2: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 15:55:40.41 ID:yiK5XoKF
くらい。
「……ねえ」
こわい。
「ねえ」
…さみしい。
「ねえ、大丈夫? こんなところでどうしたの?」
え?
「お母さんやお父さんは?」
お父、さん…?
「……そう」
「それじゃああなた、名前は?」
名前…? 私の、名前は──
「……よく分かったわ」
「なら…そうね、その名前…私に引き取らせてもらえない?」
どういうこと?
「ごめんなさい、難しすぎたわね…うーんと」
「貴女に新しい名前をあげる」
あたらしい、なまえ…
「ええ、よく聞いてね」
「貴女はこれから────」
……
…
3: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 15:56:21.40 ID:yiK5XoKF
─────
──黒澤家
ルビィ「……」スヤ
「……ぃ…ルビィ…」
ルビィ「……う~ん…」ムニャ
「ルビィ!」
ルビィ「…………ん…?」
4: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 15:57:02.55 ID:yiK5XoKF
「いい加減起きなさい!」
ルビィ「わぁ!」バタン!
ルビィ「いたた……あ、お姉ちゃんだおはよう」ニマー
ダイヤ「……」
ダイヤ「はあ成程、おはようですか」
ルビィ「わぁ!」バタン!
ルビィ「いたた……あ、お姉ちゃんだおはよう」ニマー
ダイヤ「……」
ダイヤ「はあ成程、おはようですか」
5: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 15:57:35.08 ID:yiK5XoKF
ダイヤ「……言葉は正しく、丁寧に」
ルビィ「え?」
ダイヤ「こんにちはって意味」
ルビィ「……あぁ~」メソラシ
ダイヤ「では次の言葉は?」
ルビィ「え?」
ダイヤ「こんにちはって意味」
ルビィ「……あぁ~」メソラシ
ダイヤ「では次の言葉は?」
6: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 15:58:16.28 ID:yiK5XoKF
ルビィ「ごめんなさい?」
ダイヤ「…よろしい」
ダイヤ「下で花丸さんが待ってます、早く着替えていらっしゃい」
ルビィ「はーい」トテトテ
ダイヤ「全く…」
ダイヤ「…よろしい」
ダイヤ「下で花丸さんが待ってます、早く着替えていらっしゃい」
ルビィ「はーい」トテトテ
ダイヤ「全く…」
7: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 15:58:44.83 ID:yiK5XoKF
花丸「……」
タッタッタ
花丸「あっルビィちゃん」
ダイヤ「お待たせしました花丸さん」
ルビィ「お待たせしました」ニコ
ダイヤ「…」ジロッ
ルビィ「あ、あはは…」
花丸「またお寝坊さん?」クスクス
ルビィ「うーん、疲れてたのかなぁ?」
ダイヤ「いいから早く行きなさい、いつまで待たせるつもりですか」
ルビィ「えへへ、ごめんなさい」
タッタッタ
花丸「あっルビィちゃん」
ダイヤ「お待たせしました花丸さん」
ルビィ「お待たせしました」ニコ
ダイヤ「…」ジロッ
ルビィ「あ、あはは…」
花丸「またお寝坊さん?」クスクス
ルビィ「うーん、疲れてたのかなぁ?」
ダイヤ「いいから早く行きなさい、いつまで待たせるつもりですか」
ルビィ「えへへ、ごめんなさい」
8: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 15:59:23.42 ID:yiK5XoKF
ルビィ「それじゃあ行ってきます」
花丸「いってきます」
ダイヤ「はい、いってらっしゃい」
スタスタ
ダイヤ「……あれが、来月から高校生ですか」
ダイヤ「先行きが不安というか何というか……」
ダイヤ「──本当に、あっという間」
花丸「いってきます」
ダイヤ「はい、いってらっしゃい」
スタスタ
ダイヤ「……あれが、来月から高校生ですか」
ダイヤ「先行きが不安というか何というか……」
ダイヤ「──本当に、あっという間」
9: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:00:01.28 ID:yiK5XoKF
……
ルビィ「でも本当にごめんね花丸ちゃん、行こうって言ったのはルビィなのに」
花丸「大丈夫ずら、そんなに待ってなかったから、本当だよ?」
ルビィ「…また、いつもの?」
花丸「そう、いつもの」
ルビィ「…」
花丸「無理はしてないよ、好きだからやってるだけ…マルがそうしたいの」
ルビィ「そっか…なら、大丈夫だね」
花丸「ふふん、心配はご無用ずら! それよりそろそろ着いてもいいような」
10: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:00:31.30 ID:yiK5XoKF
ルビィ「そうだねぇ……ん? ねえ花丸ちゃん、もしかしてアレかなぁ?」ユビサシ
花丸「きっとそうずら! 見覚えあるもん!」
ルビィ「結構歩いたねぇ…ってあれ?」
「……」
ルビィ「あの人…」
タッタッタ
花丸「え、ちょっとルビィちゃん?」
花丸「きっとそうずら! 見覚えあるもん!」
ルビィ「結構歩いたねぇ…ってあれ?」
「……」
ルビィ「あの人…」
タッタッタ
花丸「え、ちょっとルビィちゃん?」
11: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:01:01.66 ID:yiK5XoKF
「……ふーん」
ルビィ「おはようございます」ヒョコッ
「? それを言うならこんにちはでしょ」
ルビィ「ああそうだった」
「ていうかいきなり話しかけてきたけど、あんた誰よ」
ルビィ「うん、まあそれは置いといて」
ルビィ「おはようございます」ヒョコッ
「? それを言うならこんにちはでしょ」
ルビィ「ああそうだった」
「ていうかいきなり話しかけてきたけど、あんた誰よ」
ルビィ「うん、まあそれは置いといて」
12: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:01:30.73 ID:yiK5XoKF
「ちょっと」
ルビィ「ねえねえ、何がふーん、なの?」ジッ
「いや、どうしてそんなことを一々答えなくちゃ…」
ルビィ「……」
「……はあ…別に、特に深い意味はないけど…ただ」
ルビィ「ただ?」
「ここが来月から私が通う学校なんだなって、それだけ」
ルビィ「ねえねえ、何がふーん、なの?」ジッ
「いや、どうしてそんなことを一々答えなくちゃ…」
ルビィ「……」
「……はあ…別に、特に深い意味はないけど…ただ」
ルビィ「ただ?」
「ここが来月から私が通う学校なんだなって、それだけ」
13: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:02:03.83 ID:yiK5XoKF
ルビィ「ふーん」
「何がふーん、なのよ? というか何なのさっきから」
ルビィ「えっとね、特に深い意味はないんだけど」
ルビィ「こんな綺麗な人がルビィたちと一緒の学校なんだなぁって、それだけ」ニコ
「……は?」
ルビィ「あっ、あと優しそう」
「はあ!? な、何いきなり恥ずかしいこと言ってんのあんた!?」
ルビィ「え、よく言われないの?」
「今どき漫画でもそんな軟派めいた発言聞かないわよ!」
「何がふーん、なのよ? というか何なのさっきから」
ルビィ「えっとね、特に深い意味はないんだけど」
ルビィ「こんな綺麗な人がルビィたちと一緒の学校なんだなぁって、それだけ」ニコ
「……は?」
ルビィ「あっ、あと優しそう」
「はあ!? な、何いきなり恥ずかしいこと言ってんのあんた!?」
ルビィ「え、よく言われないの?」
「今どき漫画でもそんな軟派めいた発言聞かないわよ!」
14: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:02:33.66 ID:yiK5XoKF
ルビィ「そうかなあ、本当のことなのに」
「本当のことってねえ……ああ、成程そういうタイプか…」
「いい? あのね、仮に思っていたとしても、そういうのはむやみやたらに言わないほうが…」
花丸「ルビィちゃん! どうしたのいきなり走り出して」ハアハア
ルビィ「うん、綺麗な女の子がいたから」
「言ってるそばから!? 少しは人の話聞きなさいよ!」
花丸「女の子?」
ルビィ「ルビィたちと一緒の学校なんだって」
「本当のことってねえ……ああ、成程そういうタイプか…」
「いい? あのね、仮に思っていたとしても、そういうのはむやみやたらに言わないほうが…」
花丸「ルビィちゃん! どうしたのいきなり走り出して」ハアハア
ルビィ「うん、綺麗な女の子がいたから」
「言ってるそばから!? 少しは人の話聞きなさいよ!」
花丸「女の子?」
ルビィ「ルビィたちと一緒の学校なんだって」
15: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:03:00.25 ID:yiK5XoKF
花丸「へえ~……」ジーッ
「今度はなに?」
花丸「いや、どこかで会ったことがあるような…」
「また決まったような誘い文句を…人は見かけによらないって本当なのね」ハァー
「あんたら二人ともそんなのとは無縁そうな顔してるくせに、まあ揃いも揃って…「善子ちゃん!」
「……はい?」
花丸「善子ちゃんでしょ、あなた」
善子「…なんで知ってるのよ」
「今度はなに?」
花丸「いや、どこかで会ったことがあるような…」
「また決まったような誘い文句を…人は見かけによらないって本当なのね」ハァー
「あんたら二人ともそんなのとは無縁そうな顔してるくせに、まあ揃いも揃って…「善子ちゃん!」
「……はい?」
花丸「善子ちゃんでしょ、あなた」
善子「…なんで知ってるのよ」
16: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:03:29.58 ID:yiK5XoKF
花丸「やっぱり善子ちゃんなんだ!」
ルビィ「知り合いだったの?」
花丸「うん、幼稚園でちょっとだけ」
善子「いや、私は知らないんだけど」
花丸「知らないじゃなくて覚えてない、ね。 マルは思い出したわけだし」
ルビィ「知り合いだったの?」
花丸「うん、幼稚園でちょっとだけ」
善子「いや、私は知らないんだけど」
花丸「知らないじゃなくて覚えてない、ね。 マルは思い出したわけだし」
17: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:04:01.89 ID:yiK5XoKF
善子「…まあ、確かに一回ここに住んでたことはあるってママは言ってたけど」
善子「よくそんな昔の、しかも短い間のことを覚えていられるわね」
ルビィ「花丸ちゃんは記憶力がいいもんね」
花丸「エッヘンずら」
善子(あっ、これどっちもマイペース側の人間だわ)
善子「よくそんな昔の、しかも短い間のことを覚えていられるわね」
ルビィ「花丸ちゃんは記憶力がいいもんね」
花丸「エッヘンずら」
善子(あっ、これどっちもマイペース側の人間だわ)
18: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:04:29.90 ID:yiK5XoKF
善子「…ああそう、なら」
善子「私の記憶に残すためにも、そちらの名前も教えてもらおうかしら」
ルビィ・花丸「え?」
善子「自分の方から話しかけておいて、そのままハイさよならは失礼じゃない?」
善子「それにそっちも、人に名前を尋ねるときはまず自分からでしょ、一般教養」
ルビィ・花丸「ああ~、確かに」
善子(やっぱり抜けてるわ、この子ら)
善子「私の記憶に残すためにも、そちらの名前も教えてもらおうかしら」
ルビィ・花丸「え?」
善子「自分の方から話しかけておいて、そのままハイさよならは失礼じゃない?」
善子「それにそっちも、人に名前を尋ねるときはまず自分からでしょ、一般教養」
ルビィ・花丸「ああ~、確かに」
善子(やっぱり抜けてるわ、この子ら)
19: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:05:09.96 ID:yiK5XoKF
ルビィ「えっとね、黒澤ルビィっていいます」ペコリ
花丸「国木田花丸です」
善子「なんでこういう時だけ礼儀正しいのあんたら」
善子「まあいいわ、私は津島善子。よろしく」
ルビィ「善子ちゃんね」
花丸「うん善子ちゃん」
善子「なんでどっちもほぼ初対面みたいなものなのにそんな馴れ馴れしいの」
花丸「国木田花丸です」
善子「なんでこういう時だけ礼儀正しいのあんたら」
善子「まあいいわ、私は津島善子。よろしく」
ルビィ「善子ちゃんね」
花丸「うん善子ちゃん」
善子「なんでどっちもほぼ初対面みたいなものなのにそんな馴れ馴れしいの」
20: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:05:36.70 ID:yiK5XoKF
ルビィ「じゃあルビィたちのことも名前で呼んだらいいよ、それならおあいこでしょ?」
善子「違う、そうじゃなくて」
花丸「マルのことは花丸って呼んでほしいずら」
善子「ホントに人の話聞かないわね貴女たち!!」
ルビィ「ねえ、じゃあ善子ちゃんはどうしてほしいの?」
善子「えっ、いや、どうってそう言われると……まあ、何かしら」
ルビィ「?」
善子「じ、地道によろしく…とか?」
ルビィ「ふーん、善子ちゃんってちょっと変だね」クスッ
善子「あんただけには絶対言われたくないわ」
善子「違う、そうじゃなくて」
花丸「マルのことは花丸って呼んでほしいずら」
善子「ホントに人の話聞かないわね貴女たち!!」
ルビィ「ねえ、じゃあ善子ちゃんはどうしてほしいの?」
善子「えっ、いや、どうってそう言われると……まあ、何かしら」
ルビィ「?」
善子「じ、地道によろしく…とか?」
ルビィ「ふーん、善子ちゃんってちょっと変だね」クスッ
善子「あんただけには絶対言われたくないわ」
21: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:06:06.78 ID:yiK5XoKF
ルビィ「……んー、そうだね」
善子「…? いや、けど名前の呼びかたくらいならそうね、考えておくわ」
ルビィ「えへへ、ありがと。善子ちゃんって優しいんだ?」
善子「…初めのうちから分かったように言うのもねえ」
ルビィ「そうかな? ルビィは最初からずっとそう思ってたけど」
善子「…? いや、けど名前の呼びかたくらいならそうね、考えておくわ」
ルビィ「えへへ、ありがと。善子ちゃんって優しいんだ?」
善子「…初めのうちから分かったように言うのもねえ」
ルビィ「そうかな? ルビィは最初からずっとそう思ってたけど」
22: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:06:34.36 ID:yiK5XoKF
善子「はあ?」
ルビィ「だってルビィの話、ちゃんと聞いてくれてたでしょ?」
善子「……」
ルビィ「あっもうこんな時間だ、そろそろ帰らなくちゃ」
ルビィ「じゃあまたね、善子ちゃん」タッ
ルビィ「だってルビィの話、ちゃんと聞いてくれてたでしょ?」
善子「……」
ルビィ「あっもうこんな時間だ、そろそろ帰らなくちゃ」
ルビィ「じゃあまたね、善子ちゃん」タッ
23: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:07:03.70 ID:yiK5XoKF
善子「…………ねえ」
花丸「ん?」
善子「やっぱりあっちの方が変よね」
花丸「そうだねえ、確かにルビィちゃんは少し変わってるかも」
善子「ほら」
花丸「でもいい子だよ?」
善子「それは、なんとなく分かるけど」
花丸「ん?」
善子「やっぱりあっちの方が変よね」
花丸「そうだねえ、確かにルビィちゃんは少し変わってるかも」
善子「ほら」
花丸「でもいい子だよ?」
善子「それは、なんとなく分かるけど」
24: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:07:29.65 ID:yiK5XoKF
花丸「まあそれを含めても今日の行動にはちょっと驚いたかな」
善子「どうして?」
花丸「ルビィちゃん、かなり人見知りだから」
善子「…私はその事実に今日一番驚いたわ、あれが人見知りだっていうの?」
花丸「うん、初対面だとほとんど話せない」
善子「嘘みたい」
花丸「嘘じゃないよ、だから少し考えたんだけど」
善子「なによ」
花丸「善子ちゃん、前にルビィちゃんと会ったことあるんじゃない?」
善子「どうして?」
花丸「ルビィちゃん、かなり人見知りだから」
善子「…私はその事実に今日一番驚いたわ、あれが人見知りだっていうの?」
花丸「うん、初対面だとほとんど話せない」
善子「嘘みたい」
花丸「嘘じゃないよ、だから少し考えたんだけど」
善子「なによ」
花丸「善子ちゃん、前にルビィちゃんと会ったことあるんじゃない?」
25: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:07:56.82 ID:yiK5XoKF
善子「……いや、まったく記憶にないんだけど」
花丸「そう? なーんかルビィちゃんも知ってるような感じだったけど…マルの気のせいかな?」
善子「そんなこと言われても…」ウーン
善子「確かにそっちの方がしっくりくるし筋も通ると思うけど、本当に見に覚えがないのよねえ…」
花丸「そっか、あくまでかもしれないの話だしね」
花丸「そう? なーんかルビィちゃんも知ってるような感じだったけど…マルの気のせいかな?」
善子「そんなこと言われても…」ウーン
善子「確かにそっちの方がしっくりくるし筋も通ると思うけど、本当に見に覚えがないのよねえ…」
花丸「そっか、あくまでかもしれないの話だしね」
26: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:08:25.04 ID:yiK5XoKF
花丸「けど、もしそうじゃなかったら」
善子「なかったら?」
花丸「運命──とかかな? きっと」
善子「…………どっちにしても私は運命に変わりないと思うけど」
花丸「あ、それもそうかも」
善子「なかったら?」
花丸「運命──とかかな? きっと」
善子「…………どっちにしても私は運命に変わりないと思うけど」
花丸「あ、それもそうかも」
27: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:08:53.02 ID:yiK5XoKF
善子「しかし、運命ね……また大袈裟な」
花丸「もしかして疑ってる?」
善子「当たり前でしょ」
花丸「だよね、でもそういうの関係なしに仲良くしてくれると嬉しいな」
花丸「あんなルビィちゃん、初めて見たから」
善子「……」
ルビィ「花丸ちゃーん! 早くー!」
花丸「もしかして疑ってる?」
善子「当たり前でしょ」
花丸「だよね、でもそういうの関係なしに仲良くしてくれると嬉しいな」
花丸「あんなルビィちゃん、初めて見たから」
善子「……」
ルビィ「花丸ちゃーん! 早くー!」
28: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:09:19.12 ID:yiK5XoKF
花丸「はーい! じゃあマルもそろそろ行くね」
善子「…ちょっと待って」
花丸「ん?」
善子「これ、持っていきなさい」
花丸「これは?」
善子「私の連絡先」
花丸「ありがとう、きっと喜ぶよ」ニコッ
善子「へえ。誰かは知らないけど、それは何よりね」
善子「…ちょっと待って」
花丸「ん?」
善子「これ、持っていきなさい」
花丸「これは?」
善子「私の連絡先」
花丸「ありがとう、きっと喜ぶよ」ニコッ
善子「へえ。誰かは知らないけど、それは何よりね」
29: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:09:46.42 ID:yiK5XoKF
花丸「またねー」フリフリ
善子「……いい子、ねえ」
善子「なんで連絡先渡したんだろ」
善子「ま、いいけど……さてと。そろそろ私も帰るかしらね」
スタスタ
善子「…あれ、そういえば」
善子「あの子たち、何しにここに来たのかしら?」
善子「……いい子、ねえ」
善子「なんで連絡先渡したんだろ」
善子「ま、いいけど……さてと。そろそろ私も帰るかしらね」
スタスタ
善子「…あれ、そういえば」
善子「あの子たち、何しにここに来たのかしら?」
30: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:10:19.78 ID:yiK5XoKF
ルビィ「ただいまー」
花丸「お邪魔します」
ダイヤ「二人ともおかえりなさい、学校はどうでしたか?」
ルビィ・花丸「え?」
ダイヤ「え? って見に行ってきたのでしょう?」
ルビィ「……なにを?」
ダイヤ「いや、だから学校」
花丸「お邪魔します」
ダイヤ「二人ともおかえりなさい、学校はどうでしたか?」
ルビィ・花丸「え?」
ダイヤ「え? って見に行ってきたのでしょう?」
ルビィ「……なにを?」
ダイヤ「いや、だから学校」
31: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:10:50.29 ID:yiK5XoKF
ルビィ・花丸「……」
ルビィ「凄く綺麗な女の子がいたよ」シレッ
ダイヤ「は? 女の子?」
ダイヤ「ちょっと何を言ってるのやら…ねえ花丸さん」
花丸「……」
ダイヤ「花丸さん?」
花丸「…えっと、連絡先もらいました」
ダイヤ「何しに行ったの貴女たち」
ルビィ「凄く綺麗な女の子がいたよ」シレッ
ダイヤ「は? 女の子?」
ダイヤ「ちょっと何を言ってるのやら…ねえ花丸さん」
花丸「……」
ダイヤ「花丸さん?」
花丸「…えっと、連絡先もらいました」
ダイヤ「何しに行ったの貴女たち」
32: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:11:25.80 ID:yiK5XoKF
それから二週間後…
善子「……」
ルビィ「……」ニコニコ
善子「あのさ」
ルビィ「うん」
善子「一つだけ言っていい?」
ルビィ「はい」
善子「しつこい」
ルビィ「え?」
33: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:11:59.19 ID:yiK5XoKF
ルビィ「なにが?」
善子「何がじゃないわよ、ここ数日の間にどれだけあんたの会話に付き合わされたと思っているの」
善子「あと二週間もすれば高校に入って嫌でも顔を合わせるでしょうに」
ルビィ「えへへっ、善子ちゃんといるのは飽きないからねえ」
善子「何がそんなにいいんだか…」
ルビィ「ルビィにもよく分からない」
善子「そこはハッキリさせときなさいよ」
善子「何がじゃないわよ、ここ数日の間にどれだけあんたの会話に付き合わされたと思っているの」
善子「あと二週間もすれば高校に入って嫌でも顔を合わせるでしょうに」
ルビィ「えへへっ、善子ちゃんといるのは飽きないからねえ」
善子「何がそんなにいいんだか…」
ルビィ「ルビィにもよく分からない」
善子「そこはハッキリさせときなさいよ」
34: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:12:32.93 ID:yiK5XoKF
ルビィ「楽しいから別にいいかなぁって」
善子「呑気よねホントに」
ルビィ「あ、じゃあその良いところを見つけるために会ってたっていうのは?」
善子「本人に堂々と後付け宣言するってどうなのよ」
ルビィ「駄目? いいと思ったんだけどなあ…」
善子「……ならもう勝手にすれば? いちいち聞くのも馬鹿らしくなってきたわ」
ルビィ「やった、善子ちゃん大好き」
善子「随分と都合がいいときに出る大好きね」
善子「呑気よねホントに」
ルビィ「あ、じゃあその良いところを見つけるために会ってたっていうのは?」
善子「本人に堂々と後付け宣言するってどうなのよ」
ルビィ「駄目? いいと思ったんだけどなあ…」
善子「……ならもう勝手にすれば? いちいち聞くのも馬鹿らしくなってきたわ」
ルビィ「やった、善子ちゃん大好き」
善子「随分と都合がいいときに出る大好きね」
35: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:12:59.99 ID:yiK5XoKF
ルビィ「言おうと思ったから言っただけなのに」
善子「どうだか」
ルビィ「でも善子ちゃん嬉しそうだよね」
善子「……気のせいでしょ」
ルビィ「そうかなぁ? うーん、まあいいや」
善子「そこはいいのね」
ルビィ「それより善子ちゃん、今日はお買い物に行こうよ」
善子「どうだか」
ルビィ「でも善子ちゃん嬉しそうだよね」
善子「……気のせいでしょ」
ルビィ「そうかなぁ? うーん、まあいいや」
善子「そこはいいのね」
ルビィ「それより善子ちゃん、今日はお買い物に行こうよ」
36: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:13:26.43 ID:yiK5XoKF
善子「買い物ねえ、服でも見に行くの?」
ルビィ「半分正解」
善子「半分ってどういうことよ」
ルビィ「まあまあ、行ってみれば分かるよ」ニコッ
ルビィ「フフッ楽しみだなぁ…」テクテク
善子「……やっぱり変というか」
善子「何考えてるのか、未だに分からないわあの子」
ルビィ「半分正解」
善子「半分ってどういうことよ」
ルビィ「まあまあ、行ってみれば分かるよ」ニコッ
ルビィ「フフッ楽しみだなぁ…」テクテク
善子「……やっぱり変というか」
善子「何考えてるのか、未だに分からないわあの子」
37: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:13:53.90 ID:yiK5XoKF
善子「ま、一緒にいるのは嫌じゃないけど」
ルビィ「善子ちゃーん」
善子「はいはい分かってますって」スタスタ
善子「今そっちに行くからもう少し…ってちょっと! なに先に進んでるの!」
善子「ルビィ! あーもう本当に勝手なんだから! あとで説教してやるわ!」
ルビィ「善子ちゃーん」
善子「はいはい分かってますって」スタスタ
善子「今そっちに行くからもう少し…ってちょっと! なに先に進んでるの!」
善子「ルビィ! あーもう本当に勝手なんだから! あとで説教してやるわ!」
38: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:14:24.28 ID:yiK5XoKF
~店内~
ルビィ「ごめんなさい、久しぶりだからワクワクしちゃって」
善子「あのねえ…もし離れて迷子にでもなったらどうするつもりだったのよ」
ルビィ「それは困るかなぁ、善子ちゃんと一緒に行くのが楽しみだったんだもん」
善子「……なら余計落ち着きなさいっての、全く」
ルビィ「はーい」
善子「しっかしアイドルの衣装ねえ…半分正解ってこういうこと」
ルビィ「うん! ルビィね、アイドルが好きなんだぁ」
39: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:14:50.66 ID:yiK5XoKF
善子「ふーん、アイドルか…いいんじゃない?」
善子「よくいるもんね、ルビィみたいなちっちゃい子って」
ルビィ「それって可愛いって意味で言ってるの?」
善子「そう捉えられるなら、ある意味向いてるかもね」
ルビィ「ありがとう、でももっと向いてそうな人がいるよ?」
善子「へえ、誰?」
ルビィ「善子ちゃん」
善子「よくいるもんね、ルビィみたいなちっちゃい子って」
ルビィ「それって可愛いって意味で言ってるの?」
善子「そう捉えられるなら、ある意味向いてるかもね」
ルビィ「ありがとう、でももっと向いてそうな人がいるよ?」
善子「へえ、誰?」
ルビィ「善子ちゃん」
40: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:15:16.69 ID:yiK5XoKF
善子「私って、なんでまた」
ルビィ「美人さんだし、スタイルもいいし、何より姿勢が悪くない」
ルビィ「しゃんとしてるって言うのかなぁ、だからね、善子ちゃんなら絶対にスクールアイドル向いてる! って最初見たときに思ったんだぁ」
善子「…はい?」
ルビィ「ざっくり言うとアイドルの資質、みたいな感じかも」
善子「それを初見で……へえ、成程つまり」
善子「あのとき、あんたはそんなアイドル事務所のスカウトみたいな感じで私に話しかけてきたと?」
ルビィ「うーん、分からないけど…多分そうかも」
善子「……」
ルビィ「美人さんだし、スタイルもいいし、何より姿勢が悪くない」
ルビィ「しゃんとしてるって言うのかなぁ、だからね、善子ちゃんなら絶対にスクールアイドル向いてる! って最初見たときに思ったんだぁ」
善子「…はい?」
ルビィ「ざっくり言うとアイドルの資質、みたいな感じかも」
善子「それを初見で……へえ、成程つまり」
善子「あのとき、あんたはそんなアイドル事務所のスカウトみたいな感じで私に話しかけてきたと?」
ルビィ「うーん、分からないけど…多分そうかも」
善子「……」
41: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:15:43.39 ID:yiK5XoKF
ルビィ「でも、どうだろう…それだけじゃないような……ん? 花丸ちゃんだ」
花丸「ルビィちゃん! また善子ちゃんとお出かけ?」
ルビィ「そうだよー、今日はね、善子ちゃんに似合う衣装を探そうと思って」
花丸「そっかそっか、善子ちゃんもこんにちは。すっかり仲良くなったね?」
善子「ああ花丸、丁度いい所に」
花丸「ん?」
花丸「ルビィちゃん! また善子ちゃんとお出かけ?」
ルビィ「そうだよー、今日はね、善子ちゃんに似合う衣装を探そうと思って」
花丸「そっかそっか、善子ちゃんもこんにちは。すっかり仲良くなったね?」
善子「ああ花丸、丁度いい所に」
花丸「ん?」
42: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:16:10.44 ID:yiK5XoKF
善子「ちょっとこっち、ルビィはそこで少し待ってて」
ルビィ「うん、別にいいけど」
善子「悪いわねすぐに終わるから、行くわよ」
花丸「…なにがなんだか分からないけど、とりあえず行ってくるね」
ルビィ「はーい、いってらっしゃい」
ルビィ「…何の話だろう?」
ルビィ「うん、別にいいけど」
善子「悪いわねすぐに終わるから、行くわよ」
花丸「…なにがなんだか分からないけど、とりあえず行ってくるね」
ルビィ「はーい、いってらっしゃい」
ルビィ「…何の話だろう?」
43: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:16:42.86 ID:yiK5XoKF
……
善子「よし、これくらいでいいわね」
花丸「善子ちゃん、どうしたの急に、何かあった?」
善子「あんた二週間前に私とした会話覚えてる?」
花丸「あの学校の前で会ったときの? 覚えてるけど」
善子「記憶力いいって言ってたものね…じゃあ改めて聞くけど」
花丸「うん」
44: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:17:08.87 ID:yiK5XoKF
善子「……何が運命ですって?」ガシッ
花丸「ずら?」
善子「思いっきり個人的願望が含まれていたんだけど!? 何だったのよこの前の意味ありげなやり取りは!」
善子「そういうロマンとは程遠い事実が今しがた! あの子の口から証明されたわよ!」
花丸「いきなり何の話? …ってああ、ルビィちゃんにアイドルのことで何か言われたの?」
花丸「そうだよね、善子ちゃん美人さんだもん」フフッ
花丸「ずら?」
善子「思いっきり個人的願望が含まれていたんだけど!? 何だったのよこの前の意味ありげなやり取りは!」
善子「そういうロマンとは程遠い事実が今しがた! あの子の口から証明されたわよ!」
花丸「いきなり何の話? …ってああ、ルビィちゃんにアイドルのことで何か言われたの?」
花丸「そうだよね、善子ちゃん美人さんだもん」フフッ
45: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:17:36.60 ID:yiK5XoKF
善子「なにを?気に笑ってんのよ! あーもう、本当にがっかりだわ……」
花丸「んー? まあ違ってたのは謝るけど、そんなにムキになることかなあ」
善子「ムキっていうか、現実とのギャップっていうか…」
花丸「ぎゃっぷ?」
善子「なんか…違ったから、私が初めてあの子と会ったときに感じたものと」
花丸「んー? まあ違ってたのは謝るけど、そんなにムキになることかなあ」
善子「ムキっていうか、現実とのギャップっていうか…」
花丸「ぎゃっぷ?」
善子「なんか…違ったから、私が初めてあの子と会ったときに感じたものと」
46: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:18:11.68 ID:yiK5XoKF
善子「なにを呑気に笑ってんのよ! あーもう、本当にがっかりだわ……」
花丸「んー? まあ違ってたのは謝るけど、そんなにムキになることかなあ」
善子「ムキっていうか、現実とのギャップっていうか…」
花丸「ぎゃっぷ?」
善子「なんか…違ったから、私が初めてあの子と会ったときに感じたものと」
花丸「んー? まあ違ってたのは謝るけど、そんなにムキになることかなあ」
善子「ムキっていうか、現実とのギャップっていうか…」
花丸「ぎゃっぷ?」
善子「なんか…違ったから、私が初めてあの子と会ったときに感じたものと」
47: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:18:51.79 ID:yiK5XoKF
花丸「違うって?」
善子「だから…確かに変わってはいるけどあの子はもっとこう、純粋で真っ直ぐなもんだと思ってたのに」
善子「向こうからすれば勝手な話かもしれないけど、ね」
善子「でもあまりいないタイプだから運命だなんて聞いたときには疑いもあったけど多少の期待もあったのよ、それなりには。なのにねえ…」ハァ
花丸「……ふうん、だからがっかりだと」
善子「だから…確かに変わってはいるけどあの子はもっとこう、純粋で真っ直ぐなもんだと思ってたのに」
善子「向こうからすれば勝手な話かもしれないけど、ね」
善子「でもあまりいないタイプだから運命だなんて聞いたときには疑いもあったけど多少の期待もあったのよ、それなりには。なのにねえ…」ハァ
花丸「……ふうん、だからがっかりだと」
48: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:19:23.88 ID:yiK5XoKF
善子「何よ」
花丸「善子ちゃん、推しのスキャンダルがばれたら発狂しそうな考え方してるね」
善子「ちょっと!? どうしてここで具体的かつ的確な追い打ちをするのよ! どんだけえげつないのあんた!」
花丸「ごめんごめん、冗談で言っただけだから気にしないで」
善子「冗談って…悪いけど、洒落ならもう少し小粒で気の利いたものにしてちょうだい……」
花丸「善子ちゃん、推しのスキャンダルがばれたら発狂しそうな考え方してるね」
善子「ちょっと!? どうしてここで具体的かつ的確な追い打ちをするのよ! どんだけえげつないのあんた!」
花丸「ごめんごめん、冗談で言っただけだから気にしないで」
善子「冗談って…悪いけど、洒落ならもう少し小粒で気の利いたものにしてちょうだい……」
49: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:19:50.51 ID:yiK5XoKF
花丸「でも善子ちゃんって意外とロマンチストなんだね」
善子「ほっといて」
花丸「まあまあ、理想を求めるのもいいことだよ?」
花丸「ただ、そんな善子ちゃんのために一つ補足させてもらうけど」
花丸「それくらいの理由じゃルビィちゃんは自分から話しかけたりしないよ、精々心の中で思うくらいかな」
善子「え、そんなもんなの?」
善子「ほっといて」
花丸「まあまあ、理想を求めるのもいいことだよ?」
花丸「ただ、そんな善子ちゃんのために一つ補足させてもらうけど」
花丸「それくらいの理由じゃルビィちゃんは自分から話しかけたりしないよ、精々心の中で思うくらいかな」
善子「え、そんなもんなの?」
50: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:20:42.64 ID:yiK5XoKF
花丸「うん、だから落ち込むにはまだ早いんじゃないかな。とは言ってもマルのこの運命説も所詮は個人的願望に過ぎないんだけどね」
善子「はあ……つまり私は最初からあんたたちの"なんとなく"に振り回されたってこと」
花丸「いやあそう聞くとなんだか申し訳なくなってきたずら」
善子「笑いながら言っても説得力ないわよ……まあいいわ、知り合えたことに文句はないわけだし」
善子「ただ、思わせぶりな言い方は今後控えてもらいたいわね」
花丸「善処はします」
善子「その答えじゃどこまでもつのやら分かったもんじゃないわね、取り敢えず戻りましょ。あんまり待たせても悪いし」
花丸「了解ずら~」
善子「はあ……つまり私は最初からあんたたちの"なんとなく"に振り回されたってこと」
花丸「いやあそう聞くとなんだか申し訳なくなってきたずら」
善子「笑いながら言っても説得力ないわよ……まあいいわ、知り合えたことに文句はないわけだし」
善子「ただ、思わせぶりな言い方は今後控えてもらいたいわね」
花丸「善処はします」
善子「その答えじゃどこまでもつのやら分かったもんじゃないわね、取り敢えず戻りましょ。あんまり待たせても悪いし」
花丸「了解ずら~」
51: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:21:08.64 ID:yiK5XoKF
ルビィ「あ、おかえりなさい。長かったね」
善子「少しごたついてね、でも大丈夫、一応解決はしたから」
ルビィ「そっか、花丸ちゃんはこれから用事?」
花丸「うん、もう少し一人で見て回りたいかなって」
ルビィ「わかった、それじゃあ今日はお別れだね」
花丸「うん、またね。善子ちゃんも」
善子「ええ、また」
善子「少しごたついてね、でも大丈夫、一応解決はしたから」
ルビィ「そっか、花丸ちゃんはこれから用事?」
花丸「うん、もう少し一人で見て回りたいかなって」
ルビィ「わかった、それじゃあ今日はお別れだね」
花丸「うん、またね。善子ちゃんも」
善子「ええ、また」
52: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:21:34.71 ID:yiK5XoKF
ルビィ「花丸ちゃんと仲いいんだね」
善子「どうしてそう思うのよ」
ルビィ「前より距離が近かったから」
善子「意外と話しやすいってだけよ」
ルビィ「そこが花丸ちゃんのいいところなんだけどね」
善子「…ま、雰囲気の良さってのはあるかもね。それより」
善子「ねえルビィ、気になってたんだけど。花丸がこういったところに来るのってなかなか珍しいんじゃない?」
ルビィ「ん、なんで?」
善子「どうしてそう思うのよ」
ルビィ「前より距離が近かったから」
善子「意外と話しやすいってだけよ」
ルビィ「そこが花丸ちゃんのいいところなんだけどね」
善子「…ま、雰囲気の良さってのはあるかもね。それより」
善子「ねえルビィ、気になってたんだけど。花丸がこういったところに来るのってなかなか珍しいんじゃない?」
ルビィ「ん、なんで?」
53: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:22:01.65 ID:yiK5XoKF
善子「いや、あの子はあの子でぼんやりしてるというか」
善子「こういったアイドルものには興味ない気がしてたからちょっとね」
善子「どっちかと言えば、花丸って文学系なイメージだし」
ルビィ「わあ、善子ちゃん鋭いね。大当たり」
善子「やっぱりそうなの? けど、それならどうしてこんなお店になんか」
ルビィ「うーん、気分転換ってやつじゃないかなあ」
ルビィ「…たまーに行きたくなる、とか」
善子「成程ね、気晴らしか」
善子「こういったアイドルものには興味ない気がしてたからちょっとね」
善子「どっちかと言えば、花丸って文学系なイメージだし」
ルビィ「わあ、善子ちゃん鋭いね。大当たり」
善子「やっぱりそうなの? けど、それならどうしてこんなお店になんか」
ルビィ「うーん、気分転換ってやつじゃないかなあ」
ルビィ「…たまーに行きたくなる、とか」
善子「成程ね、気晴らしか」
54: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:22:29.18 ID:yiK5XoKF
善子「まあずっとルビィと一緒にいるくらいなんだからアイドルにも興味くらいは持つわよね、そりゃ」
ルビィ「ううん、さっきはああ言ったけど」
ルビィ「アイドルに対する興味だけなら、花丸ちゃんはルビィと会う前からずっと持ってたよ」
善子「へえ…意外。花丸って寺生まれなんでしょ?」
ルビィ「うん」
善子「それに貴女たちも付き合い長いみたいだし」
ルビィ「確かに、あれから結構経ったねえ」
善子「なのにそのルビィに出会う前からって相当よね、何に影響されたのかしら…ちょっと気になるわね」
ルビィ「…………さあ、ルビィは知らないからよく分かんないや」
ルビィ「ううん、さっきはああ言ったけど」
ルビィ「アイドルに対する興味だけなら、花丸ちゃんはルビィと会う前からずっと持ってたよ」
善子「へえ…意外。花丸って寺生まれなんでしょ?」
ルビィ「うん」
善子「それに貴女たちも付き合い長いみたいだし」
ルビィ「確かに、あれから結構経ったねえ」
善子「なのにそのルビィに出会う前からって相当よね、何に影響されたのかしら…ちょっと気になるわね」
ルビィ「…………さあ、ルビィは知らないからよく分かんないや」
55: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:22:58.72 ID:yiK5XoKF
善子「? そう、なら仕方ないわね」
ルビィ「それより買い物の続きしようよ、あっちでね、善子ちゃんに似合いそうなもの見つけたんだぁ」
善子(……はぐらかされた?)「どんな感じの?」
ルビィ「まずは黒を基調にしたモノクロのドレスがいいかなぁって、全体的に丈は短めでフリルも少ないけど善子ちゃんはスタイルいいからこれくらいでも十分だと思うの」
善子「ずいぶん簡素ね、こんなんでステージ映えとかするの?」
ルビィ「ううんこれはあくまでベースで、必要なものは後から付け足していくの、例えばこういう感じでね。はい、シニヨンに羽を付けてみました」
ルビィ「それより買い物の続きしようよ、あっちでね、善子ちゃんに似合いそうなもの見つけたんだぁ」
善子(……はぐらかされた?)「どんな感じの?」
ルビィ「まずは黒を基調にしたモノクロのドレスがいいかなぁって、全体的に丈は短めでフリルも少ないけど善子ちゃんはスタイルいいからこれくらいでも十分だと思うの」
善子「ずいぶん簡素ね、こんなんでステージ映えとかするの?」
ルビィ「ううんこれはあくまでベースで、必要なものは後から付け足していくの、例えばこういう感じでね。はい、シニヨンに羽を付けてみました」
56: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:23:25.37 ID:yiK5XoKF
善子「……」
ルビィ「ね、こういうのが一つあるだけでも…ってどうしたの?」
善子「いや、思った以上に真剣でつい…ね。本当にアイドル好きなんだなって」
ルビィ「ありがとう、ルビィが夢中になれるのってそれくらいしかないから」エヘヘ
善子「良いことだと思うわよ…あーでも、あまり長く付き合わされるのは勘弁願いたいわね」
ルビィ「…で、次は腕のあたりなんだけど──」
善子「そこ、露骨に無視しない」
ルビィ「ね、こういうのが一つあるだけでも…ってどうしたの?」
善子「いや、思った以上に真剣でつい…ね。本当にアイドル好きなんだなって」
ルビィ「ありがとう、ルビィが夢中になれるのってそれくらいしかないから」エヘヘ
善子「良いことだと思うわよ…あーでも、あまり長く付き合わされるのは勘弁願いたいわね」
ルビィ「…で、次は腕のあたりなんだけど──」
善子「そこ、露骨に無視しない」
57: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:23:58.08 ID:yiK5XoKF
─
花丸「えっと、ひーふーみー……ぎりぎり足りるかも、良かったあ」
花丸「でもその前にちょっと休憩……ふう、疲れたあ…」ストン
ダイヤ「ここは意外と広いですからね」
花丸「あれ、ダイヤさんいつの間に」
ダイヤ「ええつい先ほど、飲みますか? これ」
花丸「じゃあお言葉に甘えて」ゴクゴク
58: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:24:25.04 ID:yiK5XoKF
花丸「うーん、生き返るずらぁ~…」プハ
ダイヤ「ずいぶん歩き回ったみたいですわね」
花丸「いやいや、マルに体力がないだけだよ」
ダイヤ「どうでしょうかね」
花丸「それよりダイヤさんはどうしてここに? ルビィちゃんのお迎え? ならさっき向こうで善子ちゃんと」
ダイヤ「いえ、多分理由は貴女と同じですわ」
花丸「……珍しいですね」
ダイヤ「ずいぶん歩き回ったみたいですわね」
花丸「いやいや、マルに体力がないだけだよ」
ダイヤ「どうでしょうかね」
花丸「それよりダイヤさんはどうしてここに? ルビィちゃんのお迎え? ならさっき向こうで善子ちゃんと」
ダイヤ「いえ、多分理由は貴女と同じですわ」
花丸「……珍しいですね」
59: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:24:51.62 ID:yiK5XoKF
ダイヤ「ええ、こういうのは花丸さんに任せておこうとも思っていたのですけど、たまにはね」
ダイヤ「それにこの時期になると貴女がここに来ることも分かってましたし、まあ早い話が参考にさせてもらおうと」
花丸「ならないよ、マルは安いものしか買えないから」
ダイヤ「そういった問題では…」
花丸「ないかもね。なら、髪飾り…とかかな」
花丸「最近は、そう思うようになってきた」
ダイヤ「……ええ」
ダイヤ「それにこの時期になると貴女がここに来ることも分かってましたし、まあ早い話が参考にさせてもらおうと」
花丸「ならないよ、マルは安いものしか買えないから」
ダイヤ「そういった問題では…」
花丸「ないかもね。なら、髪飾り…とかかな」
花丸「最近は、そう思うようになってきた」
ダイヤ「……ええ」
60: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:25:18.53 ID:yiK5XoKF
ダイヤ「ありがとうございます花丸さん、良い参考になりましたわ」
花丸「それはよかったずら、じゃあマルはこれで」
ダイヤ「……待ってください」
花丸「まだ何か?」
ダイヤ「…あの、花丸さん」
ダイヤ「その、そろそろ高校生になりますわよね」
花丸「それはよかったずら、じゃあマルはこれで」
ダイヤ「……待ってください」
花丸「まだ何か?」
ダイヤ「…あの、花丸さん」
ダイヤ「その、そろそろ高校生になりますわよね」
61: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:25:45.34 ID:yiK5XoKF
花丸「そうだね」
ダイヤ「……」
ダイヤ「貴女……卒業したら、どうするつもりですか?」
花丸「!! …いやだなあダイヤさん、まだ入学すらしてないのに」
花丸「卒業だなんて、気持ちが先走りすぎずら」
ダイヤ「……」
花丸「そんな先のことまで考えてないよ、昔はあった気もするけど」
花丸「今となってはどんな答えが一番いいのか、さっぱり分からないし」
ダイヤ「……」
ダイヤ「貴女……卒業したら、どうするつもりですか?」
花丸「!! …いやだなあダイヤさん、まだ入学すらしてないのに」
花丸「卒業だなんて、気持ちが先走りすぎずら」
ダイヤ「……」
花丸「そんな先のことまで考えてないよ、昔はあった気もするけど」
花丸「今となってはどんな答えが一番いいのか、さっぱり分からないし」
62: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:26:14.01 ID:yiK5XoKF
ダイヤ「…そうですわね、確かに」
ダイヤ「余計なことを言いました、今のは忘れてください」
ダイヤ「それでは、帰りにお気を付けて」
花丸「うん、またねダイヤさん」
ダイヤ「……髪飾り」
ダイヤ「簪とか、置いてあるのかしら」
ダイヤ「余計なことを言いました、今のは忘れてください」
ダイヤ「それでは、帰りにお気を付けて」
花丸「うん、またねダイヤさん」
ダイヤ「……髪飾り」
ダイヤ「簪とか、置いてあるのかしら」
63: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:26:43.91 ID:yiK5XoKF
それからまた日は進んで…
入学式当日
64: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:27:14.41 ID:yiK5XoKF
─津島家
善子「…………」
善子母「どう? お口に合うかしら」
ルビィ「はい、とても美味しいです!!」
善子「ねえ」
ルビィ「あ、善子ちゃんおはようー」
善子「なんでうちの食卓に混ざってるの」
ルビィ「早起きなものですから」ズズ…
善子「要するに上がり込んできたってことよね」
65: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:27:41.01 ID:yiK5XoKF
善子母「だって善子何回呼んでも起きないし、ずっと外で待たせるのも可哀想でしょ?」
善子「そんなこと言われたって……まだ学校まで全然時間あるでしょ、早すぎなのよ」
ルビィ「確かにそうだね、ちょっと張り切りすぎたかなぁ」
善子「そんなに気分上がるイベントだったかしら入学式って…」
ルビィ「ルビィたちにとっては重要なことだったりするんだよ」
善子「たちねえ……別にいいけど。それよりママ、私の分のご飯ある?」
善子「そんなこと言われたって……まだ学校まで全然時間あるでしょ、早すぎなのよ」
ルビィ「確かにそうだね、ちょっと張り切りすぎたかなぁ」
善子「そんなに気分上がるイベントだったかしら入学式って…」
ルビィ「ルビィたちにとっては重要なことだったりするんだよ」
善子「たちねえ……別にいいけど。それよりママ、私の分のご飯ある?」
66: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:28:11.82 ID:yiK5XoKF
善子母「ええちょっと待っててね、今用意するから」
ルビィ「ねえ善子ちゃん、善子ちゃんはご飯の前にその寝ぐせをどうにかしたほうがいいと思うよ」
善子「余計なお世話どうも。どっかの誰かと違って今起きたばかりなのよ私は」
ルビィ「ふうん、どこの誰だろうねえ。ごちそうさまでした」
善子母「はいお粗末さまでした」ニコニコ
善子「さあ…少なくとも今分かってるのは」
善子「ここで三文の徳をしているってことくらいかしらね」
ルビィ「ねえ善子ちゃん、善子ちゃんはご飯の前にその寝ぐせをどうにかしたほうがいいと思うよ」
善子「余計なお世話どうも。どっかの誰かと違って今起きたばかりなのよ私は」
ルビィ「ふうん、どこの誰だろうねえ。ごちそうさまでした」
善子母「はいお粗末さまでした」ニコニコ
善子「さあ…少なくとも今分かってるのは」
善子「ここで三文の徳をしているってことくらいかしらね」
67: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:28:40.31 ID:yiK5XoKF
─
花丸「……」
「ご挨拶ですか?」
花丸「あ、おはようございます」
黒澤母「おはようございます。今日は一段と早いですね」
花丸「入学式ですから」
黒澤母「フフッ、晴れ舞台ですものね」
68: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:29:06.79 ID:yiK5XoKF
黒澤母「そろそろ出ますか?」
花丸「ええまあ、用も済みましたし」
黒澤母「そうですか。ではルビィによろしく伝えておいてください」
黒澤母「あの子、起き上がるなりすぐに家を飛び出していったものだから、ね」
花丸「あはは、よく言っておきます。それでは」
黒澤母「はい。でも花丸さん最後に一つだけ」
花丸「ええまあ、用も済みましたし」
黒澤母「そうですか。ではルビィによろしく伝えておいてください」
黒澤母「あの子、起き上がるなりすぐに家を飛び出していったものだから、ね」
花丸「あはは、よく言っておきます。それでは」
黒澤母「はい。でも花丸さん最後に一つだけ」
69: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:29:33.10 ID:yiK5XoKF
花丸「なんでしょうか」
黒澤母「制服、とてもよく似合っていますよ」
黒澤母「それだけです。いってらっしゃい」
花丸「ありがとうございます、いってきます」
黒澤母「……すっかり綺麗になったわね」
黒澤母「制服、とてもよく似合っていますよ」
黒澤母「それだけです。いってらっしゃい」
花丸「ありがとうございます、いってきます」
黒澤母「……すっかり綺麗になったわね」
70: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:29:59.63 ID:yiK5XoKF
ダイヤ「おはようございます、お母様」
黒澤母「あら、ダイヤも来てたの」
ダイヤ「少し前に……今のは、花丸さんですか?」
黒澤母「ええ、久々に先を越されてしまいました」
ダイヤ「今日は入学式ですからね」
黒澤母「みたいですね」
黒澤母「あら、ダイヤも来てたの」
ダイヤ「少し前に……今のは、花丸さんですか?」
黒澤母「ええ、久々に先を越されてしまいました」
ダイヤ「今日は入学式ですからね」
黒澤母「みたいですね」
71: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:30:26.31 ID:yiK5XoKF
黒澤母「しかし、ともすれば貴女も生徒会長として一仕事あるのでは?」
ダイヤ「大丈夫ですわ、その辺りは問題ありません」
黒澤母「でしょうね、ダイヤはしっかりしてるから」
ダイヤ「というよりも、そうでなければ姉としての示しがつきませんので」
黒澤母「世話の焼ける妹を持つと大変ですね、お姉ちゃんは」クス
ダイヤ「そうですわね……それは変わらない気がします。昔も──今も」
ダイヤ「大丈夫ですわ、その辺りは問題ありません」
黒澤母「でしょうね、ダイヤはしっかりしてるから」
ダイヤ「というよりも、そうでなければ姉としての示しがつきませんので」
黒澤母「世話の焼ける妹を持つと大変ですね、お姉ちゃんは」クス
ダイヤ「そうですわね……それは変わらない気がします。昔も──今も」
72: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:30:54.26 ID:yiK5XoKF
黒澤母「……祈っていきます?」
ダイヤ「いいえ、もう済ませましたから」
黒澤母「あら、私は三番目でしたか」
ダイヤ「どうでしょうね、もしかしたら四番目かもしれませんよ」カサッ
黒澤母「……成程。ねえダイヤ」
ダイヤ「はい」
黒澤母「意外としっかりしてますよね、ルビィは」
ダイヤ「……ですね」
ダイヤ「いいえ、もう済ませましたから」
黒澤母「あら、私は三番目でしたか」
ダイヤ「どうでしょうね、もしかしたら四番目かもしれませんよ」カサッ
黒澤母「……成程。ねえダイヤ」
ダイヤ「はい」
黒澤母「意外としっかりしてますよね、ルビィは」
ダイヤ「……ですね」
73: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:31:25.86 ID:yiK5XoKF
─学校
キーンコーンカーンコーン
善子「はぁーやっと終わったわね」
花丸「やっとって、明日からはもっと長くなるのに」
善子「授業と行事ではまた違うと思うんだけど」
ルビィ「えー、そうかなぁ」
善子「そんなもんよ、まだ授業のほうが気が楽だわ」
善子「さてと…私はもう帰るけど、そっちはどうするの?」
74: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:31:52.72 ID:yiK5XoKF
花丸「じゃあマルも一緒に」
ルビィ「うーん、ルビィはいいや」
善子「…聞いた? 今の」
花丸「珍しいね、何かあったの? ルビィちゃん」
ルビィ「うん。スクールアイドル部のほうに行ってみようかなと思って」
善子「行くって…今日の朝に声かけられてしどろもどろになってたクセに?」
ルビィ「うん」
善子「やめておいたら? 私たちと一緒でもあんなんだったのに一人じゃ無理に決まってるでしょ」
ルビィ「うーん、ルビィはいいや」
善子「…聞いた? 今の」
花丸「珍しいね、何かあったの? ルビィちゃん」
ルビィ「うん。スクールアイドル部のほうに行ってみようかなと思って」
善子「行くって…今日の朝に声かけられてしどろもどろになってたクセに?」
ルビィ「うん」
善子「やめておいたら? 私たちと一緒でもあんなんだったのに一人じゃ無理に決まってるでしょ」
75: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:32:20.67 ID:yiK5XoKF
ルビィ「でも気になるから、二人は先に帰ってていいよ」
善子「いやいや、またの機会にしときなさいって」
花丸「分かった、じゃあ先に帰ってるね。行こう善子ちゃん」ギュ
善子「ちょっ、いいの?」
花丸「いいの、ほら早く」
善子「ああもう分かったから引っ張るんじゃないわよ」
善子「ルビィ! しっかりやんなさいよ!」
ルビィ「はーい」フリフリ
ルビィ「……まずは挨拶から、うん。挨拶だよね…うん」
善子「いやいや、またの機会にしときなさいって」
花丸「分かった、じゃあ先に帰ってるね。行こう善子ちゃん」ギュ
善子「ちょっ、いいの?」
花丸「いいの、ほら早く」
善子「ああもう分かったから引っ張るんじゃないわよ」
善子「ルビィ! しっかりやんなさいよ!」
ルビィ「はーい」フリフリ
ルビィ「……まずは挨拶から、うん。挨拶だよね…うん」
76: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:32:46.70 ID:yiK5XoKF
善子「──ねえ、見えなくなるまでずっと棒立ちだったんだけど、本当に大丈夫なんでしょうね」
花丸「いや、多分大丈夫じゃないだろうね」
善子「……それなら」
花丸「随分気にするね、そんなにルビィちゃんと帰りたかったの?」
善子「そういうことじゃなくて」
花丸「やらせてあげなよ、心配なのは分かるけど」
善子「…あの子、気が小さいのに妙なところで胆が据わってるわよね」
花丸「好きなものに対して真っ直ぐなんだよ、ルビィちゃんは」
善子「好きなもの、ねえ」
花丸「いや、多分大丈夫じゃないだろうね」
善子「……それなら」
花丸「随分気にするね、そんなにルビィちゃんと帰りたかったの?」
善子「そういうことじゃなくて」
花丸「やらせてあげなよ、心配なのは分かるけど」
善子「…あの子、気が小さいのに妙なところで胆が据わってるわよね」
花丸「好きなものに対して真っ直ぐなんだよ、ルビィちゃんは」
善子「好きなもの、ねえ」
77: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:33:13.05 ID:yiK5XoKF
花丸「そういう意味では善子ちゃんもその中に入ってるんだよ?」
善子「……どうだか」
花丸「またそんなこと言って」
善子「いまいちしっくりこないんだもの、それに」
花丸「それに?」
善子「……どうだか」
花丸「またそんなこと言って」
善子「いまいちしっくりこないんだもの、それに」
花丸「それに?」
78: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:33:39.08 ID:yiK5XoKF
善子「私はてっきり貴女たち二人が上手くいってるものかと思っていたわけだし」
花丸「マルとルビィちゃんが? あはは、それは絶対にありえないずら」
善子「やけにはっきりと言うのね、嫌なの?」
花丸「もちろんルビィちゃんは大好きだけど、そう思われるのはあんまり…ね」
善子「恋愛関係が苦手とか、そういうの?」
花丸「ううん、そうじゃなくて」
花丸「マルにはもう心に決めた人がいるから」
善子「え、嘘…?」
花丸「ほんとほんと」
花丸「マルとルビィちゃんが? あはは、それは絶対にありえないずら」
善子「やけにはっきりと言うのね、嫌なの?」
花丸「もちろんルビィちゃんは大好きだけど、そう思われるのはあんまり…ね」
善子「恋愛関係が苦手とか、そういうの?」
花丸「ううん、そうじゃなくて」
花丸「マルにはもう心に決めた人がいるから」
善子「え、嘘…?」
花丸「ほんとほんと」
79: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:34:05.44 ID:yiK5XoKF
善子「あんた、見かけによらず中々やるわね…で、その相手って?」
花丸「マルたちと同じ年の子だよ」
善子「へえ、同い年……ならもしかするとこの学校に」
花丸「もし生きていたら、だけどね」
善子「えっ?」
花丸「今はもういないんだ」
善子「……ごめん」
花丸「そんなに気を遣わなくていいよ」
花丸「マルたちと同じ年の子だよ」
善子「へえ、同い年……ならもしかするとこの学校に」
花丸「もし生きていたら、だけどね」
善子「えっ?」
花丸「今はもういないんだ」
善子「……ごめん」
花丸「そんなに気を遣わなくていいよ」
80: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:34:35.93 ID:yiK5XoKF
……
花丸「マルね、昔は本当に誰とも話そうとしなかったんだ、いつも本ばかり読んでてね」
花丸「人嫌いっていうか、一人でそうしている時間が好きだったからつい夢中になって」
善子「まあ、らしくはあるわね」
花丸「そんな日が続いた頃、ちょうど家の用事とやらでバッタリと会ったのがその子」
花丸「とっても明るくて天使みたいに可愛くて、まあ少しだけ元気の良すぎるところはあったけど」クス…
花丸「でも、マルの手を引っ張って外の世界に連れ出してくれた、恩人なんだ」
善子「……そう」
81: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:35:01.82 ID:yiK5XoKF
花丸「それでね…その子に言われたの、大人になったら結婚しようねって」
善子「結婚?」
花丸「そう、でもその後ダイヤさんに怒られたっけ…ふふっ、小さいときでもダイヤさん真面目だったから」
善子(……ダイヤさん?)
花丸「けどそう言われたことが本当に嬉しくて、だから今でもその約束を覚えてるの」
善子「それで絶対にありえない、か……」
花丸「おかしい?」
善子「どこに笑うところがあるのよ」
花丸「善子ちゃんならそう言ってくれると思った。ありがとうね」
善子「結婚?」
花丸「そう、でもその後ダイヤさんに怒られたっけ…ふふっ、小さいときでもダイヤさん真面目だったから」
善子(……ダイヤさん?)
花丸「けどそう言われたことが本当に嬉しくて、だから今でもその約束を覚えてるの」
善子「それで絶対にありえない、か……」
花丸「おかしい?」
善子「どこに笑うところがあるのよ」
花丸「善子ちゃんならそう言ってくれると思った。ありがとうね」
82: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:35:28.10 ID:yiK5XoKF
善子「いや、私は別に…」
花丸「ルビィちゃんも同じこと言ってたよマルを変に言う人たちに、何がおかしいの! って」
善子「そういう経験…やっぱりあるのね」
花丸「まあ、家柄的に直接言ってくることはなかったんだけど我慢できなかったみたい。 ルビィちゃん優しいから」
花丸「でもね、マルは思うんだ。 ただ優しいだけじゃそんなこと出来やしないって」
花丸「ルビィちゃんも同じこと言ってたよマルを変に言う人たちに、何がおかしいの! って」
善子「そういう経験…やっぱりあるのね」
花丸「まあ、家柄的に直接言ってくることはなかったんだけど我慢できなかったみたい。 ルビィちゃん優しいから」
花丸「でもね、マルは思うんだ。 ただ優しいだけじゃそんなこと出来やしないって」
83: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:35:54.92 ID:yiK5XoKF
善子「……」
花丸「何かに立ち向かっていける強さがあって初めて出来ることなんだって」
花丸「だから同じ言葉を返した善子ちゃんを見て、やっぱり運命ってあるのかなあって思っちゃった」
花丸「二人ともあまり似てないのに、そういうところそっくりなんだもん」
善子「主観的すぎるでしょ、どういう理屈よ」
花丸「何かに立ち向かっていける強さがあって初めて出来ることなんだって」
花丸「だから同じ言葉を返した善子ちゃんを見て、やっぱり運命ってあるのかなあって思っちゃった」
花丸「二人ともあまり似てないのに、そういうところそっくりなんだもん」
善子「主観的すぎるでしょ、どういう理屈よ」
84: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:51:13.91 ID:yiK5XoKF
花丸「まあそう照れないで」
善子「誰も照れてないっての!」
花丸「あはは、それに今のは理屈じゃないよ」
善子「? じゃあ何よ」
花丸「願望、もっと言うならエゴかな」
善子「誰も照れてないっての!」
花丸「あはは、それに今のは理屈じゃないよ」
善子「? じゃあ何よ」
花丸「願望、もっと言うならエゴかな」
85: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:52:07.24 ID:yiK5XoKF
善子「エゴ?」
花丸「マルは、あの子と出会った偶然…必然を否定されたくないの」
花丸「本当はね、それだけかもしれない」
善子「……ねえ花丸」
善子「言っておくけど、私自身は貴女を否定するつもりは毛頭ない」
善子「でも証人になってあげるつもりもないわ、その辺りはちゃんと理解してね」
花丸「マルは、あの子と出会った偶然…必然を否定されたくないの」
花丸「本当はね、それだけかもしれない」
善子「……ねえ花丸」
善子「言っておくけど、私自身は貴女を否定するつもりは毛頭ない」
善子「でも証人になってあげるつもりもないわ、その辺りはちゃんと理解してね」
86: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:55:04.98 ID:yiK5XoKF
花丸「うん、分かってる」
善子「そう……あと、なんか悪かったわね。そんなつもりなかったのに色々聞いちゃって」
花丸「ううん、こっちも色々聞いてもらってスッキリしたから」
善子「なら、いいんだけど」
善子「…………」
花丸「善子ちゃん?」
善子「ねえ、謝った手前聞きづらいんだけどさ…もう一つ、聞いてもいいかしら?」
花丸「いいけど?」
善子「そう……あと、なんか悪かったわね。そんなつもりなかったのに色々聞いちゃって」
花丸「ううん、こっちも色々聞いてもらってスッキリしたから」
善子「なら、いいんだけど」
善子「…………」
花丸「善子ちゃん?」
善子「ねえ、謝った手前聞きづらいんだけどさ…もう一つ、聞いてもいいかしら?」
花丸「いいけど?」
87: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:56:47.95 ID:yiK5XoKF
善子「さっきの話でダイヤさんがどうこう、って言ってたわよね」
花丸「うん」
善子「私はどうしてそこでダイヤさんの名前が出てくるのか、いまいち分からなくて」
善子「ねえ花丸、貴女が言う“その子”って…一体どんな子なの?」
花丸「……そうだね、簡潔に、分かりやすく言うなら…」
花丸「黒い髪のルビィちゃん、ってところかな」
善子「……それ、どういう意味」
花丸「そのうち分かるよ、善子ちゃんがこのままの形でルビィちゃんと関わっていくのなら、ね」
花丸「うん」
善子「私はどうしてそこでダイヤさんの名前が出てくるのか、いまいち分からなくて」
善子「ねえ花丸、貴女が言う“その子”って…一体どんな子なの?」
花丸「……そうだね、簡潔に、分かりやすく言うなら…」
花丸「黒い髪のルビィちゃん、ってところかな」
善子「……それ、どういう意味」
花丸「そのうち分かるよ、善子ちゃんがこのままの形でルビィちゃんと関わっていくのなら、ね」
88: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:58:11.84 ID:yiK5XoKF
善子「……」
花丸「マルから言えるのはそれだけ、じゃあまたね」
善子「…花丸」
花丸「なに?」クルッ
善子「あまり無理するんじゃないわよ」
花丸「……」クスッ
花丸「そういうところだよ、善子ちゃん」
花丸「マルから言えるのはそれだけ、じゃあまたね」
善子「…花丸」
花丸「なに?」クルッ
善子「あまり無理するんじゃないわよ」
花丸「……」クスッ
花丸「そういうところだよ、善子ちゃん」
89: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:59:01.87 ID:yiK5XoKF
スタスタ…
善子「小さい頃の約束、か」
善子「まさか、花丸にそんな過去があったなんてね……」
善子(ということは、ずっと前からアイドルに興味があったっていうのも多分その子から……)
善子「……? いや、でもそれ何か、引っかかるような……」
善子(それに引っかかるといえば、さっき花丸の言った黒い髪のルビィっていうのも気になる)
「善子ちゃん」
90: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 16:59:50.27 ID:yiK5XoKF
善子(別に言いたくなければ答えなくても良かったのに……なんでわざわざそんな言い方をしたの?)
善子(そう答えたことに何か意味があったってこと? …いや、仮にそうだとしても)
善子(どうしてそれをルビィで例える必要が……)
「善子ちゃーん」
善子(…さっきまで、花丸は私に対して結構深いところまで話してくれたと思っていたけど)
善子(まだ他に、そのことについて隠していることがあるんじゃ……)
ルビィ「善子ちゃんってば」ヒョコッ
善子(そう答えたことに何か意味があったってこと? …いや、仮にそうだとしても)
善子(どうしてそれをルビィで例える必要が……)
「善子ちゃーん」
善子(…さっきまで、花丸は私に対して結構深いところまで話してくれたと思っていたけど)
善子(まだ他に、そのことについて隠していることがあるんじゃ……)
ルビィ「善子ちゃんってば」ヒョコッ
91: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 17:00:47.73 ID:yiK5XoKF
善子「んなぁっ! い、いきなり目の前に現れるんじゃないわよ!」
ルビィ「いきなりでもないけど、そのくらいやらないと気付いてもらえなさそうだったから」
善子「あっ…そう」
ルビィ「まだ帰ってなかったんだね」
善子「まあ色々あったから」
ルビィ「いきなりでもないけど、そのくらいやらないと気付いてもらえなさそうだったから」
善子「あっ…そう」
ルビィ「まだ帰ってなかったんだね」
善子「まあ色々あったから」
92: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 17:01:44.46 ID:yiK5XoKF
ルビィ「色々って?」
善子「世間一般ではあまりしない世間話をちょっとね」
ルビィ「なにそれ、変なの」クスクス
善子「そういうあんたはどうなのよ」
ルビィ「何が?」
善子「スクールアイドル部」
善子「世間一般ではあまりしない世間話をちょっとね」
ルビィ「なにそれ、変なの」クスクス
善子「そういうあんたはどうなのよ」
ルビィ「何が?」
善子「スクールアイドル部」
93: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 17:02:34.41 ID:yiK5XoKF
ルビィ「うん。名前は言ってきたよ」
善子「名前だけって…」
ルビィ「あとこれ、入部届貰ってきた」ハイ
善子「私は入らないわよ」
ルビィ「じゃあルビィが名前書いておくね」
善子「冗談でもそういうことサラッと言うのやめなさい」
ルビィ「本気ならいいの?」
善子「余計に駄目だわ」
善子「名前だけって…」
ルビィ「あとこれ、入部届貰ってきた」ハイ
善子「私は入らないわよ」
ルビィ「じゃあルビィが名前書いておくね」
善子「冗談でもそういうことサラッと言うのやめなさい」
ルビィ「本気ならいいの?」
善子「余計に駄目だわ」
94: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 17:03:32.01 ID:yiK5XoKF
ルビィ「うーん、じゃあまた誘うことにする」
善子「やめはしないのね」
ルビィ「だって善子ちゃんや花丸ちゃんと一緒にスクールアイドルやりたいから」
善子「花丸、やると思ってるの?」
ルビィ「やるよ。絶対に」
善子「……」
─善子ちゃんがこのままの形でルビィちゃんと関わっていくのなら─
善子「あのさ、ルビィ」
善子「やめはしないのね」
ルビィ「だって善子ちゃんや花丸ちゃんと一緒にスクールアイドルやりたいから」
善子「花丸、やると思ってるの?」
ルビィ「やるよ。絶対に」
善子「……」
─善子ちゃんがこのままの形でルビィちゃんと関わっていくのなら─
善子「あのさ、ルビィ」
95: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 17:04:47.34 ID:yiK5XoKF
ルビィ「なに? もしかして入ってくれるの?」ニコッ
善子「…………あー、いいや。それはまた今度にする」
善子「今は、うん。やめておくわ」
ルビィ「えぇ、そんなあ」
善子「また日を改めてってこと。それじゃね」
ルビィ「はーい…」
善子(急がなくてもいずれ答えは出るだろうし……ね)
善子「…………あー、いいや。それはまた今度にする」
善子「今は、うん。やめておくわ」
ルビィ「えぇ、そんなあ」
善子「また日を改めてってこと。それじゃね」
ルビィ「はーい…」
善子(急がなくてもいずれ答えは出るだろうし……ね)
96: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 17:05:31.86 ID:yiK5XoKF
─
花丸「こんばんは。また来ちゃったずら」
花丸「二回も来るのって結構久しぶりだよね」
花丸「友達にあなたのことを話したらつい……」
花丸「覚えてる? 前に話した善子ちゃんって子」
花丸「そう、ルビィちゃんのお気に入りのね」
97: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/21(月) 17:06:18.03 ID:yiK5XoKF
花丸「善子ちゃんもルビィちゃんのことがちょっとだけ気になってるみたい、ちょっとだけね」
花丸「本人はそのちょっとも否定してるみたいだけど…ふふっ」
花丸「安心した? ううん、聞いてみただけ」
花丸「うん、だからね。学校も楽しくやれそうだよ」
花丸「それに……いや、これはまだ秘密にしておくずら」
花丸「はい、今日のマルのお話しはここまで。続きは今度ね」
花丸「じゃあ…また来るね、アオちゃん」
……
…
── 黒澤家之墓 ──
花丸「本人はそのちょっとも否定してるみたいだけど…ふふっ」
花丸「安心した? ううん、聞いてみただけ」
花丸「うん、だからね。学校も楽しくやれそうだよ」
花丸「それに……いや、これはまだ秘密にしておくずら」
花丸「はい、今日のマルのお話しはここまで。続きは今度ね」
花丸「じゃあ…また来るね、アオちゃん」
……
…
── 黒澤家之墓 ──
111: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 17:53:48.77 ID:tVIRLjPT
一週間後
──海岸
タッタッタ…
タッタッタッタ……
ダイヤ「……ハア、やっぱり少し鈍っているわね」
「おや、珍しい人がいる。珍しいというか、久しぶり?」
ダイヤ「いつも顔を突き合わせているじゃありませんか、果南さん」
果南「それは学校、ここは砂浜。だよね?」
ダイヤ「ああ、場所の問題でしたか」
112: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 17:55:04.28 ID:tVIRLjPT
果南「分かってたくせに、で? なーんでまた走り込みなんかしてたわけ」
ダイヤ「たまにはいいかと思いまして」
果南「それだけ? 私はてっきり体力作りのためかと」
ダイヤ「何のための体力作りですか」
果南「そりゃもちろんスクールアイドルのでしょ。理由は、うーんそうだなあ」
果南「今になって千歌が部を立ち上げたいときたものだから、そのおかげで居ても立っても居られなくなった……とか?」
ダイヤ「……さあ」
果南「おお、正解みたい」
ダイヤ「たまにはいいかと思いまして」
果南「それだけ? 私はてっきり体力作りのためかと」
ダイヤ「何のための体力作りですか」
果南「そりゃもちろんスクールアイドルのでしょ。理由は、うーんそうだなあ」
果南「今になって千歌が部を立ち上げたいときたものだから、そのおかげで居ても立っても居られなくなった……とか?」
ダイヤ「……さあ」
果南「おお、正解みたい」
113: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 17:55:49.65 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「…別に、気晴らしですわよ」
果南「戻ってくればいいじゃん、辞めたわけじゃないんだしさ」
ダイヤ「貴女の変わり身が早すぎるんです」
果南「いやいや折角だから流れに乗っておこうと、千歌に誘われたってのもあるけどさ」
果南「鞠莉だってどうせ今年帰ってくるんだし、それなら環境はある程度整っていたほうがいいでしょ」
ダイヤ「確かにそうかもしれませんけど」
果南「それに、スクールアイドルやってればルビィちゃんとの距離も縮まるかもしれないし」
果南「戻ってくればいいじゃん、辞めたわけじゃないんだしさ」
ダイヤ「貴女の変わり身が早すぎるんです」
果南「いやいや折角だから流れに乗っておこうと、千歌に誘われたってのもあるけどさ」
果南「鞠莉だってどうせ今年帰ってくるんだし、それなら環境はある程度整っていたほうがいいでしょ」
ダイヤ「確かにそうかもしれませんけど」
果南「それに、スクールアイドルやってればルビィちゃんとの距離も縮まるかもしれないし」
114: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 17:56:30.75 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「ルビィですか」
果南「そんな睨まなくても、別に狙ってるわけじゃなしに」
果南「ただほら、未だに苦手意識を持たれてるのも私としてはこう思うところがあるわけで」
ダイヤ「すみません、嫌っているわけではないのですが」
果南「分かってるって、元からそんな性格だもんね。それに……環境もひっどいもんだしさ」
果南「寧ろよくやれてると思うよ」
ダイヤ「……しかし、それでもやるとあの子が決めた以上は乗り越えなければなりません」
果南「そんな睨まなくても、別に狙ってるわけじゃなしに」
果南「ただほら、未だに苦手意識を持たれてるのも私としてはこう思うところがあるわけで」
ダイヤ「すみません、嫌っているわけではないのですが」
果南「分かってるって、元からそんな性格だもんね。それに……環境もひっどいもんだしさ」
果南「寧ろよくやれてると思うよ」
ダイヤ「……しかし、それでもやるとあの子が決めた以上は乗り越えなければなりません」
115: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 17:57:11.65 ID:tVIRLjPT
果南「手厳しいね…というか、もしかしてそれで入部してないわけ?」
ダイヤ「はい。私がいるとあの子は私に頼ってくるでしょうから、それでは駄目なんです」
果南「ほんと、妹を一番に考えるところは変わってないね。昔からさ」
ダイヤ「……」
果南「そうだ、そのことだけどグループ名もそのまま使わせてもらってるから」
ダイヤ「…ちなみに人数は」
果南「んー、私と千歌と曜とルビィちゃんで四人かな」
果南「あとは目を付けられた二人が近いうちに」
ダイヤ「はい。私がいるとあの子は私に頼ってくるでしょうから、それでは駄目なんです」
果南「ほんと、妹を一番に考えるところは変わってないね。昔からさ」
ダイヤ「……」
果南「そうだ、そのことだけどグループ名もそのまま使わせてもらってるから」
ダイヤ「…ちなみに人数は」
果南「んー、私と千歌と曜とルビィちゃんで四人かな」
果南「あとは目を付けられた二人が近いうちに」
116: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 17:58:04.38 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「その二人とは?」
果南「千歌のお気に入りとルビィちゃんのお気に入りさ、長いこと断ってきたと思うけどそれも時間の問題だろうね」
ダイヤ「ああ、成るほど」
果南「しっかし分からないんだよね、すぐに影響を受ける千歌が音ノ木坂出身の梨子ちゃんを付け狙うのはともかくとして」
ダイヤ「言い方」
果南「なんでルビィちゃんはあそこまで善子ちゃんに執着するのかなあ」
ダイヤ「憧れ、もっと言うなら羨望でしょう、あの子が彼女に向ける視線は大体そんな感じですから」
ダイヤ「もっとも、それが何を指しているのかまでは知りませんが」
果南「千歌のお気に入りとルビィちゃんのお気に入りさ、長いこと断ってきたと思うけどそれも時間の問題だろうね」
ダイヤ「ああ、成るほど」
果南「しっかし分からないんだよね、すぐに影響を受ける千歌が音ノ木坂出身の梨子ちゃんを付け狙うのはともかくとして」
ダイヤ「言い方」
果南「なんでルビィちゃんはあそこまで善子ちゃんに執着するのかなあ」
ダイヤ「憧れ、もっと言うなら羨望でしょう、あの子が彼女に向ける視線は大体そんな感じですから」
ダイヤ「もっとも、それが何を指しているのかまでは知りませんが」
117: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 17:58:50.86 ID:tVIRLjPT
果南「ふーん、そんなもんか」
果南「まあいいや。とにかくそういうわけだから、ダイヤが戻ってくる頃にはきっと結構な人数になってると思うよ」
ダイヤ「そうですか、ではそれまでの間部のことは任せますわね」
果南「了解。ま、私はリーダーじゃないから陰ながらってやつですかね」
ダイヤ「どちらでも構いませんわよ、ではそろそろ行きますからこれで」
果南「ん、じゃあね」
果南「さてと。もうひとっ走りしてくるかな」
果南「まあいいや。とにかくそういうわけだから、ダイヤが戻ってくる頃にはきっと結構な人数になってると思うよ」
ダイヤ「そうですか、ではそれまでの間部のことは任せますわね」
果南「了解。ま、私はリーダーじゃないから陰ながらってやつですかね」
ダイヤ「どちらでも構いませんわよ、ではそろそろ行きますからこれで」
果南「ん、じゃあね」
果南「さてと。もうひとっ走りしてくるかな」
118: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 17:59:30.25 ID:tVIRLjPT
……
─部室
千歌「みんな注目ー! 新しい部員を捕まえてきましたー!」
曜「千歌ちゃん言い方」
千歌「こちら新メンバーの桜内梨子ちゃんです!!」
梨子「よ、よろしくお願いします」
曜「おぉー、遂に陥落」パチパチ
千歌「いやぁ長かったねえ」シミジミ
119: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:00:12.20 ID:tVIRLjPT
果南「へえ、噂をすればなんとやら」
ルビィ「果南さん?」
果南「いやいやなんでも」
千歌「これで曲は問題なし! ねえ果南ちゃん、もう活動してもいいよね!?」
果南「そう慌てないの、梨子ちゃんまだ入ったばかりじゃん」
千歌「えー、でもさあ」
果南「そもそもスクールアイドルが何なのかちゃんと教えたの?」
ルビィ「果南さん?」
果南「いやいやなんでも」
千歌「これで曲は問題なし! ねえ果南ちゃん、もう活動してもいいよね!?」
果南「そう慌てないの、梨子ちゃんまだ入ったばかりじゃん」
千歌「えー、でもさあ」
果南「そもそもスクールアイドルが何なのかちゃんと教えたの?」
120: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:00:52.66 ID:tVIRLjPT
千歌「……言ったよね?」
梨子「いいえ、聞いてないけど」
果南「知らないみたいだね」
千歌「でも音ノ木坂出身だし…」
曜「μ'sのことはあまり詳しくないって言ってたじゃん」
千歌「……」
梨子「いいえ、聞いてないけど」
果南「知らないみたいだね」
千歌「でも音ノ木坂出身だし…」
曜「μ'sのことはあまり詳しくないって言ってたじゃん」
千歌「……」
121: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:01:45.06 ID:tVIRLjPT
千歌「梨子ちゃん」
梨子「はい」
千歌「ここから始めよう! きっと大丈夫!」ガシッ
梨子「…ちなみにその台詞は二回目なんだけど、大丈夫?」
千歌「…心配ないって!」
曜「根拠はないよね」
果南「保証もないしね」
梨子「……何ならあるの逆に」チラッ
ルビィ「えっ……えーと、その」
梨子「はい」
千歌「ここから始めよう! きっと大丈夫!」ガシッ
梨子「…ちなみにその台詞は二回目なんだけど、大丈夫?」
千歌「…心配ないって!」
曜「根拠はないよね」
果南「保証もないしね」
梨子「……何ならあるの逆に」チラッ
ルビィ「えっ……えーと、その」
122: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:02:22.62 ID:tVIRLjPT
ルビィ「笑顔、ならあると思います」
千歌「おおルビィちゃんいいこと言った! そうだよ笑顔だよ!」ギュッ
ルビィ「ひぁっ……!」
千歌「スクールアイドルでも部活でもそれが一番大事だよね! うん私もそう思う!」ブンブン
ルビィ「は、はい…そうですね」
果南「言った本人の顔引きつってるけど」
千歌「おおルビィちゃんいいこと言った! そうだよ笑顔だよ!」ギュッ
ルビィ「ひぁっ……!」
千歌「スクールアイドルでも部活でもそれが一番大事だよね! うん私もそう思う!」ブンブン
ルビィ「は、はい…そうですね」
果南「言った本人の顔引きつってるけど」
123: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:03:02.23 ID:tVIRLjPT
千歌「μ'sも言ってた! 笑顔ならいつの日も大丈夫だって!」
ルビィ「それは歌詞です…」
千歌「よし、そうと決まれば早速活動を始めよう! ライブしようライブ!」
果南「おーい、さっきの私の話どこにやったー」
曜「やったというより明後日の方向に向いただけな気が」
千歌「というわけだから梨子ちゃんも曲よろしくね! 最初だからなんかこう、元気出そうなやつ!」
千歌「みんなもよろしくね! 詳細は後日ってことで!」ダッ
ルビィ「それは歌詞です…」
千歌「よし、そうと決まれば早速活動を始めよう! ライブしようライブ!」
果南「おーい、さっきの私の話どこにやったー」
曜「やったというより明後日の方向に向いただけな気が」
千歌「というわけだから梨子ちゃんも曲よろしくね! 最初だからなんかこう、元気出そうなやつ!」
千歌「みんなもよろしくね! 詳細は後日ってことで!」ダッ
124: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:03:43.18 ID:tVIRLjPT
ルビィ「……行っちゃった」
果南「いやあ、お見それするくらい強引な持っていき方だったね」
梨子「千歌ちゃん、せめてもう少し具体的に言ってほしいわ……何、元気出そうなやつって」
曜「でもやるんだ」
梨子「それはまあ部に入ったわけですし」
曜「そっか、真面目だねー。ちなみに梨子ちゃんは新入部員としてここにどれくらい可能性感じましたか?」
梨子「千歌ちゃんがさっきの話を無しにするくらいかな」
曜「だってさ」
果南「だろうね」
ルビィ(ライブかぁ……)
果南「いやあ、お見それするくらい強引な持っていき方だったね」
梨子「千歌ちゃん、せめてもう少し具体的に言ってほしいわ……何、元気出そうなやつって」
曜「でもやるんだ」
梨子「それはまあ部に入ったわけですし」
曜「そっか、真面目だねー。ちなみに梨子ちゃんは新入部員としてここにどれくらい可能性感じましたか?」
梨子「千歌ちゃんがさっきの話を無しにするくらいかな」
曜「だってさ」
果南「だろうね」
ルビィ(ライブかぁ……)
125: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:04:21.79 ID:tVIRLjPT
─
ルビィ「というわけでお誘いにきました」
善子「いや流れが全く分からないのだけど」
ルビィ「別に普通だよ? ライブを見てもらいたいだけだもん」
善子「ああ、誘うってそっちね……てっきり勧誘のほうかと、しつこかったし」
ルビィ「もちろんそれを止めるつもりはないけど」
善子「こら」
ルビィ「でもその前にせっかく決まったライブだから」
ルビィ「善子ちゃんに見てほしいの、ルビィの初めてのステージ」
126: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:04:59.27 ID:tVIRLjPT
善子「……そういうことなら、いいけど」
ルビィ「やった。絶対だからね?」
善子「はいはい約束ね。それでいつやるの?」
ルビィ「え?」
善子「だから日時は? 場所は? どれくらいの時間やる予定なの?」
ルビィ「……」
善子「……」
ルビィ「詳細は後日ということで」
善子「…よく勢いだけでここまでやれるわよね貴女たち」
ルビィ「やった。絶対だからね?」
善子「はいはい約束ね。それでいつやるの?」
ルビィ「え?」
善子「だから日時は? 場所は? どれくらいの時間やる予定なの?」
ルビィ「……」
善子「……」
ルビィ「詳細は後日ということで」
善子「…よく勢いだけでここまでやれるわよね貴女たち」
127: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:05:51.05 ID:tVIRLjPT
花丸「─へえ、ルビィちゃんたちがライブを」
善子「やるってことしか決めてないのよ? 絶対おかしいわよね」
花丸「でも見に行くんでしょ」
善子「お願いされたから行くだけよ」
花丸「言われなくても知ってたら見に行ってると思うけどね、善子ちゃんは」
善子「…ほっとけないのよ、あの子」
善子「やるってことしか決めてないのよ? 絶対おかしいわよね」
花丸「でも見に行くんでしょ」
善子「お願いされたから行くだけよ」
花丸「言われなくても知ってたら見に行ってると思うけどね、善子ちゃんは」
善子「…ほっとけないのよ、あの子」
128: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:06:30.32 ID:tVIRLjPT
花丸「気持ちは分かるずら」
善子「それに、見てみたいっていうのもきっとあると思う」
善子「好きなことを一生懸命にやるあの子の姿を」
花丸「そっか…」フフッ
花丸「……笑いたいよね、好きなものと向かい合ってるときくらいは」
花丸「それで幸せになれるなら、尚更」
善子「……どうしたの急に」
花丸「ううん、ライブ楽しみだねえって」
善子「……」
善子「それに、見てみたいっていうのもきっとあると思う」
善子「好きなことを一生懸命にやるあの子の姿を」
花丸「そっか…」フフッ
花丸「……笑いたいよね、好きなものと向かい合ってるときくらいは」
花丸「それで幸せになれるなら、尚更」
善子「……どうしたの急に」
花丸「ううん、ライブ楽しみだねえって」
善子「……」
129: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:07:09.65 ID:tVIRLjPT
─
ルビィ「ただいまー」
ダイヤ「おかえりなさい、遅かったのね」
ルビィ「練習してた」
ダイヤ「今から? 随分気が早いわね、まだほとんど何も決まっていないのに」
ルビィ「ライブやること聞いたの?」
ダイヤ「ええ、果南さんに」
ルビィ「そっか」
130: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:07:46.20 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「大丈夫なの」
ルビィ「ルビィは楽しみだよ」
ダイヤ「部活は上手くいってる?」
ルビィ「みんな良い人だから大丈夫だよ、梨子さんとは結構話せるし」
ルビィ「ピアノも上手だったんだぁ」エヘヘ
ダイヤ「それならいいのだけど」
ルビィ「ルビィは楽しみだよ」
ダイヤ「部活は上手くいってる?」
ルビィ「みんな良い人だから大丈夫だよ、梨子さんとは結構話せるし」
ルビィ「ピアノも上手だったんだぁ」エヘヘ
ダイヤ「それならいいのだけど」
131: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:08:23.32 ID:tVIRLjPT
ルビィ「うん、いい曲だから楽しみにしててね」
ダイヤ「…そういえば、このことを彼女には伝えたんですか?」
ルビィ「彼女って?」
ダイヤ「津島善子さん」
ルビィ「うん、言ってきたよ」
ダイヤ「そうですわよね、貴女ずいぶん気にいってるみたいだもの」
ダイヤ「…そういえば、このことを彼女には伝えたんですか?」
ルビィ「彼女って?」
ダイヤ「津島善子さん」
ルビィ「うん、言ってきたよ」
ダイヤ「そうですわよね、貴女ずいぶん気にいってるみたいだもの」
132: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:09:05.38 ID:tVIRLjPT
ルビィ「そうだね」
ダイヤ「何かあったの? 彼女と」
ルビィ「分からない。でもね、多分それだけじゃないと思うの」
ルビィ「ルビィの一目ぼれかもしれないし、ただ一緒にいたからっていうのもあるかもしれない」
ダイヤ「えーと、つまり?」
ルビィ「その何かがあってもなくても、ルビィは善子ちゃんのことが好きってこと」
ルビィ「ううん、好きになっちゃったのかな」
ダイヤ「何かあったの? 彼女と」
ルビィ「分からない。でもね、多分それだけじゃないと思うの」
ルビィ「ルビィの一目ぼれかもしれないし、ただ一緒にいたからっていうのもあるかもしれない」
ダイヤ「えーと、つまり?」
ルビィ「その何かがあってもなくても、ルビィは善子ちゃんのことが好きってこと」
ルビィ「ううん、好きになっちゃったのかな」
133: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:09:49.31 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「……そう」
ルビィ「変かな」
ダイヤ「いいえ、全くそうは思いませんわ」
ルビィ「いいと思う?」
ダイヤ「私は応援します」
ルビィ「……じゃあ、一個だけお願いしてもいい?」
ルビィ「変かな」
ダイヤ「いいえ、全くそうは思いませんわ」
ルビィ「いいと思う?」
ダイヤ「私は応援します」
ルビィ「……じゃあ、一個だけお願いしてもいい?」
134: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:10:30.77 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「なに?」
ルビィ「ルビィのこと、善子ちゃんに教えてあげてほしいの」
ダイヤ「教えるって……ルビィ、あなた自分が何を言ってるのか」
ルビィ「……」
ダイヤ「……本当に私が言っていいのね?」
ルビィ「お姉ちゃんにしか頼めないよ」
ダイヤ「…なら一つだけ条件。その後の告白はルビィからすること、向こうが行動してくれるまで待っては駄目」
ルビィ「うん、善子ちゃんのこと困らせたくないもん」
ルビィ「ルビィのこと、善子ちゃんに教えてあげてほしいの」
ダイヤ「教えるって……ルビィ、あなた自分が何を言ってるのか」
ルビィ「……」
ダイヤ「……本当に私が言っていいのね?」
ルビィ「お姉ちゃんにしか頼めないよ」
ダイヤ「…なら一つだけ条件。その後の告白はルビィからすること、向こうが行動してくれるまで待っては駄目」
ルビィ「うん、善子ちゃんのこと困らせたくないもん」
135: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:11:10.24 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「そう……本当に好きなのね、彼女のことが」
ダイヤ「分かりました、では近いうちに話をしておきます」
ルビィ「ありがとう、お姉ちゃん」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「ん」
ダイヤ「私は信じてますから、頑張ってね」
ルビィ「……うん」
ダイヤ「分かりました、では近いうちに話をしておきます」
ルビィ「ありがとう、お姉ちゃん」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「ん」
ダイヤ「私は信じてますから、頑張ってね」
ルビィ「……うん」
136: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:11:51.64 ID:tVIRLjPT
数週間後…
─体育館
千歌「──以上で終わりたいと思います!」
千歌「本日はご来場いただき、ありがとうございました!!」
「ありがとうございました!!」
ワー! パチパチパチパチ
137: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:12:29.00 ID:tVIRLjPT
果南「……ふう」
「中々いいじゃない今のリーダーは。元気いっぱいでとってもCuteだし」
「前の堅物とはえらい違い」
果南「そういうあんたの神出鬼没っぷりは少しも変わっていないね、鞠莉」
鞠莉「ハロー果南。元気にしてた?」
果南「まあぼちぼち、ていうか帰ってきてたなら連絡くらいしてよ」
果南「なんの前ぶりもなく会場にいたときはビックリしてフォーム崩しそうになったんだから」
「中々いいじゃない今のリーダーは。元気いっぱいでとってもCuteだし」
「前の堅物とはえらい違い」
果南「そういうあんたの神出鬼没っぷりは少しも変わっていないね、鞠莉」
鞠莉「ハロー果南。元気にしてた?」
果南「まあぼちぼち、ていうか帰ってきてたなら連絡くらいしてよ」
果南「なんの前ぶりもなく会場にいたときはビックリしてフォーム崩しそうになったんだから」
138: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:13:14.12 ID:tVIRLjPT
鞠莉「ごめんごめん、ちょっと色々立て込んでてこっちも忙しかったのよ」
鞠莉「それにこんな風に突然来た方がサプライズって感じでいいと思って」
果南「そういうところも相変わらずだね」
鞠莉「それで、ルビィって子はどの子?」
果南「自己紹介見てなかったの? 右端の赤い髪の子だよ」
鞠莉「途中から来たから……ってあの子だったの!? 全然似てないわね」
果南「鞠莉」
鞠莉「……ごめんなさい、今のは失言だったわね」
鞠莉「それにこんな風に突然来た方がサプライズって感じでいいと思って」
果南「そういうところも相変わらずだね」
鞠莉「それで、ルビィって子はどの子?」
果南「自己紹介見てなかったの? 右端の赤い髪の子だよ」
鞠莉「途中から来たから……ってあの子だったの!? 全然似てないわね」
果南「鞠莉」
鞠莉「……ごめんなさい、今のは失言だったわね」
139: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:13:53.41 ID:tVIRLjPT
果南「いいよ、言いたいことは何となく分かってるし」
果南「確かに私から見てもダイヤとは全然違うからね、ルビィちゃんは」
鞠莉「そういえばそのダイヤはどこに行ったのかしら? 色々話そうと思っていたのに」
果南「ダイヤならさっき善子ちゃんを連れてどこか行ったけど」
鞠莉「善子ちゃん?」
果南「ルビィちゃんのお気に入りから、片想いに変わった子だよ。同じクラスのね」
鞠莉「成程、片想い。つまり似た者同士ってことね」
果南「確かに私から見てもダイヤとは全然違うからね、ルビィちゃんは」
鞠莉「そういえばそのダイヤはどこに行ったのかしら? 色々話そうと思っていたのに」
果南「ダイヤならさっき善子ちゃんを連れてどこか行ったけど」
鞠莉「善子ちゃん?」
果南「ルビィちゃんのお気に入りから、片想いに変わった子だよ。同じクラスのね」
鞠莉「成程、片想い。つまり似た者同士ってことね」
140: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:14:27.31 ID:tVIRLjPT
果南「…それはどういう意味かなん?」
鞠莉「そういう意味でしょ。さてと、そろそろ先輩として今のAqoursに挨拶にでも行きましょうかねー」
果南「ふうん、挨拶」
鞠莉「そう、ご挨拶」
果南「鞠莉」
鞠莉「んー?」
果南「うちのアイドルはお触り禁止だからね」
鞠莉「Ohそれは残念……ってあら?」
花丸「……」ワイワイ
鞠莉「そういう意味でしょ。さてと、そろそろ先輩として今のAqoursに挨拶にでも行きましょうかねー」
果南「ふうん、挨拶」
鞠莉「そう、ご挨拶」
果南「鞠莉」
鞠莉「んー?」
果南「うちのアイドルはお触り禁止だからね」
鞠莉「Ohそれは残念……ってあら?」
花丸「……」ワイワイ
141: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:15:12.84 ID:tVIRLjPT
鞠莉「ねえ、あのルビィと話してる知り合いっぽい子は?」
果南「ああ、花丸ちゃんね」
鞠莉「へえ、花丸……彼女は部に入ってないから大丈夫よね」
果南「今のところはそうだね」
鞠莉「発育もかなりのものだし、フフッこれは久々にいい感触が味わえ…」
果南「ただ黒澤家全員敵に回すことになるけど、それでもいいって言うなら別に」
鞠莉「……やっぱり先輩は威厳がないと駄目よね、そういうのにはNOtouchってやつ」
果南「いいんじゃない? 今の鞠莉に威厳があるかどうかは些か疑問に思うけどね」
果南「ああ、花丸ちゃんね」
鞠莉「へえ、花丸……彼女は部に入ってないから大丈夫よね」
果南「今のところはそうだね」
鞠莉「発育もかなりのものだし、フフッこれは久々にいい感触が味わえ…」
果南「ただ黒澤家全員敵に回すことになるけど、それでもいいって言うなら別に」
鞠莉「……やっぱり先輩は威厳がないと駄目よね、そういうのにはNOtouchってやつ」
果南「いいんじゃない? 今の鞠莉に威厳があるかどうかは些か疑問に思うけどね」
142: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:15:48.60 ID:tVIRLjPT
─
善子「なに、いきなりこんなところまで呼び出して」
ダイヤ「善子さんに大事な話がありまして」
善子「私に?」
ダイヤ「ええ、ルビィのことについて」
善子「……ルビィの」
ダイヤ「はい、ですがその前に」
ダイヤ「善子さん、貴女はルビィのことをどう思っていますか?」
143: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:16:27.80 ID:tVIRLjPT
善子「どうっていうのは?」
ダイヤ「人として好きなのか、恋愛対象として好きなのか、という意味です」
善子「……そうね、人としてかしら。さっきまでなら」
ダイヤ「さっきですか」
善子「最初は少し心配だった、人ともあまり上手く話せない子がステージで歌うなんてって」
善子「でもいざ始まってみたら、そんなもの少しも感じられなくて……」
善子「一番綺麗だった。誰よりも」
ダイヤ「人として好きなのか、恋愛対象として好きなのか、という意味です」
善子「……そうね、人としてかしら。さっきまでなら」
ダイヤ「さっきですか」
善子「最初は少し心配だった、人ともあまり上手く話せない子がステージで歌うなんてって」
善子「でもいざ始まってみたら、そんなもの少しも感じられなくて……」
善子「一番綺麗だった。誰よりも」
144: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:17:06.17 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「……」
善子「目を奪われたっていうか何というか……恥ずかしいけど」
ダイヤ「そうですわね、活き活きとしていました」
善子「だからその……好きよ、私は。黒澤ルビィのことが」
ダイヤ「……」
善子「……えっと、それから…」
ダイヤ「いいえ、もう十分です。ありがとうございました」
善子「目を奪われたっていうか何というか……恥ずかしいけど」
ダイヤ「そうですわね、活き活きとしていました」
善子「だからその……好きよ、私は。黒澤ルビィのことが」
ダイヤ「……」
善子「……えっと、それから…」
ダイヤ「いいえ、もう十分です。ありがとうございました」
145: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:17:41.09 ID:tVIRLjPT
善子「じゃあ……私に教えてください、ルビィのこと」
善子「私も、もっとあの子のことが知りたい」
ダイヤ「いいでしょう、元よりそのつもりで来ましたから」
ダイヤ「ただ少々気を悪くされるかもしれませんが、どうか最後まで聞いてくださいね」
善子「ええ、分かったわ」
ダイヤ「……では結論から。そして単刀直入に言わせていただきます」
ダイヤ「善子さん、あの子は…ルビィは家の子ではありません」
善子「私も、もっとあの子のことが知りたい」
ダイヤ「いいでしょう、元よりそのつもりで来ましたから」
ダイヤ「ただ少々気を悪くされるかもしれませんが、どうか最後まで聞いてくださいね」
善子「ええ、分かったわ」
ダイヤ「……では結論から。そして単刀直入に言わせていただきます」
ダイヤ「善子さん、あの子は…ルビィは家の子ではありません」
146: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:18:22.11 ID:tVIRLjPT
善子「……えっ…」
ダイヤ「……」
善子「…家の子、じゃない……?」
ダイヤ「はい、もっと正確に言うならば」
ダイヤ「私たち黒澤家とあの子には血の繋がりがないんです」
善子「─!?」
ダイヤ「そうですね、今からおよそ十年ほど前……」
ダイヤ「その頃に黒澤家が養子として引き取った捨て子なんです、ルビィは」
ダイヤ「……」
善子「…家の子、じゃない……?」
ダイヤ「はい、もっと正確に言うならば」
ダイヤ「私たち黒澤家とあの子には血の繋がりがないんです」
善子「─!?」
ダイヤ「そうですね、今からおよそ十年ほど前……」
ダイヤ「その頃に黒澤家が養子として引き取った捨て子なんです、ルビィは」
147: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:19:14.93 ID:tVIRLjPT
善子「……ルビィが、捨て子…」
ダイヤ「お母様がルビィを連れて帰ってきたときのことは、今でも鮮明に思い出せます」
ダイヤ「私は、最初にあの子を見たとき…言葉の一つすら出てこなかった」
ダイヤ「本当に生き写しかと思うくらい、そっくりだったから」
善子「生き写しって……!! じゃあ…前に花丸が言ってた、黒髪のルビィっていうのは……まさか」
ダイヤ「成程、花丸さんがそのように」
ダイヤ「…ええ、想像の通りですわ。名前は黒澤サファイア」
ダイヤ「私の、血の繋がった実の妹です……外見がルビィと瓜二つの…ね」
ダイヤ「お母様がルビィを連れて帰ってきたときのことは、今でも鮮明に思い出せます」
ダイヤ「私は、最初にあの子を見たとき…言葉の一つすら出てこなかった」
ダイヤ「本当に生き写しかと思うくらい、そっくりだったから」
善子「生き写しって……!! じゃあ…前に花丸が言ってた、黒髪のルビィっていうのは……まさか」
ダイヤ「成程、花丸さんがそのように」
ダイヤ「…ええ、想像の通りですわ。名前は黒澤サファイア」
ダイヤ「私の、血の繋がった実の妹です……外見がルビィと瓜二つの…ね」
148: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:19:56.23 ID:tVIRLjPT
善子「黒澤、サファイア…」
ダイヤ「はい、私の両親はなにかと子供に宝石名を付けたがるもので」
善子「もしかしてルビィも?」
ダイヤ「はい、あの子のルビィという名前もここに来てから正式に付けられたものです」
善子「改名したってことよね、本名は?」
ダイヤ「そこまでは……ただ」
善子「ただ?」
ダイヤ「お母様が言うには、とてもすんなり受け入れてくれたと」
ダイヤ「はい、私の両親はなにかと子供に宝石名を付けたがるもので」
善子「もしかしてルビィも?」
ダイヤ「はい、あの子のルビィという名前もここに来てから正式に付けられたものです」
善子「改名したってことよね、本名は?」
ダイヤ「そこまでは……ただ」
善子「ただ?」
ダイヤ「お母様が言うには、とてもすんなり受け入れてくれたと」
149: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:20:33.58 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「自分の名前に思い入れがなかったというよりかは、諦めたように感じたと話していましたわ」
善子「……捨て子、って言ってたわよね」
善子「ここに来るまではどんな生活を送っていたのか、分かる?」
ダイヤ「聞いた限りの話ですが、拾われる前は父親と二人で暮らしていたそうです」
善子「片親家庭ってこと?」
ダイヤ「ですね、母親がいない理由は死亡か、離婚か…」
ダイヤ「詳しいことは分かりませんが親権などの問題を考えると恐らく前者のほうかと」
善子「……捨て子、って言ってたわよね」
善子「ここに来るまではどんな生活を送っていたのか、分かる?」
ダイヤ「聞いた限りの話ですが、拾われる前は父親と二人で暮らしていたそうです」
善子「片親家庭ってこと?」
ダイヤ「ですね、母親がいない理由は死亡か、離婚か…」
ダイヤ「詳しいことは分かりませんが親権などの問題を考えると恐らく前者のほうかと」
150: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:21:11.19 ID:tVIRLjPT
善子「どちらにしても酷い話ね、結局は捨てるんだから」
ダイヤ「……ええ、出会ったときは身も心も衰弱しきっていたみたいで」
ダイヤ「もしあのとき、お母様が見つけていなかったら…きっと」
善子「死んでいたかもしれないってことね……」
ダイヤ「はい……」
善子「…………でも」
ダイヤ「……ええ、出会ったときは身も心も衰弱しきっていたみたいで」
ダイヤ「もしあのとき、お母様が見つけていなかったら…きっと」
善子「死んでいたかもしれないってことね……」
ダイヤ「はい……」
善子「…………でも」
151: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:21:50.69 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「え?」
善子「いや、ごめん……こんなこと言うのは失礼だって分かってはいるんだけど」
ダイヤ「……」
善子「けど…ルビィが拾われたのだって、そのサファイアって子に…似てるからで」
善子「だからその、結局は──「親のエゴ」
善子「!」
ダイヤ「ですわよね」
善子「…………はい」
善子「いや、ごめん……こんなこと言うのは失礼だって分かってはいるんだけど」
ダイヤ「……」
善子「けど…ルビィが拾われたのだって、そのサファイアって子に…似てるからで」
善子「だからその、結局は──「親のエゴ」
善子「!」
ダイヤ「ですわよね」
善子「…………はい」
152: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:22:27.25 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「いいんですよ、皆分かっていることですから…寧ろ、その言葉を聞けて安心しましたわ」
ダイヤ「善子さんはルビィのことを、本当に想ってくれているのですね」
善子「…他人だから、言えることかもしれないわよ」
ダイヤ「でも無関心なら、そんな言葉は出てこないでしょう?」
善子「……」
ダイヤ「お母様も言っていました、あの子の人生は親の都合で変えられているだけだと」
ダイヤ「ただそれでも、だからこそあの子を放っておけなかった、幸せにしてあげたいのだと」
ダイヤ「目を腫らしたまま……」
ダイヤ「善子さんはルビィのことを、本当に想ってくれているのですね」
善子「…他人だから、言えることかもしれないわよ」
ダイヤ「でも無関心なら、そんな言葉は出てこないでしょう?」
善子「……」
ダイヤ「お母様も言っていました、あの子の人生は親の都合で変えられているだけだと」
ダイヤ「ただそれでも、だからこそあの子を放っておけなかった、幸せにしてあげたいのだと」
ダイヤ「目を腫らしたまま……」
153: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:23:05.64 ID:tVIRLjPT
善子「……」
ダイヤ「もしかしたら、ルビィもそれが分かっているのかもしれませんわね」
ダイヤ「だからあの子は、あの子なりに手探りで自分の幸せを探そうとしている」
善子「幸せ……か」
善子「…ダイヤさん」
ダイヤ「はい」
善子「ありがとう、話してくれて」
ダイヤ「もしかしたら、ルビィもそれが分かっているのかもしれませんわね」
ダイヤ「だからあの子は、あの子なりに手探りで自分の幸せを探そうとしている」
善子「幸せ……か」
善子「…ダイヤさん」
ダイヤ「はい」
善子「ありがとう、話してくれて」
154: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:23:41.87 ID:tVIRLjPT
善子「正直…今の話を聞くまで勘違いしてたかもしれない、ルビィのこと」
善子「ただのちょっと変わった子なんだって、それだけで……でも」
善子「あの子は強かった。私なんかよりもずっと」
ダイヤ「善子さん…」
善子「私があの子に出来ることなんてちっぽけかもしれないけど」
善子「それでもあの子が困っているなら助けてあげたい、傍にいてあげたい」
善子「同情なんかじゃなくて、大切な人だから」
ダイヤ「……良かった。聞いてくれたのが貴女で」
ダイヤ「善子さん、ルビィのこと…どうかこれからもよろしくお願い致します」
善子「ただのちょっと変わった子なんだって、それだけで……でも」
善子「あの子は強かった。私なんかよりもずっと」
ダイヤ「善子さん…」
善子「私があの子に出来ることなんてちっぽけかもしれないけど」
善子「それでもあの子が困っているなら助けてあげたい、傍にいてあげたい」
善子「同情なんかじゃなくて、大切な人だから」
ダイヤ「……良かった。聞いてくれたのが貴女で」
ダイヤ「善子さん、ルビィのこと…どうかこれからもよろしくお願い致します」
155: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:24:18.85 ID:tVIRLjPT
─
ルビィ「それでね、ここで曲が盛り上がるから振りも大きくして……」
花丸「ふむふむ、成程ぉ。流石ルビィちゃんずら」
善子「ずいぶんと熱心なのね」
ルビィ「あれ善子ちゃん、お話し終わったんだ?」
善子「さっき丁度ね」
ルビィ「そっかぁ、じゃあ今度はルビィとお話ししようよ…いいよね花丸ちゃん?」
156: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:24:58.09 ID:tVIRLjPT
花丸「うん、待ってる」
ルビィ「えへへっありがとう、それじゃあ善子ちゃん」
ギュッ
ルビィ「ついてきて」
善子「……いいわよ」
ルビィ「えへへっありがとう、それじゃあ善子ちゃん」
ギュッ
ルビィ「ついてきて」
善子「……いいわよ」
157: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:25:29.13 ID:tVIRLjPT
鞠莉「あら、何やらそれっぽい雰囲気が」
果南「いつまで野次馬してるの」
鞠莉「そろそろ降りるわよ、ここから先は打ち切りみたいだし」
ダイヤ「驚いた。それなりの配慮は出来ますのね」
鞠莉「What's!? 普通出会い頭にそんな失礼なこと言う!?」
ダイヤ「そうでした、まずはご挨拶から。お久しぶりです鞠莉さん」
果南「いつまで野次馬してるの」
鞠莉「そろそろ降りるわよ、ここから先は打ち切りみたいだし」
ダイヤ「驚いた。それなりの配慮は出来ますのね」
鞠莉「What's!? 普通出会い頭にそんな失礼なこと言う!?」
ダイヤ「そうでした、まずはご挨拶から。お久しぶりです鞠莉さん」
158: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:26:07.58 ID:tVIRLjPT
鞠莉「ハーイ久しぶり…って挨拶が先とかの問題じゃなくて」
果南「あ、ダイヤおかえり」
ダイヤ「ただいま帰りました」
鞠莉「そしてスルーね、いじけるわよ本当に」
ダイヤ「すみません、このやり取りも懐かしかったものですから」
鞠莉「じゃあ触らせてよ」
ダイヤ「は?」
鞠莉「だって果南がダメダメってうるさいんだもの。私だって懐かしみたいのに」
ダイヤ「本当に変わっていませんわね貴女」
果南「ハグならいいんだけどね別に」
果南「あ、ダイヤおかえり」
ダイヤ「ただいま帰りました」
鞠莉「そしてスルーね、いじけるわよ本当に」
ダイヤ「すみません、このやり取りも懐かしかったものですから」
鞠莉「じゃあ触らせてよ」
ダイヤ「は?」
鞠莉「だって果南がダメダメってうるさいんだもの。私だって懐かしみたいのに」
ダイヤ「本当に変わっていませんわね貴女」
果南「ハグならいいんだけどね別に」
159: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:26:47.31 ID:tVIRLjPT
鞠莉「はぁ、お堅い世の中になってしまったわね…ただのスキンシップなのに」
果南「ただのスキンシップならこんなに拒否しないよ、初めての人なら特にね」
ダイヤ「? どういう意味ですかそれは」
鞠莉「あっ」
ダイヤ「鞠莉さん? ……貴女、まさか私たち以外にもそんな気をおこしているわけではないでしょうね」
鞠莉「いやそれは」
果南「うん、Aqoursの新メンバーにちょっとね」
鞠莉「果南!?」
果南「あー、それと花丸ちゃんにも」
果南「ただのスキンシップならこんなに拒否しないよ、初めての人なら特にね」
ダイヤ「? どういう意味ですかそれは」
鞠莉「あっ」
ダイヤ「鞠莉さん? ……貴女、まさか私たち以外にもそんな気をおこしているわけではないでしょうね」
鞠莉「いやそれは」
果南「うん、Aqoursの新メンバーにちょっとね」
鞠莉「果南!?」
果南「あー、それと花丸ちゃんにも」
160: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:27:24.44 ID:tVIRLjPT
ダイヤ「……へえ」
鞠莉「ダ、ダイヤ……? あのー、ダイヤさん?」
ダイヤ「……行きましょうか、果南さん」
果南「いいよ、こっちもちょうど話したいことがあったから」
鞠莉「ちょっ…待って! sorry謝るから! ほんの出来心だったのよ分かるでしょ!? 分からない!?」
鞠莉「まず私の話を聞いて! ねえちょっとそんな早歩きしないで置いていかないで! いやダッシュしろって意味じゃなくて!! ねえ!」
ポツン……
鞠莉「……だいやー、かなーん…」
スタスタ
千歌「…えっと結構聞こえてたけど、大丈夫ですか?」
鞠莉「……とりあえず入部届一枚プリーズ」
鞠莉「ダ、ダイヤ……? あのー、ダイヤさん?」
ダイヤ「……行きましょうか、果南さん」
果南「いいよ、こっちもちょうど話したいことがあったから」
鞠莉「ちょっ…待って! sorry謝るから! ほんの出来心だったのよ分かるでしょ!? 分からない!?」
鞠莉「まず私の話を聞いて! ねえちょっとそんな早歩きしないで置いていかないで! いやダッシュしろって意味じゃなくて!! ねえ!」
ポツン……
鞠莉「……だいやー、かなーん…」
スタスタ
千歌「…えっと結構聞こえてたけど、大丈夫ですか?」
鞠莉「……とりあえず入部届一枚プリーズ」
161: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:28:01.72 ID:tVIRLjPT
─
善子「また随分と離れたわね」
ルビィ「人がいるところで話せるようなことじゃないので、そうでしょ?」
ルビィ「…聞いたんだよね、お姉ちゃんから」
善子「ええ」
ルビィ「あれね、ルビィが頼んだの」
ルビィ「本当は自分の口から言ったほうがいいのかもしれないけど、ルビィだと何をどうやって話せばいいのか分からなくなっちゃうから」
善子「かもしれないわね」
ルビィ「それでもね、知ってほしくて」
善子「どうして?」
162: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:28:35.01 ID:tVIRLjPT
ルビィ「それは……」
善子「……」
ルビィ「それは……ね、多分怖かったから」
善子「怖い?」
ルビィ「このまま仲良くなっていったその後に、ルビィの知らないところで善子ちゃんが事情を聞いて」
ルビィ「離れていくのが、怖かったの……みんなそうなんだもん」アハハ
善子「……」
善子「……」
ルビィ「それは……ね、多分怖かったから」
善子「怖い?」
ルビィ「このまま仲良くなっていったその後に、ルビィの知らないところで善子ちゃんが事情を聞いて」
ルビィ「離れていくのが、怖かったの……みんなそうなんだもん」アハハ
善子「……」
163: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:29:10.94 ID:tVIRLjPT
ルビィ「どんなに最初は良くったって……だから」
ルビィ「だからね、善子ちゃんだけはルビィの方からちゃんと言わなくちゃって」
ルビィ「そう、思って……だって」
善子「……」
ルビィ「……だって…」
ルビィ「…初めて、ちゃんと好きになった人だから」
善子「……そう」
善子「ねえルビィ」
ルビィ「だからね、善子ちゃんだけはルビィの方からちゃんと言わなくちゃって」
ルビィ「そう、思って……だって」
善子「……」
ルビィ「……だって…」
ルビィ「…初めて、ちゃんと好きになった人だから」
善子「……そう」
善子「ねえルビィ」
164: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:29:54.50 ID:tVIRLjPT
ルビィ「うん」
善子「ありがとう、ちゃんと貴女の口から言ってくれて、伝えてくれて」
ダキッ
善子「本当に嬉しかった。だから、もういいわよ」
ルビィ「……ぇ…」
善子「ルビィ、もう我慢しなくていいの。愛想笑いで誤魔化すのはやめなさい」
善子「私の前で無理はしなくていい。素直に言いたいことを言っていいのよ、全部聞いてあげるから」ナデナデ
善子「よく頑張ったわね」
ルビィ「…………っ……」
善子「ありがとう、ちゃんと貴女の口から言ってくれて、伝えてくれて」
ダキッ
善子「本当に嬉しかった。だから、もういいわよ」
ルビィ「……ぇ…」
善子「ルビィ、もう我慢しなくていいの。愛想笑いで誤魔化すのはやめなさい」
善子「私の前で無理はしなくていい。素直に言いたいことを言っていいのよ、全部聞いてあげるから」ナデナデ
善子「よく頑張ったわね」
ルビィ「…………っ……」
165: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:30:34.99 ID:tVIRLjPT
ルビィ「…………いやだったよ、全部」
ルビィ「お姉ちゃんと比べられることも、サファイアちゃんと比べられることも」
ルビィ「いっつもルビィじゃない、違う人を見ようとしてる周りの目も、いやで」
ルビィ「お友達もいつの間にかルビィから離れてるのが、なんか…分かっちゃうのも…いやで」
ルビィ「本当は…もう誰とも話したくなかった」
善子「うん」
ルビィ「お姉ちゃんと比べられることも、サファイアちゃんと比べられることも」
ルビィ「いっつもルビィじゃない、違う人を見ようとしてる周りの目も、いやで」
ルビィ「お友達もいつの間にかルビィから離れてるのが、なんか…分かっちゃうのも…いやで」
ルビィ「本当は…もう誰とも話したくなかった」
善子「うん」
166: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:31:22.57 ID:tVIRLjPT
ルビィ「ずっと嫌いだった、花丸ちゃんもお姉ちゃんもお母さんもお父さんも」
ルビィ「大っ嫌いだった!! 本当に嫌いだったんだよ!! なのにっ!!」
善子「……」
ルビィ「それなのに……言えなかったんだよ……」
ルビィ「一番嫌いなときに、嫌いだって、言えなかった」
ルビィ「大っ嫌いだった!! 本当に嫌いだったんだよ!! なのにっ!!」
善子「……」
ルビィ「それなのに……言えなかったんだよ……」
ルビィ「一番嫌いなときに、嫌いだって、言えなかった」
167: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:32:01.57 ID:tVIRLjPT
ルビィ「だからね、もう……出来ないの」
ルビィ「だって……みんなのこと、好きになっちゃったから……」
ルビィ「だから…もう、言えない…っ…!」
ルビィ「それが一番いやだったの! ルビィにも皆にも嘘をついてて!!」
ルビィ「怖かった! 嘘つきだからいつか嫌われるんじゃないかって!」
ルビィ「またいなくなるんじゃないかって!! そんなことばっかり! 自分のことばかり考えてたの!!」
ルビィ「だって……みんなのこと、好きになっちゃったから……」
ルビィ「だから…もう、言えない…っ…!」
ルビィ「それが一番いやだったの! ルビィにも皆にも嘘をついてて!!」
ルビィ「怖かった! 嘘つきだからいつか嫌われるんじゃないかって!」
ルビィ「またいなくなるんじゃないかって!! そんなことばっかり! 自分のことばかり考えてたの!!」
168: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:32:39.50 ID:tVIRLjPT
ルビィ「酷いって分かってても! ……だけど……それでも」
ルビィ「それでも…ルビィはね」
ルビィ「…もう……ひとりには、なりたくない…から…っ……」ポロポロ
善子「……」
ルビィ「ずっと…我慢してたの……」
ギュッ
善子「大丈夫」
善子「私、あなたのこと好きよ」
ルビィ「よしこちゃ……うぅっ……わああああああああん!!」
ルビィ「それでも…ルビィはね」
ルビィ「…もう……ひとりには、なりたくない…から…っ……」ポロポロ
善子「……」
ルビィ「ずっと…我慢してたの……」
ギュッ
善子「大丈夫」
善子「私、あなたのこと好きよ」
ルビィ「よしこちゃ……うぅっ……わああああああああん!!」
169: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:33:38.53 ID:tVIRLjPT
……
…
花丸「あっ」
善子「悪かったわね、待たせて」
花丸「ううん、ルビィちゃんは?」
善子「寝かせてる、疲れてたみたいだから」
花丸「…そっか」
170: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:34:13.93 ID:tVIRLjPT
善子「ねえ、スクールアイドル部の人たちはまだいる?」
花丸「今あっちで楽しそうにしてるけど」
善子「そう、じゃあついてきて」
花丸「……?」
花丸「今あっちで楽しそうにしてるけど」
善子「そう、じゃあついてきて」
花丸「……?」
171: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:34:56.77 ID:tVIRLjPT
鞠莉「ふーん、私がいない間も相変わらずだったのね。果南」
千歌「そうそう、のんびりしてて危機感がないっていうか…前あったテストでも危なかったんだから!」
梨子「それを千歌ちゃんが言う? テスト直前に私に教えてもらいに来た千歌ちゃんが」
千歌「いやーまあ…あはは……」
曜「……」
善子「あの、ちょっといいかしら?」
千歌「そうそう、のんびりしてて危機感がないっていうか…前あったテストでも危なかったんだから!」
梨子「それを千歌ちゃんが言う? テスト直前に私に教えてもらいに来た千歌ちゃんが」
千歌「いやーまあ…あはは……」
曜「……」
善子「あの、ちょっといいかしら?」
172: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:35:30.65 ID:tVIRLjPT
千歌「あれ? えっとあなたは確か、ルビィちゃんと一緒にいた」
善子「津島善子、こっちは国木田花丸」
花丸「ど、どうも」
千歌「こんちかー! で、私になにか用?」
善子「ええ、入部届を貰いに来たの……二枚」
花丸「えっ」
善子「津島善子、こっちは国木田花丸」
花丸「ど、どうも」
千歌「こんちかー! で、私になにか用?」
善子「ええ、入部届を貰いに来たの……二枚」
花丸「えっ」
173: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:36:06.76 ID:tVIRLjPT
千歌「おぉ!? ということは」
善子「はい。津島善子、並びに国木田花丸は」
善子「スクールアイドル部への入部を希望します」
花丸「─!!」
善子「以後、よろしく」
善子「はい。津島善子、並びに国木田花丸は」
善子「スクールアイドル部への入部を希望します」
花丸「─!!」
善子「以後、よろしく」
174: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:36:46.98 ID:tVIRLjPT
千歌「やったー! こっちこそよろしくね! 善子ちゃん花丸ちゃん!」
善子「ええ、それじゃ明日から来るから」
善子「今日の所はさようなら。行きましょ花丸」
花丸「ちょ、ちょっと善子ちゃん!?」
千歌「はいはーいまたねー!」
千歌「すっごい! 今日だけで三人も入っちゃったよ! これがライブの力ってやつ!?」
梨子「うーん、なんか違う気がするけど……」
鞠莉「いいわねえ、若いって」
曜「いや、二つしか年違わないでしょ」
善子「ええ、それじゃ明日から来るから」
善子「今日の所はさようなら。行きましょ花丸」
花丸「ちょ、ちょっと善子ちゃん!?」
千歌「はいはーいまたねー!」
千歌「すっごい! 今日だけで三人も入っちゃったよ! これがライブの力ってやつ!?」
梨子「うーん、なんか違う気がするけど……」
鞠莉「いいわねえ、若いって」
曜「いや、二つしか年違わないでしょ」
175: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:37:30.76 ID:tVIRLjPT
スタスタ…
花丸「ねえ善子ちゃん」
花丸「善子ちゃんってば」
善子「なによ」
花丸「どうしてマルまで入部させたの」
善子「嫌なら断ればよかったでしょ、あの場で」
花丸「そうだけど…」
176: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:38:11.06 ID:tVIRLjPT
善子「…事情は大体知ってる、やらない理由なんてないでしょ」
善子「いつまでまごまごしてんのよ」
花丸「……本当はもうちょっとアイドルに詳しくなってから入ろうと思っていたのになあ」
善子「知識だけじゃ意味ないでしょ、経験だってしていかないと」
善子「本当に理解することなんて出来やしないわ。それは私もあんたも同じ」
花丸「…かもしれないね」
善子「いつまでまごまごしてんのよ」
花丸「……本当はもうちょっとアイドルに詳しくなってから入ろうと思っていたのになあ」
善子「知識だけじゃ意味ないでしょ、経験だってしていかないと」
善子「本当に理解することなんて出来やしないわ。それは私もあんたも同じ」
花丸「…かもしれないね」
177: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:38:54.26 ID:tVIRLjPT
花丸「でも、好きな子のためって不純な気がしてならないずら」
善子「でしょうね。けど私も似たようなものだから、お互い様よ」
花丸「フフッ、意外とマルたちも似た者同士だったりするのかな?」
善子「惚れた相手が相手だもの、案外近いところはあるかもしれないわよ」
花丸「あはは、成程。それは確かにそうだね」
善子「でしょうね。けど私も似たようなものだから、お互い様よ」
花丸「フフッ、意外とマルたちも似た者同士だったりするのかな?」
善子「惚れた相手が相手だもの、案外近いところはあるかもしれないわよ」
花丸「あはは、成程。それは確かにそうだね」
178: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:39:28.38 ID:tVIRLjPT
花丸「……アオちゃんって呼んでいたんだ」
善子「アオちゃん?」
花丸「サファイアちゃんのこと、聞いたんだよね?」
善子「ああ、そういうこと」
花丸「うん。今でも思い出せるよ、あの頃のことは──」
善子「アオちゃん?」
花丸「サファイアちゃんのこと、聞いたんだよね?」
善子「ああ、そういうこと」
花丸「うん。今でも思い出せるよ、あの頃のことは──」
179: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:40:17.21 ID:tVIRLjPT
──
『マルちゃん、おはようー!』
『おはようアオちゃん!』
『? なに、そのアオちゃんって』
『あのね、さふぁいあって日本のわめい? だとあおだまって言うんだって』
『だから、さふぁいあちゃんはアオちゃんずら!』
180: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:40:52.92 ID:tVIRLjPT
『……』
『だめ、だった?』
『ううんすっごくいい! そっちのほうが絶対可愛いもん!!』
『アオちゃん、うんアオちゃん! 私これ大好き!』
『よかったあ、喜んでくれて』
『当たり前だよ! でもやっぱりマルちゃんってすごい! 色んなこと知ってるんだもん!』
『そ、そうずら?』
『だめ、だった?』
『ううんすっごくいい! そっちのほうが絶対可愛いもん!!』
『アオちゃん、うんアオちゃん! 私これ大好き!』
『よかったあ、喜んでくれて』
『当たり前だよ! でもやっぱりマルちゃんってすごい! 色んなこと知ってるんだもん!』
『そ、そうずら?』
181: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:42:04.14 ID:tVIRLjPT
『そうだよ! さすがは私のしょうらいのおヨメさん!!』
『え、えぇっ!? あの話ほんとうだったの?』
『ほんとうのほんとうだよ! マルちゃんはいやなの?』
『いや、じゃないけど…でもダイヤちゃんすごく怒ってたから』
『大丈夫! けっこんするまでに絶対せっとくするから!!』
『おねえちゃんだって私たちのこと好きなんだからむりじゃないもんね!!』
『え、えぇっ!? あの話ほんとうだったの?』
『ほんとうのほんとうだよ! マルちゃんはいやなの?』
『いや、じゃないけど…でもダイヤちゃんすごく怒ってたから』
『大丈夫! けっこんするまでに絶対せっとくするから!!』
『おねえちゃんだって私たちのこと好きなんだからむりじゃないもんね!!』
182: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:42:48.95 ID:tVIRLjPT
『ね! 一緒にがんばろうよマルちゃん!』
『えへへっアオちゃんが言うとほんとうにそうなる気がしてきたずら』
『あたりまえだよ! ほんきならいつかはむくわれるってお父さんも言ってたもん!』
『私はいつだってほんきなんだから!』
『ふふっそうだね』
『うん、だから今からお姉ちゃんにこのこと言ってくる!』
『また!?』
『えへへっアオちゃんが言うとほんとうにそうなる気がしてきたずら』
『あたりまえだよ! ほんきならいつかはむくわれるってお父さんも言ってたもん!』
『私はいつだってほんきなんだから!』
『ふふっそうだね』
『うん、だから今からお姉ちゃんにこのこと言ってくる!』
『また!?』
183: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:43:29.40 ID:tVIRLjPT
『また! でもすぐもどってくるよ』
『こんどは大丈夫だから!』
『本当かなぁ……』
『ホントホント!! あっ、そうだそれとね』
『アオちゃんって呼びかたマルちゃんしか使っちゃダメだからね!』
『え、どうして?』
『私とマルちゃん二人だけのヒミツなんだから! とくべつってやつ!』
『こんどは大丈夫だから!』
『本当かなぁ……』
『ホントホント!! あっ、そうだそれとね』
『アオちゃんって呼びかたマルちゃんしか使っちゃダメだからね!』
『え、どうして?』
『私とマルちゃん二人だけのヒミツなんだから! とくべつってやつ!』
184: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:44:04.87 ID:tVIRLjPT
『とくべつ…』
『じゃあいってきまーす!!』
『あ、うん。いってらっしゃい…』
『……くすっ』
『かわいいなあ。アオちゃん』
──
─
『じゃあいってきまーす!!』
『あ、うん。いってらっしゃい…』
『……くすっ』
『かわいいなあ。アオちゃん』
──
─
185: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:44:43.92 ID:tVIRLjPT
花丸「実際はサファイアの和名は青玉“せいぎょく”だったんだけどね」
花丸「でも、そういう細かい違いに気がついても直す気にはならかったんだ」
花丸「マルにとってのアオちゃんはアオちゃんのままだったから」
善子「……」
花丸「善子ちゃん。マルはね、あの子のそういうところが凄く羨ましくて、憧れてて」
花丸「そして、本当に大好きだったんだよ」ニコッ
花丸「でも、そういう細かい違いに気がついても直す気にはならかったんだ」
花丸「マルにとってのアオちゃんはアオちゃんのままだったから」
善子「……」
花丸「善子ちゃん。マルはね、あの子のそういうところが凄く羨ましくて、憧れてて」
花丸「そして、本当に大好きだったんだよ」ニコッ
186: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:45:26.88 ID:tVIRLjPT
善子「みたいね、話してるだけでも幸せそうに見えるわよ今の貴女」
花丸「ん、そうかなあ」
善子「見えるわよ。でもさ」
花丸「でも?」
善子「そんなあんたがよくルビィと親友になれたわよね……きつかったんじゃないの? 色々」
花丸「そう、だね……うん。正直そんな関係になれるとは思っていなかったよマルも」
花丸「ん、そうかなあ」
善子「見えるわよ。でもさ」
花丸「でも?」
善子「そんなあんたがよくルビィと親友になれたわよね……きつかったんじゃないの? 色々」
花丸「そう、だね……うん。正直そんな関係になれるとは思っていなかったよマルも」
187: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:46:08.13 ID:tVIRLjPT
花丸「まず第一印象が最低だったからね。初めにルビィちゃんに会ったときさ」
花丸「気持ち悪くて吐いたの、本人の目の前でだよ」
花丸「いなくなった人の代わりがすぐに見つかりました。みたいな」
花丸「なんだろう、そういう嫌悪感がきっと物凄かったんだと思う」
花丸「だってどこからどう見てもアオちゃんじゃないのに、そのくせアオちゃんにそっくりで」
花丸「頭がおかしくなりそうだったよ、本当に」
善子「……成程ね、どおりで」
花丸「気持ち悪くて吐いたの、本人の目の前でだよ」
花丸「いなくなった人の代わりがすぐに見つかりました。みたいな」
花丸「なんだろう、そういう嫌悪感がきっと物凄かったんだと思う」
花丸「だってどこからどう見てもアオちゃんじゃないのに、そのくせアオちゃんにそっくりで」
花丸「頭がおかしくなりそうだったよ、本当に」
善子「……成程ね、どおりで」
188: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:46:48.84 ID:tVIRLjPT
花丸「?」
善子「さっきルビィがさ、言ってたのよ。あんたのこと大嫌いだったって」
善子「それに納得した」
花丸「……そっか、ルビィちゃんが」
花丸「申し訳なかったんだずっと、マルたちはあれだけ酷い仕打ちをしておきながら」
花丸「ルビィちゃんは何も言わない、何も言わせない日々を送らせていたことが」
善子「立場とかの問題ってこと?」
花丸「まあ、ね。あとは本人の我慢強さや気遣い、こっちのほうが割を占めてるんじゃないかな」
善子「さっきルビィがさ、言ってたのよ。あんたのこと大嫌いだったって」
善子「それに納得した」
花丸「……そっか、ルビィちゃんが」
花丸「申し訳なかったんだずっと、マルたちはあれだけ酷い仕打ちをしておきながら」
花丸「ルビィちゃんは何も言わない、何も言わせない日々を送らせていたことが」
善子「立場とかの問題ってこと?」
花丸「まあ、ね。あとは本人の我慢強さや気遣い、こっちのほうが割を占めてるんじゃないかな」
189: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:47:52.65 ID:tVIRLjPT
花丸「マルや他の人達はさ、それに甘えていたんだよ。ダイヤさんも」
花丸「そのことに気付いたのはマルがたまたまお墓参りに遅れて」
花丸「先にアオちゃんのお墓の前でお参りしながら、一人ボロボロに泣いてるルビィちゃんを見たときだった」
花丸「何をしているんだろうって思った。こんなの、おかしいって」
花丸「そこから先はもう無我夢中で駆け寄って、抱きしめて、一緒にわんわん泣いた。悪者のくせに」
花丸「それまでは自分たちだけが苦しい思いをしていると思い込んでたクセに」
花丸「ごめんね、ごめんねって言葉も、もうどっちに言ってるのか分からなくて」
花丸「ただただ泣き喚くしかなかったんだ。それ以外に、出来ることなんてなかった」
花丸「そのことに気付いたのはマルがたまたまお墓参りに遅れて」
花丸「先にアオちゃんのお墓の前でお参りしながら、一人ボロボロに泣いてるルビィちゃんを見たときだった」
花丸「何をしているんだろうって思った。こんなの、おかしいって」
花丸「そこから先はもう無我夢中で駆け寄って、抱きしめて、一緒にわんわん泣いた。悪者のくせに」
花丸「それまでは自分たちだけが苦しい思いをしていると思い込んでたクセに」
花丸「ごめんね、ごめんねって言葉も、もうどっちに言ってるのか分からなくて」
花丸「ただただ泣き喚くしかなかったんだ。それ以外に、出来ることなんてなかった」
190: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:48:24.17 ID:tVIRLjPT
花丸「そのときに思ったの、この子の傍にいたいって」
花丸「一人の女の子として、友達として支えてあげたいって」
善子「……それが親友になるきっかけ、か」
花丸「うん。でも良かった、嫌いだってちゃんと言える人が見つかって」
善子「好きになったからもう言えないともね」
花丸「……本当に参るよね、そういうの聞いちゃうと」
花丸「一人の女の子として、友達として支えてあげたいって」
善子「……それが親友になるきっかけ、か」
花丸「うん。でも良かった、嫌いだってちゃんと言える人が見つかって」
善子「好きになったからもう言えないともね」
花丸「……本当に参るよね、そういうの聞いちゃうと」
191: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:49:46.94 ID:tVIRLjPT
花丸「善子ちゃん、どうして善子ちゃんはマルにそのことを教えてくれたの?」
善子「そうね、まあ本人のためにも控えておくべきだったし、私も言うつもりはなかったんだけど」
善子「逆になったって感じね、ルビィとは」
花丸「逆って?」
善子「あんたのこと好きだったけど、さっきの話聞いてすごいムカついた」
善子「だから言った。それだけよ」
花丸「なるほど、納得ずら」
善子「そうね、まあ本人のためにも控えておくべきだったし、私も言うつもりはなかったんだけど」
善子「逆になったって感じね、ルビィとは」
花丸「逆って?」
善子「あんたのこと好きだったけど、さっきの話聞いてすごいムカついた」
善子「だから言った。それだけよ」
花丸「なるほど、納得ずら」
192: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:50:18.63 ID:tVIRLjPT
善子「ええ、でも正直まだイライラしてるから」
善子「ストレス発散にちょっと付き合いなさい」
花丸「というと?」
善子「私の家でゲームするわよ、ルビィと三人で」
花丸「!」
善子「ボッコボコにしてあげるから覚悟しなさい」
花丸「……あはは。それは、怖いねえ」
善子「ストレス発散にちょっと付き合いなさい」
花丸「というと?」
善子「私の家でゲームするわよ、ルビィと三人で」
花丸「!」
善子「ボッコボコにしてあげるから覚悟しなさい」
花丸「……あはは。それは、怖いねえ」
193: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:50:56.78 ID:tVIRLjPT
善子「あんたにゲームの素晴らしさと恐ろしさ、その魅力を骨の髄まで味わわせてやるから覚悟することね」
花丸「うん。でもマルは二人の応援だけでも十分な気がしてきたよ」
善子「はあ? 何言ってんのよ、あんたは」
善子「まだ勝負は始まってもいないでしょうが」スッ
入部届
花丸「……っ…」
善子「やり切りなさいよ、最後まで」
善子「じゃあ私、ルビィを起こしに行ってくるから」
花丸「……うん」クシャッ
花丸「ありがと」ポロポロ
花丸「うん。でもマルは二人の応援だけでも十分な気がしてきたよ」
善子「はあ? 何言ってんのよ、あんたは」
善子「まだ勝負は始まってもいないでしょうが」スッ
入部届
花丸「……っ…」
善子「やり切りなさいよ、最後まで」
善子「じゃあ私、ルビィを起こしに行ってくるから」
花丸「……うん」クシャッ
花丸「ありがと」ポロポロ
194: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/22(火) 18:51:57.70 ID:tVIRLjPT
202: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:43:34.29 ID:TYKGChY7
─
果南「おー、今日はいい風が吹いてるねえ」
ダイヤ「少し生温いですけどね」
果南「そこがいいんだよ」
ダイヤ「それで、話したいこととは何でしょうか?」
果南「善子ちゃんに色々話したんでしょ? そのことでまた考え込んでるんじゃないかと思ってね」
ダイヤ「お節介な人」
果南「世話焼きって言ってよ」
203: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:44:31.14 ID:TYKGChY7
ダイヤ「別に善子さんなら心配ありません、彼女になら安心して任せられます」
果南「へえ、公認か……善子ちゃんもやるねえ」
ダイヤ「茶化すことですか」
果南「いやいや真面目に聞いてますってば」
ダイヤ「どうだか」
果南「ま、でも確かに傍から見ても適任だとは思うけどね、同じ学年だし」
果南「花丸ちゃんとも仲がいいんでしょ? 上手くやれるんじゃないかな」
果南「へえ、公認か……善子ちゃんもやるねえ」
ダイヤ「茶化すことですか」
果南「いやいや真面目に聞いてますってば」
ダイヤ「どうだか」
果南「ま、でも確かに傍から見ても適任だとは思うけどね、同じ学年だし」
果南「花丸ちゃんとも仲がいいんでしょ? 上手くやれるんじゃないかな」
204: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:45:08.72 ID:TYKGChY7
ダイヤ「花丸さん、ですか」
果南「あーやっぱりそこ気にする」
ダイヤ「何か問題でも?」
果南「あると言えばある。ないと言えばない」
ダイヤ「なんなんですか一体…」
果南「私情ってやつだよ。それよりさ、ようやく鞠莉が帰ってきたわけだけど」
果南「どうすんの? 元リーダー」
果南「あーやっぱりそこ気にする」
ダイヤ「何か問題でも?」
果南「あると言えばある。ないと言えばない」
ダイヤ「なんなんですか一体…」
果南「私情ってやつだよ。それよりさ、ようやく鞠莉が帰ってきたわけだけど」
果南「どうすんの? 元リーダー」
205: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:45:45.42 ID:TYKGChY7
ダイヤ「まだしばらくは様子を見ます」
果南「そんなことばかり言ってたらいつの間にか居場所なくなってるかもよ?」
ダイヤ「そのときはそのときですわ、スクールアイドルとは別のあの子たちを手助けする方法を探します」
果南「別の方法って……本気で言ってるの?」
ダイヤ「ええまあ」
果南「ダイヤは本当にそれでいいの、あんなに必死だったのに」
ダイヤ「……」
果南「そもそもダイヤがサファイアちゃんのためにって始めた活動でしょ」
果南「Aqoursって名前を付けたのもそういうことじゃん!」
果南「そんなことばかり言ってたらいつの間にか居場所なくなってるかもよ?」
ダイヤ「そのときはそのときですわ、スクールアイドルとは別のあの子たちを手助けする方法を探します」
果南「別の方法って……本気で言ってるの?」
ダイヤ「ええまあ」
果南「ダイヤは本当にそれでいいの、あんなに必死だったのに」
ダイヤ「……」
果南「そもそもダイヤがサファイアちゃんのためにって始めた活動でしょ」
果南「Aqoursって名前を付けたのもそういうことじゃん!」
206: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:46:30.99 ID:TYKGChY7
ダイヤ「……」
果南「確かに私はそんな大層な理由もなくただダイヤに付き合っただけだし」
果南「鞠莉に至ってはどうせ廃校決まってるから自分の卒業までに何か大きなことを成し遂げたいってノリで入ってきたけど」
果南「それでも一年間一緒に続けてきたんだから戻ってきてほしいに決まってるじゃん!」
果南「私たちはダイヤがいないと駄目なんだよ!」
果南「だから鞠莉だって留学することになっても絶対に戻ってくるって私たちに約束したんだ!」
果南「今日のライブ見たでしょ! ルビィちゃんはあれだけの人の前でもしっかり歌えてた! もう十分やっていける!」
果南「それに自分で立ち上げた部活でしょ、はっきり言うけどそれで戻らないのは無責任だよ!」
果南「一体どうしてそこまで迷う必要があるのさ!?」
果南「確かに私はそんな大層な理由もなくただダイヤに付き合っただけだし」
果南「鞠莉に至ってはどうせ廃校決まってるから自分の卒業までに何か大きなことを成し遂げたいってノリで入ってきたけど」
果南「それでも一年間一緒に続けてきたんだから戻ってきてほしいに決まってるじゃん!」
果南「私たちはダイヤがいないと駄目なんだよ!」
果南「だから鞠莉だって留学することになっても絶対に戻ってくるって私たちに約束したんだ!」
果南「今日のライブ見たでしょ! ルビィちゃんはあれだけの人の前でもしっかり歌えてた! もう十分やっていける!」
果南「それに自分で立ち上げた部活でしょ、はっきり言うけどそれで戻らないのは無責任だよ!」
果南「一体どうしてそこまで迷う必要があるのさ!?」
207: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:47:12.28 ID:TYKGChY7
ダイヤ「……本当にお節介な人ですわね」
ダイヤ「ですが、果南さんの言う通りですわ」
果南「話してよ、理由があるなら」
ダイヤ「……気まずいのです、本音を言うと」
ダイヤ「以前話したルビィのためというのも嘘ではありませんが、それ以上に不安なんです」
ダイヤ「活動を休止し一年以上も離れた上に、今年その存在を知ったばかりの人に部を任せている」
ダイヤ「そんな私が、果たしてあの子たちの指標になるのかと」
ダイヤ「ですが、果南さんの言う通りですわ」
果南「話してよ、理由があるなら」
ダイヤ「……気まずいのです、本音を言うと」
ダイヤ「以前話したルビィのためというのも嘘ではありませんが、それ以上に不安なんです」
ダイヤ「活動を休止し一年以上も離れた上に、今年その存在を知ったばかりの人に部を任せている」
ダイヤ「そんな私が、果たしてあの子たちの指標になるのかと」
208: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:47:49.94 ID:TYKGChY7
果南「何かと思えばそんなこと!? 細かいこと気にしすぎじゃないの?」
ダイヤ「そんなこととはなんですか、気にしすぎでも何でもありませんわ」
果南「あるって、大体休止したのは鞠莉の留学の件があったからなわけで」
果南「部活の方なんて任せるも何も、千歌に目付けられて引っ張り出されたからああいった形になったんだし」
果南「なんでそれくらいのことで一々躊躇うかなあ、もうちょっと別に問題ないでしょってくらいの気軽さでいってもいいんじゃないの?」
ダイヤ「果南さんはそうかもしれませんけれど」
果南「ダイヤもそうしなさいって話」
ダイヤ「そんなこととはなんですか、気にしすぎでも何でもありませんわ」
果南「あるって、大体休止したのは鞠莉の留学の件があったからなわけで」
果南「部活の方なんて任せるも何も、千歌に目付けられて引っ張り出されたからああいった形になったんだし」
果南「なんでそれくらいのことで一々躊躇うかなあ、もうちょっと別に問題ないでしょってくらいの気軽さでいってもいいんじゃないの?」
ダイヤ「果南さんはそうかもしれませんけれど」
果南「ダイヤもそうしなさいって話」
209: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:48:40.55 ID:TYKGChY7
ダイヤ「……分かりましたわよ、戻ったら伝えてみます」
果南「うんうん、そうこなくっちゃね」
ピロン
果南「ん? 鞠莉からだ……花丸ちゃんと善子ちゃん入部するんだって」
ダイヤ「花丸さんが?」
果南「これはもう入らない理由なんてないよね」
果南「うんうん、そうこなくっちゃね」
ピロン
果南「ん? 鞠莉からだ……花丸ちゃんと善子ちゃん入部するんだって」
ダイヤ「花丸さんが?」
果南「これはもう入らない理由なんてないよね」
210: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:49:10.87 ID:TYKGChY7
ダイヤ「どういう意味ですかそれは」
果南「どうも何も、花丸ちゃんのことずっと気にかけてたじゃん」
ダイヤ「当然です、花丸さんはあの子にとって唯一の……」
果南「本当にそれだけなの?」
ダイヤ「……なにを根拠に」
果南「いいや、特には」
果南「どうも何も、花丸ちゃんのことずっと気にかけてたじゃん」
ダイヤ「当然です、花丸さんはあの子にとって唯一の……」
果南「本当にそれだけなの?」
ダイヤ「……なにを根拠に」
果南「いいや、特には」
211: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:50:18.82 ID:TYKGChY7
ダイヤ「……」
果南「……」
ダイヤ「……昔は」
果南「ん」
ダイヤ「昔は、ダイヤちゃんと。 そう呼ばれていたんですよ」
ダイヤ「あの子がいなくなる前はそう……」
──
─
果南「……」
ダイヤ「……昔は」
果南「ん」
ダイヤ「昔は、ダイヤちゃんと。 そう呼ばれていたんですよ」
ダイヤ「あの子がいなくなる前はそう……」
──
─
212: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:50:59.86 ID:TYKGChY7
『……今回はお世話になります』
『いえ、こちらの方こそ』
『花丸ちゃんはどちらに?』
『それが……部屋の中に籠りきりでして…』
『そう、ですか………あら、ダイヤ…?』
『いえ、こちらの方こそ』
『花丸ちゃんはどちらに?』
『それが……部屋の中に籠りきりでして…』
『そう、ですか………あら、ダイヤ…?』
213: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:52:10.75 ID:TYKGChY7
コンコン
『ダイヤです。マルちゃん、いるのでしょう?』
『……』
『返事をしてください、お願いします!』
『せめて顔だけでも……どうか』
ギィ……
『……』
214: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:52:45.43 ID:TYKGChY7
『! あ、マルちゃ『ダイヤさん』
『──!!』
『マルに何か用ですか?』
『……いいえ、用があるわけではないんです』
『ただ、花丸さんのお体が心配だっただけ。それだけですわ』
『ありがとう。マルなら、大丈夫だから』ニコッ
『じゃあまたね、ダイヤさん』
『はい。また……』
バタン
『──!!』
『マルに何か用ですか?』
『……いいえ、用があるわけではないんです』
『ただ、花丸さんのお体が心配だっただけ。それだけですわ』
『ありがとう。マルなら、大丈夫だから』ニコッ
『じゃあまたね、ダイヤさん』
『はい。また……』
バタン
215: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:53:17.02 ID:TYKGChY7
スタスタ…
『……』
『ダイヤ、おかえりなさい。花丸ちゃんはどうでした?』
『……っ…』
ダキッ
『ダイヤ……?』
216: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:53:50.24 ID:TYKGChY7
『なんでもないと……大丈夫だって……言ってました……!!』
『だからはなまるさんにはっ! 何の心配もありませんわ!!』
『……そうですか、それなら今から私も…』
『そう呼ばないと、いけませんね』
『……ひっく…うぅっ……ああぁぁぁあ……!!』
──
─
『だからはなまるさんにはっ! 何の心配もありませんわ!!』
『……そうですか、それなら今から私も…』
『そう呼ばないと、いけませんね』
『……ひっく…うぅっ……ああぁぁぁあ……!!』
──
─
217: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:54:26.24 ID:TYKGChY7
果南「……」
ダイヤ「あのとき、察してしまったんです」
ダイヤ「私は、決してあの子のようにはなれないのだと」
ダイヤ「もちろん、誰かに取って代わるなど烏滸がましい話ではありますが」
ダイヤ「それを望んでいる自分も確かにいたのです」
果南「……分かる気がするな、それ」
ダイヤ「あのとき、察してしまったんです」
ダイヤ「私は、決してあの子のようにはなれないのだと」
ダイヤ「もちろん、誰かに取って代わるなど烏滸がましい話ではありますが」
ダイヤ「それを望んでいる自分も確かにいたのです」
果南「……分かる気がするな、それ」
218: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:55:20.71 ID:TYKGChY7
ダイヤ「本当ですか?」
果南「こんなときに冗談言わないよ」
ダイヤ「それもそうですわね、フフッ」
果南「……で、続きは?」
ダイヤ「ええ、そう願ってはいたのですが」
ダイヤ「されど、彼女が私の傍に来ることはなかった」
果南「こんなときに冗談言わないよ」
ダイヤ「それもそうですわね、フフッ」
果南「……で、続きは?」
ダイヤ「ええ、そう願ってはいたのですが」
ダイヤ「されど、彼女が私の傍に来ることはなかった」
219: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:55:46.55 ID:TYKGChY7
ダイヤ「思えばいつもそうだったんです、こうなる以前からずっと」
ダイヤ「そう、私は最初から、常に一歩引いたところであの子たちを見ていた」
ダイヤ「年上だからとか、横槍を入れたくなかったからとか、そんなどうでもいい些細な理由ではなく」
ダイヤ「ただ二人が楽しそうに話している…その光景を見るのが私にとっての幸せで、喜びだったんです」
ダイヤ「そう、私は最初から、常に一歩引いたところであの子たちを見ていた」
ダイヤ「年上だからとか、横槍を入れたくなかったからとか、そんなどうでもいい些細な理由ではなく」
ダイヤ「ただ二人が楽しそうに話している…その光景を見るのが私にとっての幸せで、喜びだったんです」
220: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:56:19.66 ID:TYKGChY7
ダイヤ「だから、それを良しとしていたのは…他でもない自分で、当然の帰結なんですよ」
ダイヤ「彼女はそのことを分かっていて、理解出来ていなかったのは私。これはそういう話なんです」
ダイヤ「お零れをもらっていただけに気が付かなかった、盲目なお姉さんの……ね」
ダイヤ「笑えるお話しでしょう?」
ダイヤ「彼女はそのことを分かっていて、理解出来ていなかったのは私。これはそういう話なんです」
ダイヤ「お零れをもらっていただけに気が付かなかった、盲目なお姉さんの……ね」
ダイヤ「笑えるお話しでしょう?」
221: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:57:21.60 ID:TYKGChY7
果南「さあ、私はそういうジョークには疎いから何とも言えないし笑えないけど」
果南「ただ……うん、なんだろうな」
果南「ダイヤさ……それ、今でも気にしてる?」
ダイヤ「かもしれません…少なくとも」
ダイヤ「無理だと分かっていても、もう一度、そう呼んでほしいくらいには」
果南「ただ……うん、なんだろうな」
果南「ダイヤさ……それ、今でも気にしてる?」
ダイヤ「かもしれません…少なくとも」
ダイヤ「無理だと分かっていても、もう一度、そう呼んでほしいくらいには」
222: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:58:16.90 ID:TYKGChY7
果南「そっか……まったく。重いね、ダイヤは」
ダイヤ「嫌ですか? 重い女は」
果南「いんや、沈むのには慣れてる」
ダイヤ「せめて引き上げてくれると助かるのですけど」
果南「引き上げるさ、本当にもういいっていうのならね」
ダイヤ「……」
果南「けど、自分の意志で留まっている人を無理に引っ張り出すわけにもいかないでしょ」
果南「いや、この場合は戸惑っているのほうが合ってるのかな?」
ダイヤ「嫌ですか? 重い女は」
果南「いんや、沈むのには慣れてる」
ダイヤ「せめて引き上げてくれると助かるのですけど」
果南「引き上げるさ、本当にもういいっていうのならね」
ダイヤ「……」
果南「けど、自分の意志で留まっている人を無理に引っ張り出すわけにもいかないでしょ」
果南「いや、この場合は戸惑っているのほうが合ってるのかな?」
223: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:59:15.04 ID:TYKGChY7
ダイヤ「…お好きな方でどうぞ」
果南「まあ、どちらにしても踏ん切りがついたときに言いなよ」
果南「そのときは一緒にいるからさ」
ダイヤ「…大分待たせるかもしれません」
果南「分かってるよそんなことは」
ダイヤ「え?」
果南「言ったでしょ重いって、軽々しく振り回せるなんてこっちは思っていないよ」
果南「ただ抱えて歩いていくだけ、それくらいがちょうどいい」
果南「まあ、どちらにしても踏ん切りがついたときに言いなよ」
果南「そのときは一緒にいるからさ」
ダイヤ「…大分待たせるかもしれません」
果南「分かってるよそんなことは」
ダイヤ「え?」
果南「言ったでしょ重いって、軽々しく振り回せるなんてこっちは思っていないよ」
果南「ただ抱えて歩いていくだけ、それくらいがちょうどいい」
224: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 18:59:51.18 ID:TYKGChY7
ダイヤ「…ではそのときがきたら、お願いしますわ」
果南「はいよー、いつでもどうぞ」
ダイヤ「なんか少し軽くないですか?」
果南「ん、そうかな」
果南「これでも結構気を遣ってるんだけどなあ…私としては」
ダイヤ「果南さん?」
果南「いやいやなんでも」
果南「ほら、私まで重くなると流石に息苦しいからね、うん」
果南「はいよー、いつでもどうぞ」
ダイヤ「なんか少し軽くないですか?」
果南「ん、そうかな」
果南「これでも結構気を遣ってるんだけどなあ…私としては」
ダイヤ「果南さん?」
果南「いやいやなんでも」
果南「ほら、私まで重くなると流石に息苦しいからね、うん」
225: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:00:18.89 ID:TYKGChY7
ダイヤ「そうですか、しかし…」
果南「うん?」
ダイヤ「果南さん、自分から話を振ったとはいえ女性相手に何度も重いなどという発言をするのはいかがなものかと」
果南「あれ、言葉足らずだった?」
ダイヤ「足りないのはデリカシーです」
果南「ああ、そっちのほうね」
ダイヤ「他に何があるんですか…」
果南「うん?」
ダイヤ「果南さん、自分から話を振ったとはいえ女性相手に何度も重いなどという発言をするのはいかがなものかと」
果南「あれ、言葉足らずだった?」
ダイヤ「足りないのはデリカシーです」
果南「ああ、そっちのほうね」
ダイヤ「他に何があるんですか…」
226: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:00:48.81 ID:TYKGChY7
果南「さてと、それじゃそろそろ行きますか恋愛事情も聞いたことだし」
ダイヤ「あ、貴女が話せと言ったんでしょう!?」
果南「いやいや私はそんなこと一言も口にしてないけど」
ダイヤ「空気というものがあるでしょう! その場の!」
果南「さあ、どうだったかな」
ダイヤ「果南さん、あなた鞠莉さんに毒されてませんか」
果南「それはあるかもね。流石にあそこまでの野次馬根性はないけど」
ダイヤ「あ、貴女が話せと言ったんでしょう!?」
果南「いやいや私はそんなこと一言も口にしてないけど」
ダイヤ「空気というものがあるでしょう! その場の!」
果南「さあ、どうだったかな」
ダイヤ「果南さん、あなた鞠莉さんに毒されてませんか」
果南「それはあるかもね。流石にあそこまでの野次馬根性はないけど」
227: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:01:20.74 ID:TYKGChY7
果南「あ、そうそう。それとだけどさ」
ダイヤ「はい?」
果南「さっきのこと、やるだけやってみるけど期待はしないでね」
ダイヤ「望み薄ですか」
果南「なかなか加減が難しくてね」
果南「あまり細かくしすぎると意外と引っかかってくれないんだこれが」
ダイヤ「はい?」
果南「さっきのこと、やるだけやってみるけど期待はしないでね」
ダイヤ「望み薄ですか」
果南「なかなか加減が難しくてね」
果南「あまり細かくしすぎると意外と引っかかってくれないんだこれが」
229: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:01:52.67 ID:TYKGChY7
ダイヤ「…何の話ですか?」
果南「そうだね、こっちの話」
ダイヤ「?」
果南「一つだけ言わせてもらうなら、私にもそう呼ばれたい誰かがいるってこと」
ダイヤ「はあ、よく分かりませんが…」
ダイヤ「果南さんもいつか呼ばれるといいですわね、その人に」ニコ
果南「あはは、この調子だとまだまだ先は長いだろうねえ」
果南「そうだね、こっちの話」
ダイヤ「?」
果南「一つだけ言わせてもらうなら、私にもそう呼ばれたい誰かがいるってこと」
ダイヤ「はあ、よく分かりませんが…」
ダイヤ「果南さんもいつか呼ばれるといいですわね、その人に」ニコ
果南「あはは、この調子だとまだまだ先は長いだろうねえ」
230: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:05:55.85 ID:TYKGChY7
─
鞠莉「あっようやく戻ってきたわね!」
果南「そんなに長いこと話してたつもりはないんだけど」
鞠莉「いいえ長かったわ! 全くマリーの知らないところで何をイチャイチャしてたんだか」
果南「してないってば」
鞠莉「ふーん、まあいいわ」
果南「釈然としないなあ…」
鞠莉「それよりダイヤ、千歌っちがダイヤに話したいことがあるみたいよ」
231: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:06:30.25 ID:TYKGChY7
ダイヤ「? 何でしょう」
千歌「はい! スクールアイドル部を正式に認めてもらいにきました!」
ダイヤ「ああ、そのことですか」
鞠莉「最初から認めてあげればいいのに(仮)とかホントお堅いわよね」
ダイヤ「そこ、お静かに」
千歌「ライブが成功したので! それに作曲出来る人も見つけましたし!」グイッ
梨子「ちょっと千歌ちゃん…」
千歌「はい! スクールアイドル部を正式に認めてもらいにきました!」
ダイヤ「ああ、そのことですか」
鞠莉「最初から認めてあげればいいのに(仮)とかホントお堅いわよね」
ダイヤ「そこ、お静かに」
千歌「ライブが成功したので! それに作曲出来る人も見つけましたし!」グイッ
梨子「ちょっと千歌ちゃん…」
232: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:06:58.39 ID:TYKGChY7
ダイヤ「みたいですわね」
千歌「これならもう全然大丈夫ですよね!」
ダイヤ「ええ、問題ありませんわ。許可しましょう」
千歌「やったー!」
千歌・ダイヤ「それでですね(!)」
千歌・ダイヤ「……ん?」
千歌「あれ? 何か言いたいことでも」
ダイヤ「いや、お先にどうぞ」
千歌「これならもう全然大丈夫ですよね!」
ダイヤ「ええ、問題ありませんわ。許可しましょう」
千歌「やったー!」
千歌・ダイヤ「それでですね(!)」
千歌・ダイヤ「……ん?」
千歌「あれ? 何か言いたいことでも」
ダイヤ「いや、お先にどうぞ」
233: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:07:29.29 ID:TYKGChY7
千歌「それでですね! 今日のライブでメンバーも結構集まったことだし」
千歌「しばらくはこの八人でやっていこうかなって思いまして!」バッ
ダイヤ「」ピクッ
鞠莉「あらあら?」
果南「これは…」
ダイヤ「……あの、千歌さん。八人でとはどういう」
千歌「だってこれ以上部員が増えたら、全員をステージに出すのも難しくなってくると思うし」
千歌「そうなると折角入ってくれた人に申し訳ないかなーって」
ダイヤ「成程、筋の通った意見ですわね」
千歌「しばらくはこの八人でやっていこうかなって思いまして!」バッ
ダイヤ「」ピクッ
鞠莉「あらあら?」
果南「これは…」
ダイヤ「……あの、千歌さん。八人でとはどういう」
千歌「だってこれ以上部員が増えたら、全員をステージに出すのも難しくなってくると思うし」
千歌「そうなると折角入ってくれた人に申し訳ないかなーって」
ダイヤ「成程、筋の通った意見ですわね」
234: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:07:59.75 ID:TYKGChY7
ダイヤ「しかし、しかしですよ…せめてあと一人くらいは入るのではありませんかね。ええ」
千歌「まあ確かにμ'sも九人だったし…出来なくはないですよね、でもあと一人って?」
ダイヤ「そうですわね、例えば私が入ったとしましょう」
千歌「いやいやそれはないですよ!」
ダイヤ「…何故ないと」
千歌「だって生徒会長忙しいじゃないですか!」
鞠莉「……くくっ…即答…」
果南「いやいやまさか、こんなに早く回収されることになろうとは」
千歌「まあ確かにμ'sも九人だったし…出来なくはないですよね、でもあと一人って?」
ダイヤ「そうですわね、例えば私が入ったとしましょう」
千歌「いやいやそれはないですよ!」
ダイヤ「…何故ないと」
千歌「だって生徒会長忙しいじゃないですか!」
鞠莉「……くくっ…即答…」
果南「いやいやまさか、こんなに早く回収されることになろうとは」
235: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:08:36.51 ID:TYKGChY7
ダイヤ「千歌さん? 生徒会長でも部活くらいやりますわよ」
千歌「ダイヤさんやってないじゃないですか」
ダイヤ「以前はやっていました!」
千歌「そのとき生徒会長だったんですか?」
ダイヤ「…ではなかったですけども」
千歌「じゃあ前みたいには出来ないかもしれませんよね?」
果南「あー駄目だこれ、状況証拠が揃いすぎてる」
鞠莉「……ちょっと…千歌っち、貴女本当に面白いわ…くくくっ」
果南「笑っちゃ駄目だよ鞠莉、本人たちは…いたって真剣…フフッ」
千歌「ダイヤさんやってないじゃないですか」
ダイヤ「以前はやっていました!」
千歌「そのとき生徒会長だったんですか?」
ダイヤ「…ではなかったですけども」
千歌「じゃあ前みたいには出来ないかもしれませんよね?」
果南「あー駄目だこれ、状況証拠が揃いすぎてる」
鞠莉「……ちょっと…千歌っち、貴女本当に面白いわ…くくくっ」
果南「笑っちゃ駄目だよ鞠莉、本人たちは…いたって真剣…フフッ」
236: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:09:07.10 ID:TYKGChY7
ダイヤ「そんなものはやってみなければ分からないでしょう!?」
千歌「でも無理はよくないと思いますよ」
ダイヤ「どうして私のときだけそんなに拒絶するんですか!? 入ってほしくないのですか!」
千歌「そういうわけじゃないですけど……えっと、もしかして入りたいんですか?」
ダイヤ「……いえ、あくまで例えの話なので」
千歌「そうですか、じゃあ無理ってことで」
ダイヤ「」
千歌「でも無理はよくないと思いますよ」
ダイヤ「どうして私のときだけそんなに拒絶するんですか!? 入ってほしくないのですか!」
千歌「そういうわけじゃないですけど……えっと、もしかして入りたいんですか?」
ダイヤ「……いえ、あくまで例えの話なので」
千歌「そうですか、じゃあ無理ってことで」
ダイヤ「」
237: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:09:43.64 ID:TYKGChY7
鞠莉「あはははははは!! 無理って! こっちがもう無理!!」バンバン
果南「素直に言えばいいのにねえ、なんでこう意気地になるのか」
鞠莉「まったくよね」
果南・鞠莉「生徒会長さん。あっははははははは!!」
千歌「え? え? どういうこと?」
ダイヤ「……つまりこういうことです」スッ
果南「素直に言えばいいのにねえ、なんでこう意気地になるのか」
鞠莉「まったくよね」
果南・鞠莉「生徒会長さん。あっははははははは!!」
千歌「え? え? どういうこと?」
ダイヤ「……つまりこういうことです」スッ
238: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:10:30.69 ID:TYKGChY7
千歌「ん? 入部届じゃないですか……あれ?」
ダイヤ「検討しておいてください、では」
ダイヤ「貴女たち、ちょっと来なさい」
果南「あはは、本日二回目だねー」ズルズル
鞠莉「BYE千歌っち。あなた最高だったわ、これからもその調子で頼むわね」ズルズル
千歌「……まいっか、九人目ゲットー!」
梨子「…なんか、無垢って恐ろしいわね」
曜「わかる」
ダイヤ「検討しておいてください、では」
ダイヤ「貴女たち、ちょっと来なさい」
果南「あはは、本日二回目だねー」ズルズル
鞠莉「BYE千歌っち。あなた最高だったわ、これからもその調子で頼むわね」ズルズル
千歌「……まいっか、九人目ゲットー!」
梨子「…なんか、無垢って恐ろしいわね」
曜「わかる」
239: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:11:03.72 ID:TYKGChY7
─その夜
善子の家
花丸「さ、流石にもう限界ずら……」
善子「何よ、だらしないわね」
花丸「善子ちゃんがおかしいんだよ」
ルビィ「うん。ルビィもちょっとやりすぎだと思う」
善子「……仕方ないわね、少し休みましょうか」
花丸「露骨すぎない?」
善子「うっさいわね、いいでしょ別に」
240: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:11:36.46 ID:TYKGChY7
ルビィ「よいしょっと」
善子「そして何故あんたは私の布団に潜り込んでるの」
ルビィ「え、駄目なの?」
善子「駄目に決まってるでしょ」
ルビィ「いつもやってることなのに?」
花丸「ん?」
善子「ちょっ……あんた花丸の前でそういうことバラすのやめなさいよ!!」
ルビィ「だって善子ちゃんが」
花丸「へえ…いっつもやってたんだ」ニヤニヤ
善子「そして何故あんたは私の布団に潜り込んでるの」
ルビィ「え、駄目なの?」
善子「駄目に決まってるでしょ」
ルビィ「いつもやってることなのに?」
花丸「ん?」
善子「ちょっ……あんた花丸の前でそういうことバラすのやめなさいよ!!」
ルビィ「だって善子ちゃんが」
花丸「へえ…いっつもやってたんだ」ニヤニヤ
241: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:12:26.98 ID:TYKGChY7
善子「ほらもうこうなるから!」
花丸「えー何も言ってないけど」
善子「顔で分かるわよ! ほんっとにもうルビィも何か言ってやりなさいよ……って」
ルビィ「……」スゥスゥ
善子「もう寝てるし…今日どんだけ寝るのよこの子」
花丸「そうは言うけどもう十二時過ぎてるんだよ?」
花丸「善子ちゃんの感覚がおかしいだけずら」
善子「え、なにもうそんな時間なの」
花丸「えー何も言ってないけど」
善子「顔で分かるわよ! ほんっとにもうルビィも何か言ってやりなさいよ……って」
ルビィ「……」スゥスゥ
善子「もう寝てるし…今日どんだけ寝るのよこの子」
花丸「そうは言うけどもう十二時過ぎてるんだよ?」
花丸「善子ちゃんの感覚がおかしいだけずら」
善子「え、なにもうそんな時間なの」
242: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:13:00.45 ID:TYKGChY7
花丸「うん」
善子「あー……夢中になってて全然気が付かなかったわ」
花丸「マルはもう寝るから布団出して」
善子「あんたもあんたで図々しいわね、よいしょっと」
善子「ほら、それ使いなさい、私はルビィと一緒に寝るから」
花丸「はーい」
善子「あー……夢中になってて全然気が付かなかったわ」
花丸「マルはもう寝るから布団出して」
善子「あんたもあんたで図々しいわね、よいしょっと」
善子「ほら、それ使いなさい、私はルビィと一緒に寝るから」
花丸「はーい」
243: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:13:29.97 ID:TYKGChY7
善子「よっと……はあ、暖かい」
花丸「なんかそれ如何わしく聞こえるからやめて」
善子「なんでよ!」
花丸「あははっ、冗談だよ」
善子「まったくあんたは……」
花丸「なんかそれ如何わしく聞こえるからやめて」
善子「なんでよ!」
花丸「あははっ、冗談だよ」
善子「まったくあんたは……」
244: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:14:05.37 ID:TYKGChY7
善子「……しっかし、長い一日だったわね今日は」
花丸「うん、今日だけで色々あったね」
善子「前にさ」
花丸「ずら?」
善子「花丸がサファイアちゃんのことについて話してくれたとき、変だなって思ってたのよ」
善子「なんでルビィの名前が一切出なかったんだろうって、ダイヤさんは出てきたのに」
花丸「ああ、最初に話したやつ?」
善子「そうそう、それね」
花丸「うん、今日だけで色々あったね」
善子「前にさ」
花丸「ずら?」
善子「花丸がサファイアちゃんのことについて話してくれたとき、変だなって思ってたのよ」
善子「なんでルビィの名前が一切出なかったんだろうって、ダイヤさんは出てきたのに」
花丸「ああ、最初に話したやつ?」
善子「そうそう、それね」
245: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:14:33.73 ID:TYKGChY7
善子「そのときはまだ会っていなかったからなんだって納得はしたけど」
善子「なんかさ、不思議で」
花丸「なにが」
善子「どっちもアイドル好きなのが」
花丸「まあアオちゃんは性格的に憧れるのも分かるけど」
善子「ルビィって何でアイドルが好きになったんだろ」
善子「そもそもあの子がどこから来たのかも知らないし、そりゃ言いたくないことや聞かないことだって少なからずあるけど」
善子「私、ルビィのことまだ全然知らないんだなってちょっと思ってね」
善子「なんかさ、不思議で」
花丸「なにが」
善子「どっちもアイドル好きなのが」
花丸「まあアオちゃんは性格的に憧れるのも分かるけど」
善子「ルビィって何でアイドルが好きになったんだろ」
善子「そもそもあの子がどこから来たのかも知らないし、そりゃ言いたくないことや聞かないことだって少なからずあるけど」
善子「私、ルビィのことまだ全然知らないんだなってちょっと思ってね」
246: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:15:05.06 ID:TYKGChY7
花丸「まあ、確かに」
善子(……というか、単にルビィに関わる秘密が多すぎるってだけかもしれないけど)
善子(それにあの子一人だけの問題ってわけでもないし…「東京」
善子・花丸「?」
ルビィ「一回東京のおっきな画面でね、見たことがあるの」
ルビィ「楽しそうに歌って踊っているアイドルを」
ルビィ「それを見ていいなって思って、多分あのとき好きになったんだろうね」
善子「ルビィ、起きてたの?」
ルビィ「ついさっき」
善子(……というか、単にルビィに関わる秘密が多すぎるってだけかもしれないけど)
善子(それにあの子一人だけの問題ってわけでもないし…「東京」
善子・花丸「?」
ルビィ「一回東京のおっきな画面でね、見たことがあるの」
ルビィ「楽しそうに歌って踊っているアイドルを」
ルビィ「それを見ていいなって思って、多分あのとき好きになったんだろうね」
善子「ルビィ、起きてたの?」
ルビィ「ついさっき」
247: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:15:42.67 ID:TYKGChY7
ルビィ「それからはね、よくテレビで音楽の番組とかバラエティとか付けて」
ルビィ「ずーっと見てた気がする、その時間が…ルビィは一番好きだったかな」
ルビィ「あとはずーっと、静かだったから」
善子・花丸「……」
ルビィ「お父さんがいなくなっちゃった後、もう一回だけあそこでアイドルを見てみたいって思って」
ルビィ「それで外に出たんだけど迷っちゃって……その後は、知ってるよね」
善子「黒澤家に拾われた」
ルビィ「ずーっと見てた気がする、その時間が…ルビィは一番好きだったかな」
ルビィ「あとはずーっと、静かだったから」
善子・花丸「……」
ルビィ「お父さんがいなくなっちゃった後、もう一回だけあそこでアイドルを見てみたいって思って」
ルビィ「それで外に出たんだけど迷っちゃって……その後は、知ってるよね」
善子「黒澤家に拾われた」
248: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:16:21.03 ID:TYKGChY7
花丸「ちょっと善子ちゃん」
善子「そして私に会った、でいいんでしょ?」
ルビィ「はい、そういうことです」エヘヘ
ルビィ「……あ、でもね多分だけど」
ルビィ「その拾われた日、ルビィ善子ちゃんに会ってたと思う」
花丸「えっ」
善子「はい?」
ルビィ「分からないけどね、それだけ」モゾッ
善子「そして私に会った、でいいんでしょ?」
ルビィ「はい、そういうことです」エヘヘ
ルビィ「……あ、でもね多分だけど」
ルビィ「その拾われた日、ルビィ善子ちゃんに会ってたと思う」
花丸「えっ」
善子「はい?」
ルビィ「分からないけどね、それだけ」モゾッ
249: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:16:48.66 ID:TYKGChY7
善子「いや…いやいやいやいや、待ちなさいちょっと待ちなさい」
善子「今なんか重要そうなことをさらっと口にした気がするんだけど」
花丸「というか善子ちゃん東京に行ったことあるの?」
善子「あんまり覚えてないけど、一回くらいはあるわよ」
善子「そりゃ家族なら一度は夢の国に行くでしょ、いやあそこは千葉だけど」
善子「今なんか重要そうなことをさらっと口にした気がするんだけど」
花丸「というか善子ちゃん東京に行ったことあるの?」
善子「あんまり覚えてないけど、一回くらいはあるわよ」
善子「そりゃ家族なら一度は夢の国に行くでしょ、いやあそこは千葉だけど」
250: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:17:16.78 ID:TYKGChY7
花丸「うーん、マルは行ったことないなあ…」
善子「え、ごめん……ってそうじゃなくて!」
善子「東京で会ったかもってどういうことよ、ルビィもっかい起きなさい!」
ルビィ「……」スヤ
花丸「そのうち聞いたら?」
善子「これで思わせぶりだったら、何だったのって話だけどね……」ハァ
善子「え、ごめん……ってそうじゃなくて!」
善子「東京で会ったかもってどういうことよ、ルビィもっかい起きなさい!」
ルビィ「……」スヤ
花丸「そのうち聞いたら?」
善子「これで思わせぶりだったら、何だったのって話だけどね……」ハァ
251: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:18:18.02 ID:TYKGChY7
……
善子「……」スゥスゥ
花丸「……」スヤスヤ
ルビィ「……」
ルビィ(…言わないほうがいいよね)
ルビィ(少なくとも今は)
252: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:18:47.92 ID:TYKGChY7
──
『ルビィ…?』
『そう、貴女はこれから黒澤ルビィとして生きていくの』
『……』
『……駄目、よね。ごめんなさい、今の話は聞かなかったことに』
『いいよ』
253: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:19:41.21 ID:TYKGChY7
『私、ルビィでもいいよ』
『……本当に?』
『うん。だから』
『私をつれてって、暗くないところに』
『…分かりました。約束しましょう』
『……本当に?』
『うん。だから』
『私をつれてって、暗くないところに』
『…分かりました。約束しましょう』
254: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:20:12.13 ID:TYKGChY7
スタスタ……
スタスタ……
『……あれ』
『ん?』
『あれも、アイドル?』
『どうでしょうか…私もそちらにはあまり詳しくないので』
『そっか』
255: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:20:43.66 ID:TYKGChY7
『……』
『気になりますか?』
『…ううん』
『そうですか、では』
『うん……?』
ジャラ
『気になりますか?』
『…ううん』
『そうですか、では』
『うん……?』
ジャラ
256: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:21:22.14 ID:TYKGChY7
『なにこれ、どうぶつ?『あーーーーーっっ!!』
ダダダダッ
『ねえ! その持ってるやつ見せて!!』
『……? はい』
『…やっぱり! ここに落ちてたんだ!』
『?』
『どうやらこの子の落とし物みたいですね、それ』
ダダダダッ
『ねえ! その持ってるやつ見せて!!』
『……? はい』
『…やっぱり! ここに落ちてたんだ!』
『?』
『どうやらこの子の落とし物みたいですね、それ』
257: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:21:51.69 ID:TYKGChY7
『そうなの?』
『ええ、まちがいないわ!!』
『じゃあはい、あげる』
『本当に!? いいの!?』
『あなたのものだから』
『ええ、まちがいないわ!!』
『じゃあはい、あげる』
『本当に!? いいの!?』
『あなたのものだから』
258: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:22:25.43 ID:TYKGChY7
『ありがとう! 私ね、それずーっと探しててもう見つからないんじゃないかと思ってたんだけど』
『あなたは私の恩人ね!! えへへっ!』
『おんじん……』
『知らないの? 助けてくれた人にはそう言うんだって!』
『テレビで見たことあるわ』
『あなたは私の恩人ね!! えへへっ!』
『おんじん……』
『知らないの? 助けてくれた人にはそう言うんだって!』
『テレビで見たことあるわ』
259: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:23:07.33 ID:TYKGChY7
『善子ー、何してるのー』
『今そっちに行くー! じゃあ私もう行かなくちゃ』
ギュッ
『──!』
『拾ってくれて本当にありがとね! それじゃ!』
タタタッ
『今そっちに行くー! じゃあ私もう行かなくちゃ』
ギュッ
『──!』
『拾ってくれて本当にありがとね! それじゃ!』
タタタッ
260: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:23:33.45 ID:TYKGChY7
『行っちゃいましたね』
『うん』
ママー!コレミツカッター!! アラヨカッタワネ!
『……』
ツギモマタイキマショウネ ウン!!
『……』
『うん』
ママー!コレミツカッター!! アラヨカッタワネ!
『……』
ツギモマタイキマショウネ ウン!!
『……』
261: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:24:05.64 ID:TYKGChY7
あなたは私の恩人ね!!
『……そう、だよね』
家族、かぞく。 あれが普通の、家族なんだよね。
お母さんがいて、お父さんがいて、もしかしたらお姉ちゃんもいるかもしれない
きっとそんな家庭が、あの子にはあって。
……いいなあ。
私にも、あればいいのに。
262: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:24:41.37 ID:TYKGChY7
『どうしました?』
『えと、なんでも……?』
貴女はこれから黒澤ルビィとして生きていくの
『…………あ』
『……何か?』
『えと、なんでも……?』
貴女はこれから黒澤ルビィとして生きていくの
『…………あ』
『……何か?』
263: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:25:19.31 ID:TYKGChY7
──ああ、そっか。 そうじゃないよね
まだあるんだ、“私”にはなくても
“ルビィ”にならきっと
お母さんがいて、お父さんがいて、もしかしたらお姉ちゃんもいるかもしれない
そんな──家族が。
ルビィには……
『……ううん、ルビィちょっとだけ疲れちゃって』
264: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:25:51.14 ID:TYKGChY7
『……そうですか、なら早く帰りましょう』
『まずは体を洗って、服を着替えて、ご飯を食べて、ゆっくり眠って』
『これからのことは、そのあとでいいから』
『うん……』
『……ねえ』
『はい』
『あなたは、私の恩人?』
『…そうありたいですね』
『まずは体を洗って、服を着替えて、ご飯を食べて、ゆっくり眠って』
『これからのことは、そのあとでいいから』
『うん……』
『……ねえ』
『はい』
『あなたは、私の恩人?』
『…そうありたいですね』
265: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:26:25.12 ID:TYKGChY7
『そっか、ルビィと一緒だね』
『……もうじき日も暮れます、急ぎましょうルビィ』
『夜になると冷えますから』
『そうだね……帰ろっか』
『お母さん』
──
─
『……もうじき日も暮れます、急ぎましょうルビィ』
『夜になると冷えますから』
『そうだね……帰ろっか』
『お母さん』
──
─
266: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:27:13.30 ID:TYKGChY7
ルビィ(……もっとロマンチックなのが良かったなぁ)
ルビィ「これじゃルビィも、花丸ちゃんのこと言えないよ」
ルビィ(いつか、このことを懐かしいと思えるくらいに時間が経ったら)
ルビィ(そのときまで、傍にいてくれたら……話すよ)
ルビィ「だからそれまで聞かないで……待っててくれる?」ダキッ
善子「……いいわよ、別に」
ルビィ「……ありがとう」
ルビィ「これじゃルビィも、花丸ちゃんのこと言えないよ」
ルビィ(いつか、このことを懐かしいと思えるくらいに時間が経ったら)
ルビィ(そのときまで、傍にいてくれたら……話すよ)
ルビィ「だからそれまで聞かないで……待っててくれる?」ダキッ
善子「……いいわよ、別に」
ルビィ「……ありがとう」
267: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:29:42.41 ID:TYKGChY7
それから一ヶ月後……
─学校、屋上
ダイヤ「──はい今日の練習はここまで!」
千歌「ふう~疲れたあ……」
果南「でも大分いい感じになってきたと思わない?」
千歌「思う! いやーやっぱりちゃんと仕切ってくれる人がいると違いますなー!」
梨子「誰かさんもそれくらいしっかりしてくれたらね、一応リーダーなんだから」
千歌「そ、それは今学んでる最中だから!」
梨子「本当かしら?」
千歌「ホントだってば!」
268: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:30:27.67 ID:TYKGChY7
ワイワイ
曜「……」
鞠莉「混ざらなくていいの?」
曜「邪魔しちゃ悪いかなって」
鞠莉「ふ~ん」
曜「なに?」
鞠莉「余計なことばかり考えるタイプなのね曜って」
曜「いや、そういうわけでも……あるかな」
鞠莉「あら、思ったより素直ね」
269: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:31:19.87 ID:TYKGChY7
曜「でもよく分からないというか」
鞠莉「え、嫉妬でしょ?」
曜「え?」
鞠莉「だから、梨子に嫉妬ファイアーでメラメラー! みたいな?」
曜「そこまで過激じゃないと思うけど」
鞠莉「そう? ああでも静かで青い炎のほうが熱いって言うものね」
曜「どんだけ私を内心ヤバい人にしたいの鞠莉ちゃんは」
鞠莉「ソーリー、ちょっとした冗談よ」
鞠莉「え、嫉妬でしょ?」
曜「え?」
鞠莉「だから、梨子に嫉妬ファイアーでメラメラー! みたいな?」
曜「そこまで過激じゃないと思うけど」
鞠莉「そう? ああでも静かで青い炎のほうが熱いって言うものね」
曜「どんだけ私を内心ヤバい人にしたいの鞠莉ちゃんは」
鞠莉「ソーリー、ちょっとした冗談よ」
270: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:31:51.80 ID:TYKGChY7
鞠莉「まあそれはともかくとして、二人の距離の近さにヤキモキしてる曜ちゃんの件ですけども」
曜「そこで戻ってくるの」
鞠莉「普通に混ざってくればいいのにって私は思うのよね」
曜「普通って言われても、どんな感じでいけばいいのか」
鞠莉「だからいつも通りよ。結局ね、それが一番いいの」
曜「……」
曜「そこで戻ってくるの」
鞠莉「普通に混ざってくればいいのにって私は思うのよね」
曜「普通って言われても、どんな感じでいけばいいのか」
鞠莉「だからいつも通りよ。結局ね、それが一番いいの」
曜「……」
271: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:32:21.84 ID:TYKGChY7
鞠莉「そうねー、もう少し踏み込んだところまで言うと…」
鞠莉「話の流れを切ってしまうんじゃないかとか、邪魔になるとか、それなら行かないほうがいいんじゃないかとか」
鞠莉「そういう余計で後ろめたいことを考えずに接しなさい。といったところかしらね」
曜「……」
鞠莉「気付いていないようで意外と見てるのよ? 千歌っちみたいな子は」
鞠莉「話の流れを切ってしまうんじゃないかとか、邪魔になるとか、それなら行かないほうがいいんじゃないかとか」
鞠莉「そういう余計で後ろめたいことを考えずに接しなさい。といったところかしらね」
曜「……」
鞠莉「気付いていないようで意外と見てるのよ? 千歌っちみたいな子は」
272: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:32:52.04 ID:TYKGChY7
曜「そう、だね……鞠莉ちゃんの言ってることは合ってる、と思う」
曜「ただ、それを踏まえてもあの二人の間って入りづらいんだよね、やっぱり」
曜「というか梨子ちゃんに近付くことがハードル高いとでも言いますか」
鞠莉「梨子のことは嫌い?」
曜「そんなわけないよ、うん。何というか……それは鞠莉ちゃんだけが言った理由だけじゃなくてさ」
鞠莉「うん」
曜「なるべく一緒にいたくないんだよ、あの子。良い匂いがするから」
曜「ただ、それを踏まえてもあの二人の間って入りづらいんだよね、やっぱり」
曜「というか梨子ちゃんに近付くことがハードル高いとでも言いますか」
鞠莉「梨子のことは嫌い?」
曜「そんなわけないよ、うん。何というか……それは鞠莉ちゃんだけが言った理由だけじゃなくてさ」
鞠莉「うん」
曜「なるべく一緒にいたくないんだよ、あの子。良い匂いがするから」
273: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:33:25.99 ID:TYKGChY7
鞠莉「What's?」
曜「よく分からない、知らないものでも匂いにつられてフラフラーっていっちゃうことあるでしょ」
曜「そしてそういう目的で自分から足を運んだものは大抵好きになってる」
鞠莉「梨子がそうだっていうの?」
曜「うん、だから嫉妬っていうのも間違いじゃないけど、それだけで片づけるのはなんか違う気がする」
鞠莉「……」
曜「多分だけど……私は、あそこに足を踏み入れて慣れてしまうのが怖いのかもね」
曜「いつも隣にいる人が一人から二人に変わってしまうことや、それ以外の……もしもが」
曜「どうしたって頭の中に浮かんでくるから」
曜「よく分からない、知らないものでも匂いにつられてフラフラーっていっちゃうことあるでしょ」
曜「そしてそういう目的で自分から足を運んだものは大抵好きになってる」
鞠莉「梨子がそうだっていうの?」
曜「うん、だから嫉妬っていうのも間違いじゃないけど、それだけで片づけるのはなんか違う気がする」
鞠莉「……」
曜「多分だけど……私は、あそこに足を踏み入れて慣れてしまうのが怖いのかもね」
曜「いつも隣にいる人が一人から二人に変わってしまうことや、それ以外の……もしもが」
曜「どうしたって頭の中に浮かんでくるから」
274: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:34:05.90 ID:TYKGChY7
鞠莉(物分かりが良すぎるのも、大概困りもの…か)
鞠莉「……なるほどねーっと」グイッ
曜「え?」
鞠莉「千歌っちー! 梨子ー! 曜が二人に言いたいことがあるってー!!」
曜「ちょっと鞠莉ちゃん!?」
千歌「なになにー話したいことって!」ダダダッ
曜「えっと、それは」
鞠莉「……なるほどねーっと」グイッ
曜「え?」
鞠莉「千歌っちー! 梨子ー! 曜が二人に言いたいことがあるってー!!」
曜「ちょっと鞠莉ちゃん!?」
千歌「なになにー話したいことって!」ダダダッ
曜「えっと、それは」
275: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:34:39.51 ID:TYKGChY7
千歌「あっ話したいことといえばね! 曜ちゃん、最近梨子ちゃんがまたルビィちゃんとさー!」
梨子「ちょっと千歌ちゃん、曜ちゃんまだ何も言ってないでしょ!」
千歌「あ、あはは…そうでした」
梨子「ね、何かあったの曜ちゃん?」
曜「! いや、まあ……ちょっとね」
ガヤガヤ
鞠莉「ははぁ~ん、そういうこと」
鞠莉「複雑ねえ、あれはあれで」
梨子「ちょっと千歌ちゃん、曜ちゃんまだ何も言ってないでしょ!」
千歌「あ、あはは…そうでした」
梨子「ね、何かあったの曜ちゃん?」
曜「! いや、まあ……ちょっとね」
ガヤガヤ
鞠莉「ははぁ~ん、そういうこと」
鞠莉「複雑ねえ、あれはあれで」
276: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:35:08.68 ID:TYKGChY7
果南「鞠莉ー何してるのー」
鞠莉「んー、また相関図がややこしいことになりますなあってね」
果南「またわけのわからないことを……」
鞠莉「So,Crazy でもいずれはそうも言ってられないくらい大変なことになるかもしれないわよ」
鞠莉「恋は人を狂わせるもの……ま、それも今のところは女の勘だけどね」
果南「はあ……?」
鞠莉「んー、また相関図がややこしいことになりますなあってね」
果南「またわけのわからないことを……」
鞠莉「So,Crazy でもいずれはそうも言ってられないくらい大変なことになるかもしれないわよ」
鞠莉「恋は人を狂わせるもの……ま、それも今のところは女の勘だけどね」
果南「はあ……?」
277: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:35:40.73 ID:TYKGChY7
果南「ま、いいや。とりあえずダイヤから来週の予定を空けておくようにって」
鞠莉「それはそれは、なんでまた」
果南「PV作成とユニットも分けて作ってみようってことをさ、千歌と話してたみたいで」
果南「それをメンバー全員集めて決めようかって流れなわけ」
鞠莉「はいはい、そういうことね」
果南「随分軽い返事だけど、仕事のほうは大丈夫なの?」
鞠莉「問題ないわよ? 手伝ってくれる人がいれば」
鞠莉「それはそれは、なんでまた」
果南「PV作成とユニットも分けて作ってみようってことをさ、千歌と話してたみたいで」
果南「それをメンバー全員集めて決めようかって流れなわけ」
鞠莉「はいはい、そういうことね」
果南「随分軽い返事だけど、仕事のほうは大丈夫なの?」
鞠莉「問題ないわよ? 手伝ってくれる人がいれば」
278: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:36:14.57 ID:TYKGChY7
果南「やればいいんでしょ。やれば」
鞠莉「流石果南! そう言ってくれると思ったわ!!」
果南「寧ろ分かってて振ったよね」
鞠莉「そんなこと言わないで、これは美徳よ! モテるわよそういう女の子は!」
果南「せめて実を結んでから聞きたいもんだね、その手の言葉は」
鞠莉「悩ましいわね一方通行って、しかも相手は唐変木ときたものだ」
鞠莉「私からすれば本当に勿体ないわ、本人はもうこんなに熟しているのに目もむけないなんて」ムギュ
果南「手伝う前に訴えるよ」
鞠莉「流石果南! そう言ってくれると思ったわ!!」
果南「寧ろ分かってて振ったよね」
鞠莉「そんなこと言わないで、これは美徳よ! モテるわよそういう女の子は!」
果南「せめて実を結んでから聞きたいもんだね、その手の言葉は」
鞠莉「悩ましいわね一方通行って、しかも相手は唐変木ときたものだ」
鞠莉「私からすれば本当に勿体ないわ、本人はもうこんなに熟しているのに目もむけないなんて」ムギュ
果南「手伝う前に訴えるよ」
279: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:36:43.48 ID:TYKGChY7
ワイノワイノ
善子「PVねえ…確かにそろそろ作ってもいい頃よね」
善子「先のイベントのためにも新曲上げて少しでも色んな人に認知させていかないと」
花丸「はえ~、スクールアイドルってそんなこともやるんだね」
ルビィ「どうだろう、町の宣伝とかも含めたPRって他ではあんまりやらないと思うけど」
ルビィ「普通はグループやメンバーの特徴、魅力をアピールするわけだし」
花丸「ふむふむ、為になるずら」メモメモ
善子「ルビィ、戻ってきてたの」
ルビィ「ついさっき」
280: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:37:17.76 ID:TYKGChY7
善子「ふーん、また梨子さんと話してたんでしょ」
ルビィ「うん」
善子「やけに気が合ってるものね、あなた達」
ルビィ「ルビィがくっついてるだけだよ、梨子さんの声落ち着くから」
善子「へえ、落ち着く」
ルビィ「どうかした?」
花丸「嫉妬だよ嫉妬」
善子「違うわよ!」
ルビィ「うん」
善子「やけに気が合ってるものね、あなた達」
ルビィ「ルビィがくっついてるだけだよ、梨子さんの声落ち着くから」
善子「へえ、落ち着く」
ルビィ「どうかした?」
花丸「嫉妬だよ嫉妬」
善子「違うわよ!」
281: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:37:50.76 ID:TYKGChY7
善子「ただ、ルビィも誰かと話すのにだいぶ慣れてきたなって」
ルビィ「それは善子ちゃんのおかげだけどね」
善子「私が?」
ルビィ「うん。だって好きな人が見てるといろいろ頑張りたくなるでしょ? だから」
善子「ああ、そう。お役に立てたようで何よりねそれは」メソラシ
花丸「安心したうえに満更でもなさそうだね」
善子「あんたの趣味は人間観察か!! ていうかいちいち横槍入れてくるんじゃないわよ!」
ルビィ「それは善子ちゃんのおかげだけどね」
善子「私が?」
ルビィ「うん。だって好きな人が見てるといろいろ頑張りたくなるでしょ? だから」
善子「ああ、そう。お役に立てたようで何よりねそれは」メソラシ
花丸「安心したうえに満更でもなさそうだね」
善子「あんたの趣味は人間観察か!! ていうかいちいち横槍入れてくるんじゃないわよ!」
282: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:38:21.80 ID:TYKGChY7
花丸「うーん仕方ない、邪魔ものはここらで退散するずら」
善子「どういう立ち位置で言ってんのよそれは」
花丸「あははっ、またね善子ちゃんルビィちゃん」
ルビィ「ばいばい花丸ちゃん」
善子「はいはいお疲れさま」
善子「全く、余計な気遣って」
ルビィ「余計だったの?」
善子「…いや、言うほどではないけど」
善子「どういう立ち位置で言ってんのよそれは」
花丸「あははっ、またね善子ちゃんルビィちゃん」
ルビィ「ばいばい花丸ちゃん」
善子「はいはいお疲れさま」
善子「全く、余計な気遣って」
ルビィ「余計だったの?」
善子「…いや、言うほどではないけど」
283: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:38:52.09 ID:TYKGChY7
ルビィ「じゃあその厚意に甘えちゃおうよ、ね?」
ルビィ「二人きりで帰るのって久しぶりだもん」
ルビィ(それにきっと花丸ちゃんも、早く報告しに行きたかったんだと思うし)
善子「そうね、最近は三人でとか曜さんととかばかりだったし」
善子「たまにはいいかもね、うん」
善子「よし、アイスでも食べに行きましょうか!」
ルビィ「本当!? 行く行く!」パァッ
善子「目の色変えすぎ、どんだけ食い意地張ってるのよ」フフッ
ルビィ「二人きりで帰るのって久しぶりだもん」
ルビィ(それにきっと花丸ちゃんも、早く報告しに行きたかったんだと思うし)
善子「そうね、最近は三人でとか曜さんととかばかりだったし」
善子「たまにはいいかもね、うん」
善子「よし、アイスでも食べに行きましょうか!」
ルビィ「本当!? 行く行く!」パァッ
善子「目の色変えすぎ、どんだけ食い意地張ってるのよ」フフッ
284: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:39:21.45 ID:TYKGChY7
ルビィ「違うよ、善子ちゃんと一緒に食べられるのが嬉しいの」
善子「そうやって持ち上げて奢らせようとしてるんじゃないの? あんたのことだから」
ルビィ「いやー楽しみだねぇ善子ちゃん」
善子「はい確定、そゆとこあるわよねルビィね」
ルビィ「うん、そゆとこある」
善子「開き直るな」
善子「そうやって持ち上げて奢らせようとしてるんじゃないの? あんたのことだから」
ルビィ「いやー楽しみだねぇ善子ちゃん」
善子「はい確定、そゆとこあるわよねルビィね」
ルビィ「うん、そゆとこある」
善子「開き直るな」
285: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:39:49.64 ID:TYKGChY7
ルビィ「ねえねえ善子ちゃん。ルビィね、バニラとイチゴがいい」
善子「……分けてくれるなら許す」
ルビィ「やった。食べるときはあーんしてあげるからね」
善子「それはいい、結構です」
ルビィ「~~♪」
善子「あーもういい、分かった。分かったわよ好きにしなさい」
ルビィ「えへへっ、ありがと善子ちゃん」
善子「どういたしまして……というかその鼻歌、聞いたことないわね。何の曲?」
善子「……分けてくれるなら許す」
ルビィ「やった。食べるときはあーんしてあげるからね」
善子「それはいい、結構です」
ルビィ「~~♪」
善子「あーもういい、分かった。分かったわよ好きにしなさい」
ルビィ「えへへっ、ありがと善子ちゃん」
善子「どういたしまして……というかその鼻歌、聞いたことないわね。何の曲?」
286: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:40:23.01 ID:TYKGChY7
ルビィ「これ? 次のPVに使う新曲だよ、さっきまで一緒に歌ってたんだぁ」
善子「ふーん、そうなの」
ルビィ「いい曲だよね、ルビィこれ好きなんだ…早く歌ってみたいなぁ」
善子「……」
ルビィ「善子ちゃん?」
善子「ん、そうね。私も好きよ」
善子「ふーん、そうなの」
ルビィ「いい曲だよね、ルビィこれ好きなんだ…早く歌ってみたいなぁ」
善子「……」
ルビィ「善子ちゃん?」
善子「ん、そうね。私も好きよ」
287: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:41:01.55 ID:TYKGChY7
善子(やっぱり仲良いわよね、そもそも話せるようになったっていっても私が来る前から梨子さんとはそれなりだったみたいだし)
ルビィ「フンフフーン♪」タンタタンッ
善子(やっぱり相性がいいとかそんな感じかしらね、まあ仲がいいのは悪いことじゃないし)
善子(それで私たちの関係が崩れるわけでもないから、そこまで気にすることでもないけど)
善子「そのときのあの子の笑顔を見てるとなんかねえ…」
ルビィ「笑顔がどうかしたの?」クスッ
善子「! ……ううん、勘違いみたいだから別に気にしなくていいわよ」
ルビィ「フンフフーン♪」タンタタンッ
善子(やっぱり相性がいいとかそんな感じかしらね、まあ仲がいいのは悪いことじゃないし)
善子(それで私たちの関係が崩れるわけでもないから、そこまで気にすることでもないけど)
善子「そのときのあの子の笑顔を見てるとなんかねえ…」
ルビィ「笑顔がどうかしたの?」クスッ
善子「! ……ううん、勘違いみたいだから別に気にしなくていいわよ」
288: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/23(水) 19:41:36.37 ID:TYKGChY7
ルビィ「そう? ならいいけど」クルッ
善子「……はぁー、本当にもう…」
善子「ねえルビィ」
ルビィ「なにー?」
善子「貴女、ちょろい女って嫌いだったりする?」
ルビィ「いきなり何の話?」キョトン
善子「……はぁー、本当にもう…」
善子「ねえルビィ」
ルビィ「なにー?」
善子「貴女、ちょろい女って嫌いだったりする?」
ルビィ「いきなり何の話?」キョトン
294: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:27:11.49 ID:kWzSMBMe
─
花丸「……ふう」
黒澤母「最近はこの時間帯に来ることが多くなりましたね」
花丸「ごめんなさい、部活が結構大変で」
黒澤母「責めてなどいませんよ、寧ろ敬服しているんです」
黒澤母「どんなに忙しなくなってもこうして毎日お参りに来て下さる花丸さんのことを」
花丸「いやそんな、褒められるほどのことなんて…マルはしていないですよ」
花丸「ただ好きな子に会いたい、それだけの理由ですから」
黒澤母「あの子が聞いたら喜ぶでしょうね」
花丸「それはもう大喜びで抱きついてくると思いますよ」
305: 294と295の間が抜けていました(もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:37:05.69 ID:kWzSMBMe
黒澤母「そういえばアイドルのほうは順調ですか?」
花丸「えっと、ピーブイっていうのを作るみたいです。自分たちを紹介するための映像…みたいな」
花丸「どうしたんですかいきなり」
黒澤母「いえね、最近は家の方でも娘達がその手の話で言い合うものですから」
黒澤母「それに聞くところによると花丸さんも関わっているようなので、つい」
花丸「ああ、成るほど」
黒澤母「…サファイアの影響ですか?」
花丸「無いと言えば嘘になりますけど、やってて楽しいから」
花丸「っていうのも理由にありますよ」
花丸「えっと、ピーブイっていうのを作るみたいです。自分たちを紹介するための映像…みたいな」
花丸「どうしたんですかいきなり」
黒澤母「いえね、最近は家の方でも娘達がその手の話で言い合うものですから」
黒澤母「それに聞くところによると花丸さんも関わっているようなので、つい」
花丸「ああ、成るほど」
黒澤母「…サファイアの影響ですか?」
花丸「無いと言えば嘘になりますけど、やってて楽しいから」
花丸「っていうのも理由にありますよ」
295: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:27:59.37 ID:kWzSMBMe
黒澤母「……」
花丸「それに影響といっても、別に亡くなって叶えられなかった無念を晴らしたいわけじゃないんです」
花丸「ただ信じてみたくて、アオちゃんが言ってくれた言葉を」
黒澤母「あの子の?」
花丸「マルちゃんは可愛いから絶対アイドルになれる」
花丸「だから私と一緒に世界で一番のアイドルになろうって言われまして」
黒澤母「相変わらず大きく出ましたわね」
花丸「あはは、子供ならみんなそんなものじゃないですか?」
花丸「それに影響といっても、別に亡くなって叶えられなかった無念を晴らしたいわけじゃないんです」
花丸「ただ信じてみたくて、アオちゃんが言ってくれた言葉を」
黒澤母「あの子の?」
花丸「マルちゃんは可愛いから絶対アイドルになれる」
花丸「だから私と一緒に世界で一番のアイドルになろうって言われまして」
黒澤母「相変わらず大きく出ましたわね」
花丸「あはは、子供ならみんなそんなものじゃないですか?」
296: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:28:40.53 ID:kWzSMBMe
花丸「だけどね小母さん、最初に聞いたときは自信がなかったんです」
黒澤母「ええ」
花丸「だってマルは鈍間だし、いつも本ばかり読んでて人ともそんなに話したことなかったのに」
花丸「そんなマルが人前で歌って踊るアイドルになんてなれるわけない。そう思っていたんです」
花丸「いつも元気で明るくて可愛らしくて、そのうえ皆から愛されてるアオちゃんなら分かるけど、マルじゃ絶対無理だよって」
花丸「そう言ったんですけど、ね」
黒澤母「ええ」
花丸「だってマルは鈍間だし、いつも本ばかり読んでて人ともそんなに話したことなかったのに」
花丸「そんなマルが人前で歌って踊るアイドルになんてなれるわけない。そう思っていたんです」
花丸「いつも元気で明るくて可愛らしくて、そのうえ皆から愛されてるアオちゃんなら分かるけど、マルじゃ絶対無理だよって」
花丸「そう言ったんですけど、ね」
297: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:29:11.99 ID:kWzSMBMe
黒澤母「折れなかったと」
花丸「言っても聞かないところがあるから、アオちゃん」
花丸「でもマルの好きなアオちゃんがそこまで言うんだったら、信じてみたいなって思えて」
花丸「なにより、あの子と一緒にやりたいって気持ちの方が大きかったから」
花丸「だから結局、こっちが先に折れちゃいました」エヘヘ
黒澤母「……」
花丸「言っても聞かないところがあるから、アオちゃん」
花丸「でもマルの好きなアオちゃんがそこまで言うんだったら、信じてみたいなって思えて」
花丸「なにより、あの子と一緒にやりたいって気持ちの方が大きかったから」
花丸「だから結局、こっちが先に折れちゃいました」エヘヘ
黒澤母「……」
298: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:30:17.07 ID:kWzSMBMe
『ただいまー!』
『ただいま帰りました』
『あら二人ともおかえりなさい』
『聞いておかあさん! あのねあのね、きょうはマルちゃんとアイドルになろうってやくそくしてきたの!』
『アイドル?』
『うん! だってマルちゃんって本をたくさんよんでるから、色んなことしってて、なのにすっごくかわいいんだよ!!』
『だから私思ったの! マルちゃんがアイドルになればむてきになれるって!!』
『ただいま帰りました』
『あら二人ともおかえりなさい』
『聞いておかあさん! あのねあのね、きょうはマルちゃんとアイドルになろうってやくそくしてきたの!』
『アイドル?』
『うん! だってマルちゃんって本をたくさんよんでるから、色んなことしってて、なのにすっごくかわいいんだよ!!』
『だから私思ったの! マルちゃんがアイドルになればむてきになれるって!!』
299: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:30:59.88 ID:kWzSMBMe
『へえ、どうしてそう思ったの?』
『ものしりなひとってすごいでしょ? でもアイドルもすごいよね?』
『だったらどっちもできるマルちゃんはすっごくすごいってことになるでしょ!?』
『フフッ、そうですね』
『でしょ!』
『そんな単純な話かしら…?』
『わかってないなあお姉ちゃんは』
『はあ!?』
『ううんお姉ちゃんだけじゃない、みんなわかってない。マルちゃんがどんなにすごいのかってこと!』
『ものしりなひとってすごいでしょ? でもアイドルもすごいよね?』
『だったらどっちもできるマルちゃんはすっごくすごいってことになるでしょ!?』
『フフッ、そうですね』
『でしょ!』
『そんな単純な話かしら…?』
『わかってないなあお姉ちゃんは』
『はあ!?』
『ううんお姉ちゃんだけじゃない、みんなわかってない。マルちゃんがどんなにすごいのかってこと!』
300: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:31:35.51 ID:kWzSMBMe
『だから私がおしえてあげるの! マルちゃんのすごさを! マルちゃんといっしょにアイドルになってね!』
『私たちはとっぷアイドルになるんだから!!』
『それでテレビにもでて、もっとゆうめいになって!!』
『そしてマルちゃんとけっこんするの!!』
『サファイア! あなた、またそんなこと!』
『だってそれくらいすごくなったら、くろさわけにふさわしいってなるでしょ?』
『相応しい相応しくないのもんだいではありません!! まだ子供のうちからそんな…!』
『お母様もなんとか言ってください!』
『私たちはとっぷアイドルになるんだから!!』
『それでテレビにもでて、もっとゆうめいになって!!』
『そしてマルちゃんとけっこんするの!!』
『サファイア! あなた、またそんなこと!』
『だってそれくらいすごくなったら、くろさわけにふさわしいってなるでしょ?』
『相応しい相応しくないのもんだいではありません!! まだ子供のうちからそんな…!』
『お母様もなんとか言ってください!』
301: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:32:21.93 ID:kWzSMBMe
『そうね、もし花丸ちゃんがサファイアに相応しい相手になったとしても』
『結婚は大人になるまではお預けでしょうね』
『お母様!?』
『おとなってどれくらい?』
『どれくらい……うーん、そう聞かれると難しいですね』
『見方によって変わるが、最低でも高校卒業くらいはしてからだろうよ』
『話はそれからだな』
『お、お父様まで!』
『結婚は大人になるまではお預けでしょうね』
『お母様!?』
『おとなってどれくらい?』
『どれくらい……うーん、そう聞かれると難しいですね』
『見方によって変わるが、最低でも高校卒業くらいはしてからだろうよ』
『話はそれからだな』
『お、お父様まで!』
302: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:33:06.65 ID:kWzSMBMe
『こうこう?』
『ああ、もっと分かりやすく言うなら』
『結婚は18歳になるまで我慢しなさいということだよ』
『18さいね! うんわかった!!』
『……あの、私がおかしいのでしょうか』
『いいえ、私たちが変なの』
『はい?』
『知らなかったのダイヤ、私もお父さんも結構ぶっ飛んでいるんですよ? 特にお父さんはね』
『考えてもみてください、普通の親が子供に宝石の名前を付けたりしますか?』
『おい』
『えへへっ! はやくマルちゃんにもこのこと話さなくちゃ!』
『ああ、もっと分かりやすく言うなら』
『結婚は18歳になるまで我慢しなさいということだよ』
『18さいね! うんわかった!!』
『……あの、私がおかしいのでしょうか』
『いいえ、私たちが変なの』
『はい?』
『知らなかったのダイヤ、私もお父さんも結構ぶっ飛んでいるんですよ? 特にお父さんはね』
『考えてもみてください、普通の親が子供に宝石の名前を付けたりしますか?』
『おい』
『えへへっ! はやくマルちゃんにもこのこと話さなくちゃ!』
303: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:33:44.86 ID:kWzSMBMe
黒澤母「……そう、そうですか」
花丸「はい、スクールアイドルをやろうって思ったのも…ただ、見て欲しかったから」
花丸「あの子が信じたマルの一番可愛くて綺麗なその姿を、見せたかっただけ」
花丸「自分で言うのは……ちょっと恥ずかしいけど」
黒澤母「……幸せ者ですね、サファイアは」
花丸「どうでしょう、今までみっともないところも見せちゃいましたけど」
黒澤母「みっともない?」
花丸「はい、スクールアイドルをやろうって思ったのも…ただ、見て欲しかったから」
花丸「あの子が信じたマルの一番可愛くて綺麗なその姿を、見せたかっただけ」
花丸「自分で言うのは……ちょっと恥ずかしいけど」
黒澤母「……幸せ者ですね、サファイアは」
花丸「どうでしょう、今までみっともないところも見せちゃいましたけど」
黒澤母「みっともない?」
304: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:35:30.06 ID:kWzSMBMe
花丸「前にじっちゃん、ばっちゃんとルビィちゃんで一緒にお参りに行ったときに」
花丸「今まで耐えてきた糸がぷっつり切れたみたいに、自分を抑えきれなくなったときがあったんです」
花丸「疲れていたっていうのもあったのか、前から気にしていたことを思いっきり吐き出したくなる衝動に駆られて……」
花丸「どうしてマルは寺生まれなのに幽霊が見えないの、声が聞こえないの」
花丸「なんでアオちゃんと会えないの、会わせてよって、急に子供みたいに喚いて」
花丸「みんなに心配をかけさせた、そんな日もありましたから」
花丸「今まで耐えてきた糸がぷっつり切れたみたいに、自分を抑えきれなくなったときがあったんです」
花丸「疲れていたっていうのもあったのか、前から気にしていたことを思いっきり吐き出したくなる衝動に駆られて……」
花丸「どうしてマルは寺生まれなのに幽霊が見えないの、声が聞こえないの」
花丸「なんでアオちゃんと会えないの、会わせてよって、急に子供みたいに喚いて」
花丸「みんなに心配をかけさせた、そんな日もありましたから」
307: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:40:49.92 ID:kWzSMBMe
黒澤母「……」
花丸「小母さんが思ってるほどいい子じゃないんですよ、マルって」
黒澤母「…みたいですね」
黒澤母「花丸さん」
花丸「はい」
黒澤母「だからといってこの子の前で弱さを隠すのはやめてくださいね」
黒澤母「私や他の者に対してやるのは構いませんがね……PVの完成楽しみにしています、それでは」
スタスタ
花丸「うん…ありがとう、小母さん」
花丸「小母さんが思ってるほどいい子じゃないんですよ、マルって」
黒澤母「…みたいですね」
黒澤母「花丸さん」
花丸「はい」
黒澤母「だからといってこの子の前で弱さを隠すのはやめてくださいね」
黒澤母「私や他の者に対してやるのは構いませんがね……PVの完成楽しみにしています、それでは」
スタスタ
花丸「うん…ありがとう、小母さん」
308: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:41:26.60 ID:kWzSMBMe
それから一週間後…
ダイヤ「──以上、ここまでがPV完成の大体の流れです」
千歌「基本的にはみんなにそれぞれ分けられた役割をやればいいんだけど」
千歌「手伝えるところがあったり時間に余裕のある人は、他の人に協力してくれると助かるな」
果南「おっけー」
曜「了解であります!」
千歌「というわけで頑張ってみんなでいいものを作ろーっ!!」
オー!!
310: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:42:02.78 ID:kWzSMBMe
ダイヤ「さて次はユニット分けのことについてですが」
ダイヤ「まず初めに、一緒になるメンバーで何か要望のある方は……」
千歌「はいはいはいはい!!」バッ
ダイヤ「リーダーが真っ先に手を挙げるのですか…まあいいでしょう、では千歌さん」
千歌「私と曜ちゃんはルビィちゃんと一緒のユニットになりたいです!!」
ルビィ「え?」
曜「ん? 私も?」
ダイヤ「まず初めに、一緒になるメンバーで何か要望のある方は……」
千歌「はいはいはいはい!!」バッ
ダイヤ「リーダーが真っ先に手を挙げるのですか…まあいいでしょう、では千歌さん」
千歌「私と曜ちゃんはルビィちゃんと一緒のユニットになりたいです!!」
ルビィ「え?」
曜「ん? 私も?」
311: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:43:09.70 ID:kWzSMBMe
ダイヤ「何か理由でもあるのでしょうか」
千歌「最近梨子ちゃんばっかりルビィちゃんと仲良くなっててズルいと思ったからです!」
梨子「えぇ……」
鞠莉「曜、貴女もあれくらいハッキリ言ったほうがいいわよ」
曜「いくらなんでもきっぱり言いすぎでしょ、あれは」
ダイヤ「ルビィはそれで構わないのですか?」
ルビィ「うん、いいけど」
千歌「やったー!」
ダイヤ「まだ決まっていませんわよ」
千歌「最近梨子ちゃんばっかりルビィちゃんと仲良くなっててズルいと思ったからです!」
梨子「えぇ……」
鞠莉「曜、貴女もあれくらいハッキリ言ったほうがいいわよ」
曜「いくらなんでもきっぱり言いすぎでしょ、あれは」
ダイヤ「ルビィはそれで構わないのですか?」
ルビィ「うん、いいけど」
千歌「やったー!」
ダイヤ「まだ決まっていませんわよ」
312: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:43:53.90 ID:kWzSMBMe
ダイヤ「他に要望のある方は?」
鞠莉「はーい、じゃあ私からも」
ダイヤ「どうぞ」
鞠莉「私はダイヤ、果南と一緒のユニットになりたくありませーん!」ブッブーデスワー!
ダイヤ「また貴女はそうやって、わざわざ人を煽るような言い方を……!」ピクピク
果南「どうどう、落ち着いて」
鞠莉「そうそう、ちゃんと理由があるから聞いてってば」
ダイヤ「…なら聞かせてもらいましょうか」
鞠莉「はーい、じゃあ私からも」
ダイヤ「どうぞ」
鞠莉「私はダイヤ、果南と一緒のユニットになりたくありませーん!」ブッブーデスワー!
ダイヤ「また貴女はそうやって、わざわざ人を煽るような言い方を……!」ピクピク
果南「どうどう、落ち着いて」
鞠莉「そうそう、ちゃんと理由があるから聞いてってば」
ダイヤ「…なら聞かせてもらいましょうか」
313: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:44:29.88 ID:kWzSMBMe
鞠莉「せっかくメンバーを分けて組み合わせるんだもの、それなら私はこの機会に普段は関わらないような子と一緒になりたいわね」
ダイヤ「ふむ、一理ありますわね」
果南「意外とまともな理由だった」
鞠莉「失礼ね、というわけで私は組む相手に梨子と善子の二名を希望するわ!」
梨子「私?」
善子「ふーん」ズズッ
ダイヤ「ふむ、一理ありますわね」
果南「意外とまともな理由だった」
鞠莉「失礼ね、というわけで私は組む相手に梨子と善子の二名を希望するわ!」
梨子「私?」
善子「ふーん」ズズッ
314: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:45:15.25 ID:kWzSMBMe
ダイヤ「なぜ梨子さんと善子さんを選んだのですか? 消去法で自然と?」
鞠莉「ううん、エロいから」
ダイヤ「貴女に少しでも感心した私が馬鹿でした」
鞠莉「ちが、違うわよ!? そういう路線も必要なのよ!」
果南「うん分かった、じゃあ残った花丸ちゃんはこっちが保護させてもらうから」
鞠莉「その認識は間違っているわ果南! セクシー! そうセクシー担当として相応しいと思ったから私は選んだわけで!」
梨子「……大丈夫なのかな本当に」
善子「別に貞操奪われるってわけでもないでしょ、私は別にいいと思うけど」パクッ
梨子「ずいぶんあっさりしてるのね善子ちゃん、というか貞操って…」
鞠莉「ううん、エロいから」
ダイヤ「貴女に少しでも感心した私が馬鹿でした」
鞠莉「ちが、違うわよ!? そういう路線も必要なのよ!」
果南「うん分かった、じゃあ残った花丸ちゃんはこっちが保護させてもらうから」
鞠莉「その認識は間違っているわ果南! セクシー! そうセクシー担当として相応しいと思ったから私は選んだわけで!」
梨子「……大丈夫なのかな本当に」
善子「別に貞操奪われるってわけでもないでしょ、私は別にいいと思うけど」パクッ
梨子「ずいぶんあっさりしてるのね善子ちゃん、というか貞操って…」
315: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:46:00.28 ID:kWzSMBMe
花丸「善子ちゃんはルビィちゃんと一緒になれなかったから、もう何でもいいんだよね」
善子「ちょっとそこ誤解を招く言い方やめてくれない!?」
鞠莉「あら振られてしまったのね」
善子「そっちも縁起でもないことを言うな! まだ始まったばかりだわ!」
梨子「え、ちなみにルビィちゃんとはどこまで…?」
善子「なんで急にそわそわし始めたの!? 今そういう話じゃないでしょ!」
果南「そろそろ止めたほうがいいんじゃない? アレ」
千歌「いやー姦しいとはまさにこのことですなー」アハハ
曜・ルビィ「……」
千歌「ん? どしたの二人とも」
善子「ちょっとそこ誤解を招く言い方やめてくれない!?」
鞠莉「あら振られてしまったのね」
善子「そっちも縁起でもないことを言うな! まだ始まったばかりだわ!」
梨子「え、ちなみにルビィちゃんとはどこまで…?」
善子「なんで急にそわそわし始めたの!? 今そういう話じゃないでしょ!」
果南「そろそろ止めたほうがいいんじゃない? アレ」
千歌「いやー姦しいとはまさにこのことですなー」アハハ
曜・ルビィ「……」
千歌「ん? どしたの二人とも」
316: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:46:57.05 ID:kWzSMBMe
ダイヤ「はい静かに! 話を戻しますわよ!」
「はーい」
ダイヤ「はあ……とにかく、ユニットの組み合わせは取りあえずですが決定しました」
ダイヤ「まだ仮ですが、一先ずはこの形で活動していく方針ですのでよろしくお願いします。以上で……」
千歌「以上で今回の部活動会議を終了とさせていただきます! みんなお疲れさま!!」
ダイヤ「……締めの部分だけリーダーらしくするのはやめてもらえます?」
千歌「いや、最後くらいはしっかりしないとほら、立場的に」
ダイヤ「……梨子さんの気持ちがよく分かりましたわ」
「はーい」
ダイヤ「はあ……とにかく、ユニットの組み合わせは取りあえずですが決定しました」
ダイヤ「まだ仮ですが、一先ずはこの形で活動していく方針ですのでよろしくお願いします。以上で……」
千歌「以上で今回の部活動会議を終了とさせていただきます! みんなお疲れさま!!」
ダイヤ「……締めの部分だけリーダーらしくするのはやめてもらえます?」
千歌「いや、最後くらいはしっかりしないとほら、立場的に」
ダイヤ「……梨子さんの気持ちがよく分かりましたわ」
317: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:47:29.37 ID:kWzSMBMe
スタスタ
果南「でもさ思ったより早く決まって良かったじゃん、さくさく進んだというか」
花丸「ダイヤさんがまとめてくれたからね、昔からそういったのは得意だから」
果南「たしかに」
ダイヤ「…別に、そこまで言われるほどのものでもありませんわ」
鞠莉「照れてる照れてる」
ダイヤ「貴女はいちいち茶化さないでください!」
鞠莉「だってダイヤ可愛いんだもの♪」テヘペロ
318: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:48:00.75 ID:kWzSMBMe
善子「しかし、唐突に決まったけど大丈夫なのかしらね。PVはともかくユニットの方は」
鞠莉「あら、善子は私と一緒なのが不安?」
善子「いやそうじゃなくて、ルビィの」
鞠莉「いいわねえ青春、でもまあそこは特に問題ないでしょ」
ダイヤ「ええ、なにせ──」
鞠莉「あら、善子は私と一緒なのが不安?」
善子「いやそうじゃなくて、ルビィの」
鞠莉「いいわねえ青春、でもまあそこは特に問題ないでしょ」
ダイヤ「ええ、なにせ──」
319: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:48:34.13 ID:kWzSMBMe
千歌「かーべーはー!!」
曜「ハイハイハイ!」
ルビィ「壊せるものさー!」
曜「ハイハイハイ!」
千歌「倒せるものさー!」
千歌・ルビィ「自分からもっとチカラを出してよー!」
ハイハイハイ!
ダイヤ「…あんな調子ですから」
善子「いやそれが私は心配なんだけどね」
梨子「勢い余ってライブで歌わなければいいけど…」
曜「ハイハイハイ!」
ルビィ「壊せるものさー!」
曜「ハイハイハイ!」
千歌「倒せるものさー!」
千歌・ルビィ「自分からもっとチカラを出してよー!」
ハイハイハイ!
ダイヤ「…あんな調子ですから」
善子「いやそれが私は心配なんだけどね」
梨子「勢い余ってライブで歌わなければいいけど…」
320: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:49:13.29 ID:kWzSMBMe
善子「ほんと、どんだけスクールアイドル好きなのよあの二人」
善子「スクールアイドルっていうかμ'sだけど」
鞠莉「μ'sといえばわしわしよね」
果南「え、なんですぐそこに直結するの。無理なんだけど」
鞠莉「ちょっと本気で引いてない果南?」
果南「ちょっとっていうか、かなり」
鞠莉「言い直さなくていいわよ!」
善子「スクールアイドルっていうかμ'sだけど」
鞠莉「μ'sといえばわしわしよね」
果南「え、なんですぐそこに直結するの。無理なんだけど」
鞠莉「ちょっと本気で引いてない果南?」
果南「ちょっとっていうか、かなり」
鞠莉「言い直さなくていいわよ!」
321: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:49:56.07 ID:kWzSMBMe
果南「ほんと、イミワカンナイ」
鞠莉「そんなこと言わずに、ねえ果南、おねがぁい」
善子「……なんか自然に混ざろうとしてるし、これ以上増えたら収集付かないんだけど」
花丸「まあまあ善子ちゃん」ポン
善子「なによ」
花丸「ファイトだよ!」ズラ!
善子「いい加減にしろあんたら!!」
鞠莉「そんなこと言わずに、ねえ果南、おねがぁい」
善子「……なんか自然に混ざろうとしてるし、これ以上増えたら収集付かないんだけど」
花丸「まあまあ善子ちゃん」ポン
善子「なによ」
花丸「ファイトだよ!」ズラ!
善子「いい加減にしろあんたら!!」
322: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:50:31.12 ID:kWzSMBMe
ワーワーギャーギャー
梨子「……向こうも向こうですけど、こっちはこっちで賑やかですね」クスッ
梨子「少し賑やかすぎる気もするけど……ダイヤさんはどう思います?」
ダイヤ「うーーん」
梨子「?」
ダイヤ「ちょっと寒くないかにゃー?」
梨子(あっ、混ざりたかったんだ)
323: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:51:06.33 ID:kWzSMBMe
それからの時間は楽しくもあっという間で
曜「どうかな? ちょっと盛りすぎ?」
ルビィ「下はもう少し軽くして、動きやすくしたほうがいいと思います」
曜「了解! ちゃちゃっと済ませてくるねー!」
果南「買い出し終わったよー! 他に足りないものとかある?」
324: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:51:40.25 ID:kWzSMBMe
いつも慌ただしくて、忙しい日々だったけれど
鞠莉「こことここ、あとそっちを修正しておいて、音量も調節しておいた方がいいわね」
善子「ちょっと待って、まずは今やってるのを終わらせて…っと。で、次が……」
ダイヤ「鞠莉さん、資料が出来ましたので申請お願いします」
鞠莉「オッケー、じゃあ二人で話しに行きましょうか」
善子「帰りに甘いものでも買ってきてもらえると助かるわね」
ダイヤ「では、その後少し休憩時間を取りましょうか」
鞠莉「それまでファイトよ善子!」
善子「はいはい、任せなさいって」
325: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:52:16.10 ID:kWzSMBMe
それでも、みんなと一緒に過ごす毎日はとても充実したもので
千歌「どうかな?」
梨子「うん、いいと思う。あとはこれにどうメロディを合わせるかってことだけど」
花丸「もう少し言いやすい言葉にしたほうがいいのかな?」
梨子「まずは一度通して歌ってみましょう」
千歌「歌詞にしても曲にしても、それを聞いてから変えていくってことね」
梨子「そういうこと、じゃあ花丸ちゃんよろしくね」
花丸「マルが!? うぅ、緊張するずら……」
私にとって、大切な……とても大切な思い出になっていったの
326: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:52:53.05 ID:kWzSMBMe
そしてそれは、きっとこれからも続いていくんだろうなぁ
ずっと続いていけたらいいなあって
そんなことを思いながら、自分の愛する人と一緒に喜んだり、笑いあったり
あぁ、幸せってこういうことなのかなって
このときは、本当にそう思っていたの
…………
あの日がくるまでは
327: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:53:31.78 ID:kWzSMBMe
─部室
バンッ
千歌「みんなー! 大ニュースだよっ!!」
千歌「私たちのPVが急上昇ランク4位に入ってる!!」バッ
曜「本当だ凄い伸びてる!」
ルビィ「コメントも沢山来てるよ!」
善子「これはまた初っ端から大目立ちしてくれたわね、ちょっと上手くいきすぎじゃない?」
花丸「善子ちゃん、にやけながら言っても引き締まらないよ」
善子「うるさいわね、嬉しいんだから仕方ないでしょ」
328: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:54:02.35 ID:kWzSMBMe
果南「学校でも結構話題になってるみたいだよ、私とか声かけられちゃったし」
ダイヤ「それは果南さん自身の人気によるものも大きいと思いますけど」
果南「別にいいんだけどなあそういうのは」
ダイヤ「何を贅沢なことを言ってるんですか」
果南(いやだから他の人に好かれても意味ないんだって…って流石に今言うのはまずいよね)
鞠莉「内浦に興味を持ったって人もちょくちょくいるみたいよ、いい傾向ね」
梨子「関連でユニットの曲も聞いてもらえてるし、凄いわね」
千歌「うんうん! 頑張ったかいがあったってもんだよ!」
ダイヤ「それは果南さん自身の人気によるものも大きいと思いますけど」
果南「別にいいんだけどなあそういうのは」
ダイヤ「何を贅沢なことを言ってるんですか」
果南(いやだから他の人に好かれても意味ないんだって…って流石に今言うのはまずいよね)
鞠莉「内浦に興味を持ったって人もちょくちょくいるみたいよ、いい傾向ね」
梨子「関連でユニットの曲も聞いてもらえてるし、凄いわね」
千歌「うんうん! 頑張ったかいがあったってもんだよ!」
329: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:54:37.59 ID:kWzSMBMe
千歌「梨子ちゃんもこれでようやく決心がついたんじゃない?」
善子「何よ決心って」
曜「梨子ちゃんまだお母さんにPV見せていないんだよね、恥ずかしいからって」
善子「そんなのでよく今までステージに立てられたわね」
梨子「それはその、だって家族に見られるのはまた別の話でしょ」
ダイヤ「まあ気持ちは分かりますけど」
ダイヤ「それでも、娘の晴れ舞台なら親は喜んで見てくれると思いますわよ」ズズッ
花丸「同感ずら、きっと梨子さんのお母さんも楽しみにしてると思うよ」モグモグ
果南・鞠莉「……」
善子「何よ決心って」
曜「梨子ちゃんまだお母さんにPV見せていないんだよね、恥ずかしいからって」
善子「そんなのでよく今までステージに立てられたわね」
梨子「それはその、だって家族に見られるのはまた別の話でしょ」
ダイヤ「まあ気持ちは分かりますけど」
ダイヤ「それでも、娘の晴れ舞台なら親は喜んで見てくれると思いますわよ」ズズッ
花丸「同感ずら、きっと梨子さんのお母さんも楽しみにしてると思うよ」モグモグ
果南・鞠莉「……」
330: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:55:10.03 ID:kWzSMBMe
梨子「そう、なのかな。ルビィちゃんはどう思う?」
ルビィ「ルビィも見せたほうがいいなあって思います」
ルビィ「梨子さんなら大丈夫だよ、きっと」
千歌「ほら! みんなもこう言ってることだし!」
梨子「うん。じゃあ今日帰ったら、一緒に見ることにするね」
ルビィ「ルビィも見せたほうがいいなあって思います」
ルビィ「梨子さんなら大丈夫だよ、きっと」
千歌「ほら! みんなもこう言ってることだし!」
梨子「うん。じゃあ今日帰ったら、一緒に見ることにするね」
331: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:55:43.74 ID:kWzSMBMe
鞠莉「あっ、そうだわ!」
果南「どしたの突然」
鞠莉「ねえ折角だし近いうちに打ち上げパーティでもやらない?」
鞠莉「華々しいデビューの記念にってことで!」
千歌「おぉーいいね!」
善子「記念って……PV完成のときにも似たようなのやったじゃない」
鞠莉「心配しなくてもmoneyはあるから問題ないわ!」
ダイヤ「いやらしいうえに、善子さんはそういう意味で言ったのではないと思うのですけど」
鞠莉「固いこと言わないの! いいのよこんなこと今しか出来ないんだから!」
果南「まあ確かにそれはあるかも」
果南「どしたの突然」
鞠莉「ねえ折角だし近いうちに打ち上げパーティでもやらない?」
鞠莉「華々しいデビューの記念にってことで!」
千歌「おぉーいいね!」
善子「記念って……PV完成のときにも似たようなのやったじゃない」
鞠莉「心配しなくてもmoneyはあるから問題ないわ!」
ダイヤ「いやらしいうえに、善子さんはそういう意味で言ったのではないと思うのですけど」
鞠莉「固いこと言わないの! いいのよこんなこと今しか出来ないんだから!」
果南「まあ確かにそれはあるかも」
332: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:56:18.37 ID:kWzSMBMe
曜「はいはい! 私ハンバーグが食べたいであります!」
梨子「曜ちゃんまたハンバーグ?」フフッ
ルビィ「あの、お菓子がたくさんあるところがいいです!」
花丸「マルは久しぶりにたい焼きが食べたいずら」
善子「私はチョコレートパフェ、特盛で」
ルビィ「太るよ?」
善子「あんたに言われたくないわ」
梨子「曜ちゃんまたハンバーグ?」フフッ
ルビィ「あの、お菓子がたくさんあるところがいいです!」
花丸「マルは久しぶりにたい焼きが食べたいずら」
善子「私はチョコレートパフェ、特盛で」
ルビィ「太るよ?」
善子「あんたに言われたくないわ」
333: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:56:55.88 ID:kWzSMBMe
果南「もうみんな乗る気満々みたいだね」
ダイヤ「……全く、仕方ありませんわね」ポリポリ
果南「クスッ、仕方ないのはどっちなんだか」
ダイヤ「何か?」
果南「いいや? 折角ならいいもの食べたいよねって話さ、ダイヤもそうでしょ?」
ダイヤ「……やるなら半端はいけませんし」
ダイヤ「……全く、仕方ありませんわね」ポリポリ
果南「クスッ、仕方ないのはどっちなんだか」
ダイヤ「何か?」
果南「いいや? 折角ならいいもの食べたいよねって話さ、ダイヤもそうでしょ?」
ダイヤ「……やるなら半端はいけませんし」
334: 家 ◆YmvLytuhUo (もんじゃ) 2022/03/24(木) 16:57:25.37 ID:kWzSMBMe
千歌「よーしそれじゃあ決まりということで!」
千歌「この調子のまま一気に今日の練習も頑張ろーっ!!!」
「おーーっ!!」
鞠莉「調子づかせるのは上手いのよねえ千歌っち」
善子「貴女も大概だと思うけどね私は」
千歌「この調子のまま一気に今日の練習も頑張ろーっ!!!」
「おーーっ!!」
鞠莉「調子づかせるのは上手いのよねえ千歌っち」
善子「貴女も大概だと思うけどね私は」
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