1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:40:04.84 ID:cW9Je33+0
 

昔々ある富山に、ひまわりちゃんとさくらこちゃんがいました。


ひまわりちゃんは毎日おかしを作り、


さくらこちゃんが毎日それを食べ、


時にはケンカもしながら、ふたり仲良く暮らしていました。

 

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:42:22.48 ID:cW9Je33+0
 

ある日、さくらこちゃんがひまわりちゃんに言いました。


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「なんですの、さわがしい」


さくらこ「ピクニック行きたい!」


ひまわり「ピクニック?」

 

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:44:12.65 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「だからおかし作ってー」


ひまわり「また急ですわね」


さくらこ「だめ?」


ひまわり「……だめじゃありませんけど」


さくらこ「やったー」


ひまわりちゃんはさくらこちゃんを甘やかしすぎるきらいがあります。

 

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:46:09.87 ID:cW9Je33+0
 

ひまわり「そのかわり、ひとつ約束してくださいな」


さくらこ「やくそく?」


ひまわり「わたくしがおかしを作りますから、
     さくらこはおにぎりを作ってちょうだい」


さくらこ「わかった!」


ひまわり「おかか入りですわよ」


さくらこ「まかせろー!」

 

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:48:20.80 ID:cW9Je33+0
 

こうしてふたりは、野山へピクニックに行く約束をしました。


ところが、それをこころよく思わないものがいました。


王国を追われた魔女・チーナです。


チーナ「幼なじみ同士でピクニックぅ~?」


かつて想い人をその幼なじみにうばわれたチーナは、


世界中の幼なじみカップルを憎んでいました。


チーナ「そんなの、ぜったいにゆるさないんだから!!」

 

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:50:18.09 ID:cW9Je33+0
 

その夜、チーナはひまわりちゃんの家をたずねました。


チーナ「ひーまわーりちゃーん」


ひまわり「あらガチ川さん」


チーナ「ガチ川さんって言うのやめて」


ひまわり「あ、はい」


チーナの苗字は吉川です。

 

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:52:29.53 ID:cW9Je33+0
 

ひまわり「なにかご用ですの?」


チーナ「おとどけものよ。はいこれ」


ひまわり「まあ、なんておいしそうなおにぎりでしょう」


チーナ「さくらこちゃんがいっしょうけんめい愛情こめて作ったからひまわりちゃんに味見してほしいんだって」


ひまわり「いただきますわ!」


ひまわりちゃんはさくらこちゃんを甘やかしすぎるきらいがあります。


それがあだとなりました。

 

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:54:13.07 ID:cW9Je33+0
 

ひまわり「うっ……!」


ひまわりちゃんが食べたのは、悪しき闇の忌まわしく邪なる黒光りした毒おかかおにぎりでした。


それを食べたものは、ふかいふかい呪いの眠りに落ちてしまいます。


床にたおれたひまわりちゃんを見て、チーナはおおきな声で笑いました。


チーナ「おーっほっほっほ! おーっほっほっほ! ……おーっほっほっほ!」


これといって気の利いたコメントが思い浮かばなかったのか、


チーナの高笑いだけがいつまでもひびいていました。

 

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:56:36.85 ID:cW9Je33+0
 




夜が来て、夜が更け、夜が明け。


それでもひまわりちゃんは目覚めませんでした。




 

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 00:58:12.90 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「うわっビックリした!」


さくらこ「ひまわり、なんでこんなとこで寝てんの?」


さくらこ「ひまわりー?」


ひまわりちゃんは起きません。

 

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:00:31.41 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「つかれてるのかな?」


さくらこ「うーん……」


さくらこ「しょーがない、もすこし寝かせといてあげよ」


さくらこ「ひまわりー、ベッドで寝ないとカゼひくぞー」


ひまわりちゃんは起きません。


さくらこ「ますますしょーがない!」


さくらこ「うんしょ、うんしょ」

 

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:02:19.22 ID:cW9Je33+0
 

結局、その日も向日葵ちゃんは目を覚ましませんでした。


待ちぼうけを食らったさくらこちゃんはとても怒りました。


けれど、すやすやと眠るひまわりちゃんの顔を見ていると、


なんだかさくらこちゃんまで幸せな気持ちになってしまって、


けっきょく、その日はさくらこちゃんも家に帰ったのでした。


また明日からは、学校がはじまります。

 

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:04:17.08 ID:cW9Je33+0
 




さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「なんで学校こなかったの!」


さくらこ「あっまだ寝てる!!」


さくらこ「寝てるならしょーがない!」


さくらこ「明日はこいよな!」


ひまわりちゃんは起きません。

 

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:06:10.08 ID:cW9Je33+0





さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「いつまで寝てんだ!?」


さくらこ「ほらっ今日のプリント!」


さくらこ「あとしゅくだいも出たんだけど!!」


さくらこ「ひまわりがおしえてくれないとわかんないんだけどー!!!」


ひまわりちゃんは起きません。

 

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:08:33.91 ID:cW9Je33+0
 

37


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「TVアニメ『ゆるゆり』の二期がはじまるって今日はじめて知ったんだけど!!」


さくらこ「テレビ東京系で7月2日からってなんで教えてくれなかったの!」


さくらこ「あっ寝てる!!」


さくらこ「ならしょーがないな……アニメまでには起きてね!」


ひまわりちゃんは起きません。

 

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:10:03.86 ID:cW9Je33+0
 

94


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「給食のパン持ってきたぞ!」


さくらこ「今日はイチゴジャムだったよ!」


さくらこ「まあジャムはわたしが帰るとちゅうで食べたけど」


さくらこ「ひまわりがおかし作ってくれないのがいけないんだからな!!」


ひまわりちゃんは起きません。

 

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:12:15.48 ID:cW9Je33+0
 

169


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「はいはい寝てる寝てる」


さくらこ「いつになったら起きるんだろ」


さくらこ「おーい、つんつん。つんつーん」


さくらこ「……つんっ」


ひまわりちゃんは起きません。

 

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:14:08.46 ID:cW9Je33+0
 

292


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「マンガ買ってきた!」


さくらこ「日刊百合少女ナモリは今日も100P越えだよ!」


さくらこ「なもり先生って何人いるんだろ」


さくらこ「読んだらひまわりにも貸してあげるね!」


ひまわりちゃんは起きません。

 

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:16:51.41 ID:cW9Je33+0
 

350


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「見て見て、びじゅつで描いたの!」


さくらこ「ひまわりがいなくてたいへんだったんだから!」


さくらこ「でもじょうずでしょ、エアひまわり」


さくらこ「えへへ、枕元にかざっといてやろう!」


ひまわりちゃんは起きません。

 

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:18:43.21 ID:cW9Je33+0
 

408


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「今日も寝てる!」


さくらこ「ほんとしょーがないな……」


さくらこ「もぐしもぐし」


さくらこ「おかかうまい! もはやプロなみ!」


ひまわりちゃんは起きません。

 

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:20:06.64 ID:cW9Je33+0
 

500


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


???「……」


???「……」


???「……」


???「……」


さくらこ「くせもの!?」

 

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:22:41.28 ID:cW9Je33+0
 

さくらこちゃんの前にあらわれたのは、4人の小人でした。


メンバーを紹介します。


???「さくらこちゃん、はじめましてなの」


まず、ふとまゆがかわいいかえでちゃん。


???「はなこたちはくせものじゃないし」


つぎに、くりくりおめめのはなこちゃん。

 

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:24:14.93 ID:cW9Je33+0
 


???「♪想い出は いつも キレイだけど うにだけじゃ おなかが すくわ」


UNI AND MARY。


???「今日はさくらこちゃんに話があって来たんだけど」


そして大室撫子。


以上、3人の小人とひとりの胸が小さい人が、ひまわりちゃんを囲むように立っていました。


大室撫子「」


大室撫子はしばしば白目をむきます。

 

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:26:24.02 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「なんか用かい?」


かえで「ひまわりちゃんのことなの」


さくらこ「ひまわりー!」


はなこ「おちつけし」


さくらこ「あ、はい」


UNI AND MARY「♪前よりももっと やせた胸にちょっと “チクッ”と ささるうにが イタイ」


さくらこ「おだいじに」

 

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:28:20.63 ID:cW9Je33+0
 

大室撫子「冗談はそれくらいにして……ひまわりちゃんが魔女の呪いで眠り続けてる件についてなんだけど」


さくらこ「えっ」


大室撫子「えっ」


さくらこ「ただの寝坊じゃないの?」


大室撫子「なにそれ逆にこわい」

 

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:30:26.86 ID:cW9Je33+0
 

3人の小人とひとりの胸が小さい人は、さくらこちゃんにすべてを話しました。


本当にただの寝坊だと思っていたさくらこちゃんは、とてもおどろきました。


かえで「かえでたちは、さくらこちゃんのお手伝いにきたの」


はなこ「さくらこちゃんにかわってひまわりちゃんを見守るし」


UNI AND MARY「♪もどかしい気持ちで あやふやなうにで それでも イイ 恋をしてきた」


大室撫子「今まで大変だったでしょ。これからは私達が力になってあげる」

 

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:32:30.88 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「え、いらない」


大室撫子「えっ?」


さくらこ「え、大きなお世話じゃね?     は小さいくせに」


大室撫子「えっ」


さくらこ「え、だいたい他の3人と一回り近く年がちがうとか恥ずかしくないの?」


大室撫子「」


いったい大室撫子がなにをしたというのでしょうか。

 

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:34:35.46 ID:cW9Je33+0
 

結局さくらこちゃんは、3人の小人とひとりの胸が小さい人をむりやり追い出してしまいました。


部屋の中には、さくらこちゃんとひまわりちゃんだけが残りました。


さくらこ「やれやれ、へんな人の相手はつかれるなー」


さくらこ「べつにたいへんじゃないもん」


さくらこ「さみしくないもん」


さくらこ「ねーひまわり!」


ひまわりちゃんは起きません。

 

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:36:42.35 ID:cW9Je33+0
 

それから、またいくばくかの時が流れました。


消費税増税。宇宙戦争。富山以外全部沈没。


さまざまな出来事が、めまぐるしい速さで、


まるで、眠るひまわりちゃんを置き去りにするかのように起きていきました。


けれどさくらこちゃんはそんなことなんてお構いなしに、


来る日も来る日も、ひまわりちゃんの傍で笑いつづけました。

 

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:38:21.77 ID:cW9Je33+0
 

999と363


さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「……」


さくらこ「あのね、明日ね、学校で遠足があるんだって!」


さくらこ「みんなでおべんと持って、山に登るの!」


さくらこ「わたしたちが行こうって約束した、あの山に」


さくらこ「……ひまわりー」


ひまわりちゃんは起きません。

 

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:40:52.54 ID:cW9Je33+0
 

999と364


さくらこ「ひまわり」


ひまわり「……」


さくらこ「あのね、わたしね」


さくらこ「遠足、行かなかった」


さくらこ「みんなには、ちゃんとごめんなさいってしたよ」


さくらこ「だって、ズルになっちゃうもんね」


さくらこ「いっしょがいいよね、ひまわり」

 

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:43:15.86 ID:cW9Je33+0
 

ひまわりちゃんは起きません。


おだやかな寝息を立てて、眠りつづけています。


さくらこ「ひまわりー……」


ひまわり「……」


さくらこ「ひまわりのおかしが食べたいなぁ」


さくらこ「ひまわりが作ってくれないから、もうずっと食べてないよ」


さくらこ「……なんか、眠くなってきちゃった」

 

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:44:35.76 ID:cW9Je33+0
 

ごそごそ。


さくらこちゃんがベッドにもぐりこみます。


ひまわりちゃんは起きません。


さくらこ「えへへ……ひまわりー」


ひまわりちゃんのぬくもりを感じながら、


さくらこちゃんも、しずかに眠りにつきました。

 

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:46:17.21 ID:cW9Je33+0
 

その夜、さくらこちゃんはふしぎな夢を見ました。


桜とヒマワリが仲良く咲いたお花畑の夢です。


空を桜が、大地をヒマワリが彩る、すてきなお花畑です。


そこには花々にまぎれ、色とりどりのおかしも実っていました。

 

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:48:22.57 ID:cW9Je33+0
 

イチゴショート、タルト、ミルフィーユ、


レアチーズ、モンブラン、スフレ、シフォン。


クッキー、フィナンシェ、キャンディ、マシュマロ、


マドレーヌ、おせんベ、アイス、プリン。


どれもこれもさくらこちゃんの好きなものばかりです。


さくらこちゃんの好きな、ひまわりちゃんが作るおかしです。

 

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:50:27.87 ID:cW9Je33+0
 

でも、そこにひまわりちゃんはいませんでした。


それだけで、さくらこちゃんはかなしい気持ちになりました。


さくらこ「ひまわりーどこー」


名前を呼んでも、だれも答えてくれません。


こんなに大好きなものに囲まれているのに、


さくらこちゃんは泣いてしまいそうになりました。

 

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:52:46.02 ID:cW9Je33+0
 

そんな時、空をおおう桜の上から天使がおりてきました。


あかり「アッカリ~ン☆」


さくらこ「あかりちゃんだ!」


あかりちゃんでした。


あかり「ち、ちがうよぉ! あかりはあかりじゃないよ、あかりは大天使アカリエルだよぉ!」


さくらこ「あかりちゃんじゃん」


あかりちゃんでした。

 

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:54:47.52 ID:cW9Je33+0
 

あかり「ちがうって言ってるのにぃ……こほんっ。えー、さくらこちゃん?」


さくらこ「なに?」


あかり「ひょーしょーじょー!」


さくらこ「ひょーしょーじょー?」


あかり「ひょーしょーじょー。
    さくらこちゃん、あなたはひまわりちゃんのために、
    雨の日も風の日も、いつもやさしくしてあげました」


さくらこ「てれるね!」


あかり「なので、クラゲの神様がごほうびとして、
    さくらこちゃんの願いをひとつだけ叶えてくれるそうです」

 

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:56:18.52 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「マジで!?」


あかり「マジだよぉ。ひとつだけだから、よく考えてね」


さくらこちゃんはなやみました。


なやんでなやんで、こう言いました。


さくらこ「あーした天気になーれ!」


あかり「んん!?」

 

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 01:58:18.96 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「ん?」


あかり「んんん……え、今のがお願い? ひょっとして?」


さくらこ「うん!」


あかり「い、いいの? ひまわりちゃんを目覚めさせるとかじゃなくて」


さくらこ「え? ひまわりならかってに起きるでしょ」


あかり「んん!? ひまわりちゃんって呪いで眠ってるんだよね!?」


はい。

 

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:00:13.08 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「いや呪いとか知らねーし」


さくらこ「やくそくしたもん」


さくらこ「起きたら、いっしょにピクニック!」


あかり「でも、いつ起きるかわからないんだよね?」


さくらこ「ていけつあつだからね」


あかり「そういう問題かな!?」

 

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:02:40.40 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「せっかく起きても雨だったらピクニックできないし、
     だから神様が天気にしてくれたらうれしー」


あかり「そ、それはそうかもしれないけど……さくらこちゃんはさみしくないの?」


あかりちゃんがたずねました。


さくらこちゃんはふしぎそうに首をかしげ、


それからすぐに笑って、こう答えました。


さくらこ「ぜーんぜん!」

 

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:04:37.99 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「毎日ひまわりと遊べないのはつまんないけど……」


さくらこ「明日のことを考えてたら、それだけで楽しいもん」


さくらこ「ひまわりが起きたらなにして遊ぼーとか、
     なに作ってもらおーとか、あと、いろいろ!」


さくらこ「眠ってたって、会えないわけじゃないし」


さくらこ「だから」


さくらこ「ぜーんぜん、さみしくなんかないよ」

 

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:06:20.08 ID:cW9Je33+0
 

あかり「……そっかぁ」


さくらこちゃんの笑顔を見て、あかりちゃんはうなずきました。


少しのうそもない笑顔を見て、うれしそうにうなずきました。


あかり「じゃあ、あかりの役目はおしまいだね」


そう言ったあかりちゃんが、アの字のステッキをひと振りすると、


さくらこちゃんの体が足下から消えはじめました。

 

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:08:30.16 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「うおおなにこれ! なにこれこわい!」


あかり「だいじょうぶだよ」


あかり「さくらこちゃんが元いたところに帰るだけだから」


あかり「ひまわりちゃんもいっしょにね」


さくらこ「そうなんだすごい! あかりちゃんありがとー!」


あかり「えへへ、どういたしましてだよぉ。
    ひまわりちゃんと仲良くね、さくらこちゃん」


さくらこ「うんっ! あかりちゃんばいばーい!」

 

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:10:28.69 ID:cW9Je33+0
 

999 と 365


さくらこちゃんが起きると、外はもう明るくなっていました。


カーテンの隙間から、あたたかい春の日差しがこぼれています。


そして、


その光が照らすベッドの上に、


ひまわりちゃんはいませんでした。

 

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:16:07.73 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「ひまわりー?」


きょろきょろと部屋中を見回しても、ひまわりちゃんの姿はどこにもありません。


がちゃっ。


その時、扉の開く音がしました。


さくらこちゃんが振り向くと、そこには、





ひまわり「あら、やっと起きましたわね」





ひまわりちゃんが起きてました。

 

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:25:16.49 ID:cW9Je33+0
 

ひまわり「ほら、さっさと支度してしまいなさいな」


ひまわり「今日はピクニックって、さくらこが言ったんでしょうに」


ひまわり「ほんとにだらしないんだから……」


ひまわり「まさか、約束を忘れたとは言わせませんわよ」


ひまわり「もうクッキーは焼けてますし、さくらこ待ちなんですからね」


ひまわり「それなのにおにぎりも作らずこんな時間まで……」


ひまわり「……ちょっとさくらこ? わたくしの話聞いてます?」

 

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:28:07.39 ID:cW9Je33+0
 

ぐちぐち、くどくど。


いつも通りに小うるさいひまわりちゃんを、


さくらこちゃんはじっと見ていました。


ひまわりちゃんに、言いたいことがありました。


たくさん、本当にたくさんのことが浮かんでは消えて、


結局さくらこちゃんは、たった一言。


花の咲いたような笑顔で、たった一言。

 

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:30:07.54 ID:cW9Je33+0
 




さくらこ「おはよう、ねぼすけっ!」




 

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:33:15.88 ID:cW9Je33+0
 

少女は1000年の夢から覚め――


さくらこちゃんとひまわりちゃんは、いっしょにピクニックへ出かけました。


それからのふたりは、


いつもいっしょに、


いつまでもいっしょに、


仲良くケンカをして暮らしましたとさ。





めでたしめでたし。

 

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:35:19.72 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「ひまわりー!」


ひまわり「なんですの、さわがしい」


さくらこ「いるか!」


ひまわり「ちゃんとついてきてますわよ」


さくらこ「となりだろ!」


ひまわり「はいはい」

 

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:40:15.46 ID:cW9Je33+0
 

さくらこ「ずっとだからね!」


ひまわり「わかりましたってば」


さくらこ「ゆびきり!」


ひまわり「しかたないですわね……」





「「ゆーびきーりげーんまーん――」」




 

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 02:40:49.76 ID:cW9Je33+0
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           /ミ--ノニハ  {:.://:.::.ノ ノ      ニ彡 'ノ 八 \
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引用元: 櫻子「眠りひま」