モバP「雪美様がゆく」 前編

337: ◆ORDERq/08U 2020/10/24(土) 23:08:30 ID:XpOSB122
796

モバP「……」カタカタ

??「……」トコトコ

モバP「……」カタカタ

??「……」チラッ

モバP「……」カタカタ

??「……」

モバP「……誰?」

??「……私……」

モバP「いや、分かっていたがな。紙袋を被った雪美さん――敢えて顔を隠すのも……良いよね」

雪美「……本当に……分かってた……?」

モバP「俺は雪美を顔や髪型だけで認識している訳じゃないから安心して」

雪美「ん……。……トリック、オア……トリート……」

モバP「おお、ハロウィンか。良いだろう、この飴とついでにゆで卵と花火も持って行け」


ちひろ「イースターや独立記念日まで混ざっていませんか?」

338: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:10:19 ID:XpOSB122
797

モバP「ソファーに深々と腰を下ろし、新聞を読む――厳格な父親の朝って感じだ」

雪美「……」

ちひろ「雪美ちゃんが隣で覗き込んでいるのは良いんですか?」

モバP「若い内から活字に興味を持つのは大事なことです。あ、この寸評枠は二周年か……」

モバP「しかし、新聞の漫画って凄いですよね。毎日よくネタが尽きないと思います」

ちひろ「大体テレビ番組欄の裏の左上にある印象ですね」

雪美「……これ……2500話も……描き続けるの……すごい……」

モバP「単純計算でここまで行くのに毎日一本休み無しで約7年かかるのか。日々どんなペースで書いていらっしゃるのが知らないが」

ちひろ「一日一本という時もあれば、数話書き溜めてまとまった休みを作って旅行に行く時もあるんでしょうかね?」

モバP「モチベーションとクオリティーの維持を考えても、定期のお仕事は心の逃げ場が無さそう」

ちひろ「それはそうとプロデューサーさんは雪美ちゃんと長年連れ添ったように仲が良いですよね」

モバP「実質9年くらい一緒にいる感覚なのでもう幼馴染みたいなものですね」

ちひろ「その感覚はおかしい。……まあいつの間にかシンデレラガールが9人もいますけど」


雪美「生まれながらの……幼馴染まで……もう少し……?」

339: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:11:50 ID:XpOSB122
798

モバP「出先の喫茶店とかでメニューにあるといつもつい頼んでしまうものがある」

雪美「……?」

モバP「これだよ。グレープフルーツジュース。紙パックだが」

モバP「いつもと違う特別な日には、何故かこれが飲みたくなるんだ」

雪美「……P……グレープフルーツ……好き……?」

モバP「この甘さと酸っぱさと苦みの加減が好きだな」チュー

モバP「ん、デリシャス」

雪美「……一口……」

モバP「どうぞ」

雪美「……」チュー

ちひろ「同じストローに口を付けることに抵抗ないんですね」

雪美「……少し……大人な……味……」

モバP「これを好きになったのは背伸び感覚でもあったかもしれないが、きちんとした? 理由もあるんだ」

雪美「……?」

340: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:17:22 ID:XpOSB122
モバP「雪美は普通のジュースが少し甘すぎると感じることはないか?」

雪美「……」フルフル

モバP「例えば、喉が渇く夏にココアってあまり飲まないだろ? ホットは勿論だがアイスでもそんなに」

雪美「……」コク

モバP「まあアイスココアも嫌いじゃないんだ。まず作るのが手間というのはあるが」

ちひろ「冷たいとパウダーはよく溶けないんですよね」

モバP「それ以上に甘いものやドロっとしたものは、飲んでも割とすぐにまた喉が渇くんだよな。それが煩わしい」

雪美「……確かに……」

モバP「だから水分補給には基本はお茶や水。ただせっかくの外食時には、ということで甘さ控えめのグレープフルーツジュースが好きだ」

モバP「ちなみにファミレスとかのドリンクバーでポピュラーな物だけでなく、そういうジュースの種類がやたら充実しているお店はこだわりを感じちゃうね」

ちひろ「プロデューサーさんはドリンクバーがあったら適当に混ぜそうなタイプですよね」

モバP「飲み放題ならその前にまずは一通り味見しようとおかわりしてそこでギブアップです」

雪美「……Pは……レモネードや……りんご酢も……好き……ね」

ちひろ「酸いのが好きなんですね。適度に唾液が出そうで良いですけど」


雪美「そして……キスは……レモン飴の……味……」 ナゼシッテルンダ

341: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:19:09 ID:XpOSB122
799

モバP「へくしっ! ……さあ、寒くなって参りました」

雪美「Bless you. ……P……風邪……引かないように……ね」

モバP「Thank you. ああ、体調には気を使って寝られる時は早めに寝るよ」

雪美「いつも……しっかり寝ないと……」

モバP「まあ伊達にこの仕事を務めてないから、そう簡単にはくたばらんよ」

雪美「……心配」

モバP「雪美さんに心配してもらえるなんて俺は幸せ者だなあ」

雪美「もう……、……は……くちゅんっ!」

モバP「雪美っ! 大丈夫か? 具合が悪いのか? 今日の仕事は切り上げようか?」

雪美「……空気が……少しひんやり……感じただけ……。大丈夫……」

モバP「こっちおいで」

雪美「……!」

雪美「……///」ダキッ


ちひろ「“こっちおいで”は言われるとキュンとする言葉だとか」

342: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:22:06 ID:XpOSB122
800

モバP「夢はいつか覚めるもの、魔法はいつか解けるもの」

モバP「……ある朝目が覚めたら、それまでの幸せは全て泡沫と消えているのではないか――いつもそんな不安が付きまとう」

雪美「……ん……おはよう……P」

モバP「おはよう! 良かった……今日も正しい現実に帰還することができた」

雪美「……できないことも……あるの……?」

モバP「違う世界に迷い込んで帰って来られなくなったコピーの自分はたくさんいるかもな」

モバP「この自分は相変わらずどうにか耳は聞こえるし、言葉も理解できる。大切な人も変わらずにいる」

モバP「でも雪美さん、お泊りを許可したっけ? それも大人なローライズの 着姿だし……あ、これはまだ夢かな?」

雪美「シンデレラの……過ごした舞踏会は……夢じゃない……。……奇跡も、魔法も、ある……」

モバP「救いはあるんですね? ……その 着は新しいやつか? とても似合ってるぞ」

雪美「! ……うれしい……。……Pに……見せたかった……から」ギシッ

――

モバP「……今朝のは夢で良かった。いや、良くないな。何を考えているんだ俺は」


雪美「P……今日は……Pに……見せたいものが……ある……」 マテオチツケ ……?

343: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:24:55 ID:XpOSB122
801

モバP「卒業祝いや成人祝いに万年筆を貰うことがありますよね」

ちひろ「万年筆ですか。あまり印象が……」

モバP「個人的にはあまり使わないんですよね。良いものなんでしょうが」

ちひろ「ボールペンやシャープペンシルなら使いますかね?」

モバP「ですね。ただ、電子化であまり字を書かずに入力で済ます機会も増えてきて」

モバP「何か立派な箱に入っていて勿体無いので大抵はそのままです」

ちひろ「安い使い捨ての物ばかり先に使ってしまうタイプですか」

雪美「……ラストエリクサー……症候群……」

モバP「そういえばゲームでも貴重消耗品とかを温存してそのまま使わないことが多いな」

雪美「宝物……大事に……しまっておきたいのは……分かる」

モバP「やっぱり良い物はここぞという時に使いたいんだよな。待てど暮らせどその時が来ないんだが」

ちひろ「で、持ち腐れちゃうんですね」

モバP「ドーピングアイテムなんか、いつか絶好の機会が来るはずだと思っていたらクリアしてしまい拍子抜け」

ちひろ「時間経過で腐るとかなら仕方なく使うんでしょうけどね。ゲームの食品は防腐剤でもかけてあるんでしょうか」

344: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:29:58 ID:XpOSB122
モバP「ちなみにアイテムを、町人も食べたり使ったりして効果を実感しているような会話があると、ゲームの世界の生活感がしてテンションが上がります」

ちひろ「ドーピングされてやたら強い一般人とかいても面白そうです」

雪美「命の木の実……イラストでは……おいしそう」

モバP「ドラクエの木の実か。他のゲームでも大抵こういうのは美味しそうなんだよな」

ちひろ「そういえば以前はリアルポーションが売られていましたっけ。私のドリンクに比べたら効果は……」

モバP「ちひろさんのドリンクは買えるエリクサーですからね。インフレした最終盤ダンジョンみたいで却って恐縮して買えません」

ちひろ「いや買えよ」

モバP「しかし木の実も使い惜しんでいたら奴隷にされて10年経過するかもしれない。そうなるともう発芽とかしてそうですよね」

ちひろ「じゃがいもみたいに言いますね。でもドーピングアイテムを栽培できたら楽しいでしょうね」

モバP「まあ、現実では10年も経つといろいろ劣化するのがオチですね。ボールペンなんてインクが固まって書けなくなる」

雪美「……時間が経つのは……こわい……」

ちひろ「大人みたいなことを……プロデューサーさんは余分なボールペンを持ち過ぎでは?」 デスカネ

モバP「話を最初まで戻しまして、他にもお祝いで貰うものと言えば腕時計ですが、携帯スマホの普及からか、Apple Watch以外あまり着けている人を見なくなりました」

モバP「……将来、雪美さんの卒業・成人祝いには何をあげようか。永遠の悩みです」


ちひろ「文字通り永遠に悩めそうなのが何とも……」

345: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:32:17 ID:XpOSB122
802

モバP「作業の進捗が思わしくない。うーむ……」

くるみ「ぷろでゅーしゃー……?」

モバP「おう、俺の初恋の人に雰囲気が似ている大沼くるみよ、どうした?」

くるみ「ふぇっ!?」

モバP「おっと失礼、マスクデータが漏れてしまった」

くるみ「……くるみ、ぷろでゅーしゃーの、初恋の人に、似てるの?」

モバP「ああ、似てる……と思う。接触が切れて結構経つから、本当に似ているのか精度はかなり怪しいものだが」

くるみ「……ぷろでゅーしゃーの、初恋のお話……」

モバP「……そうだな。休憩がてら、少し吐き出してみるとするよ」

モバP「えっと、中学生の時かな。その初恋の人は部活の先輩で、前髪アップのツインテールがチャームポイントで、いつも笑顔でフレンドリーだった」

モバP「俺が1年生の時の3年生だったから仲良くなりきる前にすぐ卒業で会えなくなって――」

――

くるみ「……(真剣に聞いている)」

モバP「――それから先輩と面影が似た人と出会う度に、異性として気になることが続いた……もう元の顔をはっきりは思い出せないのに」

346: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/24(土) 23:35:36 ID:XpOSB122
モバP「先輩、今頃どこかで幸せに暮らしているのかな……? すまんな、個人的な思い出とくるみを比べるようなことを言って」

くるみ「ううん。ぷろでゅーしゃー、ティッシュ……使う?」

モバP「ありがとう。どうもくるみの顔を見ていると当時の記憶がどんどん引き出されてくる。懐かしいな……ぐすっ」

くるみ「ぷろでゅーしゃー、くるみもいっしょに、泣くよぉ……ぐすっ」

雪美「……まさかの……貰い泣き……」

モバP「あ、雪美さん」スン

雪美「Pは……頼りない所もある……。だから……身近に……感じる……」

モバP「ははは……頼りないのは堪忍な」

雪美「……豆乳……持って来た……。くるみも……いっしょに……飲もう……」

くるみ「いいの? ……えへへ、豆乳、好きぃ」

雪美「……いい笑顔です……」

モバP「くるみの笑顔が強いのは写真写りの良さからも覗えるな」

モバP「普段は泣き顔も多いが、いざという時は自然体のように、でもしっかり決めてくる才能がある」

くるみ「才能……ぷろでゅーしゃーが言ってくれるなら……信じてみる!」


ちひろ「くるみちゃんが部活の先輩とか胸が厚くなるな」

348: ◆ORDERq/08U 2020/10/31(土) 23:08:34 ID:gk9fS.f6
803

モバP「……」グテー

ちひろ「どうしたんですか? 大型イベントが終わった後のような燃え尽きようですけどそんなのありませんでしたよね?」

モバP「そりゃもう、大型イベント。終わりましたよ……ドラフト会議」

ちひろ「ああ、一年の総決算的な……というか本業関係ないことですか」

モバP「いえ、“アイドルドラフト会議”のことです」

ちひろ「私の知らないドラフト会議ですね……アイドルや声優や食べ物のドラフト会議はバラエティ番組とかで見なくもないですけど」

モバP「ウチの場合は、年一でプロデューサー同士で寄り集まって、各々がパワプロで作った渾身のアイドルを集めて1位から順に指名していくんです。重複したらクジで」

モバP「そして指名した選手でトーナメント戦をして盛り上がる感じですね。毎年層が厚くなっていって、編成が楽しい」

ちひろ「思ったよりも野球要素入っていましたね。というか仲良いな」

モバP「やっぱり一年溜めてからのお祭りですから楽しくて、終わった後の虚無感……」

雪美「……私も……ゲストで……参加した……」

モバP「そうそう。独自ルールで過去に指名したアイドルを実際に連れて来ても良いんですよ」

モバP「雪美は第一回のドラフト3位でした……346プロはアイドルの数が多い分、他所のPに指名されるリスクが高いのが難点で、駆け引きが捗って仕方ありません」


ちひろ「妙にリアルな順位付けるんですね。敢えて1位じゃない所とか」

349: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:09:50 ID:gk9fS.f6
804

雪美「……」ピトッ

モバP「……」ダキッ

ちひろ「ニホンザルの猿団子のように身を寄せ合っていますね」

モバP「最近少し二人の関係にマンネリが出てきたので、距離感を見直そうと」

ちひろ「距離を置くどころか余計に近づいているんですけどそれは」

雪美「……温かい……」

モバP「嫌なことがあったからくっつく、というのは慰めとしてよくありますが」

モバP「良いことがあったからくっつく、幸せを分かち合うというのも良いものですね」

雪美「……とりあえず……くっつきたい……だけ……?」

ちひろ「雪美ちゃんもそれで堂々としていますよねえ」

雪美「……これが……普通……」(゜-゜)キリッ

モバP「しかしニホンザルと言えば温泉ですね。雪美と温泉にも入りに行きたいな」

雪美「……その時は……背中……しっかり……洗って……あげる……」 ハハハ、イウネエ


ちひろ「当然のことと言わんばかりに混浴する気か」

350: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:10:59 ID:gk9fS.f6
805

モバP「これは天保五両判金か」サクサク

雪美「……波のような……模様……。これは……削頭千……?」サクサク

ちひろ「一見では何の会話か分かりませんね」

雪美「……ちひろさんも……どうぞ……」

ちひろ「ありがとうございます。……じゃあこれ」

ちひろ「……これは寛永通宝ですね」

モバP「袋にあるリストを見なくても分かるとか凄いですね」

ちひろ「字を見れば分かりますし」サクサク

モバP「普通のお菓子は形なんて全部同じだったりそうでなかったりしますが、このエースコインはそうでない方で」

モバP「一枚一枚、食べる前にどんなコインを模してあるのか自然と確認してしまう」

雪美「ゆっくり食べられて……良い……」

モバP「そうだな。アルフォートとかもついどんどん食べてしまうから、手を止めて見られるように絵の種類がいくつかあったら良いのに」

ちひろ「その製造の手間の代償で値上げしたり内容量が減ったとしても?」

モバP「それはちょっと困ります」

351: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:13:24 ID:gk9fS.f6
ちひろ「それにしても、ビスケット単体を久々に食べた気がします。味はシンプルですけど美味しい」

モバP「クッキー、ビスケット、サブレ――昔は区別出来ませんでしたね」

ちひろ「作り方とかに違いがあることは分かっていましたけど、曖昧でしたね」

雪美「アイスクリーム……アイスミルク……ラクトアイス……」

モバP「そんなのあまり考えずに食べていたよな」

雪美「アシカ……アザラシ……オットセイ……トド……セイウチ……」

モバP「それもよく分からずに似たような動物という括りで見ていたな」

ちひろ「似たような動物扱いは酷いと思いますけど」

雪美「……あまり……接点が……ないから……。猫なら……詳しい……」

モバP「雪美さんは猫のことには詳しいよな。交 が凄く痛いこととかを知っている」

雪美「……排卵誘発のため……ね……」

ちひろ「お菓子食べながら交 の話をするのはお二人の時だけにしてくださいよ?」

モバP「失礼、少し品を損なってしまいました。……これは和同開珎か」サクサク

ちひろ「こういうお菓子とか新聞広告とか、最近古銭ブームなんですかね?」


モバP「どうでしょうね? お札の印刷番号キリ番くらいなら自分も探しますが」 キリバン……?

352: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:15:27 ID:gk9fS.f6
806

モバP「金剛杵ってありますよね」

ちひろ「はい」

モバP「あれって武器としては凄く性能的に微妙そうに見えませんか?」

ちひろ「刃物としてはあまりリーチがありませんからね。まあダブルセイバーみたいに長くても扱いにくそうですが――って何の話ですか」

雪美「……んっ……んっ……」

モバP「雪美がダンベルを持って上腕二頭筋を鍛えている姿を見ると何となくそんなことを考えるのです」

ちひろ「ダンベル女子……流行りそうな気配がなくもない」

雪美「……ふっ……ふっ……」

モバP「……」ポーッ

ちひろ「何熱い視線を送っているんですか」

モバP「いや、真剣な表情が神々しく見えてしまって」

雪美「……! ……」ニコ

モバP「こっちに気づいて笑顔を見せる雪美さん、控えめに言って最高やな」


ちひろ「……おもちゃのダンベルですよね?」

353: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:18:38 ID:gk9fS.f6
807

むつみ「私、実はずっと、Pさんのデスクの下がどんな空間になっているのか興味がありました」

むつみ「いざ往かん、小さな冒険へ!」

輝子「フヒ……冒険家さん、この先に行きたいのか?」

むつみ「あ、あなたがこの入り口を守るというキノコの門番ですね!」

輝子「え、えっと……そうとも! ここを通してほしくば、証を示せ」

むつみ「証……ですか」

むつみ「そうだ! 以前の冒険で喋るキノコ、マ・ピニョンから友達の証として貰った、この○きのこバッジ○をあげましょう」

輝子「と、トモダチの証……! い、良いのか? そんな物を貰って」

むつみ「たくさん貰いましたから! ほら、サファリジャケットにいっぱい」

輝子「トモダチいっぱい……羨ましいな……」ノソノソ

輝子「よし……さあ、通れ」

むつみ「入口は小さいですね。四つん這いでないと通れないかも……でも、こんな所で引き返しません」

むつみ「では、行ってきます!」

――

354: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:20:52 ID:gk9fS.f6
むつみ「広い空間に出たと思ったら、ここは……草原? みんなで遊べそうなほど広い! 事務所の地下がこんなになっていたなんて!」

――

むつみ「何か墓石らしき台から更に地下へと続く階段を見つけ、下りてみた所、貯蔵庫らしき場所に来ました。……ちょっとかび臭いですけど、こういう空間ってロマンですね」

――

むつみ「この崖下に広がって見えるのは地下帝国ですか。たくさんの労働者が建設作業をしていますね。あの千川のマークは見なかったことに……」

――

むつみ「監視の人に見つかって慌てて隠れたトイレが迷宮に繋がっているなんて。それも襖で仕切られていて変な感じ……でももう少し奥まで逃げましょう」

――

むつみ「ここは地下水脈でしょうか、人の手の入ったような洞窟に水の流れる音……もう随分降りてきましたけど、私ここからどうやって脱出すれば……」

――

むつみ「梯子を下りたら突然病院か研究所のような空間が……。何だか息苦しい……こんなに地下に来たら当たり前ですね」

むつみ「……はぁ……はぁ……。まずい、意識が遠く……。……ん? あ、あなたは……」

雪美「……お帰りは……こちらになります……」 エッ ユキミチャン!?

(゜-゜) <……


モバP「――むつみ、俺の机の下で熟睡か?」 エッ ワタシイッタイナニヲ?

355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:23:57 ID:gk9fS.f6
808

モバP「♪」

雪美「……♪」

紗南「Pさんと雪美ちゃんのコンビプレイでどんどん進むねー」

ありす「あ、ゴールですね。みなさんスターは取りましたね、行きますよ?」

テレレレッテ テレレレッテッテ yahoo!

モバP「いやあ、スーパーマリオ3Dワールドで複数プレイは未だ現役を張れる楽しさだな」

紗南「確かnewスーパーマリオブラザーズwiiからだね、4人同時にプレイ出来るのって」

モバP「マリオブラザーズ2やマリオワールドの頃は交代制だったからな」

モバP「しかしカジノ街のようなライトアップされたテーマパークの雰囲気が好物だ。ジャズBGMも心地良く夜の華やかさに没入する」

ありす「本場のカジノには行ったことがありませんけどね。いつか行ってみたいです」

モバP「俺もだ。カジノとは違うがマリオカートのワルイージピンボールもコースの中で一番くらい好きかも」

紗南「Pさんはセガのソニックシリーズとかも好きそうだね」

ちひろ「プロデューサーさんにもやっとマリオで遊ぶ友達が以下略」 マエカラ(ry


雪美「……ふふ……にゃーお……」 ←ネコマリオお気に入り

356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:34:58 ID:gk9fS.f6
809

モバP「ちひろさん、ロックって何でしょうね」

ちひろ「李衣菜ちゃんに惑わされでもしましたか」

モバP「中らずと雖も遠からず。李衣菜をどう導くべきか自信が無くなりつつあります」

ちひろ「プロデューサーさんがそれだと困りますね」

モバP「とりあえずThrough the Fire and Flamesを弾けるようになれ、とは言っておきましたが」

ちひろ「獅子は我が子を千尋の谷に落とす的なスパルタですかそれは」

モバP「でも、ああ見えて育ちが良くて、優等生なんですよね。舐めてかかると頭脳で負けます。みくと合いそうなタイプなんですがね」

ちひろ「……李衣菜ちゃんがと言うつもりは無いですけど、一番好きなものが一番不得意、という人は稀にいますよね」

モバP「スポーツとかで、はい。やっぱり険しい道ほど燃えるものがあるんですかね……ん?」 ガヤガヤ

チガウニャ! イイジャン! ココハコウダカラ! ソレアナタノカンソウデスヨネ?

みく・李衣菜「「もう! 解散にゃ(だ)!」」

雪美「……ケンカ……しない……!」メッ

みく・李衣菜「「はい……」」


モバP「母は強し、ですねえ」 ハハ……?

357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/10/31(土) 23:36:45 ID:gk9fS.f6
810

モバP「雪美さんに着せてはいけない服シリーズー(不定期)」

ちひろ「まだやるんですか」

雪美「……」コクコク

モバP「そんなにネタがある訳じゃないのでいつか消滅します。いつかはね」

雪美「……着せたい服……そんなに……ないの……?」

モバP「着せてはいけない服であって着せたい服じゃないんだ、建前は」

ちひろ「アウトな衣装でもいくつも挙げれば大抵は被りが出てきますからね」

モバP「えっと、今回は、これは完全に狙ったような格好になりますが、スクール水着の上にセーラー服ですね」

ちひろ「某潜水艦娘みたいですね」

モバP「スカートを穿いていないのがアンバランスな感じがしますが、穿くとスクール水着要素が見えなくなるという」

雪美「これだと……着衣水泳……みたいに……貼りつきそう……」

ちひろ「泳ぐ時はさすがにセーラー服は脱ぐと思いますけどね」

モバP「半脱ぎみたいな姿が無垢な少女感を引き立てますが、よく考えれば着せてはいけないって程じゃなかったかも」


雪美「……じゃあ……着てみたい……」キラキラ ドウシマスコレ?

359: ◆ORDERq/08U 2020/11/07(土) 22:20:25 ID:pE9RphYw
811

モバP「人生は選択の連続である」

モバP「どちらか一つしか、その一度きりしか選べない運命の選択」

モバP「そんな機会が多々訪れると言って良い」

雪美「進路……とか……?」

ちひろ「雪美ちゃんの歳で進路のことなんて考えたくないですねえ」

モバP「そして今ここで俺も、雪美にある選択を課すことになる」

雪美「えっ……」

モバP「よく考えて選んでくれ」

雪美「……」ドキドキ

モバP「今日のおやつはクイニーアマンとじゃりパン、どっちを食べたい?」

ちひろ「」ズルッ

雪美「……むむむ……」

ちひろ「悩みますか」


みちる「ブルターニュか宮崎か、これは迷いますよ!」 ナンデソノフタツナノ?

360: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/07(土) 22:24:48 ID:pE9RphYw
812

テレビ<ダイヤモンドカーラーユーメーヲハナツペールセーウースー

モバP「野球選手がオールドスタイルの格好をしていると、足が締まって見えるなあ」

友紀「ストッキングを外に出して見せる格好だね。クラシックスタイルとも言う」

法子「オールドファッション?」

モバP「そらドーナツや。ミスドの定番だとフレンチクルーラーの方が人気らしいな」

法子「フレンチクルーラーの類似品はオールドファッションに比べるとそんなに無いからね」

雪美「……でも……ポンデリング……強い……」

モバP「こほん。しかし裾を出さないのって何かxxxxスタイルって感じがするよな」

友紀「シャツ入れデニムショートパンツとかアメリカのティーンエージャーって感じだね」

モバP「何故かガタイが良い子がイメージされる」

雪美「……私が……やったら……?」

モバP「似合わなくはないが、それで髪もおかっぱボブくらい短かったら中性的で男子と見間違うかもな」

友紀「今時男の子でもショートパンツはなかなかいないよね。ハーフパンツならともかくだよ」


モバP「でも小学校には学年に一人は年中短パンの児童がいると聞くがな」 ……トシデンセツ?

361: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/07(土) 22:31:53 ID:pE9RphYw
813

モバP「こういう仕事をしていると旅館に泊まったりホテルに泊まったりする機会が増えていく」

ちひろ「経費で落ちますからね」

雪美「でも……あまり……忙しいと……満喫できない……」

モバP「せっかく泊まっても忙しかったり疲れて爆睡したりして楽しみ所を逃すと勿体無いよな」

ちひろ「ただ泊まるだけなら簡素な所でも良いですからね」

モバP「まあビジネスホテルやカプセルホテルだと疲れすら取れないこともありますが」

モバP「……想像してみてください、和室のある旅館に泊まる光景を」

雪美「……広くて……良い匂い……しそう……」

モバP「ですな。まずはチェックインして独特の四角柱が付いたキーで部屋に入ったら荷物を置いて、畳に思いきり大の字になりたい」

モバP「洋室のベッドと違っていくら転がっても落ちないので安心です」

ちひろ「はしゃぎ過ぎです」

モバP「そして給湯器でお茶を入れて、備えてあるゴーフレットと共にいただきます」

ちひろ「お着き菓子ですか。入浴前に血糖値を上げた方が良いとかで置いてあるそうですね」

モバP「そして、テーブルに置かれた木で出来たタングラムパズルで遊びます」 アソブノカヨ

362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/07(土) 22:33:02 ID:pE9RphYw
雪美「あれ……意外と……難しい……」

モバP「そこが良いんだよな。で、後は、温泉! 夕食! 温泉! 温泉! って感じで」

ちひろ「温泉入るなあ」

モバP「温泉は何度でも入れるなら入らないと損な気がします」

ちひろ「それは一理ある」

モバP「そしてしっかり浴衣にも着替えて、緩い雰囲気でのんびり夜更かしですかね」

雪美「……泊まりは……なかなか……眠れない……ね」

モバP「枕が変わると、か。非日常で興奮して目が冴えてしまうのはよく分かる」

モバP「で、あまり寝た気にならないままモーニングコールと」

雪美「そして……朝風呂……」

モバP「最高だね朝風呂。気持ち良く目が覚めるね」

ちひろ「寝不足は大丈夫ですか?」

モバP「大丈夫です。でも、一度は一泊二日のところを一日延長して、間の一日は部屋でテレビを見たり、有線放送を聴いたり、ブラブラしたり、何の予定も無く過ごしてみたいものです」

ちひろ「ホテル暮らしとかに憧れていそうですね」


雪美「……ホテルで……暮らすと……いろいろ……ダメに、なりそう……」 ソコナンダヨナ

363: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/07(土) 22:34:16 ID:pE9RphYw
814

モバP「あっ、幸子だ」スタスタ

幸子「あっ、プロデューサーさん。どうも」テクテク

モバP(このままだとぶつかるな、右に避けよう)

幸子(このままだとぶつかりますね。左に避けましょう)

モバP・幸子「……っ!」50%

モバP(おっと。じゃあ今度は左に)

幸子(右に避けましょう)

モバP・幸子「……っ!」25%

モバP(ここは敢えてまた左だ!)

幸子(もう右に行きますからね!)

モバP・幸子「……っ!!」12.5%

モバP・幸子「ぐぬぬぬぬ」6.25% 3.12% 1.56% 0.78% 0.39%

雪美「……P……幸子……廊下で……見つめ合って……どうしたの……?」


ちひろ「息が合ってますねえ」

364: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/07(土) 22:35:23 ID:pE9RphYw
815

モバP「果物と名が付きながら常識的に甘くないと分かる物ってあるよな」

雪美「……レモン……とか」

モバP「それもあるし、これもそうだ。そろそろ熟れてきたころ」

雪美「……これは……アボカド……?」

モバP「正解。雪美はアボカドは食べたことはある?」

雪美「……うん」

モバP「そうか。これがなかなかハマると美味いのよな」

雪美「わさび醤油で……食べると……おいしい……」

モバP「お、知っているじゃない。別名“森のバター”は大袈裟かと思ったら本当にバターっぽいという」

雪美「……これも……果物……」

モバP「ドリアンやライチと並んでトロピカルフルーツとしてよく名前が挙がるから、最初は甘い物だと勘違いしていたなあ」

雪美「牡蠣は……海のミルク……、大豆は……畑の肉……。……じゃあ……私は……?」

モバP「雪美は……雪美は……何だろうな? 陸のアイドル?」


ちひろ「そのまんまやないか」

365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/07(土) 22:36:20 ID:pE9RphYw
816

雪美「……P……スーツに……毛が、付いてる……」スッ

モバP「おう、目敏いな。ありがとう」

雪美「……」

モバP「……」

雪美「……ドキドキ……しないの……?」

モバP「このくらいのスキンシップで狼狽えていたら体が持たないよ」

雪美「……私に……飽きた……?」

モバP「飽きてはいない。雪美に触れられるのは好きだ。だが、慣れてきている」

雪美「……もう少し……深い繋がりを……持つべき時が……来た……?」

モバP「雪美とは既に充分深い関係だと思っていたんだが」

雪美「……でも……まだ……出来ていないことも……ある……///」

モバP「意味深に顔を赤らめないでくれ。そういうの、ドキドキしてくるから」

雪美「……ふふふ……。Pも……まだまだ……ね」


ちひろ「こんなプチ・マドモアゼルもいつかはマダムになるんでしょうかね」

366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/07(土) 22:37:23 ID:pE9RphYw
817

モバP「童心に返って鬼ごっこをやりたい気分だな」

雪美「……やる?」

モバP「やろうか」

ちひろ「今は真面目に仕事してください。でないと私が自動的に鬼になりますよ」

モバP「はい」

雪美「……残念……また今度……」

モバP「まあ、あまり頭を使う作業ではないから話だけなら出来るぞ」

雪美「……鬼ごっこ……好き……?」

モバP「好きだが、なかなか難しいよな」

ちひろ「と言いますと?」

モバP「シンプルな追い追われだと持久戦になりがちなので」

ちひろ「そこに追加のルールやハンデを組み込んで楽しくするんでしょう。特定の場所で何をしろ的な指令をしたり」

雪美「色鬼……とか……」

モバP「じゃあ金色! とかね」 ムチャイウナ

367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/07(土) 22:41:58 ID:pE9RphYw
モバP「しかしあまり煩雑になり過ぎても遊びとして楽しめなくなりますし、バランス調整がシビアです」

モバP「見るだけならバラエティの逃走中とかVS100人刑事とかとても面白そうなんですがね」

雪美「……うん」

ちひろ「広い土地を貸切で鬼ごっこみたいなことをするって発想が凄いですよね。出来ますけど」

モバP「出来るんですか……。個人的にはプロデューサーVS200人アイドル的な遊びをいつかやってみたいです」

モバP「まあ逃げきる自信があるので目に見えた勝負でつまらないかもしれませんね」フフン

雪美「……P……1人で逃げる……の……?」

モバP「サバゲーで鍛えているから余裕」

ちひろ「プロデューサーさんが鬼で制限時間内にアイドル全員捕まえる、とかの方が面白いかと」

雪美「……私は……Pには……捕まらないから……楽勝」フフン

ちひろ「お互いに大した自信ですね」

モバP「実は広範囲鬼ごっこは以前、一度やったことがあります。ルールをよく理解できずに雰囲気だけで年長者に付き合っていた形ですがね」

モバP「遊びの分かりやすさと公平さと面白さを三点両立させるのはとても大変なんですよね。あと地域住人の理解と、試合としてのガチ感」

ちひろ「バラエティも例えばビーコン演出とかは良いとして、カメラマンが随伴して位置がバレる不自然さはいつも気になります」


雪美「……Pと……ちひろさんの……本気の鬼ごっこも……見てみたい……」 コダワリマスヨ?

370: ◆ORDERq/08U 2020/11/14(土) 22:45:08 ID:h9EpMVBA
818

紗南「よし、ステーションとドッキング完了」

モバP「緑くんが活き活きしているな。この探査が片道切符となるとは知らずに」

紗南「いや、ちゃんと帰って来られるから」

ちひろ「おや、それはカーバルスペースプログラムですか」

雪美「……英語と……数字が……いっぱい……。難しそうな……ゲーム」

モバP「現実の国際宇宙ステーションもこのくらい大きくしていけないんでしょうかね?」

ちひろ「無重力で天井とかもスペースとして使えるとは言え、狭いは狭いですからね」

モバP「自分が勝手に思っているだけですが、宇宙進出への中継基地的なものとするには規模が物足りないというか」

雪美「……衛星みたいに……大きかったら……良いかも……ね」

モバP「SFに出てくるスペースコロニーとか巨大だからな」

ちひろ「あんな質量のある物、少しずつ地球から打ち上げて組み立てるのにはとてつもない時間と費用がかかるでしょう」

モバP「地球は重力と大気から手厚く守られている反面、脱出するのも一苦労ですからね。ましてや有人では」

モバP「……しかしこのゲームを遊びこなせる人は理系適性がある気がします、何となく」


紗南「この中で理系のイメージと言えば、ちひろさんだね」 ワタシ? ソリャネ?

371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 22:47:43 ID:h9EpMVBA
819

モバP「……ああ、いつもと変わらぬ日常だねえ」

桃華「……///」

ちひろ「膝の上に乗っているのが桃華ちゃんであることを除けばですね」

モバP「あれ? それは結構大きな変化じゃないですか?」

雪美「……私だと……思ってた……?」

桃華「だ、誰でも良かったんですの?」

モバP「冗談さね。桃華のことはしっかり感じ取っているよ」

モバP「まだ少し硬い感じが伝わってくる。この席には慣れていないようだな」

桃華「わ、わたくしはレディですから、すぐに馴染んでみせますわ!」

モバP「桃華ならそれも早いことだろう。しかし俺の膝上に乗せてもらいたがるとは」

桃華「子どものようなおねだりをして、はしたなかったかしら?」

モバP「いや、桃華がこういうお願いをしてくれることが嬉しかったよ。頼れる年上らしいことの一つもなかなかしてやれないことが多いし」

桃華「……Pちゃま。……では、もう少し肩の力を抜いて、甘えさせていただきますわ」 ギュッ


雪美「……Pの……父性が……高まっていく……」

372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 22:53:23 ID:h9EpMVBA
820

雪美「……P……お茶にしよう……」

モバP「おう、そうだな」

コポコポコポ

雪美「……はい」

ゴクゴク

モバP「苦いねえ。シンプルな水筒から注がれた……ハーブティーか? いつもこれを持ち歩いて?」

雪美「……いつもは……普通の……お茶……」

モバP「良かった。『あのーもりくぼ犯人分かっちゃったんですけど』とか言い始めるタイプじゃないか」

ちひろ「乃々ちゃんはそんなこと言いません」

モバP「外見の割に赤のレースのパンツしか穿かないとか」

ちひろ「絶対それ10代のセンスじゃないですから。……最近はケイゾクの再放送でも見ていたんですか?」

モバP「はい。あれは何度見ても飽きませんね。古畑任三郎や相棒もですが」

ちひろ「それと床にシート広げて座っているのもツッコミ待ちですか?」

雪美「……冷えないように……座布団も……ある……」 ヨウイガイイデスネ

373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 22:56:16 ID:h9EpMVBA
モバP「やっぱりほら、気分的には水筒でお茶するならレジャーシートの上がしっくり来ませんか?」

ちひろ「でもここ事務所ですからね?」

モバP「ついでにお弁当箱におにぎりといなりと唐揚げと肉団子・うずらの玉子・ミニトマトの串刺しとかも欲しいね」

ちひろ「運動会かな?」

雪美「……今度……作ってくる……!」

ちひろ「作らすな。……プロデューサーさんは運動会お花見ピクニック等の行楽欠乏症ですね」

モバP「子どもの頃は休日は親によく行楽に連れられたもので、頭と体と胃が覚えていて、今禁断症状が出かかっています」

ちひろ「記憶力の良い胃だなあ」

雪美「……P……道理で……シートの上が……馴染んでる……」

モバP「……そうかい? しかし事あるごとに弁当を作っていた親は偉大だな」

モバP「俺も今度アイドルたちとピクニックに行く時は早起きして大きな三段箱くらいの弁当を作ってみようかな」

ちひろ「親子じゃないんですから仕事外であまりはりきりすぎないでくださいよ?」

雪美「……じゃあ……その時は……手伝う……」

モバP「よろしくな。まずちょうど疲れたところに甘い油揚げと酢飯が染みるいなりは最高だし、おにぎりの海苔がしっとりした独特の状 もたまらんよなあ……」


ちひろ「この人シートに座るだけでお腹が空いてきたようですね」

374: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 23:00:25 ID:h9EpMVBA
821

雪美「……P」

モバP「ん?」

雪美「……私……喋るの……遅い……?」

モバP「ゆっくりめではあるが、俺はそのスピードで良いと思う。……何か言われたりしたのか?」

雪美「……違う。……でも……速い方が……伝えたいこと……より多く……伝わる……と、思って……」

モバP「かもな。でも、ゆっくり丁寧に綺麗に言葉を発する人も、魅力的に感じるよ」

雪美「……そう……?」

モバP「以前、免許取得の為に自動車教習所に通っていた時、そこの受付のお姉さんが台湾出身でね」

モバP「ゆっくりした、ジャズシンガーのような色っぽいスモーキーボイスと喋り方だった」

モバP「見た目は普通の社会人の黒髪美人さんって感じだったから、電話で話す時のイメージを良い意味で裏切られたな」

雪美「……色っぽい……。……じゃあ……私も……?」

モバP「スモーキーよりはウィスパーのそれだが、雪美さんも、です。当たり前だよなあ?」

雪美「……そう言われると……少し……うれしい……」


早苗「P君って試験場飛び込み一発合格してるイメージだったから意外ね」 ソンナチョウジンジャナインデスカラ

375: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 23:05:14 ID:h9EpMVBA
822

モバP「11月11日はポッキー&プリッツの日!」

モバP「……だった」

雪美「……忘れてた……ね」

モバP「まあ日常において別に覚えておかないといけないことではないからな」

ちひろ「関連のお仕事でもあれば別ですけどね」

モバP「というわけでヤンヤンつけボーが食べたくなってきました」

雪美「……それなら……ここに……」スッ デカシタ!

ちひろ「ポッキー何の関係も無いじゃないですか」

モバP「僕はねえ、昔からこういう知育菓子の類がたまらなく好きなんですよ」

雪美「知育……。……お菓子の……家とかも……そう……?」

モバP「あれはちと高いが最近の物は本格的よな。崩すのが惜しくて食べられなくなるくらい」

ちひろ「お菓子で家を作るという発想って、大抵はヘンゼルとグレーテルから得ますよね」

雪美「……お話は……怖い……。でも……お菓子の……家は……夢……」


モバP「グリム童話の食べ物描写って食欲を煽るよな」 ワカル……

376: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 23:06:39 ID:h9EpMVBA
823

モバP「最近は寒くなってきたね」

雪美「……」コク

モバP「秋が深まってきたのを実感する」

モバP「そうなれば鍋……のシーズンにはまだ少し早いか」

晴「……Pと鍋したら闇鍋になりそうだな」

モバP「それはせんよ、さすがに。みんなで好きな材料を持ち寄ってぶち込むのは好きだがな」

晴「本当か? ふざけてイチゴとか入れたりしないよな?」

モバP「ありすでもさすがにそこまではやらないぞ。思いつくまではいくだろうが」

雪美「……鍋……作ると……何日分も……できそう……」

モバP「鍋はみんなで食べる時に作りたい物ではあるよな」

モバP「今はお一人様向けの外食もあれば個食鍋の種類も豊富だから、余分になってでも作ろうとはあまり思わない」

雪美「あとは……おでん……」

モバP「ああ、良いね。俺は昔おでんの匂いと練り物が苦手だったが今は好物だ」

晴「ご飯のおかずにあまり合わないからなー」

377: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 23:08:15 ID:h9EpMVBA
モバP「そんなおでんと言えばやはり餅巾着だな。これぞおでんである必要がある一品」

晴「いや、そこは普通大根だぜ大根」

雪美「私は……玉子……」

モバP「好みが割れたなあ。大根は定番だが何かからしがしっくりこない時があるんだよな。あと玉子は熱い」

晴「何だよその澤もドリブルが上手い、みたいな適当なあしらいは」

雪美「口の中……火傷でも……した……?」

モバP「経験あります。でも美味しいよなどちらも。……ちなみに好きなネタ二番手は?」

晴「牛すじかな」

雪美「……こんにゃく」

モバP「あれれー、おかしいぞー? 全然合わないな。俺はじゃがいもだ」

晴「じゃがいもで合わすのは難しいと思うぜ?」

モバP「自分の好きな物はなかなか譲れないんよ。で、今日の夕飯は何を食べたい?」

雪美「そこはP……譲るの……?」

モバP「好きなことだけで世の中は生きて行けないからね。悲しいけど」

晴「そんなこと言うなよ……。じゃあ、何かスタミナが付くやつとか」

378: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 23:10:53 ID:h9EpMVBA
モバP「回鍋肉とか作ってみるか? キャベツと豚肉でシンプル中華だが食欲湧くぞ!」

晴「おっ、ご飯に合うやつを持って来たな。シンプルはシンプルだけどさ」

モバP「人間、シングルタスクよりシンプルタスクだよ」

晴「何言ってんだか」

モバP「普段も白菜と豚肉のミルフィーユとかアサリの酒蒸しみたいなおかずをよく作るからな」

雪美「シンプルでも美味しい……これ……大事……」

モバP「さあ、それと決まればこのまま仕事返りにスーパーに寄って帰るか」

晴「……」

雪美「……」

モバP「どうした? 二人とも外に出たら突然静かになって」

晴「……まだ6時になってないのにもう真っ暗だな」

モバP「……そうだな。宵闇の薄暗さが物寂しく感じる」

雪美「……」コク

晴「夏ならもう少し外で遊んでいられるのにな」


モバP「日が沈んだら家に帰らなきゃって本能的に思うよな」サ、カエロウ

379: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 23:12:27 ID:h9EpMVBA
824

雪美「……」チョコン

モバP「……こうして雪美を乗せていると時々手の行き場が余る感じがする」

雪美「……じゃあ……手遊び……しよう……」ワチャワチャ

モバP「……雪美に自分の手を良いようにされるのは快感」

ちひろ「はぁ……プロデューサーさんの手、雪美ちゃんと絡むと本当に大きく見えますね」

雪美「……大きな手……。でも……私に……よく、馴染む……そんな……存在……」

モバP「……この手をしっかり利用して、雪美さんを抱き締めても良いんだ」

雪美「……大胆……!」

モバP「でも、間違って変な所を触ったりしたらいけないからなあ」

ちひろ「プロデューサーさんは女性を抱き慣れていないんですね」

モバP「ちひろさんに抱き慣れるなんて言われると不覚にもドキドキしますね。はいそうです」

雪美「P……シャイだから……ふふっ……」

モバP「おかげで女の子に触れるだけでも勇気が要るんですよこう見えて」


ちひろ「おまえは何を言っているんだ」

380: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/14(土) 23:15:42 ID:h9EpMVBA
825

モバP「我々、我慢の限界で遂にやっちゃいました」

雪美「……」コクコク

ちひろ「二人並んで何ですか、大人の階段でも上っちゃった訳じゃありませんよね?」

モバP「家にこたつを出したんです」

ちひろ「それは別に我慢する必要はないと思うんですけどね」

モバP「しかしあれがあるとやっぱり動くのが億劫になってしまいますね」

雪美「……きっと……今も……誰かの……ねぐら……」

ちひろ「気づかずに足を突っ込んだら杏ちゃんとかがいるんですかね」

モバP「ウチのこたつは皆が押しかけても良いように大きいのをいくつか置いてありますからね」

モバP「それにしても部屋が暖かいと冷たい物が美味しいです。アイスとか」

ちひろ「贅沢ですねえ。今週は食欲の秋真っ盛りなようで」

モバP「楽しい食事タイムがあるから前後の運動も捗るというものです。元々自分は動いていないと落ち着かないマグロみたいなものですからちょうど良いですよ」

雪美「……Pは……回遊魚……だった……?」


通りすがりの美優「前後運動……? Pさんは……マグロ……?」

382: ◆ORDERq/08U 2020/11/21(土) 22:52:04 ID:C98n8BMw
826

モバP「ここにあったビル、いつの間にか無くなっているんだな」

雪美「……本当……」

モバP「更地に変わった場所を見ていると、土地というのは建物が無いと何だか狭く感じる」

雪美「周りが……高い……建物……ばかり……だから……」

モバP「それはあるな。景色が開けていれば違って見えそうだ」

雪美「……こうして……形ある、物は……いつか……無くなる……」

モバP「人が集まり留まる都会も少しずつ姿を変えていく。ずっと同じままではいられない」

モバP「ここにどんなお店があったとか、思い出とか、少しずつ忘れられていくのかな」

雪美「……切ない……」

モバP「自分がもしいつも通りの感覚で朝起きたのに50年後だったらどうしよう。周りは知らない人に知らない建物ばかり」

雪美「……浦島太郎……みたい……。……考えたく……ない……」

モバP「浦島太郎か……俺にとっては346プロが竜宮城みたいなものかもしれないな。人生のメタファー的な」

雪美「……もし……そうだとしたら……最後は……玉手箱……開ける……?」


モバP「……開ける、と思う。というか開けないとあれはどうなるんだろうな?」

383: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/21(土) 22:58:40 ID:C98n8BMw
827

杏「プロデューサーってさ」

モバP「何かね?」

杏「何も無い休みの日って何やってるの?」

モバP「俺に休みの日があると思うか?」

杏「あっ……ごめん」

モバP「あるに決まっているだろ。何当然のようにやっぱり無いんだと納得しかけているのよ」

杏「……まあその代わり、普段からあまり根を詰めて働いている感じはしないよね」

モバP「やかましいわ。休みの日でも無給で事務所に来て残っている仕事を消化したりアイドルと遊んだりするんだから」

杏「暇潰しに来てるのかな?」

モバP「運動会の観戦者側の余裕ってやつだな。俺は今日休みだけどー? って立場で悠々」

杏「うっわー、いい性格してるよ……。どこかに出かけたりはしないの?」

モバP「346プロが閉まっているような時は、図書館で本を読んだりDVDを見たりして午前を過ごし」

モバP「お腹が空いたら近くの洋食店で食事をして、午後はぶらぶらってところか。優雅な休日だろ?」


雪美「……憧れる……!」キラキラ ユキミチャン……

384: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/21(土) 22:59:51 ID:C98n8BMw
828

モバP「……」ソワソワ

ちひろ「落ち着かないですね」

モバP「雪美が来ないかなあと」

ちひろ「プロデューサーさんってそこまで雪美ちゃんがいないとダメでしたっけ?」

モバP「依存症というわけではないと思いますが、口寂しいならぬ膝寂しいというか」

ちひろ「雪美ちゃんを嗜好品のように認識しているのはどうかと」

ちひろ「雪美ちゃんには雪美ちゃんの生活がありますし、プロデューサーさんは他のアイドルにとってもプロデューサーさんなんですからね?」

モバP「心得ております。……よし! 気持ちを切り替えよう」

パタン

雪美「……」ソーッ

モバP「……さて、全集中の呼吸も済んだし早速仕事にとりかかろうと思ったら」

雪美「……」ピクッ

モバP「俺のここは、いつでも空いてますよ? あ、いつでもじゃないか」

雪美「……」クスッ

385: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/21(土) 23:03:46 ID:C98n8BMw
――

モバP「雪美さん捕まえた」

雪美「……捕まった……♪」

ちひろ「捕まえたというか食虫植物のように誘き寄せましたけどね」

モバP「雪美は捕まえようと思えばイチゴや黒猫グッズですぐ捕まえられますよ」

ちひろ「そんなことしちゃあ、ダメでしょ?」

モバP「……もしかして、嫌だったか?」

雪美「……」フルフル

モバP「本人許可が出ているので大丈夫です。雪美さんは誰にでもそうする訳じゃありませんし」

雪美「……千秋にも……よく……捕まりに……行く……」

ちひろ「雪美ちゃんはプロデューサーさんが絡まなくても割とこんな感じですか」

ちひろ「……まあ、同じような人は多いと思いますけど、私は雪美ちゃんを好きなプロデューサーさんを好きな自分が好きな気はします」

モバP「だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもの――という千年女優のセリフを連想しますね」

雪美「黄金の月……草の露に……♪」


ちひろ「でも平沢進を歌う雪美ちゃんはもはやなんでもありが過ぎると思います」 デスカネ?

386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/21(土) 23:06:55 ID:C98n8BMw
829

雪美A「……」ヒソヒソ

雪美B「……」コクコク

雪美C「……散」 シュンッ

モバP「雪美たちが集まる光景ってシュールだよな。最上級の目の保養だが」

あやめ「分身の術とは近代化の波で失われた特殊な歩法が元になっているのです」

あやめ「今で言うダンスがそれに近いのでしょうな」

モバP「ほう……よくそんなことを知っているな」

あやめ「……想像です」

モバP「想像か」

あやめ「はい」

モバP「いやいや……まあ案外そういうものなような気はする」

あやめ「プロデューサー殿は納得が早いですな。あやめもそうやって分身の術を会得したいのです」

モバP「……しかし、例えば自分のコピーが自分として周りの子からチヤホヤされていたら、嫉妬しそうなものだよな」

あやめ「自分は何人いても自分でありますから、良いのです」

387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/21(土) 23:16:36 ID:C98n8BMw
モバP「そういえば以前読んだ小説に、青年の主人公が病気で死にかけの悪人と意識だけ入れ替わるという話があったな」

あやめ「なんと……」

モバP「肝心のタイトルを思い出せないが、なかなか理不尽な展開を忘れられずにいる」

モバP「最終的に自分の体を取り戻すことができるんだが、そこで可哀想な結末が待っていて」

あやめ「……どうなるのでしょうか?」

モバP「悪人の意識が消滅して、記憶を持ったまま体に戻った自分と、そのまま病人の体に残された自分の二人になってしまうんだ」

あやめ「同じ記憶を持った主人公が二人に……」

モバP「そして病人の方の主人公は何で僕は死ななきゃいけないんだ? と言いながら死んでいく。最期まで理解者の女性が一人付き添ったことが僅かな救いだったが」

あやめ「……そのお話、読んでみたいものであります」

モバP「そういう視点を知ると、自分が複数いるって事実は想像以上に酷なことかもしれない、と思うなあ」 ガタッ

あやめ「物音? 何者かが潜んでいるのでしょうか」

モバP「ハムスターの集団が雨樋を滑り降りているのかもな」 カモネ……?

あやめ「ご冗談を――って、雪美殿いつの間に!?」

雪美「……秘密の……通り道……から……参上……」


あやめ「忍者屋敷か猫の通り道のような事務所ですなあ」

388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/21(土) 23:19:58 ID:C98n8BMw
830

ハナコ「ワンワン!」

モバP「ばう?」

ハナコ「ワン!」

モバP「わうわう」

ハナコ「ハフーン」

モバP「なるほどわからん」

凛「プロデューサーは最近やっと猫の考えていることが少し分かるようになった、って言うけど、犬のことはまだまだだね」

モバP「声を聞く感覚がなかなか難しいって知り合いの動物好きの我那覇さんも言っていたよ」

凛「……大物アイドルと知り合いなんて、やるじゃん」

モバP「でもまあせっかく渋谷家に来たからにはハナコにも挨拶をしておかないとな。昔実家にヨークシャー・テリアがいたから親近感がある」

凛「ふーん……ハナコ、おいで」 ワンッ!

モバP「俺にはこんなにじゃれつかないんだよな。好かれてはいると思うんだが」

雪美のテレパシー(……Pは……今は……猫と……同調率が……高いから……)


凛「……何か雪美の声が聞こえた」 リンモキコエルンダナ エッ

389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/21(土) 23:22:11 ID:C98n8BMw
831

モバP「最近女の子とかの輝いている姿を見ると胸が高鳴るんですよね。恋でしょうか?」

ちひろ「この期に及んでどんだけピュアなんですか」

モバP「この感覚に任せてスカウトしたのが今のアイドルたちの一部ですが、どうも少しアンテナが敏感になっているような」

ちひろ「そういえばそんな機能を持っていましたね。……機能って人としておかしいですけど」

雪美「アンテナマーク……3本くらい……絶好調……?」

モバP「やだ雪美さんじゃないですか。何だか恥ずかしくて目を合わせ辛いなあ」スッ

雪美「……」ササッ ジッ

モバP「……」プイッ

雪美「……」ササッ ジッ

ちひろ「目を逸らした方向に回り込んで見つめるとは良いアピールですね」

モバP「降参です。雪美さんには敵わない……」

雪美「……ふふっ」キラキラ

モバP「ああ~、俺の感度がビンビンになるぜ」


ちひろ「変 みたいに聞こえますからやめて」

390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/21(土) 23:23:58 ID:C98n8BMw
832

ちひろ「……けほっ」

モバP・雪美「……!」

ちひろ「失礼しました。乾燥して少し咳が」

モバP「大丈夫ですか? 加湿器を置きましょうか? 飲み物持って来ます」

雪美「ボイスケア……キャンディ……食べる……?」

ちひろ「大袈裟ですねえ。大丈夫ですよ」

モバP「お茶をどうぞ。あとネブライザーとか要ります?」

ちひろ「はやっ!? ストップストップ! 何喘息治療するような物持ち出そうとしているんですか」

モバP「大事なちひろさんにもしものことがあったらと思うと……みんな心配なんです」

雪美「……ちひろさん……」

ちひろ「プロデューサーさん……雪美ちゃんも……」

モバP「よし雪美、とりあえずちひろさんの周りにこのアロマディフューザーを並べよう」

ちひろ「……私を蒸す気ですか、そうですか」ニコニコ


モバP(ちひろさんのスマイルは結構圧を感じる時がある) ナニカ? イエナニモ

392: ◆ORDERq/08U 2020/11/28(土) 22:30:36 ID:O02NCPA6
833

モバP「先日、プロデューサー友達と話をしていて聞き出したんですが」

モバP「何でも幼馴染がアイドルとして所属しているそうです。世間は広いようで狭い」

ちひろ「周りと少し違った距離感の関係になりそうですね」

雪美「……」コク

モバP「それが仲も良いようで、惚気ていましたよ」

モバP「他のアイドルたちとも上手く行くように働きかけてくれるそうで」

ちひろ「健気ですね。それでいつの間にか隠していた性癖とか意外な一面が知れ渡っていたり……」

モバP「その通りで結構硬派を気取っていたのが今では弄られるようになったそうです」

雪美「……Pも……怖そうに……見えて……面白い……人……」

モバP「子どもの当時アニメで目つきが悪い朴念仁系主人公が流行っていたのに影響を受けてこうなった」

ちひろ「そういうのにはよく幼馴染系負けヒロインがセットになるんですよね……」

モバP「でも幼馴染、現実には一緒に過ごした時間が長い分、情が移るというと何ですが、くっつきやすいイメージです」

雪美「……じゃあ……今からでも……私も……幼馴染……やる……」


モバP「みりあもやるー! みたいに言うなあ。こちらこそお願いします」 オネガイスルンカイ

393: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 22:35:11 ID:O02NCPA6
834

ギャー!

紗南「」ビクッ!

雪美「」ビビクッ!

モバP「……(ここで来ることは)知ってた」

紗南「……ふぁー、突然全画面大声で来られると心臓に悪いってー」

雪美「……」ドキドキ

モバP「でも大袈裟過ぎず自然な感じで二人の反応は大変良かった」

モバP「ホラーゲームでこういうのはジャンプスケアと言うんだよな」

紗南「そうそう。不意打ちでこれをやられたら大抵の人はそりゃ驚くって」

モバP「これでビビりとか怖がりとか言われるのはちょっと不本意だよな」

雪美「P……知ってたなら……教えて……」

モバP「まあそれはね? 見ている側としては実況者の景気の良い反応を楽しみたいものでさ」

モバP「……しかしこういうゲームは初見でついよそ見とかして演出の瞬間を見逃すと遣る瀬無い気持ちになるよな」


紗南「経験者かな?」 ソウダヨ

394: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 22:51:15 ID:O02NCPA6
835

モバP「女騎士というと上は鎧で固めて下はミニスカにレガースという格好のデザインを見かけたりする」

雪美「……おしゃれ……」

モバP「戦闘用としては足がむき出しなのはどうかと思ったりもするが、とにかく上半身下半身で露出度が大きく違う服って何か良い」

モバP「ということで雪美さんにタンクトップとサロペットを合わせてもらいました」

雪美「……どう……?」キラキラ

モバP「君の肩から二の腕、良い形しているよね」

ちひろ「おさわりは許しまへんで」

モバP「ダメですか」

雪美「……いつも……触れて……もらうのに……」

ちひろ「日常的に女の子の肩や上腕を直にベタベタ触るのはNG」

モバP「でもどことなく隙がある感じが大変刺さります。何か自由に動くかポーズでもしてみてくれ」

雪美「……」(/゜-゜)/バンザーイ

モバP「雪美の……脇…………いい」

ちひろ「お前は厨房で働くシータに見惚れるルイか」

395: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 22:53:01 ID:O02NCPA6
ちひろ「というか女騎士の話をしておいて関係ないサロペットを持ってきますか」

ヒョイ ポスン

雪美「……」(*゜-゜*)

モバP「手の甲に触れた雪美の二の腕……なんて柔らかいんだろう……いい」

ちひろ「もう分かりましたから」

モバP「……上比下貧、だと違う意味になりそうですがそういう女騎士的な格好は千秋の方が堂に入った感じですよね」

ちひろ「堂に入るものでもないと思いますけど」

モバP「なので雪美には新しく、ビキニアーマーみたいな保護面積が少ないトップスに」コチョコチョ

雪美「……ふふふふ」

モバP「太ももまで見えるようなスリットロングスカートを組み合わせたりしてみたいですね」

ちひろ「羽の付いた帽子を被せたらナムコのワルキューレですね。また妙にセクシーな」

ちひろ「というか何でもないような顔して雪美ちゃんをくすぐらない! イチャハラしやがって」

雪美「……Pに……いろんな格好……させられて……遊ばれるの……すき……」

モバP「おいおい、女騎士の素質もありそうじゃないか」


ちひろ「もうめんどうみきれよう」

396: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 22:56:06 ID:O02NCPA6
836

モバP「幸子はカワイイなあ」

幸子「うふふ、そうでしょうそうでしょう! もーっと褒めてくださいね!」

モバP「遠回しに言わずストレートに“褒めろ”ってのが威勢が良い」

幸子「言わぬが花、という諺もありますけど、ボクのカワイさの前に遠慮はいりません!」

モバP「いやはや、幸子のカワイイはもはや固有スキルだよ」

幸子「悪い気はしませんね♪」

幸子「でも、プロデューサーさんはボクばかりでなく、雪美さんとかをカワイイと褒めても良いのですよ?」

モバP「確かにな。言われて嫌な顔をする子はあまりいないだろう」

モバP「ただ、その言葉を口にしようとするたびに幸子の顔が浮かんできて、それは相手に失礼かなと思ったりするんだよ」

幸子「プロデューサーさんの頭の中はもう、カワイイ=ボクでいっぱいなんですね」

モバP「鳥のヒナが初めて見たものを親と認識するが如く、そうインプリンティングされているのかもな」

雪美「……つまり……可愛い……以外の、言葉なら……早い者勝ち……」

モバP「インプリンティングは永久では無いから、その気になればカワイイ自体も誰かに上書きされるかも」


幸子「プロデューサーさんのカワイイはやっぱりボクが支配することにします(天下無双)」

397: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 22:58:41 ID:O02NCPA6
837

友紀「……」ドヨーン

雪美「……友紀……よしよし」ナデナデ

ちひろ「日本シリーズでキャッツがスイープされましたからね……心中察します」

――

紗南「……」ドヨーン

雪美「……紗南……よしよし」ナデナデ

ちひろ「マリオ35で凡ミスして連勝が止まってしまったらしょうがないかもしれませんね」

――

モバP「……ドヨーン」

雪美「……Pも……よしよし」 ドヨーン

ちひろ「プロデューサーさんはどうして落ち込んでいるんです?」

モバP「……まほうのビキニ装備の雪美さんを引けなかったからです」

雪美「……!?」


ちひろ「そんな限定ガチャはやっとらんわ」

398: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 23:05:43 ID:O02NCPA6
838

カコーン

雪美「……やった……ストライク……」

輝子「フヒヒ、ハイタッチ……」パシッ

留美「ナイスボール」パシッ

モバP「……前に立つ姿が何だかステージみたいだな。いえいっ」パシッ

雪美「……」キラキラ

モバP「ボウリング用のお靴を履いている雪美さん、良いと思います」

留美「バンパーが無くてもとても上手だわ」

雪美「……Pが……教えてくれた……おかげ……///」

輝子「P……私にも、手取り足取り教えてくれても、良いぞ? 良いですよ?」

モバP「そうしても良いのだが、留美さんも輝子もサウスポーだからなあ」

モバP「でもこういう時に左投げって凄く格好良く見えるよ」

輝子「ほ、本当か? ……よ、よし。次は、もっと良い所を、見せる、ぞ……」

モバP「施設全体貸切撮影の後にボウリングをやろうとなったが、ちょうど1レーンに四人登録できるのが良かったな」

399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 23:14:07 ID:O02NCPA6
モバP「今の所、ボールが重かったりしないか?」

雪美「ん……大丈夫……」

モバP「よし。……留美さんに輝子に雪美と一緒だと周りからだと家族に見えそうだ。他の客はいないが」

留美「ふふ、次はあなたの番よ?」

モバP「照れますね……行ってきます」

――

モバP「ふう、しかしこうなるとアイドルが揃ってボウリングやるのに私服なのが惜しいな」

雪美「……?」

モバP「プロが着けている競技用のウェアとかあればね――いや、ミニスカートが見たいとかじゃないぞ?」

留美「どうかしらね? 食い気味に聞こえたわ」

モバP「いやあ……たまにボウリング場に来ると上手そうな人がよくそんな格好で、リスタイも着けてプレイしていて、様になっているんですよね」

雪美「千夜……みたいな……グローブ」

モバP「千夜は何か知らんがボウリングが上手そうなイメージがあるのはグローブのせいなのか……」

輝子「並んだピン、よく見ると、キノコみたいに、見えなくもないな……いくゼーッ!」 カコンッ

輝子「あっ、一つ残った……ボッチノコ……」

400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 23:18:01 ID:O02NCPA6
――

モバP「ボウリングの点数計算って知らないと謎だよなあ」

雪美「……」コク

留美「そこは分かっていた方が楽しめると思うわよ?」

輝子「点数、最下位は、フヒ……罰ゲームだぞ」

モバP「何だそれは聞いていないんだが。まあ俺は簡単に負けんがな」

モバP「あ、また俺の番だ。行ってきます」

雪美「頑張って……でも……程々に……」

留美「負けたら一枚脱ぐんだもの。私たちは下に水着を着ているとは言え、ね」

モバP「」ズルッ

輝子「あっ……P、大丈夫か? 盛大に、ガーターしたな……」

モバP「まさかの脱衣ボウリングだったんですかこれ?」

留美「冗談よ。ちょっとP君にプレッシャーをかけてみただけ」

モバP「何ですか、期待してしまったじゃないですかーあはは」


雪美「よし……次回から……検討……」 ホンキニスルナ

401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 23:25:55 ID:O02NCPA6
839

モバP「346プロには何でもある」

モバP「例えばゲームセンターに置いてあるお菓子のクレーンゲーム。スウィートランド系だな」 デレレレレレレレ

雪美「……ベルトコンベア……流れて……飴が……取れた……」キラキラ

モバP「思えばミルキーのキャンディはゲームセンターで取って食べたのが初めてで」

モバP「あれがとても美味しかったんよね。思い出補正かな」

雪美「Pにも……あげる……」 アリガトウ

モバP「……あ~、気づいた時に飴を補充する立場の俺が言うのも何だが、雪美に取って貰ったミルキーはまた格別の味だ」

雪美「今度は……お菓子タワー……作ろう……!」

モバP「おお、ロマンを追い求めるか。ならこっちのプッシャー型にしようか。だが簡単に崩させないぞ?」

ちひろ「いやいやいや、いつのまにこんなの搬入したんですか。346内にゲームセンターでも作る気ですか?」

モバP「馴染みのしまむらが店じまいするにあたって、ゲームコーナーの筐体を処分するからタダで持って行って良いよと言われたので、つい」

晶葉「ロボでなくてもこういうメカを修理改造してみるのは面白いものだな? 助手よ」 アア!

ちひろ「元々は晶葉ちゃん用に持って来たというわけですか」


ちひろ「……あ、ジャンケンマンもありますね。それも上に青いランプが乗っているタイプ……」

402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/11/28(土) 23:29:16 ID:O02NCPA6
840

雪美「……今日……外は……風が……強い……ね」

モバP「ああ。より寒く感じるなあ……」ジロ

雪美「P……私を……見て……何を……考えている……の……?」

モバP「んー、イソップ童話の北風と太陽、かな」

モバP「北風と太陽はどちらが強いか勝負をすることになって、地上を歩く旅人の服を脱がした方が勝ちにしようと決めた」

雪美「北風は……強い風で……旅人の服を……吹き飛ばそうと……した……」

モバP「でも逆に着込まれてしまって失敗。一方、太陽は日差しを浴びせた」

雪美「……すると……暑くなった……旅人は……簡単に……服を……脱いだ……」

モバP「というお話だったとさ」

モバP「もし今、俺が雪美さんに寄り添って暖めてあげたら、雪美さんも服を脱ぐかなあ――なんて考えた」

雪美「……P……時々……変なこと……考える……ね」

モバP「天才とは99%のどうでもいいことの中に紛れ込む1%の閃きである、って言うし」

雪美「……ぼーっと……していると……先に……行く……よ……?」 アッマッテクダサイヨ


事務所のちひろ「ここは冬でも暖かくて快適だなあ」

404: ◆ORDERq/08U 2020/12/05(土) 22:17:45 ID:MBd64FhE
841

モバP「……俺は少し大きくなり過ぎたかもな」

雪美「……俺もこっちで……強くなりすぎた……みたい……」

モバP「どこで覚えたその言葉」

モバP「いや、もし俺が150cm台だったら、雪美に背中を預けて寄りかかれたりしたんじゃないかと」

雪美「……149cm以下の……アイドルを……担当……してそう……」

雪美「……私は……Pが……双子の……お姉ちゃん……だったら……良いなって……」

モバP「……雪美にお姉ちゃん呼びされるなんて絶対妹に過保護でデレッデレの姉になりますわよ」

雪美「Pが……少し……頼りない……でも……優しい……お姉ちゃん……」

モバP「そしてしっかり者の妹雪美か。日常を想像するだけでほっこりしてくる」

モバP「血を分けていても男と女だと成長するにつれ結構世界が違ってくるから、女同士の親愛って俺には一つの憧れだ」

雪美「でも……今は……今で……良い……でしょ……?」ナデナデ

モバP「ああ。この膝枕は心が洗われるというか、聖母の抱擁を受けているような心地です」

雪美「Pだって……甘えたい時……ある……。だから……私が……全部……受け止める……」


ちひろ「男同士だったら兄弟仁義になりそう」 アニジャ…… オトウトヨ

405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:19:21 ID:MBd64FhE
842

ペラッ

モバP「今年もカレンダーの終点がやって来たなあ」

雪美「12月……」

モバP「これより先はない」

雪美「でも……来年は……やって来る……」

モバP「今年も一年、お世話になりました」

雪美「……こちらこそ」

ちひろ「何か早くないですかね」

モバP「思いついた時に言っておかないと後で素で忘れるかもしれないですし」

ちひろ「納会で言うでしょ」

モバP「しかし先がないカレンダーって怖いです。マヤ暦の終わりの人類滅亡説を思い出します」

ちひろ「ノストラダムスの大予言の時は信じる人も多かったそうですけど、今時終末思想はさすがに……」

雪美「オオカミ少年……みたいに……なってきてる……?」


モバP「でも、はいはい、と思いつつ次はいつだ? って追っちゃうんですよねえ」

406: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:23:29 ID:MBd64FhE
843

モバP「この時期になると南国に行きたくなるな」

雪美「……南……」

ちひろ「本能? で南の方角を向く雪美ちゃん」

モバP「ビーチでクリスマスパーティーって一度やってみたいんですよね」

ちひろ「やれば良いじゃないですか。焚き火を囲んで一晩語り合うとか」

モバP「凍えますよ」

モバP「言いたいのは、南半球なんかの真夏のクリスマスです」

雪美「真夏なのに……クリスマス……不思議な……感じ……」

ちひろ「この忙しい時期に南の国で優雅にクリスマスを満喫は諦めましょう」

モバP「よし、アーリーリタイアして若い内に行けるようにお金を稼ごう」

雪美「P……以前に……七海と……行った……。今度は……私を……連れ去って……?」

モバP「雪美は結構“犬は人に付き猫は家に付く”家猫気質かと思っていたが、遠出もしたいか」

ちひろ「駆け落ちみたいなことはやめてくださいね? 14歳がレッドカード退場だとすれば10歳はブラックリスト出禁です」

モバP「手は出しませんよ?」 ダサナイノ……? ソウイウモンダイジャナイ

407: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:25:58 ID:MBd64FhE
モバP「しかし南に行き過ぎるとまたこれが寒くなる」

ちひろ「私は南アメリカ大陸の南端とかに一度行ってみたいとは思っています」

モバP「パタゴニアのあたりですか」

雪美「パタゴニアの……ピューマ……見てみたい……」

ちひろ「雪美ちゃんはネコ科に惹かれますねえ。氷河とかもスケール大きそうで好奇心を刺激します」

モバP「チリの南端で海を臨んだら、この先にはもう南極大陸しか無いんだなと何か切ない気持ちになりそうですね」

ちひろ「ゲーム終盤の氷ステージで長い旅の思い出を振り返って感傷的になる冒険家か何か?」

雪美「レインボーリゾート(夢と寒冷地の面)……が、BGMで……流れそう……」

モバP「夢の泉の物語はグレープガーデン(セレクト)とかも聴いていると泣きたくなってくる」

ちひろ「どうでも良いですけどキャンディとキャンディーってどちらが正しいという訳でもないのに、カービィってカービィーだと間違いなんですよね」

雪美「伸ばしたく、なる時と……そうでない時……ある……ね」

モバP「……南国に行きたいって話がすっかり飛んでしまいましたが、とにかく暖かい所で開放的になりたい」

ちひろ「無人島貸切なんてプロデューサーさんは好きそうですね。不便さと紙一重でしょうけど」

雪美「……私は……無人島に……何か一つだけ……持って行ける、としたら……Pにする……」


モバP「それは寂しくないパートナーとして? それとも歩く十徳ナイフ的な意味で?」

408: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:27:09 ID:MBd64FhE
844

イーシヤーキイモー

雪美「……」

雪美「いーしやーきーいーもー……(小声)」

雪美「……」

モバP「……」

雪美「……!」

雪美「……聞いた……?」

モバP「俺がいないと思って油断したな。ばっちり聞こえましたよ」

雪美「……忘れて」

モバP「嫌だよ。あんな雪美さんを見られたら今生の名シーンとしてあの世まで持って行く」

雪美「忘れなさい……」ガバッ

モバP「押し倒し方が激しいぜ。良いじゃないか減るもんじゃなし」

美波「こんにちはー。プロデューサーさん、います? ――って」

美波「……またお取込み中のところを失礼しました///」

409: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:31:28 ID:MBd64FhE
モバP「待ってくれ美波、誤解だって……雪美とプロレスごっこでじゃれ合うのも程々が良いか」

美波「プロレスごっこ(意味深)」

モバP「……それより石焼き芋が食べたくなったな」

雪美「……P……焼き芋……好き……?」

モバP「好きだとも。さつまいも、またの名を甘薯やスイートポテト。栽培量産が比較的簡単で戦時中はこれが主食だったりした人もいた」

モバP「でも俺は少年時代、おやつでふかし芋が出てくると今日は芋かぁ……なんてがっかりしていたっけ」

美波「お菓子とか食べたいお年頃だったんですね」

モバP「現代っ子だからな。ねっとり美味しい安納芋とか甘さの強い紅はるかを食べた時は感動したが」

モバP「そして、幼稚園の頃って何をしていたかあまり覚えていないんだが、何故か芋掘りをやったことは忘れていない」

美波「見えない土の中から思った以上の量が取れてやり応えがあるんですよね」

雪美「……スコップで……割っちゃうと……がっかり……」

モバP「二人もよく覚えているんだな。で、持ち帰ったさつまいもをアイスクリームに混ぜ込んで、それがまたモンブランのような味で忘れられない」 オイシソウデスネ

雪美「……ふふ……でも……外で食べる……焼き芋も……とても……おいしい……」

モバP「焼いてあるとこれまた違うよな。アルミホイルや新聞紙、紙袋に包まれていると手に持つのにちょうど良い温かさになって――」


美波「あ、トラックが行ってしまいますよ?」 オイカケヨウカナ

410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:33:14 ID:MBd64FhE
845

??「P……あなたは……今年一年……良い子に……していた……」

モバP「いえいえそんな(謙遜)」

??「ご褒美として……クリスマスプレゼントを……あげる……」

モバP「ええっ、まだ12月の一週目じゃないか? クリスマスには早いよ」

??「……いらないの?」

モバP「いりますいります。暗闇に声だけ聞こえて誰かは存じませんが、この声は雪美――」

??「……サンタ」

モバP「サンタさんですね。はい」

??「あなたには……ウイルスが……見えるように……なる……眼鏡を……あげる……」

??「ウイルスが……漂っている……場所は……赤く……見える……から……」

――

モバP「仮眠から起きたら耳元に本当にメガネが置いてあった。どれどれ……」スチャッ

モバP「……視界が真っ赤で何も見えないぞ」


ちひろ「この物語はフィクションです」

411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:36:10 ID:MBd64FhE
846

モバP「この時期になると賑わいますが、宝くじって当たりませんよねえ」

ちひろ「そりゃあ還元率が低い最たるギャンブルですからね」

モバP「堅実なことを言いますね」

ちひろ「株に手を出す時もそうですけど欲張って一獲千金を狙うと大抵失敗しますよ」

ちひろ「知識やコツが介入する余地のあるものは、まずは少額から始めましょう」

モバP「言うことがそれっぽいですね。でもそれを言うと宝くじなんて運頼みです」

ちひろ「買うとすれば、自分が特別である、奇跡を信じられる人が買えば良いと思います」

モバP「買うな、とは言わないんですね」

ちひろ「そんなことは言いませんよ。買うか買わないかはあなた次第です」

モバP「まあ人は時には奇跡も信じきれないと後悔しますからね」

モバP「でも、天文学的な確率もいい所でしょうから当たったら何かしらの陰謀を疑いそうです」

ちひろ「もし当たるようなことがあれば私に忘れずに報告してくださいね?」

モバP「えっ」

ちひろ「?」

412: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:38:26 ID:MBd64FhE
雪美「P……真顔で……どうしたの……?」

モバP「雪美? いや、何だかちょっとした恐怖というか嫌な予感がしたというか」

ちひろ「予感というのは何かしら心当たりがあるから生まれるものです。お金の話は複雑ですね」

雪美「! ……P……お金に……困ってる……?」

モバP「心配しないでくれ、それは大丈夫だ」

雪美「私の……今ある……おこづかい……Pに……あげる……」つ346円

モバP「……こんな……雪美の大切なお小遣いを……俺に……」プルプル

モバP「許してくれ、俺が悪かった! もうギャンブルはしない、しないよ!」(´;ω;`)

ちひろ「なぁにやってるんですかねえ」

モバP「しかし宝くじ以外にも、自分が実は資産家の子で突然莫大な遺産を相続することに! といったコメディとかは定番ですが面白いんですよね」

雪美「……最終的には……破産……、でも……本当の……幸せを……見つける……ような……?」

ちひろ「雪美ちゃんも結構好きですね?」

モバP「ただ実際そういう状況に置かれても疑心暗鬼にはなりそうです。これはトゥルーマン・ショーか何かじゃないかと」

ちひろ「周りの 度が変わって人間関係が壊れるかも、とかは心配じゃないんです?」


雪美「……そこは……私たち……信頼……されてる……」 ミンナケッコウオカネモチダカラネ

413: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/05(土) 22:39:51 ID:MBd64FhE
847

雪美「……」テクテク

モバP「おっ」

雪美「……P……?」

モバP「おっと、こんにちは雪美」

雪美「……こんにちは……?」

モバP「辞書……いや、国語辞典を持った姿がとても目に留まったよ」

雪美「……これ……? 使う……?」

モバP「いや、そのまま持っていてくれ」

モバP「本や資料といった道具をバッグ等に入れて持ち歩くのは良いんだが、そういう小脇に抱えて来られるのには弱いんだ」

雪美「……片手で……本を読む……とかも……?」

モバP「カッコいいよね。そうか、雪美さんも分かるか」

雪美「……でもそれは……Pが……やった方が……似合う……」

モバP「そんなイケメンムーブはちょっとこれ見よがしには出来ないなあ」


ちひろ「プロデューサーさんがやると残念イケメンムーブになりそう」

416: ◆ORDERq/08U 2020/12/12(土) 21:28:09 ID:OE2UaQ/o
848

雪美「……」チョコン

モバP「……」ギュッ

ちひろ「……」ズズー

モバP「ああ……膝の上の雪美の体温が気持ち良い」

雪美「……人間……カイロ……」

モバP「これは発見だとは考えられませんか?」

ちひろ「どこに出しても恥ずかしい発見だと思います」

モバP「……少しは自覚があります。我ながら凄いことをしているなと」

雪美「……Pの……体温は……私より……少し……冷たい……気がする……」

ちひろ「幼い子特有の高めの体温を独り占めするのは、懐炉としては正しいのかもしれませんね」

モバP「まあ、やんわり暖房が入っている事務所で懐炉が要るかというと……」

雪美「……私……いらない……?」

モバP「要りますね。必需品です」キリッ


ちひろ「甘い二人を見ていると、私は熱くて苦いお茶で充分です」ズズー

417: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 21:29:30 ID:OE2UaQ/o
849 

雪美「……」チョコン

モバP「……あー……ここはこっちにするか……」カタカタ

カタカタカタ カチッ カタカタ カタッ カタカタ――

雪美「……」

雪美「……」ウトウト

雪美「……」カクッ

雪美「……っ!」ビクッ

雪美「……」パッチリ

雪美「……」

雪美「…………」

雪美「………………?」ポカーン

ちひろ「プロデューサーさん、雪美ちゃんが宇宙の真理を悟りかけた猫みたいになってました」

モバP「えっ……ああ、よくあることですね」


雪美「……何を見たのか……忘れた……」

418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 21:35:57 ID:OE2UaQ/o
850

モバP「クラウンが生産終了するかもという話があるな」

美世「Pさんはクラウンに興味があるんだ?」

モバP「まあ俺が好きなのはブレーキランプが丸目四灯のクラウンアスリートとかだが」

美世「ちひろさんも言ってたけど丸目好きだね」

モバP「そりゃあフェラーリとかスカイラインみたいな丸目が高級でスタイリッシュな車という印象で育ってきたからかな」

モバP「丸ければ何でも良いってわけじゃないが、いつか買いたい車の系譜が途絶えていくのは悲しい」

美世「そうだね。セダンタイプの宿命なのかな」

モバP「今後は温室効果ガスゼロに向けても古いデザインの車はどんどん消えていくかもな」

美世「えー、複雑だなあ……アイドリングの時のエンジン音とか好きなのに」 ワカルワ

雪美「……クラウン……王冠の……エンブレム……分かりやすくて……好き……」

モバP「クラウンのクラウンマークは、例えるなら雪美が雪の結晶のペンダントやバッジを付けているようなものだからな」

美世「でも、雪乃さんや雪菜ちゃんが同じペンダントを付けていたら……?」

モバP「……杏が杏のペンダントやバッジを付けているようなもの、としよう」

雪美「……それか……Pが……Pの……ヘッドを……」 ワカリヤススギル

419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 21:38:38 ID:OE2UaQ/o
モバP「しかしクラウンを無くすなら代わりに一時的にでもアルテッツァとか復活すれば良いのにな」

美世「2005年で販売終了してるクルマだね。あれは結構デザイン的に好きだよ!」

モバP「スープラだって復活したし無いとは言えないはず……無いか」

美世「諦めないで!」

モバP「おう!」

雪美「……素直……」

モバP「美世の真ん丸な目が愛車のライトみたいに見えてつい反射的に」 エッ

モバP「それかいっそ、PCのように欲しいデザインやスペックの物はカスタムを学んで自作するのも手だな」

美世「Pさんだとデコトラとかモンスタートラックみたいなのを作りそうだけど、車検通るかなあ……」 ソコマデハシナイヨ 

雪美「……P……トラックも……運転……できる……?」

モバP「一応な。大型免許は上からとりあえず持っとけと言われたから一通り取ったぞ」

美世「上……?」

モバP「あとは重機やフォークリフトなんかもついでにな。ふじりなにびっくりされたよ」

美世「重機アイドルならともかく重機プロデューサーって聞いたことないよ」


雪美「……じゃあ……消防車……戦闘機……戦車も……?」 ア、ソレハネェ……

420: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 21:41:38 ID:OE2UaQ/o
851

モバP「雪美と絵本を読んでいて思ったんですが、灯台って良いですよね」

ちひろ「絵になりますよね」

モバP「特に夜の往復する灯台の光。飽きずに見ていられます」

雪美「……行ったり……来たり……」

ちひろ「ただ灯っているより回転灯のように動く方が何だか灯台らしい気がしますね」

雪美「本物……見たく……なった……」

モバP「それもできれば海外のシチュエーションが特に立派な灯台が良いね」

ちひろ「シチュエーションですか?」

モバP「人里離れた断崖絶壁に孤独に寡黙に佇むような日本の灯台も哀愁があって良いですが」

モバP「やっぱり男なら大きくて居住施設もある基地のような灯台で灯台守をすることに憧れるわけです」

雪美「……私は……灯台の……ライトに……照らされて……みたい……」

モバP「きっと眩し過ぎるだろうな。まあ今はそういう所に行く予定は無いが」

モバP「代わりに壁に追い詰められたルパンにスポットライトが当たる真似くらいなら346のスタジオで試せるぞ」 サスガ……ミシロプロ……


ちひろ「ライトに当たりたいなんてアイドルですねえ」

421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 21:43:21 ID:OE2UaQ/o
852

雪美「……?」

スッ

モバP「ん、何だ雪美。袖口が気になるのか」

雪美「……何か……黒いものが……」

雪美「……!」

モバP「あ、見られちゃったか」

雪美「P……タトゥー……入れたの……?」

モバP「ああ、友人にやってみないかと言われてな」

雪美「……」ジワァ

モバP「えっ」

雪美「……」ポロポロ

モバP「あああ、違う違う。大丈夫だ、これは版画のように転写してすぐ消えるやつだから」

雪美「……」ポロポロ

ちひろ「プロデューサーさん、何雪美ちゃんを泣かせているんですか……」ゴゴゴゴゴ

422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 21:46:32 ID:OE2UaQ/o
――

モバP「本当にすまん。驚かせる気は無かったんだ。そんなにショックを受けるとは」

雪美「……何故か……分からない……。……悲しいのが……込み上げて……きて……」

モバP「ごめんな」ナデナデ

雪美「……ん……少し……落ち着いて……きた」

ちひろ「しかしこれはリストバンドみたいな感じですね。蘭子ちゃんが喜びそう」

モバP「ハワイのオアフ島にポリネシアカルチャーセンターという所があるんですが、そこでこれと似たようなのを入れてもらえた記憶があります」

ちひろ「そんな所に行っているんですね」

モバP「結構昔のことですがね」

雪美「……」サワサワ

モバP「これな、水で洗うと消えてしまうそうで、何か勿体無くて洗えないんだ」

雪美「……」ニギニギ

モバP「そして雪美と握手しちゃうと手も洗えないな」

ちひろ「握手会のファンか」


雪美「……Pの手……変わらなくて……安心……」スリスリ

423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 21:53:13 ID:OE2UaQ/o
853

モバP「仕事が終わった時にはやっぱり心が晴れやかになるBGMが良いよな」

雪美「……」コク

ちひろ「それには同意ですけどどういう心境からその答えを導き出したんですか」

モバP「例えばこれが流れてきたらどうです?」

雪美「はい……ヘッドホン……」 スチャッ

♪真実の翼(解決したが、やるせない)

ちひろ「……相棒で悲しい結末になった時に流れてくるやつですね」

モバP「行きつけの小料理屋で小粋に締めるのとは温度が違うというか」

ちひろ「これも余韻があって良いですけど、空気は沈みますよね」

雪美「……」コク

モバP「では、我々は行きましょうか、佐城くん」

雪美「……はい」

パタン


ちひろ「……ってちょっと、私にヘッドホン付けたまま帰らないでくださいよ」

424: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 21:56:55 ID:OE2UaQ/o
854

雪美「……P……あそぼ……」

モバP「おう、俺の膝に顎乗せしてくるんじゃない。わんこみたいじゃないかもっとやれ」

雪美「……」グリグリ アッアッアッ

紗南「……何か悔しいのであたしもやる」グリグリ

ちひろ「何やってんだあいつら……」

紗南「でもさー、二人とも本当仲良いねえ(左の太もも)」

雪美「それほどでも……ない……(右の太もも)」

モバP「膝に顔を乗せて会話するのかよ……まあ、仲は良いがどんな時そう感じるんだ?」

紗南「マリオパーティ3のたたいてドラムでやたらと競る時とかにそう感じる」

モバP「似た者同士化している感じか? 記憶力しりとり系は強い奴は強いだけだと思うがな」

モバP「だがフィクションのキャラクターなんかは記憶力良すぎるとはよく思う」

モバP「推理ものとか何でそんな細かい証拠とか思い出まで詳細に思い出せるのかと」

紗南「瞬間記憶能力を持ってる人も稀にいるらしいけど、ゲームでもちょっと都合が良い展開はあるよね」


ちひろ「いや、プロデューサーさんも充分記憶力が良いというか都合の産物的な存在ですけど」

425: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 22:05:01 ID:OE2UaQ/o
855

コロコロ

雪美「……ビー玉……光を……反射して……綺麗……」

モバP「プラスチックのおもちゃの宝石なんかも侮れないが、こんな綺麗なものが砂から作られるなんて意外だよな」

雪美「……ガラス……ね……」

モバP「ああ。ラムネの瓶のビー玉をどうにか取り出せないか頭を捻るのはみんなやることだろう」

ちひろ「やらないと思います」

雪美「……知恵の輪……みたいに……取り出せる……?」

モバP「物にもよるが割った方が早いかな」

ちひろ「力技で解決するのか……」

モバP「俺、ビー玉を集めておいていつか宇宙人がやってきたらこれをあげて友好関係を結ぶんだ」

ちひろ「ドラえもんかな?」

モバP「砂には負けるが石英、水晶も日本では採りやすい鉱石で綺麗だと思うな」

雪美「……うん。……私は……岩に隠れて……輝く……原石も……好き……」


ちひろ「母岩付き原石の良さが分かるとは素人じゃないですね?」

426: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/12(土) 22:07:37 ID:OE2UaQ/o
おまけ19

ちひろ「ところでTemo De La Adiauoって何ですか」

モバP「別離のテーマですね。今更こっそり日本語に訂正しておきます」

ちひろ「素直に訂正するのは大事ですからね」

モバP「ここだけの話、銀河鉄道の夜は細野晴臣より久石譲の方が聴いた回数が多いです」

ちひろ「微妙にレアなタイプの人ですね」

雪美「……こっちの……銀河鉄道の夜も……好き……」 ~♪


おまけ20

モバP「雪美は歴代ゼルダ姫でどれが一番好きだ?」

雪美「……大地の……汽笛……」

モバP「ほう、分かっているね。一緒に冒険できて丁寧口調から結構グイグイきたりして愛着が凄く湧くよな」

雪美「……」コクコク

ちひろ「まず歴代ゼルダ姫を把握している時点でどんだけゲームやりこんでるんですか」

モバP「何を今更。分身ループ何でもありじゃないですか我々」

ちひろ「開き直りおった」

428: ◆ORDERq/08U 2020/12/19(土) 22:25:19 ID:3EpBKE26
856

モバP「寒波で寒さの段階が上がった最近、皆さんいかがお過ごしでしょうか」

モバP「今日も今日とて社内の一室からアイドルの皆さんにお送りしております」

雪美「……」ヌクヌク

こずえ「ゆかだんぼう……おしりが……あったかいねー」

モバP「炬燵やストーブやヒーターやホットカーペットも良いのだが、床暖房は範囲が広く暖まるから良いな」

モバP「ガス温水式床暖房なんかは洗面所の赤い蛇口から温水を出すシステムの応用という印象だ」

こずえ「しってるよー。……あったまるまで……じかんがかかるのー」

モバP「だから結局あまり使わないという……ああ、それにしてもそんなに足を投げ出して」

モバP「冬場なのにこずえの裸足、しかも足の裏まで見られるとはね。良いあんよだ」

こずえ「あんよー……? こずえ、あかちゃんじゃないよー」

雪美「こずえ……スカート……」

こずえ「だいじょうぶ……ゆきみも……たいつ、ぬいじゃえー」

雪美「あっ……だめ……///」


モバP「平常心が早速壊れそうで何よりです」

429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 22:28:15 ID:3EpBKE26
857

モバP「こんにちは、西暦と元号の使い分けに時々混乱する私です」

ちひろ「同じ食品でも西暦下二桁表示と元号表示があったりしますよね」

雪美「……と……二人いっしょだと……年上のように……見られる……私……です」

モバP「……俺と?」

雪美「……こずえと」

モバP「何だ一瞬焦ったぞ」

雪美「Pは……さすがに……私より……どう見ても……年上」

ちひろ「プロデューサーさんがホムンクルスだとしたら雪美ちゃんより年下説もあります」

モバP「それもう違う生き物じゃないですかやだー」

ちひろ「しかもこずえちゃんって早生まれですから2学年違いなんですよね」

雪美「……こずえ……プライベートでは……割と……お姉ちゃん……してたりする……」

モバP「何それ見たい……さて、そんな今年もそろそろ終わりですね」

モバP「今年末、自分にもし一日休みがあったなら家に閉じこもって買ったきり未消化のハクスラに熱中してみたいです」


ちひろ「尚、他のアイドルが既にセーブデータを作っていて空きが無い模様」 アタラシイノカワナキャ……

430: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 22:30:25 ID:3EpBKE26
858

モバP「たまには大人数で車に乗ってドライブに行きたい気分です」

ちひろ「普段からやっていることですね。仕事でですけど」

雪美「……兄弟とか……友だちが……居た方が……良い……」

モバP「そうだよな。例えば父母二人に一人っ子の3人編成とかだと何か子どもの立場としては車内が退屈に感じるというか」

ちひろ「子ども同士二人以上の賑やかな感じを知ってしまうと物足りなくなるんですかね」

モバP「ですね。たまたま雪美と二人きりになった時の無言で通じ合うデートも好きですが」

ちひろ「運転の方に集中は出来ていますかね?」

モバP「していますよ」

モバP「それにしても、休日の朝に遠出をする前にみんなとコンビニでおにぎりとかを買い込んだりしたいな」

雪美「……パンでも……良い……」

モバP「そんな時間が幸せだったんだな、と思える日がいつか来ることでしょう」

ちひろ「でも車内って結構暇ではあるものですよね」

雪美「……テレビ……見られる……」

モバP「昔だとそんなの無かったりもしたからな。じゃあ何をするかと言うとしりとりや山手線ゲームとかで」

431: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 22:33:08 ID:3EpBKE26
モバP「我々も唐突に少ししりとりでもやってみましょうか。最初はメロンから」

ちひろ「いきなり終わってますけど?」

雪美「ンジャメナ……」

ちひろ「気にせず続けるんですか」

モバP「次はちひろさんですよ」

ちひろ「しかも私もやるんですか。な、な……梨」

モバP「し……渋谷凛」

ちひろ「そこは渋谷までで良かったのに何故勢い余って凛ちゃんまで」

雪美「……ん……どうしよう……?」

ちひろ「真面目に付き合わなくて良いですから。んはアウトにしましょう」

――

雪美「……私の……勝ち……」

モバP「雪美は言葉の引き出しが多いな。これはエンターテイナーの素質かもしれない」

ちひろ「その前にプロデューサーさんは一々奇を衒おうとするの止めた方が良いと思います」


雪美「……次は……脳内3人将棋……やる……?」 プロノキシカナ?

432: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 22:37:17 ID:3EpBKE26
859

雪美「……?」

雪美「P……これは……工具箱……?」

モバP「ああ、紛れもない俺のだ。開けて見てみるか?」

雪美「……」コク

パカッ

雪美「……段々に……なってる……」

雪美「あ……このハンマー……おしゃれ……」

モバP「プラスチックハンマーだな。ヘッドの両端が赤透明でまるで散光式警光灯みたいな所が気に入っている」

雪美「……散光……?」

モバP「パトロールカーのルーフに乗っている横長のランプのことだな」

雪美「……そう言われると……似てる……?」

モバP「まあ残念ながら光ったりはしないが、この色合いのやつが欲しくてわざわざ探したっけな」

雪美「……私は……青の方が……好き……かも……。……落ち着く……」

モバP「人によって好みが出るから面白いな」

433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 22:39:56 ID:3EpBKE26
雪美「赤は……少し……怖い……」

モバP「赤は主に信号機がそうだが、警告色として浸透している部分があるからな」

雪美「……キュートも……警告色……?」

モバP「信号機カラーにはなっているが実は一番やべーのがキュートとかそういうんではない」

モバP「というかカラーとしてはキュートは赤よリはピンクと思ってもらいたい」

卯月「私は赤でも大丈夫です! 頑張ります!」

モバP「どこから出てきたキュートのリーダー格。頑張り過ぎるなよ」

卯月「適度に手を抜くことに手抜きしないように頑張ります!」

モバP「こやつ、意外と言いおるな」

モバP「それはともかく、海外のパトロールカーは片方が赤で片方が青、みたいなものもあるが」

雪美「……ハリウッド映画で……よく見る……」

モバP「日本で青ランプを付けているのは地域の防犯パトロールカーとかだな」

モバP「赤は警察のパトカーや消防車、救急車とかに使われる。黄色は……」

雪美「道路作業……している時に……見る……」

モバP「車に乗って移動することも少なくない中で、よく外を観察しているな」

434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 22:42:25 ID:3EpBKE26
雪美「……他の色は……ない……?」

モバP「緑や紫もあるようだが普通だとなかなか見かけないな」

卯月「はたらくくるま、良いですよね。いろんな車やお仕事があるんだなって」

雪美「……ポンキッキが……開きそう……」

モバP「今何か二人が三十路のような話をしていた気がする」

モバP「個人的にはクイズ番組の早押し回転灯は全部赤だと手抜きに見える。色違いの方が好きだな」

卯月「その方がカラフルで楽しいですよね。私、いつかアタック25に出てみたいんです」

モバP「卯月は選べるならどの色の席に座りたいとかある?」

卯月「うーん……白、かなぁ? やっぱりいつも身に着ける色が良いと思いますっ」

モバP「いつも身に着ける色……ね」 アッ

雪美「……卯月の顔が……赤に変わる……」 ウゥゥ///

モバP「こほん。世紀の大脱線を元に戻しまして、結局このハンマーも、ふざけて振り回したり間違って指を叩いたりすると危ないよという意味でこの色なんだろうな」

雪美「……Pは……こんなにたくさんの……工具……使うの……?」

モバP「あまり使わない。だが、今回はペロへのクリスマスプレゼントとして、キャットタワーでも作ってあげようかとは思っている」


卯月「キャットタワーを作れるプロデューサーさん、家にも欲しいです」

435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 22:54:32 ID:3EpBKE26
860

モバP「いつまでも声の感じが変わらない人っているよなあ」

雪美「……」コク

ちひろ「……実際は少しずつ変化しているんでしょうけどね」

モバP「歳を取るとどうしてもそこはですね。ただ、そういう変わらない声優さんとかの声って耳が覚えるんでしょうか」

モバP「変わらずに聴き続けられることに安心するんですよね」

ちひろ「昔からやっているアニメの声優さんが交代するとかなり話題になりますからね」

モバP「歌手もそうですが、売れっ子にもなるような人は大抵唯一無二の、どこで聴いてもあ、あの人だって特徴的な声を持っている気がします」

モバP「それが失われていくと思うと何とも残念な、そんな気持ちになったりして」

雪美「……私の声も……変わっていく……?」

モバP「……」

ちひろ「プロデューサーさん?」

モバP「……! やだ、想像したら怖くなっちゃった」

モバP「いや、今日まで大丈夫だったんだから明日もきっと大丈夫だよね!」


ちひろ「そんなこと言うと大丈夫でも大丈夫で無くなりそうだからやめれ」

436: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 22:58:31 ID:3EpBKE26
861

杏「杏ってさ、よくみんなの悩みを聞いたりするけど、時々、報われないことをしているんじゃないかって思うんだ」

杏「こういう、自分で言うのもなんだけどさ、信頼はしても信用はしちゃいけないようなタイプだからね」

雪美「……そんなこと……ない……。……純露……どうぞ」

杏「あっ、これ好き」

雪美「私も……Pや杏に……悩み相談……されるくらい……頼れる存在に……なりたい」

雪美「……背伸びかも……しれなくても……」

モバP「そんなことはないさ。雪美は黄金糖でもどうだい?」

雪美「……あっ……大きい……。でも……食べる……」

モバP「じゃあ一つ聞いてほしいんだが、俺、このままで良いのかあ」

モバP「何か最近、間違った方向に突き進んでいる気がするんだよなあ」

杏「そんなことないって。あ、プロデューサーもニッキアメ一つ食べる?」

モバP「俺のだけ少し形が違くないか? 貰うが」

モバP・雪美・杏「……」マッタリ


ちひろ「何この何か解決した訳じゃないけどユルいから許されるような空間」

437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/19(土) 23:03:17 ID:3EpBKE26
862

モバP「ちひろさんは柿アンサンブルって食べたことあります?」

ちひろ「ありますよ」

モバP「この前楓さんと一緒に食べたんですが、まず柿とバターの色合いが良いなと思ったんですが」

雪美「……牡蠣と……バター?」

モバP「オイスターのバターソテーじゃないぞ? パーシモンの方だ」

ちひろ「パーシモンと言われて柿のことだと分かる人ってそんなにいない気がしますね」

雪美「柿とバター……どんな味か……イメージしにくい……」

モバP「実際見るとバターの層が結構あってくどそうな味を想像するんだが、これが意外に美味い」

ちひろ「何でしょうね、最初に考えた人はよくこれをやろうと思ったなと」

モバP「こう言うと失礼かもしれませんが、バニラアイスに少し醤油をかけてみるような冒険ですよね」

ライラ「アイスにしょうゆは、生卵をご飯にかけるくらい衝撃でございましたね」

モバP「ライラがそう言うなら余程のことか」

ちひろ「卵かけご飯は国外から来た人あるあるですね。後は納豆とかも無理って人は多いかと」


ライラ「納豆は、よく混ぜれば筋トレになりそうですねー」 ウデガイタクナリソウ

439: ◆ORDERq/08U 2020/12/26(土) 23:01:26 ID:1yoIq0C6
863

雪美「……」ポヨンポヨン

モバP「……」ボインボイン

里美「……」タプンタプン

モバP「さっきから変な擬音語が聞こえる気がするな」

雪美「……気のせい……」

里美「バランスボールは楽しいです~。ほわぁっ! っとぉ」

モバP「最初は乗りこなしに苦戦していた里美も慣れたものだなあ」

里美「気を付けないと、そっちに転がっていきますよぉ~」

モバP「予告するな。な~ぜ~か~、追尾するように俺の方に転がってくるから困るんだよなあ」

里美「偏差射撃もできるようになりました~」 ワザトカ!? ワザトナノカ!?

雪美「……これ……楽しい……」キラキラ

モバP「雪美とボールは相性が良いのかな。さすがは猫属性」

モバP「それにしても三人で向かい合ってやると、つい普段以上に見つめてしまうな」


雪美「……それも……顔より……体の方……」 ドキッ

440: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:03:03 ID:1yoIq0C6
864

モバP「年末年始は帰省のシーズンですねえ」

ちひろ「我々は特に帰ることもないですね」

モバP「幸い、親や実家がそこまで行事に厳格でないですからね。仕事をするには良いです」

ちひろ「でもオンライン帰省くらいはするんでしょう?」

モバP「少しでも顔は見せないとですね」

雪美「……P……私と……帰省……する……? パパも……ママも……喜ぶ……」

モバP「雪美さんちにお持ち帰りされちゃうんですか? 悪い話じゃないな」

ちひろ「今回は雪美ちゃんに付いて行く帰省編とかやるつもりですか? ダメですよ?」

雪美「……残念」

モバP「……結局今年もちひろさんと二人で大人のお正月ですか。体力付けておかないとなあ」

ちひろ「何を意味深なことを……。私だけ帰省しようかな……」

雪美「……ちひろさん……私が……いない間に……Pに、思いきり……甘えたり……するの……?」


ちひろ「しませんよ」キッパリ

441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:06:45 ID:1yoIq0C6
865

モバP「寒い冬や暑い夏の辛さは、そうでない年よりも印象に残る」

モバP「今シーズンの冬は寒いが、何年後でも忘れないような冬になるのだろうか」

雪美「……」ノシ

モバP「いや、忘れられるわけがない。こんな雪美さんを見せられてはな」オイデオイデ

雪美「……」コク

シャーッ シャーッ

スーッ ピタッ

雪美「……P……いっしょに……滑ろう……?」

モバP「せっかくのスケートリンクだしな。しかし雪美さん、滑るのが上手だこと」

雪美「……怖くて……あまり……スピードは……出せない……」

モバP「充分よ。氷上の妖精みたいでとても美しくて、見惚れて身動きを忘れていたよ」

雪美「……」

雪美「……///」

モバP「やめてくれ雪美、その俯いて照れる仕草は俺に効く」

442: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:09:28 ID:1yoIq0C6
雪美「Pなら……ペアスケート……みたいなこと……できる……?」

モバP「俺を買い被り過ぎちゃいけないよ。……少し練習すれば……」

雪美「……!」キラキラ

モバP「だが怪我をさせない保証は無いんだ。体格差もあるしな」

雪美「……Pとだったら……怖くない……」

モバP「……普通に滑りましょうね」

モバP「それにしても雪美さん……ミニスカートなのが良いなあ」

雪美「……タイツ……穿いてる……」

モバP「それでも不思議とパンツルックよりスケートが上手そうな子に見えるぞ」

雪美「……本当?」 ホントウ

モバP「しかし同時に、もし雪美さんがフィギュアスケートの衣装を着たら、とかまで想像してしまうなあ」

雪美「……P……そこまで……見たいの……? ……どうしてもと……言うなら……」モジ

モバP「着たければ作るぞ? スパンコールとか付けて……ふぅ、想像だけで体が温まってきた」

雪美「……ふふ……冗談……。……はー」ホワッ


モバP「おっ、雪美の白い息……俺の野望のように空気に溶けて、儚く消えていく……」

443: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:10:44 ID:1yoIq0C6
866

モバP「毎度のことながら、賑やかなクリスマスの二日間も終わってしまえば呆気ないものよな」

雪美「……」コク

モバP「祭りの後はつい余韻、あの幸せな残り香をいつまでも探してしまう」

雪美「私……しあわせウサギ……。しあわせさがして30年……」

ちひろ「クマのプー太郎ですか」 ヨクワカリマスネ

雪美「Pの……胸に……耳を擦りつけると……しあわせ……」スリスリ

ちひろ「そして雪美ちゃんを変な意味での上級者にさすな」

モバP「でも、346日くらいは薄れ行くクリスマスの余韻に浸っていたいものです」

ちひろ「そこまで行くともう次の新しいクリスマスが迫って来るじゃないですか」

雪美「今年のイベントも……楽しかった……ね」

モバP「ああ。でも我々は結局こういうイベントの時はお店側だからな」

モバP「お客側としてなかなか楽しむ時間が無い」

ちひろ「それはありますね」

モバP「仕事が終わってから楽しもうとしても祭りの後なんですよね」

444: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:13:11 ID:1yoIq0C6
モバP「で、持って来ちゃいました。クリスマスの残り香がするものを」

雪美「……!」

モバP「まずはこれ。金色の松ぼっくりです」

ちひろ「ああ、クリスマスリースとかによく使いますね。銀色をスプレーしたりもして」

雪美「……作ったこと……ある……」

モバP「幼稚園や小学校や町内会の行事で作ったりすることはあるかもしれないな」

雪美「……金色は……ゴージャス……」

モバP「だな。もしこれが純金製だったらどのくらいの値段になるんだろうかと想像も膨らんで楽しい」

ちひろ「考えることが現実的」

モバP「そしてこのスノードーム。小さな物語がここには詰まっていますね」

雪美「……この中に……小さくなって……入ってみたい……ね」

モバP「そうだな。……ついでにボタン操作で中の雪を飛ばしてカゴに入れたりするミニゲームができると面白いんだが」

ちひろ「100円均一に売っているウォーターゲームか何か?」

モバP「そして最後にやっぱりこれですかね、見切りのクリスマスケーキ」


ちひろ「それは早く食べましょうね?」ナマモノデスカラ

445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:14:32 ID:1yoIq0C6
867

モバP「……座ったりして合わせている時は良いのだが」

雪美「……」チョコン

モバP「二人で立って並ぶとどうしても身長の差を痛感する」

雪美「……この差だから……収まりが……良い」

モバP「そう言われると嬉しいが、な」

ちひろ「何か物足りないことでもあるんですか? これ以上に」

モバP「二人マフラーが出来んのですよ」

ちひろ「……は?」

モバP「カップルがやるようなアレです」

ちひろ「いや、そこは分かります。……あなたたちはカップルだったんですか」

雪美「……?」

ちひろ「ああ、カップルでしたね。当たり前のことを……いや、おかしいですけどね」

モバP「相当に長いマフラーなら出来なくもないんですが、何かカップルというより先にけん玉になったような気分になってしまいます」


ちひろ「やめろ雪美ちゃんを頭にぶっ刺す気か」

446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:16:00 ID:1yoIq0C6
868

モバP「……」

雪美「……」チョコン

ナデッ

雪美「……」ピクンッ

雪美「……」トロン

モバP「たった一撫でするだけで雪美に猫耳でも生えたように見えてくる」

モバP「……実際は生えていないが」

ちひろ「何が雪美ちゃんは生えていないですって?」

モバP「猫耳ですよ。何ですか、アブノーマルな答えでもお望みでしたか?」

ちひろ「そんなわけがないでしょう」

ちひろ「でも創作での動物耳の人間や擬人化キャラって大抵は人間の耳も別に付いていますよね」

雪美「……耳が……全部で……四つに……なる……」

モバP「四つもあれば単純に聴力は強化されそうだし、本来聞こえるはずの無い音域まで感知できるようになりそう」


ちひろ「耳がたくさんある動物って現実では聞きませんよねえ」 タシカニ

447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:18:15 ID:1yoIq0C6
869

モバP「激動の一年を終える前に今年お世話になったアイドル何人かを呼んでみた」

モバP「まずは紗南」

紗南「あたしが呼ばれるの?」

モバP「今年ね、この枠では推定70人くらいのアイドルと絡んだんだが回数では多分紗南がトップだ」

紗南「あたしがトップ! やったね!」

紗南「って、結構適当なカウントしてない?」

モバP「まあな。それに何か賞品とかある訳でもないが、来年も宜しくと言いたかった」

紗南「こちらこそ! 来年はeスポーツもたくさんやろうよ!」

モバP「紗南、来年も活躍しそうだな。……えー、続きましては杏」

杏「特に用がないんだったら帰るぞ」

モバP「まあまあ。杏もよく俺と飴を食べる仲じゃないか」ハイ、アメ

杏「これ、年間アワードとかじゃないんでしょ?」アリガト

モバP「そんな固くやっちゃうと次からもそうしないといけなくなるから、あくまでその場の気分だ」

杏「どうだかなぁ……あ、来年はもっと楽させてね。じゃ」

448: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:22:25 ID:1yoIq0C6
モバP「杏め、風のように消えおった。……次は留美さんです」

留美「P君。今年も一年、ありがとう」

モバP「いえ、こちらこそちひろさんの代役時にはお世話になりました」

留美「来年もやっても良いのよ? というかもっと大人組とも絡んで良いんじゃない?」

モバP「皆さんと飲みながら管を巻くのなんて良さそうですが、いつも以上に会話にならなくなりそうで」

留美「ふふっ、私はもっと押しの強いP君も見たいわ……あら、もう行かなきゃ」

モバP「また来年。……俺はどうも年上に遠慮してしまう性質がな……ちひろさんは除くとして」

モバP「えー、続いてライラも確保しました」

ライラ「今年はプロデューサー殿とよくアイスを食べた年でございましたねー」

モバP「結構食べたよなあ。アイスの袋を開ける時のライラの顔が好きで」

ライラ「そんなにおかしな顔をしておりますですか?」

モバP「いい顔をしているんだよ。ここぞというアイスのCMオファーが来たら迷わず出したいくらいの」

ライラ「それは楽しみでございますねー。来年が待ち遠しくなってきますです」

ライラ「おっと、これからチヅルとアキハさんとで鍋パがあるので、全速力で行って参りますねー」

モバP「気を付けてなー。……ライラさんは前に進む力をみんなにくれる気がする」

449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:27:38 ID:1yoIq0C6
モバP「では菜々さん」

菜々「はい! こんにちは」

モバP「菜々さんも今年はイジらせてもらったりしまして」

菜々「いえいえ何の。ウサミン星では通過儀礼のようなものですから」

モバP「来年も、頼りにしています」

菜々「はい! プロデューサーもしっかりナナを見ていてくださいね」ペコリ

モバP「ああ、お辞儀までして……本当に礼儀正しいというか、メイド長のような貫禄を感じます」

菜々「メイド長というとイザベラママのようなイメージですねえ……ママ!?」

モバP「さてさて菜々さんから最近の流行りワードが出た所で、次はまゆ」

まゆ「プロデューサーさん、まゆも呼んでもらえて嬉しいです」

モバP「そんな大層なものじゃないからな。……今年もお疲れ様、まゆ」

まゆ「うふふ……今の音声、しっかり録音させてもらいました」

モバP「悪いことにさえ使わないでくれるなら俺は別に良いんだが、普段もお疲れ様は言っているような」

まゆ「一日の労いと一年の労いでは重みが違いますよ? それをまゆだけに向けて言ってくれたんですから……うふふ……」

モバP「来年もよろしくな――って聞こえていない? こっちは録音しなくて良いのか?」

450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:30:20 ID:1yoIq0C6
モバP「そして今年頑張ったあかり」

あかり「頑張った……と言えるんご? 何だか違和感あるの私だけでしょうか?」

モバP「まあ予想外の所からバズったことは抜きにしても、あかりの大切さを再認識した年だったかもな」

あかり「大切だなんて、照れるんご。私はまだまだですから!」

モバP「まだまだか。じゃあもっと行けるな?」

あかり「えっ、何かめんどくさくなりそうなんで程々が良いかなって」

モバP「おい。……しゃーない、伸びしろにも期待して、今からりんご温泉にでも行こうか」 エエッ!?

雪美「……七海の次は……まさかの……あかり……?」

モバP「最後に雪美もだな」

雪美「……せっかくだから……来た……。去年はこれ……やってない……ね」

モバP「そういやそうだな。いつか埋め合わせしようかな。固くやらないとは言ったが」

雪美「……P……今年も……いろんなこと……あった……」

モバP「ああ。雪美も大変なことだってあっただろうが、一年一緒にいてくれてありがとう」 ……ウン

モバP「ということで今回もお開き。また来年」


雪美「……てんててててれて……てんてん……(笑点)」

451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2020/12/26(土) 23:33:05 ID:1yoIq0C6
870

モバP「今年も一年おつかれっしたー」

雪美「……あざしたー」

ちひろ「軽いなあ」

雪美「今年も……イチゴ大福……置いて行く……」

モバP「あらまあ、いつもありがとうねえ」

ちひろ「せっかくですし、今いただきましょうか」 イイデスネ

――

モバP「……お、今回はいつもと違うな。白あんのイチゴ大福か」

ちひろ「私のは生クリームイチゴ大福ですか。今はアイスとか、イチゴ大福にもいろいろありますね」

モバP「あぁ、うめえ……うめえのに、食べたら無くなってしまうし、雪美と別れなくちゃいけないし、辛い」

雪美「……私は……もう少し……ここに……いるから……」

ちひろ「食べたら無くなるのは当たり前として、そんなに寂しいんですねえ」

雪美「……また……来年……みんなで……イチゴ大福が……食べられますように……」


ちひろ「では、良いお年をお迎えください。……これ、毎年言ってますね」

453: ◆ORDERq/08U 2021/01/02(土) 22:56:51 ID:rRw6ItKQ
871

モバP「面白いものを面白いと伝えるってセンスが要りますよね」

モバP「映画とか小説とか、ネタバレは控えながら言葉で相手の興味を惹くのが意外と難しい」

ちひろ「まあ、そうですね」

モバP「自分の場合、ついあらすじを喋って台無しにしてしまいがちなタイプです」

ちひろ「いけませんね。予備知識がついちゃうと楽しみが半減するものだってありますし」

モバP「さすがに叙述トリック系とかを種明かしするのはアカンと経験から分かっていますが」

ちひろ「誰かに言いたくなる気持ちは分からなくもないです」

モバP「で、百聞は一見に如かずということで直球で、映画でも見ませんか? ちひろさん」

ちひろ「ここでですか? ……まあ、誰もいませんしね」

モバP「伝えるセンスは無くても選ぶセンスはそれなりにあると自負しているんですよ」

ちひろ「じゃあもしその自信が期待外れだったら、今日のお昼ご飯でも奢っていただけます?」

モバP「寧ろ大作に感動して打ちひしがれて仕事にならなくなるかもしれませんよ?」

ちひろ「それはちょっと……。我々はやはりこういう時はB級や凡作を見て安心してナンボです」


雪美のテレパシー(私が……いなくても……割と……エンジョイ……してる……?)

454: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:00:02 ID:rRw6ItKQ
872

モバP「好きな曲って周期的に聞きたくなりますよね」

ちひろ「……周期的、ですか?」

モバP「ループするんですよね。それも関連した複数の曲をまとめて」

ちひろ「頭の中にプレイリストが出来上がっているんですね」

モバP「消せない罪とか聴き始めると扉の向こうへとか語り継ぐこととかツキアカリも探して聴いてしまいます」

ちひろ「どういう関連性か不明ですけど、鋼の錬金術師は良いですね」

モバP「エンディングでエドとアルが組手をするアニメーションが印象的です」

モバP「あの二人の身長差がちょうど自分と雪美くらいなので、いつかあんな組手をやってみたいものですね」

ちひろ「若干10歳の女の子に無茶を強いらないでくださいね。あんな動きはちょっと」

モバP「ウチの雪美ですよ? 見損なっちゃいけません」

ちひろ「見損なわれるのはプロデューサーさんの方ですから」

モバP「こう見えても本気を出すと雪美の方が強いので大丈夫かと」

ちひろ「それはそれで情けないな」


雪美のテレパシー(私の方が……強い……。主に……寝技的な……意味で……)

455: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:01:34 ID:rRw6ItKQ
873

モバP「いやあ、しかし新年ですねえ。目出度き哉」

ちひろ「今年もよろしくお願いしますね。あと期待はしていませんけど、惚気は程々にお願いします」

モバP「ではこっそり惚気ます」

ちひろ「プロデューサーさんのこっそりって私にはバレバレなんですよね」

モバP「何ですか、エスパーですか」

ちひろ「私が鋭いだけという可能性もありますけどまず隠す気無いでしょうあなた」

ちひろ「それとエスパーって、普段オンラインテレパシー会話している人が言いますか」

モバP「逆にオフラインのテレパシーって何ですか」

ちひろ「脳内会話?」

モバP「それはもうテレパシーは関係無くないですかね?」

ちひろ「そういえば、そんなものがあれば不要かもしれませんけど、みんなに年賀状は出したんですか?」

モバP「今言われても忘れていたらもう手遅れですよ……アイドル一人一人にきちんと出しましたよ、元日に届くように」

ちひろ「その辺は抜かりがないですね」

モバP「お年玉くじを見て郵便局に末等の切手を貰いに行くまでが年始ですからね」

456: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:03:28 ID:rRw6ItKQ
ちひろ「あれって切手しか当たらないんですよね……」

ちひろ「あ、まだ聞いてませんでしたけど、プロデューサーさんは今年の目標とか決めました?」

モバP「雪美と2681個の思い出を作りたいですね」

ちひろ「未曾有の無謀な挑戦ですねそれは」

ちひろ「というか2681ってまず何の数字ですかね。規模はともかく346や2021なら分かりますけど」

モバP「皇紀ですよ。神武天皇即位紀元、もっと知られても良い第三の暦だと思います」

ちひろ「何故それを持ち出してくるのか意味不明です」

モバP「ちなみに年内に達成しないといけない訳じゃないので、何年かかけてゆっくり達成したいです」

ちひろ「今年の目標なんですから今年に収まるやつを頼みますよ。思いつかないなら願い事でも」

モバP「じゃあ、そうですね――」

モバP「私の大切な全ての人たちがよく笑いよく涙ぐみ、もしかしたら恋をして、生き生きと生きていけますように……」

ちひろ「良いことを言っているようで欲張りな……何ですか黄金のコンドルでも飛んでいるんですか?」

モバP「そういうちひろさんの今年の目標も聞きたいですね」

ちひろ「私ですか? 私は……ちょっと待ってくださいね。……うーん……」


雪美のテレパシー(一年の目標……なかなか……決まらない……もの……)

457: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:06:55 ID:rRw6ItKQ
874

カラカラ クルクル

モバP「……」

ちひろ「……」

ちひろ「おっと、つい見とれてしまいましたけど何ですかこのマニ車は」

モバP「これ、マニ車って言うんですね。一回回すだけでお経を全部読んだことになるとかいうものだと聞いていますが」

ちひろ「紛れもないマニ車ですね」

モバP「ちひろさんはチベット仏教にも詳しいんですねえ」

ちひろ「分かってて言ってますね?」

モバP「自分は最初、セーブポイントのレプリカかと思っていたんですよ」

ちひろ「真・女神転生ⅢのHDリマスターでもやっていたのかという」

モバP「少しだけ。でも、あんな程よいカオスな廃墟世界、ちょっと行ってみたいものですよね」

ちひろ「そんなこと言って神話の悪魔とかが闊歩している所にいきなり放り出されたら後悔すると思いますけど」

モバP「まあ、自衛用にマガタマと、あと凶鳥モー・ショボーと魔人アリスと女神ハトホルと妖精シルキーと龍王ヴィーヴルと怨霊エリカと死神チェルノボグと霊鳥ヤタガラスを味方に欲しいですね」

ちひろ「少しどころでない詳しさですね」

458: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:08:10 ID:rRw6ItKQ
モバP「人間、事故や病気などで体の一部を欠損すると、その部分がまるでまだあるような感覚になったりするとか」

ちひろ「幻肢というやつですか」

モバP「自分もあの主人公のように元々あるはずのない背びれがあるような気がするんですよねえ」

ちひろ「確かに主人公、首の後ろ側が何か尖っていますけどあれは背びれじゃないと思います」

モバP「ついでに肩甲骨の先の翼も時々幻肢します」

ちひろ「人を鳥に置き換えた場合、翼は腕の部分になるので違うのでは」

モバP「夢が無い……」

ちひろ「というかハーレムかと思いきやキノコとカラス入ってるのはギャグですか?」

モバP「やっぱりパーティにお姉さんと剣士と肩乗り動物は欲しいかなと」

ちひろ「欲張りさんめ」

モバP「いやあ、照れますね」

ちひろ「それはそうと、こんなマニ車どこで手に入れたんですか?」

モバP「アジア旅行に行きたかったんですが行けず、行ったつもりのお土産として取り寄せました」

ちひろ「それはまた……」

モバP「年末年始の帰省から戻ったアイドルからお土産とか貰うのに、自分からは何も無いんじゃ良くないですしね」

459: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:09:13 ID:rRw6ItKQ
ちひろ「それはまあ……でもこんなのあげるんですか?」

モバP「これはあくまでいくつかの内の一つですよ」

ちひろ「修学旅行で木刀買うどころじゃないとんでもない物がまだありそうだなあ」

モバP「ちひろさんも何かどうです?」

モバP「例えば家で簡単に作れるギャコック(鍋)とモモ(餃子)のセットとかもありますよ」

ちひろ「お歳暮ギフトみたいな物もあるのか……ちょっと欲しくなりましたよ」

カラカラ キラキラ

モバP「あれ? 何かマニ車が光り始めましたね」

ちひろ「えっ」

ピカーン

モバP・ちひろ「!?」

モバP「……何だ、とても眩しかった……って、雪美?」

雪美「……ここは……事務所……?」

ちひろ「」

モバP「何だこのマニ車、転送機能があるのか」

460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:10:42 ID:rRw6ItKQ
雪美「Pに……貰っていた……これと……同じ物で……」

モバP「あ、帰省前に雪美にあげたなあ。……アマラ経絡に落ちないで良かった」

雪美「……会いたかった……。でも……すぐ……帰らないと……心配される……」

モバP「俺もさ。じゃあ、少しの間だけ……な」

雪美「……うん」(つ゜-゜)つ

ちひろ「……そ」

ちひろ「そんなファンタジーあり得ません!」

――

ガバッ

ちひろ「……あっ」

ちひろ「……ふう……こんな酷い初夢を見るとは思いませんでしたよ……ん?」

カラカラ クルクル

ちひろ「」

モバP「あ、ちひろさん。これマニ車って言うんですよ」


ちひろ「寝起きに変な物を見せないでください……あぁ」

461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:12:13 ID:rRw6ItKQ
875

ちひろ「ちひから始まるリズムに合わせて」

ちひろ「(パンパン)P3」

モバP「P、P、P」

モバP「(パンパン)ちひ4」

ちひろ「ちひちひちひちひ」

ちひろ「待て」

モバP「はい?」

ちひろ「ちひは言いにくいです。というかこれいつのリズム遊びですか。いえ、まずみんな出払っているからとこれを二人でやるのがそもそも……」

モバP「落ち着いてください。この最後の一個の笹餅は逃げませんからどちらが食べるかじっくり決めましょうよ」

ちひろ「……こんなバカらしいこと、我に返る前に決めたいんですけどね」

モバP「じゃあこれで決着を付けますか? たけのこたけのこニョッキッキ!」

「…………」

モバP・ちひろ「1ニョッキ!」


雪美のテレパシー(楽しそう……)

462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:14:03 ID:rRw6ItKQ
876

モバP「はあ……今日の仕事もこんなもんかな」

ちひろ「お疲れ様です」

モバP「発作みたいなものですが、旅行に行きたくてうづうづします」

ちひろ「卯月ちゃんじゃないんですから、それを言うならうずうずでしょうが」

ちひろ「旅行ですか……今は時期的に難しいでしょうね」

モバP「崖のように見える坂の話を雪美としていたことがあって、それで今思い出したんですが」

モバP「境港の江島大橋を見に行ってみたいですね」

ちひろ「季節感あまり考えてないですね」

モバP「それと海に大鳥居が立つ安芸の宮島や、自然の奇跡で海に細長い砂の道が通る天橋立、伏見稲荷や元乃隅神社の千本鳥居」

ちひろ「圧倒されるのは同じかもしれませんけど江島大橋とそれらとは属性が違い過ぎませんか?」

ちひろ「しかし全体的に西日本ですねえ」

モバP「天橋立とはまた違った、トンボロ現象が見られる地形とかは東日本にもありますよね」

ちひろ「潮が引いた時だけ陸地が現れるってロマンチックですよね。リアルなモーセの海割りって感じで」


雪美のテレパシー(天橋立……伏見稲荷……一緒に来れば……見られたのに……) イキタカッタッス

463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/02(土) 23:15:27 ID:rRw6ItKQ
877

モバP「こういう新年という時だからこそ、何でしょうね」

モバP「とても暗くて沈む歌とか歌いたい気分になるんです」

ちひろ「周りから引かれる、というか心配されそうですね。仕事疲れで病んだんじゃないかと」

モバP「これは昔からですよ」

ちひろ「ではあれですか、おせちも良いけどカレーもね的な?」

モバP「年末年始にどっしりした物ばかり食べた後の七草粥と言う方が適切かもしれません」

ちひろ「そっちだと健康に良さそうなことのように聞こえますねえ」

モバP「というかこういう時こそセンシティブで不謹慎なこととか、してみたくなりませんか?」

ちひろ「カリギュラ効果じゃないんですからやめてくださいね?」

モバP「勿論、しませんがね」

ちひろ「……おや、外は雪ですねえ」

モバP「……雪中で“おれは決してお前を撃たねェ!!!!”したらどうなるだろうと一瞬」

ちひろ「縁切りますよ?」


雪美のテレパシー(Pの……全裸……///) ユキミソッチハダイジョウブカ? ……ウン

465: ◆ORDERq/08U 2021/01/09(土) 22:49:22 ID:BsGoWkHk
878

ガチャ

ちひろ「ただいま戻りました」

モバP「あっ……なんだ、ちひろさんですか」

ちひろ「なんだとは何ですか。どうしました?」

モバP「どうも妙に落ち着かないというか緊張して、窓の外の景色を見ているんです」

ちひろ「大袈裟ですね」

ピトッ

モバP「!」ビクッ

??「だーれ……だ……」

モバP「雪美さん! ……お、お帰り……」

雪美「……背中に……ただいま……。……P……?」

モバP「……はぁ……久々に好きな子と会うと、照れ臭くて顔を合わせ辛いなあ」

雪美「ふふ……こっち向いて……?」


ちひろ「プロデューサーさんは思春期」

466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/09(土) 22:51:28 ID:BsGoWkHk
879 

モバP「最近の忙しい日々を回顧すると、久々に例の釣り堀に行きたくなったなあ」

雪美「……例の……?」

ちひろ「知る人ぞ知る、といったものですか?」

モバP「いいえ、例のプールとか並に誰でも見たことがありそうな」

ちひろ「プールの方は見たことあったらあまり良くないですけどね」

雪美「……そんなに……有名……?」

モバP「ドラマとかの撮影でよく使われる場所で、行ったことは無くても知っているという感じだな」

モバP「自分が釣り堀でイメージする場所はまず、市ヶ谷フィッシュセンター」

ちひろ「確かにそこは例の釣り堀、で通じかねないくらいドラマで見ますね。逆さにしたケースに座って」

雪美「駅の……目の前……。知ってる……Pと……行った……ね」

ちひろ「行ってるのか……」

モバP「あそこで釣りに没頭すると良い気分転換になるんだよな」

雪美「じっと……待つのが……楽しい……」


ちひろ「大人の趣味に出会うのが早いですねえ」

467: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/09(土) 22:52:42 ID:BsGoWkHk
880

モバP「……ふぅ、ちょっと疲れたな」

ナターリア「お疲れのPにナターリアチャンスをあげるゾ!」ヒョコッ

モバP「ひゃわっ!? ……ナターリア、急に出てくるとビックリするぞ」

ナターリア「驚いタ? ナターリアはPに会いたかったんダ!」

モバP「俺に会いに来てくれたなら歓迎さ。それでナターリアチャンスって?」

ナターリア「AとB、どちらか好きな方を選ぶんダ!」

モバP「選んでみてのお楽しみってやつか。じゃあBだ」

ナターリア「B! ファイナルアンサー?」

モバP「それでお願いします」

ナターリア「Bは……ナターリア特製のバナナジュースだゾ! ハイ!」

モバP「お、サンキュー」

ゴクゴク

モバP「……なかなかスムージーな感じだな。ヨーグルトも入っているのかな?」

ナターリア「ウン! お腹がすっきりするゾ!」

468: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/09(土) 22:56:21 ID:BsGoWkHk
モバP「お腹すっきりか……俺もナターリアみたいなボディになれるかもな」

ナターリア「なれるヨ! Pなラ!」

モバP「えっ……じゃあお腹を見せるようなナターリアの衣装も着れるかな」

ナターリア「それは無理かモ」

モバP「良かった、そこで止めてくれて」ゴクゴク

モバP「これ、ミキサーが無いと自分では作れないんだよな。美味いなあ……!」

ナターリア「クゥー……!」グッ

モバP「ちなみにAを選んだら何が待っていたんだ?」

ナターリア「……ヒミツ……///」

モバP「……俺はもしかしたら人生の大きなチャンスで間違った選択をしたのでは……。バナナジュースは美味しいが」

雪美「……」

ちひろ「……」

雪美「……ちひろさん……Aって……何だと……思う……?」

ちひろ「そこは敢えて秘密にしておくから想像の余地があって良いんじゃないですかね」


雪美「……Bがバナナなら……Aは……アップル……?」 ピュアデスネエ

469: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/09(土) 22:59:03 ID:BsGoWkHk
881

モバP「雪美はこの世に妖怪っていると思うかい?」

雪美「……」キョトン

雪美「……思う……」

モバP「幅広い意味ではいそうだが、実際に俺はいると思っているんだ」

雪美「……Pも……妖怪……?」

ちひろ「妖怪ですね」

雪美「……妖怪……だったの……」

モバP「人を何だと思っているんだ。まあ、よく言われることだが」

モバP「それよりも今現に妖怪がいるんだ。リモコン隠しという妖怪が」

ちひろ「妖怪のせいにすな。ポケットに入ってたりしませんか?」

モバP「あっ……あ、あと眼鏡隠しもいるんだよ」

雪美「……眼鏡……頭の上……。……P……眼鏡……してたの……?」

モバP「あっ……いや、春菜に貰った度無しの眼鏡が結構洒落乙なものだからつい着けっ放しに」


ちひろ「ベタすぎる……」

470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/09(土) 23:00:38 ID:BsGoWkHk
882

モバP「さて、今日は七草粥を作ろうと思っていたんだが、ご飯を既に普通に炊いてしまった」

雪美「はづきさんの……おかゆ……」

モバP「そういう意味の七草粥も是非賞味してみたいところだが」

モバP「とりあえず水を足してみようか。しかしどんな割合で作るのが良いか……」

雪美「……調べれば……分かるかも……しれない……。でも……」

モバP「せっかくなのでチャットでアイドルたちに教示を乞うてみるか」 ……ウン

――

モバP「お、早速いろんな子から来たな。どれどれ……ふむふむ」

雪美「……意見が……分かれる……ね……」

――

モバP・雪美「……」

モバP「結局いろんな割合で作ってみてしまったな」

雪美「左から……軟飯……全がゆ……七倍……十倍……二十倍……重湯……」


モバP「界王拳みたい。しかし茶碗を並べて実験でもするのかって様相だ」 ズラッ

471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/09(土) 23:02:27 ID:BsGoWkHk
883

雪美「P……」

モバP「何だい雪美さん」

雪美「……言ってなかった……から……」

雪美「……あけまして……おめでとう……ございます……」ペコリ

モバP「こちらこそ、あけましておめでとうございます」ペコリ

雪美「今年も……よろしく……お願い……します……」

モバP「今年もよろしくお願いします」

ちひろ「もう七草粥も食べ終わった時分だと言うのに今やるんですか」

モバP「通信で新年の挨拶は既にしていたんですが、こうして面と向かってはやっていなかったので」

モバP「それに正月気分も薄らいで気が緩んでいる所ですし、ここで引き締め直すのも良いでしょう」

ちひろ「正月こそ気が緩むもののような気がしますけど」

雪美「P……今日は……おみくじの箱……持って来た……」

モバP「おお、六角形のおみくじ筒か。どれどれ、引いてみようか……それっ」シャカッ


雪美「小吉……。……吉と……どっちが……上……?」 イロイロダナ

472: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/09(土) 23:04:12 ID:BsGoWkHk
884

モバP「最近、少し離れた所にある雰囲気の良かったスーパーが内装を新しくしたんだよ」ズズー

雪美「……」ズズー

モバP「綺麗にはなったんだが、装飾とかがほとんど無くなって棚とか整然として、温かみの無い空間になった気がする」

雪美「……複雑……?」

モバP「ちょっとな。時代の流れなのかもしれないが」

モバP「そこで買って来たお煎餅だが、良かったらお茶と一緒にどうぞ」スッ

雪美「……器……何だか……落ち着く……」キラキラ

モバP「木の菓子器だな。親がよく使っていた物と同じ型をいつの間にか自分も持っていた」

雪美「……おせんべい……いただきます……」ビリッ

サクッ

雪美「……ぱりぱり……してなくて……やわらかい……!」サクサク

モバP「三幸製菓のからり庵だな。この柔らかさはそこそこ上等なお煎餅って感じがして良いだろ?」

雪美「うん……。お茶が……おいしい……」ズズー


ちひろ「茶飲み友達か」

473: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/09(土) 23:05:35 ID:BsGoWkHk
885

雪美「……」キリッ

モバP「斜め後ろから見る雪美さんの顔、良いよ!」パシャッ

ちひろ「その角度で撮るんですか」

モバP「普通の撮影だと顔は正面を向かせて撮ることが多いですが」

モバP「自分は敢えて横顔とか目隠れとか、見えない部分を残して撮るのが好きですね」

雪美「……隠すと……いつもと……違う……私が……見られて……面白い……」

モバP「帽子で影を作ったり、黒マスクをしてみたり、目線を入れてみたり……するだけで何か色気が増した一枚になりますよ」

ちひろ「いかがわしい写真感が出てしまいますから目線はちょっと」

雪美「……P……今の……見せて……」

モバP「はいよ」

雪美「……。……Pが……撮ると……きれいに……見える……」

モバP「それは被写体との相性が良いってことなんじゃないか」

雪美「……分からない……から……もっと……私を……撮って……ね……?」


モバP「ああ。では次はオフショルダーを着てアップショット気味に行こう」 ハダカニミエルデショソレ

475: ◆ORDERq/08U 2021/01/16(土) 22:10:22 ID:5D0cm8VU
886

モバP「Извините、アーニャ」

アナスタシア「Привет! Что? プロデューサー」

モバP「アーニャの好きな星と違うんだが、お月様があるだろう?」

アナスタシア「Лунаですね」

モバP「ああ、ルナー。ラテン語の月と同じで分かりやすい」

モバP「で、そのお月様なんだが、上弦と下弦ってどう見分ければ良いと思う?」

雪美「……鬼が……出てきそう……」

モバP「そっちちゃう。たまに夜空に月が見えた時、これは今から満ちていく月なのか欠けていく月なのか、分からなくなるんだ」

アナスタシア「月は一番高い時によく見えます。それが夕方なら上弦、明け方なら下弦です」

モバP「なるほど。それは分かりやすいかも」

モバP「沈む時に弓矢で例えると弦が上を向いていると上限、下なら下弦とか聞くが、沈み時をあまり見かけないんだよな」

雪美「右側が……明るいと……上……、左側が……明るいと……下……だと……何だか……覚えにくい……」

モバP「小学校の授業で習うイラストは分かりにくくて忘れてしまう。ダメだな俺は」


アナスタシア「Нет、知り直そうとする貴方はマジメですよ。今度は忘れないです、きっと」

476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/16(土) 22:11:58 ID:5D0cm8VU
887

モバP「おっとり系お姉さんの魅力に最近心を動かされつつある吾輩」

雪美「……!」

雪美「……どうしよう……」アタフタ

ちひろ「いつもの症状ですから軽く聞き流すようにしましょう」

雪美「……」コク

ちひろ「で、今度は具体的にどんなキャラにハマったんですか?」

モバP「ピーク・フィンガーですね」

ちひろ「車力の巨人か」

比奈「分かる気がするっス。掴み所がなくて、でも見ていて安心感があるというか」

モバP「346で言うと比奈が一番それに近いかもな。他の成人組はあまりダウナー感は無くてパリッとしているし」

比奈「何で私っスか」

雪美「P……もっと……気だるげな……私の方が……好き……?」

モバP「大人のお姉さんは今は無理だからとせめてそこだけでも目指そうとか考えないで良いからな」


杏「杏の仲間になる? 歓迎するよ?」 ヒキコムナ

477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/16(土) 22:14:15 ID:5D0cm8VU
888

モバP「今日、買い物をしたらちょうど合計888円になったんですよ」

ちひろ「たまにありますよねそういうの」

モバP「8という字は横に倒すと∞(インフィニティ)になる」

雪美「……無限の……可能性……」

ちひろ「しかし瓢箪型の起き上がり小法師みたいに倒しても起き上がって結局8は8になりそうです」

雪美「はじけた……コインに……運命を……託して……迷いを……断ち切る……それも……悪くないだろう」

モバP「まさかのロスト・ユニバース……時を戻そう」

モバP「その買い物というのが一つは漫画でな」

雪美「……あれ……買って来た……の……?」

モバP「そらもうあれよ。待ち切れないだろうが、後でじっくり……な?」

雪美「うん……! 続き……早く……見たかった……!」キラキラ

ちひろ「自然にシェアしていますね」

ちひろ「プロデューサーさんはスマホとかでも漫画を読むようですけど、やっぱり形が残る物の方が好きなんですか?」

モバP「そうですね。データのデジタル化が便利なのは否定しませんが、アナログ式の方がかかる手間の分だけ愛着が湧くといいますか……」

478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/16(土) 22:17:17 ID:5D0cm8VU
モバP「ゲームなんかも最近はパッケージ版よりダウンロード版、更にサブスクで期間が終わったらもう遊べないとかまであって、ドライな感じがします」

雪美「Pは……カセット……ふーっ……って、する頃が……好き……みたい……」

ちひろ「あれ端子に悪いそうですけどね。というか90年代だなあ」

ちひろ「それはそうとお二人はアレで通じているようですけど、何の漫画なんですかそれは」

モバP「“妻、小学生になる。”です」

ちひろ「そりゃあまた……雪美ちゃんもそれを楽しみに?」

雪美「……うん。……読んでいて……共感……できる……」

ちひろ「確かに雪美ちゃんも小学生の妻みたいな一面を覗かせる時はありますけど……共感ですか」

モバP「……雪美が、妻……か」チラッ

雪美「……?」キラキラ

ちひろ「共感できないなあ」

モバP「とにかく、読む前は“秋日子かく語りき”や“庭はみどり川はブルー”のオマージュ的な物をイメージしていたんですが、まあちひろさんも後で読んでみてくださいよ。貸しますから」

ちひろ「90年代どころか80年代じゃないですか」

モバP「あ、その頃の大島弓子の作風が好きなんですよ。綿の国星とか猫のサバとか」


雪美「……それ……全部……読んだ……」 モハヤワタシノテニオエン

479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/16(土) 22:18:42 ID:5D0cm8VU
889

モバP「……」

芳乃「おやー、そなたはまた難しい顔をしておられるー」

モバP「おお芳乃か。いや何、もし俺が女性だったらと考えていてな」

芳乃「そなたは女性になりたいのでー?」

モバP「何だろうな、転生願望とでもいうのかな。自分でもよく分からないが」

芳乃「それは誰でもみな、僅かには持っているものでしてー」

モバP「出来れば長身で、星条旗・虎柄・牛柄等のビキニが映えそうな金髪巨 の女性になってみたい」

芳乃「……ほー、わたくしを前にしてそのようなー」

モバP「まあ逆の体型でそういうビキニを着けてみるというのも別ベクトルで映えるのかもしれないが」

モバP「あ、あくまで自分が着けることへの興味だからな。芳乃に似合う似合わない着せたいとか言いたい訳じゃない」

芳乃「……そなたからは少々清らかさが失われているようでー、滝行が必要かもしれませぬー」

モバP「この時期に水垢離の苦行はさすがにな。それに白装束が透けた芳乃は目に毒だわい」

芳乃「そなたとは以前より、ともに滝に打たれたいと、思ってましてー」ムンズ アッ、マッテ


雪美「P……骨は……拾いに行く……多分……」

480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/16(土) 22:20:30 ID:5D0cm8VU
890

雪美「……」ジーッ

モバP「……」

雪美「……どうしたの……?」

モバP「いや雪美さん、よくよく考えるとなんだがさ」

雪美「……うん」

モバP「いくら俺の家だからって俺の着替えを見守るのはどうなんです?」

雪美「Pの家は……私の家……、Pの着替えは……私の洗濯物……」

モバP「プライバシーを侵害されているような気がするが……まあ気のせいかな」

雪美「……Pの 着……今日は……これに……しよう……」

モバP「俺の 着を何故か雪美さんが決め……ても良い」

モバP「って、褌ですかそれは。買った覚えがないが一体どこから発生したんだ」

雪美「……ここに……あった……」

モバP「アイドルの誰かが俺に、と置いて行ったのか……いや、この前寝惚けて食事している時にスパゲティがこっそり自然にいちごパスタに差し替えられたのに気づかず完食した俺だが、さすがにはいそうですかと褌までは締めないぞ?」


雪美「……これで……寒中水泳……できる……」 モウミソギハカンベンシテ

481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/16(土) 22:21:56 ID:5D0cm8VU
891

雪美「……」ヒュンヒュン

雪美「……」スッ スッ

モバP「雪美さんは交差跳びも難なくこなしますなあ」

雪美「……♪」

モバP「縄跳びが楽しい時期真っ盛りか。何でも楽しめるのが一番だな」

雪美「……」コク

モバP「小学生以降は全く触れない人もいるようだが、大人でもトレーニングやダンスパフォーマンスで使うこともある――それが縄跳び」

モバP「俺も久々に縄跳びといふものをしてみむとするなり」

雪美「……Pの……持ち手が……木で……縄も……白……」

モバP「雪美の物は鮮やかな色をしたポピュラーなビニール縄跳びだが、こちらは綿ロープとなっている」

モバP「そちらと比べると重みがあって回しにくい。代わりに足に当たってもあまり痛くはないから良いぞ」

ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ

雪美「……おお……軽やか……」


モバP「まあビニール縄跳びの痛みも嫌いじゃないんだがな。時子のおかげで」 チョウキョウ……サレテル……?

482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/16(土) 22:25:41 ID:5D0cm8VU
892

モバP「――はー、可笑しいね。笑った笑った」

雪美「……ふふふ……うん」

モバP「テレビ番組で普通に大笑いする姿を見られて、気恥ずかしいな」

雪美「良い……。私も……楽しく……なった……から……」

モバP「……」

雪美「……」

モバP「……くふっ」

雪美「ふふふっ……」

モバP「たまにこう、息が苦しくなるくらい笑えることがあるのって幸せだな」

雪美「Pは……よく……笑う……ね」

モバP「そうかなあ? ま、爆笑に釣られたりちょっとした言い回しがツボに入ったりと、沸点が低いのかな」

雪美「……理由……分からないのに……笑ってしまうこと……ある……」

雪美「……Pと会って……そんなこと……増えた……かも……?」

モバP「そういうのは親とか友人とか、身近で大切な人に影響されそうだ」

483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/16(土) 22:27:03 ID:5D0cm8VU
雪美「……大切に……してくれて……ありがとう……」

モバP「……そう言ってくれるか。俺は素の自分を公開しているだけなんだがな」

雪美「……私は……まだ……分からないこと……多い……」

雪美「無口で……感情を……たくさんの……言葉では……表現……できない……」

雪美「だから……Pを通して……楽しい、とか……うれしい、とか……教えて……もらってる……」

モバP「雪美が積極的に吸収しにきてくれるからな」

モバP「世界には何もしてなくてもフィーリングが合う人、というのがいるものだが、雪美の場合はフィーリングがチューニングされてきている感じだな」

雪美「……」

ヒョイ ポスン

雪美「……もう……言わなくても……分かるくらい……ね……」(*゜-゜*)

モバP「今、目すら見ずに何となく求めていることが理解できてしまった」

雪美「……これで……また……チューニング……されたね……。ふふふっ……」

モバP「あはははっ、くすぐったいなあ」

モバP「しかし俺、自力で人を笑わせるのは不得意なんだよな。アイドルたちには笑わせてもらうことの方が多いかもしれない」


雪美「……意外と……自己評価……低い……?」 ソンナモンデショ

485: ◆ORDERq/08U 2021/01/23(土) 22:43:25 ID:0KUH86MY
893

巴「P、ウチと盃を交わさんか?」

モバP「えっ、遂に? 俺も覚悟を決める時が来たのか」

巴「遂にって何じゃ。深い意味はのうてな、見てみい」

モバP「お、これは……平盃じゃないか、やべえよやべえよ……朝飯食ったかな……?」

巴「黒塗りの高級車に追突したみたいに言うなや」

巴「これな、気に入ったから買うたんじゃ。うちはまだ未成年で酒は飲めんがの」

モバP「でもせっかくなんでこれで何か飲んでみたいってところか」

巴「そうじゃ。楽しみは後に取っておくっちゅうんもええが、7年はちぃと長いわ」

モバP「まあ、俺もお猪口でジュースを飲んだりするし酒専用でなくても良いだろう」

モバP「しかし巴の髪色と合った緋色の漆器だなあ。無色透明の飲み物が合いそうだ」

雪美「……金髪なら……金の盃が……似合う……?」

モバP「優勝カップとか……あれは体に悪い成分が溶け出しそうだな」

巴「あれで勝利の美酒を味おうてみたいもんじゃが、作り方を知っとると出来んな」


雪美「……ところで……何飲む……? こどもののみもの……?」 ソレハグラスデノミタイ

486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/23(土) 22:45:29 ID:0KUH86MY
894

モバP「……」ピリッ

モバP「……」パクッ

モバP「……」モグモグ

モバP「……」ゴクン

雪美「P……また……チョコレート……食べてる……」

モバP「つい甘い物に手が出てしまうんだよな。……うーん」

雪美「……あまり……おいしくなかった……顔……?」

モバP「いや、美味しいは美味しいんだが、お菓子って大体こうだろうと食感を予想して齧るだろ?」

モバP「それがこのボノボンは自分の経験にないタイプの食感で不思議なんだよな」

モバP「例えばアイスをサンドしたクッキーやビスケットはしっとりが好きな派とサクサクが好きな派がいるらしいが、どちらも想像はつくから分かる」

雪美「……アイスで……湿った……ビスケットは……独特……」

モバP「雪美もお菓子の食感がイメージと違う体験をしてみないか? あーん」

雪美「あ……、大きくて……一口じゃ……食べにくい……」


モバP「ボノボン意外と大きかった」

487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/23(土) 22:48:41 ID:0KUH86MY
895

モバP「時間がない時に食べるスーパーとかの弁当の唐揚げ」

モバP「何かあまり凸凹していないんだよな。勿論揚げたてではないので歯ごたえは柔らかい」

ちひろ「そんな唐揚げ、あまり見ませんけどね」

モバP「それも嫌いじゃないんだが、これを食べた後は実家の唐揚げが食べたくなります」

モバP「カーチャンがよく作ってくれていた……あの味」

雪美「レシピは……?」

モバP「新聞の切り抜きとかを貼って集めた手作りのレシピノートを見て作っていたそうだが」

ちひろ「それは家庭の宝物ですね。大切にしましょう」

モバP「実家に問い合わせるとそれがどこに行ったか分からないそうで」

雪美「……それは……残念……」

モバP「今は新しい料理本のレシピを見て作っているそうだ。味は以前と違うが美味しいから気にしないとか」

ちひろ「割り切ってますね」

モバP「まず新し物好きの親ですから、過去に縛られるよりどんどん新料理に挑戦する方が好きなようです。当時は自分がまたこの唐揚げを食べたい、というから作っていたようで」

ちひろ「お子さんの“また作ってね”は親としては本当に嬉しいでしょうからね」 ワカリマス? ナントナクデス

488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/23(土) 22:53:03 ID:0KUH86MY
ちひろ「しかし、私の場合は自分で唐揚げを作ることがまずそんなにないですね」

雪美「Pは……よく作る……。そして……よく食べる……」

ちひろ「太りそうだなあ」

モバP「でも唐揚げ大好きな大分県の人が特に太っている印象はないです」

ちひろ「高カロリーで箸が進むおかずって結構どこにでも何かしらありますからね」

雪美「……P……唐揚げ……だけじゃない……。……チキン南蛮も……作れる……」

モバP「チキンそのものに味がついていながらそこにタルタルソースがたっぷりかかる贅沢よ」

モバP「まあ、それでも酢の力で内臓脂肪を減らせそうだからセーフ」

ちひろ「こうして心の贅肉が付いていくんでしょうか」

ちひろ「頻度を抑えれば問題ないと思いますけど、毎日鶏三昧とかじゃないですよね」

モバP「そういえば最近はタンドリーチキンやチキンカツ、親子丼や博多水炊きも作ります」

雪美「……葵風唐揚げ……礼風チキン南蛮……鈴帆風水炊き……おいしい」

雪美「そして……ペロと……Pと……私……いっしょに……食べられる……ささみ」

モバP「ささみ美味いよなあ。……あれ? 割と毎日鶏?」


ちひろ「プロデューサーさんの実家は養鶏場でも営んでいるんですか? 食べ過ぎです」

489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/23(土) 22:55:01 ID:0KUH86MY
896

モバP「人間は空腹を感じる時間というのが必要だと思う」

モバP「お腹が空く暇がない食事の取り方をしていると、太る」

みく「Pチャンは経験者のように言うね」

モバP「昔はちょっと太っていたんだよ」

みく「あまり想像できないにゃ」

雪美「……」コクコク

みく「動物園のライオンは週一くらいで絶食するっていうけど、Pチャンもそういうことするの?」

モバP「それはしないな。だが内臓とかを休ませるために何も食べない日を作るというのは結構説得力がある」

モバP「人間も酒を飲まない休肝日を作ったり、18時間断食をしようとしたりするからな」

雪美「……ライオンって……ストイック……」

モバP「お客さんにサービスで吠えて見せるのが日課だったのに喉が枯れて苦悩していたら、隣のクロヒョウくんが『今日だけだぜ』とか言って代わりに吠えてくれたから、感謝しつつうがいをする所とかストイックだよな」

みく「それはクロヒョウくんがカッコいいにゃ」

雪美「……」コクコク


ちひろ「どこかで読んだ話ですね」

490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/23(土) 22:56:42 ID:0KUH86MY
897

モバP「この時期は牡蠣とか美味しいよな」

雪美「……海のミルク……」

ちひろ「でも牡蠣にあたった経験のある人って結構な割合でいますよね」

モバP「そこが何となく怖くて牡蠣小屋とかまだ行ったことがないですね」

ちひろ「プロデューサーさんはそういうの効かない体質だから気にせず行くのかと思っていました」

モバP「効かないとは言ってません。効くかどうか不明なだけです」

雪美「……それは……危ない……」

モバP「牡蠣に限らず貝類を食べるのは無理ですという人は少なくないですよね」

ちひろ「アレルギーで小学校の給食で貝の入った献立を食べられない担任の先生とかいましたね」

雪美「……アレルギー……気を付けないと……ね」

モバP「アレルギーの有無は自分も周りもよく知っておかないと大変なことにもなりかねない」

モバP「例えば留美さんが猫アレルギーなのを知っていながら猫と触れ合うお仕事を取ってきて、留美さんが病院に運ばれるようなことになった場合、自分は過失傷害罪に問われるんでしょうかね?」

ちひろ「いや私に聞かれても」


雪美「……Pの責任……大変そう……」 200ニンヲカンリシマスカラネ

491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/23(土) 22:57:54 ID:0KUH86MY
898

モバP「……この荷物を研修棟に持って行ったら上がりか」

モバP「しかし346プロは広いや。普段来ない未知のエリアもまだこんなにあるんだな」

モバP「ラジオブースなんかもあるし、やりたいことは何でもやれるというのも過言ではない」

ニャーン

モバP「おや、こんな所に黒猫が。どこに行くんだーい……ん?」

雪美「……」キラキラ

モバP「ゆっ……!?」

雪美「……いらっしゃい……P……。ここは……ピュアな心を……持った人だけ……来れる店……」

モバP「いや、犯罪ですよ犯罪! こんな所に店を出して雪美さんにクロスストラップドレスを着せて働かせるなんて! 誰だ!」

雪美「……猫も……いっぱい……いるよ……?」

ニャーニャーニャーニャー

モバP「ちょっくら寄って行くか!」

雪美「一名様……ご案内……」


ちひろ「そしてプロデューサーさんが帰ってくることは無かった」

492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/23(土) 22:59:57 ID:0KUH86MY
899

雪美「袋に……黒い粒……いっぱい……」

モバP「これはブラックペッパーホールだな」

雪美「これを削って……コショウにする……?」

モバP「ああ。ミル付きの容器に入れてな」

雪美「……」ホー

モバP「普通の胡椒はブラックペッパー以外にもいろいろブレンドされて挽かれた物のようだが」

モバP「これをたくさん持って、もし中世ヨーロッパ大航海時代にタイムトラベルができたなら、大金持ちになれるな」

雪美「……?」

モバP「肉を長期保存するのに役に立つ胡椒は当時、欧州ではとても貴重で同じ重さの金と取引されたりしていたとか」

雪美「……船とか……手に入りそう……?」

モバP「ポルトガの王様か。……それはオーバーだが、どうせならそのくらいのスケールでわらしべ長者をやりたいものだな」

雪美「……このブラックペッパーも……もしかしたら……」

モバP「今はただの胡椒だが、いつかまた莫大な富を生み出すポテンシャルを宿しているのかもしれないなあ」


ちひろ「まあ航時法違反なんですけどね」

493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/23(土) 23:01:11 ID:0KUH86MY
900

雪美「……P……今日……学校で……身体測定……あった……」

モバP「身体測定か。懐かしいな」

雪美「……身長……伸びなかった……」

雪美「大きくなって……Pを……喜ばせたかったのに……」

モバP「……なに、気を落とすことはないさ。成長前の溜めの時期なんだろう」

雪美「……本当……?」

モバP「ああ。というかつい最近事務所でもやったばかりだし、そんなにすぐには変化は出ないよ」

雪美「……みんな……大きくなって……私だけ……取り残されてる……気がする……」

モバP「数値は自分の成長を実感するのに一番分かりやすい基準だからな。気持ちは分かる」

モバP「だが焦ってはいけないし、俺は今のありのままのいろんな雪美をもっと見せてほしいな。成長はその後でも良いさ」

雪美「……成長は……後回し……って……Pが言ったら……いけない……気が……」

モバP「俺、こう見えてもそこそこには偉いんだからな? 俺が許すと言っているんだから良い――なんてな」

雪美「……ふふっ、……強引……ね」


ちひろ「(偉く)ないです」

495: ◆ORDERq/08U 2021/01/30(土) 23:15:53 ID:Ul91wNqc
901

モバP「奈緒、あけましておめでとう」

奈緒「遅いよ!?」

モバP「誤差だよ誤差」

奈緒「時差ボケどころの話じゃないだろ」

奈緒「そういえば今更だけど、年末年始はあかりと温泉に行ったんだって?」

モバP「ああ、りんご温泉に入ってきたよ。あとは道の駅巡りだな」

奈緒「相変わらず好き勝手だなあ。でも、営業していたのか?」

モバP「大晦日三が日なら店休日もあったかもしれないが、それより早く行ったからな」

モバP「道の駅巡りはいいぞ。それだけで一日は潰せる」

雪美「……温泉……ハプニングは……あった……?」

あかり「んごぉ……思い出すと少し照れるんご」

奈緒「また現地妻を作ったのか……いや、連れて行ってそれも変だけど、そこでオトしたというか」

モバP「恋愛ゲームや異世界転生の主人公かよ。あかりがちょろい子みたいになるだろ」


あかり「ちょろい……何だかよく分からないけど都会で流行ってそうで良い響きですね」 ヒビクナ

496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/30(土) 23:18:07 ID:Ul91wNqc
902

モバP「暖かくなったり寒くなったりな冬だな」

雪美「……」コク

モバP「水浴びが心地良い季節になったらインフィニティプールにでも行きたい気分だ」

雪美「……インフィニティ……?」

モバP「プールの先がそのまま海とかの景色と水面一つで繋がっているように見える設計をされたプールだ」

ちひろ「水が外に溢れる寸前のように見えて見えない角度の側溝に流れ落ちる仕組みになっているんですよね」

雪美「……何それ……とても……興味ある……」キラキラ

ちひろ「ハワイ、スリランカ、シンガポールあたりに有名なものがありますよ」

雪美「でも……海の見える……プール…………お値段……高そう」

モバP「そこは手頃な所があればだな。予算は頑張るが」

ちひろ「ここの屋上にでも作ってみますか? なに、プロデューサーさんがドリンク購入を少し頑張ってくれれば」

モバP「何百万本買わせる気ですか。難工事確実」

モバP「自分は南大東島の海軍棒プールでも充分インフィニティプール感は出ると思うので、候補にしとります」


ちひろ「プロデューサーさんのセンスは初心者向けではないですね」

497: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/30(土) 23:22:19 ID:Ul91wNqc
903

雪美「……♪」セッセカセッセカ

モバP「今日は雪美さんが俺の部屋を掃除してくれている」

みく「お母さんみたいだにゃ」

モバP「本当だよなあ」

みく「Pチャンは感心しないの。自分の部屋は自分で掃除しないと」

モバP「雪美さんがやりたいようだったので」

みく「やりたいからって普通やらせるかにゃ」

モバP「ご厚意有り難いと思っているよ。それに一言断ってからやってくれるから心臓にも良い」

みく「ステレオタイプなお母さんだと無断でやるイメージだもんね。それで……」

みく「あ、見られると困る私物とかあるでしょ?」

モバP「あたしも男子ですからそりゃあありますよ、いろいろとねフフフ……   な本とか?」

みく「何堂々と言ってるの! 雪美チャンが見つけて読んでしまったらどうするにゃ!」

モバP「そのリアクションは見てみたいが、さすがにそんな物だけは事前に片づけてあるよ」

雪美「……これ……捨てても……良いの……?」 アア、ゴミニダシトイテイイゾ

498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/30(土) 23:23:57 ID:Ul91wNqc
みく「勝手に捨てられると困る物とかもあるよね」

モバP「夫の趣味の鉄道模型とかね」

みく「それは洒落にならないにゃ」

モバP「逆に子どもの頃に授業で描いた絵や100点のテスト答案なんかはね」

モバP「自分は要らないと思っていても親や祖父母の方がいつまでも捨てずに取っておきたがる」

みく「大事な我が子我が孫の一番可愛い時の成長の証だもん。捨てられないよ」

モバP「親心が分かっていますな」

みく「そんなこんなで考え出すと身の回りの物って一つ一つ思い出とかあるし、捨てにくいのにゃ」

モバP「そうしてミニマリストに憧れだすんだよな」

みく「Pチャンは断捨離ボーイになりたいの?」

モバP「今が割とそうだしな。物がない部屋ならルンバがスムーズに仕事をしてくれそう」

みく「Pチャンの場合、家にいる時間が長くないからにゃあ。というかルンバ飼ってるの?」

モバP「晶葉から貰ったルンバがあるんだが、あいつ賢くて俺のことを下に見てくるんだよな」

雪美「……そこ……掃除の……邪魔……」


モバP・みく「はい退きます」

499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/30(土) 23:25:08 ID:Ul91wNqc
904

みちる「プロデューサーさん、パンはいかがですか?」

モバP「おっ、それは菓子パンの定番、コロネじゃないか。いや、言うほど定番か知らないが」

雪美「勢い任せで……言う……」

みちる「今日はキッチンルームで作って来たのでお裾分けです!」

モバP「みちるの手作りか! ふーん、美味しそうじゃん」

雪美「チョコレートクリーム……たっぷり……」

モバP「……調理実習で作った料理を持ってきてもらった担任の先生の気持ちになるですよ」

みちる「あはは! 授業ではパンはあまり作ったことないですけどね」

雪美「……巻き貝の……形……かわいい……」

モバP「貝の形のお菓子はマドレーヌもそうだが、感性を刺激するな。早速食べよう」

みちる「はい、どうぞ! 雪美ちゃんにも」

雪美「……ありがとう……」

モバP「いただくよ。ん、やっぱりこの艶々した色。様式美があるな」

アム……ン、ウマイ!

500: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/30(土) 23:25:54 ID:Ul91wNqc
みちる「パンは裏切りませんからね! 次はメロンパンの皮コロネを作りたいです!」

モバP「チャレンジ精神旺盛だなぁ。メロネは若干パンくずが落ちやすい気がするが、良いとこどりパンだよな」

みちる「良いとこどりを目指しますよ! ではみんなにもコロネを配ってきますね!」

モバP「おう、気を付けてな」

モバP「……見な、季節外れのサンタクロースだよ。コロネのたくさん入った大きな袋を背負って」

雪美「……パワフル……」

モバP「……しかしこのコロネ、気づいたら穴の方から食べていた」

雪美「……どっちから……食べるのが……正しい……?」

モバP「巷では作法らしきもの種々雑多あるが、たい焼きと同じでどっちからでも間違いではない」

雪美「じゃあ……こっち……」ハム

雪美「……おいしい……。でも……クリームが……垂れると……負けた気がする……」

モバP「そこを気にすると結構食べ方が難しいパンではあるよな。垂れないようにクリームは固めになっていることが多いが」

モバP「……ふと思ったが、芳乃だと法螺貝に似ているコロネも先端から口を付けそう」

雪美「……芳乃……パン……好きだから……ね……。でも……クリームが……吹き飛びそう……」


モバP「そんな光景を見た日にはこっちも盛大に吹き出しそうだ」

501: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/30(土) 23:26:53 ID:Ul91wNqc
905

モバP「小腹が空いた。石焼き芋のトラックが近くに来ないかなあ」

ちひろ「今はスーパーに専用の焼き芋機が置いてある所も多いですよ」

モバP「軽トラックの通りかかりに上手く合わせて買わなくても良い時代ですか……」

雪美「焼き芋……よく……見かける……」

雪美「……でも……じゃがいもは……焼かないの……?」

モバP「さつまいもは焼くことで甘く一番美味しくなる、というのが他には無い特別として扱われているんだろうな」

雪美「……じゃがいもは……焼いても……甘くならない……」

モバP「だがホイルに包んで焼いたじゃがバターもこの時期手軽に食べたいとはつい考えるよな」

雪美「……じゃがバター……ほくほく……」

ちひろ「馬鈴薯の方は屋台やキャンプやバーベキューと、野外で食べるのが格別ですね」

雪美「……あとは……焼きトウモロコシ……」

モバP「良いねえ。あの匂いが本当にお腹を減らしてくれるんだ。食べたくなってきた……」

葵「プロデューサー、里芋の煮っ転がしを作って来たんよ! 食べんね?」


モバP「食べる。やっぱり里芋が至高だな」 サッキマデノハナシハ?

502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/30(土) 23:29:08 ID:Ul91wNqc
906

雪美「P……ガンダム……作れる……?」

モバP「それはプラモデル的なもの? それとも等身大をご所望?」

雪美「……大きいの……」

モバP「缶コーヒーのCMみたいなことをしてみたいのか……晶葉に頼んでみよう」

ちひろ「頼んで出てくるものなんですかね?」

モバP「あの足の細さでは体重を支えられないみたいな説がありますが、ガンタンクなら行けるかもしれない」

ちひろ「それは注文と違う品なような気がするんですけど」

雪美「……ガンダム……でなくても……いい……」

雪美「……いつか……巨大ロボットの……操縦席に……乗ってみたい……」

モバP「ほーう。先日、お仕事でフライトシミュレーター体験をして触発されたんだな」 ……ウン

モバP「しかし、ということは、実現すればシナジェティックスーツを着た雪美を見られる可能性も? そして俺は死ぬ」

ちひろ「プラグスーツよりある意味で変 ですねあれを求むのは」

モバP「ちなみにガンダムはよく知らないんですよね。サンドロックのヒートショーテル二刀流がクロスクラッシャーになる所が男心に火を付けるくらいで(早口)」


ちひろ「よく知らない(大嘘)」

503: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/01/30(土) 23:34:37 ID:Ul91wNqc
907

紗南「Pさん、何やってるの?」

モバP「ああ、紗南のオリガミキング実況を見て折り紙に目覚めちゃって」

紗南「マリオのやつか。オリビアがヒロインしていたよね」

モバP「スーパーペーパーマリオのアンナはクールだったが今回は結構対照的な性格だったな」

紗南「プレイし終わってしばらくオリビアロスになったよ……」

モバP「そんな名前の人がどこかにいそうだな。ダイアナロスみたいな」

雪美「……マリオと……オリビア……ベンチで……休む所……すき……」

モバP「良きパートナーよな。幕間パートが無いからピーチ姫の影はいつも以上に薄かったし」

紗南「シール2作の相棒はフェアリン型だったけど、あたしはオリビアタイプの方が好きかも」

モバP「ほのぼのした対クッパ軍団回とシリアスなオリジナル敵回があって後者だからってのもあるのかな――はい折れた、雪美さん」

雪美「……おお……」キラキラ

紗南「雪美ちゃんだ! よく折れるねー。というかゲームを見て折り紙を極めようとするPさん……」

モバP「実際に折り方が公開されていることだし、それをちょいとアレンジしているだけだよ。紗南も折ってあげようか?」


紗南「あたしの心まで折られそうだよ」

505: ◆ORDERq/08U 2021/02/06(土) 19:56:12 ID:F4K3xylI
908

みく「Pチャンまたインスタントラーメン買ってる」

モバP「たまには良いじゃないか」

みく「ホント、好きなんだね」ガサ

みく「ふーん、緑色の袋にゃ。それにタイ語が書いてあるにゃ」

モバP「YumYumグリーンカレーヌードルだな。スパイスが効いていていかにもエスニックな風味だ」

モバP「というか見てタイ語と分かるもんだね」

みく「ラベルに書いてあるの」

モバP「何だ、みくはタイ語を読めるのかと思ったよ」

雪美「……」コクコク

みく「15歳でタイ語すらすらならそっちで軽く話題になってるにゃ」

モバP「今は芸能界の美人さんって南アジア系がルーツの人とかも増えたからな。実はみくもそういうアレかと」 ンナワケアルカニャ

雪美「ラーメン……これも……貴……こほん、……四条さんと……共同購入……?」

モバP「ああ、実名は控えような? やや少量ですが美味しいのでP殿も食べてみてはいかがです? と言われてな」


みく「隠す気ないでしょ」

506: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 19:57:46 ID:F4K3xylI
909

モバP「うーん……」

雪美「……?」

モバP「もう出ないよぉ……」

雪美「P……寝言……?」

ちひろ「寝言に答えてはいけないって言いますけど、何が出ないのやら」

ピクッ

モバP「……みゆき……」

雪美「……!」

モバP「………………んっ? ……あぁ……つい寝てしまっていたようだ。つくづく眠気には抗えん」

雪美「……P……浮気……」

モバP「えっ? 寝言で変なことを言っていたか? 女性の名前とか?」

雪美「……みゆき……って」

モバP「ああ、みゆき。何故かそんな名前の猫を飼っていたら俺の口から竹輪が出てきてそれをみゆきがどんどん食べて巨大化していく夢だったなあ」


ちひろ「もう少し寝ていた方が良いんじゃないですか?」

507: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 20:00:02 ID:F4K3xylI
910

モバP「節分の日も終わったな」

雪美「……」コク

モバP「鬼のお面を付けて、全身タイツを着て、虎パンツを穿いて」

雪美「アフロと……角も……ね」

モバP「いやあ、楽しいが大変だった」

ちひろ「手の込んだことをしますね」

モバP「定番ですからね。丑寅の方角が鬼門なんで牛の角と虎のパンツなんでしたっけ」

モバP「鬼になりきってアイドルのみんなを合法的に追い回すのはなかなか爽快ですよ」

ちひろ「合法的って、それがそもそもの目的みたいに言う」

モバP「あとはみんなに豆鉄砲を当てられるのも不覚にも気持ち良くて」

ちひろ「待て待て。気持ち良いって何ですかあなた」

雪美「……受け……攻め……どっちもできる……P」

雪美「でも……鬼の金棒は……軽そうだった……」

モバP「重そうな金棒は今の日本においてはただの凶器だろうから用意するのが難しそうだ」

508: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 20:05:05 ID:F4K3xylI
モバP「だからってビニール金棒は少しあからさま過ぎたとは思っているが」

ちひろ「浮いてそう」

モバP「ただ鬼になるにあたってショー的な演技はしても、年少組とかを必要以上に怖がらせて楽しんではいけないと思っています」

モバP「別に釘バットとかを持参することも出来たんですがね?」

ちひろ「私物でも釘バットなんて持つな」

モバP「昔、絵本か何かで見たやっとこを持った牛頭馬頭がやたら怖かったんですよね」

雪美「……地獄の……鬼……」

モバP「だから拷問を連想させたり、見るからに痛そうだったり、という武器を持ち出すのはやめとこうと」

ちひろ「節分の鬼がやっとこを持って現れたら確かに嫌ですけど」

雪美「……歯を……抜かれそう……」

モバP「で、何だかんだあってその後、雪美には筋肉プリントシャツを着てもらいまして」

ちひろ「重要そうな過程を大きくすっ飛ばすな」

雪美「Pだけ……タイツ……だったから……私も……思いきって……刺激的に……」

モバP「分かっていても一瞬裸かと錯覚しますね。危うく興奮する所でした」


ちひろ「裸が筋肉モリモリであってたまるか」

509: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 20:14:43 ID:F4K3xylI
911

モバP「雪美さんに質問」

雪美「……?」

モバP「夜の食事はお風呂に入った後にする? それともお風呂の前にする?」

雪美「……後……」

モバP「大体は寝る少し前という人が多いかもな。湯冷めするかもしれないし」

雪美「……」コク

モバP「俺の家でも基本、食事の後に時間を置いてお風呂だった」

ちひろ「子どもの頃からの家庭の習慣はそれが世間の当たり前のように思ってしまうことがありますね」

雪美「……後だと……間違い……?」

モバP「一概に間違いと言うべきではなかろうが、前が間違いだと思っていたら実はそうでもなさそうだと後になってから知った」

ちひろ「前の方が健康に良いとは言いますね」

モバP「思い出すと何度かだけ食前入浴をやっているんですが、その時はご飯が美味しかった気がします。偶然かな?」

ちひろ「他の人はどうか知りませんけど、私はパジャマで夕食というのが何か背徳感あるんですよね」


雪美「……今度……三人で……パジャマディナー……やろう……(無茶な提案)」

510: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 20:18:57 ID:F4K3xylI
912

モバP「ちひろさんはサロンバスって知っています?」

ちひろ「ああ、あれでしょう? 肩や腰に貼るやつ」

雪美「それは……サロンパス……」

モバP「センターテーブルがあって空間が広く豪華な感じがするバスですよ」

ちひろ「分かってますよ。バラエティ番組のロケで映ったりしますよね」

モバP「あれ、一台欲しいと思いません?」

ちひろ「自前で持つんですか? どんな大手芸能事務所ですか」

雪美「……充分……大手……」

モバP「346プロと言えば敷地が端から端まで歩いて三日はかかるとかいうほど広いじゃないですか」

ちひろ「落語のほら吹き並のことを言いますね」

雪美「……そんなに……広かったの……?」

ちひろ「仮にも東京のど真ん中ですよ? そんな訳ありませんって」

モバP「でも、自分は経験がないんで、一度あのサロンの座席に座ってみたいです」


ちひろ「それならリムジンにでも乗る方がもっと快適ですよ?」 カンタンニイイマスネ

511: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 20:20:12 ID:F4K3xylI
913

モバP「さっきですね、防犯パトロールで歩いている人を見かけまして」

雪美「あいさつ……した……」

ちひろ「登山以外ですれ違う人に挨拶なんてなかなかすることないですよね。されたら返しますけど」

モバP「されました」

ちひろ「プロデューサーさんと雪美ちゃんが並んで歩いていると、念のため声かけとこ、と思うのかもしれませんね」

雪美「……?」

モバP「パトロールって毎回同じ人がやっているとは限りませんからね」

モバP「雪美と二人でよく近所に出没しているんですが、まだ“あ、あの人たちか”と覚えられていないのかも」

ちひろ「それで、不審者じゃないか、と」

モバP「不審者と言わないでください。慣れてはいますがこれでも傷つきやすいので」

雪美「……」ヨシヨシ

モバP「こう見えても以前、自分も防犯パトロールに参加したことがあるんですがね」

ちひろ「へえ」

モバP「実家の町内会――あれ、学級当番のようにいつか自分の番が回ってくるんですよね」

512: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 20:25:03 ID:F4K3xylI
雪美「……私は……出たこと……ない……」

モバP「雪美が学校やお仕事でスタンバイできない時間だと仕方ないさ」

モバP「パトロールには帽子、安全ベスト、腕章、誘導棒、懐中電灯、ホイッスルなどいろいろ持って行くんですよ」

雪美「……安全ベスト……体育でも……使ってる……?」

モバP「ビブスか。まあ広義ではその仲間だな。あとは交通整理の人が着ている反射材の付いたチョッキとかもそう」

ちひろ「貸し出されるんですね。それで指定のルートを回って戻ってくる感じで」

モバP「はい。それで必ず複数人で行きましょうねというのがあります」

雪美「……人数……集めるの……大変そう……」

モバP「俺もそう思う」

モバP「だがいつか雪美さんとパトロールをしてみたいな。安全ベストと誘導棒を装備して勇ましく佇む雪美さんが見たいだけだが」

雪美「……Pとだと……チャンバラが……始まりそう」

ちひろ「ヤンチャな年頃の小学生の男子とプロデューサーさんくらいだったらやりそうですねチャンバラごっこ」

モバP「ヤンチャな年頃の小学生の男子と並列に見ないでほしいですね」

モバP「……まあ誘導棒はライトセーバーと似ていなくもないですから気持ちは分かるんですが」


ちひろ「パトロールそっちのけでチャンバラパフォーマンスやりかねない人には任せられませんねえ」

513: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 20:28:15 ID:F4K3xylI
914

乃々「もりくぼですけど……、あれ、プロデューサーさんは留守ですか……帰ります」

杏「やあ乃々、よく来たね。一緒に休んでいかない?」

雪美「……」ノシ

乃々「杏さんと雪美さんがおるすばんですか……」

乃々「あの……幸子さんって今は外出しているんですか……?」

杏「幸子なら急な仕事で北海道に行ったみたいだよ」

雪美「……」コク

乃々「えっ、一体何をしに」

杏「何でも山に家を建てるらしいよ」

乃々「……???」

雪美「家を建てるのに……幸子が……必要……?」

乃々「応援団長とか、ですかね……?」

杏「いや、命のスープを作ったりビス打ちしたりするってプロデューサーが」


乃々「プロデューサーさんは一体どこへ……?」

514: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/06(土) 20:29:49 ID:F4K3xylI
915

雪美「P……これ見て……」

モバP「僕は今企画書作りの実験で手が離せない」

ちひろ「いや、企画書作るのに実験って何」

雪美「私が……奏……千夜……梨沙……比奈と……、制服……着た……」 ピクッ

モバP「これが……君の制服姿か」

雪美「……どう……? ありえない……?」

モバP「ありえない? それは違う。確かに雪美の制服姿は本来今は見られないものであるが、しっかりと女学生に見える」

モバP「全ての現象には必ず理由がある……実に面白い」カッ

ちひろ「理由も何もプロデューサーさんがこの衣装にしたんでしょう」

ちひろ「それとフレミングの左手然の三本指で顔をカッ! やるのは何ですか、湯川先生ですか?」

雪美「ふふ……Pが意識して出す……低音……良い声……」

モバP「何となくやってみたくなっただけですはい。しかし制服は最高だな」

ちひろ「今更素に戻っても遅いですよ。雪美ちゃんの話が全く頭に入ってきません。何ですかこれ」


モバP「はっはっはっは……なるほどさっぱり分からん」 スニモドレ

516: ◆ORDERq/08U 2021/02/13(土) 18:46:57 ID:qldVgTkA
916

モバP「世の中には数多の料理がありますが、自分がどうも苦手と感じる物を最近発見しました」

ちひろ「プロデューサーさんは何でも喜んで食べるイメージですが」

モバP「ちひろさんは、トムヤンクンや酸辣湯ってどうです?」

ちひろ「あっ……そういう」

雪美「……?」

モバP「はい。酸っぱ辛いタイプの料理が結構きついと感じるんですよ」

雪美「……酸っぱくて……辛い……」

ちひろ「甘酸っぱいのや甘辛いのだったら全然平気なんですよね?」

モバP「はい。それに酸っぱい、辛いの単体も、程度によりますが大丈夫です」

モバP「ただ酸っぱいと辛いの連携となると、特にあんやスープ系を飲むのは胃が嫌がるような感覚が来ます」

雪美「……今度……やさしい味で……作ってみたら……食べる……?」

モバP「マイルドな酸っぱ辛さだったらいけるかもな。お願いするよ」

ちひろ「程度というのはあるでしょうね。激辛料理を平気な顔して食べきれる人は私の知る限りでも珍しいと思います」


モバP「好きか平気なだけかでも違いますからね」 ソレヲイッタラネ……

517: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/13(土) 19:16:48 ID:qldVgTkA
917

雪美「P……新歓に……行ってくる」

モバP「大丈夫か? 変なサークルには行かないと思うが不安だ」

雪美「P……イベントの……打ち上げに……行ってくる」

モバP「飲むと判断力と抵抗力が落ちるから程々にな? 迎えに行こうか?」

雪美「P……同窓会に……行ってくる」

モバP「男に付いて行っちゃダメだぞ? お持ち帰りなんてされたら俺は泣くぞ?」

雪美「……Pに……泣かれるのは……困る……」

ちひろ「束縛系男子ですねえ」

モバP「行くことに断固反対まではしていませんから……」

雪美「……こういう所には……行かない方が……良い……?」

モバP「何事もなく終われば楽しいと思うが、悪い男の毒牙にかかる話は新歓打ち上げ同窓会が多いからな」

モバP「しかし、行くな! 俺のそばにいろ! ……とは言えんよなあ」

雪美「……ふふっ、……言ってくれるなら……そばにいる……」


ちひろ「というかまだ先の話を何彼氏気取りでシミュレーションしてるんですか」

518: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/13(土) 19:22:43 ID:qldVgTkA
918

モバP「雪美さんってよくよく考えると比較的口数が少ない方じゃない?」

雪美「……そう……?」

ちひろ「プロデューサーさんは普段どんなことを考えて雪美ちゃんと接していたんですか?」

モバP「そらもう……」ジッ

雪美「……?」

雪美「…………ふふっ」ニコ

モバP「……!」

「エラーが発生しました。イジェクトボタンを押してディスクを取り出してから、本体の電源ボタンを押して電源をOFFにして、本体の取扱説明書の指示に従ってください。」

――

モバP「……ふう、思考が止まってしまっていたようだ」

ちひろ「プロデューサーさんはWiiだったのか」

雪美「……Switchに……アップグレード……しないと……」

モバP「それで五等分の鬼嫁の話ですが」

ちひろ「それ30分前にした話ですね。最後に保存した記憶がそこですか」

519: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/13(土) 19:26:41 ID:qldVgTkA
――

モバP「ああ、そうだそうだ。雪美さんは意外と無口でミステリアスな美少女だって話です」

雪美「……///」

ちひろ「最初と違う」

モバP「しかしそう感じさせて実は、喋るのは好きな方。心の中ではもっと声を出している」

雪美「……まる」

モバP「雪美は学校ではどうだ? たまに環境によってキャラを使い分ける前川さんみたいな子もいるが」

雪美「……私は……私……。変わらないと……思う……」

雪美「私が……話す時は……みんな……静かに……聞いてくれる……」

モバP「良いな。俺は声は大きいが字が小さいとよく言われたが、周りが気を配って合わせてくれるか」

雪美「Pの字……今でも……かわいい……から……ね」

ちひろ「男性にしては丸いんですよね。いろいろ性格診断が出来なくもなさそうです」

モバP「まあその辺は追々。……じゃあ授業で手を挙げるとか、グループディスカッションとかにも消極的というわけではないんだな?」

雪美「……うん。……でも……気を付けないと……みんなのテンポが……段々ゆっくりに……なる……」


ちひろ「メトロノームの同期現象みたいですね」

520: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/13(土) 19:28:21 ID:qldVgTkA
919

モバP「今年もバレンタインデーがやってきましたね」ガラガラ

ちひろ「事務所にリアカーで乗り入れないでください」

モバP「まあまあ。これでひとつ勘弁してくださいな」

ちひろ「……チョコレートですか」

モバP「346年に一度の自信作ですよ」

ちひろ「ボジョレー・ヌーボーのキャッチコピーより誇大すぎてもはやギャグか」

モバP「とりあえず創作意欲に任せて12種類の味のアソートにしましたので鬼が出るか蛇が出るか分かりません」

ちひろ「そんなこと言って、どうせ美味しいんでしょう? 市販品みたいな包装ですし」

モバP「カカオ100%がどこかに混入しているかもしれない点はご留意を」

ちひろ「プレゼントで遊ぶな」

ちひろ「というかナチュラルにあげる側に溶け込んでいるのはどうかと」

モバP「ホワイトデーではどうせチョコ以外をあげることが多いですし、でもチョコもチョコで作りたいじゃないですか」

ちひろ「ちょっと何言ってるかイマイチ分からないですね」

モバP「変なんであれば、謎の女プロデューサーXが作った友チョコと思えばアリです?」 ナイヨ

521: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/13(土) 19:30:42 ID:qldVgTkA
かな子「Pさん……」

モバP「おお、かな子。どうだった?」

かな子「すっごくおいしかったです。つい手が伸びて全部……」

モバP「欲望解放させちゃったか」

ちひろ「アソートは全種類食べたくなってしまいますからね」

モバP「バレンタインのチョコレートを渡す側って、自分の分も買うか作るかする人もいるかもしれませんが」

モバP「そうでない人にも美味しいチョコレートを食べさせたい、という考えで作りました」

かな子「自分のチョコレートに自信が無くなりそうです……」

モバP「えっ、それは困るな。俺もチョコ食べたいよ」

ちひろ「肝心の自分の分は作ってなかったんですか」

モバP「自分で食べると、もっとこうすれば良かったとか後悔しそうなんで」

ちひろ「レストランのメニュー開発者じゃないんですから」

雪美「Pの……チョコレート……おいしい……。ほら……あーん……」

モバP「んっ……これは――! いや、これは雪美効果が大きいと思う」


ちひろ「バレンタインってそういうものだと思いますよ?」

522: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/13(土) 19:41:27 ID:qldVgTkA
920

ちひろ「プロデューサーさんはまたたくさんのチョコレートを貰ったようで」

モバP「今年は日曜だったからですかね? 学校がある平日ならまだこの時間は落ち着いているんですが」

ちひろ「それを全部食べきってお礼状まで出すとか私だったらとても無理だと思います」

モバP「おかげで毎年2月後半は少し太ったねと言われます」

ちひろ「少しで済むんですか? これだけ食べたら顔のパーツが全体的に内側に寄るまで行きそうですけど」

モバP「地獄のミサワ絵みたいにはなりたくないですね」

モバP「でもこれらを何回にも分けて食べていればしばらくは食費がかからなくて済みそうですよ」

ちひろ「貰ったチョコレートだけで生活をするのは何か違うと思いますけどね」

モバP「チョコレートは命を繋ぐのに頼れる非常食でもあるんですよ? 暑さには弱いですが」

ちひろ「縦走中の遭難じゃないんですから」

ちひろ「万が一それで体調を崩したりすると、みんなが責任を感じるでしょうから無茶はしないでください」

モバP「分かりました」

モバP「……しかしこのスティックチョコレートは食べても食べても無くならないなあ」モグモグ


雪美「それは……晶葉と開発した……魔法のチョコ……」 マキノウドンカナ?

523: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/13(土) 19:46:03 ID:qldVgTkA
921

愛海「プロデューサーはさー」モミュモミュ

モバP「どんな心境の変化か知る由もないが俺の頬をもみゅるな」

愛海「お山を登れない手が疼くのを慰めるためにやってるんだよ」

モバP「山を登るのは足だろうが普通は」

愛海「プロデューサーはさー?」グニグニ

モバP「乱暴に扱うでない。女の子の……それをあれする時もそんななんじゃあるまいな」

愛海「プロデューサーだから遠慮しないだけだよ♪」

モバP「くぬやろ……それで、何が聞きたい?」

愛海「初めて独り暮らしするってなった時、どんな気持ちだった?」

モバP「俺は自由なんだって楽しみで浮かれていたよ。学校や親にあれこれ管理されなくて良いのは大きいよな」

愛海「でも悪いことしても注意してもらえないのが時々物足りなくなったりしない?」

モバP「そうだな。この環境を元に戻せるかと言われると難しいが、ふと寂しくはなる」 ダヨネ!

モバP「いくらアイドルが周りにいてくれても、やっぱり親兄弟とは違うからなあ」


雪美「……でも……兄妹みたいには……見える……」ドチラモ……サビシガリヤ……

524: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/13(土) 19:48:23 ID:qldVgTkA
922

雪美「……P……ここ」

モバP「ん?」

モバP「おっ、テントウムシだな」

雪美「……ナナホシ……かわいい……」

モバP「まだ2月だが春のような陽気に誘われて出てきたのか」

雪美「最近……暖かいから……」

モバP「花粉も飛ぶとか飛ばないとか……これからまた冷え込むようだがな」

モバP「しかし、テントウムシは見かけると何だかほのぼのするな。他の虫は、“げっ、虫じゃん”となりがちなのに」

雪美「……昆虫図鑑で……馴染み……ある……。それに……小さくて……大人しい……」

雪美「……どこに……行くの……? 迷っている……みたい……」ジーッ

モバP「枝のような高い、先の尖ったものがあるとその先端まで登ってから飛び立つことがあるな」

雪美「……指に……乗せてみる……」スッ

……ヨジヨジ フワッ


モバP「おお、飛んだ飛んだ」 バイバイ……

526: ◆ORDERq/08U 2021/02/20(土) 22:41:49 ID:KbudnhwA
923

モバP「……これは」

モバP「うん、杏が強いなあ」

雪美「……そう……?」

モバP「ああ。これはこれで良いんだが、少し杏の主張が強い」

杏「ねえ」

モバP「おや、杏か」

杏「二人だけで何、杏の話してるのさ」

杏「……杏、そんなにお仕事で主張が強い?」

モバP「いや、このヤマザキのバナナクリームサンドは杏ジャムの主張が強いなと」

杏「……何だよ紛らわしいなあ」

モバP「あまりバナナバナナし過ぎているのよりは適度な酸味がマッチする杏が好きだが」

雪美「私も……。杏……好き……」

杏「二人とも杏の目を見ながら言うのやめてもらえる? 杏ジャムの話だよね?」


ちひろ「また東日本じゃ買えないパンを普通に食べていますね……」

527: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/20(土) 22:44:05 ID:KbudnhwA
924

モバP「俺は市販品から自作、かな子や愛梨が作ってきてくれる物まで、様々なお菓子を食べてきたと思う」

雪美「……P……みんなから……餌付け……されてる……」

ちひろ「しかもスタドリやエナドリも飲みますし、そろそろ臓器の一つ二つイカれるかもしれませんね」

モバP「冷静に恐ろしいことを言うのはやめてください。自分でも少し気にはしているんですから」

モバP「というかドリンク類はちひろさんの提供でしょう?」

ちひろ「ノルマがね……ありますからね」

モバP「何の営業ですか。……この前もダマンドレザンというケーキを買って食べたんですが、しっとりしたりざくざくしたりで美味しかったんですよ」

雪美「……ダマンドは……クレームダマンドの略で……アーモンドクリーム……。レザンは……レーズン」 ユキミチャンクワシイ

モバP「アルコールが入っていたので雪美と半分こはできませんでしたが、ブレンデーケーキを少し寝かせて酒の風味を落ち着かせたような感じで食べやすかったです」

ちひろ「でも、いろんなものを食べていると、たまに食べたことを忘れるお菓子とかありません?」

モバP「ありますね。例えばミルクレープとかどこかで食べているはずなんですが、どんな味だったか記憶が……」

千夜「覚えていないのはお前が良い物を食べていないからです」

千夜「明日、私に付き合ってもらいます。お前に本物のミルクレープを食べさせてあげますよ」


ちひろ「千夜ちゃんもいつの間にか山岡士郎ばりのことを言うようになって……」

528: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/20(土) 22:45:09 ID:KbudnhwA
925

モバP「……」ギュッ

雪美「……」ヌクヌク

ちひろ「一緒にブランケットに包まるとはまた見せつけますね」

モバP「冬場の屋外スポーツ観戦でよくありますよ」

ちひろ「ここ屋内ですし。それに人前でカップルでやる度胸のある人まではなかなか」

モバP「ちひろさんは我々が親子ではなくカップルに見えるんですね」

雪美「……照れる……」

ちひろ「どちらにせよ容認はしませんけども」

モバP「ですが、寒い日はこうして丸まると気分が高揚してきませんか?」

雪美「……寒くても……ぽかぽか……ひゃっはー……」

ちひろ「暖房が足りていないようなら温度を上げますけど」

モバP「いえ、そういう訳ではないです。今も割と熱い」

ちひろ「何やってるんですか」

雪美「でも……気持ち良い……」

529: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/20(土) 22:48:53 ID:KbudnhwA
モバP「毛布の肌触りって気持ち良いですよね」

ちひろ「包まれている感じが安心するんでしょうかね」

雪美「Pと……毛布……二重に……包まれて……幸せ……」

ちひろ「プロデューサーさんは体が大きいので保護面積も広いですからね」

モバP「巨大化は的が大きくなるだけだと言いますがこういうメリットもあったんですね」

ちひろ「何か的にされるようなバトルでもしようというんじゃあるまいし」

モバP「例えばドッジボールとかをやる時です」

ちひろ「ドッジボールはまあ……巨大化という言い方はオーバーですけどね」

雪美「ドッジボール……キャッチするのが……難しい……」

モバP「あとは勢いよく投げるのもな。俺は体力測定であのくらいのサイズのボール投げが苦手だった」

ちひろ「体力測定は懸垂とかもですけど普段からやらないと体の使い方が分からないことがありますね」

モバP「慣れれば野球のボールみたいに投げられそうなんですが……ただドッジボール、避けるのは得意だった」

雪美「……私も……避けるのは……上手い……」フンス

ちひろ「残念ながらドッジボールで“避けるのが上手い”はあまり褒め言葉にはならないようです」


モバP・雪美「えっ……」

530: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/20(土) 22:51:40 ID:KbudnhwA
926

モバP「地震って怖いよな」

雪美「……怖かった……」

ちひろ「また絶妙に油断、というか忘れた頃にやってくるんですよねえ」

ちひろ「でも何か2月3月4月とこの辺の時期に集中する印象はありますね」

モバP「某サイトの地震履歴を見ると最大震度6以上が41回あってその内23回がその3ヶ月ですね」

雪美「……注意すべき……時期……?」

ちひろ「まあ一つ大きな地震があるとその余震がしばらく重なるのが理由でしょうけども」

モバP「自然災害は断水や停電も嫌ですね。台風なんかはお風呂に水を溜めるといった事前の備えができますが地震は自信がないとできない」

ちひろ「何か言いました?」

モバP「いえ。……しかしこうなると本来キャンプなんかで使うようなポータブル電源を持っておいても良いかもしれませんね」

ちひろ「非常用としては良さそうですけど、容量が大きくなればそれだけ重くなりそうですね」

モバP「あとは発電機の修理もできるようになっておけば急にエンティティに招かれても生き残れそうです」

ちひろ「非常時にDead by Daylightやるな」


雪美「モンスターエナジーに……線を二本……足すと……dbd……」 ニテルヨナ

531: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/20(土) 22:54:51 ID:KbudnhwA
927

颯「なー、こっちこっちー」

凪「はーちゃん待っておくんなまし。凪というヨットは波任せでしか動けないのです」

颯「じゃあはーがタグボートになってあげるよー。あははっ」ズリズリ

凪「はーちゃん意外にも力が強いですね」

モバP「……」

雪美「P……颯と……凪……見て……どうしたの……?」

モバP「いやあ、双子のアイドルって改めて見ても結構珍しいよな」

雪美「普通の……姉妹でも……両方……アイドルは……珍しい……」

モバP「ウチでも城ヶ崎と久川だけだからな」

モバP「そうなるとだ。三つ子なんてもっと珍しいんじゃないか?」

雪美「……三つ子……一度も……会ったこと……ない……」

モバP「かの有名な人形のリカちゃんには双子の妹と三つ子の妹弟がいるという結構現実離れした設定があるが」

モバP「いつか、三つ子のアイドルの卵も見つけてみたいものだ」


雪美「……パッション……クール……キュートで……きれいに……分けられる……ね」

532: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/20(土) 22:59:22 ID:KbudnhwA
928

~♪

モバP「ああ、やっぱりFMラジオは良いな」

雪美「……♪」

ちひろ「radikoで聴いているんですか」

モバP「はい。家にCDラジカセがあるんですがもうボタンがいうことを聞かなくて」

ちひろ「CDラジカセって懐かしいワードですね。自動で合わせてくれるシンセチューニングですか?」

モバP「はい。95年くらい製の物を貰って使っていたんですが、今はボタンを押すと隣のボタンが誤作動します」

モバP「ツマミを合わせるアナログチューニングのポータブルラジオの方がまだ現役なくらいですよ」

雪美「Pの家……Victorの……Hi-Fiビデオデッキとかも……ある」

モバP「いろんなボタンが配置されてライトが点いて、小さなコックピットみたいでロマンですよねえ」

ちひろ「物持ちが良すぎる」

ちひろ「しかしラジオですか。昼間にガソリンスタンドに寄るとFMラジオを流していることがありますけど」

モバP「個人的には、ローカル局によくありましたが、ほとんど英語と洋楽だけの異国情緒を醸し出しているラジオ番組が好きです」


ちひろ「海外の番組を聴くんじゃなくて海外風の日本の番組を聴くのがお好きなようで」 ハイ

533: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/20(土) 23:00:52 ID:KbudnhwA
929

雪美「……」ナデナデ

ペロ「……」ウットリ

モバP「雪美がペロを撫でている。これ自体は珍しい光景ではない」

モバP「だが膝丈ほどのスカートでしゃがんでいる――その姿」

雪美「……」スクッ

雪美「また……後で……」

ペロ「……」トコトコ

雪美「……P……どうしたの……? ぼうっと……して……」

モバP「いや、雪美がしゃがんでいるのって、何か良いなって」

雪美「……こう……?」スッ

モバP「さっきより丸まったな。写真で残しておきたいところだがカメラが無い」

モバP「この前のグラウンドから立ち上がって軽くお尻の砂を払う仕草と甲乙つけがたいな……」

雪美「……P……お仕事モードに……入った……?」


ちひろ「こんなお仕事モードは嫌ですねえ」

534: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/20(土) 23:02:32 ID:KbudnhwA
930

モバP「雪美もアイドルの仕事をして結構長くなるな」

雪美「……」コク

モバP「そろそろオルタ化も検討して良いかもな」

雪美「……あの……オルタ化を……?」ゴクリ

モバP「そう、あのオルタ化だ」

ちひろ「露骨に他所のネタをパクるのはどうかと」

モバP「もしくは内なる虚?」

ちひろ「黒化も漂白反転もダメです」

モバP「白い髪の雪美とか強そうなんですがねえ」

ちひろ「何と戦わせる気ですか」

モバP「しかし、よく創作とかである、過度なストレスやショックにより一晩で髪が真っ白になる表現」

モバP「あれは結構ゾクゾクしますよね。実際にはああはなり得ないと聞きますが」

雪美「……Pは……大丈夫……? 白く……ならない……?」


ちひろ「プロデューサーさんは寧ろたまには全身真っ白に燃え尽きるくらい頑張ってください」

536: ◆ORDERq/08U 2021/02/27(土) 23:11:16 ID:Um0gGIKw
931

ちひろ「みんなと一緒に写った写真が、全部プロデューサーさんの顔だけ骸骨になっていた――」

雪美「……」コク

ちひろ「それは怖い夢を見ましたね」

雪美「……」

ちひろ「プロデューサーさんは今ちょうどいないんですよね。直に帰って来ると思いますけど」

雪美「……」ソワソワ

ちひろ「胸騒ぎがします?」

雪美「…………」コク

ちひろ「夢を何かの暗示だと捉えてしまうのはよくあることですね」

ちひろ「夢に見たことが現実で一部再現されることもごく稀にありますけど、それは偶然だと思います」

雪美「……」コク

ちひろ「大丈夫ですよ。それに、もし例えどんな姿になったとしても、プロデューサーさんはプロデューサーさんでしょうし」

雪美「……」


ちひろ「ここだけの話ですけど、私は初代のプロデューサーさんが一番好きでした」 ……!?

537: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/27(土) 23:16:23 ID:Um0gGIKw
932

モバP「765プロでは特別な時のご褒美にゴージャスセレブプリンというのがあるそうな」

杏「あるそうな――って、どこで聞いたのさ」

モバP「プロデューサーネットワークで。なかなか人気の品で簡単に買えないらしくて」

杏「そう言われると食べてみたくなるのが人の性」

モバP「どんな感じなんだろうな? ドンレミーのプリンアラモード系なのか、それともトーラクの神戸シェフクラブロイヤルカスタードプリンのようなものか」

杏「具体的に名前出しすぎだってば」

モバP「……RCP(ロイヤルカスタードプリン)はPCNP(プッチンプリン)とかに慣れているとやっぱり違うんだよな」

モバP「カラメル後がけで、更に茶碗蒸しのような柔らかさに思わず舌鼓を打つってもので」

杏「何で例えが茶碗蒸しなのさ……それになかなか買えないほどの物じゃないよね?」

雪美「……」トントン

モバP「お、調べてくれたのか」

雪美「……」ヒソヒソ

モバP「……へぇ、GCP(ゴージャスセレブプリン)はPALM(プリンアラモード)系らしいな?」


杏「もうわけがわからないよ」

538: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/27(土) 23:17:39 ID:Um0gGIKw
933

モバP「……ここをこうして、そっちをああして」カタカタ

雪美「……」パラッ

モバP「でもってここで鍵を運んでチケットを集めてビームを撃つ」カタカタ

ちひろ「仕事してるかと思ったらゲームしてません?」

モバP「いえ、企画書を」

ちひろ「どんな企画書だとビームを撃つことになるんですか。Pony Islandでもやってるのかと」

モバP「……仕事中にそんなことはしませんよ」

雪美「……」パラッ

ちひろ「……はぁ。雪美ちゃんは大人しく本を読んでいるというのに」

モバP「こちらの気を散らせないようにしてくれるのが良いですね」

モバP「まあさり気なく近くにいるだけで、もうこちらは構いたくて仕方ありませんが」

ちひろ「目がチラチラ雪美ちゃんの方に行ってますからね」

モバP「雪美さんって用が無い時でもふらりとやって来て、こちらの用が終わるまで待っていてくれますから」

ちひろ「愛されてますね(棒)」

539: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/27(土) 23:19:52 ID:Um0gGIKw
モバP「だから仕事を早く一区切りつけないといけない」

雪美「……」チラ

モバP「本当は多少邪魔をしてきても良いんですがね」

ちひろ「邪魔をされたいとは変わっていますね」

モバP「普段はモフろうとしてもつれない 度の飼い猫が、何かに集中している時に限って寄ってくることがありますよね?」

ちひろ「猫は気まぐれでツンデレだとか言われますからね」

モバP「雪美さんも多少はそんな猫らしさを出してふてぶてしくなっても良いと思います」

雪美「……!」

ちひろ「結局仕事が捗らなくなると思うんですけど」

モバP「しかしこんなあからさまに誘っていては猫もちょっかいを出す気が起きませんかな?」

モバP「真面目に仕事していましょう」カタカタ

ちひろ「切り替えが早いですね」

雪美「……」ソーッ

モバP「……」ワクワク


ちひろ「私も猫を飼ってるとこんな風に毎日楽しいんでしょうか」

540: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/27(土) 23:21:43 ID:Um0gGIKw
934

モバP「今年の春一番は早かったですよね」

ちひろ「結構な風が吹いていましたね。まあ暦の上では春なんですけど」

モバP「立春の翌日でしたからね。虎落笛の音と共に転がるタンブルウィードが哀愁を誘っていました」

ちひろ「そんな共演はあり得ません。ここは荒野のウエスタンサルーンじゃないんですから」

雪美「……?」

モバP「そう、西部劇で出てくるアレだな。日本にも牧草ロールという類似物があるが」

ちひろ「牧場で決闘でもする時にコロコロ転がってくるんですか、あれが」

雪美「……」クスッ

モバP「それはそうと、防災センターに行くと強風を体験できる施設があったりしますよね」

ちひろ「小学生の頃に社会科見学で行きましたねえ。地震や消火訓練もした記憶があります」

雪美「……?」

モバP「雪美はまだ行ったことがないんだったか。テレビの台風中継をやっているアナウンサーの気持ちになれるぞ」

雪美「……!」キラキラ


モバP「おお、やりたいか。ただ髪がすごいことになりそう」 マトメルデショ

541: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/27(土) 23:23:46 ID:Um0gGIKw
935

モバP「誰でも使わなくなるものというのはある」

モバP「家の掃除をしていたら出てきたこの初心者マークがそうだ」

雪美「……」 ペタ

モバP「……これを貼ることで初心者ドライバーならぬ初心者フリーザーの完成か」

雪美「……」フフッ

モバP「何となく冷蔵庫に貼ってみるのは俺もやったことがある気がする」

モバP「免許を取ったら一年間は必ず車に着けておかないといけないものだが」

雪美「……」 ペタ

モバP「これこれ、俺に貼るんじゃない。俺が初心者みたいじゃないか。何の初心者か知らないが」

雪美「……」フフフッ

モバP「しかし、一年経過後は使い道が無くなるんだよな」

雪美「……?」

モバP「買ったのかって? いや、俺の場合は確か教習所を卒業する時に貰ったな」

モバP「まあ入学の時に払うお金にその分も含まれていたんだろうが」

542: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/27(土) 23:25:39 ID:Um0gGIKw
雪美「……」

モバP「勿論、そうでない学校もあるかもしれないし、吸着が弱い初心者マークは高速道路を走っていると飛んでしまって紛失なんてこともある」

モバP「だからそういう時に買い直せるように100均とかでも普通に売っている」

雪美「……」マジマジ

モバP「もし欲しいんだったらあげるぞ? 雪美なら万が一にもいたずらとかに使ったりはしないだろうしな」

雪美「……」

雪美「……」ヒソヒソ

モバP「……ふむ」

モバP「……雪美が免許を取った時に、か。……分かった、その時にこれをあげると約束しよう」

雪美「……」ユビキリ

モバP「また小さな約束が増えてしまったな。これでこいつもいよいよ捨てられなくなっちまった」

モバP「まあ再利用してもらえるならこいつも本望かな?」

雪美「……」(*゜-゜*)

モバP「……あ、貼るのは車体の前後にそれぞれ一枚で良いんだからな? たくさん集めて貼りまくっても異様なだけだからそこは」


モバP「あ、そんなことはしない? そりゃそうか……」

543: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/27(土) 23:36:37 ID:Um0gGIKw
936

モバP「フフフフ~ンフフフフ~ンフフフフ~フ~フ~フ~♪」

雪美「……」

モバP「フ~フフフフ~フフフフフフ~フ~フフフフ~フフフフフフ~♪♪」

雪美「……~♪」

雪美「……??」

モバP「おや、雪美さんが鼻歌を……真似している」

ちひろ「プロデューサーさんの鼻歌のレパートリーが結構多い上に良い曲――というか耳に残る曲が多いですからね」

雪美「……?」

モバP「この曲か? この曲はな、イース3のバレスタイン城だな。それもトンキンハウス版」

ちひろ「フレデリカちゃんでもやらないパペパプーバージョン」

モバP「とりあえず自分が口ずさみたい曲のタイトルを知らないのは嫌なので、そこは聞かれたら答えられるように調べていますね」

雪美「……!」キリッ

ちひろ「プロデューサーさんのボイスがちょうど楽器みたいで聴き心地が良いそうです」


モバP「雪美も俺と楽器にならないか?」 ドンナコロシモンクデスカ

544: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/02/27(土) 23:38:32 ID:Um0gGIKw
937

モバP「2月が過ぎるのはあっという間だった」

雪美「……」コク

モバP「それもそのはずか。普通の月より日数が少ないのだからな」

雪美「……?」

モバP「他の月は30日か31日あるのに2月だけ2日3日少ないからな」

モバP「たった2日3日少ないだけでそんなに変わるか? とお思いでしょうが」

ちひろ「こうして月末になると、そういえば今月は2月だったか、って実感するんですよね」

ちひろ「さて、何か今週は雪美ちゃんがあまり喋らなかった気がするのは私だけですか?」

雪美「………………」

モバP「ちひろさん、もしかして雪美の声が聞こえないんですか? 2月病ですか?」

ちひろ「何ですかそれは。雪美ちゃんとは普通に会話できているんですけど……セリフが省略されているというか」

雪美「……、……?」

モバP「ドラクエとかの主人公みたいですね。……つまり雪美さんはこの物語の主人公だった……!? これはお前の物語だ」


雪美「これが……私の……物語……」 ア、キコエタ

546: ◆ORDERq/08U 2021/03/06(土) 22:17:18 ID:ZJ2RyP6Y
938

雪美「はっ……はっ……はっ……」

――

雪美「……ふぅ……」

モバP「お疲れ様。こうして走ってみると、毎朝欠かさずランニングをしている人が立派に見える」

雪美「……体が……ぽかぽか……する」

モバP「俺もだ。これで全身にエンジンがかかった気がする」

モバP「体の部分に負担をかけるデスクワークと違って、心地良い疲れが均等に来るというのかな」

雪美「Pに……見ていてもらう……より……いっしょに……運動するのも……楽しい……」

モバP「アイドルのお仕事なんかも俺が一緒に踊ったりすれば……いや、見る側には異物だからダメか」

モバP「しかし、走っている雪美さんってよく見るといつもと違う感じが出るよな」

雪美「……私……変な顔……してる……?」

モバP「いや、走る風圧で雪美のぱっつんが捲れ上がっておでこが見えることについて」

雪美「……見たら……ダメ……///」


モバP「雪美さんのおでこを見る機会が無さすぎる件について」

547: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/06(土) 22:20:58 ID:ZJ2RyP6Y
939

グビグビ

モバP「ふぅ……午後ティーってさ」

雪美「……?」

モバP「割と甘いよな」

雪美「……うん。……でも……無糖も……ある」

モバP「無糖がやっぱり紅茶らしさがあるな。もう少し甘さが薄いものはないものかね」

モバP「レモンティーなんてレモンジュース並、ミルクティーは甘いカフェオレ並に甘い」

雪美「と言いながら……おいしそうに飲む……Pであった……」

モバP「俺も随分甘党になってしまったかな。この前はリプトンのレモンティーを普通に飲み干してしまったし」

モバP「スーパーで売っているのは安いと税抜きで自販機の半額くらいだったりするから、つい飲み試ししてみようと買ってしまうんだよな」

雪美「……自販機も……たまに……謎のジュース……出てくる……」

モバP「あの?マークが付いていてちょっと安いやつか」

雪美「P……ああいうの……好き……ね……。私も……好き……」


モバP「なら、雪美もそこから出てきたこっちのスイカジュースを飲んでみない?」 ……ソレハ……エンリョ

548: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/06(土) 22:24:54 ID:ZJ2RyP6Y
940

若葉「Pさんに~」

ネネ「群馬のことをもっと知ってもらいたいです!」

モバP「おうどうした藪から棒に」

若葉「栃木なら日光、茨城なら鉾田メロン、でもPさんは私たちの出身地、群馬にはあまり行くことがないでしょう~?」

モバP「いや、行くぞ?」

ネネ「えっ」

モバP「寧ろ俺の中では今密かにホットスポットだぞ?」

若葉「そ、そうなんですか~?」

雪美「……そう……。私も……ついて行ったこと……ある……」

若葉・ネネ「え~……」

モバP「二人して意外そうな顔だな」

ネネ「私たちが言うのもなんですけど、群馬にそんなに夢中になる場所があるんですか?」

モバP「二人は行かないかもしれないな。でも俺は個人的に好き」

若葉「それは一体……」

549: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/06(土) 22:36:42 ID:ZJ2RyP6Y
モバP「それについては雪美が教えてくれる」

雪美「群馬の……ホットスポット……。……それは……自販機……食堂……」キリッ

若葉・ネネ「!?」

モバP「自販機食堂だ」

ネネ「大事なことなので二回言いましたね?」

モバP「いやあ、あのレトロ自販機&レトロゲームが並んだ空間はたまらんよ」

モバP「それもテーブルと椅子があってその場で買ったトーストサンドやうどんを食べるスペースまである」

雪美「……誰もいない時間……あの場所を……独り占め……。……至高の……贅沢……」

若葉「伊勢崎にありますね~♪ それとレトロ自販機なら他にもドライブイン七輿とか」

ネネ「さすが若葉さんは詳しいですね」

若葉「でも、B級スポットだけじゃなくて、メジャーな群馬も知ってくださいね~」

モバP「じゃあ、今度若葉とネネに群馬ガイドツアーをやってもらいたいな」

若葉・ネネ「……!」

雪美「若葉が……運転手で……ネネが……バスガイド……みたいに……」ワクワク


モバP「さらっと若葉が運転側に割り当てられたな」 メンキョモッテマスカラネ~

550: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/06(土) 22:44:39 ID:ZJ2RyP6Y
941

モバP「雪美は中学で部活に入るとしたら何部に入りたい?」

雪美「……」ウーン

モバP「俺がその心を当てて見せよう」

モバP「……薙刀だな?」

雪美「……テニス……思い浮かべてた……」

モバP「まあテニスだよな。雪美さんの足にスコートがよく似合うことだろう」キリッ

ちひろ「5秒前と言ってることが全然ちゃいますやん」

雪美「薙刀部は……中学校に……ある……?」

ちひろ「中学の部活動はそんなに種類が豊富じゃないですね。生徒数や私立公立にもよるでしょうけど」

モバP「軟式はあるのに硬式テニス部が無い、とかプールはあるのに水泳部が無い、とかありますね」

ちひろ「それにしてもどうして薙刀なんですか?」

モバP「単純に薙刀って黒長髪お嬢様の部活感があるので」

雪美「P……もしかして……薙刀部……興味あったけど……男子だから……入り辛かった……?」 ソレハアル


ちひろ「そんなプロデューサーさんも今では女子高の王子様みたいになって」 オトコデスヨ!

551: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/06(土) 22:54:09 ID:ZJ2RyP6Y
942

モバP「もし今の記憶を持ったまま過去の自分に戻ることができたら」

雪美「……!」

モバP「……」

雪美「……P」

モバP「もしもの話だからな」

晶葉「もしもその装置が作られたとして、Pはみんなを置き去りにして行けるだろうか」

雪美「……」

モバP「……過ぎ去りし時を求める覚悟は今のところ俺にはないな。魔王を倒せるサラサラロン毛にでもならない限り」

雪美「……」ホッ

晶葉「だが、Pが過去の自分に入って何をしたいのかは知りたいな」

モバP「そうだな、やりたい放題やってみて良いのなら、当時気になっていた女の子を片っ端からナンパするとか?」

雪美「……P」ジト

モバP「今を捨てたい訳じゃないが、人生のたらればが叶ったとしてその世界線ではどういう道を歩むのか大雑把に知りたい好奇心だけはある」


晶葉「好奇心は猫を……いや、これは科学者が言うべき言葉ではないか」

552: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/06(土) 22:58:18 ID:ZJ2RyP6Y
943

雪美「……P」

モバP「おや、雪美」

モバP「……今日の雪美は少し身長が高いな」

雪美「……」プルプル ペタン

モバP「と思ったらつま先立ちをしていたのか。人間、朝と背伸びで身長が伸びるからな」

モバP「ところでもしかして新体操やバレエに目覚めたか? 雪美のレオタードを直視する覚悟が必要か」

雪美「……違う……。……こうすれば……Pに……追いつけないかって……」

モバP「なんだ……厚底靴や竹馬や缶下駄を履いてもそう簡単に並べる身長じゃないからなあ」

雪美「……缶下駄……学校で……遊んだこと……ある……」

モバP「今でもあるのか。竹馬は乗りこなしがややテクニカルだから缶下駄の方が好きだったな」

モバP「それはそれとして、身長か……俺は小さかった頃に戻りたい気持ちも少しある」

雪美「……大きいと……便利そう……なのに……?」

モバP「大は小を兼ねるというが、狭いスペースにコンパクトに収まらなくなるんだよな、体が」


ちひろ「プロデューサーさんって時々ストームトルーパーみたいに頭をぶつけますよね」

553: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/06(土) 23:08:29 ID:ZJ2RyP6Y
944

モバP「スポーツ選手ってよく低酸素環境で体力を鍛えるよな」

雪美「高地トレーニング……ね」

モバP「よく知っているな」

雪美「慶と……そんな話……する……」

モバP「トレーナーさん方と仲良くしているんだな」

雪美「……筋肉の話で……盛り上がる……」

モバP「雪美さんが筋肉好きに……これは誰の影響なのかな? 俺じゃないよな?」

ちひろ「プロデューサーさんだと思いますけど」

雪美「……Pの筋肉……ちょうど良くて……好き……」

モバP「……好きならしょうがないな」

モバP「しかし俺も、もし子どもの頃から何千メートルの山の上とかで育っていたら、今以上の持久力を得ていたんだろうか」

ちひろ「どうなんでしょうね。でも、とりあえず高所恐怖症にはなっていなかったかもしれませんね」

モバP「ですかねえ。あ、高い所と言っても高層マンション育ちなんかは逆に高所平気症というものになったりするそうで」


雪美「Pも……高い所で……暮らしたら……慣れるかも……」 イヤーキツイッス

554: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/06(土) 23:16:05 ID:ZJ2RyP6Y
945

モバP「あと数年するとお札の顔が変わるのかあ」

ちひろ「北里柴三郎、津田梅子、渋沢栄一ですね。しばらくは慣れないでしょうね」

モバP「さすがお金の話は食いつきが早い……いえ。で、聖徳太子だった時代がつい先日のように思い出されますね」

ちひろ「かなり遠い先日ですねそれは。というか戦後生まれですか」

モバP「菜々さんにこの話をしたら千円札と言えば伊藤博文だとか言っていましたがそっちの方が何故か印象にないという」

ちひろ「菜々さんにわざと昭和の話を振るのはやめましょう」

雪美「……千円札……野口英世……しか……知らない……」

モバP「夏目漱石の千円札をご存じないか。発行は2007年までだから、そうなるか……」

ちひろ「この前私見かけましたよ? 夏目千円。ATMにも普通に入りました」

モバP「まだ流通しているんですね。幻の二千円札は沖縄に行くとたくさんあるとか聞きますが」

ちひろ「夏目千円、野口千円と比べると全体的に緑色ですよね。そこが良い」

モバP「緑色が好きですね。関係ないですが美術のテストで色相環12色について出た時、青緑と緑青の順番を間違えたのを唐突に思い出しました」

ちひろ「文字だけ見ると緑→緑青→青緑→青になるような気がしますけど、これは青みの“緑”と緑みの“青”ですから緑→青緑→緑青→青が正しいんですよね」キラキラ


雪美「ちひろさんが……キラキラしている……」

556: ◆ORDERq/08U 2021/03/13(土) 21:44:48 ID:.6ASbyHg
946

モバP「昨日の奏の出ていたドラマ、最高だったな」

雪美「……」コク

ちひろ「放送の反響は結構大きかったみたいですねえ」

奏「少年っぽい表情を出すのが難しかったわ」

モバP「大人っぽさだけが奏の魅力じゃないからな」

奏「だからって……ずいぶんと大胆な起用をしたものね」

モバP「そして大胆に演じたな。あの奏を見るためだけにじっくり一時間視聴する価値はあった」

モバP「今回、周りが実力派の役者揃いでどうなるかと思ったら、見事に引き立っていたじゃないか」

奏「それは、プロデューサーとしてと個人として、どちらの意向が強い感想?」 サア、ドッチデショウ?

ちひろ「しっかり溜めてからのあのシーンに、狙ったように繋がる所が良かったですねえ」

雪美「……Pも……ちひろさんも……ドラマ……好き……ね」 タショウハ、ネ?

モバP「しかしああいった顔を普段はそう簡単に見せてくれないのが奏よ。そこがまた良いんだが」

奏「不意にキスでもしてくれたら、見せるかもしれないわね。……近すぎて見えないか」


ちひろ「……そもそもキスは目を開けてする派ですか?」 バアイニヨリマスネ

557: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/13(土) 21:50:33 ID:.6ASbyHg
947

モバP「アイドルの髪型にはみんなの個性が出ます」

モバP「被りもいない訳ではないですが、髪型だけでも判別できる子は多い」

ちひろ「みんな結構オーソドックスな髪型にしているとは思うんですけどね」

モバP「真似しにくい髪型はそんなにいませんかね。色は分かりませんが」 イロハネ……

モバP「たまに街を歩いていると後ろ姿がアイドルとそっくりな人がいますが、大抵はまず髪型が似ていて」

ちひろ「それで肩に手をかけて、おうこんな所で何やってんだーなんて声をかけて」

モバP「振り返るその顔は赤の他人で赤っ恥」

雪美「……事案……発生……」

モバP「よく聞く話だ。俺は相手をよく確認もしないでそんなことはやらんがな」

モバP「ただ追い越しざまにちらっと顔を見るくらいはするが、思っていたのと違うどころか男だったなんてことはある」

ちひろ「後ろ姿が女の子に見える男性っていますよね」

雪美「そういえば……P……、髪型の……流行りも……当てるの……上手……だった……ね」

モバP「業界に精通しているとな。次は提灯鮟鱇のような一つ触覚が来ると予言しておこう」


ちひろ「それはさすがに流行らない」

558: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/13(土) 21:58:18 ID:.6ASbyHg
948

モバP「……エレファント。象」

モバP「……」サクサク

雪美「……ライオン」

雪美「……」サクサク

ちひろ「……動物ビスケットですか」

モバP「もっと美味しい物はありますが、この素朴さが味わいたくてこうしてたまに」

ちひろ「チョコ付きでもない、元祖のやつですね」

雪美「……アスパラガスも……同じくらい……シンプル……」

ちひろ「どちらもギンビスですね」

モバP「この飾らずにほんのりした甘さで軽く満足させてくれる感じに安心を覚えるのかもしれません」

雪美「……パサパサ……してない所も……いい……」

モバP「甘食とか上司の愛娘が焼いたクッキーって口の中パッサパサになるからな」

ちひろ「随分古いネタですね。詩のような文章と何故かミッフィーみたいなAAがツボるという」

モバP「……キャット。猫」サクサク ……アッ……ネコトラレタ

559: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/13(土) 22:03:05 ID:.6ASbyHg
ちひろ「しかし、人が動物ビスケットを食べる姿って失礼かもしれませんけど哀愁がありますよね」

モバP「何か貧乏臭く見えますか?」

ちひろ「そういう訳ではないんですけども……」

モバP「もしくは遠足のおやつで持って行くのはダサい感じですか?」

ちひろ「まるで持って行ったかのような口ぶり」

雪美「……遠足のおやつ……センスが問われる……」

モバP「分かる。10円20円とかの細々した駄菓子をとにかくたくさん揃えてくるのが周りでは主流だったな」

ちひろ「それで交換とかするんですよね」

モバP「甘納豆とか寒天ゼリーとか一口最中のような和菓子系を持って行ったら鼻で笑われたような」

ちひろ「ちびまる子ちゃんかな? 甘納豆はさすがにウケないでしょうねえ」

雪美「……芳乃……おすすめの……カレーせんべいは……セーフ……?」

モバP「俺ならその遠足で親友になるな。近所で買えないようなレアな物はポイントが高い」

雪美「今度……機会があったら……持って行って……みる……」

ちひろ「お菓子何を持って行くかで戦略会議が出来そうですね」


雪美「あ……ビスケット……これは……ラクーン……たぬき……?」 ソレハアライグマヤデ

560: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/13(土) 22:06:32 ID:.6ASbyHg
949

モバP「最近はウマ娘のCMをよく見かけますね。ほら、ステージで踊っていますよ。アイドルみたいですね」

ちひろ「こういうのってとりあえず踊らせとけ的な風潮があるんでしょうかね」

雪美「……私も……よく踊る……」 ユキミサンハアイドルナノデ

ちひろ「何年か前にもアニメをやっていましたけど、プロデューサーさんは見ていたんですか?」

モバP「いえ。それに競馬のこともそんなに分かりませんもので」

モバP「ただ……馬の命名センス的に唸るのはやっぱりシンボリクリスエスですかね」

ちひろ「やっぱりでそこに着地するんですか」

モバP「だってシンボリにクリスエスですよ? 一見言いにくいようで絶妙な語呂の良さがある名前です」

雪美「……クリスマス……?」

モバP「クリスマスに近い有馬で連覇したが、クリスエスだな」

ちひろ「頭に引っかかって忘れにくい名前なんでしょうかね」

モバP「それとまあ、単純に好きなのはハリボテエレジーですね」

ちひろ「第三コーナー曲がれなさそうな非実在の馬ですか。充分競馬(らしい何か)好きだと思います」


雪美「……スキージャンプ……ペアも……好き……」 イロイロミテマスネ

561: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/13(土) 22:10:00 ID:.6ASbyHg
950

雪美「……今年の冬……最初は……寒かったのが……嘘みたい……」

モバP「ラニーニャが早めに退き始めたからか寒さが緩んだな。雪美さんも季節外れの暖かさで活発になっている」

モバP「そんな雪美さんとの雪にまつわる思い出でも回想しよう」

雪美「たくさん……積もった時は……いっしょに……雪だるま……作った……ね」

モバP「ああ、あの大雪の翌日か。大きいのが作れたよな」

雪美「あんなサイズは……私だけだと……作れない……」

モバP「大きくしすぎて上に乗せられなかったがな」

雪美「……ふふふ」

モバP「あははは」

ちひろ「それもう雪だるまじゃなくて雪玉ですよね」

モバP「横倒ししたようにくっつけて仕上げにしておきましたから雪だるまと言えば雪だるまです」

ちひろ「そこまでするなら頑張って乗せられなかったんですか?」

モバP「雪の玉って大きくなると想像以上に重くなるんですよね。密度がありますし」


ちひろ「……どんだけ大きなものを作ったんですか」 デカカッタヨナ? ……ウン

562: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/13(土) 22:12:03 ID:.6ASbyHg
951

モバP「お行儀は良くないがよくやること」

雪美「……」ポイッ

スポッ

モバP「おお、上手いね」

ちひろ「何をやっているんです?」

モバP「丸めた紙をゴミ箱にシュートする練習です」

ちひろ「そんなことをここで練習しないでくださいよ」

雪美「……」ポイポイポイッ

スポッスポッスポッ

モバP「テニスでもボールをカゴに投げ入れるってのをやりますが、結構手元が狂って外したりするんですよね」

モバP「――って、雪美さんはよくシュートが入るな。投げるフォームも安定しているし、力加減も良い」

雪美「いい……? 姿勢は……こうして……腕は……こう……。……この高さ……」

雪美「……あとは……入れ……と……念じながら……投げれば……入る……」


ちひろ「フォーム指導のボディタッチですらイチャイチャしているようにしか見えない」

563: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/13(土) 22:23:39 ID:.6ASbyHg
952

モバP「うーん……」

モバP「ラングドシャにするかなあ……でもありきたりか」

雪美「……ダックワーズは……どう……?」

モバP「あの楕円形が良いよな。メレンゲ系だとカラフルなマカロンにしても見た目が映える」

雪美「……洋菓子に……対抗して……和菓子も……何か……ない……?」

モバP「和菓子なあ。例えば餡子を使ったものはやや人を選ぶところがあるからな」

雪美「……アルコールも……人を選ぶ……」

モバP「年少アイドルたちにはなかなか食べさせにくいな」

ちひろ「お二人して何を悩んでいらっしゃるんですか」

モバP「ホワイトデーの手作りお菓子を何にするかが決まらないんです」

ちひろ「手作りなのは前提なんですね?」

モバP「やっぱり自分が食べて、これは美味しい! と思った物を渡したいじゃないですか」キラキラ

雪美「……P……かっこいい……」

ちひろ「食べたことのない物を買ってそのまま受け流すように渡して終わりよりは、味見くらいはする方が良いんですかね?」

564: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/13(土) 22:26:46 ID:.6ASbyHg
ちひろ「ところで渡される側であろう雪美ちゃんと一緒に考えているのは良いんですか?」

モバP「ある年はサプライズ、またある年は共同作業にしようと。飽きさせない工夫のつもりです」

雪美「初めての……共同作業……」

ちひろ「結婚式のケーキ入刀かい」

モバP「ところでちひろさんは何か食べたいお菓子とかあります?」

ちひろ「私も巻き込むんですか? ……珍しいお菓子なんかはほとんど食べましたし……」

モバP「ちひろさんはグルメだからなあ」

雪美「ちひろさんを……唸らせるお菓子……作りたい……ね」

ちひろ「私基準にしなくて良いのでアイドルのみんな向けに作ってください」

モバP「うむむ……ボツにした案を再考してみるか。日を置くとこれが意外に妙案に化けたりするし」

雪美「……敢えて……アート羊羹……行く……?」

モバP「結構自己満足に振ることになりそうだが、挑戦してみたいよなあ」

ちひろ「羊羹ファンタジアか何かに触発されてますねこれは」

ちひろ「というかホワイトデーは明日ですけど制作時間足りるんですか?」


モバP「間に合わない時の補欠用のお菓子は既に仕込んであるので」 ソコマデシマスカ

566: ◆ORDERq/08U 2021/03/20(土) 22:33:17 ID:Tk41awq6
953

雪美「……」

雪美「……」クアー

雪美「……あふぅ……」

モバP「……(観察中)」

雪美「……P……」

モバP「ん?」

雪美「……きて……」

モバP「……眠そうなのに切なそうな声を出すね。今参りまする」

モバP「……隣? それとも膝? ――よし、少し眠ると良い」

雪美「……ん………………」Zzz……

ちひろ「……プロデューサーさんは雪美ちゃんには本当に優しいですね」

モバP「まだ片方は空いてますから、ちひろさんも寄りかかってお昼寝したければどうぞ?」 スルカ

モバP「それにしても雪美が欠伸を見せるってかなりレアじゃありませんか? ……って」


ちひろ「ふあぁ……すいません、欠伸が遅れて伝染ったようで」 コッチモレアデスネ

567: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/20(土) 22:35:43 ID:Tk41awq6
954

モバP「~♪」

雪美「P……今日も……会いに来た……」

モバP「それは嬉しいな。どうぞ、仕事中だが座ってくれ」

雪美「……うん」

雪美「あ……P……、アイマスク……してる……。かっこいい……」

モバP「最近少し目を酷使してしまったから休ませようと思ってな」

モバP「だから今日は視覚を使わずに仕事をしてみようと」

ちひろ「五条先生かな?」

モバP「感覚を研ぎ澄ませてみたら意外と視えますよ。頭の中で再現CGのようにイメージができる」

雪美「……目隠し……すると……音が……よく分かるように……なる気が……する……ね……」

ちひろ「なにそれこわい」

モバP「視力が退化した動物はその分、他の感覚が優れるようになると言いますが、そういう意味では失うことも進化なのかもしれません」

ちひろ「真昼間から妙に深夜テンションですね。しかしそれで見えるのなら凄いことで」


モバP「では雪美の位置を当ててみせ――あう」ガツッ ミエテナイデスヤン

568: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/20(土) 22:39:40 ID:Tk41awq6
955

モバP「……ふう、何だろう。刺激が足りない」

雪美「……刺激……欲しい……?」

モバP「雪美さんが刺激をくれるのか。どんな?」

雪美「…………人間すごろく……とか……?」

モバP「小学校でやったな。サイコロの代わりにランキングクイズで出目を決めると面白いか」

ちひろ「罰ゲームで箱の中身を当てさせられそう」

モバP「俺なら普段はまず出来ないようなことを提案したい」

モバP「例えば敷き詰めたブルーシートに大量のローションをぶちまけて、その上で滑って転んで遊ぶ企画とか」

ちひろ「PTAからの苦情不可避」

雪美「……あれ……少し……やってみたい……」

ちひろ「発想が若干超えちゃいけないラインの方に暴走していますけど、そんなに刺激が足りないんですか?」

モバP「はい。退屈とまでは言いませんが、また街に飛び出してスカウトとかやりたいですね」

雪美「……? 女の子を……アイドルに……誘うの……?」

モバP「ああ。新規勧誘が一時期から打ち止めになっているからな」

569: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/20(土) 22:41:27 ID:Tk41awq6
ちひろ「今の人数をどうにかこうにか捌いておいてまだ足りないと仰る?」

モバP「うーん、例えるなら外勤がせっかく板に付いてきた所で内勤に回されたようなものでしょうか」

モバP「少し肩の荷は軽くなったんですが、どこかに不完全燃焼感があるんですよね。もっとやれた、やれるんじゃないかという」

ちひろ「初めての仕事は配置転換になっても忘れられない、ということはあるかもしれません」

ちひろ「でも、そういうのは今いるアイドルの魅力を充分に引き出してからお願いします」

雪美「P……私たちのこと……飽きた……?(悲しそうな目)」

モバP「!」

モバP「スカウトなんて滅相もない。今みんなをプロデュースすることこそが一番大事だ」ケロッ

雪美「……ふふ……それでいい……」

ちひろ「釣った魚に餌をやらないような性格じゃないのは分かっていますけど、情緒不安定ですね」

ちひろ「まず、ここまで多彩なアイドルを揃えておいて、更に新しくどんな子が欲しいと言うんです?」

モバP「強いて言えばチェンソーマンのパワーみたいな子とか刺激的ですよね」

ちひろ「そんなの一体どこに探しに行く気ですか。魔界ですか」

雪美「……P……ちゃんとお世話……できる……?」 チャントオセワスル!


ちひろ「飼わせませんよ?」

570: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/20(土) 22:43:13 ID:Tk41awq6
956

ちひろ「プロデューサーさん、そして雪美ちゃん」

モバP「はい?」

雪美「……?」

ちひろ「ホワイトデーに頂いたゼリー、とても美味しかったですよ?」

モバP「本当ですか?」グッ

雪美「……やった……!」グッ

グッ

ちひろ「お二人がフィストバンプをすると手のサイズ差を感じますね」

モバP「いわゆるグータッチに近いものですね。サムズアップでやることもありますが場合によっては良くないジェスチャーなので基本はこうして握りで」

雪美「……これ……気持ち良い……」

ちひろ「それにしても、層のゼリーは珍しくないですけどフラワーゼリーとは恐れ入りましたよ」

モバP「まだ初心者で難しい物は作れなかったですが、楽しかったな?」

雪美「うん……。……最初は……テッセラクトと……迷っていた……。でも……フラワーにして……良かった……」


ちひろ「どういう経緯でハイパーキューブをゼリーで作ろうという発想に」

571: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/20(土) 22:45:38 ID:Tk41awq6
957

モバP「はい、8切りで3からな」

雪美「4……」

紗南「乗ってあげるよ。5」

ありす「とくれば6ですね」

モバP「おお、それじゃあ7だ」

雪美「…………10」

紗南「うーん、どうしようかな。温存するか……パスで」

ありす「ブラフの可能性もありますよね。ジャック」

モバP「……2。……まさかここでジョーカーは出してきまい」

紗南「もう2を出すとは……良い手札持ってる余裕かな?」

ちひろ「大富豪ですか。UNOはUNO用という印象ですけどトランプはいろんなカードゲームが出来て良いですね」

モバP「麻雀とかと同様にローカルルールが多いので、認識合わせをしておかないと不満が出ることもありますがね。……じゃあ3を2枚とかどうだ?」

雪美「……2枚の8切り……からの……革命……」パサッ


モバP・紗南・ありす「えっ……!」 ミンナイイカオシテマスネ

572: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/20(土) 22:47:41 ID:Tk41awq6
958

雪美「鏡よ……鏡……」

雪美「世界で……一番……美しいのは……誰……?」

モバP「……それはあなたが一番よくご存じかと」

雪美「……千秋……?」

モバP「千秋様も美しいですが、一番とは申し上げられません」

雪美「……ちひろさん……?」

モバP「ちひろ様も美しいですが、一番とは申し上げられません」

モバP「それは、あなた自身ですよ。雪美様」

雪美「……私は……美しい……?」

モバP「はい。驕ってはなりませんが、自らの美しさに自信を持っているあなたが、世界で一番美しいのです」

雪美「……ありがとう……」ニコ

ちひろ「他のアイドルが尋ねても、それぞれあなたが一番美しいって答えそうですね」

モバP「……誰が一番美しいと感じるかは人それぞれですからね。ポジショントークになってしまうかもしれませんが」


ちひろ「そして、私も一応美しいとは思っているんですね」 ポジショントークデス オイ

573: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/20(土) 22:57:06 ID:Tk41awq6
959

モバP「紗南がやっているゲームが面白そうだな」

紗南「……女の子が可愛くて興味を引く?」

モバP「それも否定はしないが、ノスタルジックなBGMと夜景が良い雰囲気だ」

紗南「これでファミコンソフトだよ」

モバP「キラキラスターナイトDXか……システム自体はかなりシンプルなアクションだな」

紗南「星を集めるだけだからね。更にいろんな敵やボスやアイテムが出て、会話イベントとかまであったらオーバースペックになりそう」

モバP「SFCのドラクエFFの5と6でのグラフィックの進化を見ると性能の引き出し方もあるんだろうが、昔のゲームは容量が限られているからな」

紗南「そうそう。初代のシャンティとかGBCにしてはクオリティ凄いと思ったもん」

モバP「リアルタイムで無くてもそういうのは感じるよな。というか素人にはGBCでGBソフトをやる時に適当なカラーがしっかり割り当てられるのだけでも凄く感じる」

紗南「っと、ステージクリア。リザルト画面のブラックバックがファミコンって感じだね」

雪美「この子……スカートが……短い……」

モバP「デフォルメが強いとこういうのはよくあるよな。個人的には裾がギザギザのスカートはユニークで好き」

雪美「……P……イレギュラーヘムスカート……とかも……好き……ね」 アノフキソクカンガナ


紗南「くっ、あたしの普段着力だとファッションの話は……後でそんなゲームでも探してみよう」

574: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/20(土) 23:06:49 ID:Tk41awq6
960

モバP「スーパーのお菓子コーナーの一角を陣取る玩具付きのお菓子は昔から尽きないが」

モバP「そんな中でシンプルなおまけで定番になっているものといえば、大体二つ思い浮かぶ」

ちひろ「二つ……シールやカード系は無しですか」

モバP「それもたくさん買いましたが無しで。……まずはグリコ。1粒で2度美味しい」

雪美「それは……アーモンドの……方」

ちひろ「おまけ付きの方は一粒300メートルですね」

モバP「キャッチーですよね。そしてフエラムネ」ドウゾ

雪美「……」ピー!

ちひろ「音が出るんですよね、これ」

モバP「どちらもミニチュアの動物や車や家具などの玩具が付いてきて、この箱のサイズ感がちょうど良い」

ちひろ「玩具のおまけのお菓子、じゃなくてしっかりお菓子のおまけの玩具、という感じですからね」

モバP「玩具メインの食玩に付いてくるミルク味のタブレットのとりあえず入れた感がですね……味は結構好きですが」

雪美「……ちなみに……Pの家には……セボンスターの……ペンダントが……たくさんある……。ちひろさんも……見に来よう……?」ポリポリ


ちひろ「プロデューサーやってるだけあってコレクション要素に弱いようで」 ハハハ……

576: ◆ORDERq/08U 2021/03/27(土) 23:14:21 ID:WcrGhmmU
961

ちひろ「プロデューサーさんはいつからこうなったんでしょう」

モバP「いきなりダメ出しですか?」

ちひろ「だって机の上、以前はもっと片付いていましたよね?」

モバP「……あっ、いつの間にかダメな会社員の机みたいになっていますね」

ちひろ「こうなる前におかしいなとは思わなかったんですか?」

モバP「少しずつ変化していく写真クイズみたいな感じで違和感が無かったです」

モバP「人は少しずつ変わっていくものですね。細胞は三か月で入れ替わるなんて言いますし」

ちひろ「何言ってるんですか。というか仕事に必要な物ならまだ良いんですけど、関係ない物が……」

モバP「何かみんなが置いて行くんですよね。例えばこの読みかけの本や、動物のマスコット」

モバP「預けているだけなのかくれるつもりなのか知りませんが、何かアイドルから託された物だと思うと片づけ辛くてこうして並べて、たまにジオラマとか作ったり」

ちひろ「後部座席にこんな風にぬいぐるみぎっしりな車を時々見かけますね」

雪美「……P……これ……あげる……。私だと……思って……大事に……して……?」

モバP「お、黒猫のぬいぐるみか……ありがとう。また机の上の友達が増えたな!」 ……ウン


ちひろ「アイドルに足跡を残されまくってますけど、少しは整理しましょうよ」 エー エージャナイ

577: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/27(土) 23:18:28 ID:WcrGhmmU
962

雪美「……P……」

モバP「どうした?」

雪美「たまに……前に……黄色いランプが……付いてる車……ある……。あれは……どういう……意味……?」

モバP「あれはフォグランプだな。名前通り霧とかで視界が見え辛い時に点ける前照灯の補助的なランプというか」

雪美「……少し……カラフルに……なるね……」

モバP「そうだな。ただ大抵は統一感の為にか、わざわざ黄色にしたがる人は少ないみたいだ」

美世「前照灯の方は白にしなさいと決まっているから変えられないし、フォグランプも白か黄色と決まっているからね」

雪美「青や緑は……ダメ……?」

モバP「だな。遠目から見たら信号機とかと区別がつかなくなりそうだし。知らんけど」

モバP「しかしフォグランプもあれだな、黄色が似合う丸目のシールドビームをほとんど見かけなくなったな」

美世「丸目ってハロゲンと、HIDやLEDとで別物な感じになるよねー」

モバP「LEDの細目とか、あれで果たして前方が明るくなるんだろうかと思わなくもない。LEDバックライトで七色に光るゲーミングキーボードなんかはオサレだがなあ」

雪美「車も……それくらい……ピカピカ……光ると……夜とか……かっこいいのに……」


美世「室内にアンビエントライトを付けるとかなら良いかも」 コウキュウカンアルナ

578: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/27(土) 23:22:33 ID:WcrGhmmU
963

モバP「あ、そういえば卵が切れていたっけ。今日は帰りにスーパーに買いに行くのを忘れないようにしよう」

ちひろ「仕事中に唐突な」

雪美「P……卵……好き……」

モバP「いろいろな料理に使いやすくて安い時なんかについたくさん買ってしまう」

雪美「冷蔵庫に……多い時は……5パックくらい……入ってる……」

ちひろ「まとめて買っていくとするなら業者かよほどの大家族か何かと思われてそうですね」

雪美「アイドルが……よく……立ち寄る……から……大家族……間違っては……ない……」

モバP「そのアイドルたちと一緒に買いに行くこともあるので、家族のお兄さんと思われている節はあります」

ちひろ「よくアイドルだとバレませんね。それも取っ替え引っ替えするようにいろんな子と一緒に」

モバP「まあ行きつけは他にも目立つお客さんが多いので相対的には普通に見えるんじゃないですか?」

ちひろ「プロデューサーさんたちが相対的に普通に見えるって怪獣でも歩いているんですかね?」

モバP「それにお一人様一個限り、の時とかに3人連れで行って別々に買うとか、バーゲンで洋服に群がるといったことはまだしていませんし」

ちひろ「昔ながらの逞しい主婦のおばちゃん力は磨かなくて良いと思います」

雪美「……P……おばちゃん……結構……似合う……かも……」 ソンナッ

579: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/27(土) 23:24:04 ID:WcrGhmmU
ちひろ「しかし卵パックって見た目通り、そんなに衝撃に強くはないので、ぶつけると簡単に卵が割れたりしますよね」

モバP「しますね」

雪美「割ったこと……ある……?」

モバP「ああ。結構前にな。スーパーにはサッカー台があるだろ?」

??「何々? サッカー?」

雪美「挑戦者が……現れました……」

モバP「晴がスマブラ的な登場の仕方をするのは初めて見たな。……袋詰めをする台のことをそう言う」

晴「スーパーでサッカーをするのかと思ったぜ。あれってそんな名前なんだな」

モバP「ああ。で、ロール型ポリ袋がサッカー台の微妙に出っ張った位置に新しく設置されていたのを」

モバP「見えているのに気づかずにいつもの感覚で袋詰めしようとしたら角にぶつけて一個割れたという」

雪美「……全部割れなくて……良かった……ね」

モバP「そうなったらお店の台所とフライパンを借りて玉子焼きにして帰るわ」

ちひろ「ブラックジャックのピノコかな?」

晴「……そういやPって見る度に違うマイバッグを持ってるけど、いくつあんの?」


モバP「家用と会社用を複数で使い分けてもまだ余るほどだな。途中で数えるのはやめた」 オオスギマス

580: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/27(土) 23:25:27 ID:WcrGhmmU
964

雪美「……」サラサラキュッキュ

雪美「……ん……よくできた……」

雪美「はい……これは……Pに……あげる……」

モバP「ありがとう。俺、雪美のファンだからとても嬉しい」

雪美「……何枚も……持ってるのに……?」

モバP「ファンは何枚貰っても嬉しいものさ。そして、同じように書いていても一枚一枚微かに違う性格の雪美が宿っていると思う」

モバP「今は始めた頃のサイン練習にはない柔らかさがあるな」

ちひろ「本当ですね。雪美ちゃんのサイン、滑らかでより楽しそうな感じが」

雪美「……上手……?」

ちひろ「はい。とても上手ですよ?」

雪美「……///」ポッ

ちひろ「しかし著名人はサイン会とかで何百とサインを書いたりしますけど、こういうお仕事ならでは苦労ですよね」

モバP「あまり手が痛くなるような量とか、自分なら書きたくないですね」


雪美「Pも……サイン……書こう……? 私も……やったんだから……ね……?」 オレモ?

581: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/27(土) 23:28:20 ID:WcrGhmmU
965

モバP「あっ」

雪美「あっ……」

モバP「……カツ丼食べたいな」

雪美「……私も今……そう思った……」

ちひろ「今、テレビにカツ丼が映りましたからね」

モバP「丼物でも家で簡単に作りにくい方で、好きなのにそんなに食べる機会がないカツ丼」

雪美「玉子でとじた……少し甘めの豚カツは……ボリュームがあるのに……ご飯がすすむ……」

モバP「お茶椀のご飯と網に乗った豚カツと味噌汁で独立している豚カツ定食も良いのだが」

モバP「やっぱり丼の中でご飯とカツが一体となった、食べる大衆芸術と言えばカツ丼であるように思う」

ちひろ「雪美ちゃんがカツ丼を食べている姿がイメージ出来ないですね」

雪美「……大きいのは……食べきれない……。……でも……食べると……元気が……出る……」

モバP「アイドルがカツ丼を食べる姿って確かに想像しにくいかもしれませんね」

ちひろ「プロデューサーさんが取調室でカツ丼を美味しそうに食べる姿は想像に難くないんですけどね」

モバP「勝手に容疑者にして自白しそうなイメージを作らないでください」

582: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/27(土) 23:29:30 ID:WcrGhmmU
モバP「ちひろさんはカツ丼は食べない方ですか?」

ちひろ「そうですね。結構重たい感じがしますし」

雪美「カツカレーとかも……食べない……?」

ちひろ「カレーに揚げ物をトッピングするのはあまり……」

モバP「……ちひろさんって意外と……いえ何でもないです」

ちひろ「何も意外に思うようなことは言ってないと思うんですけど」

モバP「しかし、今食べたいこの気持ちは大事にしたい。人間の欲は気まぐれで、時間が経つと別の物に関心が移る」

雪美「もうすぐ……お昼……」

モバP「……たまにはちひろさんもどうです? 一緒にカツ丼を食べに行きません?」

ちひろ「行くとしたら私はうどんかおそばを注文すると思います」

モバP「カツ丼がある店にはありますね。和風ファストフードが一通り揃っている感じで」

ちひろ「チェーン店でなく個人のお店らしく入口横にメニューのサンプルケースがあって」

モバP「古民家みたいな軒をしていて、中もそんなにスペースが広くはない店とかが美味しかったりしますよね」

雪美「……行こうとしているお店……同じ……?」


ちひろ「どうしても行ける所は近場に……というか出前で良いのでは?」

583: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/27(土) 23:32:17 ID:WcrGhmmU
966

雪美「……」

モバP「雪美の目が俺を見ている」

雪美「……」

モバP「……私とダンスを踊りませんか?」

雪美「……スタンダード……? それとも……ラテン……?」

モバP「比較的優雅でお姫様のようなスタンダードも良いがセクシーで情熱的なラテンも良いな。ドレス的な意味で」

ちひろ「ダンスはダンスでも社交ダンスですか」

モバP「まあダンスは冗談です」

雪美「……冗談……」

モバP「雪美さんはこういう時も、落ち着いた目をしているよな」

モバP「他の女の子はこういう時にデフォルメ白目になったりするが、そうならない」

ちひろ「南向春風の白目とかいうやつですか。というか二次元じゃないんですからなったらおかしい」

モバP「でもいつも見上げられてばかりなので、たまには上を見上げる雪美さんを水平アングルで見たりしてみたい」


雪美「……Pより……上を見上げること……なかなかない……」

584: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/03/27(土) 23:33:38 ID:WcrGhmmU
967

モバP「桜の季節だな」

さくら「わたしの季節ですかぁ?」

モバP「いや、山桜。もしくは染井吉野」

さくら「わたしの季節じゃなかったですかぁ」

モバP「村松桜や依田芳乃という桜があれば良かったんだがな」

モバP「まあ満開から一週間くらいで散ってしまう桜のように、村松さくらの季節が春のこの一瞬だけでは勿体無い」

さくら「春、夏、秋、冬! いつでも笑顔満開咲きのわたしでいたいなっ♪」

モバP「良いな。常に咲いていて見頃なさくらがここにあり」

モバP「それにしても春が来るたびにさくらとはこのやり取りをしているようなしていないような」

さくら「えへへ、今年も変わらずこのやり取りが出来たと思うと、良いことだと思いまぁす!」

雪美「……フラクタル……フラクタル……」クルクル

さくら「雪美ちゃんはどうしたんですかぁ?」

モバP「さっき門前町の土産屋で買った万華鏡に熱中しているようだ。花見で桜ばかり堪能し過ぎたから気分転換にってところか」


雪美「……あっ……この模様……良い……」

586: ◆ORDERq/08U 2021/04/03(土) 23:01:33 ID:1TYp/ApY
968

紗南「Pさん」

モバP「ん?」

紗南「今、キャラクタークリエイトで四大元素のどの加護を受けたいか決めなきゃいけないんだけど」

紗南「Pさんは地水火風どれが良いと思う?」

モバP「エレメントか……ドラクエ3の性格診断のように、いくつかの質問と実践の結果を踏まえてゲーム側が決めてくれたら良いんだがな」

雪美「人任せ……。でも……いきなり……どれが良いか……言われても……難しいね……」

モバP「スリランカのアーユルヴェーダなら風属性のヴェータ(緑)、火属性のピッタ(赤)、水属性のカパ(青)の3つ」

モバP「陰陽五行なら火水木金土と5つで、こういうのは火と水とその他自然で大体3つに分けられそうだ」

紗南「実質三択……じゃあその他自然で風かなあ?」

雪美「風使いの紗南……だね……」

紗南「お、主人公っぽいかも」

モバP「風か地かだと風を選ぶのか。地は四天王の中でも最弱……なポジションにされがちだな」

紗南「それは偏見だと思うけど、でも風の方が自由な感じがする」


雪美「……どうせなら……人と被らない……レアな属性に……なりたい……」 ワカルワ

587: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:04:47 ID:1TYp/ApY
969

モバP「春の昼下がり」

モバP「仕事の手を止めてボサノバに聴き入ることに小さな幸せを感じる」

雪美「……ボサノバ……」

モバP「南国の、陽気で非日常の雰囲気を抽出したような音楽が心地良い」

ちひろ「ラウンジミュージックは聴く所で聴けばムード満点で素晴らしいですけど」

ちひろ「事務所で流しても何か場違い感がなくもないですね」

モバP「確かにこれを聴いているとこんな所に留まらずに海外旅行に飛び出したくなります」

ちひろ「こんな所って」

モバP「ここはここで好きなんですがね。でもすっかり日常空間です」

モバP「……」

雪美「……P……少し……元気がない……?」

モバP「どうかなあ。どうやらどこかでやる気を紛失してしまったのかもしれないな」

雪美「……それは……大変……。再発行……しないと……」


ちひろ「パスポートのようなやる気ですね」

588: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:05:52 ID:1TYp/ApY
970

モバP「今、俺が住んでいる家は社宅である」

モバP「アイドルが大勢押し寄せて来ても大丈夫なように部屋数が多い。その中の一つが自室だ」

モバP「そこは畳部屋であり、襖の押し入れがある」

ガラッ

雪美「……」

モバP「……」

ピシャッ

モバP「……」

ガラッ

雪美「……Pの部屋の……押し入れ……良い感じ……」

モバP「隠れたつもりはないんだろうがそこに隠れておられますとビビりますのよ?」

雪美「Pも……入る……? そこ……閉めて……真っ暗に……して……」

モバP「雪美からお誘い……だと……? 断る理由が無いな」

ノソノソ ピシャッ

589: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:08:08 ID:1TYp/ApY
雪美「……」ピトッ

モバP「雪美が近い……しかし狭いし真っ暗だな」

モバP「アマガミみたいに蛍光塗料で周りに星でも描いてみたい」

雪美「……それ……良いアイデア……かも……」

雪美「小さな……プラネタリウム……二人きりで……見れたら……きっと……すてき……」

モバP「まあそういう落書きをするといつか退去する時に修繕費を取られそうだがな」

雪美「P……絵が上手……だから……大丈夫……」

モバP「この家にある日、見知らぬ旅人が泊めてくださいと訪ねてきて、快く応じる主人」

モバP「翌朝、旅人は一宿一飯の恩返しにと押し入れに絵を描いてから去って行く」

モバP「そして後々それが有名な画家であったことが判明し、芸術的な価値から押し入れはそのまま保存されることに――なるくらい絵が上手ければ良いんだがなあ」

雪美「……わざわざ……押し入れに……描く……?」

モバP「バンクシーみたいに壁にアートを描く人もいるからな。押し入れアートもアリではないか」

雪美「でも……鶴の恩返し……みたい……。……私も……恩返し……しなきゃ……」

モバP「作業中の姿を覗いてしまったら雪美は飛んで行ってしまうのか。それは嫌だな」


モバP「あ、そういえばこんな時用に家庭用プラネタリウムを持っていた」 ミセテ……?

590: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:09:29 ID:1TYp/ApY
971

雪美「P……見て……」キラキラ

モバP「お、今日の雪美はマントで体を隠しているな」

雪美「……♪」

ちひろ「雪美ちゃんはゆったりとした、結構カジュアルな装いが似合うんですよね」

モバP「もうすっかり春シーズンですが良いもん見れたわ」

雪美「……強そう……?」

モバP「ああ。マントは体を大きく見せる効果があると思う」

モバP「雪美ならソフトハットとポンチョの組み合わせとかも似合うかもしれない」

雪美「……でも……服が……見えないのが……難点……」バサッ

ちひろ「マントはやっぱり翻してナンボですよね」

モバP「中に着ているのはさすがに普通の服か」

雪美「……違うのを……期待した……?」

モバP「マントの種類にも依るが、本気を出す前に威勢よく脱ぎ捨てた時に映えるのは、やや露出度高めの服かな」


ちひろ「ああいうマント、後で回収していると思うと……」

591: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:12:43 ID:1TYp/ApY
972

モバP「……蒸しパンが食べたい」

雪美「……虫……パン……?」

モバP「インセクトではなくスチームの方だ」

雪美「……蒸した……パン……」ホッ

モバP「よく母におやつに作ってもらったんだよな。レーズンが入ったとてもシンプルな――」

モバP「今では蒸しパンなんて、売っているチーズ蒸しパンくらいしか食べないなと思ったら久々に自分で作りたくなった」

雪美「チーズ蒸しパン……ふわふわで……好き……」

モバP「しかし、蒸しパンという言葉を始めて聞いた時は俺も虫のパンかと思った気がする」

みちる「実際に虫のパンって存在するようですね! コオロギのパンが一時話題に……」

雪美「ひぇっ……、コオロギ……食べられるの……?」

モバP「らしいな。でも個人的には幼虫なら許容出来るが成虫は食べる勇気がまだ無いな」

みちる「入っているのは粉末だそうなのでプロデューサーなら楽勝でしょう」

みちる「それとご安心を! こう言いながらもあたしは虫のパンよりは蒸しパンの方が好きです!」


モバP「ああ良かった。その当たり前のような感性に安心する」

592: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:18:10 ID:1TYp/ApY
973

モバP「深い海の画像や映像を見ていると、よく思うことだが」

モバP「青って怖いよな」

雪美「……」コク

ちひろ「瑠璃色って言うんですかね。水面が深いほど色が濃くなって」

モバP「浅瀬の水色とのグラデーションで不気味にすら見えてくるんですよね」

雪美「……きれい……でも……吸い込まれそうに……見える」

モバP「そもそも何故青く見えるのかと言うと、水の分子が太陽の光の内、赤色の光を吸収してしまうからとか」

ちひろ「鮮やかに青に見える時って晴れている時ですよね」

モバP「曇っていると海は青いというより黒く見えますね。場所に依るでしょうが」

雪美「もし……海の真ん中に……取り残されたら……。……想像するだけで……恐怖……」

モバP「プールと違って手すりも端壁も無いしな」

モバP「ところで雪美の髪も青に感じたり黒に感じたりするが……そうか、今膝の上にいる雪美も実は海だったのか」

雪美「……じゃあ……Pは……海を抱く……男……」


ちひろ「元々はコップの水のように無色透明ってことになるんですかねそれは」

593: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:20:02 ID:1TYp/ApY
974

モバP「90年代くらいからすると今ってもう結構未来だと思うんですよね」

ちひろ「それはそうでしょう」

モバP「今でも歴史の教科書とかに21世紀の未来予想図が載っていて目にすることがありますが」

モバP「車は空を飛ぶし、ロボットが闊歩してるし、透明チューブ内の動く歩道で海を越えるし」

ちひろ「今になってみるとどれもそこまでではないですね」

雪美「空中の……トンネルみたいな……動く歩道……。……乗ってみたい……」

モバP「でも海を渡る時は辺り一面が海しか見えないという」

雪美「……もし……故障で……止まったら……困るね……」

モバP「ルート66でガス欠するに等しい絶望感を味わえそうだな」

ちひろ「……近くに休憩所でもあればそこに駆け込めば良いんでしょうけど」

モバP「あ、ちなみにこれがそれが載っている教科書ですね。捨てられなくてまだ持っています」

ちひろ「後で機会があったら読み直そうと思っているんでしょうけど、普通に過ごしていたらそんな機会多分来ないでしょうね」

モバP「見透かされてますね……なので機会を作ることにしました」


雪美「……あっ……教科書の……余白に……落書き……」 フマジメデスネ

594: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:27:56 ID:1TYp/ApY
975

モバP「オア~~~~~」

雪美「なぁ~~~~~……」

ペロ「……」

ちひろ「ペロが何してんだこいつらって顔で見てますよ」

モバP「長い声のネコですね」 モクモク

雪美「……その……真似……。あ……煙……良い匂い……」

ペロ「……」

ちひろ「だからそれを何してんだと。そのネコの土台みたいなコーン型お香を炊いてることも含めて」

モバP「この前のお仕事、アイドルたちはかなり気合いが入っていて無事成功したんですが」

モバP「その後も余韻でみんなにシンデレラの魔法がかかりっ放しな気がするので、ここは一つフロアに魔法無効フィールドを展開しようと」

雪美「……Pの声……緊張感を……和らげる……から」

ペロ「……ンギャア」

ちひろ「鳴き声役くらいはぼくがやるよって言ってますよ?」


モバP「ふむふむ、魔法が無効化されるとちひろさんはペロの言葉が分かるようになるんですね」 ……ハッケン

595: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/03(土) 23:31:14 ID:1TYp/ApY
おまけ21

ちひろ「私、後部座席にぬいぐるみと言いましたけど、言いたかったのはリアウィンドウの所ですね」

モバP「後ろを走っていると見えるのはそこですからね」

モバP「ダッシュボードにも置いたりする人がいますが、運転の邪魔になりそうです」

雪美「……車内に……置きっ放しは……可哀想……」

モバP「ぬいぐるみはインテリアにもなるが、やっぱり触れたいものではあるな」

ちひろ「プロデューサーさんの机のもインテリアみたいになりつつありますけどね」

雪美「……Pは……時々でも……可愛がってくれるから……ぬいぐるみも……嬉しい……」


おまけ22

モバP「雪美の目は白丸の目にはならないが、ジト目にはなる気がするな」

雪美「……じとじと……してる……?」

モバP「ハイライトもあるし湿気った感じはしない。見ていて実に落ち着く目だよ」

雪美「……そう……?」(゜-゜)ジーッ

モバP「いや、白目にもなっているのかな……?」

ちひろ「二次元じゃないんですから」

597: ◆ORDERq/08U 2021/04/10(土) 23:13:46 ID:nYRkMeug
976

モバP「今日はお仕事で珍しい物を見て来ましたよ」

雪美「……」コクコク

ちひろ「珍しい物、ですか」

モバP「ずばり、ループ橋ですね」

ちひろ「珍しいかなあ」

雪美「思ったよりも……ぐるぐる回る……」

モバP「自走式の立体駐車場とかも螺旋状になっているものがありますが」

モバP「道路ではあまり見かけないもので、通った時には少しテンションが上がりました」

雪美「山道と……違って……一気に……高くなる……感じ……」

モバP「間近で見るとダイナミックで良いよな」

ちひろ「お二人は道路大好きですねえ。ところで雪美ちゃんは車に乗る時ってそのままなんですか?」

モバP「座高を上げるためのジュニアシートや、シートベルトの高さを調整するスマートキッズベルトは常備していますよ」

雪美「……ジュニアシート……圧迫感……あるけど……景色が……よく見える……」


ちひろ「あれって杏ちゃんにもさせてるんですか?」 キワドイコトヲキキマスネ

598: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/10(土) 23:15:04 ID:nYRkMeug
977

バシッ バシッ

雪美「……っ!」ガッ

雪美「……ふぅ……」

モバP「真剣な表情でスタンディングバッグと格闘する雪美さんが格好良い」

雪美「……少し……攻撃的……過ぎる……?」

モバP「体を動かすのが楽しいのは良いことさ」

モバP「しかしジャブも良かったが雪美さんの後ろ蹴りは力強いな」

雪美「……猫のように……しなやかに……アクロバティックに……」

モバP「猫のように、か。確かに猫じゃらしと遊ぶ猫のようにも少し見えた」

雪美「にゃーお……(招き猫ポーズ)」

モバP「! ……ふぅ、レッスンウェアで助かったぜ。ハーフトップだったら理性の線が切れたかも」

モバP「あとは普段着のスカートでローリングソバットとかも……ダメだぞ?」

ちひろ「もはや自分が見たいだけでしょうが」


雪美「普段着で……足技……いろいろ……やると……破れそう……」

599: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/10(土) 23:16:01 ID:nYRkMeug
978

モバP「はい、雪美」

雪美「……」アーン

パクッ

雪美「……♪」

モバP「どうだ?」

雪美「……」コク

モバP「ゆっくりじっくり味わっている感じだな」

モバP「346の庭のプランターで育てたイチゴだからなあ」

雪美「……おいしかった……!」キラキラ

モバP「摘み立てのイチゴはやっぱり違うな」

雪美「……次は……もっと……作ろう……」

モバP「その内、庭がイチゴ農家みたいになったりしてな」

雪美「……それ……良いかも……」

ちひろ「ハウスで埋め尽くすようなことはやめてくださいね」

600: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/10(土) 23:21:21 ID:nYRkMeug
モバP「でもプランターをこうして並べると見た目は良いので、あとはもう少しスペースが欲しいですね」

ちひろ「学校の敷地の隅で活動している少数部員の園芸部の哀愁みたいな」

ちひろ「というかプロデューサーさんが管理するならこれくらいが限度でしょう」

モバP「アイドルのプロデュースの他にイチゴもプロデュースするのは大変ですからね」

雪美「……二足の……わらじ……」

ちひろ「他にもいろいろやるとすれば八面六臂も良いところです」

モバP「それにしてもこう、大地に足の着いた所でイチゴを育てるのも良いですが」

モバP「最近は屋上緑化が流行っていますから、そこでミツバチなどと一緒に……」

ちひろ「プール作りたいんじゃなかったんですか? マリーナベイ・サンズのような」

モバP「ドリンクを何億本買わせる気ですか。三つのビルの屋上に跨る空中庭園は夢がありますが」

雪美「……あの建築は……すごい……」

モバP「あの見ていて不安定そうな形で不安になる俺は高所恐怖症」

ちひろ「高いビルの屋上って時期によっては風も強いでしょうね」

モバP「やっぱりイチゴは下で、少しずつ生産することにしましょう」


雪美「……貴重な……346イチゴ……食べるのが……勿体無い……」

601: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/10(土) 23:26:18 ID:nYRkMeug
979

モバP「雪美さんはルービックキューブはやったことがあるかい?」

雪美「……ルー……?」

モバP「……これだ。見たことくらいはあるかもしれないが、スタイリッシュなパズルだ」

雪美「遊び方は……6面の……色を……揃える……」

モバP「そう。これを……こんな風に回転させて……」カチャカチャ

モバP「……っ!」カチャカチャカチャカチャカチャカチャッ

雪美「……」ジーッ

カチャッ

モバP「……ふっ、ちょろいもんだぜ」

雪美「……色が……バラバラ……?」

ちひろ「凄い上手い人風の高速指使いと回し方は何だったんですか。貸してください」

モバP「はい。……個人的に、このルービックキューブをクリアするのは苦手ですが、複数色のモザイクは好きなんです」

モバP「タイルと違って繋ぎ目が黒いのがカラフルな色を強調してくれるというか」


ちひろ「知らんがな。はい、揃いましたよ」 ハヤッ!?

602: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/10(土) 23:33:11 ID:nYRkMeug
980

雪美「P……夕食は……何……食べたい……?」

モバP「お、そういえば久々に雪美と夕食か」

雪美「パパとママ……今日は……遅い……から……」

モバP「ああ。ご丁寧に、雪美をお願いしますと連絡を貰っているよ」

雪美「……娘を……よろしく……お願いします……」

モバP「そういうニュアンスで言われたなら俺は腹を括らないといけなくなる」

雪美「……ふふっ」

モバP「ところで何が食べたいかだったな。……豚の生姜焼きなんてどうだい?」

雪美「……以前……お弁当で……作った……?」

モバP「ああ、あれが美味しかったから今度は作り立てを食べたい」

モバP「珍しい料理じゃないが、雪美が作ってくれるなら俺にとっては特別な料理だ」

雪美「……ん……分かった……。腕に……よりをかけて……作る……。待ってて……」

モバP「………………」ソワソワ


雪美「……いっしょに……作る……?」 テツダワセテクダサイ……

603: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/10(土) 23:47:48 ID:nYRkMeug
981

モバP「んめえんめえ」ハグハグ

雪美「……ヤギさん……みたい……」パク

雪美「ん……具がしっかり……していて……口の中で……たこ焼きの味が……再現される……」

雪美「タコは……パンに対して……大きくないから……食べやすい……」

ちひろ「食レポの練習でもしているんですか」

モバP「ちひろさん、今日はタコ揚げパンを買って来たんですよ」

ちひろ「たこ焼きじゃなくて揚げパンをたこ焼き風にしたものですか」

モバP「はい。親が通勤で通る駅にパン屋さんが入っていて、子どもの頃のおやつによく買って帰ってきてくれたのが懐かしくて」

ちひろ「へえ、そんな思い出の一品をよく見つけましたね」

モバP「当時食べたタコ揚げパンじゃなくて偶然見つけた似たようなタコ揚げパンですが、どうぞ」

ちひろ「同じ物じゃないんですね。でも、せっかくなのでいただきますよ」パク

ちひろ「具が結構主張しますね。普通のたこ焼きと比べるとサイズが大きい」

雪美「一つで……お腹……いっぱいに……なるね……」

モバP「目を輝かせたみちるが三つほど持って行きましたが想定済みでした」

604: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/10(土) 23:49:45 ID:nYRkMeug
モバP「ところで、こういうことを言うのは邪道だと思うが、タコの入っていないたこ焼きも美味しいよな」

雪美「…………」

ちひろ「雪美ちゃんはあまり肯定的ではないようですけど」

モバP「え、これって自分だけですか?」

雪美「……タコ……入ってないのに……たこ焼き……?」

モバP「たこ焼きのタコなしだな」

雪美「それは……一体……何焼き……?」

モバP「ラジオ焼き……はタコが入っていないが代わりに牛すじを使っているんだったかな」

モバP「小麦粉にだしと卵を合わせて生地にして、キャベツや紅ショウガやネギや天かすだけを入れて焼いて、青のりと鰹節とソースとマヨネーズをかけたら何になるんだろうな」

雪美「……そこ……少し……気になる……」

ちひろ「まあでもタコを食べる日本人は世界的には珍しいと聞きますね」

ちひろ「それにたこ焼きにおけるタコは、味の決め手というよりは食感のアクセントで、無いと絶対に困る物かというと……」

モバP「美味しいたこ焼きはタコも欠かせないんですが、下手なたこ焼きのタコだと固かったりして調和が取れていなかったりして」

雪美「P……タコ……嫌いじゃ……ないんだね……」 アア、タコサンウィンナーダッテスキダシ ソレハタコジャナイ


雪美「……今日は……耳に……タコな……日……」 ソレデ26カイメダナ

605: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/10(土) 23:52:16 ID:nYRkMeug
982

モバP「……ふぅ、パンを買いに来ただけなのに都会の駅は本当に広いな」

雪美「気を抜くと……迷子に……なりそう……」

モバP「この空間に居ると方向感覚が狂ってしまう人の気持ちが分かる」

輝子「私は、もし迷っても……目印になる親友が、いる……」

輝子「動くランドマークだな……フヒ」

モバP「ランドマークが自由気ままに動いたら困ると思うが」

モバP「それに背が高い人を目印にするには自分もそれなりに背が高くないとだな」

輝子「あっ、そうか……」

雪美「……Pが……もし……迷子になったら……私たちは……どうしよう……?」

輝子「……インフォメーションに行って、呼び出しをしてもらうんだ……」

雪美「……Pの名前が……駅中に……知れ渡る……ね……」

モバP「いい大人が連れに迷子扱いされるのはつれぇわ。そりゃ逸れられんな」

モバP「……ところでここはどこだ? 地下通路に出てきてしまったが」


輝子「迷子だな……」

607: ◆ORDERq/08U 2021/04/17(土) 23:01:39 ID:UzGcjvsc
983

モバP「おや、古いゲームをやっているな」

紗南「Pさんが貸してくれたからね、PSO1&2」

モバP「オフラインでやるだけでも時間がみるみる溶けていくゲームだぞ?」

紗南「まだほとんど最初しかやってないけど、狩りゲーだね」

紗南「ところでさ、キャラメイク後にIDが決まるんだけど、これはどういう意味があるの?」

モバP「全部で10種類の色によってどういうアイテムが出やすいかが違う」

雪美「このSanaの……オレンジは……ダガーが出やすいから……ハンター向き……?」

紗南「あ、そういうのが決まっているんだね。でも色はランダム?」

モバP「いや、sanaにすれば白、SANAにすれば黄緑、S@NAにすれば緑と、使う文字で変わる」

雪美「はい……早見表が……ある……。ちなみにYukimiは……水色」

紗南「文字に対応する数値があって、それを全部足した一の位でIDが決まるんだね。名前で成長タイプが変わるドラクエ1みたい」

モバP「自分の名前を付けるとしても、使いたいクラスや欲しいレアアイテムに応じて表記を少し加工すると良いかもな」

紗南「そこまで詳しいってことは、やり込んだんでしょ?」


モバP「いや、雪美とキャラクターを何人か作るだけで盛り上がって満足しちゃって」 ソコデ!?

608: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/17(土) 23:02:46 ID:UzGcjvsc
984

モバP「雪美さん、レッスンお疲れ様です」

雪美「……ん」

モバP「じゃあ、頑張ったご褒美!」

雪美「……ん……♪」パクッ

ちひろ「アイドルを餌付けするプロデューサーさん……」

モバP「ちょうど我々も小腹が空く時間でしたからね」

雪美「……おいしい……! これ……タルト……?」

モバP「ああ、木苺のタルトだ」

雪美「もっと……!」

モバP「はい、お口を開けなー」

雪美「ん……」パクッ

雪美「……甘酸っぱさが……たまらない……」

モバP「こういうタルト台やタルトカップを使ったいかにもなキッシュやタルトは見た目もボリュームも豪華で良いよな」


ちひろ「しっとりしたフィリングに対してタルトが少しサクサクしているのが理想ですね」 ワカリマス

609: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/17(土) 23:10:01 ID:UzGcjvsc
985

モバP「もうお昼だな」

雪美「……」コク

モバP「小、中学校では12時20分くらいで4時間目が終わり、そこから給食だったかな」

モバP「12時20分というのは早すぎず遅すぎない、ちょうどお腹が空く時間だ」

雪美「……給食……懐かしい……?」

モバP「ああ。無くなって分かる有難味ってやつを高校で思い知ったな」

ちひろ「高校に行くと給食は無いことが多いですからね」

モバP「学食に行ってランチを食べるという選択肢もあるんですがね」

雪美「……人が……多そう……」

モバP「満席で座れなかったり、食べたいメニューが売り切れていたりするな」

ちひろ「それと、意外と高い」

モバP「毎日食べるとなると物欲盛んな高校生の身分では結構な出費になります」

ちひろ「私は毎日朝早く起きて自分で弁当を作って持って行きましたね……給食費って安かったんだなと身に染みたものです」

モバP「中学までは親が払ったり持たせたりしてくれるのでその実感すら無く、高校でバイトを始めてようやく少し分かってくるお金の重みです」

610: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/17(土) 23:13:37 ID:UzGcjvsc
雪美「……給食……感謝して……食べないと……」

モバP「そうだな。最後の給食の日とか感慨深い。……献立は覚えていないが」

雪美「……本当に……感謝……していた……?」

モバP「感謝はしていたんだが……何故か何を食べたかは印象に残っていないんだよな」 オイ

モバP「しかし高校では学食以外にも、購買でパンを買うことも出来ましたね」

ちひろ「パン一個やランチャブルズみたいな昼食だと侘しいですけども」

モバP「アメリカのお弁当ですね。クラッカーとハムとチーズとお菓子が少しだけ、みたいな感じの」

雪美「……売店のパン……取り合いになる……イメージ……」

モバP「学園アニメでよくある光景だが、パン争奪戦なんかは割と大袈裟でないな。出遅れると何も残っていない」

ちひろ「でも自販機のジュースは意外と買えるんですよね。学校内でないとそんなに見かけない紙パックの」 ソウソウ!

雪美「……二人は……同じ高校に……いたの……?」

ちひろ「プロデューサーさんは昼休みによく教室で友達と将棋を指していましたね」

モバP「健治の奴がやたら強いんですよね。で、ちひろさんの方は生徒会役員で忙しそうにしていて――」

モバP・ちひろ「ってそんな訳ないじゃないですか」


雪美「私も……Pと……高校……通ってみたかった……」 ダイガクナラマダマニアウカ……

611: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/17(土) 23:16:48 ID:UzGcjvsc
986

モバP「……」パラパラ

雪美「……」ジーッ

モバP「……肩の後ろから覗き込まなくても良いんじゃないか」

モバP「一緒に見ようか」

雪美「うん……」ストン

モバP「……」パラパラ

雪美「……これ……漫画……?」

モバP「ああ。表紙がこの通り、なかなか肌色な感じで」

モバP「雪美は本に限らず、よく検討せずにパッケージ買い、表紙買いをすることってないか?」

雪美「……ないと……思う……。でも……気になることは……ある」

モバP「しっかりしているんだな。俺は、未成年の時には自由に物を買えなかった反動か、気になるとすぐ手が伸びる」

モバP「そしていわゆるパッケージ詐欺、表紙詐欺に引っかかることがある」

モバP「この本だと、表紙は水着なのに中身に水着シーンが無い、だな。おかしいなと思って今は念の為に二度読みをしているところだ」


ちひろ「二度読みの理由がしょうもなさ過ぎる」

612: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/17(土) 23:17:51 ID:UzGcjvsc
987

雪美「……♪」キュッキュッ

モバP「ダンスをする雪美」

――

ヒュオオオッ

雪美「……む」パサパサッ

モバP「風に吹かれる雪美」

――

雪美「……P……?」キョトン

モバP「小首を傾げてみせる雪美」

雪美「何……見てるの……?」

モバP「雪美に自然体で首を傾げられるとこっちも首を傾げて見てしまうな」クイッ

雪美「ふふ……面白いの……」

モバP「本題はその髪なんだが……よく見ていると結構触手的な動きをしている時があるよね」


雪美「……そこは……女の子の……秘密……」 オンナノコハフシギナリ

613: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/17(土) 23:21:58 ID:UzGcjvsc
988

モバP「今日のおやつ、バウムクーヘンは口に入れると密度を感じるお菓子ですよね」

ちひろ「カロリーありますからね」

雪美「……紅茶と……合う……」

モバP「しかしそこにチョコレート、或いはグレーズまでかけたりするのだから人間は業が深い」

モバP「お取り寄せグルメだと穴の部分にシロップりんごやメロン羊羹が詰まっている物もあったなあ」

雪美「……グレーズ……って……何……?」

モバP「表面に艶を出す糖蜜とかのコーティングと言えば良いのかな」

ちひろ「似たようなものにアイシングというのもありますね。卵白を混ぜて……味は大体お砂糖ですけど」

モバP「かな子や愛梨とお菓子を作っているとそんなワードが当たり前に飛び交うようになりますね」

雪美「グレーズ……あの……雪が積もったような感じ……すき……」

モバP「雪美は雪化粧が好きだよな。一緒にブッシュドノエルを作ったことが記憶に新しい。ロールケーキにクリームを塗ってフォークで木目を付けて」

雪美「……あれは……芸術的……だった……」キラキラ

モバP「バウムクーヘンにもクリーム入りとかあって……想像するだけでも甘さのインフレが凄まじい」


ちひろ「いろいろかけて入れて乗せて盛って、悪魔の食べ物に変貌していくんですね」

614: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/17(土) 23:25:58 ID:UzGcjvsc
989

パチッ パチッ

雪美「……」チョコン

ショリショリ

雪美「……」ジー

モバP「雪美さん、なしてこっちば見とうとね」

雪美「……P……猫が……毛づくろい……してるみたいに……見えるから……」

モバP「そっちも飼い主を見つめる猫みたいだよ。……ここは爪を切らせて頂戴な」

モバP「ああ、まだ幼い頃はこの爪も親に切ってもらっていたが、小学生になった辺りで“もう自分で切りな”と言われてこうなって久しい」

雪美「私も……自分で……する……」

モバP「偉いな。でも、今日は俺がやってあげると言ったら?」

雪美「……そんなに……甘やかさなくても……良い……」

モバP「ピカピカに磨くぞ? ……雪美さんは普段、切るよりは爪やすりで手入れをするのかな?」

モバP「……まさか猫のように爪とぎはしないか。それはそれで面白いが――よし、終わり」


雪美「……じゃあ……遊んで……」(つ゜-゜)つ

615: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/17(土) 23:34:18 ID:UzGcjvsc
990

モバP「……どうも今日は耳の聞こえが良くないなあ」

ちひろ「鈍感性難聴ですか」

モバP「……え? 何か言いました?」

ちひろ「いえ。……もしかしたらストレスが原因かもしれませんね」

雪美「P……最近……思い詰めてる……?」

モバP「季節の変わり目で安定しない気温や天気のせいか、知らず知らずのうちに気分に波が出ているかもしれない」

ちひろ「雪美ちゃんの声は聞こえているみたいですね」

モバP「……え……っと……?」

雪美「……! ……P……耳……」

モバP「あっ……! そういうことか……」スポッ

モバP「ん……失礼しました。どうやら耳にバナナが入っていてよく聞こえなかったようで」

ちひろ「いや、それどう見ても耳栓じゃないですか。平然としていますけど」

モバP「これは多分麗奈のイタズラでしょうかね。仮眠室で寝ていた時に」 ……ヨカッタ


ちひろ「というか雪美ちゃんの声は耳栓していても聞こえるんですね」

617: ◆ORDERq/08U 2021/04/24(土) 23:17:51 ID:a1P7gd9E
991

モバP「最近はボタン目のキャラクターがひっそりと流行っていますね」

ちひろ「いますかね?」

雪美「……ボタン目……?」

モバP「中心に二つ穴や四つ穴が開いているポピュラーな洋服のボタンを目にしたものだ」

雪美「イメージすると……少し……怖い……」

モバP「普通は人形に目を付ける時、裏穴や足つきのボタンを付けた方が見映えしやすいんだよな」

雪美「つぶらな……目になる……」

ちひろ「そこを敢えて四つ穴ボタンを使うと、独特のゴシックな怖さが出ますよね」

モバP「そういうマスコットでも作ってあげるとみんなは喜ぶものなんでしょうか?」

ちひろ「作るんですか? ダークファンタジーよりはホラーコメディっぽい方が良いでしょうね」

モバP「この前、自分の作った物がアイドルの写真で取り上げられて話題になっていたんですよ」

雪美「……私にも……作ってくれたら……うれしい……」

モバP「よし! 昔から集めてきた水牛調とかの綺麗な四つ穴ボタンをこれを機に使ってしまうか」


雪美「……マーブルカラーのボタン……集めたくなるの……分かる……」

618: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/24(土) 23:19:18 ID:a1P7gd9E
992

モバP「暖かくなってきたのでこたつを撤去するか」

雪美「……」ゴロン

ペロ「……」ゴロン

モバP「無言の抗議だな」

雪美「片づけるの……?」

モバP「もう5月も近いしな。そんなに未練があるか」

雪美「……」ゴロン

ペロ「……」ゴロン

モバP「電源を入れなくても布団があるだけで気持ち良いのは分かる」

ペロ「……ウウウ」

雪美「……敷き布団……だけでも……って言ってる……」

モバP「猫はラグマットなんかが好きだよな」

モバP「……敷き布団だけ保留にするかなあ」ゴロン


千秋「雪美さんの実家のような素の表情と寛ぎ様、いつまでも見ていられるわね」ウットリ

619: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/24(土) 23:21:00 ID:a1P7gd9E
993

ポフポフポフ

モバP「ペロも」

ポフポフポフ

モバP「雪美も」

ポフポフポフポフポフポフポフ

モバP「木魚を叩くようなリズムで甘く叩いてくるのは何ですか」

チーン

モバP「何の音!?」

雪美「……?」

モバP「幻聴ですか」

雪美「……P……良い弾力……してるから……」

ペロ「ンギャア」

雪美「それと……体……大きいから……多少のことでは……動じないのも……魅力……」

モバP「動じていない訳じゃないぞ? 力加減がマッサージみたいで心地良い」

620: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/24(土) 23:23:31 ID:a1P7gd9E
雪美「……」ポフ

モバP「あぁ……」

ペロ「……」パタパタパタ

モバP「ああ、尻尾で叩かれるのも……快感だな」

雪美「…………私も……頑張って……尻尾……生やそう……」

モバP「ヒトに尻尾が生えたとしても、器用に動かせるかどうか」

モバP「猫の尻尾は尾椎が通っているからそれが出来るんだがな」

雪美「……Pは……尻尾を動かす……感覚……分かる……?」

モバP「ああ。何かヒトには無い物があると変な感じだが、本能的に動くよ」

ペロ「……」スタスタスタ

モバP「あ、飽きたのか行ってしまわれた」

モバP「しかし雪美は肩もみ肩たたきがプロみたいに上手だよな。俺の親も俺にそう言ってくれたが、人にやってもらうとやっぱり違うもんだ」

雪美「Pの方が……上手……。でも……喜んでくれると……嬉しい……」

雪美「……P……最近……肩……凝っている……みたいだから……はい、これ……」つ□


モバP「肩たたき券をくれるのか? ……勿体無くていつまでも使えなさそうだこれ」

621: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/24(土) 23:35:44 ID:a1P7gd9E
994

モバP「わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です」

ちひろ「宮沢賢治ですか」

モバP「長すぎず短すぎない、言葉に出して読みたい一節ですよね」

ちひろ「そうでせうか」

モバP「はい、おぜうさま」

ちひろ「私はおぜうさまではありません」

雪美「……いにしへの……奈良の都のやへ桜……けふここのへににほひぬるかな……」

モバP「歴史的仮名遣いは実にレトロだな」

加奈「歴史的加奈遣い、ですか? プロデューサーに呼ばれたような気がしました」

モバP「なるほど、聞こえは変わらないが仮名を加奈に置き換える……そういう考えもアリか」

モバP「旧加奈、現代加奈、平加奈、片加奈、変体加奈、異体加奈……」

加奈「いろんなわたしが出てきますね。後で使うかもしれないアイデアなのでメモっておきます!」

モバP「良さげな発想は活動中や何気ない時に生まれるからメモ癖は役に立つよな」


ちひろ「変体加奈なんて言葉を出してきたのは故意ですか?」 ラブデス

622: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/24(土) 23:39:30 ID:a1P7gd9E
995

モバP「ちひろさん、元気が出るドリンクを一本お願いします」

ちひろ「はい、どうぞ」

モバP「お代はこれで頼みます」

ちひろ「あ、桃缶」

ちひろ「って物々交換ですか。それも変に高級なやつを」

モバP「風邪など体調不良時に食べる缶詰の桃の美味しいこと」

モバP「具合が悪い時の味方と言えば経口補水液というのもありますが、これは元気な時にはなかなか飲めたものじゃなかったり」

雪美「……味見……したこと……ある……。……あれは……うん……」

ちひろ「それはいいんですけど、ギャグとかでなく本当に桃缶で換えるんですか?」

雪美「……桃缶……Pの家には……いっぱい……ある」

ちひろ「ほう……良い生活しているんですね」

モバP「パントリー、というほどでもない収納棚にいくつかあります」

雪美「……でも……何でもない時でも……食べる……ね」

モバP「缶詰は賞味期限が長く非常食として優秀だが、それでも永久には保たないからな」

623: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/24(土) 23:41:22 ID:a1P7gd9E
モバP「古い方から少しずつ消費して新しいのを補充する、ローリングストックというやつだ」

ちひろ「そのストックの余分を私にくれた訳じゃないですよね?」

モバP「……どうして在庫処分だとばれたんだろう」 コラ

モバP「しかし桃と言えば缶詰で見かけるのは黄桃、青果物として見かける機会が多いのは白桃」

雪美「……ただし……すもももももももものうち……ではない……」

モバP「もう一回言って?」

雪美「……すもももももももものうち……ではない……」

モバP「雪美さんが“も”を連続で発音する所、軽快で聞き惚れますね」

雪美「……早口言葉……私だって……言えない、わけではない……」

モバP「では俺も。隣の柿はよく客食う柿だ」

ちひろ「人を襲う柿の木か何か?」

モバP「失礼、噛んだだけです。それにしても雪美さんその通りでスモモは桃の仲間とは違うんだよな」

雪美「……うん。……私は……白桃……好き……。ミックスジュースに……欠かせない……」

モバP「あれが入ると風味が上品になるよな。ネクターなんかも一度飲むと忘れられない味だし」


ちひろ「この桃缶どうしようかな……」

624: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/24(土) 23:43:29 ID:a1P7gd9E
996

モバP「今日は近所の家の庭のフェンスにカラスが止まっていて、結構近くまで接近してもじっとしていたんだ」

雪美「……ふんふん」

モバP「普段、自分の目線の高さで全身を近くで見る機会がなかったから、ちょっと観察してやった」

雪美「……ふむふむ」

モバP「そして思ったんだが、よく見ると格好良いよな、カラスって」

ペロ「……」

雪美「……そうね……。ペロは……カラス……いけ好かない奴……って言ってる……けど」

モバP「真っ黒い体同士通じ合うようなことはないか」

モバP「というかペロは人間の話がしっかり理解できるんだな。そして声を発しなくても雪美に伝わる」

ペロ「……ミィ」スッ

モバP「ん、ペロが自分から俺の膝に乗ってくるということは、俺に何かを求めている時だな」

雪美「……ふふ……Pも充分……ペロのこと……分かってきている……」

モバP「何となくで分かってきていると言って良いのかな? 猫の秘密はまだ奥深いと思うが……」ナデナデ


ペロ「ンナーゴ♪」

625: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/04/24(土) 23:52:31 ID:a1P7gd9E
997

モバP「雪美さんはジュークボックスって知っている?」

雪美「……? ……19の……箱……?」

モバP「主にボウリング場とかにある、その場に流す音楽をリクエストできる洒落た自販機――と言えば」

雪美「……ティンと……こない……」

ちひろ「もう無いんじゃないですかね? 古いものは当然ですけど、デジタルの方も」

モバP「……あのちょっとした自己顕示欲を満たせそうな、でも恥ずかしくて手を出せない距離感が好きだったんですが」

ちひろ「プロデューサーさんのような人ばかりだったかは分かりませんけど、使う人がそんなにいなかったと思います」

モバP「確かに……でも古いタイプとか、事務所の片隅に一つくらい置いてみたいですね。ステイタスになりますよ」

ちひろ「何のステイタスやら」

モバP「今は調べると画像がすぐ出てくるのは便利だ。ほれ雪美さん、これですよ」

雪美「……ん、見たことは……ある……。……音楽を……流すもの……だったの……」

モバP「幼心には一見何なのかよく分からないが興味の湧く物ってあるよな」

雪美「……うん。……そして……何だったか……忘れる……」


ちひろ「そしてある時、何かの拍子に急に思い出したりする」 ソシテマタワスレル イヤオボエトケ

627: ◆ORDERq/08U 2021/05/01(土) 23:31:30 ID:w9WNstGI
998

ガチャッ

凛「プロデューサー、おはよう」

雪美(一日プロデューサー)「……凛、おはよう」

凛「って、えっ雪美? 一日プロデューサーって何?」

雪美「P……今日は……ペロと……海外出張……。だから……私が……代理……」

凛「ペロと出張って業務じゃないと思うんだけど……雪美が本当に代理をやるんだ?」

雪美「……」コク

凛「……よく見るとしっかりスーツまで着てる。今の雪美、かっこいいよ」

雪美「……ありがとう……。今日のスケジュール……確認から……」キラキラ

――

凛「しばらく付いて来たけど、応対や付き添いと本格的にやるんだね……手伝おうか?」

雪美「大丈夫……。前に……Pと……中身だけ……入れ替わったこと……あって……そこで……お仕事……体で……理解したから……」

凛「……相変わらずオカルトみたいな関係だね」


ちひろ「あの日は普段開いていない雪美ちゃんのブラウスのボタンが開いていましたよ」 ……ゴクリ

628: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/01(土) 23:34:18 ID:w9WNstGI
999

モバP「……」

ちひろ「プロデューサーさん、魂が抜けていませんか?」

ペロ「……」コツ

モバP「おうっ!? ……そうだ、もう日本に戻って来たんだった」

ちひろ「一日だけ休みを取って海外に行くとか言い出した時は何かと思いましたけど」

モバP「ヴァルプルギスの夜に行ってきましたよ。ペロと共に、猫の抜け道を使って」

モバP「表のパレード、お祭りも賑やかでしたが、何より裏の夜宴ですね。現代にも本物の魔女っているんですよ」

モバP「猫の姿で参加しましたが、現地のウィッチの方と話が弾みまして、何とわたあめを作り出す魔法まで教えてもらいましたよ!」

ちひろ「魔法って……夢オチじゃないですよね?」

モバP「披露したいんですけど残念ですが霧が出ていないと作れないんですよね、フォグキャンディ」

雪美「……クセノファネス……エッセンティア……ドドラ……ゴンゴ……」

ちひろ「それはきりのカーニバルに出てくる呪文ですね」

モバP「あ、そういえば何故かちとせとヘレンも来ていて、普通に居るのを見つけた時は心臓が飛び出るかと思いました」


ちひろ「話を集約すると、本当は一体どこに行っていたんですか? 国内?」 コクガイデスヨ!

629: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/01(土) 23:35:30 ID:w9WNstGI
1000

モバP「雪美さん」

雪美「……?」

モバP「ありがとう」

雪美「……? 私……まだ……何も……してない……」

モバP「いや、これまでのことだよ」

雪美「……P……消えるの……?」

モバP「死亡フラグじゃないです」

雪美「……」ホッ

モバP「一緒にいてくれて、歩いてくれて、いつも感謝しているよ」

雪美「……P……終わるの……?」

モバP「締めの挨拶でもないです」

雪美「……」ホッ

モバP「うん、まあそれだけだ。これからもよろしく」

雪美「……」(つ゜-゜)つ

630: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/01(土) 23:36:27 ID:w9WNstGI
ヒョイ ポスン

モバP「雪美ってもしかしなくても、俺のことが好きなのか?」

雪美「……ん……何……?」

モバP「こうして近くにいてくれるし、膝を要求するからさ」

雪美「…………そうかも……しれない……」

モバP「じゃあ、それを受け入れるまでよ」

雪美「……二人で……そして……ペロや……ちひろさんや……みんなで……いると……」

モバP「おう?」

雪美「……どんなことでも……楽しいだけで……特別に……好きとか……ないんだから……」

モバP「ほうかほうか、こやつ、変わらず愛いのう」ナデナデ

雪美「……ふふ」


ちひろ「こやつらこれからも遊び続けるつもりですね」

631: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/01(土) 23:39:44 ID:w9WNstGI
1001

ペロ「……」ジーッ

モバP「あ、ペロ。来てくれたんだ」

モバP「ん、分かっているよ。ここはこうして片づけて……よし、今行く」

ニャーウ マッテオイテカナイデー

ちひろ「……プロデューサーさんは最近、ペロと仲良くなりましたね」

雪美「……P……引っ張ってくれる……タイプの……仲間に……弱い……から」

雪美「この前も……ピンチの時……ペロに……助けてもらって……段々と……惹かれ始めてる……みたい」

ちひろ「……雪美ちゃんは、ペロに対しても嫉妬とかするものですか?」

雪美「……Pには……誰とでも……仲良くなってほしい……から……しない……」

ちひろ「でも少しは独占欲もあるでしょう? ある一線を超えて手を出されたら何となく嫌だ、とか」

雪美「……その時は……私も……同じように……手を出してもらう……だけ……」

ちひろ「私としては手を出させるのを黙って見過ごすわけにはいきませんけども、腰が据わっていますね」

モバP「おっと忘れ物忘れ物。……では行って来ます」


雪美「……二人とも……あまり……遠くに……行かないように……ねー……」 ホゴシャダコレ

632: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/01(土) 23:47:41 ID:w9WNstGI
1002

モバP「以前雪美には太ももにレッグシースを隠してもらったことがあったな」

雪美「……あれは……普段……見えないのが……残念……」

モバP「まあな。スカートの下に武器を隠すのもまず実用性がイマイチに感じられる」

モバP「横スリットとかでないと、ナイフを取り出すのに一々捲らないといけないし」

ちひろ「武器を使う前提の危険な日常が当たり前みたいに言わない」

モバP「そこで、もっと普通にアイドルが衣装で着用するような物を用意しました」

モバP「今回! 何と! 雪美さんが! 着けて……くれた?」

雪美「……///」コク

モバP「おお、ミニスカートだけでも雪美さんの本気な感じがして良いが、そこにガーターリングまで!」

ちひろ「ストッキング留めですね。何かセクシーアイテムみたいに扱われがちですけど」

モバP「これがチラ見えしただけで体温が1℃くらいは上昇します」

雪美「……P……微熱……?」ピトッ アッ、オテテツメタイ

モバP「たまに見かける、手首にシュシュを引っかけている女の子も何か良いなと感じるものがあります」フレンチクルーラータベタイ


ちひろ「何ですか最後の漏れ出た食欲的本音は」

633: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/01(土) 23:50:02 ID:w9WNstGI
1003

雪美「……♪」

ありす「あっ、そんなショートカット方法があるなんて聞いていません――っ」

モバP「楽しそうだな」

紗南「Pさん家でマリオカートしようって提案した甲斐があったよ」

モバP「それも今回はマリオカートライブホームサーキットで家自体がコースだからな」

紗南「これ、やってみたかったんだよね! こういう広い家で!」

モバP「いやあ、大変だったよ。ジオラマとかを作るのにこだわるタイプなもんだから」

モバP「こうして障害物や背景を置いて道を作るセッティングで時間がかかった」

紗南「準備で既に力尽きている感じ? 後であたしともレースするんだから、回復しといてよ?」

モバP「ああ。遊ぶために何度も試走して作ったんだからな」

モバP「しかし、レースゲームで自分でコースを作れるのってなかなかないよな」

紗南「これまでマリオカートメーカーみたいなゲームってありそうで無かったよね」

モバP「これも画期的だが発展途上という感じだな。立体コースが作れるようになったら大したものだが」


雪美「……これ……Pが寝そべったら……背中の上も……走れる……?」 ソレハチョットムリダナ

634: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/01(土) 23:51:08 ID:w9WNstGI
1004

モバP「ちひろさん」

ちひろ「はい、プロデューサーさん?」

モバP「……普段あまり意識していなくて、今改めて思ったことがあります」

ちひろ「何でしょう?」

モバP「ちひろさんって154cmと意外と小柄な方なんですよね」

ちひろ「意外とって何ですか。それもアバウトじゃなくてはっきり言うか」

モバP「こうして話しているイメージよりは思ったより開きがないですか?」

ちひろ「プロデューサーさんが大きいんですよ」

モバP「自分の身長が高いのは自覚しています」

雪美「……私には……ちひろさんも……高く見える……」

ちひろ「ほら、おかしくはないんです」

モバP「……そうですね。女性にこんな、身長のことを……失礼しました」

モバP「…………」ホワア


ちひろ「小動物を愛でるような目で見るな」

635: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/01(土) 23:53:17 ID:w9WNstGI
1005

モバP「日中は過ごしやすい陽気、なんてものを通り越し」

モバP「もう初夏の暑さが感じられる日もある5月の始め」

雪美「……暑くなるのが……急だと……五月病にも……なれない……」

モバP「過ごしやすい時期が無いと五月病になる暇さえ無いかもしれないな」

ちひろ「どうなんでしょうね」

モバP「そんな最近は、俺は早起きをする」

モバP「早起きをして明け方に少し外に出てみるんだ。まあ早起きはいつもしているんだがな」

モバP「すると都会にいながらも山の朝のような静けさと、澄んだ冷たい空気を感じられてこれ以上なく気持ち良い」

雪美「……薄着で……少し……寒く感じる……朝……。……良いかも……」

ちひろ「寒い季節の最後の名残的な……理想の条件が成り立つ日はそんなにないでしょうけどね」

モバP「今以上に暑くなっても寒くなってもこのちょうど良さには出会えない気がします」

雪美「私も……してみよう……。そして……Pに……おはようって……心で……呼びかける……」

モバP「パジャマ雪美からモーニングコールが来るのなら俺は例え嵐の朝でも外に出るぞ」


ちひろ「それはやめとけ」

637: ◆ORDERq/08U 2021/05/08(土) 23:12:24 ID:IG2Unr1A
1006

ピッ ガチャコッ

カシュッ

ゴクゴク

モバP「ふう、今日の謎のコラーゲンドリンクは当たりだな。美味い」

雪美「謎……?」

モバP「見たことがなかったメーカーのだな。自販機で珍しい物を見るとつい買う癖が」

雪美「……レトルトカレーや……お弁当の……自販機……とかも……ある……」

モバP「今は無人・自動で何でも売る時代になってきたな。自販機ブームが来るかもだ」

雪美「……P……自販機……好き……ね」

モバP「ああ。俺は引退したらビルを買って、上に住みつつ一階を自販機コーナーに改造するのが夢だ」

雪美「前は……駄菓子屋になりたい……って……」

モバP「駄菓子屋も入れるか。後はアーケードゲームも置きたいし、休憩用のイス・テーブルも……採算が取れるのかは分からないがな」

モバP「そうやって限られたスペースにだが、悩んで夢を詰め込んで、一国一城の主になれたら、世界も変わって見えるだろうか」


晶葉「既にシンデレラの城の主みたいなものじゃないか?」

638: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:14:36 ID:IG2Unr1A
1007

モバP「皆さんは買い物時に、買うつもりは無いのにふと足を止めてカップラーメンを見ることがありませんか?」

みく「いや別に? Pチャンは袋ラーメンは好きだけどカップラーメンは食べないなとは思うにゃ」

モバP「ただ一回食べるためだけに容器を使い捨てにするのは勿体無い気がいつもするんだよな」

みく「環境には良くないかもね。一食あたりも高くなるし」

モバP「だがアウトドア、特に山で食べるカップラーメンの美味さたるや家で食べる時とは比ぶべくもない」

雪美「……ラーメン……寒い所で……食べると……おいしくなる……」

モバP「更に見晴らしの良い所で景色を見ながらとか最高だよな」

みく「Pチャン、ソロキャンプに行きたいって顔してるね」

モバP「というかカップラーメンを見ると、『あ、山に行きたいな』と誰しも思うんじゃないか?」

みく「いや別に? 飛躍し過ぎだと思うにゃ」

雪美「低い……チェアに座って……シングルバーナーと……片手鍋で……料理を作るのも……好き……」

みく「雪美チャンも行きたそうだにゃ。でも二人だとソロじゃなくなるね」

モバP「山ではソロとソロで隣人さ」


みく「何か行き慣れてる風だにゃあ?」 ショシンシャデスガナニカ?

639: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:15:57 ID:IG2Unr1A
1008

雪美「……P……ここに……座って……?」

モバP「お、何かするつもりか? このマットに胡坐で良いかな?」

雪美「うん……。そのまま……」

ダキッ

モバP「ああ、雪美さんの感触が後頭部に押しつけられる……」

雪美「……もう少し……高め……」

モバP「あぁ~」

雪美「……」ギュッ

モバP「あっ」

ちひろ「雪美ちゃんは何をやっているんですかね」

雪美「本に乗っていた……胸を……頭に乗せるの……やってみたかった……」

ちひろ「どたぷーんなお姉さんが気のある男性に対してやる(?)スキンシップですね」

モバP「あっあっあっ」

ちひろ「プロデューサーさんがおかしくなっているのは放置するとして」

640: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:17:38 ID:IG2Unr1A
ちひろ「まあ普段から雪美ちゃんは割とその……押しつけていますね」

雪美「……これくらいは……普通……」

ちひろ「プロデューサーさんからするとかなり意識していると思います」

雪美「……P……そうなの……?」

モバP「意識しますよ。というか体が触れると極端な話、男友達でも姉でも親でも猫でも」

ちひろ「そういう言い方されると見境なしに見えてきますね」

雪美「……大きい胸が……当たると……もっと……ドキドキ……する……?」

モバP「どうだろう。以前、寝惚けた姉貴に横からギュッとされたことがあるんだが」

ちひろ「“プロデューサーさんの姉”とかいう存在するらしいのに誰も見たことがない人、もしくは猫」

雪美「P……猫が……お姉さん……だったの……」ヤッパリ……

モバP「違わい。さすがに人だから」

モバP「それで、当たっている弾力の感触は無視できない。これは生物の性だ」

雪美「……ドキドキ……私じゃ……足りない……?」ギュギュッ

モバP「いいや。まず、雪美にぱふぱふされて俺がまともでいられるはずがないだろう」ウットリ


ちひろ「誰かまともな人はいないのか」

641: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:19:00 ID:IG2Unr1A
1009

モバP「俺はアイドルにいろんな呼ばれ方をされている」

モバP「P(名前)、プロデューサー、さん、くん、ちゃん、殿、様付け、あなた、キミなど」

雪美「……私は……Pと……呼ぶ……」

モバP「雪美はそうだな。基本的に俺のことをプロデューサーと呼ぶことがない」

雪美「……Pは……P……」

モバP「……ちょっと試しに呼んでみない?」

雪美「…………プロデューサー……」

雪美「…………何だか……違和感……」

モバP「役職呼びだと少し他人行儀になる感じがするのかもな」

モバP「佐城」

雪美「……雪美……」

モバP「雪美……うん、やっぱり俺も名前で呼び慣れてしまっている」

モバP「それに佐城、と言うと雪美のご両親も同時に呼び捨てしているような気になる」

ちひろ「慣れって怖いものですね」

642: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:20:56 ID:IG2Unr1A
雪美「……P」

モバP「……雪美」

モバP・雪美『……ちひろさん』

ちひろ「声を揃えないでください」

モバP「雪美はちひろさんを呼び捨てにしないんだよな」

雪美「……それは……」

ちひろ「え、何か理由でもあるんですかね?」

雪美「……ちひろさんは……ちひろさん……。……ただ……そう……決まってる……」

ちひろ「……まあ今のままがしっくりは来ますけど」

ちひろ「プロデューサーさんは様々な呼ばれ方をされるのに、私はここだと大抵“ちひろさん”なんですよね」

モバP「ちひろさんを呼び捨てにできるアイドルはナターリアくらいですかね」

ちひろ「……やっぱりみんなと距離があるんでしょうか? それとも怖がられている?」

モバP「初見で直感的に、『あ、この人は怒らせてはいけない人だ』と認識されるタイプなのかもしれません」

ちひろ「実際に怒らせてもないのにそんなことを思われても困ります……」

モバP「まあ呼び捨ては相当親しくないとですし、“千川さん”じゃなくて“ちひろさん”と呼ばれるだけでも充分慕われていると思いますよ」

643: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:22:24 ID:IG2Unr1A
雪美「……ちひろさんは……Pを……名前で……呼ばないの……?」

ちひろ「……呼びませんね」

ちひろ「プロデューサーさんの名前って「」にあなたの好きな名前を入れてください、みたいなものですから」

モバP「由緒正しき名前なんですがねえ」

ちひろ「仮に名前をPではなく新一としましょう。仕事中に新一さんって呼びますかと」

雪美「……新一」

モバP「ん、何だい?」

雪美「……やっぱり……私も……プロデューサーで……良いかも……」

モバP「それは嫌だ」

雪美「……ふふ……冗談……。……これからも……Pと……呼ぶ……」

ちひろ「拒否反応がやたら早かったですね。そんなに名前呼びが気に入っているんですか」

モバP「はい。しかし、名前呼びと役職呼びの両方あるタイプも決して嫌いじゃないです」

ちひろ「そこに更に“あなた”みたいな二人称呼びも入ってきたりして」

モバP「意識して使い分けてくれるのが嬉しいんですよね。あ、雪美には名前と別におじさまと呼ばれてみたい」


雪美「……おじさま」ニコ クラリスカナ?

644: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:32:25 ID:IG2Unr1A
1010

楓「あら……ふふふ」

――

拓海「おっ、Pに雪美。またペアルックか」

――

まゆ「……よくお似合いですねぇ」

――

モバP・雪美「……♪」

ちひろ「今日はお揃いの眼鏡ですか」

モバP「伊達直人ですがね」

ちひろ「孤児院に寄付でもするんですか」

雪美「……みんなに……褒められて……うれしい……」

ちひろ「服装もフレンチカジュアルで良いですね」

モバP「でしょう? いやあ、たまにはイメチェンするものですな」


ちひろ「プロデューサーさんはスーツを着てください」

645: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:35:11 ID:IG2Unr1A
1011

モバP「……」タソガレー

杏「あ、プロデューサーがBOSSおじさんみたいな顔してる」

モバP「そいつァ随分と老けて見られたもんだ」

雪美「目を細めて……ハードボイルド……かっこいい……」

モバP「フッ、雪美にそう言われちゃあ、LINEスタンプにでもするしかねェな」

杏「自分を積極的に商業利用するスタイル」

モバP「……ふーっ」

杏「いや、煙草っぽく見せかけてるけど飴じゃん」

モバP「飴で良いのさ。ココアシガレットや葉巻風シガーチョコは時間をかけて味わうものじゃないからな」

モバP「最近はどうも飴を咥えたり葉っぱを咥えたり魚の骨を咥えたりしないと口寂しいもので」

杏「そういうキャラクターよくいるよね」

モバP「杏もどうだ? この飴は綺麗な鼈甲色をしているんだが、カレー味だ」

杏「またプロデューサーが変な飴食べてる……」


雪美「まP変飴……」 リャクスナ

646: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/08(土) 23:36:57 ID:IG2Unr1A
1012

ゴロン

モバP(……今日は何故だか寝付けんな)

モバP(……よし、目を閉じて、頭の中で雪美でも数えてみるか)

モバP(雪美が1人……)

雪美(……P……呼んだ……?) (゜-゜)

モバP(雪美が2人……)

雪美2(P……遊ぼう……。ここなら……何でも……できる……) (゜-゜)(゜-゜)

モバP(雪美が3人……)

雪美3(P……聞いてる……?) (゜-゜)(゜-゜)(゜-゜)

モバP(聞こえています。ちょっと夢に入りきるまで待っていてくれないか?)

雪美たち(((……分かった……)))

――

モバP「……そして最終的に夢の中に346人もの雪美を召喚した俺は、代償として彼女たちが全員満足するまで遊んであげなくてはならなくなったんだ」


雪美「……今日も……お邪魔します……」

648: ◆ORDERq/08U 2021/05/15(土) 23:16:40 ID:KHP5yfE2
1013

モバP「さて、少し暇な時間が出来たので、誰にも告げずにプレイルームでこっそりテレビゲームでもしよう」

モバP「何にしようか……やっぱりファミコンかなあ。収納ラックに整列したカセットが実にカラフルで思わず手が伸びてしまうんだよな」

モバP「では今日はこのマリオUSAでもやるか」

ガチャ

雪美「……P……?」

サササッ ストッ

雪美「……隣……座る……」

モバP「駆け寄る雪美さんにほのぼのする暇もないくらい速かったな」

モバP「そんなに一緒にやりたいか? ……ん、見ているだけ? 別に良いが」

雪美「Pが……何かやっているのを……じっと……見ているの……好き……」

モバP「プレイを見に来たんじゃなくて俺を見に来たのか? まあ良い、俺がカメーンや四角い鯨といった昔のトラウマを乗り越える様をじっくり見ておけ」

紗南「Pさんが実況プレイやると聞いて見物に来たよー」 ガヤガヤ

杏「面白そうなことやってるじゃん。あ、杏は窓際の席キープね」 ゾロゾロ


モバP「君たちも君たちでそんなに暇なのか」

649: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/15(土) 23:24:28 ID:KHP5yfE2
1014

モバP「346プロはデパートみたいなものである」

モバP「吹き抜けで眺めが良い広場に、これも当然のように置いてある」

雪美「……これ……何……?」

モバP「これはガムボールマシーンだな。つまりこのカラフルなボールはガムだ」

雪美「……」ホー

モバP「光沢のある綺麗な球形をしているが、これは普通のガムの上に糖衣をしてある」

チャリン ガチャガチャ

コロコロコロコロコロ コンッ

雪美「……何か……良い……」

モバP「カプセルトイのようなワクワク感だな。それも欧米の街角にありそうな簡易な物と違ってボールコースターを転がって出てくる演出もニクい」

雪美「……食べて……良いの……?」

モバP「ああ。衛生面は問題ないように設計してある」

モバP「ただ、ガムボールでピンボールをしてターゲットに当てるともう一個貰えるターゲットマシンくらいになると、食べ物で遊び過ぎな気がしてくるが」


雪美「……糖衣が……厚い……」パリパリ

650: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/15(土) 23:25:36 ID:KHP5yfE2
1015

雪美「……」トコトコ

雪美「……!」

タッタッタッ

トコトコ トコトコ

モバP「346の連絡通路もとい渡り廊下を歩いていたら、足の音が二重になった」

モバP「雪美さんのステップだな、分かる」

雪美「……見ないでも……分かった……?」

モバP「ああ。気づくと並んで歩いているのがとても自然で違和感が無かった」

雪美「……偶然……Pを……見つけたから……」

モバP「本当に偶然か? そう言って道端に待ち伏せする子も時々いるが」

雪美「……待ち伏せ……するなら……自分から……会いに行く……」

モバP「そりゃそうか。雪美さんは日々行動的になっていくな」

雪美「……でも……P……デスクワーク……していない時は……一つの所に……留まらない……」

モバP「直接の用事がある場合はオフィスで待つ方が確実に会えると思うぞ」

651: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/15(土) 23:27:26 ID:KHP5yfE2
雪美「……あっ……未央と……卯月が……見える」

モバP「どれ……あ、あそこにいるな」

……!

モバP「こっちに気づいたようだ」ノシ

雪美「……」ノシ

ノシ

雪美「……手を……振ってくれた……」

モバP「二人とも、良い笑顔をしやがって」

モバP「時々、この渡り廊下で少し立ち止まって、窓から外を眺めてみるのも乙よな」

モバP「商業施設だったら人通りが眼下に見えるし、学校なら中庭が見渡せたりして」

雪美「学校の……形にも……よる……」

雪美「でも……この景色……好きやわあ……」

モバP「良いよな。しかしこう窓が大きいと、ここにいる子を下から見上げたら、短いスカートとかは……今度検証しておこう」

雪美「……P」ペシッ


外の未央「ゆきみんとプロデューサーイチャついてる……今そこに行くからな!」 イクンデスカ?

652: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/15(土) 23:29:10 ID:KHP5yfE2
1016

モバP「予告なしに始めます雪美さんに着せてはいけない服シリーズ」

ちひろ「てっきりもう忘れているかと」

モバP「今回は何と、ご本人登場ですよ」

ちひろ「いや、本人は毎回いますよね? ものまね歌合戦のように言わないでください」

モバP「それでは佐城雪美さんです! どうぞ」ガラッ

雪美「……///」キラキラ

モバP「ぐはっ!」

ちひろ「自分で呼んでおいて膝をつきましたよこの人」

ちひろ「さて、それは制服……というにはスカートは短いですし胸元はビキニ? が見えていますし」

モバP「アメスクですね。普通のそれを雪美さんに着せるとアウトになりますのでマイルドにしていますが」

ちひろ「いや、マイルドにしても着せてはいけない物を堂々と着せるようになったらダメでしょ」

雪美「……これ……美嘉に……協力……してもらった……」

モバP「ちなみに美嘉はそこに転がっています」


美嘉「コーデしたのアタシなのにセクシーすぎるっしょ……」

653: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/15(土) 23:38:20 ID:KHP5yfE2
1017

モバP「346プロの午後――俺の膝の上には毎日様々なアイドルたちが悩みを抱えてやってくる」

モバP「その悩みを解決! は出来ないが聞くことですっきりくらいはさせてあげたいものだ」

美玲「やる気ないな」

モバP「というわけで美玲、何か悩みごと・相談でもあるのか?」

美玲「ないぞ」

モバP「ないんかーい」

美玲「今更オマエにそんなことを求めて来る奴なんていないんじゃないか?」

美玲「ウチはただここが居心地良いと思ったから座ってるだけだ」

モバP「そうやって素で心を掴むようなことを言うのが美玲よな。天然ジゴロが顔を出すというか」

美玲「なんだよッ、ショーコやノノにも似たようなこと言われたぞ!」

美玲「ふん、じゃあ相談、考えてやる……そうだ、仲間の服の色を褒める時、色の名前が分からないから本人に訊くのって良いと思う?」

モバP「良いぞ。人から教えられても、美玲が自分で選んだ言葉で褒めてくれたら、相手は嬉しいと思う」

モバP「まあ相手次第だな」 ソコジュウヨウダロ


雪美「また今日も……解決に導かない……Pであった……」

654: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/15(土) 23:39:54 ID:KHP5yfE2
1018

雪美「……P……」

モバP「ん?」

雪美「何か……悩んでいること……ある……? ……顔に……書いてある……気がする……」

モバP「そうだな、例えば今雪美さんが膝の上で対面  でいることへの心の昂りをどうしようかとか?」

ちひろ「雪美ちゃんの前で使うべき言葉じゃないですよそれ」

モバP「そりゃアイドル雪美さんがこんな間近で密着してしかもほんのり上気したような顔で見つめてくれていたらね?」

モバP「これでも自分の中のオスの部分とか、出さないように抑えている方です」

雪美「……本能に……忠実に……なったら……大変な……ことに……?」ドキドキ

ちひろ「警察に捕まるタイプの本能解放はくれぐれもやめてくださいね」

モバP「ある意味で、オブラートに包まずに言うとxxトークで気兼ねなく盛り上がれる男の友達、同志が欲しいのが悩みですかね」

モバP「そうすれば日頃の溜まった思いもぶつけ合って発散できるのかなと。世代や性格が合う人が周りになかなかいないですが」

ちひろ「ぶつけ合って発散……あっ」

雪美「……P……男性も……攻略対象……みたいに……聞こえる……」


モバP「ちゃうわ。でも新田くんなら良いかも……あ、男の同志的な意味の方だぞ?」

655: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/15(土) 23:43:13 ID:KHP5yfE2
1019

雪美「P……今日も……お仕事……おつかれさま……」

モバP「巡業に随伴したり衣装合わせをしたり書類を作ったり大変だったよ」

雪美「……」サスサス

モバP「こっちにもお願いします」

雪美「ふふ……よしよし……」ナデナデ

ちひろ「膝を抱えてしゃがんで、小学生に撫でてもらうって結構参ってます?」

モバP「ガソリンスタンドアイコンが点滅するような所までは行ってないので、まだ余裕はあります」

ちひろ「車か。……働きすぎじゃないかとみんなから心配の声が出ていますからね」

雪美「……」コクコク

ちひろ「でもプロデューサーさんのことですから拘束でもしないと休みませんよね?」

モバP「鎖に繋がれたり鉄格子部屋に入れられる程度の拘束であれば容易く抜け出せますので無駄です」

ちひろ「ケンシロウか」

モバP「まあ休めと言われれば素直に休みますよ。でも休み癖が付くかもしれないのが怖いんですよね。プロデューサーとは車でありケンシロウでありマグロです」 モウワケワカラン


雪美「……こういう癖なら……健全……」ナデナデ

656: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/15(土) 23:47:10 ID:KHP5yfE2
1020

モバP「……」カタカタ

凛「……プロデューサー」ズイ

モバP「近い近い。凛、どうした」

凛「何でもないよ。顔を見に近くまで寄っただけ」

凛「様子見ついでにネクタイでも直してあげようかって思ってさ」

モバP「悪いな、お願いするよ」

凛「あとこれ、ネクタイピンだけどさ、付けるついでにそのままあげるよ」

モバP「何から何まで……日々の貰い物だけで生活できそうだ」

凛「プロデューサーにはいつも貰ってばかりだからね」

雪美「それに……誕生日……非公開だから……祝ってあげられないのは……悲しい……」

凛「そうだよ。公開してくれればみんなに祝ってもらえるのに」シュルシュル キュッキュ

モバP「決まった誕生日があるとそれ以外の日が特別じゃなくなって損をした気になりそうだ」

凛「変な所で貪欲だよね、プロデューサーって」ハイオワリ


雪美「……凛……あとで……ネクタイの締め方……教えてほしい……」 ユキミモヤルノ?

658: ◆ORDERq/08U 2021/05/22(土) 23:27:26 ID:0sJ/UIa6
1021

雪美「……」ジトジト

モバP「ここ数日は降雨と曇天だな」

雪美「……うん」ジトジト

モバP「雪美が湿気でいつも以上にジト目な感じになっている」

ちひろ「ジト目って湿気の指標だったんですか……今年はやたら梅雨入りが早いですね」

モバP「それですよ。気温と湿度が高くて、強い風が吹いても生温くて何だか気持ちが悪い天気です」

ちひろ「5月半ばにして早くも夏の到来といったところですね」

モバP「本当、例えば台所で料理をするだけでも汗がべたついて……」

モバP「もう、一日に3回はお風呂に入らないとやってられませんよ」

ちひろ「しずかちゃんかな?」

モバP「おかげで最近はシャンプーボトルにもこだわるようになってですね」

ちひろ「統一感のあるクリア容器を揃えたりするんですね。中身も?」

モバP「はい。温泉とかにある備え付けのオールインワンは便利に感じて、家でも試してみたくなりますね。温泉のは薄いのがネックですが」


雪美「……P……シャンプー……変えた……?」クンクン

659: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/22(土) 23:31:00 ID:0sJ/UIa6
1022

モバP「ありす」

ありす「はい、何ですか」

モバP「雪美とイチゴジャムサンドクラッカーを食べようとしているのだが、ありすも軽くつまんでいかないか?」

ありす「イチゴですか。はい、糖分補給させてもらいます」

モバP「おお、それでは小規模なティーパーティーの幕開けだ」コポポポポ コトッ

雪美「……ん……紅茶……おいしい……」

ありす「今誘ったのに秒単位でお茶まで出せるんですか……」

モバP「ありすなら来ると思っていたからな」

ありす「Pさんはそういうの、分かるんですね」

モバP「その日の天気とか気温、アイドルのスケジュールで誰が来そうかは予想して用意する」

ありす「仕入れを調整する飲食店みたいですね……私もいただきます」

モバP「ところでありす……何か違和感はない?」

ありす「名前のことですか? 別に、変な呼び方をしなければ普通に受け入れますよ? 私だって子どもじゃないんです」


モバP・雪美「……大人だ……」

660: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/22(土) 23:32:04 ID:0sJ/UIa6
1023

パラパラシトシト

モバP「雨だな」

雪美「……雨だね……」

モバP「……」

雪美「……」

モバP「静かだな」

雪美「……静かだね……」

モバP「……」

雪美「……」

モバP「小腹が空いたな」

雪美「……空いたね……」

モバP「御座候でも食べるか?」

雪美「……?」

モバP「あ、今川焼きのことだ」

661: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/22(土) 23:33:39 ID:0sJ/UIa6
雪美「……食べる」

モバP「待ってな。回転焼き、取ってくるけえ」

雪美「……」

モバP「はい、大判焼き、持って来ましたよっと。どうぞ」

雪美「……焼かないの……?」

モバP「普通のおやきは温めて食べる印象だが、このカスタードクリーム入りなんかは冷やして食べても美味いからな」

パクッ

雪美「……本当……。ひんやり……甘い……」

モバP「これからの暑い時期はやっぱり冷たい太鼓焼きだな」

モバP「まあ冷凍のままの二重焼きはさすがにそのままでは固いからこうして解凍しておく必要はある」

雪美「……これの呼び方……安定しない……ね」

モバP「どう呼ぶのが一番良いんだか分かりかねるんだよな」

モバP「さて、この丸いのを食べながらもう少し、窓の外の雨景色でも眺めていようか」

雪美「……」ハムハム


パラパラシトシト

662: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/22(土) 23:34:49 ID:0sJ/UIa6
1024

プカプカ

雪美「……」

雪美「……泡が……浮かんだり……沈んだり……」

モバP「薄暗い所で見るとより綺麗だよな」

ちひろ「おや、何か輸入雑貨のお店に置いてありそうな……」

ちひろ「これはラバライトっていうんでしたっけね」

モバP「はい。最近まで名称を知りませんでした。インテリアに一華を添えるアイテムだと思います」

雪美「……ラバ……?」

モバP「Lava――溶岩」

雪美「……熱そう……」

モバP「本物の溶岩のような高温ではないが、動きがそうなのだろうな」

モバP「しかし、これを見ているとメディカルマシーン、生命維持カプセルを思い出すな……あっ頭痛が」

ちひろ「346モバP、何かを思い出して死亡」

モバP「サンキューちっひ」

663: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/22(土) 23:38:05 ID:0sJ/UIa6
雪美「……P……カプセル……苦手……?」

モバP「そうだなあ。根源的な怖さがあって、酸素カプセルとかでもあまり入りたくないな」

ちひろ「閉所恐怖症なんでしょうかね」

モバP「かもしれないですね。特に幼少期に見たアニメか何かの影響でしょうか」

モバP「閉じ込められてじわじわ窒息させられる感じのシチュエーションがトラウマで」

ちひろ「どんなアニメを見ていたんですか……」

雪美「……水槽を……外から見るなら……大丈夫……? 水族館の……トンネルや……テラリウム……」

モバP「ああ。水槽恐怖症ではないし、トンネル水槽は怖いと思う前に圧倒されるよな」

モバP「ただ、もし割れて水が流れ込んで来たら死ぬなぁ、と心のどこかでは常に構えている気がするよ」

ちひろ「妄想逞しいですね」

モバP「何にしてももうあのメディカルマシーンには入れられたくないです」

ちひろ「ちゃんと呼吸器は着けますし、体も治りますから良いじゃないですか」

モバP「でも裸ですよ? それを晶葉とか志希に見られているんですよ? 服を着せてくださいよ」

ちひろ「嫌だった理由は主にそっちだったんですか」


雪美「……今何か……すごいことを……聞いたような……」

664: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/22(土) 23:41:25 ID:0sJ/UIa6
1025

雪美「……」トコトコ

雪美「……」(つ゜-゜)つ

モバP「……」ヒョイ ポスン

雪美「……」(*゜-゜*)

雪美膝上中……

雪美「……」ツヤツヤ

ストッ

雪美「……」ノシ

モバP「……」ノシ

ちひろ「……プロデューサーさんって雪美ちゃんを軽く抱き上げますよね」

モバP「雪美自身、自分で乗るより抱き上げて乗せてもらう方が好きなようで、そうしています」

モバP「痩せても枯れてもそれくらいは出来ないと自分の存在意義がありません」

ちひろ「私にはそこまでの力がないので、素直に羨ましいですよ」


モバP「ちひろさんに改まって認められると何だか自信が付きますね」 ナニヲイウカ

665: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/22(土) 23:43:44 ID:0sJ/UIa6
1026

スタスタ トコトコ

モバP「街を歩けばシースルーバングをよく見かけるようになったな」

雪美「……?」

モバP「髪型だな。額にかかる部分の前髪を薄く整える感じ、と言ったら良いのか」

雪美「……私にも……似合う……?」

モバP「どうかな? あまりイメージが湧かないな」

雪美「……前髪……だけなら……そんなに……変わらない……気がする……」

モバP「ところがどっこい、髪型って少し弄っただけで想像以上に変わったりするんだよな」

モバP「お団子にしたり、ハーフツインテールにしたり、三つ編みにしたりしただけで反響が大きかったろう?」

雪美「水着……和風メイド……白猫……覚えがある……」

雪美「……」

雪美「……それは……少しじゃなくて……結構……変えてる……」

モバP「でもシースルーはそれらと違って切らないといけないから、失敗したと思った時に元に戻せないぞ」


雪美「大丈夫……。すぐ……生える……」 ソイツハウラヤマシイナ

666: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/05/22(土) 23:47:33 ID:0sJ/UIa6
1027

雪美「Pに……着せたい服……シリーズ……」

ちひろ「誰特」

雪美「鹿児島県……よしのんさんからの……リクエスト……どうぞ……」

バラララララララララララ タタッ

シャッ

モバP「……」キラキラ

ちひろ「これは……学生帽に学ランにマントのバンカラスタイルですね」

モバP「というかこれ、自分に合うサイズを探して借りてくるのが大変でしたよ」

ちひろ「おまけに丸い黒縁眼鏡までかけて、まるで白黒写真の時代の学生のようです」

雪美「P……似合っている……」パシャ

モバP「ありがとう。いつもと逆に雪美に衣装を褒められるのも悪くないな」

雪美「目線……こっちに……。……うん……良い……」パシャパシャ

ちひろ「スマホで撮影して送るんですね。それにしても“よしのんさん”って……」


モバP「そこはあまり詮索しないでおきましょう」 アッハイ