」


ユウリ「と言う訳だ! お前は邪魔だ! どこかへ消えな…!」




かずみ「嫌だ………!」


ユウリ「あ……………?」



かずみ「二人はわたしの…………、わたしの大切な友人だったから…!」




かずみ「抜け殻かもしれないけど…………、最期くらい看取ってあげたい…!」


ユウリ「…………」

354: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:54:40.76 ID:YKfj8zWA0

ユウリ「そう言えば…………」



ユウリ「こいつらは連携してるとやたら厄介なんだったな…」

かずみ「……………」



ユウリ「アタシは爪の方を叩く………。

    それまで織莉子の相手でもしてるんだな…!」



かずみ「………ありがとう。え~と………」


ユウリ「ユウ…………、いや」

ユウリ「あいりだ」



かずみ「うん! あいり、わたしの背中あなたに預けるよ!」

ユウリ「……………言ってろ!」



かずみ「うん! 言ってる………!」


かずみ(織莉子、キリカ……)

かずみ(今、全部…………断ち切ってあげるからね)


かずみ「いくよ!!!! リーミティ・エステールニ!!!!!!!!!!!!!!!」

355: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:55:30.53 ID:YKfj8zWA0

カオル「あっちも始めたみたいだね」

サキ「当然だが……、かなり躍起になってるみたいだな」


みらい「まぁそれはそれとして…。

    キリカが残ってるけど、速度低下は大丈夫なの…!?」


ニコ「今調べるからちょっと待ってね……」

ニコ「……………」


ニコ「問題無い、かずみの『破戒』の魔法が『速度低下』をぶっ壊したみたい」



カオル「じゃあ、気兼ねなくやれるかな…?」


サキ「海香」



海香「今やってる…………」


海香「イクス・フィーレ………………」

海香「弱点は上半身の人形に非ず。下半身の歯車…………ですって」


海香「あぁ見えて………結構ダメージは溜まってるようよ」



カオル「ほほ~う」

ニコ「それは良い事聞いたね」

356: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:56:51.95 ID:YKfj8zWA0

カオル「じゃ、ぼちぼち始めますかぁ!」

カオル「一撃必殺! パラディ・キャノーネ!!!!!!!!!」


ニコ「ま、これもまたデータ収集の一環にはなるかな?」

ニコ「それじゃ…………、レンデレ・オ・ロンペルロ…!」


サキ「随分な回り道だが…………。これが彼女の為になるなら…………」

サキ「疾れ! 雷鳴…………!」


みらい「たまにはボク達もスカっと大暴れでもしようかね!」

みらい「さぁ来い…………、ラ・ベスティア」


みらい「んでもって合体! ラ・ベスティア・リファール!!!!」



クレア「あの子も雷撃使い………」

こまち「へぇ、対抗心燃やしてら」

エリーゼ「無駄口はそこまでにしなさい、いくわよ」

ひより「じゃあ、お先にいきます………」


ひより「奏でるは、戦慄の音色…!」

こまち「一刀両断! 真・薙刀斬りぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!!!!!!」

クレア「雷よ、駆け抜けなさい! あの子よりも強く…! サンダーボルト!!!!!!」


エリーゼ「我が声に応え、出でろ………!」

357: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:57:42.33 ID:YKfj8zWA0

魔法少女A「くらえぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

魔法少女B「ぶっとんじゃえ!!!!!!!」

魔法少女E「はぁぁぁぁぁぁッ!!!!」


ワルプルギスの夜「アハハハ………、アハハ………ハ……」




ゆま「すごい………」

マミ「さすがに壮観ね」


杏子「ゆまはともかく………….

マミ、あんたまで見とれててどうすんのさ」


マミ「そうね。今こそ一辺に決着を付けるチャンスよね!」



杏子「あぁ…、行くぞ!」

358: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:58:55.38 ID:YKfj8zWA0

杏子「最悪ここで死んでも、と思ってたんだがなぁ……………」

ゆま「キョーコ、そんなこと考えてたの…?」


杏子「………………」

ゆま「嫌だよ、キョーコ…………」


ゆま「ゆまは………、ずっとキョーコと一緒に………いたいよ……?」

杏子「だ~、もう! 泣くな!」


杏子「心配しなくたって、こんな奇跡起こされたら死ぬもんも死ねないさ…!」

ゆま「ほんと…?」


杏子「あぁ、ホントだ!」



杏子(親父、お袋、モモ、悪いな…)

杏子(ここじゃあ死ねそうにない…)



杏子「アタシみたいな奴にも見れる幸せな夢は、まだ続くみたいだから…」



杏子「いくぞ、ゆま!!!!!」

ゆま「うん…………!」



杏子&ゆま「スオーレ・ファンタズマ!!!!!!!!」

359: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 01:59:45.92 ID:YKfj8zWA0

ほむら「すごい…………」


まどか「一人で駄目なら二人………。二人で駄目なら三人……。

    10人で駄目なら20人、20人でもダメならもっと…」


まどか「みんなで力を合わせれば………、どんな絶望だって乗り切れる………!」


まどか「そして、そのみんなの絆をほむらちゃん紡いだんだよ?」




ほむら「私が…………」


マミ「あそこにいる魔法少女達に頭を下げて、協力を要請して回ってくれたのよね?

   本当にありがとう」


さやか「ほむらの頑張りのおかげで、あたし達にもようやく光明が視えて来たよ」



ほむら「私は…………、私はただ…………、みんながいなくなった未来がすごく悲しくて………。

    だから、迎えて欲しかっただけです」


ほむら「この絶望の夜を越えた、明日を…」

360: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:00:48.09 ID:YKfj8zWA0

マミ「その強い思いが私達の道を切り開いてくれた………」

マミ「なら、今度は私達が応える番よね?」


ほむら「いいえ…」

ほむら「私の思いは、私を守り、ずっと一緒にいてくれたみんなの為の物だから…」


ほむら「応えたのは私の方なんです…!」



マミ「そう………」

マミ「なら、今度は共に歩みましょう…!」


ほむら「………………はい」




ほむら「時よ…………、止まれ」


マミ「無限の銃製……………!」

マミ「そして、ティロ・フィナーレ………」


マミ「暁美さんの『時間停止』で、その生成時間を気にする必要が無いからこそできる…。

   200を越えるマスケット銃、40を越える中口径砲、そして大出力の魔力砲『ティロ・フィナーレ』」



マミ「受けなさい………、これが私の…」


マミ「全弾発射よ!!!!!!!!」

361: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:01:29.50 ID:YKfj8zWA0

まどか「結局………、私の固有能力は発動しなかったね」

さやか「だね………」



まどか「けど、そんな物無くても運命は変えられる………。

    ほむらちゃんはそれを教えてくれた………」


さやか「あたしは、とっくに知ってたけど」


まどか「え…………?」



さやか「誰かを救おうとする気持ち………。

    誰かの為に進もうとする気持ちは凄く強いんだ…………!」


さやか「どん底にいた誰かさんを救っちゃうくらいにね」


まどか「さやかちゃん…………」



さやか「まどか、全部終わらせよう…!」


まどか「うん! ここで断ち切ろう」


まどか「ワルプルギスなんて魔女になって、人を呪い続ける悲しい魔法少女達の絶望を………!」

362: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:01:55.20 ID:YKfj8zWA0

さやか「頼むから崩れるなよ………!」


あたしは作り出した刀剣を右手に握り、左手を前にして弓引くように構える。

同時にありったけの魔力を巨大化させつつ、その刀剣が十分に大きくなる前にそれを突き出すように放り投げる…。


剣を巨大化する魔法自体が難しいのに、さらにそれが手元を離れても巨大化を維持させるのは難しい…。

途中で巨大化が解けたり、崩れたりするものだが…。


刀剣は巨大化しながら宙を飛んでいく…………。




さやか「まどかッ!!!!!!!!」


まどか「うん、いくよッ!!!!!!」


放たれた刀剣をまどかの貫通弾が捉える。

まどかの魔力を限界まで込められて放たれた高出力の矢は刀剣を飲みこみ、

絶妙なバランスで弾かず、崩さず、そのまま共存した事で…………。


巨大な刀剣を核とした、魔力と実体剣の性質を併せ持つ合体魔力弾が完成した。

363: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:02:26.80 ID:YKfj8zWA0

あたしの作った巨大な刀剣を乗せたまどかの光の矢。

魔女の作り出した瓦礫の壁さえ弾くその力強い矢は、魔女に向かって一直線に飛んでいき…。




まどか&さやか「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」


ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハ!!!!!!!!」



ワルプルギスの夜「ア……………」


魔法少女の攻撃を受け続けた魔女の下半身に当る、その歯車に当たり………。

魔女の持つ自慢の魔力防壁をついに打ち破ると…。




その歯車に突き刺さった。

364: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:03:02.34 ID:YKfj8zWA0

ワルプルギスの夜「アァァァァァァァ!!!!、アァァァ………」


ワルプルギスの夜「アァァァァァァァァ~~~~ッ!!!!!!!!!!!!!!」



まどか「やったの…………?」

マミ「油断は禁物よ……」


杏子「言ったろ、グリーフシードになって転がるまで油断すんなって」

さやか「わかってる、一回それで痛い目見てるしね……………」


ほむら「………………」


剣が刺さり、その傷口から、自らが呼び出していた使い魔のような影を吹き出しながら、呻き続ける絶望の魔女。

普通だったら致命傷となるだけの一撃…。

けれど、相手は魔女、それも歴史に語り継がれるあのワルプルギスの夜………。


ここからまた動き出す事さえも予想していた。

しかし…………。



あたし達を苦しめつづけた最強の魔女はその輪郭を薄めると…。

その姿を完全に消した。

365: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:03:30.24 ID:YKfj8zWA0

まどか「やった………」



まどか「あのワルプルギスの夜が………いなくなった!」


さやか「あたし達、勝ったの………!?」

マミ「……………」


杏子「は………ははは……マジで………、勝ったのか………」

ゆま「なんか………どっと………疲れたよ………」


ニコ「やれやれ………、これで満足だよね、かずみ?」

かずみ「うん、これなら……」


こまち「あ~………、しんどかった………」






QB「おめでとう、魔法少女達」


消えていった魔女。

その勝利に酔いしれる魔法少女達。

しかし、その勝利に酔うでも無く、歓喜するでも、魔女との戦いに疲弊しているでも無い…。


どこか冷淡な声がその場に響いた。

366: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:04:50.26 ID:YKfj8zWA0


杏子「てめぇ………どの面下げて………」

まどか「今更、何の用……?」


QB「本当に見事だよ」

QB「数を揃える…。

多分、対ワルプルギスとの戦いに置いて唯一、正解と言えるだろう」


QB[様々な脅威に打ち勝ち、今日まで発展してきた人類…。

   僕達との契約を可能にするその不可思議な感情の他に、君達に力があるとするのなら………。

   その繁殖率の高さが生む数………、だろうからね」

QB「数、これに任せれば矮小な生物ですら、巨大で凶暴な生物を打ち負かす事もある…。

   この力は人であろうと、魔法少女であろうと変わらない、その性質を利用した見事な勝利だ」


さやか「だから、なんだってのよ…?」


QB「うん。じゃあ最も伝えたい本題を言おうか」

QB「ワルプルギスと言う圧倒的な絶望…………、それを倒すほどの希望があった」


QB「けれど、希望と絶望は必ず等価値…。絶望の後には必ず絶望が待っている」




QB「…………語るよりも見る方が早いかな?」



QB「ねぇ………、暁美ほむら」

367: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:05:53.09 ID:YKfj8zWA0

マミ「何を言って……………」


まどか「ほむらちゃん!!!!!!」

マミ「!?」



ほむら「か………な………め……さん………」


まどか「しっかり………、しっかりしてよ………」

杏子「こいつのソウルジェム………、真っ黒じゃねぇか!!!!!」

さやか「早くグリーフシードを…………!」


ニコ「それは使うな! ジュウべぇ!!!!」

ジュウべぇ「おう!」



QB「まだそんな物を…………。無駄だよ。それも、グリーフシードもね」


ジュウべぇ「ちくしょう………、マジで取り切れねェ…!」

みらい「根性見せなさい! 根性!」


QB「だから無駄だって。それは、あのワルプルギスの呪いだ」

QB「本来であれば、止めを刺したであろうまどかにそのダメージが行く筈なんだけど…。

   何がどうなってか、その反動はほむらにいったようだね」


ほむら「…………そ………れは………………。

    私の願い………に……よる……影響、でしょう…………」

368: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:07:26.52 ID:YKfj8zWA0

まどか「願い………?」

杏子「そう言えば……………、お前何祈って魔法少女になったんだ…!?」


ほむら「私の…………、願いは…………」

ほむら「ワルプルギスとの…………、戦いを……、やり直し……たい。

    そして………、みんなに………、明日を……………、迎えて欲しい…………」


サキ「なるほどね…」

ニコ「色々な事がとんとん拍子に進んでおかしいと思ったら、そう言う事か…」



QB「確かに、それなら君の言う『みんな』に、まどかは当然入っているだろうから除外され………」

   代わりに、その『みんな』の中に入っていない君自身がその呪いを肩代わりしたわけだ」



まどか「ほむらちゃん、何でそんな事を…………」


QB「全くだ。わけがわからないよ」

QB「君はあの織莉子の予知で世界を滅ぼすと言われていたんだろう?

   なのに、よく自分を犠牲にするような願い事ができたね………?」


QB「まぁ僕としてはエネルギーさえ得られれば、どちらでもいい事だけど…。

   時間操作が行える魔女なんて、一度生まれれば世界の一つや二つ、ひっくり返してもおかしくはない」


ほむら「いいえ…………、世界は滅びません…………」


ほむら「私がここで、死ねば…………それで、終わりです………!」

369: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:08:12.20 ID:YKfj8zWA0

クレア「世界が滅ぶって…………」

魔法少女A「な、なんなの、それ!?」


ユウリ「やかましい! 黙って聞け!!!!!」




さやか「ほむら、アンタ…………」

杏子「だから、世界は滅びないって………」


マミ「最初から死ぬ気で…………」



ほむら「はい…………」

ほむら「私が…………魔法少女になり……、やがて…、魔女になれば…………。

    美国さんの……、予言……通りに…、なるかもしれない………」


ほむら「だから………、このお願い…………する時に………、決めました………」



ほむら「私の…………命………引き換えに………、みんな……守るって………」


さやか「ほむら………」

杏子「くっ…………」

マミ「…………」

ゆま「そんなの…………、そんなのヤだよ………」

370: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:08:55.34 ID:YKfj8zWA0

まどか「ほむらちゃん…………!」


ほむら「鹿目さん…………」

まどか「なに……?」



ほむら「最後の最後に…………お願いです」


ほむら「私のソウルジェムは………、鹿目さんの手で砕いてもらえませんか…………?」




まどか「何………言って…………」



ほむら「お願い………です………」

ほむら「最期くらい………、自分の大好きな、人の手で………」




まどか「嫌だ………、嫌だよ………」

ほむら「かな……め………さん……」


ジュウべぇ「ぐっは………! ぐふっ……!」

サキ「しっかりしろ、ジュウべぇ!」


ニコ「申し訳ないが早くしろ! これ以上は保たないぞ!」

371: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:09:51.94 ID:YKfj8zWA0

ゆま「ほむら……、おねぇちゃん………魔女になるの…?」

ゆま「いま……なっちゃうの?」


かずみ「うそだよ………」

かずみ「わたし………、みんなで笑えるようにって………」


かずみ「みんなで笑えるように、力を貸しに来たのにっ………!」




杏子「畜生……! まどかの代わりにアタシが……!」



さやか「ふざけるな!!!!!!!」

さやか「アンタ、ほむらを殺………」



マミ「…………」


さやか「マミ………さん……?」



杏子「拘束魔法か………、助かる」

372: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:10:50.27 ID:YKfj8zWA0

ジュウべぇ「うぐぅぅぅ………がぁぁぁぁッ……」


里美「べぇちゃん! こうなったら私が………」

海香「しかし………」


杏子「退け、アタシがやる」



まどか「嫌です…!」

まどか「約束したんだ…! わたしがほむらちゃんを……。

    ほむらちゃんを守ってあげるって…!」


まどか「だから、殺させない! 殺させなんて………」


杏子「逆だ」

杏子「ほむらを守る為に、殺すしかねェんだろうが!!!!!!!」


まどか「ッ………」




ほむら「かな…め……さん……」


ほむら「おね………が………い」





まどか「う……………」









まどか「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!!!」

373: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:11:22.48 ID:YKfj8zWA0

まどか「……………」


まどか「………………」



まどか「…………………………」




まどか「ほむら…………ちゃん…………」





さやか「まどか! ほむらは…………」



まどか「死んじゃっ………た」


まどか「わたしが…………、殺しちゃった…………」




さやか「まどか、アンタ! まさか…!」

374: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:12:10.35 ID:YKfj8zWA0

さやか「やっぱり、ソウルジェムが真っ黒………」


マミ「そんな…………、鹿目さんまで………」


杏子「やるしか……ないのかよ」

杏子「ほむらだけじゃなくて……、まどかも………。

   まどかも殺るしかないのかよッ!!!!!!!!」


サキ「ジュウべぇ…」

ジュウべぇ「ごふっ……、無茶…言うな………」




まどか「約束………したのに…………」

さやか「まどか!」


さやか「そうだ! グリーフシード!」




まどか「わたしが…………、守るって……」

さやか「取れない………、穢れが………取れないよ………」



まどか「なのに………、わたし………」

さやか「誰か……」


さやか「誰か、助けてよ…………」





さやか「お願いだから、誰か助けてよぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

375: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:12:51.46 ID:YKfj8zWA0

さやか「う………うぅ………」


さやか「まどか………」



さやか「まど………かぁ」





まどか「さやかちゃん」


さやか「まど…………か?」





さやか「アンタ!!!!! 大丈夫なの!?」


まどか「うん………」



まどか「絶望の原因がなくなっちゃったからね」




さやか「絶望の………原因?」

さやか「まさか………」


???「はい」







ほむら「おはようございます、美樹さん」

376: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:13:42.32 ID:YKfj8zWA0

さやか「ほむら!!!!!!!!!!!!!!!」

ほむら「はい……、耳痛いです…」


さやか「アンタ!!!! 死んだんじゃなかったの!!!!!

    何で! どうして!?」


ほむら「え~~~と、私にもよくわからないと言うか………」




さやか「実はソウルジェムは砕いてなかったとか!?!?!?」


まどか「確かに砕いた………、と言うかそこに壊れたソウルジェム落ちたままだよ…?」



さやか「どう言う………こと?」

まどか「わからない………、わからないけど………」

ほむら「これが本当の奇跡、なんでしょうか?」




杏子「ったくアイツらはぁ……!!!!」

マミ「…………」


マミ「ふぅ………」


ゆま「マミおねぇちゃん!?」

杏子「お、おい! マミ! しっかりしろ!!!!!」

377: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:15:47.99 ID:YKfj8zWA0

マミ「大丈夫大丈夫。ちょっと安心して目眩しただけだから…」


杏子「阿呆か! あんまりびっくりしてアタシまで魔女になるかと思ったじゃねぇか!!!!!!」

ゆま「心臓とまるかと思ったよ…」




かずみ「よかった………、よかったよぉ……」

みらい「あ~はいはい、今日くらいは泣け泣け」

サキ「鼻水はちゃんと拭きなさい」



こまち「こりゃ祝勝会ってムードじゃないね」

クレア「ですね、奢ってもらおうと思ったのに」

エリーゼ「報酬も兼ねてその辺りは後日再訪問しましょう」


ひより「…………でも、無事で良かった」

エリーゼ「そうね」




ジュウべぇ「………行くのか?」

ユウリ「あぁ」


ジュウべぇ「穢れくらいは取ってやりたいんだが………」

ユウリ「気にするな。思ったよりも溜まっていない」


ジュウべぇ「………」

ジュウべぇ「嬉しいなら嬉しいって言えや良いのに………、難儀なヤツ」

378: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:16:47.54 ID:YKfj8zWA0

QB「さて…………君の願いは叶えた」

QB「これでよかったのかい?」





QB「仁美」

仁美「…………はい」


仁美「さやかさんの願いを代わりに叶える………。

   その願いの成就、確かに見届けさせてもらいましたわ」


QB「僕が口を出す事ではないとは言え………、君達は本当に変わっているね」


仁美「魂を賭けて救ったモノを奪おうとしたのなら、魂を以て償う………」

仁美「これで、私はまたさやかさんと並んで歩く資格を得たのですわ」



QB「償いね………、全く理解できないよ」


仁美「大事な事ですわ………」


仁美「それに、これで私はさやかさんに引け目を持つ必要が全くなくなった」

仁美「だから、親友としても恋のライバルとしても…。対等な関係になれるのですわ」


QB「まぁ………、君の気が済んだなら良いさ。

   僕は失礼させてもらうよ」

379: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:19:00.02 ID:YKfj8zWA0

まどか「もう……! ほむらちゃん、二度とあんな無茶しちゃダメだよ!」

ほむら「はい…。もう二度としません」


まどか「絶対! 絶対だよ!」

ほむら「はい…!」


さやか「ほむらだけじゃ怪しいから、あたしも混ぜて三人で約束しなおそっか」

ほむら「そう……します?」

まどか「そうだね。そうしよっか!」





QB「………………」

QB「奇跡の重ねがけで、被害無くワルプルギスを退けたか」


QB「これまた正解だよ」

QB「古くから人々はそうやって大災厄を逃れて来たんだ」


QB「一人では叶わない大きな願いを皆で重ねがける事によって、ね」


QB「ただ………」

QB「何度も言うように希望と絶望は等価値になるようになっている」


QB「今回の分の絶望が君達に訪れるまで僕は何時までも待…」



??「それはどうかな?」

380: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:20:01.85 ID:YKfj8zWA0

QB「君達か………」


カオル「御機嫌よう、嘘吐き妖精さん」

海香「相変わらず憎たらしい顔してるわね」


QB「…………それよりもさっきのはどういうことだい?」



ニコ「あぁ………、希望と絶望が差し引き0って話。

   私には眉唾でね」


QB「ふん………」



ニコ「だってそうだろう?

   この世界は何だかんだ言って進歩を続けて来たんだ」


ニコ「なら、前に進んでいると言う事…。

   それは希望の方が多いって言えないかな?」


QB「戯言だね」

381: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:21:48.64 ID:YKfj8zWA0

QB「わざわざそんな事を言いに来たのかい………?」


ニコ「まさか………」



里美「ウチのべぇちゃん、今日働かせ過ぎて調子が悪いの」

カオル「だから、休養取らせる間の代役が欲しいんだ」


QB「まさか………」


里美「ごめんねぇ、キュウちゃん。

   また『素材』になって?」


海香「安心すると良い。私達のジュウべぇが本調子になるまでの代役だ」


ニコ「用事がすんだら見滝原にいる彼女達にプレゼントする予定だからね…。

   ずっと彼女達を見守りつづける事が出来るよ?」



海香「これからは『本当の意味』で彼女達に協力するんだな。

   君と言う個体だけでも…!」







QB「くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

382: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:22:30.54 ID:YKfj8zWA0

まどか「マ、マミさん! どうしたんですか!?」

さやか「ちょっと杏子! アンタがなんかしたんじゃ…」



杏子「ちげーっつぅの! お前らの様子見て安心して目眩起こしたんだとさ。

   情けねぇ………」


ゆま「キョーコだって、マミおねぇちゃんたおれた時、おおあわてしてた。」


杏子「うっせ! 余計な事言うな! ゆま!」

マミ「あら……、心配してくれたの? ありがとう、佐倉さん」


杏子「うぜぇ!///」

さやか「な~に、照れてんのよ!」



まどか「ほむらちゃん?」


まどか「ほら、こっちにおいでよ」



ほむら「あ………、はい」

383: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:22:57.63 ID:YKfj8zWA0

キュウべぇは言った。

希望と絶望は差し引き0だって。



希望を叶えた分、その分の絶望がどこかでやってくる。

それがこの世界の摂理なんだって。



それはそうなんだろう。

今日叶えた奇跡もいつかは全て無意味に感じるような絶望がやってくるのかもしれない。

今、私達がこうして過ごす楽しい時間も、いつかはやってきた絶望が塗りつぶしてしまうのかもしれない。

384: ◆.2t9RlrHa2 2012/03/14(水) 02:24:56.87 ID:YKfj8zWA0

だけど………。

私は彼女達と一緒に歩んでいこう。

もう共に闘う事は出来ないけれど、せめて記憶に刻み続けよう。




希望とか絶望とか……、関係無い。


私はみんなの事が大好きだから。

みんなと過ごす日々が大好きだから。




共に居る事が出来る。


それだけでどんな希望よりも価値がある…。

そして、どんな絶望も乗り越えられる………。





そんな気がするから………。






―to be continued?―

引用元: さやか「よろしくね、相棒」 まどか「うん!」 2