3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/24(火) 08:08:52.94 ID:D3R5Zb9VO
「日本一のツリー」

僕は東京スカイツリーがあまり好きじゃない

正確に言えば、スカイツリーを見に行く人が好きじゃない

何のために見に行くの?上りに行くの?って聞いたら、皆口を揃えて

「日本一の電波塔だから」「あそこからの景色が綺麗だから」なんて言う

綺麗な景色が見たいなら山に登ればいいのに
電波塔に興味なんてないクセに

皆、山を登らずに景色を見ようとする


東京タワーで結婚を誓った二人が、東京タワーではなくスカイツリーに行こうとする

そんな事が今日も明日もあるのだろう

世の中は少し残酷だ

「日本一のツリー」終

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/24(火) 08:20:07.06 ID:D3R5Zb9VO
「歩き」

歩くのが好きだ

車に乗ってしまうと、右に曲がろうか左に曲がろうか迷っている暇なく交差点に着く

止まれば後ろからクラクションを鳴らされ
右に曲がれば、左に曲がった方が良かったかも。なんて後悔してしまう

だけど、歩くと沢山考える時間がある
立ち止まっても誰にも急かされない

立ち止まってゆっくり考えられるから、歩くのが好きだ

集合時間に間に合わせるには、皆より早く起きて家を出なきゃいけないけど

それはそれで僕の幸せだ

「歩き」 終

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/24(火) 08:39:17.38 ID:D3R5Zb9VO
 

「電話とロマン」

電話があまり得意じゃない

人と話してるのに、顔が見えないのが少し怖いからだ

最近じゃネットで知り合った人と付き合う、なんて事が珍しくないみたいだけど
文字しか見えない会話で、よくそこまで発展するものだな。と感心してしまう

メールも苦手だ

相手がどんな気持ちで文字を打ってるのかわからないからだ
それに、自分の気持ちをうまく表す言葉を僕は知らない


こんな事を考えてしまう日は、決まって近所の公園に行く

朝の電車と違って、皆が色んな表情をしているからだ

近場の公園には、色んな顔がある
だから公園で告白する人が多いのだろうか。と、少し変な事を考えてしまった

いろんな顔、それがロマンチックってやつなんだろう

「電話とロマン」 終

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/24(火) 09:13:06.39 ID:D3R5Zb9VO
「待ち合わせ」

待ち合わせにいつも遅れてくる友人がいる
早い時で数分、遅い時は2時間弱

一緒の大学に行こうと約束した友人がいる
だけど、てんで勉強ができない

いつも学校に居残りさせられている友人がいる
短い時で数十分、長い時は3時間弱

同じ大学を受けた友人がいる
入試終わり、その友人は暗い顔をしていた

大学に受からなかった友人がいる
次の入試こそは受かってみせるから。と笑って言っていた

待ち合わせにいつも遅れてくる友人がいる
しかし、友人は遅れて必ず来てくれる


後期試験の合否発表の日に「ごめんな、また待たせて」と言ってきた友人がいる

そんなの慣れてるよ。と返した

学校に連絡しに行くか、1時に集合でいいか?

「待ち合わせ」終

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/24(火) 18:01:41.44 ID:BHbqZnipO
 
「自転車のサドル」

僕の自転車のサドルは、皆より少し低い 
僕の脚が短いから、それに合わせてサドルも低くしてあるからだ 

一時はそれが恥ずかしくて、嫌で 
無理やりサドルを高くした事もあった 

ペダルは下まで届かなくて、足はつま先立てても着かなくて 
何度もこけて、何度も泣きそうになった 

どうして脚が短いんだろう

何回も、何十回も何百回も 
沢山考えていたら、元の高さに戻っていた 

久しぶりに高くしようかと思ったけど 
錆びていて、動かなくて。まるで今のままがいい。って言ってるようで 

僕はその場を後にして、玄関へ戻った 
そしたら、キッチンの方から嫁が呼ぶ声がする 

きっと夕飯の手伝いをして欲しいんだろう 
昨日はもやし炒めだったから、今日は豆腐ハンバーグだろうか

「自転車のサドル」終

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/24(火) 18:46:04.70 ID:BGW0ACMCo
 

「友達」

友達って、どこからが友達なんだろう 
そんな事を友人に話した 

「どうしたんだよ、俺が友達じゃないって言ってるみたいじゃないか」 

友人は、あははと笑った。 

「んー……そうだな……一緒にご飯食べて、一緒に遊んで、一緒に帰って。そしたら友達なんじゃないか?」 

「そっか」 

僕は思う。こんな下らない話でもちゃんと考えてくれる君は、最高の友達だよ


「友達」 終

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/24(火) 19:02:10.62 ID:BGW0ACMCo
「天国」

死んだら、どうなってしまうのだろう

何も無い、無なのだろうか
それが怖くて、考えたくなくて

天国ってどんなところだろう。って、何気なく考えた

暖かくて、チョウチョが飛んでいて、快晴で

目を閉じると、そんな風景が広がっていた
ふと思う

晴れが嫌いな人はどうなるんだろう
虫が嫌いな人はどうなるんだろう
暑がりな人はどうなるんだろう

晴れじゃなくて、雨でもなくて、曇りでもなくて
虫も人間も、動物も植物もなくて
暑くも寒くもない世界

そう考えると、さっきまで怖かった無が平和で平等な世界のように思えた

「天国」終

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/27(金) 01:44:23.33 ID:1PjINmaJo
「間違い電話」

バイトも学校も何もない日曜日。何もせずに寝転がっていると
突然、机の上に置いていた携帯のバイブが鳴り出した

ぐだぐだと起き上がり、画面を見ずに着信ボタンを押して耳に当てる

「はい、もしもし」

「あっ…えっ?あ、まちがえました!」ブツッ

若い女性の声が聞こえたかと思うと、通話は切れてしまった
数秒間、あっけに取られて携帯の画面を見つめる

間違い電話か。何だか久しぶりにかかってきたな

その日は、それから何も無かった

だからか。なのかはわからないけど
あの日の間違い電話が少し素敵に思えた

「間違い電話」終

引用元: ss板だから短話でも書いてみる