2: ◆iGEcIiQPPHZy 2021/12/16(木) 23:52:31.79 ID:pD97DDMz0
「撮影楽しかったですね!」

「また来年もやりたいね」

「絶対やろうね」

今日はP.C.Sでのクリスマス番組撮影日。

3人ともクリスマスのための特別な衣装を着てミニライブやミニゲームの様子を撮影しました。

ただ、ずっとがんばってきたつもりでも私たちはあくまで番組の一企画。結構頑張ってきたつもりだったけどクリスマス番組のメインには程遠い。

一番のユニットを目指すと誓ってからもまだまだその立ち位置は遠い。

普通の私たちが本当に一番になんてなれるんだろうか?

3: ◆iGEcIiQPPHZy 2021/12/16(木) 23:53:58.87 ID:pD97DDMz0
「あれ? 美穂ちゃん、どうかした?」

「あ、えっと衣装、卯月ちゃんだけずるくなかった?」

思い悩む様子が出ちゃってた。ごめん、卯月ちゃん! ごまかさせて!

「え?」

「あー! そうですよ! お腹出すの恥ずかしかったのに一人だけ隠してて」

「みんなクリスマス衣装だからって聞いたから着たのに卯月ちゃんだけ普通にオシャレで」

「そんなこと言われても私も用意してもらったのを着ただけだから……それに私もサンタ衣装来てみたかったんだよ」

「「本当に(ですか)?」」ジー

「本当……だよ? えっと、安心したって気持ちもあるけど」

「「ふふふふ」」

「もー二人してー!」

視線に耐えかねて正直に言う卯月ちゃんに二人で思わず吹き出しました。

4: ◆iGEcIiQPPHZy 2021/12/16(木) 23:56:33.49 ID:pD97DDMz0
「でも、ケーキ食べたかったなあ。せっかく響子ちゃんのおかげで美味しそうに作れたのに」

「仕方ないですよ。プロの方に採点してもらう企画だったわけですし」

「また食べさせてほしいって言われちゃったもんね」

「そうだけど……そういえば卯月ちゃんがつまみ食いしないなんて珍しいね」

「ちゃんと見張っておきましたから!」

「もー二人とも私のことをなんだと思ってるの!」

こんな感じで撮影のことを振り返って話しているうちに寮につきました。

今日は卯月ちゃんも寮に泊っていくことになっているんです。

なんとなく、って卯月ちゃんは言っていましたけど、本当は分かってる。

今日は私の誕生日。二人でお祝いしてくれるんだろうなって。

ただ、せっかくのサプライズだし、ちゃんと普通の女の子らしく驚かないと。

いつネタ晴らしするんだろう?

多分、部屋についてからかな?

もしかすると響子ちゃんの部屋を飾り付けてくれているのかも?

5: ◆iGEcIiQPPHZy 2021/12/16(木) 23:58:25.31 ID:pD97DDMz0
「ただいまー」

玄関を開けたその時、クラッカーが鳴り響いた。

「さあ! 今こそ汝の生誕を祝福せし時ぞ!」

「おめでとう、美穂!」

「美穂ちゃん、ハピバ!」

「「「「おめでとう!!!!」」」」

え? 寮の玄関に待ち構えていたみんなに驚く。

「お誕生日おめでとう! 今日は美穂ちゃんが主役だよ!」

「特別な一日ですからね! たっくさん楽しんでいてください。さあ早くこちらに」

寮の食堂に行くと目の前に広がるたくさんのご馳走。真ん中には大きなケーキ。

6: ◆iGEcIiQPPHZy 2021/12/16(木) 23:59:45.99 ID:pD97DDMz0
そっか。

私たちはきっとずっと普通の女の子。

お誕生日は誰にでもある普通のもの。毎日が誰かにとっての誕生日。

だけどその一日一日は確かにその人にとっての特別な日。


だから私たちがいつか目指す先にもお誕生日と違う特別ないつかがきっとある、私はそう信じたい。

引用元: 【デレマス】普通だけど特別でいい時