前回 【艦これ】提督たち「ユウジョウカッコカリ?」【物語風プレゼン】 その1

158: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:16:09.47 ID:3zEhG37Z0

――――――拓自鎮守府


比叡「19時。できたー! 自慢のレシピ、比叡カレーだよ! さあ、食べて!」

愛月「わーい!(清原提督が慰問してくれた時に食べた比叡カレーは本当に美味しかったから、また食べられて感激!)」パクッ

愛月「…………アレ?」ピタッ

比叡「どうですか?」ドキドキ

愛月「……ウ」アセダラダラ

比叡「あれ? 提督? 提督ー?」オロオロ

愛月「」バタン

比叡「ひえええええええええ!?」

愛月「」ピクピク


――――――ああ 可愛い。比叡 可愛いよ。思わず抱きしめたくなるぐらいに…………グハッ




159: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:16:48.32 ID:JZmH5Y3h0

朗利「ふむふむ。あれから着実に愛月提督は戦力を増強していったな(もちろん、俺好みの“幼女の中の幼女”の資質を備えた艦娘がな)」

鳳翔’「はい。どうぞ、朗利提督」コトッ

朗利「毎週毎週【派遣】してもらって悪いね」

鳳翔’「いえ。今の私はコピーに過ぎませんが、朗利提督からあれだけ盛大にケッコン祝いをしてもらったのです」メメタァ

鳳翔’「これぐらいのお返しはさせてくださいね」ニッコリ

鳳翔’「それと、今度 洞庭鎮守府にお越しになったら私の店を訪ねてくださいね。主人と一緒にうんとおもてなししますから」

朗利「そうさせてもらうよ、鳳翔夫人。楽しみにさせてもらう(やれやれ、鳳翔夫人はウィークリー契約の【派遣】艦娘なのにねぇ……)」

朗利「(それがすっかり愛月提督の戦力の中核――――――不動の地位にいるよ。飯も旨いし、拓自鎮守府の新しい顔役にすらなっている)」

朗利「(まあ、能力ほぼカンストで【流星改】ガン積みの低燃費の優良軽空母だから、その完成形を労せず【派遣】で使えるんだから、当然か)」メメタア
                                    ・・・・・
朗利「(これが【派遣】の怖いところでもあり、魅力でもあるんだよな。けど、装備は固定――――――ここが絶妙だな)」メメタァ

朗利「しかし、清原提督が洋食、鳳翔夫人が和食、大和が高級料理で、美食家が唸るような豪華な布陣でございますな、洞庭鎮守府は」

朗利「他の鎮守府で不味いと評判の比叡カレーも清原提督の手にかかれば天下一品の御召艦カレーに早変わりですからね」

鳳翔’「もったいないお言葉です」

鳳翔’「あの比叡カレーは主人が厳しく指導したものでして――――――、」

              ・・
――――――ここにある食材でこれと同じものを作れるようになるまで人には絶対に振る舞うな!


鳳翔’「主人は最初に振る舞われた比叡カレーを全て食べきった上でそのまま厨房に立って腕を振るって手本を示したのです」

鳳翔’「それで比叡は一生懸命に主人の味に近づけようと努力したのです」

朗利「ああ。本当に美味かったよ、あなたのところの比叡カレー。清原提督が銀座の洋食屋の息子だというのも頷けるものでした」

朗利「――――――って! 悪飯艦カレーを平然と平らげた上でそのまま御召艦カレーを作ったんですか、清原提督は!?」

鳳翔’「なんでも、名のある洋食屋の息子として『自分で作った料理は責任持って処理する』ように躾けられてきたそうなんです」

朗利「…………はあ、敵わないな。自分の部下の作ったものまで責任持って食べきるなんて(それに、それが事実ならとんでもない胃袋だよ!)」

鳳翔’「そういう朗利提督も、菓子職人としては大変なお手前で、主人も大変褒めておりましたよ」

朗利「ははは……、俺にできることなんてそれぐらいしかなかったから、ね?」

朗利「だから戦闘は艦娘に全部任せて、俺はその代わりと言っては難だけど、資源確保と三時のお菓子のおもてなししかできなかったわけでして」

鳳翔’「自分にできることを精一杯にしてきたんです。立派ですよ、それは」

鳳翔’「もしそれが間違っていたのなら、実力派揃いの精鋭のみなさんがあなたにここまで信頼を寄せるということなんてありませんから」

鳳翔’「もっと自信を持って。主人――――――いえ、清原提督もあなたのことをうんと評価しているのですから」

朗利「ああ、マジ“お艦”だわ……(瑞鳳が“幼妻”で、俺の雷が“ロリお艦”でイイ味出しているけど、“お艦”は包容力が半端じゃない!)」

朗利「俺も頑張らないとな、紳士として(しかも、実際にケッコンカッコカリした人妻だからこその貫禄が、もうね!)」

鳳翔’「ふふふ」ニコニコ


160: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:17:22.20 ID:JZmH5Y3h0

鳳翔’「そういえば、朗利提督?」

朗利「はい?」

鳳翔’「今日は何の資料を読んでおられたのですか?」

朗利「ああ。俺たちがやってるβテストとは関係ないことなんだけど、――――――未実装艦が残りどれくらいなのかを調べていてね」メメタア

朗利「俺は今までイベントなんてものは先人たちの阿鼻叫喚を見て、やるだけ時間と労力の無駄だと思ってやってこなかったけど、」メメタア

朗利「紳士の俺としては駆逐艦はぜひともオールコンプリートしたいので、そろそろやってみようかと思いまして」メメタア

朗利「早く時津風たちをお迎えしたいのはやまやまなんですが、今までの傾向からしてイベントが始まる毎に駆逐艦の実装は確実なんで、」メメタア

朗利「それでこれからどんな娘が実装される可能性があるのか 旧帝国海軍の軍事資料を読み漁っていたんですよ」

鳳翔’「朗利提督らしい」クスッ

朗利「調べてみると、――――――鳳翔夫人。あなたは古参中の古参でありながらあの大戦を最後まで生き残ったんですね」

朗利「幸運艦と呼ばれている榛名ですらこの呉軍港空襲で大破着底しているのに、鳳翔夫人は損害警備だったとか」

鳳翔’「…………呉軍港空襲ですか。確かにそうでしたね」

朗利「【艦これ】において【運】の値は基本的に大破着底でもいいから終戦まで処分されなかったかで判断されているようでして、」メメタア

朗利「この呉軍港空襲での被害艦のほとんどが幸運艦になりそうだなぁーと」

鳳翔’「そうですね。三度に渡る空襲の中で生き延びることができたのは間違いなく運に恵まれていたからだと思います」

朗利「でも、この時のリストに名のある駆逐艦では梨ちゃんだけが沈没してるんだよな…………かわいそうに」

朗利「それで、この時の旧帝国軍の指揮官が金沢正夫中将で――――――」

鳳翔’「この鎮守府で言えば、比叡さんの副砲長をして天龍さんの艦長を歴任なさった御方ですね」

朗利「おお! やはり物知りですね」

鳳翔’「他の方より歳ばかり多いことが数少ない自慢ですから」

朗利「いえいえ! そんなことを言ったら、艦隊指揮がまともにできない俺なんて――――――」

鳳翔’「いえいえ! 主人が言っておりましたけれど、朗利提督は――――――」




161: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:18:03.56 ID:3zEhG37Z0


朗利「ごちそうさまでした」

鳳翔’「ふふ、お粗末さまでした」ニッコリ

朗利「しかし、これから毎週金曜の比叡カレーを何とかしないと愛月提督が愛ゆえに死んでしまうな(俺の部下はクレイジーサイコレ だからな……)」

朗利「どうするべきかな? 俺は菓子作りには自信はあるけど、天下一品の御召艦カレーを作るほどの料理の腕前というわけじゃないからな……」

鳳翔’「あら、主人が言ってましたよ」


――――――『朗利提督には独自の補給路という武器があるのだからもっともっと料理や菓子作りに挑戦して祖国に広めて貢献するべき』だと。


朗利「あ」

朗利「そうだった。自慢じゃないけど今のこのご時世でどこの鎮守府よりも豪勢な菓子作りができているのはここぐらいだろうからな」

鳳翔’「凄い手腕だと思いますが、どうやって補給路の開拓を次々と成功させていったのですか?」

朗利「ああ。簡単簡単」

朗利「まずはめぼしい所でやってる生産者さんに私費で大量に投資をして気を良くしてもらうでしょ。俺、提督だからカネならたくさんもらってるし」

鳳翔’「はい」

朗利「そしてトドメに、鎮守府ご自慢の駆逐艦をたくさん連れて行っておねだりすればいちころよ」

鳳翔’「ああ…………」

朗利「趣味と実益を兼ね備えた完全交渉というわけだぁ!」ドヤァ

朗利「けど、比叡カレーなぁ………………御召艦のくせに味覚が狂ってるのかと思うぐらいの暗黒物質に作り変えちゃうんだもんな」

朗利「あれは清原提督がやったような有無言わさぬ何かが無いと絶対に改善されないだろうよ。そこが当面の問題かな……」

鳳翔’「そうでしたね……」

鳳翔’「あ!」

鳳翔’「1つ思いついたのですけれど、良いでしょうか?」

朗利「え、何です、鳳翔夫人?」

鳳翔’「慰問した時に、それは立派な“お菓子の家”を作ってもらいましたよね?」

朗利「ええ。基本的な作り方の指導や焼くのは俺がしましたけど、下準備から組み立て・飾り付けまで駆逐艦のみんながやってくれました」

鳳翔’「それよ! 比叡カレーをみんなのカレーに作り直しちゃえばいいんですよ!」

朗利「!」

朗利「なるほど! 確かに比叡一人に作らせるのが災いのもとなら、みんなで自慢のカレーを作るように試行錯誤させれば必ず変われる!」

朗利「ありがとうございます、鳳翔夫人! 慰問の時から清原提督共々 頭が上がりません」

鳳翔’「いえいえ、こんな私でもお役に立てたようで何よりですわ」ニコニコ

朗利「よし! そうと決まったら実行あるのみだ。クレイジーサイコレ の変 淑女の愛月提督も立派な部下だからな、助けてやらんと」

鳳翔’「平和ね。いいことだわ(そう。私はコピーだけれども、戦いが終わったら主人と一緒に――――――)」ニコニコ




162: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:18:53.27 ID:JZmH5Y3h0





長門「いったいどうしたというのだ、提督?」

五十鈴「そうよ。久々に呼び出したと思ったら、また何か良からぬことを企んでいるじゃないでしょうね?」

天龍「なんか久々だな。このメンツがこうやって揃うってのはよ?」

龍田「うんうん。天龍ちゃん、最近 提督が提督じゃなくなっちゃうんじゃないかってずっと心配してたからね。嬉しいんだよね?」ニヤニヤ

天龍「な、何を言ってるんだよ、龍田のやつ!」アセアセ

大鳳「みなさん、集まってくれたようですね」

朗利「集まってくれたのはこれだけか…………まあ、最近は愛月提督が代行しているから俺のことは忘れられているか」

長門「な、何を言っているのだ、提督!」

五十鈴「そ、そうよ! 今の鎮守府があるのはみんな提督のおかげなのよ?」

朗利「俺のことなんて精々“三時のおやつをくれるハンサムなおにいさん”というぐらいにしか思ってないんだろうな、新入りのほとんどは」

天龍「自分でそれを言うか、普通?」ヤレヤレ

龍田「呆れたように見えて、天龍ちゃんったら内心ではビクビクしてるんだから。かわいい」ニヤニヤ

天龍「だから、龍田! お前なぁ――――――」

大鳳「………………」


朗利「それでもやっぱりお前たちは来てくれた。感謝してるよ」


艦娘たち「!」

大鳳「…………」ニコニコ

朗利「何だったかな? ここにいるのは俺が司令部から試験的にもらった【褒章】を授与してやった昔馴染みばかりだな」

長門「そうだな。あれからずいぶんと経ったものだ」

朗利「最近は鎮守府の増築だの改築だので忙しくなって、愛月提督の育成のために大型艦の出撃も控えさせていたから暇だったろう?」

朗利「俺も雷たちとまともに会話できない日々が続いたから辛かった」

天龍「………………提督」

龍田「私たちもいるのよ、提督?」

朗利「ああ。わかってるさ。今も昔も遠征はお前たちが切り盛りしてるんだ。忘れるはずがないよ」

朗利「だから、こうやっておにいさんおねえさんが集まって鎮守府のこれからについて真剣に悩んだり 話しあったりすることがなくなって寂しかったよ」

朗利「そのくせ、俺は全てを愛月提督に放り投げて園長として安穏とした余生を送ることを考えてさえいたのだからな」

朗利「――――――すまないと思っている」

艦娘たち「!」

五十鈴「あ、あれは……、――――――そう、不幸な事故だったのよ! 誰も悪くない!」

長門「ああ! 誰もビスマルクのことを悪くなど思っていない! 勝敗は兵家の常――――――最悪の事態だって覚悟して戦場の立ってきたのだからな」

天龍「お、オレも――――――いや、オレの方こそ悪かったと思ってる。普段からあんな大口を叩いてどれだけ心配させていたのかも知らず…………」

龍田「うん。私もちょ~っと無理をしてきたことがあるから、これは反省」

朗利「………………そうか」

大鳳「………………」

艦娘たち「………………」


163: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:19:46.28 ID:3zEhG37Z0

朗利「辛気臭くしてすまなかった。本題はそれじゃないんだ」パンパン!

大鳳「出番ですよ、みなさん」


比叡「ひ、ひええ……、き、緊張します……」ドキドキ

Z1「まあまあ。みんなで頑張って作ったんだし、愛月提督も美味しいって言ってくれたんだから自信持って、比叡」

Z3「そうよ。最初のあれと比べたらずいぶんマシになったんだから自信を持ちなさい」

瑞鳳「おかげで、千切りキャベツと豚カツをいやというほど作ることになりましたが、お弁当のおかずが増えて良かったです」

阿武隈「これでどこかの夜戦馬鹿には負けないところができたんだから! みんなもそうなのよ?ゴロゴロ・・・(サービスワゴンを押す)


龍田「あらあら~、ずいぶんと可愛らしい娘たちが来たね~」

天龍「愛月提督のところの艦娘か(やっぱり提督が後任に選んだだけあって幼い印象の艦娘が多いな、ほんと……)」

長門「何だ、それは? カレーのようだが――――――」

五十鈴「千キャベツにカツ、ソーセージ……? それにいつもの皿じゃない?」

朗利「これは金沢カレーだよ」

天龍「か、金沢……?」

朗利「そう。これから新作メニューとして取り扱うことにしたいからぜひとも試食をしてもらいたくてな」

天龍「なんだ。そういうことだったのかよ、驚かせやがって」ホッ

長門「これは間宮の新作なのか? それとも――――――」ギュルルルル・・・

比叡「えと、――――――はい」スッ

五十鈴「え……」

天龍「ま、マジかよ!? 確か愛月提督を一口で轟沈させたって話じゃないか! 清原提督のところの――――――いや 何でもない」
                   ・・・・・・・・
朗利「何を勘違いしている? 作ったのはそこにいるみんなだぞ」

比叡「あはは……」

龍田「ああ なるほどね~。『そこにいる比叡ちゃん』じゃなくて『そこにいるみんな』なんだ~」

比叡「は、はい…………お恥ずかしながら」

阿武隈「さあ食べて食べて。提督と園長と……あともう一人の人しかまだ味わってない特別なランチだよ」

大鳳「さあ、みんなでいただきましょう」ニコニコ

長門「お、おう! 腹が減っては戦はできぬからな!」ジュルリ

五十鈴「そんなこと言って、あんた ずっと非番だったでしょ……」


艦娘たち「いただきます!」




164: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:20:28.56 ID:JZmH5Y3h0

天龍「へえ、フォークなんだ。確かにカツやソーセージにはこれが一番だな」

Z1「みんなで試行錯誤して美味しいって言ってもらったものだから味の保証はしてあるよ」

Z3「そのソーセージはレーベが作った手作りよ。今日のは特別にできたてだから格別の味のはずよ」

龍田「カレーにソーセージ――――――」

朗利「お前たちは知らないだろうが、日本にソーセージをもたらしてくれたのは何を隠そうドイツなのだ」

朗利「旧大戦よりも以前の第一次世界大戦において旧帝国軍の捕虜となったドイツ人が広めてくれたものでな」

朗利「ドイツにはカレー風味のソーセージ:カリーブルストなるものがあるから、カレーとの相性はバッチリ確認済みだぜ」

朗利「まあ、これはカリーブルストそのものじゃなくてレーベちゃんがこのカレーに合うように作ってくれた特別品だ」

朗利「美味しくないはずがないぞ。ちゃんと味わってくれたまえ」

長門「ほう、そうなのか。これはいいものだ」

朗利「今でこそカレーは日本人好みに改良されたものだが、そのルーツはイギリスからだな」

朗利「そう考えると、比叡カレーのあれはイギリス由来だったのかな?(――――――メシマズ王国のあれ!)」

比叡「は、ははは…………」アセタラー

瑞鳳「ど、どうですか?」ドキドキ

龍田「うん。美味しい。特にこの小さな豚カツとドロっとしたカレーの組み合わせが妙にくせになるって感じ」

瑞鳳「ありがとうございます!」パァ

朗利「それで、食べてみた感想はどうだい? ――――――採用?」ニコニコ

長門「ああ! 今まで食べたカレーの中で3番目ぐらいの美味さだったぞ!」キラキラ

五十鈴「どうしてそんなふうに言っちゃうのかしら――――――うん、美味しかったわ。採用よ」

天龍「美味かったぜ、新入り共。味はもちろんだけど、オレはフォークを使って食べるところが特に気に入ったぜ」

龍田「うんうん。妙にくせになるよね~これ~」

大鳳「大好評のようですね」ニコッ

比叡「や、やった! やりました、みなさん!」

阿武隈「こんなあたしたちでもやればできる! みんな、ホントにありがとう!」

瑞鳳「はい! みなさんの力を合わせることで本当にいいものができました」

Z1「良かった。本当に」

Z3「そうね。最初はどうなるかと思ったけれど、なんとかなるものね」フフッ

朗利「おめでとう、みんな」パチパチパチ・・・

比叡「あ、ありがとうございます、園長! 私、やりました。頑張った甲斐がありました!」

朗利「うん。約束通り、金剛を愛月提督の配下に加えることを認めてやろう(――――――俺は金剛 あんまり好きじゃないからね)」

朗利「それで、再会したら驚かせてやれ。うんと褒めちぎられろ。――――――自慢の妹だって」

比叡「はい!」

比叡「みんな、本当にありがとう!」

朗利「そして、試作品の“みんなのカレー”の数々を全て食べきって天に召された愛月提督に冥福を――――――」ナーム


愛月「――――――死んでませんから、私ぃ!」バンッ!




165: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:21:06.16 ID:3zEhG37Z0

比叡「あ、提督ぅー!」ギュッ!

愛月「遅くなってごめんなさい……!」ゼエゼエ

愛月「けど、――――――よくやった! よくやったよ、みんなぁ!」ギュッ!

愛月「よかった、よかった……」グスン

朗利「当然とはいえ、自分のところの艦娘たちを取りまとめてこの任務をよくぞ成功に導いてくれたな、愛月提督」

朗利「そろそろ、次の段階へと移っていこうか」

愛月「はい、園長……」

長門「……少しは認めてやらねばな」

五十鈴「そうね。いつまでも新米ってわけじゃないってことね」

天龍「おいおい? そうなったら愛月提督は俺らの提督とは違って実戦指揮もやってるからますます立場がなくなるんじゃねえか?」

龍田「あら~? そうなったら天龍ちゃんも愛月提督のところに行くのかしら~?」

天龍「ば、馬鹿! オレがそう簡単に“戦友”を見捨てるわけねえだろう!」

朗利「…………!」ピクッ

天龍「誰が何と言おうとオレたちの提督はどうしようもないような  コン野郎であって、そんなんでもオレは最後まで付いて行くぜ」

天龍「なあ、お前ら?」

長門「その通りだとも。むしろ、この鎮守府を支えてきた古参として提督の今までの成果と信頼をこれからも守っていかねばな」ビシッ

五十鈴「そうね。英霊たちのそれに比べたらずっとずっとちっぽけな功績だけれど、それが私たちの誇りでもあるから!」ドン!

大鳳「はい。これからも提督とともに在り続けましょう」ニコッ

龍田「私も」ニッコリ

天龍「というわけだぜ!」ドヤァ

朗利「…………ははっ」


――――――ありがとう、天龍。





166: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:21:48.62 ID:JZmH5Y3h0





ザーザー

朗利「――――――海だな」

朗利「…………考えてみると今日の金沢カレーは国際色豊かなものだったな」

朗利「本によるとカレーというのはインド亜大陸の香辛料を使った家庭料理を参考に創られたものらしい」

朗利「そこからイギリス経由で日本に伝わって日本の海軍カレーになったというらしい」

朗利「この海の向こうにはそんな見たこともない国や風土が広がっているのだな」

朗利「考えてみれば、【艦これ】に登場する戦艦っていうのは全部 超弩級戦艦の分類で、」メメタア

朗利「日本最初の超弩級戦艦:金剛はイギリス生まれだったな(――――――それを真似て比叡が悪飯艦になったのかはわからないけど)」

朗利「そして、世界は1つの海で繋がっているという」

朗利「海を渡れる船さえあればどこへだって行ける――――――見たこともないような新世界へと行くことができる」

朗利「けど、いつの頃からか深海棲艦によって海上封鎖されて久しくなった」

朗利「いったい海の向こうには人は居るのだろうか? そして、どんなふうに大人と子供が暮らしているのか――――――」

朗利「それは海上封鎖以前の豊かな時代だった頃の文献でしか偲ぶことができない」

朗利「我が鎮守府も北へ南へ東へと西へと艦隊を出撃させてきたが、祖国の防衛の任務を超えてその先の海域へと進出したことはない」

朗利「行ってみようかな、その先へ」

朗利「誰も見たことがない海の向こうにあるものを求めて――――――」


朗利「そうは思わないか、――――――ビスマルク」


ビスマルク「あ」

ニャーオ


167: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:22:51.06 ID:JZmH5Y3h0

朗利「ほらほらオスカー。おっと、今日はカレー臭いぞ。お前、苦手だろう?」

ニャーオ

朗利「まったく」フフッ

ビスマルク「アドミラール」

朗利「大好評だったよ、“みんなのカレー”」

ビスマルク「そ、そう! それは良かったわね……! この私が評価したのだから、と、当然よ……!」

朗利「ごめんな、俺がダメ提督で。通信機器の故障だったとはいえ、お前を轟沈させそうになった」

ビスマルク「い、いいのよ、そんなこと。あれは私の慢心が招いたことだったんだから……」

朗利「せっかく改二ができるところまでいったのに【勲章】があと1つ足りないな……」メメタア

ビスマルク「もういいのよ、そんなのは…………」

ビスマルク「私はただアドミラールがいつもどおりに笑ってさえいてくれれば、それで十分よ……」


朗利「らしくないな」ププッ


ビスマルク「!?」

ビスマルク「な、なによ! 人がせっかく心配してやってるのに!」

朗利「お前が俺に笑っていて欲しいのなら、お前も俺に構わずいつもどおりに振る舞って笑っていてくれよ」

朗利「そう言ったはずだよな?」

ビスマルク「あ」


朗利『何だ それは? 俺は怒るよりも愛する駆逐艦や潜水艦とのふれあいの中で少しでも長い時の中を笑顔でいたいんだよ』

朗利『だから、お前も笑顔でいてくれ。それでいつものように無邪気に威張っていてくれ。そこで見せる笑顔が何よりだよ』

朗利『子供っていうのは視線に込められた感情に敏感なんだ。目は口ほど物を言うからな』


ビスマルク「あ、あれってそういう意味――――――」

朗利「『安心させたい側と安心させる側』――――――その両方が笑顔にならないと誰も笑顔になれないってことさ」

朗利「『敏感ってことがわかる』ってことは『それがわかるほうも敏感』ってことでね」

朗利「みんな、お前のことを心配していたぞ?」

朗利「同郷のレーベやマックスが俺の後任の愛月提督の最初のパートナーに選ばれて、」

朗利「トドメに愛月提督の指揮で演習艦隊の旗艦に抜擢されてしまい、」

朗利「もう俺の許には完全に居場所がなくなったように思っていたようだが――――――、」


朗利「お前の提督はこの俺だ、ずっと。お前の居場所はこの拓自鎮守府の俺の許だ。だから、どこへも行くな」


ビスマルク「あ、アドミラール……」ドクン

朗利「ごめんな、こんな当たり前のことを言う勇気が今までなかったヘナチョコで…………こだわり過ぎたよ」

ビスマルク「………………」


168: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:23:54.70 ID:3zEhG37Z0

朗利「ビスマルク?」

ビスマルク「………………」ポタポタ・・・

朗利「あ、えと、す、すまない…………はい、ハンカチ」

ビスマルク「あ、ありがとう……」グスン

朗利「………………」

ビスマルク「………………ねえ?」

朗利「何だ?」

ビスマルク「あなた、いつもいつも駆逐艦の話ばかりでよくわかんないことでキレて勝手に泣いてよくも散々振り回してくれたわよね?」

朗利「ああ。だがそれが俺のアイデンティティだ。諦めてくれ」

朗利「(最近は愛月提督の育成で上官になったせいか、その在り方がずいぶん変わってしまったけれど…………)」

ビスマルク「けど、駆逐艦しか興味が無い――――――いえ、私のこと嫌っていると思っていたあなたが私のためにあそこまで泣いてくれて…………」

ビスマルク「私、ずっとアドミラールのことを誤解してた……」

ビスマルク「それに、アドミラールのところの艦娘たちもこんな私を気遣ってくれて…………」

朗利「なら――――――」

ビスマルク「でもそれは『私の勘違いかもしれない』って思うと、アドミラールに会うのが急に怖くなって…………」ブルブル

朗利「ビスマルク……?」

ビスマルク「私、アドミラールが居なかったらずっと独りだったかもしれないって言うのに、私は今までアドミラールに…………!」グスン

ビスマルク「レーベやマックスとは違って、ずっと生意気ばかり言って困らせて、ほんとにごめんなさい……」ポタポタ・・・

朗利「…………そっか。その辺は普段の俺の態度にも問題があったのか」

朗利「ほら、泣くな」ナデナデ

ビスマルク「あ」

朗利「………………」スゥーハァーー

朗利「わかったよ。言うよ。どうせこれから長い付き合いになっていくんだしさ。正直に言います」

ビスマルク「へ」




朗利「俺はビスマルクのような娘が大好きです!」





169: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:24:59.55 ID:3zEhG37Z0

ビスマルク「ふぇ!?」

朗利「生意気言って困らされるのも大人ぶって背伸びしているところを見ているのも俺は大大大好きです!」

朗利「いやあ、さすがは“でかい暁”というだけあって愛くるしいものがあるじゃないか!」ニコニコ

朗利「それに、口は悪いけど俺の作ってくれたものを美味しく食べてくれるし、そのギャップがたまらなくイイというか!」グッ

朗利「要はね! ビスマルクはね! 物凄く俺好みの艦娘なんですわ、はい!」(紳士が愛でる対象として)

ビスマルク「え、ええええ!?」カア

ビスマルク「駆逐艦が好きというわけじゃなかったの!?」ドクンドクン

朗利「違います。俺は見た目がロリだから愛でるのではなく、幼女が幼女足らんとしているところから愛でているのだ!」キリッ

朗利「つまり、見た目よりも心――――――お前の愛らしさに触れて今までムカつくことはあってもずっと艦隊に置いていたのだ!」

ビスマルク「あ…………」ポー


朗利「いつかこの海上封鎖を抜けてお前の祖国に行ってみないか?」


ビスマルク「え」ドキッ

朗利「俺、ちょっと海の向こうの世界に思いを馳せてみて漠然とそう思うようになったんだ」

朗利「そんなわけで、どうせ海の向こうに行くんだったらさ? ビスマルクの故郷を最初に訪れてみたいなって」

朗利「そして、そこにいる子供たちと戯れようぜ。それでいっぱい笑顔の元気をもらうんだ」

朗利「お前、祖国だと人気者なんだろう? いっぱい子供が寄ってくるぜ、笑顔で迎えてくれるぜ」

朗利「こんな素敵なことはないだろう? な?」ニッコリ

ビスマルク「あ、アドミラール…………」プシュー



170: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:26:20.63 ID:3zEhG37Z0

ビスマルク「(ど、どどどどどういうこと!? こ、ここここれってもしかして、その『もしかして』なの!?)」ドクンドクン

ビスマルク「(お、落ち着きなさい、私……! 状況を一度 整理するのよ! そう!)」スゥーハァーー

朗利「…………あれ? ビスマルク? おーい」

ビスマルク「(あ、アドミラールはわ、私のことが、好きだったからずっと気にかけて――――――特別扱いしてくれていたのよね!?)」ドキドキ

ビスマルク「(そ、そう! 私はアドミラールのお気に入り――――――!)」ニヤニヤ

ビスマルク「(あれ? となると、雷はどういうことなのかしら? アドミラールは私と雷のどっちが好きなの――――――?)」

朗利「ビスマルク……」

ビスマルク「ハッ」

朗利「…………どうなんだ? 返事を聞かせてくれないか?」オドオド

ビスマルク「あ……」


――――――切なそうな目。不安に彩られて振り払ったらすぐに涙が溢れてきそうな縋るような眼差し。


ビスマルク「(馬鹿ね、私。ちょっとしたことですぐ癇癪を起こすようなアドミラールに楽劇に出てくる英雄像を求めてどうするのよ?)」クスッ

ビスマルク「(それにアドミラールはずっと私のこと――――――)」

ビスマルク「そ、そう。そこまで言うのなら、一緒に行ってやってもいいわよ」モジモジ

朗利「そ、そうか!」パァ

ビスマルク「や、約束よ! 絶対にこの私と一緒に私の祖国の土を踏みに行くのよ、約束したんだからね!」ドキドキ

ビスマルク「お、覚えてなさいよ!」バッ


ビスマルク「Danke」ニッコリ


タッタッタッタッタ・・・

朗利「あ」

朗利「あはは…………行っちまった。相変わらずそそっかしいやつだな――――――そこがイイんだけど」フフッ

朗利「けど、――――――やった。やったよ、俺」ホッ

朗利「これで止まっていた頃とおさらばだ。俺たちは次へと進むよ」

朗利「それからだよ、本当の戦いは――――――」グッ

朗利「けど、さっきのビスマルクの表情――――――最高だったなぁ! 背伸びして威張ってるやつの恥じらいの表情が最高にイイ!」

朗利「それもいいんだけど、――――――やっぱり笑顔だよね。笑顔が一番さ!」

朗利「やっぱりね、人間ってのは純粋な心こそが一番の宝物なんだよ!」

朗利「よし、やるぞー! そのためにやり残したことを今こそ終わらせる!」








――――――戦艦ビスマルクを旗艦とした精鋭たちよ、いざ水平線の彼方へ進め!



171: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:27:13.36 ID:JZmH5Y3h0





朗利「――――――ついに【勲章】が4つ揃い、その時が来たんだな」

長門「ここまで長かったな。元々 我らの実力ならばどうということはなかったのだがな」

五十鈴「けど、過去を精算するためには過去と向き合わないといけないから――――――」

大鳳「あれから私たちも成長しましたし、何よりも心強い助っ人が駆けつけてくれましたから」

電「これで提督の悪夢は終わったということなのです」

雷「後は、ビスマルクの【改造】が終われば――――――」メメタア

コンコン、ガチャ

愛月「園長、ビスマルクの準備ができました」

艦娘たち「!」

愛月「さ、入ってきて」

朗利「――――――おめでとう、ビスマルク」


ビスマルク改二「Danke」テレテレ


Z1「良かったね。ビスマルク」

Z3「これでようやく私たちドイツ艦の【改造】が全て終わったのね」

朗利「それで終わりじゃないぞ」

朗利「これより、戦艦ビスマルクに【拓自鎮守府褒章】を授与する」ビシッ


ビスマルク「あ、ありがたく頂戴するわ、アドミラール。これからも頼りにしなさいよ。そして、私の活躍を目に焼き付けなさい!」(ユウジョウカッコカリ)


朗利「それでいい。それで」フフッ

ビスマルク「……うん」

「ワーーーーーーーーーーーーー!」パチパチパチ・・・

鳳翔’「よかったですね、朗利提督」(洞庭鎮守府より派遣)

龍驤’「ウチなんかが提督の代理人としてやってきてよかったのかなぁ…………でも、シャンとしてないとな」(斎庭鎮守府より派遣)

愛宕’「うふふっ♪」(趣里鎮守府より派遣)

朗利「ご助力感謝いたします、【派遣】組の方々」

鳳翔’「いえいえ。皇国の将来を担う同胞である以上、できるかぎりのことはいたします。これからも」

龍驤’「ちょっと自信無かったけど、いい経験させてもらったわ。ホンマありがとな。お菓子 ホンマに美味しかったで」

愛宕’「いいなー。私もケッコンカッコカリやユウジョウカッコカリをしてもらいたいなー」


172: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:28:06.82 ID:3zEhG37Z0


・・・・・・バン!


朗利「!?」

艦娘たち「!」

愛月「な、何……?」

天龍「て、提督!」ゼエゼエ(大破)

朗利「どうした、天龍!」

天龍「遠征してすぐに見たこともないような深海棲艦と遭遇して、そいつが明らかにヤバイやつだったからすぐに撤退してきたんだ!」

天龍「そしたら、その深海棲艦が追ってきやがった! 動きがトロいくせに振りきれなくてこのザマだ。すぐに追っ払ってくれ!」

愛月「なんですって?! ――――――敵が!?」

艦娘たち「!」

ビスマルク「アドミラール」

朗利「まず、数は?」

天龍「数は1だ。けど、恐ろしく強くて――――――」

朗利「よし、まずは敵を捕捉する! すみませんが、――――――『【遠征】組! 緊急出撃!』お願いします」

鳳翔’「わかりました。艦載機による先制攻撃を仕掛けます」

龍驤’「任せときや! ウチらだけで終わらせておくから安心してや」

愛宕’「それじゃ、行っきま~す。うふっ♪」

タッタッタッタッタ・・・

朗利「次に、艦種は? ――――――戦艦か? 空母か? 雷巡か?」

天龍「それが、――――――全部だ。大口径主砲も艦載機も魚雷も全部だ!」

長門「な、なにぃ!?」

大鳳「まさか、報告にあった――――――」

朗利「【鬼】【姫】か!(果ての西方海域でその存在が確認され、その戦闘力は通常の深海棲艦の何倍もの現状での最大の難敵!)」

朗利「(その戦闘力は万能戦艦とも言えるほどであり、また驚異的な継戦能力によって数多の艦隊を1艦で撃滅してきた――――――、)」

朗利「(太平洋にもその姿を見せ始めたことにより、海軍の総力を上げて大規模作戦はその脅威を取り除くために行われるぐらいの――――――!)」

朗利「だが、それがどうしてこんな近海に!? なぜ今まで報告が上がらなかった!? まさか近隣で展開している味方艦隊が全滅したというのか!?」

朗利「これは総力戦だ――――――あ」ピタッ

愛月「司令官……?」


――――――俺の艦隊には戦艦:2、装甲空母:1しか大型艦がいない。



173: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:29:09.80 ID:3zEhG37Z0

朗利「真正面から戦う必要があるというのに、残りが駆逐艦と潜水艦しかいないぞ!? しかも全体的な練度は低い!」

朗利「これでは出すだけ死屍累々だ!」

愛月「ま、待ってください! 私のところには巡洋戦艦:比叡と最近になって入った金剛が――――――」

朗利「ユウジョウカッコカリできるレベルにすらなってないのに【鬼】や【姫】に渡り合えると思うな!」メメタア

愛月「は、はい……!」

ビスマルク「アドミラール……」

長門「提督……」

雷「司令……」

朗利「――――――総員退避だ」

愛月「え」


――――――鎮守府を放棄する。


艦娘たち「?!」

ビスマルク「そ、そんな……!?」

五十鈴「何 言ってるのよ! 戦わずに逃げるっていうの?!」

朗利「そうだ、逃げる! ――――――総員退避だ。退路は陸路からで、砲撃の届かない奥地にまで逃げ込む」

朗利「資料によれば、やつは4度は殺さないと沈まないらしい。それでいて戦艦並みの戦闘力に艦載機と雷装まで備えているんだ」

朗利「真正面から精鋭のお前たちがぶつかればギリギリで1度や2度は倒せるだろうが、3度目になれば必ずお前らの中の誰かが沈む!」

朗利「そうなればどのみち潰走してこの鎮守府はたった1艦のあの深海棲艦によって壊滅だ」

朗利「なら、無駄に戦力を消耗する前に敵前逃亡をするまでだ」

五十鈴「そ、そんな! 待ちなさい――――――」

朗利「大鳳! 総員退避の通達を早く出せ!」

朗利「雷と電。パークのみんなを迅速に避難させてくれ」

朗利「指揮権は全て愛月提督に委ねる! 少しでも多くの人員を【鬼】の手が届かぬ場所へ!」


――――――ここは俺が何とかする!


一同「…………!」

大鳳「…………了解」

雷「…………わかったわ。また会いましょう、司令官」

愛月「わかりました、司令官! レーベ、マックス、ついてきて!」

長門「くぅ……、これも提督の命令ならば従う他あるまい」

ビスマルク「………………」


タッタッタッタッタ・・・



174: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:30:08.07 ID:JZmH5Y3h0

朗利「お前たちも早く行け。勝ち目のない無謀な戦いに突っ込んで死ににいく必要はない。そんなのは無駄死というものだ」

長門「ならどうして提督は退避なさらない!」

天龍「そうだぜ! 提督の艦娘であるオレたちが提督を置いて逃げるわけないだろう!」

朗利「俺は【派遣】組を誤って先行させてしまった。それぞれの鎮守府へ無事に責任持って帰さなければならない義務がある」

五十鈴「それなら、尚更 助けに行かなくちゃじゃない! それに夜になれば私の必殺の雷撃で――――――」

朗利「――――――!」ピピッ

朗利「ダメだ。そこまで待てない! 敵はそこまで来ているんだ!」

朗利「やつが上陸すれば動きが鈍くなった上に雷装も無力化するから、そこを【攻撃機】でじわじわと削っていくしかない。そこしかつけいる隙はない!」

朗利「だからこそ、【派遣】組には戻ってきてもらわないといけないんだ! 特に【流星改】ガン積みの鳳翔夫人が無事でないと!」

五十鈴「ただ陸地へ逃げ出すってわけじゃなかったんだ…………」

天龍「提督……、やればできるんじゃねえかよ……。そういうのをずっと待ってたんだぜ、オレたちは……」

長門「確かにそれなら、何とかなる可能性は感じられるが、しかし――――――!」

ビスマルク「アドミラール……」

朗利「だが…………(まさか、こんな事態がやってくるなんて…………)」アセタラー


――――――どこか遠い世界のことのように思っていた。こんな災厄が海の向こうからやってくるだなんて。


朗利「(けど、俺にもようやく目標らしい目標ができたんだ。やろうと思えるようになったんだ。必死になって足掻くだけ足掻くさ!)」

朗利「ビスマルク」

ビスマルク「…………!」

朗利「約束は守るからな、絶対に! いや、守らせるからな!」

ビスマルク「と、当然よ! 私のことをここまで本気にさせておいて責任を取らないまま逝くだなんて許さないんだから!」

朗利「お前たちもだ! 俺は意地でもお前たちの提督で在り続けるぞ! 頼まれなくたって生きてやる!」

天龍「その息だぜ、提督!」

提督「あ、お前は大破してるからさっさと退避してくれ。戦いに集中できない」

天龍「…………そうかよ。ならさ?」フフッ


――――――待ってるぜ。暁の水平線に勝利を刻む提督の晴れ姿をな。


提督「ああ。【派遣】組を回収したら俺も一直線で逃げ出すから鎮守府を空にしてくれよ」

天龍「わかったよ、園長先生。武運を祈ってるぜ」フフッ


タッタッタッタッタ・・・




175: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:30:46.01 ID:3zEhG37Z0

提督「で、残ったのがお前たちか」

五十鈴「当然よ。私と長門でこの鎮守府で一番の功績艦なんだから。私たちがいなかったら始まらないんじゃないの?」

長門「そうだとも。提督の戦闘指揮はからっきしだからな。私が居なければこれから始める生き残るための戦いもままならんだろう?」

ビスマルク「私もあなたに約束を守らせるわよ、アドミラール!」

提督「…………俺は果報者だな」

五十鈴「けど、もっと人を集めたほうがいいんじゃないの? 私たち3人しか――――――」

提督「大丈夫だ。“盾”と“矛”が十分に揃ってるから」

提督「俺が考えついた作戦はあくまで足止めと【派遣】組の救出だ。まずは撤退戦をどうにかしないと始まらない」

提督「あくまでも基本的な方針は【派遣】組の航空戦力で陸に誘い込んだ【鬼】だか【姫】だかの撃破だ」

提督「そして、この鎮守府は破棄したものとして残されたものは有効に使わせてもらう!」

ビスマルク「何をする気なの?」

提督「なに、簡単なことだ」


――――――鎮守府一帯を火の海にするだけだから。


Next:第?話 海上封鎖を突破せよ  -世界は1つの大洋で繋がっている-


176: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:31:44.03 ID:JZmH5Y3h0

――――――趣里鎮守府


カチャカチャバン! ブゥウウウウウン!

石田「よし。これでいいな」

左近「本当にやるんですかい、殿?」

石田「ああ。俺はそのために提督を辞めるんだ。そのためにこの部署を立ち上げたのだ」


――――――全ては俺自身の手で深海棲艦を倒すためだ。


左近「それで誰が喜ぶというんです? これから殿がやろうとしていることを知れば艦娘たちは一斉に止めに入るでしょうな」

石田「違うぞ、左近提督」

石田「これは全体の勝利のため――――――引いては俺自身の目標でもあるのだ」


石田「これは俺がやりたいことなのだよ。俺がやらなければ意味が無い――――――艦娘たちの気持ちなど考慮に入れていない俺のワガママというものだ」


左近「――――――違います」

石田「なに……?」

左近「殿は『艦娘たちの気持ちなど関係ない』と言いましたが、それなら殿は殿がこれからなさろうとすることを艦娘に任せればよいのです」

左近「『これが全体の勝利のため』――――――そう常々 殿が言っていたことを実現できると聞かされれば、」

左近「その命令に殿の艦娘たちは喜んでその命を受けることでしょうよ」


左近「明らかに無謀としか思えないような生身の人間による深海棲艦への特攻――――――」


左近「殿は司令官としてはあるまじき死にたがり屋ですよ。一種の軍務放棄ですよぅ、これは」

左近「結局、殿がやろうとしていることは過去の贖罪から来ているのでしょう?」

左近「――――――殿が敵を強く憎んで自己の安全よりも敵への損害を優先させようと突き動かされるのも」

左近「それは、殿の中にある 海の藻屑となって散っていった艦娘たちの気持ちを汲み取っているからこその結果じゃないんですか?」

石田「何を、馬鹿なことを…………」

左近「………………」

石田「くっ……」


石田「………………左近提督、俺は勝ちたいのだ」


石田「俺に力がないばかりに――――――、安全な場所に居るだけで何の苦しみも辛さも感じられず――――――」

石田「本来、平和とは自分たちの手で掴み取るものなのだ」

石田「それを我々人類は戦うことを放棄して人間ではない生まれながらの奴隷を生み出してそれを背負わせたのだ」

左近「しかたがないですな。艦娘というのは自律兵器として自己管理をしてくれて従来の何万倍もコストパフォーマンスに優れてますからな」

石田「だが、彼女たちは兵器として優れていても、どこまで行っても人間としては優れることはできはしないのだ」

石田「どういうことかわかるか、左近提督?」

左近「それが殿がやろうとなさっていることに繋がっているのでしょう?」

左近「例えば――――――、」


――――――深海棲艦の【捕獲】をした後のこととか。




177: ◆G4SP/HSOik 2014/09/23(火) 11:32:34.20 ID:JZmH5Y3h0

石田「そうだ。無尽蔵に湧く深海棲艦の脅威から我々が真に救われるためにはその根源を叩かなければならない」

石田「しかし、艦娘にそこまでできるとは思っていない。彼女たちには戦うことに必要なことしか知らないのだから」

左近「………………」

石田「頼む、左近提督……」

左近「では、お供の艦隊を付けさせてください、殿」

石田「!」

石田「左近提督……?」

左近「この日のために殿の描く天下餅を作るのに使えそうな高速艦隊を用意しておきました」

左近「ただし、あくまでも殿は【支援艦隊】として本隊が撃ち漏らした深海棲艦を捕獲してくださいよ?」

石田「感謝するぞ、左近提督」

     マリンジェット
艦載艇:特殊小型船舶|正規空母:蒼龍
駆逐艦:天津風   |軽巡:大淀        
駆逐艦:時津風   |軽巡:長良        


石田「ところで、この人選は?」

左近「蒼龍は【昼戦突撃】した際の増援の航空戦力、他は高い装甲と高速艦であることのみです(――――――時津風は完全に場違いですけれどもね)」

左近「この場合の【旗艦】である殿をお守りする盾となってもらうための布陣です」

石田「!?」

左近「そんなに驚かないでくださいよ。別に【姫】や【鬼】を捕ろうってわけじゃないんでしょう?」

左近「それに殿の目指す最強艦隊の構成員には含まれていない面々ですし、これぐらいがちょうどいいと思いますよぅ?」

石田「…………そうだ。俺がやろうとしていることは、――――――そういうことなんだな」

左近「そういうことなんです」

石田「すまない、左近提督」

左近「いえいえ。俺も現在の膠着状態の戦況をどうにかしたいと思っているところがありましてね」

左近「悔しいですが、個人の軍略だけじゃどうにもならないのは確かです」

左近「ですから、俺も殿の賭けに乗ってみようと思いましてね。これでも博打は得意ですから」

石田「左近提督が言うとそれらしく聞こえてくるから恐ろしいな」フフッ

左近「殿。短い付き合いでしたが、また【艦これ】の世界に連れ戻してくれたことを感謝してます」メメタア

石田「俺もだ、左近提督。左近提督が居たからこそ ここまでこれたのだ」

石田「だが、まだ暁の水平線に勝利を刻むための始まりに至ったに過ぎないのだ」

石田「頼むぞ。俺を勝たせてくれ、左近提督」

左近「合点承知でさあ。そして殿に 天下餅を美味しく召し上がってもらいましょう」


石田「後のことは任せたぞ、左近提督。――――――猛獣狩りに行ってくる」ジャキ!


Next:第?話 深海棲艦捕獲指令   -全ては暁の水平線に勝利を刻むために- に続く!


183: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 09:58:53.30 ID:CuqLu7mj0

余談1  ある日の司令部の集い -βテスター親睦会-

――――――司令部


清原「今日は集まっていただいて感謝します」

清原「これより、βテスターの親睦会を始めさせてもらいます!」

「ワーーーーーーーーーーーー!」パチパチパチ・・・

金本「はいはい」ヤレヤレ

朗利「いえーーい!」パチパチパチ・・・

愛月「わあーーーい!」パチパチパチ・・・

石田「まあ、こういうのもたまには必要だろう」パチパチパチ・・・

左近「大盤振る舞いですな、この司令部は」パチパチパチ・・・


司令部「よく集まってくれた諸君。最初に諸君を喚んであれから状況も大きく変わったことを報告するためでもあるぞ」


司令部「まずは――――――、」

司令部「ついに北方海域にもExtra Operationが追加されたことを報告しよう」メメタァ ←いったいいつの話じゃ:【勲章】にまつわることなので言及

金本「へえ。となると、これで4つの海域で毎月【勲章】がとれるようになったわけなんだ」メメタァ

清原「残るは、西方海域のExtra Operationマップですね」メメタァ

朗利「西方海域か……(いずれ攻略しなければならないな……)」

金本「さて、待望の新マップだ! 腕がなるぜ! ま、全ての海域を制覇してきた俺には物足りない相手かもしれないがな」メメタァ

司令部「詳しい内容は配布資料にすでに記されているから各自読んで欲しい。それで挑むかどうかは任せよう」

清原「――――――作戦領域:北方AL海域」ペラッ

清原「…………『AL海域』か」

愛月「では、先遣部隊によるドロップ情報は――――――」メメタァ

石田「ほう。春イベントの突破報酬だった明石がついに…………」メメタァ

左近「石田提督は明石もすでに擁しておりますからな。特に気に留めることもありませんか」



184: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 09:59:37.66 ID:A2g0p8Ya0


ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!


司令部「では、そろそろ本題に移るとしようか」ニコッ

司令部「それぞれの鎮守府のカレーの試食会といこう!」

「ワーーーーーーーーーーーー!」パチパチパチ・・・

司令部「では、最初は! 銀座の洋食屋の息子:清原提督の洞庭鎮守府ぅーー!」

清原「比叡、出番です」

X:比叡「はい!」ガチャ

愛月「あ、お久しぶり~!(きゃー! さっすが清原提督のところだけあって全然気品が違う!)」

X:比叡「はい。またお会いしましたね、愛月提督」ニコッ

X:比叡「では、お召し上がりください、みなさん!」ビシッ

石田「なんと……(本当に、あの比叡なのか!? 提督次第であんなにも凛々しくなるものなのか!)」

左近「ほう! なかなかやりますね(俺のところは飲んだくればっかりで困っちゃいますよね~)」


金本「へえ、これが噂の御召艦カレーってやつ! さすがは●●くんだわぁ! このカレーには魔法がかかっているな!」


清原「…………褒め言葉として受け取ろう」

司令部「うむ。さすがは正統派なだけあって、非常にまろやかで親しみやすい味わいだ。まさしく御召艦カレーと呼ぶにふさわしい!」

金本「たまにはこういう余興もいいな」モグモグ

朗利「やっぱ、これは旨えわ(長門が一番だってイチオシするカレーだもんな――――――いや、慰問の時からみんなこのカレーの味に憧れたんだ)」

愛月「ああ……、もう無くなった…………(試食会だから半人前分しかないからすぐに無くなっちゃう……)」

石田「清原提督。認めよう、このカレーはまさしく御召艦カレーであると」

左近「最初にこんなものを出すだなんてお人が悪いね、清原提督も。後の人がカレーを出すのが申し訳なくなるじゃありませんか」

清原「お褒めいただき、ありがとうございます」

清原「けれども、カレーは生き物ですから作る人によって千差万別――――――その違いを味わうのも一興ですよ?」

金本「けっ、お前、提督じゃなくて洋食屋の息子らしくしていたほうが魅力的なんじゃねえの?」


185: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:00:38.69 ID:A2g0p8Ya0

清原「実は金本提督の作るカレーというのが楽しみでしてね」

金本「ほう?」

清原「金本提督ならば何か破天荒なものを出してくるんじゃないかと、悪い意味でも期待しているんですよ」

金本「ははん。よくわかってるじゃねえの、清原提督」

金本「当然だろう、俺がふつうのもので満足できるはずがない」

金本「さて、次は俺の番だ。斎庭鎮守府の金曜日のカレーをごちそうしてやるぜ!」

金本「大鯨! 出番だぞ」

Y:大鯨「はーい!」トコトコ・・・

司令部「おお…………(なんと! さすがは金本提督といいたいところだが、今度は大鯨!? ――――――守備範囲が広いということか)」

愛月「あ、可愛い……! 初めて見たけどホントに可愛い!」ウズウズ

朗利「確かにな(けど、幼女というほど幼女かな、これは?)」ジー

愛月「園長! 大鯨を捕まえましょう! 捕鯨ですよ、捕鯨!」ハアハア・・・

朗利「…………止めておくんだ、新米よ(それに今 目の前にいる実物を捕鯨しようとする勢いだぞ、今のお前)」

Y:大鯨「それではみなさん! これが斎庭鎮守府ご自慢のカレーです!」

清原「なに?! これは――――――」

金本「お前が銀座の洋食屋ならば、俺は銀座の惣菜パンだね」

清原「銀座の惣菜パンと言ったらあんパンだろう。わざと言っているな」

石田「これは計算外だ!」

左近「ほう、やってくれますねぇ」


司令部「カレーパンとな……」


金本「そうなんだぜ! 高級植物性サラダ油で揚げているからベタベタ油っぽさがないのが自慢だぜ!」

金本「それにカレーライスとは違って、小さくて何個でもいつでもどこでも手軽に食べられるから俺のところの憲兵共にも喜ばれている」

清原「あ、これは確かにカレーパンとして美味いな(この味、――――――江東区の元祖カレーパンだな。たぶん、それを目指しているな)」モグモグ

金本「戦場では十分な加熱器具は使えまい。冷えていても旨いのを目指しているからな」

朗利「へえ、冷えていても旨いカレーパンか(いいな、その発想! 今度、俺も何かに使ってみよう!)」

愛月「ホントだ。本当に油っぽくない! 何個でも食べられそう!」

司令部「はははは、やはり金本提督はこうでないとな」

石田「ふむ。携帯食料の開発にもっと力を入れてもいいのではないか?」

左近「いいですよぅ? 徹夜続きの石田提督の健康のためにもぜひとも開発いたしましょう(夜のおつまみにするのはちょっと無理があるか?)」

金本「俺は常識を超越する!」ドドン!


186: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:01:10.18 ID:CuqLu7mj0

朗利「さて、今度は俺たち拓自鎮守府のカレーだな」

愛月「ううん……、カレーライスとしては清原提督の御召艦カレーに勝てないし、油っぽさじゃ金本提督のカレーパンには全然敵わないよ……」ドウシヨー

朗利「いいんだよ、そんなの。これから改良していけばいいんだから」

司令部「では、――――――拓自鎮守府、どうぞ」

愛月「そ、それじゃ、出番よ、レーベ、マックス」

z:Z1「はい、提督」

z:Z3「ほう、これが園長たちの――――――(清原提督は慰問の時に会っているが、他もなかなかにやりての提督と見える)」

清原「久しぶり、二人共」

z:Z1「はい。これは比叡とみんなで試行錯誤して一緒に作った“みんなのカレー”なんです」

z:Z3「以前に振る舞ってくださったあの味には到底及びませんが、どうか召し上がってください」

清原「なるほどね。よく頑張ったよ。一目見ただけでその努力がわかるよ」ニコッ

司令部「これは!」


金本「金沢カレーだな!」


金本「でも、ソーセージまで付いているのか。貧乏で喘いでいる割にはずいぶん贅沢してるんじゃないの?」

朗利「最近は違いますよ。少なくとも余裕はできてきましたから」

石田「――――――“みんなのカレー”か」

愛月「えと、比叡カレーをまともな味にしようってことで私のところの艦娘一同で隊を作ってその改良に取り組ませたんです」

石田「なるほど。それでこういった形のカレーになったわけだ」

石田「無難にまとまっているわけではなく、みんなの作ったものを掛けあわせて――――――」ブツブツ

左近「…………提督?」

石田「いや、何でもない」

石田「欠点や改善すべき点は見えているのだな?」ニコッ

z;Z1「はい」

z;Z3「本来の使命を怠ることなく、みんなで改良を進めていきます」

石田「そうか」フフッ

朗利「何だ、石田提督のやつ……?」


187: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:01:47.98 ID:A2g0p8Ya0

左近「それじゃ、最後は石田提督の趣里鎮守府ということですな」

司令部「実は昔から気になっていた 石田提督のカレーを見ることができるわけか!」

石田「あまり過度な期待はしないでもらいたい」

石田「これは、だな……、時津風や武蔵のやつにせがまれて作ってやったものでな……」

石田「それがなぜか鎮守府で人気を博してしまったのだ……」

朗利「へえ、石田提督でも艦娘のために料理するんだ。これは意外」

石田「私も艦娘にせがまれたぐらいで作るはずがなかったのだがな……」

左近「いやいや、質素倹約と称して具材を少なめにしたものでもあれはあれで立派なカレーでしたよぅ?」

司令部「ほう」

金本「御託はいいから早くくれよ」

石田「では、運んできてくれ」

左近「出番ですぜ、お嬢さん」

W:時津風「はーい! しれー!」

愛月「あ、時津風だ!」ガタッ

朗利「おお!(ああ ちくしょう! 駆逐艦は対象外じゃなかったのかよ、石田提督のやつ……!)」ギリギリ・・・

金本「おや……!?」

司令部「これが、カレー?」

金本「洋食屋の息子さん、これはカレーなんですかね?」

清原「ああ、これはあれだね」


清原「ドライカレーだね。少量の水で煮込んで水気を落としてカレー風味がついた野菜のみじんぎりや挽き肉の舌触りを味わうものだよ」


清原「懐かしいな。挽き肉は使わなかったけどまかない飯としてカレー粉や野菜の余りを使って作ったもんだ」パクッ

清原「ああ なるほど。これは良い食感と風味だよ」

W:時津風「提督さん? 満足満足~?」

清原「うん、これは美味しいよ」

清原「欲を言えば、これはたぶん本当にまかない飯としてのそれをレシピ化したものだろうから、改善の余地はたくさんあるってことかな」

清原「もう少し野菜の切り方を丁寧にして舌触りを整えて、ソースとライスの相性の研究をしてみるともっともっと美味しくなるよ」

清原「これだけだと、本当に厨房の余った具材を軽く炒めて作ったというまかない飯って感じだね」

清原「けれども、これをレシピ化した石田提督もなかなかの舌の持ち主のようで、これはこれで美味しいですよ」ニコッ

W:時津風「やったー!」

石田「フッ…………」テレテレ

左近「良かったですな、石田提督。食費を安くするためのまかないカレーが料理として認められましたよぅ?」

朗利「なにぃ?!(こんな手抜きが清原提督に褒められるほど旨いだと?!)」

愛月「あ、これは確かに独特の味わいで美味しいかも!」

朗利「た、確かに、カレーパンと似た方向性で意外性はあるかもしれないな……(こんな手抜きみたいなカレーでも旨いもんなんだな……)」

金本「へえ、こういう形のカレーってのもあるんだな(確かに舌触りが独特でこれはこれでおもしろいな)」

司令部「うむうむ」ニコニコ


188: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:02:25.37 ID:CuqLu7mj0

司令部「しかしこうして見ると、カレーだけでもずいぶんと諸君ら一人一人の為人がわかるような気がするな」


洞庭鎮守府:清原提督 御召艦カレー ………高水準に無難にまとまっている正統派

斎庭鎮守府:金本提督 カレーパン …………カレーライスではなくカレーパンを出すという枠にはまらない奇抜で型破り

拓自鎮守府:朗利提督 金沢カレー …………みんなで作ってそれぞれの良さを活かそうとする

趣里鎮守府:石田提督 ドライカレー  ………手抜きのように見えて1つの料理としてできあがっている


司令部「そう考えると、見事に艦隊運用の思想と重なっているものだな、これは」

司令部「そういえば、以前に金剛型戦艦の優先順位についても4者4様の似たような違いがあったな」


洞庭鎮守府:清原提督 金剛…………最初の戦艦が金剛だったから(苦楽を共にしてきた艦娘との絆)

斎庭鎮守府:金本提督 榛名…………男の欲望を刺激する献身的で純粋な性格の娘を何としても手元においておきたい(男の浪漫)

拓自鎮守府:朗利提督 比叡…………おっちょこちょいで元気ハツラツとした無邪気な性格だから(純真さを愛でる紳士)

趣里鎮守府:石田提督 霧島…………最高火力が金剛型戦艦トップで長門をも超越しているから(大艦巨砲主義・能力偏重主義)


司令部「うむうむ。よいではないか~よいではないか~」

金本「何一人納得したような表情でいるんですかねぇ?」サッ

司令部「次だ!」ワクワク

石田「どうしたのですか? 今日はやけに張り切っているですが……」

司令部「ふふふふ、そりゃあ楽しくもなろう?」

司令部「こうやって我が帝国海軍が誇る精鋭たちが親睦を深めて、明日への活力と団結をみなぎらせているのだからな」

司令部「それに、お節介かもしれないが、」


――――――私はこうやって団欒とした光景の中にいられることが何よりも嬉しい。


石田「…………」

左近「そうですよねぇ。確かに一人には一人の時の楽しみはありますが、それとは別に大勢の時には大勢の時の楽しみってもんがありますからねぇ」

司令部「はははは、左近提督。さすがは年長なだけあって気が合うのう?」

左近「残念ながら、俺とあなたとでは1回りも2回りも歳の差がありますけどな」

左近「さて、石田提督? 次はアレですよぅ? 行くのならお早めに――――――」

石田「うっ……」

石田「わ、私にアレをやれというのか、本当に!」

左近「大丈夫ですよ、アレぐらいできるのが帝国軍人のたしなみってもんですから」

左近「ほら! 他の提督さんたちはもう行ってますぜ?」

石田「この企画を考えた清原提督が鬱陶しく思えてきた…………」

左近「ダメですよぅ? そんなこと言っちゃ」

左近「さあさあ」

石田「…………わかった」

スタスタ・・・・・・

司令部「楽しみだな」ニヤニヤ

左近「ええ。石田提督にもたまには少年心を取り戻してもらいませんとな」ニヤニヤ

愛月「はあ……(私は艦娘とアレしたいな…………帰ったら頼んでみようかしら?)」


189: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:03:07.30 ID:A2g0p8Ya0

左近「ではでは、司会の清原提督に代わりまして俺がここからは司会を務めましょう」

左近「石田提督の準備も終わったようなので、さっそく始めさせてもらいましょう」

左近「それでは、親睦会 最後の催し!」


――――――舞踏会の始まりです!


「ワーーーーーーーーーーーー!」

司令部「いええええええい!」パチパチパチ・・・

愛月「わああああああああい!」パチパチパチ・・・

左近「では、最初は洞庭鎮守府の清原提督から、どうぞ!」

パンパカパーン!


清原「お待たせしました」(ホワイトタイの燕尾服)

X:金剛「私たちの華麗なるDanceから目を離さないでいてくださいネー!」(真っ赤なイブニングドレス)


「オオオ!」

愛月「きゃー! 金剛さん、似合ってますよー! 清原提督もステキー!」

左近「さすがは清原提督だ。役者が違いますな」

司令部「うむうむ。さすがは格式高い家庭で育っただけあって、威風堂々としているな」


190: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:03:37.84 ID:CuqLu7mj0

左近「続きまして、斎庭鎮守府の金本提督!」

パンパカパーン!


金本「はっはっはっはっは! 俺はこの時を待っていた!」ドヤァ(金ピカ)

Y:扶桑「…………はあ」ドキドキ(金色ドレス)

Y:山城「ぶ、舞踏会なのに、どうして姉さまと二人一緒なのかしら……」オドオド(銀色ドレス)


「エエエエエエエエ!?」

清原「もはや何も言うまい……」

X:金剛「す、凄いですネー…………」

愛月「な、何からツッコめばいいのかしら…………」

左近「相変わらずの捻くれ者だ」ヤレヤレ

司令部「ははははは、金本提督らしい!」ワハハハハ

左近「金本提督」

金本「おう!」

左近「お連れがお二人いるようにお見受けしますが、お二人の相手が同時に務まるというわけなんですか、それは?」

金本「当然だ!」

左近「さすがは金本提督ですな。『役不足』という言葉が非常に似合いますぜ」


191: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:04:16.47 ID:CuqLu7mj0

左近「ではお次は、拓自鎮守府の朗利提督です!」

パンパカパーン!


朗利「まいったな……、ほとんど覚えてないよ。社交ダンスなんて(というか、軍用礼服でやらせてくれよ……)」(タキシード)

Z:ビスマルク「ほ、本当にどうしようもない人よね……。わ、私がエスコートしてあげるんだから感謝なさい」ドキドキ(真っ黒のイブニングドレス)


「ヒュー!」

愛月「園長! ビスマルクぅ! 似合ってますよー!」

朗利「あ、ああ……、ありがとう」ニコー

Z:ビスマルク「しゃ、しゃんとしなさいよ! 恥ずかしい! 清原提督や金本提督のようにもっと堂々として!」ドキドキ

朗利「社交ダンスだなんて、一生のうちに披露する機会が訪れるなんて思わなかったな…………」

朗利「ああ 良かった。――――――ビスマルクが居て」

Z:ビスマルク「な、何を言ってるのよ、アドミラール!?」カア

司令部「ふふふふ……」ニタニタ

左近「ちょっと、年甲斐も無くニヤついているのはやめてもらえませんかね」

司令部「!」ドキッ

司令部「な、何でもないぞ、左近提督」キリッ

左近「まあ、わからなくもないですがね」フフッ

X:金剛「提督ぅ、 もしかしてあの娘って朗利提督のこと――――――」

清原「言わない言わない」シー

Y:山城「いいなぁ……、私もあんな感じにグイグイ前に出られたら…………」

Y:扶桑「そうねぇ。それでいてもう少し殿方に堪え性があってくれたら…………」

金本「どうした? 見せびらかしてやろうぜ? 今日の主役は俺たちだ!」

Y:扶桑「…………はあ(提督だって本当は私たちと同じはずなんです。けれど、それを抑えて必死に――――――)」

Y:山城「…………不幸だわ(私も姉さまもそこまで目立ちたいわけじゃないけれど、そんな提督だからこそ私たちが――――――)」


192: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:04:55.56 ID:A2g0p8Ya0

左近「さてさて、最後となります。趣里鎮守府の石田提督の登場です!」

パンパカパーン!


石田「くっ、どうしてこんな…………(なぜだ!? なぜ燕尾服の代わりにこんなものが――――――!)」アセアセ(クラバット + 赤タキシード)

W:武蔵「提督よ……、今日はよろしく頼む……(本当に、私のような浅黒肌の無骨者がこの場に来てよかったのだろうか……)」モジモジ(白ドレス)


「Oh......」

司令部「な、なんと!?」

愛月「い、意外な服装に人選…………!(てっきり“あたごん”や飛龍あたりだと思ってたんだけど……)」

朗利「…………くくく」プルプル

Z:ビスマルク「アドミラール?」

朗利「いや、何でもない。何でも……(いやぁー、さすがは石田提督だなー。憧れちゃうなー、そのファッションセンス!)」プルプル

清原「石田提督、よく似合ってますよ……(あの石田提督が燕尾服を用意できないはずがない。これはきっとユーモアか何かなのだろう……)」ニコー

金本「なんかいろいろ掻っ攫ってくれたな、おい!(これは負けた!『あの石田提督がヒラヒラをつけている』時点で破壊力抜群だ……!)」ジトー

左近「…………くくく」プルプル

石田「左近提督っ! ――――――謀ったな!?」カッ

左近「すみません、石田提督。手違いがあったようです。今日はそれで我慢してください」ニコニコ

司令部「や、やはり、石田提督はハラハラさせてくれるなー」ハハハ・・・


193: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:05:29.63 ID:A2g0p8Ya0

左近「で、では! 主役は揃いましたので、踊っていただきましょう!」

「イエエエエエエエエイ!」

パチパチパチ・・・

清原「さて、企画者として申し分のないものを見せないとな」

X:金剛「Sure! みんな、提督との情熱的なDancingをとくとご覧になってネー!」

司令部「はははは……(ああ、素晴らしいよ。今日は本当に素晴らしい催しだよ、本当に…………)」


こうして社交ダンスの披露と指導が行われ、結果は次のようになった。

清原提督 & 金剛    :企画者としての貫禄ですばらしい社交ダンスを披露し、丁寧に指導まで行った

金本提督 & 扶桑姉妹 :ギラギラする服装に二人の淑女を同時に相手にするという変則的なものだったが、流れるような所作で捌き切る

朗利提督 & ビスマルク :先述の二人に比べると見劣りするが、初々しさと未熟さからくる微笑ましい練習風景がその場の人間を和ませる

石田提督 & 武蔵    :いろいろアレな外見の不器用者二人――――――会場は大爆笑



194: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:06:10.84 ID:CuqLu7mj0



――――――ご清聴ありがとうございました。


司令部「さて、本筋とはまったく関係ない話で申し訳ない」

司令部「ただ、メタフィクションが織り交ざる物語風プレゼンであると同時に架空戦記でもある今作品のこれからの方向性を確認するために挿話させてもらった」

司令部「時期としては、前回の次回予告で朗利提督とビスマルクの絆が深まった後の話だと思われる」

司令部「なので、ちゃんと【中部海域】の解禁もご承知なのでご容赦ください」

司令部「以前に、清原提督が提案していた内容とはこういうった親睦会のことである」

司令部「各鎮守府の提督たちの為人や所属艦娘の区別の仕方はこれでわかってくれたことだと思う」

司令部「そして、とても大事なことなのだが――――――、」

司令部「本編を再開する前に先立って、新たなインターフェイスの追加をしておいた」

司令部「物語の中ではあまり登場しないだろうが、実装されたら非常に便利そうなものとして提案させてもらう」

司令部「そして、以前に提案させてもらった新インターフェイス:【要請】がいよいよ大活用されていくのでそのつもりで見ていってもらいたい」


司令部「なお本作は、PC上で最大画面で掲示板の枠いっぱいに使うことを前提にした書体なので、スマートフォンから見ている人には不便をかける」

司令部「専用ブラウザのプレビューを使うことにしたので、なるべくルビや傍点がPC上では正しく振られるようになったはずである」

司令部「スマートフォン上ではルビと傍点は変な字詰めがなく正しく機能していたのだが、これからはPC版に合わせておきますのでご容赦ください」


司令部「それでは、新インターフェイス:【提督】の解説の後に、本編:第6話をどうぞ」



198: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:09:30.95 ID:CuqLu7mj0

第6話W-1 深海棲艦捕獲指令   -全ては暁の水平線に勝利を刻むために- 導入編

――――――趣里鎮守府

――――――新部署:新戦略研究局


小西提督「ほう、偉くなったものだな、石田提督も」

加藤提督「『司令部』のβテストのモニターに抜擢されてその功績が認められて、ついには鎮守府に独自の部署を設置するほどになったか」

福島提督「うっしゃー! 同期として鼻が高いぜ、なあ加藤提督!」

加藤「馬鹿。結局はあいつの唱えた大艦巨砲主義と能力偏重主義が俺たちの誰よりも功績を上げたということなんだぞ」

福島「げぇー! あの頭でっかちが一番ってガチでヤバくねー? 捨て艦だってやってきたんだろう!?」

小西「まあ、石田提督は運用管理に関しては我々の誰よりも優れていたからな。出世頭になるのも頷ける」

加藤「ところで、この小西提督は俺の先輩提督で付き添いなんだが、福島提督もどうしてあいつの下に来ることにしたんだ?」

福島「そりゃもーあれだぜ! 深海棲艦やっつけて皇国や故郷のみんなを守るためだろうがよー!」

小西「大方、懐かしい名前からのお呼び出しがかかったから、ホイホイやってきただけなんだろうな」

福島「ギクッ」

加藤「まったくこの馬鹿が。よくそれで艦娘たちに“無能”と侮られずにすんだな」

福島「そ、そんなことねーし!」

小西「護衛で秘書艦と以下数名を連れてきているのだろう? 見せてもらいたいな」

福島「おう、いいぜ! これ見てビビンじゃねえぞ!」


福島艦隊
重巡:足柄 | 戦艦:武蔵
重巡:摩耶 | 正規空母:瑞鶴
軽巡:川内 | 駆逐艦:曙


小西「見事なまでの脳筋艦隊だな、ぐはははははは! 勤務態度最悪のガラの悪いやつばっかで笑える!」ゲラゲラ

小西「しかも、よりにもよって……、秘書艦が“飢えた狼”足柄とか……!」ゲラゲラ

福島「ば、馬鹿にすんじゃねえ! 足柄はなぁ! マジ強えんだぞー!」

加藤「だが、武蔵と瑞鶴か。なかなか優秀な艦娘を取り揃えているじゃないか」

福島「だろっ! イカスだろ?」

小西「しかし、今日が顔見世とはいえ、この昼戦火力と夜戦火力のアンバランスな艦隊編成は笑えますねぇ!」ゲラゲラ

加藤「そこまで悪いか? 俺としては瑞鶴に何を積んでいるかで評価が変わるように思うが」

小西「では、お聞きしましょう。瑞鶴に積んでいるのは何ですか? どうせ【艦爆】や【艦攻】しか積んでないんでしょう?」ニヤリ

福島「1スロと2スロに【流星改】で3スロに【烈風改】に4スロ【熟練艦載機整備員】だぜ」メメタァ

小西「…………なるほど。さすがに大規模作戦をほどほどに攻略してきただけのことはあるか」

加藤「だが、もうちょっとスロットに偏りのある正規空母なら4スロ目の2桁の艦載機も無駄にならなかったのだがな」メメタァ

福島「そうなんだよなー! そこがもったいね-とこなんだけど、【火力】が上がるのはイケてるよなー! ガチで!」


199: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:10:08.04 ID:CuqLu7mj0

福島「んで? さんざん人の艦隊をコケにしてくれた小西先輩提督はどうなんだよ?」ジロッ

小西「フッ、俺の艦隊はこうだ!」


小西艦隊
重巡:羽黒  |駆逐艦:綾波
軽巡:神通  |駆逐艦:潮
軽空母:龍驤|駆逐艦:夕立


福島「おい!」

小西「何だね?」

福島「てめーも妙高型を秘書艦にしてるじゃねえかよー!」

小西「この芸術的なまでのメンツを見て何も感じないのなら、幼年学校からやり直すべきだな! ぐはははははは!」

福島「て、てめー!」

加藤「よせ、馬鹿が」

福島「で、でもよぉ! こいつは公然と馬鹿にしやがったんだぞ、俺のガチ艦隊をよー!」

加藤「だとしてもだ! 帝国海軍の軍人に求められるユーモアだ。短気は損気だぞ」

福島「ちぇっ」

加藤「次いでに言えば、小西提督の艦隊は武勲艦で埋められているのだ」

小西「そう、その通りなのだよ」

小西「最強メンバーというわけではないが、俺はこのメンバーの夜戦攻撃で数々の難所を突破してきたのだ」

小西「さすがは戦史に名を残す名鑑たちよ」

小西「さて、加藤提督はどんな艦娘を引き連れてきたのかな?」

加藤「一応、顔馴染みの石田提督の部下になっちまうんだ。そこそこのメンツを用意してなめられないようにしておいたぜ」


加藤艦隊
重巡:那智    | 戦艦:長門
正規空母:加賀 | 駆逐艦:ヴェールヌイ
正規空母:雲龍 | 駆逐艦:不知火


福島「って、加藤提督も妙高型かよ!?」

福島「これで頭でっかちが妙高を秘書艦にしていたら笑えるな! ガチで!」

小西「なるほど、物静かで凛とした艦娘による艦隊編成だな。お前そっくりだな。それでいてほどよくまとまっている」

加藤「まあな。少なくとも雲龍を持っているのを見せておけば、屈指の攻略勢のあいつでも認めてはくれるだろうよ」

加藤「それに、やつは駆逐艦をあまり使わず、重巡ばかり使っているからある程度 やつの思考に合わせて那智を旗艦にしているのだ」

福島「なるほど! さすがは加藤提督だぜ!」

加藤「お前は何も考えていないくせに重巡を入れているからその時点で少なくとも合格だよ」ヤレヤレ

小西「雲龍か。大した武勲も上げられなかった艦娘だが、使用感はどんな感じで?」

加藤「この雲龍なんだが、中型空母ということで正規空母の扱いを受けてはいるんだが、明らかにこれは軽空母程度の性能だな」

加藤「だが、それも最強の軽空母と見て使ったほうがいい。隼鷹と飛鷹と燃費が10しか違わないし、火力も高めだ」

加藤「スロットもいい具合に偏っているから思い切った装備もしやすいからなかなかにおすすめだぞ」

小西「なるほど。それはいいことを聞いた」


200: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:11:25.65 ID:CuqLu7mj0

加藤「さて、そろそろ時間だな」

加藤「『新戦略研究局』なんて大層なものの局長になったあいつが何をしようとしているのか楽しみだよ」

小西「まあまあ、俺としては石田提督に期待しているけどな」

福島「何だっていいけどよー、俺たちだけでやるようなことなんだから大したことじゃねえんじゃねえの?」

加藤「まあ、規模としては提督があいつを含めて4人だけだからな。これで『新戦略』とやらを実践できるのか甚だ疑問だが……」

ガララ・・・

小西「お」

妙高「失礼します」

福島「あ、妙高じゃねえかよ! ガチで俺の言った通り――――――?!」

小西「これは、たまげた偶然だな……」

加藤「ま、これで少しは期待できるかもしれないな……」

小西「しかし、艤装を装着しているのはどういうわけかな? まさかそれで私たちを撃ち殺すつもりじゃないだろうな?」ジロッ

妙高「すみません。これからみなさんにお見せするものは細心の注意が要りますので、どうしても外せないのです」

加藤「ほう」

福島「何だって来やがれ! 頭でっかちが俺たちを驚かそうとしてるんだろう? どんと来いやー!」

加藤「なるほど、俺たちを試そうってわけか。いいだろう、心の準備はできた」

小西「では、始めるのなら早くお願いしますよ。今日も予定があるのですから」

妙高「わかりました」

妙高「司令! みなさんの心の準備はできたそうです」


201: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:12:46.13 ID:CuqLu7mj0


石田「久しぶりだな、馬鹿共が」ガララ・・・


福島「いきなり『馬鹿』だとぉー!?」

石田「お前たちの脳天気な会話が部屋の外まで響き渡って迷惑だったぞ。他人の鎮守府で粗相を働くとは『馬鹿』以外の何だというのだ?」

福島「んの野郎ぉー!」カッ

加藤「やめろ、馬鹿。いちいち突っかかっていたら話が進まない」

加藤「だが、つまらない話だったら遠慮することはない。一発、殴ってやれ」

福島「わ、わかったよ……」

小西「やれやれ、どうして軍政部はこんな仲の悪い人間たちを組ませてしまったのか」

妙高「……司令」

石田「わかっている。俺は軽く礼儀というものを教えてやっただけだ」

石田「それじゃ、――――――おいで」


――――――ヲ。


福島「は」

小西「なに?」

加藤「――――――こいつは!」ガタッ


正規空母:ヲ級「…………ヲヲ」オドオド


石田「怯える必要はない。何かあれば妙高が取り押さえてくれるから安心しろ」

ヲ級「ヲヲ!」キャキャ!

福島「――――――深海棲艦!?」ガタッ

小西「空母:ヲ級ですね。それに黄色いオーラからして……」アセタラー

加藤「どういうことだ、これは?」アセタラー

妙高「…………」

石田「ご覧の通りだが?」


202: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:13:26.43 ID:A2g0p8Ya0

福島「だ、大丈夫なのか、頭でっかち? もしかして『新戦略』っていうのは深海棲艦に擬態させて敵を油断させようってことなのか?」アセアセ

石田「いや、違う」

小西「まさか、本物の深海棲艦なのか……?」ゴクリ

石田「その通りだ。俺がこの手で【捕獲】してきたのだ」

加藤「……それで? まさかこの深海棲艦の利用方法について検討したいがために新部署を発足したというのか?」

石田「その通りだ」

一同「!」

妙高「…………」

石田「詳しいことは日を追って説明していくとして、まずお前たちに訊きたいことがある」


――――――深海棲艦を軍事利用すべきか否かを。


福島「え!?」

加藤「そんなの知るか」

小西「………………少し考えさせてください」

石田「ああ。今日はそのことだけを考えてもらうために喚んだのだ。――――――“司令部”がどういう基準で選考をしたかはわからないが」

石田「それじゃ、まずはついてこい。【捕獲】した深海棲艦が使い物になるかどうかを見てもらわないと判断することができないだろう」

加藤「まあ、そうだな」

福島「え、ええ…………」

小西「これは、確かに『新戦略』だな……」

ヲ級「ヲヲ、ヲヲヲ! ヲー!」スリスリ

石田「緊張することはない。お前は俺が言ったとおりにしていれば、何も怖い事は起こらない。いいな?」ナデナデ

ヲ級「ヲ!」

妙高「提督――――――いえ、司令」




203: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:14:13.27 ID:A2g0p8Ya0

――――――鎮守府海域


妙高「深海棲艦の水雷隊と遭遇しました」

――――――
石田「よし、ヲ級:『ヲシドリ』、目の前の標的全てを撃破しろ」
――――――

ヲ級「ヲ!」


ヒューーーン! ズドンズドンズドーン!


妙高「敵水雷隊の撃破を確認」

ヲ級「ヲ!」

――――――
加藤「ほう」

福島「や、やるじゃねえか……」

小西「なるほど、これは確かに使えるな」

石田「調子はどうだ? 気持ち悪くないか、『ヲシドリ』?」
――――――

ヲ級「ヲヲ! ヲヲヲ! ヲッ!」エッヘン!

――――――
石田「よし、妙高。索敵を続けてくれ」
――――――

妙高「了解しました」

ヲ級「ヲヲ! ヲー! ヲヲッ!」



204: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:15:28.20 ID:CuqLu7mj0

――――――
石田「どうだ。1ヶ月近く飼い慣らしてはみたが、なかなかの戦力に仕上がっているだろう」

加藤「まあな。確かに敵である深海棲艦をこちらに引き込むことが可能となれば、極論 敵兵力を半分にすることだって可能って意味だからな」

福島「…………でもよ、石田提督よぉ?」

石田「何だ、福島提督?」

福島「俺は何ていうか、そういうのは嫌なんだよなー。たとえ深海棲艦が相手でもよぉー」

小西「嫌なら降りればいい。お前の代わりなんていくらでもいるからな」

福島「…………そうかよ」

石田「言いたいことはそれだけか?」

加藤「それじゃ、次は俺からだ、石田提督」

石田「今度は加藤提督か。何だ?」

加藤「お前は、深海棲艦を利用することを『新戦略』だと言うつもりなんだな?」

石田「その通りだ。敵を知らなければ戦いには勝てない――――――当たり前のことだ」

石田「旧大戦でも我が国の戦術的敗北の全ては、戦術的勝利に酔いしれた我々の戦術を敵が研究して我が軍と同じ土俵に立ったからなのだ」

加藤「だが、それは敵としても同じのような気がするんだがな」

石田「……どういう意味だ、加藤提督?」

加藤「俺は皇国のためなら何だってやるつもりだ」

加藤「――――――それが誇り高き帝国軍人の誇りだからだ」

加藤「だが、深海棲艦との戦いが始まって四半世紀にもならないが、お前が初めて深海棲艦の【捕獲】を試みたわけじゃないだろう?」

加藤「俺としては深海棲艦の【捕獲】はお前以前の誰かが成功に導いていたと考える」

加藤「別におかしい話じゃない。深海棲艦が登場した後に【捕獲】しようという動きが過去に二度は公的記録に残されているからな」

加藤「そして、それによる成果が表沙汰になっていないことを踏まえると、やはりどこかで失敗したんじゃないかと考える」

加藤「それに、敵としても刻一刻と進化していっている。あの戦艦:レ級といった圧倒的脅威だってそこに控えているぐらいだ」

加藤「そして、やつらはどんどん地の利を理解してこちらを迎え撃つ戦略性まで長けるようになってきた。中部海域なんて過酷なんてものじゃないぞ」

加藤「つまり、俺たちの戦術に対抗する手段をやつらが理解し始めているようでもある」

福島「そ、そうだぜ、頭でっかち……」

加藤「お前が捕まえたサンプルのデータの解析が終わった頃には『型落ちして役に立ちませんでしたー』なんてことにならない保証はどこにある?」

加藤「お前がその先人たちと同じ失敗を繰り返さない保証はどこにある?」


石田「さあな。その時はその時だ。一度や二度 失敗した程度で諦めるぐらいなら俺はこんなことはしない」


加藤「………………」

石田「それに、偉そうなことを言っているが、これもまた【艦これ】では誰もがやっている運ゲーのゴリ押しだ」メメタァ

石田「そのことを思えば、そのゴリ押しを少しでも楽にするための外野の努力もそう悪くないと思うがな」

加藤「……まあな」



205: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:16:30.85 ID:CuqLu7mj0

小西「なるほどな」フフッ

小西「よし、わかった、石田提督」バッ

福島「……!」


小西「おもしろい。俺をこの天下分け目の計画に参加させてくれ」


石田「感謝するぞ、小西提督。――――――だが、今の俺は艦隊の指揮権を持たないただの司令だ。間違えないで欲しい」

福島「?」

福島「おい、頭でっかち。それじゃこの鎮守府の司令官はてめえじゃねえのかよ?」

石田「いや、提督じゃないだけでこの鎮守府は俺の管轄だ。それと平行して新部署の局長なんかもやっているというだけのことだ」

小西「なるほど。そのための左近提督というわけか」

加藤「どうやら本気のようだな」

石田「当然だ」


加藤「よし、わかった! お前一人にやらせるのは不安だ。俺が視ていてやるよ」


石田「そうか」

加藤「お前のような融通のきかないやつに鉄の意志を持って突っ走られたら皇国の未来が脅かされん」

加藤「ただ、それが本当に皇国の栄光のためになるっていうのなら俺は否定はしない。喜んで協力しよう」

石田「フッ、皮肉屋のお前らしい発想だな」

小西「さて、残ったのは福島提督 一人だが、さてどうする?」

福島「えと、俺は――――――」


福島「俺にはこれが本当に国のためになるかはわかんねえよ! けど、俺だって国を想う気持ちは同じなんだ! てめえらに負けられっかよ!」


福島「というわけで、俺にもやらせろ、石田提督――――――違った、石田司令さんよぉ!」

石田「意気込みは認めてはやるが、空回りして足を引っ張らないようにしてもらいたいものだな」

福島「んだとぉー!」

加藤「馬鹿。お前も乗りかかった船に居るなら、今はこいつが俺たちの船頭なんだ。立場を弁えろ。それができないなら船を降りろ」

福島「……わ、わかったよ、加藤提督」


206: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:17:22.38 ID:A2g0p8Ya0

福島「けど、俺個人としてはよ? これまで多くの同胞を殺ってきた憎き敵を前にして艦娘たちがうまくやっていけるか不安でよぉー」

加藤「確かに。俺の艦隊としても度重なる戦いの中で脱落者が出ていることだし、俺自身もその恨みを忘れたつもりはない」

加藤「軋轢は避けられないだろうな……」

石田「そこは俺も苦心しているところだ」

小西「だが、単純な戦力としては艦娘よりも深海棲艦のほうが秀でているのが現状での事実――――――」

小西「俺なら、良い比較対象として部下たちを奮起させるために焚きつけるがな」

小西「むしろ、利用しない手はない。個艦の能力が圧倒的に劣っているからこそこういった研究による進歩向上は必要なのだ」

小西「試験装備の実戦投入によるデータ収集も確実な手段だが、敵性技術の吸収も重要事項だと俺は考える」

小西「それは石田司令が言っていたことだ」

加藤「だが、今のところまだ1匹しか【捕獲】できていないということはいろいろな問題が山積みということなんだな?」

石田「その通りだ。そこで【開発投資】の協力を頼みたい」

加藤「…………まあ いいだろう。無闇に戦いに出て資源を消耗するよりはよほどいい」

小西「そうだな。前線で意気揚々と突撃する輩は我々を除いてもゴマンといる。前線は我が皇国軍が数多の犠牲の下にまた押し拓かれていくだろう」

福島「…………他の連中には申し訳ねえけど、今はこの頭でっかちに従う。必ずみんなの助けになるようにするから待っていてくれよ」

石田「よし! 妙高と『ヲシドリ』が帰還したぞ」

石田「これからどういったふうに【深海棲艦】を管理されていくのかを目に焼き付けておいてくれたまえ」

提督たち「おおおお!」




207: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:18:42.37 ID:A2g0p8Ya0

――――――同じ頃、


左近「――――――で? お話って何です、みなさん?」

武蔵「今すぐ石田提督を止めさせろ!」

川内「うん! いくら提督も夜戦好きだからってやっぱり危ないよ!」

愛宕「ちょっと、やりすぎじゃないかしら?」

左近「そうは言われましても、これは“司令部”から正式な辞令なんですよねぇ。もちろんそう掛け合ったのは他ならぬ殿ですが」

武蔵「このままではいつか本当に死んでしまう! 言うことを聞かないと言うのなら力尽くでも――――――!」


左近「おっと、止めてもらおうか」ポチッ


武蔵「…………!」ピタッ

武蔵「ハッ」

パカッ

川内「え」フワッ

愛宕「あら~?」グラッ

――――――
武蔵「――――――落ちる? 落ちているのかあああああ!?」グラッ

川内「きゃあああああああああ!」

愛宕「あ~れ~」


ヒューーーーーーン! ボヨーン!


川内「きゃっ!?」グイッ

愛宕「ちょっと~!」ギュウギュウ!

武蔵「うわっ、まさかボッシュートされて捕縛ネットにかかるとは――――――くっ、これでは身動きがとれん!」ギュウギュウ!

川内「うわっ、ギュウギュウしてる~!」ジタバタ

愛宕「あ~ん! ジタバタしないで~!」バタバタ
――――――

左近「すみませんね、これも殿の堅い意思によるものなんです」

――――――
武蔵「ふ、ふざけるな、余所者が! お前がたぶらかしたのだろう、私たちの提督を!」ギリッ
――――――

左近「そうかもしれませんな。なんてったって俺がやってこなければ殿の野望の第一歩は始まらなかったのですからな」

左近「しかし、やはり艦娘とはかくあるものか――――――所詮は“使われるだけ”の兵器ということですか」ブツブツ・・・

――――――
武蔵「な、何を言っている!」
――――――


208: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:19:25.21 ID:CuqLu7mj0

左近「殿がどうして御自ら出撃するようになったのか、考えたことあります?」

――――――
武蔵「な、なにぃ?」
――――――

左近「殿が最強戦力としてこの鎮守府の最古参の飛龍さんよりも御執心になられた天下無双の武蔵さんなら理解できますよね?」

――――――
武蔵「…………!」

川内「…………飛龍」

愛宕「提督……」
――――――

左近「それと、確か次の出撃で――――――うん、間違いないな」

左近「武蔵さん、次の出撃で練度が最大になりますよぅ?」


――――――おめでとうございます。


――――――
艦娘たち「!」ピタッ
――――――

左近「それじゃ、俺は殿にこのことを報告しますんで、武蔵さんたちは降ろしますんで牢屋から出てどうぞ」

左近「ほら、牢屋の鍵ですよっと」ポイッ

――――――
武蔵「………………」

愛宕「………………」

川内「あ、動かないで、そのままそのまま――――――よっと!」パシッ

グィイイイイイイイン!

川内「あ、動いた」ホッ

武蔵「………………」

愛宕「その……、おめでとう♪」ニコッ

武蔵「あ、ああ。すまない……」

武蔵「…………提督よ」
――――――



209: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:20:54.46 ID:A2g0p8Ya0

飛龍「………………」

蒼龍「飛龍? その、大丈夫だからね?」

蒼龍「――――――石田提督は必ず守るから」

飛龍「……うん」

日向「おお、そこにいたか、飛龍。心配したぞ」

飛龍「あ」

日向「いよいよ、提督 秘中の策の深海棲艦捕獲作戦が次の段階へと進んでいくな」

日向「大丈夫だ。もう提督は誰一人として犠牲にはしなくなったのだ。そのことを信じようではないか」

飛龍「う、うん。私は提督のこと、信じてるよ」


飛龍「けど、どこか――――――提督がどこからか深い海の底に呼ばれているような気がして…………」ブルブル


蒼龍「………………飛龍」ガシッ

日向「……そうだな。初めて提督の策を聞いた時は自殺志願してるのかと正気を疑ったぐらいだ」

日向「だが、提督の言い分もわかる」


日向「――――――現状の敵戦力の漸減邀撃の方針ではいずれは質と量ともに勝る深海棲艦に呑まれてしまう」


飛龍「でも、だからって提督自身がやる必要なんてどこにも――――――」

日向「これは深海棲艦の習性を十二分に突いた見事な作戦だよ」

日向「深海棲艦は近くの人間よりも遠くの艦娘を優先的に襲うという噂――――――それを実証してしまった」

日向「もちろん、これはただの確率論でしかない。近くの標的が人間しかいないと認識されればそれはもう――――――」

日向「だから、深海棲艦の射程ギリギリで陽動して【捕獲】できる確率を高くしなければならない」

日向「――――――非常に高度な作戦だ。生半可な覚悟や力量、そして信頼と連携では到底実現不可能なことだ」

蒼龍「うん。いくら40ノット以上出せる高速艇に乗っていても人間と艦娘じゃやっぱり違い過ぎるよ!」

蒼龍「よく艦載機が飛び交う中、砲雷撃戦を潜り抜けて二度も三度も【肉薄】できたと思うよ」

蒼龍「まあ、【捕獲】できたのはあのヲ級だけなんだけどね、今のところは」

飛龍「でも、深海棲艦だって必死に抵抗するでしょう? マルカジリされないか心配で心配で…………」

日向「確かに、【捕獲】する上で最も難しいのは敵を生け捕りにするわけだからそこをどうするか――――――」

日向「だが、提督の武術はなかなかに卓越したものがある」

日向「――――――『近づくことさえできれば五分の勝負に持ち込める』と豪語するぐらいに」

飛龍「そ、それってやっぱり半分の確率で負けるってことじゃ――――――」

日向「でも、今のところは全ての勝負に勝ってきている。そして、記念すべき最初の深海棲艦を【捕獲】して帰ってきた…………」

飛龍「けど…………」

日向「信じよう。もう賽は投げられた」


210: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:21:23.91 ID:CuqLu7mj0

日向「なぁに、【捕獲】はまず主力艦隊で敵艦隊を叩いて寡兵となった残存戦力に対して行うものだから、」

日向「私たちがきっちりと敵を全滅させるか、提督の高速艇が【突撃】して【肉薄】する前に撃沈してしまえるように敵を追い詰めれておけば問題ない」

蒼龍「そ、そうだよ、飛龍! 捕獲班の私たちが仕事できないように頑張って!」

飛龍「う、うん! 頑張る! 提督の明日の命のためにも!」ニッコリ

日向「それでいい。いつもの笑顔に戻ったな」ホッ

飛龍「あ、ありがとうございます、日向さん!」


伊勢「た、大変だよ、みんな!」ドン!


蒼龍「あ、伊勢さん?」

伊勢「深海棲艦の艦隊がこの鎮守府に攻めてきた! 急いで出撃の準備を!」ゼエゼエ

艦隊たち「!?」

飛龍「ハッ」

飛龍「――――――提督!」バッ

蒼龍「あ、飛龍!」

日向「飛龍――――――むっ! 確かにその可能性もあるか!」バッ

日向「もしやとは思うが、その可能性を捨てきれないぞ――――――!」

蒼龍「え」


日向「蒼龍! 捕獲班は石田提督を何としても止めろ! この機に乗じて深海棲艦を【捕獲】しようと企んでいるやもしれん!」


蒼龍「!」

日向「急げ! 捕獲班のお前は今は左近提督の管轄外だ。石田提督からまだ出撃の命令が出ていないのなら手分けして探しだして拘束してくれ!」

蒼龍「わ、わかりました!」ビシッ

タッタッタッタッタ・・・

日向「行くぞ、伊勢! 今日は石田提督のところに艦隊を引き連れたお客人が来ている! 見苦しいところは見せられないぞ!」

伊勢「日向 遅い! 最初からそのつもり! 置いていくよ!」




211: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:22:16.10 ID:CuqLu7mj0

石田「まさか、敵の方から来てくれるとは、つくづく――――――」ニヤリ

ヲ級「ヲヲヲ! ヲヲヲ!」アセアセ

石田「大丈夫だ。お前に仲間を作ってあげるだけだから」ナデナデ

妙高「…………司令。まさかこの状況で【捕獲】を敢行する気なんですか?」

石田「当たり前だ。標本は多いほうがいい。そのためにドッグも増築したのだからな」

妙高「無礼ながら、申し上げます」

石田「?」


妙高「提督、あなたは海の亡霊に取り憑かれているのです! 正気に戻ってください! どうか、どうか…………」ポタポタ・・・


石田「………………妙高」

ヲ級「ヲ…………」

――――――
左近「殿! 敵戦力が判明しました」

左近「あれは、間違いなく空母棲鬼と空母棲姫の2個艦隊ですぜ! 殿が夏の大規模作戦で戦ったあのボス級深海棲艦です!」メメタァ

左近「さすがにこの陣容で敵さんを【捕獲】するだなんて言わないでくださいよぅ?」
――――――

石田「…………わかった」

――――――
左近「……殿?」
――――――


212: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:22:55.56 ID:A2g0p8Ya0

石田「それで 迎撃態勢はどうなっている?」

――――――
左近「今日は友軍艦隊が3艦隊も駐留していて、全員が防衛戦に参加する意思を見せてくれましたので、」

左近「我が鎮守府の艦隊と合わせた4個艦隊からなる連合艦隊で敵を迎え撃つことにします」

左近「本作戦の総司令官は俺が務めさせてもらいます」
――――――

石田「よし、わかった。我が鎮守府の威容を示してこい」

――――――
左近「合点承知。殿は大人しくしていてくださいね」
――――――

ピッ

妙高「さあ、司令。安全な場所に――――――」

石田「いや、もしものことがある。俺の管轄の艦娘を集合させておいてくれ」

妙高「…………信じていいんですよね?」

石田「ああ」

妙高「では、司令の命じるままに」

タッタッタッタッタ・・・

石田「…………すまない」

ヲ級「ヲヲヲ!」ギュッ

石田「それでも 俺は行かなければならない」


――――――全ては暁の水平線に勝利を刻むために!


――――――第6話W-1 深海棲艦捕獲指令   -全ては暁の水平線に勝利を刻むために- 導入編 完

      Next:第6話W-2 深海棲艦捕獲指令   -全ては暁の水平線に勝利を刻むために- 実践編 に続く!


213: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:24:03.01 ID:A2g0p8Ya0

陣営紹介W:新戦略研究局 ∈ 趣里鎮守府
石田司令/石田元提督
提督ではなくなり、実績のない新部署の局長であり、一応は趣里鎮守府の艦娘の指揮権を一部持つ司令である。

司令:駆逐隊や潜水隊などの最高指揮官。軍艦に分類されない区分の小さな艦船の隊を率いる ← 石田司令
司令官:軍艦や数個の駆逐隊や潜水隊などからなる戦隊を率いる
司令長官:複数の戦隊からなる艦隊や連合艦隊を率いる ←【艦これ】における提督はだいたいはこれ

“司令部”の下位組織である“新戦略研究局”という独自の部署を立ち上げ、画期的な戦略や戦術の導入を審議・研究しており、
そもそも“司令部”そのものが大本営の海軍実験部隊なのだが、ここは石田司令をトップに様々な企画を行って効率良く成果を出す意図がある。

しかし、その実態は深海棲艦を捕獲してその生態を調査し、根本的な戦略の見直しを求める急進的な勢力である。

ちなみに、捕獲班の司令としての彼が率いている艦娘は基本的に深海棲艦の捕獲や運用に適した戦力と人格で選りすぐっており、
その時点で武蔵・川内・愛宕らは不適切と見なされており、武蔵の扱いが極めて微妙なものとなり、後に問題の種となった。


正規空母:ヲ級『ヲシドリ』
“敵艦隊のアイドル”とまで称されるヲ級のとある一個体。
石田司令が命懸けで【捕獲】に成功し、【 教】によって実際に艦隊運用できるようになった史上初の【 教済み深海棲艦】であり、
すでにflagship級に【改造】済みなので夜戦でも艦載機を飛ばせるという艦娘のそれにはない別次元の強さを誇る。
ただし、【射程:超短】なので最も後れて攻撃することになり、他にも【深海棲艦】特有の利点と欠点があるので運用が難しい。

一応、二次創作における深海棲艦の言語能力はボス級以外は皆無としており(戦艦:レ級はほとんどボス級と同格の扱いで言語能力がある場合が多々)、
発話内容も『ヲ』しか言えないし、他の深海棲艦の鳴き声も○○モンと同じように名称と同じものとさせてもらいます。
そして、公式では艦娘の正体も深海棲艦の正体も明言されていないので、『艦娘を解体すれば普通の女の子になる』だなんて説は無視します。
あくまでも艦娘は妖精が何らかの手段で量産させている人造人間の兵器であり、深海棲艦は艦娘と起源を同じくするだろう何かという解釈です。



214: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:24:33.97 ID:CuqLu7mj0

加藤提督
石田提督とは同期で、福島提督とも同期の実力派提督。皮肉屋ながら友情に厚く、石田提督と福島提督の仲を取り持ってきた苦労人。
石田提督が『知略』、福島提督が『気合』ならば、彼の場合は『冷静』であり、どんな状況でも落ち着いて対処できることをモットーにしているので、
重用している艦娘も彼に似て、騒がしくはないものの凛として存在感のある実力派の艦娘が多く集まっている。

寮母さんのような存在に極めて弱く、間宮さんや伊良湖さんの前になると普段の彼からは想像できないほどにデレデレする。
しかしそれは、上司がそうであるように部下の艦娘たちも同様な一面が見られ、『ムッツリ艦隊』と言われているとか言われてないとか…………

w1:加藤艦隊
重巡:那智    | 戦艦:長門
正規空母:加賀 | 駆逐艦:ヴェールヌイ(以下、『響』表記)
正規空母:雲龍 | 駆逐艦:不知火


w2:福島提督
石田提督・加藤提督らの同期で、気合と勢いを頼みとする提督。しかし、一念通天か、突撃馬鹿のように見えて戦果は加藤提督以上である。
とにかく『喧嘩上等!』な連中ばかりを集めており、非常に勤務態度が悪くガラも悪いので『ヤンキー艦隊』と仇名されている。
しかし、突撃馬鹿として男気あふれるところからなのか気が合うのか、艦隊の結束は非常に堅く、勢いに乗れば真似できない戦果を上げるので黙認されている。
また、無闇矢鱈に戦いをしているように見えてしっかりと戦術を練っているので、ゴリ押しのゴリ押しを戦訓とする金本提督に通じるところがある。

恋愛よりも戦いに勝つことばかり考えているので色気がないが、割りと気軽に飲み会を開いている『呑んだくれ共』でもあり、
もはや無礼講の間柄なのである意味においてはケッコンカッコカリにまつわる諸問題とは無縁でお気楽な艦隊。何気に武蔵と瑞鶴を持っている。
控えに、隼鷹、飛鷹、霧島(艦隊の良心、時折 堪忍袋の緒が切れる)などがおり、毎日毎日が非常に賑やか。お酒が飲めない駆逐艦に出番はほとんどない。
こうして見ると、大型艦の多用やメンツが被っているところから本質的に石田提督の艦隊編成と思想が共通するところが大いにあるようだ。

福島艦隊
重巡:足柄 | 戦艦:武蔵
重巡:摩耶 | 正規空母:瑞鶴
軽巡:川内 | 駆逐艦:曙


w3:小西提督
加藤提督が配属された鎮守府での先輩で、キザで嫌味な性格をしているがれっきとした実力派提督。彼を一言で表すならば『功名』である
目に見える戦果や評判を非常に気にしており、設計図上の能力よりも実際に活躍した経歴のある艦娘を重用する傾向がある。
それ故に、基本的に武勲艦ばかりのレア物狙いの提督となっており、結果として石田提督と似たような能力偏重主義に傾倒している。
しかし、石田提督とは違って武蔵や陸奥、大鳳のような強力な艦であっても大した活躍がない艦娘は絶対に使わないというかなり冷徹な一面がある。
後輩の加藤提督のことはあまりよくは思っていないが、大した失敗もせず、順調に戦果を上げているところに焦りを感じている。

小西艦隊
重巡:羽黒  |駆逐艦:綾波
軽巡:神通  |駆逐艦:潮
軽空母:龍驤|駆逐艦:夕立


215: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:25:12.03 ID:CuqLu7mj0

第6話W-2 深海棲艦捕獲指令   -全ては暁の水平線に勝利を刻むために- 実践編 


――――――
左近「ようこそ、司令室へ」

左近「早速ですが、皆さん方の艦隊編成と敵が空母機動部隊の2個艦隊であることを踏まえて、こちらの戦力を調整させてもらいますね」

福島「いつでもいいぜ! 俺の艦隊はガチで最強だから! 深海棲艦なんて一捻りだぜ」

加藤「相手が空母棲鬼と空母棲姫ならば、まずは制空権を取るために俺と福島提督の艦隊が先発となるのか?」

左近「ま、そうなりますな」

小西「妥当だな。俺の艦隊は夜戦向けだから夜戦突入か支援攻撃のどちらかだろう」

左近「小西提督は後方待機で艦隊の撤退を援護してください。少なくとも敵さんの艦載機もズタボロになっているはずですから簡単でしょう?」

小西「よし。そうさせてもらおう」

左近「では、こちらも【46cm砲】を装備させた超長距離攻撃艦隊を編成して援護いたしましょう」

福島「っしゃー! 見せてやんぜ、俺の艦隊がガチ最強ってことをよぉー!」

加藤「馬鹿。張り切りすぎるな。それに複数の艦隊を同時に指揮するんだ。お前の大声で聞き漏らしがあったらどうしてくれる」

左近「まあまあ」

小西「そういえば、石田司令はどうした?」

左近「石田司令なら待機という名の監禁ですぜ。さすがにこの非常時に司令の安全までは目を向けられませんので」

小西「…………そうか」

加藤「先陣は俺と福島提督だ! 右翼が俺の艦隊で、左翼が福島提督だ。突出している艦隊を先に十字砲火するぞ!」

福島「見せてやるぜ! 一度の会戦で殲滅させてやっからな!」

加藤「馬鹿。もう少し声を落とせ。聞こえているぞ」

福島「お、おう。すまねえ……」

左近「では、敵さんをきりきりまいさせてやりましょうかね!」

小西「作戦開始だな!」
――――――


216: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:26:12.19 ID:A2g0p8Ya0

――――――鎮守府海域


ヒノ……カタマリトナッテ…シズンデシマエ……!

空母棲姫「………………」ゴゴゴゴゴ

w1:那智「姫のほうが先だったか。これは少してこずりそうだな」

w1:長門「後続の艦隊に合流される前に手早く片付けるぞ!」

w1:加賀「五航戦の子なんかに遅れは取らないわ」

――――――
加藤「いいか! 敵は空母機動部隊だ。しかし、数の上では福島提督の艦隊の分もあってこちらが圧倒的に有利だ」

加藤「出来る限り 福島提督の艦隊とは距離と角度を置いて回りこんで十字砲火を行う」

加藤「決して突出するなよ! 足並みが揃わなければそいつから各個撃破されるからな!」
――――――

w1:響「わかっているさ」

w1:不知火「これまで不知火たちに落ち度でもありましたか?」

w1:雲龍「よし、第一次攻撃隊、発艦始め」

――――――
小西「ほう。見ない間にこれほどまでになっていたとはな……」

左近「お見事ですな。順調に福島艦隊の前に敵さんが脇腹を見せ始めましたぜ」

加藤「ここはお前に譲ってやるよ。とっとと沈めろ。――――――ま、できたらの話だがな」

福島「俺様の出番がキタアアアア! かっとばすぜー!」

加藤「馬鹿。だから『声を小さくしろ』と言っているだろうが!」

小西「まったく、どうしてこんな陸軍がお似合いの人間が戦績上位者に入っているのか…………」

左近「ま、これが決まれば、敵さんは壊滅ですがな」
――――――


217: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:26:46.38 ID:CuqLu7mj0

w2:足柄「くっ、もっと近づけないの? これじゃMVPが取れないじゃないの」

w2:瑞鶴「アウトレンジで…決めたいわね!」

w2:武蔵「よし! さあ、行くぞ! 撃ち方…始めっ!」

――――――
福島「行っけええええ! 敵陣に突っ込んでおいて足を止めたマヌケを袋叩きだああ!」

加藤「いちいち叫ばないと作戦ができんのか、この馬鹿」

左近「敵さん、完全に混乱してますぜ。ボス級深海棲艦の艦隊でも高度な作戦には対応できないようで」

小西「深海棲艦の基本的戦術は人海戦術だからな。とにかく要所を押さえたところを大量の防衛部隊を配置して我々を深みに誘い込むだけだ」

小西「やつらは侵攻戦はあまり得意ではないようだな」

左近「それでも、この大戦が始まった当初はその圧倒的な展開力で我々の海を奪っていきましたからねぇ」

左近「かれこれ四半世紀近くになりますが、人類はようやく艦娘を御しえて対等の戦いができるようになったんだ」

左近「そう考えると、やつらの進化はどちらかというと制海権を得ることだけに特化していたのかもしれないね」

左近「もっとも、敵さんとしても一度は得た制海権を奪い返すために、今度は根本的なところを押さえることを思いついたようですがな」

小西「…………厄介だな。こんなことは初めてのことじゃないのか?」

左近「さあね。ただの偶然かもしれませんし、もしこれが偶然じゃないとするなら近いうちに他の場所でも――――――」
――――――

w2:曙「あのクソ提督!」

w2:摩耶「まあいいさ。のこのこと駆けつけてきた鬼を殺れればチャラにしてやるよ」

w2:川内「…………夜戦」イジイジ


218: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:27:32.27 ID:CuqLu7mj0

――――――
左近「【偵察機】から敵の先陣の殲滅が確認されましたよぅ」

加藤「フッ、地の利を捨てて敵陣に1個艦隊だけで攻めることを強いられているのがいかに苦しいか思い知ったか!」メメタァ

福島「っしゃー! 瑞鶴のやつが姫とったぜぇ!」

左近「いやはや、みなさん優秀で助かりますよ、ホント」

小西「しかし、ボス級深海棲艦の生命力は凄まじい。復活を警戒しなければ」

左近「さて、どうします? 鬼さんの方は動きを止めたようですけど」

加藤「どうする、福島提督? 敵は恐れをなして進軍を止めたらしいぞ」

福島「んなもん決まってるだろー! 突撃だ、突撃! 人ん家の庭の中に不審者がいたら追い出すだろ?」

加藤「聞くまでもなかったか」フフッ

加藤「左近提督、ここは突撃する! 後詰を頼む!」

左近「承知した。小西提督の艦隊も姫の捜索のために動いてもらいましょうか」

小西「フッ、このまま見ているだけだと思っていたが、ちゃんと出番があってよかった」

小西「――――――出番だぞ。姫の捜索を行うが見つけたところで大した脅威ではないだろう、お前たちならば」
――――――

w3:羽黒「あなたたちの背中は、私が守ります!」

w3:神通「索敵 急いで! 見つけたら魚雷攻撃で徹底的に追い詰めます!」

w3:龍驤「一航戦も五航戦もいるのに、どうもウチら地味な仕事ばかりやなー……」

w3:綾波「まあまあ。索敵も本当に大切な仕事だから、これが終われば提督も褒めてくれますよ」

w3:夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」(ドS)

w3:潮「できれば、離脱してください!」(迫真)

――――――
小西「よかったな、俺が主力艦隊を引き連れてこなくて」

小西「そうでなかったら先陣争いで、こうして上手い具合に役割分担もできなかったろうに」

加藤「……小西提督?」

左近「ま、その時はその時ですけどな」

小西「それもそうか」

加藤「よし! さっきと同じだ。まず俺が鬼の艦隊に仕掛けて注意を削ぐ」

福島「そこを俺んところの武蔵と瑞鶴で狙い撃つ――――――ガチでやべえぜ、この戦法!」

小西「確実なだけにおもしろみもない戦いだな」

加藤「こんなところで艦娘を大破なんてさせてみろ。あいつに何を言われるかわかったもんじゃない」

加藤「それに、あまり人の鎮守府に世話を掛けたくないからな。謝礼はちゃんと支払いつもりだが、まあ あまりいいものじゃない」

小西「それもそうだな」

福島「っしゃー! 勝ちパターン入ったぜー!」

左近「こちらにしても敵さんにしても『個艦の能力がどれだけ優れていようとも分厚い数の壁の前にはどうしようもありません』ということですかな」

左近「今回のことで得られたことは『戦術は戦略には勝てない』ということ。そう――――――、」


――――――だからこそ、殿がなさろうとしていることがこれから必要となってくるわけだ。




219: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:28:21.34 ID:A2g0p8Ya0

――――――それから、夕方


左近「…………わかりませんな」

左近「深海棲艦も『侵攻に失敗したら撤退する』という知恵を身につけたんでしょうかね?」

小西「そんなことは我々がよくやっていることだ。学習していてもおかしくはないな」

加藤「しかし、気味が悪いな。やはり深海棲艦の生態を調べなければ気が気でなくてたまらんな」

福島「結局、何だって?」

左近「姫も鬼も海の藻屑となったのか、それとも尻尾を巻いて逃げ出したのか――――――」

福島「ああ なるほど……」

左近「潜水艦隊で海中をくまなく探しまわってはいるんですがね……」

小西「そうそう。俺の艦隊も最初から捜索をしていたわけだが、轟沈した姫の反応はなかった」

加藤「どういうことなんだ? てっきりボス級深海棲艦というのは艦娘を遥かに凌駕した生命力があるんじゃなかったのか?」

福島「だよなぁー。復活しないなんてちょっと調子狂うっていうか、なぁー?」


石田「そのことについては俺から仮説を提唱しよう」


左近「おお、ちゃんと大人しくしてくれてましたか、石田司令」

福島「本当だぜ! ちゃんと見ていてくれたか、俺の艦隊の活躍ぅ~」

石田「俺の考える最強艦隊の理論に近い艦隊編成をしているのだ。それに友軍艦隊との連携があったのだ。勝てて当然だ」

福島「お、マジかよ! やっぱり俺の艦隊、ガチ最強ぉー!」

小西「馬鹿なやつだな。別に褒められてもいないってのに……」

加藤「ま、ここでいちいち突っかかれてまた喧嘩腰になられても困るからな。今はそれでいいじゃないか」

加藤「で? ――――――『仮説』ってのは何だ?」


220: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:29:38.01 ID:CuqLu7mj0


石田「我々が優先して叩くべきなのは、ボス級深海棲艦よりも輸送ワ級ということだ」


加藤「ほう? もっと詳しく聞かせてくれないか?」

加藤「要するに、『輸送ワ級がいないとボス級深海棲艦でも復活できない』ということなんだろう?」

石田「そういうことになるな、今の段階ではな」

小西「確かに、ボス級深海棲艦以外で【ゲージ破壊】の対象となっているのは輸送ワ級が主だったな」メメタァ

福島「前々から思ってたんだけどさ? 輸送ワ級って何を輸送してんだ、あれ?」

加藤「!」

左近「つまり、輸送ワ級にこそ深海棲艦の秘密が隠されているというわけなんですかぁ?」

石田「俺はそう睨んでいる」

石田「これまでの作戦において輸送ワ級と【戦力ゲージ】の存在の有無を検証すると、両者はほぼ同時に存在していることがわかった」メメタァ

石田「攻略Wikiに寄せられた情報を丹念に見ていけばわかることだが、――――――EOマップは例外だからこの場合は無視する」メメタァ

石田「さて、福島提督の疑問ももっともだ。輸送ワ級が何を輸送し、それで何が補給されているのかはまったくもって不明だ」メメタァ

石田「よって、“新戦略研究局”の最初の方針を伝える」


――――――輸送ワ級の【捕獲】及び殲滅が当面の第一目標となる。


一同「!」

小西「しかし、それは非常に困難な作戦だと思うのだが」

加藤「輸送ワ級の登場は早くても南西諸島海域のバシー島沖が最初だ。少なくとも戦艦や重巡が相手となるだろうし、」メメタァ

加藤「そもそもこちらの艦隊の練度がありすぎて、【捕獲】する前に開幕攻撃で全滅させる恐れすらあるぞ」メメタァ

福島「でもよぅ? かと言って、そこしか簡単なところがねえだろう?」

福島「確か輸送ワ級の出現海域は他にも北方海域のキス島沖とかもあっけど、ボス艦隊と一緒だからマジヤベーぞ」メメタァ

小西「それに、西方海域の多くで敵補給船団と交戦することができるが例外なく最深部だ。キス島沖よりも遥かに難しいぞ」メメタァ

左近「なるほど、そう考えるとますます輸送ワ級が意外な難敵だということが浮き彫りになってきましたな」

小西「そうだとも。flagship級で重巡並みの火力を持っているから実に侮れん敵だ」

石田「そう! 兵站は戦争の基本だ。その大本を絶たねば我々は勝てるはずがないのだ!」

石田「それだけに、やつらにとっても輸送ワ級は生命線になっているはずなのだ」

石田「特に、深海棲艦の活動が活発な海域ほど多く確認されているということは輸送ワ級が何かしらの戦略的要素を担っていることに他ならない」

加藤「そうだな。何とかして輸送ワ級を集中的に叩ける手段の模索をしなければだな」


福島「けどよぉ、まだ肝腎の【捕獲】の方法がわかってないんだけど大丈夫なのかよ、簡単に【捕獲】なんて言っちゃってよぉー?」


左近「…………石田司令」

石田「安心しろ。あくまでも輸送ワ級の【捕獲】は第一目標なのであって、生き急いで南方海域に【突撃】する愚行はせんよ」

加藤「それはわかったが、俺たちはこれから具体的にはどうすればいい? 輸送ワ級の優先的な撃破は了解したが」

石田「実は、【捕獲】に必要な装備の補充ができていない」

石田「だから今日は、顔見世と実際の深海棲艦の運用の見学だけにしたかったのだ」

石田「今日は災難だったな」


221: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:30:21.74 ID:A2g0p8Ya0

加藤「そういうことならしかたないな」

小西「だが、この戦いの勝利のために現状で必要な疑問点が得られたのは大きな収穫だったな」

福島「ああ。とりあえず、輸送ワ級を徹底的に潰しゃあいいってわけなんだな! な!」

石田「そう考えてもらっていい」

左近「しかし、輸送船撃破なんて多くの提督たちがすでにクエストでやっていることなんですがねぇ……」メメタァ

石田「ならば、1ヶ月あたりの補給船団の撃破数を並みの10倍やればいい」

小西「簡単に言ってくれるな」

加藤「だが、それぐらいやりきる覚悟がなければ、現在の戦局に影響を与えることなど到底不可能だろう」

福島「っしゃー! わかったぜ、石田提督! ――――――輸送ワ級! 狩って狩って狩りまくるから見ていてくれよな!」

石田「功を焦って無駄死だけはさせるなよ」

福島「!」

福島「わ、わ-ってるよ、頭でっかち。俺はお前とは違って捨て艦なんかしねえからよ」

石田「ならいいが」

小西「ほう……」

加藤「確かに変わったな、石田提督のやつ…………これなら信用してもいいかもな」

左近「………………」




222: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:31:13.09 ID:A2g0p8Ya0

――――――その夜:警戒態勢解除、諸提督らは修理・補給を済ませて帰還


カチャカチャバン! ブゥウウウウウン!

石田「さて、点検はこれでいいだろう」(最新の防水防弾服)

ヲ級「ヲ…………」

石田「心配するな」

石田「それよりも――――――」

ヲ級「……ヲ」スッ


――――――【お供え物:献花】


石田「うん。いつ見ても華やかでいつ嗅いでも心が安らぐ」クンクン

石田「そう、まずは【お供え】をしなければ始まらない」

石田「公式は深海棲艦の正体については『ユーザーの想像におまかせします』と言い張っている以上、」メメタァ

石田「――――――俺も独自に深海棲艦というものを追究してきたのだ」

石田「昔、深海棲艦のある習性の存在に俺は気づき、深海棲艦捕獲作戦を実行する前に頻繁に海に出たものだ」



223: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:32:03.35 ID:CuqLu7mj0


石田「一説によれば、深海棲艦とは『過去に沈んでいった艦船の怨念が実体化したもの』と言われている」


石田「そのことは後に、人の言葉を話す――――――というより呟き続けるボス級深海棲艦の登場と発言内容の解析で明らかになった」

石田「――――――いや、『そうではないか』という仮説が半ば事実として広く受け容れられているというだけのことだ」

石田「しかし、艦娘に対する高い攻撃性は我々軍人や科学者がオカルトと軽視している幽霊というものの中の地縛霊や怨霊の性質によく似ている」


艦娘が先か――――――、深海棲艦が先か――――――。


石田「この大戦が始まってから四半世紀にもならないが、同一の艦娘や深海棲艦が不特定多数 同時に存在できていることを踏まえれば、」

石田「艦娘も深海棲艦も元は同一のものを起源にして生まれた本質的に同じ存在だと言われているのも頷ける」

石田「艦娘と深海棲艦が本質的に同じ存在だとするならば――――――、」


――――――どうして両者の間に違いが生まれるのか?


石田「それが大きな謎となるわけだ」

ヲ級「ヲ?」

石田「艦娘は兵器だから戦略や政治ができない――――――戦うことしか知らないという認識が学の深い人間の共通認識だ」

石田「しかし、それは深海棲艦にも言えたことであり、やつらもまた戦略や政治ができていないのだ」

石田「すると、艦娘と深海棲艦の違いを徹底的に集約させていくと、」

石田「――――――艦娘は人間だから、泣いたり笑ったりふざけたりおどけたりでき、」

石田「――――――深海棲艦は亡霊だから、死ぬ間際の想念がそのまま残留し続け、戦略もなくただ戦い続ける他ない」

石田「こう考えると、深海棲艦を根本的に無力化する方法はいくつかはただの提督の俺でも思いつくわけだ」


224: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:33:34.25 ID:A2g0p8Ya0

石田「1つは、海に沈んでいる艦船を跡形もなく破壊する――――――撤去することだ」

石田「しかし、解体されてすでに亡骸が存在しない艦船には対応しきれないという欠点に思い当たることになる」

石田「そもそも、艦娘の正体も深海棲艦の正体も判然としない中での禅問答みたいな科学的根拠に基づかないくだらない推論でしかない」

石田「しかしながら、この広い海にはいくつもの船が沈み、今もその船乗りたちはその海を彷徨い続けているという伝説が数多あるように、」

石田「彼女たちの骸、あるいは搭乗員たちの霊たちを手厚く葬っておくことが今でも大事ではないかと思い――――――、」

石田「俺は藁にもすがるような思いで とてつもなく馬鹿げた行為に走ったというわけなんだ」

ヲ級「ヲ?」

石田「ある時、制圧が完了した海域で【献花】したわけだ。海一面に花畑が咲いたかと思うぐらいに盛大にな」

石田「…………あの時の俺は捨て艦戦法で海域を強引に押し進み、せめてもの罪滅ぼしと戦勝報告もかねて弔意を表そうとしていた」

ヲ級「ヲ…………」

石田「そうだ。あの頃の俺は艦娘たちからひどく恐れられていたから――――――実際に艦娘に多大な犠牲を強いた罪悪感から、」

石田「制圧が完了したばかりの海域で『深海棲艦に遭遇して殺されるのも乙』だと浮ついた考えを持っていた」

石田「無謀にも護衛を付けずにただ一人で長い間 俺は艦艇に揺られながら弔っていたのだ」

石田「するとだ」

石田「俺は海面に巨大な魚の頭――――――いや、深海棲艦の空母:ヲ級が海面下から顔を覗かせてこちらを見ていたのだ」

ヲ級「ヲ?!」

石田「さあな? 俺に【捕獲】されて『ヲシドリ』と名付けられたお前だったかどうかはわからん。時期から考えても十中八九 別人だろう」

石田「俺は死を覚悟した」

石田「深海棲艦は艦娘に対して強い攻撃性を示す一方で、生前の意識からか艦娘ではない方の軍艦や民間の船舶にも攻撃性を示し、」

石田「更には、艦船の搭乗員も攻撃――――――捕食することも確認されている」

石田「しかし、圧倒的に優先順位が 艦娘 > 実際の艦船 > 人間 となっており、」

石田「おそらくこれも、生前の軍艦や艦艇に与えられた任務が直接的な人員の抹殺ではなく、戦力の撃破にあったからなのだと俺は思う」

石田「だから、もしかしたら艦娘が【ドロップ】して矛先がそれる可能性が万が一にはあったのだ」メメタァ

石田「だが、あの時の俺は若かった」

石田「すぐに動転して腰が抜けてしまったのだ」

石田「そして すぐに、艦艇を沈められるものだと身構えていた。非武装艇でかつ俺一人で来ていたからすぐに出すことも叶わないのだからな」

ヲ級「ヲヲヲ!」アセアセ
                     フネ
石田「だが、しばらく無様にも一人 艇の上で縮まっていると次第に『何も起きない』ことを認識し始めた」

石田「恐る恐る、深海棲艦相手には文字通り豆鉄砲な拳銃の安全装置を外しながら、あのヲ級がいたところを覗き込んだ」

石田「するとだ」

石田「ヲ級は海一面に浮かぶ【献花】を手にとって興味深そうに眺めていたのだ」

石田「いや それだけじゃなく、口に中に入れてみたり、嗅いでみたり、それが何なのかを楽しそうに一生懸命に調べていたのだ」

石田「俺はその隙に艇を発進させて、命からがら鎮守府に帰り着いたというわけなのだ」

石田「そして、俺が鎮守府に帰り着いた時に俺を出迎えたのは――――――、」

石田「一人で護衛もなしにどこへ行っていたのかを咎めることもなく、俺の帰還を見て 談笑や笑顔が消えていく艦娘たち――――――」

ヲ級「ヲ……」

石田「だから 俺は、趣里鎮守府というブラック鎮守府に配属されてお先真っ暗の艦娘たちとは対照的に、」

石田「敵であるはずなのに俺のことなど気にも留めず、無垢な表情を浮かべて楽しそうにしていたあの時のヲ級のことを忘れることができず、」

石田「こうして鮮明にその時のことをありありとお前に聴かせることができているのだ」


225: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:34:45.57 ID:CuqLu7mj0

ヲ級「ヲヲ!」

石田「そう。ふとその時のことを思い出して冷静になって分析してみて、俺は花屋を鎮守府に置くことにしたのだ」

石田「もちろん、【献花】するため――――――実験のために必要な花を自然な形で大量に鎮守府に仕入れて管理させるためにだ」

石田「艦娘たちからは『弔花を自前で用意させるために置かれたもの』だと恐れられていたがな」

石田「…………どれくらいその花屋は鎮守府にあったのだろう?」

石田「俺は花屋に自然と通い詰め、そこで売り子をやっていた娘と仲良くなっていた。おかげで花の名前や花言葉も人並み以上に言えるようになった」

石田「…………懐かしいな」フフッ

ヲ級「ヲ……?」

石田「だが、噂が噂を呼び――――――、ブラック鎮守府を取り締まるために大本営が数々の規制を実装していった中で、」メメタァ

石田「俺の鎮守府の花屋はその象徴として営業停止となって、――――――売り子の娘にはもう長いこと会ってないな」

石田「俺としては、花の仕入れに関するノウハウをすでに教わっていたから用済みではあったんだがな……」

石田「――――――だが、今でも感謝はしている」

ヲ級「…………ヲヲ」スリスリ

石田「違うぞ、『ヲシドリ』。俺は別に寂しいなどとは思ってなどいない……」ギュッ

石田「人生というものは出会いと別れを繰り返しだ」

石田「そんなことは散々 同じ艦娘を【建造】しては捨て艦にして轟沈させてきたから慣れていることだ」

石田「そう、あの時の俺にとっては駆逐艦はどれも同じにしか見えなかった――――――」


――――――それこそ個性や私というものがない一様でしかない深海棲艦と同じような存在にしか見えなかった。



226: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:35:26.11 ID:A2g0p8Ya0

石田「――――――だがな?」

石田「そう、だからこそだ。だからこそなのだ」

石田「だからこそ、俺は深海棲艦を【捕獲】してから戦力に加えるのに必要な【 教】が何なのか気づいたのだ」

ヲ級「ヲ?」

石田「簡単なことだ。実に簡単なことだ、そんなのは」


――――――たとえば俺と話をしたり、たとえば寝食を共にしたり、たとえば艦娘と同じことをさせればよいのだ。


ヲ級「ヲ…………」

石田「考えてもみろ。――――――艦娘が艦娘たる所以を。深海棲艦とのわずかな違いを」

石田「それを思えば、彼女たちの自我が非常に幼いことも生まれた時に深海棲艦にならないために必死の思いで実らせた人としての証なのかもしれないな」

石田「人間は生まれる時に必ず最初に出産に伴う苦しみを受け、それを糧に生への執着心を得て一個の生命体としてこの世の息吹を授かる――――――」

石田「あるいは 軍艦という兵器そのものが人間の血生臭さや冷徹さの象徴であるからこそ、そんなこととはまるで無縁のその自我の幼さが、」

石田「本質的に冷徹非道に相手を虐げるためだけに生まれた血も涙もない兵器たちが深海棲艦にならないために生み出した知恵なのかもしれないな」

石田「特に駆逐艦など、俺からすれば数だけが取り柄で個々の違いなど戦力的に大差がない同一の存在にしか見えなかったからな」

石田「そう考えると、深海棲艦という存在が非常に身近な存在に思えてくるのだ」

石田「なぜなら、人間とて同じことだからな」

石田「1つの生き方しか知らない人間がいかにクズであるのかを俺は知っている」

石田「帝国海軍の存在意義は海上防衛であり、洋上の敵を倒すだけの仕事だけだが、」

石田「それならばイギリス海軍を手本にしたユーモアを大切にする気風など必要なかろう」

ヲ級「ヲヲヲ!」

石田「そうか、お前もそう思ってくれるか」フフッ

石田「だからこそ、俺はお前のことを我が子のように接する努力をしているのだ」ナデナデ

ヲ級「ヲヲヲヲ……」ニコニコ




227: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:36:07.61 ID:CuqLu7mj0


石田「さて、今日は強力な艦隊が向こうから攻めてきてくれた」

石田「そして、“新戦略研究局”始動初日というわけで司令部が選抜した精鋭たちが艦隊を連れてきていたので労せずに撃破された」

石田「これで次の実験に移ることができるわけだ」

石田「俺は艦隊指揮権のない無力な新部署の局長としてこの状況をただ眺めていたわけではないのだよ」

石田「ボス級深海棲艦の復活を警戒するために鎮守府の艦娘が交代制で捜索と哨戒に出ることを見越して、」

石田「この【人形】と同じものを持たせて何も知らない時津風に海に投げ入れるように命じていたのだ!」

石田「あの時ばかりは我々 捕獲班の戦力も索敵に駆り出さないといけなかったからな」

石田「すでに仕込みは十分だ。潜水艦はいなかったから【捕獲】用装備もこれでいいだろう」ジャキ

石田「後は、【 教済み深海棲艦】単独で深海棲艦が接触した場合の反応を見る」

石田「頼むぞ、『ヲシドリ』」

ヲ級「ヲ!」

石田「よし、出撃するぞ」


ブゥウウウウウウウウウウウン! ザァアアアアアアアアアアア!

      マリンジェット
艦載艇:特殊小型船舶| 空母:ヲ級『ヲシドリ』
              |
              |


228: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:37:04.37 ID:A2g0p8Ya0

――――――鎮守府海域


石田「さて、まずは索敵をしなければな。【電探】の類を載せる余裕など【特殊小型船舶】にあるわけがない」

石田「頼むぞ、『ヲシドリ』」

ヲ級「ヲ!」 ――――――艦載機 発進!

石田「やはり、夜間でも艦載機を発進させられるflagship級は優秀だな」メメタァ

ヲ級「ヲヲヲ!」ビシッビシッ

石田「ああ。あっちの方向にいるのだな? それで距離は――――――なるほどな(なかなかに意思伝達も苦にならなくなってきたな)」


ブゥウウウウウウウウウウウン!


石田「…………月明かりの下、ここからでもはっきり見える洋上の異様な物体! ――――――大型の艤装だな!」

ヲ級「ヲ!?」

石田「これはとんだ大物と遭遇したな……」スチャ(ナイトビジョンスコープ)

石田「しかし、俺の仮説では復活しないはずだが…………生き返ってる!?」


空母棲姫「………………カワイイナァ」ウリャウリャ (月明かりの下で【人形】を愛おしそうにイジっている)


石田「さて、今のところ 最高峰の性能を誇る【震電】で取り押さえられるか――――――」ジャキ ――――――【捕獲用装備/電撃銃・震電】!

ヲ級「ヲ…………」

石田「よし、敵からの攻撃を警戒しながら接近してみろ。敵意があるかどうかを見てこい」

石田「無いのならば、お前に持たせた【人形】で興味を引いてこちらに誘い出せ」

ヲ級「ヲ!」ビシッ



229: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:38:29.31 ID:A2g0p8Ya0


サァアアアアア・・・・・・


ヲ級「…………ヲヲ!」

空母棲姫「――――――?」


石田「どうやら空母棲姫ですら『ヲシドリ』の接近に疑問を持たないようだな……」

石田「――――――【人形】に気を取られているからなのか? ――――――【 教済み深海棲艦】単艦では敵だと認識しないのか?」

石田「ともかく、これで【 教済み深海棲艦】で容易に敵の懐に飛び込むことができる可能性ができたぞ」


ヲ級「ヲヲヲ! ヲヲヲ!」

空母棲姫「………………」ジー

ヒノ…カタマリトナッテ…シズンデシマエ……!

空母棲姫「………………!」ゴゴゴゴゴ

ヲ級「ヲヲヲヲヲヲヲ!?」ジタバタ


石田「!」アセタラー

石田「くっ、失敗したか!(やはり深海棲艦は亡霊のような存在だから心が芽生えているかどうかで艦娘かを判断しているわけなのか?)」

石田「手筈通りに退却だ、『ヲシドリ』!(だとするなれば、艦娘の定義というのはやつらからすると――――――、だ!)」


ヲ級「ヲヲヲヲヲヲヲ!」ザァアアアアアアアアアアア!

空母棲姫「…………オチロ!」

ヲ級「ヲーーーー?!」ドゴーン! ――――――中破!


石田「――――――『ヲシドリ』ィイイイイ!」ブゥウウウウウウウウウウウン!

石田「くっ! 計算外だ……!」ギリッ

石田「夜戦で戦えるとはいえ、やはり空母の回避力や装甲ではボス級に対峙させるには分が悪すぎたか!」

石田「しかも、中破か! これでは『ヲシドリ』は“七面鳥”ではないか!(昔だったら、大破しても戦えたのだがな……)」メメタァ

石田「(いや、相手が姫とわかっていて最善の策を選ばなかった俺の失策だな……)」

石田「やらせはしない! やらせるものかああああああ!」


ブゥウウウウウウウウウウウン!



230: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:39:26.10 ID:CuqLu7mj0

空母棲姫「……ナンダ?」

空母棲姫「…………ハヤイ、ダト?! キョダイナギョライ?!」

ヲ級「ヲヲヲーーーーーー!」ウルウル

石田「目障りなのだよ、深海棲艦!」ジャキ ――――――【肉薄】状態!

石田「人類最高科学の粋を結集した最強の【電撃銃】を受けるがいい!」バン!

空母棲姫「!!!!!!!!??」バチバチバチィ・・・!

空母棲姫「ウアアア…………」ビリビリビリ! ドッゴーン!

石田「――――――っと、誘爆したか(しかし、さすがにこの至近距離では波の揺れや水飛沫がキツイか)」ドンブラコドンブラコ

石田「だが、ボス級であろうと1対1ならこの電撃で確実に殺れる!」ギロッ

石田「そのまま墜ちるがいい!」ブゥウウウウウウウウウウウン!

空母棲姫「ソンナ…………カ、カラダガウマクウゴカセナイ…………」ビリビリ

石田「隙だらけだな!(――――――背後、もらったぞ!)」バァン!

空母棲姫「アアアアア……!」バチバチバチィ・・・!

石田「二撃目入った!(さすがは海上で最高の機動力を誇る【特殊小型船舶】だ)」ブゥウウウウウウウウウウウン!

石田「次でとどめを刺してやる!(ボス級の巨大な艤装など1対1の接近戦においてはまったく無用の長物だな!)」ブゥウウウウウウウウウウウン!

空母棲姫「ウウ…………」バタッ

石田「…………!」キキィ

石田「――――――やったのか? 俺が、あのボス級を? 人間が造った武器で?」ドクンドクン

石田「………………」ゴクン

石田「――――――『ヲシドリ』! 【捕獲】しろ!」

ヲ級「ヲ!」ザァアアアアアアアアアアア!

ヲ級「ヲヲ…………!」グググググ・・・

石田「さすがにボス級深海棲艦を曳航していくにはヲ級だけでは力不足か……」

石田「明らかに出力が足りてないが、この艇も曳航に使わざるを得ないな」

石田「よし、『ヲシドリ』! 【捕獲】用のロープだ。俺が教えたとおりにそいつに巻きつけるんだ」ポイッ

ヲ級「ヲヲヲヲ♪」

空母棲姫「」


231: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:41:26.56 ID:A2g0p8Ya0


ブゥウウウウウウウウウウウン・・・!


石田「やはり【特殊小型船舶】では力不足だが、『ヲシドリ』が頑張ってくれているおかげで辛うじて進めてはいるか…………」

石田「もう少しだ。鎮守府の灯台の明かりが見えてきたぞ」

ヲ級「ヲヲ!」

石田「いい娘だ。これが終わったらうんと褒めてやるからな」

ヲ級「ヲヲ♪」ニッコリ

石田「さて、まさかボス級深海棲艦の【捕獲】に成功するとはな」

石田「こいつを無事に【 教】することに成功すれば、全体の勝利に大きく貢献することになるだろう」

石田「(そして、人語を発する深海棲艦と艦娘を結ぶ貴重な存在として研究にも大いに役立つことだろう)」

石田「(本来ならば輸送ワ級を【捕獲】したいところだが、これはそれ以上の戦果だな)」

石田「戦いの勝利などに俺の答えはない!」ドヤア

空母棲姫「――――――」ゴポ・・・

ヲ級「!」ビクッ

ヲ級「ヲヲヲヲ! ヲヲヲヲ!」バチャバチャ

石田「なにっ!?」ビクッ

空母棲姫「…………!」ボゴン! 

石田「――――――がっ!?」ガコン! ――――――空母棲姫を牽引していた【特殊小型船舶】は勢い良く海面を舞う!

石田「うあああああああああああああああ!?」 ――――――その勢いで空中に投げ出されてしまう石田提督!

ヲ級「ヲヲヲーーーー!」

空母棲姫「…………ア」

ヒュウウウウウウウウウウン! ザバァアアアン!

石田「うおっ!?(――――――何だ? 海面に直接叩きつけられずにすんだが、この背中から覆い込むような寒気は?!)」


空母棲姫「………………テイトク?」


石田「へ」ビクッ

石田「うっ、しまった! やはり迂闊だった――――――っああああああ!?」ギギギギギ・・・

空母棲姫「テイトク、テイトク、テイトク、テイトクダ…………」ギュゥウウウ

石田「あっ! うぅう! うああああ!(なんて力だっ! このままでは身体を真っ二つにされてしまう!)」ギギギギギ・・・

ヲ級「ヲ! ヲヲヲーーーー!」

石田「【電撃銃】を渡せ、『ヲシドリ』ぃいいい!」

ヲ級「ヲ、ヲヲ!?」キョロキョロ

石田「あ、ああああああああああ!(――――――ダメだ、『ヲシドリ』が落とした【震電】を見つける頃には死ぬぅう!』)」ミシ・・・

空母棲姫「テイトクダ……テイトク…………」

石田「あああああああああああああああ!」ミシミシミシ!


232: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:42:29.14 ID:CuqLu7mj0

石田「手を放せ、この! この! このぉおおお!」ジタバタ

空母棲姫「ア……」パッ

石田「おわっ!?」ザパーン!

空母棲姫「ア、テイトク……!」サッ

石田「ガハッ、ゴホゴホォ・・・」ビチャビチャ

ヲ級「ヲヲーーー!」ザァアアアアアアアアアアア! ――――――【電撃銃・震電】!

石田「!」スッ ――――――懐から防水加工された特別な扇子を取り出す!


石田「――――――“勅命”!」バッ \勅命/


ヒューーーーーン! バババババ・・・! ――――――どこからともなく【艦攻】が月下の空母棲姫を襲う!

空母棲姫「ア!? クッ、テイトク…………」

艦攻妖精「直撃確認! 規定通り、司令の安全のために近くの鎮守府に救援要請を行います!」

ヒューーーーーン! パァアアン!  ――――――照明弾が月夜の海を照らす!

石田「――――――!」ジャバジャバ!  ――――――敵が怯んだ隙にヲ級『ヲシドリ』のほうへ死力を尽くして泳ぐ!

ヲ級「ヲヲヲヲ!」ギュッ ――――――そして、『ヲシドリ』は身を沈めて迅速に石田提督をでっかい魚の頭に乗せるのであった

石田「…………!」ゼエゼエ


――――――
左近「掛かれええええええええ!」
――――――


233: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:43:56.80 ID:A2g0p8Ya0

石田「!」

武蔵「撃ち方…始めえええ!」ゴゴゴゴゴ

川内「さあ、私と夜戦しよ?」ゴゴゴゴゴ

愛宕「主砲、撃てええええええい!」ゴゴゴゴゴ

バン! バン! バン! チュドーン! チュドーン!

空母棲姫「アアアアアア!」

石田「……ま、待ってくれ! やつは絶対に【捕獲】しなくてはならないんだ!」ゼエゼエ

石田「聞こえてるか、左近提督! やつは――――――」ゼエゼエ

石田「やめてくれええええ!」ゼエゼエ

日向「諦めろ、提督」ガシッ

石田「なっ!?」

飛龍「帰ろう、提督? 提督の帰る場所は海の底じゃなくて鎮守府だよ……」ガシッ

石田「いやまだ間に合う! 攻撃を止めさせてくれ! あれは、あれは――――――!」

飛龍「わかってます」

石田「なにっ?!」

飛龍「覚えてますよ、この前の大規模作戦の1つ:【MI作戦】でも戦いましたからね」メメタァ

石田「――――――!」

石田「なら、今すぐに止めさせてくれ、飛龍! 頼む、後生だ……!」

飛龍「イヤです」

石田「なぜだ……、なぜだ、飛龍ぅ…………」

飛龍「これで提督に嫌われたっていいです……」


飛龍「けど、――――――提督のこと、これからをずっと見ていたいから」ポタポタ・・・


飛龍「覚えてますか、提督? ――――――赤城さんに加賀さんもいたあの頃のことを」

石田「忘れるわけがないだろう……」

飛龍「よかった……」ホッ

石田「?」

飛龍「それじゃ、夜戦のできない空母:二航戦の飛龍、鎮守府に帰還します」

日向「確か『ヲシドリ』と言ったか? 行くぞ」

ヲ級「ヲ?」

飛龍「うん、行こう」

石田「よせええええええええええええ!」


ザァアアアアアアアアアアア!



234: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:44:32.35 ID:CuqLu7mj0

武蔵「これでとどめだ、化け物!」バン!

空母棲姫「――――――!」チュドーン!


空母棲姫「………………テイとく」フフッ ――――――轟沈!


川内「やった! 姫を倒したよ、左近提督!」

――――――
左近「お疲れ様でした」

左近「殿もヲ級もちゃんと鎮守府に護送中ですよぅ」

左近「それじゃ、殿が使っていた【艦載艇】はちゃんと回収してくださいよ。あれ、意外と馬鹿にならないぐらい資材が投入されてますから」
――――――

愛宕「あ、あれかしら♪」

――――――
左近「そう、それですよ、それ。いやぁ、艦砲射撃に巻き込まれて海の鉄屑にならずにすんでよかったです」

左近「では、これ以上はみなさんの健康にも良くないので速やかに撤収してくださいね」

左近「ったく、まったく恐ろしい方ですよね~、殿も」
――――――




235: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:45:18.94 ID:A2g0p8Ya0

――――――翌日


左近「――――――殿? 殿」

石田「……何だ、左近提督?」

左近「『ボス級深海棲艦の【捕獲】は不可能』ということで問題ありませんよね?」

左近「殿でさえ失敗したんですから、他の提督さん方にできるわけありませんから」

石田「…………わかった。そういうことにしておいてやる」ムスッ

左近「どうしたんです、殿? 機嫌悪いですよぅ?」

石田「そう思うのなら、俺の機嫌を直させてみせたらどうだ?」プイッ


左近「まだ殿の戦いは始まったばかりじゃありませんか」


左近「確かにボス級の【捕獲】に成功したらそれこそ 戦局が本当に大きく覆るかもしれませんが、」

左近「――――――あれは本当に殿が知っている艦娘とは違うんですよ?」

石田「そんなことはわかっている」



236: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:46:24.20 ID:CuqLu7mj0

左近「深海棲艦の生態について、ある海洋学者から次のような説が提唱されてますな」


――――――深海棲艦に味方の観念はなく ただ倒すべき敵を共通としているから一緒にいるだけに過ぎないのだと。


左近「だから 敵さんは、生前 自分に与えられた役割を今でも続けようとして一見すると自然と戦術はとれてはいるものの、」

左近「だからこそ、その戦略は人海戦術の域を出ないともね」

左近「ただただ敵を倒すというそのためだけに求められて生まれてきた兵器たちに心は要りません」

左近「現在 人類はその兵器の究極とも言える存在と対峙して滅亡の危機の一歩手前ぐらいまで来ているわけですな」

左近「なにせ、ただひたすら敵を倒すというそのためだけに存在して、倒しても倒してもまたこの広い海のどこかで復活しているわけですからね」

石田「――――――深海棲艦が『兵器の究極』か。確かにそうかもな」

左近「ま、こんなのは人類の自業自得でしかないのかもしれませんがね」


左近「俺も 殿がやっている【献花】はいいことだと思ってますよ」


石田「…………なぜそれを!?(――――――馬鹿な! 【献花】は左近提督を迎える遥か以前にすでにやめているのだぞ)」

左近「まあ、【献花】っていえば聞こえはいいが、あれは実質的に海の上に生ゴミを投棄しているようなものですから、」

左近「環境面を配慮して別なものでやって欲しいところなんですがね。生花というのもなかなか高く付くものですしね」

石田「………………」

左近「しかし、環境破壊だ何だの騒がれる以前から、旧大戦では大量の重油だの弾薬だの何だの――――――、」

左近「およそ海に垂れ流すにはおぞましいものをずっと流し続けてきたんですがね。――――――誰も彼もが『正義や大義の為』と言ってね」

左近「そして、それが昔 沈んでいった艦船たちの怨念となって深海棲艦となっているのに、」

左近「それを『人類の危機』と称して怨み辛みをなすりつけ合って歴史は繰り返す――――――」

石田「あくまでも深海棲艦の正体など科学的に解明はされてはいない。そのオカルトの正体を白日の下に晒そうと言うのに何を言っている?」

左近「この戦争も神が人類が犯してきた業を払うために遣わした救い――――――いわば天罰なんじゃないかと思いますね」

石田「――――――『救い』でありながら『天罰』だと?」

左近「殿? なぜ罪を犯したら罰をお与えになるのですか、人は? そして、罰を与えられた人はその罪に対してどうなるものですか?」

石田「…………なるほどな」


237: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:49:35.13 ID:CuqLu7mj0

左近「俺は一度たりともも艦娘を沈めたことはございませんが、俺のようにはいかなかった無念な提督さんのほうがずっと多かったです」

左近「俺はその怨嗟の声や阿鼻叫喚というものをよく耳にします」


左近「けれども、どうもそうした怒りや悲しみがみんな空回りしているように思えたんですよ」


石田「なぜだ?」

左近「まず第一として、――――――『この戦争の真の終着点が見えない』ってことですよ」

左近「旧大戦だって、海軍の対米方針は漸減邀撃――――――つまり行き当たりばったりなんですよねぇ」

左近「真珠湾攻撃で開戦した後、いったいどこで戦争を終わらせるつもりでしたんでしょうね?」

左近「戦争っていうのは必ず相手国と停戦協定なり終戦協定の締結で初めて終わるもんなんです」

左近「いつの段階で『講和を結ぶ』というのかがまるで見えてきませんね、あの戦争は」

左近「それで、海軍力を維持するためにズルズルと戦線を拡大していって最終的には守るべき船団の護衛を放棄するという有り様で本末転倒ですよ」

左近「それと同じように、今の艦娘を擁する世界に冠たる我が皇国も『ただ目の前の敵を倒す』という漸減邀撃の基本的方針が変わってません」

左近「そもそも『漸減邀撃』って言ってますけど、正しい意味での漸減邀撃じゃないですよ、今も昔も」

左近「怒りに任せて敵さんを手当たり次第 蹴散らそうとする――――――それはつまり相手を全滅させることが終着点というわけなんでしょうかね?」

石田「確かに。我々人類は深海棲艦の戦略に何ら打撃を与えることができていない。海上封鎖を一時的に打破しているに過ぎない」


左近「だとすれば、戦争の勝敗は兵力――――――つまりは数の理ですから、圧倒的に我が兵力を上回る深海棲艦の物量に負けますな、必ず」


左近「勝ち目なんてありませんね。現に現状維持で精一杯なんですから、――――――今の平和の実態というものは」

石田「………………」


238: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:51:12.72 ID:A2g0p8Ya0

左近「しかし、深海棲艦がまったく人の言葉を解さない化け物であることから『講和を結ぶ』なんてことはどだい無理な話でもありますな」

左近「主戦派の主張に立っても逆にこちらが先に全滅し、和平派の主張はそもそも講話が結べないわけですから、」

左近「どちらの立場であろうともお世辞にも現実的な判断ができているとは口が裂けても言えないですね、こんなんじゃ」

石田「なら、左近提督はどう考えているのだ?」

左近「――――――俺ですか? 簡単なことですよ」


左近「最も現実的な判断に基づく第3の主張をしている方のお味方をしますな」


左近「例えば、――――――殿のような方にね」フフッ

石田「!」


左近「ですから、俺はこれからも殿がやろうとしていることの全てを全力で支えてみせましょう」


左近「――――――殿には成すべきことが見えてらっしゃる」

左近「それは艦娘や艦娘の気持ちを汲むばかりの凡庸な提督には到底できない優れた戦略家としての目ですな」

左近「俺が鎮守府に復帰することを決めたのも、石田提督――――――あなたが他とは明らかに違った戦略を確立して戦っていたからなんですよ」

石田「………………」

左近「しかし、まだまだ殿はお若いです。自分が立てた戦略による理想やその手段に不安を抱くことも多いことでしょう」

左近「ですから、この左近めは頑迷で狭量な一戦略家として殿が俺に再び灯してくれた情熱の炎をいつまでも焼べてさしあげましょう」

左近「殿は何も迷うことはありませんよ」

左近「そして、深海棲艦捕獲作戦以外の新戦略が浮かびましたら、どうぞ それも実行なさってください」

左近「おそらく、殿のように現状維持の現在の仮初の平和に疑問を持つ提督は数多いことでしょう。俺もその一人です」

左近「しかし、殿のように具体的な新戦略を打ち立てて、それを実践できている提督は他にございません」

左近「なので、殿は昨日の失敗を糧にして何としてでも生き延びて試行錯誤を繰り返し、自ら打ち立てた新戦略を見事 完遂に導いてくださいませ」

左近「それしか皇国に迫る存亡の危機を救える手立てはないと左近めは信奉しております」


左近「殿、大道成就を果たされてください」


左近「これが石田提督の副官たる左近めの慰めと励ましの言葉でございます」

石田「…………そうか。お前が同志になったことをこれほどまでに嬉しく思ったことはない」

石田「――――――俺に過ぎたるものだな」

左近「しっかし、確かにボス級の【捕獲】に成功でもしていたら――――――と思うと惜しかったですね、ホント」

石田「そう思うのなら――――――いや、野暮だったな」

左近「そうですよぅ? ――――――『野暮』ですよ、『野暮』」

左近「それで死んだら元も子もないじゃありませんか」

左近「せめて死ぬのなら、99%以上は深海棲艦の生態の解明がすんでからじゃないと後に続きませんから」

石田「……言ってくれるな」フフッ

左近「今度から、殿が勝手に一人で出撃できないように【特殊小型船舶】などの【艦載艇】にロックしておきましたから」

石田「……いいだろう。約束通り、しばらくはおとなしくしておいてやる」

左近「はい、殿」フフッ

石田「フッ」フフッ



239: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:52:15.77 ID:A2g0p8Ya0

――――――鎮守府の改築ついでに私費で建設された花屋敷:艦娘たちの新たな憩いの場


ヲ級「ヲヲ!」クンクン ――――――【 教】中!

石田「その花が気に入ったか」

ヲ級「ヲヲ」ウットリ

石田「そうだ。よく鑑賞しろ。五感で味わえ。それで心を豊かにしていくのだぞ」フフッ

石田「さて、新しく取り寄せたバラの様子はどうなっていたかな?」


飛龍「あ」

石田「…………む」


飛龍「あ、こんにちは……司令」

石田「ああ、飛龍ですか。どうですか、私が私費で立てた花屋敷は? 新たな憩いの場として機能していますか?」

飛龍「う、うん。みんな、物珍しがって大盛況だよ、――――――ほら、向こうの自由鑑賞できる場所でもたくさん」

石田「そうですか」スタスタ・・・

飛龍「あ…………」

石田「――――――今度のバラはイエローか」

石田「レッドとブルーのバラも美しいが、イエローのバラは気分が和むな」

石田「しかし、オレンジと呼ばれているバラというものはオレンジと言うよりはトマトの色に似ている気がするが――――――」ブツブツ・・・


240: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:54:05.60 ID:CuqLu7mj0

飛龍「…………司令?」

石田「何ですか?」

飛龍「その、近々ごケッコンなさるおつもりなんですよね、武蔵さんと……」

石田「ああ。武蔵こそ私が考える最高戦力だからな」

石田「まったく誤差の範疇だが、武蔵の耐久力は大和よりも高い」メメタァ

石田「私は戦艦に回避を求めてはいないから、同じ火力で守備力が高い武蔵のほうが強いと考えた」

石田「それに、大和は【改造】に必要な練度がLv60なのに対して武蔵はLv40だからな。【近代化改修】がその分 無駄にならない」メメタァ

石田「それはつまり、それだけ早く能力を上限までに伸ばしやすく、結果として効率よく練度を上げやすいということに繋がる」メメタァ

石田「特に、最高の火力を誇る大和型にはできるだけMVPをとらせてあげたいからな。そうすれば無駄が少なくていい」

石田「もちろん、誤差の範疇のことです。大和が来ればそれはそれで万々歳ですがね」

飛龍「………………」

飛龍「あ、あの!」

石田「何ですか?」

飛龍「て、提督は武蔵さんに何と言って【指輪】を渡すつもりなんですか?」モジモジ

石田「は?」

石田「特に何も――――――さっさと渡して【近代化改修】を積ませるだけですが?」

飛龍「もう! 提督ったら、そんなんじゃ武蔵さんがかわいそうですよ!」

石田「何がです? ――――――それに『提督』じゃなくて今の私は“司令”です。あるいは局長とでも」

飛龍「あ、ごめんなさい、司令……」

飛龍「で、でも、司令! せっかくこんなにも綺麗な花をたくさん取り扱ってるんですから1つぐらいやったっていいじゃないですか」

飛龍「武蔵さんも、こういうものにグッとくると思いますよ?」

石田「……あの武蔵が、か?」

飛龍「いけません?」

飛龍「だって、司令はこういうのに詳しいんですから、心を込めて選んでくれれば武蔵さんは――――――」

石田「いえ、『武蔵が』というよりは、艦娘にこんなものをやったところで――――――」


飛龍「 私 は 嬉 し い で す !」カッ


石田「何?」

飛龍「あ……」カア

石田「何だ、欲しいのですか?」

飛龍「う、うん……」モジモジ


241: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:55:20.87 ID:A2g0p8Ya0

石田「なら、やめておくことです」

飛龍「え」

石田「こういった花卉の世話というのは艦娘のように自分で律してくれないので苦労続きですよ」

石田「部屋に欲しいのなら観葉植物にしておきなさい。あれなら適度な日射しと水だけで素人でもそこそこ保ちますから」

石田「それにこの花屋敷の花卉は、深海棲艦の生態を調査するために必要なものが大半ですから、あまり個人所有はさせたくないですね」

飛龍「そういうことじゃないんだけどなぁ……」ハア

飛龍「あ、なら! 武蔵さんとケッコンしたら海に出てブーケトスすればいいかも!」

石田「…………なるほど、ブーケの形にするのも悪くないか」ブツブツ

石田「わかりました。その案を受けましょう。提案に感謝します」

飛龍「あ、よかった……」ホッ

石田「………………」

ヲ級「ヲヲ!」トコトコ・・・

石田「お、どうした、『ヲシドリ』? ――――――そうかそうか」フフッ

ヲ級「ヲヲヲ!」ニコニコ

飛龍「あ…………」

飛龍「………………」

飛龍「それじゃ、司令? 私はこれで――――――」


石田「待ってください。まだお礼をしていないです」


飛龍「え」

石田「よし、『このイエロー』でいいだろう」ガシッ


――――――ゴールドに近いイエローのバラ。


石田「これを」スッ

飛龍「え?」

飛龍「えええええええええ!?」ドキッ

石田「どうした? 『嬉しい』んじゃなかったのですか?」

飛龍「あ、――――――嬉しい! 嬉しいです、司令! すっごく綺麗です(それに何だか私の着物にそっくりかも!)」ニコッ

飛龍「で、でも、急にまたどうしてかな?」ドキドキ

石田「いえ、あっちの『濃紅色のバラ』や『青いバラ』でもよかったのですが――――――、」

飛龍「………… 一航戦の色」ボソッ

石田「今の私の飛龍に対する気持ちを表すとしたらこれかと思い、このイエローを選んでみました」

飛龍「そうなんですか(――――――『提督の私に対する気持ち』か)」ウットリ


242: ◆G4SP/HSOik 2014/10/21(火) 10:56:05.45 ID:CuqLu7mj0

飛龍「あ、それじゃ武蔵さんだったらどれを選ぶつもりなんですか?」

石田「そうか、武蔵にやるとしたら…………」キョロキョロ

石田「あ、――――――あれだ」コツコツコツ・・・

飛龍「――――――『白』?」

石田「これですね。この『一重咲きの白』です」

飛龍「どういう基準で選んでるのかな、司令?」

石田「…………答える義務はありません。それに選んでる基準も他所では違ってる場合があるので」

飛龍「……そう(でも――――――、)」クンクン

飛龍「ああ……、何というか引き込まれるような魅力がありますね」ニッコリ

石田「そうですか。喜んでもらえたようで何より」フフッ

飛龍「あ」

飛龍「…………よかった」ニッコリ


――――――
左近「石田司令、石田司令。新戦略研究局の石田司令――――――、」

左近「予定通りに、バシー島沖に【献花】してきましたよぅ」

左近「それじゃ、出番ですぜ。輸送ワ級の捕獲作戦を――――――」
――――――


飛龍「あ……、また始まっちゃう」

石田「さて、行くか」

ヲ級「ヲヲ!」ビシッ

石田「『ヲシドリ』、頼りにしている」

飛龍「あ、あの……!」モジモジ

石田「ん?」


飛龍「必ず帰ってきてください。絶対に! 待ってますから!」


石田「そんなことですか」

石田「当然です。戦いの勝利などに答えはない――――――答えはここで見つけ出すつもりです」フフッ

石田「帰ってくるさ。心配することはありません」

石田「(飛龍、お前はそうやってただ微笑んでいてくれ。今も昔も変わらず――――――、)」


――――――思わず目が眩むような『眩しい黄金色の希望』で俺の行く末を照らしていてくれ。


――――――第6話W-2 深海棲艦捕獲指令   -全ては暁の水平線に勝利を刻むために- 実践編 完

      Next:第7話W 鎮守府の守護神   -侵食される鎮守府- に続く!


246: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:50:13.23 ID:VQgPk04n0

第6話Z-1 海上封鎖を突破せよ  -世界は1つの大洋で繋がっている- 遭遇編

――――――拓自鎮守府


装甲空母姫「――――――」

X:鳳翔’「くっ」ゼエゼエ

Y:龍驤’「さすがに3対1でも2度殺すのがやっとやなぁ…………」ゼエゼエ

z:愛宕’「いやーん!」ゼエゼエ

――――――
朗利「聞こえるか、【派遣】組! もう十分だ。撤退してくれ」
――――――

X:鳳翔’「――――――『撤退』!?」

――――――
朗利「鳳翔夫人! 艦載機は消耗してないな! 陸に上がってやつを誘い込む。そこを【攻撃機】で叩いて欲しいから無事 戻ってきてくれ!」
――――――

X:鳳翔’「了解しました!」

長門「撃てえええええええええ!」バン!

ビスマルク「腕が鳴るわね! ――――――さあ撤退して!」バン!

装甲空母姫「――――――!」ドゴーン! ――――――中破!

Y:龍驤’「これはありがたい。ほな、遠慮なく退かせてもらいますわ!」

Z:愛宕’「ごめんね」

装甲空母姫「――――――!」バン!

ビスマルク「っつう!」ドゴーン!

長門「大丈夫か!?」

ビスマルク「まだよ! こんなのかすり傷にもならないわ!」


247: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:51:27.98 ID:VQgPk04n0

――――――
朗利「よし。【派遣】組は戦艦二人と合流できたか」

朗利「それに、あの鬼だか姫だかどっちかわかんないけど、中破に追い込めたようだ。これで撤退がしやすくなる。これは嬉しい誤算だ!」

朗利「五十鈴! 弾頭の詰替えは終わったか? 魚雷をありったけ撃ちこめ! 当たらなくたっていい! 撃ちまくれ!」
――――――

五十鈴「了解! 魚雷、一斉射!(でも、本当に3人の艦娘だけ撤退戦なんてできるのかしら?)」バババッ!

五十鈴「行ったわよ、長門、ビスマルク!」

装甲空母姫「――――――!」

ビスマルク「来た!」

長門「よし、やつが警戒した隙になるべく足止めしながら迅速に後退するぞ!」バン!

五十鈴「そして、――――――炸裂!」

ドッシャーン!

装甲空母姫「――――――?」


248: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:52:16.31 ID:VQgPk04n0

――――――
朗利「よし、どんどん退け! 撤退は順調だ!」

X:鳳翔’「朗利提督、あなたも早く!」

朗利「いや、ダメだ。今度は3人の帰りを待たないと」

朗利「それよりも、これがこの鎮守府一帯の地図と待ち伏せ地点です」

朗利「退避作戦の指揮を執っている愛月提督と合流して艦載機と空爆要員を補充して待機していて欲しい」

X:鳳翔’「…………わかりました」

Y:龍驤’「きみ、無理せんといてな。死んだらあかんよ」

z:愛宕’「悔しいけど、ここからは航空戦力の出番ね……」

タッタッタッタッタ・・・

五十鈴「提督!」

長門「遅れてすまない!」

ビスマルク「アドミラール!」

朗利「おう! 無事でよかった」

五十鈴「言われたとおりにしたけれど、――――――本当に良かったの?」

朗利「ああ。鎮守府が無くなったとしてもお前たちさえ無事ならば施設や資源がどれだけ失われようと問題ない。大本営がただで補充してくれるからな」

朗利「――――――使える燃料はありったけ海に撒いたな?」

五十鈴「う、うん……」

朗利「鬼か姫かはわからないが、この戦いは俺たちの完全勝利だ」


――――――まずは鎮守府海域を火の海にしてやる!


朗利「いかに深海棲艦とはいえ、奴らもこっちと同じ弾薬を使ってるんだ。その証拠にやつらは海の住人でありながら、海面から出て戦っている!」

朗利「となれば、周りで火の手が上がればいったいどうなるかな?」

朗利「今も昔も火器は火気厳禁ってな!」

長門「…………」ゴクリ

朗利「係留施設を利用できないようにしたのは確認済みだし、炎の海で踊れ! 上陸してきたら地雷と空襲の更なる地獄が待ってるぞ!」

ビスマルク「本当に迅速な行動よね。あらかじめ鎮守府放棄の手引書を作成していただけのことはあるわ…………ここまで鮮やかな総員退避は初めて見たわ」

五十鈴「そうね。こんなことされたらいくら私たちでも丸焦げになっちゃうわ…………たった1体相手にここまでする必要があるかは疑問だけど」


朗利「行けええええ、【艦爆】部隊! 汚物は消毒だああああああああ!」



249: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:52:59.70 ID:VQgPk04n0

――――――
艦爆妖精「焼夷弾を投下しまーす!」

ヒューーーーン! ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

装甲空母姫「!!!!!!??」

艦爆妖精「着火確認!」

装甲空母姫「!!!!!!!!」ドゴンドゴンドゴンドゴーン!

装甲空母姫「!!!!!!!!!!!!」ドッゴーン!

艦爆妖精「敵深海棲艦の装備の誘爆を確認!」
――――――

朗利「よし! 後は【偵察機】に任せて総員退避だ!」

艦娘たち「了解!」

朗利「これでまた、明日から鎮守府のはまた貧乏経営だな。――――――『明日があれば』の話だが」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

長門「――――――燃える。海が燃えている」

五十鈴「この分だと明日を迎えても燃え続けているでしょうね」

ビスマルク「…………これがアドミラールと一緒に眺めていたのと同じ海なの?」


――――――海は夜を越えても朝を迎えても燃え続けた。

何万ガロンもの――――――いや、とにかくありったけの燃料が撒かれた海はこの世に現れた焦熱地獄として深海棲艦を業火に包んだ。

それはもはや、4度殺さねば死なない程度の生命力など意味を成さないものであり、

燃え盛る炎によって深海棲艦の視界は遮られ、息が詰まり、終いには装備が誘爆する――――――。

たった1体の深海棲艦を始末するのにはやり過ぎるぐらいの酷い仕打ちであった。

しかし、朗利提督はそれを躊躇いなく行った。鎮守府そのものを巨大な焼夷爆弾に仕立て上げることも辞さない覚悟で臨んでいたのだ。

その覚悟と比べれば、たかが1体の鬼や姫を狩るなど取るに足りない問題だったのである。



250: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:53:42.59 ID:VQgPk04n0

――――――数日後


朗利「どうだ? 近辺に装甲空母姫の反応はなかったか?」

愛月「見つかりませんでした、司令官」

愛月「1日目から3日目まで炎の海となって、そこから連日連夜 大雨が続いたんです」

愛月「それに、退避作戦で係留施設を破壊して、撃退のために燃料を使ったので出撃がままならない状態が続きましたから」

朗利「…………不幸中の幸いとして、鎮守府の施設そのものは無事だったのがせめてもの慰めか」

愛月「利根たち索敵班からの報告は以上です」

朗利「すまない。俺が未熟なばかりに…………」

朗利「また、貧乏鎮守府に逆戻りしちまったな……」

愛月「そんなことはありませんって、司令官!」

愛月「司令官は3つの鎮守府を壊滅に追い込んだボス級深海棲艦の一角を犠牲なしで撃退したんですよ! これは凄いことじゃないですか!」

朗利「だが、仕留め損なった可能性が大きいと見るのが普通だ」

朗利「あくまでもあれは時間稼ぎに使ったものであって、確実に敵を葬るための手段としてはいくらでも欠点を指摘できる」

朗利「…………正面対決に使える戦力が足りなすぎた」

朗利「今回のように鎮守府に強力な深海棲艦に吶喊でもされたらひとたまりもないことがよくわかった……!」

朗利「それに、今回の場合は敵が単艦突撃――――――いや、英霊たちがあらかじめ敵を消耗させていたから何とかできたようなものだ」

朗利「やはり、戦艦と正規空母を揃えないといけないのか……」

愛月「以前に比べて艦娘も揃って来たんですがね……」


朗利「俺は、間違っていたのか? 石田提督のように強いだけの艦娘を育てていかないと守ることすらできないのか…………」


朗利「イベントマップに特攻して果てていった先人たちの愚挙を顧みて危うきに近寄らなかったのに、危うきから近寄ってきた…………」メメタァ

愛月「司令官……」

朗利「俺が【艦これ】を始めたきっかけは駆逐艦がロリータでとんでもない数の個性豊かなロリっ娘がたくさんいることに狂喜したからだ」メメタァ

朗利「考えてもみろ! 【艦これ】ほどロリロリに満ちたゲーム 他にあるか! まさしく  コンのためにあるようなゲームじゃないか」メメタァ

朗利「けれども、やはりそんなのは攻略に結びつかないという愕然とした事実を突きつけられる――――――!」

朗利「辛うじて、愛月提督のために許容範囲を拡げて筑摩や金剛は認めて戦力の水増しが図られているが……」

朗利「頼むから、ロリ戦艦とか実装されないかな…………あるいは幼女としての資質を備えた娘でもいい! 陸奥より長門みたいなのがいい!」メメタァ

朗利「そうじゃないと俺は、俺は、俺は…………」

愛月「………………」

朗利「俺たちもレベリングのためにオリョールやキス島とかを回らないといけないのかな……」メメタァ


大鳳「た、大変です、提督!」バン!


朗利「どうした! やはり装甲空母姫が潜んでいたのか!」ガタッ

大鳳「そ、それが――――――」


251: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:54:55.89 ID:VQgPk04n0



ルイージ・トレッリ「初めまして。イタリア:BETASOMのルイージ・トレッリです。日本名は伊504。西は大西洋、東は極東まで頑張りました」



朗利「ふおおおおおおおお!?」ガタッ

愛月「ラテン系白スク水のロリ天使キタアアアアアアアアアアア!」

朗利「は、はいぃいいい!? ――――――【海外艦】? しかもイタリアだって? それがなんでここに!?」

大鳳「ふ、普通に愛月提督が行った【建造】からです……」メメタァ

朗利「え?」

愛月「ま、まさか、新しく実装された艦娘!?」メメタァ

朗利「でも、【イタリア艦】って――――――」

ルイージ「私は地中海や大西洋で通商破壊に従事した後、遣日潜水艦作戦でアジアにまで派遣されて、」

ルイージ「最終的には日本帝国海軍に接収されて、戦後に紀伊水道で海没処分されました」

ルイージ「ですから、最終的な所属は日本だったので、その縁でこうして艦娘として生まれ変われたのではないでしょうか?」

愛月「ハア……、幼い外見して物凄く理路整然と――――――しっかりものなのね」

朗利「ロリ天使なだけあって理知的だな~(幼女としての素質は微妙なところだけど、西洋のエンジェルってやつのイメージそのままだな、こりゃあ!)」

ルイージ「それは……、他の娘たちが何もしなかったせいです」ボソッ

朗利「でも、いくら日本で沈んだからってイタリア生まれの潜水艦が【建造】されるものかな――――――」メメタァ

愛月「あ!」

朗利「どうした?」

愛月「私のところの金剛もイギリス生まれの帰国子女ですよ! 彼女がありならルイージちゃんだってありじゃないですか!」

朗利「ああ なるほど! 明らかに経緯は違うけど、曲がりなりにも日本海軍所属の艦として日本で沈んだんだもんな、それぐらい いいだろうってことか!」

ルイージ「はい。きっとそうなんですよ」


252: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:56:00.37 ID:VQgPk04n0

ルイージ「日本っていいところですよね」ニッコリ

朗利「ふぁ!?(――――――ラテン系ロリ天使が唐突に我が祖国を褒めてくれたぞ、おい!?)」ドキッ

ルイージ「ロマンを感じません? 昔、西はローマから東は日本まで続く交易路があったって話じゃないですか」

朗利「シルクロードだな。正倉院や宗像大社にはその交易品が今でも保管されているぞ」

ルイージ「そうです。私はそのシルクロードを通って極東の海までやってきたのです」

朗利「そうか。きみも遠い海の向こうからやってきたんだな……」

大鳳「司令官?」


朗利「なあ? 俺もいつかシルクロードを通って海の向こうへと行ってみたいから力を貸してはくれないか?」


ルイージ「はい! 生前も日本の方をお連れしたことがありますので、どうかまたよろしくお願いします!」

朗利「ああ いい娘だぁ! まさしく天使! 感激のあまりに涙が出てきそうだぁ……」

大鳳「この1週間、ずっと予断を許さない緊迫した雰囲気が漂っていましたからね」

朗利「ああ…………大鳳、この天使にスイーツ券を2枚進呈」

大鳳「はい」ニコッ

愛月「ドイツ艦に続く新しい【海外艦】のルイージ・トレッリちゃん! これからよろしくね!」

ルイージ「はい」ニッコリ


――――――ビスマルク、夢に向かって一歩前進したぞ!


GET! 潜水艦:ルイージ・トレッリ(優良潜水艦・航海要員)


潜水艦:ルイージ・トレッリ(イタリア)1940/05/25-1946/04/16
グリエルモ・マルコーニ級潜水艦4番艦
属性:【海外艦】【イタリア艦】 +改一:【ドイツ艦】 +改二:【伊号潜水艦】
改造:潜水艦:ルイージ・トレッリ → 潜水艦:UIT25 → 潜水艦:伊504

驚異の【海外艦】属性を持ちながら無条件で【建造】できる艦娘であり(要 司令部レベル50以上 あるいは【潜水艦派遣による海外艦との接触作戦】達成)、
このルイージを引き当てることによってZ1をロストした状態でも【海外艦】が【建造】できるようになるという特徴を持つ。
更に、【改造】を重ねる毎に国籍と名称が変遷するという変わった特徴があり、艦種が潜水艦のままで運用できるので凄まじく強い潜水艦となる。
イタリア艦では珍しく通商破壊で多大な戦果を上げた1隻であり、また遣日潜水艦作戦などの数々の作戦にも従事して終戦まで生き残っているので、
同じように戦後まで生き延びた伊58のような派手な功績はないが、幸運艦であることは疑いようのないとんでもない助っ人。
【耐久】【雷装】こそ伊58にも及ばないが、【装甲】の伸びしろが高く、高い【運】と合わせて他より1発多く耐えてくれる。
燃費も最高クラスでかつ戦闘能力も高くずっと【潜水艦】というハイスペックにまとまった【海外艦】に仕上がっている。

イメージとしては、【潜水艦】が水着ロリ指定なのでイタリア人が思わず海に飛び込みたくなるラテン系純白ロリ天使。
天使のイメージが主体なので、イタリア系にしては極めてまじめで古代のロマンを追い求める理知的な娘としてみた。



253: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:56:32.20 ID:VQgPk04n0

朗利「結局、装甲空母姫は2週間経っても発見されなかった」

朗利「拓自鎮守府はこれをもって警戒態勢を解き、本来の運営状態に戻すことになったが、大型艦の必要性を痛感して運営方針に変化が生じていた」

朗利「まずは、攻略を進めるための精鋭部隊の強化――――――つまりは愛月提督の艦娘たちの練度を上げることに重点を置くことになった」メメタァ

朗利「愛月提督の大型艦は金剛と比叡しかいないが、それでも駆逐艦と比べれば圧倒的な戦力なのでこれをまず集中的に育成することにした」

朗利「愛月提督の艦隊は、俺の純粋なロリ軍団とは違ってある程度 許容範囲を拡げているのでこれによって戦力の拡大を図ったのである」

朗利「また、【派遣】組に関しては規制を緩和して、憎き赤城と加賀の正規空母二人を常駐させる準備も始めることにした」

朗利「とにかく、個艦の能力が圧倒的に劣っているのが我が鎮守府の欠点なので、それを外来艦に補わせるというのも戦略的に間違ってないはずである」

朗利「もちろん、非常事態の備えであるためにあの二人を出撃させるつもりは毛頭ない。万年倉庫番――――――にするのはやめておこう」ゾゾゾ

朗利「一方で、以前に【建造】で獲得した【海外艦】ルイージ・トレッリはまさしく天使であり、戦場でも鎮守府でも神々しかった」メメタァ

朗利「旧大戦におけるヨーロッパ戦線と太平洋戦線では、基本的に艦艇に求められる前提能力が異なるために、」

朗利「敵国が非常に近いヨーロッパ生まれの艦艇は航続距離(=巡洋能力)を重視する必要がないために、燃費が日本の巡洋潜水艦より良いのだ」

朗利「それでいて、最高級の【運】と高水準の戦闘力を兼ね備えているので自然とルイージの出撃回数が多くなっていく」

朗利「疲労回復のために休ませていると、ルイージは寸暇を惜しんでせっせっせっせと文献を読み焦るのだ」

朗利「ルイージは好奇心旺盛――――――特に古代のロマンを追求するので自然と学術的なおしゃべりとなるので新鮮だった」

朗利「俺も愛月提督もそこまで歴史に詳しいわけではないことを知ってもがっかりせず、それどころか、」

朗利「積極的に交流を持とうと日本の様式に深い関心を示し、他の艦娘にも礼儀正しく分け隔てなく接するので大人気である」

朗利「俺と愛月提督はもちろん、むっつり   の長門も夢中なようで、あれこそまさしく子供のあるべき姿の1つなのだとしみじみ思うのであった」

朗利「ルイージちゃんマジ天使!」

朗利「まさしく、俺が考える“幼女の中の幼女”の究極の1つを体現したような突然の来訪者だったのである!」


254: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:57:54.28 ID:VQgPk04n0

金剛「園長ぉー!」

朗利「げ……」

金剛「どうしていっつも避けるんですか! 園長もGentlemanならLadyに優しくしないとNOデース!」

朗利「きみは愛月提督の艦娘だろう? どうして俺にかまうんだ?」

金剛「もちろん! 園長が素敵なGentlemanだからデース!」

朗利「そうか……」


朗利「すまないが、“恋する乙女”は俺の管轄外なんだ。比叡と霧島だったらOKなんだけど」


金剛「What's !?」ガーン!

朗利「そういうわけで、甘えるのならば愛月提督にして欲しい。俺にとってきみは“よその艦娘”だし、“比叡の姉”でしかないから」

金剛「Oh, MY GOD!」ガビーン!

朗利「俺に愛でられる資格があるのは“幼女の中の幼女”としての純真さを備える娘だけだからね。つまり“良い子”ってやつ」

朗利「というか、愛月提督だって立派な紳士淑女じゃないか。愛月提督のどこに不満があるっていうんだ?」

金剛「だ、だってぇ……、愛月提督は比叡の味方ばかりするのデース…………」

金剛「いえ、別に私は比叡のこと嫌いなわけじゃないデスヨ? 大切な大切な私の自慢のSisterデース」

金剛「でも、いっつもいっつも比叡に追い掛け回されるのも疲れるのデース! 愛月提督に言っても何にもならなかったデース」

朗利「Oh...」

朗利「(愛月提督のやつ、金剛×比叡の[ピーー!]な妄想に夢中になっているようだな。さすがは俺が見込んだ変 淑女だ。それでよい!)」

朗利「(しかし、こうやって俺のところに逃げ込まれるのは問題外だぞ。ある程度は苦言を呈さないといけないな、これは…………)」

金剛「そ、それに――――――」

朗利「ん」


金剛「愛月提督って、どことなく何か違うような気がするんデース」


朗利「…………具体的には?」

金剛「そ、その……、“男らしさ”というかどこか女の人って感じがして…………」

朗利「…………愛月提督が男じゃなくて女だったらどうだっていうんだ?」

朗利「きみはそれで愛月提督を見限る気なのか?」

金剛「!」

金剛「ち、違うんデス! 確かに愛月提督も素敵なGentlemanデース!」

金剛「でも、朗利提督と見比べるとあまりにも綺麗すぎて女性のようにしか思えないんデース」

金剛「もし仮に、本当に愛月提督が女性だったら私はイケナイFall in Loveしているんじゃないかって不安になる時があるんデス……」

朗利「なんだ、そんなことか」


朗利「別にいいじゃない! 愛した人がたまたま同性であっても!」


金剛「…………園長!?」


255: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:58:21.36 ID:VQgPk04n0

朗利「俺は雷とケッコンカッコカリをするつもりでいる」

金剛「Oh...」

朗利「雷は俺の母となってくれる女性だ!」

朗利「見た目が何だ! 歳の差が何だ! 性別が何だ!」

朗利「俺という人間が雷に惹かれたのは、嘘偽りなく小さいながらも精一杯 俺を受け止めようとしてくれる健気さと純真さだ!」

朗利「別にチョメチョメしたいというわけじゃない。俺は紳士協定を順守する本物の紳士だからな」

朗利「ただ、はっきりとした正式な形で艦娘である彼女を繋ぎ止めておきたいからケッコンカッコカリをするのだ!」

朗利「きみはこれから拓自鎮守府の一翼を担う高速戦艦なのだから、ここの司令官としては戦略的な意味でも頑張ってもらいたいところだが、」

朗利「迷いを抱えたまま戦場に出られて不運を引き寄せる結果にはしたくないから、はっきり言わせてもらった!」

金剛「!」

朗利「迷うぐらいなら思いっきりぶつかってはっきりさせてみろ! ――――――犯罪にならない程度に」

朗利「それぐらいの度胸もなくウジウジと時間を無駄にするぐらいならば、もう恋なんてするんじゃあない!」

朗利「そして、傷心に苛まれるようならばいつでも園長である俺の許を訪ねなさい。 ――――――その時は紳士としてお応えしよう」

金剛「園長……」

朗利「あ、勘違いされても困るからいうけれど、俺は“恋する乙女”なんていうメンドクサイ生き物は嫌いだから。だから、榛名も苦手かな」

朗利「俺はね、愛されるよりも愛でていたいという人間だから、恋愛はお断りします」

朗利「Do you understand ?」

金剛「Yes、My Principal !」ニッコリ

朗利「うん。良い笑顔だ。“恋する乙女”じゃなければ愛でてたんだがな…………」

金剛「フフフ、提督へのBurning Loveはもう誰にも止められませんからネー!」

金剛「Thank you very much, My Principal !」

朗利「You're Welcome. Goodbye, See you again, Lady in Love」



256: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:58:54.50 ID:VQgPk04n0

朗利「…………金剛型って何ていうかさ、“おばあちゃん”って感じがするんだよな。孫にダダ甘な」カキカキ

愛月「え」

朗利「だから俺はなんとなく嫌いなんだ。幼女とは正反対に位置する存在だから」

愛月「確かに【艦これ】で登場する艦娘の中で一番艦歴が高いのは何を隠そう金剛と比叡ですからねぇ」メメタァ

朗利「あれさ、60歳の還暦を迎えた姿を想像しても性格や格好は絶対に変わらない感じがして怖いよな。実に完成されたデザインだよなー」メメタァ

愛月「や、やめてくださいよ! 女性に老ける想像をするだなんて侮辱ですよ」

朗利「ん? 愛月提督って“女”だったっけ?」

愛月「…………“クレイジーサイコレ の変 淑女”です」

朗利「だよな。金剛×比叡の同人誌を描くの忙しい立派な変 淑女だよな」

愛月「ど、どうしてそれを!?」ビクッ

朗利「変 淑女のきみの考えていることぐらいわかるさ。俺は紳士協定を結んでいる本物の紳士だから」

朗利「しかし、いくら比叡が可愛いからと言って金剛×比叡の絡みを黙認しすぎていると金剛から信頼を失うぞ」

朗利「あいつ、俺のところに逃げ込んできたからな」

愛月「あ……、すみません。園長のお力添えがあったおかげで最近また明るく振る舞ってくれるようになったのですね……」

朗利「まあ 気をつけることだな。愛月提督は金剛と筑摩という例外を抱えているんだから、同じように扱ってちゃ愛想尽かされるぞ」

愛月「筑摩ですか……、気をつけます」

朗利「利根は可愛いよな。妹にやたら対抗意識を燃やしていて一途に頑張っているものな。それに物知りなようで無知なところもイイ!」ドキドキ

愛月「はい! のじょロリ ごっつぁんです!」キラキラ

朗利「けど、筑摩はヤバイ。あれこそクレイジーサイコレ だわな。俺は大井さん以上にそっちの素質があるように思える」

朗利「妄想の世界に浸りまくって姉と常にじゃれあっていると思い込んでいる姿なんて見ていて虚しいものだ」

朗利「利根は対抗意識は燃やしてはいるが、あまりそういったところの意識はしてないんだもんな。あの姉妹、スキンシップしているのだろうか?」

愛月「そう考えると、ケッコンオコトワリ勢の比叡や噂の大井さん以上に何か恐ろしいものを感じますね…………」メメタァ

朗利「そうだとも。某所ではペルソナ使いと呼ばれているぐらいだからな(――――――お面をかぶっているんじゃないかってことで)」メメタァ


257: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 10:59:48.54 ID:VQgPk04n0

朗利「さて、そろそろ西方海域の完全攻略にとりかからないといけないな」

愛月「残すは、カレー洋のカスガダマ島を陣取っているという装甲空母鬼――――――!」

朗利「最初に確認された鬼ということでこれまで攻略せずにいたが、」

朗利「装甲空母姫のほうに鎮守府を襲撃された以上はやはり倒せるだけの実力を擁さないとな」

朗利「当面の攻略の目標は、このカスガダマ島の装甲空母鬼を倒せる編成を2陣用意することになるな」

愛月「あ、装甲空母鬼を倒すと最終形態として装甲空母姫に入れ替わるようです」メメタァ

朗利「そうか。あの日、鳳翔夫人たちが2度沈めて変 したというのはそういうことか。壊滅した味方がそれ以前に1度は沈めてくれていたのか……」

朗利「そんなのを丸焼きにしてやったのか、俺は…………」

愛月「先人たちの情報によると、この最終形態の攻略が最も困難だと書いてあります」メメタァ

愛月「駆逐艦の火力では突破することは困難であり、大型艦などの超火力を駆使しないとまず突破は無理だという話です」

朗利「潜水艦ヨ級flagshipがとてつもなく堅いし、当然ながらボスの装甲空母鬼も姫も手強い」

朗利「少なくとも俺の艦隊から出せるのは、長門とビスマルク、五十鈴と大鳳は確定だ。ここからは本当に個艦の能力が戦局を左右する」

愛月「最短ルートに入るために必要な重巡と攻撃要員の正規空母が足りてません!」メメタァ

朗利「そこは【派遣】で間に合わせよう。以前だって愛宕を【派遣】してもらったし、コネなら今もある」

朗利「とにかく、前哨戦は問題ない。俺の第六駆逐隊で何とか倒せるはずだ」

朗利「それに、司令部からもらった数々の試験装備があることだし、それを駆使すれば先人たちよりも楽に攻略は進むはずなんだ」

朗利「ただ、俺のところの精鋭と第六駆逐隊だけでは兵力的にどうしようもないことはわかっている」

朗利「練成を頑張ろう、今日も明日も」

愛月「はい!」

朗利「それじゃ、今日の3時のおやつは――――――」


大鳳「た、大変です!」


朗利「どうした!? やはり装甲空母姫が――――――」

大鳳「そ、それが今度は――――――」



ドレッドノート「ほう、ここがわらわの新たな城ということか。ずいぶんとせせこましく風情がないが実に機能美に溢れているな」



朗利「は」

愛月「え」


258: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:00:34.65 ID:VQgPk04n0


ドレッドノート「おお、そなたがここの司令官か? わらわは戦艦:ドレッドノート。では、良きにはからえ」ドヤア


朗利「は? 『ドレッドノート』と言いましたか、女王陛下?」

朗利「(どう見てもイギリス絶対王政全盛期のビクトリア女王の肖像画そのものの風貌なんですけど!)」

ドレッドノート「その通り。わらわこそドレッドノート。新時代を開拓するロイヤルネイビーの誉れなり」

愛月「――――――圧倒的【旧式艦】ですよね?」ヒソヒソ

朗利「あ、ああ……、果たして戦力になるのか怪しいぐらいなのだが…………重巡にすら劣るんじゃないのか、あれ?」ヒソヒソ

ドレッドノート「そなたら、何をコソコソと話している? わらわにも聞こえるように話さんか」

大鳳「あ、あははは……」

ドレッドノート「そなたも何が可笑しくて薄気味悪い笑みなんぞ浮かべておるのだ? わらわに申してみよ。力になってやろう」

朗利「えと、女王陛下? ――――――ご足労おかけしました。突然の来訪で私たち一同 何をしてやればよいのか頭が回らず、」

朗利「誠に申し訳ございませんが、ここで立ち話もなんですし、ただいまお席を用意いたしますので、」

朗利「そこでこちらにお越しになられた経緯をお話していただけると助かります。どうかよろしくお願いします、女王陛下」

ドレッドノート「ほう。見たところ、わらわを喚んだのはそなたのようだが、見事な紳士ぶり――――――褒めて遣わす」

朗利「は、ははぁ! ありがたく存じます」

朗利「では、どうしましょう? 急なもんですから部屋の予約は今 取れるかな?」

愛月「部屋の準備などは私と金剛でやっておきますので、しばらく鎮守府の案内をしてみてはいかがでしょうか?」アセアセ

ドレッドノート「よし。そうしよう。では、案内せい」

朗利「は、ははっ!(――――――って、あれ? 艦娘ってこんなに偉そうに振る舞うもんだっけ?)」

大鳳「わ、私もお供いたします、提督!」



259: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:01:59.67 ID:VQgPk04n0


コツコツコツ・・・・・・


ドレッドノート「ほう、故郷の軍港とはずいぶんと違った景色が見えるな。これはこれでおもしろいものだな」

朗利「はい。今は21世紀ですから。ドレッドノート様がお生まれになった時代からおよそ1世紀は経っていますよ」

大鳳「………………」ハラハラ

ドレッドノート「なんと! これが21世紀の未来というものなのか! 道理でな」

朗利「(ちくしょう! 何がどうなってBBAの接待をしなければならんというのだ! やっぱり金剛と同じ臭いがしやがる!)」ピクピク

大鳳「(あ、園長が金剛さんとお話している時と同じように眉間に皺が――――――!)」ハラハラ

ドレッドノート「…………そなた?」ピタッ

朗利「はい、何でございましょう?」

ドレッドノート「何か失礼なことを考えてはおらんだろうな?」ニヤリ

朗利「…………どういったことでしょうか?(――――――くっ、老獪なBBAめ! とっとと海に帰れ!)」

ドレッドノート「わらわの甘く見るでないぞ? わらわの登場で先人たち全てが時代遅れの烙印を押されたのだからな」

ドレッドノート「それ故に、多くの同胞から恨みを買っていたのでな?」

ドレッドノート「今、そなたらがどういった感情でわらわに目で訴えかけているのかはすぐにわかる!」


ドレッドノート「そなた、ズバリ嫉妬しておるな!」


朗利「え」

大鳳「……え」

ドレッドノート「ふふふ、図星だな。そなたは司令官としての威厳が足りないことを後ろめたく思っているな?」

朗利「…………っ!(な、なんだと!? そこまでわかってしまうのか、年寄りというものは――――――!?)」

ドレッドノート「まあ、それは無理もあるまい」

ドレッドノート「なんといっても、このわらわを前にしているのだからな! わらわの威光の前に恐縮してしまうのも無理はない!」


260: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:02:28.07 ID:VQgPk04n0

朗利「は、ハア……(あれ? 思ったよりも全然――――――)」

ドレッドノート「そして、そなた! 名は何と言ったかの?」

大鳳「た、大鳳です!」

ドレッドノート「そなたも、駆逐艦であることを気にすることなく堂々とするがよい」

大鳳「え…………」

朗利「おい…………(こんのBBA! 言いたい放題 言ってくれじゃねえかよ!)」

ドレッドノート「駆逐艦には駆逐艦にしかできぬことがある。古代の騎士たちとて、武器の持ち替えのために従者を必ず連れていたのだ」

ドレッドノート「よって、大物相手にはわらわが先陣に立って華麗に敵を討ち果たそうぞ!」

ドレッドノート「だから、そなた! わらわの決闘に横槍が入らないように小物を打ち払い、しっかりわらわを守ってくれたもれ」

ドレッドノート「それこそがそなたの誉れよ! わらわはちゃんと見ているからな! 期待しているぞ!」

ドレッドノート「では、参るぞ」

朗利「あ、いや、この娘は旧帝国海軍空母の完成形の1つ――――――」

大鳳「…………提督、いいんです。私、気にしてませんから」ヒソヒソ

朗利「いいのかよ! 思いっきり声が小さくなってるじゃないか!」ヒソヒソ

大鳳「そ、それに、私たちは半世紀ほど前の存在ですけれど、あの方は1世紀も前の人ですから、航空母艦のことを説明してもわからないと思います」ヒソヒソ

朗利「いや、俺の記憶が正しければ第一次世界大戦の後に解体されたから少しぐらい向こうも知っているだろう」ヒソヒソ

大鳳「いいんです。そんなことは重要じゃありません」ヒソヒソ

大鳳「さあ、提督。1つの時代を切り拓いた偉人を精一杯おもてなしをしましょう」ニコッ

朗利「あ、ああ…………」

ドレッドノート「ん? どうした、お二人。案内人の二人がわらわよりも遅れるとは何事か」

朗利「申し訳ありません(――――――こんのぉBBA! 地球の裏側で人気の激アマスイーツをごちそうして糖尿病にしてやろうか?)」



261: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:02:58.42 ID:VQgPk04n0


コツコツコツ・・・・・・


ドレッドノート「ん? 何だ、あの建物は? ずいぶんと大きいが、別な工廠か?」

大鳳「あ、いえ、あれは“朗利パーク”と呼ばれるこの拓自鎮守府の宿舎兼娯楽施設なんです」

大鳳「最近はそうでもないですけれど、拓自鎮守府の最高司令官の朗利提督は普段はあそこで執務をしております」

ドレッドノート「ほほう? どれ、行ってみるか」

朗利「あ、あの……、そろそろ部屋の準備もできましたし、一旦 引き返して――――――」

ドレッドノート「わらわが行くといったのだ。付いて参れ」

朗利「ああ……」

大鳳「て、提督……」

朗利「しかたがない。大鳳、愛月提督に部屋を移すように言っておいてくれ」

朗利「こうなったら、“俺のパーク”で午後のティータイムを楽しむとしよう」

大鳳「わかりました……」

朗利「まったく何なんだ、この【旧式艦】がぁ…………(天龍型のポンコツよりもポンコツのくせにその上を行く尊大さをどうにかしやがれ!)」

ドレッドノート「どうした! 早くせぬか! わらわをあまり待たすでない!」

朗利「お待たせしました! 段取りの確認をしておりまして――――――(…………このばあさん、ホント天龍と同じ臭いがする)」




262: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:04:26.41 ID:VQgPk04n0

――――――朗利パーク

――――――階下を見下ろせる渡り廊下


ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー

ドレッドノート「ほう、駆逐艦がいっぱいだのう」

ドレッドノート「よくもまあこれだけの駆逐艦を集めることができたものよ」

朗利「ええ。そのために大型艦寮は取り潰してその分を新しい宿舎と娯楽施設に充てましたから」

ドレッドノート「む? そこな娘よ、ずいぶんと肌を見せているが大丈夫か? 靴も履いていないとはなんと哀れな……」ナデナデ

ハチ「え!? ハッちゃんは大丈夫ですからお気になさらず、ご婦人!」アセアセ

朗利「あ、その娘は潜水艦ですからそういう格好なんです。虐待なんかじゃありませんから」

ドレッドノート「む? もしやU-ボートのことか?」

朗利「はい。そうですよ。正確には日本のそれは技術者を招いて生まれた分家筋ですけど」

ドレッドノート「あのU-ボートがこんな身形に………………いくら敗戦国の生まれとはいえ これは人道に悖るものではなかろうか」ブツブツ・・・

ドレッドノート「そういえばあの大戦の後、ドイツではハイパーインフレで大変なことになっていたと聞く」ブツブツ・・・

ドレッドノート「戦後賠償とは言え、あまりにもこれは酷過ぎるのではないだろうか……」ブツブツ・・・

朗利「おーい、女王陛下?」ナデナデ

ハチ「て、提督、もっとぉ…………」テレテレ

ドレッドノート「ハッ」

ドレッドノート「むぅ。そなたはわらわに撫でられるよりもこの男の手のほうが嬉しそうにするのだな?」プクゥ

ハチ「え?! いや、そういうことでは――――――」アセアセ

朗利「ハッちゃん、もういいから行きなさい」

ハチ「あ、でも――――――」

朗利「いいから、ね?」ニコッ

ハチ「う、うん……」

タッタッタッタッタ・・・

ドレッドノート「ん? なぜあの娘は勝手にわらわの面前から去ったのだ? 挨拶もなしとは無礼であろう」

朗利「大目に見てやってください。あの娘はまだ新入りで私以外に懐いていないのでどうか――――――」

ドレッドノート「どれ、ならばそなた! 今度はわらわの頭を撫でてみせよ。それでわらわを満足させられたら不敬を許そう」

朗利「はあ!?」

朗利「――――――『不敬』って何ですか、『不敬』って!」


263: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:05:06.34 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「わらわはドレッドノート! わらわの前に人はなく、わらわの後に人が居るのじゃ!」

朗利「そんな無茶苦茶な! 見知らぬ人にいきなり撫でられたら誰だって反応に困りますって!」

ドレッドノート「それがわらわに対する『不敬』と言うのだ、無礼者め!」

ドレッドノート「末端の者がわらわを知らぬとは、これは末端の者を預かり持つ司令官の不徳といたすところぞ!」ジャキ

朗利「ぎゃっ!? ――――――クロスボウ?!」ゾクッ

ドレッドノート「安心するがよい。わらわは狩りは得意でな、こうやって狙った獲物は絶対に外さない自信があるぞよ?」ジロッ

朗利「き、貴族様の高尚な趣味にはついていけません…………(アクティブすぎる! や、やめろ! この馬鹿! 俺を殺すのならここはダメだ!)」ギラッ

ドレッドノート「ほう……」

朗利「…………?」アセタラー

ドレッドノート「そなた、いい目をしているな。瞬き1つせずに――――――このボウガンが怖くないのか?」

朗利「そりゃ怖いさ! けど、殺すのならここだけは止めてくれ! ここからでも見えてるんだぞ! 幼気な娘に悪い影響を与えすぎる!」ジロッ

ドレッドノート「………………ほう?」

ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー

ドレッドノート「………………!」ジャキ

朗利「………………!」ジロッ

ドレッドノート「………………」

朗利「………………」ジー


ドレッドノート「フッ、運がいいな」スッ


朗利「…………ホッ」アセタラー

ドレッドノート「ジョークじゃ、ジョーク。今のはジョークじゃ」ハッハッハッハッハ・・・

朗利「お、お戯れを……(こんなブリティッシュジョークがあってたまるかよ、まったく! 鉞 持ったジョージ・ワシントンくんじゃあるめえし)」

ドレッドノート「極東には変わった人間が多くいると聞いたことがあるが、そなたも“傾奇者”とやらの一人なのだろうな」

朗利「え?」

ドレッドノート「ほれ、さっさとわらわの頭を撫でんか」

朗利「ああ……、結局 やるんだ、それ」ヤレヤレ

ドレッドノート「光栄に思え。このドレッドノートに触れることを特別に許すのだからな」ドキドキ

朗利「…………何を期待してるんですか?」

ドレッドノート「そなたから伝わる“ノーブル・オブリゲーション”の精神よ」

朗利「…………何を言っているのかはわかりませんけど、それでは失礼します」ナデナデ

ドレッドノート「おお…………」


264: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:06:56.28 ID:VQgPk04n0

朗利「(何を考えてやがるんだ、このBBA? ボウガンで俺を殺しに掛かったと思えば、今度はこうやって触るのを許すだなんて…………)」ナデナデ

ドレッドノート「(なるほど、わらわに対する警戒心があるものの、相当な場数を踏んで洗練された実に心地よい撫で具合よのぅ)」

ドレッドノート「(それだけ戦場では見向きもされないような雑兵である駆逐艦たちに愛と真心の精神を持って接しているのが伝わるな)」

ドレッドノート「(それは上に立つ者として当然のこと。いつだって真っ先に犠牲になるのは末端の者だ。だからこそ上に立つ者を恨み妬む)」

ドレッドノート「(しかし、こやつは最も現実的な勇気を求められる末端の兵たちに愛と真心をもって接しているからあれだけ慕われているのだな)」

ドレッドノート「(こやつが高所から姿を見せただけで、遊んでいる艦娘たちが一同に笑顔や手振で迎えくれているのが何よりの証!)」

ドレッドノート「(だが、同時に恐怖も抱いているようでもあるな。所々で念が乱れているようにも感じるぞ)」

ドレッドノート「(どうやらこやつは辛い現実を目の当たりにして、今 行おうとしていることに自信を持てずにいるのではないか?)」

ドレッドノート「(しかし、『強きを挫き 弱きを助ける』その精神はまさしく本物! こやつには自分の命よりも本当に大切なものがある!)」

ドレッドノート「(そう、わらわは幸運よ。これほどおもしろき男と極東の地で最初に逢うことができたのだからな)」

朗利「………………」ナデナデ

ドレッドノート「もうよい。十分に堪能したぞ」フフッ

朗利「……そうですか」


ドレッドノート「で、そなた、わらわの騎士にならぬか?」


朗利「は?」

ドレッドノート「騎士の位を授ける。今後、わらわに尽くしてくれたもれ」

朗利「何 言っちゃってくれてるんですか、この女王陛下はああああああああ!?」

ドレッドノート「ん、何か不満か? それとも騎士の位では役不足か?」

朗利「いやいやいや! どうして艦娘であるあなたにそんな権限があるんですか! 絶対服従の因子でそんなこと言えるはずないでしょう!」

ドレッドノート「『絶対服従の因子』――――――なるほど、この感覚はそういうことか」

朗利「は」

ドレッドノート「残念だが、司令官よ。どうやら『絶対服従の因子』とやらはあくまでも主従の関係を結ぶことであって、」

ドレッドノート「そのどちらが主となり従となるかは決められていないものらしい」

廊下「何それ?! 衝撃の事実ぅ! これは報告しておかないとマズイ――――――ガウッ」グイッ

ドレッドノート「つまり、そなたがわらわの騎士となってわらわに忠誠を誓うことには何の問題もない」ガシッ


265: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:07:55.15 ID:VQgPk04n0


ドレッドノート「わらわはそなたが欲しい。わらわのものになれ!」


朗利「うっそおおおおおおおおおおおん!?(BBAに関係を求められるってどういうことなのおおおおおお!?)」ゾゾゾ・・・

朗利「お、お戯れを! 俺は確かに愛月提督に仕事の7割はやらせてますけど、俺が受け持つ残り3割はとても重要なことなので、」ジタバタ

朗利「あなただけの騎士でいられるわけじゃありませんから!」ジタバタ

ドレッドノート「ふふふ、そなたをわらわの配下に置くことができたらさぞ大英帝国は繁栄するであろうな」

朗利「いえ、私は大日本帝国――――――つまりは皇国に忠誠を誓っている身ですから! それには従えません!」ジタバタ

ドレッドノート「だからこそだ! そなたのような気骨ある人間をわらわは欲している! だから わらわのものになれ!」

朗利「ちょっと待って! 一度折れたら、その気骨というものはあんたが求めていた時の輝きを失っているんじゃないの!?」アセアセ

ドレッドノート「安心せい。折れたら繋ぎ直して元の栄光でまた輝かせるぞ」

ドレッドノート「わかっておる。そなたは日本人、わらわはイギリス人じゃ。異なる風土で生を受けて育ったのだから相容れぬものがあるだろう」

ドレッドノート「だが、はっきり言おう」


ドレッドノート「実はわらわは、そなたがわらわの威光の前に屈服していくさまを所望している」


朗利「いやあああああああああああ!(とんでもないSの女王だったあああああああああああ!)」アセダラダラ

ザワザワ・・・ザワザワ・・・・・・!

朗利「み、見てます! 見てますぅー! 下の娘たちがメッチャこっち見てます!(いやぁー見ないでー! サドマゾプレイなんて流行らないで~!)」

ドレッドノート「ふふふふ、ならば見せつけてやろうではないか」ニヤリ

ドレッドノート「――――――そなたがわらわに屈服して忠誠を誓う様をな」ドン! ――――――鋭い蹴り回し!

朗利「あいだっ?!(足腰に強烈に痛みが――――――! 身体が傾く――――――!)」ドサッ


266: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:08:36.62 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「さあ、わらわの前に跪いてわらわの靴に口づけをせよ」グリ、グリグリグリ・・・

朗利「ちょ、ちょっとぉ! いくら女王陛下でも人の頭を踏んづけているのは傍から見てハシタナイですよ!」グリグリグリ・・・

朗利「というか、痛い痛い痛い痛い……!(覗こうと思えば見えるけど、BBAのスカートの中なんか見えても嬉しくねぇ!)」

ドレッドノート「それだけわらわは本気ということだ」

ドレッドノート「なに、ちょっと力を振り絞ってわらわの靴に口付けをすればそれで終わる――――――」

ドレッドノート「そう、それでその苦痛は終わるぞよ?」

朗利「あ、悪女だ、悪女がおる……(くっそ、【旧式艦】とは言え、蹴りの威力が半端じゃなかった…………足腰が立たねぇ! 逃げられない!)」

ドレッドノート「褒め言葉として受け取ろう」フフッ

ドレッドノート「本物の王というものは、国のために必要と思ったものはどんな手を使ってしてでも手に入れるものさね!」

ドレッドノート「そう、これだけ暴行を加えられたのに口からは決してわらわへの暴言が出ない見上げた騎士道精神よ! ますます欲しい!」

朗利「う、うるさい! さすがに怒るぞ……!」

ドレッドノート「では、切り口を変えるか――――――」グイッ

朗利「あああああああああああああ!(今度は俺の手をハイヒールで踏みつけてえええええ!?)」ベキベキベキ・・・

ドレッドノート「いいかげん諦めたらどうだ? そなたの悲鳴がわらわには心地よい嬌声にしか聞こえぬぞ?」ヒソヒソ

ドレッドノート「衆目もあることだし、ここらで切り上げねば本当にそなたは変 マゾヒストの烙印を押されてしまう――――――」ヒソヒソ

ドレッドノート「それだけは避けたいであろう?」ヒソヒソ

ドレッドノート「なあ? 口付けは一瞬だが恥は一生ものだぞ? そなたとしては仮初めの仮面を被るだけで良いのだぞ?」ヒソヒソ

朗利「う、うぅ…………『仮初め』――――――?」

ドレッドノート「そうだとも。『絶対服従の因子』で結ばれるのは忠誠であって、別に人間であるそなたにそれが備わっているわけではあるまい?」ヒソヒソ

ドレッドノート「ならば、さっさと口付けをしてわらわを納得させて、それで知らんぷりを決め込めばいいではないか?」ヒソヒソ

ドレッドノート「そなたはあまりにも素直過ぎるぞ? まあ、そんなところもわらわはとても気に入っているのだがな」ヒソヒソ

朗利「あ、ああ………………」

ドレッドノート「そう、そうするのだ。それで痛みはなくなり、痛みから解放される――――――」

ドレッドノート「さあ、『仮初め』の口付けをこの靴にするのだ」ニヤリ

朗利「あ、うああ………………」


「だ、ダメええええええええ!」


ドレッドノート「!」

朗利「…………?」ピタッ


267: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:10:25.33 ID:VQgPk04n0


ビスマルク「アドミラールは! 私と! 一緒に! ドイツに行くんだから! イギリスの女王なんかに! 渡さない!」ダッダッダッダッダッダ!


ドレッドノート「おっと」ヒョイ

朗利「あ、いってぇ…………」ゼエゼエ

ビスマルク「だ、大丈夫、アドミラール?」

朗利「…………ビスマルクか?」ゼエゼエ

ビスマルク「大丈夫そうね。安心して、アドミラール。今、無礼千万な客人を追い出してあげるから!」

ドレッドノート「あら? ドイツの小娘が恐れ多くもこのドレッドノートに戦いを挑もうと言うのかしら?」

ビスマルク「ど、『ドレッドノート』って――――――、いや、そんなバカな…………」

ドレッドノート「フフッ、わらわの威光の前に声も出ないようね?」

ビスマルク「あは、あはははははは!」

ドレッドノート「むっ、なぜそこで笑うのかしらね?」

ビスマルク「え? 私はてっきり【イギリス艦】と聞いてプリンス・オブ・ウェールズやフッドが相手だと思っていたのに、」

ビスマルク「よりにもよって、相手がドレッドノートなんていう【旧式艦】だものねぇ!」

ドレッドノート「!」

ビスマルク「おもしろい。世代差というものを教えてやるわ」

ビスマルク「あなたは知らないだろうけど、私は第二次世界大戦でヨーロッパ最強の戦艦と言われた、いわばあなたの超強化版よ」

ビスマルク「旧世代の主砲なんかで私が倒せるかしらね? 逆にひとひねりよ」

ドレッドノート「…………客人は丁重にもてなすのが礼儀というものじゃないかしらね?」

ビスマルク「黙りなさい! いったいどこの世界に出会って初日の相手を小間使いにする傲慢な艦娘がいるというのかしら!」

朗利「…………お前も最初は似たようなもんだったろう」ボソッ

ビスマルク「アドミラール?」チラッ

朗利「はい……」

ビスマルク「べ、別にアドミラールであるあなたの命を助けるのは艦娘として当然の義務だけれど、」モジモジ

ビスマルク「こう、お礼みたいなのがあってもいいのよ?」ドキドキ

朗利「そらきた……」スッ(――――――左手で人差し指を立てる)

ビスマルク「ふーん」ジトー

朗利「…………わかった」スッ(――――――今度は2本の指を立てる)

ビスマルク「よし!」グッ

朗利「…………ハア(これだから戦艦というやつは――――――)」


268: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:12:09.75 ID:VQgPk04n0

ビスマルク「さあ、覚悟なさい! アドミラールは私が守る! そして、ドイツに連れて行ってあげるんだから!」ゴゴゴゴゴ

ドレッドノート「やはり、彼ほどの人材はどこでも欲しがるか…………けど、諦めないよ!」ゴゴゴゴゴ


金剛「HEY, YOU, STOP ! Freeze ! HOLD UPネー!」


ビスマルク「!」

ドレッドノート「…………!」

X:赤城’「こういう時でしかお役に立てませんからね!(ここで何としてでも功績を立てて朗利提督からスイーツ券を――――――!)」

X:加賀’「それ以上はやらせません!」

大鳳「………………」ジャキ

ドレッドノート「あらあら、どんどん強そうなのがやってきてまあ…………」

長門「ここまでだな」ジャキ

五十鈴「いくらなんでもやりすぎよ!」ジャキ

ドレッドノート「ほう、確かにわらわの主砲なんかよりもずっとずっと大きい主砲よのう」

ドレッドノート「そうか、本当にわらわはここでは【旧式艦】――――――思えばわらわの時代は短かったな」

金剛「では、Lady ! Come Here ! 私がお招きしてしまったようですから、悪いようにはいたしませんカラ」

金剛「当初の予定通りに、これから TEA TIME とイタシマショー」

ドレッドノート「フフッ、なるほど。どこかで見覚えがあると思ったら、そなたは――――――」

金剛「金剛デース! 遠路遥々お越しいただきアリガトウゴザイマシター! でも、お戯れが過ぎますヨー、ドレッドノート様」


ドレッドノート「なぁに、ただ単にわらわはあの男が欲しくなっただけよ」ニヤリ


金剛「What's !?」ドキッ

大鳳「………………!」ドキッ

長門「な、何を言っているのだ、あ、あなたは…………」ドキッ

五十鈴「いいいい、いったいこんなガチ    コンのどこが気に入ったって言うのよ! 見る目ないわね、あなた!」ドキッ

X:加賀’「さすがは朗利提督の艦隊です。よくまとまっています」

X:赤城’「いいですよね~。提督の洋食も美味しいですけれど、朗利提督のスイーツもぜひともいただきたいものです」ジュルリ

ビスマルク「あ、あなた! まだ減らず口を…………大丈夫、アドミラール?」ガシッ

朗利「…………まだこちらの要件は何一つ果たしてもらってない。ティータイムに入ろう」ヨロヨロ

大鳳「あ、わかりました……」

ドレッドノート「そういうところさ」フフッ

五十鈴「ふぇ!?」カア

ドレッドノート「それじゃ、待っているぞ、司令官。わらわをあまり待たすでないぞ」

ビスマルク「…………!」カッ


ビスマルク「とっとと行きなさい! アドミラールは誰にも渡さないんだから!」ムギュウウ!


朗利「おお?!」ドキッ

ビスマルク「あ」カア

艦娘たち「………………」ジー


269: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:13:06.01 ID:VQgPk04n0

金剛「WOW! 大胆ですネー!」ドキドキ

X:赤城’「ふふふ、提督と鳳翔夫人の関係とはいきませんが甘酸っぱくて微笑ましいですね」ニコニコ

X:加賀’「………………さすがに気分が高揚します」ドキドキ

ビスマルク「あ、いや、その……、今のは弾みというか何というか…………」アセアセ

長門「提督、肩を貸そう」ガシッ

朗利「すまない…………足腰を強く打ったからうまく立てないんだ」ヨロヨロ

ビスマルク「あ、ちょっと、長門!」

ドレッドノート「あはははは! 若い若い!」ニヤニヤ

ビスマルク「よ、よくもぉ…………」カアアア!

金剛「おっと、そこまでデース! では、ドレッドノート様、席はこちらですヨー! Please Follow me !」

ドレッドノート「うんうん。それじゃあまたね、司令官」ニコッ

コツコツコツ・・・・・・

ビスマルク「………………!」プルプル

ビスマルク「――――――帰る!」バッ

朗利「うわっ……」ガクン

五十鈴「ちょっと! 急に放したら危ないじゃないのよ!」ガシッ

長門「おい、ビスマルク!」

ビスマルク「ふん!」プイッ

タッタッタッタッタ・・・

X:赤城’「行ってしまいましたね……」

X:加賀’「………………」ドキドキ

朗利「まったくビスマルクめ」フフッ


270: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:14:10.17 ID:VQgPk04n0

五十鈴「大丈夫?」

長門「大丈夫か、提督?」

朗利「このままはさすがに辛い。早く席に連れてってくれ」

長門「わかった」

ズリズリ・・・・・・

朗利「ははっ、しかし とんだ海外の大物がまた流れ着いたものだな…………」

朗利「しかし、どうしてまた【海外艦】が…………まさか金剛が連れてきたというのか?」

大鳳「はい、実はそうなんです、提督」

朗利「なに?」

大鳳「原因はわかりません。ルイージ・トレッリの時と同じく【建造】で現れたそうです」メメタァ

朗利「何がどうなっているんだ? 建造リストが更新されたのか?」メメタァ

朗利「だが、戦力が増えるというのであれば一旦は置いてみよう。話はそれからだ」

大鳳「はい」


――――――なんかわからんが、この調子で戦力の充実を図るぞ!


GET! 戦艦:ドレッドノート(レア装備要員・周回要員)


戦艦:ドレッドノート(イギリス)1905/10/02 - 1923
ドレッドノート級戦艦
属性:【旧式艦】【海外艦】【イギリス艦】
改造:戦艦:ドレッドノート → 戦艦:ドレッドノート改 → 戦艦:ドレッドノート改二

実際の性能は言うまでもないが、第一次世界大戦よりも遥か前の超【旧式艦】なのでマジで弱い! どれくらいポンコツかは性能比較参照。

【秘書艦】を金剛(新たに【イギリス艦】属性追加)にして【建造】すれば、早々お招きできるだろう【海外艦】。
ルイージ・トレッリとは条件が異なり、金剛を【秘書艦】にしていれば無条件で【建造】の候補に入るのが特徴。
場合によっては、最初の【海外艦】が史実では駆逐艦よりも弱いと思われる旧式戦艦の女王陛下になるやもしれない。

とにかく弱い。超弩級戦艦が主力の大艦巨砲主義の時代の雛形にはなったものの女王陛下はただの弩級戦艦なので完全に行き遅れてしまっている。
ルイージ・トレッリとは違って、艦娘としての能力に期待するべきところはない。
その代わり、【弾薬】と【燃料】が極端に少なく 燃費が最高クラスなので艦種:戦艦であることに注意をすれば周回要員には使えるか?
一応、艦種:戦艦なので実際には搭載不可能な【46cm砲】のガン積みで手軽に【火力】を上げられるので装備次第では大きく化けられる。

それ以上に、ドレッドノートは彼女限定のレア装備を持っているのでそれが狙い目である。

イメージとしては、建造された当時は海洋帝国である大英帝国の凋落も始まっていない古き良き海軍時代であり、
その古臭さと時代遅れな印象からイギリス絶対王政の全盛期を収めたビクトリア女王の肖像画が意識している。
ただし、性格は自分以前の最新鋭艦を技術水準ではなくし、新しい概念で旧式艦と一蹴した経歴から傲岸不遜。どこかの世界水準と似たような感覚である。
相対的にその時代では大型艦だったことには違いないので、超弩級戦艦に比べてチビということにしてはならない!(提案)
しかし、ビクトリア女王をモデルにしているので母性の力強さと慈悲深さとユーモアのある古き良き時代の強い女性をイメージしている。
【クロスボウ】を持っているのはダジャレではあるが、実は艦娘:ドレッドノートの最強兵装であり、これがドレッドノートを育てる最大のメリット。
なお、この【クロスボウ】を装備すると長門が更に“ながもん”化する模様。


271: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:14:59.50 ID:VQgPk04n0

性能比較
さあ、どれだけドレッドノートが【旧式艦】のポンコツなのかを見てみよう! 
わかりやすく3つだけ比較。装甲や対空砲なんぞ時代に依存する要素なのだからこの際 無視。

敷島型戦艦:三笠 1899/01/24 - 1923/09/20:除籍 戦後、三笠公園となる
全長:131.7m|速力:18kt|主砲:30.5cm連装砲|
                    
ドレッドノート級:ドレッドノート 1905/10/02 - 1923:解体処分
全長:160.6m|速力:21.0kt|主砲:30.5cm連装砲|

金剛型巡洋戦艦:金剛 1911/01/17 - 1944/11/21:戦没
全長:219.4m|速力:30.3kt|主砲:35.6cm連装砲|

扶桑型戦艦:扶桑 1912/03/11 - 1944/10/25:戦没
全長:205.13m|速力:22.5kt|主砲:35.6cm連装砲|

天龍型軽巡:天龍 1917/05/17 - 1943/02/01:戦没
全長:142.65m|速力:33kt|主砲:14cm速射砲|

鳳翔型航空母艦:鳳翔 1919/12/16 - 1947:解体処分
全長:179.5m|速力:25.0kt||

高雄型重巡:高雄 1927/04/28 - 1048/10/29:海没処分
全長:203.76m|速力:34kt|主砲:20.3cm連装砲|

ビスマルク級:ビスマルク 1935/11/16 - 1941/05/27:戦没
全長:241.55m|速力:30.8kt|主砲:38.1cm連装砲|

大和型戦艦:大和 1937/11/04 - 1945/04/07:戦没
全長:263.0m|速力:27.46kt|主砲:46cm3連装砲|

島風型駆逐艦:島風 1941/08/08 - 1944/11/11:戦没
全長:129.5m|速力:40.37kt|主砲:12.7cm連装砲|


見て分かる通り、ドレッドノート以降の艦船が大艦巨砲主義まっしぐらなのがわかることだろう。三笠を追い越すでかさの駆逐艦…………
主砲こそはまだ重巡より大きく、弩級戦艦という概念そのものは革新的だったが、個艦としての性能はかなり微妙である。
というか、【艦これ】に出てくる主砲にはみんなサイズが合っていないのでマイナス修正待ったなし! 魚雷も戦艦の動きがトロいのでまるで中らない。
【艦これ】に実装されることは万に一つないだろうが、【旧式艦】としては頭一つ抜けた知名度なので選出してみた。



272: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:15:36.21 ID:VQgPk04n0

朗利「さて、戦力もそろそろ充実してきたんじゃないか? 主力の練度も【ユウジョウカッコカリ】で夢の三桁台に届くところまで来たぞ」

雷「司令官、私がいるじゃない! 私をもーっと頼っていいのよ?」ウルウル

朗利「ごめんな、雷。俺が不甲斐ないばかりに寂しい思いをさせてさ」ギュッ

雷「う、ううん! わかってる、司令官にとって今が一番大切な時なんだって」ギュッ

雷「でも、やっぱり寂しい……」

朗利「……俺もだよ」

朗利「今度の戦いは第六駆逐隊が先発することにしたから」

雷「そうなの! 久々の実戦ね! 司令官のために出撃しちゃうね!」

朗利「ああ。いよいよ【南方海域】にまで行こうかと思う」

朗利「だから、その前に西方海域の装甲空母姫を倒さないと」

雷「前に鎮守府を襲ってきたっていうあいつ?」

朗利「ああ。今度はこちらが攻めに行く番さ。第六駆逐隊には前哨戦で頑張ってもらうのさ」

雷「うん! 頑張る! もっともーっと頼って、ね?」

朗利「いい子だ。死ぬなよ」

雷「まかせなさい! 司令官のためにも必ずみんなで帰ってくるからね」

朗利「本当に頼んだぞ?」

雷「ホント、司令官ったら心配症なんだから」ナデナデ

朗利「ああ…………」


273: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:16:35.33 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「さて、司令官? 一緒に午後の紅茶でもどうかしら?」

朗利「そう言って、勝手に茶を飲んでいるのはどこのどなたですか?」

ドレッドノート「このわらわだが?」

朗利「………………」

ドレッドノート「昔と比べてホント今は便利になったもんだ。まっこと良きかな良きかな」

ドレッドノート「けれど、この世界は1つの大洋で繋がっている」

ドレッドノート「それ故に、人間以外の存在が海の支配者となった時、人間は死に絶える他ないのだな」

朗利「そんなことはさせませんよ」

ドレッドノート「なあ? 逆に海を捨てて生きていくということはできぬものか?」

ドレッドノート「『欲しいものがある』という思いから人は苦しむのだ」

ドレッドノート「ならば、その欲を捨てればみな助かるのではないか? 実に簡単な論理だと思うのだが」

朗利「それはできませんよ! そういうあなただって海の向こうからの資源の輸入で生き永らえているというのに」

朗利「それに、大陸の内陸国はわかりませんが、深海棲艦は沿岸部の攻撃だってしているんです。国土防衛のために戦わざるを得ません」

朗利「日本はイギリスと違って国土の大半が山岳地帯で、列島に限られた海に近い平野の中に人が集まっているのですから逃げようがありません」

朗利「だから、戦うしかないんです!」

ドレッドノート「…………なるほど」

ドレッドノート「しかし、やはり艦娘はそのための人柱ということなのだろうな」

朗利「!」

朗利「そんなこと、そんなことは――――――」

ドレッドノート「わかっておる。わらわも何となくだが自分の存在意義を掴みつつある」

ドレッドノート「だが、まさか半世紀足らずで時代の先駆けとなったわらわが今の駆逐艦にすら劣るとは思わなんだ」

ドレッドノート「はっは、まさしく潜水艦の的でしかなかったな、戦場のわらわは」

朗利「………………」

ドレッドノート「わらわも、艦娘として辛い現実に直面しておる……」

ドレッドノート「艦娘としてのわらわは大して使いものにならない――――――が、人間ならば身分を捨てていかようにも自分を変えられる」


ドレッドノート「わらわは初めて人間が羨ましいと思ったぞよ」


朗利「え」

ドレッドノート「わかるか、朗利よ?」


274: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:18:19.10 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「艦娘は兵器だ。それ以上でもそれ以下でもない。つまりはそれ以外のことができないのだ」

朗利「何を言って――――――だって、料理だってするし、音楽を嗜んだり、アニメだって見たりして本当に人間そのものですよ」

ドレッドノート「そんなものは士気を維持するためのもの――――――戦うために必要な手段だからこそ身につけていただけに過ぎぬ」

ドレッドノート「そうではない、そうでは! 本質的に艦娘は戦いに秀でてはいるが、人間そのものにはなれんのだ」

朗利「???」

ドレッドノート「例えば、艦娘は人型だが戦い方はまさしく艦艇だった時そのままの戦い方をしておろう」

朗利「ええ まあ……」

ドレッドノート「馬鹿な! 人間の姿形じゃないからこそ軍艦独自の戦い方が発達したというのに、」

ドレッドノート「それを引き摺るとは、いつの世も人というのものはライミーなのだな……」

朗利「ら、『ライミー』?」

ドレッドノート「まあ 無論、それに気づかない艦隊司令官もたいがいだが、それを不便にも思わない艦娘たちにも欠陥があるということだ」

朗利「そんなこと言わないでください!」


ドレッドノート「この大うつけが!」バン!


朗利「!」ビクッ

ドレッドノート「そなた、やはりまだまだ青い! 『“優しさ”は優しさの中にしか無い』という思い込みからいつになったら覚めるというのだ!」

ドレッドノート「そなたにとっての艦娘にしてあげられる最大限にして最低限の努力とは何だ?」

朗利「――――――沈ませないことです」

ドレッドノート「よろしい、正解じゃ。よほど追い詰められてない限りはその場の勝利に固執することはない。戦略的に勝っていればよいのだ」

ドレッドノート「わかっておるな?」

朗利「はい」


275: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:18:50.86 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「なら、そなたも目覚めよ。今のままでは『心は純真だが空回りしてばかりの優しいばかりの無力な優男』でしかないぞ?」

朗利「なら、どうすればよいのですか?」

ドレッドノート「簡単なことだ、朗利よ」


――――――本当の親になりきれ。子の健やかな成長のために何だってする覚悟を持て。真の優しさはそこにのみある!


朗利「………………!」

ドレッドノート「わらわが艦娘の部分を除いて残ったものがこの母性だけじゃ」

ドレッドノート「母性といえば、巣立つのを見守るものだと想像するかもしれぬが、旅立てるように厳しく躾けるのも母性ぞ」

ドレッドノート「ただ優しい眼差しを向けるだけじゃなく、子がまっとうな道を進めるように手取り足取り教えてやることも親の務めよ」

ドレッドノート「そなたがやっていることはただ単にその日その日の機嫌取りをしているだけ――――――」

ドレッドノート「艦娘は成長しないからそれで通用しているが、人間の子相手にはおそらくは通用すまい」

ドレッドノート「人間の子はたちまち そなたの愛情を愛情とは知らずに食い物にして肥えた豚にしかならんだろう」

朗利「…………え」

ドレッドノート「そなたが人間として歳を重ねて変わっていこうとも艦娘たちは【旧式艦】になろうがずっとそのまま――――――」

ドレッドノート「そうなったら、そなたという一人の人間の成長などどうして見込めようか?」

ドレッドノート「そして、そなたが去った後に鎮守府に残されるのは、そなたを抜きにしたら戦うこと以外 何もできぬ人形の群れよ」

朗利「…………『自分はそうではない』とでも言うのですか?」ギリッ

ドレッドノート「わらわは、そなたにはより高みに至り より多くを救って欲しいから、こう言うのだ」


ドレッドノート「そなたはいつまでも艦娘たちの提督ではいられんのだぞ? そのことを自覚しておくべきなのだ」


朗利「…………!」

ドレッドノート「親はいつまでも子を養っていてはいかんのだ。それでは子はいつまで経っても親離れできん」

ドレッドノート「そなたは艦娘を人間として扱っているのならば、人間らしく子の成長を促さずして何が『人間』か!」ガン!

ドレッドノート「それとも、そなたは艦娘が成長しない都合の良い永遠の童女とでも思っておるのか? それこそ『人形』ではないのか?」ジロッ

朗利「!」

朗利「ああ………、実にその通りでしたね」ガクッ

ドレッドノート「わかってくれたようで何よりだよ」

ドレッドノート「やはり、艦娘は深海棲艦と戦うことはできても戦略はできぬ。多くを救うのはやはり人間である提督たちの采配ぞ」

朗利「さすがは女王陛下…………」

                                                                                サダメ
ドレッドノート「そう、それが誉れ高きドレッドノート――――――1つの時代を切り拓いてひっそりと歴史の表舞台から消えたわらわの運命」


ドレッドノート「それが人間によく似た器を持って生まれ直しても、結局は次代に思いを馳せるのが仕事の老いた母親のようなものか」

朗利「………………」

ドレッドノート「忘れるなよ? そなたは優しいが、優しいが故に大局を見誤ることがあったはずだろう?」

朗利「うっ…………(――――――ビスマルクの時だ)」

ドレッドノート「そう、だからこそだ。だからこそ――――――、」


ドレッドノート「――――――わらわのものになれ!」


朗利「――――――断る!」


276: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:19:24.99 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「即答か。つれないな」フフッ

朗利「確かにあなたは優れた知見の持ち主です。気に入りました。特別に鎮守府に置いといてあげましょう」

朗利「妖怪:紅茶おいてけ の相手もできることですし、本物のレディの修養なんかも受け持っていただければなおいいですよ」

朗利「けれど――――――、やっぱり諦めてなかったんですね! 困りますよ、それ!」

ドレッドノート「何を言うか! わらわの騎士になれば、わらわが手取り足取り身も心も立派なわらわの騎士に生まれ変わらせる自信がある!」

朗利「いや、いいですって! 何か危ない雰囲気を感じるので!」

ドレッドノート「まあ、そう遠慮することはない。近う寄れ」

朗利「いやです!」

ドレッドノート「ならば こうしよう」

ドレッドノート「わらわの手並みに不安を持っているのだろうから、わらわが直々に艦娘を立派な淑女に仕立ててやろう」

ドレッドノート「どうだ? その成果を見れば、疑念も晴れることだろう」

朗利「そ、外堀を埋める作戦ですか、それは……?!」

ドレッドノート「そなたの了解など要らぬぞ。優しいだけのそなたは愛する艦娘たちの頼み事を断ることはできまい?」ニヤリ

朗利「や、やめろおおおおおおおお!」

ドレッドノート「ふふふ、どちらに転ぼうがそなたは真の優しさを持つ紳士となるか、わらわの騎士となるか――――――、」

ドレッドノート「まさしく『二つに一つ』というものじゃな?」

朗利「なっ…‥!?(さ、さすがは二枚舌外交のエゲレス! 汚い! さすが汚い! 世界史の教科書で最も吐き気を催す邪悪!)」

朗利「(だ、だが、提督の俺が艦娘よりも格下に見られるのは癪だが、――――――そうだよな。艦娘には提督が必要だ)」

朗利「(けれど、逆を言えば『艦娘は艦娘だけでは生きられないようにできている』ってことなんだよな、それはつまりは)」

朗利「(――――――兵器だもんな。人間よりも遥かに強い兵器が自由意志をもって暴れだしたら人間としては為す術がない)」

朗利「(認める他ないか。確かに女王陛下は俺を真に想って自らの存在意義に戸惑いながらも忠告をしてくれた。なら――――――!)」

朗利「いいですよ! やれるもんならやってみてくださいよ!」

朗利「ただし、艦娘たちは私が日頃 誠心誠意を込めて接してきましたから、簡単にはあなたには靡かないでしょうがね!」

ドレッドノート「ふふふ、良くぞ言ってくれた、司令官よ」

ドレッドノート「平和が一番ではあるが、やはり競争相手がいなければ衰えるというものよ」

ドレッドノート「後で驚くが良い。わらわの教鞭の冴えを!」

朗利「どうぞどうぞ! その間に私は【カスガダマ沖】の制圧をしておきますんであまり邪魔しないでくださいね」サッ

ドレッドノート「ああ。行ってくるが良い。そして、必ずや――――――、」フフッ


――――――暁の水平線に勝利を刻んでくるのだ!



277: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:20:01.70 ID:VQgPk04n0

朗利「さて、Extra Operation以外では初めての【ゲージ破壊】だな(現在は利根たちのために【勲章】集めにまた行って手慣れたものだ)」メメタァ

朗利「まさか、いよいよ西方海域の最深部まで来ることになるとはな…………」

朗利「だが、これを制して初めて俺たちは更なる高みに進める!(ま、司令部のみんなからすれば今更な通過点だけどさ)」

朗利「けど、司令部はそんな俺をモニターに選んでくれたんだ。俺は俺として今まで通りの考えとやり方でやらせてもらうよ」

朗利「よし! 愛月提督! 準備はいいか! キラ付は終わったか? 【バケツ】や資源の備蓄は十分か?」メメタァ

愛月「はい! 前哨戦:第一艦隊 第1陣、出撃です!」

朗利「さあ、行って来い! まずは前哨戦を夜戦で制す!」

ビスマルク「あ、始まったのね、ついに」

朗利「ああ。まずは前哨戦:装甲空母鬼を三度潰す!」

朗利「すぐに終わるとは思えない。長期戦は必至だ。長い一日になるだろうから覚悟はしておいてくれよ?」

ビスマルク「当然よ。それぐらいの心の準備はしてきてあるわ」

朗利「さすがだな」

ビスマルク「私はビスマルクよ。泣く子も黙るあの鉄血宰相の名を戴く誉れ高き最強戦艦!」

ビスマルク「私がしっかりしないとアドミラールは何もできないんだから、むしろ私の士気が保つようにしっかりともてなしなさい」

朗利「…………台無しだ」

愛月「さあ、会敵しました! 陣形は――――――ん、司令官?」

朗利「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ…………」ブツブツ

朗利「(本当ならこんなところにまで艦娘を送り込んでいることに罪悪感を覚えないわけじゃない……)」

朗利「(怖い思いなんかさせたくないんなら、こんなところに出撃させずにずっと近海で資源回収さえしていればいいんだ)」

朗利「(それに、他の鎮守府の連中がすでに何万回も制圧した海域なんだ。俺がやらなくても他がまたやってくれるのはわかっている)」

朗利「(けれど、それじゃダメなんだ! 戦うのは艦娘で傷つくのも艦娘だけど、その責任を最後まで提督である俺は背負わなければならない!)」

朗利「(俺はその責任から一度は逃げ出そうと思ったぐらいだ。――――――そして、残されるのは自分たちだけでは何も変われない艦娘だけ)」

朗利「(けど、今度は違う! 戦う準備も覚悟も決めてきたんだ)」

朗利「(なら、ここで俺たちの力を証明して海の向こうへ渡る権利をいただくまでだ!)」

朗利「戦闘指揮は任せる。いいかげん俺も戦術の勉強をしておかないとな。参考にさせてもらうぞ」

愛月「あ、はい!」ビシッ

愛月「では、陣形は――――――」

朗利「(新米だった愛月提督もすっかりと戦闘だけはベテランの仲間入りか。俺も負けてられないな)」

朗利「………………………………ビスマルク」チラッ

ビスマルク「?」


――――――これが俺たちの夢を叶える第一歩だ!


――――――第6話Z-1 海上封鎖を突破せよ  -世界は1つの大洋で繋がっている- 遭遇編 完

      Next:第6話Z-2 海上封鎖を突破せよ  -世界は1つの大洋で繋がっている- 攻略編 に続く!



278: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:20:46.20 ID:VQgPk04n0

陣営紹介Z:拓自鎮守府
朗利提督/朗利園長
駆逐艦や潜水艦をこよなく愛するアレな趣味を持つ提督であるが、紳士なので愛でること・見守ること・支えることに終始している。
一応は正真正銘のガチ    コンなのだが、自分の劣情を擦り付けるよりもふれあう中で得られる温もりのほうが上に来る こども好きである。
とにかくロリっ娘の確保が最優先なのでドックは駆逐艦や潜水艦で埋まっており、攻略は少数精鋭の固定メンバーで行われている。
それ故に、攻略進度は4人の提督の中では最も遅く、未だに【南方海域】に進出していないし、イベントマップに参加すらしたことがない。
自らが犯した過ちによって、最悪の事態にまでは至らずともトラウマになって後任の提督を喚んで全てを放り投げようとしていたが、
清原提督の慰問によって【艦これ】への情熱を取り戻し、後任として喚んだ愛月提督と一緒になって再び楽しくプレイしている。

自分の趣味と鎮守府の経営の両立に精を出して、独自の補給路を確保して得意の菓子作りで人々を魅了する。
明らかに艦隊指揮よりも兵站管理などの後方支援に向いている人物なのだが、艦娘に慕われる前提条件である提督を辞めるわけにはいかない。
朗利パークという大型艦寮を取り潰して駆逐艦・潜水艦寮を拡大併合した娯楽施設を建てており、そこの園長を務めている。
聞いて分かる通り、重巡のお姉さんたちが嫌いで、ついでに赤城と加賀に対しては資源を喰われまくった恨みから顔も見たくないようである。
しかし、必ずしも駆逐艦だから愛でるのではなく、わかりやすく言えばガキっぽい幼稚さが残る娘が好みであり、それを眺めているのが好きであり、
その性質は娘の成長を暖かく見守っている父親のそれであり、もちろんロリ体型の娘も好きだが一番大切にしているのは心――――――純真さである。
しかしなのか、当然なのか、そういうわけで艦娘を本質的に子供扱いしているので恋愛感情には疎く、性愛ではなく家族愛と受け取っている朴念仁である。
本人は第六駆逐隊の雷と【ケッコンカッコカリ】したがっているのだが…………
【大型艦建造】限定のビスマルクと大鳳がいて、これまで大鳳だけで航空戦を凌いできた点から見ても、相当な幸運の持ち主である。


戦艦:ビスマルク
朗利提督と最後の【ユウジョウカッコカリ】を結んだドイツの【海外艦】であり、朗利提督の“嫁”とも言える立ち位置である。
朗利提督にとっては貴重な【高速戦艦】であるだけじゃなく、凄まじく好みの娘(愛でる対象として)なので打算的な意味合いもあって特別視してきた。
しかし、実際には精鋭たちと比べると戦力として当てにはしても“手の掛かるからこそ愛おしい娘”という認識が朗利提督から抜けておらず、
一人の女性としては別に愛されてはいない――――――が、二人で交わした約束によって精鋭たちとも違った特別な関係になろうとしている。

作品上の役割は朗利提督に海外への興味を持たせるための存在であり、何よりも朗利提督のもろ好みの艦娘なのでご贔屓にさせていただきました。
趣里鎮守府の石田提督からはレーベとマックス共々評価は低いが、そんなの関係ない! 結局は心の美しさで朗利提督は愛でているのだから!
しかし、艦娘で最初の改三かつ【雷装】が実装された誉れ高い艦娘でもあり、今後の活躍に期待が高まる。


長門、大鳳、五十鈴、天龍、龍田
朗利提督をこれまで支えてきた精鋭たちであり、なんだかんだいって朗利提督に絶対の信頼を寄せている。
天龍と龍田は前線ではなく、遠征部隊として資源確保に日々 貢献しており、補給を第一に考えている朗利提督からは大切にされており、
実は二人に振舞っている三時のおやつは同僚の五十鈴の分より割増となっている。
みんながみんな 面倒見がよい性格であり、これまでの苦境も共に乗り切った仲なので、
彼女たち精鋭に限って言えば朗利提督は“同格の存在”と見ている(パークを一緒に支えてくれる“おねえさんたち”という認識だが)。


駆逐艦:雷
拓自鎮守府の真の支配者。“ロリお艦”として圧倒的な包容力を持っている朗利提督の力の源である。
しかし、朗利提督の自信喪失から始まった愛月提督への交代劇によって出撃がめっきり減って、
朗利提督も部下を持ってあれからずっと忙しくなっているのでかまってもらえない。


z:愛月提督
自信喪失していた朗利提督が後任として司令部に用意させた新米提督である。
しかし、その実態は『胸を寄せてあげられる』ぐらいのクレイジーサイコレ の変 淑女であり、紳士協定によって押さえられているが、
朗利提督の後任として選抜されるだけのことはあり、その内面は非常に気持ち悪いもので満たされている。ガチ    コンではないのが大きな違い。
ただ、先輩紳士である朗利提督がまじめに仕事をやっているのでそれに倣い、生来は控えめな性格なのでよほどのことが無い限りは紳士淑女として振る舞う。
愛月提督は朗利提督とは違って自分で戦闘指揮をとっており、その点ですでに朗利提督よりも戦闘指揮官としては優れている。
初期艦に【海外艦】のZ1とZ3を選んで、朗利提督の指導の下で新人教育を受けており、着々と実績を重ねていっている。
朗利提督の後任なだけあり、激レアドロップ艦である瑞鳳や阿武隈を引き当てるだけの幸運の持ち主である。

ちなみに、朗利提督と愛月提督のリアルのプレイ状況を言い表すと、『1つのアカウントでベテランとビギナーが2人で仲良く分担プレイ』である。


z:戦艦:金剛
洞庭鎮守府の金剛とは違い、愛月提督が妹の比叡の味方ばかりして追い掛け回されているので辟易してあまりBURNING LOVEできないでいる。
紳士淑女の集いである拓自鎮守府なのでやっぱりその手の話題に敏感な彼女の存在は非常に扱いやすく、出番が多い。

【イギリス艦】の属性が新たに追加されて、【秘書艦】にした時に【イギリス艦】を【建造】できるようになっている。
その中の候補として戦艦:ドレッドノートがおり、彼女が居るか居ないかで【海外艦】の獲得に大きな差が出るのでますます需要増加!
【海外艦】属性がないのがミソであり、【イギリス艦】だけを狙って【建造】する場合は非常に重宝する。



279: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:21:23.10 ID:VQgPk04n0

第6話Z-2 海上封鎖を突破せよ  -世界は1つの大洋で繋がっている- 攻略編

――――――カスガダマ沖


装甲空母鬼「――――――!」ゴゴゴゴゴ

長門「これは多くの同胞たちの分! これで終わりだ!」ドーン!

装甲空母鬼「!!!?」チュドーン! ――――――轟沈!

長門「…………やったな」

w:愛宕’「うふふっ」

X:赤城’「まずは1勝ですね」

大鳳「まだまだ先は長いですね」

雷「そのまま制圧できればいいんだけれどね……」

電「けど、勝つことができたのです! この調子でどんどん行くのです!」

――――――
朗利「………………撃沈したか。通算5回目の出撃でいったか」メメタァ

X:加賀’「快調ですね。当然です、みんな優秀ですから」モグモグ

ビスマルク「そうよ。今の私たちに敵はないわよ!」モグモグ

ドレッドノート「ええ。司令官なら必ず勝てるわ。――――――あ、金剛さん? そろそろスコーンが無くなるのだけれど」ゴクゴク

金剛「はい、ドレッドノート様。さあ、比叡! どんどん持ってくるのデース!」ゴクゴク

比叡「ひ、ひえええええええ!」ドタバタ

朗利「そうだな。さすがは司令部の精鋭たちが擁する艦娘たちだ。練度も高いし、装備も一級品だからホント助かる」

朗利「(だが、どうしてこいつらは司令室で呑気にティータイムなんてしているのだろう?)」

愛月「ですが、【派遣】された艦娘は1割ぐらい修理・補給の費用が掛かるのが難点ですよね」メメタァ

朗利「それに、【出撃】を繰り返せば疲労もたまってキラ付作業をしなくちゃならなくなるし、【派遣】には経験値が入らないから旨味がない」メメタァ

朗利「だから、高い謝礼を払って赤城と加賀の二人揃えたのは疲労を抑えて少しでも回復させて安定させるためなんだが――――――、」メメタァ

朗利「ビスマルクに、加賀さん? そろそろ第一陣の疲労度を回復させるために交代してもらいたいんだけど大丈夫かな?」メメタァ

X:加賀’「いよいよ出番ですか。見ていてください、朗利提督。菓子の御恩は必ずお返しいたしましょう」

朗利「いや、艦隊指揮は愛月提督がやってるから今の俺は園長か司令官と呼んでもらいたいのだが」

ビスマルク「そう、ようやくね。見てなさい、アドミラール! このビスマルクが華麗に決めてあげるわ!」

朗利「おう、気をつけるんだぞ」

朗利「――――――死ぬなよ」

ビスマルク「……当然よ!」

愛月「………………いいな」

ドレッドノート「ほう……」

金剛「ステキな二人の距離感ですネー」ドキドキ

朗利「よし、暁と響! 交代だ。帰還した雷と電から装備を交換したら出撃だ!」ガチャ
――――――


280: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:22:20.08 ID:VQgPk04n0

――――――そして、通算19回目


ビスマルク「落ちなさい! Feuer !」ドーン!

装甲空母鬼「!!!???」チュドーン!  ――――――轟沈!

鳳翔「やりました! 三度目の撃破を確認!」

ビスマルク「あたりまえじゃない。良いのよ? もっと褒めても。なんてったって私はビスマルクなんだから」

響「勝利か。いい響きだな。けれど、私たち第六駆逐隊の役割はここまでさ」

暁「ええー!? 暁の出番が結局 無かったじゃない! 今日の大破担当だなんてイヤぁ!」

X:加賀’「お疲れ様です。見事な作戦指揮でした。さすがは拓自鎮守府です」

w:愛宕’「装甲空母鬼に襲撃されたあの日から本当に強くなりましたね」ニッコリ

――――――
朗利「よし!(比較的少ない回数で行けたんじゃないか? それでも19で前哨戦が終了か……)」グッ

愛月「ついにここまで来ました!」

愛月「全艦 帰投してください!」

艦娘たち「おお!」

X:赤城’「スイーツ美味しいです! 感動です!」バクバク

ドレッドノート「で? どうやら深海棲艦の親玉が変 したようだけどどうなるんだい?」

朗利「これを見てくれ」


敵東方中枢艦隊(輪形陣)
装甲空母姫  |浮遊要塞B
浮遊要塞C   |駆逐二級elite
駆逐二級elite |潜水ヨ級flagship


長門「ガラリと布陣が変わったな」

朗利「相手は持久戦の構えだ。装甲空母姫さえ撃破できれば我々の勝利だが、それぞれ違った面で耐久力の高いクセモノ揃いだ」

朗利「特に、潜水ヨ級flagshipという攻撃しづらい上にとてつもない装甲強度を誇るこいつの存在が難関だ」

朗利「この海域は艦隊編成の指定が厳しいわけだから、最短ルートのAFGを突き進める駆逐艦:2と重巡:1の編成を変えるわけにはいかない」メメタァ

朗利「となれば、残った3隻の編成だけが自由になるわけだが、G地点の敵空母機動部隊のことを考えると正規空母は不可欠だ」


281: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:22:47.92 ID:VQgPk04n0

朗利「だが、残り1回で相手を倒すだけならば、実は俺たちには海域突破の最強の切り札があるわけだ」

愛月「え? そんなものがあるんですか?」

長門「おお! まさか【あれ】か!」

朗利「さすがは我が鎮守府の精鋭:ビッグ7だな。よく覚えていてくれた」

金剛「――――――【あれ】?」

比叡「【あれ】って何でしょうね、お姉さま?」

ドレッドノート「さてさて?」

朗利「そう、今回のように距離が短い上に火力重視の編成を一度だけ叩き込めばいいところまで来ているのだから【あれ】を使っても罰は当たらない!」


――――――【お守り/航海安全】


長門「出た! これなら艦隊編成なんて関係なく海域を突き進めるようになるぞ!」

愛月「え、ええええええ!?」

金剛「My Principal ! そんな便利なものがあるんだったらどうして最初から使わなかったのですカー?!」

朗利「さっき言っただろう」

ドレッドノート「まあまあ 司令官や。深海棲艦の【戦力ゲージ】とやらは自然回復しないことだし、ここは余裕を持って対処せよ」メメタァ

朗利「女王陛下がそういうのでしたら…………」


282: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:23:59.61 ID:VQgPk04n0

朗利「まあ、要するにだ」

朗利「我々がこうして現在、西方海域を制圧しようとしているのは大本営からの指令でもあったことだ」

朗利「けれど、以前に鎮守府に装甲空母姫が襲撃してきた時はこうして立ち向かえるだけの戦力を擁していなかった――――――」

朗利「だから、戦略レベルで燃料を投下してボス級深海棲艦を焦熱地獄に叩きこむしか手段がなかったのだが、」

朗利「たかが1隻の敵相手に戦略レベルでしか対処できない我が鎮守府の脆弱さを反省して、それからは戦力増強に励むようになった」

朗利「言わば、今回の戦いは我々の艦隊がどこまで通用するかを見るための試験であり、前哨戦は正規の手段で挑ませてもらった」

朗利「そして、前哨戦に我々は勝った。我々の実力は十分に通用するところまで至ったという結論が得られた」

朗利「最後に、このゲーム屈指の難敵とされる深海棲艦が相手でもすでにこちらとしては目的を達成しているので、」メメタァ

朗利「まじめに戦って戦略レベルで資源と時間を浪費する必要もないので、今度は全力でサクッとクリアしようというわけである」メメタァ

朗利「理解出来ましたか?」

比叡「な、なるほど……」

金剛「Oh! 実に果断なJudgeデース!」

ドレッドノート「うむ。勝利することだけを求められているのならば、不必要な犠牲や苦労・手間暇をかけずにさっさと陥落させるのが賢いやり方さね」

X:赤城’「まさか、あの時の【お守り】の他にそんな効果のものがあっただなんて驚きです」バクバク

朗利「というわけで完全な羅針盤ルーレットになるが、自由な編成で装甲空母姫を討ち取りに行くかを愛月提督が決めてくれ」メメタァ

愛月「わ、私ですか!?」

朗利「そうだとも。他に誰が艦隊の指揮権を持っているというのだ? 今の俺は参謀だぞ?」

愛月「えと…………」

ドレッドノート「なあに、試行回数さえ重ねればいずれは辿り着くという話なのだろう? だったら 迷うことはないじゃないか」

ドレッドノート「そのための備えだって十分にしてきたのだろう?」

愛月「そ、それもそうですね」

愛月「わかりました。鎮守府司令官の提案を採用します」

朗利「そうか」

ドレッドノート「よしよし」


283: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:24:41.87 ID:VQgPk04n0

朗利「――――――女王陛下?」

ドレッドノート「何かな、わらわが愛する騎士よ」

朗利「いえ、女王陛下の騎士になった憶えはありませんが、一言 言わせてください」

朗利「確かに女王陛下の指摘はもっともです。その慧眼には感心するばかりでありますが――――――、」


朗利「司令室に勝手に乗り込んできて優雅にティータイムを長時間満喫して高みを見物をしておられる女王陛下が言うことじゃないと思いますが」


ドレッドノート「何を言うか。光栄に思うがよい。わらわがここまで付き合っていることはそなたにとっての誉れなるぞ」

朗利「いいえ、気が散るのでやめてください。今回ばかりは普通に邪魔です。さすがに司令室から出てってください」

朗利「戦場に送り出した艦娘たちの安否で心穏やかじゃないのに、呑気に紅茶を飲んで楽しんでいるところを見せつけられると無性に腹が立ちます」

朗利「というか、洞庭鎮守府の赤城さん 赤城さん? あなたもずいぶんと遠慮を知らないとんだ大食いですね。腹が立ってきたぞー?」ニコニコー

朗利「いや、そういえば加賀さんも大して変わらない勢いだったような…………(やっぱり正規空母なんてやつは大食らいの害悪だよ!)」イライラ

ドレッドノート「心に余裕を持て、朗利よ」

朗利「いや、時と場合によるでしょうが!」

ドレッドノート「部下のことを我が事のように思っているのは感心だが、司令官と提督は交代しているわけじゃないのだから休憩を入れるべきだね」

ドレッドノート「相手が自然回復しないことはわかってるんだし、一旦は緊張を解して改めて気を引き締めて臨んだほうが断然 良い結果になると思うが?」

朗利「…………!」

愛月「そ、そうですね。艦隊編成や消費した資源や【バケツ】の確認もしておきたいですし」

愛月「それに、【出撃ドロップ】した艦娘にも挨拶をしておきたいので」メメタァ

愛月「では、秘書艦:比叡」

比叡「はい!」

愛月「私はしばらくこの場を離れますが、何か動きがあったら知らせてください」

比叡「わかりました、提督!(提督と司令と司令官ってどう違うんだか、よくわからないけど区別されているんだからそう呼ぼう)」

金剛「お疲れ様デシタ、提督ぅー! それに園長!」

朗利「まだ戦いが終わったわけじゃない。気を緩めすぎない程度に休んでから作戦を再開するぞ」

艦娘たち「了解!」


スタスタスタ・・・・・・



284: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:25:21.68 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「そう、それでいい。急いだところで何かが変わるわけじゃないからね、この戦いは」ゴク

朗利「女王陛下、艦娘でありながらこれほどの心配りができるとは恐れ入ります」

ドレッドノート「艦娘として何もかもが終わっている【旧式艦】であることを自覚するようになったら自然と見方が変わっただけさ」

ドレッドノート「元々の教養や考察があったからかもしれないのだろうけれど、とにかく他にできることを模索した結果だろうね」

ドレッドノート「少なくとも今のわらわは人間の盾となるべき兵器から逸脱した存在のように振舞っているのかもしれぬ」

ドレッドノート「無自覚ながら、今のわらわは本当に艦娘なのか疑わしい境地に入っているようだ」

朗利「これからもどうかお力をお貸しください」

ドレッドノート「いいよ。わらわが予期したとおりにそなたは自分からわらわの許に来るようになることはわかっていたから」

ドレッドノート「どうじゃ? 今度こそわらわのものにならぬか?」

朗利「それだけはお断ります」

ドレッドノート「相変わらず頑固な男よな」

朗利「そういう女王陛下こそ、いまだに私のことを見限ろうとはなさらないのですね」

ドレッドノート「当たり前だ、大うつけ」

ドレッドノート「そう簡単に切り捨てられるほど安い人材に現抜かすほどこの目は腐ってはおらんぞ」

朗利「…………そうですか。少しばかり嬉しいものがありますね」

ドレッドノート「いや、歓喜が足りぬぞ。このわらわがそなたのことを褒めそやしているのだ。並大抵のことではないということを自覚するがよい」

朗利「実感が湧きませんがね(やっぱり、老いていようが戦艦は戦艦だった。相変わらず態度がでかいな、おい!)」


285: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:26:01.07 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「そうだ、朗利よ。【これ】を託そう」ボン!

朗利「――――――愛用の【ボウガン】ですか? いいのですか?」

ドレッドノート「そう。どうも潜水艦1隻に恐れをなしているようだから、この【ボウガン】を戦艦の誰かに持たせてやるといい」

ドレッドノート「いや、戦艦じゃなくとも潜水艦よりも大きい艦なら誰でもいいのだがな」

朗利「魚雷や爆雷でもないのに、こんなんで潜水艦が倒せるんですかね? しかも相手はflagship級なのに?」

ドレッドノート「関係ない。当たって砕けるだけのことよ」

朗利「え……?」

ドレッドノート「まあ、艦娘ならば触れた瞬間にどう使うべきものなのかはすぐにわかると思うんだけどね」

ドレッドノート「そして、【旧式艦】のわらわよりも今の艦娘のほうが上手く扱いこなせよう」

朗利「…………大鳳のクロスボウとはずいぶん仕様が異なるようだけど、【ボウガン】なんかで何かが変わるのだろうか?」

ドレッドノート「わらわの【ボウガン】はちょっとばかり特別製でな? 今はなき【旧式艦】ならではの戦いができるようになるぞよ」

朗利「は、はあ…………(何だろう? その『【旧式艦】ならではの戦い』って…………)」

ドレッドノート「さあ、行くがよい。わらわはここで紅茶を飲みながらゆったりと見張っているから」

朗利「わかりました。女王陛下も十分に息抜きをなさってください(うわっ重てぇー! やっぱり鉄の塊なだけあるな…………)」

ドレッドノート「うん」

スタスタスタ・・・・・・

ドレッドノート「………………」ゴクリ

ドレッドノート「ねえ、比叡さん?」

比叡「あ、はい!」ビシッ

ドレッドノート「そなたは【ラムアタック】というのをご存知かしらね?」

比叡「え? 何ですか、それは?」

ドレッドノート「ふふ、それはだね――――――?」
――――――



286: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:26:45.33 ID:VQgPk04n0

――――――戦闘再開:通算28回目 -ボス最終形態-


装甲空母姫「――――――!」

長門「ま、まさしくギャンブルであった…………」ゼエゼエ

ビスマルク「で、でも、ハズレを引いた時は即時撤退なんだから消耗が最低限なのはいいことよ……」メメタァ

w:愛宕’「いやーん!」アセタラー

大鳳「ここからが正念場です! みなさん、気を引き締めて!」ビシッ

X:加賀’「これでこの戦いを終わりにしましょう(ここでMVPをとって朗利提督からスイーツ券を更にいただく!)」ビシッ

比叡「ひええええええ! いくらお姉さまより先に改二になったからっていきなり前線送りだなんてぇ……!」アセアセ

――――――
金剛「これで確か28回目の出撃デシタネ……」

X:赤城’「こうしてまたカスガダマの装甲空母姫と戦うことになるとは思いませんでしたよ……」バクバク

ドレッドノート「ようやく辿り着いたようだね」

愛月「は、はい……、い、行けるもんなんですね。恐るべし、【お守り】の効果…………」

朗利「しかし、問題はここからだな。どれだけ装甲空母姫に攻撃が通るかだが……」

朗利「(ここまで来たのなら艦載機の消耗を考えると際どいが、何とかやってもらうしか他ない)」

朗利「(とりあえず、女王陛下のお墨付きの【ボウガン】をカットイン狙いの長門に持たせてみたが、特に何も起こらない)」メメタァ

朗利「(まあけど、ファングッズ補正なのか、いろいろと高い修正値が入っているから結構優秀な装備なのが憎いところだな)」メメタァ

朗利「女王陛下? 【あれ】は本当に役に立っているのでしょうか?」

ドレッドノート「ふふふふ、まあ見ていなさい」

朗利「………………」

朗利「(比叡は素の火力が高い戦艦で改二にまでなっていたから、急遽 愛月提督が投入を決断して旗艦として飛び入り参加だ)」メメタァ

朗利「(しかし、練度が他と比べて明らかに落ちるので火力は期待せずに、もっぱら支援要員として組み込まれている)」メメタァ


旗艦:比叡改二の装備
1,【大型電探/21号対空電探】
2,【お守り/航海安全】
3,【下賜品/表彰盾】
4,【大型電探/32号対水上電探】


朗利「いつ【32号対水上電探】なんていう超高級品の【開発】に成功していたんだ……(戦力増強期間に得られたものだし、別にいいけど)」

朗利「(それに、俺の艦隊の主力は【派遣】組が多いわけだから、【派遣】された艦娘は装備の変更ができない都合上、)」メメタァ

朗利「(なるべく汎用性が高く軸にしやすい攻撃特化の艦娘が【派遣】されやすいわけだから、支援要員はこちらで用意する必要がある)」メメタァ

朗利「(――――――別にいいだろう? 外来艦が主力であってもさ! フランスとかいう国では伝統的に外人部隊とかいうのが主力らしいし)」

朗利「(それに【友軍艦隊駐留】なんてしているわけじゃないし、こっちもきっちりそれ相応の準備はしてあるんだ)」

朗利「(使えるものは何でも使う――――――戦時中にイギリスがよくやった三枚舌外交なんてあるんだしさ)」

朗利「(弱いやつは弱いやつなりに知恵や技術を磨いて戦力差を埋める努力をしなくちゃいけないんだ! 皇国に必要なものとはまさにそれのはず!)」

愛月「では、艦載機の発進どうぞ――――――!」

朗利「……勝ってくれ!」
――――――


287: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:27:22.12 ID:VQgPk04n0

装甲空母姫「――――――!」

大鳳「くっ、さすがの耐久力です。辛うじて制空権を得ただけで敵艦隊への打撃は微々たるものです」

X:加賀’「さすがに手強いですね。もう二度と戦いたくないと思ってましたけど致し方がありません」ギリッ

長門「だが、そんなのはわかりきっていたことだ! これより砲撃戦だ! 全艦、この長門に続けぇ!」

ビスマルク「ちょっと! 私が一番なんだから私が言うべきところよ、今のは! 全艦、Feuer !」

比叡「旗艦は私で! 頑張るから! 見捨てないでぇー!」

w:愛宕’「主砲、撃てぇーいっ♪」

――――――
朗利「…………やはりあの“タコヤキ”、邪魔だな」ギリッ

愛月「くっ、このままでは攻め切れない…………最強の攻撃布陣を選択したのに?」

朗利「こうも【かばう】が発動するとな…………攻略してきた提督たちの苦労が偲ばれる」メメタァ

愛月「けれども、昼戦火力が安定している布陣ですので一撃で小破には追い込んではいます」

朗利「しかし、砲撃戦2巡目に入るのに撃破できているのが駆逐艦:2だなんてどうしようもない……」メメタァ

愛月「――――――撤退すべきでしょうか?」


ドレッドノート「いや、ここは自軍艦隊の被害状況からして大破した艦がいないんだ。恐れず戦闘続行だね。諦めちゃいけない」


金剛「What's !?」

X:赤城’「へ」

愛月「え」

朗利「…………提督、どうする?」

愛月「それは――――――」

ドレッドノート「まあ見てなさい。状況が混戦になった時にあの【ボウガン】が勝利をもたらすからさ」

朗利「え」
――――――


288: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:28:41.38 ID:VQgPk04n0

――――――我、夜戦に突入す!


長門「何とか浮遊要塞の1つは落とせたが、大鳳と加賀は置物と化し、旗艦:比叡は大破か…………」

長門「(どうする? 幸い、戦艦の私は小破ですんでいるし、ビスマルクも愛宕も中破だがまだ戦える)」

長門「(問題は、夜戦ではリストの上から順に交互に攻撃が行われるわけだから、【射程】の概念が意味を成さなくなる)」メメタァ


カスガダマ最終攻略艦隊の状況
戦艦:比叡 (軽微)    |戦艦:長門(小破)
戦艦:ビスマルク (中破) |重巡:愛宕(中破)
正規空母:加賀(無力化)|装甲空母:大鳳(無力化)


比叡「私! 頑張るから! 見捨てないでぇー!」

長門「(すると、夜戦では戦えない大鳳と加賀は5番と6番でいいが、2番手の私がここでカットインを決めないとマズイ!)」メメタァ

長門「(しかも、今回はあの潜水ヨ級flagshipを無視してボスの撃破を主眼においているからヨ級flagshipが完全に野放し――――――!)」メメタァ

長門「(な、何としてでも会心の一撃を装甲空母姫に直撃させてやる!)」←混戦中もあり、敵のリスト順なんて完全に忘れている

長門「…………ん?(何だあの海面から突き出ているものは――――――もしや!)」

長門「(そうだ! 今の私には何故か【対潜】が高い【ボウガン】が――――――!)」メメタァ

長門「よし! 行くぞ!」ザァアアアア!

ビスマルク「ちょっと長門?!」

大鳳「長門さん!? 単艦突撃するだなんて何を――――――!?」

長門「確か、あれはあの辺から――――――!」ジャキ! バァーン!

ヒュウウウウウウウウウウン! ポチャ!

長門「…………!」グイッ

長門「なるほど、ワイヤー付きとはありがたい! ビッグ7の底力を見せてやる!」

長門「うおおおおおおお!」グググググ!

長門「でやあああああ!(見ていてくれ、龍翔ショタ提督! 私はもっと強くなって必ず【破滅の未来】に希望をもたらしてみせるぞ!)」

ザバァアアアアアアアアアアアン!

ヨ級「!!!?」


長門「ビッグ7パァアアアアアアアンチ!」ドーン! ――――――【ラムアタック】渾身の右ストレート!


ヨ級「!!!!!?!?!?」ゴォオオオン! ――――――轟沈!

長門「っつう! さすがに装甲を砕くとなるとこちらもただではすまないか…………」ズキズキ

比叡「ひえええええ!?」

大鳳「今です、みなさん!」

X:加賀’「驚いている暇はありません! 砲撃を連続させてください!」

ビスマルク「これで残ったのは敵:2! しかも浮遊要塞も小破している今なら――――――!」

w:愛宕’「喰らいなさい!」


289: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:29:07.56 ID:VQgPk04n0


ドゴーンドゴーンドゴーン!


装甲空母姫「!!!???」 ――――――轟沈!

大鳳「やりました! 撃破目標、完全に沈黙です!」

ビスマルク「ちぃ、よそものに盗られちゃったわねぇ……」

w:愛宕’「うふふっ」

浮遊要塞「――――――!」

比叡「ひえええええ!」

X:加賀’「まだです! 敵残り1です!」

長門「まかせろ!」ジャキ!  ※夜戦に2巡目はありません

ビスマルク「あ……!」

長門「ふふふ! 今日の私は絶・好・調であーる!」シャッシャッシャッドーン! ――――――夜戦カットイン!

浮遊要塞「――――――!」チュドーンチュドーン!! ――――――轟沈!


長門「勝った! 西方海域 完!」ビシッ


ビスマルク「わ、私の見せ場がぁ…………(ちょっと何なのよ、最近の長門! みなぎり過ぎじゃないの!?)」ガクッ

大鳳「ビスマルクさん? 前哨戦の第2陣で大いに活躍してくれたじゃないですか? そこまで悔しがることは――――――」

ビスマルク「そんなの戦果のうちに入らないわよ!」

ビスマルク「飛び入り参加の比叡は支援要員として地味に活躍してくれたし、」

ビスマルク「【派遣】組なんて、いてくれなかったら作戦遂行自体が不可能だったんだし、」

ビスマルク「だいたいにして、あなた? あなたなんて第1陣も第2陣も全部出ていたじゃない! 大丈夫なの……?」

大鳳「大丈夫ですよ。――――――慣れてますから」ニッコリ

ビスマルク「んもー! 私だけじゃない! この決戦で何も倒してないの!」ムー!

ビスマルク「よりにもよって長門は、戦艦なのに潜水艦を釣り上げて倒しちゃったし、最後の最後でもう1体追加で倒しちゃったし!」

長門「まあまあ。勝敗は兵家の常なのだから、また今度 戦功を上げる機会を得ればいいさ」ドヤァ

ビスマルク「何その、勝者の余裕って感じの態度!」グッ

長門「ははははは、そういえば暁と似たような振る舞いをしていることに今更ながら気づいたな」

長門「“でかい暁”と言われているだけあって、なかなかどうして可愛らしいものじゃないか? なあ、みんな?」ニヤリ

ビスマルク「く、屈辱だわ……」

X:加賀’「まあ、ともかく西方海域の完全制覇――――――、おめでとうございます」

w:愛宕’「おめでとう♪ うふふっ」

長門「ああ! 我々の勝利だ! 勝鬨を上げろおおおお!」キラキラ

艦娘たち「おおおおお!」

比叡「旗艦は私なのにぃ……(提督、司令官……、私のこと見捨てないでぇー!)」イジイジ




290: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:30:00.57 ID:VQgPk04n0

――――――
愛月「カスガダマ島の装甲空母姫の撃破と敵艦隊の殲滅を確認…………」

朗利「やった、のか……?(う、嘘だろう?! 対潜装備無しでカスガダマ島の艦隊を殲滅――――――!?)」

ドレッドノート「任務完了おめでとう」パチパチパチ・・・

愛月「司令官!」

朗利「ああ! この戦い、俺たちの勝利だ!」


「おおおおおおおお!」パチパチパチパチ・・・・・・


X:赤城’「おめでとうございます、朗利提督に愛月提督!」パチパチパチ・・・

金剛「比叡もよくがんばりマシター! Sisterとして誇らしい気持ちデース!」パチパチパチ・・・

朗利「提督! 帰還報告を受けるまでが作戦だ! 次の指令を出せ!」

愛月「あ、はい!」

愛月「全艦、状況を報告――――――後に、鎮守府に帰還せよ!」

愛月「それじゃ、金剛。鎮守府にみんなにこの勝利を知らせてきて! 追って、迎えの艦隊を出すから出撃準備もさせておいて」

金剛「わかりマシタ! Wait a minute !」


タッタッタッタッタ・・・


ドレッドノート「どうだい? 役に立っただろう、私の【ボウガン】?」

朗利「何だったんですか、【あれ】は?」


ドレッドノート「【あれ】はね、【ラムアタック】だよ」


朗利「――――――【ラムアタック】?」

ドレッドノート「わらわが生まれる以前の前弩級戦艦と呼ばれる更に旧い艦には【衝角】というものが標準装備されていてな?」

ドレッドノート「さっきみたいに体当りして、それで浸水させたり、至近弾を食らわせたりと、海上でも白兵戦をやっていたわけさね」

ドレッドノート「そうでもしなければ、大砲を当てることすら難しくてな、大昔は」

ドレッドノート「そなたも拳銃ぐらい握ったことはあろう? それで10歩離れた相手の眉間に10発全て弾を中てることはできるかい?」

朗利「…………いえ」

ドレッドノート「わらわが革新的と言われたのは、斉射によって近づくことなく高い命中率で一方的に敵を攻撃できた点にあるのだ」

ドレッドノート「しかしながら、わらわは世界初の弩級戦艦ということでまだノウハウも培われていないからなかなか理論通りにいかずな……」

ドレッドノート「理論上は遠距離からの砲撃戦で敵を沈めるのだから、接近戦をしないわけだから【衝角】は取り払ったんだけれども、」

                     グレートウォー
ドレッドノート「皮肉なことにも、第一次世界大戦で【衝角】無しでわらわはな? ドイツのU-ボートを【ラムアタック】で沈めてな」


朗利「は、はあああああ?!」

ドレッドノート「おそらく わらわぐらいだろうな。この世で潜水艦を撃破した戦艦というのは。それがちょっとした自慢さね」フフッ

ドレッドノート「つまり、あの【ボウガン】はそんなわらわの戦歴を再現した装備というわけなんだろう」メメタァ

朗利「だ、だから、潜水艦よりも大きな艦ならば一撃で倒せたというわけですか(そりゃボクシングのヘビー級とフライ級以上の差だもんな)」

ドレッドノート「ま、それ以外には、記念すべき世界初の弩級戦艦だというのに大した戦績はないのだがな……」

ドレッドノート「それと実に下らぬ与太話にわらわが付き合わされたということぐらいか? わらわの持ち話は」

ドレッドノート「特にこれと言った活躍もないまま、戦後は民間に売り払われ、そこで解体――――――」


291: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:30:42.51 ID:VQgPk04n0

ドレッドノート「しかし、それで良かったのかもしれぬ。わらわが生まれておよそ10年はそれでも穏やかな時であった」

ドレッドノート「そして、グレートウォーも何だかんだ言って無事に生き延びて満足に退役したのだ」

ドレッドノート「――――――贅沢ものよな」

朗利「…………だから、寂しいんですか?」

ドレッドノート「まあね。わらわとしては、そなたの国で今も愛されている三笠が羨ましく思っておる」

ドレッドノート「三笠もイギリス生まれで、日英同盟時代に大英帝国から大日本帝国に下賜された艦であるからな」

朗利「そうだったんですか」

ドレッドノート「正直に言って、わらわは三笠が羨ましい」

ドレッドノート「前弩級戦艦でありながら、わらわよりも遥かに大切にされて今もその亡骸は残っているのであろう?」

朗利「はい。一度、見に行きますか?」

ドレッドノート「ああ。楽しみにしているよ」

ドレッドノート「それにそういう意味では、三笠と同じぐらいに同じイギリス生まれの金剛が羨ましい」

ドレッドノート「日本最初の超弩級戦艦でありながら、第二次世界大戦まで30年余りを主力として戦い抜いたのだ」

ドレッドノート「三笠ほどではないにせよ、日本人は本当にモノを大切にしてくれるな。――――――誇るがよい」

朗利「いえ、当時の事情としてはワシントン海軍軍縮条約で10年間は新造艦が造れないからそうせざるを得なかっただけで…………」

ドレッドノート「それでも! わらわよりも遥かに名誉ある軍艦としての生き様を華々しく貫けたのであろう?」

朗利「……はい」

ドレッドノート「どんな事情であれ、結果として未来に残されたものの価値は尊い。それが文化や伝統として国の誇りとなっていくのだ」

ドレッドノート「どうやらこれで祖国への道が開けたようだな」

朗利「確かに。これで喜望峰を回ることなく、運河ルートでイタリアに行けますね」

ドレッドノート「そこはわらわの祖国を言って欲しかったものだな、この大うつけめが」

ドレッドノート「それに喜望峰から回らねば、あんな狭い運河を進めるものか――――――あ、母艦と補給艦だけで十分だったか。艦娘だから」

朗利「え? 女王陛下も祖国へ行きたいのですか?」

ドレッドノート「当たり前じゃ。極東の地で肉体を持ったとしても、わらわの起源である祖国への望郷の念は捨てられん」

ドレッドノート「あれから1世紀もたったのだ。祖国があれからどうなったのか、気になるだろう?」

朗利「そうですか。女王陛下も遣欧使節作戦に参加――――――っと」カキカキ


292: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:31:17.48 ID:VQgPk04n0


ルイージ「おめでとう、提督。カスガダマ沖を制圧できましたね。これで喜望峰を通って大西洋沿岸の国々へと道が開けましたね」ニコニコ


朗利「おお、ルイージ! そうなんだよ!(――――――天使降臨!)」

朗利「けれども、運河や海峡を通れるかどうかは微妙なところなんだよな」

朗利「イギリス・フランス・ドイツにはこれで行けるようにはなったけれどもイタリアばかりはわからない」

ルイージ「そうですか。でも、大丈夫です。いつかは行けますから」ニコニコ

朗利「すまないな、いつもいつも(これは絶対に、――――――ローマ 行こ)」

ドレッドノート「なるほど。その娘がねぇ。可愛らしいこと」

ルイージ「初めまして、ルイージ・トレッリです。日本名は伊504です」

ドレッドノート「『日本名』――――――、そなたは日本と縁があるものなのか」

朗利「この娘は戦時中に遣日潜水艦作戦で日本まで来て最終的にイタリア・ドイツが降伏したので日本軍に接収されて、」

朗利「戦後、日本の紀伊水道で沈められた経歴があるんです」

朗利「彼女がもたらしてくれた技術で高度2万mのB-25を撃墜した超高角砲が完成したらしいですよ」

ルイージ「何だかロマンを感じません? こうやって海の向こうからもたらされたもので国が栄えていくのって」

ドレッドノート「わかるよ。わらわの大英帝国も海の向こうの新大陸やインド亜大陸との交易でパックス・ブリタニカを実現したのだから」

ドレッドノート「それに、この国では海の向こうからきたものを崇敬する精神文化が根付いていて、な?」

朗利「いつお暇をいただけるかはわかりませんが、12月23日には司令部に招集されるのでその時に参りましょう」

ルイージ「何の話ですか?」

朗利「三笠公園に行くって話だよ、ルイージ」

ルイージ「何です、それ? 私も連れてってください、提督!」キラキラ

朗利「うん。あそこには100年以上も前に造られた戦艦が今も残されているんだ。きっと何か得るものがあるんじゃないかな?」

ルイージ「凄いです! 日本の正倉院や宗像大社も凄いですし、京都や奈良もホントに凄いんです!」

ルイージ「でも、大昔の戦艦が残ってるだなんて驚きました!」

朗利「ああ。女王陛下の国から下賜された三笠っていう大変旧い戦艦なんだけど、」

朗利「女王陛下がイギリス軍艦の代名詞ならば、三笠は当時の日本軍艦の代名詞で、日露戦争でバルチック艦隊を打ち破った東郷平八郎の乗艦だったんだぜ」

ルイージ「それは凄いですね! 『日露戦争』っていうのが何なのかはわかりませんけど調べておかないと!」キラキラ

朗利「いやぁー、いい娘だなー! 勉強熱心で感心だぞ、お兄さん!」

ドレッドノート「第二次世界大戦のことはわからぬが、それ以前の第一次世界大戦や日露戦争あたりのことならわらわに聞くといい」

ドレッドノート「次いでに、三笠がどういった軍艦だったのかも教えてやろう。光栄に思うがいい」

ルイージ「ありがとうございます! 楽しみだな~」ニッコリ

ドレッドノート「素直でよろしい」フフッ

愛月「司令官。後のことは私がやっておきますので、お疲れ様でした!」

朗利「わかった。帰還したみんなを逸早く出迎える準備をしておくよ」

愛月「はい」

朗利「それでは、私は出撃した艦隊の出迎えと慰労と祝勝会の準備をいたしますので、失礼します」

ドレッドノート「わかったよ。特等席は当然用意してもらうよ?」

朗利「……わかりました、女王陛下」フフッ

ドレッドノート「それじゃ、ルイージとか言ったかな? まず、日露戦争がどういったものかを聞かせてやろう」

ルイージ「はい!」ワクワク


293: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:32:12.31 ID:VQgPk04n0

朗利「さて、護衛艦隊を出したのは本隊を護衛して、なおかつ鎮守府海域の敵の哨戒の意味もあるのだが、」

朗利「一番の意味は、【出撃ドロップ】した艦娘を護衛するのが護衛艦隊の大きな仕事だ」

朗利「なにせ、【出撃ドロップ】した艦娘は練度がどういうわけか最低で、今までよく深海棲艦に沈められずにいられたものだと思うばかり」メメタァ

朗利「…………だからこそ、艦娘と深海棲艦の類似性が当初から指摘されてきたわけだ」

朗利「――――――あれ?」


駆逐艦?「うぅ…………」シクシク


朗利「おい。どうしたんだよ? どうしてこんなところで泣いているんだ?(あれ? なんか見ない娘だな? 今回のドロップ艦に居たのか?)」

駆逐艦?「放っといてください……どうせ私なんか…………」シクシク

朗利「ダメだよ。これから祝勝会なんだから。新入りのきみでもちゃんと席は用意しておくから安心してくれ」

朗利「ほら、レモン風味ののど飴だぞ。まずはこれでも舐めて心を落ち着けて、ね」ニコッ

駆逐艦?「あ…………」

朗利「こんなところに一人で居ちゃいけない」

朗利「居場所がまだ見つからないんだったら、お兄さんと一緒に祝勝会の手伝いをしてくれないか?」ニコッ

駆逐艦?「いいの……?」

朗利「きみは艦娘だろう? 俺がこの鎮守府の司令官だ。きみの身柄については俺が責任を持っている。だから放っとけないのさ」

朗利「それに、今日は度重なる出撃で新しく入った娘が多いから安心して。今日の祝勝会で一人も漏らさずに紹介してあげるから」

駆逐艦?「…………ありがとう」

朗利「それじゃ行こう。一応、この鎮守府は2人の提督で運営されているから、俺の姓の朗利や園長とか司令官って呼んでくれ」

駆逐艦?「…………司令官」

朗利「そう、俺はきみの司令官だ」

朗利「で、きみは何ていう名前かな?」


――――――クレマンソー。


朗利「…………『クレマンソー』?」

朗利「――――――【海外艦】?!」

クレマンソー「はい。元フランスのクレマンソーです」

朗利「ふ、フランスの…………これは驚いたな。これからよろしくな」

クレマンソー「うん。司令官」


294: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:33:13.96 ID:VQgPk04n0

朗利「(どういうことだ? なぜ【フランス艦】が突如として現れた? 【出撃ドロップ】で得られた艦娘ではないな、確実に)」メメタァ

朗利「(いや、これは今までの例から言っておそらく、――――――【建造】で生み出されたに違いない)」

朗利「(そうだ! 今日の必勝祈願にビスマルクを【秘書艦】にしてシャルンホルストを狙って【大型艦建造】を愛月提督がやってた気がする!)」メメタァ

朗利「(すると、愛月提督が忘れていたのか! それは僻むわな! ――――――許せん! スイーツ券没収だ!)」

朗利「(しかし、何だこのボロ切れをまとった見るも哀れな痩せ細った身体は…………所々に痣の痕も見える)」

朗利「(――――――相当悲しい生前だったのだろうな)」

クレマンソー「………………」ギュッ

朗利「クレマンソー? そういえば、まだ艦種を聞いてなかったな? 何だ、装甲空母か何かか?」

クレマンソー「うっ…………」グスン

朗利「あ、嫌なら言わなくていいぞ! お兄さん、クレマンソーの笑顔が見たいからな、な!」アセアセ

クレマンソー「あ…………」ホッ

朗利「今日は自己紹介しなくてもいいさ。自分を表現するのが苦手な娘なんてたくさんいることだし、」

朗利「だから、特別じゃないよ。少しずつ慣れていけばいい」ニコッ

朗利「怖い思いはさせない。お兄さんが守ってあげる」ナデナデ

クレマンソー「司令官……」ギュッ

朗利「(さて、どういうわけか【海外艦】ラッシュが止まりません! どうなってるの、俺んちの建造ドックは?!)」

朗利「(まさか欧州4強の艦娘を我が鎮守府に迎えることができたとはな…………)」

朗利「(しかし、クレマンソーか。いったいどんな艦だったんだろう? 【大型艦建造】で駆逐艦が出るとは思い難いし…………)」

朗利「(それに、物凄く孤独感と痛々しさが伝わってくる。人の温もりを強く求めている娘だな)」

朗利「(今日はいろいろと記念すべき日となったが、どうやら明日は祝勝会の二次会や余韻に浸っている暇はなさそうだな)」

朗利「(何にせよ、西方海域は完全制覇された。欧州への航路が拓かれたんだ!)」


――――――夢は着実に現実のものへとなろうとしている。この調子で南方海域も次いでに攻略して遣欧使節作戦を実行に移すぞ!


GET! 戦艦:クレマンソー(レア装備要員・大器晩成型最強戦艦)


戦艦:クレマンソー(フランス)1937/01/17-1944/08/27空襲撃沈
リシュリュー級戦艦3番艦
属性:【海外艦】【フランス艦】【ドイツ艦】
改造:戦艦:クレマンソー(浮き砲台) → 戦艦:クレマンソー(砲艦) → 戦艦:クレマンソー(改良3番艦)


――――――第6話Z-2 海上封鎖を突破せよ  -世界は1つの大洋で繋がっている- 攻略編 完

      Next:第7話Z 到来 -アドベント- に続く!



295: ◆G4SP/HSOik 2014/11/18(火) 11:34:04.68 ID:VQgPk04n0

陣営紹介Z+:【海外艦】勢
潜水艦:ルイージ・トレッリ
今作における新たな【海外艦】導入の水先案内人となるイタリアの潜水艦。開放後に無条件に【建造】で得られる【海外艦】である。
【改造】する度に国籍と名称が変遷していく変わった経歴の艦であり、実に数奇な運命を辿っている。

いいかげんな性格のラテン気質のイタリア軍に反して戦功を上げている潜水艦であり、イタリア人というよりはルネサンス時代の偶像をモチーフにしている。
その一方で、ユーモアと社交性を持ちあわせ、礼節を弁えているので非常に親しみやすい。ほどほどにまじめでほどほどにフランクのいいとこどりした性格。
日本に対して並々ならぬ関心を寄せているらしく、提督に対して極めて友好的。


戦艦:ドレッドノート
超弩級の“弩”とはドレッドノートに由来するものであり、艦隊巨砲主義の火付け役となった画期的な戦艦であった。
しかし、【艦これ】に参戦している最古参の艦娘である金剛ですら超弩級戦艦なので、この時点でいかに【旧式艦】であることかが伝わるはずである。
もちろん、能力は低速戦艦の扶桑にすら全面的に劣るものだが(腐っても超弩級戦艦なのでドレッドノートより強いのは当たり前!)、
今回の【海外艦】はそれぞれに確保するだけの利点が備わっており、第一次世界大戦以前の日英同盟時代の艦隊決戦のノウハウを伝授してくれる。
選出の理由は、ドレッドノートの歴史的意義とその戦績によるものであり、“恐れ知らず”なだけあり、割りとユニークな戦果を上げている。

ドレッドノートの登場によって、ドレッドノート以前の全ての味方艦が旧式艦の烙印を押されて前弩級戦艦に分類させられたために、
性格は極めて横暴であるが、逆にそれ以降の超弩級戦艦の基準にもなっていることから1つの時代の生みの親とも言えるので、
女王の国:イギリスに相応しい古き良き時代の女王様をイメージしている。【ボウガン(=弩)】を持っているのは彼女の高尚な趣味であり、ダジャレである。
そして、その【ボウガン】が実はドレッドノートの真の武器であり、ドレッドノートがゲーム的にただの【旧式艦】ではない存在感を発揮させている。

【海外艦】を多く擁し、イギリスの帰国子女:金剛や紳士淑女の提督2人が務める拓自鎮守府に降り立ったのはまさしく天啓であり、
横暴ではあるものの優雅な物腰や慈愛に満ちた強い母性と培われた知恵が朗利提督には感銘を覚えるものがあり、
日英同盟時代の軍艦だったためか態度はでかいが、皇国の軍人である朗利提督の人柄に惚れ込み、朗利パークを支える一員として収まっている。


戦艦:クレマンソー
フランス リシュリュー級戦艦3番艦:クレマンソーであり、
リシュリュー級は日本ではあまり馴染みがないがダンケルク級戦艦の次級として設計された傑作戦艦であり、それぞれ個性的なエピソードがある。
とりわけ、3番艦であるクレマンソーは艦名の由来となった人物からその運用や経歴までが異色に彩られており、キャラ的に非常に美味しいわけである。
ダンケルクとリシュリューの公式での実装は任せますので、クレマンソーだけは使わせていただきます。

性格は一言で言うなら、『家族に置いて行かれて“みなしご”になって継母にいやいや働かされて歪んでしまった陰気な艦娘』であり、
置いて行った姉であるリシュリューやジャン・バールには薄暗い眼光を向けている。【運】が低い不幸艦なのは間違いない。
リシュリュー級はゲーム的には凄まじい強さを誇っており、フランスの最新鋭戦艦なので強いのは当然!
大和型戦艦でしか耐えられない超威力の主砲を備え、連合国側では数少ない高速戦艦であり、対ビスマルクを想定した手堅い防御設計である。
なので、性能は大和型戦艦に次ぐ勢いの高速戦艦である。それ故に【改造】してから本来の性能を発揮するという珍しい強化のされ方をしている。
しかし、クレマンソーはそうでありながら初期状態では冗談みたいな弱さであり 【対空】以外は突出したものがない。戦艦らしい能力がいっさいない。
だが、なぜそんなクレマンソーが採用されたのかといえば、それ相応にとんでもない装備を持参してくるからであり、
もちろん改二になれば改良リシュリュー級戦艦として生まれ直し、フランス最強戦艦の圧倒的な性能を見せつけてくれる。
【改造】を重ねる毎に痩せ細った身体が健全になって【運】や表情が良くなっていく様はシンデレラストーリーのお姫様である。要【改装設計図】。


298: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:20:45.29 ID:RGK9H7Jp0

第6話Y-1 提督、出撃す     -船娘の進撃・陸軍の意地・男の浪漫- 考察編

――――――斎庭鎮守府


金本提督「ふははははは!」

剛田将校「ふふふははははは!」

金本「ぐふふふふふふふふ!」

剛田「あはははははははは!」

金本「こいつはやっべええええええええ!」

剛田「これはいいぞおおおお!」

金本「雑魚メカだと思ってたけど強くなり過ぎぃいいい!」

剛田「ボス級深海棲艦が一撃で墜ちるとかあり得ねええええ!」

金本「北方AL海域――――――今からもう1周しね?」

剛田「おう! ほっぽちゃんをもう1回泣かせてやろうぜ!」

金本「【男のロマン】最高!」

剛田「陸軍 最高! 海軍も最高!」


男共「わっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!」


あきつ丸「提督殿……? 将校殿……?」

お銀「壊レタ……」

お輪「提督殿! 将校殿! 正気ニ戻ッテェ……」


――――――――――――

―――――――――

――――――

―――



299: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:21:50.98 ID:RGK9H7Jp0

――――――これは遡る話


金本「さて、また行ってみようか、――――――北方AL海域」

剛田「ほう、北方海域のExtra Operationマップか」メメタァ

剛田「この追加で単純計算 月に【勲章】を4つは定期的に得られるようになった――――――【改装設計図】分だな」メメタァ

金本「まあな」

金本「けど今のところ、【勲章】の使い道がちゃちな資源セットだったり、【改装設計図】だったりしてありがたみがないけどな」メメタァ

剛田「そうだな。陸軍参謀本部の情報網によれば、必要以上の資源を浪費してやっとイベントマップやEOマップを突破するものらしいな」メメタァ

剛田「海軍士官共の阿鼻叫喚の声がこれでもかと聞こえてきそうだ」

金本「【艦これ】というゲームは、10%に戦術、20%に情報、30%に資源、40%にリアルラックだからな」メメタァ

金本「つまり、たいていの提督は7割を占める資源とリアルラックをおざなりにしているから泣きを見るんだよ」メメタァ

金本「この2つさえ押さえていれば、ゴリ押しのゴリ押しをゴリ押しするだけでたいていはどうにでもなるゲームだってのにな」メメタァ

剛田「『4割のリアルラック』――――――運に左右されちゃどうしようもないだろうが」メメタァ

金本「逆だ、逆」


――――――『この世の中はその4割のリアルラックを持っている人間とそうでない人間にわかれている』ということだ。


金本「つまり、運勢が無いやつは【艦これ】は永遠にクリアできないだろうし、」メメタァ

金本「逆にカネも無いようなやつは【艦これ】以外の課金が当たり前のようなブラウザゲームは上位ランクになることも不可能」メメタァ

金本「つまり、運勢もカネもある俺が最強ってことだ」ニヤリ

金本「――――――いや、運勢があるからカネがあり、カネがあるから運勢も付いて回ると言うもんさ」

剛田「そうだな。大本営にも影響力を持つ資源王だからな、お前は」

金本「そして、運もない・カネもないような素寒貧は本当のゴミクズというわけだ!」グッ

金本「だが、俺はどちらもない状態からここまで這い上がって来たんだから、そこらのおぼっちゃんなんかより格段に上だがな!」

金本「俺は資源王にすらなったのだからな!」ドヤァ



300: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:23:30.29 ID:RGK9H7Jp0

――――――斎庭鎮守府 隣:金本邸 地下【秘密工廠】


金本「さて、今日も【海上陸戦機動歩兵】の【開発】と研究をしよう」

剛田「あれから【海上陸戦機動歩兵】の改良を重ねてはきたが――――――、」

剛田「【○二】も【○四】も未だに駆逐艦にすら及ばない機動力なのはまずいだろう」

剛田「とりあえず、【○二】は揚陸艦:あきつ丸の援護を受けられるから【肉薄】しやすいのはいいが、」

剛田「陸軍式の武器では深海棲艦にダメージを与えることはかなり難しいな……」

剛田「かと言って、おいそれと海軍の武器を採用しては陸軍代表の俺のクビが飛ぶ」

剛田「逆に【○四】はさすが深海棲艦の研究をしているだけあってうまくいけば深海棲艦を一撃で沈めてくれるが、」

剛田「専用の支援艦がないからな……」

剛田「…………一長一短な戦果だぜ」

金本「まあ、しかたねえな。元から『人間の手で深海棲艦を倒す』っていう無理難題やってるわけだし」


剛田「なんだよ、あの海軍陸戦隊の【特型内火艇】って! 陸軍技術部協力の水陸両用戦車! 艦船名簿にも数えられている【艦載艇】!」


剛田「潜水艦による輸送を考慮して、プロペラスクリューに水密化した溶接構造で水上航走できる揚陸艇!」

剛田「【こいつ】を魔改造したほうが安上がりなんじゃねえか! 【こいつ】を【開発】するぞ、何としてでも!」

金本「そもそも、陸軍の【大発】を“特型運貨船”と称して配備している陸戦隊もあったからな……」

金本「揚陸作戦に関しては、ホント海軍も陸軍もねえな……」

剛田「まあ、海軍様が陸軍の展開し辛い太平洋の果ての果てまでどんどん進軍してくれたおかげでもあるのだがね、そこは!」

剛田「漸減邀撃作戦はどこ行った!?」


301: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:24:07.21 ID:RGK9H7Jp0

剛田「支援艦だ、支援艦! 支援艦の艦娘と船娘の充実を陸軍としては要求する!」

剛田「本当なら艇娘とか舶娘が実装して欲しかったけど、存在できるのが艦娘と船娘ぐらいの大きいやつだけだからな。しかたない!」

金本「そうだな。確かに【特務艦】のカテゴリーが少ないのはどうかと思う」メメタァ

金本「現時点で実装されている【特務艦】は――――――、」メメタァ


――――――潜水母艦:大鯨、――――――工作艦:明石、――――――揚陸艦:あきつ丸


金本「――――――の3人だけだな」

剛田「何とかならないのか? 強襲揚陸艦:神州丸を船娘として召喚してはくれないか?」

金本「そうだな……、話に聞いたところによると、鎮守府ごとに建造妖精の好みも違うわけだから【建造】される艦娘もそれで出現率に偏りがあるそうだな」

金本「もしかしたら、【特務艦】に特化した建造妖精を集めることができれば、あるいは――――――」


――――――【特務艦に特化した建造妖精】


剛田「【特務建造妖精】とでも呼べる技術者を探してくればいいんだな?」

金本「?」

金本「ああ。それに特化した建造妖精を集中的に招くことができれば、【特務艦】も出やすくなるはずだという理論だが…………」

剛田「お安い御用だ! どこの鎮守府にも陸軍の憲兵が控えている。そいつらとの陸軍情報網を使って探し出してみせよう」

金本「なるほどな。それはいい考えだ」

剛田「謝礼、はずめよ? いくら共同開発でも陸軍としては零細部署なんだからよ」

金本「実際に特殊艦娘を大量に【建造】できたらな?」

あきつ丸「提督殿、将校殿。カレーパンであります」

金本「おう」ハムッ

剛田「これは美味い」モグモグ



302: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:24:58.75 ID:RGK9H7Jp0

――――――数週間後、


剛田「何やら近頃、鎮守府をボス級深海棲艦が襲ってくるだなんてことが起きているようだが、大丈夫か?」

金本「ああ? そういえば、『司令部』の面々でも石田提督と朗利提督のとこも襲われたって話だな」

金本「石田提督は相変わらず難なく撃退して、朗利提督のところは戦わずに海に燃料 撒きまくって焼き殺したらしいがな」

剛田「なんだと……『焼き殺した』だと?!」

金本「あ? 待てよ……、この前のあれはそうだったのか?」

剛田「どうした?」

金本「あ、いや……、たぶん鎮守府近海に来る前にボス級深海棲艦の艦隊をぶっ潰していたかもしれない」

金本「久々にレベルカンストの扶桑姉妹でも使ってみようと中部海域に行かせてみたら、なんか戦艦棲姫の艦隊とやりあって勝ったらしい」

金本「他にも、装甲空母姫とか空母棲姫なんかも他の海域にまで出張っていたらしいけど見敵必殺で殲滅してきたそうだ」

剛田「ええええええええええ!?」

金本「嘘かホントかは知らん」


金本「少なくとも俺の鎮守府にやってきたら俺 直々に殺り返すまでだがな? そのための【○四】だからな」ニヤリ


剛田「フッ、さすがは『司令部』に選ばれただけの精鋭たちだな」

剛田「だがやはり、その中でも一番の武功を誇るのが臆病者のお前か」

金本「……わからないもんだよな、人生ってやつはよ」

あきつ丸「提督殿、将校殿! 今度はウインナーロールであります」

剛田「へえ。どうしんたんだ、最近? このところ、新商品の開発に精を出しているようで」

金本「そりゃあ、お前よ? 糧食は選べたら最高だろ?」

剛田「そうだな。陸軍としては缶詰やレトルトの冷えた飯を汚え寒空の下で食わなきゃならんから、片手で食えるこういうのはありがたいな」

金本「ふふふふ、洋食屋の●●くんには料理人としては負けるが、お前もパンについては素人も同然だからな! こっちでは俺の勝ちだ!」ワハハハ!

剛田「…………『洋食屋の●●くん』?」

剛田「まあ、金本パン屋が陸軍御用達の栄誉ある惣菜屋になることはいいことだ」ハムッ

剛田「あ、そっか(【○四】を着込んで海上陸戦やるようになったから――――――)」



303: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:26:06.42 ID:RGK9H7Jp0

――――――建造ドック


金本「お前たち、『【特務艦】を専門的に造りたい』と日頃から言っていたようだな?」

金本「どうだ? 全国各地から【特務艦】を造りたいという同志をこれだけ集めたんだ」

金本「――――――やれないことはないな?」

特務妖精「おまかせください! あなたは話がわかる良いお方! 謝礼もはずんでもらってるので力を尽くしましょう!」

金本「では、今日1日はお前たちに建造ドックをまかせる。デイリー契約だ」

金本「とりあえずはこれぐらいの資源を投入する。さっさと造れ、とりかかれ」

特務妖精「はっ!」

バタバタバタ・・・・・・

金本「見事なものだな。建造ドックを動かせるだけの人数をよく探してこれたもんだ」

剛田「時間と懸賞金さえかければ、探しだすことなど実にたやすい」

剛田「これで新たな【特務艦】が集中的に【建造】されていけばありがたいがな」

金本「では、結果を待とうではないか」

剛田「ああ。   ちゃんたちの  でももいで待ってるか」

金本「フッ、俺なら脇を  ペロしてるがね」

剛田「ああ? だったら俺は、うなじや耳を甘咬みするね」

金本「甘いな。豊胸マッサージだってしてやるんだぜ、俺は?」

剛田「ああ?」ジロッ

金本「ああん?」ジトー


男共「――――――!」バチバチバチ・・・



304: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:26:43.96 ID:RGK9H7Jp0

金本「あ」プルルル・・・

金本「悪ぃ」ピッ

剛田「ああ」

金本「なんだ?」

――――――
扶桑「はあ……、ようやく繋がった……」
――――――

金本「扶桑か。どうした? ちゃんと今日の予定の通りに鎮守府は運営されているんだろうな?」

――――――
扶桑「はい。仰せのままに」

扶桑「しかし、最近の提督はどうしたのですか?」
――――――

金本「『どうした』とはどうした?」

――――――
扶桑「だって、最近の提督はほとんど鎮守府に姿をお見せになりませんから………………あれだけ私たちのことを追いかけ回していたのに」

扶桑「何だか他のことに夢中になっているようで、その…………、」


扶桑「みんな 寂しがってますよ?」


扶桑「ですから、早く戻ってきてください」

扶桑「そして、その…………、」

扶桑「私たちをあなたの手でまた不幸にしてください」ポッ
――――――

金本「…………ふふん」

金本「待て待て、趣向を変えてそうやって焦らしてやってるんだから焦るなって」ニヤリ

金本「それに、現在 手が離せないのは事実だし、ちゃんと仕事をこなしていたらちゃんとご褒美をくれてやるよ」

金本「だから今はおとなしく待ってろ」

金本「不幸がお望みなら、俺がまたこの手でお前のことをメッチャクチャにやるから安心しろ」ドヤァ

――――――
扶桑「ああ……、それを聞けて良かったです……」ポー

扶桑「今日も頑張ってください、提督」

扶桑「その……、待ってますから」ドクンドクン
――――――

金本「ああ。俺も待っているからな」ピッ

金本「………………」


305: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:27:44.41 ID:RGK9H7Jp0

剛田「なあ、金本。ふと思ったんだが――――――」

金本「何だ?」


――――――艦娘って妊娠するのか?


金本「…………しねえよ」

金本「戦うことが存在意義の兵器が、妊娠なんてして満足に戦えなくなったら本末転倒だろうが」

金本「あいつらがいくら人間に似てようとも、その本質は破壊だ。殺戮だ。生殖による生産なんてことはできっこない」

金本「まあ、妖精たちが何を思ってそう造っているかわからない以上はそういうもんだと俺は思っているがな」

金本「それに、妊娠しないほうがそういうの気にしなくていいから  たい放題だろう、お互いにさ?」

金本「●●くんも割り切ったほうがいいのによ……」


剛田「――――――『●●くん』? ああ お前がいつも羨ましそうに言ってる洞庭鎮守府の清原提督のことか」


金本「!?」

金本「俺がいつ『羨ましい』だなんて言った!」ムッ

剛田「だったらなんで、そうムキになってるんだ? ホントはああいうのに憧れてたりしてるんじゃないのか?」

剛田「清原提督の兼愛交利の精神は陸軍でも――――――というよりは帝国軍人の1つの規範とも言えるほどに評判なんだしさ」

金本「………………」

剛田「とことん僻みっぽいんだな、お前の貧乏人根性というか野心というか……」

金本「ふん! あいつ、ケッコンカッコカリしている相手がいるのに未だに同じ床では寝てないんだとよ」

金本「キスぐらいはしてるんだろうが、おそらくあれじゃ男と女の関係にもなってねえな」

金本「もし一緒に“愛しの良妻軽母”と一夜を共にすることがあったらお赤飯ものだな」

金本「まあ、どう頑張っても●●卒業は戦争が終わるまでお預けで、同じお布団で寝るだけで精一杯だろうがな!」フン!

剛田「お前とは正反対だな。気に入った艦娘とは  たい放題――――――ピンク鎮守府の筆頭格だな」

金本「それが男の甲斐性ってやつだろうが。向こうだって俺がそういうやつだってわかって受け容れてるんだからな」

剛田「卑しい貧乏人根性を満たすために艦娘の身体を貪り、今度はその顕示欲や征服欲を外に向けだしたわけか」

金本「………………」

剛田「ま、いいさ。俺だってお付のガイノイドとそういうことを多かれ少なかれ  てるわけだし」

剛田「肝腎なのは、お前が大本営に物申すことができる資源王であり、陸軍にとっても大変 利用価値のある存在――――――」

剛田「俺はお前をうまく利用して陸軍の現在の立場を改善して、お前はお前で俺という同調者に支えられながら己の欲を満たす――――――」

剛田「さて、どこまでやってくれるのか楽しみにさせてもらうぜ」

金本「けっ、――――――『他力本願』宣言かよ。大本営も海軍も陸軍も大したことねえな」

剛田「…………戦争はあくまでも政治や経済のためにあるものだ。資源王の機嫌を損ねて生命線を断たれるわけにはいかないから必死なんだよ」

金本「さて、そろそろか? 最初の【建造】結果を見に行くとするか」

剛田「ああ。やたら短かった気がするが、軍艦じゃないしこんなもんだろう」

金本「何が出るかな~♪ 何が出るかな~♪」

剛田「神様の言う通り~」



306: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:28:42.47 ID:RGK9H7Jp0

――――――【応援要請】:【特務建造妖精】による【建造】結果


大泊「砕氷艦:大泊だ。氷海に赴くのなら必ず連れて行ってくれ。氷獄などこの手で打ち砕く。そのために私は生まれてきたのだからな」グッ

大浜「標的艦:大浜です。大丈夫です、大往生しますからぁ~」オドオド

ミロク「潜輸:伊369です。どうかあのような兵器が二度と生まれてこぬよう太平へとお導きください」

速吸「給油艦:速吸です。給油艦ですけれど流星艦上攻撃機を扱えるんですよ。凄いでしょ?」

朝日「工作艦:朝日です。はあ……、戦艦だったあの頃が懐かしいねぇ……今じゃ駆逐艦のほうが大きいからねぇ」

吉備津丸「揚陸艦:吉備津丸であります。あきつ丸先輩殿のように艦載機は扱えなかったでありますが、最後まで役目を果たしたであります」


特務妖精「ああ いい仕事をしたぜ! どうだい、提督?」

金本「…………わかってはいたが、これは戦力としてはどうなんだ?」アセタラー

剛田「こうして見ると、本当に駆逐艦ってあれでも頑丈に造られているのだと実感させられるな……」

金本「もっとこう、揚陸艦のような実戦的な艦船が欲しかった…………こいつらのほとんどが史実だと駆逐艦よりも小っせえじゃねえか!」

剛田「揚陸艦:あきつ丸って本当に優秀だったんだな……」


307: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:29:45.64 ID:RGK9H7Jp0

金本「だいたいにして! 陸軍と海軍の足並みが揃わないままアメリカとか言う国力数十倍の国と殺りあおうとか馬鹿じゃないの?」

剛田「まったくだ。藩閥だか何だか知らないが、統帥権をお題目にしてるんだったら勤皇しろ! 尊皇だけして私心を捨てやがれってんだ!」

剛田「陸軍と海軍が相争っている中でその余力でアメリカと戦ったところで勝てるわけないだろうが! それで挙国一致だなんて笑わせる!」

剛田「戦国時代の大名のように死に対して真摯であって欲しいものだ。――――――実に哀れだぜ、靖国の英霊やお国のために尽くした臣民なんてやつは」

金本「知ってるか? 四半世紀も経たずに海上封鎖されて海外交流が廃れて今では細々と国際交流がなされていてだな」

金本「そうした中で必死に情報交流をしたとある軍学者があの戦争における各国の軍政についてこう結論づけた」


フランスの兵器「何がしたかったのかはわかるが、やりたかったことというのはその程度なのか?」

イタリアの兵器「どうしてそうなるのかはわかるが、そうするしかないものなのだろうか?」

イギリスの兵器「何がしたかったのかはわかるが、どうしてこうなったのかはわからない」

ソ連の兵器「どうしてこうなったのかはわかるが、何がしたかったのかはわからない」

ドイツの兵器「こうするしかなかったのはわかるが、そこまでしてやる理由がわからない」

日本の兵器「こうするしかなかったのはわかるが、まさか本当にやるとは思わなかった」

アメリカの兵器「必要なのはわかるが、そこまでたくさん造る理由がわからない」


剛田「日本とアメリカは別格の扱いだな、こりゃ」

金本「そうだろう? 今でもアメリカはあれで日本はこれがあるからな。アメリカが兵力で第1位ならば、日本は戦力で第2位の軍事国家だわい」

金本「幕末で黒船来航による国難を乗り切るために岩倉具視らが推進した公武合体のようなものをやらねばならんな、これは」

剛田「そうだな。陸海空で、陸海空で合体だ――――――へいへいって、それ“大本営”のことじゃん!」

金本「ああ ダメだ! そもそも【○二】と【○四】も用途がほとんど同じでありながら陸軍と海軍で競争して別々に造ってるんだもんな……」

金本「くそっ! 妖精科学で魔改造すればきっと使えるものがあるはずだ!」

剛田「もういい! ともかく見慣れない艦種が勢揃いだ。何ができるのかを見てみようではないか」メメタァ



308: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:30:35.20 ID:RGK9H7Jp0

――――――砕氷艦:大泊について、


金本「ほう、【砕氷艦】か。主砲を持っていない以上は大した戦力にはならないだろうが、【艦これ】における利点があるなら言ってみろ」メメタァ

剛田「(何だ? 【砕氷艦】だからなのか 厚手の防寒マントの雪国美人と言った感じだが、内なる闘志か――――――力強い眼差しをしているな)」

大泊「基本的にオレは司令官が言うようにまともな戦闘じゃ役に立たない」

剛田「(――――――“オレっ娘”だとぉお?!)」

大泊「【砕氷艦】としてのオレの能力としては――――――、」メメタァ


1,【砕氷艦】∈【測量艦】としての能力で【出撃】時にオレが小破以下なら羅針盤を回す前に進めるマスが表示されるぞ

2,【砕氷艦】∈【測量艦】としての能力で【うずしお】などの【ハプニング】を全て無効にする程度の能力があるぞ

3,【ラムアタック】が標準装備だが、オレは潜水艦よりも小さいから大したダメージにならないが稀に【一撃必殺の氷山】をぶつけることがある


金本「」

剛田「」

大泊「この程度のことでしか役に立たないが、今後共よろしく頼む」

金本「いや、メッチャクチャ使えるんですけど! それに俺好みのロマン性能もあるじゃねえか!」

金本「まず、最初の能力で『今の編成が海域の攻略に正しい艦隊編成かどうかがわかる』ってことだろう?」メメタァ

金本「そして、【ハプニングマス】を無効にできて、なおかつ大泊は超低ステータス相応の超低燃費艦だから周回要員として安定している」メメタァ

剛田「そうだな……、【測量艦】としての能力に加えて【ラムアタック】まで標準装備とは恐れ入る……」メメタァ

剛田「(次いでに言えば、こいつは戦後も運用され続けた長寿艦――――――いわゆる【幸運艦】だ。【ラムアタック】も発動しまくるだろう)」メメタァ

金本「というか、どこから【氷山】なんて――――――んなもん ぶつけられたら戦艦:大和ですら一撃じゃ!」

金本「ハッ」

金本「これがホントの『氷山の一角』ってやつなのか! これが【砕氷艦】の実力?!」

大泊「フッ、そこまでオレのことを買ってもらえるとはな。――――――ありがとな」ニコッ

大泊「オレのこの白の手が真赤に染まる時、愛と怒りと哀しみの拳が振り下ろされることだろう」

大泊「オレは血は見たくない。ただ穢れ無き白の中でありたいと思っている。提督もそう思うだろう?」

金本「…………そうだな(確か日本初の砕氷艦:大泊が生まれたきっかけって“尼港事件”――――――)」アセタラー

剛田「そうだとも、大泊よ! 白地に赤は日章旗だけでよい!」グッ

大泊「ああ!」グッ

金本「なんか【○二】を使えばお前でも勝ててしまえそうなぐらいの酷い能力値の娘だけど――――――、」メメタァ

剛田「ああ。その爆発力は火傷だけじゃ済まされないだろうから手を出すのは止めておこうか…………」アセタラー

大泊「見よ、東方は赤く燃えている! 皇国の神よ、血に染まりし凍てつく白き大地を遍く照らせ!」



309: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:31:14.28 ID:RGK9H7Jp0

――――――標的艦:大浜について、


金本「帝国海軍に最初から【標的艦】目的の軍艦なんてあったんだな……」

剛田「これは駆逐艦型の【標的艦】といったところだな、このロリっ娘は……(え、これを標的にするの? 犯罪じゃね!?)」アセタラー

大浜「あははは…………」ニコニコー

金本「…………33ノットか。まあ【艦これ】では【速力:高速】扱いだし気にすることでもないか」メメタァ

剛田「他に【標的艦】は誰が居る?」

大浜「えと、軽空母なのかな――――――波勝さん、弩級戦艦:摂津さんと駆逐艦:矢風さんです……」ニコニコー

剛田「……お前、無理してないか?」

大浜「大丈夫ですって! ホントに大大大大丈夫ですぅ!」ニコー

金本「…………引きずった笑顔だな。後でパンをあげよう」

剛田「……大丈夫なら【標的艦】の説明をしてくれないか?」ハラハラ

大浜「あ、はい……! 大丈夫です、説明もちゃんとできますからぁ」オドオド

剛田「うっ……(どうしてこんな娘が【標的艦】なんかに……!?)」ホロリ・・・


1,【標的艦】を【秘書艦】にして【開発】すると、現在の装備品よりランクの高いものが【開発】されやすくなる

2,【標的艦】を【旗艦】にしてその艦隊で【演習】すると、艦隊が得られる経験値がより多くもらえるようになる

3,戦闘時は敵から優先的に攻撃されやすい

4,スロットが最初から4つ開放されており、【装甲】の伸びしろは共通して99まで伸びる


金本「メッチャクチャ強えええええ!」(驚愕)

剛田「ええ?! 何なの このクソ能力は?!」(歓喜)

大浜「え、ええ?!」

金本「駆逐艦でスロット4で【装甲】限界が99とかアホかああああああ!?」メメタァ

剛田「明らかに支援能力最高の【特務艦】――――――いや、艦種じゃありませんかああああ!」メメタァ

金本「これは使える」ニヤリ

剛田「ああ。どう考えてもこれは使える」ニヤリ

男共「ふふ、ぐふふふふふ……」

大浜「だ、だだだだだ大丈夫、問題ない……問題ない……問題ない…………」ブツブツ・・・



310: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:31:48.62 ID:RGK9H7Jp0

――――――潜輸:伊369について、


金本「369――――――ミロクか」

金本「ほう、語呂がいい感じだな」

金本「お前、ずばり【幸運艦】だろう。終戦まで生き延びた――――――」

ミロク「はい。横須賀で終戦を迎えて、アメリカ軍に接収されました」

剛田「ああああああ!? これって【特型内火艇】じゃねえか!?」

ミロク「はい。【特四式内火艇 カツ】にございます」

剛田「なあなあなあなあ? この【特型内火艇】をちょこっと改造して【ある兵器】の支援兵器にしてもいいか?」

ミロク「わかりました。私の提督はあなた方です。仰せのままに」

剛田「やったな! 陸軍の【大発動艇】に対する海軍の【特型内火艇】を手に入れたぞ」

金本「マジかよ……、ホントにできるのか?」

剛田「やってみなくちゃわからん。今日一日は【特務建造妖精】が【応援】でいるのだからな」

剛田「よし、ちょっと行ってくる」

タッタッタッタッタ・・・

金本「【○二】の支援兵器が【大発動艇】で、【○四】の支援兵器が【特型内火艇】になるとはな……」

ミロク「あまり無理をなさらないでください」

金本「は?」


ミロク「あなたのことを待っている人がたくさんいます――――――あなたは死んではならないお方です」


金本「…………忠告、感謝するよ」

金本「しかし、――――――潜行輸送艇だったっけか、まるゆの艦型って」

金本「輸送艦らしく、【潜水艦】に比べて戦闘能力は凄まじく低いな。まあ、魚雷が使えるようだからちゃんと役割は持てるけどさ」メメタァ

ミロク「その代わり、世界初のステルス性を持った級ですから【回避】の伸びしろは他よりずっと高いですよ」メメタァ

金本「なるほど、それはいいことを聞いたな」

金本「して、【潜水空母】になれたりはするのか?」

ミロク「伊四○○型は当時 世界最大の潜水艦です。【晴嵐】を3機も搭載できるような――――――ですから 無理です」

金本「なるほどな」

ミロク「あと すみませんが――――――、」

ミロク「――――――【潜輸】とはありますが、」


1,【特型内火艇】を装備できること ――――――【水上機母艦】も可

2,【潜水艦】としての特性

3,戦闘能力が【潜水艦】より軒並み低い代わりに、スロットが1つ多い かつ超低燃費

※単体ではボーナスとかはありませんのでご注意を

【特型内火艇】=海軍版【大発動艇】――――――スロットいっぱいに装備させれば遠征報酬がその分 増える


ミロク「ぜひ、【潜輸】をご活用してくださいませ」

金本「それだけじゃなくなるんだがな」ニヤリ

ミロク「はい。微力ながらお力添えさせていただきます、提督」



311: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:32:38.95 ID:RGK9H7Jp0

――――――給油艦:速吸について、


金本「――――――【給油艦】だとぉ? それが【艦載機】を扱えるだとぉ!?」

剛田「うわっ、持参品の中に【流星】が入ってるよ!(ガソリンスタンドの店員のような、ファストフード店の店員のような格好だな)」

速吸「はい。【流星】の他にも【水上機】なども扱えますよ。搭載機は予備機を含めて8つとなります」

金本「これ、丙型の【揚陸艦】兼 護衛空母のあきつ丸と同じじゃね?」

剛田「そう考えると、戦略資源を輸送しつつ空母化している速吸はあきつ丸の同業者みたいなもんか」

剛田「あきつ丸のやつは、新造時に艦載機を13機だったな」

金本「【艦これ】だと3スロット全てに8機ずつの計24機だったけどな」メメタァ

速吸「【改造】してくれれば、計画中止で実現しなかった倍の数の【艦載機】が扱えるようになりますよ」メメタァ

金本「へえ でも、油の他に食糧も取り扱っていたから給糧艦としての一面もあるわけだから料理もできるんだろう?」

速吸「油料理が得意ですね」

剛田「――――――『給油艦』だけに?」

速吸「はい」ニッコリ

速吸「さて、【給油艦】の特性としましては――――――、」メメタァ


1,【出撃】時に【燃料】【弾薬】をドロップした時に必ず最大幅いっぱいまで資源を獲得できます

2,【出撃】あるいは【支援艦隊】に参加していると、戦闘終了後に高確率で主力艦隊の【燃料】【弾薬】【疲労度】の回復を行います

3,【旗艦】にしてますと、所属している艦隊の艦娘全員の【疲労度】の自然回復が早くなります


金本「お、なかなかに使える能力じゃないか。これで周回の資源回収のランダム値にイライラさせられなくなるな」メメタァ

剛田「それに、あきつ丸並みの【艦載機】による自衛力があるし、軽空母よりも更に安く運用できるのが嬉しいところだな」メメタァ

金本「しかも、【支援艦隊】として同行させていれば【出撃】している艦隊の補給が文字通りされるのか!」メメタァ

金本「活躍を期待する。南西諸島沖で【弾薬】を、製油所地帯沿岸で【燃料】を回収し続けるのがお前の主な任務となるだろう」

速吸「承知いたしました。実際には【艦載機】を飛ばすことなく【給油艦】として果てましたが、」

速吸「護衛できる護衛艦として頑張りたいと思います!」ビシッ

剛田「なあ?」ヒソヒソ

金本「なんだ?」ヒソヒソ

剛田「お前って資源王なのに資源回収クルージングなんてするのか?」ヒソヒソ

金本「いや、別に必要ないけど、ただのレベリング作業に付加価値をつけただけだ」ヒソヒソ



312: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:33:22.13 ID:RGK9H7Jp0

――――――工作艦:朝日について、


金本「【工作艦】ならすでに明石がいるぞ」

剛田「なら、要らないのか?」

金本「いや、【工作艦】は【泊地修理】という特殊能力があって、艦隊の【旗艦】にすることで『小破以下の随伴艦』を自動修理してくれるぞ」メメタァ

剛田「使えるのか?」

金本「ああ。地味に使える。高レベル帯にもなるとカスダメの修理にアホみたいな時間がかかるから【バケツ】を使うのもどうかと思う時に使うな」メメタァ

剛田「――――――『地味』だな」 >>2014年10月のメンテナンス2回目:【改修工廠】実装前のお話です

朝日「でも 私は、日露戦争以前からのお世話になってましたから、全力で12ノットで明石さんの14ノットにはとてもとても…………」

剛田「――――――『12ノット』か。それは確かに一般的な潜水艦や艦載艇にすら劣るか」

朝日「はい。長生きしすぎて生き恥を晒してしまいました……」

金本「ご婦人、そう悲観なさらず。明石以外の数少ない【工作艦】として海軍を長年支えてきたのだからもっと誇りを持て」

朝日「あ、ありがとうございます」

朝日「あ、そうでした。持参してきたものがございました」

金本「お?」


朝日「この【試製呉式一号射出機】で【航空母艦】の【ドロップ】【建造】率をあげたり、」メメタァ

朝日「こっちの【潜水艦救難設備】で【潜水艦】の【ドロップ】【建造】率をあげたりできますので、」メメタァ


朝日「どうぞご活用してくださいませ」

剛田「おお! 立派なレアアイテム要員じゃないか」メメタァ

金本「ありがたく使わせてもらおう、工作艦:朝日」

金本「それじゃ、もっとレアアイテムを持ってないか確認しに行こうか」メメタァ

剛田「そうだな。試しに鎮守府海域に連れて行ってみるか」ニヤリ

朝日「え、あの……?! 私には旧式の対空砲しかありませんって!」アセアセ

金本「まあ 安心してくれ。囮にはまるゆ、攻撃手に大泊を入れておくから」

剛田「それで倒せなかったら、俺たちが狩っておくから安心してくれ」

朝日「え? 提督と将校 御自ら?!」

金本「ああ。万が一のことがあったら、ご婦人が俺たちの修理(意味深)をしてくれよ?」ニッコリ

剛田「ああ」ニッコリ

朝日「は、はい……」ニコー



313: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:34:03.40 ID:RGK9H7Jp0

――――――揚陸艦:吉備津丸について、


剛田「おお、お前のことなら知っているぞ、吉備津丸よ」

吉備津丸「あ、将校殿でありますか! どうかよろしくお願いするであります!」ビシッ

吉備津丸「ところで、なにゆえ海軍士官の方と一緒にいるのでありましょうか?」

剛田「気にするな。陸海合作といったところだ。あきつ丸もいるぞ」

剛田「聞け。こっちの金本提督と船舶司令部の俺は国運を左右する重大な作戦に就いているから力を貸せ」

吉備津丸「了解であります、将校殿!」ビシッ

金本「ところで、お前があきつ丸よりも優れているところはあるのか?」

吉備津丸「自分は甲型特殊船でありまして、航空母艦型の丙型のあきつ丸殿とは違って【艦載機】は扱えないであります」

吉備津丸「しかし、自分は対空兵装や対潜兵装を完備し、護衛艦としては優秀であったと自負しております」

剛田「ま、海軍提供の装備がほとんどなんだけどな」

剛田「けどな? こいつは、あきつ丸や神州丸と言った名立たる揚陸艦が轟沈していく中をただ一人生き延びて瀬戸内海で擱座したんだ。撃沈じゃない」

剛田「こいつはとびっきりの【運】の持ち主だ。装備を整えてやればカットイン攻撃も十分に狙えるぜ」メメタァ

剛田「ただ、やっぱり持参品が迎撃兵装が主だし、どこまでいっても護衛艦という程度だから火力のほうはそう期待しないほうがいいがな」

金本「いや、あきつ丸だって艦載機が載せられるとはいっても【戦闘機】だけなんだ。敵艦に直接攻撃できているわけじゃない」

金本「だが、陸軍式『ダブル烈風拳』をかましてくれたんだ。制空権を得るだけでも大きな助けとなる」メメタァ

金本「それに、火力は低すぎるほうが割合ダメージになってボスキラーになりえるからな」メメタァ

金本「そういう意味では、あきつ丸がやってくれた功績というものは非常に大きい」

金本「お前にはその対空・対潜装備で艦隊の損害を減らす有用な護衛艦として活躍することを期待する」

金本「艦隊決戦のための【揚陸艦】じゃないことは百も承知だが、陸海合作のために力を貸せ」

吉備津丸「了解であります、提督殿! 共に皇国の栄光と勝利のために力を尽くすであります!」ビシッ



314: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:35:00.79 ID:RGK9H7Jp0


―――

――――――

―――――――――

――――――――――――!


――――――そして、時は現在に戻り、


金本提督「ふははははは!」

剛田将校「ふふふははははは!」

金本「ぐふふふふふふふふ!」

剛田「あはははははははは!」

金本「こいつはやっべええええええええ!」

剛田「これはいいぞおおおお!」

金本「雑魚メカだと思ってたけど強くなり過ぎぃいいい!」

剛田「ボス級深海棲艦が一撃で墜ちるとかあり得ねええええ!」

金本「北方AL海域――――――今からもう1周しね?」

剛田「おう! ほっぽちゃんをもう1回泣かせてやろうぜ!」

金本「【男のロマン】最高!」

剛田「陸軍 最高! 海軍も最高!」


男共「わっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!」


あきつ丸「提督殿……? 将校殿……?」

お銀「壊レタ……」

お輪「提督殿! 将校殿! 正気ニ戻ッテェ……」

金本「今回の【建造】は大成功だったな……! あはははははははは!」

剛田「ああ! あれだけ優秀な【特務艦】が揃えばもはや殺りたい放題よ!」

剛田「ほっぽちゃんの目の前で艦載機を1つ1つを目の前で【展開型成形炸薬弾鎚】で木端微塵にするのがなぁ――――――!」ククク!

金本「ホント ホント! 陸軍、強くなり過ぎぃ! これはもう揚陸作戦は全力でおまかせしますわ!」

金本「いやぁ、ホントにあの時のお前の英断が功を奏したぜ! 感謝するぜ、陸軍 期待の星!」

剛田「ああ。――――――陸海合作 最高!」

剛田「あ、将棋やろうぜ、将棋!」

金本「いいぜ? やってみろ!」

剛田「あ、お前たち? 今から1対1の真剣勝負だから席を外せ」

金本「よっしゃ、やるぜ。うはははははは」



315: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:35:37.68 ID:RGK9H7Jp0


金本「――――――王手」パチッ

剛田「あ!」ビクッ

金本「どうした? やはり陸軍将校殿はこういった戦術展開は不得手か? 『待った!』はもう無しだぜ?」ニヤリ

剛田「く、くそう。完全に詰んだな、これは……」

剛田「ちくしょう! まいったまいった! 実戦経験豊富で日々 艦隊運用して しかも現職最上級の提督さんの戦術に敵うわけがなかったよ!」

金本「それじゃ、負けた者は勝った者に何か貢いでもらおうか?」

剛田「よしよし、まあ この【缶コーヒー】でも飲め」スッ

金本「おう――――――ん? 見ない缶コーヒーだな。まさかこれが勝者への貢物とでも言うつもりじゃ――――――」


剛田「ああ。それ、【魔界】から持ち帰った【缶コーヒー】だぜ」


金本「は」

剛田「あ、知らない? 大本営にも影響力を持つ資源王のお前でも知らないんだ」

金本「――――――【魔界】だって?」

剛田「いや、大変なのよ、陸軍もよ。暇だから」

剛田「【魔塔建築士】――――――通称:【オヤカタ】として【魔界】に行って現地の【王国】の発展に協力する代わりに、」

剛田「そこを生産基地にして『皇国に必要な物資を供給する』っていう重大な使命を帯びてるんだからな」

剛田「【食料】【魔力】【貴金属】【宝石】【燃料】――――――陸軍で暇な連中はみんな【魔界】で【オヤカタ】やって、」

剛田「【この世界】でお前たち海軍を陸から支えてやってるんだぜ? 感謝しろよな」

金本「し、知らんぞ、そんなこと…………」

剛田「ああ。【魔界】に転移した同胞が最近になって【こちらの世界】との接点を結んで皇国と国交を結んだばかりだからな。俺もつい最近 知った」

剛田「だが、久々に陸軍にも回ってきた仕事だから、そこに出没する魔物相手に嬉々として突撃かまして良い戦闘訓練になってるがな」

金本「何て言ったっけ? 1つ、聞きなれない物資があったような気がするが…………」

剛田「ああ 【魔力】な、【魔力】」

剛田「あれは【こっちの世界】の【妖精】の妖精科学の代替エネルギーになっているようだから海軍にはやっぱり必需品なんだぜ」

金本「なんだと!?」

剛田「いやぁー、さすがに妖精科学で【異世界】の門を開いちまうとは思わなんだよ」

剛田「ただ、【あっち】だと【妖精】じゃなくて【精霊】らしいから微妙に違うっぽいけどな」

剛田「こう考えると、案外 他にも【異世界】と皇国を結ぶ門がすでにどっかで結ばれてたりしてな」

金本「…………どうだか」


※【艦隊これくしょん】は開発:角川ゲームス、【俺タワー】は開発:マーベラスです。両作品間にはまったく何の繋がりもございません。



316: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:36:46.42 ID:RGK9H7Jp0

剛田「しかしまあ、旧大戦とまったく同じ関係になったな、陸軍と海軍は」

剛田「海軍力を維持するために物資を求めて東南アジアに陸軍を侵攻させたのとまったく同じ展開だな」

剛田「ま、もっとも今回のは大東亜共栄圏とはいかないが、確かな共栄を誓える関係にはなってはいるから遥かに気分はいいがな」ゴクッ

剛田「やっぱ旨いぜ、この【缶コーヒー】! 一般で流通している国産コーヒーなんかとは比較にならん旨さだな」

剛田「コーヒーノキを栽培するのにはやっぱり日本だと緯度が高過ぎるからなー。そこはしかたないけど」

金本「おお! これは確かに旨いぜ。これで美味いパンと一緒にコーヒーブレイクできたら最高だぜ」ゴクゴク

剛田「というわけで、これでちゃんと貢いだからな」

金本「ふん。どうせお前が勝ったところで俺の豪邸で遊ぶだけだろうが」

剛田「うるせえな。人様に見せられないような秘密を見せやがれってんだ。おちょくってやるよ」

金本「ま、無理だろうけどな」

剛田「言ってろ。俺も何となくだが掴んできたような気がするぞ」

金本「俺が勝ったら、もっと【魔界】のことについて聴かせろ」


金本「――――――いるんだろ、【魔界】固有の美少女ってやつがよ?」ニヤリ


剛田「ああ。【建姫】っていう工具を擬人化した、【艦娘】やガイノイドとも違ったピンからキリまでの趣の美女たちがよ?」ニヤリ

金本「どうだ? 何とかして連れてくることはできないのか?」

剛田「無理無理。【王国】の存在は最重要機密でこれからの皇国を支える一大生産拠点として栄えるんだからよ」

剛田「深海棲艦との戦争が終わった後の、海の向こうの国々との来るべき戦争に備えて極力秘密にするべきだな」

金本「それは残念だ」

剛田「ああ。俺としてもな」

剛田「性能を見る限りだと【艦娘】には戦闘力では及ばないが、【建姫】は拠点設営で力を振るってくれるし、白兵戦でも相当な戦力になる」

剛田「あれを強襲揚陸艦の後続部隊に入れて上陸時に瞬時に仮拠点を築いてくれたら、陸軍としては大助かりなんだがな……」


剛田「――――――陸軍の戦力単位はいつの世も一人の歩兵からよ」


剛田「わかるか?」

金本「なんだ藪から坊に……」

剛田「だからこそ海上陸戦機動歩兵【○二】は離島防衛のためにも必要とされてくるわけだが、」


剛田「――――――海軍の戦力単位はたった一人の人間ではあるまい?」


金本「………………」ゴクゴク


317: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:38:00.47 ID:RGK9H7Jp0

剛田「俺としては海上陸戦機動歩兵の開発はもう俺たち陸軍に任せて、お前は元の提督業に戻ってくれると助かるわけなんだよ」

剛田「いくら艦娘の登場で今の海軍の戦力単位が海上歩兵になりつつあっても、やはりお前がどれだけ努力しても艦娘には敵わんよ」

剛田「俺がお前やその同類をいけ好かなく思っているのは――――――、」


剛田「艦娘という人間そっくりな兵器が人間の代わりに戦っているからって『自分たちにもそれがやれる』と思い込んでいるところだ」


剛田「――――――『思い上がるな』ってんだ。艦娘がいくら年頃の生娘に見えるからって中身はやっぱり軍艦なんだからさ」

剛田「海上陸戦機動歩兵はあくまで【艇】でしかない。【艦】である艦娘に真正面から戦って勝てるわけがない」

剛田「やはり、【○二】はこれからも強襲揚陸に欠かせない陸軍の新装備として開発の継続は必要だが、」

剛田「海軍の【○四】はやっぱ要らねえよ」

剛田「陸軍の【○二】は【艇】と割りきって使ってるのに、海軍のお前が【艇】ごときで【艦】に立ち向かうだなんて馬鹿じゃねえの?」

剛田「どっちにも乗って実戦に出てみてはっきりわかったよ」

剛田「お前、やっぱ馬鹿だよ。本質的に大局を任せられるような人間じゃねえ。良くて攻撃的戦術家や督戦だよ」

金本「……んなことはよくわーってるよ」

剛田「男のロマンを追求するのはいいが、今の【○四】じゃ駆逐艦狩りしかできねえし、『深海棲艦相手に互角の戦いをする』っていう希望は捨てろ」

剛田「旧大戦における旧帝国海軍の対アメリカの基本方針の漸減邀撃作戦とまったく同じじゃねえか」

剛田「前提からして間違ったやり方をゴリ押しするのは海軍の悪い癖だぜ。そもそも海軍内でも指摘されてたじゃねえか、そんなこと」


剛田「ま、これは海軍きっての有力提督をくだらない趣味で命を落としてもらいたくないという皇国の将来を案じた愛国者の一意見だがな」


金本「…………へいへい」

剛田「ま、指揮権は結局はお前の手の内にあるんだ。お前の好きなようにやってくれ、提督」

剛田「今のところは上手く行ってるんだ。この調子でどこまでも突き進んでくれよ」

剛田「ただ、お前を喪えばこの陸海合作も男のロマンも友情もそこで終了・解散・御破算となるわけだからそれをよく自覚しておいてくれよ」

金本「ああ」フフッ

剛田「さて、こいつは【魔界】で評判の【CUPエーテル】とかいう酒らしいのだが――――――」

金本「ほう、銘酒か。俺の部下にも味わわせてやろうかな? 酒好きなら心当たりがあるからな」

剛田「ああ、それがいい。こっちも他のガイノイドを招いておくか」


カツーン!


――――――皇国の栄光に向けて、乾杯!


――――――第6話Y-1 提督、出撃す     -船娘の進撃・陸軍の意地・男の浪漫- 考察編 完

     NEXT:第6話Y-2 提督、出撃す     -船娘の進撃・陸軍の意地・男の浪漫- 激闘編 に続く!



318: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:38:56.74 ID:RGK9H7Jp0

陣営紹介Y:斎庭鎮守府
金本提督
「レベルを上げて物理で殴ればいい」「揺るがぬ闘志(=投資)」によるゴリ押し戦法を基本とする一方で、
第一印象や評判で気に入った艦娘には愛を注いできっちり育て上げ、ジュウコンカッコカリも厭わない豪傑。
基本的に大胆な艦隊運用をするが、その実 しっかりとした戦略と戦術によって成り立つものであり、ただの成金・脳筋・色狂いというわけではない。
その証拠にイベントマップを毎回 完全攻略しており、それを支えるのが「揺るがぬ闘志」で資源もダメコンも補充しているので実力も財力もあってやりたい放題。
割りと移り気なので目ぼしい艦娘は一気にLv50程度までに揃えているので層は厚く、石田提督ほどではないにせよ、戦力がかなり充実している。

10代の頃までは極貧の生活を送っていたらしいが、あることがきっかけでこれまでの生活を抜けだして軍人になった経緯があり、
そこで課金兵としての必要な軍資金を富士山のように持つことになったらしい。
その財力を背景にして独断で陸軍船舶司令部と接触しており、そこで秘密兵器の開発に着手することになる。

豪胆で人にはできないことを平然とやってのけているように見える彼だが、実のところは性根は貧乏人根性で満たされることがないための虚勢でもあり、
その虚勢を成果に変えるだけの努力をしてきているので一概にハッタリだけの男というわけでもない。
しかしながら、貧乏人から這い上がろうという強い向上心が食っても食い足りない野心にまで肥大化して自分自身を操っており、
他人とは違うことをしている孤独感と他人とは違うことをしていないといけない強迫観念を抱えながら半ば自分自身では止められない精神状態に陥っている。


揚陸艦:あきつ丸
陸軍所属の船娘。金本提督にとってのキーパーソンであり、彼女の存在が陸軍との接点となった。
【艦これ】では相手の装甲よりこちらの火力が極端に低い場合は割合ダメージに変化するので、
中途半端に火力を備えている艦娘よりもボス級深海棲艦相手には多大なダメージを与えることができるのが最大の強み。

この二次創作の中では【揚陸艦】である彼女の存在価値は極めて高くなっており、対【陸上型ボス級深海棲艦】の担い手となる。


潜輸:伊369“ミロク”
丁型潜水艦:伊361型潜水艦であり、潜輸大型とも呼ばれていた12隻建造されたうちの1つ。
7隻が改装を受けて『例のアレ』の輸送に利用されているが、ミロクはそれには選ばれずに輸送任務に従事して終戦を迎えている。
選出の理由は、他に生き残ったのが366と367だったので語呂が良かった369が選ばれた。実際に運勢が良さそうな番号をしていることだしね。

あきつ丸の半分程度の大きさであり、上陸用舟艇は艦内後部と艦の外に1つずつ搭載する。
魚雷発射管が2つしかないので攻撃力は潜水艦としては極めて低いが、従来は魚雷発射管すらないことが定説とされてきたので戦えるだけよしとすべし。
潜水艦に大別される系統の艦娘なのでLv10になれば、ちゃんと開幕魚雷攻撃もできるので役割が持てる。
また、潜輸なのでスロットが1つ多く持てるのが大きな武器であり、支援艦として割り切って使えばかなりの安定性を誇る。、


航空戦艦:扶桑・山城
金本提督の大のお気に入り。ケッコンカッコカリが終わってLv150で共にレベルカンストしている。
最近は金本提督が陸軍とのお付き合いで鎮守府に顔を出さなくなりつつあるので、不幸である。


                                       ―――――― 注意 ――――――

公式において「特攻兵器の実装は絶対にしない」という旨が出されているので、それを元にするこれは間違いなく廃案なのでズラズラと書いてあるが読み飛ばして構わない
言い訳するつもりはないが、『戦いを艦娘だけに任せてはいけない』という艦娘を使う側に一部に存在する提督たちのエゴを形にしてみたものである
一度は思いついたので提案として残しておきますが、実際の【艦これ】には一切関係ない二次創作の架空戦記の産物とだけ認識しておいてくださると幸いである
ただし、【甲標的 甲】の装備によって開幕雷撃で大暴れしている雷巡:北上は実際は特攻兵器を積んでいた経緯があり、それが装備可能の元ネタなのではないかと言われる
そのことを踏まえると、それをハイパーズというロマンに変えて実装させたのなら、いくぶんか余地があるように思ってもいる



319: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:39:52.81 ID:RGK9H7Jp0

第6話Y-2 提督、出撃す     -船娘の進撃・陸軍の意地・男の浪漫- 激闘編

――――――遡ること、北方AL海域:移動母艦にて

――――――将校、出撃す


金本「さて、陸軍将校がようやく初実戦となるのか」

剛田「ああ。フロートの調整に手間取ってな。ホバークラフトも付けたかったがしかたがない」

剛田「結局、【○四】と似たような仕上がりになった」

剛田「陸軍の海上陸戦機動歩兵【○二】は上陸作戦だけじゃなく、これからの陸軍歩兵装備の新機軸となるべく設計されたものだ」

剛田「今はとりあえず、離島防衛のために揚陸艦との連携と海岸線の敵陣地の制圧に使えるものにまとめてみた」

金本「にしては、装備が少ないな」

剛田「当たり前だろう。今の御時世、深海棲艦以外の敵戦力なんていうのはいないんだからさ?」

剛田「――――――『今の御時世』な?」

金本「?」

剛田「やつらは海上封鎖することしか能がない。必要なのは牽制・対空用の機銃と本命の――――――、」


剛田「この【展開型成形炸薬弾鎚】だけだ! 英語名:ブレイクハンマー! 壊し屋御用達のあれだぜ!」


金本「なるほど。こっちの【射突型成形炸薬弾鎗】:パイルバンカーとは違うのか」

剛田「ああ。攻撃対象は【陸上型深海棲艦】に絞っている。上陸戦における最大の脅威だからな」

剛田「まずは、こいつを真っ先に叩いて敵を混乱させて一挙に敵を潰走させる!」

剛田「お前の【○四】の【パイルバンカー】は勢いのままに敵艦にぶつかればいい【ラムアタック】と似たようなものでいいだろうが、」

剛田「こっちは敵陣地の破壊も求められてるわけだから質量兵器がどうしても必要なんだ」

剛田「こいつを見てくれ、どう思う?」

金本「凄く…大きいです……(いくらパワードスーツ込みだとしても振り回せるのか、こんなもの)」

剛田「これで離島棲姫だろうが飛行場姫なんかもイチコロだぜ?」

金本「本当に上手くいくのか? お前の初実戦の相手はボス級だぞ」

剛田「なるようになるさ」

剛田「むしろ 狙いを絞っているだけ、手当たり次第【肉薄】しようとする道楽者よりかは遥かに安全だと思うけどな」ボソッ

剛田「しか~し! スイッチ1つでこの通り――――――!」ポチッ

金本「お! 通常のスレッジハンマー程度にまでコンパクトになったな」

剛田「これが【展開型】って意味よ。妖精科学と人類科学の融合――――――ついに人類は格納庫(意味深)を得たわけだ!」

剛田「で、振り下ろす時だけ展開して――――――、あとはパイルバンカーと同じく的に中てるだけよ」

剛田「対戦車ミサイルとしてのそれを白兵戦用に転用したいろいろ無茶のある構造だが、」

剛田「そこはまあ? 日本が世界に誇る小型化技術と妖精科学の融合でついに完成だぜ」

金本「ほう、艦娘の艤装と同じことか――――――人類はそれに至る足掛かりを得たわけだ」

剛田「…………人間が艦娘に並ぶ日は一生来ないだろうがな」ボソッ



320: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:41:12.66 ID:RGK9H7Jp0

吉備津丸「提督殿、将校殿!」

ミロク「提督、将校」

剛田「さて、今回からの俺たちのパートナーの登場だな」

金本「今回からよろしく頼むぜ、ミロク」

ミロク「はい。提督も無茶をなさらず、残敵掃討もほどほどになさってください」

金本「わかってる。健康な身体と精神こそが最高の財産だからな」

吉備津丸「しかし、まさか船娘である自分がボス級深海棲艦と戦う日が来るとは思いもしなかったであります」

剛田「とはいっても、開幕航空戦や魚雷戦に【○二】や【○四】が無力であるから、【突撃】するのは主力艦隊と入れ替わりになるがな」メメタァ

剛田「それに、金本提督の艦隊は基本的にパワーレベリングで装備も僚艦も充実して練度も極まっているから、」メメタァ

剛田「俺たちが残敵掃討――――――【突撃】する前に敵艦隊を全滅させている可能性だってある」

剛田「だからこそ、ダメ押しにしかならないことが目に見えている…………」

剛田「だが! 陸軍としてはここで【○二】で【陸上型深海棲艦】を倒して上陸戦を制したという武勲をあげなければ制式採用など夢のまた夢……!」

あきつ丸「提督殿、将校殿! 主力艦隊の旗艦:榛名殿からF地点:北方AL泊地に攻撃を仕掛けるとの報が!」メメタァ ――――――攻略Wiki参照!

金本「ここまでは予定通りだな」

剛田「ただ攻略するのであれば、駆逐艦を揃えて南沿いに進んでいけば楽なんだろうがな」メメタァ

金本「そうしたら、開放された海域で唯一戦える【陸上型深海棲艦】の北方棲姫と戦えないだろうが」メメタァ

金本「一応、あのマスの北方棲姫をSランクで倒せば、レアドロップが見込める仕様だから戦って損はないわけだが」メメタァ

ミロク「榛名さんたち、今回の【出撃】を訝しんでましたね」

剛田「そうだな。このピンクゴールド野郎は【勲章】なんて余らせまくっているのに、」

剛田「急にまた、攻略したばかりの最新のEOマップに来たんだからな」メメタァ  ※主力の航空戦艦:扶桑姉妹の改二 実装前です

剛田「明石だって元々持っているんだから、北方棲姫の艦隊を殲滅してのレアドロップ狙いでもないことは明らかだろうし」メメタァ

吉備津丸「【工作艦】ならば、すでに新たに朝日が加入したこともあり、ますます怪しむわけでありますな」

剛田「どうだ? こうやってコソコソと自分が手を付けた艦娘たちの後をつけてる感想は?」

剛田「しかも、愛した艦娘の尻じゃなくてその艦娘たちが痛めつけた後の息も絶え絶えの敵さん目掛けて   いのを  するわけなんだからな?」ニヤリ

金本「まあな。手塩にかけて育てた俺の艦娘たちの強さを実感すると共に戦場に取り残された弱った敵を食えるという二度美味しい作戦というわけだぁ」ニヤリ

剛田「くぁー! いつもいつも海軍はいいよな! 泥臭くなくて飯も美味くて予算もいっぱいもらえて!」

金本「ふはははは! 同郷の大貧民と地方議員の息子――――――いったいどこが差がついたのでしょうね?」

剛田「けっ!」

剛田「よし、編成を確認するぞ」

金本「どうぞー」


艦載艇:○四 |潜輸:伊369
艦載艇:○二 |揚陸艦:吉備津丸
標的艦:大浜 |揚陸艦:あきつ丸



321: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:42:03.08 ID:RGK9H7Jp0

剛田「今回の陸海合作の目的は、“陸軍 期待の新星”こと、この俺と陸軍船舶司令部の新兵器:【○二】の初陣だ」

吉備津丸「将校殿、『合作』という表現はマズイのでは…………」

剛田「『連合作戦』の略なんだからいいだろう? それに、戦時中の陸軍と海軍のそれなんて見るに堪えないものだぞ」

あきつ丸「ならば、『共同作戦』を縮めて『共作』とするべきであります。普通は『陸海共同作戦』と言うものだと思うであります」

剛田「やめろ! その音だと『競作』や『凶作』に捉えられてすぐにお前の言う『陸海共同作戦』が破綻するだろうが!」

あきつ丸「そ、そうでありますか…………?」

剛田「バカタレ! 字面や語呂ってのはいつだって目くじらを立てられるものなんだぞ!」

剛田「たとえば簡単な例で言えば、大阪は昔『大坂』と書かれていたのを『不吉』という理由で今の字に変えられているし、」

剛田「近畿地方のKINKIを英語で言ったらkinky――――――『   野郎』の意味にとられて、その連想から文化遺産の宝庫に変な先入観をもたれかねん」

ミロク「それは嫌ですね……」

剛田「それに、――――――カルピスを知ってるか、お前ら? 前に奢ってやってるけど」

あきつ丸「もちろんであります!」キラキラ

吉備津丸「軍用カルピスとして陸軍兵士の健康飲料として愛飲されていたのでありますから、当然!」キラキラ

剛田「あれ、英語圏だとCow Piss――――――『牛のおしっこ』に聞こえるらしいぞ」

あきつ丸「!!!??!」

吉備津丸「くぁwせdrftgyふじこlp」

金本「それに、今 近くの北の真っ赤な国とは現在は対深海棲艦で同盟国の関係だが、ラッパのマークの『正露丸』は昔は『征露丸』だったからな」

ミロク「そうですね。日露戦争時代のものですから――――――」

剛田「…………そうか、今 あの国の近くなんだな」チッ

金本「うん?」

剛田「ともかくだ。『合作』でいくぞ、――――――『陸海合作』その1! 話は逸れたがまだ時間に余裕はあるな? 本題に入るぞ」


322: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:42:53.81 ID:RGK9H7Jp0

剛田「今回は、【揚陸艦】2隻から支援艇【大発動艇】を発進させて、あらかじめ弱らせた北方棲姫を俺が【打ち壊しハンマー】でぶっ叩くのがお仕事だ」

剛田「【陸上型深海棲艦】の特徴は足元に大地のごとき堅固な防御壁が展開されていることだな。これは水面下からの雷撃を岩盤のごとく遮断する」

金本「一応、初の【陸上型深海棲艦】の【飛行場姫】が確認された時は【航空戦艦】に分類されてたがな」メメタァ

剛田「が、逆にその防御壁はやつらの生体エネルギーで生理的に形成されているらしく、」パラパラ

剛田「【三式弾】のような対地榴散弾攻撃が非常に有効であることが確認されている」

剛田「それ故に現在では、【陸上型深海棲艦】に対して海軍は海上歩兵:艦娘の【三式弾】による艦砲射撃による攻撃が主流となっている」

剛田「しかし、ある深海棲艦についての研究報告によれば――――――、」

剛田「その防御壁は水面下の衝撃を一切 遮断する性質があるのは確かだが、逆に水上からの衝撃を全て本体が受け止めてしまう弊害があるそうだ」

剛田「どういった原理かは知らないが、空襲に対しては地下の避難壕は有効だが地上の部分はそのまま丸焦げにされるのと同じことなのだろう」

剛田「つまりは、水面下の衝撃を全て遮断するということは、逆に『水面上の衝撃は水面下に逃せず本体に全て衝撃がいく』ということかもな」

剛田「この論に従っていけば、地面を貫通するほどの質量兵器で防御壁を穿てば【陸上型深海棲艦】の本体に大ダメージを与えられる――――――」

剛田「それを実証することができれば『実は【陸上型深海棲艦】ほど倒しやすい敵はいないだろう』という結論になった」

金本「俺としては、ミロクが積んでいる【特型内火艇】による支援効果を期待したい」

金本「それと、標的艦:大浜が本当に囮として役に立つのかを見るわけだ」

吉備津丸「元々【標的艦】とは敵の的になるための艦船ではないのでありますがねぇ…………鎮守府のみなさんも眉を顰めていたのであります」

金本「いや、魚雷発射管はない代わりに爆雷投射機があるから対潜装備で自衛力は十分だぞ」

金本「そして、何よりもね?」

金本「【装甲】の限界値が99とかいう【標的艦】としての特性から、駆逐艦を超えた駆逐艦になっているんだぜ、これ?」メメタァ

金本「駆逐艦としては33ノットでウスノロだけど、【装甲】は並みの戦艦以上のクソ補正のおかげで耐久力最強の駆逐艦なんだぜ?」メメタァ

金本「これでデコイもこなせたら雪風も島風も要らねえ! 俺たちにとっての勝利の女神だぜ!」

ミロク「そして、小型艦からの攻撃は潜水艦の私が引き受けます」

金本「つまり、後学のために今回の海上陸戦機動歩兵の運用法をまとめるとこうなる」メメタァ



323: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:43:41.87 ID:RGK9H7Jp0

【海上陸戦機動歩兵】運用・突撃支援艦隊の役割

艦載艇:○四  海軍:金本提督 機
メインアタッカー。【肉薄】して【艦船型深海棲艦】を【パイルバンカー】で一撃必殺を狙う
ただし、【射程:超短】なので【昼戦突撃】では空母ヲ級と並んで最後尾となるのでそれまで鈍足・低耐久のこの機体を守らないといけない。
その代わり、【艦船型深海棲艦】に対しては段階を重ねる毎に一撃必殺レベルのダメージを叩き込めるようになり、
現在のところは重巡程度なら一撃で沈められるぐらいの強力な【パイルバンカー】の【開発】に成功している。


潜輸:伊369  愛称:ミロク
艦載艇:○四の専属アシスト。【特型内火艇】によって【昼戦突撃】における【○四】の攻撃順をミロクの直後に割り込ませることが可能。
ただし、【大発動艇】と同じ用途なので今回は意図に反して【陸上型深海棲艦】に攻撃が誘導されるという根本的なミスをやらかす。
【潜輸】は潜水艦系統なので大型艦からは攻撃されず、小型艦からの攻撃を吸収するのでデコイの役割となる。
なお、【潜輸】は他の潜水艦系統と異なって、スロットが1つ多いので【ダメコン】を載せる余裕が十分にあるのでデコイとして優秀。


艦載艇:○二  陸軍:剛田将校 機
メインアタッカー。【肉薄】して【陸上型深海棲艦】を【ブレイクハンマー】で一撃必殺を狙う。
海軍の【○四】と同じ役割であることからそのボスキラーな性質も致命的な欠点もほとんど同じであるが、得意とする敵の違いで運用が大きく異なる。
海上戦では海軍の【○四】同様に全体的に駆逐艦にすら劣る能力であり、【○四】と違って【艦船型深海棲艦】を一撃必殺できないので、
運用は専ら【陸上型深海棲艦】の一撃必殺――――――と、状況が非常に限定されており、
肝腎の【陸上型深海棲艦】が確認されているのがボス級だけで通常1体ずつしか艦隊にいないので一撃必殺した後で役割を失うのもいただけない。

ただし、後に登場する【防衛】においては抜群の支援能力を発揮するので陸軍への【開発投資】や【開発】はしておいて損はない。


揚陸艦:吉備津丸 & あきつ丸
艦載艇:○二の専属アシスト。【大発動艇】によって【昼戦突撃】における【○二】の攻撃順を先攻した二人のどちらかの直後に割り込ませる。
上陸作戦用の装備であることから【大発動艇】に【陸上型深海棲艦】を優先攻撃対象に選ぶ効果が追加され、更には【肉薄】するのでますます強くなる。
今回は【○二】の初実戦のために、念の為に【揚陸艦】の二人に【大発動艇】を持たせて攻撃順を早める工夫がなされている。
二人の【揚陸艦】の違いとしては、制空権のあきつ丸と対空・対潜の吉備津丸と考えればよい。
どちらも火力が低いので割合ダメージによるボスキラーになり得るが、今回の場合はあらかじめ敵が弱っているところを襲うので出番がないかもしれない。


標的艦:大浜
超万能メイン盾。【艦これ】史上最強の防御力を誇るメイン盾。

1,【標的艦】の特性として――――――、
1-1:敵から狙われやすいこと、
1-2:【装甲】の能力限界が99まであること、
1-3:スロットが最初から4つ開放されていること、

2,【駆逐艦】型として――――――、
2-1:高い回避力を持つこと、
2-2:運用コストが非常に安い・修理時間も短いこと
2-3:爆雷攻撃による対潜攻撃が可能(魚雷は使えない)

以上の2項を踏まえれば、明らかにおかしい性能なのはわかるだろう。



324: ◆G4SP/HSOik 2014/11/26(水) 09:44:22.67 ID:RGK9H7Jp0

大浜「司令官~! 榛名さんたちは大大大丈夫でしたよ~!」ニコニコー

金本「切り抜けたか。――――――当然と言えば当然だな」

剛田「獲物はちゃんと残ってるんだろうな?」ニヤリ

大浜「はいぃ! 北方棲姫と護衛要塞に重巡リ級flagshipが残ってますぅ…………だ、大丈夫ですよね?」オドオド

金本「どれどれ――――――、おお、北方棲姫は小破か。これでその【ブレイクハンマー】の威力試験ができるわけだな」

金本「それじゃ、俺は重巡リ級に【パイルバンカー】をお見舞いしてやろう」ニヤリ

ミロク「いよいよですね」

金本「この残敵で気をつけるべきは“タコヤキ”か――――――浮いてるのになんで魚雷攻撃が効くんだろうな、あれ?」メメタァ

ミロク「さあ?」

剛田「何をやっている? 早く装着しろ! こっちは武者震いが止まらん!」ガシャコン! ガコォオオン! ――――――海上陸戦機動歩兵【○二】起動!

金本「焦んなよ(――――――焦んなよ?)」ガシャコン! ガコォオオン! ――――――海上陸戦機動歩兵【○四】起動!

金本「母艦妖精! 艦はこの位置で待機だ! 榛名たちは大破者がいなければ進軍させろ」ピピッ

大浜「うぅ…………」ニコニコー

吉備津丸「もっと堂々とするのであります! 【ダメージコントロール】も持っているのでありますから何があっても無事でありますから」ビシッ

大浜「そ、そんなこと言っても…………」オドオド

あきつ丸「まあまあであります、吉備津丸殿。普通ならば自分たちも対峙することもなかった相手に緊張するのはしかたがないであります」

剛田「よし、行くぞ! 戦場の脇役以下の【特務艦】たちよ! 【艦これ】での存在意義を賭けて【突撃】だああああ!」メメタァ

金本「すっぞおぉら! 殺っぞっおぉらああああああああ! 出撃ィイいいいいいいいい!」

艦娘たち「おおおおおおおおお!」


――――――【昼戦突撃】! 我、突撃を敢行す!