1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/16(火) 08:49:15.24 ID:QIe5pkzh0
駅前

男「えぇ……鶴が罠に引っ掛かってるんだけど」

鶴「助けて 助けてくれ」

男「写メしとこ」ピロリン

鶴「ヘルプ ヘルプミィィイイーー!!」

男「俺は日本人だから」

鶴「そこじゃなくない?」

男「うるさい」

鶴「はい」

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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/16(火) 18:44:55.66 ID:QIe5pkzh0
男「よっこいしょ」バキッ

鶴「罠絶対壊すマン壊してくれてありがとう」

男「恩を返して」

鶴「恩着せがましい」

男「おん」

鶴「お礼と言っちゃなんだけど、明日の夜は楽しみにしといて」

男「住所とか聞いちゃう?」

鶴「必要」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/17(水) 01:24:00.52 ID:7LbQ7gkq0
鶴『とにかく楽しみにしてて』

男「……」トコトコ

友「おう、何で下向いてんだ」ドン

男「おおっと、友かー。 おはよう」

友「おはよう」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/17(水) 01:25:05.94 ID:7LbQ7gkq0
友「~~が、○○でさー」ペラペラ

男(……今朝は変なことがあったな)ポケー

友「話を聞けよ」

男「友は付き合って何年目になるの」

友「え? えっと、5年ぐらいだな」

男「予想より長かった」

友「なんだよそれ……つーか、急にどうしたんだよ」

男「いや、別に気になっただけ」

友「へんなやつ」

?「…も…くん」タタッ

男「噂をすればなんとやらだね」

女「友くーん」

8: ◆FFTNHi..dA 2016/02/17(水) 20:07:40.95 ID:7LbQ7gkq0
友「おー、どうしたんだよ」

女「聞いて驚くなかれ タダの、暇つぶしだ!」

友「大袈裟なんだよ」ペシッ

女「回避!」シュッ

男「仲良しだね」

女「そりゃそうだよ 彼女なんだから」

友「わざわざ言わなくていい」

男「あはは」

男「……はあ」

9: ◆FFTNHi..dA 2016/02/17(水) 20:11:25.67 ID:7LbQ7gkq0
放課後

女「ばいばーい」

友「またラインでなー」

男「じゃーなー」

男(……鶴の恩返しってなんだっけ)

男「つ、る、の、お、ん、が、え、しと」スマホスッスッ

男「糸を買おう」

男「……よし、帰宅」ニモツオク

男「糸は用意した。安眠道具もある」

男「あとは来るだけ、よしこい」

鶴「お、またー」ガチャッ

男「遅かったね」

鶴「ごめんごめん ポテチ買ったから許して」

男「気が利くね」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/17(水) 20:38:00.65 ID:7LbQ7gkq0
鶴「コンビニって便利だね。初めて活用したよ」

男「うちのマンションにあるえれべーたーはビックリしただろ」

鶴「えれべーたー?」

男「鉄製の動く四角い箱だよ あれが、目的地に導いてくれるんだ」

鶴「あれは貨物用ではないと」

男「そんなのは知ってるのかよ」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/17(水) 20:38:35.55 ID:7LbQ7gkq0
鶴「仲間が運ばれていくからね」

男「ごめん」

鶴「うん」

男「……」

鶴「……」

男「……どうやって生活してるの」

鶴「それこそコソ泥紛いのことをだな」

男「馬鹿じゃねえの」

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/18(木) 14:51:46.07 ID:QFHPW0RP0
男「それで、恩を返してくれよ」

鶴「あっ、やっぱり気になっちゃう?」

男「あっ 分からない方がいいか」

鶴「童話をなぞるねえ」

男「えーっと、なんでこんなところに鶴が?」

鶴「ノリノリだねー」

男「おっ 丁度いい寝室があるぞ? 鶴使う?」

鶴「うーん、その前に話したいことがあるんだけどね」

男「えっ なに?」

鶴「なんていうか、出来ないんだよねー」

男「ん?」

鶴「経済状況を改善とか、器用なことは出来ないっつーかね」

男「つまり、どういうことなの」

鶴「恩、返せない」

14: ◆FFTNHi..dA 2016/02/19(金) 23:58:21.08 ID:086OdTiY0
男「今夜は焼き鳥だな」

鶴「待って」

男「鶴の恩返しを期待したのに」

鶴「……」

男「何かあると期待したのに、金がないから金さえ手に入ったら……心も裕福になるはずなのに」

鶴「はぁ……、分かったよ。返せばいいんでしょ」

男「出来ないんじゃなかったのかよ」

鶴「正確にはしたくなかった。でも、もう知らないから」

男「?」

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 02:52:20.10 ID:CqiCEwI70
翌日。

男「……あー、寝過ぎた」ムクリ

男「10時か。学校なんてどうでもよくなるわ」

男「どっこいしょ……あれ」

男「そういえば鶴がいない」

鶴『恩、返せない』

男「あれは夢だったのか?」

鶴「ご飯できたよー」ガチャ

男「女子力高いな」

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 02:57:11.76 ID:CqiCEwI70
鶴「行ってらっしゃいー」フリフリ

男「この専業主婦感やばいな」フリカエシ

男「10時にもなると急ぐ気持ちもない」

携帯「……」ライン

男「おっ なんだよ、サボった奴がいるのか?」スマホポチッ

女『男くん。友と一緒にいる?』

男『いないけど、何で?』

女『分かった。学校には来るでしょ』

男『来るよ』

女『なら、なるべく急いで。伝えたいことがあるの』

男『何、どうしたんだよ』

女『友が失踪した』

男「……えっ?」

鶴『もう、知らないから』

男「……ははっ まさか、そんなわけが、ないし……な」

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 02:59:00.23 ID:CqiCEwI70
鶴「行ってらっしゃいー」フリフリ

男「この専業主婦感やばいな」フリカエシ

男「10時にもなると急ぐ気持ちもない」

携帯「……」ライン

男「おっ なんだよ、サボった奴がいるのか?」スマホポチッ

女『男くん。友と一緒にいる?』

男『いないけど、何で?』

女『分かった。学校には来るでしょ』

男『来るよ』

女『なら、なるべく急いで。伝えたいことがあるの』

男『何、どうしたんだよ』

女『友が失踪した』

男「……えっ?」

鶴[もう、知らないから]

男「……ははっ まさか、そんなわけが、ないし……な」

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:20:36.47 ID:CqiCEwI70
学校。

男「学校きたけど、友が失踪って?」

女「それが昨日の夜から帰ってないみたいなの。自宅にも、二人で通った喫茶店とか」

男「なんで早くに連絡をくれなかったの」

女「だ、だって、反応無かったじゃない」

男(ああっ なるほど、鶴と暴れてたから気付かなかったのか)

女「ど、どうしよう男くん。と、友が見つからなかったら……私、私!」

男「……大丈夫だから、多分見つかるよ。俺達だって探し出すから」

女「ほんと? 約束してくれる?」

男「うん」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:25:25.18 ID:CqiCEwI70
放課後。

男「どこにもいないね」

女「こんなに歩き回っても見つからないなんて、友は本当にどうしたんだろ」

男「こら、下唇を噛むな」

女「ご、ごめんなさい。癖が出ちゃった。
友の交友関係に悪い友達とか……」

男「アイツに限ってそれはないよ。信頼して待つことが大切だ」

男(よくもまあ、俺は気休めを言えたもんだな)

男(……友、どこ行ったんだろ)

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:26:04.23 ID:CqiCEwI70


男「ただいまー」

鶴「おかえりなさいませ」

男「そんな気分じゃない」

鶴「何かあったの?」

男「あまり言いたくない」

鶴「またまたー、ニヤけてるくせに」

男「……」

鶴「邪魔者がいなくなって、少しだけ嬉しかったりする?」

男「うるさい」

鶴「ちゃんと気持ちにしないと伝わらないことだってあるんじゃない?」

男「分かってるよ」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:36:41.91 ID:CqiCEwI70
翌日。

男「明日になればなんとかなるよ」

女「だといいんだけど」

翌々日。

男「両親が捜索願だしたみたい」

女「そ、そうなんだ……」

数日後。

男「どこに行ったんだろうね」

女「寂しい」

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:37:15.04 ID:CqiCEwI70
男(鶴が返した恩ってこれだと思う)

男(これを利用しない手はないんだろうけど)

女「ちゃんと食べてるかな」

男(俺は、これを見て勝てる気がしない)

男(元々、友が頑張って勝ち取った立ち位置なんだ)

男(それなのに俺は、卑怯な手を使って)

男「……ねえ」

女「なに?」

男「友が帰ってこなかったらどうするの」

女「ウーーん。それでも待つよ。気が変わるのはシワが増えてからでもいい」

男「それは何で?」

女「あの人以外、見えないからかな」

男「そうか。女、嫌いじゃなかったよ」

女「? 嬉しいよ、私も」

男「それじゃ、先に帰るから」フフッ

25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:52:31.49 ID:CqiCEwI70
自宅。

男「なあ、鶴よ。話がある」

鶴「めちゃイケ見てるから待って」

男「あと何分」

鶴「右から左に人の名前が流れてる」

男「もう終わるよな。話を聞いてくれよ」

鶴「うん、いいよ。何?」

男「友を返してほしい」

鶴「ファイナルアンサー?」

男「おちょくるな」

鶴「アハハ。ごめんごめん。いいよ、返すよ」

男「そうか、それなら良かっ──」ホッ

猫「にゃー」

男(窓をすり抜けて猫が来た)

男「は?」

26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:53:26.26 ID:CqiCEwI70
鶴「自分の意思で人に戻れるけど、この娘は自分が人だと知らないみたい。
猫の方が身を隠せるかなって」

男「戻れるならいいんだけど、なんで猫なんだよ」

鶴「ねこあつめ好きなんだ」

男「んだよそれ、バカにしてんのか」

鶴「そう怒らないでよ。これは仕方の無いことなんだ」

男「仕方のないこと?」

27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:54:17.77 ID:CqiCEwI70
鶴「そう。私の恩返しは暗い方向に持っていってしまうんだ。
例えば、マラソン前日に『足が早くなりたいです』と願われると、同じ走者が、皆ケガをしたり。そんな悪魔のような願い」

男「それ、危なっかしいな」

鶴「そう。だから、同業者から『お前の力は悪魔だ!』って地に落とされちゃった」

男「それがあの罠?」

鶴「そうだよ。あんな簡単に壊されるなんて思わなかった」

男「なんかごめん」

鶴「良いんだよ。この世界では普通の人に見られて、それなりに楽しめたので満足」

28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:55:40.59 ID:CqiCEwI70
友「なんか復活」

女「友ー!」ダキッ

友「うわっと、危ないだろ」

女「暇つぶしに付き合えー!」

友「なんだよそれ」ケラケラ

女「もう離さないから」

友「分かったから」

男「これでいいんだ」

29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:56:19.36 ID:CqiCEwI70
自宅。

男「むやみに人と関わるのはやめよう。前よりも強く思った」ガチャ

鶴「おかえりー」

男「鶴はいつまでいるんだよ」

鶴「鶴はあなたの心にいます」

男「穀潰しで悪魔まがいめ」

男「鶴は恩返せ!」

女「横暴だ!」

30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:56:58.38 ID:CqiCEwI70
完結

31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:58:55.99 ID:CqiCEwI70
自宅。

男「むやみに人と関わるのはやめよう。前よりも強く思った」ガチャ

鶴「おかえりー」

男「鶴はいつまでいるんだよ」

鶴「鶴はあなたの心にいます」

男「穀潰しで悪魔まがいめ」

男「鶴は恩返せ!」

鶴「横暴だ!」

32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/21(日) 03:59:25.61 ID:CqiCEwI70
本当に完結

引用元: 男「鶴は恩返せ」鶴「横暴だ」