番外編 2014年から2015年へ

1,【艦隊これくしょん -艦これ-】について!

――――――洞庭鎮守府


島風「始まったー!」

高雄「楽しみですね、提督」

清原「ああ。ついに満を持して始まったか」

清原「これ、一応 大本営からの命令で第1話は必ず視聴して意見と感想を出さなくちゃいけないんだよねぇ」メメタァ

清原「我々の活動――――――というより、艦娘をより身近な存在として世間に正しく認知してもらうためのものだが、これは…………」

大和「気になりますよね。大本営がどのように【艦これ】の世界を広めようとしているのか――――――」メメタァ

清原「そうは言うが、これは【-艦これ-】であって【~艦これ~】を原作としたものだから、」メメタァ

清原「製作監督 曰く『これもまた解釈の1つに過ぎない』ものらしい」

大和「そうだったんですか」

清原「そう。公式としてはこれまで発行されてきた数々の小説における設定も、艦娘の解体に対する説明や深海棲艦に対する考察など――――――」メメタァ

清原「『その全てが正しくもあり、また等しく間違ってもいる』とも言えることを公言している」

清原「この物語風プレゼンにおいては、四半世紀前に艦娘と深海棲艦の大戦が始まったという設定だが……、」メメタァ

清原「さて、この公報アニメではどう描かれることか」

鳳翔「さすがに全ての艦娘に焦点を当てることは――――――」

清原「無理だろうな。それは事前告知でレギュラーキャラの選抜が行われていることは明らかにされてきたからな」

清原「このアニメ鎮守府(仮)の面々を見る限りだと、知名度の高いメジャーな艦娘が多く起用されているようだな」

清原「――――――妥当なところか、これは?」

清原「けど、それはつまりマイナーな艦娘が好きな提督たちからすれば――――――」

鳳翔「?」

清原「ま、あのピンクゴールド鎮守府の資源王がアニメごときに興味を示すようには思えないがな……」


4: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:42:58.75 ID:XCu0XW8V0


りう「へえ、【この世界】で最初の【-艦これ-】はこういう設定――――――」

りう「ほへえ、この出撃シーンはなかなか凝ってるね(でも、この出撃方式だと潜水艦はどうなっちゃうわけ?)」

りう「(でも これ、もしかしてオレが使ってる亜空間格納庫(意味深)技術の進化の過程の中に入ってたりするのかな?)」 参照>>372

りう「(これってつまり、『自動で艤装を瞬時に装備する』っていう発想だから――――――)」

りう「(でも、はっきり言って これ、『無駄に洗練された無駄のない無駄な動き』ってやつだしな…………)」

りう「(【この時代】の技術では艤装の自動展開もこれで精一杯なのかな? やっぱり【昔】なんだなー、【ここ】って)」

x:木曾「カッコイイもんだな」

x:摩耶「ああ。今回の出撃メンバーはこんな感じのようだが、あたしたちの出番はあるかな?」

x:五十鈴「あれ? 私たち、出演者名簿に名前がみんな載ってない!?」メメタァ

x:艦娘たち「嘘おおおおおおおおお!」ザワ・・・ザワ・・・!

x:木曾「ば、馬鹿な!? 球磨型軽巡でなぜ俺だけ載ってない!?」

x:摩耶「それどころか、この艦隊の誰一人として【アニメ】出演してないんじゃないか、これっ!?」

x:秋月「そ、そんなぁー――――――いえ、秋月は新参者なのでそうじゃないかとは思ってました……」

りう「まあ、秋月の場合は――――――【アニメ】の製作が決定したのはずっと前からだったらしいからね」

x:五十鈴「こ、ここまで狙ったかのように私たちの艦隊で誰一人として出演者がいないだなんて…………」

りう「静かにして。ほら、戦闘が始まるよ」

x:艦娘たち「あ、はい……」

りう「しっかし、見事なまでに提督の舞台装置っぷりだなぁ……(まあ、八八艦隊の面々ならある程度までの指揮は問題なく執れるけれどもさ?)」

りう「たぶん、【ここ】も【-艦これ-】第2期があった時、提督にもキャラクター性が与えられるようになるとは思うんだけどねぇ……」

りう「でも、これはしかたがないことなのかも(あくまでも【-艦これ-】は世間への認知を定着させる意味合いで艦娘を主役に据えて製作されているから)」

りう「おお……!(ユーザーの分身である提督の存在は今の段階だと登場させちゃいけないのかもしれないね)」

りう「――――――思ったよりも【アニメ】の深海棲艦は怖くないな(『やっぱり【昔】の深海棲艦なんてこの程度なのかなー』って思った)」



5: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:43:35.28 ID:XCu0XW8V0

――――――斎庭鎮守府


剛田「おい、ついに1時間後に始まるな、【公式アニメ】!」

金本「ああ……、そいつはお前が代わりに毎週 見ておいてくれ。録画は夕張がやってくれているはずだから」

剛田「うん? どうしたんだ?」

金本「一応、【公式アニメ】については提督は必ず見て――――――それは第1話だけの話だけど『できるだけ毎週見て 感想・意見をあげろ』とさ」

金本「というわけで、陸軍のお前から見た貴重なご意見・感想でもあげれば喜ぶんじゃないか?」

剛田「やけに乗り気じゃないな」

金本「どうでもいいわい。どうせマイナー艦ばっかり使ってる俺の艦隊のほとんどは出られませんよーっだ!」

剛田「確かにイロモノ揃いで深夜枠とはいえお茶の間にはあまり似つかわしくないのが多いが…………それだけが理由ではないような気がするな」

剛田「ハッ」


剛田「お前、夕張に録画をまかせているのに、どうしてお前はお前で録画の準備なんてしているんだ?」


金本「うるせえな。別に俺の方で2015年冬アニメで見たいものが他にあったっていいじゃないか」

剛田「珍しいな。艦娘という絶世の美女たちを数えきれんぐらい侍らせている資源王という究極のリア充に二次元に求めるものが未だにあったとはな」

金本「そうは言うが、俺だって資源王になる前は平々凡々だったんだし、更にその前は極貧の素寒貧だったんだ」

金本「昔の思い出に浸ったって悪くはないだろうが」

剛田「ふ~ん。金本がそこまで言うからには――――――」ジー ――――――画面に表示された録画予定表に目を凝らす。

剛田「あ」(察し)

金本「わかったか?」

剛田「そうだったな。お前――――――、」


――――――“課金兵”だったもんな。


金本「ああ。あの頃は“多々買い”の日々に明け暮れていたものだ。結局、俺は“レッドショルダー”の成り損ないだったがな……」

金本「それも昔となり、資源王となった今は、匿名で世話になった事務所に寄付金を贈ってはいるんだがな」

金本「あとは、夜ノヤッターマンぐらいか。気になるのは」

剛田「そうか。わかったよ」

剛田「お前の代わりに【アニメ】の感想を書いておいてやるから少しはのんびりとしてな」

剛田「そうだ。2月に冬イベントが開催されるらしいとの情報が船舶司令部にも届いたぞ」メメタァ

金本「そう。【ケッコンカッコカリ】が実装された辺りでもあり、【艦娘からのチョコ】がもらえる季節でもあるな」メメタァ

剛田「かぁー、羨ましい! 提督になればリアルでもらえなくても艦娘たちからはもらえるものな!」メメタァ

金本「チョココロネでも作ってやろうか? それともあんドーナツの方がいいか?」ニヤニヤ

剛田「…………ありがとよ、金本菓子パン(俺もケッコンカッコカリしてぇよぉ! ちくしょーめ! 海軍ばっかぁ!)」イラッ



6: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:44:08.80 ID:XCu0XW8V0

――――――拓自鎮守府


朗利「【アニメ】の方はいい。公報活動なら昔からやってきたことだし、この件に関しては愛月提督にまかせる」

愛月「わかりました。しっかり拝見させてもらいます」

朗利「うん。うまいこと頼む」

愛月「では、朗利パークで上映いたしますので、その準備に入りますね」

朗利「よろしく頼む」

コツコツコツ・・・・・・

朗利「…………こっちは【アニメ】の話どころじゃないんだよな」

朗利「さて、どうするべきか?」チラッ



軽巡:リベルタード「お願いです、ぜひ私たちにお味方してください」

重巡:バレアレス「いいえ、国民を苦しめるだけの無能な政府の手先の言うことに耳を貸さないでください」



朗利「…………和平を結ぶことはできないのか?」

リベルタード「無理です!」

バレアレス「残念ながら、人民の敵である政府を転覆させる以外に解決の道はありません」

朗利「けど、深海棲艦が跋扈している世の中で内戦してる余裕なんてあるのか?」

朗利「――――――共倒れするだけだぞ」

リベルタード「そうですとも。今こそ一致団結するべきだというのに……」

バレアレス「そんなことはわかってはいますが、敵よりもずっと厄介なものが国中にいますので」

朗利「…………そうか(『敵よりもずっと厄介なもの』との戦いを強いられているのか)」

朗利「すまないが、力を貸せるのは『打倒 深海棲艦』という共通の目標に向かっていくことが約束できた時だけだ」

朗利「確かに【欧州への大規模遠征】を計画しているのは本当だが、これは人類同士の内戦に介入するためのものじゃない」

朗利「深海棲艦による海上封鎖を打破し、人類の地球規模の生存圏の再確立を目指しているものだ」

朗利「皇国が願っているのはいつだって世界平和だ。侵略戦争なんてしたことがないんだ。それが西暦1600年からの江戸時代からの伝統なんだ」

朗利「いつだって皇国は外圧からの防衛のために勢力を拡大せざるを得なかっただけであり、」

朗利「民族自決が基本となった今の御時世で特定の民族のためだけに介入することは許されない」

朗利「遠いところからわざわざ来てくれたのはありがたいことだけれど、艦娘を使った代理戦争には手を貸せない」

朗利「ましてや、人類の味方である艦娘が人類の敵である深海棲艦と戦う日々を描いた【-艦これ-】の放映がここでは始まったばかりなんだ」


朗利「艦娘 VS.艦娘の構図を生み出すのは【演習】の中だけにしてくれ」



7: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:45:10.32 ID:XCu0XW8V0

リベルタード「………………」

バレアレス「………………」

朗利「…………とは言っても、人間だもんな。艦娘だもんな。言ってすぐにわかりあえるとは思っちゃいないさ」

朗利「だって、そうだろう? 何が欲しくて争い合っているかなんてわかってないから大の大人の大人げない喧嘩にもなるんだからさ?」

朗利「けれども、 せめて ここにいる間だけでも内戦のことなんて忘れて、」

朗利「平和ってどんな感じなのかをここでの日々を通して思い描いていってはくれないか?」

朗利「はい、これ」スッ

リベルタード「?」

バレアレス「何ですか、これ?(何か凄く美味しそうな匂いが――――――)」

朗利「神戸銘品の瓦せんべいだよ。ちょっと固いけどおすすめだぞ」

朗利「さ、紅茶の用意もできたことだし、二人の故郷についていろいろと教えてくれないか?」ニコッ

リベルタード「………………」

バレアレス「…………まあ、救助してくださった朗利提督のメンツを潰すわけにもいきませんから」

リベルタード「…………少しぐらいは罰は当たらないわよね? それじゃ、お言葉に甘えて(ああ 美味しそう…………)」

バレアレス「あ、これは確かに…………(――――――美味しい)」

朗利「よかった。そういう顔 ちゃんとできるんだ」ニッコリ

リベルタード「あ……」カア

バレアレス「…………朗利提督」フフッ




8: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:45:47.66 ID:XCu0XW8V0

――――――趣里鎮守府


石田「――――――実にくだらない内容であったな」

石田「これも公務の内とは大本営は何を考えているのか」

ヲ級「ヲヲ?」

石田「公式が正確な艦娘の資料を公表しようとしないだけに『人の数だけ【艦これ】が存在する』と言い放ってるぐらいだ」メメタァ

石田「それ故に、この二次創作の設定が一定の支持を得られれば、支持した者たちにとっての真実にもなるし、」メメタァ

石田「逆に、違った設定を支持している者たちからすれば、我々が行っている深海棲艦の研究なんてものは最初から見当違いなものとなる」メメタァ

石田「少なくとも、【この世界】における【艦これ】世界を救うためのヒントはどこにもなかった」メメタァ

石田「やはり、我が道を往くしか【この世界】を救う手立てはないというわけだな」メメタァ

左近「まあまあ。【アニメ】連動企画として吹雪改二が実装されたことですし、ま、いいんじゃないんですか」メメタァ

左近「それに、この【アニメ】放送も【深海棲艦の 教】の実験道具にしようだなんて、殿も思い切ったことをしますなぁ」

石田「このくだらない時間帯に付加価値をつけただけに過ぎん」

石田「さて、『ヲシドリ』『レイ』『ヨウスイ』。――――――この【アニメ】の感想を書いてくれ」

ヲ級「ヲヲヲ!」カキカキ

レ級「!」カキカキ

ヨ級「…………!」カキカキ

石田「よしよし。きれいな字だぞ」

左近「しかし、【 教】の甲斐あって文字の読み書きによる意思疎通もずいぶん楽になってきましたな」

左近「今じゃ、報告書も拙いながらも ある程度は提出できるぐらいになっていますからなぁ」

石田「やはり、同じなのだ。――――――艦娘と深海棲艦との間にある差なんていうのは所詮はその程度ということだ」

左近「あとは、喋れるようになってくれれば艦娘と同等なんですがね」

石田「いや、意思疎通はこれだけできていればそれで十分だ」

左近「どうしてなんです?」

石田「こいつらは言わば、“社会復帰訓練中の艦娘”のテストケースという設定で俺は接している」

左近「なぁるほど。つまり、来る戦後の艦娘の医療福祉に備えたデータ取りも兼ねてるというわけですか」

石田「ああ。深海棲艦への研究は今こうして進んではいるが、逆に艦娘の生態への研究はこれまで禁忌とされてきた」

石田「だが、深海棲艦を追究する上ではどうしても艦娘との比較研究も必要となってくる」

石田「そこで、深海棲艦を基準にした補助具を開発していき、艦娘にもその適性があるかどうかで、」

石田「これまでのタブーを触れることなく、両者の間の共通性や同一性の検証を行おうと思っている」

左近「まさしく逆説的な証明法ですな。――――――深海棲艦の装備との適性で、ね」

9: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:46:25.40 ID:XCu0XW8V0

左近「ところで、殿?」

石田「何だ、左近?」

左近「当初の録画予定にないアニメがたくさん予約になっているようなんですが、あれは殿のものですか?」

石田「そうだ。この2015年冬アニメは異種族理解の宝庫だ。俺はあらゆるアプローチから深海棲艦への理解を深める不断の努力をするつもりだ」

左近「はは、さっすが俺が“殿”と見込んだお方だ!」

左近「なら俺も 殿を見習わないとね」

石田「感謝するぞ、左近」

左近「いえいえ。お互い様です、殿」

左近「(それに、これまで全体の勝利のために あれだけたくさんの艦娘を擁していながら孤独な時間を殿は過ごされてきたんです)」

左近「(今回の深海棲艦と艦娘の共通性や同一性の追究を兼ねた調査の過程で、殿はこれから艦娘たちとの交流をより一層 大事になさるはずです)」

左近「(殿の大志を支えていくには、同志である俺だけじゃなく、殿に恩義を感じて尽くしてくれる艦娘一同との協力も必要不可欠なんですよぅ?)」

左近「(そろそろ殿には過去の贖罪のためではなく、本当の意味で全体の勝利――――――未来の栄光のために頑張ってもらわないとね)」

左近「(俺は幸せ者です。殿がこれから成し遂げる偉大なる功績の支えとなり、立会人になる栄誉をすでにいただいちゃってますから)」

左近「(あとは、殿が栄光を掴む―――――― 一丸となって暁の水平線に勝利を共に刻めるようにもう少しお節介を焼いてやりましょうかね)」

左近「(――――――お供しましょう、殿。――――――お供させましょう、みなを。ね?)」

左近「(独りの力で掴む全体の勝利なんていうものはありはしませんからね。そのことをわかってますよね、殿?)」チラッ


飛龍「………………よかった。何だかんだ言って、提督 ちゃんと見てくれているんだ」ホッ




10: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:47:49.93 ID:XCu0XW8V0

2,2015年 冬イベント:【迎撃! トラック泊地襲撃】戦記

――――――司令部


清原「今回の冬イベントはいろんな意味でシステム面の向上が見られましたね」メメタァ

金本「だな。【甲乙丙の難易度選択】ができるようになって、クリア報酬もそれ相応っていうのが新鮮だったな」メメタァ

金本「ま、当然 俺は甲作戦(=難易度:難しい)をクリアして【甲種勲章】をゲットしてるがな」メメタァ

金本「朗利提督のやつはどこまでやれたんだ?」

朗利「え、俺ですか? 俺は無理のない程度に乙作戦(=難易度:やや難しい)で制覇しましたけどね」メメタァ

清原「なるほど。これで『司令部』の全員が今回の冬イベントを制覇できたわけか」メメタァ

石田「当然ならば、さして喜ぶこともありませんね」

石田「なにせ、我々は規格外の戦力を擁しているのですからね

石田「一番 凡庸の朗利提督ですら、あの【お守り/航海安全】の超絶効果で一点突破ができているのだから勝利は必然です」メメタァ

朗利「そういう冷血漢は、同族同士を戦わせてさぞ愉快に思っていたことだろうな」ジロッ

石田「私は全体の勝利のために必要なことであるのならば何だってする――――――ただそれだけのことです」

清原「まあまあ 両提督も半年前の夏イベントの後に初めて『司令部』の一員として顔を合わせた時と比べて、」メメタァ

清原「朗利提督は物凄く凛々しく、石田提督は人当たりが柔らかくなったじゃありませんか」

清原「これからも力を合わせて皇国の勝利と栄光のために励んでいきましょう!」

朗利「はい!」

石田「うん、清原提督。――――――昇進 おめでとう」

金本「へっ、そういう兼愛交利の清原提督もいつの間にか愛しの人と一線を越えていたみたいでリア充のオーラをぷんぷんさせるようになっちゃって」

清原「…………またその話か」

金本「あんたも本当の意味で背負うものができたようだし、俺は俺で簡単には死ねなくなったんでね」

金本「ま、お互い長生きしようや。こうやって嫌味を言えるようなやつがいなくなるのも寂しくなるだけだからな」フフッ

清原「……そうだな。戦後もまたこうやって顔を合わせることができたらいいな」フフッ



11: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:48:45.58 ID:XCu0XW8V0

イ、【拠点防衛】と【海軍総隊】の二人


金本「しかし、ついにこの物語風プレゼンと【艦これ】とで被ってしまった要素が出てきてしまったな」メメタァ

金本「よりにもよって、我が斎庭鎮守府が取り組んでいる内容が主に被っていてよぉ?」メメタァ

石田「確か【練習巡洋艦】の香取型の1番艦が実装されましたね」

石田「そして、その2番艦の鹿島を擁していましたね。第4艦隊の独立旗艦の」

金本「ああ、それだ」

金本「けどさ、プレゼンターの中では特殊能力を持った非主力艦全てをひっくるめて【特務艦】ってしているから、」メメタァ

金本「確かに“軍艦”である【練習巡洋艦】が出てくれたのはいいんだけど、【潜水母艦】と同じく何の特殊能力もないっていうのは…………」メメタァ

金本「あるいは、それから後にゆっくりと【練習巡洋艦】独自の新システムを実装していく予定なのかもしんないけどさ?」メメタァ

金本「別にいいんだけどね? 海軍の言う“特務艦”とプレゼンターの認識するところの【特務艦】は厳密には違うからさ」メメタァ

金本「それと、この冬イベント【迎撃! トラック泊地襲撃】の概要も【拠点防衛】と趣旨が似ていてな……」メメタァ

金本「まあ、E-1のエクストリーム版が【拠点防衛】と考えてもらっていいんだけど――――――」メメタァ


司令部「ああ 金本提督。先程 船舶司令部から書類が届いてたぞ」スッ ――――――封筒とペーパーナイフを渡す。


金本「うん?」ジョキジョキ

金本「…………ああ なるほどね」ジー

石田「どうしました?」

金本「――――――『【拠点防衛】は根本的に今までのマップとは違うから別に大した問題じゃなくて、』」メメタァ

金本「『ソーシャル要素を強化した簡易イベントマップの予定だったから、むしろイメージしやすい先例ができてよかった』とさ」メメタァ

石田「ほう? つまり、金本提督が陸軍船舶司令部と推進している陸海合作もまた一種の【海軍総隊】ということですかね」メメタァ

金本「まあ、そういうことだ。――――――協力してくれたっていいんだぜ?」


金本「――――――【海堡棲艦】なるものを創りだしたっていうじゃないか? それを見せてくれよ?」メメタァ


石田「さて……、何の話でしょうか?」

金本「別にいいけどな。斎庭鎮守府の戦力だけでもやっていけるし、協力してくれればそれはそれでその分 楽になるからな」

石田「…………さすがは大本営に通じている資源王といったところか(それに、俺と同じく あの【乱世】に流れ着いた――――――)」

12: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:50:38.44 ID:XCu0XW8V0

金本「しっかし、やっぱり大本営の考えることはあれだよな~?」

金本「『練度の高い【練習巡洋艦】を旗艦にした【演習】は、経験値取得効率が若干向上します』ってあったけどさ?」メメタァ

金本「いろいろと違わねえか、これ? 確かに鹿島や香取も旗艦の経験はあるだろうけどさ……」

石田「まず、『旗艦にして【演習】をする』ことの利点があまり感じられませんね、これは」メメタァ

石田「私も調査してはいますが、初期レベルで2%程度しかもらえないことを確認しています」メメタァ

金本「Lvが1上がる毎に、所得経験値倍率が+1%ずつ上がるんだったら、Lv99で経験値+100%になればいいんだけど――――――」メメタァ

石田「いえ、Lv11でようやく4%でしたよ。基本経験値が104%にしかなってませんでした」メメタァ

金本「………………なあ?」

石田「何ですか?」

金本「石田提督だったら、大和型戦艦を1週間で仕上げるのに【練習巡洋艦】の力を借りるか?」

石田「あり得ませんね。この程度では」

石田「まず、このシステムの欠点は、――――――効果を発動させるには『【演習】の旗艦が【練習巡洋艦】に指定』されていますので、」

石田「取得経験値ボーナスである旗艦ボーナス:1.5倍が絶対に得られないことがまず挙げられます」メメタァ

石田「少なくとも利用するのであれば、香取が独占することになる旗艦ボーナス:1.5倍以上のボーナスが僚艦に行き渡らなければ価値が無いです」メメタァ

石田「特に、気に入った艦娘に対してパワーレベリングを施す場合にはまるで使い物になりません」メメタァ

石田「そして、香取自身の戦闘能力の低さによる【演習】戦績の低下による取得経験値の減少が心配されます」メメタァ

金本「だよな~。ちょっと“練習”と“演習”の意味を履き違えてないか、公式さんよ~? “演習”は“予行演習”の意味だろう?」メメタァ

金本「戦力外の【練習巡洋艦】が“演習”に出ちゃいかんでしょう! “演習”に出るのは本物の“戦闘艦”だけだろうが……」

金本「これだったら、まだ【標的艦】の方が“演習”との親和性が高いっての。【標的艦】は“演習”や“新武器実験”の的に使われるもんだからさ」

石田「…………こう改めて見ると本当にそっくりだな」ボソッ

金本「何か言った?」

石田「いえ、あなたによく似た貧乏苦学生のことを少し思い出していただけです」

金本「…………ふぅん。で、石田提督から見てそいつは将来 有望だったかい?」

石田「はい。少なくとも女性に囲まれすぎているのはどうかと思いましたけど、それでも生き抜く覚悟を決めて頑張っていましたよ」

金本「そっ」


――――――さすがだな、『俺』。



13: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:53:38.77 ID:XCu0XW8V0

ロ、【未来戦線】と【海外派遣】の二人


朗利「しかし、【EOマップ】が2つもあるとは思いもしませんでしたね」メメタァ

清原「これでもう イベントマップにおける前例というものは機能しなくなるだろうな。難易度調整ミスの怨嗟の声が轟々とあがらない限りはもう」メメタァ

清原「そして、【難易度選択】が実装されたことでそういった声はますます響かなくなるだろう」メメタァ

朗利「しっかし、E-2【甲作戦】のクリア報酬でついに【試製51cm連装砲】が実装されましたね」メメタァ

清原「そうだな。圧巻の火力補正だったぞ(いや、こっちは【異界装備】で完成品を持っているから見慣れてすらいるんだけどな)」メメタァ

朗利「仮に手に入れたとしても、俺の艦隊だと長門しか装備できませんねぇ」

清原「え、そうかな? 『51cm』って言ったら『20inch』=『50.8cm』として通用しているんだから、そっちの超大型【巡洋戦艦】なら――――――」

朗利「え? ちょっと待ってください――――――あ、ホントだ!」

朗利「インコパラブルは最初からそんなものを装備して――――――恐るべしアーバスノット! さすがは【弩級戦艦】の生みの親!」

清原「そうか。確かにそれは凄いものだな。第一次世界大戦当時にあった構想にようやく時代が追いついたわけか」

朗利「でも、そんな制限がつくんだったら、前にいただいた【48cm三連装砲】をドレッドノートに装備できたのはなぜなんだ?」メメタァ

清原「ああ ドレッドノートに装備させていたっけ(確かに無理のある絵面だが、あれは【α世界線の異界装備】だから適性が緩いのだ)」メメタァ

朗利「でも、ということは、――――――【八八艦隊】の面々には問題なく全員装備できるってわけなんですよね? いっぱいいますよね?」

清原「うん、実際にそうだった(いや、こんな艦型指定が出てくるとは“あまぎ”ですら思いもしなかったようだがな)」メメタァ

清泉「(今まではフィット補正がつくものの、艦種ごとに設定された装備はどれだけフィットしなくても装備できたのだ。それが――――――)」メメタァ

清泉「(これはおそらく、内部データに【試製51cm砲】の方に仕分ける設定が組み込まれているからなのだろうな……)」メメタァ

朗利「でも、敵の戦力はますます増強されていくばかりです」

朗利「新たな【ボス級深海棲艦】の登場、今まで出てきた【ボス級深海棲艦】が複数同時に現れて、空母ヲ級の更なる強化まで…………」メメタァ

朗利「戦いはどんどん酷い方向に進んでいっているのがよくわかります」

朗利「勝てないんですよ、航空戦じゃもう。敵の数が圧倒的で前のイベントでゲットしたばかりの秋月の【対空カットイン】に頼らないと」メメタァ

清原「…………そうだな(【対空カットイン】が常識でかつ火力インフレの【α世界線】の艦娘を使って簡単に攻略できたことは言わない方がいいか)」

朗利「だからこそ、俺は欧州に行って当時 進んでいたレーダー技術だとか対潜・対空装備をとってこようと思ってるんです」

朗利「もう、嫌というほど空母攻勢を味わってきました。今度はこちらが七面鳥狩りをする番です!」

朗利「それに、ろーちゃんが持ってきてくれた【試製Fat仕様九五式酸素魚雷改】の性能を見ても技術交流の可能性が広がりました」メメタァ

14: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:54:36.88 ID:XCu0XW8V0

清原「そうか。朗利提督は皇国の“外”に今の状況を打破する答えを見出したのだな」

清原「なら、私はまだまだ使えるはずだった我が国の“内”に眠れるロストテクノロジーの発掘に着手しようと思っている」

清原「忘れないでくれ」


清原「――――――『和魂洋才』だ。小国:日本が大国と対等に渡り合うために必要なのは“和の心”だということを」


清原「あの戦争は欧米の帝国主義に完全に染まって“和の心”を忘れたがために凄惨な結果をもたらしたんだ」

清原「欧米人のやり方を長年やってきている欧米人に、文明開化したばかりの日本人がそれに完全に追従してはいけなかったんだ」

清原「――――――年季の差だ。敵う道理などあるはずがない」

清原「日本には日本のやり方があって、日本独自の強みを欧米人のやり方の中で活かすんだ」

清原「それを胸に刻んで【海外派遣】を成功に導いてくれ」

朗利「はい!」

清原「大丈夫か? 不安に思うことはないか? リベルタードとバレアレスのことでいろいろ悩んだのだろう?」

朗利「大丈夫です。俺の隣にはそういうのをわかってくれてる艦娘たちがいますから」

朗利「でも、何だか清原提督に以前に慰問に来ていただいた時のことを思い出しますね」

朗利「こうやって、また俺の背中を押して新たなる航海の旅へと誘ってくれましたよね」

清原「そうだったな」

朗利「まだまだ実行に移すまでには至ってはいませんが、必ず希望峰を越えて皇国に希望の光を持ち帰ってきますから!」ビシッ

清原「そうか。それを聞いて安心した(あれからずいぶんと雄々しくなったものだな。元々の父性もあったことだが)」フフッ

清原「(そう、朗利提督が希望を信じて欧州へと行くのならば、私もまた未来の可能性を信じて――――――、)」


清原「(そして、私は誰もが体験したことがないような【未知なる戦いの世界】へと挑んでいく!)」



15: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:56:23.77 ID:XCu0XW8V0

ハ、“アマギ”だらけな鎮守府

――――――洞庭鎮守府


清原「“あまぎ”、この前の出撃の件なんだが――――――」


人間:あまぎ「はい」
天城型巡洋戦艦:天城α「はい」
天城型航空母艦:天城β「はい」
雲龍型航空母艦:天城「はい」


清原「…………困ったぞぉ、これ」

清原「ついに、三代目天城が実装されて大変なことになってしまった…………」ウーム

鳳翔「この鎮守府、天城型巡洋戦艦(派生を含めて)だけで3人もいますから……」アハハ・・・

あまぎ「この調子で、初代天城も召喚して差し上げましょうか?」

清原「それ、スループ――――――木造帆船のことだろう!」

あまぎ「ええ。三笠が活躍していた日露戦争の頃にはもう旧式艦で除籍でしかたからね」

あまぎ「その後、廃船になってから鳥羽商船学校の係留練習船:天城として若い子たちを送り出してきたんですけどね」

あまぎ「一応、あの東郷平八郎も艦長を務めていた由緒正しき旧式艦です」

清原「そして、三代目天城は――――――あの中破絵には驚いた」メメタァ

鳳翔「本当ですよね。私もあの呉軍港空襲には居合わせましたから、三代目天城さんがどうなったのかは存じておりましたけれど…………」

あまぎ「まさか、史実通りに横転した状態の再現って…………」プルプル・・・

あまぎ「さすが『私』よね! ただでは死なない!」ドヤァ

清原「…………艦娘にとって同名の存在はみな『自分』なのか?」

あまぎ「そうですよ、そういうものなんですよ」

あまぎ「どことなく似た雰囲気を感じません? それが艦娘にとってのDNAなんです」

清原「…………そうか(確かに二代目を幼くした感じが三代目のように感じられるな。純和風キャラだし、イメージはそこまで違ってない)」

清原「しかし、同名の艦が混じっていると指揮系統の混乱が考えられるからなぁ……」

あまぎ「ですから、同名の艦を一緒の艦隊編成にしない努力をしなければなりませんよ」メメタァ

あまぎ「戦場でいちいち『二代目』だとか『三代目』だとか言うのは大きなロスですし」

清原「そうだな。管理上、そうする他ないか…………そもそも二代目と三代目を一緒に組ませることに拘る理由もないことだしな」


16: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:57:42.08 ID:XCu0XW8V0


りう「ねえねえ、長門 長門」

長門β「どうした、“りう”?」

りう「どうして、【β世界線】の航空母艦:天城と赤城の識別文字は『マ』と『カ』なの?」

長門β「ああ それは簡単なことだぞ」

長門β「たとえば、【この世界】の一航戦は赤城と加賀だが、あの二人の識別文字は『ア』と『カ』だな」

りう「あ、そうだっけ」

長門β「これは単純に頭文字をとったものだということはすぐにわかるだろう」

長門β「一方、困ったことにあの姉妹は“アマギ”と“アカギ”だから名前が似ていてな」

長門β「だから、苦肉の策として一文字違いの『マ』と『カ』を識別文字に選んでいるわけなのだ」

りう「あ、言われてみればそういうこと――――――」

長門β「…………だから、【γ世界線】の加賀を初めて見た時『カ』という識別文字に仰天する他なかった」

りう「じゃあ、――――――【標的艦】から【正規空母】に返り咲いた加賀と土佐について」

長門β「いや、あれは本来 未成艦だから私に訊かないでくれ。本物は陸奥と一緒に沈んでいったのだからな」

りう「確か、【そっち】の加賀が『“カ”』で、土佐が『サ』になっていたよね?」

長門β「…………は?」

りう「だから、加賀が濁点が両方付いている『“カ”』で、土佐が『サ』なんだけど」

長門β「…………百歩譲って土佐が『サ』なのはわかる。『ト』だと遠目からはただの線にしか見えない可能性があるからな」

長門β「だが、――――――濁点が両方についている『“カ”』だとぉおおお!?」



17: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 08:58:49.01 ID:XCu0XW8V0


加賀「交換しませんか、その飛行甲板?」ウズウズ ←飛行甲板『カ』+サイドテール

加賀β「……え? どうしてですか?」アセタラー ←飛行甲板『“カ”』+ストレート

加賀「赤城さんの識別文字に私の艦載機が覆っているみたいでカッコイイから」キラキラ

加賀β「で、でも……、私の飛行甲板はあなたのとはす、少し違うから――――――」オドオド

加賀「交換して」ギュッ

加賀β「え、でも…………」ドキッ

加賀「いいから、早く。よこしなさい、『私』」ドンッ ――――――壁ドン!

加賀β「きゃっ」ブルブル・・・

加賀「フフッ」


瑞鶴「加賀さんが加賀さんを壁ドンしてるっ!?」ドキッ

加賀α「どうしたのでしょうね、あのお二方」キョトーン ←【戦艦】なので飛行甲板などなく、淡い青の加賀友禅を羽織った長門スタイル+ポニーテール

土佐α「あれじゃない? やっと【標的艦】から抜け出して【正規空母】になったもう一人の加賀姉さんにスキンシップしてるんじゃない?」

加賀α「いいですね……。何だか私だけ仲間外れみたい…………」ズーン

瑞鶴「ちょっ、加賀さん!? こんなことで落ち込まないでくださいよー!」

加賀α「いいのよ、瑞鶴。私はどうせ大和型戦艦以下の存在なのだから…………まさか長門に遅れをとることがあるなんて思いもしなかった」

土佐α「ちょっと姉さん! あの長門さん、長門じゃない いろいろ特殊な長門さんなんだよ!? 特殊な訓練を受けてきたエリートなんだよ!?」

瑞鶴「そ、そうですよ! それに、悪い方に悪い方に考えていったらせっかく生まれたままの姿でいられた幸せが逃げてっちゃうよ?」

加賀α「……そうね。無い物ねだりをしていてはダメよね」

加賀α「ありがとう、瑞鶴。できれば、あなたのような素直な娘を私たちの提督の麾下に迎え入れたいものね」ニコッ

土佐α「うんうん。その時は私と一緒に加賀姉さんを支えていこうね! もちろん、提督のこともお願い!」ニッコリ

瑞鶴「あ」ポッ

瑞鶴「(うわっ、私の中の加賀さんが一航戦じゃなくて【戦艦】の方の根暗な加賀さんに染まりつつあるよ…………)」

瑞鶴「(ああ 一航戦の加賀もこれぐらい親しみやすい人だったらよかったのになぁ……)」



18: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 09:01:12.18 ID:XCu0XW8V0



天城β「 い い か げ ん に し な さ い 」ガシッ ――――――アイアンクロー!



加賀「あうぅう…………」ギリギリギリィ

天城β「いくら“仏”の私でもここまでの粗相は見逃せないのですよ?」ジロッ

加賀β「も、もういいですから、許してあげてください、天城さん!」アセアセ

天城β「…………ハエの羽音がまだ聞こえますねぇ」パッ

加賀「す、すみませんでした……」ヘナヘナ

赤城β「な、何をやってるんですか、天城姉さん! 【ここ】の――――――ああ びっくりした」

赤城β「【ここ】の加賀さんは姉さんと同じものを着ているから、一瞬 何が何だかわからなくなりますよねぇ」

赤城β「しかも、飛行甲板は私と同じ『カ』ですから」

赤城β「まぎらわしいので、【こっち】の加賀さんと同じように『“カ”』にしません?」

加賀「えっ」(歓喜)

赤城β「大丈夫ですって。まず服装が【こっち】の加賀さんとはまず違いますし、髪型や人相も違ってきてますから一目で別人だってわかりますから」

天城β「そうね。元々の原因はそれなんだし、あなたは“カガ”なのだから別に濁点をつけても識別の問題はないわよね」

天城β「さ、塗ってあげましょう。おいで」ニッコリ

加賀「あ、ありがとうございます!」キラキラ

加賀β「な、何かよくわからないけど、解決したようで何よりです…………」

加賀β「さすがは大東亜共栄圏の立役者であられる一航戦の“青仏”に“赤鬼”です」 真言密教の青(善無畏伝)=方位:中心=大日如来

加賀β「空母機動部隊の手本として乗組員の一人一人が共栄圏主義の理想に燃えた結果、降魔調伏の鬼と衆生済度の仏に相成ったといわれますけど…………」

加賀β「でも、さっきみたいに“仏”と“鬼”の面を入れ替えて互いを補いあっていたからこその抜群の連携――――――」

加賀β「はあ……、私もさっきの『私』や仏と鬼が担ってきた誇りある一航戦のようになれるでしょうか……?」

加賀β「提督のお力添えで【標的艦】から【航空母艦】に【改造】していただけたのですから、――――――私、頑張らないと!」




19: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 09:02:46.42 ID:XCu0XW8V0



『ヒカリ…アフレル…ミナモニ…ワタシモ……そう…っ!?』



天城α「…………『光』」

長門β「どうした、こんなところにいて? ――――――巡洋戦艦:天城?」

天城α「…………あなたは違う」

長門β「?」

天城α「あなたを包む光は暖かくて、『あなた』を包んだ『光』は全てを無に帰して――――――」

長門β「――――――『光』?」

長門β「ああ……、戦艦水鬼が呟いていたことか」

長門β「強敵ではあったが、我らの敵ではなかったな」

長門β「我が方の掲げた【錦の旗】の前に敵は慄き、たちまち雑魚の群れと変わったのだ」

天城α「ねえ、長門」


天城α「――――――これ以上の敵は現れるのかしら?」


長門β「さあな。そんなことは人間:あまぎ に訊いてくれ」

長門β「だが、いよいよ戦いも絶望的なラインまで来てしまったというわけだ」

長門β「【この世界】で起きた太平洋戦争では、トラック島の次はサイパン島だからな」メメタァ

天城α「ええ。今度は絶対国防圏――――――サイパン島の戦いがモデルになるのは時間の問題。本当の地獄はこれからね」メメタァ

天城α「――――――マリアナ沖海戦」

長門β「ふっ、今度は大鳳と翔鶴が相手か?」

天城α「かもしれない。それから、――――――レイテ沖海戦」

長門β「最後の航空戦力が全滅した戦いのようだな」

天城α「――――――ミンドロ島沖海戦」

長門β「礼号作戦とかいう、帝国海軍最後の戦術的勝利ってやつだったか?」

天城α「――――――菊水作戦」

長門β「沖縄戦において大和が出撃したというあれか」

天城α「そこからは包囲網による飢餓作戦ね」

長門β「そうか。少なくとも【この世界】のイベントマップの方向性はここまで来ていたわけか」メメタァ


――――――この状況、どう覆してやろうか?



20: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 09:04:30.44 ID:XCu0XW8V0

天城α「でも、気をつけて」

長門β「?」

天城α「どうも海の向こうからではなく、我が国の内から不穏な気配を感じます……」

天城α「それは正しき力の在り方から外れた禍々しいもの――――――」

天城α「おそらく、人間:あまぎ ですらも知らないようなものです」

長門β「…………なんだと、そんな馬鹿なことがあるのか?」

天城α「この気配――――――艦娘であって艦娘ではない、深海棲艦ではなくて深海棲艦のように心が凍てつくような波動に満ちています」

長門β「艦娘でも深海棲艦でもない存在がこの神州で蠢いていると?」

天城α「おそらく それは――――――、」


――――――人類が次に乗り越えるべき天敵。


長門β「どういうことだ? 深海棲艦との戦いはこれからだろう?」

長門β「なぜ『次に乗り越えるべき天敵』が内より現れるんだ?」

天城α「本当に征服すべきなのは、深海棲艦でもなく艦娘でもなく人間の――――――」


陸奥「どうしたのよ、二人共? こんな夜更けに」


天城α「あ」

長門β「…………陸奥か」

陸奥「あら、お邪魔だったかしら?」

天城α「いいえ。ちょうど話は終わったところですから」

陸奥「そう。だったら、一緒に飲みに行かない? これから飲み直すつもりなんだけど」

長門β「そうだな。少しぐらいは付き合ってやる」

陸奥「それじゃ、一緒に来て。――――――天城さんも」

天城α「はい」

21: ◆G4SP/HSOik 2015/02/25(水) 09:05:14.18 ID:XCu0XW8V0


――――――3つの特異点。


天城α「【α世界線】【β世界線】【γ世界線】が混じりあって生まれたこの【⊿世界】――――――」

天城α「私と、長門と、陸奥の3人で創られた【この世界】を守っていくためには――――――」

天城α「お願い、力を、貸して……」















あまぎ「………………ぅうくっ、ぁあああああ!?」クラクラクラ・・・

あまぎ「い、今のは…………?」ゼエゼエ

あまぎ「【⊿世界】が【⊿世界線】に変わる――――――似て非なる世界なのはここまでということなの?」ドクンドクン


Next:第9話 海軍総隊を結成せよ! に続く!



25: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 08:58:44.02 ID:vISKenEh0

超番外編2 神に捧げられしものたちの降臨  -祓いたまえ、清めたまえ-

――――――洞庭鎮守府


清原「“あまぎ”が持ってきてくれた【未来】の深海棲艦の資料を見ると、確かに進化してより脅威となっているのがわかるな」

清原「…………これは確かに厄介だな。主力艦の性能が桁違いじゃないか」

清原「おそらく【この世界】における大戦が終わって20年ぐらい経てばこんな感じにもなるのだろう……」

鳳翔「そ、それでは…………」アセタラー

清原「わかっている。先人たちが残してくれた【未来】からの警告だ。必ずや“平和で豊かな時代”をより良きものにしてみせる!」


清原「だが、どうする?」


清原「【α世界線】は大艦巨砲主義が異常に発達していった結果、3すくみになってそれぞれに特化した軍艦が造られていった」

清原「そして、主力艦は補助艦の助けなしにはままならないほどの極端な性能となっており、――――――戦力単位が艦隊だからな」

清原「そうなれば自然と数の理が支配する戦場となるが、逆に一度の会戦で多くの犠牲や損害が出ることから戦闘は極力避けられるようになったようだ」

清原「つまり、膨張した艦隊戦力がそのまま抑止力となったのが【α世界線】ということだな」

清原「そして、3すくみによって戦艦を造れば潜水艦を増やし、潜水艦が増やされれば空母戦力の強化を行う――――――」

清原「そんなイタチごっこが繰り返された結果、太平洋戦争は起こらずに結局 原爆を落とされたけれども痛み分け――――――」

清原「日露戦争の時と同じような感覚で講和を結べたらしい」

清原「もちろん、度重なるパンデミックと植民地主義の瓦解によって世界全体に厭戦気分が蔓延していたことも大きかったかもしれないな」


――――――こんなことをしていたら人類全体が滅亡してしまう!


清原「それは共通の敵を目の前にして悟らせてくれた大神の慈悲なのかもな」

鳳翔「――――――『慈悲』ですか?」

清原「そうだとも」

清原「【この世界】だと、深海棲艦という共通の敵が現れて初めて世界的な国際協調の流れが生まれてきただろう?」

清原「【あっち】だと細く長く列強支配の時代が続いた代わりに、深海棲艦という共通の敵が現れる前からその流れが生まれていたんだ」

清原「だから、【あっち】で深海棲艦が現れた時には人類軍を結成して決戦を挑んで【ここ】以上に仲良く損害をわかちあったり、」

清原「ついに人類が勝利した際には世界中が歓喜に包まれ、“あの子”の誕生を大いに祝福してくれたり――――――」

鳳翔「…………素敵な世界ですね」

清原「そうなると思うか? ――――――【この世界】だと」

鳳翔「素直には想像しづらいですね」

清原「私もそう思う」

26: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 08:59:17.82 ID:vISKenEh0

清原「けど、これは1つの大きな等価交換だ」

鳳翔「?」


清原「互いの世界を真の平和に導くためにこの出会いはあったんじゃないかって」


鳳翔「ああ…………」

清原「私はそう明るく 前向き 発展的に捉えたい」

清原「【未来】に起こる悲劇を知ることになっても、少なくとも知ってさえいれば事前に対策ができる。できなくても覚悟や善後策ができる」

清原「ほら、何にも悪いことなんてない! むしろ、情報は多いほうが基本的に有利なわけなんだから」

清原「それに、“あまぎ”は確かに『【未来】を知ってより良い方向に向かうよう努力した結果は微々たるものだが確実に結実する』とも言ってくれた」


清原「だから、私は私が持てる全てを尽くして【未来】も【現在】も救う!」


清原「それが、この私の野望かな?」フフッ

鳳翔「素敵です、あなた」ニッコリ

清原「けれども、似て非なる世界だった2つの世界は出会って、別な可能性である【⊿世界】がこうやって生まれていった――――――」

清原「きっと【未来】の人間も全く知らないような惨劇が生まれるかもしれない。欲張りすぎてしっぺ返しを受けるかもしれない」


清原「それでも一緒にいてくれるか?」


清原「もちろん、鳳翔が最前線送りになるなんてことは可能性としては限りなく低いけれども、」

清原「何が起こるかわからない。周回している中で思わぬ伏兵に虚を衝かれることもあり得る」

清原「おそらくは、――――――【この世界】の人類も必ずやこの大戦に勝利するだろう」

清原「けれども、その時“護国の英雄”と呼ばれる存在が私であるとは限らない。未来は変えられるものなのだから、良くも悪くも」

清原「そして、少なくともこれからも幾度となく死闘や死線が繰り返されるはずなんだ……。そう――――――、」


清原「だから、絶対に死ぬな! 誰も死なせないから! 誰一人として犠牲にせず、【未来】も【現在】も救って私は『私』を超えてみせる!」


鳳翔「はい」ニッコリ

清原「…………ありがとう」

清原「ま、こんなことを言ったけれども戦うのは結局 お前たち【艦娘】だ」

清原「私はその艦娘たちが全力を出せるように全身全霊で己が持てる才知と誠を尽くそう」

鳳翔「はい。私たち艦娘一同もそれに応えて提督と皇国に勝利と栄光を捧げましょう!」




27: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 08:59:45.92 ID:vISKenEh0

――――――それから、


清原「さて、今日の仕事を始めようか。冬イベントに関する情報はまだ1月の段階だと――――――」

ジリリリリ・・・ガチャ

清原「執務室だ」

――――――
あまぎ「提督、確か今日は“ビッグ3”との軍刀術の稽古がありましたよね?」
――――――

清原「そうだったな。そういう予定だったな」パラッ

――――――
あまぎ「では、講師の方を招こうと思うので、許可をください」
――――――

清原「何? ――――――『講師の方』? 別に招いてくれるのは構わないが、謝礼はいくらぐらいになるんだ?」

――――――
あまぎ「大丈夫です。謝礼はこちらの方ですでに準備してありますので」
――――――

清原「そうか。“あまぎ”が言うなら好きにしてくれ」

――――――
あまぎ「ありがとうございます」

あまぎ「では、講師の方がいらっしゃいましたらお呼びいたしますので、どうかお立ち会いくださいますよう」

あまぎ「それでは」
――――――

ガチャ

清原「……あれ?(何か他に訊くべきことがいろいろあったはずなのにどうしてか浮かんでこなかった…………)」

清原「まあ、『講師の方』が誰なのかは大した問題じゃないだろう」

清原「――――――“あまぎ”がやることなんだから、失敗なんてあるはずがない(そうだとも。そうに決まっている)」

清原「ん」

清原「んん?(何だ 今の、この妙に浮ついたような感じ――――――)」



28: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:00:18.88 ID:vISKenEh0

――――――数時間が経ち、


清原「ん? そろそろ長門と稽古の時間だったな」

ジリリリリ・・・ガチャ

――――――
あまぎ「講師の方がお見えになったので、どうぞ私のところにいらしてください」
――――――

清原「そうか。必要な物はあるか?」

――――――
あまぎ「特にありません」
――――――

清原「うん。わかった」

ガチャリ

清原「…………?」

清原「何か、ずいぶんと言葉数少なくして話が一気に進んだんだけれど、――――――それに今になって違和感を覚えたのはなぜなんだ?」

清原「まあ、とりあえず“あまぎ”が喚んでくれたんだから、少しは期待することにしよう」



29: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:01:27.56 ID:vISKenEh0

――――――【秘密工廠】


清原「“あまぎ”、来たぞ」

あまぎ「はい」

清原「ところで、今日 招いた『講師の方』は?」

あまぎ「こちらです」

清原「え」


――――――“あまぎ”が指差したのは建造ドックであった。


あまぎ「では、――――――ここにぃいでましませ~」

清原「え?」







石切丸”「石切丸という。病気治癒がお望みかな? ……おや、この感覚はそういうことなんだね?」







あまぎ「はい。そういうことなんです」

石切丸”「そうかそうか。では、そうするとしよう」

清原「えと、――――――『石切丸』さん?」

石切丸”「ああ。あなたがここの代表者なんですね。稽古がてら厄を落として進ぜよう」

清原「え? え? え?」

清原「ちょっと待ってください」

石切丸”「いいですよ」

清原「(――――――『石切丸』? そんな名前の軍艦なんてあったっけ?)」

清原「(待てよ、“丸”ってことはあきつ丸の仲間か? となると、主力艦ではない【特務艦】の一人か?)」

清原「(いや、だとしても、どうしてそれが成人男性の姿で現れた!? しかも、艤装がないし、剣の講師として“あまぎ”に喚ばれたぁ!?)」

清原「……“あまぎ”」

あまぎ「はい」

清原「――――――これは【艦娘】ですか?」


あまぎ「いいえ、――――――【刀剣男子】です」ニッコリ


清原「???」

石切丸”「はははは、まさか私も人ならざる【審神者】によって喚ばれるとは思いもしなかったよ」

石切丸”「けれど、これも普通ではあり得ないような貴重な体験――――――つまりは神の思し召し」

石切丸”「はりきって厄祓いをさせてもらうよ」ニッコリ


【刀剣乱舞】は開発:Nitro + です。【艦隊これくしょん】開発:角川ゲームスとはまったく関係ありません。



30: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:02:05.68 ID:vISKenEh0


清原「はあ……、西暦2205年の遙かなる未来から来たんですか……(“あの子”は【20年ぐらい後の未来】からだったもんなぁ……)」

石切丸”「ああ そうか。そこは誤解があったね」

石切丸”「正確には【私たちの世界】における西暦2205年に大神より降ろされた神法によって生み出された【刀剣男子】の1人が私というだけのことだよ」

清原「ええ!? ――――――『大神より降ろされた神法』!?」

あまぎ「大丈夫です。今 目の前に実現している奇跡もまた神様がお許しになったものですから」

あまぎ「ですが、『提督をお助けしなければならない』のが天意ということは、『それだけ辛く苦しい戦いの日々になる』という意味でもあります」

清原「!」

あまぎ「ですから、その前に提督が積んできた徳に応じて、今 この場において厄祓いをさせてもらいます」

石切丸”「あなたは兼愛交利を実践して大変立派なんだけれど、あなたの先祖が積み重ねてきた業が重たくのしかかっているからね」

石切丸”「さっきも説明した通り、私は三条宗近 作の“石切さん”でね」

石切丸”「つまり、石切劔箭神社に伝わる宝刀が私のモチーフでね」

清原「え、――――――『モチーフ』?」

石切丸”「そう。私は物に宿る心を目覚めさせてその力を引き出す【審神者】の一人によって形作られた存在だからね」

石切丸”「それに、本物の“石切丸”はちゃんと神社にあることだしね」

清原「ああ……、それもそうですね」

石切丸”「本来、私のような――――――いや、古事記に登場する八百万の神々は時代や環境のニーズに合わせてふさわしい姿をとるものでね」

石切丸”「つまり、人それぞれによって神の姿は違ってくる――――――特にこの3次元界だと」

清原「…………そ、そうですか」

石切丸”「けれども、私が今の私になったのも 私を喚んだ【審神者】の力量やイメージがそのまま反映されたものが世間一般に知れ渡った結果でね」

石切丸”「だから、私の能力も私を最初に喚んだ【審神者】の能力に応じた分までしか発揮されないっていう制約がつくことになっちゃったんだ」

あまぎ「けれども、人によって形作られたからこそ、私のような格の低い存在でも世界線を越えて【ここ】に喚ぶことができたのです」

清原「ああ……、そうなのか……(何を言っているのか、私には全然 理解できないぞ……)」

石切丸”「さて、話を戻すと、――――――私は本来【刀剣男子】として【遡行軍】を討伐するために喚ばれたのだけれど、」

石切丸”「本業は石切劔箭神社の宝刀だから、もっぱら腫れ物治癒の“でんぼ(=腫れ物)の神様”とも呼ばれてきたんだ」

あまぎ「ですから、微力ながら提督のお力添えができるようにお願いしたのです」

石切丸”「主に、これからする厄祓いと剣の稽古でね」




31: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:03:03.56 ID:vISKenEh0

――――――稽古の様子


清原「ふんっ! ふんっ!」ブン! ――――――4尺余りの大太刀を振るう! >>1尺=30.3030cm

石切丸”「この時代の人間にしてはなかなか鍛えている方だけど、これだけ便利な時代になると昔の平均より力が劣るものだね」

石切丸”「おっと、西暦23世紀の未来からすれば不便なことのほうがたくさんあるけれどもね」フフッ

清原「…………やっと30回ぃ」ゼエゼエ

石切丸”「お疲れ様。かなり厄祓いできたよ」スッ ――――――汗拭きを渡す。

清原「そ、そうなんですかぁ? ――――――ありがとうございます」ゼエゼエ

長門β「ふむ。さすがの私でも1mを超すほどの大太刀を扱うのは初めてだな」

長門β「よし! これを30回 振ればいいのだろう? 提督よりは楽に終わるはずさ」

石切丸”「はたして、そう簡単にうまくいくかな?」

清原「…………フゥ」ゼエゼエ

石切丸”「それで、この刀は――――――」スッ

清原「これは長門の元帥刀ですね。惜しげもなく菊の御紋がたくさん入ってます」

石切丸”「なるほど、小烏丸と同じ作りなのか。それでいて3尺2寸――――――」ジー

石切丸”「けれど、実戦向きとはお世辞にも言えないような飾りの多さだね」

清原「儀礼刀ですから。ちゃんと物が斬れる本身仕込みですけれどもね」

石切丸”「うん。使えるかどうかはさておき、これは本当に気が良いね。その時代を代表する素晴らしい刀匠が作ったものなんだろうねぇ」

清原「そこまでは詳しくはありませんが、靖国神社に元帥刀のオリジナルが現存していますよ」

石切丸”「わかるよ。ここからでもこれと同じ波動のものがいくつも感じられるからね」

清原「は、『波動』ですか……(なんかホント オカルト染みてきたもんだな、この鎮守府も)」


長門β「ば、馬鹿な……、艤装よりも軽いはずのものがどうしてこんなにも重く感じられる…………?」ゼエゼエ


石切丸”「【艦娘】は腕力よりも背筋の方が大切だから、大太刀を振るうのはきっと苦手だろうね」

石切丸”「それに、あの娘は本当に不器用そうだものね。身体の使い方も不器用だから刀に振り回されると思うよ」

清原「神官殿? ちょっと言うのが遅すぎますよ?」

石切丸”「おっと、これは失礼した。なにぶん、神社暮らしが長いものでね。急かされることがあまりなかったもので」

清原「はは…………(何とも気が抜けるような喋り方をする方だな…………でも、確かに俗世間のことを忘れて心が洗われるような感じがするな)」

石切丸”「うん。それでいいんだよ」ニコッ

清原「え」

石切丸”「清原提督は本当に素晴らしい志の持ち主だが、今のあなたは『自分が』『自分が』と我を張って思いを背負いすぎている」

石切丸”「“思い”があるから心と体が“重たくなる”ことを忘れないで」

清原「えと……(――――――ダジャレ?)」

石切丸”「『ダジャレ』じゃないよ」ニッコリ

清原「あっ」ギョッ

32: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:03:57.56 ID:vISKenEh0

石切丸”「古来より我が国の大和言葉にはその音の1つ1つに意味があり、古事記の八百万の神々の1音1音がその神の本質を示しているのだからね」

石切丸”「別な例で言えば、和歌における掛詞もそのダジャレに通じるものがあることだし、」

石切丸”「同じ音の組み合わせにいくつもの意味を重ねられるところに大和言葉の本質というものがあるんだよ」

清原「言語学者ではないので、そういったことは――――――」


――――――名は体を表す。


石切丸”「私の本質は石切劔箭神社の御神刀だけれど、他にも“石切丸”の名を持った名刀の伝承が残っていてね?」スッ

清原「?」

長門β「お、終わったぁ…………(腕と肩が痛い……。こんなことがあるのか? 満身の力を込めたのに…………?)」ゼエゼエ

石切丸”「それじゃ、刀は返してもらうよ」

長門β「は、はい…………」ゼエゼエ

石切丸”「それで、清原提督? 私は神社暮らしが長いから当然 戦の専門家ではないし、人を斬ったこともないのだけれど、」ジャキ

石切丸”「――――――!」カッ

清原「!!」ビクッ

長門β「!?」ビクッ


石切丸”「……祓いたまえ、――――――清めたまえ!」ブンッ!


石切丸”「……この通り、他の“石切丸”の伝承のイメージが【審神者】に込められたことによって、我が刃は岩をも断つようになったんだ」

清原「あ…………」ドクンドクン

長門β「…………す、凄い気迫だった」アセダラダラ

石切丸”「だから、“思い”を背負いすぎないでね。そうなるといくら厄祓いをしてもあなた自身が抱く思いが重くのしかかることになるから」

清原「わ、わかりました……(全てを圧倒するような気迫に私はただ息を呑むしかなかった…………これが神業というのだろう)」

石切丸”「まあ、今の私が【刀剣男子】である以上は、武器としての私だからこれ以上のことはしちゃいけない決まりなんだけどね」

石切丸”「だから、今日から二人には今 私がやったのと同じことができるようになるように指導するから、これからよろしくね」ニッコリ

清原「は、はい。よろしくお願い申し上げます!」

長門β「わ、私もだ。これ以上のない修身の時間をいただけたことを神に感謝します」

石切丸”「うん。私も人としての肉体を持ったからには出来る限りのことはしてあげよう」

33: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:05:31.50 ID:vISKenEh0

石切丸”「しかし、こういった出会いもあるんだねぇ」

清原「え?」

石切丸”「私を喚んでくれた【審神者】の“あまぎ”さんのことだよ」

石切丸”「彼女――――――というより、“天城”の名を戴く軍艦はみんな最期はことごとく次代を担うものを世に送り出しての解体だからね」

清原「確かに……。スループの天城にしろ、雲龍型空母にしろ、そして、天城型巡洋戦艦の「天城」にしろ――――――」

長門β「やはり、「天城」の名はだてではないということか。――――――意地でも轟沈しないところが「天城」らしいというか」フフッ


石切丸”「だから、本当は人間には艦娘と同じ名前をつけるべきではないんだ」


清原「…………!」

長門β「それはもしかして――――――」

石切丸”「うん。『名は体を表す』から同姓同名になる確率が高い名付けほど厄祓いが必要になってきやすいから」

石切丸”「特に、戦争の道具の中で知名度の高い軍艦の名前は絶対につけないほうがいい。――――――【この世界】なら尚更」

石切丸”「【この世界】の軍艦に対する恨み辛みは異常なまでに高まっているから、」

石切丸”「おそらく艦娘にあやかって名付けただけで、深海棲艦とやらの物の怪の祟りに間違いなく遭うだろうね」

清原「で、では! 深海棲艦の正体というのはやっぱり――――――」

石切丸”「提督のご子息はその点では大丈夫だけれど、ご子息の場合はもっと別な要因で影響を受けやすいから本当に気をつけないといけない」

清原「――――――!」

長門β「まさか――――――!」

石切丸”「うん。艦娘から生まれた子である以上は深海棲艦からの繊細だけど厄介なマイナスの波動が受けやすい体質になっているから、」

石切丸”「“あまぎ”さんが必死になって提督代行するのも頷けるね」

清原「何ですって!?」

石切丸”「そうでもしないと、あまりにも戦場に立つのには幼すぎるあの子の魂が穢れてしまうだろうからね」

石切丸”「――――――指揮を執る以前の問題だよ」

石切丸”「“あまぎ”さんが毎日 皇国の大神に必死にお祈りして守ってもらっているからこそ あの子は戦ってこれたんだね」

石切丸”「でなければ、周囲の期待や深海棲艦からの波動に毒されて、精神的に病んでしまった可能性が非常に高い」

石切丸”「そうなれば、あの子を中心に内部から皇国の運気が衰えて、確実に世界が滅亡していただろうからね」

長門β「そんな馬鹿なことが――――――?!」ガタッ

清原「………………」バッ

長門β「…………提督」

長門β「くっ」

34: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:05:59.41 ID:vISKenEh0


清原「…………それじゃ、やっぱり人間と艦娘は交わるべきではなかったのですか?」


石切丸”「そこまでは【よそ】から来た私が答えていいことじゃないから言わないけど、」

石切丸”「でも、大丈夫だよ」

石切丸”「【ここ】に存在できたということは全て、八百万の神が全てお認めになったということだから」

石切丸”「一人で背負いすぎないことだよ。それが今のあなたにとって一番 重要なことだからね」

清原「…………わかりました」

清原「本当にありがとうございました」フゥ

石切丸”「どうか『天の時』を掴めるその日まで今は待ってください」

清原「はい!」

長門β「…………そうか、待つこともまた必要だったな(そう、陸奥を失って臥薪嘗胆を誓ったあの頃のように――――――!)」

石切丸”「では、時間もまだまだあることだし、稽古の続きをしようか」

長門β「はい! ぜひとも教えてください、先生!」

清原「お願いします!」

石切丸”「これは久々に武器としての本分に励めそうだ」ニッコリ


――――――清原提督と長門βは【真剣必殺】を修得した!



38: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:09:38.53 ID:vISKenEh0

おまけ バカの一つ覚え -我が道、一を以って之を貫く-

――――――斎庭鎮守府 隣:金本邸


大泊「提督、何やら荷物が届いたぞ」

金本「うん? 予定にはなかったはずだが――――――」ゴロラゴロラ・・・

大泊「送り主はわからない」

大泊「だが、――――――まあ一度 見て欲しい」

金本「?」


スタスタスタ・・・


大泊「これが荷物だ、提督」

金本「何だこりゃ?」


金本「物干し竿か? だが、あまりにも太すぎないか、これ?」


ミロク「どうなさいました、提督?」

金本「見てくれよ。どこかの誰かさんが俺宛にこんなデカくてぶっといものを送りつけやがった」

大泊「どうする、提督? そろそろ【海上陸戦機動歩兵】での訓練の時間だが――――――」

金本「ちょうどいい。試しに【○四】で使ってみるか」

ミロク「あ」

ミロク「――――――御札?」



39: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:10:27.86 ID:vISKenEh0

――――――訓練:稼働チェック


金本【○四】「よし、【パイルバンカー】の固定と重心の調整はいいな? 外すぞ?」

朝日「はい。データはすでにこちらに」

金本「よし、――――――【パイルバンカー】分離っと」パカッ、ストン

金本「うっへえ! 腕が軽くなったもんだな!」ブンブン!

金本「さて、今日は気まぐれにこの物干し竿を使ってみようと思う。【○四】の定期的な稼働チェックのためにな」

金本「よし、梱包を外せ。中身の太くて長いものをご開帳しろ」

速吸「はいはいっと」ビリビリッ

ミロク「あ…………(御札が解かれて――――――)」

速吸「ん? 何これ? ――――――手杵?」

ミロク「おや……、これは――――――」

金本「どうした? 早く中身を持ってこい。軽くダンベル代わりに使ってやるぜ」

速吸「提督、それがこれ、中身が――――――」


ミロク「――――――鎗です。それもとても大きな鎗です」


金本「はあ? ――――――『鎗』だって?」

ミロク「はい。手杵じゃなくてそれは鞘になってるんですよ」

朝日「よいっしょっと!」

大泊「なかなか重いな……」

金本「おうおう、ごくろうさん」

金本「ほうほう。これは2m越してるな。そして、鎗用の鞘なんて初めて見たぜ」

金本「ほう……、誰だか知らんが、変わった贈り物をしてくれるじゃないか」

金本「いいねぇ。俺も一端の槍使い(意味深)だし、ちょっとばかりこのパワードスーツで演武してみるか」

40: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:11:30.36 ID:vISKenEh0


金本「はっ! ほっ、とぁ! せいやっ!」ザシュザシュ!


朝日「お見事です。パワードスーツ込みとはいえ、見事な槍捌きです」

速吸「藁で編んだ的ですから遠慮無くつっついてくださいねー!」

大泊「だが、やはり得物が長過ぎてこれでも扱いきれてないというのがありありと伝わるな」

金本「…………本当だな。さすがに身の丈を軽く超えてるものの扱いは初めてだからなかなかきついもんだぜ」ゼエゼエ

金本「ま、いい汗にはなったんじゃないか?」

金本「さて、こいつは部屋に飾っておくか。横に置くのは難しそうだから縦に飾っておこうか――――――」

パチパチパチ・・・・・・

一同「!」


一般人”「いやはや、荒削りとはいえ、この時代でここまで俺の鎗を扱える人間がいたことに驚いたよ」


金本「誰だ、お前は? ここは私有地だぞ。悪いことは言わん。さっさと消えろ、憲兵に突き出すぞ」

一般人”「いやいやいや、それ、俺の鎗だから――――――本体だから。俺は嫌でもオマケとしてついてきちゃうんだよ」

金本「は? 何 言ってんだこの、緑色のダサいジャージの冴えない一般人のお兄さん?」

一般人”「酷い言われようだな……。まあ、他の二本と比べたら俺なんて刺す以外に能がないからなぁ……」

ミロク「提督、ここは1つ試してみればいいと思いますよ」

金本「うん? そうか? まあ、持って逃げるにしてもこのデカさじゃ逃げるのも難しいだろうからな」

金本「よし、いいだろう。差出人も不明だったことだしな、これが本当にお前の持ち物ならそれなりに心得があるだろう」

金本「あそこにある的に向けて何かやってみろ。それで唸らせるものがあったらお前の所有物だって認めてやる」

41: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:11:59.27 ID:vISKenEh0

金本「ほれ、受け取れ!(少なくとも20kg以上でかつ2m以上の生身の人間が持つには重すぎる代物だ。これを受け取れるわけが――――――)」ボイッ

一般人”「よっと」パシッ ――――――難なく片手で受け取る。

金本「なに!?」

一般人”「まあ、これが俺の本体だし、――――――あ、俺の名前は天下三名槍が一本、御手杵だ。これからよろしくな」

金本「は?!」

ミロク「やはり……、あの御札は――――――」

一般人”「鎗だった時はでかかったけど、今はこのなりだからなぁ。感覚 狂うぜ」


一般人/御手杵”「それじゃ、三名槍が1つ、御手杵! 行くぞォッ!」ギラッ


シュッ、ザシュ!

金本「――――――!」ピクッ

ミロク「…………見事」

大泊「は、早い!? 確かに2m以上はある鎗だが、一瞬で5m以上は離れているはずの的の頭部を刺した!?」

朝日「凄いですねぇ、最近の若い人って」パチパチパチ・・・

御手杵”「いやぁ、それほどでも~」

御手杵”「でかいのはいいんだけど、平和な時代になって参勤交代用に作られたあの重たい鞘だけは本当にやめて欲しいもんだぜ」

金本「何だ 今の早業は!?(一般人Aの分際で、まるで大したことがないかのように振る舞えるその余裕――――――)」

42: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:12:48.72 ID:vISKenEh0

金本「おい、名は何という?」

御手杵”「ああ。御手杵さ。刀身を覆う鞘のデカさが手杵みたいに見えた迫力からそう呼ばれるようになった天下三名槍の1本さ」

金本「――――――まるで自分が槍そのものかのような喋り方だな(もしや、本当に――――――?)」

金本「……お前、槍の妖精か? 付喪神とかいうやつか?」


御手杵”「まあ、それに似たようなもんさ。【刀剣男子】っていう こうして肉体を持った生まれながらの戦士さ」


金本「――――――【刀剣男子】だと?(何その、日曜 朝のヒーロータイムに出てきそうな設定のカッチョイイの! ダサいネーミングだけど)」

金本「……けど、いいな(あれだ、【刀剣男子】を“カタナオノコ”とか“ソーディアン”って読むようにすればイケてるかも)」ボソッ

御手杵”「?」

金本「っと」コホン

金本「お前が本当に【刀剣男子】だとして――――――、」

金本「なぜここに来た? なぜここに送られてきた? 差出人は誰なんだ?」

御手杵”「おっと、そう一遍に訊かれても困るぜ? これでも武器を完璧に使いこなす能力があるってだけの人間なんだからさ」

金本「…………速吸、部屋を用意してくれ。客人だ」

速吸「わかりました」

金本「……はあ、今日の稼働チェックはこれで中止だ。訓練もな。というか、さっきので十分に確認はとれただろう」

金本「あとは、片付けておいてくれ」プシュー、ガコン (台車の上で【○四】解除)

朝日「はい。おおせのままに」

金本「よっと、――――――それじゃミロク、重巡を艤装込みで一人連れてきてくれ」

ミロク「お言葉ですが、その必要はないと思いますよ」

金本「……いや、念には念を入れるだけだ」

ミロク「わかりました、提督」

スタスタスタ・・・・・・

大泊「では、武器はこちらに。オレが持ちますから」

御手杵”「おお。ありがとな、お嬢さん。でも、重いぜ――――――あれま、人は見かけによらないもんだ」

金本「いや、お前のような一般人がいるか!」

御手杵”「やっぱり頼りなく見える? そうだよなぁ……、他の二本みたいに斬ったり、薙いだりはできないもんなぁ……」

金本「………………何なんだ、こいつは? 悪意はないようだが」ヤレヤレ

金本「(しかし、――――――【刀剣男子】か)」

金本「(過去に【艦娘】の他に【魔界】の【建姫】や【乱世】の【城娘】のような存在に触れているからにはその存在性を無視することはできんな)」

金本「(それに、俺の【○四】はさっきの一般人が見せてくれたみたいな一芸――――――突くだけが取り柄の仕様だからな)」

金本「(あれを見て『あの技を盗んでみたい』という衝動が沸々と湧いてきやがる…………)」

金本「(――――――久々なんじゃないか? こんなふうに何かの影響を受けてやる気になっているってのも)」

金本「(そうだな。昔はあんなふうな必殺技に憧れて できもしないのに特訓したことがあったっけ)」

金本「(何かあの冴えない感じ、昔の俺 そっくりだな――――――だから、こんなにも燃え滾るものがあるというのか)」

金本「(――――――昔の自分を思い出しているのか、俺は?)」

金本「(……そうだ。今の俺からいろんなものを差し引かれたら、俺もまたあんな感じの一般人に戻ってしまうのだろうか?)」

43: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:14:13.35 ID:vISKenEh0

金本「………………」

御手杵「?」”クルッ

金本「あ」

御手杵”「……なあなあ、さっきから俺のこと、ずっと見ているようだけどさ?」

御手杵”「どうしたんだよ? 俺と提督……“提督”って呼べばいいんだよな、あの人?」

御手杵”「俺と提督はさっき会ったばかりの関係で、しかも互いに押し付けられてこれから毎日 顔を合わせることになるんだろうけどさ、」

金本「…………なに?(『毎日 顔を合わせる』――――――あの鎗は間違いなく俺宛てなのか? 鎗の妖精までオマケで?)」

御手杵”「これもさ、何かの縁なんだし、俺を喚んだ【審神者】がこうやって提督と引き会わせたからには何か意味があると思うんだ」

御手杵”「俺は本体を見ればわかる通り、デカくて迫力があるのはいいんだけど、逆に使い手を選ぶっていうか『武器としてはどうなんだ』って感じでさ」

御手杵”「だから、バカの一つ覚えのように俺には突くことしか能がない」

御手杵”「でもきっと、だからこそ俺の唯一の取り柄が活かせる何かがあるから俺はここにいるんだと思う」

金本「………………」

御手杵”「まあ、武器に眠れる能力を引き出して人の形を与える【審神者】でもない人間にこんなことを言っても珍糞漢糞かもしれないけど」

御手杵”「悪いね。俺も今の状況で何をどうすればいいのかわかんなくてさ」

御手杵”「でも、さっきの提督の鑓捌きを見ていて、提督が“現代の鎧武者”としての稽古をしているように見えたから、」

御手杵”「なら俺は、“戦国時代を生き抜いた武士”の現在に蘇った武芸を伝授すればいいのかと思っていたわけ」

御手杵”「ホント、自分で言うのも情けないとは思っているけど、俺は本当に刺すことに全てを賭けてきたわけだから」

御手杵”「蜻蛉切や日本号のようなことはできないけど、刺すこと・突くことに関してなら誰にも負けない自信がある」

金本「…………ほう?」

御手杵”「お、ようやく良い反応を見せてくれたよ」ホッ

御手杵”「ま、そんなわけだから、腐っても天下三名槍が一本:御手杵だから、――――――俺を思う存分に使いこなしてみない?」

金本「…………フッ(なるほど、誰の差金かは知らないが そういうこと――――――)」

金本「――――――乗った!」


――――――後に、金本提督は【真剣必殺】を習得しました。


超番外編2 神に捧げられしものたちの降臨  -祓いたまえ、清めたまえ- 完



44: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:14:51.52 ID:vISKenEh0





























































45: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:16:07.10 ID:vISKenEh0

番外編 2014年から2015年へ

3,西村艦隊の立花

――――――佐世保鎮守府


ワーワー、ザワザワ、ワイワイ・・・!


加藤提督「何だ? 今日は何の騒ぎなんだ?」

小西提督「どうだっていいさ。近日中に俺は佐世保を離れて新戦略研究局の第1号支局の長となるわけだし」

加藤「………………」
          トレーニー
小西「まだ【 教済み深海棲艦】に抵抗があるのなら、新戦略研究局から去ればいい――――――そんなのはわかりきってることだよな、加藤提督?」

加藤「それはそうだが……」

小西「戦線を維持しているその他大勢の尊い労苦と犠牲に支えられて、この『新戦略』は軌道に乗せなくちゃいけないんだ」

小西「敵のことを理解せずして、どうして勝利を掴める? ――――――『敵を知り、己を知らねば、百戦危うく』だぞ?」

小西「正攻法で勝てる次元じゃないんだよ、もう」

小西「だからこそ、――――――『誰かがやらなくてはならない』それだけだ」


コツコツコツ・・・・・・



46: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:16:35.50 ID:vISKenEh0

加藤「………………」

加藤「……さて、俺も行くか」


高橋海軍大将「おお、加藤提督じゃないか。元気にしていたか」


加藤「!」

加藤「――――――高橋提督! なんで佐世保に?」

高橋「お前の顔が久しぶりに見たくなった」

加藤「冗談はよせ」

高橋「ああ。冗談だ」

加藤「………………」


立花海軍大将「何をグズグズしている、高橋。早く来い」


加藤「――――――天下の海軍大将夫婦、揃い踏みか」

立花「違う、夫婦などではない! 断じて!」

高橋「まあ確かに。立花提督のお父上が勝手にそう決めただけで、互いに軍人になったと同時に婚約してすぐに別居だからな」

高橋「法的には夫婦なのだろうが、書類上の関係だ、そんなのは」

高橋「もっとも、俺は立花提督の花嫁衣装を見てみたいがな」シレッ

立花「なっ、なんだと!?」カア

高橋「はは、冗談だ」

立花「き、貴様ぁ……」

加藤「はいはい。夫婦漫才はその辺にして、せっかく一緒にいられるようになった嫁さんを大事にするんだぞ」ヤレヤレ

高橋「ああ」

立花「違うぞ! こいつが入婿なのだからな!」

立花「そして、――――――私は“嫁”ではない、“立花”だ!」

立花「行くぞ」プンスカ

高橋「ああ わかったわかった。機嫌を直してくれ、な?」


スタスタスタ・・・・・・



47: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:17:07.18 ID:vISKenEh0

加藤「なるほどな。今日の人混みはあの二人が来ていたからなのか。道理で外部の人間や野次馬が多いと思った」

加藤「…………そう、あの二人こそ我が皇国が誇る海軍大将の立花夫婦」


――――――通称:“西村艦隊の立花夫婦”。


加藤「去年の2014年 秋イベントで実装された扶桑改二を旗艦とし、」

加藤「僚艦に妹:山城(後れて改二実装)、航巡:最上、駆逐艦:時雨、満潮、朝雲(イベント限定ドロップ)の編成で、」メメタァ

加藤「E-3を突破したとかいうとんでもない伝説を築き上げた――――――夫婦である」メメタァ

加藤「言っておくが、確かに夫婦ではあるが立花提督が公言していた通り、『別居』――――――それぞれ別々の鎮守府司令官として活動している」

加藤「そして、朝雲と山雲を除いた西村艦隊5隻+αで秋イベントの攻略にとりかかっていたところ、夫婦揃ってすぐにイベント限定艦の朝雲をドロップして、」メメタァ

加藤「そこに感じるものがあったのか、互いに連絡も取り合っていなかったのに二人揃って西村艦隊を完成させてE-3の攻略を成功させたという逸話である」メメタァ

加藤「『お前ら、(そこまで似た者同士なら)結婚しろ』――――――『あっ、結婚していた』ということで一躍 有名になった夫婦である」

加藤「今回のように二人揃っていること自体がここ最近の話なんだが、傍から見ると喧嘩は多いが互いのことを理解し合っている熟年夫婦にしか見えんな」

加藤「俺は元々 二人とはちょっとした縁でそれぞれ知り合ってはいたが、夫婦別姓で結婚相手のことなどまるで語ったことがないから、」

加藤「俺も秋イベント終了後の大本営発表における“西村艦隊の立花夫婦”のくだりを聞くまで知らなかったもんだ」

加藤「まあ、その後は別居状態が続いたこともあって互いに距離を掴みかねていたようだが、最近は並び称えられる台頭の関係に落ち着いたようだな」

加藤「そんなわけで、いろんな方面で話が持ちきりで――――――、」

加藤「まず、立花提督が女性で初の海軍大将で かつ宝塚の俳優のような男子のごとき凛々しさから女性から人気絶頂であるし、」

加藤「かくいう、あの高橋提督も一応 既婚者ではあるものの、持ち前の甘いマスクと立居振舞でこれまた女性から絶大な人気ときている」

加藤「そして、夫婦揃って実績抜群の海軍大将なのだから、まさしくリア充の極みだわなぁ……」

加藤「けど、そんな二人がどうして佐世保に――――――?」



48: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:17:41.96 ID:vISKenEh0

佐世保鎮守府司令長官「よく来てくれた、――――――立花夫人に立花氏」

立花「その呼び方はやめていただこうか、司令長官。形式上そうであっても私はこの男が夫であるなどと認めたわけでもない」

立花「そして、女である前に私は立花であり、誇り高き皇国の将校なのだぞ。侮られては困るな」

司令長官「っと、これは失礼した、提督」

高橋「すみませんね、司令長官。彼女、負けず嫌いでしてね。笑ってすませばいいところでも噛み付くもんですから、おっかないでしょう?」

立花「おい」

司令長官「いやいや、むしろ鎌倉時代の烈女たちというものを立花提督の姿に見たものだから、頼もしく思っているよ」

司令長官「かくいう私も若輩者でね。この歳で佐世保の最高責任者なんかやっているもんだから、」

司令長官「きみたちのような若い世代の大将が台頭してくれると、私としても気が楽でありがたいよ」

立花「それで、わざわざ私たちを5大鎮守府(通称:漢字鯖)に招いたからには何か重要な案件や特命があってのことなのだろう?」メメタァ

司令長官「まあ、その通りだ。――――――単純に5大鎮守府の中で佐世保が一番近かったからここに呼んだんだけどね」

高橋「それで、どういった案件になるのでしょうか?」


司令長官「…………大本営直属の『司令部』のことは知っているかな?」


高橋「ああ……、各方面の有名人を招いて結成されたという――――――」

立花「兼愛交利の清原提督、成金の金本提督、朗利パークの園長に、葬儀屋の石田提督――――――、か」

立花「よくもまあ、これだけの実績・清濁 問わない面々を集めることができたものだな」

立花「さぞかし、居心地の悪そうな部隊であろうな」

司令長官「実際にそうだと思う。私も清原提督と金本提督は相性が悪いように思えるし、朗利提督と石田提督とでは鎮守府運営の在り方は正反対過ぎる」

立花「それで? その『司令部』がどうしたというのだ? 知っているかどうかだけを訊くために喚んだわけではあるまい?」

高橋「まさか――――――」

立花「ん?」

司令長官「そう、たぶんその『まさか』だと思うぞ、高橋提督」


――――――二人に『司令部』への転属命令が降りた。


立花「なんだと!?」

高橋「…………俺たちの他にも転属命令が降りた者は?」

司令長官「そこまではわからんな」

司令長官「ただなぁ…………、この『司令部』の面々を見るにぃ、そうだな…………」ウジウジ

立花「いったい何だというのだ、はっきり言え」

司令長官「わかった。これはたぶんなんだが――――――、」コホン

高橋「?」


――――――立花夫婦が犬猿の仲だからこそ、二人一緒の『司令部』への転属が決まったのではないかと。



49: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:18:13.35 ID:vISKenEh0

立花「はぁ? 何をわからんことを……」

高橋「なるほど……、少しは読めてきたかな?」

立花「どういうことだ?」


高橋「競争させようということなのだろう。あえて対極的な立場の二人を組み入れることでな」


司令長官「…………なるほどな。確かにそう考えると納得のいく人選かもしれないな」

立花「たわけたことを」

司令長官「しかし、提督――――――」

立花「すでに立花は大将の位にまで昇り詰めた。その上があるとすれば残りは唯一無二の元帥号のみ。昇進など最初からあり得ん話だ」

立花「それでいったい何を競わせようと言うのだ? 立花は完全なる勝利のみを追求する」

立花「くだらん競争なんかに精を出すよりも、まず皇国に群がる害魚の駆除こそが最優先事項のはずだ」

高橋「そうだな。競争を煽って内紛の種を撒き散らす必要などあるまい」

立花「では、そういうことだ。このことは後で正式に大本営の方に抗議を申し入れる――――――」


高橋「そうか。立花提督が行かないのなら、俺は心置きなく『司令部』に行けるな」


立花「!?」

司令長官「おお、承諾してくれるか」

高橋「――――――俺は会ってみたい。『司令部』に選ばれた4提督がいかなるものなのかをこの目で確かめに」

高橋「きっと、俺を楽しませてくれる愉快な連中ばかりなのだろうな」

高橋「そして、あてつけのライバルがいないのなら、いつもどおり以上の何かが得られる毎日になるはずさ」

司令長官「ほう」

立花「おい、高橋!?」

高橋「ん? 何だ、立花提督? 帰るんじゃなかったのか?」

立花「そ、それはそうだが…………」

高橋「それじゃ、早速『司令部』と連絡を繋いで欲しい」

司令長官「よしよし。わかったぞ」

立花「………………」ワナワナ・・・



50: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:19:15.39 ID:vISKenEh0

―――――― 一方、その頃、

――――――広島市 宇品:船舶司令部


剛田将校「これはこれは――――――、」

剛田「わざわざ【魔界】から本国に休暇のためにお戻りになったのかと思いましたぞ、」


――――――本多陸軍大将殿。


本多陸軍大将「うむ。去年の合同軍事演習以来であるな、剛田将校殿。息災であったな」

剛田「いやはや、あの後、【魔界】に帰ろうとしたら時空の歪みで【乱世】になんかに飛ばされて大変だったんですからね」

井伊陸軍少将「わかりませんね、本多大将殿」

井伊「どうして、現在の戦場の主役である海軍を縁の下から持ち上げている陸軍の中でも皇国に最も貢献していない零細部署になんか――――――」

剛田「ん?」ピクッ

本多「新入り、お前にとっての我が皇国の陸軍の戦場はどこにあると心得ている?」

井伊「そんなの内地での治安維持活動と、【魔界】での生産基地の確保でしょう?」

井伊「残念ながら、今の皇国にとって一番の敵は深い海の底からの怨霊ですからね。海のことは海軍にまかせる他ありませんよ」

井伊「そして、陸軍は旧大戦によって信頼を失って以来、こうして海軍の小姓の真似事をやらされているわけですよ」

剛田「見ない顔だな。それに、【魔界】に赴任している血気盛んな将兵とも違う趣き――――――憲兵上がりか?」

井伊「っと、これはこれは申し遅れました、船舶司令部の将校殿」

井伊「自分は井伊少将です。今日は本多大将殿に声をかけてもらい、同行させてもらった次第です」

本多「見ての通り、こいつは内地のひよっこでな。戦場は未経験なのだ」

剛田「なるほど。だが、大将殿が目をかけるぐらいにただ単なる英才でもないようだな」

井伊「まるで、船舶司令部でも何か皇国のために仕事をしてきていたような物言いじゃないですかね、それは」

本多「ああ。内地勤務だった新入りは知らないのだろうが、」


本多「この剛田将校殿は過去に艦娘たちと一緒に出撃して北方棲姫や駆逐棲姫を自らの手で討ち取ってきているのだ」


井伊「は」

剛田「ま、資源王さまさまだったな。カネに糸目を付けない財力でまかなわれた強力な装備のおかげですよ」

本多「我も【海上陸戦機動歩兵】を試してみたのだが、いや、なかなかに素晴らしい仕上がりであったな」

本多「難を言えば、使える強力な武器がまだ少ないということか? それにこれからの歩兵戦力の中心になるにしても実戦投入までの養成に手間取っておる」

剛田「そう言って、1日で乗りこなした本多大将殿はまっこと人間離れしてますよ」

井伊「な、何を言っているのか全然わかりませんよ……、お二人さん?」アセタラー

本多「わからんだろうな。――――――だから、新入り、お前をここに連れてきた」


本多「お前には我と一緒にこの船舶司令部に来てもらいたい」



51: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:19:54.50 ID:vISKenEh0

井伊「はぁ?」

剛田「ちょっと待ってください、大将殿?」

剛田「内地で少将にまでなった人間を船舶司令部に入れるのは――――――」

本多「わかっている。我は【魔界】における拠点整備を任された身ではあるが、同時に【○二】陸戦部隊の隊長でもある」

本多「そんなわけで、この新入りを【魔界】で鍛え上げてからまたここに来ることにしよう」

井伊「ちょっと、何 勝手に話を進めているんですか? ねえ?」

本多「新入り、内地において数々の武働きは耳にしている」

本多「それでついた渾名が――――――、」


――――――“井伊の赤鬼”ともな。


井伊「それは当然のことをしてまでであって――――――」アセアセ

剛田「聞いたことがあるぞ」

剛田「若輩ながら、知勇兼備の綱紀粛正の鬼であり、高い位につきながら自ら現場に乗り込んで国内の様々な難事の解決に力を振るったという――――――」

本多「それぐらいの気概と根性があるのであれば、本物の戦場でも役に立つだろう」

剛田「なるほど。これまた強力な助っ人がきたものだな」

剛田「これから頼りにさせてもらうぞ、“井伊の赤鬼”さん?」ニヤリ

井伊「……はい?」

剛田「まあ、立ち話はここまでにして――――――、」


――――――ようこそ、船舶司令部へ。これから磯臭い陸軍野郎 御用達の潮溜まりとなる場所です。


Next:第9話 海軍総隊を結成せよ! に続く!



53: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:22:00.82 ID:vISKenEh0

超番外編1 浪速のことは 夢のまた夢  -この命 果てても私が御守りします!- 第3章

――――――【乱世】、【城娘】と【兜型生命体】が相争う世界

――――――寛永時代


石田”「さて、肥前国唐津(佐賀県)から南進していくと、肥前国島原半島(長崎県)があり、更に南に海を渡って行くと肥後国天草郡(熊本県)がある」

石田”「寛永14年10月25日――――――1637年12月11日、【島原・天草一揆】が勃発する」

石田”「唐津藩藩主である寺澤志摩守は自領である唐津においては“志摩様”と親しまれている名君であったようだが、」

石田”「関ヶ原の戦いの後に、小西行長の旧領であった肥後国天草郡の旧領を飛び地として貰い受けてもいた」

石田”「そして、残念なことに、志摩守は天草の石高を見誤り、2倍の重税を天草に課すことになり、反乱の種が燻ることになった」

石田”「元々、島原も天草も国主がキリシタンであったことから伝統的にキリシタンが多い地域であり、」

石田”「【天草一揆】の指導者とされた天草四郎時貞は小西行長の家臣の子孫という話があるように、旧小西家臣団の存在もあった」

石田”「一方で、島原に関して言えば、――――――もはや言い逃れができないような苛政が敷かれていた」

石田”「島原藩主である松倉重政・勝家親子は苛政と搾取を行い、実質的な【島原の乱】の主因を作っていたのだ」

石田”「島原での蜂起があって、天草一揆も誘発されたのだからその罪は重く、」

石田”「【乱】の前にすでに重政はこの世から亡くなっており、子の勝家が藩主となっていたのだが、」

石田”「【乱】の元凶ということで斬首されている。――――――藩主に言い渡される処罰などではなく、大罪人への実刑が下されたのである」

石田”「しかしながら、この松倉重政という人物――――――、」

石田”「元々、肥前国島原藩の藩主になる以前は、大和(奈良県)の大名:筒井順慶の島左近と並ぶ名将の松倉重信の子であり、」

石田”「関ヶ原の戦いの後、大和国五条藩主となって辣腕をふるい、“豊後様”として今も慕われている名君だったらしい」

石田”「その後、大坂の陣の後にキリシタン大名:有馬晴信の旧領である島原藩に入ったというわけだが――――――、」

石田”「何だかこうまとめてみると、【島原・天草一揆】の元凶である“豊後様”と“志摩様”――――――何かと共通点があるように見える」

石田”「金木青年の娯楽品と化した電子辞書から得た情報をまとめるとこうなる」


     表 【島原・天草一揆】(寛永14年:1637年)における比較
――――――――――――――――――――――――――――――
項目|       島原        |        天草       |
――――――――――――――――――――――――――――――
所在| 肥前国島原半島(長崎県) |  肥後国天草諸島(熊本県) |
旧領|      有馬晴信      |      小西行長       |
元凶|  松倉 重政(1630年死没) |  寺沢 広高(1633年死没)  |
実績|      “豊後様”      |      “志摩様”       |
藩主|  松倉 勝家(1597年生誕) |  寺沢 堅高(1609年生誕)  |
処遇|元凶として処分→藩主、斬首|天草の所領没収→藩主、自害|

・【乱】の元凶である初代藩主たちは関ヶ原で功を上げた実力派たちでもあり、しっかりとした行政業績がある。
・松倉 重政は大和国五条藩 発展の基礎を作り上げて、大坂の陣の功で島原藩に移封となった。
・寺沢 広高は関ヶ原の戦いの功で小西行長の旧領である天草を飛び地として得ることになった。



54: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:22:34.28 ID:vISKenEh0

――――――肥後国 天草下島 北西の陸繋島 富岡半島:富岡城


ザッザッザッ・・・

金木「へえ、確かに陸路がこの砂州しかない陸繋島ってわけなんだから、一揆勢がこの城を攻め落とすのは絶対に無理だろうな」

金木「まさか船を奪って攻め込んでくるようにも思えないし、ここを攻めるぐらいなら長崎を襲ったほうが金品があるだろうしさ」

石田”「逆に言えば、陸路からの救援は絶望的とも言えるが、連携さえとれていれば石山本願寺のように持久戦に持ち込めることだろう」

石田”「だが――――――」

金木「そうですね」


――――――【城娘】富岡城が存在してませんね。


石田”「…………どういうことだと思う?」

金木「わかりませんよ。実物はここにあって、名のある城には絶対【城娘】が宿るはず……」

金木「それで、“金鯱”の名古屋城だとかだって現地に行けば会えるって話なんだし…………」

石田”「【城娘】として生まれるために絶対必要な何かがあるということなのか?」

金木「わかりませんって。【築城】したら出てくるのかもしれませんけれど、少なくともこの富岡城からは【城娘】の気配はまったく…………」

金木「けれども、石田少将のおかげで藩政の見直しが進んで何とか【天草一揆】の方は解決しそうですよね」

石田”「まだ安心はできないぞ。かつてこの地域周辺の改易された大名に仕えていた浪人たちが燻り続けることに変わりないのだからな」

金木「でも、【乱】が起こって無関係の人たちまで死ぬよりはマシってことですよね?」

石田”「そうだ。時代に適合できなかったクズ共には最低限の人権の保障をする程度が健全な施策というものだ」

金木「かわいそうだけど、俺たちが一人残らず養っていけるってわけでもないから」

金木「――――――『全てを救う』だなんて絵空事ですよね」

石田”「そもそも『全てを救う』とは言うが、その『全て』とはどういう意味なのだ?」

金木「え」

石田”「お前は同じ人間を何人も殺してきたような万死に値する人間すら同じ人間として救おうという考えを持っているのか?」

金木「………………」

石田”「――――――『救いたい中で救える命を救う』それだけでいいのだ」

石田”「『全て』なんて大それたことを言うもんじゃない。だから、狂うのだ」

石田”「頭の足りないクズ共はそれを理解していない。できもしないことを言っておいて、それで実現できなくて自滅するのだ」

石田”「――――――『全か無か』ではない」

石田”「――――――『有か無か』だ。目指すべき事柄というのは」

石田”「だから、気負う必要なんてない。自分に出来るだけのことをやって、それ相応の成果を得ればそれでいいのだ」

金木「…………はい。わかりましたよ、石田少将」

――――――――――――

―――――――――

――――――

―――


55: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:23:05.75 ID:vISKenEh0

――――――肥前国 唐津 二里松原:マンション城(【城主】様の本拠)


二条城「ようやくお帰りですか、殿?」

志摩守「ずいぶんと遅い朝駆けでしたな、【城主】様?」

唐津城「呼んでおいて遅刻とは大したご身分ですな?」ジロッ

金木「これは失礼しました」

金木「けど、こればかりは譲れない用事がありましてね?」

志摩守「?」


――――――潰してきたぜ、【兜】共の本拠地をな!


唐津城「なにっ、それは真か!?」

金木「ああ。石田少将と佐和山城が命を賭してやってくれた」

志摩守「――――――『石田少将と佐和山城』の二人」

金木「確か場所は、――――――何て島だったっけ? 唐津の北にあったあの島ぁ……?」

二条城「――――――神集島でしたね」

志摩守「…………『神集島』!」

志摩守「そうか、確かあの辺りは横穴式古墳群があったな」

金木「そうそう、神集島 神集島! その神集島の奥深くに遺跡があってそこを本拠地にしていたようだった」

金木「すぐに兵を出して制圧してください。あの島には不穏分子がわんさかといるようですから」

志摩守「…………あいわかった」

金木「これでこれまで唐津を襲ってきた【兜】の襲撃は止むでしょう」

志摩守「そうか。これは褒美をとらせないといかんな」

志摩守「しばし待たれよ。神集島に兵を回すための文を書く。筆記物を――――――」

二条城「すでにここに」

志摩守「おお、そうか」

金木「やっぱり二条城は気が利くな」

二条城「ええ。こんな良い女をほっとくなんて殿はイケズな人よね~」

金木「いいぃ……」ゾゾゾ・・・



56: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:23:46.53 ID:vISKenEh0


サラサラサラ・・・・・・


志摩守「すぐにこれを城に届けてくれ」

唐津城「承知いたしました!」バッ

タッタッタッタッタ・・・

志摩守「しかし、………………そうか」

金木「催促するようで悪いんだけどさ、志摩様? 早速なんだけど――――――」

志摩守「ああ そうだったな。褒美は何がよいかな、【城主】様?」


金木「天草の石高を改めてください」


志摩守「……なに?」

二条城「………………!」

金木「ですから、志摩様が預かり持つ飛び地の天草領の石高が適切かどうかを見直してください」

志摩守「…………すないスケの入れ知恵か?」

志摩守「しかし、なぜ天草なのだ? まさか天草を盗ろうと考えているのではないだろうな?」ジロッ


金木「そんなわけありますかっ!」ドン!


志摩守「…………!」

金木「あんた、この唐津では“志摩様”って慕われているじゃないですか」

金木「朝早くに起きて政務をやって日々の鍛錬をやって、唐津の人たちが今日も元気にやっているのかを見て回って!」

金木「尊敬するよ! たかだか【城娘】を従えているだけで【城主】様と崇められている素寒貧の俺なんかよりもずっとずっと立派!」

金木「けど、そんなあんたでも自分の領地である天草でも“志摩様”と慕ってくれているか確かめたことがありますか?」

金木「天草のキリシタンを弾圧するのは別にいいですけど、それとは無関係な人まで苦しんでいるということを知らないんですか!?」

金木「あんたは確かに唐津を治めるのにふさわしい立派な領主――――――尊敬してるさ、ホント」

金木「けど、飛び地とはいえ、同じく天草の領主でもあるのに、唐津と同じように扱わずに圧政を敷いてるだなんて領主の風上にも置けない!」

志摩守「む」

二条城「…………殿」

金木「じいさん、あんた あと10年も生きられる自信はある? 俺より歳下の息子さんが立派になるのを見届ける自信はあるの?」

金木「初代将軍様だって70ぐらいで亡くなっているのに、じいさんはそれより長生きできる自信がありますか?」

志摩守「…………言わせておけば」ムッ

金木「…………!」アセタラー

金木「ぅえい! 確かにね、これは石田少将が言い出したことなんだけどさ、」

金木「――――――俺はね! 今日まで良くしてくれた志摩様への恩返しと親切心で『天草の石高の見直しをして』って言ってるわけ!」

金木「他には何も要らないよ。俺は別に領主になることなんか興味ない。自分の身の丈にあった幸せが一番だと思ってるから」

金木「けどこれは、今すぐにでも言っておかないと、明日にはじいさん ポックリ逝って天草の人たちを救うだなんてことできなくなるかもしれないんだよ?」

金木「俺は別に余所者として知らん顔できるけど、俺より歳下の残された息子さんがしっかりと唐津と天草の両方を治められるか――――――」

金木「いや、改易されるかどうかの瀬戸際にあることを知れよ、志摩様!」

志摩守「………………」

57: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:25:00.64 ID:vISKenEh0

金木「………………フゥ」アセタラー

二条城「……ここに唐津城がいなくてよかったですね、殿」

金木「でも、言わなくちゃいけないことなんだ! 志摩様だってキリシタンは憎しだろうけど、無辜の領民まで苦しめることは望んでないでしょう?」

金木「だから、天草の石高の見直しを――――――」


志摩守「 も う よ い 」


金木「…………!」ビクッ

二条城「………………!」

志摩守「若造が。儂に物申そうとは10年早いと知れぃ!」

金木「で、でも――――――!(ダメだ、ここで引き下がっちゃいけない! 交渉の主導権は常に【城主】である俺が握ってるんだ!)」

志摩守「だが…………、」

金木「?」


志摩守「よくぞ言ってくれた。儂も家督を継いだばかりの堅高の将来を案じていたことだし、これはまさしく天からの啓示なのやもしれんな」


金木「!」

志摩守「わかった。その願いを褒美として聞き入れよう」

二条城「…………殿!」パァ

金木「ああ!」パァ

志摩守「確かに天草のことに関しては儂も不安があったのだ」

志摩守「生まれながらの将軍様がキリシタンの弾圧を強めるようにも言ってきたこともあってな」

金木「『生まれながらの将軍』――――――(そっか、そうだったな。今の治世って孫の家光の治世だったっけ)」

志摩守「だが確かに儂は、決して1日足りとも領民の幸せや豊かな生活を願わない日はなかった」

志摩守「江戸から帰れば国中の視察を怠らず、民草と同じものを食べ、それで蓄えた財で優秀な者たちを召し抱えるために励んできたものだ」

志摩守「そうだなぁ……、あれからどれくらいの時が流れたのであろう?」

志摩守「生まれ故郷である尾張の地で旧友と共に立身出世を夢見て木下藤吉郎秀吉に仕えてから数多の戦場を駆け抜け、」

志摩守「ようやく天下は木下藤吉郎――――――否、太閤殿下の下に収まったかと思えば、」

志摩守「それは脆くも豊臣秀吉公の死と共に将軍様の手に天下が渡った――――――」

志摩守「かつての主君を失って将軍様にお仕えするようになって、確かに秀吉公に仕えていた頃よりは扱いは良くないが、」

志摩守「それでも、立身出世で夢見た儂自身の理想の国となるように努めてきたのだ」

志摩守「ならば、最後の最後に儂がやるべきことは決まったな」

志摩守「今度は唐津だけではなく、天草のこともしっかりと見ておかなければならんな」

志摩守「しかし、【城主】様にこれを言わせたのはやはり石田治部の影法師――――――すないスケ様というわけか」

志摩守「思えば儂も石田治部に反感を抱いてはいたものの、彼の者のやり方を一番学び取っていたかもしれぬな」


―――

――――――

―――――――――

――――――――――――

58: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:25:35.47 ID:vISKenEh0

金木「しっかし、志摩様がまじめに天草の統治の見直しをしてくれるようにはなったけれども、」

金木「それにしては、この天草を治めるのはずいぶんと骨を折りませんかね? あっちこっちに島がたくさんあってまぁ」

金木「それに、この富岡城だって確かに天然の要害に守られた堅城だけれど、交通の要所というわけでもないし、いろいろ不便じゃないかな?」

石田”「ああ。だから最終的には、この天草――――――後の富岡藩は天領として幕府の直轄地となって返還されることになるのだ」

石田”「だから、これからが最も大変なのだがな」

金木「…………検地のやり直しの件がうまくいけばいいんだけど」

石田”「――――――『前例がない』という理由だけで実施が先延ばしされ、」

石田”「最終的には代官の鈴木重成が切腹で以って訴え、幕府を驚愕させた」

石田”「そして、亡き鈴木重成の息子も再三の訴えを以ってようやく認めさせたぐらいなのだ」

石田”「一筋縄ではいかないな。――――――妄りに先人たちが守ってきた規則を破らずにいるのは美徳ではあるがな」

石田”「だが、志摩守が直接 動いたとあれば、状況は少しばかりは好転するだろうな」

金木「ええ。信じましょう。誰だって【乱】に遭いたくはないですからね」

金木「ただ、幕府の直轄地になることを考えると、やはり――――――」

石田”「そうだな。そこが志摩守の限界となるやもしれん」

金木「――――――天草を手放すことは避けられないわけですか」

石田”「それでも、あの未熟者の息子の代に言い渡されるのと、志摩守が自ら裁かれるのでは話が違う」

石田”「それがあの老人の最期の仕事になるだろう」

金木「…………なんてこったい」

金木「――――――詰みじゃないですか、これって! 将来的には二つに一つでどっちみち損するしかないじゃないですか!」

石田”「それでも、切るべきところで切って被害を最小限にして組織を立て直す改革を行う非情さも時として必要となってくる」

石田”「平和な時代になれば、膨れ上がった軍備は財政を圧迫し、やがては軍縮へと至り、その過程で数多くの軍関係者からの失業者を生み出すことになる」

金木「え」

石田”「平和への礎として最後の犠牲になるべきなのは、平和を掴みとった勇士である軍人の最後の務めでもあるのだ」

金木「…………それは、そうだったのか」

石田”「つまり、戦うことでしか自分を表現できないような戦馬鹿は戦場で死なせてやったほうがよっぽど幸せというものだ」

石田”「いいか? だからこそ、軍人には掴みとった平和を確かなものにするための軍事分野以外の能力開発にも力を入れねばならんのだ」

石田”「平和になった時、その平和を享受するための準備をしなければ、」

石田”「かの豊臣政権のように天下統一を果たしたものの、膨れ上がった軍備の収め所を見失い、やがては大陸制覇の無謀へと向かうことになる」

石田”「よくよく考えておくことだな、金木」

石田”「わかりやすく言えば『破壊を司る軍人としての一面の他にその対極の創造者として平和と繁栄を創り出す一面も兼ね備えておくと安泰』ということだ」

金木「…………『破壊と創造』か(そうだよな。平和の時代になったらみんなが力を合わせて今度は荒れた国土を立て直す大きな責務があるよな)」



59: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:26:19.78 ID:vISKenEh0

――――――【城主】の居城:マンション城の外


石田”「しかし、本当にこうも簡単に移築できるものなのだな、このマンション」

金木「俺も【関ヶ原】やら【稲生】やら、いろんな時代へ飛ばされて、その度に無一文から始まるんじゃないかと思ってはいたんだけど、」

金木「この本城はどうやら神々の眷属である【神娘】の力でそっくりそのまま持ってくることができるらしい……」

石田”「…………時代を越えて本城を持ってくることができるのなら、元の時代に帰ることもできるのではないか?」

金木「俺も【関ヶ原】で出会った人たちとの別れをすませてないし――――――、というか一度たりとも行く先々で真っ当なお別れをしたことがなくって、」

金木「いつもいつも【兜】との決戦が一段落して一息ついた直後なもんだから、何度もさっきまでいた場所に戻すように強く求めたことがあるんだ」

金木「けど、これがね? 【神娘】って神々の眷属とは言っても――――――、」

金木「その実態は俺みたいな俗物にでも畏まることなく気軽に触れることができる末端に限りなく近い存在らしいのよ、これまでの経験から言って」

金木「どうも、【神娘】にも格のようなものがあって、俺のような【城娘】を扱える【城主】を手助けをしながら鍛え上げるのが目的らしくてさ?」

石田”「つまり――――――?」

金木「結論を言えば、千狐ややくもは【神娘】の中でもかなり格が低い存在のようだから格の高い【神娘】に意見具申すらできないようで」

金木「だから、腐っても神々の眷属だから時渡りは不可能ではないようだけど、それをこちら側から要請するのは一切できないっぽい」


石田”「つまり、【城主】としての運命を受け容れて【兜型生命体】との戦いに生涯を捧げていくことをお前は義務付けられているわけなのか?」


金木「たぶん そうじゃないかって話…………」

金木「石田少将を元の世界に送り返すための方法を千狐ややくもにきつく言いつけて探らせてみたところ、そんなような話が出てきて」

石田”「………………」

金木「俺はまあ、石田少将が来る前にすでに【乱世】で生き抜く決意が定着してきて、故郷のことも忘れられるようになってはいたんだ」

金木「けど それでも、どうして延々とタイムスリップさせられ続けて【兜】たちと戦い続けなくちゃいけないのかはわからないままで、」

金木「俺としても悶々とさせられ続けていたんだよ」
               コタエ
金木「けど、ようやくその理由が――――――【城主】としての使命ってな感じのものがわかってきたような気がする」

石田”「…………そうか(――――――まだまだ未熟ではあるが、俺から言わせれば いい面構えになってきたな)」

金木「でも、それならなんで石田少将は【この時代】に――――――いや、【俺のところ】に来たの?」

石田”「さあな。これも皇国の神々の何らかの思し召しというのなら辻褄が合うのではないか?」

金木「…………最初の【関ヶ原】で出会った金本提督のおかげで俺は【乱世】を生き抜く決心ができた。そしたら、いなくなっていた」


金木「なら、俺が石田少将から大切な何かを得ることができれば、石田少将も元の世界に帰ることができるのかな?」


石田”「…………さあな」

金木「でも、石田少将のおかげでようやくこの寛永時代でなすべきことが見つかったんだ」

金木「【島原・天草一揆】を絶対に止めてやる! これまでだって【稲生】で兄弟喧嘩の仲裁とかやってきたんだから!」グッ


石田”「――――――『【稲生】で兄弟喧嘩を仲裁】』」


石田”「(『【稲生】の兄弟喧嘩』について、志摩守 曰く『大殿だった織田信長が弟:織田信行を破って尾張統一を果たした戦い』だと答えた)」

石田”「(すると、――――――どういうことなのだ、これは?)」

石田”「(もし【稲生の戦い】で仲裁ができたというのであれば、織田信長の尾張統一はままならなかったはずだ)」

石田”「(そうなれば、歴史は大きく変わった可能性だってある)」

石田”「(――――――桶狭間の戦いにも大きな影響を残すはずなのだから)」

60: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:26:52.78 ID:vISKenEh0


伊賀上野城「…………殿」シュタ


金木「おお! 伊賀忍!(ナイス     ! そして、キワドイ――――――)」ウッホホー

石田”「貴様が姿を見せたということは――――――」


伊賀上野城「――――――敵です。【兜】が現れました」


伊賀上野城「敵の狙いは志摩守にあると思われます。今、唐津城や殿が預けた城娘が交戦しております」

金木「ちっ、唐津とは違って天草は諸島だから城娘の配置も難しいし、本拠の富岡城は北西の端にあるからそっから指揮を執ることもできやしない」

金木「自領を守るのに、なんで【遠征戦】のような手間暇が掛かっちまうんだよ!?」

石田”「だからこそ、管理が難しく幕府の直轄地として返還されることになったのだ」

金木「じゃあ そんなわけで、――――――石田少将! マンション警備を頼みます! 俺は必要な分の人形と地図を持って出陣しますので!」

石田”「ああ。まかせておけ。いってこい」

伊賀上野城「では、殿。お掴まりください」 ――――――おんぶ!

金木「ああ!(うっへへ~い! これは緊急事態だからしかたなく    に触れているのであって、しかたなくなのだ~!)」モニョモニョ

シュッ!

石田”「人一人を背負ってマンションのペントハウスまで一飛びか……」

石田”「やはり白兵戦能力においては圧倒的に【城娘】が上回っているな、【艦娘】よりも」

石田”「しかし、それよりも上回っているのが【大将兜】と言うことか…………強力な個体ほど数は少ないようだがな」


※【御城プロジェクト】は開発:DMMゲームです。【艦隊これくしょん】開発:角川ゲームスとはまったく関係ありません。
→ ただし、【艦これ】を雛形にして生まれたのは疑いようがないので二次創作としては楽しく使わせてもらいます。



63: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:29:25.46 ID:vISKenEh0

超番外編1 浪速のことは 夢のまた夢  -この命 果てても私が御守りします!- 第4章

――――――その夜

――――――本拠:マンション城 屋上:ペントハウス(天守)


ヲ級”「ヲ~ヲヲヲ~♪」 ――――――艦載機を飛ばして夜の見張り番をしている。

大宝寺城「う~ん! 私も『ヲシドリ』ちゃんのように遠く見通せる天眼を開かないと!」ウーン!

伊賀上野城「ふむ。南蛮人が連れてくる奴隷には呪術の使い手がいるとは聞いたことがあるがこれほどとは…………」シュタ


金木「しっかし、電気が無いと本当に不便ですよね~」フワァー

金木「エジソンが照明の開発に成功したのって――――――」

石田”「明治時代だから、あと300年ぐらいはかかるぞ」

金木「300――――――ぐはっ! ちくしょう! あれから数ヶ月だってのに、現代っ子の俺は日が沈んだら寝る生活になかなか馴染めない!」

金木「辛いなぁ、嫌でもすぐに慣れると思っていたのに、この時間帯まで普通に起きているもんだから数ヶ月経っても抜け出せない……」

石田”「まあ、それもこれも物理的に夜更かしができる環境に居るせいだがな。そして、お前自身の怠慢でもある」

金木「はい、そのとおりです……」

石田”「しかし、このペントハウスだけまるで灯台のように夜も明かりが確保されているのはなぜなのだ?」

金木「ああ それも【神娘】の力だと思う」


――――――“不知火”って知ってる?


石田”「…………陽炎型駆逐艦の2番艦ということしか知らんな」

金木「はい、ナイスジョーク」

金木「あ、でも、ホントに知らないんだ。これは意外ぃ」

石田”「巡洋艦の由来なら完璧にわかるが、さすがに駆逐艦の種類豊富な無生物の命名までは追究する気になれん」プイッ

金木「そう。それもそうか」

金木「それでね、その“不知火”って言うのは――――――、」


あさひ姫「八代海や有明海の文月晦日の風の弱い新月の夜などに現れる怪火のことですよね」



64: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:30:32.25 ID:vISKenEh0

金木「――――――って、姫様!?」

石田”「……何をしている? 夜伽話をするつもりはない。さっさと寝床に戻れ」ヤレヤレ

あさひ姫「嫌です、石田様!」

金木「で、でもですね、姫様? いくらお話好きとは言っても、夜更かしはいけませんよ、夜更かしは…………お肌の天敵ですから」

金木「あ、そうそう! 志摩様は明日の業務に障るから無駄に長引く夜噺がお嫌いではなかったじゃないですか?」

あさひ姫「それは志摩様の話であって、ずっとあんな辺鄙な場所に封じ込められていた私は聞き耳を持ちませんー!」プクゥー!

あさひ姫「それに、私は石田様や【城主】様のお話を聴いているこの時間が大好きですから、もっとお話を聴かせてください!」

金木「…………石田少将」ヒソヒソ

石田”「……何だ、【城主】様?」ヒソヒソ

金木「いやさ、姫様って か な り ワガママっていうか我の強い性格なのね」ヒソヒソ

金木「まあ、その、【城娘】としては破格の強さだよ。【大将兜】を姫様と少数の味方だけで撃退できるほどなんだしさ」ヒソヒソ

石田”「そうだな。神集島の時に来てくれなかったら、佐和山城と言えども非常に危なかったな」ヒソヒソ

金木「まあ、姫様がワガママなのは志摩様のせいっていうか、しかたがなかったことでもあるんだけどさ?」ヒソヒソ

金木「さすがに甘やかしたらマズイような気がしているのは、…………俺だけかな?」ヒソヒソ

石田”「だからこそ、俺は常に突き放した態度を取り続けているのだが?」ヒソヒソ

金木「ああ……、そうだったんですかぁ……」ヒソヒソ


あさひ姫「石田様、【城主】様! 私を除け者にしないでくださぁい……!」ウルウル・・・


金木「あ、う、うぅ…………石田少将?」オロオロ

石田”「くっ、俺にも計算外のことがあるのか?」ボソッ

石田”「…………しかたあるまい」プイッ

あさひ姫「あ」パァ

石田”「俺は老婆心から早く寝るように言ってやった。俺の言いつけを破って夜更かしをする以上はもう知らん。勝手にしろ」

石田”「俺は起こしてやらないからな。朝食を食べそびれても文句を言うなよ、わかったな?」ジロッ

あさひ姫「はい!」ニッコリ

石田”「…………くっ」

金木「…………やっべぇ(姫様、マジ 大天使! 手となり 足となって大陸征服に行ってきたくなるぐらいだよ、これぇ!)」ドクンドクン

65: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:31:38.65 ID:vISKenEh0

石田”「で、話を“不知火”に戻すと――――――、」

石田”「『文月晦日』と言うと、旧暦の7月の月末のことか」

金木「ああ なるほど。『晦日』ってそういう意味――――――『三十路』と同じ読みで『三十日』ってことね、なるほど」

金木「で、文月だから7月――――――でも、旧暦での話だろ?」

金木「新暦:グレゴリオ暦でいうと、――――――載ってるかな? あ、文月は8月23日からだ」

石田”「じゃあ、『文月晦日』と言うのは、だいたい9月22日ってところか?」

石田”「まだ残暑の季節かな?」

あさひ姫「何ですか、それ? それが石田様の時代での本なのですか?」ドキドキ

金木「ん? ああ、これね、電子辞書ね。うん、あながち間違ってないよ、姫様」

金木「この薄いのに、これの十数倍の辞書機能が詰まっているからさ。これだけで博学者になれるぜ」

あさひ姫「凄いです!」キラキラ

石田”「それで、――――――『八代海』と『有明海』だったか?」

石田”「『有明海』は有名だな。むしろ、知らないほうがおかしい」

金木「そうですね。『有明海』って言ったらもう、九州最大の湾にして佐賀県と長崎県のあのでっかく婉曲した地形を作っているところですよね」


石田”「有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし」


金木「え?」

石田”「――――――古今集より、壬生忠岑の恋歌だ」

金木「おお! 石田少将って意外とロマンチックですねぇ!」
                                                              ・ ・
石田”「はあ? これは女のところに  いに行った男が追い返されて途方に暮れて、このまま惨めに朝日を迎えるのを嫌がっている歌だぞ」

金木「えっ」チラッ

あさひ姫「………………」

石田”「さて、――――――『八代海』か」

金木「…………石田少将 容赦ねえ」

金木「(無駄を極端に嫌っているのか、それとも無意識にやっているのか、あるいは話の本題から逸れないように腐心しているのか――――――、)」

金木「(でも、さっきの歌の内容といい、話の切り上げ方といい、――――――別に悪意があるわけじゃないんだろうけど、)」

金木「(石田少将って、もしかして同僚に結構 嫌われてたりしてないかな? それこそ、やっぱり――――――そう、石田治部のように)」

石田”「これはあまり馴染みがないが、簡単にいえば、有明海の南の海のことだな」

金木「え、有明海の南ってことは――――――」

石田”「そうだな。この天草諸島と熊本県の間の海ということになるな。ちなみに、天草諸島の南が天草灘だ」

66: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:32:20.74 ID:vISKenEh0

金木「じゃあ、“不知火”っていうのはこの九州最大の湾だけで見られる怪奇現象ってことだったのか」

石田”「そういうことになるな」

金木「でも、よく知ってましたね、姫様。こういう風聞の類には意外と興味津々?」

あさひ姫「はい。私もずっと退屈でしたのでそういったことには興味があるんですよ」

金木「ああ わかる、わかるよ、その気持ち!」

金木「俺も平成時代から【乱世】にタイムスリップさせられた時、死ぬほど退屈だったから!」

金木「まさか、電子辞書の活字を読むことが最大の娯楽になるとは思いもしなかったぞ」

金木「やはり人間には知性を育む本が最大の友だったと言うわけなのさ!」

金木「無人島に何か1つ持っていけるものがあったとするなら、俺は電子辞書とかの知的財産を真っ先に選ぶよ!」

あさひ姫「そうですね! 私も日々の退屈を紛らわすためにいろんなことを試してみましたけど、一番 暇を潰せたのは本でしたから」

石田”「なるほどな。それも悪くない選択だな」フッ

あさひ姫「あ」パァ

石田”「で? 確か話はこのペントハウスにだけ明かりがずっと確保されているということで、金木が“不知火”のことを言い出したのだったな」

金木「あ、そうだった そうだった」

金木「それで、“不知火”っていうのはその有明海で見られる謎の発光現象って話でさ、この電子辞書にも載っているけど、」

金木「まず海岸から数キロの沖に、始めは1つか2つの火がゆらゆらと見えてくるんだって」

金木「そうすると、やがて左右に分かれていって数を増やして、最終的には数百、数千もの火が並んで海が燃えているように見えるんだってさ」

金木「唐津に来ていたとある商人が言うには、龍神の灯火ってことだから“不知火”が出た日は漁村では漁が禁止になるって聞いた」

あさひ姫「はい。あれはいったいどんな龍神あるいは妖怪が起こしているものなのでしょうね?」ワクワク

石田”「なら、【神娘】に訊けばいい」

金木「ああ そういえば、千狐とやくもは確かに神々の眷属――――――って、たぶん無理だろうなぁ」

金木「あいつら、神様の使いにしてはあまりにも頼りないし、『少しは神様のご威光にふさわしいことをしてみろ!』と思ってたぐらいだもん」

石田”「そうか」

金木「……あれ? 意外にあっさりとした反応ですね」

石田”「俺のところも能力はあるが、こちらの指示通りにならない【羅針盤娘】や【建造妖精】に散々苦しめられてきたからな。気持ちはわかる」

石田”「だが、頼りないとは言え、それでも彼女たちが居たから これまで事を運ぶことができたのだ。腹ただしくても労をねぎらうことだけは忘れるな」

金木「あ、はい、石田少将」

あさひ姫「…………石田様」ホッ

金木「…………似た境遇だったんだ、俺と石田少将って意外と」ハハッ

67: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:32:48.28 ID:vISKenEh0

石田”「つまり、このペントハウスの光源不明の明かりと言うのは――――――、」

あさひ姫「というのは?」


金木「【神娘】が現代っ子の俺のために頑張ってまかなっている神界からの光ってことでいいんじゃないんですか?」


金木「ここにいると癒やされるというか、のびのびとした気持ちでいられるというか、」

金木「何と言うかお腹がポカポカしてくるんだけど、空気は冷涼で頭が冴え渡る感じでひんやりしてますよね、ここ」

石田”「確かにな。そういえば、暖房器具があるわけでもないのに不思議と寒いとは思わないな」

あさひ姫「本当ですね。まるで冬の季節に神社に参拝したかのようです」

金木「うんうん。『神社』――――――そんな感じだよ、ホント」

金木「って、当然か? 俺の世話役の千狐ややくもは確かに頼りないけど、あれでもれっきとした神様の眷属:【神娘】ってことなんだし」

石田”「…………まあ、光熱費がかからないというのであれば それはそれで結構」

石田”「居住性は士気にも大きく関わってくるからな。おかげで、夜の見張り番も安心して任せられる」

金木「そうですね。最初の【関ヶ原】の時のような人気も少ない場所だと、いつ忍者や野盗、それに【兜】が襲ってくるかわかったもんじゃないですから」

金木「【城娘】も少なかったことだし、本当に【乱世】に来た当初は意味不明で寂しいやら、おっかないやら、不便やらでいっぱいいっぱいでしたよ」

金木「でも、あんな頼りないご眷属でもいないよりはマシっては思えてきて、それから【城娘】も増えてきて金本提督にも出会って――――――」

金木「それで現在は、石田少将とこうして楽しく話の花を咲かせることができていることだし、改めて千狐ややくもたちに礼を言わないとな」

石田”「それがいい。礼を言われて悪く思う者はまずいないことだしな」

金木「!」


金木「なら、石田少将も『ありがとう』を言うべき相手がいるんじゃないの?」ニヤリ


石田”「……何?」

金木「ほら」チラッ

あさひ姫「へ」

石田”「む」

金木「ほらほら(ここで姫様にお礼をいうことで石田少将のマイナス点を挽回させる――――――俺って冴えてるぅ!)」グイグイ

石田”「………………」ソワソワ

あさひ姫「…………石田様?」

金木「石田少将?(そうだとも! 【稲生】の時のように、石田少将の不器用な人付き合いの在り方も【島原・天草一揆】もこの俺が変えてみせる!)」

石田”「…………くっ」


――――――――――――

―――――――――

――――――

―――


68: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:33:20.34 ID:vISKenEh0

――――――肥前国 唐津


志摩守「これであなたは自由の身です。どうかこれからは思う通りに生きてください」

唐津城「…………本当によろしかったのですか?」

志摩守「よい。儂は長く生きた――――――それこそ太閤殿下がお亡くなりになってからあの城が廃城になった時からのお付き合い」

志摩守「姫様は、あの頃からずっと変わらずお美しいままだ……」

唐津城「………………」

志摩守「だが、もう儂が守る必要はなくなったのだ……」

志摩守「そして、儂の代わりに姫様を守ってくれる者たちがこうして現れ、儂に最期にやるべき道を示してくださった」

志摩守「唐津城よ、儂が逝ったらせがれのことを――――――」

唐津城「御意」


志摩守「これより この寺沢志摩守は城を息子:堅高に譲り、富岡城に移る」


金木「なんか、石田少将が来て1ヶ月にもならないのに、唐津を襲う【兜】を撃滅することができたし、」

金木「そして、【島原・天草一揆】の危機をこれで回避できそうな機運が巡ってきたぜ」

金木「【稲生】の兄弟喧嘩を仲裁した時以上にこのワクワク感が止まらない!」

69: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:33:54.00 ID:vISKenEh0


名護屋城「――――――【城主】様。不束者ですが これからよろしくお願いします」ニッコリ


金木「ああ。よろしくな、名護屋城」ニッコリ

那古野城「むぅ、私が“ナゴヤジョウ”だ! “ナゴヤジョウ”の名を持つ城娘は一人で十分~!」プクゥー

佐和山城「何を言うか! この御方こそが“ナゴヤジョウ”なのだ!」

金木「喧嘩すんなって」

金木「じゃあ、“古い方”――――――これ、お前な。で、こっちの姫様は“護さん”ってことで」

那古野城「ふ、『古い』だとぉ!?」ムカァ!

那古野城「おのれ、この大うつけめぇ~!」ウガーッ

金木「いや、冗談だって! じゃあ、“金鯱城”で――――――」アセアセ


名護屋城「あ、あのぉ……」


那古野城「うん?」ジロッ

佐和山城「まったく、こんなところで武器を抜かせるんじゃない、このダメ【城主】め! それともわざとか!?」ガキーン!

金木「な、何かな~、姫様ぁ?」アセダラダラ


――――――人間としての名をください。


金木「へ」

那古野城「――――――『人間としての名前』だと?」スッ

佐和山城「そ、それはどういった意味なのですか、姫様?」スッ

名護屋城「私は今の徳川の世にとってはあってはならない存在――――――」

名護屋城「だからこそ、志摩様は私をあの場所に隠棲するように手を回してくださったのです」

名護屋城「“戦国一の出世頭”が亡くなって早30年――――――ですが、私にとっては退屈で億劫のような毎日でした」

名護屋城「それはもう生きているのか死んでいるのかもわからないようなありきたりな毎日――――――」

名護屋城「ですが、それなら私は【城娘】としてではなく“人間”として永く生きたことにはなりませんか?」

名護屋城「もし【城娘】としての本分を捨てた存在ならば、出家みたいなものじゃないですか」

金木「ま、まあ、話を聞く限りだとそんな感じではあるだろうけど…………」

名護屋城「というわけで、私に法名――――――いえ、これは還俗ですから俗名を、人間としての名をください、【城主】様」

那古野城「な、なるほどな」

佐和山城「そ、そんな姫様?!」

金木「わかった。いい感じのをつけてやるから期待していてくれよ」

那古野城「うん。腐っても同じ“ナゴヤジョウ”――――――ならば、それにふさわしい改名とせねばな!」

佐和山城「…………姫様がそうおっしゃるのであれば」

名護屋城「素敵な名がいただけますように」ニッコリ

金木「――――――!」ドキン!

那古野城「……うん?」ムッ

佐和山城「…………!」ジロッ

金木「え、なに? なんで睨んでくるの? ねえ?」アセタラー

70: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:34:20.82 ID:vISKenEh0

――――――命名に至る過程


金木「う~ん、あの“名護屋城”の別名を考えろってことだろう?」

金木「そうだな、まずは基本スペックを見て――――――って、何だこりゃ!? いろいろと狂ってないか、これぇ!?」メメタァ

金木「ええ!? これ、他の【城娘】が束になって勝てるレベルじゃない! そして、コストもアホみたいに高い!?」メメタァ

金木「姫様、大人しそうな顔をして実はとんでもない実力――――――って、見かけに騙されちゃいけないのが【乱世】の基本だったわ」

金木「というか、神集島に現れた新手の【大将兜】を大宝寺城と佐和山城の3人で抑えられたのも頷ける強さだよ!」

金木「石田少将、船の中でも淡々としか話さないからあんまり印象に残ってなかったよ!(まあ、志摩様との会談のことでも緊張してたけど)」

金木「そっか。でもこれだけの能力を持った【城娘】ならば、【兜】たちが血眼になって探し出そうとするのも改めて頷ける」


金木「やっぱり【兜】共も【城娘】に対して何らかの価値を見出しているんだ」


金木「でも、それは何のため? そうすることによって何が得られるの?」

金木「佐和山城が捕まった時に、新たな【大将兜】が出現したって言うけど、これは偶然?」

金木「…………まさか」ピピッ

金木「そうだ、あの時のニュース! あの運命の日を迎える二日前のこのニュース――――――!」


『二日前、某御城の施設やそれに関する付属施設が巨大な生物によって破壊され、国宝級の展示品が盗まれるという事件が発生――――――』


金木「…………まさかな」アセタラー

金木「でも、そうじゃなかったら、わざわざあんな大掛かりな陽動をする意味がわからない!」

金木「唐津を【兜】が襲っていたのは全て姫様を捕まえるために俺たちを唐津に釘付けにするためだったってことだし――――――!」

金木「……これは俺も頑張って名軍師と賞賛されるぐらいに精進しないとな」アセタラー



71: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:34:47.04 ID:vISKenEh0


名護屋城 出身:肥前(佐賀県) 武器:刀(対空) 城属性:平山/水                      再掲

コンセプト:黒歴史として封印されし禁断の日ノ本最強の城娘 -これぞ天下人の軍勢-

必殺技:人生如夢(5秒間 必殺技が発動しやすくなり、その間は自身の必殺技が耐久を小回復させるものに変更となる/範囲:全)
具体的にはゲージ速度が空の状態から満タンになるまで、

・蓄積が速い……初期値ならば144秒、最大値で120秒のものが、1秒で溜まるゲージ速度に変更される

・蓄積が遅い……初期値ならば222秒、最大値で181秒のものが、2秒で溜まるゲージ速度に変更される

しかも、あくまでもゲージ速度が上がるだけなので、1回【必殺技】を使ったら1,2秒後にまたすぐに使用可能!
最速ならば速い方ならば5連発でき、遅い方なら2連発できる。これだけで破格の性能である。

その間の名護屋城の動きは、【必殺技:人生如夢】が発動した2秒後に全体を小回復できる【必殺技】が使えるというこれまたトンデモ仕様なので、
発動時間の5秒間に最速でも2回は全体小回復を放つことができ、それで戦力の全体の立て直しができてしまえる。
ただし、発動中にゲージが溜まった場合は全体小回復 固定であり、発動時間が過ぎた後に使っても【人生如夢】にはならない。それでも桁違いの【必殺技】だが。

そのために、ダメージ系【必殺技】の【城娘】を多く配置させておくのが最も効率がよく(クリックが忙しくなるが凄まじいダメージ効率!)、
単純に名護屋城による全体小回復の【必殺技】が2回連続で使えるという意味でも極めて強力な【必殺技】であり、
それ以外にも溜まった必殺技ゲージは【人生如夢】が途切れても【必殺技】を使わない限りは維持されるので味方のゲージ溜めにも使える万能【必殺技】。

ステータス:戦闘能力最強クラス コストも過去最大級(いや、おそらく永久に更新されることのないレベル))

【耐久】……… ぶっちぎりの1位。首位独走。
【攻撃】……… トップレベル。
【対空】……… トップレベル。
【速度】……… 致命的なまでに遅いわけではないが低い方。だが、【技能】がトップレベルなので刀の2回攻撃が決まりやすい。
【範囲】……… トップレベル。【城属性:平山/水】なので安定した攻撃範囲を持っている。
【防御】……… やや高め。
【会心】……… やや高め。
【後詰】……… ぶっちぎりの1位。首位独走。
【しんがり】… まさかの0であり、自身は完全に前進制圧専門となっている。
【運】………… 下から数えた方が早いレベル。
【技能】……… トップレベル。
【属性】………【人知】系のみの対応だが、これまた凄まじい値となっている。

どうしてここまで強い設定なのかは動員兵力数や城の縄張りの規模を見るだけで頷く他ないだろう。
しかも、他の【城娘】とは違って対外戦争に動員されたほぼ唯一の【城娘】なので、日本の全てが結集した英傑たちの城でもあるのだ。
能力は朝鮮出兵の日本軍の戦績が大きく反映されているが、実質的に“豊臣時代の日本全土そのもの”が【城娘】化したような存在なので、
江戸城でも大坂城でも絶対に実現不可能な圧倒的なマンパワーによる戦闘能力を発揮することができている。
なにせ、味方がいなくても【大将兜】相手に互角以上に戦えてしまえるのぐらいである。コストも絶大であるが、凄まじい戦闘力である。

しかし、天下人の天下統一から他界までのたった10年足らずで8ヶ月で築城されて繁栄して廃城なので、これほどまでに諸行無常を体現した存在もいない。
ある意味において、天下人:豊臣秀吉の化身とも言えなくもない存在であり、
変身状態の戦闘衣装がまさしく豪華絢爛の勇壮たるものである一方で、私服姿は驚くほどみすぼらしいものを着ており、
性格も非常に儚げであり、戦闘時も非常に淡々と敵を屠っている様子がうかがえる。

ちなみに、大坂城と同じ顔をしているが、人格の影響から髪型や顔つき、雰囲気からそうだとわからないぐらい人相が違ってきている。


名護屋城「そう、全ては朝露のように生まれ落ちては消えていく――――――」

名護屋城「でも、楽しかったな……」

名護屋城「夢のまた夢――――――これはいい夢でした」


ただし、大人の事情を考慮すると、【艦これ】における【例のアレ】並みにブラックゾーンの存在なので提案しておいてなんですが忘れてください。



72: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:35:13.95 ID:vISKenEh0


金木「ねえ、石田少将。何か姫様が心機一転して『新しい名が欲しい』って言うから姫様にふさわしい名はありませんか?」

金木「こっちとしても那古野城がすでにいることだし、このままだと“金鯱城”と呼ぶしかなくなるし、結構 不便で」

石田”「そうか」

金木「あ、そうだ! 石田少将って栄光ある皇国海軍の軍人さんってことだから、何か使える題材がありません?」

石田”「…………まさかこういった機会が与えられるとはな」

金木「ダメですか? ダメならヒントになるようなものでも――――――」

石田”「俺は、こういうのは苦手だと思うが、思いつくだけのものを上げてみようと思う」

金木「え、本当ですか!?」

石田”「ああ。俺としても“ナゴヤジョウ”は“金鯱”のイメージだから問題ない程度に変えておきたい」

金木「やった!」

石田”「30分だけ待ってくれるか」

金木「どうぞどうぞ! 天草に行くにしても志摩様の準備もありますし、時間ならまだまだありますから!」

石田”「では、失礼する」


スタスタスタ・・・


石田”「…………名護屋城、か」

石田”「――――――“名を護る屋”か」

石田”「そして、ある意味において日本国そのもの――――――」

石田”「そうだな、それ相応の名を与えてみるか」カキカキ




73: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:35:56.34 ID:vISKenEh0

――――――それから きっかり30分後、


石田”「候補を挙げてみたが、絞りきれなかった。すまない」

金木「いやいやいや、ありがとうございます。俺のような学の浅い人間の命名じゃ姫様には不釣り合いですから」

金木「それで? どんなものが――――――」


敷島、朝日、初瀬、三笠


金木「う、ううん?」

石田”「まさか、ダメだったのか? ――――――くっ、計算外だ」

金木「……これ、元は何です?」

石田”「それは日露戦争に備えて同盟国であるイギリスに発注して建造された当時 世界最大の戦艦:敷島型戦艦の艦名だ」

石田”「いずれも日本の別称である『大和』に関連した命名だ」

金木「へえ」スッ ――――――電子辞書で検索。

金木「――――――『敷島』。日本の美称の1つで欽明天皇の都:磯城島金刺宮に由来するとされる」ピピッ

金木「――――――『初瀬』。『大和』に関連だから奈良県(=大和国)の初瀬川に由来ってこと?」ピピッ

金木「――――――『三笠』。これも奈良県の三笠山に由来か」ピピッ

石田”「どうだ?」

金木「あのさ、石田少将?」ヤレヤレ

石田”「ん?」


金木「女の子につける名前に戦艦とか……これはないでしょう?」ジトー


石田”「な、なにぃ!?」 ← 重度の【艦これ】脳

金木「確かに【城娘】も女の子には違和感がある名前ばかりだけど、少なくとも“城”=“嬢”って読み替えることができるからまだいいよ」

金木「それに、『初瀬』や『三笠』じゃ奈良県にある城だと勘違いされるんじゃない?」

金木「まあ、その点だと『敷島』は姫様にはふさわしい感じもするけど、いくら太閤所縁の高貴な【城娘】でもさすがに恐れ多い…………」

74: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:36:25.17 ID:vISKenEh0

金木「でも、『朝日』なら――――――これ、いいじゃないですか。豊臣秀吉って自分の兜に日輪の意匠を使ってましたし」

金木「…………?」ピピッ

石田”「どうした?」

金木「…………『大和』に由来するって言いましたよね? 本当にこの『朝日』ってのは『大和』に関連する名付けなんですか?」

石田”「ああ それは少し捻った名づけだ」

金木「え」


敷島の やまと心を 人問はば 朝日ににほふ 山ざくら花     本居宣長


石田”「本当は『敷島』の次に日本の美称である『大和』を入れたかったが、すでに『(初代)大和』は旧式スループで現役だったからその繋がりで」

金木「は? それじゃ、『初瀬』と『三笠』の由来って――――――」

石田”「そうだ。全てこの本居宣長の日本の美意識を尽くした歌から定まった『大和』に関連する名付けだ」

金木「こじつけもいいところじゃないですか!」

75: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:36:58.69 ID:vISKenEh0

石田”「しかし、意外だな」

石田”「少なくとも日本史の勉強をしていれば、日露戦争でバルチック艦隊を破った東郷平八郎艦隊の旗艦である『三笠』ぐらいは知っているだろう?」

石田”「それこそ、横須賀に三笠公園として保存されているぐらいなのだからな」


金木「え? ――――――横須賀に軍艦の公園? ――――――しかも日露戦争時代の超旧式艦の?」


石田”「なっ」

金木「へ……」

石田”「………………」

金木「………………」

石田”「…………まさか、その反応はもしや?」アセタラー

金木「…………言っていいですか、石田少将?」アセタラー

石田”「ああ。誤解は早めに解いたほうがいいだろう」ゴクリ

金木「はい。では――――――、」コホン


――――――横須賀に永久保存されているのは世界に冠たる“ビッグ3”長門ですよ。


石田”「――――――“ビッグ3”長門!?」

石田”「そ、それはもしや長門型戦艦1番艦ということでいいのだな……?」

金木「『1番艦』――――――ああ 確かに2番艦や次級の戦艦なんてのもすでに起工されていたようですけど、」

金木「残念ながら、第1次世界大戦後のワシントン海軍軍縮条約で全部 廃艦ですよ。1番艦なんて改まった区別なんて必要ないです」

石田”「!!?!」

金木「え? もしかして、…………そういうところから違ってたりするんですか?」

石田”「陸奥を切ってその結果 大東亜共栄圏を実現した世界――――――、そういう世界もあり得たというのか」


―――

――――――

―――――――――

――――――――――――


76: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:37:31.80 ID:vISKenEh0

――――――そして、時は現在に戻り、

――――――志摩守の所領である飛び地:天草


金木「しっかし、いい命名になりましたよね、石田少将」

石田”「うん?」


あさひ姫/名護屋城「スヤスヤー」  ――――――ペントハウス(天守)に敷かれた布団で眠る。


金木「何って、――――――“あさひ姫”っていう姫様の新たな名ですよ」

金木「この ひらがなで“あさひ”っていうところが実にいいですね」

石田”「元々ひらがなは紀貫之の土佐日記で取り上げられているように女の文字とされていたぐらいだ」

石田”「それだけに、漢字で書くよりは柔らかい印象を受けることだろう」

金木「そうそう。女の子の名前はこうでないとね! 漢字で書いて“朝日”とか“旭”ってのはちょっと……だもんね」

金木「ホント、日本語って綺麗だわ。本居宣長のあの歌――――――、」


敷島の やまと心を 人問はば 朝日ににほふ 山ざくら花     本居宣長


石田”「――――――この歌か?」

金木「そう、それです! ここでも“やまと”や“さくら”をひらがなで表現しているところがミソですよね」

金木「そうそう、この九州で盛んな“タイ捨流”っていう剣術も、変な名前だと思っていたけど、訊いてみると実に奥が深くてですね?」


全ては『“タイ”を捨てる』ことで極意に通じており、

『体』とすれば体を捨てるにとどまり、『待』とすれば待つを捨てにとどまり、『対』とすれば対峙を捨てるにとどまり、『太』とすれば自性に至る――――――。

漢字では意味が限定されてしまうが、仮名で表現することでいずれの意味にも通じることが可能となり、

“タイ捨”とはこれら全ての雑念を捨て去り、ひとつひとつの言葉にとらわれない自在の剣法を意味す。


金木「いやぁ、初めて聴いた時、感動しましたよ! これこそ日本語の妙だって」

石田”「ほう、海軍にもいくつかの剣術道場の師範がいたことだが、――――――なるほど、あのタイ捨流とはそういうことだったのか」

金木「暇があったら俺もタイ捨流に弟子入りしようかな?」ワクワク

石田”「いや、そんなものをやる暇があるなら、【城主】として金木が唯一できることに力を注ぐのが最善だ」

金木「ああ そうでした……」

77: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:38:01.69 ID:vISKenEh0

金木「でも、俺だって石田少将みたいに自分の身は自分で守れるようにしたいし、あの【軍刀】を握るのに相応しくありたいし――――――」

石田”「…………ほう?」ニヤリ

金木「え」ゾクッ

石田”「わかった。そうなれるようにしてやろう」

金木「……ほ、本当ですか?(あれ、墓穴を掘っちゃったのか、俺ぇ?)」アセタラー

石田”「だが、俺は忙しい。少しでも天草や島原の動向を探るためにな。ついでに、志摩守も守らなくてはならない」

石田”「よって、お前に訓練を施す相手をこちらで用意しておこう」

石田”「勘違いするな。訓練にも段取りやどのような成長を目指すかの目標設定が必要となってくるからな」

石田”「それでいいな?」

金木「あ、はい……」

金木「あっ」ゾクッ

金木「(しまった! 軽い気持ちで言ったけど、この人 ただの軍人じゃなくて特殊部隊並みの作戦遂行能力の持ち主じゃないか!)」

金木「(唐津を襲う【兜】たちを撃滅できたのも、元はといえば、石田少将のスパイ大作戦で敵本拠地に潜り込んで照明弾を打ち上げたからだし!)」

金木「(特殊部隊って軍人の中でも成績上位者にしか入隊できないもんなんだよな? ――――――特殊部隊が就く任務の重要性から言ってさ)」

金木「(やっべえ! 俺、どうなっちまうのかな……? そして、石田少将が用意するっていう教官って誰になるんだ?)」


あさひ姫/名護屋城「……………いしださまぁ」ムニャムニャ



78: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:38:30.12 ID:vISKenEh0

――――――翌日

――――――マンション城 隣:築城スペースを間借りして建てられた仮設工廠(ブルーシートに包まれたただの作業場)


石田”「よし、調子はどうだ?」\勅命/

艦攻妖精”「稼働率の低下は今のところ心配ないです」カチャカチャ ――――――乗機の【艦上戦闘機:流星改】の点検を行っている。

石田”「だが、【燃料】や【ボーキサイト】が手に入らない以上は出撃はできるだけ控えねばならんな」

石田”「それに、【照明弾】も残り1つだけだ」

石田”「この時代なら打ち上げ花火で代用できそうな気もするが、それを格納できるかは難しい話だろうな」

艦攻妖精”「しっかし、まさか俺が小柄なのを活かしてスパイ大作戦をするなんて思いませんでしたよ」

石田”「それは俺もだ。あそこまでうまくいくとは思わなかったが、所詮は野盗――――――統制の取れない組織のセキュリティなどそんな程度だろう」

石田”「さて、【電撃銃・紫電】の故障はないな?」カチャカチャ

艦攻妖精”「けど、【弾薬】を使っているわけじゃないから、放っておいたらすぐにパワーが無くなっちまいますよ?」

石田”「そうだな。どの道 補給の目処も立たず、使えなくなるのならば、効果的に使い切るのが賢いやり方だろうな」

艦攻妖精”「――――――『賢いやり方』ですか」ニヤリ

石田”「ああ、『それ』しかないな」


石田”「だが、そのために必要なことがいろいろとあるな……」



79: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:39:01.10 ID:vISKenEh0

――――――マンション城 近辺の訓練場


金木「あ……ああ…………うぁ…………」ゼエゼエ

ヲ級”「ヲヲ」ナデナデ

金木「あ、ありがとう……、『ヲシドリ』ぃ…………」ガクガク


飛龍”「立ちなさい! それでも立派な日本男子ですか! 多聞丸に怒られますよ、そんなんじゃ! めっ!」ジロッ


金木「…………もう勘弁してくだはぁい、教官」バッタリ

金木「伝統ある皇国海軍の基礎訓練――――――、現代っ子の俺には辛いなぁ」ゼエゼエ

金木「(おっかねぇ……。あのふんわりとして太陽のように眩しい優しいお姉さんも【艦娘】という立派な勇士だったわけねぇ…………)」

金木「(くそっ、そもそもあの石田少将の部下なんだぞ? 外見で判断しちゃいけないって何度も肝に銘じてきたのにいつも予想外だよ、まったく……)」

金木「(でも、最後の『めっ』ってところが凄く耳が幸せになりました。うへへへ……)」

福居城「おお、やっているな、殿」

福居城「手伝ってやろうか?」ニヤリ

金木「い、今は遠慮しておく……」ヨロヨロ・・・

金木「そうだ……、【探索】の方は順調か? この天草は離島が多いわけだから、できるだけ【水属性】の連中を多めに出してはいるけど……」メメタァ

福居城「その辺は【探索】を取り仕切っている二条城に訊いてくれ。私は今日は城の守備に就いているから」

金木「…………そう」ゼエゼエ

福居城「よし、暇なことだし、私も付きあおう」

金木「ええ!?」

福居城「心配するな。殿の護衛も兼ねているぞ。それに、【かんむす】とやらの教えを受けるのも面白そうだしな」

金木「いや、甘く見ないほうがいいぞぉ……」チラッ

飛龍”「……では、続き、行きますよ?」ニコニコー



80: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:39:28.60 ID:vISKenEh0

――――――それから、

――――――マンション 隣:仮設工廠


金木「…………石田少将」ゼエゼエ

石田”「む、どうした? さすがにバテたか? ――――――いや、もうこんな時間か」

金木「はい。これは死ぬ。死ぬぅうう……」ゼエゼエ

金木「って、いやいやいや! そうじゃなくて――――――【探索】から帰ってきた連中が変なものを持って帰ってきたぁ!」ゼエゼエ

石田”「……『変なもの』?」



――――――【鉄砲/粒子多連装鉄砲】



石田”「………… 一見すると陸軍の自走多連装ロケット弾発射機にも見えるな。いや、ソ連のカチューシャに近いか?」

金木「つまり、ロケットランチャーってことですか?」

石田”「そうだ。だが、携行火器の類ではないのは見てわかるだろう?」

金木「はい。パイプオルガンみたいだし、第一 デカくて持てそうにないです」

石田”「だが、それにしては妙な装置がついているな」

金木「と言うと?」

石田”「ロケット砲というのは投擲機とは違って推進力を元々備えているロケット弾の発射に特化した大砲の総称だ」

石田”「それ故に、ロケット発射機――――――この場合はレール上に設置した弾体を運搬しやすく、方向や角度の修正がしやすい形状となっている」

石田”「それと、あと重要なのにはバックブラスト――――――つまり、発射したロケット弾の噴射ガスに対する安全対策がこれはなっていない」

石田”「いったいどんなロケット弾を打ち出すつもりなのかは知らないが、あまりにも特異な形状だと言わざるを得ない」

石田”「これはちゃんと使えるのだろうな? ――――――【城娘】の装備という認識で合っているか?」

金木「さすがの軍事の専門家でも実際に使ってみないとやっぱりわからないか…………でも、それでも大まかなイメージが掴めた。やっぱりさすがだなぁ」



81: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:40:47.94 ID:vISKenEh0

――――――試験運用

――――――富岡城:富岡半島にて


松前城「おしゃれなお城に、なーあれ!」ピカァーン!


松前城「それでは、この新装備、使ってみますわ!」 ――――――【鉄砲/粒子多連装鉄砲】をアームに載せている。

石田”「さすがに【お嬢(=変身前)】の状態では扱いきれないようだな」

金木「かと言って、【お城(=変身状態)】に変身したら持ってるものまで巨大化するなんて――――――、どこのM78星雲の宇宙人ですかねー、今更だけど」

石田”「よし、『ヲシドリ』。艦載機は位置についたな? 着弾点の観測を頼む」

ヲ級”「ヲヲ!」

金木「…………『ヲシドリ』って普通に喋れない以外は本当に優秀だよなぁ」

松前城「では、撃ちますわよ!」ググッ

松前城「撃てええええええ!」バヒュウウウウウウウウウウウウウウウン!

一同「!?!?」

松前城「え、ええええええええ!? 何ですのおおおおおおお!?」ビクッ




――――――放たれたのは、昼下がりの青い空を強烈に輝かせる幾筋にもなる光の矢であった!




金木「な、何あれぇ!? ――――――ビーム? ――――――光学兵器ぃ?!」

石田”「いったいあれはどこから持ってきたと言うのだ?! オーパーツではないか!」

ヲ級”「ヲヲ!」スッスッバッバッ

石田”「……なに?」

金木「えと、『ヲシドリ』は何て?」

石田”「…………威力の方は観測はできなかったが、思ったよりも飛距離はないらしい」

金木「か、荷電粒子砲ってやつですか、あれって……」

石田”「そうだな。荷電粒子砲は確かに理論上は実現可能とはされてはいるが、それを実現するための電力が莫大だからな」

石田”「それに、大気圏内では威力の減衰が激しい。それ故にコストパフォーマンスに優れない凄いけど凄くない兵器の代表格だ」

石田”「だが、それがどうして――――――」

82: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:41:14.60 ID:vISKenEh0

金木「莫大な電力が荷電粒子砲に必要だって言いましたよね?」

石田”「あ、ああ…………」

金木「じゃあ、あれが本当に荷電粒子砲だとして、そのエネルギー発生源って【城娘】ってことになりません?」

石田”「…………確かに、あのロケット砲にはレールの後ろにコンデンサと思しき巨大な装置が搭載されてあったが――――――」

石田”「だとするならば――――――、」


石田”「【城娘】には荷電粒子砲を撃つのに十分なエネルギーを内包し、かつ その莫大なエネルギーを任意で変換・放出する能力があると――――――?」


金木「わかんねぇ……、やっぱりわかりませんって! でも、さっき見た閃光ってそういうことなんじゃ?」

松前城「えと…………」オロオロ

石田”「今度は連続で撃ってみてくれ。それで、発射間隔がどの程度のものなのか、実戦利用できるものなのかを検証しなければならん」

金木「だ、そうだよ、松前城!」

松前城「あ、はい。わかりましたの……」

金木「これは期待できそうな新兵器だ!」

石田”「だが、基本的にロケット砲の類は一度 発射すれば直ちに敵に位置を特定されて猛反撃を受けやすいという先手必勝の諸刃の剣でもある」

石田”「【城娘】と【兜】の対決においてはそこまで問題があるわけではないが…………」


志摩守「おお……、今のは――――――?」


金木「あ、志摩様」

石田”「さて、確認しなければな」



83: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:41:46.90 ID:vISKenEh0

――――――富岡城


志摩守「…………この数日、この目で天草を見てきたが、」

志摩守「――――――我ながらとんでもない過ちを犯してしきたものだ」ガクリ

志摩守「確かにキリシタンの弾圧のために厳し目の年貢にしていたが、石高そのものを誤っていては――――――!」

金木「ああ……、志摩様! 間違いがわかったのなら、すぐに正せばいいでしょう?」

金木「――――――『過ちては改むるに憚ること勿れ』ってね。孔子様の教えのね」

志摩守「……そうであったな。感謝いたす、【城主】様」

金木「いえいえ。こっちとしても嬉しいですよ、志摩様と一緒に天草の人たちの暮らしをよくできるお手伝いができて」

志摩守「しかし、我が天草領はこれで良いかもしれんが、儂以上に苛政を敷いている――――――」


金木「――――――島原の松倉重政ですか?」


志摩守「知っておりましたか」

金木「そりゃあ、前に島原で木蝋を買ってきましたから」

金木「その時、妙に人気が少ないような印象を受けていましてね。何か不吉なものを感じていたんです」

志摩守「そうであろうな」

志摩守「あやつは有馬の居城である日野江城とその支城である原城を廃して、新しく島原城の築城にとりかかったまでは良かった」

志摩守「元々、松倉豊後守は大和の五条の1万石を治めておってな」

金木「――――――『大和』ですか」

志摩守「自らが築城を指揮した五条の二見城において優れた手腕を発揮し、商業の振興を行って、五条を大和における交通と商業の要衝として栄えさせた」

志摩守「更に、大坂の役においては見事な功を上げて、それによって島原の日野江に入ったのだ」

金木「……普通に凄い人じゃないですか。それがなんで悪政を敷くだなんて」

志摩守「わからん。とかく、あやつはたった4万石余りの所領で10万石相当の島原城を築城したのだ」

志摩守「あるいは、あやつは己が築城の名手であったことを鼻にかけ、その結果 島原城の採算を見誤ったのやもしれん」

志摩守「それを補うために搾取に次ぐ搾取を強行していき、やがてかつて五条の名君だった豊後守の悪評が幕府の耳にも届き、」

志摩守「その信頼を回復させようと躍起になって、江戸城 改築の無理な公儀普請を行っていたようにも思える」

志摩守「儂は江戸から帰って久しいから中央の動向はもうわからぬが、どうもキリシタンの根拠地撲滅に呂宋への出兵も考えているようだった」

金木「――――――『ルソン』?(確か南蛮貿易の相手国ってポルトガルとスペイン、オランダだったよな? 東南アジアのどこかってのは間違いないか)」

84: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:42:52.53 ID:vISKenEh0


――――――けど!


金木「志摩様、言わせてもらいますよ、これは」ググッ

志摩守「………………!」

金木「――――――悪循環じゃないですか! まるで下手な博奕打ちの大負けじゃないですか!」

金木「『綸言 汗の如し』だとかお上としてのメンツに関わるとかあるんでしょうけど、」

金木「素直に敗けを認められず、ズルズルと――――――!」

金木「それこそ、――――――『過ちては改むるに憚ること勿れ』!」

金木「まさしく正反対ですよ、志摩様とは」

志摩守「…………名護屋城を廃城にして唐津城を建てたことが、かな?」

金木「そうですよ! 分不相応なら、それこそ謙虚に自分の不足を周りが補ってくれるように立ちまわるべきだと思うんですよ、俺は」

志摩守「そうだな。まったくそのとおりだと思うぞ、【城主】様」ニコッ

金木「え」

85: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:43:24.59 ID:vISKenEh0


志摩守「初めて【城主】様が唐津にお見えになったのはいつの頃だったかのう?」


志摩守「あの頃と比べると【城主】様は立派になられたものだ。――――――時が経つのはまこと疾きものなり」

志摩守「今まで唐津のことを守っていただき、この寺沢志摩守、深く感謝申し上げまする」

金木「え?! な、何を突然――――――!?」

志摩守「儂はこの天草に入り、儂の所領でありながら唐津とはあまりにも違い過ぎる居心地の悪さに怖気を感じたのだ」

志摩守「儂はこれから天草の民に命を賭して償っていかなくてはならなくなった」

志摩守「これまで儂が犯した過ちによって苦しみ喘ぎ、儂のことを恨む人間もたくさんいることであろう」

志摩守「無論、キリシタンをこれまで幕命に従って弾圧してきたのだ。それも豊後守ほどではないが見せしめのためにとても残忍なやり方も黙認してきた」

志摩守「だからこそ、儂は天草に住まう一人ひとりの恨みがこもった刃に斃れるやもしれん」

金木「!」

志摩守「だが、これは天草の領主としての勤めを怠り、唐津の安心だけで悦に浸ってきた儂自身が招いた業なのだ」

志摩守「それ故に、もし儂が死ぬようなことがあれば、せがれには天草領を返還させる旨をすでに伝えてある」

志摩守「儂に治められないものをまだまだ未熟なせがれに背負えるはずがない――――――」

志摩守「それなら、儂自身が犯した過ちの責任は儂が全て負い、せがれには儂が大切にしてきた唐津の地だけ守り通すよう――――――そう訓示してある」

金木「…………志摩様」

志摩守「気にしないでくだされ、【城主】様」

志摩守「ここは天草――――――この寺沢志摩守が上様より賜った所領であるぞ。この天草をより良く治めるのは領主たる儂の勤め」

志摩守「故に、どうか【城主】様はお気になさらず、【城主】様の役目を果たしていってくださいませ」

金木「……わかりました、志摩様」

金木「俺、いろんな時代を巡って【ここ】に来たけれど、志摩様に会えて本当に良かったです」

金木「毎日、国の民のことを思い、領内の視察も欠かさず、日々の鍛錬や政務にもきっちりと励んでいる姿が俺には憧れでした」

金木「ですから、俺も志摩様が治めている天草が平穏無事でありますように精一杯 協力させてもらいます」

志摩守「ありがたきお言葉……」

金木「いやいや、若輩の俺にそこまでかしこまられると俺の方が申し訳ない気分になってくるからよしてくださいよ」

金木「いつも通りに領主様として凛々しく振る舞ってくれていた方が俺としては落ち着くというか……」

志摩守「儂は最期にこのような御仁に巡り会えたことを神仏に感謝いたす……」ポタポタ・・・



86: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:43:54.70 ID:vISKenEh0


金木「…………フゥ」

石田”「ご苦労だった」

金木「あ、石田少将……」

金木「そうだ。志摩様、キリシタンへの迫害はこれまで通り続けるしかないようだけど、万が一のことがあったら天草を幕府に返還するって――――――」

石田”「それぐらいしてもらわないと【天草における一揆】は防げないだろうな」

金木「これで、【天草一揆】は何とかなるのかな?」

石田”「わからん。この辺りは改易された西軍大名の小西行長やキリシタン大名の有馬晴信らの家臣団出身の浪人も多いと聞く」

石田”「そいつらが結託して反乱を計画していた可能性が非常に高いのだ」

石田”「かの有名な【乱】の指導者:天草四郎はお前とだいたい同じぐらいの若者だというのが通説だが、」

石田”「だとするなら、指導者としてのカリスマ性や包容力があるにはあったのだろうが、」

石田”「はたして兵法を必要としないこの泰平の世において、まともな戦略・戦術 あるいは戦場で必要な要素を取り揃えられたのかという疑問がある」

金木「そうですよね。この陸繋島の天然の要害に築かれた富岡城を攻略するなんて、まず大砲がなくちゃ攻略なんて到底 無理だと思います」

金木「大砲だってちゃんとした技術がないとまともに扱えないもんですよね? それを士農工商の素人に取り扱えるかどうか――――――」

石田”「となれば、天草四郎の出身でもある30年前の旧小西家臣団の年寄り共が中心になって反乱を計画したに違いないだろう」

金木「…………でも、【天草一揆】の本質っていうのは百姓一揆ってことなんだから、年貢の取り立てが厳しくなければ反乱は起きないんでしょう?」

石田”「いや、もちろん反乱が起きるのは支配者の側としては歓迎したくないものだが、反乱が起きるといくつか大きな利点があって、」

石田”「1つは、不穏分子や不平分子を粛清して、いかようにも今後の改革を進めることができるようになるということが挙げられる」

金木「……わかるような気がします」

石田”「もう1つは、実例を作り上げることで慣習化させられるということだ」

金木「なるほど…………うん?(あれ? 石田少将のこの物言いはまるで――――――)」ピクッ

87: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:44:28.25 ID:vISKenEh0

金木「ちょっと待ってくださいよ、石田少将」

金木「それじゃまるで、意図的に【乱】が起きるのを期待している支配者側の人間がいるみたいじゃないですか」

石田”「……ほう、思ったよりも察しがいいな。そうでなくては困るがな」

石田”「そうだ。俺はこの【島原・天草一揆】についてはその可能性があったことを考慮に入れている」

金木「え」


石田”「実は、大坂の陣で滅んだ豊臣秀頼が生きて薩摩に落ち延びたという生存説がある」


金木「はあ? どっかで聞いたことがあるかもしれない俗説ってやつじゃないですか、それぇ」

石田”「そういった風聞が世間に流布されていたとなれば、――――――旧小西行長家臣団の人間はどう動くと思う?」

金木「!」

石田”「真相はどうだかは知らないが、――――――何にせよ、幕府は秀頼の首実検ができずに豊臣家が滅亡を迎えたことに警戒心を抱いていたはずなのだ」

石田”「それ故に、この【島原・天草一揆】にはそういった側面があったかもしれないということでいろいろな研究があったのだ」

金木「でも、【乱】の原因は名君だった“志摩様”と“豊後様”の根本的な税制の誤りが大元なんでしょう?」

石田”「俺としても志摩守と豊後守が幕府の命を受けて意図的に悪政を敷いたというのは考え難い」

石田”「しかし、これを【乱】が起こる方向に誘導して目的達成を狙う勢力がいてもおかしくはないと俺は考える」

金木「そんなことができるっていうか、そんなことをしようとする勢力なんて、――――――うはっ、そんなの幕府以外にないじゃないですか!」

金木「この頃って“生まれながらの将軍様”の治世でしょう? 下手なことやって改易されるような真似なんてどこの大名だってしたくないはずですよ!」

石田”「そう思うだろう?」

金木「これはとんでもないことに巻き込まれ――――――首を突っ込んでしまっているなぁ」

金木「――――――歴史が変わるかも」

石田”「する決心を固めたのに、何を今更」

金木「でも、これから俺たちが歴史を変えるってことで、――――――『タイムパトロールが来てくれないかなぁ』って」

金木「それで俺たちを時間犯罪者として逮捕するつもりならこう言ってやるんだ」


――――――『最初から迎えに来い』ってな!



88: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:45:03.88 ID:vISKenEh0

――――――数日後、


金木「さすがに慣れてくるもんだなぁ…………」ハア・・・ハア・・・

飛龍”「お疲れ様」ニコッ

金木「はい。ありがとうございました……」ハア・・・ハア・・・

ヲ級”「ヲヲヲ!」スッ ――――――現地素材で作ったスポーツドリンク

金木「おお、『ヲシドリ』。いつもいつも見張り番してくれてありがとな」ナデナデ

ヲ級”「ヲヲ」ニコッ

金木「…………………………」

飛龍”「どうしました、【城主】様?」

金木「あ。いや、確か飛龍さんが【艦娘】で、『ヲシドリ』は人類の敵である【深海棲艦】ってやつなんだっけ」

飛龍”「…………はい」


金木「……【兜】に比べたらまだ愛嬌があるなって。不謹慎かもしれないけど」


飛龍”「え」

金木「敵であるはずの【深海棲艦】をここまで手懐けている石田少将は本当に凄いや」

金木「飛龍さんとしてもそうは思わない? まあ、俺が他の【深海棲艦】ってやつを知らないからこんなこと言えるんだろうけど」

飛龍”「………………」

ヲ級”「ヲヲ♪」

金木「ほら、お前はこんなにも綺麗な顔を覗かせている――――――けど、【兜】たちは常に全身 鎧の下に隠れて何もわからない」

飛龍”「……そうだね。【兜】に比べたらずっと親近感のある相手かもしれないね」

金木「でしょ? だから俺は、どうしても【兜】たちとわかりあえる気がしないんだよなぁ……」


――――――俺の戦いはいつまで続くんだろう?


金木「どこに終着点があるんだろう……」

飛龍”「…………【城主】様」

89: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:45:39.32 ID:vISKenEh0

金木「ま、そう言うけど、【城娘】という絶世の美姫たちに囲まれて、更には【城主】として男を磨ける日々に俺は満足しているわけだから、」

金木「こんな戦いに明け暮れる毎日を送ってジジイになって死んでいくのも悪く無いと思ってるけどね」

金木「なにせ、志摩様っていう高性能おじいちゃんの背中を俺は【ここ】に来てからずっと見てきているんだ」

金木「俺も志摩様のように老後もしっかりと働きあげて行く先々で一人でも多くの人たちに幸せがもたらせるようにならないとな!」

飛龍”「そうだね。――――――長生きしないと、ね」プルプル

金木「?」

ヲ級”「ヲヲ……」

飛龍”「…………あ、ごめんね。深い意味はないから、ね?」アセアセ


金木「――――――石田少将のこと?」


飛龍”「………………」

金木「やっぱり? そうだと思ってた。というか、そりゃ心配になるよね?」

飛龍”「……今日もまた一人どこかへ行って人知れず頑張っているから」

金木「生身で【深海棲艦】と戦う――――――言い換えれば、生身で【兜】に戦いを挑むこととさほど変わりがないからな」

金木「でも、そこまで心配なら力強くでも止めさせればいいじゃない?」

金木「確か主戦場は海の上なんでしょう? だったら、石田少将が戦場に出られないように船を壊しておくとかそういうことをすれば穏便に――――――」


飛龍”「そんなこと、できないよぉ…………全体の勝利のために一生懸命にやっている提督の邪魔なんてできない、私には」ポタポタ・・・


金木「……………飛龍さん」

ヲ級”「…………ヲヲ」

90: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:46:11.15 ID:vISKenEh0

飛龍”「提督は本当はすっごく優しくて、私たち艦娘を戦わせること自体に罪悪感を覚えているぐらいなんだよ?」

飛龍”「けれども、軍人である以上は全体の勝利のためにやむなく犠牲を出してでも勝利してきた」

金木「――――――『犠牲』」ゾゾゾ・・・

飛龍”「提督はどれだけ艦娘に犠牲が出続けても勝利し続けた結果、そのうち鎮守府で独りぼっちになっていってね……」

金木「え」ゾクッ

飛龍”「部下であるはずの艦娘たちは提督の顔を見るだけで震え上がり、提督はそれを見て顔を合わせないほうがいいと思い込んで、」

飛龍”「執務室に秘書艦を入れることすらなくなり、毎日の事務を一人で黙々とやっているような状態が続いて……」

飛龍”「それから、決まった時間に食事やトイレに行くために執務室から出ると、その時間だけ提督の行く先々に静寂が走って、」

飛龍”「廊下にも窓から見える中庭にも食堂にも誰も人がいなくなるぐらい――――――!」

金木「え、ええ……!? しょ、食堂って言ったけど食事は? 誰が作るの?」

飛龍”「提督ご自身で――――――あるいは、前もって提督が来る頃を見計らって入り口の目の前の席に料理を置いておくだけ…………」

金木「あわわわわ……(な、何それぉ?! イジメってレベルじゃねえぞ!? それを栄光ある皇国海軍で――――――あれぇ!?)」

金木「あ、あれ? でも、それを知っているってことは、飛龍さんも――――――」


飛龍”「……はい。私は提督の気持ちも知らずにずっとずっと寂しい思いをさせてきた一人なんです」ポタポタ・・・


金木「あ、ごめん! 本当にごめん!」アセアセ

ヲ級”「ヲヲ……!」スッ ――――――ハンカチ

金木「あ、使っていいの? ありがとな、『ヲシドリ』」

金木「な、泣かないでくださいよぉ、きょ、教官……」アセアセ

飛龍”「ご、ごめんね。本当はそんなつもりじゃなかったんだけど……」グスングスン

金木「…………そっか。石田少将もそんな時期があったんだ」

金木「でも、飛龍さんはいつ頃から石田少将のことを理解できたのかな……?」アセタラー

飛龍”「う、うん。えっとね……?」


――――――鎮守府に花屋ができた頃からだよ。



91: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:46:51.79 ID:vISKenEh0

金木「は、――――――『花』? なぜに花屋?」

金木「あ、でも、何かわかるような気がするな。石田少将って恋歌にも詳しいし、少しでも鎮守府の雰囲気を良くしようと思って――――――」

飛龍”「私もわかんなかった、最初は」

飛龍”「でも、その頃は本当に鎮守府の空気も最悪で、花屋と見て『自前で弔花を用意させるため』だって口々に噂しあっていたぐらいだし」

金木「ヴぇ?! ――――――『弔花を自前』って、その頃の石田少将ってもしかしてそこまで……あれだ、愛想が良くなかったの?」

飛龍”「うん、たぶんここまで聴けばわかると思うけど、提督の勝利へのこだわりは確かに類を見ないものだったけれど、」

飛龍”「艦娘に『全体の勝利のために死んでこい』って無言の内に――――――そう思わせちゃうところがあって、」

飛龍”「実は、私が提督の部下の中で最古参になっちゃうぐらい、艦娘を海に沈めてきちゃっているんです…………」

金木「…………何かここまで来ると本当に石田少将って哀れな人だったんだなって思っちゃう」

ヲ級”「ヲ…………」

金木「だって、――――――勘違いなんでしょう?」

金木「石田少将だって好き好んで人間とそう変わらないはずの【艦娘】たちを平気で沈めるだなんてこと――――――」

飛龍”「でも、その頃は捨て艦戦法が持て囃されていた頃だったし、今ほど戦力も技術も確立していない時期だったから、」

飛龍”「他所の鎮守府の噂や全体の傾向を鑑みて『私たちの提督もそうなんだ』って誰もが確信して、提督の許に着任した不幸を呪っていたから…………」

金木「そっか。石田少将の勝利への執念がかえって当時の世相に照らし合わされて『有能だけど最悪なブラックな艦隊司令官』って印象になったわけか……」

金木「それで、偶然の不幸が勘違いに次ぐ勘違いを加速させて、石田少将の純真さは誰にも理解されないまま自分の基地で独りってことに…………」

飛龍”「うん。そんな感じだよ、本当に……」

金木「でも、飛龍さんが最古参だって言うんなら、今の石田少将の部下たちはそのことは――――――?」

飛龍”「噂だけなら知ってるだろうけど、大本営のブラック鎮守府に対する大幅な規制の後、あれから提督がロストした艦娘は1隻も存在しないし、」

飛龍”「それで前以上に功績をあげているから、たぶん ブラック鎮守府時代の提督のことを知っている娘はそう多くないかも」

金木「そっか。それは不幸中の幸いというか、今の石田少将に繋がっているんだから複雑っていうかね…………」

金木「でも、飛龍さんとしてはその花屋ができてから石田少将への見方が変わったって言ってたけど、どういうことだったの?」

飛龍”「それは――――――」

ヲ級”「ヲヲヲ!」

金木「ん?」

飛龍”「あ」


ヲ級”「ヲヲヲ、ヲヲヲヲヲヲ!」 ―――――― 一面に花の輪を築き上げた。


飛龍”「『ヲシドリ』――――――、そう、知ってたんだ」

金木「あ」

あさひ姫「あ」

金木「……姫様」

あさひ姫「こ、こんにちは……」

金木「えと……」チラッ

飛龍”「そう、提督はいつからか鎮守府を留守にして一人で海に出ることが多くなっていた」

金木「あ……」ホッ

あさひ姫「…………フゥ」ホッ

92: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:48:03.57 ID:vISKenEh0

飛龍”「そして、鎮守府に開いた花屋に足繁く通って、そこの可愛らしい売り子さんと本当に親しくお話していたんだよね……」

金木「つまり――――――?」


飛龍”「提督はいつもいつもそこの花屋からたくさんの弔花を買っては一人 海に出て人知れず海に散っていった仲間たちを弔っていたんです」


金木「!」

あさひ姫「…………石田様、やっぱりそう」

ヲ級”「ヲヲヲ!」ウンウン

飛龍”「でも、その頃の鎮守府では少しでも提督と関わない時間が至福の一時だったから、」

飛龍”「提督が護衛も付けずに深海棲艦が出没する海域に出たことにはみんな知らん振りで、そのまま帰らぬ人になることを願う者さえ――――――」

金木「………………うわぁ」アセタラー

飛龍”「私は今まで二軍扱いで戦場に出ることはなかったけど、一軍戦力がことごとく轟沈して、私が残された最後の貴重な【正規空母】だったから、」

飛龍”「提督としてもこれまでの反省を踏まえて細心の注意を払った運用をしてくれて、比較的 私は優遇されて提督との接点はあった方だったよ」

飛龍”「でも、二軍なら二軍なりに、鎮守府に務めていた先輩たちが次々と帰らぬ人になっていったことに苛立ちがあったから、」

飛龍”「必要最小限の淡々とやりとりをするだけ――――――だったんだけど、花屋ができた頃から提督が変わったような気がしてきたの」

あさひ姫「………………」

飛龍”「いつそう思ったのかはわかんないけど、提督が頻繁に花屋に通って、そして度々 一人で海に出ていくことを意識するようになって、」

飛龍”「だから、私は花屋の売り子さんとお話をする決心をしたの。何となく敬遠してきたけど、私は別に売り子さんに恨みがあったわけじゃないし」

飛龍”「そしたら、提督は確かに弔花を仕入れるために花屋を鎮守府に作ったんだけれど、」

飛龍”「その目的は、これから死に行く者に自前で用意させるためなんかじゃなくて、」

飛龍”「これまで散っていった戦友を提督自身が弔うために、たくさんの花を買っては一人 艇を出して弔花を捧げてきているって言われて――――――」ブルブル

あさひ姫「………………」

93: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:48:51.31 ID:vISKenEh0

飛龍”「それを聴いた時、私、“多聞丸”のことを思い出して――――――、ね?」

金木「――――――『多聞丸』?」

金木「もしかして、それって――――――そう、【艦娘】って【石田少将の世界】における軍艦が擬人化した存在なんだろう?」メメタァ

金木「けれども、【俺の世界】と似て非なる世界でもあるから――――――、」ゴニョゴニョ


――――――もしかして山口多聞のこと?


飛龍”「!」

飛龍”「うん! そうだよ、山口多聞だよ! 楠木正成公に肖って“多聞丸”って名付けられた人だよ」

あさひ姫「――――――大楠公の幼名ですか。それはさぞ凄い人だったんでしょうね」

ヲ級”「ヲォ………」

金木「そっか。【そっちの世界】でも名物軍人になっていたのかぁ(そりゃそうだよな~! 大東亜戦争で屈指の艦隊司令官だったことだし)」

飛龍”「うん。だって、多聞丸の最期の座乗艦は私だもん」

金木「え」

飛龍”「本当は蒼龍に乗っていた頃の方が長いんだけどね。でも、壮絶な最期を飾ったから私の艦長ってことで有名になっちゃってね」

金木「うそぉん…………死んでるのかよ、山口多聞」ボソッ

飛龍”「?」

金木「あ……、それで、なんで石田少将のことを理解したら、あなたの艦長である山口多聞のことが?(すっげー違和感、――――――『あなたの艦長』って)」

飛龍”「だって、“多聞丸”って真珠湾攻撃作戦に向けて朝も昼も夜も航空部隊に猛特訓させて事故を多発させて“人殺し多聞”って呼ばれていたから」

金木「へ」

あさひ姫「まあ」

ヲ級”「ヲヲ」

飛龍”「でも、その犠牲もあって真珠湾攻撃を成功させたし、本当に多聞丸は凄かったんですよ?」

金木「――――――やってること変わんねー!(“味方殺しの多聞”とか言われてるけど、その苛烈な訓練の賜物で大東亜共栄圏に貢献したんだよなぁ……)」

金木「あ、――――――なるほど」

94: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:49:26.14 ID:vISKenEh0


金木「そっか。だから、飛龍さんとしては艦長であった山口多聞と石田少将が重なるところがあって理解することができたんだ」


飛龍”「……うん」

飛龍”「そう思えたら、私は自然と提督の側にいられるようになって、段々と提督への誤解やその中にある優しさが理解できてきた」

飛龍”「“多聞丸”は最期 敗北の責任をとってみんなを退艦させた後、私と一緒に炎と共に海に沈んでいった――――――」

飛龍”「だから、私、提督のこと、今度こそ守り通すって決めたの。“多聞丸”が果たせなかったことを提督の許で果たそうって決めたんだ」





飛龍”「きっと私の提督は“多聞丸”と同じく素晴らしい人だと信じてるから」





金木「……いい話じゃないかぁ! 見ている人はちゃんと見ているってことかぁ! 良かったよぉ、石田少将……!」グスン

ヲ級”「ヲヲヲ!」ムスッ

金木「あ、――――――『自分もいる』って?」

金木「わかってるって、石田少将もわかってるって(あれ? 慣れると結構可愛くね、【深海棲艦】ってさ?)」ナデナデ

飛龍”「…………なんだろう、胸のつかえがすっかりと下りた感じかな?」フゥ

あさひ姫「……そうだったんですか、飛龍さん。これでよくわかりました」

飛龍”「……姫様?」

あさひ姫「――――――似てますね」ニコッ

飛龍”「え」

あさひ姫「何でも」テヘッ

あさひ姫「…………そうでしたか」フフッ


あさひ姫「(飛龍さんは石田様にかつての艦長である“多聞丸”の姿を見て、私もまた石田様に私を生み慈しんでくださった“石田治部”のことを――――――)」



95: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:50:07.35 ID:vISKenEh0

――――――肥前国 島原


石田”「やはり、異常なほどに空気が淀んでいるのが感じられるな」(虚無僧に変装)

石田”「記録に拠れば、松倉重政のキリシタン弾圧は諸大名と同じく 貿易相手国の人間ということもあって控えめであったようだが、」

石田”「長崎出島に貿易を独占させ、鎖国体制への移行を目論んでいた時の幕府による徹底的な弾圧が命じられると、」

石田”「松倉重政は他には類を見ないような『神罰によって狂死した』とその死後に宣教師から言われるような拷問を加えるようになったという」

石田”「顔に“切支丹”の焼き印を押したり、雲仙地獄に沈めたり――――――、それは切支丹のみならず、重税に喘ぐ庶民にも及んだ」

石田”「そして、キリシタン弾圧の取り組みを幕府に対して強調するためにフィリピンのルソン島の攻略を申し出ており、」

石田”「その先遣隊として無謀な遠征準備をし、――――――その出兵実施の矢先に小浜温泉で急死した」

石田”「大和国 五条の名君“豊後様”がなにゆえ、肥前国 島原の暴君になったのかは知らんが――――――、」

石田”「こんなにも沈鬱な空気が漂う城下町に変えてしまって、それで何も感じないというのか……」

ザッザッ・・・

石田”「…………ここか」



96: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:51:10.06 ID:vISKenEh0

――――――肥前国 旧・有馬氏の支城:原城址


石田”「ここに一揆勢が立て籠もることになったが、――――――見ての通り、有明海に張り出した岬の断崖絶壁に面した補給能力に難ありの城」

石田”「一揆勢はすぐに食糧不足に悩まされ、断崖絶壁を降りて海藻を食べて食い繋ぐしかなかったことが検死から明らかとなった」

石田”「そして、一揆勢は【乱】勃発のわずか3ヶ月後の総攻撃で皆殺しにされ、一揆軍 約3万7千人の死体が廃墟となった原城に埋められることになった」

石田”「…………なるほどな。【乱】の元凶である松倉重政が一国一城令に従って新たに建てた島原城の建材に利用されて廃城にはなったが、」

石田”「それでも修繕すれば少しは城らしくはなるか――――――不徹底だな。こういうところで【乱】を意図的に誘引したようにも穿った見方ができてしまう」





石田”「さて、ここが確かに原城ならばきっと――――――」

石田”「む」

クルスの女性「…………虚無僧さんですか」

石田”「……そうだが」

クルスの女性「ここは領主様の命によって立入禁止ですよ。いくら虚無僧さんでも長居してはなりません」

石田”「そういう貴様こそ、よくもまあそんな南蛮被れの衣装に大胆にもクルスを身にまとっているものだ」

石田”「それでいて、領主様に仕えているということは――――――、」


――――――貴様が“原城”か。


【城娘】原城/クルスの女性「はい。そうですが、あなたは――――――?」

石田”「悪いことは言わん。貴様に救える命などない――――――貴様が守ろうとしている命は全て人柱なのだ」

原城「…………!」

原城「な、何のことでしょうか?」アセタラー

石田”「――――――3ヶ月だ。3ヶ月で全て終わる」

石田”「そして、その後ここにある城郭の全ては徹底的に破壊し尽くされ、城内には賊徒の骸で埋め尽くされ、貴様は【はぐれ城娘】となるのだ」

原城「――――――!」

原城「そ、そんな…………」

原城「ハッ」ゾクッ

石田”「貴様がどうなろうと知ったことではないが、ただこれだけは教えろ」シュッ


――――――松倉重政は本当に生きているのかを。







97: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:52:04.58 ID:vISKenEh0




















金木「――――――待てよ?」

金木「“豊後様”として今も大和国の五条で慕われているという松倉豊後守がここまで変わり果てるなんて絶対に何かあったはずだ!」

金木「搾取に次ぐ搾取――――――あまりにも荒唐無稽なルソン島攻略なんか1国を預かる人間にはとても思いつくようなことじゃない!」

金木「本当はそれらを名目に税収を懐に収めて他の何かをやろうとしているんじゃないのか?」

金木「――――――【兜】たちが宝蔵品や金目の物を略奪しまくる習性によく似ている気がする!」

金木「まさか、島原は――――――、豊後守は――――――!?」アセタラー




















????「ヒッヒッヒッ、この手で泰平の世を地獄に変える――――――SATSUGAIし放題だぜぇ! あぁははははは!」



102: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:55:53.48 ID:vISKenEh0





























































103: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:56:21.40 ID:vISKenEh0

番外編 2014年から2015年へ

4,おかしなお菓子なオカシナナ?

――――――拓自鎮守府


ワイワイ、ガヤガヤ、キャッキャッ!


朗利「雛祭りだねー」

愛月「そうですね」

朗利「思い出すなぁ。――――――去年はもうちょっと後でな、ホワイトデーということで【艦娘へのクッキー】っていうのがあってな」メメタァ

愛月「え、そうだったんですか?」

朗利「ああ。とはいっても課金アイテムで、内容は【間宮】+【鋼材×314,ボーキ×314,開発資材×2】って内容でね。314ってところが洒落てるだろう?」メメタァ

愛月「へー」

朗利「でも、こうして見ると【艦これ】はキャラゲーとして季節毎の催し物が昔から盛んだったし、今だとずいぶんと進化したもんだ」メメタァ

愛月「ですよね。昔から執務室の模様替えも充実してましたしね」

愛月「それに去年のクリスマスから期間限定ボイスやグラフィックも大幅に増えましたから、ますますパワーアップですよ、司令官!」メメタァ

朗利「そうだな。改二の実装のペースも早くなっている感じがするし、ますます楽しみって感じだ」メメタァ

朗利「いやぁー、今年の冬イベント攻略中に浜風をバレンタインデー仕様でドロップした時には思わず『何これぇ!?』って思ったわぁ」メメタァ

愛月「そうですね。エプロン姿でクッキーを焼こうとしていましたよね。すっごく可愛かったですよ」デュフフフ・・・

朗利「そういうイベント仕様はまあ『ゲームだから』楽しめるのであって、」


朗利「――――――『本当にあの姿でドロップするというわけではない』とプレゼンターは物申しておりました」メメタァ


愛月「へ?」

朗利「いや、何でもないぞ。………………これはゲームだ。ゲームなんだ!」ブツブツ・・・



105: ◆G4SP/HSOik 2015/03/06(金) 09:57:28.67 ID:vISKenEh0


朗利「これからどんなアイテムや衣装が実装されていくのかな?」

愛月「4月だったら花見の団子、5月だったら端午の節句で柏餅、6月は祝日がなくて、7月だったら夏野菜セットとか花火セットとかで――――――」

愛月「そうそう、月見団子なんかもありそうですよね」

朗利「まあ、【菱餅】や【プレゼント箱】に関して言えば、資源をまとまった単位でゲットしていることになるから、」メメタァ

朗利「臨時の貯蓄資源として活用できるから、今は割りと悪い気はしないかな? ――――――艦娘のドロップができなくなるのは癪だけど」メメタァ

愛月「そうですよね。他所の鎮守府の話を聞く限りだと、あまり手に入りづらいものらしいですけれど、」

愛月「今年は【菱餅】がいっぱいです! 駆逐艦のみんなに行き渡るぐらいの【菱餅】を確保できたんじゃないでしょうか?」キラキラ

朗利「俺って、本当に変な具合に運に恵まれているんだなぁ……」

愛月「そうそう! こんなのもどうだと思います?」

朗利「うん?」


――――――【ウェディングケーキ】と【艦娘の花嫁衣装】!


愛月「【ケッコンカッコカリ】導入○周年記念“抜き打ち”ブライダルフェア!」

愛月「ログインボーナスで【ケッコンカッコカリ】をしている艦娘から限定でもらえるのッ!」キラキラ

朗利「へえ、それは面白そうだな。――――――いい案だな、提案してみたらどうかな? その時はぜひとも腕を振るわせてもらおう」

愛月「ありがとうございます! ぜひともやらせていただきます!」キラキラ

愛月「でも、――――――懐かしいですよね。清原提督が慰問に来てくださった時に1m規模のヘクセンハウスなんて作りましたっけ」

朗利「……そうだっけな。懐かしいな。あの頃から俺にしても愛月提督にしてもずいぶん変わったもんだ」

愛月「それで、海の日(07/20)は艦娘がアニメ仕様で水着になってぇ! 体育の日(10/10)はアニメ仕様で体操着姿になるのよぉ!」ハアハア・・・

朗利「特に吹雪なんかは【公式アニメ】のおかげで衣装が充実しそうだな」メメタァ

朗利「楽しみだな、うん。いろいろと」

愛月「はい! 今度はどんな衣装替えと催し物があるんでしょうねぇ!」ワクワク

朗利「うん――――――あ、よく考えたら、“ジューンブライド”っていう言葉があるんだし、ブライダルフェアは6月にやったらいいんじゃない?」

愛月「――――――素敵です、司令官! ふぅおおおおおおお滾ってきたああああああ!」ムゥッハー!

朗利「あ、あんまりクレイジーにサイコーにハイにレズをこじらせすぎるなよ~?」ハハハ・・・


Next:第9話 海軍総隊を結成せよ! に続く!