1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 21:27:34.43 ID:wbKMm+hvI
私はずるい女だと思う。


自分が傷つくのが怖いから。


本気で人を愛すということが怖いから。


相手に拒絶されるのが怖いから。


相手を想うことが怖いから。


いろいろなことを理由に挙げて自分で鎖を作り、
作った鎖に縛られて身動きが取れなくなっていく。

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 21:52:39.96 ID:wbKMm+hvI
いつからこんなことになったのだろうか?


始まりなんかはもう覚えていないし、ただ結果として彼女に依存していく生活が私の生活となっただけだった。


彼女の優しさにつけこみ、彼女を縛って生きていく。
こんな私が嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで仕方がないが、それでも私は彼女に甘えて生活していくのだ。


それは、世間から見れば歪な、歪んだ関係なのだろう。だけど、それでも私は彼女を手離すことができない。その感情は何なのかに答えを出さずに…。
やはり私はずるい女なのだろう・・・。

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 21:54:43.24 ID:wbKMm+hvI
※初スレ立て初SSです

遅くなってすいませんが、最後まで頑張ろうと思います

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 21:57:51.66 ID:wbKMm+hvI
塞「ただいまー、シロ」

シロ「お帰り」

塞「ふーさぶさぶ。やっぱりまだ外は冷えるわー」

シロ「んー。コタツ暖かいから、入ったら?」

塞「そうね~。でもとりあえず、手洗いうがいをしっかりしないと。最近インフルエンザも流行ってきているっていうし」

シロ「そう・・・。じゃあ待ってる」

塞「?どうしたのシロ?なんかいつもと違うけど…」

シロ「別に…特に何もないけど、どうして…?」

塞「そう?なんかいつものシロらしくなかったなーと思って。特に根拠はないんだけどね。じゃ、洗ってくるね」

シロ「・・・・・・」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:01:04.38 ID:wbKMm+hvI
自分は感情が顔に出ない方だと自負しているが、彼女はそういった私の裏の裏まで見通すかのように、私を見てくれる。
いつか自分の薄汚い心の部分が見透かされてしまうのではないかと心配になってくるが、そんな自分をどうにか隠してでも、彼女に甘えたていたいという気持ちが大きい。寄生していたい…。
そう思ってしまうくらいに居心地がいい存在なのだろう。

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:13:42.97 ID:wbKMm+hvI
塞「ふーさぶさぶ。水道の水も冷えてるし、まだまだ冬だねー。シロ、隣はいるからすこしずれて?」

シロ「他の空いてるとこはいればいいのに…」

塞「まーいいから、いいから。二人だとあったかいし」

シロ「ダル…」

塞「そういいながら、拒否しないシロもシロだよね。じゃあお邪魔しまーす」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:17:16.89 ID:wbKMm+hvI
シロ「塞冷たい」

塞「そりゃあ、外にいたから冷たいでしょ。ほら、手なんて特に…」ヒョイ

シロ「!!」

塞「ね?冷たいでしょ?ていうか、シロのほっぺたあったか!!これはいつまでも触っていたくなるわ」フニフニ

シロ「ちょ、ダルいから止め…////」

塞「えーどうしよっかなー」フニフニ

シロ「んっ!!…冷たぁいし、頬ひっはる力つよ…やめ…///」

塞「…嫌なら抵抗してもいいんだよ?」

シロ「……え?」

塞「ん?」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:21:35.44 ID:wbKMm+hvI
よく分からなそうに首を傾げた彼女の顔はいつも通りの彼女の顔だった。


今自分が目にしたのは幻だったのだろうか?


感情がない能面のような彼女の顔。


一瞬、背筋が凍るような嫌な感触を感じた。

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:27:52.97 ID:wbKMm+hvI
シロ「いや、なんでも…」


さっきの感情を振り切るように会話を切り上げる。


いつの間にか離してくれていた頬に手をやるが、自分で触っても温かさはよく分からなかった。

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:30:47.39 ID:wbKMm+hvI
塞「んー!!コタツはやっぱりあったかくて、最高で、人をダメにする魔性のものだね。こんなのに入ってしまったら、それこそ外とか出たくなくなるわ」ノヒ゛

シロ「…ん、そうだね…」ミカンムキムキ

塞「あーミカンいいなぁ。おこたにミカンとか最高のコンビだよねー。私も欲しいなぁ?」チラッ

シロ「私がダルいのを我慢してとってきたミカンだから。いくら塞でも、これは譲れない」

塞「けどシロ。籠の中にあるミカンが全部皮だけになってるんだけど、少し食べ過ぎじゃない?」ニコッ

シロ「で、でも、私が…」

塞「シロ~?」ニコォ

シロ「………………ダル…」ヒョイ

塞「おっとっと。まぁ、分かればいいんだよ。それにミカンばっかり食べてると、手が黄色くなって、一生取れなくなるっていうしねー」ミカンムキムキ

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:36:27.26 ID:wbKMm+hvI
シロ「…そんなのは迷信。そういう根も葉もない噂信じてるとことか、塞はやっぱり“お婆ちゃん”っぽいよ…」

塞「ちょっ、私のどこがお婆ちゃんぽいのよ!」

シロ「いや…生活全体から」

塞「そんなところからお婆ちゃんぽいと思ってたの!?」

シロ「だって、朝起きるの早いし」

塞「それは、いい事でしょ」

シロ「特にやることもないのに早起きし過ぎ。朝五時に起きても大学行くのは八時だし、大抵暇になって私が起こされるからダルい…。それにラジオ体操とか家でやってる大学生なんてそうそういない。大抵はお年寄りがやってるイメージ…」

塞「あ、朝は、その…目が覚めるから仕方ないのよ!それに、ラジオ体操馬鹿にしちゃいけないよ!あれは、今日一日頑張ろうという気持ちにさせてくれるし」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:42:38.28 ID:wbKMm+hvI
シロ「…まあ、そんなことで、ミカンもらい」ヒョイ

塞「ちょっ、ああもう、こっちが凹んでるからって盗らないでよ、全く…。仕方ないから、廊下から取ってくるか」

シロ「頑張って。私の分も…」

塞「全く…。少しは自分で動いたら?で、何個ほしいの?」

シロ「9つくらいで」

塞「さっきから結構食べてたみたいだけど、まだそんなに食べるのね…。入れ物に入るか分からないけど、持ってくる努力はしてみるわ」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:47:58.98 ID:wbKMm+hvI
そういってミカン籠を持ち、こたつから出ていく彼女。


なんだかんだ言っても、彼女は私のいうことをほとんど受け入れてくれる。


それは、今も昔も変わらない。変わってしまったのは私と彼女の関係。


自分がどうしたいのか答えを出せないまま、この同じ屋根の下での生活が始まったのは1年前位だっただろうか?

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:51:19.25 ID:wbKMm+hvI
夏のインターハイが終わり、三年生の私たちには、大学受験という難題が目の前に迫ってきていた。


彼女はマメに勉強もしていたので、岩手の大学ではなく、東京のより偏差値が高い大学を志望していた。


一方の私は、進学などダルいことは考えず、かといって就職というダルいことも回避したいと考え、志望校も決めず、ただ日々を過ごしていた。


こんな私を見ていて、豊音やエイスリン、胡桃達は、私のことを思っていろいろアドバイスしてくれた。


特に胡桃は「シロは親に迷惑かけて生きてくことになるんだよ?それでもいいいの?」、「ニートとかになるとか許さないから!!」、「シロのバカ!!もう知らない!!」などと、いろいろ言ってきたものだ。


そんな時、みんなが反対する中で一人塞だけが「じゃあ、東京で私と暮らさない?」と言ってきたのだった…




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 22:57:05.91 ID:wbKMm+hvI
シロ「…え?」

塞「いや、え?じゃなくてさ、1つの提案としてよ。だってシロ、家にいても親に甘えてばっかりで、何もしなさそうだし。それなら思い切って家から出た方が自立するんじゃないかと思って」

胡桃「ちょ、ちょっと塞、何言ってるの!?一緒に暮らすとかそれって…/////」

豊音「そ、それって同棲ってやつだよね?なんかドキドキしちゃう響きだよー/////」

エイスリン「シロ…サエガドウ…セイ???」

塞「え?い、いやそういう意味じゃないから!あれよ。ルームメイトっていう事!一応受かった時の事を考えて向こうの家とかを調べてるんだけど、家賃が高いし、一人で生活するとなると、結構仕送りとかあっても厳しそうだなーと思ってたから、シロさえよければだけど…」

胡桃「いや、同棲じゃないにしても、それはダメだよ!シロは仕事もしないし、大学にも行かないって言ってるのんだよ?東京に連れてってどうするのさ?」

塞「それは、環境を変えてみるというのも一つの手かなーと思って…」

胡桃「シロはどこいってもシロだから、絶対意味ない!!」

シロ「すごい言われよう…」

胡桃「うるさいそこ!シロがぐだぐだいってるからこんなことになってるんじゃん!!」

シロ(そんなこと言われても、自分としてはやりたくないことははっきり断言しているんだけどなぁ…火に油を注ぎそうだから黙ってよう)

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:04:21.21 ID:wbKMm+hvI
エイスリン「クルミ、オチツイテ…」

豊音「そうだよ。シロが心配なのは分るけど、みんなだってその気持ちは同じなんだから」

胡桃「むぅ。私はただシロにちゃんとした生活をしてほしいだけで…」ムムム

塞「…胡桃はさ、なんだかんだ言って、私たちと離れるのが寂しいだけなんじゃないの?」フフッ

胡桃「な///!?そんな訳ないでしょ!!」

塞「私は前から志望校は東京にしてたから仕方ないと思ってたけど、まさかシロまでとられるとは思ってなかったとか?」

胡桃「///バッカじゃないの!?そんな、会えなくなるから反対とかそんなんじゃないから!!///」

豊音「でも、胡桃顔真赤だよ?」

胡桃「!!これは、怒ってるから顔が赤くなっってるの!!そんなことより、豊音は塞の意見どう思ってるの?もちろん反対だよね?」

豊音「え?私は…塞の意見もいいと思うよ」

胡桃「!?」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:11:51.37 ID:wbKMm+hvI
豊音「だって、シロがしたいことが見つかってないなら、新しい土地に行って、いろいろ見てみることもいいと思うよ。東京はインターハイの時しか行ってないけど、刺激が沢山で、ちょー面白かったし、また行きたいよー」

胡桃「それって豊音がただ行きたいだけしょ?」

豊音「で、でも岩手にいてもそんなに仕事もあるわけじゃないし、無理にこっちにいる必要もないんじゃないかな?東京行っちゃうと会える回数が少なくなっちゃいそうなのは寂しいけどね…」

胡桃「確かにそうかもしれないけどさ…」

エイスリン「・・・・・・・クルミ」カキカキ

胡桃「何、エイちゃん?…えっと、シロが心臓に手を当ててる絵?」

豊音「つまり、シロがどうしたいかが重要ってことじゃないかな?」

エイスリン「シロハ・・・ドウシタイノ?」

塞「そうだよね。外野が何を言っても、選択するのはシロ本人なんだし、シロがまずどうしたいかが重要だよね」

胡桃「確かにそうだけど、それじゃあシロが…」

塞「胡桃もシロが心配なのは分るよ。でもさ、これはシロ自身が決める問題なんだよ。私達はアドバイスはすることはできるけど、決めるのはシロ自身だって胡桃も分かってるんでしょ?」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:16:37.70 ID:wbKMm+hvI
あの時、私は塞と一緒に行くことを選んだ。


親には大学は行かず、就職もしないことと、二人で生活していきたいということを伝えた。


最初は猛反対されるかと思ったが、意外にも簡単に許可してくれた。


更に家賃まで払ってくれるといってたけど、こんなダメ娘に対してそこまでしてくれるなんて、厄介払いでもされたのかと少し疑心暗鬼にもなった。


それから、塞が大学合格したと同時に二人で新居へ引っ越しをした。


2DKという都内にしては広々とした家で、交通の便もよく、築5年と新しくもあり、良物件ではあったが、その分家賃は割高だったとのこと。そのことに関して「やっぱりシロがいてくれて良かった」と、彼女が笑いかけてくれたのは、今でも鮮明に覚えている。

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:20:14.54 ID:wbKMm+hvI
そうして東京に来て1年が経とうとしている。


その間、自分は何をしただろうか?胡桃が心配していたことは全部当たっているし、それが分かっていてながら私は結局何もしてこなかった。


自分が嫌いと叫んでいても、それを変える努力をしない。そんな私のことを彼女はどう思っているのだろう?


考えてみようとするだけで吐き気がする。


それはもう答えが出ている問題であるし、今後自分が突きつけられる罪なのだろう。


どうすればいいのか迷い、考えることすらやめてしまった私にはどんな末路が待っているのか。


モラトリアムは一体いつまであるのか。それはもうすぐなのかもしれない…。

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:24:48.18 ID:wbKMm+hvI
塞「ただいまーっと。あ、シロ。ミカン7つしか乗らなかったけどいいよね?」

シロ「うん…大丈夫」

塞「よいしょっと。また体が冷えちゃったし、温まり直しだわ…」モゾモゾ

シロ「…またこっち入るの?狭い…」

塞「……ん。まあいいじゃん。寒いし」

シロ「…ダル…」

塞「ダルい…か…」

シロ「…塞?」

塞「・・・・・・・・」

シロ「・・・・・・・」

塞「シロはさ…」

シロ「・・・・・・・」

塞「・・・・・ううん。何でもない。」

シロ「・・・・・・そう…」


(まだ逃げるの?)

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:31:58.07 ID:wbKMm+hvI
塞「うん。な、なんかごめんね。しんみりさせちゃって。あ、それよりも聞いてよ。今日大学でね……が……」


(そうやって逃げてきた人生だもんね。迷って。迷って。迷って。最後に答えを出す時は、結局私頼り。あなたが決めて上手くいったことなんてなかったもんね?)


塞「でね………が、……だったんだよね。……久しぶりに会ったから………で、……」


(私はあの時言ったことを覚えてる?「彼女についていくのだけは止めなさい」って、いったよね?あなたは私に助言を求めたのに、それをあなたは裏切った!!何も決められない。決めたとしても何一つ上手くいかないあなたが!!)


シロ(そう…。私は…そうだ。いつも頼ってばっかりだったんだ)

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:36:19.80 ID:wbKMm+hvI
塞「・・・でね・・・・・・・・・・・・。だって、・・・・・・・が・・・・」


(結局、あなたは東京に来て、「何もしていなかった」とかいう嘘で塗り固めた現実しかみないようにしてる。
けど、現実はそうじゃないでしょ?挫折と悔恨の毎日だった…。東京に来た頃。自分が何をしたいのか、何をすべきなのか、なんて自分で考えて答えを出せる身ではないのに、自分だけでバイトの面接受けたり、仕事探したり…。
そして、何もできないあなたは、バイトすらまともに受からなかった。当然だよね?私に答えを求めたのに、それを蹴って、違う道へ来たんだもの。苦しいのは当然よね。)

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:37:52.17 ID:wbKMm+hvI
塞「私・・・・・・・・・・・。もう・・・・・・・・・・・・」


(そういえば、よく分からない宗教集団に騙されそうになったりもしてたね?
無理矢理家に上がりこまれて、押し倒されて。あの時彼女が帰ってきたのは偶然も偶然だけど、あのまま  れてかもしれなかったのよ?
ふふっ、それから社会が怖くなって、家から一歩も出られない。なんてかわいそうな私。逃避行動をとりたくもなるわね。それで自分を正当化してるなんて、全く…おかしいったらないわ。
罪?罰?そんなこと言って、結局目の前の彼女に対してだって、どう償えばいいのかも分からないままでしょう?)

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:40:48.61 ID:wbKMm+hvI
シロ(小さい頃、私は物事を決めることが苦手だった…。そんな私がいつの間にか手に入れていた『もの』。その『もの』のおかげで、私は間違える選択をしなくなった。
それは子どもの自分からすれば、全知全能の神にでもなった気分だった。私が考えなくても、正解を教えてくれる。それなら私が考えて答えを出すことに意味なんてもうなかった。考えることを放棄して、重要な決断すべてを任せる。そんな歪な存在が私)


(それなのに…どうして?どうしてそんなにもなって私に頼らないの?私に頼ってくれれば、こんな…みじめな思いをしなくても済んだのに…ねえ、どうして?どうしてなの?)


塞「・・・・・・・・・・・・・・れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



シロ(そんな私がどうして…どうしてあの時、逆らってしまったんだろう?あの時、私は何を思ったんだろうか?)


(…あの時、あなたが私に従わなかった時から、あなたは変わってしまった…。あなたは何も…自分で決めることができなかったから、私を必要としたのに…。それなのに…)


シロ(もう答えなんてわかっている。それを自分が言葉にできなかっただけ。やっぱり、自分で決めるのは苦手だ…。今でも、力に頼ってしまいそうになる…。けど、これだけは自分で…自分で決めなくちゃいけない…)

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:44:19.55 ID:wbKMm+hvI
(………………そう…。あなたには私はもう必要ない…。そういう事なのね………)


シロ(うん。私が何をしたいのか、今はっきりわかった)


(ふーん。そうなの。そう、私は必要ないのか…。まあ、あなたといた時は退屈しなかった程度のものだった位だし、私は次の私を必要としてくれる存在を見つけるだけ)


シロ「(私は…楽しかった。それが力ということではなく、あなたのことが好きだった。それなのに、一方的に別れを告げるなんてごめんなさい。でも…)」


(その先は言わなくてもいいよ。それは私に言うんじゃなくて、彼女に言ってあげなさい。…じゃあ、本当にさようならだけど、いいのね?)


シロ(うん。わたしはもう迷わない…。自分が信じた道を行く。それがたとえどんな茨の道でも…)

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:47:11.90 ID:wbKMm+hvI
(あなたは私が見ていても思うけど、いつも危なっかしくて、何一つ決められない子だと思ってたけど…。あなたからそんな言葉が聞けるなんて思ってもいなかったわ)


シロ(うん…。それもあなたのおかげ。あなたがきっかけをくれたから…ありがとう)


(そんなことをしたつもりはないわよ。それにありがとうだなんて…私は…)


シロ(私はあなたがいてくれて良かったと思ってる…。それはこれからも忘れない。)


(・・・もう、言う事は残ってないわ。じゃあさようなら…白望、ありがとう…)


シロ(ありがとう…。そしてさようなら…)

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:53:01.91 ID:wbKMm+hvI
シロ「…これは大丈夫…」

塞「いや、大丈夫って、全然大丈夫に見えないけど…というかシロ何か変わったような…?」

シロ「大丈夫だから。私は平気…」

塞「そう?ならいいけど…」

シロ「それよりも塞」

塞「え?ん?」


シロ「私は塞が好き。これからも私と死ぬまで一緒にいてほしい」


塞「・・・・・ふぇ?え、な、何?何事?」

シロ「だ、だから、私は塞が好き。だから、これから…も、一緒にいてほしい////」

塞「うん?何が起きてるのかよく分からない…。えっと、シロが私の事好きで、それで、一緒にいたいって…つまり、え?そういう事?えぇ!?そんな…なにこれ???////」

シロ(あっ…順番を間違えた…。私、何いきなり告白なんてしてるんだろう。順序が違う。
まずは今までのことを謝って、それから塞が私に対して言いたいことがあるだろうから、それを聞いて、もし、もう一緒にいられないというなら、出ていくことも考えなくてはいけないし、
でもって、まだ私と一緒にいてくれるなら、それから告白という順番を踏むべくしていくべきなのに…。
いきなり失敗した…!!)

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 23:59:19.36 ID:wbKMm+hvI
塞「え?あのシロ?///」

シロ「…今のは無し…。いろいろ順番間違えた////」

塞「は?でも、順番間違えたってことは結局その…好きってことは変わりないんだよね?」

シロ「ち、違わないけど、いろいろ順番が…」アタフタ


塞「…私もシロが好きだよ。世界中の誰よりも…。誰にも渡したくないほどに…」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 00:02:17.94 ID:9LPv9qFzI
シロ「え?」

塞「だーかーら、私もシロの事が好きだって言ってるの!!恥ずかしいからそんなに言わせないでよ////」

シロ「ど、どうして!?」

塞「いや、どうしてって…。なんでそんなこと聞くかな…。だいたいわかるでしょ?」

シロ「ぜ、全然。むしろそろそろ追い出されるかと思ってた…」

塞「シロの中では一体私をどう思ってたのよ、全く…。大体、シロと一緒に暮らすってなったからには、この程度の事は覚悟の上だったわよ。それに、少しはアピールのつもりだったのだけどなぁ。一緒に暮らそうって言ったのは」

シロ「だって、同棲とか否定してたし…」

塞「それはその、みんなの前で恥ずかしかったし!!」

シロ「確かに…あれはびっくりした」

塞「とにかく、少しは察してくれても…というか、察してくれると思ってたのに、全く遅いのよ」ハァ

シロ「…ごめん」

塞「ん~自分だけがバカみたいに待ったと考えるとなんか不公平だし、仕方ないからシロには罰を与えよっかな~」

シロ「!!ん…どんな罰でも私は受け入れるよ…」

塞「そう…じゃあ、待たせた罰として、私にキスね」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 00:08:10.51 ID:9LPv9qFzI
シロ「…え?」

塞「え?じゃなくて、私にキスしてよ。あ、ほっぺとか額じゃないからね。ちゃんと唇にお願いね」

シロ「そうじゃなくて、いきなりキスとか…////」カァァ

塞「罰だからそれくらいしてもらわないと。それに今のシロだと、この先何年たってもそういう事をしてくれない気がするんだよね…だから」メヲトジ

シロ(な、こんなときどうすればいいのかなんてよく分からない…!!もう自分が決めるって言ったばっかりなのにこんなんじゃダメだ…)

塞「・・・・・・・・・・」メヲトジ

シロ「(塞は…いつでも待っていてくれる。それに甘えてたのは私。だから今度は、私が勇気をもって行く番だ…)」

塞「・・・・・・・・・・」メヲトジ

シロ「・・・・・・・(い、いくよ?)////」


チュッ

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/13(水) 00:20:20.53 ID:9LPv9qFzI
塞「ん。短い…////」

シロ「ごめん、これが限界…////」

塞「なんか、こういうのって恥ずかしくなるね////」

シロ「塞がやれっていったのに////」

塞「そうなんだけどね。でも、今度する時はシロが自分からしてほしいな?」

シロ「ん…善処する」

塞「ふふふ、じゃあ待ってるね」

シロ(私が選んだこの選択は正しいのかなんてのは分からない。今後この選択を後悔する日が来るかもしれない。けど…)

塞「シロ大好きだよ」

シロ(今ある彼女の笑顔を見ていられるなら、今後のどんなことがあってもやっていけるような気がする。だから)

シロ「うん。私もだよ、塞」


シロ(私は塞と一緒に生きていく。これからもずっと…そう選んだのだから)




~カン~

引用元: シロ「さよなら…今までの私」塞「シロ?」