2: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:49:03.85 ID:9Mx+4sHV0
【横浜公園】
全く、何なのよシャーロック。

「渡したい物があるから横浜公園に来て下さい~」

ってアホ声で電話かけてくるもんだから休日なのにわざわざ来て見れば。

シャロ「こころちゃ~ん!」ダキッ

3: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:49:39.28 ID:9Mx+4sHV0
断した。

シャーロックを見つける前に

後ろから思い切り抱きつかれてしまった。


4: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:50:23.01 ID:9Mx+4sHV0
小衣「くっ・・・こ、こら離せシャーロック!」

シャロ「こころちゃん、すりすり~。ん~、いいにおい~」背中ほおずり

小衣「何で毎回毎回抱きついてくるのよっ!」

シャロ「だってこころちゃんの事大好きなんだも~ん」


5: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:51:06.55 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「こころちゃんの髪もいいにおい~」スー

小衣「くっ・・・この・・・」

シャロ「このままずっとかいでいたいですぅ~」クンカクンカ

小衣「あ、頭おかしいんじゃないの?」

シャロ「もっとぎゅ~っと抱きしめちゃいますぅ」ぎゅ~

小衣「や、やめんかシャーロック!」

シャロ「こころちゃん大好きですー」

後ろから抱きついたままさらにほおずりしようと顔にほほを寄せてくる

シャーロックを押しのけながら、私は黄金マスクを懐から取り出す。


6: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:53:54.03 ID:9Mx+4sHV0
小衣「こころちゃんって言うなぁ!」

ガインッ!

シャロ「あいたぁ!」


7: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:54:47.38 ID:9Mx+4sHV0
小衣「アホシャーロック!用がないなら帰る!」

シャロ「あ、待ってください!」



そう言うとシャーロックは肩から下げたカバンから、

ラッピングされたクッキーを取り出した。


8: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:55:31.94 ID:9Mx+4sHV0
小衣「・・・何コレ?」

シャロ「手作りクッキーですー。愛をこめてこころちゃんのために作りましたー」

小衣「うっ・・・」


9: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:56:10.69 ID:9Mx+4sHV0
見た目からして不ぞろいな、いかにも不味そうなクッキー。

シャーロックは目をキラキラさせながら、受け取って?と私に差し出してくる。

これは受け取らないと帰れないパターンだ。


10: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:57:04.71 ID:9Mx+4sHV0
小衣「・・・(ニッコリ)」受け取り

シャロ「こころちゃ・・・」



小衣「ふんぬぅ!」ブンッ!


11: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 21:57:37.32 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「あー!こころちゃんひどいですぅ~!」



思いっきり放り投げてやった。


12: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:00:54.91 ID:9Mx+4sHV0
衣「プレゼントなら、ゴディーバーの高級チョコぐらい用意しなさいよ!」

あっはっは。せいせいした。クッキーを追いかけて走るシャーロックの背中に捨て台詞を吐き、

私は意気揚揚と帰ろうとした。


13: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:01:57.77 ID:9Mx+4sHV0








キキー・・・! ドンッ!









背後で鈍い音がし、私は何気なくふり返った。



14: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:02:57.93 ID:9Mx+4sHV0
何で道路で寝てるの。



車が来ると危ないじゃない。



血が流れてるわよ。



早く止めないと。



嘘。



嘘だよね。









シャーロック。


15: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:05:15.96 ID:9Mx+4sHV0
次子「はい、もしもし。なーんだ小衣か」



次子「なーに。どうしたの。シャーロックがシャーロックがって」



次子「えっ・・・?事故!?ちょっとどういう・・・。泣くなって!」



次子「・・・いいか、小衣。落ち付いてよーく聞け。今、どこにいるんだ?」



次子「横浜公園な。救急車は呼んだ?」



次子「わかった。こっちで呼ぶ。今行くからそこで待ってろ」


16: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:06:37.03 ID:9Mx+4sHV0
電話が切られ。



シャーロックの方を振り返る。



道路に赤い血が一筋流れているのを見た時に



私は意識を失った。


17: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:07:58.43 ID:9Mx+4sHV0
小衣「う・・・?」



消毒薬臭い匂い。

次子「目が覚めたか?」

次子が顔をのぞき込む。


18: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:08:37.54 ID:9Mx+4sHV0
小衣「ここは?」

寝かされていた簡易ベッドから飛び起きた。


19: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:09:27.19 ID:9Mx+4sHV0
次子「ここは病院の診療室だよ。シャーロックもこの病院に運ばれてる。小衣。気分は大丈夫か?」

小衣「うん・・・。そうだシャーロック、シャーロックは?」

次子「それが・・・」

小衣「シャーロックは無事なの?」

次子「ああ」

小衣「無事、だったんだ・・・」

次子「ああ・・・。ただ、な・・・」


20: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:10:19.54 ID:9Mx+4sHV0
次子の歯切れが良くない。

何かあったのだろうか。


21: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:11:14.17 ID:9Mx+4sHV0
小衣「会いに行く。どこにいるか教えて」

次子「今日はやめとこう。シャーロックも疲れてるだろうし」

小衣「意識は戻ったんでしょ?様子見るくらい構わないじゃない」

それに・・・さっきの事謝らなきゃ・・・。



次子「・・・ああ、わかったよ。それじゃ行こう」


22: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:12:26.80 ID:9Mx+4sHV0
(シャロの病室)

ネロ「シャロおー!」

シャロ「ネロさん、大げさですー。大した怪我じゃありませんから」

エリー「良かった・・・事故に合ったと聞いた時はどうなるかと・・・」

コーデリア「本当に、どこも何ともないの?」

シャロ「ええ。すこしふらふらしますけど・・・」


23: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:13:16.07 ID:9Mx+4sHV0
小衣「シャーロック!」



病室に飛び込み、

無事なシャーロックを見たとたん不意に涙が溢れそうになった。

な、何でシャーロックの姿見て泣きそうにならなきゃいけないのよ。

たぶんきっと、さっきの事でバツが悪いんだ。


24: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:17:20.99 ID:9Mx+4sHV0
小衣「しゃ、シャーロック・・・あの・・・」

声が出てこない。さっきはごめん、と言うだけなのに。


25: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:17:53.60 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「あなた・・・」



小衣「え?」



シャロ「誰ですか?」


26: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:19:31.67 ID:9Mx+4sHV0
(診察室)

医者「脳震盪による記憶喪失ですな」



小衣「記憶喪失・・・?」



医者「一時的なものだとは思いますが・・・いや記憶喪失には色々なケースがありましてな」



医者「ドイツの例だと、頭部に負った怪我の影響で幼い頃の記憶が変質し父親と母親を

   兄姉と混同したり、数キロ離れた家を生まれ育った家と間違えたりした例があります」


27: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:21:03.64 ID:9Mx+4sHV0
医者「これは一生直る事はなかったようです。ま、もちろん珍しいケースですが」



小衣「じゃ、もしかして一生・・・?」



医者「そういう場合もある、という事です」

医者「何せ、現在の医学でもほとんど何もわかってないのですから」


28: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:23:21.46 ID:9Mx+4sHV0
医者「今回のシャーロックさんの場合は、一部の人の記憶だけ・・・この場合小衣さんですか。

   どうやらあなたの記憶だけピンポイントに失われてるようなのです」

医者「他は、特に日常生活への影響はないようですが・・・」



小衣「そうなんですか。わかりました・・・」


29: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:24:37.37 ID:9Mx+4sHV0
2日後、シャーロックが退院する日。

特にこれといった仕事もなく、私は事務所でボーっとしていた。



次子「小衣、今日シャーロックが退院する日だけど行かなくていいの?」

小衣「別に・・・そんな仲じゃないし。あ、一応退院祝いは贈っといたけど」


30: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:25:23.77 ID:9Mx+4sHV0
半分本当で、半分は誤魔化し。

事故の原因を作ってしまった負い目と、あと・・・

『「あなた・・・誰ですか?」』

シャーロックにまたあんな事言われるのが少し怖かった。


31: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:26:23.40 ID:9Mx+4sHV0
もちろん。シャーロックに悪意がないのはわかってる。

本当に記憶がないのだから、

だけど、だからこそ・・・。


32: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:27:36.74 ID:9Mx+4sHV0
小衣「シャーロックはまだ記憶戻ってないんだよね?」

次子「そうみたいだよ。退院する時に皆の写真を見せて名前言ってもらったけど」

次子「その・・・小衣だけやっぱり、な」

小衣「・・・ふん」


33: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:28:33.05 ID:9Mx+4sHV0
何となく面白くなくて、イスの背もたれに身を預ける。



小衣「・・・やっぱり、私が事故の原因作っちゃったせいでアイツ・・・」

次子「それは違うって、何回も話しただろ。シャロが道路に飛び出したのと、

   ドライバーの前方不注意、信号無視が原因だって」

次子「間接的だったけど、救急車呼んだのも小衣だろ。ミルキィのみんなはむしろ感謝してるよ」


34: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:29:50.95 ID:9Mx+4sHV0
次子「病院に行ってやりなよ?」



小衣「う・・・」

小衣「うるさい!行かないったら行かない!」

次子「小衣・・・」


35: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:31:12.03 ID:9Mx+4sHV0
それから1週間。

折を見てはシャロの記憶が戻ったかどうかそれとなく聞いていたけれど、

どうやらまだ私の事を思い出せないようだった。



そして、以前は何やかやと向こうから連絡してきたシャーロックが、1週間何もしてこないのは

珍しい事だった。


36: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:32:04.28 ID:9Mx+4sHV0
小衣「あー、あのバカからどーでもいい用事で電話が来ないから仕事がはかどるわ」

誰に言うでもなく独り言を呟く。

咲「その独り言何度目だなうしか」

小衣「何ですって」ジロリ

咲「何でもないなう」


37: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:33:21.73 ID:9Mx+4sHV0
平乃「まあまあ、お茶でものんでイライラを沈めて下さいな」

小衣「誰がイライラしてるってのよ!」

平乃「それは・・・」

咲「胸に手を当てて考えてみるなう」

小衣「ぐぐ・・・」


38: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:34:58.98 ID:9Mx+4sHV0
タタタ・・・バァン!

次子「大変だ!怪盗だ、怪盗が現れた!」

小衣「何ですって!」

次子「現場に急ぐぞ!よかったな小衣」

小衣「な、何が良かったのよ」

次子「怪盗事件だから当然、」

次子「ミルキィの連中も来るじゃないか!」


39: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:35:46.85 ID:9Mx+4sHV0
ドキッ



不意に鼓動が跳ね上った。


40: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:37:06.94 ID:9Mx+4sHV0
小衣「は、はぁ?だ、だから何だってのよ?」

次子「いいから急ぐぞ!」

小衣「ちょ、ちょっと!引っ張るのやめなさいよ!」



平乃「ふふ・・・あんな嬉しそうな小衣さん久しぶり」

咲「やっと雰囲気良くなったなう」


41: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:40:29.46 ID:9Mx+4sHV0
次子の運転する車の中。

小衣「う・・・や、やっぱり今日は帰る・・・」

次子「何言ってんだよ。仕事だろ」



といいつつニヤニヤしてる次子のほっぺを

思いっきりつねってやりたい。


43: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:46:13.86 ID:9Mx+4sHV0
現場へと到着する。どうやら金持ちのお屋敷での盗難事件らしい。

3階の鍵のかかった部屋から宝石箱が盗まれ、さらに窓が開いていた。



3階から地上へはとても普通の人間には飛び降りられない距離で・・・。


45: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:52:18.01 ID:9Mx+4sHV0
シャーロック・・・。シャーロック・・・!

車を降り、現場へと向かう足が自然と速くなる。



ミルキィホームズは先に来ているようだ。


47: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 22:57:46.32 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「・・・で、あるからして」

シャロ「犯人はトイズを持った人ではありません。窓から逃げたんだとしたら」

シャロ「窓を開けっぱなしなのはおかしいです」



シャロの姿が見えた。

足が止まり、呼吸も止まってしまったように感じた。


49: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:05:54.56 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「これじゃ、窓から逃げたと宣伝してるようなものです」

シャロ「つまり、犯人は屋敷のなかを通って・・・もしくは」

シャロ「屋敷の中の人が犯人です」



ネ・エ・コ「おおー!」


50: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:09:41.24 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「そして、鍵のかかった扉ですけど・・・」



ネロ「すごい!シャロ、まるで探偵じゃん!」



シャロ「えへへー、そうですかぁ?」


51: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:12:08.68 ID:9Mx+4sHV0
シャーロックを穴があくほど見つめるだけしかできなかった。

こっちから声をかけることができたらいいのに。



シャロ「ん・・・?あれ?」


52: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:15:10.20 ID:9Mx+4sHV0
シャーロックと目があった。

心臓が止まってしまったような気がした。

シャーロックがこちらに歩いてくる



シャロ「明智小衣・・・さんでしたよね?」


53: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:18:54.68 ID:9Mx+4sHV0
「え・・・」

いつもの、『ココロちゃーん!』と飛びついてくる反応を反射的に予想していた

だけに、シャーロックがひどくそっけなく見えた。


54: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:23:32.46 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「皆さんから聞きました。すごく仲のいい友達だって」

シャロ「けど、ごめんなさいね・・・。記憶がないんですー・・・」

シャロ「そうだ、救急車呼んでくれたのも小衣さんだって聞きました」


55: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:25:28.38 ID:9Mx+4sHV0
そうだ。シャーロックには私の記憶がないんだ。

当然、以前のような接し方なんてするわけがない。


56: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:27:52.69 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「小衣さん。本当にお世話になりました」

小衣「あ・・・。うん・・・」

シャロ「それで、今回の事件なんですけどこれは多分・・・」


57: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:31:38.14 ID:9Mx+4sHV0
シャーロックによる事件の解析をどこか遠くで聞きながら、

ふとシャーロックってこんなに身長大きかったっけ、と思った。

以前は私と同じくらいか、私が見下ろしていた気がする。


58: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:34:47.78 ID:9Mx+4sHV0
「・・・そうか」

ふと思いついた。

「シャーロックが、私に身長合わせてたんだ・・・」


59: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:38:45.36 ID:9Mx+4sHV0
シャロ「・・小衣さん?」



シャーロックがけげんな顔をする。

小衣「あ、うん。いや何でも」



シャロ「・・・まあとにかく、この事件は怪盗じゃなくて

    身内の犯行の可能性が高いです。後は警察にお任せしますね」


60: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:43:29.39 ID:9Mx+4sHV0
そういい残し、シャーロックとミルキィホームズは帰っていった。



ネロ「それにしても、シャロってこんな頭良かったんだなー」

コーデリア「それはかのシャーロック・ホームズの孫娘ですからね。地頭はいいんでしょう」

エリー「多分・・・邪念が抜け落ちたからだと思います・・・」


61: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:46:50.61 ID:9Mx+4sHV0
ネロ「邪念?邪念って何エリー?」

エリー「それは・・・///」

シャロ「・・・」

ネロ「ん?シャロどうしたの?」

シャロ「ん?いえ別に。何でもないです」


62: ♯nungelauaau 2015/12/28(月) 23:52:31.18 ID:9Mx+4sHV0
結局、この事件の犯人は使用人が犯人だった。

鮮やかな推理で事件を解決に導いたシャロは、思い返すと

随分と大人びて見えた。


63: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:07:05.38 ID:sfujSm+i0
そしてまた一週間が過ぎた。



この頃は何をするにしてもやる気がでなく、

気が付くとボーっとしている気がする。



咲「空気が重いなう」


64: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:09:09.40 ID:sfujSm+i0
咲に突っ込む気力もなく、私は何となく

空中を見つめていた。


65: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:11:40.41 ID:sfujSm+i0
(探偵学園)



シャロ「・・・」

ネロ「どうしたのシャロ?ぼーっとしゃちゃってさ」

シャロ「え、ううん・・・」

ネロ「何か気になることでもあるの?」

シャロ「うーん、お休みの日がね・・・」


66: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:13:02.87 ID:sfujSm+i0
ネロ「休みの日が?」

シャロ「こんな、退屈だったかなぁって・・・」


67: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:18:51.95 ID:sfujSm+i0
ネロ「あー、そう言えば前はしょっちゅう明智と遊んでたもんね」

シャロ「え?そうだったんですか?」

コーデリア「そうよ。何かあればすぐに電話して」

シャロ「へえー、そうだったんですか」

コーデリア「今度、遊びに誘ったら?」


68: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:22:41.89 ID:sfujSm+i0
シャロ「うーん、そうですね。そう言えば救急車呼んでもらったお礼も

    ちゃんとしてませんでした」

エリー「邪念のない今なら・・・明智さんに叩かれなくて済みますね・・・」

ネロ「じゃあ電話してみたら?」

シャロ「はいですー」


69: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:29:16.15 ID:sfujSm+i0
(横浜警察)



ピリリリ・・・

携帯の音が鳴る。

ふとディスプレイに目をやると、シャーロックの文字が。

「シャーロック!?」

思わず大声を出してしまい、慌てて周囲を見回す。



次子「・・・」ジー

平乃「・・・」ジー

咲「・・・」ジー



うっ・・・。


70: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:33:29.48 ID:sfujSm+i0
通話を押し、三人の視線に背を向けてまるで恥ずかしい事のように

小声で話し掛ける。

小衣「何なのよ、シャーロック急に。びっくりするじゃない」


71: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:36:27.33 ID:sfujSm+i0
シャロ「あれ?小衣さんもしかしてお邪魔でした?」

小衣「う・・・いえ、別にいいんだけど」

シャロ「来週の日曜日、空いてますかぁ?」

小衣「えっ・・・」


72: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:42:30.84 ID:sfujSm+i0
それこそ以前に何十回となく繰り返されたやり取りだったけれど。

胸がどきっと跳ね上る気がした。



小衣「あ、空いてるわよ」

シャロ「じゃあ、渡したいものがあるんで横浜公園に来てください」


73: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:50:59.08 ID:sfujSm+i0
小衣「仕方ないわね。このIQ1億3千万の天才美少女が行ってあげるから

   感謝しなさい!」

シャロ「え?そんなにIQある人だったんですか?小衣さんすごいです!」

小衣「うっ・・・そういえば記憶がないんだったわね・・・調子狂うわ・・・」

シャロ「小衣さん、今度学校の宿題手伝ってください!」

小衣「あ、あほー!自分でやれ!」


74: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 00:57:36.95 ID:sfujSm+i0
シャロ「IQ1億3千万なら学校の宿題なんて楽勝じゃありませんかぁ」

   「それとも学校の勉強は苦手なんですかぁ?」

小衣「う、うるさいわね。このIQ130億の天才美少女明智小衣に不可能はないわよ!」

シャロ「うわぁ、すごいです!この短期間に100倍も増えましたー!」



咲「今のフレーズ聞くの久しぶりなう」


75: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 01:01:21.10 ID:sfujSm+i0
うっ・・・いつの間にか大声になってしまっていた。

小衣「あーわかったから電話切るよ!」

小衣「あと宿題は自分でやれー!」

シャロ「そんなぁここ・・・」プツッ


77: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 01:14:22.04 ID:sfujSm+i0
ハっと周りを見渡す。



次子「クク・・・」

平乃「・・・フッ」プルプル・・・

咲「笑いこらえるのに必死なう」


78: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 01:40:23.57 ID:sfujSm+i0
小衣「ちょっと何なのよ!何ニヤニヤしてんのよ!」



次子「フフッ・・・」

平乃「・・・」プルプル・・・

咲「ニヤニヤなう」



小衣「あーもーあんたたち!いいかげんにしなさいよー!」


79: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 01:59:04.37 ID:sfujSm+i0
(探偵学園)

シャロ「ああー、切られちゃいました」

エリー「オッケーでした?」

シャロ「はい。来てくれるみたいですー」

コーデリア「フフ・・・シャロは最近時々何だか寂しそうな顔してましたけど」



80: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 01:59:40.65 ID:sfujSm+i0
シャロ「え?そうなんですか?」

コーデリア「明智さんと話してる時は前みたいにいい顔になるわね」

シャロ「ええ?そ、そんな・・・」

ネロ「おやおやぁ?顔が赤いぞ?」

シャロ「か、からかわないでくださいネロぉ」


81: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:03:07.76 ID:sfujSm+i0
シャロ「と、とにかく小衣さんにはちゃんとお礼を・・・うっ」ズキ

エリー「シャロ?どうしたんですか?」

シャロ「・・・いいえ、何でもないですー」


82: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:18:22.68 ID:sfujSm+i0
そして1週間後。

待ち合わせ場所である横浜公園に、私は息せき切って向かった。

シャロはそこにいた。


84: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:28:51.05 ID:sfujSm+i0
シャロ「小衣さん」

小衣「シャーロック・・・」



あんなに色んな事を話そうと考えていたのに。

いざ逢ったら何を話していいのかわからない。


85: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:33:28.65 ID:sfujSm+i0
小衣「あ、あのねシャーロック」

小衣「えっと、ごめん。ずっと、ちゃんと謝りたかった」



シャロ「小衣さん?」



小衣「記憶はないと思うんだけれど・・・シャーロックが事故にあったのは」


86: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:36:59.66 ID:sfujSm+i0
小衣「わ、私のせいで・・・」



シャロ「いいえ、小衣さんのせいじゃありません」

シャロ「話はぜんぶ聞いてます。小衣さんは悪くありません」



小衣「そう・・・」


87: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:41:21.85 ID:sfujSm+i0
小衣「体の調子は大丈夫・・・?」



シャロ「ええ、どこも悪くありませんよ。ピンピンしてます」



小衣「それは良かったわ」


88: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:43:47.05 ID:sfujSm+i0
小衣「・・・」

シャロ「・・・」



会話が、続かない・・・。


89: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:46:22.35 ID:sfujSm+i0
以前はどんな話をしてたっけ?

こんな気まずい空気が流れた?

何がちがうんだろう?


90: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:51:04.79 ID:sfujSm+i0
シャロ「あっ、そうだ!」



気まずい沈黙を破るように、シャーロックが口を開いた。



シャロ「小衣さんにプレゼントがあったんです」


91: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:54:10.42 ID:sfujSm+i0
小衣「え?プレゼント?」



シャロ「ええ。退院祝いのお返し・・・と言っては何ですけど」



そう言えば、前もこんな事あったような・・・


92: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:56:16.81 ID:sfujSm+i0
シャロ「はい、どうぞ」



小奇麗な包装紙に包まれた四角い小さな箱。



シャロ「開けてみて下さい」


93: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 02:58:44.21 ID:sfujSm+i0
小衣「これは・・・」



・・・ゴディーバーのチョコレート。


94: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:03:06.64 ID:sfujSm+i0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・・・「プレゼントなら、ゴディーバーの高級チョコぐらい用意しなさいよ!」・・・



・・・見た目からして不ぞろいな、いかにも不味そうなクッキー。・・・



・・・「手作りクッキーですー。愛をこめてこころちゃんのために作りましたー」・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


95: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:07:24.42 ID:sfujSm+i0
シャロ「お口に、合えばいいんですけど・・・」



小衣「く・・・」

高級そうなチョコレートの箱の上に、水滴が二つこぼれる。

こんなの・・・欲しくない。


96: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:18:20.05 ID:sfujSm+i0
シャロ「小衣・・・さん?」



小衣「・・・て・・・う・・・な・・・」



シャロ「え・・・?」


97: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:21:03.90 ID:sfujSm+i0
小衣「こころさんって、言うなぁっ!」


98: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:28:36.53 ID:sfujSm+i0
大粒の涙が、止めようもなく両目からあふれ出てくる。

私は思った。



ああ、シャーロックの事こんなに好きだったんだ。


99: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:33:45.97 ID:sfujSm+i0
バカでドジで。



人に迷惑ばかりかけるダメダメ探偵。



だけど、自分に正直で。いつも真っ直ぐで。


100: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/29(火) 03:36:42.15 ID:sfujSm+i0
無くしてから気づくなんて、私ってなんてバカなんだろう。



「前みたいにこころちゃんって言ってよぉ・・・シャーロックぅ~・・・」



ボロボロ・・・


101: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:38:03.18 ID:sfujSm+i0
>>100ミスです

無くしてから気づくなんて、私ってなんてバカなんだろう。



「前みたいにこころちゃんって言ってよぉ・・・シャーロックぅ~・・・」



ボロボロ・・・


102: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:40:14.94 ID:sfujSm+i0
シャロ「そんな・・・小衣さ・・・うっ!」ズキッ



シャロ「あ、頭が・・・っ!痛い・・・」


103: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:46:24.61 ID:sfujSm+i0
シャロ「あ、あ、あああ・・・・・・・っ!痛い!ああっ!」



小衣「しゃ、シャーロック・・・?」



シャロ「うっ・・・」


104: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 03:50:02.92 ID:sfujSm+i0
小衣「シャーロック?シャーロック?」



地面にしゃがみ込んでしまったシャーロックに必死で声をかける。



シャロ「こ・・・ころ・・・ちゃん?」


106: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 10:15:12.35 ID:sfujSm+i0
シャーロックの目がしっかりとこちらを見据える。



シャロ「こころちゃ・・・!」



私は直感した。シャロの記憶が元に戻ったのだと。


107: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 10:33:14.71 ID:sfujSm+i0
小衣「シャーロック・・・!」



シャロ「こころちゃーん!」



以前のように。



まるで、この一ヶ月近くなんかなかったかのように。



シャーロックが私に飛びついてくる。


108: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 10:44:35.34 ID:sfujSm+i0
シャロ「ごめんね・・・ごめんねこころちゃん・・・」



小衣「ばか・・・シャーロックのばかぁ・・・!」



お互い涙を流しながら抱きしめ合う。


109: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 11:03:57.15 ID:sfujSm+i0
小衣「今度、私のこと小衣さんって呼んだら・・・」

小衣「ぶっ飛ばすんだからね・・・バカシャーロック・・・グス」



シャロ「ごめん・・・ごめんねぇ・・・」

シャロ「シャロ、こころちゃんの事こんなに寂しい思いさせてたなんて・・・」

シャロ「もう絶対離しませんよ、こころちゃん・・・!」


110: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 11:10:39.66 ID:sfujSm+i0
小衣「・・・て・・・いえ・・・」ボソ



シャロ「え・・・?」



小衣「もっと・・・こころちゃんって・・・いえ・・・」カァァ


111: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 11:42:57.00 ID:sfujSm+i0
シャロ(・・・!)パァァァ



シャロ「こころちゃん!こころちゃん!」ギュゥゥゥ



シャロ「もう何百回でも言っちゃいますぅ!こころちゃーん!」


112: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 11:55:59.02 ID:sfujSm+i0
小衣「ふぅあ、あ・・・」ボロボロ・・・



嬉しいのに。涙がとめどなくこぼれ落ちてくるのはなんでろう。

私はなきながらシャーロックの腕にぎゅっとしがみついていた。


113: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:05:18.86 ID:sfujSm+i0
シャロ「こころちゃん」



小衣「・・・何」



シャロ「ふふ、言ってみただけですー」



その後、公園のベンチに腕を組んだまま腰掛けた。

シャロは肩に頭をもたせかけ、気味がわるいほど

ニヤニヤしていた。


114: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:10:06.35 ID:sfujSm+i0
シャロ「はぁ、シャロは幸せものですぅ~。

    小衣ちゃんをひとり占めですぅ」



もたせかけた頭をぐりぐりと押し付けてくる。



く・・・くく・・・。

冷静になるとかなり恥ずかしい。

顔に血が昇る。


115: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:16:30.15 ID:sfujSm+i0
シャロ「今日は思う存分、すりすりしちゃいますぅ」

   「1ヶ月分、取り戻さなくちゃですー」



小衣「くっ・・・。シャーロック!」



シャロ「ダメ・・・ですかぁ・・・?」


116: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:19:04.99 ID:sfujSm+i0
・・・っ。そんな目で見つめられると・・・。



小衣「い・・・いよ・・・」


117: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:25:36.15 ID:sfujSm+i0
シャロ「こころちゃん・・・!」



シャロの目がまるでライトのように輝く。



そう。これは病みあがりのシャロに対する同情なんだからね。

シャロにくっついてもらいたいとかそういうのは全然ないんだからね!


118: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:34:43.40 ID:sfujSm+i0
シャロ「こころちゃあーん!」

後ろからシャーロックに抱きつかれる。



小衣「く・・・」

シャロ「こころちゃん・・・こころちゃん・・・」

背中にほおずりされる。



シャロ「やっぱり、こころちゃんの匂いは落ち着きますぅ~」クンクン


119: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:40:51.57 ID:sfujSm+i0
小衣「ふ・・・う・・・」ゾクゾク

思わず変な声が出てしまう。



シャロ「髪の毛も、こころちゃんとシャンプーの

    香りが混じって・・・いい匂いですぅ…」クンクン



小衣「い、いちいち解説するなぁっ・・・」

ヤバい。心臓がどうにかなりそうだ。


120: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:47:37.80 ID:sfujSm+i0
シャロ「こころちゃんはこれからシャロの匂い嗅がれ奴隷ですぅ。

    色んな所をクンクンされちゃうんですぅ」



小衣「は、恥ずかしいこと言うなっ・・・」



シャロ「こころちゃんのうなじ・・・クンクン・・・」


121: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:52:04.70 ID:sfujSm+i0
小衣「ひっ!?」



うなじの匂いをかぐシャロの鼻先が触れる。

まるで電気が走ったかのように体がぴくりと動く。


122: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 12:57:50.78 ID:sfujSm+i0
シャロ「うふふ、ビンカンなこころちゃん・・・かわいいですぅ」



シャーロックは今きっと、物凄い発情顔になってるんだろう。

声で何となくわかる。



私は今どんな顔になってるんだろう。


123: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:05:12.19 ID:sfujSm+i0
シャロ「さて・・・今度はこっち向いてくださいこころちゃん・・・」

小衣「うん・・・」

シャーロックに正面を向かされる。



シャロ「うふふ。小衣ちゃんかわいいです」

正面からシャーロックに見つめられる。



小衣「・・・バカ」顔が真っ赤になる。


124: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:08:31.52 ID:sfujSm+i0
シャロ「・・・こころちゃん」

今度は正面から抱きしめられた。



小衣「・・・」

私も抱き返す。



シャロ「・・・ほおずりして、いい?」


125: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:12:58.42 ID:sfujSm+i0
小衣「・・・いいよ」



今までどんなにシャーロックがふざけて来ても、直接ほほとほほを合わせる

ほおずりだけはさせない様にしてきた。



お互いの何となくの暗黙の了解だったと思う。


126: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:15:30.40 ID:sfujSm+i0
けど、今は・・・。



シャーロックと思いっきり抱き合って、ほっぺたとほっぺたを

くっつけ合いたい。



シャーロックのぬくもりを、直接肌で感じたい。


127: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:20:04.48 ID:sfujSm+i0
シャロ「こころちゃん・・・ッ!」

小衣「シャーロック・・・!」



抱き合い、ほっぺたをくっつけ合う。

まるで一つになってしまえと言わんばかりの強さで。


128: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:27:04.38 ID:sfujSm+i0
シャロ「こころちゃん・・・こころちゃん!」

小衣「シャーロック・・・シャロ・・・!」



シャロが動くたび、頭の芯が痺れていく。

ほっぺたが、まるで火のように熱い。



きっと、シャロも同じ気持ちなんだろう。


129: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:32:43.87 ID:sfujSm+i0
ぎゅぅぅ、と抱きしめあう手に力が入る。



まるで、体ごと一つになれとばかりに。



シャロ「・・・うっ!」



小衣「あっ!」


131: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:36:38.20 ID:sfujSm+i0
何これ・・・頭が一瞬フワっとなって・・・。

腰が、がくがくする・・・。



シャロも同じような状態になったんだろう。

ぐったりとこちらに体を持たせかけてくる。


132: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:39:39.26 ID:sfujSm+i0
小衣「シャロ・・・トイズ使った・・・?」

シャロ「・・・ううん・・・きっとこれは・・・」



シャロ「愛の・・・奇跡ですよ・・・」


133: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:43:55.84 ID:sfujSm+i0
小衣「愛の・・・」



小衣「ぷふっ・・・」



似つかわしくないシャロのセリフに、思わず吹き出してしまった。


134: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:48:36.16 ID:sfujSm+i0
シャロ「あー!笑いましたね!ひどいですぅ」



小衣「だって、シャロが・・・『愛の奇跡』だなんて・・・くくっ・・・」



シャロ「もー。こころちゃん怒りますよ」


135: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:54:36.34 ID:sfujSm+i0
小衣「へえー。おっかなぁーい」ヘラヘラ



シャロ「・・・そんな減らず口たたく口は」

シャロ「こうやって塞いじゃいます。えいっ」



チュウウウ~ッ!



小衣「んむ~っ!?」


136: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:55:53.92 ID:sfujSm+i0
プハッ、ハァ、ハァ・・・



シャロ「・・・こころちゃん」



小衣「・・・ん」


137: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 13:57:30.19 ID:sfujSm+i0
シャロ「シャロの、・・・恋人になって下さい」









小衣「・・・ん」


138: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:05:52.93 ID:sfujSm+i0
それから数日後。



小衣「はぁ~?別に何もないって。あるわけないでしょ」



次子らに、シャロとあの日恋人同士になったのかと聞かれた。



小衣「しょっちゅう電話くる?いつもの事でしょ」



一応、シャロに口止めはしておいた。けどこんな電話たくさん寄越されちゃ・・・



小衣「ただシャロが私の事思い出しただけだっての。それだけよ」


139: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:09:57.19 ID:sfujSm+i0
次子「・・・なぁ小衣」



小衣「何よ」



次子「いつからシャーロックをシャロって呼ぶようになった?」



小衣「なっ・・・///(カァァァ)」



咲「・・・バレバレなう」



平乃「ぷふふっ・・・」


140: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:19:33.53 ID:sfujSm+i0
小衣「う、うるさい、うるさーいっ!」

次・平・咲「あっはっは・・・」なう」







その頃、探偵学園・・・



シャロ「うふふ、いっぱいできましたー」

シャロ「シャロの愛情たーっぷり篭ったクッキー、たーくさん作って持って行きますー」(大量)

シャロ「こころちゃん、待っててくださいねー」







【オワリンヌ】


141: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:24:08.19 ID:sfujSm+i0
おまけ



次子「はぁ?シャロとケンカした?」

小衣「そうよ。あのバカとはもう口利かない事にした」


142: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:25:59.03 ID:sfujSm+i0
ネロ「はぁ?小衣とケンカした?」

シャロ「そうなんです。もうこころちゃんなんか知らない!です」


143: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:29:17.00 ID:sfujSm+i0
次子「そう・・・(無関心)」

小衣「私何も悪くないし。まー、向こうから謝ってきたら仕方ないから許したげるけど」


144: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:31:23.51 ID:sfujSm+i0
ネロ「へぇ・・・(無関心)」

シャロ「こころちゃんってばひどいんですよ!まーきっとそのうち謝ってきますけど」


145: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:34:12.02 ID:sfujSm+i0
次子「・・・」パソコンカタカタ

小衣「大体シャロってばさ、バカだし所かまわず抱きついて来るし、この前なんかさぁ・・・」


146: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:36:34.01 ID:sfujSm+i0
ネロ「・・・」スマホイジリ

シャロ「大体こころちゃん手ーつなごうっていっても恥ずかしいから嫌だとか、それから・・・」


147: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:40:00.14 ID:sfujSm+i0
次子「・・・ウーン」ノヒ

小衣「・・・ってとこがかわいいんだよね。あ、かわいいとか別に変な意味じゃなくてさ、」゙


148: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:44:26.56 ID:sfujSm+i0
ネロ「・・・ウーン」ネガエリ

シャロ「・・・素直にならない時かあって、でも素直になった時なんかちょー可愛くて・・・」


149: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:48:30.22 ID:sfujSm+i0
次子「ピッピッ・・・あ、もしもし?出前お願いできますか?」

小衣「・・・でさ、私にメロメロなんだし絶対向こうから謝ってくるから。ほら見てなさい次子」


150: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:52:46.83 ID:sfujSm+i0
ネロ「ピッピッ・・・あ、もしもし?ピザの宅配お願いできる?」

シャロ「・・・でね、前なんかもうシャロがいないと生きてないって言ってましたから。今に向こうから謝ってくるはずです」


151: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 14:57:42.66 ID:sfujSm+i0
次子「天丼うめぇー(ガツガツ)」

小衣「・・・まったく、シャロのやつ意地っ張りなんだから。この小衣を30分も待たすなんて」イライラ


152: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 15:03:09.76 ID:sfujSm+i0
ネロ「エビカレードリアうめぇー(モグモグ)」

シャロ「むむ・・・。強情っぱりなこころちゃんです。もう30分も経ちますー」イライラ


156: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 15:29:16.20 ID:sfujSm+i0
次子「ふぅ・・・食後のお茶は格別だわ」ズズ・・・

小衣「もしかして怒られると思ってる?・・・そんなわけないじゃない。ごめんって言えばすぐ許してあげるのに」


157: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 15:31:55.99 ID:sfujSm+i0
ネロ「ふぅ・・・ピザのあとはやっぱコーラだよね」グビグビ

シャロ「もしかして、シャロが怒ると思ってるんですかー?小衣ちゃんのこと怒るわけないのに・・・」


158: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 15:35:36.26 ID:sfujSm+i0
次子「・・・フンフン(マニキュア)」

小衣「・・・あー、謝るのならシャロの行きたい所一緒にいってあげるのに。何で謝らないかな」


159: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 15:39:53.33 ID:sfujSm+i0
ネロ「・・・フンフン(爪ヤズリ)」

シャロ「・・・もー、謝るなら小衣ちゃんのこといっぱいなでなでしちゃうのに。謝るましてあげません」


160: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 15:44:51.52 ID:sfujSm+i0
次子「フー」

小衣「そ・・・そろそろ1時間ね。もーいいかげん根をあげなさいシャロ!」ソワソワ


161: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 15:48:00.21 ID:sfujSm+i0
ネロ「フッ」

シャロ「うー・・・そろそろ1時間です・・・。こ、こころちゃーん・・・意地張るのやめてくださいー・・・」ソワソワ


162: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 15:54:25.53 ID:sfujSm+i0
次子「さーって、報告書書くか・・・」

小衣 ピリリ・・・「・・・!しゃ、シャロ!こっちこそごめんね!・・・あ、咲。いや。何でもない・・・」


163: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/29(火) 15:57:10.75 ID:sfujSm+i0
ネロ「さーって、宿題やるか・・・」

シャロ ピリリ・・・「・・・!こ、こころちゃん!シャロが悪かったですぅ~!・・・あ。コーデリアさん・・・」


164: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 17:19:49.24 ID:sfujSm+i0
次子「・・・」カリカリ

小衣「・・・うーっ、もー怒った!シャロに文句言ってやる!」ピピピ・・・


165: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 17:23:35.68 ID:sfujSm+i0
ネロ「・・・」カリカリ

シャロ「・・・もーっ、こころちゃんの意地っぱり!一言いってやりますー!」ピピピ・・・


166: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 18:45:25.84 ID:sfujSm+i0
次子「・・・」カリカリイライラ・・・

小衣「・・・何で?何で通じないの!?通話中!?」


167: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 18:46:16.86 ID:sfujSm+i0
ネロ「・・・」カリカリイライラ・・・

シャロ「・・・どうして通じないんですかー?って通話中!?」


168: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 21:18:58.81 ID:sfujSm+i0
次子「うるさい!文句があるなら会って直接言え!」

小衣「つ、次子がうるさいから仕方なく行ってあげるわ。待ってなさいシャロ!」


169: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 21:20:08.65 ID:sfujSm+i0
ネロ「シャロうるさすぎ!明智と仲直りしてこいよ!」

シャロ「う~・・・ね、ネロが怒るから行ってきます。こころちゃーん、今行きますよ~」


170: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 21:23:37.46 ID:sfujSm+i0
次子「やっと集中できるわ・・・」カリカリ



バン

シャロ「こころちゃーん、シャロですよ~!」


171: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 21:28:17.30 ID:sfujSm+i0
ネロ「やっと静かになった・・・」カリカリ



バン

小衣「ダメダメシャロ!IQ1300阿僧祇の・・・」


172: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 21:30:51.93 ID:sfujSm+i0
次子・ネロ「いいかげんにしろ!」









【オワリーノ】


174: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 22:26:18.96 ID:sfujSm+i0
ついで



ネロ「で、結局ケンカの原因は何だったのさ」



シャロ「えー、どっちがどっちの赤ちゃん産むかですぅ」(シレっと)



ネロ「はぁ!?」



シャロ「もう、こころちゃんったら自分が産むって・・・シャロが産むって言ってるのに」


177: ♯nungelauaau 2015/12/29(火) 22:37:34.95 ID:sfujSm+i0
ネロ「あのなぁ、シャロ。女同士じゃ子供が・・・」



シャロ「あれ?ネロは知らなかったんですか?」

   「そういうトイズ使える人がいるらしいんですぅ」



ネロ「」



シャロ「うーん、子供の名前どうしましょうか。こころちゃんと相談です~」



ネロ(・・・どうなってんのこの世界)







アンリエット「・・・」キラーン



【本当の本当にオワリンチョ】


引用元: 【ミルキィホームズ】小衣「こころさんって、言うなぁ!」