1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:05:16.23 ID:UqE7UESY0
>唯の家

唯「ねぇねぇムギちゃん」

紬「どうしたの、唯ちゃん?」

唯「ムギちゃんにクエスチョンクエスチョン。日本初の憲法はなんでしょーか?」

紬「大日本帝国憲法ね!」

唯「だいにっぽんこくけんぽう?」

紬「えーっと、違うの?」

唯「……うん」

紬「明治に作られた日本初の憲法が大日本帝國憲法だったはずだけど……」

唯「明治?」

紬「ええ」

唯「違うよムギちゃん。もっともっと昔の話」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:08:34.08 ID:UqE7UESY0
紬「昔?」

唯「うん。ずっとずっとむかし」

紬「う~ん。考えてもわからないわ」

唯「せーかいは憲法十七条でした」

紬「あー、なるほど」

唯「ちょっとイジワルだったかな」

紬「どうして?」

唯「だって、憲法十七条は今の憲法とは違うんでしょ?」

紬「うーん。でもなぞなぞってそういうものだし」

唯「えっ、なぞなぞだったの!?」

紬「だって、クエスチョンクエスチョンって……」

唯「あー、なるほど……」

紬「でもどうして憲法の話を…あっ、今日って憲法記念日だっけ」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:09:12.25 ID:UqE7UESY0
唯「私も憲法を作りたいと思ったからだよ」フンス

紬「えっ、唯ちゃん国を作るの?」

唯「うん。私の半径3メートルが私の国だよ」

紬「じゃあ私、唯国民第一号になります!」

唯「うんうん。ムギちゃんならそう言ってくれると思ったよ~。でも無理なんだ」

紬「駄目なの?」

唯「第一号は憂だから」

紬「そっか、第二号は空いてる?」

唯「まだ空いてるよ」

紬「はいはーい。私、第二号になります!」

唯「よし。ムギちゃんは唯国の国民第二号だよー」

紬「ふふふ。なんだか楽しくなってきちゃったわ」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:10:06.21 ID:UqE7UESY0
唯「じゃあさっそく憲法をつくるよー」

紬「おー」

唯「まず第一条……うーん」

紬「なにか案はあるの?」

唯「ないかも。そもそもどういうふうに考えればいいんだろう」

紬「えーっと、国民はなになにしましょうとか、なになにしちゃ駄目とか……」

紬「そういうことを決めればいいんじゃないかしら」

唯「なるほど~ムギちゃんは頭いいね~。それじゃあ第一条!」

紬「はいっ!」

唯「国民はいつも仲良くしましょう」

紬「えーっと、憂ちゃんと仲良くすればいいのかしら?」

唯「新国民さんともね、もちろん私とも仲良くしてね」

紬「もちろんよ」

唯「じゃあ第二条……ムギちゃんはいつも私に紅茶をいれてくれること」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:12:57.10 ID:UqE7UESY0
紬「あら、私限定なんだ」

唯「こういうのは駄目かな?」

紬「う~ん、国民が少ないうちはいいんじゃないかしら」

唯「そう? じゃあ第三条は、いつも私にお菓子を食べさせてくれることね」

紬「ふふっ、唯ちゃんは本当に食いしん坊さんね~」

唯「だってムギちゃんのお菓子は本当に美味しいもん」

紬「そうね…」

唯「第四条は……紅茶を入れたら私と一緒に飲むこと」

紬「いいの?」

唯「うん。お茶もお菓子もみんなで食べなくちゃ美味しくないし」

紬「あらあら」

唯「う~ん。でもなんだかますます憲法っぽくなくなってきたような……」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:13:41.14 ID:UqE7UESY0
ガチャ トトトト

憂「おねーちゃん、ただいまー! あれ、紬さん来てたんですか?」

唯「おかえりー! 憂」

紬「あっ、国民一号さん」

憂「国民……あぁ、あのことですか」

紬「私は二号になったの。憂ちゃん。これからよろしくお願いします」ペコリ

憂「どうもご丁寧に、こちらこそどうぞよろしくお願いします」ペコリ

唯「うんうん。仲よきことはよきかなよきかな」

紬「それで唯ちゃん、憲法だけど」

憂「憲法ですか?」

唯「うん。今唯国の憲法を考えてたんだ。あっ、憂も一緒に考えてよ」

憂「いいよー」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:14:13.11 ID:UqE7UESY0
紬「第四条まで決まったから書きだすわね」

カキカキ

憂「なるほど……」

唯「第五条は……そうだね、憂関連にしようか」

憂「私?」

唯「うんうん。なんたって国民一号さんだもん」

紬「それは素敵ね!」

唯「う~んと……第五条、憂はいつも私の……やっぱり辞めた」

憂「お姉ちゃん?」

唯「えっとね、第五条は、憂はいつまでも仲良し姉妹でいることだよ」

憂「お姉ちゃん。そんなこと憲法で決めなくても当然のことだよー」

唯「えへへ、そうだね~。でも第五条はこれでいいかな」

紬「ええ、いいと思うわ」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:28:42.54 ID:UqE7UESY0
唯「第六条は何かあるかなー 」

憂「うーん。あんまり思いつかないね」

紬「ええ、そうね」

ピンポーン♪

憂「あっ、ちょっと玄関に行ってくるね♪」

===
===

和「こんにちは」

唯「あっ、和ちゃんだ!」

和「お邪魔するわ。あら、ムギもいるんだ」

紬「ええ、お邪魔させてもらってるわ」

唯「ねぇねぇ、和ちゃんも唯国の住人になってよ」

和「唯国?」

憂「かくかくしかじか」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:29:37.31 ID:UqE7UESY0
和「なるほどね。まあ、別にいいわよ」

唯・紬・憂「やった!!!」

和「」ビクッ

唯「それじゃあ憲法制定を続けるよ。第六条は……第三国民、何かいい案はありませんか」

和「第三国民って私のことね。そうね……象徴とか決めたらいいんじゃないかしら」

唯「象徴?」

和「実際の憲法も国の象徴の話からはじまってるのよ」

紬「いい発想ね!」

和「ありがとう」

唯「それじゃあ……国猫を決めよう!」

憂「えっ?」

唯「国鳥の猫版だよ。そして唯国の国猫はあずにゃんです!」

紬「いいわね~」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:30:13.27 ID:UqE7UESY0
憂「勝手に決めてもいいのかなー」

和「言うだけなら自由じゃないかしら」

唯「国猫を見つけたらみんなでかわいがるんだよー」

紬「はいはい! 私肉球をプニプニしたいです!!」

和「私は尻尾をつけたみたいわ」

===
===

梓「」ゾクゾクッ

純「どーしたの梓、鳥肌立ってるけど」

梓「今寒気が……」

純「何が起きるっていうのさ」

梓「まさか……先輩たちの身になにか?」

純「えっ、そうなの?」

梓(唯先輩、ムギ先輩、澪先輩、律先輩……どうぞご無事で)

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:31:15.33 ID:UqE7UESY0
===
===

唯「第七条はねー。和ちゃんはずっとずっと私たちの幼馴染でいること」

和「唯、幼馴染はやめられるものじゃないのよ」

唯「そうなの?」

和「ええ、そうよ」

唯「うーん。でも第七条はこれでいいや」

和「唯がそう言うなら、別にいいけど……」

唯「じゃあ第八条は……」

紬「なにかあるの?」

唯「うんっ。第八条は、憂と和ちゃんはずっと仲良しでいること」

憂「お姉ちゃん…」

和「唯…」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:31:40.14 ID:UqE7UESY0
唯「憂、お姉ちゃんと約束だよ」

憂「もう……心配しなくても大丈夫だって」

唯「和ちゃんも幼馴染としての約束だよ」

和「ふふ、唯に心配される日がくるなんてね」

紬「……紅茶をいれてくるわ」

===
===

和「それじゃあ私たちはそろそろ行くわね」

唯「えーっと、プールに行くんだっけ?」

憂「うん。和ちゃんと約束してたんだ」

紬「和ちゃん、憂ちゃん、またねー」

唯「まだ七条までしか決まってないのに……」

和「夕方までには帰ってくるから、また後から話しあいましょう」

憂「じゃあいってきまーす」

唯・紬「いってらっしゃーい」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:32:25.24 ID:UqE7UESY0
唯「……」

紬「あの二人、付き合ってたんだ」

唯「うん。最近付き合い始めたんだよ」

紬「そっかぁ、幼馴染同士で付き合うなんて素敵ねー」

唯「むっ…」

紬「唯ちゃん?」

唯「なんでもないよ」

紬「そう?」

唯「じゃあちゃっちゃと一七条決めちゃおうか」

紬「ねぇ、唯ちゃん。私思ったんだけど」

唯「うん」

紬「無理に十七条決める必要ないんじゃないかしら」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:33:14.77 ID:UqE7UESY0
唯「……! それもそうだね」

紬「うん」

唯「でも、それくらないとサマにならない気がして」

紬「……! それもそうね」

唯「うん。だから十七条考えたいかな」

紬「じゃあ私も頑張って考えるわ」

唯「うん」

紬「そうね……第九条、りっちゃんはいつも明るく楽しく、なんてどうかしら」

唯「でも、りっちゃんは国民じゃないよ」

紬「なら国民にすればいいのよ」

唯「そっか。じゃあ第十条は……澪ちゃんはいつも軽音部の良心であること、だね」

紬「うん。いいと思うわ」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:33:54.16 ID:UqE7UESY0
唯「11条。あずにゃんはいつもかわいらしくあること」

紬「12条。さわちゃんはいつまでも私たちの先生であること」

唯「13条。唐揚にはレモンをかけないこと」

紬「14条。鶏の唐揚げはもも肉で作ること」

唯「15条。焼きそばには紅しょうがを添えること」

紬「16条。紅茶に砂糖は3個まで」

唯「17条。いつも楽しく」


紬「……こんなんでいいのかしら」

唯「いいんじゃないかな」

紬「ふふふ、唯ちゃん国の憲法だものね」

唯「うんうん」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:34:53.71 ID:UqE7UESY0
紬「でも私は責任重大ね、ずっと唯ちゃんに紅茶とお菓子をあげなきゃ」

唯「あっ、それなんだけど……」

紬「うん?」

唯「実はムギちゃんが紅茶をいれてる間に和ちゃんに注意されたんだ」

唯「『大学に入って寮暮らしになったらムギだってお菓子を持ってくるのは難しくなるでしょう』って」

紬「確かにそうだけど……」

唯「だからね、但し書きをつけることにしたんだ」

紬「但し書き?」

唯「うん」

紬「それで、どんな但し書きをつけたの?」

唯「それはね。内緒だよ」

紬「えっ。でも憲法って国民に知らされるものじゃないの?」

唯「うん。だからね、憂と和ちゃんが帰ってきたら発表するから」

紬「なら、それまでお楽しみね」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:35:25.18 ID:UqE7UESY0
唯「うん」

紬「紅茶のおかわりはいる?」

唯「お願い」

紬「はい、任されて」

===
===

唯「ねームギちゃん」

紬「なぁに、唯ちゃん」

唯「来年にはさ、私達も大学生だよね」

紬「ええ、そうね」

唯「そしたら憂とは離れ離れになっちゃうかもしれない」

紬「うん」

唯「それに和ちゃんともきっと違う学校。和ちゃんは頭いいし」

紬「うん」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:36:02.11 ID:UqE7UESY0
唯「距離が離れるのは別にいいんだ……でも……うーん」

紬「……?」

唯「なんて言えばいいのかな……」

紬「…心が離れるのが怖い?」

唯「そうなのかな。なんだかね、憂や和ちゃんとの関係が変わってしまいそうで」

紬「そう……それで憲法?」

唯「今考えてみるとそうかもしれない」

紬「そっか」

唯「ねぇ、ムギちゃん。距離が離れても気持ちはずっと同じままでいられると思う?」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:37:00.00 ID:UqE7UESY0
紬「……わかんない」

唯「ムギちゃんにもわかんないんだ?」

紬「うん。経験がないから。でもね、気持ちが変わっちゃったら取り戻せばいいと思うの」

唯「取り戻す?」

紬「うん。憂ちゃんを遠く感じたら、憂ちゃんに会いに行けばいいし」

紬「和ちゃんが他人行儀になったら、和ちゃんに抱きつきに行けばいいのよ」

唯「……」

紬「ごめんね、こんな答えしか出せなくて」

唯「ううん。いいよ。ちょっとナーバスになってたみたい」

唯「でもそうだよね、なくしたら取り戻せばいい」

紬「うん。距離が離れるのは仕方ないことだから……」

唯「ムギちゃんも、遠くにいっちゃう?」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:37:55.86 ID:UqE7UESY0
紬「先のことはわからないかな」

唯「そっかぁ」

紬「でも、私は唯国の国民だから」

紬「唯ちゃんが望めば、いつでも紅茶を入れにいって、一緒にお茶をするわ」

紬「高い茶葉は無理になるかもしれないけど……それでもいいなら……」

唯「うん、それでいいよ。私、ムギちゃんとお茶するの好きだし」

紬「そう? ね、唯ちゃん。唯ちゃんから半径三メートルが唯国なんだよね?」

唯「うん。そうだよ」

紬「なら、できるだけ国の中にいるために……手をつないでもいいかな」

唯「家の中なのに?」

紬「うん。家の中なのに」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:38:17.55 ID:UqE7UESY0
唯「いいよ」

紬「唯ちゃんの手、ちょっとだけ暖かいね」

唯「ムギちゃんの手は、ちょっとひんやりしてる」

紬「これから色々あると思うけど、私はずっと唯ちゃんの手を握っていたいと思うから」

紬「だから」

紬「ずっと一緒よ、唯ちゃん」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/04(土) 00:38:55.73 ID:UqE7UESY0
唯国十七条憲法
第一条:国民はいつも仲良くしましょう
第二条:ムギちゃんはいつも私に紅茶をいれてくれること
第三条:ムギちゃんはいつも私にお菓子をくれること(但し、お菓子のかわりに一日一度のキスでも良しとする)
第四条:ムギちゃんは紅茶とお菓子を私と一緒に楽しむこと
第五条:憂はいつまでも仲良し姉妹でいること
第六条:国猫はあずにゃんとする
第七条:和ちゃんはずっと幼馴染でいること
第八条:和ちゃんと憂はずっと仲良しでいること
第九条:りっちゃんはいつも明るく楽しくあること
第十条:澪ちゃんはいつも軽音部の良心であること
第十一条:あずにゃんはいつもかわいらしくあること
第十二条:さわちゃんはいつまでも私たちの先生であること
第十三条:唐揚にはレモンをかけたら死罪
第十四条:唐揚げはもも肉で作ること
第十五条:焼きそばには紅しょうがを添えること
第十六条:紅茶に砂糖は3個まで
第十七条:いつも楽しく


おしまいっ!

引用元: 紬「私たちの十七条」