【更生施設】

 ―10時過ぎ、執務室―

提督「遠征に失敗ですか……」

初霜「申し訳ございません……」

三日月「遠征前の演習で補給をするのを忘れてしまって……」

提督「真面目な御二方が……情けないというか…」

初霜「あうっ」ビクン

提督「………………もう少し、注意を払えばよかったものを…」

三日月「んんっ」ビクン

提督「………………失望しました(当然ながら本心ではない)」

初霜&三日月「はぁんっ」ビクビクン

提督「………………………」

初霜「もっと、もっと詰ってください…!」

提督「………………………………………………………………………………………………」


 ―19時過ぎ、食堂―

提督「あれ、相当ヤバいですよ」

司令長官「そうだねぇ。普段は真面目にやってるのに、君の前だとあの様だから…やっぱり、普段から真面目な子って色々溜め込んじゃってるんだよねぇ」

提督「他の鎮守府にも、あんなのは確認されてませんでしたし」

司令長官(まあ、キミのSっぽい言動が助長させてるんだけど…)

司令長官「それで、どうするの?あのままってわけにもいかないでしょ?」

提督「……あれはもう、私にはどうにもできません。スペシャリストに頼みましょう」

司令長官「スペシャリスト?」

提督「館山鎮守府の提督ですよ」

司令長官「ああ、彼ね」

847: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 21:28:02.71 ID:+Qbfa7nw0
 ―数日後10時前、列車内―

ガタン、ガタン

提督「館山第質鎮守府の提督の実家は、寺院なんですよ」

初霜「そうなんですか?」

提督「ええ。その提督の両親が、見聞を広めるためにと、息子さんを海軍に入れたらしいです」

三日月「つまり、その方もお坊さん……という事ですか?」

提督「修行もしましたし、確かに僧侶ではありますね。それに、彼はまだ僧侶を辞めたというわけではありませんし」


 ―数十分後、館山第質鎮守府・正門―

提督「本日は、よろしくお願いいたします」

第質鎮守府提督(以下一角)「いえ、こちらこそよろしく」

提督「こちらが、館山第質鎮守府の提督、一角 正(いっかく まさし)さんです」

初霜「総司令部の初霜です。よろしくお願いします」

三日月「同じく総司令部の三日月です。よろしくお願いいたします」

一角「…この2人ですか?件の艦娘は」

提督「はい」

一角「なるほど……………」ジッ

初霜&三日月「?」

一角「………欲に塗れている目をしていますね」

初霜&三日月「」

提督「分かりますか」

一角「これでも、人を見る目はありますからねぇ」

848: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 21:35:57.85 ID:+Qbfa7nw0
 ―数分後、執務室―

一角「ささ、どうぞこちらへ」ガラッ

初霜「…すごい、畳ばりの執務室何てうわさでは聞いていたけど、初めて見た…」

三日月「ホント……なんだか、いい匂いがする」

一角「畳は、リラックスさせる効果もありますから。日本人が好むのも納得です」サッ、サッ

一角「さ、どうぞお座り下さい」

初霜&三日月「失礼します」スタ

提督「失礼します」スタッ

一角「して、斑殿はこのお2人の更生をお願いしたい、とおっしゃられていましたが、具体的にこの2人は…」

提督「ぶっちゃけると、ドМになってしまいました」

一角「」

提督「実はこれこれしかじかで」

一角「なるほど……分かりました」

初霜「ちょっと待ってください!私達はMなんかじゃありません!」

三日月「そりゃ、司令官から怒られたり罵倒されたりしたらちょっとゾワゾワしたりム ム したりしますけど、Mってわけじゃ!」

提督「ご覧のとおりです」

一角「なるほど、重症ですね」

初霜&三日月「」

一角「しかし、これも欲に塗れた結果……座禅を試してみましょうか」

提督「座禅ですか」

一角「はい。あれが一番、心を研ぎ澄ます事ができるものですから。しばしお待ちを」スクッ

初霜「座禅って……あの、肩をビシッって叩かれる、あれ?」

三日月「多分………でも、司令官に叩かれるなら…」

提督「貴女達ちょっとは自重してくれませんか」

849: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 21:47:58.92 ID:+Qbfa7nw0
 ―数分後―

提督&初霜&三日月「(座禅中)」

一角「はい、では目を閉じて……」

三日月「…………」スッ

初霜「…………」スッ

提督「…………」スッ

一角「改めて考えてみてください……」スタ、スタ

初霜「……………」

三日月「……………」

一角「貴女達は、過去の艦の記憶を得て、再びこの世に人間として生まれ変わった、我々人間とは異なる命………」

初霜「……………」

一角「その異なる命と人生は、いわゆる仏様から授かった、ありがたきもの………」

三日月「……………」

一角「そのありがたきものを、自ら傷つきたいという欲望で塗りつぶすことの、なんと愚かな事か………」


初霜&三日月「…………………………」


ベシィ!!

三日月「~~~~!」プルプルプル

一角「そのような欲望を抱いて生きていくより……清純なる恋をし、友と夢を語り合い、一杯の白米で腹を満たす……」

初霜「…………」

一角「そのように平坦に生きる方が……これからも、楽しくはないだろうか……」


初霜「……………………」


ビシィ!!

初霜「~~~~~!」プルプルプル

850: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 21:57:16.68 ID:+Qbfa7nw0
一角「……自分の歪んだ欲望に従って生きていくと、いずれは身を滅ぼす……」

初霜&三日月「………」

一角「そのような、醜い欲望は切り捨て、これからを誠実に生きる…………」

初霜&三日月「………」

一角「それだけでも、この世に生を受けただけでありがたいものなのです………」


初霜&三日月「…………………」


バキィ!!

初霜&三日月「?」クルッ

一角「私の警策を防ぐとは……」

提督「すみません、ついやってみたくなってしまいました」

一角「まったく、これ結構高いんですよ…?」

提督「で、どうでしたか」

初霜「ええと………」

三日月「何て言いますか……今まで私達は、何をやっていたんだろう…って改めて思いました」

初霜「ええ……。そんな、提督にまで迷惑がられることをしてしまうなんて……艦娘として、恥じることです」

三日月「司令官、今まで申し訳ございませんでした」ドゲザ

初霜「これまでの、大変失礼な身の振る舞い、お許しください」ドゲザ

提督「いえ。それよりお2人とも」

三日月&初霜「?」

提督「お2人は大変真面目な性格ですから、何かとストレスが溜まってしまうものでしょう。ですが、ストレスが溜まってきたと思ったら、素直に吐き出して

   構いませんよ。私に話すなり、演習で発散するなり、大声を出すなり……そうでもしないと、また一角さんのお世話になってしまいますよ」

初霜「はい!」

三日月「分かりました!」

851: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 22:05:35.90 ID:+Qbfa7nw0
 ―数分後(お茶タイム)―

一角「斑殿から聞きましたかな?私の実家は寺なんですよ」

初霜「はい、知っております」

一角「なら、私が親から見聞を広めるようにと言われて海軍に入った事も」

三日月「存じております」

一角「私は海軍の提督であるのと同時に、1人の僧侶…。そうやすやすと艦娘と肉体的関係を持ったりすることもできないわけですよ」

提督「男としては、相当痛いでしょうねぇ」

一角「ですから、私は海軍では欲から切り離された生活を送ってきました。セクハラなど一切せず、食事は腹八分、睡眠も最低限度と」

提督「ある意味で、生真面目すぎる提督ですねぇ」

初霜「でも、艦娘の方からアプローチを掛けられることもあるでしょう?その、金剛さんとか」

一角「ええ、ありましたよ。かなりの数。でも、自制心を持てば容易いものですよ」

提督「一角さんは、最低限の欲しか持っていませんよ。たとえば、大規模作戦でもただ全海域を攻略しようという欲だけしか持っていませんし、女性の方と

    的な関係を持ちたいと思っても、邪 をむさぼるような真似はしませんし。空腹を感じる事はあっても、暴飲暴食はしない…」

初霜「なるほど………でも、苦痛じゃありませんか?」

一角「確かに、苦痛ではありますよ。でも、欲を切り離せば、法を犯す事もありませんし」

三日月「?」

提督「俗にいう犯罪は、欲望を暴走させた結果とも言えますからね……」

一角「ですから、寺出身という事も、欲を切り離すという事も、私にとってはあまり苦ではありませんよ」

初霜&三日月「…………」

852: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 22:13:39.78 ID:+Qbfa7nw0
 ―16時過ぎ、帰り道道中―

初霜「なんだか、変わった方でしたね………」

三日月「そうだね…あれが僧侶なのかな…」

提督「ですが、彼の鎮守府はこれまで一度も法規を破ったりせず、不祥事を起こしたこともない。ある意味、日本人の中の日本人ですね」

初霜「確かに………」

三日月「うん………」

提督「まあなんにせよ、貴女達が元の性格に戻ってくれてよかったです。元の、真面目な性格に」

初霜「ええ、自分でもバカなことをしていたなぁ……と」

三日月「そうですね……提督も、迷惑がられていたのに、自分の欲望を優先させてしまって……」

提督「これからは、もうこのような事のないようにしてください」

三日月&初霜「はい!」


 ―数日後14時過ぎ、第拾参鎮守府執務室―

禊「す、すみません…瑞理さんは今その……」

提督「……意味深な方の夜戦中ですか」

禊「………はい」

提督「あいつにも、一角さんの座禅をさせた方がいいか」

禊「はい?」

提督「いえ、何でもないです」


【終わり】

853: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 22:18:22.77 ID:+Qbfa7nw0
【キャラクター紹介】

≪初霜≫

初春型駆逐艦四番艦。艦娘No.78(改二はNo.219)。黒く長いロングヘアーと、ソプラノの高い声が特徴の、生真面目な女の子。初春型(主に子日と若葉)の

暴走のストッパー役を務めている。デスクワークはそつなくこなし、機嫌もちゃんと守る。が、普段の生真面目な性格とストレスが原因で、性格が少し歪み

ド な性格になる。現在は一角提督の修行によってド と言う性格は直った。

好きな言葉は『桃栗三年柿八年』。

854: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 22:22:05.62 ID:+Qbfa7nw0
≪三日月≫

睦月型駆逐艦十番艦。艦娘No.37。黒いストレートの髪とアホ毛、金色の瞳が特徴の、真面目な女の子。個性豊か過ぎる睦月型の中ではとてもまともな方で、

暴走気味になったら軌道修正の役目。同じく真面目な初霜とよく一緒にいて、デスクワークも肉体労働もそつなくこなす。しかし、その性格と日々のストレスで

ド な性格になってしまった。初霜と共に一角提督の下で修業し、元の性格に戻る。

好きな言葉は『前途洋々』。

855: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/04(金) 22:27:10.60 ID:+Qbfa7nw0
≪一角 正(いっかく まさし)≫

関東・館山第質鎮守府提督。性別は男性で、年齢は32歳。実家が寺で、彼自身も僧侶。両親から『見聞を広めるように』と勧められて海軍に入り、提督の適性

試験に合格して提督となる。必要以上の欲を切り離すよう心がけており、暴飲暴食、邪 、惰眠などもってのほか。そのせいかこれまで放棄を破る等の不祥事は

これまで起こした事が一度もない。週1~2回のペースで、艦娘にも座禅を組ませている。噂かと思われていた畳ばりの執務室を地でやっている。

好きな言葉は『臥薪嘗胆』。

863: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 21:08:15.92 ID:5T7K2ISq0
【ある恋の終着点】

 ―16時過ぎ、第壱拾参鎮守府付近商店街―

瑞理「まったく、禊君も明石ちゃんも奥手すぎるんだよ。あれから全然進展がない」

金剛「What?あれ、とは?」

瑞理「バレンタインデーの時の事だよ。明石ちゃん、禊君に手製のチョコレート作ってたって、夕張ちゃんから聞いたし…大淀ちゃんと話してるときも、

   どーこか浮かれてる感じがしてたから…。多分明石ちゃんも、禊君の事が好きなんだろうね」

金剛「Oh…で、無事明石サンはchocolateを渡せたんでしょうか?」

瑞理「渡せたらしいよ?禊君、嬉しそうだったから」

金剛「それは良かったデスネー!でも…それから進展がないんデスカ?」

瑞理「そうなんだよねぇ…。何か、きっかけか何かでも上げられればいいんだけど、禊君も明石ちゃんも奥手過ぎて……」

サーサーイラッシャイイラッシャイ

瑞理「?」

金剛「福引デスネー」

瑞理「あ、そう言えば福引券貰ったっけ」

金剛「頑張ってくださいネー!ところで、一等の景品は何でしょうカ?」

瑞理「えーっと…………おっ」

金剛「テートク?」

瑞理「………久々に、最強の雪風提督の力を使おうか」

金剛「??」

864: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 21:16:52.29 ID:5T7K2ISq0
 ―数十分後、執務室―

禊「えっ、福引で一等惹いたんですか!?しかも一回で!?」

瑞理「そうそう。どんなもんだね」

禊「すごいです!流石は最強の雪風提督ですね!それで、景品は何だったんですか?」

瑞理「山梨の温泉旅館ペア宿泊券」

禊「へえー……それで、瑞理さんは誰と一緒に行くんですか?」

瑞理「え、何言ってんの?」

禊「え?」

瑞理「君が、明石ちゃんと、2人で、行くに決まってんじゃん」

禊「……………………………………ええええええええええええ!!?」

瑞理「」キーン

禊「ななな、何言ってんですか!?無理ですってそんな事!」

瑞理「はぁ、これだから………」

禊「無理ですよそんな……2人で旅行とか……」

瑞理「僕が何のために、福引で最強の雪風提督の力を使ってまで一等を引いたと思ってるの?」

禊「俺の為だったんですか!?」

瑞理「そうだよ。だって2人ともバレンタインからまるっきり進展が無くて、見ててまだるっこしく感じてたんだもの」

禊「それは………」

瑞理「そんな2人にチャンスを与えようかと」

禊「むぅ……でも、明石さんが一緒に来てくれるかなんて……」

瑞理「まずは誘ってみなって。それで、多分明石ちゃんは受けると思うよ」

禊「どうしてですか?」

瑞理「さあね?」

865: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 21:22:54.17 ID:5T7K2ISq0
 ―18時過ぎ、工廠―

明石「あ、禊君……。ずいぶん遅かったね、何かあったの?」

禊「い、いえ…別に…」

明石「ふ~ん?」

禊(明石さんも別に、バレンタインの時から何も変わっていないみたいだし……やっぱりあのチョコって、義理なのかな)

明石(普通に話すだけでもう限界!あー…恋をすると世界が変わるってホントだったのか~…!///)

禊「あ、あの……明石さん」

明石「な、何?//」

禊「ええと…その、折り入って頼みがあるというか……」

明石「?」

禊「それが、ですね……瑞理さんから、その……」

明石「提督から、何?」

禊「……温泉旅行のペアチケット、いただきまして……」

明石「……えっ」

禊「よろしければ……ご一緒に……」

明石「!!///」

禊「な、なんて、ご迷惑でしたよね…。あはは、すみません、忘れて―」

明石「待って!」

禊「は、はいっ!」

明石「……その、いいよ//」

禊「へ?」

明石「一緒に、温泉旅行……行こ?///」

禊「!!はっ、はい!」

禊(マジか!?)

明石(あああああああああああああ……恥ずかしいいいいい!)

866: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 21:32:19.09 ID:5T7K2ISq0
 ―20時過ぎ、執務室―

瑞理「ね?大丈夫だったでしょ?」

禊「は、はい………いや、しかしやってしまった………」

瑞理「何を?」

禊「一緒に温泉旅行なんて……もはやカップルのする事じゃないですか……!!」

瑞理「いや、君たちのいままでの行動カップルに見えるよ?しかも、バカップルの類の」

禊「そ、それに泊りがけでしょ!?その、だから………」

瑞理「?」

禊「理性……保つかなって………」

瑞理「何言ってるのこのヘタレが!っていうか、いい加減男ならびしっと決めろ!」

禊「えええっ!?」

瑞理「いいかい…もし今回の旅行で告白とか進展が無かったら、君の給料30%ダウンね」

禊「そんな横暴な!!」

瑞理「それぐらいの覚悟を持って行くんだ。それじゃなきゃ男が廃るってものだよ」

禊「うう………」


 ―数日後7時前、第壱拾参鎮守府正門―

瑞理「じゃ、行ってらっしゃい」

夕張「明石さん、留守中は私が頑張りますから、お休みをごゆっくり満喫してきてください!」

明石「う、うん。お願いね……」

禊「では、行ってきます………」


瑞理「さーってと、禊君は男を見せられるかな?」

夕張「どうでしょうねぇ…。禊さん初心ですから……ところで、ついていったりしないんですか?」

瑞理「まさか。僕は他人の恋路を邪魔する趣味は持ち合わせていないからねぇ」

夕張「あー、それにしても温泉か~。私も行きたかったな~」

瑞理「君がいないと工廠が完全に機能停止しちゃうから…」

867: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 21:38:25.14 ID:5T7K2ISq0
 ―8時過ぎ、道中列車内―

ガタン、ゴトン

禊「い、いやぁ……まさか、温泉旅行に行けるなんて、思いもしませんでしたよ~……」

明石「そ、そうだね…。あー、提督には感謝しないとね~」

禊「ほ、ホントですねぇ……あははは……」

禊(滅茶苦茶気まずいぞ!そりゃ、あんな変な誘い方したら絶対怪しいと思われるわ!ああああ………)

コツン

禊「?」

明石「すぅ………すぅ………」

禊「あ、明石さ―//」

明石「み、そぎ……くん………」

禊「………いつも仕事で、疲れちゃってたのかな………」

禊「……お疲れ様です」ナデナデ

明石「んんぅ………」モゾモゾ


 ―数時間後―

明石「ふぁ………」モゾッ

禊「あ、起きました?」

明石「あれ、私……あっ!」

禊「え?」

明石「ご、ゴメン!寄りかかっちゃって!」

禊「いえ、別に大丈夫ですよ」

明石「ゴメンね、ホントに…。重くなかった?あ、涎とかない!?」

禊「いえいえ、大丈夫ですって。重くありませんでしたし、寝顔可愛かったですし」

明石「…………………そ、そう」

禊(あれ?)

868: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 21:45:27.02 ID:5T7K2ISq0
 ―数十分後、駅―

禊「さて、ようやく着きましたねぇ」

明石「そ、そうだね……///」

禊「?明石さん、大丈夫ですか?」

明石「い、イヤ何でもない!」

禊「疲れているようでしたら、一回どこかで休んで…」

明石「だ、大丈夫!大丈夫だから、早く旅館へ行こう!」

禊「は、はい………」

禊(急にどうしたんだろう?吹っ切れたのかな?)


 ―さらに数十分後、旅館玄関―

禊「いやー…やっと着いた……」コキコキ

明石「はー…随分立派な旅館だねぇ~……」

従業員「いらっしゃいませ。ご予約の方でしょうか?」

禊「あ、はい。予約した禊と言います」

従業員「お待ちしておりました、禊様」チラッ

明石「?」

従業員「……もしや、ご夫婦でしょうか?」

禊&明石「ちっ、違います!!」

従業員「おや、失礼しました…。お2人とも、仲が良さそうでしたので………」

禊「あはは…そんなんじゃありませんってぇ~……」

明石「そ、そうですよぉ……」


 ―客室―

従業員「では、ごゆっくり…」パタン

禊「いやー、結構広い部屋ですねぇ」

明石「そうだね…。私たち2人じゃ、ちょっと広いかも…?」

禊「これで2人用っていうんですから、驚きですよね~」

869: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 21:54:46.60 ID:5T7K2ISq0
禊「さて、どうしましょうか?市街地の方へ行っていろいろ見ますか?それと、旅館で少し休みますか?」

明石「うーん……。明日はあまり時間もかけずに帰りたいし、今はまだ昼前だし、市街地へ降りよ?」

禊「分かりました」

明石「エスコートは、任せたよ?」

禊「…は、はい!///」


 準備をした後2人は市街地へ降りて、料理店で昼食を食べた後、街を歩いて観光を楽しんだ。たまに史跡を見たり、土産物店を覗いて鎮守府の皆へのお土産を

一緒に選んだり……。

 そして旅館へ戻るころには、18時を過ぎていた。


 ―18時過ぎ、客室―

禊「いや~…意外と時間かかっちゃいましたね……」

明石「そうだねぇ。でも、お土産も買えたし、写真もいっぱい撮れたしよかった~」

禊「明石さんがスイーツ食べたいって駄々をこねてなければ……」

明石「い、いいじゃない!美味しそうだったんだもの!」

ガララッ

従業員「失礼いたします」

禊「あ、はい」

従業員「お食事の準備ができましたので、ご案内させていただきます」

禊「あ、もうそんな時間ですか…分かりました」

従業員「では、こちらへどうぞ」


従業員「市街地の方では、お楽しみいただけましたか?」

禊「ええ、お土産も買う事ができまして…」

明石「スイーツもおいしかったです」

従業員「それはよかった…。何分、今は戦争中で…皆さんどこか沈んでおられましたから…」

明石「あ……」

870: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:01:56.20 ID:5T7K2ISq0
従業員「ですから、お客様に楽しんでいただければ、私達はそれで嬉しいんです」

禊「…………………」


 ―数分後、食事処―

禊「…美味しいですね」

明石「そうだね~。間宮さんや鳳翔さんの料理に引けを取らないくらい!」

禊「いえ、あの2人と比較するのはまた違うと思いますけど…」

禊(それにしても…)クルッ

瑞理『今はオフシーズンだから人も少ないし、気兼ねなく楽しめると思うよ~』

禊(確かに今はオフシーズンなんだろうけど、やっぱり戦争中って事もあるから、輪を掛けて少ないなぁ…)

明石「?禊君、どうかしたの?」

禊「え、いや、別になんでもないですよ?」

明石「?」


 ―20時前、客室―

明石「あー、お腹いっぱいだね~」

禊「そうですねぇ……」

明石「でも………」

禊「?」

明石「今は戦争中っていうのを聞いて、私達は改めて、最前線で戦ってるんだって思い出した……」

禊「あ………」

明石「私達、本当は鎮守府で皆と共に戦うべきだっていうのに…今ここにいて………」

禊「いえ、明石さん」

明石「?」

禊「今日だけは、戦いの事を忘れちゃっていいんですよ。戦いにだけ身を任せているといつか、今日みたいな平和な日を過ごす事ができなくなってしまいます」

明石「………」

871: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:11:16.54 ID:5T7K2ISq0
禊「戦争が終わって平和になっても、今日みたいな日を思い出す事ができなければ戦いから抜け出す事ができなくなります…。ですから、今日みたいな平和な

  日も過ごした方がいいんです」

明石「……そうだね。うん」

禊「では、この話はおしまいにしましょう」

明石「…じゃ、温泉に入ろうか。今回の旅行の目玉」

禊「あ、そう言えばそうでしたね…。なんか、市街地散策で目的達成しちゃった雰囲気になってましたからね…」

明石「あはは。確かにあれも楽しかったね~」


 ―数分後、温泉前―

禊「じゃあ、一時間後にまた部屋で」

明石「うん、分かった。それじゃあ」

禊「はい」

禊(混浴じゃなくてよかった………。いや、よかったのか…?)

明石(混浴じゃなくてよかった~………。あれ、よかったのかなぁ…?)


 ―浴場、男湯―

禊「はー……」ザバー

禊「なんか、鎮守府だとあまり広くない風呂だったから、なんかこう言うの新鮮だな~……」

禊「ぶあー……結構色々な種類あるな~……」


 ―同時刻、女湯―

明石「………………」チャプ

明石(いけない……どうしても、禊君の事が頭から離れない……///)

明石(これったやっぱり……恋なんだよねえぇ………)

明石(ああ、この想い……どうすればいいんだろう……)

872: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:18:51.13 ID:5T7K2ISq0
 ―21時過ぎ、客室―

禊「やばいやばい……ちょっと入り過ぎた……」ガラガラッ

禊「すみません!遅れてしまいました!」


明石「あ、ううん?私も今上がってきたところだから…」←浴衣


禊「……!!」

明石「?禊君、どうかしたの?」

禊「…浴衣姿の明石さん、すごい綺麗です」

明石「うええっ!?そ、そう……………あ、ありがとうね///」

禊「そ、それで明石さんは、何を?」

明石「え、ああ、うん。その、星をね………」

禊「星?」スタスタ

禊「うわっ……すごくきれいですね………」

明石「でしょ?山の中腹あたりだから、空気が綺麗なんだよね~」

禊「すごい……鎮守府でもこんなに澄んではいませんでしたもんね………」

明石「本当だよね……ああ、見とれちゃうね……」

禊「そうですね……」

明石「……えっと、さ。禊君」

禊「はい?」

明石「ちょっと、変なこと聞いちゃうけど……///」

禊「なんでしょうか?」


明石「私と、この満点の星空…。どっちが綺麗?」


禊「………えっ、ええっ!?い、いきなり何を…………///」

明石「…お願い、正直に答えて///」

禊「あ、はい………」

明石「……………………///」ドキドキドキドキドキ

873: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:29:31.01 ID:5T7K2ISq0



禊「…明石さんの方が、断然……ずっと……綺麗です///」


明石「!!」

禊「………うああああ………恥ずかしいいいいいいいいいいいいい………!///」

明石「…………//////」

禊「いや、本当にすみません!なんだか、気持ち悪い事言っちゃって…!機嫌を損ねてしまったんでしたら、本当にすみませんでした!」

明石「…………//////」

禊「え、ええっと……明石さん?」

明石「……ありがとう。すごい、嬉しいよ///」ニコッ

禊「え、ああ…どうも………///」

明石「………ねえ、禊君」

禊「はっ、はい?」

明石「禊君が私達の鎮守府に来てから、もうだいぶ経つよね………」

禊「えっ、ああ~…そう、ですね。大体、5カ月ぐらい…ですか?」

明石「そうだね。大体そのくらい。それで、私と一緒に仕事をしてきたよね……」

禊「…はい」

明石「…そうして仕事をしてるうちにね、君の事が色々分かったよ」

禊「?」

明石「君は、私達艦娘の事を人間と差別せず優しく接してくれて、私の事を気遣ってくれて、さっきみたいに私の事を綺麗って言ってくれて………」

禊「………」

明石「私、そんな事を言われたの、提督のほかには貴方が初めて」

禊「………明石さん」

明石「禊君……私ね………」

禊「………はい」

874: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:30:35.92 ID:5T7K2ISq0





明石「………君の事が、好き。…………………大好き///」





875: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:36:31.68 ID:5T7K2ISq0
禊「……………………」

明石「君の答え……聞かせて下さい///」

禊「……………………」

明石「…禊君?」

禊(えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?)

禊(嘘、今、マジで、え、えええ!?)

明石「禊くーん?」

禊「明石さん!?」

明石「はっ、はい!」

禊「いま、何とおっしゃいましたか?」

明石「……だから、君の事が…………だ、大好き……です///」

禊(ウソだろマジか)

明石「で、君の答えは………?」

禊「…………明石さん」

明石「……はい」

禊「俺は、明石さんの言う通り、5カ月ほど前から一緒に工廠で仕事をしてきました」

明石「……うん」

禊「そこで、俺は明石さんの色々な面を見てきました」

明石「……面?」

禊「皆の為に努力を惜しまず、また一方で俺みたいなやつの面倒をしっかり見てくれて、料理も得意で、笑顔も可愛くて……」

明石「かっ、かわっ……///」

禊「……それで、つまりですね……」

明石「………………………………」

876: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:37:31.57 ID:5T7K2ISq0





禊「俺も、明石さんの事が好きです!………愛しています!」





877: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:43:04.56 ID:5T7K2ISq0
明石「………!///」

禊「これが………俺の答え、です」

明石「………」グスッ

禊「あ、明石さん?」

明石「…よかった……」グスッ

禊「え、明石さん…?」

明石「……………………私が君の事を好きっていえたのも、君が私の事を好きだって言ってくれたのも……まとめてうれしくて……!」

禊「………明石さん」

明石「私……すごく、嬉しい……っ!」ギュッ

禊「明石さん………!」ギュッ

明石「いいよ……私、君となら……これからも……ずっと!」

禊「明石さん……」グイッ

明石「あっ…………………」


チュッ


明石「んっ………」

禊「……告白は、俺からできませんでしたから………ね」

明石「……そっか。ふふっ………じゃあ………///」スルッ

禊「なっ……あ、ああ……」

明石「夜戦の方は、私から………ね♪///」パサッ

禊「~~~~~~~~!!!///」

879: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:49:23.17 ID:5T7K2ISq0
 ―翌朝6時過ぎ―

禊「………………」ムクッ

明石「……おはよ」

禊「………昨夜は………その………」

明石「初めてだったって割には、気持ちよかったよ♪///」

禊「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」ブンブンブン

明石「私達……1つに慣れたんだよね………」

禊「……はい」

明石「あ、でも一つ思ったんだけど…………」

禊「はい?」

明石「……整備員と艦娘の婚姻て、認められてたっけ」

禊「こん…っ!!」

明石「あれ、しないの…?」ウルッ

禊「そりゃ……しますけど………」

明石「ふふっ。でも、鎮守府の人間とはいえ、整備員と艦娘の結婚はおろか恋愛って、前例がないから、認められるか………」

禊「…どうでしょうね……。あの、斑さんが認めてくれるかどうか、分からないですもんね……」

明石「ま、あれこれ考えるよりも、まず起きよう」ガバッ

禊「……あの、もうちょっと恥じらいを……///」

明石「もう…夜戦までしたんだから、別に恥ずかしがらなくても…」

禊「うああああああ………俺は気にするんですっ!」


 ―帰りの列車内―

ガタン、ゴトン

禊「…絶対、瑞理さんから根掘り葉掘り聞かれますよね」

明石「うん……でも、正直に話した方がいいよ。じゃなきゃ、面倒な事になる気がするから」

880: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/05(土) 22:55:05.17 ID:5T7K2ISq0
 ―15時過ぎ、第壱拾参鎮守府・執務室―

瑞理「いやぁ~、まさかキミたちがそこまで進展するとは思わなかったよ~」

禊&明石「…………///」

瑞理「で、これからはどうするの?結婚するの?ガチの方」

禊「……俺は、したいと思っています///」

明石「私も……///」

瑞理「まあ、僕は反対しないよ。ただ、それはなるべく戦争が終わってからにしてほしいし、それに総司令部のあの冷血男が許すかどうかだけど」

禊「やっぱりそれがネックですよね……」


 ―数日後14時前、第壱鎮守府・執務室―

提督「別に構いませんよ?」

禊&明石&瑞理「えっ」

提督「確かに、整備員と艦娘の結婚という前例はありません。ですから、お2人にその第一歩を飾っていただきたいのです。それに、お2人の熱愛っぷりを見て

   無残に引き裂くなんてことはできませんから」

明石「そ、それじゃ……!」

提督「はい、おめでとうございます」

禊「やった……やりましたよ、明石さん!」

明石「うん、やったね!私、幸せ~!」

提督「まあ、それには深海棲艦との戦争を終わらせなければなりませんがね」

瑞理「そう、そうだよね」



瑞理「さてと、お2人の仲が良いうちに頑張らなきゃね」


【終わり】

889: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 21:17:55.25 ID:v/VefRAf0
【つっけんどん】

 ―14時前、執務室付近―

満潮「まったく……長良先輩ってば…」

長良『筋肉痛で動けない……悪いけど代わりに報告書出してきて~…』

満潮「何のために毎日トレーニングしてんのかしら……」

ワイワイ

満潮「?」


提督『確かに、整備員と艦娘の結婚という前例はありません。ですから、お2人にその第一歩を飾っていただきたいのです。それに、お2人の熱愛っぷりを見て

   無残に引き裂くなんてことはできませんから』

明石『そ、それじゃ……』

提督『はい、おめでとうございます』

禊『やった……やりましたよ、明石さん!』

明石『うん、やったね!私、幸せ~!』


満潮「?何の話をしてんのかしら……」


 ―数分後―

提督「ああ、あれですか。第壱拾参鎮守府の整備員の方と明石さんが、婚約なさるという事でその相談に」

満潮「こ、婚約!?それって、ガチの方!?」

提督「ええ」

満潮「ふ、ふーん……。で、あんたはそれを認めちゃっていいの?」

提督「認めざるを得ないでしょう。あんなにお互い愛し合っているというのに、『前例がないからダメです』なんて言葉で切り捨てるわけにもいかないですし。

   前例がないからこそ、あの2人には前例になってもらいたいと思ったのです」

満潮「結局、前例が欲しかったから?祝おうって気はなかったの?」

提督「ないわけがないでしょう。私はそこまで冷酷ではありません」

満潮「冷酷って自覚はあるのね…」

提督「ありますよ」

満潮「……………………ねぇ」

提督「なんでしょうか?」

890: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 21:23:39.98 ID:v/VefRAf0
満潮「あんたはさ、その、結婚する気とかあるの?」

提督「それはカッコカリの方ですか?それとも、カッコガチの方ですか?」

満潮「……両方よ」

提督「そうですねぇ……。まあ、カッコカリする気は今のところありますが……」

満潮「っ」

提督「カッコガチの方は、まだ考えてはいませんね」

満潮「………あっそう」

提督「して、満潮さんがそんな事を聞くとは…珍しいですねぇ。どうかしたんですか?」

満潮「べっ、別に!ただの興味本位よ、興味本位!ほら、さっき整備員と艦娘がケッコンカッコガチするっていうから!それでなんとなくね!」

提督「………まあ、そういうことにしておきます」

満潮「むきー!」


 ―数日後11時過ぎ、執務室―

提督「さて、そろそろ寮の巡視に向かいますか………」チラッ

提督「雨が降ってきそうですし、早めに行ってしまおう」ガタッ


 ―数分後、通用口―

ザー、ザー

提督「……まさか、この数分でここまで降るとは……」

提督「仕方がない、傘を取りに帰ろう」

??「あっ、司令官……」

提督「?」クルッ

891: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 21:30:15.89 ID:v/VefRAf0
満潮「……何してんの」

提督「これから駆逐艦寮へ巡視に向かおうとしたんですが、雨が突然降ってきましたので傘を取りに戻ろうと」

満潮「……そ」

提督「では」スタスタ

満潮「ま、待ちなさいよ!」

提督「?」ピタッ

満潮「その…さ。私、今傘持ってるし、駆逐艦寮に戻るところだからさ……」スッ

提督「………」

満潮「は、入っていきなさいよ!」グイッ

提督「……満潮さんの背では、背伸びをしなければならないでしょう」スッ

満潮「なっ、ちっちゃくないし!」

提督「私が差します。行きましょう」バサッ

満潮「………ん」

提督「しかし、最近満潮さんは妙に丸くなったと言いますか………どういう心境の変化です?」

満潮「……あんたには、分かんないわよ」


 ―同時刻、廊下の窓―

司令長官「んー?満潮君、黎明君にやけに積極的だねぇ」

荒潮「そうねぇ。満潮ちゃんも、やーっと優しくなれたって事ねぇ~」

司令長官(ただ…このまま黎明君と満潮君がゴールインすると、Sが2人に増えて余計に儂の風当たりが悪くなるんだよなぁ~…)


【終わり】

893: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 21:44:05.43 ID:v/VefRAf0
【どことなくたこ焼に見えるアレ】

 ―15時過ぎ、北方AL海域・Fマス(北方AL泊地)―

北方棲姫「カエレッ!」バシュッ

ドッゴオオオン

翔鶴「きゃああっ!?」中破

瑞鶴「翔鶴姉!この…っ!」

護衛要塞「ギシシシッ!」ドゥーン

バゴォ

瑞鶴「あっ…!?あいつ!」中破

 俺の配属されている場所は、北方AL海域。特別海域(エクストラオペレーション)だ。菱餅やら秋刀魚やらで、ここに来た人も大勢いるだろう。

その北方AL海域の、北方AL泊地が、俺のテリトリーだ。いや、‶俺の‶テリトリーってわけじゃないか。

北方棲姫「護衛要塞、お疲れさま」

護衛要塞「いえ、これしきのこと」

 この人は俺の直属の上司にあたる、北方棲姫。深海棲艦の中でも上層部に位置する、姫級の1人だ。見た目は完全にロリ……子供だが、侮るなかれ。彼女の

能力はそんじょそこらの深海棲艦とはまるで違う。戦艦タ級なんて目じゃないくらいだ。

 ただ……

北方棲姫「うーん……戦ったらお腹減った……たこ焼、食べさせて」

護衛要塞「だ・か・ら!俺は護衛要塞でたこ焼じゃありません!そんで俺は食えませんから!」

北方棲姫「またまた、そんな事言って。知ってるぞ、護衛要塞の中にはタネとたこ焼が入ってるんでしょ?」

護衛要塞「生々しいわ!」

 こんな感じでどこか抜けている。というか、俺の事をたこ焼と言うのはもう何度目かもわからない。

 ちなみに、俺は一度艦娘達に食べられ…鹵獲されかかった事がある。なんか、赤い袴の空母艦娘で………トラウマが蘇ってきた。思い出すのはよそう。

894: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 21:56:02.03 ID:v/VefRAf0
 ―19時過ぎ、深海棲艦本拠地―

北方棲姫「ただいまー!」バァーン

護衛要塞「ただいま戻りました」

泊地水鬼「あ、お帰りなさい……遅かったですね」

護衛要塞「いや~、定時間際で艦隊が攻めて来ましてね~………」

 ここが深海棲艦の本拠地。俺たち深海棲艦は夜になると持ち場(海域)を離れてここに戻ってくる。と言っても、海域を留守にしているわけじゃない。

それなりに腕利きの奴を残しているんだ。たとえば、今俺たちのいた北方AL海域には空母ヲ級改Flagshipと戦艦ル級改Flagshipがいる。

北方棲姫「今日の夕飯何ー?」

泊地水鬼「あ、今日はハンバーグです…」

北方棲姫「やったー!ほっぽ、ハンバーグ大好き!」

泊地水鬼「そう…よかったです」

 この人は泊地水鬼さん。去年の春に初陣を飾ったものの、その後の扱いがひどくてとても可哀そうな人だ。うん、正直同情せざるを得ないくらい。本拠地じゃ

もっぱら家事や炊事を担当している。料理は結構美味い。ウチの提督の事を好きみたいだ。

港湾棲姫「あら、ほっぽ…。お帰りなさい」

北方棲姫「ただいま!敵、いっぱいやっつけた!」

港湾棲姫「そう…偉いわね」ナデナデ

 この人は港湾棲姫さん。北方棲姫さんの姉貴分で、面倒見がとてもいい。普段は西方海域の特別海域で海域封鎖を担当している。ごくたまーに、俺がこの人の

所へ出張する事もある。この人も家事が上手だ。しかし、あの手の構造はどうなっているのかいまだに謎。

ガチャッ

護衛要塞「?」クルッ

泊地水鬼「あっ……///」パァッ

895: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 22:09:19.67 ID:v/VefRAf0
深海提督「おー、ほっぽちゃんに護衛要塞。戻ってたのか」

護衛要塞「お疲れ様です。提督」

北方棲姫「ていとく!ただいま!」

深海提督「おー、お帰り」ナデナデ

 この人が俺たちの司令官だ。本名は分からない。普段からこの本拠地にいて、デスクワークとかを主な仕事にしている。だから、俺たちの持ち場へ来ることは

ほとんどない。せいぜい、月に1回ぐらいだ。あれ、それってほとんどじゃ無くね?

深海提督「北方棲姫ものお守も大変だろう?」

護衛要塞「ええ、本当大変ですよ……。今日も勝手に西方海域の港湾棲姫さんの所へ行こうとしたり……」

深海提督「…ま、子供のお守なんて人間誰でも経験するようなもんだ。今のうちに慣れておけ」

護衛要塞「……はい」

 この人は、俺と同じ男って事で、気が合う。というかぶっちゃけ、俺と深海提督ぐらいしか男がいない。レ級はオレっ娘だけど、スタイルは女性だから、

ノーカウント。イ級とかにも男(雄)がいるらしいが、見分けがつかないからこれも除外。

 それと、この深海提督は、地上世界で普通の人間として過ごしていたが、過去のとある事情で世間から見捨てられたらしい。それで、人間に復讐するために

深海棲艦を率いる提督となったそうだ。家族や人の温もりを知らなくても本当は良い人だからか、俺たち深海棲艦とは簡単に打ち解ける事ができた。だから、

良い人な分この人の悲しみは相当なものだと思う。俺も、この人の過去を聞いた時は憤りを覚えざるを得なかった。

 ただ………………。

護衛要塞「本拠地も大変でしょう?」

深海提督「いやぁ、別にデスクワークは問題じゃないのさ。ただ、別の方のがな………」

護衛要塞「……………………」

 ああ、このパターンだ。

深海提督「さっき執務室で書類書いてたら、空母棲姫が入ってきたんだ。そしたら突然俺の目の前に腰かけてきて、体をしならせて胸を無駄に強調してな、

     『息抜きに、一戦どう…?』って誘惑してきたんだわ」

護衛要塞「………………へー」

深海提督「それで結局集中できなくて追い出した。まったく、人が仕事してるのを面白がりやがって………」

896: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 22:20:12.72 ID:v/VefRAf0
深海提督「後な、南方棲戦鬼が外から帰ってきた時にな。服が戦闘でボロボロになったからって俺の目の前で脱ぎだしたんだよ。当然直視なんてできるわけが

     無いから服を渡そうとしたら間違って、ちょうどそこを通りかかった駆逐棲姫の胸に触っちまって『……変態』って目で見下された」

護衛要塞「…………………」

深海提督「いやぁ、ついてないのなんのて…………」

ガブゥ

深海提督「いっぎゃああああああああああああああああああああ!!!右手があああああああああああ!!」

 こんな感じでラッキー   を何度も何度も疲れたように話してくる。同じ男として、ムカつく事この上ない。

 今、『え、お前 欲あるの?』って思った人がいるかもしれない。確かに俺は人外だが、ちゃんと人間の三大欲求はある。だから腹は減るし、眠くもなるし、

女性を見て欲 する事だってある。しかし、 欲に関しては発散する手段が敵と戦う事と、他の人と違う。って、俺は何を力説してるんだ。

泊地水鬼「ほら2人とも…。喧嘩はいけませんよ…。そんな時はほら、ご飯を食べて落ち着きましょう?」

深海提督「いでででででででで!ほら、聞いた通りだから!飯食って落ち着け!」

護衛要塞「ちっ」パッ

 今回は、泊地水鬼さんのメシに免じて許してやろう。

泊地水鬼「では今日も、いただきます」

皆『いただきまーす!』


 ―数十分後、提督用浴場―

深海提督「はー………」

護衛要塞「俺まですみませんね……入れてもらっちゃって…」

深海提督「いいっていいって。あー、にしても今日も疲れたなぁ………」

護衛要塞「お疲れ様です。やっぱり、大変ですか。デスクワークも、皆とのかかわりも」

深海提督「確かに、大変だなぁ」

護衛要塞「…そうですか」

897: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 22:28:16.17 ID:v/VefRAf0
深海提督「でも……楽しいよ」

護衛要塞「?」

深海提督「……地上世界で、『無理心中をした夫婦の息子』ってレッテルを張られて、世間から見放されながらも生きていた時と比べたら、ずっとな」

護衛要塞「……なんだか、すみませんでした」

深海提督「いや、お前が謝る事じゃないさ。それに、風呂場でそんな辛気臭い話をした俺の方が悪かった。風呂はやっぱり、楽しく入るものだよな」

護衛要塞「そ、そうですよね~」

ガラッ

装甲空母姫「そうよ。だから…」←すっぽんぽん

戦艦レ級「一緒に入って楽しもーぜ!」←すっぽんぽん

空母ヲ級改Flagship「オ背中流シマス、提督!」←すっぽんぽん

深海提督&護衛要塞「カエレッ!!」


 ―23時過ぎ、港湾棲姫&北方棲姫&護衛要塞の部屋―

 夜寝る場所は、港湾棲姫さんと北方棲姫と一緒だ。俺は、北方棲姫のベッドの上で一緒に寝る。別に添い寝するわけではなく、布団の上に寝るだけだ。

深い意味はない。

 とまあ、大体こんな感じだ。俺の事…とはあまり関係のないことを結構話しちゃったかもしれないが、どうだろうか。俺たち深海棲艦の事が少しだけでも、

分かってくれただろうか。分かってくれたなら、幸いだ。

 それじゃ、な。

北方棲姫「おやすみ、おねーちゃん!」

港湾棲姫「はい、お休みね」

北方棲姫「おやすみ、たこ焼き!」

護衛要塞「たこ焼じゃねぇ!護衛要塞だ!」

 後頼むから、俺の事は護衛要塞と呼んでくれ。たこ焼は止めろ。気分が悪い。


【終わり】

898: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/09(水) 22:31:48.38 ID:v/VefRAf0
【キャラクター紹介】

≪満潮≫

朝潮型駆逐艦三番艦。艦娘No.87。お団子頭の茶髪と、小学生のようなスタイルの服装が特徴の、きつめな性格な女の子。つっけんどんな物言いをし、提督にも

遠慮なくバッサリとモノをいう。着任した当初から口が悪かったが、今は大分丸くなっている模様。また、結婚についての話を聞いた後になって、提督に対して

少しデレるようになる。西村艦隊の時雨、扶桑などとは今でも付き合いがある。同じく口が悪い霞、曙とは気がある。

好きな言葉は『綺麗な薔薇には棘がある』。

913: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/10(木) 21:18:42.82 ID:0kgc0F3V0
【別ベクトルのおかん】

 ―6時過ぎ、執務室―

コンコン

提督「どうぞ」

ガチャ

妙高「おはようございます、提督」

提督「妙高さん、おはようございます」

妙高「本日は、秘書艦の仕事を務めさせていただきます。よろしくお願いしますね」

提督「はい、お願いします。………ふぁ」

妙高「提督?」

提督「あ、すみません。ここ最近、徹夜が続いていまして…」

妙高「もう…いけませんよ提督?いくら私達艦娘を率いている立場上すぐに休めないとはいえ、体を壊してしまっては皆さんに示しがつきませんから…」

提督「ええ、これからは気を付けようと思います」

妙高「というか、仕事がそんなに多いというのであれば、私達に相談してくださればよかったのに……。提督は、何かと私達に迷惑を掛けようとはしないで、

   自分一人の力で全て片づけてしまうところが目立ちますから……」

提督「………」

妙高「いいですか?少しでもつらいと思うところがあったら、遠慮せず私達に相談してくださいね?私達は、いつでも提督の力になってあげますから。

   何でもかんでも自分一人で抱え込んじゃいけませんからね?」

提督「……分かりました」


 ―12時過ぎ、食堂―

提督「……というやり取りが朝あったわけですよ」

那智「ふむ、なるほどな…。まあ、妙高姉さんなら納得だな」

妙高「あら、私ってそんなに口うるさいかしら?」

那智「いや、口うるさいってわけではないが……よく説教をする、と言うイメージはあるな」

914: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/10(木) 21:32:57.74 ID:0kgc0F3V0
提督「その口ぶりだと、那智さんも説教を受けたのですか?」

那智「うむ…。あれはだな、数日前に我々妙高型姉妹で飲んでいた時の事だ……」


 ―数日前20時過ぎ、重巡洋艦寮・妙高&那智の部屋―

那智「うらー、羽黒ぉ~!もっと飲め~!飲まんか~///」

羽黒「ふぇうううう…もう飲めないですぅ………」

妙高「こら、那智。いくら自分が酒好きだからって、他人に酒を強要するんじゃありません」

那智「むおっ…そ、そうか……すまなかったな、羽黒」

妙高「大体、那智ったらほぼ毎日お酒ばっかり飲んでるじゃない。そんなに飲んでちゃ、体に悪いわよ?艦娘は病気になりにくい体だって言っても、健康のため

   に少しは控えなさい。女性としてどうかと思うわ」

那智「………はい」

妙高「足柄、貴女もよ?」

足柄「んにゃ?」

妙高「提督から聞いたわ。足柄ったら、戦場に行きたくて何度も何度も意見具申と懇願を繰り返しているって話じゃない」

足柄「んぐっ」

妙高「そりゃ、平和な世界を一刻も早く実現するために戦いたいという気持ちは分かるわ。でもね?戦いに明け暮れていたら、周りが見えなくなって仲間を、

   姉妹を失う事だってあるかもしれないわ……」

足柄「……………」

妙高「それに、そんなバトルジャンキーな女性なんて、世の男性が気に入るかもわからないし……」

足柄「ああっ!妙高姉さんがそんな話をするとは思わなかった!」

妙高「とにかく、よ。足柄はもう少しおしとやかに、静かに、控えめになった方がいいわ。足柄は、静かにしていれば美人って言われてるんだから……。あと、

   羽黒?」

羽黒「は、はい?」

妙高「貴女も、おどおどしてないで、もっと自分に自信を持ちなさい。貴女は芯はとても強い子なんだから…。なされるがまま、流されてばかりいてちゃ、

   いつか失敗しちゃいますからね?」

羽黒「わ、分かりました!」


那智「………と言った感じに」

妙高「那智ったら……恥ずかしいですわ」

提督「なるほど………どことなく、お母さんのような感じがしますね。鳳翔さんとは別のベクトルで」

足柄「それはあれよ提督、少し年を食ってるように見えるから、余計にお母さんみたいに見えて―」

妙高「あら、何か言ったかしら、足柄?」オオオオオオオ

足柄「な、なんでもないです」


【終わり】

922: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/11(金) 21:29:31.44 ID:hCbQPEbN0
【そういうお年頃】

 ―15時過ぎ、キス島沖・Hマス(敵キス島包囲艦隊)―

球磨「左舷に敵艦だクマ!」ズドドオン

バゴォ

軽巡ホ級Flagship「グボアッ!?」

球磨「………よし、敵艦、全艦沈黙を確認、クマ」

白露「すっごーい!FlagShipを2隻も沈めるなんて~!」

球磨「いやぁ、それほどでもないクマ。ワタシくらいの練度になれば、あれぐらい簡単だクマ」←練度51

村雨「おお~…もしかして、駆逐艦の私達でもそれぐらいの練度になれば、FlagShipも倒せるかも?」

球磨「できるクマ!」

五月雨「でもすごいな~。球磨先輩、あんなに敵の攻撃をヒュンヒュン避けて、敵に大ダメージを与えて!」

涼風「ああ、ホントだよな~!あたいも球磨先輩みたいにかっこよく戦いたいな~!」

球磨「ほらほら、おしゃべりはそのぐらいにして、そろそろ鎮守府へ戻る球磨。五月雨、提督への連絡は任せるクマよ」

五月雨「あ、はい!分かりました」


 ―18時前、執務室―

球磨「………以上で、報告は終わり球磨」

提督「お疲れさまでした。それでは、今回の報告書は明日のヒトハチマルマル(18時00分)までに提出してください」

球磨「了解したクマ」

提督「では、もう休んで構いませんよ」

球磨「分かったクマ…………………」

提督「………………」カリカリカリ

球磨「…………………」ジー

提督「?どうかなさいましたか?」

球磨「……あ、いや。なんでもないクマ。じゃ、失礼するクマ」

923: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/11(金) 21:41:59.14 ID:hCbQPEbN0
 ―20時過ぎ、軽巡洋艦寮・球磨&多摩の部屋―

球磨「むぅ~…………」

多摩「む?どうかしたのにゃ?」

球磨「あ、多摩…………」

多摩「駆逐艦の子たちから聞いたにゃ。キス島で大活躍したそうだにゃ」

球磨「そうかクマ………」

多摩「その割には嬉しそうじゃないにゃ。何でにゃ?」

球磨「……………」

多摩「ははぁ、さては、褒めてもらえなかったのがいけなかったのかにゃ?」

球磨「い、いや………褒めては貰ったクマ」

多摩「………もしや、提督に?」

球磨「……ワタシって、球磨型の長女クマ?だから立場上、提督に真っ向から褒めてって言えないクマ。だから、褒めてもらいたいって簡単には言えないクマ」

多摩「でも、駆逐艦の子たちからも褒めてもらったにゃ?」

球磨「いや、なんかこう………駆逐艦の子たちに褒めてもらうのと、提督に褒めてもらうのとはどこか違うクマ」

多摩「………でも、ビスマルクさんも提督に頭を撫でてもらったらしいにゃ?」

球磨「び、ビス子センパイがクマ!?それは驚きだクマ……」

多摩「だから、球磨も思い切って行ってみたらどうにゃ?」

球磨「………分かったクマ。言ってくるクマ!」ダダッ

多摩「………褒めてもらいたいお年頃なんだにゃ~……」

木曾「いや、多摩姉ちゃんも大体同い年だろ」


 ―数分後、執務室―

球磨「……え、外出?」

大淀「ええ、何か急用ができたとかで……」

球磨「……………………はぁ」ズーン


【終わり】

924: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/11(金) 22:00:48.00 ID:hCbQPEbN0
【水面下のスナイパー】

 ―13時半過ぎ、執務室―

提督「実は、中部海域の最初の海域を攻略するには、潜水艦が必要なんですよ」

伊168(以下イムヤ)「ふーん。で、どうして私達を呼んだの?」

提督「貴女達2人は、着任がハチさんやシオイさん、ゆーさんよりも早かったのと練度が比較的高いから、です」

伊58(以下ゴーヤ)「じゃあ今日は、その中部海域へ出撃するんでちか?」

提督「いえ、まだ貴女達の練度は高いと言っても攻略するには不十分すぎますので、本日はオリョール海で練度をあげてもらいます」

ゴーヤ「オリョール………嫌な響きでち」

提督「いや、うちの鎮守府はオリョールクルージングはやってませんよ」

イムヤ「でも、私達だけで出撃ってわけじゃないでしょ?」

提督「もちろんです。他の艦娘は、練度上げもかねてZaraさん、雲龍さん、扶桑さん、飛鷹さんです。なお、旗艦のZaraさんはまだ戦闘には不慣れですので、

   サポートの方もよろしくお願いします」

イムヤ&ゴーヤ「了解(でち)!」


 ―14時前―

Zara(以下ザラ)「それでは、ザラ率いる第一艦隊、東部オリョール海域へ練度向上のために出撃します!」

提督「はい。では、イムヤさんとゴーヤさんには伝えましたが、雲龍さん、扶桑さん、飛鷹さん。ザラさんは戦闘には不慣れですので、サポートの方を」

雲龍&扶桑&飛鷹「分かりました」

提督「では、出撃してください!」


 ―数十分後、東部オリョール海・Cマス(敵巡洋艦隊)―

ザラ「あ、あの~…………」

ゴーヤ「なんでちか?」

ザラ「あの、貴女達って、いつも泳いで移動してるの…?」

雲龍「ああ、貴女は潜水艦と組んで出撃するのは初めてよね?彼女たち潜水艦娘は、戦闘開始と同時に海中へもぐって、魚雷を発射するから、それまでの手間を

   削減するために、私達みたいに海面を移動するんじゃなくて泳いで移動するのよ」

ザラ「へ~………」

雲龍「それより、そろそろ会敵するわよ。準備なさい」

ザラ「は、はい!」

925: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/11(金) 22:09:36.25 ID:hCbQPEbN0
ザラ「あっ、電探に感あり!11時の方向、距離9000!重巡リ級1、雷巡チ級1、軽巡ト級elite1、軽巡へ級1、駆逐ロ級2!」

イムヤ「やっと出番ね!」ドプン

ゴーヤ「潜るでち!」ドボン

ザラ「わっ、ホントに潜った!」

雲龍「感心している場合じゃないわ。艦載機、発艦開始」バサッ

飛鷹「攻撃隊、発艦開始!」

バルルルルルルルル

ドッゴオオオオオン

雷巡チ級「グアアアア…」撃沈

軽巡へ級「ゴブァッ!」撃沈

ザラ「おおお!」

バシューーーーーーン

ザラ「え、魚雷航走音…?どこから―」

ズッドオオオオオン

駆逐ロ級「ガアアアアア…ッ」撃沈

軽巡ト級elite「グアアアアッ!?」撃沈

ザラ「うそっ!?どこから…!?」

雲龍「潜水艦の子たちよ」

ザラ「……今のが………」

イムヤ「やったね!」ザバッ

ゴーヤ「ぷはぁ!さすが、ゴーヤの魚雷さん!敵を倒してくれたでち!」

ザラ「わ~、すごいね~」

重巡リ級「オラァ!」ズドオオオン

ザラ「ぎゃ…っ!?」大破

雲龍「……戦闘以外の事に気を向けすぎね。次からは気をつけなさい」

駆逐ロ級「…………」ガシャン

ザラ「まず………っ」

926: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/11(金) 22:16:01.84 ID:hCbQPEbN0
ザザザザザ

駆逐ロ級「?」

イムヤ「私達が相手よ!」ザザザザ

ゴーヤ「やれるもんならやってみるでち!」ザザザザ

駆逐ロ級「!」バシュッ

ズドム

イムヤ「当たらないよ~!」

ゴーヤ「へたくそでち!」

雲龍「ああやって、潜水艦の子たちは軽巡や駆逐、軽空母の攻撃を自分に誘導させるの。でも、重巡とか戦艦とかは無理ね。あいつらは他の奴らより賢いから」

ザラ「へ、へ~………」

扶桑「すみません、準備が遅れてしまいました!主砲、うてぇ!」ズドーン

バゴオオオオオオン

重巡リ級「グオオオオオアアア………」撃沈

ザラ「私も………えーい!」ドーン

ボッゴウ

駆逐ロ級「グベエエエエエエ………」大破

ザラ「あ…」

雲龍「大丈夫よ」

ズドオオオオン

駆逐ロ級「!?」撃沈

ザラ「え!?」

ゴーヤ「必殺、魚雷投げでち!」

イムヤ「どーよ!」

ザラ「すごい………」


 ―帰投後、執務室―

提督「魚雷投げは危ないので、今後はしないようにしてください」

ゴーヤ「えーい………」

イムヤ「分かりましたぁ~………」

提督「あと、ザラさんはもっと集中してください。説明会でも言ったはずですが」ゴゴゴゴゴ

ザラ「は、はい………!(こ、怖い!)」


【終わり】

927: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/11(金) 22:24:08.89 ID:hCbQPEbN0
【キャラクター紹介】

≪伊58/ゴーヤ≫

巡潜乙型潜水艦改二三番艦。艦娘No.127。ピンクの髪と髪飾りとスク水セーラー服、‶でち‶という特徴的な語尾の元気な女の子。鎮守府での毎日を自由気ままに

過ごしており、暇な時は昼寝をしたり他の潜水艦娘達と遊んだり間宮さんのところへ行ったり、とにかく多趣味。実は地味に運が高いが、本人はそれをあまり

気にしていない。U-511と仲が良いが、‶でっち‶と呼ばれるのは嫌い。また、名前がゴーヤだからと言って野菜のゴーヤが好きなわけではない。

好きな言葉は『落花流水の情』。

933: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/12(土) 21:26:23.97 ID:hEF9tU430
【リズミカルワーキング】

 ―10時過ぎ、執務室―

提督「…………………」カリカリカリカリ

ガチャッ

利根「失礼するぞ、提督!」

提督「利根さんですか。何か御用ですか?」

利根「お主、暇そうじゃの?」

提督「この山積みの書類のどこを見てそんなセリフが言えるんですか?」

利根「すまんすまん。社交辞令みたいなもんじゃ。して、本当にその書類はどうしたのじゃ?普段より多い気がするが」

提督「昨日は望月さんが秘書艦でしたので、書類が滞っているんですよ。各鎮守府の陳情書、意見具申、決済……」バサバサ

利根「望月を秘書艦にしなければよかったのでは…」

提督「それだと望月さんが仕事を覚えないので…」

利根「…しかし、シャレにならん量だの。よし、我輩も手を貸すぞ」

提督「いえ、利根さんは今日は休みでしょう?」

利根「そんな事言っとる場合か。そんな量の書類をお主一人でやっておったら、倒れるやもしれん。見て放っておけるか」

提督「……すみません。今度間宮さんのスイーツを奢ります」

利根「俄然、やる気が出てきたのじゃ。さて、始めるかの」スッ

カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

提督&利根「…………………」

カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

提督「…………………」

利根「………………のう」

提督「何か?」

利根「音が無くて、寂しくないか…?」

提督「私はいつも、無音で仕事をしてますが?」

利根「じゃが、音が無いというのもどこか味気ない。BGMが欲しいところじゃ」

934: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/12(土) 21:40:42.67 ID:hEF9tU430
提督「それでしたら………ジュークボックスがありますが…」ガシャン

利根「ほう、いつの間に?」

提督「新しい家具のサンプルが欲しかったので…後、開発者の夕張さんが買えとうるさかったのです」

利根「家具を造っとるのもアイツだったのか……」

提督「それより、音楽は適当でよろしいですか?」

利根「構わんぞ!我輩はジャズでもクラシックでもいけるクチじゃ!」

提督「では」カシャン

~♪

利根「うむ、では仕事にとりかかろうか!」

提督「はい」

提督&利根「…………………」カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

利根「…………~~♪」カリカリカリカリ

提督「…………?」

利根「…………~~♪」カリカリ、タタン、タタン、カリカリ

提督「…………」

利根「~~~~♪」タンタンタン、カリッ、カリッ、ペッタンペッタン

提督「…………」

利根「~~~~~~♪」ベチベチ、カキカキ、タタンタタン

提督「……あの、利根さん」

利根「…………あ、スマン。なんじゃ?」

提督「音楽を聞きながら作業をする事に対しては私も文句はありません。ただ、音楽に気を取られて作業に身が入らないようでは本末転倒です」

利根「おっと、我輩としたことが!スマンかったのう」

提督「それにしても…利根さんは存外リズム感覚があるのですね」

利根「ううむ…別に習い事をしているわけではないのだが。自然と身に付いた」

提督「そのリズム感覚があれば、舞風さんや那珂さんと組む事ができるのでは?」

利根「じゃが我輩は、今時のちゃらちゃらした曲より演歌の方が…」

提督「あんたはじーさんか」


【終わり】

936: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/12(土) 22:04:40.41 ID:hEF9tU430
【空地】

 ―15時過ぎ、波止場―

翔鶴「は~、疲れたわね~」

瑞鶴「そうだね~…サーモン海域は敵はあまり強くないけど、ルーチンワーク的なところがあるからね…」

秋月「でも私は、練度をあげる事ができて、学ぶところの多いものでした!」

瑞鶴「秋月は本当に真面目ね~…」

翔鶴「こら、瑞鶴。それより、報告が終わったら間宮さんのところでおやつでも食べましょう?」

瑞鶴「やった~!」

秋月「よろしいんですか?」

翔鶴「いいのよこれくらい。たまには先輩らしいところ見せないとね♪」

秋月「いえ、翔鶴さんはもう十分先輩らしいところが!」

瑞鶴「あれ?それって私には先輩らしいところが無いって事かな…?」

秋月「いえいえ!そう言うわけでは…」

翔鶴「じゃあ、私は報告に行ってくるから、2人はちゃんと燃料と弾薬を補給するのよ~」

秋月「翔鶴先輩!逃げないで~!」


 ―15時半過ぎ、≪甘味処・間宮≫―

瑞鶴「う~ん、私はこのチョコパフェ!」

翔鶴「私はいちごパフェにしようかしら…」

瑞鶴「あっ、じゃあ半分こにしよ!」

翔鶴「ええ、いいわよ」

秋月「んん~…………私は、この羊羹に…」

瑞鶴「んもう…秋月ったらまたそんな質素なので……」

翔鶴「あまり遠慮しなくていいのよ?お金には余裕があるし…」

秋月「いえ、そういうわけではなくて…」

937: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/12(土) 22:18:06.73 ID:hEF9tU430
瑞鶴「あー、翔鶴姉。秋月はそう言うのを気にしてるんじゃなくて…」

翔鶴「へ?」

秋月「いえ、秋月はその…こういった今風の食べ物が口にしにくくて…」

瑞鶴「あーもう、これだよ。これだから秋月は……雲龍さんも同じだけど、そんなんじゃ皆に付いて行けないよ?」

秋月「いえ、戦闘能力では皆さんに付いて行けてますが…」

瑞鶴「だから、そう言うのじゃなくてね!」

翔鶴「すみませーん」

伊良湖「はい?ご注文はお決まりでしょうか?」

翔鶴「チョコレートパフェと、いちごパフェと、あとは…フルーツプリンをそれぞれ1つずつ!」

秋月「えっ………」

伊良湖「かしこまりました!チョコレートパフェ1つ、いちごパフェ1つ、フルーツプリン1つですね!少々お待ちくださーい」タタタ

秋月「え…翔鶴さん?」

翔鶴「慣れていないなら、今日から慣れていきましょうね」

瑞鶴「翔鶴姉…こういう時って強引なんだよね………」


 ―10分後―

伊良湖「お待たせしました~」カチャカチャ

翔鶴「ありがとうね」

瑞鶴「うわっ、美味しそ~」

伊良湖「ごゆっくりどうぞ~」

秋月「これは………」

翔鶴「貴女の分のプリンよ?食べなさいな」

秋月「…………いただきます」パクッ

938: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/12(土) 22:31:44.39 ID:hEF9tU430
秋月「!!!」カッ

瑞鶴「…………どう?」

秋月「美味しい…………美味しいです!」

翔鶴「でしょ?」

瑞鶴「ん~、このパフェもおいしい~♪あっ、翔鶴姉半分頂戴!」

翔鶴「はいはい。じゃあ瑞鶴のパフェも頂戴ね」

瑞鶴「うん!」

秋月「…………………」

翔鶴「じゃあ、秋月ちゃんに私のいちごパフェ少しあげるね」

秋月「えっ、悪いですよ!」

翔鶴「いいからいいから」

瑞鶴「それじゃ、私のチョコパフェもね」

秋月「あっ………」

翔鶴&瑞鶴「…………」ニコニコ

秋月「…………///」

秋月「………ありがとうございます」

翔鶴「今の食べ物を食べてると、こうやってお互いに食べさせ合ったり交換したりできるのよ?」

秋月「……………私、頑張ります。今の食べ物が食べられるように、頑張ります!」

翔鶴&瑞鶴「うん、頑張ってね」


 ―翌日、8時過ぎ―

提督「おや、秋月さんまだ起きてきていないんですか?」

照月「なんだか、お腹が痛いって………」

提督「ふむ………また誰か、私の許可なしに近代の食べ物を秋月さんに食べさせましたね」


【終わり】

946: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/13(日) 21:45:16.38 ID:jOyYWT1c0
【嗚呼、同志よ】

 ―14時半過ぎ、食堂―

提督「何かご不満・問題等はございませんか?」

鳳翔「いえ、特にはございませんよ」ニコ

提督「そうですか、分かりました。でも、何かありましたら遠慮なく仰ってください。ではこれで」ペコリ

鳳翔「はい、お疲れ様です」


提督「ふむ…食堂は問題無し、と」カリカリ

提督「後は………」

キャイキャイ

提督「?」チラッ


陸奥「あら、新しく発令された任務、完遂できなかったの?」

五月雨「そうなんですよ…普段は中枢艦隊の所へ行けたはずなのに…」

扶桑「羅針盤ってそういうところがあるわよね……補給艦を撃沈する任務を受けている時はなぜか中枢艦隊の所へ誘導されて、逆に中枢艦隊を撃滅する時は

   それ以外の所へ流されて………」

翔鶴「あら、扶桑さんも?私も同じような経験があるんです………」

ビスマルク「ほんとよねぇ。あれ、何とかならないのかしら?」

五月雨「実は一度、羅針盤に従わないで進軍したことがあるんですけど………」

レーベ「え、どうなったの?」

五月雨「…なぜか、艤装が急に爆発した」

陸奥「ばくっ………」ブルッ

山城「落ち着きなさい」

マックス「ふーん……結構愉快な事になったじゃない」

五月雨「ゆっ、愉快なんてもんじゃないよ!艤装が爆発したら思うように航行ができないし、スピードが思いっきり下がるし、敵に見つかったらどうしようも「

    ないし………」

陸奥「ばっ、ばっ、ばばばばば………」ガタガタガタガタ

大鳳「おっ、おっ、もちついて陸奥さん!大丈夫だよぉ~!?」

山城「貴女も大丈夫じゃないわよ」

947: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/13(日) 21:56:00.77 ID:jOyYWT1c0
翔鶴「あ~、でも楽しいわね…こうやって幸薄い人同士で楽しく話せるなんて………」

扶桑「そうね……五月雨ちゃんも加わったし、もっと楽しくなったわ…」

五月雨「いや、そんな私は……」

山城「姉さまに褒められるなんて、相当な事よ。誇りなさいな」

陸奥「山城のシスコンぷりも通常運転ねー」

ビスマルク「それにしても、ニホンの艦娘って運如きで一喜一憂するなんて…」

レーベ「あれ?でもビスマルクって最初『運が二桁ってなによぅ……』って凹んでたじゃないか」

マックス「ま、私達も同じような事になったけどね」

ビスマルク「ちょっ、それは言わない約束でしょ!」

大鳳「でも、同じ仲間がいるって素晴らしい事ですよね?五月雨ちゃん、またこうやってお話ししたくなったら遠慮なく言ってちょうだいね?」

五月雨「は、はい!ありがとうございます!」


 ―15時過ぎ、執務室―

提督「何の集まりかと思えば、運の低い艦娘の集まりでしたか」

五月雨「あはは…私もそばを通りかかったらなんだか引き留められちゃって……」

提督「……しかし、五月雨さんの運って、平均より少し低いぐらいでしたよね?別にそこまで低いわけでもないですし…」

五月雨「はい…。だから、どうして私が…?と思ったんですよ……」←運10

提督「ふむ……………」


五月雨『ふぇぇ、お茶こぼしちゃったよぉ~…』ビチャビチャ

五月雨『きゃ~っ!? 、   が見えちゃう…………』バサバサ

五月雨『いった~い……タンスの角に小指が………』ピクピク


提督「………シンパシー、でしょうか」

五月雨「へ?」


【終わり】

948: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/13(日) 22:09:18.58 ID:jOyYWT1c0
【本の虫】

 ―17時過ぎ、執務室―

コンコン

提督「はい」

伊8(以下ハチ)「失礼するね、提督」

提督「ハチさんですか。何か?」

ハチ「外出から帰ってきたから、それの帰還報告に」

提督「ああ、そうでしたね。休日は如何でしたか?」

ハチ「程よく休めましたよ」

提督「それはよかったです。ところで、外出許可証の目的に‶買い物‶とありますが、もしかして……」

ハチ「はい、本です」スッ

提督「やはりですか。ハチさんは本が好きですねぇ…」

ハチ「本はいいですよ。作者さんによって話の内容やキャラクターの魅力が違うし、飽きないですよ」

提督「そうですね、私もそれは同感です」

ハチ「提督も本を読むんですか?」

提督「はい。まあ私は、普通の小説や、ライトノベルや漫画も読みますがね。でも、ハチさんは違うんでしょう?」

ハチ「私は小説ばかりですね……」

提督「他の皆さんも、本を読まない方が増えているようですし、皆さんがハチさんのように本を読んでいただけると、読解力と語彙力が高まると思うのですが」

ハチ「それはそうかも。特に、天龍先輩とか島風ちゃんとかは、ね」

提督「それはそうですね」

ハチ「ふふっ」

ガチャッ

イムヤ「いやー、そうでもないよ?」

ハチ「あ、イムヤ」

949: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/13(日) 22:21:01.34 ID:jOyYWT1c0
提督「そうでもない、とは?」

イムヤ「皆がはっちゃんみたいに本を読むと、皆不真面目になっちゃうかも」

提督「……どういう事ですか?」

イムヤ「この前出撃した時にね……」


 ―数日前、バシー島沖・Dマス(敵運送船団)付近―

ザザザザザ

ハチ「ほう……こういう展開で来たか…」ペラッ、ペラッ

Italia(以下イタリア)「はっちゃん…?航行中に本を読むのは危ないよ?」

ハチ「大丈夫…ちゃんと前は見ているから…」

イタリア「でも……」

イムヤ「あー、イタリア先輩…こうなったらはっちゃんはもう聞かないから……」

イタリア「もう……」

飛鷹「艦載機より報告!10時の方向、距離8500に敵艦隊あり!編成、戦艦1、軽巡1、駆逐2、補給2!」

イタリア「よし……敵は強くないけど、気を引き締めないと」グッ

イムヤ「聞いた通りだよ、はっちゃん!潜航して雷撃の準備を―」

ハチ「ちょっとまって、今いいところだから…」パラッ、パラッ

イムヤ「うぉおおい!?何言ってくれちゃってんの!?」

ハチ「ほほう、その展開は読めなかった……」ペラッ、パラッ

イムヤ「おい何してんの早く準備しないと敵にペースを―」

イタリア「やああっ!?」


イムヤ「あの時は結局、イタリア先輩が頑張ってくれたから何とかなったけど……」

提督「…………………」

ハチ「……えへ」

提督「イムヤさん。ハチさんと同室のゴーヤさんに連絡し、部屋の本を全て撤去するように言ってください」

ハチ「ちぇっ」


【終わり】

950: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/13(日) 22:26:51.53 ID:jOyYWT1c0
【キャラクター紹介】

≪伊8/ハチ≫

巡潜3型潜水艦二番艦。艦娘No.128。後ろで結んだ金髪と眼鏡、白いハイソックスが特徴の、おっとりした感じの女の子。潜水艦娘の中では比較的真面目だが、

どこか抜けているところもある。本が大好きで、いつも本を読んでおり、休日は本屋へ赴く事もある。しかし、航行中及び戦闘中も本を読んだりして、仲間は

ヒヤヒヤさせられる。かつてドイツまで遠征に言った事もあるからか、ドイツ語を嗜んでいる。また同じ理由で、ドイツから来た艦娘とも仲が良い。

好きな言葉は『熟読玩味』。

958: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/14(月) 21:12:15.10 ID:cpdcUSz+0
【大変身】

 ―13時半過ぎ、工廠―

提督「………………」

ゴーヤ「あ、あははは………」

提督「……元々、艦娘は改造をすると見た目が大幅に変わったりしたりすることはよくあることです。吹雪さんは改二になると服が変わりましたし、綾波さんは

   全体的に黒くなりました」

ゴーヤ「そ、そうだね~…」

提督「また、名前が変わる艦娘もいますね。リットリオさんが改造したらイタリアさんになったり、響さんがВерныйさんになるのがその例です」

ゴーヤ「あ、あー…そんな事もあるでちね~…」

提督「艦種が変わる事もあります。水上機母艦のちとちよさんが軽空母になったり、伊勢さん達一部の戦艦が航空戦艦になることも」

ゴーヤ「うん、あるある~でち…」

提督「それらの事を踏まえても、です」チラッ



U-511改めて呂-500(以下ろー)「二人とも、何そんなに落ち込んでるの?」


提督「何をどうしたらこうなった」

ろー「提督、ろーちゃん生まれ変わりました、はい!ご感想は?」

提督「正直、あまりの変わりようにもはや別の艦としか認識できません」

ろー「それってつまり、可愛くなったって事?ありがとー!」

提督「性格まで変わってますねぇ…」

ゴーヤ「うーん、どうしてこうなったんでちかね?」

提督「確か、ろーさんはよくゴーヤさんと行動してましたよね?」

ゴーヤ「?そうでちよ?」

ろー「うん!ろーちゃんは、でっちとよく一緒に出撃したりしたって!」

ゴーヤ「ゴーヤは‶でっち‶じゃないでち!」

959: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/14(月) 21:23:03.10 ID:cpdcUSz+0
提督「つまりは、U-511さんがこうなったのはゴーヤさんのせい、と」

ゴーヤ「え、何その風評被害は」

提督「U-511さんをこんな風に変えた動機を言え、でち公!」

ゴーヤ「わっ、てーとくがゴーヤの事‶でち公‶って呼んだでち!これは完全にキレてるでち!」

提督「理由によっては貴女をブラック鎮守府の代名詞、通称‶オリョクル‶に出さざるを得ない…」

ゴーヤ「止めるでち!」


ろー「やめてっ!」


提督&ゴーヤ「………」ピタッ

ろー「確かにろーちゃんは、改造するまではよく、でっちと一緒に行動してたよ…。でも、でっちのせいでこんな風になったっていうのは、間違いだって…」

提督&ゴーヤ「……………」

ろー「でっちだけを責めるのは間違いだって!だからやめて!」

提督「……そうでしたね。私としたことが、失念しておりました。ゴーヤさん、先ほどは申し訳ございません」

ゴーヤ「う、ううん…そんなに気にしてないでちよ?」


ろー「一緒に行動してたのは、でっちだけじゃなくて、イムヤちゃんにイクちゃん、はっちゃんにシオイちゃんだよ!」


提督「」ピクッ

ゴーヤ「あっ、それは言わない約束でち!」

提督「‶約束‶?」

ゴーヤ「あっ」

ろー「あ、ゴメンね。話しちゃった。てへ☆」

 その後潜水艦全員が提督からの事情聴取を受けた。


【終わり】

960: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/14(月) 21:35:28.98 ID:cpdcUSz+0
【流星拳】

 ―14時過ぎ、執務室―

コンコン

提督「どうぞ」

ガチャ

速吸「失礼します、提督!速吸、無事改造を終えました!」

提督「お疲れ様です。改造したての感じは如何ですか?」

速吸「問題ないです。改造前と同じ感触ですね。あ、こちら改造後のステータスを記したものです。明石さんから、渡すように指示を受けました!」

提督「ありがとうございます………ほう、新しく流星が装備されていますねぇ」

速吸「なんだか、艦攻を新しく装備できるようになったらしいです」

提督「なるほど………つまりは、流星や天山、九七艦攻を装備して出撃できる、という事ですね」

速吸「そう、ですね。あ、今まで通り瑞雲も装備できます!」

提督「………では明日、改造後のテストも兼ねてオリョール海へ出撃してみましょうか」

速吸「え、出撃ですか?」

提督「あ、不安でしたら断わっていただいても構いませんけど…」

速吸「い、いえ!速吸、大丈夫です!」ビシッ


 ―翌日、東部オリョール海・Gマス(敵主力打撃群)―

速吸「装備は‶流星改‶、‶流星‶、‶九七艦攻‶……。大丈夫、できる!」

速吸「速吸航空隊、頼みます!」ビシュシュッ

キィィィィィィィン、ズドオオオオオオン

戦艦ル級elite「ガアアアアア…!」撃沈

空母ヲ級「グガアアア……」大破

摩耶「おお、すげぇ!」

大鳳「elite級の戦艦を撃沈して空母も大破に…素晴らしいです!」

速吸「えへへ…まさか、こんなにできるなんて思いませんでした……」

日向「………………」

961: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/14(月) 21:43:34.13 ID:cpdcUSz+0
 ―19時過ぎ、食堂―

速吸「艦攻を装備して出撃するとあんな事ができるなんて……すごい…!」

速吸(よし、明日から訓練をもっと頑張って、もっともっと強くなるようにしないと!)

トントン

速吸「あ、はい?」クルッ

日向「…やあ、速吸」

速吸「日向さん、お疲れ様です!」

日向「お疲れ。それで速吸、少し聞きたいことがあるんだが、いいかな?」ガタッ

速吸「あ、はい。なんでしょうか?」

日向「……瑞雲は、そんなに魅力が無いか?」

速吸「…へ?」

日向「いや、速吸は改造して艦攻を装備する事ができるようになったのだろう?」

速吸「はい!艦攻は全て!」

日向「だが、瑞雲も装備する事は出来るのだろう?」

速吸「え、はい………」

日向「改造前の速吸はよく瑞雲を装備して出撃していただろう?だから、改造したとたんに瑞雲を使わなくなるとは、あまり瑞雲に魅力を持っていなかった、

   と考えてな……」


 ―20時過ぎ、執務室―

速吸「…という事がありまして…」

提督「あの瑞雲マニア………では速吸さん、すいませんが次からの出撃は……」

速吸「?」


 ―数日後、東部オリョール海・Kマス(敵強襲揚陸艦隊)―

速吸[流星改・流星・瑞雲]

バルルルルルルルル

日向「なあ速吸、やはり瑞雲はいいものだろう?」ニコニコ

速吸「は、はい………」


【終わり】

962: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/14(月) 21:51:29.94 ID:cpdcUSz+0
【キャラクター紹介】

≪U-511/ゆー⇒呂-500/ろー≫

UボートIXC型潜水艦(呂-500は呂号潜水艦)。艦娘No.231(呂-500はNo.236)。白い髪で改造前は物静かな性格で、呂-500になってからは明るくポジティブ

な性格にメガ進化した女の子。U-511の頃はウェットスーツを着用していたが、呂-500になったらスク水を着用するようになった。着任した当初は潜水艦の子達に

快く歓迎されたが、潜水艦の皆の雰囲気に毒されて今のような状態になった(らしい)。ゴーヤに‶でっち‶という愛称を付けた。

好きな言葉は『何事も始めは難しい』。

963: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/14(月) 21:59:55.11 ID:cpdcUSz+0
≪速吸≫

改風早型補給艦一番艦。艦娘No.260。ショートボブの黒髪と白いジャージが特徴の、献身的な女の子。着任当初は、主に給仕係を務め、瑞雲を装備して出撃し、

≪甘味処・間宮≫の手伝いもしていた。改造後は流星など艦攻が装備できるようになり、出撃する機会が増えてMVPを取る回数も増えた。しかし、瑞雲大好き

日向に、瑞雲の魅力を教えられ、出撃でも1スロットは瑞雲を装備するようになる。補給艦仲間で、間宮、伊良湖とは仲が良い。速吸の淹れたお茶は美味しい。

好きな言葉は『健康は富に勝る』。

969: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/15(火) 21:12:56.85 ID:O2aJisIL0
【ホワイトデー】

 ―3月12日14時過ぎ、執務室―

司令長官「そう言えば、明日はホワイトデーだねぇ」

提督「バレンタインデーに対して盛り上がりに欠けるあの日ですか」

司令長官「黎明君も、他人事じゃないでしょ?艦娘の皆からもらったんじゃないの?」

提督「なんですか、私の行動を監視してるんですか。プライバシーの侵害です」

司令長官「君は小学生か。そうじゃなくて、バレンタインデーの前の日にチョコとかクッキーとか準備してる子がいたからもしかしたらと思ったんだよ」

提督「なるほど………」

司令長官「あとは、他の鎮守府の女性の提督からももらったんでしょ?具体的には、胎内の朱鷺君とか、塩釜の保柄君とか」

提督「まったく、どうしてそう言う洞察力はあるのやら…。その洞察力を少しは日常業務に生かしてくれませんか」

司令長官「ほっといてよ。で、どうするの?」

提督「まあ、一応お返しは用意しますよ。つきましては、明日は食堂を少しの間出入り禁止にします」

司令長官「あっ、もしかしてクッキー焼いたりしちゃうの?」

提督「……いけませんか」

司令長官「いや、いいんだよ。君は料理が上手だから、美味しくなると思うよ」

提督「……お褒めにあずかり、光栄です」

司令長官「できたら、儂にも1つくらいほしいな~って」

提督「自分で作れ」

司令長官「そう来ると思ったよ」


 ―3月13日、ケーキ屋前―

店員「ありがとうございました~」

提督「…………」ペコリ

提督「……さて、これで2人分は確保、と。後は………」

店員(あの人もしかして、バレンタインデーにいくつも貰ったのかしら?色男ね~)

970: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/15(火) 21:24:38.40 ID:O2aJisIL0
 ―14時過ぎ、食堂前―

『現在、食堂閉鎖中。入室厳禁』

睦月「あれ~?食堂入れないの~?」

皐月「なんか、司令官が妖精さんや間宮さんと作業をしてるらしいよ?」

睦月「ふ~ん?何してるんだろ~…」

如月「いやねぇ、2人とも。明日は3月14日、っていう事は、ね~?」

睦月&皐月「?」


 ―同時刻、厨房―

提督「すみません、わざわざ手伝ってもらってしまって」

間宮「いえいえ、構いませんよ。第一、この鎮守府全員分のクッキーを作るなんて1人じゃ相当時間がかかりますから…」

妖精さん「それにしても、案外純情だよね~。提督さんって~」

提督「………………」

妖精さん「バレンタインデーのお返しを律儀に返すの、なんだか可愛いな~」

提督「妖精さんって、その小ささでしたらフライパンで叩いても簡単に潰れますよね」スッ

間宮「やっ、やめてください!」

間宮(っていうか、提督って案外照れ屋なんですね…)


 ―17時過ぎ、鎮守府正門―

提督「では、よろしくお願いします」

宅配便「はい、分かりました。ご利用ありがとうございま~す」

ブロロロロ

司令長官「今の、女性提督宛?」

提督「正確には、朱鷺さんと保柄さん宛です」

司令長官「あれ?確かもっと多くの女性提督からもらってなかったっけ?」

提督「あの2人は普段から代表提督として世話になっておりますし、他の提督の皆さんは下心が見えていたので渡さない事にしました。後は単に、お金が

   かかるからです」

司令長官「案外、切実な問題だね…」

971: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/15(火) 21:34:54.21 ID:O2aJisIL0
 ―3月14日11時過ぎ、中部地方・胎内第壱拾玖鎮守府・執務室―

コンコン

朱鷺「どうぞ~」

陸奥「失礼するわね、提督」ガチャ

朱鷺「あ、むっちゃん。どうしたの?その箱」

陸奥「提督宛の宅配便よ」

朱鷺「へ?誰から?」

陸奥「総司令部の斑さんから」

朱鷺「ん?斑君から?なんだろ…」

陸奥「なんか、‶食品‶って書かれてるけど…」

朱鷺「んん~?」

バリッ、バリッ、パカッ

陸奥「あら…………」

朱鷺「……ケーキ?」

陸奥「メッセージカードも………なになに?『バレンタインデーではお世話になりました。これはそのお礼です。今後とも、よろしくお願いいたします』って」

朱鷺「あ、そう言えば今日はホワイトデーか……」

陸奥「あらあら、ちゃんとお返しをくれるなんて、良かったじゃない」

朱鷺「うーん、そうだねぇ。よかったよかった。ただ、私チョコレートケーキが好きだから、ショートケーキはちょっとな~…」

陸奥「貰っておいてそれは無いでしょ」


 ―12時前、東北地方・塩釜第質拾参鎮守府・執務室―

山雲「司令さ~ん、宅配便よ~?」

保柄「あら~、ありがとうね~。誰からかしら~?」

山雲「差出人は~、総司令部の斑さんだって~」

保柄「わ~、ケーキが入ってる~」

山雲「あら~、美味しそうね~」

保柄「なんか~、バレンタインデーのおかえしだって~」

山雲「あら~、良かったわね~。ケーキ、好きなんでしょ~?」

保柄「好きだよ~。でもね~、あの人からもらえたのが~、嬉しいんだ~」

山雲「ま~、斑さんも罪な人ね~」

天龍「てめぇらさっさと喋れ!」

972: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/15(火) 21:42:42.15 ID:O2aJisIL0
 ―15時過ぎ、食堂―

伊勢「このクッキー、提督が作ったの?凄い美味しい!」サクサク

赤城「…………」サクサクサクサク

大和「赤城さん、1人3個までですって…」

神通「とても、美味しいです…」パクッ

妙高「ありがとうございます、提督。とても美味しいです」

提督「喜んでもらえたようで、何よりです」

吹雪「でも、これだけの……鎮守府の大体150人分のクッキーを焼くなんて、大変じゃありませんでした?」

提督「いえ、間宮さんや妖精さんにも手伝ってもらいましたから…それほど大変ではありませんでしたよ」

伊良湖「ああ…だから間宮さんの皿のクッキーは、皆さんより少し多いんですね」

間宮「すみません、私だけ…」

提督「いえ、それはこちらのセリフですよ」

睦月「でも、どうして調理中は食堂に入れてくれなかったんですか?」

司令長官「それはあれでしょ、普段からつっけんどんな黎明君がクッキーを焼いてるなんて乙女チックなところを誰にも見られたくないから―」

ゲシッ

司令長官「脛は止めて!」

提督「まあ、調理中に食堂を閉鎖していた理由は簡単ですよ」

皆『?』

提督「それは……」チラッ

提督「つまみ食いする輩がいるからですよ」

赤城「むぐ?」

加賀「………はぁ」


【終わり】

980: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/16(水) 21:22:25.10 ID:fEoUlEvh0
【衝撃】

 ―15時過ぎ、執務室―

演習相手提督「………はいっと、ここに記入終わりましたよ」

提督「ありがとうございます。では、これで演習はすべて終了です。お疲れさまでした」

演習相手提督「はい、ありがとうございます。では」

パタン

榛名『あ、提督。用事は終わりましたか?』

演習相手提督『ああ、終わったよ。それじゃ、帰ろうか』

榛名『いえ…せっかくですし、もう少し提督と2人きりでいたいです…』

演習相手提督『こらこら、ここは総司令部なんだし、他の皆が待ってる。だからいかないと』

榛名『はい………』シュン

演習相手提督『じゃあま、夜は………ね』

榛名『は、はい………///』


提督「……………はぁ」


 ―19時過ぎ、食堂―

提督「最近、演習先の鎮守府でケッコンカッコカリした艦娘をよく見ますねぇ」

司令長官「確かに、今日来た演習相手の提督も、榛名君とケッコンしてたよね?」

吹雪「ええ…榛名さん1人だけ練度が100を超えてました…」

提督「まったく…他人様の敷地内でイチャつくのもいかがなものかと思いますが」

吹雪「ほ、ホントですよね。総司令部を何だと思っているんでしょうか」

司令長官「まあ、人の事はいいんだけどさ…」チラッ

提督「はい?」

吹雪「?」


司令長官「黎明君もそろそろ身を固めるべきだよ。カッコカリでも」


981: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/16(水) 21:33:53.91 ID:fEoUlEvh0
………シーン

提督「急に私の話ですか」

吹雪「そ、そうですよぉ~…。それに、練度とか…………」←練度99

司令長官「いや、鎮守府に練度が上限に達している艦娘はもう何人もいるよ。吹雪君だってそうだし」

吹雪「えっ、いや、その~………///」

司令長官「それにこれは儂の切実な理由なんだけど、この必殺仕事人は所帯でも持たないと角が取れないよ」

提督「貴方が真面目に仕事をすればすべて済む話なんですよ」

司令長官「うぬっ………」


提督LOVE勢(ぐぬぬうぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ……………)

金剛(テートクのHeartを掴むのは、この私ナノーネ。他の人に負けるはずがないのデアール)

榛名(榛名は…負けませんからっ!)

敷波(……まあ、司令官が誰とケッコンしても司令官の勝手だけど…あたしを選んでくれたら、な…)

加賀(……………ふっ)ドヤッ


提督(仕方ありませんね……………そろそろ、覚悟を決めますか)



 ―翌日8時過ぎ、食堂―

葛城「今日の朝は卵焼きか~。美味しそ~」

葛城「雲龍姉、隣良い?」

雲龍「ええ、いいわよ」

葛城「じゃ、失礼するわね」カタン

雲龍「もぐっ………ん、美味しい…」ニコ

982: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/16(水) 21:40:19.41 ID:fEoUlEvh0
キラッ

葛城「あれ?雲龍姉、その左手の薬指の指輪、何?新しいアクセサリー?」


雲龍「ああ、これ?これは、昨日提督からいただいたものよ」


葛城「ふ~ん、そっかそっか~」

葛城「……………………………………………………………………………………………………………………はい?」

司令長官「ん?葛城君、どうかしたの?」

葛城「あっ、司令長官…あの、え…」カタカタ

雲龍「司令長官、おはようございます」ガタッ、ビシィ

司令長官「いや、楽にしていいよ楽に。食堂でわざわざ立ち上がって敬礼なんて」

雲龍「そうでしたか。では、失礼します」

司令長官「………………ちょっと待って、雲龍君」

雲龍「はい?」

司令長官「………左手、見せて」

雲龍「構いませんけど…………」スッ

司令長官「…………この指輪、何?」


雲龍「ですから、葛城にも話しましたけど、昨日提督からいただいて……………」


シ――――――――――――――――――――――――――――――――――ン

司令長官「それって、つまり………………」

983: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/16(水) 21:47:34.42 ID:fEoUlEvh0



雲龍「昨日提督から、ケッコンカッコカリをしてほしいと言われて…ОKしました///」



全員「」

全員「なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!?」

司令長官「バカナ…黎明君と雲龍君が…………?」

金剛「あり得ないノーネ!」

榛名「」チーン

五月雨「………………ふぇぇぇぇぇぇぇぇ」

吹雪「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

村雨「……………ぐすっ」

隼鷹「ああっ!駆逐艦の子たちが泣いてる!?」

加賀「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」

赤城「加賀!?」

司令長官「って、肝心かなめの黎明君は!?」

間宮「い、いないです!食堂にはいません!」

司令長官「執務室かっ!」

青葉「うおおおおおおおお大スクープだああああ!!」


 ―数分後、執務室―

[入室厳禁]

司令長官「いやぁ、まさかびっくりだよ……雲龍君を選ぶとは………」

雲龍「ありがとうございます、提督…私を選んでくださって」

提督「……正直、恥ずかしかったんですよ?カッコカリとはいえプロポーズはおろか告白何て初めてで………」

984: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/16(水) 21:55:55.08 ID:fEoUlEvh0
 ―>>767の後、執務室―

提督「それで、お話とは?」

雲龍「はい…………///」

提督「?」

雲龍「…………その………」

提督「?」


雲龍「私は…………提督の事が好きです//」


提督「………………」

雲龍「上官として、ではなく、1人の異性として、です。とても頼りになる貴方が、厳しさと優しさを兼ねそろえている貴方が、好きです///」

提督「……………」

雲龍「提督は、私の事を…どう思っていますか……?」

提督「………………そう言うのは、男性である私の方から、と思っていたのですがね」ボソッ

雲龍「?」

提督「あ、いえ。なんでもないです。それでその返事ですが、少し時間を置いてもよろしいでしょうか?」

雲龍「あ、はい……分かりました」←練度97


 ―昨日22時過ぎ、執務室―

提督「………」←練度99

雲龍「…………」ドキドキドキドキ

提督「……先日の、告白についてなんですが…………」

雲龍「は、はい…………」

提督「……貴女は、戦闘時となれば気を引き締め、戦線で華々しい戦果を挙げておりました」

雲龍「え?」

提督「しかし、普段はほんわかとしたところが目立ち、どこかく抜けているところまりました」

雲龍「ええと…どうして私を非難して…?」

提督「非難などしてませんよ」

985: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/16(水) 22:02:16.05 ID:fEoUlEvh0
雲龍「へ?」

提督「私は日々の多忙の中で、貴女のそのほんわかとした姿に癒されて、その中で貴女に惹かれていき……」ゴソッ

雲龍「…………………」

提督「いつしか私は、貴女の事を考えずにはいられなくなった…………」

雲龍「……………」

提督「雲龍さん」

雲龍「………はい」




提督「私と、ケッコンしていただけませんか」




雲龍「………………………はい」グスッ

提督「……………」スッ

雲龍「………この指輪、大切にいたしますね」

提督「………………告白とは、心地よいものですね」

雲龍「…………提督」

提督「はい?」

雲龍「私、いま…………胸が張り裂けそうなくらい…………」ズイッ

提督「……………」

雲龍「………嬉しいです♪」ニコッ

チュッ


司令長官「は~、そんな事があったんだねぇ~……」

雲龍「あの時は嬉しくて、思わず涙してしまいました…………///」

986: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/03/16(水) 22:07:17.80 ID:fEoUlEvh0
司令長官「それにしても、君、雲龍君のことを好きだって素振り、全然見せなかったじゃない」

提督「雲龍さんを頻繁に秘書艦にしたり、結構アピールしてたつもりなんですが」

司令長官「君は小学生か」

司令長官(まあ、これでちょっとは角が取れるかな)

提督「それより………」


ギャーギャー!

シレイカーン!ヒトコトドウゾー!

ワタシトイウヒトガイナガラー!!

ヤッパリムネカ、ムネナンカー!


提督「あれ、どうにかしないと静まりませんね」

雲龍「ほとぼりが冷めるのを待っては?」

提督「それでは、鎮守府が機能しません」

司令長官「じゃあどうするの?窓から逃げる?」

提督「そんな事しませんよ。ただ、真正面から正論突き付ければいいんです」

司令長官&雲龍(そうすると思った(思いました))

提督「では………行きますか」ガチャッ


【第三部 完】

引用元: 【艦これ】総司令部日和