2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:09:18.87 ID:qVB20FUh0
杏子「おっ、来たみたいだよ」
ガーッ
まどか「あっ、あの、本日付で配属となります、鹿目まどかと申します…」
マミ「あらどうも、待ってたわ。私は監視官の巴マミ、あなたの先輩にあたるわ」
まどか「あ、どうもよろしくお願いします」
マミ「でも知っての通り、監視官は人材不足だから新人扱いもしてられないの」
マミ「だから早速現場に向かってもらうわよ」
ガーッ
まどか「あっ、あの、本日付で配属となります、鹿目まどかと申します…」
マミ「あらどうも、待ってたわ。私は監視官の巴マミ、あなたの先輩にあたるわ」
まどか「あ、どうもよろしくお願いします」
マミ「でも知っての通り、監視官は人材不足だから新人扱いもしてられないの」
マミ「だから早速現場に向かってもらうわよ」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:12:34.44 ID:qVB20FUh0
マミ「暁美さん、鹿目さんについてもらえるかしら」
ほむら「了解」
マミ「他の人は分かってると思うけど例の区画で先の犯人が逃亡中との情報が入ってる。
見つけ次第確保して頂戴」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:16:29.98 ID:qVB20FUh0
―
まどか「あ、あの…よろしく、お願いします…」
ほむら「随分と腰の低い監視官さんね。
こう見えて、私あなたと同い年だから、普通に話して構わないわよ」
まどか「そ、そうなの…?」
ほむら(はぁ…こんな人がテストに受かったなんて、にわかには信じられないわね…)
ほむら「自己紹介がまだだったわね、私は暁美ほむら。
17歳から執行官やってるわ」
まどか「そ、そう…なんだ…」
ほむら「止まらないで、一応任務中だから。まあ今回は楽に終わると思うけど」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:19:58.18 ID:qVB20FUh0
杏子「なあ、マミ」
マミ「なあに?」
杏子「あの新人さんに、あのイカレポンチをよこしちゃってよかったわけ?」
マミ「…」
杏子「厄介払いさせようってつもりじゃないよね?」
マミ「言っとくけど、あなたも人のこと言えないのよ。世間から見たら」
杏子「そりゃそうだけど、あいつは別格さ」
マミ「…暁美さんを癒せるのは、彼女しかいないと思ったのよ」
杏子「根拠は」
マミ「勘よ」
杏子「…あんたらしくもないね。ん?」
マミ「反応、来たみたいね。暁美さん、そっちはどう?」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:31:24.01 ID:qVB20FUh0
ほむら「ドミネーターに反応あり。犯人がいる可能性大よ」
マミ「了解、こっちも向かうわ」
ほむら「監視官さん…えーと、名前はまどかだったかしら?ドミネーターの使い方、分かる?」
まどか「あ、うん、多少は…」
『犯罪係数オーバー150、執行対象です』
まどか「わわっ」
ほむら「もしかして、私に反応した?」
まどか「これって、その、ほむらちゃんの犯罪係数…?」
ほむら「聴いてはいるでしょうけど、実際に目で見ると違うでしょ?
ちなみに今あなたが引き金を引いたら、私死ぬわよ」
まどか「ひっ…!」
ほむら「そう怖がらなくてもいいわ」
まどか「違うの、別の数値が…すっごく高い…」
ほむら「犯人がこのあたりに潜伏しているのかしら?急ぎましょう」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:37:20.32 ID:qVB20FUh0
ほむら「マミ、犯人を発見したわ。これより確保行動に移る、まどかもついてきて」
まどか「う、うん」
ガサゴソッ
ほむら「!!」
ほむら「そこのあなた、ごみの中に隠れてる、そこのあなたよ」
犯人「う…」ガクブル
ほむら「そう、そうやって、おとなしく手を挙げなさい。ゆっくりと…ね」
ほむら「まどか、この男を撃ってみたら?後々の経験のために」
まどか「え?」
『犯罪係数オーバー300、執行対象です』
ほむら「数値的に救済の余地はないわ、おそらく」
犯人「いやだ…死にたくない…助けてくれ…」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:42:04.31 ID:qVB20FUh0
まどか「…!」ギリギリ
ほむら「…見てられないわ、私がやる」ギュイイイン
犯人「たすけ」ズバァン
まどか「そんな…!命乞いしてた人を…」
ほむら「相手は犯罪者よ。それも殺人者。同情の余地なんてない」
マミ「暁美さん、鹿目さん!」
ほむら「遅かったわね、マミ。悪いけど犯人は消し飛ばしたわ」
杏子「まーた派手にやらかしてくれちゃったねー、こりゃ」
ほむら「それ以外何ができるっていうの。
無駄に拘束なんかしようとして、逃げられたら話にならない」
マミ「分かったわ、どうもありがと」
まどか「…」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:47:14.86 ID:qVB20FUh0
―
マミ「今回はこれでおしまいよ、それじゃ解散」
ほむら「…」バタン
杏子「マミ、あの新人、相当ショック大きいみたいだよ」
マミ「仕方ないわ、徐々に慣れていくしかないもの」
杏子「あんたも残酷だね。それで新人さんの心が折れても、あたしゃ知らないよ」
マミ「…」
まどか「あ、マミさん。お疲れ様です」
マミ「鹿目さん!お疲れ様」
まどか「何の話してたんですか?」
マミ「…ちょっとね。それより、飲みに行かない?これから二人で。奢るわよ」
まどか「ホントですか?ありがとうございます!それじゃ御一緒させていただきます!」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:54:47.19 ID:qVB20FUh0
―
マミ「悪いわね、最初から変な仕事させて」
まどか「そんなこと、ないです。私が甘かっただけです。引き金を引くのを躊躇った…」
マミ「こんなこと言っちゃいけないんだけど、躊躇ううちが花よ。
私なんて、どんどん感覚が麻痺していくのがわかる…まあ、犯罪係数は問題ないのだけど」
まどか「…どういう、ことですか?」
マミ「私ね、昔、犯罪者に両親を殺されたのよ」
まどか「えっ…」
マミ「そんな顔しないで、子供の頃の話だから。
でね、孤児院で育てられてたある日、色相検定で引っ掛かった男性が犯人だって割れたのよ。
だから、シビュラシステムにはとっても感謝してる。
結局、この職についてるのだってシビュラの適正だし。
でも、私たちが人を撃つことによって、誰かが悲しんでるかもしれない。
そう思うの」
まどか「…」
マミ「だけど、結局は撃たなきゃもっと悲しむ人が出る。だから撃つ。
あなたもそうでなきゃ。そう割り切れば、少しは頑張れるでしょ?」
まどか「はい」
マミ「ごめんね、食事中に変な話して。そうだ、別の話しましょう。
何か聞きたいことある?」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:01:05.08 ID:qVB20FUh0
まどか「ここの刑事課って女性ばっかりですよね。私もですけど」
マミ「そうね。うちは『刑事課女性係』なんてあだ名で呼ばれてるくらいだものね。
昔は男性もいたみたいだけど、数年くらいでみんな殉職してから女性以外が来ると死ぬ、
なんて噂されてね。結局今みたいに女性ばっかりになったの。
私が来たばっかりの頃は今いない先輩もいたけど、やっぱり女性だったわ」
まどか「そ、そうなんですか…」
マミ「他には何かある?」
まどか「あの、執行官ってみんな、ああなんですか…?」
マミ「ああって…?」
まどか「その、容赦のないっていうか」
マミ「私と一緒にいた娘いるでしょう?佐倉さん。少なくとも彼女は違うわ。
まあ潜在犯ではあるし、おんなじように17歳くらいから執行官やってるけど」
まどか「じゃあ、どうしてほむらちゃんは…」
マミ「ごめんなさい。それだけは、私にも答えられないわ。ごめんね…」
まどか「あ、はい…すいません」
まどか(何か、あったのかな…?)
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:09:44.42 ID:qVB20FUh0
―
まどか「おはようございます!」
杏子「お、一番乗りじゃん、新入り。
…ってあたしら除いたらマミしかいないけどね」
まどか「杏子ちゃん…だっけ、私と同い年なんだよね!よろしくね!」
杏子「あ、ああ。よろしく。そうだ、食うかい?」
まどか「あ、ありがとう!このお菓子好きなんだよねぇ」モグモグ
杏子「…新入り」
まどか「何?」ハムハム
杏子「色々辛いだろうけど、頑張んな」
まどか「うん、分かってる。それとまどかでいいよ」
杏子「ああ」
ほむら「随分早い到着ね」
マミ「理想的な後輩だわ」
まどか「おはようございます!」
マミ「はい、おはよう。みんな、今日は今まで詰まってる事件の解析をしてもらうわ。
何もない人は外で色相調査に向かって」
杏子「はーい」
まどか「了解です」
ほむら「…」ファサッ
プルルルル
マミ「誰?」
杏子「あんたの携帯じゃね、マミ?」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:13:15.93 ID:qVB20FUh0
マミ「はいこちら…え?分かりました、すぐに向かいます!」ガチャリ
杏子「なんだよ、いったい?」
マミ「ここからすぐ近く、立てこもり犯が人質を取ってる!すぐに現場に急行しましょう!」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:17:46.03 ID:qVB20FUh0
ザワザワ…
まどか「どいてください!」
杏子「奴はどこにいる?」
犯人「警察を出せ!」
ほむら「自分からお呼びのようね。わざわざ大声張り上げて」
まどか「どいてください!」
杏子「奴はどこにいる?」
犯人「警察を出せ!」
ほむら「自分からお呼びのようね。わざわざ大声張り上げて」
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:23:10.33 ID:qVB20FUh0
マミ「全員、銃を構えて!突撃するわよ!」
ダァン
ほむら「武器を捨てなさい!」
犯人「警察か、武器を捨ててこの場で金を出せるところに連絡しろ!」
杏子「その前にあんたが武器を捨てな!」
犯人「分かってんだろ、こっちは人質がいる!今首を掴んでるのが見えないのか!」
マミ(あらかじめ気絶させて叫ばせないようにしてるわけね…考えてる!)
杏子「ちぃっ!」
まどか「どうしたら…?」
ほむら「…」
『犯罪係数200オーバー、執行対象です』
ほむら「…」チラッ
『犯罪係数150オーバー、執行対象です。慎重に引き金を引き…』
ほむら(サイコハザードを起こしてる…か)
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:26:52.72 ID:qVB20FUh0
犯人「ほら、早く銃を捨てやがれ!こいつを殺すぞ!」
ダァン
犯人「なっ…?」
ドサァッ
杏子「ほむら、てめえ、何しやがった!」
ほむら「執行対象を両方撃った。人質がどうのにいちいち付き合ってられない」
杏子「糞野郎…!」
まどか「マミさん、私、人質の型の処置を頼んできます!」
マミ「分かったわ!暁美さん、佐倉さん、今はいがみ合ってる場合じゃないでしょう!」
杏子「…」
ダァン
犯人「なっ…?」
ドサァッ
杏子「ほむら、てめえ、何しやがった!」
ほむら「執行対象を両方撃った。人質がどうのにいちいち付き合ってられない」
杏子「糞野郎…!」
まどか「マミさん、私、人質の型の処置を頼んできます!」
マミ「分かったわ!暁美さん、佐倉さん、今はいがみ合ってる場合じゃないでしょう!」
杏子「…」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:35:54.15 ID:qVB20FUh0
―
マミ「暁美さん、あなたの行動のおかげで今回は効率的に事が運んだ」
ほむら「それはどうも…」
マミ「でもあれはあまりにもやり過ぎ。ちょっとこっちに来なさい」
ほむら「はぁ…早く終わらせて頂戴」
杏子「…」
まどか「杏子ちゃん…」
杏子「…分かってる、どっちが正しいかなんて、あたしが決められる義理もないさ」
まどか「杏子ちゃんは知ってるの…ほむらちゃんがどうしてああなのか」
杏子「あいつは…変わっちまったのさ」
まどか「変わった…?」
杏子「そうさ。昔はあんたと同じ、なんつーか、従順っていうか、純粋っていうか。
そういう意味で変わった執行官だった。でも、ある時から、あいつは…」
まどか「…」
杏子「やめた。これ以上は無理だわ。
ほむらに口止めされてるし、これ以上はあたしからも話したくない。
まどかが、自分からほむらに聞きな。あいつは…あんたには少しだけど心を開いてる。
あたしには分かる」
まどか「そう…なの?」
杏子「ああ。何度も一緒にいれば、いつか聞ける。あいつ自身からこの話は聞いた方がいい」
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:54:27.77 ID:qVB20FUh0
―数日後
ほむら「まどか、大丈夫?」
まどか(ほむらちゃんも随分私を気にかけてくれるようになった…)
まどか(でも結局、犯罪者に対する認識の違いは埋められてない…)
ほむら「どうしたの?まどか」
まどか「ほむらちゃんは」
ほむら「?」
まどか「どうして犯罪者をそこまで憎むの?」
ほむら「憎んでなんかいないわ。私はシビュラの駒として生きてるだけよ」
まどか「駒って…」
ほむら「そうよ。シビュラに仇なすものは皆、消されるべき。一様にね。それを私が裁く」
まどか「その理論だと、ほむらちゃんだって…!」
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:00:21.12 ID:qVB20FUh0
ほむら「そうよ。私もいつかは裁かれるべき。でも今は裁きの代行者として、
命ある限り犯罪者を裁き続ける。そこには同情などという言葉はないの」
まどか「そんなの間違ってるよ!」
ほむら「間違ってるなら私を撃てば?」
まどか「そう言う意味じゃない!」
ほむら「どういう意味よ!」
まどか「ほむらちゃんは人だよ!そんな機械みたいに自分を言わないで!」
ほむら「人間…か」
まどか「そうだよ!」
ほむら「あなた、習わなかった?過度に執行官と仲良くすると、自分もサイコハザードを起こすって」
まどか「ほむらちゃんは別」
ほむら「何それ」
まどか「本当はそんなこと思ってないって顔してるから。
狂ってないのに、狂ったふりして、何もかも避けて。そんなの、もうやめよう?終わりにしよう?」
ほむら「誰から聞いたの?!」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「誰に私のことを聞いたの?!マミ、杏子?!あの二人しかいないわね…どっちに聞いたの?!
教えなさい!今すぐ!」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:04:01.49 ID:qVB20FUh0
まどか「二人からは何も、聞いてないよ」
ほむら「庇うような真似しないで!」
まどか「本当だよ。だから教えて。ほむらちゃんに昔、何があったのか」
ほむら「…『彼女』と出会ったのは、私が執行官になろうとしていた時だったわ」
ほむら「庇うような真似しないで!」
まどか「本当だよ。だから教えて。ほむらちゃんに昔、何があったのか」
ほむら「…『彼女』と出会ったのは、私が執行官になろうとしていた時だったわ」
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:09:15.96 ID:qVB20FUh0
―その時の私は、色相判定に引っかかって絶望に打ちひしがれていた。
ほぼ社会復帰が不可能と言われてる中で、運動もてんでダメだった私が執行官になれるはずもない。
そんなダメ元な思いで、訓練を受けていたの。
そこで出会ったのは…。
?「あんたも潜在犯?」
メガほむ「あ、はい、そうですけど…」
さやか「あたし美樹さやかって言うの。よろしく!あんたの名前は?」
メガほむ「あ、暁美ほむら…です…」
さやか「執行官ってさー、難しそうだけど一緒に頑張ろ!」
メガほむ「あ、はい!」
ジリリリリリリ
さやか「時間経つの早いよねー、牢獄みたい」
メガほむ「ですね…」
さやか「でも、もうすぐ出られるよ!あんたも、あたしも」
メガほむ「どうして?」
さやか「なんとなく。でもそう思っといた方が人生楽じゃん!」
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:14:30.32 ID:qVB20FUh0
―さやかは変わった潜在犯だったわ。もともと潜在犯の時点で、変わっているのだけれど、
彼女は全く絶望感とか悲観的とか、そういうのがないの。
いや、あったとしてもそれを全く表に出さなかったのかもしれないわね。
そして、念願の執行官になれた時、私とさやかは同じ課に配属されたわ。
さやか「え、あんた、ほむらだよね?」
メガほむ「美樹さん?どうして?」
さやか「うわあ、運命ってあるもんだねえ!一緒に頑張っていこうよ!」
メガほむ「はい!」
マミ「こらこら、新人さんたち、二人とも騒がないの」
杏子「そうだぞー、ここは幼稚園じゃないんだぞー」
さやか「あ、どうもすいません。えへへ」
メガほむ「ふふふ…」
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:20:28.89 ID:qVB20FUh0
執行官の生活を統制しないマミの方針で、
私たちは自室では比較的自由になることができた。
ちょっとしたことで暗くなりがちな私を、さやかはいつも励ましてくれた。
そんなある日…
さやか「だいじょぶだって。ほむらのせいじゃないよ。
あの被害者の人だって、あんたの誠意、分かってくれたはずだよ。
ほら、うつむくなって。下ばっかり向いてると、幸せが逃げるぞ!ね?顔あげて、笑って」
ほむら「う、うん…さや…か…」グスッ
さやか「あ、ほむらが下の名前で呼ぶの、初めて聞いた」
ほむら「そう…かな…?」
さやか「そうだよ?どしたの、急に」
ほむら「わかんない。わかんないけど…!」チュッ
さやか「ちょ、ちょちょちょ!あたし、ファーストキスだったんだよ!
どうしてくれんのさ?!」
ほむら「ご、ごめん…!」
さやか「何?もしかして…ガチ、なの、あんた?」
ほむら「…」コクリ
私たちは自室では比較的自由になることができた。
ちょっとしたことで暗くなりがちな私を、さやかはいつも励ましてくれた。
そんなある日…
さやか「だいじょぶだって。ほむらのせいじゃないよ。
あの被害者の人だって、あんたの誠意、分かってくれたはずだよ。
ほら、うつむくなって。下ばっかり向いてると、幸せが逃げるぞ!ね?顔あげて、笑って」
ほむら「う、うん…さや…か…」グスッ
さやか「あ、ほむらが下の名前で呼ぶの、初めて聞いた」
ほむら「そう…かな…?」
さやか「そうだよ?どしたの、急に」
ほむら「わかんない。わかんないけど…!」チュッ
さやか「ちょ、ちょちょちょ!あたし、ファーストキスだったんだよ!
どうしてくれんのさ?!」
ほむら「ご、ごめん…!」
さやか「何?もしかして…ガチ、なの、あんた?」
ほむら「…」コクリ
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:25:34.44 ID:qVB20FUh0
さやか「そ、そのさ、こういうの、聞くのもなんだけど…いつから、よ?」
ほむら「わかんない…」
さやか「…そっ…か」
ほむら「ご、ごめんね、気持ち悪いよね…友達が…アレ…だなんて…」
さやか「気持ち悪くなんかないよ!ほむらはかわいい!」
ほむら「えっ?」
さやか「だってそうじゃん!あたしが『眼鏡外した方がかわいいよ』って言っただけでホントに外してくるし、
素直だし、結構美人だし…あたしなんかじゃ釣り合わないよ」
ほむら「…そんなこと!」
さやか「…実はあたしもガチでさ。付き合っても、いいよ?」
ほむら「さやか…」ギュッ
ほむら「わかんない…」
さやか「…そっ…か」
ほむら「ご、ごめんね、気持ち悪いよね…友達が…アレ…だなんて…」
さやか「気持ち悪くなんかないよ!ほむらはかわいい!」
ほむら「えっ?」
さやか「だってそうじゃん!あたしが『眼鏡外した方がかわいいよ』って言っただけでホントに外してくるし、
素直だし、結構美人だし…あたしなんかじゃ釣り合わないよ」
ほむら「…そんなこと!」
さやか「…実はあたしもガチでさ。付き合っても、いいよ?」
ほむら「さやか…」ギュッ
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:31:07.68 ID:qVB20FUh0
―さやかは嘘を付いていたけど、私に対する思いは本物だった。
結局、私たちは任務外のたびに身体を重ねる関係となっていった。
そのうちに、分かっていった。さやかも本当は誰かに甘えたかったんだって。
そして…その日は来た。
さやか「寒いね、ほむら」
ほむら「そうね…」
杏子「あんたらはお熱いね、全く」
マミ「美樹さん、今日はあなたの番よ」
さやか「ほーい、りょうかーい。じゃ、行ってくるね」
結局、私たちは任務外のたびに身体を重ねる関係となっていった。
そのうちに、分かっていった。さやかも本当は誰かに甘えたかったんだって。
そして…その日は来た。
さやか「寒いね、ほむら」
ほむら「そうね…」
杏子「あんたらはお熱いね、全く」
マミ「美樹さん、今日はあなたの番よ」
さやか「ほーい、りょうかーい。じゃ、行ってくるね」
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:34:36.28 ID:qVB20FUh0
さやか「判定だけの日も楽じゃないよねー、こんな寒い日じゃ」
?「おい、そこの女」
ブンッ
さやか「!!」
ドサッ
犯人「…」
ガスッガスッガスッ
さやか(意識が遠のいてく…あたしも終わり、かな…)
?「おい、そこの女」
ブンッ
さやか「!!」
ドサッ
犯人「…」
ガスッガスッガスッ
さやか(意識が遠のいてく…あたしも終わり、かな…)
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:37:21.54 ID:qVB20FUh0
後日、私たちの目に映ったのは無残な死体となったさやかの姿だった。
お互いに依存するような関係になっていた私は一日中泣いていたわ。
数日後、色相判定で異常な数値を持つ男が引っ掛かり、
私は命令を無視してその男をドミネーターで撃ち殺した…。
お互いに依存するような関係になっていた私は一日中泣いていたわ。
数日後、色相判定で異常な数値を持つ男が引っ掛かり、
私は命令を無視してその男をドミネーターで撃ち殺した…。
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:40:59.12 ID:qVB20FUh0
ほむら「その時から私は悟ったの。シビュラの正しさを。
シビュラがなければ、さやかを殺した男は捕まらなかった」
まどか「…辛かったんだね、ほむらちゃん」
ほむら「私より辛い人なんて何人もいる。
それに、私自身はただの社会不適合なレズビアンでしかない」
まどか「…そんなこと言わないで!」
ほむら「あなたは私にどうしてほしいの?鹿目まどか監視官?
私がおとなしく気持ちを露わにすれば満足?」
まどか「それは…!」
ほむら「嘘偽りなく言えば、私はあなたが欲しい」
シビュラがなければ、さやかを殺した男は捕まらなかった」
まどか「…辛かったんだね、ほむらちゃん」
ほむら「私より辛い人なんて何人もいる。
それに、私自身はただの社会不適合なレズビアンでしかない」
まどか「…そんなこと言わないで!」
ほむら「あなたは私にどうしてほしいの?鹿目まどか監視官?
私がおとなしく気持ちを露わにすれば満足?」
まどか「それは…!」
ほむら「嘘偽りなく言えば、私はあなたが欲しい」
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:46:43.20 ID:qVB20FUh0
ほむら「あなたは昔の私と、さやかを合わせたような人間性なのよ。
私があなたを好きにできるのなら、今すぐにでも食べてしまいたい…」スッ
まどか「ひっ…!」
ほむら「あなたが私をそこまで気遣うのなら、
あなたを無理矢理にでも味わい尽くしてもいいのかしら?
それだけの覚悟があなたにあるの?薄汚い雌犬に自らの身体を捧げられるの?」
まどか「そ…それは…だから…!」
ほむら「無言は了解とみなすわ。イェスか、ノーか。答えを頂戴」
ドンッ
杏子「何、ヤッてんだ…ほむら」
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:53:11.60 ID:qVB20FUh0
ほむら「杏子…ここは私の自室よ」
杏子「ふざけんなよ?あんた、『同意なしに』監視官を手籠めにしてみやがれ。
あっという間にクビだぞ。
まあ、その前にあたしがその煩悩まみれのお気楽頭をドミネーターでぶっ飛ばしてやるけどね」
ほむら「…分かったわ」
杏子「分かったらさっさと監視官様を離すんだね」
バタン
まどか「ほむらちゃん…さっきの答えだけど」
ほむら「もういいわ。おふざけが過ぎ…」チュゥゥゥゥ
ほむら「…んむっ…?!」
まどか「ぷ…はぁ…」
ほむら「あ、あなた、なんてことを?!」
まどか「さやかちゃんって人の代わりでもいい。
女同士でもいい。執行官だろうがなんだって構わない。食べてよ、私を」
ほむら「まどか…」
杏子(やれやれ、丸聞こえだよ)
杏子「炊きつけちまったかな…あたし」
杏子「ふざけんなよ?あんた、『同意なしに』監視官を手籠めにしてみやがれ。
あっという間にクビだぞ。
まあ、その前にあたしがその煩悩まみれのお気楽頭をドミネーターでぶっ飛ばしてやるけどね」
ほむら「…分かったわ」
杏子「分かったらさっさと監視官様を離すんだね」
バタン
まどか「ほむらちゃん…さっきの答えだけど」
ほむら「もういいわ。おふざけが過ぎ…」チュゥゥゥゥ
ほむら「…んむっ…?!」
まどか「ぷ…はぁ…」
ほむら「あ、あなた、なんてことを?!」
まどか「さやかちゃんって人の代わりでもいい。
女同士でもいい。執行官だろうがなんだって構わない。食べてよ、私を」
ほむら「まどか…」
杏子(やれやれ、丸聞こえだよ)
杏子「炊きつけちまったかな…あたし」
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 17:58:39.90 ID:qVB20FUh0
―
マミ「みんな、集まったわね」
マミ「暴れてるドローンを私と佐倉さんが止める!
暁美さんと鹿目さんは発信源へ急いで!」
ほむら「了解よ!」
まどか「行こうほむらちゃん!」
杏子「嫌な予感がしやがる…」
マミ「ともかく行きましょう!」
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:03:57.50 ID:qVB20FUh0
ほむら「気を付けてまどか!どこからドローンが出てくるか分からないわ!」
ズズズ…
まどか「危ない、ほむらちゃん!ドローンが!」
『執行対象です』
ズバァン
ほむら「!!」
ほむら「悪いわね、まどか」
ほむら(こう見えて、私よりも射撃の才能があるようね。徐々に任務にも慣れてきてる…)
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:07:03.85 ID:qVB20FUh0
ほむら「制御室へ急げば、ドローンを止められるわ!」
まどか「犯人の反応はあるの?」
ほむら「…ないわ。おそらく逃亡したみたいね。
まあなんにせよこれだけの行動を起こすのだから、犯罪係数も高いでしょうね。
逃げても無駄よ」
バァン
?「ようこそいらっしゃいました、警官の方々」
39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:09:59.36 ID:qVB20FUh0
ほむら「あら、あなた、ここの会社の娘さんね。
わざわざ殺されに来てくれるなんて手間が省けるわ」
仁美「あら、私を知っているなんて光栄ね。でも殺されに来たのは、あなたよ」
まどか「!!」
ズガァァァン
ほむら「しまった、まだドローンが!」
まどか「ほむらちゃん、今ドローンを撃つから!」カシャッ
『執行対象ではありません』
まどか「え…?」
わざわざ殺されに来てくれるなんて手間が省けるわ」
仁美「あら、私を知っているなんて光栄ね。でも殺されに来たのは、あなたよ」
まどか「!!」
ズガァァァン
ほむら「しまった、まだドローンが!」
まどか「ほむらちゃん、今ドローンを撃つから!」カシャッ
『執行対象ではありません』
まどか「え…?」
41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:17:04.55 ID:qVB20FUh0
仁美「思った通りで何よりだわ。
『犯罪者でない人』の直接操るドローンは、犯罪者でない扱いみたいね」
ほむら「免罪体質者…噂には聞いていたけど…!」
仁美「そう!私は何をしても犯罪に問われない!
だから会社も名誉も地位も、全て捨て去って世間をあっと言わせることに決めた!
それでも私は正義なのだから!」
まどか「そんなのおかしいよ!」
仁美「シビュラが認めたことよ!あなたたちを生かすも殺すも、こちらの自由!」
ドローン「グギギギ…」
ほむら「!!」
ガスッガスッガスッ
まどか「やめて!」
仁美「やめてほしいならその意味のない銃で私を撃ってみれば?
そうすればドローンも動きが止まるかも」
『執行対象ではありません』
ほむら(ダメだ…このままだと…死ぬ…!)
『犯罪者でない人』の直接操るドローンは、犯罪者でない扱いみたいね」
ほむら「免罪体質者…噂には聞いていたけど…!」
仁美「そう!私は何をしても犯罪に問われない!
だから会社も名誉も地位も、全て捨て去って世間をあっと言わせることに決めた!
それでも私は正義なのだから!」
まどか「そんなのおかしいよ!」
仁美「シビュラが認めたことよ!あなたたちを生かすも殺すも、こちらの自由!」
ドローン「グギギギ…」
ほむら「!!」
ガスッガスッガスッ
まどか「やめて!」
仁美「やめてほしいならその意味のない銃で私を撃ってみれば?
そうすればドローンも動きが止まるかも」
『執行対象ではありません』
ほむら(ダメだ…このままだと…死ぬ…!)
42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:27:21.77 ID:qVB20FUh0
まどか(なんとかしなきゃ…なんとかしなきゃ…)
『暁美さん、マミよ!応答し』グシャア
仁美「無線機で連絡なんて取らせないわ」
まどか(あった!ドローンが落としたピストル!でも…)
ほむら「まど…か…だめ…」
ガスッ
仁美「あら、そんなものでドローンを倒すつもり?
それとも私を直接売って自ら犯罪者になってみる?
正義だなんだと私一人裁けない臆病者に、それができるのかしら?」
ほむら「まど…」
ガスッ
仁美「もういいわ、余興はおしまい。その警官さん、殺しちゃっていいわ」
ドローン「ギギッ」
ほむら「…」
ドローン「…」
グラァ
ほむら「…え?」
仁美「…」
シュゥゥゥゥ…
ほむら「まど…か…うそ…!」
まどか「ごめんね…ほむらちゃん…わたし、撃っちゃった…!」
ほむら「!!」カチャリ
『犯罪係数150オーバー、執行対象です』
ほむら「そんな!」
『暁美さん、マミよ!応答し』グシャア
仁美「無線機で連絡なんて取らせないわ」
まどか(あった!ドローンが落としたピストル!でも…)
ほむら「まど…か…だめ…」
ガスッ
仁美「あら、そんなものでドローンを倒すつもり?
それとも私を直接売って自ら犯罪者になってみる?
正義だなんだと私一人裁けない臆病者に、それができるのかしら?」
ほむら「まど…」
ガスッ
仁美「もういいわ、余興はおしまい。その警官さん、殺しちゃっていいわ」
ドローン「ギギッ」
ほむら「…」
ドローン「…」
グラァ
ほむら「…え?」
仁美「…」
シュゥゥゥゥ…
ほむら「まど…か…うそ…!」
まどか「ごめんね…ほむらちゃん…わたし、撃っちゃった…!」
ほむら「!!」カチャリ
『犯罪係数150オーバー、執行対象です』
ほむら「そんな!」
43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:34:32.35 ID:qVB20FUh0
マミ「鹿目さん、暁美さん、いる?!」
杏子「こっちは片付いたぞー!いるなら出てこーい!」
ほむら「!!」
マミ「暁美さん!…!凄い怪我…」
ほむら「私よりも…まどかが…!」
まどか「うっ…ううっ…!」
杏子「まどかが撃ったのか、犯人を」
ほむら「その犯人、免罪体質者だったのよ」
杏子「なんだって?!」
マミ「まさか…実在したの?!」
ほむら「それで…」
まどか「もういいよ、ほむらちゃん。私、満足だよ。ほむらちゃんと同じ、潜在犯になれて」
杏子「こっちは片付いたぞー!いるなら出てこーい!」
ほむら「!!」
マミ「暁美さん!…!凄い怪我…」
ほむら「私よりも…まどかが…!」
まどか「うっ…ううっ…!」
杏子「まどかが撃ったのか、犯人を」
ほむら「その犯人、免罪体質者だったのよ」
杏子「なんだって?!」
マミ「まさか…実在したの?!」
ほむら「それで…」
まどか「もういいよ、ほむらちゃん。私、満足だよ。ほむらちゃんと同じ、潜在犯になれて」
44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:36:32.28 ID:qVB20FUh0
―
ほむら「あれから数日後、まどかは社会復帰のために療養を続けている。
でも…あの状態から立ち直ることなんて、もう…」
マミ「暁美さん、佐倉さん。今日は新人の執行官が来るわ。仲良くしてあげて」
杏子「そうかい」
ほむら「…」
マミ「あなたたちも知っている人よ」
杏子「あたしらが」
ほむら「知ってる?」
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:39:21.06 ID:qVB20FUh0
まどか「本日付で配属となる鹿目まどかであります!よろしくお願いします!」
まどか「…なんちゃって」
ほむら「まどか?!」
杏子「お前、執行官でやり直すのか?!」
まどか「うん」
マミ「私をあんまり忙しくさせないでね」
まどか「分かってます、マミさん」
ほむら「まどか、あなた…ホントにこれで…?!」
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「…?」
まどか「これでずっと一緒だね」
ほむら「…うん」
おわり
まどか「…なんちゃって」
ほむら「まどか?!」
杏子「お前、執行官でやり直すのか?!」
まどか「うん」
マミ「私をあんまり忙しくさせないでね」
まどか「分かってます、マミさん」
ほむら「まどか、あなた…ホントにこれで…?!」
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「…?」
まどか「これでずっと一緒だね」
ほむら「…うん」
おわり
コメントする
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。