2: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:51:04 ID:mQ9q

北上麗花『私、一度もタヌキに化かされたことないんですよね』

麗花『夜に行かないとダメなのかな~。今度一緒にどうですか?』

……

P「来てしまった……思った以上に暗いな」

3: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:51:51 ID:mQ9q

麗花「ほらほら、プロデューサーさん、カブトムシのメスがいますよ!」

P「タヌキ探してるんだよな? どうして木を見てるんだよ」

麗花「わかりませんよ。もしかしたら、この木に化けているかもしれません」

P「……うん、そうかもな」

麗花「あっ、タヌキだ!」

P「ええっ本当に?」

4: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:52:51 ID:mQ9q

麗花「ほら、あっちの方で目がぎょろぎょろって光ってますよね」

P「ああ、そういう……あれか?」

麗花「そうですよ。さぁ、化け放題の出血大サービスですよ~。ほらほら~」

P「……タヌキに伝わるかな?」

麗花「あ、逃げた。待て待て~!」ガサガサッ

P「ちょっ、麗花、走ると危ないって!」

5: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:53:32 ID:mQ9q

P「暗い……もっと本格的な懐中電灯持ってくるんだった……」ガサガサ

P「しかし、なかなかの獣道だな……麗花~!」ガサガサ

麗花「プロデューサーさーん! 早く早く!」

P「方向は合ってるな……今行く!」ガサガサ

6: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:54:10 ID:mQ9q

P「おっ、ちょっと開けたかな」

麗花「プロデューサーさん、こっちこっち! 大発見ですよ!」

P「化けタヌキを見つけたのか?」

麗花「違いますよ。ほら、これです!」

P「これって……暗くてよく見えないけど……」

7: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:55:30 ID:mQ9q

P「温泉?」

麗花「そうそう、天然の温泉ですよ! ロコちゃんだとナチュラルホットスプリングです!」

8: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:56:08 ID:mQ9q

P「こんな所に……触った感じだと温度もちょうど良いくらいだな」

麗花「それじゃあ入りましょう!」

P「そうだな。足湯でもして……って麗花!?」

麗花「どうしたんですか?」

P「服脱ぎ始めてない?」

9: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:56:53 ID:mQ9q

麗花「だって温泉ですよ! 一緒に入りましょう!」

P「いやいや、落ち着け。バスタオルも持ってきてないし」

麗花「体を拭くだけなら、このハンドタオルで充分ですよ」

P「いや、そうじゃなくて」

麗花「あ、プロデューサーさん、ちょっとあっち向いておいてください。じゃないと、エッチデューサーさんって呼んじゃいますよ」

P「お、おう……って、麗花が入るんなら俺は遠慮しとくよ」

10: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:57:39 ID:mQ9q

麗花「ええ~つまんないですよ。暗くてほとんど見えないから、一緒に入っても大丈夫ですって」

P「いや、流石にやめておく」

麗花「とうっ」ザップーン

P「いや、本当に入っちゃったの!?」

麗花「気持ちいいですよ。プロデューサーさんも早く早く~」

11: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:58:48 ID:mQ9q

P「俺は入らないからな」

麗花「むむむ~、つれないデューサーさんですね」

P「何とでも言え」

麗花「それじゃあ、こう!」ガシッ

P「ちょっ、なんでズボンつかむの?」

麗花「入らないなら、このまま引っ張って、引きずり落としちゃいますよ♪」

P「怖っ! それはやめて!」

12: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)22:59:35 ID:mQ9q

麗花「あ、私は今、服着てないので、こっち向いても引きずり落とします」

P「絶対見ないようにしてるけど! これ危ないって」

麗花「さぁ、約束をしてください。カウントダウン~、5、4」

P「わかった! 入るから!」

麗花「そうですよ。最初から素直デューサーさんになってくださいよ~」

P「ふぅ……入るのは入るけど、いくつか条件がある」

13: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:00:29 ID:mQ9q

麗花「カウントダウン再開~3、2」

P「待てって! とりあえず麗花にはなるべく離れてもらって、その間に俺が入って、お互い背を向ける、それでオーケー?」

麗花「なるほど、そうですよね。プロデューサーさんも私も恥ずかしいですもんね。それならオーケーです」

P「……それじゃあ、手を放して」

麗花「はーい、それじゃあ、いってきまーす」バシャバシャ

14: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:00:58 ID:mQ9q

P「」ヌギヌギ

P「」チャポン

P「……入ったぞ」

麗花「はーい。それじゃあ、近づきますね~」

15: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:01:45 ID:mQ9q

P「本当、奇跡の湯加減だな」

麗花「そうですね~。ポカポカになれそうです」

P「化けタヌキを探すはずが、温泉につかれるなんてな」

麗花「あ、それは諦めてませんよ。きっと、今もどこかで誰かが化かされてますから」

P「……そうか」

麗花「でも、ちょっと休憩です。すごく気持ちいいんですもん」

P「……そうだな」

16: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:02:26 ID:mQ9q

麗花「はふぅ~……」

P「……」

麗花「ねぇ、プロデューサーさん」

P「ん?」

麗花「こっち、向いちゃいます?」

17: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:03:11 ID:mQ9q

P「はい? 何言ってるの?」

麗花「暗いから恥ずかしくないですよ」

P「いや、流石にダメだ……って、麗花、こっち向いてる? 声がさっきと違ってこっちに向かって聞こえてきて」

麗花「それぇっ!」ムニュ

P「ちょちょっと! 麗花何やってるんだ!?」

18: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:03:53 ID:mQ9q

麗花「あー、これは恥ずかしいですね。恥ずかしいかさんになっちゃいますね」

P「耳元でしゃべらないで! なんか詩花っぽいし! ってかそれなら抱きつくのもやめて!」

麗花「でも信頼してます。マジメデューサーさんはアイドルに手を出しませんよね?」

P「それはそうだけどさ! 何で急にこんなことを」

19: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:04:36 ID:mQ9q

麗花「プロデューサーさん、いつもありがとうございます」

P「え?」

麗花「こんな普通じゃない私を、みんなの輪の中に入れてくれて」

P「……」

麗花「小さい頃から、変わった子だねとか、不思議ちゃんだって言われ続けて、私って変なのかって、ずっと思ってました」

P「……」

20: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:05:20 ID:mQ9q

麗花「今日だってそうです。茜ちゃんに言ったら、タヌキに化かされないのが普通で、それを探すのは普通じゃないって、言われちゃいました」

P「……それはそうかもな」

麗花「でも、プロデューサーさんは、なんやかんやで着いてきてくれました。断ることも出来たはずなのに」

P「……」

麗花「こんな私を受け入れてくれて、本当に嬉しいです。ありがとうございます」

21: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:06:32 ID:mQ9q

P「……こちらこそありがとう、だよ」

麗花「え?」

P「たしかに、不思議なところはある。最初は意思疎通できるか不安だったし、未だに麗花の意図がわからないこともある」

麗花「……」

P「でもな、スペックが高くて、ポジティブで……そういう不思議な所も含めて、本当に魅力的なんだ」

麗花「……」

22: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:07:09 ID:mQ9q

P「これでアイドルとして売れなかったら俺のせいだ、って思うくらいな」

麗花「……」

P「俺を信頼してくれて、プロデュースを任せてくれて、俺の方こそ本当に感謝してるよ」

麗花「……なんだか、照れちゃいますね」

P「……そうだな」

23: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:07:49 ID:mQ9q

麗花「……さて、私は上がりますから、このまま回れ右しましょう」

P「お、おう」

麗花「エンエンクルリ~クルリ~よ……それじゃあ、私が合図するまでこっち見ないでくださいね」

P「ああ」

24: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:08:32 ID:mQ9q

……

P「……」

麗花「……」

P「……」

麗花「あ、タヌキ!」

P「え?」

25: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:09:08 ID:mQ9q

麗花「待て待て~」ガサガサ

P「ちょっ麗花?」

P「……」

P「……」

P「もう振り向いていいよな?」

26: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:09:46 ID:mQ9q

P「……」

P「5、4、3、2、1」

P「……0」

P「……」チラッ

P「よし、それじゃあ、俺も上がろう」

……

27: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:10:26 ID:mQ9q

P「……たしかこっちだったはず」ガサガサ

P「これで遭難になったら地獄だな……」ガサガサ

P「麗花も心配だし……早く合流しないと」

P「おーい、麗花! いたら返事してくれ!」

麗花「やっほー!」ガサガサ

P「おわっ」

28: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:11:22 ID:mQ9q

麗花「隣の茂みから呼ばれて飛び出ました麗花さんです!」

P「近くにいたなら声かけてくれよ」

麗花「てっきり私がいるって、プロデューサーさんはわかってると思ってました」

P「……そうか」

麗花「それにしても、迷子デューサーさん、どこ行ってたんですか?」

29: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:11:56 ID:mQ9q

P「麗花を探してたんだよ。温泉から出てから、タヌキを」

麗花「え? え?」

P「ん? どうした?」

麗花「温泉って何ですか?」

P「……え?」

30: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:12:43 ID:mQ9q

P「麗花が見つけてくれた天然の温泉だよ」

麗花「私、温泉なんて知りませんよ?」

P「え?」

麗花「あ、もしかして、その私、タヌキじゃないですか?」

P「はい?」

麗花「プロデューサーさんはタヌキに化かされたんですね!」

P「いや、流石にそうじゃない……はず」

31: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:13:29 ID:mQ9q

麗花「いいなぁ~。化けタヌキにも会って、温泉にも入るなんて、うらやまデューサーさんですよ」

P「そうなの、か……?」

麗花「それで、どうだったんですか?」

P「え?」

麗花「タヌキの私、どんなことをしたんですか?」

32: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:14:54 ID:mQ9q

P「……い、言えない」

麗花「言ってくださいよ~」

P「無理、無理だ」

麗花「ずーるーい、ずるデューサーさん、教えてくださいよ~」

P「無理だって」

麗花「もーぉ、いじわる~」

33: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:15:37 ID:mQ9q

麗花「なんて、ね」

P「……え?」

34: 名無しさん@おーぷん 21/12/19(日)23:16:11 ID:mQ9q

P「麗花?」

麗花「さぁ、まだまだこれからですよ!」

P「……お、おう」

おわり

引用元: 北上麗花「夜の温泉で二人」