1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 18:51:02.56 ID:0DI7Cj9x0
 
夜のソファで、私と千歳は寄り添い肩を触れ合わせる。
今の私たちはもう大人で、けれどまだまだ恋に夢中な年頃で、私には千歳という恋人がいて……
こうして二人、一緒に暮らしている。

電球の灯がオレンジ色の淡い光りを放ち、この部屋を包み込む。落ち着いた雰囲気の中、私と千歳はしみじみと語り合った。

千歳「歳納さん、船見さんと付き合い始めたらしいで」

綾乃「そう。てっきりもう付き合ってるものだと思ってたけど」

千歳「ふふっ、綾乃ちゃん、ちょっと面白くなさそうな顔しとるで」

綾乃「そ、そんなことないわよ!変なこと言わないでよねっ」

千歳「やっぱり、うちやなくて歳納さんと付き合えば良かったんとちゃう?」

綾乃「バカッ。今度そんなこと言ったらひっぱたくわよ」プイッ

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 18:55:26.91 ID:0DI7Cj9x0
千歳「ごめんごめん、冗談やって」フフフ

千歳「……ああ、そういえば、うちも綾乃ちゃんに謝って欲しいことがあったんや」

綾乃「え?私、何かしちゃった?」

千歳「中学の頃、綾乃ちゃんがうちに告白してからうちらは付き合い始めたけど、そん時まだ綾乃ちゃんは歳納さんのことが好きやったんやろ?」

綾乃「なっ!?」

千歳「千鶴が綾乃ちゃんにうちの本心を伝えたせいで、綾乃ちゃんはうちを悲しませまいとうちに告白して……」

綾乃「ち、千鶴さんから聞いたの?」

千歳「うん。千鶴にお酒飲ませたらベラベラ喋ってくれたで。アルコールの力って凄いなあ」

綾乃「そ、そうね…(千歳は飲まなかったのかしら?)」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 18:58:09.23 ID:0DI7Cj9x0
千歳「歳納さんが好きやったのにうちなんかに告白して、うちに嘘ついた」

綾乃「ご、ごめんなさい……あの時の私は……」

千歳「うちのほうこそごめんな。無理させちゃって」

綾乃「……けど!」

綾乃「今の私は幸せよ!千歳と一緒で、とってもとっても幸せ!だってそれは、今の私はもう……」

綾乃「千歳のことが、世界で一番大好きになってるんだから!」

千歳「綾乃ちゃん……!」

綾乃「後悔なんてしてないし、むしろ幸せ過ぎてこれでいいのかって思うくらいよ!千歳と居る時が一番落ち着いて、けれどときどきすっごくドキドキして、これが恋なんだなって胸を張って言える!」

綾乃「だ、だから、もう昔のことは水に流してよね。時効よ時効!」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:03:03.59 ID:0DI7Cj9x0
千歳「……うん。ありがとな」

千歳「うちも綾乃ちゃんのことが……」

千歳「世界で一番、大好きやっ!」ギューッ

綾乃「ちっ、千歳!?」バタン

そのまま私はソファに押し倒されて、千歳ととろけるような甘いキスを交わした。
もちろん、キスだけじゃ終わらなかったんだけどね。


おわり

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:04:04.84 ID:0DI7Cj9x0
秋の風が吹き荒ぶ夕方、学校の屋上には、千歳と私の二人きり。
フェンスに手を掛け、肩を並べて景色を見ている。

綾乃「明日から屋上が閉鎖か……」

千歳「ここから見る景色も、今日で見納めやね」

綾乃「残念だけど、今時屋上を自由に解放している学校の方が少ないらしいし、安全面の問題もあるから……仕方ないのかな」

千歳「せやなあ。それにしても……」

綾乃「綺麗な夕焼けね」

はぁ……って、思わず溜め息が出てしまうほど。
夕焼けなんてよく空に浮かんでいるようなものだけど、こうして高いところから見ると格別だわ。
でも……

夕陽に照らされた、千歳の横顔。

溜め息どころじゃない。見つめていると、あまりの美しさに心を奪われそうで……

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:09:32.29 ID:0DI7Cj9x0
前はこんな事はなかったのに。
千歳のことは可愛いとは思っていたけど、まさかその顔を見るだけで、こんなにドキドキして体が熱くなるなんて……

そう、これはまるで、私が歳納京子に抱いていた感情。
いつの間にかそれが、千歳に向き始めていたの。

千歳「夕焼けって綺麗やけど、なんかもの寂しくならへん?」

綾乃「そうね。なんでかしら……」

千歳「ちょっとセンチな気分になるていうか、しみじみとするというか」

千歳「多分、短いからやろうな」

綾乃「短い?」

千歳「もうすぐ夜がやってくるっていうほんの僅かな時間にしか、夕焼けは顔を出さへん。そんで、もちろんその後には暗い暗い夜が来る」

千歳「せやから、たとえ美しくても……寂しい気分になるんやないかな」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:14:07.51 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「……なるほどね。儚いものよね、夕焼けって」

千歳「せやな。失恋した時とかに眺めたいかもなぁ」

綾乃「えっ!?も、もしかして千歳」

千歳「えっ?ああ、違うよ。うちは別に今恋してるわけやなくて。もしも将来恋して、それからもしも失恋した時の話や」

綾乃「そ、そう……」ホッ

わ、私ったら取り乱しちゃって……
それに、千歳が否定してくれてすっごく安心しちゃってる。
やっぱり、千歳に恋人なんてできて欲しくない。
だって……

千歳「綾乃ちゃんは失恋なんかせえへんよ」

綾乃「えっ?」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:17:20.23 ID:0DI7Cj9x0
千歳「大丈夫。きっと歳納さんと上手くいくで。自信持ちな!」

綾乃「うん……ありがとう……」

千歳「…………綾乃ちゃん?」

失恋、もうしちゃったのかも。
歳納京子にフられたわけじゃない。ただ、自然に恋心が消えていっただけ。
今の私は、もう……

綾乃「千歳……私は……」

グッと、言葉を飲み込む。
気持ちの整理も満足にできていないのに、口に出しちゃダメだ。
でも、このまま黙ってたら千歳を騙すことにもなるし……

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:25:23.25 ID:0DI7Cj9x0
なるべく早く伝えよう。私はもう、歳納京子に恋をしていないってことを。
それから、その……ちゃんと心の準備ができたら、伝えたい。
私が千歳のことを、どう思っているのか。

千歳「綾乃ちゃん、どうしたん?」

綾乃「ごめん、なんでもない。さあ、もう帰りましょう?もうすぐ日が沈むわ」

千歳「そうやね。行こか」

たとえどんなに綺麗でも
夕焼けのように、儚く終わる恋にはしたくない。
だって私は、ずっと……この先もずっと、千歳一緒にいたいから。


おわり

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:26:33.89 ID:0DI7Cj9x0
~お昼の生徒会室~

綾乃「……暇ね」

千歳「暇やなぁ」

綾乃「まあ、たまにはこんなのんびりした時間も悪くないけど。生徒会の仕事も終わっちゃったし。……昼休みが終わるまでにはまだだいぶかかるわね」

千歳「歳納さんも風邪引いて学校お休みやしなぁ。綾乃ちゃん会いに行けへんで悲しそうや」

綾乃「な、何言ってるのよ!別に、そんな……ま、まあ?この前私が風邪引いた時はお見舞いに来てくれたし?今日の帰りに歳納京子の家にお見舞いに行くのも構わないけど?千歳が行きたいなら」ソワソワ

千歳「うんうん、うち、歳納さんのお見舞いに行きたいから綾乃ちゃんも一緒について来てくれへん?」

綾乃「し、ししし仕方ないわね!千歳がそう言うなら!」ヤッター

千歳(ホンマは会いたくて会いたくて仕方ないのに、綾乃ちゃんったらかわええなぁ)

千歳(そしてお見舞いで……あんなことやこんなことを……!)タラー

綾乃「千歳は元気そうね」ヤレヤレ

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:33:26.20 ID:0DI7Cj9x0

綾乃「……暇ね」

千歳「暇やなぁ……あっ、そうだ」ゴソゴソ

綾乃「?何これ?」

千歳「こないだ歳納さんが生徒会室に遊びに来た時に置いてったものや」

綾乃「『話題BOX』……?」

千歳「試しに引いてみるわ」ゴソゴソ


今日の話題:「めだちたgirlになるにはどうすれば良いか」 http://shindanmaker.com/206882

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:39:45.63 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「うぅ……目立つのは好きじゃないのよ……」

千歳「えー?綾乃ちゃんはもっと目立つべきやで!なんたって綾乃ちゃんの可愛さは世界一やもん」ニコニコ

綾乃「ちょっ///変なこと言わないでよね///」カァァ

千歳「だってホンマやもん」ニコニコ

綾乃「わ、私より千歳のほうが……素敵よ///」ボソッ

千歳「そ、そないなことないって///もうっ、綾乃ちゃんったら///」ポッ

綾乃「だ、だいたい、千歳が副会長になるべきだったのよ。人前でもちゃんと喋れるし、私よりずっと社交的だし……千歳のほうが、もっと目立つべきなんだから」

千歳「何ゆうてんの。綾乃ちゃんが相応しいに決まっとるやん」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:43:36.52 ID:0DI7Cj9x0
千歳「責任感強くて、頑張りやさんで、努力家で……一生懸命学校のことを考えてくれとる。そんでいて、ごらく部の部室使用を暗黙のうちに認めてあげる度量もある」

千歳「うちはそんな綾乃ちゃんを、そばで支えていたいんや」ニコッ

綾乃「千歳…………///」

千歳「全校生徒が思っとるで。綾乃ちゃんが副会長で良かったって。うちが保証したる」

綾乃「……ありがとっ///」

キンコーンカーンコーン♪

綾乃「よ、予鈴が鳴ったわ」

千歳「そうやね。そろそろ教室戻らんと」

綾乃「は、早く行きましょっ」スタスタ

千歳「うん!」


おわり

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:46:50.99 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「いーけだちとせー!」ガラッ

あかり「あっ、杉浦先輩だ!」

千歳「あら綾乃ちゃんやん。どないしたん?わざわざごらく部の部室まで」

綾乃「あなたまたプリント提出してないでしょ!提出日今日までなんだからね!」

千歳「ああ、忘れとったわ。ありがとな、綾乃ちゃん」ニコッ

綾乃「べ、べつにあなたのために取りに来たんじゃないんだからね///」プイッ

結衣「千歳って、しっかりしてるように見えて案外忘れっぽいところあるよな」

千歳「そうなんよ~。綾乃ちゃん、いつもありがとな」ニコッ

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 19:57:00.02 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「もうっ!今度提出し忘れたら罰金バッキンガムなんだからね!」

結衣「ぶふっwwww罰金バッキンガムwwww」プルプル

ちなつ(結衣先輩のツボが分からない……)

千歳「ああ、そういえば今日は歳納さんは一緒じゃないん?」


綾乃「歳納さん……?」


結衣「誰それ?」


千歳「えっ…………?」

千歳「だ、誰って、うちらと同じ2年生で生徒会役員で、船見さんと赤座さんの幼馴染みで、綾乃ちゃんの親友で……」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:03:20.66 ID:0DI7Cj9x0
あかり「あかりの幼馴染み?」

結衣「ごめん、千歳が何言ってるのか……」

ちなつ「え?なになに?いったい誰の話をしているんですか?」

綾乃「池田千歳!変な冗談はやめてよね!歳納さんなんて名前、聞いたことないんだから!」

千歳「そ、そんな!嘘や!だって綾乃ちゃんは歳納さんのこと!」

千歳(…………あれ?綾乃ちゃんが歳納さんのこと……?)

千歳(だって綾乃ちゃんの好きな人はうちで、わざわざ口実作ってうちに会いにごらく部まで来て、うちはそんな綾乃ちゃんのためにわざとプリント提出し忘れてあげたり……)

千歳(あれ?そもそもうち、ごらく部やったっけ?え?うち、うちは……うちは!)

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:08:21.21 ID:0DI7Cj9x0
ガバッ

千歳「はぁ…はぁ…はぁ……」

千歳「ゆ…め…?……朝や……」

千歳「…………どうりでおかしなってる思たわ…」

千歳「何でうち、あないな夢見てもうたんやろ?」

千歳「……きっと、歳納さんの事が羨ましかったからやな……」

千歳「…………よしっ!朝や学校学校!今日も綾乃ちゃんと歳納さんの妄想に精を出すで!」

千歳「いつも通りに……な」


おわり

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:13:16.62 ID:0DI7Cj9x0
京子「綾乃が頭打っておかしくなった?」

千歳「そうなんや。どないしたらええかな……」

綾乃「別におかしくなどなっていない。私はいたって普通だ」

京子「ぶふっwwwwな、なんだよその喋り方wwww」ゲラゲラ

綾乃「その様なことを言われるとは心外だな。いつもこんな感じだろう、私は」

京子「あははははは!お腹痛いwwww」

千歳「わ、笑い事やあらへんで~……」

京子「頭打って性格変わるって、そんな漫画みたいな」プスス

京子「ちょっと頭見せてみて」

綾乃「むっ、べつにたいしたことはない。軽く頭を床にぶつけただけだ」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:19:00.17 ID:0DI7Cj9x0
京子「あー……痛そう……。痛いの痛いのトンデケー!」ナデナデ

綾乃「心遣いだけ受け取っておこう」ヤレヤレ

千歳(あ、綾乃ちゃんが!歳納さんに頭撫でられても平然としとる!)ガーン

京子「あや…の?……うーん、なんか調子狂うな……」

綾乃「私はいたって普通なのだが……」

千歳(これは重症や……早くなんとかせな!)

千歳(こんなの……こんなの綾乃ちゃんやない!)

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:25:38.72 ID:0DI7Cj9x0

綾乃「……なるほど。頭を打つ前の私は歳納さんに恋をしていた、と。そう千歳は言いたいのだな?」

千歳「そうや。なあ綾乃ちゃん、本当に……歳納さんのこと、今はなんとも思ってへんの?」

綾乃「良き友人だと思っている」

千歳「嘘や!だって、だって綾乃ちゃんは!あんなに一途に……歳納さんを追いかけて……」

綾乃「バカバカしい」ハァ

綾乃「恋なんて、言ってしまえば脳内で起こる化学反応、まやかしだ。しかも相手が歳納さん?彼女と私は同性だろう。それなのに一途などと……」

綾乃「………………?」

綾乃「千歳…………どうして君は、泣いているのだ?」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:31:52.56 ID:0DI7Cj9x0
千歳「まやかしなんかやない……。綾乃ちゃんの気持ちは本物やった」

千歳「素直になれなくて、それでも仲良くなろうともがいて、顔を真っ赤にしながらも一生懸命……」

千歳「なあ!思いだしてよ!失くしちゃあかん!嘘や紛い物じゃあらへん、あれは、あの気持ちは綾乃ちゃんだけの……大切な宝物やろ!」

綾乃「なにを…言っ…て…」

綾乃「私は歳納さんのことなんか……歳納京子の…ことなんか……」

千歳「綾乃ちゃん、うちにもう一度、綾乃ちゃんの恋を応援させて」

千歳「だってうちは、綾乃ちゃんに幸せになって欲しいから」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:36:46.27 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「わ、私は……」

綾乃「私が……歳納さんのこと?そんな馬鹿な……!」

綾乃「歳納さんの……ことなんて……」

綾乃「歳納…京子の…こと…なんて……」

綾乃「全然……全然、好きなんかじゃないんだからねっ!」

千歳「綾乃ちゃん!」パーッ

綾乃「千歳……ちとせぇ!」ギュッ

千歳「綾乃ちゃんっ!」ギュッ

綾乃「ごめんね、ごめんね千歳……心配かけて……」

千歳「全部、思い出した?」

綾乃「……うん。なんだかスッキリした気分よ」

千歳「良かった……ほんまに良かったで」グスン

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:40:58.05 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「ありがとう。千歳のおかげよ、私が元に戻れたのは」

千歳「ううん。綾乃ちゃんの想いが強かったからやで。……あ、そだ」

千歳「ここで質問です。綾乃ちゃんの好きな人は?」

綾乃「なっ///何よいきなり!」

千歳「ほんまに元に戻ったかどうか、確かめんといかんしなぁ」ニコニコ

綾乃「もうっ///千歳のいじわる!」プンプン

千歳「ほな、言ってみて」

綾乃「……歳納京子」ボソッ

綾乃「私は、歳納京子のことが好き。だから……その……」

千歳「うん。これからもうちが、綾乃ちゃんの力になるで」

綾乃「……ありがとっ///」プイッ

千歳「ふふっ、顔真っ赤にしちゃって、綾乃ちゃん可愛い」

綾乃「う、うるさいわね!千歳のバカッ!」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:46:19.50 ID:0DI7Cj9x0


京子「綾乃、元に戻ったんだー!」ギューッ

綾乃「ととと歳納京子ぉ!?抱きつかないでよ!」カァァ

京子「綾乃だー!いつもの綾乃だー!」キャッキャッ

綾乃「うぅ……///その、し、心配かけてごめんなさい///」

京子「うん!やっぱり綾乃はそのままが1番だよ!」

綾乃「なっ///ど、どどどどーいう意味よそれー!?」


千歳(ええなぁ……)タラー

千歳(綾乃ちゃんが元に戻ってほんまに良かった。もう失くさんといてな、大事な大事な……恋心を)


おわり

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:48:32.12 ID:0DI7Cj9x0
※生徒会室にて

綾乃「……暇ね」

千歳「暇やなぁ……あっ、そや、話題BOXでも引いてみん?」

綾乃「この前歳納京子が生徒会室に置いてったやつよね、それ」

千歳「そやそや。さて、今日は何が出るかなっと……」


今日の話題:「座右の銘」 http://shindanmaker.com/206882


綾乃「座右の銘か……千歳は何か決めてるの?」

千歳「もちろん!『たとえ血液尽きようと、命懸けます妄想に!』や!」

綾乃「ち、千歳らしいわね……。私は……そう言えば特に決めてないかも」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:54:21.99 ID:0DI7Cj9x0
千歳「ほな、『夢は叶えるためにある!』ってのはどうやろ?」

綾乃「ああ、良いかも。前向きな感じとか」

千歳「歳納さんと新しくできたスイーツのお店にデートしに行くっていう夢は叶えられそうなん?」ニコニコ

綾乃「なっ!?ど、どどどどーして知ってるのよぉ!」カァァ

千歳「古谷さんと会長が言うてたで。こないだうちが居なかった時にどんな話してたんって聞いたら教えてくれて」

綾乃「も、もうっ///あれはつい口が滑っちゃったの!忘れて忘れてっ!」

千歳「恥ずかしいがらんでもええや~ん。女の子は誰でも夢を見るもんなんやろ?」

綾乃「────!?い、言わないでよぉぉぉ!自分が言ったことを改めて言われるの、とっても恥ずかしいんだからっ!」カァァァァ

千歳「ふふっ、ごめんごめん。恥らう綾乃ちゃんがあんまりにも可愛いもんやから、ついついイジワルしてもうたわ」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:00:16.04 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「もうもうもうっ!罰として、今度は千歳の夢を聞かせてもらうんだから!」

千歳「ええよー!それはもちろん、綾乃ちゃんと歳納さんが!」

綾乃「ストォォォォップ!」

千歳「?」

綾乃「そーいうのは今はナシ!私と歳納京子がーじゃなくて、千歳自身がどうなりたいのかとか、そういうことを聞かせて頂戴!」

千歳「え~、うち自身って言われても……」

千歳「……あっ、なんや、ちゃんとあるある」

綾乃「うん、じゃあ聞かせて聞かせて」

千歳「あー、こほん。うちの夢は……」

千歳「綾乃ちゃんといつまでも仲良くありたいってことや」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:07:25.61 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「えっ///」ドキッ

千歳「うちの1番のお友達やし……何よりうち、綾乃ちゃんが大好きなんや」

千歳「せやから……綾乃ちゃんが歳納さんと一緒になっても、今まで通りうちとの時間も持ってくれたら嬉しいなって……」

綾乃「そんなの……当たり前じゃない!えっと、その……こちらこそ!あの、末長くよろしくお願いします……///」ペコリ

千歳「綾乃ちゃん///」

綾乃「私だって、その、千歳と……いつまでも仲良くしたい。私の1番のお友達ですもの」

綾乃「だ、だから、千歳の夢は千歳だけの夢じゃなくて!私の……夢でもあるのよっ///」

千歳「…………///」ポッ

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:13:01.52 ID:0DI7Cj9x0
千歳「ふふっ、あかん、嬉し過ぎて顔がにやけてまうわ///」

千歳「ありがとな、綾乃ちゃん」ニコッ

綾乃「ううん、こちらこそ……ありがとね、千歳」ニコッ


綾乃(そんなこんなで、私の座右の銘は決まったの)

綾乃(『友達を大切にする』)

綾乃(ちょっと照れくさいから、千歳には内緒だけどね♪)


おわり

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:14:04.11 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「寒いわね~」ギュッ

千歳「寒いなぁ」ギュッ

綾乃「ホント、最近寒くて困っちゃうわ」ギューッ

千歳「ホンマ、困るなぁ」ギューッ

綾乃「でもおかげで」

千歳「こうして綾乃ちゃんと腕組んで歩けるわけで」

綾乃「これが夏だったら流石にムリだものね」

千歳「冬やからちょうどええんよね。綾乃ちゃんあったかい……」ギュッ

綾乃「千歳……大好きよ……」グイッ

千歳「愛してるで、綾乃ちゃん……」

チュッ


結衣(朝っぱらから学校の廊下で何やってんの……)

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:19:26.49 ID:0DI7Cj9x0


奈々「というわけで、生徒会役員ともあろう者が校内で人目も気にせず堂々とイチャイチャするのは流石にまずいと考えているのだが……」

奈々「すまんな。私はこれでも教師なんだ。あんまりこういうことは言いたくないし、学び舎を神聖視するつもりもないが、他の先生方がかなり問題にしていて……って、聞いているのか?」

綾乃「はい千歳、あーん」

千歳「あーん……」パクッ…モグモグ

千歳「うん、美味しい!」

綾乃「ふふっ、良かった。このプリンこの間発売した新作なの」

千歳「ほな、うちもお返しに、綾乃ちゃんのために漬けた新作のたくあんを……」

奈々「ダメだ、完全に2人の世界に入ってる……」

りせ「…………」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:24:39.47 ID:0DI7Cj9x0
千歳「なあ、うち……プリンの次は、綾乃ちゃんが食べたい」

綾乃「いいわよ……。ほら、おいで、千歳……」

千歳「あゝ、綾乃ちゃん。なんて罪な人なんや……。新作のプリンもたくあんも、綾乃ちゃんの前ではただの前菜になってまう」

綾乃「それはこっちのセリフよ。『千歳』に勝る料理なんて、東奔西走南船北馬、探し回っても見つかりやしないわ」

千歳「綾乃ちゃん、そないなこと言われたら照れるわ~///」ポッ

綾乃「照れてる千歳の顔、とっても可愛いわ……」

奈々「ええい、話を聞けー!」バンッ

りせ「…………」

奈々「ん?どうした松本、羨ましそうな目で見て……」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:29:28.61 ID:0DI7Cj9x0
りせ「…………///」ポッ

奈々「ああ、わかったわかった。今日は私の家で、な」ニコッ

りせ「…………///」コクンコクン


綾乃「千歳……///」

千歳「綾乃ちゃん……///」

チュッ


おわり

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:32:26.52 ID:0DI7Cj9x0
月明かりだけがわずかにカーテンの隙間から差し込む。
今夜は私の部屋で千歳と二人きり。布団をぴったりとくっつけて寝入る。
夜の静寂を埋めるように、私たちはぽつりぽつりと言葉を交わした。

千歳「綾乃ちゃんは幽霊って信じる?」

綾乃「幽霊?うーん、私はあんまり信じないかな」

千歳「うち、実は霊感があるんよ」

綾乃「霊感?じゃあ、幽霊とか見えるの?」

千歳「うん。見ようと思って見えるようなもんやないんやけど、たまーにチラッと」

綾乃「へえー。凄いじゃない」

千歳「信じてくれるん?」

綾乃「千歳がそう言うなら。幽霊は信じてないけど、千歳の言葉なら信じるわ」

千歳「ありがとな」ニコッ

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:40:18.86 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「そういえば昔、学校のトイレで幽霊っぽいもの見たって言ってたわよね?あれはどういう幽霊だったの?」

千歳「ぼんやりとやったからよく分からんけど、多分制服きた女の子やったかな。まだ若いのに死んでもうたんやな……」

綾乃「そう……。色々やり残したこともあるわよね……」

千歳「綾乃ちゃんは、幽霊になったりせえへんよね?」

綾乃「えっ?ど、どうしたのよいきなり」

千歳「突然死んじゃったりせえへんよね、ってこと」

綾乃「そりゃあ、人間いつ死ぬかはわからないけど……千歳を置いて死ぬのはごめんよ」

千歳「約束やで。歳納さんと結ばれて幸せな家庭で天寿を全うするまでは死なんって、約束してくれる?」

綾乃「なっ、なんでそんな約束になるのよー!」カァァ

千歳「だってー。幸せになった綾乃ちゃんが見れなかったら、うちかて死んでも死に切れんやもん」クスッ

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:45:41.33 ID:0DI7Cj9x0
綾乃「もうっ///だいたい、そんな約束しても守れるかどうか……」

千歳「綾乃ちゃんならできるよ」

千歳「きっと、上手くいく。うちもついてる」

綾乃「千歳……」

綾乃「……だったら、千歳も約束してよね。私と歳納京子が、そ、その……む、むむむ結ばれても、私を置いていなくなったりしないって」

千歳「うん。もちろんや」

綾乃「約束よ!約束なんだからね!……もうっ!千歳が幽霊とかの話するから、心配になってきたじゃない!絶対私を置いて死んだりしたら罰金バッキンガムよ!天国まで取り立てに行くんだから!」

千歳「あはは、それは堪忍してや」クスッ

千歳「それに、うちが今死んでも天国には行かへんよ」

綾乃「えっ?」

千歳「幽霊になって、綾乃ちゃんと歳納さんのイチャイチャを見守るに決まってるやん」ニコニコ

綾乃「す、凄い執念ね……」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:47:43.06 ID:0DI7Cj9x0
千歳「綾乃ちゃんの守護霊になったるで!たかだか死んだくらいで、うちの妄想は止まらへんからな!」

綾乃「あはは……それはどうも」

それからしばらくは、お互い沈黙が続いた。もう夜も遅い。千歳と話している時は気にならなかったけど、だいぶ眠くなってきた。
千歳はもう寝たのかな?
横を向くと、千歳と目が合ってドキッとした。

千歳「夢をな……見たんや」

綾乃「夢?」

千歳「綾乃ちゃんが死んじゃう夢」

綾乃「私が……」

千歳「夢の中でうちは泣いて、涙も声も枯れるまで泣いて、自棄になって暴れて……」

千歳「ああこれが、大切な人を失うってことなんやなって。夢で予行演習させられた」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:50:10.63 ID:0DI7Cj9x0
千歳「あんな思いは、もう懲り懲りや。せやから……」

今にも泣き出しそうな親友の、その震える手を
私はそっと握った。

綾乃「どこにも行かない。約束する」

人間なんて、いつ死ぬかわからない。
病気、怪我、事故……死の可能性は僅かながら、それでも確かに、日々の私たちを取り巻いている。

だから、気休めにしかならないけど
そんなことは分かっているけど、約束する。


──でもね、私たちには、もっと大切なことがあると思うの。それは……

綾乃「来週、一緒に遊園地に行かない?」

千歳「遊園地?ええよええよ!遊園地なんて久しぶりや」

生きてる間に、たくさん想い出を作ること。
生きてる間にしかできないから。
千歳との時間を、大切に大切に、楽しんで行かなきゃね。

私のかけがえのない親友なんだから。


おわり

引用元: 綾乃「私と千歳の」千歳「綾ちとな日々」