2: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:19:43.10 ID:pOrYVrha
黒澤邸


果南「おじゃましまーす」

ダイヤ「どうぞ」っスリッパ スッ

果南「今日みんないないんだっけ?」ペタペタ…

ダイヤ「スリッパが見えないのですかあなたは」

ダイヤ「なぜ裸足なのですかあなたは」

ダイヤ「ええ、今日は誰もいませんわ。ルビィは花丸さん達とお泊まりで、母は地域の皆さんと小旅行へ。父は親戚の方に呼ばれて近畿へ行っていますから」

果南「サファイアもいないの?」

ダイヤ「元からいませんがそんな人」

果南「そっか」

3: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:21:45.87 ID:pOrYVrha
果南「それにしても高校生の娘を一人家に残していっちゃうなんて、ダイヤも随分と信頼されてるんだね」

ダイヤ「まあ、これでも次期当主として最低限の素養は叩き込まれていますから。二日や三日、一人になることくらいは父も母も心配しないのでしょう」

果南「ふーん。これからイケナイことするっていうのに、ねえ」ニヤッ

ダイヤ「い、イケナイこと…」ドキッ

果南「覚悟しといてよね、ダイヤ」

ダイヤ ゴクリ…

4: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:25:18.12 ID:pOrYVrha
|c||^.- ^|| 十分後


ダイヤ「かっっっら!!」

果南「ほらほら水飲んで、冷めたら美味しくなくなっちゃうよ~」っ水

ダイヤ ゴクッゴクッゴクッ

ダイヤ「へぁぁぁぁぁッ!!水でからさが増すのですが!?」

果南「唐辛子系ってだいたいそういうもんだよね」

ダイヤ「ーーー!!ーーーーー!!!」(言葉にならない訴え)

果南「北極のカップ麺なんてイケナイもの、普段じゃ絶対食べないでしょ。から~」ズルズル ヒー

ダイヤ「アーーーーーー!!!」

6: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:29:46.29 ID:pOrYVrha
果南「稽古はないの?」

ダイヤ「なしにしていただきました。家に誰もいない状態では、万が一事故などがあったときに先生お一人の過失となってしまうことを懸念したのだと」

果南「そんな危険な習い事やってるんだっけ」

ダイヤ「いえ特には」

ダイヤ「今はお花、舞踊、お琴、算術くらいです」

果南「ダイヤのお母さんって何気に過保護だよね」

ダイヤ「蝶よ花よと育てられましたわ」オホホ

果南「日頃から私にも優しくしてほしいなぁ」

ダイヤ「びしょびしょのダイバースーツで来るのをやめればそう厳しくされることもないと思いますが」

7: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:32:54.08 ID:pOrYVrha
果南「今日は普通のカッコしてるでしょ」

ダイヤ「なぜ母がいない日に限って…」

果南「今日は前から約束してたしね」

果南「いつもは連絡してすぐ向かうからさ、少しでも早く着こうと思ったらやっぱ(水上)バイクが速いんだよね」

果南「ダイヤだって一秒でも早く私に会いたいでしょ?」ニッ──

ダイヤ「びしょ濡れで我が家の敷居を跨いだことを叱られている三十分を無駄だとは思いませんか?」

果南「あーね」ナルホドナァ

8: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:35:21.97 ID:pOrYVrha
果南「でもそっかー、稽古ないんだったら別にやることもないね」

ダイヤ「お稽古があってもあなたは別にやることはないと思いますが」

果南 ボケー

ダイヤ「…コホン」

ダイヤ「か、果南さん」

果南「んー?」

ダイヤ「ずっと居間にいるのも落ち着かないでしょう。なにがあるわけではありませんが、わたくしの部屋に移動しませんか」

果南「なにもないなら別にここでいいよ」アハハ

ダイヤ ガシッ フンッヌヌヌヌ………(思っくそ引っ張ってる)

果南「?」

10: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:37:44.37 ID:pOrYVrha
ダイヤ ゼェハァ

果南「終わった?果南さんの腕ふといですわーとか思ってたんでしょ、失礼しちゃうなぁ。私も女だよ?」

ダイヤ「い、いいからわたくしの部屋に移動しましょう…居間では落ち着かないではありませんか…」ゼェゼェ…

果南「なんだ、部屋のがよかったんだね。それならそう言いえばいいのに」アハハ

ダイヤ (それはおっしゃる通りでぐうの音も出ない) ハァハァ…

果南「なんか疲れてる?」

ダイヤ「重荷を引こうとしまして、少々」ハァァァ

果南「そっか~」

11: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:40:38.33 ID:pOrYVrha
果南 ヒョイッ(お姫様だっこ)

ダイヤ「!?」

果南「持っていくものとかない?部屋に移動するだけでいい?」

ダイヤ「え、あ、ない、ですが」オロ

ダイヤ「な、なぜ、こんな、だっこ」アワアワ

果南「疲れてるんでしょ?だったら無理しないで。じゃダイヤの部屋行くよ」スタスタ

ダイヤ「~~~……… ハイ…///」カァァ

12: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:44:25.38 ID:pOrYVrha
|c||^.- ^|| わたくしの部屋ですわ


果南「いい天気だねぇ」

ダイヤ「そうですね」

果南 ボケー

ダイヤ「…お外で過ごしたいですか?散歩にでも出かけますか」

果南「んー、ううん。いいや」

果南「ダイヤと二人だけで過ごせる時間って貴重だからさ。くっついていたいかも」

ダイヤ「そ…っ」

ダイヤ「そうですか。果南さんがよいのなら、別に。わたくしはどちらでもよいのですが」ホクロ カキ…

13: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:47:39.36 ID:pOrYVrha
果南「ダイヤ。ん」

ダイヤ「も、もう。仕方がありませんわね」スッ…

果南「ハグ~」ギュ

ダイヤ「果南さんのハグ好きには困ったものですわ」ギュ…

果南「あはは、そう?ごめんごめん」

果南「だってダイヤをハグするの好きなんだもん。さらさらした髪が腕に触れるのも気持ちいいし、匂いも好き」スン

ダイヤ「………///」

果南「は~幸せだなぁ」ギュー

ダイヤ「…そ、それは、なによりです」

14: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:50:37.62 ID:pOrYVrha
とりわけ海岸が近いわけでもない。
人で賑わった町でもない。

市の中心部からも離れた片田舎。
土曜日の昼下がりともなれば、静かなこの町に響くのは遠く走る車のエンジン音と風くらいのもので。


ダイヤ「……果南さん」

果南「ん?」

ダイヤ ス…

果南 ニコ…

15: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:52:34.92 ID:pOrYVrha
──優しく唇が重なる。

女子にしてはやや硬さを感じる指が私の頬に宛てがわれ、もじもじとなぞる。


ダイヤ「…くすぐったいのですが」

果南「へへ。すべすべしてて気持ちいいから」

ダイヤ「……もう」


いたずらっぽく細められた瞳が好きで、好きで。
また唇を重ねる。

16: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:55:34.64 ID:pOrYVrha
ダイヤ (果南さん──)

ダイヤ (幼い頃から共に過ごしてきた大事な友人)

ダイヤ (そして、互いを特別と認め合った大切な恋人)

ダイヤ (優しく触れるばかりの口付け)

ダイヤ (こうして二人きりの時間を取れたときだけの、至福の瞬間)

ダイヤ (自分の中にこんな感情があったなんて)

ダイヤ (たくましい腕が私の肩に、腰に回されるのがたまらなく)

ダイヤ (皮膚を、骨を通り抜けて、神経を直接撫でられていると錯覚するような得も言われぬ感覚)

ダイヤ (もどかしくて、もどかしい)

ダイヤ (ああ──)

ダイヤ (自分の中にこんな欲望が、あっただなんて)

17: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 18:57:51.50 ID:pOrYVrha
ダイヤ (私だってよい年頃の女)

ダイヤ (愛おしい貴女にならば、触れたく、触れられたい想いがあるというもの)

ダイヤ (成人もしていない身でそれこそイケナイことだとわかってはいながらも、胸中に渦巻くこの卑しく濡れた感情をぶつけたいと思わずにはいられない)

ダイヤ (父母もルビィも出払って、ただ二人きりのこの時間)

ダイヤ (今日こそ、今日こそ──)

ダイヤ (こう、相手と多くが触れ合うよう身を寄せて、上目遣いで熱視線を送ることで…!)

ダイヤ「…果南さん」シナ…

果南「…ダイヤ」

果南「半目になってるよ、眠いの?」

ダイヤ ドスッッッ(渾身の突き)

果南「?」(damage: 0)

ダイヤ (──この唐変木ときたらァ!!!) 拳ヒリヒリ…

18: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 19:00:57.21 ID:pOrYVrha
ダイヤ (落ち着け。落ち着きなさい、黒澤ダイヤ)

ダイヤ (そうです、私は黒澤ダイヤ)

ダイヤ (黒澤の家を継ぐこの私にやってやれぬことなどない)

ダイヤ (まずはムードが大事と聞いた。確かに、まだ陽も高く明るいこの時分に、突然そんな気になれというのも難儀でしょう) ウム

ダイヤ (事に及ぶときは部屋の灯りを消すのだとか。それならそう、まずは暗くしなければ) スッ

果南「カーテン閉めるの?」

ダイヤ「ええ」シャ…

果南「ダイヤの部屋はやたら広いからさ、カーテン閉めるだけでもひと苦労だよね。金持ちはよくわかんないよ」シャ…

ダイヤ「わたくしだって好きでこうも広い部屋を宛てがわれたわけでは」シャ…

果南「これで全部だね」シャ…

ダイヤ「ご協力ありがとうございます」

19: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 19:03:18.08 ID:pOrYVrha
果南「昼間でもカーテン閉めれば結構暗くなるもんだね」

ダイヤ「そうですわね。隙間から漏れ入る光を完全に遮断することはできませんが」

果南「あはは。なにもそんなに真っ暗にしなくたっていいじゃん」

果南「少しくらい明るくないと、ダイヤの顔だって見えなくなっちゃうし」ジッ

ダイヤ「……そうですね」//

ダイヤ「…果南さん」シナ…

果南「ふふっ」

果南「ゆっくり眠りなね。何時に起こす?」ポン… ポン…

ダイヤ ドスッッッ(渾身の突き)

果南「ねむぅれェ~↑ねむぅれェ~~↑↑」ルールル

ダイヤ「なぜ自由に歌うときだけ突然音痴になるのですか!!」

21: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 19:05:37.01 ID:pOrYVrha
ダイヤ (なぜ…!なぜなの!?)

ダイヤ (こうも見目麗しくうら若き私と二人きりでいながら、こちらを眠らせることしか考えていないなんて!)
※タメ

ダイヤ (私が眠ったら貴女は一人なのですよ?わかっていますか?)

ダイヤ (私が目を覚ますまでの間にお夕飯でも用意してくれていようという算段なのですか?)

ダイヤ (……まあ、それはそれで)

ダイヤ (いえ貴女の傍で眠ったのだから目を覚ますまでちゃんと隣に寄り添っていなさいな!!)

ダイヤ (…それとも) ハタ…

ダイヤ (私を眠らせて、意識がない隙にあれやこれやと己の欲望のまま蹂躪する腹積もり…!?) ハッ

ダイヤ (ああっいけませんわ果南さん!そんなっ無理やりなさらずとも、私は貴女にならばなにをされたって…!) ヤンヤン

──果南「私もダイヤのほくろ掻いてみていい?」ス…

──ダイヤ「おやめなさい!そういうものではありませんわ!」ンマーッ

ダイヤ (──貴女にならばなにをされてもいいなんて甘いことを言うと思ったら大間違いですからね) ギリリッ…

22: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 19:07:52.55 ID:pOrYVrha
ダイヤ (こうなれば、果南さんに主導権を握られてしまう前にこちらのペースに持ち込んでしまうしかない)

ダイヤ (お、お、押し倒して…しまえばッ………!)

ダイヤ (如何な唐変木と言えども、恋人の部屋で恋人に押し倒されては、乙女の情欲がひらかれようというもの!)

ダイヤ (そうだ。恥ずかしがるな。恥ずかしいのは最初だけ)

ダイヤ (一度気持ちに火が着けば、そこからはきっと果南さんが獣のように私を求めてくださるはず…!)

23: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 19:10:36.82 ID:pOrYVrha
ダイヤ ムクッ(上半身を起こした)

果南「ん、どしたの?」

ダイヤ「ふんっ!!」ガッ(両手を両肩にあてた)

果南「?」

ダイヤ「ふッ、ん、ぬぬぬぬぅぅぅ………!!!」ググググ

果南「???」

ダイヤ「んぬっ、くぉぉぉ……!」ググググ

ダイヤ (──嘘でしょう!?ビクともしないのですが!?)

果南「掌底は身体にあててから力を入れるんじゃなくて、打ち込む瞬間のインパクトが必要なんだよ」

ダイヤ「くっ、全く動きません!まるで樹齢何百年の巨木を押しているようですわ……!」ヌヌヌヌヌ…

24: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 19:13:15.12 ID:pOrYVrha
ダイヤ ゼェハァ……

果南「筋はよかったけどね。へたにやると指先とか痛めやすいから、あんまりおすすめしないよ」アハハ

ダイヤ「…もうっ」

ダイヤ チラ…

果南「ん?どしたの?」

ダイヤ「いえ」サッ

ダイヤ コソ…

果南 ポケーッ

ダイヤ (相変わらず、たいそうなことを考えているようには到底見えない)

25: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 19:15:52.54 ID:pOrYVrha
ダイヤ …コテン

ダイヤ (本当に、私が疲れていて眠いのだと思っているのだろう)

ダイヤ (そして甘えてこのまま眠ってしまえば、目を覚ますまでずっとこうしていてくれるのだろう)

ダイヤ (せっかくお休みの日を使って会いにきてくれたにもかかわらず)

ダイヤ (私と過ごす時間そのものを尊重してくれる)

ダイヤ (こうも深い愛情を頂いているのに、たかだか肉体的な触れ合いごときを求めてしまう私の浅ましさといったら)

ダイヤ (堅く逞しい肩)

ダイヤ (潮の匂いと、彼女自身のわずかな香り)

ダイヤ (優しく垂れた瞳がきゅうっと微笑む)

ダイヤ (そんな貴女を独り占めできていることだけで、何物にも代えがたい幸せだというのに──)

ダイヤ (──────)

ダイヤ ………スゥ…… …スゥ…

26: 名無しで叶える物語(茸) 2022/06/19(日) 19:18:57.36 ID:pOrYVrha
果南「ダイヤ?寝ちゃった?」

果南「親の前でもルビィの前でも、なかなか気を抜けないんだもんね。たまには、誰かに甘えるだけの時間があってもいいと思うんだ」ナデ…

果南「黒澤家次期当主、内浦の金剛石」

果南「…ふふっ。このあどけない寝顔を見たら、そんな言葉は出てこないと思うんだけどなぁ」ツンツン

果南「ま、ダイヤが私だけのものっていう証拠か」

果南「ダイヤ寝ちゃったし、起きるまでなんもできないなぁ」

果南「………」ジッ

果南 (寝てるときに手を出したら、さすがに怒るかな?)

果南「…なーんてね」ハハハ…

果南 (ねえダイヤ。この昼間っから寝ちゃったんだから、夜はちゃんと起きててよね──)


おしまい

引用元: 【SS】ダイヤ「果南さんを押し倒したい」