1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 17:35:23.34 ID:O5ozm0mi0
P(いや、それが決して悪い事ではないんだけどね。事務処理も捗るし)

幸子「……」

ありす「……」

P(幸子は清書中、ありすは読書中っと。そりゃ、静かになるよな)
P(あっ、ここ間違えてる。訂正しないと)

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 17:40:15.67 ID:O5ozm0mi0
ありす「あの、プロデューサーさん」

P「ん?」

ありす「少しお聞きしたい事がありまして」

P「いいぞ。どうしたんだ?」

ありす「この本についてなんですが、プロデューサーさんは読んだ事があります?」

P「一度だけなら目を通した事があるな」

ありす「でしたら主人公の友人二人について教えて欲しいのですが」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 17:45:18.64 ID:O5ozm0mi0
P「男の人と女の人だったよな? なにか変だったか?」

ありす「変と言うより、不思議に思いまして」
ありす「終始主人公に冷たくて厳しい言動ばかり目立った男の人は、本当は主人公を影から支えていました」

P「縁の下の力持ちポジションってカッコいいよな」

ありす「女の人は主人公の相談に乗ったり、優しく励ましていましたのに、最初から裏切っていました」

P「主人公を憎むだけの理由が女の人にあったからなぁ。主人公は悪くないけど」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 17:50:04.08 ID:O5ozm0mi0
ありす「それで本題です。どうして男の人は最初から表だって主人公の手助けをしなかったのでしょう?」
ありす「いえ、質問が違いますね。リアルにも、ここまで不器用な人がいるのかが知りたくて」

P「キャラクターの一人として設定された性格で納得は……出来ないよな?」

ありす「はい。普通の人でも身近にいるような方をモデルにする作家さんですので」

P「俺もまだ経験不足の若輩者だから断言はできないけど、いると思うぞ」

ありす「そうなんですか?」

P「職人気質の強い人とかな。愛情や期待が強ければ強いほど、弟子にきつく指導をするだろ」

ありす「……聞いた事があるような気がします」

P「少し例えは違うけど、そんな人もいるんだ。男女問わず、いないとは言い切れないよ」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 17:55:10.15 ID:O5ozm0mi0
ありす「そうですね。では、女の人の方はどうでしょう?」

P「女の人もリアルにいるかどうか?」

ありす「はい」

P「うーん、いると言えばいるんだろうけど、そっちは現実味に欠けるよな」

ありす「どういう風に欠けてると思いました?」

P「まずは主人公を憎み始めた行動原理だな」
P「女の人本人からすれば立派な動機なんだろうけど、第三者から見ると少し幼稚な気がする」

ありす「なるほど」

P「周囲に相談しなかった理由も自分本位過ぎて、ちょっと俺には理解に苦しんだな」
P「証拠を集めたのに、警察に行かないまま計画を実行するとか。物語の都合上、仕方ないんだろうけど」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:00:08.62 ID:O5ozm0mi0
ありす「プロデューサーさんにはそう見えていたんですね」

P「その口振りから察するに、俺とは違う見方だったんだ」

ありす「私はむしろ、男の人の行動が理解出来ませんでした」
ありす「していた事を周知させていれば、主人公も女の人も、男の人自身も無事だったかもしれませんので」

P「そっかそっか。ありすはハッピーエンドが良かったんだな」

ありす「ち、違います! 結末に納得出来ないほど子供ではありません!」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:05:27.59 ID:O5ozm0mi0
P「はっはっは。怒るな怒るな」

ありす「頭をポンポンしないで下さい。そんなので喜ぶ歳じゃありません」

P「んー、なら、ありすのどんなところが大人なんだ?」

ありす「それはその……す、少しは名前で呼ばれてもよくなりましたよ」

P「俺はありすよりもっと小さかった時から名前で呼ばれても平気だったぞ?」

ありす「むぅ……。じゃあ、プロデューサーさんはどこが大人なんですか?」

P「俺か? 俺は永遠に少年の心を持ち続ける者だからな」

ありす「中二病ってやつですね」

P「ちーがーいーまーすー!」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:10:24.50 ID:O5ozm0mi0
ありす「どうですかね」

P「真面目に答えるなら、俺はもう二十歳以上」

ありす「年齢で大人かどうかが決まるなんて滑稽です」

P「身長も男の大人の平均値だ」

ありす「体なんて所詮個人差です」

P「大学を卒業して立派な社会人だ」

ありす「……飛び級がない教育制度の所為です」

P「そんでもって、ありすにはない責任が俺にはある」

ありす「……」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:15:12.24 ID:O5ozm0mi0
P「そんな感じだけど、いかがかな、姫」

ありす「姫って言わないで下さい」

P「じゃあ、お嬢さん」

ありす「もういいです。向こうで次の本を読みますから、さっさと仕事に戻って下さい」

P「はいはい」

ありす「はいは一回です」

P「はーい」

ありす「全く……」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:20:15.81 ID:O5ozm0mi0
幸子「納得のいく答えが得られました? 橘さん」

ありす「……最低限は」

幸子「そうですか。ならよかった」

ありす「含みのある言い方ですね」

幸子「そう聞こえたのなら、そうかもしれませんね」

ありす「なにが言いたいのですか?」

幸子「やけに突っ掛かって来るじゃないですか。かわいいボクを妬むのは仕方ありませんけど」

ありす「……そんな事に興味はありません」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:25:13.34 ID:O5ozm0mi0
幸子「ところで、橘さんが事務所に入って少しは経ちましたけど、調子はどうですか?」

ありす「それなりに」

幸子「それなりに、ですか」

ありす「輿水さんに不都合でもあるんですか?」

幸子「ありませんよ? ボクには、ですが」

ありす「……そろそろペンを置いて私に顔を向けたらどうですか? 話す時は相手の目を見るのが礼儀です」
ありす「その上で言いたい事があるなら言って下さい」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:30:47.69 ID:O5ozm0mi0
幸子「よくわかっているじゃないですか」

ありす「なにがですか?」

幸子「ボクにとって、今の橘さんが礼を重んじるに値しない相手だと」

ありす「……そうですか。では黙って手を動かしてて下さい。耳障りです」

幸子「いえ、残念ながら時間切れですね。ボクはこれからお仕事に行かなければなりませんので」

ありす「早々に支度をする事をお勧めします」

幸子「ご安心を。ノートをしまうだけ済みますから。ではまた」

ありす「……」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:35:05.98 ID:O5ozm0mi0
次の日


早苗「ありすちゃん、おつかれー。いい子にしてお留守番出来てた?」

ありす「……」

早苗「こーら、無視はよくないぞぉ! お姉さん、寂しくて泣いちゃうんだから」

P「ただいま。ありす、レッスンの方はどうだった?」

ありす「今日はトレーナーさんに褒めて貰いました。上達してると」

P「すごいじゃないか。よかったな」

ありす「えへへ」

早苗「プロデューサー君と私に対する温度差。酷い!」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:40:15.85 ID:O5ozm0mi0
ありす「……橘と呼んで下されば、最低限は口を聞きます」

早苗「ありすちゃんはありすちゃんでしょ?」

ありす「その名前は嫌いです」

早苗「でも、プロデューサー君は名前で呼んでるわよね?」

ありす「……」

早苗「また無視された!? プロデューサー君、どんな手練手管を使ってありすちゃんを手篭めにしたの!?」

P「酷い言いがかりだ!」

ありす「橘です」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:45:06.96 ID:O5ozm0mi0
早苗「冗談はともかく、どうやって名前で呼ぶようになったの?」

P「特別な事はなにもしてませんよ。少し話をして仲良くなっただけです。なっ、ありす」

ありす「本人に確認しないで下さい、恥ずかしい」

早苗「よし、なら今晩はお姉さんと二人っきりで語り合おう。これからお夕御飯食べに行かない?」

ありす「行きません」

P(即答だ……)

早苗「そんな事言わずに、ね?」

P(必死だ……)

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:50:28.24 ID:O5ozm0mi0
ありす「お断りします」

早苗「お願い! お姉さんが全部奢るから!」

ありす「……プロデューサーさん、今日はこれで失礼します」

P「送るぞ?」

ありす「今日は構いません。良い予感がしませんので。それでは」

P「気をつけてな」

ありす「はい」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 18:55:46.83 ID:O5ozm0mi0
早苗「……プロデューサー君!」

P「うわっ、びっくりした。なんですか、急に大声で」

早苗「どうしてあっさりありすちゃんを帰らせちゃったのよ! プロデューサー君が少し押せば靡いたかもしれないのに」

P「また人聞きの悪い言い方を」

早苗「この怨み、はらさでおくべきか……ふっふっふ」

P「どうしたら許してくれます?」

早苗「決まってるじゃない。ありすちゃんとの仲の仲介よ」

P「やっぱりですか」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:00:55.33 ID:O5ozm0mi0
早苗「当然よ。ありすちゃんの笑顔がプロデューサー君にばっかり向いてるのが悔しいもの」

P「その、ありすってやっぱり俺意外とはまだ……」

早苗「んー。あたしも全員との付き合いを把握してるわけじゃないけど、考えた通りだと思うわよ」

P「そうでしたか」

早苗「だからこそ、みんなのお姉さんであるこのあたしが先導となってありすちゃんと深い仲になるの」

P(いつの間にみんなのお姉さんに?)

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:05:18.21 ID:O5ozm0mi0
幸子「ただいま戻りました」

P「おかえり」

早苗「おかえり、幸子ちゃん。抱っこさせて。っていうかする」

幸子「い、いきなりなんですか!? ボクがかわいいからってそっちの趣味はありませんよ!」

早苗「いいから今は私の慰み者になって。傷心中なのよぉ」

P(慰み者って……)

幸子「いやですよ! プロデューサーさん、事情の説明を――うぷっ」

P(幸子の顔が早苗さんの胸に埋まった……)

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:10:07.11 ID:O5ozm0mi0
P(っと、羨ましがってる場合じゃなくて)
P「えっとだな、早苗さんがまたありすにフラれたんだよ」

幸子「……」

早苗「大人しくなってくれたわね。よしよし」

幸子「もごもごもご」

早苗「うひゃ! む、胸の中で喋らないで! く、くすぐったいから!」

P(良いなぁ、幸子)

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:16:22.02 ID:O5ozm0mi0
幸子「ぷはぁ。……橘さんですか」

P「そう。幸子はこの前ありすとなにか話してたよな? 内容は聞こえなかったけど」

早苗「そうなの!?」

幸子「大した話ではありませんよ。ボクがどれだけかわいいか語っただけです」

早苗「語らなくても幸子ちゃんはかわいいわよ」

P「本当にな」

幸子「二人で頭を撫でないで下さい」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:20:08.62 ID:O5ozm0mi0
早苗「幸子ちゃんもありすちゃんと仲良くなりたいわよね?」

幸子「どうですかね」

早苗「今時の子は素直じゃないわねぇ。……あたしだってまだ若いわよ!」

P「なにも言ってませんから」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:25:06.46 ID:O5ozm0mi0
早苗「それじゃあプロデューサー君、ちゃんと計画立ててね」

P「考えておきますよ」

幸子「一応確認ですけど、その計画にボクも含まれているんですか?」

早苗「もちろんよ」

P「らしい」

幸子「はぁ……」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:30:22.45 ID:O5ozm0mi0
次の日


ありす「おはようございます」

幸子「おはようございます」

ありす「……」

幸子「そんなに首を振ってもプロデューサーさんはいませんよ」

ありす「……清書しててこっちを見てないのによくわかりますね」

幸子「単純とか、行動がワンパターンとか言われません?」

ありす「……」

幸子「そんなに熱い視線を向けないで下さいよ。見惚れられる事に慣れてるボクでも照れます」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:35:38.96 ID:O5ozm0mi0
ありす「……プロデューサーさんはどこにいるんですか?」

幸子「早苗さんと出かけてますよ」

ありす「そうですか」

幸子「ふふっ、コロコロ表情が変わりますね。苦虫でも噛み潰しました?」

ありす「本当によく私を知っているみたいで。かなり気味が悪いです」

幸子「たった一人の心の揺れも把握出来なくて、どうして大衆を魅了出来るんですか?」

ありす「限度があると思いますけど」

幸子「まぁ、普通の人ならここまではいきませんよ。だからさっきも言ったように、橘さんが単純だと思ったわけです」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:40:19.24 ID:O5ozm0mi0
ありす「……輿水さんは私のどこが気に入らないんですか?」

幸子「どこも?」

ありす「なら、どうして私の神経を逆撫でするような事ばかり言うんですか? いい加減、うんざりです」

幸子「……仕方ありませんね。ならヒントをあげますよ」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:45:15.10 ID:O5ozm0mi0
ありす「面倒な言い回しは結構です。単刀直入に教えて下さい」

幸子「それでは意味がないので」

ありす「だから――」

幸子「露骨過ぎる態度の違いは人を不愉快にさせます」

ありす「……」

幸子「もっとも、長い目で見ればボクや他の方にはさほど大きな影響は出ないでしょう」
幸子「あぁ、今はプロデューサーさんを除外していて下さい。関係ないので」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:50:16.52 ID:O5ozm0mi0
幸子「最近は早苗さんですかね。彼女のような世話焼きさんには甘えた方がいいですよ」

ありす「……私自身の為にもっと人付き合いをよくしろ。そう言いたいのですか?」

幸子「それは橘さんが考えて下さい。ヒントを与え過ぎたくらいですからね」

ありす「……」

幸子「さてと、かわいいボクは各方面からのお誘いを受けて多忙なので、そろそろ出かけます」

ありす「その前に尋ねたい事が」

幸子「お断りです。ボクはボクの語りたい事を一方的に言っただけで、聞く気はありません」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 19:55:28.98 ID:O5ozm0mi0
幸子「そうそう、言い過ぎたついでにもう一つ言っておきます」

ありす「……なんですか?」

幸子「有名な演歌歌手でボクと同名の方がいますが、ボクはいずれその人が霞むほどの存在になります」

ありす「それは随分壮大な夢ですね」

幸子「貴女もくだらない事に囚われるくらいなら、どこかの不思議な国ではなく、橘ありすがありすの代名詞になるようにしたらどうですか?」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:00:15.58 ID:O5ozm0mi0
ありす「簡単に言いますね」

幸子「簡単ですよ。世界で一番かわいいボクなら」
幸子「では、これで」

ありす「……はい」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:05:24.35 ID:O5ozm0mi0
早苗「ただいまー。ありすちゃん、待った?」

ありす「待ってません」

早苗「相変わらず冷たいなぁ……ん? ありすちゃん?」

ありす「なんですか?」

早苗「橘です、とか、橘と呼んで下さい、って言わないの?」

ありす「正直、かなり我慢しています。でも、少々考え方が変わりましたので」

早苗「なにかあったの?」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:10:28.74 ID:O5ozm0mi0
ありす「そんな事よりプロデューサーさんはどうしました? 呼ばれて来たのですが」

早苗「別のところで待ってるわ。お姉さんが案内役」
早苗(行ってもプロデューサー君はいないけどね。うふふ、プロデューサー君、ベタだけど効果的な計画よ)

ありす「わかりました」

早苗「幸子ちゃんはお手洗い? 姿が見えないけど」

ありす「輿水さん――いえ、幸子さんなら忙しいとかでどこかに行きましたよ」

早苗「なんで言い直したの?」

ありす「気にしないで下さい」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:15:29.08 ID:O5ozm0mi0
早苗「まっ、その辺は後でゆっくり聞こうか。幸子ちゃんもプロデューサー君の予想通りのようね」

ありす「どこに行ったのか、わかるんですか?」

早苗「まぁね。じゃあ、行きましょうか」

ありす「はい」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:20:14.35 ID:O5ozm0mi0
道中


早苗「それでねー」

ありす(プロデューサーさんや両親以外とこんなに長く話したのは久しぶり)
ありす(片桐さん、話題が豊富な人だったんだ)

早苗「あっ、ここよ」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:26:24.60 ID:O5ozm0mi0
ありす「ここって公園ですよね? 幸子さんの姿は見えませんが」

早苗「奥に背の高い茂みが見えるわよね?」

ありす「えぇ」

早苗「あの裏って、実は多少動ける程度のスペースがあるのよ」

ありす「そこに幸子さんがいるんですか?」

早苗「多分ね。じゃあ、ここから慎重に進むわよ。幸子ちゃんを驚かしたいからあまり音を立てないようにね」

ありす「……」

早苗「そんなに冷たい目で見ないで!」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:30:50.33 ID:O5ozm0mi0
早苗「ここから茂みの裏に回れるの」

ありす「よくこんな獣道を見つけましたね」

早苗「本当にね。あっ、幸子ちゃんの姿が見えたわ」

ありす「ダンスの練習をしていますね」

早苗「ダンスだけじゃなくて、歌も練習しているのよ」

ありす「歌も? 声で隠れている意味がなくなるんじゃないですか?」

早苗「元々人があまり来ない公園だから、意外と平気みたい。道もこんなのだしね」

ありす「納得しました」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:35:52.81 ID:O5ozm0mi0
早苗「でも、幸子ちゃんってすごいわよね。ここで毎日欠かさず練習しているみたいよ」

ありす「毎日、ですか?」

早苗「プロデューサーさんが言うにはね。あたしは一度しか来た事がないから」

ありす「そう、だったんですね……」


幸子『簡単ですよ。世界で一番かわいいボクなら』


ありす(努力を隠してどの口が言うんですか)
ありす「ふふっ、不器用な嘘吐き」

早苗「? なにか言った?」

ありす「いえ。なんでもありません」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:40:09.49 ID:O5ozm0mi0
早苗「そろそろ声をかけよっか。さ・ち・こ・ちゃーん!」

幸子「ひゃぁ! ま、また来たんですか、早苗さん! あっ、それに橘さんも」

ありす「ありすです」

幸子「?」

ありす「ありすと呼んで下さい」

幸子「……そうですか。なら、ボクも幸子でいいですよ、ありすさん」

ありす「はい! えへへ」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:45:31.04 ID:O5ozm0mi0
数日後


P「なるほどな、それで幸子と早苗さんをきっかけにありすの輪が広がったわけか」

ありす「どうしても聞きたいというからお話しましたけど、仕組んだのはプロデューサーさんですよね?」

P「早苗さんに関してはな。幸子は自分から動いたんだよ。人一倍世話好きだから」

ありす「それ以上に不器用だと思いますけど。まるでこの前の本に出てきた男の人みたいです」

P「主人公はありすだな」

ありす「となると、消去法で女の人は早苗さんですね。小説の女の人みたいになるところは想像出来ませんけど」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:50:34.40 ID:O5ozm0mi0
P「最近は早苗さんに色々と相談してるみたいじゃないか」

ありす「頼りがいのある人ですから」

P「油断してたら後ろからガオーってされるかもな」

ありす「されませんよ。もしされても、幸子さんとプロデューサーさんが守ってくれますよね?」

P「あぁ、そうだな」

早苗「ありすちゃん。レッスンに行こー!」

ありす「はい! では、プロデューサーさん、行って来ます」

P「あぁ、行ってらっしゃい」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 20:56:04.73 ID:O5ozm0mi0
P(本当にかわいいほどありすは子供だなぁ。あんなに無邪気な笑顔浮かべて)

P(まぁ、良い傾向か)



P(……でも、一つ勘違いしてるよ)

P(主人公の友人は男女である事に意味があっただろ? 幸子が男の人役なら、女の人役は男になるんだよ)

P(一番身近にいる男は誰なんだろうな。なぁ、ありす……)


終わり……?

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 21:00:22.30 ID:O5ozm0mi0
P(なんちゃってな)



終わり

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 21:10:17.46 ID:O5ozm0mi0
蛇足編


P「で、幸子はいつまで俺の机の下に隠れてるんだ?」

幸子「……ありすさん、行きましたか?」

P「大丈夫だぞ」

幸子「た、偶には狭いところに引き籠るのも良いですね!」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 21:16:18.79 ID:O5ozm0mi0
P「昨日か一昨日くらいから、逃げてないか? ありすから」

幸子「し、知りませんね」

P「なにかあったのか? 仲良くなったんなら、一緒にレッスン行けばいいのに」

幸子「……一緒にレッスンすると、必ずボクの真後ろに張り付くんですよ」

P「知ってる。けど、その程度は構わないだろ? 幸子の技術を盗みたいんだろうし」

幸子「最近、いろんな本を勧められたり、ゲームに誘われたり」

P「慕われてる証拠だな、うんうん」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 21:21:35.05 ID:O5ozm0mi0
幸子「この前はいつもの公園で、待ってましたよ、と笑顔で出迎えられました」

P「そこまで幸子と一緒にいたいんだろ?」
P「……あれ? 確かあの公園に行く時間帯って、その日次第で、決まってはないよな?」

幸子「えぇ。その日も空いた時間と気分で行きました」

P「なのにありすが待ってたの?」

幸子「えぇ」

P「何時くらいに行くって話は?」

幸子「プロデューサーさんにもしていませんよね?」

P「……」

幸子「……」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/11(月) 21:25:34.59 ID:O5ozm0mi0
P「な、懐き方がわからないだけだよ。す、すぐ落ち着くって、はっはっは」

幸子「ボクでこのレベルです。ボク以上に慕われてるプロデューサーさんは、気付いてないだけで……」

P「だ、大丈夫大丈夫。所詮十二歳のする事だよ、ハッハッハ」

幸子「最近、部屋が少し綺麗になってません? 拭いていないのに窓がピカピカだったり」

P「な、なんの事かな? HAHAHA」



P「……本気でどうだったっけ?」


蛇足編、終わり

引用元: モバP(静かだ……)