1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 03:32:42.77 ID:UIuWk2po0
千秋「ふぅ。まあいいわよ。不満はあるけど、仕事は仕事。割り切るわ」

P「今度からもっと足を伸ばしてみるよ」

千秋「期待してるわ。次はもう少し私に見合った仕事をお願い」

P「約束する」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 03:35:09.67 ID:UIuWk2po0
千秋「話はそれで終わりね。レッスンに行くわ」

P「付き合うよ」

千秋「平気。その時間を営業に回して」

P「こりゃ手厳しい」

千秋「それじゃ」

P「道中気をつけてな」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 03:40:03.87 ID:UIuWk2po0
幸子「入って間もないのに、随分香ばしい人ですね」

P「そうか?」

幸子「プロデューサーさんはそう思わないんですか?」

P「正直なだけだよ。プライドは高いけどさ、それは自分に自信がある証拠。幸子と一緒でいい傾向だ」

幸子「ボクがかわいいのは当然ですが、プロデューサーさん視点ではそう映っていたんですね、彼女」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 03:45:08.86 ID:UIuWk2po0
P「問題があるとすれば、俺の営業力だな。千秋はすでに大舞台に立てるだけの実力があるから」

幸子「各方面で引っ張りだこのアイドルを担当するプロデューサーの言葉ではありませんね。ボクみたいな」

P「あれは幸子たちの成果だろ? なるべくしてなっただけで、俺はなにもしてないよ」

幸子「ボクはボクの魅力でお仕事を勝ち取ったと自負してますが、プロデューサーさんが無能と言うつもりもありませんよ」

P「その言葉だけで俺は充分。所詮裏方だからな」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 03:50:34.39 ID:UIuWk2po0
幸子「……カッコつけちゃって」

P「偶にはカッコもつけたいお年頃なんだよ」

幸子「頭をポンポンしないで下さい」

P「ダメか?」

幸子「かわいい上に寛大で寛容で慈悲深いボクです。今回だけは多めに見ますよ」

P「そっか。ありがとな」

幸子「……こちらこそ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 03:55:24.00 ID:UIuWk2po0
数日後


薫「せんせぇ!」

P「ん?」

薫「またクッキーつくったの! こんどはみりあちゃんとまいちゃんといっしょに。たべて!」

P「おお、それは凄いな。ありがと」

みりあ「すごいのは薫ちゃんだよ、プロデューサー」

舞「私たちははじめてだったけど、薫ちゃんのおかげで上手にできました」

P「そっか。前は聖に教えてたし、薫は本当に器用だな」

薫「えへへ」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:00:12.80 ID:UIuWk2po0
みりあ「で、でもでも! 私たちも頑張ったんだよ!」

舞「そ、そうですよ!」

薫「うん。かおるより、二人の方が動いてたんだ」

P「三人で作ったんだもんな。みんな、凄いぞ」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:05:28.71 ID:UIuWk2po0
P「ちょっと休憩して、早速頂こうかな。みんなも一緒にな」

みりあ「いいの?」

P「もちろん。ただ、どんな風に作ってたか、教えてくれたら嬉しい」

舞「はい!」

薫「えっとね、えっとね、さいしょはみりあちゃんがね」

P「薫は気が早いな。飲み物用意するから、話をしてくれるのはその後でいいよ」

薫「うん!」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:10:02.11 ID:UIuWk2po0
千秋「……プロデューサーさん」

P「おっ、千秋か。一緒にどうだ?」

千秋「結構よ。私にはする事があるから。でも」

P「?」

千秋「アナタにもする事があるんじゃないの? 子供たちとお喋りしてる時間が惜しいくらいには」

舞「ご、ごめんなさい。私たちがプロデューサーさんのお仕事のじゃまをしちゃって……」

千秋「アナタたちはいいのよ。けど、プロデューサーさんは大人なの」

みりあ「悪いのは私たちだよ! プロデューサーは悪くないもん!」

薫「そ、そうだよ!」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:15:08.20 ID:UIuWk2po0
P「まあまあ、そんなに怒らない怒らない」

みりあ「でもぉ……」

P「よし、三人にそんな顔をさせちゃったから、お詫びに今度、どこかへ遊びに行くか。どこがいい?」

舞「どこでもいいんですか?」

P「どこでもいいぞ。流石に泊まりがけは難しいけどな」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:20:10.37 ID:UIuWk2po0
みりあ「また動物園に行きたい!」

P「楽しかったもんな」

薫「かおるはヒマワリ畑!」

P「季節が惜しいな。でも、夏になったらまた行くか」

舞「イギリス……は流石に無理ですよね?」

P「ちょっとそこまではな。けど、また国外ライブが出来るようにするよ」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:25:02.86 ID:UIuWk2po0
薫「じゃあ、動物園かな」

舞「そうですね」

みりあ「わーい!」

千秋「プロデューサーさん」

P「どうだ? 千秋も一緒に来ないか?」

千秋「……勝手にして。私、レッスンに行って来るわ」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:30:07.37 ID:UIuWk2po0
みりあ「べぇー!」

P「こらこら、そんなことしたら駄目だぞ」

みりあ「はーい」

P「さっ、ちょっと遅くなったけど、スペシャルクッキーを食べような。休憩室に行こうか」

舞「はい」

薫「せんせぇ。かおる、お茶いれるの手伝う!」

みりあ「私もー!」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:35:38.33 ID:UIuWk2po0
事務所の外


千秋「……」

幸子「ふふっ、可哀想な人ですね」

千秋「なにか用?」

幸子「いえ? お仕事が終わったので戻ってみれば、貴女の情けない場面に遭遇しただけです」

千秋「好きに言えばいいわ。私はアナタに構っていられるほど暇じゃないの」

幸子「ボクもですよ。これからお仕事の報告をしなければなりませんので」
幸子「あと、お茶のお相伴にあずかりませんと。ボクはかわいいので、必ず誘われてしまいますからね」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:40:57.32 ID:UIuWk2po0
千秋「ご自由にどうぞ。それじゃ」

幸子「ああ、その前に一つだけ」

千秋「なにかしら?」

幸子「プロデューサーさんは貴女なんかの道具ではありませんので、暴走するならお一人で」

千秋「……覚えておくわ」

幸子「それではまた」

千秋「ええ」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:45:29.95 ID:UIuWk2po0
数日後


千秋「はぁ、はぁ、はぁ……」

トレーナー「お疲れ様です。今日はこの辺りでクールダウンをしましょうか」

千秋「ま、まだ大丈夫よ」

トレーナー「これ以上は故障の危険が増すだけで、あまり効果はありませんから、ね?」

P「あんまりトレーナーさんを困らせるなよー」

千秋「……どうしてここにいるの?」

P「ちょっと様子を見にな」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:50:06.66 ID:UIuWk2po0
千秋「前に言ったわよね? 来る暇があるなら営業に回してって」

P「担当アイドルの状況を把握するのも仕事の内だからな」

千秋「心配しなくても、報告は欠かさないわ」

P「確かに千秋の報告書は細かなところまでわかり易く書いてあるからなぁ。何々をやった、ってだけでいいのに」

千秋「性分なのよ」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 04:55:27.56 ID:UIuWk2po0
P「それは別として、直に確かめておきたくてな」

千秋「必要ないわ。それより、次の仕事の方はまだ決まらないの?」

P「ぼちぼちって所。少なくとも悪い流れじゃないよ」

千秋「けれど、最近は仕事をした記憶がないわ」

P「すぐにできる仕事はいくつかあるけど、それじゃ満足出来ないだろうなと思ってさ」

千秋「気に入らないからしない、なんて事をするつもりはないわ。なるべく大きい方がいいだけよ」

P「まあ、上を見てただ疲れるより、今はのんびりとな」

幸子「本当ですね。ボクほどのかわいさがないので、焦るのも仕方ありませんが」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:00:13.73 ID:UIuWk2po0
P「あれ? 幸子、今日レッスンの日だったか?」

幸子「忘れてしまったんですか? ボクのスケジュール」

P「うーん。確か、なかったような気がしたんだけどなぁ」

幸子「その記憶は正しいですけどね」

P「どういう事?」

幸子「個人的にお願いしていたんですよ。料金は自腹ですので、事務所にご迷惑はかけていませんよ」

トレーナー「お、お金の話は生々しい上に心が痛みますのでご遠慮を……」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:05:04.23 ID:UIuWk2po0
P「トレーナーさん、幸子は結構前からこんな事を?」

トレーナー「えっと……」

幸子「言っても構いませんよ? ボクは別に隠してませんから。他の方と違って」

P「他って、幸子以外にも何人かいるんですか?」

トレーナー「ご、ごめんなさい。内緒にしてって頼まれていまして」

P「いえ、責めてるつもりはありませんよ。すみません、ウチの子らが勝手に」

トレーナー「とんでもありません。むしろ、こっちからお願いしたいくらいで。ですが、私たちにも生活がありまして、その……」

P「ただ、今度からは、誰がいつレッスンするか教えて下さいね」

トレーナー「……はい」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:10:15.12 ID:UIuWk2po0
P「すみませんが、幸子以外にレッスンをしていた子を教えて下さい。料金×回数を給料に入れませんと」

トレーナー「皆さん、ごめんなさい……。えっと、奥で帳簿をお見せしながらお話します」

P「ありがとうございます」

トレーナー「いえ、隠していた私たちも悪いのですから。ではこちらに」
トレーナー「千秋さんはクールダウンをしてて下さいね。幸子ちゃんは着替えてて下さい」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:15:26.11 ID:UIuWk2po0
千秋「……」

幸子「時間通りに来てみれば、まだレッスン中でしたか。もっとも、貴女が無理を言って伸ばしたのだと思いますけどね」

千秋「ごめんなさい。アナタの時間を遅延させた事は素直に謝るわ」

幸子「いい心がけです、と言いたいのですが、この前の事をもうお忘れになってしまったようで」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:20:17.80 ID:UIuWk2po0
千秋「別に忘れてないわ。プロデューサーさんを道具扱いするつもりはない。ただ、対応を変えたりもしないだけよ」

幸子「やれやれ、切羽詰まってる才能のない人は本当に憐れですね。誰かに努力してますってアピールばかりで」

千秋「急になんの話?」

幸子「個人的な貴女の言動の解釈ですよ。力になってくれる人を突っ撥ねて、けれど、努力してる事は察して欲しい」
幸子「子供以下ですね。薫さんたちみたいに、褒めて欲しいから、頑張った、っと声を上げる方が何百倍もかわいいと思います」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:25:19.80 ID:UIuWk2po0
千秋「……この前から思ってたけど、喧嘩を売るなら他の人にして頂戴」

幸子「ふふっ、安易にそんな発想が出て来るなんて、器の大きさが知れますね」

千秋「……」

幸子「ただ、二つばかり告げておきましょう」
幸子「ボクたちとの現状の差は、純粋に貴女の実力と経験の不足。プロデューサーさんを言い訳に使って欲しくありません」

千秋「言い訳なんて――」

幸子「今の貴女の言葉は無視します。興味がありませんので」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:30:28.55 ID:UIuWk2po0
幸子「それともう一つ」

千秋「……」

幸子「プロデューサーさんは貴女を裏切りません。貴女の望む場所へ、ずっと手を引いてくれるでしょう」
幸子「それが信じられず駄々を捏ね続けるのなら、担当を変えて貰った方が貴女のためになりますよ」
幸子「もっとも、その時点で将来は決まったも同然ですけど」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:35:54.63 ID:UIuWk2po0
P「あれ? 幸子、まだ着替えてなかったのか?」

トレーナー「千秋さんもクールダウンをしてないじゃないですか。ダメですよ」

幸子「ボクのお話に付き合って貰ったんですよ。かわいい半生を語りたかったので」

P「面白そうだな。今度俺にも聞かせてくれないか?」

幸子「いいですよ。ですが、今は着替えないといけないので」

P「またいつかでいいよ」

幸子「それでは」

P「ああ、頑張れよ。さて、千秋は体解さないとな。その後は家に帰るだろ? 車で寄ったから、駅まで送るよ」

千秋「……」

P「千秋?」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:40:13.97 ID:UIuWk2po0
千秋「あっ、ごめんなさい。なにかしら?」

P「だから、駅まで送るって話。珍しいな、ぼんやりするなんて。やっぱり疲れが溜まってるんじゃないか?」

千秋「疲れは平気。体調は常に整えてるもの。それより、帰りはお言葉に甘えるわ」

P「おう、甘えられるな」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:45:09.30 ID:UIuWk2po0
駅前


P「着いたぞ。忘れ物しても、届けるから安心してな」

千秋「……ねえ、プロデューサーさん」

P「ん?」

千秋「プロデューサーさんはいつもなにを考えて仕事をしてるの?」

P「変な質問だな」

千秋「いいから答えて」

P「って言われてもな。みんなが生き生きと出来る仕事をさせたい、とかかな」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:50:45.24 ID:UIuWk2po0
千秋「そう。なら私は?」

P「千秋がなんだ?」

千秋「私はトップにしか興味がないわ。それ以外は下積み程度にしか思えないの」

P「そういう事な。まあ、いきなりトップは無理だけど、その内に必ずな」

千秋「……その言葉、私はどう信じたらいいの?」

P「んー、言葉だけじゃ、やっぱり現実味がないよな」

千秋「アナタでは力不足、なんて言うつもりはないわ。何人も成功させた功績があるのだから」
千秋「けど、それが私の保証になるとは思えないわ。……ごめんなさい」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 05:54:57.87 ID:UIuWk2po0
P「そうだなぁ……仕方ないか。ダッシュボード開けてみな」

千秋「? クリップで纏められてる紙の事?」

P「それそれ」

千秋「Aクラスアイドルのイベントね。これがどうかしたの?」

P「それに千秋が出れるぞ」

千秋「えっ? でも、私はずっと下よ」

P「特別枠があってな。新人アイドルのお披露目みたいな席だ。そこに千秋が座る」

千秋「私が……?」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:00:14.05 ID:UIuWk2po0
P「どうする?」

千秋「もちろん、参加するわ」

P「けどな、それにはリスクもある」

千秋「リスク?」

P「まだ知名度の低い千秋が出てるだけで、場が白けるかもしれない」
P「失敗なんてしたら、次に大舞台に立つ機会がかなり遠退くな」

千秋「その通りになるでしょうね」

P「悪くないってレベルでも意味がない。他の子は名実共に粒揃いだからな。埋もれるだけだ」
P「失敗するよりはマシだろうけど、ファンよりアンチが増える可能性もある」

千秋「……」

P「出るなら他のアイドルを前座にするほどの大成功のみ。中途半端な成功に価値も意味もない」
P「……改めて訊くな。どうする?」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:05:11.81 ID:UIuWk2po0
千秋「……私の意見は変わらないわ。求めていた地位に、一気に近寄れるチャンスだもの」
千秋「逃す手なんて考えられない」

P「よし、じゃあ出るか」

千秋「当然よ。けど、どうしてこの事を黙ってたの?」

P「まだ確定じゃないからな。完全に決まってから話すつもりだったんだよ」

千秋「決まってないのね」

P「正式なのは、だけど。千秋はその辺気にしなくていいよ。伝えた以上、何があってもなんとかする」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:10:32.51 ID:UIuWk2po0
P「と、俺に出来る事を話してみたけど、最後は結局千秋頼みになる。ごめんな、最後が締まらないプロデューサーで」

千秋「ううん、充分過ぎるわ。まだ今のランクの一つか、よくて二つ上の仕事しか出来ないと思ってた」

P「なに言ってるんだよ。これだって通過点の一つに過ぎないんだ。千秋が行くのはもっと上だろ?」

千秋「……そうね。そうだったわ」

P「話は戻るけど、まだ千秋との付き合いは、他の子らと比べて短い。だから、俺の全てを信頼するのは無理だと思う」
P「それでも、頼って欲しい。多少の無茶なら聞くし、酒や愚痴ならいくらでも付き合うからさ」

千秋「それはもう大丈夫よ」

P「幸子のおかげか?」

千秋「気付いてたの?」

P「二人っきりになった後から様子がおかしくなればな。幸子って、面倒見が良いし」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:16:29.89 ID:UIuWk2po0
千秋「まさか、喧嘩を売られてるんじゃなくて、叱られてるのだとは思わなかったわ」
千秋「何歳も下の子に怒られるのは、中々胸に響くわね」

P「今度は薫たちに説教を覚えさせておくよ」

千秋「遠慮するわ。今でもショックが大きいのに、あの子たちにされたら立ち直れないわよ」

P「ははは。俺なんかいっつも怒られてるよ。でもさ、謝ったら笑って許してくれるんだ」
P「みんな本当にいい子たちだからな」

千秋「……少し、用事が出来たわ」

P「そっか」

千秋「送ってくれてありがとう。また明日、事務所で」

P「待ってるよ」

千秋「……うん」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:20:13.83 ID:UIuWk2po0
翌日


千秋「この前はごめんなさい」

薫「このまえって?」

みりあ「千秋おねーちゃんに謝られるような事あったかな?」

舞「……ああ、もしかして、クッキーの時ですか?」

千秋「ええ。その、お詫びとしては足らないと思うけど、私もクッキー焼いてみたの」

みりあ「本当!?」

薫「わぁ! かわいい袋」

舞「貰ってもいいんですか?」

千秋「そのために焼いたのだから。ただ」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:25:17.44 ID:UIuWk2po0
みりあ「どうしたの?」

千秋「あまり形はよくないの。味見はしたから、食べられると思うけど」

薫「なら、こんどはかおるたちといっしょに作ろ」

千秋「えっ、いいの……?」

みりあ「うん!」

舞「人は多い方が楽しいですよ」

千秋「恥ずかしいけど、お菓子作りは得意じゃないわよ?」

薫「さいしょはみんなそうだよー」

舞「薫ちゃんがいるから安心ですしね」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:30:24.80 ID:UIuWk2po0
みりあ「じゃあ、今度のお休みにみんなで作ろー!」

薫「おー!」

舞「おー!」

千秋「お、おー……」

みりあ「千秋おねーちゃん、元気がないからもう一度! みんなで作ろー!」

千秋「お、おー!」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:35:19.22 ID:UIuWk2po0
幸子「子供って単純ですよね」

P「単に純粋で、単純だからな。俺、いつ失くしたんだろ……」

幸子「気にするような歳ですか?」

P「ま、まだ若いもん!」

幸子「いえ、まだお若いから、気にするような事じゃないと言いたかったんですが」

P「……そうなの?」

幸子「ええ」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:40:13.99 ID:UIuWk2po0
P「ゴホン。それはそれとして、千秋のために動いてくれたみたいだな」

幸子「……なんの事かさっぱりですね。ボクのかわいさに中てられて、ああなったんですか?」

P「幸子はかわいいからな」

幸子「言われ慣れているボクですが、仕方ないのでもっと言って下さい」

P「幸子はかわいいな」

幸子「頭撫でる事は許可していませんが、今回だけは目を瞑りましょう」

P「幸子はかわいいな」

幸子「……両手を広げて待たないで下さい。抱きついたりはしませんから」

P「冗談だよ」

幸子「……最後の行動だけですよね? よね……?」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:45:22.23 ID:UIuWk2po0
薫「せんせぇー!」

みりあ「千秋おねーちゃんも早く!」

千秋「あっ、ちょっと。薫ちゃん、みりあちゃん、あまり手を引っ張らないで。舞ちゃんも押さないで」

舞「まあまあ」

P「どうしたんだ?」

薫「あのね、こんどまたお菓子つくるの」

みりあ「千秋おねーちゃんも一緒なんだよ」

P「そっかそっか。仲間に入れて貰えてよかったな、千秋」

千秋「ふ、ふん」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:50:20.67 ID:UIuWk2po0
舞「それでですね、プロデューサーさんも一緒にどうかと思いまして。もちろん、幸子さんも」

P「いいのか? そりゃ嬉しいな。幸子はどうだ?」

幸子「頼まれたら仕方ありませんね。精々ボクの作ったお菓子の出来に舌鼓でも打つんですね」

P「喜べ、幸子おねーちゃんが普段は食べれないようなお菓子を作ってくれるそうだぞ!」

幸子「なっ!?」

薫「やったー!」

舞「楽しみです」

みりあ「ねー!」

幸子「ま、まぁ、ボクに出来ない事なんてなに一つ、な・に・ひ・と・つ、ありませんけどね!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 06:55:16.21 ID:UIuWk2po0
P(ちゃんとフォローするから安心しとけ)

幸子(誰のせいだと……! ボク、お菓子なんてまともに作った事ないんですから!)

P(ごめんごめん。てっきり背中を押せと頼まれた気がしたから)

幸子(誰にですか!)

千秋「……ふーん、プロデューサーさん、その子と本当に仲がいいのね。ヒソヒソとお喋りをするくらい」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/03(日) 07:00:27.99 ID:UIuWk2po0
P「そりゃな。幸子は俺が担当した最初のアイドルだから、一番付き合いは長いし」

幸子「ふふん、もっとも、貴女と時期が逆でも同じ立場だったでしょうね」

P「なにがだ?」

千秋「言うわね」

P「だからなにが?」

幸子「少しはボクを焦らせて下さいね、千秋さん」

千秋「後悔しても知らないわよ、幸子」

P「いや、本当に何が? 二人して怖い笑顔浮かべてないで、教えてくれよ、ねえ」


終わり

引用元: 黒川千秋「またこんな仕事?」モバP「ごめんな」