1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 18:48:12.68 ID:aPM0nz4K0
麦野の膝が浜面の鳩尾にメキリと入り、

鉄の味が口の中いっぱいに広がる。

一瞬だけ浜面の足が地面と乖離し

「ガハッ!」

遅れて肺の中から空気が出される。

浜面仕上はそのまま膝から崩れ落ち地面に伏した。

頭が上がらない、上げられない。

見えない恐怖という何かが今この空間の重力を何倍にも増幅させている様に。

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 18:49:45.11 ID:aPM0nz4K0
逃げなきゃ殺される、殺されたくなければ逃げなければならない。

だけど、この学園都市最怖クラスの原子崩し(メルトダウナー)を前にして生き残る方法なんか、

十中八九逃げの一手のみにしか存在しない。

が。

浜面仕上の現在地は生存とは絶望的なまで程遠い距離にある。

切り札の銃も奪われ、一時間もの間を殺人光線から程逃げ回ったお陰で体力は疲弊し、

酸素が行き届いていないからか頭の回転も鈍い。

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 18:51:11.62 ID:aPM0nz4K0
そんな絶対絶命の状態になっても「生きていたい」という気持ちは沸くらしく、

麦野沈利の足元にゴミの様に横たわりながらもなんとか生きる方法を頭の中で浜面は考えていた。

いたのだが。

「はー……まづらぁ……」

この声が、この存在が、それを簡単に無に返してしまう。

麦野は無機質な目で浜面を文字通り見下ろしていた。

青白い光がゆらり揺れる、

その目が生きる方法なんてありはしない、生きる希望なんてありはしないと根こそぎ浜面の希望を奪ってしまう。

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 18:52:00.55 ID:aPM0nz4K0
そもそも。

この学園都市が生み出したキリングマシーンに命を狙われた時点で話の結末は予想できていたようなもの。

一度ならず二度、それに止まらず三度も危機を脱したのは奇跡の上に奇跡を重ねたとしか言いようのない奇跡。

だからこそ、いや、それゆえに四度目は存在しない。

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 18:53:28.67 ID:aPM0nz4K0
四、死。

学園都市第四位。

これが、麦野沈利という少女の生涯で最後の仕事、浜面仕上の殺害。

そのための代償は充分すぎるくらいに支払った。

目を失い、手を失い、尊厳を奪われ、プライドまでもが消え去ったが自分をこんな絶望の淵にまで貶めた男に対する憎悪だけは消し去る事ができなかった。

むしろ太陽が昇る度にその負の感情が麦野の中で増減していき、

ついには当初の動機そのものは見えなくなっていった。

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 18:54:58.67 ID:aPM0nz4K0
なぜ浜面を殺したいか。

なぜ殺さなければいかなかったか。

なぜ、なぜ、なぜ。

なぜが幾重にも重なる。しかしそんなことは、もうどうでも良かった。

あいつを殺せば答えは出る、

あいつさえ殺せば答えは出る、

自分は救われる。

浜面仕上を殺す、ひょっとして自分は最初からその為に生まれてきたのではないだろうか。

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 18:57:45.53 ID:aPM0nz4K0
そう考えるとひどく納得がいった。

だからこそ、蹲る浜面仕上を前にして麦野沈利は簡単には動かない。

獲物を極限まで追い詰めて殺す直前に舌なめずりするハンターの如く。

「ぐ……」

肺に酸素が回り始めた浜面がもぞりと身じろぎする。

膝をつき、手をつき、フラフラと立ち上がる。

まるでテレビ・ゲームの中に登場するゾンビのキャラクターの如く、ゆらりと弱弱しく。

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 18:59:52.44 ID:aPM0nz4K0
それでもなんとか力を振り絞り、

一本の糸で吊り上げられているように不安定に立つ浜面。

薄汚れたチンピラの様な風貌、血に染まったジャージ。金に染めた髪にもべったりと血の色が染みている。

「ガッ……かはっ」

血の固まりを口から吐き出す、内臓がいくつかいってしまったのだろう。

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:01:17.61 ID:aPM0nz4K0
麦野があと一ひねりすれば確実に浜面は死ぬだろう。

あまりに呆気なく。

ひどく簡単に。

一欠けらも残さずに消失する事だろう、麦野にはそれだけの力が、能力がある。

小さなアリを殺す程簡単に、小指一本すら動かさなくても、確実に。その原子崩しで。

だからこそ麦野沈利は動かない。

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:03:45.25 ID:aPM0nz4K0
「むぎ……のっ」

浜面は自らの命を狙うハンターの名を呼ぶ。

恐怖に打ち勝つため、自らの敵を再確認するため、そんな高尚なものではなく、縋る様に。

一度は学園都市の暗部組織が関わった抗争の中で、

二度目は滝壺との学園都市からの脱出の際、

三度目はロシアで。

そして今、名前すらわからない研究施設の一角で麦野は浜面を追い詰めていた。

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:04:38.82 ID:aPM0nz4K0
麦野は四度目にして圧倒的なまでの勝利を手にしようとしている。

私怨で追い続けていた男は目の前で陽炎の様に細くゆらめていていて、

あと一撃で確実にあの世へと葬り去る事ができる。

やっと、ようやく、このケチな因縁ともおさらばできる。

なのに。

だからこそ麦野沈利は動けない。

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:06:34.14 ID:aPM0nz4K0
この男を殺すことは、つまりは目的を失うという事。

この男を殺す刃は、つまり自分の喉元に突き刺さるという事。

浜面仕上という男の運命の終焉は、麦野沈利の終わりを告げるという事。

それに対しての怖さはなかったが、一種の郷愁の様なものを麦野は感じていた。

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:08:04.35 ID:aPM0nz4K0
浜面はそんな麦野の心理を知ってか知らずか

不気味に無言を貫く麦野からなんとか距離を取ろうとする。

が、足がうまく動かない。

ソレは大量の鉛が自分の足にまとわりついている様に重く、

見えない何かに引っ張られている様だ。

重力の中心へと、もっと有り体に言うと、死へと。

自分は本当に麦野から距離をとっているのか、

それとも近づいているんじゃないか、そういう錯覚に陥る。

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:10:30.71 ID:aPM0nz4K0
恐怖がそうさせる。

いつも汚い台詞を吐き捨てながら自分に向かってきた麦野が無言を貫いた事で生まれた恐怖が。

浜面の中でいっそう「死」をリアルなものにする。

しかしこれはチャンスだ。

なぜだかわからないが麦野は原子崩しで攻撃してくる気配はない。

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:13:12.67 ID:aPM0nz4K0
存在そのものが一個の軍隊に匹敵する力がまだ自分に向けられていない。

その証拠に自分はまだ生きている。

所詮超能力者の原子崩しの前では無能力者一人など紙より軽い命、

だが重さはどうあれ命であることに変わりは無かった。

麦野の視界から一度消える事ができればこちらとしても攻撃の機会を伺う事ができる、

打ってでる事ができる。

逆転の目が、一筋の光がさしてくれるかもしれない。

楽観である事はわかっている。

だけどそういった見えない何かでも信じていないと、今すぐにでも背後の死神にその大釜で首を刈り取られかねない状況だ。

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:14:53.18 ID:aPM0nz4K0
例え薄い見込みでも、やるべき事が明確になれば彼は早かった。

恐怖というシールをひっぺがし、一目散にコンテナの影を目指す。

背を預けるとそこに金属のひんやりとした感触が伝わってくるが、その感覚が安心感を与えてくれることはない。

分厚い壁には変わりないが弾丸を防ぐ事ができても麦野の能力の前では鋼鉄すら紙に等しい事を知っているからだ。これは防御の行為ではなくむしろ攻撃に転ずる布石、最終目的は生還。そのためなら麦野と対峙する事も辞さない。

浜面仕上には帰る場所が、待ってくれる人が居る。口癖は「超~~」ミニのスカートを履いているが座ってもパンツが見えない角度を研究している少女。それだけが彼の頭を働かせ、それだけが彼の足を進ませる。

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:16:03.03 ID:aPM0nz4K0
絹旗「みなさん超読んでいただけましたか? で、次の作品、こんなシナリオにしようと思うんですけど」

浜面「はぁあ?! こんな撮影やれってかっ?! ってか最後の一行! さりげなくヒロイン変更してんじゃねーよ!」

絹旗「いいじゃないですか、主人公ですよ浜面。超やられ役ですけど」

麦野「ってか私かよこれ、どんだけ恐怖の存在なんだよ」

浜面「いや実際のお前はもっと怖いから」

麦野「はーまづらぁ、なんだって?」

浜面「いや……なんでもありません麦野サン……」

滝壺「……ぐーすかぴー……」

浜面「寝てるしっ?!」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:19:26.65 ID:aPM0nz4K0
浜面「却下だ却下、映画撮影なんて金のかかりそーなもんは却下」

絹旗「そうですか、じゃあ別のシナリオ’世紀末帝王HAMADURA’なんてどうですか?」

麦野「どんなシナリオよそれ」

絹旗「道行く女の子をバニーガールにしてしまう能力を手にした浜面が世界を支配するお話です」

浜面「採用! それ採用!」

麦野「バカだろお前、却下だそんなもん」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:22:17.42 ID:aPM0nz4K0
浜面「うぅ……せっかく……俺が主役っぽいお話だったのに……」

麦野「泣くな男だろ」

絹旗「うわ、鼻水飛ばさないでくださいよ浜面、超汚いです」

浜面「とばしてねーよ!」

絹旗「それにしても、決まりませんね~、大覇星祭の出し物」

麦野「適当にもうヤキソバとかでよくない?」

浜面「……ヤキソバ?」

絹旗「……ヤキソバですか?」

麦野「な、何よ二人とも」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:25:46.32 ID:aPM0nz4K0
浜面「いや」

絹旗「なんていうか」

麦野「?」

浜面「エプロンつけてヤキソバ焼いてるお前が全然想像できない」

絹旗「エプロンつけてヤキソバ超焼いてる麦野が全然想像できません」

麦野「あんたらねぇ……私にどんなキャラ期待してんだよ」

浜面「いや……? ひょっとしてこのギャップがいいのか?」

麦野「バッカじゃない? 私だって料理の一つくらい」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:30:25.99 ID:aPM0nz4K0
浜面「へ~、何作るんだ麦野?」

麦野「に、肉じゃがとか」

絹旗「超家庭的じゃないですか」

麦野「あとはシャケのムニエルとか」

浜面「あ、やっぱり鮭なのね」

絹旗「さすが麦野、超オシャレなチョイスですね。一体どうやって作るんですかムニエルとか」

麦野「か、簡単よ。パパっとやってちょっとっとやれば、昨日だって作ったんだから」

浜面「お前自炊してんのかよ。いっつもコンビニ弁当食べてるもんだと思ってた」

麦野「ふん! 私にかかれば料理なんて朝飯前よ」

浜面「へー、じゃあこんど皆で麦野の家行って作ってもらおうぜ」

絹旗「超良いアイデアですね」

浜面「いいだろ麦野?」

麦野「え? あ、ちょっと」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:33:05.59 ID:aPM0nz4K0
滝壺「……ん、おはよう」

浜面「おう起きたか滝壺、今度麦野が皆にご飯作ってくれるってさ」

滝壺「そうなの?」

絹旗「なんでも超おいしいらしいですよ麦野の料理、楽しみですね」

滝壺「うん、楽しみ」

浜面「じゃあいつにする?」

絹旗「こんどの日曜とかどうですか?」

滝壺「日曜なら大丈夫だよ」

浜面「俺も予定無いぞ」

絹旗「じゃあ決まりですね麦野?」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:35:22.68 ID:aPM0nz4K0
麦野「えっ?」

絹旗「今度の日曜日、予定ないですか?」

麦野「へっ? あ、あぁ、別にないケド……」

浜面「よーしじゃあ決まりだな」

滝壺「おー」

浜面「じゃあその時までに各自大覇星祭の出し物考えてくるよーに、かいさーん」

絹旗「超おつかれさまでした」

滝壺「ばいばい」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:42:20.49 ID:aPM0nz4K0
麦野「ど」

麦野「どうしよう私料理なんて作れないぞ……」

麦野「それにあいつら……! 特に浜面、コロス、絶対コロス!!」

麦野「……いや? でも待てよ、これはひょっとしてチャンスなんじゃ……」

麦野「この前読んだ雑誌に書いてた良いお嫁さんの条件ってのに美味しい料理が作れる……ってあったような気がするし」

麦野「もしかして浜面が……その、おいしいって言ってくれるかも……?」

麦野「日曜日まで後3日か……」

麦野「なんとか……なるか?」

麦野「なんとかしてみせる、学園都市第四位の演算能力なめんじゃねえぞ」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:44:31.01 ID:aPM0nz4K0
麦野「とにかく食材が無い事には話が始まらない」

麦野「そうだ、買出しにいこう」

麦野「適当にスーパーに売ってそうなものを買ってくるか」

麦野「よし、そうだな何を買おうか」

麦野「適当に>>41でも買うか」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:46:38.40 ID:aPM0nz4K0
麦野「>>41か。よし、私を料理するか」

麦野「裸にエプロンして、リボンをつけて」

麦野「はまづら、どーぞ、私をたべてね☆」

麦野「………………………………………………………………………………………………」

麦野「………………………………………………………………………………」

麦野「………………………………………………………………」

麦野「いけね、鼻血でてきた」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:48:40.10 ID:aPM0nz4K0
麦野「しかし料理といえば腹が膨れるもんじゃなきゃな」

麦野「私なんか食べても腹は膨れないだろうし」

麦野「それに……よく考えたら結婚前の男女が、その……そんなコトするなんて不潔だし……」

麦野「物事には順序ってモンがあるよな、うん」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:51:40.26 ID:aPM0nz4K0
麦野「冷蔵庫の中身は」

垣根「空だ」

麦野「ですよね」

垣根「いい加減食材を入れてくれないと俺の役目がねーだろ、なんのための冷蔵庫だと思ってんだ」

麦野「わかったわかった、買出しいけばいいんでしょ」

垣根「一番良い食材を頼む」

麦野「>>46でも買いに行ってくるわ」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 19:56:38.01 ID:aPM0nz4K0
麦野「すっぽんね、スーパーで売ってるの?」

垣根「学園都市のスーパーだし取り扱ってるんじゃねえの?」

麦野「そうなの? 聞いた事ないわよそんなの」

垣根「ま、売ってなかったらkonozamaで注文すればいいだろ」

麦野「この際だから調味料とかも買ってくるわね」

垣根「おう、行ってこい」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:01:01.74 ID:aPM0nz4K0
とある高級スーパー


麦野「すみません」

上条「はーい」

麦野「このスーパー、すっぽんって売ってる?」

上条「んー、すみませんお客さん。すっぽんは当店では取り扱ってないみたいですね」

麦野「そうか……残念」

禁書「とうまとうまー」

上条「インデックス! アルバイト先に来ちゃだめだって言っただろっ?! お前のせいでいくつバイトをクビなったと思ってるんだよ!」

禁書「そこの川でこんなもの拾ったんだよー」

上条「それは……すっぽん?」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:03:31.00 ID:aPM0nz4K0
禁書「これを売れば商売繁盛間違いなしなんだよ」

上条「そんなもん売れるか! 元居た場所に返してきなさい!」

禁書「えー、もったいないんだよとうま、売り物は売り物なんだよ」

上条「だいたいそんな出所のあやしいモンが売れるか!」

麦野「買った」

上条「ほら! この人も……って、え?」

麦野「それ、買った」

上条「あ……、あの、お客さん……?」

麦野「いくら?」

禁書「ひゃくまんえんなんだよ!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:04:57.19 ID:aPM0nz4K0
麦野「カードでいい?」

上条「え?」

麦野「さすがにキャッシュでそれだけ持ってないから、はい」

上条「え?」



禁書「おかいあげありがとうなんだよ!」

上条「え?」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:06:18.93 ID:aPM0nz4K0
麦野「さて、すっぽんも無事手に入ったし……でもすっぽんってどう料理すればいいんだろう」

麦野「よくみたらこれ……結構グロテスクね」

麦野「ほんとにおいしいのかしら?」

麦野「……、ちょっと、味見してみようかな」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:11:40.86 ID:aPM0nz4K0
麦野「というわけでアンタをかじるわ」

垣根「ちょ、ちょっと待て正気か麦野」

麦野「私はいつだって正気よ」

垣根「待て麦野、早まるな」

麦野「観念しなさい」

がぶっ

垣根「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:14:22.86 ID:aPM0nz4K0
麦野「味しないわね」

垣根「たりめーだ! 金属噛み千切るとかどんなアゴしてんだよお前」

麦野「これじゃあどんな味付けしていいかわからないじゃない」

垣根「……っていうかさ」

麦野「うん?」

垣根「すっぽん料理なんだろ? 俺を味見したところでなんか意味あんの?」

麦野「それもそうよね、でもすっぽんって何で味付けすればいいのかな」

垣根「塩とかじゃね?」

麦野「塩ね」

垣根「後は>>63とかじゃねえか?」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:20:06.10 ID:aPM0nz4K0
麦野「すっぽんには未元物質をふりかける……っと」

垣根「俺の魔法のスパイスを振り掛けると泣いた子供もたちまち笑顔になるってか」

麦野「相変わらずのメルヘンっぷりね」

垣根「心配するな、自覚はある」

麦野「ふん」

垣根「おい麦野、料理に一番大事なものって何かしってるか?」

麦野「一番大事なもの?」

垣根「それは味じゃねえ、食材の値段でもねぇ、もちろん、腕の上手い下手でもない」

麦野「……?」

垣根「ココロだ、食ってくれるヤツが笑顔になれる料理を作ればいい、それが一番のスパイスだぜ」

麦野「ばっかじゃない」

垣根「おう」

麦野「言われなくても、そんなのわかってるわ」

垣根「なら良かった」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:34:12.51 ID:aPM0nz4K0
麦野「……でもね」

垣根「あん?」

麦野「どれだけ想っても、届かない事って、あるじゃない?」

垣根「なんの話だ?」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:38:59.35 ID:aPM0nz4K0
麦野「誰か一人、その一人にすら私の思いは届かなかった。殺したい程憎んでいたとしてもね」

垣根「そーかよ、くだらねぇ話だ」

麦野「そうね、たしかにくだらない話」

垣根「だったら今度は殺したいじゃなくて、生かしてやりたいと思えば良い、簡単な話だ」

麦野「生かして……やる?」

垣根「そーだ、どっかのベクトルバカみたいに方向性を変えれば済む話だ、元々想いは強いんだろ?」

麦野「……」

垣根「外面も何も気にする必要なねぇ、お前は一度死んだんだ、後はどう生きるかはお前次第ってこったな」

麦野「……この麦野様に説法とは、いつから坊主に転職したのよ冷蔵庫の分際で」

垣根「転職活動したいのはヤマヤマなんだけどな、なんせこの家からはでられねーんだ、冷蔵庫だからな」

麦野「えらそうに……何様のつもりよ」

垣根「俺様だ」

麦野「……ばーか」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:41:29.33 ID:aPM0nz4K0
垣根「麦野」

麦野「なに」

垣根「俺はお前に感謝してる」

麦野「いきなり何よ」

垣根「どこにも行くあてが無くて廃棄処分されそうになっていたところをお前は拾ってくれた、お前のおかげで俺は家庭用冷蔵庫として第二の人生を歩み始める事ができたんだ」

麦野「……」

垣根「だから」

麦野「うん」

垣根「ありがとう」

麦野「……冷蔵庫に感謝されてもうれしくないわよ、ばか」

垣根「ははっ、ちげぇねぇ」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:43:05.96 ID:aPM0nz4K0
垣根「なんか湿っぽくなっちまったな、除湿するか?」

麦野「そんな機能もあるのね、どんな冷蔵庫よあんた」

垣根「家庭用冷蔵庫として生まれ変わった俺に従来の冷蔵庫の常識は通用しねぇ」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:45:51.79 ID:aPM0nz4K0
垣根「とりあえず、そうだな。何の話してたっけ、ああそうそう料理をつくるんだったな」

麦野「うん」

垣根「いきなり本番って訳にもいかねぇから練習で何か作ってみろよ」

麦野「そうだな、場数は大事だ」

垣根「初心者ならまぁ>>81でも作ってみたらいいんじゃねえか?」

麦野「>>81だな」

垣根「ああ、>>81なら比較的簡単にできるはずだ」

麦野「わかった」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:49:14.02 ID:ngPMaECDO
肉じゃが

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:51:45.33 ID:aPM0nz4K0
垣根「肉じゃがだな」

麦野「肉じゃがね」

垣根「おう」

麦野「ねぇ」

垣根「なんだ」

麦野「肉じゃがの肉って、何の肉使うの?」

垣根「さあ? 適当な肉ぶちこめば大丈夫だろ」

麦野「肉……冷蔵庫の中に何かあったかしら?」

垣根「ねぇな」

麦野「また買出しか」

垣根「まぁ>>85の肉買ってくれば大丈夫だ、行ってこい」

麦野「はいはい、わかったわかった」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:52:23.17 ID:bfRDozrk0
ひつじ

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:54:56.31 ID:aPM0nz4K0
上条「ああああ、どうしよう……この百万円、店長になんて説明すればいいんだよ……」

上条「明日の新聞の見出しに「不正な手法で金を得たアルバイト逮捕」とか出たらどうしよう……ああ……不幸だ……」

禁書「とうまとうまー!」

上条「っだあああああ、インデックス! 小萌先生の家に行くように言っただろっ?! ここに来ちゃだめなんだって」

禁書「小萌は留守だったよー?」

上条「なん……だと……」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 20:58:18.30 ID:aPM0nz4K0
禁書「そんあことより見て欲しいんだよとうま」

上条「ん?」

禁書「さっきそこの道で歩いてたからつれてきたんだよ」

上条「つれてきた……って、うわっ?! 獣くさっ?!」

禁書「私はね、迷える子羊を正しい道に導くシスターなんだよ?」

上条「だからって本物の羊つれてくるやつがあるかーーーーー!!! いますぐもと居た所にかえしてきなさいっ!!」

麦野「その羊、いくら?」

禁書「にひゃくまんえんなんだよ!」

麦野「カードでいいかしら?」

禁書「もちろんなんだよ!」



禁書「毎度おおきになんだよ!」

上条「……不幸だ……」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:00:28.13 ID:aPM0nz4K0
羊「メェェェェェエエエエ~~~」

垣根「おい麦野」

麦野「何かしら」

垣根「どうすんだオイ、本物の羊なんか持って帰ってきて」

麦野「あんたこれ捌ける?」

垣根「んなワケねぇだろ、そもそもこのサイズ冷蔵庫にはいらねぇだろ常識的に考えて」

麦野「そう、あんたにも常識があるのね、良かったわ」

垣根「たりめーだ」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:02:54.19 ID:aPM0nz4K0
羊「メェェェェェエエエエ~~~」

垣根「お? コラ! 俺のボディを舐めるんじゃねえ! くすぐってぇだろうが!」

羊「メェェェェェエエエエ~~~」

垣根「ひゃはははははっ?! おいこら!」

羊「メェェェェェエエエエ~~~」

麦野「あんた気に入ってもらったのね、よかったじゃない」

垣根「おいこら麦野たすけろ」

麦野「ふふっ、垣根クンひっつじ、ひっつじ、ひっつじ♪」

羊「メェェェェェエエエエ~~~」

垣根「羊てめぇやめろ! うははははははっ?!」

羊「メェェェェェエエエエ~~~」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:05:22.10 ID:aPM0nz4K0
垣根「やめっ……らめぇええええええええ、出ちゃうううううう、未元物質ちゃううううううううううううううううううう」

羊「メェェェェェエエエエ~~~」

麦野「はいはい、羊ちゃん。そこらへんにしときましょうね」

羊「メェ」

垣根「麦野てめぇ……冷蔵庫のスミに塩塗ったな……」

麦野「なんかの本で昔の人はそうやって拷問してたって聞いたからね」

垣根「お前、前世は鬼か悪魔か?」

麦野「さー?」

ピンポーン!

垣根「ん?」

麦野「誰かしら?」

ピンポーン!

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:06:44.60 ID:aPM0nz4K0
ピンポーン!

麦野「はいはい、今でますよ」

ガチャ

???「あの……」

麦野「?」

???「あの、すみません……」

麦野「誰かしら?」

???「すみません……わたし、メリーというものですが……」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:08:47.23 ID:aPM0nz4K0
麦野「メリー?」

メリー「はい、あの、ひょっとして羊がこの家に来てませんか?」

垣根「おう嬢ちゃん、その羊ってのはこいつの事か?」

羊「メェ」

メリー「メェちゃん!」

羊「メェ」

メリー「ああ、よかった、探したんだよ? ボクから離れちゃだめってあれだけ言ったじゃないか!」

羊「メェ……」

メリー「もう! ……無事でよかった……」

垣根「今まさにハラワタかっさばくとこだったんだがな……」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:12:11.23 ID:aPM0nz4K0
麦野「……という訳で、この子を貰ってきたのよ」

メリー「保護してくれたんですね、ありがとうございます、なんとお礼をいっていいのやら……」

垣根「いや、まさに今俺達はこいつをかっさばくとこだったんだが……」

メリー「大した事はできませんが……」

はらっ

垣根「お! おいおい! 何で服なんか脱いでんだよ!」

メリー「羊飼いは……昔から街ではこうやってお金を手に入れてきたんです……ボクは……その、はじめてだけど……」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:16:46.95 ID:aPM0nz4K0
垣根「何考えてんだお前! 馬鹿な事いってんじゃねえ!」

メリー「いいんです……メェがいないとボク……何もできないから……」

麦野「……」

メリー「おねえさん、ボク、たくさん、……気持ちよくさせます……から……、メリーを、かえしてください……」

麦野「そう」

メリー「……っ」

麦野「いいのね?」

メリー「はい……」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:18:29.39 ID:aPM0nz4K0
垣根「おい、麦野、やめろよ? こんな子供だ、やめさせろよ」

麦野「この子が自分から進んで言ってきた事よ」

垣根「だからってお前」

麦野「私は」

垣根「?」

麦野「この子くらいの時にはもう研究所に居たわ」

垣根「……そォかよ」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:19:46.74 ID:aPM0nz4K0
麦野「メリーちゃん?」

メリー「はい」

麦野「目、つむりなさい」

メリー「……はい」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:24:01.34 ID:aPM0nz4K0
ぎゅ

メリー「?」

麦野「……メリーちゃん、聞こえる? 心臓の音」

メリー「……え? えぇ……っと?」

麦野「……」

メリー「ううん、……聞こえない……です」

麦野「そう、聞こえないでしょう? 私の心臓はね、機械で動かしてるの。これも学園都市の技術の応用なんだけど、ナノマシンが代わりに血をめぐらせてくれているの、だから心臓は必要ないのよ」

メリー「……うん」

麦野「右目も左腕も、私のものじゃない。触ればわかる、つめたいでしょ?」

メリー「……つめたい、です」

麦野「ふふ、子供は正直ね」

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:29:12.65 ID:aPM0nz4K0
麦野「私はたくさん無くしたわ、仲間も、信頼も、居場所も……一度は全部失いかけた」

メリー「……」

麦野「そう、文字通り、全部ね。命までも」

メリー「そんな」

麦野「でも生きてる。仲間も居る、信頼も、すぐには戻らないけれど必ず取り戻してみせる、居場所もある」

麦野「もちろん死ぬほど謝ったし後悔した、でも死ねなかった……、生きてるとね、何が正解で何が間違いかわからないことって、本当にたくさんあるわ」

メリー「……」

麦野「メリーちゃん」

メリー「……はい」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:31:19.05 ID:aPM0nz4K0
麦野「あなたにはそうなって欲しくない、自分を売る必要なんてない、あなたには大事な友達がいるじゃない」

羊「メェ」

メリー「うぅ……」

麦野「こういうコトするのはね、汚れた大人だけで充分なのよ。そんな大人の真似する必要なんて、どこにもない」

羊「メェ!」

メリー「うぅ……ううう”……」

麦野「さあ、服をきなさい。このままだと風邪をひいてしまうわ」

メリー「おねぇちゃん……」

麦野「麦野沈利、私の名前だから覚えときなさい」

メリー「うん……うんっ、しずりちゃん!」

麦野「しずりちゃんだぁ?」

メリー「しずりちゃん!」

麦野「なんか……照れるわね」

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:33:40.01 ID:aPM0nz4K0
メリー「ありがとう! しずりちゃん! 冷蔵庫さん!」

羊「メェ!」

麦野「もうはぐれるんじゃないわよー」

メリー「お世話になりました! またどこかで!」

羊「メェェ~~」



垣根「行っちまったな」

麦野「そうね」

垣根「……お前、さっきの……」

麦野「ん? なんのことかな」

垣根「いや、なんでもねぇさ」

麦野「そう」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:37:15.69 ID:aPM0nz4K0
麦野「……ねぇ」

垣根「なんだよ」

麦野「あんたは、その、後悔とかある?」

垣根「ねぇよ」

麦野「キッパリ言ってくれるじゃない」

垣根「俺の生き方だ、誰にどう言われ様がかまいやしねぇ」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:42:42.37 ID:aPM0nz4K0
麦野「……」

垣根「お前、さっき研究所がどうとか言ってたな」

麦野「え?」

垣根「あのガキが居た時さ」

麦野「あ、あぁ……言ったかな」

垣根「どんなコトされてきたかは俺だったら容易に想像できるけどよ」

麦野「うん」

垣根「それがあってこそ今がある、今の麦野沈利が麦野沈利で居られる。今があるって事は次があるって事だ。後悔なんてしてる暇があったら前だけ見てろ。それが過去に対する礼儀ってモンだ」

垣根「時々立ち止まったり振り返るのは良いが、いつまでもウジウジと過去にとらわれたり過去に苦しめられる必要はねぇ。時間は絶対だ、過去は変えられねぇが未来は変えていける」

麦野「このメルヘン冷蔵庫」

垣根「心配するな、自覚はある」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:44:53.34 ID:aPM0nz4K0
麦野「もう辞めたんだ」

垣根「あん?」

麦野「ウジウジ考えるのは」

垣根「そーかよ」

麦野「フレンダの墓の前で、誓ったから」

垣根「はん、だったら恥かかさねぇようにがんばる事だな」

麦野「あんたもね」

垣根「俺はいつでも俺だ」

麦野「ふふん?」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:46:51.94 ID:aPM0nz4K0
垣根「ところで結局肉じゃがはつくってねーけど、いいのか?」

麦野「……」

垣根「おい麦野?」

麦野「し……しまった、あの羊だけでも肉塊に変えとくべきだった!」

垣根「今後悔しねぇって話してたばっかじゃねえか!」

麦野「メリーちゃん、まちなさい!」

垣根「ああもう……ったく、世話のかかる家主だぜ」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:49:30.53 ID:aPM0nz4K0
垣根「こんな事もあろうかと下ごしらえはしておいた」

麦野「……あんた、料理もできたの?」

垣根「俺の未元物質に常識は通用しねぇ、後はもう少し煮てこの未元物質スパイスをふりかけるだけで完成だ」

麦野「垣根……あんた」

垣根「21世紀の男は料理もできねぇとな」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:51:48.99 ID:aPM0nz4K0
麦野「できた!」

垣根「おお、やったじゃねえか、99%やったの俺だけど」

麦野「あとはこの未元物質スパイスを……」

パサパサ

垣根「これで完成だな!」

麦野「ふふん、結構簡単じゃない? 味はどうかしら」

垣根「うめぇに決まってんだろ、俺が作ったんだぞ」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:54:04.22 ID:aPM0nz4K0
麦野「いただきまーす」

もぐもぐ

麦野「お?」

垣根「どうだ」

麦野「……おお?」

垣根「クソうめぇだろ」

麦野「……ん?」

麦野「…………」

麦野「……………………」

麦野「…………………………………………」

垣根「ははっ、うますぎて言葉もでねぇか」

麦野「クソまずい……」

垣根「……」

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:56:58.04 ID:aPM0nz4K0
垣根「なんでだ! ちゃんとレシピどおりに作ったぞ! お前の舌がどうかしてんじゃねえか!」

麦野「だったらあんたも食ってみなさいよ!」

垣根「上等だ! 野菜庫にぶちこんでみろクソ野郎!」

麦野「ほらよ!! 味わえてめぇのそのちっぽけな×××で!!」

ドガッ!

垣根「……」

麦野「ほら、マズイでしょうが」

垣根「……、なぜだ」

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 21:59:25.51 ID:aPM0nz4K0
麦野「レシピに問題はない」

垣根「煮込む時間にも問題はない」

麦野「だったら」

垣根「一体どこに原因が……」

麦野「最後のスパイスだろどう考えても」

垣根「はぁっ?! なんでだよ!! あれがなきゃ俺の肉じゃがは完成しねぇんだ!」

麦野「どう考えてもそれしかないじゃない、あんなもん豚のメシ以下よ!」

垣根「だったら豚はさぞかし良いメシを食ってるんだろぉなぁ!」

麦野「なんだと?」

垣根「なんだよ!」

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:01:04.14 ID:aPM0nz4K0
そんな一触即発の二人の元に

>>135が颯爽と登場したのであった。

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:05:57.19 ID:i3CgcJ7e0
上条さん

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:07:56.96 ID:aPM0nz4K0
ぱくっ

上条「ん? なんだこの肉じゃが、結構美味しいぞ」

もぐもぐ

上条「うん、うまい」

もぐもぐ

上条「はぁ~、バイトあがりに最高のご飯だったぜ、サンキュー」

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:09:29.67 ID:aPM0nz4K0
麦野「あら、おかえり」

垣根「おう、上条」

上条「おまえらまたケンカですか? 居候なのに家主より我が物顔で居座ってるってどうなんでせうか」

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:11:48.83 ID:aPM0nz4K0
麦野「それよりかーみじょう、さっきお店他人のふりしたわよね、一体どういう事かしら」

上条「だってアルバイト中だったし」

麦野「ふーん、まぁいいわ。それよりこの肉じゃが……」

上条「ああ、おいしかったぞ。麦野が作ったのか?」

垣根「俺の肉じゃがだ、仕上やったのはこいつだけどな」

上条「へぇ、仲良く一緒に料理してたのか」

垣根・麦野「誰がこんなやつなんかと!」

上条「はは、息ぴったりだな二人とも」

垣根「……ケっ」

麦野「……ちっ」

140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:13:27.94 ID:aPM0nz4K0
垣根「それより上条」

上条「ん?」

垣根「この肉じゃがなんだが……」

上条「ああ、うまかった」

垣根「……お箸、右手でもってたよな?」

上条「上条さんは右利きですからね、お箸も同然右でもちますよ。それが何か?」

麦野「ってことは結論でたわね」

垣根「幻想殺し……」

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:15:39.97 ID:aPM0nz4K0
麦野「このスパイスは封印ね」

垣根「ドチクショウ……」

麦野「当然じゃない、どんな料理も一発でマズくなる魔法のスパイスよこれ、こんな素敵なスパイスは原子崩しで……」

キュイィィィィン

ドッ

垣根「おい?! 何も分子レベルでコナゴナにする事ぁねぇだろ!」

142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:19:38.67 ID:aPM0nz4K0
麦野「あら? 冷蔵庫の分際でこの麦野さまに何か意見でも?」

上条「どうでもいいけど二人とも」

垣根「あぁ?! なんだよ上条、今それどころじゃねぇんだ! 後にしろ!」

上条「なぜかあちこちに羊の毛が散乱してるんですが……掃除……しないと……」


麦野「なんだとこの冷蔵庫! 今何っつった!」

垣根「やかましいこのヒステリー女が!」

麦野「……オーケイオーケイ、今決めた、てめぇはスクラップ決定だこのクソ冷蔵庫」

垣根「は? やってみろよ第四位。俺はてめぇより序列が上なんだぜ?」

麦野「吼えてろクソ冷蔵庫」


上条「……たのむから戦争なら部屋の外でやってくれませんか二人とも……」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:22:48.77 ID:aPM0nz4K0
麦野「なんで私だけ部屋を追い出されなきゃいけないんだ」

麦野「ったく上条のヤツも後で教育してやらねぇとな……」

麦野「はぁ」

麦野「なんか、からまわってばっかりだなぁ……」

麦野「どうしよう、何もすることなくなっちゃった」

麦野「>>147でもやって時間つぶすか」

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:27:39.52 ID:xWiOlTufP
太極拳

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:30:25.99 ID:aPM0nz4K0
麦野「太極拳でもやって時間つぶすか」

麦野「ヨガみたいな感じでダイエットにも効きそうだし」

麦野「一時期ブームになってたわよね」

麦野「でも、太極拳なんてどうやってやればいいのかしら」

麦野「うーん、誰かに教えてもらわないと」

麦野「よし、あの人に教えてもらいましょう」

>>153

153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:37:22.78 ID:/gkWPd7a0
フレンダ

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:39:57.75 ID:aPM0nz4K0
フレンダの墓がある学区

麦野「……あら、歩いてたらこんなとこに来ちゃった」

158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:40:58.76 ID:aPM0nz4K0
麦野「……」

麦野「いつ来ても、味気ないところね」

麦野「……」

麦野「まるで、時間が止まってるみたい」

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:42:13.46 ID:aPM0nz4K0
麦野「……」

麦野「時間が、止まる……か」

『過去に縛られる必要はねぇ』

麦野「……わかってる、うん。わかってる」

161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:43:24.91 ID:aPM0nz4K0
麦野「そんなの、わかってる」

麦野「フレンダ」

麦野「あんた、格闘技が得意だったわよね。そういえば」

麦野「結構、アンタの事信頼してたんだよ、私は」

麦野「けど……」

162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:44:35.79 ID:aPM0nz4K0
ドサッ

「きゃあっ」

麦野「っとと、ごめんなさい。前みてなくて。大丈夫?」

「大体だじょうぶ、にゃあ」

163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:45:17.11 ID:aPM0nz4K0
「だじょうぶ、だいじょうぶ」

麦野「そう、よかっ──」

「お姉さんも、大丈夫?」

麦野「──っ」

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:46:20.69 ID:aPM0nz4K0
麦野「フレンダ?」

「?」

麦野「あんた、フレンダなの?」

「いた、痛いよ」

麦野「ご、ごめんなさい」

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:48:03.14 ID:aPM0nz4K0
「フレンダは私のお姉ちゃんだけど?」

麦野「姉って……あなたは」

「私はフレメア、にゃあ」

麦野「フレメア……妹?」

「お姉ちゃんの知り合い?」

麦野「え? えぇ、そんな感じかな……」

167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:50:10.50 ID:aPM0nz4K0
麦野「ここで何を」

フレメア「半蔵のお兄ちゃんとかくれんぼしてたんだけど。大体気がついたらここに来てたの、半蔵のお兄ちゃん知ってる?」

麦野「半蔵?」

フレメア「うん」

麦野「ごめんなさい、知らない名前だわ」

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 22:51:30.42 ID:aPM0nz4K0
フレメア「そっか、じゃあ私行くね」

麦野「え」

フレメア「?」

麦野「どこに行くの?」

フレメア「どこって……半蔵のお兄ちゃんのお家だよ?」

麦野「一人で大丈夫?」

フレメア「うん’今はもう大丈夫’」

麦野「……そう」

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:33:08.39 ID:aPM0nz4K0
────────

────

──


麦野「……そう」

麦野「あの子が、アンタが組織を売ってまで守りたかったもの……」

麦野「フレンダ」

麦野「結局、それがあんたの答えだったって訳ね」

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:34:38.57 ID:aPM0nz4K0
麦野「……私は……」

垣根「おう、こんなトコに居たのか」

麦野「……何よ冷蔵庫」

垣根「便利だろ、車輪付いてるから走行も自由だ」

176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:35:36.45 ID:aPM0nz4K0
麦野「事情知らない人が見たら恐怖の冷蔵庫よ」

垣根「オイオイ、ここは学園都市だぜ? 冷蔵庫ひとつ動いてても誰も気にしねぇよ」

177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:37:27.81 ID:aPM0nz4K0
麦野「で、こんなトコまで何しに来たわけ? さっきの続きでもしようっての?」

垣根「おう……その事なんだけどよ……」

麦野「?」

垣根「か、上条のやつにこっぴどく言われちまってな。お、お前に謝るまで帰ってくるなって言われてさ」

麦野「ふぅん」

垣根「わ、悪かったよ……すまんな」

麦野「ま、別に。最初から私は何も気にしてなかったケドね」

垣根「そぉかよ」

178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:38:44.08 ID:aPM0nz4K0
麦野「特別に許してあげる、特別だからね?」

垣根「おぉ……さんきゅ」

麦野「……」

垣根「……」

麦野「……」

垣根「……なぁ」

麦野「……うん?」

垣根「さっきのガキ、あいつに似てたな」

麦野「……うん」

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:40:21.97 ID:aPM0nz4K0
垣根「なぁお前さ」

麦野「私は」

垣根「っ」

麦野「背負っていく」

垣根「……」

麦野「無かった事になんて……できないから」

垣根「……ま、それもアリなんじゃねーか」

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:42:13.10 ID:aPM0nz4K0
麦野「あんたも一緒よ」

垣根「俺も?」

麦野「うん」

垣根「俺は違う、背負ったりはしない」

麦野「そうかしら」

垣根「俺の場合はだな……そうだ、こういうのはどうだ?」

麦野「?」

182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:44:06.88 ID:aPM0nz4K0
垣根「俺は、守る」

麦野「は?」

垣根「だから、守る」

麦野「何を」

垣根「お前を守るさ、この未元物質でな」

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:45:31.42 ID:aPM0nz4K0
垣根「今までは学園都市をどうやってぶっつぶそうとしか考えてこなかったが、これからは違う」

垣根「力の使い方ってのを俺なりに考えてみたんだ」

垣根「でも、そんなもん俺にはわからなかった」

垣根「答えがでない日々が続いた」

垣根「そんなとき、俺はお前に拾われた」

垣根「俺の力に、意味を与えてくれたんだ」

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/11(月) 23:47:50.01 ID:aPM0nz4K0
麦野「私は別に、何もしてないただの気まぐれで冷蔵庫を拾っただけだ」

垣根「だとしてもだ!」

麦野「……っ」

垣根「俺はお前が! お前を! お前だから! まもりてぇって思うんだよ! この手でな!」

垣根「良いかよく聞け麦野沈利、耳だけじゃ足りねぇから体全部つかって聞きやがれ」

垣根「一度だ」

垣根「一度キリしかいわねぇ」

垣根「俺は」

垣根「俺はお前の事が好きだ」

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:00:37.90 ID:lNoPsFg00
垣根「麦野沈利!」

垣根「俺はお前を、守る!」

垣根「どうあっても、……お前が好きだ」

垣根「好きだ」

垣根「お前の事が、好きなんだよ」

垣根「だから守りたいって思うけど」

垣根「俺はこんな体だし、お前を不自由させっかもしれねぇ」

垣根「けど、お前の事を、お前の力になってやりてぇ」

垣根「お前の欲しいと思ったもんはあげてぇ」

垣根「お前が成りたいって思ったもんに成らしてやりてぇ」

垣根「お前が困ってたら力を貸してやりてぇ」

垣根「お前が寂しそうにしてたら話しかけてやりてぇ」

垣根「そんな風に、そんな風に思ってしまうんだよ!」

垣根「この気持ちがなんなのか、どっからくるのかはわかんねぇ。だけど、この気持ちは全部お前に向かってんだ!」

191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:03:41.56 ID:lNoPsFg00
……

…………

……………………

麦野「垣根」

垣根「なんだよ」

麦野「このクソメルヘン野郎」

垣根「うるせぇ」

麦野「……ありがと」

垣根「泣くなら使え、ほら、ハンカチ」

麦野「……うん」

垣根「涙は他人に見せるもんじゃねぇ、けど」

麦野「……うん」

垣根「俺の前だけなら許す、今は泣けよ」

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:06:15.81 ID:lNoPsFg00
◇ ◇ ◇ ◇


垣根・麦野「ただいま」

上条「おう、おかえり」

禁書「食料庫が帰ってきた!」

垣根「冷蔵庫だって何度もいってんだろこのクソシスターが!」

禁書「持ち主に暴言を吐くなんてひどい食料庫なんだよ」

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:11:52.17 ID:lNoPsFg00
上条「仲直りしたみたいだな」

垣根「おう」

麦野「……うん」

上条「イチャイチャするなら家の外でお願いしますよ二人とも」ニヤニヤ

垣根「……うるせぇよ、ばか」

麦野「ふふん? 上条は私がこいつと×××してるとこ想像してオナニーしちゃうのかにゃーん?」

上条「するか!」

禁書「おなかすいたんだよ~」

垣根「待ってろクソシスター、今肉じゃが作ってやるから」

禁書「わーい」

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:13:16.26 ID:lNoPsFg00
上条「ところで、さっき垣根にお客さんがきてたんだが」

垣根「あん? 俺?」

上条「ああ、なんか大事な用事があるから後で電話してくるようにって、メモ渡された」

垣根「誰だぁ?」

上条「さぁ?」

垣根「この番号は……ひょっとして>>202か?」

203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:22:33.88 ID:lNoPsFg00
Prrrrrrrrrrrr......

『もしもし?』

垣根「誰だお前」

『お前は俺の事知ってる筈だ』

垣根「さぁ、俺に恨みをもってる人間は五万といるからな」

『だったらそのうちの1人とでも言っておく』

垣根「……」

『浜面仕上だ』

垣根「浜面? 知らねぇ名前だ」

『お前はそうでも、俺はお前の事をよく知っている』

垣根「私怨か」

『そうだな』

垣根「辞めとけ、お前がどんな能力をもっていようが俺は学園都市レベル5の第二位、お前が適う相手じゃない」

『知ってるぜ……。お前が今、その力をフルに発揮できない体になっている事は』

204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:28:49.59 ID:lNoPsFg00
垣根「だったら何だって言うんだよ、俺の力が下がった所でお前の力が上がるわけじゃねえだろ」

『否定しないんだな』

垣根「たりめーだろ、お前の存在なんて俺にとっちゃ取るにタラねェもんだ。こちとら命狙われる事には慣れてんだ、んなもんにイチイチびびってたら夜も眠れねぇ」

『俺は考えたんだ』

垣根「あん?」

『お前を殺す方法を』

垣根「へぇ、聞かせてくれよ。採点してやるから」

『お前を殺す方法……簡単だ、お前の大切なものから奪って……ジワジワと殺してやる』

垣根「……」

『採点の結果は何点だよ、垣根先生よォ?』

垣根「いいねぇ……、最高だ。だがダメだ……てめぇは落第だよ、新学期には一人で下の学年の教室に居てもらう」

『落ちるのはテメーだ、垣根帝督』

垣根「あいつに手を出したその時がてめぇの短い人生の終わりだと思え」

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:32:19.10 ID:lNoPsFg00
『ククク……せいぜいぐっすり眠ればいいさ』

垣根「言われなくても眠ってやるさ、お前を殺した後でな」

────────

────

──

麦野「どうしたの帝督」

垣根「沈利」

麦野「?」

垣根「一緒に寝るぞ」

バガン!

垣根「……いっ……てぇぇぇぇ?!」

麦野「な……! な……! な……なに言ってんのよあんた! わかってんの?! 私たちまだつき、つき、……つき、あ、付き合って、その、まだ……」

垣根「はぁぁぁあああ?! ばっかやろう! そんなんじゃねぇよ!」

麦野「そんなんじゃないとはどういう事よ! お、お、女の子にとってはね! 一生で一番大事な問題なんだからっ!」

207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/12(火) 00:36:42.50 ID:lNoPsFg00
垣根「……納得いかん……なぜ俺が風呂場で眠らなきゃいけねぇんだ……」

上条「かーーーきーーーねーーーー、ただでさえ狭いんだからカンベンしてくれよ……」

垣根「すまんな」

上条「……で」

垣根「あん?」

上条「麦野のどこに惚れたの?」

垣根「聞きたいか?」

上条「いや、聞いてくれって顔してたから」

垣根「全部だ」

上条「寝るわ」

垣根「まてまて、まずあいつのどこがいいのか一からお前に教えてやろう」

上条「その話、ながくなる?」

垣根「心配するな、長編映画1本分くらいの長さに抑える」

上条「……不幸だ」

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:14:25.85 ID:KD37wins0
上条「おはよ」

垣根「おはよ」

禁書「おはよう」

麦野「おはよー」

上条「インデックス、醤油とって」

禁書「はい」

麦野「私も」

上条「ほい」

麦野「ありがと」

垣根「今日も晴れるらしいぞ」

上条「へぇ」

272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:17:31.14 ID:KD37wins0
上条「じゃあ傘はいらないな」

垣根「そうかも」

麦野「どこか出かけるの?」

上条「上条さんは学校です」

麦野「そーかそーか、頑張れ学生」

垣根「留守はしっかり守らせてもらう」

上条「ていうか二人とも学校いかなくていいんですかと心配してみるんですよ上条さんは」

麦野「今更行った所でAIM拡散力場の応用……なんてコトは習うまでもないぞ」

垣根「こうみえて超能力者だからな」

273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:21:09.08 ID:KD37wins0
上条「そうかよ、上条さんは日曜日も補修が入っているというのに……はぁ、不幸だ」

麦野「上条の補修うんぬんと私達とは関係なくないか?」

垣根「そうだそうだ、それにこの前宿題手伝ってやっただろ」

上条「その宿題が間違いだらけだったおかげでの補修なんですが」

垣根「~♪」

上条「おいこら垣根さん、知らないフリをしないでください」

垣根「俺の学力をペーパーで測る事はできねぇんだよ」

上条「本当の学力とは何か議論してやろうかコラ」

麦野「はいはい、朝からケンカしない」

274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:23:53.80 ID:KD37wins0
禁書「ねぇ麦野」

麦野「何かしら、インデックス」

禁書「麦野は学校にはいかないの?」

麦野「さぁ、書類ではどこかに所属してるはずだけど、一度も通った事もないわ。担任の顔すら知らないし」

禁書「でも学生なんだよね?」

麦野「そうね」

禁書「いいなぁ」

麦野「そうか?」

禁書「私は学生じゃないから、学校に行ったらとうまに怒られるんだよ」

275: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:28:07.60 ID:KD37wins0
麦野「はん、そりゃそうだ。お前みたいに手のかかる──」

禁書「むー」

麦野「っとと、ごめんごめん。そう膨れるなって」

禁書「嫌いなんだよ麦野っ」

麦野「あーはいはい」

禁書「とうま! 麦野がいじわるするんだよ! 麦野は口が悪いんだよ! なおしたほうがいいかも!」

麦野「おう上等だ暴飲暴食シスター」

禁書「きー! 事実を並べるなんて卑怯なんだよ!」

上条「お前ら……朝メシくらい平和に食べられないんですか?」

垣根「おい上条、そろそろ出る時間じゃねえか?」

上条「お? やべっ、遅刻だっ! いってきまーす!」

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:30:42.19 ID:KD37wins0
垣根「忘れモンは?」

上条「ねーよ」

垣根「体操服は持ったか?」

上条「あ」

垣根「言ってるそばから忘れてんじゃねえか。ほれ、洗っておいたから持っていけ」

上条「いつもすまねぇな垣根」

垣根「家事は俺の領域だ」

上条「じゃあ行ってくる」

垣根「いってらっしゃい」

277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:32:14.05 ID:KD37wins0
垣根「ほらインデックスも麦野も、いつまでも食ってないでさっさと片付けろ、掃除ができねぇ」

麦野「あんたってさ」

垣根「あん?」

麦野「どこぞの小姑よね」

垣根「心配するな、自覚はある」

麦野「……そう」

禁書「朝ごはんおかわりなんだよ!」

垣根「もうねぇよ!」

278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:34:12.86 ID:KD37wins0
垣根「ああそうだ麦野」

麦野「うん?」

垣根「お前、今日どっかでかける予定はあるか?」

麦野「へっ?!」

垣根「だから、予定はあるかって聞いてんだよ」

麦野「い、いや……別にないけど……あ、でも……デートなら……その……」

垣根「そうか、お前今日は家から出るんじゃねぇぞ、一歩もな」

麦野「へ?」

280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:37:24.14 ID:KD37wins0
垣根「インデックスは?」

禁書「うーん、特に予定はないよ?」

垣根「だったらお前も家に居ろ、一歩も出歩くんじゃねえぞ」

禁書「なんで?」

垣根「なんでもだ」

禁書「ヘンなんだよ垣根、何か理由があるの?」

垣根「今日は俺様がとびきりうめぇ昼飯と晩飯を作ってやる、できたてを食わしてやりてぇから家に居ろ、わかったな?」

禁書「ごはんっ?!」

垣根「ああ、隣の国のシェフも腰を抜かすくらいにうめぇもん作ってやるから覚悟して待ってろ」

禁書「わかったんだよっ!」

282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 00:39:05.95 ID:KD37wins0
麦野「垣根」

垣根「あぁ? なんだよ」

麦野「あんたさ、……何か私に言う事あるんじゃない?」

垣根「ああ、愛してる」

285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:00:26.73 ID:KD37wins0
麦野「そういう事じゃなくて!」

垣根「だったらどう言えばわかってくれる?」

麦野「……もう、いいわよ」

垣根「ダンスを踊りませんかお姫様」

麦野「冷蔵庫のくせに、そんなんじゃタンゴも踊れないでしょ!」

バタン!

垣根「おーおー、手厳しいねぇ」

禁書「麦野、部屋に篭っちゃった。でもなんだか怒ってたんだよ?」

垣根「インデックス」

禁書「なに?」

垣根「あいつの傍に居てやってくれ、たのむ」

禁書「うん、いいけど」

垣根「任せたぞ」

286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:01:24.61 ID:KD37wins0
禁書「垣根」

垣根「あん?」

禁書「垣根……行っちゃダメ」

垣根「おいおい、俺はどこにもいかねーぞ?」

禁書「ダメ……ダメなんだよ、垣根。とうまがいつもふらっとどっか行っちゃう時の目をしてるんだよ」

垣根「気のせいだ、それに俺には目なんかついちゃいねぇだろインデックス」

禁書「ううん、違う。気のせいなんかじゃない。垣根と暮らしてわかったんだよ、そうやってはぐらかしてる時の垣根はウソついてるんだよ」

垣根「俺がウソをついてるって?」

禁書「うん」

垣根「おいおい、勘弁してくれよ。ここはいつから懺悔室になったんだ?」

禁書「茶化さないで」

垣根「……」

禁書「垣根、私の目を見て」

垣根「あんだよ」

禁書「垣根は、垣根しかできない事をやりにいくんだね?」

287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:02:43.22 ID:KD37wins0
垣根「……あぁ」

禁書「それは麦野に関係する事なのかな」

垣根「関係は、ある……かな」

禁書「そう」

垣根「……誓ったんだよ、俺は」

禁書「何を?」

垣根「あいつを守る、ってな。だから俺は行かなきゃならない」

禁書「だったら麦野にちゃんと言っていかなきゃダメだよ」

垣根「あいつは何も知らないでいいんだ、汚れるのは俺だけでいい」

禁書「でも」

垣根「いいんだ」

禁書「かきね……」

垣根「あいつには光の下が一番似合う、俺はあいつの影だ。別に悪い意味じゃねえぞ? 光があれば影はできる、表裏一体みたいなモンだからな」

禁書「それでも私は止めるよ、行かないで垣根」

288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:04:16.55 ID:KD37wins0
垣根「インデックス」

禁書「何かな」

垣根「俺は’昼飯の買出し’にいかなきゃならねぇ、そこを通してくれ」

禁書「垣根なら冷蔵庫の中の残りでも最高の料理を作ってくれるんだよ」

垣根「生憎、昨日肉じゃがを作りすぎちまったみたいでな。もう在庫が残ってねぇんだ。そこを通してくれインデックス」

禁書「だめ、行かないで」

垣根「行かないとお前が飢え死にしちまう」

禁書「垣根が傷つくより何倍もマシなんだよ」

垣根「ははっ、俺が傷つく? なんの話だ、食材が痛むならわかるが俺は傷つかねぇよ。学園都市自慢の科学技術が施された特製の金属ボディだ、軽量かつ錆びない」

禁書「おねがい」

垣根「きけねぇな」

禁書「嫌なんだよ、もうだれにも消えて欲しくないんだよ」

垣根「俺を信じろ」

禁書「……うぅ」

垣根「大丈夫だ」

289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:07:08.68 ID:KD37wins0
垣根「大丈夫だ」

禁書「……だったら、約束して」

垣根「ん?」

禁書「晩御飯までに帰ってくるって」

垣根「おう、ハラすかせて待ってろ」

禁書「……フルコースを期待してるんだよ!」

垣根「任せろよ、この垣根帝督がその仕事、請け負ってやる」

290: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:08:21.05 ID:KD37wins0
垣根「それじゃ、行ってくる」

禁書「うん」

垣根「麦野には」

禁書「内緒だね」

垣根「ああ、頼むな」

禁書「わかったんだよ!」





麦野「バカていとく……、……全部聞こえてんのよ」




292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:10:48.18 ID:KD37wins0
垣根「さて……」

垣根「ミッションはこうだ」

垣根「浜面仕上を見つけてぶち殺す」

垣根「ストーリーは単純明快」

垣根「さて……どんな方法でぶち殺すか」

垣根「やっぱ>>294か」

294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:16:11.62 ID:i6c3WcU30
爆破

296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:18:58.46 ID:KD37wins0
垣根「爆破……か」

垣根「そりゃいい、コナゴナにして跡形のこさねぇように消してやる」

垣根「もう二度と逆らえないようにな」

垣根「しかし俺は火薬をもってねぇ」

垣根「誰かからわけてもらわねぇと」

垣根「誰かもってたか……」

垣根「>>300ならもってるかもしれねぇ」

垣根「行ってみるか」

300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 01:52:11.75 ID:2gL7FE540
子萌

302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:20:59.35 ID:KD37wins0
垣根「子萌か……たしか上条の学校の先生だったな」

垣根「家庭訪問の時に一度会ったことがあったな、小さい人だった」

垣根「一体本当の年齢はいくつなんだろうか」

垣根「【ピーーーー】才くらいかな」

304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:22:28.88 ID:KD37wins0
垣根「まぁ善は急げだ、行ってみよう」

キーンコーンカーンコーン

垣根「上条」

上条「垣根っ?!」

土御門「にゃー、なんですたいこの冷蔵庫は」

青ピ「声が聞こえたけどどうなってるんこの冷蔵庫、一人で動いてきたん?」

上条「ちょ、ちょっとこい垣根、ここじゃマズイ」

垣根「おう」

305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:25:44.59 ID:KD37wins0
上条「ったく、なんだってお前は……」

垣根「上条、頼みがある」

上条「なんだよ」

垣根「俺は子萌に用があるんだがどこに居るか知ってるか?」

上条「子萌? 小萌先生の事か?」

垣根「ああ」

上条「それだったらさっき黄泉川先生とどこかへ行ったような……」

垣根「どこだ?」

上条「たしか体育館に向かってたな」

垣根「体育館だな、わかったサンキュ」

上条「い? おい、ちょっとまて!」

垣根「なんだよ」

上条「お前、小萌先生に何の用だよ」

垣根「シンデレラの魔法をかけてもらいに来た」

306: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:30:13.53 ID:KD37wins0
上条「はぁ?」

垣根「カボチャの馬車を借りに来たんだよ」

上条「相変わらずお前は何を言ってるのかわかんねーな」

垣根「そうでもないさ」

上条「まぁ、あんま迷惑かけんなよ」

垣根「お前に言われたかないね」

上条「垣根」

垣根「なんだよ」

上条「お前’昼飯は作らなくていいのかよ’」

垣根「ああ’大食いシスターが夜までには帰れとよ’」

上条「お前」

垣根「おっと、深入りは無用だ」

上条「上条さんは家主として心配してるんですよ」

垣根「俺は’メシの買出しに来ただけだ’」

307: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:32:18.22 ID:KD37wins0
上条「……何を買うんだ」

垣根「さぁ’適当に買うさ、適当にな’」

上条「……」

垣根「家主に迷惑はかけねぇよ」

上条「お前、また」

垣根「それじゃあな上条」

上条「おい! 垣根」

垣根「世話になった」

308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:35:32.34 ID:KD37wins0
小萌「ふんふふん♪ ふんふふん♪ 上条ちゃんの補習……こんな感じでどうでしょう?」

黄泉川「まぁた上条は補習じゃん?」

小萌「そうなのですよ、破壊的にバカですからね上条ちゃんは」

黄泉川「手のかかる生徒を持つと大変ですな小萌センセ?」

小萌「そうでもないのです、生徒さんは皆平等に金の卵。上条ちゃんもきっと期待にこたえてくれるのですよ」

黄泉川「そうだといいじゃん」

小萌「さて、体育館の定期点検も終わったし戻りましょうか黄泉川先生」

黄泉川「そうだな」

309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:38:40.03 ID:KD37wins0
垣根「……」

どーん

黄泉川「うわっ! びっくりした……って、なんでこんなトコに冷蔵庫が?」

垣根「……」

小萌「あれ? この冷蔵庫は……? ひょっとして垣根ちゃんですか」

垣根「おう、小萌先生。久しぶり」

黄泉川「小萌先生の知り合いじゃん?」

小萌「ほら、上条ちゃんの家の冷蔵庫さんですよ」

黄泉川「ああ、上条の」

小萌「そうそう、上条ちゃんの」

黄泉川「……その冷蔵庫が、なんでこんなとこに居るじゃん……」

垣根「おかしいか?」

黄泉川「どう考えてもおかしい! って、突っ込んだら負けな気がするから辞めとくじゃんよ……」

310: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:42:57.24 ID:KD37wins0
垣根「実は折り入って頼みたい事があってな」

小萌「頼みたい事?」

垣根「ああ、小萌先生にしか頼れないんだ」

小萌「ふむ、何でしょうか?」

垣根「火薬をゆずってくれないか?」

黄泉川「おいおい、平和的な話じゃないじゃんよ、火薬なんて手に入れてどうするつもりだ?」

垣根「それは……」

黄泉川「垣根とか言ったな」

垣根「ああ」

黄泉川「警備員として警告する、お前、不穏な動きをしたら即刻ブタ箱に送ってやるじゃん」

垣根「俺は別に……花火を作りたいだけだ」

黄泉川「花火?」

垣根「ああ、そろそろ大覇星祭だろ?」

小萌「たしかにもうそろそろですね」

311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:46:30.04 ID:KD37wins0
垣根「俺と上条でみんなには内緒で作る事にしたんだ、どでかい花火を打ち上げて皆を驚かせたい」

黄泉川「……そう、花火ねぇ」

垣根「ああ」

小萌「ロマンチックですねぇ、垣根ちゃんらしい発想です」

垣根「だろ?」

小萌「よしわかりました、火薬はなんとかするですよ」

垣根「本当か?」

小萌「放課後までに用意しときますから後で取りにくるのです」

垣根「恩に着るぜ、先生」

黄泉川「お、おい? 小萌先生、いいのか? そんな簡単に火薬なんて」

小萌「大丈夫ですよ、火はたしかに危ないですけれど。使い方さえ間違えなければ人を笑顔にできるのです、あの人みたいに」

312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 02:48:55.90 ID:KD37wins0
────────
────
──


垣根「よし、なんだかんだ火薬を手に入れた」

垣根「小萌先生には悪いが……」

垣根「この火薬、存分に使わせてもらおう」

垣根「あのクソ野郎をぶち殺す為にな」

314: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 03:08:33.62 ID:KD37wins0
Side 浜面


Prrrrrrrrrr......

滝壺「はい、もしもし?」

『……浜面仕上の携帯にかけたつもりなんだが』

滝壺「はまづらはいまトイレ中だよ」

『そうか、では掛け直す事にしよう』

滝壺「あ、出てきた。はまづら、はまづらに電話だよ」

浜面「あ? 俺に電話?」

滝壺「うん」

浜面「だれから?」

滝壺「さぁ?」

浜面「……?」

滝壺「とにかく出て」

浜面「あ、あぁ。わかった。もしもし?」

315: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 03:13:39.80 ID:KD37wins0
『浜面仕上だな』

浜面「そうだけど、どちらさん?」

『……すぐにわかる』

浜面「どういう事だ」

『俺はお前を殺す』

浜面「おい?」

『俺の名前は垣根、垣根帝督だ』

浜面「垣根だとっ?! 第二位が無能力者に、なぜ……?」

『理由? 理由などない、ただ殺す。それだけだ』

浜面「……」

『さっきの女、良い声で泣くんだろうな』

浜面「てめぇ……滝壺に手を出してみろ。その顔、誰かわからなくなるくらいぶん殴ってやるから覚悟しろよ」

『おいおい、俺に適うとでも思ってんのか無能力者よぉ?』

浜面「上等だ、超能力者」

316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 03:16:11.18 ID:KD37wins0
滝壺「はまづら……」

浜面「滝壺、俺から離れるな。絶対に」

滝壺「はまづら、どうしたの? 何の電話だったの?」

浜面「いつだったか、対峙しただろ。垣根だ」

滝壺「垣根?」

浜面「あの日、お前が俺を守ろうとしてくれた日だ」

滝壺「……はまづら」

浜面「うん?」

滝壺「私、体晶を──」

浜面「ばっかやろう! そんなもん使うな!」

滝壺「でも」

浜面「お前は俺が、俺が守ってみせる」

滝壺「はまづら……」

浜面「だから、安心して守られてりゃいいんだ。な?」

滝壺「うん……わかった」

317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 03:18:49.58 ID:KD37wins0


浜面「垣根帝督」



垣根「浜面仕上」



浜面・垣根「ぶち殺してやる……」



滝壺「はまづら……」


麦野「……ていとく」

318: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 03:20:34.87 ID:KD37wins0
「ククク……」

「邪魔者二人、うまくいけば四人」

「これで一度に片付けられる……」

337: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 15:41:06.35 ID:KD37wins0
ザッ

垣根「……」

浜面「……」

垣根「……」

浜面「……」

垣根「……」

浜面「……」

垣根「……」

浜面「……」

垣根「……」

浜面「……」

垣根「よォ」

浜面「その声……垣根だな」

垣根「あぁ」

浜面「どこに居る! 出てきやがれ!」

338: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 15:43:01.73 ID:KD37wins0
垣根「どこを見てる」

浜面「っ?! どこだ!」

垣根「お前の目の前だ」

どーん

浜面「目の前……だと? クソッ! 何の能力だ、空き地に冷蔵庫しか見えねぇ……」

垣根「……」

浜面「クソッ! どこに行きやがった垣根帝督!」

339: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 15:46:37.26 ID:KD37wins0
垣根「俺はココだ、ここに居る」

浜面「……まさか、この中に……?」

垣根「中じゃねぇ、本体そのものだ」

浜面「なっ?!」

垣根「よく俺の居場所がわかったな」

浜面「……てめぇから連絡寄越したクセによ」

垣根「あん?」

浜面「そんな事はどうでもいい、俺はお前を殺しにきたんだ」

垣根「俺も簡単に殺されるつもりはない」

浜面「お前が俺の大切なものを奪うつもりなら、俺は容赦しない」

垣根「それはこっちの台詞だ無能力者」

ばっ

浜面「なっ?! 冷蔵庫から羽が生えたっ?!」

340: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 15:50:22.10 ID:KD37wins0
垣根「よぉ」

浜面「ンだよ」

垣根「命が一番輝くのはどの瞬間だと思う?」

浜面「……」

垣根「燃え尽きる最後の一瞬だ」

轟ッ!

浜面「ぶへっ?!」

垣根「この軽量にしてこの強度、学園都市の最新技術が施された俺のボディに死角はねぇ」

浜面「かはっ……ただの……体当たりじゃねえか」

垣根「大人しく潰されてろ、無能力者」

341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 15:58:35.87 ID:KD37wins0
垣根「ホラホラ、踊れよ浜面仕上! お前が足を止めた瞬間が死だ!」

浜面「くそ! なんて素早い動きなんだ! 本当に冷蔵庫かよこいつ!」

垣根「俺をただの家庭用冷蔵庫だと思うな」

浜面「……くそっ、まさか省エネ大賞を受賞済みだとは……」

垣根「もちろん光はLED蛍光灯を使用している」

浜面「環境にも配慮された設計……」

垣根「パネルは有機ELだ」

浜面「低コストかつ超寿命……」

垣根「おまけにブレーカーが落ちても内部電源で3年は稼動しつづける事ができる」

浜面「非常対策も万全ってか……」

垣根「今ならお値段据え置き、春の新生活にオススメの一品だ」

浜面「電話番号は……こちらまで……」

342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:01:34.83 ID:KD37wins0
どがっ

浜面「ぐあぁぁ!!」

垣根「地面の味はどうだ無能力者」

浜面「……ちくしょう」

垣根「お前と俺では地力に天と地ほどの差がある、その飾り同然の頭でもわからないわけじゃないだろう」

浜面「それでも……俺は、守らなきゃいけねぇんだ」

垣根「……?」

浜面「俺は……俺は、滝壺を、守るって……誓ったんだッ!」

343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:04:48.84 ID:KD37wins0
垣根「……ん?」

浜面「おい冷蔵庫……」

垣根「なんだ?」

浜面「俺が何の用意も無しに来てると思うか?」

垣根「さぁな」

浜面「一発逆転のカードをきらせてもらう」

垣根「死に底無いが何を」

チャキ

垣根「辞めとけ、銃なんかじゃ俺は倒れない」

浜面「……だろうな。でも、こいつならどうだ?」

スッ

垣根「どこを狙って……?」

浜面「貯水タンクだよ! さすがのお前でも水に浸かれば身動きとれねぇだろ!」

パァン!

344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:05:53.42 ID:KD37wins0
ザァアアアアァァァアアア




浜面「や、やったか……?」



345: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:06:49.47 ID:KD37wins0
浜面「……」

浜面「……」



垣根「……」

垣根「……」

垣根「……」

346: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:11:04.96 ID:KD37wins0
浜面「っ?!」

垣根「咄嗟に貯水タンクの水をぶっかけるたぁ驚いた、並みの冷蔵庫ならショートしてお陀仏だろう」

浜面「そんな……なんでまだ動いて……」

垣根「俺の未元物質に常識は通用しねぇ」

浜面「まさか、全部跳ね返したってのか?」

垣根「あの一瞬、ボディの表面に薄い膜を張ってな」

浜面「くそ……ここまでか」

垣根「オマエのミスは俺と麦野に刃を向けた事だ、あの世で後悔するんだな」

浜面「……え? 麦野?」

垣根「あぁ、俺の愛する人だ」

浜面「麦野……え? どゆこと?」

垣根「あん?」

347: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:15:09.77 ID:KD37wins0
浜面「なんでそこで麦野の名前が出てくるんだよ」

垣根「俺の恋人だ」

浜面「はぁ?」

垣根「運命の人だ」

浜面「は……はぁ、ソウデスカ」

垣根「オマエはその愛する人の命を狙った卑怯者だ」

浜面「お? おいおい、何か勘違いしてねぇか? 麦野ってあの麦野沈利だろ?」

垣根「そうだが」

浜面「俺はアイテムの一員だ、あいつはそのリーダー。確かに過去に遺恨はあったがもう解消してる。いまさら俺があいつの命を狙う理由なんてどこにもない」

垣根「……」

浜面「っていうか、俺があいつを襲ったとして何か利益があるのか?」

垣根「……だが、オマエはこうして俺を狙って」

浜面「お前こそ電話で滝壺を」

垣根「……どうやら俺達は何者かに踊らされているみたいだな」

349: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:17:59.17 ID:KD37wins0
浜面「それって一体どういう──」

垣根「おい」

浜面「あ?」

垣根「お前、俺の中に隠れてろ」

浜面「なんで」

垣根「いいから死にたくなければ早くしろ」


「誰かと思ったら垣根くンじゃねェか、久しぶりだなァ」


垣根「第一位……! てめぇか……!」

350: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:24:25.71 ID:KD37wins0
一方「あァ?」

垣根「……いや、理由がない。お前じゃないな」

一方「オイオイオイオイ、なンの話ですかァ?」

垣根「なんでもねぇ、用事がなけりゃ通してくれ。俺は帰る」

一方「お前に用事はねェンだよ三下、中に入ってる人間置いて行きさえすればなァ」

垣根「……なんの話だ、俺はさっきから一人でここに居たんだがな」

一方「頭だけじゃなくて耳もおかしくなったかァ?」

垣根「クソモヤシが、そこをどけ」

一方「良いから言うとおりにしてろ」

垣根「あぁ?」

一方「……得体の知れねェ連中がお前らの事ずっと見張ってる、……荷物は俺が預かってやるって話だァ」ボソッ

351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:28:30.77 ID:KD37wins0
垣根「いつから第一位はボランティア始めたんだよ」

一方「……俺ァはもう、闇には戻らないって決めたンだよォ」

垣根「大した悪党だぜ」

一方「おい垣根」

垣根「あ?」

一方「……その、すまなかったな」

垣根「何が」

一方「お前を、そンな姿に変えちまって」

垣根「はっ、バッカじゃねえ? 俺はこの姿になってからの方が毎日楽しいね、むしろ感謝してるくらいさ」

一方「だが……」

垣根「るせぇ、謝ってる暇あったらとっととこいつ連れて行きやがれクソモヤシが」

浜面「おわっ?!」

352: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 16:32:07.60 ID:KD37wins0
一方「俺の知り合いをお前らの家に向かわせてる」

垣根「随分手回しの良い事で」

浜面「滝壺は無事なんだな?」

一方「ああ、今は二手に分かれて奴らの目をかく乱させる、反撃はその後だァ」

垣根「わかったぜ」

一方「せっかくの昼寝を邪魔されたんだァ、この恨み3倍にして返してやらァ」

355: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:06:37.03 ID:KD37wins0
一方「せっかくの昼寝を邪魔されたンだァ、この恨み3倍にして返してやらァ」



一方「反撃のシナリオはこうだ……カクカクシカシカ」

垣根「わかった、それじゃあ俺は左に逃げる」

一方「俺は右だ」

垣根「半刻したら、例の場所で落ち合おう」

一方「垣根」

垣根「なんだよ」

一方「死ぬなよ」

垣根「てめぇこそな」

356: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:10:43.49 ID:KD37wins0
垣根「あばよっ!」

シュン

一方「……行ったか」

浜面「おい、俺たちも早く逃げ」

一方「そォだなァ」

浜面「?」

一方「まァ慌てるなよ、じっくり逃げようじゃねえか」

浜面「そ、そうか?」

一方「あァ……そォだなァ……、あの女、滝壺っつったけか?」

浜面「?」

一方「良い声で泣いてたなァ’たすけて浜面、たすけて’ってなァ……傑作だったわ」

浜面「お前まさか!」

一方「今更気づいてもおせェンだよ」

轟ッ!

357: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:14:05.45 ID:KD37wins0
バチバチ!

垣根「っと……やべぇな……さっきの水、全部は防げなかったか……漏電してやがる」

垣根「どっかで応急処置したいが……」

垣根「たしかに、どこからか視線を感じやがる」

垣根「ねっとり絡みつくように……気持ち悪いぜ」

垣根「麦野を狙ってやがったヤツのか」

垣根「今はとにかく先を急ぐしかねぇな」

358: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:16:53.09 ID:KD37wins0
垣根「……いや、チョット待て」

垣根「……いつからだ」

垣根「いつから、いや? そもそもこんな気配……なぜわざわざ俺に気づかせるように……?」

垣根「……」

垣根「少なくとも俺が浜面と小競り合いしてたときはこんな感じしなかった……」

垣根「あいつが現れた直後から」

垣根「……しまった」

垣根「チクショウ! そうか! そういう事か!」

垣根「ばっかやろう! 全部あいつの手の内で踊ってたんじゃねえか! 家に向かってるっつったな! 麦野がやべぇ!」

360: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:20:47.00 ID:KD37wins0
バチバチ!


垣根「……ち、くしょう。漏電が響きやがる……頭がいてぇ……」

垣根「でも、今は……産業廃棄物になるワケにはいかねぇ」

垣根「あいつを……! あいつだけは!」

垣根「クソが!」

垣根「麦野……! 俺が行くまで無事で居てくれよ……!」

361: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:25:35.13 ID:KD37wins0
上条「ただいまー」

禁書「とーま! おかえりなんだよ!」

上条「あれ? 垣根は’まだメシの買出し行ってんの?’」

禁書「そうなんだよ」

上条「そっか、豪華な晩飯楽しみだな。ところでインデックス」

禁書「なにかな?」

上条「麦野は?」

禁書「麦野なら朝から部屋に閉じこもりっぱなしなんだよ?」

上条「おお、そうか。さんきゅ」

禁書「……」

上条「どうしたインデックス?」

禁書「ねぇとうま」

上条「うん?」

禁書「とうま、なんで垣根が買出し行ってるって、今日の晩御飯は豪勢だって知ってるのかな」

362: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:30:15.86 ID:KD37wins0
上条「はぁ? 知ってるも何も朝あいつが言ってただろ?」

禁書「そう、確かに垣根は豪華な昼ごはんと晩御飯を作ってくれるって言ったんだよ」

上条「だったら俺が知ってても問題ないだろ」

禁書「とうまが出て行ったその後でね」

上条「あれ? そうだっけ?」

禁書「そうなんだよ、なのになんでとうまがその事実を知っているのかな。不思議でならないかも」

上条「上条さんは家主でからね、何でも知ってるんですよ。何でも」

禁書「……」ゾクッ

上条「どうしたインデックス? そこをどいてくれ」

禁書「だ、だめだよ! この奥には麦野が居るから」

上条「家主が入っちゃいけない部屋なんてないだろ?」

363: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:35:50.89 ID:KD37wins0
禁書「垣根と約束したんだよ」

上条「へぇ、何を」

禁書「麦野を頼むって言われたから」

上条「だから?」

禁書「私は麦野を守る」

上条「だったら俺も麦野を守ってやる。人数は多い方がいいだろインデックス」

禁書「だめ……なんかとうま、いつもの感じじゃない。おかしいもん」

上条「俺はいつだって俺だよ、インデックス」

禁書「とうま?」

上条「まぁ……でも、うるさいからちょっと眠っててくれ。すぐ済むから、な?」

ドガッ!

禁書「と……う、ま……」

364: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:38:58.45 ID:KD37wins0
ガチャ

上条「ただいま」

轟ッ!

上条「……っと、おいおい。おかえりも無しにビーム攻撃ですか麦野さん?」

麦野「……うるさい」

上条「何を怒ってるのかしりませんが、上条さんにソレは効きませんのことよ?」

麦野「インデックスに何をした」

上条「お昼寝してもらっているだけ、目を覚ましたら元通り」

麦野「……そうかよ」

上条「さて……あいつもちゃかちゃかやってるだろうし、こっちも計画通りやらせてもらいますよ……と」

麦野「っ!」

上条「眠ってろ、麦野沈利」

365: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 17:42:53.53 ID:KD37wins0
シュウウウゥゥゥウウウウ

麦野「なっ……」

上条「こっちは無能力者なんだ、これくらいのハンデは使ってもいいだろ?」

麦野「睡眠……スプレー……」

上条「さて、これで……」

ヒュン!

上条「っとと、シャーペンは投げて人を刺すもんじゃないって学校で習わなかったか?」

麦野「生憎……こちとら学校には通ってないんでね……」

上条「おっかしいな、適量をちゃんと浴びせたハズなのに。足りなかったか?」

麦野「上条……どういうつもりか知らないが、……向かってくるなら殺すまでだ」

367: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:02:08.49 ID:KD37wins0
上条「殺すって? この上条さんをですか?」

麦野「あぁ……私に歯向かう人間は片っ端から消していく……それが私の……」

上条「そうやってフレンダを殺したのかよ」

麦野「!」

上条「聞いてるんだ、答えろよ」

麦野「どうしてお前がソレを……」

上条「こっちが聞いてるんだ!」

麦野「……」

上条「……」

368: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:07:06.62 ID:KD37wins0
麦野「ああ」

上条「……」

麦野「私が殺した」

上条「……」

麦野「それが何だ、お前には関係ないだろ」

上条「関係ない?」

麦野「お前に! これっぽっちも! 関係ないだろォがよおオオオ!!! 面白半分で昔の話掘り起こしてんじゃねぇぞ!!」

上条「セイヴェルン」

麦野「っ」

上条「俺の、従姉妹の名前だ」

370: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:12:07.39 ID:KD37wins0
上条「まだ小さい時に、数回しか会った事なかったけどよ。確かに俺の……従姉妹だったんだ」

麦野「お前、昔の記憶は……」

上条「古いアルバムを見つけてな」

麦野「……」

上条「その時思いついた、俺はこいつを殺しやがった奴らをぶち殺すってな」

麦野「……くだらねぇ」

上条「ああ、くだらないさ。本当にくだらない……お前なんかの為に命を落としたと思うと……本当にくだらないよ」

麦野「……」

上条「情報を集めるのに苦労はしなかった、人脈だけは恵まれてるからな。後は簡単だった、居場所の無かったお前を引き取ってスキを見て殺すつもりだった」

麦野「……」

上条「だけどお前があんなおしゃべりな冷蔵庫を拾ってくるから、こっちの予定が全部狂っちまった、まぁ、それも今日この日の為と思えばなんてことはない」

371: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:15:36.30 ID:KD37wins0
麦野「まさか……」

上条「ちょっと人の良さそうな顔をしたらコロっと信じやがって、お前をこの家に招いたのは最初から殺すのが目的だったんだよ」

麦野「そんな……」

上条「あーあー、さっき眠ってればそのまま死ねたのに。上条さんもこんな悪人にならずに済んだのになぁ、能力者ってのは、本当にコワイなぁ」

麦野「上条……お前が……」

上条「さっき投げたこのシャーペン、お前のもう片方の目に刺したらどうなるかな」

372: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:20:23.34 ID:KD37wins0
麦野「くそっ!」

上条「ああ、ちなみに」

麦野「……原子崩しが……撃てない……ッ?」

上条「知り合いに頼んで、ちょっとキャパシティダウンってのを借りてきたんだ。学園都市最強の知り合いにな」

麦野「そ……ん、な……」

上条「なぁ、良い声で鳴いてくれよ。天まで届く声でな」

麦野「く……」

上条「麦野沈利」

麦野「……っ」

上条「ただ殺すだけじゃ足りねぇ……、100回殺したって足りねぇ……地獄の業火で何度も焼かれて、骨まで焼かれて、地面をのたうちまわったとしてもまだ足りねぇ」

麦野「クソッ!」

上条「だから、こんなんじゃ全然フレンダの痛みには足りないけど。手向けとしては充分だ」

麦野「……上条当麻ァァァ!!!」

上条「フレンダ、これでお前の……」


垣根「沈利ッ!!」

373: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:25:37.56 ID:KD37wins0
垣根「……上条……お前が黒幕だったとは」

上条「外には人を置いていたはずだったんだけどな」

垣根「さぁ? ゴミしか転がってなかったけどな」

上条「キャパシティダウンは」

垣根「冷蔵庫に効くハズねぇだろ、こちとら無生物だぞ」

上条「だったらその幻想も殺してやらなきゃな」

麦野「ていとく!」

垣根「おう、ちょっと待ってろ沈利」

上条「やれやれ……うるさい居候が多くて家主は大変ですよ」

垣根「それも今日限りだ」

上条「そうだな」

垣根「お前は沈利を傷つけた、死ね」

上条「わかっちゃいねぇな垣根、死ぬのはお前だ」

垣根「クソウニ頭が、いますぐ調理してやる」

上条「面白ェ、こいよ垣根。スクラップにしてやる」

375: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:29:55.95 ID:KD37wins0
上条「かきねぇえええええええええええええ!!!」

垣根「かみじょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


轟っ!!


垣根「テメェ! 最初から怪しいと思ってたんだ俺は」

上条「そーかよ!」

垣根「いつもいつもいつもいつもいつもいつも善人面しやがってよ! 他人を助けるとか甘い台詞吐くクセに! こっちが本性か!」

上条「生憎こっちが本来の上条さんですよ、勘違いしてもらっちゃ困る」

垣根「とてもじゃねえがお前は主人公には向いてねぇな、三下」

上条「冷蔵庫に言われたくはねぇな」

376: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:34:04.21 ID:KD37wins0
バチバチ!


垣根「く……」

上条「なんだぁ?」

垣根「くそっ……こんなときに」

上条「ははっ、こりゃいい。漏電してやがんのか」

垣根「……だったら、どうだっていうんだよ」

上条「上条さんが手をくだすまでもないって話ですよ」

垣根「な?」

上条「スプリンクラーって知ってるか?」

377: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:36:46.85 ID:KD37wins0
上条「ちょっと警報機を鳴らしてやると……。そう、例えば、スプレーなんかを吹きかけてやると」

ジリリリリリリリリリリリ

上条「こうやってありもしない火を消化してくれるスグレモノ」

垣根「……ち」

上条「さっきはキャパシティダウンが効かないって言ってたが……アレはウソだな、垣根」

垣根「……だったら、どうだっていうんだ」

上条「お前はこのまま産業廃棄物決定だよ」

垣根「笑えないジョークだ」

上条「茶が沸くぜ」

垣根「……ちぃ」

378: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 18:39:34.79 ID:KD37wins0
垣根「沈利ィ……」

麦野「……」

上条「やっと眠ったみたいだな、まったく、超能力者ってのはどんな体してんだか」

麦野「……」

垣根「チクショウ……上条ぉ……たのむ、俺はどうなってもいい……だから沈利だけは……」

上条「おいクソ冷蔵庫」

ドガッ

垣根「く……」

上条「それが人にモノ頼む態度かよ」

垣根「……外道が……」

上条「ははっ、いいねぇ。最高だ、最高に愉快な気分ですよ上条さんは」

381: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 19:01:09.23 ID:KD37wins0
バチバチ!

垣根「……グアァァァァアア!」

上条「あらあら、もう電気系統がイカれ始めてるんじゃないか?」

垣根「く……ぐあぁ」

上条「愉快だ、最高だよ垣根。俺はそもそも能力者っていう連中が気に入らなかった、あいつら能力者ってだけで俺たち無能力者を差別しやがってよ……それがどうだ」

上条「いまや俺は学園都市最強クラスの能力者を二人も葬り去ろうとしてる、最高だよ。これが最高じゃなくて何になるっていうんだ」

上条「みろよ、いつも能力にかまけて傲慢チキなこの女もいまじゃこんな姿だ、何も抵抗できない。殺すのも すのも全部俺の自由だ」

垣根「ほざけ……三下」

上条「アァ?」

垣根「てめぇは……てめぇは俺が殺す……」

上条「……そうだ、良い事を思いついた。おい垣根、お前先生から火薬を貰ってたよな? それはまだお前の中にある……漏電で火花でも飛べば即引火だ」

垣根「……それがどうした……」

上条「麦野をお前の中に放り込む、即席の人間爆弾の完成だ。最高に愉快な死体が完成するだろぉなぁ」

垣根「このド外道……が……くそ……うごけねぇ……」

382: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 19:07:25.91 ID:KD37wins0
上条「はは! あはは! あははははははは!!! 全部お前ら能力者がいけねぇんだ!」

上条「お前らさえ居なくなればこの世は全て丸く収まるんだよ」

上条「争いなんて存在しない、上下の差なんて存在しない。そんな世界を」

上条「その世界を造る、俺は創造主になるんだ。お前たちはその礎となれる、光栄に思え」


垣根「……くそ……もう……ダメ………………だ……」


上条「なんだぁ? もうくたばっちまうのか垣根」

上条「お前も大した事なかったな」

上条「まぁ所詮は冷蔵庫だしな、ったく。この女もこんなクソ冷蔵庫のどこが良いんだか」

上条「まったく女の考える事はわかんねぇぜ」

上条「ははははは!」


グサッ

384: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 19:10:21.58 ID:KD37wins0
上条「あははははは!」

上条「はは……は……」

上条「……は?」


ポタ……ポタ……


上条「血? なんで?」

上条「なんで、血が?」

上条「痛い」

上条「いた、痛。いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい痛」


麦野「……上条当麻……」


上条「むぎ……の……、なんで……、うごけ……る……」

386: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 19:15:12.00 ID:KD37wins0
麦野「私の体は半分機械だから、生身の人間に用いる薬の類は効かない」

上条「そ……んな……」

麦野「眠らされたフリをしてお前のスキを伺っていたんだ」

上条「むぎ……の……がはっ」

麦野「こんな果物ナイフでも、刃先を地面と平行にして肋骨をかいくぐるように刺せば心臓に届くんだ」

上条「むぎ……むぎの……しず……っり」

麦野「……上条、私は死ねない。お前が私を殺すというのなら、私はお前を殺すまでだ」

上条「……っ、……っ」

麦野「私は背負っていく、何もかも。だからお前の’罪’も、決して忘れない」

上条「……」

麦野「……一緒に過ごせた時間は、……楽しかったぞ」

上条「」

387: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 19:21:34.36 ID:KD37wins0
垣根「むぎ……っ、の」

麦野「ていとく! 動けるか? ほら、すぐに直してあげるから……」

垣根「だめだ……逃げろ、インデックスをつれていますぐ……」

麦野「何いってんのよ! 背負っていくって言ったでしょ!」

垣根「俺はもう……それに……俺は今、爆弾を抱えてる……、俺が機能停止するのが先か、こいつが炸裂するのが早いか……俺にもわかんねぇ……」

麦野「だったら今すぐそんなもん取り除いて!」

垣根「だめだ!」

麦野「ていとく!」

垣根「下手に動かして火花が散れば……それまでだ……だから」

麦野「でも! 放ってはおけない!」

垣根「はは……ばーか、俺は……大丈夫……だ」

麦野「てい……とく」

垣根「浜面仕上だ」

麦野「え?」

垣根「あいつが……裏とつながっている可能性は高い……」

388: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 19:27:00.59 ID:KD37wins0
麦野「浜面が、なぜ?」

垣根「あいつが来た……あいつは浜面を保護するように……いや……今回の一件、まさか裏は学園都市そのもの……?」

麦野「わかんない、何を言ってる! おい!」

垣根「だとしたら……、だとしたら……クソ……ッ、にげ……ろ。すぐに追っ手が……くる……」

麦野「ていとく!」

垣根「お前の命……を、誰かが……狙いにくる……い……インデックスもあぶ……ない」

麦野「わかった! わかったから! わかったから……ていとくも一緒に!」

垣根「はは……お前……さい……えが……お……」

麦野「ていとく? ていとく!!」

垣根「──」

391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:00:17.44 ID:KD37wins0
Side 浜面


浜面「もーいいかい」

一方「もォいいよォ」

浜面「っだぁ、死んだフリもしんどいもんだなぁ」

一方「わり、ちょっと力入れすぎたわ」

浜面「てて、口の中に血の味広がったぜ」

一方「さて、成功したかね向こうは」

浜面「さぁな。あの女はなんだかんだ悪運が強いからな」

一方「ほォ、ヒーローが負けたとでも?」

浜面「それはわからねぇさ、でも」

一方「でも?」

浜面「あいつに油断があったなら、そうなってるだろうな」

392: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:03:54.91 ID:KD37wins0
一方「ぬかりはねぇのか?」

浜面「とりあえず一人、向かわせたから」

一方「馴染みのヤツか?」

浜面「あぁ、馴染みも馴染みさ。そうやって疑心暗鬼で誰も信じられなくなる……そういう心にさせる。そうすると案外人間ってのは脆くなるもんだ」

一方「えげつねェな、お前は」

浜面「ははっ、お前だけには言われたくねぇよ」


────────
────
──

394: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:06:26.37 ID:KD37wins0
絹旗「麦野!!」

絹旗「早く逃げますよ! 敵が超そこまで来てます!」

絹旗「麦野!」


麦野「……え?」

絹旗「もう! 超しっかりしてください! はやくそのシスターをつれて降りますよ! ここはもう包囲されてます! 私が前衛になって超突破しますから!」  

麦野「……どうして……どうして、ていとくが……」

絹旗「麦野! はやく!」

麦野「……」

絹旗「はやくしないと! 敵がきます!」

麦野「……ていとく……」

絹旗「麦野! 正気に超戻ってください!」

395: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:07:53.75 ID:KD37wins0
麦野「……なんで……」

絹旗「麦野! 麦野!」

麦野「なんで……」

絹旗「もう……麦野……いつまでもそんなんだと……私が麦野を超殺しますよ?」

麦野「なんで……、あんたもなの……絹旗」

396: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:10:50.09 ID:KD37wins0
絹旗「これはただの超独り言なんですけどね」

麦野「……?」

絹旗「フレンダと私は、愛し合っていたんですよ」

麦野「そんな」

絹旗「今の麦野ならわかりますよね」

絹旗「恋人を殺される痛み、わかりますよね」

絹旗「だったら、どうしてやりたいか。私の気持ちもわかってくれると、超ありがたいんですが」

397: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:16:36.84 ID:KD37wins0
絹旗「アイテムの再結成?」

絹旗「私達はやりなおせる?」

絹旗「はは、そんなわけないじゃないですか」

絹旗「フレンダが居ない毎日を過ごすのが、どれだけ辛かったか。愛する人を殺される痛みが、どれだけのものだったか」

絹旗「超いい気味ですよ麦野、その顔、その声。いつもの威勢はどうしたんですか? そんなんじゃ殺し甲斐がありませんよ!!」

ドガッ!

麦野「……ぐ」

絹旗「逃げ足だけは一等級ですね、……猫。そう、麦野は猫です」

絹旗「気まぐれで我侭で自分勝手……」

絹旗「……イライラを他人にぶつけるところなんてもう、動物そのものです」

絹旗「……そうやって、殺したんですよね。フレンダも」

398: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:18:36.04 ID:KD37wins0
絹旗「さっき上条当麻を殺しましたね」

絹旗「人の命を何とも思ってないんだ、麦野は」

絹旗「どうして」

絹旗「どうしてあなただけがそうやってのうのうと生きてられるんですか」

絹旗「どうしてフレンダは死ななくちゃいけなかったんですか」

絹旗「私は、麦野を許せないです」

絹旗「だからここで、超死んでください」

400: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:26:22.57 ID:KD37wins0
ドガッ!

絹旗「ほらほら! どうしたんですか! 防戦一方じゃないですか!」

絹旗「呆気ない! 呆気ないですよ麦野!」

絹旗「学園都市最強クラスの超能力者が聞いて呆れますね!」

絹旗「もう……飽きました、麦野なんてB級映画以下ですよ、つまんないです」

絹旗「だから、……死んでください、せめてもの情けで、一瞬で昇天させてあげますよ」

麦野「……や……だ」

絹旗「は?」

麦野「しに……たく……な……い」

絹旗「ちょっと待ってくださいよ、ここまできて命乞いですか? ああ、白ける。最悪ですよ麦野、どんだけ傲慢なんですか」

麦野「わた……しは……」

絹旗「この期に及んでまだ自分に生きる価値があると思ってるんだから勘違い女って超怖いですね、恐怖です。畏怖しますよ麦野」

401: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:29:33.07 ID:KD37wins0
麦野「……てい、とく……」

絹旗「今更死んだ男に縋って何になるんですか、見苦しいですよ」

麦野「ていとく……」

絹旗「さて、麦野。もういいですか? 私は後の予定があるのでこれ以上付き合ってられないんですよ」

麦野「ていとく、ごめんね。これ、使わせてもらうから」


絹旗「っ?!」


麦野「きぬはた……あんた、窒素奪われたらどうなるんだろうなぁ……」

絹旗「くっ?! 爆弾ですか!」

402: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 20:33:50.14 ID:KD37wins0
────────
────
──


絹旗「は……はは……、わたし、の……負け……です」

麦野「絹旗。誰だ、言え。誰の差し金だ」

絹旗「死ん、でも。言い……ません」

麦野「私が暗部に落ちる前に、一つだけ決めた事がある」

絹旗「?」

麦野「それは、絶対に死なないって事だ」

絹旗「は、はは……そう……です……か……」

麦野「どれだけ命を狙われようが、どれだけ殺そうが、私は絶対に死なない、全部背負っていく」

絹旗「この……、傲慢……女……」

麦野「あんたの死も、……背負って私は生きる」

絹旗「かな、い。ません……ね……は、はは…………ま、づ、……ら」

麦野「浜面? 浜面がどうしたの?」

絹旗「…………………………………………」

405: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:01:07.81 ID:KD37wins0
◇ ◇ ◇ ◇


一方「そォか、わかった」

浜面「どうした?」

一方「お前の旗振り、失敗したみたいだァ」

浜面「そっか」

一方「……意外だな」

浜面「あん?」

一方「もォ少し驚くかと思ったンだが」

浜面「別に、俺は滝壺さえ居ればそれでいい。お前もあいつさえ居ればいい、そうだろ?」

一方「……まァな」

浜面「これは浄化計画のほんの一部に過ぎない。序章なんだよ一方通行、始まりにすぎない」

一方「超能力者を片っ端から消して行く……ねェ」

浜面「学園都市に対抗する手段。それは結局、奴らの手ごまを撲滅する事でのみ達成される。だったら奴らに利用される前に全て消してしまえばいい」

406: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:02:33.92 ID:KD37wins0
一方「だったら俺はどうするんだよォ」

浜面「必要であれば殺すさ」

一方「……」

浜面「でもお前には利用価値がある、その力は俺にとって圧倒的にプラスでしかないからな」

一方「忘れるなよ、俺はあいつを守るためだけに行動している。その刃がこちらに向けば反射するだけだァ」

浜面「いいさ。俺に利用価値が無いと思ったらあっさりと殺してくれ」

一方「……ふン」

407: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:11:51.32 ID:KD37wins0
◇ ◇ ◇ ◇


麦野「浜面……」

麦野「はま、づら……」

麦野「はぁまづら……」

麦野「はーーーーーまづらぁあああああああああ!!!!!!!!!!」

麦野「……殺す」

麦野「探し出して」

麦野「引きちぎって」

麦野「血の一滴まで蒸発させて殺す」

麦野「お前が裏で糸を引いてるなら」

麦野「私はお前を、絶対に許さない」

麦野「はーーーまづらぁ……私を怒らせた罪は重いぞ……」

408: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:19:35.07 ID:KD37wins0
【麦野「浜面仕上を殺したい」】

CAST

麦野沈利役 麦野沈利

浜面仕上役 浜面仕上

……………………

…………

……

絹旗「ふわぁあああ……ねむ……あ、終わっちゃってました」

麦野「ちょっと、監督がちゃんとチェックしないでいいのか?」

絹旗「いいんですよ、もうだいたいは昨日のうちにやっちゃいましたから。今日はクレジットがちゃんと流れるかどうかくらいしかチェックないんです」

麦野「だったら別に最初から流さなくてもよかっただろ?」

絹旗「やだなぁ麦野、映画はフィルムですよ? 最後だけ流すとか映画を冒涜する行為です」

麦野「そーかよ……まぁとにかくこれでチェック終了だな」

410: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:22:09.79 ID:KD37wins0
浜面「おう、おつかれさん。ジュース持ってきたぞ、飲むか?」

絹旗「浜面のくせに超気が利くじゃないですか」

麦野「ん、さんきゅ」

滝壺「ふたりとも、おつかれ」

絹旗「滝壺さ~ん、浜面と一緒に居て何かされませんでしたか?」

滝壺「大丈夫だよ、きぬはた。きぬはたが期待してる様な事は何もなかったから」

絹旗「ち」

浜面「おいこら、なんで舌打ちなんだよ絹旗」

412: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:27:05.63 ID:KD37wins0
絹旗「まぁいいじゃないですか、とにかくこれで大覇星祭の出し物も完成ですね」

麦野「素人の作品とは思えないくらいのデキね」

絹旗「それもこれも協力してくれた皆さんのおかげですよ」

浜面「また打ち上げやるか」

絹旗「そうですね、最終日に超派手にやりましょうか。花火もあることですし」


垣根「おう麦野、こんなとこに居たのか」

麦野「垣根」

垣根「肉じゃが出来てるから、帰るぞ」

麦野「はいはい。そんじゃ私達先に帰るわね」

絹旗「おつかれさまでした~」

413: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:29:05.64 ID:KD37wins0
浜面「なぁ」

絹旗「何ですか?」

浜面「あの二人、なんで一緒に帰ってんだ? 最近ずっとじゃねえか?」

滝壺「……鈍感」

絹旗「……超鈍感ですね」

415: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:32:22.74 ID:KD37wins0
浜面「え? じゃあお前らなんでかわかるのかよ」

絹旗「当たり前じゃないですか、浜面じゃなし。ね? 滝壺さん」

滝壺「うん」

絹旗「ずばり、二人は付き合ってるんですよ」

浜面「ナ……ナンダッテー」

滝壺「気がつかなかったの?」

浜面「いや、いくら恋人っていっても映画の中だけだろ? 二人とも最初すげー嫌がってたしさ」

絹旗「あるんですよ……映画には、そういう魔法が」

浜面「まじか……」

滝壺「大丈夫だよ、鈍感なはまづらをを私は応援してる」


「ゴメンゴメ~~~~ん!!!!!!」

416: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:34:45.83 ID:KD37wins0
浜面「あ」

絹旗「……あ」

滝壺「…………あ」

「結局、メイクに気合入れてたら遅れちゃった訳よ」

絹旗「ご……ごめんなさいフレンダ……、もう全部撮影終わっちゃっていました……」

フレ ンダ「」

418: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/13(水) 21:37:29.52 ID:KD37wins0
────────
────
──


垣根「ダメだな」

麦野「……う」

垣根「おいおい、こんな調子じゃあいつに料理つくってやれねーぜ? 来るのは日曜日なんだろ?」

麦野「う……うるさいわねっ、いいからもう一度教えなさいよ」

垣根「ったく、しゃあねぇな」

垣根「いいか? 料理ってのはなぁ────」


おしまいおしまい。

引用元: 麦野「浜面仕上を殺したい」