1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 18:39:15.64 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「……できたっ」

未央「おおーっ、完璧じゃなーい!?」

卯月「これは今年最高の出来です!」

凛「そりゃ、年に一回だから」

卯月「き、気持ちの問題だよっ」

未央「まあまあ、はやくチョコラッピングしよ!」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 18:42:02.72 ID:5sJZ5Dyw0
 
卯月「ではでは。早速ラッピングしますよー!」

未央「おお、気合入ってる」

卯月「ここで失敗するわけにはいかないもんね。島村卯月、頑張ります!」

未央「うっし、本田未央、頑張ります!」

凛「…………」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 18:47:42.02 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛(……どうしようか)

凛(可愛くしようかな。それとも格好良く?)

凛(プロデューサーのチョコだから格好良くした方が……)

凛(でも、可愛げがないかも知れない……)

凛(可愛くしたら、なんか変かな……)

凛(でも、いつも私に可愛い衣装選んでくれるし……可愛いのが好きかも)

凛「……えっと」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 18:52:27.59 ID:5sJZ5Dyw0
 
卯月「……」

未央「……」

凛「よし、格好良くしよう。男の人だし……」

卯月「……」

未央「……」

凛「いや、せっかくのチョコだし、可愛く。あ、でも……」

未央「はよせんかーい!」

卯月「せんかーい!」

凛「うわっ!」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 18:58:22.49 ID:5sJZ5Dyw0
 
未央「ラッピングに何時間かける気ー?」

凛「ああ、ごめん。ちょっと悩んでて」

卯月「別にそこまで深く考えなくても良いんじゃないかなぁ?」

凛「ううん。妥協は出来ないよ、頑張って作ったんだし」

未央「そりゃそうかもしれないけどねー、凛さんや」

凛「凛さんや、って……誰なの」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 19:04:47.87 ID:5sJZ5Dyw0
 
卯月「見事、完成ー!」

未央「やったー、うづきん家来てよかったー!」

卯月「バレンタインチョコ、上手く出来たね!」

凛「プロデューサー、喜んでくれるといいね」

未央「あっ、最後の仕上げ忘れてた!」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 19:11:12.75 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「最後の仕上げ?」

未央「渡す相手を想って、愛情注入だよ!」

凛「愛情注入って……」

卯月「おー……なるほど!」

凛「こらこら、感心しないの」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 19:20:07.26 ID:5sJZ5Dyw0
 
卯月「さーおかたづけしよー」

未央「あーい。私は食器洗うね」

卯月「じゃあ、私は道具だね」

凛「……」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 19:27:10.71 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛(愛情か……)

凛(……よし)


未央(……しぶりん?)


凛(ぎゅっ……)


未央(キュン)

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 19:36:59.92 ID:5sJZ5Dyw0
 
卯月「どうしたの?」

未央「愛情注入されちゃったみたい……」

卯月「……?」

未央「いやー、恋する女の子はいいねえ……」

卯月「そうなの? あ……でも今の凛ちゃんは……」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 19:41:59.26 ID:5sJZ5Dyw0
 
卯月「まるで恋する乙女みたいだよー。ねえ未央ちゃん?」

凛「……えっ?」

未央「うはー。うづきんそれ言っちゃいますかー、やるねぇー!」

卯月「えへへ。なんか分かんないけど褒められました!」

凛「……恋、恋?」

卯月「あれ。凛ちゃん?」

未央「しぶりん? おーい」

凛(…………恋?)

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 19:48:52.65 ID:5sJZ5Dyw0
 
卯月「なんか凛ちゃん、上の空になりましたね」

未央「うんうん……しぶりんは恋しちゃってるかー」

卯月「えっ!? 凛ちゃんは恋してるの!?」

未央「うんうん……うづきんは全然分かってないかー」

卯月「な、なんですかそれー! 教えてよー!」

未央「はいはい。まずはほっぺのクリーム取ってからね」

卯月「あわ、早く言ってよー……」

未央(応援してるからね、頑張って。凛)

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 20:06:21.63 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「はっ……っと……」

凛「ここで、ターン……よし」

トレーナー「……はいっ、オッケーですよ!」

凛「ふぅ……お疲れ様です」

トレーナー「さすがですね。凛ちゃんのダンス、完璧でしたよ」

凛「そうかな。ありがとう」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 20:16:36.46 ID:5sJZ5Dyw0
 
トレーナー「それに比べて二人は……」

未央「でへへ……」

卯月「えへへ……」

トレーナー「どうしていつものステップがこなせないのかなあ……?」

未央「いやあ、バレンタインですからー」

卯月「うんうん!」

トレーナー「言い訳無用です! 後でまた追加の特訓ですよ!」

未央「そ、それは勘弁してー!」

卯月「ひぃーん!」

凛「あはは……」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 20:26:02.56 ID:5sJZ5Dyw0
 
トレーナー「あ、凛ちゃんは先にあがって良いですよ?」

凛「ううん。二人とちょっと用事があるから」

トレーナー「へえ……チョコですか?」

凛「……すごい、どうして?」

トレーナー「それは、まあ……今日が今日ですし」

凛「誰に渡すかも?」

トレーナー「え? プロデューサーさんじゃないんですか?」

凛「……あたり。分かっちゃうかな」

トレーナー(凛ちゃんの様子を見てれば大体は……)

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 20:35:16.46 ID:5sJZ5Dyw0
 
トレーナー「そうですか、皆もやっぱりチョコ渡すんですね……」

凛「まあ……って、トレーナーさんも?」

トレーナー「ええ。一応、お世話になってることですし」

凛「そっか……」

凛「……」


凛(……あれ、なんだろこの感じ)

凛(なんか胸がズキズキする……)

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 20:44:08.15 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「……」

凛「……なんだろう」

凛「うん……わかんないな」

凛(……嫉妬……いやいや)

凛(なんでそんな、トレーナーさんに対抗意識なんか……)

凛(……ないない)

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 20:56:20.85 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛(そもそも対抗意識って……)

凛(私は別に、プロデューサーが欲しいわけじゃ……)

凛(って、そもそもトレーナーさんも同じかもしれないし)

凛(何変なこと考えてるんだろう……)

卯月「凛ちゃんお待たせぇー……」

未央「ふぇー、終わったー!」

凛「……お疲れ、二人とも」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 21:09:36.93 ID:5sJZ5Dyw0
 
トレーナー「……というわけで、今日のリハーサルは以上です」

卯月「ふー、今日も大変でしたー」

未央「人気になるのはいいけど、なったらなったでレッスンも忙しー!」

凛「そうだね……」

トレーナー「ふふ、皆お疲れ様。凛ちゃんも、帰ったらゆっくり休んでね」

凛「……うん。お疲れ様でした」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 21:20:10.03 ID:5sJZ5Dyw0
 
トレーナー「そうだ。プロデューサーさんなら、あそこにいますよ?」

卯月「あ、チョコ渡さないと!」

未央「へっへーん、一番乗りー!」

卯月「あっ、未央ちゃんずるいよー!」

凛「……あ」

未央「プロデューサー! バレンタインのチョコだよー!」

卯月「プロデューサーさん、これ、チョコですっ!」

凛「……」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 21:28:42.38 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛(……なんで私、隠れてるんだろう)

未央「ん、凛は?」

卯月「あれ? さっきまでそこに居たはずですけど……」

凛(チョコ、プロデューサーに渡さないといけないのに……)

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 21:37:25.82 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛(恥ずかしいから? ……ううん、違う)

凛(照れくさいから? ……それも、違う)

凛(渡したくないから? そんなわけないよ、そんなことない)

凛(……知りたくないから)

凛(……この胸の痛みの正体)

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 21:42:22.66 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「……なんなんだろ、この感じ」

未央「それ、凛も分かってるんじゃないのかな?」

凛「……未央」

未央「もー、大事な時に隠れちゃうなんて!」

凛「それは……」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 21:47:10.21 ID:5sJZ5Dyw0
 
未央「素直になるって、大事だよ? プロデューサーにもだけど、なにより、自分にも!」

凛「……」

未央「渡してきなよ、チョコ」

凛「……あとで」

未央「だーめ。今すぐ!」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 21:52:08.78 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「や、やだ」

未央「だだこねないのー!」

卯月「凛ちゃん遅い……何やってるの?」

凛「う、うづきっ……たすけて、みおが……!」

未央「うぅー! アンタは子供かー!」

卯月「な、なんか綱引きみたいで楽しそう!?」

未央「楽しくないよ! 早く手伝ってー!」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 21:57:39.65 ID:5sJZ5Dyw0
 
未央「そりゃあー!」

卯月「えいやー!」

凛「わ、った、あ……!?」

未央「ちゃんと、渡しなよ!」

卯月「頑張ってね、凛ちゃん!」

凛「あ、うあ……ぷ、プロデューサー……」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 22:02:25.21 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「えっと……」

凛「その……」

凛「……あの、さ」

凛「は、はい。チョコ……」

凛「そ、それだけ。じゃあ」

凛「……なんで引き止めるの」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 22:07:34.37 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「味は保証するから、家で食べて!」

凛「か、感想なんかいいから!」

凛「かお、顔はみちゃダメ……っ!」

凛「今は見ちゃダメ……っ!」

凛(絶対、プロデューサーの顔見れない……)

凛(見たら……)

凛「や、やめっ……!?」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 22:11:36.72 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「あ……」

凛「……」

凛「……あ、味?」

凛「そ、そう。良かった……美味しかったんだ」

凛「……あのさ」

凛「な、なんでもない……」


凛(なんだか、安心した……?)

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 22:16:56.88 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「ね、ねえ。頭に手置くの、やめて」

凛「……子供じゃないから」

凛「うるさい。怒ってない。て、照れてない!」

凛「あーもう、怒ってないから……帰るよ」

凛「……その前に」

凛「トレーナーさんからも、チョコ。貰ってきなよ」

凛「あっちにいるから。ほら、駆け足!」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 22:23:11.44 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「……ふぅ」

凛(……痛みが消えてる)

凛(むしろ、ドキドキしてる)

凛(美味しいって、言ってもらえたから)

凛(さすが俺のアイドルだなって、頷いてもらえたから)

凛(ずっと傍でプロデュースしてやるぞって、笑ってもらえたから)

凛(……そっか。私、プロデューサーに)


凛「恋してるんだ……」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 22:32:13.05 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「……おかえり、貰ってきた?」

凛「あー……どう見ても本命だね、トレーナーさんのチョコ」

卯月「凛ちゃん、プロデューサーさん独占しすぎー!」

未央「そーだそーだ! これ以上はおねーさんが許さないぞー!」

卯月「そうですよ! 私もプロデューサーさんとおしゃべりしたいです!」

未央「う、うづきん……ある意味、しぶりんより手強いかも……」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 22:37:02.84 ID:5sJZ5Dyw0
 
凛「ふふ……さ、二人が待ってる。事務所に帰ったら、皆のチョコも待ってるからね」

凛「覚悟しておかないと、プロデューサー」

凛「大丈夫。チョコの味なら、誰にも負けないよ?」


凛「……愛情注入したから」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/01(金) 22:39:51.84 ID:5sJZ5Dyw0
 
おしまい

支援ありがとう

引用元: 渋谷凛「……愛情注入したから」【モバマス】