1: ◆oDLutFYnAI 2010/04/21(水) 23:35:32.89 ID:l.DWc3ko
佐天「とかどうかな、決め台詞」

初春「ないと思います」

白井「ないですわね」

御坂「(えっ、かっこいいと思うんだけど)」

佐天「えー……」


佐天さんが第四波動つかって学園都市をえっちらおっちらする話2スレ目やんす。
正確には4スレ目だがな!
過去スレ

佐天「第四……波動……か」 

佐天「ストリームディストーション!」

佐天「第四……波動……か」←制作。前スレ



http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269670249/

31: ◆oDLutFYnAI 2010/04/23(金) 19:14:18.62 ID:EGHAar6o
佐天「佐天さんの一時間クッキングー」

ミサカ「いえーい、とミサカは合いの手を入れます」

イン「そんなにかかるとか待てないんだよ!」

上条「して、今日のメニューは?」

佐天「チキンカレーとササミのサラダです。鶏肉大安売りでした」

上条「なん……だと……」

佐天「私が行ってるスーパーはいきなり安売りしだすんですよねー」

佐天「能力者になって奨学金も増えたし、たくさん買えました。余ったら冷凍しときますから好きに使ってくださいね」

上条「インデックス!神様だ!俺はここに神を見たぞ!」

イン「ははー」ドゲザー

33: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 19:34:41.65 ID:EGHAar6o
佐天さん料理中


上条「あれ?そういや御坂妹は学園都市には4人しか残ってないって言ってた気がするけどな」

ミサカ「あなたの言う御坂妹とは10032のことでしょうか、とミサカはだいたいわかってますが一応確認をとります」

上条「ああ、そうそう。他は外の研究機関で面倒見られてる、って聞いたけど」

ミサカ「ザッツライッ。その通りです、とミサカは遠まわしによくぞ御存じでと言います」

ミサカ「そしてミサカはここに残っている理由ですが、それに関しては黙秘します、とミサカは口を噤みます」

上条「ふぅん?ま、言いたくなけりゃいいんだが……」



イン「すふぃんくすー、おいでー」

スフィンクス『うおおおなんかすっげぇ食欲をそそる香りがするんだけど!!』



35: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 19:43:06.12 ID:EGHAar6o
~一時間後

佐天「できましたよー。盛り付けは各自でね!サラダは大皿にいれておきました」

上条「おいこらインデックス!ルーいれすぎだっつぅの!溢れる溢れる!」

イン「そんなこというけどとうまだってご飯盛りすぎかも!」

上条「だまらっしゃい!いつもはこんなに食えないからな……今日はちぎれるまで食ってやる……!」

ミサカ「しかし随分と炊いたのですね、とミサカは10合とおおよそ4人では多すぎるご飯の量に驚きつつ質問します」

佐天「インデックスちゃんがよく食べるからね。それに、うちのおじいちゃん、お米作ってるから家から送ってきてくれるんだ。だからタダ」

上条「なんという羨ましい家庭事情」

36: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 19:47:24.73 ID:EGHAar6o
上条「カレーって誰が作っても美味しくできるけど、作る人によって味違ってくるよなー。なんでだろ」ウマウマ

佐天「んー、玉ねぎの炒め方とかですかね?私は隠し味にブイヨンとか入れてますけど。ご飯にもちょいと細工したり」

ミサカ「……ふむ、確かによく見るとお米に色がついてますね。ほのかにスパイスも効いているようです……なるほど、
    カレーに合うように炊きあげられた、ということですね。とミサカはご飯だけを噛みしめて分析します」

イン「美味しいけどちょっと辛いかも……」

佐天「あーそだね、ちょっと辛めかもしんない」



スフィンクス『何このサラダうめぇ』

37: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 19:56:17.64 ID:EGHAar6o
上条「このサラダもうまいよなー。ドレッシングって手作りか?」

佐天「違いますよん。市販のドレッシングにこれまたちょっと細工してみました」

ミサカ「適度な酸味と甘みの効いたドレッシングがさっぱりとしていて重たいカレーによく合いますね、とミサカは称賛します」

イン「とうまもこれくらい美味しく作ってくれたら毎日野菜でもいいのにね」

上条「キサマァァアァァァ居候のクセに何ほざきますかァァ!」



スフィンクス『あれ?気付かなかったけどこれ玉ねぎじゃね?ああ、玉ねぎは俺はよかったのか』

38: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 20:01:03.97 ID:EGHAar6o
ミサカ「」モグモグ

佐天「どっかなミサカちゃん、おいしい?」

ミサカ「GJ!とミサカは惜しみない称賛を送ります。つまり美味しいということです」

佐天「そっかー、よかったよかった」

ミサカ「!……」ペロッ

佐天「!」ビクゥ

佐天「なななななな何かなミサカちゃんいきなりほっぺた舐めたりして!!」

ミサカ「いえ、跳ねたドレッシングがついてましたので、とミサカは何故そんなに慌てるのか解らないまま理由を述べます」

佐天「あ、そ、そうなんだ。えっと、そういう時は言ってくれたら……」

ミサカ「……迷惑、だったでしょうか……」しゅん

佐天「そっ、そんなことないよ!うん、ありがとね!」



インデックス「とーまー。辛いのに甘いかも」
上条「こんなんで興奮してる俺が悔しい……」



その頃の白井さん

白井「百合以外は帰ってくださいですの!」

御坂「いきなり何いってんの!?」

40: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 20:05:43.91 ID:EGHAar6o
イン「ごちそうさまなんだよ!」

上条「ごちそうさまでしたっ」

ミサカ「ごちそうさま、とミサカは犠牲になった生命体と調理した涙子ちゃんに感謝の辞を述べます」

佐天「お粗末さまでしたー」

上条「いやあ久々に腹いっぱい食ったなー」

ミサカ「他人と一緒に食べる食事と言うのは一人で食べるよりもたくさん食べられるのですね、とミサカは満腹感と同時に幸福感に浸ります」

イン「腹八分目かも」

上条「お前……ご飯もルーも最後の最後まで食いつくして何言ってんだ……」

佐天「そんなインデックスちゃんにビシソワーズ」

イン「Oh!」



スフィンクス『にゃーにゃー腹いっぱいだにゃー、っと』

42: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 20:10:59.43 ID:EGHAar6o
佐天「と言っても、お口直しだからそんなに作ってないけどね」

上条「すげぇな、何時の間に作ったんだ?」

佐天「野菜を煮てる間ですよ。で、熱吸収で冷やして冷蔵庫に入れておきました」

上条「なにそれすごい」

イン「おいしいかも!おかわり!」

ミサカ「落ち着きなさいシスター、まだミサカ達三人が食べていないでしょう、とミサカは暴食シスターにめっします」

佐天「皆の分よそって余ったやつあげるから待っててね」



スフィンクス『んん?俺って生クリームとかよかったっけ?まぁちょっとならいいや』  ペロ

43: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 20:18:05.22 ID:EGHAar6o
~食事終了

上条「よっしゃ、そんじゃ洗いものしますかね、っと。ほら、たまにはインデックスも手伝いなさい」

イン「えぇー」

上条「インデックス。働かざるもの食うべからず、って言葉知ってるか?」

イン「それくらい知ってるけど私は日本人じゃないから関係ないかも」

ミサカ「おやおや、郷にいれば郷に従え、と言うのにやれやれ全くもって駄目シスターですね、とミサカはアメリカンなオーバーリアクションで首をふります」

佐天「駄目だよインデックスちゃん、上条さんにばっか仕事おしつけてちゃ」

イン「う……3対1なんて卑怯かも」

上条「ははっ、ほれ、たまには手伝ってくれよ」

イン「むぅー……しょーがないなー」


ソレジャオレガアラウカラオマエハフイテクレ
ワカッタンダヨ

45: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 20:23:56.55 ID:EGHAar6o
オッ、ワッタリスルトオモッテタケドイガイトシッカリスルンダナ
ナメナイデホシイカモ。マジュツハテサキガイノチダカラインデックスモコレクライデキルヨ!


佐天「ふぁ……食べたら眠くなっちゃったなー」

ミサカ「横になると牛になりますよ、とミサカは迷信を呟きます」

佐天「そりゃ困るねー……ねぇ、ミサカちゃん」

ミサカ「なんでしょう?とミサカは少し首をかしげて問います」

佐天「楽しかった?」

ミサカ「……はい、とミサカは力強く返事をします」

佐天「そっか」

ミサカ「はい」

佐天「――――」

ミサカ「―――――」








その頃の白井さん

白井「はぁうっ!今どこかで確かに百合な空気が流れましたの!」

寮監「廊下で叫び出すな!」

 
47: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 20:31:51.90 ID:EGHAar6o
ソウイヤハタラカザルモノクウベカラズッテセイショノコトバラシイゾ
シッテタヨ?


ミサカ「―――あの少年は」

佐天「上条さんのこと?」

ミサカ「はい―――彼は、ミサカと友達になってくれるでしょうか?とミサカは不安を抱いて呟きます」

佐天「!うん!上条さんなら絶対!」

ミサカ「涙子から見て、彼はどういった人間ですか?とミサカはたずねます」

佐天「んー、裏表ない人かな。悪く言うと単純。けど、だからこそ、いつもまっすぐ話してくれるよ」

ミサカ「……ベタ惚れ、というやつですね、とミサカはくすくす笑います」

佐天「あはは、そんなんじゃないよ」




その頃の白井さん

白井「はて?先ほどから感知していた百合レーダーがぷっつりと切れましたの」

御坂「黒子ーお風呂でたわよー」

48: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 20:35:38.21 ID:EGHAar6o
上条「おわったおわったー、っと」

ミサカ「かっ、上条さん!とミサカは思い切って名前を呼びます」

上条「なんだ?あとそれ名字な」

ミサカ「ミサカとお友達になっていただけないでしょうか、とミサカは誠心誠意お願いします」

上条「はぁ?お友達って……同じ釜の飯食ったんだから、今更そんな許可出さなくてもいいだろ。俺たちゃもう友達だろ?」

イン「とうま、その言い回しはちょっと古いかも」

上条「なんだとっ!?一度は使ってみたい台詞ベスト10の中のひとつ『同じ釜の飯食った仲』なのに!!」

佐天「ね?上条さんはこういう人なんだよ」

ミサカ「……ええ、そうでした、忘れてました、とミサカは嬉しさのあまり口元がゆるんでしまうのを必死で押さえます」


51: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 20:49:39.22 ID:EGHAar6o
―――21:34

ミサカ「しまった、もうこんな時間でしたか、とミサカはうっかりのんびりしてしましました」

上条「ん?なんか用事あったのか?」

ミサカ「今ミサカを養ってくれている研究者の定めた門限が22:00なのです、とミサカは説明します」

佐天「そういえばこの前研究室にいる、って言ってたっけ。今から帰って間に合う?」

ミサカ「ぎりぎり、ですね。とミサカは自分のスペックと交通機関の状態を考慮して答えます」

上条「そうか。そんじゃ、今日はこの辺りで解散か。送っていかなくていいのか?」

ミサカ「ミサカはこれでも軍用クローンですから、単純な戦闘能力では一般人よりも遥かに上ですよ、とミサカは自分のすぺっくをちょっと紹介します」

上条「あー、そういやそうだったな。んじゃ佐天さん、送ってくよ」

佐天「え?いや、私も別にいいですよ?トレーニングがてら走ってきますし。能力もありますしねー」

イン「とうま、いいとこなしだね」

上条「うるさいですよ」

55: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 21:21:28.11 ID:EGHAar6o
 乱「それじゃまたね!るいこ、クールビューティ」

上条「今日もありがとな。代わりと言っちゃなんだが、なんかあったら声かけてくれ。いくらでも手伝うからさ」

佐天「いえいえこちらこそ。皆で食べるごはんは美味しいですから」

ミサカ「同上です、とミサカはおやすみなさいとお辞儀をします」

上条「おう、おやすみ。気ぃつけてな」




佐天「それじゃあね、ミサカちゃん」

ミサカ「ええ。それではまた、とミサカは抱きつきます」ぎゅっ

佐天「んっ……なんで抱きつくの?」

ミサカ「お別れの挨拶がわりです、とミサカはアメリカンスタイルを見せつけます」

佐天「なっ、なるほど……アメリカンなら仕方ないね。お返しっ」ぎゅう

ミサカ「……また、寂しくなったら会ってくれますか、とミサカはたずねます」

佐天「うん……私も、一人が寂しかったら連絡してもいい?」

ミサカ「もちろんですよ……それでは。おやすみなさい」

58: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 21:25:23.60 ID:EGHAar6o
―――佐天宅

佐天「よっし、能力不使用でも結構いいタイム出せるようになってきたかも。超回復、ってやつなのかなー」

佐天「演算式も出来たし……次は大きさだっけ。んー、また一方通行さんとこ行かないとなー」

佐天「そういえば退院いつなんだろ。脳天ぶち抜かれたーって言ってたからやっぱりもう少しかかるのかな」

佐天「ま、明日訪ねてみよっかな」

佐天「さてさて、今日はもう寝よう」




次の日

医者「彼ならもう退院したよ」

佐天「えっ」



幕間 上条さん家でご飯カレー編 終

61: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/23(金) 21:34:09.70 ID:EGHAar6o
しまった、これ忘れてた。ちなみに次はようやく大覇星祭な!やっとルート刻める……



その頃の白井さん

白井「はぁぁぁぁぁんっ!!今!どこかで!確かに百合の花が咲きましたわぁぁぁんっ!!」ビクビクッ

御坂「ちょっ、うるさいわよ黒子!今何時だと思って……!」

がちゃっ

寮監「白井、御坂、今から寮監室へ来い」

御坂白井「oh...」

80: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 21:20:24.74 ID:/p7i5dQo
―――――9月18日。病院へ行ったら一方通行さんは昨夜に退院したと言われた。
       色々連絡も取りたかったから連絡先を教えてもらえないか聞くと、事情があるから無理だと断られた。
       確かに、あの一方さんが能力をろくに使えなくなったと聞いたら、いつ殺されるかわかったもんじゃない。
       納得して、まあまたいつか会えるかな、とか思ってその日は帰った。そして。


―――――9月19日

佐天「こっ、これが大覇星祭……!!!」

初春「佐天さんは今年から学園都市に来たんでしたっけ。じゃあ初めてなんですねぇ」

佐天「うん。テレビで見たりしたけど、実際にその場に立つとなんていうかもうね!!」

初春「テンション高いですねぇ」

佐天「そりゃそうだよ!こんな大規模のお祭りとか!屋台とか!くぅー、お父さんもお母さんも弟も今日は来られないって言ってたなーはっはっはー!」

佐天「ほらほら初春見てみなよリンゴ飴だってさ!科学の街なのにリンゴ飴って!ははっ、わろすわろす!!」

初春「楽しいのはわかりましたから開会式行きましょうねー」

83: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 21:27:16.11 ID:/p7i5dQo
佐天「やまてー襟ひっぱらないで首しまるのびるぅー……っと、ストップ初春」

初春「なんですかもう……っと、御坂さんだ」

佐天「と、上条さん。おーおー朝から夫婦喧嘩とは……よっしからかいにいこっと!」

初春「うええええ開会式間に合わなくなりますよー?」



上条「はっはっはー!貴様ら紅組を皆殺しにしてやんぜ!」

御坂「はっ、この超能力者に向かっていい口聞くじゃない!いいわよ、なら負けた方が罰ゲームね!」

上条「良い度胸じゃねえか……jcだから手加減してもらえるだろうという幻想をぶち[ピーーー]!」

佐天「楽しそうな話してますね!」

上条「まぁな!」

御坂「あら、佐天さんと初春さん」

佐天「どもどもー」

初春「こんにちはー」

84: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 21:34:51.00 ID:/p7i5dQo
御坂「ところで佐天さんはどっち?」

佐天「じゃじゃん!白組です!悪いですね御坂さん、手加減はしませんよ!」

上条「よく言った!全力で紅組を負かしてやろうぜ!」

佐天「もちろんですとも!負けたら罰ゲームでしたっけ?受けて立ちましょう!」

御坂「ハッ!ハハハハハ!上等じゃない佐天さん!手加減せずにその白ハチマキを真紅の涙で真っ赤にそめてやるわ!」

上条「ふっ、その点お前はいいよな。その涙を流しても赤のハチマキじゃバレねぇからなぁ!!」

佐天「この大覇星祭はいわばイントロ……最高のサビを聞かせてくれよ!お前の絶命の叫びでな!!!!」

上条「よっしゃああああそんじゃ行くぜ佐天さん!開会式会場によぉ!!」

佐天「テンション上がってきたぜええええ!!!」

御坂「(あっ、いいなぁ、一緒に肩並べて走ってる……)」



初春「なにこの三人」

89: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 21:51:05.28 ID:/p7i5dQo
―――10時31分

佐天「オワタ」

初春「何がですか」

佐天「挨拶がだよ……あー疲れたー。もー先生の話長すぎー体力無くなるっての」

初春「でも全然汗かいてないですよね……」

佐天「んー?まーアスリートとかって汗かかなくなるじゃん?最近私走りっぱなしだったからそれのおかげかもねー」

佐天「(本当は熱吸収し続けてたんだけどねー。けどこのブレスレッド、外せとか注意されないかな……能力のため、とかいってやりすごせるかな?
    でも能力とか確認されたらやっかいかも……演算補助装置とか嘘ついたら……うーん?)」

初春「さってと、私たちの最初の競技は……障害物リレー、だそうですね。あ、これ佐天さんもチームに入ってますよ」

佐天「あれ?そういえば私大覇星祭の準備とかあんまり記憶にない……」

初春「だって入院してたじゃないですか」

佐天「なんだと……貴重な青春の1ページが……」

初春「まぁまぁ。ここでいいとこ見せればいいんですよ」

初春「あ、私そろそろ行かないと」

佐天「え?」

初春「風紀委員のお仕事です。あと白井さんとこもいかなきゃー」

90: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 21:57:42.89 ID:/p7i5dQo
―――某中学、競技場

佐天「うはー……結構距離ありそう」

佐天「というか障害物っていうかアレってアレだよね?よくテレビで『おおっとー!ここで力尽きたかー!』とか、
    『さすがの漁師も乳酸地獄には勝てなかったのかー!!』とか言われてるアレだよね?」

級友「おーい佐天さーん、こっちだよ」

佐天「う、うん」

級友「えっと、これまだ走るとこ決まってないけどどこ走る?」

佐天「うーん……(メンバーを見ると低能力者と異能力者が2人と3人かー。あ、私は無能力者のところ……そりゃそっか、間に合わないもんね)」

佐天「(見た感じ肉体強化とかはないけど……きっと障害物ってこんなのだとは思ってなかったんだろうなぁ……)」

級友「どうかした?」

佐天「いや、なんでも……そだね、じゃあこの区間で」

級友「え……ここって一番大変で長い所だけど、大丈夫?」

佐天「大丈夫大丈夫、夏休み中に能力者になってねー。それ見せるからまかせといてね」

91: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 22:02:24.83 ID:/p7i5dQo
解説≪さぁ今年も始まりました、『出張SASUKE!学園都市前大覇星祭編!!』実況は私伊藤(仮名)がお送りします!!≫

伊藤≪大覇星祭は学園都市特有の「能力」の使用が認められた競技形式となっております!よって、普段とは一味違った内容が期待されることでしょう!!≫

伊藤≪さぁまずはご覧ください

93: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 22:13:02.02 ID:/p7i5dQo
途中で書きこんじゃった。

解説≪さぁ今年も始まりました、『出張SASUKE!学園都市前大覇星祭編!!』実況は私伊藤(仮名)がお送りします!!≫

伊藤≪大覇星祭は学園都市特有の「能力」の使用が認められた競技形式となっております!よって、普段とは一味違った内容が期待されることでしょう!!≫

伊藤≪さぁまずはご覧くださいこの長い長いコースを!!全長300m!校庭から学校の屋上まで使用したコースが二つ並んでおります。
    そして各所各所には中継地点―――リレーポイントがありますね!ここでタスキを渡してゴールを目指してください!≫

伊藤≪そしてその中継地点ですが特異な点があります。それはこの区間!他の部分は1,2の障害物のみで終わっておりますがこの部分は
    100m、そして校庭から屋上へと続くため上下運動により足が以下略!!!つまり!この部分に自軍の最大戦力をもってくることが勝利のカギとなるわけですね!≫


級友「とか言われてるけど……ほんとに大丈夫なの?」

佐天「(あれくらいなら……)うん、大丈夫。任せて任せてー」

級友2「おっ、頼もしいじゃねーかよー!せいぜいよろしく頼むぜー。うちのメンバーじゃあそこをどうにか出来る奴なんていないからさー」

佐天「んー、あそこは距離が長い分障害物自体は複雑じゃないっぽいし、ならばばっと走っていけるかもね」

級友「けど、これ向こう側のコースからの妨害もくるからね?危ないと思ったらサイドボタン押していいからね?」

佐天「サイドボタン?」

級友2「どうしてもクリアできないと思ったら押すボタンだよ。これ押すと相手より15秒ロスするかわりに次の区間につなげるって奴」

佐天「15秒……結構きついねー」

級友2「おう。だからなるべく押すなよー」

佐天「おっけーおっけー。さ、始まるよ」

95: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 22:20:53.83 ID:/p7i5dQo
伊藤≪さー始まります!位置について……スタートォ!!!≫

伊藤≪さぁーまずは両者一斉に飛び出しました!最初の難関は7段跳びですが……おっと、紅組が攻撃を仕掛けました!念力で砂を巻き上げています!
    しかし白組も負けていないぞ!風を操っているのか砂埃が彼女を避けています!そのまま白組がゴール、次の地点へ向かいます!!≫

佐天「おおっ、すごい。本当に能力使いながら走ってる!これが大覇星祭か……」

伊藤≪次の地点は丸太渡り……おおっと、次は白組が攻撃に出たー!砂埃が紅組の選手を襲うが……駄目だー!紅組これを防ぐ手段を持たないー!
    吹き荒れる砂埃を制御する念力はなかったのかー!紅組の足が止まるが……ここで白組がバランスを崩して丸太から落下したー!
    落下したため最終タイムに3秒+されることになります!!そして地点の最初からやり直しだー!これは痛ァーい!!」


97: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 22:30:59.02 ID:/p7i5dQo
ワーワーイケーコロセコロセー


佐天「うはぁ……すっごいなぁ、電撃とか飛び交ってる……電撃って、これ地味にきついよね。怖っ」

佐天「っと、そろそろ私の番だけど……」


級友「はっ……はっ……」

伊藤≪おっと?白組4区間目走者、そり立つ壁で足止めを食らっているー!そのうちに後ろから紅組が追い上げ……紅組ここをなんなくクリアー!
    どうやら風使いの異能力者のようですね!風で自分の身体に速度をつけ浮き上がらせたようです!これぞ大覇星祭の見処だー!!」

級友「うっそ……!くぅ……!」

伊藤≪ここで白組サイドボタンを押したー!これはある意味良い選択でしょう、先ほどからの連続挑戦でここを登りきるのはおそらく不可能ー!」

級友「ごめん佐天さんっ!!」

佐天「大丈夫!まかせといて!」

伊藤≪さぁ現在紅組9秒ロス、白組21秒ロスとなっています!その差12秒……これは白組厳しいか!
    しかしやりようによっては第五区間にて巻き返しを図れるかもしれませんが……!
    紅組は肉体強化の異能力者……さすがにぶつけてくる!対して白組は……おっとー?無能力者ときているぞー! 
    これは白組絶望的だー!もう勝負はついているぞー!≫


級友2「あんにゃろー!好き勝手言いやがってー!」←第六区間走者

佐天「やれやれ、これまた随分な言われようだね……っと!!」

102: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 22:45:45.37 ID:/p7i5dQo
佐天「ハ!ハハ!!ハハハハハハ!!!!!!」

伊藤≪なっ……これは一体どうしたことかー!白組走者、無能力者と聞いていましたが……ターザンロープをロープを使わず跳びきったー!!
    紅組走者これを見て愕然としているー!かく言う私も驚きです!!無能力者にこれだけの能力が備わっているのか!?
    おそるべし学園都市だーーーー!!!!≫

佐天「はははははは!!!ほんっと運がいいよねぇ!!!向こうが肉体強化ってことは妨害受けないんでしょ!?なら楽勝じゃーん!!!」だだだだだんっ

伊藤≪すごい!凄い速さだー!!本来なら壁を両手両足で支えながら進んでいく所を蹴って前へ進んでいるぞー!!
    なんなんだこの無能力者!なんなんだこの女子中学生!!これが科学の行きついた末なのかーーー!!!≫

佐天「よゆーよゆー!!次は……っと、何これ……ああ、なるほどね、っと!!」

伊藤≪次はアルティメットクリフハンガーだが……さすがにここでは速度は落ちる!しかし紅組との差は大きいぞー!≫

佐天「ん……っと、さて次はー!?」

伊藤≪白組走者速い!重量の壁を10、20、30と持ち上げていくぞー!!ここもあっさりクリアーだー!!≫

伊藤≪しかし第5区最終関門、屋上+αからたらされたロープを登っていくこの競技!その長さ30m!!これはさすがに手間取るか……
    ……う、うわぁぁーーーー!跳躍して半分の部分までショートカットしたー!!これが無能力者の底力なのかー!!!≫

佐天「よっし、このまま余裕のクリアー……っと!!ヘイタッチ!!」

伊藤≪第五走者クリアー!!!すごい!すごいぞ無能力者!!いったいどれだけの努力をかさねてその肉体を手に入れたのかー!!≫

級友2「すげぇな佐天さん!?」

佐天「いいからはやく!!」

103: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 22:52:08.72 ID:/p7i5dQo
佐天「いちち……短時間とは言え結構頑張って使っちゃったからちょっと筋肉と関節にきちゃったかも」

佐天「でもま、これくらいしとけば大丈夫だよね」

伊藤≪第六区間、名称「人間競馬」……一本の鉄骨の上を渡っていく競技だが……相手がいないと盛り上がらないー!そして本来ならその高さに恐怖して足が震えるはずだが
     白組走者はまったく怖がらず進んでいくぞー!≫

級友2「いやまあ、昔っから高いところで遊んでたからね。建設屋の娘なめんなよー」

伊藤≪そして最後にロープをつたって下に降り立ち……白組クリアー!!!勝者は白組だー!!!≫




佐天「ヒーハー!!やるじゃん!」

級友2「ま、私はこれくらいしか出来ないからねー。それよりもすげーな本当!」

級友「肉体強化のレベル3に勝っちゃうなんて……何なの?佐天さん最強なの?」

佐天「ん、まーこれに関してはいろいろあってねー」

108: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 22:57:21.99 ID:/p7i5dQo
級友2「いろいろて」

佐天「ほら、第七位の超能力者いるじゃん?あの人いわく「根性」だって」

級友「いやその理屈はおかしい」

佐天「なんとかなるもんよー」

級友2「……ま!勝ったし細かいことはいいや!」

佐天「ですよねー。えっと、次の競技は……」

級友「次はあっちで玉入れね。これは全員参加だから……それまでは自由行動かな」

佐天「わかった、ありがとね」

109: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 22:59:18.67 ID:/p7i5dQo
ちなみに皆忘れてる補足。
・佐天さんはしょっぱなに第七位さんと会ってます。
・書いてないけど、初春に「こんな人って知ってる?」って聞いたら、よく路地裏で人助けしてる第七位がそれだと告げられた
みたいなことがあったりなかったり

114: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 23:12:51.41 ID:/p7i5dQo
佐天「そんなわけで自由行動だけど……」

佐天「ほんとすっごい人……こっから知り合い探すのは不可能かも」


伊藤≪さぁ次の学校も準備が整ったようです!それでは―――……≫
ワーワーヤセーヤセーコロセー



佐天「でもいいなぁこのお祭り雰囲気」

黄泉川「そっちはだめじゃーん。これから団体様がお通りじゃーん」

佐天「……黄泉川先生、何やってんですか」

黄泉川「おおーいつぞやの中学生。見ての通り、警備員の仕事じゃん?」

佐天「警備員だったんすか……」

黄泉川「知らなかったじゃん?っと、ここは通行止めじゃーん」

上条「マジすか……」

115: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 23:15:41.66 ID:/p7i5dQo
上条「なんとかなんないすか」

黄泉川「んー一人許すと次を許さなきゃならないからなー無理じゃーん」

佐天「ドンマイ上条さん!」

上条「うぉう佐天さイン「どういうことなのとうま!目の前に屋台あるのに食べられないの!?」

上条「ま、まぁ迂回すりゃいいだろ……」

黄泉川「迂回先はここから三キロメートル先じゃーん」

イン「」

上条「うおおおおインデックスしっかりしろー!!!」

116: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 23:23:36.56 ID:/p7i5dQo
黄泉川「……ドンマイ?」

佐天「ですよねー……」



御坂「あぁー!見つけた見つけたこんちくしょう!!!」


上条「h御坂「うははははやったわよこれで私は優勝確定ははははははー!」

上条「ちょ、おm御坂「全くついてるわよね私ったら!さぁちゃっちゃか走りなさい私の勝利条件!!」

ヤメローナニスンダヨー
ハハハハザマーミロー


佐天「……どんまい?」

黄泉川「じゃんよ……」


イン「」

118: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 23:26:14.23 ID:/p7i5dQo
黄泉川「っと、これどうするじゃんよ?」

佐天「んー……私も競技あるからなぁー……」

黄泉川「なんか他に誰か知り合いいないじゃん?」

佐天「どういう知り合いか知りませんけど、小萌先生と知り合いみたいですよ?」

黄泉川「ほー。ならそっちに連絡して預かってもらうじゃんよ、っと」

佐天「おー、お姫様だっこなんて初めてみました」

黄泉川「そうじゃん?ま、お前は競技頑張ってくるじゃん。この子は私に任せるじゃんよ」

佐天「はーい、お願いします」

119: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 23:29:19.73 ID:/p7i5dQo
佐天「っと、そうだ、上条さんに連絡しとこっと……って携帯電話もってきたなかったっけ」

佐天「黄泉川先生、ちょっとパンフ見せてもらっていいですか?」

黄泉川「うん?そこに入ってるじゃん」

佐天「どもども……ああ、御坂さんの競技は借り物競走か。で、ゴール地点はここ、と。どもどもー」

黄泉川「ん、それじゃあの少年に連絡よろしくじゃん」




佐天「けどこんな人ごみよく走れたなぁ」

≪先ほどの借り物競走では―――≫

佐天「おっ……おおー、御坂さん優勝したんだ。こりゃ私も頑張らないとまずいねー」

121: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 23:38:33.22 ID:/p7i5dQo
佐天「おおーい上条さーん、っと」

上条「うぉう、佐天さん……いやまず何より、競技はどうだった?」

佐天「へっへー、ばっちりですよ!勝ってきましたとも!」

上条「よっしゃ!俺も勝ってきたぜーこの調子でガンガン行くぜー!」

佐天「イエスイエス!!あ、インデックスちゃんは小萌先生に預かってもらいました」

上条「じゃあ安心だな。何か屋台で買ってってやるか……っと」

佐天「と?どうかしました?」

上条「いや……」

佐天「……?……ステイルさんと、土御門さん?」

上条「あの二人がそろってるってのは……」

122: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/24(土) 23:44:01.66 ID:/p7i5dQo
ステイル「つまりこの街に忍び込んだ魔術師をどうにかしないといけないわけだ。僕たちだけで。全く、やれやれだね」

上条涙子「―――――!!」

土御門「ああ、しかしそれもしょうがない事―――……上条」

ステイル「と……君達か」



その頃の白井さん

白井「あああああぁぁぁぁぁァァァァァァァァあああの類人猿んんんんんんんんッッッ!!!!」

初春「わー!駄目ですそんなに動いちゃっていうか死にますよ本当にー!!死んだら私の監督不届きになるんですからやめてくださあいたっ!!」

128: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:18:33.00 ID:UJIJ74wo
―――――9月25日 最終競技

佐天「くあー!ついに大覇星祭も最後の競技かぁー」

初春「おおっ、今のとこ白組優勢ですよ!」

佐天「そりゃーまー頑張ったからねー。いろいろあったけど」

初春「いろいろ?」

佐天「いろいろ。おかげで身体壊れそうだよ……負けらんないから出るけどね!」

初春「そうですねぇ。最終競技『狩り者狂想』……これはポイント大きいですよー」

佐天「1位から10位までポイント貰えるんだよね?しかしまー出る人が抽選とはね。選ばれたからにはやりますけどっ」

129: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:21:46.20 ID:UJIJ74wo
≪最終競技を始めます。参加する選手の方は所定の位置について――――≫

佐天「っと、そんじゃ行ってくるねー」

初春「はーい、頑張ってくださいねー」


初春「それにしても……佐天さんの想い人って、誰だろ……」




佐天「何何?街に放たれた標的を見つけて一緒にゴールすればいいのか……ああ、あの時の読心判定はこの時のためだったんだねー」

佐天「で、私の相手は……え」


佐天「……左天さん?」

133: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:27:13.16 ID:UJIJ74wo
佐天「そっ、そりゃ今一番強く想ってるのは左天さんかもしれないけど……」

佐天「でもこんなの無理じゃん!というかなんで左天さんのことばれてるの!?」




土御門「どういうつもりだアレイスター」

アレイスター「何、今回は少し問題が起きたからな―――生徒達への、ちょっとしたサプライズイベントだが?」

土御門「そっちじゃない。なんで佐天涙子を揺さぶるような真似をする」

アレイスター「あの能力、実に面白いとは思わないか?」

土御門「何……?」

アレイスター「科学的な部分もあるが―――どうやら魔術的要素も取り入れているようだ。全く、暇つぶしと大覇星祭を覗いていると思わぬ収穫があったな」

アレイスター「そこから過去の映像を調べたところ、どうやらあの能力は左天とかいう男のモノみたいじゃないか」

土御門「……貴様。あの子に手を出すつもりか。こちら側ではないあの子に」

アレイスター「さて、ね」

134: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:30:27.51 ID:UJIJ74wo
土御門「……あの子は俺の友人であり、妹の友人でもある。もし手を出した時は――――」

アレイスター「感情的になるなよ」

土御門「……ちっ」




佐天「うぅーん……もしかして御使堕しの時の映像か何かかなぁ……」

佐天「それともただたんにあの読心能力者が出てきた名前を書いただけなのか……」

佐天「わかんないけど……こんなの無理じゃんー」


≪それでは始めます。最終競技『狩り者狂想』――――スタートッ!!!≫

135: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:34:37.87 ID:UJIJ74wo
御坂「なっ、ななななな……」

御坂「(どういうこと?なんでアイツの名前が出てくるのよ!べっ、別に私アイツのことなんて何も……あ、そっかそっか、そうよね!
    この大覇星祭は罰ゲームかけてたからたまたま強く意識してただけなのよ!うん、そうにきまってるわ!)」

御坂「よしっ、そういうことなら話は早いわね!さっさとアイツ見つけてまた一位でゴールよね!」

御坂「……けど、どこにいるんだろ?」

御坂「よっし、ハッキングハッキング」



初春「むっ、やはりきましたかー。ちょちょい、っと」


御坂「あうっ!?はっ、弾かれた!?」

御坂「何か特別なやついれたのかしら……ま、アイツがいそうな場所なんてだいたいわかってるし、さくっといっちゃおう」


138: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:39:23.42 ID:UJIJ74wo
打ち「狩り者狂想ってなんだかあなたにぴったりな競技ね、ってミサカはミサカは腕にぶらぶらしながら言ってみる」

一方「あンま人の傷抉ンな。あと降りろ。演算切ったら落ちちまうぞ」

打ち「はぁーい。むむっ、今下位個体から情報キャッチ!どうやらこの競技は本当に赤い人があるのかどうか確かめる競技
   みたいだよ、ってミサカはミサカはロマンチックな噂にときめいてみる!」

一方「ンなわけねェだろォ」

打ち「だけどそうだったらちょっと夢があっていいよね、ってミサカはミサカはあなたを見上げて見つめてぎゅってしてみる」ぎゅっ

一方「……ふン」

140: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:44:22.30 ID:UJIJ74wo
佐天「はぁー……本当にどうしよ……」

佐天「さっきから頭の中で「左天さーん」って呼びかけてるけど返事ないし……あたりまえだけどさ」

佐天「うぅー」


「あ……あの」


佐天「はいー?……oh」

重福「久しぶりです……佐天さん」

佐天「あー、うん、ひさしぶりだねぇ。それで、えっと、なにかなー」

重福「その、今私狩り者狂想を……」

佐天「ごめん用事思い出した本当にごめんねそれじゃ!!!」



佐天「危ない!何が危ないって女の子同士でゴールすることと、あと向こうが紅組だったこと!!」

141: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:48:50.09 ID:UJIJ74wo
ミサカ「むむぅ!!新情報キャッチ!!赤い人じゃなくて赤い糸だって!ってミサカはミサカは訂正してみる」

一方「あァ?」

ミサカ「しょうじきなんでもないんだよ、ってミサカはミサカはチョコバナナを頬張りながらとぼけるの」

一方「そうかい……うげ」

ミサカ「あなたにしては珍しい声をあげるね、ってミサカはミサカは……あぁーサテンだー!」


佐天「おぉっ!!一方さんに打ち止めちゃん!」

一方「なンですかァその『イッポウサン』ってのは」

佐天「だって『アクセラレータ』って言いにくいんですもん。それより……」

打ち「?」もぐもぐ

佐天「この変 !!チョコバナナなんて!!」

一方「ごふっ!?いきなり何しやがる!!」

145: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:54:38.39 ID:UJIJ74wo
佐天「どうせチョコバナナをアレに見立てて変な考え方してたんですよね!やーらしー!!」

一方「ハッハァ!丁度退屈してたらかミンチにしてヤンヨォ!!」カチカチッ

打ち「喧嘩は駄目だよ?ってミサカはミサカは演算機能をストップしてあげる」

一方「……ちっ。ンでェ?なァンでチョコバナナがやらしいンですかァ?」

佐天「なっ……知ってるくせに聞いてくるあたりがまたやらしい!」

一方「おォーいおいおい、勝手に想像して勝手に悪もンにしてンじゃねェよ。ンで?どこがやらしいンですかァ?」

佐天「うっ……」

一方「ったく、言えねぇンならンな妄想はじめっからすんじゃねェよ、ガキが」

佐天「ガキ……い、言えますぅー!それくらい言えます!!どうせ一方さんはそのチョコバナナを
   自分の  した    に見立てて興奮してたんでしょ!?」

一方「ブフゥッ」

打ち「oh...」

佐天「~~~~~//////」カァァァァ

佐天「ばーかばーか!!」だっ

150: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 01:57:29.45 ID:UJIJ74wo
一方「……」

打ち「……服がコーヒーでべたべただね、ってミサカはミサカは客観的事実をのべてみる」

一方「……あァ。ベクトル操作で乾くだろ」カチカチ

打ち「……」

一方「……」

打ち「……今の話って、本当なの?ってミサカはミサカはチョコバナナを食べることにためらってみる」

一方「ンなわけねェだろ。いいから安心した食べろ」




佐天「はぁ……はぁ……」

佐天「もぉ……一方さんの馬鹿……」

152: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 02:01:03.79 ID:UJIJ74wo
佐天「ふぅ……」

佐天「あー……しまった、ベンチに座ったらなんだか一気に疲れてきちゃった……」

佐天「そりゃそうだよねー……毎日毎日競技して、最初の方は魔術師とも戦ったし」

佐天「ふあああ……眠……」ぽてっ

佐天「―――――。―――――。」スゥスゥ






佐天「……ん」

左天「おう、起きたか」

佐天「んー……あー」



佐天「……あぁ?」

155: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 02:05:05.75 ID:UJIJ74wo
佐天「ああああああああ!?ななな、なんで居るんですかぁー!?」

左天「久々に会ったってのにそれかい」

佐天「だっ……だって!いや、というより、なんで実体化……!?」

左天「こまけぇこたぁ気にすんな。ただ、日も落ちそうってのにベンチで女の子が一人眠ってるってのはあぶねぇだろ」

佐天「う……あ、ありがとうございますよ、その点については」

佐天「って、競技は!?競技はどうなった!?」

左天「終わったってことは確かだがな」

佐天「じゃあ左天さん出てきても意味ないじゃないですか!」

左天「えぇー」

156: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/25(日) 02:09:54.39 ID:UJIJ74wo
佐天「というより本当に何でいるんですか?」

左天「わざわざ説明しなきゃならねぇかい?それとも俺が出てくるのがそんなに嫌だったか?」

佐天「うっ……そ、そりゃ、嫌じゃないですけど……」

佐天「けど、その、あの時あんな風に分かれたからなんていうか……恥ずかしいっていうか……」テレテレ


以下、あんな風

>左天「ほら……もう泣くな」なでなで

>佐天「う……うぅぅぅ……!」

>佐天「…・…わかり、ましたっ!」ぐしっ

>佐天「だから、また、すぐ出てきてくださいね!前みたいに眠りっぱなしとか止めてくださいね!―――お兄ちゃん」

以上、あんな風


左天「ああ、たしかこんな感じだったな」なでなで

佐天「あうっ!?い、いきなりは駄目です!!」ビクンッ

157: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/25(日) 02:13:36.17 ID:UJIJ74wo
佐天「もー、こんな人の多いとこでいきなり頭なんか撫で……て……」

佐天「あ……あれ?なんで、私……」ぽろぽろ

佐天「う、うぁ……なんで、泣いてるの、よぅ……ひぃ、う……」ぐすぐす

左天「……」がっ

佐天「あうっ」


ガサッ

佐天「え……あの、左天さん……?なんで林の中に……」

左天「……ここなら誰にも見られねえだろ」

159: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/25(日) 02:16:18.09 ID:UJIJ74wo
佐天「え……それって、どういう意味で……」

左天「どういう意味もなにも……泣きたきゃ泣けばいいだろ。ここなら見られねえよ」

佐天「……!」

佐天「ひっ……ふええええええええええええええええん!!」ぐすぐす

左天「……ふー……」



左天「……落ち着いたか」

佐天「……まだです」ぎゅっ

左天「そうかい」

佐天「……さてんさん」

左天「何だ」

佐天「あったかいですね」

左天「俺は死人なんだがな」

160: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/25(日) 02:20:03.60 ID:UJIJ74wo
佐天「こんなにあったかいんだから死人なんかじゃありませんよ」

左天「そんなもんかね」

佐天「……左天さんと一緒寝てからですね」

佐天「夜寝る時、すっごく寂しくなっちゃって……駄目ですね、本当」

佐天「人の温かさをしっちゃうと、凄く辛いです」

左天「……かもしんねぇな」

佐天「……だから、もう少しこうやってていいですか?」ぎゅっ

左天「落ち着くまでは構わんさ」

佐天「……ふふっ、ありがとうございます」







ミサカ「なん……だと……と、ミサカ10032は衝撃的な映像を入手してしまいました」

163: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/25(日) 02:25:25.88 ID:UJIJ74wo
ミサカ「ど、どうしましょう……ここはやはり速やかに退散するべきなのでしょうか、とミサカはどう行動するか悩んでいます」

ミサカ「……いえ、悩む必要などありませんでした。友達のプライベートは守るべきです、とミサカは踵を返します」

ミサカ「……アディオス、とミサカはかっこよくさよならを告げて走り去ります」




左天「……時間だ」

佐天「へ?」

左天「そろそろ戻らなきゃいけねぇみてぇだな……」

佐天「戻るって……それは」

左天「……まぁ、そういうことだ。じゃあな」

佐天「う……あの」

佐天「たまには……ちゃんと起きてきてくださいね!」

左天「……」

左天「……そうだな。努力するさ」



こうして左天さんはまた消えていった。おそらく私の中に戻ったのだろう。
しかしこの時、私こと佐天涙子は気づいていなかった。
この現象が、後々私を救うことになると――――

番外 狩り者狂想 終

176: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 21:53:08.08 ID:UJIJ74wo
土御門「……面倒なことになっちまったにゃー」

上条「おい、今の話って本当かよ。魔術師が紛れ込んだって……」

ステイル「本当さ。今はこの街の警備も薄くなっているからね。その隙に入り込んだんだろう」

佐天「でもなんで魔術師がこの街に……っていうか、魔術師が来るのがそんなにまずいことなんですか?」

土御門「にゃー。そういや佐天ちゃんはその辺りの事情を知らなかったにゃー。ステイル、ちょっと説明してやれ」

ステイル「何で僕がしなきゃならない」ぷはー

土御門「え?だってお前12歳くらいの女の子が好みなんだろ?」

ステイル「ごふっ!!げほっ、ごほっがっ……!な、何を言っているんだ貴様!」

上条「そういやお前インデックスのことが……ってあつっ!やめろ洒落になんねえぞ!!」

ステイル「慣れ合うつもりはない……!そんな冗談を叩いている暇があればお前が説明してやれ!!」

上条「俺もただの高校生だっつうの……まあいいか、つまりかくかくしかじかだよ」

佐天「まるまるうまうま……はぁー……そんな裏社会的な事情があるなんて」




上条「あれ?俺佐天さんにこんなこと教えてよかったのか?」

土御門「いろんな場所に首つっこんでるし、詳しく教えてやったほうが歯止めにはなると思うけどにゃー」

177: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 22:05:41.73 ID:UJIJ74wo
佐天「それで、そんな魔術師さんが何の用でここに?」

上条「まさか、またインデックスを……?」

土御門「それについては今から説明するぜよ。ステイル」

ステイル「……魔術師は二人。ローマ正教のリドヴィア=ロレンツェッティ。イギリス育ちの運び屋オリアナ=トムソン。
      両方女で、今のとこ確認がとれているのはそれだけだ。取引相手などはまだはっきりと解らないが」

佐天「運び屋?大麻とか?」

ステイル「ここはふざける場面じゃないぞ」

佐天「……はい(別にふざけてるつもりはなかったんだけどなぁ)」しゅん

土御門「ブツはとある霊装ぜよー」

上条「でも何でこんな場所で……言っちまえば奴らにとっちゃ敵地みたいなもんなんだろ?学園都市ってのは」

土御門「それが今回においてはそうでもないんだにゃー。知ってるかー上やん。この街では風紀委員や警備員は
     魔術師達を無暗やたらに捕縛・迎撃してはならないって決まりがあるんだにゃー。
     逆に、魔術師、つまりオカルト側も科学側である学園都市には無暗に足を踏み入れてはならない、って
     ことにもなっているぜよー。わかるか?ここは一度侵入ってしまえば双方手の出しづらい場所なんだにゃー」

ステイル「大覇星祭中でなければ侵入することなど出来るはずがなかったんだけどね……この警備ではそれすら許してしまう」


179: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 22:16:07.88 ID:UJIJ74wo
佐天「うぅーん……?だったら、ステイルさんとか土御門さんみたいな人がいっぱい来たらいいんじゃないんですか?」

ステイル「たわけ。僕は「友人」として来ている。つまり個人だ。もしこれが教会側として来ていれば、他の魔術組織も
      我も我もとむらがるだろう。君はしらないかもしれないが魔術側には科学をよく思っていない奴らも多い。
      そんなのが簡単に入り込んだりしてきたら大変なことになるし、学園都市側も『必要悪の教会』という
      組織を容認して他を排他するとなれば、大きな魔術組織が黙っていないだろうが」

土御門「そういうことだからこの問題は外から援軍・増援を期待することはほとんど不可能ぜよ。
     つーわけで、だ。今回動けるのは俺とステイルしかいなかったってわけだにゃー」

上条「……?あれ?神裂はどうした?アイツなら「友達」扱いで助けに入れるんじゃないか?」

土御門「そりゃーもっともな意見ぜよ。けどな、今回ばかりはそれは出来ない」

ステイル「取引される霊装が霊装なのさ。名は『刺突杭剣』。その効果は―――聖人であれば一撃で即死させるモノだ」

佐天「なん……!」

上条「だと……!!」

180: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 22:20:57.56 ID:UJIJ74wo
土御門「っと、そろそろ次の競技の時間だにゃー上やん。行くぞ行くぞー」

上条「なっ……こんな時に競技とかいいのか?」

土御門「こんな時、だからこそにゃー。もしかしたら向こうもある程度こちらを調べてきているかもしれないだろう?
    もしマークされているとしたら、こちらが取引を知っていると知られてはならない。
    そんなことになると逃げられやすくなるからにゃー。ほれほれ、間に合わなくなるぜよー」ぐいぐい

上条「わ、わかったから引っ張んな!」




ステイル「……」ふぅー

佐天「……あの」

ステイル「……なんだい?」

佐天「聖人って、なんですか?」

181: 管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch 2010/04/25(日) 22:35:58.63 ID:UJIJ74wo
ステイル「……聖人というのは以下略」

佐天「成程……あ、だからあんなに強かったんですね」

ステイル「ああ、そういえば君は一度神裂に会っていたか。あれはほんのさわりだけどね」

佐天「あの速さでさわりとか……」

ステイル「それで、今一度聞くが―――君は結局、どうするつもりだ?」

佐天「えっ」

ステイル「一度は初めて会った時に。二度はみさわ塾の時に。僕は警告したはずだ、
      『平和な日常を望むのならこれ以上踏み込むな、戻れなくなるぞ』と。
      さて、どうする?この国には『仏の顔も三度まで』とあるが……多少意味は違うが、これが最後の通告だ」

ステイル「もし不用意にこれ以上こちらに踏み入るのなら君を[ピーーー]。上条当麻はある理由があるから生かしているが、
      君にはその価値はない。科学側でありながら、魔術側を知りすぎた君は生かしておくに危険すぎるからね」

ステイル「さあ選べ。ここで引き返すか。覚悟を決めてこちらへ踏み込むのか」

ステイル「お勧めは前者だ。平和な日常が待っている。君のその特異な能力も、ただの科学の力として終えるだろう。
      後者は荒野を進むようなものと思え。何かあれば死ぬと思え。後悔することは確実だと保証してやる」

佐天「……っ」

佐天「そ、そんな―――」

ステイル「ちなみに、」

ステイル「曖昧な回答はするな。この場で殺すぞ」

185: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 22:41:35.35 ID:UJIJ74wo
佐天「……!(こ、この目はマジだ……この人、相性的に私に勝てないとしってこの台詞を……!)」

ステイル「……凄く失礼なことを考えられた気がするが。確かに相性では僕はかなり歩が悪いが……」

ステイル「しかしそれでも君を殺す手ならばいくらでもあるぞ。寝込みを襲う、だとかな」

佐天「変 っ!!」

ステイル「ここはふざける場面ではないと言っただろうが!!」カッ

佐天「ごめんなさいっ!」びくぅっ

ステイル「……はぁ。それで、どちらにする?答えは決まっていると思うけどね」

佐天「……」

佐天「……私は――――」

191: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 22:54:03.47 ID:UJIJ74wo
佐天「――――私は、先へ進みます」

ステイル「……正気か」

佐天「さっきの話……魔術師がもし学園都市にはいりこんだら、って話でしたけど」

佐天「それって、過去にもあったんですか?」

ステイル「……ああ」

佐天「それで、けが人は」

ステイル「出たよ。警備員や風紀委員、他にも多数」

佐天「もしその中に私の友達がいたら?そう考えたら悩む必要なんてないですよ。
    私の友達は傷つけさせない。守れるのなら守ります。
    今回の事件も、もしその魔術師が魔術をつかって、周りに被害が出たら―――そして、その中に知り合いがいたら。
    私はここで退いたことを後悔します」

佐天「だから私は前へ進みますよ」

ステイル「……それは結構」

ステイル「ならばこれからは君をそういう目で見よう。もっとも、そのような甘い義では早々に命を落とすかもしれないがね」

佐天「ふふっ、ステイルさんだって人のこと言えないくせに」

ステイル「何?」

佐天「上条さんから聞きましたよ、ステイルさんってインデックスちゃんのために……」

ステイル「焼き尽くせイノケンティウス!!」

佐天「ちょっ」

193: ◆oDLutFYnAI 2010/04/25(日) 23:00:04.79 ID:UJIJ74wo
佐天「熱吸収がなければ死んでいた」

ステイル「全く、忌々しい能力だ」

佐天「そんなこと言われても……それで、どうすればいいんですか?」

ステイル「とにかくオリアナとリドヴィアを見つけなくては話にならないが……『運び屋』というくらいだ、
      目的のモノは十中八九オリアナが持っているだろうが」

佐天「探す……この人ごみの中から一人を見つけ出すなんて、それはまた……」

ステイル「そういうものだよ。さて、容姿だか……―――――……と、こんな感じだ」

佐天「それだけじゃ条件に当てはまりそうな人たくさんいますけど」

ステイル「『刺突杭剣』はこんな形をしている。つまり、運ぶとなればそれなりに目立つから、そう難しいことでもないだろう」

佐天「なるほどねー……よーし、それじゃあ頑張って見つけますかー」

ステイル「土御門も言っていたが一応競技には出るんだね。ま、君は今飛び入りでこちら側にきたからばれるはずないが」

佐天「了解っすー。応援にきてもいいんですよ」

ステイル「はいはいわろすわろす」

214: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 12:40:50.38 ID:k7KSDvso
『とにかくさっき言ったような女が居たらすぐに連絡しろ。ほれ』


佐天「てな感じで携帯番号げっとしたけど本当使い道ないよねー」

佐天「……」

佐天「……大丈夫大丈夫。後悔なんてしない。この能力を貰った時に、左天さんと約束したんだから」


佐天「それにしても本当人多いなー。いくらおっきなモノ持ってるからって、こんなんで見つかるのかな」

佐天「視力強化使ってもあんまり効果無さそうだし……てかあれは使いたくないし」

216: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 12:49:59.67 ID:k7KSDvso
なんで見てるんだよ……怖っ



佐天「……そういえば」

佐天「ちょっと小腹が空いたかなー……くっ、しかし今私は小銭入れすら持ってない!なんて不幸!!」

佐天「目の前に屋台があるのに!手を伸ばせば届くのに!……まぁしょうがないけどねー」

ミサカ「そんな貴女に朗報です、とミサカは背後から胸をわしづかみにします」

佐天「はあああうぁっ!?!なななな何すんですか妹さん!!」

ミサカ「あり?おかしいですね、ミサカの読んだ漫画には友達とはこうしてスキンシップを取ると描いてあったのですが、とミサカは獲得した知識に疑問を抱きます」

佐天「そっ、その漫画間違ってるって!何読んだのよ!」

ミサカ「To Loveる ですが。とミサカは漫画の題名を答えます」

佐天「おーけー妹さん、その知識は今すぐ捨てよう。ね?」

ミサカ「捨てるのはやぶさかではありませんが、ミサカは少しショックを受けます。とミサカ14444号はいじけました」

佐天「ん……あー、ミサカちゃんの方ね。ごめん、10032さんの方と見分けが……」

ミサカ「遺伝子レベルで同一の背格好ですから仕方ありませんけどね、とミサカはやはり少し卑屈になってみたり」

217: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 13:00:10.25 ID:k7KSDvso
佐天「ううーん……なにか見わけ着くようなものあればいいんだけど……あ、そうだそうだ」

佐天「はいこれ。これをこっちに付けてさ……うん、かわいいかわいい」

ミサカ「髪留め、ですか……ですが良いのですか?とミサカは確認をとります」

佐天「ま、これはこれで四枚花弁で、ほら、ローアイアスみたいでかっこいいし?」

ミサカ「……それでは、ありがたく頂戴いたします、とミサカは初めての贈り物に心ときめかせてお礼を申し上げます」

佐天「よくってよよくってよー」




ミサカ「しかしその髪留め一枚一枚分かれていたのですね、とミサカは新事実に驚愕します」

佐天「案外知られてないけど実はね」

218: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 13:08:10.45 ID:k7KSDvso
ミサカ「さて、それでは最初の話題に戻りますが」

佐天「朗報だっけ?」

ミサカ「はい。その朗報とはここにミサカが居たということに他なりません。とミサカはポケットからサイフを取り出します」

ミサカ「さあ好きなものを食べると良い、とミサカは涙子に勧めます。遠慮することはありません、この前のご飯のお礼ですから、
    とミサカはどうぞどうぞと背中を押します」

佐天「そっ、そう?それじゃたこ焼き1つお願いしよっかな」

ミサカ「わかりました。へい親父さん、たこ焼き1つプリーズ、とミサカは注文します」

親父「まいどー。嬢ちゃん達仲いいねえ」

ミサカ「そ、そんな……お世辞なんて言っても何も出ませんよ、とミサカは手を振ります」テレテレ

親父「(何この子かわいい)」

219: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 13:14:17.22 ID:k7KSDvso
ミサカ「さあどうぞ、とミサカは戦利品を手渡します」

佐天「ありがとー。あれ?なんか多くない?」

ミサカ「ふふふ、それはミサカ達の仲睦まじさの結晶です、とミサカはえも言えぬ優越感に浸ります」

佐天「ふぅーん……?まあいいや、いただきまーす」

ミサカ「……?はて、以前読んだ本ではたこ焼きを食べるとその熱さのあまり噴き出してしまうと読んだのですが、とミサカは
    これまた漫画から得た知識を疑います」

佐天「(あー、熱耐性あるからなー……そうだ)」

佐天「だったらミサカさん食べてみる?あーん」

ミサカ「あーん、とミサカはいつぞやの逆の立場になっていることを思い出しながら口を開けますわっつい!!」

佐天「ね?熱いでしょ?」

221: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 13:25:39.02 ID:k7KSDvso
ミサカ「……どこぞのボブのような口調で言わないでください、とミサカは口内に残る熱さを我慢しながら恨めしげに涙子を睨みつけます」

佐天「あははーごめんね?私熱いのに強くってさー」

ミサカ「そんなことでアレを我慢できるとは思いませんが……まあいいです、とミサカはふっきれてみます」

佐天「そう?で、美味しかった?」

ミサカ「そういえば熱さでよく味が解りませんでした、とミサカはしょんぼりします」

佐天「だよねー。たこ焼きって美味しいんだけどこの熱さがねー……っと。はい、あーん」

ミサカ「……ひとつお伺いしてもよろしいでしょうか、とミサカは許可を得ます」

佐天「なになに?」

ミサカ「何故一度たこ焼きに口づけしたのでしょうか?とミサカは本当に理解できないと言った様子で尋ねます」

佐天「……熱くなくなるおまじない、みたいな?(本当はちょっと熱吸収しただけなんだけどね。手汚れるから口で触れただけなんだけど)」

ミサカ「そ、そうですか。ではあーん……ん、本当に熱くなくなっていますね、とミサカは東洋の神秘に驚きを隠せません」


224: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 13:35:44.10 ID:k7KSDvso
そんなこんなで。


佐天「ごちそうさまでした!ありがとね、ミサカたん」

ミサカ「どういたしまして、とミサカはゴミを清掃ロボに差し上げます」

ミサカ「それで、涙子はこれからどのような予定で?とミサカはあわよくばこの後一緒に行動したいなぁとかそんな希望を織り交ぜながら尋ねます」

佐天「予定って言っても……」

pllllllllllllpllllllllllllllllllllll

佐天「っと、ごめんね、電話だ―――ステイルさん?」ピッ

ステイル『オリアナが見つかった。今上条当麻から送られて来たGPSのデータを送る』ピッ

佐天「……要件言ったらすぐ切りますか。随分ドライな関係で」

佐天「ごめん、ミサカちゃん!ちょっと急用がはいっちった!」

ミサカ「そう、ですか。それでは仕方ないですね、とミサカは隠そうともせずしょんぼりします」

佐天「うっ……こ、この埋め合わせは必ず!そうだ、ナイトパレード一緒に見に行こう!ね?」

ミサカ「……!はい、是非。楽しみに待っています、とミサカは元気よく送りだします!」

 
230: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 14:13:25.21 ID:k7KSDvso
佐天「っと、結構遠いか―――けど、この速さなら……」



土御門「アレか」

上条「…・・っはッ……そう、だよ……!あの馬鹿でかい看板持った作業服来た金髪がそうだ……!」

ステイル「ふん、器用な奴だ。この人ごみを駆け抜けるとは」



佐天「げっ、凄い人……こんな場所で走ってるの?」

佐天「おっ、いたいた。皆揃ってるんだ」

232: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 14:21:01.82 ID:k7KSDvso
佐天「どうもっ!そんで、誰が目標ですか?」

上条「なっ……!」

土御門「おいステイルこれはどういうことだ」

ステイル「彼女の意志だよ。別に強要してないさ」

上条「意志って……」

佐天「ま、事情は後で話しますって。それで、誰が目標なんですか?」

土御門「……あの作業服を着た看板もった金髪だそうだ」

上条「土御門まで…・・!」

土御門「ただでさえ少ない人数なんだ。強力してもらえるならありがたいだろ?それに、佐天の能力は重宝できる。
     どんな事情があったかは知らないが、覚悟の上ならこちらからとやかく言うことは無い」

佐天「そーいうことですよ上条さん。で、あの人ですね……って、土御門さん喋り方変わってませんか?」

土御門「にゃー。真面目に話すとあんな感じなんだぜい」

ステイル「無駄口叩くくらいなら追いつく努力をしろ。オリアナのルートが変わったぞ」

土御門「……?随分おかしな選択肢だにゃー。何かあったのか?」

上条「あれじゃねえか?テレビの取材かなんかで、巻き込まれるのを避けたんだろ」

234: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 14:33:25.42 ID:k7KSDvso
佐天「でもオリアナって人が逃げた方は……」

上条「……バスターミナル?整備場か何かか?」

土御門「無人バスも整備無しでは動き続けられないからにゃー。おおかたこの大覇星祭のために必要ない建物を潰して
     即席で作り上げたってところだろ」

佐天「―――ッ!土御門さん上ッ!!」

土御門「炎柱か……!くそっ、魔術でこちらを潰す方向に出たか!!」

佐天「このっ……って、吸収してるのに終わりが無い!?」

ステイル「ほら、こんな時こそ君の出番だろう?女の子にばかり押しつけてないで早く行け」

上条「わかってるっつうの!!」パキーン

ステイル「そうそうそれでいいのさ。全く、我ながら素晴らしいチームプレイだね」

上条「この野郎……ッ!」

土御門「コント噛ましてる場合じゃないぜよ。ほれ、新手だカミやん」

上条「くそう!人をこき使いやがって!!!」パキーン

235: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 14:40:03.51 ID:k7KSDvso
佐天「うわあなんだか上条さん人間不信になりそうな目でこっち見てる」

土御門「カミやんならこれくらいでへこたれないにゃー。それよりステイル、お前はここでルーンを張って
     待ち構えていてくれ」

ステイル「わかった。人払いも使っておく」

土御門「頼むぜい。カミやんはそっちに置いておくから魔術的な迎撃は全部任せてやってくれ」

上条「おいおい勝手に話進めんなよ……つか全員でおっかけたほうがいいんじゃねーの?」

土御門「バスが遮蔽物になっているからな……これだけ多いと入れ違いになる可能性もある。出来るだけ経路は潰すのが
     追撃戦の基本だ。佐天ちゃんは一緒に来てくれにゃー。その身体強化があれば俺と同じくらいには動けるんだろ?」

佐天「了解っす。さっき吸収しましたし、ばっちりですよ」

上条「お、おいおい……今みたいに攻撃しかけてきたらどうするんだよ?」

土御門「避ける」

佐天「上に跳べば当たらないでしょうし」

上条「無茶苦茶すぎる……」

237: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 14:55:02.40 ID:k7KSDvso
土御門「よっしそれじゃいくぜよ佐天ちゃん。いいか、まっすぐ走りきることを考えろ。いちいち魔術を相手にするんじゃないぜよ」

佐天「了解っ」

土御門「よし……走れ」


土御門「前方と左右からか!走りぬいて避けろ!」

佐天「このっ……!上から氷!?」

土御門「気にするな!追尾性ではなく落下によるものだ!前へ進めば抜けられる!」

佐天「……っ危なぁっ!っと、金髪みっけ!!」

土御門「―――おいおい嘘だろ」

佐天「土の…津波……!?」

土御門「不味い……避けてもこのままじゃ辺りが潰されちまう……!」

佐天「―――は!任せてくださいよ!さっき十分に吸収しましたからね!

佐天「さぁーて久々だけどいきなり全力でいくよ……」


佐天「二重第四波動ォォォォおおおお!!!!」

238: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 15:01:24.04 ID:k7KSDvso
佐天「ちっ……一回じゃ破壊しきれないか……!」

土御門「もう一発いけるか?」

佐天「問題なく!!―――よっし充填完了!二重第四波動ッ!!」

土御門「にゃーいきなり寒くなったにゃー……っとアイツは……」



佐天「……どうしたんですか土御門さん、そんば場所に突っ立ってないで早く追いかけないと……っ」

佐天「マンホールの蓋が開いてて左右のガラスが割れてて……これじゃあ」

土御門「『追跡封じ』か……くそっ、ふざけやがって!!」

佐天「――――駄目か。表に人が多すぎて熱がばらばらだ……それ以前にさっき熱吸収しちゃったからそれもあるかな」

土御門「仕方ない……一旦戻って作戦をたてなおそう。まだ遠くには行ってないはずだ」

239: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 15:09:45.03 ID:k7KSDvso
土御門「すまん、取り逃がした」

ステイル「異名は伊達では無い、ってことか……しかし何も収穫が無いって顔でもなさそうだね」

土御門「奴が使っているだろう霊装を抑えた。コイツを使って遠隔操作みたく術を発動させていた可能性が高い。
     それを利用して探索術式を組みたいから手伝ってくれ」


上条「なぁ、なんだあの単語帳の1ページ」

佐天「五大元素とそのシンボルカラーを使っての霊装ですって。相性の悪い色同士を組み合わせたりして
    わざと反発させて力を生み出してるとかどうとか」

上条「ふぅん……」

240: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 15:23:37.54 ID:k7KSDvso
土御門「っと、完成したぜい『理派四陣』。こいつを使えば半径3キロ以内ならたちどころに奴の居場所がわかるぜい。
     ステイル、頼む」

ステイル「任された」

上条「3キロか……結構キツイな。交通機関使われたらアウトだろ」

土御門「しかもこの術式は次の発動までに15分タイムラグがあるからにゃー」

佐天「ま、たぶん大丈夫ですよ。一度振り切ったのなら次は見つからないように人ゴミにまぎれて移動するはずですから。
   つまり目立たないように―――となると、あの大きな荷物を持ったまま電車とかに乗るには抵抗あるでしょうからね」

土御門上条「……」

佐天「……え?何ですかその視線」

土御門「いや……随分冷静な分析だにゃーと思って」

上条「確かに言われてみりゃそうだけど……」

佐天「……あれ?―――ああ、まあ、睡眠学習の効果ですよ」

上条「?」

土御門「……ま、何にしても頭が切れるみたいで頼りになるにゃー……よし、発動したぜい」

佐天「おおっ、地面に地図が……」



ステイル「―――ッ!?!?が、あああああああああああっ!?」

242: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 15:46:15.24 ID:k7KSDvso
上条涙子「―――――!?」

土御門「空間がたわんだような音……カミやんすぐにステイルを殴れ!!」

上条「……くそっ!!」パキーン

ステイル「……ぐ、は―――ぁ。は、くそ、なんだ今のは……迎撃魔術か……?」

佐天「ステイルさん大丈夫ですかっ……?」

ステイル「……大丈夫だ。心配なんてするな」

土御門「……迎撃魔術ってんならこっちにも影響ありそうだけどにゃー……折り紙の方には全く何もないし、
     おそらくステイルの魔翌力を読んで反応したんだろう。くそ、あの野郎。いきなり魔術に切り替えたと思ったら
     俺達の魔翌力を知るのが目的だったのか」

上条「……何だ?つまり今ステイルが魔術を使うと今みたいになる……つまり魔術が使えないってことか?」

ステイル「癪だが、おそらくそういうことだろう。くそっ、まさかここまでやってのけるとはな」

佐天「けどそうなるとオリアナさんって凄い人なんですね。逃げながら探知解析逆算応用迎撃までしたんですから。
    魔術のことはよくわかんないですけど、それって簡単じゃないんですよね」

ステイル「いや、もしそれが出来ていたら今頃封印指定か各魔術組織から引っ張りダコだろうさ。
      おそらく他に何か演算装置のようなものを用意しているんだろう。しかし―――」


243: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 15:51:14.12 ID:FlwbrqUo
級友2「いろいろて」

佐天「ほら、第七位の超能力者いるじゃん?あの人いわく「根性」だって」

級友「いやその理屈はおかしい」

佐天「なんとかなるもんよー」

級友2「……ま!勝ったし細かいことはいいや!」

佐天「ですよねー。えっと、次の競技は……」

級友「次はあっちで玉入れね。これは全員参加だから……それまでは自由行動かな」

佐天「わかった、ありがとね」

247: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/26(月) 17:40:57.64 ID:FlwbrqUo
佐天「ちっ……一回じゃ破壊しきれないか……!」

土御門「もう一発いけるか?」

佐天「問題なく!!―――よっし充填完了!二重第四波動ッ!!」

土御門「にゃーいきなり寒くなったにゃー……っとアイツは……」



佐天「……どうしたんですか土御門さん、そんば場所に突っ立ってないで早く追いかけないと……っ」

佐天「マンホールの蓋が開いてて左右のガラスが割れてて……これじゃあ」

土御門「『追跡封じ』か……くそっ、ふざけやがって!!」

佐天「――――駄目か。表に人が多すぎて熱がばらばらだ……それ以前にさっき熱吸収しちゃったからそれもあるかな」

土御門「仕方ない……一旦戻って作戦をたてなおそう。まだ遠くには行ってないはずだ」

256: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 20:56:32.20 ID:k7KSDvso
土御門「なんだステイル、俺と同じ意見ってところか?」

ステイル「……もしそうだとしてもありえないだろう」

土御門「いやーオリアナのこの手口だとそうとも言い切れないんじゃないかにゃー」

ステイル「だとしたら奴は他にも魔術師を連れていてもおかしくないと思うんだが……」

土御門「んー、わからんがしかし、これくらいしか可能性がないように思えるにゃー」

上条「お前ら何勝手に意志疎通してんだよ……わかんねえ」

土御門「なーに、ただこの迎撃魔術のやりくちが、まるで原典のようだな、って話だにゃー」

上条「げんてッ……マジかよ」


佐天「原典というものが何だかわからない……」

257: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 21:00:55.79 ID:k7KSDvso
土御門「にゃー。そういや佐天ちゃんは原典については全然しらなかったにゃー。丁度いい、準備している間に
     ステイルに講義してもらうといいぜよ」

ステイル「なんで僕が……」

佐天「とか言いながら教えてくれるステイルさんに期待」

上条「頼むぜ」

ステイル「焼き尽くせイノケンティウ……があああああああああっ!!!」

上条「何やってんだ馬鹿!!」パキーン

ステイル「はぁっ……く、ツッコミ役が板についてきたせいか……!!」

土御門「身体を張ったつっこみは恐れ入るが無理するなよ……」

258: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 21:07:56.32 ID:k7KSDvso
ステイル「ふぅ……いいか、原典と魔方陣の関係性についてだがな……」


かくかくしかじか
まるまるうまうま


ステイル「というわけだ」

佐天「なるほど……つまりオリアナさんの単語カード一枚一枚は原典並ってことですか」

ステイル「たわけ。なにが成程だ。全然わかってないじゃないか」

土御門「原典並、じゃなくて原典のなり損ないみたいなもんだろうにゃー。おそらくすぐに壊れる、使い捨てを想定したもんだろうにゃー」

ステイル「『速記原典』、と言ったところか。ま、原典と呼ぶかどうかすら疑わしいからこの名も正しくはないんだが」

上条「まあ、魔方陣だとか原典だとかはよくわかんなかったけどさ」

佐天「そうですか?結構面白い話でしたけど」

ステイル「……僕たちの専門を面白い、で片づけないでくれ。そっちの男のように何も理解されないよりは話甲斐はあるけどね」

259: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 21:15:35.08 ID:k7KSDvso
佐天「そういえばさっきから土御門さん何してるんです」

土御門「現状打破の一手。『理派四陣』が使えるのと使えないのじゃ全く違うからにゃー。そのためにはステイルに戦線復帰してもらわないと」

上条「ってことは今ステイルにかかっている迎撃魔術ってやつを解く方法か?」

土御門「それは全く正しくないぜよカミやん。この魔術はステイル本人にかかっているんじゃない、生命力に反応して自動で発動しているんだぜい。
    つまり、だ。その大元―――発動させている単語カードを破壊しないといけないんだにゃー」

ステイル「本当に全く話を理解していない男だな、君は」

佐天「けどその単語カードってどこにあるんですか?オリアナ本人が持っているんじゃ……」

土御門「いや、それはないと思うぜい。そんなことすれば発動元をたどられれば自身の居場所を明かすことになる。
    おそらくどこかに設置しているんだろうよ、今までみたいににゃー、っと」




土御門「よし出来た……おいステイル。なんでもいいから魔術を使え」



上条涙子「な――――」

上条「何言ってんだ土御門!お前さっきのステイル見ただろ!一度魔術を使っただけであれなのに……!」

土御門「一度?一度なわけがないだろう……ステイルには『速記原典』の場所がわかるまで何度も使ってもらうさ」

上条「てめェ……っ!」

260: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 21:21:50.65 ID:k7KSDvso
ステイル「……わかった。それでいこう」

上条「な―――!」

ステイル「気持ち悪いから慣れ合うな上条当麻。ここは戦場だぞ。そんな甘い考えで先へ進めるか」

上条「でも……佐天さんも何か言ってやってくれ!こんなのは間違ってる!
    その術式を発動して絶対に勝ちを掴めるってんならわかる!けどそんな保証は全然無いのに!
    他人と自分を犠牲にしてまでそんな―――」

佐天「うるさいですよ、上条さん」

上条「……ッ」

佐天「ステイルさんがそう言うのならそれでいいでしょう。それに今は一分一秒が惜しいし、何より他に手はありませんよ」

上条「お、まえ……!」

土御門「そういうことだ上条。さ、いいかステイル」

ステイル「ああ。だが絶対に場所を特定しろ。これ以上大事にするつもりはないからね」

土御門「解ってる。彼女の生活は守るさ。それが条件だからな」

261: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 21:40:45.97 ID:k7KSDvso
―――――――。

土御門「―――反応あり、っと。ここから北西……距離は302ってとこか?移動の反応がないところを見るとやはり設置型みたいだにゃー。
     ってことはオリアナ自身も遠くには行ってない……ここら辺は佐天ちゃんの予想通り、人ごみにまぎれて移動してるのかもしれんぜい。
    おいカミやん、地図もってないか?ああ、GPSでもいいしパンフレットでもいいぞ」

上条「……つち、みかど……」

土御門「あん?GPSはあるだろうに何してる。まあいい、佐天ちゃん、ちょいとGPS見せてくれないかにゃー」

上条「……、テメェェえええええええッ!!」だっ

佐天「落ち着いてください上条さんっ」がっ

上条「ぐ―――離せ佐天さん!」

土御門「ん?ああステイルなら大丈夫だろ。コイツもこれで一流の魔術師だ、魔術的な攻撃に対する耐性くらい備えている。
     それにコレは生命力を空振りさせるようなモンだ。その影響で体力が一気に低下するが……それだけだ。
     日射病みてぇなもんだよ」

上条「ふざけてんじゃねぇぞクソサングラスが!!誰のためにステイルが倒れてると思ってんだ!
    なんでそんなに冷たくなれるんだよ!!テメェが魔術使えてりゃこんなことには―――ぐっ!?」

佐天「それ以上言っちゃだめですよ上条さん――――大丈夫ですか、土御門さん」

上条「…………っ!!」

土御門「お気づかい痛み入るにゃー佐天ちゃん……俺の能力は肉体再生だからにゃ……ま、これくらいならまだ大丈夫さ」

上条「お前っ……!」

土御門「なーに驚いてんだカミやん……術式に反応して場所を特定できる『占術円陣』……
     そんな便利な術が、魔力無しに発動できるわけないだろう……?」

262: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 21:45:36.80 ID:k7KSDvso
土御門「そんな顔すんなよカミやん……お前の言うとおりさ……俺が満足に魔術を使えてりゃステイルはあんなことにはならなかった。
     この借りは、そうだな……全部終わってから、利子つきで返してやることにするか……」

佐天「……土御門さん、さっきの場所ですけど……」

土御門「ああ」

佐天「本当に間違いないんですね?ここでいいんですね?」

土御門「正確に言うと少しの誤差はあるが……そう大きく違いはないだろう」

佐天「……ここ、私の学校ですよ」


土御門「なん……」

上条「……だと?」

263: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 21:56:49.44 ID:k7KSDvso
佐天「そうだ、すっかり忘れてました……次は全校生参加の玉入れでした……」

土御門「……正確な位置だと競技場の真ん中、か。クソッタレ、オリアナの野郎……!
    ご丁寧に一番手ェ出しにくいところに……!」

上条「全校生参加っていうと競技時間かなり長いな……30分か、1時間か……」

土御門「玉入れってことは玉の入ったカゴか、入れる為のカゴか……いや、まて、佐天さっきなんて言った?
     確か『私の学校』って……」

佐天「はい、柵川中学校ですよここ。生徒数がおおいから面積も大きくて……」

土御門「よし、佐天と上条はすぐに柵川中学へ向かえ。佐天は正面から堂々入れるだろう。上条はどうにかして潜入しろ」

上条「潜入するのはやぶさかじゃねえけど……佐天さんが入れるなら俺はいいんじゃねえか?」

土御門「いや、この『速記原典』は生命力を空振りさせる……つまり一般人にも作用する可能性があるにゃー。
     その場合はおそらく直接触れた場合になると思うが……」

佐天「む。つまり私じゃ直接触れることは危険ってことですか」

上条「いや待てよ土御門。ってことはもし何かの手違いで誰か生徒が触れた場合は……」

土御門「……マズイな。ステイルのように魔術耐性がない分、余計にな」

上条「くっ……ふざけやがって……!」

土御門「そういうことだから急げ。俺も応急処置だけ終わらせたらすぐに行く」

佐天「急ぎましょう上条さんっ!」

264: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 21:58:23.36 ID:k7KSDvso
―――柵川中学

佐天「私はギリギリってとこか……上条さんはなんとかしてもぐりこむって言ってたけど」

御坂「やっほー佐天さん」

佐天「うええっ!?御坂さん



今レールガンのラジオ聞いてたら佐天さんのキャラソンかかってきたヒィィィィハアアアアアアアアア!!!

267: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:02:48.10 ID:k7KSDvso
あれ?俺音楽とかってあんまりわからん人間だが伊藤さん歌あんまり上手くなくね?……なくね?
いや、きっと気のせいだよな。うん。


―――柵川中学

佐天「私はギリギリってとこか……上条さんはなんとかしてもぐりこむって言ってたけど」

御坂「やっほー佐天さん」

佐天「うええっ!?御坂さんって相手校って常盤台!?」

御坂「ふふふ、ここで佐天さんを倒して罰ゲームのための生贄としてやるわ!」

佐天「……!ほほう、いい度胸でしょう。ならば私の屍を越えていきなさい!ただし!屍に出来るものならなァ!!」

御坂「その意気はよし、ってところね……!」


ペター、ット
ウワッバカヨゴレタテデサワルナバカ!
モウイイ、イクナラハヤクイケ!



269: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:12:27.17 ID:k7KSDvso
佐天「さて、と……土御門さんと上条さんは……」

土御門「にゃー、待たせたにゃー」

佐天「あれ?上条さんは?」

土御門「……常盤台の知り合いにバレるとまずいってんで今は人ごみの中に潜り込んでるぜよ」

佐天「ああ……御坂さんか……」

土御門「けど相手が常盤台とは不幸だにゃー。こりゃー難儀するぜい」

佐天「流れ弾に当たってリタイア、なんて笑えませんよ……『速記原典』はどこにあるか目星はついてますか?」

土御門「おそらくあの入れるためのカゴあたりが怪しいと睨んでるぜよ。8本だから一人あたり3本、ってとこかにゃー。
     俺とカミやんは大丈夫だが、佐天ちゃんが見つけた場合は誰も近寄らないようになんとかしてくれにゃー」

佐天「了解っす。よし、熱吸収熱吸収、っと」

土御門「本当便利な能力だにゃー羨ましいぜよ」

佐天「反動もあるからそんなに頻繁に使えませんけどねー」

270: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:18:56.97 ID:k7KSDvso
佐天「どもども上条さん。災難でしたね!」

上条「ああ……顔バレするとかよりも常盤台相手に動けるのか?」

土御門「その辺りは気合いしかないぜよー」


『用意―――――始め!』


土御門「うおおおおおおおおお!?」

佐天「ちょっ」

上条「なんだこれ―――玉入れじゃなかったのかよー!」

土御門「砲弾いれってとこかにゃー!?とっ、とにかく一旦退け退けー!」

272: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:24:23.07 ID:k7KSDvso
土御門「作戦会議ッ!」

佐天「とりあえず私が一番自由に動けると思うので私が突っ込もうと思います!」

上条「いや危険すぎるだろ!」

土御門「けどそれくらいしか方法ないにゃー。俺と佐天ちゃんが見つけにかかるからカミやんはそれから動いてくれ」

佐天「よっし玉入れしてる暇はないけどせいぜい妨害くらいしてやるわよー」

土御門「行くぜい、俺はあっち、佐天ちゃんは向こうから頼むにゃー」

佐天「合点承知っ」


土御門「ちっ、これじゃないか……っとぉ!」



佐天「んーこれには無いかな……っと、はいはい熱吸収熱吸収。常盤台は普通の能力が多いから火炎系も多くてやりやすいねー。第四波動(中)ー」



上条「やべえただ突っ立ってるだけだと逆にあぶねえ!」

273: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:30:58.56 ID:k7KSDvso
左天「ここで左天の矛盾点解消クーイズ」

イヴ「記憶関係以外なら全問正当してやるぞ!」

左天「第一問。七本目のポールには「野義中学備品」と書かれていた札が貼られていたがこれはどういうことか」

イヴ「むっ……そんなの開催された中学校がその名前だったんじゃないの?」

左天「外れだ。答えは「柵川中学校には玉入れ用のカゴがなかったから他の学校から借りてきた」だ」

イヴ「わかるわけないだろー!!」


274: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:34:19.55 ID:k7KSDvso
佐天「はいはい第四波動第四波動……っと、3本目も駄目かっとおおおお!?!?」

佐天「ひっ、人が倒れてっ……!うわ、ポールも倒れる……!」



ガゴォン……


佐天「っ……今のって御坂さんのレールガン……?」



ドーシテアンタガチュウガッコウノキョウギニマギレコンデルノヨー!
マテミサカ、ソノテノウチニアルモノヲミセロ!


佐天「oh...結局見つかってる」

275: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:44:21.04 ID:k7KSDvso
佐天「まあいいや、今のうちに探さないと……」


吹寄「全く、アイツは何をやっているのかしら。事情は後で聞くとして、今は一旦中止にしないと……」ブツブツ


佐天「あれ?あのポールの部分にある単語ページみたいなのって……まさかあれが?」


吹寄「どうしてやろうかしら?自分の学校の応援にも行かずに他の学校に忍び込んで常盤台の生徒を押し倒すなんて」ブツブツ


佐天「よっし見つけた。上条さんは……あらあらお盛んなことで。じゃなくて、丁度近くに居たかー」


吹寄「けどこんなイライラしてちゃ駄目ね、まずはカルシウムの補給を―――」ブツブツ


佐天「……え、ちょ、待って。あの人ポールの方に向かってない?」

佐天「(あの腕章……運営委員?―――まさか、ポールが倒れたからそれで……?」

佐天「ま、まずいかも!!」だっ



吹寄「さて―――中断の―――」

佐天「待ってぇぇぇえええええっ!!!」

吹寄「え?」

がっ

276: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:47:03.49 ID:k7KSDvso
佐天「(よ、よし!ギリギリでポールには触らせなか―――あ)」

佐天「(しまった――――代わりに私が触っちゃった。えへ)」


佐天「……ヘルプミー、上条さん」


上条「……ッ!!!!さてんさ―――ー」



佐天「――――――ッ!!!!!!!!」


土御門「早く佐天を触れ上条!!今ならまだ大丈夫だ!!」

上条「この―――!!」


御坂「え―――佐天さん?」

277: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:51:58.49 ID:k7KSDvso
パキーン

上条「佐天さんっ!オイ!!」

土御門「大丈夫だカミやん!!日射病みたいなもんだと言っただろう!!今すぐ病院に―――」

佐天「―――へへ、な、なんとか無事っぽいですね……」

上条「って大丈夫なのかよ!」

土御門「……あれー?おかしいにゃー。もしかして思ったほどでもなかったのかにゃー」

佐天「い、いや……頭がガンガンして……ちょい無理っぽいです……あふぅ」

吹寄「何してるの貴様たちは!先ずは医務室へ運びなさい!」

上条「りょっ、了解!!」

土御門「担架!担架を持ってくるにゃー!!」

278: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:54:41.25 ID:k7KSDvso
―――医務室

「日射病だね……水分補給と栄養補給のために点滴うっといたから、とりあえずこれで大丈夫だろう」

佐天「うあー……きっつー……」

御坂「大丈夫?」

佐天「えぇ、まあ……かなーりキツイですが……」

佐天「それよりいいんですか……競技、再開しますよ」

御坂「友達がこんな状態で競技なんて行くわけないでしょ馬鹿」

佐天「……えへへ。なんだか嬉しいですね、それ」

御坂「何言ってんだか……」

279: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 22:57:08.76 ID:k7KSDvso
御坂「……また何かしてたの?」

佐天「……あたまいたいーでーすー」

御坂「……はぁ。まあいいわよ、言いたくなかったら」

佐天「……ごめんなさい」

佐天「けどこれは言えないことなんで……ああ、そうだ、御坂さん」

御坂「ん?何?」





佐天「先に言っときますね―――さよならです」






御坂「―――はい?」

佐天「……なんちゃって。気にしないでください」

280: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 23:01:47.61 ID:k7KSDvso
佐天「それじゃ、ちょっと眠らせてもらいますねー」

御坂「え、ちょっと、今のって」

佐天「ぐぅ……」

御坂「……はぁー。あの馬鹿に会ったらとっちめてやる」



――――久しぶりに夢を見た。  
      たぶんそれは、有り得ただけの、可能性の話。
      あの人はただ純粋に好きな人のために動いただけなんだって。
      でもそんな想いすら叶わなかったんだって。
      なんて救いがない。
      そう言ったら、あの人は。
      「もしそうだとしても、仕方ねぇことさ」
      そう言って笑ってたけど、その包帯の下は、きっと。

283: ◆oDLutFYnAI 2010/04/26(月) 23:24:09.63 ID:k7KSDvso
「―――ん」

窓から流れてくる風で目が覚める。
まるで金槌で内側を叩かれているかのような頭痛は、今はほとんど消え去っていた。
ベッドの横には御坂さんが眠っている。疲労と風の心地よさがあいまってのものだろうか。それもしょうがないと思う。
医務室の時計は12時半を回っていた。以外と眠っている時間は少なかったらしい。

「そう、だ……オリアナ。オリアナは……?」

枕の横にあった携帯電話を手にとって電話をかける。相手はつい最近登録したばかりの番号。
レトロな呼び出し音が数回なった後、何だ、という無愛想な声が聞こえてきた。

「ステイルさんっ、オリアナは―――」

「ああ、一度は追いつめたが取り逃がした―――目的の物はこちらが手にしたがね」

目的の物。あの看板に偽装されているであろう『刺突杭剣』の事か。
取引を中止させる事が目的だったのだから、これはこれで成功ってことになるのだろう。
相手もまさか敵の手に渡ってこれが無事であるとは思わないだろう。おそらく取り返すために戦いに来たりはしないはずだ。
よかった、と身体の力を抜いた瞬間、しかし、というステイルさんの声が聞こえてきた。

「しかし、どうにも妙なことになった。最初の情報が間違っていたのかどうなのか―――今それを確認中だ」

「はい?どういうことですか?」

「電話はあまり好きじゃないから詳しくは後で話すが……そもそも『刺突杭剣』なんてものは取引されていなかったのかもしれない」

「……はい?」

前提を覆すような報告に何も考えられず、間抜けな相槌しか打つことができなかった。
続けて、

「今あのバスターミナルの近くの○○というオープンカフェにいる。もし来られるのならそこまで来い」

以上だ、という声と共に一方的に会話を切られてしまった。
起きたばかりの頭を整理して、先の報告と、今自分にできることを考える。

「……今はとにかく、行ってみるしかないか」

点滴を外し、傍らで眠っている御坂さんを起こさないようにそっとベッドから抜け出る。
身体の調子はだるい気がするがそれ以外はなんともない。
置いてあったスポーツ飲料を一気飲みして、私は走りだした。

315: ◆oDLutFYnAI 2010/04/27(火) 23:29:55.70 ID:q7xDEd6o
佐天「そんなわけでやってきたら皆ボロボロっぽかったでござるの巻」

上条「もう動いても大丈夫なのか?」

佐天「たぶん上条さんや土御門さんに比べたら全然ですよ」

土御門「それで、ステイル。報告は」

ステイル「『使徒十字』だとさ。全く、なんてことだ」

佐天「なんですかそのクローなんちゃらって」

土御門「『使徒十字』―――日本語で言うところのペテロの十字架ってことですにゃー」

上条「ペテロの十字架?未元物質ペテロで作られた十字架ってことか?」

ステイル「焼き尽くせイノケンティウス」

上条「何で!?」

316: ◆oDLutFYnAI 2010/04/27(火) 23:30:37.99 ID:q7xDEd6o
ステイル「全く、ふざけている場面ではないと言っているだろう」

上条「いや、別にふざけてないんだけど……」

佐天「……え?もしかして本当に知らないんですか?中学の哲学の授業で習いますよ?」

土御門「いくら科学側の人間でもこれくらい一般常識だにゃーカミやん」

ステイル「馬鹿だな君は」

上条「……オリアナの攻撃より心に響いたんだが。いやもういいや、開き直ろう。
   それで、ペテロってなんだよ」

ステイル「いいかペテロと言うのはだなかくかくしかじか」

土御門「まあこの場合大切なのはバチカンがかくかくしかじか」

佐天「確か授業ではお墓がかくかくしかじか」

上条「……あれー?俺中学でそんなこと習ったかなー」

317: ◆oDLutFYnAI 2010/04/27(火) 23:31:07.57 ID:q7xDEd6o
土御門「カミやんの馬鹿さは今に始まったことじゃないからおいてくにゃー。
    そういうわけで、こうして聖人とされる人間が眠る地に建物を建てるとそれだけで大きな効果になるんだぜい」

上条「親友らしき人間からの言葉が痛い。それで、その十字架がどうなんだ?危険なのかレアモノだから傷つけるのがやばいのか」

土御門「どっちもぜよ。けどま、今回は前者だにゃー。いいかカミやん。説明は一気に省くが、『使徒十字』を立てた場所は
    漏れなくローマ正教の支配下に置かれるんだよ。学園都市であろうと例外無くな」

佐天「……つまり?」

ステイル「任せた」

土御門「任されたにゃー。ええい、一から説明するのもなんだから簡単に説明するぜい。原理とかが気になるなら後で個別で聞いてくれにゃー」

318: ◆oDLutFYnAI 2010/04/27(火) 23:31:34.15 ID:q7xDEd6o
以下土御門説明

にゃーにゃー。ローマ領内にはローマ正教徒を幸福にする不思議な力が働いているにゃー。それは何が起きてもローマ正教徒にとって
都合の良い世界なんだにゃー。解り易く言うと宝くじを買えば絶対当たるし交通事故が起きても怪我ひとつしないんだにゃー。
にゃーにゃー。落ち着くにゃカミやん。最後までよく聞くぜよ。
実はなー、この効果、学園都市の人間も『救うべき対象』として見られて反映されるんだにゃー。『ああ、でもそれでもまあいっか』ってな。
にゃーにゃー。だから最後まで聞くぜよカミやん。確かに一見それは良いことのように聞こえるにゃー。けどな、そもそも前提が
間違っているんだぜい。幸福のすり変え、ってやつだにゃー。よく考えて見るぜい、こんな十字架が立てられなければ宝くじでローマ正教徒
が絶対に勝つなんてことはありえない、つまり全て平等な確立だったわけだし、交通事故だって起きなかったんだにゃー。
幸福と不幸のバランスは変わらない。ローマ正教徒が幸福を得る代わりに、他の部分にしわ寄せが出てきているってことですたい。

319: ◆oDLutFYnAI 2010/04/27(火) 23:35:52.30 ID:q7xDEd6o


佐天「むぅ……なんというか……釈然としない話ですね」

ステイル「当然だ。なんせ奴らの負担を知らない内に背負わされ、それを良しと認めてしまうよう心理的に誘導されているんだからな」

上条「……んん?まあそれで奴らが得することはわかったけど、なんでそれを学園都市でしようとしてんだ?」

土御門「簡単な話だなにゃー。十字架をさした場所がローマの領内となる……奴らは科学側である学園都市を魔術側である
    自軍に取り込もうとしているんだにゃー」

ステイル「もしそうなった場合、魔術か科学、どちらか一方にしか属していない組織には太刀打ちできないだろう。
     世界のパワーバランスはローマに集中するだろうね」

佐天「それはつまり……ローマ正教による独裁社会みたいなものが成立するってことですか!」

土御門「そんな感じだにゃー。まったく取引ってのはこういうことだったんだにゃー。差出人はローマで受取人もローマ。
    受け取る品は世界征服のための要、ってとこかにゃー?」

ステイル「―――止めるよ、この取引。さもなくば、世界は崩壊よりも厳しい現実に直面する事になる」(キリッ

338: ◆oDLutFYnAI 2010/04/28(水) 22:58:28.43 ID:yAb4dxwo
土御門「しかし本当によかったのかにゃー佐天ちゃん」

佐天「何がですか?」

土御門「いろいろと。けどこの場合は俺と一緒に行動してて、って意味かにゃー」

 あの後。
 『使途十字』の情報が無い以上、出来ることは自然と限られてしまい、一時解散となった。
 と言っても、上条さんはステイルさんから「あの子の傍に居てやれ」と言われ、今頃インデックスちゃんのお昼の相手をしているだろうし、
 ステイルさんは昼食を食べながら本部へ調査を依頼するようだった。
 私はと言うと、初春と一緒にご飯を食べようと思っても、この雑踏では合流してすぐにお昼休みが終わってしまいそうなので、
 こうして土御門さんと一緒に行動している。
 そんな土御門さんは今学園都市の警備システムに侵入してオリアナを探しているらしい。初春に見つからないことを祈る。

佐天「まー特に今はすることも無いですし。なんかあったら二人のほうがいいでしょ?」

土御門「それならそれでいいけどにゃー」

339: ◆oDLutFYnAI 2010/04/28(水) 22:58:58.71 ID:yAb4dxwo
佐天「それよりご飯食べます?はい」

土御門「ウィダーゼリーかにゃ?水分補給も兼ねてありがたくいただくぜぶはぁっ!!」

佐天「oh...いきなり汚いっす」

土御門「……ウィダーゼリーかと思ったら飲むカロリーメイト。こんなのギャップで噴き出すに決まってるぜい」

佐天「正直わざとでした。ごめんなさいませ。はい、これウィダーゼリー」

土御門「勘弁してほしいにゃー」ちゅうちゅう

佐天「それで、見つかりそうなんですか?」ちゅうちゅう

土御門「期待はできないぜよ。『追跡封じ』がカメラに映るようなヘマはしないだろうしにゃー。
    けど、ま。今はこうする他ないってのももどかしい現状だにゃー」ちゅうちゅう

佐天「……土御門さんっていつもこんなことしてるんですか?」ちゅうちゅう

土御門「いつも、ってわけじゃないぜよ。普段は普通に学校に通ってるにゃー」ちゅう きゅぽっ

佐天「確か二重スパイなんでしたっけ?あ、これおかわりのゼリーです」ちゅう きゅぽっ

340: ◆oDLutFYnAI 2010/04/28(水) 22:59:57.01 ID:yAb4dxwo
土御門「多重、な。そもそもスパイかどうかも怪しいぜい?ま、佐天ちゃんは気にしなくてもいいぜよ」ちゅうちゅう

佐天「えぇー、私もこっち側に来たんだから気にしたっていいじゃないですかー」ちゅうちゅう

土御門「あー、それなんだが、本当にそんなつもりがあるのか?」

佐天「……まあ、決めましたし」

土御門「迷いがあるのなら止めておけ。土壇場で躊躇い足を引っ張られても迷惑だからな」

佐天「……大丈夫ですよ」

土御門「……ま、いいけどにゃー。俺みたいに表で生きながら、って道も選べるしにゃー。
    全部捨てるわけじゃないんだからそう気負わなくてもいいぜよ」ちゅうちゅう

343: ◆oDLutFYnAI 2010/04/28(水) 23:15:33.28 ID:yAb4dxwo
佐天「……?あれ?でもステイルさんが『こっち側』って……私、なんとかって協会に入るんじゃないんですか?」

土御門「違う違う。魔術も使えない人間が協会に入ってどうするんだ?おそらく俺みたいに学園都市に駐在することになると思うぜい」

佐天「そうなんですか……私はてっきりイギリスまで行くのかと」ちゅうちゅう

土御門「どうしたらそんな風に勘違いするんだにゃー……」ちゅう きゅぽっ

佐天「いやあ」テレテレ

土御門「なんでそこで照れるの?」

佐天「まあそんなことは良いんです!それより、ひとつ気になっていることがあるんですけど」

土御門「んー?舞華の味噌汁の秘密かにゃー?」

佐天「確かにあれは凄く美味しかったですけどそうじゃないです。オリアナとリドヴィアのことです」

佐天「オリアナはともかく……リドヴィアって今何してるんでしょう」

344: ◆oDLutFYnAI 2010/04/28(水) 23:16:01.44 ID:yAb4dxwo
土御門「おおかたどっかに隠れてるんじゃないかにゃー」

佐天「うーん、それもおかしいんですよね。いや、そもそも何かおかしい気がするんですよ。
   だってオリアナだけでもこっちは四苦八苦してたじゃないですか。ならリドヴィアって
   別に来る必要なかったんじゃないですか?オリアナだけで十分じゃ……」

土御門「扱うモノが扱う物だからにゃー。おそらく、リドヴィアがいなきゃ『使徒十字』をここまで持ってくる
    こと自体許されんかったぜよ。それにオリアナがどうして協力しているのかは不明だけどにゃー」

佐天「あ、そっか」

土御門「リドヴィアは異質な人材だけを対象に布教をおこなっているんだにゃー。それが意図してか
    無意識かはわからんけどな。ただその布教の功績をたたえられて何度も教皇から贈り物を
    貰っているらしいにゃー。噂ではそれすらも売っぱらって布教のための資金にしているらしいけどにゃー」

佐天「うおう……それは、まさに敵ながらあっぱれって感じですね」

土御門「にゃーにゃー。それだけ心酔しているってことであり、つまりそれ以外ならどうなってもいい、
    って思ってる証拠だぜい。これはとっても危険なことなんだぜ佐天ちゃん」

佐天「うーん……無宗教な私にはわかんない話ですね」

土御門「やれやれだにゃー。ま、仕方ないけどにゃー」

佐天「でもでも、お守りとかは持ってるんですよね―。ほら、いつもは鞄に付けてるんですけど」

土御門「あん?……はーん、佐天ちゃん、それは大事にするんだぜい」

345: ◆oDLutFYnAI 2010/04/28(水) 23:16:50.41 ID:yAb4dxwo
佐天「え?」

土御門「結構ちゃんとした神社のモンみたいでな……「先見」の加護みたいなもんがついてるにゃー」

佐天「せんけん?」

土御門「『なんだかこっちは嫌な予感がするから止めておこう』みたいなもんだぜい。安全祈願って書いてあるから、
     つまりそういうことだろうにゃー。ま、直感が鋭くなる、って感じかにゃー」

佐天「へええええ……このお守り凄かったんだー(えへへ……ありがとね、お母さん)」

土御門「今時じゃ珍しいぜい……っと」

佐天「どうしたんで……ッ」

土御門「……運がいいにゃー。まさか見つかるとはな」

土御門「時間は……3分前ってとこだにゃー。場所は第五学区の駅か。よし、
    佐天ちゃんはステイルに連絡してくれ。俺はカミやんに連絡する。すぐに
    この駅へ集合だ」

佐天「承知ー」



佐天「……つながらない。話中?」

347: ◆oDLutFYnAI 2010/04/28(水) 23:41:06.74 ID:yAb4dxwo
土御門「いや、今カミやんがステイルの近くにいるらしい。どうやらイギリスと連絡とってる最中みたいだにゃー。
     さ、俺達も急ぐぞ」

佐天「了解っす」



土御門「くそっ……スケジュールの変更だと……ッ」

佐天「ううう……早くしないと逃げられちゃいまplllllllllplllllllllllllll


土御門「ステイルからか……だいたい予想はつくけどにゃー」ピッ

ステイル『おい、今どこにいる?』

土御門「悪い、スケジュール変更のせいで足止めくらってるにゃー。今駅の近くなんだがにゃー」

ステイル『ちっ……走ってどれくらいだ?』

土御門「10分とこかにゃー……ちょいと時間かかりすぎるぜい。
     なあステイル、お前携帯でデータ送れば『理派四陣』発動できそうか?』

ステイル『無茶を言うな。そもそも東洋魔術には詳しくないし、理論がわからない。あの子みたく口頭で全て説明することも出来まい』

土御門「だよにゃー……はぁー、仕方ない。『理派四陣』はこっちで起動するぜよ」

上条『なっ……!んなことしたらお前の身体が……!』

ステイル『……いいのかい?』

土御門「無問題だにゃー。魔術師が魔術使わずにどうしろってんだ。位置が特定できたらまた連絡するぜい」ピッ

349: ◆oDLutFYnAI 2010/04/29(木) 00:28:45.41 ID:IATwa/co
土御門「さぁさ佐天ちゃん、とりあえずバスから降りるにゃー」

佐天「……大丈夫、じゃあないんですよね」

土御門「まーステイルにばっか苦労させるわけにもいかないぜよ。それに俺も微力ながら肉体再生の能力があるんだぜい?
     ちょっとくらいなら大丈夫にゃー」

佐天「――――」


―――路地裏

土御門「この辺りか……っと」

土御門「それじゃ佐天ちゃん、起動するから電話を頼むぜよ」

佐天「了解っすー。えっと、地図が現れて、そこに光点が出るからそれがオリアナですね?」

土御門「にゃー。発動者が中心に、北はあっちだにゃー。縮尺はこんな感じだから、ま、これくらいが100mだにゃー」

佐天「ん、わかりました」

土御門「そんじゃやりますかねー……」

351: ◆oDLutFYnAI 2010/04/29(木) 00:37:41.73 ID:IATwa/co
pllllllplllllllllll

ステイル『出たか?』

佐天「はいっ、たった今発動して……えっと、今のとこ北西へ300~500mってとこです!今土御門さんが絞り込んでくれてますから……」

ステイル『……土御門に聞いてみてくれ、赤の式は使えないか』

佐天「土御門さん、赤の式ってやつは使えないんですか!?」

土御門「……ちょーっと無理かにゃー……その術に切り替えるには……ラグが生じるし……オリアナの最新座標が掴めないとなると……
     命中精度が格段に下がっちまう……」

佐天「無理ですって!」

ステイル『そうか……おそらく奴も気づいているだろうから、バスなんかで逃げられたらアウトだね……
      あと2500mか……』

佐天「……ん、だいぶ絞り込めてきました!ステイルさんたちの位置から北西に309mから433mです!そのまままっすぐに走ってますね……
    って、ここら辺りってモノレールとかあるじゃないですか!乗りこまれたらすぐに逃げられますよ!」

ステイル『くそっ、わかってる!!』


352: ◆oDLutFYnAI 2010/04/29(木) 00:46:18.54 ID:IATwa/co
土御門「……あ……?なんだ……奴め、いきなり直角に曲がっ―――ッ!?な―――!?」

佐天「え―――な、なんですかこれ!いきなり速く……!」

ステイル『なんだ、どうしたんだ』

佐天「オリアナがいきなり方向転換して高速で移動し始めて……って、これこっちに向かってきてませんか!?」

ステイル『何!?』

土御門「くっ……あの野郎、探索系魔術を使う人間を潰しにかかったか……!マズイ、来る―――ッ!」

佐天「す、すいません一旦切りま――――」ザザッ



ステイル「ちっ……」

上条「おい、今のどういうことだよ!?」

ステイル「どういうこともくそもあるか。オリアナは今土御門の所にいる」

上条「なっ……アイツの身体はボロボロなんだぞ!?戦えるはずないのに……!」

ステイル「そんなことは解っている。そのために彼女が居るんだ」

上条「彼女って、佐天さんのことか?無理だろ、佐天さんは今までずっと魔術に関わってきていなかったんだぞ!?
    中学生がプロの魔術師に勝てるわけないだろ!!」

ステイル「そんなこと僕だってわかっている。だが単純に見れば2対1だ。勝率が無いわけでもない。それに、彼女の能力はそれなりに強力だ。だが―――」

上条「あ?なんだよそこまで褒めといて……」

ステイル「彼女が君のように甘い人間だったなら、死ぬかもしれないというだけだよ」

353: ◆oDLutFYnAI 2010/04/29(木) 00:53:08.83 ID:IATwa/co
眠いから寝るおー。しかしそうか、今日が佐天さんのキャラソン発売日か。胸が熱くなるな……買わないけど
しかしだな、のくすってのは天国みたいな所だな。佐天さんが初春にネコミミはやすss見た時は世界が視えたわ。




―――路地裏にて

シオン「私の出番です!」

さつき「い、いきなり何言い出してるのさシオン~」

リーズ「今日もいい天気だな……」

白レン「暑いだけじゃない……そりゃ少しは涼しくなってきたけど」

さつき「でもこの時期ってそうめんの安売りとかしてるから有難いよねー」

リーズ「いい加減そうめんばかりでも飽きるんだがな」

シオン「しょうがないです、お金が無いんですから」

白レン「ちょっと遠野屋敷行っておやつもらってくる」

シオン「抜け駆けは許しませんよ!!」

さつき「いいなぁー私も遠野君と一緒にババロアとか食べたい……」

リーズ「何故ババロア?」



寝るますすみません。

355: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/04/29(木) 01:11:03.99 ID:IATwa/co
ステイル「目の前に壁はないぜー」フンフン

神裂「?随分機嫌が良いのですね、歌うなんて」

ステイル「何、僕も随分有名になったもんだと思ってね」

神裂「はぁ?」

ステイル「ふふ、炎を使うという点では全く同列、ということか……クールで知的、それでいて最強ということも共通点かな」

神裂「あの、いきなり何を?」

ステイル「そうだ、今までは炎を出すだけで終わっていたが今度は方向性を持たせて発射してみようか。
      イノケンティウスの突きがのびるイメージかな。第四波動、ふふ、なかなかいい名前じゃないか」

神裂「?ああ、新しい魔術の開発ですか。精が出ますね。ですがまずはそのイノケンティウスに頼り切りな部分をどうにかするべきでは……」

ステイル「しかし熱を吸収……くっ、熱ではなく炎を操る僕には出来ないことか……いや待て、僕は天才ルーン魔術師だ、出来ないなんてことはないだろう。
      それにこのままではあの最下級ニードレスと同じじゃないか……くそっ、くそ!!!」


神裂「にーどれす?必要ないのですか?」

ステイル「いや、もういっそのこと焼き尽くす方向でいくべきか。摂氏3000度なんてこと言わずに1万度くらいまで……そうすれば触れたものを一瞬で融解できるな。
      そうだ、それをつかえば炎神の息吹とかもできそうだ。は、ははは!さすがは僕だ!天才だ!!」

神裂「もういやだこの14歳」



初代OP聞いてたらな……寝る寝るねー

365: ◆oDLutFYnAI 2010/04/29(木) 20:42:59.31 ID:IATwa/co
オリアナ「あらあら、お姉さんは女の子と遊ぶ趣味はないんだけど?」

土御門「ちっ……」

オリアナ「あら?なんだか何もしてないのに既にくたくたみたいね。待ちきれなくて自家発電しちゃった?」

佐天「(自家発電……?)土御門さん、下がっててください……その身体じゃ満足に動けないでしょ?」ボソボソ

土御門「女の子だけに無理させるわけにはいかないにゃー……せいぜい足を引っ張らないようにするぜい」ボソボソ

佐天「……とんでもないですよ、ありがたいです」ボソボソ

土御門「にゃー……奴の魔術はあの単語帳を噛みきったときに発動するぜよ」ボソボソ

佐天「つまり初動作は完全にまる見え、ってことですか……」ボソボソ

土御門「ただどういう魔術が発動するかさっぱりだがな……気をつけろ、発動した瞬間昏倒するようなものまである」ボソボソ

佐天「マジすか……」ボソボソ

オリアナ「作戦会議は終わったかしら?それじゃあ―――」

367: ◆oDLutFYnAI 2010/04/29(木) 20:57:53.90 ID:IATwa/co
「『背中刺す刃』―――覚えておけ」

「そう……ならお姉さんも告げるわ。『礎を担いし者』―――覚悟しなさい」

 どこの言葉だかは解らなかった。けれど、その言葉を口にした途端、二人の気配に緊張感が増した。
 若干置いてけぼりな空気の中オリアナの視線がこちらへ向けられる。

「それで?お嬢ちゃんの魔法名は教えてくれないのかしら?」

「その子はあいにく魔術師じゃなくてな……そんなもの持ち合わせていないんだよ」

「あら、ならば無粋だったかしら?いえ、無粋なのはどちらかしら―――ね?」

「……それならせいぜい名乗らせて貰いますよ。『第四波動』―――恩人に貰った、私の能力名です」

「ふふ……科学の街の名前なんてたいした意味は無いとは思うけど、その意気だけは買ってあげるわ」

 言い終わるが早いか、オリアナは手にもったカードを噛みちぎった。


 
 そして戦いは始まった。私の、魔術師との初めての真剣勝負が。

386: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 17:00:06.19 ID:4Sithbso
 オリアナの前方に縦横それぞれ5本の荒縄が現れ、彼女を包み込むように編みあがる。
 させるか、と土御門さんが駆け出したが遅かった。オリアナが人差し指てぴん、と縄をはじいた瞬間、縄から液体が染み出し、膜を作る。
 
 (不味い―――!)

 一歩遅れて土御門さんを追い掛けるように私も駆け出す。
 戦闘が始まった瞬間から能力を発動していた私は、あの液体に渦巻く複雑なベクトルを視た。
 おそらく、あと次の刺激でその熱は解放される。そしてオリアナはその一度をまだ与えない。つまり。

 (土御門さんにわざと打たせてカウンターを狙うつもりってことか……!)

 今の土御門さんは魔術が使えないうえに満足に動けない。カウンターなど食らったら避けることも出来ないだろう。
 そもそもオリアナを囲むようにして組みあがった縄からは、どの方向に逃げてもたいして意味は無い。
 口に出しても間に合わない。今は土御門さんを止めなければ。
 だが、あと一足で届くという所で、土御門さんの一撃が放たれてしまった。

388: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 17:15:38.36 ID:4Sithbso
 直後、魔術は炸裂した。
 液体は振動で飛散し、その一滴一滴が炎の針となって周囲を焼く。
 だからこそ、その一瞬の前に。
 私は土御門さんを引っ張り、押し倒して覆いかぶさった。
 私にとって炎など大した問題じゃない。いくら形状が違えど、炎で形性されているのであれば、いくらでも吸収できる。

「ふふ、こんな場所で随分大胆ね?そっちのお嬢ちゃんが何をしたのかはわからないけれど、すぐに立ちあがらないと死んじゃうわよ?」

「言われなくても……!!」

 ふざけた口調を叩きつぶすように拳を構えて吠える。

「第四……波動!!」

 腕の金属が振るえ、熱は炎となって前方を焼く。
 構えから発動まで1秒とかからない―――だが、オリアナはそれを軽く避けた。
 
「駄目駄目、そんな単純な攻撃じゃ男の子は飽きちゃうぞ?もっといろんな方向から刺激を与えてあげなくちゃ、ね」
 

389: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 17:32:37.29 ID:4Sithbso
「軽口を叩いている暇があるのか?」

 消えゆく炎の中から土御門さんがオリアナへ跳びかかり、右腕でわき腹めがけて殴りにかかる。
 だが彼女は全く動じず、軽く身体を半転させただけで避け、空振りでガラ空きになった身体に真下からひざ蹴りを食らわせる―――
 ―――ことを予想していたのか、土御門さんは左手でそれを受け止めた。
 そしてそのまま手を回し、膝の破壊へと繋げ―――

「―――ッ!下がって土御門さんっ!!」

 土御門さんがハ、とオリアナを見上げた時にはもう遅かった。
 彼女は残念でした、とでも言うように嗤い、単語帳を噛みちぎる。
 舌打ちをしながら回避に回るが、間に合わない。
 地面から生えた円柱が四方から土御門さんを押しつぶした。

「―――が、あああああっ!!!」

「ふふ、男の子の独りよがりな運動は嫌われちゃうぞ?」

390: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 17:54:53.52 ID:4Sithbso
 円柱はすぐに崩れ落ち、続けて土御門さんの身体が支えを失ってその場に倒れる。
 
「これで一人目は終わりかしら?随分あっけなかったわね」

「土御門さんっ!!―――このおっ!!」
 
 たまらず私も跳びかかる。顔面めがけて振るった拳は、しかしいとも容易くいなされてしまった。

「だから言ったでしょ?そんなんじゃ飽きちゃうって。ほら、お姉さんがお手本見せてあげるわね」

「何を―――きゃっ!!」

 虚空から水が光線のように飛び出し、身体を貫ぬく。
 だがギリギリで急所は外れていた。それを見たオリアナが単語帳を咥えながら愉快そうに笑った。

「あはは、運がいいのねえ。ま、これは位置がランダムだからしょうがないんだけど―――それよりも。
 さっきは攻撃を打ち消してたのに今回はしなかったわね?お嬢ちゃんもあの男の子みたいな能力者だと思ってたんだけど、違うのかしら」

392: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 18:23:47.89 ID:4Sithbso
 オリアナの攻撃は終わらない。
 彼女の手に野球ボール程の大きさの球体が現れる。それをこちらへ向かって投げたかと思うと、
 それは奴と私との中間地点で破裂し、炎の槍となり、一瞬で私の心臓へと届いた。
 それは直線ではなく、奴が投げた瞬間に横に移動していた私に向かって狙うかのように飛び出してきた。
 おそらく、投げた時の速度と槍に変化し追尾してくる速度の差を利用したモノだろうが、炎であるのなら私にとって意味をなさない。

「へぇ、これで終わりかと思ったのだけれど。さっきも炎は消してたし、お嬢ちゃんに火は効かないのかしらね?なら」

 単語帳を噛みきる。だが、何も起こらなかった。

「……あら、失敗しちゃったかしら」

(不発……?確かにあの『速記原典』は普通の原典とか言うのと違うとは聞いてるけど、そんなことって……?)

 オリアナは少々困った顔で噛みちぎったカードを調べている。
 普通この真剣勝負の中でそんなことをしている暇などないはずだ。
 その行為は余裕の表れなのか、それとも実は何か発動していて、私が動いた瞬間起動するのか。
 奴が動いてこないこともあって、ついそんな事を考えてしまって―――目の前に近づいた空間の揺らぎに気付けなかった。

「…………ッ!!?」

 反応しようとしたが既に遅い。
 炸裂した空間の衝撃を受けて、私は後方へと吹き飛ばされる。

393: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 18:31:46.09 ID:4Sithbso
 (くそ……不味いな)

 オリアナの攻撃を食らって倒れた土御門は意識を取り戻していた。
 彼の魔術名は『背中刺す刃』。彼の身体を、佐天涙子の身体を犠牲にしてでもオリアナを死止めることに専念する。
 そのために隙が出来ないか様子をうかがっていたが、佐天涙子は先ほどこちらへ吹き飛ばされてきた所だ。
 魔術師との戦いの経験が圧倒的に少ない彼女には、これ以上期待できない。
 おそらく、オリアナは次の一撃で自分達を確実に葬る魔術を発動するだろう。

 (『赤ノ式』を詠唱するとなると気付かれてアウト……となると、ここで奴に一番ダメージを与えられる方法は……)

 攻撃のための詠唱は時間がかかり過ぎて使えない。襲撃するには間合いが離れすぎている。
 そして奴が不用意にこちらへ近づいてくるとは思えない。

 (打つ手無し、か……くそ)

 せめて、横で動けなくなっている少女には助かってほしいが、それも無理だろう、と諦めてしまう。
 それほどまでに、状況は絶望的だった。

394: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 18:44:48.75 ID:4Sithbso
「予想より早く果ててしまったのね。せっかくの3Pが楽しめると思ったのに、残念だわ。
 こんなことなら結界なんて張らなくても大丈夫だったかしら?外部からの応援が来られると面倒だからと思ったのだけれど。
 一般人が偶然気づくなんてことは勿論、内部からの情報が一切漏れなくて、プロの魔術師でさえ察知するのが難しいってくらいの
 優れモノだったのに、無駄になっちゃったわね」

 ふぅ、とオリアナはため息をひとつ。
 それは魔術名を名乗るくらいの覚悟が見られなかったためか、貴重な魔術を無駄に消費してしまったからなのか。
 残念そうに、二人を必殺できるようなな魔術を探しているオリアナをよそに、土御門は思考を巡らせる。

(外部、に、気付かれない―――か……そうか、それなら―――。
 くそ、上手くいってくれよ……おそらくこれが、一番の手だからな)

 オリアナの死角となっている左手の指で折り紙を折る。奴の魔術が発動するより早く、だが焦らず確実に。
 しかし、現実は非常である。
 
「さて―――それじゃあ後悔なさい。その程度の覚悟で、魔術名を名乗ってしまったことに」

 オリアナはカードを一息で噛みちぎり、はらりと床に落とす。
 直後、五角形の柱が床から飛び出し天井に突き刺さる。

(くそ―――間にあえよクソッタレ!!)

395: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 18:52:27.74 ID:4Sithbso
   ヘイワボケシタクソッタレドモ!    シニタクナケレバメヲサマセ!
「全テヲ始メタ合図ヲ此処ニ!眩キ光ト鋭キ音ト共ニ!」

「あら、まだ動けたの?でも遅いわよ」

 咆哮した土御門をよそに、魔術は発動する。
 五角形の柱は無限に炸裂し鉄片と化す。ソレは辺りの物を破壊しながら彼らに向かっていく。

「く―――!!」

 動かせない身体を引きずっての回避行為。
 しかし。
 通路の全てを埋め尽くす鋼鉄の津波を避ける術は無かった。
 

397: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 18:56:04.93 ID:4Sithbso
だっはー少し休憩!つかこんだけ書くのに2時間とかなんなの。なんなの。
昨晩はいきなりね落ちしてごめん。でもしょうがない、しょうがなかったんだ。

どうでもいいがようやくニードレス10巻とゼロツー買えた。凛可愛すぎだろ……くそっ、ちくしょう!!!
あとカフカがなんか救われてて嬉しかった。どうでもいいけど。
しかし禁書のキャラって基本救われねぇよな……かまちーは鬼畜。

 
402: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 19:26:44.63 ID:4Sithbso
オリアナ「――――最後に男の子らしい維持を見せた、ってトコかしら?」

オリアナ「あの一瞬でよくお嬢ちゃんを柱の陰まで引っ張ったわね……でもま、壊れたコンクリートの塊で半身埋もれてるし、
      攻撃も当たったみたいだし、生きてはないでしょうね」

オリアナ「さて、結界とかないと――――え?」



土御門「……オレの手でも、破れる程度みたいだったな」

オリアナ「……あらあら、意外と激しい運動もオッケーな人だったのかしら?でも、こんなことして何になると言うのかしらね。
      まさか、応援でも呼ぼうとしてたのかしら?」

土御門「何だ……わかっているじゃ、ないか……」

オリアナ「……馬鹿ね。あんな二人が来たところで、お姉さんならどうとでも―――」

土御門「何を勘違いしている―――そっちじゃない」

403: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 19:39:44.52 ID:4Sithbso
佐天「(――――ぁ、く)」
――――夢を見た。
      神父の姿をした人と戦っている夢だ。
      たくさんの能力を使って戦ってくる相手に対して、こちらは1つの能力で戦っていた。
      凍らせ、炎を出し、攻撃を吸収して、風を起こし、切れない糸を破壊して。
      そんな場面を見ながら、やっぱりこの能力はすごいんだなぁなんて、他人事のように関心していた。
  


佐天「(痛―――頭、いたい……あれ、私、確か―――ああ、そうだ、オリアナの攻撃で)」


―――か、貴様は――――

――――ね、イギ――――

佐天「(この声……土御門さん、と、オリアナ―――?あ……よかった、土御門さん、大丈夫だったんだ―――)」

佐天「(う……重……)」チラッ

佐天「(……うええええなんで土御門さんに押し倒されてるの!?いきなり頭はっきりしちゃったんだけど!!)」

404: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 20:03:05.80 ID:4Sithbso
佐天(つ、土御門さん……あの……)

土御門(気がついたかにゃー……ちょっと我慢しててくれい)

土御門「さて―――俺は神裂にはちょっとした貸しがあってな。アイツはそういうことを重んじる奴だ。
     俺がこんな身だと知ればすぐに駆けつけるだろうよ」

佐天(え、神裂さんが来てくれるんですか?)

土御門(ブラフだにゃー……もしもの時は話をあわせてくれると助かるぜい)

土御門「おっと、今更コイツを破壊しても無駄だ……既に送信しちまったから、もう必要はない」グシャッ

オリアナ「―――なら、ここであなただけは殺しておくわ。今のあなた達を殺すのに5秒も必要ないのだから」だっ

土御門「くっ―――!」

佐天「土御門さんっ、どいてください!!」がらっ

オリアナ「なっ……!!」

佐天「このっ、第四波動!!!」

405: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 20:09:24.18 ID:4Sithbso
オリアナ「っ!動けるとは思ってなかったけど、でもお嬢ちゃんじゃ私には勝てないわよ!」

佐天「は!勝てなくて結構ですよ!!」


―――夢の内容を思い出す。
    そしてこの場で出来る最善を考える。
    状況を整理。手負いが一人。行動不能が一人。ブラフは張った。
    地面には粉になるまで刻まれたガレキの残骸。
    するべきは逃走。ここで向かっては死ぬだけだ。
    つまり。

(―――出来る。ベクトルを視覚化して、夏休みに読んだ本の内容を思い出して、今見た夢を思い出して、頭の中から左天さんの経験を汲み上げれば)






「―――ストリームディストーション!!」

406: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 20:13:03.72 ID:4Sithbso
オリアナ「っ!!風で粉塵が―――目くらましってわけね」

オリアナ「(―――駄目ね、魔術を使えばこんなものすぐにかき消せるけれど……
       あのお嬢ちゃんはまだ動けたみたいだし、下手に追うとカンザキカオリが来るかもしれない)」

オリアナ「(ま、厄介な子と術式の元は潰せたみたいだし……ここが退くべきところね)」





佐天「……ふー。行ったみたいですね」

土御門「……助かったにゃー」


408: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 20:20:41.94 ID:4Sithbso
土御門「ナイス判断だにゃー……佐天ちゃん」

佐天「土御門さんがブラフはってくれましたからね……ところで、さっき握りつぶしてた折り紙はなんだったんですか?」

土御門「これもブラフだぜい……しかしな、佐天ちゃん」

佐天「はい?」

土御門「……12歳のわりに結構大きいんだにゃー……義妹とは大違いにゃー。ま、オレはつるぺた派だけど」

佐天「え?…………ひっ、いやぁぁぁあああっ!!」ばっ

土御門「あ痛っ!!こ、これでも重傷なんだからもう少し……」

佐天「非常事態にかこつけて胸の感触確かめてる人なんて知りません!!もー!」カアアア

土御門「あ、安心するにゃー……オレはツルペタの方が好きで……」

佐天「そういう問題じゃないっす!!」がーっ


409: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 20:24:03.08 ID:4Sithbso
佐天「もぅ……それで、大丈夫なんですか?」

土御門「……大丈夫だにゃー。オレも一応「肉体再生」って能力あるしな……レベル0だけど」

佐天「それってあんまり意味ないんじゃ……」

土御門「ま、血管繋げるくらいには……それに、骨はどこも折れてないしにゃー」

佐天「あれ?あの時思いっきり攻撃くらってませんでした?」

土御門「咄嗟に腕でガードできたんだぜい……」

土御門「それより佐天ちゃんは……ステイル達に連絡して、出来ればオリアナをおっかけて欲しいにゃー……」

佐天「了解っすー」

411: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 20:34:48.88 ID:4Sithbso
佐天「――――はい、お願いします」ピッ

佐天「連絡しました。この場所と、逃げたと思う方向と」

土御門「さんきゅー……それじゃあ、オレはこのぼろっぼろな身体を直すことに専念するかにゃー……」

佐天「出来るだけ身体が治るイメージをしたほうが治り早いと思いますけど……」

土御門「そうかにゃー?……ま、やるだけやってみるぜい」

佐天「……それじゃ、私はちょっとおっかけてみま]pllllllllllplllllllllllllllll

佐天「うぇ……こんな時に……もしもし?」ピッ

初春『ああっ!佐天さん何してるんですか!!もうすぐ次の競技始まりますよーっ!!』

佐天「……あー、競技ね……」

初春『?どうしたんですか佐天さん、なんだかすっごいテンション低いですけど』

佐天「いや、その……ごめん、今はちょっと無理かも」

初春『えぇーっ!?次の『ドキッ!学園都市水泳大会中学生編!!参加は各校3人まで!随時受け付け中!ポロリもあるよ!』の優勝者はポイントたくさん貰えるのに!
   クラスに留まらず学校の皆が期待してましたよ?『あの障害物リレーを走りぬいた佐天さんならこれも……!』って!
   うちの学校水流操作系少ないから、肉体強化のできる人が欲しいって……って、そうですよ佐天さん!あの時のジャンプ力とかなんなんですか!?
   まさか夏休みに走りこみしてた成果がここにきて炸裂したんですかーっ!?!?』

佐天「まあ、ほらねえ?根性?みたいな?」

初春『そんな言葉ではぐらかさないでください!ちゃんとせつm」ピッ


佐天「……ごめんねー初春」

412: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 20:37:58.95 ID:4Sithbso
土御門「……別にいいんだぜい、行ってきても」

佐天「そういうわけにはいきませんよ……土御門さんがそんな身体になるまで戦ったのに、私だけ遊んでるわけにはいきません」

土御門「……すまないにゃー」

佐天「謝らないで下さいよ。私がやりたくてやってるんですから。
    それより、ほら、こんな仕事さっさと終わらせましょう。
    それで一緒に屋台とか回りましょうよ。きっと楽しいですよ」

土御門「……そうだにゃー。さっさと終わらそうぜい」

佐天「はい……っと」ぐらっ



佐天「……あれ?」

413: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 21:25:25.84 ID:4Sithbso
佐天「お、……っとと」ぽてっ

土御門「……どうしたのかにゃー」

佐天「……いやぁ、動けないっす」

佐天「うぅーん……能力を割と長い時間併用したからかなー……ストリームディストーションとか言うのを使ったせいかもしんにゃい」

土御門「……はぁー。ならしかたねーにゃー。ここで仲良くお休みだにゃー」

佐天「くっそー、なんだかんだでオリアナに足止めくらっちったなー。悔しいなー」

土御門「あんまりもぞもぞすると髪の毛傷めるぜよー……うぉう」

佐天「?どうかしましたか?」

土御門「いや……なんでもないにゃー」

土御門「(とんでもないにゃー。こっからだと半ズボンの間から見えるぜよー……)」

土御門「(舞華以外に興味はないとは言え男として……って違う違う!)」

土御門「(それにしても健康そうなふとももだにゃー……)」


佐天「(なんだかいやらしい目線を感じる……)」

佐天「……土御門さん」

土御門「にゃー!?な、なにかにゃー?」

佐天「……ほーら」もぞっ 

土御門「ばっ、そんなことしたら完全に見え……あ」

佐天「やっぱり見てたんですかこの変 ー!!」

土御門「不可抗力だにゃー!!」

佐天「うるさいっ!もーこのハーフパンツはこれだから嫌なんだよぉ……」

421: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 22:40:28.27 ID:4Sithbso
土御門「―――――」

佐天「――――」

土御門「――――――ぐぅ」

佐天「って寝てるんですか!?」

土御門「……冗談だにゃー。まー寝てた方が治りは早いが、いつ何が起こるかわからん戦場で居眠りするほど腑抜けちゃいないぜい」

佐天「そうですか……」

土御門「けどにゃー佐天ちゃん」

佐天「なんですか?」

土御門「いくら半ズボン下からみられるのが嫌だからって、向かい合って横になるのは、これはこれで恥ずかしいものがあるにゃー」

佐天「上向いててくださいよ……私は髪の毛下にしたくないから横になってますけど」

土御門「いやー背中刺されてるから仰向けになると痛いんだにゃー」


422: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 22:48:20.05 ID:4Sithbso
佐天「そういえば、ちょっと気になったんですけど」

土御門「んー?」

佐天「『使徒十字』を使う制限って何なんでしょう?私なら熱吸収しなきゃ何もできませんし、ステイルさんならカード貼らなきゃいけないですし」

土御門「……いや、待て。いきなりすぎて話がわからん」

佐天「いやだって、取引、ってのが『刺突杭剣』を誰かに渡す、っていうのならわかりますよ?
   けど違うじゃないですか。『使徒十字』を刺せば取引が終わるのなら、なんですぐにやらないんでしょう?」

土御門「……言われてみれば、そうだにゃー」

土御門「……おそらく、場所じゃないかにゃー」

佐天「場所?」

土御門「風水や陰陽術において場所……まあ方角だとか龍脈・地脈だとかは凄く重要なんだにゃー。
     他の魔術も、その場の力を借りて発動する魔術とかは結構ある……人間一人が持つ力より、自然の力の方が強力だから当たり前だにゃー。
     おそらく、『使徒十字』もそういったモノを利用するんだろうぜい」

佐天「ああ、だからオリアナはあんな風にうろうろ街中を歩きまわってるってわけですか……」

土御門「可能性は高いにゃー」

423: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 23:04:03.13 ID:4Sithbso
佐天「んー……あと1つ質問あるんですけどいいですかねー……」

土御門「おー、佐天ちゃんはなかなかいいところ突くから参考になるぜい。
     オレやステイルみたいなプロだと流し気味になる部分とかにゃー。そういう意味ではカミやんにも期待してるんだが、
     アイツはどうにも頭に血がのぼりやすくてにゃー……」

佐天「熱血ですからねぇ……それで、ですね。
   義妹とは大違いとか、ツルペタ好きとか言ってましたけど、土御門さんってシスコンなんですか?」

土御門「シスッ……!違う!断じて違うぞ!この土御門元春転じて陰陽の天才が義妹一直線だなんて事実はぐはァ!!」

佐天「わわっ、何してるんですか!傷口開いてますよ!」

土御門「さ、さてんちゃんがおかしなことをいうからだにゃー……」

佐天「……土御門さん」

土御門「な、なんだにゃー……」




佐天「土御門さんって、こういうのは反応するんですか?」ぴらっ

土御門「」

425: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 23:10:36.33 ID:4Sithbso
佐天「……うわぁ、何期待してるんですか」

土御門「えぇー……だったらいきなり体操服のすそを引っ張ってへそみせたりしないで欲しいにゃー……」

佐天「いやぁここで何も反応しなきゃシスコン確定かなぁ、と」

佐天「で、反応は……無しですか。こりゃーシスコン確定ですね!あっはっは!」

土御門「ちょっ、どこ見て確認したの!?12歳がそんなことしちゃダメだぜい!?」

佐天「あ、けどさっき   見ようとしてたしなー。うーん、刺激が足りないのかな?」つつー

土御門「うごはぁ!や、やめろ佐天ちゃん!!自分の身体を売るようなことはしちゃいけないんだにゃー!」

佐天「売るって……ただ体操服を上にずらしてるだけじゃないですか。それにそんなこと言うなら目つむればいいんじゃないですか?」つつー

土御門「それは男である以上不可能だにゃー……」

佐天「そんなもんですかね……さて、体操服が限界まできました。見えそうで見えないってやつですね。
   男の人ってこういうのが好きって聞いたんですけど……反応……無し、だと……」

佐天「くっ……なんだろう、この敗北感……かくなる上は……!」ずりっ


427: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 23:15:19.38 ID:4Sithbso
土御門「oh...」

佐天「へへ…… もギリギリまでおろしましたよ……?
   どうですか……?」







佐天「……反応無し……だと……!」

佐天「こ、これは私に女としての魅力が無いからなの!?それとも土御門さんは本当にシスコン……
    ど、どっちに転んでも最悪だ!」

土御門「なんなんだこの辱め……死にたい」

佐天「は!そうか、土御門さんは   なんでxxxすね!そうだ、確かチラリズムとかいう言葉があったはず!!
   なるほど……土御門さんはその見えそうで見えない感が……って今がその状態なんじゃないの!?
   ちっくしょぉぉぉおおおおおお!!」

土御門「落ち着くにゃー佐天ちゃん……あんまりもぞもぞすると、その、本当に見えちまうぜい」

佐天「え?……あわわわわわ///」ババッ

土御門「あそこまで自分でしといて何をいまさら恥ずかしがっているんだにゃー……」

429: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 23:18:41.37 ID:4Sithbso
初春「むむっ!!今佐天さんの●●が危なくなりました!!」

級友「ちょっ……いきなり●●とか言わないでよ!!」

級友2「けどなんで佐天さんこなかったんだろーなー。来たら絶対優勝してたのに」

初春「うーん、なんだか息もたえだえ、って感じはしてましたけど……」

431: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 23:24:11.47 ID:4Sithbso
佐天「くっ///ここまできたからには、絶対に反応させてやる……!」ばっ

土御門「ちょ、佐天ちゃん動けたのかにゃー!?」

佐天「気合いでなんとかしました!!」

土御門「えー……って何やってるんだにゃー!!」

佐天「密着してみました!」ドキドキ

佐天「えへへ……さすがにこれだけすれば……」チラッ

佐天「……嘘だろ承太郎。まさか土御門さんって不能……」

土御門「違うから!そんなことないからそんな目で見ないで!!」グイグイ

佐天「ぅん……へへ、怪我で力がはいってないですよ?
   けど、これじゃ私も引き下がれませんし……」すっ

土御門「」ビックーン

佐天「どぉですか……?おなか、なでられるのって気持ちいいですかぁ……?」

土御門「」

434: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 23:28:12.19 ID:4Sithbso
佐天「……な、何か反応してくださいよ。せっかく甘い声ってやつ出してみたのに恥ずかしいじゃないですか///」カァァァ

土御門「……は!」

土御門「落ち着け佐天ちゃん!本当に!これ以上はストップ!!」

佐天「……ふふ、照れてるんですねぇ」なでなで

佐天「こことか……ふぁあ、すご……土御門さんってすっごいいい身体してたんですね……」すりすり

佐天「えっと、男の人も、その……、  とか、感じたりするんですか……?」すりすり


土御門「(どうしてこうなった……)」


 

454: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 23:46:58.49 ID:4Sithbso
初春「とかなってたら面白いと思いませんか!?」ンフー

級友「ななななな何行ってるのよ初春さん!!!///」カァァァ

級友2「というか佐天さんって初春さんの親友だろー?そんなこと考えちゃっていいのかよ」

初春「いいんです!私と佐天さんの仲ですから!」

級友2「えー。つーか何時もそんな風に考えてるの?」

初春「だって興奮しませんか?あの佐天さんが!男の人の味を知るとかそういうシチュエーション!
    きっとxxxxな娘になると思うんです!!」

級友「え、xxxxって……///」

級友2「はいはい、お前もそんな耳まで真っ赤にするくらい初心なら聞かないの」

級友「だ、だってぇ……」

初春「ふふ、級友ちゃんは結構なむっつりさんですね!!どうですか、これ以降の展開も聞きたくないですか!?」

級友「……き、聞きたいかも」

級友2「はぁー……やれやれだぜ」

初春「なら、続きはwebで!私、佐天さんをモデルにしたss書いてるので!あ、コレサイトのURLです」

級友2「えー」

460: ◆oDLutFYnAI 2010/04/30(金) 23:50:44.58 ID:4Sithbso
インデックス「そんなわけで>>427まで戻るんだよ!!」



佐天「うぅ……何であんな恥ずかしいことしちゃったんだろ……」

土御門「涙目になるくらいに後悔するなら最初からしなけりゃいいんだにゃー……」

土御門「それに佐天ちゃんはちょっと発育いいけどまだ12歳だぜい?そんな子に欲情したら
     ただのロリコン、変 だにゃー」

佐天「まあ、それもそうですけど……そう考えると土御門さんが変 じゃなくてよかったです」

土御門「俺は紳士だからにゃー。立てばジェントル座れば紳士、歩く姿はマジ紳士とは俺のことだぜい」

佐天「えぇー……金髪グラサンアロハシャツのどこが……」

土御門「心の問題だにゃー。ほら、早く身体の回復に努めるぜい」

佐天「そうですね……」

477: ◆oDLutFYnAI 2010/05/01(土) 19:21:14.93 ID:PD3OJC.o
佐天「……ふぅ」

佐天「(ただぼんやりしてるってのも暇だなぁー……情報を整理してみようかな)」

佐天「(目的は『取引』を止める事。
    『取引』の内容は『使徒十字を使用しての学園都市の制圧』。
    条件は『使徒十字』を『ある特定の位置』に突きさすこと。これはまだ推測だけど。
    で、何も持っていないオリアナが学園都市を練り歩いているのはそのポイントを探すため。これも推測なんだけどね。
    止めるには、
    1、『使徒十字』を奪う、または破壊すること。
    2、オリアナ、リドヴィアを捕えること。
    の2つだけど、オリアナは今『使徒十字』を持っていないし、直接的な解決にはならない、と。
    ということはリドヴィアが『使徒十字』を持っているということになる……けれど居場所が特的できない。
    そのためにオリアナを捕えて居場所を聞き出すしかないんだけど、たぶん口割ったりしないだろうなー)」

佐天「(さて、こっからは想像力を働かそう)」

佐天「土御門さん、今大丈夫ですか?」

土御門「……にゃー。さっきみたいなことじゃなけりゃいくらでも」

佐天「まっ、真面目な話です!!というかさっきのことは忘れてくださいっ」カァァァ

478: ◆oDLutFYnAI 2010/05/01(土) 19:32:35.17 ID:PD3OJC.o
佐天「それでですね、今からちょっと色々仮定してみるので、意見ください」

土御門「仮定……?」

佐天「もともと『刺突杭剣』がブラフだったじゃないですか。そんな感じで、こっちが持ってる他の情報も嘘が混じってるかもしれないんで」

土御門「ああ……そういうことかにゃー」

佐天「そういうことです。それで、まず一つ目ですけど。
    今のところオリアナとリドヴィアが事件の中心ですけど、本当に二人だけなんでしょうか」

土御門「……確かに『使徒十字』は見る奴が見れば泣いて平伏すような霊装だぜい。そんなものを遠い極東の国へ
     持ってくるってのに、二人ってのは少なすぎるってのはあるにゃー」

土御門「けどそんな大勢で学園都市に押し寄せたらさすがに他の魔術組織にバレちまうにゃー……
    それはやつらとしても望まんだろうぜい。何せこっそり『侵入』してきてるくらいだからにゃー」

479: ◆oDLutFYnAI 2010/05/01(土) 19:40:15.55 ID:PD3OJC.o
佐天「そこで次の仮定の話なんですが……そもそも学園都市内に侵入してきてるんでしょうか?」

土御門「……は?」

佐天「いやぁちょいと思ったんですけどね。オリアナは確かに居ましたよ?けど、そのオリアナが怪しすぎるんですよ」

佐天「ステイルさんを自動迎撃したり、あんな強力な魔術を次々繰り出したりする……えっと、『速記原典』でしたっけ?
   それがあるんですよ?素人目に見てもオリアナが凄いってことは解ります。
   だからこそどうしても気になるんですが、なんで『自分を追わせない』魔術とか使わないんだろうなー、って」

佐天「人払いだとか、さっき土御門さんが壊したって言う結界だとか、そういった『発見されない』魔術があるんですから、
    それを常に張っておけば安全に行動できるじゃないですか。
    能力にも他人の認識をズラすような能力がありますけど、だったら魔術にもそういうのあっても不思議じゃないですよね?」

土御門「……そりゃーそうかもしんねーが……けどオリアナの魔術ってのは二度と同じもんを使えないって制約があるんだにゃー。
     もしかしたら今までそういうモンを使ってるから、使いたくても使えないのかもしんないぜい」


480: ◆oDLutFYnAI 2010/05/01(土) 19:56:39.53 ID:PD3OJC.o
佐天「なるほど……ん、でもやっぱりなんだか引っかかりますね」

佐天「『運び屋』で、『追跡封じ』なんて呼ばれてるくらいなんだから……他人から追っかけられない魔術が底をつくような
   へまはしないと思うんですけど……実際に戦ってわかりましたけど、その辺りぬかりなさそうですもん、あの人」

土御門「……待て」

土御門「それは正論だ……あのバリエーションなら確かに……いや、だが、そうすると……」

佐天「『追跡封じ』のための魔術を使わない。『刺突杭剣』他、嘘が混じった信用できな情報……」

土御門「……嘘をつくのは本命に目がいかないようにするため……
    この場合、本命ってのは『使徒十字』のことだと思っていたが……」

佐天「―――その『本命』を発動させるためのリドヴィアに目がいかないようにするための嘘だったとしたら……?」

土御門「『二人が侵入』ってことが嘘で、リドヴィアは学園の外で待機してる、ってことかにゃー……?」

佐天「……断定するには可能性が足りませんけど、一応頭にはいれておくべきじゃないですかね」

土御門「……何にせよ、『使徒十字』の情報が足りなさすぎる……新しい情報がないと、今のとこは結局推測の域を出ない、ってことかにゃー」

482: ◆oDLutFYnAI 2010/05/01(土) 20:10:25.74 ID:PD3OJC.o
pllllllllllllpllllllllllllllll

土御門「……う、オレか……」ピッ

上条『土御門、大丈夫……なわけないよな。スマン、オリアナを見失った!!位置とかわかんねえか?だいたいでいい!』

土御門「ちょいと無理かにゃー……随分時間たっちまったし、ステイルも理派四陣つかえねーし……」

上条『そう、か……そうだ、ステイルからイギリスからの報告文、ってのを受け取ったんだけど俺読めねえんだよ。
    お前読めるか?今から送るけど』

土御門「暗号とかくさび形文字とかじゃなけりゃーな……っと、コイツはイタリア語か……ふぅん」

上条『何かわかったか?』

土御門「……監査員の愚痴だにゃー……」

上条『……はい?』

土御門「『使徒十字』ってのは二重扉―――研究所のエアロックみたいなもんだけど、その中に保管されてたみたいだにゃー……
     で、だ……それを見張ってた奴らはしきりに天体観測して遊んでた、って書いてあるにゃー」

上条『なんだそりゃ……』

土御門「そのせいで年に二回ある大掃除の日に……ああ、天体観測してたってのはその日なんだが……
     ホロスコープで遊んでたせいで掃除が終わらなくて次の日にまわしてたり……駄目だこりゃ、完全に役にたたねえぜい」

486: ◆oDLutFYnAI 2010/05/01(土) 20:36:00.00 ID:PD3OJC.o
上条『ああ?ちょい待て、ホロスコープ使ってたってことは昼なんだよな?
    なんで昼に掃除するんだ?二重扉にしてあるなら光を防ぐためなんだろ?だったら普通夜なんじゃねえの?
    それに引っかかるんだけど、使徒十字って無茶苦茶ってやべぇもんなんだろ?そんなものをそんな不真面目なやつらに管理まかせたりしねぇと思うんだけど』

土御門「ああ……まあ、狂信者なら見ただけで卒倒するくらいのもんだしにゃー……
     集められた管理者も相当なエリートみたいだし……」

上条『だったらよ、そいつらの行為……天体観測にも、何か意味があったとか考えられないのか?』

土御門「……昼……太陽……を、遮断する必要は無く、夜に……ってことは……星か?」

上条『星?』

土御門「星座……いや、違う……そうだとしたら時期が合わない……」

上条『ちょっ、一人で完結してないでくれよ』

土御門「あー、すまん……いや、星座ってのは馬鹿でかい魔方陣みたいなもんでな……
     大がかりな儀式や魔術にも使用するから、『使徒十字』もそうかと思ったんだが……だとすると時期が合わないんだにゃー」

土御門「おそらく発動させるためにはペテロが死んだ日……つまり十字架が立てられた日になると思うんだが……
     その日と今の時期の星座の様子が全く合わないんだにゃー……」

上条『ああ、冬の星座とかあるからな……ってことは、星座は関係ないのか?』

土御門「いや……オリアナが歩き回っているのが使えるポイントを調べているのだとすると……
     星座、って考えは……正しいと思うんだにゃー」

土御門「今はもうそれくらいしか情報がない……そうだと仮定して動くしかないにゃー、っと」ぐらっ

佐天「うぇ……立って大丈夫ですか土御門さん」

土御門「大丈夫大丈夫……っと、カミやん、また何かあったら連絡してくれ。オレは今からオリアナのたどったルートを逆走して、
     ポイントを見てみる……星座って線が正解なら、次にどこに向かうかわかるかもしれない……じゃあな」

上条『あ、おい待て土御門!!てめぇそんなふらふらな口調で』ピッ

487: ◆oDLutFYnAI 2010/05/01(土) 20:49:07.07 ID:PD3OJC.o
土御門「さて……そんじゃま、行くかにゃー」フラフラ

佐天「お、御供します!!」ばっ

土御門「お、動けるのなら頼むにゃー……こんな調子じゃオリアナとも戦えないから、少しでも体力回復させておきたいからにゃー」

佐天「へへ、任せてくださいよっ……と」ぐらっ

土御門「……ぼろぼろじゃないかにゃー」

佐天「お、お互い様ですよ?」

佐天「それより、さっきの話ですけど……」

佐天「星座を使うと考えると……タイムリミットは6時くらいだと考えた方がいいですよ。最近の日暮れはそれくらいですから」

土御門「そうだにゃー……今は、4時ってことか……急ぐにゃー」

488: ◆oDLutFYnAI 2010/05/01(土) 21:05:11.98 ID:PD3OJC.o
―――――。

土御門「この辺りかにゃー……佐天ちゃん、あそこまで跳べるか?」

佐天「んっ……っと」

土御門「いやー、まさか女子中学生におぶられるなんて思ってもみなかったにゃー。いい匂いだにゃー」

佐天「セクハラ発言すると放り投げますよ?」

土御門「冗談だにゃー……なるほどなるほどー」

佐天「何かわかりましたか?」

土御門「今まで何箇所か廻ってきたが……どこも同じ位置に同じ星座があるにゃー」

佐天「?それって当り前なんじゃないんですか?他の国とかならともかく、これだけ移動しただけじゃ変化なんて無いんじゃ……」

土御門「そう見えるのも仕方ないが……実はほんのすこーし違うんだぜい。それを読み間違えて失敗するヤツもいるしにゃー」

土御門「ま、こんなこと星座を使う魔術師じゃなけりゃ知らなくてもいいことだぜい」

土御門「しかし、こいつはどうやら星座を……しかも、秋の星座を使用するってことで確定してよさそうだにゃー。
     けどそうすると日付の整合性が……わっかんねーにゃー。けどタイムリミットは完全に確定したってことでよさそうだにゃー」

佐天「マジすか……じゃあ、急がないと」

554: ◆oDLutFYnAI 2010/05/05(水) 21:50:24.86 ID:ZE/AlAco
土御門「急ぎたいのは山々だけど、こっからはどう動いたもんかにゃー……
     日付の整合性。コイツの謎をとかねーと目星をつけたとこと全く別の場所で発動されちまうかもしれない。
     魔術ってのはそんだけ繊細なモンだからにゃー」

佐天「うぅーん、魔術関係はやっぱりよくわかりませんが、プロが言うならそうなんでしょうね……
    じゃあ今は打つ手なし、ってことですかね?」

土御門「残念ながらにゃー。今は5時前……マズいな」

佐天「とにかく何かあったらすぐに行動できるように上条さんたちと合流しておきますか」

土御門「それが一番だろうぜい……」


ネーネーアレタベタイッテミサカハミサカハオネダリシテルンダケドゼンゼンキイテクレナイノネアナタ
ウッセーコチトラリハビリトカイッテマチナカウロツカサレテルンダゾシンドイッツゥノ


佐天「あれ?あれって……」

555: ◆oDLutFYnAI 2010/05/05(水) 21:55:10.95 ID:ZE/AlAco
佐天「えっと、すみません、勝手な話なんですけどちょっと抜けていいですか?
    上条さんと合流したらまた電話ください、すぐに行きますから」

土御門「あん?あんまり勝手な行動されっとこっちも困るけどなにかにゃー」

佐天「……能力強化、ってところですかね」

土御門「……ま、今んとこどうしようもねーからにゃー。
     俺もこんな身体だし、少しでも戦力が増えるならありがたいにゃー」

佐天「じゃあちょっと行ってきますね」

土御門「期待してるぜーい」



佐天「いたっ、一方通行さん……!」

佐天「今の私じゃまだ全然戦えない……ベクトル操作くらいできるようにならないと……!」

556: ◆oDLutFYnAI 2010/05/05(水) 22:04:51.26 ID:ZE/AlAco
一方通行「おら、コレやるから買ってこい。俺ァここで待っててやるからよ」

打ち止め「えぇーあなたも一緒に並んでよ、ってミサカはミサカはお願いしてみる」

一方通行「人ゴミなンざ普段歩かねェから疲れたンだよ。買いにいかねェならもう行くぞ」

打ち止め「ハァーイ!ってミサカはミサカはアメリカンに返事して並びにいってくるねー」

一方通行「気ィつけろよクソガキー」



一方通行「ブラックブラックゥーっと……自販機も20円アップしてやがる。随分と守銭奴なこった」ガチャン

一方通行「ッたく、金くれェ武器売りゃァすぐに出来るだろォに」コクコク

佐天「だーれだっ♪」キュッ

一方通行「ッ!?ン、ぐ、げほぉっ!!!がっ、げほっ、げほっ……!!」

佐天「……何してるんですか?」

一方通行「こっちの台詞だ三下ァァァあああああ!!!いきなり後ろから目ェ隠すンじゃねェよむせただろォが!!」

557: ◆oDLutFYnAI 2010/05/05(水) 22:09:21.11 ID:ZE/AlAco
佐天「まあそんなことはどうでもいいんですが」

一方「俺の怒りはどォすりゃいい」

佐天「幼女でも観察して解消してください。それよりですね、1つお願いがあるんですけど」

一方「お願いだァ?ここでその体操着脱ぐくれェの覚悟があるンだったら叶えてやンよ」

佐天「なんという変 。けど体操着脱いで叶えてくれるのなら安いもんですよ」ヌギヌギ

一方「って待てェ!!マジでする……な……?」

佐天「へっへー。実は体操服の下に競技用のタンクトップ着てましたー。え?何?残念だった?」ニヤニヤ

一方「うぜェ」

562: ◆oDLutFYnAI 2010/05/05(水) 22:26:05.99 ID:ZE/AlAco
一方「で?お願いってのは何だよ」

佐天「簡潔に言うとベクトル操作の仕方を教えてください!!」

一方「勉強しろ。以上」

佐天「そうじゃなくて!!こう、コツとかそういうのを!」

一方「……ハァ。いいかァ、そもそもベクトル操作つっても色々あンだよ」

一方「まずここに空き缶があンだろ。今コイツがどれだけの影響を受けてるか解るか?
   星の重力、俺が落下運動を妨げる力、握る時に発生する力、今ァ風吹いてるからその力も入るな。
   他にも説明しきれねェ力が働いてる。そいつを全部把握して解析したところからベクトル操作ってのは始まる。OK?」

佐天「oh...」

一方「だがこれは俺の場合だ。テメェは熱だけだからそこまで考えなくてもいいだろォよ。
   視覚化も出来るンだったか?だったらベクトル自体は頭が勝手に理解してるだろォからただ操作するだけならそこまで難しく無いだろうな」

566: ◆oDLutFYnAI 2010/05/05(水) 22:37:21.28 ID:ZE/AlAco
一方「で?お願いってのは何だよ」

佐天「簡潔に言うとベクトル操作の仕方を教えてください!!」

一方「勉強しろ。以上」

佐天「そうじゃなくて!!こう、コツとかそういうのを!」

一方「……ハァ。いいかァ、そもそもベクトル操作つっても色々あンだよ」

一方「まずここに空き缶があンだろ。今コイツがどれだけの影響を受けてるか解るか?
   星の重力、俺が落下運動を妨げる力、握る時に発生する力、今ァ風吹いてるからその力も入るな。
   他にも説明しきれねェ力が働いてる。そいつを全部把握して解析したところからベクトル操作ってのは始まる。OK?」

佐天「oh...」

一方「だがこれは俺の場合だ。テメェは熱だけだからそこまで考えなくてもいいだろォよ。
   視覚化も出来るンだったか?だったらベクトル自体は頭が勝手に理解してるだろォからただ操作するだけならそこまで難しく無いだろうな」

595: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 20:52:19.15 ID:wx03sx.o
佐天「頭が勝手にって……科学の街で、しかも第一位がそんな論理もへったくれもないこと言っていいんですか?」

一方「まずテメェが規格外だろォが。なンだ能力二つってよ。科学者からすりゃ喉から手が出る程欲しいンじゃねェか?」

佐天「そっ、それは検体としてなんやかんやされちゃうってことですか!?xxx!」

一方「うっせェ死ね」

plllllllplllllllll

佐天「ん、失礼」

佐天「もしもしー?」

土御門『おう、今どこにいるんだにゃー?』

佐天「今ですか?○学区の公園ですけど」

土御門『なら合流するより直接向かって貰った方が早いかにゃー』

佐天「……それはつまり、オリアナの位置が特定できたと?」

土御門『位置っつーよりも使徒十字の発動場所だけどにゃー。23学区。十中八九間違いないぜい』

佐天「……23学区?全然聞きませんね」

土御門『学区全部を丸ごと航空・宇宙開発にあてている場所だぜい。ここでなら他の場所と違って遮蔽物も何もなく、
     使徒十字を使うにはもってこいな場所ってわけですたい』

596: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 21:15:49.99 ID:wx03sx.o
佐天「……アレ?日付の問題は解けたんですか?」

土御門『ああ。どうやら全ての星座を使えるらしい。夏に限らず秋、冬、春とな。ただし、その地方で一年に一度限り、という条件つきだけどにゃー』

佐天「はぁーん……って、私23学区の場所とかよくわかんないんですけど」

土御門『マップおくっといたからそれ見てくれにゃー』

佐天「周到ですねぇ……っと、この印なんですか?」

土御門『ん?……あー、そりゃイギリスから送ってきた所全部に印打ったからだにゃー。イギリス側は学園都市の地理事情とかわかんねーから
     1から10まで伝えてきたんだよ』

佐天「なるほどなるほど……――――ッ!」

土御門『ま、そういうわけだから早めに頼むにゃー。時間がない。ターミナルで集合な』

佐天「……了解っす」ピッ


一方「……何だ何です何なンですかァ?随分物騒な話してンじゃねェか」

佐天「まーちょいと。ときに一方通行さん。またお願いがあるんですけど」

一方「アァ?……ったく、なンだ?」

佐天「えっとですね……」



佐天「ちょっと、秘密裏に学園都市の外へ出してくれませんか?」

597: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 21:23:37.07 ID:wx03sx.o
―――23学区ターミナル

土御門「……遅い」

ステイル「本当に彼女は来るのかい?怖くなって途中で逃げ出したんじゃないのか」

土御門「わかんねーけど……だがそろそろ時間だ、これ以上は待てない。もしかしたら何か事情があったのかもしれないしな」




上条「くそ……暑いな」

土御門「アスファルトの平原だからにゃー。熱を吸収しにくい素材で作ってあるとは言え、やっぱり暑いもんだにゃー」

上条「つーか土御門、そんなに走っても大丈夫なのか?」

土御門「大丈夫じゃなくても走らないといけないんですたい。のんびり歩いている暇は無いからにゃー」

ステイル「全く、緊張感にかけているぞ」

上条「悪かったな」

土御門「―――よし、あの辺りから中へ入るにゃー」


pllllllllllplllllllllll

土御門「……佐天ちゃんからだにゃー」

ステイル「まさか今頃着いたのか?全く、本当に緊張感に欠ける」

土御門「もしもーし」ピッ

佐天『土御門さん!?リドヴィアを見つけました!!』

土御門「……ハァ!?」

598: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 21:29:20.51 ID:wx03sx.o
ちょっと前の話。

一方「……突然何言ってやがる」

佐天「お願いします!この通り!!」

一方「……あーあーあーあーああああああ!!クソッ、昔の俺ならこンなこと断ってたンだがなァ」

一方「(コイツにはあのガキの命と俺の命、助けてもらった恩がある……クソッ、本当、昔の俺ならンなこと気にしちゃいなかったハズなンだがな)」

一方「(それもこれもあの三下に負けたからかァ……?ハァ……)」

一方「……仕方ねェな。ったく」

佐天「わは!ありがとうございます!」

一方「だが後できっちり事情は話して貰うぜ……オラ、早く行くぞ」

佐天「はーい!!」







打ち止め「おまたせー……って、あれ?あの人がいないってミサカはミサカは待ち合わせ場所を間違えたかなってMNWで確認してみる」

599: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 21:43:04.82 ID:wx03sx.o
一方「ここが壁だなァ」

佐天「半年以上前にここ通って入ってきたんだっけ……懐かしいかな」

一方「なンだ、お前学園都市来てそンなに経ってないのか」

佐天「そりゃあ……一方通行さんはいつからいたんですか?」

一方「ガキの頃からだ。さってと……ココを乗り越えるンだったか」

佐天「できますか?結構高いですけど」

一方「ココは監視カメラ熱センサー赤外線センサーその他もろもろのセンサーが設置してあってさらに3重ロックになってンだよ。
   そんじょそこらの能力者や、まして外から秘密裏に入ってくるなンざ不可能ってヤツだな」

佐天「けれど!」

一方「あァ、俺は元第一位だ。ンなもン、あって無ェようなモンだからな。そもそも超能力者になりゃあいちいち外まで行こうって気にも
   ならねェからなァ」カチカチ

一方「よっと」ひょいっ

佐天「はぁうっ!?お、おおおお御姫様だっこ!!!?ああああああのいきなりなんでしょうか!?」

一方「……照れんじゃねェよ。こォしねェと外まで運べねェだろォが」とんっ

佐天「うっ……わ、あ……凄い……一気にこんなに高く……」

一方「そンでー……ベクトル変換して……あァ、波長のベクトルも変更しねェと……」

佐天「これが……第一位、か……」

一方「確かこの辺りはこれで……っと、アー、外にもセンサーありやがる、っと……」

601: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 21:54:30.08 ID:wx03sx.o
一方「―――この辺りでいいか」

佐天「あ、はい、ありがとうございました」ぺこり

一方「何すンのかわかンねェが、帰りはまた連絡してこい。じゃあな」とんっ

佐天「……凄いなぁ、第一位って……」

佐天「―――さて、私も頑張らないと」




佐天「送られてきた地図だと、都市の外には五か所か」

佐天「学園都市で使用される場所に空港が選ばれてるとすると……条件は、空が開けてる場所ってことね」

佐天「そうすると……3か所か。まだ多いかな」

佐天「……修道服で大きなものを持ってる。そんなの凄く目立つよね」

佐天「『儀式』って形になるだろうから……邪魔されない、人があんまりこないような場所なはず」

佐天「だとすると辺りに何もないような場所……よし、一か所該当するところがある」

佐天「こっからだと距離は3キロちょっとか……ギリギリ視えるかな」

佐天「どっかに高台は……ああ、あの辺りがいいかも」

602: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 22:01:17.02 ID:wx03sx.o
佐天「――――視力強化」キチキチ

佐天「……―――!居た……!あの白いのが、使徒十字――?もう地面に突き刺さってる……てことはもうすぐリミットなの!?」

佐天「けど、見つけた……!よし、こっからなら8分もいらない……!急がないと!」

佐天「あ、その前に土御門さんに連絡しとこう」ぴっぴっ



佐天「土御門さん!?リドヴィアを見つけました!!」

土御門『……ハァ!?ちょっと待て、今どこにいる!?』

佐天「学園都市の外です!今十字架立ててまして……けど、もしかしたらまたダミーかもしれないです!」

土御門『……っ!いや、そっちが本物の可能性が高い!とにかく、絶対に阻止してくれ!!』

佐天「承知!そっちもそっちで、オリアナをお願いします!」

土御門『任せろ!くそっ……だがまさか、本当に外とはな……!』ピッ



佐天「……さて、一対一で魔術師と対決か」

佐天「(けど―――私に勝てるのかな)」

佐天「……いや、勝つ。でないと、皆に顔を見せられない」

佐天「どうなってもいい。勝利条件は二つあるんだ。絶対に阻止してみせる」

604: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 22:38:09.25 ID:wx03sx.o
―――黒いアスファルトの平原にて、白い女が十字架を抱き座る。
透き通った黒に染まる、雲ひとつ無い東の空。そこに寂しく、ぽつりと一等星が浮かぶ。
1つ星が瞬けば、残りの星はすぐに浮かんでくるだろう。
西に沈みゆく朱い太陽が輝きを失った時、科学は宗教に平伏す。
それと同時に、世界の事情は一変する。ただしかし、それを止める術はどこにもない。
修道女、つまりリドヴィアは陽炎で歪んだ偽物じみた夕日を見ながら、思いをはせる。

「もうすぐ―――異教徒によって穢された地が、主の元へ還るのですね」

その呟きはまともなものでは無い。ただ一点のみを見続けている狂信者のものだ。
だがしかし、だからこそリドヴィアは強かった。
一点を見定め、一点へ向かい進むのみ。それだけで、周りのものを全てなぎ払って来たのだから。
彼女は止まらない。どんな障害があろうと、それは見えていないのだから。
だからこそ。
彼女は背中を刺されることになる。

「見つけた――――!!」

606: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 22:59:36.28 ID:wx03sx.o
「見つけた――――!!」

言いながら、靴の底でブレーキをかける。
3キロ先から全力で駆けて来た故に、速度はそう簡単には落ちない。
アスファルトで踵を削って、ようやく止まる事が出来た。

「一応確認するけどアンタがリドヴィアね!!」

十字架を抱いた修道女へと叫ぶ。
逆光で眩しそうに私を見ながら、ふらりと立って口を開いた。

「だとしたら何か?異教徒の学生」

「それが聞けたら問答無用!あいにく時間が無いからさっさと終わらせるからね!」

そう、時間は無い。たった一秒遅くても、手遅れになるのだ。
熱を吸ったアスファルトに手を置き、ベクトルを視覚化してイメージを掴む。
吸収、つまり矢印の向きをこちらに。そして、その情報を補助するかのように、起こりうる自然現象を想像しながら。
矢印がゾッ、と動き、私の身体の中に吸い込まれていく。
それと同時に、私の身体を中心に地面が凍結する。といっても、表面に霜がつく程度だが。

「たぶん死なないから安心しなさい!」

拳を構えて警告する。だがリドヴィアは全く動かず、こちらを見ている。
しかしその眼は。
まるで私を憐れむように。

だが。そんなものを気にするほど私は弱くは無い。
故に迷いなく、恩人から譲り受けた技の名を叫ぶ。


「―――第四波動ォォォおおお!!!」

608: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 23:16:11.68 ID:wx03sx.o
放たれた熱線は、直撃すれば少なくともその威力で吹き飛び火傷を負う程度の熱さはあるはずだ。
そもそも、正面から放たれた攻撃に何も反応を見せないでいることなど出来ない。
それは回避行動が反射で行われるからだ。
故にリドヴィアがその場から全く動かなかったのは。
そもそも攻撃が絶対に当たらないと解っていたことに他ならない。

「……、……ちっ」

そう、攻撃が当たった様子は無かった。
ただリドヴィアの背後は焦げている。つまり、

「遠距離系の攻撃を無効化する……?―――それなら!」

さらに熱を吸収してから走りだす。
第四波動が効かないのなら、文字通り直接叩くしかない。
そもそも勝利条件はリドヴィアを倒すか、あの十字架を破壊することだ。
ならば、今は使徒十字を破壊することに専心する。

しかし。
気づけば、私はリドヴィアの後ろで拳を振っていた。

609: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 23:28:46.89 ID:wx03sx.o
「……、……―――え?」

思わず間抜けた声がこぼれる。
振り返り、もう一度背後から攻撃を繰り出す。
しかし先と同じように、次はいつの間にかリドヴィアの正面で拳を振るっていた。

「な―――!!」

「―――そちらの言葉で、山上の垂訓、というものがあるのはご存じですか?」

絶句している私に奴は言葉をかける。

「山上の垂訓……知ってるわよ、それくらい。それがどうしたっていうの」

「主は言いました。『汝の敵を愛せよ』と」

「だから!それがどうしたって……!」

「わかりませんか?つまりこういうことですので―――『私は私の敵である貴女を愛します、だから貴女も敵である私を愛しなさい』。
言いかえればこういうことですので。『私は貴女を愛し危害を加えません、故に貴女も私を愛し危害を加えません』。
ただ、それだけのことですので」

ヤツはまるで子供にさとすかのように話しかける。
つまりヤツの言うことを解釈するとこういうことだ。

「つまり……アンタの思想が現実を侵食してる、結界みたいなものを張っているってこと!?」

「結界、という言い方は異教徒のものですが、その認識で間違いはありませんので」


612: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 23:47:19.62 ID:wx03sx.o
おそらくリドヴィアの魔術とは『攻撃しない代わりに攻撃されない』魔術なのだろう。
思想がどうの、ということはわからないが、私にはそれだけで十分だった。

私の攻撃は届かない。
それはつまり、リドヴィアを止める手が無くなったということだ。

「そんな―――そんなのって」

「そう悲観することはありません。どうせ、あと数分で世界は変わりますので」

優しく教えるように話すヤツの声は、どこか優越感に浸っているように聞こえる。
科学の力をねじ伏せたことによるものか。
私が絶望する姿を見たことによるものか。
しかしやはりそんなことはどうでもよかった。
止められない。
上条さんの右手なら一撃だったのだろうけれど、こんな、こちらの攻撃が当たらないなんて反則、私が敵うわけがない。
いや、そもそも勝負など起こっていない状態になるのだが。

615: ◆oDLutFYnAI 2010/05/06(木) 23:56:49.15 ID:wx03sx.o
―――結局。
    私は、また何も出来ないまま終わってしまうのか。
    どんなに強くなっても。どんな能力を手に入れても。
    「役立たず」な私は、私のまま。
    何も成せぬままの私で――――

「―――違う。そうだ、何諦めてるんだ私」

―――思い出すのは左天さんと出会ったころ。
    あの頃も、「役立たず」と言われて、そんな自分を変えたくて。
    少しの行動が、今ここまで結びついた。
    何も出来ないなんてことはない。
    頑張れば出来ないなんてことは無い。
    それが例え幻想だとしても、今はただそれだけを信じて―――

(けど、だとしても)

折れそうな心が持ち直したとは言え、状況は変わっていない。
私の攻撃はリドヴィアに届かない。

(よく考えろ―――魔術、そう、魔術だ。確か、ステイルさんは私達とは違った方法で世界にアプローチしたって言ってた。
ということは、私達が能力を使う時のような、何か条件みたいなものがあるに違いないんだ)

616: ◆oDLutFYnAI 2010/05/07(金) 00:06:48.75 ID:bDTcbOQo
(ステイルさんの魔術はルーンとか言う文字を書いたカードを使う。それを破壊されたら負け。
土御門さんの魔術は折り紙を何かに見立てて、龍脈と地脈を使う。媒体は折り紙。
オリアナの魔術は、あの単語帳。あれを一定の角度で破ると発動する。
……く、確かに条件はある。けど、だからと言ってリドヴィアの魔術の条件なんて―――)

立ったまま、まるで私なんて目に映っていないかのように空を見上げるリドヴィアを睨みつける。
すると不意に、おかしな所に気づいた。

(あれ……?なんで、リドヴィアの立っている地面が白く……。
ああ、霜か……私が熱吸収した時に発生した――――って、それっておかしくない?)

私の攻撃は届かないはず。だとすれば、あの霜も攻撃とみなされて届かないのではないのか。
いや、よく見ると―――リドヴィアの半径2m以内の地面が白く、その外から綺麗に普通のアスファルトに戻っていた。

(第四波動で焼いたから……?てことは、リドヴィアは自身を中心に半径2mで結界みたいなのを張ってるってことか。
その内側の地面は白いままだから、攻撃はその内側には届いていない……。
第四波動は届かず、熱吸収は届いた……?これって、一体……)

621: ◆oDLutFYnAI 2010/05/07(金) 00:16:05.10 ID:bDTcbOQo
(……)

その辺りに落ちていた小石を投げてみる。
小石はリドヴィアへ届かず、その後ろへワープしたかのように現れ転がった。
大気中から熱を吸収する。
急な温度差で、風が産まれる。その風はゆらゆらと修道服の端を揺らす。

(……どういうこと?自然現象は無効化に入らない……?なら―――)

ベクトルを視覚化し、熱吸収のイメージをくみ上げる。
今度はリドヴィアからも熱を吸収するために、矢印の向きを常に意識して吸収を始める。
しかし、結界の端であろう場所から先は、熱を吸収することが出来なかった。

(一番最初は出来たのに今回は出来なかった……?それに、自然現象は無効化に入らない、って説も崩れた。
うぅっ、どういうこと?私が繰り出した攻撃が全て無効化されるのなら最初の凍結もさっきの風も無効化されるはずなのに……!)

そんな自分の考えに、すこし引っかかった。
『繰り出した攻撃が全て無効化される』。
ならば、それが攻撃では無かった場合は―――?

622: ◆oDLutFYnAI 2010/05/07(金) 00:19:50.35 ID:bDTcbOQo
(そう……そうだ。最初の凍結は攻撃するつもりでしたわけじゃなかった。
さっきの風もただ熱吸収しただけだった。
けど二度目の凍結は、明確に攻撃する意志を持ってやってみて、結果駄目だった。
これはつまり―――)

相手に攻撃だと認識されること。
その認識とは意識ではなくおそらく感覚。
そして『攻撃』へ繋がる『感覚』とは―――



「―――明確な『敵意』か!!」


びくん、と。
空を見上げていたリドヴィアの肩が震えた。

「……その反応。どうにも正解みたいね」


651: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/08(土) 14:59:56.58 ID:CyIUOUQo
(……)

その辺りに落ちていた小石を投げてみる。
小石はリドヴィアへ届かず、その後ろへワープしたかのように現れ転がった。
大気中から熱を吸収する。
急な温度差で、風が産まれる。その風はゆらゆらと修道服の端を揺らす。

(……どういうこと?自然現象は無効化に入らない……?なら―――)

ベクトルを視覚化し、熱吸収のイメージをくみ上げる。
今度はリドヴィアからも熱を吸収するために、矢印の向きを常に意識して吸収を始める。
しかし、結界の端であろう場所から先は、熱を吸収することが出来なかった。

(一番最初は出来たのに今回は出来なかった……?それに、自然現象は無効化に入らない、って説も崩れた。
うぅっ、どういうこと?私が繰り出した攻撃が全て無効化されるのなら最初の凍結もさっきの風も無効化されるはずなのに……!)

そんな自分の考えに、すこし引っかかった。
『繰り出した攻撃が全て無効化される』。
ならば、それが攻撃では無かった場合は―――?

654: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:03:38.62 ID:jeIqSLwo
「―――問題ありません。
 わかったからと言って貴方にどうすることも出来ませんので」

空から私へ視線を落とし、彼女は告げる。
しかしその行為が私に絶対の自信を与える。

「どうすることもできない?なら普通反応しないよ。
 さっきまで全く眼中になかった私にそんな言葉をかけるってことは、突破口はあるってことだよね」

そう、突破口はある。
もしこれが私の意思―――敵意のようなものに反応して効力を現す魔術だとすれば。
私の意思が加わっていない攻撃を与えればいい。
そしてその方法はすでに思いついている。

655: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:04:10.20 ID:jeIqSLwo

このヒビ割れた、ロクに整備されていないアスファルトならば破壊することも容易いだろう。
幸い遠くに見えるのは浄水場だ。

(ベクトル視覚化―――)

凍った地面、さらに下に流れるベクトルをみる。
規則正しく一定の方向に流れる矢印。おそらくここだ。
後はここを全力で破壊するのみ―――

(―――第四波動で地面が壊せるかどうかはわからないけど、やるしかない)

もう時間はあまりない。迷っている暇はない。出来なければ全てが終わる。
吸収できるありったけの熱を腕に。足りない分は身体に。
両拳を地面へと構え、最大の一撃を想像し解き放つ。



「―――二重第四波動ォォォおおおおお!!」

656: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:04:39.69 ID:jeIqSLwo








―――駄目だ、足りない。
   このままじゃ突き破れない。
   もっと威力を。
   この熱線のベクトルを、もっと集束して―――






657: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:05:07.02 ID:jeIqSLwo
直後、地面から大量の水が噴き出る。
不規則に高く跳びあがった水は空を覆いながら私とリドヴィアへとそのエネルギーを失い落下する。

「は、ぁ……ぐ―――はぁ、は……」

頭が痛い。
けど、弱音なんて吐いていられない。
まだ、これだけじゃ―――

「……まさか、この水だけで使途十字の効力を遮れるとお思いで?」

「―――……は、そんなわけ、ないでしょ……私の作戦は、こっからよ……!」

既にあたりの熱は吸いつくした。
故に、ここからは私の能力のみ。
負荷をかければ脳が死ぬ。
だが、今ここでやらなければ、死ぬより辛い世界に生きることになる。

658: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:05:33.46 ID:jeIqSLwo
(――――集中)

噴き出る水の中に手を入れる。

(―――対象は水全てと、横から照りつけるなけなしの太陽光。
 このベクトルを操作する)

視覚化し、太陽を見る。
失いかけた力といえど、流れる熱は扱いきれないほどの大きさがあった。

(―――座標は視覚情報で補強しろ。足りない演算式は無理やり通せ。
 そこにある巨大な熱ベクトルを、集束し水へと叩きつける―――!!)

ぞん、と大きな矢印が動く。
同時に意識が吹き飛ぶような頭痛が起こる。

「――――ぎ、が、ぁ―――」

しかしまだ操作し終わっていない。
次はこの拡散したベクトルを一点に集積し、水を焼き切る。
一瞬で水が蒸発し、冷やされた空間にて水へ戻りあたりは霧に包まれた。

659: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:06:02.27 ID:jeIqSLwo
「―――く、は、ぁ、ぁぐ……」

霧が十分発生したことを確認し、能力を解く。
頭が痛い。

「――kpれsいkd何かdkrうとおもっていt?こnなもn、魔術wつkえばhきとばsmすのd」

何を言っているか聞こえない。
頭が痛い。
だが、まだだ。
まだ、この程度ではあいつの動きを封じることはできない。

「あh、g。lあ―――」

言葉に出来ない。
けど、できる。
演算なんて必要ない。
ただの、熱吸収なんだから。

「―――k、ざmえmr」

660: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:06:33.08 ID:jeIqSLwo

突如発生した霧に少しは驚いた。
確かに、この霧では空は見えない。
というよりも、一寸先すら見えないのだ。確かにこれならば、使途十字の発動の妨げになるだろう。
おそらく、あの能力者が何らかの能力で水を蒸発させ、霧に変えたのだろう。
だが、そんなことは些末事だ。
リドヴィアはその志ゆえ、攻撃用の魔術には詳しくない。
だがしかし、霧を払うための風を起こすくらいの魔術が使えないわけではない。
全くあわてず、魔術の刻印を刻もうとすると、頭を押さえながら能力者が何かをつぶやいた。



瞬間。



周囲の霧が凍結した。

661: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:07:01.90 ID:jeIqSLwo
「……!」

驚きの声をあげそうになるが、それすら許されない。
何故なら、既に暑さ5mほどの氷に全身が覆われていたからだ。
急いで顔に張り付いた氷をはがそうとするが、急速に成長していく氷によって身体の自由が利かない。
このままでは、窒息死してしまう―――いや、それ以上に。
問題なのは、氷に覆われた使途十字だ。
星の光を用いて使用する霊装故に、使用位置に関する情報はとても繊細なものだ。
位置を読み間違えて魔術を行使した新米魔術師が自爆するという話もよく聞く。
だからこそ、今、この状態はまずい。
何故なら、星の光が氷によって不規則に反射され、結果として発動できないからだ。
いや、発動できないだけならばまだマシだ。最悪、霊装自体が内部崩壊してしまう可能性がある。

662: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:07:33.58 ID:jeIqSLwo
(こ、こは―――いえ、罰なら後で受けましょう。今は使途十字を守ることが先決ですので―――!)

言いながら、口の中で音にならない言葉を紡ぐ。
とたん、周囲は炎に包まれる。
これはローマ政教にはない魔術であり、はっきり言えば彼女自身が異教徒として嫌っている人間の魔術だ。
なぜ彼女がそんなものを知っていたのかは別の話だが、今はそれを使う以外に打開策がなかった。

覆われた氷はすぐに溶け、濡れた修道服を皮膚にはりつかせながら倒れている能力者をみる。
一体何をしたのか。なぜ凍結という「攻撃」が届いたのか。

「……いえ、そんなことは些細なことですので。もうあと少しで、世界は改変する―――オリアナの様子をうかがってみましょう」


663: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:07:59.17 ID:jeIqSLwo
佐天涙子の考えた作戦はこうだった。
まず水で空を覆うこと。だが、これだけでは不十分だということは承知の上だった。
次に、その水を蒸発させ、あたりの濃密な霧で覆うこと。
度重なる熱吸収によりあたりの気温は下がっていたため、水を蒸発させれば霧が発生すると踏んだのだ。
だが、これでも不十分。相手は魔術師だ、その程度の小細工ではおそらく吹き飛ばされる。
故に、次はその霧を凍結させ相手の動きを封じることを考えた。
ステイル、土御門、オリアナ。三者三様の魔術発動の光景は見たが、モーションなしでは発動できていなかった。
つまり、行動を封じてしまえばいいと、行き着いた答えは単純なものだったのだ。
それが凍結に至ったのは、こちらの「攻撃」が全て無効化されてしまう故のものだ。
意思を持って凍らせるのではなく、ただの自然現象として霧を発生させ、霧の温度を低下させれば攻撃は届くと考えたのだ。
本来ならリドヴィアの結界は、それすらも僅かな「敵意」として感じ取り、無効化するはずであった。
しかし、水道管を破壊する際の無理な能力行使によって、涙子の頭には高負荷がかかっていた。
次に太陽光を操作、そして何も考えられない頭で、ただひたすらに熱吸収をした結果、そこにリドヴィアへの敵意は認められなかった。
ひたむきに、自分の考えたことを、機械的にこなす。
もし自分の感情や心を完全に殺すことができる人間がいたとすれば、その人間はリドヴィアにとって天敵、ということである。
そして何も考えず熱っ吸収した結果、彼女自身も氷におおわれてしまったわけだが。




―――大覇星祭編、終

664: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:08:26.25 ID:jeIqSLwo
―――9月20日 朝 病室にて

「――――――」

目が覚めると、見慣れた天井があった。どうやらいつもの病室らしい。
寝ぼけた頭で状況を整理する。
横にあるデジタルカレンダーは9月20日を表示していた。
時刻は4時35分。薄暗い、ということは朝なのだろう。

(確か、昨日は……)

昨日の事を思い出す。
大覇星祭が始まり。障害物リレーに参加し。上条さんと会い。土御門さんと会い。ステイルさんと会い。
オリアナをおっかけて、学園都市の外へ一方通行さんに連れてってもらって、リドヴィアと―――

「―――そうだ!リドヴィア……!!―――痛……」

ベッドから立ち上がろうとするとずぐ、と頭が痛みふらつく。

「……そう、そうだ……昨日、ちょっと無茶苦茶やっちゃったんだっけ……」

昨日の戦いの最後。
あのままだとアスファルトを破れなかったから熱のベクトルを無理やり操作して集束して威力を高めて、
太陽光の熱エネルギーを集めて水を沸騰させて、
最後に、大気中の熱ベクトルを操作しつつ熱吸収した。

「私も凍ってたと思うんだけど……身体に吸収したから、その熱で溶けたのかな……」

「いや、そんなことはどうでもいい……結局、今はどうなったんだろ……?」

あの場で意識を失ってしまった自分には確認できないが、結局使途十字の発動は食い止められたのだろうか。
もしそうでなければ、最悪―――




665: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:08:57.05 ID:jeIqSLwo
オワタ。

667: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:14:27.75 ID:jeIqSLwo
オワタ、じゃねえ。

「おいおいwwwwなんだこれwwwwねーよwwww」
とか思ったよな?思ったんだろ?思ったって言えよ!!
でも正直、禁書も「敵意ではなく殺意」(キリッ とか、
ニードレスも「ここが楽園だからきかねええええ!!」とか、
超理論出てるから別にいいかなーと思ったんだ。決して打破する方法が思いつかなかったわけではないよ!!

というかあれだよね、この佐天さん超能力者まで行ったら、

佐天「日輪―――〝天墜″」

とか使えそうじゃね?うはwww最強すぐるwwww
一方通行さんも自転の力利用してたし、案外無理じゃない気がする。
あと、本当は霧じゃなくて、水をストリームディストーションで巻きあげて、アイスストームでも起こそうと思ったけど、
過冷却起こさなきゃいけなかったから霧を凍らせた。これならまだ、なんとかギリギリ実現できそうだし!!

なんで脳がぶっこわれた感じの佐天さんが普通なのかは次のレスでわかるのだった。次回予告終わり。

670: ◆oDLutFYnAI 2010/05/08(土) 18:52:36.12 ID:jeIqSLwo
そうか……よく考えればエターナルフォースブリザードだったな……
全く気付いていなかった。どうやら俺は芯から中二らしい。死にたい。

○現在の佐天さんの技一覧
・第四波動→熱線を放つ。火炎としての威力に、物理的破壊能力を持つ。相手は死ぬ。
・ストリームディストーション→熱差を利用して小規模な台風を起こす。相手は死ぬ。
・日輪〝天墜″→太陽エネルギーを一点に集め放つ。相手は死ぬ。←New!
・エターナルフォースブリザード→一瞬にして相手の周りの待機を凍らせる。相手は死ぬ。←New!

やべぇ……

724: ◆oDLutFYnAI 2010/05/14(金) 22:14:59.89 ID:ZLTqxOYo
コンコン

神裂「失礼します」がちゃり

佐天「……えーっと……」

神裂「覚えていなくてあたりまえですけど、私は神裂と言います。一度会っただけですからね」

佐天「あ、ああーっ!あの時のお姉さんか!……それで、何か御用で?」

神裂「まず初めに……『使徒十字』の発動は防がれました」

佐天「……!」

神裂「発動時刻と、ナイトパレードの開始時刻が一致したおかげですね。
   星の光が電気の光に隠されてしまったということです」

佐天「……え」

佐天「ええー!じゃあ私や上条さん達が必死になったのって意味なかったってことですか?!」

神裂「……非常に答えづらいのですが、結果的には……」

佐天「oh...」

726: ◆oDLutFYnAI 2010/05/14(金) 22:23:03.06 ID:ZLTqxOYo
佐天「……っはぁー。でもよかったぁ……」

佐天「うん?けど、防げた理由がナイトパレードのおかげってことは……」

佐天「(……結局、私はリドヴィアを止められなかったってことなのかな?)」

神裂「どうしました?」

佐天「いやあ……そういえばリドヴィアはどうしたんですか?その場にいなかったんですかね」

神裂「私が着いたときは逃走しようとしていましたが……あの厄介な魔術のせいで攻撃は与えられませんでした。
   そのまま追うにも、貴女を放ってはおけませんでしたから。まあ、あちらはどうとでもなるでしょう」

佐天「うぇ?ってことは、神裂さんが私をここまで……?」

神裂「結界魔術はあまり得意ではなかったのですが……なんとかセキュリティにひっかからずに済んだみたいですね。
    一応天草式の治癒魔術は使いましたが、身体の調子はどうですか?」

佐天「んっ……そういえば身体強化とか使ったからもっと後遺症でると思ったけど、そうでもないですね。
    ちょっと頭が痛いですけど……まあ、無理して能力使ったからしょうがないんですけどね」

729: ◆oDLutFYnAI 2010/05/14(金) 22:45:00.90 ID:ZLTqxOYo
佐天「というか天草式凄い。こんなに回復するんだ……ありがとうございましたっ」

神裂「いえ、まあ、しょっぱなに思いっきり殴ってしまいましたから……
    かっ、借りは返しました!」

佐天「(アレはどっちかというと勘違いして突っ込んだ私が悪いんだけどなー)」

神裂「それでは、どうか安静に。失礼」ばたん

佐天「あーい」



佐天「……ふぅー。使徒十字の問題は解決、っと」

佐天「けど、結局今回も私は何もしなかったなぁ……」

佐天「……何もできなかった、かな」

佐天「―――頭が壊れるまで頑張っても足りないかぁ。なかなかどうして、険しいなぁ」

731: ◆oDLutFYnAI 2010/05/14(金) 22:52:14.54 ID:ZLTqxOYo
―――07:24

医者「君も随分病院が好きみたいだね?」

佐天「別にそんなんじゃないんですけどね……」

医者「さて、身体はほとんど問題ないみたいだね。ただ、脳波が少し乱れているようだね?」

佐天「あぁー……心当たりはありますけど」

医者「心当たりが出来るような無茶はひかえようね。まぁ、命に別状は無いし、時間と共に安定していくだろうから問題なないだろうね」

佐天「そうですか、そりゃよかった。それじゃさっそく退院を……」

医者「いやいや、一応一日くらいはゆっくりしておきなさい」

佐天「えぇー、でも大覇星祭の真っただ中ですよ?」

医者「ドクターストップをかけて一週間ずっと病院で寝ているのと、今日一日寝ているの、どっちがいいかな?」

佐天「……しょうがないなぁ……」

732: ◆oDLutFYnAI 2010/05/14(金) 22:57:00.38 ID:ZLTqxOYo
医者「それじゃあ今日一日安静に。くれぐれも抜け出さないようにね?」

佐天「それは抜け出せって前フリですか?」

医者「んなこたぁない」ばたん

佐天「……抜け出した瞬間バレそうだからおとなしくしとくけどね。そういや、上条さんや土御門さんはどうしたんだろ」

佐天「土御門さん、随分怪我してたし……心配だなー」

佐天「……病院から抜け出さなきゃいいわけだし!ちょっと病院内探してみよっと」

742: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 21:57:55.74 ID:dHQFoRMo
佐天「しかし、まあ」

佐天「意気揚々と病室飛び出したけど、この病院結構広いし……探すのは大変そうだ」

ミサカ「そこでミサカの出番ですよ、とミサカは久々の出番に心躍らせます」

佐天「妹さんは病室知ってるの?」

ミサカ「上条当麻は○○○室、その隣に土御門元春が居ますよ、とミサカはさっくり教えます」

佐天「そか、ありがとねー」



ミサカ「……え?これだけ?とミサカは自分の出番の無さに絶望します」

743: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 22:01:17.94 ID:dHQFoRMo
―――上条病室前

佐天「そんなわけでおじゃましまーす」がちゃん

上条「どういうわけか知らないけど着替え中に入ってくるのはやめてくれませんか!!?」ビックゥ

佐天「oh...大丈夫ですよ、上半身が裸なくらい問題ないですよ!」

上条「いやぁ俺が恥ずかしいというかなんというか……」

佐天「えー。でも泳ぐ時とかほとんどパンツ一枚じゃないですか」

上条「そりゃーほら、シチュエーションとかあるんじゃね?佐天さんだって風呂場でスク水着てたらなんか恥ずかしいだろ?」

佐天「……そういう趣味ですか」

上条「違うッ!だからそんな目で見るのはやめて!!」

744: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 22:09:25.25 ID:dHQFoRMo
佐天「それはともかく、身体は大丈夫ですか?」

上条「ま、命に別状は無し、ってとこだな。それより、だ」

佐天「それより?」

上条「てりゃっ」デコピンッ

佐天「あうっ」

上条「この子は!また無理して……一人で魔術師に挑んだりしちゃだめだろうが!」

上条「つーか行動する前に俺達に話してくれよ……いきなりでびっくりしたじゃねえか」

佐天「でもでも……リドヴィアが居るって確証なかったですし……それで混乱させちゃ駄目かなとか……」

上条「……まぁ、そうかもしれねーけどさ」

佐天「結局私が行ったところでどうにもなりませんでしたけど……でも特に怪我しませんでしたし!神裂さんにアマクサシキの魔術かけてもらって
    身体の調子もわるくないですし!」

上条「あー、そういや土御門が佐天さんの電話のあとにすぐに連絡してたっけ……」


745: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 22:16:39.61 ID:dHQFoRMo
佐天「さて、上条さん。ここで重大なお知らせがございます」

上条「ほほう」

佐天「上条さん、その怪我で大覇星祭に出られますか?」

上条「……うーん、ちょっと無理かなー……あ」

佐天「ええ、気付いたと思いますが、御坂さんとの勝負はどうするつもりで?」

上条「……じ、事情を言えば御坂もきっと」

佐天「いやー無理じゃないですかねー。御坂さんが一度決めた勝負を反故するとは思いませんしー」

上条「……不幸だ」

746: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 22:20:58.16 ID:dHQFoRMo
佐天「さーて、それじゃちょっと土御門さんの様子も見てきますねー。ここにいるとなんだかそろそろ危ない気がするので」

上条「え、なにそれこわい。ちょっと待って佐天さん!」

佐天「私も自分の命が惜しいので!では!」がちゃっ

上条「oh...」



佐天「そんなわけで会いにきましたよ土御門たーん」がちゃり

土御門「――――」グゥグゥ

佐天「ありゃ、寝てた……って」

佐天「うわぁ……サングラス外した土御門さんってイケメンなんだ……」


747: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 22:28:18.17 ID:dHQFoRMo
舞夏「うぉーいあにきー。大丈夫かー?」がちゃり

佐天「あ」

舞夏「お」

舞夏「……あにきの彼女さんか?」

佐天「いえ、知り合いです……えっと、土御門さんの妹さん?」

舞夏「義理のだけどなー。あー、よく見たら患者服だ。てことはうちの馬鹿あにきに巻き込まれて一緒に入院しちゃったのかー?」

佐天「当たらずとも遠からず、かな……って、んん?」

佐天「……あー!どこかで見たと思ったら盛夏祭の時のメイドさんだ!」

舞夏「……おー、白井の友達なー。初めまして、舞夏だ」

佐天「私は佐天涙子ね。そういや土御門さんが妹一筋って言ってたっけ……」

748: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 22:38:08.94 ID:dHQFoRMo
舞夏「おーいあにきー。お客さんだぞー」ぺちぺち

土御門「う……痛いにゃー……怪我してるんだからもう少し寝かせくれにゃー……」

舞夏「うちのあにきは女を待たせておくほど駄目男だったのかー?」

土御門「あぁー……?……あぁ、佐天ちゃんかにゃー」

佐天「えっと、なんかごめんなさい」

土御門「いや、別にいいぜい……さて、舞夏。すまんがちょいと席をはずしててくれねーかにゃー」

舞夏「うぃー」がちゃっ


土御門「で、佐天ちゃんはちょっとこっちにきてくれ」

佐天「?」

土御門「にゃーっ」デコピンッ

佐天「おふぅっ」ビクッ

749: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 22:42:54.30 ID:dHQFoRMo
土御門「単独行動して死にかけて、全く何やってんだにゃー」

佐天「うぅ……お説教は上条さんのとこで喰らいましたから勘弁してください……」

土御門「えぇ……カミやんに説教食らったのかにゃ……大丈夫だったか?」

佐天「いやまあ、何時ものことですし」

土御門「(あれ?カミやん病に犯されてない?まさか!この子こそが吹寄に並ぶ対カミやん病ヒロイン……!)」

佐天「それにしても土御門さんってサングラスかけてないとかっこいいんですねー」

土御門「そうかにゃー?(むしろ俺!?いや、俺は妹一筋……じゃなくて!)」

佐天「なんでいつもサングラスかけてるんですか?アレですか?噂の中二病ってやつですか?」

土御門「……別にそういうわけじゃないぜい。ただ直射日光があんまり得意じゃないだけだにゃー」


750: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 22:58:49.22 ID:dHQFoRMo
佐天「そういえば神裂さん呼んでくれたんですね、ありがとうございました」

土御門「学園都市の外ならある程度融通きくからにゃー。間に会ってよかったぜい」

佐天「それにしてもアマクサシキ凄いですね。頭壊れかけてたと思ったけどほとんどなんともないですし」

土御門「天草式はあんまりよく知らないが、ありゃー本当にバリエーションあるからにゃー。
     特に神裂は昔色々あって、それからやたら治療系の魔術練習してたからにゃー」


ヤメロインデックス!イマノオレハカナリヤバイ!
ウルサインダヨ!イツモイツモムチャシテ!
ネェアンタ、ワタシトノショウブハドウスルツモリナノ?
キケントカデキナイ?チョットカラダヤバインダケド
・・・フザケテンノ?


佐天「……隣が騒がしいですね」

土御門「……当然の報いなんだにゃー」

751: ◆oDLutFYnAI 2010/05/15(土) 23:01:51.13 ID:dHQFoRMo
佐天「それじゃーそろそろ病室もどろっかなー」

土御門「ああ、あんまり無茶するんじゃないぜい」

佐天「あいあい。というか今回の私達って完全に無駄足でしたよね」

土御門「言うな、空しくなる……」

佐天「まあ、結果論なんですけどね……では」がちゃん


佐天「ふー……上条さんも土御門さんも無事みたいでよかったよかった」

佐天「さってとー。それじゃ明日のために、今日はゆっくり休もうかな」

772: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 13:57:22.02 ID:U4a34D.o
―――08:24

佐天「……遠くから生徒の阿鼻叫喚が聞こえる。いいなぁ、私も参加したいなぁ」

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ

佐天「ん、着信……初春からか」ピッ

初春『佐天さん今どこにいるんですか?もうすぐ競技始まりますよ』

佐天「あー……今病院。ごめんね、連絡するの忘れてたや」

初春『病院っ?なんでそんなとこに……』

佐天「ほら、昨日玉入れの時に倒れたじゃん?あれがまだちゃんと治ってなかったみたいでさー」

初春『そうだったんですか……大丈夫ですか?』

佐天「大丈夫だよ。今日の入院も様子見みたいなもんだし」

初春『そうですか……わかりました、クラスの人には言っときますね』

佐天「ごめんねー。明日は出られるからさー」

初春『いえいえ、それではまた後で』ピッ

佐天「……大丈夫、嘘じゃない。ちょっと本当のことからズラしただけで」

佐天「というか『魔術師と戦ってました!』とか言えないもんね……」

773: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 13:58:07.91 ID:U4a34D.o
ミサカ「それはそれで興味深い話ですが言いワケは後で聞きましょう、とミサカはベッドの下から這い出てきました」





佐天「ひやああああああああっ!?いいいいい妹さんっ!?」

ミサカ「・・・・・・」ジーッ

佐天「……ぁ(髪飾りが……)」

佐天「……えっと、ミサカちゃん?」

ミサカ「はい、妹達14444です、とミサカはやるせない気持ちのまま答えます」

佐天「えっと、いくつか質問あるけどいいかな」

ミサカ「ええ、どうぞどうぞ。とミサカは促します」

佐天「なんでベッドの下に?」

ミサカ「ドッキリ大成功ですね、とミサカはぶっきらぼうに答えます」

佐天「……どうしてここが?」

ミサカ「10032に聞きました。私以外に涙子と仲がいいのはあの子ですから、とミサカは淡々と答えます」

佐天「…………どうしてそんなに怒っていらっしゃるのでしょうか」

ミサカ「……ふ、ふふふ。それは本気で言っているのでしょうか?とミサカはジト眼で睨みつけます」

佐天「……ごめんなさい」

774: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 13:58:34.68 ID:U4a34D.o
ミサカ「……はぁーっ、とミサカは深くため息をつきますよ」

ミサカ「ナイトパレード」

佐天「……ああああああああっ!!ご、ごめんねミサカちゃん!!別に忘れてたとかそんなんじゃなくてね、
   これはやんごとなき事情があってね……」

ミサカ「……別にいいですよ、とミサカは今現在の涙子の状況をみて投げやりに口にします。
    何をしていたのかは知りませんが、大変なことになっていたようですしね」

佐天「うぅ……そ、そう言ってもらえるとうれしいなぁ」

ミサカ「ええ、別に問題なんてありませんでしたよ。
    時間になっても全く会えず携帯の番号も知りませんでしたから連絡も取れず、
    一人寂しくリンゴ飴を舐めていましたから、とミサカは昨夜の一部始終を話します」

佐天「(あれ?めちゃくちゃ怒ってるよね?)」

佐天「……わ、私にできることでしたらなんでもいたします」

ミサカ「……それじゃあ」

よじよじ

佐天「……あ、あの、ミサカちゃん?ベッドによじ登って一体何を」

ぎゅっ

ミサカ「ミサカを抱きしめてください……寂しくて死んでしまいそうです、とミサカは涙子に抱きつきながらつぶやきます」

佐天「」

775: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 13:59:43.62 ID:U4a34D.o
佐天「え、と……こ、こうかな」ぎゅっ

ミサカ「ん……あ、もう少し強くがいいです、とミサカはお願いします……」

佐天「う、うん……」ぎゅぅ

ミサカ「ふぁ……いいです、それ……ん……」

佐天「(ぅ、ぁ……妹さんの息が耳元にかかる……)」ゾクッ

ミサカ「あったかいですね……とミサカは安心します……」

佐天「く、ぅ……ん……(耳元で喋られると……)」ゾクゾク

ミサカ「……?どうかしましたか、とミサカは苦しそうな声をあげた涙子を心配します」

佐天「ぁあっ……ちが、あ、なんでもない……(耳の奥に響いてぇ……っ)」ゾクッ ギュゥ

ミサカ「あうっ……そ、そこまで強く抱きしめられると少し苦しいのですが、とミサカは……」

佐天「ひっ……あぁぁぁっ……(妹さんの声質とかもあって……変な感じにっ……)」ビクンッ

ミサカ「え、と、本当に大丈夫ですか?とミサカはわりと本格的に心配になってきたんですが……」

佐天「はぁ……あ、は―――ぅ、うう……(あ……駄目駄目……こんなの駄目だってぇ……)」トローン

ミサカ「……あ、あの、その、もう十分寂しさは無くなったので、そろそろ離していただいても大丈夫なんですが、
    とミサカは言い知れぬ不安感を感じながら早口でまくしたてます」

佐天「……みさかちゃぁん……(少しくらいなら……)」

ミサカ「っ……!あ、あの、なんでしょうか、とミサカは背中に走るおかしな感覚を気にしながら答えます」ビクッ

佐天「……首筋、すっごい綺麗だね」

ミサカ「は―――?」

佐天「はむっ」かぷっ






初春「やっほー佐天さーん!!お見舞いにきましたよ大丈夫で……す、か……?」

佐天「」

ミサカ「」ビクビク

初春「    」

776: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:00:15.42 ID:U4a34D.o
初春「……さ、ささささささささ……!!」

佐天「え、あ、うわあああああああああ!?」どんっ

ミサカ「ちょっ、いきなり突き放されるとショックなのですが、とミサカはベッドに仰向けに倒れながら
    理不尽な攻撃に心を痛めます」

佐天「ち、違うんだよ初春ぅ!!これはね、その、ほら、心音を計ってもらってたの!!」

初春「sssssssssssssssssssssssss」

佐天「あ、ほらぁっ、ミサカちゃんからも言ってあげて!?心音図ってただけなんだよね?!」

ミサカ「はぁ……寂しかったので抱いてもらっていたら首をはむはむされただけですが、とミサカは
    先ほどの出来ごとを簡潔に伝えます」

初春「」

佐天「」

777: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:00:47.26 ID:U4a34D.o
佐天「オーケー、少し落ち着こう」

初春「冷静な判断こそが風紀委員に望まれるものですからね」

初春「なんて言うと思ったんですか!?何ですかあれ!何ですかあれ!!」

佐天「あ、あれって何かなぁ?私は心音を図って貰ってただけでね……」

初春「あんな図り方がありますか!あと普通は脈です!その嘘は最初から間違ってます!!」

初春「というか誰ですかあれはー!」ビシィ

ミサカ「……?ミサカはミサカですが、とミサカ14444は自己紹介をします」

初春「妹達ですかそうですか……ってそんなことはわかってるんです!!なんで私の佐天さんとあんなことを……!」

佐天「(あ、初春は妹達の事知ってたんだ……まぁたぶん、あの時調べて貰った時に知ったんだろうなぁ)」

ミサカ「寂しかったから抱いてもらっていただけですが?とミサカは事実のみを述べます」

初春「だ、抱いて……」

佐天「違うからね!?ほら、ハグ!抱擁!!ね?」

ミサカ「ああ、それから訂正してください。涙子はあなたのものではなくミサカのものです、
    とミサカはきっぱりと所有権を唱えます」

佐天「」

778: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:01:35.98 ID:U4a34D.o
初春「なっ!どこの馬の骨ともわからない人に佐天さんが渡せるわけないじゃないですか!!」

ミサカ「涙子、彼女のことをなんと呼びますか?」

佐天「……はっ!え、あ、初春のこと?」

ミサカ「ではミサカのことは?」

佐天「ミサカちゃん?」

ミサカ「御覧なさい。涙子と私は「ミサカちゃん」「涙子ちゃん」と呼び合う仲なのです。
    対して貴女は「初春」「佐天さん」……ふっ、どちらが親密かは言うまでもありませんね、
    とミサカは華麗に勝利宣言をします」

初春「……ふ、ふふふ、あはははは!違いますよそれは!
   確かに私は佐天さんのことを「さん」付けです……しかし佐天さんは私のことを「初春」、
   つまり呼びすてで呼んでくれます!呼び捨てとは「この子なら呼び捨てで呼ぶのも抵抗ないな」
   即ち呼び捨てする対象への心の壁が無くなったということ!つまり佐天さんは私のことを
   それほどまでの親しみを込めて呼び捨てにしてくれているのです!!」

ミサカ「む……し、しかし……」

初春「しかしもかかしもありません!ミサカちゃん(笑)とか、そもそも「ミサカ」って御坂さんの
   苗字じゃないですか。そんなんじゃ到底私に敵いませんね!ハッ!!」

ミサカ「う……ううううううっ!!」ジワッ

初春「というわけで佐天さんっ!私も抱きしめてください!!」

佐天「どういうわけ?!ちょっと待って、別に私はどっちの方が好きとかそんなんは無いから!
   というか初春、あんまりひどいこと言ってミサカちゃん泣かせちゃ駄目でしょ!?」

779: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:02:21.93 ID:U4a34D.o
ミサカ「しくしく……どうせミサカは単価18万の複製品です……ボタン1つで大量生産な要らない子なんです……
    あ、やめてぇすてないでそんなめでみないでやだやだなんでおなじみさかなのにぃぃぃ」

佐天「あわわわ……ほらほら泣かないでミサカちゃん、大丈夫だからね?」ぎゅっ

ミサカ「ふっ……ふええええええん!!涙子ちゃああああああんっ!!」ぐしぐし ぎゅうっ

初春「なん……だと……!!」

ミサカ「」ニヤリ

初春「……!貴ッ……様ァァァァあああああ!!!」

佐天「初春うるさい」チョップ

初春「あうっ……ひ、ひどいです佐天さん……」じわっ…

初春「し、心配でっ……来たのにぃっ……ひっ、ひぅ……こんなのってないですよぅ……」ぐしぐし

佐天「え……あ、ご、ごめん初春……」

初春「い、いいんです……どうせ、どうせ佐天さんは新しくできた友達のほうが好きなんですよね……
   そうですよね、可愛いですもんね妹さん……わ、わたしなんかじゃ、かなうわけないですよね……
   ……ひっ、う、うええええええええん……」ボロボロ

佐天「馬鹿ぁっ初春!!」

佐天「そんな……そんなわけないでしょ!!初春は……初春は……私の大切な親友なんだから……!!」

初春「さ、さてんさぁん……ふええええええええんんっ!!」だきっ

佐天「よしよし……」ナデナデ




上条「あー不幸だった不幸だった……こういう時は佐天さんとこで話して癒されよう」

上条「おーい佐天さーん。お互い暇だろ?プリン持ってきたから一緒に食おう……ぜ……?」


佐天「」ナデナデ

ミサカ「」シクシク

初春「」グシグシ

上条「……お邪魔しまs」

佐天「あ、待って上条さん!助けて!こっからどうすればいいのかわかんないんです!!」

781: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:02:50.89 ID:U4a34D.o
そんなこんな。

ミサカ「取り乱して申し訳ございませんでした……とミサカはしゅんとしながら謝ります」

初春「ごめんなさい……なんだか最近佐天さんのこととなるとストッパーが働かなくて……」

上条「全く……佐天さんはけが人なんだから迷惑かけちゃだめだろ?それじゃお見舞いに来た意味ないだろ」


佐天「す、すごい……あの二人を一瞬で……これが一級建築士の話術……」


上条「というわけだから、あんまり佐天さんに迷惑かけちゃダメだぞ?佐天さんからしたら、二人とも
   大切な人に違いないんだからさ。さ、そんなことよりプリン食べようぜ。2個しかないから二人で
   1つだけどな」

ミサカ「(二人で―――)」

初春「(―――1つ?)」

ミサカ「ではここはミサカが涙子と一緒に食べましょう、とミサカはいの一番に申し出て―――」

初春「そういえば風邪ひいたときにお粥食べさせてもらいましたっけ……今こそその恩お返しします!」

佐天「じゃあ間をとって私が上条さんと一緒に食べますね」

上条「ん?ああ別に俺はいいけどさ。この前も一緒だったしな」

佐天「あれ?今回はあんまり動揺しないんですね」

上条「ははは、そう何度もからかわれる上条さんではありませんよ」

ミサカ「」

初春「」

782: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:03:19.25 ID:U4a34D.o
佐天「それにしてもこれちょっと高めのプリンですね。お金大丈夫だったんですか?あーん」

上条「ああ、土御門の妹が持ってきてくれたヤツなんだよ。丁度二つだったから佐天さんと食べようと思ってな。
   ……ん、おお、美味いなさすがに」

佐天「ああー舞夏ちゃんですね。さっき土御門さんの所で会いましたよん。というかその2つって土御門さんと
   食べろってことじゃ……」

上条「いやぁアイツは舞夏が世話してるだろうし、第一男二人でプリン突きながら昨日の反省会なんて嫌過ぎるだろ。
   ほれ、あーん」

佐天「んぐっ……それもそうですけど……うあ、ホントだ、美味しい」

上条「甘いのになんか飽きないような味だよなー」

佐天「とろとろですねぇ……カロリーとか気にしちゃうんですが。あーん」

上条「佐天さんの能力だったら体内の脂肪とか熱に変換したりできないのか?」

佐天「あぁー、やったことないですね……もしかしたらできるかも」



初春「なんですかあの自然体な恋人風景……」

ミサカ「ですが互いに特に意識はしていないようですねと言いながらミサカはプリンをつつきますうめぇ」

初春「ああっ!こっちの領域まで侵攻してこないでください!!」

783: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:03:45.85 ID:U4a34D.o
佐天「あー、なんだかんだであの二人仲よさそうですねぇ」

上条「そ、そうか……?っと、これで最後だな。ほい、あーん」

佐天「あーん……んー、二人でこの量だとやっぱり物足りないですね……あ」

佐天「上条さん、そのまま動かないでくださいね……」

上条「?ああ、蚊でもいたか?」

佐天「」ぺろっ

上条「」びくぅ

佐天「いやーほっぺにプリンの端がついてたんで……こういうのってスプーンで掬うときにはねるんですかね?」

上条「……あ、あの、今のほっぺというかほとんど口だった気がするのですが……」

佐天「いよっし!」

上条「何!?」

佐天「いやぁーやっぱり上条さんはどぎまぎしてくれた方が面白いなーって思いまして!
   恥ずかしかったけど無理した甲斐がありました!あはは、顔真っ赤ですよ上条さん」

上条「ええー……そういう佐天さんも顔真っ赤だぜ?」

佐天「そりゃー恥ずかしかったですから……うわ、なんだか今更いきなりすっごく恥ずかしくなってきちゃった……」カァー


キャッキャウフフ


初春「……帰りましょうか」

ミサカ「……全面的に同意します、とミサカはうなだれながら席を立ちます」



784: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:04:12.03 ID:U4a34D.o
―――11:46

ミサカ「そろそろ昼食の時間ですので自分の病室へ戻ってくださいね、とミサカ10032はナース服を着て
    桃色と絶望色が入り混じった病室へコールします」

上条「お、もうそんな時間か。わるいな、長い間話につきあわせて」

佐天「いいですよー楽しかったですし」

上条「そういや何時の間にかあの二人いなくなってたな」

佐天「初春は風紀委員で忙しいですし、ミサカちゃんは……何してるんだろ?」

上条「まぁいいか……そんじゃ、お互いお大事にな」

佐天「はーい」

ミサカ「随分楽しそうでしたね、とミサカは昼食を配膳します」

佐天「うん……あ、ごめんね妹さん、上条さんとっちゃって」

ミサカ「ふふっ、別にいいですよ?るいこが彼に対して好意はあれどそれは友人の域を出ない、
    ということくらい既に知っていますからとミサカは涙子を全面的に信頼しますとも」

佐天「まあね……尊敬できるし面白い人だしかっこいいけど、これは別にそういう好きとかじゃないからねぇ」

ミサカ「ということはやはりあれですか、百合ですか、とミサカは少し前のやりとりを思い出します」

佐天「べっ、別にそんなことないもん!!」

ミサカ「知っていますよ、とミサカはさらりとからかってみました」

佐天「……いじわる」プクー

ミサカ「それほどでも、とミサカはふくれたほっぺを指でふにふにしてみます」

佐天「うぅー……」

785: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 14:05:13.46 ID:U4a34D.o
書き溜めオワタ、てかいつの間にか書こうとしてたことから脱線しとる。どういうことなの……

続きはまたあとで書くよ、今日の夜くらいかなぁ

791: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/05/19(水) 15:56:58.74 ID:U4a34D.o
―――15:14

医者「うーん……脳波が乱れたままだね?大丈夫かい?」

佐天「今のところなんともないですけど……」

医者「もし何かあったらすぐに連絡してきなさい」

佐天「わかりましたー」



佐天「脳波ねぇ……やっぱり昨日無理したのが響いてるのかなぁ」

佐天「……ベクトル操作、か」

佐天「たった二回使っただけであのザマかー……連続して使うにはどれだけ複雑な演算式が必要なんだろ」

佐天「……一方通行さんに聞いてみよう」ピッピッ

792: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 16:02:40.49 ID:U4a34D.o
一方『こォーちら一方通行でェーすゥ』

佐天「……なんでそんなに機嫌悪そうなんですか?」

一方『テメェ……人があれからどれだけ電話待ってたと思ってんだァ?」

佐天「あ……ごめんなさいっ♪」テヘッ

一方『ごめンなさいで済んだら警備員サマはいらねーンだよクソがァ!!」

佐天「うぅ……いや、あれから電話するとかそんな状況じゃなくてですね……」

一方『言いワケしてンじゃねェよ。今どこにいやがる』

佐天「病院です……○○学区の」

一方『……なンですかァ?お前そンなに病院好きなンですかァ?』

佐天「別にそういうわけじゃないんですけどね……」

一方『チッ……』Pixtu

佐天「うわっ……切られちった。怒ってたなぁ一方通行さn」

796: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 16:52:22.69 ID:U4a34D.o
―――16:36

一方「来てやったぞ三下ァ!!」ガチャッ

佐天「えっ」

一方「えッ」

佐天「ちょ、着替え中に入ってこないでくださいよ……」イソイソ

一方「あ、うン、ごめンなさい……」がちゃっ


佐天「もういいですよー」

一方「失礼するぜ三下ァ!!」

佐天「ちょっと丁寧になりましたね……さて、それじゃあ私の着替えシーンを見たことについての謝罪でも聞きましょうか」

一方「ギリギリ12歳の着替えなンざ見てもどうとも思わねェよ。電話の件とでチャラにしてやらァ」

佐天「(ギリギリ12歳とか何言ってるのこの人……)」

佐天「えーとそれで、何しに来たんですか?」

一方「昨日言っただろォが。後で事情聞かせてもらうってよ……つーわけでとっとと話せ」

佐天「横暴だ……まあ一方通行さんなら大丈夫かな?笑わないでくださいね?実は―――」




一方「pgrwwwwwwwwwwww」

佐天「ぶっころすぞ」

797: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 16:58:13.26 ID:U4a34D.o
一方「魔wwwwwww術wwwwwwwwwwww」

一方「『刺突杭剣』―――『聖人』へ向けると効果発動。相手は死ぬ」キリッ

一方「ねーよwwwwwwwwwwww」

佐天「あ、うん、打ち止めちゃん?ちょっと一方通行さんの代理演算きってくれない?……うん、あとでクレープ買ってあげるからね。ありがと。
    今から10分後くらいに戻してくれたらいいから。……おっけー、それじゃあね」ぴっ

一方「あヴおえbぎう・;つblひぃうjんかsd」

佐天「まず一方通行さんをベッドへ寝かせます」

佐天「次にうつ伏せにします」

佐天「上から乗っかります」

佐天「喰らえ!指圧指圧!!」ぎゅううううう

一方「あおうびぃんrfs;おlgf;じゃんds;ぁkd;l;cざ」

佐天「あははは!どうどう?気持ちいい?それとも痛い?こんなので声あげちゃうなんて変 さんだねえ!!」ぎゅうぎゅう

佐天「ほらほらぁ!!足の裏とかすっごいでしょ?痛かったらもっと暴れていいんだよ?出来ないと思うけどねー!!」ぎゅうう

一方「」

799: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 17:10:44.84 ID:U4a34D.o
10分後。

一方「ぶっころすぞ」

佐天「それはこっちの台詞です。いきなり笑いだして……こっちは死にかけたってのに!」

一方「この科学の街で魔術とか言われてほいほい信じるヤツァどう考えても頭オカシイだろォが」

佐天「でもほら、私の第四波動とか、そういう例もありますから……否定材料もありませんし、信じるの方が科学的だと思いますけど」

一方「何が科学的だ。この元第一位サマに向かってンな台詞はくンじゃねェよ。
    まァ確かに、テメェみてェな例もあるから否定はしねェけどよ……」

佐天「まー嘘でも嘘じゃなくても、割と死にかけたってことは信じてください。アマクサシキ魔術が無かったら私どうなってたかわかりませんし?」

一方「そういやァベクトル操作したとか言ってたな……うら」デコピンッ

佐天「あんっ」

一方「ベクトル操作舐めてンじゃねェぞ、あンなもン演算無しでやったら一回で頭ぶっこわれるっつゥの。テメェはベクトルが視えてたからまだマシみたいだがな」

佐天「そりゃ今回の件で身を以って思い知りました……というかなんですか、心配してくれるんですね」

一方「テメェが死んだらクソガキが悲しむだろォが」

佐天「さいですか」

 
802: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 17:22:25.42 ID:U4a34D.o
一方「しかし廃人コースまっしぐらな脳ミソ治すなンざ、そのアマクサシキってのは随分とすげェな」

佐天「検診ではまだちょっと脳波乱れてるとか言われましたけどね」

一方「ふゥン……ちょっと診せてみろ」カチッ

ぽむ

佐天「ふぁ……い、いきなり女の子の頭に触れないでくださいよぉ……」

一方「―――あー……あ?うん?なンだこりゃ……おいおいちょっと待て、嘘だろオイ」ブツブツ

佐天「(何でぶつぶつ言ってるんだろこの人怖い)」

一方「……おい三下、ちょっと能力使ってみろ」かちっ

佐天「?はぁ……―――――ぎ!?」ずきん

佐天「が―――あ、く、あ、あたま、いた――― 」

一方「……ハッハァ、最高に愉快なことになってンなァ」

佐天「―――っはぁっ……!な、何今の頭痛……!」
 
804: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 17:32:25.45 ID:U4a34D.o
―――――――。

医者「なるほどね?まあ君が言うんだったら間違いないだろうね」

一方「あァ、理由はよくわかンねェが能力発動時に使用する領域がおかしかったンでもしかしてと思ったンだが案の定だわ」

医者「それにしてもよくわかったね?能力と脳の関係性なんてまだまだ研究段階なのに」

一方「俺もあの三下もベクトル操作っつゥ同じ分野の能力だかンなァ……なァーンとなくわかったンだよ」

医者「しかしそれは……あの子には気の毒だね。あの子は夏に能力が無いことに悩んで幻想御手に手を出してしまっているからね。
    それだけ能力に対する憧れみたいなものが強いから……一度手に入れたモノが無くなった時、かなりダメージを受けてしまうかもしれないね?」

一方「あン?アイツあンなモンに手ェ出してやがったのか……それで?治す手段とかあンのか?」

医者「僕は能力開発には詳しくないが……考えてみるよ」

一方「おォ、よろしく頼むわ」

医者「頼む、ね。あの子は僕の患者なんだから、そこまでして当たり前なんだけどね」

一方「そうかい」

医者「君こそ頼んだよ」

一方「……はいはい」

806: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 17:36:25.48 ID:U4a34D.o
佐天「……」

一方「よォ、話はついたぜ」

佐天「あ……ど、どうでした?」

一方「手は考えるだとよ。まァあの医者も腕は確かだからなァ……任せとけば問題ねェだろ」

佐天「そう、ですか」

一方「おォ……」

佐天「……」

一方「……(空気が重てェ……)」

一方「……ンじゃまあ、俺ァそろそろ帰らせてもr」

佐天「行かないでくださいっ!!」

一方「お、おゥ……」ビクッ

佐天「あ……いえ、その、迷惑でなければ、」

一方「ま、まァ基本暇だからなァ……別に問題ねェけどよ……」

佐天「……」

一方「……(何だこの空気……)」

807: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 17:48:23.03 ID:U4a34D.o
佐天「……あは」

佐天「能力が手に入ったからって調子乗って……それで能力無くしたなんで、馬鹿みたいですよね」

一方「別に、まだ能力が無くなったってわけじゃねェだろ」

佐天「でも戻るって保証もないですよ……」

一方「そこンとこはあのカエル医者がなンとかしてくれンだろ。俺だってコイツのおかげでなンとかなってるしなァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
しまったあああああああああああああ

ちょいまてマジでしまった!!くそっ!なんてこった!オーマイガッ!!!

落ち着け俺、畜生ッ!馬鹿か俺は!!!

ここの一方さんは電極切られても会話したり歩いたりできンじゃねえか……!俺設定つけといて何やってんだくそ!!

つーわけで>>797のところは以下のように考えておくんなまし。

佐天さんは打ち止めに代理演算の中にバグ情報みたいなものを混ぜるようにお願いしました。
そのせいで一方さんは電極が首についてる間、思考にノイズが走るようになりました。

こんなかんじで!くそっ、それにしてもなんてミスだ……!

810: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 18:03:50.86 ID:U4a34D.o
佐天「……あは」

佐天「能力が手に入ったからって調子乗って……それで能力無くしたなんで、馬鹿みたいですよね」

一方「別に、まだ能力が無くなったってわけじゃねェだろ」

佐天「でも戻るって保証もないですよ……」

一方「そこンとこはあのカエル医者がなンとかしてくれンだろ。俺だってコイツのおかげでなンとかなってるしなァ」

佐天「そう、です、かね……」

一方「……(随分落ち込んでやがンな)」

一方「……もし戻らなかったとしてもよ。お前には別の能力もあるじゃねェか。そう悲観することも無いだろ」

佐天「……あれは借り物の能力ですから。やっぱり、なんていうか、自分の能力無くすと悲しいですよ」

佐天「あーあ……せっかく手に入れたと思ったのになぁ……」

一方「だからまだ完全に無くなったって言ってねェだろ。ッたく、そンなうじうじしてっと戻るもンも戻らねェぞ」

佐天「……一方通行さんには私の気持ちなんてわかりませんよ」

812: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 18:19:19.96 ID:U4a34D.o
佐天「能力に憧れて、学園都市まで来て、才能無しって言われて、ずっと無能力者で」

佐天「周りの人は皆凄い能力持ってるのに私だけ何も出来なくて……!」

佐天「挙句の果てには金属バット?ハ、笑えますよね……!」

佐天「この第四波動だって所詮他人の能力―――自慢げに振りかざせるものじゃない!!」

佐天「だから自分だけの能力が手に入った時はすっごく嬉しかった……それを!」

佐天「それを無くした時の気持ちが!学園都市第一位に!わかるわけないじゃないですか!!」

一方「…………」

佐天「……ッ!そんな目で私を見るな!!何か言ったらどうなんですか!!」

一方「……」ぶつっ

一方「……ハァー……」ふらっ

佐天「……チョーカーを外したから何だって言うんですか。何ため息なんてついてるんですか。無視しているんじゃあないッ!!」

一方「……ほれ。コイツを俺に向かって投げてみろ」

814: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 18:28:31.00 ID:U4a34D.o
佐天「はぁ?何考えt」

一方「いいから投げろっつってンだよ雑魚が」

佐天「……っ!!!こ、の―――!!」ぶんっ

一方「―――――」キュウンッ

佐天「痛っ……反射……それがなんですか。この場で自慢なんて始めるつもりですか?」

一方「―――ふゥッ。駄目だな、やっぱコイツがねェと厳しい」カチャカチャ

一方「……見ての通りだ。前にも言ったと思うがコイツ……特性の電極がねェと俺ァまともに能力も使えねェ」

一方「せいぜい使えて反射―――それも、脳が焼き切れるくれェ集中してなンとかってレベルだ。昔ならこンなもン無意識化でやってたンだがな」

佐天「……っ」

一方「テメェも知ってるよな?こうなったのも打ち止めを助けるためだよ―――アイツを捨ててりゃ俺はこんなことにはならなかった」

一方「けどな、俺ァ後悔なんてしてねェ。ガキの頃から地獄の中で能力を開発し続けてようやっと手にしたモンをガキ一人救うために捨てたわけだが―――
   ―――それでも、俺はアイツの笑顔が見られるならそれでもよかったって思えてる」

815: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 18:38:29.46 ID:U4a34D.o
一方「なァ、テメェはどォなンだ?」

佐天「は―――?」

一方「テメェだって脳ミソぶっ潰してまで守りたかったモンがあったンだろ?死ぬ覚悟でやったンだろ?」

一方「それで死ななかったってンなら、何でそれで良しとしねェンだ。能力使えねェくらいでガタガタ騒いでンじゃねェぞ雑魚が」

佐天「あ……」

一方「能力が使えなくて辛ェ気持ちが解らないとは言わねェさ。だがな、自分で決めたことのせいで能力使えなくなってウジウジしてンじゃねェよ」

佐天「う、……うぅ……」ぐしぐし

一方「……あの医者に任せときゃなンとかなンだろ。俺だって頭ぶっ飛ばされてもなンとかなってンだ。心配すンな」

佐天「ひ……ふえええええええええん!!!一方通行さあああああああん!!!」ボロボロ

一方「あーうっとおしいうっとおしい、と」ナデナデ

一方「(あーこンなの俺のキャラじゃねェンだがなァ……三下ァ……テメェのせいで随分丸くなっちまったぜェ……)」





ミサカ「ワオ、これはびっくりな光景ですね、とミサカ10032は扉の陰からにやりと呟きます」

一方「」

816: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 19:00:32.82 ID:U4a34D.o
一方「待て、やめろ、テメェら御自慢のMNWとかいうヤツは使うな――――」

ミサカ「残念、今さっきスレが立ってしまいました、とミサカは現在出来る満面の笑みで返します」

一方「チックショォォォォオオオオオオオ!!!!」



MNW掲示板

1【今日の】上条当麻総合スレPart310【そげぶ】(153)




19おい、あのロリコンが違う女に手出してるぞ(310)



一方「取り消せェェえええ!!」

ミサカ「いやぁこうなってしまうと運営が直々に手を下すしかないですね、とミサカは慌てふためきながらも涙子の頭から手を離さないあたりににやついてみます」

817: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 19:07:24.84 ID:U4a34D.o
ミサカ「まぁまぁそう怒らず、涙子の能力の話を持ってきましたから」

一方「何?」

佐天「……へ?」

ミサカ「ミサカ達が派遣されているところは主に研究所ですが―――その中でも貴女に縁のある人の研究所に派遣されているミサカもいまして」

ミサカ「先ほど連絡を取ったところ、今すぐでもいいから来てくれ、と返事がありました。とミサカは事務的に説明します」

佐天「私に縁がある……?」

ミサカ「まぁ行けばわかりますよ、とミサカは既にタクシーを手配してある自分の周到さにほれぼれします」

一方「ハッ、良かったじゃねェか。オラ、何時まで腕にしがみついてる、さっさと行って来い」

佐天「あ、はい……あの、」

一方「アーアーキコエナイキコエナイ。いいから言ってこいっつゥのうっとォしい」

ミサカ「ほらほら、もうタクシーがついてますよ、とミサカは急かします」

佐天「う、うん……」



ミサカ「別に例の言葉くらい言わせてあげてもよかったでしょうに、とミサカはあなたのその辺りが理解できないと言わんばかりのまなざしを向けます」

一方「この俺が礼だァ?気持ち悪ッ」


818: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 19:21:30.12 ID:U4a34D.o
――――。

佐天「―――」

佐天「(―――一方通行さんに、ひどいこと言っちゃったな。謝らないと……お礼も言いたいけど、あの人そういうの嫌いそうだなぁ。
         今度打ち止めちゃんにどうしたらいいか相談しよう)」

佐天「(それにしても何処へ行くんだろ……私に縁のある人って……?)」



――――研究所

運転手「着きやした。お代は頂いてますんで。ありあとございやしたー」


佐天「さて……研究所の玄関ってインターホーンなんだね」

ピンポーン

≪はい≫

佐天「○○病院の紹介で来た佐天涙子という者ですけど」

≪ああ、君か。上がってくれ≫

佐天「……聞いたことあるようなないような……?」

819: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 19:24:47.05 ID:U4a34D.o
木山「やぁ久しぶりだね。元気にしてたかい?」

佐天「……なるほど、確かに縁があるわけだ。ええ、元気ですよ、お久しぶりです」

木山「そうかい?目が真っ赤だが……」

佐天「うっ……」

木山「まぁ世間話をするために来てもらったわけでも無いしな。さっそく本題に入ろうか。
    能力が使えなくなったんだったか?というか、君は能力者になれたのか」

佐天「まあ、なんとか……で、はい、能力使おうとすると頭が痛くなるんですよ」

木山「ふぅん……何にせよ検査してみよう。こっちだ」

820: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 19:39:19.60 ID:U4a34D.o
―――――。

木山「……だいたいわかった」

佐天「早っ!」

木山「幻想御手だのなんだので、能力者について色々知る機会があったからね。
    さて、君の現状だが―――今のように能力を使用することは不可能だ」

佐天「……っ、それは、もう二度と能力が使えないって……?」


木山「いや、そういうわけではないよ。『自分だけの現実』というのがあるだろう?
    能力は『自分だけの現実』がある限り消えないし、使えないというのは演算出来ないということだ」

木山「そして『自分だけの現実』はATM拡散力場と密接な関係があるが……君の力場はおかしな数値を示している。
    おかしな、と言っても、ただ他のサンプルに比べて各数値のバラつきが激しいというだけだが……おそらくここが問題だろう」

佐天「……?あの、つまりどういうことで……?」

木山「そう焦るな。つまりその数値を戻してやればいい―――が、今のところAIM拡散力場に直接干渉するような方法は無い。
    故に、これは君が君自身で直さねばならないな」

佐天「……つまり?」

木山「『自分だけの現実』の細部を組み換える―――おそらくこれくらいしか、今のところ方法はないだろう」

821: ◆oDLutFYnAI 2010/05/19(水) 19:45:28.09 ID:U4a34D.o
佐天「『自分だけの現実』を……?」

木山「ああ。君の能力が何かは知らない。だが、間違いなくその能力は一度致命的なまでのダメージを受けた。
    だからこそ今使おうとすると頭痛がするんだろうさ。傷を負った回路に無理やり電気を流せばショートする。
    ならば、その回路を捨てて違う回路を作ってやればいい。つまりそういう発想だ」

佐天「そんなことできるんですか?」

木山「わからない。けれど私が提案できる方法はこのくらいだ」

佐天「組み換える……でも、どうやって……」

木山「さてね。その辺りは能力者でない私にはわからんさ。能力の本質は変化していないはずだから、
   そこへアプローチする方法を変えればいいんじゃないか」

佐天「うーん……」

佐天「(熱ベクトルを視覚化する能力……本質は『視覚化』?でも、操作も出来たし……これが本質とは言えないのかなぁ)」

木山「さて、そろそろいい時間だ。夕飯にしよう。食べていくといい」

佐天「え?あ、はい、ありがとうございます」

838: ◆oDLutFYnAI 2010/05/20(木) 21:02:16.30 ID:Azx5xPwo
―――20:12

佐天「研究所の食事ってもうすこし質素だと思ってました」

木山「私はなんでもいいんだが、他の研究員が唯一の楽しみが食事なんだと叫んでいてな」

佐天「なるほど。それで、新しい『自分だけの現実』の獲得でしたっけ?」

木山「君は鶏か」

佐天「ひどい」

佐天「とまあ冗談はさておき、能力の本質ですか……うーん」

木山「こればかりは私は手伝えないから自分で考えなさい」

佐天「あれ?そういえば木山先生は私の能力が何か効かないんですね」

木山「さして興味もないからね」

佐天「ひどい」

840: ◆oDLutFYnAI 2010/05/20(木) 21:07:45.22 ID:Azx5xPwo
佐天「……能力の本質、かぁ」

佐天「まず第一に『熱』……これのベクトルを視覚化して操作……」

佐天「……あれ、よく考えたら私の能力おかしい気がする」

佐天「『視覚化』は透視能力とかの分野で、『操作』は念動力の分野じゃないのかな」

佐天「能力は一人につき1つが大原則―――2つ以上は脳の容量が足りないんだっけ」

佐天「とすると……うわー、本格的にわかんなくなってきなぁ……」







ミサカ「そこでミサカの出番ですよ、とミサカはひょっこり現れます」

841: ◆oDLutFYnAI 2010/05/20(木) 21:13:44.83 ID:Azx5xPwo
佐天「……え、なんでいるの?」

ミサカ「その反応はいささか失礼な気がしますがまあいいです、とミサカは大人の余裕を見せつけます」

佐天「ああ、うん、ごめん。そっか、ミサカちゃんと初めて会った時研究所で働いてるって言ってたっけ。ここだったんだね」

ミサカ「イエスイエス、とミサカは親指をぎゅんぎゅんします」

佐天「あ、ちょっと何言ってるかわかんないです。うーいーはーるー!」

ミサカ「えっ、ここで何故あの女の名前を?とミサカは突然の咆哮に驚きを隠せませんが」

佐天「なんだか私のアイデンティティみたいなものが最近崩れかけてきた気がして。私も白井さんみたいな口癖考えて置いたらよかったなー」

ミサカ「?まあいいです、それで能力のことですが、とミサカは脱線していた話題を元に戻します」

ミサカ「能力の本質と、視覚化と操作で悩んでいるようですが、ここは私のひいてはオリジナルの能力を考えてみましょう」

佐天「御坂さんの能力?電撃使いじゃなかったっけ」

842: ◆oDLutFYnAI 2010/05/20(木) 21:29:34.19 ID:Azx5xPwo
ミサカ「電撃使いと言ってもいろいろありますが、オリジナルの『超電磁砲』はそれらのほとんどを内包した能力と言っていいでしょう、とミサカは説明を始めます」

ミサカ「単純に電撃を、磁場を操作し佐鉄のブレードを、また電磁力線を読み取る、電子機器への介入、常に発生している電磁波での周囲の探知、
    さらに最近はなんだか空まで飛べるようになったみたいですね、とミサカはwikiを確認しました。六枚羽(笑)」

佐天「改めて聞くと御坂さんってやっぱり凄いなぁ……超能力者第三位の実力もうなづけるなぁ」

ミサカ「しかしその本質となれば、電流・電磁波を観測し操作する能力ですから、これだけ聞けばたいしたこともないような気がしないでもないです、
    とミサカはオリジナルの能力を遠まわしにぷぎゃあってしてみましたがこれって自虐してますよね」

ミサカ「まあ何が言いたいかと言うと、涙子の能力も同じようなものです、ということですよとミサカは説明を締めくくります」

佐天「……なるほど、つまり私の場合は『熱を観測し操作する能力』ってことね」

ミサカ「いくざくとりぃ、とミサカはジョジョ立ちをビシィッっと決めます」

佐天「『視覚化』は観測する時の副産物……御坂さんで言うところの電磁力線が視えるみたいなものかな」

ミサカ「まあミサカ達妹達は電磁力線はこのゴーグル無しでは視えませんから、本来視覚化するというのは高位能力なはずなのですが、
    その辺りは相性なんでしょうかね、とミサカは一人で推測し一人で納得します」

843: ◆oDLutFYnAI 2010/05/20(木) 21:37:35.79 ID:Azx5xPwo
佐天「……そっか、わかったかも。ありがとね、ミサカちゃん!」

ミサカ「礼には及びませんよ、とミサカはかっこよくクールに去ります」

佐天「―――ふぅ。さて、それじゃやってみよっかな」

佐天「おそらく壊れた回路は『視覚化』の部分。ミサカちゃんのさっきの言葉からすると、たぶん
   視覚化なんてしなくても操作は出来るはずなんだ」

佐天「けど私の『自分だけの現実』は『視覚化』ありき……この部分の回路を捨てるわけにはいかない」

佐天「ならどうするか、って話だけど……」

―――集中する。
    まずは今までのイメージを捨てること。
    次にこれからを見据えて新しいイメージを作ること。
    熱の『ベクトル』という固定観念を外して。
    『熱そのものを視る』と考えること――――

佐天「―――よし、書き換え完了」

844: ◆oDLutFYnAI 2010/05/20(木) 21:42:50.00 ID:Azx5xPwo
佐天「――――うわあこれはなんというか……」

佐天「うん、まあ、これしかイメージはなかったけど……すっごいなぁなんか」

佐天「―――痛、まだこっちの演算式出来てないから長い間は使えないかな」


木山「やあ、どうだい経過は」

佐天「あ、どうも。なんとかなりました」

木山「なんだ、やけにあっさりいったな。というか仮説は正しかったのか……私もまだまだ捨てたもんじゃないらしい」

佐天「えへへ、ありがとうございました。おかげで能力戻ってきましたよん」

木山「それは何より。それで、その能力はどういうものなんだい?」

佐天「あれ?興味なかったんじゃないんですか」

木山「君が随分嬉しそうにしているから興味が出てきたんだよ」

佐天「そんなに嬉しそうですかね……にへへ……」ニヘラニヘラ


846: ◆oDLutFYnAI 2010/05/20(木) 21:47:20.56 ID:Azx5xPwo
佐天「えっと、私の能力ですけど『熱を観測し操作する能力』です」

木山「ほぅ、珍しい能力だな。幻想御手の時はそんな能力見なかったが」

佐天「皆そう言ってくれますよ。熱というか、熱ベクトルというか……まあそんな感じの能力です」

木山「第一位の劣化版みたいなものか」

佐天「劣化版て。確かにまあそんな感じですけど……」

木山「ちなみにどの部分が壊れていた?」

佐天「『視覚化』の部分ですね。もともと『熱感知』から始まった能力なんで、これがしめる部分が大きかったみたいです」

佐天「以前は熱を矢印のイメージで視覚化していたんですけど、今回は波でイメージしました」

木山「ふむ、まあそちらの方がぱっと見ではわかりにくいが理解すればより正しく観測できるだろうね」

佐天「ええ、まあ、今の私じゃ勉強不足でなんともなんですが……あと、新しく演算式もくみ上げなきゃいけないですし、大変です」

木山「ふふ、大変と言うわりには嬉しそうだがね」

佐天「そうですかね?えへへ……」ニヘラニヘラ

847: ◆oDLutFYnAI 2010/05/20(木) 21:51:36.56 ID:Azx5xPwo
木山「さて、どうする?随分遅くなったが帰るかい?なんなら泊っていってもいいが」

佐天「本当ですか?じゃあお言葉に甘えて……今から帰ってたら大変ですから」

木山「ふむ、それでは部屋へ案内しよう。ついてきなさい」




ミサカ「な……ん、だ、と……」

佐天「あ、部屋ってミサカちゃんと同じところなんですか」

木山「二人とも知り合いだったのか?なら都合がいい、ここは普段仮眠室に使っているがこの子が泊りの時はこの子の部屋となる」

佐天「んっと、一緒につかっていいかな」

ミサカ「ええどうぞまったくもんだいありませんむしろぜひつかってくださいませ、とミサカは興奮を隠しきれずついつい早口で部屋へ促してしまいます」

木山「(これは面白いことになりそうだ……確か防犯カメラが……)」

佐天「じゃあよろしくね」

870: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 21:10:30.67 ID:zUzrK32o
朝になりました。

佐天「昨夜何かあった気がしたんだけどなーんか思い出せないなー……なんでだろ」

ミサカ「そういうこともありますよ、とミサカも同様何か思い出せないままでいます」

木山「やぁおはよう、朝食の準備は出来てるから食べに行くといい」

佐天「ありがとうございます。それでですね、それが食べたらですね」

木山「わかっているさ。タクシーの手配はしてある。今日の第一競技には間に合うだろう」

佐天「うはー何から何までありがとうございます」

木山「気にするな」

871: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 21:14:43.61 ID:zUzrK32o
ご飯を食べました。

佐天「それじゃあ、お世話になりました」

木山「礼なんていらないよ。それじゃあ競技、頑張ってきたまえ」

佐天「はいっ。じゃあね、ミサカちゃん」

ミサカ「ええ、今日から最終日までは研究所にいますから会えませんが、またどこかでお会いしましょう、とミサカは手を振ります」

佐天「うん、それじゃねー」



佐天「ふぅ。それじゃ向こうに着くまでに、演算式組み立てようかな。基本は変わらないはずだから問題ないはずだけど」

佐天「そうだ、ベクトルの大きさ……高温か低温か見わけるのはサーモグラフィみたいに色をつけたらいいかな。これも組み込もう」

佐天「となると、えーっと……あ―駄目だ、今ある知識じゃただ視覚化するくらいかなぁ。勉強しないと」

872: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 21:23:10.99 ID:zUzrK32o
そして着きました。


佐天「うーいーはーるーっ!!」だきっ

初春「はうっ!い、いきなり抱きつかないでくださいよぅ!」

佐天「固いこと言わないで!私と初春の仲じゃん!」

初春「そうですけど……あ、体調はもういいんですか?」

佐天「ばっちり!さぁ昨日と一昨日の分を一気に巻き返そうか!ささ、今うちの学校は何位くらい?」

初春「えっと……ここですね」

佐天「……なるほど、だいたい下の中ってとこね。まぁ普通の中学校レベルだ」

初春「あい。で、常盤台は今のとこ13位ですか」

佐天「そういや御坂さんが常盤台はスロースターターって言ってたっけ。ま、だからと言って負けてられないけどね!」

級友2「そういうこった!!体調は大丈夫か?今日は日射病で倒れたりしないでくれよな!」

佐天「はっはー、大丈夫大丈夫!あと5日、一気に駆けあがろう!今までのはただのイントロよ!」

級友2「だな!聞かせてもらおうか、最高のサビってやつを!」

佐天「それは勿論?」

級友2「相手の絶命の叫びだね!」

佐天級友2「あははははははは!!」

873: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 21:26:25.14 ID:zUzrK32o
初春「何このテンション。もう三日目なのに」

級友「あの二人くらいよね、元気なの」

初春「ですねえ。あ、サイト見てくれました?」

級友「……うん///」

初春「私としては佐天さんが薬漬けになったところとか屈指の出来だと思うんですけど、どうでした?」

級友「え!?えっと、そうね……私は学園都市の実験植物にやられちゃうとことか……」

初春「おおっ!そんなところとは……なかなか素質がありますね!!」



佐天「あれ?初春達なに盛り上がってるんだろ。なんか私の話っぽい気がするけど」

級友2「聞かんでいいよアレは」

佐天「?」

877: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 21:48:46.00 ID:zUzrK32o
≪本日の第一競技に参加する生徒は――――≫

級友2「さってそれじゃあ行きますか!」

佐天「よしきた!そんで、今日の競技って何?」

級友2「……マジで何も知らないのな。今からは二人三脚だよ。佐天のペアは初春ちゃんとだったかな」

佐天「初春とかぁ……初春とかぁorz」

級友2「露骨にがっかりするなよ気持ちはわかるが」



初春「頑張りましょうね、佐天さん!……何でそんなにテンション低いんですか?」

佐天「だって……初春とだもん」

初春「え……それは、私とじゃ、嫌ってことですか?」

佐天「!あ、いや、そうじゃなくてね!?ただ初春とだと一位とかは狙えないかなぁってさ……あ」

初春「……すみません、どうせ私なんて足手まといですよね……う、うう……」グシグシ

佐天「ああっ、違うよ初春!そんなことない!二人で頑張って優勝目指そう?ね?」

初春「でもでも、私じゃ優勝なんて出来ませんよう……」

佐天「大丈夫!この佐天涙子ちゃんに任せなさい!」

878: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 22:00:27.84 ID:zUzrK32o
吹寄≪それではルールを説明します。
    二人一組となって、片足ずつこのタスキで縛ってください。両者の足が10cm以上離れるような結び方をしたペアは失格です。
    また、競技中にタスキが外れた場合でも失格となりますのでご注意ください。能力の使用は勿論認められていますが、
    競技上、選手を直接狙うような行為は反則となります。ですがそれ以外なら問題はありません。
    当然ですが、コースレーンの外へはみ出した場合はいかなる理由であろうと反則となり失格とします。
    距離は600m。位置に着きましたか?
    それでは第一走者――――用意……始め!≫

ワーワーヤセーコロセーソコダーシネェー
ジャァーンケーンシネェ!
ディーンドライブブラックバード!ワワ、セツナチャンハヤスギダヨゥ!


佐天「成程ね……ただ駆け抜けるだけが勝負じゃない、か」

初春「『選手を狙えないがそれ意外ならok』『タスキが外れたら失格』……つまり、選手の前方を攻撃して邪魔をする、または」

佐天「タスキをピンポイントで狙って失格を狙う、ってことね……タスキがちぎれたりしたら失格だし」

初春「けど、走ってる最中にあんな場所を狙うなんて相当なコントロールあ必要ですね。もし相手選手にあたったりしたら失格になりますし」

佐天「だね。ま、一応注意しておこうか」

初春「それより佐天さん……本当に、さっきの作戦?で大丈夫なんですか?」

879: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 22:08:35.46 ID:zUzrK32o
佐天「大丈夫だよ。絶対大丈夫」

初春「でも……『いつもと同じようにふるまえばいい』だなんて、そんなのじゃとても勝てるなんて……」

佐天「あのね、初春。私と初春が、一体どれだけ同じ時間を共有したと思ってるの?」

佐天「私は初春のペースを知ってるし、初春は私のペースを知ってる。だからさ、遊びに行く時みたいに、どっちかのペースに
    合わせたら絶対上手くいくんだよ。まあ、今回は私のペースに合わせてもらうことになるけどさ」

佐天「出来るよ、私達なら。だって私達、親友じゃん?」キリッ

初春「佐天さん……!」ポッ

佐天「初春!」だきっ

初春「佐天さん!」ぎゅっ





級友2「何やってんだアイツら」

級友「こ、これが百合……」ドキドキ

883: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 22:16:19.06 ID:zUzrK32o
吹寄≪それでは第二走者の選手は準備を―――≫


佐天「さぁ行こう初春!能力差なんて関係ない!私達の愛を見せつけてやろう!」

初春「そうですね!愛の前には何事も無価値に候!!」


吹寄≪それでは位置について――――始め!!≫



佐天「せぇの!」

初春「1,2、1、2!」


ウオーコロスゾテメェラァー
ハッハァ!ウチノマエヲトオルヤツァミナゴロシヨォ!!


佐天「(全12組。前を走ってるのは5組で、後ろは6組か……後ろからの攻撃を意識しなきゃならないぶん、高位の能力者はわざと後ろへ行って
    撃破しながら追いぬいてくって戦法もあるのかな……でもまあ)」

佐天「(私には熱感知があるし、おかしな動きがあったら違和感でわかるから問題ないかな。ペースは初春が合わせてくれるし、
    私は周りを警戒できるってわけね)」

佐天「―――!初春、左へ少しそれるよ!」

初春「はいっ!!……わわっ、足もとなんか通り過ぎてきましたよ!?」

佐天「」ちらっ

佐天「……!うっそ、後ろ全組やられてる!?」

885: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 22:22:11.33 ID:zUzrK32o
初春「えええっ、そんな……!」

佐天「大丈夫、私がナビするから初春はペース合わせる方に集中して!っと、次右へぐっとそれよう!」

初春「はっ、はい!!」

佐天「(厄介だなー……後ろ5組やられたってことはたぶん能力のコントロールは抜群なんだろうなぁ。
    わざと当たりにいって失格にさせるって方法もあるけど、そんなことしてたら前に追いつけないし―――)―――っとと!次も右ね!」

佐天「(―――いっちょやってみますか。―――視覚化、開始)」

佐天「――――ストリームディストーション(小)!必殺砂埃!!」

佐天「よし、今のうちに上位に追いつこう!!」


コザカシイコトシヤガッテェ!!
チクショウッ、メガ!メガミエネェ!!

886: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 22:30:35.72 ID:zUzrK32o
佐天「初春、今から砂埃を前方に起こすから目ぇ瞑っててね!」

初春「うえええ!?目つむったまま走るとか怖くて無理ですよう!!」

佐天「大丈夫!ほら、私を信じて!!」

初春「……わかりました、でもこけたりしたらパフェおごってくださいね!」

佐天「合点!そんじゃいくよ!」

佐天「ストリームディストーション!ストリームディストーション!……よし、それにしてもグラウンドが乾燥してて助かったかなぁ
    おっけ初春、もう大丈夫だよ!」

初春「ん……あ、ほらほら佐天さん!一位の人が見えてきましたよ!!」

佐天「よっし……って、遠っ!?何アレ、速過ぎるでしょ!」

初春「たぶん精神感応系の能力者なんじゃないですかね、片方送信片方受信なら、ラグが少なく動けますし」

佐天「ぐ……けど、私達だって一緒にいたんだから!能力者になんか負けないよね!」

初春「はいっ!私達の愛はその程度じゃ負けませんよ!」

佐天「それじゃラストスパート全力で走ろう!せーのっ!」

887: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 22:34:14.18 ID:zUzrK32o


―――――――そんなこんな。


級友2「いやぁおしかったなぁ佐天と初春ちゃん!もう少しだったじゃんか!」

初春「うぅ……すみません佐天さん、最後に私の足がもつれたから……」

佐天「気にしない気にしない!結果として負けちゃったけど、最終的には追いぬいてたし、私達の愛は能力を上回ったってことだね」

初春「佐天さん……」きゅんっ

佐天「初春……」ぐっ

初春「佐天さん!」だきっ

佐天「初春!!」ぎゅうっ

級友2「だからお前ら何やってんの?」

級友「まあ……でも、これで少し順位上がったわね」

級友2「でもまだ遠いな。さ、私達も頑張ろうか」

級友「……うん」ポッ

級友「えっ」

893: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 23:05:45.21 ID:zUzrK32o
まー寄り道が嫌いなわけじゃないけどそれで前へ進まないってのもアレなんで、以下ダイジェストでお送りします。


―――3日目

佐天「ほらほら初春!こっちだって!」

初春「まってくださいってばぁー!」

―――4日目

御坂「まさか佐天さんと真っ向勝負だなんてね……あの時の恩があるとは言え、手加減はしないわよ!」

佐天「望むところです―――けれど、この競技は私に利があるようです、ね!!」

―――5日目

ミサカ「ここはミサカに任せて、早く!!とミサカはっ……ぐ、ああああ!!」

佐天「妹さん!?妹さぁーーーん!!」

―――6日目

上条「時々わかんなくなるよ。俺が一体何だったのか。俺は、今なんで生きてるのかな、って」

佐天「……それは、私には答えられません。だけど、上条さんは確かに皆の笑顔を守ってきたじゃないですか!!」

―――7日目

左天「久しぶりだな」

佐天「……左天、おにいちゃんっ……!」



そんな感じだったらしい。

899: ◆oDLutFYnAI 2010/05/21(金) 23:16:13.67 ID:zUzrK32o
>>128から>>163を経て、


佐天「――――、うん、元気出た。まだ私は頑張れる」

pllllpllll

佐天「っとと、初春からか。はいはーい」

初春『佐天さん、何してるんですか?もうすぐクラスの打ち上げ始まりますよ?
    クラスじゃ佐天さんの話でもちきりなんですから、早くきてください!』

佐天「おっけー。すぐ行くよ」ピッ


佐天「……あー、なんだか、うん、きゅんってなるかな。このお祭りが終わっちゃう空気」

佐天「空も随分秋っぽくなったなぁ……さて、それじゃ打ち上げいきますか」



こうして佐天涙子の始めての大覇星祭は終わりを迎える。
しかしこの時彼女はまだ知らなかった。
この大覇星祭での活躍が、自身を暗い奈落へと叩き落とすことを――――

―――大覇星祭編  終

910: タイトル訂正 847~870保管(作者別) 2010/05/22(土) 00:42:32.93 ID:1Hxuf/c0
木山「それでは私はこれで失礼するよ。ゆっくりしていくといい」

佐天「あいあい。お休みなさーい」バタム


佐天「……行った、か。それじゃあミサカちゃん」

ミサカ「は、はい、とミサカはあふれ出る緊張を隠せません」ドキドキ

佐天「寝よっか」

ミサカ「」




佐天「すー……すー……」

ミサカ「(うう、ほんとにねちゃうなんて涙子のばかばか、とミサカは心の中で親友に悪態をつきます)」

ミサカ「(でも無理に起こして気分を害することになっても嫌ですし、とミサカは文字通り泣き寝入りします)」

ミサカ「くすん……ぐす…………すー……」

佐天「すー……すー……」

ミサカ「すー……すー…」

佐天「すー……すー…………ニヤリ」

911: タイトル訂正 847~870保管(作者別) 2010/05/22(土) 00:45:16.55 ID:1Hxuf/c0
佐天「(ふっふっふー!実は涙子ちゃんは寝ていなかったのだーっ!な、なんだってー!!)」

佐天「(落として後に持ち上げるのが夫婦生活を長く保つってなんかのテレビでも言ってたしー。いや、夫婦じゃないけど)」

佐天「という訳で……。お邪魔しまーす……」ゴソゴソ


ミサカ「んん……」

佐天「(んー……ミサカちゃんあったかーい……)」ぎゅっ

ミサカ「すー……ん、涙、子……」

佐天「!!(やっば、起きた!?)」

ミサカ「涙子………んん……すう……」

佐天「(あ、危ない危ない、寝言だったか……。に、しても……)」

佐天「(寝言で名前呼ばれるのって、すっごくくすぐったいなぁ……)」

佐天「……うん、よし。添い寝ドッキリのつもりだったけど」

佐天「少しイタズラしちゃお。こんなに可愛いミサカちゃんが悪い。うんうん」

912: タイトル訂正 847~870保管(作者別) 2010/05/22(土) 00:47:03.70 ID:1Hxuf/c0
佐天「(さてと……まずはドコからいこう)」

佐天「(とりあえず頬でもこねくりまわしてみよう。うりうり)」

ミサカ「んん……むぎゅ……」

佐天「(うあー柔らかい……。全く羨ま……いやけしからんですな)」

佐天「(よし、次は耳たぶでも……うんやらかいやらかい)」ふにふに

佐天「(……起きないよね?なら……お腹でもさすってみよう。……服の中から)」ゴソゴソ

ミサカ「ん……すー……」

佐天「(うわーうわー凄く細い……いいなあ……ん?)」さすさす

ミサカ「んん……」ゴソゴソ

佐天「(やば、少し控えないと……)」スッ

ミサカ「ん……ふあ……」コロン

佐天「」

913: 847~870保管(作者別) 2010/05/22(土) 00:51:43.02 ID:1Hxuf/c0
佐天「(寝返りうったせいで……ミサカちゃんの顔が目の前に……)」カアァ

ミサカ「すー……すー……」

佐天「(あぁ……綺麗な寝顔だなぁ……食べちゃいたいくらい)」

佐天「(なんか熱吸収したわけでもないのにぼーっとする……なんだろこれ)」

佐天「(まいっか……。なんだかふわふわして気持ちいいし、くちびるおいしそうだし)」

佐天「(ん?おいしそう?何が?……まあいいや……)」

佐天「いただきます」はむっ

ミサカ「……!!んっ…・・!」

 

916: 847~870保管(作者別) 2010/05/22(土) 00:58:36.34 ID:1Hxuf/c0
木山「きのうは おたのしみ でしたね」

佐天・ミサカ「」

佐天「よし、ミサカちゃん忘れようか」

ミサカ「そうしましょう、とミサカは同意します」

ミサカ「(実はミサカは防犯カメラの存在を知っていましたが、ここは涙子にあわせておくことにしましょう、とミサカは流されやすい日本人の気質を最大限に発揮します)」

木山「(昨晩はなにやら誤作動か何かなのかセキュリティシステムが起動していたからそのうち風紀委員や警備員にビデオのチェックを依頼しなければならないのだが……)」

木山「(まあ、黙ってればいいか……)」

920: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 09:33:16.73 ID:sqKT0bIo
―――4日目

佐天「うーいーはーるーっ!!!」

初春「うわっ、なんですかいきなり……何時ものことでしたね」

佐天「それよりこれ何さ!これ何さ!この競技何さぁー!!」

初春「何って……『ドキッ!本格戦闘訓練in学園都市大覇星祭!ビリリもあるよ!』ですけど」

佐天「ごめんわけわかんないから一から説明して……」

初春「物騒な話になりますけど、能力者のレベル分けのひとつの基準に、『個人でどれだけの戦力となるか』ってのがあるんですね。
    レベル3まではたいしたことないんですけど、レベル4やレベル5は軍隊に混じって戦えるかどうか、ということも加味されてくるわけです」

佐天「確かに白井さんが本気だしたら紙一枚で一刀両断だし、御坂さんのレールガンとかもそうだしね……普通に電撃放っただけでも十分だけど。
    (一方通行さんとか戦場へ行って反射してたら相手倒せるしね……怖っ)」

初春「そういうわけで、そんな能力者達が実際に戦場へ行った場合どうなるのか、ってシミュレーションを競技にしたのがコレです」

佐天「なるほどね、危ない話だけど……ただ1つ疑問があってね」

初春「なんですか?」

佐天「なんでそれに私が入ってるの?!当時レベル0だった私が!!」

初春「だってそれ各学校で抽選ですから。よかったですね佐天さん、何百人の中からたった一人選ばれたんですから!おめでとうございます!」

佐天「おめでとうじゃないってー!」

923: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 09:46:10.20 ID:sqKT0bIo
初春「大丈夫ですよ。大能力者や超能力者が出てきて本気でやったら死人が出ちゃいますから。
    その辺りはちゃんとルールで定められてるはずです」

佐天「そ、そうなの?ちなみにこれってどこでやるの?」

初春「その年によって変わるんですけど……あ、今回は屋内戦ですよ。珍しいですね」

佐天「屋内戦?」

初春「なんでも放棄された研究所を舞台にしたみたいですけど。この研究所は夏休みくらいに潰れた場所ですね」

佐天「……まあ、抽選ってことは私みたいな低能力者もいるわけだし、そこまで危なくないのかな」

初春「でもこれ凄いんですよ、紅白に分かれて戦うんですけど、勝ったチームと、最後まで生き残った人は高得点貰えるんです。
    毎年ベスト5に入る学校はだいたいがこれで勝ち残ってますね」

佐天「常盤台とかレベル3以上が普通だからなー。けど、しょうがない。それじゃ一丁勝ってこようかな」

初春「え?勝つ?何言ってるんですか、熱を視るだけの能力じゃせいぜい生き残るので精いっぱいじゃないですか?
    思いあがるのもたいがいにしてくださいよ佐天さんのくせに」

佐天「えっ……あの、初春?何か怒らせるようなことしたっけ」

初春「いえ、私は事実を言ったまでですよ?ほらほら、そこにスポーツ店があります。
    さっさと金属バットでも買ったらどうですか?」

佐天「それは黒歴史なのに……!う、初春のばかあああああああっ!!」だっ

初春「(久々にいじめるとやっぱり楽しい佐天さんかわいい)」

924: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 09:56:07.59 ID:sqKT0bIo
≪それでは選手の皆さんはチームに分かれて―――≫


佐天「なっ……!」

御坂「奇遇ね佐天さん、いえ、悲運というべきかしらね?こんな競技に選ばれちゃうなんてさ」

佐天「嘘ぉ……御坂さんがいるなら勝ち目ないじゃん……」

御坂「あら、そんなことないかもよ?確かに屋外戦なら電撃で一掃できたけど、屋内だとそういうわけにもいかないしね」

御坂「他の能力者もいるし……私にだって相性の悪い能力だってあるしね。それに殺しちゃだめだからレールガンぶっぱなすわけにもいかないし」

佐天「殺すとかさらっと言ってるなんて嫌っ!ほらぁ、私達のチームは御坂さんがいるって知っただけで負け戦気分じゃないですか!
    あそこでガクガクブルブルしてるのとか、絶対電撃使い系ですよ!くそぅ、わざわざ挨拶しにくるなんてーと思ったけどそういうことですか!!」

御坂「あはは、まあこれも戦略ってことで?あんまり言いたくないけど、こういう時は超能力者の肩書きあってよかったわー」

佐天「くぅっ……けど私は負けませんからね!御坂さんの能力は知ってますし、応用性も妹さんから聞いてますし!」

御坂「へぇ、言うじゃない。いいわ、大覇星祭で勝った方なんて言わない。この競技で勝ったほうが罰ゲーム行使権獲得、ってことでどう?」

佐天「いいでしょう!これも何かの縁ですからね!」

御坂「おっけーいい返事。それじゃ、私以外の誰かにやられないようにしてねー」フリフリ



仲間1「な、なあアンタ……あの『超電磁砲』と知り合いなのか?お、俺、あんなヤツが敵チームにいるってだけで腰が……」

佐天「大丈夫だって!確かに御坂さんの能力は強力だし応用性も高いけど、けど弱点だってあるんだから!」

925: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 10:13:36.74 ID:sqKT0bIo
黄泉川≪そんじゃルール説明するじゃんよー。耳の穴かっぽじってよーく聞けガキ共ー。
      場所はこの研究所敷地内。まー基本屋内で戦うじゃん。
      ルールは『殺さないこと』。とりあえずそれだけじゃんよー。
      いくら攻撃を食らっても失格にはならないが、敷地より外に出たら失格じゃん。
      だからもし怖かったら始まった瞬間敷地外に出たらいいじゃんよ。こんな危ない競技いちいち参加する必要なんてないじゃん。
      まーこんなとこだな。時間制限は60分。それまでに勝負がつかなかったら生き残ったやつが多い方が勝ちじゃーん≫

佐天「はい質問です!それじゃ戦わないでずっとどこかへ隠れててもいいってことですか?」

黄泉川≪そういうことじゃんよ。でもまあいつ攻撃が飛んでくるかわかったもんじゃないから、そんなことするくらいなら
      とっとと失格になることをお勧めするじゃんじゃん≫

黄泉川≪それじゃ今から30分作戦タイムおよび配置につくじゃん。これより西側が白組、東側が紅組じゃん。おら散った散ったー。
      30分後にサイレン鳴らすからそしたら勝負開始じゃんよー≫



佐天「よっしそれじゃあ御坂さん対策を皆に教えて―――って!」

佐天「ちょっと!なんで瞬間敷地外に出てるんですかー!」

失格者「いやだって怖いし。俺そんなレベル高くないし」

失格者2「あの第三位もいるんだろ?勝てるわけねぇのに危ないことしたくねぇっての」

ソウダソウダー

佐天「くっ……戦わずして戦力を削るとは……やってくれましたね御坂さん!」

仲間2「いいさ腰ぬけは居ても邪魔になるだけだ。それよりお前は第三位の能力知ってるみたいだな。対策立てられるのなら早いとこ対策たてよう」

佐天「そ、そうですね……それじゃ、残った皆さんをこっちへ誘導してください……あとあなた本当に学生ですか?」

仲間2「大学生だからお嬢ちゃんから見たらほとんどオッサンだな。ま、スネークって呼んでくれ」

佐天「へび……?(この人中二病なのかな)」

926: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 10:26:43.08 ID:sqKT0bIo
佐天「第一回御坂美琴通称『超電磁砲』対策会議!」

仲間1「よしきた!」

仲間2「第三位だろうと穴はあるはず……そこを確実に攻めれば、勝てる……!」

佐天「まず第一にこちらの戦力確認ですけど……最初50人いたのに今は19人ですか……」

仲間3「集団心理が働いたのかしらね……一人がやめれば皆やめるに決まってるわ」

佐天「うぅーん、まあ危ない競技ですからそれは仕方ないんですけどね。たぶん、実行側もそれを承知で棄権みたいな形で
   失格になれるようにしたんでしょうし」

仲間2「いないヤツのことを言ってもしょうがない」

佐天「それもそうですね。それじゃあまず御坂さんの能力ですが―――」

仲間4「おいちょっと待て……なんでテメェみたいなガキが仕切ってやがる。俺は勝手にさせてもらうぜ!アバヨ!」

仲間1「あ、おい、ちょっと待てよ!」

仲間4「うるせぇ!第三位だろうがなんだろうが対策なんざいらねえよ!俺の『物体固定』にゃどんな攻撃も効かねえ―――がっ!?」

仲間2「ただでさえ少ない人数なんだ―――一人が勝手に行動してもらっちゃ困る。それで俺達が危ない目になるかもしれないからな」

佐天「なっ……(早い……違う、さっきの動きは早いってだけじゃ説明つかない!相手の死角から一瞬で組み伏せた体術……)」

仲間3「そういうことよ。あなたも残ってるってことは勝つ気なんでしょう?なら協力したほうがいいと思うけれど」

仲間2「俺ごときに組み伏せられてるようじゃいくら能力が強くとも負ける可能性がある―――その慢心をここで捨てて行け」

仲間4「……くそっ、話を聞くだけだからな!」

927: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 10:41:49.18 ID:sqKT0bIo
佐天「それでは……えっと、御坂さんの能力ですが、ご存じ『電撃使い』ですが、その応用性は多岐にわたります。
    電撃としての攻撃性は勿論、雷のように一瞬で相手を貫くような電撃の槍を放つことができますから、まず直線状には立たないでください」

仲間2「屋内だったことが幸いしたな。ここなら遮蔽物はいくらでも作れる」

仲間「だ、だがよ、あの第三位に遮蔽物なんて関係あるのか……?」

佐天「そうですねぇ……目くらまし程度にはなりますけど、効果は薄いでしょうね。
    それに御坂さんには不意打ちは通用しませんし」

仲間3「どういうことかしら?」

佐天「御坂さんは自分の身体から漏れる電磁波で周囲の環境を察知できるんです。
    だから背後から近付いたりしても気付かれる可能性が高いですね」

仲間2「高い攻撃力にレーダー機能、か……つまり、直線外かつレーダーの範囲外から一撃必殺の攻撃を食らわせればいいわけか」

仲間3「簡単にいうけれどそれってかなり難しいわよね……それに相手は第三位だけではないし」

佐天「そこですよね……もし御坂さんと鉢合わせするようなことがあったら、とにかくどっかの部屋に逃げ込んでください」

仲間5「いや、それについては俺達がなんとかするよ」

佐天「?どういうことですか?」

仲間5「いや、さっき話してたんだけどさ、コイツが精神感応の大能力者らしいんだわ」
                 
仲間6「まあね!私の『蜘蛛伝心』はこういう時にしか役に立たない能力なんだけどね!!ハハッ!!」

仲間5「触れたヤツとテレパスできるらしい。限界人数は20人らしいからギリギリだが……。
     それで俺が追跡系能力でな。まあ今のとこ一人二人が限界だが、さっき第三位がこっちきてたろ?その時に線をつながせてもらったんだわ」

佐天「―――!なるほど、仲間5さんが位置確認して仲間6さんが場所を教える……これならなんとかなりそうですね」

928: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 10:51:36.14 ID:sqKT0bIo
仲間2「そうか、ならこれがこの研究室の見取り図だ」

仲間4「なんでんなもん持ってんだオッサン」

仲間2「なに、備えあれば憂いなしってな。仲間6は映像も一緒に送信できるのか?」

仲間6「問題ないね!私が地図見ながらどのあたり動いてるか送るよ!あ、そっちからも送れるから何かあったら言ってね!
    私が司令塔!ハハッ、こりゃいいね!」

佐天「よっしこれなら勝てるかも!……あ、配置どうしよう」

仲間2「まずこの部屋にそいつらは残ってもらうとして……あと二人ほど、もし攻められたときのために残ってもらいたいが……」

仲間4「なら俺一人で十分だ。言ったろ、俺にはどんな攻撃も通じねえって。ここは窓もない扉ひとつのんなに大きくねえ部屋だ。
    これくらいならなんとでもなる」

仲間2「たいした自身だな……俺も言ったはずだ、慢心は捨てろと」

仲間4「なら、そうだな……ほれ、こいつを思いっきり壁にぶつけてみな」

仲間2「ガラスコップ?……おらっ!!」

佐天「え……われてない?」

仲間4「物体を固定化する能力だ。時間を止める、って感じだな。手を離しゃ十数秒でとけちまうが、触れっぱなしならいつまでも固めていられる。
    俺が扉を触れてりゃ誰も入ってこれねぇってこった」

佐天「ならここは仲間4さんに任せてますね、お願いしますっ」

仲間4「お、おお……(クソガキかと思ってたがかわいいじゃねえか……)」

929: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 11:12:42.77 ID:sqKT0bIo
仲間1「人数が少ないし、ここは守りに入るべきなんじゃないのか……?」

佐天「いえ、人数が少ないからこそ長期戦は不利です。不意をついて一瞬で攻め立てないと」

仲間2「ならまず階段は俺に任せな。ちょっと準備してくる」

佐天「?まあ、お願いします」

――――――。

佐天「それじゃあ皆さんさっき言ったように基本は不意打ちで戦いに行ってください!
    おそらく相手は人海戦術で来ますから、見つかればアウトです!解散っ!!」


佐天「さて、それじゃ行きますか仲間1さん」

仲間1「あ、ああ……あんまり役に立てないかもしれないが、よろしく頼むよ」

佐天「こちらこそっ。そういえば仲間1さんはどんな能力なんですか?」

仲間1「……電撃使いさ」

佐天「!御坂さんと一緒……」

仲間1「……本当は俺も逃げだそうと思ったんだけどな。アンタが第三位にも弱点があるって言ってて希望がわいたんだよ」

仲間1「それに俺だってひたすらに能力をあげるために頑張ってきたんだ……まだ大能力者だが、年下に戦いもせずに負けるわけにはいかないんだ」

佐天「……わかりました!それじゃあ御坂さん以外をぱぱーっと倒して、それからさくっと御坂さんを襲撃しましょう!」

仲間1「そうだな……うん、やろうか」


黄泉川≪よっしゃーガキ共始めんぞー。スタート!!≫

ウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ................!

930: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 11:21:04.03 ID:sqKT0bIo
――――スネークサイド。

仲間2「始まったか……幸いダンボールもあったからな。やるか」

ゴソゴソ


敵「つうかさーもう俺ら勝ったようなもんじゃん?」

敵2「マジ笑えるよなー超電磁砲見た瞬間棄権とかwwww腰ぬけ乙wwwww」

敵3「のんびりやっても勝てるっていうか?勝ち戦ほど気持ちのいいもんはねぇよなぁ!」

敵4「さくっと相手さん狩ってやるかねぇ……」

敵5「天使ちゃんマジ天使」


仲間2「(来やがったか……どうやら俺は見つかってないみたいだな)」


敵3「―――は!おいおい馬鹿がいたぜえ!あのダンボールのうちどれかに敵さんがはいってやがるぜ!!」

敵2「ダンボールに隠れるとかwwwwwワロスwwwwwおらっ、でてこいwwww」


仲間2「(……馬鹿はてめぇらだよ)」カチッ

931: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 11:28:44.49 ID:sqKT0bIo
敵さん「「「「「どわーっ!?」」」」」」

敵1「な、なんだこれ?落とし穴?なんで研究所に……!!」

仲間2「(さらに駄目押しっと)」ゴソゴソ ひゅんっ

敵さん「「「「「なななな何ー!?いきなり暗く……閉じ込められたー!!?」」」」」

仲間2「……ふぅ、これで5人封殺完了、っと」


仲間3「すごいわね、何かしらその能力。空間移動?」

仲間2「アポートさ。座標を指定してその空間を自身の横にもってくるっつぅ、あんまり使い道のねぇ能力だ。
     コイツで穴をあけて蓋もした」

仲間3「便利ねぇ。ただの風使いの私には本当に羨ましいわ」

仲間2「能力なんざ使い道だろ」

932: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 11:34:40.86 ID:sqKT0bIo
―――佐天サイド

仲間6≪仲間2からでんごーん!敵5人封殺、だってさ!ちなみに第三位はこのあたりねー!≫

佐天≪おっけー、それじゃ私もいきますかー≫

佐天「さ、それじゃ正面突破しますかね」

仲間1「ふ、不意打ちが基本だったんじゃないのか……?」

佐天「けど攻撃系がそろってるし、大丈夫だよ」


敵6「!!出やがったな!!」

敵7「は、5人の前に一人で出てくるたぁいい度胸じゃねえか!!」

敵8910「「「くたばれえええええ!」」」


佐天「廊下って一直線で避けるとこないよね?残念!あなたたちの競技はここで終わりです!―――二重第四波動」


敵「「「「「ええええええええ!?」」」」」」


敵7「ちっ、その程度で俺が―――がっ!?」ビリッ

仲間1「一人じゃないさ……スタンガンみたいなもんさ、とりあえず1時間は気絶したままだろうね」

佐天「よっしこれで形10人撃破かな?一応支給品の縄で縛っておこう」ぎゅっ


936: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:02:26.92 ID:sqKT0bIo
しかし紅組もやられてばかりではなかった。
その圧倒的な人数差で白組をちまちまと殲滅し、「こいつぁ勝てねえ!」と思った選手は敷地外に出て棄権。
だが白組のスネークが仕掛けたトラップなどにより「こんな怖いところにいられるか!」と棄権。
まあそんなこんなで、一度攻撃くらったりしたヤツはほとんど失格域へ逃げて行ったのだった。
そしてその頃の御坂さん。

御坂「うーん、なんで私誰とも会わないんだろ」

「蹴散らしてやるわ!」と言って飛び出たものの、追跡とテレパスで全く相手にしてもらっていなかった。
そんなこんなで人数は減り―――

白組 7人
佐天 仲間1 仲間2 仲間3 仲間4 仲間5 仲間6 仲間7←new!

紅組 3人
御坂 敵49 敵50

938: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:09:52.86 ID:sqKT0bIo
黄泉川≪じゃーんじゃーん。報告じゃーん。残り20分じゃーん≫


佐天「―――今のとここっち優勢みたいだね。このまま耐えたらこっちの勝ちかな。
    けど、御坂さんがいるチームでよくこれだけ戦えたなぁ……まあ御坂さんとは会わないようにしたんだけど」

仲間1「聞いた話じゃ両チーム能力値の合計が同じになるように抽選されてるとか……」

佐天「あー、なるほど。で、こっちの棄権した人達はあんまり高くなかったから、必然的に高い人ばっか残っちゃったんだね。
    仲間1さん、仲間4さん、仲間6さんはレベル4だし、仲間2さんと仲間5さんと仲間7さんはレベル3だし」

仲間1「あれ?そういえば君のレベルって――――」

仲間6≪緊急連絡!まずい、相手に精神感応系の能力者がいたみたい!!仲間7と回線がきれちゃった!!≫

佐天≪……ってことは、この回線もばれちゃったってこと?≫

仲間6≪たぶんね!―――きゃぁっ!!≫ぶつっ


佐天「え……?―――まずい、拠点へ戻ろう!!」







御坂「ちょろっとー。まーさかこんな小賢しいことしてくれてたなんてねー」

939: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:16:36.08 ID:sqKT0bIo
ちょっと前。

仲間7「死に晒せぇっ!!」

敵49「くぅ……!!」

仲間7「ははは!これで終わ―――」ガクンッ

敵50「ふぅ……間に会った間に会った」

敵49「ごめんね……けど便利だね、それ。相手の思考をのっとるんだけ?」

敵50「読み取るだけかなぁ。副作用で気絶させられるけど―――おっと……なるほどなるほど」

敵49「?何かあったの?」

敵50「今から御坂さんへテレパス飛ばして?一階の東の○○室、どうにもここが拠点みたいね。
    ここで御坂さんの動きを追跡して御坂さんに出合わないようにしてたみたい」

敵49「なるほど……わかった」

敵49≪御坂さん、東一階の○○室が敵の拠点です。ここを叩いてください!≫

御坂≪○○?ってことはこの下ね……よし≫

御坂「たぶん下に人いないでしょうね……手加減するからたぶん大丈夫だと思うけど!」ビリビリ


940: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:20:54.31 ID:sqKT0bIo
仲間4「……!なんだぁ今の音!!」

御坂「「あれー?ここなはずだけどドアあかないわね……ちょっとー、今なら痛くしないから投降しなさーい」」

仲間4「誰がするか馬鹿女が!!ハッ、てめぇでもここを破るのは不可能だぜ!!」

御坂「「ふぅん……」」ビリビリ

ゴォォォン・・・

仲間4「うおっ!なんだ今の衝撃……」

御坂「「……へぇ、手加減したとは言え私のレールガンを防ぐなんてやるわね。でもさ、」」ビリビリ

ドォンッ

仲間456「!?」

御坂「あっはーやっぱり。あれだけの強度だもん、壁までは強化できてないわよね?」

仲間4「壁を突き破るだと……!くそっ、化け物かよ!!」

御坂「失礼、ね」ビリリリリリリ

仲間4「がっ……」ぱたん

御坂「さて、アンタ達が私を追跡してた、ってわけね。こんな小賢しいことしてくれてたなんてねー」

941: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:25:31.47 ID:sqKT0bIo
佐天「―――ッ!!何、これ……!」

仲間1「壁が……どんなことしたらこんなことが……」


御坂「どんなことって、ちょっとレールガンうっただけだけど?」


佐天仲間1「――――――!!!!」

御坂「そんなにびっくりしないでよ……けどやるわねえ佐天さん。
    まさか、こんな小賢しい真似してくれてたなんてねー」

佐天「(不味い―――このままじゃ……)」

仲間1「……行ってくれ、ここは俺が請け負うよ」

佐天「……無理です、仲間1さんが弱いとは言いませんけど、御坂さんとは次元が違います」

仲間1「わかってる……けど、電撃使いに対抗できるのは電撃使いだけだ。今この場では、俺のほうが君よりも強い」

佐天「けど―――」

仲間1「頼むよ」

佐天「……く、お願いします!!」だっ

御坂「あら、逃がすわけないのに」

仲間1「待てよ……こっから先は行かせない!」

御坂「……雑魚が」

942: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:29:33.01 ID:sqKT0bIo
佐天「くそ……私に力があったら……!」


キャアッ


佐天「!あれは、仲間3さんの声……!」



仲間2「ちっ……精神感応系の能力者と思って舐めてたか……」

敵49「」

敵50「」

仲間2「倒せはしたが……おい、起きろ仲間3……くそっ、駄目か」

佐天「大丈夫ですかっ!?」

仲間2「お嬢ちゃん……いや、敵は倒せたがこっちも一人やられた」

佐天「そんな……」

仲間2「あとは第三位だけか……おい、仲間1はどうした」

佐天「それが―――」

943: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:34:01.45 ID:sqKT0bIo
御坂「あはは、やるじゃない」

仲間1「くそっ……やっぱりただの電撃じゃダメージは無いか―――!」

御坂「それはお互いさまみたいだけど?でも、まあそうね」

御坂「アンタは結構やるみたいだから―――本気で殺すわよ」バシュッ

仲間1「―――ッ!!」ビリッ

御坂「あれ?雷撃の槍がかわされるなんてねー。本当、思った以上にやるわね」

仲間1「(なんだありゃあ……あんなの食らったら気絶どころじゃ……)」

御坂「でもさ、さすがに三本はかわせないでしょ?」バシュッ ビリビリ ビリッ

仲間1「がッ―――」バタン

御坂「―――こんなもんかな。じゃあね、結構楽しかったわよ」

945: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:38:39.90 ID:sqKT0bIo
仲間1「―――――隙を見せたな第三位」がっ

御坂「うん?足なんてつかんで何してんのよ」

仲間1「俺をただの電撃使いだと思ったか?俺の電撃は、主にこうやって使うんでな―――!」

御坂「ッ!」ビクンッ

仲間1「生体電流を操るってやつだ……てめぇに不意打ちはきかねえし、こうして触れなきゃ効果はねぇが……
    しかし流しちまえば気絶させるくらいは出来るぜ―――!」


御坂「……びっくりしたぁ。けどね、私が第三位でいるってのは、そういうことが出来るってことも含めてなのよ」

仲間1「……嘘だろ?」

御坂「嘘じゃないわよ」ピトッ ビリビリ

仲間「――――」グテッ

御坂「……ふぅ、けどびっくりしたぁ。誰かに生体電流びりっとされたの始めただったわね」




御坂「……ちょっと気持ちよかったかも」

949: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:45:57.62 ID:sqKT0bIo
佐天「……たぶん、仲間1さんは御坂さんには勝てないでしょう。最悪、あのレールガンが在りますから」

仲間2「てことは俺達二人で第三位をなんとかしなきゃならないってことか……くそっ、材料もなくなったしな」

佐天「材料?」

仲間2「トラップの材料だ。俺のアポートは基本見えてる部分だけだが、部屋に置いてある罠材料の箱の座標は覚えてるからな。
    座標がわかればアポートできる」

佐天「あ、だからところどころで敵が罠にかかってたんですね」

仲間2「そういうこった。だが材料は無い。しかも俺はまだ人間をアポートできない……やれやれ、どうしたもんか」

佐天「うーん、私が御坂さんをひきつけるから―――って、御坂さんには背後からの奇襲も通じないか」

仲間2「いや、奇襲ってのは別に背後からだけじゃなくてだな―――」

佐天「―――ッ!!危ない跳んで!!」バッ

仲間2「なっ―――」バッ


ビリビリビリビリビリ


佐天「な―――」

仲間2「電撃の遠隔操作―――だと……?」


御坂「あら、別に遠隔操作ってほどじゃないわよ?ただ電磁波で見つけて、そこへ電撃を放っただけだから」

954: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 12:54:48.08 ID:sqKT0bIo
佐天「来た……」

仲間2「……どうする」

佐天「……私が行ってなんとか隙を作ります。仲間2さん、何秒御坂さんが動けなくなれば落とせますか」

仲間2「……3秒だ。それでギリギリだな」

佐天「3秒……それだけの時間御坂さんが能力を使えないような状態にする、ってことですか……よし、難しいけどやりますよ」

仲間2「頼むぞ。ああ、そうだ、これ持ってけ」

佐天「……!これって―――ありがとうございます!これがあれば……!」




佐天「どうも、御坂さん」

御坂「やっほー佐天さん。でもやっぱりやるじゃない、最後まで残るなんて。ま、そこに一人隠れてるみたいだけど?」

佐天「わかってますよ、御坂さんに不意打ちが通じないってことくらい」

御坂「あっそう?そうよね、佐天さんは私の能力知ってるものね―――それで目の前に出てくるなんて、いい度胸じゃない」

佐天「あいにく、私も真っ向勝負のほうが得意なんですよ(視覚化―――および熱吸収開始)」

御坂「ふーん。まあ私としては楽しませてくれたらそれでいいわよ。誰かさんのせいで、この競技でほとんど戦ってないし」

佐天「それは残念でしたね(吸収終了、視覚化続行―――御坂美琴の周囲に歪みを感知)」

御坂「……ええ、残念だったわ。だから、せいぜいここで暴れさせて頂戴!!!」

955: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:01:59.91 ID:sqKT0bIo
佐天「―――っは、そんなお粗末な雷撃なんて当たりませんよ!」

佐天(いける―――雷撃を放つ前に確かに空気が歪む……つまり熱の歪み。
    これを見抜いていけば、まずは初動は掴める!!)

御坂「速いわね――さすが身体強化ってとこかしら。けれど、光速は超えられない―――!!」

佐天「確かに光速は超えられませんが御坂さんの動き自体は止まって見えますよ!」

御坂「―――ちっ、なんで光速の雷撃が避けられるのか思ってたけど、そういうことね。
   あの電撃使いにしろ、私が電気をためる瞬間を図ったってこと……本当、弱い人間は小細工が好きよねぇ!!」

御坂「ほらほらほら!逃げてばっかじゃなくてかかってきたらどうよ!!」びりびりびり

佐天(避けられる―――とは言え、ああも放電されてちゃあ初動が視えたって全然意味ないし!)

958: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:07:05.01 ID:sqKT0bIo
御坂「―――そう。出てこないの。いいわ、なら別の手段があるから」スッ

御坂「―――ぶち抜きなさい、レールガン」

ドォン・・・ザバァー

佐天「!?水?!」

御坂「あ、知らなかったんだ?屋上の貯水槽よ……だいたいあの辺りだと思ってぶちぬいたけど、正解だったみたいね」

御坂「あーあ、服びしょびしょじゃない。ま、それはお互いさまか―――ね?」

佐天「――――!!!!!」

御坂「それじゃあさよなら佐天さん」ビリッ ビリビリビリ

961: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:12:11.51 ID:sqKT0bIo
御坂「――――ふん、これで終わりだなんてあっけない」

御坂「佐天さんならもう少し楽しませてくれると思ったんだけど―――え?」がくんっ

御坂「な―――何これ、水が凍ってる―――!?」


佐天「―――知ってますか、御坂さん。ああ、知ってるでしょうね御坂さんなら」

佐天「確かに水は電気を通します。とくにここの貯水槽の水は随分不純物があったみたいですね」

佐天「でもね―――氷は電気を通しにくいんですよ」


御坂「氷……?」

佐天「本当危なかったんですから……熱吸収で自分の周りの水を凍らせて、服までこおっちゃいました」

佐天「解凍するのに自分の身体に第四波動だし……まあ熱耐性あるから問題ないんですけどね」

佐天「さて、御坂さん。今御坂さんの身体はずぶぬれです。そして私はまだ熱吸収を続けています。つまり―――」




佐天「―――ほら、もう動けないでしょ?」

御坂「くっ―――!」

964: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:16:12.18 ID:sqKT0bIo
御坂「……舐めてんじゃないわよ!指一本動かせなくたって雷撃は撃てる!
   アンタ達ただの能力者くらい頭1つで100回殺せるんだからぁぁぁあああ!!!」ビリビリッ

佐天「そんな攻撃あたりませんよ、っと。どうですか?もう終わりにしませんか?」

御坂「―――な、め、る、なぁぁあぁああああ!!!!!」ジュッ

佐天「―――なぁっ!?」

御坂「馬鹿じゃないの?電気を通さないってことは抵抗率が高い―――無理やり電気流してしまえば熱で溶けるのよ!!」

佐天「ちっ、さすが第三位ですね……!っとぉ!?」

御坂「よくもやってくれたわね佐天さん―――絶対に、許さないんだから」

967: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:20:36.29 ID:sqKT0bIo
御坂「私もね、自分の能力がどれくらいかは知ってるわ。どれだけ強力か、ってことくらいね」

御坂「だから力をセーブしてたけれど……もうやめにするわ」

御坂「だって佐天さんが無い力でこれだけやってくれたんだもの、弱者の戦意に応えるのも強者としての役目よね?」

御坂「さあ見なさい―――超電磁砲・星船形態!」

佐天「くっ―――御坂さんを中心に雷撃が……!」

御坂「この攻防一体の攻撃、佐天さんに破れる?この十を超える雷撃の槍を、佐天さんにかわせる?」

御坂「絶望しなさい―――私を本気にさせたことを!!」

971: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:25:38.39 ID:sqKT0bIo
佐天「が―――!!」


御坂「あはははは直撃ねえ佐天さん!!どう?痛い?あ、もう気絶しちゃってる?そうよねえ、この電撃使いの極致、
    『超電磁砲』の攻撃を食らったら普通そうなるわよねぇ!!」


佐天「―――は、舐めないでください……!この程度で、私がやられると思ってるんですか?」

御坂「―――さっきの一撃で気絶すればいいものを。いいわ、徹底的に貫いてあげる!!」ビリビリビリ



―――熱吸収能力。
    あらゆる熱を吸収し攻撃エネルギーに変換することの出来る能力の一片。
    だから私には、御坂さんの雷撃は『コレ』によって熱エネルギーへと変換されると思うと、全く怖くなかった。

    ちょっと痛いかな、なんて思ったけど。
    泣きごとも言ってられなかったから、叫ぶのは止めた。

973: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:30:54.99 ID:sqKT0bIo
御坂「―――嘘。嘘嘘嘘。なんで……なんで倒れないのよ!!」

佐天「―――頭の良い超能力者なら、これがなんだかわかりますよね?」

御坂「な、に―――それ、って、まさか」

佐天「ええ、ニクロム線ですよ―――といっても、ちょっと違うみたいですけど」

佐天「これをくれた人は大学で工学の研究室にいまして―――それの試作品らしいですよ」

佐天「電気を熱へと変換するこの線があれば―――御坂さんの電撃なんて、無いのも同然です」


佐天「電撃使い御坂美琴―――通称『超電磁砲』。これよりこの場では、あなたの攻撃はすべて封殺されました」


御坂「ふ、ふふ……ははははは!!!本当小賢しい!小細工を!!」

御坂「私が封殺された?なら、これをうけてみなさい――!!」

佐天「―――!レールガンって……それはさすがに洒落になりませんよ!?」

御坂「うっさい!!私を怒らせた責任、とってもらうんだからね―――!!!」ビリビリ

佐天「な―――!!」

974: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:34:32.08 ID:sqKT0bIo
御坂「喰らええええええええええええええええ!!」


佐天「……あれ?」

御坂「―――え?」

御坂「え?え?なんで……?なんで、私、確かにコインを構えて、それで」




仲間2「俺を忘れてくれるなんてひどいじゃないか」こきっ

御坂「」どさっ

佐天「あ……仲間2さん!まだ生きてたんですか……」

仲間2「ひでぇ……色々苦労したんだがな。感電しないようにだとか」

仲間2「しかしレールガン、ね……ま、コインさえアポートしちまえば全く問題なかったな」

佐天「あ……なるほど」

仲間2「さ、凱旋といこうか。第三位を連れてよ」

佐天「はいっ!」

978: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:39:46.04 ID:sqKT0bIo
黄泉川≪終了ぉーじゃーん。所要時間は53分29秒。白組の勝利じゃーん。おらーてめーら喜びなー≫


*     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   白組「イヤッホオォォォォォォォウ!!!! 」
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *     +    。     +   。 +
     〈_} )   
        /    ! +    。     +    +     *
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||


佐天「ふあーよっしゃー勝ったー!!」

黄泉川≪つーわけでまず白組にポイントじゃーん。次に最後まで残ってた白組の二人にポイントじゃーん。
     おめでとうじゃーん≫

仲間2「ふぅ……これでのんびりカロリーメイトが食えるな」

佐天「それにしても助かりましたよ、レールガンなんてぶっぱなされちゃたまったもんじゃないですからね」

仲間2「まあ俺も咄嗟だっかがな」



御坂「う、うーん……あ、あれ?」

980: ◆oDLutFYnAI 2010/05/22(土) 13:44:04.71 ID:sqKT0bIo
佐天「気づきましたか?」

御坂「佐天さん……そっか、私負けちゃったのか……」

佐天「私だけじゃ勝てませんでしたけど……ま、勝ちは勝ちですね。
    駄目ですよ御坂さん、慢心したりすぐに怒ったりするから負けるんです」

御坂「う……」

佐天「ま、それはともかく!罰ゲームですね!!」

御坂「……ナンノコトカシラ?」

佐天「御坂さん……今更とぼけるなんて……」

御坂「う、だってだってぇ……いいじゃない、いいじゃないー!」

佐天「何がいいかわかりませんが約束は約束です!まあまた考えておきますから、覚悟しててくださいね!」

御坂「う、うーっ……」




小噺・佐天さんと御坂さん 終

引用元: 佐天「聞かせてくれよ……お前の絶命の叫びでな!」