1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:49:32.96 ID:EzMUY26O0

戦士「何なんだ。『勇者』=『主人公』って」冒険者「ん?」 


これの続編というか、同じような方向性の話です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440287372

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:50:02.46 ID:EzMUY26O0
白魔「ちょっと待って下さいね。この人の治癒を終えてから、お話を伺いますので」

白魔「神よ……その聖なる力で、この者の傷を癒し給え……」

モブ「ああ、聖なる力で傷が癒えました! 白魔さん、ありがとうございます!」

白魔「私の白魔法は、神の大いなる愛で、人々を救うものですから」

黒魔「それだ! それを言ってるんだ俺は!」

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:50:52.87 ID:EzMUY26O0
白魔「え。……あ、もしかして私のセリフ、驕慢に聞こえました? でしたら」

黒魔「違ぁぁう! 『神の聖なる力』ってところ、おかしいと思わんのかお前は!」

白魔「『神聖』って言葉もありますし、『神』と『聖』とが並ぶのはおかしくないと思いますけど」

黒魔「その2つはな。だが、『魔』はどうだ? 『白魔法』使いさんよ」

黒魔「魔界の魔、魔物の魔、魔王の魔、呪われし魔剣の魔、だ」

黒魔「『神』の力を借りた『聖なる』、白『魔』法。おかしいとは思わんか?」

白魔「そう言われると……でも『魔』という字自体は、悪だとは限らないのでは?」

白魔「限らないから、悪に属するものには、わざわざ『悪魔』と、『悪』の字をつけてますし」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:51:32.46 ID:EzMUY26O0
黒魔「だから列挙しただろ。『悪』の字がつかずとも、明らかに『悪要素』満載の、」

黒魔「『魔』の字が使われている言葉、たくさんあるぞ」

黒魔「ついでに、あちこちで調べてみたが……」


【魔】
人を迷わすもの。修行をさまたげ、善事を害する悪神。
人間わざでない、不思議な力をもち、悪をなすもの。

人の心を惑わす悪鬼(悪魔)や災いをもたらす魑魅魍魎

人の心を迷わし、悪に引き入れる悪霊。悪魔。

「人々を、人間を不幸へ、不幸へと誘おうとする力、負の力、エネルギーである」

魔はサンスクリット語 māra の音写,魔羅の略語で,殺すものという意味

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:52:30.08 ID:EzMUY26O0
白魔「……」

黒魔「この通りだ。『魔』一文字だけで充分、『神』や『聖』とは反対方向になってるだろ」

黒魔「『魔』一文字で既に、『悪』を含有してるんだよ。むしろ『悪魔』は重複みたいなもんだ」

白魔「た、確かに。これだけ並べられると、認めざるを得ませんね。『魔』の意味を」

白魔「『魔法』ではなく、『マジック』や『スペル』だったら問題ないのでしょうが……」

黒魔「ああ。このジャンルは、TRPGであれ、あるいは小説であれ。西洋の発祥だ。当然、漢字は無い」

黒魔「剣や魔法やドラゴンの世界を描いた、古い、元々の、原典では『魔』の字は使われていない」

黒魔「だが、それらを日本語訳するにあたって『魔法』とし、『魔』という漢字を使ってしまった」

黒魔「昔話で悪役をやってるような、悪い『魔女』とか『魔法使いの老婆』だけだったらいいんだが、」

黒魔「正義側の、しかも神に属するようなものにまで『魔法』を使ってしまったのが間違いだった」

黒魔「そして、いつの間にやら、それが定着してしまった」

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:54:05.85 ID:EzMUY26O0
白魔「神の力を借りようが、悪魔の力を借りようが、要するに『超能力』ですからね」

白魔「手から火を出したり、ケガを治したり、空を飛んだり、自然を操ったり、心を読んだり」

白魔「普通の人の能力を超えた能力。単純にそのまま書けば『超能力』」

白魔「とはいえ『超能力』では味気ないから、でしょうか。『魔法』という言葉を生み出した」

黒魔「そうだ。さっきも言ったが元々は『魔女』のように、『魔』は悪側だけのものだった」

黒魔「『魔』とは悪魔で魔王で、それに連なる者は悪の手先。そういうものだった」

黒魔「だが、毒を巧く薬として使って、世の中に役立てる技術も生まれた。それが、」

黒魔「ゲームなどの黒魔法(使い)ってわけだ。魔女っ子だの、魔法少女だのもここに入れていい」

黒魔「黒側はこれで筋が通る。この解釈があれば、『魔』を正義に活用しても問題はない」

黒魔「だが『神』や『聖』と、『魔』とは、毒と薬。いわば存在の根が違う別物。同居はできん」

白魔「でも……どうすればいいんです? 今更『超能力』にはできないでしょうし、」

白魔「全く新しい言葉を創り出したって、そうそう定着させられるとは思えませんよ」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:54:40.73 ID:EzMUY26O0
黒魔「ふっ。新しいどころか、むしろ日常ではほぼ使わないほどの、古い言葉が使えるんだ」

白魔「と言いますと?」

黒魔「白魔法とか、神聖魔法とかの使い手としては、『僧侶』もいるだろ。聖職者だ」

白魔「はい」

黒魔「聖職者の中には、『お坊さん』も入るよな?」

白魔「ええ。それはそうですが」

黒魔「昔話でも霊感商法でもいい。数珠や錫杖を構えて『悪霊退散! 喝!』の、アレ」

黒魔「アレを何と言う?」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:55:44.16 ID:EzMUY26O0
白魔「何と言う、と言われましても……?」

黒魔「どこぞの破戒僧の技、拳の衝撃を二重にしてどうとかいう、超能力じみたものについて、」

黒魔「目撃者であるケンカ屋は、何と表現していた?」

白魔「えーと……『仏の力を借りる、法力ってやつだろ』でしたっけ?」

黒魔「そう、それだ! それで万事解決する!」

白魔「? 確かに『法力』という言葉は新しいものではないですけど、それで何を?」

黒魔「よく聞け。神だの仏だのに仕える聖職者が行使する力を、『法力』と称するわけだ」

黒魔「聖なる白い力、白い法力。なら、その力を使った術は『法術』と称するのが妥当」

黒魔「神が定めた法、『神法』なんて言葉もあるからな。『神』と『法』は、馴染みのコンビだ」

黒魔「そして、魔界・魔王に通じる黒い力を、『魔力』と称して、」

黒魔「こちらは黒い力、黒い魔力。その力を用いた術を、『魔術』と称する」

白魔「あ……」

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:56:48.60 ID:EzMUY26O0
黒魔「気付いたか? 黒い魔力の魔術と、白い法力の法術。魔術と法術、その2流派の総称が、」

白魔「『魔法』……ですか。なるほど、筋は通りますね」

黒魔「手から火を出す、触れてケガを治すといった者は、総じて『魔法を使う者』で『魔法使い』」

黒魔「その中に、黒に属する『魔術』使いと、白に属する『法術』使いがいる、と」

白魔「『僧侶』というのはどうします? 撤廃するわけにもいかないでしょう」

黒魔「それはただの職業名だ。酒場にいる『戦士』が、『傭兵』を生業にしててもおかしくないだろ」

黒魔「『傭兵』さんの、パーティー内でのポジション名は『戦士』である、と言ってもいいな」

黒魔「だから『僧侶』という職業・肩書きでメシを食ってる、『法術使い』とか『法術師』。これでいい」

黒魔「無論、ポジション名だの職業名だのの扱いは、どっちがどうでも好きにすりゃいい。どうせ同一人物だ」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:57:59.58 ID:EzMUY26O0
白魔「そういえばFFでは1から早々に『白魔法』が出てますが、使い手は『僧侶』ではないんですよね」

白魔「だから神に仕えている聖職者ではなく、『魔』であっても問題はないということですか」

黒魔「そうだ。そしてDQ3の『僧侶』は、『白(あるいは神聖)魔法』を使っていなかった」

黒魔「こっちもこっちで、『魔』と『神聖』の矛盾をしっかり回避できているわけだ」

黒魔「だから、それぞれの原点であるこの2作は問題なかったんだが……問題のある作品もある、ということだ」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/23(日) 08:58:42.99 ID:EzMUY26O0
白魔「で、どうするんです?」

黒魔「似たような問題について、頑張ってる戦士がいるんでな(上記)。俺も共に励むつもりだ」

黒魔「言葉の認識をひっくり返す、長い長い戦いは、まだ始まったばかりだからな……」


戦士と黒魔の戦いはこれからだ!
ご期待ください!

引用元: 黒魔法使い「お前、自分の矛盾に気付いてるか?」白魔法使い「え?」