3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:10:25.12 ID:0Af9p3Jh0
◆◇電車◆◇

男「……」

幼馴染♀「……」

男「……ごめんな」

幼「……なんで謝るの」

男「……」

幼「……ばか」

男「……にしても、よく知ってたな。俺が留学するってこと」

幼「……友くんから聞いた」

男「あー……友か」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:11:51.58 ID:0Af9p3Jh0
幼「なんで私には言ってくれなかったの?」

男「や、最近、あまり仲良く話してなかったしさ。それに……幼ちゃんには言い出しにく

かったんだよ」

幼「……ばか。男くんのばか」

男「はは。昔からそればっかりだよな」

男「でも、どうして、空港まで付き合わせてって?」

幼「……ばか」

男「あはは、またそれかよ」

幼「わ、私から、ずっと、離れないんじゃ、なかったの」

男「……っ」

幼「……ばか」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:12:52.14 ID:0Af9p3Jh0
男「にしても、ホームで急に幼ちゃんが大泣きしたのはびっくりしたな」

幼「……っ、だって……!」

男「ん?」

幼「…………ばか」

男「うん」

男「……そろそろ落ち着いた? 勝手に手を握っちゃったけどさ、幼さ……幼ちゃん……やっぱり手を離した方がいい?」

幼「……や」

男「えっ?」
パッ

幼「……はなしたぁ……」ジワッ

幼「……っ」ポロッ

男「……また泣いて……」

男「……」ぎゅっ

幼「……ばか」

幼「昔もこんなことあった」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:13:55.88 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

男『……』
タッタッタッ

幼『うえええんっ! ついてこないでっ』ポロポロ

男『えええええ幼ちゃん待ってよおおおおお』

幼『うわああんっ! いやーっ』ポロポロ

男『幼ちゃんーっ』
ぎゅっ

幼『もうっ』ポロポロ

男『幼ちゃん好きぃー!』
ぎゅっ

幼『それ先生にもゆってたじゃん! はなして! うわあああんっ!』ポロポロ

男『幼ちゃんの方が好きいいいい!!! 好きだからあああ!!!』
ぎゅっ

幼『……ばか』

男『幼ちゃん好きだよー!』

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:14:59.63 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「……ああ、そうだった」

男「親から聞いたけど、幼稚園のとき、ずっと付きまとってたらしいよな、俺」

幼「えっ……『らしい』……って、もしかして覚えてないの?」

男「いやぁ、うっすらとは覚えてるよ」

男「あ、大阪だ」

幼「……ばか」

男「あはは……」

幼「でも、小学生になっても付きまとってた」

男「あはは、うん」

幼「からかわれてたよね」

男「そうだったな、あはは」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:16:02.08 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

男『幼ちゃん! 今日も遊ぼー!』

幼『……うん、まあ、別にいいけど』

『おい、お前まぁた女子と遊ぶのかよー!』
『お前ら付き合ってんのかあ!? うへぇ、きんもちわるー!』

幼『……っ』

男『つ、付き合ってないし!』

幼『……』

男『幼ちゃんのこと大好きだけど、そうゆうのはまだだし!!』

幼『……っ!?』

『うへぇ、やっぱ、きんもちわるー! あいつらほっとこーぜ、いこ』
『おう』

男『……さあて、幼ちゃん行こっか!』

幼『いいの? 男子たちほっといて』

男『幼ちゃんがいればいい!』

幼『……ばか』

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:17:23.76 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「あはは、そんなことあったなあ」

幼「うん」

男「ちゃかしてたあいつ、中学になって幼ちゃんに告白したのは絶対に忘れない」

幼「えっ、知ってたの?」

男「うん。幼ちゃん、中学に入ってから告白されまくりだったよな」

幼「や、それを言うなら男くんだって……!」

男「えっ?」

幼「女さんとか、さ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:18:29.32 ID:0Af9p3Jh0
男「いや……それは違──」

幼「わない! 告白されてた」

男「女に告白されたって……高校のときだし」

幼「……」

男「……西九条」

幼「……ばか」

男「でも、まあ、僕の初恋は中学のときに終わったんだけどな!」

幼「……っ」

男「なーんて……あはは」

幼「……ば……か」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:19:33.82 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

『幼ちゃんってモテモテだよね』
『羨ましい』

幼『えっ、そんなことないよ』

『前、告られてたの見たって子がいるけど?』

幼『あー……あはは』

『あ、でも、男くんがいるよね、幼ちゃん』
『あーっ、そっか、幼なじみなんだっけ~』

幼『う、うん』

『格好いいよねー、男くん』

幼『えっ、やっ、ふ、雰囲気だけだよ! 普段は情けないよ!』

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:21:24.53 ID:0Af9p3Jh0
『ええっ、そうかなー?』
『私は良いと思うけどなぁ。優しそうだし』

幼『そっ、そんなことないよ、アイツなんて!』

『ええっ、とか言っていつも一緒にいるじゃん』

幼『……付きまとわれてるだけだよ! こ、こっちは迷惑してるの』

幼『べたべたくっつかれても、うっとおしいだけだし!』


男『……』

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:22:38.06 ID:0Af9p3Jh0
友『おはよう、男! ……扉の前でどうしたんだ?』

ガラガラ
男『……友。おはよう』


幼『……っ』

男『おはよ』ニコ

『お、おはよ~』
『あー、あはは』
『き、聞かれてたかな?』
『どうだろ?』

幼『……っ』

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:23:42.75 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

幼「……あのときはごめんなさい」

男「ん? 何のこと?」

幼「……とぼけてる。だって男くん、あの日から急に──」

男「……えっと……」

幼「ごめんなさい……」

男「……弁天町」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:24:45.08 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

男『……っ!』
タッタッタッ

『おー、男くん足が速いんだねー』
『この体育祭で惚れた人たくさんいるだろね』

幼『そ、そうかな? ……足速くてモテるのは小学生までだし……』

女『わ、わたし、男くん格好いいなって』

『えっ、女さんも!?』
『も、ってことはあんたも!?』

幼『男くん……』

幼『…………ばか』

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:26:01.26 ID:0Af9p3Jh0
男『……ふぅ。なんとか陸上部の名誉を守れた』

女『お、お疲れさまっ! 男くん!』

男『あっ、女さん。ありがとう』

女『男くんすごーく格好良かったよ!』

男『あはは、そうかな』

女『うんっ』


幼『……』ジーッ

『──ちゃん、幼ちゃん!』

幼『えっ? あ、ごめん、どうしたの?』

『どうしたのって、次は幼ちゃんの番だよ、ほら、女子200m』

幼『あ、うん、ごめん』

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:27:14.61 ID:0Af9p3Jh0
……


幼『……っ』

『お疲れ! 幼ちゃん速いね!』

幼『や、そんなことは……。二位だったし』

『ううん、それでも前半はずっと一位で独走してたじゃん』

幼『あ、あはは……』

男『…………』

男『……あのさ』

幼『……あっ…………何……?』

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:28:18.00 ID:0Af9p3Jh0
男『ちょっとごめん』
さすっ

『ちょっ、男くん、急に』
『わっ』

幼『……っい、いたっ』

男『…………歩ける?』

幼『……大丈夫。歩くどころか走れるし。次のリレーもいける』

男『だめだ。幼さん、怪我してるだろ。保健室に行こ。肩かすから』

幼『…………うん』

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:29:33.67 ID:0Af9p3Jh0

……

幼『……』

幼『やっぱり出られない、か』

男『……ごめん』

幼『えっ?』

男『幼ちゃ――幼さんがリレー出たいの知ってるけど……でも、幼さんの身体が心配で……』

男『俺……怪我を無視できなかった……』

幼『……うん……』

男『うらまれても構わない』

幼『……ばか』

男『ごめん……』

幼『もう……ばーかっ』

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:30:42.10 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「幼ちゃん、男女混合リレーのために頑張ってたよな」

幼「……うん」

男「部活は200mなのに、100m用の練習ばっかりしてたのが印象に残ってる」

幼「えっ、見てたの?」

男「そりゃ、まあ、同じ部活だし……」

幼「そっか」

男「どうしてあんなに熱が入ってたんだ?」

幼「…………はぁ」

男「ん?」

幼「……ばか」

男「ええっ!? どうして?」

幼「新今宮」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:31:53.66 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

幼『……あのさ』

男『……』

幼『ちょっと、聞いてるの?』

男『えっ、あ、俺?』

男『幼さんに話しかけられるの久しぶりすぎて、自分だと思わなかった』

幼『…………ばか』

男『はは。ごめん』

男『で、どうしたんだ?』

幼『進路希望調査、出して』

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:33:02.67 ID:0Af9p3Jh0
男『えっ、あ、今日提出のやつ?』

幼『うん』

男『何で……って、あ、そうか。幼さん、委員長だったもんな。それで先生に頼まれて?』

幼『そう。みんなのはもう回収し終わってるから。はやく』

男『そっか。ちょっとまって……』

男『はい』

ぱさ
幼『…………ん』

……


教師『じゃあ、進路希望調査提出してくれ』

ガタッ
幼『あの、先生、既に回収してます』

教師『ん、ああ、ありがとう。さすが委員長だな。手間が省けた』

教師『言われる前にやる、必要そうなことは率先してやる、これは社会人には必要なことだから、お前等覚えとけよ』

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:34:41.49 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「そういえば、幼ちゃん、委員長の仕事しっかりやってたよな」

男「まさにできる女性って感じだった」

幼「そ、そんなことない」

男「おお、謙遜」

幼「謙遜じゃないし」

男「んー? そうか?」

幼「……ばか」

男「天王寺~」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:36:25.37 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

幼『……っ!』

幼『もしかして…………っ』ドキドキ

幼『……はぁ』

『あ、またラブレター?』
『幼さん、モテるねー』

幼『そんなことないよ。卒業間近だし、皆ちょっと浮ついてるだけだと思う』

『いやぁ、それでも幼ちゃんばっかりこう告白されるってのはねぇ~?』

幼『……もうっ』

『あはは』

『でも、全部断ってるらしいね?』

幼『うん……』

『ふーん、どうして? イケメンくんにも告白されたらしいよね。あの人格好いいのにどうして?』

『タイプじゃない、から? それとも、既に好きな人が──』

幼『……っ!』カァッ

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:37:29.68 ID:0Af9p3Jh0
『そうなんだー、ふふふっ。だれ?』

幼『お、教えられないよ。秘密っ』

『ええ~っ』


女『あはは──』
男『──なんだってさ』
女『へぇ、そうなんだ!』

幼『……っ』
『あ、女さん男くんおはよー』
『二人仲良いねー? 一緒に学校来たの?』

男『あ、うん。学校行く途中で会って』
女『う、うん』

『ふふ、頑張れー、女さんっ』

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:39:10.49 ID:0Af9p3Jh0
女『ええっ!? ちょっ──』

『先、教室行くねー!』
タッタッタッ

女『もうっ』

男『……?』

『ほら、幼ちゃんも行こ!』
幼『う、うん……』

幼『……ばか』


男『…………幼ちゃん……あの手に持ってるのって……手紙……?』
ボソッ

女『……? 男くん?』

男『う、ううん、なんでもない。俺たちも行こうか』

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:40:53.15 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「うーん、やっぱり卒業前はすごくモテてたよな」

幼「……」
ぎゅっ

男「いたたたたっ! ちょ、抓るのやめ!」

幼「……ふん」

男「まあ、でも高校に入っても変わらなかったよな。そのモテっぷり」

男「幼ちゃん可愛いし、何でもできるし、素敵女子だから男子たちの気持ちわかるけど」

幼「……っ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:42:14.60 ID:0Af9p3Jh0
男「いたたたたっ! ちょっ、だから抓るのやめっ!!」

幼「……ばか」

男「堺市……」

幼「……」

男「にしても、高校も一緒だったのは知らなかったからビックリしたな」

男「うちの中学から入ったのは女と俺だけだと思ってたのに」

幼「私は……男と一緒だって知ってたけど」

男「えっ!? そうだったのか? 教えてくれてもよかったのに」

男「クラス名簿見たとき幼ちゃんの名前があって、こっちは声を出して驚いたっていうのに!」

幼「あはは、ばーか」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:43:23.73 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

女『えへへ、同じ高校に入れて嬉しいよ、男くんっ』

男『あはは、俺も。同じ中学からの子っていないからな。知り合いがいたほうがたすかる』

女『うう……そうゆうことじゃないよぅ……』

男『それにしても、あれだな、女さん、その制服すごく似合ってる』

女『っ!? うえっ!? ほ、本当!? 嬉しいな。えへへ』

男『あ、新入生のクラス割だって。見にいこうか』

女『え、う、うんっ!』


幼『……ばか』

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:45:19.17 ID:0Af9p3Jh0
男『えっと……俺は1年1組か』


女『っ! 一組こい一組こい一組こい……っ!』

男『あ、女さんも一組か』

女『やったああああああああああ!!!』

男『あはは、喜びすぎ、あはは』

女『神社毎日毎日通ってよかったぁ、あはは……』


男『えっと他のクラスメ――ええええっ!? 幼ちゃんっ!!!???』

女『……ちゃん?』

男『あ、ううん、なんでもない。すまん……ごほんごほん』


幼『ふふっ、ばーか』

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:46:43.01 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「まあ、同じ陸上部だったし、ここに入るのは納得だけど」

幼「……ばか」

男「えっ? 何で? 違った?」

幼「…………ばかっ」

男「あー、あと、友ともこのとき会って仲良くなったんだよな」

幼「あ……友くん……」

男「すげぇ良いやつだよな、アイツ。まあ、ちょっとチャラいけど、はは」

幼「ま、確かに」

男「幼ちゃんも結構友と仲良かったよな」

幼「え、う、うん」

男「三国ヶ丘」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:47:47.10 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

友『ふ、ふられたぁ~!』

男『おお、大丈夫か。あまり気にするなよ。女性は星の数ほどいるんだから』

友『くぅ~っ! でもあの星は掴みたかった~!! くそっ……!』

男『……うーん……。傷は深そうだな。ちなみに相手は誰?』

友『……幼さん……』

男『ええっ、幼ちゃん!?』

友『あ、ああ…………ってか何でお前、ちゃん付けなの!?』

男『いやぁ。その……昔からの名残で……』

男『失敗した……』

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:48:48.23 ID:0Af9p3Jh0
友『……あー、そうか、同じ中学らしいしな。幼なじみってやつか?』

男『んー……幼なじみ、未満かな?』

友『未満……?』

男『幼さんと俺はそこまで仲良く話すわけじゃないし』

友『まあ、確かにあまり話してるところ見たことはない──』
チラッ

幼『……!』

友『目があった……もしかして、俺のこと……いや、それはないか。じゃあ、男のこと……見てた……?』ボソッ

男『……友? どうしたんだ?』

友『い、いや……なんでも』

友『なるほど、そーゆーわけか……』

男『……?』

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:50:45.74 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「そういえば、友にも告白されたんだって?」

幼「えっ、そ、それも知ってたの?」

男「うん、友に教えて貰った」

幼「そうなんだ」

男「今はあんなに仲良いのにな」

幼「え、別に今もそんなに仲良いわけじゃないし。相談に乗ってもらってただけだよ。……それに友くんはそういうのじゃない」

男「ばっさり切るなあ、あはははは」

幼「……そういえば、男くん、高校に入ってからだよね」

男「ん?」

幼「女さんと付き合い始めたのって」

男「……鳳」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:52:09.76 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

女『好きです。付き合ってください!』

男『……っ』

女『中学のころからずっとあこがれてて……その、好きでした!』

女『最初はカッコいいなってだけだったんだけど、一緒に帰ったり、話してるうちに男くんの優しさとかいろいろ知っていくうちに……その……大好きになりました!』

男『お、女さん……』

女『……付き合ってくださいっ!』ガクガク

男『ありがとう。……でも、えっと』

女『……っ』ジワァ

男『あ、や、泣かないで! えっと、その、ちょっと考える時間が欲しいんだ!! いきなりでちょっとまだ頭回らなくて!! ごめん!』

女『う、うん……』
ゴシゴシ

女『でも言えて本当に良かった』ニコッ

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:53:51.12 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「――って告白されたんだ」

幼「ふぅん。そうなんだ。……まあ、見てたから……知ってるんだけど……」ボソ

男「ん?」

幼「何でもない。……ばか」

男「……こんなこと言っていいのかわからんけど……」

幼「何?」

男「その……あのときから幼ちゃん凄く冷たかったよな」

幼「和泉府中……」

男「うん……」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:54:55.51 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

『今日の部活はこれで終わりにする。というわけで、一年生の今日担当の人は整備用具片付けといて』

男『はい! わかりました!』
すたすた

男『……よいしょっと』

幼『……』

男『おつかれ』

幼『……』

男『あはは、無視、か』

幼『……』

男『最近、よく友と話してるんだって?』

男『……友、いいなぁ』

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:56:29.71 ID:0Af9p3Jh0
幼『……っ』
ぐっ

男『ちょ、あっ、幼さん危な――』

幼『っ!?』

男『……よかった。無事だった』

幼『……っ!』

男『幼……さん……?』

幼『……はなして』

男『あ……ごめん……』

幼『…………』
すたすた



男『……はは、嫌われてるみたいだな』

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:57:53.87 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「俺、幼ちゃんに嫌われてるからな」

幼「べ、別に嫌ってなんか……」

男「……」

幼「あのとき――」

男「あ、そういえば、ちょうどあの頃だったかな」

男「女と付き合うようになったのって」

幼「……東岸和田」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/11(月) 23:58:58.09 ID:0Af9p3Jh0
……
…………

男『女さん』

女『ごめんね、また急に呼び出して』

男『ううん』

女『えっとね……あのね……』

男『……』

女『男くん……ごめん、待てないよっ……』ポロ

男『……っ』

女『好き……男くんっ……大好きだよ……』ポロポロ
すたすた

男『……っ!』

ぎゅーっ

ちゅっ
女『――えへへ、私の初めて、男くんにあげちゃった』

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:00:04.22 ID:fOa/bmsO0
男『お、女さん……』

女『私……もう、男くんのこと忘れるね……』ポロポロ

女『最初が男くんでよかった……じゃあ――』

男『女さん、待って! 俺は――』

女『――』


幼『……っ』
タッタッタッタッ

幼『……っ』ポロポロ

幼『ばかぁ……ばか……ばかぁあ……』ポロポロ

幼『私の……ばか……』ポロポロ

幼『ばかぁ……っ!!』ポロポロ

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:01:09.56 ID:fOa/bmsO0
…………
……

幼「……素敵だね」

男「そ、そうかぁ?」

幼「……その顔……むかつく」

男「あはは、ごめんごめん」

幼「……」
ぐりっ

男「いっ、いたたたたっ」

幼「……ばか」

男「熊取~」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:03:06.17 ID:fOa/bmsO0
……
…………

女『――でねっ』
男『あはは、うん』

男『あ、着いたな』

女『ふふ、映画楽しみだなあ』

男『この前、このシリーズの前の作品を女と一緒に見て、俺もめちゃくちゃ興味あったんだ』

女『えへへ、でしょでしょ? やっぱり、男くんなら好きになってくれると思ってたよ~!』

男『じゃあ、いこっか』

女『あ、ちょっと待って!』

男『ん?』

ぎゅっ
女『えへへ』

男『あ……』

女『手、繋いで、良いよね?』

男『……もちろん!』

女『えへへ』

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:05:35.32 ID:0Af9p3Jh0
…………
……

男「とかあったなあ」

幼「ふーん……」

男「…………幼ちゃん?」

幼「あ、ううん、なんでもない」

男「そう?」

幼「うん」

男「……」

幼「でも、転校しちゃったんだよね……」

男「……」

幼「……」

男「……熊取~」

幼「残念。進んでるんだよ。日根野、だよ」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:07:59.75 ID:fOa/bmsO0
……
…………

女『男くん……っ』

男『どうしたんだ? こんなとこに呼び出して』

女『……っ』

男『……あはは、告白のときを思い出すな』

女『……男くん』

男『……女?』

女『あ、あのね、男くん……私、転校することになったんだ……』

男『えっ……? ホント、なのか』

女『うん。だからね…………私たち、わかれよ?』

男『っ!!? え、ちょっと待ってくれよ! ……い、いやだ!』

女『……ご、ごめんね、私……もいやだよ……いっしょに……いたいよ……うぐっ……ふぇ……』ポロポロ

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:09:46.48 ID:fOa/bmsO0
男『遠距離じゃだめなのか……?』

女『……すごく遠いから……私たち……会えないよ……?』ポロポロ

男『そ、それでも!』

女『……ううん』

女『それに、男くんモテるし……私がそばにいなくなったら、きっと他の女子たちのところに行っちゃう』ポロポロ

女『……それなら、いっそのこと、これでバイバイしたいなって……』ポロポロ

男『……女は俺のこと好きなのか?』

女『好きだよ……っ! ずっと好きだよ……っ!!』

男『じゃあ――』

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:12:30.13 ID:fOa/bmsO0
…………
……

幼「……」

男「……」

幼「……」
ぎゅっ

男「……」

男「俺は……女が……好きなんだ……」

幼「……ばか」

男「俺は女が好きなんだ」

幼「……ばか……っ」ポロポロ

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:14:17.54 ID:fOa/bmsO0
……
…………

友『で、アイツ、行くんだってよ、女さんを追って』

幼『……っ』

友『ホントにこれでいいのか?』

幼『……う』

友『好きだったんだろ?』

幼『好きだった……?』

幼『…………ううん、違うよ』

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:15:18.56 ID:fOa/bmsO0
友『えっ……?』

幼『私は男くんのことが好きなの』

幼『過去形じゃない』

友『……あはは、そうかよ』

友『じゃあさ、なおさら行った方がいいんじゃないか?』

幼『……』

友『前に進むためにもさ、ずっと現在のままにするのか、過去のことにさせるのか、はっきりさせてこいよ』

幼『……っ』

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:16:28.73 ID:fOa/bmsO0
…………
……

男「……」

幼「……あ、あのね、男くんっ」

男「……っ」

幼「私、ずっとずっと言いたいことがあったの!!」ポロ

幼「小さいころから、私……私……っ!!」ポロポロ

男「……」

幼「私、男くんのことが」

男「――幼ちゃん、手、放すね」
ぱさっ

幼「えっ……?」ポロポロ

男「行ってきます――――幼さん」ニコッ

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:17:31.30 ID:fOa/bmsO0
幼「……っ!!」

幼「男くんっ……男くん……うぐっ……うえ……っ」ポロポロポロ

男「今までいろいろあったね」

男「幼さん、ありがとう」


男「俺は幼さんのことが好きだったよ」


幼「……っ」ポロポロ

幼「わ……私……も……」ポロポロ


幼「私も、男くんのことが好きだったよっ」ニコッ

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/12(火) 00:25:12.11 ID:fOa/bmsO0
関空快速は割とはやい。

おしまい

引用元: 男「付き合わせてください……?」 幼「……」