1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 23:47:05.32 ID:BsRh6UKu0
─────────────────────
 
 ─────12月22日 放課後─────


    ガチャ…

澪「ごめん、少し遅れた…って」

唯「あっ、澪ちゃんお疲れ~」

梓「先輩っ、お疲れ様です」ペコッ

澪「…練習、してるのか」

唯「ま、まあね~」

梓「あ、唯先輩。ここのコードは──」

    ♪~─~─~

澪(……関心関心)ウンウン

澪(でも、聴いたことないコード進行だな……)

澪(ふわふわでもなければ、ふでペンでもホッチキスでも……ん?)

紬「ん~~~~……」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 23:57:36.36 ID:BsRh6UKu0
澪「……ムギ?」

紬「ん~~~~……」

澪「……ム~ギ」ポンッ

紬「っわあ! み、澪ちゃん……いつからそこに?」

澪「今来たところだ、どうした? 難しい顔して」

紬「っえ!? え、いや……なんでもないわぁ」ニコッ

紬「そうだッ! お茶にしましょう?」

澪「あ、うん。そうだな」ニコッ

澪(怪しい……)

澪(……あれ、そういえば──)

澪「律はどうした? 確か、私より先に教室でたと思うんだけど…」

    ♪~─……

唯・梓・紬「……」シンッ─

澪「? ……?」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:07:36.56 ID:wIv1LBsU0
澪(なんだ、いきなりみんな黙り込んで……気味悪いな…)

澪「ど、どうしたんだよみんなッ。揃いも揃って静かになっ──」

   ガチャ…

律「おーっす……」

唯・梓・紬「……」

澪「…おお、律。なんだ、どこかいって──」

律「っしょっと……」ドサッ

澪「えっ」

澪(……ダンボール?)

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:14:12.79 ID:wIv1LBsU0
律「あ~ぁ疲れたなっと……ムギ、お茶ちょうだい」

紬「う、うん……」カチャカチャ

律「……あ、澪お疲れっ」ニコッ

澪「え、ああ……って、律。あのダンボール──」

唯「澪ちゃん、練習…しよ?」

澪「え……あ、そうだな」

澪(なんだこの感覚……モヤモヤする)


─────────────────────

   ───────────

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:22:43.33 ID:wIv1LBsU0
─────────────────────

   ───────────



  ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~

澪(唯のギターの音に元気がない…)

澪(梓も……気のせいか分からないけど、ツインテールの位置が少し下がってる気がする)

律「ふ~飲んだ飲んだ」

紬「じゃあ食器は──」

律「ああいいよ、自分で洗う」

紬「あ……、……ッ」

澪「!?」

澪(律が自ら食器洗いだと……!? いつも結局私が洗うことになるのに……)

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:29:13.34 ID:wIv1LBsU0
律「……」ゴシゴシ…

唯「……りっちゃん! もういい──」

梓「唯先輩ッ! ……ッ」

澪「…ちょっとみんな、私なにが何だか……」

律「……おし、みんなで合わせようぜっ」

紬「……そうねっ、それがいいわ」


律「多分、〝最後〟の──みんなでの演奏だ」


澪「!!」

唯・梓・紬「……」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:34:27.06 ID:wIv1LBsU0
澪(え、今……〝最後〟って)

律「おーしッ! たったくぞー!!」

澪「律。どういうこ──」

律「澪! ……終わったら、話すよ」

澪「ッ……」

唯・梓・紬「……」

澪(なんだよ……〝最後〟って)

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:43:41.68 ID:wIv1LBsU0
─────────────────────

   ───────────


 ♪~─~フワフワタ-イム─~ ♪~─フワフワタ-イム~─~ ♪~─フワフワタ-イム~─~

律「はぁ……はぁ……」

澪「っ……っ……」

澪(4曲続けてセッションって……私ららしくない、な……)

律「っ……澪」

澪「なんだよ、律……」

律「……私、転校することになった」

唯・梓・紬「……」

澪「……え」


嫌な予感は、私の思った以上のショックを運んできた。
律の口から放たれた一言は、確実な重さを持って、
私の全身を舐めまわすように駆け巡り、
律の淋しげな笑顔は、まるで絶望に拍車をかけるかのように、私の心にひどく突き刺さった。

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:52:53.76 ID:wIv1LBsU0
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   ───────────


律「悪いみんな、つき合わせちゃって……」スタスタ

唯「ドラムって、運ぶの大変だよね~」スタスタ

梓「桜高祭のときも大変でしたし、ね」スタスタ

澪「……」スタスタ

紬「み、澪ちゃん……」スタスタ

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:00:50.23 ID:wIv1LBsU0
  ───────────

澪「転校……?」

律「……お父さんの仕事の都合、でさ。九州に転校することになったんだ」

澪「……いつ」

律「……一月の、中旬かな」

澪「っ!!」

唯・梓・紬「……」

律「だからこーやって、ドラムを回収しに来たんだ。
  冬休み前ってことで……みんな、手伝ってくれるか?」カチャカチャ

紬「も、もちろんよ~……」

梓「は、はいっ…手伝いますっ」

唯「よ~しやりますか」

澪「……」

  ───────────

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:09:20.16 ID:wIv1LBsU0
澪(私の、誕生日前後……)

澪(神様……こんなプレゼント、いらないよ)

律「よ~し、ここらでいいよ。玄関まで車で迎えがくるからさっ」

唯「うぅ~~ん、ドラちゃ~~ん……」

律「ってどこの人気漫画のロボットだよっ」ペシッ

唯「いてっ!」

紬「…ふ、ふっふふ」

梓「あは、アハハ……」

澪「……ハハッ」


私は必死に、無理やりにでも明るく振舞おうとした。
だけど私には、深い悲しみのベールが覆いかぶさっていて、
それから逃れることができなかった。
作り笑い──私の乾いた笑いは誰の耳に届くことはなく、
静かに空気の中にとけていって、消えた。

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:18:44.49 ID:wIv1LBsU0
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   ───────────

澪「……く~まちゃん?」
   ギュウゥ…
澪「律が……転校?」

澪「……嘘だよな、アイツが転校なんて」

澪「そうか、嘘か! いやぁ~また騙された、律のやつ明日になったら……」

澪「……明日になったら、殴ってやる」

澪「……」

『バンドやろーよ! バンドッ!』

澪「……」

『み~お!』

澪「……」

『みお~!!』

澪「……」ジワッ

澪「……うぅ…………っく……」ポロポロ

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:28:22.77 ID:wIv1LBsU0
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 ─────終業式──────


律がドラムを持ち帰って、みんなでセッションも出来なくなった私達は、
冬休みに入るまで、部室でずっと駄弁っていた。
今ある時間を大切にするため、
〝律〟といる残りの時間を大切にするため、私は変わる決心をした。


澪(いつまでも律に頼ってちゃいけない……)スタスタ

澪(依存しちゃだめだッ……でも正直、こわいな)スタスタ

澪(アイツがいなくなったら、アイツがいたから……今の私があるのに──)スタスタ

律「おっと、澪……」バッタリ

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:36:38.47 ID:wIv1LBsU0
澪「……おぉ律、まだ部室にいかないのか?」

律「んぇ!? あ、ああちょっとしたら行くけど……」

澪(せめて、律の前ではもう泣き言はいわない、どうしようもないことは忘れる)

澪「新曲が出来たんだ。部室行ったら、ちょっと見てくれよ」

律「……なにー? ま、期待しないで読むよっ……」

澪「どういう意味だそれはっ!」

律「はははっ、んじゃ部室で~」

澪(せめて、残りの時間ぐらい楽しめるように……)

澪(もう律に…迷惑かけないようにしなくちゃ……!)

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:46:00.24 ID:wIv1LBsU0
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 ─────クリスマス──────


梓「じゃあ、私達はここで…」

紬「メリークリスマスッ!!」ノシ フリフリ

澪・律「メリークリスマス!」

 ──────
  ───
  ──

律「はぁ~~……楽しかったッ!!」

澪「そうだなっ」

律「やっぱり憂ちゃんの料理は格別だ……」

澪「……そうだな」

律「……」

澪「……」

律「なぁ、澪?」

澪「なんだ、律」チラッ

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:47:06.87 ID:wIv1LBsU0
ちょっと離席、風呂 だれか④よろ ノシ

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:08:09.12 ID:wIv1LBsU0
律「やっぱり、私がいなくなって……淋しいか?」

澪「……そりゃあな、淋しいさ」

律「……」

澪「だけどさ、決めたんだ。〝たとえ律がいなくなっても、強く生きれる人間になろう〟って」

律「……おいおいそれじゃ、まるであたしが死んだみたいじゃん!」

澪「ふふっ、ははは……っ!」

律「なんだよ、調子くるうなぁ……ワァーハハハッ!」

 ──────
  ───
  ──

律「はぁ…笑いすぎた……」

澪「わ、私も……」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:18:39.10 ID:wIv1LBsU0
澪「……いつでも、会えるよ」

律「だって、今ならメールもある」

律「ま、まぁな」

澪「そうだ律! 文通をしようっ」

律「えぇっ。文通~? メールがあるじゃん!」

澪「……九州だろ? だったら高速にのればすぐじゃないかっ!」

澪「飛行機だって……なんだってあるんだっ!」ジワッ…

律「澪……?」

澪(ダメだ……また律に迷惑かける…)

澪「逢えないなんてことないッ……だって、だってぇ……!!」ブワッ

律「え、ちょっ、どうしよう……澪~? 泣くなよ……」

澪「だ……ダメだ、律ッ……やっぱり私は、ダメらしいッ……」

澪(大人ぶって律に迷惑かけないなんて……そんなの無理だ)

やっぱり律との別れが、どうしても嫌だった。
寒空の中、私はなかなか泣きやめないままで、律はとにかく近くにいてくれた。
身体は触れ合っていないのに、その思いやりは触れ合う以上に暖かくて……。
優しく抱かれるかのような、私はそんな心地になった。

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:30:04.70 ID:wIv1LBsU0
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  ─────1月4日──────

澪「えーっと、他に買うものは……あっ」

澪「おーーい! 聡~!」

聡「」ビクッ

澪「ひさしぶ──」

聡「……スマン、澪ねーちゃん!」ダーー!

澪「エエェェェーーーー……」

澪(エエェェェーーーー……)

  ポツーン…

澪(私……聡に嫌われるようなことしたっけ?)

澪(アイツも……もしかしたら転校のことで、悩んでるのかな?)

澪(そっとしておいた方が…いいのかもな)

澪「……さて、買い物の続きっと…」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:40:07.39 ID:wIv1LBsU0
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  ───────────


澪「『で、今日聡に逃げられたんだ…私なんかしたかなー?』っと」

   ピロリーン♪

澪「……1月の中旬っていうと、あと一週間と少し……」

澪「…………ッ」

澪「ダメだダメだ! クリスマスでもう止めるって決めたんだッ!」

澪(そうだ、これは逆に神様がくれたプレゼントなのかもしれない)

澪(律を私から離して、私がどう生きていくか……)

澪(大人への第一歩……最近挫折したばっかりだけど…)

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:48:23.21 ID:wIv1LBsU0
  ピロリーン♪

澪「おっ……」ピッ


律『きっとアイツも、転校するし、澪のことを思い出したくなかったんじゃないかなぁ…』


澪「やっぱりそうか……聡らしいっちゃらしいけど」クスッ

澪「えっと…『そういえば、最近みんなで会ってないな 宿題とか個々にやってるんだろうな?』っと」

   ピロリーン♪

澪「最近、みんな用事があるな……暇で宿題やってるのは私だけか」

 ──────
  ───
  ──

澪「メールが返ってこない……さては律のやつ、さっきのメールで宿題に気付いたな?」

澪「私自身じゃなくて、逆に律が心配になってきた……」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:56:51.58 ID:wIv1LBsU0
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  ─────始業式──────

   ガチャ…

澪「おつかれ~…って、あれ」

唯・梓・紬・律「……」

澪「……な、何やってんだ?」

律「!? み、澪ッ。いつからいた」

澪「今来たばかりだけど……」

律「そうか……」

唯・梓・紬「……」ホッ…

澪「? ……?」


あっというまに、一日一日は過ぎていった。
もう泣くことはなかったが、それはまたそれで、自分が逃げている気がしてならなかった。
でもそれが、本当の大人ではないってことぐらい、分かっていた。

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:05:20.63 ID:wIv1LBsU0
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 ─────1月15日──────

澪(今日は……違うのかな)ソワソワ

澪(ていうか、引越しの詳しい日時ぐらい教えろバカ律ッ!)

澪(なんで私が、そわそわしなくちゃならないんだっ)

律「おっと…また澪か」バッタリ

澪「律…引越しって──」

律「そのこと、だ……今日、お別れパーティをしたいと思う」

澪「……ッ。そうか」ニコッ

律「あれ、案外驚かないんだな…またお姉さんのお胸で泣いてよろしくてよっ!」

澪「もう泣かんわっ」ペシッ

律「あてっ! ……んまあ、今日だからな。うちでやる」

澪「ああ、楽しみにしてる」

澪(いきなりの宣告か……思ったよりドキドキしてきた…)

澪(でも、絶対に笑顔で律を送り出すッ!)

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:15:21.08 ID:wIv1LBsU0
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澪「……」スタスタ


律の家までの道のりが、こんなに遠いと思ったのは初めてだった。
やはり、どこかでまだ認めたくない私が、必死に抵抗したんだと思う。


澪「……」

 ピンポーン

「あらっ、澪ちゃん」

澪「お久しぶりです」ペコッ

「ほんと…さ、上がって」

澪「……はいっ」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:24:37.34 ID:wIv1LBsU0
すでに見覚えのある靴が、玄関に並べられていた。一番早くくるつもりだったのに……。
足取りは重く、だけど確実に一歩を踏み出して──
私は一息して、リビングの戸をゆっくりと開けた。


「「「「ハッピー・バースデー!!」」」」


 パンッ! パパパンッ! パンッ!

澪「……えっ」ポカーン…

唯「澪ちゃんおめでとー!」

梓「先輩ッ、お誕生日おめでとうございますっ!」

紬「おめでとう澪ちゃんッ!」

澪「えっ、でも今日……律のお別れ…」

聡「澪ねーちゃん、なんのこと?」

澪「……聡、引越しは?」

聡「引越し? 誰んちが?」

澪「」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:34:57.96 ID:wIv1LBsU0
律「ふっふっふ……まんまと騙されたようですな」

澪「」ビキビキ

律「そう……全ては澪の誕生日のため、引越しは…」

律「嘘だよぉーんドッキリ大成こぉおぉぉぉ!? ちょ、みおクルシイぃぃぃ……!!」

澪「りぃいぃぃつうぅぅうぅぅ…………」

唯「み、澪ちゃん! りっちゃん死んじゃう死んじゃう!」

 ─────────────────────

律「ギブ……ぅ…し、死ぬかと思った……」

澪「…………」プルプル

律「ちょ、もう勘弁してみ──」

澪「よかったああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

律「……」ニコッ

唯・梓・紬「……」ニコッ

澪「ッ……うぅっ」…ボロッ

律「あぁ~だから泣くなよ澪~!」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:45:27.02 ID:wIv1LBsU0
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 ───────────


律「落ち着いた?」

澪「大分と……」

律「では、大まかなネタばらしをしようッ」ビシッ

唯「わーー!」パチパチ

律「まず……何故、聡は逃げたか。これは……コイツから嘘がバレないための方法だったのだッ」

聡「なんだよっ、俺そこまで馬鹿じゃねぇよ」

律「……じゃあお前に特別に上げた2000円は、なんだと思ったんだよ」

聡「だって…澪ねーちゃんから逃げ切ればくれるって」

梓「流石、律先輩の弟ですね……」

澪(馬鹿だ……)ハァ…

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:56:49.38 ID:wIv1LBsU0
律「……それと、軽音部からわざわざ持ち帰ったドラム!」

澪「そうだ、じゃああれはどこにやったんだ?」

律「まあまあそれは後のお楽しみとして……あれによって大分と引越しに信憑性が増したなッ!」

澪「…あれは騙されるよ……さすが律は悪知恵がはたら──」

律「流石は梓、知将だなっ」

澪「」

梓「当たり前ですっ、先輩からハンバーガー無料券もらいましたからっ」

澪(こっちも馬鹿だった…)ハァ…

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 04:09:09.04 ID:wIv1LBsU0
律「あとは。私達の迫真の演技っ……少しの間、演劇部で練習して正解だった…!」

澪「……そんなことまでしたのか」

紬「今までの茶番じゃ、多分バレちゃってたもの」ニコッ

唯「だねー」

澪「まったく、私はどれだけ心をいためて──」

「はい、バースデーケーキよー」

唯「うわぁ~おいしそー!」キラキラ

澪「あれ……いいんですか?」

「今年の誕生日は…澪ちゃんちと協力してたのよ?」

澪「え、ママが……?」

澪(みんな……まだまだ、かなわないな)

聡「ママ?」

澪「お母さんッ!」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 04:19:48.37 ID:wIv1LBsU0
「ほら、電気消すわよー」フッ

律「よ~し、みんな! ……合唱ッ、せ~のっ──」


♪ Happy birthday to you, Happy birthday to you,♪

 ~♪ Happy birthday, dear 〝Mio〟 ♪

     ~♪  Happy birthday to you~♪

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 04:27:25.02 ID:wIv1LBsU0
─────────────────────

 ───────────

唯「ケーキ美味しかったねぇ」ニコッ

紬「そうねぇ」

澪「律の部屋で組み立ててあったのか……」

律「ほらムギ、唯! ねっころがってる場合かッ」ドドドンッ!

梓「そうですよっ、私達のプレゼントがまだじゃないですか!」

澪「え、プレゼント?」

律「えーっとタオルを置いて防音して……」

唯「あっ、あずにゃん。半音の半音ずれてるよっ」キリッ

紬「この音でいいのよね、うんっ」

澪「……」

澪(もしかして……) 

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 04:40:42.19 ID:wIv1LBsU0
唯「澪ちゃん、私達からは曲のプレゼントだよっ」

紬「──」コクッ

梓「──」コクッ

唯「改めて、誕生日おめでとう澪ちゃん。いつも澪ちゃんはみんなの頼れるお姉さん的存在で、
  いつも私達をまとめてくれたね」

唯「少しお茶目で暴走気味なところもあるけど、今までも、
  これからも、澪ちゃんは澪ちゃんとして宜しくねッ」

唯「〝秋空レイニー〟──」コクッ

律「……ッ1、2、3──」

  
   ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~

澪(この曲……どこかで…)

 ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~

澪(そうか…あのときの聴いたことのなかったコード進行……これだったんだ)

   ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~

澪(私、こんなに幸せでいいのかな……)ポロポロ…

 ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~ ♪~─~─~…………

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 04:50:04.83 ID:wIv1LBsU0
 ─────────────────────

  ───────────

 
律「っは……ッ」

紬「……はぁ……っ」

梓「ッ……」

唯「っ…………」フンスッ

澪「……」パチパチパチパチパチ…


私は背伸びばっかりして、勝手に大人になろうとして……。
そんなの全部無駄だったんだ、させてくれないんだ。それから逃れる必要なんて、ないんだ。
だったら、もっと──……


澪「……あんまりうまくないなっ!」ニコッ


甘えても、いいんだよね────?


                  
☆おしまい☆

引用元: 澪「律が……転校?」