志保「そんなに有名なの？」

杏奈「あの階段、声優の中村井まいがＰＶで使ってた……ＣＭでも、たくさん流れてた……」

星梨花「？？？」

志保「……ごめんなさい、見た覚えがないわ」

杏奈「……深夜アニメでしか流れてなかったのかな……じゃああの西部劇っぽいセット、ソーシャルゲームのディープスカーレット・ファンタジーのＣＭで使ってたやつ、だよ？」

志保「それなら見たことがあるわね。赤い髪の女の子が扉を開けて入ってくるやつよね？　そういえばあんな雰囲気だったわね」

杏奈「それ……！」

星梨花「ピーーー」キノウテイシ

杏奈「……ごめんね。星梨花ちゃん、あんまりテレビ観ないんだもんね……」ナデナデ

志保「アイドルとしてそれで良いのか、って話はあるけど……責められないわよね」

杏奈「星梨花ちゃんだもん……ね？」

志保「ご家族を大事に……いいことよ、きっと」

～星梨花が再起動しました～

星梨花「朋花さん、準備に時間がかかってるそうです」

志保「わたしたちは羽が２枚だけど、朋花さんは６枚つけるのよね？」

杏奈「３対の翼、大天使……ボスの風格だね……さすが朋花さん」

志保「それ、朋花の前で言っちゃダメよ？」

星梨花「そういえば……」テコテコ

杏奈「どこいくの……？」

星梨花「これです、これ気になってたんです！」

志保「鳥籠？　人が入れそうね」

杏奈「これ、ROSENBURG ENGELや塩見周子が使ってたヤツ……」

星梨花「この衣装で入ると……」

志保「勝手に入っちゃ……あ」

星梨花「ピヨピヨ♪　小鳥さんです♪」

杏奈「かわいい……♪」

志保（……！！！）ズキューン！

天使が、鳥籠の中にいる。
私の支配下にある。

志保「――飼いたい」

杏奈「志保、さん……？」

志保「星梨花、飼いたい」

杏奈「志保さん！？」

星梨花「？　志保さん、何か言いましたか？」

志保「星梨花……かわいい」

星梨花「ありがとうございます♪」

志保「うちに来て？」

星梨花「お泊りですか？　是非してみたいです！」

志保「星梨花の口にあうかわからないけれどご飯も精一杯作るし」

星梨花「志保さんが前に作ってくださったカレーライス、おいしかったです！　また食べたいです♪」

志保「素敵な寝床を用意してあげる」

星梨花「お布団は気にしませんよ？　志保さんと一緒だといいかもしれません♪」

志保「……！　そう、二人で一つの鳥籠の中、二人だけの世界……！」

星梨花「志保さん？　なんだか怖い顔してますよ、おなか痛いんですか？」

志保「すみません、スタッフさん。この鳥籠おいくらで」

杏奈「ストップー！！　スタッフさんすみません今のナシ今のナシだよ～っ！！！」

星梨花「杏奈さんまでオンになっちゃってます！　プロデューサーさーん！」

～聖母が降臨しました～

朋花「ご自分が何をされたか、わかっていらっしゃいますよねぇ～？」

志保「わたしは色欲にふけり、庇護すべき幼子を拐かそうと試みました。誠に申し訳ありません、朋花様……」ドゲザ

ミリＰ「と、朋花、そのくらいに」

朋花「神の法、人の法、そして聖母たるわたしの法にも触れる罪人は、十分に反省すべきだと思いませんかぁ？　そもそも、事案が起こった時、あなたはどこにいらっしゃったんでしょう？」

ミリＰ「仰るとおりでございます、打ち合わせ中であったとはいえ、わたくしめの監督不行届も大いにございます……」ドゲザ

朋花「……罪を犯した訳ではなく、むしろ撮影セットを専有された被害者である皆様にこれ以上ご迷惑をお掛けするわけにもいきません。撮影に入りましょう♪」

志保・ミリＰ「「寛大な沙汰、感謝に耐えません」」ハハーッ

朋花「特に志保ちゃん、わたくしは同性愛を悪と申し上げる気はございませんが、くれぐれも貞淑に願いますね？」ギロッ

志保「は、はい！」ゾクッ

Ｐ「……朋花は行ったな？　亜利沙あたりはよくやらかすけど、志保がこういうことをやるとは……」

杏奈「Ｐさん、星梨花ちゃんを控室に送ってきたよ……スタッフさん、星梨花ちゃんや杏奈の出番を後回しにするから、大丈夫だって」

Ｐ「すまんなぁ。スタッフさんと、スタジオさんにも謝らないと……延長料金かかったら小鳥さんにも頭下げ無きゃダメか」

志保「Ｐさん、本当にすみませんでした」

Ｐ「志保、率直に聞く。星梨花をなんだと思ったんだ？」

志保「……狂わせたんです」

Ｐ「なんだって？」

志保「星梨花には、人を狂わせる何かがあるんです……！」