1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 17:10:23.53 ID:XPKidQWc0
貴音「近頃はアイドルとしての活動が順調となり」

貴音「わたくしだけを見ていてくださる時間などほとんどない」

貴音「おかげで、もはやわたくしは寂しさでおかしくなってしまいそう……」

貴音「あぁ、あなた様……なんといけずなお方……」

貴音「あなたさまぁ……はぁぁ……」

貴音「許されるのならば、もっと近くにあなたを感じたいというのに……!」

貴音「あなた様……わたくしは……」

貴音「あぁぁぁ! さびしい! あなた様の温度を感じたい! わたくしは! わたくしはぁぁぁ!」


 ガタッ

貴音「何奴!」

響「は、はいさーい……や、やっほー。貴音」

貴音「」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 17:18:47.32 ID:XPKidQWc0
貴音「……」

響「ねぇ、貴音? さっきの……」

貴音「はて、なんのことでしょうか」

響「……貴音が言ってた『あなたさま』ってひょっとしてプロ」

貴音「響、身体の調子はどうですか?」

響「いや、だからプロ」

貴音「わたくしたちは見ていただくファンの方々のためにも常に最もよい状態に整えていないといけません」

響「た、たかね?」

貴音「故に。幻聴が聞こえるなどという状態はもってのほかです」

響「いや、幻聴じゃなくて確かに『あなたさま』って」

貴音「幻聴です」

響「貴音?」

貴音「残像です」

響「……いや……」

貴音「イザナミです」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 17:27:36.94 ID:XPKidQWc0
響「……うん、まぁ自分も最近忙しかったからそのせいかな」

貴音「そうです」

響「ところで貴音、いいかな?」

貴音「なんでしょう?」

響「今日の仕事、プロデューサーがついてくれるらしいよ?」

貴音「なんと!」

響「……」

貴音「ふふ……そうですか……それはそれは……」

響「ねぇ貴音、やっぱりプロデューサーのことだったよね?」

貴音「なんのことでしょうか」キリッ

響「いや、つい今までアイドルとは思えないような表情してたからまるわかりだぞ」

貴音「なんと」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 17:39:47.74 ID:XPKidQWc0
響「ねぇ貴音? 自分たち、友達でしょ?」

貴音「えぇ、もちろんです」

響「なら、悩みは相談して欲しいぞ。自分だったら力になれると思うし」

貴音「ですが……弱みを見せるというのは、その……」

響「貴音……なら、自分も弱いところ見せてあげるから。ね?」

貴音「響……」

響「だめ、かな」

貴音「……いえ、ありがとうございます」

響「貴音……」

貴音「では、相談させてください。わたくしの悩みを」

響「うん。なんだってお任せだぞ! なんてったって自分、完璧だからな!」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 17:58:56.52 ID:XPKidQWc0
貴音「まずですね、響」

響「うんうん」

貴音「最近、プロデューサーがかまってくれないのです」

響「まぁ、忙しいから……」

貴音「……そうですね……それは理解してはいるのですが……」

響「うん、それでもさびしいっていうのは仕方ないか……」

貴音「お恥ずかしい限りです」

響「ううん、自分だって時々、その……実家のみんなのことが恋しくなったりするし」

貴音「響も、ですか?」

響「自分には家族がいっぱいいるけど、貴音は1人暮らしでしょ? そしたら仕方ないんじゃないかなぁ」

貴音「……そうでしょうか」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 18:10:24.68 ID:XPKidQWc0
貴音「わたくしは、自分がここまで弱いとは思いませんでした」

響「確かに貴音って強そうだけど、女の子なんだからそれぐらいいいと思うぞ」

貴音「……」

響「貴音はプロデューサーに甘えたいんでしょ?」

貴音「それは……そうですね」

響「ね。素直に生きるべし、さー」

貴音「……響」

響「ん、何?」

貴音「では、どのようにしたら……」

響「うんうん」

貴音「どのようにしたら、プロデューサーはわたくしにもっとかまってくれるようになるでしょうか?」

響「うーん、そうだなぁ」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 18:18:17.13 ID:XPKidQWc0
――――

――

貴音「……」

P「よし、それじゃあ次の仕事だ。響は自分で移動するって言ってたけど貴音は乗っていくか?」

貴音「はい、ぜひお願いいたします」

P「あと、仕事の内容は悪いけど見ててはやれないかな……」

貴音「そうですか……」

P「うん。美希も響も忙しいし、音無さんにばかり負担をかけるわけにもいかないからなぁ」

貴音「……あなた様」

P「どうした?」

 響『かまってほしいときは、わかりやすくすればいいんだ。向こうが思わずかまっちゃうようにすればなんくるないさー』

貴音(響からもらった助言を……無駄にはしません……!)

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 18:30:29.51 ID:XPKidQWc0
P「貴音?」

貴音「……ちらり」

P「……貴音?」

貴音「……ちらちら」

P「いや、どうした? お腹出したりしたらだめだろう。ちゃんとしまいなさい」

貴音「……むぅ」

 響『たとえばいぬ美はかまってほしいとき、おなかを見せてくるんだ。そしたら撫でてやると喜ぶんだぞ』

貴音(おかしいですね。これでお腹を撫でていただくつもりでしたのに)

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 18:38:41.19 ID:XPKidQWc0
貴音(では、次の手をうつしかありません)

貴音(たしか、響の話では……)

 響『もしダメだったら? うーんいぬ美以外だと……しきりに体を擦り付けて甘えたりとか』

貴音(……運転中ですし、危ないですね)

P「貴音? どうしたんだ?」

貴音「いえ、お気になさらず」

P「そうか……」

貴音「はい……」

貴音(……ですが、少しだけならば……)

 ひし…

P「貴音?」

貴音「しばらくこのままで……ダメでしょうか?」

P「……うーん、袖を捕まえれると運転しづらいかな」

貴音「そうですか……失礼しました」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 18:53:06.97 ID:XPKidQWc0
貴音(ならば次です……そう。響にもらった助言はまだまだ……!)

 響『オウ助は普段と違う鳴き声を出したりするかな。歌を歌ったりとか』

貴音(この手がありましたか! では普段歌わない曲を……)

貴音「……空はまさにすたーりー♪」

貴音「こんな夜は止まらない まい はにー はーびー♪」

P「貴音?」

貴音「はい、なんでしょうかあなた様」

P「どうして急にHoney Heartbeatを?」

貴音「さぁ、何故でしょう? ふふっ……」

P「……今度そういう曲を歌ってみたいってことか?」

貴音「……いえ、そうではなく」

P「でもありだな……うん。考えてみようか」

貴音「……」シュン…

貴音(また失敗ですか……)

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 19:02:17.38 ID:XPKidQWc0
貴音(他は、ほかに何か手が……)

 響『そうそう、基本的に普段しないようなことをする時はかまってほしいんだなーって時だなぁ』

 響『モモ次郎とか、シマ男とかは普段噛むところを決めてるのにかまってほしいときは別のところを噛んだりとか』

 響『自分ことを甘噛みすることもあるかな……ん? 大丈夫だよ、甘噛みだからなんくるないさー』

貴音(あまがみ! そういうのもありましたか)

貴音(……ですが、それでは運転の邪魔になってしまいます)

貴音(いったいどうすれば……)

貴音「……むむ……」

P「貴音? 現場ついたぞ? 貴音ー?」

貴音「はっ、好機!?」

P「はい?」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 19:06:56.88 ID:XPKidQWc0
貴音(パッと舞って)

P「は、速い!」

貴音(ガッとやって)

 ガンッ

貴音「……」

P「……貴音? 車の中で暴れると危ないぞ? 頭ぶつけたじゃないか」

貴音「……」

P「貴音?」

貴音「何故です……何故うまくいかないのです……」

P「た、貴音?」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 19:16:55.59 ID:XPKidQWc0
貴音「わたくしはただ……」

P「……貴音、どうしたんだ? 今日はなんだか変だぞ」

貴音「あなた様が悪いのです!」

P「えっ」

貴音「わたくしのことをほおっておくなど!」

P「いや、貴音」

貴音「なんですか! 言い訳など聞きたくありません!」

P「……いや、ほおっておいた覚えはないぞ?」

貴音「戯言を!」

P「……わかったよ。俺が悪かった」

貴音「今更です。なんですかその態度は。前々から思っていたのですがあなた様はわたくしの話をちゃんと聞いてくださっているのですか?」

P「聞いてるとも」

貴音「いいえ、聞いていません」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 19:25:54.63 ID:XPKidQWc0
P「そんなこと言われてもなぁ」

貴音「わたくしのことをないがしろにしすぎなのです」

P「そんなつもりはないぞ? 俺はちゃんと」

貴音「あなた様にとってはそうかもしれませんが、わたくしにとっては足りないのです!」

P「……」

貴音「わたくしは、もっとあなた様のぬくもりを感じたいのです」

P「貴音……」

貴音「……」

P「でも家ではちゃんと……」

貴音「そういう問題ではありません!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 19:35:27.81 ID:XPKidQWc0
P「仕事とプライベートは分けて考えようって言っただろ? だから俺は……」

貴音「そうです。分けて考えております」

P「だったら、わかるだろ?」

貴音「えぇ、わかりますね?」

P「仕事で必要以上の接触はだな……」

貴音「いいえ!」

P「え?」

貴音「あなた様が他の皆へしている仕事上の付き合いよりも、ずっとわたくしのことをないがしろにしているではありませんか」

P「そんなつもりはない」

貴音「響の頭を撫でるのにですか」

P「あれは失敗して落ち込んでたから……」

貴音「ずるいではありませんか! わたくしが失敗したときはただ慰めてらぁめんをおごってくださっただけでしたのに!」

P「……そういわれても」

貴音「仕事の失敗は家には持ち込みません。だから家では慰めてもらえず……わたくしは……」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 19:44:50.55 ID:XPKidQWc0
P「……」

貴音「わたくしだって、もっとあなた様にかまってほしいのです」

P「貴音……」

貴音「……はしたない女だと思われますか?」

P「……いや、確かに仕事上で貴音のこと、ないがしろにしてたかもしれないな」

貴音「あなた様……」

P「でも、それは……一線を引かないとプライベートとの区別がつきそうになかったからでだな」

貴音「……はて」

P「俺だって我慢してるんだぞ? へそをちらちらさせられたら撫でるどころか  たくなる」

貴音「なんと」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 19:49:42.49 ID:XPKidQWc0
P「それに、車の中でHoney Heartbeatだと? 襲われたいのか」

貴音「そのようなつもりは……」

P「男にはそう聞こえるんだ。危ない」

貴音「そうだったのですか……」

P「その通りです」

貴音「……それはまずいですね」

P「まずいです」

貴音「ではわたくしのしたことは……」

P「効果ばつ牛ンだった」

貴音「なんと」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 20:03:04.32 ID:XPKidQWc0
貴音「……てっきり、あなた様はいけずなお方なのかと思っておりました」

P「がんばって我慢してます」

貴音「そうでしたか……」

P「あぁ」

貴音「……それに、最近のあなた様は帰りが遅かったですから」

P「売れてきてるのもあるなぁ……ごめん」

貴音「……」

P「貴音?」

貴音「ふふっ、いえ。申し訳ございません」

P「何がだ?」

貴音「ただ、わたくしだけが辛いものと思い、わがままな振る舞いをしてしまいました」

P「まぁ……その、確かに仕事中は貴音にだけ冷たかったかもしれないな。ごめん」

貴音「いえ、いいのです……まこと、申し訳ございませんでした」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 20:11:44.28 ID:XPKidQWc0
P「じゃあ、貴音」

貴音「はい」

P「……今日は早く帰るからさ」

貴音「……はい」

P「そしたら、もう少し話し合おう?」

貴音「……はい! あなた様」

P「どうした?」

貴音「家でなら……よろしいですよね?」

P「……こっちこそいいんだな?」

貴音「もちろんですとも……では、期待してお待ちしておりますね」


おわり

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 20:14:47.67 ID:XPKidQWc0
@おまけ

貴音「というわけで、プロデューサーとの仲は一層深まりました」

響「……」

貴音「響? どうしたのですか?」

響「いや、うん……初めて聞いたぞ……」

貴音「ふふっ、そこはきちんと隠しておりましたから」

響「じゃあ、あの相談は実質痴話げんかみたいなものだったのか……」

貴音「痴話げんかなど……いえ、その通りかもしれませんが」

響「他になんて言ったらいいのかわからないぐらい痴話げんかそのものさー」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 20:20:47.04 ID:XPKidQWc0
貴音「ですが響、まことに感謝しておりますよ」

響「まあ、貴音もプロデューサーも満足してるならいいけどさ」

貴音「ところで、なのですが」

響「ん、どうしたの?」

貴音「寂しいときの表現は他にはどのようにしたらよいのでしょうか……?」

響「さびしいとき? だからアドバイスしたみたいに……」

貴音「えぇ、どれも激しく燃え上がりました」

響「えっ」

貴音「あのように激しくなるとは……ですから、ほかにも趣向をと……」

響「えっ」

貴音「響?」

響「……うん、そうだね!」

貴音「どうしたのですか?」

響「いや、今日はなんだか暑いなーってね」

貴音「そうでしょうか? 寒いぐらいですが」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 20:22:35.25 ID:XPKidQWc0
本当に終わりなの

保守支援ありがとうございました

引用元: 貴音「あなた様! あぁぁ、あなた様! 寂しいです! あなた様ぁ!」