第7話X  孤高のビッグ3 -もう1つの“もう1つの世界”-


あまぎ「はじめまして。『司令部』付きの技術士官として参りました、“あまぎ”です」ビシッ

りう「“あまぎ”技術士官の助手の“りう”です」キラキラ

清原「私が洞庭鎮守府の司令官であり、艦隊司令官の清原です。遠いところよりお越しいただきありがとうございます」

清原「新技術の開発と実用化が捗りますよう全力で支援いたします」

清原「願わくば、我が皇国の栄光と勝利に帰するものとなるよう期待しております」

あまぎ「ありがとうございます」ビシッ

りう「……ありがとうございます」ビシッ


清原「さて、型通りの挨拶は終わりだな」キリッ


清原「“司令部”のお力添えで何とか1日で形ばかりだが二人を正式な軍属にすることができたぞ。感謝しないとな」

清原「(話によれば、石田提督と金本提督の影響もあって『司令部』は大本営でもかなり自由に動ける立場にいるらしいが…………)」

あまぎ/『天城』「はい。タイムマシン付きの【秘密工廠】を造っていただいたのでそこを拠点に独自に艦隊運営をいたします」

りう/龍翔提督「…………本当に大丈夫なのか、“あまぎ”?」

あまぎ「私は清原提督に【私たちの世界】の技術を提供して、双方の戦力増強のために【秘密工廠】の運営を受け持ちます」

あまぎ「“りう”、あなたは【この世界】を象徴する戦艦:大和から教えを受けて戦い方を学びなさい」

あまぎ「艦娘たちには『大本営が用意した清原提督の影武者』ということで通っているので、極力目立たないように振る舞いなさい」

あまぎ「あなたは官吏ではないけれども、技術士官:あまぎの養子として機械整備士や傭人としての技能は与えられているのでこれをうまく活用しなさい」

りう「わかったよ、“あまぎ”」

あまぎ「提督、少なくとも今の戦いは1年で終わることはありません。一方で【異界】から来た我々に残された期間は1年もありませんので、」

あまぎ「短いお付き合いとなりますが、よしなに」

清原「ああ。何としてでも【未来】も救ってみせる!」

りう「…………父さん」ニコッ

清原「………………う」

りう「あ、あれ……?」

あまぎ「“りう”、制服を着ている時の清原提督はまさしく皇国の軍人として現実的な判断を下さなければならない人間なのです」

あまぎ「お仕事している時は一人の公人として接しなさい。でなければ、また拗れますよ」

りう「は、はい! これからよろしくお願いします、清原提督」ビシッ

清原「あ、ああ……」

清原「よく勉強をして経験を積み、己の使命を全うせよ」

りう「はい!」ビシッ

清原「……よろしい」プイッ

あまぎ「本当に不器用なお人です」フフッ


483: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:07:21.98 ID:ucqf94uK0

清原「では、最初に戦艦:大和を旗艦にした艦隊で【演習】を一通り行う」

清原「“りう”はそれを観戦して、【この世界】で運用されている艦種や艦型、戦術などを見て学び取った後に、」

清原「大和の許で講義を受けてきなさい」

りう「わかりました、提督!」ニッコリ

清原「…………これでいいか」ホッ

清原「よし、比叡はいるか!」

比叡「はい! ただいま」ガチャ

清原「この子を観戦席に連れて行ってやってくれ」

比叡「はい! おまかせください!」

りう「あの……、よろしくね? 比叡おば……おねえちゃん」キラキラ

比叡「!?」ズキューン!

比叡「さ、さあ! 行きましょう、行きましょう!」キラキラ

タッタッタッタッタ・・・バタン!

清原「…………金剛一筋のあの比叡が一瞬で心奪われたぞ」アセタラー

あまぎ「そうでしょうか? 比叡先輩は金剛先輩への憧れが強いだけで提督への尊敬の念はちゃんと持ち合わせていますよ?」アハハ・・・

あまぎ「しかし、【ここ】では若いだけあって、【私たちの世界】の金剛姉妹の中で一番印象が違ってますね」

あまぎ「なるほど、比叡先輩の若い頃はあんな感じに金剛先輩を立てているのですね」

あまぎ「【こっち】の“比叡おばあちゃん”は確かに老いても変わらぬハツラツとしている金剛先輩のことをよく気にかけてますけど、」

あまぎ「孫にはとことん甘い金剛先輩に比べるとしっかりと提督のことを諌めてますから姉妹の誰よりもしっかりしてますね」

清原「あの比叡が“一番のしっかりもの”になるのか、【異界】では。興味深いものだな(だが、御召艦としての経歴を考えればそれも納得か)」


484: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:08:46.25 ID:ucqf94uK0

あまぎ「では、契約内容を確認します」

あまぎ「基本的に龍翔提督と清原提督の艦隊は管轄を別にしますが、有事においては清原提督の指揮下に龍翔提督は入ります」

清原「ああ」

あまぎ「そして、私からの技術提供でございますが――――――、」

あまぎ「こちらとしましても【元の世界】に帰るまでに戦力増強をしなければならないために、」

あまぎ「【異界艦】や【異界装備】の生産に関しては、【応援要請】で正式な謝礼をいただいてドックを提供してもらいます」メメタァ

あまぎ「その謝礼を元手に【この世界】での活動をさせていただきますので、ご了承ください」

清原「かまわないぞ。資源なら司令部から割増でもらっていることだしな」

あまぎ「ありがとうございます」

清原「しかし、“あまぎ”? “あまぎ”の目から見て【この世界】で使えそうなものはあるのか?(これは“あまぎ”の正体に気づいてから気になっていたこと)」

清原「あるいは、【この世界】の大戦の終焉のためにいずれ必要となる艦娘なんてのはいるのか?(【この世界】と【あちら側】では根本的に――――――)」

清原「(そう、似て非なる世界だからこそ大まかな流れは共通ではあるものの、その中の細かな流れについては――――――、)」

清原「(つまり、互いの史実における旧帝国海軍の戦術論が根本的に異なっているのだ。その違いの差を現実的にどう修正していくのか――――――)」

あまぎ「まず、こちら側としましては、単純な戦力増強と練成の時間が欲しいのです」

あまぎ「また、【こちら】では3すくみに特化した艦しかいません。そうでなければ能力の乏しい旧式艦ばかりなんです」

あまぎ「新たな深海棲艦はまさしく大艦巨砲主義の申し子なので、生半可な火力では僚艦すら倒すのに一苦労なのです」

あまぎ「ですので、【条約型巡洋艦】のような砲火力のある燃費の良い艦もなるべく欲しいのです」

あまぎ「そして、そちら側としましては【砕氷艦】がこれから絶対に必要になります」

清原「――――――【砕氷艦】だって?」

清原「まさか、氷海に進出しなければならないわけなのか?(…………北極に行くなんてことにはならないだろうな?)」

あまぎ「はい。少なくとも【こちらの世界】では軍艦ではない【砕氷艦】が戦局を変える1つの大きな担い手となりました」


485: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:09:49.19 ID:ucqf94uK0

あまぎ「それと、これからの海域では十三号型巡洋戦艦の発展形――――――大和型戦艦並みの火力と装甲が必要となってくるでしょう」

清原「…………それは確かに。【史実】と同じように火力インフレを起こして長門でも一撃で中破に追い込まれてきたからな」メメタァ

清原「しかし、それはどうなんだ? 毎回毎回 大和型戦艦に匹敵する大型艦隊を繰り出していたらあっという間に資源がなくなってしまうぞ?」

あまぎ「その辺は大丈夫です。資源問題に関しては深海棲艦の補給船団から物資を略奪することで解決されますから」

清原「え」

あまぎ「それに、陸軍も頑張って資源をどこからか調達してくれるようになりますので、」


あまぎ「両方合わせて以前の10倍は資源回復するようになりますね」


清原「な、なにぃ!?」ガタッ

あまぎ「ただし、どちらも【開発投資】によって得られた成果である上に、【勲章】を一定以上持っている提督だけの特典ですけどね」メメタァ

清原「…………!」

あまぎ「言いましたよ、私は。できるだけ【開発投資】をした上で【勲章】も使いきらないようにしてくださいね」ニヤリ

清原「難しい注文だな……」

あまぎ「はい。そうですよ」

あまぎ「【あちら】の大戦が長引いて犠牲が増え続けた原因として、この2つに対する成果が遅くに活かされるようになったからなのです」

あまぎ「陸軍や研究班への【開発投資】が進んでいれば、資源も以前の10倍になって強力な艦隊を多く出撃させることができ、」

あまぎ「その分だけ確実に敵に損害を与え、こちらの被害を抑える結果に繋がったはずなのですから」

清原「…………わかった。いろいろと試したいことは山ほどあるが、知り合いの提督たちにも【開発投資】の協力を仰ごう」

486: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:10:14.96 ID:ucqf94uK0

あまぎ「おそらくですけど――――――、」

清原「?」

あまぎ「すでにそのどちらもあなたがよく知る方たちが実行なさっているようですよ」

清原「なにぃ!?」

あまぎ「しかし、個人の余力で行っている草の根活動の域を出ませんので、その成果が実っていくのはやはり数年後――――――」

清原「教えてくれ! それはどこの誰なんだ!(あれ? もしかして――――――)」

あまぎ「…………はっきりとはわかりません。知っていてもおいそれと教えるわけには参りません」

清原「………………」

あまぎ「しかし、どうやら年内には必ず顔を合わせることになっているようですので、」

あまぎ「兼愛交利の人徳溢れる清原提督が【開発投資】を多くの方に協力させることができれば、」

あまぎ「おそらくは、【私たちの世界】よりもずっと早くに戦争は終わると思います」

清原「!」

あまぎ「ですが、無理は禁物です」

あまぎ「未来の結果がわかったとしても、その結果を急ぎすぎて『天の時』を掴めなかったら何の意味もございません」

あまぎ「提督がすべきことは、日常業務に支障が出ない程度にこれから毎日いつもより誠を捧げることです」

あまぎ「こればかりはただ一人の人間がどれだけ頑張っても一朝一夕で達成されるものでは決してございません」

あまぎ「しかし、一人で無理ならばより多くの人を動かして1つの大きな流れを作ればよいのです」

あまぎ「提督には元々 兼愛交利の実践によって、皇国軍人の1つの規範として遍く人から信頼を――――――“未来の英雄”たる素質がございます」


あまぎ「――――――『天の時』を待つことです。太平の世を築くにはそれだけの忍耐と陰の努力が必要なのですから」


清原「…………よくわかったぞ、“あまぎ”」

清原「そうだな。戦国時代の覇者となったのは忍耐強い徳川家康だった。苛烈だった織田信長でもなく、絢爛だった豊臣秀吉でもなく」


――――――そのことを思えば私にもこれから成すべきことが何なのか見えてきたぞ。



487: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:10:46.60 ID:ucqf94uK0

――――――戦艦:大和先生の勉強会『大和大学校』

――――――第0回:海軍史と艦隊運用の潮流


りう「凄かったです……(――――――やっぱり一航戦と五航戦は凄かった。『時代は航空機』なのはどこも変わらないのか)」

比叡「ではでは、この会議室ですね。大和さんは【演習】の疲れをとってから来ますので」

りう「わかりました、比叡おねえさん(ホントにキャピキャピって感じで若いなー、比叡おばあ……おねえさん)」キラキラ

比叡「…………ぅうう!」カア

比叡「わ、私にはお姉さまがいるお姉さまがいるお姉さまがいるお姉さまがいるお姉さまがいる…………」ブツブツ・・・

りう「これが【ここ】の艦娘図鑑と【史実】の資料か……」パラパラ・・・

りう「あれ、――――――そうだ」ジー

比叡「どうしましたか?」

りう「あの、質問……、いいですか? …………先生じゃないけど」

比叡「まっかせてー! それじゃ何かな?」


――――――【重巡】って何ですか?


りう「(そういえば、“愛鷹”じゃない高雄は【重巡】だって名乗っていたし、天龍は【軽巡】って言っていたぞ)」

りう「(なんだ? 重装甲巡洋艦の略なのか? 軽巡って軽装甲巡洋艦の略だからそうだよね? つまり囮か? それって役に立つのかな?)」

比叡「え――――――ああ、そうかそうか。まだそういった知識はない子なんですね、わかりました」

比叡「それはロンドン海軍軍縮会議によって定められた巡洋艦の区別の仕方なんですよ」

りう「え、――――――『ロンドン海軍軍縮会議』?(――――――知らない。やっぱり【この世界】は根本的に違うんだ)」

比叡「それじゃ、大和さんには悪いですけど、僭越ながらこの比叡がご説明しましょう!」ニッコリ

りう「お願いします、おねえちゃん」ニッコリ

比叡「はぅうう……」ドキッ



488: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:11:19.92 ID:ucqf94uK0


りう「………………そっか、『ワシントン海軍軍縮会議』の時点で違っていたのか(――――――“あまぎ”が教えてくれた通りだ)」

比叡「わかりましたか?」ニッコリ

りう「はい。比叡おねえちゃんのおかげで【この世界】の歴史の流れがよっくわかりました。ありがとうございました」キラキラ

比叡「ど、どういたしまして……(金剛お姉さま! 比叡は、比叡は、比叡はあああああああ!)」ニコー

りう「――――――【この世界】だと敗けていたのか。情けない」ボソッ

比叡「ん?」

りう「…………あれ? それじゃワシントン海軍軍縮会議で長門型以外の超弩級戦艦が造れなくなったのなら、」

りう「どうやっても戦艦はこの『太平洋戦争』ってやつには旧式艦ばかりしか残らないんじゃ――――――」

比叡「そうなんです! そこで、比叡たち金剛型戦艦を大規模な近代化改修を施して縦横無尽に活躍したというわけなのです!」エッヘン!

りう「えええええええええ!?」

比叡「ひええええ!?(そこまで驚くようなことでしたかあああああ?!)」ビクッ

りう「だ、だから若い――――――比叡おねえちゃんや金剛おねえちゃんたちはずっと綺麗なんですね……」アセタラー

比叡「え……今 何て?」ドクン!

りう「え!? あの、その……、比叡おねえちゃんはとっても『綺麗』ですよー」ニコー

比叡「ひええ…………」プシュー

比叡「お姉さまぁ…………比叡は壊れてしまいましたぁ…………」バタン!

りう「あ、比叡おねえちゃん!? おねえちゃん! おねえちゃあああああああああん!」ガタッ


489: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:12:06.30 ID:ucqf94uK0

――――――『大和大学校』開講

――――――第1回:【こちら側】と【あちら側】の巡洋艦の違い


大和「えと、先程は大変失礼いたしました、――――――えと、“龍翔提督”?」

りう「ああ……、ごめんなさい、私は本当は提督じゃありません(――――――『【この世界】の』、ね)」

りう「大本営が用意した清原提督の影武者の候補でして、技術士官:あまぎの養子の機械整備士の卵なんです」

りう「以前に連れていた艦娘たちは実装前の調整で私がお世話をしていたので、渾名が“提督”ってことになったんです」

りう「(うん。確か“あまぎ”が用意してくれた台本だとこんな感じだったよね、うん。何も言い間違ってないぞ、完璧だ)」

りう「今の私はただの技術士官:あまぎのお手伝いさんでして軍事に関する知識なんて全然……(――――――もちろん『【この世界】の』)」

大和「……そうだったんですか(――――――ですが、あの時の艦隊行動はどう考えても龍翔提督が指揮していたように思えましたが)」

りう「騙して、ごめんなさい……」

大和「あ、いいんですよ。提督が認めてくださったのなら部下である私が異論を挟むつもりはございませんから」

大和「(いえ、艦娘と関わりが深い技術士官の助手ならば、ある程度は艦隊運用の何たるかをそれとなく知っていた――――――?)」

りう「あ、よかった。ありがとうございます」キラキラ

大和「くうぅうう……!(そ、そう! 大和はこの笑顔が欲しかったのです!)」ドクンドクン!

りう「えと、比叡おねえちゃんからは軽く海軍史を学んで、どういった経緯で軍艦が造られてきたのかも教わりました」

大和「そうですか(なら、提督の影武者――――――代役を務めるのならば実戦知識を最初に量ったほうがいいかもしれないか)」

大和「では、今日の【演習】を見て何か思ったことはありませんか?」

りう「あ、はい。それじゃ――――――、」


――――――防空巡洋艦はどうして使わないんですか?


大和「え? ――――――『防空巡洋艦』?」

りう「はい。3回目の【正規空母】っていうあのおっきな航空母艦を主体にした空母機動部隊と戦った時、物凄く苦戦していたじゃありませんか」

りう「駆逐艦の役割って戦艦が苦手とする潜水艦対策だと思うんですけど、」

りう「巡洋艦って対空砲を優先的に装備して主力の戦艦を航空機から守るのが役割なんじゃないんですか?」

りう「てっきり軽巡が駆逐艦の軍艦版だから対潜用、重巡が対空用じゃないかと思ってたんですけど違うんですか?」

りう「だから、どうして艦隊の対空防御の要である防空巡洋艦が【演習】の時に使われてなかったのかなって……」

大和「…………ああ」

りう「(あれ、ちょっと待てよ? オレ、つい【こっち】の感覚で言っちゃったけど、【ここ】には3すくみが存在しなかった――――――)」

りう「(しかも、【ここ】だと【正規空母】と【軽空母】という区分があるぐらいに超巨大な航空母艦が存在しているから、空母1強――――――)」

490: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:12:42.57 ID:ucqf94uK0

りう「いえ、防空巡洋艦が無ければ防空駆逐艦でもいいんですけど、航空母艦があれだけデカイと防空駆逐艦の2,3隻じゃ対処しきれませんよね?」

大和「…………なるほど、さすがは技術士官の助手さんですね。まったくもってその通りだと思います」

りう「え」

大和「私、大和も艦隊決戦の切り札として皇国の命運を背負っていたのですが、すでに時は流れて大艦巨砲主義の時代は終わっていて、」

大和「対空強化の近代化改修をしたかいもなく、『日本戦艦中、唯一航空攻撃で撃沈した唯一の艦型』になってしまいました」

大和「そして、それ以前に潜水艦対策も遅れていて、数多くの艦船が為す術もなく沈められていったのです」

りう「は」

大和「ですから、龍翔代理提督がお指摘した通り――――――、」

大和「対空・対潜がしっかりした艦隊運用がされていれば皇国も惨敗することはなかったと思います……」

りう「…………そりゃあ負けるわけだ(やっぱり3すくみはある程度は健在だったんだ。それが【この世界】では空母1強になっただけで)」

大和「本当に凄いですね、龍翔代理提督。この大和、感服いたしました」

りう「あ、『代理提督』も無しでお願いします。ただの軍属の私には“りう”とだけ呼んでくだされば」

りう「“りう”っていうのは『龍翔』を崩して書いた時にそう見えることから通称として使っています」サラサラ

大和「わかりました、“若様”」ニッコリ

りう「え、――――――『若様』? “りう”じゃなくて?」

大和「はい。大和には才覚ある龍翔代理提督を呼び捨てにすることなど到底できません。感服しております」

大和「しかし、民間人で官吏でもない龍翔代理提督を“りう”と呼ぶにはあまりにも不敬です」

大和「ですので、提督の代行をお勤めになるので“若様”です」

りう「…………わかりました。そう呼びたいのであれば、どうぞ」

りう「(――――――“若様”か。結局、【向こう】でも【ここ】でも名前を呼びたがらない艦娘らしくそれに落ち着いたか)」

りう「(けど、これってちょっとまずくないかな?)」

りう「(【この世界】で学ぶべきものなんて本当にあるのか? 明らかに技術的にも軍略的にも劣っている世界じゃないか!)」

りう「(いや、【この世界】で戦力を増強して練度を鍛えてオレは【オレの世界】を救いに帰らなくちゃいけないんだ)」

りう「(この際 贅沢なんて言ってられないんだ! ――――――“あまぎ”を、父さんと母さんを信じるんだ、今は!)」

りう「それじゃ、【史実】で対潜艦と防空艦として活躍した艦娘はどれですか?」

大和「はい。それは――――――」



491: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:13:14.54 ID:ucqf94uK0


りう「…………純粋な対潜巡洋艦も防空巡洋艦も無いなんてオワッテル」アゼーン

大和「わ、“若様”?」

りう「あ、いえ! 何でもありません!」

大和「それでは、こちらが能力限界値の一覧ですよ」メメタァ

りう「あ、はい(――――――どれどれ?)」パラ・・・

りう「(へえ、さすがは【この世界】を象徴する大和だな。総合能力は文句無しでナンバーワンだ!)」メメタァ

りう「(ん? 【ここ】の【対潜】値 おかしくないか? 対潜艦と呼べるのって近代化改修を受けた五十鈴ってやつだけなんだろう?)」

りう「(なぜにこの阿賀野型や球磨型とかいうやつは唯一の対潜艦の五十鈴の【対潜】とそう変わらないんだ?)」メメタァ

りう「(そして、重巡とかいうやつは想像以上に【対空】がメチャクチャ低い! 何のために存在してるんだ、この艦種は?)」メメタァ

りう「(【こっち】だと巡洋艦には対潜艦・防空艦・戦闘艦・航空艦の4系統があるから――――――、)」

りう「(【ここ】だと戦闘艦だけが栄えたってことなのか? いや航空艦と折衷したようなパラメータだな、これ)」メメタァ

りう「(なんか変なところで大艦巨砲主義かぶれなことになってるな、【この世界】…………そんなにポケット戦艦が造りたかったのか?)」

りう「(あれ? でも、全体的に見て長門型以前の戦艦の能力があり得ないぐらい高いぞ!? 何これ? 【この世界】独自の補正か!?)」メメタァ

りう「ん、何だろ これ?」

大和「あ、気になるものがありましたか?」

りう「何だこの【雷装】の高さ!?」メメタァ

大和「ああ 球磨型の【重雷装艦】――――――つまり【雷巡】ですね」

りう「――――――ら、【雷巡】?(何それぇ?! 聞いたことない艦種なんだけど! でも、【対潜】は並みか)」メメタァ

りう「(北上と大井は【運】以外は全て同じで【雷装】が突出しているけど、【雷装】以外の能力が木曾に全面的に劣っているな)」メメタァ

りう「(しかも、【対空】は明らかな差がついているな。これは木曾ってやつのほうが使い勝手が良さそうだな)」メメタァ

りう「…………『木曽』」カキカキ

大和「?」

りう「あ、間違えた…………『木曽』じゃなかった。もう『キソ』でいいやキソー」カキカキ

492: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:14:14.18 ID:ucqf94uK0

――――――第2回:【この世界】の航空母艦の覇道について


りう「何ですか、この【航空戦艦】って?(【この世界】の戦艦はいろいろオカシイ! なんで長門以前の主力艦がこんなにも目新しいわけ!?)」

大和「……えとそれは“事故の産物”です」

りう「え」

大和「本当でしたら、戦艦としては旧式化していた伊勢型戦艦を航空母艦に改装したかったのですが、」

りう「ああ……、軍縮会議の影響がこう出たんだ……」

大和「すでに太平洋戦争真っ只中で時間も国力もなかったのです」

大和「そして、艦載機の配備も間に合わず、航空甲板を使った輸送戦艦として重宝したという経緯があります……」

大和「それが【航空戦艦】の起こりです」

りう「これって【艦これ】的にどうなんですか? どう考えても戦艦と空母の互いの長所を殺しているようにしか見えないんですけど」メメタァ

大和「あ、【史実】では意図していた【航空戦艦】としては活躍はできませんでしたが、改装そのものは失敗ではなかったと言われます」

大和「また、【艦これ】においては【弾着観測射撃】も狙いやすいので実戦的な能力はちゃんと備えていますよ」メメタァ

りう「……なるほど、【艦これ】補正は偉大だなー」メメタァ

大和「次いでに【航空巡洋艦】というものもありまして、【航空戦艦】とは違ってれっきとした有用性から造られたものなんです」

大和「元々 巡洋艦は航空母艦に比べて速力が高いので哨戒や偵察に運用するのにも適していて【水上偵察機】とは相性が良かったのです」

大和「ですから、【航空巡洋艦】は集中的に航空機を運用する空母よりも手軽でかつ艦隊の目として重宝したわけなんです」

りう「そうなんですか。違いがよくわかりました(――――――【航空巡洋艦】は【こっちの世界】でも常識だからよくわかってるけど、)」

りう「(なるほど、【航空戦艦】なんてものもあったんだ…………軍縮会議の影響力ってホントに凄いなー)」

りう「…………【ここ】の【航空巡洋艦】も狙っておこうかな」カキカキ

りう「いや、【戦闘巡洋艦(=巡洋戦艦)】なのかもよくわからない中型戦艦もどきの【重巡洋艦】も試料として1隻ぐらいはいいかなー?」カキカキ

りう「(よく考えたら、ドイッチュラント級装甲艦っていう敗戦国ドイツを代表するポケット戦艦があったっけ。【重巡】ってそれかもしれないな)」

大和「………………」ジー

大和「(やはり、並みの新人提督よりもよく把握している感じがする…………いったいどの程度まで?)」

大和「(足りてないのは実際の艦隊運用の面かしら? あの時の無謀もそのため――――――?)」

大和「(あるいは、拓自鎮守府の長門が去り際に必死に訴え続けていたことを考えると――――――)」


Z:長門’『ま、待ってくれ! 清原提督! 私は、あなたのご子息を心から――――――』ズルズル・・・


大和「それでは次は、航空母艦について五航戦の方に説明してもらいましょう」

りう「――――――五航戦!(確か、翔鶴おば……おねえさんと瑞鶴おねえさんだ!)」パァ

ガララ・・・

翔鶴「こんにちは、龍翔提督……」ニコニコ

瑞鶴「よかった。また会えた!」ニッコリ

りう「おねえさんたち!」キラキラ

大和「あ、いいな…………大和もそう呼んでもらいたい」ボソッ

大和「あ、その前に五航戦の二人、ちょっと――――――」



493: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:15:29.49 ID:ucqf94uK0


翔鶴「それじゃ、えと……“若様”、講義を始めますよ」ドキドキ

りう「はい、翔鶴おねえさん」キラキラ

翔鶴「…………!」ドクン!

翔鶴「そう、これが欲しかったの……」ブルブル・・・

大和「どうしました、五航戦の方?」ニコニコー

瑞鶴「おーい、翔鶴姉ぇ……、大和さんが見てるから! 見てるから!」アセアセ

翔鶴「ハッ」

翔鶴「…………いけない いけない」

翔鶴「それじゃ、ある程度は基本的な艦載機の種類や航空母艦の存在意義はわかってるってことでいいのよね?」

りう「はい、とりあえずは(【この世界】に来て初めて違いを実感したのはまさしく航空機の大規模運用だった――――――)」

りう「(けど、【ここ】では防空巡洋艦を帝国海軍が採用していない――――――五十鈴しかいなかったという有り様だもんなー)」

りう「(となれば、航空母艦の有用性を理解してなかったのになぜか航空機の集中運用をしていたってことなのか?)」

りう「(【こっちの世界】は軍艦の相性は3すくみで基本的に戦艦1強――――――航空機の役割は戦艦の天敵:潜水艦 対策だった)」

りう「(だから、防空巡洋艦は存在しても【この世界】特有の【正規空母】の艦載数に対応できるほどの対空火力は実はない)」

りう「(けど、戦いは数の理で進められるから防空艦が戦艦をグルっと囲んで戦艦も対空兵装をある程度積んでいるから航空機は十中八九生きて帰れない)」

りう「(だから、航空機の高性能化と高威力化によって均衡が破られるまではずっと3すくみだった)」

りう「(いわゆる、『戦艦は空母に勝ち、空母は潜水艦に勝ち、潜水艦は戦艦に勝ち』というようなものだった)」

りう「(オレが初日に赤城たちを窮地に追い込む愚行をやらかしたのも、【この世界】での常識を知らなかったのが大きかったけど、)」

りう「(【オレの時代】にはすでに破綻していた軍艦3すくみにオレが縛られ続けて、相手が空母だから余裕だと思っていたばかりに――――――)」

りう「(――――――けれども、たった3隻で補助艦無しで多数の敵に立ち向かわせたのはやっぱりオレの慢心からの初歩的なミスであって)」

りう「(とにかく、オレが【似て非なる異界の未来】からやってきたせいなのか 何か釈然としないものがあるな…………もっと勉強しないと)」

りう「それじゃ質問です、先生」

翔鶴「はい」


――――――どうして航空機の集中運用なんてことができたんですか?


翔鶴「え」

瑞鶴「ど、どういうこと?」

大和「………………」

りう「確か防空巡洋艦が無いんですよね? それってつまりは航空機の脅威をそこまで当時の海軍が認識していなかったということですよね?」

りう「それなのに、どうして『太平洋戦争』で真珠湾攻撃やマレー沖海戦の航空機主体の同時作戦なんてのができたんですか?」

大和「…………むぅ」

瑞鶴「えと、それは……、その…………」

翔鶴「…………“若様”?」

りう「あれ? 何かおかしいことを言ったかなー、私?」

494: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:16:37.41 ID:ucqf94uK0

りう「(――――――わけがわからないよ、【この世界】で起きた『太平洋戦争』ってやつは)」

りう「(【こっちの世界】だと数度に渡るパンデミックで列強の植民地経済が崩壊して、)」

りう「(列強同士が混乱に乗じて植民地の奪い合いをするっていう最大の愚を犯して国盗り合戦:第二次世界大戦だもんな)」

りう「(一説によればロシアかドイツのスパイが扇動したものだっても言われてるけど、)」

りう「(国際連盟ができたばかりでいきなりの戦勝国同士の内輪揉めで国際連盟は事実上 瓦解して――――――、)」

りう「(それで、日本とアメリカとロシアとドイツはパンデミック景気で国力を充実させていったわけだけど、)」

りう「(それが【この世界】ではパンデミックが連続しなかった代わりに日本が戦争に負けてる…………塞翁が馬だなぁ)」

りう「だって、第一次世界大戦の頃から航空母艦ってのが発達してきて、」

りう「第一次世界大戦終結後のワシントン海軍軍縮会議の影響で各国で積極的に航空母艦の開発に取り掛かったんでしょう?」

りう「となれば、どこの国も航空母艦を持っていて、真珠湾攻撃とマレー沖海戦の結果を踏まえて航空機の有用性を見直すはずですよね?」

りう「――――――『やり返される』とは思わなかったのかなって」パラパラ・・・


――――――防空巡洋艦がないってことは。


大和「………………」

瑞鶴「………………」

翔鶴「………………」

りう「あれ? そもそも伊勢型戦艦を航空母艦に転用して【航空戦艦】なんてのが生まれるぐらいに切羽詰まっていたってことなんですか?」

大和「…………そうですね。実際にそうだったと思います」

瑞鶴「大和さん……」

大和「そもそも我が国で最初の【正規空母】の赤城と加賀がワシントン海軍軍縮会議によって【戦艦】から転用させられたことはわかりますよね」

りう「はい(そのことは最初に聞いたことだ。身近な二人の赤城と加賀が【この世界】では航空母艦になっていたのだ)」

大和「これは先ほどの講義でも“若様”との質疑応答でお答えした通りなのですが、」

大和「付け加えますと、マレー沖海戦で航空母艦:インドミタブルが随伴していたら結果は大きく変わっていたはずです」

翔鶴「そうですね。実際にニューギニア沖海戦では空母:レキシントンを狙った第二十四航空戦隊が完敗してますからね」

瑞鶴「本当に幸運に恵まれていた歴史的・劇的勝利と言えたものよねぇ……」

大和「そう考えると、あの戦争の始まりから今現在に至るまでがまるで今の深海棲艦との戦いと似たようなものを感じますね」

大和「(――――――そう、ドツボにはまってジリ貧に陥っている今の仮初めの平和のように)」

りう「………………?」

大和「いえ、何でもありません」

495: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:17:38.72 ID:ucqf94uK0

りう「つまり、『高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処できる』とでも本気で思っていたのかな?」

大和「残念ながら実にその通りな展開でした」

りう「ええ…………(これ、本当に学ぶべきところなんてあるのかな、【この世界】? およそ正気の沙汰じゃないよ!)」

瑞鶴「?」

瑞鶴「ねえ、翔鶴姉?」ヒソヒソ

翔鶴「何、瑞鶴?」ヒソヒソ

瑞鶴「…………何だろう? 確かに“若様”の言ってることはこちらとしては本当に痛いところを的確に突く正論ばかりなんだけどさ?」ヒソヒソ

瑞鶴「あの戦争からまだ百年も経っていないはずなのに、何て言ったらいいのか…………そう――――――、」

瑞鶴「どうしてか“若様”の質疑応答って『知ってることの答え合わせ』をしてる感じがして、それが妙に引っかかって…………」ヒソヒソ

翔鶴「?」

瑞鶴「つまりさ? 最初から答えを知っていて――――――というか、自分が知っているものと見比べている感じがするっていうか」ヒソヒソ

翔鶴「どういうことか、よくわからないんだけれど」ヒソヒソ

瑞鶴「……そう! 普通は知らないから質疑応答ってするもんじゃない?」ヒソヒソ

瑞鶴「“若様”のはあらかじめ知っていることの確認をしている――――――それも造詣や理解がかなり深い感じだよ」ヒソヒソ

ガララ・・・

一同「!」


あまぎ「すみません、講義の最中に。ちょっといいですか、“りう”?」


りう「あ、“あまぎ”……?」

大和「あ、あまぎ技術士官ですか。どうぞ」



496: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:18:21.40 ID:ucqf94uK0


スタスタスタ・・・・・


りう「どうしたんだよ、“あまぎ”? オレはちゃんと講義を受けてたぞ? 訊きたいことも選別してちゃんと得るものを得ようと――――――」

あまぎ「なら、もっと有益な質問をしてください」

りう「え!? まさか見てたの!?」

あまぎ「いえ――――――まあ そうです」

あまぎ「“りう”? 【史実】の確認なんてして何の意味があるのですか?」

あまぎ「私たちに残された時間なんてものは過ぎてしまえばあっという間になくなるものなのです」

あまぎ「【この世界】の成り立ちについてのくだらない談義なんてせずに、【艦これ】における実践面での講義を受けなさい」メメタァ

りう「!」

りう「ごめんよ、“あまぎ”。オレが間違ってた……」

あまぎ「それと、【この時代】の艦娘には戦略や政治に関することは質問しないこと。訊かれても答えられないから、絶対に」

りう「?」

りう「!」

りう「あ、そっか! まだ名誉退役の概念がない頃か!」※【あちら側】では艦齢5歳以上の艦娘は名誉退役することで人間と同等の扱いが得られる

あまぎ「幸い、戦艦:大和ほどの艦娘ならば訊いてもある程度は答えられるでしょうが、彼女だけが唯一の例外だと思って質問の内容は絞りなさい」

りう「わかったよ。【史実】がどうのじゃなくて、【現在】がどうなのかを中心に学び取ってくる」

あまぎ「そうしてください」

あまぎ「それと、清原提督からの御餞別――――――【この世界】で最初の艦娘がすでに【建造】できたので講義が終わったら迎えてください」

りう「うん、わかった」

りう「そうだ。まだまだ講義は続きそうだし、【この世界】の【重巡洋艦】と【重雷装巡洋艦】が欲しいからまた何回かお願い」

あまぎ「わかりました」

あまぎ「では、目標の艦娘は何ですか?」

りう「とりあえず、【重雷装巡洋艦】の木曾。後は【航空巡洋艦】になれるのとなれない【重巡洋艦】が1人ずつ」

あまぎ「わかりました。できるだけ最善の結果になりますようにいたします」

りう「うん。まかせたよ、“あまぎ”」

あまぎ「はい。いってらっしゃい」ニコッ


タッタッタッタッタ・・・


清原「“あまぎ”、ここにいたのか」

あまぎ「あ、提督。何でしょうか?」

清原「最初に“あまぎ”に言われた通りに陸奥を【秘書艦】にして【建造】をしてみたら――――――、」

清原「長門が出たんだが、どうも様子がおかしい」

清原「一緒に来て確認してくれないか?」

あまぎ「わかりました」

あまぎ「――――――警告はしておきましたからね?」

清原「……わかってる」

清原「けれど、少しでも可能性は拾い集めたい」

あまぎ「はい」


497: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:19:16.30 ID:ucqf94uK0


                 ・ ・ ・ ・
長門?「私が世界に冠たるビッグ3の戦艦:長門だ。誇りある勝利と栄光と共にあることを貴官に期待する」



清原「この鎮守府の司令官の清原です」ビシッ

あまぎ「技術士官の“あまぎ”です」ビシッ

清原「(確かにこの長門は何かが違う――――――も何も、外見からして長門型戦艦スタイルと呼ばれるセクシーな薄着姿ではなかった)」

清原「(ミニスカニーソスタイルは変わらないが、第1種軍装を想起させる紺色基調の軍帽やマントのように長い軍衣が目を引く)」

清原「(そして、階級襟章は彼女の威厳と気風を象徴するかのように大きな菊の御紋が1つと豪華な拵えの軍刀も見える)」

清原「(――――――例えるならば、【“あの子”の世界】の加賀友禅を羽織っている加賀型戦艦の姉妹よりも豪華で威厳がある上着を羽織っている感じだ)」

清原「(あるいは、もっと近いのは木曾改二を紺色にしたものだろう。軍帽にマントと見紛うような軍衣と毅然とした態度からそれを思い起こされる)」
                                                ・          ・ ・
長門?「さて、では司令官よ。この長門の任務は何だ? 艦隊決戦か、それとも囮か? あるいは輸送任務か? 何なりと言ってくれ」

清原「なに!?」

あまぎ「この程度で驚かないでください、提督。この長門は【大東亜共栄圏】から来た長門なのですから」

清原「あ、ああ……(いや、戦艦が自分から囮や輸送を買って出るだなんて絶対にあり得ないようなことで言葉に詰まった……)」

清原「すまないが、戦艦:長門。落ち着いて聴いて欲しい」

長門?「何だ、司令官?」


清原「【この世界】はワシントン海軍軍縮会議で陸奥を生かしてビッグ7となって、最終的にアメリカに皇国が敗けた世界なのだ」


長門?「!?」

長門?「こ、【この世界】だと? それに『ビッグ7』?! いったい何の冗談のつもりだ、司令官よ……」スッ

長門?「つまらぬ冗談を言い続けるのであれば、そのつまらぬ口を引き裂いてくれようか?」ギロッ

清原「――――――この凄み!」アセタラー

あまぎ「さすがは【大東亜共栄圏】を象徴する二代目三笠と称された“ビッグ3”長門です……」

清原「ここでは何の資料もない。ついて来てくれ。証拠を見せる」

長門?「…………いいだろう」ジロッ

あまぎ「――――――できもしないくせに軍刀に手を掛けるのは悪い癖ですよ、長門」ボソッ

長門?「!?」ビクッ

あまぎ「どうしました?」

長門?「お、お前、まさか「天城」なのか!?」

あまぎ「『技術士官:あまぎ』ですが何か?」

長門?「………………」

清原「うん? どうした、二人共?」

長門?「いや、なんでもない」キリッ

あまぎ「…………提督。この“あまぎ”がいる限り 粗相は働かせませんからご安心を」



498: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:20:05.11 ID:ucqf94uK0


清原「この部屋だ。中に入って見てくれ。懐かしい顔がたくさんいるはずだ」

長門?「――――――『懐かしい顔』だと?」

長門?「いいだろう。見せてもらおうか」

ガチャ

長門?「!」


陸奥「あら。あらあら? 新入りっていうのは長門のことなの?」

赤城「ということは、ついに長門型が全て揃ったということですね」バクバク

加賀「金剛型と大和型という両極端な艦型しかいませんでしたから、これでだいぶ戦力も安定してきますね」ムシャムシャ

x:赤城「それにしては、ずいぶんと威厳がありますねぇ」

x:加賀「そうね。見違えたわ。これが戦艦:長門改二なのかしら?」メメタァ

x:土佐「そうだね。八八艦隊の第一号艦――――――つまりはあの一番弱い長門がね」


長門?「あ、ああ…………」ブルブル・・・

清原「これでどういうことなのかはわかっただろう?」

長門?「ど、どういうことだ、これは……?」

長門?「まず、陸奥と加賀・土佐の姉妹がいることが驚きだ!」

長門?「しかし、どうして赤城と加賀は戦艦スタイルのやつと空母スタイルのやつが一人ずつ存在しているのだ!?」

長門?「む? 存在しないはずの空母:加賀の飛行甲板が『カ』だと!? それは赤城の――――――じゃあそっちの空母の赤城の文字は何だ?」

陸奥「どうしたのよ、長門? そんな幽霊でも見たような顔なんかして」

長門?「い、いや……、その……、――――――元気だったか?」オソルオソル

陸奥「うん、私は元気よ。この【お守り】のおかげで謎の爆発も起きなくなったからね」


――――――【お守り/子宝祈願】と【お守り/安産祈願】=【運】が20上昇!


長門?「!?」ドキッ

あまぎ「まあ 落ち着いて、“ビッグ3”長門。あなたにだけは【この世界】の秘密について話しておきたいから場所を移してもいいかしら?」ポンッ

長門?「あ、ああ。説明してくれ、「天城」…………頭が破裂しそうだ」



499: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:20:47.32 ID:ucqf94uK0


あまぎ「さて、ここなら貸し切りにしてあるから人には聞かれないわね」

清原「今のところ、【異界艦】の存在や全容について知っているのはこれで――――――、」

清原「鳳翔と金剛と陸奥、提督である私と“司令部”。それと拓自鎮守府の長門だな」

あまぎ「そして、私と新たに“ビッグ3”長門となりますね(でも、八八艦隊の面々は言わなくても自然と理解してるんだけどね、当事者だから)」

長門?「私はどうすればよいのだ、司令官よ?」

あまぎ「まあ、まずは落ち着いて状況を整理しましょうか」

あまぎ「向こうの大和大学校で“りう”が【この世界】について勉強しているように、“ビッグ3”長門も【この世界】の勉強をしましょうか」

あまぎ「提督もどうぞお掛けになってください」

清原「わかった」

あまぎ「まずは簡単に結論を表で見せればすぐにどういうことかわかると思います」



表 3つの世界における【八八艦隊】の存在の有無

  |  長門型  |  加賀型  |     天城型       |      紀伊型       |
艦|長門|陸奥|加賀|土佐|天城|赤城|高雄|愛宕|紀伊|尾張|駿河|近江|

α| ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |

β| ○ | × | × | × | ○ | ○ | × | × | × | × | × | × |

γ| ○ | ○ | ○ | × | × | ○ | × | × | × | × | × | × |


α世界線:ワシントン海軍軍縮条約もロンドン海軍軍縮会議もない世界線
→ “りう”と“あまぎ”たちの世界

β世界線:ワシントン海軍軍縮条約があってロンドン海軍軍縮会議がない世界線
→“ビッグ3”長門たちの世界

γ世界線:ワシントン海軍軍縮条約があってロンドン海軍軍縮会議もある世界線
→ 【史実】の世界

⊿世界:γ世界の直系。α世界やβ世界が交じり合った本来 あり得ない世界 ※『世界線』と『世界』は全く意味が異なる。⊿世界 ∈ γ世界線
→ 本作の世界。基準となっているのがγ世界線



あまぎ「これが【この世界】の真実です、簡単にまとめると」

あまぎ「私は【α世界線】から、“ビッグ3”長門は【β世界線】から、【γ世界線】の清原提督の許にやってきたわけなのです」

あまぎα「試しに文章中で区別するとこんな感じです」メメタァ

長門β「まだ完全に納得したわけじゃないが、「天城」が言っていると思うと全てそうなのだと思えてしまう自分が恐ろしい」

清原γ「なるほどな……。おかげですっきりわかったよ」

清原「ところで、その【⊿世界】ってどういうことなんだ?」

あまぎ「本来は出会うこともなかった“りう”や“ビッグ3”を迎え入れたことで、」

あまぎ「それ以前の提督ならばあり得ないような行動をこれから採り続けるわけですよね?」

あまぎ「そういうわけで、一応は【γ世界線】上にある【本来の歴史とは異なった別の可能性の世界】――――――【⊿世界】に入っていると明言しておきます」

清原「…………それは良いことなのか?」

あまぎ「良いも悪いも当人たちの努力次第です」

清原「それを聞いて安心した」

500: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:22:28.46 ID:ucqf94uK0

長門β「………………」ジー・・・

清原「戦艦:長門、言いたいことがあるのなら言ってみろ」


長門β「なぜ私が喚ばれた?」


清原「それは…………(特に明確な目的があったわけじゃなかった。【異界艦】の可能性について調べるためにとりあえず【建造】してみただけで)」

あまぎ「“ビッグ3”として、そして世界に冠たる大東亜共栄圏の象徴であるあなたの力が必要だったからです」キリッ

清原「……ああ。どの程度の戦力になってくれるかはわからないが、大東亜共栄圏に至る過程や心構えを教えてもらいたいと思う」

長門β「………………」

清原「それにだ」

清原「逆に訊こう」


――――――ならお前はどうして【建造】された?


長門β「それは…………」

清原「未練があったからじゃないのか?(――――――そう、艦娘と深海棲艦の発生の原因を鑑みれば この質問には何らかの効力が宿るはず!)」

長門β「そんなつもりは…………」

あまぎ「嘘は良くないわ、長門」ジロッ

長門β「?!」

長門β「「天城」――――――って冷静に考えてみたら、なら別世界の住人であるお前に私の何がわかる! わかるはずがない! そうだろう!」

あまぎ「あら? 皇国の大神たちにお願いすればあなたのことなんて居ながらにしてわかるわよ」

清原「え」

長門β「なにぃ?!」

あまぎ「例えば、あなたは【α世界線】や【γ世界線】で歴史遺産となって現存する戦艦:三笠の代わりに【β世界線】では長門公園で永久保存されてるのね」

長門β「なっ、…………事実だ」

清原「それは凄いな。前弩級戦艦の三笠が100m台なのに対して長門は200m台だから威容が段違いだろうな」

あまぎ「それに、【β世界線】の大日本帝国は大東亜共栄圏のために自由主義・共産主義に続く第3のイデオロギーを発足して、」

あまぎ「軍事力よりも政治力や外交力、人類科学や世界経済、人権運動の発展に力を尽くして大東亜共栄圏を樹立したようね」

清原「え? 詳しくはわからないんじゃなかったのか?(しかも、第3のイデオロギーって…………)」

あまぎ「今 わかったの」

清原「?!」

長門β「…………ま、まさしくその通りだ」

長門β「だから、艦隊決戦なんていうのもほとんどなく、潜水艦ばかりが活躍していたな」

長門β「私は“ビッグ3”であることから温存されるよりもむしろその知名度を利用して積極的に、」

長門β「――――――囮や輸送に従事して潜水艦隊に敵を仕留めさせる作戦ばかりだった」

あまぎ「なるほど、【α世界線】が戦艦1強で、【β世界線】は潜水艦1強、【γ世界線】は航空母艦1強体制だったわけなんですね」

清原「“りう”が口癖のように言っていた軍艦3すくみと綺麗に重なったな」

501: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:23:34.47 ID:ucqf94uK0

清原「いや、それよりも貴重な“ビッグ3”を囮や輸送に使って敵を誘き出すだなんて凄まじい戦略・戦術と胆力を持った大本営だな……」

清原「むしろ、【ここ】だと出し惜しみして旧式艦の金剛型戦艦が縦横無尽に活躍する結果になったけど」

あまぎ「【近代化改修】って若返りエステだったんでしょうかね?」

清原「はははは、艦娘が老けないことを考えるとそうかもしれないな」

長門β「?」

清原「あ、そうだ、“ビッグ3”。この写真を見てくれ」スッ

長門β「?」

長門β「!」

長門β「若っ! 金剛型の姉妹、みんな若っ!?」

清原「あ、やっぱり【この世界】だけなんだ、金剛型が若いってのは」

長門β「いや、貴重な【巡洋戦艦】だから近代化改修は施されてはいたが、ここまで若返っているのは――――――」

清原「(なるほど、【β世界線】では金剛型は元の【巡洋戦艦】の分類のままということか。竣工時に27.5ktだからちょっと速力を上げれば十分通用するな)」

502: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:24:30.37 ID:ucqf94uK0

長門β「…………そうか。だいたい掴めてきたぞ」

長門β「確か、清原司令官はここの提督だったか?」

清原「そうだ。洞庭鎮守府の司令官であり、同鎮守府が擁する艦隊の司令官でもある」

長門β「…………私が喚ばれたということは、私が持つ知識やノウハウだけじゃなく戦艦:長門としての戦力も当てにしていたというわけなんだな?」

清原「その通りだ(まあ 長門が出てくるかまではわからなかったけど。“あまぎ”に言われるがままに半信半疑にやっただけで)」

長門β「なら、「天城」? この“ビッグ3”にも華々しい武勲を重ねられる機会が天に与えられたということでいいのか?」

あまぎ「はい。ご褒美です」

長門β「………………私のような旧世代の遺物の役割などそんなものか」フフッ

長門β「わかった。まだまだ不明な点があることだが――――――、」


長門β「この“ビッグ3”戦艦:長門! 勝利と栄光のために提督に力を尽くそう!」ビシッ


清原「…………ホッ」

あまぎ「提督、気をつけてください」ヒソヒソ

清原「?」

あまぎ「一応 理解をして納得はしてくれましたが、【戦争に勝った世界】から【戦争に敗けた世界】に来たのです」ヒソヒソ

あまぎ「それに関するカルチャーショックは避けられず、未だかつてない怒りや哀しみ、虚しさが彼女を曇らせることでしょう」ヒソヒソ

あまぎ「まさか【異界艦】であることをいちいち説明するわけにも参りませんし、気を遣われることを恥ともしていますから、」ヒソヒソ

あまぎ「私も私で“ビッグ3”を慰めますから、提督も提督で提督として艦娘を労ってください、兼愛交利の清原提督?」ヒソヒソ

清原「わかった。【同じ世界線】の仲間を優先的に【建造】するようにしよう」ヒソヒソ

清原「それまでは八八艦隊の面々と一緒にしておこう。陸奥も事情は教えているからきっと支えになってくれるはずだ」ヒソヒソ

あまぎ「はい」ヒソヒソ



503: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:25:37.05 ID:ucqf94uK0


コツコツコツ・・・・・・


長門β「すまない、提督」

清原「どうした?」

長門β「ライスカレーが食べたい」グルルル・・・

清原「……それは私の鎮守府の程度を量ろうとしているのか?」

長門β「さあな? ともかくライスカレー――――――海軍カレーが食べたい」キリッ

清原「わかった。今晩は私が作ろう(――――――堂々とはしているが、やっぱり長門は“長門”だった)」フフッ

長門β「む? 提督自らが?」

清原「嫌なら料理当番に作らせるが?」

長門β「いや、提督の作るカレーがいい」

清原「そうか」

清原「ところで、これからしばらくはお前の姉妹たち:八八艦隊の面々と一緒になってもらうが、大丈夫か?」

長門β「…………大丈夫だ。そこまでヤワな神経では無い。そうでなければ囮も輸送もする連合艦隊旗艦など務まらん」

清原「無理しなくていいんだぞ? どんな強力な軍艦でも単艦ではものの役に立たないからな」

清原「今すぐに【“ビッグ3”の世界】から同僚を【建造】してもいいのだぞ?」

長門β「……それは提督の采配に任せる」

清原「思い切ったことを言うな」

長門β「何か思い違いをしているな、提督よ」

清原「?」


長門β「この長門! べ、別に姉妹全員がこの世に生まれ出づることなく一人道化として戦場を跳梁して、」」

長門β「その果てに大東亜共栄圏で平和で豊かな時代になってかつての僚艦たちが次々と廃艦になっていく中――――――、」

長門β「たった一人 自分だけ公園のモニュメントになって永遠の時を過ごしていたことに思うところがあったわけでは無いんだからな!」


清原「誰もそこまで訊いてないぞ(――――――寂しかったんだ、ずっと)」

長門β「とにかく! 今日だけでもいいから、我が八八艦隊の姉妹たちとのひとときに水を差さないでくれ、頼むから!」

清原「最初からそう言えばいいだろう」ヤレヤレ

長門β「…………すまない。どうも来たばかりで混乱しているようだ」

長門β「見苦しいところをお見せして本当に申し訳ない」

清原「いや、あの“あまぎ”が来たのはつい2,3日前だから副官のように自然と隣にいることにハッと驚く」

清原「同じなんだ、私も」

長門β「…………提督もか」ホッ

504: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:26:03.30 ID:ucqf94uK0

清原「それに長門よ」

長門β「?」


清原「こっちは『【未来】から『私』の息子が私に会いに来てる』という事態に直面していて私の方がどうすればいいのか全然わからないのだあああああ!」


長門β「!!??」

清原「“あまぎ”が【いつの時代のα世界線】から【こっちのγ世界線】に来たかなんて明言してないだろう!」

清原「“あまぎ”たちはよりにもよって【未来】からやってきたんだよ、【そこ】で“護国の英雄”と呼ばれてるらしい私を頼って」

長門β「じ、事実か、これも……」

清原「だから、私も同じだ」

清原「困ったことがあれば“あまぎ”や私を頼れ。頼りないかもしれないが精一杯 お前の孤独を埋めてやるから」

長門β「…………!」


長門β「…………提督は実に大東亜共栄圏の立役者である英雄にそっくりですな」フフッ


清原「え」

長門β「なるほど、これも素晴らしき縁か」

長門β「提督! この長門、提督の栄光と勝利のためにより一層の信頼を得られるよう精進いたします!」ビシッ

長門β「そして、必ずや【この世界】においても世界に冠たる弥栄える皇国の未来を築きあげましょう!」

清原「ああ! よろしく頼む、“ビッグ3”!」


GET! 戦艦:長門β(能力限界値が異様に高い【β世界線】最強の戦艦)



505: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:26:56.99 ID:ucqf94uK0


りう「今日はありがとうございました!」

大和「はい。こちらとしても良い勉強になりました」

瑞鶴「“若様”は本当に賢いですね(戦術については最初は黙って聴いていただけに思えたけど呑み込みが物凄く早かった……)」

翔鶴「それじゃ、“若様”? これから一緒にお食事と参りませんか?」

りう「ああ……、まあいっか(“あまぎ”がうまくやるって言ったんだから、【この世界】で初めての艦娘たちもいいのが揃ってるだろう)」

りう「はい。お願いします、翔鶴おねえさん」キラキラ

翔鶴「おお…………!」ドクンドクン!

大和「あ、それでしたら! 今晩はこの大和におまかせを!」

瑞鶴「あ、私も!」

りう「ありがとうございます」

ガララ・・・

大和「あ」

高雄「あ、こちらにいましたか、龍翔提督!」

りう「あ、確か【重巡洋艦】の高雄だったっけ?(――――――そう、ポケット戦艦もどきの)」

高雄「どうですか、これから一緒にお食事でも」

りう「ああ…………(どうしよう? いまいち【重巡洋艦】の良さがわからないから、本人から説明を受けようかな?)」

大和「だ、ダメです! 今晩は大和の手料理を食べていただくのですから!」

高雄「むっ」

りう「え、ダメなんですか、先生?」

高雄「!」パァ

大和「そ、そういうわけじゃ…………」

りう「私は【重巡洋艦】の良さが掴めなかったので直接 高雄さんに訊こうと思ってたんですけどダメですか?」

瑞鶴「へえ、勉強熱心ね。課外講義をお望みなんて」

大和「むぅう…………」イジイジ

りう「それじゃそういうことでお願いします、高雄さん」

高雄「はい、おまかせください」ニッコリ

瑞鶴「あ、そうだ、高雄さん。この子のことはこれからは――――――」



506: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:27:49.97 ID:ucqf94uK0


長門β「戦艦:長門だ。改めてよろしく頼む」

赤城「はい。これからよろしくお願いします」

加賀「八八艦隊がこうも集まるだなんて、わからないものね」

陸奥「今度は紀伊型戦艦も来たりしてね」

長門β「まあ、その可能性もあるだろうな」チラッ

x:赤城α「もしかして、あの長門さんも私たちと同じ?」

x:加賀α「そうかもしれませんね」

x:土佐α「ねえねえ、長門 長門!」

長門β「何だ……、お前は土佐だな?(――――――【標的艦】じゃなかったらお前はこんなにも華やかな姿なのか)」

x:土佐α「そう、土佐だよ!」

x:土佐α「ねえねえ! 長門の主砲って何だっけ 何だっけ?」(すっとぼけ)


長門β「ああ、私のは最新鋭の【41cm四連装砲】だ」


一同「!?」

赤城「――――――【41cm四連装砲】ですって!?」

x:赤城α「なるほど、【この世界】では【試製三連装砲】でしたし、少なくとも【彼女の世界】は【ここ】よりも優れていると」ボソッ

x:土佐α「へ~、“ながもん”じゃないんだ、この長門は」

長門β「何の話だ、みんな?」

加賀「明らかにあの長門とは別人…………大本営はどうして同じ長門を? 【改装設計図】の新たな効果かしら?」メメタァ

x:加賀α「やりそうね、この長門は」

長門β「そして、加賀の二人か」

長門β「何だ? こっちのお前は【戦艦】で――――――、何だお前は? どうして「天城」の青袴を履いているのだ?」

長門β「そもそも、どうしてお前はポニーテールで、こっちはサイドテールなのだ?」

加賀「それは…………」(サイドテール)

x:加賀α「【こっち】の私は、あの震災で天城さんが倒れて、その代役として【正規空母】になったのです」(ポニーテール)

x:加賀α「言わば、この青袴とサイドテールは天城さんと土佐の形見なんです」

加賀「…………はい」グスン

x:土佐α「……ありがとう、【こっち】の加賀姉さん」

長門β「そうだったのか(…………なんだと?! あの震災で「天城」が斃れただと!? それは戦争に負けてもしかたがないな)」

加賀「けど、こうして本来は会うこともできなかった八八艦隊のみなさんと会えたのですから、感無量です」

長門β「…………そうだな」チラッ

長門β「――――――陸奥」

陸奥「あら、何かしら、長門?」

長門β「なんでもない」フフッ

陸奥「あらあら? 気になるじゃない、ねえ長門」

長門β「それよりもだ、みなのもの」

長門β「八八艦隊の武勇伝を聞かせてはくれないか、我が同胞たちよ」



507: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:28:35.06 ID:ucqf94uK0

――――――翌朝


りう「あわわわ…………」ビクビク

清原「で、“あまぎ”? このドラ息子が何をしたって?」ジロッ

あまぎ「はい。それが――――――、」


――――――この子は生まれた時からずっと艦娘に囲まれて甘やかされて暮らしてきたので貞操観念が著しく欠落しているのです。


清原「つまり、あれか? 『艦娘はみんな家族だから誘われればどこへでもついていく』わけか?」

清原「それで昨夜は、お前が迂闊にも色ボケした艦娘の誘いに『うん』と答えて初夜権を巡って鎮守府で抗争が起きたというわけか……」

清原「当然、お前の部下たちは提督の貞操の危機を黙って見過ごすわけがないから騒ぎが大きくなったと……」

りう「ご、ごめんなさい……」

清原「まったく近所迷惑な! いや、それどころではない!(美男美女を巡って血みどろの争いが起きることは数多の歴史が証明している!)」

清原「(いや別に、自分と同じ顔だからって自分が美男だなんては思ってはいないが、)」

清原「(あの子の場合は顔以上に、世界中の人間からの祝福と艦娘と共に生きてきた包容力があるから妙な引力があるのだろうな……)」

清原「しかし、これはひどい……」

清原「“あまぎ”、厳しく育てたんじゃなかったのか!?」ヒソヒソ

あまぎ「残念ながら――――――、あの子が提督になるために海軍学校に通うことになったのはわかりますよね? その時に私はお暇をいただいて」ヒソヒソ

清原「まあそうだろうな(いったいどれだけの飛び級を重ねたら16歳で准将待遇なのか)」ヒソヒソ

あまぎ「“戦後”にできた艦娘学校での寮生活で“護国の英雄の子”としてVIP待遇されていたらしく、」ヒソヒソ

あまぎ「そして、“戦後”生まれの存在意義があやふやな艦娘たちが側女となって甘やかしていたようです」ヒソヒソ

清原「…………え? いろいろツッコミたいところだが、艦娘と言えどもどうして新兵にそんなことをやらせるんだ?」ヒソヒソ

あまぎ「――――――退役した艦娘を宛てがうのは非常に危険だったからです」ヒソヒソ

あまぎ「すでにその頃には退役した艦娘は人間として結婚ができ、人間としての知識や狡猾さも身につけるようになっていたので、」ヒソヒソ

あまぎ「将来 有望な海軍士官の卵たちを何も知らないことをいいことに  ろしをして手篭めにしたという事件もありまして…………」ヒソヒソ

あまぎ「ですから、建造されたばかりの艦娘は自分が戦うのに必要なことしか知りませんから、」ヒソヒソ

あまぎ「側女に選ばれるのはそういった訓練を最初に半年以上積んだ艦娘であり、彼女たちは一般的にエリートという認識で通っています」ヒソヒソ

あまぎ「なぜなら、その時に側女に選ばれた艦娘が士官候補生が提督になれた時の最初の秘書艦になり得るわけなんです」ヒソヒソ

あまぎ「つまり、艦娘たちからすれば自分が仕える提督を選べるわけですし、艦齢5歳を迎えればそのまま提督と結婚もできるわけですから」ヒソヒソ

清原「…………“平和で豊かな時代”が“戦間期”と皮肉られる理由がよくわかった気がする」ヒソヒソ

あまぎ「けれど 提督もご存知なように、提督と交わりを持って 蕩三昧のピンク鎮守府など戦時中からいくつも存在しています」ヒソヒソ

清原「ああ。私もよく知ってる――――――が、あの男はちゃんと成果をあげている以上は私から何かを言うつもりはもうないが」ヒソヒソ

清原「だが、これが我が息子だというのなら死んでも死にきれん未来像だぞ!」ヒソヒソ

あまぎ「ですから、――――――父親として、――――――兼愛交利の体現者として、――――――未来の英雄として、」ヒソヒソ

あまぎ「そして、この鎮守府の司令官として厳しく躾けてください。提督が躾けたほうがあの子にとっては良い薬です」ヒソヒソ

清原「かぁ…………しかたあるまい。艦娘が“あまぎ”と同レベルの人間性を標準装備だったらどれだけ良かったことか」ヒソヒソ

あまぎ「兼く人を愛する提督にとっては受け入れ難いものがありますが、これも1つの未来の予行演習と思って頑張ってください」ヒソヒソ

清原「…………簡単に言ってくれる」ヒソヒソ

508: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:29:05.40 ID:ucqf94uK0

りう「ああ…………」オドオド

清原「まったく、部下たちにも困ったもんだよ」

清原「戦うことが存在意義の艦娘が男を捕まえて何やってるのさ!」

清原「で、“若様”? 側女が居ないと生活できないのであれば、せめて自分の秘書艦を連れてきて欲しいものだな」

清原「他人の戦力を巻き込まないでくれ。情で動くことばかりに慣れてしまったら艦隊行動に支障をきたす」

りう「は、はい!」オドオド

清原「相当 甘やかされて育ってきたらしいな……」

清原「確か、両親は物心つく前に生死不明となり、祖父母に預けられていたんじゃないのか?」

りう「は、はい……」

清原「それがどうしてこんな子に育ってしまうのだ? やはり歳を重ねたせいで甘くなったのか、『我』が父よ……」

清原「(いや待てよ? 父は堅物だが実は母にバレバレだったけど娼館に通ってた時期があったらしいから、)」

清原「(『私』が残した艦娘たちと同居あるいは近所に住み込んだことで骨抜きされたのか?!)」

清原「(――――――嫌な想像が尽きない! 嫌になる! 悪いことしか見えてこない!)」

清原「(これじゃ私は【未来】を守りたくなくなっちゃうよ!)」ギリッ

清原「………………ハア」

りう「ああ…………」オドオド

清原「疲れた。ただでさえこっちも忙しいんだ」

清原「1から全てを指導してやる余裕なんてない」

清原「ただ、一度 注意されたことは二度繰り返すな」

りう「は、はい!」

清原「そして、反省と再発防止の証としてこれからどうするのかを事細かくその日の内に必ず私に報告しろ」

清原「そうすることが互いを理解する上では都合が良いと思うが、どう思う?」

りう「え、えと…………」ビクビク

清原「…………怖いのか、私が?」

りう「そ、そうじゃないんです! むしろ覇気があって頼りがいがあるとかカッコイイとか思ったんですけど、」

りう「いざ言葉を口に出そうとするとなぜか重たくなって…………」

清原「?」

清原「ちゃんと答えているではないか? 何を躊躇っている?」

りう「えと、その…………」アセアセ

清原「わかった。互いに時間が惜しいからな。――――――やれ、そうしろ」

りう「はい!」ビシッ

清原「………………」


509: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:29:34.26 ID:ucqf94uK0

清原「ちゃんと腹の中では答えを出しているのに、どうしてあの子の口が重たくなってしまったんだ?」

清原「“あまぎ”は多くは教えてはくれないし、あの子を甘やかさない艦娘のほうが珍しいから私一人で考察しなければならないか」パラパラ・・・

清原「金剛がとった聴取記録を見返せば、あの子の生い立ちや悲壮感は伝わってくるが、父親である私に対するあの態度が何なのかがわからない」

清原「やはり、想い焦がれていた相手にいざ会ってみてどこか失望したところがあるからなのだろうか?」

清原「何にせよ、あの子に残された時間は1年もないんだ」

清原「得るものを得て帰還できなければ、『私』の両親や親戚一同が処刑され、あの子も即死――――――人類は滅亡するわけだ」

清原「だが、“あまぎ”としてもどうするつもりなんだ? 不特定多数の超大型弩級戦艦をどう攻略する気なのだ?」

清原「いや、そもそも“あまぎ”は【あちらの世界】での大戦を生き延びているからその終着点がどこにあるのかを完全に知っている」

清原「となれば、深海棲艦との新たな大戦を制する要素もある程度は目星がついているということなのだろうか?」

清原「――――――ダメだ、考えていてもしかたがない、これ以上は」

清原「料理を作っている合間に考えて思いつかないのであればそれ以上考えているのは休むのと同じだ」

清原「とにかく戦力増強と練成だ! 前回の【AL/MI作戦】の雪辱戦を果たすぞ!(秋イベントも【連合艦隊】が必要になりそうだしな)」メメタァ

清原「さて、“ビッグ3”にも頑張ってもらわないとな」

清原「さあ、【出撃】だ! 同じく【建造】したての陸奥と一緒に仲良くな!」

510: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:30:17.00 ID:ucqf94uK0


りう「――――――なるほど、航空主兵論はちゃんとあったのか」フムフム

りう「けど、悲しいことに【ここ】だと30年代に列強同士の戦争が無かったせいで航空機がさほど重要視されなかったわけか」

りう「やっぱり戦争は遠くから眺めて反面教師にしているのが一番ってわけだね」

x:矢矧「提督、これからどういった戦略で行くの?」

りう「えと、【軽装甲巡洋艦】じゃないほうの軽巡:矢矧さん」

x:矢矧「相変わらず珍妙な呼び方をするのね、提督は。嫌いじゃないわ」クスッ

りう「『珍妙』――――――それじゃ【この世界】で初めての艦娘さん」

x:矢矧「ははは、提督はホントに面白い」

りう「とりあえず、戦艦:大和さんの講義を受けた後は【この世界】のことについて勉強を進めていこうと思って」

りう「だから今のところは、【出撃】は1週間だけ待って欲しいんだ。それまでにこの鎮守府に慣れておくから」

x:矢矧「そう。なら、私も同じね。手伝うわ」

りう「ありがとう」キラキラ

x:矢矧「いい笑顔……」ウットリ

りう「さて、どうしようかな? この鎮守府の経営を見る限りだと簡単には戦艦と巡洋戦艦の主力艦隊を【出撃】させられないぞ?」メメタァ

りう「だから、駆逐艦や軽巡、潜水艦や軽空母の【出撃】や【遠征】が多いわけか」メメタァ

りう「どうしよう? これじゃ経験値を簡単には稼げないぞ。【八八艦隊】が置物同然じゃないか」メメタァ

りう「いや、とにかく【こっち】では発達しなかった【正規空母】を迎え入れたいな」ブツブツ・・・

りう「【正規空母】による空母機動部隊による大先制攻撃が決まれば、超大型弩級戦艦との戦いも楽になるはずだ」ブツブツ・・・

りう「【未来】とは違って【ここ】は戦況が膠着して比較的平和な状態に落ち着いているから、こうやって落ち着いて考えられる時間はある」ブツブツ・・・

りう「そうだ、資源回収技術も発達していないから、鎮守府で使う資源はこれから自分で稼いでいかないといけないな……」ブツブツ・・・

りう「そっか。まともな戦力がオレしかいなかったからこそ資源を自由に使えたってのがあったのかな?」ブツブツ・・・

りう「――――――初めて気づいた資源の大切さ」

りう「どうしよう? 資源の消費を極力抑えないとだから、駆逐艦を喚んでおくかな?」ブツブツ・・・

りう「でも、【この世界】だと駆逐艦にも主砲 載っけてるんだよな。なんで護衛駆逐艦が発達しなかったんだろう、【ここ】は?」ブツブツ・・・

りう「だから、【この世界】の深海棲艦は【駆逐艦】であろうと大艦巨砲主義かぶれで砲撃戦の火力が異常に高いんだよな……」ブツブツ・・・

りう「となると、護衛駆逐艦の中でも対潜駆逐艦ならまだしも、防空駆逐艦では艦隊全体の火力と手数が足りなくなるか?」ブツブツ・・・

りう「どうしようかな? 『郷に入れば郷に従え』ってのがあることだし、【この世界】でのやり方に従ったほうが堅実かな?」ブツブツ・・・

りう「防空巡洋艦は空母1強の【この世界】では絶対に必要だから喚ぶとして、駆逐艦や軽巡は現地調達かな?」ブツブツ・・・

りう「戦艦と巡洋戦艦は加賀型と天城型で十分だし――――――いや、【この世界】で誕生した大和型戦艦もどうにかして持ち帰ろう」ブツブツ・・・

りう「後は、【重雷装巡洋艦】と【重巡洋艦】、【航空巡洋艦】などの【この世界】特有の巡洋艦の能力評価だな」ブツブツ・・・

りう「はあ……、こんなことなら清風ぐらい連れてくればよかったな」

りう「しかたない、【建造】しよう。矢矧は【軽巡】としては燃費が悪いようだし、【駆逐艦】を狙おう。3隻あれば十分だろう」メメタァ

りう「矢矧、矢矧。【駆逐艦】が3隻欲しいなー」トントン

511: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:31:26.46 ID:ucqf94uK0



x:初風「初風です、よろしく。提督さんにとって私は何人目の私かしら?」

x:白露「白露型の1番艦、白露です。はい、1番艦です!」

x:漣「綾波型駆逐艦:漣です、ご主人さま。こう書いて『さざなみ』と読みます」



りう「へえ、これが【この世界】の【駆逐艦】か(全部 見慣れないからワシントン海軍軍縮条約 由来の特型駆逐艦ってやつなんだろうな)」

りう「みんな、よろしくね」キラキラ

x:艦娘たち「!!」ズキューン!

りう「?」

x:白露「ね、ねえねえ、提督? あたしは提督の一番だよね? ねぇ?」

りう「うん? ああ、確かにオレにとって初めての【駆逐艦】だよ」

x:白露「やったー!」

x:初風「へえ、もしかして新任の提督? ずいぶん若いとは思ってたけど」

りう「えと、初風か。清風と名前が似ていて紛らわしいな……(しかも、あれだよね? 初風って言ったら皇室ヨットの――――――)」

x:漣「え、ご主人さま?」

x:白露「うん?」

りう「あ」

りう「いや、顔馴染みに清風がいてね? ――――――大丈夫、オレの“初めての【駆逐艦】”はみんなだからさ!」アセアセ

x:白露「ああ……、良かった……。やっぱりあたしは提督の一番だった」ホッ

x:白露「それじゃ提督! このあたし、白露を秘書艦に任命してね!」

x:漣「ちょっと? あまり漣のご主人さまにベタベタしないでくれる?」

x:初風「そうよ! 提督にとっての初めての艦娘は私であり、最初の秘書艦は私!」

りう「え? 秘書艦は軽巡:矢矧ってのがやってるから無理しなくていいよ」

x:艦娘たち「え?」

512: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:32:15.54 ID:ucqf94uK0

x:白露「ど、どういうこと?! 新任の提督がどうして最初に軽巡を……?」

x:漣「漣は栄えある初期艦の1人なのに選ばれなかった……!?」メメタァ

x:初風「もしかして鎮守府の司令官じゃない提督ってことなのかしら?」

りう「うん。そもそも【ここ】だと大型艦だけじゃ立ちいかなくなるってことだから【駆逐艦】が欲しいと思ったんだけど、」

りう「…………ダメだった?」シュン

x:艦娘たち「………………」

x:初風「ま、まあ! 司令官のご厚意で初期艦を軽巡にしてもらえるなんてあり得ないわけじゃないんだし、私は気にしてないわよ!」

りう「ありがとう」

りう「それでなんだけど、とりあえず3人には明日には軽く【出撃】してもらおうかと思う」

x:漣「キタコレ! ここで漣の本気を見せるのです!」

x:初風「よし、腕がなるわ! 言っとくけど、足手まといは置いてくわよ!」

x:白露「ふふーん! 白露が『いっちばーん!』だから、当然ここはあたしが旗艦だよね?」

x:艦娘たち「……うん?」ジロッ

x:艦娘たち「………………」バチバチバチ・・・

りう「うん。頼りにしてるよ。それとできるだけ怪我しないようにね」キラキラ

x:艦娘たち「!」

x:艦娘たち「了解!」ビシッ

513: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:33:04.96 ID:ucqf94uK0


x:木曾「ほう、ようやく【駆逐艦】を揃えたのか。遅いぞ」


りう「木曾!」

x:木曾「とりあえず、この新兵共を寝床に案内しておくぜ」

りう「うん、頼むよ」

x:木曾「それじゃ、俺を早く戦場に出してくれよな」

x:木曾「よし、【駆逐艦】の3人。今のところ 寝床は増築中だからルームシェアだ。我慢しろよな」

x:艦娘たち「えええ!?」

x:木曾「ほら、行くぞ。嫌ならハンモック 持ってその辺の木にでも寝っ転がってろ」


スタスタスタ・・・・・・


りう「カッコイイな、木曾のやつ!(でも、今はまだ【軽巡】だから大した強さじゃないのが何とも…………)」

りう「それじゃ、明日には改めて【この時代】の深海棲艦の程度を見に【出撃】させたいから許可を申し出ないとな」

x:古鷹「提督、そろそろ大和さんの講義ですよ」

りう「ああ……、そんな時間か。清原提督に叱られて予定が変わっちゃったのは申し訳なかったな」

x:古鷹「提督、あわてないで。大丈夫です」

りう「うん」

タッタッタッタッタ・・・ゴツーン!

りう「あいたっ!?」

x:古鷹「だ、大丈夫ですか、提督!?」

x:最上「いったた…今度こそ衝突しないと思ったのに……」

x:最上「あ、提督! ごめんなさい! ボク、気をつけてたのにまた――――――」

りう「だ、大丈夫だから……」ヨロヨロ・・・

りう「いやぁ、【この時代】の艦娘は本当に前向きで元気があっていいなー」キラキラ

りう「(そう、【この時代】では誰もが真摯に命と向き合っているからこそ、こうやってそれぞれの個性が光ってるんだ)」

りう「(【未来】だと、もう恐怖一色に染め上げられてみんながみんな同じような似たような表情しかしないんだ)」

りう「(だから、『本当にみんなイキイキしてるな』ってオレは改めて認識したんだ、今日此の頃)」



514: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:33:52.41 ID:ucqf94uK0

りう/龍翔提督の艦娘一覧

【α世界線】の戦力(自前の戦力)
戦艦:加賀 Lv70以上
戦艦:土佐 Lv70以上
巡洋戦艦:天城 【ユウジョウカッコカリ】済みでレベルカンスト Lv120
巡洋戦艦:赤城 Lv80以上

【γ世界線】の戦力(現地調達)
軽巡:矢矧 ← 最初に清原提督に【大型艦建造】してもらった記念すべき龍翔提督の【この世界】での【初期艦】
軽巡:木曾 ←“あまぎ”が1発で引き当てる。【重雷装巡洋艦】研究用
重巡:古鷹 ←“あまぎ”が1発で引き当てる。【重巡洋艦】研究用
重巡:最上 ←“あまぎ”が1発で引き当てる。【航空巡洋艦】研究用

駆逐艦:初風 ←――レアリティ詐欺
駆逐艦:白露 ←――レアリティ詐欺  
駆逐艦:漣   ←――レアリティ詐欺

※なぜか建造リストに乗ってないような艦娘が【建造】されているのも“あまぎ”ってやつのせいなんだ。


これからの所属予定
【γ世界線】:現地調達
正規空母:翔鶴、瑞鶴 ← 帝国海軍の【正規空母】の決定版
戦艦:大和、武蔵    ←【この世界】最大の【戦艦】なので(【β世界線】にも存在するが人気が圧倒的に長門βが上)
重巡:摩耶        ←【対空】が高いから
軽巡:五十鈴       ←【対空】が高いから

【α世界線】:タイムトンネルでお取り寄せ
防空巡洋艦:多数(ただし、イージスシステムを積んでいるわけじゃないんだから【γ世界線】では言うほど防空しないし、対艦能力が不足しがち)

※防空巡洋艦は完全に資料に存在しないオリジナル艦娘を超えたオリジナルキャラになるのでなるべくなら出したくはない。



515: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:36:54.56 ID:ucqf94uK0

――――――数日後


ザーザー

長門β「………………」

清原「どうしたんだ、“ビッグ3”? こんなところで黄昏れてさ」

清原「今日も大活躍だったじゃないか。そんな憂い顔をしてどうしたんだ?」

長門β「……提督か」

長門β「いや、思ったよりもままならないものだな」

清原「?」

長門β「…………前にも言ったはずだが、私はあの帝国主義の時代、列強との国力差を埋めるために何だってした」

長門β「だから、囮や輸送が主な任務だった」

清原「ああ。伊勢型航空戦艦 以上に輸送戦艦らしいことをしているようだな」

長門β「だから、実戦はそこまでしたことがないのだ」

長門β「私の代わりに【巡洋艦】や【潜水艦】が大東亜共栄圏 樹立の人柱となっていったのだ」

清原「そうかな? 【こっち】の長門もずっと温存されてようやく出撃できても大した戦果を挙げられず、その後は置物だったぞ?」アセタラー

長門β「そして、世界に冠たる大日本帝国は武力によらずに世界の第3主義:共栄圏主義によって各国を心服させ、」

長門β「――――――それこそ古書に見える王道の在り方をそのまま体現したような王道楽土が実現されたのだ」

長門β「平たく言えば、『ペンは剣よりも強し』を世界最強で行った結果が大東亜共栄圏なのだ」

長門β「だから、私が“象徴”であるだけで事足りたというわけなのだ」

清原「…………つまり?(とんでもないぞ、それぇ! ルーズベルトがまじめに日本を占領しようと画策していた時代に!?)」


長門β「私は見てくれは立派だが、【この世界】の陸奥に完全に劣っているのだああああ!」メメタァ


清原「ああ……、それは確かに居づらいな(どういうことだ? 確か初期値は【運】がずば抜けて高い他は同じだったはずだが)」メメタァ

長門β「見ろ、立派な装飾が施されたこの軍刀を!」

長門β「しっかりと結んであって抜けないようになっているのだ!」

清原「そうだな……」

長門β「そして 私は、その解き方も結び方もわからないし、軍刀術の心得もないから見掛け倒しだ!」キリッ

清原「そ、それでも、伊勢型より実戦ではずっと強いじゃないか! 気にするなよ、そんなこと!」アセアセ

清原「(な、なるほど、――――――『見掛け倒し』か。彼女の生涯を考えれば確かにその“象徴”かもしれないが、それは違うんじゃないのか?)」

516: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:37:29.42 ID:ucqf94uK0

長門β「一応は近代化改修を受けて速力はあのビスマルクを超えてはいるのだ。ビスマルクが30.8ノットで私が32ノットだからな」

清原「え、何その魔改造っぷりは……?!(うっは! 金剛型戦艦よりも速いじゃないか、それ! 強すぎっ!? こんなのを囮に使うのか!?)」

長門β「しかし、代わりに完全に囮役や輸送艦扱いのために主砲も減らされて大量に対空砲を増やしたせいで、対艦能力はガタ落ちだ!」

長門β「完全に水雷戦隊や空母機動部隊、潜水艦隊の引き立て役としての通信機能の強化ばかりがなされて、」

長門β「国内外から大いに批判酷評だ! 『長門は日本の恥』! ――――――それでも勝ったからには今では掌返しで褒め倒されているがな」

清原「そっか。それでも【八八艦隊】の唯一の生き残りとしてあらゆる苦難や屈辱にも耐えてきたのだな」

長門β「まあな。それに『唯一』とは言っても天城と赤城もちゃんといたからな。加賀と土佐の姉妹は標的艦として沈んでいったが……」

長門β「あの二人も私ほどではないが、実戦力 兼 囮役として皇国の勝利に貢献してくれた」

清原「まあ そうなるだろうな(元々 関東大震災で「天城」が斃れなければ、彼女が一航戦として妹の赤城と並び立っていたはずなのだから)」

長門β「…………提督よ、私は【この世界】なら私は大いに艦隊決戦で活躍できるものだと期待していた」

長門β「事実、私は提督の見事な指揮によってMVPもいくつもとり、効率的なレベル上げでもうそろそろ【改造】できるくらいだ」メメタァ

長門β「だが、しかし!」カッ

長門β「【この世界】の『私』と陸奥は【運】以外は完全に同じステータスだったのだろう?」メメタァ

清原「そうだ」

長門β「…………提督は現在の私のステータスと陸奥のステータスを見比べてくれたか?」メメタァ

清原「いや、まだだが……」

長門β「なら、度々見比べていって欲しい!」クワッ


長門β「妹の陸奥に徐々に徐々に同じ艦型なのにステータス差を付けられていくさまを!」メメタァ


清原「いやいやいや! 【運】の初期値は“異能生存体”と同値で特殊攻撃やクリティカルを連発するからそこまで気にならなかったぞ!」メメタァ

長門β「…………気休めは結構だ、提督よ」

清原「…………!」


長門β「ふははは! 生まれてからも死んでからもただ“象徴”として在り続けるこの私にふさわしい役割が見つからないな……」グスン


長門β「私は【戦艦】だ! “ビッグ3”どころじゃない世界最強の【戦艦】だったのだ! 私は決して輸送艦や囮などでは…………」ポタポタ・・・

長門β「【この世界】でかつては果たせなかったその挟持を取り戻せると思ったのに、――――――それなのに何たる体たらく!」ポタポタ・・・

清原「…………泣くな(何か似ているな――――――、)」スッ ――――――ハンカチ

長門β「うぅ…………」


――――――“あの子”と。



517: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:38:34.59 ID:ucqf94uK0

――――――【秘密工廠】


あまぎ「提督ですか」

清原「やあ、“あまぎ”。訊きたいことがあるんだけど」

あまぎ「何でしょう? 龍翔提督の艦隊の戦力も運営も順調ですよ」

清原「扶桑改二の情報を見たか? 【航空戦艦】になった際に【火力】がガタ落ちしたのに今度は【火力】が長門型と同値だぞ」メメタァ

あまぎ「それで?」

清原「いやさ? 単純に『【異界艦の改造】ってどういう結果になるんだろう』って」

清原「未成艦であろうとも設計図や計画の概要は残っているわけだから ある程度の外見や性能は想像はつくが、」

清原「実際に戦ってないんだから、【史実】の武勲を反映した細かい強化はできないはずだろう?」メメタァ

あまぎ「…………そこはまだわかりません」

あまぎ「そもそも、妖精の手によってこの世に生を受けると思われがちな艦娘ですが、それなら深海棲艦の正体についてはご存知ですか?」

清原「旧大戦を代表とする近代戦争で沈んだ艦船あるいは乗員たちの怨念が物質化したものだと囁かれているが……」

あまぎ「なら、艦娘はどういう存在なのですか?」

清原「…………そこはわからないな」

清原「ただ、深海棲艦が蠢く海域でまるで【建造】したてのLv1の艦娘が不意に現れる――――――【ドロップ】することを考えると、」メメタァ

清原「やはり、艦娘も深海棲艦も本質的に同一のものを起源として自然発生する存在なのではないかと私はそう感じている」

あまぎ「なら、【この世界】に存在しない艦娘に対しては妖精は手の施しようがないことは理解できますよね?」

清原「待て、それはどういうことだ? 【異界艦】の【建造】に成功しているのに、まるで【改造】に関しては無理なように聞こえたが」

あまぎ「私は一人の技術者として、人間として、艦娘としてそう考えています」

清原「説明してくれ」

あまぎ「おそらく、妖精たちは世界中の海の底に眠れる思念の中から深海棲艦にならないように艦娘になるための成分だけを抽出して、」

あまぎ「それを【建造】と称しているのではないでしょうか?」

あまぎ「【建造】に使う資源はあくまでもその思念の呼びこむための依代でしかなく、だから【建造】結果が不安定なのでしょう」メメタア

清原「…………なるほど、オカルトチックな話だが、妙に納得させられるものがあるな」

清原「霊的存在が妖精科学の秘術で物質に憑依して一時的な肉体を得たものだと考えるなら、」

清原「力尽きて【轟沈】した艦娘が跡形も無く海中に消えることにも納得がいくな」

清原「(それに、“あまぎ”の第一印象は古代日本のシャーマンって感じだし、実際に過去未来現在を見通せるエスパーだもんな)」

清原「ただ――――――はたして、現実的判断を求められる軍人が肯定していいものかどうかは悩むところだが」

518: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:39:06.08 ID:ucqf94uK0

あまぎ「これは、【ここ】に連れてきた【建造妖精】たちの調子がおかしいことからそう仮説を立ててみました」

あまぎ「私はちゃんと【α世界線】の妖精たちから【改造】を受けているのに、【α世界線】からこの【γ世界線】に連れてきた途端に、」

あまぎ「私に施された【改造】内容を理解できずに、明らかに妖精たちが不安がって【改造】結果が一定しない様子だったので気づきました」

清原「なるほどな」

あまぎ「ですから、妖精はあくまでも【この世界】に漂う艦娘の元となる気だとか霊魂だけを呼び寄せて物質に定着させる技術があるだけで、」

あまぎ「【異界】から来た艦娘に対してはその元となるものが【この世界】に当然ながら元々存在しないために、」

あまぎ「世界の壁を超えて【異界艦】を【建造】できても現状の妖精科学ではそれが限界なのだと思います」

あまぎ「ただでさえ、【異界】から来た存在とそれに触れた存在の互いの認識の融和・共有には一苦労でしたよね?」

清原「ああ。言葉だけじゃ絶対に納得できなかった。言葉以上の何かでわからせないと」

あまぎ「そう考えると、【建造】結果も安定しないぐらいの技術力や認識力の妖精に【異界艦】本来の【改造】なんてはできないと思います」

あまぎ「彼らはあくまでもゼロから艦娘を造り上げている神なる存在などではなく、艦娘となる何かを物質に呼び込ませているだけですから」

清原「なるほどな。――――――さっきからそれしか言えないな」

あまぎ「この仮説が正しければ、【異界艦の改造】結果はこちらで内容の指定をしなければ妖精たちは何もできないでしょう」

清原「………………」

あまぎ「しかし、逆転の発想をすると――――――、」


――――――こちらの指示次第でいかようにも無茶な【改造】ができるようになるとは思いませんか?


清原「なに?」

あまぎ「まだ仮説の段階ですが、やってみる価値はあるんじゃないでしょうか?」

あまぎ「幸い、提督のところに【改造】間近の【異界艦】が一人居ることですしね」

清原「…………“ビッグ3”だな」

あまぎ「彼女は護衛戦艦や輸送戦艦という補助艦の扱いに嫌気がさしているのに、彼女自身の記憶からその域を抜け出せていないようですね」

あまぎ「どうします、提督? 彼女の機動力と対空・索敵性能は【α世界線】【γ世界線】――――――どの世界の【戦艦】よりも遥かに優れていますよ」

あまぎ「このまま育てていけば、彼女は空母1強の【γ世界線】――――――つまりは【この世界】では抜群の支援戦力を発揮してくれることでしょう」

あまぎ「逆に、【α世界線:私たちの世界】では【戦艦】としては火力不足で二軍落ちです」

あまぎ「その長所を伸ばすか、彼女が切望する対艦能力を伸ばしてあげるか――――――」

あまぎ「それは彼女の提督である兼愛交利の清原提督の判断におまかせしましょう」

清原「…………!」



519: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:39:43.08 ID:ucqf94uK0

――――――後日


りう「艦隊も大分充実してきたね」

x:木曾「ああ」

りう「とは言っても、木曾が本領発揮するのはまだ遠い道程だから、これからも優先的に育てていくぞ」

x:木曾「まかせておけ。【重雷装巡洋艦】改二になった暁にはお前に最高の勝利を与えてやる」

x:五十鈴「それまではこの防空巡洋艦:五十鈴の雷撃が勝利に導くわ!」

x:摩耶「おいおい、あたしを仲間外れにしないでくれる?」

りう「うんうん。みんな、やる気に燃えてるな」

x:赤城α「小さいながらも、実に頼もしい艦娘が集まりましたね、提督」フフッ

りう「とはいっても、あまり艦隊を充実させすぎると【ここ】の大本営に目をつけられてしまうから……」

りう「それに、【この世界】で求められているのが【対空】であって、オレたちが欲しがっている【破滅の未来】への解決手段とは程遠い…………」

りう「大艦巨砲主義の歯止めが効かず パンデミックによって収まった帝国主義の遺産――――――」

りう「戦艦1強の【オレたちの世界】で限りなく進化した深海棲艦を倒すにはどうすればいいのだろう?」

りう「超大型弩級戦艦は倒せることには倒せるが、1体にいつまでも手間取っている間に皇国は荒廃する…………」

りう「ホントにどうすればいいんだろう? ――――――大艦巨砲主義や軍備拡張競争の業があの超大型弩級戦艦だと言うのなら」

x:赤城α「………………」

りう「あれ?」


長門β「………………」


りう「確か、カッコイイ方の長門だ!」キラキラ

長門β「ん? 確か“若様”だったか? こうして面と向かって話すのは初めてだったな」

長門β「それで、えと……、提督の…ご子息?(――――――む? 何だ、この少年は? 何かを感じた?)」

x:赤城α「違います(そうなんだけど違うんです)」

x:木曾「ま、最初は誰でもそう思うだろうな」

x:摩耶「こいつは“ここの司令官の影武者”なんだってよ」

x:五十鈴「確かに鎮守府司令官をそのまま幼くしたような外見だからそう思うのも自然よね」

りう「オレは別に“あまぎ”の助手だから、ただの軍属や傭人であって“りう”って呼んで欲しいんだけどな…………」

長門β「………………似た何かを感じた?」ボソッ

520: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:40:37.22 ID:ucqf94uK0

りう「それで、長門は何やってるの?」

長門β「私か? 私は自主的に走り込み がてら歩哨をやっているだけだ」

長門β「何をするのにも肉体が頑健でなければ務まらないからな」

りう「へえ、さすがはカッコイイ方の長門だなー」

長門β「な、何だその、『カッコイイ方』とは……?」

長門β「まるで私の他の『長門』がなさけないみたいじゃないか(まさか! 『長門』はどこの世界でも損な役割なのか!? そんなー!)」

りう「う~ん、『なさけない』ってわけじゃないんだけどさ?」

りう「今 目の前にいるの長門は木曾や摩耶のようにすんなり頼れるっていうか……ホントにカッコイイんだ!」キラキラ

りう「(だって、【こっちの世界】の長門はやたら第一号艦であることを強調してボコれられる…………何だろう? ――――――ツンデレ王子?)」

長門β「そ、そうか……(い、言えない。私が【この世界】の同型艦にすら劣る見掛け倒しの雑用戦艦だっただなんて言えないな……)」

りう「そうだ! 長門も一緒にオレたちの艦隊本部の整理整頓を手伝ってくれない?」

x:五十鈴「え!? あの“ビッグ7”にそんなことをやらせる気なの?! しかも鎮守府司令官の艦娘でしょう!」

りう「え? だって、一人で暇してるんでしょう? だったら、みんなで1つのことをやらせたほうが仲良くなれて一石二鳥じゃない」

りう「それに、終わったらちゃんと労ってあげるから」

x:五十鈴「…………ちょっと、表現が直接的過ぎるんじゃないの?」

長門β「――――――別にいいぞ、私は」

x:五十鈴「え、…………長門?」

長門β「………………」

x:赤城α「…………長門さん(やっぱり自分だけが“象徴”として扱われてきたことに負い目を感じて――――――)」

長門β「(そう、別に他にやることがあるわけじゃない。ただ誘われただけなんだ、――――――“あの子”に)」



521: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:41:17.60 ID:ucqf94uK0

x:五十鈴「提督自らこんなことをする必要なんてないじゃない」パタパタ・・・

りう「五十鈴、オレは正式には“提督”じゃないんだぞ? 大本営の極秘任務で“未来の英雄”になる鎮守府司令官の影武者をやってるんだから、」ゴシゴシ・・・

りう「あまり『提督』って呼ばないで欲しいな」

りう「それに、オレは技術士官:あまぎ の助手なんだから傭人として鎮守府のお手伝いをするつもりだったから、こんなのどうってことない」

りう「そして 傭人ってやつは、艦船時代の軍艦の中じゃ運用科に属する立派な構成員なんだから」

りう「五十鈴! はたきはそうやって使うもんじゃないよ! 自分に埃がついてる!」

x:摩耶「ええい! あたしの戦場はここじゃないんだぞ、クソが!」タッタッタッタッタ・・・

x:木曾「軍刀の代わりに箒を握る時間のほうが多くなりそうだな、これは」サッサッサッサ・・・

りう「さて――――――、お」


長門β「………………」テキパキ


x:最上「おお! あの長門さん、物凄く手際よく掃除してるよ、提督!」

りう「ホントだ! 掃除している姿でさえもカッコイイ! あの長門!」キラキラ

長門β「…………お」ピクッ

長門β「………………フフッ」テキパキ

x:古鷹「お疲れ様です、長門さん。お茶の1杯いかがですか?」

長門β「お、助かる」ゴクゴク

長門β「ありがとう、古鷹」コトッ

x:矢矧「提督、増築中の兵舎は来月の始めには完成するそうよ」

りう「あいわかった!」

x:漣「ご主人さま! 漣がお掃除は一番でしたよ!」キラキラ

x:白露「あたしが一番じゃない……?」アゼーン

x:初風「ど、どうしてあんなに早いのにちゃんと綺麗になってるわけ!?」

x:初風「こ、こんなこと! 実戦じゃ何の役にも立たないわよ!」ギリッ


――――――家事ができない人間なんて犬畜生にも劣る!


x:初風「?!」ビクッ

りう「――――――ってお祖母ちゃんが言ってた」

x:初風「い、いや、その……、――――――って、私は艦娘なんだからどうだっていいじゃない!」

りう「何ふざけたこと言ってるんだろう、この生き物は?」ジトー

x:初風「え」


――――――人間じゃないのなら、動物以下なんだから服なんて着るなよ。


x:初風「!?」ゾクッ

りう「――――――って、お祖父ちゃんがよく言ってた」

x:初風「…………ホッ」アセタラー

x:初風「わ、わかったわよ! 誠心誠意を込めてやってあげるわ!」フン!

りう「うん。そうして」ニッコリ

長門β「…………“りう”」


522: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:42:14.17 ID:ucqf94uK0


りう「…………綺麗になったね」フゥ

x:初風「そ、そうね!」プイッ

りう「それじゃ、明日の【出撃】や【遠征】について夕飯を食べながら考えようか」

x:五十鈴「提督、マッサージが抜けてる」

りう「あ、そっか。長門に『やる】って言ってたんだからやってあげないとな」

長門β「いや、私は別に……、暇だったから手伝っただけだ」


長門β「これからも何かあれば声をかけてくれ。こういうことしか能がないからな、私は」


りう「え」

x:艦娘たち「え!?」

長門β「え?」

x:摩耶「それ、本気で言ってるのか、“ビッグ7”?」

長門β「いや、私は“ビッグ――――――」

x:木曾「そうだぜ。あそこまで見事な手際で掃除を進めていたのに『それしか能がない』とはどういうことなんだ、それこそ?」

長門β「…………私は大和型戦艦のような強さもないし、空母や潜水艦のように活躍の場に恵まれたわけでもないのだぞ」

長門β「――――――ただの“象徴”だ」

りう「…………『ただの“象徴”』(そうだったんだ。何か似ていると思っていたらオレも“象徴”だったから――――――)」

長門β「だから――――――」

x:最上「そんなの関係あるかな? 大和型にだって、空母や潜水艦にだって欠点はあるし、要は、馬鹿と【航空巡洋艦】は使いようじゃん?」

x:漣「そうですよ、長門さん! 駆逐艦の漣はお掃除できるとかそういうところで使ってもらえるよう頑張っていたのに完敗ですよ」

x:漣「むしろ、戦艦でありながら率先してお掃除もやっちゃうそんな長門さんのそこにシビれる! あこがれるゥ!」

長門β「そ、そうか……?」テレ

x:初風「そうなの! 私や妙高姉さんがどれだけ近代化改修したって戦艦にはなれっこないのに、なんて贅沢な悩み!」

x:白露「この鎮守府で一番の掃除上手だなんて、うらやまし~!」

長門β「…………そうか」フフッ

523: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:42:45.34 ID:ucqf94uK0

りう「それじゃ、どこでやる?」ニッコリ

長門β「え? “若様”が私にしてくれると言うのか?」

りう「あ、疑ってる? オレ、こう見えても幼い頃から機械いじりをやらされて機械整備士でもあるんだよ」

りう「それに、艦娘とは生まれた時からの付き合いで、――――――特に【八八艦隊】のみんなのことなら結構わかってるつもり」

長門β「そうか。それは赤城たちが羨ましいな……」フフッ

りう「ほらほら、来て! マッサージだってお手の物なんだから! 肩叩きでもいいよ」キラキラ

長門β「あ、ああ……(――――――なんて眩しい眼差しなんだ)」

長門β「ハッ」


――――――ならお前はどうして【建造】された?


長門β「(私が耐え難きを耐え 忍び難きを忍んで守ろうとしていたのは“これ”だったのではないのか?)」

長門β「(『皇国の栄光と勝利』とは言うが、その具体的な中身とは――――――身近なもので表すとしたら“これ”なのではないのか?)」

長門β「(私は“これ”からずっと目を逸らし続けて来たのではないのだろうか?)」

長門β「(私は確かに“ビッグ3”だ。国の象徴であり 国の誇りだ。世界最強の【戦艦】だ。皇国の栄光と勝利を義務付けられた存在――――――)」

長門β「(だが、そもそもなぜ栄光と勝利を皇国にもたらさなければならなかったのか――――――)」

長門β「(結局は、“平和で豊かな時代”のためではなかったのだろうか?)」

長門β「(“こうやって戦争のことを忘れられる憩いの時間”が末永く続くように私は存在していたのではないのだろうか?)」

長門β「(どうなんだ? ――――――私は必要とされているのか? ――――――存在していていいのか?)」

長門β「…………少しは【この世界】での生き甲斐というものを見つけられたかもしれないな」フフッ



524: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:43:37.42 ID:ucqf94uK0

清原「…………成長パターンを見る限りだと、あの長門は間違いなく【索敵】【対空】【回避】【運】が凄まじいことになるな」メメタァ

清原「ただ、確かにこの時点で本来 同型艦の陸奥との間に【火力】に差が開きつつあるな(【近代化改修】を偏らせたつもりはないんだが……)」メメタア

清原「だが、腐っても【戦艦】という艦種補正で旧式艦の扶桑型と伊勢型の【航空戦艦】でも最終的な【火力】は80近く――――――」メメタァ

清原「つまりは【重巡】以上の【火力】は保証されているわけだ。そして、長門型なら砲門を減らされても最終的に10も減らないだろう」メメタァ

清原「そして、その航空戦艦:扶桑改二は【火力】が99――――――つまり“ビッグ7”の限界値と並んでいる」メメタァ

清原「だったら、そこまで悲観することはないとは思うんだけどな…………お前は【艦娘】なのだから」

清原「ただ、魔改造のツケで扶桑改二の燃費はあの大和型戦艦の半分に達しているから低燃費戦艦という地位から落とされている」メメタァ

清原「“ビッグ3”の言を受け取ると、この扶桑改二以上の性能と引き換えに燃費が大和型戦艦の半分以上になる可能性が…………」

清原「どちらにしろ、“ビッグ3”の心配は自分が艦娘である自覚がほとんどないことによる杞憂だと思うんだけどな……」

清原「そもそも、【向こうの世界】に【艦隊これくしょん】は存在するのだろうか?」メメタァ

清原「明らかに艦船時代そのままの記憶が直接的に現れすぎている気がするな…………」

清原「大丈夫だ、人の似姿である【艦娘】だからこそ【史実のそれ】を超えることだってできるのだからな」

清原「――――――いや、彼女の場合は“生きたまま”召喚されていることになるのか?」

清原「だって、【あっち】だと三笠公園の代わりに長門公園になって永遠の時を刻んでいるのだろう?」

清原「となると――――――そんなことはどうだっていいか」

清原「【火力】は陸奥に劣る程度ってだけで、雪風並みの【運】に、軽巡並みの【回避】、利根型並みの【索敵】とかアホじゃないの!?」メメタア


トントントン・・・ガチャ


鳳翔「あなた」

清原「ああ、鳳翔」

鳳翔「どんな感じとなりますか?」

清原「…………2つの【異なる世界】からのご客人のことで頭がこんがらがりそうだ」

清原「ただ、“ビッグ3”に関しては――――――、【あちら】は一足早くに王道楽土を築き上げているらしいし、」

清原「“深海棲艦が存在しない世界”から来た可能性があるから、おそらくは徐々に艦娘としての自分を定着させていけば大丈夫だと思う」

鳳翔「そうですか」ホッ

鳳翔「でも、『深海棲艦が存在しない世界』――――――いったいどんな世界になるのでしょうね」

清原「…………考えてもしかたがない」

清原「【あの世界】は覇道ではなく王道を極めた皇国が大東亜共栄圏の盟主としてアメリカ・ロシア・ドイツと並び立っているらしいからな」

清原「おそらくは深海棲艦が存在できないぐらいに怨念も業も小さな世界なんじゃないかと思う。――――――軍人の私が言うのも変だが)」

清原「だが、【この世界】にしても深海棲艦の登場で軍事力がさっきの4地域に集約されるようになったんだ」

鳳翔「そうなのですか?」

清原「ああ。海の向こうについての情報なんて閉塞感に満ちた今の皇国だとほとんどないように感じられるけれども、」

清原「通信技術だって発達してきているし、近年の深海棲艦への反撃で海上封鎖の打破に成功して正式な海外交流も再開されつつある」

清原「その中で得られた情報によれば――――――、だ」

清原「世界は国際協調――――――グローバリズムの流れに入っていっている」

清原「世界がやがて1つになっていく流れはどこの世界も変わらないものらしい」

525: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:44:56.91 ID:ucqf94uK0


清原「――――――問題はやはり“あの子”だ」


清原「さすがは提督歴があるだけに、新任提督の数十倍の成長速度で【この世界の艦これ】の特性を掴んだようだが、」メメタァ

清原「逆に、それだけ『【この世界】で得られるものはほとんどない』と結論づけてもいるようだ」

清原「『安全な時間と場所で確実に戦力の増強と練成ができるだけマシ』といったところだな」

鳳翔「…………何とかならないのですか?」

清原「難しいな」

清原「提督としても一人の人間としてもまだまだ未熟だが、あの子は【未来】で成熟した教育や恵まれた環境で英才教育を受けてきているから、」

清原「艦娘の扱いについては私などより遥かに優れている。気性の荒い問題児や緊張感に欠ける娘であろうとも抜群の包容力で見事1つにまとめている」

清原「そして、あの歳で提督をやれるだけあって同年代の子より遥かに頭がいいし、肝も据わっている」

清原「――――――見事なものだよ。死地に赴くことも辞さないのだから覚悟が違う」

鳳翔「はい。大変立派な我が子です」ニコッ

清原「………………」ムッ

鳳翔「あ……、失礼しました」

清原「ハッ」

清原「いや、こちらこそすまない。やはりこの服を着ていると反射的に拒絶してしまうな……」ハア

鳳翔「少しずつ慣れていきましょう、一緒に。ね?」ニコッ

清原「あ、ああ…………(――――――『一緒に』か)」

清原「あ」

――――――――――――

―――――――――

――――――

―――


526: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:45:23.59 ID:ucqf94uK0

鳳翔「ねえ、あなた? こうやって悩んでいられる時間はあとどれだけ残っているの?」

清原「うん? 早くて2日目には調査部隊が来るだろうな。明日――――――今日は調査部隊を迎え入れる準備がある」

鳳翔「なら、まだ時間はありますね」

清原「え」

鳳翔「――――――あなた」

清原「あ」


チュッ


清原「………………」ポー

鳳翔「………………」ポー

鳳翔「今夜のあなたは提督じゃないただの男の人――――――」

鳳翔「そして、ここにいるのは艦娘としての使命を忘れたただの女です」

鳳翔「一緒に考えましょう、ここで これからのことを」

清原「あ、ああ……」ポー

鳳翔「さあ」ドン

清原「うわっ」ドタッ


――――――愛してます、あなた。


―――

――――――

―――――――――

――――――――――――



527: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:46:05.19 ID:ucqf94uK0

清原「………………!」ドクンドクン

鳳翔「――――――あなた? どうしました?」

清原「ハッ」

清原「うぉわあああああ!?」ビクッ

鳳翔「あ、ごめんなさい!」ガタッ

清原「い、いや、私の方こそ――――――あ」ジー

鳳翔「?」

清原「(なぜか私は愛しい人の唇に視線が吸い寄せられるのであった)」

清原「(そうだ、愛しい人に初めて唇を奪われた瞬間に伝わった熱と高鳴る鼓動がたまらなく心地よくて――――――)」

清原「(そして、初めて愛しい人と夜を共にしたあの時の温もりの柔らかさが無性に恋しくなっていたことを認識するようになっていた)」

清原「(しかしながら、そこは公人としての自覚と誇りと理性を司る制服が抑えつけ、徐々に元の平静を取り戻すことに成功した)」

清原「………………フゥ」

鳳翔「あなた?」

清原「何でもない(――――――そう、何でもない。それが帝国軍人としてのあるべき態度なのだから)」フフッ

清原「さて、小腹も空いてきたことだし――――――(けれども――――――)」

清原「あ」


x:天城’『できるかぎり裸の付き合いでもいいですから“家族の時間”を設けて少しずつ打ち解けていってくださると互いに助かります』


清原「そうだった……」

清原「(そういえば、俺は『天城』からのお願い まだやってなかったな…………)」


528: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:46:59.06 ID:ucqf94uK0

――――――父と子の時間 その初め


清原「…………えと、息子よ?」(私服)

りう「あ、はい……」ニコー(私服)

――――――
鳳翔「頑張ってください、あなた……!」グッ

金剛「提督ぅー、もっとにこやかにCommunicationデース!」ニコニコ

長門β「なるほど、あの二人はやはりそういう関係か。ようやく把握できた(すでに“あまぎ”から教えられていたことだが、実に微笑ましいものだな)」フフッ

あまぎ「ふふふふ……(わかってはいたけれども、これは“2番艦”冥利に尽きるわねぇ……)」クスクス
――――――

清原「………………」

りう「………………」

清原「(な、何を言えばいいんだ?! この年頃の子とはどう接すれば――――――!?)」アセアセ

清原「(いや、そもそも! “この子”は私に父親であることを求めているはずだ!)」

清原「(――――――『父親らしいこと』とは何だ? 思いだせ、私が私の父を見てそう思えるものをやればいいはずだ! いいはずなんだ!)」アセアセ

りう「(やっぱり、こうして見るとお祖父ちゃんにところどころ似てるんだな、お父さんって)」ドキドキ

りう「(いや、オレは“父さんの分身”らしいからまったく同じ顔のはずなんだけれど『なぜか改めてそう思った』っていうか……)」

りう「(そう思うと、オレとは違って本当に父さんは“護国の英雄”なんだな……)」フフッ

清原「………………」

りう「………………」

清原「お、お前の……、」

りう「!」

清原「お前の祖父母は健在か?」

りう「あ、はい。お祖母ちゃんもお祖父ちゃんも元気ですよ」キラキラ

清原「そ、そうか」ホッ

529: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:47:34.96 ID:ucqf94uK0

――――――
金剛「おお! 始まりましたヨー!」ワクワク

鳳翔「よかった……」ホッ

長門β「………………」ジー

あまぎ「………………」ゴクリ
――――――

清原「そういえば、書類上では傭人としてこの鎮守府にいるのだが、具体的に何ができるんだ?」

清原「(我ながらうまい質問をした気がする! ひとまずは艦娘と同じように個性を把握しておかないとな)」

清原「(そういえば、【派遣】されていたZ:長門に持たせた朗利提督への嘆願書は聞き届けられたのだろうか?)」ウーム

清原「(こういうことに関しては朗利提督は詳しそうだからぜひともノウハウを伝授して貰いたいのだが…………)」

りう「はい、提督!」

清原「あ、ちょっと待て」

りう「?」

清原「えっと、だな? 私が制服を脱いだ状態でかつ盗聴の危険性がない状況なら、」


――――――“父”と呼んでもいいのだぞ?


りう「!」パァ

清原「………………」カア

りう「はい、“父さん”……」キラキラ

清原「ああ…………」


――――――その時、自分と同じ顔をした、私と妻(仮)の子だと自称する少年との距離が少しばかり縮まるのを妙な照れ臭さと共に強く感じるのであった。



530: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:49:08.02 ID:ucqf94uK0

――――――
鳳翔「よく頑張りました、あなた」ニコニコ

金剛「イエーイ! 提督と“りう”のHappy Family Lifeはこうやって始まっていくというわけデース!」ニコニコ

長門β「――――――単純でいいじゃないか。そう、単純で」

あまぎ「………………」ポタポタ・・・

長門β「…………「天城」」

あまぎ「………………『提督』、『鳳翔』」ポタポタ・・・

金剛「あ」
――――――

清原「…………なんだと?」ジロッ

りう「え」

清原「お前が傭人として様々な技能を擁していることはよくわかった。立派だよ。私よりも凄いよ」

りう「へへ」

清原「しかし、なぜ挙げなかったのだ?」


――――――“料理”という技能を。


りう「――――――『それはオレには必要ない』ってみんなに言われたからですけど?」

清原「………………」

りう「え、えと、あれ……?」ハラハラ


清原「作ってみろ」


りう「え」

清原「今すぐ、どの程度 料理が作れるかを見せてみろ」ゴゴゴゴゴ

りう「おお!?」ビクッ

清原「行くぞ」スッ

りう「え!? どこへ!?」

清原「決まっている。――――――『厨房へ』だ」

りう「オレ、本当に料理なんてしたことないですから!」アセアセ


清原「――――――『やれ』と言っている」ギロッ


りう「…………!」アセタラー

りう「あ、それならちょっと待ってください!」アセアセ

清原「ん?」

りう「ちょっと“あまぎ”――――――トイレに行ってから厨房に参りますから……」アハハ・・・

清原「……わかった(また『あまぎ』か。独り立ちはまだまだ遠くなりそうだな、“あまぎ”)」

清原「それと、厨房という公共の場に出かける以上は公人として振る舞う必要があるから、私も着替えてくる」

清原「そして、いちいち親子関係への切り替えに説明を要するのは非効率だから、合言葉を使って気分の切り替えを瞬時に行おう」

りう「あ、はい!」ビシッ

531: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:50:23.61 ID:ucqf94uK0

――――――
金剛「WOW! こうやって家族のPrecious Memoryが生まれていくのですネー!」ワクワク

鳳翔「救急箱をお持ちしないと」ニコニコ

長門β「提督にもわかりやすい欠点があるわけなんだな……」フフッ

金剛「さあさ! Paparazziはここで退散ネー!」

鳳翔「では、“あの子”は“あまぎ”さんに御用があるようなので、私たちはお先に厨房で待機してますね」

金剛「イイAdviceとYELLをGIVE HIM !」

あまぎ「はい」ニッコリ


タッタッタッタッタ・・・


長門β「意外だな。料理もできるものだと思っていたのだが」

あまぎ「私の詰めが甘かったのです。料理ばかりは一流洋食屋の祖父が教えてくれるものだと思っていたのですが、」

あまぎ「『提督』が残していった艦娘たちが厳格な祖父を籠絡して料理当番ばかりは譲らず、ズルズルと料理を練習する機会が奪われていったのです」

あまぎ「そして、海軍学校に入ってからは『あまりにも“りう”が他人よりも働き過ぎて食事を作る暇もない』と周囲に思われたせいか、」

あまぎ「『料理だけでも作ってあげて支えてやろう』というありがた迷惑なことになっていたようです」

あまぎ「そもそも、秘書艦候補生が側女としてついていましたから、尚更 自分から料理をする機会が奪われていったのです」

長門β「なるほどな。一所懸命に働いて時間を忘れている彼の者に周囲の人間がしてやれることはそういった差し入れぐらいというわけか」

あまぎ「ええ。傍迷惑な話ですよ」


あまぎ「私が“あの子”の許に帰ってきた時に手料理を振る舞われることがどれだけ楽しみだったことか!」ググッ


長門β「…………お互いに子煩悩なようだな、「天城」?」フフッ

あまぎ「今の私は艦娘:天城ではありませんし、【この世界】における「天城」と言ったら一般的には雲龍型航空母艦の2番艦なので」

あまぎ「――――――『人間:あまぎ』ですから、どうかそのように認識してください」

長門β「…………戦わないのか?」

あまぎ「今はまだ私が動くべき時ではありません」

あまぎ「陰 極まって陽となってからが艦娘:天城としての私が動くべき時なのです」

あまぎ「たとえ“あの子”の艦隊が全滅したとしても、“あの子”の最終的な生存と勝利と栄光のために私は生き続けましょう」

あまぎ「それが『提督』からの最期の指令ですから」

長門β「…………強いのだな」

あまぎ「あなたも同じでしょう?」

長門β「……そうだな。――――――“似た者同士”というわけか」

532: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:50:56.68 ID:ucqf94uK0


りう「あ、“あまぎ”ぃいいい!」タッタッタッタッタ・・・


あまぎ「どうしました、“りう”?」

りう「た、助けてくれ! 父さ――――――清原提督がオレに突然『料理を作れ』と言ってきたんだよー!」アセアセ

長門β「そうか、それは大変だな(父親が父親なら、息子も息子か。ここまで外と内とで差があるのは眺めていて楽しいな)」フフッ

あまぎ「落ち着きなさい、“りう”」

あまぎ「まず、相手がどの程度の料理を期待しているのかを冷静に分析しなさい」

りう「え、えと……」ウーン

あまぎ「よく考えなさい。1分間 考えて思いつかないのならそれでいい。虚勢を張って顰蹙を買うよりは正直なほうがずっと好ましいわ」

りう「そうだね、“あまぎ”!」

りう「う~んと、えと……」ウーム

あまぎ「そう、それでいい」フフッ

長門β「………………」

長門β「――――――“あまぎ”よ」

あまぎ「何かしら、“ビッグ3”?」

長門β「お前が完璧すぎるのは良くないと思うんだが、どうだろう?」

あまぎ「?」

長門β「『“あまぎ”に頼れば何とかなる』という期待感と全能感は大したものだが、逆を言えばそれに身を預けっぱなしで非常に危うい気がする」

あまぎ「…………!」

長門β「私としては、『“あまぎ”が“あの子”の足りないところを直させる』のではなく――――――、」

長門β「――――――『“あまぎ”を通して“あの子”が自分で直す』ように持っていくべきだと思ったが」

長門β「『陰 極まって陽となる』のなら、完璧過ぎるのも良くないと思う」

長門β「言うだろう? ――――――『過ぎたるは及ばざるが如し』って」

あまぎ「あ」

あまぎ「………………」

あまぎ「……そうね。私も『自分が』『自分が』って我が強すぎたかもしれない」

あまぎ「それなら、“ビッグ3”はどうするべきだと思う、この場合?」

長門β「そうだな」

長門β「――――――私と“この子”はよく似ている」

長門β「なら、最初に作るべきなのは大味でいいから目的の味がしっかりしているものがいいだろう」

長門β「そう、たとえば――――――」




533: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:52:18.22 ID:ucqf94uK0


コトッ


りう「で、できました……」ブルブル

清原「…………そうか」

金剛「WOW! とっても美味しそうデスネ!」

鳳翔「まあ」

清原「……これは“あまぎ”の入れ知恵か?(しかし、あの“あまぎ”がこういった料理を作るように言うとは考えられないな)」


――――――フレンチトースト


りう「ど、どうぞ……」ドクンドクン

清原「……まあ、初めての料理にしてはよく出来てるほうじゃないのか?(…………落ち着け! 緊張を解してやるんだ)」

清原「それで、お前としてはこれは美味しいのか?」← 無意識に威圧する発言

りう「!?」ビクッ

りう「は、はい! 美味しいと思いますっ!」アセダラダラ

清原「あ、いや、そこまで緊張することは――――――」アセアセ

金剛「提督ぅー! さっきの人を試すような物言いは完全にOUTデース!」

清原「え」

鳳翔「あなた……、略服とは言え、今のあなたは公人としての覇気を自然と放ってますから。どうか、基地開放で来た親子連れに接する感じで」

清原「…………!」

清原「我ながらおっかない軍人になってしまったものだ……」

金剛「提督はちょっと力み過ぎなのデース! 緊張してNERVOUSなのは提督の方なんじゃないですカー?」

りう「え」

清原「あ」カア

534: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:52:54.75 ID:ucqf94uK0

清原「………………」

りう「………………」

清原「と、ともかくいただこうか。盛り付けや見栄えは初心者だからしかたないとして、味のセンスはどんなものかな?」

金剛「では、“りう”? いただきマース!」ワクワク

鳳翔「私も。いただきます」ニッコリ

りう「は、はい。どうぞ……」

パクッ

清原「!」ピクッ

りう「…………!」ゴクリ

清原「………………」

清原「………………」パクッ

りう「…………ホッ」

金剛「おお! これ、Deliciousですヨー、提督!」キラキラ

鳳翔「美味しいですよ、“りう”」ニッコリ

清原「…………驚いたな」

清原「食感としては水浸しにしてふやけた感じでイマイチだが、それにしてはほんのり甘くまろやかで、ベタベタしないあっさり感がいい味を出している」

清原「何を使った、この甘さは? 砂糖は使ってないだろう」

りう「あ、はい。マンゴーをすり潰して少しずつ加えた溶き卵に浸してフライパンで焼きました」

清原「――――――『マンゴー』!?」

金剛「Oh...」

鳳翔「は、初めてでマンゴー風味のフレンチトーストを作ったのですか。それは大胆ですね」

清原「いや、自分で『美味しい』と言ったからにはちゃんと味見をして納得のいくソースに仕上がっているのだろうが、」

清原「いったい何がどうなってマンゴー風味のフレンチトーストを作ろうだなんてなったのだ?」

りう「えと、カッコイイ方の長門さんから『フレンチトーストにしろ』って言われて、それから『砂糖は使うな』って言われて」

清原「…………!」

金剛「え、『長門さんが』デスカ?」

鳳翔「そういえば、『家事全般が得意』だと言ってましたね、あの長門さんは」

清原「………………“ビッグ3”が“りう”に?」

清原「そっか。作らずとも、舌は十分に肥えていたか」フフッ

清原「どうやら、時空を超えた異なる世界の交流も思ったより良い結果へと進んでいるのだな」ニコッ

清原「ほら、一緒に食べよう」ニッコリ

りう「!」パァ

りう「はい!」ニッコリ



535: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:53:38.63 ID:ucqf94uK0


あまぎ「行かなくてよかったの、“ビッグ3”?」

長門β「そっちこそ、愛しの“あの子”の手料理を食べたかったんじゃなかったのか?」

あまぎ「私はいいのです、後からでも。――――――やっと“あの子”の願いが叶ったのだから」

あまぎ「この幸せな一時を“2番艦”が邪魔するわけにまいりません」

長門β「そうか。それもそうだな」

長門β「(そして、将来的に“あの子”の実の母親や養親になるだろう鳳翔と金剛に影響を与えないようにあまり関わりを持たないようにもしているしな)」

あまぎ「しかし、こういった出会いが私にも用意されているだなんてね」

長門β「どうした、巡洋戦艦:天城? 私以上の砲門数から繰り出すその脚の速さで私のことなど置き去りにできるだろうに」

あまぎ「そういうあなたは、どこの“32ノット・バーク”なのよ? 26.5ノットからの魔改造の結果、30ノットの私よりも速いじゃない」

長門β「こんなのは囮や輸送の雑用で身についた逃げ足の速さだ。誇るようなものじゃない」

あまぎ「でも、あなたは他の娘たちにはない偉大な陰の煌きが見える」

あまぎ「他の娘は陽の輝きで照らされているのに対して、あなただけは他にはない陰の煌きが滲み出ている」


あまぎ「こんなにも素晴らしい艦娘に出会えるだなんて思わなかった」


あまぎ「あなたは三笠や金剛、大和をも超える世界に冠たる存在として、永遠の存在となる名誉が与えられたわけなのね」

長門β「…………大げさだな」

長門β「それに、【この世界】の“ビッグ7”や【そっちの世界】の“第一号艦”が大したことないように聞こえるからやめておけ」

あまぎ「そういう謙虚なところが特に、“ビッグ3”がナンバーワンであることの証なのね」

長門β「…………まあ、私も『人間:あまぎ』という存在に触れて、“象徴”でしかなかったこれまでの人生に少しは誇りが持てるようになったよ」


長門β「ありがとう、この出会いを用意してくれて」


あまぎ「それはこちらとしても同じ」

あまぎ「――――――ありがとう、長門」

あまぎ「いつどこの世界でも皇国の誇りとして象徴として気高く在り続けて」

長門β「そういうお前も赤城もどこの世界でも活躍のようだがな」

長門β「――――――これからの秋の中規模作戦」メメタァ

長門β「互いの提督の勝利と栄光のために【勲章】を掴み取ろう!」

あまぎ「ええ」



536: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:54:19.53 ID:ucqf94uK0

――――――それから、【秘密工廠】


清原「よし、“ビッグ3”」

清原「――――――【(異界艦)改造】案が完成したぞ」

長門β「ほう?」

あまぎ「世界初の試みですからうまくいくかはわかりませんが、これをご覧になってください」

清原「“ビッグ3”の切なる願いに応えて、【火力】が加賀型戦艦ぐらいまでなるよう頑張ってみたぞ」

清原「けど、金剛型と比べると全体的な能力は長門型が圧勝だし、金剛型が勝る点があっても10も差がつくところは実は無い」メメタァ

清原「だから、“ビッグ3”は陸奥に対してそこまで劣等感は抱く必要は無かったんだぞ(むしろ、大和を超越する総合能力ってどういうことよ!?)」

長門β「……すまない。私が狭量だったばかりに提督を困らせてしまったな」

清原「いや、別にいいんだ。――――――埋め合わせならこの【改造】がうまくいくか いかないかの実験台になってもらうだけでいいから」

長門β「何だって来い。私は雑用戦艦だ。何だってやれるさ」フフッ

あまぎ「その意気よ、長門」フフッ

清原「しかし、なかなか能力が向上する【改造】パターンを割り出すのに苦労だったな」

あまぎ「それは当然のことです」

あまぎ「【改造】だって妖精がゼロから造り上げているのではなく、【この世界】に満ちている因子を物質に宿らせているだけに過ぎませんから」

あまぎ「この【改造】――――――【異界艦改造】はいわば、妖精科学を超越するという初の試みでもあります」

長門β「またまた、私は伝説を築きあげるわけだな」ニヤリ

清原「そうなるな」

清原「とりあえず、【火力】は加賀型戦艦に匹敵するぐらいまでにはしてみたけど、どうだ?」

長門β「それはただ単に、砲門数を増やした加賀型戦艦に私がなるだけのことじゃないのか?」

あまぎ「正確には、加賀型戦艦は長門型の集中防御方式を更に強化した上で砲門数を増加して同速の26.5ノットを実現しているので違います」

長門β「…………加賀と土佐がいたら、私は変われたのだろうか?」

あまぎ「いえ、【艦これ】的には加賀型戦艦は長門型の完全上位ですけれど、水中防御は劣っているので水中弾や魚雷攻撃には弱くなっています」メメタァ

あまぎ「幸い、大艦巨砲主義が跋扈して軍艦3すくみができあがったおかげで、護衛艦群が発達して弱点が補強されてましたが」

清原「とにかく、同型艦の陸奥に劣る【火力】はこの【改造】によって加賀型戦艦と同等になるはずなんだ」メメタァ

清原「そうなれば、【装甲】は加賀型に劣るだけの超長門型戦艦になるわけだから期待していてくれ」

長門β「ああ」

537: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 08:54:45.96 ID:ucqf94uK0

長門β「それと、提督」

清原「なんだ?」

長門β「これが終わったら、――――――軍刀の使い方を教えてくれ」

清原「プッ」

あまぎ「あは、あははははは!」

長門β「笑うなよ。こちらは大真面目なんだぞ。艤装が使えない時の警護のために覚えておきたいんだ」

清原「すまない」

清原「そうか、自分が【建造】されたことの意味を自分なりに見つけられたんだ」

長門β「ああ」

長門β「いろいろと大変だろうが、これからは私と“あまぎ”で提督と“あの子”を支えるから期待していてくれ」

長門β「では、行ってくる」


――――――第7話X  孤高のビッグ3 -もう1つの“もう1つの世界”- 完

       Next:第8話  12月23日 -三笠公園にて- に続く!


545: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:01:14.59 ID:ucqf94uK0

コラム:幻の紀伊型戦艦


りう「ん?」パラパラ ――――――【この世界】の軍事雑誌の文献調査

x:矢矧「どうしたのかしら、提督?」

りう「…………何これ。ずいぶんといいかげんなことを書いてるな、この雑誌」

りう「ねえねえ 矢矧 矢矧。大和型戦艦の基準排水量っていくら?」

x:矢矧「え? 確か6万4000トンよ」

りう「ならさ? どうして紀伊型戦艦ごときが超大和型戦艦って言われてるわけ? 【ここ】の人たちは頭が悪いのかな?」

x:矢矧「え」

りう「ほら見てよ、この記事! 紀伊型戦艦の4万2600トンがどうやって大和型戦艦を超越するっていうんだい」

りう「紀伊型戦艦の改良3・4番艦の駿河や近江ですら精々5万トンなのにどこが超大和型戦艦なんだ」

x:矢矧「え? えええええ!?(提督が何を言っているのか全然わからない!?)」アセアセ



――――――助けて、大和大先生!



大和「え、『紀伊型戦艦について』ですか?」

りう「変ですよね? 紀伊型戦艦が大和型戦艦よりも大きいわけないですよね?」

x:矢矧「教えてください、大和大先生!」アセアセ

大和「…………わかりました。お答えしましょう」コホン

大和「結論から言いますと――――――、」


――――――紀伊型戦艦が超大和型戦艦というのは非公式の俗説です。


りう「???」

546: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:02:09.89 ID:ucqf94uK0

大和「まず、旧帝国海軍艦艇の命名規則を振り返りましょうか?」カキカキ


旧帝国海軍艦船の命名規則

戦艦…………旧国名

巡洋戦艦……山 ← 重巡洋艦と同じく“山”が由来な点を見ても巡洋艦の分類なのが伺える

航空母艦……空を飛ぶ生き物(架空を含む)

重巡洋艦……山

軽巡洋艦……川

駆逐艦………種類が豊富な固有名詞

潜水艦………伊呂波歌+番号


りう「基本だよね」

x:矢矧「中にはこの命名規則を逆手に取って重巡を軽巡に偽装させた例もありますね」

りう「――――――最上かな?」

大和「皇国の戦艦はこの通り江戸時代までの旧国名から命名されてきました」

りう「アメリカも戦艦は州名からつけてたね」

大和「そして、超弩級戦艦からそれ以前の命名をリセットして新たに扶桑――――――つまり日本国そのものを意味する我が国初の国産超弩級戦艦を世に送り出し、」

大和「山城、伊勢、日向、長門、陸奥、加賀、土佐と来まして――――――」

りう「紀伊、尾張、駿河、近江――――――」

大和「え」

りう「え?」

一同「………………」

547: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:03:36.55 ID:ucqf94uK0

大和「あ、そうでした! 我が国初の国産超弩級戦艦は扶桑型戦艦であり、最初は4艦の予定でしたが、ご存知の通り 設計段階からの欠陥が明らかとなり、」

大和「扶桑型戦艦の3・4番艦の伊勢と日向が改扶桑型戦艦である伊勢型戦艦に改良されたわけなのです」

大和「そして、第一次世界大戦の大戦景気を背景とした八八艦隊計画が始動し、当時 世界最強である長門型戦艦:長門が完成したのです」

りう「うん。よく知ってる」

大和「しかしながら、旧来の戦争とは異なる総力戦と呼ばれる国力の全てを投じて戦うかつてない消耗戦を経験して疲弊した列強各国は、」

大和「ワシントン海軍軍縮条約によって互いの海軍力の抑制に動き、その間に国力の回復に専念することを取り決めます」

大和「その時の条約の決定によって、今後10年間の新造艦の建造は禁止され、紀伊型戦艦以降の戦艦の建造は中止となったのです」

大和「――――――つまり、紀伊型戦艦は未起工だったんです」

りう「へえ……」

大和「一方で、当時 加賀型戦艦であった加賀もまた妹の土佐と一緒に建造途中の未成艦として廃棄される予定でしたが、」

大和「関東大震災によって本来 一航戦:赤城と一緒に航空母艦になる予定だった「天城」が竜骨を破損して解体されることになります」

大和「この悲劇によって、「天城」の代わりとして加賀が航空母艦に生まれ変わることになります」

x:矢矧「なるほど」

りう「………………そうなんだ」

大和「つまり、紀伊型戦艦は計画書だけの存在でしかなく、『まだその名前は使われていない』という扱いになりました」

大和「それからワシントン海軍軍縮条約の新造戦艦の建造禁止の10年の制約が解かれ、ロンドン海軍軍縮条約からの脱退も受けて軍縮時代は終わりを告げ、」

大和「この私、大和型戦艦が建造されることになりました」

大和「資料を見れば、ちゃんと私の前級が長門型戦艦となっていることが確認できると思います」

大和「ですから、――――――使われてないんです、紀伊以降の旧国名はまだ」

548: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:04:49.98 ID:ucqf94uK0

りう「そういえば、日本を意味する扶桑の時に命名がリセットされたみたいだけど、」

りう「日本の代名詞になってる大和っていうのはつまり『また新たな皇国戦艦の始まり』って意味なんですか?」

大和「はい。そういうことです」

大和「私もまた長門型戦艦と同じく、それ以降の戦艦の雛形となることを期待されていたわけなんです」←扶桑型戦艦が欠陥だったので雛形としては長門型戦艦

大和「それに、前級の長門型戦艦を建造してからおよそ20年の歳月が経っていますからね」

x:矢矧「はあ……、世界最大級の戦艦がこれからの帝国海軍の戦艦の雛形だったんですか……」

x:矢矧「――――――あれ?」

大和「そして、この大和型戦艦の次級として計画されていたのが改大和型戦艦および超大和型戦艦というわけなんです」

x:矢矧「大和大先生、先生の妹の110号艦である信濃と111号艦であるもう一人については?」

りう「え? 大和型戦艦って2隻だけじゃなかったの? それに『もう一人』って誰?」

大和「実は、“若様”? 一般的には私の末妹である111号艦が紀伊だった可能性があるという話なんですよ」

りう「はあ? それじゃ大和型戦艦であっても超大和型戦艦じゃない――――――」

大和「ですから、私の末妹の名が紀伊となる可能性は極めて低いと思います」

x:矢矧「ああ……、そっか。3番艦に信濃という名がついている時点で紀伊という名を継承する可能性は低いか」

りう「3番艦が信濃ってことだから、隣国の甲斐とかになりそうな気がするしね」

大和「では、改大和型戦艦について簡単に――――――」

大和「改大和型戦艦は大和型戦艦改良3番艦:110号艦こと信濃を基本設計とし、開戦後の航空機の有用性から副砲を高角砲に全て換装したものなんです」

りう「え、防空戦艦ですか?(――――――今更!? 航空戦艦並みに迷走してる!? マレー沖海戦を自分たちで仕掛けておいて馬鹿じゃないの!?)」

大和「はい。これが実現していれば――――――いえ、何でもありません」

x:矢矧「?」

大和「(今の“若様”の反応からしてきっと改大和型戦艦も無用の長物なのでしょうね)」

大和「さて、改大和型戦艦は1隻、超大和型戦艦は2隻の計3隻 建造されるのがマル5計画でしたが――――――、」

りう「――――――『1隻』? 改大和型戦艦がたった1隻?(だって、扶桑型戦艦だって欠陥だとわかっていながら2番艦が造られたのに?)」

x:矢矧「確かに艦隊編成の基本は同型艦を2隻――――――いえ、偶数揃えて陣形と足並みを揃えやすくすることよね?」

大和「実は、改大和型戦艦というのは信濃の妹の111号艦の代わりに、信濃との連携を考慮されていたのではないかと言われます」

大和「大和型戦艦3番艦:信濃は戦況の悪化と空母の台頭によって航空母艦に改装されたのですが、一方で111号艦の完成度はたったの20%だったと言われます」

りう「…………開戦直後のマレー沖海戦の劇的勝利が結局 自国を苦しめることになったんですね」

大和「……はい。艦隊決戦型艦艇は完全に置物となりました」

りう「改大和型戦艦についてはわかりました」

りう「最後に、超大和型戦艦っていうのはどういうものなんですか?」

大和「その名の通り、大和型戦艦を超える――――――46cm砲を超える51cm砲の搭載を前提としたものです」

大和「ただ、前提となる搭載砲塔の設計は終わっていたのですが、それを載せる艦体の設計が終わっていなかったので、」

大和「完成予想図は何も残されていません。なので、いろいろな説が飛び交っています。基準排水量は間違いなく8万トンを超えるのではないかという話です」

りう「…………8万トン超か」

りう「(【こっち】の超大和型戦艦に相当するものは無事に完成はしていたけれど、あれはもう艦隊決戦用じゃなくて移動砲台だったから…………)」

549: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:05:22.97 ID:ucqf94uK0

大和「さて、これでようやく超大和型戦艦というのがわかってきましたね?」

大和「整理すると――――――、」


“超大和型戦艦”紀伊型戦艦の真相

・八八艦隊で配備される予定だった紀伊型戦艦が未起工だったので紀伊型戦艦の名前はまだ公式には使われていなかった

・大和型戦艦は戦艦の建造が約20年振りだったので新たな戦艦の雛形として大和型戦艦という命名がされた

・次級である改大和型戦艦が大和型戦艦4番艦に近い扱いを受けていた

・超大和型戦艦からが実質的な新型戦艦となる予定だった(この場合は、大和型戦艦が扶桑型戦艦、超大和型戦艦が長門型戦艦の立ち位置である)

・伊藤正徳が“超大和型戦艦”紀伊型戦艦の提唱者とされる


大和「よって、ここで紀伊型戦艦からの命名を受け継ぐことになったのではないかというのが“超大和型戦艦”紀伊型戦艦の真相というわけなのです」

大和「なので、“俗説”というわけなのです」

りう「ああ……、あの伊藤正徳氏が提唱したっていうのならば説得力があるかも」

x:矢矧「誰ですか? その伊藤氏というのは?」

大和「山本五十六とも非常に懇意だった“大海軍記者”とまで言われた軍事評論家です」

りう「【ここ】でも良い仕事してたんだ……」

りう「そうかそうか。そういうことだったんだ」

りう「よくわかりました。ありがとうございました」キラキラ

大和「どういたしまして。何か疑問に思ったことがまたありましたらいつでもどうぞおいでください」ニッコリ

大和「(やっぱり この子は何か違う。本職の艦隊司令官のような気風と視野があって、とてもじゃありませんが技術士官の養子とは…………)」

大和「(いえ、大本営が提督の影武者として養成しているという話ですから、これぐらい凄くてもおかしくはないとも考えられますが…………)」

大和「(いずれにせよ、――――――興味がつきませんね。かわいい“若様”)」ドキドキ


結論:【α世界線】にとっての紀伊型戦艦(八八艦隊)と、【γ世界線】にとっての紀伊型戦艦(超大和型戦艦)はまったくの別物
→ 似たような例として【α世界線】にとっての天城(天城型巡洋戦艦)と【γ世界線】にとっての天城(雲龍型航空母艦)はまったくの別物



560: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:18:23.45 ID:ucqf94uK0




























































561: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:19:12.01 ID:ucqf94uK0

おまけ:【α世界線】の「巡洋戦艦:天城」とは本来どういった艦娘なのか


清原「やあ、“あまぎ”」

あまぎ「はい、提督」

清原「【異界建造妖精】に早速【建造】をさせてみたのだけれど「お前」が出たぞ」

あまぎ「あら」



天城α「天城型巡洋戦艦1番艦:天城です。妹の赤城と加賀がお世話になっております。あ、そうなのですか、【この世界】の『私』は――――――」



清原「よろしくな。私はこの鎮守府司令官の清原だ」ビシッ

あまぎ「技術士官の“あまぎ”と言います」ビシッ

天城α「はい!」ビシッ

天城α「…………え?」ジー

あまぎ「何かしら?」

天城α「あなたはもしかして――――――いえ、何でもありません」

清原「なるほど、国産初の純粋【巡洋戦艦】なだけあって金剛型よりも遥かに優れた能力だな」

あまぎ「でも、ユトランド沖海戦のことを踏まえれば紀伊型戦艦よりも信頼性はずっと落ちるのですけどね」

清原「それでも、速力の高さはそのまま使いやすさに直結する」

清原「【艦これ】的には一発当たったらそれで中破・大破が当たり前なんだから、『回避こそが最大の防御』って感じだからいいじゃないか」メメタァ

あまぎ「ハア……、まさか【巡洋戦艦】の生みの親のジャッキー・フィッシャー提督の理論が有用とされるだなんてわからないものね」

清原「さて、さっそくだが「天城」、いいか?」

天城α「はい」

清原「ここでは来たばかりの新人の為人を見るために、1日目は【秘書艦】見習い、翌日には【秘書艦】に任命する」

清原「よって、自室に案内した後はすぐに【秘書艦】として働いてもらうが、大丈夫か?」

天城α「わかりました」

あまぎ「…………提督?」ヒソヒソ

清原「何だ?」ヒソヒソ

あまぎ「この「天城」は未熟者なので、いろいろと気をつけてくださいね」ヒソヒソ

清原「…………?」

清原「ああ、わかった……」



562: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:19:48.13 ID:ucqf94uK0

――――――巡洋戦艦:天城αとの一日


天城α「○五○○。さて、これから今日の準備を始めるといたしましょうか。今日の書類はこれぐらいですからすぐに終わりますね」

天城α「○六○○。おはようございます、提督。今日も得るものがある一日といたしましょう」

天城α「○七○○。どうでしたか、朝食のお味は? では、こちらの書類についてはこちらでやっておきましたので確認をお願い致します」

天城α「○八○○。今日の鎮守府の運営はこのようになっております。艦隊出撃や物資の搬入も滞り無く進んでおります」

天城α「○九○○。提督、艦娘にも自分にも度の過ぎた無茶はなさらないようにしてください。どちらも提督にとって一番の財産なのですから」


天城α「一○○○。そろそろ休憩にいたしましょう。お茶とお菓子をお持ちいたしますね」

清原「ああ。助かる」

スタスタスタ・・・バタン

清原「一日だけ研修させただけなのに、いつもの3倍以上の速さで仕事が片付いてくぞ……」

清原「それに、適度なタイミングで休憩を挟んでくれるし、凄くやりやすい。大したものじゃないか」

清原「“あまぎ”のやつ、何を『いろいろと気をつけろ』だって?」

清原「さて、【異界艦】の【建造】をしてみるか」ピッ


――――――だが、事態は次から急転していくことになる!


天城α「一一○○。――――――赤。赤。赤。赤に染まる帝都。この赤は浄めの赤?」

清原「へ」

天城α「ハッ」

清原「何か言ったか?」

天城α「…………すみません。ちょっとボーっとしていました」

清原「そうか? それなら「天城」はもう十分に事務処理をしてくれたから、ゆっくり休んでいてくれ。もう大丈夫だから」

清原「一昨日 入ってきたばかりなんだし、【異界艦】特有のストレスでも感じてるんじゃないのか? 楽にしていいぞ」

天城α「ありがとうございます」

清原「………………」

清原「(確かに『人間:あまぎ』と比べれば、【建造】したてなだけあって及ばない面が目立つが、極めて優秀で気配り上手で人柄もいい完璧超人)」

清原「(しかし、それだけに何かとてつもない危うさのようなものを感じてしまうのは気のせいだろうか?)」


――――――その悪い予感は的中することになる。



563: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:20:20.22 ID:ucqf94uK0

天城α「一二○○――――――っ! 提督! 気をつけてください! 急いで火を消して、机の下に隠れてください!」ガタッ

清原「急に何を言って――――――」ビクッ

天城α「急いで」ガバッ

清原「うおっ!?」ドサッ ――――――天城αに覆い被さられる!

天城α「この身に代えても提督は――――――!」アセダラダラ

清原「何がどうしたんだ、「天城」!?」

ガチャ

鳳翔「あなた、そろそろお昼――――――え」

清原「何にも起こってないから! いいかげんに離れろ!」ジタバタ

天城α「提督だけでもお守りいたします――――――」ギュゥウウ!

鳳翔「…………え、「天城」さん?」

あまぎ「あーあ、やっぱりこうなっちゃうのねぇ……」

鳳翔「あれ、“あまぎ”さん? それでは、あちらは――――――」

あまぎ「…………」スタスタスタ・・・

あまぎ「ねえ」 ――――――左手で「天城』の頬をつねり、こちらに向かせる

天城α「?」

バチィン!

天城α「…………!?」ヒリヒリ

清原「あ、“あまぎ”……」

あまぎ「よく周りを確かめなさい! 自分の目で、耳で、肌で現在を確かめなさいよ!」ジロッ

天城α「あ」

天城α「………………」キョロキョロ

天城α「…………地震は?」

清原「何を言ってるんだ? 地震なんてなかったぞ、人騒がせな」ヤレヤレ

天城α「………………」


564: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:21:03.84 ID:ucqf94uK0

天城α「一三○○。先程は申し訳ありませんでした。帝都を大地震が襲って地獄の業火に焼かれて、『私』はそこで…………」

清原「…………うん? もしかして、大正大震災の大火災のことを言っているのか?」

あまぎ「はい。その時に【この世界】の『私』は加賀に後を託して息絶えたのです」

清原「………………」

あまぎ「あの大火災の原因となったのは、ちょうど正午前の昼食を作るために火を扱っていたために燃え広がったとされています」

清原「…………大丈夫なのか、本当に?」

あまぎ「――――――【異界艦】である「天城」には嫌でも視えてしまうだけに苦しいでしょうね」

清原「せっかく【異界艦】の目玉だっていうのに、時報ボイスで敬遠されちゃうじゃないか、これじゃ」メメタァ


565: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:21:35.33 ID:ucqf94uK0

天城α「一四○○。そう、長門も頑張ったのね。そして、『私』や土佐の代わりに、赤城も加賀も一航戦として精一杯戦い抜いたのね」

あまぎ「提督、新たな【異界艦】が誕生しました」

清原「そうか。連れてきてくれ」


赤城α「天城型巡洋戦艦2番艦の赤城です。姉の天城と一緒に【八八艦隊】の実働部隊の中核を担いました」


清原「おお」

天城α「あら、赤城じゃない。あなたも【ここ】に喚ばれたわけね」

赤城α「あ、天城姉さん」

清原「天城型巡洋戦艦がこれで揃ったわけだな(そうそう、赤城はほとんどそのままなんだよな。加賀が物凄く違っていてさ)」

天城α「いえ、まだ高雄と愛宕がおります」

清原「う~ん、そうか。高雄と愛宕がいるんだったか(これはまたややこしいことになるな……)」

あまぎ「もう一人、お連れいたしました」


加賀β「【標的艦】の加賀です……。どうかこの身を存分に皇国のためにお使いになってください……」ズーン


一同「!?」ゾクッ

加賀β「……どうしました?」←左前の白装束におろした長髪

清原「(――――――言葉を失わざるを得なかった)」

清原「(【この世界】の加賀のような気難しいが一航戦の誇りと自信に満ち、【あちら】の加賀のように妹もいて何か抜けてるけど優しいお姉さんであったが、)」

清原「(この加賀については、まず目につくのが血色が悪く死んだような目とおろされた長髪であった)」

清原「(なるほど、加賀という艦娘は生来 顔つきは暗めというのが決まりらしいのだが、これに関しては輪をかけて悪い方向に進んでいた……)」

あまぎ「勘違いしないでくださいね。この加賀は【β世界線】の加賀であって、あなたたちのよく知る加賀ではありませんので」

天城α「そ、そうだったの……」アセタラー

赤城α「ハア……、なんだかうっすらとそういう感じはしますが、よくわかりませんね」

清原「そっか。【ここ】でも妹の土佐が【標的艦】として沈んでいったように――――――、」アセタラー

清原「加賀も陸奥もそうなる可能性があったんだよな……(――――――それが【β世界線】の“ビッグ3”なんだ)」ドクンドクン

566: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:22:07.16 ID:ucqf94uK0

天城α「一五○○。――――――っ、長門!? ダメっ! あれは光らせてはいけない! あれは、憎しみの光――――――光が拡がっていく」

清原「!?」ビクッ

清原「おい、しっかりしろ!」ガタッ

天城α「あ、ああ…………」アセダラダラ

清原「だ、大丈夫なのか、本当に!?」

天城α「何もかもが消えていく……、人はいつになったら戦争を忘れられるの?」ガタガタ

天城α「ああ…………」ガクッ

天城α「」

清原「…………「天城」(――――――そうか、『未熟』というのはこういうことなのか)」ギュッ


天城α「あ、今……ちょうど一六○○? すみません、提督。もう少しだけその温かな手を寄せてくださりませんか?」

清原「ああ……」

天城α「…………ありがとうございます」

清原「……辛いか?」

天城α「はい。とっても」

天城α「――――――視えてしまうんです、【この世界】で起きたあらゆることが」

清原「…………知ってる(――――――『天城』自身が明かしてくれたことだから)」


567: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:23:25.23 ID:ucqf94uK0

天城α「一七○○。提督、今日のお勤めはこれで終わりですよ。後は「天城」にまかせてゆっくりお休みになってください」

清原「大丈夫なのか? 仕事は速いしそつがなく気配りも上手で非常に優秀だが、逆に何だか一人にはしておけないんだが」

天城α「いいんです。これは私の問題ですから」

天城α「『視えてしまうものは視えてしまう』のですから、私自身がそれに耐えられるようにして周囲の人に迷惑を掛けないよう努力いたします」

清原「…………心配だな」


天城α「一八○○。提督? もう大丈夫ですよ。ゆっくりと夕食や入浴をお楽しみになってください」

清原「そうさせてもらったよ」

コトッ

清原「さ、食べてくれ、「天城」。食べながら一緒に話しあおう」

天城α「あ、ありがとうございます」ニコッ


天城α「一九○○。提督、大変美味でございました。話も盛り上がって非常に華やかなごちそうとなりました。では、仕事の続きを――――――」

清原「ああ。お粗末さま――――――って、待て。あれだけの速さで事務処理できるお前にどうして仕事があるんだ?」

清原「何をやっているのか見せてくれ」


天城α「二○○○。これは私が勝手にやらせていただいていることです。ですから、提督はお気になさらず好きな娘と一緒に今日をお楽しみください」

清原「やめろ やめろ。これ以上は働き過ぎた」

天城α「いえ、これぐらいのことは大したことではございませんよ?」

天城α「むしろ、余った時間を有効活用しないといけませんから」

清原「だからといって、その余った時間も仕事に費やす必要なんてどこにある?」

天城α「提督は奥方様との時間をもっと大切になさるべきです」

清原「………………ムゥ」


天城α「二一○○。では提督、執務室のお掃除をさせていただきます。今のうちに見られて困るものは片付けておいてください」

清原「そんなものはないし、張り切っているところ悪いけれど、部屋の掃除なんてはちゃんとやっているから改めてする必要なんてない」

天城α「ご立派ですね。ですが、掃除の他にも整理整頓として備品の確認など探せばやれることはたくさんありますよ」

清原「…………楽しいか?」ヤレヤレ

天城α「はい」ニッコリ


568: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:24:37.26 ID:ucqf94uK0

天城α「二二○○。備品の補充に来てみたら、――――――ハエがわいてますね、ここは。ねえ、航空戦隊所属のあなた? 掃除しません?」

天城α「二三○○。皇国の大神たち。今日も一日 ご守護してくださり、ありがとうございました。どうか皇国と提督の栄光と勝利を…………」ブツブツ

天城α「○○○○。今日も一日が終わって――――――提督? お身体に障りますからどうかおやすみなさいませ」


天城α「○一○○。提督も物好きですね、こんな私に付き添っていただけるなんて。ありがとうございます、提督。本当に……」

清原「一緒に仕事の続きをやらせてくれないか?」

天城α「え」

清原「どうやら「天城」には学ぶところがあるようだし、まだ会ってから3日しか経ってないんだ」

清原「お前のことをよく知っておきたい。これから何かあった時のためにも」

天城α「……ありがとうございます」


天城α「○二○○。――――――陸奥!? ああ どうしてそんなことに…………どうして二人に立派な死場所を与えてくださらなかったのですか?!」

清原「…………大丈夫か?」ギュッ

天城α「はい。今度は大丈夫です……」ブルブル

清原「……今度は陸奥爆沈の光景でも視えたのだろうか?」


569: ◆G4SP/HSOik 2015/01/13(火) 09:25:20.43 ID:ucqf94uK0

天城α「○三○○。提督、寝てください。これ以上は本当にお身体に障ります。寝坊しても私が仕事をしておきますのでお身体を大事になさってください」

清原「お前も寝ろ」

天城α「私は艦娘です。少し寝れば大丈夫ですから、お気になさらず」

清原「なら、今すぐ仮眠をとれ。私も帰って寝る」

天城α「わかりました」











天城α「○四○○。『私』があの震災の時に身を捧げたように、今度は私が皇国と提督の栄光と勝利のために身を捧げる番が来る…………」






























天城α「どうか、皇国の大神たち。皇国と提督の将来をお導きください。足りなければ、私の命を捧げます……」


――――――第7話X  孤高のビッグ3 -もう1つの“もう1つの世界”- 完

       Next:第8話  12月23日 -三笠公園にて- に今度こそ続く!


572: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:17:13.97 ID:5VJHVI9r0

第7話Y 一大反攻作戦第一号・序章    -離島要塞化計画-  

――――――斎庭鎮守府 隣:金本邸


剛田「さて、秋イベントが近いな」メメタア

金本「そうだな。いよいよ【海上陸戦機動歩兵】が真価を発揮する時が来たな」

剛田「【渾作戦】か…………陸軍の【○二】の出番は無さそうだな」

剛田「だが、だからといって、お前を出撃させるわけにはいかない」
       ヒトサマ
金本「また、海軍の【○四】で行くのか?」

剛田「しかたないだろう。自分で行きたいんだったら代わりの者を司令室に置いておけ」

金本「嫌だね。俺以外の人間に俺の椅子に尻を置かせると、不思議なことに俺の財産が少しずつ失われていくんだよ~?」

剛田「なら、俺が行くしかないだろう」
                          ・
剛田「それに、俺たちが目指している先は【褌作戦】なんかじゃなく、“一大反攻作戦第一号”なんだからな」

剛田「つまり、“陸海合作第一号”となる離島要塞化計画を成功に導かなければならないんだ」

金本「わかってる わかってる。そのために必要な戦力を整えつつあるんだから」ブルルル・・・

金本「さて?」ガチャ

――――――
明石「改装が終わって、みんな勢揃いですよ!」
――――――

金本「あい、わかった」ガチャ

金本「さて、それじゃ時間かな?」

剛田「お前が貯めこんだ【勲章】に手を付けたのも初めてじゃないか?」

金本「そうだな。まさかあの娘が改二に選ばれるなんてな」メメタア

剛田「確か姉妹艦の誕生日に当たる日は【渾作戦】中にあるから、以前のようなサプライズ実装で姉妹仲良く改二デビューしたりしてな」メメタア

金本「どうだか? まあ、【勲章】は余るほどあるんだ。もしそうなっても大丈夫なんだけどねー」

金本「――――――さすがは俺!」ドヤァ






扶桑改二「改装された、扶桑型の力……お見せします!」

瑞穂「水上機母艦:瑞穂です……。軽空母:祥鳳さんとは、うん 仲良しなんですよ」

鹿島「練習巡洋艦:鹿島です。最後の海軍大将:井上成美先生の開戦当初の座乗艦として名を残し、終戦後は復員輸送艦として務めを果たし、解体されました」



573: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:17:50.03 ID:5VJHVI9r0

――――――航空戦艦:扶桑改二について


金本「なんだとおおおおおおおおお?!」

剛田「どうした?!」

金本「今 扶桑改二の【近代化改修】をしているのだが、――――――【火力】の上限がクソ高い! 90を超えてもMAXにならねえ!?」メメタア

剛田「ちょっと待ってくれ! 何だそりゃ!? 【航空戦艦】なのに【戦艦】並みの【火力】ってどういうことだよ?!」メメタア

金本「…………おそらく金剛型よりはさすがに低いはずだが、何なんだこの【火力】の伸びは?!」メメタア

山城「ああ 扶桑姉さま、凛々しい……」ウットリ


――――――主砲の火力だけは自慢


金本「そう言えば、そんなこと言ってたっけか」

金本「山城……、お前もああなる可能性があるというわけだが――――――」

剛田「【艦これ】式パワーインフレだな、まさしく」メメタア

剛田「そして、艦載機:40で、4スロ目が23という凄まじい偏り具合――――――!」メメタア

剛田「そして、燃費もあの大和型の半分を超えるという魔改造っぷり! 反面、【装甲】【回避】はあまり伸びない!」メメタア

剛田「だが、これは凄い! 史実では事故の産物の【航空戦艦】がこんなにも頼りになるなんてな! 違法建築も捨てたもんじゃねえな」

金本「ああ。まさか俺の第一嫁がこんなにも強くなるとは思わなかった………」


金本「……………素直に嬉しいな」フフッ


山城「…………提督」フフッ

剛田「良かったじゃないか。ますます死ねなくなったな。俺としても安心だから、身を固めてのんびりと後方指揮を頼むぜ?」ニヤニヤ

金本「!」ムッ

金本「…………余計なお世話だ、喪男!」

剛田「ああ……、俺もお付のガイノイドと【ケッコンカッコカリ】してえなー」ニヤニヤ

金本「ちっ」

山城「提督……、何だか前よりも――――――」ホッ

剛田「マジになってるあたり本当に…………(――――――やっぱ『男にとって最初の女は特別』ってわけか)」フフッ



574: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:18:44.90 ID:5VJHVI9r0

――――――水上機母艦:瑞穂について、


金本「ふむ。水上機を24機、補用に8機も搭載できるのが史実でのお前だな」ペラペラ

瑞穂「はい。千歳型の準同型艦として建造されましたし、その千歳さんとは仲良くやらせていただいておりました」

金本「なるほどな……、【特務建造妖精】たちが【建造】する艦娘の中身がだいたいわかってきたぞ」

金本「お前のような【水上機母艦】でも、給油艦などの【特務艦】を経験したことがある艦娘もその対象に入っているようだな」メメタア

金本「となれば、同じ水上機母艦の“ちとちよ”も出てくる可能性が大きいというわけだな(あるいは輸送戦艦なんかもな)」メメタア

剛田「ところで、『軽空母:祥鳳とは仲良し』だって? 何の繋がりもないように思えるのだが……」

剛田「確か、軽空母:祥鳳といえば、潜水空母:剣崎を改装したやつだったっけ? 高速給油艦から軽空母にまでなったやつ」ペラペラ

金本「付け加えて言うなら、太平洋戦争の珊瑚海海戦において戦闘で最初に失われた帝国海軍の空母であり、」

金本「その戦果は連合国にとっては帝国海軍主力艦艇の初の撃沈であることから戦意高揚に使われ、そのことが世界的に有名になっているな」

金本「ん?」ペラ

瑞穂「あ…………」


――――――帝国海軍“軍艦”戦没第1号


金本「…………そうか。それは辛いな」

瑞穂「……はい」

剛田「?」

575: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:19:26.20 ID:5VJHVI9r0

剛田「ちょっと待ってくれよ。帝国海軍で最初に沈んだのは神風型駆逐艦7番艦:疾風だろう? よく覚えてるぜ、その名の通り――――――」

金本「ああ? 船舶司令部の人間ともあろう者が海軍の“軍艦”の定義を弁えていないとはな」ヤレヤレ

剛田「なに?」

金本「いいか? 帝国海軍が定義するところの、――――――つまり狭義の“軍艦”っていうのはな?」

金本「旧帝国海軍の艦船令(昭和19年10月1日施工)に基づいて分類されていて、その第一条にこう分類されている」


軍艦、駆逐艦、潜水艦、砲艦、海防艦、輸送艦、水雷艇、掃海艇、駆潜艇、敷設艇、哨戒艇、特務艦、特務艇、雑役船


剛田「ええ!? 駆逐艦と潜水艦って旧帝国海軍じゃ軍艦の扱いじゃないんだ……」

金本「特務艦と特務艇を合わせて“特務艦艇”と分類されている」

金本「そして、一般的に“艦艇”と呼ばれているのが“特務艦艇”と雑役船を除いた“艦”“艇”が付いてる艦船であり、」

金本「雑役船は雑役船なんじゃ」

金本「戦後の海洋法における“軍艦”の定義だと、1つの国の軍隊に属して身元保証が完全に果たされている船舶全般のことだからな」

金本「ま、深海棲艦が登場する以前までは艦隊を出動させるような事態も稀にしか起こらなくなって、」

金本「駆逐艦が現実の主力となりつつあるから確かに現代の軍艦に駆逐艦も含まれていると思われるだろうが、」

金本「――――――よそはよそ! うちはうち!」メメタァ

金本「で、駆逐艦っていうのは歴史的に見ても新しい艦種であり、元々の正式名称は“水雷駆逐艦”と呼ぶ」

金本「その名の通り“水雷艇を駆逐する”ためにできた艦艇だから立ち位置的に“軍艦”には含まれなかったんだな」

剛田「確かに。“軍艦”って言ったら、大砲でばかすか撃ち合う印象だもんな」

剛田「魚雷を主力にしている駆逐艦はそう意味では“軍艦”のイメージとは程遠いか」

金本「だから、水雷駆逐艦である以上は元々は“軍艦”への攻撃力は期待されていなかったものの、」

金本「ワシントン海軍軍縮条約によって制限された戦力の向上を図るために帝国海軍は特型駆逐艦という当時 画期的な駆逐艦を生み出すに至ったわけだ」

金本「つまり、艦隊決戦に耐えうる攻撃力を条約下で無制限の駆逐艦に持たせて“軍艦”の代用をするという考えだ」

金本「そういうわけで、駆逐艦が艦隊決戦の戦力に数えられているのにも関わらず“軍艦”ではなかったのは元々の用途が異なっていたためなのさ」

金本「有り体に言えば、旧帝国海軍を代表する特型駆逐艦の運用法こそが世界の常識から外れたものだったんだな」

金本「それはドイツの駆逐艦であるレーベやマックスの弱さから見ても、特型駆逐艦は世界的に見ておかしな性能だったわけだ」

金本「つまり、日本の駆逐艦の攻撃力はぶっちぎりで世界一であり、諸外国からすればとてつもない脅威になったわけだ」

576: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:19:55.77 ID:5VJHVI9r0

剛田「なるほどねぇ…………“軍艦”とはそういう意味であり、そして『祥鳳と仲が良い』ってそういうこと」

瑞穂「……はい」

剛田「駆逐艦は狭義の“軍艦”じゃないから言い訳はできるけれども、お前はそれができないから――――――」

剛田「で? 艦歴は――――――え、『艦載機の【零式水上観測機】が味方の輸送機を誤射して撃墜』!? 乗員全員が戦死!?」アセタラー

瑞穂「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…………」ガタガタ・・・

剛田「しかも、千歳型と違って機銃の代わりに高角砲を増備して【対空】は上がってはいるが、」

剛田「主機をディーゼルのみにしたことで故障が多く、たびたび戦線離脱――――――」

瑞穂「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…………役立たずでごめんなさい」グスン

金本「…………泣くな」ギュッ

瑞穂「ごめんなさい、出会って早々こんなんでぇ…………」グスン

金本「おいおい 泣くなよ。今度 1杯おごってやるから。――――――酒は好きか?」

瑞穂「はい。大好きです……」ポタポタ・・・

金本「(あ、これは酒 飲ませたら泣き上戸なんだろうなー。そして、酔い潰れて――――――、それをお持ち帰りぃいいいい!)」


金本「(なんて俺好みの艦娘なんだ! しかも隠れ巨 だな、この感触! ――――――ソソる!)」← 女の弱みにつけこんで手篭めにするのが特技のワル


剛田「…………【艦これ】としては、たいていの【水上機母艦】が【特務艦】だった経歴は反映されないか」メメタア

剛田「そういう意味では、給油艦:速吸はとてつもなく特別な存在だったわけなんだな……」メメタア

剛田「ただ、これはどうなんだ? 千歳型は【軽空母】に艦種が変更されたが、この瑞穂が改装したという記述は一切ないな」

剛田「でもどうやら、千歳型と同じく【甲標的母艦】になる予定ではあったようだ………………ディーゼルエンジンの不調でメンテナンスばっかだな、ホント」

金本「つまり、なんだ?」

金本「瑞穂、お前はずっと【水上機母艦】のままってことなのか?(――――――【不幸艦】なのは経歴を見ても明らかだが)」

瑞穂「は、はい……。たぶん、千歳さんと同じく【軽空母】までなるかはわかりませんが、【甲標的母艦】にまではなれると思います……」メメタア

剛田「経歴はともかく、――――――こいつは使えるぞ、金本!」

剛田「【水上機母艦】なら【海上陸戦機動歩兵】の支援艇の【大発】と【隼艇】を同時に使えるし、【偵察機】も使えるぞ!」メメタア

金本「まあな。手数の多さでは実は【艦これ】においては【水上機母艦】が最多なんだけど、肝腎のステータスが低くてあまり活かせないんだ」メメタア

瑞穂「ごめんなさい……」

金本「ふへへへ、――――――安心しな、瑞穂」ナデナデ


――――――惚れたよ、お前の涙に。


瑞穂「え……?」ポー

金本「たっぷり可愛がってやるから。今はお前の提督である俺の言うことだけ聞いていればいい。それで全てうまくいく」ニヤリ

瑞穂「ああ……、提督…………」ドクンドクン

剛田「…………堕ちたな」(確信)



577: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:20:37.61 ID:5VJHVI9r0

――――――練習巡洋艦:鹿島について、


剛田「え? 【練習巡洋艦】――――――ああ【訓練艦】のことね」

金本「そんなものまであったのか」

鹿島「はい」

金本「だが、【練習艦】なだけあって大した性能じゃねえのな」

金本「一応、【水上偵察機】も魚雷発射管も爆雷もあるのはいいんだけど、全長:133.50mに対してたったの18ktの超低速艦だしな」

剛田「ちょっと待てよ、主砲の口径が50口径14cmってことはやっぱり【軽巡】だよな? たった18ktって第一次世界大戦の戦艦レベルじゃないか!」

金本「しかし 見てくれは、さすがは【練習艦】なだけあって手取り足取り指導してくれそうな先生じゃないですかー!」ジロジロ

鹿島「この香取型練習巡洋艦の要求性能は、通常乗員の他にそれと同じぐらいの少尉候補生が居住でき、」

鹿島「航海に不慣れな候補生のために速力よりも外洋での航海性能と安定した船体形状を採用していますから、元より戦闘艦ではありませんから」

剛田「でも、【巡洋艦】である以上は海軍が定義するところの“軍艦”ってところがね?」

鹿島「武装面に関しては、あえて最新型ではなく当時 艦隊で装備されていた兵器を幅広く搭載しております」

剛田「あ、何か【艦これ】における【水上機母艦】っぽいことになってるけど?」メメタア

金本「そうは言うが、【水上機母艦】は曲がりなりにも正真正銘の戦闘艦だぞ? 【練習艦】なんかよりも格は上だ」

鹿島「そして、練習航海において海外からの目がありますので、外観も内装も立派なものにしてあります」

金本「そういうわけで、べっぴんさんの大人の先生ってわけなんですかー?」ホホー

剛田「なるほどねぇ。これは確かに戦争では使えない軍艦だな。コストダウンのために商船構造なんだもんなー」

剛田「まさか、あの“世界水準”をも下回る軽巡が旧大戦間近で建造されてるとは思いもしなかったよ」

剛田「しかも、こんなのが第4艦隊の独立旗艦とはねぇ…………その“世界水準”さんが部下にいるじゃありませんかー!」パラパラ・・・

鹿島「性能はともかく、居住性は士気に大きく関わりますから」

金本「そうだな。大淀や島風なんかはワンオフでいろいろ残念だったが、通信機能に優れていたから旗艦に選ばれたことがあるからな」

剛田「なるほどね。居住性や通信性能は確かに大切だな」

578: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:21:08.09 ID:5VJHVI9r0

剛田「これでだいたい艦船時代のお前についてはよくわかった(攻撃力だけは【軽巡】としては合格ラインだが、たった18ktじゃねぇ……)」

剛田「それじゃ、【練習艦】のお前が【艦これ】でどれだけの役割が持てるのか教えてくれないか?(あんまり期待はしてないがな……)」メメタア

鹿島「わかりました。ご説明いたしましょう」


【練習巡洋艦】の能力

1,【旗艦】にすると艦隊に所属する、その【練習艦】よりも練度が低い艦娘に毎分その【練習艦】のLv分ずつ経験値が入っていく(母港画面のみ)

2,【秘書艦】にしていると、【戦術指南】∈【要請】における、ステータス修正全般におけるマイナス修正を全て0に変更する

3,【秘書艦】時にクリックすると【提督】のステータスをリセットするか、1回だけ応対が起こる(【提督】実装クエストにおける質問の受け直しができる)

4,【秘書艦】にしている間は【大型艦建造】が1日1回しかできなくなる ← 公式からのおせっかいです(んなことするより、レベルを上げて物理で殴れ!)


剛田「あぁれ?!(普通にメチャクチャ使えるんですけど!)」

金本「はあ!?(このプレゼンで【指南】が初めて具体的に活用されるんじゃないか?!)」メメタア

鹿島「わかりましたか? だてに井上成美先生の座乗艦を務めてはいないのですよ?」

金本「惚れ直した――――――どうだい、先生? 今晩、俺とご一緒しない?」ウキウキ

鹿島「謹んでお断り申し上げます。帝国海軍軍人に無礼講などありませんから」ニコッ

剛田「ずいぶんとお固い印象だが、それだけ辣腕だってことか」

鹿島「当然です。これも井上成美先生のご指導の賜物です」

鹿島「どうもこの提督と…協力者を見る限り、この鎮守府の規律が大変緩んでいるようですね」ジロジロ

鹿島「どうでしょうか? 井上先生直伝の教育を施してあげましょうか?」

金本「ぜひぜひお願いします、先生! ――――――保健体育(意味深)、お願いしゃーす!」ニヤニヤ

鹿島「保健体育ですか? いいですよ、元気な子は大歓迎ですよ」ニコッ

金本「お、言ってみるもんだねぇ(ぐへへへへ、今日の【特務艦】2人は当たりだあああああ! これは堕としがいがありそうだな~)」ジュルリ

剛田「美人教師とマンツーマンで指導をいただけるのか……(【艦これ】に足りなかった萌え成分がまた補完されてしまったな~!)」メメタア


※こんなんでも性質上、実際に【海上陸戦機動歩兵】を使うユーザーと相性がいいのが【練習巡洋艦】です。



579: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:22:42.08 ID:5VJHVI9r0

陣営紹介Y&y:斎庭鎮守府+陸軍船舶司令部
ゴリ押しのゴリ押しをゴリ押しすることで抜群の戦果を上げてきたという課金兵上がりの敏腕提督。
気に入った艦娘には必ず一流装備とケッコンカッコカリによるパワーレベリングを施す『レベルを上げて物理で殴れ』を地で行き、
【ダメコン】の投入にも躊躇いがないために大破進撃も恐れずにガンガン突き進み、轟沈なしでこれまでのイベントを制覇してきた真の強者。
そうした課金兵特有のキャラ愛のゴリ押しによるパワープレイが高じて、陸海合作を興し、普通の提督ではできそうもない領域へ全速前進している。
また、自身が活躍するための引き立て役とはいえ、他にはない【特務艦】によるサポートを全面的に利用しているのが特徴であり、
ただの野心旺盛な猪武者ではないことがうかがえ、実は金遣いが荒いだけでかなり堅実なプレイングをしていることがわかる。
遊戯王で言えば、パワーデッキとおジャマデッキの使い手の万丈目サンダーのようなやつと言えばわかるだろうか。
それでも、やっていること自体が普通ではないのは確かだが…………。何せ湯水のように資源や資金を使い込んでるわけだし…………。


金本提督
【海上陸戦機動歩兵】で直接 深海棲艦と戦うために【提督】ステータスは鍛えてあり、全能力が凄まじく高い。
ゲームシステム的に、この【提督】ステータスで【異界艦改造】を行えば凄いことになるのだが、
【異界艦】の入手法が面倒極まりない上に、自分と艦娘のどちらを強化して真打ちとして登場させたいのかという選択を迫られた時、
金本提督は自分が戦場に出て活躍する前者の方を望んだために【異界艦】とは縁がない。
【海上陸戦機動歩兵】とは、こういった死にたがり・目立ちたがり・男の浪漫を求める人間のためのシステムなのでしかたないね。
どちらを極めるにしても資源がべらぼうに必要になる点では変わりがなく、人間の手で敵を倒すことに興奮と喜びを覚える人間がいるのだからしかたない。

航空戦艦:扶桑&山城

揚陸艦:あきつ丸
今回の陸海合作の橋渡しを行った偉大な船娘。
現実の【艦これ】においても2014年夏イベントから連合艦隊においてルート固定要員として謎の優遇を受けており、
更に【護衛空母】以下の貧弱な火力(【艦上戦闘機】しか扱えないのがあきつ丸である)が裏返って割合ダメージに化けて善戦し、
これが後に陸軍式ダブル烈風拳など呼ばれるようになり、【艦これ】的にただの雑兵船娘だった彼女の存在価値が急浮上した瞬間であった。
今作においても、あきつ丸が担う役割は非常に大きく、“世界で唯一 陸軍が建造した空母”の面目躍如といったところだろうか。

潜輸:伊369
標的艦:大浜
砕氷艦:大泊
練習巡洋艦:鹿島
給油艦:速吸


剛田将校
今回の陸海合作の結果、船娘が大幅に増加したことで暁部隊の次期 司令官候補に選ばれることになった“陸軍の期待の星”。
“提督”に対して“将校”と呼ばれているのは他でもない陸軍の揚陸艦:あきつ丸からの呼称に合わせたものである。

つまり、彼もまた“提督”と同じく、顔のない“将校”としての存在に物語の演出のために人格を付与した誰でもない存在に由来している。

しかし、一貫して【投資クエスト:陸軍】をこなしていくと凄まじく強力な部隊を編成して【駐留】までさせてくれる超有能な将校であり、
もしかしたら並みの提督より遥かに艦隊行動に精通している可能性があり、しかも提督の采配に従い続けるという何とも扱いやすい味方。
更に、最強の【陸上型ボス級深海棲艦】討伐部隊を選択すると、よりにもよってあの戦艦:大和まで加えた討伐部隊を用意してくれるので恐るべし。
もちろん、大和は海軍所属なので【派遣】を組み込んでいるわけだが、船舶司令部という零細部署に大和の【派遣】を取り付ける根回しの良さ…………。



580: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:24:07.45 ID:5VJHVI9r0

――――――陸軍船舶司令部:広島市 宇品


N:宇品丸「ようこそ おいでになったであります、金本提督殿!」ビシッ

金本「陸海合作第一号――――――、よろしくな」ビシッ

剛田「しばらくぶりだな、宇品丸。早速、例のブツを見せてもらおうか?」ビシッ

N:宇品丸「わかったであります」チラッ

お銀「……………」ビシッ
お輪「……………」

N:宇品丸「…………」ビシッ

金本「?」

金本「なあ、剛田? お前の連れてるガイノイドって――――――」

剛田「ああ。――――――“秘密”だ」

金本「なるほどな」

金本「それで? 俺の部下はどの辺に居るわけ?」

剛田「あそこだ、あそこ」

剛田「あきつ丸と吉備津丸がお前の身の安全を保障して武装解除を促しているところだから」

金本「同じ皇国の同胞のはずなのにね~」

剛田「武器の携帯が認められたのは重巡だけのようだな。戦艦や空母は艤装が邪魔だし、軽巡以下は魚雷という不発弾を抱え込んでるからな」

金本「いざとなったら、お前を俺の盾にしてくれるから心配はしてねえよ」

剛田「今 日本語が怪しかったが、言わんとしたいことはわかってるから俺を信頼しろ」

金本「お前も。そこは『信用しろ』って言うところだろうに」



581: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:24:33.50 ID:5VJHVI9r0


コツコツコツ・・・


剛田「戦時中の広島といえば――――――、わかるよな?」

金本「わかるよ。昭和20年8月6日――――――広島には原爆ドームという観光名所の1つが生まれたな」

剛田「そうだ。この宇品に最初の船舶司令部が置かれて以来 運輸部と連携して業務を担当してきたわけだが、」

剛田「その日、その爆心地からは4kmも離れている宇品は“クソガキ”による直接の被害はなかったものの、」

剛田「翌7日以降、混乱する広島一帯の広島警備本部として県庁・県防空本部を指揮下に入れて麾下の暁部隊が警備や救助に赴いたのだが――――――」

金本「――――――二次被曝だな」

剛田「ああ」

剛田「やはり戦争というものは嫌になるな。日露戦争の爆弾三勇士のこととか戦時中の飢餓作戦とか…………」

金本「………………」

剛田「だが、戦わなければならない時に戦わないのは人間として最大の怠りだ。生存権は自分で認めさせるものだ。それが権利の行使というものだ」

剛田「しかし――――――、」

剛田「それでいながら、俺とお前とでこれから数多の軍神を靖国に送り出すことになるのだがな…………」

金本「知ったことじゃねえな。――――――『皇国のため』とは言ってもね」

金本「志願制にしてるんだろう? わかってて死にに行くんだから責任なんて負う必要なんてねえじゃねえか」

金本「こんなの恋愛と同じよ、同じ。自分を相手に委ねる選択の責任と損得の勘定ができてないクルクルパーが損をするってだけの話だろう?」

金本「人生ってのは駆け引きの連続なんだから。まかせるところはまかせて、やるべきところは自分でやれないようなやつが生き残れる道理なんてない」

剛田「それは、そうだが…………」

金本「俺はこんなんでも『皇国のため』には一応はやるさ。それぐらいの礼儀は弁えてるつもりだ」

金本「なんせ、大本営にも口を出せる資源王にもなれたことだし、」

金本「それに、夜の相手は艦娘で選り取り見取りの大天国だからよ。現状維持しないやつがあるか?」ニヤリ

剛田「まあ、取り繕う必要もないな、そういうところは。――――――皇国だからこそ実現しているところもあるからな」

金本「ああ。――――――皇国 最高! 皇国 万歳! 皇国 不滅!」



N:宇品丸「お待たせしたであります。それではご案内するであります!」

剛田「陸海合作のために船舶司令部が率先して妖精の確保と兵器廠の充実に協力してくれてな。その経過報告をお前に見せてやろう」

N:宇品丸「期待しててくださいであります」

金本「ふ~ん」

金本「さて、どんなもんかねー」





582: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:25:32.58 ID:5VJHVI9r0

1,陸軍装備【要塞砲】


剛田「さ、まず見てもらいたいのは【要塞砲】からだ」

金本「まあ、深海棲艦と戦うからには軍艦と同等の大砲は必要だからな」

N:宇品丸「『おいで~』であります!」パンパン!


ピョンピョンピョンピョン


金本「!?」

剛田「驚いたか?」

金本「え、ちょっとあれって――――――」


砲塔式45口径40cm加農砲ちゃん「――――――?」


金本「は」

剛田「おお よしよし! 元気してたか?」ナデナデ

砲塔式45口径40cm加農砲ちゃん「――――――!」スリスリ

金本「何あれ?! でかああああああ!?(世界で一番大きいウサギ:ダライアスくんを思い出したー!)」

N:宇品丸「これが【砲塔式45口径40cm加農砲ちゃん】であります。略して【40cm加農砲ちゃん】であります」

金本「は? 島風や天津風のあれ――――――?」

剛田「ああ。前にお前のところから【41cm連装砲】を【投資】してもらったろう? それが陸軍装備化したものがこれだ」メメタア

金本「うん? ちょっと待て! さっき【40cm】って言わなかったか、宇品丸?」

N:宇品丸「はい。元々は【八八艦隊】で建造が予定されていた軍艦が多く廃艦になった時に主砲の管理に困った海軍が陸軍に売却したものであります」

剛田「実際は、海軍がタダで弾薬も改修費も提供して厄介払いしたんだけどなっ!」

N:宇品丸「ちなみに、その時に旧陸軍が購入したのは土佐の1番2番と赤城の1番4番だそうであります」

金本「へ~(ああ これはアレだな。姑息な口径詐欺だな。【八八艦隊】の主砲といえば【41cm砲】だもんな)」

金本「で、――――――【これ】、そのまま使うの?(あれ? でも、【41cm砲】の正式名称って確か――――――)」

剛田「【こいつ】は妖精たちに造らせた機械で【○二】の指揮下に置いて【要塞砲】として活躍してもらう。つまり【装備】の扱いだ」メメタア

N:宇品丸「他にも、型は旧いでありますが皇国唯一の弩級戦艦:摂津の【30.5cm連装砲】を【要塞砲】にした【砲塔50口径30cm加農砲】も居るであります」

金本「――――――『弩級戦艦:摂津』? そんなのもいたんだな(あれ、『摂津』? どこかで聞いたような艦名だな。何だったっけ?)」

剛田「今のところは【こいつ】が【要塞砲】としては最高峰だな」

剛田「そんなわけで――――――、」

剛田「ねえ、今度【46cm砲】を恵んでくんない? そうすれば【○二】が【射程:超長】になって抜群の援護火力を引き出してみせるからさー」キラキラ

金本「余裕があったらな――――――って、止めんか、この!」

砲塔式45口径40cm加農砲ちゃん「――――――!」スリスリ

剛田「慣れとけよ。これも立派な装備なんだからさ」フフッ

金本「面倒だが、しかたがないな…………こうか?」ナデナデ

砲塔式45口径40cm加農砲ちゃん「――――――!」ニコニコ



583: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:26:07.13 ID:5VJHVI9r0

2,陸軍装備【陸軍航空機】および艦娘専用装備【トーチカ】


剛田「ついに登場だぜ! 【二式単座戦闘機:鍾馗】だああああ!」ドドーン!

金本「ふ~ん。どれくらい凄いんだ? あきつ丸、教えてくれ」

あきつ丸「わかったであります!」

あきつ丸「まず、【鍾馗】というのは中国の民間伝承に伝わる道教系の神でありまして、」

あきつ丸「我が国においては、疱瘡除けや学業成就の効能があるとされ、端午の節句に絵や人形を奉納されているであります」

金本「知らないな」

剛田「まあ、端午の節句なんて日本式でやってるもんだから道教の神なんざマイナーだわな。天神様や観音様、七福神のほうが馴染みが深い」

剛田「で、連合国からのコードネームは“Tojo"だ」

金本「なに?! “Tojo"っていうとあの“東條英機”か?!」
                             インターセプター
剛田「ああ。それぐらい恐れられた最高クラスの迎撃戦闘機として最高の評価が与えられているんだぜ、こいつは」

剛田「当時の帝国陸軍の主流に反する重戦闘機で非常に扱いづらい点を除けば、旧帝国軍どころか当時の各国の主力戦闘機を圧倒する性能だ!」

剛田「これが【拠点防衛】で迎撃に出てくれるとしたらもう制空権はいただいたも同然さ!」

剛田「これまでの多大な【開発投資】――――――、ごちそうさまです! 資源王 万歳!」イヤッホーイ!

金本「マジか! そんなに強い【戦闘機】なのか!(――――――“迎撃戦闘機”ということは【艦上機】とは違うのか)」

剛田「ああ。ただ、当時のベテランパイロットからすればあまりにも革新的で勝手が違いすぎて敬遠されたんだがな」

剛田「【局地戦闘機】っていう航続距離が短いやつなんだよ。それでいて従来の比ではない上昇力や加速性で離着陸が難しくてな」

金本「ああ……、それなら【艦載機】には向かないわな」

剛田「はっ! けど、その航続距離を活かしたアウトレンジ戦法で連合国の七面鳥狩りに遭った海軍様の考えることはまったく違うけどね」

剛田「それに『航続距離が短い』って散々言われてはいるけれど、世界的に見れば局地戦闘機としては列強随一の航続距離なんだからな!」

金本「それで? この【陸上戦闘機】はどうやって【装備】するんだ? 【空母】には【装備】できないんじゃないのか?」メメタア

剛田「ああ。それは簡単だ」

剛田「陸戦型【○二】は最初から【陸上航空機】に限って【装備】できるようにしてあるから。これが最も力を入れた部分でね」メメタア

金本「なんだと!? 陸軍は格納庫(意味深)のノウハウを完全に修得したというのか?!」

あきつ丸「これで陸軍の将来の安定でありますな」エッヘン

剛田「ふはははは! 世界で唯一 空母や潜水艦を建造している帝国陸軍に栄光あれえええ!」

金本「まあ、そうなったのも陸軍と海軍の不仲が最もの原因なんだがな」

剛田「…………ああ」

584: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:27:26.04 ID:5VJHVI9r0

剛田「ところで、――――――疑問に思わないことはないか? ここまでの話の中で」

金本「何がだ?」

あきつ丸「?」

剛田「…………あきつ丸、お前ぇ」

あきつ丸「え」

金本「答えを教えてくれよ」

剛田「わかったよ。これは愚痴だが言わなくちゃならないことなんでね」

金本「?」


剛田「なんで【陸軍艦上機】が【オートジャイロ/カ号観測機】と【対潜哨戒機/三式指揮連絡機(対潜)】しか無いんだ?」メメタァ


あきつ丸「あ」

剛田「『あ』じゃないよ、あきつ丸」

剛田「前回の夏イベント【AL/MI作戦】でお前は大活躍してくれたことは陸軍としては大変 鼻が高いが、」メメタァ

剛田「それでも、陸軍のお前が【海軍航空機】を使って陸軍式“ダブル烈風拳”とかやってもらっても心中 複雑なわけなんだが……」

あきつ丸「そ、それは、その…………」

金本「確かに。思えば、あきつ丸は【艦上戦闘機】が扱えるのに【陸軍戦闘機】がないのは確かに変だったな」メメタァ

金本「けど、実際に【艦上航空機】がなかったんだろう? 【艦上航空機】が扱える空母なんていうのは陸軍じゃあきつ丸ぐらいだったんだしさ」

金本「というか、【正規空母】持ってないんだから【艦上機】無いなんてそれが普通だろう? 現代の強襲揚陸艦だってヘリコプター艦なんだしさ」

剛田「……確かにそうだ。実際に旧帝国陸軍で【艦上航空機】として有名なのはその2つだけだ」

剛田「だが しかし――――――!」


剛田「おのれ、公式めえええええええ! なぜ【九七式戦闘機】を実装しなかったあああああああ!」メメタァ


剛田「一応、【艦上戦闘機】に転用して運用する計画があったんだからさああああああああ!」ギラッ!

剛田「何かこう、草薙流古武術の技を使えるようにしてくれてもよかったんじゃないのー?」

あきつ丸「で、ですが、【艦上戦闘機】としてはいささか【九七式戦闘機】では荷が重すぎるのでは――――――?」アセアセ

剛田「うるさい! 旧帝国海軍の花形たちが現代に人の形を持って蘇ってちやほやされているのに、陸軍ご自慢の戦車たちはそうじゃないんだぞ!」

剛田「となれば、船娘として現代に蘇ったお前に少しでも頑張ってもらわなくちゃ陸軍はますます海軍よりカッコワルイ扱いだ!」

剛田「わかるだろう、あきつ丸! “世界で唯一 陸軍が建造した空母”としてのお前の重要性が!」クワッ!

剛田「お前の活躍次第でこれからの陸軍の明暗を分けるのだぞ! そのことを理解しているのかあああああああああ!」クワワッ!

あきつ丸「りょ、了解したでありますっ!」ビシッ

金本「おいおい? ――――――いやさ? 【揚陸艦】だから厳密には違うのはわかるんだけどさ?」

金本「【護衛空母】以下の航空戦力で【正規空母】に匹敵する活躍をさせること自体が夢物語なんだから、――――――少し頭を冷やせ」

剛田「………………それもそうだな。無茶ぶりが過ぎたな、すまなかった」

あきつ丸「い、いえ! 自分は大丈夫であります……!」アセタラー

585: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:28:26.25 ID:5VJHVI9r0

金本「そうだ、この陸戦用の【○二】以外じゃやっぱり陸軍ご自慢の【陸上航空機】は使えないのか?」

剛田「ふふふふ、実はこれからの陸軍ご自慢はそれだけじゃあないんだぜ? 我が帝国陸軍の格納庫(意味深)技術の冴えを見るがいい!」

剛田「あきつ丸! お前にあらかじめ見せておいた【あれ】を準備しろ!」パチン!

あきつ丸「了解であります、将校殿!」

金本「…………ほう」

剛田「まずは簡単な概要から説明しよう」コホン


剛田「陸軍が艦娘用に新開発した【トーチカ】を装備することによって海軍の艦娘にも【陸上機】を手軽に扱えるようになった!」ドヤァ


金本「【トーチカ】――――――って、あれか? 陸軍ご自慢のチハタンを地面に埋めたっていう?」

剛田「あれだ」キリッ

金本「――――――艦娘に泥化粧させるつもりか?」ジロッ

剛田「ああ……、そういうイメージか。そう思うのもしかたないか」

あきつ丸「モニターの準備はできたであります」

剛田「安心しろ。地面に埋めたりはしない。新しい形の“トーチカ”を意味してるものだからな」ピッ ――――――モニターに映し出される【トーチカ】

金本「おお――――――なるほど。【海上陸戦機動歩兵】の艦娘版ってことか」

あきつ丸「それにしては、軍装とは思えないような流麗なものであります」ウットリ

金本「……そうだな。ま、艦娘だってあの身形で戦艦の主砲や航空機の爆撃に耐えるんだから、これぐらい薄着の追加装備もおかしくないか」メメタァ

剛田「こっちだって陸軍のためにやってはいるが、あくまでも海軍様のご威光を借りて陸海合作やろうとしてるんだ」

剛田「だからこそ、こうやって艦娘が気にいるようなデザインにしてやってるんだ。――――――オーダーメイドだぞ? 高く付くぞ?」

金本「なら、いいんだが。いくらでも出してやるよ、そういうことなら」フッ

586: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:30:15.93 ID:5VJHVI9r0

剛田「ただ、こちら側の注文とすれば――――――、」


剛田「今回の陸海合作が【拠点防衛】とは言っても、【最終防衛部隊】は沿岸沿いに展開して敵の上陸および軍事施設への攻撃を阻止することが最優先だ」


剛田「できるだけ防衛線を抜かれないようにはしてもらいたいが、深海棲艦との兵力差を考えれば抜かれるだろうことは想定しておいて――――――、」

剛田「【トーチカ】を装備した艦娘はいわゆる【陸上型艦娘】に早変わりすることになるが、」

剛田「その特性は文字通り【陸上型深海棲艦】と同じものになる。雷撃を完全に遮断できるようになる代わりに対地攻撃には弱くなるだろう」

金本「ふむふむ」

剛田「【トーチカ】はいわば艦娘における【海上陸戦機動歩兵】に相当するものだ」

金本「つまり、【トーチカ】の能力に【装備】する艦娘の能力が直接 反映されるのだな?」メメタア

剛田「そういうことだ。【トーチカ】にも能力があり、艦娘用のパワードスーツってわけだから【○二】とは比べ物にならない性能だ」

あきつ丸「まさしく今回の陸海合作を象徴する我が軍の切り札でありますな。それを自分が着れないのが残念でありますが」キラキラ

剛田「まあしかたねえな。――――――勝つためだ」

剛田「それ故に【拠点防衛】の要ではあるが、【トーチカ】は今のところ替えが利かねえんだ。破壊されたら【防衛作戦】は失敗だ」

剛田「【トーチカ】が突破されるような事態になったらすでに戦術的大敗を喫していることに他ならないからな」

剛田「出来る限り攻撃性能に優れる艦娘に【トーチカ】を装備させることをおすすめする」

金本「となれば、【航空戦艦】あたりがいいだろう。最初に確認された【陸上型深海棲艦】も【航空戦艦】の扱いだったからな」

剛田「ああ。それがいいと思う」

剛田「【艦載機?】もそのまま増えるから航空戦術も有効だけど、何よりも前線を突破するような強敵には砲火力で確実を仕留めたほうがいい」

剛田「今回はその【トーチカ】の試作品をいろいろ試してもらおうと思って、できるだけ幅広い艦種の艦娘にお招きしてもらったというわけだ」

金本「………………?」

剛田「どうした?」

金本「どうやってその試作品を作ることができたんだ? 船娘に試着してもらってそれを参考したのか?」

あきつ丸「いえ、それは――――――どうなのでありますか? 自分は長らく帰ってないのでわからないのであります」

剛田「何 言ってんだよ! 使うのは海軍の艦娘なんだから実際に【派遣】してもらって採寸したに決まってるだろう!」

金本「なんだと?! よく俺以外の人間で陸軍の零細部署のなけなしの予算で引き受けたもんだな」

剛田「いや、今はまだ陸軍の零細部署が執り行っているこんなしょうもないプロジェクトでしかないだろうが、」

剛田「探せば、はした謝礼で喜んで艦娘を【派遣】してくれるような貧乏鎮守府の司令官様はいっぱいいたぞ?」

剛田「おかげで、――――――さすがに大和型戦艦のような大物とは巡り合わなかったが、」

剛田「数多くの艦娘のスリーサイズのデータを公然と入手できたわけで、低予算で一石二鳥だったぜ!」ニタニタ

金本「そいつをこっちにわたせ!」ガタッ

剛田「はなせ!」ググッ

あきつ丸「ちょっと、提督殿、将校殿! ここで暴れないで――――――!」アセアセ



587: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:31:21.72 ID:5VJHVI9r0

3,陸軍装備【高射砲】


剛田「こいつを見てくれ、凄いだろう」ジャキ

金本「今度は何だ何だ? 次世代兵器の展覧会に来ている気分だな」

剛田「陸戦型【○二】用の【高射砲/5式15cm高射砲】だ。ドイツ製のウルツブルグ・レーダーとの連動でB-29の撃墜を目的とした最高の逸品だ」

金本「で、実際に撃墜したのか?」

剛田「さあ? 広く流布されている戦果としては――――――、」

剛田「昭和20年8月1日のB-29の編隊に向けて井の頭線 久我山の高射砲陣地のそれが発砲して1発で2機を撃墜したとか何とか……」

金本「嘘くせぇ。しかも終戦間際の話でそれかよ。実績なんて無いに等しいじゃねえか」

剛田「いや、アメリカの公的記録にもそれらしいことはちゃんと残ってる。撃墜じゃなかったけれども」

金本「そうかい」

金本「で、妖精科学で【○二】が持てるレベルにまで小型化されたわけだが、――――――どうなんだ?」

剛田「ちょっと困ったことがある」


剛田「まずウルツブルグ・レーダーを設置する必要があるから気軽に試験運用できない……」


金本「……わかった。ちゃんと連れてってやるから」

剛田「よくはわからないが、このウルツブルグ・レーダーは遣日潜水艦作戦を潜り抜けたイタリア艦によってもたらされたらしいぞ」

金本「はあ? ドイツ製なのにどうしてイタリアがそれを持って来るんだよ?」

剛田「さあな? 俺も枢軸国の遣日潜水艦作戦についてはよくわかってないんだ。――――――なにせ辿り着けたやつのほうが珍しいから」




588: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:32:08.44 ID:5VJHVI9r0

――――――総評


金本「なあ?」

剛田「なんだ?」


金本「普通に考えて、陸軍は人間用の最新式の装備を当たり前のように使えばいいんじゃねえの? 艦娘とは違うんだからさ」


剛田「打ち明けて言えば、――――――実際 その通りなんだが、」

剛田「陸軍の勢力拡大を軍国主義の復活と宣う連中がいるから表立った戦力増強ができねえのよ」

剛田「それに、今の御時世だと海軍を最優先に予算や資源が回されているから、――――――なかなかね」

金本「へー」

剛田「でも、こちらとしても国防のためにちゃんと人間が使う兵器に関しては研究開発が今も進められている」

剛田「一方で、この船舶司令部ってのは深海棲艦が世に登場して以来、存在意義を失っている窓際部署であることから予算が無えんだよ」

剛田「だから、妖精科学で造られた明らかな旧式兵器に頼るしかなくなってるんだ」

剛田「だが、妖精科学で造られた旧式兵器っていうのは皇国が世界に誇る小型化技術の結晶とでも言えるもので、」

剛田「見た目は実物より遥かに小さいが、破壊力そのものは実物と同じだろう? それでいて大量生産できるから弾幕形成にはうってつけだ」

剛田「そういう意味では【○二】の成功によってこれまでGOサインが出なかった別分野の開発も進んでいるらしいから、」

剛田「もしかしたら世界が仰天するようなビックリドッキリメカがこれをきっかけに完成するかもな」ニヤリ

金本「そいつは楽しみだな。いったいどんなトンデモ兵器がよこされるのやら」

剛田「ま、それは来てからのお楽しみだな。俺たちは今ある装備でやるべきことを果たすだけだ」

剛田「今度の陸海合作第一号の主力はあくまで海軍の艦娘だ。陸軍は精々 防衛拠点の円滑な防御と情報収集がお役目となるだろう」

金本「ああ」

剛田「頼んだぜ。お前ら海軍の背中は俺が護ってやるから――――――まあ提督であり総司令官のお前が最後方なんだけど」

剛田「いや、場合によっては俺がお前に代わって【○四】に乗る可能性もあるか?」

金本「やめてくれよなー。資源王の機嫌を損ねるぞー」

剛田「ははっ! なら、【○二】でもある程度【艦船型】を墜とせるようにしてやるか? 【○四】の立場が完全になくなるけどな!」


※基本的にこのプレゼンで登場する新装備の数々は最高クラスのものを実戦投入しているので、本実装では地道な【投資】【開発】を要求されます。




589: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:33:29.26 ID:5VJHVI9r0

――――――広場のベンチにて


金本「ふぅ、元々はガイノイド技術で造られたものだったが、【海上陸戦機動歩兵】もずいぶんと発達したものだな」ゴクゴク  ←【魔界の缶コーヒー】

剛田「それもこれも、資源王様の温かい【開発投資】のおかげでして」カチャ ←【魔界の缶コーヒー】

剛田「今では艦娘用のパワードスーツとも呼べる【トーチカ】の開発にも成功して【拠点防衛】の準備も着々と進んでおります」ニコニコ

剛田「これで“陸軍の期待の星”どころか皇国の新たな象徴としての“暁部隊”となることだろう」ゴクゴク

金本「だが、陸軍の前線兵力が貧弱なのはいただけないな」

剛田「そうは言われても――――――、」

剛田「陸軍の戦力の基本単位は一人の歩兵からであり、海軍の戦力の基本単位は船長と船員たちによる1艘の船だろう」

剛田「違って当然だ」

剛田「だが、これまでの俺たちが集めてきた【○二】と【○四】の運用データや実戦ノウハウで陸軍でも組織的な運用がやれるようになったんだ」

剛田「劣化艦娘と言われようが結構! あくまでも指を咥えて見ているしかない状況から人類は抜け出しつつあるんだ」

剛田「人類の平和は人類自らの手で為さなければ平和と豊かさの中で堕落して人間としての尊厳を失うことになろう」

剛田「お前だって、【海上陸戦機動歩兵】を造ろうと思ったのはそこからなんだろう?」

金本「……まあな」


「耐えられなくなっただけだよ」


剛田「至言だな」

金本「ああ。命を懸けて戦っている連中にはホント頭が上がらないよ」

金本「――――――わかってはいるんだがな」


金本「艦娘なんていうのは所詮は大量生産が可能な兵器であり、俺たち人間のために喜んで死ぬべき存在であるということなんて」


剛田「けれども、それがお前が聞いたところの海の向こうで造られた無人兵器にしても結果は同じことなんだな」

金本「そうなんだよ。己の力で資源王にまで這い上がった俺からすると、艦娘を前線に送ってそこで敵を倒させて得る【勲章】には違和感があってな」

金本「どうやら俺は自分の力で得た【勲章】じゃないと我慢できないものらしい」
                 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
金本「――――――たとえ俺のものである艦娘たちが得たものであったとしてもだ」

剛田「やっぱりそういうことなんだろうな」

剛田「俺たち軍人が血と汗と涙を流したわけでもなく得たものに何か違和感を覚えるんだよな」

剛田「もちろん、直接 敵を殺めることなんてできれば体験したくもなかったが……、」グッ

剛田「逆に、敵を殺めさせてそれで得た戦果を平然と喜ぶことができる底意地の悪さはどうやら俺もお前も持ち合わせていなかったようだ」

金本「だな。どう頑張ってもヤクザのドンにはなれそうにねえな、俺たちは」


――――――自分に正直すぎて!



590: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:34:05.47 ID:5VJHVI9r0

剛田「まあ、艦娘の色香に惑わされた愚か者と罵られるのかもしれないが――――――、」

金本「たとえ万物の霊長たる人間より格下の存在であったとしても、あんな表情やこんな表情をするあいつらを戦場に送り出して労りもしないのはな?」

剛田「俺たち、本当の馬鹿だよな」


剛田「どうせ種を撒いても実らない愛なんだ」


剛田「そんな連中と真面目に向き合うだなんてやっぱり俺たちは最高の馬鹿だよな。さっさと人間相手にこさえちまえばいいのにな」

金本「戦後になったらあいつらのことをどうするつもりなんだろうな、大本営は?」

剛田「あくまでも艦娘も国のものだからな。戦後になったら返還せざるを得ないし、軍縮もいずれは必要になるだろう……」

金本「そうなった時の居場所はどこになると思う?」

剛田「――――――愛玩用ならガイノイドで間に合ってるんだがな」

金本「だが、戦うことしか知らない彼女たちは一見すれば本当に人間だぞ?」

剛田「いや、関係ねえか。不要になった艦娘は民間に売り払われることも普通にあるかもしれない」

剛田「それに、お前らがしているジュウコンカッコカリの問題についても審議されてるからな」

金本「………………選ぶつもりなんてねえよ。――――――男だろう?」

剛田「言うと思った」

剛田「なら、ますます死ねないな? ――――――生きろ」

金本「言ってろ」フッ


――――――頼まれなくたって生きてやるよ。


――――――第7話Y 一大反攻作戦第一号・序章    -離島要塞化計画- 完

       Next:第8話  12月23日 -三笠公園にて- に続く!



602: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:50:56.66 ID:5VJHVI9r0

おまけ 【護衛空母】と【軽空母】ってどう違うの?   -憲兵さん、あの憲兵です-


金本「さてと。行くか」

剛田「そうだな」

幼女「ああ!」

金本「うん?」

剛田「地元の子供か? 親はどこだ?」

幼女「うわーーーーーい!」タッタッタッタッタ、ムギュゥウ!

剛田「!?」

金本「剛田……、お前に隅に置けないもんだなぁー?」ニヤニヤ

剛田「いや違う! 俺にガキなんかいない! 俺の女に人間はいないんだぞ!」アセアセ

幼女「えへへへ」

憲兵A「御用だ!」スッ

金本「あらあら。相変わらず憲兵は仕事が早いことで」

剛田「冗談 言っとる場合か」

剛田「おい、俺はそこの船舶司令部の人間だ。この娘はどうも人違いをしているようなんだ。すぐにこの娘を引き取ってくれ」

憲兵A「あ、これは失礼しました」

剛田「いいかげん離れろ! 誰と勘違いしているんだ」

幼女「ちがわない」

剛田「まだ言うか。俺は船舶司令部の将校なんだ。偉いんだぞ、きみが知っている人よりは」

幼女「うん、知ってるであります。だって、自分は船娘だから」

一同「!?」


山汐丸「将校さん、自分は山汐丸であります。これからよろしくおねがいしますでありまぁす」ニコニコ


金本「うおっ!? 船娘のロリっ娘じゃないか!」

憲兵A「なんとっ! 船舶司令部はついにロリ船娘を! これは海軍だけじゃなく、船舶司令部にも目を光らせておかねば…………」

剛田「…………見ない顔だな」

603: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:51:42.57 ID:5VJHVI9r0

金本「何だ? 陸軍はまるゆに続くあれまでこさえちまったのかい?」

剛田「いや、見たことがないし、聞いたこともないな」

剛田「…………山汐丸と言ったか? お前は船舶司令部の――――――いや それにしては艤装がずいぶんとまぁ」ジロジロ

憲兵A「待たれよ。将校と言えども狩る時は狩る」ジロッ

剛田「わかったわかった。まだ所属がはっきりしない以上はお前が保護しろ。あとはまかせた」

山汐丸「え」

憲兵A「…………!」

剛田「『できない』とは言わせないからな? 俺たちは帰るから」ニヤリ

憲兵A「ま、まて――――――」

金本「おもしれぇ。天下の憲兵がロリっ娘をどう扱うのは俺も気になるところだ」

金本「陸軍の船娘に手を出して初めてしょっ引かれる憲兵になるか見物だな」ニヤリ

憲兵A「なんだと!?」

剛田「はーはっはっはっはっは! ダァッシュ!」バッ

金本「逃げろ逃げろー! 憲兵を困らせてやれー! あぁばよー!」ドド!

ダダダダダダダ・・・!

憲兵A「なんて逃げ足の早い……!」

山汐丸「うぇえええんうぇええええん!」ワーンワーン!

憲兵A「あぁ……うぅ…………」オロオロ

憲兵B「御用だ!」




604: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:52:58.83 ID:5VJHVI9r0

――――――船舶司令部


剛田「宇品丸はいるか?」

あきつ丸「あ、提督殿、将校殿。おかえりなさいであります」

金本「ああ」

あきつ丸「それで、宇品丸殿は何やら急用ができたようでそちらの方に行ったであります」

剛田「そうか」

剛田「金本、俺はさっきの山汐丸とかいう幼女について船舶司令部の上層部に訊いてくるから、まあテキトーにしていてくれ」

剛田「それじゃ しばし」

タッタッタッタッタ・・・

金本「そう言えば、あきつ丸って“世界で唯一陸軍が造った空母”とは言ってもせいぜい【護衛空母】だったな」

あきつ丸「提督殿、陸軍の自分には【軽空母】と【護衛空母】の違いがいまいちわからないのであります」

あきつ丸「【正規空母】が大きな空母で、【軽空母】はそれより軽く、【護衛空母】は……何なのでありますか?」

金本「なるほどね。確かに艦載機や艦体のでかさにおいては【軽空母】と【護衛空母】はどっこいどっこいかもしれないな」

金本「だが、【軽空母】と【護衛空母】とでは明確な違いが存在している」

金本「それは、――――――【速力】だ」

あきつ丸「?」

605: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:54:17.22 ID:5VJHVI9r0

金本「例えば、【護衛空母】兼用の【揚陸艦】のお前は21ktだったな」

金本「だが、千歳や祥鳳などの【軽空母】はだいたい【速力:高速(=28kt以上)】なのが特徴といえるだろう」

金本「この速力の違いが何を意味するのかと言えば、――――――艦隊決戦戦力か、船団護衛戦力かにわかれることになるんだ」

あきつ丸「そうなのでありますか?」

金本「ああ。艦隊決戦においては速力が極めて重要だ。兵は神速を貴ぶわけだからな」

金本「艦体の構造も安定性を犠牲にして速力が出やすいものが採用されている」

金本「一方で、普通の船舶っていうのは難破することなく物を向こう岸に無事に送り届けることが第一だから安定性のある船体構造が選ばれる」

金本「速力と安定性は相反するものであり、練習巡洋艦:鹿島のように外洋での安定性を選んだ結果、18ktのウスノロ軽巡が仕上がっているからな」


金本「つまり、【軽空母】が艦隊決戦戦力としての小型空母、【護衛空母】が船団護衛戦力としての小型空母と分類することができるだろう」


あきつ丸「なるほど」

金本「正確には、『――――――としての役割を担うことを目的に造られた』小型空母の分類と言ったほうがいいか」

金本「普通にクエストでタンカー護送任務があるように、別に【護衛空母】じゃなければ船団護衛が特別できないわけじゃないからな」メメタァ

あきつ丸「それは確かにであります」

金本「だが、戦局が追い詰められてくると『艦隊決戦用に建造された駆逐艦だから』船団護衛の回されなくなってきた」

金本「何がマズイかと言えば、当時 猛威を振るった潜水艦による輸送船団の襲撃への対策を蔑ろにした結果 補給が絶たれてますますジリ貧――――――」

金本「かくしてあのガダルカナル島は“餓島”となったわけだ」

あきつ丸「うぅ…………」

金本「じゃあ最初から護衛駆逐艦や護衛空母が建造されていれば何とかなったのかといえば、――――――何とかならないのが当時の旧帝国軍だ」

金本「せっかく軍縮条約から抜けだして無制限に艦艇を造られるようになっても、結局は長年培われてきた艦隊決戦主義に囚われ続けて、」

金本「その当時 最も必要だった対潜艦と防空艦の開発が完全に遅れて、その間に次々と日本艦船が潜水艦と航空機の餌食になっていったわけだ」

金本「いや、そもそもアメリカと戦おうと息巻いていた旧海軍軍令部――――――すなわち艦隊派の専横を許した時点で、」

金本「海軍も昭和維新を断行しようとした陸軍とさして変わらぬ外交や戦略を持たない猪武者が日本国の棟梁になっちまってなぁ……」

金本「いくら局地的な戦術的なベストを重ねても、根本的な戦略からして間違っていては意味がないことをよく教えてくれてるよ、あの戦争は」

あきつ丸「………………」

606: ◆G4SP/HSOik 2015/01/22(木) 08:56:14.47 ID:5VJHVI9r0

金本「さて、船団護衛戦力というやつはその作戦目的の性質から艦隊決戦戦力に比べていろいろコストダウンして量産するには向いており、」

金本「アメリカやイギリスだけでも護衛駆逐艦や護衛空母が夥しい数が量産されていたようだ。それはもう星の数に匹敵するかもな」

金本「一方で、日本における護衛空母は数えるぐらいしか存在しない」

あきつ丸「そ、そうなのでありますか?」

金本「ああ。あきつ丸、お前もその貴重な1人だし、給油艦:速吸も正確には違うが広義の上で立派な護衛空母だ」

金本「まあ、厳密には『航空機で武装した』【特務艦】だから、さっき定義した【護衛空母】とは全然 違うんだけどな」

金本「というか、そんな船団護衛用だとか艦隊決戦用だとかみみっちいことに拘泥するぐらいに、」

金本「明らかに国力と、それ以上に将官の頭のデキに差がありすぎてねー」

金本「船団護衛に回す余裕がなくなるぐらい艦隊決戦戦力を使い潰して補給線をズタズタにしてくれる無能が多くて困っちゃ~う」

金本「俺、資源王だからそういうところ すっごく気に入らないなー」

あきつ丸「そ、そうでありますな」

金本「そんなわけで、さっき山汐丸とかいうロリ船娘に会ったんだが、【護衛空母】か何かだったのかな?」

あきつ丸「え、山汐丸でありますか?」

金本「ああ。広場で剛田のやつと一緒にいたら すりよってきてな」

金本「面倒だから憲兵におしつけて俺たちは逃げてきたんだ」ニッコリ

金本「今頃、あの憲兵はどうなったんだろうねー」ニヤニヤ

あきつ丸「――――――山汐丸!?」

あきつ丸「あ、そうだったのでありますか。あの子は提督殿と将校殿を探しに行って…………」

あきつ丸「自分は提督殿と将校殿がおでかけしている間に同じ【護衛空母】の先輩として面倒を見るように宇品丸殿に頼まれまして」

あきつ丸「しかしながら、肝腎の山汐丸は一向に現れず……」

金本「そういうことだったのか」

あきつ丸「はい。かわいい後輩なのであります」

金本「ふぅん。陸軍がロリっ娘を擁するようになるとはねぇ…………しかも【護衛空母】」

金本「ま、いいんじゃない? 提督である俺のようなはみ出し者が勢揃いの斎庭鎮守府にふさわしい仲間がまた増えるんだからさ」

金本「にしても、船舶司令部の活動も盛んになったことで自然と陸軍の船娘も増えてきたな」


金本「どうだ、あきつ丸? 俺と一緒に船娘のお前が【艦これ】の世界で名を上げてみないか?」メメタア


あきつ丸「懐かしいお言葉でありますね。その言葉から陸海合作が始まったのでありますね」

あきつ丸「では――――――、」


あきつ丸「そして、これは大変 名誉なことなのであります。かくなる上は最後まで提督殿についていくことを決心したであります」


金本「確かお前はそう言って返したよな」ハハッ

あきつ丸「提督殿、巡り会えない艦娘、船娘などいない。こうして自分も出会えたわけだし……」

金本「愛してるぜ。褒美に心の底から悦ばせてやるよ」

あきつ丸「ははっ、有難き幸せであります!」


――――――第7話Y 一大反攻作戦第一号・序章    -離島要塞化計画- 完

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608: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:06:21.59 ID:1x8KI/b90

訂正の談 【局地戦闘機】と【艦上戦闘機】

――――――斎庭鎮守府


金本提督「おい、速吸」

給油艦:速吸「はい、提督。新作のメンチカツサンドはいかがですか?」

金本「おう。美味そうだな。そいつは後で試食するから――――――、」

金本「そんなことより、>>311 でお前はこう言ったよな?」


速吸『【改造】してくれれば、計画中止で実現しなかった倍の数の【艦載機】が扱えるようになりますよ』メメタァ


速吸「はい。言いましたよ」

金本「これ、後で調べたらお前のことじゃなくて、お前の後継艦の鷹野型給油艦での話じゃないか!」

速吸「ああ……、そのことですか……」

速吸「別にいいじゃありませんか、そんな細かいことなんて」

速吸「書類上の存在となってしまった私の後輩たちの遺志を継いだ【改造】だと思えば、悪い気はしないはずですよ?」

金本「いや、俺も迂闊だったが、何も知らない人間に誤解を与えて苦情が出たら俺が『司令部』からお咎めを受けることになるんだぞ」

速吸「だったら、間違いを認めて早く謝りましょう、提督。傷口が広がらないうちに」

金本「…………なかなかの強かさだな?」

速吸「そうは言いましても、【艦これ】補正で“欠陥戦艦”の【艦載機】が【軽空母】並みになってしまうぐらいですよ?」メメタァ

速吸「それに、私と似たような【護衛空母】もどきの船娘の揚陸艦:あきつ丸が、」

速吸「史実で【艦上戦闘機】を運用したことがないのに、海軍の【艦上戦闘機:烈風】を平然と使っていることの方が不自然に見えますけどね」メメタァ

速吸「あの陸軍将校さんも複雑な心境だったんじゃないんですか?」

金本「……言うじゃないの(まあ、確かにあきつ丸用の【陸軍航空機】の搭載は計画段階で終わった話だからな)」

速吸「しかし、いよいよ本職の【護衛空母】が登場してしまいましたか……」

速吸「一応、私も広義の【護衛空母】に含まれてはいますけれど、私は本来“守る側”ではなく“守られる側”ですから、それはしかたがないとはいえ、」

速吸「お株がとられたみたいでちょっと残念な気持ちがあります」

金本「いやいや、【護衛空母】ははっきり言って劣化【軽空母】だから艦隊決戦戦力としてはいまいちだし、」

金本「【特務艦】じゃないから何かしら特殊能力があるわけじゃないという空母系の【駆逐艦】ポジションだから相当 愛が必要だぞ、これ」メメタァ

金本「まあ、その分【軽空母】よりも遥かに安く運用できることが特長と言えばそうだが…………、」

金本「これ、【突撃部隊】の【前線補給】要員に使うぐらいしか能がないぞ……」メメタァ

速吸「本来の用途からすれば、それが正しい運用法ですからいいじゃありませんか」

速吸「私だって【給油艦】ですから本来“守られる側”の艦娘ですし」

速吸「どうですか? 【補給装置】の需要はありますか?」メメタァ

金本「俺は【前線補給】じゃなくて【海上陸戦機動歩兵】で戦場を駆って大物を狙いたいから、そんなものに頼る余裕はねえよ」

速吸「…………残念です。仕える主が裕福なのはいいことなのですが、驚くほど仕事がなくて時間を持て余してしまいます」

金本「悪いな。俺、資源王だから」ドヤァ

金本「けど、日頃の厨房での働きは認めてやる。これからも頑張ってくれよ」

金本「さ、新作のメンチカツサンドをくれよ。楽しみにしてたんだからさ、お前の作る油物」

速吸「……はい。わかりました」

速吸「オーダー入ります!」



609: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:07:44.51 ID:1x8KI/b90


剛田「ちょっと恥ずかしい間違いを犯してしまったな」

あきつ丸「どうしたのでありますか、将校殿?」

剛田「まあ、ちょっとした間違いなんだが、>>583 で俺はな――――――?」


剛田『【局地戦闘機】っていう航続距離が短いやつなんだよ。それでいて従来の比ではない上昇力や加速性で離着陸が難しくてな』


剛田「これさ、そもそも【局地戦闘機】っていうのが【陸上航空機】って意味だから別に『だから航続距離が短い』とかじゃないんだよな」

剛田「慣れない単語は使うもんじゃないぜ……」

剛田「【鍾馗】の航続距離が短いってのは、あれが帝国軍でも数少ない【重戦闘機】だったから機体が重いからなんだよな……」

剛田「【鍾馗】の兄弟の【隼】は増槽ありで3000kmなのに、【鍾馗】は増槽ありでも1600kmだし、差は歴然だわなぁ……」

剛田「しかも、性能は外人からすればまさしくトンデモ性能だったけれども、」

剛田「【軽戦闘機】による格闘戦の虜となった当時の陸軍ではあまりにも革新的すぎて逆に扱いこなせいという環境――――――!」

剛田「やっちまったなー。【局地戦闘機】の対義語が【艦上戦闘機】なんだからさー」
                                 フネ
あきつ丸「あ、そうだったのでありますか? てっきり【お艦の上の戦闘機】の反対語は【地面の上の戦闘機】だと思っていたのでありますが……」

剛田「そもそも陸軍と海軍じゃ航空機の開発事情が違うから、陸軍には【艦上機】と【陸上機】なんていう区別はないから!」

剛田「そう! 陸軍は空母の集中運用なんてしてないから【艦上戦闘機】なんて概念はない!」

剛田「陸軍のは全部【陸上航空機】――――――海軍で言うところの【局地】なんだよ!」

剛田「そして、【海軍戦闘機】は太平洋戦争勃発後の様々な現場の要求から【甲 戦闘機】【乙 戦闘機】【丙 戦闘機】という作戦分類になったから、」

剛田「太平洋戦争以後は単純に【局地戦闘機】か【艦上戦闘機】かの区別もつけづらいから困ったもんだ」

剛田「ちくしょう! 確かに管轄が別とはいえ、ちょっとした間違いだけれども指摘されると少し悔しいやら恥ずかしいやら……」

剛田「くそっ、あきつ丸に我が陸軍の【九七式戦闘機】の搭載が実現されていれば…………」

あきつ丸「それは前にも宇品で言われたことでもあります……」

剛田「…………すまない。本当にすまない」

 
611: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:09:11.84 ID:1x8KI/b90

2014年 秋イベント:【発動! 渾作戦】戦記

――――――2014年11月14 【発動! 渾作戦】展開!

――――――洞庭鎮守府


清原「さて、前回の夏イベント【AL/MI作戦】の大規模作戦の反省を踏まえていこうか」メメタア

清原「主力艦は十分に揃った。後は練度の問題だがこれぐらいの練度ならば問題あるまい」

清原「初戦はおそらくは水雷戦隊を主力とした艦隊が必要となるだろう」

清原「では、見せてもらおうか?」


――――――【未来】の海軍士官の実力とやらを。


りう/龍翔提督「はい! おまかせください!」

あまぎ「【史実】における渾作戦の研究もばっちりです。やれるでしょう?」

あまぎ「清原提督は一切 助けてはくれませんから、まずはここであなたの実力を見せつけなさい」

りう「はい! 見ていてください!」

りう「では、――――――艦隊、【出撃】ぃ!」





612: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:09:43.84 ID:1x8KI/b90

――――――斎庭鎮守府


金本「さぁてさてさて、いったいどんな可愛い子ちゃんが待ってるのかなー?」ウキウキ

剛田「【海外艦】の重巡が追加されることは確認済みだが、【特務艦】や【潜水艦】の公式実装はまだ増えないのか?」メメタア

金本「さあな? それは蓋を開けてみない限りはわからないな」

剛田「少なくとも日本の重巡は出尽くしているから、【海外艦】の重巡が今回 追加されるのは妥当だろうな」メメタァ

剛田「しかし、【潜水艦】編成のバリエーションがいまだに乏しいのはどうかと思うな」メメタァ

剛田「これまでの傾向から言っても【駆逐艦】ばかりが増えるのだろう?」メメタァ

剛田「何だ? 【潜水艦】には固有名が無いから番号で呼ぶのが機械的だから受け付けないのか?」

金本「さあな?」

金本「さて、今回 気をつけないといけないのは――――――、」


金本「――――――【連合艦隊】での【出撃】においては【突撃】ができないことだな」


剛田「そうだな。あれだけの艦隊戦力が狭い戦場で大暴れするんだ。俺たちが【突撃】する前に敵が全滅するか大混戦になるかの二つに一つだ」

剛田「ところで、この【水上打撃型連合艦隊】っていうのはどういうものなんだ?」

金本「どうやら前回のやつとは違って、第1艦隊と第2艦隊を水雷戦隊の規模に抑えたものらしいな」

剛田「そうか。前回とは違って抑えめになっているのか」

剛田「前回の【MI作戦】ではとんでもないことになってたからな。我が陸軍にも諸提督たちの悲鳴が響き渡ってたよ」

金本「俺はゴリ押しによるゴリ押しのゴリ押しで余裕で突破したがな」

金本「けど、一番困ったのは使いたい艦娘が作戦によって区切られて足りなくなるってことか?」

金本「困るんだよね~。作戦を分けて行うんならさ? 事前にそれぞれの作戦内容と必要な艦種のアナウンスがないとさ?」ゴゴゴゴゴ

金本「だから、今回はどの程度の人員が必要になりそうなのかを慎重に見ておく必要があるな――――――」

金本「どこからどこまでが同一作戦として戦力の区分がされるのか前もって教えろ、へぼ大本営! 戦略なんてあったもんじゃない!」ガンッ!

剛田「今回ばかりは揚陸作戦ではないから、陸軍の出番は無さそうだな」

剛田「だが、また我が陸軍が誇る揚陸艦:あきつ丸が嫌な意味で大活躍しそうな感じはするがな……(また【海軍戦闘機】で褒めそやされるのか……)」



613: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:10:10.29 ID:1x8KI/b90

――――――拓自鎮守府


朗利「みんな、やるぞおおおお! 拓自鎮守府最初のイベントマップだぞおおおおお!」メメタア

「おおおおおおお!」

朗利「何としてでもプリンツ・オイゲンをはじめとする新着艦を迎えするぞあああ! 【勲章】もだあああ! イベント堀り 頑張るぞー!」メメタア

「おおおおおおお!」

長門「では提督! 先陣は私が――――――!」

ビスマルク「何言ってるのよ、長門! 一番は当然この私――――――!」


朗利「というわけで、攻略Wikiに情報が出揃うまで待機だ!」メメタア


長門「なっ!?」

ビスマルク「ええ?!」

ドレッドノート「まあ、大規模作戦ではなく中規模作戦と呼ばれているぐらいなんだから、それぐらいの余裕はあるだろうから焦らず焦らず」

ドレッドノート「それに、【連合艦隊】や【多正面作戦】があるようだから慎重に出撃させる艦娘を選ばないと手数が足りなくなるようだからねぇ」メメタア

ドレッドノート「問題はこの2週間の間にどれだけの攻略情報という名の歓声と悲鳴が寄せられるかということ――――――」メメタア



614: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:10:41.04 ID:1x8KI/b90

――――――趣里鎮守府


左近「いよいよ始まりましたねぇ、【渾作戦】」

石田「秋イベント――――――去年の【鉄底海峡】はまさしく地獄だった」メメタア

左近「そうですな。まさに史実と違わぬ地獄でしたな」

石田「確か左近提督にとっては、【アルペジオ コラボ】を年内に攻略して一度は前線を退いて夏イベントの後から復帰したから――――――」メメタア

左近「ええ。俺にとっては別な意味で初めてのイベントマップということですな。リハビリを兼ねた処女航海というわけですな」メメタア

石田「では、左近提督。手筈通りに――――――」

左近「わかってますよぅ、殿」


左近「二人で艦隊編成を調整して攻略ルートの同時開拓をしていきましょう」メメタア


左近「これが一番速いと思います」キリッ

石田「攻略Wikiはリアルタイムで更新されるようにしてっと」カタカタ

石田「――――――【出撃】だ! 暁の水平線に勝利を刻め!」

左近「さぁて、敵さんをきりきりまいさせてやりましょうか!」


615: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:11:08.10 ID:1x8KI/b90

――――――そして、翌日:11月15日

――――――趣里鎮守府


石田「…………終わった? ――――――勝ったのか、こんなあっさりと?」

左近「やりましたな、殿」

石田「何だこの手応えの無さは!?」

左近「そうですな。前回の夏イベントや去年の秋イベントと比べて出撃海域も少ない上に理不尽な強さの敵がいませんでしたからね」メメタア

左近「慣れって怖いですな、殿」ニコッ

石田「…………イベント掘りに入るぞ。おそらくは他の強豪たちも我々と同じく1日で攻略しきっているだろう」メメタア

左近「はい」

左近「しかし、今回のExtra Operationは楽しめましたな」メメタア

石田「そうだな。【連合艦隊】を水上打撃部隊にするか空母機動部隊にするかで戦略が大きく変わったな」

左近「しかし、【連合艦隊】制がE-2以外は強制ですから【捕獲】はあまり奨励できませんな」メメタア

石田「そうだな。『新戦略研究局』としては実に得るもののない戦いだったな」

石田「あるとすれば、新要素【対空カットイン】、イベントレベリングの探求、それと今回の目玉であるプリンツ・オイゲンの研究だな」メメタア

左近「そうですな。久々の【海外艦】ですよね、こいつは?」

石田「そうだ。果たしてこいつが【改装設計図】を使うに値するだけの戦力となるかは不明だが、絶対数の少ない重巡としては貴重だ」メメタァ

石田「にしては、重巡らしからぬ性格だがな…………(そう、――――――拓自鎮守府の似非紳士が喜びそうな艦娘だ)」


616: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:11:37.20 ID:1x8KI/b90

――――――拓自鎮守府


朗利「やった! E-1【第一次渾作戦】突破! これがEOマップ以外での初めての【勲章】!」メメタア

愛月「こんなにも簡単に攻略できるとは思いもしませんでした……」

朗利「すっげー、攻略Wikiや攻略掲示板にはもうイベントマップを制覇した強者が続出じゃないか!」メメタア

朗利「おお! たった4面しかない! しかも次のE-2【第二次渾作戦】は水雷戦隊でいけるじゃん!」メメタア

朗利「それじゃ、次の戦いは俺の艦隊で行かせてもらうぞ!」

愛月「はい! バトンタッチですね!」

朗利「よっしゃあ! 五十鈴、出番だぞ!」

愛月「それでは、こちらはE-3【第三次渾作戦】以降の攻略の考察に入りますね」

朗利「頼む!」

朗利「いけるぞ、これは!」

朗利「(しかし、【勲章】の数が足りるかな…………利根型航空巡洋艦にビスマルク改三だもんな)」

朗利「(確か10月の時点でビスマルクに【改装設計図】のために【勲章】4個使って、それで手元に2個残って――――――)」

朗利「(11月に入ってすぐにEOマップを攻略したからそれで5個になっただろう?)」← 南方海域は完全攻略していない

朗利「(そして、このイベントを完全制覇すれば【勲章】が4つ手に入ることになり、9個は確保できるわけだ)」

朗利「(12月になれば更に3個は確保できるから12個――――――年内に全員分に届く!)」

朗利「(――――――完璧だ! これは何が何でも攻略せねば!)」

朗利「何だいけるじゃん!」

朗利「もし艦娘が足りなくなっても【派遣】してもらえればすぐに補えるし、この戦い もらったも同然だな!」メメタァ


617: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:12:04.16 ID:1x8KI/b90

――――――斎庭鎮守府


――――――
ミロク「――――――艦載艇、どうぞっ!」

剛田【○四】「行っくぜえええええ!」

ザアアアアアアアアアアアアア!

駆逐棲姫「――――――!」

剛田「これで墜ちろおおおおおおおおお!」ズサッ! ドッゴーン! ――――――【射突型成形炸薬弾鎗・龍】!

駆逐棲姫「アググゥ…………」モガモガ・・・


ツキガ…月が、きれい……


剛田「敵将、討ち取ったり!」
――――――

金本「ご苦労さん」パチパチパチ・・・

金本「これで何度目の撃破だったかな?」 ――――――ソファに寝っ転がりながら指揮を執っている。

大泊「5回目だ、司令官」

金本「いや~、E-2【第二次渾作戦】が【連合艦隊】制じゃなくて助かったわ~」メメタア

金本「しかも、そこのボスの駆逐棲姫の【装甲】が115もあって新型【パイルバンカー】の実戦テストが捗る捗る」メメタア

金本「【射突型成形炸薬弾鎗・龍】で駆逐棲姫が一撃ってことは戦艦ル級改も一撃で墜ちるって意味だしな」

金本「ようやく【○四】も1つの完成形に至ったのだな」

金本「あとは、戦艦レ級以上の大物を一撃で墜とすだけの攻撃力の追求だな。――――――【装備改修】のためにもっと必要になるだろうけど」メメタァ

大泊「しかし、司令官? あれほどの性能を得たのならば、今こそ艦娘の装備に応用すべきでは?」

金本「無理だな。艦娘は艤装を背負う形で艦船時代の能力を発揮するが、【パイルバンカー】を持つだけの能力はない」

金本「素手で砲弾を投げ飛ばすぐらいの勢いで突っ込まないと【○四】の【パイルバンカー】は起動しない。それぐらいの技量が必要なんだ」

金本「それに、直線的な加速で突進する以上は回避は望めないが、深海棲艦の優先順位が人間よりも艦娘だからこそ成功しやすい」

大泊「わかった、司令官。だが、無理は禁物だからな」

大泊「けれども、またまた あきつ丸のやつが大活躍だったな」

金本「だな………………運営がなぜそんなにあきつ丸を変な意味で優遇するのか俺には理解できない」メメタア

金本「あきつ丸だけじゃなく他の【揚陸艦】や【特務艦】を公式でとっとと出せと言いたいところだな」メメタア

金本「今年の秋イベントはあんまり楽しめなかったな。すぐに終わっちまったし、肩慣らしにもならねえ」メメタア


618: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:13:00.20 ID:1x8KI/b90

――――――洞庭鎮守府


りう「やりましたよ、清原提督!」パァ

金剛「やりましたネー!」

清原「ああ」

清原「今回は前回の教訓を踏まえた下準備や全体的な難易度調整のおかげで中規模作戦にしてはあっさり終わったな」メメタア

りう「――――――【勲章】です。4つ」スッ

清原「………………」ジー

りう「?」

金剛「提督ぅー?」

清原「ハッ」

清原「……それはお前が得た戦果だ。それで【改装設計図】に引き換えるなり、【改修資材】や資源に取り替えるなり好きに使ってくれ」

りう「はい!」キラキラ

清原「うん。では、私もイベントマップに艦隊を出撃させてみようと思う」

清原「ご苦労だった。鳳翔が戦勝祝いのごちそうを用意してくれている。行ってくるといい」ニコッ

りう「ホントですか!」キラキラ

りう「それじゃ、行ってきます!」


タッタッタッタッタ・・・


清原「………………」

金剛「HEY, 提督ぅー? どうして“りう”のことをあんな目で見てたんですカー?」


清原「…………あの歳で少将をやっているだけはことはある」


清原「それを今更ながら強く感じたというか、そうならざるを得なかった【未来】の悲惨さがありありと伝わってきたというか…………」

金剛「What's ?」

619: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:13:30.50 ID:1x8KI/b90

あまぎ「そうですよ。あの子は【未来】では立派な少将なんですよ?」

金剛「Oh, どんな感じに? Tell me !」

あまぎ「例えば、【未来】で活躍しているのは自分ぐらいだから物資も優先的に回されている上に【勲章】なんていっぱいもらってますから、」

あまぎ「【勲章】の『一応もらって嬉しいけれど使い道がなければただの安資材引換券でしかないこの微妙さ』とか、」メメタァ

あまぎ「『【勲章】なんて見飽きるぐらいもらい続けても戦況が一向に良くならない虚しさ』とかとか――――――」

金剛「Oh...」

清原「…………大した集中力だ。あれだけ【出撃】を短時間に行ったのに集中力が途切れることがなかった」

あまぎ「当たり前です。あの子は【破滅の未来】の絶望的な作戦の数々を経験して意地でも成功に導いてきましたから、鍛えられてますよ」

あまぎ「緊張状態や極限状態における集中力に関しては【この時代】の有力提督たちにすでに並ぶものがあります」

あまぎ「それに、そもそも敵が圧倒的に弱いですから。【未来】の深海棲艦の恐ろしさを知っていればその程度の敵なんです、本当に」

清原「なるほど……」

金剛「それで、“あまぎ”サン? どうなんですカー? 解決の糸口は見つかったデスカ?」

あまぎ「いえ、この程度の戦果では【破滅の未来】においては大敗北は免れませんね」

あまぎ「私たちがやっていることを戦術的次元から戦略的次元にまで高められなければ、とてもじゃありませんが【未来】は救えません」

清原「………………」

金剛「…………“りう”」

清原「本当に【破滅の未来】を救える可能性はあるのか?」


あまぎ「信じています。そして、それを託された以上『できないことを信じる』ことは許されません」


清原「…………そうだな」

清原「そういえば――――――、各方面への【開発投資】を呼びかけてはいるが、思ったよりも芳しくない」

あまぎ「しかたありませんね。先見性のある人間というものは大抵は気が狂っているように思われるものですから」

清原「そうだな。お前たち【異界艦】と【破滅の未来】からやってきた『自分』の息子のことを信じるような人間に落ちぶれたからな、私は」

あまぎ「努力や誠意は決して裏切りません。人が見ていなくても皇国の大神たちはよく存じておりますから」

あまぎ「幕末の志士たちの若さと情熱を思い出してください。大楠公や諸葛孔明、聖徳太子の忠義を今一度 思い出してみてください」

清原「――――――“あまぎ”に対しては本当に『そうだな』としか言えないよ。口癖になりそうだな」フフッ



結果として、『司令部』に所属する4提督たちはそれぞれの強みを活かして余裕で秋イベントの攻略に成功するのであった。

今回のイベントが『司令部』結成以来 初めてのイベント攻略となったのだが、全員が特に障害を感じることなく攻略に成功したのであった。

以下は、秋イベントの攻略が終わってからの各鎮守府における今回の感想を踏まえた短編集となる。


620: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:14:04.38 ID:1x8KI/b90

1,重巡:プリンツ・オイゲン

――――――拓自鎮守府


オイゲン「ビスマルク姉さま~!」スリスリ

ビスマルク「何、オイゲン?」ニコニコ

朗利「プリンツ・オイゲン、カワイイヤッター!(ロリ戦艦:クレマンソーに引き続き、ロリ重巡とは公式もやるじゃないかあああ!)」メメタア

愛月「ロリ重巡 最高ー! プリケツ・オイゲンたん、萌えー!(これはビスマルク×オイゲンが捗りますわー!)」ブヒィイイ!

長門「いいなー」

ビスマルク「あら、長門じゃない。どうしたの、そんな羨ましそうな目で見て?」ニヤリ

オイゲン「姉さま~」スリスリ

長門「くそっ!(私だってあんな風に慕ってくれるカワイイ後輩が欲しいぃ!)」ウルウル

ビスマルク「あっはっはっはっは! 何か良い気分ね~! 『あの長門に勝てた』って思うと!」ニヤニヤ

オイゲン「あれ? 確かあの人は長門さん…だったっけ? それにそう言えば、あのカワイイ軽巡もどこかで会ったような…………」



621: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:14:43.10 ID:1x8KI/b90


ガチャ・・・、ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!


酒匂「あれれ~? 酒匂、変なところに来ちゃった~?」

ドレッドノート「おや? 今日もまた私のところで淑女の嗜みを学ぼうと新しい艦娘がやってきたようだねぇ」

ルイージ「そうですね」ニコニコ

ドレッドノート「それじゃ、金剛さん?」

酒匂「わ~、外人さんがいっぱ~い!」

金剛「Oh, 酒匂ちゃんネー! さあさあ Please Sit HERE」(ウェイター姿) ――――――イスを引いて手招きする。

酒匂「あ、はい!」

金剛「それでは、Lady ? ドレッドノート様や比叡を手本にして楽しくTea Break していってネー!」ニッコリ

酒匂「わかりました~(何かよくわからないけど、みんなでお茶してお菓子 食べてるようだし、酒匂もいただいちゃお~!)」

ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!

酒匂「…………えと、周りの人と同じようにすればいいのかな?」キョロキョロ

酒匂「よ~し」ジー

比叡「…………あれ、どうしてあの娘は私のことばかりを見てるのかな~?(ひ、ひえええええええ!)」アセアセ

暁「これが正しい紅茶の飲み方ってやつね」ドヤア

響「それ、たぶん微妙に間違ってないかな? さっき入ってきた娘が間違って覚えるかもしれないからちゃんと確かめておこう」

Z1「美味しいね、マックス」

Z3「そうね。これならイギリス人がヒステリックに紅茶を求めるのもわかるような気がするわ」

ドレッドノート「それで、ルイージさん。どこまで話したかしら? ああ 昔の戦艦は【衝角】をつけてそこからの接近戦や白兵戦で――――――」

ルイージ「はい!」キラキラ

酒匂「…………誰もお菓子を食べてないの(とりあえず、紅茶が美味しいです。でも、どうやってお菓子を食べれば――――――あ)」


クレマンソー「………………」パクパク 物静かに目の前にあるお菓子をゆっくり少しずつ食べている


酒匂「…………こう食べればいいのかな?」パクッ

酒匂「!」

酒匂「ぴゃあああ美味しい!」キラキラ

金剛「酒匂ちゃん、Be Quiet. Ladyは貞淑にして周りの方たちがSurpriseしない程度の声の大きさでお願いシマース」シー

酒匂「あ、ごめんなさい……」シュン

酒匂「………………」チラッ

クレマンソー「…………お腹いっぱいです。もう許してください、比叡お姉さま」ウッ ← あまりにも制服が粗末すぎたので他の艦娘の私服のお下がりを着ている

比叡「あ、ダメですよ、クレマンソーちゃん。ちゃんと食べて 食べて。まだ1人前の半分も食べ切ってないよ?」

クレマンソー「清霜ちゃんや時津風ちゃん、X:赤城さんにあげちゃダメですか?」

比叡「ダメです! 清霜ちゃんたちはいいとして、【派遣】の方には園長が直接 差し入れをしているので――――――」アセアセ

酒匂「…………『クレマンソー』って言うんだ~、あのカワイイ子(何だろう? 初めて会った気がしないっていうのかな~? 何だろう、この気持ち?)」



622: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:15:12.76 ID:1x8KI/b90

――――――趣里鎮守府


オイゲン「ビスマルク姉さま~」トボトボ・・・

石田「いませんよ」(真顔) ←【建造】運が最低クラスの人

オイゲン「そ、そんな~!?」ガビーン

石田「ま、まあ……、ビスマルクは【艦これ】で初めての改三であると同時に【戦艦】で【雷装】を得た貴重な存在だ」メメタア

石田「私としても戦艦:ビスマルクを得ることを急務と考えている」

石田「――――――そう言えば、こういう時に使えそうな装備があったな」

オイゲン「え」

石田「ちょっと待っててください。渡したいものがあるのでそれを持って左近提督のところに行ってください」

オイゲン「あ、はい」

石田「(ビスマルクは出づらい上に今まで【改装設計図】を使うのに見合わない性能だったから敬遠していたが、)」メメタア

石田「(一方で、この重巡:プリンツ・オイゲンはこれまでの【海外艦】と打って変わって優秀な部類に入る艦娘だ)」メメタア

石田「(なら、新たに戦力の底上げがなされたビスマルクと一緒に運用してやるのも悪くない、か)」

石田「(それにしても【FuMOS25レーダー】――――――なんて代物なんだ!)」

石田「(しかし、レーダー技術で言えば当時 イギリスが最も優れており、その恩恵でバトル・オブ・ブリテンやU-ボートの掃討で優位に立ったのだ)」

石田「(これを上回るレーダーは必ずや追加される! その先のバランス調整はどうなるというのだ?)」メメタア


【慰労品/万国旗】  ――――――第4話より久々に登場!
【海外艦】あるいは【同型艦無し】の艦娘を【秘書艦】にして装備させた場合、
1.【遠征】の成功確率が上昇する
2.【建造】または【大型艦建造】すると、【海外艦】あるいは【同型艦無し】の艦娘が【建造】されやすくなる



623: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:15:42.45 ID:1x8KI/b90

2,駆逐艦:秋月

――――――斎庭鎮守府


剛田「なんだと!? こいつも――――――」

金本「…………仲間が増えたか」

秋月「長10cm砲ちゃん、あんまり暴れないでぇ!」

金本「ほれほれ」ウリャウリャ

長10cm砲ちゃん「――――――!」キラキラ

金本「あまりご主人様を困らせるもんじゃないよ、バニー?」

秋月「あ、ありがとうございます、提督」

長10cm砲ちゃん「――――――」スリスリ

金本「どうもこういったのに好かれやすいようだな、俺は」ヤレヤレ

剛田「そうだな」ナデナデ

秋月「お二方、手慣れてますね」

剛田「そりゃあ、なあ?」チラッ

金本「ああ。こいつの何倍も大きいやつの扱いに慣れてたらな?」

秋月「?」



624: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:16:40.13 ID:1x8KI/b90


剛田「で、――――――どう評価する?」

金本「【突撃部隊】に入れても悪くない支援能力だな。防空駆逐艦の名の通りの抜群の【対空】だ」メメタア

金本「ただ【雷装】がぶっちぎりで低いから、こいつはもう武装艦である意味すらないんだがな。しかも33ktのウスノロ艦だし」メメタア

剛田「まあ、手軽に艦船を撃沈できる魚雷が発達したからこその【駆逐艦】なのに、【雷装】が低かったらもう【駆逐艦】ではなくなるわな」

金本「言うなれば『中途半端』って意味だ。一応【駆逐艦】だから雷撃戦には参加できるが、それだけだな」メメタア

剛田「そうだな。建造の経緯を見ても、本来なら純粋な防空艦になる予定が軍令部が駄々をこねて魚雷をつけちゃったからなぁ……」

剛田「中途半端な大艦巨砲主義および艦隊決戦主義が蔓延していた結果がこれだよ」

金本「その点、【特務艦】だったら、【駆逐艦】以下の性能でありながら数々のサポート能力で大活躍なのによ」メメタア

金本「意味がわからねえよな! ハワイやマレー沖での大胆な航空機戦術を採用したくせにな」

剛田「そういえば、“最後の海軍大将”井上成美は最初から太平洋戦争での展開を予見してほとんど的中させていたらしいな」

剛田「戦艦は全て捨てて航空機および潜水艦を重点的に配置するようにして、更にはドイツ・イタリア 枢軸国との同盟にも断固反対で、」

剛田「そもそも、アメリカとは終始 不戦論で、終戦にも尽力していたってな」

金本「そして、自分が戦術家ではなく戦略家や軍政家であることを弁えて、教育や軍政に力を注いでいたわけだな」

剛田「しかし、何かと井上成美と縁がある艦娘が入ってきたもんだな。座乗艦の練習艦:鹿島といい」

剛田「結局、海軍左派の米内、井上、山本五十六の3人が冷静に分析したとおりに皇国は敗戦したわけだ」

剛田「“海軍の東と名のつく男”は確かに英雄ではあったが、井上さんのように潔く身を引いて欲しかったかな、――――――晩節を汚した老害め」

剛田「そして、“陸軍の東と名のつく男”は、――――――本当に最悪だよ! 万死に値する! 徹底抗戦して陛下をどうするつもりだった?」ギリッ

金本「ま、結果はどうであれ、良くも悪くも今に繋がる皇国を生み出してくれたお偉方なんだし、あの世できっちり裁かれているはずさ」

剛田「俺もお前もそんな“東と名のつく男”たちのようにはならないように己の天分を弁えて生きていこうぜ」

金本「…………そうだな」


剛田「言ったからな? 井上先生の教え子である鹿島先生にみっちり再教育を施してもらって退き際を弁えられるようになれよ」


剛田「そんで、陸海合作第一号を成功させて、そこからは流れに乗ってまかせていけばいいんだ」

剛田「これ以上 お前は何を求める? 資源王にもなって男の甲斐性で数多くの艦娘を満足させて、更には深海棲艦を狩るようにもなって――――――」

金本「………………」

剛田「お前の飽くなき野心はそろそろここいらできっちりと打ち止めにさせてもらうぜ」

金本「お前もな。戦場から身を引くのなら命があるうちにな」

男共「フッ」


625: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:17:08.89 ID:1x8KI/b90

――――――洞庭鎮守府


りう「これが【この世界】の防空駆逐艦か」

りう「…………強い、のか?」

りう「いやいや、こんなにも中途半端なものはない!」

りう「ミッドウェー敗戦後に【航空戦艦】ができちゃうような切羽詰まった状況の中での防空艦だったんだろうけど、」

りう「やっぱりアホだろう。井上成美とかの海軍大将だって航空機の時代の到来を戦前あれだけ警告していたってのに…………」

りう「なんで前もって防空巡洋艦を造らなかったんだ? 防空駆逐艦 程度であんな数の航空機を捌ききれるわけがない」

りう「まあ 言っててもしかたがない。オレに今 大切なのは【現在】の【艦これ】の戦力の増強であり、練成なんだから」メメタア

りう「とりあえず、この性能で【この世界】随一の対空性能らしいから、軽巡:五十鈴、重巡:摩耶あたりと組ませておくか」

りう「でも、性能はともかく、――――――いい子だなぁ。『大丈夫』って言葉の調べが好きだなぁ」ニコニコ


りう「こう言ってくれる子がたくさんいてくれたら【未来】はずっと明るかったんだろうなぁ…………一緒に来てくれるだろうか?」


りう「それにしても、この秋イベントになってようやく【対空カットイン】が実装されたんだ」メメタア

りう「【オレが提督になった頃】には軍艦3すくみがまともに機能しなくなっていた頃だけど、」

りう「【対空カットイン】は制空権確保が難しい場合で最も重要な要素だから、艦隊を空母から守る時には必須の戦術だった」メメタア

りう「なんか【この時代】っていうか、この【γ世界線】の人たちって、やたら制空権を気にするよね」メメタア

りう「やっぱり、防空艦が発達しなかったせいで『空中戦で殺られる前に殺れ』みたいなのがあったのかな?」

りう「【艦これ】的に言えば、確かに制空権の確保ができなければ【昼戦特殊攻撃】が発動できない点で打撃力が減るけれど――――――ああ?!」メメタア


りう「やっぱり根本的な考え方が違うんだ!」


りう「【オレたちの世界】だと――――――、」

りう「まず主力艦と補助艦に役割をわけて、補助艦で全体が受けるダメージを減らして主力艦は一撃あたりの与えるダメージを増やす編成が普通……」メメタア

りう「けど【ここ】だと、まるで1つの軍艦にあらゆる機能の搭載を目指している感じがする! 器用貧乏を地で行く発想じゃないか!」

りう「そう、特に顕著なのは空母だけで航空機による被害を減らそうという運用! 艦隊全体の対空能力が高ければ別にどうってことはないのに」

りう「だから、空母の規模が膨れ上がって空母1強の世界観になるのか」

りう「…………敗けるわけだ、くぅ」

りう「(戦争の有利は常に兵力の差で現れるものだから、より小型で強力な兵器を大量投入できるほうが圧勝するのが道理)」

りう「(そして、対空能力さえ上がれば対処できる空母よりも、水面下からの雷撃を防ぐ手立てがないからこそ潜水艦が一番怖いんだよなぁ……)」

りう「(潜水艦を安全に対処するには航空機からの一方的な雷撃じゃないと被害が出続けるわけだから、軍艦3すくみができあがったわけなんだけど)」

りう「(――――――ホント、【この世界】での戦争末期の凄惨さと大本営のクズっぷりには反吐が出そう。同じ皇国とは思えない差だよ)」

りう「(けれど、今度は【オレの時代】でそれが再現されようとしている。どうすればいいんだ……?)」

りう「…………ああ 皇国の大神たちよ。守りたまえ 幸はえたまえ、我が行く末を照らしたまえ」ブルブル



626: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:17:36.04 ID:1x8KI/b90

3,11月20日

――――――斎庭鎮守府


剛田「まさか、本当にその通りになるとは思わなんだ…………」

金本「ああ……今日が誕生日か。粋な計らいだな」

扶桑「おめでとう、山城」


山城改二「はい! ありがとうございます、姉さま、みなさん。改二になったからにはもう欠陥戦艦なんて言わせない」ビシッ


剛田「おそろいだな」

金本「さて、【近代化改修】の餌をとってこようか」

剛田「そうだな。たぶん、扶桑改二の【火力】が長門型に匹敵するんだからそれぐらいまで伸びるはずだ」メメタア

剛田「あ、そうだ。山城が持ってきた【41cm砲】――――――、また【陸軍】に【投資】してくれると嬉しいな~」チラッチラッ

金本「わかったわかった。ちゃんと【投資】するから焦んなよ」

剛田「しかし、これで【トーチカ】を着るのに相応しい攻撃型の【航空戦艦】改二が2隻になったな」

剛田「【トーチカ】は【最終防衛部隊】の要だ。押し寄せる敵を確実に撃破するための【火力】が大前提だ」

剛田「伊勢型航空戦艦は生存力で上回るが、抜かれたら最後の【最終防衛部隊】には相応しくない性能なのは否定できない」

剛田「であるからして、【トーチカ】には生存力よりも高い迎撃力による積極的な排除による安全確保のほうが向いている」

剛田「それに、【トーチカ】の防御性能は並みの攻撃では小破に追い込むことすら難しいものだしな。なにせ魚雷が効かないから」

剛田「そんなわけだから、回避力なんてどの艦娘が着ても誤差の範囲内だ」

剛田「問題なのはどのタイミングに投入するかだ。【トーチカ】の修理・補給は【前線補給】の応急処置でしかできないからな……」

金本「装備の充実はいいが、戦術・戦略の方は大丈夫なのか?」

剛田「……難しいかな」

剛田「離島の防衛と言ったら、あらゆる方面からくる無数の深海棲艦の群れをひたすら倒し続けないといけないものだから」

剛田「シミュレーションだと、やはり各方面への戦力の分散で【最終防衛部隊】が敗走してしまう……」

剛田「有限の我が軍と無限に等しい敵軍との差が激しい。効率的に敵を誘い込んで各個撃破できる方策がまだ見つからないんだ」

金本「大量の機雷を敷設するにしてもそれは一度切りだし、割に合わないしな」

金本「何か敵勢をせめて2方向ぐらいに絞りこませることができないものか……」

剛田「あるいは、他の艦隊に応援を頼むかだな。その場合はその分だけ基地の維持費や指揮系統の乱れが生じる。『船頭 多くして、船 山に登る』だ」

剛田「まあ、焦らずにやろう。まだ誰もやったことがないんだから、それだけしっかりと考えられる時間が与えられてもいるんだ」

金本「そうだな。課題となる問題点が見つかってそれを克服するために戦時中はあれだけの発明が生まれてきたんだ」

金本「戦争の功罪のうちの光明面だけを活かし抜いて俺たちは海へ出よう」

剛田「ああ。――――――勝利をこの手に!」



627: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:18:06.12 ID:1x8KI/b90

4,駆逐艦たち

――――――拓自鎮守府


朗利「掘れ掘れぇ~!」ウハウハ

愛月「今日も元気に駆逐艦を掘りましょうね~」ニコニコ

長門「むぅっはははははは!」ドヤア


変 共「まったく、駆逐艦は最高だぜ!!」


朗利「天国じゃ天国じゃ~!」アヒャヒャヒャヒャ

愛月「“ツチノコ”ゲットぉー! 朝雲も天津風もみぃんなみんなゲットぉー!」ジュルリ

長門「提督! ドックが足りない! これ以上は駆逐艦たちが入りきらないぞ!」

朗利「わかったー!(あ、財布の中にお札が1枚しかない――――――)」


朗利「さらば 諭吉ぃいいい!」 ――――――【母港拡張】×10が施されました。


長門「さすがだ、提督!」

朗利「…………フゥ」

朗利「さてさて、これで思い残すことはないのかもしれないな」スッ

長門「……提督?」

愛月「お、いよいよですか、司令官!」

朗利「うん。決めた」


――――――それじゃ俺もそろそろケッコンしよっか~、雷と。


長門「…………!」

愛月「おめでとうございます、司令官! 祝宴はいつにします? ――――――あ、クリスマスや年末なんかどうです?」

朗利「ああ 悪いけど、愛月提督もケッコンするんだったら自費でまかなってね」メメタァ ← 1つのアカウントで2人で仲良くプレイしているので

愛月「はい! それぐらい自分で用意いたします! すでに【書類一式&指輪】の準備はできています!」

朗利「さすがだな」

愛月「いやぁー、それほどでもー」テレテレ

長門「ははは……(そうか。ついに我らが提督もケッコンなさるのか。わかってはいたことだが、少し――――――)」

長門「いや――――――(いいんだ。提督とはこうしてユウジョウで繋がっているのだから)」フフッ

長門「そう言えば……(龍翔ショタ提督は元気にやっているのだろうか? お義父さんとうまくやれているのだろうか? それが気掛かりだな)」



628: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:18:43.39 ID:1x8KI/b90

――――――洞庭鎮守府


長門β「しかし、登場する艦娘は増えていくばかりだが――――――」

清原「そうだな。攻略要員、遠征要員、周回要員――――――それから【近代化改修】の餌も必要となってくるからな」メメタア

清原「だが、どんなに艦娘が増えても自然と取捨選択されていって普通にやっていれば100隻もドックは埋まらないはずなんだが……」メメタア

あまぎ「たいていの二次創作の中で登場する鎮守府司令官は大層 熱心なコレクターであることが普通ですから」メメタア

清原「ん、そうなのか?」← 無課金プレイヤー

あまぎ「そうなんですよ」

清原「――――――『コレクター』か」

清原「身近なコレクターとして有名なのは朗利提督だが、あれは駆逐艦に絞っているから【母校拡張】するほど切羽詰まるようには思えないが……」

あまぎ「そうでもないみたいですよ。どうも拓自鎮守府には見慣れない艦娘がたくさんいることでそこの憲兵たちが噂してますから」

清原「…………そうなのか」

長門β「――――――『見慣れない艦娘』か」

清原「あとは、石田…元提督もあらゆる艦娘を一通りは育てていたな。あれはもう【母校拡張】してないと運営が成り立たない規模で壮観だったな」

清原「そう言えば――――――、だ」

清原「最近“りう”のやつは新着艦の秋月に対して他の娘には向けないような感情があったように見えたな」メメタァ

清原「何だろう? 秋月のことを気に入ってはいるようなんだが、哀れみや寂しさみたいなものもあるというか、――――――あの眼差しは」

あまぎ「当然ですよ。【こちらの世界】では対空艦の活用は当たり前で、性能も秋月と比べたら断然いいですから」

あまぎ「でも、そういうことじゃないっていうのは鈍感な提督でもよく理解できているようで」クスッ

清原「…………やっぱり【限りなく近くて遠い故郷】のことを思い出してしまうところがあるのか? 秋月を見ていると?」

あまぎ「はい。秋月が口癖のように言い続ける、艦娘からの『大丈夫』の言葉が【ここ】に来る以前の“あの子”が一番欲しがっていた言葉でしたから」

長門β「……そうか。“あの子”もまた“象徴”として私と同じ宿業を背負わされているのだな」


一同「………………」


清原「【β世界線】の駆逐艦ってどんな感じなんだ?」

長門β「む? ああ それは――――――、」

長門β「基本的にはロンドン海軍軍縮条約に参加しなかっただけで西暦1920年代の艦船のものなら違いはあまりないな」

長門β「ただ、ワシントン海軍軍縮条約による海軍の休日で、私以外の八八艦隊が廃艦あるいは航空母艦への転用によって存在しなくなったことから、」

長門β「規制対象ではなかった航空母艦や潜水艦への本格運用に目が向くようにはなったな。――――――そこが大きな違いか」

あまぎ「過程は違えども、どの世界でも航空機や潜水艦の発達によって大艦巨砲主義と艦隊決戦主義が廃れていったわけですね」

清原「なるほどな」

長門β「最終的に大東亜戦争に勝利した時だと潜水艦と空母が主力であり、私をはじめとする大艦巨砲主義時代の遺物は全部 囮部隊だったな」

長門β「その中で駆逐艦の役割とは、撃沈した敵艦の乗員の抹殺および捕縛に当てられていたから違う意味でDestroyerだった」

長門β「よって、性能はともかく練度や士気においては【この世界:γ世界線】の駆逐艦たちには格段に劣るだろうな」

長門β「そういうわけで、【駆逐艦】の強さで言ったら【この世界】が最強なんだと思っている。驚くほど駆逐艦の士気が高くて驚いたぐらいだ」

清原「嬉しいような、嬉しくないような…………(ドイツの列車砲の開発と同じぐらい艦隊型駆逐艦の運用が皮肉られてる結果だよな)」

あまぎ「けれども、【破滅の未来】においては同じ駆逐艦同士の戦いならば圧倒的優位に戦いを進められるので、ぜひとも持ち帰りたいですね」

清原「…………何が長所で何が短所になるかわからないものだな」


――――――これが『結果は同じでも過程におけるわずかな違いが結実した差』というやつか。


629: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:19:26.90 ID:1x8KI/b90

5,秋イベント終了:12月1日

――――――洞庭鎮守府


x:古鷹改二「やったね! 念願の改二です!」


りう「おめでとう!」パチパチパチ・・・

清原「強くなったもんだな、重巡も。“軽巡以下”とされていた頃が懐かしいな」メメタア

清原「(基本的に“りう”の艦隊運用はさすが【未来】から来ただけあって極めて合理的でかつ洗練された役割分担が徹底してあり、)」

清原「(【この世界】の燃費の良い艦娘で迅速に資源を貯めた後は、連れてきたご自慢の【異界艦】の圧倒的な性能で蹴散らす豪快な戦いっぷりである)」

清原「(あれで自重した戦果だと言うのだから、いかに【破滅の未来】がパワーインフレしているかが窺い知れる……)」

清原「(また、【破滅の未来】から来た“りう”からすれば【この時代】の艦娘はみんなイキイキしていてどれも魅力的に感じるらしく、)」

清原「(どんなに口が悪く ガラの悪い 勤務態度も不まじめな艦娘が相手でも抜群の包容力と人懐っこさで会った瞬間に信頼関係を結べてしまえるのだ)」

清原「(――――――『『我』が息子ながら末恐ろしい』と感嘆と賞賛の声が漏れてしまいそうである)」

清原「(あくまでも『私』の子でしかないのだが、私としてもこんな素敵な子が自分の息子になるのなら少しばかり嬉しいものがある……)」

清原「(何と言うのか、制服を脱いで一時的に提督じゃなくなった時にはっきりわかったことなのだが――――――、)」

清原「(親と同じ道を歩み始めた我が子が自分以上の才覚を発揮していることが言いようもなく嬉しいというか、喜ばしいというか――――――)」

清原「(けれど、『自分と同じ軍人の道には進んでは欲しくなかった』と思うところもある。“平和で豊かな時代”の中で一生を終えて欲しかった……)」

清原「(そのために、軍人は平和を求めて戦い続けているのだから…………)」

清原「(しかし、やはり『私』と私が似て非なる存在である以上は、客観的に見て やはり他人でしかなく、従ってあの子も結局は他人の子でしかない)」

清原「(――――――これは実に単純なこと)」

清原「(たとえば、我が鎮守府では金剛姉妹を主力にして使っているが――――――、)」

清原「(斎庭鎮守府の榛名と我が鎮守府の榛名は全く違った個性や顔を覗かせるようになっており、同一の存在が全く違う別の個体のように適応している)」

清原「(また、拓自鎮守府の比叡は我が鎮守府の比叡が作るカレーは作れない代わりに、“みんなのカレー”を作ることができている)」

清原「(更に、趣里鎮守府の霧島は単純に【火力】が長門以上という理由で石田提督に抜擢されており、姉妹艦だから使っていただけの我が鎮守府とは違う)」

清原「(そして 何よりも、――――――“今の金剛”と“前の金剛”とでは何もかもが違い過ぎる)」

清原「(あなたは果たして、他人が育てたあなたのお気に入りの艦娘と同じ艦娘を譲り受けた時に同じ扱いができるだろうか?)」

清原「(私はデータだけの存在じゃない人間だからこそ、自分が得たものを大切にしたいと思っているが、あなたはそれについてどう思うだろう?)」

清原「(確かに“あの子”との距離感は少しばかり縮まってはいるが、“実の息子”というよりは“甥っ子”の面倒を見ているような感じで何かが違うのだ)」

清原「(たぶん、今 私が感じていることは“戦後”になってから誰もが体験することになると思う)」

清原「(だから、【ここ】とは似て非なる【異界】からの来訪者たちだけではなく――――――、)」

清原「(同じ姿で、同じ声で、同じ立居振舞をするのが不特定多数 同時に存在しうる【艦娘】という人に極めて近い存在――――――)」

清原「(そんな、時代が生んだ、生まれながらにしての生ける兵器たちとの真の共存関係の模索はまだまだ始まったばかりなのだ……)」



630: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:20:21.30 ID:1x8KI/b90


【この世界:γ世界線】――――――公式で実装してもらいたい艦娘リスト

河内型戦艦:河内、摂津
峯風型駆逐艦6番艦:矢風
神風型駆逐艦:神風
松型駆逐艦:松
雲龍型航空母艦:天城、葛城
大和型戦艦3番艦:信濃(→ 航空母艦:信濃“出落ち”)
迅鯨型潜水母艦:迅鯨、長鯨
陸軍特殊船:神州丸、摂津丸、熊野丸

潜水艦、潜水艦、潜水艦、潜水艦、潜水艦、潜水艦:駆逐艦が観賞用になるぐらい余るのに潜水艦隊が固定メンバーで酷使される状況をどうにかして!


――――――というか、駆逐艦と潜水艦が当然のように多いので全てを実装するのは不可能だろうということはよく理解しているつもりではある。
しかし、それでも実装すべき優先順位というものがあるような気がしないでもない。
【海外艦】は毎回 小型艦を1,2隻ずつコンスタントに出して、ある時に大物をバァーと出すやり方でいってほしいものである。


※公式の発言で超大和型戦艦を出すつもりらしいことが確認されている



631: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:21:05.03 ID:1x8KI/b90

余談 プレゼンターが考える艦娘の登場範囲

0,前提としてはワシントン海軍軍縮条約前後から健在のものから登場
→ つまり、第一次世界大戦以前の艦船は登場させないほうが無難ということ(艦種の識別が面倒であるし、第一 戦力としてあてにならない)
→ それでも登場させたいのならNPCとして戦闘面以外で存在感を出すように工夫すればいい
例)PC:ドレッドノート、グラーフ・ツェッペリン、摂津、神風 NPC:三笠、イクティオネ

1,【戦艦】は弩級戦艦以降のものから登場
それ以前のものを前弩級戦艦というのだが、斉射の概念がなく衝角による接近戦で敵艦と肉薄する戦いしかできないので弩級戦艦からすれば格好の的である。
日本で大変人気の戦艦:三笠もまた当時は最新鋭艦だったが所詮は前弩級戦艦なので戦力にしようがなく、あくまでNPCで象徴として登場させるのがベストだろう。
別に三笠は戦力にならないだけで、艦娘化させることにプレゼンターは反対という意味ではないので、キャラゲーであることを活かして非戦闘キャラに据えるべし。

2,【巡洋艦】は【条約型巡洋艦】と【巡洋戦艦】だけに限定
元々【巡洋艦】と言えば第一次世界大戦までは【軽装甲巡洋艦】と【巡洋戦艦】の2系統に分かれていたのだが、
【軽装甲巡洋艦】が発展していって【条約型巡洋艦】を経て【軽巡洋艦】と【重巡洋艦】に分岐していった経緯があり、
はっきり言って【軽装甲巡洋艦】と【軽巡洋艦】が同じ【軽巡】として紛らわしいし、性能も【軽巡洋艦】の方が上なのであえて登場させる意味はないだろう。

3,戦後の艦船はご自由に(ゲームバランスが崩壊してもいいから浪漫性能を求めたい方の匙加減次第)
ただし、大艦巨砲主義や艦隊決戦の火薬臭い興奮が味わえないし、時代のニーズが全く違うので逆にその高性能ぶりを活かせなくなる場合がある。
なぜに【艦隊これくしょん】がここまで人気――――――その元となる軍艦が人気だったのかを考えると、スペックや見てくれも当然の要素だが、
その艦歴に感情移入できるだけのドラマがあったからであり、戦争での華々しい活躍も悲劇的な最期もまた人々の心を惹きつけるものがあったからなのだから。
ただ、戦争という舞台の中でしか注目されない・ドラマ性のない・歴史性のない存在であることの裏返しとも言えるので――――――、

そのことだけをちょっとだけ心に留めて欲しいというのがプレゼンターからの本文を読んでくださっている読者へのお願いである。



632: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:22:24.63 ID:1x8KI/b90

第7話Z 到来 -アドベント-

――――――11月の末頃


ここ 拓自鎮守府では今回になって初めて参加したイベントマップ:2014年 秋【発動! 渾作戦】を大成功に収め、

イベント掘りによって愛すべき駆逐艦たちが大量に参入したのでまさに有頂天であったのだが、

その一方でこれまでにない充実感をよそに、艦隊司令官としてとある大きな問題に直面し、その対処に苦慮しているのだった。


朗利「よし、プレゼントも鍵も錠も揃ってるな?」

ビスマルク「ええ」

長門「何を作っているのだ、二人して?(初めて参加した秋イベントも大成功に終わってあらかた駆逐艦も集まって私の天国も拡がっていく……)」


ビスマルク「アドベントカレンダーよ」


長門「?」

朗利「なんでも、ドイツでは12月25日のクリスマスを迎えるのにこうやって24のポケットがあるツリー型のチェストにちょっとしたものを入れて、」

朗利「1日毎にそのポケットの中身を1つずつ子供にあげるって習慣があるらしいぜ?」

朗利「中身はお菓子だったり、イラストだったりとか、――――――ほんとにちょっとしたぁいろいろな?」

長門「ほう……」

朗利「12月1日の朝にその前日の11月31日の俺的MVPの娘にポケットの中身を進呈していくって感じに、」

朗利「12月になったら1日から24日まで毎日1人ずつちょっとしたご褒美をやることにしたから」

朗利「それで 師走に向けて用意してるってわけ。あとは、今日中にプレゼントを全部入れて鍵を掛けるだけだ」

長門「具体的には、どんな中身が入っているのだ?」

朗利「俺のところのスイーツ券だとか間宮の食券だとかね――――――あ、他にもいろいろあるけどこれ以上は言えません」

朗利「もしかしたらお前がMVPになるかもしれないし、そうなったら贈呈品の中身を見る楽しみがなくなるからな。期待しとけよ」

長門「それはいいなぁ……」ゴクリ

ビスマルク「…………アドミラール? 私をMVPに選んでも別にいいのよ?」モジモジ

朗利「う~ん、ビスマルクはこの企画を提案してくれたし、こうやってアドベントカレンダーを作るのも手伝ってくれたしなぁ……」

朗利「――――――考えとく」

ビスマルク「そ、そう。――――――いいのよ、毎日MVPに選んでくれても」チラッ

633: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:22:56.29 ID:1x8KI/b90

朗利「そうそう、アドベントカレンダーが終わった翌日――――――、」

ビスマルク「………………ムゥ」

朗利「つまり、12月25日のクリスマスこそが本命で、スーパーでビッグなプレゼントをみんなに用意しているからな」

朗利「アドベントカレンダーと違うのは、アドベントカレンダーの中身がちょっと高級感やお得感があるって感じなんだけど、」

朗利「この鎮守府のみんなのために準備しているクリスマスプレゼントはとにかく、――――――すごいんだ!」

ビスマルク「へえ、それは楽しみね」ワクワク

長門「ほほう……!」ドキドキ

朗利「どういうわけか、俺のところには【海外艦】がいっぱい集まってることだし、今年はクリスマスパーティでも盛大にやろうと思ってな」

長門「これが、クリスマスか。ふうん……そうか」ドキドキ

長門「クリスマス、クリスマスか。うん!」ウキウキ


クレマンソー「今、何て…………『クレマンソー』『クルシミマス』?」ドヨーン


長門「!?」ゾクッ

朗利「クレマンソー! なんてことを言うんだ!?」

クレマンソー「クリスマスなんて嫌い。今年も寒空の下でサンタクロースの代わりに爆撃機が死というプレゼントを贈ってくるんだ……」ブルブル

クレマンソー「いやぁ……! 私は捨てられた子だからサンタクロースは来ないんだ、きっと……」グスン

ビスマルク「だ、大丈夫よ。ここは日本なのよ? それにあなたを苦しめるものは何もないから……」アセアセ

朗利「そ、そうだぞ、クレマンソー! クリスマスの日になったらプレゼントの他に温かいごちそうをたくさん用意してやるからな?」ウルウル

長門「そうなのか。それは楽しみだな」ジュルリ・・・

朗利「――――――空気読め、この“ながもん”! お前、1週間おやつ抜きな!」イラッ

長門「なっ!?」ガビーン!

クレマンソー「いいんです、提督。私なんかにはパン1切れとスープ1杯で十分ですから……」ポタポタ・・・

朗利「そんなこと言うなよ! これからたくさん食べて立派な戦艦になるんだよぉ……!」

ビスマルク「そうよ! 私たちがついてるから! 私も航空機は苦手よ……。そう、あの忌々しい複葉機めぇ…………」

長門「え、えと……、わ、私もだ! 私も航空機からの爆弾は苦手でな……?」アセアセ

クレマンソー「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」シクシク・・・

朗利「いいんだよ、クレマンソー……!」ナデナデ

朗利「(うん。フランスが誇るリシュリュー級戦艦なのに、その実態が駆逐艦以下の戦闘力で雷装もない有り様……!)」

朗利「(本当にパン1切れとスープ1杯で腹が満たされてしまうぐらいのか細い身体…………!)」

朗利「(最初は【艦これ】初のロリ戦艦だと狂喜乱舞したのに、あまりにもかわいそうな娘でぇ…………)」メメタァ

634: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:24:23.40 ID:1x8KI/b90

ルイージ「提督!」

ドレッドノート「おや、またクレマンソーが泣いてるのかい?」

朗利「あ、女王陛下にルイージ……」

ルイージ「う~ん、これは【改装設計図】を使って早めにリシュリュー級改良3番艦にしてあげないとね」メメタァ

朗利「それはそうなんだが…………」チラッ

ビスマルク「……アドミラール?」


――――――現在、我が鎮守府は慢性的な【改装設計図】の供給不足に悩まされている!


朗利「(【改装設計図】を使いたい艦娘は、利根改、筑摩改、ビスマルク改二、クレマンソー!)」メメタァ

朗利「(そして、4つで【改装設計図】1枚の引換券である【勲章】は月に3つしか手に入らない!)」メメタァ

朗利「(鎮守府海域、南西諸島海域、北方海域のEOマップは攻略して【勲章】を定期的に得るようになったが、)」メメタァ

朗利「(まだ俺の鎮守府は最後の南方海域の攻略が進んでいない――――――というか、ほとんどが【ゲージ破壊】って、おい!)」メメタァ

朗利「(せっかく秋イベントを完全制覇して【改装設計図】分の【勲章】と12月の3つでちゃんと3人分が間に合う計算でいたのに、)」メメタァ

朗利「(未確認の【海外艦】なんて想定の範囲外だったから、計算が合わなくなって――――――なんてこった!)」メメタア

朗利「(まず、利根と筑摩なら利根のやつに渡すのがいいだろうな。それでビスマルクかクレマンソーに…………いや こうじゃない!)」

朗利「…………これまでの怠惰な運営のツケが出てきたな」ウーム

ビスマルク「あ」

ビスマルク「き、気にしなくていいのよ、アドミラール…………私は最後でいいから」

朗利「……すまない」

一同「………………」

635: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:24:53.63 ID:1x8KI/b90

ドレッドノート「直接、その【改装設計図】とやらを得ることはできないのかい?」

朗利「無理ですね。運営が何を考えて利根型航空巡洋艦だけ【改装設計図】を必要とする【改造】にしたのか…………」メメタァ

朗利「この件に関しては前々からわかっていたことなんだ。年末までに利根型の二人のための【勲章】が集まる算段だったのに、」

朗利「―――――― 一番の想定外はあれだ!」


朗利「まさか【改装設計図】をもう1枚要求する【改造】だなんて誰が予想できた!」メメタァ


ビスマルク「………………」

朗利「そりゃまあ、記念すべき初の改三にビスマルクが選ばれたのは俺としても大変嬉しい」メメタァ

朗利「けれど、性能としては改二で長門とすでに並んでいるし、現状でもうまくやれているのに燃費をわざわざ悪化させるわけにもいかない」メメタァ

朗利「だけど、せっかく【海外艦】がこんなにも集まったんだから、パーッと改三にしてあげて『司令部』の連中に自慢もしたい!」

ドレッドノート「しかたないねぇ……」

朗利「…………こまった」ハァ

クレマンソー「いいんです、提督。私は提督と会えただけでも幸せです…………それ以上は何も望みませんから」

朗利「いや、久々のクリスマスなんだぜ!? 軽空母:龍驤とは違って正真正銘の戦艦なんだぜ!」

ドレッドノート「だったら、ドイツの小娘が『最後でいい』と言ってるんだからさっさとやればよかろう。それで終わりだろう?」

朗利「…………それは確かにそうだが」ウジウジ

ドレッドノート「はっきりしないねぇ…………それでウジウジとね!」ジロッ

朗利「…………!?」ビクッ


ドレッドノート「誰に対しても優しくすることしかできないのはただの能無しだよ! やるんならスパッと決めな、この大うつけが!」


朗利「ううっ」ズキーン!

ドレッドノート「結果として そなたの愚痴や癇癪に付き合わされてみんなが不快な気分にさせられるんだよ」

ドレッドノート「まだまだ人を導くには未熟な紳士よな?」

ドレッドノート「やはりそなた、わらわのものに――――――」

ビスマルク「――――――ダメっ!」ビシッ

ドレッドノート「……そなたもそなたで、男を立てるのが下手と見える」ジロッ

ドレッドノート「わらわと同じように、ボウガンを持っているあの駆逐艦の秘書艦をよく見習うことだな」

朗利「だから、大鳳は【駆逐艦】じゃなくて【装甲空母】っていう立派な大型艦――――――」

ドレッドノート「とにもかくも! そなた、これ以上 同じことでグチグチ言うのであれば、その股座の肝っ玉をわらわに差し出せ」ジャキ

朗利「はあ?!(ひぃいいいいいいいい! 俺の股座の象さんをハンティングする気ですか、女王陛下はああああ!?)」ゾゾゾ・・・

長門「お、おい!?」ガタッ

ビスマルク「ちょ、ちょっとっ!?」カア

ルイージ「ドレッドノート様っ!」

ドレッドノート「選ぶことができない小心者には必要なかろう。優しいだけで人の心を乱すだけの男に誰が任せられようか」ジロッ

朗利「……くっ」

ドレッドノート「さて、わらわは疲れた。クレマンソー、わらわに付いて参れ。貞淑なレディの作法の稽古じゃ」スタスタスタ・・・

クレマンソー「う、うん……」

クレマンソー「ごめんなさい、提督…………いつもいつも」トコトコトコ・・・

636: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:25:43.45 ID:1x8KI/b90

朗利「………………」

ルイージ「…………提督? 私たち【海外艦】は国籍が違えども提督の指揮には絶対に従います」

ルイージ「ですから、どんな判断を下そうとも文句は言いません。提督は肩の力を抜いてくださいね」ニコッ

朗利「おお……、ルイージ・トレッリは天使である」(真理)

長門「わ、私もだぞ、提督! 私も提督の采配を信じているのだからな!」

長門「……ほ、誇りに思うがいい!」イジイジ

朗利「わかってる、長門。お前がこの鎮守府のナンバーワンだ」

長門「あっ」ホッ

朗利「それで、――――――ビスマルク?」

ビスマルク「な、何……?」

朗利「さ、アドベントカレンダーを完成させようか」ニコッ

ビスマルク「あ」

ビスマルク「え、ええ! それでみんなに褒めてもらうのよ、提督も私と一緒にね」ニコッ

朗利「そうそう」ニコッ

長門「手伝えることはないか?」

ルイージ「私も」

朗利「そうだな――――――」


大鳳「た、大変です、提督――――――!」タッタッタッタッタ・・・


朗利「………………似たような展開が記憶に新しいが?」

ビスマルク「確か今回の【建造】を担当した【秘書艦】はルイージよね?」

ルイージ「はい」

長門「まさかとは思うが、――――――【イタリア艦】か?」




637: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:26:10.94 ID:1x8KI/b90



インペロ「ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦3番艦:インペロよ! あなたが私の提督ね! 早く服を着せてくれないかしら?」(全裸に近い露出!)



朗利「…………は」

ルイージ「祖国:イタリアの超弩級戦艦ですよ、提督!」

長門「待て、いろいろとツッコミたいところがある……」

ビスマルク「ちょっとあなた! なんでそんな薄着なのよ! というか全裸じゃない!?」

インペロ「う、うるさいわね、冷血ドイツの戦艦!」

インペロ「私は船体や機関がほとんど完成していたのに艤装が半分もできてないところを、」

インペロ「祖国が連合国に休戦した後にトリエステに居合わせたドイツ軍に接収されて艤装を剥がされて爆薬試験に使われた挙句に、」

インペロ「アメリカ軍の空爆で大破して、更には撤収するドイツ軍に爆破着底という扱いなのよ!」

朗利「そうか。クレマンソーと同じ――――――いや、それ以下の扱いを受けてきたのか、哀れな」

ビスマルク「け、けれども! クレマンソーとはまるっきり正反対じゃないの!(――――――主に身体の発育具合が)」チラッ

長門「そ、そうだな(“戦艦ロリっ娘”クレマンソーとは違ってこっちは私やビスマルク以上の豊満な肉付きをして…………)」チラッ

ルイージ「提督」

朗利「そうだな。ともかくこれを着ろ」 バサッ

インペロ「あ」 ――――――朗利提督の上着をもらう。

ビスマルク「――――――!」

朗利「ひとまず落ち着ける場所に移ろうか、インペロ」

インペロ「あ……、はい(――――――提督の上着、暖かい)」

朗利「部屋を用意してくれ。温かい紅茶とお菓子もな」

ルイージ「うん。先に行って待ってますから」タッタッタッタッタ・・・

インペロ「あ、ありがとう……」ドクンドクン

ビスマルク「あ、待って――――――」

朗利「よし、それじゃ――――――」

スタスタスタ・・・・・・

ビスマルク「………………」

長門「…………ビスマルクよ」

ビスマルク「何かしら、長門?」ムスッ

長門「あのインペロとかいうやつがほぼ全裸で現れたことに面食らったが、提督は眉一つ――――――」

ビスマルク「――――――言わないで」

長門「………………」

ビスマルク「なによ、私よりもナイスバディな身体を全裸で見ていながら全然――――――」プルプル・・・

ビスマルク「――――――帰る!」ズカズカ

長門「待て、ビスマルク!」パシッ

ビスマルク「放して!」

長門「短気は損気だ! 少しは心をゆとりを持て!」

ビスマルク「………………ムゥ」



638: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:27:27.41 ID:1x8KI/b90


インペロ「あ、美味しい……」ハムハム、ゴクゴク・・・ ――――――とりあえず胸がでかくて着れるものが少ないのでジャージなどの緩い服を着せた。

朗利「どう? 落ち着いた?」ニコッ

インペロ「う、うん」

朗利「そういえば、自己紹介がまだだったな」

朗利「俺はこの鎮守府の司令官の朗利だ。これからよろしく頼むぞ、インペロ」

インペロ「――――――『ローリ』。そう、よろしく」

インペロ「…………朗利か」ポッ

ビスマルク「………………!」イラッ

長門「…………抑えろ」

朗利「あれ? そういえば、『戦艦:インペロ』じゃなくて『標的艦:インペロ』なんだな、お前は?」

インペロ「そうなの。艤装すらないのよ、私って」

朗利「大鳳、【標的艦】ってどういう動きをする艦種なんだ?」

大鳳「確か、斎庭鎮守府の金本提督が艦娘初となる標的艦:大浜の発見と運用データの報告をあげています」

ビスマルク「…………確かにいつもよくやってるわね、大鳳」ジー

639: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:28:08.29 ID:1x8KI/b90

大鳳「報告によると――――――これをご覧ください」ピピッピピッ

朗利「ほうほう。これは名に反して強力な――――――じゃねええええええ!」ガビーン!

ルイージ「…………提督?」ビクッ

朗利「戦艦が囮になっても修理費とそもそもの運用コストがバカにならないだろうがああああ!」メメタア

朗利「おい! お前もまさか【改造】に【改装設計図】を必要としているのか!?」メメタア

インペロ「そうよ? だから、提督に早く私専用の服と艤装を仕立ててもらいたいんだけど、――――――ダメ?」モジモジ ――――――女神の上目遣い!

ビスマルク「――――――上目遣い(もう一度 海に沈めてあげようかしら?)」ボソッ

長門「…………ビスマルク!(我慢だ。忍耐こそ美徳だぞ? 私も提督を受け入れるまでかなり苦労したんだ)」


朗利「ああああああああああああ!」orz


インペロ「!?」ビクッ

ビスマルク「アドミラール!(大変! 久々にひきつけを起こしちゃったあああ!)」アセアセ

長門「て、提督!(くそっ、ビスマルクといい、インペロといい、一番可哀想なクレマンソーのほうがマシとはどういうことだ!?)」アセアセ

ルイージ「提督! こう言うのは難だと思いますけど、――――――まともにとりあわないほうがいいと思います!」アセアセ


――――――ビスマルク、【改装設計図】稼ぎがしたいです。


GET! 標的艦:インペロ(存在自体がハニートラップ・大器晩成型最強戦艦)


標的艦(戦艦):インペロ(イタリア)1938/05/14-1945/02/20爆破着底
ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦3番艦
属性:【海外艦】【イタリア艦】  -改一:【標的艦】 -改二:【ドイツ艦】
改造:標的艦:インペロ → 戦艦:インペロ(ドイツ艦) → 戦艦:インペロ(改良3番艦)

ついに登場! 本作において枢軸国で最後の国籍であるイタリア戦艦となるわけだが、艦種が【標的艦】という大きな地雷である。
同じく未成艦でドイツに接収されたフランス戦艦:クレマンソーとは異なり、船体はほぼ完成しきった巨大な戦艦のボディなので修理費がかさみ、
【標的艦】の特性で優先的に狙われてしまう上に【火力】が【戦艦】の最低ラインを下回るのでMVPにするのも一苦労の凄まじい重荷である。
【標的艦】として造られた大浜がいかにインチキな性能に仕上がっているかがよくわかることだろう。
しかし、【改装設計図】でドイツ艦装備を確保できるので改二になるまで戦艦ですらないクレマンソーよりは幾分かはマシ。

インペロとはイタリア語で英語の“Empire"に相当――――――つまり“帝国”という意味であるが、
【標的艦】としての雑な扱いと豊満美人なイタリアの綺麗なお姉さんという性格設定に、
見てくれはボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』のヴィーナスをイメージしている(さすがに全裸ではないがビキニぐらいしかない! 服をよこせ!)。
ただし、ヴィットリオ・ヴェネト級そのものが全体的にザンネンなので、口を開けばいかにもザンネンな美人姉妹として描かれる。
彼女の姉妹も何かもういろいろザンネンであり、生き残っても同じく賠償艦として引き渡された旧型弩級戦艦より先に廃艦になる始末である。
ヨーロッパ戦線において、ビスマルク級やリシュリュー級に並ぶ名鑑になるはずだったのに、もういろいろザンネンなイタリア戦艦である。

ちなみに、戦艦:クレマンソーとはいろんな意味で対になる存在として設定してあり、モデルを比較するといろいろ共通項が見出だせる。



640: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:28:51.84 ID:1x8KI/b90



朗利「かつての枢軸国ご自慢の超弩級戦艦がことごとく揃ってしまったが、――――――ビスマルク?」

ビスマルク「何?」プイッ

朗利「イギリスのプリンス・オブ・ウェールズやアメリカのノースカロライナまで来たらどうするよ?」

ビスマルク「…………何となくだけど、ヤ」ツン

朗利「まあ そうだろうな。日英同盟時代の女王陛下はまだしも、どっちも確実に皇国に敵意を抱いてるだろうからな…………」

ビスマルク「そうじゃないわよ」ハア

朗利「?」

ビスマルク「あのインペロっていう未成艦、アドミラールのこと――――――ふん!」

朗利「何だよ、ビスマルク? はっきりしないな」

ビスマルク「はっきりしないのはアドミラールじゃない」ボソッ

朗利「は?」


ビスマルク「…………アドミラールにとって私って何なのよ?」


朗利「そりゃ、俺にとって凄く好みな可愛い艦娘だよ?」

ビスマルク「…………やっぱり長門と同じ眼をしてるんだ(微妙にちょっとは違うところはようだけれども)」

朗利「あ?」

ビスマルク「アドミラール」

朗利「はい」

ビスマルク「あなたは誰と【ケッコンカッコカリ】するの? 私? それとも――――――」


朗利「――――――雷」(即答)


ビスマルク「…………わからない。わからないわ、アドミラール」ズーン

朗利「何が不満なんだ? やっぱり【改装設計図】が――――――」

ビスマルク「それが欲しいわけじゃないわよ…………もう! わかりなさいよ、この鈍感!」

朗利「?」


大鳳「大変です! 提督――――――」


朗利「………………」

ビスマルク「………………」

大鳳「提督! 大変です!」

朗利「俺、疲れてるのかな? 大鳳が『大変』に改名して猛烈に自己紹介してきているのかと思うぐらい見慣れてきたんだけど」

ビスマルク「…………きっとまた【海外艦】ね」

ビスマルク「行きましょう、アドミラール」

朗利「ああ。今度は大丈夫だろう。さすがに枢軸国最高の戦艦が揃ってるんだから、ティルピッツやローマが出たってもう驚きは――――――」




641: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:29:23.94 ID:1x8KI/b90



モンタナ「おお、お前が私の提督か! 艦隊決戦したくてウズウズしていたんだ。よろしく頼むぜ」

インコンパラブル「ちょっと狭くて歩くのに難儀してますが、インコンパラブルです。ジャッキー・フィッシャー第一海軍卿 渾身の力作です」



朗利「」

ビスマルク「な、何これ……? ふざけてるの……?(――――――なんてデカさに威容!)」アセタラー

朗利「【戦艦】はもう要らねえんだよ! 出てくるんなら、エンタープライズやグラーフ・ツェッペリンを寄越せ!」

朗利「というか、――――――あんたら、誰ぇ?! 当たり前のように【海外艦】だけど、大和よりもでかい気がするんですけど!」

インコンパラブル「そうなんですか? まあ、【50.8cm砲】なんていう当時としては破格のものを装備して35ノットも出す無茶な設計でしたからね」

朗利「って、――――――英語の艦名!?(待て、それはどういうことだ? 縁のあるのは――――――)」アセダラダラ

朗利「これはさすがに何かがオカシイ!」ガタガタ・・・

朗利「ちょっと建造ドック 見てくりゅうううう!」タッタッタッタッタ・・・

ビスマルク「あ、アドミラール!」



642: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:29:58.07 ID:1x8KI/b90

――――――建造ドック


朗利「おい! 愛月提督! なんかさっき大和よりヤバイ デカイ艦娘がやってきたんだけど!」ゼエゼエ・・・

愛月「あ、そ、それがそのぉ…………」アハハ・・・


海外建造妖精「いつもいつも、【海外艦】をご贔屓にしてもらえて感謝しております、ボス」

世界建造妖精「おう、おめえがこの鎮守府のボスか? どうだい、気に入ってくれたか、オレっちが世界を渡って仕入れてきた【伝承艦】はよ?」


朗利「なに? 建造妖精が今まで――――――何したって?(何か聞き慣れない単語が聞こえた気がするが……)」

世界妖精「だからよ? おめえ、いつもいつもビスマルクやレーベを【秘書艦】にして【建造】やってくれたろ?」

朗利「いや、そこまで意識したことはないんだが…………むしろ、それはこちらの愛月提督が主にやっていたことであってだな?」

海外妖精「大将! その他にも金剛も【秘書艦】にして重点的に【建造】してくれたろう?」

朗利「いや、俺はまだ将官じゃないんだが……(落ち着け! 言うべきことを言え、朗利よ!)」

朗利「あれ、なんだって? もしかして金剛がドレッドノートを引き当てた時にでも来ていたのか?」

海外妖精「ええ。ドレッドノート様と一緒にやって参りました。いつもいつも大変美味な菓子の数々をごちそうさまです」

海外妖精「それで、どこよりも【海外艦】をご所望のご様子でしたので、――――――伝説の世界建造妖精さんをお連れしてきた次第です」

世界妖精「オレっちの手にかかれば、世界中の未成艦だってこの通りよ!」

朗利「あ、ああ…………?」キョロキョロ

朗利「誰がそんなことをしていいと言ったんだ? 俺は何も知らなかったぞ?」

愛月「す、すみません。戦力拡大のために思い切って戦艦:大和を狙うつもりでやったら――――――」

朗利「明らかに大和すら超えているスンゴイ超大型弩級戦艦ができちゃってるんですけどおおおおお!」

愛月「そ、それに! この世界妖精さんはめったに力を振るってくれないらしいとのことで、思い切ってあらん限りの資源を――――――」

朗利「…………何かどんどん拓自鎮守府が拓自鎮守府じゃなくなっていく感覚がして、何かを見失いつつあるんだけど」

世界妖精「どうだい? 極東を代表する艦娘だって取り扱っているぜぃ」

朗利「もうこうなったら――――――、」

朗利「愛月提督! 【戦艦】はもう要らないから! 次やるんだったら【潜水艦】か【正規空母】をお願い!」

愛月「あ、はい! わかりました!」

朗利「って、もう資源が1万 切ってるじゃないかああああああ!」ウワアアアアアア! ――――――グロ画像!

朗利「あ、あんたはいつまでここにいるつもりなんだ?(イギリスやアメリカが超大和型を造っていたとは今まで知らなんだ……)」

世界妖精「オレっちは死ぬほど忙しいからな! 日日日水日日日じゃないとやってられねえのさ」ワハハハハ!

世界妖精「だから 運が良かったな、ボス! オレっちが力を振るうなんてめったにねえんだからよ!」ニカッ

朗利「は、はあ…………(ちくしょう! どうせなら【海外艦】の駆逐艦や潜水艦を狙いたいところだが、資源がカツカツじゃないか!)」




643: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:30:45.40 ID:1x8KI/b90



ハバクク「装甲空母:ハバククです。ちょっと寒いですね……」ブルブル



愛月「北欧神話に出てくる霜の巨人か何かですか?」

朗利「おい! これは本当に【装甲空母】なのか!? 俺の知ってる【装甲空母】とは何か違うんだが!」

世界妖精「いやぁー、オレっちってばホント天才!」

海外妖精「素晴らしいです、お師匠!」

世界妖精「それじゃ、資源もカツカツのようだし、オレっちはもう行くから。そんじゃ」

愛月「あ、ありがとうございました!」

海外妖精「それじゃ、ボス。今回ばかりは紹介料は要りませんから。いつもいつも美味なお菓子をどうも」

朗利「ああ……、しばらくもう来なくていいからねー(また貧乏経営に逆戻りだわー。秋イベントクリア後でホントよかったー)」アゼーン

海外妖精「あ、そうでしたそうでした。これをどうぞ」ペラッ

海外妖精「この鎮守府の【海外艦】の属性リストです。これを参考にまた喚んでくださいねー」

朗利「あ、ああ…………」


――――――あれれ? おかしいなー? 駆逐艦と潜水艦を愛でる鎮守府のはずなのにどうして【海外艦】専門の鎮守府になりつつあるんだろー?


現時点での拓自鎮守府の【海外艦】在籍リスト
※属性で分類しているので、重複する艦娘が存在する

【ドイツ艦】
戦艦:ビスマルク、駆逐艦:Z1、駆逐艦:Z3、重巡:プリンツ・オイゲン、戦艦:クレマンソー、標的艦:インペロ

【イタリア艦】
潜水艦:ルイージ・トレッリ、標的艦:インペロ

【アメリカ艦】
戦艦:モンタナ

【イギリス艦】
戦艦:金剛、戦艦:ドレッドノート、巡洋戦艦:インコンパラブル、装甲空母:ハバクク

【フランス艦】
戦艦:クレマンソー

【ロシア艦】
駆逐艦:響(=ヴェールヌイ)


644: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:32:28.37 ID:1x8KI/b90

――――――迎賓館:食堂


朗利「…………ハア」フラフラ

X:鳳翔’「あ、朗利提督。お疲れ様です」

Y:龍驤’「なんや、元気 無さそうやなぁ、きみぃ…………大丈夫?」

w:愛宕’「うふふっ♪」

X:赤城’「朗利提督、今日の3時のおやつは何ですか!?」キラキラ

X:加賀’「(その……、大丈夫かしら?)味が落ちなければいいのだけれど」

朗利「【派遣】組のみなさん、そろそろ11月末というわけでマンスリー契約も切れるわけなので、」

朗利「最後にそれぞれの鎮守府に【返還】される前に次回からの契約の方針についてご報告させていただきます……」アハハ・・・

艦娘たち’「…………!」

朗利「まず、一航戦の二人――――――、」

X:赤城’「神様、皇国の神様……!」グッ

X:加賀’「大丈夫、これまでの働きから言って契約続行は不可避――――――!」ドヤァ


朗利「今までありがとうございました」ニッコリ


X:赤城’「」

X:加賀’「」

朗利「新たに【装甲空母】を迎えることができたので、【正規空母】の【派遣】はもう十分と判断いたしました(ついにこの日が――――――)」

朗利「カスガダマ島の攻略など、今まで本当にありがとうございました(あぁー、せいせいする。これで少しは気が晴れたぜ)」

朗利「つきましては、この感謝状と謹製のおみやげをどうぞお受け取りください(ははは、ざまあみろ、悪食一航戦め!)」パチィン!

大鳳「先輩、今まで本当にありがとうございました」

長門「清原提督によろしく伝えておいてくれ。『次もまたこの長門を【派遣】してくれ』とな」

X:赤城’「そんな! これはあまりにも残酷です……」ガビーン!

X:加賀’「こ、ここは譲れません……!」アセダラダラ

朗利「勘弁してください。愛月提督が【大型艦建造】しまくったせいであなたたちを雇う謝礼が払えそうにないのです」

朗利「(そうだ、出てけぇー! 【応援】してもらっておいてなんだけど二度と来るなぁー!)」

645: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:32:57.77 ID:1x8KI/b90

Y:龍驤’「あ、ほんまやなぁ…………でも、新しい【装甲空母】が来たんかぁ。大鳳みたいなやつか、朗利提督?」

w:愛宕’「もしかして、信濃とか?」

朗利「…………大鳳?」チラッ

大鳳「はい。では、装甲空母:ハバククさん。来てください」

ハバクク「はい」ズシンズシン!

Y:龍驤’「は」

X:赤城’「え」

X:加賀’「おかしいです。私の体温が下がったのは冷や汗のせいではなく、何か物理的な要因が働いたように思えますが……」ゾクッ

ハバクク「私がイギリスの氷山空母:ハバククです。今後ともヨロシク」

大鳳「………………ちょっと冷えますね」フゥー

朗利「ハバクク。艦載機と機銃座の数を言ってみろ(うわあ、近くにいるだけで白い吐息になるよぉー。どうなってんだ、コイツの身体?)」フゥー

ハバクク「艦載機は150以上の爆撃機と戦闘機、対空砲40基はあります」

一同「!?」

朗利「マジで有り得ねえ……」

X:加賀’「そんな…………【艦これ】最大の艦載機量を誇るこの私が敗けた…………?」メメタァ

ハバクク「それよりも提督……、寒いです……、何かお腹が温まるものをください……」ガタガタ

朗利「ああ……、鳳翔夫人、鍋焼きうどん とか おでん ありません?」

X:鳳翔’「あ、今すぐに!」

Y:龍驤’「これはエライ化け物艦娘が出てきたもんやなぁ…………張り合うことすらバカバカしく思えてまう」

長門「もう、アメリカ版大和のモンタナとか来ている時点で混沌だな……」

朗利「あ、いいかな? ハバククはそこの席で温まってて」

ハバクク「あ、ありがとうございます――――――ハックション!」ドゴーン!

長門「くしゃみも世界一だな……」

X:加賀’「一航戦の誇りが完全にへし折られたような気がします、赤城さん……」orz

X:赤城’「しっかりしてください、加賀さん! 最後の最後で天城姉さんに叱られることがないように胸を張って帰りましょう!」アセアセ

朗利「えと、――――――というわけで、一航戦 以外は来月もマンスリー契約で頼みます」

w:愛宕’「あら、てっきりプリンツ・オイゲンちゃんが来たからもういいのかと思ってたけど、よかった♪」ニッコリ

朗利「見ての通り、資源がもう無いので! また資源集めにご協力ください…………なぜか低燃費艦が全然出ないので」

Y:龍驤’「あはは……、またよろしゅうな、朗利提督」ニコッ

w:愛宕’「朗利提督……、甘えてもいいのよ?」チラッチラッ

X:鳳翔’「はい。お口にあうかわかりませんが、温まりますよ、ハバククさん」コトッ

ハバクク「あ、良い臭い…………い、いただきます!」パクッ

X:鳳翔’「さ、朗利提督もどうぞお食べください」ニコッ

朗利「ありがとうございます……」

646: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:33:45.88 ID:1x8KI/b90

朗利「けど、見てくださいよ、ここ最近の【建造】結果――――――!」バンッ!

X:鳳翔’「まあ、海外の戦艦が目白押しですねぇ……」

X:赤城’「これまた凄い面々――――――知らない子ばかりですねぇ」

w:愛宕’「でも、いずれも超弩級戦艦ってことだから、拓自鎮守府の気風に合わないかも」

朗利「そうなんだよっ! 【戦艦】はもういいから…………愛月提督めぇ、何を血迷って【大型艦建造】をしまくったぁ」オヨヨヨ・・・

朗利「それに、――――――【戦艦】よりも【改装設計図】をくれぇ! その海外戦艦のほとんどがそれを必要としているからホントに頼むっ!」

X:加賀’「確かに、【改装設計図】を必要とする艦娘が多いのは辛いところですね」

大鳳「はい。ですから、新たに参戦してくれた海外の超弩級戦艦たちを運用することは今はせずに、」

大鳳「これから資源集めをして来月分のEOマップの攻略にとりかからないといけません」メメタァ

大鳳「幸い、ドレッドノートさんやルイージさんのように低燃費で優秀な【海外艦】はちゃんとおりますので、」

大鳳「【派遣】組の方たちと今後も協力していただきたいと思います」

朗利「一航戦は直に帰るんだから、俺が――――――というよりは愛月提督が引き当てた【海外艦】のことをよく観察して、」

朗利「清原提督に報告してくれないか?」

X:加賀’「はい。そのつもりでいます」

X:赤城’「弩級戦艦:ドレッドノートに【48cm三連装砲】を持たせるのは物凄く無理がある絵面でしたけど……」

朗利「…………残念だけど、せっかくいただいた【それ】も換えることになった。効率重視で」

X:赤城’「え」

朗利「このインコンパラブルってやつ――――――、【50.8cm連装砲】持ちなんだ」

X:赤城’「ええええええええ!?」

長門「なんだとおおおおおおおおお!?(ただの巨人ではないとは思ってはいたが…………!)」

X:加賀’「そ、そんな……、天城さんの【50cm三連装砲】が敗けた…………!?」

朗利「何かそっちでもとんでもないものが聞こえたような気がするけど、」

朗利「インコンパラブルやハバククってやつは未成艦らしくて、【世界建造妖精】っていう伝説の巨匠がその未成艦を造り出したんだよ」

朗利「どう思う? この大艦巨砲主義なんて目じゃない大きさの艦娘たちやかつての連合国側の艦娘たちをどう思う?」

朗利「その辺の判断を清原提督に仰ぎたいのだ……」ボロッ

X:赤城’「…………わかりました。必ずこのことはご報告して参ります」

朗利「ああ。頼む。金剛が連れてきたらしい【海外建造妖精】が連れてきたらしい【世界建造妖精】の存在を必ず伝えておいてくれ」

X:一航戦’「はっ!」ビシッ

大鳳「では、提督」

朗利「ああ、うん……」

大鳳「では、失礼します」

スタスタスタ・・・・・・

647: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:34:25.25 ID:1x8KI/b90

朗利「…………さて、これからどうしようねー」

X:鳳翔’「どうしました、朗利提督?」

朗利「何か一気に最強戦力を手に入れてしまったようだけど、――――――よりによって【戦艦】だからな!」ギロッ

長門「!?」ビクッ

朗利「【戦艦】ってやつはどいつもこいつもワガママ放題だからな! しかも牛飲馬食で経費がかさむし!」

朗利「その点、女王陛下は貞淑な【旧式艦】でその分 安く使えて【戦艦】の主砲を何でも載せられる【艦これ】補正で意外な強キャラだった!」メメタァ

朗利「冗談じゃねえよ! 日本、ドイツ、イタリア、フランス、アメリカ、イギリスの超弩級戦艦の面倒を見ろというのか、俺が!?」

朗利「助けてください、鳳翔夫人……。俺は駆逐艦を愛しているはずなのにこんな仕打ちはあんまりだぁ……」オヨヨヨ・・・

X:鳳翔’「確かにこれは困りましたねぇ…………まさしく火の車ですね」ムムム・・・

ハバクク「身に染みるぅううう犯罪的な美味さだぁああああ」ハフハフ・・・

朗利「お前も難儀な身体してるな…………英国面の極致だぜ」パクッ

朗利「うぅううう……、ちくしょう! つくづく俺は提督に向いてないのかな? ――――――あ、美味しいです、鳳翔夫人」ズズズ・・・

長門「……突然 何を言ってるのだ、提督?」

【派遣】組’「………………」

朗利「長門、お前だってわかってるだろう!」

朗利「俺のような小物好きな小物なんかの下で働いて不満はないのかよ?」

朗利「俺は俺自身に不満だらけだよ! 正直に言って、こんな状況になって嫌というほど己の器量の小ささに辟易させられる!」

長門「…………そんなことはない!」

ハバクク「おかわりを……」ブルブル

X:鳳翔’「あ、はい。どうぞ」ニッコリ

長門「どうしたというのだ、提督よ!?」

w:愛宕’「ちょっと待って、長門」

長門「…………?」

w:愛宕’「最後まで言わせてあげて♪」

Y:龍驤’「せやな。ここは胸の奥にあるもん最後まで言わせたれや」

長門「…………!」

648: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:35:47.46 ID:1x8KI/b90

朗利「おかしいだろう!? いろいろとさぁ!」

朗利「そりゃ確かに大本営からの指令もこなさなくちゃならない立場だし、皇国のみんなを守る義務を託されていることぐらい理解してる!」

朗利「でも 俺は、人間の代わりにあんな幼気な幼女たちが恐ろしい海の化物たちに戦って傷ついているってのに――――――、」

朗利「それがもう間もなく四半世紀にもなろうとしているのに、まるで奴隷のように扱うような連中がいることを知って――――――、」

朗利「だから、わるいやつらから駆逐艦のみんなを守るついでに皇国のために力を尽くせる提督になってみようかって思って――――――」ポタポタ・・・

長門「…………提督」

朗利「おかわり」

X:鳳翔’「はい。どうぞ」ニコッ

朗利「……美味い。今日は自棄食いだ、ちくしょう」ズズズ・・・

X:鳳翔’「まだまだおかわりはありますからね」ニッコリ

朗利「ありがとうございます。でも、現実はそううまくいかなくて――――――、」

朗利「俺は結局 自分の軍事的才能の無さをごまかすためにお菓子作りに精を出して、広報や親睦と称して農場や牧場のおっちゃんたちを謀って、」

朗利「軍人の本分から逃げ続けて、こうして『司令部』に選ばれた偶然によりかかって何の成長もないんだ……」

長門「………………」

朗利「俺は自分じゃない誰かの、あるいは偶然の成果に乗っかる形でこれまでやり過ごしてきただけの青二才なんだよぉ…………」ポタポタ・・・

朗利「おかわり」スッ

ハバクク「私も……、すみません」スッ

X:鳳翔’「はい。たんとお食べになってくださいね」

朗利「ちくしょう! ちくしょう! ちくしょうおおお!」

朗利「艦娘にとっての一番の幸せから一番遠い人間じゃないか、俺なんかぁあああ!」ズズズ・・・

X:加賀’「朗利提督……」

X:赤城’「どうして朗利提督は【派遣】組の私たちに言うのでしょうか?」

長門「――――――『艦娘にとっての一番の幸せ』?」


――――――沈ませないこと。目先の勝利に囚われて犠牲を強いることをしないことだよ、それは。


一同「!?」

ドレッドノート「ふん」

朗利「…………女王陛下」ズズズ・・・

ハバクク「?」ズズズ・・・

649: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:36:56.01 ID:1x8KI/b90

ドレッドノート「やれやれ、同郷の艦娘が来たということで見に来てみれば、――――――紳士があられもなく自棄食いねぇ」

ドレッドノート「まあ、こうやって自分の気持ちを素直に伝えられる相手がいるだけ悶々とし続けて心の毒にするよりはずっと賢明だね、」

ドレッドノート「――――――朗利よ」

朗利「………………」ズズズ・・・

X:鳳翔’「あ、どうぞ、こちらのお席へ」

ドレッドノート「ありがとう」ニコッ

ドレッドノート「さて、――――――なるほどねぇ」

ドレッドノート「気になってたんだよ。【派遣】組の面々に対してこうやって泣き言を言える理由はここにあったんだねぇ」ジー

長門「え」

ドレッドノート「ほら、朗利は駆逐艦たちを愛するが故にみっともない姿を見せられないから」

長門「あ」

ドレッドノート「だからといって、身内である精鋭たちに泣きつくのも格好がつかないし、」

ドレッドノート「何よりも、そうしたら提督としての最低限の威厳さえも失ってしまうように思えたからこそ、ずっと内に秘めてきたんだろう?」

長門「え、そんな……、何を言って…………(私との――――――、いや私たち戦友とのユウジョウとはそんな程度のものだったのか?)」

朗利「………………」

Y:龍驤’「そっか。やっぱり無理してたんやな。それもそうやな」

長門「え」

w:愛宕’「うん。朗利提督はこうして【派遣】組を頼っていることをいつも申し訳なさそうにしてたから」

Y:龍驤’「うちら、別に朗利提督に頼りにされていることに悪い気はせえへんのにな。むしろ、うちらのほうが恐縮なんやで?」

X:赤城’「そうですね。他では味わうことができない極上のお菓子をたくさんいただいていますし、『いつもより気合を入れて戦わないと!』といつも思います」

X:加賀’「はい。いつもいつも朗利提督がお作りになる甘物を前にすると気分が高揚します」

長門「………………」

X:鳳翔’「どうか勘違いなさらないでください、長門さん。朗利提督は一生懸命に自分の在り方というものを常に見つめ続けてきていたんです」

X:鳳翔’「私たちは自分たちの提督とどう違うのかを参考に公平な第三者として意見を出し合っていたんです」

長門「!」

ドレッドノート「ほら、部下にもなかなか相談しづらいことだろう? 提督の良し悪しなんて自分たちの提督以外にあまり知る機会なんてないんだし」

X:赤城’「そういえば、鳳翔夫人によく相談しているのは知ってましたけど――――――、」

X:加賀’「みなさんも相談を受けていたんですね……」アセタラー

Y:龍驤’「知らんのも無理ない。食ってばかりのきみらのこと、朗利提督 嫌ってるようだし、相談を持ち掛けられるはずがないやろう?」

X:一航戦’「!!!!!!??」ガビーン!

w:愛宕’「うふふっ♪ これに懲りたらもうちょっと節度と慎みを持ちましょうね~」


長門「…………そうか。そういうことだったのか(さすがは『司令部』が誇る偉大な精鋭たちだ。――――――ありがとう)」


ドレッドノート「そういうことさね。ま、『幸いなるかな、艦娘派遣システム』と言うことだね」メメタァ

朗利「…………女王陛下には何でもお見通しというわけですか」

650: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:39:45.48 ID:1x8KI/b90

ドレッドノート「今にして思えば、このドレッドノートの生みの親であるアーバスノットの知性が受け継がれているせいもあって、」

ドレッドノート「並大抵より遥かに頭がいいし、人間関係の機微にも聡く、要領がすこぶるよいと自負しているぞよ?」フフッ

朗利「…………助けてください」

朗利「運や他力だけでこれまでやってきたのだけれど、そろそろ精神的にヤバイです……」

朗利「自分の能力以上のものに頼り続けている現状に、俺自身が我慢ならないんです…………」

ドレッドノート「ほう? 今まで本当に『運や他力だけでやってきた』というのなら、轟沈艦を今までに何隻も出してきていると思うんだけどね」

ドレッドノート「本当にそなた、――――――自分を無能だと思っているのか?」

朗利「…………わかりません。能力が劣っていることは認めますが、無能であることを認めたくもないです」

ドレッドノート「ふむ。なら、逆にこう考えたらどうだい?」

ドレッドノート「――――――『今まで偶然や他人からの力添えをものにできて数々の苦難を乗り越えてこられた』と」


――――――『それだけ確かな実力はあった』とな。


朗利「へ」

長門「そうだぞ、提督! 私と提督が最初に会った頃は私と五十鈴と第六駆逐隊だけでこれまでの海域を強行突破してきたのだぞ!」

長門「今だったら、――――――そう、敵戦力の増強によってもうそんな無茶は通らないが、」

長門「クリアはクリアだ。私たちはやってこれたんだよ! 超えてきたんだよ、あの海域の数々を! 1隻の犠牲も出さずに!」

長門「そして、提督は赤城 以外の大型空母を求めて【大型艦建造】をやってすぐに大鳳を引いて、そこからは快進撃だったじゃないか!」メメタァ

朗利「…………長門?」

651: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:40:15.55 ID:1x8KI/b90

長門「いいか、提督は確かに運に恵まれている! 大鳳が来るまで空母なしで行けるところまで行っていたんだから!」

長門「けれども、提督は運だけに頼る能無しなんかじゃない!」

長門「本当にそうだったならば、連合艦隊旗艦だった私がそんな安っぽいやつなんかに忠誠は誓っても敬意を払うことなど決してしないのだからな!」

長門「もう一度 言ってやる!」


長門「ここまでこれたのはまぎれもなく提督の采配によるものだ。誇ってくれ」ニコッ


朗利「あ……(――――――何か懐かしいセリフを聞いたな。『誇ってくれ』か)」

X:鳳翔’「そうですよ、この【艦隊これくしょん】では結果が全てであり、結果を導き出すリアルラックも実力のうちなんです」メメタァ

X:鳳翔’「そうやって使えるものは何でも使って、ついには南方海域までやってこれたじゃありませんか。結果を出せたじゃありませんか」

Y:龍驤’「そうやで。ちょっち きみぃ、理想が高過ぎるように思う。朗利提督はうちのとこの提督のような破天荒にならなくてええんやで?」

Y:龍驤’「『結果が全て』とは言うても、人間は能力だけで人を見るわけじゃないんやし。それは朗利提督が駆逐艦を贔屓にしているのと同じことやで」

w:愛宕’「そうそう♪ 朗利提督の良さは私たちの提督もよく理解しているから。もっと自信 持って♪」ニッコリ

w:愛宕’「私の提督にだって良い所だって悪い所だってあるし、朗利提督にだって朗利提督の良い所と悪い所があるんだから♪」

朗利「………………ありがとう」ドクンドクン

ドレッドノート「…………大したものだねぇ(戦うことが全ての艦娘でありながらここまでの見識と言葉を持っているとは、相当な地位にあったと見える)」

X:鳳翔’「さあさあ、みなさんもおつまみを召し上がってください」←― 元祖一航戦・元祖航空母艦・最初から最後まで生き延びて行く末を見届けた生存艦

Y:龍驤’「せやな。これからも長い付き合いなんやし」←―「赤鬼、青鬼でさえその名を聞いただけで後退り」・元祖軽空母・歴戦の殊勲艦

w:愛宕’「今日はとことん付き合ってあげるからね♪」←― 第二艦隊旗艦・歴戦の戦闘艦・イージス艦そっくりな完成された傑作艦

長門「まあ、相談しづらいことがこれまでいっぱいあっただろうが、これからは私も仲間に入れてくれ、提督」←― 連合艦隊旗艦・ビッグ7・日本の誇り

ドレッドノート「これが大日本帝国海軍というやつかい(壊滅したとはいえ、凋落の一途をたどった我が大英帝国海軍とは大違いよな……)」

ドレッドノート「ホント、21世紀は便利な世の中になったもんだねぇ……」

ハバクク「おかわり……これ以上はダメでしょうか? ……ダメですよね」

ドレッドノート「そして、――――――何だコイツは?(次代を切り拓く誉れ高き 我がロイヤル・ネイビーは時折 変なやつを産み落としよるな……)」

652: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:41:07.98 ID:1x8KI/b90

X:赤城’「…………加賀さん」

X:加賀’「はい、赤城さん」

X:赤城’「私たちは私たちの――――――あ」グゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!

X:加賀’「………………」カアアアアアアアアアア

一同「あ」

X:赤城’「すみません、私たちにもください……」

X:加賀’「さすがに隣であれだけで食べている艦がいるとどうしてもお腹が空いて……」チラッ

ハバクク「?」

ドレッドノート「うぬのことじゃ、うつけが。その下品な食いっぷり――――――、それでもロイヤルネイビーか!」

ハバクク「あ、すみません!」

ドレッドノート「まったく。どうもこうも紳士淑女も度が過ぎるとヘン  になるようでいかんのう。そうは思わんか?」

朗利「えと、それは…………」

ドレッドノート「だが それがいい」ニンマリ(メチャクチャ悪い顔)

朗利「ぷっ?!」

朗利「あ、あははあはは…………(そんな顔芸 反則だあああああ!)」プルプル・・・

長門「おお! 提督が笑った」ホッ

w:愛宕’「よかった♪」

ドレッドノート「フッ」

ドレッドノート「よし、ならば みなのもの! ここは1つ、1人ずつ自虐ジョークを披露しあおうではないか」

Y:龍驤’「は? 何やそりゃ?(――――――『自虐ジョーク』やて?)」アセタラー

653: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:42:03.71 ID:1x8KI/b90

ドレッドノート「では、そこの駆逐艦から自虐ジョークを言ってみよ」

Y:龍驤’「誰が駆逐艦やねん!!」ガンッ!

朗利「くくく、くくくく…………(すでにそれが自虐ジョークではないかぁああ!)」プルプル・・・

ドレッドノート「よし、次」

Y:龍驤’「え、あ、ちょっと……、えええ 何やそれぇ……」

X:鳳翔’「あ、えと、では、おひとつ――――――」コホン

X:鳳翔’「私、お母さんみたいだって生まれた時からずっと言われてきました」モジモジ

X:鳳翔’「ですから、将来の夢は『少しだけ子供扱いされてみたいな』って……」モジモジ

X:赤城’「あは、あはははははは! ほ、鳳翔夫人っ……!?」プルプル・・・

朗利「こ、これはっ…………!(それが艦娘なんだってわかっているけれど、本人の口から自虐ジョークとして言われたら――――――!)」プルプル・・・

ドレッドノート「次」

w:愛宕’「私って高雄型重巡洋艦の2番艦なんだけど、就役したのが早かったから愛宕型重巡って呼ばれることもあるんだけどね?」

w:愛宕’「高雄型重巡洋艦はぁ、これまで居住性を犠牲にしてきた従来の軍艦の乗り心地を改善するためのたくさんの工夫が凝らされてきたの」

w:愛宕’「そしたら、いろんなものが大きくなってちょっと肩が凝るようになっちゃって、いわゆる幸せ太りになっちゃった♪」テヘッ

Y:龍驤’「ンギィイイイイイイイイ!」

X:鳳翔’「…………ちょっとそれは意味が違う気がするのですけれど(――――――『幸せ太り』か。それができない身としては少し憧れがあるかも)」ドキドキ

朗利「くははははは……(うん、前級の妙高型のスレンダーさに比べたら確かに――――――どこがとは言わないけど)」プルプル・・・

ドレッドノート「わらわはドレッドノート! イギリス海軍卿:ジョン・アーバスノット・フィッシャーによって、」

ドレッドノート「斉射による『長距離砲戦に圧倒的に有利な』戦艦として世界に君臨する近代戦艦の祖なり!」

ドレッドノート「そんなわらわの輝かしい武功は『体当たりでドイツのU-ボートを1隻沈めた』という世界で初めて潜水艦を倒した戦艦ということよ!」ドヤァ

長門「なにぃいいいいいい!?(だから、あの【ボウガン】は………………空母水鬼を殴り倒すのにも役に立ってくれたがそういう由来が?!)」

X:加賀’「え、あれ? え、え…………?」

朗利「うんうん…………(やっぱり女王陛下の持ちネタはそれかぁー。いつ聞いても軍事関係者の俺の腹筋がヤバイ!)」プルプル・・・


――――――ありがとう、みんな。




654: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:42:33.29 ID:1x8KI/b90

――――――12月1日


朗利「さあ、みんな! あつまれ~!」ニコニコ

朗利「昨日1番の良い娘にこのアドベントカレンダーを開ける鍵を1つ渡そう!」

朗利「ちょっとしたプレゼントが24日分 用意されているから、これから12月24日までいい娘いい娘してた娘にあげるからねー!」

朗利「さあ、1番の最初の鍵を受け取ることができるのは、11月31日を特にがんばった娘だぞー!」

朗利「と言うわけで、――――――清霜ちゃん! 昨日の園長先生的MVPはきみだ! 昨日はたくさん戦功をとったからな」ニッコリ

清霜「え? え? え? 私?」キョトーン

「おおおおおお!」パチパチパチ・・・

朗利「はい。これ、1番の鍵だから1番の錠しか開かないからね」

清霜「あ、ありがとうございます、司令官!」キラキラ

金剛「My Principal ! Present for me !」ニコニコ

ビスマルク「アドミラール! これから毎日 私を見てなさいよ!」ドキドキ

長門「もっと頼ってくれてもいいんだぞ、提督?」フフッ

朗利「みんな! がんばっている娘なら、――――――ホントは嫌だけど、戦艦や正規空母のみんなにもあげるからねー!」ニッコリ

「おおおおおおおお!」ワーワー!

クレマンソー「………………」

酒匂「いいな~。私も欲しいな~」

朗利「大型艦のみんなにもチャンスがあるからこれから毎日がんばっていこー!(でも、クレマンソーは別だ。あの娘の心を慰めないと)」

清霜「な、何だろ何だろ~! 戦艦になれるセットとかかな~?」ワクワク

ガチャリ

清霜「…………袋? 中身は何だろう?」

朗利「はい、鍵と錠はこっちに」

清霜「ねえ、司令官。開けていい?」ドキドキ

朗利「ここでみんなの前で開けてもいいし、持って帰って自分だけの秘密にしていいからね」ニッコリ

朗利「プレゼントの中身は毎日 別なものが入っているから見せ合いっこするのもいいかもしれないよ」

清霜「ふぅん。それじゃ、清霜! 開けちゃいまーす!」キラキラ

朗利「そうか………………1番って何だったかな?」

清霜「じゃじゃーん! ――――――って、何これ?」ペラペラ

朗利「お、これは間宮さんのところに持って行って引き換えてきてね」

朗利「今日のプレゼントは『大人の雪見だいふくミニサイズ9個入 3種類セット 引き換え券』でしたー」パチパチパチ・・・

「おおおおおおおおおおおお!」パチパチパチ・・・・・・!

清霜「わーい! これで清霜も戦艦になれるかも!」キラキラ

暁「――――――『大人の』!?」ガタッ

響「なるほど、こういう一風変わったのがもらえるのなら毎日が楽しみかも」ドキドキ

清霜「でも、甘いものはちゃんとご飯を食べてからにしてね? そうじゃないと身体に力が入らなくなって活躍できなくなるからね」

清霜「園長先生と約束だぞ。朝ごはんや昼ごはんはちゃんと食べること、いいね? こういったお菓子はご飯の代わりにならないからね」

清霜「はーい! 清霜はちゃんとご飯 食べて戦艦になりたいから司令官との約束はちゃんと守るから安心して」ニコニコ

朗利「うん。いい娘だ」ナデナデ

清霜「えへへへ」

655: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:43:04.26 ID:1x8KI/b90



愛月「大好評でしたね、司令官」

ドレッドノート「まったくだね。うまい捌き方じゃないかい」

朗利「ありがとうございます」

愛月「ところで、どういった基準で選んでいるのですか? 全員の行動を全部 見て回る余裕はないですよね?」

朗利「基本的にはポイント制だ。ポイントが一定以上 溜まったらこちらの判断で1日1人だけプレゼントの鍵と交換するってやり方」

朗利「だから、昨日もらえなくてもこれまでがんばってきた娘は選ばれるまでずっと候補に入り続けてるわけ」

朗利「『昨日今日のMVPにあげる』とは謳ってはいるけれども現実的にそれは不可能だからね。だから、基本的に日々 積み重ねている娘を優先的に」

愛月「なるほど。参考になります」

朗利「でも、できるだけ駆逐艦にもらって欲しいからねぇ、修理係数で艦種ごとに差をつけてもいるんだけど」

ドレッドノート「具体的には?」

朗利「だから、戦艦は駆逐艦の6倍以上の働きをしないともらえないようにしてある」ニヤリ

ドレッドノート「へえ、それじゃこの誉れ高い弩級戦艦たる わらわがもらうことは難しいようね」

朗利「あなたには相談役を引き受けてもらっている代わりに、毎日の高級茶と茶菓子と場所を提供して最高級の待遇をしてあげてるでしょう!」

ドレッドノート「はっはっは、冗談よ、冗談。こういうのは高き者が低き者を励ますために行うものだからね」

ドレッドノート「つまり、これは上の者の慈悲で行われていることであり、」

ドレッドノート「その心遣いに異を唱え、我を張ってねだるのは卑しい者のすることさね」

朗利「さいでございますか(うわっ、女王陛下はビスマルクのことを完全に『卑しい者』だと断じてるな……)」

ドレッドノート「だから、日頃から主の施しを受けていることに恩を感じてる者であるのならば、もらえなくて悔しがるなんてことがあるはずがない」

ドレッドノート「あの大鳳って娘はよくそれを弁えている本当に良い娘ね。――――――大切にするんだよ」ニコッ

朗利「それには同感です。――――――あの無駄飯食らいの正規空母とは大違いです」フフッ

656: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:43:30.42 ID:1x8KI/b90

ドレッドノート「それで、これからどうするんだい?」

朗利「12月はEOマップ3つの攻略に専念します。それで【勲章】を12個にして【改装設計図】を3つ手に入れます」

朗利「ですが、攻略に必要な資源がまず足りませんので10日に1つのEOマップを攻略するような段取りにしようかと」

愛月「す、すみません、本当に……」

ドレッドノート「そうかい」

朗利「おそらくはこれまで同様、難なく【勲章】3つを手に入れることができるでしょう」

朗利「その【勲章】の使い道である【改装設計図】を誰に使うかについても、――――――もう決めました」

ドレッドノート「そうかい」フフッ

ドレッドノート「いい顔つきになってきたじゃないか、朗利」

朗利「ありがとうございます。これからも真の紳士を目指して努めていこうかと思います」

ドレッドノート「良い。そなたはそう在り続けろ。それがわらわと出会った運命の決定なのだから」

朗利「そうかもしれませんね」

朗利「では、愛月提督。朝はこれくらいにして今日の業務を始めようか」

愛月「はい」


それから俺たちはできる限りのことを精一杯こなしていくのであった。



657: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:44:05.21 ID:1x8KI/b90

――――――それから、数日が経って、


朗利「よし、順調だな」

愛月「はい。EOマップの攻略もこれまで通りに順調に進み、【勲章】もしっかりと確保できております」

朗利「いいぞ いいぞ。これなら順調に今月分の【改装設計図】の全てが手に入りそうだ」

愛月「それに、アドベントカレンダーのおかげでみんながやる気を出して奮起してくれてますので、いつも以上の成果が続々とあげられていますよ」

朗利「大成功じゃないか」

朗利「で、プリンツ・オイゲンの練度は今いくつだ?」

愛月「Lv40ぐらいです」

朗利「あともう少しだな。俺の鎮守府では利根型以外で唯一の重巡ってわけだから、これからの戦力の中心になってもらわないとな」

愛月「そして、【改造】後に持ってくる【あのレーダー】は――――――」

朗利「うん。まさしく『全ての電探が過去のものになった』だな」

朗利「早く欲しいなぁ。【あのレーダー】があれば何をするにしてもホント楽になるだろうからさ」

朗利「よしよし、今日も張り切っていきますか――――――」


闇魔改造妖精「よう、旦那。いろいろと捗ってるようですなー」


朗利「誰だね、きみは!?」ガタッ

愛月「いつの間に――――――!?」ドキッ

闇魔妖精「俺かい? 俺は世界一の【改造】技術を持っている改造妖精さ」

闇魔妖精「どうだい? 聞くところによれば、あの【世界建造妖精】が手掛けた【伝承艦】がここにいるって話じゃないか」

闇魔妖精「俺に【改造】をやらせてくれないかい?」

朗利「…………何が狙いだ!?」パチン!

大鳳「――――――!」サッ

闇魔妖精「おっと、俺は普段なら世界一の技術力 相応の謝礼をもらって【改造】を引き受けてはいるがよ、」

闇魔妖精「今日だけは特別大サービスなんだぜ? ――――――タダで【改造】を引き受けてやるよ、1回だけ」

愛月「どういうことかしら?」

闇魔妖精「俺も技術者の端くれでな、【世界建造妖精】にしか【建造】できないという【伝承艦】というやつに興味があってな」

闇魔妖精「俺の世界一の【改造】技術力を証明するために、【伝承艦】の【改造】をこの手でしたいと思ってはいたんだが…………、」

闇魔妖精「せっかく手に入れた【伝承艦】にはまだ手を付けてはいないんだろう?」

愛月「そ、それは…………」

闇魔妖精「――――――図星だろう?」

朗利「…………それで?」

闇魔妖精「これは取引だよ」


闇魔妖精「俺は【伝承艦】をこの眼で確かめたい。その拝観料に1隻だけ俺の世界一の【改造】技術力をもってして【改造】してあげようじゃないか」


朗利「なに?」

闇魔妖精「いい取引だと思わないか? ま、【改造】にかかる資材はそっちが持ってくれよな。俺は技術力しか提供できないからな」

愛月「どどどどどどうしますか、司令官?」ヒソヒソ

朗利「待て、慌てるな。こういうのは互いの意思疎通を深めてからだ」ヒソヒソ

大鳳「はい。ここは慎重に……」ヒソヒソ

658: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:44:47.18 ID:1x8KI/b90

朗利「そこまで自信があるのならば、どれだけお前の【改造】技術力が凄いのかわかりやすく言ってみろ!」

闇魔妖精「お、食いついたか。んじゃ、聞いて驚くなよ?」


【応援/闇魔改造妖精】による【改造】追加効果

・ 効果は次の【改造】にのみ適応される(つまり、一度の【応援】につき一度きり)

・ 練度がLv5足りなくても【改造】できる(ただし、足りなかった分だけ【運】が下がる:最低値までは下回らないのでご安心を)

・【近代化改修】がリセットされない

・【改装設計図】が無くても【改造】が可能(向こうがあらゆる【改造】の仕方を心得ているために)


※通常の【応援】で呼ぼうとすると法外な謝礼を求められるが、条件を満たすと自分から【応援】に来てタダで働いてくれることがある


朗利「なんだと!? ――――――【改装設計図】が要らないのか?!」メメタァ

闇魔妖精「俺は『世界一の【改造】技術を持っている』と言ったはずだ」

闇魔妖精「世界中の艦艇の造船技術を心得ているからそれぐらいのことは実に容易い」

朗利「だ、だが、どうして【伝承艦】の拝見だけでほとんどタダ同然で【改造】を引き受けてくれるのだ?」

闇魔妖精「何 寝言を言っている、貴様?」

朗利「?」

闇魔妖精「【伝承艦】――――――いや、あの【世界建造妖精】が【建造】したのだぞ!? 貴様は、その価値を全然 理解してないな?!」

愛月「そ、そんなに凄い妖精さんだったんですか?(【海外建造妖精】が“師匠”と呼んでいるぐらいだったけれど、そんなに――――――?)」

闇魔妖精「馬鹿野郎! 【世界建造妖精】って言ったら妖精界における伝説の巨匠、生ける神なんだぞ!」

闇魔妖精「俺たち妖精がどれだけ自分たちの手で最強の艦娘を創り出そうとしても、あの【世界建造妖精】が常にその上を行く【建造】をするんだ」

闇魔妖精「だから、妖精たちの間では【世界建造妖精】の技術にどれだけ近づけるか、あるいは技術を盗めるかで躍起になってるんだ」

闇魔妖精「旦那も【伝承艦】を持っているのならば、【世界建造妖精】の【建造】した艦娘の異様さを一目見ただけですぐに理解できただろう!」

闇魔妖精「それとも、それはただの風のうわさでしかなかったというわけなのかい?」

朗利「…………!」

朗利「た、確かにモンタナやインコンパラブル、ハバククは明らかにこの世のものとは思えない艦娘ではあったな……」

大鳳「…………どうします?」

朗利「艦隊のリストを持ってきてくれ」

大鳳「わかりました」

愛月「ど、どうしましょう、司令官! これは誰を【改造】させてあげるべきか――――――」

朗利「いや、そんなのは決まっている」

愛月「え、本当ですか?」

朗利「俺が【改造】に指名するのは――――――!(そう、この胡散臭い【改造】の安全性を確かなものにするためには――――――!)」




659: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:45:17.42 ID:1x8KI/b90



利根改二「吾輩が利根改二である! ふふふ、礼を言おう。これで筑摩のやつよりまた強くなってしまったな」ドヤァ



筑摩「姉さん、似合ってますよー」ニコニコ

闇魔妖精「どういうことだ? どうして俺がこんなショボイやつの【改造】を引き受けねばならなかったのだ……」

筑摩「ああ 良かった。姉さんに何かあったらどうしてやろうかと思ってましたから」ゴゴゴゴゴゴ・・・

闇魔妖精「…………なるほど。俺への監視を込めてこの人選か」

闇魔妖精「ま、やることやってちゃんと拝観料 払ってやったんだから、約束通り【伝承艦】見せてくれよな」

朗利「わかってる。それじゃ行くぞ(これは嬉しい誤算だったな。【改装設計図】が1つ必要なくなった!)」

朗利「それじゃ愛月提督、筑摩のやつにも【改造】を頼む」スッ ――――――【勲章】×4 =【改装設計図】1枚分

愛月「わかりました。間違いなくやっておきますね」

朗利「うん」ニッコリ

朗利「それじゃ、大鳳も来てくれ」

大鳳「はい」ニッコリ

朗利「どうした、大鳳?」

大鳳「いえ、今日は本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれましたから、つい……」

朗利「そうか。――――――いつもありがとう、大鳳」

大鳳「その……どういたしまして」ポッ

朗利「よし、行こうか」

闇魔妖精「へへ、また機会があれば、――――――これからも旦那? 俺のこと、ご贔屓にお願いしますよ?」ニヤリ





660: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:46:44.16 ID:1x8KI/b90

――――――12月20日


朗利「うふふふふ、――――――悲しい」ズーン

Y:龍驤’「せやな」

朗利「クリスマス仕様の艦娘が一人もいない…………時雨改二なんてまだ持ってないよ~」メメタァ

朗利「ちくしょう――――――漣って誰それ? “ツチノコ”狩りがまるで成功しない! クリスマス期間終了まであとわずかなのに!」メメタァ

朗利「そして、このY:龍驤は【派遣】艦だから【秘書艦】にできないからクリスマス仕様を堪能することもできない!」メメタァ

朗利「そのついでのはずの【プレゼント箱】ドロップだが、――――――こんなに【プレゼント箱】なんていらないよ、もう!」メメタァ

朗利「何これ、ボスドロップでこんなにも簡単に手に入っちゃうものなの!?メメタァ

朗利「もう10個以上あるけど、実質的にこれ、――――――劣化【勲章】じゃないか!」メメタァ

朗利「俺はボスドロップでレア艦狙いだってのに、全然このクリスマスキャンペーンが嬉しくなかった……」メメタァ

朗利「むしろ、誰に対する【プレゼント箱】なんだよー、これぇ!」

朗利「かぁー! 恵まれない!」

Y:龍驤’「まあまあ、きみぃ。今日で予定通り3個目の【勲章】を手に入れることに成功したんやし、今日はノルマ達成を祝お?」

X:鳳翔’「今月もお疲れ様でした」

w:愛宕’「うふふふ♪」

朗利「ぬぅ……、いつもいつもありがとうございます」

661: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:47:12.63 ID:1x8KI/b90

朗利「【勲章】は残り8つ――――――、残ったのはビスマルク改二、クレマンソー、インペロか」

朗利「ビスマルクはともかく、クレマンソーとインペロ――――――、練度が足りてないんだよなー」

朗利「使いづらい! ひたすらに! どっちも!」

朗利「クレマンソーは【戦艦】なのに駆逐艦以下の性能とスロットしかないから女王陛下のように主砲ガン積みで火力を補うことも難しいし、」メメタァ

朗利「インペロは【標的艦】だから集中攻撃を受けやすいのに、修理コストも出撃コストも重いから経験値を与えるだけでも一苦労だよ!」メメタァ

朗利「どっちも本格的な【戦艦】としては未成艦のまま世に生まれ出てしまった経緯があるからしかたがないんだけれども…………」

朗利「前にやってきた【闇魔改造妖精】の世界一のあの【改造】技術力をもってしても、こう練度が足りなくちゃあなぁ………」メメタァ

Y:龍驤’「うちらとしてもどうにかしてあげたいんやけどなぁ……」

朗利「【出撃】が難しいならひたすら【演習】で頑張らせるしかないんだろうけど、この調子じゃあと何ヶ月掛かることやら……」メメタァ

朗利「あるいは、鎮守府海域を潜水艦と同伴で回らせるか――――――」

w:愛宕’「う~ん、どうしようねー」

朗利「別に、無理して戦場で活躍させる必要なんてないんだ」

朗利「ドックを開放してこの鎮守府も格段に広くなったことだし、無理に戦場に出なくたって置いとける場所ならちゃんとあるんだ」メメタァ

朗利「それに、【戦艦】なら元から長門とビスマルクがいることだし、愛月提督の配下には比叡と金剛の姉妹がいる」

朗利「女王陛下は装備次第で低燃費で超火力を叩き出せるという鳳翔夫人と肩を並べる燻し銀で周回要員として安定してるし、」

朗利「――――――これ以上、【戦艦】なんて育てる必要なんてないんだよな」

朗利「それよりも、艦隊決戦戦力としての【正規空母】や【潜水艦】の方が欲しいぐらいだ」

X:鳳翔’「そうですね。【戦艦】はコストが重い上に【正規空母】や【潜水艦】のような先制攻撃ができませんからMVPもとりづらい……」メメタァ

朗利「俺は少数精鋭プレイしつつも、できるだけ【駆逐艦】のみんなにも活躍の場を与えるようにはしてきたんだ」メメタァ

朗利「そこに大なり小なりの贔屓があったとしてもだよ?」

X:鳳翔’「わかってます」

X:鳳翔’「それよりも、12月23日までにノルマが達成できてよかったです。年末年始も忙しいことですし」

朗利「あ、そっか。あと3日で『司令部』で報告会だったな…………報告書の整理をしておかないとな」

ピンポンパンポーン!

w:愛宕’「あら?」

Y:龍驤’「お、珍しい」

――――――
愛月「司令官! 至急 司令室に来てください! 西方海域から謎の救難信号を傍受いたしました!」
――――――

朗利「なに?(――――――【西方海域】か。欧州へ至るには避けては通れない大洋)」チラッ

【派遣】組’「…………」コクリ

朗利「それじゃ!」


タッタッタッタッタ・・・



662: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:48:08.11 ID:1x8KI/b90

――――――司令室


愛月「司令官」

朗利「で、……何が『謎』なのだ?」

愛月「それが――――――」

ドレッドノート「【カスガダマ沖】から2つの救難信号が確認されてはいるんだけど、どちらも【スペイン籍】なんだよ」

朗利「――――――『スペイン』?」

朗利「スペインって言うと、ヨーロッパ大陸の西端のイベリア半島のデカイ方の国だったよな? 小さい方がポルトガルって国で」

ドレッドノート「そう。かつて我が大英帝国は大航海時代で新大陸の開拓で勢力を誇っていたスペインの無敵艦隊を破ったことで、」

ドレッドノート「海洋国家としての覇権を得ることができ、世界に冠たる国の栄光を掴むことができたんだよ」

朗利「それで、救難信号なんだろう? 近くに展開している友軍艦隊に連絡を入れて救助に向かわせよう――――――それだけの話だろう?」

愛月「それが、【西方海域】全体に展開している我が皇国の艦隊の半数以上が本国に帰還しておりまして――――――」

朗利「――――――クリスマス休業かよ!?」

ドレッドノート「まあ、第一次世界大戦でもクリスマス休戦があったからしかたないね」

朗利「(でも、確かに【西方海域】は今のところEOマップがないし、一度行ったらクエストでもない限りそれっきりの提督は多いからな……)」メメタァ

朗利「(それに、あの【カスガダマ島】の装甲空母鬼の存在を踏まえると、『二度と来たくない』と思っている提督も少なからず いて当然…………)」

朗利「(現在の防衛圏においても最果ての海だから、元々ここまで足繁く艦隊を展開させている鎮守府も少なくて、半数以上が――――――)」

663: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:48:36.57 ID:1x8KI/b90

朗利「わかった。すぐにでも我が鎮守府の艦隊を出撃させよう」

朗利「座標は特定できているのか?」

ドレッドノート「それが妙なんだよねぇ」

朗利「――――――『妙』だって? それが最初に言っていた『謎』ってことですか?」

ドレッドノート「そう。同じ【スペイン籍】でありながら航路が同じじゃないんだよねぇ」

愛月「座標に表すと、【カスガダマ島】に隣接している大陸のE地点と【カスガダマ沖】のJ地点からなんです」※攻略Wiki参照

朗利「――――――単純に船団からはぐれたんじゃないのか?」

愛月「司令官、最初にこの不可解な救難信号の傍受の報告を受けて、たまたま近くにいらっしゃった女王陛下と一緒に確認していたのですが……」

ドレッドノート「わらわは仏語・独語・西語にも堪能ぞ。故に、すぐに【スペイン籍】なのはわかった」

ドレッドノート「だがどうも、仲間割れを起こしているのか、片方がもう片方の救助をしないように名指しで明確に訴えてきてねぇ」

朗利「???」

ドレッドノート「どうも高度に政治的な事情が介在しているらしい」

朗利「…………?」

ドレッドノート「つまり、こういうことさね、司令官よ」


――――――助けるか? それとも、我 関せずで見殺しにするか?


朗利「そんなの知ったことか!」

朗利「国際法に基づいた救難信号を出しているのなら、海洋国家の船乗りの倫理に則って誰であろうと助ける!」

朗利「どういった理由で同じ国籍同士で争っているのかなんていうのは二の次だ」

朗利「現代の世界中の航海の安全の一切を担っている海洋警察の一角である我が皇国海軍の責務を果たすだけ!」

ドレッドノート「そうかい」フッ

朗利「一刻を争う! E地点とJ地点それぞれに艦隊を派遣するぞ!」

朗利「作戦指揮はこの際、俺と愛月提督で分担して行う。E地点の救助には愛月提督が担当してもらう!」

愛月「わかりました! すぐに艦隊を編成して出撃させます!」

タッタッタッタッタ・・・


664: ◆G4SP/HSOik 2015/02/04(水) 08:49:05.65 ID:1x8KI/b90

ドレッドノート「最初に【カスガダマ】を攻略した頃に比べて、ずいぶんと貫禄が出るようになってきたじゃないか」

朗利「変わり続けることを教えたのは他ならない女王陛下でしょう?」

ドレッドノート「それもそうさね」

ドレッドノート「でも、わらわは見守る者として子の成長を見届ける義務があり、その成長を喜ぶことも義務付けられてもいるのだぞ?」

朗利「…………女王陛下」

ドレッドノート「それに、だ」フフッ

朗利「?」


ドレッドノート「こうやって自分好みに男子が育っていくさまを眺めるのは次代に思いを馳せる者として最高の贅沢だよ」ニヤリ


朗利「…………そ、そうでございますか(どちらの意味にもとれる――――――じゃない。どちらの意味も含めてるんだ、これ)」アセタラー

朗利「あ、そういえば――――――(これがウィットに富んだ表現が得意なブリティッシュならではの言い回しってことか)」

ドレッドノート「どうしたんだい?」

朗利「要救助者について何も聞いておりませんでした。呼びかけをするために要救助者名を教えてください」

ドレッドノート「そうだったねぇ……」

ドレッドノート「確か、こっちの大陸の方からのは“バレアレス”、沖の方のやつは“リベルタード”って言ってたかな」

朗利「――――――およそ人名とは思えない響きだな」

ドレッドノート「だろうねぇ」

朗利「え」

ドレッドノート「“バレアレス”はスペイン領の西地中海の群島であるバレアレス諸島のことだし、」

ドレッドノート「“リベルタード”はスペイン語で『自由』を意味する言葉だからね」

ドレッドノート「それでいて、自身がまるでそれであるかのような若い女性の口の利き方――――――」

朗利「――――――【スペイン艦】!?」

ドレッドノート「そういうことだろうねぇ」

ドレッドノート「それじゃ、迎えに行ってきてあげな」

ドレッドノート「わざわざ欧州から来訪してきた珍しい御客人なのだから」

朗利「わかりました! 俺も艦隊編成を急がないと!」

タッタッタッタッタ・・・

ドレッドノート「さて、【スペイン艦】ねぇ」

ドレッドノート「無敵艦隊を破られて覇権国家の座を我が大英帝国に明け渡した後の凋落ぶりからして、」

ドレッドノート「純国産の弩級戦艦すらないような時代遅れの気がするけれど、」

ドレッドノート「今の拓自鎮守府には十分すぎるほど【戦艦】がいることだし、ちょうどいいのかもしれないねぇ」

ドレッドノート「ふふふ、ここで迎えるクリスマスは実に楽しいものになりそうだよ」


――――――第7話Z 到来  -アドベント- 完

       Next:第8話  12月23日 -三笠公園にて- に続く!