1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:23:02.82 ID:hY/K/IbV0
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:23:40.92 ID:hY/K/IbV0
ハンター「モスは可愛いなぁ」
ハンター「ついつい密林の採集クエストに来ちゃうよ」
モス「ブフッ」
ハンター「持って帰っちゃ駄目かな……駄目か」
ハンター「代わりにたわむれて帰ろう。ほーら、アオキノコだぞ」
モス「ブフ?」スンスン
ハンター「ほれ、食べろ」
モス「ブフフ、ブフッ!」むしゃむしゃ
ハンター「……可愛いなぁ!」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:24:07.65 ID:hY/K/IbV0
ハンター「はぁ、クエストが終わって、村に帰ってきたわけだけど」
ハンター「モスに会うためとはいえ、往復四日はキツイなぁ」
ハンター「食っていくためにも、お金はいるわけだし……」
ハンター「そんなにしょっちゅうは行けないよな。やっぱり、家で飼いたいところだ」
後輩「あら、先輩じゃないですか。帰ってたんですね」
ハンター「お、こんにちわ。後輩」
後輩「また採集クエストですか。たまには、一緒に一狩り行きましょうよ!」
ハンター「そうだなぁ、貯金が少なくなったらまた――ん!?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:24:34.05 ID:hY/K/IbV0
後輩「ど、どうしたんですか」
ハンター「足下! お前の足下!」
後輩「足……ああ、この子ですか。まったく、またついてきたの?」
プーギー「ぶひっ」
ハンター「お、お前、それ行商ばあちゃんのところの!」
後輩「そうですよ。懐かれちゃって、今は飼ってるんです」
ハンター「はぁああああ!?」
後輩「ちょっと、さっきから何なんですか!」
ハンター「俺がいくら呼んでも、突進しかしてこなかった、あのプーギーが!」
ハンター「超可愛くて愛らしい、しかし憎らしいプーギーが!」
ハンター「なんでお前に懐くんだぁああああ!?」
後輩「ええっと、タイミング、ですかね」
ハンター「ちきしょぉおおおお!」
後輩「あ、ちょっと、先輩!? ――行っちゃった」
後輩「……君、好かれてたんだね」
プーギー「ぶひっ?」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:25:11.23 ID:hY/K/IbV0
ハンター「羨ましい、羨ましいよぉ!」
ハンター「見知ってから長い俺じゃなく、なんで数ヶ月前にきたあいつを……!」
ハンター「プーギー……いや、俺は選ばれなかった。後輩は選ばれた。それだけだ」
ハンター「――そ、それでも悔しいわぁああああ!」
ハンター「……明日は、また密林へ行こう。モスに、会いに行こう……」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:25:37.23 ID:hY/K/IbV0
ハンター(それから俺は、後輩とプーギーが歩いてる姿を見るたび、密林へ向かうようになった)
ハンター(後輩とは相変わらず、時折狩りへ行く仲ではある。しかし、あいつの帰りを待つ存在があると思うと……)
後輩「あの、私の顔になにかついてます?」
ハンター「え、あ、いや、なんでもない」
後輩「……そうですか。そうえば、先輩はプーギーが好きなんですよね」
後輩「その、クエストが終わったら、わ、私の家に来ますか。あの子、出迎えてくれるんですよ」
ハンター「出迎えて!? う、う、羨ましいぃいいいい!」
後輩「あ、先輩、どこに――」
ハンター(プーギーが幸せなら、それでいいはずなのに。俺はなんて浅ましい奴なんだ)
ハンター(そんな自分から逃れるために、だんだんと密林へ行く回数が増えていった)
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:26:04.03 ID:hY/K/IbV0
ハンター「ほら、アオキノコだぞ。今日もたくさんあるからな!」
モス「ブフフッ!」
ハンター「……そうえば、こいつの背中の苔、何度も見た生え方をしているな」
ハンター「もしかして、俺とお前って、意外と付き合いが深かったりするのか」
モス「ブフッ」
ハンター「おお、返事をしてくれたみたいだ。可愛いなぁ!」
ハンター「……本当に、可愛いな。お前を連れ帰れたら、きっと幸せだろうな」
ハンター「――なんて、ギルドが許してくれないな」
モス「ブフ?」すりすり
ハンター「はっはっは、頬ずりか。まったく、可愛い奴だぜ!」
ハンター「また来るよ。なんだか、楽になった」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:26:33.95 ID:hY/K/IbV0
ハンター「この前のお礼だ。珍しいキノコを持ってきたぞぉ」
モス「ブフ……?」スンスン
モス「ブフフ、ブフフッ!」
ハンター「え、なに、なんで怒ってるんだ!?」
モス「ブフフゥ!」
ハンター「わ、悪かった。悪かったから突進しないでくれ!」
ボスッ
ハンター「痛いっ!?」
ハンター(けど、ああ、楽しいなっ!)
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:27:06.81 ID:hY/K/IbV0
後輩「最近、採集クエストに行く数が減りましたね」
ハンター「ああ、どうにも、根を詰め過ぎてたみたいだ」
後輩「気が楽になったなら、とてもいいことです。……そ、その、よければ一緒に狩りに行きませんか」
後輩「新しくクエストが張り出されたんですが、どうにも手強そうで」
ハンター「ああ、いいぞ! 俺もそろそろ、貯金が欲しかったところだからな!」
後輩「それじゃあ、一緒にアイルーキッチンに行きましょう」
ハンター「ああ」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:27:33.54 ID:hY/K/IbV0
ハンター「イャンクック、だよな」
後輩「はい。でも、色が違いますね」
ハンター「森丘で亜種を見るのは初めてだな。気を引き締めていこう」
ハンター「後輩はボウガンで援護を頼む。俺はハンマーで徹底的に頭を叩く」
後輩「わかりました。……無理はしないでくださいね」
ハンター「もちろん!」
ハンター(また、会いたい奴もいるからな)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:28:06.07 ID:hY/K/IbV0
クック亜種「イャオオン!」
後輩「徹甲弾を撃ちます。どいて下さい!」
ハンター「わかった」
ハンター(――よし、命中だ)
クック亜種「オォン、オォン……」
ハンター(さらに、片脚を引いている。チャンスだな)
ハンター「よし、一気に決めてやる!」
クック亜種「――イャオオンッ!」
ブォンッ
ハンター「な」
バシッ
後輩「先輩!」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:28:33.09 ID:hY/K/IbV0
後輩「大丈夫ですか、先輩! 今、回復薬を」
ハンター「不意打ちの尻尾をくらっただけだ。大丈夫、自分で飲める」
後輩「ふぃ、ふぃかひでひゅね」
ハンター「……なんで、後輩が飲んでるんだ?」
後輩「んくっ、その、とっさに口移しをしなければ、と」
ハンター「焦りすぎだ。はっはっは!」
後輩「も、もう、そんなに笑わないでください!」
ハンター「すまん、すまん。さて、あのイャンクックは逃げたみたいだな」
後輩「あ、そうえば、いなくなってますね」
ハンター「弱っていたから、この地区にある飛龍の巣にいるはずだ」
後輩「そうですね。行けますか」
ハンター「当たり前だっての!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:29:08.91 ID:hY/K/IbV0
後輩「――見当たりませんね。ここが巣じゃなかったんでしょうか」
ハンター「いや、巣に適した地形は、この地区ではここぐらいしかないはずだ」
後輩「では、弱っていなかった……?」
ハンター「イャンクックに、人を騙せるほどの知能はない。どういうことなんだ?」
後輩「元々、この地区に巣を置いていなかった、なんて」
ハンター「まさか! ……まさかなぁ」
後輩「とりあえず、探してみますか」
ハンター「ああ、そうしよう」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:29:38.31 ID:hY/K/IbV0
ハンター「いないな」
後輩「いませんね」
ハンター「いったいどこに消えたんだ? ペイントボールの匂いも、まったくしなくなってるし」
後輩「不思議ですね……ん、先輩!」
ハンター「ああ、支給品の知らせだ。おかしいな。このクエストは上位クエストじゃないんだけど」
後輩「ということは、ギルドからの知らせでしょうか」
ハンター「ベースキャンプに戻るとするか」
後輩「では、モドリ玉を」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:30:05.96 ID:hY/K/IbV0
ハンター「支給品箱の中に手紙か。どれどれ……」
後輩「なんて書いてあるんですか」
ハンター「――観測隊からだ。イャンクックがここを離れたらしい」
後輩「え、それは……なんとも、気が抜けますね」
ハンター「俺たちは村に帰っていいらしい。報酬も出る」
後輩「釈然としません」
ハンター「貰えるものは貰っておこう。帰り支度だ!」
後輩「……あの、前にも言ったんですが」
後輩「村へ帰ったら、私の家に来ませんか。その、なにがあるというわけでもありませんが」
後輩「えっと、プーギーはいますよ!」
ハンター「プーギーか……ああ、いいぞ」
後輩「わ、わ、は、はいっ!」
ハンター(今の俺なら、プーギーとだって会えるさ。むしろ、楽しみだ!)
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:30:36.67 ID:hY/K/IbV0
後輩「それじゃあ、待ってますから。……採集クエストに行ったら、嫌ですからね!」
ハンター「分かってるよ。湯にでも浸かって、汗を流したら行くから」
後輩「あ、汗……そうですね。私も、その、準備しなくちゃ駄目ですね」
ハンター「別にかしこまる仲じゃないだろうに」
後輩「準備は大切なんです!」
ハンター「わ、分かった、分かった」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:31:05.55 ID:hY/K/IbV0
ハンター(家に着いたし、さっそく湯浴みを……む)
ハンター「ギルドからの報告書か。村に帰ってくる間に届いたみたいだな」
ハンター「――イャンクックの移動先、か。クエストは一応クリアしたし、わざわざツアーで出向いて狩るほどでも」
ハンター「え」
ハンター「この、地区は」
ハンター「行かなきゃ!」
ドンドン、ドンドン
後輩「先輩、先輩? いないんですか……あ、鍵が開いてる」
後輩「誰もいない。……もう、約束破って、それに不用心じゃないの!」
後輩「あれ、よく見たら、書置きが――密林に?」
ハンター「やっと着いた……とりあえず、いつもあいつがいる場所へ!」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:31:33.74 ID:hY/K/IbV0
ハンター「モスは、いないのか。じゃあ、別の場所を」
「イャォオオオオオオン!」
ハンター「……そうか。お前を狩れば、話が早いな」
クック亜種「オォン、オォンッ」
ハンター「クエストではないが、ここを荒らされるわけにはいかない」
ハンター「――ぶっ潰す!」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:32:06.09 ID:hY/K/IbV0
ハンター(いいぞ。一人なせいで苦戦はしているが、確実にダメージを与えている)
ドゴッ
クック亜種「オォンッ!?」
ハンター「翼の次は、お前のくちばしだ」
クック亜種「イャォオオオオン!」
ハンター(様子が変わった。怒ったか)
ハンター「それでも、関係は――な!?」
モス「ブフッ」
ハンター(モス!? あいつか!? 無事だったのか! いや、しかし、なんて時に来てしまうんだ……!)
クック亜種「オォンッ!」
ハンター「しまった、突進」
ドゴォッ!
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:32:32.93 ID:hY/K/IbV0
ハンター(もろにくらってしまった)
ハンター(まずい。前の不意打ちで痛めた箇所に、運悪く当たっている)
ハンター(動けない。早く、回復薬を飲まなければ)
クック亜種「イャ、イャ、イャ!」
ハンター(痛みで視界が白黒しているが、分かる。この鳴き声は、火炎袋を使うときの)
ハンター(目を空けて、這ってでも避けなければ……目をっ)
ボフッ
ハンター(来る。目を空けろぉ!)
モス「ブフフッ!」
ハンター「あ」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:33:10.36 ID:hY/K/IbV0
ハンター「え」
ハンター(目の前に、焦げた苔がある。そのせいで分かりづらいけど、何度も見たことのある、生え方だ)
ハンター「モス」
ハンター(そうだ。これは、モスの背中だ。それも、あいつの背中だ)
ハンター(可愛い、可愛い、あいつの)
ハンター(どうして、俺は倒れているのに、こいつの背中が見えるんだ?)
ハンター(こいつも倒れているのか。お揃いだな)
ハンター「あ、あぁああああああああ!」
ハンター(回復薬、回復薬、回復薬を! 誰か、誰か、誰か!)
クック亜種「オォン、オォン!」
ノッシ、ノッシ
ハンター(薬草でもいい。少しでも動ければ、動かなければ)
ノッシ、ノッシ
ハンター(こいつを助けなけきゃいけないんだ!)
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:33:55.92 ID:hY/K/IbV0
ハンター「――背中、これ、は」
ハンター(目の前の苔群の中に、小さいけど、アオキノコが)
ハンター「ぬがぁああああ!」
もぐ、ごくん
ハンター(……ありがとう。そして、すまない)
クック亜種「オォン、オォンッ」
ズドンッ!
クック亜種「イャッ」
ハンター「そいつに近づくなぁ!」
クック亜種「お、オォン……?」
ハンター「目を回したか。――すぐに、戻ってくるからな。絶対、助けるからな!」
ハンター「また、キノコをやるからなぁ!」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:34:28.75 ID:hY/K/IbV0
ハンター「はぁ、はぁ……生きてる、よな」
ハンター(イャンクックにとどめをさし、俺はモスの前まで戻ってきた)
モス「……ブフ」
ハンター(生きてる! でも、呼吸が弱い。耳をすまさないと聞こえないくらいに)
ハンター(回復薬はない。薬草も、アオキノコも。回復するための道具は、使い切ってしまった)
ハンター「すまない……すまない……」
モス「ブフ……?」
ハンター「俺は、助けられたのに。どうして、俺は」
モス「――ブフッ」スン、スン
ハンター(モスの鼻が動いている。これは、キノコを欲しがっているときの仕草だ)
ハンター「ああ、そうだな。キノコ、やるって言ったもんな」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:35:02.52 ID:hY/K/IbV0
ハンター「……ははは、駄目だ。お前の嫌いなやつしかないじゃないか」
ハンター「モドリ玉の調合用に持ってきた、これだけなんだ」
ハンター「また、怒らせちゃうな。あの時みたく、頭突かれて」
モス「ブフ」
ハンター(モスが口をあけている。……食べてくれるのか)
ハンター「ありがとう。お前は本当に、最後まで、可愛い奴だ」
むしゃ、むしゃ
ハンター「モスは、可愛いなぁ……!」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:35:34.43 ID:hY/K/IbV0
ハンター(気が付けば、ベースキャンプに戻っていた)
ハンター(観測隊に合図を出し、ギルドからの迎えを待つ)
ハンター(その間、俺はなにも考えずにいた)
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:36:47.61 ID:hY/K/IbV0
後輩「先輩……採集クエストがそんなに大事なんですか!」
後輩「約束してたのに、少しは私の気持ちだって、考えてくれても」
ハンター「すまん。今は、後輩の話を聞いてやれないんだ」
後輩「なっ! せ、先輩がいない間、私がどれだけ苦労したと思ってるんですか!」
ハンター「一人に、してくれ」
後輩「……そうですか。そういうことを言うんですね」
後輩「もう知りませんから。今度先輩が不用心に留守にしても、番なんてしませんから」
ハンター「ああ、それでいい」
後輩「先輩が忘れていたペットの世話だって、次があっても、絶対にしませんから」
ハンター「……ペット?」
後輩「そうですよ! 私がプーギーを飼っていたから、勝手がわかったものの」
後輩「それに、突然部屋の道具箱から出てくるんですから。二重にびっくりしました」
後輩「――を飼ってるなんて。まったく、普通の人じゃエサだってあげれないんですからね!」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/31(金) 00:37:14.98 ID:hY/K/IbV0
ハンター(後輩の制止を聞かず、俺は走り出した)
ハンター(自宅につき、扉の取っ手に手をかける。扉はずいぶんと重く感じた)
ハンター(それでも、大きな期待を胸に扉を引くと、そこには――)
「ブフフッ!」
おしまい
引用元: ・ハンター「モスは可愛いなぁ」
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