1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 18:48:26.17 ID:ZBzhQdONI
~魔王城前~

魔物A「ヴォー・・・」

勇者「くらえッ!」ズバァ

魔物B「ギギーッ!」

戦士「どりゃあ!」ザシュッ

魔物C「グルルル・・・」

魔法使い「火炎魔法!」ゴオォ

勇者「・・・」

勇者「おかしい」

勇者「魔王城はすぐそこだというのに、魔物が弱過ぎる」

魔法使い「そうですね・・・」

勇者「・・・・・・!!」

勇者「俺たちを王都から遠ざけて・・・その隙に王都を襲撃するつもりか!!」

魔法使い「・・・まずいですね・・・」

勇者「くそっ!魔王の策略か!」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 18:55:22.26 ID:ZBzhQdON0
勇者「撤退だ!急いで王都に戻ればまだ間に合うかもしれない!」

魔法使い「わかりました!」

戦士「くそぉっ!!」

魔法使い「みなさん私の近くに来てください!」

勇者「空間転移魔法か!・・・いや、魔力の消耗が激しいはずだ!」

魔法使い「いいから早く!時間がありません!」

戦士「勇者、迷ってる時間はない!」

勇者「・・・ああ、わかった、頼む」

魔法使い「いきます・・・空間転移魔法ッ!!」シュンッ

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 18:59:18.88 ID:ZBzhQdON0
~王都~

シュンッ

勇者「間に合ったか!早く国王に伝えなければ!」

魔法使い「うう・・・い、急いでください・・・」

戦士「魔法使い・・・魔力の消耗が激しい、俺が安全な場所に運んでおく!」

勇者「ああ、頼む!」ダッ

~国王の間~

勇者「国王!戻りました!」

国王「おお、勇者よ!魔王はどうなった!?」

勇者「いえ、実は・・・(事情説明タイム)」

国王「何っ!?それはいかん、兵士団長!急いで王都全域に兵を配置するのだ!」

勇者「ふう・・・これで大丈夫だろう・・・」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:04:54.03 ID:ZBzhQdON0
~魔王城~

魔物D「魔王様!勇者どもが・・・なぜか撤退していきました!」

魔王「え?」

魔物D「よくわかりませんが・・・魔王様の策略がどーのこーの言ってましたけど・・・」

魔王「・・・?」

魔物D「その様子ですと、勇者どもの勘違いだったようですね」

魔王「そうっぽいね」

魔王「よかったー、僕の代になってから、魔物はいっきに弱くなっちゃったから心配してたけど・・・」

~王都~

勇者「・・・おかしい」

勇者「魔王の軍どころか・・・魔物の1匹も見当たらない」

勇者「・・・まさか!」

勇者「これも魔王の策略か!!くそおぉっ!!」

勇者「魔王城周辺にあえて弱い魔物を配置し・・・王都を襲撃すると見せかけて実は俺たちを撤退させるための2重の罠だった・・・」

魔法使い「魔王・・・予想以上の策士・・・!」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:10:04.83 ID:ZBzhQdON0
~魔王城~

魔王「もう当分勇者はこないだろうし、王都を襲撃しよう!」

側近「わかりました。飛行部隊、陸上部隊、潜入部隊はどれ位必要ですか?」

魔王「うーん、そういうのよくわかんないから、側近が適当に決めていいよー」

側近「承知いたしました」

~王都~

勇者「国王!申し訳ありません!またも魔王の策略に嵌ってしまいました!」

国王「そのようだな・・・なんとズル賢いやつなのだ・・・」

勇者「明日の朝、ふたたび魔王城へ行ってきます!」

国王「うむ、頼んだぞ」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:19:08.60 ID:ZBzhQdON0
~明日の朝、王都~

勇者「さあ、出発だ」

魔法使い「空間転移魔法を使います、さあ、集まって」

戦士「大丈夫なのか?」

魔法使い「ええ、魔力草を食べれば魔力は回復しますから」

勇者「行くぞ!魔王城!」

魔法使い「空間転移魔法!」シュンッ

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:21:25.17 ID:ZBzhQdON0
~同時刻、魔王城~

魔王「よーし、出撃!」

魔物たち「ウオオオオオォォォォ!!!!」

~魔王城前~

勇者「・・・?今度は魔物すらいない・・・」

魔法使い「以前は弱い魔物ばかりでしたが・・・今回はいない・・・?」

戦士「魔王の策略ってやつかもしれないぞ」

勇者「ああ、わかってる。このまま魔王城へ行くぞ」

魔法使い見習「は、初めて空間転移に成功した・・・じゃなかった!」

魔法使い見習「大変です!王都に大量の魔物が・・・!!」

勇者「何ッ!?」

魔法使い「また魔王の策略・・・ですか」

勇者「魔法使い!急いで空間転移魔法を!」

魔法使い「・・・ごめんなさい、あの魔法は一度使うとしばらく使えないんです」

勇者「くっ・・・魔王、なんという奴だ・・・」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:26:08.85 ID:ZBzhQdON0
~翌日の朝、王都~

勇者「急いで走って帰ってきたが・・・やはり手遅れだったか」

魔法使い「全滅、ですね」

戦士「ひでえもんだな・・・」

~魔王城~

側近「魔王様、王都襲撃が成功したそうです」

魔王「マジで!?」

側近「はい、マジです」

魔王「明日宴会でも開こっか」

側近「場所はどこにしますか?」

魔王「うーん・・・あ、あそこの山で!」

側近「わかりました、準備は私がやっておきます」

魔王「うん、ありがとー」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:29:57.59 ID:ZBzhQdON0
勇者「・・・もう、守るものなんて、なくなってしまった・・・」

魔法使い「・・・」

戦士「・・・許さねえ・・・魔王・・・絶対許さねえ・・・」

戦士「勇者!みんなの敵討ちだ!魔王をぶっ倒すぞ!!」

勇者「ああ・・・わかってる!明日の朝、今度こそ魔王を倒す!」

~明日の朝~

魔法使い「空間転移魔法!」シュンッ

~魔王城前~

勇者「魔物はいない、そんなことはもうどうでもいい、魔王を倒す」

戦士「勇者、あったぞ、城の扉だ」

勇者「いざ、参る!」ギイイィィ…

勇者「・・・魔物はいない、よし、進むぞ」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:33:33.45 ID:ZBzhQdON0
~魔王の間、扉前~

勇者「結局、魔物は1匹もいなかったな」

戦士「ラッキーじゃねえか、行こうぜ、勇者」

勇者「・・・魔王、絶対に倒す・・・!」

勇者「魔王ォォォォォォォォォッ!!!!」扉バガーン

勇者「・・・」

戦士「・・・」

魔法使い「・・・」

勇者「もしかして、この城にいるのって、俺達だけなんじゃないか?」

戦士「・・・そうみたいだな」

魔法使い「まさか、この城自体がフェイク・・・?」

勇者「・・・!!そういうことか!」

勇者「くそ・・・なぜこうもうまくいかない・・・」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:37:35.12 ID:ZBzhQdON0
~宴会会場~

魔王「えー、諸君!」

魔王「王都襲撃、お疲れ様!そして・・・」

魔王「成功を祝って、乾杯!!」

魔物たち「カンパーイ!!」

側近「とうとう王都を攻め落としましたね、魔王様」

魔王「うん、この調子で勇者も倒しちゃおう!」

側近「私たちも飲みましょうか」

魔王「あ、ごめん、僕お酒飲めないから、側近が楽しんでよ」

側近「・・・そうでした、失礼しました」

魔王「気にしなーい」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:41:25.79 ID:ZBzhQdON0
数時間後

魔王「えーと、皆楽しんでくれたみたいだし、よかった!」

魔王「次は勇者たちを倒そうと思います!」

魔物たち「オオオオォォーッ!!」

魔王「じゃあ皆、解散!」

側近「まおーひゃま・・・うっぷ、わらくしも、しつれいいたし・・・うぷっ、ます・・・」

魔王「側近・・・お酒弱いんだから、見栄張って飲まなくても・・・ほら、肩貸してあげるから」

側近「も、もうひわけございません・・・」

魔王「僕もこうなるかもしれないから、あんまりお酒飲みたくないんだよねー」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:48:06.60 ID:ZBzhQdON0
~魔王城前~

勇者「とりあえず、今日はここらで野宿しよう。明日、周辺の町で本物の魔王城の場所を聞いてみよう」

魔法使い「わかりました」

戦士「今度こそ倒せると思ったのに・・・」

勇者「戦士、よく考えてみろ、あの魔王がそう簡単に姿を見せる訳がないだろう、俺も冷静になるべきだった」

魔法使い「火炎魔法」ボッ

魔法使い「今夜はこのたき火でなんとかしましょう」

勇者「ありがとう」



魔王「いやー、楽しかった楽しかった!!」ザッザッザッ

側近「魔王様の目の前で吐いてしまうとは・・・本当に申し訳ございません」

魔王「いいっていいって」

魔物D「魔王様、あそこで何か・・・煙?」

魔王「あ、ほんとだ・・・人影もある」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:54:06.65 ID:ZBzhQdON0
勇者「・・・疲れているから幻覚を見ているのか?魔物を大量に連れた奴が見えるんだが・・・」

魔法使い「私にも見えます」

戦士「俺にも見えるぞ・・・」

勇者「てことは本物か・・・で、誰だあれ」

魔法使い「魔物を大量に・・・ま、まさか・・・」

戦士「あれが魔王か!?いやいや、マヌケ面すぎるし、絶対違うだろ!」

勇者「!! こっちに来るぞ」

魔王「えーと、君たち誰?」

勇者「・・・お前こそ誰だ」

魔王「怖いなぁ、初対面の人にそういう態度とっちゃだめだと思うんだけど」

勇者「・・・そうだな・・・俺は勇者」

魔法使い「私は魔法使いです」

戦士「俺は戦士だ」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:56:08.60 ID:ZBzhQdON0
魔王「・・・勇者?魔法使い?戦士?」

側近「魔王様・・・これ、勇者一行ですよ」

魔王「・・・やっぱり?」

勇者「おい、お前、今「魔王様」って言ったか?」

側近「・・・」

戦士「本物の魔王かy「ちょっと待て」

勇者「おかしくないか?魔王がこんな簡単に姿を現すわけがない」

勇者「つまり・・・影武者、こいつは偽物だ」

魔王(本物なのになー)

側近(魔王様、勇者を騙して、ここは撤退させましょう)

魔王(わかった)

魔王「バレたか・・・」

勇者「本物の魔王の場所を言え」

魔王「し、知らないよ・・・会ったこともないし・・・」

勇者「部下でさえ自分の姿を見せない・・・なんと徹底的な・・・」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 19:59:22.94 ID:ZBzhQdON0
勇者「もういい!さっさと消えろ!」

魔王「う、うん・・・」

側近(ラッキーでしたね)

魔王(ありがとう、側近がいなかったら危なかったよ)

勇者「どんなに弱くても、魔物は魔物。そいつらが近くにいる所で野宿は危険だ」

魔法使い「少し遠くに行きますか」

勇者「そうだな」

勇者(魔王め・・・悔しいが、ヤツに頭脳で勝てる気がしない・・・)

勇者(・・・だが!戦いは頭脳だけじゃない!俺は勝つ!)

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 20:02:24.90 ID:ZBzhQdON0
次の日

勇者「まずは町を探そう、確かこのあたりには、それなりに大きい町があったはずだが・・・」

魔法使い「あ、それなら東の方角ですね」

勇者「よし、行こう」

~魔王城~

魔王「うーん、なんか勇者たちは勘違いしてるっぽいけど・・・チャンス?」

側近「そうですね」

魔王「とりあえず、王都周辺、侵略しちゃう?」

側近「了解しました、各部隊、前回と同じ程度向かわせます」

魔王「成功するといいなー」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 20:06:36.62 ID:ZBzhQdON0
しばらくして、王都周辺が魔王軍に侵略された、という話を聞いた勇者一行

勇者「くそっ、完全に油断していた・・・」

魔法使い「まずいですね、このままでは、じきこの辺りも・・・」

勇者「依然本物の魔王の場所は掴めない・・・くそっ、どうすればいいんだ」

戦士「諦めるな勇者、ほかの町にも行ってみよう」

勇者「そうだな・・・」

~魔王城~

側近「魔王様、侵略は無事、成功しました」

魔王「おー、じゃあ、王都があった場所に魔物たちの拠点作って、そこを中心に範囲を広げていこう!」

側近「わかりました、伝えておきます」

魔王「やっぱり、こういうのしてると魔王っぽいよねー」

側近「立派ですよ、魔王様」

魔王「ふふふー」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 20:10:45.18 ID:ZBzhQdON0
数日後

勇者「もう、ダメかもな」

魔法使い「あれから、元王都からどんどん侵略は進められていって・・・」

戦士「もう、侵略されてないのはこのへんだけ」

勇者「・・・諦めよう」

魔法使い「勇者様!!・・・いえ、そうですね・・・」

戦士「勇者・・・お、俺は・・・」

勇者「戦士、わかってくれ、今降伏すれば、命は助かるかもしれない、でも」

戦士「わかってる!わかってる・・・だけど!」

勇者「・・・俺は、敵討ちより、お前らの命の方が大事なんだよ」

戦士「・・・・・・すまねえ、勇者。最後まで迷惑かけちまって・・・」

勇者「大変だったが、お前らとの旅、楽しかったぞ」

勇者「さあ、行くぞ」

魔法使い「私たちも・・・魔王の側になってしまうのですね・・・」

勇者「俺だって辛い・・・けど、そうするしかないだろう」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 20:16:32.56 ID:ZBzhQdON0
勇者「魔物どもぉ!!!」

魔物D「あれは・・・勇者!!最後の悪あがきをするつもりか!」

勇者「俺達勇者一行は・・・今、この瞬間を以て、魔王軍に降伏する!」

魔物たち「・・・えっ?」

勇者「頼む・・・俺はどうなってもいいから、こいつらの命だけは・・・」

魔物D「・・・とりあえず、魔王城で魔王様の話を」

~魔王城~

魔王「で、えーと、降伏?」

勇者「そうだ、正直、お前たちには勝てない」

側近(勘違いに勘違いか重なって、とうとう降伏までしましたか)

勇者「ただ・・・こいつらの命だけは、助けてやってくれ」

魔王「? 別にいいけど・・・あ、君の命も」

勇者「・・・そうか・・・魔物に感謝はしたくないが、頭は下げておく」ペコリ

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 20:19:06.26 ID:ZBzhQdON0
勇者「・・・・・・ん?」

勇者「おいちょっとまて、服装が前と少し違うが・・・お前、偽物だろう」

魔王「あーえっと、僕本物」

魔王「この前は君たちが騙されてただけで・・・」

勇者「は?」

魔王「っていうか、君たちが策略とか言ってたのも、全部勘違いだからね?」

勇者「・・・は?」

勇者「はああああぁぁぁっ!?」

魔王「でも、勘違いとはいえ、今降伏したよね?」

勇者「・・・」コクリ

魔王「はい、魔王軍の大勝利、世界征服完了ー」

勇者「俺達の・・・勘違いだったのか・・・」

魔法使い「あれ?もしかして」

戦士「俺達って・・・」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 20:21:19.05 ID:ZBzhQdON0
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勇者・魔法使い・戦士「ものすごいマヌケ?」






・・・こうして、世界は魔王に侵略されたのでした。

世界も、この物語も、おしまい。

引用元: 勇者「くそっ!魔王の策略か!」