1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 21:56:20.24 ID:9iTSHU300
部長「あら、改蔵くん。何見てるの?」

改蔵「食物連鎖ピラミッドです。ああ、なんて美しい……」ほれぼれっ

部長「特に何も手を加えなくとも自然に物事が上手く行くものって美しいわよね。有名所だとアダム・スミスの『神の見えざる手』だとか」

改蔵「しかし、人間の欲望そのものによって、こんな素晴らしきシステムが破壊されつつあるのです!なんと!なんと!嘆かわしいことでしょう!」

改蔵「自然破壊はんたーい!自然を、生き物をまもれー!」

部長「環境問題は色々重要だろうけど、そっちの方向に行き過ぎると引き返せなくなるわよ」


2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 21:58:02.78 ID:9iTSHU300
改蔵「しかし、その点科特部は素晴らしい!食物連鎖のピラミッドが、ちゃんと成り立ってるものなぁ!」ほれぼれっ


改蔵「なあ!なあ!」ぺしぺしっ

地丹「どういう意味だよ改蔵くん……」

部長「まあ確かに……」

部長「人間関係に置いては利用するか、されるか、どんなに同列な関係に居たと思っていても、弱肉強食で予定調和を図る食物連鎖システムって、結構働いてるのよね」


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:01:50.33 ID:9iTSHU300
ガラッ

羽美「うふふふふ」

部長「あら、羽美ちゃん」

部長「ヤケに機嫌がいいけど、なにかあったの?」

羽美「ふふふふ…なんと!」

羽美「なんと!私に友達が出来たの!」

一同「………」

羽美「ちょっと!なんなのよ!もうちょっと反応してくれたっていいじゃないの!」

部長「いや……まあ羽美ちゃんの友達っていつも幽霊とか」

改蔵「悪霊とか」

地丹「物の怪の類だから……」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:04:16.18 ID:9iTSHU300
羽美「し、失礼ね!ちゃんと人間の友達よっ!」

改蔵「……自分ってのもなしだぞ羽美」

羽美「あ、あたしを何だと思ってんのよ!」

地丹「だって……」

部長「前科があるもの……ねぇ」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:04:59.78 ID:9iTSHU300
羽美「はい、じゃあ入って」

ガラッ

女生徒「こんにちは。羽美ちゃんの友達です」

羽美「ふふん!」

改蔵「 」

地丹「 」

部長「あらあら……珍しい事もあるのね……」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:07:01.38 ID:9iTSHU300
羽美「まあ、偶然、偶然街を歩いてたら、この娘が私と友達になりたいって言うから」

地丹「ま、まさかこんなことって……」

部長「天変地異の前触れかしらねぇ」

羽美「あ、そうだ今日の放課後……」

女生徒「わぁ!改蔵さんですね!」

改蔵「あ、ああ…まあ……」

女生徒「ずーーっとお会いしたかったんです!これ、手紙とプレゼントです」きゃっきゃっ

羽美「あの……今日の………」

改蔵「どうもありがとう」

女生徒「きゃーっ!」

きゃっきゃっきゃっきゃっきゃっ


部長「ん?」

地丹「ん?」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:14:31.98 ID:9iTSHU300
羽美「ねえねえ、それで放課後……」

女生徒「でね改蔵くん!」

改蔵「へぇ」

きゃっきゃっきゃっきゃっきゃっきゃっ

羽美「それで……」

女生徒「改蔵くん!それでね!」

改蔵「へぇ」

きゃっきゃっきゃっきゃっきゃっきゃっ

羽美「…………」

きゃっきゃっきゃっきゃっきゃっきゃっきゃっ


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:16:19.78 ID:9iTSHU300
女生徒「あ、ごめん名取さん。で、何の用」

羽美「私たち、友達になったことだし早速放課後、映画に行かない?」

女生徒「ああー。ごめん。改蔵くんと行くことになっちゃったからー。じゃあねー名取さん」


ガラッ

羽美「…………」

部長「あー、これは羽美ちゃん」

地丹「利用されちゃったみたいですね……」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:17:49.98 ID:9iTSHU300
羽美「………」カチカチカチカチ

to:×××ちゃん
from:ウーミン
―――――――――――

改蔵なんかと行くより私の方がその映画のことくわしいし、楽しくみれるよ
だから私と行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう
行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう
行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう
行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう行きましょう

《送信エラー:ご指定のアドレスは使われていません》

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:19:24.59 ID:9iTSHU300
羽美(裏)「なぜだ!なぜだ!なぜだ!」

羽美(裏)「何かの間違いだ!間違いだ!間違いだ!」カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

部長「ああ、もうこうなったらどうしようもないわね」

地丹「ああ……」

羽美(裏)「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

改蔵「と、まあこんな感じで、利用する方も厄介ですが、一番厄介なのは利用されていることに気がつかず暴走しちゃう人間なんです」

部長「あんた……いつか刺されるわよ」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:21:39.77 ID:9iTSHU300
改蔵「利用されていることに気がつかず、暴走してしまう人間の、なんと厄介なこと!」

・宇宙生物に利用されちゃった魔法少女の皆さん ・テロリストに乗せられちゃった警察幹部の皆さん
・ゼーレに乗せられちゃった戦略自衛隊の皆さん ・ゲンドウに乗せられちゃった赤木親子
・オーベルシュタインの策に乗せられちゃった皆さん ・シロッコに利用されちゃったティターンズの皆さん
・山本……… ・あの裁判の……
・北の国の…… ・大戦中の……
・あの宗教の…… ・巨人の……
・前田くん  ・あの時の俺


改蔵「厄介なこと!」

部長「これ、分かってながら暴走した人も含まれてるわよね」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:24:27.09 ID:9iTSHU300
羽美(裏)「ちがう!私は断じて利用などされていない!」

羽美(裏)「 さ れ て い な い ! 」クワッ

ガラッ

改蔵「あー………」

部長「あーあー………」




21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:25:17.27 ID:9iTSHU300
ガラッ

部長「あら、もう帰ってきたの」

羽美「もー、改蔵達が変なこというからビックリしちゃったわ。利用なんてしてないってよ」

女生徒「ワタシ、ウミチャン、トモダチ、トモダチ」

羽美「ねー」

地丹・改蔵(な……何をしたんだ………)

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:25:57.62 ID:9iTSHU300
部長「ま、羽美ちゃんはともかく、人間関係を形成する上で、『利用されるか利用されないか』という関係もまた発生するのは自然なことね」

改蔵「人間関係の上でならまだしも、問題なのは…」

改蔵「利用すべきモノに利用されることですよ!」

羽美「何よそれ」


改蔵「例えば!」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:27:29.09 ID:9iTSHU300
よしこ先生「ああ、今日は牛乳買わなくっちゃ」

よしこ先生「じゃあこのスーパーで……」

よしこ先生「あっ、今日このスーパーのボイントカード無かったんだ

よしこ先生「仕方ない、じゃあボイントカード持ってる3キロ先のスーパーまで行こうかしら……」


――――――

改蔵「と、こんな風に、たった数円分の為によしこ先生は、老いた身体を引き摺って3キロ先のスーパーにまで行かなければならないんですよ!」

よしこ先生「老いた身体とは失礼な!」

羽美「行き遅れてる割に、主婦的な感覚はあるんですね」

よしこ先生「やかましい!」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:28:24.17 ID:9iTSHU300
改蔵「ああ、利用すべきものに利用されるかなしき者達よ!」


・明日一日会社頑張るためにアニメを見ていたハズがアニメ見るために会社休む
・スケジュール管理の為にSNS使ってたハズがSNSの為にスケジュール管理するように
・自分の身体のメンテナンスをするためにマッサージチェアー買ったのに、マッサージチェアのメンテナンスばっかりやるハメに
・使ってたはずの使用人に財産乗っ取られる
・使ってたはずの金髪の小僧に……
・使ってたはずのH君に踏み台にされた
・使われてたはずの小学館をいつか……


部長「……似たような話題、前にもやらなかったっけ」

改蔵「や、やりましたっけ」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:29:54.13 ID:9iTSHU300
地丹「と、とにかく利用されるのは恐ろしい!少なくとも羽美ちゃんのようには……」ガクガクブルブル

部長「そうね。まあ、モノはとにかく、他人に利用されないには……いっそ利用されないように徹底したらどうかしら」


地丹「それは名案だよ、すずちゃーん!」

地丹「俺は他人に利用されるものか!利用されるものか!」クワッ



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:33:10.70 ID:9iTSHU300
――――――

羽美「地丹くん、シャーペンの針貸してよ」
地丹「誰が貸すか!」キシャー!

よしこ先生「黒板、消してくれるかしら」地丹「誰が消すか!」キシャー!

山田さん「地丹くんあの……」
地丹「誰がやるか!」キシャー!

改蔵「地丹!」
地丹「誰が!誰が!誰が!誰が!」キシャーッ!!


羽美「なによアイツ、感じワルいわね」
しえちゃん「ねー」

地丹「ケッ、やっぱりアイツら俺を利用するき満々だったんじゃねえか!」

地丹「利用されるものか!利用されるものか!」キョーッ

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:36:00.14 ID:9iTSHU300
亜留美「センパーイ!」

亜留美「あのお弁当作って来たんで良かったら………」タタッ

地丹「誰が喰うか!」キョーッ!

亜留美「えっ……」

地丹「あっ………」

亜留美「ひどい!」タタタッ

地丹(ま、まずい……つい条件反射で)


不良「おい坪内、パン買ってこい!」

地丹「誰が買ってくるか!」キョー!

不良「あ?」
地丹「あっ」

地丹(ま、ま、まずい!つい条件反射で……)

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 22:37:36.84 ID:9iTSHU300
ボロッ

地丹「チッ!覚えてろよ!」ペッ

地丹「ケッ、誰も彼も……」
地丹「ババア!飯だ!」


シーン………

地丹「そうだ……誰もいなかったんだ………」

お母さんは酷いことを言ったあの時も
いじめられて泣いて帰ってきたあの時も ボロボロになって帰ってきたあの時も
優しく出迎えてくれました……

「利用されるか、されないか」
親子には関係なかったのです



地丹「おかーさーんー!!」




部長「皆さんここ、笑うところですよー」

―完―

引用元: 改蔵「ああ、いつみても美しいなぁ………」ほれぼれ