1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:01:18.28 ID:C1gy9qEa0
MGSTPPネタバレ注意

ピークォド「ミラー指令、何か御用でしょうか」

カズ「実はな、動物保護プラットホームのエサ担当の者がトラブルメーカーのせいでPTSDになってしまったんだ」

ピークォド「またですか……ボスもなんであの男を解雇しないんですかね」

カズ「能力は高いんだがな。まあいい、ともかくだ」

カズ「しばらく水曜日と金曜日だけ、動物保護プラットホームに顔を出して、動物たちにエサをやっておいてくれ」

カズ「ボスも随分とたくさんの野生動物を回収したようだからな」

ピークォド「了解です、指令」

ピークォド(面倒だが、やるしかないか)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1442239278

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:04:10.72 ID:C1gy9qEa0
ピークォド(ここか)

ピークォド「随分増えたな、ヤギにクマに、羊に」

?「♪~♪~」

ピークォド「? この鼻歌は……」

クワイエット「!」

ピークォド「クワイエット! また牢から!!」

クワイエット「」シュッ、ビューン!

ピークォド「……消えた」


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:05:40.77 ID:C1gy9qEa0
ピークォド「なんだったんだ、何か動物に……」

ピークォド「おかしなことは、してないようだな」

ピークォド「たまに抜け出しているという話は聞いていたが、まさかこんなところに」

ピークォド「まあいい、おい、みんな、エサだぞ」

メー、メー、モー


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:07:52.33 ID:C1gy9qEa0
ピークォド「ってことがあったんだ」

兵士1「あの化け物女が」

兵士2「食おうとしているんじゃないか?」

兵士1「ありえる」

ピークォド「いや、ボスから聞いたがあの女は光合成していて」

ピークォド「飯を食わなくていいらしい」

兵士1「なんだそれ、ますます不気味だな」

ピークォド「あのプラットホームで、なにを」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:09:51.56 ID:C1gy9qEa0
金曜日

ピークォド「この間の時間より早く来てやったぞ」

ピークォド「さあ、こい」

バチャチャチャチャチャ

ピークォド「?」

ピークォド「海からか?」

クワイエット「」バチャチャチャチャチャ

ピークォド(海上を、走っている)

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:12:39.12 ID:C1gy9qEa0
ピークォド(不気味を通り越して感心する)

ピークォド(おっと、隠れなければ)サッ

クワイエット「♪~~♪~~」もふもふ

クワイエット「♪~~♪~~」なでなで

ピークォド(……俺の見間違いでなければ……)

ピークォド(動物と戯れている)

クワイエット「♪~~」ニコニコ

ピークォド「しかも満面の笑みで!」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:15:17.32 ID:C1gy9qEa0
ピークォド(冷血な女とも思っていたが)

ピークォド(あんな顔をするときもあるんだな)

ピークォド(ヘリの時も、ボスといるときはどことなく表情はやわらかいし)

ピークォド(案外普通の女なのかもしれない)

ピークォド(話しかけて、みるか)

ピークォド「おい」ざっ

クワイエット「!!」サッ

ピークォド「・・・・・・・また消えた」

ピークォド「よくボスはこんな女とコミュニケーションがとれるな」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:17:03.15 ID:C1gy9qEa0
ピークォド「動物と戯れていただけだった」

兵士1「そんな馬鹿な」

兵士2「何かの見間違いだろう」

ピークォド「俺も信じられなかったんだが」

ピークォド「案外普通のやつなのかもしれない」

兵士1「それはねえよ」

兵士2「ああ、ボスの命を狙っていたんだぞ、心があるとは思えん」

ピークォド「……そ、そうだな」

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:18:57.03 ID:C1gy9qEa0
水曜日

ピークォド「今日も来るのか」

バチャチャチャチャチャ

ピークォド「きた」

ピークォド(ためして、みるか)

ピークォド「みんな、エサはあの女からもらえ」

スッ

ピークォド(餌袋を置いておく)

ピークォド(察するか?)

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:20:58.69 ID:C1gy9qEa0
クワイエット「♪~」


クワイエット「?」

メーメー、モー、ワン

クワイエット「」ごそごそ

クワイエット「」(・ω・)つ

メー!モー!!

ピークォド(あげた、か)

ピークォド(どうやら、本当に動物が好きらしい)

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:22:26.87 ID:C1gy9qEa0
ピークォド(思えばあの女)

ピークォド(ここでいるときは、ずっと牢で寝ているだけだと聞く)

ピークォド(ボスのミッションに行く以外、こいつに役割はないのか)

ピークォド(それはそれで)

ピークォド(気の毒かもしれんな)

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:24:03.51 ID:C1gy9qEa0
ピークォド(よし)

次の金曜日

ピークォド「たしか、言葉は理解しているといっていたな」

ピークォド「うまくいくはずだ」

ピークォド「みんな、今日もエサはあの女だ」

メーメー! モー!



13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:25:52.05 ID:C1gy9qEa0
クワイエット「」ジー

ピークォド(餌袋のメモに気が付いたか)

『このプラットフォームにはAの袋のエサを、肉食動物のところにはBのエサをあげろ。P』

クワイエット「♪~」すっ

ピークォド「働き始めた」

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:28:29.32 ID:C1gy9qEa0
ピークォド(だがこれを上に報告するわけにはいかない)

ピークォド(あの女と役割分担しながら働くことにするか)

ピークォド(俺も楽ができる)

クワイエット「♪~」

ピークォド(しかし、楽しそうだ)

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:30:42.37 ID:C1gy9qEa0
ピークォド(あの女の鼻歌、妙に耳に残るな)

ピークォド(聞いたことがない歌だ。あの女のオリジナルか?)

クワイエット「♪~♪~~」

ピークォド「」

ピークォド「」メモメモ

ピークォド「ふむ、悪くない」

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:34:24.18 ID:C1gy9qEa0
ピークォド(もうしばらく経つ)

ピークォド(だが、声をかけてはいけない気がする)

ピークォド(あの女の大切な時間なのかもしれない)

クワイエット「♪~♪~」

ピークォド(一度でいいからしゃべってもらいたいものだ)

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:38:46.89 ID:C1gy9qEa0
ピークォド「おっと、今日もエサをやらなければ」

ピークォド「あの女の分を置き忘れていた」

ピークォド「・・・・・・」

ピークォド「まあ、近づかなければ、いいか」

ピークォド「おい! エサがあるぞ! クワイエット!」

クワイエット「」シュッ

ピークォド「また逃げたか」

クワイエット「」シュッ

ピークォド「うわっ!」

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:40:20.41 ID:C1gy9qEa0
クワイエット「」ジー

ピークォド「ち、ちかい! ほ、ほら、エサだ!」

クワイエット「」コクン

クワイエット「」スッ

クワイエット「」(・ω・)b

クワイエット「」てくてく

ピークォド「……」

ピークォド「面白い奴だ」

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:46:11.71 ID:C1gy9qEa0
ピークォド「さて、肉食動物のエリアに行くか」


ピークォド「毎回ここは緊張するんだよ」

ピークォド「檻を挟んでたとしてもな」

ピークォド「おい、エサだぞ」

狼「グルルルル」

ポト

狼「」ばくばく

ピークォド「ふう、これでよし」ッポロ

ピークォド「あ、しまった、メモ帳を」

狼「ワン!」

サッ

ピークォド「取られた! 最悪だ!」

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:48:54.05 ID:C1gy9qEa0
ピークォド「あのメモだけは取り返さなくては」

ピークォド「もう少しで完成しそうなんだ」

ガチャ

ピークォド「よし、おちつけよ狼くん」

ピークォド「ほら、もう一つエサをやろう、これで」

狼「バウッ!!」

ピークォド「ひっ、く、来るな!」

バン!

ピークォド「・・・・・・・今の銃声は?」

狼「」ぴくぴく

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:52:53.63 ID:C1gy9qEa0
クワイエット「」シュバッ

ピークォド「クワイエット」

ピークォド「お前が、その」

クワイエット「」つメモ

ピークォド「……」

ピークォド「あ、ありがとう」

ピークォド「別にたいした内容じゃないんだ」

クワイエット「」シュッ

ピークォド「……この死体、どう説明するか」

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:55:53.23 ID:C1gy9qEa0
カズ「なるほど、つまり狼が襲い掛かってきて、慌てて打ったと」

ピークォド「は、はい」

カズ「・・・・・・・なぜ、嘘を吐く?」

ピークォド「い、いえ、真実しか、述べておりません!」

カズ「こちらもそれなりに調べさせてもらった」

カズ「銃弾はお前の持っている銃じゃない」

カズ「あの女、クワイエットのスナイパーライフルのものと、結果が出ているんだ」

ピークォド「」

カズ「なぜ素直に、あの女がやったと、言わなかった」

ピークォド「」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/14(月) 23:58:39.38 ID:C1gy9qEa0
カズ「黙秘、か」

カズ「まあいい、とにかくだ。あの女の動物保護プラットホームへの出入りは禁ずる」

ピークォド「そんな!」

カズ「そもそも、あの女は独房にて拘束中のはずだろう。外に出ること自体がおかしいんだ」

カズ「あの女にも厳重にそう伝えておく。以上だ。配置に戻れ」

ピークォド「……」

ピークォド「はい」

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:01:54.30 ID:QLM0svcj0
医療プラットホーム クワイエットの独房

ピークォド「……クワイエット、すまん。もう少しうまくごまかせていれば」

クワイエット「・・・・・・・」

ピークォド「・・・・・・・」

ピークォド「じゃ、またヘリで会おう」


25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:05:10.44 ID:QLM0svcj0
ヘリ内

ピークォド「♪~♪~~」

スネーク「おい、その鼻歌」

ピークォド「ああ、すいませんボス、うるさかったですか?」

スネーク「いや、いい。クワイエット以外がその鼻歌を歌っているというのは、なかなか新鮮だな」

ピークォド「なかなか耳に残りますよね」

スネーク「言われてみれば、そうだな」

ピークォド「そろそろ目的地に到着です」

26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:06:12.17 ID:QLM0svcj0
ピークォド(ボスは任務に出た)

ピークォド(おそらくしばらくは時間がかかるな)

ピークォド(・・・・・・・)

ピークォド(よし)

27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:07:43.59 ID:QLM0svcj0
ぱしゃっ!  ガー

ピークォド「なかなか便利なものだな、インスタントカメラというのは」

ピークォド「さすが研究開発班だ」

ピークォド「よし、あそこには狼が、お、羊もいるぞ」

パシャ、パシャ、パシャ


28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:10:22.00 ID:QLM0svcj0
スネークミッション終了後、ヘリ内

スネーク「今日は随分と迎えが遅かったな」

ピークォド「す、すいません、つい」

スネーク「何かしていたのか」

ピークォド「い、いえ」

スネーク「その、カバンたくさんの写真はなんだ?」

ピークォド「」

29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:13:06.40 ID:QLM0svcj0
マザーベース、医療プラットホーム

ピークォド「 見てくれ、動物の写真を、たくさん撮ってきたんだ」

ピークォド「アルバムにまとめた、きれいにとれたかどうかはわからないが」

ピークォド「よかったら、どうぞ」

ピークォド「・・・・・・・みたいな?」

ピークォド「な、なにを緊張しているんだ俺は」

ピークォド「よし、行くか」

30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:16:03.28 ID:QLM0svcj0
ピークォド「クワイエットー」

ピークォド「って、返事するわけないか、よかったら、これ」

ポト

独房にははやりの音楽が流れているだけだった。

遠くから海の音や風の音が聞こえる。

いつも彼女が寝ているベッドには誰もいなくて、

てっきり俺は、またどこかに抜け出しているのかと思っていた。

兵士1「なあ、聞いたか?」

兵士2「ああ、聞いたぜ」

兵士2「あの女、ソ連軍に拉致されたんだってな」

ピークォド「」

31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:18:41.52 ID:QLM0svcj0
ヘリ内

ピークォド「ボス」

スネーク「どうした」

ピークォド「い、いえ」

ピークォド「お気をつけて」

ピークォド(必ず、達成してください)

ピークォド(彼女を、救ってください)

32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:21:07.02 ID:QLM0svcj0
上空

ピークォド「くそ、レーダーが乱れている」

ピークォド「二人を、うまく回収できるか……?」

ピコーン

ピークォド「ランディングゾーンへ指令!」

ピークォド「成功、したのか!」

33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:25:18.52 ID:QLM0svcj0
ピークォド「くっ、砂嵐がひどい、位置もわからなくなった」

ピークォド「無線を使うか」

ピークォド「こちらピークォド! エイハブ! 応答願います!」

ピークォド「これ以上の待機は無理です!」

ピークォド「ボス! 応答を!」

そのとき、聞こえてきたのは

透き通るような、それでもどこか陰のある

初めて聞く女の声だった。

34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:28:49.17 ID:QLM0svcj0
ピークォド(……?ボスか?)

ピークォド「エイハブ、聞き取れない、なんと言った!」

?「××、××××」

ピークォド「何を言っているのかわからない」

ピークォド(まさか、こいつ)

ピークォド「英語はしゃべれるか」

「」

ピークォド(応答がない)

ピークォド「こちらピークォド。エイハブ! エイハブ!」

「」

ピークォド「・・・・・・・英語はわかるか」

ピークォド「おい! 聞こえるか!」


35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:31:41.89 ID:QLM0svcj0
「」

ピークォド(だめか)

ピークォド「これ以上は無理だ、視界がきかない」

ピークォド「一時退避! 通信を切る!」

ピークォド(たのむ、もう一度連絡を)

そう思った時だった

「ボスはここにいる」

36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:35:21.84 ID:QLM0svcj0
ピークォド(きた!)

ピークォド「エイハブ本当か!」

ピークォド「誰だ、誰が話している」

なんとなく、わかっていた。

そのきれいな灰色の声は、何度も近くで、鼻歌を通して聞いていた。

「助けに来て、お願い」

ピークォド「・・・・・・場所を教えてくれ! 位置はわかるか!」

「・・・・・・・・・・・」

「駄目、離れてる」

「旋回して、八時」

ずっと、待ち望んでいた声を、聴いていた。

ピークォド「了解、誘導してくれ」




37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:38:40.27 ID:QLM0svcj0
「十時の方向」

「戻して、一時」

淡々と冷静に、『声』は誘導を続ける。俺はただひたすら、その言葉に従った。

「微調整、左」

「そのまま直進」

「あと1.5」

「そう、もっと右」

「もう少し」

「そう、そっち」

「あと1マイル」

「風がくる、微調整、右」

「左、少しだけ」

「そう」

「方向を保て! 早く!」

「あと0.5!」

38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:41:34.66 ID:QLM0svcj0
見えた。

二人の姿が。

今まで、動物と戯れていた、彼女の姿と。

その彼女が誰よりも慕う、ボスが。

クワイエット「ピークォド見えた! 機影を確認」

彼女のその声は、希望の光が差すように、耳に届いた。

ピークォド「エイハブ! こちらも見えた!」



39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:43:51.65 ID:QLM0svcj0
クワイエット「ピークォド早く。急いで」

ピークォド(口を開いても、生意気なのはかわらないか)

ピークォド「君は」

ピークォド「そんなにおしゃべりだとは知らなかった、クワイエット」

クワイエット「ボスを助けて」

クワイエット「急いでピークォド、お願い」



40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:47:43.54 ID:QLM0svcj0
ピークォド「医療班! 血清を!」

兵士「了解!」

ピークォド「蛇にかまれたのか、クワイエット」

ザッ

ピークォド「待ってくれ、クワイエット」


41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:49:15.85 ID:QLM0svcj0
彼女に会ったとき、いろいろ言おうとしていたことがあったのだが

それはすべて吹き飛んでしまったようだった。

だから、代わりに歌を歌うことにした。

メモにしたためた、彼女の鼻歌に合う歌詞を。

へたくそながら、歌った。

42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:50:52.06 ID:QLM0svcj0
するとクワイエットは

ボスと動物にしか見せていなかった、笑顔を

俺に見せてきた。

ほほを緩め、嬉しそうに、うなずいた。

43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:53:39.47 ID:QLM0svcj0
それから彼女に、用意しておいた動物のアルバムを渡した。

お粗末ながら、手作りの

クワイエットはそれをゆっくりと受け取り、

(・ω・)b

いつものポーズをした。

44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 00:58:36.47 ID:QLM0svcj0
その日から彼女は姿を消した。

なんとなく予想はできていたため、驚かなかった。

どうやら噂の声帯虫の英語株とやらに感染していたのは、彼女だったようだ。

真相を知っても、彼女が返ってくるわけじゃない。

途方に暮れ、動物保護プラットホームで、羊と戯れていた時だった。

スネーク「おい」

46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 01:06:28.80 ID:QLM0svcj0
ピークォド「あ、ボス」

スネーク「このテープ、中にクワイエットのメッセージが入っていた」

ピークォド「ああ、おっしゃってましたね。ボス宛のメッセージ、でしたよね」

スネーク「そうだったんだが」

スネーク「B面を聴いてみてくれ」

48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 01:11:38.34 ID:QLM0svcj0
カチャ

「ピークォドへ」

「動物にエサをあげさせてくれて、ありがとう」

「ボス以外で、私を怖がらないでいてくれたのは」

「あなたが初めてだった」

「ありがとう」

「私の歌に、歌詞をつけてくれて、ありがとう」

「とっても、素敵だった」

「少し、音痴だったけど」

「動物のアルバムをくれて、ありがとう」

「最後まで、大切にするね」

「さようなら」

49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/15(火) 01:14:03.86 ID:QLM0svcj0
 

今でも俺は、あの牢獄にたまにくる。

一人で鼻歌を歌いながら。

また、いつかあの鼻歌が聞けることを、願って。

おわり

引用元: ピークォド「動物保護プラットフォームにクワイエットがいる」 MGS