2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:02:10.22 ID:xG74HhyE0



キャロル「……計画は全て上手くいっている」

ガリィ「そのようですわねー」

キャロル「レイアたちは出払っているか……念のため、あのホムンクルスの視線をジャックしておくか……ガリィ、見張りを頼むぞ」

ガリィ「はーい、ガリィちゃんにお任せ☆」

キャロル「……」キィィイン

ガリィ「……はぁ……ただでさえ暇なんにマスターまで喋らなくなるとか……」

ガリィ「……そういえば、この瞬間のマスターって、意識ないのよねー……」

キャロル「…………」

ガリィ「……ゴクリ」





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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~~~~~~~~~~~~~




キャロル(……ここは……キッチンか)

響「今日はよろしくねエルフナインちゃん!」

エルフナイン「はい、お任せください!」

響「いやー……でも、急にごめんね。どうしてもバレンタインの予行練習をしたくて……今日さ、未来に美味しいバレンタインチョコを渡す!って約束しちゃって……」

エルフナイン「いえいえ! ぼくもチョコ作りなんて初めてだから楽しみです! あ、でも作るのは初めてですが知識ならあるので大丈夫ですっ」フンス

キャロル(バレンタインの予行演習……今がいつかわかっているのかこいつは……それに乗っかるエルフナインも相当だが……)

キャロル(……どうやら、他愛のない日常の一場面のようだな。見ていても仕方ない、もう離脱して……)






ガリィ「プッ……あっはっはっはっはっはッ!! たまらなーい、意識のないマスターの顔に落書きすんのちょーたのしー☆」カキカキ

ガリィ「ここ、耳の裏にも落書きして……ププー!こんなとこ、絶対に気づかない、誰かに言われるまで絶対に気づかない、最高の落書きスポットたまらないッ!」カキカキ

ガリィ「……あはははは!! さすがにこれは面白すぎる、もうマスターたら笑わせないでくださいよー!」バシンッ

グラッ……ゴスッ

ガリィ「……って、あり……? ちょ、ちょっとつよーく叩きすぎちゃったかなー……? 頭から落ちて、聞こえちゃいけないような音が聞こえたような……」

ガリィ「…………」

ガリィ「とりあえず、落書き消して、事件の隠ぺいしなければ……」スッ






キャロル「……!? ぐぅっ、頭が……」

響「!? ど、どうしたのエルフナインちゃん!?」

キャロル(な、なんだこの痛みは……まるで受け身もとらずに顔面から転げ落ちたかのようなこの痛み……ッ!? 痛い、痛すぎる……ッ!!)



3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:02:54.32 ID:xG74HhyE0


響「だ、大丈夫エルフナインちゃん……!?」

キャロル「だ、大丈夫だ……ッ!」

キャロル(くそぅ、こいつの前で絶対に泣きたくなんてないのに……ないのに……ッ!)ナミダメ

キャロル(だが、この痛み、原因はこの体ではなく本体のほうか……? くそ、とりあえず一旦戻らなければ……)

キャロル(…………)

キャロル(…………!!? 戻らない、だとっ!? 一体、何がどうなって……)

響「エルフナインちゃん!? 大丈夫なの……?」

キャロル(……正直、まだかなり傷むが、こいつの前でこれ以上、醜態をさらしたくはない……ッ)

キャロル「ああ……大丈夫だ。少しずつ痛みも引いてきた……」

響「ほんと! よかった……大丈夫? 痛むんだったら無理しなくて大丈夫だよ?」 

キャロル「心配はいらない、俺のことは大丈夫だ……」

響「……俺? さっきからエルフナインちゃん、大丈夫? その、頭が痛みだしてからのエルフナインちゃん、まるで……」

キャロル「……なっ!?」

キャロル(……確かに、言われてみれば、先ほどから【この体】で言葉を発しているのは、この俺の意識の言葉……ッ!)

キャロル(……つまりは……信じられないが、なんの拍子か、先ほどの頭痛でエルフナインと俺の意識が完全に取り替わったようだな……)

キャロル(この状況、冷静に考えろ……俺は元の体に帰れず、エルフナインの体と意識の主導権は俺、そして、目の前にエルフナインへの疑念を持つ装者……)

キャロル(このまま、疑念を抱かせるのは計画に支障が出る可能性がある……ならば、かくなる上は……」

キャロル「……な、なーんて、びっくりしちゃいましたか!? キャロルの物まねですっ!」

響「……え、え?」コンワク

キャロル(く、やはり無理があったか……それに、この口調は俺自身の何かを大きくすり減らす……だが、ゴリ押す!)

キャロル「えへへ……実は響さんを驚かせたくてっ! 頭痛のところから全部演技なんですっ、びっくりしてくれましたか?」

響「……な、なーんだ! もうびっくりしたよエルフナインちゃん! でも痛がる演技上手すぎだよー。私本当に心配しちゃったもん!」

キャロル「えへへー、ごめんなさい。でもボク、響さんを成功して嬉しいですっ!」

キャロル(……虚しい、そして屈辱的だ。どうして俺がこんなことを……)

響「それじゃ、さっそくスタート!」

キャロル「……え? な、何を……」

響「……? 何をって、チョコレートつくりだよっ!」

キャロル「……ああ……そう、でしたね……そういう話でした……」




チョコ作りスタート!



4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:03:44.19 ID:xG74HhyE0


チョコ溶かし



響「……ふっふっふ、大丈夫だよエルフナインちゃん! こんな初歩の初歩で躓いたりなんてしない!」

キャロル「……それはなによりです。お……ボクとしてもあまり関わりあいたくは……」ボソッ

響「? なにかいったエルフナインちゃん?」

キャロル「いえ、何も」

響「とりあえず、チョコはこうやってボールにいれて……電子レンジにシュート!」バーン

キャロル「……いや、別にその方法でも、できなくはないですが……」

キャロル「…………」

響「ワット数? ……うーん、とりあえず大きいほうがいいよね! 最大だッ!」ポチッ

キャロル「……ッ」

キャロル(……関わりあいたくにはなりたくないが、錬金術師としての性か、目の前の行動を激しく訂正してやりたい……ッ!」

響「えーと、溶かす時間は……長いほうがいいよね。20分ぐらい……」

キャロル「それは違うッ!……ますッ! チョコを溶かすなら湯煎と言う方法がある! どうしても電子レンジで溶かしたいのでも、もっと少ないワット数でいい! 温めながら様子を

見てチョコが溶け始めたら取り出してかきまぜろ! 十分余熱でチョコを溶かすことができる!……ですッ!」

響「おおっ……!さすがエルフナインちゃん! 頼りになる! あとそのキャロルちゃんの口調すごいかわいい!」キャッキャ

キャロル(くそ……ッ! 本体に戻ったら、こいつだけはいつか私的に襲ってやる……!)ワナワナ

キャロル「……そういえば、何を作るんですか?」

響「あれ、エルフナインちゃんに言ってなかったっけ? ガナッシュだよ! 前に、未来が食べたいって言ってたから……型の中にね、クッキーを引いてその上にガナッシュを入れて固

めようかなって!」

キャロル「……なるほど、クッキーを土台にしたガナッシュ……知識としては知っています。ですが……」



キャロル「ガナッシュを作るのでしたら、チョコを温めるよりもまず、土台となるクッキーと温めた生クリームは……」

響「……あ」



5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:04:40.97 ID:xG74HhyE0


クッキー潰し・生クリーム温め


響「と、とりあえず、土台となるクッキーを潰さないと……」

キャロル「……クッキーを貸してください。粉々にするのはボクがやります。響さんは、生クリームの方を温めてください」

響「ほんと!? ありがとうエルフナインちゃん!」

キャロル「……とりあえず、これを袋に詰めて……」スッ…

キャロル(……どうして! 俺が! こんなことを! しなければ! 俺には! パパの! 命題がぁッ!!)ガンガン

響「エルフナインちゃんすごい……クッキーが見る間に粉々に……エルフナインちゃんもやっぱりストレスとか溜まってるのかな……ギアの事とかで結構無理させちゃってたもんな……」



6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:05:29.62 ID:xG74HhyE0

型入れ


キャロル「型は……これでいいですね。既に溶かしたバターを絡めたクッキーは敷き詰めてあります」

響「あたしも生クリームとチョコを混ぜ合わせたよ! じゃあこれを……型に流しいれて……」

キャロル「……御疲れ様でした。冷やしたらこれで完成です。あとは固まりきらない間に砂糖などで文字などを書いてもいいかもしれないですね。ホワイトチョコなどでもいいと思いま

すが……」

響「とりあえず、今日は練習だからこれで完成! ありがとーエルフナインちゃん!」ギュッ

キャロル「なっ、はな……え、えへへー苦しいですよ響さん……」

キャロル(この受けた屈辱、絶対に忘れない……)ギリッ

響「でも、本当にありがとうね! とっても助かったよ! それに、エルフナインちゃんと一緒にお菓子作れて、とっても楽しかった!」

キャロル(こいつ……だが、認めたくないが、俺もまた、目の前のこいつと一緒であったということを除けば……)

キャロル「……悪くない時間でしたよ。料理を作るのは、嫌いじゃなかったですから……」

響「……嫌いじゃなかったって、エルフナインちゃんエルフナインちゃん、キャロルちゃんのところでも料理とかしてたの?」

キャロル「……似たようなものですよ。昔の話です」

響「そっか……でも、エルフナインちゃんも楽しかったのなら、私も嬉しい!」


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:06:40.39 ID:xG74HhyE0



キャロル(……さて、目の前の問題を片づけた所で、俺も自身の問題へと向き合わなければならなくなったわけだが……)

響「いやー、でも、チョコって本当においしいよね。あれはもう暴力だよ。カロリーの暴力。チョコレート一つつまんじゃったらもう止められない。キットカットだろうが板チョコだろうがポッキーだろうが、食べつくすまで止まれない! そうそうポッキーと言えば! 未来がこの間、ポッキーを加えながらね……」

キャロル(うるさい……とてもうるさい……ッ! 私にしじまをよこせと叫びたい……ッ!)

キャロル「……響さんは、未来さんのほかには誰かチョコをあげる相手がいるんですか?」

キャロル(とりあえず、これで少しは黙るだろうッ! 多感な年頃の女子高生、少しはひるむはず……)

響「えーとね、未来、翼さん、クリスちゃん、マリアさん、調ちゃん、切歌ちゃん。学校のみんなにも! あとは師匠や緒川さんとか、S.O.N.G.の人たちに……もちろんエルフナインちゃんも!」

キャロル「……えっと、同年代の男性の方とかは……」

響「いない」

キャロル「えっ」

響「そんな知り合い、いない」

キャロル「……あの、えっと……」

響「いないよ! 今年も年齢=彼氏いない歴更新だよーッ! うわーん!」

キャロル(……しまった、藪蛇だったか……ッ!」



閑話休題



響「そういうエルフナインちゃんには?」

キャロル「ボク、ですか……いえ、ボクもそういった相手は……」

キャロル(……いるとすれば、それは……)

響「そっか……えっとね、実は、さっき以外の人で、一人だけ、もう一人渡したい人がいるんだ」

キャロル「……それは、つまり本命の方ですか?」

響「あはは、そういうのじゃないんだ。男の人ではあるんだけどね……でも、どこにいるかもわからないし、もう会えるかもわからない……だから、渡せるかどうかもわからないけどね」

キャロル「……そういう人でいいなら、ボクにも一人だけいます」

キャロル(……もう絶対、会うことは叶わないだろうがな)

響「……そっか。ねぇ、エルフナインちゃん。もしもう一度その会えたら……そんな奇跡が起きたら、エルフナインちゃんはどうする?」

キャロル「……もう一度、会える【奇跡】……か」

響「……」

キャロル「……そんな奇跡があったら……俺は……」

響「……その、ごめんエルフナインちゃん、嫌な事聞いちゃったかな?」

キャロル「……! え、えっと、どうかしましたか?」

響「えっと、なんだかすごい顔してたから……」

キャロル「……いえ、そんな、大丈夫ですよ。ちょっと考えちゃっただけです」ニコッ

キャロル(……奇跡は[ピーーー]。皆[ピーーー]。その意思と決意に欠片たりとも躊躇はない)

キャロル(だが……もう二度と会えないはずの人に会える奇跡。そんなものがあるならば……)

キャロル「……いや、今更、か」

響「? 何か言ったエルフナインちゃん」

キャロル「いえ、なにも……くっ!?」グラッ

キャロル(なんだ、この酩酊感……ッ!? 体を無理やり揺らされているかのような……ッ!)

響「……インちゃんっ!? しっか……ナインちゃん!」

キャロル(目の前のこいつの声も遠く聞こえる、俺は一体……)



8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:07:58.11 ID:xG74HhyE0


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キャロル「…………ッ」

レイラ「……マスター! ご無事ですかッ!?」

キャロル「……ん……レイラか……俺は、一体……」ムクッ

レイラ「それが……どうやらマスターは気を失っていたらしく……」

ファラ「さすがに、心配致しました……」

ミカ「ファラもレイラもガリィも、みんなみんなマスターの心配してたゾ」

ガリィ「そそそそうですよ、ほんとしんぱぱぱいして……」メソラシ

キャロル「……そうか、すまない。心配をかけてしまったようだな……」

キャロル「そうか、俺は元の体に戻って……とりあえず、様子を……」キイイン……



9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:08:31.40 ID:xG74HhyE0


エルフナイン「……あれ、ボク、今まで何を……」

響「……だ、大丈夫エルフナインちゃん! やっぱり、具合よくないんじゃ……」

エルフナイン「……あ、あれ、もしかしてボク、倒れちゃって……あわわ、すいません、ご迷惑を……」



10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:09:11.96 ID:xG74HhyE0



キャロル「……ふむ、エルフナインに記憶はないらしい、ならばあとはどうとでもなるだろう……そんなことよりも、原因の解明だ。また同じようなことが起これば、下手をすると取り

返しのつかない事態に……」

レイラ「その事なのですがマスター……マスターの耳の裏に、謎の落書きが……」

ガリィ「あっ、そこ消し忘……」

ファラ「……へぇ?」

ミカ「……ゾ?」

レイラ「それで……けしわす……続きはなんだ、ガリィ?」

ガリィ「あ、あはは☆ そんなひどーい☆ マスターの忠実なしもべであるガリィちゃんが、まっさか意識のないマスターに落書き、なおかつ地面に顔から叩き落とすとかそんな事するわけな☆」

ミカ「やるゾ」

ファラ「やるわね」

レイラ「性根の腐ったお前ならやるだろう」

ガリィ「つまり逃げるが勝ちッ!!」ダッ

ファラ「逃がすものですか。 ミカ、追うわよ」ダッ

ミカ「がってんだゾ!」ダッ

レイラ「……どうしますか、マスター」

キャロル「放っておけ、あとでガリィには処分を言い渡す……恐らく、リンク中に肉体に肉体に強い衝撃がったせいで起きた現象だろう。思った以上に原因が簡単なもので良かったと考えるべきか……まぁ、だが……」

キャロル「こうして終わってみれば、屈辱的ではあったものの、悪くない時間ではあったような気もする……」

レイラ「……? 気を失っている間、何か夢でも……?」

キャロル「……夢、夢か……そうだな、もしもの夢、それが一番的を得ているのかもしれん……」

キャロル「すぐに燃えて尽きる泡沫の夢だろうがな……」

レイラ「…………」

キャロル「……なんてな。さぁ、レイラ、仕上げに入るぞ」

キャロル「すべては、この俺の計画の通りに事が進みつつある」

キャロル「全ては、パパの命題を果たすために」



11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:09:47.28 ID:xG74HhyE0



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12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 01:10:29.50 ID:xG74HhyE0


エピローグ



響「というわけでバレンタイン前日っ! エルフナインちゃんを呼んで一緒にチョコ作り! というわけで生クリームと溶かしたチョコを混ぜ合わせた今、残すは……ってああ、クッキ

ーを砕くの忘れた!」

エルフナイン「はい、どうぞ! クッキーを砕いたものです!」サッ

響「おお! ありがとうエルフナインちゃん! 気付いてたの私がクッキーを砕いてない事!?」

エルフナイン「あ、いえ、そういうわけでは……なんとなく体が動いたというか、なんででしょう……なぜかこうなるような気がして……」

響「……って、あはは、そういえば前も同じことしてたね、私も成長しないなぁ……ありがとうエルフナインちゃん!」

エルフナイン「前も……? なんにせよ、役に立ったならよかったです!」


エルフナイン「……ところで、響さんは誰にチョコを渡すんですか?」

響「えっとね、私は……未未でしょ、翼さん、クリスちゃん、マリアさん、調ちゃん、切歌ちゃん。学校のみんな! あとは師匠や緒川さんとか、S.O.N.G.の人たちに……もちろんエル

フナインちゃんにも! あとは……」

響「……お父さんっ! ……なんて、ちょっと恥ずかしいけどね」

エルフナイン「……ふふ、たくさん渡す人がいて大変そうです」

響「そうでもないよ! こうやってエルフナインちゃんと一緒に作ってて楽しいし! エルフナインちゃんは誰に?」

エルフナイン「ボクは……響さんとあんまり変わらないです。マリアさんたち、S.O.N.G.のみなさん……あとは……」


エルフナイン「……天国にいるパパに届けたいですっ」



18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 04:04:16.30 ID:xG74HhyE0


キャロル(……さて、目の前の問題を片づけた所で、俺も自身の問題へと向き合わなければならなくなったわけだが……)

響「いやー、でも、チョコって本当においしいよね。あれはもう暴力だよ。カロリーの暴力。チョコレート一つつまんじゃったらもう止められない。キットカットだろうが板チョコだろうがポッキーだろうが、食べつくすまで止まれない! そうそうポッキーと言えば! 未来がこの間、ポッキーを加えながらね……」

キャロル(うるさい……とてもうるさい……ッ! 私にしじまをよこせと叫びたい……ッ!)

キャロル「……響さんは、未来さんのほかには誰かチョコをあげる相手がいるんですか?」

キャロル(とりあえず、これで少しは黙るだろうッ! 多感な年頃の女子高生、少しはひるむはず……)

響「えーとね、未来、翼さん、クリスちゃん、マリアさん、調ちゃん、切歌ちゃん。学校のみんなにも! あとは師匠や緒川さんとか、S.O.N.G.の人たちに……もちろんエルフナインちゃんも!」

キャロル「……えっと、同年代の男性の方とかは……」

響「いない」

キャロル「えっ」

響「そんな知り合い、いない」

キャロル「……あの、えっと……」

響「いないよ! 今年も年齢=彼氏いない歴更新だよーッ! うわーん!」

キャロル(……しまった、藪蛇だったか……ッ!)



閑話休題



響「そういうエルフナインちゃんには?」

キャロル「ボク、ですか……いえ、ボクもそういった相手は……」

キャロル(……いるとすれば、それは……)

響「そっか……えっとね、実は、さっき以外の人で、一人だけ、もう一人渡したい人がいるんだ」

キャロル「……それは、つまり本命の方ですか?」

響「あはは、そういうのじゃないんだ。男の人ではあるんだけどね……でも、どこにいるかもわからないし、もう会えるかもわからない……だから、渡せるかどうかもわからないけどね」

キャロル「……そういう人でいいなら、ボクにも一人だけいます」

キャロル(……もう絶対、会うことは叶わないだろうがな)

響「……そっか。ねぇ、エルフナインちゃん。もしもう一度その会えたら……そんな奇跡が起きたら、エルフナインちゃんはどうする?」

キャロル「……もう一度、会える【奇跡】……か」

響「……」

キャロル「……そんな奇跡があったら……俺は……」

響「……その、ごめんエルフナインちゃん、嫌な事聞いちゃったかな?」

キャロル「……! え、えっと、どうかしましたか?」

響「えっと、なんだかすごい顔してたから……」

キャロル「……いえ、そんな、大丈夫ですよ。ちょっと考えちゃっただけです」ニコッ

キャロル(……奇跡は[ピーーー]。皆[ピーーー]。その意思と決意に欠片たりとも躊躇はない)

キャロル(だが……もう二度と会えないはずの人に会える奇跡。そんなものがあるならば……)

キャロル「……いや、今更、か」

響「? 何か言ったエルフナインちゃん」

キャロル「いえ、なにも……くっ!?」グラッ

キャロル(なんだ、この酩酊感……ッ!? 体を無理やり揺らされているかのような……ッ!)

響「……インちゃんっ!? しっか……ナインちゃん!」

キャロル(目の前のこいつの声も遠く聞こえる、俺は一体どうなって……)



19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 04:04:51.66 ID:xG74HhyE0

キャロル(……さて、目の前の問題を片づけた所で、俺も自身の問題へと向き合わなければならなくなったわけだが……)

響「いやー、でも、チョコって本当においしいよね。あれはもう暴力だよ。カロリーの暴力。チョコレート一つつまんじゃったらもう止められない。キットカットだろうが板チョコだろうがポッキーだろうが、食べつくすまで止まれない! そうそうポッキーと言えば! 未来がこの間、ポッキーを加えながらね……」

キャロル(うるさい……とてもうるさい……ッ! 私にしじまをよこせと叫びたい……ッ!)

キャロル「……響さんは、未来さんのほかには誰かチョコをあげる相手がいるんですか?」

キャロル(とりあえず、これで少しは黙るだろうッ! 多感な年頃の女子高生、少しはひるむはず……)

響「えーとね、未来、翼さん、クリスちゃん、マリアさん、調ちゃん、切歌ちゃん。学校のみんなにも! あとは師匠や緒川さんとか、S.O.N.G.の人たちに……もちろんエルフナインちゃんも!」

キャロル「……えっと、同年代の男性の方とかは……」

響「いない」

キャロル「えっ」

響「そんな知り合い、いない」

キャロル「……あの、えっと……」

響「いないよ! 今年も年齢=彼氏いない歴更新だよーッ! うわーん!」

キャロル(……しまった、藪蛇だったか……ッ!)



閑話休題



響「そういうエルフナインちゃんには?」

キャロル「ボク、ですか……いえ、ボクもそういった相手は……」

キャロル(……いるとすれば、それは……)

響「そっか……えっとね、実は、さっき以外の人で、一人だけ、もう一人渡したい人がいるんだ」

キャロル「……それは、つまり本命の方ですか?」

響「あはは、そういうのじゃないんだ。男の人ではあるんだけどね……でも、どこにいるかもわからないし、もう会えるかもわからない……だから、渡せるかどうかもわからないけどね」

キャロル「……そういう人でいいなら、ボクにも一人だけいます」

キャロル(……もう絶対、会うことは叶わないだろうがな)

響「……そっか。ねぇ、エルフナインちゃん。もしもう一度その会えたら……そんな奇跡が起きたら、エルフナインちゃんはどうする?」

キャロル「……もう一度、会える【奇跡】……か」

響「……」

キャロル「……そんな奇跡があったら……俺は……」

響「……その、ごめんエルフナインちゃん、嫌な事聞いちゃったかな?」

キャロル「……! え、えっと、どうかしましたか?」

響「えっと、なんだかすごい顔してたから……」

キャロル「……いえ、そんな、大丈夫ですよ。ちょっと考えちゃっただけです」ニコッ

キャロル(……奇跡は[ピーーー]。皆[ピーーー]。その意思と決意に欠片たりとも躊躇はない)

キャロル(だが……もう二度と会えないはずの人に会える奇跡。そんなものがあるならば……)

キャロル「……いや、今更、か」

響「? 何か言ったエルフナインちゃん」

キャロル「いえ、なにも……くっ!?」グラッ

キャロル(なんだ、この酩酊感……ッ!? 体を無理やり揺らされているかのような……ッ!)

響「……インちゃんっ!? しっか……ナインちゃん!」

キャロル(目の前のこいつの声も遠く聞こえる、俺は一体どうなって……)


20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 04:06:47.32 ID:xG74HhyE0


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キャロル「…………ッ」

レイア「……マスター! ご無事ですかッ!?」

キャロル「……ん……レイアか……俺は、一体……」ムクッ

レイア「それが……どうやらマスターは気を失っていたらしく……」

ファラ「さすがに、心配致しました……」

ミカ「ファラもレイアもガリィも、みんなみんなマスターの心配してたゾ」

ガリィ「そうですよ、ガリィちゃん、ほんと、心配しちゃいましたぁ☆ マスター急に倒れちゃうんですもん☆」キャルーン

キャロル「……そうか、すまない。心配をかけてしまったようだな……」

キャロル「なるほど、俺は元の体に戻って……とりあえず、あっちの様子を……」キイイン……


21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 04:07:27.20 ID:xG74HhyE0


エルフナイン「……あれ、ボク、今まで何を……」

響「……だ、大丈夫エルフナインちゃん! やっぱり、具合よくないんじゃ……」

エルフナイン「……あ、あれ、もしかしてボク、倒れちゃって……あわわ、すいません、ご迷惑を……」


22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 04:08:21.20 ID:xG74HhyE0


キャロル「……ふむ、エルフナインに記憶はないらしい、ならばあとはどうとでもなるだろう……そんなことよりも、原因の解明だ。また同じようなことが起これば、下手をすると取り返しのつかない事態に……」

レイア「その事なのですがマスター……マスターの耳の裏に、謎の落書きが……」

ガリィ「あっ、そこ消し忘……」

ファラ「……へぇ?」

ミカ「……ゾ?」

レイア「それで……けしわす……続きはなんだ、ガリィ?」

ガリィ「あ、あはは☆ そんなひどーい☆ マスターの忠実なしもべであるガリィちゃんが、まっさか意識のないマスターに落書き、なおかつ地面に顔から叩き落とすとかそんな事するわけな☆」

ミカ「やるゾ」

ファラ「やるわね」

レイア「性根の腐ったお前ならやるだろう」

ガリィ「つまり逃げるが勝ちッ!!」ダッ

ファラ「逃がすものですか。 ミカ、追うわよ」ダッ

ミカ「がってんだゾ!」ダッ

レイア「……どうしますか、マスター」

キャロル「放っておけ、あとでガリィには処分を言い渡す……恐らく、リンク中に肉体に肉体に強い衝撃がったせいで起きた現象だろう。思った以上に原因が簡単なもので良かったと考えるべきか……まぁ、だが……」

キャロル「こうして終わってみれば、屈辱的ではあったものの、悪くない時間ではあったような気もする……」

レイア「……? 気を失っている間、何か夢でも……?」

キャロル「……夢、夢か……そうだな、もしもの夢、それが一番的を得ているのかもしれん……」

キャロル「すぐに燃えて尽きる泡沫の夢だろうがな……」

レイア「…………」

キャロル「……なんてな。さぁ、レイア、仕上げに入るぞ」

キャロル「すべては、この俺の計画の通りに事が進みつつある」

キャロル「全ては、パパの命題を果たすために」




23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 04:09:03.07 ID:xG74HhyE0



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24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 04:09:40.58 ID:xG74HhyE0


エピローグ




響「というわけでバレンタイン前日っ! エルフナインちゃんを呼んで一緒にチョコ作り! というわけで生クリームと溶かしたチョコを混ぜ合わせた今、残すは……ってああ、クッキーを砕くの忘れた!」

エルフナイン「はい、どうぞ! クッキーを砕いたものです!」サッ

響「おお! ありがとうエルフナインちゃん! 気付いてたの私がクッキーを砕いてない事!?」

エルフナイン「あ、いえ、そういうわけでは……なんとなく体が動いたというか、なんででしょう……なぜかこうなるような気がして……」

響「……って、あはは、そういえば前も同じことしてたね、私も成長しないなぁ……ありがとうエルフナインちゃん!」

エルフナイン「前も……? なんにせよ、役に立ったならよかったです!」


エルフナイン「……ところで、響さんは誰にチョコを渡すんですか?」

響「えっとね、私は……未未でしょ、翼さん、クリスちゃん、マリアさん、調ちゃん、切歌ちゃん。学校のみんな! あとは師匠や緒川さんとか、S.O.N.G.の人たちに……もちろんエルフナインちゃんにも! あとは……」

響「……お父さんっ! ……なんて、ちょっと恥ずかしいけどね」

エルフナイン「……ふふ、たくさん渡す人がいて大変そうです」

響「そうでもないよ! こうやってエルフナインちゃんと一緒に作ってて楽しいし! エルフナインちゃんは誰に?」

エルフナイン「ボクは……響さんとあんまり変わらないです。マリアさんたち、S.O.N.G.のみなさん……あとは……」


エルフナイン「……天国にいるパパに届けたいですっ」



おわりー


引用元: 【シンフォギア】キャロル「バレンタインだと……?」