2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 00:59:07.18 ID:XZ+oJDS90
~歩道橋~


P「…」コツコツ

???「…」

P「…お前は」

ドンッ

P「!?」

ゴロゴロゴロゴロ

P「うわああああああああああ!!」

ヒロコママ「!!」

???「!!」ダッ

ざわざわ

ヒロコママ「あ、あたしじゃない!!あたしじゃないの!!」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:02:05.07 ID:XZ+oJDS90
~警視庁~


伊丹「おい、特命係の亀山ぁ~」

亀山「何だ、捜査一課の伊丹ぃ~?」

伊丹「真似すんな!!…おい、お前の愛する人が取調室でお呼びだぞ」

亀山「愛する人…お前、まさか美和子を!?」

伊丹「とっとと行け!!」

亀山「うるせー!!」

タタタタタ

亀山「美和子!!」

ヒロコママ「あら、薫ちゃん!!」

亀山「な、なんだ。ヒロコママじゃないか」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:06:13.35 ID:XZ+oJDS90
ヒロコママ「ねえ、薫ちゃんからも言ってやってよ!私が犯人じゃないって!!」

亀山「どうしたの一体?」

三浦「昨晩未明、男が歩道橋の階段から突き落とされた」

芹沢「目撃者の証言によりますと、事件当時この人が歩道橋の上で立っていたんですよ」

三浦「なあ、いい加減…」

ヒロコママ「嫌よ!あたし、薫ちゃんじゃないと話さないわ!!」

芹沢「…さっきからこんな調子で全然取調べが進まないんですよ先輩」

亀山「わーったわーった。ここは俺に任せろ」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:09:42.79 ID:XZ+oJDS90
ヒロコママ「あたし、見たのよ薫ちゃん!」

亀山「見たって何?」

ヒロコママ「逃げる女の子!きっと、あの子が犯人よ!」

亀山「で、どんな子?」

ヒロコママ「んー、暗かったからよく覚えてないの…ごめんなさあい」

亀山「覚えてないって、それじゃあちょっと厳しいでしょ」

ヒロコママ「んー、確かサイドポニーだったような…」

右京「亀山君、手伝いましょうか?」

亀山「右京さん、何時の間に?」

右京「君が見えなかったもので」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:14:25.96 ID:XZ+oJDS90
伊丹「何だってえ!?」

三浦「どうした伊丹?」

伊丹「…釈放だ」

亀山「え?」

伊丹「釈放だっつってんだろうが、早くしろノロマの亀!!」

亀山「誰がノロマだ誰が!で、何で急に?」

三浦「新たな目撃証言が出て来た。背の低い女性が男を突き落とすのを見たそうだ」

ヒロコママ「ほら!言ったじゃない!!」

右京「ほほう。それは興味深いですねえ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:18:29.02 ID:XZ+oJDS90
右京「…被害者の名前は赤羽根ケンジ。765プロダクションで働いているとのことです」

亀山「765プロダクションって、あの?」

右京「おや、知っているのですか?亀山君」

亀山「いや、俺はそこまで知らないんスけどね。美和子が注目してたんスよ。
次のアイドルはここから来るって」

右京「アイドル…ということは芸能プロダクションですか」

亀山「まあ、芸能プロの人なら仕事上、恨みを買っててもおかしくないッスもんね」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:24:40.64 ID:XZ+oJDS90
右京「ヒロコさんから描いて頂いた似顔絵と被害者の所持品を照合した結果
ある1人の人物が浮かび上がりました」

亀山「誰すか?」

右京「双海亜美さん。765プロダクションに所属しているアイドルだそうですよ」

亀山「自分とこのアイドルに突き飛ばされたんですか?よっぽど嫌われてるんスね」

右京「彼女に会うためにも765プロダクションに行こうかと思うのですが」

亀山「勿論、付いて行きますよ」

右京「では、行きましょうか」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:28:27.27 ID:XZ+oJDS90
~765プロダクション~


右京「失礼します」

亀山「こんちわーす」

小鳥「あ、どうも。えーと、どなたですか?」

右京「警視庁特命係の杉下です」

亀山「亀山です」

小鳥「警察の方…Pの件ですね」

右京「ええ。こちらに双海亜美さんは…ああ、そちらにいらっしゃいますねえ」

亜美?「私、亜美じゃないよー」

亀山「こらこら、いくら子供だからっておじさんたちをからかっちゃダメだよ」

亜美?「だから亜美じゃないって」

亀山「全く、最近の子は」

???「亜美、何してんの?」

亀山「え?同じ顔?」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:31:23.22 ID:XZ+oJDS90
右京「これはこれは、双子でしたか」

亜美「そ、私が亜美」

真美「そして、私が真美」

小鳥「二人は双子アイドルなんです」

右京「そうでしたか」

亜美「ぶー、うちら全然知られてないんだね」

真美「ショックショックー」

右京「大変申し訳ございません。何せ、こういうのには疎いものですから」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:35:53.35 ID:XZ+oJDS90
亀山「ところで、突然で悪いけど昨晩の○○時、亜美さんは何処にいたの?」

亜美「亜美、喫茶店にいたよー」

亀山「それを証明する者は?」

亜美「店の人が覚えてると思うよ。何たってアイドルだしね!」

亀山「ってことは、彼女にはアリバイがある…。つまり、犯人はこっちか!」

真美「犯人って何だよ~」

亀山「赤羽根さんを突き落としたのは双海真美、お前しかいない!!」

真美「私がアンちゃんを突き落とすわけないじゃ~ん。私も喫茶店にいたよ」

亀山「な~に言ってやがる。大人を舐めるのもなあいい加減に…」

右京「亀山君、少しまずいことになりましたねえ」

亀山「へ?何でですか右京さん」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:41:07.12 ID:XZ+oJDS90
右京「お互いが同じ場所にいたと証言しています。でも、現実にそれは有り得ません。
どちらかが赤羽根さんを突き落とし、どちらかが喫茶店にいた筈です。
そうなると、大変まずいことになりますねえ」

亀山「だから何でですか?」

右京「僕たちには、どちらが事件現場にいてどちらが喫茶店にいたか、
それを証明する術がありません」

亀山「あ…!で、でも被害者の爪には犯人の皮膚片らしきものが残ってたんでしょ?
それをDNA鑑定すれば…ってそれもダメか」

右京「ええ、彼女たちは恐らく一卵性の双生児。DNA鑑定は役に立たないでしょうねえ」

亜美「亜美、喫茶店にいたよ~」

真美「真美、喫茶店にいたよ~」

亀山「にゃろ~、可愛い顔して、何てこと考えてやがる!!」

右京「ええ、これは双子であることを使った完全犯罪です」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:52:17.59 ID:XZ+oJDS90
右京「このまま互いが互いに喫茶店にいたと主張し続け、
こちらが物的証拠を出せなければ、やがて拘留期間が無くなってしまうでしょうねえ」

亀山「それがこいつらの狙いか…くそ!」

亜美「あれあれ?どうしたの~?」

真美「どうしたの~?」

右京「一先ず、戻りましょうか」

亀山「くっそ~!」

亜美・真美「バイバ~イ」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:54:54.65 ID:XZ+oJDS90
亀山「くっそ~、どうすりゃいいんだ!」

右京「取り敢えず探すしかないですねえ」

亀山「探すって何を?」

右京「証拠ですよ。双海亜美さんと真美さん。二人が当日、どちらにいたかの」

亀山「…それしかないですね」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 01:58:49.85 ID:XZ+oJDS90
~喫茶店~


マスター「ん~、確かにこの子、店に来てましたよ?」

亀山「で、どっちがいたかは分かりますかね?」

マスター「…ん~、申し訳ないけどそれは分からないねえ」

右京「当日、他に客はいたのでしょうか?」

マスター「ああ、確か喧嘩してたカップルがいたなあ」

亀山「そのカップルについては…」

マスター「ああ、女性の方は常連の子だから、その内来るんじゃないかね?」

右京「分かりました。では、また改めてお伺いいたします」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:02:06.05 ID:XZ+oJDS90
亜美「喫茶店で喧嘩してたカップルいたよ~」

真美「うんうん、彼氏の頬ビンタして、水びちゃーってかけてたよ~」

亀山「う~ん。同じこと言ってますね」

右京「恐らくお互い綿密な打ち合わせをしたのでしょうねえ」

亀山「これじゃあ、埒が明かないッスよ」

右京「…それにしても二人は仲が良いのですねえ」

亀山「そりゃ、双子なんだから仲いいでしょ」

右京「着ている服も同じなら、髪型も左右が違うだけで同じ。使っているアクセサリーまで同じですねえ」

亀山「ま、双子ですから」

右京「…」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:05:16.70 ID:XZ+oJDS90
米沢「おや、警部殿。ここにいましたか」

右京「米沢さん。どうかしましたか?」

米沢「先程、病院から連絡があって被害者の意識が戻りました」

亀山「おっ?これで被害者を覚えていたら…」

右京「行ってみましょう、亀山君!」

亀山「勿論ですよ!!」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:07:30.93 ID:XZ+oJDS90
~病院~


P「…」

三浦「で、どっちがあなたを突き落としたか分かりますか?」

P「…すみません」チラッ

伊丹「何だよ!!」

芹沢「これで最後の望みも絶たれちゃいましたね、先輩」

亀山「残念でしたね、右京さん」

右京「…」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:12:24.91 ID:XZ+oJDS90
亀山「打つ手無し…ですか。クソ!」

右京「双海亜美さん、そして真美さん。どちらが犯人でしょうねえ」

亀山「それを知る最後の手掛かりだった被害者にも分からない…か」

右京「亀山君。もう一度765プロダクションへ行って見ましょうか」

亀山「え?何でですか?」

右京「一つ、確認しておきたいことがあります」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:14:25.98 ID:XZ+oJDS90
~765プロダクション~


小鳥「またあなたたちですか」

右京「何度もお邪魔して申し訳ございません」

亀山「この人の悪い癖でして」

小鳥「早く亜美ちゃんと真美ちゃんの二人を帰して下さい」

右京「この傘…」

小鳥「それ、事件の日に亜美ちゃんと真美ちゃんが使っていたものです」

亀山「使ってるビニール傘は違うんスね。半透明と透明のだ」

右京「…!!それですよ、亀山君!!」

亀山「へ?」

右京「この傘、お借りします」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:17:10.29 ID:XZ+oJDS90
~取調べ室~


右京「双海真美さん」

真美「なに、おじさん?」

右京「もう一度伺います。事件当日、あなたは何をしていましたか?」

真美「真美、喫茶店にいたって言ってるじゃん」

右京「いえ、喫茶店にいたのはあなたじゃありません。
喫茶店にいたのは双海亜美さんです」

真美「!?しょ、証拠は!?」

右京「こちらです」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:24:05.95 ID:XZ+oJDS90
真美「傘…?」

右京「事件当日。大雨が降っていたことはご存知ですね。
あなたも亜美さんも傘をさしていました。
目撃証言から推測するに、同じビニール傘を使っていた筈です」

真美「…」

右京「事件当日、喫茶店で喧嘩をしていたカップルがいたのはご存知ですね?
あなたもそう証言していました。
これは、そのカップルの女性の方が使っていたビニール傘です。
こちらから亜美さんの指紋が検出されました」

真美「え?何で…」

右京「彼女は喧嘩した後でとても興奮していたんでしょうねえ。
自分が使っていたビニール傘と間違えて、亜美さんが使っていたビニール傘を持って行ってしまったんですよ」

真美「そ、そんな…!」

右京「これで、あの日喫茶店にいたのは亜美さんだと証明出来ました」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:26:27.78 ID:XZ+oJDS90
右京「ちなみに、こちらが事件当日あなたが使っていたビニール傘です。
こちらからはカップルの指紋は検出されませんでした」

真美「…」

右京「まだ何か言い逃れ出来ますか?」

真美「…あはは、バレちゃったね」

右京「…有難うございます」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:31:45.76 ID:XZ+oJDS90
真美「ねえ、これって亜美も罪になるの?なるよね!偽証罪だもんね!」

右京「いえ、偽証罪にはあたりません。彼女は一貫として自分のアリバイを主張していただけですから」

真美「え、でも…?」

右京「それよりも、あなたには殺人未遂に加え、偽証罪を犯したことになりますねえ」

真美「そんな…そんな…」

右京「あなたは未成年ですから少年法に守られていますが、あまり期待しない方がいいでしょうねえ」

真美「…いつも、いつも亜美ばかり!!」

右京「…」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:36:15.44 ID:XZ+oJDS90
真美「アンちゃんだって!!」

右京「やはりそうでしたか」

真美「…分かってたんだ」

右京「意識を取り戻した赤羽根さんが自分を突き落とした相手が分からないと言った時、
変に口ごもっていたのが気になりました。
それに彼の職業上、あなたたちの見分けが全くつかないというのも不自然です」

真美「バレてないと思って…アンちゃんは亜美と…亜美と。
真美を放って亜美ばっかり!!」

右京「それで彼女を巻き込んだのですか?」

真美「そうよ!!私たちは双子なんだから、運命を共にすべきなんだよ!」

右京「…双子とはいえ、他人です。亜美さんには亜美さんの人生があるんじゃないでしょうかねえ。
そして、あなたにも」

真美「うっ、うっ、うわあああああああ」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:38:04.09 ID:XZ+oJDS90
亜美「…失礼しました」

亀山「随分しおらしくなっちゃっいましたね」

右京「…」

亀山「どうしました?右京さん」

右京「亀山君、行きますよ」

亀山「え?何処へ?」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:39:47.83 ID:XZ+oJDS90
~病院~


亜美「…」

キラーン

亜美「真美の…敵!!」

右京「お止めなさい」

亜美「!?」

右京「あなたがここへ来るだろうということは分かりました」

亀山「赤羽根さんは既に別の病室に移動してるよ」

亜美「何で…何でなの?」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/17(木) 02:43:44.50 ID:XZ+oJDS90
右京「先程、真美さんが『全て自分でやったこと』であると供述いたしました。
しかし、僕には全て彼女が行ったとは思えませんでした。
きっと、あなたを庇ったんだろう。そう思いました」

亜美「…」

右京「ですから、その物騒なものを仕舞ってください。
真美さんの気持ちを無駄にしないで下さい。
僕たちにあなたを捕まえさせるようなことはしないでください」

亜美「…うっ、うっ、うわああああああああ」

右京「…行きましょうか」

亀山「…ええ」

亜美「…うん」




END

引用元: 右京「双海亜美さん、そして真美さん。どちらが犯人でしょうねえ」