前回 【艦これ】初月「なんて不埒な……っ」

1: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 00:05:30.15 ID:pjUwsU+I0



照月「ハムッ……」モグモグ

照月「うぅ~ん!生き返る~……っ」

照月「初月のオムライス本当に美味しいっ!」


初月「ははは……ありがとう」

初月「これは、提督も手伝ってくれたんだ」





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3: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 00:08:18.48 ID:pjUwsU+I0



初月「姉さん、口もと……米粒ついてるぞ」

照月「えっ、うそ!やだぁ!」

照月「ははは!恥ずかしい……」

照月「あはは……はは……」

照月「…………」グスッ


初月(照月姉さん……)




4: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 00:10:04.59 ID:pjUwsU+I0



初月(今は気丈にふるまってるけど……)

初月(やっぱり、辛かったんだろうな)

初月(……以前は、こんな顔も見られなかった)



初月(……だが)

初月(秋月姉さんは……今でも辛そうだった)




5: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 00:11:03.10 ID:pjUwsU+I0



初月「……すまない、姉さん」

照月「モグモグ……ん?」

照月「ど、どうしたの、突然っ」

初月「秋月姉さんと一緒に食事をとらせてあげられなかった」

初月「僕の力不足だ……」


照月「そんなことないよ」ニコッ

照月「秋月姉はね」

照月「あなたがここで無事に過ごしていたこと、本当に喜んでた」



6: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 00:11:53.73 ID:pjUwsU+I0



照月「初月」

照月「いっしょに秋月姉の笑顔、取り戻すよ」


初月「……あぁ!」




11: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 18:51:07.64 ID:pjUwsU+I0



………………
…………
……



秋月『夜戦突撃……ですか』

『そうだ』

『敵輸送艦隊の出入りが、泊地を中心に活発化しているとのことだ』

『我々が決死の思いで進出した南方海域、これを見過ごすことはしない』

秋月『決死……』

『……なんだ?』

秋月『……いえ、失礼しました』




12: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 18:57:23.98 ID:pjUwsU+I0



『とにかく、貴様の艦隊に出向いてもらう。指揮は、任せるぞ』

『また……やってくれるな?』ニタァ

秋月『……お言葉ですが提督』

秋月『私達の艦隊は先日の進出作戦で、既に大きな犠牲を払っています』

秋月『満足な補給もままならない現状では、望まれる結果を出すことはできません』

秋月『皆の疲労もまだ癒えていませんし、それに……』

『抜かすな小娘ッ、秘書の分際で吠えおって』

『この作戦は司令長官、ひいては御国が望んだことなんだぞ』

『貴様ら如きの一存で、我々の方針に口を出すなッ』

秋月『……申し訳ありません』




14: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 19:05:10.15 ID:pjUwsU+I0



照月『ムッカつく~!あのクソオヤジ!』

秋月『……ごめんね』

秋月『私、止められなかった……』

初月『姉さんのせいじゃないさ』

初月『僕たちがより多くの戦果を上げれば、姉さんだって……』

秋月『…………』


……
…………
………………




15: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 19:11:20.82 ID:pjUwsU+I0



照月『作戦、ついに三日目かぁ……』グゥー…

照月『一日におにぎりひとつとビタミン剤じゃあ、食べた気しないよぉ!』

『うぅ……』

『あぁ……いつまで続くの……』

秋月(他の皆も、疲労が隠せないみたい……)

初月『秋月姉さん、僕の分も食べてくれ』スッ

初月『まだ休んでいないだろ、さぁ』

秋月『ありがとう初月……でも、私はいいの』

秋月『疲れているのも、お腹を空かせているのも、私だけじゃないもの』

秋月『貴重な食料だから、あなたがしっかり食べて』ニコッ

初月『姉さん……』




16: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 19:21:52.28 ID:pjUwsU+I0



秋月『突撃開始!探照灯照射!』

カッ

秋月『砲撃を輸送艦に集中して、合図に合わせて反転して!』

照月『えへへっ、これでようやくっ』

照月『最後ね!』ガンッガンッ

初月『……ッ!!』


初月『皆、気を付けろ!』

初月『……“戦姫”だッ!』




17: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 19:25:45.58 ID:pjUwsU+I0



照月『みんな……沈んじゃった……』ポロ…ポロ…

初月『なんて情けないんだ……僕は……ッ!』


秋月『……私のせいだ……』

秋月『撤退命令を、もっと早く出せば……こんなことには……!』

初月『……そんなことをすれば、姉さんが“奴”に何をされるか分からない』


初月『どうしようも……なかったんだ』




18: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 19:32:25.19 ID:pjUwsU+I0



初月(…………!)

初月(あれは……追撃艦隊か……!)



初月『……姉さん達は、先に行っててくれ』フッ

照月『な、初月!?』

秋月『ど、どうしたのっ』

初月『大丈夫、すぐに戻るさ』


初月『姉さん達は、最後まで僕が守る』

ダッ

秋月『初月ッ』

照月『初月!』




19: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 19:38:39.52 ID:pjUwsU+I0



照月『グスッ……ヒグッ……』

照月『あぁ……ズズッ……あぁぁぁぁあ!』ポロ…ポロ…


秋月『初……月……』

秋月『………………』


……
…………
………………



20: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 19:44:07.02 ID:pjUwsU+I0



『……そうか、分かった』

『作戦の成功は、司令長官も大変お喜びになられるだろう』

『これからも、この調子でやれ』

『分かったな』


秋月『……』




秋月『はい』



……
…………
………………




21: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 19:51:27.91 ID:pjUwsU+I0


ピヨッ ピッ
バサバサバサバサ……



秋月「…………」

ガラッ

提督「やっ!」サッ

秋月「…………」コク

提督「……お隣いい?」

秋月「……はい」




22: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 20:02:08.69 ID:pjUwsU+I0



提督「いや~、部屋探したよ~」

提督「来たばっかりだから広すぎて、わけが分からないんだよなぁここ」

秋月「…………提督」

秋月「妹の初月を救出していただき、ありがとうございます」

提督「あぁ、近くを通りがかったんでね」フフン

秋月「…………」

秋月「あなたの隣に立つあの子は、とても幸せそうでした」

提督「……」ゴホン




23: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 20:03:55.11 ID:pjUwsU+I0



秋月「それから……」

秋月「先ほどの無礼を、お詫びします……」ペコ

提督「ぶれい?」

秋月「……せっかくご用意いただいたお食事会を」

秋月「私は断ってしまいました」

提督「いや、用意したのは僕じゃない」


提督「あの子がそうしたいと言ったんだ」

秋月「……」




24: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 20:04:37.55 ID:pjUwsU+I0



提督「質問、よろし?」

秋月「……」コク

提督「顔、合わせづらいの?」

秋月「……」コク

提督「……おせっかいだろうけど」

提督「あの子は何も恨んでないし、いつも君のことを尊敬してる」

提督「あの照月って子も、同じだよ」




25: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 20:05:03.21 ID:pjUwsU+I0



秋月「……」

提督「これ以上、ここで何があったかは聞かないけど」

提督「君たちはうちの艦隊の新しい宝だ」ニコ

秋月「!」

提督「だから、要望があれば遠慮なく言ってみてよ」

秋月「……では、ひとつだけ」

提督「ん、なになに?」




26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/18(木) 20:05:56.83 ID:pjUwsU+I0




秋月「これからは、皆にもご飯を……」

秋月「満足に食べさせてあげてください」




提督「あたりまえだ」

提督「そうじゃないと、“戦争が終わらない”からね」



……
…………
………………



27: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 20:06:57.57 ID:pjUwsU+I0
少しぬけますね

すみません

28: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 20:58:22.33 ID:pjUwsU+I0



初月(今度こそ、姉さんに食べてもらう)

初月(今日は提督直伝のカツレツ……)

初月(僕の自信作だぞっ)フフン

初月「秋月姉さん、入るぞ」

秋月「……えぇ」


ガラッ


初月「食事だよ、ここに置くぞ」コト

秋月「……わざわざ、ごめんね」

初月「あはは、なにを言うんだ」クスッ




29: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 21:03:11.94 ID:pjUwsU+I0



初月「それより姉さんは、これを食べたことないだろ」

初月「カツレツっていうんだっ」

秋月「……」グゥ-…

初月(よし……いいぞっ)

初月「レシピ通りに作ったから、美味しいはずだ」

初月「よかったら、食べてくれ」

秋月「……ありがとう、初月」

初月「お安い御用だ」




30: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 21:12:13.50 ID:pjUwsU+I0



秋月「…………」

初月「…………」


初月「……姉さん、これで失礼する」スクッ

秋月「……ごめんね」


ガラ…
ピシャッ




31: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 21:19:22.04 ID:pjUwsU+I0



初月「秋月姉さん、またやつれてた……」

提督「そうみたいだね」

初月「あの食事も、おそらく食べてはもらえないと思う」

初月「昔は……出されたものは必ず最後まで食べる人だったのに」

提督「んー……でも、そのまま残って食べるまで見るってのも……」

初月「あぁ、それなら食べるだろうが……」

初月「それじゃあ意味がないんだ」

提督「だよね」




32: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 21:28:10.87 ID:pjUwsU+I0



初月「提督、明日も……料理を教えてくれ」

初月「今度こそ、姉さんの喉を通る食事を作りたいんだ」

提督「うん、もちろんいいよ」

初月「ありがとう」ニコ


提督「明日は……そうだなぁ」


……
…………
………………




33: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 21:33:50.69 ID:pjUwsU+I0



初月「やっぱり、ダメだった……」

照月「そっか……ありがとね、初月」

照月「今日、照月も長10cm砲ちゃんとおぜんざい作ったんだけど……」

照月「それもダメだったの」シュン

照10「」チッ

初月「そうか……」


照月「前の元気な秋月姉に戻ってほしい……」

初月「僕も同感だ」

初月「できることは何でもやろう」


……
…………
………………




34: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 21:39:43.63 ID:pjUwsU+I0



初月「今日も食べてもらえなかった……」

提督「そっかぁ」

初月「カツレツにステーキ、鮪の角煮にヒラメの香草焼き……」

初月「これまで作ったどれも、提督と僕の自信作だったのに」シュン

提督(はじめて食べたとき、君はどれも泣きながら食べてたねぇ)クスッ

初月「……すまない、提督」

初月「いつも料理に付き合ってもらって」

提督「いえいえ、何をおっしゃいますやら」




35: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 21:45:37.43 ID:pjUwsU+I0



初月「お前も、ここに来てから働きづめだな」

提督「また、次の作戦があるからね」

提督「……僕としては別件で陛下に上奏したいことが……」ボソッ

初月「?」

提督「……聞かなかったことにして」

初月「そ、そうか……まぁ」

初月「提督もたまには、僕にしてほしいことを言ってくれ」

初月「できることなら、なんでもするよ」ニコッ


提督「ん?」




38: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 21:53:08.80 ID:pjUwsU+I0



………………
…………
……


照月「えぇっ!提督さんとデート!?」

初月「…………」カァー…

初月「折角の内地勤務だから、街に行こうって……」

初月「今度、非番が合う日にって……」

照月「いいないいなー!妬いちゃうね、このこのーっ!」ウリウリ

初月「姉さん、や、やめてくれ……」

初月「そうは言っても、僕は困ってるんだぞっ」




41: このスレはホモ ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 22:01:57.77 ID:pjUwsU+I0



照月「なんで?」

初月「僕は性格がこんなだしっ」

初月「お洒落な服なんて持ってないし……」

初月「他の女の子と街で遊ぶこともなかった」

照月「初月、誘っても来なかったからね~」

初月「……面目ない」

初月「だから……僕はデートが一体どういうものなのか、何も分からないんだ」シュン




42: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 22:10:33.24 ID:pjUwsU+I0



照月「デートなら、提督さんにリードしてもらいなよっ」

照月「優しい人だし、心配ないよ!」

初月「そ、そうか……」ホッ

照月「ただ、服はねぇ……」

照月「うぅ~ん……これは秋月姉の方が詳しかったし……」

初月「……どうしよう、姉さん」

照月「むむむ……」




43: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 22:15:58.70 ID:pjUwsU+I0




照月「……そうだ!」

照月「照月、いいこと思いついた!」

初月「ほ、本当か!」

照月「うん!」

照月「あなたと秋月姉……二人のための案だよっ」



……
…………
………………



44: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 22:22:46.89 ID:pjUwsU+I0



秋月「え……?街に……?」

照月「そう、街っ」

照月「秋月姉はもう秘書艦じゃないんだし、行けるでしょ?」

秋月「……でも……」


照月「お願い、秋月姉!」

照月「あの子の大事な初デートがかかってるのっ」

照月「これは初月のためなの!」ペコッ


秋月「初月の……ため……」




45: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 22:31:50.79 ID:pjUwsU+I0



ブロロロrrrrr…
ワイワイ ガヤガヤ


初月「ありがとう姉さん、来てくれて」ニコッ

秋月「ふふっ、かわいい妹のため……」

秋月「そろそろ、お姉ちゃんらしいところを見せなきゃ」ニコ

照月「その意気だよっ、秋月姉!」


初月(秋月姉さん、少し笑ってる……)フフッ

照月(中に籠ってちゃ、気分は変わらないしね~)




46: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 22:39:44.37 ID:pjUwsU+I0



秋月「初月の服、かぁ」

照月「そうなの、今のパーカー姿じゃ提督さんに失礼だし……」

初月「うぅ……」シュン

照月「似合ってるんだけどね、やっぱり……」

秋月「女の子なら、それにふさわしい服も欲しいね」

秋月「照月、この辺りのお店分かるの?」

照月「ふふん……任せて!」

照月「照月は姉妹一の“してぃがぁる”だからっ」




47: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 22:46:06.48 ID:pjUwsU+I0



初月「わ、わぁ……女の子の服がたくさんだ……」ガタガタ

照月「ここなんてどぉ?」

秋月「いいねっ、ここだったら良い服ありそう……」

照月(今までここに来ても、お金がないから何も買えなかったんだけどね……)ジーン…



初月「は、はやく選んで……っ」

初月「僕、落ち着かないぞ……」オロオロ




48: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 22:56:00.16 ID:pjUwsU+I0



照月「初月のボーイッシュさは貴重よねっ」

秋月「うん、そこは生かしたいね……」

秋月「でももうすぐ春だから、お肌は出してもいいかな」

初月「は、肌も出すのか……」

照月「そう、いつまでもそんなインナータイツで隠してちゃだめっ」

照月「提督さんをその気にさせることがゴールなんだから!」

初月「うぅ……」




49: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:00:13.49 ID:pjUwsU+I0



ピシャッ


初月「姉さん……」

初月「ど、どうだ……?」カァー…


「「おぉ……」」


照月「初月、すっごく可愛いよ!!」

秋月「うん、とても似合ってる」ニコッ

秋月「初月はスタイルいいから、イエローのショートパンツに……」

秋月「フレアスリーブ付きの白いトップスで十分光るね」

照月「このカーディガンも肩にかけてっ」

秋月「コルクサンダルも忘れないでね」

初月「う、うん……」




50: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:05:18.23 ID:pjUwsU+I0



テクテク


初月「ありがとう、姉さん達……」

秋月「いいの、私も妹の服を久しぶりに選べて嬉しかったから……」

照月「これからも、一緒に服買いに行こうねっ!」

初月「……あぁ!」

照月「それじゃ、そろそろ……」



照月「お昼ご飯にするよ!」ニコッ




51: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:12:10.03 ID:pjUwsU+I0



秋月「公園……」

照月「えへへ……海はいつも見てるから、こういうとこの方がいいかなって」

秋月「ううん、とても良い所……」フフッ

初月「おーい姉さん達、こっちがいい!」



初月「今日は、弁当を持ってきたんだ」

秋月「おべん……とう?」

照月「そう、お弁当っ!」


照月「じゃーん!」




52: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:15:01.90 ID:pjUwsU+I0



秋月「こ、これは……」


初月「何度見ても、懐かしいなぁ……」

初月「昔よく3人で食べた、麦飯で握ったおにぎりだ」フフッ

照月「かやくご飯のおにぎりもあるよっ」

照月「もちろん沢庵もね」ニコッ




53: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:17:16.76 ID:pjUwsU+I0



初月「昔から僕たちの家は貧しかったけど……」

照月「残ってるご飯をみんな使って、おにぎりを握って……」

初月「みんなでたくさんのおにぎりを囲ったなぁ」

照月「それをお腹いっぱい食べるんだよね」


秋月「……!」

秋月「……よく、覚えてる」フフッ




54: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:22:55.74 ID:pjUwsU+I0



照月「あはは、そーでしょっ」

初月「いつも秋月姉さんが一番おいしそうに、一番たくさん食べてたんだ」クスッ

秋月「だ、だって!!」カァー…




55: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:29:04.51 ID:pjUwsU+I0



秋月「……何も具の無いおにぎりのはずなのに、美味しくて……」

秋月「……美味しくて……」


秋月「…………」グスッ




56: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:29:33.27 ID:pjUwsU+I0



初月「秋月姉さん、もういいんだ」

初月「あの時、皆がいなくなったのも、僕が一人で戦いに戻ったことも」

初月「……姉さんが、一人で背負うことはないんだ」




57: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:30:08.27 ID:pjUwsU+I0



照月「そう、背負うならそれ、照月たちにも分けてよ」

照月「だから、昔みたいに……」

照月「“三人”に戻ろ?ね?」




58: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:33:13.55 ID:pjUwsU+I0




秋月「……」ポロ……ポロ……

秋月「……うん」グスッ


初月「さ、腹ごしらえにしよう……」ニコッ

初月「なによりの“ごちそう”を」

照月「うん!じゃあ……」




「「「いただきます」」」




……
…………
………………



59: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:37:44.96 ID:pjUwsU+I0



―――○二○○ 中部海域―――

―――指揮艦「近江」―――




初月「提督、姉さん達はもう寝てしまったよ」

提督「そっか」

提督「みんな……ご苦労様」ニコ

提督「君も、今のうちに寝てていいんだよ」

初月「いや……僕はいい」




60: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:43:56.73 ID:pjUwsU+I0




初月「それにしても、こんな作戦……聞いたことがないぞ」

提督「そうだろうねぇ」

提督「僕自身、案が通ると思っていなかったもの」



提督「深海棲艦の本陣に、終戦に向けたこちらの譲歩案を伝えに行く」

提督「艤装を解いた君たち姉妹だけを連れて」





61: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:46:30.35 ID:pjUwsU+I0




提督「あとは……たくさんのおにぎりだけだよ」

提督「初めから食事の席を用意するつもりではいたけど……」

提督「あはは、おにぎりは頭になかったなぁ」

初月「あぁ……」

初月「僕たち三人で、頑張ってたくさん握ったんだ」ニコッ

初月「これなら、何も使わないで手で食べられる」

提督「それは間違いないね」クスッ



初月「それに……」

初月「皆でおにぎりを囲うと、何故だかとても暖かい気持ちになる」

初月「それを僕たちは知っているんだ」





62: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:49:12.14 ID:pjUwsU+I0




提督「これから一世一代、かつてない命がけの食事会になるね」

初月「……構わないさ」フフッ


初月「ここにいるのは、最高の姉さん達と……」

初月「……最高の男だ」

初月「なにかあったら僕が守る……」ニコッ





63: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/18(木) 23:49:56.94 ID:pjUwsU+I0




提督「…………そっか」

提督「……マルニーマルマル」

提督「……今宵、とても“月”が綺麗だ」ニコッ



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引用元: 【艦これ】初月「秋月姉さんに」照月「ごちそう食べさせたいっ」