1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:02:59.14 ID:phVYxm7i0
以前書いた

杏「何やってんの」 美波「え?」
 

に引き続き杏とCPクール組のお話です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1447167778

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:05:19.18 ID:phVYxm7i0
~ある雨の日~

ザアアアアアアア・・・・

杏「くっそ~・・・・」バシャバシャ

杏「降水確率30%って言ってたくせに~」

杏「やっぱアレか・・・杏が珍しく外出なんてするからか・・・・・」

杏「とりあえずあそこの店で雨宿りさせてもらおう・・・・・」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:07:24.09 ID:phVYxm7i0
~とある店~

杏「え~と・・・花屋さんかな?」

杏「すみませ~ん、少し雨宿り・・・・・」

??「いらっしゃいま・・・・杏?」

杏「あれ・・・・・凛ちゃんじゃん。」

凛「何があったの?」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:10:06.30 ID:phVYxm7i0
杏「そっか~ここ凛ちゃんの家だったか~」

凛「うん、杏は何してたの?」

杏「気まぐれで外出なんてしたらこの有様だよ。」

凛「そっか・・・・だから雨が・・・・」

杏「やっぱそれ言っちゃう?」

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:12:50.77 ID:phVYxm7i0
凛「びしょ濡れだね、シャワー浴びてく?」

杏「いや、そこまで杏図々しくないし・・・・傘でも借りてとっとと退散しますよ・・・・」

凛「あ、そう・・・じゃあ・・・・」

??「あら凛、お客さん?」

凛「あ、お母さん。」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:15:20.28 ID:phVYxm7i0
凛母「まぁ確かあなたは凛のアイドル仲間の・・・・双葉杏ちゃんね。」

杏「お、オジャマシマス・・・・」

凛「!?」

凛母「どうしたの?びしょ濡れだけど・・・・」

凛「傘持たないまま外出してこうなったんだって。」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:18:15.80 ID:phVYxm7i0
凛母「まぁ!それは大変!すぐシャワー浴びてきなさい。」

杏「い、いえ大丈夫です・・・・傘さえ貸して頂ければ・・・・」

凛母「そのままじゃ風邪ひいちゃうでしょ、いいから入ってきなさい。」

杏「は、はぁ・・・・」

凛母「凛、杏ちゃんの着替え用意してあげてね。」

凛「うん、わかった。」

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:26:59.40 ID:phVYxm7i0
~風呂上がり 凛の部屋~

杏「ふぁ~生き返った~ありがとね。」

凛「どういたしまして。」

杏「悪いね~服まで貸してくれちゃって。」

凛「私の小学生の頃の奴だけど・・・・サイズは大丈夫?」

杏「ん、大丈夫、強いて言うなら胸の所がちょっとキツイかな~」

凛「嘘でしょ。」

杏「ハイ、嘘です。」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:29:36.19 ID:phVYxm7i0
凛「それにしてもビックリだよ。」

杏「何が?」

凛「杏でも、かしこまったりするんだなって。」クスクス

杏「む~杏だってそのくらいはわきまえてるよ。」

凛「そうなんだ・・・・・」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:32:49.09 ID:phVYxm7i0
杏「杏は凛ちゃんのお母さんにビックリだよ。」

凛「どうして?」

杏「杏が風呂入ろうとしたら「凛も一緒に入ってあげなさい」なんて言うからさ・・・・」

凛「まぁ心配だったんじゃない?私も杏は今でもシャンプーハット使ってたり、きらりに洗ってもらってるイメージあるからさ。」

杏「馬鹿にするなよー!」

凛「ゴメンゴメン。」クスクス

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:42:58.25 ID:phVYxm7i0
ガチャ

凛母「杏ちゃん、風邪とかはひいてない?」

杏「あ・・・はいおかげさまで・・・・」

凛母「それはよかったわ、今日はもう遅いから泊まっていきなさい。」

杏「そ、そこまでしてもらうのは悪いですよ・・・・」

凛母「もう杏ちゃんの分のご飯も作っちゃったから・・・・お父さんも帰ってきたし皆で食べましょう。」

杏「で・・・でも・・・・」

凛「杏・・・・もう諦めなよ。」

杏「・・・・・はい。」

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:45:08.29 ID:phVYxm7i0
~夕食後 再び凛の部屋~

杏「あ~美味かった。」グデー

凛「すっかり馴染んでるし・・・・」

杏「まぁいいと言われたらそれに合わせるのが杏だから。」

凛「そうだね、フフ・・・・」

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:47:11.33 ID:phVYxm7i0
凛「ゴメンね、杏が楽しめそうな物はなくて。」

杏「気にしなくていいよ、お構いなく。」

凛「そう・・・・」

杏「どうせ後は寝るだけだしね。」

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 00:49:14.19 ID:phVYxm7i0
ザアアアアアア・・・・

凛「雨、止まないね・・・・・」

杏「そうだね・・・・」

凛「・・・・・・・・」ハァ

杏「どうしたの?」

凛「いや・・・・・」

凛「雨を見てるとさ・・・・・嫌なこととかつい・・・・思い出しちゃってね・・・・」

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/17(火) 23:55:39.17 ID:pdApYkU+0
杏「雨とニュージェネ・・・・確かにジンクスだよねぇ・・・・・」

凛「まぁもう大丈夫だけど・・・・」

杏「それは良かった。」

凛「・・・・・・」

凛「あのさ・・・・」

杏「何?」

凛「この際だから、杏に聞きたい事があって・・・・・」

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:01:59.59 ID:/E5JYLgG0
凛「最初の雨の事件・・・・覚えてる?」

杏「ん?まぁ・・・・・」

凛「あの時・・・・私達は勿論、他の皆も不安に駆られてたって・・・・」

杏「そうだね・・・・・」

凛「でも・・・杏だけはいつも通りだったって、きらりが言ってたよ。」

杏「・・・・アイツ・・・余計な事を・・・・・」

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:05:33.60 ID:/E5JYLgG0
凛「杏はあの時・・・・不安じゃなかったの?」

杏「別に杏には関係ない事だったしー」

凛「私達の事は?」

杏「まぁ一応は心配してたけど、まぁなるようになるかなって。」

凛「そ・・・・そう・・・・」

杏「それに、ここで潰れるなら、その程度の覚悟だったって事でしょ。」

凛「厳しいね・・・・」

杏「一応プロですから!」ドヤァ

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:09:11.53 ID:/E5JYLgG0
凛「じゃあ・・・・プロデューサーの事も、卯月みたいに信用し続けていられたの?」

杏「杏は卯月ちゃんみたいに良い子じゃないからねー」

杏「まぁ、信用もしてなければ、疑ってもいない、半々かな。」

凛「半々・・・・」

杏「杏にとってはちゃんと稼がせてくれればそれでいいんだよ。」

凛「そう・・・・・」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:12:16.66 ID:/E5JYLgG0
杏「それに・・・・・アイツがどんなに失敗しても、どんなに醜態を晒そうとも・・・・」

杏「杏達のプロデューサーは、アイツしかいないんだからさ・・・・」

杏「杏達はそれについていくしかないんだよ。」

凛「そっか・・・・・」

杏「ま、それが気に喰わないなら、勝手にやめてもらってもいいけど?」

凛「う・・・・・」

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:16:42.57 ID:/E5JYLgG0
杏「ま、あの件に関しては、アイツ口下手だったからさ・・・・いずれああいう事になるとは予想してたけどね・・・・・」

凛「え?」

杏「例えるなら、テストでいい点とれても、それを現実に応用できない、そんな感じの奴だし。」

凛「だったら・・・・」

杏「さっきも言ったでしょ、杏には関係ない事だって、それに・・・・・」

凛「それに?」

杏「ああいう事は、自分自身で乗り越えなきゃ、先に進めないと思うんだ。」

凛「・・・・・・・」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:25:55.66 ID:/E5JYLgG0
凛「・・・・・杏は強いね。」

杏「はぁ?」

凛「どんな時でもいつも通り振る舞える・・・・」

杏「・・・・・・」

凛「美城常務が来てからの・・・・色んなゴタゴタの中でも・・・杏は狼狽えなかった。」

杏「やることやってただけだよ。」

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:29:43.14 ID:/E5JYLgG0
凛「私は・・・杏が羨ましい。」

杏「ついにそう来たか・・・・」

凛「どんな時でもぶれない、鋼の精神が。」

杏「褒めすぎだよ。」

凛「私はダメ・・・ちょっとした事で・・・すぐ壊れそうになる・・・・ガラスの心・・・・」

杏「凛ちゃんはイベントに恵まれすぎてたからね、仕方ないよ。」

25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:39:45.09 ID:/E5JYLgG0
杏「それに、杏はただの怠け者・・・憧れちゃダメだよ・・・・」

凛「ふーん、怠け者が困ってる仲間のフォローとかするの?」

杏「う・・・・」

凛「怠け者が・・・複雑な数式の計算を暗算で解けるの?」

杏「やめ・・・・」

凛「本当は・・・杏が最初から本気出せば・・・・今までの事もっと楽に解決できたんじゃないの?」

杏「やめてよ!」

凛「!?」ビク

26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:43:12.53 ID:/E5JYLgG0
凛「どうしたの・・・・?」

杏「ハァハァ・・・好き勝手言いやがって・・・・」

杏「さっきも言っただろ・・・・杏は関係ない事には手を出さない・・・・当人が解決しなきゃいけない事もあるって・・・・・」

凛「杏・・・・・」

杏「何でも・・・杏に押し付けるんじゃない・・・・こんな小さな体に・・・受けきれるわけないだろ・・・・」

28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:46:11.99 ID:/E5JYLgG0
杏「それに・・・もう一つ勘違いしてる・・・・」

凛「え?」

杏「杏は鋼の精神・・・そんな大それたもんじゃない・・・・」

杏「いつでもぶれない?どんな時でも狼狽えない?」

杏「そりゃそうだよ。」

杏「だって杏は・・・人間じゃないから。」

29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:52:29.22 ID:/E5JYLgG0
凛「え・・・・?」

杏「だってそうでしょ?普段は全く動かないで、仕事の時や身近の誰かが困ってる時だけ動く・・・・」

杏「そんなの・・・・杏がいつも持ってる人形と同じだよ・・・・」

凛「そんな・・・・」

杏「杏は・・・・・きっかけっていうネジを巻かないと動かない・・・・ブリキの人形・・・・」

凛「・・・・・・」

杏「そんなの・・・・・生きてるって言える?」

杏「杏の時計は・・・・最初から止まってるんだよ・・・・」

凛「違う!」

壁ドン!

31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 00:55:41.43 ID:/E5JYLgG0
杏「な・・・・・」

凛「ハァハァ・・・・・」

杏「・・・・杏、女の子に壁ドンされる趣味はないけど?」

凛「違う・・・・杏は人形なんかじゃない・・・・人間だよ。」

杏「はぁ?」

凛「いくらネジが止まろうと・・・・杏は生き続ける・・・・だって・・・・」

凛「杏のネジは・・・・私達がずっと巻き続けるから!」

杏「!」

33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 06:25:05.39 ID:/E5JYLgG0
凛「私達みたいな未熟者が周りにいれば、杏は止まる暇ないでしょ?」

杏「だから杏に押し付けるなって・・・・」

凛「勿論、巻きすぎだって言ってくれれば、止めればいい。」

凛「杏が困ってるなら・・・・ちゃんと聞いてあげるから・・・・」

杏「凛・・・・・」

凛「ずっと動いてるなら・・・・・ちゃんと不満も吐き出してくれるなら・・・・」

凛「それは、生きてる人間の証じゃない?」

杏「・・・・・」

34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/18(水) 06:28:35.12 ID:/E5JYLgG0
杏「ったく、いつからポエム合戦になったんだよ・・・・」

凛「はは・・・・・」

杏「ん・・・でもありがとね、何かすっきりした。」

凛「そ、良かった。」

杏「・・・・・・」

ギュッ

凛「杏!?」

杏「ゴメン、しばらくこのままでいて・・・・・」

凛「うん・・・・・」

杏「うう・・・・・うええええん・・・・・」ポロポロ

凛「よしよし・・・・・」ナデナデ

35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 00:04:35.61 ID:6SyNJsu60
凛「落ち着いた?」

杏「うん・・・・何とか・・・」グス

凛「フフ・・・・」

杏「もう・・・・どうすんだよこの空気・・・・」

凛「困ったね・・・・」





??「ワン!」ピョン

杏「わっ!」

36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 00:08:19.93 ID:6SyNJsu60
凛「ハナコ・・・・」

杏「へぇこの子が・・・・って・・・」

ハナコ「ワンワン!」ペロペロ

杏「ちょ・・・・くすぐったいってwww」

凛「フフ・・・あ、そうだ。」

カシャ

杏「ちょ・・・・何撮ってんの・・・・」///

凛「犬と戯れる杏・・・あまりにもレアな光景だったから・・・・」

杏「おい!」

37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 00:10:35.00 ID:6SyNJsu60
凛「フフフ・・・・」

杏「ハハハ・・・・もうしょうがないなぁ・・・」

凛「そろそろ寝よっか。」

杏「そうだね・・・」

凛「それじゃ・・・」

しぶあん「おやすみ~」

38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 00:14:40.35 ID:6SyNJsu60
~夜中~

杏「ZZZ・・・」

凛「・・・・」ジー

凛(寝顔だけ見ると、本当に子供みたいだね・・・)

凛(こんな小さな体で、ずっと私達の事陰で見守ってくれてたんだね・・・・)

凛(これからは、私達も杏を見守っていくよ。)

凛(だから、今はおやすみ・・・・)



杏「う~ん・・・・じゃあもう働かなくていいのか・・・・」(寝言)

凛「それはダメ。」

39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 00:16:46.50 ID:6SyNJsu60
~翌朝 快晴~

凛「いい朝だね。」

凛母「杏ちゃん、よかったらまたウチに泊まりに来てね。」

杏「はい!ありがとうございます!」

凛「ハハ・・・・全く・・・」

40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 00:20:14.63 ID:6SyNJsu60
凛「あ、そうだ、杏に渡す物が・・・」

杏「何?」

凛「はいこれ。」スッ

杏「花?」

凛「マツバギクだよ、良かったら大切にしてね・・・」

杏「あ、ありがとう・・・・・」

41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 00:28:33.21 ID:6SyNJsu60
杏「じゃ・・・もう帰るね。」

凛「うん。」

凛母「またね~」

杏「あ、そうだ凛ちゃん。」

凛「ん?」








杏「ガラスはガラスでも・・・壊れそうになっても何度も耐え抜いてきた・・・「防弾ガラスの心」も、悪くないと思うよ?」

凛「え・・・・」

杏「じゃあね~」タタタ・・・

凛「もう・・・・・ありがとね・・・・」

42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/19(木) 00:31:33.01 ID:6SyNJsu60
杏「はぁ・・・我ながららしくない事言っちゃったなぁ・・・」

杏「しかし花か・・・・」

杏「どこに飾ろうかな・・・」

杏「ん?待てよ・・・・」

杏「マツバギクの花言葉は確か・・・「怠け者」・・・・」

杏「ったく・・・・・あの野郎・・・・」

~おわり~

引用元: 杏「花と雨宿り」