1: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/01(金) 21:34:13.56 ID:O+8kVYfU0
※注意
・艦隊これくしょんのSSで、もしも海軍司令部がこんな場所だったら、と言った感じの話です。

・人名&地名が出てきます。

・キャラ崩壊は恐らくしています。

・誤字脱字、妙な改行が度々ございます。

・下記のスレの続編です。

【艦これ】総司令部の日々 

【艦これ】総司令部の日常 前編 

【艦これ】総司令部の日常 中編 

【艦これ】総司令部の日常 後編 

【艦これ】総司令部日和 前編

【艦これ】総司令部日和 中編 

【艦これ】総司令部日和 後編

・総司令部とは関係ない1作品前のスレ
 【艦これ】海軍の艦娘ジョーク集 


それでも大丈夫と言う方はどうぞ。

お手柔らかに見ていただければ幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459514053

2: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/01(金) 21:39:07.09 ID:O+8kVYfU0
【第三部からのリクエスト状況】

・飛龍&蒼龍  ・皐月改二  ・伊良湖  ・深海棲艦勢  ・足柄  ・初月

・雲龍との馴れ初めと交流  ・阿鼻叫喚  ・陽炎  ・伊号潜水艦のギンバイ

3: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/01(金) 21:45:16.90 ID:O+8kVYfU0
【新しい幕開け】

 ―7時過ぎ、日本海軍総司令部・講堂―

提督「えー、本日より新年度がスタートいたしました」

皆『……』

提督「しかし、新年度が始まったと言っても、深海棲艦との戦いは未だに続いています。皆さんの頑張りのおかげで、深海棲艦による被害は大きく減り、

   各国間の物資の交易も戦前の時に近くなりました」

皆『……』

提督「しかし、だからと言って油断をしていると、痛い目を見る事となってしまいますので、その面については気を引き締めるようにしてください」

皆『はい!』

提督「では今年度も、皆さんで一致団結しましょう。そして、いつか深海棲艦との戦いを制し、また平和な海を取り戻せるように頑張りましょう」

皆『はい!!』

提督「…私の挨拶は以上です」


 ―9時前、廊下―

司令長官「今朝の挨拶決まってたね、黎明君」

提督「そうでしょうか?ありきたりな事しか言えなかった、と思いましたが」

司令長官「ありきたりであれば、皆も理解しやすいし、士気を高める事も出来るでしょ?」

提督「そんなものでしょうか」

司令長官「それに、去年に比べて棘が無かったようにも感じたし」

提督「棘、とは?」

司令長官「去年なんてさぁ~…」

4: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/01(金) 21:48:59.43 ID:O+8kVYfU0
 ―1年前―

提督『では、今年度もまた皆さんで協力し、暁の水平線に勝利を刻むようにしましょう』

皆『はーい!』

提督『ただし、和を乱すような事があれば、問答無用で追放しますから、そのつもりでいてください』ギロッ

皆『は、はい……』


司令長官「って感じだったじゃない」

提督「ああ、そう言えばそんな事もありましたねぇ」

司令長官「一体今年はどうして―」


雲龍「提督~」タタタ


司令長官「おや、雲龍君。おはよう」

雲龍「おはようございます、司令長官」

提督「雲龍さん、どうしましたか?」

雲龍「遠征に行っていた第三艦隊と第四艦隊は、後10分ほどで帰投するようです」

提督「分かりました」

雲龍「それと、新しい任務が発令されましたので、ご確認を」スッ

提督「ありがとうございます」

雲龍「それと……」

提督「?」

5: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/01(金) 21:52:11.05 ID:O+8kVYfU0
雲龍「今日の午後……」

提督「?」

雲龍「よろしければ、ご一緒に間宮さんの店でお茶でも……」

提督「……分かりました。まあ、それまでに仕事がある程度片付けば、ですがね」

雲龍「!では、提督のお手伝い、秘書艦として頑張りますね」ニコッ

提督「…ええ、お願いします」

雲龍「では、司令長官。これで」ペコリ

提督「すみません、私も」ペコ

司令長官「あ、うん。頑張ってね~」


提督「さて、まずは昨日溜まっていた分の書類を…」

雲龍「提督、無理はなさらないでくださいね…」

提督「私はそこまでやわな身体じゃありませんから」


司令長官「……そうか」

司令長官(妻を持ったからか!)


【終わり】

6: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/01(金) 22:02:29.54 ID:O+8kVYfU0
【キャラクター紹介】

≪提督/斑 黎明(まだら れいめい)≫

本作の主人公。関東地方・東京第壱鎮守府の司令官であり、関東地方の代表提督でもある。また、新日本海軍司令長官の補佐官。性別は男性で、年齢は27歳。

勤勉で生真面目な仕事人間であり、少々真面目に考え過ぎてしまう事もある。少し前まではSっぽく、鎮守府の皆を委縮させてしまう事が多々あったが、今は

丸くなった模様。司令長官が仕事をサボる癖があるため、司令長官の溜まっている仕事を彼が片づける羽目になり、本来の執務ができなくなることもしばしば。

物心ついた頃から両親・親類がいないため、家族というものをよく知らない。元々は海軍の人間ではなく一般の社会人だったが、自らの性格が災いしてクビに

なり、どうするか悩んでいたところを親友から海軍に誘われて海軍に入る。雲龍のほんわかとした雰囲気に惚れてケッコンカッコカリする。前述のように、性格

が丸くなった大きな要因は恐らくこれ。女性の裸体や 着姿を見て興奮する事が全くと言っていいほどないため、『枯れている』『女性に興味が無い』との噂だ

が、本人曰く『節度を持っているだけ』。天然ジゴロなところがあるが、本人の認識は仕事>恋愛なため他人から自分に向けられる行為には疎い。

好きな言葉は『謹厳実直』。

13: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 21:18:08.79 ID:omlC9u8x0
【出会い】

 ―19時過ぎ、食堂―

司令長官「そう言えば、黎明君と雲龍君が出会ったのって、総司令部に来る前だったよね?」

提督「ええ。AL/MI作戦で、私の鎮守府に来ました」

雲龍「あの時は、なぜか皆さん目を合わせてくれませんでした…」


 ―2年半前18時過ぎ、関東・三浦第弐鎮守府(総司令部に来る前の場所)執務室―

提督(……無事、海域を制圧できた、と報告は貰いましたが……それでも心配です)

コンコン

提督「はい」

榛名「失礼します、提督」ガチャ

提督「榛名さん。どうしましたか?」

榛名「北太平洋MI諸島を制圧した報酬の艦を連れてまいりました…」

提督「ああ、そうでしたか。お疲れ様です。で、その方はどこに?」

榛名「それが、その~…なんと言いますか……目のやり場に困って」

提督「?まあ、通してください」

榛名「は、はい…」

ギィ

「失礼します」


雲龍「雲龍型航空母艦、雲龍と申します。提督、よろしくお願いいたします」ペコリ


提督「」

榛名(や、やっぱり……)

提督「…まあ、島風さんよりマシ、と考えれば大丈夫でしょう」

雲龍「?」

14: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 21:25:57.44 ID:omlC9u8x0
司令長官「やっぱり、第一印象はそんな感じだったのね」

提督「島風さんより露出度の少ない 女、でしたから」

雲龍「私も、当初はどうしてこんな服装をしているのかと思ったのですけど…慣れてきてしまって」

司令長官「んで、どうしてそんな 女を、黎明君は好きになっちゃったの?」

提督「そうですねぇ……」


 ―2年半前―

提督「………………」カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

雲龍「提督?そんなに根を詰めなくても、大丈夫ですよ」

提督「いえ、AL/MI作戦のせいで溜まっていた書類を片付けなければなりませんし、最終海域を制覇できなかったので、その挽回ができるようにと…。ところで、

   鎮守府には慣れましたか?」カリカリカリカリ

雲龍「はい、皆さん私によくしてくれてますし…」

提督「それはよかったです」カリカリカリカリ

雲龍「…あの、提督?大丈夫ですよ、そんなに頑張らなくても」

提督「何を根拠にそんなことが言えるんですか」

雲龍「ん……特に根拠はないけど、何とかなると思いますよ」

提督「……ふむ」


提督「あの時、雲龍さんの根拠のない主張……気の向くままの言葉に、どこか癒しを得ていたような気がしたんです、私」

司令長官「君の前の職場でのトラウマが、まだ浄化されていないころだったから、余計にそんな風に感じたんだろうね」

雲龍「私、そんなに気が抜けているように見えますか?」

提督&司令長官「見える」

15: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 21:40:08.97 ID:omlC9u8x0
 ―2年前20時過ぎ、三浦第弐鎮守府・執務室―

雲龍「提督、本当ですか?私達が総司令部に異動って……」

提督「…はい。前司令長官が辞職したことで、総司令部で働いていた艦娘も解散してしまったようです」

雲龍「……それで、新しい司令長官の補佐官に選ばれた提督が、総司令部へ移動し…そして私達も異動する、と」

提督「その通りです………皆さんは、笑って『提督についていく』と言ってくれましたが、どこかで私のことを恨んでいるのかもしれないと、不安に思って…」

雲龍「…提督らしいわね」

提督「雲龍さんはどう思っていますか?」

雲龍「私は別に、恨んでなんかいません」

提督「……」

雲龍「だって、私が信頼している提督ですもの」

提督「……ありがとうございます」


雲龍「どんなことがあろうとも、私は提督の事を、ずっと支えますから」ニコ


提督「!」

雲龍「………提督?」

提督「あ、いえ……何でもないです」


提督「あの時の雲龍さんの優しい微笑みと、その言葉に、惚れてしまいました」

雲龍「提督からプロポーズされた日に、そのことを教えていただいて……」

司令長官「黎明君って割とロマンチスト―」

提督「目つぶしッ!」ビシュッ

司令長官「あぶなっ!」ヒョイ


【終わり】

16: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 21:46:38.27 ID:omlC9u8x0
【今の交わり】

 ―11時過ぎ、執務室―

提督「雲龍さん、先月の開発のデータですが…」

雲龍「記録課から既に取り寄せてあります。こちらです」スッ

提督「どうも」

雲龍「提督、そろそろ第一建造ドックの建造時間が終了する時間です」

提督「ああ、もうそんな時間ですね。では、行きましょうか」


 ―廊下―

提督「………」コツコツ

雲龍「………」コツコツ

陸奥「あらあら、新婚さんたら。2人で仲良くデートかしら?」

提督「それ、絶対違うと分かっていながら聞いてますよね」

陸奥「ご明察よ♪で、とこへ行くの?」

提督「工廠ですよ」

陸奥「ふ~ん、でも雲龍さんも一緒に行くの?」

雲龍「秘書艦としては当然だと思うわ」

陸奥「まあそうだけど、私から見れば『いろいろな理由をつけて提督と一緒に居たい』って見えるわねぇ」

雲龍「っ///」

提督「冷やかしなら後にしてもらえませんか。明石さんを待たせているので」

陸奥「あら、ごめんなさいね。じゃあね~」

雲龍「………」

提督「…まったく、陸奥さんのあのやんちゃな性格も―」

雲龍「………」

提督「雲龍さん?」

雲龍「………あ、いえ、何でもないです」

17: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 21:56:11.24 ID:omlC9u8x0
 ―21時過ぎ、執務室―

提督「ふぅ、今日の執務も終わり、と」

雲龍「お疲れさまです」

提督「では、雲龍さんももう休んでいただいて構いません―」

雲龍「提督」

提督「はい?」

雲龍「……その……」

提督「?」

雲龍「相談したいことが…」


 ―数分後、提督の私室―

雲龍「………」

提督「………何かあったんですか」

雲龍「ええと、その………昼に陸奥さんに『理由をつけて提督と一緒に居たい風に見える』と言われて…それで、もしかしたら、私も無意識のうちに………

   提督の迷惑になっていないかと……」

提督「ケッコンしたのですし、それは当然のことではないでしょうか?独占欲が強くなるのもまあ少しは仕方ないと私は思っておりますし」

雲龍「ですが…それで提督の負担になっていては…」

提督「私は別に、負担とは思っていませんよ」ギュッ

雲龍「あっ………」

提督「私も雲龍さんと一緒に居たいと思っていましたし」

雲龍「………提督…」ギュッ

提督「しかし、そう見られてしまっていると後々厄介な事になるでしょうし…秘書艦をローテーション制にするのは継続にしましょうか」

雲龍「そう、ですね…」シュン

提督「夜は、こう言った風に2人で過ごしましょうか。仕事が片付いていれば」

雲龍「はい」ニコッ


【終わり】

18: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 22:05:51.07 ID:omlC9u8x0
【嘆き】

 ―(提督と雲龍がケッコンカッコカリしたと発覚した日)19時過ぎ、≪居酒屋・鳳翔≫―

『本日貸し切り』

金剛「ヴああああああああああ……何でデスカー…!!」ダムダム

榛名「うぇっぐ……榛名は、全然大丈夫じゃありません…ぐびっ」ゴキュゴキュ

千歳「鳳翔さーん!!こっちに焼き鳥くださーい!」ウワーン

隼鷹「あっはっはっはは!もっと飲め飲め!飲んで忘れちまえ!」

村雨「うえぇぇぇぇっぇえぇぇぇぇぇん……」

五月雨「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん………」

敷波「2人も司令官の事が…その、好きだったんだね…」グスッ

雷「敷波、お皿が空じゃない。ほら、サラダよそってあげるわね」スッスッ

伊19(以下イク)「雷それサラダじゃないの。刺身に添えてある大根なの」

祥鳳「あはは…皆さん大体予想通りの反応ですね…」

瑞鳳「そうだね…まさか想定外の人とケッコンカッコカリしちゃうんだもん」

大鳳「そうでずよぉ~!!わだじば不幸だからでずよぉ~!!」ドンドン

如月「落ち着いて、大鳳先輩…ほら、私も泣いてるから大丈夫よ……」

金剛「AHHHHHHHHHHH!!!そもそも、どうして雲龍なんデスカ!」

榛名「ぽやぽやした癒しに惚れて…とおっしゃってましたが…」

金剛「癒しなら私も癒せるネー!!」

鳳翔「ふふ、みんな若いわね~」

瑞鳳「鳳翔さんは、いつも通りですね。なんか安心…」ヒソヒソ

祥鳳「ええ、そうね。鳳翔さんまで落ち込んでちゃ、もう駄目だったかも…」ヒソヒソ

19: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 22:11:36.35 ID:omlC9u8x0
鳳翔「私なんて、年齢的にアウトなんですもん……はぁ…」

瑞鳳&祥鳳「だめだった!!」

金剛「ハッ!肝心な事を忘れてました………」

榛名「な、何でしょう…お姉様…」


金剛「もしかして、Firstkissも、済ませてしまったのでショウか…」


シン……

千歳「青葉」パチン

青葉「はいはーい!青葉でーす!」

千歳「真偽のほどはどうなの?」

青葉「えーっとですね…青葉のメモによりますと……」

全員「ごくり………」


青葉「…提督からプロポーズをした日に、マウストゥマウスでしちゃっ―」


金剛&榛名「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

敷波「おわっ、びっくりした!」

千歳「そ、そうなのね…フ、フフフ……」

隼鷹「まー、プロポーズしたらキスって、定番だしなぁ」

江風「認めねェ!そンな定番あッてたまるかよォ、隼鷹の姉御ォォ!!」グイッ

隼鷹「お、落ち着け江風!」ユッサユッサ

鳳翔「………………………」

瑞鳳「ああっ!鳳翔さんが真っ白に燃え尽きてる!」

祥鳳「もうだめよ!」

20: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 22:17:45.58 ID:omlC9u8x0
イク「あっ」

大鳳「どうがぁ、じだんえすがぁ…?ひぐっ……」


イク「も、もしかして…夜戦もしちゃったり?///」


全員「」

全員「青葉」ギロッ

青葉「あーえー…青葉もそこまでは……把握できていないですねぇ……」

金剛「なーんでテートクの貞操という重要なところを把握してないんデスカ!」

青葉「し、仕方がないじゃないですか!あんな2人で幸せそうにキスしてるところを見て、『あ、こりゃ盗み見るのはなんか後ろめたいな…』と思ったから…」

榛名「そんなところで何で良心を思い出すんですか下種ライター!」

雷「榛名さんストップ!!それ以上は貴女のキャラにかかわるわ!」

青葉「と、とにかく!それは青葉も分かりませんよ!」

ガラッ

司令長官「夜戦はしてないみたいだよ?」

全員「司令長官……」

江風「な、なンで司令長官がそンな事知ッてるンだよ…盗み見たのか?」

司令長官「そんな事するわけないじゃない」


 ―11時過ぎ、執務室―

司令長官「ところで、黎明君と雲龍君って、もう夜戦とかしたの?」

提督「堂々としたセクハラですか。良い度胸ですね。訴えますよ」

司令長官「相変わらず手厳しいね、まあそう言わずに、単なるオヤジの興味本位って事で」

提督「…………はぁ。これだけは、言っておきます」

司令長官「?」

21: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 22:26:57.56 ID:omlC9u8x0



提督「空母は夜戦ができないでしょう」



司令長官「」


司令長官「そういう事だよ」

金剛「一休さんかヨ!」

司令長官「それより、君たちもそんな嘆いていないで、2人のケッコンカッコカリを祝福したらどうだい?」

榛名「いえ、喜ばしいとは思っているんですよ?ただ…」

雷「自分が選ばれなかったって事が…悔しいし、悲しくて……」

大鳳「それにぃ……雲龍さんにかまけて提督が私達のことを忘れてしまうかもしれませんしぃ……」

司令長官「黎明君はそんな事をしないよ」

全員「………………」

司令長官「黎明君は、例え誰とケッコンカッコカリしたとしても、皆とはこれからもいつも通りに付き合うよ。これは、断言できる」

江風「で、でも………」

司令長官「それに、黎明君が悲しんでる君たちの姿を見て気にやんだり落ち込んだら、それは君たちの望むところじゃないでしょ?」

鳳翔「……そうですよね、そうです」

金剛「………うぅ………そうデシタ…」

青葉(流石、腐っても司令長官…皆さんの士気を取り戻すのもお手の物ですね…)ボソボソ

司令長官(腐ってないよ、別に。まあ、ジュウコンもできちゃうからねぇ……)

青葉(ああ、なるほど!)



 ―翌日7時過ぎ、講堂―

提督「ジュウコン?しませんよ。第壱拾参鎮守府のスケコマシみたいにはなりたくないですし、そんな多くの女性をはべらせたいとも思っていませんし」

青葉(あ~…これはちょーっと……)


【終わり】

22: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 22:33:13.37 ID:omlC9u8x0
【キャラクター紹介】

≪司令長官/軍乃 盾間(いくさの じゅんま)≫

新日本海軍の二代目司令長官。性別は男性で、年齢は47歳。良い表現をすれば恰幅の良い、少し太っている体格。仕事はやればできる方だが、たびたびサボり、

斑提督から折檻を喰らう。法律やルールにガチガチに縛られることを嫌い、もっと自由でもいいじゃないと、どこか能天気。しかし、気を引き締めなけるべき

場面ではちゃんとする。執務時間中に昼寝をする、雑誌を読むなどあるまじき勤務態度を取っているが、皆からの信頼は厚い。人を見る確かな目を持っており、

皆がどんな気持ちかを見抜く。さらに、全国の鎮守府の提督の性格を把握している。おおらかな性格だからか、交友関係も広く艦娘との仲も良好。斑提督の

折檻も最後には笑って許すくらい。

好きな言葉は『治に居て乱を忘れず』。

23: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/02(土) 22:40:02.55 ID:omlC9u8x0
≪雲龍≫

雲龍型正規空母一番艦。艦娘No.201(改はNo.206)。露出度の高い服と、ぽやぽやした感じの雰囲気が特徴の、マイペースなお姉さん。戦時急造艦だからか、

他の艦娘達とはどこかズレたところがあり、あまり物事を知らなかったりする。羞恥心が無いように見えるが、根は至って真面目。今までずっと質素な食生活を

送ってきたせいか、今時の食べ物(カレーも含む)を食べるとすぐにお腹を壊してしまう。斑提督の時に優しく、時に厳しい、頼りになる指揮と行いを見て、

好きになる。先に雲龍が告白し、練度が99になってから提督からプロポーズされ、ケッコンカッコカリした。今は円満な生活を送っているが夜戦はしていない。

好きな言葉は『待てば海路の日和あり』。

29: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/03(日) 21:27:04.35 ID:4pSvSqAK0
【工廠の2人】

 ―19時過ぎ、伊豆・第壱拾参鎮守府食堂―

第壱拾参鎮守府提督(以下瑞理)「そう言えばさ」

整備員(以下禊)「はい?」

明石「?」

瑞理「総司令部のアイツ、ケッコンカッコカリしたらしい」

禊「えっ、本当ですか!」

明石「おめでたいですねぇ」

禊「で、お相手はどなたなんですか?」

瑞理「雲龍ちゃんだって。やっぱりあいつも、胸が好きなんだな」

禊「いや、あの人は多分そこは見ていないと思いますけど……」

明石「…禊君は、胸に興味とか、ないの?」

禊「それ、率直に答えたら男として色々負けな気がするんですけど」

明石「……………」

瑞理「あ、そうだ。これ、言おうと思ったんだけど…」

禊&明石「?」


瑞理「夜は、お盛んなようで♪」


30: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/03(日) 21:32:31.20 ID:4pSvSqAK0
禊&明石「ぶぅっ!?」

瑞理「…………」ニヤニヤニヤニヤ

禊「どどっ、どどうしてそれを!?」

瑞理「いやぁ、さっき工廠へ行ったらさぁ…」


 ―18時過ぎ、工廠―

瑞理「明石ちゃんも禊君もいないのか………」

瑞理「まあ、いいや。おーい、妖精さーん」

工廠妖精「はーい?」

瑞理「何か、困ってる事とかない?勤務形態変えてほしいとか」

工廠妖精「あー、そう言えば~……」

瑞理「?」


工廠妖精「最近、禊さんと明石さんの夜戦がうるさくて~…」


瑞理「」

工廠妖精「私の寝床はここの屋根裏なんですけど~、ここももう年季が入っていまして~…音がよく聞こえるんですよ~」

瑞理「」

工廠妖精「だから~、せめてここを改築したいな~、とか…後は寝床を変えたいな~とか」

瑞理「……ああ、うん。考えとくよ」


瑞理「って事を聞いたんだよ~…って、あれ?」

禊「」シュー

明石「/////////」

瑞理(初々しいねぇ)

31: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/03(日) 21:38:19.11 ID:4pSvSqAK0
 ―22時半過ぎ、工廠横・禊&明石の部屋―

禊「………死にたい、死にたい…」

明石「ほ、ほら…元気出して………」

禊「もう夜戦は止める。きっと、多分止める………」

明石「えっ、もうしないの…?」

禊「そりゃ瑞理さんの話を聞いたら、するにできないでしょう!」

明石「そっか…」シュン

禊「それに、俺たちはまだ結婚の約束をしただけで、まだ夫婦とかでも何でもないんですし…」

明石「やめてっ」ギュ

禊「明石…さん?」

明石「そんな悲しい事……言わないで……確かに私達は‶まだ‶夫婦じゃないけど……悲しくなるから」

禊「………すみませんでした」

明石「うん、許してあげる」

禊「でも妖精さんに聞こえる以上、ここでするのは、ちょっとダメですよね……」

明石「そうだね………やっぱり外でした方が………」

禊「そうなると、やはりお金がかかりますよね…」

明石「そこは私も出すから……」


 ―屋根裏―

工廠妖精(この人たちは我慢というものを知らないんでしょうか~…)


【終わり】

32: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/03(日) 21:44:42.72 ID:4pSvSqAK0
【キャラクター紹介】

≪瑞理 兆(みずり きざし)≫

中部(東海)地方・伊豆第壱拾参鎮守府の司令官であり、中部(東海)地方代表提督でもある。性別は男性で、年齢は27歳。ものすごい強運の持ち主であり、

超が付くほど女癖が悪いスケコマシ。しかし、根はとても優しい平和主義者。下らない理由から、総司令部の斑提督とは犬猿の仲な状態で、協力しようと見せ

かけ裏切ったり裏切られたりするそんな関係。女癖の悪さと斑提督との関係の悪さから忘れられがちだが、彼の鎮守府は国内トップの実力を誇る。その戦術は、

司令長官も一目置くほど。自由気ままに生きているように見えるが、結構色々と考えている。禊と明石の恋愛を全面的に応援しており、2人が結婚を約束した時

は心から祝福した。鎮守府のほとんどの艦娘とケッコンカッコカリ済み。その中でも一番の嫁艦は雪風。

好きな言葉は『据え膳食わぬは男の恥』。

33: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/03(日) 21:49:33.61 ID:4pSvSqAK0
≪禊 宗平(みそぎ しゅうへい)≫

中部(東海)・伊豆第壱拾参鎮守府で働いている整備員。性別は男性で、年齢は20歳。容姿はそこそこ、可でも不可でもない、大体中の下と言った感じ。海軍

学校時代は機関科に所属し、工業・システム関連の勉強をしていた。だが、成績優秀と言うほどでもない。他人に比べて心が少し弱く、泣き虫な面も持つ。

瑞理提督の事については女癖が悪い点を除けば尊敬している。これまで恋愛経験が一切なかったため、明石を好きになってからはかなり奥手にアプローチをして

いたが、旅行先でプロポーズをしてОKされた。終戦後に結婚する予定(決して死亡フラグではない)。

好きな言葉は『布衣之交』。

34: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/03(日) 21:57:24.51 ID:4pSvSqAK0
≪明石(第壱拾参鎮守府所属)≫

工作艦。艦娘No.182(改はNo.187)。毛先にウェーブがかかっている薄いピンクの長い髪に、白い鉢巻きが特徴の、工場系のお姉さん。鎮守府内での屈指の働き

者で、艤装の整備、艦娘の建造、装備の開発、装備の改修、万事屋で嗜好品の販売、などなど多くの仕事を受け持っている。あまりに仕事が山積みしている時は

風呂に入る事もできないが、ちゃんと髪の手入れはしている。夕張とは仲が良く、たまに装備を勝手に開発したりしては怒られる。第壱拾参鎮守府に雇われた

禊整備員と両想いになり、2人で旅行に行った先の旅館で告白し、婚約する。戦争が終わったら結婚する事になっている(死亡フラグじゃない)。

好きな言葉は『試行錯誤』。

43: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/04(月) 21:55:48.98 ID:QvGsaERq0
【ドラム缶】

 ―12時過ぎ、北方海域―

ザザザザ

鬼怒「さーって、さくっと帰ってスイーツでも食べよー!」ザザ

夕立&白露「おー!」ザザザ

春雨「でも、大丈夫でしょうか…敵に遭遇したりしたら…」

鬼怒「あはは、大丈夫だよ~。遠征中の艦隊が襲われるなんてこと、そんなにないし―」

村雨「八時の方向、敵影あり!」

鬼怒「げげっ!」

春雨「ホントですか!?」

白露&夕立「!」

村雨「えーっと…軽巡ト級elite2、駆逐イ級elite3です!」

鬼怒「くっそー、マジパナイ!」

春雨「私が行きます!」ザザザザ

鬼怒「あっ、春雨ちゃん!?」

白露「む、無茶だよ!ドラム缶しか装備してないのに―」


春雨「でやあああああああっ!!」ブン


バゴォ

軽巡ト級elite「グゲッ!?」大破

春雨「えいやっ!」ブォン

ゴォォン

駆逐イ級elite「ブッ!」撃沈

軽巡ト級elite「!」

駆逐イ級×3「!?」


春雨「敵が怯んでるうちに行きましょう!鬼怒さんはけん制射撃を!」

鬼怒「あ、うん……」ダァン、ダァン

白露「はぇ~……」

村雨「相変わらずすごいわねぇ~、春雨ちゃんのドラム缶さばき」

春雨「そんな…」

44: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/04(月) 22:07:05.45 ID:QvGsaERq0
 ―15時過ぎ、第壱鎮守府・執務室―

提督「……確かに春雨さんのドラム缶さばきには感心しますが、中の物資をダメにしては意味がないでしょう」

春雨「うぅ……ゴメンなさい」

白露(ねぇ、春雨ちゃんのドラム缶の中身って、何だったの?)ヒソヒソ

夕立(医薬品とか、食糧だったっぽい)ヒソヒソ

提督「それに、敵と遭遇し、危険と判断した時はドラム缶を切り離して身の安全を確保するように、とも伝えたんですが…」

春雨「ホント、ごめんなさい!」

提督「…まあ、無事に帰還出来て、物資も運べたのでまあ良しとしましょう」

春雨「あ、ありがとうございます!」

鬼怒「よかったねぇ、春雨ちゃん」

提督「いや、貴女は普通に武装していたんですから真っ先に戦うべきだったんでしょうが」

鬼怒「うっ……」

提督「…しかし、ドラム缶の輸送をスムーズにするために、ドラム缶は駆逐艦に装備させて、攻撃系の装備を装備させていなかったのが仇になりましたか…」

白露「だから、私達には主砲とか魚雷とかを装備させてくれなかったの?」

提督「その方が貴女たちからすれば辛いと思いまして…」

鬼怒「けど、火力が下がっちゃうんだよね~…」

提督「…………」ウーン

提督「…では、もし次鼠輸送を担当する事になった時は、艦隊全員にドラム缶を1個ずつ装備させ、主砲だけ装備する事にしましょう」

白露「え、1個だけでいいの?」

提督「はい。ドラム缶の総合的な数は変わりませんし、主砲だけでしたら、それほど負担にはならないですよね」

春雨「ええ、多分……」

提督「次からはそうしましょうか」

45: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/04(月) 22:16:31.84 ID:QvGsaERq0
 ―数日後13時前、北方海域―

駆逐艦4人[12.7cm連装砲、10cm連装高角砲、ドラム缶(輸送用)]

軽巡洋艦・鬼怒[14cm単装砲、12.7cm連装高角砲、ドラム缶(輸送用)]

春雨「確かに、これでしたら軽いですね」

鬼怒「そうだねー!これなら、素早い動きができるね~」

白露「まあ一番いいのは、敵に会わない事なんだけど―」

夕立「10時の方向、敵影っぽい!駆逐ロ級FlagShip1、雷巡チ級elite2!」

村雨「んもう!なんでこう会わないって言ったら会っちゃうの!」

鬼怒「大丈夫大丈夫!今は主砲を装備してるんだから!てーい!」ズドォン

スカカッ

鬼怒「だーっ!電探も偵察機もないから命中しなーい!」

白露「電探は重いし、偵察機はカタパルトがいるからね……」

春雨「っ!」ズダァン、ズダァン

スカッ、スカッ

春雨「やっぱり当たらない……こうなったら……」グッ

夕立「は、春雨ちゃん…まさか……」

春雨「えええええいっ!」ブン


ガン、ゴン、ドン

雷巡チ級elite「ゲウッ!」大破

駆逐ロ級FlagShip「グフッ」撃沈

雷巡チ級elite「アガッ!」小破


白露「さ、三連コンボ!」

鬼怒「ちょーパナイ…」

春雨「今のうちに逃げましょう!皆さんでけん制砲撃も!」

全員「お、おう……」

春雨(やっぱり、私はドラム缶で戦う方がやりやすいかも…!)


 ―15時半過ぎ、第壱鎮守府・執務室―

提督「だから、ドラム缶は戦うための装備じゃないって言ってるでしょう」

春雨「ご、ごめんなさい!」


【終わり】

46: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/04(月) 22:31:02.77 ID:QvGsaERq0
【不幸不幸】

 ―11時過ぎ、空母寮・大鳳の部屋―

大鳳「………はぁ」

大鳳「私ったら……提督とケッコンカッコカリできなかっただけであんな我を忘れて飲みまくっちゃうなんて……」

大鳳「……ま、私は元々運が悪いし、今回の件もそうだって事よ…そうしましょう…」

大鳳「…………待って」

大鳳(私ってこの前、工廠でうっかり転んだら大和型2隻の大型建造に成功したわよね……)

大鳳「あれ?これって全然不幸じゃないんじゃないかしら…?」

大鳳「そうよ…そうじゃない!私ってもう不幸じゃないわ!」

大鳳「………でも、だったら提督とケッコンカッコカリできたはずなのに……」

大鳳「ううん、違う!運だけがケッコンできる要因じゃない!」

大鳳「もう私は不幸じゃないって、出撃で証明しよう。そして、ケッコンッコカリしてみせる!」


 ―13時過ぎ、執務室―

提督「出撃がしたい、ですか」

大鳳「はい!」

提督「……そう言うのはできれば、もっと早めに言ってほしかったのですが」

大鳳「う、すみません………」

提督「…まあ、いいでしょう。ちょうど、ヒトロクマルマル(16時00分)に第一艦隊をサーモン海域へ出撃させますので、雲龍さんと交代させます」

大鳳「あ、ありがとうございます!」

提督「しかし、なんでまた急に?」

大鳳「そ、それは…えーっと、その…」

提督「?」

大鳳「そ、そう!最近体が鈍ってきたような感じがしていたので…それで、鍛錬の為と!」

提督「なるほど…まあ、その出撃も練度向上が目的ですからねぇ。頑張ってください」

大鳳「は、はい!」

47: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/04(月) 22:39:49.06 ID:QvGsaERq0
 ―16時過ぎ、海上―

大鳳「~♪」ザザザ

葛城「ご機嫌ですね、大鳳先輩。どうかしたんですか?」

大鳳「あ、ううん。ちょっとね、今回の出撃で提督に私の力を見せてあげよう、と思ってね」

葛城「へぇ~…お互い、頑張りましょう!」

大鳳「ええ!」

大鳳(…そう言えば、葛城さんも、提督の事を少なからず気に欠けていたはず…姉の雲龍さんがケッコンッコカリしちゃったけど、対抗心とかは感じない

   のかしら…)

大鳳(……私ときたら、提督に認めてもらいたくて、無理に出撃させてもらって…バカみたい…)

葛城「…大鳳さん?」

大鳳「あ、ううん。なんでもないわ。さ、行きましょう!」

葛城「はい!」

大鳳(でも、提督には無理させちゃったし、鍛錬の為に、って言ったから…頑張らなきゃ!)


 ―19時前、執務室―

提督「おや、大鳳さんは?」

葛城「駆逐イ級FlagShipの雷撃を受けて大破しちゃってドックに……」

提督「……やはり、運の値が低いからですかねぇ…」


【終わり】

49: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/04(月) 22:45:02.46 ID:QvGsaERq0
【キャラクター紹介】

≪春雨≫

白露型駆逐艦五番艦。艦娘No.205。薄いピンクの髪に白い帽子が特徴の、ふわふわした雰囲気の女の子。輸送作戦が得意と自負しており、その通り鼠輸送作戦

ではいくつものドラム缶を装備して大活躍している。ドラム缶を戦闘に用いる事に定評があり、主砲で戦うよりドラム缶で戦う方がやりやすいと言う始末。だが

ドラム缶で戦うと、たまにドラム缶を壊して中の物資をダメにしてしまい提督に怒られる。を料理も得意で、得意料理はやっぱりというか麻婆春雨。

好きな言葉は『命あっての物種』。

57: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 21:21:45.17 ID:gAQkos+w0
【パートナー】

 ―9時過ぎ、執務室―

提督「さて、秘書艦をよろしくお願いしますね」

蒼龍「はい、よろしくお願いしますね」

バァン

蒼龍「!?」ビクッ

時津風「しれー!」

提督「なんですか、突然」

時津風「今日の東京急行、どうして私と雪風が同じ艦隊じゃないのさー!」

提督「時津風さん、最近雪風さんとばかり一緒にいるでしょう?他の皆さんと親交を深めてもらうためです」

時津風「だからー、雪風以外ともちゃんと付き合ってるってば!」

提督「いえだからですね…」

アーダーコーダー

時津風「…分かったよぅ。でも、次は雪風と同じ艦隊にしてね!」

提督「はいはい、分かりましたから」

パタン

蒼龍「時津風ちゃん、他の皆と比べて浮いてるんですか?」

提督「浮いている、と言うわけではないですが…雪風さんと一緒にいる事の方が多いので、友達が少ないように見えちゃってるんですよ」

蒼龍「そうなんですか…。そう言えば、提督って艦隊を組む時、極力姉妹艦で組ませますよね」

提督「時と場合にもよります。例えば、カレー洋海域へ出撃させる時は、駆逐艦2隻と重巡洋艦と戦艦が1隻ずつ、それと正規空母1隻と軽空母1隻を

   組ませるのがベストとされています。この駆逐艦2隻は、なるたけ姉妹艦にしてます。しかし、正規空母と軽空母はそれぞれ1隻ずつしか組めません」

蒼龍「まあ、そうですよね」

58: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 21:34:37.41 ID:gAQkos+w0
提督「ただ、サーモン海域の場合は、重巡1隻と雷巡1隻、軽巡1隻に戦艦1隻、そして正規空母が2隻。この正規空母2隻は姉妹艦にするようにしています」

蒼龍「あ、この前も飛龍と一緒に出撃しました」

提督「姉妹艦の方がコンビネーションを組みやすいし、アイコンタクトとかもやりやすいでしょう。もちろん、姉妹艦以外の艦娘ともそう言う関係にはなって

   もらいたいのですが…」

蒼龍(そう言えば飛龍ともアイコンタクトとか決めてたな~)

提督「しかし、時津風さんのように他の皆さんと比べて浮いている人には、積極的に姉妹艦以外の方と組んでいます。今回の東京急行も編成は阿武隈さん、

   時津風さん、吹雪さん、白雪さん、初雪さん、深雪さん、といった具合に」

蒼龍「なるほど…」

提督「ただ、五航戦のお2人は瑞鶴さんの方が『翔鶴姉と離れたくない』とおっしゃっていたので、先ほどのように海域による編成制限以外の時は、別々に

   組む事はありません。蒼龍さんも、飛龍さんと別の艦隊で出撃するのは、あまり好きではないでしょう?」

蒼龍「それはまあそうですよ…」

提督「ま、蒼龍さんの方が先にここに着任しましたから、飛龍さん無しで出撃する事は多かったですよね?」

蒼龍「でも、飛龍と一緒じゃなきゃ嫌です!」

提督「分かっていますよ」


 ―21時前、執務室―

提督「さて、もう書類もあらかた片付きましたし、蒼龍さんは先に上がっていただいて構いませんよ」

蒼龍「え、いいんですか?」

提督「ええ、大丈夫です」

蒼龍「じゃあ…お先に失礼します」

提督「お疲れ様です。あ、明日はサーモン海域へ出撃しますので、ゆっくり休んで疲れを取ってください」

蒼龍「あ、分かりました」


 ―数分後、空母寮・蒼龍&飛龍の部屋―

ガチャ

蒼龍「ただいま~」

飛龍「あ、お帰り~。お風呂まだでしょ?一緒に行こ!」

蒼龍「あ、うん!じゃ、ちょっと準備するから……」

59: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 21:43:53.43 ID:gAQkos+w0
 ―数十分後、浴場―

カポーン

飛龍「ああ~……やっぱりお風呂は気持ちいいね~」

蒼龍「…うん」

飛龍「?どうしたのさ、蒼龍。なんか落ち込んじゃって」

蒼龍「え、いや、何でもないよ~」

飛龍「…蒼龍、約束覚えてる?」

蒼龍「約、束?」

飛龍「お互い、隠し事は無しにしよう。辛い事はともに打ち明けよう、って」

蒼龍「………………」

飛龍「ん?」

蒼龍「今日ね、提督に姉妹艦の編成の事について聞かされてね……」

飛龍「ふんふん」

蒼龍「それで、私の方が先に着任していたから、飛龍とは別に出撃する事も多かったって事になって……」

飛龍「…………」

蒼龍「で、もしかしたら今後飛龍とは別に出撃する事もあるかもって―」


飛龍「そんなのイヤ!」ギュッ


蒼龍「飛龍………」

飛龍「一緒じゃなきゃ…嫌だよ……。蒼龍と一緒じゃなきゃ、嫌だよ!」ギュゥッ

蒼龍「うん…私も同じ。私も飛龍と同じじゃなきゃ嫌だって、提督に言った。そもそも、提督はそんなことをする人じゃないって分かってるから…」

飛龍「…よかった……。でも、もう嘘でもさっきみたいなことを言わないで」

蒼龍「え?」

飛龍「だって……」

60: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 21:49:03.40 ID:gAQkos+w0



飛龍「蒼龍と離れ離れなんて……考えるだけで胸が苦しくなっちゃうから…」ギュッ



蒼龍「…………」

飛龍「……………」グスッ

蒼龍「大丈夫だよ、飛龍」ギュッ

飛龍「?」

蒼龍「私は、これからもずっと飛龍と一緒にいる。だから、泣かないで」

飛龍「…うん」ギュ


睦月(おぉ……おぉぉ……!)

木曾(甘い…甘すぎるぞ……)


 ―翌日15時過ぎ、サーモン海域―

那智「皆の者!気を引き締めて向かうぞ!」

皆『はい!』

蒼龍「頑張ろうね、飛龍!」

飛龍「うん、お互いね!」

北上「はー、やっぱりあの2人は仲良しだねぇ~」

夕張「そうねぇ」

北上「でも、手をつないだまま出撃するなんて、ホントに仲良しだよね~」


飛龍「ふふっ」

蒼龍「えへっ♪」


【終わり】

61: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 22:01:24.02 ID:gAQkos+w0
【おまかわ】

 ―14時過ぎ、執務室―

提督「皐月さん」

皐月「ん?何、司令官?」

提督「先ほどのオリョール海への出撃で、練度が改造可能な数値に達しましたので、工廠へ行って明石さんに改造してもらいましょう」

皐月「へっ?ボクって1回しか改造できないんじゃなかったの?」

提督「この前、妖精さんがさらなる改造を実装する事にしたんですよ」

皐月「ホント!?それじゃ、また強くなれるって事だね!」

提督「そういう事です。では、工廠へ行きましょう」

皐月「うん!」


 ―15時前、工廠―

明石「終わりましたよー!ふー」

提督「いかがでしたか?」


皐月「じゃじゃーん!どう?」


提督「ほう……これは…」

皐月「えへへー、どう?似合う?」

提督「25mm三連装機銃 集中配備と13号対空電探改を装備…。これで対空火力がまた強化されて―」

皐月「装備の話かよー!そうじゃなくって、ボク自身のことはどうなのさ!」

提督「え、ああすみません。皐月さんも、改二になってさらに可愛さに磨きがかかってますよ」

皐月「え、あ、そう?へへ…ありがと♪」ニカッ

皐月「でもさぁ」

明石「おやおや~?提督ぅ~?」

提督「なんですか、2人そろって人の悪い笑顔を浮かべて」

皐月「そう言う言葉は、雲龍さんに言うべきなんじゃないの~?」

明石「妻帯者がそんなセリフを簡単に言うもんじゃありませんよ~?」

提督(この手の冷やかし、最近増えましたねぇ)

62: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 22:07:22.89 ID:gAQkos+w0
 ―18時過ぎ、執務室―

提督「では、明日は改二になってからの性能テストも兼ねて、オリョール海へ出撃しましょうか」

皐月「うん!改二になったボクの力、見せてあげるよ!」

提督「では、旗艦は皐月さんでお願いします」

皐月「了解!」


 ―翌日13時半過ぎ、オリョール海・Bマス(敵巡洋艦隊)―

皐月「さーてと、ボクの新しい力、見せてあげようかなっと」

重巡リ級elite(ふん、新しい力だと?ほざけ)ガシャン

山城「あ、あの重巡、皐月を狙って―」


皐月「ボクとやり合う気なのかな?可愛いね!」ウィンク


重巡リ級elite「!!」トゥンク

軽巡ト級「!」キューン

駆逐ハ級「!!」ズキューン

隼鷹「あれ?なんか敵の動きが鈍ったぞ」

山城「てぇー!」ダァン

ドッゴオォン

速吸「速吸航空隊、発艦始め!」ビシュシュ

ズドゴオオン

大鳳「……全艦沈黙」

皐月「ちょっとー!ボクの出番はー!?」

63: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 22:15:58.77 ID:gAQkos+w0
 ―数十分後、東部オリョール海・Gマス(敵主力打撃群)―

皐月「なんだよー、ボクを差し置いて皆倒しちゃうなんて」

隼鷹「わりーわりー…」

山城「次の戦闘は、生半可な気持ちで挑むと一瞬で終わるわよ。気をつけなさいね。貴女は旗艦なんだから」

皐月「はーい」

大鳳「敵艦発見!攻撃隊、発艦準備!」

速吸「はい!」

隼鷹「了解!」


戦艦ル級elite(見たところ…一番装甲が薄いのはあの機関の駆逐艦…)ガシャン

重巡リ級(あんなガキを機関にするとは…何を考えている?)ガシャン


速吸「また、皐月さんを狙って……」

皐月「改二になったボクに戦いを挑むなんて、皆可愛い子ばっかりだね!」


ズキューン

戦艦ル級elite(ここに拠点を置いて早8年…可愛いなんて言われたの…初めて…)

空母ヲ級(ああ、生きててよかった…)

大鳳「発艦始め!」バシューン

ズッドゴオオオオオオオオオオオオンン

敵深海棲艦「」撃沈

皐月「嘘おおおおおおおお!!」


 ―15時半前、第壱鎮守府・執務室―

大鳳「…という、なんとも信じがたい結果に…」

皐月「どうしてさー!ボクの実力が全然発揮できなかったよ~!」

提督(萌え殺しって、こういう事を言うんでしょうか)


【終わり】

64: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 22:23:43.65 ID:gAQkos+w0
【キャラクター紹介】

≪蒼龍≫

蒼龍型正規空母一番艦。艦娘No.8(改二はNo.197)。青みがかった黒髪と、緑の着物の上からも分かる大きい胸が特徴の、マイペースな感じのお姉さん。鎮守府

でも古参に入る正規空母で、実戦経験はそれなりのもの。飛龍とは同型艦ではないが、同じ二航戦としてとても仲が良く、いつも一緒にいるくらい固い絆で結ばれ

ている。2人のやり取りはもはや恋人同士のようなもので、お互いがお互いと離れたくない。見た目からは分かりにくいが、空母の中でも結構小柄。

好きな言葉は『行雲流水』。

65: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/05(火) 22:29:45.45 ID:gAQkos+w0
≪皐月≫

睦月型駆逐艦五番艦。艦娘No.33(改二はNo.218)。金髪ツインテールとボクっ子口調が特徴の、元気溌剌な女の子。敵に捕捉されにくい俊敏な動きで駆け回り、

被弾する事もあまりない。しかし、調子に乗るとケガをする。みんなの士気を高めるような言葉を掛けて、元気にするのが好き。改二になってからは明るさが

増して、対空火力も大幅に増強された。しかし、なぜか皐月が出撃すると敵の回避力が落ちることが多々ある。『可愛いね!』という彼女が可愛い。

好きな言葉は『青雲の志』。

72: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/06(水) 21:52:04.50 ID:0CdU5BSF0
【隠れドジっ子】

 ―14時過ぎ、≪甘味処・間宮≫―

ガラガラッ

提督「ごめんください」

間宮「あら提督、いらっしゃいませ!」

提督「今、視察をしているところなんですが…お店の方はどうでしょうか?」

間宮「おかげ様で、順調です~」

提督「それはよかったです」

間宮「皆、スイーツを食べた後は笑顔で『美味しかった』と言ってくれて…本当にお店を建ててくださった提督に感謝したいと…」

提督「建てたのは妖精さんと明石さんです。私は別に…」

間宮「いえいえ、そんな…」

伊良湖「間宮さーん?誰か―って、提督!」

提督「こんにちは、伊良湖さん」

伊良湖「こんにちは!元気にやってます!」

提督「そうですか。何よりです」

伊良湖「あ、お茶をお出ししますね~」パタパタ

提督「…伊良湖さんは、楽しそうですね」

間宮「そうですねぇ。伊良湖ちゃんも、このお店ができた時は『ついに自分のお店ができました~!』って喜んでましたし」


ガッシャーン

伊良湖「きゃーっ!?」


提督「?」

間宮「あ~…またやっちゃったか~…」

73: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/06(水) 21:59:01.07 ID:0CdU5BSF0
 ―厨房―

間宮「伊良湖ちゃん、大丈夫?」

伊良湖「ええ…何とか…いたた。滑っちゃって…」

提督「間宮さん、‶また‶とは?」

間宮「ええ、伊良湖ちゃん…こんな感じで失敗しちゃうことがよくあるんですよ…ドジっていうか…」

伊良湖「あはは…つい、提督が来てくださったのが嬉しくてはしゃいじゃって…」

提督「…まあ、確かに伊良湖さんはドジかもしれませんね。艦隊6人分のスイーツを作るように言ったら、なぜか2人分しか作ってこなかったり」

伊良湖「あ、あれは最中を作る容器が壊れちゃって!」

間宮「それより、この破片とか何とかしないと…」

伊良湖「あ、そうでした!じゃあ伊良湖、ほうき取ってきます!」

間宮「うん、お願いね」

提督(失敗するビジョンしか……)

ズデッ

伊良湖「あたっ!?」

間宮「伊良湖ちゃん、大丈夫…?」

伊良湖「はい、大丈―」


ガァーン(振動で棚の上のバケツが伊良湖の頭の上に落ちた音)


伊良湖「ぶぅぅぅ………」プルプル

間宮「ああんもう…………」

提督「しかし、こうもドジをやらかしていちゃ、店が回らないのでは?」

間宮「あ、大丈夫ですよ。それは」

提督「?」

伊良湖「なんだか、私のドジっぷりを見て和んでいる方が多くて…」

間宮「皆さん、伊良湖ちゃんのドジ目当てに来店してるらしいんです…」

提督「なるほど、不安しかありません」


【終わり】

74: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/06(水) 22:07:24.21 ID:0CdU5BSF0
【深海棲艦のやりくり】

 ―19時過ぎ、深海棲艦本拠地・執務室―

深海提督「んん~……」

コンコン

泊地水鬼「失礼します、提督…」ガチャ

深海提督「ああ、泊地水鬼。どうかしたのか?」

泊地水鬼「お夕飯の準備ができましたので、お呼びに……」

深海提督「ああ、もうそんな時間か。じゃあ、ご飯にしようか。皆はもう食堂に?」

泊地水鬼「はい…。皆さんもう集まってます」


 ―数分後、食堂―

戦艦レ級「遅いぞ、提督!腹減った!」

深海提督「悪い悪い」

泊地水鬼「今日の夕飯は、麻婆豆腐ですよ」

深海提督「…おう」

戦艦棲姫「ああ~、お腹空いたわ~」

空母棲姫「食っちゃ寝ばっかりのあんたがどの口で」

装甲空母姫「ほら、そこ。喧嘩しないの」

北方棲姫「お腹減った!ごはん、ごはん!」

港湾棲姫「はいはい、いただきますしてからね」

泊地水鬼「では今日も、いただきます」


皆「いただきまーす!」


戦艦レ級「さーて、麻婆豆腐の味はいかほどか―」

装甲空母姫「まず味噌汁から飲みなさい」

戦艦レ級「ぶぇー…」

戦艦棲姫「装甲空母姫ってお母さんみたいよね~…あ、このサラダ美味しい」

空母棲姫「ほんと、どっかの暇人とは大違い」

港湾水鬼「おい、余計な火種を蒔くんじゃない」

75: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/06(水) 22:15:53.33 ID:0CdU5BSF0
深海提督「…………………」

泊地水鬼「…どうかなさいましたか?提督…もしかして、麻婆豆腐、お口に合いませんでしたか?」

深海提督「あ、いや、そう言う意味じゃない。むしろ凄い美味しい」

泊地水鬼「あ、ありがとうございます…///」

深海提督「ただ、1つ疑問に思った事があってな?」

北方棲姫「?」


深海提督「……この食材、どっから仕入れてるんだ?」


全員「…………………」

深海提督「えっと、大方分かるよ?大体、民間の輸送船を襲って手に入れた~、とかそう言うのだと思うけど……」

港湾水鬼「いや、そうい事はあまりやらんぞ?」

深海提督「…………………え」

港湾棲姫「そうですね…確かに民間船の航路の閉鎖はしていますし、襲撃する事はありますけれど…ものを奪うって事はあまりしませんね……」

深海提督「え、え?じゃ、この食材ってどうしてんの?」


泊地水鬼「それは…普通に地上のお店で買ってますけど」


深海提督「マジで!?」

空母棲姫「当たり前じゃない。じゃなきゃ、クック○ゥの麻婆豆腐の素なんて手に入れる事もできないし」

戦艦レ級「まー、米とか肉とかはたまーに、船襲って奪う事はあるけどな。あ、魚は難なく手に入るぞ。外で釣り出来るし」

港湾棲姫「ですがやっぱり、基本は普通のお店で買ってくるものですね」

76: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/06(水) 22:25:40.08 ID:0CdU5BSF0
深海提督「うわー…なーんか知りたくなかった事を知っちゃったような…。っていうか、普通の人間にばれないの?」

泊地水鬼「そうですねぇ……1回、八百屋のご主人に『姉ちゃん、肌白いね~』って言われたぐらいです」

空母棲姫「私もそんな感じね。後、『あんちゃん、目赤いけど大丈夫?目薬貸そうか?』って言われたこともあったわね」

深海提督「…まあ、空母棲姫はちゃんとした服を着て、泊地水鬼はちゃんとした服を着たうえで頭の角みたいなメットを外せば、まあ普通の人間には見える…」

北方棲姫「ほっぽも!ほっぽも大丈夫だった!」

深海提督「ああ、まあ…ほっぽちゃんも大丈夫だよな…。けど、問題は……」チラッ

戦艦棲姫&港湾棲姫&港湾水鬼「?」

深海提督「お前たちは額に角があるだろ?それどうしてるんだ?」

港湾棲姫「それはこう…」グッ

深海提督「?」


港湾棲姫「ふんっ!」バキィ


深海提督「!?」

港湾棲姫「こうやって折って、後は帽子をかぶってごまかします」

深海提督「地味に痛そうだなぁ!?」

戦艦棲姫「私達も…」グッ

港湾水鬼「同じ感じで…」グッ

深海提督「やらんでいい!っていうか、手は普通のサイズなんだな」

港湾水鬼「ああ、出撃する時のあれは被り物だ」

戦艦レ級「あーあ、俺も地上世界に行ってみたいな~」

装甲空母姫「貴女は、尻尾があるからダメでしょうが」

77: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/06(水) 22:33:54.03 ID:0CdU5BSF0
戦艦レ級「え、あの尻尾って着脱自由なんだぜ?現に今つけてないし」

装甲空母姫「あぁ、そうだったの。でも、どうして地上世界には行けないの?」

戦艦レ級「いや、何かな……」

深海提督「?」

戦艦レ級「地上に上がろうとしたら、なんかすぐに艦娘に見つかっちゃうんだよ。他の泊地水鬼や港湾水鬼は見つからないってのに。何でかわからない」

装甲空母姫「ふーん」

深海提督(そりゃ凶悪なオーラとかそう言うのでばれちゃうんじゃ…)

戦艦タ級「私達は、サングラスをつけてスカートをはけばすぐに一般人に見えるんですよ」スチャ

深海提督「サングラスかけてる女性にいいイメージが無いんだが、俺は……」

泊地水鬼「…とにかく、食材についてはそう言った感じで調達してますので、ご安心ください」

深海提督「そうか………」

空母棲姫「?どうかしたの?」

深海提督「……いや、俺もここに来てから1年ぐらいになるけど、もう1度も地上世界に行ってないなと」

北方棲姫「え、もしかして提督いなくなっちゃうの!?やだやだ!」

深海提督「あ、そういう事じゃなくてな、たまには地上世界に戻ってみようかなと」

港湾棲姫「……それは、お出かけ、というヤツでしょうか?」

深海提督「…そんな感じだな」

全員「行く時はぜひ誘って!」

深海提督「お、おう……」


【終わり】

78: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/06(水) 22:39:31.68 ID:0CdU5BSF0
【キャラクター紹介】

≪伊良湖≫

給糧艦。緑がかった黒髪と、間宮とお揃いのリボン、服装(ただしスカートは短い)が特徴の、活発な女の子。同じ給料艦の間宮と一緒に、総司令部敷地内の

お店≪甘味処・間宮≫で働いている。実はドジっ子で、提督から発注された通りの個数のお菓子が作れなかったり、よく滑って転んだりすることが頻繁にある。

しかし、≪甘味処・間宮≫に来る艦娘の半数ほどはそのドジっぷりを見て和むために来ている。間宮の事をとても尊敬している。得意なスイーツは最中。

好きな言葉は『早起きは三文の徳』。

79: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/06(水) 22:47:57.83 ID:0CdU5BSF0
≪深海提督/量 成太(はかり せいた)≫

深海棲艦達を統べる司令官。性別は男性で、年齢は28歳。深海棲艦の仲間入りをするまでは黒髪短髪だったが、今は白髪に青い眼をしている。幼少の頃に両親が

無理心中をし、世間から『無理心中をした夫婦の息子』と言うレッテルを貼られて、世の中から敬遠された挙句見捨てられた。そのことに強い怒りと恨みを覚え、

それが装甲空母姫の目に留まり、港湾棲姫の手で深海棲艦達の下へ連れてこられる。そして、自分を見捨てた世間と人類への復讐をするために、深海棲艦と手を

組む。深海提督となった後は、深海棲艦達のゆるいノリに染まり、世話好きで心優しいという性格も相まって深海棲艦達から慕われている。特に港湾棲姫、泊地

水鬼、空母棲姫、北方棲姫は彼に対して好意を抱いている模様。彼の本当の名前を深海棲艦達は知らない。

好きな言葉は『深謀遠慮』。

85: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/07(木) 21:25:03.14 ID:KBkLZlGd0
【飢えてない狼】

 ―11時過ぎ、執務室―

提督「えー、皆さんには南西諸島防衛線へ―」

睦月「ねぇねぇ提督、雲龍さんとの結婚おめでとー!」

如月「キスの味って、どんなのだったのかしらぁ?」

瑞鳳「ね!どうして雲龍さんの事好きになったの?」

青葉「夜戦ってもうしたんですか?そこんとこ一言どうぞ!」

葛城「雲龍姉を選ぶなんて、やるじゃない!」

イタリア「はわ~、提督もなかなかですね~」

足柄「ほーら、みんな!」パンパン

全員「?」

足柄「そんなに矢継ぎ早に聞かないの。提督困ってるじゃない。後、皆これから出撃なんでしょ?」

睦月「はっ、そうでした!」

提督「ええ、ではもう一度説明しますが…」


 ―数分後―

提督「先ほどはどうも」

足柄「良いって事よ。それにしても、ケッコンしたては大変ねぇ」

提督「まったくです。もうこんなやり取りを何度した事か…」

足柄「分かってると思うけど、みんな興味があって聞いてるんであって…」

提督「はい、皆さん悪気はないんですよ。ですから、逆に困るんです」

提督「例えば…」チラッ

86: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/07(木) 21:42:58.20 ID:KBkLZlGd0
青葉「司令官司令官!数ある艦娘の中から雲龍さんを選んだ理由は?どこに惚れたんですか?キスの感想はどうでしたか?夜戦はしましたか?」

提督「だまらっしゃい!」ゴン

青葉「ぐふっ」ドサッ

提督「…こう、面白半分遊び半分で聞いてくる相手なら、力でねじ伏せる事ができるんですがねぇ」

足柄「ま、青葉はそうよねぇ」

提督「とにかく、先ほどは本当にありがとうございました。正直、同じようなやり取りを何度もしていて辟易していたところだったんですよ」

足柄「いいっていいって。じゃ、また何かあったら遠慮なく相談してね~」


 ―20時過ぎ、浴場―

足柄「ふんふんふんふふふーん♪」

那智「……なあ、足柄」

足柄「?何かしら?」

那智「……毒キノコでも食べたのか?」

足柄「ぶふっ!?なにゃ、何を言ってるのかしら藪からスティックに!」

那智「…実は、提督と足柄が話しているの、つい聞いてしまったんだが……まさか提督を冷かしたりもせず助けるとは」

足柄「それの何が?」

那智「いや、足柄は普段から提督に興味を示していてを、恋愛に関しては興味津々だっただろう?そんなお前が、提督が雲龍とケッコンしたというショックで

   あろうことに対し、僻んだりせず、嫉妬したりもせず、普段と同じように接して、その上提督の味方になるとは…どうしたんだ?」

足柄「そうねぇ……流石に最初はショックだったわよ?でもね、少しして思ったの」

那智「?」

足柄「提督は、誰からの指図も受けず、自分の意志で雲龍さんを選んだ…。それはつまり、それだけ雲龍さんを好きだったって事。そんな強い意志を持っている

   提督に、そして雲龍さんに、私なんかが対抗できるはずもないって思ったの」

那智「……」

足柄「そう思ってから、私はもうすっぱり提督の事を諦めたわ。そして、できるだけ提督の力になろうと思ったのよ。だから、もう落ち込んでなんかいないわ!」

那智「そうか………なんというか、足柄も大人になったんだな」

足柄「失礼ねぇ。私はずっと大人よ!」


【終わり】

87: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/07(木) 21:55:14.28 ID:KBkLZlGd0
【純朴】

 ―14時半過ぎ、廊下―

初月「~♪」

提督「初月さん」

初月「あ、提督。どうかしたのか?」

提督「いえ、もう初月さんがここにきて1カ月ぐらいになりましたので…少し気になりまして」

初月「なんだ、そんな事か。お前は存外心配性なんだな」

提督「よく言われます。ところで、調子はどうでしょうか?」

初月「問題ないさ。秋月姉さんたちも、他の皆も僕によくしてくれているし、生活物資にも困らないからな」

提督「そうですか…」

初月「ただ、照月姉さんがやたら秋月姉さんに食事を食べさせようとしていたのは、何でだ?」

提督「ああ、それですか…。実は秋月さんは、現代の食事に慣れていなくて、いつも麦飯と大和煮の缶詰だけで贅沢と言うぐらいなんです」

初月「そうだったのか……」

提督「初月さんは、大丈夫なんですか?」

初月「僕か?僕は大丈夫だ。この前、間宮の店で‶ぱふぇ‶なるものを食べてみたら、とても美味しくてね。気に入ったんだ」

提督(大丈夫なのか……)

初月「で、それ以来出撃から帰ってきたら食べに行くようにしている」

提督「照月さんも、大体同じ感じでした。ところで、パフェを食べてから腹痛になるとかそういう事は?」

初月「そうだなぁ…食べ始めた頃はあったけど、今はもう大丈夫だ」

提督「なるほど……」

初月「?どうかしたのか?」

提督「……初月さん、お願いが…」

88: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/07(木) 22:02:13.55 ID:KBkLZlGd0
 ―19時過ぎ、食堂―

提督←Bセット(イタリアのパスタセット)

初月←Aセット(オムライスセット)

秋月←Cセット(おにぎり三種セット)

秋月「…………」プルプルプル

初月「はぁ、美味しいなぁ~。今はこんな美味しいものが普通に食べられるなんて、何て良い世の中なんだろう」

提督「ホントですねぇ。多分、現代に生きる私達が過去に行ったら、食事を食べてもすぐに空腹が倒れてしまうでしょう」

初月「なんだそれ」フフッ

秋月「………」フルフルフル

初月「?姉さん、どうしたんだい?」

秋月「う、ううん…そのオムライス…一口だけ、貰ってもいいかしら?」

初月「え、いいけど…お腹は大丈夫なのかい?」

秋月「だ、大丈夫よ!」

秋月(っていうか、照月も初月も今風の食べ物を食べて大丈夫なのに、姉の私がこれじゃ……尊厳が!)

初月「はい、あーん」

秋月「あ、あーん……」

パクッ

秋月(お、美味しい……!こんなふわふわした感触、生れてはじめて…!)

初月「美味しい?良かったらもっと食べる?」

秋月「い、いいえ!今日はこれだけでいいわ!」

初月(今日は?)

提督(少しずつ、慣らしていきましょう)


【終わり】

89: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/07(木) 22:07:01.42 ID:KBkLZlGd0
【キャラクター紹介】

≪足柄≫

妙高型重巡洋艦三番艦。艦娘No.57(改二はNo.193)。ロングの黒髪と白いカチューシャが特徴の、好戦的なお姉さん。典型的なバトルジャンキーで、戦う事が

大好き。荒っぽい戦い方をしており、豪快な砲撃が特徴。恋愛に関してとても興味津々で、提督に対してアプローチを試みたり提督の恋路に興味を示していたが、

提督が雲龍とケッコンしてからはすっぱりと諦めた。得意料理はカツで、それから転じてカツカレーも得意。姉の那智からよくいじられる。絶対年増じゃない。

好きな事は『先んずれば人を制す』。

95: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/08(金) 21:40:09.32 ID:cfL69e8n0
【葛藤】

 ―14時過ぎ、サーモン海域・Hマス(敵機動部隊主力)―

≪我、夜戦に突入す!≫(妖精さんの力で辺り一帯を夜のように暗くしている)

比叡「さあ、夜戦の始まりですよー!気合っ、入れてっ、頑張ります!」

川内「……………」

葛城「?比叡、何してるんです?大好きな夜戦ですよ?」

川内「えっ?あっ、そ、そうだったね!よーっし、やる気出てきたぁ!」

加賀「…………」


 ―数時間後、執務室―

提督「川内さんの様子がおかしい?」

加賀「はい。夜戦に突入しても、以前のようにバカみたいに騒がず、比叡から言われるまで夜戦に突入するという事に気付いていないように見えてました」

提督「………なるほど…どこか体調に問題があったのでしょうか……」

加賀「…理由は、見当がついていますが」

提督「?」


 ―21時過ぎ、軽巡洋艦寮・川内&神通の部屋―

川内「…………はぁ」

川内(最近の私は、なんだかおかしい)

川内(大好きな夜戦に突入しても、なんだか力が入らない)

川内(こうして夜が来たっていうのに、気分が落ち込む)

川内(ついこの間まで、こんな事は無かったっていうのに…)

ガチャ

神通「ふぅ、いいお湯でした…。って、川内姉さん?どうしたんですか、そんな布団の上に体育座りで…」

川内「あ、神通……」

川内(神通も、これまで見たいにいつも通りに見える。でも、私は気付いていた)

川内(神通も落ち込んでいる)

96: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/08(金) 21:46:25.42 ID:cfL69e8n0
川内(理由は大体想像がつく。提督のことだろう)

川内(提督と雲龍さんがケッコンカッコカリしたという事が発覚してから、神通の調子は少しだけだが悪くなっていた)

神通「川内姉さん?」

川内「あ、ゴメンゴメン。で、なんだっけ?」

神通「何か、悩みでもあるんですか?」

川内「悩み?どうしてそう思うの?」

神通「だって、川内姉さんが夜が来たにもかかわらず静かに座ってるなんて……何かあったと思うのが普通です」

川内「そっか……ちょっと、聞いてくれる?」

神通「もちろんです。それで?」

川内「最近ね、私おかしいんだ。夜が来ても盛り上がれないし、夜戦に突入しても気が入らない感じで……」

神通「……そうですか。私と似ていますね」

川内「神通も?」

神通「ええ。私の本領を発揮できる夜戦で、なぜか実力が発揮できなくなったり、駆逐艦の皆さんから『訓練がいつもより優しい気がする』と言われたり…」

川内「…ねぇ、これってなんなのかな?スランプ?」

神通「……姉さんがそうなったのって、いつからですか?」

川内「え?そう、だな……つい先週くらい、かな」

神通「…私と同じくらいです」

川内「え?」

神通「…先週と言えば、提督と雲龍さんがケッコンカッコカリした週です」

川内「あ、そう言えばそうだったね……」

神通「つまり姉さんは、提督と雲龍さんがケッコンした事に若干のショックを覚えているという事です」

川内「…………………………………………え?」

神通「ですからつまり…………」

97: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/08(金) 21:58:35.27 ID:cfL69e8n0


神通「姉さんは、提督に少なからず好意を抱いていたという事ですよ」


川内「……え、えぇ!?」

神通「スランプの内容が、提督の事を愛していた私とほぼ同じで、そうなり始めたのが私と同じ時期…。それはつまり、私と同じという事が言えます」

川内「ちょ、ちょ、ちょっと待って!いや、そんなのないって!」

神通「…提督がケッコンカッコカリしたという事実は、本来客観的に見れば喜ばしい事です。しかし、私達は逆に落ち込んでしまっている…。その理由は大体、

   二通りあります。1つは、提督を疎ましいと思っていて、提督にとって幸せな事が起きたから悔しい…と言う理由で」

川内「そ、そんなのあるわけないじゃない!」

神通「ええ、私もです。ですから、もう1つの理由が当てはまります。それは、自分が好きだった提督が他の方とケッコンして悲しい、と言う理由です」

川内「………あ」

神通「…川内姉さんも、どこかで提督の事を気にかけていたのではありませんでしたか?」

川内「………」

神通「………」

川内「………夜戦がしたいって何度も言って、提督に叩かれたこともあった」

神通「………」

川内「サブ島沖に連れて行けないって言われてショックを受けていた私にスイーツを奢ってくれたこともあった」

神通「………」

川内「タカ派の鎮守府の演習艦隊に勝利して、褒めてもらった事もあった」

神通「………」

川内「………提督との思い出は、みんな楽しかった」

神通「………」

川内「………多分、その中で、私は提督の事を好きになっていたんだと思う」

神通「………でも、私に言われるまで気づきませんでしたよね?」

川内「………うん。だからね、ほんっとーに、提督が好きだって事に気付かなかったんだ」

神通「………姉さんは、恋とかには鈍感ですからね」

川内「………それで、今神通に『提督の事を好きだ』って事に気付かされて……分かったよ」ブルッ

神通「?」

98: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/08(金) 22:06:55.11 ID:cfL69e8n0
川内「私……悲しいんだ……」グスッ

神通「…………自分が選ばれなかったことが、ですか」

川内「…うん。やっとわかった。どうしてこうなっちゃったのか」

神通「………それで、どうします?」

川内「………え?」

神通「報われないと分かっていても提督に告白するのか、それともこの恋をなかったことにするのか。それとも………」

川内「………恋って、一度気づいちゃうとなかなか忘れられないんだよね。たった今気づいたって事だからなおさら」

神通「?」

川内「私は………」


 ―数日後、執務室―

川内「提督、はいこれ!」スッ

提督「…この箱は?」

川内「私と神通からのプレゼント!提督と雲龍さんのケッコン祝いだよ」

神通「普段お世話になっている提督のお祝い事ですから、2人で何かプレゼントしようと決めていたんですよ」

川内「私と神通の2人で選んだんだ!」

提督「実にすみません…。開けてもよろしいですか?」

神通「どうぞ」

提督「では……」バリッ

提督「………これは…」

チャリ

提督「………懐中時計ですか」

川内「そそ。デザインが良いなーって思ったから」

提督「………ありがとうございます。大切に使わせていただきます」

神通「それで、提督」

提督「はい?」


川内&神通「改めて、ケッコン、おめでとう(ございます)」



99: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/08(金) 22:17:08.07 ID:cfL69e8n0
 ―数分後、廊下―

神通「………これでよかったんですか?」

川内「…自分の恋を諦めて提督の恋を応援する、結構いい選択だと思わない?」

神通「………そうですね」

川内「………はー、これで恋から吹っ切れたわけだ!」

神通「………そう、ですね」グスッ

川内「?あはは、やだなー、神通~。そんな泣かないでよ~」ジワッ

神通「…?」

川内「……私まで、泣きたくなっちゃうじゃない………」グスッ

神通「……姉さん…」

川内「……あれ、おかしいな…。吹っ切れたはずなのに……あれ?」エグッ

神通「………」グスッ

 そして2人は、お互いに抱き合い、涙を流して静かに泣いた。


 ―翌日23時過ぎ、軽巡洋艦寮―

川内「よーっし!夜だ!夜戦だーっ!」

天龍「うるせーよ!最近静かになったと思ったらまたこれか!」

木曾「おい神通、川内にちゃんと寝かしつけるように言ってくれ!」

神通「はいぃ!申し訳ございません!」

提督「その口ガムテープでふさいでやろうか」

川内「げぇっ!?提督、いつの間に…!まさか、瞬身の術!?」

神通「すみません提督!姉さんには私からしっかり言い聞かせておきますので…!」

 ほどなくして川内と神通の調子は元に戻り、川内はかつてのように夜と夜戦になると騒ぐようになって、神通の訓練は再び厳しいものとなってしまった。


 そして、あの川内と神通がプレゼントした懐中時計は、提督は毎日使っていた。

 しかし、これは川内も神通も意図せず、提督も気づかない事だが、その懐中電灯の色は黄色にも見える金色で、蓋には菊の花がデザインされていた。


 皮肉にも、黄色い菊の花言葉は『破れた恋』であった。


【終わり】

100: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/08(金) 22:26:43.69 ID:cfL69e8n0
【大所帯】

 ―15時過ぎ、駆逐艦寮前―

陽炎「じゃあ私は、まだちょっとやる事があるから」

嵐「おう、それじゃ後でな!」

陽炎「うん、後でね~」

提督「……陽炎さん」

陽炎「あ、司令。こんにちは~。視察?」

提督「巡視ですよ。それより、陽炎型も大分そろってきましたねぇ」

陽炎「あ、うん。そうねぇ~。もう16人よ~」

提督「実際に16人姉妹なんていたら、ビッグダディどころではないでしょうね」

陽炎「当たり前じゃないの…」

提督「これで、まだ着任していないのは後3人……」

陽炎「ま、気長に待つわよ~。今でも十分に面白いから」

提督「でしょうね。皆さん個性的ですし」

陽炎「いやホント、飽きないわよ」

提督「しかし、妹が15人もいるとまとめ上げるのが大変なのでは?」

陽炎「いやー、そうでもないわね。陽炎型も何人かにグループ分けされてるし」

提督「グループ分け?」

陽炎「そうよ。私と不知火、黒潮のグループ。初風と雪風と時津風と天津風のグループ。浦風、磯風、浜風、谷風のグループ。嵐、萩風、舞風、野分のグループ。

   秋雲は~、夕雲型に入りびたりね」

提督「なるほど…しかし、そうグループ分けされてると同じ姉妹艦でもつながりが希薄になるのでは?」

101: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/08(金) 22:34:03.91 ID:cfL69e8n0
陽炎「ううん、そんなんでもないわ。雪風は基本的に他のグループとも接点があるし、黒潮と浦風主体で陽炎型お好み焼き対決をしたりするし、皆が浜風と

   浦風に―おっと、これ以上は女の子の秘密ね」

提督「?」

陽炎「ま、みんな仲良くやってるから安心してね」

提督「そうですね」

陽炎「ま、いざとなったら私が皆を引っ張っていくから安心して―」

<こらぁぁぁぁぁぁぁぁl!

提督&陽炎「?」

嵐「おい聞いてくれよ陽炎!」

陽炎「な、何?」

嵐「谷風の野郎、俺の取っといたプリン勝手に食べやがったんだよ!」

谷風「いや、あたいはもちろん謝ったんだけどさぁ…」

嵐「謝っただけじゃ警察はいらねぇんだよぉ!」

陽炎「………」

雪風「初風ちゃんがつれない~…」

野分「た、助け……舞風…踊り…すぎ…」


陽炎「………司令」

提督「…はい」

陽炎「………ヘルプを…」

提督「陽炎型は貴女がまとめるんでしょう。貴女が何とかしなさい」

陽炎「この外道!」


【終わり】

102: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/08(金) 22:39:23.57 ID:cfL69e8n0
【キャラクター紹介】

≪川内≫

川内型軽巡洋艦一番艦。艦娘No.46(改二はNo.158)。ツーサイドアップの黒髪と、ニンジャのような服装が特徴の、明るい女の子。夜戦…というか夜が大好きで、

出撃する時はいつも夜戦がしたいとねだる。寮でも夜になったらテンションアゲアゲで騒ぎ、他の軽巡洋艦娘達から注意される。神通から指摘されるまで提督が

好きだという事に気付かず、1度自覚した恋愛感情と決別するために提督にプレゼントを渡して提督の事を諦める事にした。黙っていれば美人。

好きな言葉は『夜道に日は暮れぬ』。

111: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/09(土) 21:28:58.88 ID:O33iNNbT0
【ギンバイ】

 ―14時過ぎ、執務室―

速吸「失礼します、提督!第二艦隊、東京急行遠征より帰還しました!」

提督「お疲れ様です。では、簡単に報告を…」


イク「なんだか最近、資源の増加率が高い気がするの」

伊58(以下ゴーヤ)「え?気のせいじゃないでちか?」

イク「いや、気のせいじゃない気がするの。あきつ丸さんとか、速吸さんとかが遠征に出ると、いつもより持ち帰る資源の量が少し増えてる気がするの」

ゴーヤ「うーん…実際にあきつ丸さんか速吸さんに聞いてみたらどうでち?」

イク「それが早いのね!」


 ―数分後、休憩室―

速吸「それで私に聞いてきたんですね?」

イク「そうなの!」

ゴーヤ「それで、どうしてでちか?」

速吸「それはあれよ。大発動艇っていう装備のおかげね」

イク「大……ハツ?」

速吸「大発動艇。あきつ丸さんがここに来た時に装備していた装備で、上陸する際に用いていた物ですね。大発動艇には物を乗せられるスペースがあるから、

   その空いたスペースに資源を乗せてくるから、少しだけ持ち帰れる資源の量が増えるのよ」

ゴーヤ「ほえ~…そうだったんでちか」

速吸「ただ、大発動艇を装備できる艦は、ここには私のほかにはあきつ丸さんとしかいないけどね。大潮ちゃんはまだ改二になっていないし」

イク「なるほどなの~…」

112: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/09(土) 21:36:03.76 ID:O33iNNbT0
 ―15時過ぎ、廊下―

イク「………ねぇ、ゴーヤ」

ゴーヤ「………なんでち?」

イク「…イク、速吸さんの話聞いて、思いついた事があるの」

ゴーヤ「………奇遇でち。ゴーヤも同じことを考えていたところでち」

イク&ゴーヤ(今なら資源をギンバイしても怪しまれないんじゃ?)


 ―20時過ぎ、特別艦寮・伊19&伊58の部屋―

伊168(以下イムヤ)「止めといた方がいいわよ」

ゴーヤ「どうしてでち?」

イムヤ「そんな資源をギンバイなんて、常識的にやっちゃいけない事でしょ?それに、バレたらあの司令官に何されるか…」

イク「ナニって…きゃー///」

伊8(以下ハチ)「とにかく、やったらダメだと思う。それに、どうしてギンバイなんてする必要が?」

ゴーヤ「だってゴーヤたち潜水艦は、戦闘のたびに駆逐艦や軽巡洋艦のデコイにされるでち!」

イク「それでそのたびに中破大破で入渠コースゴーなんてもううんざりなの!」

ゴーヤ「だから…これは戦意高揚のための…犠牲でち!」

イムヤ「犠牲って………でもま、ゴーヤとイクの言い分にも一理あるかも………」

ゴーヤ「とりあえず、今晩はゴーヤとイクが行ってみて、案外チョロそうだったらまたやってみるでち!」

イク「それに、ちょっとスパイ気分で楽しそうなの!」

イムヤ「はぁ……ま、いいけど」

ハチ「そうだね……とりあえず、今晩の出来次第で、明日やってみようかな」

伊401(以下シオイ)「ん?何か面白そうなこと考えてるね~、何々?」

113: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/09(土) 21:46:48.62 ID:O33iNNbT0
 ―24時過ぎ、特別艦寮・廊下―

夕張「右手には白旗~♪左手にはパスタ~♪(小声)」テクテク


ゴーヤ(左、問題ナイでち!)

イク(後方にも、敵衛無し、なの!)

ゴーヤ(巡視ももう行っちゃったから、大丈夫でち!)

イク(よし、イクの!)ヒタタタタ


 ―十分後、資源倉庫―

ゴーヤ「ほああ…こんなにたくさん…」

イク「じゃあちょこっとだけ燃料と鋼材と弾薬を持ち帰ってと……」

ゴーヤ「ボーキサイトはいらないでち」

※艦娘達は資源を補給する際、食べる事で補給する手段もある。通常は妖精さんが何らかの方法で補給させる。


 ―翌朝8時半過ぎ、特別艦寮・休憩室―

イク「というわけで、夜は無事に持ち帰る事ができたの!」

ゴーヤ「良い経験になったでち!」

シオイ&ハチ「おお~」

ゴーヤ「そんなわけだから、皆もやってみるでち!」

イク「楽しかったの!」

シオイ「面白そうだね~。私もやってみる!」

ハチ「はっちゃんも、なんだか楽しそう」

イムヤ「……ま、まあ…一回だけやってみようかな」


 ―24時半過ぎ、資源倉庫―

イムヤ「おぉ~……まさか、こんなに簡単に着けるなんて……」

ゴーヤ「ね、簡単でしょ?」

ハチ「ホント。楽しかった」

シオイ「なんだか忍者みたいだったね~」

イク「さてと、後は資源を持ち帰って…」

114: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/09(土) 21:53:11.44 ID:O33iNNbT0




提督「ほぉ~う」




全員「!!?」ビクゥ

提督「どうも資源の増減具合がおかしいと思ってみれば、こういう事でしたか…」ゴゴゴゴゴ

全員(今振り向いたら……命は無い……)

提督「まさか、気づかないとでも思っていたんでしょうか?だとすると、私も随分となめられたものですねぇ…」ゴゴゴゴゴ

全員(………………………………………)ビクビクビク

提督「さて…どう料理してくれようか……………」ゴゴゴゴゴ

全員「鎮守府の資源回復のために励みますのでどうか解体はご勘弁ください!!」ドゲザ


 ―翌日8時過ぎ、食堂―

まるゆ「あ、あの、隊長~………」

提督「はい?」

まるゆ「あの、ゴーヤさんとかイクさん、ハチさんにイムヤさんとシオイさんは、どこへいったのでしょうか……」

呂-500(以下ろー)「そう言えばそうだね。朝から姿を見てないって」

提督「ああ、彼女たちでしたら明け方、緊急の遠征で西方海域へ向かっています」


 ―同時刻、西方海域への道中―

イムヤ「私なんて、初犯だったのに………」

ハチ「それは私も同じ………」

シオイ「私だって~!」


【終わり】

115: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/09(土) 21:59:50.79 ID:O33iNNbT0
【上戸】

 ―21時過ぎ、≪居酒屋・鳳翔≫―

隼鷹「いやぁ~、いつも鳳翔さんの料理は美味いねぇ~!これを肴に飲み明かしたいくらいだ~!」グビグビ

鳳翔「それはありがとうございます」

隼鷹「よーっし、今日はもう飲み明かそう!あははははは!」

飛鷹「何バカ言ってんの。もう戻りましょ」

隼鷹「うぇぇ~、鳳翔さーん、姉が冷たいデース!」

飛鷹「はいはい、寝言は寝て言いなさい。じゃあ鳳翔さん、お代は―」

隼鷹「飛鷹にツケといて~」

飛鷹「アホ!」


 ―翌日11時過ぎ、執務室―

提督「飛鷹さんは、お酒をあまり嗜まないんですか?」

飛鷹「え?急にどうしたの?」

提督「いえ、鳳翔さんが『昨日は飛鷹さんあまり飲まなかったですね…』とつぶやいていたので」

飛鷹「ああ、そのこと。それはあれよ」

提督「?」

飛鷹「私がべろんべろんに酔ったら、誰が隼鷹を寮まで連れ帰るの」

提督「…そうでしたね」

飛鷹「それもあるし、私は静かにお酒を飲みたい派なのよね。隼鷹見たいにグビグビ飲むんじゃなくて」

提督「なるほど…」

飛鷹「だからまあ、別にお酒が嫌いってわけじゃないのよ?」

116: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/09(土) 22:10:13.06 ID:O33iNNbT0
 ―20時過ぎ、執務室―

提督「あ、もうこんな時間でしたか…」

飛鷹「え?あ、いけない…ご飯食べそびれちゃった…」

提督「すみません、私が気付かなかったのが…」

飛鷹「……ま、いいわ。鳳翔さんの所で食べましょう」

提督「本当にすみません。私が奢りますので」

飛鷹「あら、悪いわね」


 ―数分後、≪居酒屋・鳳翔≫―

鳳翔「あら、提督…それに飛鷹さんも。いらっしゃい」

提督「すみません。食堂で食べそびれてしまって」

飛鷹「今日は提督の奢り……って、客がいないじゃない」

鳳翔「ええ…なぜかわからないんですけど………」

提督「まあ、これで飛鷹さんも静かに酒が飲めますね」

飛鷹「え、飲んでいいの?」

提督「明日はお休みでしょう?それに、仕事の方も私一人で十分さばききれる量ですし」

飛鷹「じゃあ………いただこうかしら?」

提督「鳳翔さん、すみませんが熱燗とコーラで」

飛鷹「たまには、隼鷹意外と飲むのもいいかもね」


 ―数十分後―

飛鷹「でねー!そしたら隼鷹ったら何にもないところでこけちゃったのよー!あっはっはっは!」

提督&鳳翔「」

飛鷹「その時隼鷹のスカートがめくれて   が丸見えでねー!もう傑作傑作……!はははははははは、あーはははっははは!!」

提督(………これって…)ヒソヒソ

鳳翔(………笑い上戸………ですね。飛鷹さんがこんなになるの、初めて見ました)ヒソヒソ

提督(………私もです)ヒソヒソ

飛鷹「あっはっはっはっは!あーっはっはっはっはっは!」


【終わり】

117: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/09(土) 22:14:43.38 ID:O33iNNbT0
【キャラクター紹介】

≪飛鷹≫

飛鷹型軽空母一番艦。艦娘No.65。黒いロングヘアーと、金の刺繍が入った白い上着と赤い袴が特徴の、お嬢様らしいお姉さん。元々豪華客船の計画があったから

か、全体的に豪華な雰囲気のする服装をしている。しかし、彼女自身は和の心を愛しており、部屋は畳で日記は巻物、万年筆の代わりに毛筆(プライベート)と、

旧習復古の所作が目立つ。酒を飲む事は好きだが、静かに呑むのを好む。飲み過ぎると笑い上戸になる。他の艦より若干目立たないのが悩み。

好きな言葉は『住めば都』。

123: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/10(日) 21:42:11.47 ID:ONOgusEq0
【波紋】

 ―19時過ぎ、食堂―

天龍「そう言えば提督よ」

提督「はい?」

天龍「お前がさ…その、雲龍先輩とケッコンカッコカリしたって事、俺たちと司令長官以外の人に伝えたりしたのか?」

提督「………それは、海軍関係者の中で、という事でしょうか?」

天龍「ああ」

提督「……まあ、私の親しい提督…地方代表提督と、木更津、湯河原、いすみ…後は、イギリスの方…と憲兵司令官の城さん…」

天龍「イ、イギリス!?」

提督「ええ。気の合う方が…」

天龍「そ、そうか……」


 ―14時過ぎ、関東木更津第鉢鎮守府・執務室―

第鉢鎮守府提督(以下鳥川)「いや、しかし驚きだなぁ…アイツがまさか雲龍とケッコンカッコカリするなんて…」

第陸鎮守府提督(以下蓮村)『うん、予想だにしなかったよ…。もっとこう、金剛さんとか神通ちゃんとかとすると思ったよ』

鳥川「しっかし、やっぱり決め手は胸かね?」

蓮村『いや、それは無いと思う。黎明、性格重視だから』

鳥川「だよなぁ……あいつ、前に『胸の大きさはどうでもいい』って言ってたし」

蓮村『そうそう。雲龍さんはあれだよ、ぽやーんとした感じの所が好きになったんじゃないの?』

鳥川「『癒し』ってやつか」

蓮村『うん。あいつ、仕事バカだからどこかしらで安らぎが欲しかったんだろうね』

鳥川「お前ってたまにグサッと来る毒吐くな……」

蓮村『え?至極まっとうな意見だよ?』

124: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/10(日) 21:51:11.07 ID:ONOgusEq0
 ―15時過ぎ、北海道小樽第鉢拾伍鎮守府・執務室―

響「司令官、手紙を持ってきたよ」

第鉢拾伍鎮守府提督(以下手稲)「ありがとうね」スッ

響「じゃあ、私は書類を片付けて―」

手稲「おぉ…!」

響「?どうかしたのかい?」

手稲「あ、失礼……総司令部の斑提督が、ケッコンカッコカリをしたとの報告が……」

響「本当かい?」

手稲「ああ、相手は雲龍さんだそうだ。しかし……これはちょっとマズいな……」

響「何がマズいのかな?」

手稲「彼は天然ジゴロなところがあったから、これを知ったら女性陣はどう思うだろうなぁ………」

響「天然…ジゴロ?」


 ―13時過ぎ、東北塩釜第質拾参鎮守府・執務室―

龍田「提督~、失礼するわよ~?」ガチャ

第質拾参鎮守府提督(以下保柄)「…………………………………」ズーン

龍田「あら~、すごい落ち込んでるわね~…。提督らしくないわ~」

保柄「これ………見て………」ピクピク

龍田「どれどれ~?」ペラッ

龍田「………あら~、総司令部の斑さん、ケッコンカッコカリしたんですね~。おめでたいじゃないですか~」

保柄「そ、そうだけど~………私~、彼の事好きだったのにな~……」

龍田「これはあくまでカッコカリよ~?まだ提督の入る余地はあると思うわ~」

保柄「そうかなぁ~……」

龍田(普段ポジティブな提督がここまで落ち込むなんて~、相当ショックだったんでしょうね~…)

125: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/10(日) 21:57:00.69 ID:ONOgusEq0
 ―10時過ぎ、北陸胎内第壱拾玖鎮守府・執務室―

第壱拾玖鎮守府提督(以下朱鷺)「あらら…」

陸奥「どうかしたの、提督?」

朱鷺「黎明君、雲龍さんとケッコンカッコカリしたんだって」

陸奥「あらあら、めでたい事じゃない。でも、どうしてがっかりした感じなの?って、あそうか」

朱鷺「これじゃ、カッコガチの方も雲龍さんになっちゃうのかな~?」

陸奥「そうなると、提督の入る余地が無くなっちゃうわね~」

朱鷺「そうなのよ~…。アタックするなら、早めがいいかな~?」


 ―16時過ぎ、近畿舞鶴第弐拾伍鎮守府・執務室―

第弐拾伍鎮守府提督(以下山科)「えっ、マジか!?」

鈴谷「んー?どうかしたの?」

山科「あ、いや………総司令部の斑さんが、ケッコンカッコカリしたんだと」

鈴谷「ほーぅ、でお相手は誰なんじゃん?」

山科「雲龍だって……」

鈴谷「めでたい事っしょ?でも、提督なーんか落ち込んでる感じだよねー。どうして?」

山科「………うち、雲龍いないじゃん」

鈴谷「………あー…」

126: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/10(日) 22:07:07.25 ID:ONOgusEq0
 ―17時過ぎ、中国倉敷第参拾質鎮守府・食堂―

第参拾質鎮守府提督(以下凪)「斑さん、ケッコンしたのか…」

第肆拾玖鎮守府提督(以下奈美)「雲龍さんだったっけ?男ってみんな胸しか見てないのね~」

凪「いや…斑さんは多分そんな下心で雲龍さんを選んだんじゃないと思うぞ」

奈美「どうだか」

凪「ふむ………俺が吹雪とケッコンした時も、斑さんにこういう報告送ったなぁ~。懐かしい…」

奈美「おにーちゃん、奈美は!?奈美の事はどう想ってるの!?」

凪(この妹がまためんどくさい………)


 ―20時過ぎ、九州天草第陸拾壱鎮守府・執務室―

第陸拾壱鎮守府提督(以下守展)「おーっし!飲むぞー!」

千代田「ちょっと、どうしたの急に!?」

守展「いや、総司令部の斑の兄ちゃんが雲龍とケッコンカッコカリしたらしいんだよ」

千代田「ふぅ~ん…でも、結局は他の鎮守府の事で―」

守展「馬鹿野郎!自分の知人にめでたい事があったら飲むのがあたりめーだろうが!」

千代田「そんな理由つけて酒が飲みたいだけでしょ!?」

守展「おう、那智に千歳、隼鷹、酒のみに執務室に来ない?」

千代田「呼ばないで!私じゃ抑えきれないカオスになって―!!」

127: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/10(日) 22:13:52.24 ID:ONOgusEq0
 ―13時過ぎ、関東いすみ第壱拾鎮守府・執務室―

第拾鎮守府提督臨憧『斑さん、ケッコンカッコカリなさったんですね…』

扶桑「あら…おめでたいですね…」

臨憧『…………』

扶桑「…………やはり、羨ましいですか?」

臨憧『……先にケッコンカッコカリ、とは………』

扶桑「…………でも、提督」

臨憧『大丈夫です。私達も、頑張りませんとね』

扶桑「…………はい」ニコ←練度97


 ―16時半過ぎ、陸軍憲兵本部・司令官室―

憲兵司令官(以下城)「おっ、斑君から手紙だぁ♪」

城「なにかな?何かな?楽しみ―」ペラッ

城「」

コンコン

秘書「失礼します、司令官。各所からの陳情書が―」ガチャ

城「」バタリ

秘書「し、司令官!?どうなさったのですか!?」

城「」

秘書「だ、誰か!司令官が危篤状態に!!」

128: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/10(日) 22:19:09.00 ID:ONOgusEq0
 ―21時過ぎ、イギリス海軍司令本部・補佐官室―

イギリス海軍司令長官補佐官(以下ランスロット)「………………ふっ」

イギリス海軍司令長官(以下アネリ)「なんですか、急ににやけて気持ち悪い」

ランスロット「司令長官、部屋に入る際はノックをと何度も仰っているのですが」

アネリ「硬い事言わないの。ところで、それ誰から?」

ランスロット「日本の海軍司令長官補佐官からです」

アネリ「そう言えば、貴方そのお方と随分親しいそうじゃない」

ランスロット「ええ、色々と共通点がありましたからね」

アネリ「私達の国にも鎮守府を造ってくれるなんて、随分と羽振りがいいわね。そこまで友好的だと、逆に怪しいわよ」

ランスロット「ご心配なく。あの人は、そのような事を考えてはいないでしょう」

アネリ「ふーん…」


 ―21時過ぎ、関東東京第壱鎮守府・執務室―

雲龍「なんだか、恥ずかしい気もするわね…」

提督「?何がでしょうか」

雲龍「自分がケッコンしたなんてことを多方面に報告するなんて………」

提督「一応。親しい方とお世話になった方にしか送りませんでしたが………」

雲龍「それでも、結構恥ずかしいものよ」


【終わり】

129: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/10(日) 22:29:57.62 ID:ONOgusEq0
【キャラクター紹介】※人名多数。詳細な紹介はまた登場した際に。

≪鳥川 将(とりかわ しょう)≫

関東・木更津第鉢鎮守府の司令官。性別は男性で、年齢は27歳。斑提督とは小学校時代からの付き合いで、バカだけど発想力豊か。嫁艦は木曾。


≪蓮村 宗(はすむら しゅう)≫

関東・湯河原第陸鎮守府の司令官。性別は男性で、年齢は26歳。斑提督とは小学校時代からの付き合いで、温和だが毒を吐く事もある。嫁艦は長良。


≪手稲 功(ていね いさお)≫

北海道・小樽第鉢拾伍鎮守府の司令官でもあり北海道地方代表提督。性別は男性で、年齢は28歳。落ち着いた物腰で、寒さに強く暑さに弱い。嫁艦は響。


≪保柄 佳奈子(ほがら かなこ)≫

東北・塩釜第質拾参鎮守府の司令官でもあり東北地方代表提督。性別は女性で、年齢は24歳。超がつくほどのんびりやさんでマイペース。嫁艦は龍田。


≪朱鷺 鷹江(とき たかえ)≫

北陸・胎内第壱拾玖鎮守府の司令官でもあり北陸地方代表提督。性別は女性で、年齢は26歳。提督みんなのマドンナ的な存在で、主に緩衝役。嫁艦は陸奥。


≪山科 仁(やましな じん)≫

近畿・舞鶴第弐拾伍鎮守府の司令官でもあり近畿地方代表提督。性別は男性で、年齢は26歳。かっこつけだが根は真面目な若干ツンデレ。嫁艦は鈴谷。

130: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/10(日) 22:42:12.99 ID:ONOgusEq0
≪伊座 凪(いざ なぎ)≫

中国・倉敷第参拾質鎮守府の司令官でもあり中国地方代表提督。性別は男性で、年齢は25歳。奈美の双子の兄で、他の鎮守府の提督と比べて普通。嫁艦は吹雪。


≪伊座 奈美(いざ なみ)≫

四国・新居浜第肆拾玖鎮守府の司令官でもあり四国地方代表提督。性別は女性で、年齢は25歳。凪の双子の妹で、顔はいいのに重度のブラコン。嫁艦は川内。


≪守展 堂治(しゅてん どうじ)≫

九州・天草第陸拾壱鎮守府の司令官でもあり九州地方代表提督。性別は男性で、年齢は34歳。豪快な性格で、実家が酒蔵のお酒大好きな飲兵衛。嫁艦は千代田。


≪臨憧 夕(りんどう ゆう)≫

関東・いすみ第壱拾鎮守府の司令官。性別は男性で、年齢は21歳。3人の親しい人に裏切られた事で人間不信に陥ったが、今はリハビリ中。嫁艦は扶桑。


≪城 瑠璃(じょう るり)≫

陸軍憲兵司令官。性別は女性で、年齢は27歳。斑・鳥川・蓮村とは高校時代のクラスメートで、女性としての窮地をを斑に助けてもらい、べた惚れした。


≪ランスロット・オールポート≫

イギリス海軍司令長官の補佐官。性別は男性で、年齢は28歳。性格等が斑提督とに通ったところがいくつかあり、親友になる。イギリス鎮守府の提督の予定。


≪アネリ・ローウェル≫

イギリス海軍の司令長官。性別は女性で、年齢は54歳。自由奔放かつ大胆な性格で、部下の無茶な作戦も笑って承認するほど。どことなくずぼら。

135: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/11(月) 21:39:21.11 ID:fMS5m0nA0
【夜桜の下で】

 ―夜1時過ぎ、軽巡洋艦寮・川内&神通の部屋―

川内(夜だああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!)

神通「………すぅ………すぅ…」

川内「っと、神通は起こしちゃいけないよね~」

川内「さて、眠れないし外に出ようかな~」ソロリソロリ

キィ・・・

川内「………………」キョロキョロ

川内「周囲に敵影無し…良し、行ける!」


神通「ど・こ・へ、ですか?」コォォォォォ


川内「ひっ―」

神通「姉さん、大人しく―」

川内「うああああああああああああ!?(裏拳)」ビシュ

ゴスッ

神通「ヴっ」ドサッ

川内「神通、ゴメン…!」ダッ


 ―数分後、海沿いの桜並木―

川内「はー、ひー…ここまで来れば…大丈夫かな」

川内「やれやれ…明日神通にはスイーツを奢ってあげないと機嫌直らないかなぁ…」

136: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/11(月) 21:48:02.51 ID:fMS5m0nA0
ヒュゥゥゥゥゥゥ

川内「んっ………夜風が気持ちいい………」

ヒラヒラ

川内「おぉぉ……夜桜ってやっぱりきれいだなぁ~」

カツーン

川内「!?」ビクッ

提督「こんな夜更けに外出とは、感心しませんね」

川内「なんだ…提督か……」

提督「眠れませんか…って、貴女は基本そうでしたよね」

川内「あはは~…って、提督は?」

提督「私は先ほど、仕事がひと段落着いたので休憩がてら…」

川内「だめだよ提督~、そんなに徹夜ばっかりしちゃったら体壊して倒れちゃうよ?」

提督「私は別に…」

川内「前まではそうだったけど、今は雲龍さんって大切な人がいるでしょ?」

提督「……確かに雲龍さんは大切な方ですが、貴女達他の艦娘も、大切な人ですよ」

川内(まーたこの提督はたらしみたいなセリフを…)

川内「それより提督、見てよこの桜!綺麗だよね~」

提督「…確かに、夜の桜は昼と違いまた風情がありますねぇ」

川内「でしょー!いやー、夜寮を抜けだしてきた甲斐があったなぁ~」

提督「……川内さんは、本当に夜が好きなんですね」

川内「うん、大好き!」

提督「どうしてそんなに夜が好きなんですか?」

137: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/11(月) 21:57:43.84 ID:fMS5m0nA0
川内「うーん、夜はまた、昼と違って神秘的な雰囲気がするじゃない?こうやって同じ桜も夜見ると、昼と違ってまた綺麗に見えたり…。夜の風も、昼と違って

   いつもより涼しく感じるじゃない?そういう、昼とまた違ったところが好きんだよね~」キラキラ

提督「なるほど……」

川内「それに………」チラッ

提督「?」

スー…

川内「……こうやって月が出ると、影ができるじゃない?この、月の光でできる薄い影がまた………はぁ」

提督「………確かに、私もこの月の影は好きです」

川内「ホント!?提督も!?」キラキラキラ

提督「…この可愛さが昼も続いていれば、モテるでしょうに…」

川内「かわっ…!?///」

提督「っと、もうこんな時間ですよ。戻りなさい」カチャリ

川内「あ、私と神通があげた懐中時計…使ってくれてるんだ」

提督「ええ。デザインが気に入っていますので」

川内「それは良かった。大事に使ってね?」

提督「はいはい。明日はオリョールへ出撃でしょう。早く寝て明日に備えてください」

川内「りょうかーい。じゃ、お休み~」

川内(いやぁ~、こんな夜中に提督と会って語る事ができたし、やっぱり寮を抜け出してよかった~♪)


 ―翌朝7時過ぎ、講堂―

神通「…………………私にケガをさせ、巡回の皆さんに迷惑をかけた上で夜更けに提督と逢引ですか」

川内「……………ごめんなさい」←正座

神通「声が小さい!」

川内「…ごめんなさい!」

神通「もっと大きな声で!!」

川内「ごめんなさいっ!!」


【終わり】

146: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/12(火) 21:56:16.24 ID:wPVTOEgo0
【料理下手】

 ―17時過ぎ、戦艦寮・キッチン―

Littorio(以下リットリオ)「さて、始めましょうか」

Bismarck(以下ビスマルク)「まったく……何で私が………」

ビスマルク「リットリオなんかに料理を教わらなくちゃいけないのかしら…」


 ―13時前、執務室―

リットリオ「それでですね、この前間宮さんが私の作ったパスタを食べて『とても美味しいですね』って褒めてくれたんですよ」

提督「それはよかったですね」

リットリオ「あ~、自分の作った料理を食べてもらって『美味しい』って言ってもらえると、嬉しいですね」

提督「………同じ海外戦艦なのに…」

リットリオ「?どうかしたんですか?」

提督「ああ、いえ…実はビスマルクさん、料理ができないんですよね」

リットリオ「?」キョトン

提督「ビスマルクさんもいずれは誰かに嫁ぐことになるでしょうが、あの歳(?)で料理ができないとなると、女性として少し問題かと………。同じく戦艦の

   他の皆さん…例えば金剛型四姉妹と、航空戦艦の皆さんは料理はできますし、長門さんは軽いものだったら作れるらしいです」

リットリオ「そうなんですかぁ………」

提督「ですから、貴女と同じ海外から来たビスマルクさんも、リットリオさんみたいに料理が作れれば…と思ったんですよ」

リットリオ「…………」


リットリオ「という事で、料理のできないビスマルクの為に私が腕を振るおうってわけです♪」

ビスマルク「一言多いわよ!ちっ、あの提督………余計な事を言ってくれて……大体、料理だったらレーベやマックスから教わっても…」

リットリオ「あの2人、今日は遠征でいませんよ?」

ビスマルク「くっ……じゃあ、あの二人がいる時に…」

リットリオ「そう言って今まで全然やってないでしょ?」

ビスマルク「どうしてそこまで貴女は私に料理を覚えてほしいのかしら…?」

リットリオ「………だって…」

ビスマルク「?」

147: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/12(火) 22:09:58.61 ID:wPVTOEgo0
リットリオ「私、ビスマルクがこのまま料理ができなくて戦う事しか能のないダメな女になってほしくないから…!」

ビスマルク「貴女のそれは天然で言ってんのかしら!?それとも狙って言ってんのかしら!?後者だったら容赦なくブッ叩くわよ!」

リットリオ「さて、じゃあ早速はじめましょう」

ビスマルク「話聞きなさいよ!」

リットリオ「変な事言ってないで…作る料理はカレーにしましょう。日本式のカレーの作り方は私もマスターしていますし…」

ビスマルク「えー?今さらカレー何て…」

リットリオ「カレーは炒める、焼く、煮るの3つの動作を全てするから、料理を始めるには最適なんですよ。さて、じゃあ材料を切りましょうか。まずは…」

リットリオ「このニンジンを切りましょう」

ビスマルク「まったく……」

リットリオ「あ、包丁を持たない方の手は、猫の手で材料を抑えるんですよ」

ビスマルク「猫の手………にゃーん?」

リットリオ「…………ぷぷっ」

ビスマルク「あ・ん・た・ね・ぇ!!」

Roma(以下ローマ)「さっきから五月蠅いわね…何の騒ぎ?」

リットリオ「あ、ローマ」

ビスマルク「聞きなさいよローマ!リットリオったら料理できないからって私の事バカにして…!」

ローマ「あら…ちょっと姉さん?ビスマルクさんをバカにするのも大概にして…」

リットリオ「そうじゃなくて、カレーの作り方を教えてあげようと思ったんだけど………」

ローマ「え、ビスマルク…カレーすら作れないの?それは女性としてどうかと思うわね………」

ビスマルク「言ったわね?じゃローマが作ってみなさいよ!」

ローマ「え?別にいいけど…」

ビスマルク「ふっふーん…お手並み拝見と行こうじゃない!」

リットリオ(ビスマルク…口実作って料理から逃げたわね…)


 ―数時間後―

鍋「カレーとは言い難い何か」ゴテゴテーン

リットリオ&ビスマルク「……………………………………え?」

ローマ「……………………」プイッ


【終わり】

148: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/12(火) 22:19:23.91 ID:wPVTOEgo0
【キャラクター紹介】

≪Littorio(リットリオ)/Italia(イタリア)≫

ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦二番艦。艦娘No.241(イタリアはNo.246)。ウェーブのかかった茶髪と羽のような髪飾りが特徴の、天然ゆるふわなお姉さん。

性能面では金剛型を凌駕するが、燃費が悪いため結構な食いしん坊。料理が得意で、和食も作る事ができるが一番の得意料理はパスタ。ピザは窯が無いので

鎮守府では作れない。天然な性格のせいで妹のローマをやや振り回し気味。ビスマルクが料理ができないため、教えている。スキンシップが結構過剰。

好きな言葉は『隣人を愛しなさい』。

149: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/12(火) 22:25:41.44 ID:wPVTOEgo0
≪Bismarck(ビスマルク)≫

ビスマルク級戦艦一番艦。艦娘No.171(改はNo.172、zweiはNo.173、dreiはNo.178)。引き締まったバランスの良い体と長い金髪が特徴の、きっちりした性格の

お姉さん。戦闘では頼もしく仕事も真面目で勤勉だが、提督に褒められてもらいたいなど子供っぽいところもある。また、料理ができないので、食事の時は食堂

に通っており、カレーすら作れない。最近はリットリオやザラなどのイタリア艦にペースを乱され気味。長門は戦友。

好きな言葉は『勤勉無しに賞は無い』。

155: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/13(水) 21:27:56.89 ID:21+Zvtsf0
【見ているから】

 ―14時過ぎ、鎮守府近海・Iマス(敵通商破壊主力艦隊)―

敷波「えーいっ!」バシュッ

ズッドオォォオン

潜水ヨ級Flagship「グゲェェェェ……」撃沈

伊勢「おっ、一撃でヨ級Flagshipを撃沈かぁ。すごいじゃん!」

敷波「えっ?べ、別にこの程度の事……」


 ―1時間後、第壱鎮守府・執務室―

伊勢「…報告は以上です!」

提督「そうですか……分かりました。それにしても、敷波さん」

敷波「な、何さ」

提督「一撃でヨ級を撃沈するとは、すごいですね。爆雷の使い方がまた上達しましたか」

敷波「……別に、誰だってできるでしょ」

提督「…………では、皆さんは休んでいただいて構いません。伊勢さんは報告書を明日のヒトハチマルマル(18時00分)までに提出してください」

伊勢「了解!」

提督「…それと、敷波さんは残るように」

敷波「!」


敷波「………あたしだけ残すなんて、何で?」

提督「いえ、先ほど敷波さんは『誰でもできる』と言ってましたが、爆雷は案外使い方は難しい装備なんですよ」

敷波「……………」

提督「その使いこなしにくい装備をマスターし、Flagship級の潜水艦を沈めるのが、やはり―」

156: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/13(水) 21:43:18.73 ID:21+Zvtsf0
敷波「あのさ」

提督「?」

敷波「別に…あたしは褒められたいがためにあんな戦果を挙げたわけじゃないよ。って言うか司令官には雲龍さんって人がいるんだから、あたしみたいな他の子

   の事を褒めなくていいんだよ。どうせリップサービスなんだろうしさ。嫉妬されるよ?」

提督「…………何か、勘違いをしていませんか?」

敷波「へ?」

提督「敷波さんが褒められたいがために戦果を挙げているわけじゃないというのは私にも十二分に分かっています。リップサービスで褒めているのではないです

   よ。私はただ純粋に、敷波さんの事を称賛しているのです」

敷波「………………」

提督「それと…。確かに私は雲龍さんとケッコンカッコカリしましたが、だからと言って他の艦娘の方たちのことを見捨てたり、付き合いをおろそかにするなんて

   ことはあり得ません」

敷波「………………」


提督「ちゃんと、皆さんの事は見ていますから」


敷波「!」

提督「褒めるところは褒めますし、道を誤ったなら叱ります。それは、提督としては当然のことですよ。嫉妬などと考えているようでは何もできません」

敷波「……まさか、そのことを言うためにあたしを残らせたの?」

提督「いえ、先ほど皆さんの前では敷波さんがツンとした態度を取っていてそれ以上何も言えなかったので、改めてもう一度褒めさせていただこうかと」

敷波「へっ?」

提督「敷波さん。扱いの難しい爆雷を難なく使いこなし、さらに中枢艦隊で脅威となる潜水ヨ級Flagshipを真っ先に撃沈する…。素晴らしい適応力と判断力でした」

敷波「や、やめてよ…。そんな、真正面から言われると照れるじゃんか///」

提督「………私は、褒めるところは褒めるタイプですので」

敷波「むぅ~……///」

提督「改めて、素晴らしい戦果でした。敷波さん、とても素晴らしかったですよ」

敷波「………ま、一応貰っとくけどね」

敷波「…………ありがと」


【終わり】

157: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/13(水) 21:49:27.53 ID:21+Zvtsf0
【キャラクター紹介】

≪敷波≫

綾波型駆逐艦二番艦。艦娘No.18。黒髪ポニーテールともちもちした肌が特徴の、少し意地っ張りな女の子。戦闘では装備の扱いがとても上手で、扱いにくい装備も

難なく使いこなす。姉の綾波とはとても仲が良く、髪をいじって遊んだり、ほっぺたをぷにぷにしてからかったりする。しかし、敷波のほっぺたも案外もちもち。

提督の事はあんまり好きじゃないように振る舞っているが、ホントはもっと一緒に居たいと思ったりしている。そしてその気持ちはバレバレ。

好きな言葉は『渡る世間に鬼はない』。

163: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/14(木) 21:32:29.12 ID:AMJ2tMtY0
【不沈艦】

 ―16時過ぎ、第壱拾参鎮守府・執務室―

瑞理「いや~、蒼龍ちゃんの艦爆は柔らかいなぁ♪」モ モ 

蒼龍「ちょ、ちょっと提督…あんまり触られるとはみ出ちゃう……」

瑞理「いいじゃん、はみ出しちゃいなYO」ワサワサ

蒼龍「ホントだめぇ…誰かに見られたら…」

瑞理「大丈夫大丈夫だって―」


禊「んんっ!」ガチャッ


瑞理「あ」

蒼龍「ほ、ほらぁ~!もー、禊君見ないでぇ!」

禊「あ、すみません」


 ―十分後、工廠―

禊「瑞理さんって四六時中女の子侍らせてセクハラしてますねぇ…」

明石「あー、またやってたの?」

禊「あの人、艦娘目当てで入隊したんじゃ…」

明石「それは無いと思うよ…不純な理由で入隊する人って、面接ではじかれるらしいし」

禊「……瑞理さん、ほとんどの艦娘の人たちとケッコンカッコカリしてるんでしたよね」

明石「そうだねー」

禊「誰かひとり、心に決めた方っていないんでしょうか」

明石「分からないなぁ…あ、もしかしたら……」

禊「?」

164: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/14(木) 21:40:17.60 ID:AMJ2tMtY0
 ―19時過ぎ、食堂―

瑞理「え?心の決めた艦娘?」

禊「ええ。禊さん、俺の把握してる限りほとんど艦娘の方にセクハラしてますよね」

瑞理「人聞きが悪いなぁ。スキンシップだって言ってよ」

禊「スキンシップの範疇を超えてるんですよ。で、どうなんですか」

瑞理「僕にとってはこの鎮守府の艦娘全員が、心に決めた艦娘だよ~」

禊「うわぁ…………」

瑞理「あ、でも明石ちゃんは君のだからね。忘れちゃいないよ」

禊「……………///」

瑞理「でも…そうだなぁ。強いて1人挙げるとしたら……雪風ちゃんかな」

禊「あ、やっぱりですか」

瑞理「あれ、その口ぶりはもしかして気付いてた?」

禊「さっき…明石さんから多分そうかもしれない…って」

瑞理「あー、明石ちゃんは結構古株だからなぁ…」

禊「え、そうなんですか?」

瑞理「そうだよ。明石ちゃんも、大淀ちゃんも、僕がここに着任した時には既にいたよ。でもその時は戦場には出れなくて、その後で明石ちゃん、大淀ちゃんの

   艤装を見つけたんだ」

禊「そうだったんですか…」

瑞理「んで、話を戻すね。話したかどうかは覚えてないけど、雪風ちゃんって僕が一番最初に建造した艦娘なんだ」

禊「えっ、一回目の建造でですか!?」

瑞理「僕って運がいいからね。それで、その時この鎮守府には僕と初期艦の電ちゃん、明石ちゃん、大淀ちゃん、そして雪風ちゃんがいてね…」

165: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/14(木) 21:48:00.94 ID:AMJ2tMtY0
 ―5年前10時過ぎ、工廠―

瑞理「へ~、建造ねぇ」

明石「はい、資源の配分を決めて、この建造開始スイッチを押せば、自動で艦娘が建造されます」

瑞理「…まぁ、初めてだし資源はこの全部30でいいか。これで、ぽちっと」ポチ

[第一建造ドック…残り00:23:54]

工廠妖精さん「おっ、いきなり24分ですか~」

瑞理「え、24分だと何かあるの?」

工廠妖精さん「大ありですよ~。性能面ではかなり優秀な陽炎型の三姉妹、あるいは不沈艦と言われる幸運の駆逐艦・雪風さんが来るかもしれないんですよ~」

瑞理「そうなのか…」

工廠妖精「ま、全資源30で雪風さんが来る確率は低いですから、高望みはしない方がいいですよ~」

電「でも、建造できたらいいのですね」


 ―約30分後―


雪風「陽炎型駆逐艦八番艦、雪風です!どうぞ、よろしくお願いいたします!」


全員「」

瑞理「………マジで?」

雪風「マジです!」


瑞理「正直、建造率も邂逅率も低い雪風ちゃんをまさか1発目で建造できるなんて、拍子抜けだよ」

禊(ほんとに運だけはいいなこの人………)

瑞理「まあ、初期はそんなに艦娘の数が多くなかったし、僕以外の皆は一緒の部屋で寝てたんだよね。みんなの親交を深めるのも兼ねて」

瑞理「そしたら翌日にさ…」

166: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/14(木) 21:56:12.07 ID:AMJ2tMtY0
 ―約5年前9時過ぎ、執務室―

瑞理「雪風ちゃんが泣いてた?」

電「はい…。夜に何か泣き声が聞こえて、起きてみたら雪風ちゃんが布団にくるまって泣いてたのです…。明石さんも大淀さんも、どうしてだか分からなくて…

  何かあったのでしょうか…」

瑞理「むぅ~……」


 ―10時過ぎ―

瑞理「っていう話を聞いたんだけど、何かあったの?」

雪風「……い、いえ。雪風は…」

瑞理「………まさか、他の皆にいびられてるとか…」

雪風「い、いえ!それはありません!皆、仲良くやれてます!」

瑞理「………じゃあ、ちょっと嫌かもしれないけど………」

雪風「?」

瑞理「今夜、一緒に寝る?」


禊「瑞理さん………」

瑞理「え、何そのゴミを見るような目………」

禊「仲間にしてわずか1日で手を出すなんて………」

瑞理「違うから!僕そんな節操無しじゃないから!純粋に一緒に寝ようって提案しただけ!ちゃんと別々の布団で寝たから!夜戦とかはこれっぽっちも考えて

   いなかったから!」

禊「どの口が言えるんですか……」

瑞理「と、とにかく…一緒に寝たわけだよ」


 ―約5年前23時前、提督の私室―

瑞理「もう一度言うけど、嫌だったら断ってもいいんだよ?」

雪風「だ、大丈夫です!雪風は大丈夫です!」

瑞理「……辛かったら起こしていいからね。じゃ、おやすみ」

雪風「はい、おやすみなさい!」

167: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/14(木) 22:01:10.86 ID:AMJ2tMtY0
 ―深夜2時半過ぎ―

うっ………ひぐっ………

瑞理「……………?」パチ

うぅっ………えぅ………

瑞理「………雪風ちゃん?」

雪風「うっ………ぐぅっ………」

瑞理「雪風ちゃん?どうしたの?」

雪風「ぐすっ……しれぇ……うぅっ………」

瑞理「…どこか痛いの?」

雪風「えぐぅ……い、いえ…うぅぅ……」

瑞理「………ちょっと待っててね」


 ―数分後―

瑞理「はい、ホットミルク。熱いからね」

雪風「あ、ありがとうございます……ひぐっ」

ズズズッ

雪風「……美味しいです」

瑞理「そりゃどーも」

雪風「………………」ゴクッ、ゴクッ

雪風「………はぁ」

瑞理「落ち着いた?」

雪風「………はい、すみませんでした」

168: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/14(木) 22:11:12.27 ID:AMJ2tMtY0
瑞理「…それで、何かあったの?」

雪風「…………」

瑞理「いや、話せたらでいいんだけど…こう、泣いてるところを実際に見ちゃったら、どうして泣いてるのかが不安で気になっちゃうんだ」

雪風「…………聞いてもらっても、いいですか?」

瑞理「もちろん」

雪風「…………しれぇは知ってますか?雪風、進水してから戦争が終わるまで沈まなかったってこと」

瑞理「知っているよ」

雪風「それで、沈むまでにですね……他の艦が沈むのを見てきて…………」

瑞理「……………!」

雪風「それで……それで、そのことを思い出して………今度も雪風の周りから皆がいなくなって、雪風がまた独りになっていくように感じて……!」

瑞理「大丈夫だよ」ギュッ

雪風「………しれぇ?」

瑞理「今度は、僕が一緒にいてあげるから。雪風ちゃんを1人になんてしないから」

雪風「………う」

瑞理「……僕の前では、本音を吐いていいから。だから、胸の中の気持ちとか、全部吐き出しちゃっていいんだよ」

雪風「………う、ぇ……」

瑞理「…………ほら」

雪風「わぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」


瑞理「……それで、僕が一緒にいてあげようと思ったってわけだよ」

禊「……………」ポカーン

瑞理「え、何その顔」

禊「……いえ、普段の瑞理さんからは想像もつかないようなまともなセリフを言っていたのが少し驚きで…」

瑞理「君僕の事なんだと思ってるの……」


【終わり】

169: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/14(木) 22:18:15.01 ID:AMJ2tMtY0
【キャラクター紹介】

≪雪風(第壱拾参鎮守府)≫

陽炎型駆逐艦八番艦。艦娘No.5。ショートヘアと口から覗く白い歯、なんか透けてる服が特徴の、陽気な女の子。幸運の駆逐艦と言われているだけに運が非常に

高く、夜戦でのカットインはお手の物。人当たりが良く誰とでも仲良くなれるが、本当は人とつながっていたいという願望が強い。それは、軍艦だった頃に他の

艦が沈んでいくのをずっと見てきた故。第壱拾参鎮守府で最初に建造された艦で、瑞理提督が最初にケッコンカッコカリした艦。時津風とはとても仲が良い。

好きな言葉は『追風に帆を上げる』。

176: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/15(金) 21:36:31.12 ID:7A0Fsypm0
【祝賀】

 ―20時過ぎ、≪居酒屋・鳳翔≫―

[本日 貸し切り]

葛城「えー、改めて、雲龍姉の提督とのケッコンカッコカリを祝いましてー、かんぱーい!」

皆「かんぱーい!」

葛城「改めておめでとう、雲龍姉!」

天城「おめでとうございます、雲龍姉様」

雲龍「ありがとうね、天城、葛城。嬉しいわ」

加賀「……………」グビグビグビグビ

赤城「加賀?あんまり最初から飲み過ぎると明日が…」

加賀「ほんっといてぇくださぁい…」グビグビグビ

飛龍「ありゃー、これはもういけないねぇ…」

祥鳳「ええ…提督代理業を任せられるほどの技量を持っていたのと整った顔にスタイル抜群…。提督とケッコンカッコカリできる可能性は十分にあったのに、

   選ばれなかったんですから…」

隼鷹「おっし加賀!飲み対決しようぜー!」

加賀「望むところでぇす。ヒクッ」

雲龍「…加賀さんは、どうしてあんなに?」

蒼龍「ええと、あまり詮索しない方がいいですよ。特に雲龍さんは」

天城&葛城「うんうん」

雲龍「?」

鳳翔「ささ、飲兵衛組は置いておいてお料理を食べちゃいましょう。冷めてしまいますから…」

瑞鳳「卵焼きもいっぱい作ったよ!」

葛城「わぁ、美味しそう~!」

葛城(って…雲龍姉は今風のを食べられないんだっけ…)

177: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/15(金) 21:47:18.61 ID:7A0Fsypm0
雲龍「あ、天城…そこのチキンカツを取ってもらえるかしら?」

天城「ぇえ!?」

葛城「んなっ!?」


ざわ…ざわざわ……


雲龍「?どうかしたのかしら?」

千歳「えっと…雲龍さんって、こんな現代の食べ物、食べられないんじゃなかったっけ…?」

雲龍「ええ、前はそうだったけど、最近は食べられるようになったの」

千代田「ど、どうして急に!?」

雲龍「いいえ、ただ…提督と一緒に同じ美味しいものを食べて、笑顔で笑いあえたらいいな、って思って」

龍驤「のろけかーい!」ビシィ

葛城「…ま、理由はどうであれ、雲龍姉が現代の生活に合わせられるようになってくれて、よかった…」

飛龍「タイムスリップした感じに言わないで…」

鳳翔「そうね…これで、私のお店に来ていただけるようになりますね…」

雲龍「ええ、お時間があれば来させていただきますね」

瑞鳳(ただ…食事の質が赤城さん達と同じになるって事は、消費量も結構増えるんじゃ…)ヒソヒソ

祥鳳(やめて…想像するだけで胃が痛くなる………)ヒソヒソ


 ―数時間後―

龍驤「あー、しかし未だ驚きやな~。提督が雲龍はんを選ぶ言うのが~」

雲龍「よく言われるわね」

葛城「ちょっとー、雲龍姉にもちゃーんと魅力があるのよ?」

龍驤「………胸以外でか」クッ

葛城「………そうよ、胸以外にもあるのよ」クッ

天城「ちょっと、2人ともそんな屈辱に満ちた顔で…」

178: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/15(金) 21:55:52.73 ID:7A0Fsypm0
雲龍「でも、提督は『貴女のふわふわした雰囲気が私の心を癒してくれて…いつの間にか好きになっていました』って」

瑞鳳「は、はわ~…///」

祥鳳「いいわね…提督とケッコンなんて…。私なんて第一印象が‶ 女‶だったから……」

飛龍「その服装じゃ擁護できないよ…」

蒼龍「せめて妹の瑞鳳ちゃんみたいに着ないと…」

瑞鶴「はー、でもあの鉄面皮な提督さんがあの表情でプロポーズしたと思うと何だか笑えるなあ~」

翔鶴「そうね…提督には失礼だけど、笑っちゃいそう……」

雲龍「あら、そうでもなかったわよ?」

瑞鶴&翔鶴「え?」


雲龍「私にプロポーズした時、提督…すごく優しい笑みを浮かべていたもの」


全員「!!!」

葛城「え、それホント!?絶対見てみたい!」

天城「ええ…確かに!」

鳳翔(私は一度、提督の笑顔を見た事があるけれど…)

龍驤「ウチも見てみたい!(一回見たことあるけど)」

加賀「うヴぇ~……」

赤城「あーもう…加賀はそろそろリタイアかしら…」


 ―翌日9時半過ぎ、執務室―

雲龍「という事で、提督の笑顔の話でひと悶着ありました」

提督「笑顔ですか……意識して笑う事はできませんし…あの時の笑顔は本当に自然に出たものなのでしょう」

※加賀はひどい二日酔いで病欠扱いになった。


【終わり】

179: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/15(金) 22:01:47.27 ID:7A0Fsypm0
【キャラクター紹介】

≪葛城≫

雲龍型正規空母三番艦。艦娘No.203(改はNo.230)。黒く長い髪と白いリボンが特徴の、明るくポジティブなお姉さん。いつも明るく振る舞っており、多少心配な

事があっても何とかなると楽観的。改造する前までは艦載機の扱いが不慣れだったが、改造してからは獅子奮迅の働きを見せる。瑞鶴は頼もしい先輩。雲龍とは違い

現代の食事は普通に食べる事ができるし作る事も出来る。胸部装甲が姉2人と違いそれがコンプレックス。フレンドリーに提督と接する。甲板胸艦娘と仲が良い。

好きな言葉は『快刀乱麻』。

180: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/15(金) 22:06:04.22 ID:7A0Fsypm0
【補足事項】

>>1は所持していないが、総司令部にはいる設定の艦娘(図鑑順)。

・長門  ・舞風  ・大和  ・武蔵  ・香取  ・伊401  ・Bismarck  ・天城  ・秋月  ・照月  ・U-511(呂-500)  ・Roma  ・秋津洲

188: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/16(土) 21:37:05.29 ID:uxQNhAqL0
【食う寝る所に住む所】

 ―19時過ぎ、食堂―

Aセット:炒飯定食

Bセット:香取のカツレツ定食

Bセット:おにぎり三種(おかか、梅、鮭)セット

赤城「間宮さん、Bセット大盛りで」

間宮「はーい、少々お待ちくださいね~!」

カチャン、カタン

間宮「はい、お待たせしました!それにしても赤城さん、いつもよく食べますねぇ」

赤城「うふふ、今日は演習で大勝利をしましたので自分へのご褒美、という事で」

間宮「そうだったんですか~。どうぞ、召し上がってください!」


 ―数分後―

赤城「あ、提督。こんばんは」

提督「どうも」

赤城「おとなり、よろしいでしょうか?」

提督「どうぞ」

赤城「失礼します」カチャン

赤城「…して、提督。雲龍さんは?」

提督「雲龍さんは、リランカ島への出撃で疲れてしまって今は仮眠中です」

赤城「リランカ島…?一体どうして………あ、そういう事ですか」

提督「そういう事です」

189: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/16(土) 21:47:16.99 ID:uxQNhAqL0
赤城「提督はもう、雲龍さんと、その………夜戦とかしましたか?」

提督「何故誰も彼も他人の夜戦事情に興味津々なんですか」

赤城「まあまあ、ただの興味本位という事で。それで、どうなんですか?」

提督「私は流石に、ケッコンしてからすぐに手を出したりするほど節操無しではありません。まだ夜戦はしていませんよ」

赤城「ああ、そうですか…なんか、良かったと言いますか…」

赤城(‶まだ‶、ね)

提督「………話は変わりますが、赤城さんはいつものことですがよく食べますねぇ」

赤城「え?ええ、だって食堂の食事、美味しいんですもの」

提督「……まあ、どれだけ食べようとかまいませんけど、食べ過ぎて体調を壊すなんてことは止めてくださいね」

赤城「私はそこまでやわな身体をしてませんよ。伊達に正規空母をやっていません」

提督「正規空母なのと胃の頑丈さは果たして関係あるのでしょうかね」

赤城「………改めて、この身体に生まれてよかったと思います」

提督「なんですか急に」

赤城「いえ、今こうして美味しくご飯を食べられるのも、提督はもちろん、皆さんと一緒におしゃべりをする事も出来るんですから」

提督「…………」

赤城「軍艦は言葉を発する事も、ものを食べる事もできませんから」

提督「………………」

赤城「改めて、物を食べる事ができて、人と話す事ができて、寝る事ができるこの身体に感謝いたします」

提督「……………」

赤城「………って、すみませんね。なんだか変なムードにしちゃって。さ、食べましょう。冷めちゃいますから」パクパク

提督(赤城さんが言うと、シャレにならない気がするんですがねぇ………)

190: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/16(土) 21:55:07.22 ID:uxQNhAqL0
 ―翌日10時過ぎ、休憩室―

赤城「~♪(読書中)」ペラッ、ペラッ

皐月「あ、あの!赤城さん!」

赤城「はい?どうかしましたか、皐月ちゃん?」

皐月「あの……ボク、皆と戦う時はいつも足引っ張っちゃってる気がして、もっと強くなりたいなって思ったんだ…。それこそ、この鎮守府でも結構前からいる

   赤城さんみたいに…。どうすれば、強くなれるんですか!」

赤城「え?え~っと……」

赤城(ど、どうしましょう…。空母と駆逐艦じゃ艦種が違うから、訓練の内容も違うし、力の定義も全然違うし…どうアドバイスすればいいのか……)

皐月「……………」キラキラキラ

赤城「ええと、たくさん食べる事、かしら?」

皐月「そうか…分かりました!ありがとう!」


 ―駆逐艦寮休憩室―

皐月「赤城さんの話だと、たくさん食べると強くなれるみたいだよ!」

深雪「マジか!そりゃつまり、ガンガン食えば改二になれる可能性もあるって事か!」

睦月「そうと分かれば、今日はお代わりをたくさんするにゃしい!」

白露「白露が、いっちばん強くなるんだから!」


 ―19時半過ぎ、食堂―

[臨時休業]

提督「おや、もう閉店ですか?」

間宮「ええ…なんだか、今日はやけに駆逐艦の子たちがお代わりばっかりするので、食材の減りが早くて…本当にすみません!」ペコリ

提督「いえ、お気になさらず。では赤城さん、鳳翔さんのお店へ行きましょうか」

赤城「は、はい…」

赤城(……多分私のせいじゃない…はず)


【終わり】

191: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/16(土) 22:05:02.47 ID:uxQNhAqL0
【キャラクター紹介】

≪赤城≫

赤城型正規空母一番艦。艦娘No.6。栗色のロングヘアーと、赤系の弓道着が特徴の、優しいお姉さん。鎮守府でも古株に入る艦娘で、鎮守府に初めて着任した

正規空母。経験値ゆえに実力は鎮守府でもトップクラスで、開幕航空戦で敵艦を2隻は必ず撃沈する。食べる事が大好きで、食堂でのお代わりは当たり前。普段は

優しいイメージが目立つが、本当に怒った時は誰にも止められないくらい怒り狂う。人間の体を持って生を受けた事に感謝している。加賀は気の置けない親友。

好きな言葉は『天下取っても二合半』。

198: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/17(日) 21:31:42.98 ID:qpoDPZcq0
【恋愛禁止条例】

 ―10時過ぎ、執務室―

コンコン

提督「どうぞ」

ガチャ

金剛「失礼しマース!記録課から3月次の各鎮守府のデータを持ってきたネー!」

提督「ありがとうございます」スッ

金剛「他にも何かしてほしいこととかありませんカ?」

提督「いえ、今は特に…」

金剛「はー、それにしても秘書艦の仕事は、いつも楽じゃありませんネ~…」

提督「そんなもんですよ」ペラッ、ペラッ

提督「…………ん?」

金剛「What?どうかしましたカ?」

提督「いえ、この戦果順位表…………」

金剛「?」

提督「……金剛さん、過去6カ月までの戦果順位表と、各鎮守府の概要データをもう一度記録課へ行って取ってきてください」

金剛「Oh…分かりましタ………」


 ―数分後―

金剛「持ってきたネー……」

提督「度々すみませんね…」スッ

金剛「ちょっと、休ませてもらうヨ…」バフッ

提督「……………………………」パラッ、パラッ

提督「…………やはり」ボソッ

199: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/17(日) 21:47:09.08 ID:qpoDPZcq0
金剛「………?どうかしたのですカ…?」

提督「この鎮守府なんですが……」

金剛「…………尾鷲第弐拾質鎮守府がどうかしたのデスカ?」

提督「この鎮守府、6か月以上前から戦果順位が最下位レベルなんですよ。しかも、順位が全く上がっていません」

金剛「その鎮守府、そこの提督が着任してからまだ日が経っていないのでハ?」

提督「ここの提督、着任したのはもう3年前ですよ?それでここまで低い戦果は少し奇妙です。この第肆拾弐鎮守府とか第質拾陸鎮守府は、この弐拾質鎮守府と

   同時期に着任したのにもう全国でも中ほどか中の上ほどです。そしてこの鎮守府より順位が低い鎮守府は、最近着任したばかりの鎮守府です」

金剛「………じゃあ、この鎮守府はどうして…」

提督「よほどのホワイト鎮守府か、ただのチキンか、それともやる気が無いのか…………調査する必要がありますね」

金剛「Checkup?どうやってデスカ?」

提督「妖精さんに調べてもらうんです」

金剛「??」


 ―17時過ぎ、執務室―

提督「調査が終了したようです」

金剛「どうだったんでスカ?」

提督「そこの提督、艦娘達と恋愛関係にあり、出撃に身が入らない状態のようです。大規模作戦にも参加せず、週に1~2回ほど出撃する程度…」

金剛「恋愛関係?それでしたらケッコンカッコカリを…」

提督「複数名…というか全員と付き合っているような状態で、ケッコンカッコカリはまだしていないようです。どうやら、『恋人として接している時が心地よく、

   夫婦にはなりたくない』、と」

金剛「Oh……」

提督「ケッコンカッコカリはしたくないので練度を上げる必要もない…という事で、演習しか受けてないそうです。そこの鎮守府の艦娘の最高練度、まさかの

   40ですよ。ハッキリ言ってこの鎮守府、異常です」

201: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/17(日) 22:00:47.12 ID:qpoDPZcq0
金剛「ど、どうするんデスカ……?」

提督「………これは、使う事がほとんどない条例を行使せざるを得ません」

金剛「条例?それは、一体…?」


提督「‶恋愛禁止条例‶です」


金剛「!?」

提督「さて、条例を行使するには直接第弐拾質鎮守府へ行かなければなりませんね…金剛さんも来ますか?」

金剛「そ、それは置いといて、何デスカ‶恋愛禁止条例‶って!?」

提督「そのままの意味ですよ。提督と艦娘の恋愛を禁止するんです………ああ、内容は‶恋愛禁止‶というより‶接触禁止‶になりますね」

金剛「かえって厳しくなってるデース!?」

提督「まあ、どういった内容のものかは行使する際に説明しますよ」


 ―数日後、近畿・尾鷲第弐拾質鎮守府・応接室―

第弐拾質鎮守府提督(以下色上)「ちょっと、どういう事ですか‶恋愛禁止条例‶って!そんなもの行使されるいわれはありませんよ!」

提督「貴方が着任したのは3年前…。3年前からこの鎮守府の戦果順位は一切上がっておらず、今年度新たに着任した提督の鎮守府に追いつかれる勢いですよ。

   データならここに」パサッ

色上「そんなもの信じられますか!どうせ、そっちがデータを改ざんしたんでしょう!」

提督「貴方ががそう思うんならそうなんでしょう、貴方の中ではね」

提督「話が逸れましたが、貴方はここの艦娘のほぼ全員と恋愛関係にありますね?」

色上「な、なぜそれを……」

提督「妖精さんからの報告ではウラはとれてます。まさか、深海棲艦の討伐より恋愛を優先しているとは、正直驚きました」

色上「だっ、だから何だというんだ!俺は男で、艦娘は女だ!男女が恋愛関係になってもおかしくはないだろう!そもそも、ケッコンカッコカリと言うシステム

   だってあるし…」

提督「ケッコンカッコカリは、あくまで提督と艦娘の絆を強め、艦娘の能力の向上を第一の目的としているんですよ?最近では、ケッコンカッコカリとは『艦娘と

   結ばれて仮の夫婦生活を営む事ができるもの』と、目的をはき違えて理解している方が多いようですが」

202: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/17(日) 22:18:27.79 ID:qpoDPZcq0
提督「それと、我々提督と艦娘の目的は深海棲艦の討伐であって、艦娘と恋愛関係になることではありません。そこのところをちゃんと理解していますか?

   まさか、艦娘と恋をするために提督になったんじゃあるまいし」

色上「ぐ……………じゃ、じゃあ!なぜケッコンカッコカリなんてシステムを作ったんだ!そんなだから理解を間違える者が増えるんだろう!」

金剛(このテートク…論点をズラしてきていますネ…)

提督「ケッコンカッコカリのシステムを作ったのは前の司令長官ですが、曰く『深海棲艦との戦いはとても厳しく、自分の指揮で可憐な女性の姿を持つ艦娘達が

   一瞬で命を落としてしまう事があるかもしれないという不安からから向上心が上がりにくい。だから、モチベーションを上げるためにケッコンカッコカリ

   というある種の目的を設立した』だそうです。実際、このシステムが実装されてから、各鎮守府の戦果は確実に上昇していきました」

色上「そ、それは前司令長官の言ったことだろう!そんな事…!」

提督「というか、今はそんな話などどうでもよく、貴方の鎮守府の運営状況に問題があると私は先ほどから言ってるんです。言った通り、貴方の鎮守府には‶恋

   愛禁止条例‶を発令します」

色上「……その条例とは、どういうものなんだ」

提督「単純な事です。一定期間、提督と艦娘の接触を制限するんです。具体的には、執務室をアクリル板で区切り、面会用の窓口を設けます。全ての命令、書類

   受領はその窓口を通して行うようにし、何らかの理由が無い限り話す事を禁止します。提督の側には誰一人として入る事を許可しません」

色上「刑務所か!」

提督「また、食事も部屋に持ってきてもらうようにし、風呂とトイレは私室にある物を使用していただきます。全ての鎮守府の構造は同じですから、自室を改造

   していない限りはまだ残っていますよね?」

色上「ぐぬぅ………」

提督「そして一定期間経過後、戦果の上昇が認められればこの条例を解除します。認められない場合は期間を延長します。そして、解除した後もまた同じような

   事例が見られた場合は、問答無用で貴方を海軍から追放、シベリア行です」

色上「…………その期間は、どれくらいなんだ」

提督「2か月です」

色上「………分かった」

提督「では、今日より妖精さんに依頼して準備をしてもらいます。もし、不正などでもしたら……」

色上「分かってる。これから、戦果向上に尽力する」

203: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/17(日) 22:28:37.81 ID:qpoDPZcq0
 ―帰路―

提督「本来でしたら、減給でもおかしくはなかったんですがね」

金剛「…2か月ですか…大丈夫でしょうか…?」

提督「それは、あの鎮守府の提督と艦娘達にすべてがかかっていますね」

金剛「………やっぱり、ケッコンカッコカリなんて間違っていたのでしょうか…」

提督「いえ、先ほどの前司令長官の話は本当ですし、私はあの意見にはまあ賛成していましたので。それと、提督の採用基準が『妖精さんが見えるか否か』で

   決まっていますので、こう言った事例はいくつか起きるものなんです」

金剛「………………」

提督「シベリアに送られたブラック提督も、私が始末した‶タカ派‶の提督も、妖精さんが見えるから、と言う理由で提督になれたのですし…やはり、採用基準を

   変えるべきでしょうかねぇ」

提督「ま、要は『艦娘との間の恋愛は自由だが、深海棲艦の討伐に支障が出ない程度なら構わない』という事なんです。あの提督は、恋愛と戦いの両立ができな

   かったという事です」

金剛「………」

提督「我々はあくまで軍人なのですから、恋愛にかまけている暇もないはずなのですが、恋愛と言う息抜きが無ければ我々はいつか壊れてしまいます。って、

   これは矛盾ですかね」

金剛「…………でも、私達艦娘も、テートクと恋をする事ができてうれしいですし、そう言うのは無くさないでほしいデース…」

提督「………………………」


 ―翌日11時過ぎ、司令長官執務室―

提督「と言うわけで、提督の選定基準を改定した方が良いかと」

司令長官「いやぁ、それは前々から思ってたんだけど…選定が楽だからなぁ~…」

提督「…………………」


【終わり】

204: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/17(日) 22:34:50.85 ID:qpoDPZcq0
【キャラクター紹介】

≪金剛≫

金剛型戦艦一番艦。艦娘No.21(改二はNo.149)。少し明るいロングの黒髪と、電探の形をしたカチューシャが特徴の、明朗快活なお姉さん。生まれがイギリスな

せいか片言な日本語をしゃべる。鎮守府で一番最初に着任した戦艦で、戦闘の腕はピカイチ。提督の事をとても慕っており、提督LOVE勢で構成されているグループ

‶ALG‶のリーダー。しかし、自分がケッコンカッコカリできなかった日には大泣きした。紅茶がとても大好き。妹3人の事をとても大切にしている。

好きな言葉は『愛、屋烏に及ぶ』。

205: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/17(日) 22:39:25.36 ID:qpoDPZcq0
≪色上 明樹(しきがみ はるき)≫

近畿・尾鷲第弐拾質鎮守府の司令官。性別は男性で、年齢は39歳。複数の艦娘と恋愛関係を持ってしまい、恋にかまけて出撃を怠った結果、総司令部から‶恋愛禁

止条例‶を行使され艦娘との接触を制限されることとなってしまった。艦娘達が戦場に出て傷つくのを見てられないというわけではなく、ただ単純に恋愛優先で

出撃するのが面倒くさくなった、というどうしようもない理由。恋人同士の関係が心地よいため、ケッコンする気はほとんどない。

好きな言葉は『合縁奇縁』。

215: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/18(月) 21:38:16.84 ID:50boXU8G0
【梅の花】

 ―14時過ぎ、総司令部敷地内―

提督「次の視察は、間宮さんのお店ですか…」

由良「間宮さんのお店かぁ……ねえ提督さん、視察の後の仕事も頑張るから、スイーツを奢ってくれると嬉しいな」

提督「善処します」

由良「もう………」

提督「というか、別に視察に秘書艦はついてこなくても大丈夫なんですよ?」

由良「いいの、少し歩きたい気分だったから」

提督「そうですか」

由良「……それにしても」チラッ

提督「?」

由良「桜…散っちゃったね」

提督「まあ、もうシーズンは過ぎましたし」

由良「来年もまた、皆で桜を見たいな…」

提督「………できますよ。きっと」

由良「………あっ」

提督「どうかしましたか?」

由良「梅の花が咲いてる…あれ」

提督「あ、ホントですね…。梅の花のシーズンは、まだ終わっていませんでしたね」

由良「皆でお花見でもしたいなぁ~」

提督「………皆さんの予定が合えば、ですがね」

216: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/18(月) 21:47:04.68 ID:50boXU8G0
 ―数日後17時過ぎ、執務室―

コンコン

提督「はい?」

由良「失礼します、提督さん」

提督「由良さん、どうかしましたか?」

由良「昨日の遠征の報告書、提出に来たよ」

提督「ありがとうございます。では、後ほど確認させていただきます」

由良「それとね、提督さん」

提督「なんでしょうか?」

由良「明日のお昼に、この前の梅の樹の場所で、長良型の軽巡だけだけどお花見をしようと思うの。提督さんもどう?」

提督「明日の昼……ですか…。そうですね………」

由良「……………」

提督「……ちょっと、明日になってみないと分からないですね」

由良「そうですか…分かった。じゃあ明日また聞くね。一応、提督さんの分のお弁当も作っておいてあげるから」

提督「なるべく、参加できるようにします」


 ―翌日10時過ぎ、執務室―

提督「………ふむ、大丈夫ですね」

コンコン

由良「失礼します、提督さん」

提督「あ、由良さん。ちょうど良いところに」

由良「え?」

提督「今日のお昼のお花見ですが、ご一緒させてもよろしいでしょうか?」

由良「え?参加できるの?やったぁ!」

217: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/18(月) 21:57:33.14 ID:50boXU8G0
 ―12時過ぎ、総司令部敷地内―

由良「提督さん、こっちこっち」

提督「すみません。遠征艦隊の報告が長引いて…」

由良「もう長良姉さんたちは皆待ってるから、急いで急いで」

提督「…珍しいですね。由良さんがそこまで積極的とは」

由良「え?そうかな………でも、そうかもしれないね」

提督「?」

由良「咲き誇る花の下で皆で一緒にご飯を食べたりおしゃべりをしたり……そう言うのに、なんだか風流っていうのを覚えるの」

提督「………」

由良「花は咲いた後でまた散っちゃうから、儚いでしょ?だから、咲いている時はちゃんと見ておきたいな、って思ったんだ」

提督「…由良さん、花とかも好きですか?」

由良「うん、お花とかは結構好き。あ、でも生け花とかそう言うのじゃなくて、こう、地面に咲く花が好きなの、かな」

提督「なるほど………」

由良「さ、早く行こ!お弁当が冷めちゃうから」

提督「……そうですね」

由良「皆~、提督さん連れてきたよ~」

提督「ご一緒させていただきますね」

由良「ふふっ。じゃあ長良型のお花見、ゆっくり楽しもうね、提督さん♪」


【終わり】

218: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/18(月) 22:04:39.30 ID:50boXU8G0
【おまけ】

 ―15時過ぎ、軽巡洋艦寮・休憩室―

五十鈴「そう言えば、艦の番号的に言えば、名取が由良の姉に当たるのよね」

由良「確かにそうだね。私は4番艦で、名取は3番艦だね」

五十鈴「でもこの前、一緒に風呂に入った時名取、由良の事‶お姉ちゃん‶って言ってたわよね」

名取「ふぇっ!?あ、そ、そういえばそうだったね……」

五十鈴「何で?」

由良「そう言えばそうね…。私も全然気にしていなかったけど…」

名取「え、ええと……お姉ちゃ…由良ちゃんは私よりもずっと落ち着いているし、頼りになるから、お姉ちゃん、って感じがして……」

由良「なるほどね………」

五十鈴「でも、姉より姉っぽい妹って結構いない?筑摩さんとか木曾とか」

由良「つまり、私は名取のことをお姉ちゃんって言えばいいのかしら?」

五十鈴「まあ、そうなるわね」

名取「そ、そんな、恐れ多いよぉ!私がお姉ちゃんなんて」


由良「別にいいじゃない、名取お姉ちゃん?」


名取「はうぅ……ずるいよぉ……」

長良「たっだいまー!なんの話してんの~?」

五十鈴「ちょっと、姉妹艦の呼び方についてね」

長良「えー?」


【終わり】

219: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/18(月) 22:10:47.90 ID:50boXU8G0
【キャラクター紹介】

≪由良≫

長良型軽巡洋艦四番艦。艦娘No.45。薄いピンクの長いポニーテールと両手の単装砲が特徴の、物静かな雰囲気のお姉さん。長良型の中では比較的まともな性格で

暴走気味な長良や鬼怒のストッパー役を買って出る事もある。戦闘ではそれほど秀でた点は無いが、冷静に物事を捉える観察眼を持っている。よく名取の姉と勘

違いされる事があるが、艦の番号的には名取の妹。胸が五十鈴、名取と比べて小さい事を気にしている。花と猫が大好き。以前エラー猫を拾ってきた事もある。

好きな言葉は『天衣無縫』。

225: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/19(火) 21:39:12.66 ID:04I6NpXI0
【改造練度①】

 ―2年前14時過ぎ、執務室―

飛龍「あ~、やっとだよ~」←練度78

提督「お疲れ様です。珊瑚諸島沖も大変だったでしょう?」

飛龍「大変とかそんなんじゃないよ~」

蒼龍「でも、これでやっと、私と同じ改二になれるね」

飛龍「そうだよぉ…やーっと蒼龍と同じ練度になって改二になれたよぉ~…いやぁ、ここまで長かったなぁ…」

提督「飛龍さんが着任したのは、蒼龍さんの後ですから練度に差が出るのは当然と言えば当然なのですが……」

飛龍「くそー、なんと冷淡な!もっと改二になれる事を祝ってよ!」

蒼龍「あはは…それより、改造が終わったらお祝いに一緒にスイーツでも食べに行こ?」

飛龍「ホントに!?やったー!」

提督「よかったですね……」ペラッ

提督「……………………あ」

飛龍「?どうかしたの、提督?」

提督「あー…えー…とても言いにくい事なんですがねぇ………」

飛龍&蒼龍「?」


提督「飛龍さんの改二改造レベル…77でした」


飛龍「」←練度78

蒼龍「あぁ………」


 ―1時間後、食堂―

提督「すみません。蒼龍さんと似ていたので改造練度も蒼龍さんと同じなのかと思っていました」

飛龍「ホントにひどいよ!なんか改二になれたのに嬉しさ半減っていうか…!練度77から78にあげるまでの苦労が何だったのっていうか!」パクパクパク

蒼龍「そうは言いつつ結構食べるね、飛龍…」

飛龍「やけ食いだよ!」


【終わり】

226: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/19(火) 21:47:51.42 ID:04I6NpXI0
【改造練度②】

 ―1年前、小樽第鉢拾伍鎮守府・執務室―

翔鶴「提督、艦隊が東部オリョール海より帰投いたしました」←練度25

手稲「お疲れ様です。いかがでしたか?」

翔鶴「はい、目立った損傷もなく、無事主力艦隊を撃破する事に成功しました」

手稲「それはよかった」

翔鶴「それと…潜水艦の子が『オリョール海は暖かいから北海道に戻りたくない!』と駄々をこねまして…」

手稲「あはは…それは困りましたね……あ、翔鶴さん」

翔鶴「はい?」

手稲「翔鶴さんの練度が、25になりましたね」

翔鶴「…それが何か?」

手稲「妹の瑞鶴さんの改造練度が25と同じでしたので、改造に向かってください」

翔鶴「ああ、そうだったんですか…。分かりました、では工廠へ行ってきます」

手稲「………瑞鶴さんも、呼んでおきますか」


 ―数分後、工廠前―

翔鶴「あの~…提督…」

手稲「おや、もう改造が終わったのですか?」

翔鶴「いえ、明石さんから…『改造するには後練度が5必要』と言われてしまいまして…」

手稲「」

瑞鶴「え、それってつまり、翔鶴姉の改造練度は30って事?」

翔鶴「そうね…」

手稲「…これは失礼いたしました。私が把握してなかったのが悪いんです。すみません」

翔鶴「いえ、提督だけのせいではありません…。きっと私の運が悪いから瑞鶴と改造練度が違うんです…」

瑞鶴「いや、運は関係ないでしょ」


【終わり】

227: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/19(火) 21:57:09.12 ID:04I6NpXI0
【改造練度③】

 ―4か月前15時過ぎ、伊豆第壱拾参鎮守府・執務室―

衣笠「んっんー!疲れたー!」←練度61

瑞理「お疲れさま~。疲れてるならマッサージしてあげようか?」

衣笠「え?いいよ、どうせお尻とか胸とか触ってくるし」

瑞理「そりゃ残念だ」

衣笠「それにしても、練度を65まで上げるのも楽じゃないね~

瑞理「重巡洋艦は皆改造練度が高いから、苦労するんだよね~。摩耶ちゃんなんて練度75だよ?」

衣笠「うわ、それはきついかも…」

瑞理「ま、だから衣笠ちゃんも頑張って―」チョイチョイ

妖精さん「あのー、提督さーん」

瑞理「ん?何かな?」

妖精さん「えーっと…」ヒソヒソヒソ

瑞理「ふんふん………………………えっ」

衣笠「?どしたの?」

瑞理「あー、えーっとね………」ポリポリ

衣笠「?」


瑞理「衣笠ちゃんの改二練度、55だって…」


衣笠「……………………………………………えぇ?」←練度61


 ―数十分後、工廠―

禊「衣笠さん?改二になれるのに、なんだか不機嫌ですね…。何かあったんですか?」

衣笠「………しーらないっ!」

禊「?」チラッ

明石「?」ブンブン


【終わり】

228: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/19(火) 22:06:13.96 ID:04I6NpXI0
【改造練度④】

 ―半年前17時過ぎ、舞鶴第弐拾伍鎮守府・休憩室―

山科「あー、鹿島…」

鹿島「はい?どうかしましたか、提督さん?」←練度30

山科「えーとだな、こっちの確認不足で伝えるのを忘れちまってたんだが…その………」

鹿島「?」

山科「えーと、鹿島…改造できる練度になったんだ」

鹿島「えっ、本当ですか!」

山科「あ、ああ…。だから、今から工廠に行ってくると良い」

鹿島「ありがとうございます!これも、提督さんが指揮をしてくれたおかげですね♪」

山科「べ、別にお前たちの事を考えて指揮してるわけじゃないぞ!?ただ、最も効率のいい指揮の仕方を考えたら、たまたまそうなっちまっただけだからな!」

鹿島「うふふ、そういう事にしておきますね♪」

鈴谷(わーお、提督のツンデレも鹿島のスルースキルも健在だねー…)


 ―数分後、執務室―

鹿島「あのー、提督さん…?」ガチャ

山科「お?もう改造が終わったのか?」

鹿島「いえ、そうではなくて………」

山科「?」

鹿島「私の改造練度、35だって妖精さんに言われて…」

山科「えっ!?」

鹿島「だから、まだ私は改造できないって…」

山科「えっ、あっ、ホントだ!スマン鹿島!間違えちまってた!」

鹿島「いえ…私は大丈夫です。素直に謝ってくれて、嬉しいですよ♪」

山科「そ、そうか……//」

鈴谷「」ジトーッ

山科「はっ!」


【終わり】

234: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/20(水) 21:31:42.22 ID:d7X9Jwrg0
【潜水艦の地獄】

 ―16時過ぎ、深海棲艦本拠地・執務室―

深海提督「……今日は水曜日か」

空母棲姫「それがどうかしたの?」

深海提督「いや、水曜日あたりから、ちょっと困った事が起きてな…」

空母棲姫「困った事?」

深海提督「それはな……」

バァン

空母棲姫「!?」ビクッ

潜水ヨ級「提督ぅぅぅぅぅぅぅぅ…!」ガバッ

深海提督「どうどう…どうしたんだ?またやられたのか?」

潜水ヨ級「そうなんだよぉ……。またなんか艦娘共が急に攻めて来てぇ…!」

潜水カ級「もう、ドッカンドッカン爆雷落としてきて…もう嫌だぁ…!」

深海提督「……こんな感じで、潜水艦娘達がなんだか泣きついてくるんだよ」

空母棲姫「ふぅ~ん……悪いけど、私には分からないわね…」

深海提督「同じ潜水艦のソ級も何か知ってるんじゃないかと思ったんだが……」


潜水ソ級『え?私のトコにはそんなに艦娘は来ないわよ?』


深海提督「それも、こういう事になるのって水曜日とか木曜日が多いんだよなぁ…」

空母棲姫「ん~…何か、鎮守府の方は潜水艦を倒す任務でもあるんじゃないの?」

深海提督「そうか……一度調べてみようか…」

235: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/20(水) 21:42:48.72 ID:d7X9Jwrg0
 ―数時間前、第壱鎮守府・執務室―

ガチャ

大淀「失礼します、提督」

提督「大淀さん、もしかして…任務の方ですか?」

大淀「ええ。先ほどのカレー洋への出撃で、空母を20隻以上撃沈しましたので、い号作戦を完遂しました。弾薬500とボーキサイト500が支給されました」

提督「ありがとうございます。後で確認しておきます」

大淀「それと、新たに海上護衛戦の任務が通達されます」

提督「分かりました。では、伊勢さん」

伊勢「なーに?」

提督「潜水艦を倒すための艦隊を編成します。編成は、三日月さん、五十鈴さん、扶桑さん、飛鷹さんで。この方たちは確か今日フリーでしたから、呼び出しを

   お願いします」

伊勢「りょうかーい」


 ―数分後―

三日月「それではこれより、旗艦・三日月、五十鈴、扶桑、飛鷹は、鎮守府近海海域へ潜水艦の討伐へ向かいます!」

提督「よろしくお願いいたします。この海上護衛戦をクリアすれば、燃料600と高速修復剤が2つ、さらに改修資材が1つ手に入ります」

三日月「はい!頑張ります!」

提督「それでは、出撃してください」

五十鈴「よーっし!さっさと潜水艦倒して、燃料を手に入れましょうか!」

扶桑「ふふっ、瑞雲の熟練度を上げる事も出来るし、この任務は案外美味しいわねぇ」

飛鷹「そうね。艦攻や艦爆の熟練度も上げられるし」

236: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/20(水) 21:54:19.97 ID:d7X9Jwrg0
 ―18時過ぎ、深海棲艦本拠地・執務室―

雷巡チ級「………って事らしいね」

深海提督「なるほどね………」

潜水カ級「うわああああん……」

潜水ヨ級「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん………」

雷巡チ級「………何を調べさせたかと思えば、そういう事か」

深海提督「そういう事だから、この2人の介抱を頼めるかね?」

雷巡チ級「ほいほい、了解~」

パタン

深海提督「………鎮守府の奴らが燃料とかなんやらを手に入れるために、ウチの潜水艦を沈めてるのか」

空母棲姫「んー、まあそう言う意味ね」

深海提督「…………つまり、艦娘共はウチの潜水艦を沈めて強くなっていくと」

空母棲姫「そうねぇ」

深海提督「………………………気に食わないな」

空母棲姫「?」

深海提督「正直、潜水ヨ級とかカ級は攻撃能力はそれほど強くはないが、どれだけ弱くても俺の…いや、俺たちの仲間だ。その仲間が傷つき泣いているのは、

     見てられない。まして、それが艦娘共のせいとなればなおさらだ」

空母棲姫「……………ふふっ。それでこそ、貴方ね。で、どうするの?」

深海提督「簡単な事さ。ちょっと調子乗ってたやつらに痛い目見てもらうんだ。具体的には…」バサバサ

空母棲姫「?」

深海提督「こいつらに行ってもらう」

空母棲姫「…………あら」

237: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/20(水) 22:00:21.01 ID:d7X9Jwrg0
 ―翌日9時過ぎ、鎮守府近海・Aマス(敵偵察潜水艦)―

長月「さて、潜水艦の討伐は簡単とはいえ、気を引き締めていかないとな」

由良「そうそう。油断は禁物だからね」

山城「さて…そろそろ敵潜水艦が見えてくるところだけど………」

隼鷹「ああ、あの厄介な潜水カ級eliteか…。アイツ平気でワンパン中破・大破とかしてくるからなぁ」

長月「むっ、ソナーに感あり―何?」

由良「?長月ちゃん、どうかしたの?」

長月「いや……ソナーの反応が…」

山城「何よ?ハッキリ言いなさいよ」


長月「潜水ソ級flagship…1」


長月以外「……………………………………は?」

バシューーーーーーン

ズッドオオオオオオン

山城「きゃああああっ!?」大破

由良「山城さん!」

長月「そこか、このっ!」バシュッ

ドゥーン

長月「よし、命中したぞ!これで―」

潜水ソ級flagship「ククク……」中破

長月「なにぃ!?」

由良「それっ!」バシュッ

ボゴゥ

潜水ソ級flagship「ケケケケ……」大破

隼鷹「しぶてぇなこんちくしょう!」

バルルルルル

潜水ソ級flagship「キカンワ」

238: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/20(水) 22:07:38.84 ID:d7X9Jwrg0
 ―同時刻、深海棲艦本拠地・執務室―

深海提督「普段の編成より協力にしてやったぜ。所定のエリアには、決められた人数しか配置できないのが残念だがなぁ…」

潜水カ級「え、じゃあ今は……」

深海提督「潜水ソ級が代わりに行ってるぞ」

潜水ヨ級「ちなみに、決められた数以上配置できるとしたら、どうしてたの?」

深海提督「1艦隊全員潜水ソ級flagshipぐらいにするつもりだった」

潜水カ級&ヨ級「うわぁ……」

深海提督「ま、ソ級の奴はグアノの方で暇してたらしいから、いい感じのストレス発散になるだろうよ」

潜水カ級「あれ?でも、鎮守府近海の主力艦隊の旗艦は?」

深海提督「ああ、それなら―」


 ―11時過ぎ、第壱鎮守府・執務室―

提督「そんなバカな」

長月「いや、本当だったんだ!いきなり最初の会敵区域で潜水ソ級flagshipが山城に雷撃を飛ばして―!」

由良「私もこの目で見たの!本当よ!」

隼鷹「ああ、あれにはド肝を抜かれたぜ……」

提督「ううむ………」

霧島「失礼します、司令!」バァン

提督「なんですか?今は第一艦隊の報告を―」

霧島「それどころじゃありません!たった今、別の鎮守府から緊急の連絡が来て…!」

提督「?」

霧島「鎮守府近海の主力艦隊の旗艦が―!」

239: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/20(水) 22:19:21.39 ID:d7X9Jwrg0
 ―12時過ぎ、鎮守府近海・Iマス(敵通商破壊主力艦隊)―


潜水棲姫「キタノ…ネェ……?エモノタチ…ガァ……フフ…ハハハ…!」


川内「何でこんなトコに潜水棲姫がいるの!?イミワカンナイ!」

吹雪「そんな…どうして!?」

伊勢「っていうか、随伴艦も全員潜水ソ級flagshipってなんなの!?いやがらせ!?」

祥鳳「これじゃ…対潜装備をフルに装備していても…倒せない…!」

潜水棲姫「ホォラッ、イキナサイ…!」ドシュゥ

ズドゴオオオン

伊勢「ぎゃあああああっ!?」


提督「そんなバカな……」

霧島「しかし、現にこう報告されています!」

提督「………日向さん」

日向「む?」

提督「大淀さんに、全ての鎮守府に緊急電文を送るよう言ってください。内容は、鎮守府近海には出撃しないようにと」

日向「承知した」

提督「全ての鎮守府の、鎮守府近海に出撃している艦娘も全員撤退させるように。深追いはしないようにと」


 ―18時過ぎ、深海棲艦本拠地・執務室―

深海提督「どうだった?」

潜水ソ級「なんか、正午を過ぎたら艦娘が1人も来なくなったわね」

潜水棲姫「多分、総司令部が何かしらの対策をしたんでしょうね」

深海提督「そうか…。これで、少し大人しくなってくれればいいんだけどな……」


 ―同時刻、第壱鎮守府・執務室―

提督「まさか、予想外のことですね…」

司令長官「これまで、潜水棲姫が鎮守府近海にいたなんて事例は聞いた事が無いし、急にどうしたんだろうねぇ…」

提督「………とにかく、今月末まで鎮守府近海は閉鎖し、海上護衛戦任務も発令せず、出撃はしないようにさせましょう。その間我々は、鎮守府近海を調査して

   原因を突き止める事にします」

大淀「分かりました」

240: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/20(水) 22:26:47.49 ID:d7X9Jwrg0
 ―19時過ぎ、深海棲艦本拠地・食堂―

空母ヲ級「っていう事になったらしい」

深海提督「とりあえず、月末までは安心できるって事か」

潜水カ級「すみません、私達なんかの為に………」

深海提督「いや、気にしなくていいさ。それより、来月からはどうする?また、ソ級と潜水棲姫に応援を頼むか?」

潜水ヨ級「………ううん、来月からはまた戻るよ」

深海提督「お?」

皆「?」

潜水カ級「今回は、ちょっと我慢ができなくなって提督に泣きついちゃったけど……」

潜水ヨ級「逃げてばかりじゃ、艦娘達には勝てませんから」

潜水カ級「だから、次は艦娘と正々堂々戦って、勝利を勝ち取れるように頑張ります!」

深海提督「………そうか。じゃあ、頑張れよ」

潜水カ級&ヨ級「はい!」


 ―同時刻、風呂場―

潜水ソ級「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ………」

潜水棲姫「お疲れ様」

潜水ソ級「疲れたああアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…全国の鎮守府近海に分身を配備するって、すごい疲れるよぉおぉおおおおおお…」

潜水棲姫「お疲れ様ね」

潜水ソ級「もっと心のこもった労いの言葉をだな~……」


【終わり】

241: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/20(水) 22:33:36.89 ID:d7X9Jwrg0
【キャラクター紹介】

≪潜水棲姫≫

深海棲艦の一種。艦種は潜水艦。腰まで届く白いロングヘアーと、甲高い声が特徴。2015年秋季大規模作戦(突撃!海上輸送任務)の第四海域で初登場した。しかし、

潜水棲姫自身の装甲がそれほど薄い事と、グラーフ・ツェッペリンをドロップするために、各方面の鎮守府の艦娘達からタコ殴りにされ何度も撃沈させられるという、

ひどい初陣を飾った。大規模作戦以外では本拠地で暮らしており、海中の警備を担当している。深海提督の事は、ラヴではない方のライク。

好きな言葉は『鬼の目にも涙』。

247: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 21:23:13.01 ID:qmsKhu+g0
【攻守混同】

 ―16時過ぎ、執務室―

提督「それで、この書類は記録課に…」

風雲「なるほどね~…」

コンコン

提督「あ、失礼。どうぞ」

ガチャ

神通「失礼します、提督」

阿武隈「失礼します」

提督「神通さんと阿武隈さんですか。どうかしましたか?」

神通「演習の申し込みをしに参上いたしました」

阿武隈「あたしと神通さんが旗艦で、演習をしたいんです。申請書はここに」スッ

提督「では、確認させていただきます」

風雲(同じ鎮守府の艦娘同士で演習?)

提督「……分かりました。時刻は明日のヒトサンマルマル。場所は演習海域、阿武隈さんの艦隊を演習第一艦隊、神通さんの艦隊を演習第二艦隊とします。

   また、これは公式の演習ですので、演習終了後は各自報告書を書いていただきますので」

神通&阿武隈「はい」


風雲「提督、同じ鎮守府の艦娘同士で演習ってできるんですか?」

提督「もちろんできますよ。ちゃんと、誰が参加するのか書かれている申請書を書いて私に提出すれば、誰でも行う事ができます」

風雲「ふーん…」

248: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 21:37:12.67 ID:qmsKhu+g0
提督「そして、これは鎮守府間で行う演習と同じ公式のものですので、ちゃんと報告書も提出してもらいますがね。また、演習は両艦隊の了承が必要ですので、

   申請書の提出は両艦隊の旗艦が1人ずつ立ち合います。先ほどの神通さんと阿武隈さんのように」

風雲「なるほど~…」メモメモ

提督「今回の演習は…阿武隈さんの演習第一艦隊は旗艦・阿武隈さんと暁さん、響さん、雷さん、電さん、時雨さん。神通さんの演習第二艦隊は旗艦・神通さん、

   陽炎さん、不知火さん、黒潮さん、雪風さん、天津風さん…」

風雲「あ、それって全員じゃないですけど、第一水雷戦隊と第二水雷戦隊のメンバーですね」

提督「ああ、どうも見覚えがあると思ったらそういう事ですか」

風雲「ですが、どうしたんでしょうか?唐突に一水戦と二水戦で演習だなんて。あの2人、そんなに仲が悪いんですか?」

提督「いえ、どうもそのような素振りはありませんでしたが……何かあったのでしょうか?」


 ―翌日13時、演習海域―

大淀『これより、旗艦・阿武隈率いる演習第一艦隊、旗艦・神通率いる演習第二艦隊による、公式演習を行います』

提督「艦娘同士の公式演習には、基本的に提督である私が立ち合います。戦闘が続行不可能、あるいは危険な行為につながると判断した場合は、モニターを観て

   いる大淀さんが止めに入ります」

風雲「はぁ~…勉強になります~……」

青葉「そして、艦娘同士の演習は青葉も観戦して鎮守府タイムスの記事にします!覚えておいて下さいね~!」

提督「覚える必要ないでしょう」


阿武隈「……それにしても、戦艦や空母の護衛を主としていた私達一水戦が、攻撃重視の神通さん率いる二水戦と戦う事になるなんて…」

神通「ええ。正直、不思議な感じがしますね。ですが………」

阿武隈「あたし、負けないから」

神通「それは、こちらとて同じです」

随伴艦「……………………………………」

大淀『それでは、演習開始!』

249: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 21:45:42.87 ID:qmsKhu+g0
阿武隈「皆、私と暁ちゃんを戦闘に、複縦陣!」

神通「私を戦闘に単縦陣」

阿武隈「魚雷発射!」バシュッ

神通「!全艦、回避運動―」

ドゴォォォォン

天津風「きゃっ…!?」中破

神通「天津風ちゃん!」

阿武隈「ふふっ。あたしは改二になってから、先制雷撃ができるようになったのよ?お忘れ?」

神通「くっ………」


提督「阿武隈さんの艦隊は複縦陣…神通さんの艦隊は単縦陣…。陣形からも護衛と攻撃のどちらに特化してるかが分かりますね」

風雲「それにしても、阿武隈さん改二になると先制雷撃ができるようになるんですか~…」


神通「確かに、少々驚きました…。ですが、先制雷撃だけで勝負がつくわけではない事も承知でしょう?」

陽炎「砲撃ぃ!」ズダァン

ガスッ

響「くっ…」

阿武隈「響ちゃん!?」

響「傷は浅い。大丈夫さ」

阿武隈「時雨ちゃん、陣形から外れて魚雷を撃って。発射し終えたら陣形に戻って」

時雨「了解」ザザザ

神通(時雨ちゃん…魚雷を撃ってきますね)

神通「皆さん、私の合図で全員散開してください。不知火ちゃん、雪風ちゃんは左方に。陽炎ちゃん、黒潮ちゃん、天津風ちゃんは右方に」

第二艦隊随伴艦「了解!」

時雨「魚雷…発射」バシュッ

ギューーーーーン

250: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 21:51:49.35 ID:qmsKhu+g0
神通「今よ!」ザザザザッ

バシューン

神通「これで…」

阿武隈「てぇーっ!」ズダァァァン

神通「!」

不知火「…危ないっ!」

ドガァッ

神通「不知火ちゃん…!」

不知火「…不知火は大丈夫です。それより……」中破

暁「はああああああああああああああああっ!」ザザザザ

雪風「突っ込んできます!」

神通「くっ…威嚇射撃ぐらいしか……!」ドォォン

バシャッ

暁「っとっとっと…」


提督「神通さんは結構な古株ですし、艦娘の皆さんの個性を知っています。時雨さんが複縦陣から外れた理由を、魚雷を撃つためと即座に判断し、回避行動を

   ベストなタイミングで取りました」

風雲「そう言えば、時雨ちゃんって魚雷の扱いが上手だった…」

提督「しかし、阿武隈さんも神通さんの行動を読んでいたのでしょう。神通さんが回避行動に気を取られている隙に、攻撃する準備を整えて砲撃……。この場面

   は、阿武隈さんが一段上と言ったところでしょうか」

青葉「ほほ~…これは結構大穴ですかねぇ~。一見攻撃に特化していた二水戦チームが優位に立つと思ったら、二水戦チームはもう中破艦が2隻…。この時点で

   もう驚きです~」

提督「さて、神通さんもやられっぱなしと言うわけではないでしょう」

251: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 21:58:27.50 ID:qmsKhu+g0
神通「驚きました…まさか、ここまで攻撃を優先してくるとは…」

阿武隈「護衛担当だったからって、攻撃は苦手と侮らないでほしいかな!」

神通「でも、次はこちらの番です」

ズガァァァン

雷「きゃああああっ!」中破

阿武隈「え、嘘!?どこから…!?」

黒潮「当たったでー!」

阿武隈(回避行動から弧を描くようにこっちの艦隊に近づいたのか…)

神通「いかがですか?」ドゴォン

阿武隈「さっすがは二水戦ってトコかしら!」ギュン

天津風「はぁっ!」バシュシュッ

響「くぅっ……」小破

電「お返しなのです!」バシュシュッ

雪風「食らいません!」サッ


提督「なかなかいい戦いをしていますね」

風雲「は~…神通さんも阿武隈さんもカッコいいな~」

青葉「して、しれーかん。しれーかんはどちらの艦隊が勝つと思いますか?」

提督「そうですねぇ…このままでいくと、中破艦が2隻いる神通さんの第二艦隊が負ける可能性が高いのですが、流石に神通さんがやられっぱなしと言うはずも

   無いでしょうし…」

青葉「つまりまだ判断に悩むと?」

提督「そうですね。あ、説明し忘れていましたが、同じ鎮守府の艦娘同士の演習の場合、夜戦ができないんですよ」

風雲「え、そうなんですか?」

提督「夜戦に入ると、判定が厳しくなるんですよ」

252: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 22:07:25.85 ID:qmsKhu+g0
 ―14時過ぎ—

大淀『演習終了、演習終了』

神通「はぁ……はぁ……」中破

阿武隈「ひぃ……ふぅ……」中破

大淀『演習第一艦隊、中破艦1隻。大破艦2隻。撃沈艦3隻。演習第二艦隊、中破艦2隻。大破艦1隻。撃沈艦3隻。両艦隊の与えたダメージと損傷状態から

   判断し、当演習の勝利は演習第二艦隊とします。勝利判定はAです』

神通「はぁ~……」

陽炎「つ、疲れたわ……」中破

神通「お疲れ様でした、皆さん」

阿武隈「あー、もうちょっとだったなぁ~…」

暁「んもう!あと1隻大破させていれば引き分けに持ち込めたかもしれないのに!」大破

阿武隈「ううん、暁ちゃんは十分頑張ってくれたよ。ありがとうね、皆もお疲れ様」

響「いやしかし…ペイント弾で体中ベタベタだ…」

天津風「もう…これじゃ島風に笑われちゃう……」


提督「演習で使用したのはペイント弾ですので。被弾してしまった艦はこの後シャワーを浴びるなり風呂に入るなりするんです」

風雲「ほ~……」

提督「それで、明日の夜までに今回の演習の報告書を提出して、演習は終了となります」

風雲「なるほど……ありがとうございます」

提督「しかし…なぜあの2人は争っていたのでしょうか?」

風雲「青葉先輩、何か知っていますか?」

青葉「あ、はい!あの2人が演習をした原因は…」

提督&風雲「?」

253: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 22:14:46.24 ID:qmsKhu+g0


青葉「‶目玉焼きにかけるのは醤油かソースか‶で揉めたからですね」


提督&風雲「」


 ―昨日8時過ぎ、食堂―

神通「いただきます」ツー

那珂「神通ちゃん、今日も醤油なんだ?」

神通「ええ。目玉焼きは、醤油をかけて食べると美味しくなるんですよ?」

阿武隈「へー?神通さんって醤油派なんだ~。あたしはソース派」

神通「……ほう?」ピクッ

阿武隈「目玉焼きは洋食だもん。ソースをかけて食べるべきだな~」

神通「ソースは味が濃いじゃないですか。醤油の方があっさりしていて食べやすいです」

阿武隈「ううん、醤油なんて味が薄いしかけすぎると塩分摂りすぎじゃん!」

神通「いいえ!ソースは私たち女の子にとって太りやすいものです!醤油の方がヘルシーでしょう!」

阿武隈「絶対ソース!」

神通「絶対醤油です!」

阿武隈&神通「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ……」


提督&風雲「」

神通「これで、目玉焼きには醤油が王道、という事が証明されましたね」

阿武隈「ううん……仕方ないけど、認めるよ」

随伴艦(私達はこんなくだらない戦いの為に巻き込まれたのか…)

青葉「ちなみにしれーかんは、醤油派ですか?それともソース派ですか?」

提督「これ以上は泥沼になりかねませんのでやめてください」

風雲「私は胡椒派」


【終わり】

254: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 22:22:34.02 ID:qmsKhu+g0
【キャラクター紹介】

≪神通≫

川内型軽巡洋艦二番艦。艦娘No.47(改二はNo.159)。黒いロングヘアーと、モスグリーンのリボンが特徴の、凛々しいお姉さん。芯がとても強く、敵との戦い

では決して諦めず戦い抜く。夜戦になると川内ほどではないが気分が高まる。訓練がとても厳しく、死にかける事がたまにあるらしい。一方で女の子らしく淑やか

な一面も併せ持つ。提督の事が好きだったが、雲龍とケッコンカッコカリした事で吹っ切れた。暴走気味な川内と那珂を窘めるのが日課。目玉焼きには醤油派。

好きな言葉は『質実剛健』。

255: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/21(木) 22:28:55.58 ID:qmsKhu+g0
≪阿武隈≫

長良型軽巡洋艦六番艦。艦娘No.110(改二はNo.200)。金髪のロングヘアーと特徴的な前髪が特徴の、のほほんとした雰囲気の女の子。飴を転がしたような甘い

声で話し、怒っていてもなぜか癒されてしまう。改二になる前はそれほど目立った活躍をしていなかったが、改二になると先制雷撃と高い火力で皆から頼られる。

北上とは犬猿の仲で、近づく事すら嫌い。故に大井からの評価は最悪。なかなか皆が自分の指示に従ってくれないのが悩み。目玉焼きにはソース派。

好きな言葉は『氏より育ち』。

261: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/22(金) 21:25:38.07 ID:IVcclTjU0
【恋愛禁止条令、発令】

 ―16時過ぎ、尾鷲第弐拾質鎮守府・講堂―

艦娘達『…………………』

提督「…以上の点から、この鎮守府は設立されてからの期間と戦力が比例しておらず、その原因が提督と艦娘の恋愛による怠慢と判断しました。よって、

   この鎮守府に対して恋愛禁止条令を発令します」

艦娘達『……………』

提督「期間は明日より2か月。発令中は提督との接触を制限します。発令期間中、同じような事例が起きた場合は発令期間を延長。発令終了後もまた同じような

   事例が起きた場合は、この鎮守府は解体となります」

艦娘達『!?』ザワッ

提督「では、発令期間は出撃・演習に励んでください。私からは以上です」

天龍「待てよ、おい!」

提督「なんでしょうか?」

天龍「いくらなんでも、接触を制限するっていうのはやりすぎだろ!」

提督「先ほども申し上げましたが、ここの艦娘達は提督と同じ場所にいると、言い方が悪いですがほとんどの確率でイチャイチャするでしょう。その結果、

   今この鎮守府は、同時期に発足した鎮守府に比べて戦力が劣っているんですよ。それと…」ジロッ

天龍「な、何だよ…」

提督「好戦的な貴女が、恋に囚われそこまで骨抜きにされている時点で、妙とは思いませんか?」

天龍「!」

提督「………他に、意見のある方はいらっしゃいますか?」

艦娘達『………………』

262: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/22(金) 21:35:46.05 ID:IVcclTjU0
 ―数分後、廊下―

提督「では、発令期間中の監視役はよろしくお願いします」

第弐拾質鎮守府妖精さん「お願いされましたー」


 ―翌日9時過ぎ、執務室―

鈴谷「……で、何この透明な仕切り板」

色上「……艦娘との接触を禁止するために取り付けられたものだよ」

鈴谷「はえー…まるで刑務所だね」

色上「まあつまり、俺はここから出られないって事だ」

鈴谷「え、出られないって…食事とかトイレとか風呂とかはどうすんのさ」

色上「食事は間宮さんに持ってきてもらうんだよ。後、トイレと風呂は俺の自室にある。こっち側に私室に入れるドアがあるから…。あ、俺の私室の廊下側の

   ドアは、俺にも解けない鍵が掛かってるから、入れないんだ」

鈴谷「うわぁ~…まるで監獄だね…」

色上「……ま、つまり出撃して戦果を挙げればこれは解けるってわけだ。そうすれば、また皆と楽しくやれるさ」

鈴谷「……………」

色上「?どうかしたのか?」

鈴谷「あ、ううん。なんでもないよ」

色上「そうか…。じゃ、これからキス島へ出撃があるんだが………」


 ―18時過ぎ、第壱鎮守府・執務室―

提督「………初日はまあ順調…ですか」

第壱鎮守府妖精さん「はいー。まあ、初日は大体こんなもんですよー」

提督「なるほど………」

263: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/22(金) 21:45:19.28 ID:IVcclTjU0
 ―1週間後10時過ぎ、第弐拾質鎮守府・執務室―

色上「……はぁ」

最上「提督、元気ないね~…」

色上「……ああ。こうして皆と自由に話ができたりしないのって、結構きついもんだよ……」

最上「あはは…本当に提督って寂しがり屋なんだね」

色上「確かに…こういう状況になると自分の性格が見えてくるな…。ま、でも2か月過ぎるまでの辛抱だ。そしたら、また一緒にどこか出かけようか」

最上「………………………ああ、うん。そうだね」

色上「?」

最上「あ、ゴメン。なんでもないよ。それじゃね」

色上「あ…………」

パタン


 ―19時前、第壱鎮守府・執務室―

提督「反省の余地が無いように見られる?」

第壱鎮守府妖精さん「発令期間を終えればまた、元通りの関係になれる…と思っているようですー。戦果が著しく低い理由を分かってはいるんですがー、

          それを直そうとはしていないように見えますねー」

提督「…………これは、期間延長、もしくはシベリア送りも視野に入れた方がいいですね」

第壱鎮守府妖精さん「その方がよろしいかとー…」

提督「…………」

264: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/22(金) 21:59:19.17 ID:IVcclTjU0
 ―3週間後、22時過ぎ、第弐拾質鎮守府・執務室―

色上「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」

コンコン

色上「あ、どうぞ~」

ガチャ

榛名「失礼します、提督」

色上「ああ、榛名…。どうかしたのかい?」

榛名「提督、大変お疲れのように見えますが……大丈夫でしょうか?」

色上「あ、大丈夫大丈夫…。今日はもうこの書類を片付けたら寝る予定だし…榛名ももう…」

榛名「いえ、榛名が言っているのは提督の事です…。恋愛禁止条令が発令されてから、提督、日に日にやつれている気がします…」

色上「………そう見えちゃうか。でも、大丈夫……」

榛名「大丈夫、とは?」

色上「恋愛禁止条令が解除されたら、また今までみたいに皆と一緒に楽しく暮らして…そうすれば俺も元気になるから………」

榛名「お言葉ですが、提督」

色上「ん?何かな?」


榛名「それでは、今までと何も変わりませんよ?」


色上「……どういう事だ」

榛名「提督は、『今までみたいにみんなと一緒に楽しく暮らす』…とおっしゃいましたが、それはつまり…。また榛名たちと恋人のような時間を過ごす………

   という事ですか?」

色上「………言い方があれだけど、そうだな」


第弐拾質鎮守府妖精さん1「おいおいおい!反省していないぞ!」

第弐拾質鎮守府妖精さん2「早く総司令部にこのことを伝えないと!」

第弐拾質鎮守府妖精さん3「ちょっと待って…」

265: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/22(金) 22:13:40.50 ID:IVcclTjU0
榛名「…提督」

色上「?」

榛名「確かに榛名は、提督と一緒に過ごした時間がとても楽しかったです。提督は、私の告白を快く受け入れてくれて、付き合ってくれました。色々な場所へ

   行ったり、色々な事を一緒にしましたね……」

色上「急に何を言い出す」

榛名「しかし、榛名は心のどこかでこう思っていました…」

色上「……………………」


榛名「‶これだけで本当にいいのか?‶と」


色上「…………………………………………………………………」

榛名「私達は女性の身体と心を持って生れ変わりました。ですがそれは、提督と恋をするためではなく、深海棲艦と戦い、平和な海を取り戻すためです。そして、

   提督は私たち艦娘が何のために存在しているのかを、よく理解していなかったのでしょう」

色上「………!」

榛名「きつい言い方をしますが…提督、貴方は何のために鎮守府に来たのですか?」

色上「………………」

榛名「私たち艦娘と恋をするためにですか?」

色上「………………」

榛名「私達が存在する理由を提督がちゃんと理解しなければ、この恋愛禁止条令は恐らく終わりません。そして、提督はシベリアへ送られるかも………」

色上「………………」

榛名「………私に言えることはここまでです。私は、不器用ですから………」

色上「…………」

榛名「後は……提督ご自身で考えるべきです。では、私はこれで………おやすみなさい」

パタン

色上「……………………」

266: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/22(金) 22:22:02.52 ID:IVcclTjU0
色上「……………そう、だよな」

色上「…………………俺、今まで何やってたんだ………」


第弐拾質鎮守府妖精さん1「…………………」

第弐拾質鎮守府妖精さん2「…………………」

第弐拾質鎮守府妖精さん3「……………大丈夫そう、ですね」


 ―翌日9時過ぎ、執務室―

色上「よし、じゃあ今日も元気に行くか!鈴谷、頼むぞ~!」

鈴谷「え、あ、うん!」

鈴谷(…………なんか、提督変わった?)

天龍(ああ………なんか、晴れやかになった…?)

榛名「………………」クスッ


 ―17時過ぎ、第壱鎮守府・執務室―

提督「………大丈夫みたいですね」

金剛「何がデスカー?」

提督「第弐拾質鎮守府ですよ」

金剛「Oh!あのテートクのトコですか!」

提督「貴女の妹さんのおかげですよ」

金剛「What?」


【終わり】

267: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/22(金) 22:27:36.58 ID:IVcclTjU0
【キャラクター紹介】

≪鎮守府妖精さん≫

妖精さんの一種。全国の全ての鎮守府に最低3人はいて、鎮守府内の様子の全てを監視している。各鎮守府の鎮守府妖精さんの間で、独自のネットワークを構成

しており、全ての鎮守府の情報を共有している。自分の暮らしている鎮守府の運営状況がブラック鎮守府に値する、もしくは著しく環境が悪いと判断されれば、

情報をネットワーク上にあげ、総司令部へ連絡する。ちなみにこの妖精、司令長官とその補佐官・斑提督及び他の妖精さんしか視認する事ができない。

277: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/23(土) 21:48:06.25 ID:w0bNJQQA0
【指導係】

 ―10時過ぎ、執務室―

提督「龍驤さん」

龍驤「んー?何ー?」

提督「後ほど、ヒトヒトマルマル(11時00分)より、新しく着任した方でキス島沖へ出撃しますので、龍驤さんも同伴していただけませんか?」

龍驤「へ?別に構わへんけど、なんでや?」

提督「そうですねぇ……まあ、それはまた帰投してから説明いたします」

龍驤「???」


 ―11時、執務室―

初月「これより、初月率いる第一艦隊、キス島沖へ練度向上のために出撃いたします!」

提督「はい、分かりました。キス島沖は敵もそれほど強力ではないので、あまり緊張はせずに…だからと言って緊張感を全く持たないというのはダメですが…」

龍驤「よーするに、そんなに気負う必要はあらへんってわけや!」

提督「ま、そう言うわけです。では、出撃してください」

初月「はい!」ビシィ


提督「ああいうところが、龍驤さんの良いところなんですよ」

瑞鳳「?」


 ―数時間後、キス島沖・Aマス(敵水雷戦隊)―

初月「何度か出撃はしてるけど…やっぱり緊張は抜けない……」

風雲「そうねぇ……。どれだけ敵が弱いって言っても、一発でも貰ったら痛いし、沈むかもしれないし…」

名取「ふ、2人ともそんなに心配しなくても大丈夫だよ…。ここで艦娘が沈んだ話って聞いた事もないし…」

古鷹「そうだよ。私達も着任した当初は戦う事が不安だったけど、意外とそうでもなかったから」

風雲「でも…お2人は艦種が違いますし……」

初月「そ、そうですよ…秋月姉は大丈夫って言ったけど、やっぱり心配」

龍驤「ああ、もう!そんなガタガタ震えんでええ!そないに縮こまっておると、いつの間にか沈んだりするで!」

初月&風雲「!!」ビクゥ

278: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/23(土) 21:58:38.34 ID:w0bNJQQA0
龍驤「10時の方向に敵艦隊発見や!距離は6000、敵影5!軽巡ホ級Flagship1、駆逐ハ級2、駆逐ロ級2や!」

初月&風雲「!」

龍驤「ま、何とかなるやろ!」

初月「ど、どうしてそう言えるんですか?」

龍驤「ウチがいるから、大丈夫や!」ドンッ

初月「……ふふっ、それどういう意味ですか?」

龍驤「そのまんまの意味や!」

風雲「……じゃあ、お任せしますね!龍驤先輩!」

龍驤「任しとき!じゃあウチの艦載機の力、見せたるでー!」バサッ

龍驤「~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」ブツブツブツ

バルルルルルルル

龍驤「初月、防空駆逐艦やからって、ウチの艦載機落としたら承知せーへんで!」

初月「お、落としませんよ!」

風雲「…ふふっ」

名取「……」クスッ

≪制空権確保!≫

龍驤「でかしたで!流石はウチの彩雲や!」

風雲「すごーい!」

古鷹(……元々敵艦隊に対空火力もないし艦載機もいないから、当然と言えば当然ともいえるんだけど…黙っておこう)

龍驤「さあいくで!駆逐艦の力、見せてみぃや!」

初月「はい!防空駆逐艦・初月、いきます!」

風雲「主力オブ主力の夕雲型駆逐艦・風雲、やってやるわ!」

279: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/23(土) 22:10:49.41 ID:w0bNJQQA0
 ―数時間後、鎮守府内―

龍驤「いやぁ、すごいなぁ2人とも~!駆逐艦撃沈とはなぁ!」

初月「いえ、龍驤先輩が調子づけてくれたおかげですよ…」

風雲「案外、怖くはなかったわね~。龍驤先輩のおかげですねぇ」

龍驤「なんやと~?言うたな~?」グリグリ

名取「うぅ……皆さん凄いですね……私なんて…」中破

龍驤「名取はもっと自信を持て言うとるやろ!なんやあのへっぴり腰は!」

名取「へ、へっぴ……」

龍驤「悔しかったら、次はシャンとするんやな!」

名取「は、はいぃ……」


 ―数分後、執務室―

提督「龍驤さんは、緊張で縮こまっている方に活を入れたり、沈み切った場を盛り上げたりしてくれるので、まだ戦いに慣れていない新人の方たちと一緒に

   出撃すると、適度に艦娘達の緊張をほぐすんですよ」

龍驤「それが、ウチを出撃させた理由?」

提督「ええ」

龍驤「まー、確かに暗い雰囲気とかは嫌いやし、緊張で硬うなっとる娘見たらなんかほっとけへんから……」

提督「龍驤さんのその打ち解けやすい性格と、ムードメーカー的な立ち位置はとても重要ですから」

龍驤「うーん、ま、任しとき!」


【終わり】

280: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/23(土) 22:22:14.57 ID:w0bNJQQA0
【キャラクター紹介】

≪龍驤≫

龍驤型軽空母一番艦。艦娘No.30(改二はNo.157)。茶髪のおさげとサンバイザーが特徴の、ポジティブな女の子。横須賀生まれだが(似非)大阪弁を喋り、誰と

でも気楽に話したり遊んだりする。軍艦だった頃に激戦を切り抜けてきたためか、艦載機の扱いは一航戦に劣らない。その性格やムードメーカー的なポジション

から、新人を率いて出撃する事が結構ある。特に瑞鳳、鳳翔と仲が良い。北方棲姫とは色々あって因縁深い関係に。年功序列はあまり気にしないタイプ。

好きな言葉は『案ずるより産むが易し』。

290: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 21:31:17.16 ID:JHjkzNiD0
【深海提督のお出かけ】

 ―10時過ぎ、深海棲艦本拠地・執務室―

深海提督「ん~……」トン、トン

空母棲姫「どうかした?」

深海提督「あ、いやね?前に、久々に地上世界に行こうかなー的な事言ったでしょ?」

空母棲姫「ああ、言ったわね…」

深海提督「いざ行こうとは思ったんだが、もし地上で深海棲艦の一員とばれたらどうしようかと思って…」

空母棲姫「チキンね…」

深海提督「うっさいな…。でだ、空母棲姫とか他の深海棲艦って、地上世界に何度も行ってるんだろ?だったら、そいつと一緒に行けばいいんじゃないかと」

空母棲姫「……つまり、どういう事かしら?」

深海提督「だから、空母棲姫。お前と―」

コンコン

深海提督「あ、どうぞー」

戦艦タ級「失礼します、提督」ガチャ

深海提督「タ級か。どうかしたのか?」

戦艦タ級「いえ、そろそろ地上世界へ買い物へ行きますので、事前報告を…」

深海提督「え、今から地上へ行くのか?」

戦艦タ級「ええ、そうですけど…」

深海提督「あ、じゃあ俺も一緒に行っていいか?」

戦艦タ級「…へっ?」

空母棲姫「!!」

291: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 21:38:34.12 ID:JHjkzNiD0
深海提督「実はさ…」

カクカクシカジカ

戦艦タ級「はぁ…そういう事でしたら、構いませんよ?」

深海提督「ホントか!いやぁ、助かるわ~」

戦艦タ級「では、私は外で待ってますので、準備をお願いします」

深海提督「了解」

パタン

戦艦タ級「……………思いがけないけど、やった///」


深海提督「じゃあ、聞いた通りだから。タ級が今から出かけるんなら、それに乗った方がいいだろうし」

空母棲姫「ま、待って!なら私も…」

深海提督「いや、深海棲艦がそんな3人以上で行動すると逆にバレるかもしれん」

空母棲姫「あ……」

深海提督「そんなに出かけたかったのなら、済まなかったな…また別の機会にでも…」

空母棲姫「…………いえ、別にいいわ」

深海提督「……そうか。この埋め合わせはいつかするから」

空母棲姫「期待しているわ」

深海提督「じゃ、留守の間はよろしくな!」

パタン

空母棲姫「………はぁ」

ガチャ

護衛要塞「失礼しまーす…ってあれ?提督は今不在ですか?」

空母棲姫「………今私は不機嫌なの。それ以上話しかけないでちょうだい、食うわよ」

護衛要塞「理不尽!?」

292: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 21:48:23.56 ID:JHjkzNiD0
 ―数分後、本拠地玄関―

戦艦タ級「いきなり海上に出て艦娘と出くわす、という事が起きないように、艦影を確認します。目視で」スチャ

深海提督「眼鏡ねぇ……」

戦艦タ級「変装にも使えますからね…………………敵影無し。大丈夫です」

深海提督「よし、じゃあ行くか」

戦艦タ級「はい、では掴まってください」

深海提督「ああ」ギュッ

戦艦タ級「あ……///」

深海提督「?どうかしたか?」

戦艦タ級「い、いえ。大丈夫です…」

戦艦タ級(まさか、手を握ってくるなんて………)


 ―海上―

ザパ・・・

戦艦タ級「………よし、大丈夫です」

深海提督「これからどうするんだ?」

戦艦タ級「人目に付かない岩場・浜辺から上陸して、そこから電車とかバスとかを使って移動します。今日は、市街地のショッピングモールに用がありますので…

     電車を使いましょう」

深海提督「………ずっと前から疑問に思ってたんだが、買い物に使うお金とか交通費とかはどうやって捻出してるんだ?銀行強盗とかやってる、なんて話だと、

     俺も良心が痛むんだが………」

戦艦タ級「そんな事はしませんよ。短期のアルバイトで稼ぐんです。陸上に用意してある深海棲艦の拠点の住所を利用して履歴書を書きますし、短期だと給料が

     高い仕事が多いので…。私は倉庫で梱包などの仕事を」

深海提督「……よかった…。夜のお店とかで金稼いでるとかじゃなくてよかった…!」

戦艦タ級「そ、そんな事しませんよ!///」

293: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 21:55:23.03 ID:JHjkzNiD0
 ―12時前、市街地ショッピングモール―

戦艦タ級「ここですと、スーパーで買い物をする事ができますし、他の小物やら本やらを買う事ができますから」

深海提督「…いいのか…。人類の敵がこんなショッピングモールで普通に買い物とかしてるんだぞ…」

戦艦タ級「ま、まあ…皆さん平和でいいじゃないですか…」

深海提督「そんなだから海外から‶平和ボケしてる‶なんて言われるんだよ…」

戦艦タ級「………何も言えませんね…」

キャイキャイ


『次はあのお店いこー!』

『ママー、今日の晩御飯なあに?』

『あー、あのゲーム楽しかったねー』


深海提督「……………………」

戦艦タ級「?提督?」

深海提督「…………あ、ごめん。何か聞いた?」

戦艦タ級「急にどうしたんですか…?何か、物憂げな表情をして…」

深海提督「いや………」クルッ

戦艦タ級「?」

ガヤガヤ、ワイワイ


深海提督「…………ちょっと前までは、俺も向こう側の人間だったんだよなぁ、って」


戦艦タ級「!!」

深海提督「……………あいつらが……俺を見捨てなければ……俺はまだ……!」

戦艦タ級「て、提督!もうこんな時間ですし、お昼にしましょう!ほら、あのお店とかよさそうですよ!」

294: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 22:04:52.76 ID:JHjkzNiD0
 ―数分後、洋食店―

深海提督「……すまんな、変な事言って」

戦艦タ級「いえ……。それよりも提督…」

深海提督「なんだ?」

戦艦タ級「あのような暗い表情をされますと、私も少し…胸が痛くなります……」

深海提督「……本当に悪かった。ちょっと、思い出したくもないことを思い出しちまってな……」

戦艦タ級「提督の過去に何があったのかは、私も提督から話してもらいました…。だから、提督が地上の皆さんに恨みを抱く事も理解できます…」

深海提督「………………」

戦艦タ級「ですが、貴方は今こうして私達と一緒に、地上世界のしがらみから外れて暮らしています。ですから、もう地上世界にいた時の嫌な事は、忘れた方が

     いいんですよ。そりゃあ、良い事は覚えたままの方がいいですけど」

深海提督「………ま、いつまでも過去のことに囚われてちゃいけないよな」

戦艦タ級「それに、提督が苦しんでいる姿を見るのは、私も、他の皆さんも嫌ですし……」

深海提督「……心配を掛けてごめんな。もう、大丈夫だ」

戦艦タ級「………いえ、提督が元気になられたようで、私もうれしいです」


 ―数十分後、ロビー―

深海提督「いやぁ、美味しかったな」

戦艦タ級「そうですね、皆さんにも教えてあげましょうか」

深海提督「それで、食材の買い物だっけ?」

戦艦タ級「いえ、その前にちょっと買いたいものがあるので…行ってきていいですか?」

深海提督「ん?何を買うんだ?一緒に行くぞ?」

戦艦タ級「い、いえ!そんな、提督が一緒だなんて、それは……恥ずかしいです!///」

深海提督「へ?何を買うんだ…?そこまで言われると逆に気になるんだが」

戦艦タ級「うぅ…………その…………///」

深海提督「?」

295: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 22:12:40.28 ID:JHjkzNiD0
戦艦タ級「…………………………………………し、 着を…………………///」

深海提督「ゴメンすまん聞いた俺が無神経だった。じゃあ俺はすぐそこでの噴水の所で待ってるから」

戦艦タ級「す、すみません!すぐに済ませてきますので!///」

深海提督(思えば、女性のデリケートなところにそんな踏み込むもんじゃないな。反省しなければ)

ドンッ

深海提督「あ、すみません!」

??「いえ、私も考え事をしていたものですから………」

深海提督「あ、スマホ…落としてますよ?」

??「え、ああ、すみませんでした…」

深海提督「いえ、元々は俺のせいですから…」

??「お気になさらず」チラッ

深海提督「……えーと、誰かと待ち合わせでもしてるんですか?」

??「あ、いえ…連れの方が買い物をしていますので、ここで時間つぶしを」

深海提督「あ、貴方もですか…。俺も、連れが買い物をしてまして…」

??「そうだったんですか………もしや、そのお連れの方は女性ですか?」

深海提督「え?よくご存じですね………そうですけど」

??「どうも、私と同じような感じがしまして…」

深海提督「?」

??「女性との付き合い方について考えてるような感じでしたので」

深海提督「え、俺そんな雰囲気でしたか?」

??「まあ、私も他人から言われたことなんですがね」

深海提督「あ、あはは…」

??「しかし、男性と女性が一緒に買い物に行くと、男性側が振り回されるというのは、世の常でしょうかねぇ……」

深海提督「確かに…俺も子供の頃にそんな経験がありますよ…」

296: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 22:21:30.12 ID:JHjkzNiD0
??「まあ、私は普段から仕事で忙しくてこのような場所には来る機会があまりありませんでしたので、今こうして来れて新鮮な気分ですよ」

深海提督「あ、俺もそんな感じで…。普段から仕事に追われる日々で………それに一時期ここを離れていましたので、また来る事ができて嬉しいです」

??「………話が突然変わるようで失礼ですが、そのお連れの女性とは…彼女ですか?」

深海提督「いえ、そんなんじゃありませんよ。そうですね…強いて言えば…一緒に歩んでくれる仲間、ですかね」

??「何やら深い付き合いのような響きですねぇ…」

深海提督「俺が落ち込んでいる時に励ましてくれるし、力になってくれますので……俺にとって大切な奴です。ところで、貴方のお連れの方は…?」

??「ああ、私の妻です」

深海提督「あ、ご結婚なされているんですか!」

??「ええ、まあ……」

深海提督「……でももしかしたら、その奥さんは、もっと貴方と一緒にいたいのかもしれませんよ?」

??「?」

深海提督「貴方は普段から忙しいと仰っていましたよね?それで、奥さんとも一緒にいる時間も少ないと推測すれば…その奥さんは夫の貴方ともっと一緒に居たい

     と思ってここに連れてきたのかもしれません」

??「……………………」

深海提督「でも、その奥さんは多分、『普段仕事で疲れてる夫を振り回して申し訳ないかも』と思って貴方を少しの間解放したのかも……って、すみません。

     なんか知った口を利いてしまって…」

??「いえ、私も気づく事ができませんでしたから…」ピリリ

??「あ、失礼」ピッ

??「はい………はい。………分かりました、すぐに向かいます」

深海提督「奥さんからですか?」

??「ええ。買い物が終わったら来てほしいと」

深海提督「そうですか。なんかすみませんね、ぺらぺらと差し出がましいことを言ったり自分語りをしたり…」

??「いえ、私もいろいろと気づかされましたから…では。また会う機会がありましたら」

深海提督「あ、はい。それじゃ」

297: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 22:27:16.40 ID:JHjkzNiD0
戦艦タ級「すみません、お待たせしました!」

深海提督「いや、別に待ってないよ。それじゃ、買い物を再開しようか」

戦艦タ級「あ、はい。ところで、誰かいたような気がしたんですが…」

深海提督「ん、ああ…ちょっと隣にいた人と雑談をな……」

戦艦タ級「わっ、我々の事を話したんですか!?」

深海提督「いや、そんな無神経な事はしないさ。たわいもない世間話だよ」


 ―同時刻―

雲龍「すみません提督、わざわざ待たせてしまって」

提督「いえ、気にしないでください」

雲龍「それにしても、私の買い物なんかに付き合わせてしまって…本当に……」

提督「それこそ、気にしないでください。私は、仮とはいえ貴女の夫なのですから」

雲龍「……何かあったんですか?普段はそのような事を言わないのに…///」

提督「ちょっと、通りすがりの方と話して………色々気付かされて」


 ―数時間後、上陸した岩場―

戦艦タ級「いかがでしたか?久々の地上世界は」

深海提督「ああ、結構楽しめたよ。懐かしい感じもしたしな」

戦艦タ級「そうですか……では、戻りましょうか」

深海提督「あ、ちょっと待ってくれ」

戦艦タ級「?」

深海提督「…………タ級」

戦艦タ級「はい?」

298: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 22:32:54.65 ID:JHjkzNiD0
深海提督「俺はお前の買い物に乗せてもらう感じで来たけど、今日は、ありがとな」ニコッ

戦艦タ級「ど、どうしたのですか?私は別に、お礼を言われるような事をした記憶は無いのですが………///」

深海提督「いや、お前に過去のことを忘れた方がいいって言われて気付いたんだ…。俺は、過去の忌まわしい記憶に囚われ過ぎていたんだって。そこで、お前に

     諭されて少しすっきりしたんだ。だから、お礼が言いたくてな」

戦艦タ級「………どう、いたしまして///」

深海提督「それじゃ、戻るか!」

戦艦タ級「………はいっ!」


 ―数十分後、深海棲艦本拠地・執務室―

深海提督「ただいま~」

空母棲姫「…………おかえり」ムッスー

深海提督「ん?なんか不機嫌だな…どうかしたのか?」

空母棲姫「べっつにー」ムッスー

深海提督「???」


 ―食堂―

泊地水鬼「ええっ?提督と一緒にお出かけしたんですか?」

戦艦タ級「ええ………提督が久々に地上世界へ行こうとしていたので、私が一緒に行く流れに…」

泊地水鬼「……そう、ですか……」シュン

戦艦タ級「?」

泊地水鬼(……羨ましい、です///)


【終わり】

299: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/24(日) 22:38:31.56 ID:JHjkzNiD0
【キャラクター紹介】

≪戦艦タ級≫

深海棲艦の一種。艦種は戦艦。白く長い髪と薄緑色の眼、マントのような白い布が特徴の落ち着いた感じの女性。火力はル級に劣るものの、装甲はル級を超える

硬さ。見た目から不気味な雰囲気を連想させるが、その性格は比較的穏やかな方で、暴言を吐く事もほとんどない。基本的に下はショーツしか履いていないが、

流石に地上世界で行動する際はスカートを履いている。世話好きでありながら力仕事が得意。深海提督に対して好意を抱いている。ル級とは仲が良い。

好きな言葉は『金科玉条』。

308: >>1 ◆aKZmxL4TCc 2016/04/25(月) 21:51:26.68 ID:ZvV/RqwM0
【ラムネ】

 ―14時半過ぎ、総司令部敷地内―

ジリジリジリ

提督「………今日はまた、暑いくらいですねぇ」

秋月「ですねぇ…。司令は、そんな軍服をぴっちりと着て、暑くないんですか…?」

提督「心頭滅却すれば火もまた涼し。暑い暑いと不平を垂れずに仕事に集中していれば、そんなに気になりませんよ」

秋月「そうなんですか…。司令はすごいですねぇ……」

提督「……秋月さん。大丈夫ですか?」

秋月「へ?何がですか…?」

提督「先ほどから、なんだか意識が朦朧としているように見えるんですが……」

秋月「だ、大丈夫です!秋月は大丈夫です!」

提督「……まあ、外回りの仕事はきついですよね。ちょうどいい時間ですし、間宮さんの所で休憩しましょうか」

秋月「い、いえ!秋月はそんな、まだやれます!」

提督「秋月さん、午前中も仕事を頑張ってくれましたから、そのご褒美ですよ。スイーツでも奢りますよ」

秋月「あ……スイーツ………。では、恐縮ですが…」

提督(お菓子につられる当たり、秋月さんもまだまだ女の子ですね)


 ―数分後、≪甘味処・間宮≫―

ガララッ

間宮「いらっしゃいませー…って、提督?それに秋月さんも……」

提督「秋月さんが、急な暑さでばててしまったらしいので、ここで休憩がてら涼もうかと」

間宮「あら大変!じゃあ空調を少し強めにしますね!」

秋月「あ、いえお気になさらず……」

間宮「とりあえず空いている席にお座りくださーい!」