8月14日 午後9時36分 召喚者の屋敷 地下室


召喚者「……“貴女、大丈夫なの??”」

蘭?「“大丈夫です、今は。……ありがとうございます”」


『サキュバス』にとっては懐かしい場所、この屋敷の地下室で、召喚者は、これまた懐かしい言葉、

――『サキュバス』の故郷の言葉で、まず話しかけてきてくれたから、『サキュバス』は同じ言葉で応じた。


蘭?「“本当にありがとうございます、あるじ。貴女の協力が無くば、ここには来れませんでした”」


『サキュバス』が、元の世界で習得した魔術の流派に限った話ではあるが、

以前ハツカネズミの血を術の符に多用したように、哺乳類の体液は、術の符を作るのにほぼ必須と言って良い。


今回ここに来る魔術の発動に使ったのは、自分の唾液まみれにしたノートだった。

そのノートにボールペンで魔術陣を書いたのだが、こういう符の作り方は簡易の極みで、性能も安定しない。

この部屋を狙った転送術式の発動に召喚者が気付き、かつその術式に召喚者が追加で魔力を流してくれなければ、

安全にこの部屋に到着することは、ほぼ出来なかったと言って良い。


155 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/04(月) 16:05:33 upBDBSBU

召喚者「“貴女は当分魔術を使わない方が良さそうね。魔力がだいぶ減っている”」

蘭?「“でしょうね、私もそう思います”」


『サキュバス』にとっては、本当に何もかもが懐かしい。

最初、あの世界で召喚の門に吸い込まれた後、この地下室内に展開された魔術陣の上で、この人に向き合ったのではなかったか。


黒い仮面を着け、絶対に『サキュバス』に素顔を見せることはなく、

名を明かすことも当然無く、必要なときは『あるじ』と呼ぶよう、『サキュバス』に命じた召喚者。

長髪と、声と、体格とで、女であることは推察できるが、今も、同様に仮面を着けているため、素顔を知ることは出来ない。


召喚者「“ところで、何が有ったの? ここに来たということは何か問題があったのでしょう?”」

蘭?「“ええ。困り事が生まれました。『わたし』が生きる上での重大な困り事です”」

召喚者「“……その困り事の内容は?”」

蘭?「“あるじ。……今のこの身体では、『わたし』は生きていけないかもしれないのです。

     発動を制御できない魔術のせいで、この身体は、重大な危機に瀕しています”」

召喚者「“? ……どういうこと?”」


156 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/04(月) 16:07:40 upBDBSBU

 
↓1 ネット掲示板に他人の  い話を晒しあげます。
    その他人の名前はどれだけ露出させますか? 『フルネーム』または『イニシャル』または『徹底的に隠す』より選択してください。

↓2 ↑が『イニシャル』の場合、そのイニシャルを考えてください。


157 : コバトン :2013/11/04(月) 16:15:35 yMGWfuq6
徹底的に隠す


158 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/05(火) 21:50:55 l7Ont./2

ttp://hide14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/************/

【被疑者】拘置所被告殺人・考察&まとめスレ51【不明中】

855:◆MsSuccubus [sage]:20XX/08/15(木) 12:05:29.31 ID:JJJJJJJJJ

 こんにちは。サキュバスを召喚した者です。事情があって、彼女は今、私のところにいます。

 ちなみに今、私は、駅で他人のカバンをスッて、入手した携帯から書き込んでいます。

 彼女から、掲示板に書き込んでほしいと頼まれたので、私が書き込みに来ました。頼まれた内容は以下の通りです。

 =============

 7日の4時に、わたしは保護され、9日の夕方に、一度は意識が回復した。


 ところが、11日の午前に、大阪府警の人に殴られるトラブルが発生。

 かなりしつこい事情聴取にキレたわたしが、大阪府警の人に魔術を発動させた。わたしの過去の記憶を見せる魔術だった。

 魔術を食らったその人は錯乱して、わたしの顔を思い切りぶん殴って、わたしはまた、意識不明になった。

 それで、わたしが意識を回復したのは、一昨日、13日の午後になる。


 そして、意識を回復させたその時のわたしは、自分自身の身体に異常が生じたことに気が付いた。

 ある魔術が常時発動しっぱなしになっていて、何をしても、その魔術を止めることが出来なくなっていた。


159 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/05(火) 21:51:27 l7Ont./2

 その魔術は、『他人の直近の 行為(    )を見抜く』というもの。

 自分の周りに人が近づいてきたら、その人の、直近の 行為の情報が勝手に見えてくるんだ。その時の場所とか日時とか。

 おまけにその行為の日があんまり最近だと、その時の記憶まで覗ける術式でね。病院にいる時、何件か記憶が見えた。


 一応、証明のつもりで見えた記憶のうち、調べやすそうなの2件、書いておくね。


 ・きのうの朝9時から、わたしの病室の見張りに立っていた婦警さんは、

  8月4日の夜中に、米花町にある『ホワイトムーン』っていう  ホテルで、同僚の人2人と、3Pで致してた。


 ・きのうの昼にわたしの部屋の前を通って、その隣の部屋に行き来していた刑事さんと、その同僚の人は、

  先月の28日に、賢橋にある『ハニーロード』っていう  ホテルで、仲良く  ていた。


 前者は警察的に結構な問題な気がする。記憶の中のピロートークだと、同僚の人は2人とも既婚者っぽいんだよね。

 後者は、独身同士のカップルっぽいから、警察的には無問題のケースかも。



162 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/07(木) 21:39:56 fAmRH4OM

858:◆MsSuccubus [sage]:20XX/08/15(木) 12:06:21.08 ID:JJJJJJJJJ

 この2例、それぞれ誰を指しているのかは、警察には分かるだろうし、書いたことの真偽もすぐに分かるよね?

 だから、捜査すれば分かる事だけど、ここで私が言っていることは全て事実だという前提で、言わせてもらう。


 今、わたしはすごく困ってる。

 この魔術のせいで、自分自身の生存が危うくなってるから。

 病院で、女子高生にとってはキツイ記憶を見せられ続けたのは問題ではあるけど、それ以上に問題なのは、

 『このまま魔術が発動し続けると、じきに今の身体から本気で魔力が枯渇しそうなこと』なんだ。


 今のわたしは、女子高生とサキュバスと、ふたつの魂を、魔力という糊でくっつけたようなものだからね。

 おまけに融合した魂を受け入れるように、身体の方も魔力で少しばかり弄ってる。

 このまま魔力が枯渇すると、本気で人格も身体も壊れて廃人になりかねない訳だ。


 だから、そういう未来が見えたから、わたしは召喚者のところに向かうことにした。

 魔力絡みの問題に対応することを考えた時、必要な知識を持つ存在は、わたしと召喚者しかいないから。

 おまけに、今の状況を考えると、わたしは魔力を消費できない。


163 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/07(木) 21:40:34 fAmRH4OM

 これから、わたしの身体の問題に対応するために、どんな術を使うにしても、召喚者の魔力に頼る他無いよね?


 元の世界のサキュバスの身体であったのならば、問題解決に迷うことは無かったんだろうね。

 何しろ、種族として『誰かに抱かれれば、その時受けた精を魔力に出来る』存在だったのだから。

 今の身体ではそれは出来ない。

 女子高生の身体だから倫理的に不味いとか、そういう意味でなく、今の身体では、その仕組みは消え去ってるから。

 抱かれても何にもならない以上、『誰かに抱かれる』っていう方法は使えない。


 だから、召喚者のところで、これからどういう方法を選ぶのか、じっくり話し合う事に決めた。

 今の環境では、他人とはあまり触れ合わないから、魔術の自動発動それ自体を抑えられる環境でもあるし。

 融合した魂を再分離するとか、魔力を得る上記の特徴を復活させるとか、色々考えているし、

 他人を巻き込むとか巻き込まないとか、どうなるかも分からないけれど、これから召喚者ふたりで考えて、決断していくほかないんだ。

 =============

 彼女の文章は以上です。この文章に加えて、召喚者として述べることは特には有りません。

 ちなみに、彼女は、病院に居る間、私(召喚者)のことについては黙秘してくれました。

 『いずれ病院を出て、召喚者に頼らなければならないことを悟っていたから』だそうです。


164 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/07(木) 21:41:13 fAmRH4OM

 8月15日 午後12時20分 警視庁 捜査1課


松本「おい、目暮! ちょっと来てくれ! サキュバスの件の捜査本部から呼び出しだ! あと、監察からもな!」

目暮「……監察ですか? 管理官」

松本「ああ、たぶんこの件の確認だろう。さっきネットの掲示板にこんな書き込みがあったそうだが……」

目暮「…………

     何だこれは!!」

松本「きのうの昼間、警察病院の『本人』の隣の病室で、殺人犯捕まえたんだろう?

     その時、その部屋に出入りしてた刑事は、全部捜査本部が調べるんだと。

     まあ、言うまでもないだろうがな、『ハニーロード』の独身カップルは……」

目暮「管理官、きのうの昼間、私と同時にあの病室に入った刑事の中では、……独身なのは高木くんだけです。

     あと、私はきのう、……『本人』の部屋に行くコナン君が行くとき、佐藤くんにそれに付いていくよう命じてしまったんですが……」

松本「……あー、……そうか」

目暮「……まあ、『本人』の部屋には両隣に病室がありましたから、捜査本部が詳しく調べない事には何とも……」

松本「……もしそうだった時、……その最中の記憶を見られた可能性がある、か……」


165 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/07(木) 21:45:20 fAmRH4OM
中々時間が取れずに申し訳ありません。明日もまたお休みするかもしれません。

↓1 次のシーンは誰を出しますか?
   『高木』『佐藤』『婦警I』『毛利』『コナン』『召喚者』『本人』『その他(要記載)』より選択してください。
    その他の場合、これまで登場した人でお願いします。選ぶキャラによってシーンが変わります。


166 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/09(土) 01:16:45 apm2G3fc
新一


169 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/09(土) 21:02:32 cmL1RoCI

 午後3時15分 毛利探偵事務所


コナン「なぁ服部、……『サキュバス』の件の掲示板の書き込み、お前はどう思う?」

服部「まず、……また、お前が落ち込んどるのは、電話越しでもよー分かるな。ホンマ大丈夫か工藤?」

コナン「あー……、まあな。心配かけて済まねえ。

      でも、俺がお前に聞きたかったのはそんなんじゃなくて……」

服部「それは分かっとる。書き込みの内容、検討するつもりで電話したんやろ?

     今日また書き込みがあったからなぁ、今度は召喚したヤツの書き込みが」

コナン「お前も、書き込みは見たのか」

服部「おお、見たで」

コナン「そうか。……で、お前はどう思う?」

服部「俺もお前に電話するつもりで、今その掲示板の書き込みをプリントして読んでたんやけど……

     『本人』かどうかはともかく、捜査についてある程度事情を知った人間やないと、書けへん内容ではあるやろな。

     大滝はんが『本人』を殴った件は、マスコミにはまだ流れてへんかったから。

     まあ、俺は知らされとったし、毛利夫婦やお前も知ってた件ではあるけどな」


170 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/09(土) 21:05:41 cmL1RoCI

コナン「……そうだろうなあ。

      俺は、『本人』が居た病室に盗聴器でも仕掛けられてない限りは、……内容の真贋はともかく、

      あの掲示板の書き込みは、『本人』か、もしくは召喚者が書いた確率が、極めて高いと思ってる」

服部「何で、そう思うんや?」

コナン「きのう、俺が警察病院に行った事は、昨晩話しただろう?

      そこで俺たちと『本人』は会話を交わしてるんだけど、その会話の内容を踏まえて、書き込んだようにしか見えないんだ」

服部「ほぉ?」

コナン「きのうの昼に、おっちゃんに向かって、本人が言っていたんだ。

      『これから色んな決断をするだろうけど、どんなに馬鹿馬鹿しい内容に見えたとしても、それが一生懸命考えた

      決断だということは頭に入れておいて欲しい』って」

服部「……ああ、なるほどな。

     『他人を巻き込むとか巻き込まないとか、どうなるかも分からないけれど、これから召喚者ふたりで考えて、決断していくほかない』

     って書き込んどるし、そもそも召喚者のところに行くと決めたこと自体も決断に違いないやろうし」

コナン「ああ、それに何より……」

服部「ん?」


171 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/09(土) 21:24:23 cmL1RoCI

コナン「『本人』、病室で俺に問題を投げてきたんだ。『召喚者の事を喋らない理由を当ててみろ』、って。(※作者註 >>63参照)

      召喚者は、書き込みの最後に、その問題の答え合わせをしたとしか思えない」

服部「……そうやったな。ヒントが4つやったっけ?」

コナン「ああ。ヒント1つ目が、【『わたし』が悩み始めたのは、きのうの夕方に覚醒してから】

      2つ目が、【『サキュバス』としてはよくあること、高校生としては有り得ないものを見た】

      3つ目が、【人の名誉に関わること】

      4つ目が、【コナン君には何もないから楽だ】

      ……問題が『召喚者の事を喋らない理由』なんだから、答えは書き込みを見れば一目瞭然だよな。

      【人の名誉にかかわる魔術が制御できなくなったせいで、いずれ召喚者に頼らなければならないから】

      頼らなきゃいけない相手の情報を、誰にだって言うわけないよなあ……」

服部「正直、……そんな分っかりづらい問題が有ってたまるか、って思うで。俺は」

コナン「ああ、俺もそう思う」


服部「あ、あと工藤、ちょっと良いか?」

コナン「何だ?」


172 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/09(土) 21:25:23 cmL1RoCI

服部「この書き込みが本当に召喚者がやった事やったとして、かつ『本人』の言ってたことが真実やったとしたら……

     少なくとも、見張りの婦警がウンヌンっていう書き込みの真偽は警察が調べるんやろうけど、

     ……それも含めて、……書いてる内容が全部真実としたら、

     お前は、『本人』が、これからどうあってほしいと思う?」

コナン「……そうだなあ、……」


↓1 22:30まで募集 コナンの返答は?

    『何も言えない』『生きぬいてほしい』『自首してほしい』『被害は軽くしてほしい』『その他(要記載)』から選択を。

    上記選択肢を融合しても可です。時間までにレスが無い場合『何も言えない』になります。


173 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/09(土) 23:03:56 cmL1RoCI
すいません作者です。何も言えない扱いで書こうとしたら作者が眠気に負けました。

今日はもう投稿できそうにないのに〆るのもどうかと思うので、安価は引き続き時間延長して募集します。

↓1 明日正午まで募集 コナンの返答は?

    『何も言えない』『生きぬいてほしい』『自首してほしい』『被害は軽くしてほしい』『その他(要記載)』から選択を。

    上記選択肢を融合しても可です。時間までにレスが無い場合『何も言えない』になります。


174 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/10(日) 00:09:26 GOWuE9ko
コナン=進一


175 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/10(日) 20:19:31 nUtE5pPg
えっと、進一は新一の間違いですよね? とりあえず新一として扱います。


176 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/10(日) 21:47:13 nUtE5pPg

コナン「俺は……、今はこんな恰好だけど、工藤新一は、……ガキの頃からずっと、幼馴染の『蘭』を見てきたんだ。

      だから、……書き込みを見た俺は、『蘭』に戻ってほしい、と思ってた。

      今の、『サキュバス』が融合した人格じゃなくて、元通りの人格になった『毛利 蘭』に戻ってほしいんだ……

      だけど、……」

服部「……ん?」

コナン「服部、……正直言って、俺、自分自身が嫌になる。

      今の『本人』の人格が、また『毛利 蘭』と『サキュバス』に分かれたとして、……俺の希望通り『毛利 蘭』が戻ってきたとしたら、

      ……それは、『サキュバス』が、別の誰かの人格を犠牲にした結果、出てくる図式じゃないのか、って」

服部「あー、……つまり、『毛利 蘭』と『サキュバス』が分かれたとして、

     『サキュバス』が別の人間の人格と融合するなりなんなり、居場所を見つけへんと、『毛利 蘭』は元の人格にならへんのかもしれん、と。

     その可能性はあるわな」

コナン「ああ、そうだろう?」

服部「まぁ、……変な質問してスマンかったな。

     質問振った俺が言うのも何やけど、……思い詰めんなや、工藤」

コナン「……ああ、気を付ける」


177 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/10(日) 21:48:40 nUtE5pPg

コナン「とりあえず、……また新しいことが分かったら連絡する」

服部「おう……、またな」

プツッ


俺は携帯を切り、……改めて、掲示板の書き込みを見つめた。

書き込みの通り、警察であれば、この書き込みに書いてある『直近の 行為を見抜く魔術』の真偽は分かるだろう。


前者の『ホワイトムーン』の事例は、どの婦警を指しているのか、一発で分かる。

後者の『ハニーロード』の事例は、きのうの昼間に警察病院に行った警察関係者を当たれば良いし、

聞き込みで分からなかったとしても、  ホテルの名前と日時と書いてある以上、そのホテルの監視カメラを見れば良い。


コナン「高木刑事とか、……大変だろうな」


きのうの昼、俺は、ずっと『本人』の部屋に居たわけではなく、両隣の部屋の出入りも監視していたわけがない。

きのう殺人犯を逮捕した方の部屋には、少なくとも目暮警部と高木刑事が立ち寄っていたが、他に誰が立ち寄っていたのか、俺には分からない。

『独身同士のカップルっぽい』と書き込みにある以上、目暮警部は既婚だから除外される。

高木刑事+俺の把握していない他の刑事が、『誰と  ホに行ったのか』を調べられているはずで……


178 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/10(日) 21:49:36 nUtE5pPg


コナン「……待てよ、この書き込み……」


ふと、俺は思い出す。

きのうの昼、佐藤刑事が、『本人』の部屋に、ミルクティーを持った俺と一緒に来ていたことを。

『きのうの昼にわたしの部屋の前を通って、その隣の部屋に行き来していた刑事さん』=高木刑事で、

『その同僚の人』=佐藤刑事だとしたら……


コナン「『本人』は、ふたりの記憶を両方見た可能性があるのか……?」


それならば『独身同士のカップル』と書いたのもわかる。

『毛利 蘭』は佐藤刑事とも高木刑事とも知り合いで、2人とも独身だと知っていたのだから。


もっとも、この推理が正しいのかどうかも俺には分からない。

警察には正しいかどうか分かるだろうが、例え、おっちゃんには書き込みを踏まえた捜査結果を教えてくれる可能性があるとしても、

小学生の俺には教えてくれるはずがなく……


コナン「魔術の真偽については、婦警を処分した情報が、報道で出るのを待つほかない、か」


179 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/10(日) 21:50:46 nUtE5pPg

 RRRR RRRR……

そこまで考えたところで、携帯電話が鳴った。博士からだ。


コナン「もしもし、……どうした、博士?」

阿笠「新一、ワシの家のポストに手紙が入っておったんじゃが……、その手紙が……」

コナン「その手紙がどうかしたのか?」

阿笠「切手も消印もない手紙で、宛先が『阿笠 博士 様』と『工藤 新一 様』の連名になっておってな、

     『親展 お二人御揃いの場で開封下さい』と書いてある。

     差出人が蘭くんの名前なんじゃが……」

コナン「……何だって!?」


↓1 次のシーンはどこにしますか? 『博士の家』『警視庁』『その他(要記載)』から選択してください。

    その他の場合、これまでの話で名前だけでも一度は出た場所でお願いします。


180 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/11(月) 20:21:32 BvLYBxCA
警視庁




182 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/12(火) 00:44:43 zjvfysbE
ホームズの登場人物の解釈が許せなかった
(58話:ホームズフリーク殺人事件)

チャットをしていたら相手が『(^^;)』の顔文字を使った
(132話:奇術愛好家殺人事件)

ハンガーを投げつけられた
(135話:消えた凶器捜索事件)

shine(シャイン)を『死ね』と勘違い
(166話:鳥取クモ屋敷の怪)

あの演劇の役を、あの人以外がやるなんて許せなかった
(288話:工藤新一NYの事件)

本格将棋ゲームの製作で「『待った』の使用回数は何回がいい?」と提案された
(308話:残された声無き証言)

家を燃やして病院


183 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/12(火) 00:44:43 zjvfysbE
ホームズの登場人物の解釈が許せなかった
(58話:ホームズフリーク殺人事件)

チャットをしていたら相手が『(^^;)』の顔文字を使った
(132話:奇術愛好家殺人事件)

ハンガーを投げつけられた
(135話:消えた凶器捜索事件)

shine(シャイン)を『死ね』と勘違い
(166話:鳥取クモ屋敷の怪)

あの演劇の役を、あの人以外がやるなんて許せなかった
(288話:工藤新一NYの事件)

本格将棋ゲームの製作で「『待った』の使用回数は何回がいい?」と提案された
(308話:残された声無き証言)

家を燃やして病院



185 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/12(火) 22:19:09 mFOq6Ydo

 午後3時50分 警視庁 どっかの会議室


 ガラッ

目暮「管理官、高木くんが戻って来ました」

松本「……大変だったな、高木」

高木「(管理官と警部しかいない会議室、か……、デリケートな話だもんな)

     ええ、……急に呼び出されてビックリしました。

     今日の昼間の、掲示板の書き込みを読まされて……、管理官も読まれたんですよね?」

松本「ああ、読んだ。とんでもない内容だな、あれは。

     ところで、監察からこちらにも調査結果の連絡が来ている。

     賢橋町の『ハニーロード』か、……高木と佐藤と一緒に居るところの、……記憶を『被疑者』に見られた、と」

高木「……はい」

松本「もう一件の婦警がどうこうという話とは違って、……確かに独身同士である以上、監察が処分する話ではないだろう。

     記憶を見られたこと、それ自体にも落ち度はないと聞いている」

高木「はい」


186 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/12(火) 22:20:17 mFOq6Ydo

松本「だが、……こういう風に掲示板に書かれた以上、『記憶を見られたこと』は、職場内の人間には知られている。

     ……これから、この職場に居づらいと感じることがあれば、目暮かワシに相談してくれ。人事に掛け合って配慮させる」

高木「……ありがとうございます。管理官」

松本「こちらから伝えることは以上だが、目暮からはあるか?」

目暮「いえ、特には。……高木くんからは何かあるかね?」

高木「僕にも、何もありません」

松本「じゃあ、ひとまず、今日はもう帰って、家で休め。

     もともと、佐藤も高木も、明日に休暇を取る予定だったんだろう? 今日明日ゆっくりすると良い。

     ……佐藤も、先にこっちに戻ってきたんだが、午後から休暇を取った扱いで帰らせたからな。

     休暇の申請の書類も目暮達に処理させる」

高木「そうなんですか。そうさせていただきます。……ありがとうございます」


松本「さて、……話も済んだし、課に戻るか。この会議室も4時までしか押さえてなかったからな」

高木「え、そうなんですか?」


ガラッ


187 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/12(火) 22:21:52 mFOq6Ydo

 午後3時57分 警視庁 どっかの廊下


松本「ああ、……監察からは『佐藤も高木も、3時には一課に戻らせる』って連絡があったんだ。

     それが、これだけ遅くに戻ってくるとはな」

高木「……もう、4時前ですもんね」

目暮「何かあったのかね?」

高木「えっと、……僕らとは違う部屋にいた警察の誰かが、酷く取り乱して騒ぎになったとは聞いてます。

     それでなぜか僕の聴取が止まって、……詳しくは分からないんですけど、監察の方はかなりゲンナリしてました」

目暮「……」

松本「そうか……

     騒ぎと言えば、高木達の聴取の後、……サキュバスの事件の捜査本部も、大騒ぎになったそうだ」

高木「……それは、そうでしょうね」

松本「少なくとも、魔術のことが正しいと分かった以上、『本人』に向き合うことのできる人間は限られてくる。

     何しろ、……下手を打つと、警察官の、……ある意味、もっとも見られたら困る情報を『本人』に見られることになるからな。

     そんな見られたら困る記憶が無い、……つまり経験のない人間を、人選するだけでも大変だろう、これからは」



190 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/13(水) 22:22:49 onltAGKs

 午後3時55分 阿笠博士の家


哀「博士。工藤君、来たわよ」

阿笠「来たか新一……、遅かったな」

コナン「ああ。

      ……おっちゃんには、『博士の家で夏休みの宿題と工作作る。もしかしたら泊まり込むかも』って言ってる。

      『工作何作るんだ』っておっちゃんに聞かれて、とっさに『紙箱で何か作る』って答えちまったんだ。

      そしたら、おっちゃんが家中を探し始めて、見つけた紙箱を大量に持たされたんだ。

      もし、おっちゃんから連絡が有ったら話を合わせてくれ」

阿笠「……ああ、構わんよ、それぐらい。

     ところで、手紙の件じゃが、……蘭くんが差出人だと知って驚いていたようじゃが、蘭くんに何かあったのか?

     振り返って考えてみると、最近ワシは蘭くんに会っておらんが……」

コナン「……悪ぃ、博士にも灰原にも事情は話してなかったな。おっちゃんにも妃弁護士にも、かなり固く口止めされてたんだ。

      あいつ、今月の6日から事件に巻き込まれてる」

阿笠「何じゃと!?」


191 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/13(水) 22:23:41 onltAGKs

哀「6日からって……、最近ニュースでよく言ってるのはサキュバスの事件だけど……、

   高校2年の女子高生が巻き込まれて、人格が変わって入院した挙句、きのう病院から居なくなった、って。

   ……まさかその女子高生って」

コナン「ああ、……蘭だ。

      きのうの昼に、やっと俺は見舞いに行けたんだが、見た目は完璧に『蘭』でも、人格は別人だったな。

      『本人』が言うには、……『蘭』と『サキュバス』の人格が融合したんだ、と。

      ……本当に済まねえ、ふたりとも。ずっとこの件を秘密にしたままで」

哀「………… 別に良いわよそんな事情なら。……言いたいこと、無い訳じゃないけど」

阿笠「ああ、ワシもそれは仕方ないと思うが、

     じゃが、……この家に来たこの手紙は、そういう事情だとすると……」

コナン「……ああ、病院から脱走した『本人』が、わざわざ博士の家のポストに入れた、のかもしれねえ。

      切手も消印も無い以上、この家の郵便受けにわざわざ直接入れに来たんだ」


俺は、博士の手の中の、真っ白な封筒を見つめた。

宛先は、黒いボールペンで書いたらしい。筆跡は、『蘭』の物だと、言えなくもない。


192 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/13(水) 22:24:20 onltAGKs

 新一へ


 本日昼間の、インターネットへの掲示板の書き込みを見た前提で話します。


 今は、一種類の魔術が自動発動しっぱなしで制御できない状態になっていますが、

 サキュバスは元々、『他者を分析する・見抜く魔術』を比較的得意とする種族です。

 サキュバスが召喚者のところに居た頃は、もっと多くの種類の『分析する魔術』を使いこなしていました。


 サキュバスが生贄を探すときも、融合する人を決める時も、魔術的に相性の良い人を探して、本当にたくさんの人を分析しました。

 そして、生贄や融合相手の人間を決めた後も、その周りの人間について、たくさん、本当にたくさん分析しました。


 サキュバスの魔術は、誰と誰が同一人物なのかを見抜きます。どれだけ容姿が変わっていても、年齢が変わっても、です。

 そして、どんな因果があってそうなったのか、過去の因果関係をも、おぼろげながら魔術は見抜くのです。


 新一がどこに居るのかを、今のわたしが把握しているという前提でお願いがあります。

 本日午後9時半に、阿笠博士の家の庭で、あなたに会って相談したいことがあります。

 警察に通報せず、できる限り人払いした上で、庭で待っていただけると助かります。


193 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/13(水) 22:25:48 onltAGKs
↓1 コナンは手紙の要求に従いますか? 従いませんか?
   『従う』『従わない』の2択でどうぞ。


194 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/13(水) 23:06:40 9NwVvDpQ
従う
つうかこれ、コナン=新一なのがバレてるよな?


195 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/14(木) 21:35:23 N5dqzsR6

哀「この手紙……、明らかに貴方の正体がバレてるじゃないの!

   『どれだけ容姿が変わっていても、年齢が変わっても』『誰と誰が同一人物なのかを見抜く』って……!!」

コナン「ああ、……俺がこの身体になった原因は、分かってるんだろうな……

      黒づくめの組織のことも、『サキュバス』は生贄にする犯罪者を探すときに調べたようだし……(※作者註 >>25参照)

      因果関係は全て見抜いていると考えるのが自然だ」

阿笠「新一、それではどうするんじゃ? 手紙に書いてある通り、うちの庭で待つのか?」

コナン「……待つほかないだろう。警察には通報せずに。

      警察に通報するとしたら、この手紙を見せて説明するしかないだろうが……

      宛先が『工藤 新一 様』宛てだぜ、この手紙。……俺の正体には触れずに、事情を説明するのは無理だ」

哀「……仕方ないわね。

   でも工藤君、蘭さんを心配するのは分かるけど、得体のしれない存在に正体を知られたことは間違いないから、

   貴方、FBIかどこかに保護を求めることは、本気で考えたほうが良いかも知れないわよ」

コナン「おいおい、今の状態でそれは飛躍してないか?」

哀「飛躍なんかしてないわよ!?

   『サキュバス』や召喚者が、ずっと秘密を守り続けると……、誰にも貴方の正体を漏らさないと、誰が保証できるの?」


196 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/14(木) 21:36:10 N5dqzsR6

↓1 夜9時半、阿笠博士の家の庭に現れた『本人』の第一声は?


202 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/16(土) 23:59:27 nXnQiMxw

博士の家に行く理由を、『夏休みの宿題と工作』だとおっちゃんに言った以上、誤魔化しを効かせなければならない。

夕方までのうちに急ピッチで夏休みの宿題と工作をこなしつつ、灰原や博士と話し合った。


――人払いすることを相手が要求している以上、指定の時間に、庭に出ておくのは俺だけ。灰原と博士は家の中で待つ。

    念のため俺は探偵バッジと盗聴器を身に着けておき、灰原と博士はそれを通して遠隔で監視。

    『本人』と話をする時、『本人』が犯罪行為の支援を求めてきた場合は拒絶する。

    但し、犯罪ではない行為の支援である場合は、内容によっては検討する……


そして、灰原と博士と、いろいろ話し合っているうちに時間が来た。


203 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/17(日) 00:01:38 HSF2Cu96

 午後9時30分 阿笠博士の家の庭


何でもない空間が急に光り、強烈なまぶしさに思わず目を細めた瞬間、気付いたら光の中に『本人』は現れた。


コナン「(魔術、か……)」


一瞬で光は収まり、黒のワンピースに白い上着を羽織った、『蘭』の姿をした『彼女』は、庭のど真ん中で、何でもない風に片手を上げる。


蘭?「……ヤッホー」

コナン「……ずいぶん気軽だな、心配したんだぞ」

蘭?「ははは……」


↓1 次に言葉を発するのはどちら? 『本人』と『コナン』のどっちかで選んでください。

↓2 ↑で『コナン』だった場合、何を話すか考えてください。




209 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/18(月) 21:29:23 2O0x2YJI

『本人』は誤魔化すように少しだけ笑い、だがすぐに真顔になって喋りだした。


蘭?「……さて、まずは手紙に書いてくれた通りに、ここで待ってくれていたことには感謝するよ。

     それから、……今の、この場での会話は、『わたし』と『君』だけでなく、『召喚者』も聞いていると考えてほしい。

     『召喚者』は魔力持ちだからね、機械に頼る以外にも聞き耳を立てる手段は有るのさ。

     今の『君』も、盗聴器は着けてるでしょう? ……工藤 新一君」

コナン「(今の『本人』だけでなく、『召喚者』も、俺の正体は知っている……)

      俺がこうなった経緯は、……『サキュバス』は、どれだけ見抜いているんだ?」

蘭?「黒づくめの恰好した変な人達と、何か触ったらひどく大火傷しそうな因果があるって事は分かってるかな。

     まあ、もの凄い厄ネタっぽいから、……ここでは、深くは喋らないほうが良いのかな?

     物凄い因果が有るのは『君』だけじゃないっぽいし。他に、同じ黒い人達と因果が有る人、調べまわったから」

コナン「……他の人って、例えば?」

蘭?「例えば、『サキュバス』が東京で、生贄用に殺した、沼淵って人。

     ……それから、ここに暮らしている哀ちゃんにも、あの黒い人達とは因果があるよね?

     あの子は『君』と同じで、本当の姿からかなり若くなってる」


210 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/18(月) 21:30:22 2O0x2YJI

コナン「(こいつ、灰原の事まで見抜いてるのか……

      警察で分析結果をベラベラ喋られたら俺達がえらいことになるぞ……)」

蘭?「まあ、ただでさえ自分が生きるのに精一杯な状況で、更に危なっかしいネタに手を出すつもりはないから、

     ……『わたし』にも『召喚者』にも、この見抜いた魔術の結果を誰かにバラす気はないよ?

     それをすると『君』の生命が危なっかしいことになるのは分かってる。

     何だかんだ言って、今の『わたし』は半分『蘭』だからね。……半分『サキュバス』だけど」

コナン「正直、今の『お前』の喋り方に、『蘭』の気配はあまり感じられないんだが……」

蘭?「あら、そう?

     まあいいや、ところで、話を本筋に戻すけど……、『わたし』がここに来た目的について」

コナン「?」

蘭?「『君』に相談しに来たんだ、……で、肝心の相談内容なんだけど」


『彼女』は俺に近寄り、膝を折り、目線を合わせ、問いかけた。


蘭?「近い将来、『新一』は、……今の、その身体でない『新一』には、『わたし』を、…… 的な意味で、抱いてみる気はない?」

コナン「……ハァ!?」


211 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/18(月) 21:32:06 2O0x2YJI

↓1 次のシーンは誰を出しますか?

   『灰原&博士』か『コナン&本人』のどっちかを選択してください。


212 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/18(月) 22:16:35 CN3v4i5A
灰原&博士


213 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/19(火) 21:44:21 juQe74/A

 午後9時36分 阿笠博士の家のどっかの部屋


この時、阿笠博士も、灰原も、打ち合わせ通りに家の中で、庭で繰り広げられる2人の会話を聞いていた。

『本人』の想像を超える内容の質問に、『コナン』が言ったのと同様の驚きを感じ、そして赤面しつつも、

博士も、灰原もまだ部屋からは動かず、庭での会話を聞いていた。


哀「(……もし庭先に出るとするなら、私ではダメよね。今の『彼女』の魔術に引っ掛かる。

    とっくに私の事を分析済みだとしたら、最早私について見られて困ることは無いでしょうけど……

    私が近づくことで、魔術が自動発動して、それで『彼女』の魔力が消耗するとしたら……、『彼女』は良い顔するかしら)

    博士、今、ふたりの会話が止まってるけど……、沈黙が長く続くなら、博士が庭に出て」

阿笠「……お、おお」


赤面して凍り付いていた博士は、灰原の言葉に我に返り、慌てて頷いた。

ほぼ同時に、固まっていたコナンが我に返って質問を投げ、哀と博士のヘッドホン越しに、庭のふたりの会話が再び始まる。


214 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/19(火) 21:45:56 juQe74/A
↓1~2 コナンが投げた質問をどうぞ。1レス内に複数可。あまりにも不自然なら弾きます。


215 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/20(水) 02:19:59 dVmJ3ohI
何この安価むずい
安価下


216 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/20(水) 07:42:35 RiYhnom2
いったいどういう流れでその提案が出てくるんだ?


217 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/20(水) 21:36:44 jhyHSGhE

コナン「いったいどういう流れで、その提案が出てくるんだ!? 説明してくれ!!」

蘭?「……ああ、確かにこの提案、ビックリするよね、説明か、……どう説明しようか?

     えっと、魔力持ちとして、ちょっと話せないことも多いんだけど」


灰原が聞くヘッドホンの向こう側、『彼女』はつっかえつっかえになりながらも、『コナン』の問いに答えていく。


蘭?「今の『わたし』の身体の問題点、分かる?

     一番の問題は、どうしたって魔力がある程度は必要な身体なのに、魔力を新しく手に入れる方法がない事。

     放っておくと魔力が枯渇して死んじゃう、だから魔力を取り込まなきゃいけない。

     種族として、『サキュバス』がどういう風に魔力を得ていたかは、……当ててみて。もうインターネットに書いたから」

コナン「……誰かに抱かれて、その時の、……精を、魔力に変えていた?」

蘭?「正解。元の世界の『サキュバス』は、みんなそうだったよ。

     種族としてそんな身体で、精を魔力に変換できる、……言うなれば、……変換回路、かな?

     そういう変換回路が身体にあって、そういう方法で魔力を得て、命を繋ぐ種族で、……だから、倫理観とか、こことはかけ離れていたね」

コナン「でも、その変換回路は、今の『お前』の身体には無いよな?

      ……『抱かれても何にもならない』って掲示板に書いていた」


218 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/20(水) 21:37:18 jhyHSGhE

蘭?「そうだね。でも、『召喚者』に頼れば、変換回路は作れないわけじゃない。

     『今の身体に擬似的に変換回路を作り上げてしまえばいい、その上で誰かに抱かれれば良い。そうすれば魔力の枯渇は防げる』、

     っていうのが、……今のところ浮かんでる対処法、その1。

     だから貴方のところに来た」

コナン「……何で、それで俺に?」

蘭?「分からないかなあ? はっきり言うとね」


哀も、博士も、『彼女』の告白をはっきりと聞いた。


蘭?「『蘭』はね、そういう方法を選ぶとしたら、自分を抱く相手は『新一』が良いと思ってる。

     だからね、貴方にさっきの提案をしたの」



221 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/21(木) 21:30:52 Am4rbMok

コナン「な、……な、……」


阿笠「…………」

哀「博士、大丈夫?

   (この声。……工藤君、真っ赤になって、鯉みたいに口パクパクさせてるんでしょうね……)」

阿笠「あ、哀くんも大丈夫かの?」

哀「大丈夫よ。……うろたえてる声聞いたら、逆に冷静になれたから」


コナン「だから、『俺』に手紙を出したのか!? ここで、このことを相談するために?」

蘭?「そう。

     ちなみにね、今言った『この身体に変換回路を作る』以外に、もうひとつの対処法があって、

     その方法だと、『新一』に相談する必要はないんだけど……」

コナン「どんな方法なんだ?」

蘭?「今、『わたし』は、『蘭』と『サキュバス』が融合してる。

     それをまた分離させて、『蘭』の魂を元の、この身体に戻して、『サキュバス』の魂を、別な身体に移し換えるという方法。

     こうすれば、『蘭』は元の通りに戻ってくる」


222 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/21(木) 21:33:16 Am4rbMok

コナン「『サキュバス』が移る、その別な身体って、……どうやって調達するんだ?」

蘭?「当然、魔術を使った調達法だよ。詳しくは話せないけど、……この方法が、ふたつめの対処法。

     ちなみにこの方法だと、『サキュバス』に誘拐されて以降の記憶は、『蘭』からは消えるから、承知しておいて」

コナン「また、誰かを犠牲にするのか? 坂田さんや沼淵みたいに?」

蘭?「そっか。……『君』はそれに拘るよねぇ、探偵君

     あのね、ひとつめの方法も、ふたつめの方法も、どっちも犠牲は必須なんだよ。

     生きてる人間を刻むのか、それとも遺体を調達して加工するかは、……まだ、分からないけどね」


223 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/21(木) 21:37:05 Am4rbMok
↓範囲特に定めず、明日20時まで募集。あまりにも不自然なのは省きます。

 引き続き、コナンは『本人』と話し合います。コナンはどんな事を言ったでしょう?


224 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/21(木) 21:46:58 Jo7hlM4c
補足です

たぶんコナンと『本人』の会話で、自由記述形式は、これが最後です。

疑問でも突っ込みでも説得でも、御自由にレス願います。


225 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/22(金) 01:05:34 nLypJsMQ
毎回思うが安価の難易度高すぎィ!


226 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/22(金) 12:37:42 //vnPFXc
・死んだ人間の遺体を生贄に使えるのか?だとしたら何故、坂田や沼淵はわざわざ殺されたのか?
・蘭の記憶が消える理由は?
・もし俺がお前を抱くとして、頻度や回数の希望はあるか?



229 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/23(土) 12:12:59 jsTCBpeM

コナン「……ちょっと待て! お前の術式、わざわざ人を殺さなくても、……もともと死んでた遺体を使ったとしても、成功するのか?

      だとしたら、何で坂田や沼淵は殺された?

      生きてる人間をさらった挙句に殺すのと、人間の遺体を盗んで加工するのとでは、罪状が大分変わるだろう?

      それくらいの罪状の比較は、『召喚者』には分かるだろうに……

      『召喚者』は、遺体を盗む形であっても、一般人を巻き込むのを嫌ったのか?」

蘭?「……そっか、『君』には話してなかったね。

     大滝さんには、説明する時の記憶を見せたんだけど。(※作者註 >>47参照)

     死んで時間が経った遺体を生贄にするのと、誰かを自分の手で殺して生贄にするのとでは、手間が段違いなの。

     人間の内臓を加工して、生命力を取り出して、魔術に使う構図だから。死んだ直後の遺体を使うと、かなり加工の手間が減るね」

コナン「……じゃあ、坂田と沼淵は、手間の短縮のために殺された?」

蘭?「うん。……あの術式の時は、『サキュバス』には、本当に時間的な余裕が無かったからね。

     どこかから遺体を盗む方法を採っていたら、……おそらく、加工に時間を取られているうちに『サキュバス』が死んでた」

コナン「……、アンタ……」

蘭?「ん?」


230 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/23(土) 12:16:52 jsTCBpeM

コナン「……いや、何でもない。

      (……『自分が生きることしか考えてないんだな』って、最初から分かりきってたことなのに、……言っても無駄か)

      あと、質問いくつか良いか?」

蘭?「どうぞ」

コナン「さっき説明した、『サキュバス』の魂だけ別の身体にうつる方法、……ふたつ目の方法で、『蘭』から記憶が消える理由は?」

蘭?「ああ、それはね、『蘭』が誘拐されてからの記憶は、『サキュバス』だけが引き継ぐから。

     魔術を使ったりした記憶を含むからね、ただの女子高生の『蘭』には、人格が融合していた間の記憶は渡せない。

     ……『蘭』を守る意味でも、『サキュバス』を守る意味でもね」

コナン「じゃあ、人格が融合する前の記憶は、どうなる?」

蘭?「それは普通に、無事のままのはずだよ。

     『蘭』の目線からしてみると、8月の初めに誘拐されてから、人格が再分離するまでの記憶が飛んだ形になるのかな?

     長くて数か月くらいは後遺症が残るだろうけど、……最終的には、普通の女子高生に戻るには、問題ない状態になるかな。

     この時は、『蘭』の方は、普通の人間に戻るから、誰かに抱かれる必要はなくなるね」

コナン「……『蘭』はそうなるとして、このふたつ目の方法で、『サキュバス』はどうなる?」


231 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/23(土) 12:24:46 jsTCBpeM

蘭?「ん……。どうにかして、『蘭』や周りの人に関わらない場所で、生きる道を探るかな?

     この時、『サキュバス』が警察に自首する確率は低いと思う。

     そもそも、ひとつ目の方法であったとしても、ふたつ目の方法であったとしても、魔力の維持は必須だからね。

     『サキュバス』の人格を維持しようとする限り、魔力は必須で、……定期的に誰かに抱かれないと困る構図は変わらないんだよ?

     まさか、『サキュバス』を捕えた後で、警察や法務省が、……男をあてがってくれると思う?」

コナン「……ちょっと考えにくいな。あと、最後の質問だ。

      ひとつ目の、今の『お前』の身体に、魔術の変換回路を作る方法を取って、かつ『新一』が抱くとして、その頻度や回数に希望はあるのか?

      それから、その方法を取った時、『お前』は、警察に自首しないで生きる道を選ぶのか?」

蘭?「……たぶんその方法でも、『わたし』は、自首しないで生きるかな。

     今言った通り、捕まった後の魔力の補充の問題があるから。それが、最大のネックになるから。

     どういう生き方になるかは分からないけど、子供を産めない身体にして変換回路を作るから、誰か男を見つけなきゃいけなくて、

     ……ただ、誰かに抱かれるとしたら、最初は『新一』が良い。そこから先はそれこそ『新一』の生き方次第だよ」

コナン「……」

蘭?「ねえ? 『新一』自身の意見を教えて? ひとつ目の方法が良いのか、それともふたつ目の方法が良いと思うのか」


232 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/23(土) 12:25:38 jsTCBpeM

↓1~3 どう答えますか? 『ひとつ目の方法が良いと思う』 『ふたつ目の方法が良いと思う』 『その他(要記載)』の二択で選んでください。

 ※内容まとめ

   ひとつ目の方法→『蘭』と『サキュバス』の人格融合状態は変わらず、今の『蘭』の身体が『誰かを抱いて魔力を得る』身体となる。

               最初に抱かれる相手は新一希望。『蘭』も『サキュバス』も警察には自首せずに生きる。


   ふたつ目の方法→『蘭』と『サキュバス』の人格が分離。

               今の『蘭』の身体には、元の『蘭』の人格が戻ってくるが、『サキュバス』が融合していた間の記憶が消えている。

               『サキュバス』は別の身体を調達、加工し、『誰かを抱いて魔力を得る』身体となる。

               『蘭』は普通の女子高生に戻れる。『サキュバス』は警察に自首せず生きる。


 ※注意点:どっちの方法でも犠牲は必須です。殺人か死体損壊かは不明ですが、犯罪行為が前提となります。


233 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/23(土) 15:23:09 Hr6B.Anw
ふたつめの方法が良いと思う


234 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/24(日) 01:08:59 pB4YfjUs
ふたつ目の方法で


235 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/24(日) 14:02:19 6lEShjfs
毎度のことながら安価が鬼畜だよな

取る側じゃなくて出す側が


236 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/24(日) 21:14:36 tw7AWPdI

>>233>>234
 では、ふたつめの方法で行きます。

>>235
 感想どうもです。

 それは安価内容が鬼畜ってことでしょうか? 話を考えたら、どうしてもこうなったんですが……


237 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/24(日) 21:15:50 tw7AWPdI

コナン「『俺』は、……『新一』は、……」

蘭?「無茶な質問だったかな? 『君』は、正義感が本当に強い探偵だもんねぇ。

     ……違法行為が前提になった話には、答えづらい?」

コナン「…………

      『サキュバス』は、ここで何を言ったとしても、自分が生き延びることしか考えないんだろうな……」

蘭?「……そうだね。

     最初からそうだったよ。坂田さんや沼淵さんを犠牲にしようとした時から、そうだった。

     生きたいのなら、誰かを犠牲にしなきゃいけない。

     それが嫌なら、最初から誰も殺さずに『自分』が死ぬ道を選べば良い。

     嫌な二者択一だったけれど、それでも、どうにか道を選んで、だから『わたし』は今、この形で生きて、ここに居る」

コナン「……じゃあ、……それなら、せめて、

      ……これ以上『サキュバス』の人格に、『蘭』を巻き込むのは止めてくれ……

      記憶が抜けたって良い、『サキュバス』がどんな身体で、どう生きようが構わない! ともかく、元の『蘭』を返してくれ!」

蘭?「それは、……『新一』はふたつ目の方法を望むって事かな?」

コナン「ああ、すげぇ不本意だけどな」


238 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/24(日) 21:16:56 tw7AWPdI

蘭?「……ありがとう。答えづらいことを答えてくれて。

     たぶん、『サキュバス』がこれから先、『君』に会うことはないでしょう。……何か、変なことが無い限りは。

     記憶を失った『蘭』が、元の住まいに居続けるかは分からないけれど、もし『コナン君』に関わることがあったとしたら、

     ……もしそんなことがあったとしたら、フォローしてくれると有り難いなぁ」

コナン「ああ、それはもちろんそうするさ。

      (そうか。この方法では、俺が『新一』だということを、『蘭』は忘れてしまうのか……)」


そして、哀と博士が聞き取った、ふたりの会話はここで終わる。

『彼女』はまたも庭のど真ん中で、つまり『コナン』の目の前で、光の中に消えたという。


239 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/24(日) 21:17:37 tw7AWPdI

↓1 次はどこのシーンから始めますか?

    『召喚者のいるところ』『阿笠博士の家』『その他(要記載)』から選んでください。

    その他の場合は、出てくるキャラクターも指定願います。あまりにも不自然だと弾きますのでご了承ください。


240 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/24(日) 21:37:40 ZzSCKx62
阿笠博士の家


241 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/25(月) 21:39:53 jS1XttqA

午後10時 阿笠博士の家の部屋


温い牛乳を飲みながら、3人で、先ほどの庭先での会談内容を振り返る。

博士も、灰原も、さっきの会話は、本当に色々な意味で衝撃的だったらしかった。


哀「結局、魔術を使って消えていったのね、『彼女』は」

コナン「ああ……」

阿笠「大丈夫かの? 新一……」

コナン「大丈夫に見えるか? 博士……

      おそらく『本人』は、人格の再分離に向けて動くんだろう。犠牲者を出しながら、な」

哀「……犠牲者が出るのがそんなに嫌なの? 工藤君」

コナン「俺は、……俺は、……『誰かを殺すくらいなら黙って死んじまえ』って、……言うべきだったのか?」

哀「……」

阿笠「お、おい……」

コナン「『蘭』の人格が巻き込まれているから、俺はそういう風には言えなくなっちまったんだ……

      人殺しだろうが死体損壊だろうが、……探偵が、犯罪行為を認めたら、探偵失格じゃないか……」


242 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/25(月) 21:41:08 jS1XttqA

哀「……工藤君の答えは、さっき『本人』に言った内容で、一番良かったんじゃないの?

   『死んでしまえ』って言ってしまえば、……『サキュバス』にも『蘭さん』にも、貴方とは越えられない溝ができるわ。

   『本人』が貴方を敵視すれば、どんな風な行動を取るか分からなくなる」

コナン「ああ……」

哀「ともかく、言った事には責任を取ることね。

   ……『蘭』さんが戻ってきたなら、支えないと」

コナン「そうだな。……俺は、その時は探偵を辞めてるかもしれないな……」



244 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/27(水) 21:38:37 cTdBELI.

8月15日 午後10時5分

RRRR RRRR……


灰原「電話ね、こんな時間に誰かしら?」

阿笠「もしもし? ……ああ、まだ起きとったよ、……コナン君かい? まだ起きとる。変わろうか?」

コナン「(俺に電話か?) もしもし?」

小五郎「ああ、坊主、まだ起きてたか。今日は、博士の家に泊まるんだな?」

コナン「うん、ここに泊まる。もうすぐ寝るところだったけど」

小五郎「坊主、博士の家に行ってから、こっちの事務所に戻ったりしたか?」

コナン「いや、戻ってないよ? どうかしたの?」

小五郎「実はお前が事務所を出てから、俺はまた、警察に呼び出されてたんだよ。

      ……それから色々有ってな、やっと今、事務所に帰ってきたところだ。

      お前が一度も事務所に戻ってないなら、それで良い」

コナン「あー、僕がもしも事務所に戻ってたら、中が真っ暗で誰も居なくて、ビックリしてただろうね。結局戻らなかったけど」

小五郎「そういうこった」


245 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/27(水) 21:56:35 VE9JAkLQ

小五郎「ところで坊主は、……サキュバスのニュースは見たか?」

コナン「……うん。夕方のニュースで知ったよ。おじさんは?」

小五郎「……俺は、警察で今日の書き込みの件を知らされた」

コナン「そう……」

小五郎「分かってると思うが、『蘭』のことは誰にも言うんじゃねーぞ」

コナン「うん。それは分かってる」

小五郎「本当に秘密だからな? それと、……もう10時だろ? とっとと寝てろ」

コナン「うん、……それじゃおやすみ、おじさん」


246 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/27(水) 22:24:37 3nYLKnKA

午後9時55分 召喚者の屋敷 地下室

魔術を使うこと、それ自体には、そこまで精神的には負担はないものだが、

だが、行った先で際どい話をしたならば、移動手段が魔術だろうがそうでなかろうが、疲労が溜まる。

『サキュバス』にはともかく、『蘭』にとっては、幼馴染み相手に『抱かれるならあなたが良い』と言うのはあり得ない話で、

あの庭に居たときは表向き冷静に問題なく振る舞えてても、この屋敷に戻ったら一気に疲れがでる羽目になる。


召喚者「“まさか、ここに戻るなり腰抜かして動けなくなるとはね”」

蘭?「“すいません、あるじ”」

召喚者「“これから、……大丈夫かしら? 今の貴女は、精神がぬるいの?”」

蘭?「“……頑張り、ます”」

召喚者「“そう? なら良いけど”」

蘭?「“これからどんなに冷酷なことをしても、あとで記憶を無くすの分かってますから、……だから、耐えますとも”」

召喚者「“……記憶を無くすその前に、貴女の精神が潰れないことを祈るわ”」


247 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/27(水) 22:29:52 sA.1spV6
↓1 作中の8月15日のイベントは終わりました。翌日に進みますか? それとも他のキャラの描写を挟みますか?
   『翌日に進む』『キャラ描写を入れる』の2択で選んで下さい。後者の場合はキャラを指定してください。


248 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/28(木) 07:46:59 NQujrWVI
キャラ描写を挟む
佐藤と高木で


249 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/28(木) 21:40:06 sxYW0F9o

午後10時15分 高木の自宅


RRRR RRRR……


高木「(佐藤さんから、か……)」


突然鳴った自分の携帯の受信画面を見て、高木刑事は軽く息を吐く。

自宅に帰って、夕方に一度、佐藤刑事の様子を案じるメールを送った。

その返信は、今に至るまで無かったから、だから、この着信は佐藤刑事からは初の反応になる。


高木「もしもし、僕です。……大丈夫ですか? 佐藤さん」

佐藤「何とか、今は落ち着いたわ。心配かけてごめんなさい」

高木「いえ、……落ち込むのは当然の話でしょうから」

佐藤「そうね……」

高木「ええ……」

佐藤「監察に行ったとき、有り得ない取り乱し方をした人たちが部屋に飛び込んできてね、私は、……ショック受ける暇も無かったの。

     ただ、帰宅してからショックが強く出て……、ごめんなさい、メール送れなくて」


250 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/28(木) 21:42:10 sxYW0F9o

高木「いえ、メールは気になさらないで下さい。ところで、監察でそんなことした人って……」

佐藤「私達の件とは別の、あの書き込みの、『ホワイトムーン』の件当事者だったみたい。(※作者註 >>159参照)

     ……はっきり言って、警察失格だと思わない? 既婚者2人と不倫だなんて」

高木「確かに、あの書き込みはビックリしました。

     でも、こういうのも何ですけど、

     ……外部の人達には、僕たちの件よりも、『ホワイトムーン』の事例の方が、インパクトが強いかも知れませんよ。

     僕たち、警視庁の人達にも、早く忘れ去られたりして……」

佐藤「そうなると良いわね、……ねえ、高木くん」

高木「何ですか、佐藤さん」

佐藤「もう、……『蘭』ちゃんは、……元の『蘭』ちゃんじゃないのね。

     あの子は、法に従うよりも、自分の論理とチカラを優先で生きるしかない存在に、取り込まれてしまった」

高木「……そうですね」

佐藤「罪を重ねずに生きていく方法があれば、それが一番良いのに……」


251 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/28(木) 22:13:59 CftpeupA

高木「ええ……」


それからしばらく、沈黙が続いた。


撿撿今の警察には、『彼女』と召喚者を止める手立てが無い。


高木も佐藤も分かっていた、警察の捜査担当者も悟っているだろうし、ネットを見た一般人も薄々思っているだろう。

書き込みを見る限り、自分の生命に関わるがために『彼女』の態度は真剣だ。

一方、『彼女』や召喚者の魔術の得体がしれない故に、警察は、おそらく効果的に『彼女』を止める方法を見出だせない。


ただ、警察に出来ることは、いずれ砂と化していく魔術関係の証拠をかき集めながら、

『彼女』がこれ以上、重大事件を起こさないように祈ること、撿撿それだけかもしれなかった。


252 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/28(木) 22:16:27 6AeUnv0c
今日の投稿は以上です。

↓1 次はどこのシーンから始めますか?『事件現場』『警視庁』『ネットの掲示板』の中からひとつ選んで下さい


253 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/29(金) 11:24:31 QNfu7IwA
掲示板



255 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/29(金) 23:36:07 n5fWUjgQ

高木「ええ……」


それからしばらく、沈黙が続いた。


――今の警察には、『彼女』と召喚者を止める手立てが無い。


高木も佐藤も分かっていた、警察の捜査担当者も悟っているだろうし、ネットを見た一般人も薄々思っているだろう。

書き込みを見る限り、自分の生命に関わるがために『彼女』の態度は真剣だ。

一方、『彼女』や召喚者の魔術の得体がしれない故に、警察は、おそらく効果的に『彼女』を止める方法を見出だせない。


ただ、警察に出来ることは、いずれ砂と化していく魔術関係の証拠をかき集めながら、

『彼女』がこれ以上、重大事件を起こさないように祈ること、――それだけかもしれなかった。


256 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/29(金) 23:36:54 n5fWUjgQ
ttp://hide14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/************/

【被疑者】拘置所被告殺人・考察&まとめスレ72【不明中】

139:◆MsSuccubus [sage]:20XX/08/16(金) 09:45:38.18 ID:KKKKKKKKK

 おはようございます。召喚者です。きのうと同じ手段で、他人の端末から書き込んでいます。

 サキュバスとの協議の結果、彼女がここで言わねばならないことが出来ました。

 内容は以下の通りです。

=============

 今のわたしには、『女子高生の身体』の中に、『サキュバスと女子高生が融合した魂』が居る。

 きのう、わたしは、今は融合している魂を、召喚者の魔術で、分離させることに決めた。


 これから、魔術で、『女子高生の身体』とは別に、『サキュバスの魂に耐え、魔力を取り込める身体』を作り出す。

 その身体に、分離した『サキュバスの魂』を入れる。

 魔術が上手くいけば、『女子高生の身体』には、元の『女子高生の魂』が残り、彼女の元の人格が戻る訳だ。


 魔力は完全に召喚者に依存していて、上手くいくかどうかは分からない。

 でも、坂田さんや沼淵さんの時よりは、時間的な余裕はあるから、上手くいく確率はまだ高いと信じたいな。


257 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/29(金) 23:38:33 n5fWUjgQ

 仮に魔術が成功を収めた時は、女子高生とサキュバスが融合していた間の記憶は、サキュバスのみに引き継がせてもらう。

 魔術を使ってたりする記憶は、申し訳ないけど普通の女子高生には渡せないからね。

 でも、裏返して言えば、本当に上手くいけば、記憶が一時期無くなっているだけの女子高生に戻れるということ。

 後遺症は残るかもしれないけれど、魔力とか一切使えない、誰かを抱くとか悩まなくてもいい、女子高生になれるはずだよ。


 以上の内容を踏まえたうえで、ここに、魔力を使う者として、最も大事なことを宣言させてもらうよ。


 ――サキュバスと召喚者は、魔術の構築に当たり、

     坂田さんや沼淵さんのように、生贄を得るために、間違いなく誰かを犠牲にするでしょう。


     誰かを犠牲にしなければ、サキュバス自身の生きる望みは叶えようがないからです。

     犠牲を出すことが嫌うならば、サキュバスは、死を待つほかない状態です。


     犠牲になるのが誰なのかは、今の段階では分かりません。

     ただ、以前の経験から、罪人を誘拐して生贄にすることは、おそらく非常に難しいものと思われます。


258 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/29(金) 23:40:35 n5fWUjgQ
今日の投稿は以上です。

↓1 次はどこのシーンから始めますか?『被害者宅』『警視庁』『毛利探偵事務所』のどれかから選んで下さい


259 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/11/30(土) 09:45:10 iNQt.Y0s
毛利探偵事務所


260 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/30(土) 23:34:49 3f4uXGag

 8月16日 午後6時30分 毛利探偵事務所


朝、俺がこの事務所に帰宅してしばらく経った頃、また例の掲示板に『本人』の書き込みがあった。

『本人』の決意表明と言って良い宣言の書き込みで、間違いなく俺との会話を踏まえている。


おっちゃんと妃弁護士は、またしても昼に警察に呼び出された。

俺は、何も言わずにここで留守番することを選び、……そして、この件に関して、何も言わないことを心に決めた。


午後5時ごろにおっちゃんは帰ってきたが、帰宅するなり浴びるように酒を飲み始め、今や完全に眠りこけている。

時々発する寝言から察するに、警察の事情聴取の後で、妃弁護士と本当に深刻な口論をしたらしい。


コナン「……おじさん、起きてる? ぼくが、今からご飯作ろうか?」

小五郎「ん……」

コナン「(ゆすったくらいじゃ起きそうにねーな……)」


飯と、インスタントの味噌汁と、レンジでチンした惣菜でも、まあ食う分には問題ないものが出来るはずだ。


コナン「ええっと、飯を炊いてからコンビニで惣菜買ってくるか……」


261 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/30(土) 23:36:02 3f4uXGag

夕飯を作る手順を考え、ひとまずコメをとぐことにするか、と考えたその時、


RRRR RRRR……


コナン「(電話だ……) はい、こちら毛利探偵事務所です」

??「この声、……コナン君か!?」

コナン「……ええ、はい。えっと、どちらさまですか?」

??「元太の父ちゃんだよ! 前に会ったろ?(※作者註 63巻参照)

     今、大人の人居るか? 話がしてぇんだ」

コナン「えっと、居るけど、電話に出れる状態じゃないです。……体調壊して、寝てるから

      (こういう言い方は許されるよな、きっと。電話に出れない状態なのは間違いないし)」

小嶋 元次(以下、元次)「あー? それじゃ仕方ねえな。

                  うちの元太、知らねえか?

                  そっちの家の嬢ちゃんに電話で呼び出されて、昼に出たっきり帰ってこねぇんだ」

コナン「(何だって!?)

      嬢ちゃんって『蘭姉ちゃん』のことですか?」


262 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/30(土) 23:37:46 3f4uXGag

元次「元太は、そういう名前を呼んでたな」

コナン「警察呼んでください!」

元次「え?」


さすがに、今の『蘭』について何もかもをぶちまけるのは躊躇う。

だから、『嘘をついてない言い方』をすることにした。


コナン「『蘭姉ちゃん』、警察沙汰の事件を起こした後に行方知れずになって、警察が探し回っているんです!

      本当に今の『蘭姉ちゃん』が元太を呼び出したなら、誘拐目当てだとしか思えない!」

元次「はぁ!?」


263 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/30(土) 23:39:00 3f4uXGag
今日の投稿は以上です。

次はオートで『被害現場』が舞台になります。


264 : ◆oJG7c/xJmM :2013/11/30(土) 23:59:01 3f4uXGag
↓1~当分の間募集 警察はこれからどんな風な捜査をすると思いますか? ご自由に意見ください


265 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/01(日) 10:48:34 RAmiaw2s
デビルサマナーに手伝ってもらう


266 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/01(日) 21:29:26 OlTVwNJo
午後7時50分 召喚者の屋敷 地下室


部屋の空間が光り、誰もいないはずの場所に、『誰か』が出現する。

かつて『サキュバス』が召喚され、その後『本人』が病院から逃げてきたり、阿笠博士の家に行き来するのに使った部屋であったが、

今、転移の魔術でここに戻ってきたのは、『本人』ではなく、召喚者であった。


蘭?「“……あるじ、お疲れ様です”」

召喚者「“あら、……貴女、ここで、私が帰るのを待っていたのね”」

蘭?「“外はどうでしたか?”」

召喚者「“警察(ポリス)が、例の手紙に気付いたのは、見届けてきた。

      私は結界の中に居たから、ずっとあの場所に居たのは気付かれてないはずよ”」

蘭?「“……そうですか。警察(ポリス)は、今頃になって誘拐に気付いたのですね。

     あの子を誘拐したのは昼なのに”」


大方、親が、帰宅が遅いことに気付いて、探偵事務所辺りに問い合わせたのだろう、と、『本人』は推測する。

街中での魔術の発生を感知する技術が無い文明なのだから、気付くのが遅くて、当たり前ではあった。


267 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/01(日) 21:30:25 OlTVwNJo

ちなみに、『サキュバス』の世界には“軍”や“兵士”や“民兵”という概念は有っても、“警察”という概念は無く、

概念が無いために、言い表す単語が無く、だから会話では、こちらの世界の単語を借用することになる。


召喚者「“あの子は今どうしてるの?”」

蘭?「“寝てます、隣の部屋で。ベッドに縛り付けたままです”」

召喚者「“そう。一応体調を見たほうが良いかしら”」


言いながら、召喚者は隣の部屋に繋がるドアを開いた。

小嶋 元太は昼からずっと眠りっぱなしなのだ、念のため体調は確認したほうが良いだろう。


話は、今日の午前に遡る。


268 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/01(日) 21:32:49 OlTVwNJo
今日の投稿は以上です。

次回はオートで『誘拐時の話』になります。

>>265 ありがとうございます。ちょい話でもデビルサマナーは組み込んで出してみます。

↓1~当分の間募集 警察はこれからどんな風な捜査をすると思いますか? ご自由に意見ください ※あんまり不自然なものは弾きます


269 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/02(月) 01:23:09 SnES5gXE
ゴーストスイーパーに依頼する


270 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/02(月) 21:40:31 nJrys78A

 午前10時5分 米花公園


いつも少年探偵団が遊び場に使っている公園に、公衆電話のボックスがあったのは、『彼女』と召喚者にとっては都合のいいことであった。

ふたりは、今日、計画通りであれば、ボックス内で延々と待機することになっていた。


『他人の視線を阻害する』効果のある、心理系に作用する結界の魔術符を、ふたりの身体に貼り付けるのみならず、

念には念を入れて、公衆電話ボックスそのものにも貼り付けることが出来る。

この世界の魔力のない人間には、仮面姿の召喚者を含む、いかにも怪しいふたりが、ボックス内に籠城していることに気付くはずがなく、

また、このボックスに万一カメラが向けられたとしても、『ふたりの姿を誰かが認識しようとした』段階で、映像がブラックアウトするはずであった。


元太の家の番号に掛けると、コール2回で父親らしい人が出たから、出来る限り声を甲高くして、『蘭』らしく聞こえるように『彼女』は声を出す。


元次「どうもー! 小嶋酒店です」

蘭?「……おはようございまーす! 帝丹小の1年B組の、元太君のお宅でしょーか?」

元次「え、……元太の友達ですか?」

蘭?「あ、失礼しました。私、元太君のクラスメートの、江戸川コナン君が居候している家の娘なんですが……

     元太君いらっしゃいますか? ちょっとコナン君の事で相談があるんです……」


271 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/02(月) 21:42:51 nJrys78A

元次「あー……、元太からはしょっちゅう聞いてます。毛利探偵のお嬢さん」

蘭?「あら、父をご存知なんですね」

元次「ええ。……ちょっと待ってくださいね、 おーい、元太ー! 電話だー!

     毛利探偵の家のお姉さんからだ!」

元太「……ぇー? 『蘭姉ちゃん』かー!? 俺に?」


電話の向こうがドタバタした後、狙っていた少年が出た。


272 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/02(月) 22:18:59 5k8hV4Xk

元太「もしもし?」

蘭?「こんにちは、元太くん。『蘭』です。急に電話してごめんね?」

元太「いやいや、気にしなくて良いぞー? で、何の用だ? コナンに何か有ったのか?」

蘭?「うーん、何か有った訳じゃないんだけどね。ちょっとコナン君の事で、元太くんに相談したい事が有って」

元太「それで電話したのか?」

蘭?「うん、……あのさ、今日か、無理なら明日でもいいんだけど、『私』、元太くんと直に会って、相談できないかな?」

元太「え!?」

蘭?「探偵団のみんなや、博士には内緒にしてほしいんだけど……、米花公園で、待ち合わせできないかな?」

元太「……俺は、昼までは家で宿題しなきゃいけねーんだ、今日、昼ご飯食べてからなら……、何とか……、」

蘭?「じゃあ、今日の1時半に、米花公園で待ち合わせね? 『私』、黒い帽子被って公衆電話の前に居るから」

元太「おぅ! 1時半に、米花公園の公衆電話の前、だな?」

蘭?「そう。絶対、探偵団のみんなには内緒にしてね? コナン君にはもちろん秘密だよ?」

元太「ああ、秘密にするぞ!」


275 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/04(水) 21:40:17 9Wtkp8lw

蘭?「1時半、か……。

     これで、今日一日のスケジュールが大体決まりましたね」

召喚者「そうね……」


元太が『今日も明日も無理だ』と言っていた場合、ふたりはここから撤収することになっていただろう。

しかしこうやって呼び出せた以上、少なくともその時までは、この公衆電話のボックス内に籠城しないと不味い。


まず、このボックスの扉を開けて外に出る、という選択肢は無い。

『彼女』は、勝手に発動する自身の魔術のせいで、あまり他人のいる場所には近づけず、

フードに仮面姿の召喚者が、人の視線にさらされるのも論外だし、仮面を外すのも別の意味で論外だ。


また、召喚者宅のあの地下室まで移動することを想定し、転移の魔術符は複数枚持っているが、この魔術もそう気軽に使えるものではない。

ボックス内で転移の術を発動すればするほど、このボックスに念入りに施した、視線阻害の魔術と衝突し、術の劣化が早まる。

召喚者の魔力に余裕があるとは決して言えないなか、視線阻害を余計に行使するのは避けたいところだ。

今日一日、視線の阻害効果を持続させたいのなら、転移の術を使うのはあと2回ほど、というところだろう。


276 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/04(水) 21:41:38 9Wtkp8lw

外には出れず、転移魔術も惜しみたい、ならば、ここに居るほかない。


かくして、ふたりは夏の日差しの下。

保冷剤やら何やら細々とした対策をしていたとはいえ、あまり楽とは言えない時間を公衆電話ボックスの中で過ごすことになる。


277 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/04(水) 21:43:28 9Wtkp8lw
今日の投稿は以上です

↓1 次の話は『元太目線』にしますか? それとも『ふたり目線』にしますか?
   2択で選択してください。


278 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/04(水) 22:15:52 NocQCeEk
ふたり目線でお願いします

280 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/06(金) 23:52:34 kKJ46502

 午後1時26分 米花公園


蘭?「来た……」


公園の入り口から『彼女』を見つけるなり、こちらに向かって走ってきた少年が居る。

『蘭』の記憶の中では、何度も会った事のある子だ。小学1年生の割に、かなり大柄な男の子。


元太「『蘭姉ちゃん』……!!」

蘭?「こんにちは、元太君。わざわざありがとう。時間通りだね」

元太「ああ!! 俺、心配して走ってきたんだ!」


ゼーハーゼーハー言いながら説明する元太に、『彼女』はつとめて笑顔を見せつつ、

一方、心中では、この10分の間、元太以外誰もこの公園に来なかったことに安堵していた。


今から約10分前、午後1時15分頃から、ボックスの中で帽子を被り、上着を羽織り、

そして、……多少勇気が要る行為だったが、自分に付けていた視線阻害の結界の符を外して、『彼女』はボックスの外で立っていたのだった。

符を付けたままだと、元太にも見えなくなるのだから仕方ない。電話で呼び出されたのに姿が見えない、というのは元太でも怪しむ。


281 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/06(金) 23:53:48 kKJ46502

蘭?「ほんとうにありがとう。息上がってるね、大丈夫?」

元太「お、おう……。で、コナンについて相談したいことって何だ?」

蘭?「ああ、それはね……、すごくややこしい話なんだけど……」


『彼女』は膝をつき、元太の視点に目を合わせる。

元太は、『彼女』の雰囲気に飲まれ、目線を外せない。

目線が外せないのだから、元太の真後ろ、仮面にローブ姿の『もう1人』が居ることに、気付くはずがない。


――そして、召喚者は、昏睡の魔術を込めた装身具(ネックレス)を、元太の頭上から勢いよく被せてみせた。


元太「……!!」

蘭?「……ややこしい話だけど、1つだけ言えることがあるんだ」


魔術は一瞬で展開する。

きっと何が何だかわからない内に意識をなくし、後ろに倒れこむ元太を、召喚者は後ろから抱え込んだ。

打ち合わせ通り、『彼女』は、召喚者と共に、手際よく視線妨害の結界符を身体に貼り付けていく。


282 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/06(金) 23:54:59 kKJ46502

蘭?「『わたし』は嘘は付かないんだ。……言えないことを、黙っていることはあるけど。

     だから……、コナン君の事で相談事があったのは、本当なんだよ?」


小学1年でも大柄だから、元太の体重は重い。

苦労して元太をボックスの中へ抱え込み、そこから転移の術で召喚者の屋敷へと連れ込んだ。


例の地下の部屋に3人で転移、その隣の部屋のベッドに元太を縛り付ける。

縛り付ける作業が終わったら、召喚者だけは、また米花公園の公衆電話ボックスへと転移で戻る。


――この日、午後7時50分頃。

    制服警官2名が、ベンチの上に、奇妙な手紙を発見した。

    サキュバスの事件関係で行方不明、と一報があった元太の捜索で公園に入り、

    公園に入るなり、ベンチの方から、ガラスが割れるような音と、一瞬の強い光を目撃し。

    慌ててそのベンチに向かったら、ベンチの座面の上に手紙が置いてあった、という流れだ。


    こんな構図であったから、召喚者が、この時も公園に居て、警官が手紙を確認する様子を公衆電話から見届けていた、

    ……なんてこと、警察が気付くはずが無かったのだ。



284 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/07(土) 23:58:32 rn3671nc

 午後7時50分 召喚者の屋敷 地下室


蘭?「“……あるじ、お疲れ様です”」

召喚者「“あら、……貴女、ここで、私が帰るのを待っていたのね”」

蘭?「“外はどうでしたか?”」

召喚者「“警察(ポリス)が、例の手紙に気付いたのは、見届けてきた。

      私は結界の中に居たから、ずっとあの場所に居たのは気付かれてないはずよ”」

蘭?「“……そうですか。警察(ポリス)は、今頃になって誘拐に気付いたのですね。

     あの子を誘拐したのは昼なのに”」

召喚者「“あの子は今どうしてるの?”」

蘭?「“寝てます、隣の部屋で。ベッドに縛り付けたままです”」

召喚者「“そう。一応体調を見たほうが良いかしら”」


言いながら、召喚者は隣の部屋に繋がるドアを開いた。


285 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/08(日) 00:02:02 1z1GD1Qk

 午後7時52分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室


採光は小さな天窓があるだけの、八畳ほどの広さの石造りの部屋、そんな部屋のを占拠するベッドが2つ。

片方のベッドは空で、もう片方は元太が居るベッドだ。

彼は布団を被せられ、その上に鎖をぐるぐる巻いて全身を縛られていた。


元太「zzzz zzzz……」

召喚者「“確かに寝てるわね。軽くイビキもかいてる”」

蘭?「“……考えすぎかもしれませんけど、昏睡魔術が、変に効きすぎてるだけですよね?”」

召喚者「“どうかしら……”」

蘭?「“すいません、わたしが魔術的に様子を伺えばよかったんでしょうけど、魔力の消費が怖くて……”」

召喚者「“別に良いわ。私が視れば良い訳だから”」


元太の額に手袋を外した素手を乗せ、仮面でも隠していない両目で、彼の中の魔力を視る。


召喚者「“……単に魔術が効きすぎてるみたいね。直に起きるでしょう”」


286 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/08(日) 00:15:38 1z1GD1Qk
すいません、更に続きを書こうと思ったんですが眠気でアウトです。

↓1 次はどこのシーンから始めますか? 『被害者宅』『警視庁』『毛利探偵事務所』のどれかから選んで下さい。

↓当分の間募集 警察はこれからどんな風な捜査をすると思いますか? ご自由に意見ください ※あんまり不自然なものは弾きます


287 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/08(日) 10:47:00 Uo.5ltmE
毛利探偵事務所


288 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/08(日) 21:21:21 1z1GD1Qk

 午後8時10分 毛利探偵事務所


RRRR RRRR……


英理「はい、毛利探偵事務所です」

元次「ぇ、あー……、小嶋 元太の父ですが、えっと」

英理「!! すいません、小嶋さん。コナン君から話は伺いました。

     娘がとんでもないことをしでかしたかもしれないと……、本当に申し訳ありません。

     私は『毛利 蘭』の母で、妃 英理と申します」

コナン「(!! 元太の父さんからか)」

元次「……? 奥さん、名字は毛利探偵とは違うんですか?」

英理「ええ、……事情があって10年ほど別居しておりまして。

     夫は、今、会話できる状況ではない、ということで、コナン君が私を事務所に呼んでくれたんです。

     ところで、小嶋さん。……何か、事態に進展が有ったんでしょうか?」

元次「毛利探偵は、本当に体調がお悪いんですね……」

英理「大変申し上げにくいんですが、……このところ娘の件で、夫が一番振り回されておりましたから」


289 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/08(日) 21:22:36 1z1GD1Qk

コナン「(おっちゃん、ヤケ酒飲んで酔いつぶれたなんて、言えるわけないよな……)」

元次「でしょうね……、『サキュバス』の事件がどうのこうのとなれば心労が溜まるでしょうね……!!」

英理「……!! 小嶋さん、娘が居なくなった経緯はご存知なんですね?」

元次「ええ!! 先ほど警察が教えてくれました!!

     米花公園のベンチに手紙があったそうですよ!!

     ウチと毛利探偵の事務所に、あとで全く同じ内容の手紙が郵便で届くそうですよ」

英理「……え? 手紙、ですか?」

コナン「(手紙!?)」

元次「ええ!! そっちにもすぐ手紙を見せに、警察が来るんじゃねぇですか?」

英理「すいません、初耳なんですが、……その手紙の内容を伺ってもよろしいですか?」

元次「……『サキュバス』は、魔術の生贄に、相性が良い人間の遺体が欲しいそうで……

     でも遺体を探すのが手間だからよ……、手間を省くために相性が良い元太を連れ去った、と。

     元太を生かして帰してほしいなら、警察は、『サキュバス』が遺体を探すのを妨害するな。と

     完全に誰かの遺体だけで魔術が出来たなら、元太は生かして帰す、と……、そう書いて、ありました!」

英理「そんな……」


290 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/08(日) 21:23:33 1z1GD1Qk

元次「『サキュバス』の書き込みを見れば、性格が変わってるのが分かりますけどね……

     人格の半分はそちらのお嬢さんでしょう? 人の息子人質にとるなんて、……どんな性格してたんです!?」

英理「…………

     すいません、私もすごくショックで……、そんなことする子じゃ無かったんですが……」

コナン「(手紙の内容って何なんだ……)おばさん……、大丈夫?」



292 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/09(月) 21:42:32 msg2twkU

 午後8時22分 毛利探偵事務所


元太の父親からの電話から10分後。確かに、警察が事務所に来た。

公園のベンチに置いてあったという手紙のコピーを持って。


英理「病院から逃げた時に、トイレにノート残してましたよね、あの子。

     それの筆跡を調べられる時に、こちらからあの子の資料をお渡ししたと思うんですが……」

刑事J「筆跡の確認目的も兼ねてるんですが、それだけではないんです。

      この手紙を見てご両親として気付かれる点があればと思いまして……」

英理「……内容は、今見ただけでは何とも。

     字体は、『蘭』のものに近い字体ではありますね、完全に同じというわけではないですが」

刑事J「そうですか……

      毛利探偵は、今は御在宅ですか?」

英理「ここに居ますけど、体調を崩して寝込んでいます。

     完全に寝入っているので、お話しするのは難しいですよ」

刑事J「そうなんですか……」


293 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/09(月) 21:43:07 msg2twkU

コナン「確かにこの文字、『蘭姉ちゃん』が書く文字に近いね」

刑事J「坊やは、……お姉ちゃんの事情を知っているんだったね?」

コナン「うん、知ってるよ。……最初に『蘭姉ちゃん』が『サキュバス』の事件に巻き込まれた時から。

      『本人』が、今日、元太を誘拐したことも、ね。

      元太は僕と同じクラスの友達で、……僕の友達はみんな、『蘭姉ちゃん』と仲が良かったんだ。

      『蘭姉ちゃん』から呼び出しの電話来たら、ほとんど疑わずに会いに行くと思う」


294 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/09(月) 21:52:40 7bP2oPvE
↓1 『本人』が公園のベンチに残した手紙の雰囲気は、どんな感じ?
   例)やたら馴れ馴れしい、お堅い、これまでと変わらない、など


295 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/09(月) 23:58:16 wzlRRsdI
一見これまでと変わらないように見えて違和感を感じる


296 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/10(火) 21:43:05 pYDHUwJA

刑事J「お姉さん、信用されていたんだね」

コナン「うん。

      ……それにさ、元太のお父さんは、警察に通報する前に『元太が蘭姉ちゃんに呼び出されたきり戻ってこない』って、

      最初にこの事務所に電話してくれたんだ。

      その電話取ったのは僕で、元太のお父さんに、警察に通報するようにお願いしたのも僕だよ?

      僕は、『蘭姉ちゃん』がどういう状態か知ってたから、……元太が誘拐されてるんじゃないか、って、思ったんだ」

刑事J「……坊やは、『サキュバス』の事件のことは、お友達には誰も話してないよね?」

コナン「話すわけがないよ!

      毛利のおじさんからも、ここに居るおばさんからも、『誰にも話すな』って、かなりきつく言われてたんだから!」

刑事J「それはそうだよね……」

コナン「うん」

刑事J「えっと、坊やもちょっとこの手紙見てくれる? 気になったところがあれば教えてほしいんだけど……」


297 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/10(火) 21:44:46 pYDHUwJA

 警察の皆さん 小嶋家の皆さん 毛利家の皆さんへ


元太君は、召喚者とわたしが誘拐しました。生贄目的、兼、人質です。

この子は、魔術の生贄にするのに相性が良いと感じています。


生きている人間を、それも小学生を殺して魔術に使うのは、あまり気が進みません。

誰かを殺すよりは、元々死んだ人間の遺体を、どこかで調達して使いたいのですが、

それだと、生きている誰かを殺すよりは手間が段違いに掛かります。


これから、わたしたちは、魔術を使うのに相性の良い遺体を探します。

手間をかけたいと思うほどに相性が良い遺体を見つけ出せば、勝手に遺体を盗んで魔術に使うつもりです。

遺体だけで魔術が完成すれば、元太君は殺さずに家族のもとにお返しします。


ただ、遺体を探し回ることと、盗むことを警察が妨害するのならば、元太君を生贄に使わざるを得ません。

だから、警察には、わたしたちが遺体を探す作業を、邪魔しないで頂きたいのです。


この手紙と、同じ内容の文面の手紙を、小嶋家と毛利家に後日郵送で送ります。


298 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/10(火) 21:45:23 pYDHUwJA

郵便事情を考えると、遅くとも18日までには届くと思います。


警察がこの手紙を把握したのならば、19日の新聞の朝刊の1面の左下に、告知の広告を出稿をお願いします。

告知内容は、

『拘置所被告殺人事件に付いては、現在別の誘拐事案交渉中』

『人命優先のため当分の間、新規の情報公開は中止する』

旨の記述で、警察庁と警視庁と大阪府警の連名でお願いします。

広告の中でが、『この広告は犯人の要求である』ことを明記していただいて構いません。


 サキュバスより 敬意をこめて


300 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/11(水) 21:44:40 dDftIaVM

すいません、>>298の2行目と5行目にタイプミスがありました。

誤 ~1面の左下に、告知の広告を出稿をお願いします。

正 ~1面の左下に、告知の広告の出稿をお願いします。


誤 『人命優先のため当分の間、新規の情報公開は中止する』

正 『人命優先のため当分の間、新規の捜査情報の公開は中止する』


301 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/11(水) 21:45:52 dDftIaVM

コナン「……警察は、要求通りに、新聞に広告を出すのかな?」

刑事J「今は分からないね。警視庁だけで決められる話じゃないから」

コナン「そっか。警察庁や、大阪府警の人と話し合わなきゃ、連名では広告は出せないもんね」

刑事J「そうだね。……坊や、手紙で、何か気付いたことはある?」

コナン「うーん。

      文章がおかしいってわけじゃないけど、内容に違和感があるよね。

      こういう広告を出してくれ、って要求は、遠回しに『新規で捜査情報を出すな』って言ってるのと同じでしょ?」

刑事J「うん。この広告を出したら、警察はもう捜査情報は発表できないだろうね。

      広告で『発表控えます』って言ったのに、捜査情報を発表するのはおかしすぎる」

コナン「何か事件が起きた時、警察がマスコミに捜査情報を出して、その報道を見た犯人が、

      自分の情報がどれだけ漏れてるか確認したりすることって、普通にあるでしょ?

      警察が情報を出さないようにする、ってことは、そういう報道が無くなっても良いっていうことだよね」

刑事J「そうなるね」

コナン「今の『本人』は、何もしなくても警察の情報が筒抜けになってるから、いちいちマスコミを見る必要が無いのか、

      それとも、警察の捜査情報を掴む必要性をそもそも感じていないのか、……どっちかなのかもしれないね」


302 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/11(水) 21:47:16 dDftIaVM

刑事J「坊や、頭が回るね」

コナン「ありがとう。……一応、毛利のおじさんのそばに、僕はしょっちゅう居るからね。

      あと、警察が情報を出さない理由、もう一個考えられることがあるとすれば……」

刑事J「ん?」

コナン「これから、誰かの遺体が盗まれる事件が発生したとして、

      その『遺体の窃盗』と、『サキュバスの誘拐事件』が絡めて報道されないようにするため、かな?

      遺体盗んだ現場に、『サキュバス』がやった証拠を派手に残しておけば、

      ……警察が元太の命を優先しようとする限り、警察は『サキュバス』がやった窃盗事件だ、って、発表できなくなるよね?」

刑事J「……本当に頭が回るね、坊や」


305 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/13(金) 22:27:28 6jn8uxiw

刑事は俺を褒めてはくれたが、この程度の推理なら、警察にも出来ているはずだろう。

しばらく、『蘭』と元太の関係について俺から聞き取ってから、刑事は事務所を去った。


俺と刑事が会話を交わす中で、俺が気付いていながら、刑事本人には言わなかったことがある。

ここに来た刑事本人は、どうやら少年探偵団のことをよく知らない人だった、という推測と、

人道的な理由もあるだろうが、おそらく警察は『本人』の手紙の要求通りにしか動けないだろう、という推理だ。


前者の推測は、少年探偵団について説明しているときの刑事の態度を見れば、すぐ分かった。

後者の推理は、手紙の内容を守らなかった場合のデメリットを考えれば、分かる。


遺体探しや窃盗を妨害しても、『本人』を捕まえられるとは限らず、その後、警察の妨害を悟った『本人』に、元太が殺されたとしたら。

そういう流れになってしまえば、警察は世間から猛烈なバッシングを食らう。


本心が組織防衛であれ、人道意識であれ、元太の生命を心配する姿勢を取った方が、警察という組織としては無難だし、

『本人』の魔術を警察が防ぐ術がない現状では、遺体窃盗を妨害する行為は、かなり無謀だとしか言えない。


306 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/13(金) 22:28:01 6jn8uxiw

 午後9時27分 毛利探偵事務所


英理「もうこんな時間ね、……コナン君は寝ましょうか」

コナン「そうするね。おばさん……」


時計を見上げてみると、もう21時半近くになっている。


コナン「おばさんは、ここでは寝ないの?」

英理「まだ、もう少し、私は起きておくわ」

コナン「ねえ。……おばさん、質問なんだけどさ」

英理「何?」

コナン「もしも、『本人』の術が成功して、『蘭姉ちゃん』が、元の『蘭姉ちゃん』になって戻ってきて、

      でも、『サキュバス』と一緒になった間の記憶が無くなってたとして……

      元太の誘拐とか、遺体泥棒とか、そういう、『サキュバス』と融合していた時にやった事、

      ……おばさんは、戻ってきた『蘭姉ちゃん』に怒ったりする?」


307 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/13(金) 22:28:31 6jn8uxiw

英理「怒らないわよ……!! 少なくとも、私は。

     怒るよりも、記憶が無くなった『蘭』を慰めると思うわ。

     ……今日の書き込みが正しければ、そういう犯罪行為の記憶は、全て『サキュバス』が持っていくんだから。(※作者註 >>257参照)

     『蘭』にとっては記憶から消えた事を、『蘭』に向けて怒れるわけないわ」

コナン「そう……、そうだよね。おやすみなさい」


308 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/13(金) 22:29:13 6jn8uxiw
今日の投稿は以上です。

↓1 次のシーンでは誰を出しますか? 不自然でない人であれば誰でも可です。
     (この安価リクを消化したら、作中時間は8月19日朝に移ります)


309 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/13(金) 22:52:32 T1bMPG0A
灰原


310 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/15(日) 00:15:35 5MYLHK6.

 8月17日 午後3時35分 阿笠博士の家


哀「はぁ!? 小嶋くんが『本人』に誘拐されたの?」

コナン「ああ、おかげで、今日は午前一杯、警察に呼び出されて事情聴取だったんだ。

      きのう、事務所に来た刑事には軽く説明していたんだけどな、元太と『蘭』が顔見知りだってこと。

      今日また改めて、少年探偵団のこととか、警察署で何から何まで説明するハメになった」

哀「……そのこと、今知ってるのは誰?」

コナン「警察以外には、……そうだな、元太の家族と、毛利のおっちゃんと妃弁護士、それから俺と、

      ……大阪の服部は、誰が誘拐されたかはともかく、事件の発生そのものは知ってたな。俺が電話したら、向こうの方から話題を振ってきたから。

      あ、俺が灰原や博士に今話したことは……」

哀「秘密って事でしょ、分かってるわよ」

阿笠「しかし、人格が本当に変わったんじゃな、『蘭』くんは。……あの子を誘拐して人質にするとは」

コナン「ああ。……おっちゃんもまたかなりショックを受けて、おまけに妃弁護士と仲が険悪になってる」

阿笠「え? 夫婦の間に何かあったのか?」


311 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/15(日) 00:16:07 5MYLHK6.

コナン「妃弁護士は、『本人』の魔術トラブル自体は、……魔術が常時発動してるってことは、『本人』から打ち明けられてたらしい。

      『本人』が魔力の欠乏の危機だってことも、病院で聞いていたそうだ。

      ただ、『本人』が自分の生命をどうにかするために、病院を抜け出して犯罪に走る、とまでは、

      ……弁護士は誰も知らされてなかった、らしい」

哀「……それで、そんなことを妻に秘密にされた毛利探偵が怒る、と」

コナン「ああ。

      秘密にするのも分からなくはないんだ。おっちゃんも理屈は分かってるだろうが、感情的には、な……」

阿笠「ところで、警察の捜査状況は、どんな感じなのかの? 元太くんの居場所は掴めておるのか?」

コナン「捜査では、……米花公園の公衆電話ボックスの中が、砂だらけになってるのは分かったらしい。

      これまで魔術が使われた現場では、砂が必ず残ってたから、今回もその痕跡だろうと、警察は見ているそうだ。

      肝心の元太の居場所は、……警察からは何とも」

哀「犯人が警察に出した要求は、明後日の朝刊に広告を出すことでしょう?

   明日、新聞の締切ぎりぎりまで警察は捜査を粘るんでしょうね」

コナン「ああ、そうだろうな……」

哀「そして新聞の広告を出した後は、……警察はどうするのかしらね?」


312 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/15(日) 00:21:47 5MYLHK6.

コナン「よほど魔術関係の知識に自信が無い限り、どっかから遺体が盗まれるのを傍観するしかないんじゃないか?」

阿笠「え……?」

哀「中途半端に遺体の窃盗を邪魔しても、『本人』を捕まえきれないなら無意味ですものね。

   そんな流れで、小嶋くんが生贄にされるのは最悪のケースだから、警察は、……そうなることだけは避けるでしょう」

コナン「ああ、そういうことだ」


だが、仮に『本人』の魔術が、盗んだ遺体のみを生贄にする形で成功し、元太が生きて戻ってきたとしても、

元太の家族は、単純に元太の生還を喜べはしないだろう。

誰かの遺体が魔術用に盗まれるとして、その遺体にも、生前関わった家族や関係者が存在しているはずだから。


313 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/15(日) 00:23:28 5MYLHK6.
遅くなってすいません。今夜の投稿は以上です。次回は作中の8月19日に移ります。

↓1 次のシーンでは誰を出しますか? 不自然でない人であれば誰でも可です。


314 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/15(日) 01:46:21 1Ff00RcY
服部


315 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/15(日) 21:23:36 5MYLHK6.

 8月19日 午前9時 毛利探偵事務所


服部「結局、警察は新聞に広告を出しとんのやな」

コナン「ああ。ネットを見る限り、東京と大阪に限らず、全国の新聞の朝刊に出してるようだな」


俺の手元には、事務所に届いた分の日売新聞の朝刊がある。

1面の左下、良く政府の広報なんかが出る欄に、今日は堂々と警察の告知が載っていた。


   『告知

      拘置所被告の殺人事件に付いては、現在、別の誘拐事案の交渉中です。

      人命を優先するため、当分の間、新規の捜査情報の公開は控えさせていただきます。

      なお、この広告の掲載は、犯人の要求によるものです。

                                       警察庁 警視庁 大阪府警察』」


服部「新聞社に無理言って、どこの新聞も全く同じ文面にしたらしいで。

     だから、お前んとこも俺のとこも、同じ内容の文章になっとるはずや」


316 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/15(日) 21:24:16 5MYLHK6.

コナン「全国的にこう載せてるっていうことは、警察庁と警視庁と大阪府警の間で、

      ……告知出すのもやむなし、っていう結論に至ったんだろうなぁ。

      お前の親父さん、この件で大変なんじゃないのか?」

服部「ああ。最近ずっと忙しくしとるで。お前の言う通り、この事件のせいやろな」

コナン「そっか……」

服部「インターネット見ると、今日のこの朝刊のことでえらい話題になっとるで。

     こんな広告、前代未聞やし」

コナン「ああ。事情を知らない人間も、警察は『本人』達を捕まえる技術が無い、って事には気付いただろうな。

      ……『本人』を捕まえて、誘拐された人間を保護できていれば、そもそもこんな告知、警察が出すわけがない」


317 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/15(日) 21:26:27 5MYLHK6.

↓明日正午まで募集 服部&コナンの更なる会話で、出てきた話題は? 不自然でない限り採用します
  (安価が無い場合は次のシーンに移ります)


318 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/16(月) 12:30:05 ddBjZX3A
正午過ぎてるけど
家族が収監されている人は、警察に問い合わせをしているのでは?
(うちの家族が誘拐されたんじゃ? というニュアンスで)


319 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/16(月) 22:03:45 28f/k5mI
作者が風邪ひきました。今日はお休みします。体調が戻るまで明日以降も休むかもしれません。

↓当分募集 服部&コナンの更なる会話で、出てきた話題は? 不自然でない限り採用します

↓ついでに当分募集 ファンタジー世界っぽいカタカナの単語を募集します。なお、単語の意味は作者が適当に決めますので御了承下さい。
  (つまり、提案された単語が名前になるか地名になるかは分かりません)


320 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 01:21:46 NKJehwzI
ゲノムヘリター


321 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 01:29:33 NKJehwzI
ミスティックアーク


322 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 08:35:19 R62HAbEY
モストフロンデス


323 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 18:12:07 gzxjXrs6
カルルバン


324 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 18:27:45 vFgEA3GQ
アポリア


325 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/17(火) 21:35:35 ZtJhdwXU
みなさんレスありがとうございます。体調がまだ駄目なので今日もお休みします。

↓引き続き募集 服部&コナンの更なる会話で、出てきた話題は? 不自然でない限り採用します

↓引き続き募集 ファンタジー世界っぽいカタカナの単語を募集します。なお、単語の意味は作者が適当に決めますので御了承下さい。
  (つまり、提案された単語が名前になるか地名になるかは分かりません)


326 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 23:54:39 pw00GMME
ベータミゼット


327 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/18(水) 20:49:11 GzRFgmtA
小嶋家と毛利家にも手紙が届いたのか

イルンクス


328 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/18(水) 21:44:02 MqFAR/cE

服部「まあ、この告知見たら、家族が拘置所に居る人は慌てるやろな。

     『うちの家族が誘拐されてるんやないですかー?』って、警察に問い合わせそうや」

コナン「……ああ、そうか。警察にはそういう影響も出そうだな、確かに。

      誘拐の被害者が小学生だってこと、今の時点では公表されてないからな。

      単にこの広告見ただけの人は、以前と同じように、拘置所から人が連れ出された、って思うだろうし」

服部「これまでの事件で、坂田と沼淵は、ふたりとも拘置所から誘拐されて生贄にされとるからな。

     ……そういえば、『本人』からは、あのボウズの誘拐以降、今のとこ何も連絡は無いんやな?」

コナン「ああ。何もない。

      強いて言うなら、きのうの午前に、うちの事務所に手紙が届いたくらいだな。

      公園のベンチに有ったのと全く同じ内容の手紙で、消印は17日だった」

服部「その手紙、当然警察に渡したわけか」

コナン「ああ。コピーはおっちゃんの手元にあるけどな。

      警察が言うには、きのう、元太の家にも同じ内容の手紙が届いたらしい。

      ……公園のベンチの手紙の、予告通りだ(※作者註 >>297参照)」

服部「そうか……」


329 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/18(水) 21:45:03 MqFAR/cE

コナン「手紙の指紋とか筆跡とか、当然警察は調べるんだろうけど、

      ……そういう痕跡を、わざわざ『本人』や召喚者が残すだろうか?」

服部「確かにな。

     仮にそういう痕跡が出たとして、そこから先『本人』を警察が捕まえてどうこう、っていうのは難しいと思うで」


330 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/18(水) 21:47:44 MqFAR/cE
御心配おかけしました、復帰しました。体調は大事ですね。

↓1 次のシーンでは誰を出しますか? コナンと服部以外で、不自然でない人であれば誰でも可です。


331 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/19(木) 18:47:28 ugn0.e0w
↓1つ下へ


332 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/19(木) 21:28:49 5c0GuyF6

すいません、やりづらかったですね。安価取り直します。

↓1 次のシーンはどこにしますか? 『大阪府警』『警視庁』『小嶋家』『召喚者の屋敷』『その他(要記載)』からどうぞ。


333 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/20(金) 00:42:46 fI42S7qM
警視庁


334 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/21(土) 00:25:55 PIAubpqc
すいません今夜は投稿無理でした。
朝~昼には投稿します。


335 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/21(土) 15:11:25 350uNmS.

 8月19日 午前9時30分 警視庁 捜査一課


   『告知

      拘置所被告の殺人事件に付いては、現在、別の誘拐事案の交渉中です。

      人命を優先するため、当分の間、新規の捜査情報の公開は控えさせていただきます。

      なお、この広告の掲載は、犯人の要求によるものです。

                                       警察庁 警視庁 大阪府警察』」


朝、係内の打ち合わせの冒頭で、新聞の告知のコピーが刑事全員に配られた。

捜査本部の人間でなくとも、刑事が、警視庁が大々的に出した広告を把握していないのは不味い、という訳だ。

別の事件で聞き込みを行うことは普通にあるし、聞き込みの最中、市民が好奇心で話を振ってくることも珍しくないのだから。


千葉「『あの子』は、……変な要求を出したんですね」

佐藤「……そうね」


この件の捜査から外されている人間からすると、新聞の告知のコピーに目を通したところで、言える感想はそれ位しかない。

要求を受けて必死に捜査したのは、捜査本部のはずで、新聞広告を出すと最終的に決めたのは、警察庁のはずだ。


336 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/21(土) 15:12:42 350uNmS.

上層部が、メリット・デメリットを踏まえて最終決断したであろうことを、ただの刑事がどうこう言えるものでもない。


高木「人質、無事だと良いんですけどね……」

白鳥「ええ……」


普段、少年探偵団に関わっていた彼ら刑事達は、誰が誘拐されたのかだけは知らされていた。

元太が居た少年探偵団について、コナンが事情聴取に対し、『捜査一課の目暮警部や高木刑事達に聞けば分かる』と発言していたらしい。

捜査本部の人員は、その発言を受けて、誘拐の被害者が誰なのか明らかにしたうえで、少年探偵団について刑事達に確認しに来たのだった。

とはいえ、彼らも、『誰が誘拐されたのか』は知っていても、『何を要求しているのか』までは、知らされていないのだが。


ちなみに、この件のとばっちりで、インターネットで、ある意味最もデリケートな個人情報をバラされた高木と佐藤だったが、

結局、このカップルのほうは正式に『処分なし』となることが決まっていた。

『本人』が書いた通り、独身の成人同士が互いの合意の元ヤッたことが、処罰の対象になる訳がないのだ。

仲が職場中に知られたものの、職務には今のところ支障はない。


ただ、あの書き込みで既婚者相手の3Pをバラされた婦警は、未だ自宅待機を命じられていると聞いていた。


337 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/21(土) 15:13:54 350uNmS.

遅くなりました。次回投稿は今夜です。

オートで召喚者の自宅のシーンとなります。


338 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/22(日) 00:51:18 o3l4GcYU

 8月19日 午前9時30分 召喚者の屋敷 地下室


   『告知

      拘置所被告の殺人事件に付いては、現在、別の誘拐事案の交渉中です。

      人命を優先するため、当分の間、新規の捜査情報の公開は控えさせていただきます。

      なお、この広告の掲載は、犯人の要求によるものです。

                                       警察庁 警視庁 大阪府警察』


召喚者「“警察は、想定通り広告を出してくれたのね”」

蘭?「“そうですね。……当面、警察は気にしなくても良くなりそうですね”」


この広告を出したことは、手紙の要求を把握しているのだと、警察が宣言したに等しい。

遺体の窃盗を半端に妨害して、元太の命を危険にさらすような真似を、この国の警察がするはずがない。

自分達が元太の居場所を隠し続ける限りは、警察からの妨害は無くなったと言って良く、

また、遺体の窃盗が、『サキュバス』に絡む形で報道されることも無いだろう。


もっとも遺体の関係者は、事情を全く知らないはずで、窃盗実行時の油断は、禁物ではあった。


340 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/23(月) 00:05:15 PsQK4Jsg
遺族や医療関係者が、窃盗を妨害してくるのには気を付けなければならないし、

警察も、(あくまで妨害していないと言い募れる形で)密かに捜査を続けるだろう。


ただ、警察からあからさまな妨害を受けるリスクは無くなった。

これから、妨害対策に使う分の魔力が、若干だが、魔術の構築など別の事に使えるようになる。


召喚者「“あとは、あの子を見張りながら、動き回ることになるわね。まずは生贄探しね”」

蘭?「“そうですね。改めて、……これから、よろしくお願いします。動き回るのはあるじですから。

     ……貴女が、わたしの魔術を使えるようになっていて良かった”」

召喚者「“そうね……”」


『サキュバス』が召喚された時、召喚魔術の効力として、召喚者と『サキュバス』は、互いの世界観と言語の知識を得た。

また、あの日、ふたりが契約を結んで以降は、互いの魔術がほんの少しだけ使えるようにもなっている。

つまり、今、『サキュバス』は、召喚者の赤魔術が少しだけ使えるし、召喚者も、『サキュバス』の分析に長けた魔術が少しだけ使える。


生きている人なり、遺体なりが、生贄として魔術的な相性が良いのか悪いのか、見て分析する魔術が使えないのなら、

そもそも、生きている誰かを誘拐することも、誰かの遺体を盗むことも、できるはずがなかった。



342 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/23(月) 00:07:58 PsQK4Jsg

 午前9時40分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室


召喚者「おはよう、ぼうや」

元太「……おはようございます、あるじ」


若干やつれた顔をした少年が、小さな声で返事を返す。

数日部屋に監禁し続けると、(一時的かどうかは分からないが)元気が無くなるものらしい。


元太は17日の昼に目を覚ました。つまり丸一日眠っていたわけだ。

元太にしてみると、公園内で気が遠くなったと思ったら、見知らぬ部屋のベッドの上で雁字搦めになっていたわけで、

おまけに仮面を着けた『あるじ』と、『蘭姉ちゃん』だけどどっか違う『姉ちゃん』がそばに居る、という訳のわからない状況。

最初、元太は、当然のごとくパニックを起こす。


『あるじ』は、結局こう説明して、身体を縛っていた鎖は解くことになった。

    『お前を誘拐した。身代金目的ではない。誘拐した理由には深い事情があるが、詳しくは話せない。

     解決には時間がかかる。今は夏だが、どんなに長くても、冬までには終わる。

     暴れたり脱走したりしたら、またベッドに縛り付ける』


343 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/23(月) 00:09:04 PsQK4Jsg

その説明を受けた元太はさらに質問をいくつも投げてきたが、全て『事情があって話せない』で押し通している。

つまり、誘拐に関する事情をロクに把握できていないが、そんな説明でも納得はしたのか、今に至るまで元太はおとなしい。


もっとも、もし暴れたり食い下がったりしたら、あるじが飯を出してくれなくなる、とでも思っているのかもしれない。

全身縛られていた鎖は無くなったものの、足枷はついていて、ベッドから離れられない状況ではあったのだ。


344 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/23(月) 00:11:05 PsQK4Jsg
↓1 次のシーンの冒頭、誰が真っ先に発言しますか? 『元太』『召喚者』『本人』のどれかから選んでください。

↓2 ↑の人が発言した内容は?


345 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/23(月) 05:07:56 V6Q6Bv2s
元太


346 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/23(月) 07:00:42 avkR6EiY
少年探偵団


347 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/23(月) 21:17:40 PsQK4Jsg

元太「あるじ」

召喚者「何?」

元太「俺以外の誰かが、俺みたいに、ここに誘拐されることってあるのか?」

蘭?「……ひとりだと、寂しいの?」

元太「そりゃあ、……会いたい奴はいるさ、家族とか、探偵団の奴らとか」

蘭?「じゃあ、少年探偵団の誰かをここに連れて来る? 君みたいに誘拐して。……当分家に帰れなくなるけど」

元太「!? いや、それはダメだ、『姉ちゃん』! 俺が言いたいのは、そんな事じゃなくて!」

蘭?「(面白いくらい血相変えたな、この子)ははは……、うん、分かってるよ。

     からかっただけ」

召喚者「……今のところ、ぼうや以外に誰かを誘拐するつもりは無いわ。

      大人の人達と、交渉したり、暴れたり、盗んだりはするつもりだけど」

元太「そうか……」

召喚者「ここで、ひとりで時間を潰すのは退屈でしょうね。

      テレビはともかく、ラジオはこの部屋でも使えるはずだから持って来るわ。1日待っていて。

      (少なくとも今日や明日の段階では、もう『サキュバス』の事件の報道はしなくなっているはずね……)」


348 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/23(月) 21:19:07 PsQK4Jsg
今日の投稿は以上です。次回オートで数日飛びます。

↓1 次のシーンはどこにしますか? 『警視庁』『病院』『誰かの家』の3つから選んでください。


349 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/23(月) 23:33:41 miz7sD/s
誰かも書いていいのかな?ありなら阿笠宅
だめなら、『誰かの家』


350 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/24(火) 22:00:11 HBXAGI3M

 8月21日 午後3時 阿笠博士の家


哀「新聞に広告が出てから丸2日。

   ……結局、『彼女』からは音沙汰は無いのね」

コナン「ああ、おっちゃんのところにも、小嶋家の方にも連絡は来てないな」

博士「誰かの遺体が盗まれたとか、連絡は来てないのかの?」

コナン「今のところ、そういう話は聞いてない。

      まぁ警察も、広告が出て、すぐに『本人』達が動きだすとも思ってないだろう。

      術の下準備に、時間取られてるのかも知れねえし」

哀「ねぇ、そもそも実際に窃盗が起こったとして、……警察から毛利探偵のところに、連絡は行くのかしら?」

コナン「あー……、分かんねえな。警察も、この件の秘密漏えいには、相当ピリピリするだろうしなぁ」



353 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/25(水) 21:41:35 j.nlfV9A

哀「警察は、マスコミにすら情報は出さない方針らしいじゃないの」

コナン「ああ。……『本人』が、新規の捜査情報公開を止めるよう要求したから、っていう理由でな。

      今回、マスコミと協定は結ばずに、単に情報を出さなくなっただけ、らしいからな」

阿笠「……どういうことかの?」

コナン「普通、こういう事件が有った時、警察はマスコミ相手に協定を結ぶんだ。

      『警察は、誘拐事件の情報は、普段より詳しくマスコミに逐一提供する』、

      その代わり、『マスコミは、事件解決まで、誘拐事件の報道をしない』

      ……この協定、マスコミと警察の双方にメリットがあるからな」

阿笠「なるほど、元太君の事件ではその協定を結ばずに、警察はマスコミへの情報提供を取りやめた、と」

哀「それで今、警察はかなりブーイングを受けてるらしいわね。

   警察は、どう言われても、この方針を変えるつもりはないみたいだけど」

コナン「たとえ極秘であったとしても、……マスコミに情報を出す行為が、『本人』からの要求に違反するかも知れないからな」


マスコミに対するのと同じ考えで、おっちゃんに、捜査の情報が入ってこない恐れは、十分にあるだろう。


354 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/25(水) 21:53:53 l/fmYTG6
>>352
楽しみに待たれてたのにすいません。今日もまた時間がなくこれだけです。

↓1~2くらいまで
 あらすじがほぼ固まったのですが、女性モブの名前が足りてません。名字と女性名をそれぞれ一つずつどうぞ。適当に組み合わせて出します。


355 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/25(水) 22:01:00 3Y1hGwh6
葛野葉



357 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/26(木) 21:10:40 ZOP/a8NU

 8月22日 午後6時 都内 誰かの家


ガタン!!


天井から突然響いた、大きな音。

台所に立ち夕飯の支度をしていた、主婦の江川 桜子(43歳)は、驚いて上を見上げた。

この家の構造上、台所の真上には、天井一枚挟んで娘の部屋がある。

とりあえずコンロの火を止め、階段へ。そして中学3年の娘に向かって呼びかけた。


桜子「沙希ー、部屋で何か落としたのー? すごい音がしたけどー」


2階からは返事が無い。

桜子は内心首を傾げつつ、沙希の部屋へ階段を上った。


――後から振り返ってみると。

    この時、階段を上ったのは正解だったと桜子は思う。

    階段を上らなかったなら、沙希の部屋に向かわなかったなら、『発見が遅くなっていた』


358 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/26(木) 21:14:06 ZOP/a8NU

2階で娘の部屋のドアを開けた桜子は、目の前でぶら下がっている娘を発見することになる。


沙希は、首を吊っていた。


360 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/27(金) 22:55:11 8xgbkv0A

↓1~2くらい 『竜』と『姫』が出てくる異世界の神話があります。どんな神話でしょうか?
あらすじでも良いし、キーワードの羅列でも可です。


361 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/27(金) 23:32:20 .bPRQUGo
微力ながら保守するから無理せず養生!
神話→飢饉、漁師、夜明け


362 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/28(土) 10:50:49 CP6Kzgm2
世界の調和が乱れて大飢饉が発生
滅びを回避するために、姫と漁師町出身の勇者が旅をする
神の使いの竜に会い、乱れた調和をただすために


363 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/28(土) 10:52:15 CP6Kzgm2
失礼
滅びを回避するために、姫と漁師町出身の勇者が、“夜明けの地”を目指して旅をする


364 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/28(土) 18:36:51 pJ14w2cs
神話のキーワード
神官 巫女 邪神 紋章 愛


365 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/29(日) 00:07:52 evqNUYBI

 午後7時 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室


ラジオしか外部からの情報源が無い閉鎖環境において、ご飯を食べる行為は精神の安定に寄与するらしい、と、

本当に夕飯を美味しそうに食べている元太を見て、『彼女』はそう実感する。


元太「このカレー、うめぇな」

蘭?「作る人の腕が上手いんでしょう。……どんな名前の人なのか、知らないけど」

召喚者「ええ、……誰が作ってるのかは言えないけど、ともかく、『人間相手に出すご飯』としては問題ないものを出しているはずよ」


元太には存在すら知られていないのだが、皆の食事を作っているのは、ずっと昔からこの屋敷に住み込んでいる執事である。

その執事は『サキュバス』の召喚後に、数回ほど地下室には降りてきたから、『サキュバス』もその存在は知っていた。

――召喚者同様、仮面を付けていたから、どういう顔なのかまでは知らなかったが。


元太はこの部屋から出られない。『サキュバス』は移動は自由だが、地下から上に出る必要が無い。

召喚者は必要に応じて地下に入ってくるが、いつも仮面を着けている。執事は、元太の誘拐以降、全く地下に降りて来ない。


屋敷の中の住民達は、今のところ、そういう風に生きていた。


366 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/29(日) 00:20:50 evqNUYBI

召喚者「隣の部屋で話したいことがあるの。食べ終わったら来てちょうだい。

      ああ、食べるの急がなくていいから」


何故わざわざ元太と『彼女』のこの夕飯時を、あるじが突っ立って見ているのか少々疑問だったが、

どうやら『彼女』に話題を振るつもりだったらしい。


蘭?「分かりました、あるじ」


残り半分弱のカレールーをちぎったナンで拭って食べながら、『彼女』はそう答えた。


ちなみに『人間相手に出すご飯』としては問題ないものを作る執事は、今の『彼女』にも気を使ってくれている。

『サキュバス』は文化的に、ご飯より粉物が好む。別にご飯が食べれないわけではないが。

カレーライスのライスをナンに変えるくらいの気遣いを、執事はしてくれていた。


367 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/29(日) 00:21:36 evqNUYBI
今晩は以上です。次回はオートでもう一つの地下室です。


368 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/29(日) 22:57:45 M2K4FqTU

 午後7時16分 召喚者の屋敷 地下室


蘭?「“お話は、何ですか”」


元太と『彼女』が食べた後の食器を作業机に置いてから(元太はやはりカレーライスを完食した。『彼女』もカレーとナンを完食)、

召喚者にそう問うた。


召喚者「“術式の生贄に使えそうな人間が、先ほどこちらの探知術式に引っ掛かったの。貴女と同じ15歳だった”」

蘭?「“見つかるの早いですね。もっとかかると思ってました。

     その引っ掛かった方、……性別は?”」

召喚者「“女性よ。貴女と同じ”」

蘭?「“その女の子の遺体、今どこに置かれてるんですか?”」


これから『彼女』らが行いたいのは、人の遺体を生贄にした術式。

召喚者が発動させていたのは、そのための『生贄に使うにあたり、相性の良い遺体を探知する魔術』。

だから、探知魔術に引っかかったのは、相性の良い遺体、であるはずだが……


369 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/29(日) 22:58:59 M2K4FqTU

召喚者「“それが、……まだ死んでないみたい”」

蘭?「“え?”」

召喚者「“どうやら自宅で瀕死になった時に、こちらの術式が探知したようね。

      今も死の淵を行ったり来たりしていて、探知の魔術も、反応したりしなかったりを繰り返してるの。

      自宅で瀕死になった後、すぐ運ばれて、……病院(ホスピタル)の集中治療室(ICU)に移動してから動いてないのは確認しているわ”」

蘭?「“自宅で瀕死、ですか? いったい何が”」

召喚者「“その女の子、自宅で首を吊ったみたい”」

蘭?「“つまり、……自宅で自殺を図って、今、治療を受けている、と”」

召喚者「“ええ”」

蘭?「“それで瀕死で、集中治療室(ICU)ってことは……、脳が損傷を受けて死にかけているんでしょうか”」

召喚者「“……そうなのかもしれないわね。

      ところで、今夜はどうしましょうか?”」

蘭?「“え?”」

召喚者「“その女の子、生贄にするのに、とても都合が良いでしょう?”」

蘭?「“確かに……、そうですね”」


370 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/29(日) 23:01:46 M2K4FqTU

完全に死んだ後の遺体を盗むより、瀕死になっているのを殺す方が、手間としては楽だ。


召喚者「“死ぬ前に盗みに行くとして、

      ……下準備が居るから、すぐ動き始めても今夜遅くになるし、その時相手の状態がどうなってるかわからないけれど」

蘭?「“仮にやるとしたら、……ベッドの周りに誰かが居る状況で、連れ出すのは危ういでしょうね。

     生きてる人間を力押しで排除しながら盗むのは、魔力的にキツいでしょう?”」

召喚者「“……そうね”」

蘭?「“準備だけはやっておいて、……定期的に監視して、機会があったら動き出しませんか?”」

召喚者「“なるほど。……それが良いわね”」


371 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/29(日) 23:02:38 M2K4FqTU

↓1 首を吊った女の子はどうなった? 『すぐ亡くなった』『意識不明が続いた』『意識を取り戻した』から3択でどうぞ


372 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/30(月) 00:55:02 kl.iWsbM
意識を取り戻した


373 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/30(月) 22:29:14 zyPuq5MU

 午後9時35分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室


誘拐されて以来、元太の1日は、この部屋のベッド周辺で完結している。

トイレの代わりにポータブルの洋式便器があり、風呂に入れない代わりに毎晩濡れタオルで体を拭き、服も毎日その時に着替え、

食べ物や飲み物は、『姉ちゃん』か『あるじ』が部屋の外から十分な量を持って来る。

『姉ちゃん』は、夜はこの部屋のもう一つのベッドで寝るのだが、普段はこの部屋の外に出ており、

1日のうち大体の時間、元太はラジオと共に放っておかれる、のだが……


蘭?「元太くん、ちょっとおしゃべりしながら、夜更かしに付き合ってくれないかな?」


本来寝る時間だというのに、もう一つのベッドに腰掛けた『姉ちゃん』は、そう話しかけてきた。


元太「え? 何で?」

蘭?「今日は、夜遅くまで起きてなきゃいけないことがあってね。

     元太くんが眠いなら無理に合わせてくれなくてもいいけど」

元太「ふぅん、別に構わねぇけど」

蘭?「そう、……ありがとう」


374 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/30(月) 22:29:52 zyPuq5MU

元太「でも、何話せばいいんだ? 俺が何で誘拐されたのかは……」

蘭?「話せないよ、もちろん。話せないことはいっぱいあるけど、

     ……そうだね、歌を歌ってあげようか」

元太「歌ぁ?」

蘭?「うん、遠い場所の歌。……ほんとうの歌詞も教えられないけど。

     『ラララ』でしか歌えなくても、暇つぶしにはなるでしょうね」


『姉ちゃん』は少しだけ苦笑を見せた後、本当に歌い始める。

落ち着いた調子の、聞いたことのない旋律だった。


375 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/30(月) 22:32:09 zyPuq5MU

『サキュバス』の生家は、宿屋を兼ねた酒場だった。母が死ぬなり傾き始めた、宿屋兼酒場だった。

母は『サキュバス』同様美しく、しかし若いころは、今の『サキュバス』とは比べ物にならない優秀な術師だった。


魔力を込めて正しく歌われた歌詞は、客を魔力的に癒す。

母は、酒場に立って、求められて歌を歌っていた。『サキュバス』が12歳の夏に母が死ぬまで、それが酒場の日常だった。

酒場で良く歌われていたのは、誰もが知っている竜と姫の神話で……


――お前達の想像とは違うのだ、姫よ。愛に恵まれた巫女たる姫よ。

    邪神ではなく、従って操られた神官の紋章のせいでもない。

    無論、この夜明けの丘で捧げた、その勇者には意味が無い。

    お前達が餓えたのは、世界の調和が乱れたせいだ。


正しく発音すれば魔力が勝手に入ってしまうが、『ラララ』で旋律を追う分には問題ない。

旋律に合わせ、勝手に歌詞を頭の中で想像しても、……あの酒場での母の記憶を思い出したとしても、

魔力の消費という観点での問題は、一切無い。


召喚者「……盛り上がっているところ、ちょっと良いかしら」


376 : ◆oJG7c/xJmM :2013/12/30(月) 22:33:16 zyPuq5MU

蘭?「ラー…… ッ!」


本当に歌に集中して周りが見えなくなっていたらしい。あるじが部屋に入ってきたことに気付かなかったのだから。


召喚者「ちょっと外で話しましょう、事態が動いたの」


誰のどんな事態なのか、主語は言わなかった。



379 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/01(水) 23:10:52 DAT4IlqI

 午後9時43分 召喚者の屋敷 地下室


召喚者「“例の、自宅で首を吊った女の子なんだけど、……意識を取り戻したみたいなの”」

蘭?「“ええ? 瀕死だったんでしょう? 生命力が強いんですね……”」

召喚者「“そうね……

      一応、探知の術は切って、その代わり、女の子本人に監視の術を付けてるわ。

      ついでに、身元も調べてみたの”」

蘭?「“……どんな子、だったんですか?”」

召喚者「“よくいる女の子よ。ちょっと、この言葉では言いづらいから、……私に近づいて”」


隣室の元太に聞き取られるのを防ぐつもりらしい。

召喚者は、そばに居ないと聞き取れないくらいの声量で、日本語でささやいた。


召喚者「父親は江川 一(えがわ はじめ)、母親は江川 桜子(えがわ さくらこ)、そして女の子本人の名前は、江川 沙希(えがわ さき)。

      杯戸町に住んでいる3人家族らしいの。

      で、沙希ちゃんは地元の杯戸中学校の3年生、みたいね」


380 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/01(水) 23:11:35 DAT4IlqI

蘭?「兄弟はいないんですか?」

召喚者「いないみたい。一人っ子よ。

      ……“それで、こちらの言葉に戻したうえで、更に相談なのだけど”」

蘭?「“……はい”」

召喚者「“この女の子、あつらえたのかと思うくらい、私達の術にピッタリな子でしょう?

      魔力的に相性が良いだけでなく、年齢も貴女に近い”」

蘭?「“……そうですね。相性が良い人がどれくらいいて、いつ死んでいくか、読めませんからね。

     次に探知魔術が引っ掛かるのはいつになるやら……”」


魔力的に相性が良いかどうかというのは、人間の輸血や、骨髄移植と似ている。

要は、魔力に対する耐性の型が、『サキュバス』の型と適合するかどうか、という問題なのだ。

また、同じ型を持つ人間の性別や成育歴や性格に、共通点を見つけて一般化するのは不可能、という点でも血液型と似ている。

坂田と、沼淵と、元太と、蘭が、同じ型だったのは、あくまで偶然に過ぎないのだ。


『サキュバス』と相性の良い人間は、割合的には結構珍しい方らしい、少なくとも多数派ではない、というのは、

『サキュバス』も召喚者も体感として分かっている。


381 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/01(水) 23:12:14 DAT4IlqI

この子を、沙希を逃したら、相性が良くて年齢・性別が同じ人間が手に入る機会を、更に待たねばならない……


召喚者「“貴女が望むならば、協力するわよ。この女の子を生贄にするために”」

蘭?「“有り難うございます。……それにしても、変わりましたね、あるじ。

     『サキュバス』が『蘭』を巻き込むことを、すごく嫌がっていたのに”」


召喚者は、元太が居る部屋へのドアを指す。


召喚者「“私が覚悟を決めたのよ。……あの子の誘拐を決めた時からね”」

蘭?「“……ありがとう、ございます”」

召喚者「“それで、貴女は、この、意識を取り戻した女の子をどうしたい?”」


目だけ見えている真っ黒な仮面の顔を、『彼女』はまっすぐ見つめて、答えた。


蘭?「“……生贄にしましょう、……但し、自殺をやり直したか、失踪した上で私達が連れ去ったと、……偽装する形で”」


382 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/01(水) 23:16:48 DAT4IlqI
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

↓1~しばらく募集 魔術を使い、沙希の自殺or失踪を偽装したうえで誘拐する手法を考えてください。

 『暗示』『視線妨害』『結界』『転移』の魔術が組み合わせて使用可能で、使う魔術が少ないほど成功率が上がります。

 なお、屋敷の外(=病室など)に出られるのは召喚者のみです。


383 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/02(木) 00:40:03 s4IGORjE
視線妨害をつかった召喚者が、沙希に病院からでるように暗示をかける
沙希が病院から出たあと、人目につかない場所で転移の魔術で誘拐する


384 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/02(木) 21:17:27 8Qu9OL9g
・面会禁止時間に転移で病室に移動し、対象者と一緒に病院外に転移する

・関係者全員に暗示を使って、入院中の女の子は自殺したと暗示をかける
本物の女の子は全員から別人として認識される
本物には別の暗示をかけて召喚者のところに移動させる


385 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/02(木) 22:41:13 jC7by.KM

こんばんは、作者です。

話を始める前に上で提案していただいた誘拐手法の成功判定を行います。

使用する魔術が1つ=成功率95% 2つ=成功率70% 3つ=成功率45% 4つ=成功率20%、となります。

>>383の手法では『視線妨害』『暗示』『転移』の3つで45%

>>384の手法では上の手法が『転移』1つで95% 下の手法が『暗示』1つで95%になります。


386 : ◆ZAt1KhYTJ2 :2014/01/02(木) 22:42:08 jC7by.KM

このトリには数字を仕込んでいます。

安価で0~99までの数字を提示してもらいます。

トリの数字と安価の数字を足して下二桁の数字が、判定の成功率以下ならば成功、それより上なら失敗となります。

成功する手法が複数出た場合は作者が書きたい方で書きます。


↓1 >>383の手法の判定です。0~99までの数字をお願いします。トリ内の数字と足した数が45未満で成功です。

↓2 >>384の上の手法の判定です。0~99までの数字をお願いします。トリ内の数字と足した数が95未満で成功です。

↓3 >>384の下の手法の判定です。0~99までの数字をお願いします。トリ内の数字と足した数が95未満で成功です。


387 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/02(木) 22:45:11 1XK1BpGk
21


388 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/03(金) 02:43:14 NV.ujqw.
21


389 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/03(金) 17:31:31 yjutHzO6
46


390 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/03(金) 20:26:21 1GGI.Ja2
レス有り難うございました。

トリは #183951de でした。それでは判定します。


>>383の手法の判定(トリ内の数字と足した数が45未満で成功)→18+21=39 成功

>>384の上の手法の判定(トリ内の数字と足した数が95未満で成功)→39+21=60 成功

>>384の下の手法の判定(トリ内の数字と足した数が95未満で成功)→51+46=97 失敗


……ということで、成功する手法が2つです。この判定をもとに話を続けます。


391 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/03(金) 21:15:34 1GGI.Ja2

 午後9時50分 召喚者の屋敷 地下室


召喚者「“それでは、どういう方法で、この女の子を誘拐すればいいかしら?”」

蘭?「“……あるじは、暗示の術も使えましたよね?

     関係者全員に暗示を使って、『その子は自宅で自殺に成功した』って暗示をかけてから、その子本人を別人だと認識させれば……”」

召喚者「“発想は面白いけど、……それをすると失敗しそうな予感がするわ。

      複数人相手に筋が通った物語を暗示で植え付けるのは、結構難しいもの。どこかで必ず破綻する”」

蘭?「“そうですよね。

     それじゃあ、……本人に暗示をかけて、病院の外に出させてから、人目のつかないところで転移で連れ去るのはどうでしょう?

     暗示をかける時にあるじが視線妨害をかけておけば、あるじが目撃されることもないでしょうし……”」

召喚者「“……そうね。

      白昼堂々失踪したと思われるなら、それが良いでしょうね。

      ただ、……真夜中であれば、転移の魔術だけでいけるかもしれないわ”」

蘭?「“え?”」

召喚者「“病室に転移で侵入して、転移で連れ去るだけの方法で”」


392 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/03(金) 21:16:55 1GGI.Ja2

蘭?「“それ、……どうやって自殺したと偽装するんです?”」

召喚者「“……着ている服を使えばいい”」

蘭?「“どういうことです?”」

396 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/05(日) 19:03:14 XXgtUeXo

 8月24日 午前1時42分 米花総合病院 608号室


音はなく、(魔力の負担は大きいが)光も発することなく、転移の魔術を使った召喚者は、病室に出現した。

すぐに腰を落とし、病室入り口から見て、ベッドを挟んだ向こう側に回り込む。

ここに来た目的からして、看護師に見つかるのは禁忌。万一のことを考えたら、入り口のドアに背を向けて『作業』を行うことはあり得なかった。


召喚者「……」


召喚者が仮面越しに見つめる視線の先、首つり自殺を図った少女、江川 沙希の寝顔がある。


召喚者「(よくもまあ、こちらに都合の良い状況がそろったものね……)」


この少女について、ずっと魔術で監視していたから、どういう経緯を辿っているのかは把握している。

日付が変わったからきのうになるが、……きのう23日にICUからこの個室に移り、1日色々な検査を行い、身体には異常ないとの診断を受けた。

とはいえ、身体に問題が無くとも、精神は別物というもので、精神科への通院は決まった。

だが、退院の相談をする中で、親が『もう一晩居させてくれ』と懇願したので、まだここに入院中、という状態。


身体が拘束されているわけではなく、着ている服も普通のパジャマ。――召喚者にとって本当に都合の良い状況だと言って間違いなかった。


397 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/05(日) 19:03:54 XXgtUeXo
遅くなりました。続きは21時までに投稿します。


398 : 薄めのグロ描写有り注意 ◆oJG7c/xJmM :2014/01/05(日) 21:04:50 XXgtUeXo

まず、元太を誘拐するのに使ったのと同じ、昏睡の魔術を込めたネックレスを沙希の首にかけた。(※作者註 >>281参照)

……これから行う『作業』の途中で、この子が目覚めたら困る。


魔術が掛かったのを確認した上で、布団をめくり上げ、パジャマのズボンを脱がす。

脱がしたズボンを伸ばし、片足を頭部側のベッドの柵に結び付け、もう片方の足を『工夫して結ぶ』。


――人は、工夫すれば、寝たままでも首回りに衣類を結びつけて窒息死できる。


数分後。

沙希が失禁し始めるのを見てから、召喚者は、転移の魔術を発動する。

ベッドの上には、転移に巻き込まれて大部分がちぎれたズボンと、糞尿まみれの寝具類が残された。


399 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/05(日) 21:06:32 XXgtUeXo
また遅くなり大変申し訳ありません。

↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病室』『警視庁』『召喚者の屋敷』『その他(要記載)』のどれかから選んで下さい。


400 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/05(日) 22:16:39 3ufbUZDE
病室


401 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/06(月) 21:35:44 ACCDvRpo

 午前3時34分 米花総合病院 廊下


看護師K「……今の何!?」


病室の見回りのため廊下を歩いていた看護師は、視界の端に一瞬の光を見、同時にガラスが割れるような鋭い音を聞いた。

光源は看護師の先にある部屋、608号室。音源も同じ方向からだ。

今は夜中、ここは、眠る患者と、看護師と医者しかいないような病棟だ。一体何があったというのか。


彼女は小走りに608号室に向かい、扉を開き、部屋の電気をつけ、……部屋の全貌を見て息を飲んだ。


看護師K「なにこれ……」


ベッドの周辺、広範囲が砂まみれだった。ベッドの柵には見慣れない布が巻きつけてあった。

シーツと布団には漏らした跡があった。シーツの上には見慣れない紙があった。

何より重大な問題として。

入院しているはずの患者が、どこにも居なかった。


402 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/06(月) 21:55:54 Rlq1szXQ

 午前3時35分 米花総合病院 608号室


彼女はベッドに駆け寄り、シーツの上の紙を取る。

女性らしい字の、文章が記されていた。


『この遺体は私達が行いたい事のために頂きました。詳しい事情は警察に聞いてください。

                 サキュバスと召喚者より』


看護師K「え……? 遺体!?」


訳が分からないが、一大事なのは分かる。警察を呼ぶべきだということも、分かる。

彼女は、ナースステーションに向けて走り出した。


403 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/06(月) 21:58:12 Rlq1szXQ
今日はここまでです。

↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病院』『警視庁』『召喚者の居るところ』『その他(要記載)』のどれかから選んで下さい。


404 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/06(月) 21:59:03 m7XmZGQw
アガサ宅


405 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/07(火) 21:41:16 yl7n.7Oc

 午後2時45分 阿笠博士の家


哀「工藤君、……何かあったの?」

コナン「おっちゃんのところに、事件についての情報が来た。

      予想通り、『本人』が動いたらしい。

      どこの病院なのかは知らねえけど、都内の病院から10代の女の子が消えたそうだ」

哀「そう。……警察は、毛利探偵には情報を教えてくれたのね」

コナン「ああ」

阿笠「病院から盗まれたのが、どんな女の子の遺体なのか、警察は教えてくれたのか?」

コナン「あ、……そうか、『本人』のこれまでの宣言から考えたら、遺体が盗まれたと思うよなぁ」

哀「え? 生きてる子が連れた去られたの?」

コナン「病院の個室で入院していた子、だったそうだ。

      今日の午前3時半くらいに、病室から居なくなってることに、見回りの看護師が気付いたらしい。

      詳しくは教えてもらってねえけど、ベッドの上で誰にも気づかれずに亡くなった女の子を、『本人』達が連れ去ったんじゃないのかと、

      ……推測できなくもない痕跡があった、そうだ」


406 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/07(火) 21:41:57 yl7n.7Oc

阿笠「……どんな痕跡なんじゃ、それは?」

コナン「さぁ……?」

哀「ベッドの上に、その子の血液や吐瀉物が残されていたのかもしれないわね。

   それにしても、……誰にも気づかれずに死ぬなんて、どんな病院で入院していた子なのか、少し気になるわ」


407 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/07(火) 21:42:39 yl7n.7Oc
↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病院』『警視庁』『召喚者の居るところ』のどれかから選んで下さい。


408 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/07(火) 22:13:10 SVPu.R2E
召喚者の居るところ


409 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/08(水) 22:15:16 3zvFbY5E

 午後3時12分 都内 あるウィークリーマンションの一室


馴れた転移の魔術で、召喚者は部屋の中へ出現する。

魔術陣の目の前、ずっと昔から自分に使えている執事が、頭を下げて出迎えてくれた。


召喚者「お疲れ様、……頼んだことは、ちゃんとやってくれたのね」

執事「ええ。これくらいの事、手抜きなどしませんとも。

     ……たかだか符を部屋に貼る程度の事で」

召喚者「……それも、そうね」


偽造した身分証明書で借りた、この部屋。

執事は命じられた仕事を忠実に行っていて、全ての窓と壁に、視線妨害と防臭の魔術符が貼り付けまくられていた。


さて、召喚者は床の上に視線を落とす。

かなり大きいレジャー用のゴムプールが置いてあり、その中には時折白い光を発する、灰色に濁った水が湛えてあって、

更にその水の中には、布を身体に巻いた少女の遺体が沈んでいて……


410 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/08(水) 22:16:18 3zvFbY5E

執事「なにごとか、お考えなのですか?」

召喚者「……床、と、天井にも符を貼るべきかもしれないわね。

      視線妨害はいらないでしょうけど、防臭の符は貼っておいた方が良いでしょう」

執事「ああ! 確かに」

召喚者「これから更に符を作ることになるけど……、気付いたからには貼るべきでしょうね」

執事「……あの」

召喚者「何?」

執事「無理なさぬなとは申せません。

     これからどれほど苦しかろうとも、貴女様は突き進むほかないのでしょう、あの『サキュバス』の令嬢のために。

     ……これからも、苦しいのならば、遠慮なく御頼り下さい。そのために僕(しもべ)は居るのです。

     わたしくめは、……どこまでも貴女の僕(しもべ)で居たいのですよ、紅子さま」

召喚者「……ありがとう。私、貴方みたいな執事が居て本当に幸せよ」


411 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/08(水) 22:17:31 3zvFbY5E
↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病院』『警視庁』『召喚者の屋敷』のどれかから選んで下さい。


412 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/08(水) 22:33:51 5tAMIdKA
召喚者の屋敷


413 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/08(水) 22:34:45 bycN9FOc
警視庁!


414 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/09(木) 21:45:22 ya8juWGY

 午後3時15分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室


元太「ふぁぁ…… 眠ぃ……」

蘭?「流石に、いつも夜9時には寝る子が、突然夜中の12時過ぎまで起きてたら、

     ……次の日は眠くなるんだねぇ。起きた時間はいつもと変わらないんだもの」

元太「おう…… 今すぐ寝たくなるくらい眠ぃ」

蘭?「いくら眠くても、今はもうお昼寝は止めてたほうが良いと思うよ。

     もう3時過ぎてるから。今寝たら、本当に、夜まで寝ちゃいそうで、……それで、肝心の夜に眠れなくなるの」

元太「それは、……怖いな。

     『姉ちゃん』は、俺よりも遅くまで起きてたんだよなぁ? いつまで起きてたんだ?」

蘭?「夜中の3時過ぎくらいまで起きてたよ。君が寝た後に、やらなきゃいけないことが色々あったからね」

元太「『姉ちゃん』は眠くならないのかぁ?」

蘭?「実はちょっときついかな。平気な風に見えるかもしれないけど。

     それにしても、君は本当に辛そうだね。……夜中の3時まで付きあわせなくて良かった」

元太「そんなの、できるわけねーよ。12時まで起きただけで、本当に寝そうだったんだぞ」


415 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/09(木) 21:48:24 ya8juWGY

蘭?「ハハハ……

     君、寝ぼけて、電気ウナギの水槽に落ちた思い出話を、……何っ回も繰り返してたものね。最後らへん」


保育園時代のエピソードだという、いかにも元太らしいその話を、昨晩、彼女は本当に耳にタコができるほど聞いていた。


416 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/09(木) 21:51:27 ya8juWGY
↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病院』『警視庁』『その他(要記載)』のどれかから選んで下さい。
   8月24日のエピソードはこれが最後になります。これまで選ばれた『阿笠宅』『召喚者の居る所』『召喚者の屋敷』は除外します。


417 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/10(金) 03:07:49 6W1Aomvs
警視庁で


420 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/11(土) 23:28:40 MB72jSQc

 午後3時20分 警視庁 拘置所被告殺人事件 特別捜査本部


刑事L「ご協力ありがとうございました。わざわざ大変な時にすいません……」

江川 一(以下、一)「……娘が戻ってくるためですから。

              事情を聞かれて捜査の手掛かりになるのなら、……手掛かりになるかもしれないのなら、ご協力しますよ」

刑事L「ありがとうございます。捜査には、全力を尽くしますので……」

桜子「あの、刑事さん。娘は、沙希は、本当に戻ってくるんでしょうか?

     娘がどこに居るのかも、誘拐された別の子がどこに居るのかも、……今は捜査中なんですよね?」

一「おい、桜子」

刑事L「警察も、できる限りのことはします。

      ただ、人命を第一に動きますから、……子どもが誘拐されている件に関しては、くれぐれも口外はしないで頂けると……」

桜子「分かっています! 私達がしゃべったせいで、その子が危なくなるのはイヤですから」

刑事L「……お辛いところ、本当にすいません」

桜子「警察も、生きてるかもしれない別の子の方が大事なんでしょうからね。誰かの遺体が盗まれるよりは」

一「……おい! 沙希は死んでるって決まった訳じゃないんだぞ!」


421 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/11(土) 23:29:24 MB72jSQc

桜子「本当に、死んでないと良いんでしょうね。

     ……『サキュバス』達が捜しているのは、生贄に都合のいい素材なんでしょう?」

一「おい!」

刑事L「まあ、まあ落ち着きましょうか……!

      (娘が死体になって戻ってくる、……想像はしてるんだろうな。今は、心が受け入れられないだけで……)」


422 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/11(土) 23:33:00 MB72jSQc
今日の投稿は以上です。解説はさんで更に作中日付を先に進めます。

↓1 日付が先に進んだ最初のシーンで誰を出しますか? これまで登場した人を選んで下さい。
    作中で出てない人・死んだ人は出せませんのでご了承ください。


423 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/12(日) 00:12:03 Qnyjvy1k
元太


424 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/13(月) 00:21:34 jwY.dUGA

 午後6時 警視庁 小田切刑事部長の部屋


小田切「『サキュバス』の事件は、難しそうか。

      米花総合病院で入院患者の少女が消えた件からは、……手掛かりは見つけられたのか?」

警部N「今のところ、残念ながら、……見つかっておりません」

小田切「誘拐として捜査しているのだったな? 殺人や窃盗ではなく」

警部N「はい。その子の死を、誰も確認していませんから」

小田切「……それが無難、か」


仮にあてはめた罪名が何であれ、現実として、その少女が死んでいる可能性は高いと思われた。

元々、自宅で首つり自殺を図って、入院中だった少女なのだ。

病院のベッドの上で、ズボンを首に巻いて本当に自殺し、その遺体が窃盗の被害に遭った、――としても説明は付くし、

仮に『サキュバス』達にズボンで首を絞められ、連れ出されていた、――としても、結局は坂田や沼淵のような使い方が目的だとしか思えない。


小田切「これからも、当たり前の話だが、誘拐された小嶋元太君の生命を優先して捜査するほかないだろう。

      かなり捜査に制約が掛かるだろうが」


425 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/13(月) 00:22:56 jwY.dUGA

警部N「はい」

小田切「上も、そうすることは了承している。士気の維持は難しいだろうが、……努力するほかないだろうな」

警部N「はい……。

     話は変わりますが、刑事部長。今日になって急に捜査本部に似たような協力申込みが複数入りまして」

小田切「申込み?」

警部N「……自称魔力持ちだの、デビルサマナーだの、ゴーストスイーパーだの。

     要は、『自分はサキュバスに対抗できるチカラがあるから警察に協力させてくれ』っていう話です」

小田切「ああ、そういう話か。……こちらの対応は?」

警部N「言っちゃあなんですが、……ただの妄想なのか本当なのか、こちらでは判断が付きかねるので、

     住所と名前と連絡先を聞き出した後で、『必要ならば警察から連絡します』で済ませてます」

小田切「それが良いだろう。

      仮に、……百歩譲って、仮に申込みが本当だとしても、その協力者の実力が『サキュバス』を超えるのかどうかも不明瞭だ」


426 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/13(月) 00:23:28 jwY.dUGA


坂田が拘置所から誘拐され殺された時点で、警察の面子というより、司法そのものの面子が散々傷つけられていた。

『サキュバス』がやらかしたことは、間違いなく逮捕されるべき重大な犯罪だが、

警察は(少なくともこの件に関わっている人間は)上層部から末端まで、『サキュバス』のチカラを止められないことを悟っている。


ならば、逮捕できないなら、『サキュバス』を止められないのなら。

せめて、これ以上警察の面子を余計に損なわないように、ただ『人命を第一に動いた』と言えるだけの捜査であれ、と。

コナンが推測した通り、警察はそんな保身含みで動いていた。


――そして、それから更に3日が過ぎる。


427 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/13(月) 00:24:33 jwY.dUGA

以上、解説でした。次回、元太のシーンです。


428 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/13(月) 21:00:03 jwY.dUGA

 8月27日 午前7時30分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室


ジリリリリリリ……


蘭?「おはよー、げーんたくん。……ふぁぁ」

元太「……おはよう、『姉ちゃん』」


毎朝、いつも同じ時間に目覚まし時計が鳴り、『姉ちゃん』が起き、元太は先に起きた『姉ちゃん』に揺り起こされる。

起きて少ししたら、仮面を着けたあるじが部屋に来て、朝ご飯を持って来て……

誘拐以来、朝はそんなパターンが確立していたのだったが、今日この日は少し違った。


蘭?「起きぬけ早々に申し訳ないけど、悲しいお知らせでーす。

     今日は朝ご飯が遅れます」

元太「……えっ!?(ガバッ」

蘭?「ハハハ……、やっぱり、予想通り君は飛び起きるねぇ。

     ちょっと色々あって徹夜してね、君以外はみんな疲れててね。申し訳ないけど今から眠ることにしたんだ。

     9時になったら、君が起こしてくれないかな? ラジオはつけていいから」


429 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/13(月) 21:01:03 jwY.dUGA

元太「お、おう。……9時に起こすんだな?」

蘭?「そう。9時過ぎてしばらくしたら朝ご飯が出るはずだから。絶対起こしてね。

     それじゃー、おやすみなさーい」

元太「おやすみなさい、……『姉ちゃん』」


元太の目の前、『姉ちゃん』は本当に眠そうな様子で、もう一つのベッドに潜り込んだ。


430 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/13(月) 21:02:46 jwY.dUGA
↓次のシーンは誰を出しますか? これまで登場した人を選んで下さい。
 作中で出てない人・死んだ人は出せませんのでご了承ください。 また『元太』は除外します。


431 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/13(月) 21:56:00 aSw.e0zA
佐藤刑事


432 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/14(火) 21:41:57 N/G2eYZk

 午前7時32分 都内 某マンション 佐藤刑事の実家


佐藤(母)「美和子ー」

佐藤「どうしたの?」


自分の家で朝食を食べていた佐藤刑事は、新聞を取りに行った母の声を聞き、朝食を食べる手を止めた。


佐藤(母)「……うちの郵便受けに、あなた宛ての変なお手紙が入ってたんだけど」

佐藤「手紙?」

佐藤(母)「ええ、新聞に挟まってたわ。

        宛先があなたの名前で、……『中の紙は素手で触らないでください』って注意書きがあって、

        差出人が、『毛利 蘭』って名前で、それから後ろに……」

佐藤「!! ちょっと、その手紙見せて!!」

佐藤(母)「え?」

佐藤「差出人の名前! 事件に関係する人なのかもしれないの!!」

佐藤(母)「……えっと、素手で触っていいの? 私は、もう触ったから仕方ないけど……」


433 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/14(火) 21:44:14 N/G2eYZk

佐藤「そうね。手袋は……」

佐藤(母)「台所に、使い捨てのゴム手袋があるから。そこの炊飯器の下の引き出し」

佐藤「……ありがとう」


言われた通りに手袋をはめ、改めて母から手紙を受け取る。

白い封筒だった。

宛先が『佐藤 美和子様』。

その横に小さな朱書きで『中の紙は素手で触らないでください』とあり、更に左、差出人の名として『毛利 蘭』の名前がある。


そして封筒の裏面には、注意書きらしい文面があった。

『先日のハニーロードの件で、デリケートなお話があります。

 あなたの身体に関して、わたしが視たことについてです』


佐藤「(これは確かに『変な手紙』だわ。母さんは事情を知らないから、そう感じるでしょうね。

     ……この手紙、開ける前に本庁に連絡したほうが良いかしら……?)」


434 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/14(火) 21:57:36 xdIFKeU6
↓1 佐藤刑事はどうしたでしょうか?

『手紙を開けずに捜査本部に連絡』『手紙を開けずに高木に連絡』『手紙を開けずに目暮に連絡』『誰にも連絡せずに手紙を開けた』
上記四つから選択をお願いします


435 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 21:58:21 UfHvESrc
高木に連絡


436 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/15(水) 12:28:42 679cv9GA
↓1 もうひとつ安価です。手紙の内容は?
 『恥ずかしい内容』『おめでたい内容』の二択から選択をお願いします


437 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 15:34:16 Ib5a200M
恥ずかしい内容。


438 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/15(水) 22:16:14 UVAJK/pA

 午前7時36分 美和子の私室


佐藤「(本庁に電話するよりも、その前に、高木君に電話しましょう。

     『ハニーロード』での記憶を覗かれたのは、私だけじゃないし……)」


RRRR RRRR……


高木「……もしもし、高木です」

佐藤「(この声、……寝起きね)

     佐藤です。朝早くにごめんなさい。今、ちょっとお話し出来る?」

高木「はい……」

佐藤「さっき母が気付いたんだけど、……私の家の郵便受けに、差出人が『蘭ちゃん』の名前の、手紙が入っていたの」

高木「……え!? 『蘭ちゃん』って、毛利探偵のところの!? 今、行方不明の『蘭ちゃん』ですか?」

佐藤「ええ。その『蘭ちゃん』よ

     真っ白い封筒で、宛先が私の名前で、裏表両方に注意書きがあってね。

     表は『中の紙は素手で触らないでください』、それで裏が……」


439 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/15(水) 22:16:47 UVAJK/pA

高木「裏、は?」

佐藤「……『先日のハニーロードの件で、デリケートなお話があります。

     あなたの身体に関して、わたしが視たことについてです』」

高木「それは、……中身はどんな内容なんですか?」

佐藤「分からない。まだ、開けてないの。

     ……ねえ、高木くん。今から開けるから、読み上げるから、一緒に聞いてくれる?」

高木「……良いんですか? 僕が一緒に聞いて」

佐藤「お願い。一緒に聞いて」

高木「分かりました」


彼女は、手紙の封を切った。


440 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/15(水) 22:46:12 XjJrZQao
佐藤美和子様


私が病院から居なくなった後の、インターネットの召喚者からの書き込みを読まれた前提で、この手紙を書いています。


あの魔術で視えるのは、 行為の日時や場所や、記憶だけではありません。

その 行為で妊娠できたかどうか、病気に感染してないかも、判別はできます。


ただ、妊娠の有無はともかく、病気の感染については、それこそ 行為の直後でない限り確証は持てません。

 行為の記憶よりももっと早いスピードで、情報が劣化し、魔術で見ても分かりづらくなっていくからです。


だから、確証は持てなかったので、病院では誰にも言わなかったし、ネットでも書きませんでしたが、

私には、高木さんと佐藤さんが、ハニーロードで、肝炎をうつし合ったように見えました。



444 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/16(木) 21:29:35 aocicQ32

私が見た構図は、高木さんと佐藤さんの両方が、元々肝炎ウィルスに感染していて、

ハニーロードで、互いに互いのウィルスをうつし合っている、という状態です。

どちらかが一方的に感染させるならまだしも、これはちょっと不思議な構図だったので、余計に私は確信が持てません。


ハニーロードでの、お二人の行為が7月28日。

私が、あの病院で、佐藤さんと高木さんの記憶を見たのが、8月の14日です。


病気の感染についての情報は、14日時点でかなり分かりづらくなっており、

例えるなら、半分以上文字がかすれたり消えたりした文章を、どうにか読み取るような状態でした。

ですから、この病気の感染の構図が、正しいとは限らないことは、重ねて申し上げたいと思います。


ところで、この便箋に使った紙は、素手で触ると灰になって崩れていくようになっています。

この紙を誰にも見せずに灰にして消していくか、それとも警視庁の人にお見せするかは佐藤さんにお任せします。


ただ、警視庁の人に見せた場合、高木さんか佐藤さんに、余計な仕事が割り振られるかもしれません。


445 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/16(木) 21:35:06 aocicQ32

今日の夜中、私達は、一気に3人ほど遺体を盗みました。

盗んだ現場のうちひとつに手紙を残したのですが、その手紙と、この手紙の情報を付き合わせたら、

高木さんか佐藤さんに、捜査本部から仕事が降ってくるようになっています。


私は、自分が見た情報が正しいのかどうか、気になっているのです。


        敬意をこめて


446 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/16(木) 21:38:18 aocicQ32

 午前7時45分 美和子の私室


佐藤「――手紙は、以上よ」

高木「……デリケートな内容ですね、確かに……」

佐藤「…………

     この手紙の事、本庁に報告すべきだと思う?」

高木「え? えーっと、……佐藤さんはどうされたいんですか?」

佐藤「私、は……」


447 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/16(木) 21:39:24 aocicQ32
今日の投稿はここまで。続きは明日です。

↓1~2を混ぜます 佐藤はどう答えたでしょうか?


448 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/16(木) 21:52:29 YyICfl2s
報告すべきでない


449 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/16(木) 22:08:01 n4dXWk.M
報告すべき


450 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/16(木) 22:48:59 Az45x4kI
↓明日午後8時まで募集・多数決 佐藤はどう答えたでしょうか?
 『報告すべき』『報告すべきでない』、どちらにしても理由を付記してください


451 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/17(金) 12:37:02 IiG62QOw
報告すべき

今上司に隠しても、後でバレたら余計に上司の心証が悪化する


452 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/17(金) 19:54:23 Wt11FBuI
報告すべき
秘密にしたら、サキュバスから「バラされたくないなら○○を…」と脅されるかも



456 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/18(土) 14:34:13 NVrhNGeU

佐藤「すごく、……すごく迷うけど、……報告したくない気持ちは強いけど、……報告したほうが良いと思うの」

高木「……そう、ですか」

佐藤「今隠しても、後でサキュバスが警視庁の人にバラすかもしれないし、それに……」

高木「……それに?」

佐藤「こんなこと秘密にしたら、サキュバスが私達を脅しに来るかもしれない」

高木「脅し、ですか?」

佐藤「……『バラされたくなければ○○よこせ』とか、そんな、弱味につけこまれるような余地、無くはないでしょ?」

高木「あ!!」

佐藤「もし、もしそんな風になってから、この手紙のことが職場の皆にバレたら、……私達、どう思われるかしら?」

高木「あまり想像したくないですね、……それ」

佐藤「だから、だから、報告はしたほうが良いと思うの」

高木「分かりました。目暮警部に報告されますか?」

佐藤「ええ。今からそうするわ」


458 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/18(土) 23:48:21 d0RdEeV6

 午前8時30分 警視庁 小田切刑事部長の部屋


小田切「今度は遺体が一気に三体盗まれた、だと?」

警部N「はい。

     きのうの夜から朝にかけて、相次いで『サキュバス』に盗まれたようです。

     三体目が盗まれた現場には、『サキュバス』からの手紙が残されていました」

小田切「(手紙……?)

      まず、誰の遺体が、どこから盗まれたのかを説明してくれ」

警部N「最初に通報があったのは、杯戸中央病院からです。病室に安置していた遺体が盗まれたそうです。

     盗まれたのは、大山 助太郎(おおやま すけたろう)さん、享年48歳の男性の遺体です」

小田切「他は?」

警部N「2件目は、東都警察病院からでした。遺体安置室の遺体が盗まれました。

     野田 富士(のだ ふじ)さん、享年91歳の女性の遺体だったそうです。

     ……3件目は、監察医務院からでした。解剖直前の遺体が消えたそうです。

     葛野 一二三(くずの ひふみ)さん、享年32歳の男性でした」


459 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/18(土) 23:49:44 d0RdEeV6

小田切「今言ったのは、こちらが通報を受けた順番か?」

警部N「はい。……亡くなった順も、盗まれた順も、同じだと思われます」

小田切「ほぉ……?」

警部N「1件目の大山さんは、入院中の方でした。

     昨夜に体調が急変して、21時18分に医師が死亡を確認しています。

     病院側は家族を呼んだものの看取りが間に合わず、……21時25分に家族が病室に入ったら、遺体が消えていたそうです」

小田切「ということは、死亡確認後、看護師や医師が病室から目を離していたのか?」

警部N「はい。目を離した一瞬の隙をついて盗まれたと思われます。残りの2件も似たような状況でした。

     2件目の野田さんは、今日の1時13分に死亡確認、遺体安置室に運ばれたのが1時50分頃、盗まれたと発覚したのが2時5分頃。

     3件目の葛野さんは、今日の4時頃に監察医務院に搬送され、監察医が遺体を最後に見たのが4時40分頃、

     盗まれたと発覚したのが4時50分頃です」

小田切「おおよそ、10分程度の隙を突かれたか」

警部N「はい」

小田切「現場に残された痕跡は?」


460 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/18(土) 23:50:46 d0RdEeV6

警部N「いずれの現場も、これまでと似たような感じです。

     現場は砂だらけで、周囲の人間はガラスが割れたような音や光を目撃しています」

小田切「そして、……三件目の葛野さんの遺体が盗まれた現場に、手紙が残されていた、のか。

      手紙の内容は?」

警部N「……こちらが、手紙の写真になります」

小田切「ふむ」


461 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/18(土) 23:51:25 d0RdEeV6


警察の方へ


今日、相性が良い遺体を三体盗ませていただきました。

これだけあれば、こちらが行いたい術の完成の目途が立ち、元太君を生きて返す見込みが立ったと言えるでしょう。


これから何もかも順調に進めば9月の下旬頃、何かトラブルがあった場合でも2学期中には、元太君を返せそうです。

今後遺体を追加で盗むことはあるかもしれませんが、日程自体はさほど変わらないと思われます。


元太君の生命は、警察の皆さんが、こちらの魔術を妨害しない事を保証する、私達が握るカードだと認識しています。

だから、魔術の目途が立っただけでは、元太君は返せません。

返すとするならば、魔術が完成した後でなければ無理です。


こちらからお願いです。

8月31日に、これから必要になる分の元太くんの勉強道具一式を、こちらに引き渡して頂けないでしょうか?

小学1年生の分の勉強であれば、まあこちらでも教えられないことはないと思います。

こちらが希望する受け渡しの方法は、以下の通りです。


462 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/18(土) 23:54:40 d0RdEeV6
今日の投稿は以上です。次回は手紙の続きからです。

↓1 社会的信用度の高そうな職業をひとつ挙げてください


463 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/19(日) 00:12:37 SZvTQQlY
大学教授


464 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/19(日) 00:46:55 81UEGWf.
弁護士


465 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/19(日) 21:00:58 SVWS5Sus

・勉強道具一式をビニール袋に入れた上で、そのビニール袋をリュックサックの中に入れること

・受け渡し日時は、8月31日の正午以降、日没までの間。場所は、蘭が14日まで入院していた病室のトイレの中

・警察の職員の誰かが、ひとりでリュックサックを抱えて、トイレの中でドアに背を向けて立っておくこと

・なお、トイレの中に立つ方は、他人に取られたら困る物は身に着けないことを強くお勧めします


こちらとしては、当日リュックを受け渡す警察の方について、○○さんか○○さんにしてほしい、という希望があります。

今、この手紙とは別に、その方宛てに別の手紙を書いています。

その手紙と、この手紙の情報を付き合わせたら、誰と誰がこちらの希望なのか分かると思います。


別の手紙の事を、捜査本部が把握されるかは分かりません。

内容があまりにもデリケートなので、受け取った本人が、捜査本部に見せずに、手紙を処分する可能性は十分にあると考えています。

だから、別の手紙を捜査本部が把握しきれていないのなら、その時は、31日にトイレに立つ方はどなたでも構いません。


ただ、手紙の内容を把握しているのに、こちらの希望に沿わない人を立たせる、というのは止めて頂きたいと思います。

別の手紙を把握した後、トイレに誰も立たない、リュックも渡さないというならまだ受け入れられますが、人を変えるのはNGです。


        敬意をこめて


466 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/19(日) 21:01:28 SVWS5Sus

追伸

 この紙は素手で触ると灰になって消えてしまいます。コピー機に掛けた場合も同様です。お気を付け下さい。

 やったことはないですが、おそらく、文面を写真にとるのは大丈夫だと思います。


467 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/19(日) 21:02:28 SVWS5Sus

小田切「(……なるほど、この追伸の内容で、わざわざ手紙をコピーする奴は居ないだろうな)

      別の手紙が誰に届いたのかは、捜査本部は把握しているのか?」

警部N「はい。朝になって、一課の三係から連絡がありました。三係の刑事に手紙が届いたようです。

     ……届いた手紙がこちらになります(※作者註 手紙の内容は>>440,>>444->>445)」

小田切「(…………何という内容だ)

      確かに、……これは、……デリケートだな」

警部N「……はい」

小田切「『サキュバス』が受け渡しを希望する相手は、高木と、……佐藤か。

      どうするのかは、……31日までに決めるのだな?」

警部N「はい、……そうなります」

小田切「(刑事が肝炎をうつし合ったのを見られたかもしれない、か……)

      とんでもない能力だな、『サキュバス』は」


468 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/19(日) 21:11:37 SVWS5Sus

警部N「それから、きのうまでの捜査についてです。

     こちらに来た協力申込みの件なんですが……」

小田切「ああ、自称魔力持ちだか何だか、という件か(※作者註 >>425参照)」

警部N「はい。一応念には念をということで、申し込んだ人間の身元を全て洗っています。

     案の定、……いろんな人間が居たんですが、その中に、元法学部の教授で現在弁護士という人も居まして」

小田切「そうなのか?」

警部N「妄想関係の病気を発症している可能性もありますし、刑事部長がおっしゃったように見極めは困難ですが、

      ……もしかしたら、もしかしたらですが、本当に、……役立つかもしれませんね」


469 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/19(日) 21:14:43 SVWS5Sus
今日の投稿は以上です

↓1 次のシーンは誰を出しますか? これまで登場した人を選んで下さい。
 作中で出てない人・死んだ人は出せませんのでご了承ください。 また『元太』『佐藤刑事』『高木刑事』『小田切刑事部長』は除外します。


470 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/19(日) 22:24:02 ixkdT1Vo
召喚者


471 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/19(日) 22:32:38 81UEGWf.


472 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/20(月) 18:37:05 LxgS6MQI
今日は、投稿は難しいかもしれません。

あと、場合によっては範囲外の安価も拾うことがありますが、難しい時はそうしない場合もあるということで、御理解願います。

↓1 もうひとつ安価です。次のシーンの場面はどこ?
 『召喚者の屋敷』『ウィークリーマンション』のどちらかから選んで下さい


473 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/20(月) 18:39:59 y5fnIIQI
ウィークリーマンション


474 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/20(月) 22:53:10 739OElA.
今日の投稿はお休みします


475 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/21(火) 21:47:14 GUtwz8uQ

 午前8時45分 あるウィークリーマンションの一室


召喚者「――“彼女を喚んだ者として、かの地を統べる竜神に、私は願います

            彼女の身体が、誰かに殺されませんように

            彼女の身体が、意に反して閉じ込められませんように”」


壁や窓が魔術符だらけのこの部屋、今日になってその片隅に横たえられた遺体が3つある。

その遺体から抜き出された、生贄用の内臓も、ゴムプールの周囲に展開された魔術陣の上に置いてあり、魔力的な加工を受けていた。


召喚者「――“彼女に向けられる言葉が、謝罪の求めでありませんように

            ……何より、彼女に対して、『誓うこと』が強制されませんように”」


昨夜から今日にかけて、相性の良い遺体が次々に見つかった。

『サキュバス』と召喚者と執事は、夜通しかけて遺体を盗み、内臓を取り出し、(並行して刑事の自宅に手紙を送りつけたりしつつ)

内臓を加工する作業を行っていたことになる。

今は作業の終盤、必要なのは呪文を唱え、魔力を振るうだけの作業。

召喚者にしかできないことであるから、召喚者は、『サキュバス』と執事を、自分の屋敷に帰らせ、先に休ませた。


476 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/21(火) 21:48:27 GUtwz8uQ

何度も何度も同じ呪文を繰り返すことで、望ましい形で生贄の内臓から生命力を取り出していく。

取り出した生命力が向かう先は、魔術陣の中央のゴムプールに眠る、これまた生贄の少女の身体だ。


召喚者「――“ひとつ目の願いは、私が何より、彼女が天寿を全うする形で生きることを願うからです

            ふたつ目の願いは、私が、彼女の身体の自由を願うからです”」


呪文は、できる限り正確に唱えることが望ましい。

言い間違えたら即失敗という訳ではないが、今後の作業の成功度には差し支える。


召喚者「――“みっつ目の願いは、謝罪を求められることが、彼女の身体を壊すと知っているからです

            最後の願いは、彼女の『誓い』は、竜神か契約者にのみ捧げられるものだと知っているからです

            竜神よ、どうか我が願いと魔力を受け入れたまえ”――」


作業は残りわずか。

向こうの世界のやり方での呪文の反復詠唱は、朝9時までには終わると思われた。



478 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/21(火) 21:52:14 GUtwz8uQ

↓1 作中の8月27日のイベントは終わりました。日を進めますか? それとも他のキャラの描写を挟みますか?
   『日を進める』『キャラ描写を入れる』の2択で選んで下さい。後者の場合はキャラを指定してください。 (キャラの制限はありません)


479 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/21(火) 22:00:49 16zirbNI
キャラ描写,コナン


480 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/21(火) 22:01:58 Yy9TCscU
日を進める


482 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/22(水) 21:39:16 AFf3R6qU

 午後5時 毛利探偵事務所


服部「一気に動いたのぉ、『サキュバス』は。

     一晩にいろんなトコから3人も遺体を盗み出しおって」

コナン「ああ。警察から連絡があった時は驚いた。

      慎重に、ひとりずつ盗んでいくと、……勝手に思い込んでいたからな」

服部「せやな。滅多に相性の良い遺体が見つからんもんやと、思い込んどった」

コナン「ああ」

服部「……なぁ工藤」

コナン「ん?」

服部「『犯人』が言うような、相性が良い遺体がそんなにポンポン見つかるんなら、

     初っ端の、坂田はんや沼淵が殺された事件も、……結局、生きてる人間拘置所から連れ出して殺すより、

     今やってるように、相性の良い遺体を盗み出す方法でも、『犯人』が使いたい魔術、使えたんやないやろか?」

コナン「……そのころの『サキュバス』は、時間が無くて焦っていたんだろう?

      魔術の知識が俺達にある訳じゃないけど、……『直に生贄を殺すこと』が、本当に、手間を大幅に省ける方法だったのかもしれないな」


483 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/22(水) 21:41:46 AFf3R6qU

服部「かも、しれへんな。

     そういや話戻るけど、今日の遺体の窃盗、最後の3体目が盗まれた現場に『犯人』が手紙置いてた、って話、聞いたか?」

コナン「あ、それは聞いた。……手紙の内容までは教えてもらえなかったけど。

      お前は、内容知ってるのか?」

服部「いや、俺も、……内容までは聞き出せへんかった」

コナン「……そうか」

服部「何ぞ、手紙に面倒なこと書いとるのかもしれへんな。

     ……ところで、お前んとこのおっちゃん夫婦、今はどんな感じなんや?」

コナン「あー、……相変わらずだよ、あの夫婦。

      妃弁護士がここに来ることは増えたけど、おっちゃんも、妃弁護士も、……仲がかなりギスギスしたままだ」


484 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/22(水) 21:47:12 AFf3R6qU
今日の投稿はここまで。次回は作中時間が8月31日に進みます。

↓1 次のシーンは『警察サイド』『召喚者サイド』の、どっちで話を進めますか?

↓2 警察は、元太の勉強道具を用意したのでしょうか? 『用意した』『用意しなかった』のどっちかで選んで下さい。

↓3 ↑が『用意した』の場合、トイレの中に立ったのは誰? 『高木』『佐藤』『その他の刑事』『人は立たせずリュックだけ置いた』のどれかから選んで下さい。


485 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/22(水) 22:47:40 9BL3eJRo
警察サイド


486 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/22(水) 23:16:02 2kwlW6X6
用意した


487 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/22(水) 23:42:29 /WpAYvbw
佐藤


488 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/23(木) 21:39:53 P6A.WJjQ

 8月31日 午前11時40分 東都警察病院 703号室


14日の夜に、入院中の『本人』が消えて、えらい騒ぎになって鑑識が押しかけてきた部屋に、(※作者註 >>147)

ここ2~3日、またしても警察関係者が多数やってくることになった。

小学生の少年を誘拐した『犯人』が、この部屋のトイレを物品の受け渡しの場所に指定したのだから、当たり前の事である。


刑事J「佐藤さん、準備は良いですか?」

佐藤「……はい」


『犯人』が指定した通りに、勉強道具一式入りのリュックを持ってトイレの中に立つことになったのは、佐藤刑事であった。

『犯人』が手紙の中で希望していたのは、高木か佐藤のどちらかだった。

警察が手紙を把握した後、2人のうちの片方が入院したから、必然的に、残ったもう1人の方に仕事が割り振られることになる。


佐藤「(最悪、リュックを持って日没まで立ちっ放しか……)」


犯人がいつ現れるか分からないから、最悪日没まで、トイレには行けない。

トイレの中で立ちっ放しの仕事だから変な言い方になるが、盗聴器やらカメラやらが多数の個室内で用を足せるほど、佐藤の神経は図太くなかった。


489 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/23(木) 21:41:16 P6A.WJjQ

刑事J「もうそろそろ、良いですか?」

佐藤「はい」


まだ正午20分前だが、この手の事件では、早め早めの行動は損にはならない。

佐藤自身が身に着けているマイク等のチェックも、念入りに行わねばならないのだ。

彼女は勉強道具入りのリュックを抱え、個室の中へと入っていく。


490 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/23(木) 21:43:34 P6A.WJjQ
今日の投稿はここまで。次回はトイレの個室で続きからです。

↓1 周りに人がいなさそうな、陸上の地形・場所を書いてください。例:『山』、『森』、『廃屋の中』……


491 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/24(金) 00:17:13 YgC8o4Jk
山奥の廃校


492 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/24(金) 21:37:14 ZQdI/nUs
今日の分を今から書き始めます。23時までには投下します。


493 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/24(金) 22:29:38 ZQdI/nUs

 午後12時10分 東都警察病院 703号室 トイレの中


個室そのものは、特に広いとも狭いとも言えないものであった。

入り口から見て左側に手すりがあり、右側にトイレットペーパーのホルダーがあり、正面に洋式の便座があり、奥の壁にタンクがある。

病院のトイレだから清潔度はもともと高く、トイレ独特の臭いは無い。


ただ、右側の壁の一部が、大きな円を描く形で、シミのような灰色に染まっていた。

14日に『彼女』がここから消えた時、『彼女』が残していった、おそらくは召喚の陣の跡らしい。


佐藤「(『あの子』が消えた時、壁だけじゃなく、床も砂まみれだった……)」

刑事J『……12時10分になりました。変わりありませんか?』

佐藤「今のところ問題ありません」


イヤホン越しの定時連絡の声に、襟元のマイクから答える。

個室のいたるところにマイクやカメラが置いてあるが、それには頼り切らず、一応マイクでの連絡もすることになっていた。

今、この個室の中には佐藤しかおらず、703号室の中にもマイクやカメラはあるが、人間は誰もいない。

隣の705号室には多数の刑事が待機していて、何かあればここに駆けつけてくるように決まっている。


494 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/24(金) 22:30:43 ZQdI/nUs
佐藤「(分かっていたけど、……時間が長いわね)」


抱えているリュックを握り直し、小さくため息1つ。

今日の日没は午後6時10分だから、あと6時間。残りの時間は長い……


バチッ!!


佐藤「(……!?)」


不意打ちだった。突然変な音がして、直後に襟元にわずかな熱さを感じる。

イヤホン越しに『えっ?』という声を聞いた気がして、しかし確証は持てず、何が何だか分からない内に佐藤の視界が暗くなり、意識が落ちる。



496 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/24(金) 22:32:42 ZQdI/nUs

午後12時11分、佐藤美和子刑事は、抱えていた荷物ごとトイレから消えた。

警察がトイレに据え付けていたマイクやカメラは、彼女が消える直前に一斉に壊れていた。


隣の部屋から駆けつけた刑事達は、誰も居ない個室を見、そして個室の床の上にぶちまけるように積もった砂を、呆然と見つめる羽目となった。


497 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/24(金) 22:34:07 ZQdI/nUs
↓1 関東地方の都県の名前をどれか一つ書いてください。45分までにレスがあったら、23時までに更に投稿します。


498 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/24(金) 22:53:30 snvUr6e6
横須賀




503 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/25(土) 17:35:32 OSVZxtnQ

 午後12時20分 神奈川県 某所


かすかな意識の中、誰かが後ろから自身を抱え込む感覚だけは感じた。

その時『それ』が誰なのか判断は付かず、仮に不審に思う判断力は有ったとしても抗う力は無かっただろう。

後から振り返ってみると、顔を布の袋で覆われたはずなのだが、覆われた時の記憶がないのだ。


佐藤「う、……」


どれだけ経ったのか分からなかったのだが、意識を取り戻しうめいた時、顔を覆う袋は取り払われ、彼女の視界は光を捉える。

目の前、黒い仮面を着けた顔が、彼女の顎を抱えて見つめており――


佐藤「ぁ……!!」


良く考えないまま驚いて退こうとして、その時ようやく自身の身体の自由が奪われている状況に気付く。


佐藤「ここは、……あなたは、」


それだけ言うと、顎を掴む手が離された。そのままその手は佐藤の軽く頭を押さえ、頭を下げるよう促す。


504 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/25(土) 17:36:23 OSVZxtnQ

記憶がよみがえり、佐藤は状況を把握する。

あのトイレとは大きく違う、埃っぽい木の床の上。自分はうつ伏せに横たえられている。

腕は布らしきもので後ろに縛られており、足首には金属の、おそらく足枷らしいものが着けてあるらしい。


目の前50センチほどの床の上、パソコンのモニタが置いてあり、その画面には

『この文字が読めたら声を出して』

とあった。


佐藤「(え、っと…… これってパソコンに標準で付いてるメモ帳の画面よね?

     左上に『新しいテキスト ドキュメント.txt - メモ帳』って出ているし)」


モニタから出ているケーブルを辿ると、2mほど向こうに黒い小さなモバイルノートのパソコンがあり、

例の仮面の人物が床の上に膝をついて、そのモバイルノートの画面に向かい合おうとしているところだ。


パソコンの更に奥は壁で、黒板がある。

どうやら教室らしい場所に自分は拉致されたらしい。床の上の埃からすると、今は使われていない廃校舎だろうか?


505 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/25(土) 17:37:28 OSVZxtnQ

佐藤「……あなたが見ているそのノートパソコンの画面と、全く同じ画像が、このモニタに映っている、と、……考えて良いのかしら。

     あなたの、お名前は?」


仮面の誰かは、キーボードに手を動かす。同時に、『この文字が読めたら声を出して』の下に、文字が追加された。


モニタ『考えの通り、こちらのノートの画面とそちらのモニタの画面は全く同じ

     わたしは、召喚者』

佐藤「(……こいつ、声を出す気はない?)

     そう……」

(モニタ改め)召喚者『最初に言っておく

                 このノートとモニタは、事件が解決したら元の持ち主に返してほしい

                 この場所を管轄している役所からの盗品だ』

佐藤「……そうなの。それが本当なら、確かに、解決したら役所に戻るでしょうね。

     あなたは、ひとりで、私をここに連れて来たの? あなたの魔術で?」

召喚者『そうだ』


506 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/25(土) 17:38:48 OSVZxtnQ
↓1~3 佐藤から召喚者に話しかけた内容をどうぞ。1レスに複数内容可です、


507 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/25(土) 18:25:39 UUMIjxpc
あなたのつけている仮面は石仮面?


508 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/25(土) 21:47:06 aMb1/pl.
元太の現在


509 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/25(土) 22:49:49 OSVZxtnQ
今日はもう寝ることにしたので、安価範囲拡張します

↓1~3 佐藤から召喚者に話しかけた内容をどうぞ。1レスに複数内容可です。


510 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/26(日) 00:21:40 EfpYKF.M
高木と佐藤の肝炎検査の結果について


511 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/26(日) 10:18:42 fhJxjzxc
ここは何県のどこなのか
リュックサックの中身を説明するので、中の物を出してほしい


512 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/26(日) 11:46:15 bxnr21lU
顔や声を隠している=佐藤が警察に戻ってもどこの誰か手掛かりが掴めない
佐藤は後で解放される考えで良いか?

召喚者の年齢


513 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 17:18:43 HRMQW4ZU

佐藤は、パソコンの前に座る召喚者の姿を見つめた。

体格は、大人と同等と言って良いだろう。

灰色のフード付きのローブを着込んでおり、その下に黒い仮面を着けているから、表情どころか髪型も耳の形も全く伺い知れない。


召喚者『あまりジロジロ見ないで』

佐藤「ああ、ごめんなさい。

     あなたが顔に着けている仮面は、石仮面?」

召喚者『石ではない

      どんな材質なのか言うつもりは無いが』

佐藤「そう。

     話は変わるけど、……顔も声も出していないということは、私は後で解放されるという考えでいいのかしら?」

召喚者『どういう論理で、そういう結論になる?』

佐藤「私が今の状態で警察に戻って報告しても、この状況だと、あなたがどこの誰か全く分からないでしょう?

     顔も声も全く分からないなら、身元を掴む手掛かりが全く無いもの」

召喚者『つまり、仮に最初から殺す気なら、見られたら困る事を全く考える必要が無いから、姿を露出していたはずだ、と?』


514 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 17:19:33 HRMQW4ZU
佐藤「そういうこと」

召喚者『正解だ

      ちなみに同じ態度は元太にも取っていて、見られたら困るものはあの子には見せていない

      後で警察に根掘り葉掘り事情聴取されると分かりきっている子に、そんなもの見せられるものか』

佐藤「(これは、……後で事情聴取する警察への、牽制?)

     元太君は今どうしているの?」

召喚者『生きてる。衣食住には問題ない状況には置いている』

佐藤「……体調はどうなの!?」

召喚者『今のところ元気だ

      病気も怪我もしていない』

佐藤「そう、……ありがとう」

召喚者『こちらからも質問だ

      あなた達の肝炎検査の結果はどうなった?』

佐藤「それ、は……」


515 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 17:20:14 HRMQW4ZU

召喚者『このことはサキュバスが気にしていた

      自分の能力のことだから』

佐藤「その件ね、……結果から言えば、高木くんも私も、B型肝炎のウィルスを持ってたの。

     手紙が届いた次の日、28日に高木くんは体調を崩して、肝炎で入院しなきゃいけなくなって、……まだ退院してない」

召喚者『あなたのほうの体調は?』

佐藤「私は、今のところ問題ないみたい。

     ウィルス保有者ではあるから、定期的に病院で診察受けなきゃいけないけど」

召喚者『そう』

佐藤「一応言っておくけど、……このことは警察の人は把握してるんだからね?

     恩を着せたり、脅し取ろうとしたりしても全く無駄よ?」

召喚者『それは分かっている

      そもそもあの手紙は、そんな目的では無かったから』

佐藤「そう? じゃあ、肝炎の事を書いたのは、単純な善意?」

召喚者『根本には善意が来るが、サキュバスの能力の確認を兼ねている。

      あの手紙を見たら絶対に病院に検査に行くだろうし、こういう風に連れ去れば、検査結果を確認出来ると踏んでたから』


516 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 17:21:02 HRMQW4ZU

佐藤「……そうだった、の。

     あ! 肝心なことを忘れてた。

     リュックサックの中身を説明するから、ちょっと中の物を出してもらえないかしら?」

召喚者『構わないが、そのことに関してはこちらからも言いたいことがある』


召喚者は立ち上がる。

初めて気づいたが、これまでずっと、佐藤の横の床の上にリュックが置きっ放しになっていたようだ。

召喚者は、改めて佐藤と召喚者の間にリュックを置き直してから、モバイルノートに戻る。


召喚者『このリュックは誰のだ?』

佐藤「元太くんのよ、あの子の家から借りてきた」

召喚者『中に盗聴器と発信機、いくつも仕込んでたな?

      転移の前にそういう機器が壊れるよう術を使ったら、案の定発熱しながら全部壊れてリュックの表面が焦げたぞ』

佐藤「え!?」


言われて見てみると、確かにリュックの表面のポケットに少なくとも2か所、焦げたような跡があった。


517 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 17:22:09 HRMQW4ZU

召喚者『あなたが襟元に着けていたマイクも、ブラの  に仕込んでた発信機も同様だ

      あなたが火傷しなかったのは幸いだと思うが

      ともあれ警察は、発信機を辿っては来ないだろう 』

佐藤「そうなの……」

召喚者『それで、リュックの中身を説明するのだったな?』


佐藤が無言で頷くと、召喚者はリュックを抱き寄せてフタを開けた。

中からビニール袋を左手で掴み上げ示し、右手でキーを打ち込んで見せる。


召喚者『これは?』

佐藤「国語と算数のドリルと、教科書と、ノートと、文房具。

     とりあえずこの二教科教えてもらえれば、後の科目は小学校でリカバリーできるから、って」

召喚者『そう』


勉強道具一式の入ったビニールを一旦床に置き、別のビニールをリュックから出す。


召喚者『こちらには予想外のもののようだが、……これは?』


518 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 17:22:57 HRMQW4ZU

佐藤「横笛と、手紙。……『サキュバス』宛てだって。

     誰がどういう経緯でリュックの中に入れるって決めたのかは、私は聞いてない」

召喚者『何だそれは?』

佐藤「たぶん上層部の人は知ってると思うけど、……ごめんなさい、本当に詳細を聞いてないの」


召喚者はビニールに手を突っ込み、手紙を出して広げた。


519 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 17:25:13 HRMQW4ZU
↓1 手紙を読んだ召喚者の反応・言葉は?

↓2 リュックに入っていたもの、残りひとつは何?

20時までに両方レスがついたら、今日中にもう一回投稿します。


520 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/26(日) 19:04:59 2JUOR5l2
目を通してから『これは本人に渡すしか無さそうだ』


521 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/26(日) 19:42:44 S8q16tOg
オレンジジュース


522 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 20:36:05 HRMQW4ZU

黒い手袋を付けた手が手紙を持ち、仮面の下の目が文面を辿ること、数十秒。

召喚者は手紙をビニールに入れ直し、勉強道具一式と同様に床に置いた。


召喚者『これは本人に渡すしかなさそうだ』

佐藤「……そう」


続いて、3つ目のビニール。


召喚者『これが最後だ』

佐藤「それ、オレンジジュースの粉末よ。

     事情を知った元太君のお父さんが、『入れてくれ』って強く要望したって聞いてる」

召喚者『じゃあ、元太の好物か? 元太のおやつにでも使えばいい?』

佐藤「ええ、お願い」


召喚者は全てのビニールを、まとめてリュックに入れ直す。


召喚者『こちらとしては、聞きたいことは把握できた。他に質問は?』


523 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 20:36:38 HRMQW4ZU

佐藤「あ、あの、すごく根本的なことだけど、ここがどこなのか教えてはくれないの?」

召喚者『神奈川

      もともと公立小学校だった場所だと聞いている』

佐藤「っていうことは、今は小学校としては使われてなくて、……ここは廃校?」

召喚者『そういうことだ』

佐藤「それから、……あなたの年齢とか」

召喚者『そんなもの詳しく教えるわけないだろう?

      元太よりは年上だとは言える、見れば分かるだろうが』

佐藤「……そうよねぇ」


524 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/26(日) 20:42:29 HRMQW4ZU

今日の投稿は以上です。

この土日、微妙に風邪引いて外に出れませんでした。(風邪引いたのはこの冬二度目)

一日集中して書く作業ができたのは、この微妙な体調のせいですw

明日以降は、いつものようにおおむね1日1回、午後9時台の投稿になるかと思います。


↓1 会話を続けますか? 切り上げますか?

↓2 ↑続ける場合、どちらがどんな発言したのかをどうぞ。


525 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/27(月) 12:20:21 ZwFsxkZE
佐藤刑事と召喚者の会話でいいの?
なら続けるで


526 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/27(月) 12:47:02 /15f1VxE
>>525
説明不足すいません。ご指摘の通りです

↓1 佐藤と召喚者、どちらが発言したでしょうか?

↓2 ↑の発言の内容は?


527 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/27(月) 19:16:47 2XLE5WUg
この時期の風邪はこじらせたらインフルとかになるからしっかり休まないとね~

安価は召喚者


528 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/27(月) 21:27:20 hUtFsnlg
>>527
どうもありがとうございます。帰宅が遅れて書けそうにないので今日はお休みします。

↓1 召喚者の発言の内容は?

 『肝炎について』『佐藤の恋愛について』『元太について』『サキュバスについて』『召喚者自身について』『その他(要記載)』でお願いします。


529 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/28(火) 02:50:29 wvySX3KI
元太について


530 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/28(火) 21:48:15 HSdoYzVc

召喚者『そう言えば言い忘れていた、元太のことについてだが』

佐藤「何?」

召喚者『今後、あの子の体調に万が一のことがあった時、あるいは、体調に関係なく欲しいものが出来た時、

      薬だの物品だの、必要になる時があるかもしれない

      その時の対応を決めておきたい』

佐藤「……体調崩した時って、元太くんは解放してくれないの?」

召喚者『よほど悪化したならば、解放を検討するだろう

      監禁致死にまで至るのは不本意だ』

佐藤「そう……」

召喚者『毛利家の自宅の中、蘭の部屋があったはずだ

      必要なものが出来た場合は、その部屋の蘭の机の上にメモを魔術で出現させる

      警察はこちらが要求する品を、警察病院のあの個室のトイレに置いてほしい

      こちらが指定する日時に、魔術で物品を回収する』

佐藤「毛利さんちは分かるけど、警察病院の個室って、……今日私が立った、703号室?」

召喚者『そうだ』


531 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/28(火) 21:48:52 HSdoYzVc

佐藤「それ、やるとしたら、警察が、四六時中蘭ちゃんの部屋を監視することになるわよ?」

召喚者『承知している

      蘭の親も、事情を話せば了承すると思うが?』

佐藤「そりゃあ、……そうでしょうけど」

召喚者『警察が誰に何をどこまで話すかは、警察自身が決めることだろうが、

      私たち自身は、小嶋家と毛利家がある程度事情を知ってても構わないと考えている』

佐藤「えっと、……つまり、警察が伏せてて、報道に出てない事柄を、この2つの御家庭には話しても良い、と?」

召喚者『少なくとも、子供の命が掛かっている限り、両方とも親の口は固いだろう?

      こっちは、死体を盗んで、魔術を駆使して、サキュバスを生かすようにできればそれで良い

      仮にこれから追加で死体を盗むとき、死体窃盗の話が広まって、盗みづらくなっていたら困る、ということだ』

佐藤「……そう」

召喚者『これで話は終わりだ

      あなたに付けた足枷の鍵は、この教室の真後ろのロッカーの下に置いている

      自力で外して、歩いて助けを求めると良い

      一応ここから歩いて10分のところに民家はあるから』


532 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/28(火) 22:08:08 DBssBUc2

目の前、モニタの画面が動いた。

メモ帳が『新しいテキスト ドキュメント.txt』の名のままデスクトップに保存され、

更にそれがUSBメモリにコピーされたあと、USBメモリがパソコンから外される。


佐藤「これで、お話は終わり?」


召喚者はただ頷き、荷物をまとめて立ち上がった。

本当に何も言わず、教室の出入口に向かう。


佐藤「(このまま、こいつはここから消える……!!)」


気付けば佐藤は、灰色のローブを纏った背中に、言葉を投げていた。


533 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/28(火) 22:09:44 DBssBUc2
↓1 佐藤が、召喚者に投げた言葉の内容は?


534 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/28(火) 22:55:02 Qjzwy7Zs
目的


535 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/28(火) 23:23:47 kzCut0eI
>>534
「あなたに、他に目的はあるの?」で良いですか?


536 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/29(水) 00:16:58 s0nxJbQ.
言葉足らずでごめん…>>535で宜しく


537 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/29(水) 21:45:09 SM36Ll6E

佐藤「あなたに、他に目的はあるの!?」


召喚者は、足を止めて振り返った。

床の上の佐藤を見つめ、視線がぶつかること数十秒。


先に動いたのは召喚者の側だった。

黒いブーツを履いた足の歩みは強く、ローブを勢いよく翻しながら目の前の黒板に向かう。

激情のままに白いチョークで黒板に記していく、その崩れた字体の文章は、佐藤の答えにはなっていなかった。


召喚者『なぜ今それを言う? わたしがこえを出すと思っていたのか!?』


バン、と、黒板に叩きつけた手の音が響く。


佐藤「……ごめんなさい、そんなつもりじゃなくて!!」


明らかに佐藤は召喚者を怒らせていた。

ご丁寧に黒板消しでチョークの文字を消してから、荷物をまとめた召喚者は、歩調の強いまま、今度こそ教室の外へと出ていく。

そして、二度とこの教室へは戻ってこなかった。


538 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/29(水) 21:46:31 SM36Ll6E
今日の投稿は以上です。

↓1 次のシーンは誰目線で書きますか? 『警察目線』『召喚者目線』のどちらかでお願いします。


539 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/29(水) 22:04:03 1lfN61rw
警察


540 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/30(木) 21:41:29 1XAsCVVo

 午後12時56分 神奈川県 某所


確かに、召喚者が言った通りの場所に足枷の鍵はあった。

佐藤は相当苦労しながら腕を縛っていた布を外し、ついで足枷も外して立ち上がった。


佐藤「(……私が居なくなった後に、召喚者が戻ってきてこのモバイルノートを回収したりすること、……有り得なくはないわよね?)」


デスクトップに保存されたメモ帳は、今後の捜査における重要な証拠だ。

足枷をポケットに無理やり突っ込み、召喚者が置いて行ったモバイルノートのケーブルを外し、電源を落とし、布越しに手で抱えてから教室を出る。

教室のドアの上、クラス表示は『6-2』とあった。


佐藤「(6年2組、……アイツが言った通り、小学校か。それも相当山奥の……)」


教室に戻り、窓の外を見る。

見える光景を判断するに、今は空が明るい時間帯で(太陽の高度からしておそらく昼間)、

この辺りは、あまり開発されていない場所だということが分かる。

勝手なイメージだが、過疎化で廃校になった小学校、という感じなのだろうか?


541 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/30(木) 21:43:06 1XAsCVVo

佐藤「(民家、あるはずよね……)」


やみくもに動き回るより、一応は目的地の目星を付けて、学校を出ようと思った。

召喚者が大嘘をついていなければ、どこかに民家があるはずだ。


佐藤「あ、あそこかしら?」


思わず声が漏れる。

校門から曲がりくねった道になっているのが分かるが、その先の山越しに、チラリと屋根が見えた。



午後1時4分、神奈川県警は現地の住民から通報を受けた。

スーツ姿で埃まみれの女性が、枷とパソコンを持って助けを求めてきた、のだという。


――自称警視庁の刑事さんが、仕事中に拉致られて、小学校に監禁されて、逃げてきて、ウチに助けを求めてきた

    刑事さんの名前は、サトウ ミワコ

通報を受けた神奈川県警は、現地に捜査員を大至急派遣させると共に、警視庁にも一報を入れた。

『サキュバス事件』の捜査中、警視庁の刑事が行方不明になったことは、この時点で神奈川県警にも知らされていたのだ。


542 : ◆oJG7c/xJmM :2014/01/30(木) 21:45:04 1XAsCVVo
今日は以上です。明日は警察サイドの話が続きます。

↓1 佐藤刑事以外に出してほしい警察の人を、ひとりどうぞ。


543 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/30(木) 22:23:27 Q2Erq77U
白鳥警部!

546 : ◆oJG7c/xJmM :2014/02/01(土) 00:54:26 0Jbe2c4Q

 午後7時15分 神奈川県 某病院


分かりきっていることではあったが、その後、佐藤刑事は根掘り葉掘り調べられる羽目になった。

事情聴取を受けるというだけでなく、身体を調べられるという点でも、だ。

県内の病院に搬送され、怪我の有無を調べられ、怪我は無いというのに入院が決まり、そこで徹底的な事情聴取があり、

その事情聴取が済んだと思ったら、職場の捜査一課から見舞いが来た。


目暮「失礼する」

白鳥「失礼します」

佐藤「!! ……わざわざありがとうございます。

     目暮警部も、白鳥君も……」

白鳥「拉致されたと聞いて驚きましたよ……!! 本当に……」

目暮「体調は大丈夫なのかね? 最低でも2晩入院すると聞いたが……」

佐藤「今のところ、体調は問題ないんです。

     拉致された経緯が経緯だから、私にどんな影響が出たのか分からないから、その検査を徹底的にするというだけで」

目暮「……それはそれで、大変そうだ」


547 : ◆oJG7c/xJmM :2014/02/01(土) 00:55:09 0Jbe2c4Q

佐藤「……被疑者側の魔術を受けて、今、こうやって生きて検査を受けた人は、私だけですから。

     どんな影響が出るか分からない以上、徹底的に調べてもらった方が、かえって安心できますし……

     タダで人間ドック受けられたんだと、……そう思うことにします」

目暮「そうか……」

白鳥「ところで、一課の皆さんにはどこまで説明しましょうか?

     ……『ハニーロード』の書き込みの件は皆さんに知られてしまいましたけど、

     誘拐が絡んでから、捜査本部と、我々のような例外を除くと、誰が誘拐されたのかまでは御存じない方も多いですよね?

     佐藤さんの家が現場に手紙が残っていたことも秘密で、でも、貴女が誘拐されたことは知られてしまってるんですが……」

佐藤「え? 私の誘拐って、秘密ではなくなってるんですか?」

目暮「……

     佐藤君が消えた時点で、極秘だが大々的に指令が回っておるんだよ。

     ――『サキュバス』絡みの事件で、きみが警察病院から誘拐された、……とな。

     おまけに神奈川県の山奥の民家で保護された一報も、当然全庁に回している」

佐藤「……それ、転移の魔術を受けたと分かったも同然じゃないですか……」

白鳥「ええ……」


548 : ◆oJG7c/xJmM :2014/02/01(土) 00:55:47 0Jbe2c4Q

佐藤「『単に捜査に協力したら拉致された。

      詳しいことは話せないけれど、身体への影響が分からないから検査入院する羽目になった』

     で、よろしいのでは?」

目暮「そうだな、肝炎がどうこう、ということまでは、捜査に無関係の人間にまで話すことでも無いだろう」

白鳥「……そうですね。そう思います」


549 : ◆oJG7c/xJmM :2014/02/01(土) 00:58:37 0Jbe2c4Q
今晩はこれで終わりです。警察視点の解説はさんで次のシーンに移ります。

↓1 解説の後、次のシーンは誰目線にしますか? 『探偵目線』『召喚者目線』のどちらかでお願いします。
   (どっちかを書いたら8月31日は終わりです。また作中の日程が飛びます)


550 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/02/01(土) 02:13:45 H4IL.rNQ
召喚者目線でお願いします