2: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 22:36:46.64 ID:dbBq2UUo
垣根(……)パチッ


垣根「……お?」キョロキョロ


垣根(んだぁ?この空間……)

―――



垣根(何もねえ。真っ白だ)


垣根(もしかして死後の世界……ってやつか?)


垣根(はは、まさかな)チラッ


垣根「それにしても何もねぇ」


垣根「真っ白だ」


垣根「……」

4: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 22:40:35.50 ID:dbBq2UUo
土御門「ご主人様」


垣根「!?」


土御門「?」


垣根「えっ」


土御門「?」


垣根「えっ!?……えっ!?」


垣根「……」ゴシゴシ


垣根「……!」バッ


土御門「?」ニコニコ

6: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 22:41:40.77 ID:dbBq2UUo
垣根「……」ゴシゴシ


垣根「……!」バッ


土御門「?」ニコニコ


垣根「……」


土御門「?」ニコニコ


垣根「それにしても何もねぇ」


垣根「真っ白だ」


土御門「?」ニコニコ

7: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 22:42:45.41 ID:dbBq2UUo
垣根「……」


垣根「その格好はなんだ……ですか?」


土御門「俺はご主人様のメイドぜよ?」


垣根「ああー…………なるほど?」


土御門「それにしても変なご主人様だぜい」クスクス


垣根「ごめん」


土御門「え?」

8: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 22:45:25.34 ID:dbBq2UUo
垣根「ごめんやっぱむりおええええええええええ!」


土御門「だっ、大丈夫かにゃ!?」ササッ


垣根「……」チラッ


垣根「ちかよんなうええええええええっ!!」


土御門「どうしようかにゃー……」オロオロ


垣根「……」チラッ


垣根「きもちわりぃいいいいいいっ!」ゲロゲロ


土御門「折角新しい子を紹介しようかと思ったのに……」

9: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 22:48:39.87 ID:dbBq2UUo

垣根「……」


垣根「新しい子……?」


土御門「ああ、とても可愛い子だぜぃ」


垣根(新人……?)


垣根(よくわからんが俺は「ご主人様」らしい)


垣根(そしてこいつは俺に雇われているメイド)


垣根(……)


垣根(もうちょっとマシなの雇えやボケ!)ガス


垣根(……ロングヘアーの綺麗なねーちゃんとかよぉ!)ガスガス

10: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 22:51:38.03 ID:dbBq2UUo
垣根(ていうか女ならどんなのでもこいつよりはいいだろおおおがああああ!)ガスッガスッ


垣根(バカあああああああ!俺のバカあああああああ!)ガスガスガスガス


土御門「おーい、どうしたんだにゃー?」


垣根「もうちょっと待ってくれ、もう少しで飛べそうな気がする」メキャッ


垣根「あと……少しで……」



ゴスゴスゴスゴスゴスゴスゴス

11: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 22:57:07.90 ID:dbBq2UUo
垣根「って止めろやあああああ!」ドバドバ


垣根「……」


垣根(それにしても新人か……)


垣根(もし女ならばこいつの破壊力が中和されるかもしれん……)ゲロゲロ


垣根(男の場合は……)


垣根(死のう)ゲロゲロ

12: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:01:09.47 ID:dbBq2UUo
垣根「大丈夫だ……。紹介してくれ」ゲフッゲフッ


土御門「オッケー。それじゃ」


土御門「ほら、隠れてないで百合子も挨拶するにゃー」


垣根「百合……子?」


垣根(やっと普通っぽい名前が出てきたっつーのに……)グフッゴフ


垣根(肌に纏わりつくようなこの嫌な感覚はなんだ……!)ゴボッ


垣根(しかしこのデスメイドを乗り越えた俺に隙はなかった)


垣根(ちょっとやそっとじゃもう驚かねえぞ!)ゲロゲロ


垣根(来やがれ、百合子とやら!)ハアハア

14: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:06:27.15 ID:dbBq2UUo
一方「ごしゅじンさまァ」キラキラリン


垣根「ぐぎゃあああああああっ!!」オロロロロビチャビチャ




―――




垣根「……うああああああああっ!」ガバッ


冥土帰し「やあ、お目覚めかい?」


垣根「……」


垣根(ゆ……夢、か)


垣根(良かった、マジで良かった……!)ハァ


垣根(……ハア)

16: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:08:54.88 ID:dbBq2UUo
垣根(ベッド、白い部屋、カエル……いや、医者)


垣根(ここは……病院?)


垣根「……なあ」


冥土帰し「ん?」


垣根「俺はどれくらい寝てたんだ?」



垣根「何故俺は生きている?」


冥土帰し「……ふむ」


冥土帰し(意識もしっかりしているし、障害もなさそうだ)


冥土帰し「それじゃ、ゆっくりと話していこうか」

18: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:12:29.70 ID:dbBq2UUo
…………



冥土帰し「大体こんなところだね」


垣根「成る程」


垣根(思っていたより時間は経ってないのか)


垣根(それでも順位の変動、スクールやアイテムの解散……色々あったみてーだが)


垣根(死んだ扱いになってんだな、俺)フゥ


垣根(一方通行に負けたから第一候補にはもうなれねえだろうし)


垣根(やることがなくなっちまった)

19: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:18:08.27 ID:dbBq2UUo
冥土帰し「……」


冥土帰し「ま、急ぐ必要もないさ」


冥土帰し「今の君を縛るものはないし、ゆっくり探して行けば良いと思うよ」


冥土帰し「やりたいこともそのうち見つかるだろう」


垣根「……」


冥土帰し「他の患者さんのことを言うのは本当は駄目なんだけど」


冥土帰し「君と同じくらいに入院してきた子もね、同じ顔をしてたんだ」


垣根「することがない……ってか?」


冥土帰し「そうそう」

21: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:22:34.77 ID:dbBq2UUo
冥土帰し「この広い学園都市、やりたいことなんてすぐに見つかるさ」


冥土帰し「ましてや君は超能力者なんだし、ね?出来ることは星の数ほどあるさ」


垣根「……」


冥土帰し「ああ、そうだ」


冥土帰し「もう大丈夫そうだしいつでも退院していいよ。服はそこにあるから」


垣根「ああ」


冥土帰し「それじゃ、お大事にね」ガチャ



バタン

22: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:26:35.40 ID:dbBq2UUo
垣根「……そうか」


垣根「俺、生きてんだな」


垣根「一方通行の中二攻撃を受けた時はどうなるかと思ったが……」


垣根「なんか知らんがこうして復活したんだ」


垣根「人助けなんて柄じゃねえが……」


垣根「ちったぁ心入れ替えて頑張ってみますか」




垣根帝督のとある一日

23: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:30:13.41 ID:dbBq2UUo
―――



垣根「良いことをしようと街へ繰り出したはいいが」


垣根「善行ってどうすんだ?」


垣根「……」ポクポクポク


垣根「……」チーン


垣根「やべえ、わかんね」


垣根「もうちょいあのカエルに話聞いとくべきだったか」


垣根「元気よく退院しちまった以上戻るのもなんか格好わりぃし……」


24: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:35:21.46 ID:dbBq2UUo

垣根「ブツブツ」




アノヒトドウシタノカナ
ナンカチョウツブヤイテマスヨ
ホラ、ヘンシツシャハホウッテオイテイクワヨ




垣根「誰が変質者だ、  ぞこのアマ共が!」


滝壺「あっ」


絹旗「垣根帝督……!」


麦野「アンタ……生きてたのね」


垣根(えーと)


垣根「って、ああ。お前らか

25: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:39:42.39 ID:dbBq2UUo
麦野「今まで何処にいたのよ」


垣根「ああ?病院だよ」


麦野「……」


麦野「ふーん」


垣根「聞いといてなんだよその反応」


麦野「なんでもないわよ、ただ聞いただけだから」


垣根「ああそう」


垣根「ところでお前らはなんで麦野の後ろに隠れてんだ?」


滝壺「……」


27: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:44:17.51 ID:dbBq2UUo
絹旗「超当然です、元々超敵同士なんですから」


絹旗「忘れたとは超言わせませんよ」ジッ


垣根(そういやこいつらアイテムにもいろいろ迷惑掛けちまったよな)


垣根(取り敢えず謝っておくか)


垣根「ああ……なんつーかあん時は済まなかったな」


絹旗「っ!?……あ、え、はい……!」ビクッ


麦野「気にしてないわよ、あの時はお互い様ってことで」


垣根「そいつは良かった」

29: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:53:17.44 ID:dbBq2UUo

クイクイ


滝壺「むぎの、この人ちょっと変。おかしい」


絹旗「たたっ……たたたたーた、滝壺!?」


麦野「そういうのはズバッと言うのはいくらこいつにとはいえ良くないわよ?」


垣根「心配するな、自覚はある」フッ


絹旗「……」


麦野「……」


滝壺「……」


絹旗(自覚は超あるんですね)



滝壺(別人みたい)

30: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/22(土) 23:56:42.92 ID:dbBq2UUo
垣根「そういやアイテム解散したって聞いたけどよ、お前ら何してんだ?」


麦野「何って」


麦野「皆普通に学生してるわよ」


滝壺「花も恥じらう女子高生」


絹旗「私は超中学生ですけど」


垣根「お前は?」


麦野「だから学生だって」

31: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:00:29.30 ID:jI2EQlUo
垣根「いやだからお前は?」


麦野「学生っつってんだろ」


垣根「学生っつーのは後ろの嬢ちゃん達だろ?」


垣根「お前は?OL?」


麦野「私も学生だっつーの」!?


垣根「おっと」


垣根「待て、落ち着け」


垣根「冷静になれよ、なぁ第四位」


麦野「てめぇがふざけたこと抜かすからだろうが!それと私は今第三位だ!」

34: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:05:21.78 ID:jI2EQlUo
垣根「分かった分かった。じゃあこうしよう」


麦野(分かってねーだろコイツ)


垣根「例えば仮にもし本当にお前が高校生だったと仮定する」


麦野「もしとか本当にとか、喧嘩売ってんのかてめぇ……!」


垣根「うるさいだまれ!」


垣根「そこの二人、こいつの制服姿を想像してみろ。ブレザーでもセーラーでもいい」


垣根「因みに俺はブレザー派だ」キリッ


垣根「ブレザーが大好きだ!」

35: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:10:47.63 ID:jI2EQlUo
垣根「とまあ俺の嗜好は置いておいて」


垣根「お前らああああ!」


絹旗「!」ビクッ


滝壺「……」ビクッ


垣根「どうだ、脳裏に浮かぶのは本当に高校生か!?」


絹旗「……」


滝壺「……」


垣根「いや違う!」


垣根「断じて違う!」


垣根「明らかに!明らかに無理をしたコスプレにしか見えぐふぉ」ガッシャアアアアアン

36: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:16:06.71 ID:jI2EQlUo


麦野「はー……はー……」


絹旗「はぁ、超やっちまいましたね、麦野が一番気にしてることを」


滝壺「本当のことでも、言っていいことと悪いことがあるんだよ」


麦野「……おい」


麦野「アンタらも粛清すんぞ?」ギロッ


絹旗「超ごめんなさい」


滝壺「めんご」



垣根「よっ……と」フルフル

38: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:21:50.92 ID:jI2EQlUo


麦野「てめーまだ生きてやがっ……」


垣根「っと、悪い。少し用事があんだ」フルフル


垣根「じゃ、またな」ペコリ


絹旗「え」


麦野「待ちやがれてめぇ!」


ファッサファッサ


麦野「くそっ」


滝壺「……」


絹旗「……」

39: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:22:26.77 ID:jI2EQlUo
麦野「……」


滝壺「……」


絹旗「ちょっ、超何ですかアレ!?ぷうぅぅっ!あの垣根帝督が、超垣根帝督が!」


絹旗「超頭下げてましたよ!」


麦野「……」


麦野「何か変な物でも食べたのかしらアイツ」


滝壺「喉、乾いた」

40: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:26:02.47 ID:jI2EQlUo
―――



垣根「があああああっ!!」ブンブン


垣根「人が心入れ換えて爽やか好青年になったっつーのに、あの女ども変なもの見るような目で見やがってよぉおっ!」


垣根「……いかんいかん」


垣根「これでよかったんだよな……!」ハァハァ


垣根「しかしよぉ」


垣根「ストレスでハゲんじゃねえか、俺」


垣根「ちくしょう」


垣根「……心なしか胃が痛ぇ」キリキリ


マチナサイヨォォ!
フコウダァァァ!

41: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:32:19.72 ID:jI2EQlUo
垣根「……お?」


垣根「なんかやってんな」


垣根(鬼ごっこ……じゃねえよな)


ヤメロビリビリ!
ビリビリジャネエッツテンデショウガァアアアア!


垣根「追いかけられてんのは男か」


垣根「追いかけてんのは女。……ってアイツは超電磁砲じゃねえか」


垣根(俺が順位から消えて麦野が第三位ってことはアイツが今第二位か?)


垣根「……」


垣根「なんか良くわからねーが……」


垣根「一丁人助けといくか」ファサッ

43: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:39:33.52 ID:jI2EQlUo
御坂「待てって言ってんでしょうがぁぁああ!!」バチバチ


上条「俺は今からタイムセールに行かなくちゃいけないって言ってるだろうがぁぁあああ!!」


御坂「三分で済むから!止まりなさいよぉぉおおっ!」


上条「嫌だ嫌です嫌なんですよおおおおおっ!」


御坂「くうぅ!コイツ……!」


御坂「人の気も知らないで……」


御坂「……もう知らない!あったれぇえええ!!」ドシュン


上条「え」


上条「う、うわああああ!」


ドッカーン


御坂「や、やった!?」

44: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:40:16.53 ID:jI2EQlUo

垣根「それを言ったら負けフラグだぜ」ファサ


御坂「!?」


上条「アレ?無傷?」


御坂「なんで……?」


御坂「あ、あんなチンピラみたいな奴に……」


御坂「あたしの超電磁砲を、いとも簡単に止められた?」

45: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:40:43.61 ID:jI2EQlUo
御坂「……何者よ、アンタ」


垣根「安心しろ、モブキャラだ」


御坂「嘘」


垣根「マジ」


御坂「嘘」


垣根「とみせかけて?」


御坂「嘘よ」


垣根「つれねぇな」


御坂「メインヒロインの必殺技を止められるモブキャラなんていないわよ!」


上条(メインヒロインだったのか……)

46: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:44:48.85 ID:jI2EQlUo
垣根「え?メインなんだって?」


御坂「メ・イ・ン・ヒ・ロ・イ・ン!」


垣根「……」チラッ


上条「……」チラッ


垣根「違くね?」


上条「てっきりインデックスかと」


御坂「何これ、いじめ?」


上条「いじめられてるのは俺だけどな」ハァ


御坂「なんでよ」

48: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:50:26.05 ID:jI2EQlUo
上条「なんでって無能力者にバンバン能力使う奴があるか」


御坂「そ、それは……あ、あんたが……」アセアセ


御坂「……」チラッ


垣根「……あん?」


御坂「そう!アンタは何者なのよ!」


御坂「超電磁砲を止めるなんてただ者じゃないわ!」


御坂「あやしい!」


上条(話逸らしやがった!)


垣根「怪しくない」


御坂「あやしい」


垣根「うるせえ」


御坂「あやしい」


垣根「……とにかくだ」

50: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:53:56.41 ID:jI2EQlUo
垣根「俺に常識は通用しねぇ」キリッ


垣根「間違えた、俺の未元物質に常識は通用しねぇ」キリリッ


御坂(未元物質?ってことはこのあやしいのが元第二位……!?)


御坂(死んだって聞いてたけど……)


上条「助けてくれたのか……?」


上条(それにしてもビリビリの超電磁砲をいとも簡単に……こいつも超能力者なのか?)


垣根「おい」


上条「は、はいっ」

51: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:57:52.81 ID:jI2EQlUo

垣根「早く行けよ。タイムセールってのがあんだろ?」


上条「あ、はい」


垣根「しかし……タイムセールってなんだ?」


御坂「おーい」


垣根「時間の特売?……いや、時間を売るだなんて非科学的だな」


垣根「でもファンタジーって夢があるよな」


垣根「その設定を詳しく教えてくれ。気になって夜しか眠れそうにない」クルッ


上条「タ……」


垣根「た?」

52: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 00:59:09.47 ID:jI2EQlUo
上条「タイムセールを知らないなんて、超能力者なんか嫌いだーっ!」ダダダダダ


御坂「あっ、ちょっと!待ちなさいよ!」ダッ


垣根「な、なんでだ」


垣根「訳わかんねぇ」ガックリ


垣根「ショックだ、超ショックだ」


垣根「もう夜も眠れねぇよ」オイオイ

53: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 01:01:33.51 ID:jI2EQlUo
垣根「だが超電磁砲、お前は通さねぇ」


ガッ


御坂「えっ、足ばら」


御坂「ふぎゅ」ベシャ


垣根(助けたはずなのに感謝どころか嫌われてしまった)


垣根(何故だ)


垣根(ハハ、悪人は何をしても所詮は悪人ってか?)

55: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 01:05:34.30 ID:jI2EQlUo
垣根(……いや、結論にはまだ早い。今日1日続けてみてからだな)


垣根(つってももう日が沈みかけてるんだが)


垣根(取り敢えずこの鬱憤は)


垣根「お前で晴らせて貰うことにするぜ!えーとお前今第何位!?」ガバッ


御坂「今は二位よ、元第二位……」


御坂「散々人を無視した挙げ句に転けさせて……あたしと勝負ですって?」ムクリ


垣根「いや待て。こいつを泣かすのは容易い」


御坂「やってやろうじゃない……元第二位!」ビリビリ

56: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 01:08:36.56 ID:jI2EQlUo
垣根「ならばさっきのツンツン頭を追い掛けてタイムセールとやらの設定を見に行くほうがいいんじゃないか」


御坂「くらえぇぇええ」キィン


垣根「よし!それならばツンツン頭を追おう!」ファサ


垣根「じゃあな第二位!今度ジュース買ってやるから!」バサバサ



ピンッ



御坂「えっ、あ……ちょ」


ドーン



キャアアアアアアテロリストオオオオオオオオ
ハヤクツウホウシロ!
アオピ、キズハアサイニャー!
ボクハモウダメヤ……



御坂「……」


御坂「逃げよう、うん」

66: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 20:06:42.65 ID:jI2EQlUo
―――


上条「あの」スタスタ


垣根「なんだ」スタスタ


上条「何故についてこられるのでせうか?」スタスタ


垣根「なに、気にするな。知的好奇心が疼いただけだ」スタスタ


上条(俺が気にするんだって)


垣根「知らないままなんて気持ち悪いだろ?おちおち昼寝も出来やしねえ」


上条「……さいですか」


…………

67: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 20:11:00.94 ID:jI2EQlUo
上条「着きましたよっと」


垣根「スーパーじゃねえか、どういうことだ!?」


上条(なんだよ何が気に入らないんだよ)


上条「どういうことも何もここでタイムセールをやるんですよ」


垣根「何ぃ!?」


垣根(ここで時を売るというのか!?ファンタジーすぎんだろ!!)


垣根(嘘だと分かっていても、こういうのはロマンがあっていいな)


上条「……?」


上条(そんなに驚くことなのか?やっぱり庶民と高レベルは違うんだな……)

68: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 20:25:44.39 ID:jI2EQlUo
ウィーン


上条「よし、まだ人が少ないな」


垣根(数に限りがあるのか。ま、当然だな)


垣根(しかし買うのはいいが、どうやってそれを購入者に入れるんだ?)


垣根(尻からってのは夢がねーな……)


垣根「何処から注入するんだ」


上条「えっ」


垣根「何処から注入するんだって聞いてんだよ」


上条(何を!?)


上条「え、えっと。口?から?かな、あはは」


垣根(こいつは何を言っているんだ)

69: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 20:42:12.77 ID:jI2EQlUo
垣根「果たしてそれは食えるものなのか」


上条「何がですか。ほら、これですよ」


垣根「惣、菜……?」


垣根(見た目は普通、値段も安すぎる)


垣根(成る程、口から注入と言ったのは頷けるが……)


垣根(普通の設定すぎる、おかしい)


垣根(もっとこう、壮大な夢っつーか希望みたいなもんが……)


垣根(何か、何かあるはずだ)


垣根(良く考えろ垣根帝督!)

72: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:00:37.29 ID:jI2EQlUo
垣根(…………まさか!)


垣根(これはカモフラージュ!)


垣根(確かに時を売るだなんて設定、痛すぎて公には出来ないよな)


垣根(しかし……98円?そんなバカな)ハッ


垣根(……)


垣根(ハハハ)ニヤニヤ


上条(わ、笑っている?)


垣根(……成る程、98万円か。ファンタジー!!)


垣根(商品の製造日から消費期限までの日数または×週の時を得られるということだな!)


垣根(自分で何言ってんのかイマイチよくわかんねーけど!)


垣根(そういうことにしておこうぜ!)

73: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:01:41.22 ID:jI2EQlUo
垣根(つまりこいつが持っているポテトサラダは三日!もしくは三週間伸びるということだ!そうだな)チラッ


上条「……?」


垣根(来い!来いよ!)


垣根(うなずけ!うなずけ!)


上条「……」


上条(これを買うのかってことか?)コクッ


垣根(ちょ、マジで!?すげぇ!)


垣根(本気で言ってんのか!?)


垣根(……)


垣根(やはり!なるほどこれは良い発見をした!)ポン


チーン


「ありがとうございましたー」

75: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:12:49.49 ID:jI2EQlUo
上条「いやー、いっぱい買えた」


垣根「おい」


上条「本当、助けて頂いてありがとうございました。それでは」ペコッ



垣根「おい」


上条「ま、まだ何か……?」


上条(なんなんだよこの人はああああああああああああうぜええええええ!)


垣根「12日または三ヶ月分の時を購入してたった2000円とはどういうことだ」


垣根「安くね?」


上条「はい?」


垣根「いやさ、俺も良くわかんねぇ、良くわかんねぇんだけど」

76: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:20:53.15 ID:jI2EQlUo
垣根「つまりどういうことだって聞いてんだよこの野郎……!」ワナワナ


上条「は、はいい?」


上条(うわあ、意味わからんけどなんかすげぇ怒ってる……!)


上条「あ、えーと……それは」アセアセ


垣根「……」


垣根「あー、こーいう事はねえと思うんだがな」


垣根「もし、もしだぞ」


垣根「もしお前が仮に……」


垣根「普通に惣菜買っただけだとかぬかしたら殺す」


垣根(あ、やべっ)


垣根「殺さねぇけど」


上条「え」ビクッ

77: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:32:14.71 ID:jI2EQlUo
垣根「んなことはねーよな?」


垣根「お前はタイムのセールにやってきたんだよな?」


垣根「時間を買いに来たんだよな?」ズイッ


垣根「そうだよな?」


垣根「そうだと言え!」


垣根「早く!」


垣根「嘘でもいいから!」


上条(なんだこの人頭おかしい)


上条(時間を買うとか何言ってんだ!?)


上条「え、ええ!そうなんですよ!こうやってちまちまと寿命を伸ばしてるんですよ!」


垣根(本気で言っているのか!?)


垣根「……」


垣根「やはりそうか」フッ

78: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:35:54.39 ID:jI2EQlUo
垣根「しかしそんなに小刻みに増やす理由はなんだ?一辺に買っちまったほうが早いんじゃ……」


垣根(待て。もしかしたら買わないんじゃなく買えないんじゃないか?)


垣根(もしかしてこいつ寿命がすげえ短くて……でも金が無くて買えねえ、みたいな)


垣根(ならば先程の店員はそれを知っててこっそり値引きしてくれたという設定か)


垣根(なんという漢……!いや、女だったような気がするけど)


垣根(……まださっきの惣菜コーナーには人はいねえな)チラッ


垣根(よし)


垣根「少し待ってろ」ウイーン


上条「えっ、あ……はい」


上条(逃げてえええ!)

79: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:37:46.09 ID:jI2EQlUo
…………


アリガトウゴザイマシター

ウイーン


垣根「おら、持って行きな」ガサッ


上条「は、はいぃ?ど、どうして俺に……!?」


垣根「何も言うな」


垣根「分かってる、分かってるから」ズイ


上条「ありがとうございます。助かります……!」ペコペコ


上条(肝心なところで噛み合ってないけどこれは嬉しい!やったぜインデックス!)


垣根「あのさ」

80: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:38:47.79 ID:jI2EQlUo
上条「……はい?」


垣根「人生ってやつはロクでもねえもんだけどさ、まだまだ捨てたもんじゃねえからよ」キリッ


垣根「頑張りな」グッ


上条「は、はい!」グッ


上条(人生ってとこしか聞いてなかった……まあいいか)


垣根「では俺は行く、またな!」バッサバッサ


上条「さようならー!」


上条(ちょっと変だけど、いい人っぽいな)


上条(変だけど)

81: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:46:11.79 ID:jI2EQlUo
―――


垣根「腹減ってきたな」


垣根「そこのファミレスにでも入るか」チラ


垣根「この時間は客がいっぱいいやがるな……」ベタッ


垣根「店員も忙しそうだ」ジー


ナンデスノ?アノトノガタ
ファミレスノマドニハリツイテマスネ…
オカネナイノカナー


御坂妹「……」明らかに嫌そうな視線


垣根「フッ、目が合ってしまったな。今入って来るな、そう訴えているつもりか」

82: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:50:00.44 ID:jI2EQlUo
垣根「まあなんだ」


垣根「お前の気持ちは分かる」


垣根「分かるぞ」


垣根「ああ、よく分かる」


垣根「だがな」



垣根「俺に常識は通用しねえ」ウイーン


御坂妹「っしゃいませぇ、とミサカは独りでアイコンタクトを無視して独りでファミレスに入ってきた独りのお客様になげやりに言います」


御坂妹「お独り様でしょうか?とミサカは明らかに独りのお客様にお独りかとの確認をします」


垣根「独り独りうるせえんだよ、俺が寂しい奴みたいじゃねえか。早く席に案内しやがれ」

83: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 21:56:06.21 ID:jI2EQlUo
御坂妹「只今店内大変込み合っておりまして、相席でよろしければご案内させて頂きますが。とミサカは独りのお客様に言いながらぶっちゃけ帰ってほしいなと思います」


垣根「ああ、相席で構わねぇ……ってそこの卓空いてんじゃねえか」


御坂妹「申し訳ありませんが只今あなたのようなお独り様の寂しいお客様に四名席を使わせるほど余裕がありません。とミサカは席に案内します」


垣根「なら仕方ねえな……おい、ここか?」チラッ


御坂妹「はい、こちらのお客様には了解を取ってあります。とミサカはお冷やとおしぼりを置きながらめんどくさそうに説明します、それでは」ペコリ


一方「……」


垣根「……」

85: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:06:46.66 ID:jI2EQlUo
一方「おかしいなァ、ここはメルヘン野郎入店禁止じゃありませンでしたっけェ」


垣根「おかしいな、ここは  コン入店禁止じゃありませんでしたっけか」


一方「……」


垣根「……」ヨッコイショ


一方「……」


打ち止め「……」ジッ


垣根「どうした?」


打ち止め「わーい!イケメンが来た!ってミサカはミサカは素直な気持ちを口にしてみる!」キャッキャッ


垣根「ありがとよ、素直な子供は嫌いじゃないぜ」

86: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:09:50.59 ID:jI2EQlUo
一方「こいつと喋ンなクソガキ。脳内お花畑になンぞ」


垣根「お嬢ちゃん、あんまりこいつとくっついてるとそのうち食われちまうぞ」


打ち止め「二人は知り合いなの?ってミサカはミサカは貴方とイケメンの関係を尋ねてみる」


垣根「敵だな」グイグイ


一方「敵だなァ、ってかてめェ。隣に座っただけでもアレなのに詰めてくンじゃねェよ気持ち悪ィ」


垣根「ああ?じゃあお嬢ちゃんの横に座ってもいいのか?」


一方「それは許さねェ、絶対に許さねェ」


垣根「なら固ぇこと言うんじゃねえ、狭いんだよボケ」グイグイグイ


一方「はァァァ?何言ってやがるンですかァ?てめェの方が3cmほど広いじゃねェかァ!」グイグイグイグイ


垣根「うるせーしこまけーんだよ、もやしは端で小さくなってやがれ」

87: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:11:03.61 ID:jI2EQlUo
御坂妹「しゃーす、ご注文お伺い致します。とミサカは想定外の忙しさで疲弊しきっているにも関わらず、明るい口調でメルヘンなお客様にお伺いをたてます」


垣根「おい、聞いてやがったんならもっと早く来いや」


垣根「客が偉いとは言わねぇがよ、金貰ってる以上まともに働けっつーの」


御坂妹「……」


垣根「……」


御坂妹「お冷やのお代わりをお持ち致しますね。そのまま暫くお待ち下さいませ。とミサカはメルヘン野郎から逃げます」スタコラサッサ


垣根「ちょっ、おい待て俺お冷やに口を付けてすらいねーだろうが」


一方「ぷふゥっ」


垣根「  コン、笑ってんじゃねーよ。気持ちわりーんだよ」


一方「うるせーンだよメルヘン、お冷や貰えて良かったなァ?」

88: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:19:35.78 ID:jI2EQlUo
打ち止め「そういえば貴方のお名前は?ってミサカはミサカは思い出したように尋ねてみる」


垣根「かき「一方通行」


打ち止め「貴方じゃないよ。ってミサカはミサカはイケメンのお兄さんをじっと見つめてみる」


垣根「か「一方通行」


垣根「……」


一方「……」


垣根「何妨害してんだよこのクソもやし」


一方「はいィ?何言ってやがンですかァ?」


垣根「明らかに俺の名前にカブせてきてんだろうが!」


一方「テメェの名前なんざカブせる価値もねェっつーの」

89: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:25:13.01 ID:jI2EQlUo
垣根「うるせぇよアクセロリータ」


一方「そういうのやめてくれませン?超差別っぽいンですけどォ」


垣根「垣根てい「一方通行」


垣根「今カブせた!カブせただろ!バッチリ聞こえたぞ!」


一方「してませンー、頭に続き耳までオカシくなりやがったンですかァ?」


垣根「……」スゥ


垣根「垣根帝「一方通行」垣「一方通行」垣ね「一方通行」垣根て「一方通行」か「一方通行」「一方通行」「一方通行」かき「一方通行」「一方通行」「一方通行」く」


垣根「……」ハァハァ


一方「……」ゼエゼエ

90: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:30:39.06 ID:jI2EQlUo
垣根「名乗らせろや!」バンバン


一方「えェーなンですかァー!この人怖い」


一方「店員さァーン!!このメルヘン野郎摘まみ出してェー!!」


御坂妹「店内ではお静かにお願いします。とミサカはお前が一番うるせーんだよと注意致します」


一方「あっ、ごめンなさい」


垣根「……」


一方「……」


一方「……テメェのせいで怒られたじゃねェか」


垣根「てめえで勝手に怒られた挙句人のせいか?」

91: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:31:32.78 ID:jI2EQlUo
垣根「どこまで腐ってんだよ」


一方「俺は腐ってねェよ。脳が腐ってる垣根くゥン」


垣根「ああ?てめえは頭全滅だろうが」


一方「はァ?そういうテメェは両手両足が腐ってンだろォが」


垣根「おい、お前よく見たら全身腐ってんぞ」


一方「あれェ?テメェ臭ェぞ、全身腐ってるンじゃないですかァ?」


垣根「うわ、お前も十二分に臭えよ」


一方「いいや、俺の方が若干いい匂いするわァ」


垣根「いやいや、俺の方が圧倒的にいい匂いだろうが」

92: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:38:29.93 ID:jI2EQlUo
一方「……」


垣根「……」


垣根「ははははははははははは!」


一方「ひゃひゃひゃひゃひゃァ!」


垣根「てめえマジで殴んぞ」


一方「はっ、逆にブン殴ってやンよ」


垣根「もやしのへなちょこパンチなんざ痛くも痒くもねえっつうの」


一方「舐めンじゃねェぞ。俺パンチングマシンで100とか余裕だし」


打ち止め「……」


垣根「はぁ?150位出せねぇと話になんねーよ」


一方「ああ、自己ベストは160」

93: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:38:56.88 ID:jI2EQlUo
垣根「俺は200なんですけど」


一方「間違えた、210だァ」


垣根「因みにベストは220な」


一方「俺の方がパンチの速度早いけどなァ」


垣根「は?俺の拳は音速を普通に越えるっつーの」


一方「俺は光速だァ」


垣根「ハッ、如何に早くてもなぁ。俺の拳は力とか速さとかそういうのだけじゃねえんだよ」


一方「抜かしやがれェ、他に何があるって言うンですかァ?」


垣根「心……いや、魂だ」


打ち止め「……」

94: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:43:06.12 ID:jI2EQlUo
一方「あァ?ンなもン三つくらいあるし」


垣根「少なっ、俺百個くらい持ってんだけど」


一方「じゃあ俺は二百個」


垣根「じゃあってなんだよ、てめえさっきから俺にあわせて見栄張ってんじゃねーよ」


一方「……」


垣根「……」


垣根「恥ずかしい奴だなオイ」ゴクゴク


一方「う、うっせンだよォ!テメェなンざなァ、俺の黄金の右、鋼の鉄拳から繰り出す左ストレートで一発だっつーの!」ガタン


垣根「テンパってんじゃねーよ、座れ」


一方「……」ギシッ

95: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:43:49.42 ID:jI2EQlUo
打ち止め「貴方達仲がいいんだね。ってミサカはミサカはちょっと嬉しかったり」


垣根「冗談はよしてくれよ」


一方「良い訳ねェじゃねェか」


垣根「別に仲良くねえよな?」


一方「ああ、仲良くねェなァ」ギシッ


垣根「敵だからな」ゴクゴク


一方「敵だもンなァ」


打ち止め「……」


打ち止め「ぐすっ、ぐすっ」


一方「!?」

96: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:52:23.58 ID:jI2EQlUo
垣根「あーあ、泣ーかした」


一方「テメェ、他人事のようなフリしてンじゃねェぞ」


一方「オラクソガキィ、なンで泣いてンだよ」


打ち止め「ううっ、貴方にも友達がいたんだって……ひっく……思ったのに、嬉しかったのに……ぐすっ……やっぱり貴方はぼっちだったんだね……。ってミサカは、ミサカはぁ……」


一方「」


垣根「ははっ」ゴクゴク


一方「何可哀想なものを見る目をしてやがるンですかァ!」


一方「っとォ、今はそれよりも」


一方「コイツがダチだろうとなかろうと、俺にダチがいようがいまいが関係ねェ」

98: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 22:58:58.97 ID:jI2EQlUo
一方「俺にはお前がいりゃいいンだよォ」ニコォ……


垣根「うわ」


打ち止め「……」


打ち止め「ちょっと嬉しかったけど笑顔が怖い!キモい!ってミサカはミサカはびえええええええ!!」


一方「」


垣根「……」


垣根「さて、帰るか」ガタン


一方「おいテメェ待ちやがれェ!逃げンな!」ガシッ


垣根「放せぃ!」ブン


打ち止め「びえええええええ!!」



アリガトウゴザイマシター

99: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:00:41.60 ID:jI2EQlUo
―――


垣根「くそがあああああああああああ!!」


垣根「お冷やしか頼んでねえっつうの!」


垣根「ていうか頼んでもねえっつうの!」


垣根「……」


垣根「でも微妙に腹が膨れたような気が」グゥー


垣根「しねぇ」ハァ


垣根「全てはあの  コンのせいだ」


垣根「取り敢えずコンビニにでも行くか」スタスタ


ナア、ネーチャンドコイクノー
オレラトアソボウゼー

100: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:02:37.23 ID:jI2EQlUo
垣根「あん?」


垣根「……ナンパか?」


垣根「助けてみるか」スタスタ



スキルアウトA「今仕事帰り?俺らと遊ぼうよ、どうせ暇でしょ?」


スキルアウトB「Aに言われるとすごいムカつくだろうけど勘弁な」


「私、一応学生なんだけど」


スキルアウトC「あっ、そうなんだー。ゴメンねー、大人っぽく見えたからさ」ニコニコ


スキルアウトD「それだけ君が魅力的だってことだよ」キラッ


「ええ、知ってるわ」

101: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:03:23.13 ID:jI2EQlUo
スキルアウトA「知っててもそこは一応否定しとこうぜ?」


スキルアウトB「Aに言われたくねーだろうよ」


スキルアウトC「お姉さんの行きたいところでいいよ」ニコニコ


スキルアウトD「君が望むなら何処までも。僕たちはお供しますよ」キラ


「気持ち悪……」


スキルアウトA「言ってくれるじゃねえか」


スキルアウトB「まあ事実Aはキモいけどな」


スキルアウトC「申し訳ないけどお姉さんに拒否権はないんだ。本当にゴメンよ」


スキルアウトD「おお……神よ!何故こんな形で僕と彼女を引き合わせたのか……!」


「……うるせえ」

102: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:04:00.94 ID:jI2EQlUo
垣根「ヤバいなんか……なんか入れない」


垣根「えーと」


垣根(このまま帰るか!?)


垣根(いや待て垣根帝督……!お前は生まれ変わったんじゃないのか!)


垣根(良いことするんだろ!?人の為に動くんだろ!?)


垣根(だったら進みやがれ垣根帝督ぅううっ!!)ファサ




スキルアウトA「お?生意気に楯突くつもりか?」


スキルアウトB「Aが言うな、どっちが生意気だっつーの」


スキルアウトC「残念だよ、お姉さん」


スキルアウトD「神よ……このような結果になってしまったことを恨みます!」


「ブッ殺すぞ……」


垣根「待ちやがれぇええっ!」ファサファサ

103: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:04:38.75 ID:jI2EQlUo
「!?」


「……はあっ!?」


スキルアウトA「なんだありゃっ!」


スキルアウトB「未確認飛行物体だな。未確認という点ではA、お前と同じだぜ。顔的な意味で」


スキルアウトC「何々?敵さん?悲しいなぁ……」


スキルアウトD「僕と彼女を邪魔するのかい?しかし、僕はあの日誓ったんだ。決して彼女を離しはしないと!」


垣根「濃すぎなんだよてめぇらぁああああっ!!」


………


垣根「雑魚が」


「……で、どういう風の吹き回しかしら?」

104: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:05:07.50 ID:jI2EQlUo
垣根「あ?助けて貰ったらまず礼だろうが」クルッ


麦野「はぁ?助けて貰う必要なんてなかったわよ」


垣根「なっ!?ゴリ……」


麦野「誰がゴリラよ、ホストもどき」ギリギリ


垣根「おまえ……しか、いねーだろうが……」ギブギブ

パッ

麦野「次言ったら殺すわよ」


垣根「はっ、やってみな……」ハァハァ


麦野「で、改めて聞くけど。なんで助けようと思ったの?」

106: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:05:39.71 ID:jI2EQlUo
垣根「……」


垣根「さあな、気まぐれだ」


麦野「ふーん」


麦野「……まあいいわ。助けて貰ったのは事実だしね」


麦野「どうもありがとう」


麦野「少し変わったんじゃない?あんた」


垣根「……お前も変わったんじゃねえか?」


麦野「そうかしら?どういうふうに?」


垣根「なんつーか……柔らかくなった」


麦野「へー、そう?」


垣根「ま、いいんじゃねーか?元はいいしな」

107: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:07:05.32 ID:jI2EQlUo
麦野「……」


麦野「明日は槍でも降るのかしら」


垣根「……串刺しになって死んじまえ」ボソ


麦野「てめえ今なんつったおい」


垣根(誰か見てやがるな、三……いや四人)


麦野「……どうしたの?」


垣根(一旦こいつと離れるべきだな)


垣根「なんでもねえ」


垣根「なんか疲れたから帰って寝るわ」


麦野「……そ。また機会があったら会いましょ」


麦野「じゃあね」ヒラヒラ


垣根「ああ」

109: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:08:19.29 ID:jI2EQlUo
―――


スタスタ


垣根(気配は減っていない。標的は麦野じゃなかったようだな)


垣根(今すぐにでもブッ飛ばしてえが……ここじゃ目立ち過ぎるか)


垣根(廃ビルの方まで行くとしよう)


垣根「にしても腹減った……」


垣根「お腹と背中がー」


垣根「くっつくぞ!」


垣根「……ハァ」


スタスタ

110: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:09:02.89 ID:jI2EQlUo
―――


麦野「ついて来ない、か」


麦野(標的は垣根の方だったみたいね)


麦野(ま、殺されることもないでしょ)


麦野(順位から外れたっていってもアイツは未元物質だもんね)


麦野「……」


麦野「……さっき借りを作ったばっかりだったわね」


麦野(……)イライラ


麦野「……」コツコツ


麦野「ああああーもう!!」ドガッ

111: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:09:42.40 ID:jI2EQlUo
ナ、ナンダ!?
アノトシゴロノジョセイハオコリッポインダヨ!
ヒゴロストレスガタマッテイルンデショウネ…


麦野「行くわよ、行けばいいんでしょ!」


麦野「これでチャラにしてやるわ!」カツカツ


オンナッテコエー
ナンデコッチヲチラミスルノカナ!?
OLモタイヘンナンデスネー


―――

113: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:13:16.81 ID:jI2EQlUo
学園都市某所。とある区画。


かつてはそこそこに繁栄していたが、開発工事の凍結により現在はほとんど人の住んでいない区画。
都心とは真逆と言っていい程に寂れており、ここに足を踏み入れると世界から隔絶されてしまったかのような錯覚すらしてしまうほど。

その中を一人足早に歩く。
背後の四つの気配は消えないまま、付かず離れずの距離を保ち尚も着いて来ている。
人気のない場所にくれば姿を現すかと思っていたが、そうでもないようだ。

果たして何が目的なのか。ハッキリしない追跡者の行動に垣根帝督は溜息を零す。
そんなことをしている間に視界が拓け、パッと見ただけでは数え切れない程のビルが現れた。

発展の表と裏。
寂しさを感じさせる裏の景色をただ歩いていく。

その中央にある廃ビルへと足を踏み入れると、ついて来ていた気配が幾つか消えた。
このビルの両隣にはこれに寄り添うようにして建つ二つのビルがある。

右隣のビルに入ったか。
左右で二対二で挟み撃ちにするつもりなのだろう。
残りは前を通り過ぎて行ったようだ。

静まり返る屋内の階段を登る。
一歩を踏み出す度に、カンカンと音が響く。
いつ頃から使われていないのだろう、所々は錆び、所々は朽ち、埃が積もりゴミが散乱している。
それらにまるでこの都市の闇を見ているかのような気分にさせられる。

114: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:16:50.57 ID:jI2EQlUo
「きったねぇな」


その光景に、都市の闇に、同じく闇である自分に
一言だけ吐き捨てるように言い、屋上へと向かう。


…………


立て付けの悪い扉をこじ開け、屋上に出て僅か数秒。
風を感じる間もなく。
空気の流れが変わった、そんな気がした。

ここに留まっていれば死ぬ、そう直感して左方へと飛ぶ。

直後、大きな音が静寂を裂く。


「良い度胸してんなあ……おい」


屋上へ上がってから実に十数秒
突然壁から「生えた」三本の鉄骨。
身体からは僅か十数cm。

咄嗟に身体をずらしていなければ……等とは考える必要も暇もなく。
すぐさま態勢を低くし、周りへと視線を向ける。
鉄骨の刺さっている方向、角度から敵の位置を予測。
右のビルか。

115: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:18:51.57 ID:jI2EQlUo
地を蹴り、くそったれな第一位にメルヘンなどと言われた翼を広げ

飛翔――――


「感知させる間もなく攻撃をすれば……」


「殺れると思ったか?俺を、垣根帝督を、未元物質を……!」


舞い上がり、屋上の遥か上空から見下ろす。
先程居たビル同様、煤けたビル。
高さは僅かにこちらのビルより低く、屋上には鉄骨の山。
発射地点はここか。
その影に、一つの人影を発見。
身体を傾け、急降下。


「甘ぇ……甘えよてめえらぁぁああああっ!」

116: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:21:12.56 ID:jI2EQlUo
視界に捉えた、鉄骨を操作し攻撃態勢へと入っていた敵。
空力使いか?

……ああ、それはもうどうでもいいか。

その側にある山積みの鉄骨を烈風で薙ぎ倒す。
面白さすら感じさせる程に転がっていく鉄と鉄が奏でる、ここからでもうるさいくらいに鳴り響く音。
能力使用を中断し、咄嗟に回避に移るその男。


相討ち覚悟で飛ばしていたとしても俺には触れることすら叶わない。
賢明な判断だ。

だが、

――遅い。


そいつの懐へと潜り込み、翼による斬撃。
衣服が避け、肉が避け、コンクリートに鮮やかな赤を散らす。

痛みに呻く暇すら与えずに、すかさず通信機と思わしき機器を奪い取り、蹴り飛ばす。

……この程度で死にゃしねーだろう。

117: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:22:07.12 ID:jI2EQlUo
『こちら01!状況を報告しろ!』


耳に当てたそれから聞こえる慌てた声。
反響している。室内と判断。
成る程、01はこちらの状況がすぐには確認出来ない場所にいやがる訳か。


『こちら03、確認に向かう!』


続いて01よりも少し若い男の声。こちらに来てくれるようだ。
02と03がこっちにいるっつーことは01、04は反対側、だな。

ここに来る方法だが、飛行出来るのであれば最初から全て見渡せる場所にいるだろうし、空間移動にしては遅すぎる。

つーことは階段から。
そう思い、扉の前で待ち構えたところでカンカンと階段を上がる音が耳に入る。
全く以て馬鹿としか言いようがない。

118: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:22:59.81 ID:jI2EQlUo
「タ!ターゲ「遅ぇ」


律儀に扉を開けて突入してきた03と呼ばれた男を烈風にて出迎え、死なない程度に切り刻み、吹き飛ばし、お引き取り願う。



分かったことは
敵に探索系及び空間移動能力者はいないということ。
戦い方が素人同然。統率も取れていない。恐らくこいつらはスキルアウト。
この程度で俺に勝とうなんざ百年早い。


『03!03!応答しろ!』


これは01の声。
03とやらの通信機は切り刻んでやった為にもう機能していない。
チカチカと明滅するその僅かな光を最後に踵を返して反対側のビルへ向かうべく、最初にいた廃ビル側のフェンスの向こう側に降り立つ。

吹き付ける風が少し寒く感じる。

121: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:28:08.99 ID:jI2EQlUo
明日からはもう少し厚着するとしよう。

こいつら相手では身体が暖まる前にケリがついてしまいそうだ。
そんなことを考えながら左手に持っていた通信機を口元へ。


「今から潰しに行くからよろしくな」


それだけ言うと、通信機を眼下に広がる暗闇の中へと投げ捨てて空中へと身体を投げ出して垂直落下。

翼を広げて姿勢制御。
右からぐるりと旋回し、反対側のビルへと向かう。

…くそ、寒い。

それにしても何故命を狙われたのか。
スキルアウトとは然程絡んでねぇし、喧嘩を売られるような覚えも無い。

誰かに依頼されたとみる方が正しいだろう、クライアントは俺が生きているということを知っている人物だということだろうか。

……何にせよ表沙汰に出来るような仕事じゃねえことは明白。

122: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:31:17.36 ID:jI2EQlUo
「ったく、人気者は辛いねー。……くそが」


裏手に回り急上昇、本日最大の溜め息の後に舌打ちを一つ。
悪態を吐いてビルを見下ろす。
適当に見たが屋上、入り口に敵影無し。
もう既に逃げる算段を立てているのだろうか。
ならば中層辺りか。

……俺があいつらならどうする。

相手は超能力者。
遥か雲の上の存在。
まともに戦って勝てる相手ではない。
だからこその不意討ち。
しかし仕留め損ない、仲間を失い位置も大体は把握されてしまった。

どうする?
考えるまでもなく答えは一つ。

俺がとる行動も一つ。

潰す。
それだけだ。

123: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:33:15.55 ID:jI2EQlUo
「1日の〆がこれかよ」


今更ながら呟く。
最悪な気分である。
新鮮な空気を吸い込む。
張り詰めた空気。ったく、少し前までとは大違いだ。

さて、周囲には居住者もいない。
周りへの被害を気にする必要も無く。
多少、音が鳴っても騒音にもならないだろう。
それに生憎だが俺にかくれんぼをする趣味はない。

翼で月の光を回折、変換。降下。
その光の束でビルの中層を薙ぎ払う。

綺麗に切断された箇所から滑り落ちる上層部。
周囲を埋め尽くすのは砂煙と轟音と、地響き。
何とも心地よい音か。


何人もの人が、幾つもの機械が、月日をかけて建築した建造物も。
垣根帝督の前では玩具、否。それ以下であった。


…………

124: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:35:18.12 ID:jI2EQlUo
上空より、辺りを埋め尽くす瓦礫の山と残った下層部を眺め、奴らが出てくるのを待つ。
形を留めているのはそこだけではあるが、上、中層部にいたとしても能力者ならば死にはしないだろう。


「さて」


入り口から逃げようとしている人影を発見、見逃がす理由はない。
姿勢制御、発進。
その人物の数m先に降り立つ。


「こ……この、化け物が……!」


「そいつはどうも」


こいつが01。恐らくは最後の一人、足を震わせ立ち竦みながら精一杯の悪態を吐くその人物を見据え

垣根帝督は笑う。


「さて……お前らの所属、その詳細と目的を教えて貰おうか」


六枚の羽を生やした眼前に立つ男が冷笑を浮かべながら問い掛けてくる。

125: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:38:20.57 ID:jI2EQlUo
男は答えない。
顔には笑みが浮かんでいる。
そこに先程まであれほど滲ませていた恐怖はもう見当たらない。


垣根は直感した。
この顔は死を覚悟したものではない。


「ははっ……!」


勝利を確信した顔だ。


「死ね!メルヘン野郎!」


ありったけの悪意を込めて吐き出された言葉。
メルヘン、か。
第二位という言葉じゃ無かったのはどういう訳か。
俺が第二位であったことを知らない?
……たまたまか?

そんな思考を急いで打ち切り、そいつの視線を辿る――

126: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:42:11.22 ID:jI2EQlUo
その先は俺の入った廃ビルの三階の窓、そこに微かに見えた鈍く光るもの。
銃口。
そんなモノで俺を殺ろうなどとは。


「垣根ーっ!!」


突然聞こえた声に不意を突かれ、思考が塗り潰される。
俺の聞き間違いでなければ先刻別れた彼女。
何故アイツがここに。

そう考えるが早いか、辺りに響き渡る、

死を告げる、音。


…………

127: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:44:09.09 ID:jI2EQlUo
垣根「危なっ!お前危なっ!あのタイミングで話し掛けてくるとか何考えてんだ!」


垣根「バッカじゃねーの?バーカバーカ!」


麦野「うっせーよ!てめえが気付いてねえと思ったんだよ!」


垣根(ちょっとシリアス展開っぽくなって俺KAKKEEEEってなってたのに……)


垣根(やべ、ちょっと泣きそう)


垣根「つーかよ、テメェあの銃持ってた奴殺したろ?殺したろ?」グスン


麦野「ああ?今更何言ってんの?」


麦野(つーかなんでちょっと泣いてんのコイツ?)


麦野「殺しはいけませんーなんて奴じゃねーだろ、未元物質様は」


垣根「……はっ」


垣根「俺は変わったんだっつーの、もう殺しは止めたんだよ」

128: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:45:26.56 ID:jI2EQlUo
麦野「……は?」


麦野「ビル破壊したくせに」ボソ


垣根「うっせえ、建物破壊したらなんか……なんかこう格好良いだろうが!」


麦野「あの中に人がいたかもしれないわよ?」


垣根「……」


垣根「あ」


麦野「あ、じゃねーわよ」


麦野「殺したくないなんて言うのは別に構わないけどね」ハァ


麦野「今まで通り能力使ってたら確実に死人が出るわよ」


麦野「アンタの能力がとんでもないことは自分が一番知ってるでしょ?」

129: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:47:16.97 ID:jI2EQlUo
垣根「……」


垣根「仕方ねぇな、お前がそこまで言うならこれからセーブしてやんよ」ハアーア


麦野「ちょっ、なんで私が殺すなってお願いしたみたいになってんのよ!」


垣根「俺の能力パネェからなあ、それに第よ……三位の頼みだしな」チラッチラッ


麦野「うぜぇ……」


垣根「……」


垣根「ああ、それより」


麦野「……なによ?」


垣根「これからはこっちで俺に関わるんじゃねーぞ」

130: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:48:40.24 ID:jI2EQlUo
麦野「……」


麦野「言われなくてもあんたみたいな奴とは関わらないわよ」


垣根「そうしろ」


麦野「……帰るわ」


麦野「それじゃあね、バーカ」コツコツ


垣根「……」


垣根(敵の正体がわからねー以上誰かと一緒にいるのは危険だしな)


垣根(……んだよ)


垣根(不殺不殺って……何がしてーんだ)


垣根(大した理由もねえくせに)

131: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/23(日) 23:50:09.39 ID:jI2EQlUo
垣根(結局変われてねーんじゃねえのか、俺は)チッ


垣根(取り敢えず気持ちを入れ換えてはみたものの……)


垣根(……どうなんだろうな)


垣根「さて、俺も帰――」


01「」ピクピク


垣根(普通なら縛り上げて拷問して情報を吐かせるところだが……)


垣根(善人・垣根帝督はそんな非人道的な行いはしねえ)


垣根(多分)


垣根(こいつらがまた向かって来るってんなら)


垣根「その都度ブッ倒すまでの話だ」ファサ





垣根帝督のとある一日 その1 完



垣根「そういや俺飯食ってねーよ!」

135: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:03:09.54 ID:.xQQlSko
ホーホケキョ


垣根「うあ?」


垣根「お……朝、か」パチ


ホーホケキョ


垣根「あー……」


垣根「なんかダリぃな……」ムクリ


垣根「……まだ7時かよ」


垣根「……」


垣根「寝るか……?」


垣根(いや待て、早起きは善良な一般市民の基本)


垣根(ここでの二度寝は死を意味する)


垣根(しかし俺は眠い……どうする俺!)

136: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:10:59.85 ID:.xQQlSko
天使垣根(起きようぜ!早起きは三文の得って言うだろ!)


悪魔垣根(三文なんて得したうちに入らねーよ!俺金持ちだし!だから寝ろ!)


天使垣根(起きようぜ!)


悪魔垣根(いや、生活のリズムをいきなり変えるの無理っぽくね?)


天使垣根(……)


悪魔垣根(……)


天使垣根(それもそうだな!)




垣根「……」スー スー




ホーホケキョ

垣根帝督のとある一日 その2

コンコン

ドンドン

ドガンドガン

139: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:18:42.16 ID:.xQQlSko
―――


垣根「で、てめぇはなんで俺んちの前にいたんですかねぇ?」


麦野「……」


垣根「……誠に申し訳ありませんが」


垣根「家にバナナはねぇよ?」


垣根「残念だったなぁ!」


麦野「……すん……ねぇよ」


垣根「あん?」


垣根「日本語で話せ、俺にゴリラ語は通用しねぇ」


麦野「てめぇ……」ギリッ

140: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:23:55.32 ID:.xQQlSko
麦野「ゴリラ扱いすんじゃねぇよ」ガシ


垣根「おいやめろ、暴力は悲しみと怒りしか生まねえ」


垣根「それが負の連鎖となって……」


垣根「いつしか……」


麦野「うるせぇんだよ」


垣根「……」


麦野「……」


垣根「はっはっは」


麦野「……」


垣根「と、冗談はここまでにして本題にいこうじゃあないか」


垣根「なんでお前は俺んちの前にいたんだ」


垣根「ていうかなんで知ってる」

141: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:29:35.69 ID:.xQQlSko
麦野「……」


垣根「おいおい」


垣根「黙ってちゃ分かんねぇだろうが」


垣根「答えろ、答えろ」コンコン


垣根「オラァ!」コンコンココンコンココン


垣根「早く早く早く」ココココココンコンコンコンコンコン


麦野「わかったわよ!言うから!コンコンうっせーんだよ!」


垣根「よしこい!」


麦野「その前に一発殴らせて」


垣根「え」


ドグシャアアアアアアア

142: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:35:17.57 ID:.xQQlSko
―――


御坂妹「いらっしゃいませイカ野郎。とミサカはメルヘンなお客様をお出迎え致します。またお独り様ですか?またですか?」


垣根「ちげぇ、二人だ」


御坂妹「なんと。お連れ様がいらっしゃいましたか。とミサカは貴方に友達がいたことに驚愕します」


垣根「おいおい、随分と甘く見られたもんだな」


垣根「俺を某  コン野郎と一緒にすんじゃねえ」


御坂妹「私の直感なのですが、貴方はセロ……一方通行と同じ匂いがします。とミサカは貴方をぼっち認定します」


垣根「やかましいいいいいい、俺は友達位いるわああああああ!おらあああああああああ!」


垣根「あんなウルトラマンと同列にすんなあああああああああ!!」


麦野「ねぇ」


垣根「なんですか!」


麦野「なんでもいいけど早く案内してくれないかしら?」

143: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:40:16.05 ID:.xQQlSko
垣根「っていうかよ」


垣根「なんで俺がテメェとファミレス来てんだよ」


麦野「何かご不満でも?」


垣根「不満とはちょっと違うんだが」


垣根「ゴリラはバナナでも貪り食ってやが足踏むのやめて痛い」


麦野「ふざけてんじゃないわよ。折角人がご馳走してあげようとしてるのに」グリグリ


垣根「ご馳走……」


垣根「は?なんでそういう流れになってんだよ」


麦野「私、借りを作るのは嫌なのよ」


垣根「借りだぁ?テメェに貸しなんて作った覚えはねえ」


垣根「それに飯奢ってもらうほど金には困ってねえよ」


麦野「こういうのは気持ちの問題よ」

145: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:45:53.61 ID:.xQQlSko
麦野「まあそれは置いといて」


麦野「この間一応助けてくれたじゃない?」


垣根「……ああ、あれか?」


垣根「女守んのは男として当然の役目だろうが、気にすんな」


麦野「……」


麦野「守られる程弱くなった覚えはねーよ」


垣根「ったく、ウホウホうっせぇなぁ」


麦野「言ってねーよ」


垣根「ごちゃごちゃ抜かすんじゃねぇ、弱い奴は強い奴に守られてりゃいいんだよ」


麦野「何その言い方、すげームカつくんですけど」


垣根「事実だろうが。……とにかく、これからテメェは俺が守ってやるよ」


麦野「」

146: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 00:53:10.55 ID:.xQQlSko
麦野(これ、告白……!?)カァァァ


垣根「ああ?」


垣根「おい、何赤くなってやがる」


麦野「な……なんでもないわよ」


垣根「なんでもないっててめえ、明らかにおかしいだろうが」


垣根「風邪か?」


麦野「違う」


垣根「違うだぁ?じゃあてめえはなんでそんなに赤いんですか」


麦野「麦野沈利」


垣根「あ?」

147: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:00:12.13 ID:.xQQlSko
麦野「てめえって言うの止めてくんない?」


垣根「ああ?今更何言ってんだよ」


麦野「なんかムカつくのよ」


垣根「ゴリラでよくね?」


麦野「良くねぇよ」


麦野「てめえの脳は人ひとりの名前すら覚えらんねーのか」


垣根「あー……面倒くせえな」ガリガリ


麦野「いいから」


麦野「いいから呼べ」キラッ


垣根「わーったからフォークを人に向けんな。ぶちころすぞ」

148: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:05:24.10 ID:.xQQlSko
垣根「……」


垣根「沈利」


麦野(そっち!?)


麦野(ヤバい、計算外だわ……!うああああ、どうしよう)


麦野(っていうか私はなんでこんな奴にドキドキしてんのよ!)


麦野(そうよ!ただ名前を呼ばれただけじゃない!)


麦野(ただ……名前を……)


垣根「冗談だ、麦野」


垣根「はっはっは」


麦野「~~~死ねッ!!」ヒュンッ


垣根「うおおっ!」サッ


垣根「何しやがる!殺す気なのか!?」


麦野「殺す気よっ!死ねっ!」ヒュンヒュン

149: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:11:33.62 ID:.xQQlSko
御坂妹「ヘイヘイ、ありがとうございます、シャケ弁とステーキ御膳でございます。とミサカはいちゃつくお二人の空気を軽いノリで粉砕します」


垣根「おお、サンキュ」


麦野「ありがとう」


垣根「……」


麦野「……」


垣根「おい、シャケ弁て」


麦野「知らないの?鮭」


垣根「いや、鮭は知ってっけどよ」


垣根「弁当ってファミレスのメニューにあるもんなのか?」


麦野「あるんじゃない?出てきたんだし」


垣根「……」


麦野「……」

151: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:21:33.69 ID:.xQQlSko
垣根「そうか」


垣根(明らかにコンビニの物だが……空気を読んで突っ込まないでおくか)


麦野「それにしても」チラッ


麦野「あんた、ステーキなんてよく朝から食べられるわね」


垣根「ああ」


垣根「昨日なんにも食ってなかったからな」


麦野「へ?昨日って何してたのよ」


麦野「ご飯食べ忘れるほど大事なことがあったの?」


垣根「いや、昨日はずっと家にいたんだが」


垣根「何故だかな、台所に入ることが出来なかった」


麦野「意味不明ね」

152: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:26:09.29 ID:.xQQlSko
垣根「なんつーか……冷蔵庫が怖くてよ」


麦野「……へぇ」


垣根「直視することすら叶わなかった」


麦野「あんたにも苦手な物とかあるのね」


垣根「俺だって一人の人間だからな」


麦野「……」


垣根「取り敢えず食うか」


麦野「そうね」


垣根「いただきます」


麦野「いただきます」


垣根「……」モグモグ


麦野「……」パクパク

153: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:32:38.90 ID:.xQQlSko
垣根「……」モグモグ


麦野「……」パクパク


垣根(沈黙が痛ぇ……)


垣根(何か、何か話題はないか?)


垣根(おお、そうだ)ピコーン


垣根「コンビニの……」


麦野「ん?」


垣根「……コンビニ弁当の米って結構油含んでんだよなぁ」


麦野「……あ゛あ゛!?それが何か?」!?


垣根「あ、いやなんでもねえ」


垣根(ってかうっかりコンビニのだって言っちまった)

155: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:37:50.02 ID:.xQQlSko
麦野「太ると。そう言いたいのかしら?」ビキビキ


垣根「ああ?」


垣根「多少太ったとしても問題ねーだろうよ」


垣根「元々ほせーし、それに美人なんだし」


麦野「……っ!」カアア



イラッシャイマセー



絹旗「やっぱりこの時間は超空いてますねー」


浜面「俺はちょっと前に朝飯食ったばっかなんだが」


滝壺「大丈夫、はまづらはやれば出来る子」


浜面「えっ、食うこと前提!?」

156: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:42:27.80 ID:.xQQlSko
麦野「やべっ……!」ササッ


垣根「おい」


垣根「メニューで何してんのお前」


麦野「……」モグモグ


垣根「おーい、聞こえてますかー」


垣根「……」


麦野「……」パクパク


垣根「そういう行儀悪いのは嫌いだ、やめろゴリラ」


麦野「うっへーんはよ!はっひろよ!」(うっせーんだよ!察しろよ!)

157: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:45:02.49 ID:.xQQlSko
垣根「てめえっ!」


垣根「口に物入れたまま喋るんじゃねえ!バカモノ!」ベシッ


麦野「~ッ!」モグモグゴクン


麦野「明らかに私隠れてただろーが!空気読めよ!つーかもう空気になれ!蒸発しちまえっ!」ドシュン



滝壺「あ、むぎのだ」


浜面「おお、マジだ。って一緒にいるのは……男!?」


絹旗「やることは超やってるんですね、ヒューヒュ……」


絹旗「あれ、超元第二位じゃないですか……!?」

158: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:48:53.01 ID:.xQQlSko
麦野「ほら、てめぇのせいで気づかれちまったじゃねーか!」


垣根「おーい、こっちだ」ブンブン


麦野「ってなんで呼ぶんだよ!阿呆!本当にお前空気読めねえな!」


垣根「読めねえんじゃねえ」


麦野「ああっ!?」


垣根「読まないだけだ」


麦野「ふざけてんじゃねえ!!殺すぞ!!」

159: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:52:39.55 ID:.xQQlSko
浜面「お連れ様から声がかかったが、どうする?」


絹旗「麦野超キレてますし……遠慮したいですね」


滝壺「行こう行こう」イソイソ


浜面「ちょ、滝壺!マジ行くの!?」


絹旗「……」


浜面「……」


浜面「ならそうすっか」スッ


絹旗「超気が引けますが……仕方ないですね」ヨイショ

160: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/24(月) 01:57:30.88 ID:.xQQlSko
ゾロゾロ


麦野「あああ!こっち来るし……マジ最悪!見られたくなかったのに!」ドカドカ


垣根「蹴るな」


麦野「うるせぇ黙れ」


垣根「痛え」


麦野「うるせぇ黙れ」


垣根「なあ麦野」カチャ


麦野「何よ……」


垣根「さっき思ったんだが……俺は名前で呼んでくれないのか?」フキフキ


麦野「あああもう!」ガタッ


垣根「どうしたトイレか?」


麦野「ちげーよ!!」


麦野「なんなんだよテメェはぁぁあああっ!!もう面倒くせえよ!死ね!死ねよお前ぇええ!」ガッシャアアアアアアアアン


垣根「何を怒っているのかは知らねぇが……」


垣根「落ち着け。それじゃ何にも解決しないぞ」


麦野「正論!正論だけど!なんか今のお前に言われるとすげぇムカつく!!ああああ!!」ジタバタ

163: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 00:14:40.48 ID:z/nqZsko
浜面「……おい。アレと相席する覚悟は出来てるか?俺は出来てナイコワイ」コソコソ


絹旗「わ、私も超無理デスコワイ」コソコソ


滝壺「はまづら、きぬはた。どうして戻るの?」ズカズカ


浜面「待てっ、アレ見たら分かるだろ?行ける状況じゃねーって」ガシッ


滝壺「友達がいたら、一緒に座るのは当然。違う?」


絹旗「あの間に入っても空気が超悪くなってご飯も超美味しくなくなりますよ」


滝壺「?ご飯はみんなで食べたほうが美味しいよ?」


浜面「……」


絹旗「……」

165: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 00:27:35.95 ID:z/nqZsko
垣根「取り敢えず止まれ、店員に迷惑だ」ガタッ


麦野「うっせぇええ!」ジタバタ


垣根「麦野!」ギュッ


麦野「」


麦野「……え、え?」



浜面「……なんということだ」


絹旗「暴走モードの麦野が超大人しくなりましたよ……」


滝壺「一緒にご飯」トテトテ


浜面「待て、ストップだ滝壺。今行ったら間違いなく邪魔だ」


絹旗「暫く超そっとしておきましょう」


滝壺「……がまん」ギッ

166: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 00:34:06.48 ID:z/nqZsko
垣根「……」


麦野「ぁ、あの……か、垣根?」


麦野(きゃあああ!…かっ、かかかかか垣根に抱き締められてるぅうあああ)ボンッ


垣根「落ち着いたか?おい」


垣根「麦野?」


麦野「し……沈利って、呼んで……?」ギュッ



浜面「ここ、ファミレスなんだが……いくら客が俺ら以外にいないっつっても……なぁ!?」ヒソヒソ


絹旗「それよりも麦野が超恋する乙女の顔をしてることが超問題ですよ!」ヒソヒソ


滝壺「お腹空いた」キュルルル

167: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 00:42:21.65 ID:z/nqZsko
垣根「沈利」


麦野「な……なに?て、帝督……?」


麦野(名前で呼べた……!呼べたわ!……ふふふ)


垣根「やっぱビニ弁止めたほうがいいわ」


麦野「」


垣根「肉、結構キテるぞ?着痩せするタイプなんだな……いや、隠れ肥満?」プニプニ


麦野「死ねぇぇえええ!!」シュッ

168: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 00:42:52.68 ID:z/nqZsko
垣根「言い過ぎた。すまん、冗談だ」


垣根「危ないだろうが、ほら。早く食っちまえ」パッ


麦野「うるせー!帰る!」ズバン


ドカッ
アリガトウゴザイマシター


垣根「な……」


垣根(残しやがった、だと……?)


垣根(ありえねぇ、ありえねぇ!)


垣根(許せん、俺が食い切ってやる!)ガシッ

169: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 00:51:20.93 ID:z/nqZsko
浜面「やらかしたな」


絹旗「超やらかしましたね」


滝壺「ハンバーグ、美味しい」モクモク


垣根「……」ギッ


浜面「なあ」


絹旗「超なんですか?」


垣根「……」モグモグ


浜面「いや、絹旗じゃなくて」


滝壺「……」コクン


滝壺「私?」


浜面「いや、滝壺でもなくて」


垣根「……」モッシャモッシャ

170: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:03:01.07 ID:z/nqZsko
浜面「……」ジッ


垣根「……?」


垣根「!」


垣根「……」サッ


浜面「取らねーから!食わねーから!」


浜面「何してんだよお前は!」


垣根「見りゃわかんだろ」


垣根「飯食ってんだよ」


浜面「違う!そうじゃねえ!」

171: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:07:21.96 ID:z/nqZsko
垣根「んだよ、じゃあなんで声張り上げてんだよ」


垣根「めんどくせえ奴だな」


浜面「めんどくせえのはお前だよ!」


浜面「なんで当然みたいな顔してこっち来て飯食ってんの!?」


垣根「……おいお前」


浜面「お?」


垣根「ちょっと黙れ」ギラッ


浜面「な、なんだよ」ゾクッ


垣根「……」


浜面「……」

172: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:13:09.67 ID:z/nqZsko
垣根「俺は静かに飯を食うタイプなんだ」キリッ


浜面「えっ何コイツマジでうざい」


絹旗「超あしらわれてますね、浜面」


滝壺「かきね」


垣根「あん?なんだよ」


滝壺「むぎの、追いかけなくていいの?」


垣根「いいだろ」


垣根「軒先にバナナ吊るしときゃまた来るさ」


滝壺(バナナ?)

174: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:23:00.50 ID:z/nqZsko
絹旗「麦野、この間滝壺に垣根の家の住所超聞いてましたよね?」ヒソヒソ


浜面「ああ」ヒソヒソ


絹旗「やっぱり麦野は垣根が超好きなんですね」ヒソヒソ


浜面「……だろうな」ヒソヒソ


垣根「ごちそうさまでした」


垣根「おら、お前ら…えーと、名前なんだっけ」


絹旗「絹旗最愛です」


浜面「浜面仕上だ」


滝壺「滝壺理后」


垣根「絹旗、滝壺、えーとあとお前、早く食っちまえ」


浜面「今名乗ったばっかなんだが」

175: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:31:15.69 ID:z/nqZsko
絹旗「ぷっ、流石は浜面ですね」


滝壺「きぬはた、はまづらを馬鹿にしたらダメ」


滝壺「ゆるさないよ?」


絹旗「うっ、超失礼しました……」


浜面「滝壺は良い子だ……、ジャージなのがちょっとアレだけど」


垣根「おいテメェ今なんつった?」


滝壺「……」


浜面「えっなんでここでお前が噛み付いてくんの?」

176: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:36:49.49 ID:z/nqZsko
垣根「鏡面仕上だか燻仕上だか知らねぇがよ……」


浜面「いや、浜面なんだけど」


垣根「うるせぇバーカ!」


浜面「なんなのお前」


垣根「とにかくお前はジャージを馬鹿にした」


垣根「許さねーよなぁ」クイ


垣根「おう、許さねーよ」クイ


垣根「可愛いじゃねーかジャージ!」バシッ


滝壺「かきね、褒めても何も出ないよ」バシンバシン


垣根「痛い」


絹旗「……」モグモグ

177: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:41:45.44 ID:z/nqZsko
垣根「ていうかお前みたいな中途半端が一番気にいらねえ」


垣根「上がジャージなら下もジャージにしやがれボケナスが!」


垣根「馬鹿!阿呆!マヌケ!」


浜面「何これなんで俺がめちゃくちゃ言われてんの?」


滝壺「はまづら、分からないの?」


浜面「な、何がだ?」


滝壺「かきねが怒ってる理由」

178: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:42:58.44 ID:z/nqZsko
浜面「……ジャージを馬鹿にしたことか?そんなつもりじゃなかったんだが」


滝壺「はまづら、信じてたのに」


滝壺「私のことは全部把握してて、全身全霊で私に尽くしてくれる。今までもこれからも。そんなはまづらを信じてたのに」


浜面「なんかすげぇ改竄されてないか?俺奴隷?俺奴隷なの?」


垣根「待て、こう考えるんだ」


垣根「こんな可愛い子の側に死ぬまでいられるということだと」


滝壺「かきね、褒めても何も出ないよ」ドゴッドゴッ


垣根「痛い」

179: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:51:38.12 ID:z/nqZsko
絹旗「……」モグモグ


絹旗「超ごちそうさまでした」


垣根「おう、終わったか」


浜面「おわっ、食ってねぇの俺だけじゃねえか!」


垣根「さっさと食えってさっき言っただろうがああああ!」


垣根「本当使えねえねぁ、表面仕上!」


浜面「何聞いてたんだよ!俺は浜面だっつうの!」


垣根「うるせぇ食え」


浜面「いやでも俺朝飯食ってきたんだよ」

180: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 01:59:17.55 ID:z/nqZsko
垣根「は!?」


垣根「じゃあなんで注文したの?バカなの?」


浜面「これは絹旗が」


垣根「そうなのか?」グリン


絹旗「ひっ……!」ビクッ


絹旗「わ、私はこれ超美味しそうって言っただけで、実際に超注文したのは滝壺ですよ!」


絹旗「浜面のくせに超生意気です!」


垣根「滝壺、お前か?」バッ


滝壺「うん」

181: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:06:14.62 ID:z/nqZsko
滝壺「だって、はまづらが食べたそうだったから」


浜面「えっ」


垣根「……決まりだな」


垣根「よし食え馬面」


浜面「俺の名前はは・ま・づ・ら!」


垣根「そうかそうか、わかったからさっさと食え端面仕上」


浜面「チッ……いただきます」


垣根「先に言っておくが……」


垣根「そのハンバーグを残したら許さねぇ」


垣根「お前を挽肉にしてハンバーグ作ってやる」


垣根「そしてそれを絹旗に食わせる」


絹旗「……」ガクブル


絹旗(ていうかなんで超私なんですかああああああああ!!)

182: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:11:36.88 ID:z/nqZsko
―――


浜面「終わったぞこの野郎!」カチャ


滝壺「はまづらすごい」パチパチ


絹旗「良く入りましたね……見てるだけで超気持ち悪いです」ウエ


垣根「おい」


浜面「なんだよ」


垣根「最後に言う事があんだろ?」


浜面「ああ?なんだよ?」


垣根「ご馳走様でしたって言えよこのクソボケがぁぁぁぁああああッ!!」

183: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:18:07.78 ID:z/nqZsko
浜面「……」


浜面「ご馳走様でした」


垣根「聞こえん、聞こえないな、聞こえないんですよ!!」


垣根「声がちいせえんだよおおおおおおおおおおおお!!」ガタン


浜面「おい、静かにしろよ。店に迷惑だろうが!」


垣根「黙れ、今の声量でもう一度言ってみな!さん、はい!」パンパン


滝壺「かきね、ちょっと静かにしよう?」


絹旗「店員さんが超凄い目でこっち見てましたよ?」


垣根「それもそうだな」


浜面「俺の言ったことは無視かよ」


垣根「おら、終わったんなら出るぞ」


垣根「あんまり騒ぐと迷惑だろうしな」


浜面(お前が言うな)

184: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:25:50.79 ID:z/nqZsko
―――


御坂妹「お会計4380万円です。とミサカは金を要求します」


浜面「う、うわー。高いなー」ボウヨミ


絹旗「ほ、本当ですねー。超高ーい」ボウヨミ


滝壺(古いネタ)


垣根「おれにまかせろ」


垣根「これで頼む」スッ


絹旗(超ブラックカード!?)


浜面(さすがレベル5だな)


浜面(バカさ加減もレベル5だが)


チーン


御坂妹「ありがとうございました。またお越しくださいませ。とミサカは懐があったまったことに微笑みながら金づるを追い払います」

186: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:41:57.15 ID:z/nqZsko
―――


垣根「さて、あいつらと別れて再び暇になった」


垣根「お?あれは……」


打ち止め「ねえねえ、次は何処に行こっか?ってミサカはミサカは貴方を見上げて尋ねてみる」スタスタ


一方「そうだなァ……」スタスタ


垣根「最終信号とウルトラマン、か」


垣根(うへぇ、手ぇ繋いでやんの)


打ち止め キャッキャ


垣根「……」


垣根(まあ、あのくらいの年のガキなら仕方ないか)


垣根(だが一方通行、てめえはなんかキモいからダメだ)

187: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:42:54.40 ID:z/nqZsko
一方「じゃ、あそこのデパートにでも入るかァ」スタスタ


打ち止め「うんっ!ってミサカはミサカは嬉しそうに貴方の手を引いてみたり!」スタスタ


一方「走らなくてもデパートは逃げやしねェ……」チラッ


垣根「よう  コン」

サッ

一方「はっはっは、走らなくてもデパートは逃げやしねェよ」スタスタ

カチャ ピッ

垣根「もしもし、目の前で幼女誘拐事件が発生したんですけど」


垣根「ええ、犯人は白もやしです」


一方「おい待てやこのクソ野郎」

188: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:49:25.95 ID:z/nqZsko
打ち止め「あーっ!ファミレスのイケメンだっ!ってミサカはミサカは手を振ってみたり!」ブンブン


垣根「よう。って垣根は垣根は手を振り替えしてみたり」ヒラヒラ


一方「テメェは一体何してやがンですかァ。って一方通行は一方通行はチンピラにガンを飛ばしてみたりィ」


垣根「目の前に  コンがいたからちょっと通報をだな。って垣根は垣根はロリトラマンと睨みあってみたりー」


一方「おい」ボソ


垣根「なんですか半径1m以内に入らないで頂けますか  コンが感染るんで」ヒソヒソ


一方「テメェがいると打ち止めの教育に悪影響を及ぼすンだよ」ヒソヒソ


垣根「既にてめえの存在が悪影響を及ぼしてるけどな」ヒソヒソ


一方「うるせェ、とにかく俺らの前から消えやがれ」ヒソヒソ

189: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:52:54.52 ID:z/nqZsko
垣根「てめえが消えろ」ヒソヒソ


一方「テメェのほうこそ消えろ」ヒソヒソ


垣根「んだよ」ヒソヒソ


一方「なンですかァ?」ヒソヒソ


垣根「バーカ」ヒソヒソ


一方「うるせェバーカ」ヒソヒソ


打ち止め「ねえねえ、良かったら貴方も一緒に行かない?ってミサカはミサカは素直な気持ちを打ち明けてみたり!」


垣根「いいぜ」


一方「ちょ、今の会話の流れからしたら断るところでしょォがァ!」


垣根「デパートだったな。さて、まずは何処に行く?」


打ち止め「何処でもいいよ!ってミサカはミサカは貴方の手を離してイケメンの後に着いて行ってみたり」


一方「」

190: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:55:18.83 ID:z/nqZsko
―――


垣根「なあ  コン」クルッ


一方「ンだよメルヘン」クルッ


垣根「バーカ」ボソ


一方「死ね」ボソ


垣根「なんで俺らは家具売場にいるんだろう」


一方「なンでかなァ」


垣根「なんつーかな……子どもっぽくねえ」


一方「否定はしねェ」


垣根「まああれはあれで可愛いよな」


一方「否定はしねェ」

191: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 02:57:43.10 ID:z/nqZsko
垣根「でもよ、やっぱりなんか違うよな」


一方「否定はしねェ」


垣根「育て方……ミスったんじゃね?」


一方「否定はしねェ」


垣根「てかお前  コンじゃね?」


一方「否定はしねェ」


垣根「死んだ方がいいんじゃね?」


一方「お前が死ねェ」


垣根「ハハッ……そうかもな」


一方「そこは否定しろよ、やりづれェンだよ」

192: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 03:09:37.62 ID:z/nqZsko
打ち止め「わーい!このベッドすごく柔らかいよ!ってミサカはミサカは飛び跳ねてみる!」ポヨンポヨン


一方「オイコラクソガキィ、商品で遊ぶンじゃねェ」


垣根「わーいわーい」ボヨンボヨン


一方「……」


一方「ガキが増えた……だと?」


垣根「おいてめえ、誰がガキだ」ボヨンボヨン


一方「テメェだテメェ」


垣根「俺はガキじゃねえ」ボヨンボヨン


一方「何の説得力もねェよ、クソがァ」


打ち止め「このベッド欲しいな!ってミサカはミサカは飛び跳ねながらおねだり!」ポヨンポヨン

193: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/25(火) 03:14:16.54 ID:z/nqZsko
一方「……」


垣根「俺もこのベッド欲しいな!って垣根も垣根も飛び跳ねながらおねだり!」ボヨンボヨン


一方「テメェは死ね」


垣根「うるせぇお前が死ね」ボヨンボヨン


一方「……」


垣根「」ボヨンボヨン


一方(……頭痛ェ)ハァ


垣根「」ボヨンボヨン


チーン
アリガトウゴザイマシター

198: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:26:23.80 ID:Lwc5vg.o
―――


垣根「次は日用雑貨……」


一方「ンだよ」


垣根「あいつ本当に子どもかよ」


一方「どっからどう見てもガキだろォが」


打ち止め キャッキャ


垣根「確かにな」


一方「ま、テメェよりは大人かもなァ」


垣根「ならお嬢ちゃんはてめえよりも大人ってことだな」


一方「……否定はしねェ」

199: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:26:57.99 ID:Lwc5vg.o
一方「だがテメェよりは数段上だ」


垣根「そんなこと言ってる時点でてめえは俺より遥かに下だよ」


一方「はいィ?さっきベッドで跳ねてたのは誰ですかねェ!?」


垣根「……」


一方「……」


垣根「あのな」


一方「はい」


垣根「男ってのはな、いつまでも少年の心を持ってんだよ」


垣根「それに自分をガキだと認めることが出来て初めて大人になれるって誰かが言ってた」

200: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:27:32.19 ID:Lwc5vg.o
垣根「俺はガキだ。だから大人だ」キリッ


垣根「だが一方通行、己を認めることが出来ねえてめえはガキだ」


一方「う……うぜェ」


垣根「はっ、なんと言おうとてめえはガキだ。バーカバーカ」


一方「」ブチッ


一方「テメェいい加減に……」


打ち止め「ねえねえ!これは何に使うの?ってミサカはミサカはシザーマーンッ!!」ガチャコガチャコ


シュパァ


垣根「ぬわああああ!」ゴロゴロ


一方「チッ、かわしやがったかァ」

201: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:28:13.23 ID:Lwc5vg.o
垣根「あぶな!いきなり何しやがる!」ガバッ


打ち止め「危ないものなんだねー。ってミサカはミサカは納得」シャキンシャキン


一方「返してきなクソガキィ」


垣根「久々にムカついた……」


打ち止め「?」


一方「あ?」


垣根「その高枝切りバサミの使い方を伝授してやろう」


打ち止め「?」


垣根「お前のアホ毛をたたき切ってやらああああああああ!」カッ


ジャキン


垣根「のわあああああああ!」ゴロゴロ


打ち止め「こうするんだね!ってミサカはミサカはもう高枝切りバサミマスター!」


打ち止め「買って!ってミサカはミサカは貴方に本日二度目のおねだり!」


チーン
アリガトウゴザイマシター

202: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:28:55.64 ID:Lwc5vg.o
―――


垣根「次は何処行きてえんだ?」


打ち止め「えへへ、あそこ!」ユビサシ


垣根「家電売場!?」


一方「どうしたンだよ」


垣根「いやちょっとな……」キリキリ


垣根「ていうかお前子どもになんてもん買い与えてんだよ、あぶねぇだろうが」


一方「護身用だァ」


垣根「冗談は面だけにしとけ」


一方「テメェが言うな」

203: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:29:22.16 ID:Lwc5vg.o
一方「アレだよアレ、学園都市って何かと物騒じゃねェか」


垣根「物騒代表はてめえだけどな」


一方「いちいち喋ンなうざってェ」


一方「一人手ぶらで歩くのはあぶねぇだろォ?だから買ったンだよ」


垣根「一人で出歩かせることがあんのか?」


一方「ねェな」


垣根「じゃあ買った意味なくね?」


一方「ねェな」


垣根「……」


一方「……」

204: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:29:49.00 ID:Lwc5vg.o
垣根「それにしても家電売場……」


垣根「ていうか家具売場、日用雑貨と来て家電売場行きたがる子どもって!」


垣根「家庭的ってレベルじゃねーぞ!」


垣根「ちょっと先を見据え過ぎじゃないですかぁ!?」


垣根「ゲームはおもちゃ売場ですよっ!そこにはありませんよーっ!」


打ち止め「おそーい、早く行こうよ!ってミサカはミサカは貴方の手を引いてみたり!」グイグイ


垣根「いやぁああああっ!」


一方「なンだか良くしらねェが……」


一方「ざまァ」ププ

205: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:30:17.22 ID:Lwc5vg.o
―――


店員「こちらが最新の冷蔵庫でございます」


垣根「」キリキリ


店員「ドアは両方から開けることが出来、中も収納ポケットが広く作られています。……お客様?」


垣根「……なんでもない」キリキリ


店員「左様でございますか。この野菜室は仕切りを使い自由に三分割にすることが出来ます」


垣根「……三分割とか言うな」ボソ


店員「えっ」


垣根「三分割とか言うんじゃねえよっ!潰すぞ!」


店員「えっ……えっ?」

206: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:30:47.43 ID:Lwc5vg.o

一方「あァすみませン、この子情緒不安定なンです」


一方「すぐに治まりますンでどうぞ続けて下さい」ガスガス


垣根「ちくしょう……ちくしょう……」


店員「かしこまりました。広々とした収納スペースに加えこの冷蔵庫には……」


店員「なんと接続用のケーブルが着いているのです」


一方(何に使うンだよ)


店員「これを……」


垣根「があああああああああああ!」


打ち止め「!」ビクッ


店員「!」ビクッ

207: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:31:16.15 ID:Lwc5vg.o
垣根「俺に繋げるんじゃねぇえええっ!!」ジタバタ


打ち止め「えっ」


店員「えっ」


一方「何パニクってンだよ馬鹿野郎がァ」ガシッ


垣根「放せ変 野郎!」ブン


垣根「帰る!もう帰るっ!うわぁあああっ!!」ダダダダダ


店員「……」


打ち止め「……」


一方「いやほンとすみませンねェ」


一方「あとで折檻しておきますのでェ」


店員「えっ、あ、はい」


店員「それでは続けさせて頂きますね。これは……」

208: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:31:46.91 ID:Lwc5vg.o
―――


垣根「あー、冷蔵庫とか三分割とかないわ。マジで」ゼェゼェ


垣根「……」ゴフッ


垣根「……やべ、吐きそう」


垣根(何処か人目に付かなそうな場所……)ウプ


垣根(路地裏!)ダッ


―――


ゲロゲロゲロ


垣根「……」フキフキ


垣根「ふぅ、すっきりした」シャキーン

209: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:32:27.61 ID:Lwc5vg.o
垣根「しかし……いつの間にか夜なのな」


垣根「さて……これからどうするか……」


マテー!ドロボー!


垣根「泥棒?」


垣根「……」


垣根(よっしゃ、この俺が一丁捕まえてやろうじゃねえか)



男A「……だっ、誰かーっ!!」ハァハァ


垣根「泥棒は何処へ行った?」ファサ


男A「ひえっ!な、なんだアンタは……!」

210: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:32:54.18 ID:Lwc5vg.o

垣根「早く教えろ、間に合わなくなっても知らねーぞ」


男A「あ、ああっ……この路地の更に行った……」


男A「盗まれたのは、財布だ……」


垣根「分かった」


垣根「サクッと取り戻して来てやる」ファサッ


男A「あ……あのっ!」


垣根「あん?」

211: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:33:21.84 ID:Lwc5vg.o
男A「ありがとう!」


垣根「……おう」


垣根「……」バッサバッサ


垣根(まさか俺が礼を言われる日が来るとはな)


垣根(どうなってんだろうな。本当、わかんねえもんだよな人生っつーのは)


垣根(だが……)


垣根(だが、悪くねえ)フッ


―――

212: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:33:48.78 ID:Lwc5vg.o
麦野「……」イライラ


ガチャ


麦野「……誰よ?」


滝壺「むぎの、私」


麦野「何の用?……もうここには来る理由なんてないでしょ?」


滝壺「そんなことないよ。ここにも、皆との思い出が沢山あるから」


麦野「……で?アンタは思い出に浸りに来たの?」


滝壺「違うよ」


滝壺「むぎのに、用事があったんだ」

213: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:34:39.90 ID:Lwc5vg.o
麦野「は?私に?」


滝壺「うん」


麦野「……」


麦野「言おうと思ってたんだけどさ」


麦野「……私に関わるの、もうやめてくんない?」


滝壺「……」


滝壺「どうして?」


麦野「私がした事、分かってんだろ?」


麦野「フレンダを殺して、アンタにも能力を酷使させた」

214: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:35:16.25 ID:Lwc5vg.o
麦野「今度はアンタを殺すかもしれない」


滝壺「うん、でもちゃんとむぎのは謝った」


麦野「はぁ?」


麦野「謝って済む問題じゃねーだろ!」


麦野「一人殺してんだよ……」


滝壺「分かってるよ、むぎののしたことは許されない事」


麦野「本当に分かってんのかよ……」


滝壺「うん」


麦野「なら……!どうして私に構うんだよっ!」


麦野「アンタも絹旗も浜面もッ!」

215: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:35:43.29 ID:Lwc5vg.o
滝壺「友達だから。いけない?」


ガシャアアアアアアン


麦野「それが分からねえっつってんだよ!!」


滝壺「じゃあ」


滝壺「どうしてむぎのは泣いてるの?」


麦野「!……っく、泣いてない……!」ポロポロ


滝壺「本当は、後悔してる。違う?」


麦野「して、ねーよ……!」


麦野「……もう、放っておいてよ……!」


滝壺「むぎの」


麦野「……なんだよ」

216: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:36:11.82 ID:Lwc5vg.o
滝壺「そうやって周りの人を突き放して、一人になって、本当にいいの?」


麦野「いいって言ってんだろ……!」


滝壺「……かきねも突き放すの?」


麦野「は、はあ?なんで今アイツの名前が出てくるんだよ」


滝壺「むぎのは、かきねが好き」


滝壺「違う?」


麦野「……」ハァ


麦野「……違う」


滝壺「そう」

217: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:36:39.26 ID:Lwc5vg.o
麦野「……」コツコツ


麦野「帰る」


滝壺「うん、分かった」


ガチャ


滝壺「むぎの、これだけは覚えておいて」


滝壺「私たちは、友達」


滝壺「何があっても、絶対にむぎのをひとりにはしないよ」


麦野「……」


バタン

218: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:37:14.34 ID:Lwc5vg.o
パタタッ


麦野「……なんでだよっ……」


麦野「なんで……なんで……!」ボロボロ


滝壺「むぎの」ガチャ


麦野「っ!?」ゴシゴシ


滝壺「かきねは〇〇地区の裏通りにいるよ」


麦野「……なんで私に、そんなこと……」


滝壺「それじゃ、いってらっしゃい」


麦野「……強制かよ」ボソ


麦野「……」


滝壺「いってらっしゃい」

219: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:37:40.40 ID:Lwc5vg.o
麦野「ああもう……!」


麦野「……分かったわよ、行きゃいいんでしょ!」


滝壺「いってらっしゃい」


麦野「……」


滝壺「いってらっしゃい」


麦野「……い、行ってきます」


滝壺「うん、気をつけてね」


麦野「……」フッ


タッタッタ


麦野「ありがとう……滝壺、ありがとう……みんな」

220: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:38:10.56 ID:Lwc5vg.o
―――


ドガッ


ドサッ


垣根「チェックだな、こそ泥」


男B「……くそ」


垣根「さて、盗ったもん返してもらうぜ」ゴソゴソ


垣根「財布っつってたよなあ」


男B「ぐっ……!」ブン


ガッ


垣根「動くな」


垣根「……あん?」

221: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:39:04.58 ID:Lwc5vg.o
垣根「ねえじゃねーか」


垣根(まさか隠したのか?)


ガシッ


垣根「おい」


男B「ヒッ……!な、なんだよ……!」


垣根「盗った財布は何処にある?」


男B「し、しらねぇよ!だから足を退けてくれ!」


垣根「あ?じゃあどうして逃げた?」


男B「おい!そこの人達!た、助けてくれぇ!!」


垣根「……!」

222: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:39:50.29 ID:Lwc5vg.o
上条「その人から離れろ!」ザッ


御坂「言う通りにしないと痛い目見るわよ……!」ザッ


垣根(いつかのツンツン頭と超電磁砲じゃねぇか……)


垣根「おい、勘違いすんじゃねぇぞ。俺はこの泥棒を捕まえただけだ」


男B「おい、こいつが俺のツレの財布盗りやがったんだ!頼む!助けてくれ!」


垣根(おいおいおいおい、どうなってやがる!)


垣根(俺はこいつが泥棒だとあの男に……)


垣根(―――ああ、そうか)


垣根(こいつとあの男はハナからグルだったって訳だ)


垣根(……余程俺を嵌めたかったらしい)


垣根(ったく、気分最悪だ)

223: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:40:26.21 ID:Lwc5vg.o
上条「……!あんた、この前の!」


垣根「……よお」


御坂「こいつはとんでもないわ、気を付けなさいよ」ジリッ


上条「どうしてこんなことを……!」


垣根(……駄目だな、多分前もってさっきの男に擦り込みされてやがる)


垣根(おまけに状況もこれだ)


垣根(悪人が善行なんてするのが間違いみてぇだよな)


垣根(本当、災難だぜ)チラッ

224: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:40:58.11 ID:Lwc5vg.o
御坂「……」ビリビリ


垣根(第三……じゃねえや、第二位はすっかり頭に血が上ってらっしゃる)


上条「許せねぇ……!」ギリッ


垣根(こっちも駄目か。話し合いじゃ無理そうだ)


垣根(なら―――)


垣根(どっちが正しいかをその身に叩き込んでやる)ファサッ


垣根「来な……!」ブン

ドサ

男B「ぐうっ!」


上条「アンタは下がってな!」

225: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 02:41:30.90 ID:Lwc5vg.o
御坂「……ッ」


上条「……」


垣根(来ない……?)


上条「そういや名前、聞いてなかったよな」

上条「俺は上条当麻。見ての通り無能力者の一般人だ。あんたは?」


垣根「俺は……」

垣根「学園都市元第二位、未元物質、垣根帝督……」





垣根「最低の人間だ」

231: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 22:25:52.23 ID:Lwc5vg.o
―――


麦野「ハァ……ハァ……」タッタッタ


麦野「確かこの辺りだったわよね……」


麦野(なんだか、すごく嫌な予感がする)


男A「お、おい!助けてくれ!」ヨロヨロ


麦野「……どうしたのよ」


男A「泥棒に財布を盗られたんだ!」


麦野「あっそ」スタスタ


男A「た、頼む!助けてくれぇ!」ガシッ


麦野「はぁ……」


麦野「犯人はどんな奴?どっちに逃げたの?」

232: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 22:33:34.98 ID:Lwc5vg.o
男A「ホストみたいな格好に、天使みたいな羽を生やした奴だ…!裏路地に逃げた!」


麦野「!」


麦野「……」


麦野「それ、本当?」


男A「ああ!この目で見たんだ!」


麦野「へー、それじゃあ」


男A「……?」


麦野「そんな目は、いらないわね」ギロッ


男A「え?」


麦野「いらねぇよな?」


男A「ちょっ、待っ……」

233: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 22:41:13.52 ID:Lwc5vg.o
麦野「サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」ニコリ


男A「やっ、やめ……」


男A「ぎゃあああああああああああっ!!」


麦野「……」


麦野「あーあ、気絶しちゃった」


麦野(アイツは……垣根はこんなことする奴じゃない)


麦野(この男……明らかにアイツをハメようとしてたわよね)


麦野(気になるわね、電話番号を控えておきましょう)メモメモ


麦野(っと、いけない)


麦野(私より前に誰かがここに来ていたとしたら……)


麦野「早く行かないとマズイわね……!」ダッ

234: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 22:52:17.99 ID:Lwc5vg.o
―――


「どうした?もう終わりか?」


そう言って垣根帝督が嘲るように笑う。
戦闘開始から僅か数分。
背に白い翼を生やした男とは対照的に、上条当麻と御坂美琴は疲弊していた。


滞空している敵への攻撃手段を持たない上条当麻は逃げまわる他無く。
御坂美琴は何度か攻撃を試みたものの、垣根帝督には当てることすら叶わない。

対する相手は、路地を吹き抜ける風や降り注ぐ月の光など、全てが武器であり盾である。

完全に「積み」であった。

236: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 23:06:03.52 ID:Lwc5vg.o
「まだ……まだぁ!」


電撃を放ちながら勇ましく叫ぶ彼女。
しかしその必殺の一撃である超電磁砲。

それすらも―――


「効かねぇなあ……!」


彼の前では無力に等しかった。
繰り出された烈風に身体を切られ、吹き飛ばされ、建物に打ち付けられる。
物理法則を歪める羽。
あの羽をどうにかしなくては。
そう少女は考えるが、どうすることも出来ない。
地に這い蹲りながら、埋めようのない差を痛感する。
今の自分では全く勝ち目の無い相手。
風が去り、暫時の静寂の中。
よろめきながら尚も立ち上がる彼女が出した結論は


「アンタは、早く逃げなさい……!」


行動を共にしていた、上条当麻を逃がすこと。
常に空中にいる上に攻撃が見えない。
彼と垣根帝督では勝負にすらならない。
ただ殺されるのがオチだ。
そう判断した上での言葉。

237: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 23:22:41.31 ID:Lwc5vg.o
「馬鹿言ってんじゃねえ!お前だけ置いて逃げられるか!」


しかし上条当麻は退かない。
彼には仲間……友人を置き去りにして逃げる選択肢は無かった。


「何も出来ないアンタがいると邪魔なのよ……」


搾り出すような声で、御坂美琴は言う。
これが本心からの言葉でないのは上条当麻にも理解出来た。
何も言えず俯いたまま、唇を噛みしめる。
彼にとってこれほどまでに自分の無力さを悔いたことは初めてであった。


「行けッ!!」


「くそっ……!」


御坂美琴の一声に走り出した彼の後ろ姿を見下ろしながら、含み笑いを浮かべる垣根帝督。
殺そうと思えばいつでも容易に出来た。御坂美琴も上条当麻も。
しかし、気が乗らなかった。
そんな自分の心境の変化に対しての笑み。
そしていつしか笑みは消え、その目は通りへと消えていった彼を見送った後に残った少女へと向けられる。

238: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 23:35:38.49 ID:Lwc5vg.o
「まだやるか?」


「当然、ただじゃ死なないわよ……」


凍り付くような冷たい目、嘲りの表情、挑発的な言葉。
彼のそれに負けじと精一杯の反抗心を込めて、睨み上げる御坂美琴。
しかし、彼女の身体は既に悲鳴を上げ始めている。
それは垣根帝督にも彼女本人にも明白であった。


「……行くわよ、元第二位!!」


このまま戦っても死ぬだけである。
にも関わらず、攻撃に移る。
それが垣根帝督には理解出来なかった。
何故死ぬと分かっていて向かってくるのか。
何故無駄だということが分からないのか。
彼女は決して馬鹿ではない。
それなのにどうして、悪い方の選択肢ばかりを選ぶのか。

242: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 23:45:35.04 ID:Lwc5vg.o
「無駄だっつってんだろうが!」


「なんで向かってきやがる……!」


音速よりも遥かに早い速度で矢継ぎ早に飛来する光。
それらを防ぎ、弾き、打ち消しながら堪らず声を荒らげる。
しかしそれは、周りの建物が崩壊する音に掻き消されてしまう。
自分に理解出来ないことがあるということの苛立たしさ。
垣根帝督は奥歯を噛みしめる。

一体何が彼女を、御坂美琴をここまで動かすのか。
勿論その声に対しての返答は無く、やがて猛攻が終わり。

その残響が消えゆく頃に。
垣根帝督が翼を開く頃に。

彼女は地に膝を突き、笑みを浮かべた。


―――

243: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 23:48:45.85 ID:Lwc5vg.o
上条当麻は走っていた。
夜とはいえ通りには人は多く、全力疾走なんてしていれば注目を浴びるのは当然。
しかし、そんなことは気にする様子もなく、走る。走る。
目指す先はハッピーエンド、誰もが笑って終われるような。
無論、目的地は自宅ではない。


「少し、踏ん張っててくれ……美琴……!」


普段は呼ぶことのない名前を無意識に呟き、前へ進む。
途切れることの無い人の波、それを掻き分けながら。
誰かにぶつかろうとも。
足がもつれようとも。
上条当麻は止まらない。
止まれない。


「ッ、見えた……!」


道行く人々の隙間から見えた、道。
先程戦闘を繰り広げていた路地の、一本横の道。
後少し。
後数歩。
誰にでも無く謝りながら。
前へ、前へ踏み出す。

244: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 23:54:46.60 ID:Lwc5vg.o
「よっしゃ……!」


抜けたっ!
僅かに見え始めた光に一人小さくガッツポーズ。
足は止めずに、そのまま路地へと駆け込む。
一転、人は勿論明かりすらほとんどない道を駆ける。
戦っていた場所はどの辺りだったかを必死に思い返しながら。


「ここ、だったよな……!」


息を切らしながら、扉を蹴破り中へと突入。
窓から幾度も差し込む閃光、その合間にちらりと見えた少女の姿。
今も尚果敢に攻撃を仕掛けているようだ。


「待ってろ、今、助けるから……!」


あの変な男、垣根帝督の滞空高度はどの辺りだっただろうか。
攻撃を当てるには何処から飛べばいいだろうか。
決して良くはない頭をフル回転させながら上条当麻は階段を駆け上がる。


「見えたっ……!」


窓から覗いた垣根帝督の顔。
ハッキリと見えた終わりに、不意に言葉が零れたその時だった。

246: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/26(水) 23:59:21.86 ID:Lwc5vg.o
凄まじい光の後、建物全体を揺るがす衝撃。爆音。
何かが崩れ落ちる音。
思わず倒れ込んでしまう。

ここが崩れ始めているのかもしれない。

知るか。

死ぬかもしれない。

死なない。

ガラスがある。

ブチ破る。

攻撃が外れた場合は?

外さねえ、当てる!


直ぐ様立ち上がり、頭上より降り注ぐ瓦礫の破片を身体に受けながらも、崩落し始めた階段を駆け上がり……
ガラスの破砕音と共に、上条当麻は窓から飛び出した。

251: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:13:56.60 ID:k83gORwo
―――


何故だか、その笑顔が無性に腹立たしかった。
負けたくせに、まるで勝ったような顔。
それを見ていると自分が負けたような気にさえさせられる。
心中を見透かされたようで、不愉快極まりない。


「その面を……」


「おおおおおおおおおッ!!くらいやがれぇぇぇええええッ!!」


その顔をやめろ。
そう、言おうとした時にすぐ横の建物から聞こえた。
建造物の崩落音とは全く違う音。
そして、声。
先程逃げた筈の無能力者、上条当麻。

認識をした頃には頬に強い衝撃。
どうやらこのまま地面まで叩き落すつもりらしい。
どうにか離脱しようと試みるが、能力が発動しない。

253: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:25:41.67 ID:k83gORwo
成程。

垣根帝督は瞬時に理解した。
この男が、噂の如何なる異能も打ち消す「幻想殺し」だということを。
自分が敗北するということを。

その理由はこの男の目。
揺るがぬ強い意志と、燃えさかる熱き魂。
先刻自身を一般人だと言っていたが、こんな真っ直ぐな目をした者が一般人であるわけがない。

こいつは……こいつらは……
一体どれだけの戦い……いや。


「いっけええええええええええええええッ!!」



一体どれだけの人々を救ってきたのだろう。



そんな彼の目、彼の心、彼の生き様。
そして彼を支える、仲間。

それを少し羨ましく思いながら

落下する感覚を少し心地よく感じながら

垣根帝督は目を閉じた。

254: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:30:02.48 ID:k83gORwo
―――


「ッ……!」


纏わり付く「最悪」を振り払いながらようやく目的地に辿り着いた麦野沈利が見たものは
崩れゆく建物、降り注ぐ瓦礫……羽を失い、落ちる天使。


「提督ぅぅぅぅううううっ!」


「な、仲間っ……!?」


宙を舞っていた二人の落下音が響き渡る中、彼女は悲痛に叫ぶ。
その声に気付き振り向いた、気を失っている見知らぬ男に肩を貸すボロボロの少女。
見覚えがあった。

現第二位。
自身の一つ「上」。
超電磁砲。

しかし今は満身創痍。
勝とうと思えば、倒そうと思えば、殺そうと思えば。
それは容易であったであろう。

だが、彼女は自分の勝負へのこだわりを捨てて。
自身の大切な人物、想い人の元へと走った。

255: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:31:22.60 ID:k83gORwo
―――


名前を、呼ばれた気がした。
誰かと探そうとするが目が開かない。
思考が霞がかっている。

頭を強く打ったらしい。

このまま死ぬのも悪くない。
そんなことを考えていると肩を叩く感触。
人がゆっくり寝ようとしてんのに邪魔すんじゃねえよ。
そんなクソったれな野郎の顔を拝んでやるべく、重い瞼を開ける。


「おい、生きてるかっ!」


驚いた。
俺の肩を叩きながら必死に叫ぶその顔。
上条当麻。
他の誰でもない、俺を倒した無能力者。
今しがた殴ってブッ倒した敵を助けるつもりらしい。

256: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:32:18.33 ID:k83gORwo
成程な、こいつはこういう奴なんだ。
……すごい奴だよ、お前は。
取り敢えず問題なく動かせる左手を持ち上げて見せる。


「よかった……立てるか?」


「……ああ」


迷うこと無く差し出されたその手を取って立ち上がる。
体中に走る痛み。
全身打撲に左腕骨折、左足は折れてねえみたいだが動かせない。
上条の方も左手を負傷しているようだ。


「まさか……無能力者に負けるなんてな」


そう言ったものの、分かっていた。
これは負けるべくして負けた。
こいつらは悪い方の選択肢を選んでいるのではない。
それしか選択肢がないのだろう。
戦いの始まりこそ変なものであったが、こいつと戦えてよかったと。
そう思えた。心から。

257: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:34:45.60 ID:k83gORwo
「はいはい、取り敢えずは病院に行きますよっと」

「その後で、ゆっくり事情聴取だ」

そんな言葉に苦笑していると、その男に左腕を担がれて腰に右手を回される。
導かれながらゆっくりと一歩踏み出したところでこちらに近付いてくる足音があることに気付く。


「帝督っ!!」


「……ああ?」


まず見えたのは駆けて来る見覚えのある女。
どうしてこいつがここにいるのだろう。
どうしてこいつはこんなにも泣きそうな顔をしているのだろう。


「……心配したか?わりぃな」


「バカなことやってんじゃないわよ……!全部知ってんだから!」


涙を溢し始める麦野。
彼女のそんな表情を見るのは初めてで。
何故だか申し訳なくなった。
そんな表情をさせてしまったことに対して、だろうか。

260: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:38:35.27 ID:k83gORwo
自身でもよく分からない心の動きに戸惑い、視線をずらす。
彼女の後ろから超電磁砲、気絶している様子の男の腕を担ぎながらゆっくりと近付いて来ているのが見えた。

――待て。
こいつはいつ気絶した?

そう、心に何か引っ掛かりを感じたときだった。
そいつが目を開け、動いた。
懐から現れるのは……大型拳銃。
その銃口が向けられる先は、


「どけッ!!」


咄嗟に前にいる麦野を横へと突き飛ばす。
いや、気付いた頃には突き飛ばしていた。
背中に触れる手のせいで能力が使えねえっつうのに。
なんでだろうな。
こいつが傷付くのを見たくねえと、思っちまった。
これまでにいろんなものを数え切れねぇくらいに失ってきたハズなのに。

こいつは、麦野だけは失いたくないなんて思っちまった。
柄にもねぇなあ。

262: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:39:50.18 ID:k83gORwo
「……!」


超電磁砲が気付いたようだが、遅かった。
静寂を取り戻した裏路地に響く、叫びにも似た銃声。


直後に感じたのは左胸に激しい痛み。
乱れる呼吸、滲む嫌な汗。
流れ出た生暖かい液体が服を、地面を、赤で上書きする。
足がもつれて倒れそうになったが、上条当麻に支えられてなんとか踏み留まることが出来た。

男は超電磁砲が気絶させたようだ。
すぐ側で上条が、麦野が何か叫んでいるが、聞こえない。


「……、…………っ!」


……済まねえな。
もはや声になっているかもわからないが、それだけを。
それだけを、彼女に言って俺は意識を手放した。



垣根帝督のとある一日 その2 完

267: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 00:49:45.79 ID:k83gORwo
次章予告



時を刻む音だけが響く白い、真っ白な病室には、その他に一切の音はなく。

少年と少女、二人の姿だけ。

眠ったままの少年は、閉じられた瞳の奥に何を見ているのだろう。
それを見守る少女は、今何を思うのだろう。


時の速さに翻弄され、揺れ、すれ違う心。
「言っただろ?俺はあいつを巻き込むつもりはねえってな」
「私には、もう会いたくないのかな」


歩みを共にする者、新たな絆。
「あいつもお前も悪党なんかじゃないと思うぜ」
「俺ァこの時間が割と好きなンだよォ」
「……俺も腹決めたぜ、行くぞ!」


戦う宿命。
「どこまで行っても、何をしてもな。悪人は悪人なんだよ」


伝えたい想い。
「……アイツをゴミなんて言うんじゃねえ!!」


―――――――――――――

垣根帝督のとある一日 その3

―――――――――――――


「これが未元物質!異物の混ざった空間!ここはテメェらの知る場所じゃねえんだよ!!」


戦いの先に、彼が見るものは―――


「その道を一緒に。私も、一緒に歩かせてもらってもいいかな?」



多分公開

271: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/27(木) 01:10:15.93 ID:k83gORwo
※嘘予告ですご了承下さい

ところでダークマターの能力下の空間でもテレポーターは転移できるのか
それとも一方さんみたく、ダークマターの影響で変質した物体が有る世界として設定し直さなくちゃいけないんだろうか