シンデレラの世界 魔法使いの館

・・・

シンデレラ「送ってくださってありがとうございます。帰りは・・・そうですね、午後4時頃に来ていただけますか?」

馬車の運転手「かしこまりました。その頃にお迎えにあがります」ペコッ

キモオタ「流石はwww王妃殿www送迎に馬車がでるとはwww」コポォ

ティンカーベル「キモオタ!ひやかしちゃダメだよ!」

赤鬼「シンデレラの馬車はかぼちゃの馬車だって聞いたが・・・普通の木製だったな」

赤ずきん「それは舞踏会へ行くときの特別な馬車でしょう?」

シンデレラ「そうね、普段の移動には派手すぎるし、あれは魔法の馬車だから今は無いの」フフッ

キモオタ「さて、魔法使い殿の館に着いたことでござるし、早速訪ねますぞwww」

ティンカーベル「魔法使い、ちゃんと魔法具考えてくれたかな?」

シンデレラ「大丈夫、約束はきちんと守る人だから・・・考えてくれてますよ。じゃあノックしますね」コンコン

9: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)20:06:09 ID:eQD
ガチャッ

魔法使い「よく来た、さぁ上がりなさい。廊下の突き当たりの部屋だ、ソファに腰掛けて待っておれ」

ティンカーベル「なんだかドキドキするね!新しい武器楽しみだなー」

キモオタ「そうですなwww我輩は特技を披露することになってますからなwww同様にドキドキですぞwww」

魔法使い「シンデレラ、新しい紅茶補充しておいたからね。人数分頼めるかい?」

シンデレラ「はーい。魔法使いさんは今日もノンシュガーですか?」

魔法使い「うむ、だが今日は子供もおるのだし、シュガーポットも持ってきとくれ」

シンデレラ「はい、じゃあ持って行きますね」

赤ずきん「魔法使い。私、砂糖無くても大丈夫よ」

魔法使い「そうかい?まぁいい、どうせティンカーベルは山ほど砂糖入れるんじゃろ?」

ティンカーベル「入れるよ!シュガーポットに紅茶入れてもいいくらいだよ」

キモオタ「ちょwww甘党ですなティンカーベル殿www」

10: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)20:16:40 ID:eQD
シンデレラ「はい、どうぞ」ニコッ

赤鬼「おぉ、すまんな」

キモオタ「なんというか手慣れておりますなwww魔法使い殿がノンシュガー派というのも知っていたようでござるしwww」

シンデレラ「実はよく来るんですよ。頻繁に魔法使いさんからお茶会のお誘いが・・・」

ゲフンゲフン

魔法使い「シンデレラ、余計なことは言わなくてよろしい。さて・・・本題に入ろう、飲みながらで構わないから聞いとくれ」

ティンカーベル「仲が良いんだね、親子よりもっと年が離れてるのに」

キモオタ「いやいやwww魔法使い殿はシンデレラ殿が可愛いのでござろうwww娘のような存在というかそういう奴でござろうwww」

魔法使い「・・・・・・まぁよい。否定はせん」

シンデレラ「うふふ」

魔法使い「まずは赤ずきんと赤鬼からだ・・・」

15: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)20:30:19 ID:eQD
魔法使い「まず赤ずきん、お前の武器は魔法のマスケット・・・だったな」

赤ずきん「えぇ、私の魔法具の一つね。魔力による銃弾の自動リロード、銃弾はほぼ無限に発生するから間髪なく連射することも、理屈では可能よ」

キモオタ「理屈では・・・実際はできないのでござるか?」

赤ずきん「ええ、実際にやるとなると・・・私の体が耐えられない、反動を抑えきれないのよ。だから私は基本的に単発か・・・三発程度、集中した場所に撃ち込むようにしているけれど」

魔法使い「うむ、その補助ができる魔法具。こんな物を考えたのだが、本人に見て貰おう・・・ほれ、計画案だ赤ずきん」スッ

赤ずきん「・・・・・・」ジッ

赤鬼「どうだ?思ったようなもの、作ってもらえそうか?」

赤ずきん「いいえ、想像以上よ。魔法使い、失礼を承知でっせ言うけれどでし本当にこんな魔法具を作れるの?」

魔法使い「作れるからお前に計画案を見せたんだ。もちろん必要な素材でワシの手元に無いものは集めてもらう。その端に書いてあるだろう・・・構わんな?」

赤ずきん「ええ、もちろん。必ず集めてくるわ」

魔法使い「うむ、よろしい。では、もうひとつお前に渡しておこう・・・」スッ

赤ずきん「これは・・・?」

魔法使い「【赤ずきん】のおとぎ話、その内容が書いてある」

16: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)20:43:12 ID:eQD
赤ずきん「私のおとぎ話の内容・・・」

キモオタ「そんなものwww今更渡さなくても知っているのでは無いですかなwww」

ティンカーベル「バカキモオタ!赤ずきんがなんで旅してるか忘れたの!?」

キモオタ「ファッ!?そういえば・・・!申し訳ない赤ずきん殿www」

赤ずきん「・・・いいのよ。確かに、おばあちゃんはいろんなおとぎ話を私に教えてくれたけど、【赤ずきん】の結末がどうなるかは聞いていなかったもの。それまでに消えてしまったからね」

魔法使い「知っておきなさい。役に立つだろう。それと・・・お前は魔法具をいくつ持っている?」

赤ずきん「今は・・・三つよ。何故?」

魔法使い「アリスは魔法具を集めている、あまり多くなるとその標的にされるかもしれぬからな・・・」

赤ずきん「問題ないわ、それを退けるために力をつけるのだから」

魔法使い「うむ、では素材が集まったら持ってきなさい。すぐ制作に取りかかってやるでな・・・次は、赤鬼だ」

赤鬼「オイラか・・・?」

17: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)20:51:24 ID:eQD
赤鬼「オイラは魔法具頼んでないぞ?」

魔法使い「うむ、そうだ。お前には魔法具は必要無い・・・必要なのはお前の中にいるもう一人の鬼を御する力だ」

キモオタ「もう一人の鬼・・・!」

ティンカーベル「鬼神!鬼神のことでしょ!?」

赤ずきん「・・・・・・」

シンデレラ「・・・?」

魔法使い「鬼神というのか。その鬼の持つ能力は絶大な力をお前に与えるだろう・・・その鬼神の力を我が物にするのだ、赤鬼」

赤鬼「・・・・・・しかし、だな」

赤ずきん「魔法使い、それは駄目よ。鬼神は人間への憎悪の固まり・・・平和を望む赤鬼が手を出していい能力じゃない。それにそんな事を続けていたらいつ赤鬼が乗っ取られるかわからない」

キモオタ「それはいけませんな・・・マンガやアニメでは凶悪な第二人格はセオリーではありますがな・・・」

ティンカーベル「ダメダメ!危険が大きすぎるよ!」

魔法使い「まぁまぁ落ち着け、ワシは何も赤鬼に危険を冒せと言っているわけではない。御する力を手に入れろといっているのだ」

21: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)21:03:42 ID:eQD
赤鬼「御する力・・・?」

鬼神(御スル力・・・面白イ事ヲ言ウ老婆ヨ・・・!)

赤鬼「・・・!?」ガタッ

赤ずきん「どうしたの、赤鬼?」

赤鬼「いや、なんでもねぇんだ・・・魔法使い、続けてくれ」

赤鬼(何故、お前が話しかけてくるんだ・・・!ここは鬼ヶ島じゃない、人間への憎しみはここに蠢いていないはずだろう!)

鬼神(ソウダ、ダガ鬼ヶ島デ実体化スル事ニヨリ、憎悪ヲ吸収シ・・・我ノ能力ハ増シテオルノダ)

赤鬼(・・・なんだと!?)

鬼神(ソウ身構エルナ、残念ダガ貴様ノ許可無ク身体ニ乗リ移ル事ハ出来ヌ・・・ダガイツデモ呼ブガイイ)

鬼神(我ハ貴様自身、貴様ハ我ナノダカラナ・・・クックック)

赤鬼(・・・・・・)

魔法使い「おい、赤鬼。聞いているのか?」

赤鬼「お、おお、すまん。聞いてなかった」

22: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)21:12:19 ID:eQD
魔法使い「その鬼神を御するにはお前自身の成長が必要だ・・・悪しき力に飲み込まれぬ強い精神と身体・・・こればっかりはおまえが自分自身で手に入れるしかない」

赤鬼「鬼神に乗っ取られない強い精神・・・」

魔法使い「急いではならん、鍛練を重ねつつ・・・様々なおとぎ話を旅するのがいいだろう。いくつかおとぎ話を書き連ねておいた、これを参考に行き先を決めよ」スッ

赤鬼「わかった・・・えっと・・・」スッ

赤ずきん「・・・私にも見せてちょうだい、赤鬼。あなたひとりじゃあ世界移動できないでしょう?私も付き合うわよ」

赤鬼「まぁそうなんだが・・・いいのか?お前は素材集めがあるだろう」

赤ずきん「いいのよ、同時にこなすもの。あなた一人にしたらまた鬼神を呼び出したりして無茶するでしょう?・・・平気よ、私はもう足を引っ張らないように努力するもの」

赤鬼「おう、じゃあこれからも一緒の旅だな、赤ずきん」ニカッ

赤ずきん「ええ、よろしくね赤鬼」

23: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)21:30:53 ID:eQD
魔法使い「次にティンカーベルだが・・・」

ティンカーベル「はいはい!待ってた!私の武器!」ワクワク

魔法使い「とりあえず、スリングショット本体はなんとかなりそうだ、強い硬度の鉱石が欲しい。お前達の友人にいただろう、【裸の王様】の・・・あの者に頼んでおいてくれ」

ティンカーベル「裸王ね!オッケー!でさでさ!玉のほうはどうかな?魔法の玉できそう?」

魔法使い「結論からいうと可能だが、強力なものほど素材の希少性も上がってくる。リストを作っておいたからその中から欲しい玉の素材を持ってくるといい」スッ

ティンカーベル「わーい!・・・おぉ!いろんな種類あるよ!『皮膚が非常にかぶれる玉』『当てた相手の動きを拘束する玉』・・・ワクワクする!」

キモオタ「どれどれwww本当ですなwww『着弾と同時に爆音の鳴る玉』・・・ティンカーベル殿!これ見たでござるか!?すごいでござるよ!『着弾地点から一定距離を絶対零度にする玉』!」

ティンカーベル「なにそれすごい!ねぇねぇ!これ海も凍る!?」

魔法使い「海・・・部分的だが凍るは凍るが・・・」

ティンカーベル「これにしよ!これにしようよキモオタ!」ワクワク

魔法使い「馬鹿者、必要な素材をよく見てみろ」

キモオタ「どれどれ・・・『必要素材:悪魔の鏡の破片。雪の女王の精製した雪の結晶』・・・?」

24: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)21:43:20 ID:eQD
ティンカーベル「えーっ!?そんなの無理じゃん!【雪の女王】の世界に行っても手にはいるわけないじゃん!」プンスカ

キモオタ「ああwwwあれでござろうwwwアナと雪の」

ティンカーベル「それじゃない方!それの原作の方だよ!魔法使い意地悪で書いたでしょこれ!」プンスカ

魔法使い「なんでそうなるんじゃい。可能性のある物を全部書いたにすぎん。まぁその玉は無理だろう」

シンデレラ「あっ、でもこれなら手伝えるよ、ティンクちゃん。『猛烈な速度で飛んでいく玉。必要素材:ガラスの靴を打ち鳴らした音色』」

赤鬼「赤ずきん、裸王のとこの鉱石はお前の魔法具の材料でもあるんだし一緒にとってきてやればいいんじゃないか」

赤ずきん「そうね、構わないわよ」

ティンカーベル「じゃあそれはお願いする!あとは・・・えっと」

魔法使い「まぁ、ワシが備蓄しとる素材でできるもんは作ってやる、できたらシンデレラに届けさせるから楽しみにしておれ」

ティンカーベル「わかった、かっこいい奴ね!」

魔法使い「最後はキモオタだが・・・」

28: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)21:49:21 ID:eQD
キモオタ「ついに我輩の番ですなwww」

魔法使い「お前は特技をみてから決めるという事だったな・・・」

キモオタ「遂に我輩の特技が火を噴きますぞwwwさてwwwこのくらいの広さがあればいいでござるかなwww」グッグッ

魔法使い「なんじゃ火を噴くって、まぁいいからやってみせるがいい」

ティンカーベル「・・・・・・」

赤鬼「ティンカーベルは知ってるのか?キモオタの特技」

ティンカーベル「・・・昨日練習してるの、こっそり見た」

赤ずきん「なんでちょっと元気がないのかしら、ティンク?」

ティンカーベル「・・・・・・」

キモオタ「さーて!wwwいきますぞwwwスマホでござるが・・・ミュージックスタートですぞwww」パキパキッ フリフリフリフリ

魔法使い「・・・・・・なんじゃあの光る棒」

キモオタ「サイリウムですぞwww」コポォ

31: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)21:58:02 ID:eQD
ズンダッダッダダッダー♪

キモオタ「今日はお気に入りのアイドルソングのオタ芸を・・・ティンカーベル殿推しアレンジでお送りするでござるよwww」ドゥフコポォ

ティンカーベル「・・・・・・」

ズンズンダッダダッダ-♪

キモオタ「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」サイリウムフリフリ

赤鬼「・・・・・・」

ズンズンダッダダッダ-♪

キモオタ「ハイハイ!ハイハイ!ウオォォォ!」サイリウムフリフリ

シンデレラ「・・・・・・」

ズンズンダッダダッダ-♪

キモオタ「ティンカーベル殿ー!ラブリィィィー!」サイリウムフリフリフリ

赤ずきん「・・・・・・」

ズンズンダッダダッダ-♪

キモオタ「超絶可愛いティンカーベル殿オォォォ!」サイリウムフリフリフリ

魔法使い「・・・・・・」

キモオタ「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ティンカーベル殿オォォォ!」サイリウムフリフリフリ

ティンカーベル「・・・・・・」

34: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)22:05:41 ID:eQD
ジャジャーン♪

キモオタ「ドゥフwwwどうでしたかなwww我輩の唯一の運動系特技、オタ芸はwwwティンカーベル殿推しアレンジwwwこれなかなかクオリティ高いでござろうwww」コポォ

シンデレラ「わ、わー!す、すごかったです!」パチパチ

赤ずきん「ええ、ある意味凄まじかったわね」

赤鬼「お、おう・・・機敏な動きだったよな・・・」

ティンカーベル「・・・・・・」

キモオタ「どうしましたかなwwwティンカーベル殿www感動のあまり声もでませんかなwww」

ティンカーベル「・・・・・・」スッ

キモオタ「なんで黙っているのでござるかwwwというかwwwいつもより距離遠くありませんかなwww」コポォ

ティンカーベル「・・・・・・」プイッ

キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿wwwマジヒキではござらんかwww」コポォ

魔法使い「ふむ、まぁ・・・かけ声はアレだったが・・・ふむ・・・」

魔法使い「使えんこともないぞ、その特技」

35: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)22:15:05 ID:eQD
ティンカーベル「えぇ!?なんで!?あんなにキモいんだよ!?あんなの魔法具にしていいの!?」

キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿www本人を前にしてwww」

ティンカーベル「いいよ!あの機敏な踊りはね!テレビのcmでもやってたもんね?あれはすごいと思うよ?あれだけ動けて逆にすごいよ!でもその私アレンジは本当やめてよ!見てるこっちが恥ずかしいよ!」

魔法使い「まぁそれには同意だが・・・まぁ落ち着けティンカーベル」

赤ずきん「まぁティンクの気持ちを考えると、無いわね」

赤鬼「なんだ、これ言ってもいいのか・・・?ならまぁ、うん、オイラも無いかなとは思ったな」

シンデレラ「えっと、私はそんなに嫌いじゃないですよ?ティンクちゃんかわいいからその気持ちわかります。けど、なんというか・・・」

キモオタ「ちょwww散々wwwなwww評価www」

36: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/20(火)22:30:33 ID:eQD
魔法使い「だが、単純に機敏な動き、左右のバトンの残光、これを利用すればいいわけだ・・・」

ティンカーベル「何を作るの?剣?というかキモオタに魔法具あげてもいいの?」

キモオタ「それはいいでござろうwww根に持ちすぎですぞwww」

魔法使い「魔法の杖と言えばわかりやすいか・・・」

ティンカーベル「じゃあキモオタがいろんな魔法使うってこと?どうやって?」

魔法使い「そのサイリウムという道具を振ると残光が延びるだろう?その動きを利用して・・・残光を使って特定の動きをすることで魔法を呼び出すゲートを作り出す」

キモオタ「つまりどういうことですかなwww」

魔法使い「つまり、例えば『Aの魔法を使うにはサイリウムを円上に二回振る』と言ったように特定の光の動きと特定の魔法を結びつけて、使役する」

シンデレラ「サイリウムの動きで複数の魔法を使い分けるって感じですか?」

魔法使い「うむ、そうだな」

キモオタ「なんだかかっこいいでござるなwww我輩、魔法使いになるにはもうしばらく年齢を重ねる必要がありますがなwwwしかし複数の魔法が使えるとは嬉しいwww」

ティンカーベル「キモオタにはもったいない魔法具だよ・・・」ボソ

キモオタ「ちょwwwもう謝るでござるからwwwティンカーベル殿許していただきたいwww」

55: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)20:13:56 ID:4Uc
魔法使い「とにかく、キモオタの新しい武器に関しては作り始めておこう。しばらく時間を貰うよ」

ティンカーベル「あれ?キモオタの魔法具は素材集めなくてもいいの?」

赤ずきん「そういえばそうね・・・私やティンクの魔法具とは性質が違うのかしらね?」

魔法使い「もうキモオタはその魔法具の使用に必要な物を持っているのでな・・・あとは器をこさえるだけだ」

キモオタ「我輩がすでにもっている物・・・ですかな?」

魔法使い「そうさ。お前の魔法具『おはなしウォッチ』と連動した武器になるからね。まったくのゼロから魔法具を作る訳じゃないから多少は簡単なのさ」

キモオタ「なるほどwwwおはなしウォッチ零式ですなwww」

魔法使い「なんじゃい零式て、なんで退化させとるんだお前は・・・」

キモオタ「正統進化でござるwww」

魔法使い「まぁいい、これで各々への話は終わったね・・・」

57: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)20:23:50 ID:4Uc
魔法使い「おとぎ話を消滅させ、魔法具をかき集めるアリスとドロシー達・・・理由ははっきりせんが、魔法のランプを狙っているのであればろくなことじゃないのは確かさね」

魔法使い「話を聞いた限りでは、今のお前達では太刀打ちできんままだろう・・・今は直接対決は避けて、爪を磨くときだ」

魔法使い「焦らずに、確実に力を付けていきな・・・!ワシもできる限りのサポートはしてやろう。さぁ、自分のやるべきことはわかっとるな?」

赤ずきん「えぇ、私は魔法具の素材集め。それともう足手まといにならないように、ドロシーに勝つために・・・もっともっと強くなる」

赤鬼「オイラもだ。強くなるために・・・鬼神に負けない強い精神と肉体を作る・・・そのために鍛錬と旅を続ける」

シンデレラ「私は旅をしている訳ではないけど・・・戦いになっても戦力になれるように・・・ガラスの靴を使いこなせるように・・・訓練します!」

ティンカーベル「素材集めもするけど、もう戦えないまま負けちゃうなんて嫌だもん!強くてかっこいい妖精になるよ!」

キモオタ「ですぞwwwそしてアリス殿ドロシー殿の企みを防ぎ・・・おとぎ話の世界を救いますぞ!」

魔法使い「うむ、では各々・・・できる限りの力を尽くすようにな」

60: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)20:38:15 ID:4Uc
赤ずきん「さて、出発しましょうか赤鬼」ガタッ

赤鬼「うむ、構わんぞ・・・シンデレラ、茶ごちそうさま」ガタッ

シンデレラ「もう行くんですか?少しゆっくりしていっても・・・」

赤ずきん「いいえ、私は少しでも早くドロシーの力に追い付きたい・・・!そのためにはゆっくりしてなんていられないわ、ごめんなさいねシンデレラ」

魔法使い「ふむ、それもよかろう。だが、あまり焦らぬ事だ。先ほども言ったが確実にとって力を付けていくことを優先するんだぞ」

赤ずきん「ええ、大丈夫よ。魔法使い、いろいろありがとう。魔法具の事も、赤鬼の事も」

魔法使い「なに、次々とおとぎ話が消えてしまえばこの世界だって危うい、お前達の手助けをすることくらいなんてことないことだ」

赤鬼「うし、じゃあなティンクキモオタ!またいつでも呼んでくれよ!オイラ達に遠慮なんかしなくていいからな!」

赤ずきん「そうね、お互い進む先は違うけれど・・・目的は一緒よ。必ずドロシーとアリスの企みを・・・阻止しましょう」

ティンカーベル「もっちろんだよ!」

キモオタ「ですなwww二人とも体に気をつけてwww」

赤ずきん「ええ、あなたもね。それじゃあ、また会いましょう」ニコッ



赤ずきん「ずきんよずきん、魔法のずきん・・・私達を【裸の王様】の世界へ連れて行って頂戴」

ヒュン

62: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)20:56:03 ID:4Uc
ティンカーベル「赤ずきん張り切ってたね!私達も行こう!」

キモオタ「ちょwwwまだ王妃がいれてくれた紅茶がwww」ズズズー

ティンカーベル「もぉー!早く早く!」

シンデレラ「ティンクちゃん達がこれから行く先って確か、大鬼さんと約束したっていう・・・」

キモオタ「ですなwww【アラビアンナイト】のおとぎ話の主人公、シェヘラザード殿に大鬼殿からの伝言を伝えなければなりませんからなwww」

ティンカーベル「そうそう!だからまずは【アラビアンナイト】の世界に行くよ!」

魔法使い「うむ・・・それが容易ければいいのじゃが・・・」ボソッ

キモオタ「さて、出発前に・・・シンデレラ殿にはこれを差し上げますぞwwwここにくる前に買ってきたのでござるwww」スッ

シンデレラ「私にプレゼントですか?えっと・・・入門書ですか、ムエタイ、テコンドー、カポエイラ・・・?」

ティンカーベル「シンデレラ、ガラスの靴があるからちょうどいいと思って買って貰ったの!あげるよ!」ニコッ

シンデレラ「ふふっ、キモオタさんティンクちゃん、ありがとう。じゃあ頑張って練習しなくちゃね」ニコッ

魔法使い「ワシとしてはおとなしくしていてほしいんじゃが・・・致し方あるまい・・・」フゥ

63: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)21:01:58 ID:4Uc
魔法使い「では、キモオタにティンカーベル・・・くれぐれも無理せず油断せずに行くがよい【アラビアンナイト】はアリスやドロシーも目を付けているだろう・・・なにが起こってもおかしくない」

ティンカーベル「うん!頑張るよ!だから魔法使いはちゃんと私の魔法具頑張って作ってね!」

魔法使い「わかったわかった、早く行きなティンカーベル」

シンデレラ「ティンクちゃん、また今度お話ししようね」フリフリ

ティンカーベル「うん!約束!・・・じゃあキモオタ、準備はいいよね?」

キモオタ「もちろんですぞwww」

ティンカーベル「じゃあ行くよ!張りきって行くよー!」フンス

ティンカーベル「【アラビアンナイト】の世界へ!」

キィィィィィィン

キモオタ「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」ヒュォォ

ヒュン

65: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)21:09:34 ID:4Uc
キィィィィィィン

キモオタ「ブヒィィィ!?」ドズサァァァー

ティンカーベル「よし!到着・・・って、あれ!?」



魔法使い「・・・・・・なにしとるんだ、キモオタ。盛大に転けおって」

シンデレラ「あれ、ティンクちゃん・・・なにか忘れ物?」

ティンカーベル「えっ?なんでなんで!?ここ、魔法使いの家だよね?」

キモオタ「ちょwww移動できてないではござらんかwww我輩、顔面スライディング損なのでござるがwww」コポォ

ティンカーベル「おかしいなぁ・・・もう一回!次は失敗しないから!」フンス

キモオタ「頼みますぞwww」

魔法使い「・・・・・・」

シンデレラ「ふふ、気をつけてねティンクちゃん」ニコッ

ティンカーベル「うん!じゃあ今度こそ・・・!【アラビアンナイト】の世界へ!」

キィィィィィィン

キモオタ「ぶっひゃああぁぁぁ!!」

ヒュン

66: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)21:16:45 ID:4Uc
キィィィィィィン

キモオタ「ぶひぃぃぃぃぃ!!!ぶっひゃぁぁ!!」ドンガラガッシャー

ティンカーベル「今度こそ・・・!」ガバッ

シンデレラ「えっと・・・おかえりなさい」

ティンカーベル「んもぉー!なんでうまくいかないの!?」

魔法使い「・・・・・・これは、もしかすると・・・」フーム

ティンカーベル「キモオタ!もっかい!もっかいやるよ!ほら早く立って!」

キモオタ「い、いやティンカーベル殿、これ何かおかしいでござるよ・・・焦らず原因を突き止めてから・・・」ボロボロ

ティンカーベル「いいから!行くよ!【アラビアンナイト】の世界へ!」キィィィィィィン

キモオタ「ちょ、我輩もう顔面打ちすぎてやばいのでござぶひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

ヒュン

魔法使い「・・・・・・」

シンデレラ「・・・・・」

ヒュン

キモオタ「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」ガッシャーン

シンデレラ「お、おかえりなさい・・・」

68: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)21:26:22 ID:4Uc
ティンカーベル「・・・おかしい!なにかおかしいよキモオタ!」

キモオタ「だ、だからそう言ったでござるよ・・・」ゼェゼェ

シンデレラ「キモオタさん、もう満身創痍じゃないですか・・・お水持ってきます!」

魔法使い「ふむ・・・世界移動に失敗する原因・・・か、前回までは問題なかったんじゃな?心当たりはあるか?ティンカーベル」

ティンカーベル「ううん、無いよ?【桃太郎】まではいつもどおり飛べてた、怪我も病気もしてないしご飯も食べたし・・・心当たりもないけど・・・」

キモオタ「あれではござらんか・・・魔法使い殿が言っていたでござろう・・・結界・・・」ゼェゼェ

魔法使い「うむ、何者かが【アラビアンナイト】の世界に外部から進入できないように魔法で結界を張っているのかもしれんな・・・」

ティンカーベル「えーっ!?じゃあもうシェヘラザードの所に行けないの!?」

魔法使い「うむ・・・ティンカーベルの魔力では進入できない・・・ならば強力な魔力で決壊を破ればあるいは・・・」

69: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)21:36:00 ID:4Uc
ティンカーベル「じゃあ魔法使いついてきてよ!魔法使いの魔力なら余裕でしょ?」

魔法使い「・・・・・・ならん」

ティンカーベル「えーっ!いいじゃん、困ってるんだよ・・・ちょっと一緒に来て結界壊してよ!大鬼との約束守りたいんだよ!」

魔法使い「・・・・・・苦手なんじゃ」

ティンカーベル「えっ?」

魔法使い「苦手なんじゃ。世界移動の魔法は、使うのもかけられるのも・・・」ボソッ

キモオタ「ちょwww魔法に苦手も何もないのではwww」

魔法使い「そんなことはない、ワシは変化の術はおとぎ話の中でも随一じゃが・・・世界移動の魔法はからっきし。かけられるのも苦手だ・・・無理をすればおそらく・・・」

魔法使い「魔力が暴走する」

ティンカーベル「そんなに!?大事だよそれ!」

魔法使い「魔力は時に精神状態に左右されやすいんじゃ・・・あまり言いたくなかったが、ワシに世界移動は無理じゃ・・・やってやれんこともないかもしれんが・・・」

キモオタ「いやいやwww無理しないでいただきたいwww」

ティンカーベル「でも、困ったね・・・これじゃ【アラビアンナイト】にいけないね」

70: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)21:51:32 ID:4Uc
魔法使い「そうじゃな、アラビアンナイトの世界には結界が張ってあり・・・それを上回る魔力の持ち主でないと世界移動はできない・・・」

シンデレラ「あの・・・他の方にお願いするというのはダメですか?魔法使いさんくらい魔力の強い方に」

キモオタ「なるほどwwwそれならば結界をすり抜けることもできそうですなwww」

ティンカーベル「でも他に魔法使いの知り合いなんかいないよ?どこにいるかもわかんないし・・・」

魔法使い「そうだな、魔法使いとは大体が人里離れた場所に住みたがる・・・探し出すのは困難かもしれんな」

シンデレラ「そうですか・・・いい案だと思ったんですけど・・・」

魔法使い「だが、居場所がはっきりしている魔法使いも中には居る。その魔法使いに頼めばあるいは・・・」

キモオタ「ほうwwwその魔法使いとはいったい何者ですかなwww」

魔法使い「うむ、ワシの得意魔法が変化の術ならその魔女は魔法植物の栽培が特技でな・・・会ったことは無いが屋敷の庭に広大な畑を持っているということらしい。
それに、あのおとぎ話には天空を引っ掻かんばかりの高い塔が建っておる・・・目印としては十分だ、どちらかを訪ねればその魔女に会えるだろう」

ティンカーベル「そのおとぎ話って・・・」

73: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/21(水)22:05:49 ID:4Uc
ティンカーベル「私、読んだことある!髪の毛がものっすごーく長いお姉さんが住んでるんだよね!?」

魔法使い「うむ、その通り。そこの魔法使いに事情を話し・・・【アラビアンナイト】への世界移動を頼めばいい。本来ならワシの役割だが・・・すまんな」

キモオタ「いやいやwww手段があってよかったですぞwww」

ティンカーベル「うん!その魔女が手伝ってくれるかどうかはわかんないけど・・・とりあえずそっちに行ってお願いしよう!」

キモオタ「そうですなwww」

ティンカーベル「じゃあ、今度こそいってきます!じゃあねシンデレラ、魔法使い!」

シンデレラ「うん、お願い聞いてくれるといいね!」

魔法使い「失礼の無いようにするんだぞ?魔女には気むずかしい奴もおおいでな」

ティンカーベル「うん、わかった!じゃあ行くよキモオタ!」

キモオタ「次こそは顔面スライディングは回避せねばwww」

ティンカーベル「じゃあ出発・・・!おとぎ話・・・【ラプンツェル】の世界へ!」

キィィィィィィン

キモオタ「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

ヒュン

93: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)19:58:45 ID:tEO
 ラプンツェルの世界 町外れ 

キモオタ「ぶっひゃ!」スタン

ティンカーベル「到着・・・!今度はちゃんと移動できたね!」

キモオタ「ですなwwwここがおとぎ話【ラプンツェル】の世界というわけですなwww」コポォ

ティンカーベル「うんうん!でも今回はこのおとぎ話が消えそうだから来たんじゃなくて魔女に会いに来ただけだからなるべく余計なことしないようにしないといけないね」

キモオタ「と言うことは消えそうなにおいもしていないということですかな?」

ティンカーベル「大丈夫だよ、いまんところ消えそうなにおいはしてないかな」クンクン

キモオタ「それはなによりwwwでは魔女殿の居場所を探してみますかなwww広大の畑がある屋敷か高い塔のどちらかにいるんでしたかなwww」

ティンカーベル「その前に、このおとぎ話のおさらいしておこうか?キモオタまだ読んでないでしょ?」

キモオタ「そうですなwwwお願いしますぞwww」

96: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)20:28:59 ID:tEO
・・・

キモオタ「おさらいでござるwww【ラプンツェル】を知っているお主等も今回は出来れば目を通していただきたいwww」

ティンカーベル「なんで?知ってたらいいじゃん、読まなくても」

キモオタ「そうでござるけどwww何年か前に映画でやってたでござろうwwwディズニーのwwwあれと元ネタのこれは全然内容違うのでwww」

・・・

ラプンツェル

あるところに夫婦がいました。
そこの奥さんはお腹に子供を授かっていて、ふと窓の外を見ると魔女の畑に沢山の野菜が青々と育っていて、それはとても美味しそうです。
奥さんが旦那さんに「あの美味しそうな野菜を食べなければ私は辛くて死んでしまう」というので旦那さんは夜中に魔女の畑に野菜を盗みに行きました。

しかし魔女にばれて捕まってしまいます、事情を話す旦那さんに魔女はいいました。
「それならばこの野菜はお前にやろう、ただしお前の奥さんが産んだ子供が女の子だったらワシが貰うが、構わないね?」
旦那さんはしかたなく承知しました。やがて生まれた子供は女の子だったため魔女に連れて行かれたのです

ラプンツェルと名付けられた娘は非常に美しく、背丈よりもずっとずっと長い髪の毛をもっていました。しかしラプンツェルは塔に閉じこめられていて外の世界を知りません。
ある日ラプンツェルが塔の高いところに一つだけある窓から歌を歌っているのを通りがかった王子は耳にします。しかし塔を訪ねようにも出入り口はどこにもありません。
何日か王子は通い詰めていくうちに、魔女が塔の下から叫びます
「ラプンツェル!お前の長い髪の毛をたらしておくれ」
すると塔の窓からするすると長くて美しい髪の毛が下がって来て、魔女はそれを伝って登っていきました。

王子は後にそれを真似して塔に上りました
初めて男の人を見たラプンツェルは驚きましたが優しい王子様と恋に落ちました。しかし魔女には内緒にしなければいけません。
しかし、ある日うっかり王子のことを魔女に話してしまったのです。

魔女は大激怒。ラプンツェルの髪の毛をジョキンと切り落とすと彼女を遠くの砂漠に置き捨ててしまいます。
そんなことを知らずに塔へ来た王子を魔女は激しく罵倒し、ラプンツェルにもう会えない事を知った王子は悲しみのあまり塔から転げ落ち、視力を失ってしまいました。

王子はそれでも這うようにラプンツェルを探し続けました。
しばらくの時が過ぎて、王子は遠く離れた土地でラプンツェルに再開します。再会を喜んだラプンツェルの涙が王子の目に降り注ぎ、王子は視力を取り戻しました

それから二人は王国へ帰り、いつまでも幸せに暮らしました

おしまい

・・・

キモオタ「ちょwww長いwww」

98: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)20:35:52 ID:tEO
ティンカーベル「って感じかな」

キモオタ「なるほどwwwというか塔の上から下まで届く髪の毛ってwww長すぎでござろうwww」コポォ

ティンカーベル「その長い髪のお姉さんがラプンツェル。このおとぎ話の主人公だね」

キモオタ「そして我々はラプンツェル殿を塔に閉じ込めた魔女殿に会いに行くわけでござるか・・・」

ティンカーベル「悪い魔女かな・・・閉じ込めた理由は知らないけど・・・ちゃんと手伝ってくれるかな・・・」

キモオタ「とりあえず魔女の館に行ってみますかなwww確か広大な畑があるとかwww」

ティンカーベル「そうそう、魔法植物だって魔法使いは言ってたけど・・・ちょっと空から見てみる!」ピュー

ティンカーベル「えっとねー・・・・・・あった!このままね、ずっとまっすぐの所に大きな畑のある建物があるよ!」

キモオタ「きっと魔女殿の館ですなwwwまずはそこを訪ねてみますかなwww」

99: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)20:44:34 ID:tEO
魔女の館

ティンカーベル「近くでみると大きいねー・・・畑もすっごく広いし」

キモオタ「これは相当な力をもつ魔法使いですぞwwwちょっとした中ボスがいるダンジョンレベルでござるよこれはwww」

ティンカーベル「でも・・・畑にはなーんにも育ててないみたいだね。館の方にも人の気配はないし・・・」ヒョコ

キモオタ「留守ですかな?ちょっと覗いてみるでござるwww」コポォ

ティンカーベル「うーん・・・薄暗くて見えないけど・・・なんだか蜘蛛の巣だらけで埃っぽいよ?もう誰も住んでいないのかも・・・引っ越しちゃったのかな?」

キモオタ「それは困りましたな・・・」

おっさん「・・・お前たち、そこで何をしている!?泥棒か!?」ザッ

キモオタ「ちちち違うでござるよ!我々は怪しいものではないですぞwwwぶひひwww」

ティンカーベル「そうだよ!ちょっと家の中を覗いてただけだもん!ね?」

キモオタ「ですぞwww」

おっさん「うむむ・・・覗きなんてしてる奴信用できんな・・・!」

100: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)20:54:29 ID:tEO
おっさん「まぁいい、まだなにもしてないみたいだからな。見ない顔だな・・・旅のものか?悪いことは言わねぇからこの館からは離れた方がいい」

キモオタ「なんでですかなwww」

おっさん「この館には悪名高い魔女が住んでいてな・・・森の奥へ引っ越して今は住んでいないがいつ戻ってくるかわからないし、どんな怪しい呪文がかけられているかわからん」

ティンカーベル「悪い魔女なの?ここに住んでいた人」

おっさん「ああ、なんでも隣人に生まれた赤ん坊を連れ去ったり・・・怪しい野菜を作ったり・・・とにかく悪い噂が多い。お前たちも関わらない方がいいぞ」

キモオタ「わかりましたぞwww」

おっさん「魔女なんてのは大体悪さをするもんだからな、得体の知れない呪術や道具を使ってな・・・俺達善良な市民はいい迷惑だ。きっと不可解な事件の大半はあいつの仕業だぞ」

ティンカーベル「でも、そんなの証拠が無いじゃん!」

おっさん「なんだお前は・・・まさか魔女の仲間か?」

キモオタ「そんなわけないでござるよwwwそれでは我々は失礼しますぞwww」ゴソゴソ

101: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)21:04:38 ID:tEO
・・・

キモオタ「ティンカーベル殿www気持ちはわかるでござるがああいうのにいちいち突っかかっていたらキリがありませんぞwww」

ティンカーベル「でもー・・・証拠もないのに魔女だからあいつが全部悪いー!とか、赤鬼の時と同じじゃん。鬼だから悪い奴だ、魔女だから怪しいって決めつけてさ、ああいうの大っ嫌いなんだよ!」

キモオタ「ああいう人達は困ったことを何かのせいにしたいだけなんですぞwwwだから鬼や魔女のせいにするんでござるよ、力や能力でかなわない相手でござるからなおさらでござるwww」

ティンカーベル「もー・・・まだ魔女に会えてすらいないのにいやな気持ちになっただけだよ・・・」

キモオタ「まぁまぁwwwとりあえずあの町にはいないみたいでござるしwww森の奥に引っ越したってことでござるし、塔の方へいってみるでござるよwww」

ティンカーベル「うん、そうしよっか。ここにいても仕方ないしね」

キモオタ「ですぞwww気を取り直していくでござるwww」

102: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)21:14:51 ID:tEO
森へと続く道

ティンカーベル「ところでさ、キモオタ。このおとぎ話の主人公のラプンツェルってどんな人かな?」

キモオタ「なんですかないきなりwww今回はラプンツェル殿に会うのは目的ではないでござるしwww会わないかもしれませんぞwww」

ティンカーベル「そうだけどさ!でも気にならない?ずーっと塔のなかです暮らしてて外を知らないってどんな感じかなー」

キモオタ「そうですなぁ・・・我々の世界にはテレビやネットがありますからな、引きこもってても外部の情報は入ってくるでござるが・・・」

ティンカーベル「おとぎ話の主人公を引きこもりと一緒にしないでよ!」

キモオタ「いやいや、世の引きこもりの方々も様々な事情がありますからな?ラプンツェル殿のように望まずに・・・それでも引きこもらざるを得ない理由がある場合もあるのでござる」

ティンカーベル「そうかもしれないけど・・・今は現実世界の引きこもりじゃなくてラプンツェルの話!」

キモオタ「そうでしたなwww」

103: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)21:28:29 ID:tEO
キモオタ「塔から出たことがないとなるとあれですな、いわゆる箱入り娘という奴ですなwww」

ティンカーベル「はこいりむすめ・・・なにそれ?お姉さんが箱の中に入るの?あのテレビでやってたボストンバックに入ってた芸人さんみたいな感じ?」

キモオタ「ちょwwwエスパー伊藤殿は関係ないでござるwww箱入り娘というのは親御さんに大事に大事に育てられた娘さんのことでござるよwww」

ティンカーベル「そういうことね、そうかもねー。私らのイメージはあれかなー・・・清楚で可憐なお嬢様!キモオタの国でいうところのヤマトナデシコ?っていうやつ」

キモオタ「なるほどwww確かにインドア系の娘さんはおしとやかなイメージがありますなwww」

ティンカーベル「料理が得意で運動は苦手なの!」

キモオタ「あるあるwww」

ティンカーベル「おっとりしててドジっ娘とか!」

キモオタ「誰の趣味でござるかそれはwwwまぁ確かにそんなイメージありますなwww」

105: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)21:42:22 ID:tEO
森の奥地 ラプンツェルの塔

ティンカーベル「うわー・・・おっきいねぇ・・・」ポケー

キモオタ「ちょwwwこwwwれwwwはwwwたwwwかwwwいwww」

ティンカーベル「本当にお空を引っ掻きそうなくらい高いね・・・」

キモオタ「上の方に小さな窓あるでござるけど・・・あそこからラプンツェル殿が髪を垂らすわけでござるか・・・どれだけ長いんでござるか」

ティンカーベル「もしも、もしもだよ?あんな高さから落ちたら間違いなく・・・」

ティンカーベル「死んじゃうね・・・」
キモオタ「死ぬでござるな・・・」

キモオタ「王子殿はよく失明ですみましたな・・・」

ティンカーベル「でも今回私たちは魔女に会いに来たわけだし、塔に上らなくてもいいわけだし」

キモオタ「あれは・・・ティンカーベル殿、塔の下をみるでござる!」

ティンカーベル「あっ!あれ・・・魔女かな?塔の上の方みてる・・・」


魔女「・・・・・・」

106: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)21:52:03 ID:tEO
魔女「ラプンツェルや!ワシじゃよ!お前の髪をさげとくれ!」

ティンカーベル「ああやったらラプンツェルが髪の毛たらしてくれるんだね」コソコソ

キモオタ「しかしあの高さを登るのもなかなかの重労働でござろうwww」コソコソ

ファサ

魔女「・・・よし、いいよラプンツェル!」グイグイ

ティンカーベル「体に髪の毛を巻きつけて登って・・・あ、これラプンツェルも引っ張ってくれてるのかも。髪の毛のほうも塔の方に引っ張られてるもん」

キモオタ「ちょwwwそうだとすると・・・ラプンツェル殿はムッキムキの可能性もあるということですかなwww」

ティンカーベル「・・・・・・」

キモオタ「・・・・・・」



ティンカーベル「なんか今裸王思い出した」

キモオタ「我輩もでござるよ」

107: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)22:00:30 ID:tEO
ティンカーベル「あっ、魔女が窓のところまで到着したね」

キモオタ「ふむ、そうですなwwwしかしタイミング悪いですな・・・我々は魔女殿に用事があるというのに・・・」

ティンカーベル「しかたないから待ってようよ、降りてきてからお願いしよう」

キモオタ「そうでござるけど・・・その間暇ですなwww」

ティンカーベル「だねぇ・・・」

キモオタ「・・・・・・」

ティンカーベル「・・・・・・どんな人かなー」

キモオタ「なんならティンカーベル殿だけこっそり見てきてもいいんでござるよ?www」

ティンカーベル「いいの?ちょっとずるくない?キモオタもラプンツェルがどんなお姉さんか気になるでしょ?」

キモオタ「むしろ我輩はラプンツェル殿ムッキムキ疑惑の真相が気になるので見てきていただきたいwwwそうでないと脳内でいつまでも裸王殿の笑い声が止まらないのでwww」

ティンカーベル「わかった!じゃあちょっと覗いてくる!」

ピュー

110: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)22:15:41 ID:tEO
・・・

ティンカーベル(到着・・・!わっ、塔の中広い!)コソコソ

ティンカーベル(二人は下の方かな?)コソコソ

魔女「ふぅ、この年になると塔に登るのも一苦労じゃよ・・・」

ティンカーベル(あ、魔女だ・・・!みた感じ悪そうに見えないけど・・・)

魔女「ラプンツェルや、お前が欲しがってた花の苗木ここに置いとくよ?まったく、塔の中でガーデニングて、どういうことじゃい」

ティンカーベル(もうちょっと近くにいかないとラプンツェル見えない・・・!)

魔女「まぁあの窓なら日差しも入るじゃろうが・・・本当に多趣味じゃなお前は」

ティンカーベル(あっ・・・!見えた!髪の毛長い人だ・・・よかった!ムキムキじゃない!すっごいかわいい人だ!)

魔女「まぁ好きにすればいいじゃろ、それより茶を一杯貰えるかい、ラプンツェルや」

ラプンツェル「うん!あっ、今朝作ったシフォンケーキあるけよ!食べる?ママの好物だよね?」ニコニコ

112: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)22:17:52 ID:tEO
>>110
修正

・・・

ティンカーベル(到着・・・!わっ、塔の中広い!)コソコソ

ティンカーベル(二人は下の方かな?)コソコソ

魔女「ふぅ、この年になると塔に登るのも一苦労じゃよ・・・」

ティンカーベル(あ、魔女だ・・・!みた感じ悪そうに見えないけど・・・)

魔女「ラプンツェルや、お前が欲しがってた花の苗木ここに置いとくよ?まったく、塔の中でガーデニングて、どういうことじゃい」

ティンカーベル(もうちょっと近くにいかないとラプンツェル見えない・・・!)

魔女「まぁあの窓なら日差しも入るじゃろうが・・・本当に多趣味じゃなお前は」

ティンカーベル(あっ・・・!見えた!髪の毛長い人だ・・・よかった!ムキムキじゃない!すっごいかわいい人だ!)

魔女「まぁ好きにすればいいじゃろ、それより茶を一杯貰えるかい、ラプンツェルや」

ラプンツェル「うん!あっ、今朝作ったシフォンケーキあるけど!食べる?ママの好物だよね?」ニコニコ

114: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)22:34:27 ID:tEO
魔女「ラズベリーのシフォンケーキかい?貰おうかね」

ラプンツェル「はーい。何切れ食べる?ママの好物だし、三切れくらい・・・?」

魔女「五切れじゃ」

ラプンツェル「あはは!食べすぎだよー!りょーかーい!」サクサク

魔女「菓子などワシに言えば魔法で出してやるんじゃぞ?わざわざ作るの面倒じゃろ」

ラプンツェル「めんどくさいのはイヤだけど、料理はおもしろいからねー・・・はい、シフォンケーキ六切れ!」コトッ

魔女「ほう、そういうもんかい?」

ラプンツェル「そういうもんだよ。得意だしね、料理するの!他にもいろいろやってみたいことあるんだよね、編み物とかさ、あとヨガとか・・・そうだ!ガーデニングして育てた花でドライフラワー作ってみたい!今思いついた!」ガタッ

魔女「なんじゃ今思いついたって。多趣味すぎじゃろラプンツェル。塔の中にアスレチック作れとかいいだすしの、お前」

ラプンツェル「んー?だって時間はたっぷりあるし、運動しなきゃ太るしさー。それはヤだからアスレチック作ってよ、ね!」モグモグ

魔女「ワシもお前が太るのはイヤじゃな。魔法で作るとするか・・・」

ラプンツェル「やった!ママ大好き!」ギュー

115: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/22(木)22:40:22 ID:tEO
今日はここまで 明日はお休みします

ママ呼びだけど、ラプンツェルはシンデレラとか桃太郎に年齢近いです、このssだとね。大体17歳とかその辺かね。

ラプンツェルとアラビアンナイト編 次回に続きます

133: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)20:30:10 ID:dx5
魔女「これこれ、抱きつくんじゃないよラプンツェル。お前はいつまでも子供みたいじゃなぁ」ホッホッホッ

ラプンツェル「えー?ママは抱きつかれるのイヤなの?」

魔女「そんな事は言っておらんじゃろ?ほれ、紅茶をもう一杯貰おうかの」

ラプンツェル「はーい。・・・ママさ、最近体の具合はどうなの?さっきも塔に登るの辛いっていってたけど」

魔女「そうじゃなぁ、関節やら近頃ちょっと痛むかの。一応、薬草を煎じて飲んではおるが・・・ワシはその方面は専門じゃないからのぉ。まぁもういい年じゃしな・・・仕方ないわい」

ラプンツェル「そっかぁ・・・」

魔女「何を心配しとるんじゃ、まーだまだ大丈夫じゃよ!塔に日用品運ぶくらいなんでもないわい。今日は少し調子がいいしの!」ホッホッホッ

ラプンツェル「調子いいならいいけどさー・・・はい、紅茶のおかわり」コトッ

魔女「ありがとうねラプンツェル。うむ、このシフォンケーキは絶品じゃなー」ホクホク

ラプンツェル(今日のママはちょっと機嫌がいいみたいだし、チャンスかも・・・うん!外に出たいってお願いしてみよっと!)

136: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)20:44:14 ID:dx5
ラプンツェル(でも急に言っても断られそうだしなー・・・昨日完成したプレゼントを渡して、その流れでお願いしよう・・・!)

ラプンツェル「そうそう!私ね、ママに新しいケープを縫ってみたんだ!」ゴソゴソ

魔女「ほう、ケープかい・・・?ワシの誕生日はまだまだ先じゃが?」

ラプンツェル「娘がママにプレゼントするのに理由なんていらないじゃん!ほら!こんな感じ!」バーン

魔女「ほう、これはまた立派な・・・裁縫の腕もあげたようじゃな・・・ありがとうねラプンツェルや」ナデナデ

ラプンツェル「えへへー・・・あのね、ママにお願いしたいことがあるんだけど、聞いてくれる?」

魔女「もちろんだとも、ケープのお礼をせんとな。何が欲しいんじゃ?新しい絵筆かい?それとも鮮やかな色の毛糸玉かい?それとも可愛らしい洋服かい?」

ラプンツェル「ううん!あのね、そういうのじゃなくてね・・・」

魔女「ほう?遠慮せずに言ってみせとくれ、どんなお願いだって聴いてやろう、なんだって叶えてやろう。ほれ、なにを望むんじゃ?ラプンツェル」

ラプンツェル「あのね、塔の外へ行きたいの!」ガバッ

魔女「それは駄目じゃ」

ラプンツェル「えぇっ!?ダメなのー!?」

138: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)20:56:04 ID:dx5
魔女「なんで驚くんじゃ、ダメに決まっておるじゃろ!」

ラプンツェル「だってなんでも叶えてくれるって言ったじゃん!ずるいよ!」

魔女「それ以外に決まっておるじゃろ?それ以外ならなんだって叶えてやるわい」

ラプンツェル「・・・じゃあ塔に出口付けて」ムスッ

魔女「同じじゃろ!・・・まったく、何回同じ会話をするんじゃラプンツェル。ここ数年言い出さなかったから安心しておったのに・・・」

ラプンツェル「だって・・・私は塔の外に行かなきゃならないんだよ・・・!」

魔女「何故じゃ?理由など無いはずじゃろ?お前はこの塔から一度も出たことがない・・・じゃが不自由はさせておらんはずじゃぞ?食べ物も身の回りの物も趣味の物だって与えておる」

ラプンツェル「それはママに感謝してるよ・・・お腹が空いて困ったことも寒くて震えることだって無かったから。料理だって好きなようにさせてくれたし、チェスやオセロ、裁縫道具や洋服もなんだって与えてくれた!
塔の中での暮らしに、私は全然不満なんかないの!」

魔女「じゃったら尚更、塔の外に出る理由などないじゃろ?」

ラプンツェル「違うの、違うのよ・・・!塔の中に居たら出来ない事があるの!」

140: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)21:08:45 ID:dx5
魔女「ほう、塔の中では出来ないこととはなんじゃ?」

ラプンツェル「・・・私は探しに行きたいの」

魔女「だから何をじゃ?」

ラプンツェル「さっきもママは言ってたでしょ?塔に登るのも辛いって、体が痛いって言ったでしょ?だから・・・」

魔女「それを治す薬・・・あるいは方法を探しに行きたいと。そう言いたいんじゃな?」

ラプンツェル「・・・うん、そうだよ」

魔女「お前は優しい娘だよ。ワシは単なる気まぐれや好奇心で外の世界に行きたいと言い出したと思っておった・・・許しとくれ、ラプンツェル」

ラプンツェル「ううん、それは気にしてないよ。でも、だったら・・・!」

魔女「じゃがな、老いは仕方がないことじゃ。例えワシが魔女だとしても、不老不死でなどありゃあせん。普通の人間よりもそれが緩やかなだけじゃ。なに、まだまだワシは動けるんじゃから心配するでない」

ラプンツェル「でも、昔は毎日塔に来てくれたのに近頃は何日か間隔があいてるもん!体が痛くて前みたいに毎日来れなくなったってことでしょ?怖いよ、私は・・・このままいつかママが塔に来なくなる日が来るんじゃないかって思っちゃうんだよ!」

魔女「・・・・・・」

141: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)21:23:02 ID:dx5
魔女「ワシの専門は魔法植物じゃ。もちろんその中には老いに抗う植物、疲労や傷に効く植物もある。安心するんじゃラプンツェルや」

ラプンツェル「でも・・・」

魔女「確かに、外の世界・・・ワシには行けぬ遠い国や深い自然の奥には老いを止める魔法具、疲労を感じさせない薬は存在するじゃろう。ワシの体の痛みなぞ吹き飛ぶような手段があるじゃろう」

ラプンツェル「・・・うん、私がそれを探してきてあげるよ?」

魔女「気持ちだけ頂くよ。外の世界には確かに・・・塔の中に居ては手に入らないものがある、体験できない事があるじゃろう。じゃがな、ラプンツェル・・・それらはお前にとって都合のいいものばかりじゃないんじゃよ」

ラプンツェル「・・・・・・」

魔女「外の世界には美しいものや希望だけが満ちているわけじゃないんじゃよ、おぞましいものも危険なものもうようよしておる」

ラプンツェル「それはわかってるよ!」

魔女「いいや、わかっていないんじゃよラプンツェル」

魔女「何故、ワシがお前をこの塔に閉じこめているか・・・わかるじゃろう?」

143: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)21:39:06 ID:dx5
魔女「少し厳しい言い方をするよ、ラプンツェルや」

ラプンツェル「・・・うん」

魔女「この世界は危険な物、汚らわしい物、悪意が多すぎる・・・」

魔女「台風や土砂崩れ大津波にケダモノ、毒虫に毒草や疫病に感染症・・・盗賊や詐欺師、暴力!略奪!偏見に差別!戦争・・・!」

魔女「そんな世界に・・・お前が出て行ったらどうなると思う?」

ラプンツェル「わかんない、どうなるの・・・?」

魔女「間違いなく餌食になるじゃろう。自然の驚異になす統べなく殺され、無慈悲な病に苦しみながら息絶える」

魔女「それに、お前の美しい髪の毛は良くも悪くも目立ちすぎる。おのずと人はよってくる・・・じゃがお前は協調性も常識もまったく無い世間知らずじゃ、簡単に騙されてる」

魔女「悪人にとってお前は都合のいい女じゃ、騙されて、暴力を振るわれ、なにもかも奪われる」

ラプンツェル「・・・・・・」ブルブル

魔女「すまないね・・・お前を怖がらせるつもりは無かったんじゃよ。でもわかってほしいんじゃ・・・」

魔女「お前はワシが居なくなるのが恐ろしいと言ってくれたが、ワシはそれよりもラプンツェルが不幸になってしまうのがなによりも恐ろしいんじゃ・・・」

152: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)21:55:57 ID:dx5
魔女「じゃからな、ワシの為に危険を冒す必要はないんじゃよ」

ラプンツェル「わかった・・・もう、外に行きたいって言わない」ムスッ

魔女「そんな顔するでない、ラプンツェルや。せっかくの美人が台無しじゃろ?」

ラプンツェル「・・・じゃあ、約束してくれる?ママは絶対に無理しない事!困ったことがあったら私が手伝うよ、だからいなくならないでね?約束!」

魔女「いいじゃろう、その代わり塔から出るのも駄目じゃからな?」

ラプンツェル「・・・りょーかい!これで約束したよ!絶対だよ!?」

魔女「うむ。じゃあこの話は終いじゃ。せっかく親子で茶をしとるのにこんな話題じゃあもったいないからのぉ」ホッホッホッ

ラプンツェル「うん、ごめん!じゃあ新しいお茶煎れてくる!」

魔女「いや、もう一杯程度にしておこうかの」

ラプンツェル「どうして?お腹いっぱい?」

魔女「いや・・・なにやらワシに客人が来ておるようじゃからな。待ちきれない妖精も一匹紛れ込んでおるようじゃし」チラッ

ラプンツェル「なになに?どゆこと?」

魔女「なんでもありゃせんよ、まぁもう少しくらいはいいじゃろ」

153: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)22:14:45 ID:dx5
ティンカーベル(目があった・・・!もうそろそろ戻った方がいいかな・・・)

ティンカーベル(ラプンツェルのムッキムキ疑惑も晴れたし、なんで塔にいるかもわかったし・・・キモオタ待たせてるしね)ヒラヒラ

ピュー

魔女「やれやれ・・・あれでバレていないと思っておるのかねぇ・・・」ボソッ

ラプンツェル「それでね!すっごく綺麗な月がでてたからキャンバスに描いてみたの!ほらほら!うまく描けてるでしょ?」フンス

魔女「ほう、うまいもんじゃな」ホッホッホッ

ラプンツェル「それにね!もうちょっと早いけど手袋とマフラーもママとお揃いの編むから楽しみにしててね!」ニコニコ

魔女「ほう、そりゃあ楽しみじゃなー」

魔女(ラプンツェルが外に行きたいと言い出したときは参ったが、もう気持ちが切り替わったようでよかったわい・・・)

魔女(それよりあの妖精・・・ワシに用事があるようじゃったが・・・)

魔女(ここのところ立て続けにおとぎ話が消えていることと関連があるのかねぇ・・・まぁ、しかし)

魔女(可愛い娘と一緒に楽しく茶を飲むくらいの時間は・・・貰ってもええじゃろ)ズズー

154: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)22:27:19 ID:dx5
塔の下

キモオタ「スカイツリー・・・いやいやそこまで無いですかなwww」コポォ

キモオタ「・・・しっかし暇ですなwwwスマホは電波入らんでござるしwww」

キモオタ「いつもティンカーベル殿がいる故にwww急に一人だとwww暇www」コポォ

キモオタ「・・・オタ芸の練習でもしますかな」チャキ

キモオタ「ハイハイ!ハイハイ!」ブンブン

キモオタ「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」ブンブンブンブン

ガサッ

キモオタ「ハイ!ハイ!ティンk・・・シンデレラ殿ォー!」ブンブン

王子「・・・・・・」ポカーン

キモオタ「ハイ!ハイハイ!うぉぉぉぉぉ!・・・ん?」ブンブブンブン

王子「・・・・・・」

キモオタ「ちょwwwいつのまにwww見られたwww」コポォ

155: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)22:36:29 ID:dx5
王子「・・・なんというか、すまん」ペコッ

キモオタ「ちょwww謝られたwwwこちらこそ申し訳無かったですなwww不気味だったでござろうwww」

王子「確かに・・・いや失礼。申し遅れた私はこの国の王子だ」スッ

キモオタ「なるほどwww王子殿でござったかwww我輩はキモオタwww旅の者でござるよwww」

王子「キモオタか、突然だが君はこの塔に上る方法を知っているか?どこにも入り口がない、窓から入ろうにもあの高さに届くハシゴがない」

キモオタ「塔の入り方ですかなwww申し訳ありませんがなwww皆目見当もつきませんなwww」

キモオタ(と言っておくのが正解でござろうwww今王子殿が上っていけば魔女殿とはち合わせますからなwww)

王子「そうか・・・残念だ、また今日も塔の外であの美しい歌声を聞くことしかできないのか」

キモオタ「王子殿は何故塔に上りたいのですかなwww」

157: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)22:46:49 ID:dx5
王子「塔の窓からたまに美しい歌声が聞こえてくるんだ。おそらく塔の住人・・・女性のようだ。あんな美しい歌声の女性はきっと麗しい姿をしているに違いない。初めて聞いた日から時間を見つけてはこの塔に来ているんだ」

キモオタ「ほうwww王子殿なかなかのミーハーですなwww」

王子「き、君はなかなか素直に口にするんだな・・・いや、構わん。美しい者に心を奪われるのは決して悪いことではないはずだ」

キモオタ「まぁそうですなwwwしかし、王子殿ならば美しい女性に会う機会は多いのではwwwわざわざ森の奥にくる必要もないでござろうwww」

王子「いや、君の思うような華やかなものではないよ、王子なんてね。貴族の娘や富豪の娘、王族の看板が欲しい奴ばかり私に寄ってくる。正直辟易しているよ、だからあの美しい歌声に惹かれたんだ」

キモオタ「なるほどwwwまぁそのうちなんとかなるでござろうwww」

王子「随分と適当な・・・何か策でもあるのか?」

キモオタ「王子殿のミーハー心は近いうちに報われるということですぞwww」

王子「う、うむ・・・よくわからんが・・・」

158: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)22:58:36 ID:dx5
王子「さて、あまり騒がしくしてもいけない。この森には魔女も住むと聞くからな。私はもう少し歌声が聞こえるのを過ごし離れて待っているよ。さらばだ、キモオタ」ニッ

スタッ

キモオタ「どこの王子も颯爽としていてイケメンですなwww」コポォ

キモオタ「歌声を聞くために待ち伏せしているのにイケメンですからなwwwこれ現実世界で我輩なら事案ですぞwww」コポォ

ティンカーベル「ただいまー!何こぽこぽいってんの?ラプンツェル見てきたよ!」ピュー

キモオタ「おぉwwwどうでしたかなwww」

ティンカーベル「えっとねー、ラプンツェルはね・・・まずムッキムキじゃなかった!かわいかった!」

キモオタ「まぁそうでしょうなwww」

ティンカーベル「あとは外に行きたいって言ってたけど魔女に止められてた、魔女やさしそうだったけどちょっとラプンツェルに甘そうだったよ!塔の上から見たら近くに家があったけどだ行ってみる?多分魔女のおうちだよ!」

キモオタ「ほうwwwでは行ってみますかなwwwそしてしばし待つとしましょうかなwww」コポォ

159: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/24(土)22:59:19 ID:dx5
今日はここまで

ラプンツェルとアラビアンナイト編 次回に続きます

170: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)19:49:23 ID:FZO
塔付近の家屋

キモオタ「どうでござるかwwwティンカーベル殿www何か見えますかなwww」コポォ

ティンカーベル「えっとねー・・・部屋の中綺麗に片付いてるし、キッチンにお鍋もあるね、人が住んでそうではあるよ!」ヒラヒラ

キモオタ「なんというかwww魔女的なアイテムはありますかなwww大鍋とかwwwカエルとかww魔法書とかwww」

ティンカーベル「うーん・・・本はたくさんあるよ!あと鉢植えがたくさん置いてあるね!大鍋とかは無いかな・・・?」

魔女「大鍋を使うような魔術は最近やっておらんでの、倉庫にしまったわい」

キモオタ「なるほどwwwぶっひゃっ!?」ガターン

魔女「覗き見とは趣味が悪いんじゃないかの?さっきといい今といい・・・そうじゃろ?妖精のお嬢さんや」

ティンカーベル「ご、ごめんなさい!でも、私達魔女に用事があって・・・」

魔女「用事ねぇ・・・聞いてやろう、別の世界の住人であるお前たちがワシにどんな用があるのか」

171: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)20:00:46 ID:FZO
ティンカーベル「えっと、私はティンカーベル!消えちゃったおとぎ話【ピーターパン】から来たんだよ!それでこっちが・・・」

キモオタ「ティンカーベル殿の友達で共に旅をしているキモオタですぞww現実世界の出身でござるwww以後お見知り置きをwww」コポォ

魔女「ほう・・・あのおとぎ話の住人に生き残りがおったのか・・・」

ティンカーベル「でね!話すと長くなるんだけど・・・大事なところだけ話すとね、私は友達の伝言を伝えるために【アラビアンナイト】のシェヘラザードの所に行きたいの!でも困ったことになっちゃってね」

キモオタ「ティンカーベル殿は世界移動の能力を持っているのですがな、どうやら結界が張っているようでしてwww【アラビアンナイト】の世界にいくことができないのでござるよwww」

魔女「ほう、それでワシの所へ来たというのか」

ティンカーベル「【シンデレラ】の世界の魔法使いが、【ラプンツェル】の魔女なら居場所も分かるしお願いしてみたらどうかって教えてくれて・・・」

キモオタ「魔女殿の魔力を貸していただきたいとwwwお願いにきたのでござるwww」

魔女「ふむ・・・【シンデレラ】の魔法使いの紹介かい、確か変化の魔法が得意じゃったかな・・・」

172: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)20:22:21 ID:FZO
キモオタ「なにやら魔法使い殿は世界移動の魔法が苦手なようでしてwww」

魔女「ほう、まぁ不得手は誰にでもあるからの、そこを責めるつもりはないが・・・」

ティンカーベル「ねぇ、魔女・・・塔やお家を覗いたのは謝るよ、だからお願い!私達を【アラビアンナイト】の世界に連れてって欲しいの!」

キモオタ「我輩からも頼むでござるよ魔女殿!」

魔女「結界の程度にもよるが・・・まぁ、出来んこともないじゃろ。引き受けてやってもよいが・・・」

ティンカーベル「本当!?」

魔女「ただし、ワシの頼みも聞いてもらう、かまわんじゃろ?さぁ、詳しく話を聞きたい・・・そもそもなぜお前たちは旅をしているのかも聞きたいからのぉ。さあ家の中に入るんじゃ」

キモオタ「魔女殿wwwなかなか話が分かりますなwww」コポォ

ゴーテル「その魔女というのは少し紛らわしいのぅ、ワシの名はゴーテルじゃ。今後はそう呼んどくれ」

ティンカーベル「わかった!じゃあゴーテル、早速だけどいままでの旅のお話をするね!」

174: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)20:36:52 ID:FZO
・・・

ゴーテル「なるほどな、おとぎ話が相次いで消えているのはやはり人為的な力が働いていたと・・・お前たちの状況は大体理解できた。そういう事なら協力してやろう」

キモオタ「ありがたいwwwしかし、ゴーテル殿も頼みたいことがあると言っておりましたなwww」

ゴーテル「そうじゃな・・・現状でも問題はないと思うんじゃが・・・一応、のぉ・・・」

ティンカーベル「なになに?何をお願いしたいの?」

ゴーテル「実はじゃな・・・お前たちに──」

ルルルールールルルー♪

キモオタ「なにやら歌声が聞こえてきましたなwww」

ティンカーベル「綺麗な歌声だねー!ねぇゴーテル、塔から聞こえるあれって・・・」

ゴーテル「そう、ラプンツェルの歌声じゃ。澄み渡って、軽やかな、美しい歌声じゃろ?」

ラララーラーラララー♪

キモオタ「これはなかなかの歌声ですぞwwwまさに歌姫ですなwww」

ティンカーベル「可愛い上に歌声も綺麗なんて素敵だね!」

ゴーテル「そうじゃろ!そうじゃろ!歌姫じゃろ?わかっておるのぅ、お前たち・・・!歌声も美しい、容姿も美しい・・・何を隠そうあのラプンツェル」



ゴーテル「ワシ自慢の娘じゃ」ドヤァ

175: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)20:52:11 ID:FZO
キモオタ「まるで鈴の音のような歌声ですなwwwきっと美しいんでござろうなぁwww」コポォ

ゴーテル「・・・・・・」ハァ

ティンカーベル「突然ため息ついて・・・どうしたの?」

ゴーテル「違うんじゃなぁ・・・ラプンツェルの歌声が鈴の音・・・違うんじゃなぁ・・・」ブツブツ

キモオタ「で、では高原の風のような歌声でどうですかなwww」コポォ

ゴーテル「高原の風・・・違うんじゃなぁ・・・もっと、こう他にあるじゃろ・・・それをよりによってお前は高原の風・・・あんなもん草の匂いじゃろ・・・」ブツブツ

ティンカーベル「き、キモオタ!もっとぴったりな例えあるでしょ!なんかゴーテルがめんどくさい感じになってるから話が戻んないよこのままじゃ・・・!」ヒソヒソ

キモオタ「で、ですな・・・じゃあ月明かりのような・・・というのはwww」

ゴーテル「・・・うーむ」

ティンカーベル「じゃ、じゃあ世界一綺麗な声のラプンツェル!」

ゴーテル「世界一は言い過ぎじゃろー!しかしまぁ偽りではないからのぉ、それでいいじゃろ」ホクホク

キモオタ「とりあえずゴーテル殿の特徴はつかめた感じですな・・・娘大好き魔女という事ですな、これはwww」

ティンカーベル「うん、甘いなーって思ってたけどわたしのみ想像を越えてたよ!はやく話をもとに戻さなくちゃ、このままじゃラプンツェルの話になっちゃいそうだよ・・・」

177: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)21:04:50 ID:FZO
ティンカーベル「ねぇ、ゴーテル!お願いってもしかしてラプンツェルと関係ある?」

ゴーテル「ん?あぁ、少し話がずれたのぉ・・・そうじゃ、頼みというのは他でもない、ラプンツェルの事なんじゃよ」

キモオタ「ゴーテル殿が自慢の娘を我々に頼むとは・・・なにか事情があるのですかなwww」

ゴーテル「うむ・・・ワシは前から懸念しておったんじゃ。相次いで消えていくおとぎ話には恐らく黒幕がいるとな。
それが今日、真実だと分かった訳じゃな・・・お前たちの話ではアリスとドロシーという娘がおとぎ話を消滅させているということじゃった」

ティンカーベル「うん!それは間違いないんだよ!」

ゴーテル「そして、アリスは魔法具・・・魔力を集めているということじゃったな・・・」

キモオタ「そうですなwww」

ゴーテル「・・・お前たちには【ラプンツェル】のおとぎ話が消えないように手助けをして貰いたい」

ティンカーベル「ってことは・・・つまり?」

ゴーテル「ラプンツェルの側で・・・ワシの娘を守ってやってほしいんじゃ」

178: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)21:20:57 ID:FZO
キモオタ「しかしwwwあんなに高い塔にいるのでござろうwww安心フィーバーではござらんかwww」コポォ

ゴーテル「・・・ティンカーベル。キモオタは【ラプンツェル】の内容を知らずにここにおるのか?」

ティンカーベル「ううん、ちゃんと教えたよ!」

ゴーテル「じゃあわかるじゃろ、王子があの塔に容易く進入することを。あの塔はラプンツェルを外界から守るものじゃが、王子が入れなければ物語にならんからな・・・実際は容易く入れるしでられるんじゃよ」

ティンカーベル「そっか・・・!だったらアリスやドロシーがラプンツェルに会うことも簡単だ!」

ゴーテル「じゃろ?そうなってしまえば終わりじゃ、あっという間に騙されてこのおとぎ話は消滅じゃ」

キモオタ「ちょwwwもう少しラプンツェル殿を信用してみてはwwwさすがにラプンツェル殿も見ず知らずの女の子に騙されたりはしないでござろうwww」

ゴーテル「信用しとるわい!娘じゃぞワシの!じゃがなぁ・・・ラプンツェルは塔の中に長い間住んでおったせいで常識が全くないんじゃなぁ・・・」

ティンカーベル「うーん・・・それは心配だね・・・」

ゴーテル「可愛いんじゃよ、可愛いんじゃが欠点も多いんじゃよ・・・まぁそこも愛らしいんじゃが・・・」

キモオタ(さり気なく誉めましたなwww)

181: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)21:43:04 ID:FZO
ゴーテル「このまま問題なく話が進めば・・・数日のうちに王子がラプンツェルと出会い、そしてその事がワシにバレてしまい・・・ワシの手で・・・ラプンツェルを・・・遠い遠い砂漠に・・・置き去りに・・・!おおぉ・・・ワシには無理じゃあぁぁ・・・!」バンッ

キモオタ「ファッ!?」ビクッ

ティンカーベル「ご、ゴーテル!落ち着こうよ!」

ゴーテル「そ、そうじゃな・・・覚悟していたつもりじゃったが、可愛い娘を砂漠に捨てることを想像したらどうに感情が抑えられんでの・・・とにかくじゃ」

ゴーテル「このまま問題なく話が進めば、正しい結末へと物語は進んでいく。じゃが、このおとぎ話にもアリスの魔の手が忍ばんとも限らんでの、さっきも言ったがラプンツェルには常識がない。すぐに騙されるじゃろう」

ティンカーベル「そんなにひどいの?」

ゴーテル「ラプンツェルは多趣味での、絵画もそのひとつなんじゃがどうも絵筆を洗うバケツがなかったみたいでの、ワシのティーカップを絵筆洗いに使っておったわ」

ゴーテル「あとは・・・意外と雑な部分もあるでの、趣味に没頭してたんじゃろうなぁ・・・ベッドで眠らずその辺で髪の毛にくるまって眠っていることもあったかのぉ」

183: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)22:02:01 ID:FZO
ゴーテル「母親としか接したことがないからの、協調性も無いし、常識も無い、世間知らず・・・なんだって信じてしまう。生まれて一度も悪意と対面したことが無いんじゃからな・・・。
魔法具や魔法なんて使わなくとも『君のお母さんが倒れたんだ、ついておいで』などという誘拐の常套句で簡単に連れ去られるじゃろうな・・・」

キモオタ「それは心配ですな・・・もちろん、我々がラプンツェル殿を守って差し上げることはやぶさかではないのでござるが・・・ゴーテル殿が守ってあげることは・・・」

ティンカーベル「できないよ?だって・・・こんなに優しいしラプンツェルの事本当に愛してるけど、ゴーテルは・・・」

ゴーテル「そうじゃな、ワシがずっとラプンツェルのそばにいることは出来ない。ワシは【ラプンツェル】では王子との交際を咎め、娘を砂漠に捨てる悪い魔女じゃからな」

キモオタ「そうでござったな・・・」

ゴーテル「お前たちが友人として密かにラプンツェルとあう事について関しては結末に影響もないじゃろ、しかしラプンツェルと王子が恋仲になる場面に悪い魔女がいたらおかしいじゃろ・・・?」

ティンカーベル「確かに・・・物語変わっちゃうもんね・・・」

ゴーテル「じゃからお前たちに頼むのが一番なんじゃよ」

キモオタ「わかりましたぞ!ゴーテル殿・・・我々に任せていただきたい!ラプンツェル殿は我々が守って見せますぞ!」

184: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/25(日)22:16:59 ID:FZO
ゴーテル「それはありがたい・・・じゃあ交渉成立じゃな。お前たちがラプンツェルを守り、無事に物語が進めば・・・ワシが【アラビアンナイト】の世界へ連れて行ってやろう」ホッホッホ

ティンカーベル「やった!ありがとうゴーテル!」

ゴーテル「今夜にでも塔に行ってみるといい。髪を下げてくれるように頼めばいいんじゃよ、たらしてくれるじゃろ」

キモオタ「便利な髪の毛でござるなwww」

ゴーテル「ラプンツェルは自分の髪の毛お気に入りじゃからな、手入れも欠かさんから美しいのはもちろんじゃが・・・こう投げ縄のように物を取ったり、ロープのように引っ掛けてはあっという間に上階に昇ったりするしの」

キモオタ「意外とアグレッシブというかwww行動派でござるなwww」

ゴーテル「まぁ、そうじゃな・・・お前たちはこれからしばらくラプンツェルと行動を共にするわけじゃが・・・思っているより、行動が予想できんかもしれんから注意しとくれ」

ティンカーベル「そんなに!?お母さんが言うって相当だよ!?」

キモオタ「若干の不安がwww我輩を襲うwww」

ゴーテル「なんというかのぉ・・・ラプンツェルは外に出ることは出来ないが、誰よりも自由なんじゃよ」

ゴーテル「おそらく一筋縄にはいかんじゃろうが、しっかり頼むぞ」ホッホッホ

202: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)20:27:12 ID:TE6
塔の下

ティンカーベル「すっかり日が暮れたね。あれからゴーテルのラプンツェル自慢ずっと聞いてたし」

キモオタ「まぁ日中に塔へと登っているところを王子に見られたらマズいですからなwwwちょっと暗いでござるが月明かりもありますしなwww問題無いでござるよwww」

ティンカーベル「そのことだけどね・・・ゴーテルはラプンツェルに頼んで髪の毛垂らしてもらえばいいって言ってたけどさ」

キモオタ「そうでしたなwwwというかラプンツェル殿の髪の毛から登っていくしか方法がないのではwww」

ティンカーベル「でもさ、キモオタの体重に耐えられるのかな・・・ラプンツェル。キモオタの体重に耐えられずに髪の毛ちぎれちゃったり、引っ張られて塔から落ちちゃうかも・・・」

キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿wwwさすがにwwwそれはwww」

ティンカーベル「・・・・・・」

キモオタ「・・・・・・確かにちょっとまずいかもしれませんな」

ティンカーベル「でしょ?・・・と言うわけでついに!アレを使うよ!」ヒラヒラ

205: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)20:44:06 ID:TE6
キモオタ「あれとはwwwなんですかなwwwティンカーベル殿www」

ティンカーベル「いいから!じっとしてて・・・!」ファサァー

キラキラキラキラ

キモオタ「ちょwwwこれはwww以前我輩がお願いしてもティンカーベル殿がかけてくれなかったあのwww」コポォ

ティンカーベル「そうだよ!私の羽根の鱗粉・・・通称『妖精の粉』だよ!」フンス

キモオタ「確か、信じる心を持つ者ならば空を飛ぶことができるという粉でしたなwwwなんというファンタジーwww」コポォ

ティンカーベル「あんまり楽させたらキモオタの為にならないと思ってたけど、アリスたちと戦う事もあるだろうからもう出し惜しみしないよ!だから今日はこの妖精の粉を使って飛んでもらうよ!」

キモオタ「ほうwwwなんだかwwwワクワクしますなwww」

ティンカーベル「じゃあ飛んでるところイメージしてね、飛べるって思って!はい!飛んで!」

キモオタ「ちょwwwそんなホイホイ飛べませんぞwwwふん!ふん!」

ティンカーベル「もっと真剣に!でも楽しい気持ちじゃなきゃだめ!でもふざけないこと!それでいて笑顔で!」

キモオタ「無茶苦茶ですなwwwっと・・・おぉ!ちょっと浮きましたぞwww」フワァ

206: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)20:58:13 ID:TE6
ティンカーベル「いい感じいい感じ!このまま空を泳ぐように一気に塔のてっぺんまで行くよ!」ヒラヒラ

キモオタ「ちょwwwこれは新感覚www空を飛ぶというのはこういう感じなのですなwwwなかなかに気分がいいですなwww」スイー

ティンカーベル「こうやって人間と空飛ぶのひさしぶりだなぁ・・・ピーターパンやウェンディと一緒に飛んだの思い出すなぁー・・・もう一回みんなで空飛びたいな!だから絶対に【ピーターパン】のおとぎ話取り戻さなきゃ・・・!ねっ!キモオタ!」

キモオタ「うはwwwティンカーベル殿wwwこれ楽しいですなwwwふぅwwwこれならダイエットの必要ないですなwwwドゥフフwwwドゥフフwww」スイー

ティンカーベル「・・・塔にぶつかっちゃえ」プイ

キモオタ「ドゥフフwwwあっというまに塔のてっぺんですぞwwwこの窓から入りますかなwww」

ティンカーベル「そうだね、でも階段だと一階までは相当距離があるからこのまま吹き抜けを降りていこう、飛んだままね」

キモオタ「わかりましたぞwww」

208: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)21:15:27 ID:TE6
ティンカーベル「暗いけど・・・下の方は明るいね、ラプンツェルはまだ起きてるみたいだね!」ヒラヒラ

キモオタ「そうですなwwwというかwww慣れたら飛行も余裕ですなこれwww」スイー

ティンカーベル「また調子に乗ってー!」

キモオタ「まぁまぁwwwところでラプンツェル殿なにかしてますなwww急に押し掛けてしまいましたが大丈夫でしたかなwww」

ティンカーベル「あれは・・・髪の毛をタオルで拭いてるね!お風呂上がりかな?バスローブだし」ヒラヒラ

キモオタ「ほうwwwそのようですなwwwしかしあれですぞww美少女にバスローブというのはなんというか良いもんですなwww火照り具合も相成ってまことにセクシーですなwwwドゥフフwww」フッ

ティンカーベル「キモオタ・・・!ダメだよ!そんないやらしいこと考えたら・・・!」

キモオタ「まぁまぁwwwこのくらい大目に見て・・・ん?なんだか急に体が重くなりましブヒイイイイイイィィィィィ!!!」ヒュオォォォォ

ティンカーベル「不純なこと考えると妖精の粉は効力を失うんだよ!ってもう間に合わない!キモオター!受け身取って受け身!」

キモオタ「ちょwww受け身でどうこうなる高さではwww」ヒュオォォォォ

ティンカーベル「じゃあもっかい妖精の粉かけるから・・・!」ファサァー

キモオタ「間に合わなブヒイイイイイイィィィィィ!!!」

ドシーン!

ラプンツェル「・・・・・・?」

210: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)21:26:18 ID:TE6
キモオタ「ふぅwwwなんとか無傷ですぞwwwギリギリ妖精の粉が間に合いましたなwwwとはいえ床にたたきつけられはしましたがなwww」

ティンカーベル「衝撃が弱くなっただけよかったほうだよ・・・あっ」

ラプンツェル「・・・・・・」ジーッ

キモオタ「ちょwwwめちゃくちゃ見られてますなwwwティンカーベル殿www」コポォ

ラプンツェル「あなたってもしかして・・・妖精?」

ティンカーベル「うん!勝手に入ってごめんね!妖精のティンカーベルだよ!ティンクって呼んでね!」ニコニコ

ラプンツェル「本当に妖精だ!すごいすごい!本で読んだのと同じだね!ちっちゃい体に透き通った羽根・・・!」グイグイ

ティンカーベル「ちょ・・・痛い痛い!羽根ちぎれちゃう!引っ張らないでー!」

キモオタ「ティンカーベル殿がwww好き放題されてますぞwww」コポォ

ラプンツェル「ねぇねぇ、ティンク!あっちでコポコポ言ってるのも妖精!?あんなの初めて見た!」

ティンカーベル「やめてよ!あんな妖精いないよ!ひどい侮辱だよ!」

キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿www言い方www」

212: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)21:37:55 ID:TE6
キモオタ「我輩はキモオタwwwただの人間ですぞwwwティンカーベル殿の友達でござるwww」コポォ

ラプンツェル「へぇー!人間の男の人だ!私初めて見た・・・!ねぇねぇ、キモオタ!人間の男の人はみんなコポォって言うの?」ワクワク

ティンカーベル「そんなのキモオタだけだよ!」

キモオタ「まぁwwwそうですなwww我輩の口癖というかwww」

ラプンツェル「そっかぁー!二人はなにしにこの塔に来たの?」

キモオタ「我々wwwラプンツェル殿と友達になろうと思いましてなwww」

ティンカーベル「そうそう!だから遊びに来たんだよ!」

ラプンツェル「友達・・・!知ってる!あれだよね、一緒にお茶飲んだりお菓子食べたり遊んだりお話ししたりする、ママ以外の人だよね!」

キモオタ「概ね正解ですなwww」

ラプンツェル「やった!初めてだよ!私の友達・・・!うれしいうれしい!よろしくね!ティンク!キモオタ!」ピョンピョン

ティンカーベル「わ、わかったからバスローブ姿でピョンピョンしないの!待ってるからパジャマに着替えておいでよ!もぉ!」

ラプンツェル「はーい。待っててよ二人とも、帰っちゃだめだよ!あとでお茶入れるからね!」ワクワク

215: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)21:47:46 ID:TE6
・・・

ラプンツェル「ふんふんふーん♪」ウキウキ



ティンカーベル「ウキウキしながらお湯沸かしてるねー」

キモオタ「きっとあれでござろう、生まれてこの方ゴーテル殿以外の人や妖精に会ったことがなかった故に友達もいなかったでしょうからな・・・密かにあこがれていたのではwww」

ティンカーベル「そうかもねー・・・でも部屋も結構キチンとしてるね、物は多いけど」

キモオタ「ゴーテル殿が常識がないなどと言うのでwww我輩はもっと悲惨な部屋を想像してましたぞwwwゴミだらけみたいなwww」

ティンカーベル「そんなわけないでしょ!女の子はみんな綺麗好きなの!」

キモオタ「まぁまぁwwwでも実際きれいでござるし、そんなに常識がないようには見えませんがなwww」

ラプンツェル「ねぇねぇ!二人はお花とスープだったらどっちが好き?」

ティンカーベル「いきなりだね!お花とスープ?」

ラプンツェル「うん!どっちか選んでくれる?」ニコニコ

216: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)21:54:49 ID:TE6
ティンカーベル「だったら私はお花かなー?綺麗だもん!いい匂いするし!」

キモオタ「我輩はだんぜんスープですなwww胃袋に溜まるものならなんでも歓迎ですぞwww」コポォ

ラプンツェル「うんうん!じゃあティンクはこれで・・・キモオタはこっちね!はい!紅茶だよ、おまたせー!」ニコニコ

コトッ ゴトッ

ティンカーベル「えっ・・・?」

キモオタ「ちょwww紅茶かと思ったらスープ皿が出てきましたがwwwこれはなんのスープですかなwww」

ラプンツェル「スープじゃないよ?紅茶だよ!」ニコニコ

キモオタ「す、スープ皿に紅茶ですと・・・!?」

ティンカーベル「私のなんか花瓶なんだけど・・・これなに?ラプンツェル?」

ラプンツェル「紅茶だよ?・・・あっ!ダージリンだよ!」ニコニコ

ティンカーベル「いや、銘柄聞いた訳じゃないよ!?」

218: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/26(月)22:03:23 ID:TE6
ラプンツェル「いつもは私とママしかいないからティーカップが無いの、それで我慢してね!私、クッキー持ってくるからゆっくりしててね!」タッタッタッ

ティンカーベル「そうだよね・・・余分な食器必要ないから、置いてないよね・・・急に押し掛けた私たちが悪いよね・・・」

キモオタ「無い物は仕方ないとして・・・スープ皿とは驚きましたな・・・」

ティンカーベル「私なんか花瓶だからね・・・これ花瓶の形状的に飲むためには紅茶に私が浸かる必要あるんだけど、どうしよう・・・」

キモオタ「我輩のと交換しますかなwww」

ティンカーベル「そうしてくれると嬉しい!」

キモオタ「しかしwww紅茶はめちゃくちゃうまいですなwww」ズズー

ティンカーベル「そうだね!でもこれじゃあ確かにゴーテルが心配するのもわかるね」ズズー

ラプンツェル「おまたせー!じゃあ何のお話する?ティンク!キモオタ!」ワクワク

250: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/28(水)20:26:31 ID:Hya
キモオタ「そうですなぁwww何を話せばいいのやらwww」

ティンカーベル「私達、いろんな所冒険してきたからね!いろいろお話しできるよ!」フンス

ラプンツェル「そうなんだ!私は物心ついてから一度も塔から出たことが無いから、外の世界ってどうなってるのかすっごく興味あるんだよねー」ワクワク

キモオタ「なるほどwww思い出すと、本当にいろんな所に行きましたな・・・最初はシンデレラ殿の所でしたな、かぼちゃの馬車でお城まで行ったりwww」コポォ

ラプンツェル「馬車!知ってる、見たこと無いけど・・・小さな部屋みたいな乗り物に車輪がついてて、それを馬で引っ張るんでしょ?」ワクワク

ティンカーベル「だいたいそんな感じだよ!それは魔法の馬車でね、かぼちゃで出来てたの!」

ラプンツェル「かぼちゃで・・・!塔の外ではかぼちゃはただの食材じゃなくて、乗り物にもなるんだね!?やっぱり塔の外はすごいね!」ワクワク

キモオタ「ちょwww限りなく特殊なケースでござるからwww本来はそんな使い方しないでござるwww」

ラプンツェル「そうなの?人参とかジャガイモの馬車は?」

キモオタ「ないないwwwないですぞwww流石に外の世界にもありませんなwww」

251: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/28(水)20:38:05 ID:Hya
ラプンツェル「じゃあさじゃあさ!いろんな所を旅したなら友達もたくさん居るの?ティンクとキモオタにはさ」ワクワク

ティンカーベル「もちろん!えっとね、最近王妃になったシンデレラとー、いっつも上半身裸の裸王とー」

ラプンツェル「いっつも上半身裸!?塔の外ではそれが普通なの?塔の中でも 着姿のままいるとママに叱られるのに、やっぱり外の世界はすごいね!」

キモオタ「いやいやwwwそれは裸王殿だけでwwwそんな人間は滅多にいませんぞwww」

ティンカーベル「しょっちゅう居ても困るけどね!それとあとクールで可愛い赤ずきんとすっごく優しい赤鬼とー」

キモオタ「貧しくとも健気で努力家なマッチ売り殿にヘタレイケメンの桃太郎殿www他にも居ますがwwwみんな旅の途中に親しくなった仲間でござるwww」

ラプンツェル「そっかー・・・外の世界って、楽しそうだね!友達と一緒に冒険できるんだもんね!」ニコニコ

ラキモオタ「ラプンツェル殿は塔の外の世界に行きたいのですかな?www」

ラプンツェル「えー?そうだなぁー・・・うん、行きたい。行きたいけど・・・」

252: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/28(水)20:57:26 ID:Hya
ラプンツェル「ママと約束したからね、塔から出ないって。でも、塔の外には私が知らない世界がずーーーっと遠くまで広がってる!その広い世界のどこかにはママの体の痛みを取り除いてくれる、そんな道具だってきっとある!」

ラプンツェル「今はまだママが許してくれないけど、いつか私が塔の外に出ることが出来るなら・・・ママの痛みを和らげる道具を探したり、この目でいろんな物を見てみたい!」

ラプンツェル「塔の中での暮らしもすごく楽しいけれど、やっぱり外の世界にも行ってみたいんだ。その時は、一緒にいろんな所に連れてってくれる?ティンク!キモオタ!」

ティンカーベル「それは・・・うん!いつか、塔の外に出たときはね!」

キモオタ「そ、そうですなwww」

キモオタ(とはいえ・・・お話の筋としては、ラプンツェル殿が塔を出るときはゴーテル殿と決別する時・・・ティンカーベルもそれをわかっているでござろうに)

キモオタ(しかし、余計なことを言って・・・外の世界へ希望を持っているラプンツェル殿の笑顔を曇らせるには嫌ですな)

ラプンツェル「あっ!私ママの話しちゃったけど、二人は私のママ知らないよね?」

ティンカーベル「ううん!ここにくる前に会ったよ!ねっ!キモオタ!」

キモオタ「そうですぞwwwラプンツェル殿の自慢話を聞かされたでござるwww随分と娘好きな母上殿でしたなwww」コポォ

253: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/28(水)21:09:52 ID:Hya
ラプンツェル「私の自慢?やだなぁ、もう!自慢するような所無いのにー・・・ママ私の事なんて言ってた?」

ティンカーベル「えっとねー!ラプンツェルの歌声は世界一美しいって言ってた!」

キモオタ「あとはラプンツェル殿の作る料理は世界一おいしいwwwラプンツェル殿の刺繍の腕にはどんな仕立て屋も適わないwwwラプンツェル殿の絵画にはどんな絵描きも腰を抜かすwwwあとは・・・」

ティンカーベル「ダンスのセンスがすごいっていうのと!あとはチェスもオセロも右にでるものは・・・」

ラプンツェル「ちょ、ちょっと待って!もういいよ!ママはいつもそんな調子なんだから・・・恥ずかしいよ、もぅ!」テレテレ

ティンカーベル「ラプンツェル照れてるね」ヒソヒソ

キモオタ「そりゃあそうでござろうwwwもはや褒め殺しですからなwwwまぁすべてゴーテル殿が言っていたことなのでござるけどwww」ヒソヒソ

ラプンツェル「でもね!料理も裁縫も教えてくれたのはママなんだよ、だから本当にすごいのは私じゃなくてママなの!ママは優しいしなんだって知ってるしどんなことでも教えてくれるし・・・」

ラプンツェル「私の自慢のママなんだから」フンス

254: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/28(水)21:24:41 ID:Hya
キモオタ「ちょwwwゴーテル殿と同じことを言ってますぞwww」

ラプンツェル「えっ!?そうなの?」

ティンカーベル「うん、ゴーテルはラプンツェルは自慢の娘だって言ってた!」

ラプンツェル「そっか・・・なんだか照れるね、それ・・・」テレテレ

ティンカーベル「そんなことないよ!すっごく仲がいい親子で羨ましいよ!」

キモオタ「そうですなwww確かラプンツェル殿は養子でしたなwwwしかし、とてもそうは思えないwww」

ティンカーベル「バカ・・・っ!そんな事言わなくていいじゃん!」ゲシッ

キモオタ「ファッ!?」

ラプンツェル「あははっ、いいよティンク!私とママに血の繋がりが無いのは本当のことだしねー」

ティンカーベル「ごめんね、キモオタはいい奴なんだよ?でもね、たまにこういう要らないこと言うんだよ・・・!あとで怒っとくから!」

キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿wwwしかし、気にしていたとしたら申し訳なかったですなラプンツェル殿」

ラプンツェル「いいよいいよ!気にしてないし。もしかして外の世界では血が繋がって無かったら家族じゃないの?」

キモオタ「いや、そんなことはないでござるよ。家族かどうかに血縁かどうかは関係ござらん」

ラプンツェル「でしょ?だから私のママはゴーテルママだけ。それは塔の中でも外でも関係ないんだよ」ニコニコ

255: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/28(水)21:38:29 ID:Hya
ティンカーベル「ラプンツェルはゴーテルの事が大好きなんだね」

ラプンツェル「うん、大好き!優しいもん!本当は一緒に暮らしたいけど、私はここを出られないし、ママに塔での暮らしはちょっと辛いだろうし、農作業もできないから難しいんだよね」

キモオタ「塔に出入り口があればいいでござるのにwww」

ラプンツェル「それはママが駄目だって言うんだよね、心配しすぎだよー」

ティンカーベル「でも私はちょっと羨ましいなー!私はお母さんとかお父さん居ないからねー」

キモオタ「そ、そうだったのでござるか?だからさっきあんなに怒ったのでござるね・・・?」

ティンカーベル「あっ!違うよ?そもそも妖精は人間みたいにコウノトリが赤ちゃんを運んでくるわけじゃないからね?だからお父さんやお母さんっていう存在そのものが無いんだよ」

ラプンツェル「そうなんだ、初めて知ったよ!じゃあ妖精ってどうやって生まれるの?」

ティンカーベル「私達、【ピーターパン】の世界の妖精はね、人間の赤ちゃんが産まれて初めて笑ったときに・・・その笑顔から産まれるの!」

ラプンツェル「そっかぁ・・・無垢な心と同時に妖精が産まれるんだ、なんだか素敵だね!」

キモオタ「夢があるというか何というかwwwなんというファンタジーwww」コポォ

256: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/28(水)22:00:01 ID:x3m
・・・二時間ほど後

ラプンツェル「私の番ね!ここで、チェックメイトー!」フンス

キモオタ「ぶ、ぶひゃっ!?いつの間にか包囲されてますぞ・・・!負けましたぞwww」

ティンカーベル「キモオタ・・・チェスはちょっと自信があるとか始めに言ってたのに!」ケラケラ

キモオタ「ネットチェスではかなりのレートなのでござるがwww」コポォ

ラプンツェル「次は何して遊ぶ?オセロやる?それとももっかいチェスする?」ワクワク

キモオタ「そうですなぁwwwしかしそろそろいい時間でござるし、我々はそろそろ帰りますかなwww」

ラプンツェル「えぇっ!?友達って寝ないで遊ぶものなんじゃないの!?」ガーン

ティンカーベル「そういう時もあるけど、今日は急に押し掛けちゃったしそれはまた今度にしようよ!」

ラプンツェル「えー・・・せっかく遊べると思ったのにー」ムスッ

キモオタ「まぁまぁwwwまた明日の夜に来ますのでwww」

ラプンツェル「わかった、じゃあ約束だよ!キモオタ!ティンク!明日の夜、絶対だからね!」

ティンカーベル「うん!約束!それじゃあね、ラプンツェル!
おやすみ!」ファサー

キモオタ「それではwwwまた明日にwww」フワッ

ラプンツェル「うん!じゃあねー!おやすみー!」ニコニコ

264: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)19:51:13 ID:SZA
翌日・夜
ラプンツェルの塔 最上部の窓

ラプンツェル「ルルルールールルルー♪」

ラプンツェル(ティンクとキモオタまだ来ないかな~)ワクワク

ラプンツェル(今日はママがお昼に来てくれたし、ティンクとキモオタも夜に来るって約束したし!嬉しい一日だなぁ~)ウキウキ

ラプンツェル(部屋もちょっと片づけたし、ケーキも焼いた)

ラプンツェル(友達と遊ぶのってすごく楽しくてあっという間だけど、待ってる間って一日より長く感じるなー)

ラプンツェル「ラララーラーラララー♪」

ラプンツェル(まだかなー、まだかなー)

ガサッ

ラプンツェル(あっ、塔の下に誰か居る!二人が来たのかも!)ワクワク

265: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)20:05:40 ID:qKS
ガサッ

「ラプンツェル!君の髪を下げてくれ!」

ラプンツェル(あれ?どうしたんだろ、飛べないのかな?昨日は飛んできたのに)

ラプンツェル(・・・そっか!キモオタが昨日より太っちゃって飛べなくなったのかも!)クスクス

ラプンツェル(そういうことなら仕方ないね!手伝ってあげよう!友達だもんね!)

ラプンツェル「わかったー!いくよー?それっ!」ファサッ

シュルシュルシュルッ

ラプンツェル「暗くてよく見えないけど、下まで届いたー?」

グッグッ

ラプンツェル(手応えがあるし、ちゃんと届いたかな?)

グッグッ グッグッ

グッグッ グッグッ

ラプンツェル「あれ・・・?キモオタでもティンクでもない・・・!」

スタッ

王子「ようやく・・・あの歌声の主に出会えた・・・!なんと美しい女性だ・・・!」

266: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)20:21:13 ID:qKS
ラプンツェル「・・・・・・」ジーッ

王子「まずは勝手に上がり込んだ非礼を詫びなければ・・・すまない。だが私はどうしても・・・」

ラプンツェル「ピカピカの勲章に・・・見ただけでわかるくらい上等な布地だ・・・!派手な服だね!」ニコッ

王子「えっ?そ、そうかい?確かに普段着ではないからな、でも王族の衣類というのはだいたい派手なものだよ」

ラプンツェル「オーゾク?えっと、それって確か・・・そうそう、国で一番偉い人の家族だ!あなたがその王族なの?」

王子「申し遅れた、名乗らせて頂こう・・・!私はこの国の王子だ、よろしく頼む」ペコッ

ラプンツェル「私はラプンツェルだよ!よろしくね!おーじ!」ニコニコ

王子「あぁ・・・しかしラプンツェル。君は私を咎めないのかい?私は君を騙して塔に上がり込んだというのに」

ラプンツェル「えー?いいよー別に!だっておーじも私の友達になってくれるんでしょ?」ニコニコ

王子「え?あ、あぁ・・・友達か・・・君さえ良ければ」

ラプンツェル「うん!じゃあおーじも私の友達ね!お茶入れるから上がって上がって!」ウキウキ

267: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)20:36:11 ID:qKS
ラプンツェル「おーじ!その辺座って座って!今、紅茶入れるから!」ウキウキ

王子「あ、あぁ・・・わかった」

王子(しかし、追い返されても仕方ないと思っていたがもてなしまで受けられるとは・・・。ラプンツェルは私が王族だから文句が言えないのだろうか・・・?)

王子(どちらにしろ、あの美しい歌声の主はラプンツェルに違いない。私としては彼女と親しくなりたい。これは願ってもない機会だ)

王子(しかし、彼女は出入り口の無いこの塔で生活しているのか・・・)

ラプンツェル「フンフーン♪」カチャカチャ

ラプンツェル(あっ、ティーカップが無いんだったっけ。スープ皿と花瓶は二人が使うし、なにかないかな・・・カップの代わり・・・あ、ジャムの空き瓶があるや、これにしよ!)

ラプンツェル「おーじ!紅茶なんだけど、ジャムのでいいー?」ヒョコ

王子「ジャムの・・・?」

王子(あぁ、ロシアンティーというものだな?確か小皿のジャムを舐めながら飲むのが作法だったな・・・)

王子「あぁ、それで構わないよラプンツェル!」

269: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)20:42:36 ID:qKS
ラプンツェル「はい!じゃあおーじの分ね!おまたせ!」

コトッ

王子「!?」

王子(どういう事だ!?ジャムのって言うからロシアンティーだと思いきや・・・空き瓶に紅茶が・・・あっ、ジャムの空き瓶かこれ!?)

ラプンツェル「今日はちょうどケーキも焼いてたからこれも食べてね、おーじ!」コトッ

王子「う、うむ・・・頂くよ(ケーキは普通だな・・・)」

王子(おそらくカップをまとめて割ってしまって、ティーカップが無いんだろう・・・だとしたら指摘するのは失礼か)

カチャッ

ラプンツェル「ふぅー、おいしいー・・・やっぱり紅茶は暖まるねー!」ズズー

王子「君の分はちゃんとティーカップなんだね!?」ガターン

270: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)20:54:23 ID:qKS
ラプンツェル「そうだよ?あっ、ティーカップが足りないからおーじのはジャムの空き瓶にしたんだ!それで我慢してね!」ニコニコ

王子「あ、あぁ・・・そうなのか・・・なら仕方ないのか・・・?」

王子(普通は客人にカップを使うんじゃないのか・・・?いや、さすがに押し掛けておいて図々しいな。実はやっぱり歓迎されてないのか・・・いや、しかし・・・)

ラプンツェル「おーじ!ちゃんとケーキも食べてね!あと私、塔の外のお話聞きたいなー」ワクワク

王子(彼女に悪意があるようには見えない・・・)

王子「あぁ、構わないが・・・君は塔の中で暮らしているんだね?出口がないけれど、どうやって外へ?」

ラプンツェル「外には行ったこと無いの、物心ついた頃からずっとねー」ズズー

王子「出たことがない?この塔から一度も?」

ラプンツェル「うん!ママが心配性なの、塔の外は危険だからーって!」

王子「なるほど・・・」

272: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)21:08:04 ID:qKS
王子(だとしたら、これはマズいな。箱入り娘の部屋に男が上がり込んだなど・・・王子とはいえ許されないだろう)

王子「君の両親はどんな人なんだい?」

ラプンツェル「んー?パパは居ないんだー、それでねママは魔女だよー」モグモグ

王子「魔女!?さらっと言ったけど、大事ではないのかそれは!」ガターン

ラプンツェル「えー?外の世界では魔女珍しいの?」

王子「珍しいもなにも・・・普通は出会うことすらできないよ」

ラプンツェル「そうなんだ!私のママはやっぱりすごいんだね!」ニコニコ

王子「ああ、相当すごい方だろうね・・・君の母上は。それと、どうやら君はお母さんが大好きなようだね、ラプンツェル」

ラプンツェル「うん!大好き!」ニコッ

王子「・・・そ、そうか」ドキッ

王子(可愛い・・・!)

273: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)21:25:27 ID:uZm
ラプンツェル「そういえばおーじはどうしてこの森に要るの?なにか用事でもあったの?」

王子「・・・・・・」

ラプンツェル「どうかした?おーじ?」

王子「いや、君には話しておきたい。聞いてくれるかい?」

ラプンツェル「うん!」

王子「この国の王には子供が一人しか居ない、それが私だ。だから次期国王は私・・・だから王は私にはとても厳しくてね。もちろんそれが王なりの愛情であることも立派な王になるためには避けられないということもわかってはいるんだが・・・」

ラプンツェル「うんうん」モグモグ

王子「そのうち嫌気がさしてきてね。王は口を開けば「お前はこういう立ち居振る舞いをすべきだ!」「お前は私のいうとおりにすべきだ!」という具合でね。私は自分で物事を決めることすら許されなかったよ、洋服も食事もね、全てのスケジュールを王に管理されていた」

ラプンツェル「自由にできなかったの?塔の外はなんだってできる、自由な世界じゃないの・・・?」

王子「いや、本当はそうあるべきだ。でも私の場合は違ったんだよ」

王子「私は広い世界に居ながら、自由なんて一切無かった。王の目の届かないところにいても結局は王子だ、自分の好きな行動なんて選ぶことができなかったんだよ」

274: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)21:39:17 ID:uZm
ラプンツェル「それはつまんないねー。私は塔から出られないけど、好きなものを食べて好きなことを、自分がやりたいって思った事をしてたからよくわかんないけど・・・」

王子「そうなのかい?ハハッ・・実におかしいこともあるもんだ、塔の中の君はなにより自由で外の世界の私はしがらみだらけの不自由な生活だっていうんだから」

ラプンツェル「それで、どうしたの?おーじは」

王子「王が言うんだ「お前にふさわしい姫を探してきたから結婚しろ」とね、もう私は付き合いきれなくなって反抗したよ。滅茶苦茶怒鳴られて、殴られたけど私も食い下がってね。
渋々だったけれど王から結婚相手を捜す旅をする許可を貰った。他にどうしてもやりたい事があったから、旅にでられたのは好都合だったよ」

ラプンツェル「おーじも大変なんだね、いろいろとさ!でさ、王寺がやりたいことってなに?」モグモグ

王子「あぁ、私の母親・・・王妃は数年前から病を患っていてね。今日明日とも知れない命だという訳ではないが・・・一年のほとんどを寝室で過ごさざるを得ない、病弱なんだ。昔からね」

ラプンツェル「・・・もしかして!」ガタッ

王子「ど、どうしたんだラプンツェル」

ラプンツェル「おーじも探してるの!?ママの病気が治る方法!」

王子「あ、ああ。そうだ、探している。だが・・・なかなか見つからないんだ。もしや、君も母上の病気が治る方法を探しているのか?」

275: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)21:55:56 ID:uZm
ラプンツェル「そうなの!私のママ、最近体が痛いって言ってて・・・辛そうだから私がなんとかなる方法を探そうと思って、塔の外に出たいって言ったんだけど・・・駄目だって言われちゃった」

王子「大好きな母上のために・・・君は優しいね、ラプンツェル」

ラプンツェル「優しいのはおーじだよ!それにママを大切にする人、私大好きだよ!だから王子のことも好き!」ニコニコ

王子「そ、そうか。それは嬉しいな・・・!」

ラプンツェル「ねぇおーじ!一緒に行こうよ!私のママとおーじのママを助けられる方法が無いか、一緒に探しに行こうよ!」

王子「それは構わないが・・・しかし、母上から塔の外にでることは禁止されているんじゃないのか?」

ラプンツェル「そうだった・・・うーん・・・それはそうだけど・・・むーっ・・・」

王子「・・・・・・」

ラプンツェル「なんとかならないかな、おーじ?」

王子「そうだな・・・君は母上の為を思って旅にでるんだろう?それならば、口では駄目と言っていても母上はきっと許してくれるよ。君の優しい心を母上は知っているんだから、叱られないんじゃないか?」

ラプンツェル「そっか・・・そうだね!ママが元気になる方法見つけてきたら、きっと塔を抜け出しても怒られないよね!きっとママは喜んでくれるね!」ニコニコ

ラプンツェル「決めたよ!私、おーじと一緒に旅にでる!約束だよ!おーじ!」

王子「あぁ、約束だ!絶対に私達の母を救って見せよう、ラプンツェル!」

277: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)22:15:59 ID:uZm
ラプンツェル「じゃあさ、いつ行く!?ねぇねぇ、おーじ!」ワクワク

王子「そうだな・・・ラプンツェルが塔から出ないことには話にならないからな・・・まずは梯子を作るかなにかして、出口を作らないといけないな」

ラプンツェル「じゃあこうしよ!明日からおーじは毎晩ちょっとずつ布切れを持って遊びに来てよ!それを私がつなぎ合わせて梯子にするから!」

王子「わかった、持ってこよう。では梯子が出来次第出発だな!」

ラプンツェル「うん!楽しみだね!ママ達が喜んでくれるの!」

ワイワイ ワイワイ

キモオタ「どうやら王子殿が先に来ていたようですなwwwゴーテル殿の自慢話で来るのが遅れてしまいましたがwww結果オーライですなwww」

ティンカーベル「ねっ!王子とラプンツェルはいい雰囲気だしね!」

キモオタ「我々も行きますかなwww遊びに来ましたぞwwwラプンツェル殿www王子殿www」コポォ

ティンカーベル「えっ!?あの雰囲気の中に混ざるの!?今日はそっとしといてあげたほうが良かったんじゃないの!?」ガーン

ラプンツェル「あっ!ティンク!キモオタ!遅いよー!」

キモオタ「申し訳ないwww二人で何の話をしていたのですかなwww」コポォ



ティンカーベル「キモオタ・・・せっかくのいい雰囲気ぶち壊しだよ・・・」

280: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)22:34:41 ID:uZm
その頃 別のおとぎ話

ゴルディロックス「ゼェゼェ・・・」ヨロッ

ドロシー「キャハハッ!追い詰めたよーん♪なかなかすばしっこいから時間かかっちゃった!」テヘペロ

ライオン「ねぇねぇ・・・!急ごうよ!早くしないと熊が来るんでしょ?このお家・・・まずいよまずいよ!熊はまずいよ!」

ゴルディロックス「・・・ハァハァ・・・あなた達・・・こんな事して・・・どういうつもりなの・・・!」ゼェゼェ

アリス「どういうつもりも何も・・・ボクはこんなおとぎ話に用事はなかったんだけどね。そうだろう、ドロシー?誰が間違えたんだっけ?」

ドロシー「もー!わかったから!私が行き先を勘違いしてよけいな遠回りになっちゃったって言いたいんでしょ?もう反省したからいいじゃんもぉー!しつこいと嫌われるよアリス!」

アリス「ボクは『どんな強風でもびくともしない魔法のレンガ』が欲しかったんだ、それなのにドロシーがおとぎ話の名前を間違えるから・・・」

ドロシー「はいはぁい!反省してまぁーす!」ヘラヘラ

ゴルディロックス「あなた達・・・何を企んで・・・!」

アリス「あぁ、もたもたしてるからよけいな詮索されちゃったよ。ドロシー、さっさとこいつを殺してしまってくれるかい?せっかくだからその後おかゆを頂くとしようか、美味しいって聞いているからね」フフッ

ドロシー「はいはーい!ちょっとだけ待っててねん、私の魔力でちょちょいだからさ!」

ゴルディロックス「・・・っ!」

シュガッ

282: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)22:43:38 ID:uZm
ゴゴゴゴゴゴ

ドロシー「よーし!終わった終わった!私ちょうどいい熱さのおかゆー!かかしとブリキと青い鳥は?食べないよね?」

ブリキ「必要ない・・・」

かかし「食べられないからナ・・・おまえ等で食エ!」

青い鳥「僕もお腹空いてないからいいよ」

ライオン「じゃ、じゃあ僕はつめたいおかゆにするよ、猫舌だから。いいよね?アリスちゃん、もしかしてアリスちゃんもつめたいおかゆ?」

アリス「ボクは熱いお粥でいいよ、どっちにしろここで食べている時間はなさそうだしね」

ドロシー「そうだねー!今度はちゃんと、目的のおとぎ話に行くから!安心してよ!」ニヤニヤ

アリス「そうだね・・・あぁ、忘れないうちに食後の薬を渡しておくよ、きちんと飲むんだよ?ドロシー」

ドロシー「はいはーい!了解了解!そんじゃあ行きますか!」カツンカツン

ヒュン

284: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/29(木)22:51:24 ID:uZm
今日はここまでです

>>276
>>279
言ってしまうとこの程度なら問題無いです
線引きが難しいけど、旅の準備を通して王子と親しくなって恋におちるってなれば大きな変化もないしね

生きるはずの主人公が死ぬ。死ぬはずの主人公が生き残る。
結末部分があまりにも大きく変わる。
このへんがやばいと思ってください

ラプンツェルとアラビアンナイト編 次回に続きます

292: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)20:00:03 ID:F3i
一週間ほど後・・・ラプンツェルの塔 夜

ラプンツェル「おーじ!キモオタ!ティンク!これ見て!梯子半分くらい出来たよ!」バサー

キモオタ「これはwww初めはなかなかできないと思っておりましたがなwwwなかなか完成に近づきましたなwww」

ティンカーベル「これも王子が毎日布切れを持ってきてくれたおかげだね!」

王子「いや、梯子を作ったのはラプンツェルだ。彼女に感謝しないとな」

ラプンツェル「えへへー、でもこれが完成したらママ達を助ける手段探しに行けるもんね!頑張ろうね!おーじ!」

王子「ああ、旅の準備も進めているからな。森はずれの小屋に必要なものを揃えて置いた、いつだって出発できる」

ラプンツェル「初めての外の世界・・・!ワクワクするねー!」ワクワク

ティンカーベル「王子が来てから一週間・・・アリス達がくる様子は無いね」ヒソヒソ

キモオタ「そうですなwwwそれに越したことはないのでござるがwwwまぁこのままラプンツェル殿を見守りますぞwww」ヒソヒソ

ラプンツェル「ティンクー!お茶入れるから手伝ってー!」ニコニコ

ティンカーベル「うん、わかったー!・・・じゃあ行ってくるね!アリス達が来てないからって油断しないでね!キモオタ!」

キモオタ「わかりましたぞwww」コポォ

293: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)20:10:17 ID:F3i
ラプンツェルの塔 キッチン

ラプンツェル「フンフーン♪」ウキウキ

ティンカーベル「ご機嫌だね!ラプンツェル!もうすぐ外に出られるから?」

ラプンツェル「それもあるけど、毎日おーじが遊びに来てくれるし!ティンク達もね!おーじと遊ぶの楽しいよ、チェスも強いもんね」ニコニコ

ティンカーベル「ねぇねぇ、ラプンツェルは王子のこと好き?」

ラプンツェル「うん、好き!ティンクもキモオタも好きだよー」

ティンカーベル「えーっとねー、そうじゃなくてー・・・王子の事は特別に好き?」

ラプンツェル「特別に?んー・・・」

ティンカーベル「そうそう!特別!どうなの?」ワクワク

ラプンツェル「うーん・・・よくわかんないけど、おーじは優しいしカッコいいし、チェスも強いしママたちの病気治すこと真面目に考えてくれてるし、私はおーじの事好きだよ?それが特別かどうかはよくわかんないけど・・・でも二人きりの時はドキドキするよ!」

ティンカーベル「そっかぁ!ラプンツェルは王子のこと大好きなんだね!恋だよ恋!」ウキウキ

294: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)20:18:35 ID:F3i
ラプンツェル「恋?なにそれ?」

ティンカーベル「ラプンツェルは王子のこと特別好きでしょ?その気持ちの事だよ。いつか王子に大好きだって伝えないといけないね!」

ラプンツェル「恋すると、おーじに好きって伝えなきゃいけないの?」

ティンカーベル「そうだよ!もっともっと王子のこと好きになったらいつかちゃんと好きって言おうね、ラプンツェル!」

ラプンツェル「んー・・・いつかだと忘れちゃいそうだし,今言ってくるよ!」

ティンカーベル「えっ!?」

ラプンツェル「ねぇねぇー!おーじー!ちょっと来てー!」ヒョコ

ティンカーベル「ダメだよ!そんな雑な思いつきみたいな感じで告白しちゃ!」グイグイ

ラプンツェル「えー?ダメなの?」

ティンカーベル「ダメだよ!女の子の恋する気持ちはもっとロマンチックな時に伝えるもんなの!そういう決まりなの!」

ラプンツェル「ふーん・・・好きなときに好きって言えないなんて、なんか恋ってめんどくさいね」

ティンカーベル「めんどくさいとか言わないの!」

296: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)20:26:09 ID:F3i
翌朝 ゴーテルの家

ティンカーベル「・・・っていう事が昨日あってね?ラプンツェルはみんなに好きって言うからちゃんと王子に恋してるか不安だったけど、取り越し苦労だった!」

キモオタ「塔から出て行くための梯子も着実にできあがっておりますからなwww一週間後には完成するかとwww」

ゴーテル「・・・・・・」ズーン

ティンカーベル「ゴーテル?どうかした?今のところ異変もないし、おはなしは順調に進んでるよ?」

ゴーテル「それは嬉しいことじゃが・・・ラプンツェルと離ればなれになるまでもう一週間もないと思うと気持ちが沈むんじゃ」ズーン

キモオタ「ゴーテル殿www元気だしていただきたいwww」

ゴーテル「イヤじゃなぁ・・・ラプンツェルと離ればなれになるのは。あの娘が乳飲み子だったときから一緒じゃったからなぁ・・・」

キモオタ「そういえばwwwゴーテル殿は何故ラプンツェル殿を引き取ったんですかなwww」

ティンカーベル「それ私も気になる!教えてよゴーテル!」

ゴーテル「いいじゃろ。昔話でもしていれば気も紛れるじゃろ・・・いつか」

298: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)20:45:03 ID:F3i
ゴーテル「18年ほど前じゃったか・・・ワシの畑の野菜を盗んだ男がいてなぁ、隣の家の旦那じゃった。ラプンツェルの父親じゃ」

ティンカーベル「ゴーテルの作った魔法の野菜を、奥さんのために盗んだんだよね?」

ゴーテル「そうじゃ、本当は譲るつもりなんか無かった。追い払おうとしたんじゃが・・・しかしな、その時窓の向こうに見えたラプンツェルの母親に、死相が出ておったんじゃ。ワシはすぐに気がついた、このままだと母親も子供も死ぬとな」

ゴーテル「さすがに気の毒じゃった。じゃからワシはその野菜を譲ってやったんじゃ・・・その野菜は食べた者に魔力を与える野菜。
本来は魔女や魔法使いが自分の魔力を底上げする時なんぞに食べるもんじゃが、普通の人間にだって魔法の力を与える効果がある。おかげでその母親は一命を取り留めたんじゃが」

ゴーテル「その野菜の効果は胎児にも及ぶ。結果としてラプンツェルは魔力を持って産まれてくることになったんじゃ。大人ならともかく、意識的に魔力をコントロールできない赤子を普通の人間が育てるなど不可能・・・じゃからワシがラプンツェルを引き取った」

キモオタ「ラプンツェル殿に魔力が・・・!そんなふうには見えませんがな・・・」

ゴーテル「髪の毛じゃ、ラプンツェルの魔力は髪の毛に集約されておる。ほかの魔術や魔法は一切使えないが、あの髪の毛は切ったとしてもある程度はあっという間に伸びてくる・・・あの娘の意志で髪の毛を自由に動かすこともある程度は可能じゃ」

ティンカーベル「だからムッキムキじゃないのに塔の上からゴーテルを引っ張り上げたり出来たんだね?」

ゴーテル「そうじゃな、ラプンツェル自身はただの特技としか思っていないようじゃが・・・言い方を変えれば「髪の毛を自在に操る魔法」専門の魔法使いだと思ってくれてもいいじゃろ」

300: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)20:57:52 ID:F3i
キモオタ「確かにwww妙に器用に髪の毛を動かすとは思っておりましたがwww」コポォ

ゴーテル「本当のことをいうとじゃな、あの塔はラプンツェルの魔力が暴走したときの為の防御壁じゃった。じゃがな・・・あの娘が二歳三歳になる頃にはもう、ワシにとってあの塔はラプンツェルを護るための物になったんじゃ」

ティンカーベル「それってどういうこと?」

ゴーテル「もうラプンツェルが可愛くて仕方なかったんじゃ!言葉を喋るようになると、もう可愛さが倍増したんじゃよ・・・!初めて「まま」って呼ばれた時の感動はいまでも鮮明に覚えておる!もちろんそれまでもキュートじゃったがな・・・?」

キモオタ「ちょwwwシリアスじゃなかったwww」

ゴーテル「とにかくワシはその時決めたんじゃ、ラプンツェルは確かにワシと血は繋がっていない。じゃが、ワシのたった一人の娘じゃ。月並みなセリフじゃが」

ゴーテル「世界を敵に回してもこの娘を守り抜くと決めたんじゃ」

ティンカーベル「そっか・・・それじゃあ寂しくなるね・・・」

ゴーテル「王子と塔を出ていくことはラプンツェルが決めた事じゃ、もう母親のワシが口を出すことではないんじゃろうな・・・」

301: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)21:10:49 ID:F3i
キモオタ「なんと声をかけていいのやら・・・しかし、ラプンツェル殿はゴーテル殿の体を心配して、それを治す手段を・・・」

ゴーテル「わかっておる、さすがはワシの娘じゃ。しかし、どちらにしても近いうちにワシはラプンツェルを砂漠に捨てなければならないんじゃ」

ティンカーベル「・・・こんなこと言うのも変だけど、ゴーテルはそれで納得がいくの?」

ゴーテル「納得はしておらんな。おとぎ話の住人には物語の結末という形の運命が決まっている、それには抗えん。それを恨んだこともあった・・・何故愛する娘をはじめとして捨てなければならんのか!とな」

ゴーテル「じゃが、裏を返せばワシさえそれを耐えればラプンツェルは王子と幸せな暮らしを送れる。老い先短いワシの苦悩で、ラプンツェルが幸せになれるなら安いもんじゃ」

キモオタ「ゴーテル殿・・・」

ゴーテル「さぁさぁ、この話は終いにしようかの。暗い気持ちになってしまうでのぉ」

ティンカーベル「あのね、ラプンツェルはゴーテルがお母さんで幸せだったと思うよ!」

キモオタ「ですなwww寂しいかもしれませんがな・・・元気だしていただきたいwww」

ゴーテル「ふぉっふぉ、そうじゃな・・・もう何度ラプンツェルに会えるかわからんが、心配かけんようにせんとな」





青い鳥「・・・・・・」バッサバッサ

304: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)21:30:36 ID:F3i
・・・

ゴーテル「さて、キモオタ達はラプンツェルの所へ行ったか・・・それで、お前はワシに何の用じゃ・・・?」

アリス「・・・察しがいいね、気配は消していたつもりだけど」

ゴーテル「・・・匂いがするのぅ、魔法具・・・それも一つや二つじゃない。膨大な魔力・・・お前がアリスとかドロシーという娘じゃな?」

アリス「またまた察しがいいね、ゴーテル。君の作った野菜をドロシーに食べさせたくてね・・・ドロシーの持つ魔力を増幅させようって考えさ、だから青い鳥と二人で来たんだ。と言えば、素直にくれるかい?」

ゴーテル「無理じゃな、断る」

アリス「いいよ、予定通りさ。でも、欲しいものは絶対に手に入れる」ゴソッ

ゴーテル「・・・・・・」ジリッ

アリス「そう身構えないでよ。魔法勝負になるとちょっと分が悪いかもしれないしね。けれど、ボクの申し出を断った事は後悔してもらうよ?」

ゴーテル「なんじゃと・・・?」

アリス「安心するといい、苦しむのは君一人でじゃあない」

アリス「ラプンツェルも一緒だからさ」フフッ

305: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)21:41:34 ID:VKN
ラプンツェルの塔 夕暮れ

ティンカーベル「ねぇねぇ、ラプンツェル。今日はずっと縫い物してるけど何作ってるの?」

ラプンツェル「これはね、ママへのプレゼント!こないだケープ作ったから今度は普通に洋服なんだけどね。もう、私いなくなっちゃうから・・・」

ティンカーベル「そっか、寂しくなるけど・・・こうしてプレゼントあげたらきっとゴーテル喜んでくれるよ!」

キモオタ「なんたってwwwラプンツェル殿の気持ちがwwwこもってますからなwww」

ラプンツェル「うん!ママとは少しの間会えないけど、ママのためだもんね!私、頑張るよ!」ニコニコ

ティンカーベル「ラプンツェルはゴーテルの事大好きだね!」

ラプンツェル「うん!ママのこと大好きだよ!」

キモオタ「早くゴーテル殿を体の痛みから助ける手段を探さなければなりませんなwww王子殿との仲も深めねばなりませんしなwww」

ラプンツェル「あはは、キモオター!私とおーじは今も仲いいよ?」

キモオタ「ドゥフフwwwそうでしたなwww」


「ラプンツェル!ワシじゃ!髪の毛を早くおろしとくれ!」


ラプンツェル「あれ?こんな時間にママが呼んでる。いこう、ティンク!キモオタ!」

306: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)21:48:07 ID:VKN
ラプンツェルの塔 最上部の窓

ラプンツェル「ママー、いくよー?それっ!」ファサ

ゴーテル「・・・・・・」ガシッ

グッグッ グッグッ

グッグッ グッグッ

トサッ

ゴーテル「・・・・・・」

ラプンツェル「ママ?どうしたの?何か忘れ物?」

ティンカーベル「どうしたんだろ・・・なんか様子がおかしいね?」ヒソヒソ

キモオタ「寂しくなって遊びに来たとかwww」ヒソヒソ

ゴーテル「ラプンツェル・・・・・・!」

グイッ

ラプンツェル「痛っ!ま、ママ・・・?どうして髪の毛掴んだりするの?」

ゴーテル「・・・どうしてだって?よくもぬけぬけとそんな事が言えたもんだね、お前は・・・!」ギロリ

307: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)22:02:36 ID:VKN
キモオタ「ちょ、ゴーテル殿!」

ティンカーベル「離してあげてよ!ラプンツェルがかわいそうだよ!」

ラプンツェル「ど、どうして?どうしてそんなに怒って・・・私がおーじと会ってる事知ってるの?だから怒ってるの?」

ゴーテル「よくわかってるじゃないか・・・!王子と一緒に塔を出て行くつもりだろう?ワシは血の繋がりの無い養女のお前をここまで育ててやったというのに、簡単にワシを裏切るような真似をしおって・・・!」

ラプンツェル「違うの・・・!私はママに元気になってもらいたくて・・・!だからおーじと一緒に」

ゴーテル「黙れ!このxxxxが・・・!お前、あの王子と一緒になりたいからといってワシを口実に使うんじゃない、不愉快だ!」

ラプンツェル「・・・違う!そうじゃないの、信じて!ママ!」

ゴーテル「誰が貴様など信じられるものか・・・!それとな・・・よく聞け、お前はワシを裏切った・・・そもそもお前はワシの娘じゃない。ママなどと馴れ馴れしく呼ぶのはやめろ、反吐がでる!」

ラプンツェル「・・・・・・っ!」ジワッ

ティンカーベル「どうしたのさ!ゴーテル!いくらなんでも言い過ぎだよ!」ピュー

ゴーテル「妖精の娘・・・貴様は黙っておれ!」

309: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)22:16:31 ID:VKN
ラプンツェル「ママが・・・私のこと娘じゃないって・・・」ポロポロ

ティンカーベル「落ち着いてラプンツェル!あんなの本心じゃないよ!」

キモオタ「うおぉぉ!ゴーテル殿!落ち着いていただきたい!どうにも様子がおかしすぎますぞ!?」ガシッ

ゴーテル「ええい、離せ!この豚が・・・!」

ティンカーベル「ゴーテル!どうしたのさ!?さっきはラプンツェルの事あんなに大切そうに話してくれたのに!」

ゴーテル「黙れ・・・貴様、少し眠っておれ・・・!」ヒュォ ビターン

ティンカーベル「うぐっ・・・!」

キモオタ「ティンカーベル殿!なにも叩きつけることなどないでござろう!ゴーテル殿!」

ティンカーベル「だ、大丈夫・・・!それよりラプンツェルを・・・」

ティンカーベル(絶対におかしい。ゴーテルはきっと正気を失ってる・・・でもどうして?原因がわからない!・・・あれ?)

ティンカーベル(なんだろう・・・ゴーテルの足元に何かの粒が落ちてる・・・?)

ゴーテル「ええい、いい加減に離せ!」

ティンカーベル(ゴーテルの服にもついてる・・・暴れたときに服からこぼれたのかな?だったらゴーテルの様子がおかしい原因って・・・この粒かな?)

クンクン

ティンカーベル(・・・この匂い、コショウの粒?)

310: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)22:25:01 ID:VKN
ゴーテル「ええい!鬱陶しい・・・!」ブンッ

キモオタ「ブヒィィィ!」ドサー

ゴーテル「とにかく・・・お前はもういらない・・・!気に入らない、お前もお前の長い長い髪の毛も・・・!」グイッ

ラプンツェル「・・・・・・ごめんなさいママ!私、ママの為にと思って・・・」

ゴーテル「その呼び方はやめろと言ったはずだろう!ええい、不愉快だ・・・今すぐその髪の毛を切り落としてやる・・・!」ガシャッ

ジャキン ファサッ

ラプンツェル「私の・・・髪が・・・!」

キモオタ「ラプンツェル殿ー!我輩、倒れている場合ではないでござる・・・!」

ゴーテル「これでスッキリしたよ、さぁ今度はお前を捨ててやる。もう二度と王子について会えないような遠い遠い砂漠の国へね!」ブツブツ

ブォン

ティンカーベル「世界移動のゲート・・・!?」

311: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/30(金)22:35:17 ID:VKN
ラプンツェル「やめて!ママ、もう約束破ったりしないから!」

ゴーテル「このおとぎ話の世界の外なら、もうどうあがいても王子には会えやしない!さぁ、行くんだ。行け!」グイッ

ラプンツェル「きゃっ!」ドサッ

キモオタ「ら、ラプンツェル殿!」

ゴーテル「ちょうどいい・・・豚と妖精、お前たちも目障りだ」ギロリ

ティンカーベル「ゴーテル!もう目を覚まして・・・!」

ゴーテル「喜べ、あいつの行き先はお前たちが行きたがっていた【アラビアンナイト】の世界。お前たちもあの娘の道ずれだ、だがもう二度とワシの目の前には現れるな・・・!」グイッ

キモオタ「ブヒャア!」ドサー

ティンカーベル「キモオタ!ラプンツェル!」ヒラヒラ

ゴーテル「さぁ妖精、お前もだ・・・!」グイッ

ティンカーベル「あのコショウがなんなのかわかんないけど・・・絶対におかしい!私達は絶対に戻ってくるから!」

ゴーテル「ふん、口の減らない妖精だ・・・」ポイッ

ティンカーベル「絶対絶対!ラプンツェルやゴーテル達のおとぎ話は消えさせないから・・・!」

シュウゥゥ

ゴーテル「ようやく邪魔者は消えたか・・・次は王子の番だ・・・クックック」

329: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)22:05:52 ID:M4S
ラプンツェルの塔

王子「今日は少し来るのが遅くなってしまった・・・ラプンツェルに遅いって怒られるかもしれないな」フフッ

王子「・・・ラプンツェル!私だ!髪の毛を下げてくれないか!」

ファサッ

王子「・・・?」

王子(なんだ?おかしいな。いつもなら髪の毛を下げた後ラプンツェルが窓から身を乗り出してくるんだが・・・?)

王子「体調でも悪いのだろうか・・・?とりあえず登ってみるか・・・」ガシッ

グッグッ グッグッ

グッグッ グッグッ

スタッ

王子「あなたは・・・!」

ゴーテル「・・・貴様が王子か」ゴゴゴゴゴ

王子「以前、ラプンツェルの髪の毛を伝って塔に登っていた老婆・・・!もしや、ラプンツェルの身内の方なのか?」

330: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)22:17:45 ID:M4S
ゴーテル「ワシはあの娘をこの塔に閉じ込めていた魔女・・・」

王子「ならば、あなたがラプンツェルの話していた母上ということか・・・!」

ゴーテル「ほう?どう聞いているか知らないが、あいつはもうワシの娘じゃあない」

王子「聞いていた印象とずいぶんと違うが・・・いや、まずは非礼を詫びるべきか。申し訳ない、あなたの娘の塔に勝手に上がり込んでしまい。だが、私は真剣にラプンツェルの事を愛している。もちろんやましいことなど一切していない。どうか信じて欲しい」ペコッ

ゴーテル「ふん、そのようなことはどうだって良い。もうあの娘はここには居ないからな」

王子「・・・ラプンツェルはここには居ない、だって?」

ゴーテル「遠い遠い世界へ消えていったよ。ワシを裏切った罰だ」

王子「・・・どういうことか、説明して貰おう」ギッ

ゴーテル「おぉ、そのような目で睨みつけるでない。ワシはあんたにも罰を与えるつもりだ。ワシが見たいのはそんな力強い眼差しじゃない」

ゴーテル「希望の光が潰えたときの虚ろな眼差しじゃ」

333: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)22:34:20 ID:M4S
王子「先ほども言ったはずだ、私はラプンツェルを愛している。返答次第ではあなたを・・・!」チャキ

ゴーテル「ワシはあの娘の母親じゃあない。だが、罪に対して罰を与える義務はある、あの娘はワシとの約束を破って貴様と旅にでるつもりだったらしいじゃないか?」

王子「それはあなたの為に・・・!」

ゴーテル「理由なんて関係ない、あの娘がワシを裏切ったことは事実。お前はこの塔にラプンツェルに会うためにやってきたんだろうが、あいつはもうこの塔に戻ってくることは無い」

王子「・・・ならばせめて、どこへ連れて行ったのかだけでも教えてくれないか!?」

ゴーテル「お前の手の届かないところさ。空を飛ぶ鳥に手をふれることが出来ないように・・・美しい歌声で鳴くあの娘はどことも知れぬ空へと飛んでいったのさ。遠い遠い空へ、もう帰り道もわかりゃあしない」

王子「・・・ッ!」

ゴーテル「そして、その鳥はもう二度とお前の肩に止まることはない」

王子「自分の娘になんていう仕打ちを・・・!」

ゴーテル「悔しいか?悲しいか?あぁ、そうだろうさ。これはあの娘とおまえへの罰だ。もうラプンツェルがお前に笑いかけることは無い。嬉しそうに語りかけることも、些細なことで拗ねる姿も・・・お前は見ることが出来ない・・・!」

王子「・・・何故だ。何故このようなことに・・・!」ヨロッ

ゴーテル「可能性があるとすれば、死んでみることだ。運が良ければ命を失ったあの娘とあの世で出会えるかもしれんぞ?」

王子「クッ・・・!ラプンツェル・・・!私は、私は・・・!」ヨロヨロ

335: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)22:47:10 ID:M4S
ゴーテル「さぁ、ワシの話は終わりじゃ。用が済んだのなら帰って貰おうか」

王子「ラプンツェル・・・!君が居ないなんて・・・私はどうすればいいんだ・・・!私はもう・・・生きている意味など・・・」フラフラ

グラッ

王子「ぐっ!ぐあああぁぁぁ!!」ヒュゥゥウ

ゴーテル「ふん、自ら飛び降りて死を選ぶか。それもよかろう。されとて、あの娘に会えぬ事に変わりはないがな」クックック

・・・

ヒュゥゥウ ガサッ ガサガサガサッ!ブシュッ

王子「・・・・・・ゼェゼェ・・・何故だ・・・何故だ・・・!私は死を選んだと言うのに・・・何故、生きている・・・!もうラプンツェルには会えないのに何故・・・!」

王子「・・・樹木の枝か、茨に目をやられてしまったか・・・一切の光が見えない。今の私にはちょうどいいのかもしれないな、私は生きる希望の光を失ってしまった・・・!いっそのこと短剣で首を掻き切ってしまうか」ガシャッ

グッ

王子「何故だ・・・短剣が鞘から抜けぬ・・・何かが絡まっているのか?」サワッ

王子「この手触りは・・・ラプンツェルの髪の毛か?さっき登ったときに短剣に絡まっていたというのか・・・!」

王子「・・・・・・」

王子「生きろと言うのか、ラプンツェル」

339: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)22:54:58 ID:M4S
王子「・・・・・・」

王子「・・・君はもう私の手の届かない遠くへいってしまったのかもしれない。でも、それならば私は追い続けよう」

王子「どれだけ月日が過ぎようと、どれだけはるか彼方遠くへの旅となっても・・・」

王子「例え両目が光を失っていても・・・地を這ってでも・・・!」

王子「だから、ラプンツェル・・・君はどうかいつものように笑っていてくれ。そして軽やかな歌声を響かせていてくれ」

王子「私がその歌声を頼りに、必ず君を捜し出す」

王子「だから、すまないが少しの間。待っていてくれ、ラプンツェル」

・・・

341: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)23:02:59 ID:M4S
アラビアンナイトの世界 砂漠地帯

ラプンツェル「・・・・・・」グスングスン

キモオタ「ブヒイイイィィィ!」ズッサー

ティンカーベル「・・・ここが【アラビアンナイト】の世界・・・見渡す限りの砂漠だね・・・」

ラプンツェル「・・・ティンク、キモオタ。どうしたらいいかな・・・私・・・」グスングスン

キモオタ「ラプンツェル殿・・・」

ラプンツェル「私がママとの約束を破って、嘘ついて塔を出ようとしたから・・・ママに嫌われちゃった・・・もう、私のこと娘じゃないって・・・」ポロポロ

ティンカーベル「ラプンツェル、しっかりして!あんなのゴーテルの本音じゃないよ!」

ラプンツェル「でも・・・」グスングスン

キモオタ「そうですぞ!きっと気が動転して、思ってもいないことを言ってしまったに違いないですぞ!」

343: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)23:13:29 ID:M4S
ティンカーベル「そうだよ!だからゴーテルもきっと後悔してるよ!だってラプンツェルのママは優しいんでしょ?あんな事平気な気持ちで言えるような人じゃないんでしょ?」

ラプンツェル「うん、本当なら言わない・・・」グスングスン

キモオタ「ならばゴーテル殿を信じることですぞwwwそして元気を出してくだされ、王子殿もゴーテル殿もそして我輩も・・・泣き顔のラプンツェル殿よりも笑顔の方が好きですぞwww」

ティンカーベル「うん!私も私も!」

ラプンツェル「・・・うん、わかった。本当に泣きたいのは私に嘘つかれたママのほうだもんね。今は許してもらえなくても・・・私はいつかママにちゃんと謝って、許してもらう・・・」グシグシ

キモオタ「それがいいですぞwwwすこし時間をおいて落ち着けば、ゴーテル殿もわかってくれますぞwww」

ラプンツェル「うん!だからもう泣かないよ、私」

ティンカーベル「とは言っても、キモオタ。わかってるよね?」ボソッ

キモオタ「もちろんですぞ。ゴーテル殿の様子はつい言い過ぎたとか演技の域を越えてましたからな。おそらく・・・」ボソッ

ティンカーベル「何かされたんだよ、誰かにね。って、誰かは大体察しがつくけど」ボソッ

344: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)23:29:15 ID:M4S
ティンカーベル「それに・・・さっきから【ラプンツェル】の世界へ飛ぼうとしてるけど・・・このおとぎ話の結界は内側から出ることも出来ないみたい」

キモオタ「ゴーテル殿は結界を壊したのではなくすり抜ける形で我々をここに・・・しかし、戻れないとなると【ラプンツェル】のおとぎ話がまずいのでは?主人公のラプンツェル殿はここにいるわけでござるし」

ティンカーベル「・・・多分、それは大丈夫。ゴーテルに捨てられたラプンツェルが王子と再会するまでの期間は物語には詳しく書いてなかったから、しばらくはラプンツェル不在でもおとぎ話は消えない。
もちろん、一定の期間だけだからずっとここにいたら王子と再会するっていう結末が破綻して消えちゃうけど」

キモオタ「【ラプンツェル】の世界へ行く事は出来ない、しかし多少の余裕があるということですな・・・」

ティンカーベル「そうだね。どっちにしても私たちだけじゃ世界移動もできない。ここは一度シェヘラザードに会おう、そして事情を話して助けてもらおう」

キモオタ「そうですな、それしかないですぞwww我々は元々シェヘラザード殿に会う目的だったでござるしwww」

ラプンツェル「ねぇ、キモオタ・・・聞いてもいい?」

キモオタ「いいですぞwwwなんですかなwww」コポォ

ラプンツェル「太陽の方角見て!ずっと遠くからこっちに飛んでくる大きな影が見えるけど、あれって・・・鳥かな?」

ティンカーベル「・・・本当だ!ものすごく大きな鳥がこっち来る・・・!すごいスピードだよ!」

347: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/01/31(土)23:48:29 ID:M4S
砂漠上空 巨鳥の背中

???「見つけたぜ・・・侵入者だ!おい!聞こえるかシェヘラザード!王宮の東の砂漠に侵入者だ!」

シェヘラザードの声「怒鳴らなくとも聞こえています。あなたの指輪は付けている者同士で会話ができる魔法の指輪。ですからもう少し声の大きさというのを考えて・・・」

???「んなことはどうでもいいだろ!あいつら、結界すり抜けてやってきやがって・・・いい度胸だ!おい、ロック鳥!あいつらを捕まえるぞ!」

ロック鳥「ルオオオォォォック!」バッサバッサ

シェヘラザードの声「待ちなさい。まだその者達が悪人だと決まったわけではないでしょう。今、アリ王子に空飛ぶ絨毯をこちらへ飛ばして貰っていますから私がそちらに行くまで待っていなさい」

???「何を呑気なこと言ってんだ!悪人だったら手遅れになっちまうだろうが!もしも仮に善人だったなら間違えて捕らえても許してくれるだろうしよ!」

シェヘラザードの声「落ち着きなさい、熱くなったあなたにその判断が付きますか?あなたは勇敢さと思慮深さを兼ね備えた船乗りでしょう。もう少し・・・」

???「あぁ!もう!うるせぇな!侵入者は俺が捕まえてやるからお前は菓子でも食いながら待ってろ!じゃあな、シェヘラザード!行くぞ、ロック鳥!」

ロック鳥「ルオオオォォォック!」バッサバッサ

シェヘラザードの声「ま、待ちなさい!私の話を聞いているの!?勝手な真似は許しませんよ!シンドバッド!!」

349: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/01(日)00:09:04 ID:Kcy
・・・

シンドバッド「侵入者共!運が無かったな!この俺様に見つかっちまうとはなぁ!!」

キモオタ「なんでござるか!あの巨大な鳥!!あんな鍵爪に掴まれたら・・・!」

ティンカーベル「違うよ!私達は確かに侵入者だけど事情があるんだよ!」

ラプンツェル「一面の砂、大きな大きな鳥、なんだかチャラチャラした衣装の男の人・・・!これが外の世界・・・!」

ティンカーベル「ラプンツェル!感動してる場合じゃないよ!」

シンドバッド「なんつーか・・・確かに前の奴らとは違うみたいだな、抵抗する様子もないか。それに・・・見るからに弱そうな顔ぶれだ、デブに妖精に髪の毛が長い女・・・おい、妖精と女。名前を教えろ!」

ティンカーベル「ティンカーベルだよ!ティンクって呼んでもいいよ!」

ラプンツェル「私はラプンツェル!」

シンドバッド「俺様は勇敢さと思慮深さを兼ね備えた船乗り・・・!名はシンドバッドだ!心躍る冒険と美しい女を俺様は何より愛している!
さぁティンク、ラプンツェル・・・ロック鳥の背中に乗るといい。こいつは俺の相棒さ。おい、ロック鳥!翼をおろしてやりな!そこの豚は餌にしてかまわねぇから」

ロック鳥「ルォッ!」バサッ

キモオタ「ちょwww我輩もwww乗せていただきたいwww」コポォ

360: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)20:07:03 ID:Bvd
ラプンツェル「シンドバッド!キモオタは私の友達なの、だから一緒につれてってあげて。餌にされちゃうのは可哀想だよ!」

シンドバッド「・・・おい、キモオタとかいう奴。お前に問おう、お前達は何故ここにいる?」

キモオタ「よくぞ聞いてくれましたなシンドバッド殿www我々はとある人物からこのおとぎ話の主人公であるシェヘラザード殿に伝言を預かっているのでござるよwww案内していただけないでござるかwww」

シンドバッド「シェヘラザードに用事か・・・おい、ロック鳥!やっぱそいつ食うのは一旦おあずけだ」

ロック鳥「ルォッ!」

キモオタ「何とか餌にならずに済みましたぞwww」コポォ

シンドバッド「勘違いするなよ?あくまで一時的だ。お前が信用できない奴だとわかったらすぐにでもロック鳥はお前をついばむ。・・・おい、シェヘラザード。聞いていたな?」

シェヘラザードの声「・・・はい、その指輪を彼に渡してください。私が話をします」

ティンカーベル「指輪から声が聞こえる!それで会話ができるんだね?」

シンドバッド「あぁ、その通りだ。ほらよキモオタ、俺たちの姫はお前をご指名だ」ヒョイ

361: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)20:23:44 ID:Bvd
キモオタ「この指輪に話しかけたればいいのでござるねwww」コポォ

シェヘラザードの声「はい。あなたはキモオタさんというのですね?」

キモオタ「そうですぞwww現実世界の人間でござるwwwお主がシェヘラザード殿でござるかwww」

シェヘラザードの声「はい。この【アラビアンナイト】の主人公です。なにやら私に伝言があるとの事ですが、一体どなたからでしょうか?」

キモオタ「大鬼殿・・・いや、【一寸法師】の鬼殿をご存じですかな?打ち出のこづちを持っている鬼でござるが・・・」

シェヘラザードの声「はい、存じております。彼は何と?」

キモオタ「話すと長くなるのでござるが・・・内容だけ伝えると「アリスが魔力を集めて何かを壊そうとしている」ということをシェヘラザード殿に伝えてほしいと・・・」

シェヘラザードの声「彼がそう言ったのですね?」

シェヘラザードの声「アリス・・・【不思議の国のアリス】でしょうか?魔力を集めて壊すというには・・・あの世界の結界の事でしょうね・・・」ボソッ

キモオタ「どうかしましたかな?www」

シェヘラザードの声「いいえ。キモオタさん、わかりました。指輪をシンドバッドへ渡してください」

キモオタ「わかりましたぞwww」ヒョイ

シンドバッド「おう、で・・・どうだシェヘラザード?」

362: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)20:45:46 ID:Bvd
シェヘラザードの声「私が彼・・・【一寸法師】の鬼さんと面識があることを知っている人間は他にいないはずです。それに以前ここに来た娘がアリスだというのなら話のつじつまも合います」

シンドバッド「確かにそうだな。侵入者だっていうからどんな奴かと思ったが・・・こいつらからは敵意を感じねぇ。おそらく信用してもいいんじゃないか?俺の船乗りとしての・・・冒険家としての勘がそう言ってやがる」

シェヘラザードの声「私も信用していいと思います。仮に彼らが悪人だったとしても私の統べるおとぎ話から応援を呼べますし・・・なので彼らの話を詳しく聞きたいですね」

シンドバッド「よし、じゃあ今からお前の屋敷に連れて行く」

シェヘラザードの声「お願いしますよ。あぁ、それと・・・シンドバッド、よく聞いておきなさい」

シンドバッド「なんだ?また説教か?」

シェヘラザードの声「先ほど、二人分の可愛らしい女の子の声が聞こえましたけど・・・彼女達は外の世界から来た言わば客人。決して言い寄ったりしないように。聞きましたよ?あなたはあろう事か【アリババと40人の盗賊】のモルジアナに愛の言葉を囁いたとか・・・」

シンドバッド「アリババの野郎・・・チクりやがったな。安心しろシェヘラザード、確かにモルジアナに言い寄ったのは事実だ、しかし思い切りぶん殴られたからな。つまりはノーカウントだ」

シェヘラザードの声「何がノーカウントですか!あなたはもっと【船乗りシンドバッドの冒険】の主人公として恥ずかしくない行動というものをですね・・・」

シンドバッド「・・・・・・はいはい、わかりましたよーっと」ゴソゴソ

シェヘラザードの声「シンドバッド!声が遠くなりましたよ!さてはポケットにしまいましたね?シンドバッド!聞きなさい!シンドバッド!」

363: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)21:04:53 ID:Bvd
シンドバッド「さて・・・シェヘラザードと話がついたぜ。お前達をあいつの屋敷に案内する。さっさとロック鳥の背中に乗るんだ」

ティンカーベル「やった!じゃあ乗せてもらおう!行こうよラプンツェル!」

ラプンツェル「うん!背中はふかふかして毛布みたいだね・・・!私、鳥の背中に乗るのって初めて!」ワクワク

シンドバッド「そうかい、だが俺もお前みたいに髪の長い女は初めて見るぜ?」

キモオタ「先ほど切られてしまいましたがすぐに延びてきましたなwww」

ティンカーベル「さすがに前よりは短いね。それでもものっすごーっく長いことには変わりないけど」

ラプンツェル「そうなの?私くらい長い髪の毛の女の子は塔の外には居ないの?」

シンドバッド「ああ、見たことねぇ。だが・・・ラプンツェルはそのままじゃああの街には行けねぇな・・・」

ティンカーベル「髪の毛長すぎて邪魔になるってこと?じゃあ私が三つ編みにしてあげるよ!」

ラプンツェル「あっ!私もできるよ!じゃあ一緒にやろうかティンク」ニコニコ

シンドバッド「いや、そう言う事じゃんねぇんだ。あの街は特殊だからな・・・しかたねぇ、まずはフード付きの服を買いにいくしかねぇか」

キモオタ「特殊とはwww一体どのような街なのですかなwww」

シンドバッド「あぁ、話すと長くなるが結論だけいうと若い女が居ない街だな」

364: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)21:22:53 ID:Bvd
キモオタ「それはどういうことですかな?」

シンドバッド「それはだな・・・いや、だがまずは街に急ぐか!さぁロック鳥!街の近くまで飛んでいけ!この仕事終わったらうまい飯用意してやるからな!」

ロック鳥「ルォォォオオオッック!!」バァサァッ!バッサバッサ!

バッサバッサ バッサバッサ

ラプンツェル「おおぉー!塔よりも高いね!でもどこ見ても砂しかないね」アミアミ

キモオタ「砂漠でござるからなwwwしかしこれ滑りオチたらひとたまりもありませんなwww」コポォ

シンドバッド「その時は鍵爪でキャッチするよう言ってやるから安心しな」ニヤニヤ

キモオタ「ちょwww全身強打か爪でズタズタになるかの二沢www」

ティンカーベル「それでさ、さっきシンドバッドは街には若い女の人が居ないって言ってたけど、それってなんで?」アミアミ

キモオタ「そうでしたなwwwだからラプンツェル殿は入れないとか言ってましたなwwwその理由は我輩も気になりますぞwww」

シンドバッド「あぁ、若い女はもうほとんど殺されちまってる」

ティンカーベル「えぇ!?なんで若い女の人だけ?戦争・・・じゃないよね、なにか事件があったの?」アミアミ

シンドバッド「いいや、国王の仕業さ。国王の命令で女達は一人づつ殺されているんだ、この国ではな」

365: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)21:47:41 ID:Bvd
ラプンツェル「ひどい・・・!やっぱり塔の外には悪い人がいるっていうのは本当だったんだ!ママが言ってた通りだよ!」アミアミ

キモオタ「むむむ・・・罪もない若い女性を殺してまわるとは・・・なんという国王でござるか!」

シンドバッド「俺としては王に少し同情しちまうけど・・・まぁ、いわゆる悪王だな、今は」

ティンカーベル「ねぇねぇ、なんで王様は若い女の人だけを殺しちゃうの?男の人やおばちゃんや子供は殺さないの?」アミアミ

シンドバッド「ああ、男は殺さない。女でもおばさんやガキも殺さねぇな。王が殺すのは若い女・・・それも  の女だけだ」

キモオタ「ちょwww  厨www」コポォ

ラプンツェル「ねぇティンク、しょじょってなに?」

ティンカーベル「なんだろ?私もわかんない。ねぇ教えてよシンドバッド」

シンドバッド「なんだお前等しらねぇのか?いいか、  ってのはな男と  」

バッ!

キモオタ「ちょwwwシンドバッド殿wwwティンカーベル殿もラプンツェル殿もピュアでござるからwwwそのあたりはぼかして頂きたいwww」ヒソヒソ

シンドバッド「なんだよ、めんどくせぇな・・・わかったわかった。そのへんぼかしゃいいんだな?」

キモオタ「頼みますぞwww」

366: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)22:03:12 ID:Bvd
ラプンツェル「ねぇねぇシンドバッド、聞いてる?」

シンドバッド「聞いてるっての。あーつまり、  ってのはあれだ。心身共に純粋な女って事だな」

ティンカーベル「なるほど!ひとつ賢くなったよ!じゃあ確かにラプンツェルは純粋だからまずいかもね・・・」

シンドバッド「ったく、しかしあれだな。まぁ俺はちょっと物を知らない女ってのも魅力的だと思うぜ?ティンカーベル」ニッ

キモオタ「さりげなく口説きましたなwww」コポォ

ティンカーベル「はいはい、わかったから続けて!」

シンドバッド「つれねぇなティンク、冗談だろうが・・・で、なんだったか・・・ああ、王の話だったな」

シンドバッド「この国の王はある事が原因で女が信じられなくなってな。国中の  を毎晩一人寝室に・・・あーいや、なんだ、毎朝一人殺してる。そのせいで国には若い女はもうほとんどいない、あと残っているのはシェヘラザードとその妹だけだな」

キモオタ(シンドバッド殿、今ぼやかしてくれましたなwwwおそらく実際は「毎晩一人の  と夜を過ごし、翌朝には殺している」といったところなのでござろう・・・)

ラプンツェル「じゃあ、そのシェヘラザードも危ないんじゃないのかな?」

シンドバッド「だからシェヘラザードはある計画を考えて・・・っと、見えてきたぜ!あのでかいのが王宮だ、あの近くの町に行く。急降下するからしっかり捕まってろ!」ビュォ

367: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)22:25:33 ID:Bvd
王宮側の街 街外れ

ガサガサッ

シンドバッド「待たせたな。ラプンツェルはこのローブを着てついて来い」バサッ

ラプンツェル「わかったけど、なんだか暑そうだね・・・」

キモオタ「ただでさえ暑いというのにwwwこんなローブを着ていてはしんどいでしょうなwww」

シンドバッド「おいおい!文句を言うんじゃねぇよ、わざわざ買ってきてやったんだ。なるべく薄手のを頼んだが、在庫がこれしかねぇってんだから仕方ねぇだろ」

ティンカーベル「まぁでもさ、ラプンツェルの身を守る為なら仕方ないよね?」

キモオタ「国王に目を付けられて殺されてはたまりませんからなwww」

ラプンツェル「それは私も嫌だし怖いから・・・着るよ、シンドバッドありがとね!」

シンドバッド「おう、じゃあ行くぞ。街を奥に進んだところに王宮がある、その少し手前を曲がって奥の方に大臣の屋敷がある・・・シェヘラザードの家だ」

キモオタ「ほうwwwシェヘラザード殿は大臣の娘さんというわけですなwww」

シンドバッド「ああ。さぁ、とにかく街へ行くぞ、はぐれないようにな?」

368: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)22:38:51 ID:Bvd
王宮側の街

ザワザワ ザワザワ ザワザワ

ラプンツェル「わぁ・・・!すごいっ・・・!すごいすごい!人がいっぱいいるよ!」キラキラ

ティンカーベル「そういえばラプンツェルは街に来るのは初めてなんだっけ、塔から出たこと無いもんね」

ラプンツェル「うん!たくさんの建物と・・・いっぱいのお店!それとやっぱり数え切れないほどの人!ねぇねぇ!私知ってるよ!こんなに人がいるってことは『お祭り』っていうのをやってるんでしょ?本で読んだよ!」フンス

シンドバッド「ああ?いや、普通の平日じゃねぇか?」

ラプンツェル「普通の日なのにこんなに人がいるの!?」

キモオタ「まぁラプンツェル殿からしたら驚きでしょうなwwwしかしまぁなんというか、男性が極端に多いのはともかくとして・・・」

ティンカーベル「なんだかちょっと暗いね。活気はあるんだけど・・・なんていうか」

シンドバッド「まぁどこの家も娘がいれば王に殺されただろうし、ガキがいる家は子供の成長が楽しみでありながら恐怖だってんだから・・・暗くもなるってのは解るがな」

ラプンツェル「うーん・・・こんなにいっぱい人がいるのにみんなは楽しくないんだね?外の世界ってみんな大変なんだなー・・・」

370: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/02(月)23:02:29 ID:Bvd
シンドバッド「さっきから聞いてるとラプンツェルはどこかの塔にいたのか?」

ラプンツェル「うん!生まれたときからずっと塔に住んでた!だから今いろんなものが見れてすごくワクワクしてる!」キョロキョロ

シンドバッド「そうか、なんだったらシェヘラザードとの話が終わったら街を案内して貰えばいい。まぁシェヘラザードもローブになっちまうから端から見たら不振な集団になっちまうが」

ラプンツェル「ううん!案内してほしい!私、シェヘラザードにお願いしてみるよ!おもしろそうなものもあるしいい匂いの食べ物もあるし・・・楽しみ!」ニコニコ

シンドバッド「・・・おい、キモオタ」ヒソヒソ

キモオタ「なんでござるかwww」ヒソヒソ

シンドバッド「ラプンツェルはアレだな・・・世間知らずみてぇだが何つぅか守ってやりたくなるタイプだな!お前、ラプンツェルの好みとか解るか?」ヒソヒソ

キモオタ「ちょwwwしかしあれですぞwwwラプンツェル殿には心を決めた王子殿がいる故www」ヒソヒソ

シンドバッド「チッ・・・男持ちか。でもまぁ関係ねぇ、恋に障害は付き物ってな。男がいようと俺はあいつをモノにしてみせるぜ?」ヒソヒソ

ティンカーベル「なになに?何の話?」

シェヘラザードの声「シンドバッド!小声でしゃべっても全部聞こえているんですよ!相手がいる女性を口説こうとするとは何事ですか・・・!あなたはまったく懲りてないじゃないですか!あの時も・・・」

キモオタ「ちょwwwバレてますぞwww」

ティンカーベル「あっ!ラプンツェルに何かしようとしたんでしょ!シンドバッドダメだよ!ラプンツェルには王子がいるんだから!」

シンドバッド「ガキだなティンカーベル、そんなのは大人の恋愛には通用しないんだよ」ニヤニヤ

ティンカーベル「ダメなものはだめなの!」

シェヘラザードの声「あなたって人は・・・!よく恥ずかしげもなくそのようなことを・・・!」

シンドバッド「あーあーうるせぇなぁ・・・・・・おい、ラプンツェル。この指輪やるから、ローブのポケットの奥につっこんどけ。二度と出さなくていい」





シンドバッド「ん・・・?おい、ラプンツェルはどこだ・・・?」

ティンカーベル「えっ・・・?さっきまでそこに居たよ!?」

キモオタ「ラプンツェル殿の姿が消えたですと・・・!?これはまずいのではないですかな!?」

381: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/03(火)21:38:36 ID:LI8
アラビアンナイトのお話やキャラ説明欲しいって声あったから
このスレ本編に出てくる予定のキャラだけ補足していきます。

【アラビアンナイト】
あらすじ>>374

・シェヘラザード
このおとぎ話の主人公。国王の愚行を止めるために一肌脱ぐ若い女性。
国王に毎晩おとぎ話を聞かせていく。
【アラビアンナイト】はシェヘラザードが王へおとぎ話を聞かせているという展開で進むため、原作はクッソ長い。
このスレではアラビアンナイトの中のおとぎ話を束ねているので他の主人公と面識がある。褐色美少女。

・国王
女性不信で毎朝一人づつ女性を殺す恐ろしい王。
・・・に見えるが、同情物のトラウマを抱えている(その内容は本編で)

・大臣
シェヘラザードのお父さん。苦労人。

382: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/03(火)21:49:14 ID:LI8
【船乗りシンドバッドの冒険】
シェヘラザードが王へ聞かせたおとぎ話のひとつ
第一の冒険から第七の冒険まであり、どれもシンドバッドが持ち前の勇敢さ思慮深さや強運などで大冒険を繰り広げるお話。基本的にちゃっかり金目のものを手に入れる印象が強い。最終的には巨万の富を得る。

・シンドバッド
このおとぎ話の主人公。冒険が大好きな青年。勇敢。
このスレでは女性に目がない。相棒のロック鳥の背中に乗り、【アラビアンナイト】の世界の侵入者を捕まえたり、他のおとぎ話の女性を口説いたりする。褐色イケメン。チャラい。

・ロック鳥
第二の冒険で登場する馬鹿デカい怪鳥。肉食。
このスレでは世界移動の能力を持つ。シンドバッドの相棒

383: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/03(火)22:00:09 ID:LI8
【アリババと40人の盗賊】
ひらけごま!でおなじみの、シェヘラザードが王へ聞かせたおとぎ話のひとつ
主人公アリババがうまいこと盗賊の宝を盗み、仕返しにきた盗賊を見事退治するというおとぎ話。
ただし、盗賊を退治するのはアリババではない。

・アリババ
このおとぎ話の主人公。
盗賊の宝をうまいこと手に入れて裕福になる。おとぎ話のタイトルになっているものの、言うほど活躍してない印象を受ける

・モルジアナ
奴隷の女性。原作で盗賊を全員ブチ殺す活躍を見せる。
潜む盗賊に気がつき、煮えた油をぶっかけて殺す。
舞を見せるといいながらナイフで盗賊の親分を刺し殺す。
完全に主人公の活躍を奪っている。このスレでは言い寄ってきたシンドバッドをぶん殴った(シンドバッド談>>362)

384: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/03(火)22:05:50 ID:LI8
【ヌレンナハール姫と美しい魔女】
シェヘラザードが王に聞かせたおとぎ話のひとつ
子供向け絵本や童話集では【魔法のじゅうたん】で乗ってることが多い。
三人兄弟の王子がそれぞれが持つ魔法具の力を合わせて姫を救うというお話。このスレでは名前がでる程度。

・アリ王子
長男。空を飛ぶ不思議なじゅうたんの所有者
・ハサン王子
次男。念じればどんなに遠くのものを見通せる象牙の望遠鏡の所有者
・フサイン王子
三男。香りをかぐだけでどんな病気も治る不思議なリンゴの所有者

385: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/03(火)22:11:54 ID:LI8
【アラジンと魔法のランプ】
シェヘラザードが王へ聞かせたおとぎ話のひとつ
貧しい少年アラジンが不思議なランプを手にするおとぎ話。
ディズニーの印象が強く、魔法のランプで叶えられる願いは3つと思われがちだが原作では制限がない。願い事叶え放題である
ただし、このスレでは3つという回数制限がある。理由は今後本編で。

・アラジン
貧しい少年。このスレではきっと出番がない。

・ランプの魔神
ランプの所有者の願いを叶える魔神、アラジンよりは出番がある予定だがラプンツェルとアラビアンナイト編ではきっと出てこない。

400: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/04(水)20:03:23 ID:GXG
その頃 キモオタ達から少し離れた通り

ザワザワ ザワザワ

ラプンツェル「わー・・・!右を向いても左を向いても診たこと無い物ばっかり・・・!」ワクワク

ラッシャイラッシャイ! ラッシャイラッシャイ!

ラプンツェル「あれなにかな、おいしい匂いがする・・・」テクテク

屋台のおっさん「らっしゃい!そこのローブのお客さん!ターメイヤどうだい?作りたてだよ!」

ラプンツェル「・・・・・・建物の外なのにキッチンがある!」キラキラ

屋台のおっさん「おぉ?お客さん、屋台を見たこと無いのかい?旅人かな・・・故郷には屋台無かったのかい?」

ラプンツェル「故郷?えっと、私の塔の中には無かった!」

屋台のおっさん「ハッハッハ!そりゃそうだ!・・・ってローブで気がつかなかったが、あんたまだ若いお嬢ちゃんじゃねぇか・・・!」

ラプンツェル「うん、そうだよ?」

屋台のおっさん「悪い事言わねぇ、この国からすぐに出て行った方がいい。聞いたことないのかい?他国でも噂になってるんだろう?女殺しの狂王・・・!うちの王様だ、お嬢ちゃん可愛いから狙われちまうぞ!」

ラプンツェル「ねぇねぇおじさん!この食べ物おいしい?」キラキラ

屋台のおっさん「聞いちゃいねぇ・・・まぁ、ローブ着てりゃバレねぇか・・・」

401: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/04(水)20:17:01 ID:GXG
屋台のおっさん「こいつはターメイヤ。そらまめのコロッケだ。作りたてだからあつあつでうめぇぞ!」

ラプンツェル「でも、お金無いんだ。私買い物したこと無いからー・・・」ジーッ

屋台のおっさん「そりゃすげぇな・・・お嬢ちゃん一人旅って訳でも無いだろうし、財布は連れが持ってるのかもな」

ラプンツェル「・・・そうかな?わかんない」ジーッ

屋台のおっさん「・・・・・・」

ラプンツェル「・・・・・・」ジーッ

屋台のおっさん「しょうがねぇな・・・お嬢ちゃん可愛いからひとつだけな?」スッ

ラプンツェル「これ、私が貰ってもいいの?」キラキラ

屋台のおっさん「おう、若いお嬢ちゃんなんか久しぶりに見たしな。旅するお嬢ちゃんに俺からの餞別よ。その代わり内緒な」ヘヘッ

ラプンツェル「ありがとうね、おじさん!熱い・・・!ふーふーっ・・・もぐもぐ」モグモグ

屋台のおっさん「昔はこのあたりにも嬢ちゃんみたいなのがたくさん居たんだがなぁ・・・」

402: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/04(水)20:27:50 ID:GXG
ラプンツェル「ごちそうさま!美味しかったよ、なんだかね・・・食べたことない味だった」

屋台のおっさん「そりゃよかった、気をつけて行きな。国境はまだ遠いから・・・」

ラプンツェル「ねえおじさん。私ね、お礼がしたいんだけど何したらいいかな?手伝ってほしいことある?」バサッ

屋台のおっさん「いや、嬢ちゃん気にするなって。それよりフードフード、目立たないようにしねぇと・・・」

ラプンツェル「それじゃあおじさんがさっき言ってたらっしゃいって奴!あれ手伝ってあげるよ!・・・えっと、確か・・・呼び込み!」ニコニコ

屋台のおっさん「おいおい、俺の話を聞けって・・・お嬢ちゃん目立つのは本当にマズいんだおい!」

ラプンツェル「いらっしゃいいらっしゃーい!美味しい食べ物だよ!やさしいおじさんが作ってるよー!」ニコニコ

ザワザワ ザワザワ

「ほう、若い女の子とは珍しい・・・どれワシも貰おうか」
「フヒヒ、かわいい女の子だなぁ・・・俺にもコロッケを頼むよ」
「おい!あっちのコロッケ屋台にかわいい女の子が呼び込みやってるってよ!」
「なに!?行くしかねぇ!」

ザワザワ ザワザワ

403: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/04(水)20:42:15 ID:GXG
コロッケクレー コッチニモクレー オレニモクレー

屋台のおっさん「うおぉ・・・急に忙しくなりやがった・・・!」ドタバタ

ラプンツェル「よかったね!コロッケたくさん売れるよ!」ニコニコ

屋台のおっさん「そりゃあ良いんだが・・・あぁ、はい!おまちどう!これお釣りね!ああ、ハイハイ・・・ターメイヤ3つね・・・ああ忙しい!」ドタバタ

ラプンツェル「おじさん嬉しそうで良かった、じゃあもうちょっと頑張ろうかな!」ニコニコ

王国兵士1「あのぅ、お嬢さん。ちょっといいかい?」

ラプンツェル「うん!お兄さんもコロッケ欲しいの?今ね、ちょっと忙しいから時間かかっちゃうかも」

王国兵士2「いや、コロッケはいらない。我々は君に用がある。君の名は?」

ラプンツェル「ラプンツェルだよ、お兄さんたちは?」

王国兵士1「我々は王国兵士。今日は王様の今晩のお后を探しに来たんだけどもう国には若い女性がいないから君n」ドンッ

王国兵士2「おい!正直に言って逃げられたらどうするんだ、もしも手ぶらで帰ったら俺達が処刑されてもおかしくないんだぞ!」ヒソヒソ

王国兵士1「そうか・・・えっと、ちょっと我々に付いて来て欲しいんだ。その・・・そうだ、友達!友達を欲しがっている人がな居てね、是非ラプンツェルちゃんにお願いしたいんだよ。そうだよな?」

王国兵士2「ああ、頼めるか?」

ラプンツェル「友達が欲しい人・・・いいよ!私も友達は多いほうが良いから遊びに行くよ」ニコニコ

王国兵士2「それは良かった、では我々に付いてきてくれ。すぐ近くだ」

404: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/04(水)20:51:55 ID:GXG
・・・

シンドバッド「おい!キモオタ!ティンク!見つかったか!?」

キモオタ「こっちの通りには居ませんでしたぞ・・・!」ゼェゼェ

ティンカーベル「あっちもダメだった!どこ行ったのかな・・・変に目立ってないといいけど・・・」

シンドバッド「クソッ!もしも王国の人間に見つかったら面倒だぞ・・・どこにいるんだラプンツェルは!」バンッ!

シェヘラザードの声「落ち着きなさいシンドバッド。冷静さを失ってはなりません。ローブ姿なら目立つことはないはず、仮に誰かに連れ去られたのだとしたらそれは恐らくローブを脱いだか・・・周囲に女性だと知られたからでしょう。
そう考えれば、必ず誰かがラプンツェルを見かけているはずです。この国では若い女性ほど目立つもの無いのですからね」

シンドバッド「そうだな・・・となると手っ取り早いのは聞き込みだ。人が集まりそうなところ・・・」

キモオタ「商店の多いところとかですかな・・・」

ティンカーベル「そういえば、さっき食べ物の屋台が並んでる所が凄く賑わってた!」

シンドバッド「その辺りに行ってみるか、急ぐぞ!」ダダッ

405: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/04(水)21:07:42 ID:GXG
おっさんの屋台付近

ザワザワ ザワザワ

じいさん「いやー・・・あのコロッケ屋にあんな可愛らしい娘がおったとは」ホクホク

シンドバッド「おい、じいさん。あのコロッケ屋台・・・女がいるのか?」

じいさん「そうじゃ、さっきまで呼び込みをしておったぞ。金髪で長い髪のなぁ・・・ワシにも髪の毛をわけてほしいくらいじゃて」

キモオタ「ラプンツェル殿ですな・・・!何故に呼び込みなど・・・」

ティンカーベル「聞いてみようよ!屋台のおじさんに!おじさーん!」ピュー

屋台のおっさん「へい、らっしゃい!」ゼェゼェ

シンドバッド「らっしゃいじゃねぇぞおっさん!ここで金髪の女が客引きやってたって聞いたが、どこの女だ?」

屋台のおっさん「どこのって・・・旅の嬢ちゃんさ。コロッケサービスしてやったら客引きしてくれるってな、しかし思った以上に客が来ちまって・・・どこかそのあたりにいないか?」

キモオタ「とてもいるようには見えませんがな・・・どこへ行ったのやら・・・」

屋台のおっさん「なんだと・・・!忙しすぎて気にしてなかったが・・・まさかあの嬢ちゃん・・・!」ガクガク

太ったおっさん「・・・ん?あんたら、あの嬢ちゃんを探してんのか?」モシャモシャモシャモシャ

ティンカーベル「そうだよ!おじさん、何か知ってるの?」

太ったおっさん「ああ、あの娘なら王国兵士と一緒にどこかへ行ってるの見たぞ、王宮じゃないか?」モグモグモグモグ

キモオタ「なんですと・・・!恐れていたことが・・・!」

407: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/04(水)21:20:50 ID:GXG
シンドバッド「クソッ・・・聞いてたな、シェヘラザード?」

シェヘラザードの声「はい。これは・・・まずいですね。ラプンツェルさんの命に関わります」

シンドバッド「王宮に誰かが行くしかないが・・・救えなかった時の保険として、少し早いがお前が王の所へ行くしかないな」

シェヘラザードの声「賛成です・・・最悪の状況を想定して、私がすぐに行動できるようにしておきたいです。シンドバッドは私の屋敷へ来てください」

シンドバッド「ああ、わかった。だったら・・・ラプンツェルを救いに王宮へ行くのはキモオタとティンクの仕事だ。いいな?」

ティンカーベル「いくよ!悪い王様に会ったらひどい目に合わされちゃうかもだからね、急ぐよキモオタ!」ピュー

キモオタ「ちょ、ティンカーベル殿落ち着いて頂きたい!慌ててはいけませんぞ!急ぎつつもクールに行かねば!」

シンドバッド「おい、キモオタ。俺はシェヘラザードと合流する。もしもの時のために、指輪はおまえが持っとけ」ピーン

パシッ

キモオタ「わかりましたぞ!では行きますかな、ティンカーベル殿!ラプンツェル殿の貞操と命を守りに・・・!」

408: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/04(水)21:45:28 ID:GXG
シェヘラザードの屋敷

シェヘラザード「キモオタさん達は王宮へ辿り着いた頃でしょうか・・・そろそろシンドバッドも・・・」

バタバタバタバタバタ 

大臣「・・・シェヘラザード!」

シェヘラザード「お父様。どうなされたのですか?そのように慌てて・・・まだ仕事中ではないのですか?」

大臣「部下に任せて来たんだ、お前から魔法の指輪で『今晩、国王の元へ嫁ぎます』などと連絡があったからな・・・!」

シェヘラザード「以前からお伝えしていたとおりではありませんか。客人の女性が王国兵士に連れて行かれたようなので・・・少し予定を早めただけです」

大臣「わ、わかっている!お前が王へ嫁ぎ、愚行を改めさせるというのだろう?それはわかっているが・・・あの国王は昔のようにやさしくは無いのだぞ。今や女殺しの狂王などと呼ばれて・・・いくらお前が昔から顔なじみだといってもだな・・・」

シェヘラザード「・・・お父様。だからこそなのです、私は国王に昔の優しかった心を取り戻して欲しいのです。ですから、私が立ち上がらねばならないのです。私は憎しみに沈む国王も、苦しむお父様も、衰退していくこの国も見たくはありません」

大臣「しかし・・・お前が例え王に殺されなかったとしてもだ、まだ16歳程度の娘を嫁に出すのは・・・親として心配なのだよ」

シェヘラザード「ご心配には及びません。私は一人ではありません。シンドバッド、アリババ、モルジアナニやアリ王子達・・・多くの仲間がいますから。それに私は覚悟こそしていますが死ぬつもりなどありません」

大臣「そうか、それならばもう止めるのはよそう・・・ただ、どうか死なないでくれ、シェヘラザードよ。お前は私の大切な娘なのだ。愛しているよ、シェヘラザード」ギュウ

シェヘラザード「私もです、お父様」ギュッ

420: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)20:02:08 ID:iyh
王宮・・・中庭の茂み

ガサガサ ヒソヒソ

キモオタ「うまく忍び込めましたなwww我々、幾度となく旅を重ねた結果、城に正門から入るのは時間がかかると学習しておりますからなwww」ココソコソ

ティンカーベル「裸王のとこ以外はね・・・じゃあラプンツェルを探さなきゃ!・・・あっ!誰か来たよ!隠れて隠れて!」ヒソヒソ

ガサガサ

王国兵士2「おい!どうだ!見つかったか!?」バタバタバタ

王国兵士1「いや、こっちには居なかった!やばいよ、どこ行っちゃったんだあの娘・・・」

王国兵士2「クソッ!応接室で待ってろと言ったのに目を離した隙に消えるとは・・・もしや感づかれたか!?」

王国兵士1「いや、それは無いでしょ・・・王が友達を欲しがってるって言ったら簡単に騙せちゃうような女の子なんだぜ?」

王国兵士2「だがどっちにしろ、新しい女を探してくる余裕は無い。急がないと、マズいぞ・・・俺は宮殿の奥を探す。お前は門番に出て行った奴がいないか聞いてくれ」

王国兵士1「うん、わかった。行ってくる」

ガサガサ

ティンカーベル「あいつらに騙されてついてきちゃったんだ、でもどこかに行っちゃったのか・・・この宮殿でラプンツェルが行くとしたら・・・」

キモオタ「おそらう、王の間でしょうな。友達になりたいと思っている王がいるとなれば自ら会いに行くでしょうからなwwwラプンツェル殿はwww」

ティンカーベル「かもね、ラプンツェルは塔ではずっと待っててばかりだったし・・・じゃあ王の居場所探そう!」

424: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)20:18:43 ID:iyh
王の間

国王「・・・側近」

側近「は、はっ!何でございましょう!」

国王「今宵、我の妻となる女は見つかったのか・・・?昨日はもうこの国に若い女は居ないなどと不抜けた事を抜かしておったが・・・」

側近「は、はい!随分前に兵士二人を街へ送り出しましたので、そろそろ見つかっている頃と思いますが」

国王「・・・見つかっていると思う、だと・・・?」ギロリ

側近「ひっ!」ガタッ

国王「貴様のような側近風情が・・・この王に『思う』などと不確かな返事を返すのか・・・?」

側近「す、すぐに確認して参ります!!」ドタバタ

国王「・・・・・・使えぬ奴目め」フンッ

国王「・・・・・・」

国王「・・・・・・時間を持て余してしまうな、本でも読むとするか・・・ん?」

カタッ 

国王「扉が勝手に・・・いや、気配がする。おい、そこに居るのは誰だ・・・?」

ヒョコ

ラプンツェル「あ、やっと人が居たよ!ねぇねぇ、国王ってどこにいるかおじさん知ってる?」ニコニコ

国王「っ・・・!何者だ、貴様は・・・!」ジャキン

425: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)20:31:33 ID:iyh
ラプンツェル「剣・・・!おじさんそんなの振り回したら駄目だよ、それは戦う道具だって私は教わったよ?」

国王「ほう、娘・・・あくまでお前は我の敵ではないと主張するのか。この国王に舐めた口の効き方をしておいて・・・図々しい奴だ」チャキ

ラプンツェル「・・・あっ!おじさんが国王だったんだ!?」

国王「反省はしていないと解釈するぞ。さぁ、答えろ。貴様は何者だ・・・何のためにここにいる?刺客には見えないが・・・他国のスパイか・・・」

ラプンツェル「私はラプンツェルだよ!国王の友達になりに来たんだけど・・・」

国王「友達だと?この我が・・・貴様のような小娘を相手にするわけが無かろう・・・!」

ラプンツェル「あれ・・・?おかしいなぁ・・・さっきの兵士達はそう言ってたけど・・・聞き間違えちゃったかな・・・?」

国王「よくわからぬ奴だが・・・貴様は無断で我の宮殿に立ち入った侵入者。この手で即刻、排除してやろう・・・!」ジャキン

ラプンツェル「・・・っ!」

国王「無礼者が・・・!死ね・・・!」

427: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)20:45:53 ID:iyh
ジャキーン

ティンカーベル「ラプンツェル!逃げてー!!」ピュー

ドスドスドスドス

キモオタ「うおおおぉぉぉ!!!ラプンツェル殿おおおぉぉぉ!!」ズサァァァーー

ドンッ

ラプンツェル「わっ!」ドシーン

国王「・・・っ!」ピタッ

キモオタ「ゼェゼェ・・・なんとか助かりましたな・・・!緊急事態故、転ばせたことは大目に見ていただきますぞラプンツェル殿!」

国王「貴様等・・・新手の侵入者か。貴様等もこの国王がまとめて殺してくれるわ・・・!」ジャキ

ティンカーベル「助かってないよ!どうする?キモオタ・・・!?」

キモオタ「ちょ、待っていただきたい!国王殿・・・!」

国王「問答無用!我は侵入者などに貸す耳はもっておらん!」

シェヘラザードの声「キモオタさん!キモオタさん!なんだか大変な状況のようですね。今から言うことを王に伝えてください!」

キモオタ「シェヘラザード殿!どうしたらいいですかな!?」

429: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)21:01:20 ID:iyh
国王「まずは貴様だ!薄汚い豚めが・・・!」ジャキ

キモオタ「ま、待っていただきたい!我々、大臣殿の紹介でここに来たのでござる!」

国王「大臣だと・・・?貴様、寄りによって我が重臣の名を持ち出して嘘を吐くとは・・・!」

ティンカーベル「違うよ!嘘じゃないよ!私はティンカーベル、旅の者だよ!」

キモオタ「申し遅れましたぞ、我輩はキモオタ・・・旅の者でござる。我々は大臣殿の娘、シェヘラザード殿の友人でござる!今宵、シェヘラザード殿が国王殿の妻となるのだと聞いた故・・・!」

国王「シェヘラザードが・・・我の今宵の妻だと?」

ラプンツェル「そうなの?私そんなの初めてきいt」モガモガ

ティンカーベル「ラプンツェルは私と一緒に静かにしてよう!ね?」グイグイ

キモオタ「シェヘラザード殿が急に国王殿に嫁ぐことになり・・・我々は友達なのにお別れも言えぬままでござる!それを見た大臣殿がならば王宮へ行ってみるがよいと言ってくださったのですぞ!」

国王「・・・信じるわけではないが、真実だとしたら貴様を斬り殺すことは出来ぬ、我の重臣の紹介だというのならばな」

キモオタ「ラプンツェル殿がなにやら粗相をしたことに関しては申し訳なかったでござる!なにとぞ許していただきたい!」

430: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)21:14:40 ID:iyh
国王「・・・貴様等が侵入者で無かったにせよ、そこの長い髪の娘に無礼な態度をとられたのは事実・・・そうだな・・・キモオタよ、お前は旅の者だと言ったな?」

キモオタ「そうでござる。様々な世界・・・いや国をティンカーベル殿と旅しているのでござる」

国王「我は暇を持て余している。国王という立場故になかなか旅にでることもできず、国外の愉快な話題に飢えている」

キモオタ「と、いいますと・・・」

国王「どこか遠くの世界・・・ここではないどこかの愉快な話をして、我に聞かせてみよ。その話に我が満足すれば、此度の無礼は水に流してやる。今宵嫁にくるというシェヘラザードにも会わせてやろう」

ラプンツェル「うんうん、私も塔にいたからわかるけどずっと閉じこもってたら外のお話聞きたくなるもんね、わかるよ私もその気持ちー」

ティンカーベル「キモオタ!国王様に話そうよ!今までの旅のこと!そうしたらラプンツェルのこと許してくれるんでしょ?」

キモオタ「そうですなwwwでは、お話しいたしますぞ、国王殿」

431: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)21:33:49 ID:iyh
数時間後

・・・

・・・

・・・

・・・

キモオタ「というわけで、我々の旅の話はここまででござるwww」

国王「ふむ、なかなか興味深い話だったぞキモオタ。我も国王という立場がなければ旅にでることができるというのに・・・!」

ティンカーベル「でも大変なこともたくさんあったよねー」

国王「それはそうだろう、だが王宮にいては新たな出会いも無いからな。それがどうだ!お前達は聞くも愉快な仲間に巡り会えたと言うではないか。特に大規模な国家を栄えさせておきながら常に半裸だという国王の話は傑作だったぞ」

ラプンツェル「裸王だっけ?私もその人は特に気になるよ、いつか会ってみたいなー」ワクワク

ティンカーベル「なんていうか・・・裸王は凄まじいよ!でもね国民のこと考えてくれてるからみんなに好かれてるの!裸だけど!」

国王「・・・我とは違い、善政を執り行う国王か・・・」

ラプンツェル「ねぇねぇ、私ね?気になってたんだけど・・・なんで国王は女の人を殺しちゃうの?」

国王「・・・・・・」

キモオタ「ちょwwwラプンツェル殿wwwなんでそんなこと聞いてしまうのでござるかwww」

国王「まぁ良かろう。キモオタ、その娘の言葉遣いはいずれなんとかしろ・・・我が女を殺す理由が聞きたいのなら聞かせてやろう」

国王「愉快な話を聞いた礼代わりだ・・・もっとも、我の話は全く楽しくない話だがな」

432: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)21:47:41 ID:iyh
キモオタ「国王殿が毎日一人、若い娘を殺していく理由・・・我が輩も気になりますぞ」ヒソヒソ

ラプンツェル「でしょ?きっと理由があると私は思うんだよね」ヒソヒソ

ティンカーベル「【アラビアンナイト】のおとぎ話の内容でもあるわけだしね・・・ちゃんと聞いておこう」ヒソヒソ

国王「数年前・・・我の元に弟が訪ねてきた。あいつも我と同じく国王の座に付いているんだが・・・せっかく久しぶりに兄弟が顔を合わせたと言うのにあいつはなにやら傷心の様子でな、ずっと落ち込んでいる」

国王「だから我は理由を聞いたのだ。すると弟はこう言った『妻の不貞を目撃してしまった』と」

キモオタ「ほう・・・」

ラプンツェル「ティンクティンク!ふてーってなに?」

ティンカーベル「なんだろう・・・キモオタわかる?」

キモオタ「要するに国王殿の弟殿は奥さんに不倫されたということでござるよ」

ティンカーベル「不倫!お昼のテレビでやってた奴だ!好きな人がいるのに他の人好きになっちゃう人でしょ!?」

キモオタ「まぁそうでござるけどwwwあまり国王殿の話の腰を折るのはよろしくないですぞwww静かに聞くでござるよwww」

ラプンツェル「そうだね!もう口挟まないよ、国王続き話して話して!」

433: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)22:01:29 ID:iyh
国王「弟が言うには、宮殿を出発したはいいが私への土産を忘れたことに気がついて取りに帰ると、その妻が奴隷の男と寝ていたという」

国王「我は耳を疑ったが、弟がふさぎ込んでいたためしばらく宮殿に泊まっていくよう勧めた。しかし、数日後・・・我が別の用事で宮殿を留守にしている間、弟があるものを目撃したと教えてくれたのだ。キモオタよ、なんだかわかるか?」

キモオタ「わかりませんな・・・ただ、嫌な予感しかしないでござる」

国王「我はまたも耳を疑った、信じられなかったのだ・・・いや、信じたくなかったのかもしれない。思わず弟を怒鳴りつけてしまったが・・・我もその現場を目の当たりにして、信じざるを得なかった」

国王「元妻は事もあろうに、我の留守中に男女複数の奴隷を集め淫靡に耽っていたのだ・・・!信じられるか・・・!キモオタよ!あの女は我を愛しているなどと口では調子のいいことを言い、見えぬところでは痴態の限りを尽くしておったのだぞ!?」

キモオタ「なんという・・・普段ならば『それなんて  ゲwww』と返すところでござるが、実際に起きたこととなると洒落になりませんな・・・」

ラプンツェル「ねぇ、ティンク。私、国王の言ってることほとんどわかんないんだけど、どうしよう・・・?」

ティンク「私もわかってないし、あとでキモオタに聞こう。また話の腰折ったら起こられるかもしれないし!」

国王「私はもう、妻が・・・女が・・・信じられなかった!」

434: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)22:14:51 ID:iyh
国王「我はそれまで国のため、国民のため・・・尽くしてきたというのに・・・!」

キモオタ「国王殿・・・なんというか・・・かける言葉がみつかりませんな・・・」

国王「即刻その女と奴隷どもは処刑した。独り身となった我に是非新たな妻にと女を紹介されたが・・・もう、我は女というものを信用できなくなっていた。ただただ疑念と憎悪を感じるだけだった、愛情というのがどのような感情だったのかさえ、思い出せずにいた」

国王「ただただ、不快だった。そして、大臣に命じたのだ。国中の若い娘を毎日一人我に嫁がせよと、そしてその娘は翌日には処刑するともな」

国王「死人に口無しと言うが・・・その通りだ、殺してしまえばその女は嘘をつかない、裏切ることはない、一夜限りで殺してしまえばもう我は妻に不貞を働かれることはない」

国王「それが・・・我が女殺しの狂王と呼ばれるようになった理由だ」

キモオタ「我輩、同じ男として・・・さすがに同情してしまいますな・・・」

435: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/05(木)22:28:40 ID:iyh
ラプンツェル「えっと・・・私は国王のお話の意味はほとんどわからなかったけど・・・大好きだった人に裏切られちゃったの?」

国王「物凄く平たく言うとすればそうだ」

ティンカーベル「それで女の人が信じられなくなっちゃって・・・それで殺しちゃうのか・・・」

国王「そうだ。我はむしろ被害者なのだ・・・それを誰も理解できない。いや、そんな事を望んでいるわけではないのだ」

ラプンツェル「でも、みんながみんなそうじゃないよ?私ね、王子と離ればなれになったけど、今もちゃんと王子のこと好きだよ?」

国王「口ではどうとでも言えるのだ。貴様も時がたてばその王子とやらとは別の男に惚れるのだ」

ラプンツェル「そうかなー?そんな事絶対無いと思うなー?塔に王子が遊びに来てくれた毎日はすっごく楽しかったよ?ティンクちゃんが気づかせてくれたけど、私は王子に恋してるんだ。それはきっと王子だけ特別なんだよ。だから他の人には恋はしないよ?」

国王「・・・この議論は止めだ、堂々巡りになるだけだからな。とにかく我はもう女を信じない」



ティンカーベル「・・・大丈夫かな、シェヘラザード・・・こんなところに嫁ぐって言ってたけど・・・」

キモオタ「シェヘラザード殿には考えがあるのでござろう・・・我々はできる限りの協力をするだけでござるよ」

446: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)20:01:37 ID:Xke
コンコン

側近「失礼いたします。国王様、今宵の王妃様をお連れいたしました」ペコッ

国王「ああ、通せ。お前達も残れ、シェヘラザードに会いたいと言っていただろう」

キモオタ「そうでしたなwwwではお言葉に甘えますかなwww」

ラプンツェル「シェヘラザードって、シンドバッドの指輪から話してた人だよね。どんな人なのかな?」

スッ

シェヘラザード「・・・お久しぶりでございます。国王様」ペコリ

国王「そうだな、最後に会ったのは数年前か?」

シェヘラザード「はい。不束者ではございますが、このシェヘラザード・・・王妃として精一杯国の繁栄に尽力致します」

キモオタ「ほうwww砂漠地帯だけに褐色美少女とは鉄板ですなwww」ヒソヒソ

ティンカーベル「シンドバッドをちゃんと叱ったりしてたし落ち着いた印象だったからもうちょっとお姉さんかと思ったけど、ずいぶんと若いね」ヒソヒソ

447: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)20:19:28 ID:Xke
ラプンツェル「銀髪の女の子って初めて見たよ!シェヘラザードは可愛いね!」ニコニコ

国王「ん?初めて見た・・・?お前達はシェヘラザードの友人なのではないのか・・・?」

キモオタ「ちょwww国王殿wwwあれですぞwwwラプンツェル殿は久しぶりに会ったから照れ隠しをしているだけでござるよwww」

ティンカーベル「そうだよ!なにもおかしくないよ!」

ラプンツェル「えぇ?でも・・・・・・」

シェヘラザード「・・・ええ、彼等は私の友人です。ですが、せっかく来ていただいて申し訳ないのですが・・・私は国王様と二人きりで夕食の席に着きたいのです」チラッ

キモオタ(今の目配せ・・・一度、我々に引くようにとのことでござろうな・・・)

キモオタ「そうでござるかwwwでは我々は失礼しますかなwww」

シェヘラザード「はい。ですが、彼等ともこの場にいない友人とも別れの言葉を交わせていないのです。国王様、どうか今宵わずかな時間でかまいませんので私に友人との別れを惜しむ時間を頂けないでしょうか?」

国王「・・・構わんぞ」

シェヘラザード「ありがとうございます。ではティンクさん、ラプンツェルまた後程お会いしましょう」ニコッ

ラプンツェル「うん、わかったよ!またあとで会おうね!」

ティンカーベル「そうだね、またね!シェヘラザード!」

449: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)20:31:53 ID:Xke
・・・

国王「・・・良かったのか?あいつらはお前に会いに来たのだろう?」

シェヘラザード「はい、後ほど彼等と会話を交わすことを許可していただきましたので。それに私はもう国王様の妻でございます、少しでも早く今の国王様のことを理解したいのでございます」

国王「だから二人きりで食事をとると?そのような事に意味があるとは思えないがな。お前は明日の朝には処刑されるのだぞ?」

シェヘラザード「はい、覚悟の上でございます」

国王「よもや、自分は大臣の娘なのだから殺されないとでも思い上がっているのではあるまいな?」

シェヘラザード「そのようなことは決してございません。私がここに参じたのは国王様との約束を守るためにございます」

国王「約束・・・?なんだそれは」

シェヘラザード「お気になさらず、私が幼少の頃の他愛もない戯れでございますので」

国王「・・・まぁよい。お前が我との食事を望むというのならば構わぬが、おい誰か食事の支度をしろ」

側近「はっ!すぐに支度させます故!ダダッ」

シェヘラザード「・・・・・・」

450: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)20:43:08 ID:Xke
王宮側の街 食堂

店員のおばちゃん「はいよ!おまちどう!ゆっくり食べていきなね!」

ドサッ

シンドバッド「さぁ来たぞ、金はシェヘラザードから預かってるんだ。遠慮なく食えよお前ら!」

ラプンツェル「わぁー!見たことない料理がいっぱいあるよ、どうやって作ってるのかなこれ・・・あとであのおばさんに聞いてみよう」モグモグ

キモオタ「ドゥフフwwwいやはやwww食べ慣れない料理ばかりでござるがどれも絶品ですなwww」ガツガツ

ティンカーベル「・・・・・・」

ラプンツェル「ねぇねぇおばさーん!この甘い飲み物おかわり欲しい!」ニコニコ

キモオタ「やはり揚げ物はどこの国で食べてもうまいですなwww店員殿、この揚げ物ももう一皿追加でwww」コポォ

シンドバッド「しっかり食っとけよ!今日は徹夜になりそうだからな!あぁ、俺にも酒のおかわりくれ」

店員のおばちゃん「あいよー!ちょっと待ってねー!」

ティンカーベル「もう!みんなはシェヘラザードが心配じゃないの!?あんな悪い王様のところにいるのに!もぉー!」プンスカ

451: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)20:53:15 ID:Xke
キモオタ「まぁまぁwwwシェヘラザード殿も考えがあって我等に出て行くように言ったわけでwww事実、そういう手筈だったとシンドバッド殿も言っていたでござろうwwwだから今は飲んで食うでござるよwww」コポォ

ティンカーベル「キモオタの白状もの!」パチーン

ラプンツェル「おばさーん!甘いのもう一個ちょうだーい!」

ティンカーベル「ラプンツェルはジュースばっかり飲み過ぎだよ!ちゃんとご飯も食べなよ!」プンスカ

ラプンツェル「食べてるよー、ティンクもぷりぷりしてないで食べようよ、美味しいよ?」

キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿落ち着くでござるよwww指摘するところおかしいでござるしwww」

ティンカーベル「そりゃあね?シェヘラザードはおとぎ話の事情を知ってる主人公だってのはわかるよ。でもあんな若いのに悪い王様と二人きりって怖いと思うよ!?」

シンドバッド「まぁ聞けティンク。お前達が王宮に入り込んでちょっと予定は狂ったが、これは【アラビアンナイト】の筋書き通りだ、問題なく物語は進行してるんだ。慌てなくてもシェヘラザードは殺されねぇよ」

ティンカーベル「でもさぁ・・・私達、【アラビアンナイト】の内容よくわかんないから不安だったんだよ・・・」

シンドバッド「しかたねぇ、ざっと説明しておいてやるか・・・」

452: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)21:03:13 ID:Xke
シンドバッド「お前達は宮殿にまで入り込むことになったんだ、この国の事情はだいたいわかっただろ?」

キモオタ「そうですなwww国王はトラウマが原因で若い女性を殺して回っているということでござろうwww」ムッシャムッシャ

シンドバッド「ああ、そうだ。それで、シェヘラザードが王の元へ嫁ぐわけだな。これは王の愚行をやめさせる為だ」

ラプンツェル「じゃあシェヘラザードは王様を説得するためにお嫁さんになったの?」

ティンカーベル「あの国王でしょー?とても説得してわかってもらえるようには見えなかったけど」

シンドバッド「そりゃあそうだ、説得してやめるくらいならここまで大事になってねぇ。だから、シェヘラザードは国王を改心させるために説得じゃない方法を選んだんだ」

ラプンツェル「その方法ってなに?説得よりも効果がありそうな方法ってことだよね?」

シンドバッド「ずばり、国王におとぎ話を聞かせることだ」

キモオタ「ちょwwwおとぎ話ですかなwwwそんなんでうまくいくんですかなwww」

453: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)21:20:52 ID:Xke
シンドバッド「そうは言うがな、おとぎ話に限らず物語ってのは人の想いや感性を変える力があるんだぜ?」

キモオタ「それはわかりますぞ、以前司書殿に【マッチ売りの少女】を読み聞かせしてもらった時、子供たちは絵本の中の物語だとわかっていたにも関わらず、マッチ売り殿の死を悲しんでいましたからな」

ティンカーベル「うん、おとぎ話を聞いていろんなことを考えて・・・それで泣いてくれたんだよ。きっと可哀想な人に手助けしてあげようって思ってくれたはずだよ」

シンドバッド「だろう?そのシショって奴にも話の才能があったのかもしれねぇな。だが、シェヘラザードが国王へ聞かせたのはそういう本の類じゃねぇんだ、全部あいつが考えて作り出した物語だ」

ラプンツェル「お話を作る人?って言うことはシェヘラザードは物語の作者って事?」

キモオタ「そんなことがあり得るんですかな?シェヘラザードはこの【アラビアンナイト】の主人公、でありながら作者でもあると・・・?」

シンドバッド「そりゃああれだ、このおとぎ話はちょっと特殊でな?お前達は【アリババと40人の盗賊】とか【ヌレンナハール姫と美しい魔女】っておとぎ話を聞いたことねぇか?」

ティンカーベル「あ、アリババは図書館で読んだよ?あれもシェヘラザードが作者なの?」

シンドバッド「そうだ、シェヘラザードが国王に聞かせたおとぎ話のひとつだ。同じようにいくつものおとぎ話が集まってこの【アラビアンナイト】は構成されている。俺の【船乗りシンドバッドの冒険】もシェヘラザードが作者なんだぜ?」

454: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)21:39:54 ID:Xke
キモオタ「つまり・・・どういうことですかなwww」

シンドバッド「お前・・・聞いてたのかよ?だからな?シェヘラザードが作り出した【アリババと40人の盗賊】や【船乗りシンドバッドの冒険】をはじめとするいくつものおとぎ話を国王に聞かせて、やがて改心させるってのが【アラビアンナイト】の展開だな」

ティンカーベル「だからシンドバッドは当たり前のように別のおとぎ話のはずのこの世界にいるんだね?」

シンドバッド「そうだな、前にちょっとトラブルがあってな・・・空を飛ぶ手段のある奴らが交代で見張りするようにしてるんだよ、それがたまたま俺の時にお前たちが来たって訳だな」

キモオタ「ではとりあえずシェヘラザード殿は無事だということですなwww」

シンドバッド「そうだな。だからとりあえず安心しろ、飯を食い終わったらもう一度宮殿に行くからな?」

ラプンツェル「シェヘラザードと会うんだよね?だったらさ、私はシェヘラザードに作ったおとぎ話を聞いてみたいな、お願いしたら聞かせてくれるかな?」

シンドバッド「聞かせてくれるだろうよ、どっちにしろ国王へ聞かせる場に立ち会うことになるだろうしな」

キモオタ「そうと決まれば食べますぞwwwしっかり食べて備えておかねばいけませんなwww」

455: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/06(金)22:02:37 ID:Xke
王宮 国王の寝室

シェヘラザード「国王様、何かお飲みになりますか?」

国王「いや、結構」

シェヘラザード「そうですか、では私の分だけ失礼しますね」カチャカチャ

国王(シェヘラザード・・・少し見ぬ間に大きくなったものだな、幼い頃はよく宮殿に遊びに来ていたな)

──こくおうさまー!しぇはらざーどはこくおうさまとけっこんするー!

──国王様、お母様に教わって料理に挑戦してみました。味見してください!

──国王様、書庫から大昔の書物を見つけたんです。解読を手伝っていただけませんか?

国王(娘のいない我にはまるで本当の娘のような存在だった。しかし、いつから来なくなったんだったか・・・あれは確か・・・)

──国王様の悲しみはわかります。ですがこのような事はもうおやめください・・・!

国王(ああ、我が国中の娘を殺し始めた頃だったか・・・あの時追い返してそれ以来だったな)

シェヘラザード「国王様?どうかなさいましたか?」

国王「・・・いや、少しウトウトしていたようだ。気にするな」

コンコンッ

側近「国王様、先程の旅人たちが来ています。いかが致しましょう?」

国王「キモオタ達か。約束だ、通してやれ」

462: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)20:41:05 ID:rbC
ティンカーベル「シェヘラザードー!無事だった?国王にひどいことされてない?」ピュー

シェヘラザード「ティンクさん、国王様に失礼ですよ。でも心配してくださったんですね、ありがとうございます」フフッ

国王「デブに妖精に髪が異様に長い女にチンピラ・・・お前たち本当に友人なのか?」

キモオタ「もちろんですぞwww疑われるとは心外ですぞwwwそうでござろう、シンドバッド殿www」

シンドバッド「もちろんだ。それよりシェヘラザード、何か飲み物をくれないか?のどが渇いちまってな」

ラプンツェル「あっ!私も私も!」

シェヘラザード「はい、では少し待っていてくださいね?」カチャカチャ

国王「しばらくお前と会わないうちに妙な友人が増えたようだな」

シェヘラザード「ええ、他にも私の仲間は大勢います。いずれ国王様にお話しする事になるでしょう」フフッ

国王「ふむ・・・?」

463: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)20:55:23 ID:rbC
カチャ

シェヘラザード「はい、どうぞ」ニコッ

シンドバッド「おう、ありがとな」ズズー

ラプンツェル「ありがとね!シェヘラザード!」ズズー

キモオタ「そういえばwwwラプンツェル殿wwwシェヘラザード殿にお願いがあったのではないですかなwww」

ラプンツェル「あっ!そうそう、シェヘラザードっていろんなおとぎ話を知ってるんだよね?私もシェヘラザードのおとぎ話聞いてみたいんだけど、聞かせてもらってもいいかな?」ニコニコ

シェヘラザード「私のおとぎ話ですか?構いませんが・・・国王様、よろしいでしょうか?彼女に少しおとぎ話を聞かせてあげたいのですが」

国王「そのくらいならば構わん、好きにしろ」

ラプンツェル「ねぇねぇ、国王も一緒にシェヘラザードのおとぎ話聞こうよ!」キラキラ

シェヘラザード「ええ、国王様も是非」

国王「・・・我は少々疲れた。ベッドで横になっているからおまえたちは好きに話しているといい。どちらにしろ耳には入ってくるだろうからな」ゴロッ

シェヘラザード「それでは始めましょうか」

シェヘラザード「これは商人とイフリートの物語です。あるところに・・・」

・・・

・・・

・・・

464: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)21:02:28 ID:rbC
シェヘラザード「ある時、商人が商いをするために街道を・・・・・・」

国王(あの髪の長い娘、常識がなっていないと思っていたがあの歳でおとぎ話とは・・・随分と精神年齢の低いことだ。おとぎ話など子供だましの作り話に過ぎん)

シェヘラザード「・・・・・・だったのです。商人は・・・・・・」

国王(・・・・・・)

シェヘラザード「・・・・・・イフリートは・・・・・・で・・・・・・」

国王(・・・・・・だが)

国王(何故か、気になってしまう。このような話は今までに聞いたことがない)

国王(おとぎ話だとバカにしていたが、なかなかおもしろい話だ。この話がおもしろいのかシェヘラザードの聞かせ方がうまいのか・・・)

国王(不思議とすっと頭に入ってくる、そして・・・なんというかこう、ワクワクとした気分にさせてくれる)

国王(なんとも不思議な物語だ・・・)

465: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)21:13:12 ID:rbC
ラプンツェル「うんうん!それでどうなったの!?」

ティンカーベル「早く続き続き!シェヘラザード!」

キモオタ「ちょwww二人とも焦りすぎですぞwww落ち着いてシェヘラザード殿のおとぎ話を聞くでござるよwww」

国王(ええい、騒ぎ立てるな!シェヘラザードの話が聞こえんだろう!)

シェヘラザード「おとぎ話は逃げませんから、二人とも慌てないでくださいね。では続きを・・・」

国王(うむ、いいぞ。早く続きを聞かせてくれ)

・・・

・・・

・・・

シェヘラザード「・・・・・・だったのです。そして・・・・・・なので。その老人は・・・・・・」

国王(うむ、それで・・・どうなる!?)

シェヘラザード「・・・・・・なのでした。では、今日のお話はここまでです」フフッ

ラプンツェル「えーっ!?今、面白いところなのにここで続いちゃうの!?」

ティンカーベル「そうだよ!もうちょっと続けてよシェヘラザード!」

国王(そうだぞ!我はその物語の続きを聞きたいのだ・・・!)

シェヘラザード「お話ししたいところなのですが・・・そろそろ夜が明けてしまいます。夜が明けてしまえば私は処刑されてしまいますので、今日はここまでと致しましょう」

466: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)21:26:35 ID:rbC
キモオタ「実に心躍るおとぎ話でしたなwwwあっという間に夜明け前とはwww」

シンドバッド「だが、時間だっていうんなら仕方ねぇ。諦めようぜ・・・ラプンツェル、ティンカーベル」

国王「・・・・・・おい、シェヘラザード」

シェヘラザード「はい、国王様。なんでございましょう?」

国王「このままではそこの女と妖精も続きが気になって仕方があるまい。続きを話してやれ」

シェヘラザード「しかし、このおとぎ話はまだまだ続きます。このまま話す事を許していただいても、とても一時間や二時間では・・・」

ラプンツェル「うーん・・・でも確かに私も眠いし、続きはまた夜に聞かせてよ!」

シェヘラザード「ラプンツェルさん、そうして差し上げたいのですが私は夜が明ければ処刑されてしまうのです。今夜、続きをお聞かせすることはできません」

ラプンツェル「うー・・・ねぇねぇ、国王。シェヘラザード死んじゃったら続きが聞けなくなっちゃうんだよ。なんとか処刑なしにできない?」

国王「・・・・・・」

キモオタ「国王殿の権限ならばそれは可能でござろうwwwそれに国王殿も実は続きが気になるのではwww」コポォ

シェヘラザード「・・・・・・」

国王「ああ、確かに我も話の続きは気になる。だが・・・そういうことか・・・読めたぞ、貴様等の魂胆が・・・!」ギリッ

467: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)21:45:29 ID:rbC
国王「シェヘラザードは幼い頃から王宮に出入りしていたからな、我が書物を読むことが好きなことを知っていたはずだ。
今日の昼間にキモオタに旅の話をするように言ったのも私だ、お前たちには私が物語を見聞きするのが好きだという情報があったわけだ・・・!」

シンドバッド「・・・・・・まずいな」ボソッ

国王「そこでお前達は口裏を合わせ!夜中にもう一度ここに来た!そしてそこの女がシェヘラザードに話をするようにせがむ!それも打ち合わせ通りだったんだろう?」

ラプンツェル「知らないよ?私はシェヘラザードにお話をして貰いたかっただけで・・・」

国王「ええい、黙れ!・・・そしてここでおとぎ話を聞かせればそれは我の耳にも入る。そうすればもう作戦はおおかた成功だ。あとは話をきりの悪いところで止め、我に続きが気になるように仕向けた」

国王「なるほどな・・・なかなかの計画だ。そうすればお前のおとぎ話の続きを聞くには生かしておかなければならない、見事処刑を免れるっていう寸法だ!ああ、さすがシェヘラザードだ、お前は昔から頭のいい娘だったものな!ああ、よく出来ている計画だ!ハッハッハッハ!」

シャキン

キモオタ「国王殿が剣を・・・!これはまずいですぞ!?」

国王「女という生き物はどこまで我をコケにするつもりだ・・・!我がその程度で処刑を取りやめると?侮辱するのも大概にせよ!シェヘラザード!」ギリッ

468: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)22:03:54 ID:rbC
国王「この我が、たかが物語の続き聞きたさに考えを曲げるとお前は思っていたのだろう!」

シェヘラザード「・・・・・・」

国王「浅はかよ・・・!我が妻に裏切られ・・・どれほどの悲しみを負ったのか、どれほどの憎しみを抱いたのか、お前に理解できるのか?いいや、理解できるはずもない。16年程度の、それも大臣である父や家族に守られてぬくぬくと育った貴様のような小娘に!我の何がわかるというのだ!」

国王「処刑を待つ必要もあるまい。その首、この場で切り離してやろう!」

チャキ

ティンカーベル「シェヘラザード・・・!」

シェヘラザード「・・・国王様の仰るとおり、私は16年程度の人生しか歩んでいない小娘でございます。当時13歳程だった私には国王様が受けた裏切りの意味もよくわかっていませんでした。今も、国王様の心の痛みが如何ほどのものか・・・想像もつきません」

国王「当然だ、貴様ごとき小娘に理解できるわけなかろう」

シェヘラザード「ですが・・・裏切られ傷付いた己を始めとする慰めるため、傷つく事を恐れて国中の女性を殺し続けていくという行為・・・」

シェヘラザード「それが非常に馬鹿げている愚かしい行為であることは、この小娘にもわかります」

国王「・・・貴様!」ギリッ

シェヘラザード「失礼を承知で申し上げます。国王様、今のあなたはかつての優しい王の面影など無い、愚かしい国王でございます!」キッ

469: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)22:28:20 ID:rbC
国王「・・・もはや言い逃れはできんぞシェヘラザード!」

ラプンツェル「このままじゃシェヘラザード危ないよ!?どうしたらいいかな・・・!?」

シンドバッド「おい、落ち着け!国王もシェヘラザードもだ!二人とも冷静になれって!」

シェヘラザード「お黙りなさいシンドバッド!これは私と・・・国王の問題です!」

国王「よく解っているではないか・・・!さらばだ、シェヘラザード!!」

ビュオ

シェヘラザード「私を殺して国王の気が済むのならばそうしなさい!ですが私は国王と国を助けるためにここにいるのです!」キッ

ピタッ

国王「我と国を助けるだと?小娘が夢物語を語るんじゃない、お前に何ができる」

シェヘラザード「私にできることなど僅かなことです。実際に事を成すのは国王でございます。ですが、国王に勝手の優しさを取り戻していただく手助けをすることが私には可能だと考えております」

シェヘラザード「国王様の勤めは国と民を繁栄に導くこと。私の勤めは繁栄した国家に相応しい素晴らしい国王へ、あなたを導くことです」

国王「・・・・・・」

国王(今の言葉・・・過去に聞いた覚えがある。記憶違いなんかじゃない)

国王(・・・ああ、思い出したぞ・・・あれは・・・もう随分と昔だ・・・)

470: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)22:48:27 ID:rbC
・・・8年ほど前 王宮

大臣「お疲れ様です、国王様」

国王「・・・いやはや、実際疲れたよ。友好国相手とはいえ要人との面会はな・・・だが大したことではなかった、今後とも友好的に付き合おうという挨拶程度だったよ」ハッハッハ

大臣「それは何よりです、国王様が立派になられて私も嬉しいです」

国王「いや、我など父の跡を継いだだけに過ぎない。まだだ、もっと国を反繁栄させて、世界に名だたる大国家にせねばな!」

タッタッタッ

シェヘラザード「国王さま!よその国とのお話はおわりましたか!?」ニコニコ

大臣「こら、シェヘラザード。またお前は王宮に来て・・・遊びではないのだぞ」

国王「まぁいいじゃないか。ああ、終わったぞー!あっちの偉い人がこれからも仲良くしようって言ってくれたぞ」ナデナデ

シェヘラザード「すごいです!国王さまはすごいですね!シェヘラザードもうれしいです!」ニコニコ

大臣「そうか!ああ、そういえば使者から貰った友好の品に菓子があったからお前にやろう、甘いぞ!」ゴソゴソ

シェヘラザード「わあぁ!ありがとうございます、国王さま!」

国王「うむ、お前はキチンと礼が言えるな。えらいぞ!」ナデナデ

471: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)23:02:05 ID:rbC
シェヘラザード「シェヘラザードは大きくなったら国王さまとけっこんします!」ニコニコ

国王「こらこら、そんなこと言ったら大臣が悲しむぞ?」

大臣「・・・いえ、そのようなことはございません。しかし、先週はお父様と結婚すると・・・言ってくれたんですけどね・・・」ズーン

国王「シェヘラザード、我には愛する妻がいるのでな。すまないが結婚相手は他の格好いい男を捜しなさい、いいな?」

シェヘラザード「うー・・・じゃあ大きくなったら大臣になります!それだったらいいですか?国王さま」

国王「大臣?どうして大臣になりたいんだ?」

シェヘラザード「シェヘラザードは国王さまもこの国もだいすきです!だからそのお手伝いがしたいのです!」

国王「大臣、お前の娘は立派だな・・・両親の教育がしっかりしているんだろう」

大臣「恐縮です。だがシェヘラザード、そうなると私の仕事が無くなってしまう」

シェヘラザード「じゃあお父様と一緒に大臣やります!国王さまはがんばって国をゆたかにしてください!」

シェヘラザード「そしたらシェヘラザードは国王さまがもっとえらい王様になれるようにお手伝いします!」ニコニコ

472: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)23:27:58 ID:rbC
シェヘラザード「なのでずっとシェヘラザードは国王さまのそばにいます!いいですか?」

国王「よーし!じゃあお前が大きくなったら我の側で補佐をしてくれ。その代わりたくさん勉強して本もいっぱい読むんだぞ?」

シェヘラザード「はい!やくそくです!」ニコニコ

・・・・・・

国王(そのような事もあったか)

国王(それから年々かの時が過ぎ、我は妻に裏切られ自暴自棄になり、国は傾き、それすら構わず女を殺し続けていた)

国王(その間にもシェヘラザードはあの他愛もないやりとりを忘れず、研鑽を積んでいたと言うのか・・・?)

国王(この小娘は本当に我や国を想い、死を覚悟してこの場に・・・)

国王「・・・・・・」

シェヘラザード「国王様、今ならまだこの国を立て直すことは可能です。ですから・・・」

国王「もういい。お前の処刑は見送ることにする。今宵、またここに戻ってこいでしょうそれまでは好きにせよ」チャキン

シェヘラザード「・・・ありがとうございます。国王様」

国王「自惚れるなよ?我や国を救うなどというお前の戯れ言を信じた訳ではない。ただ、お前の話に心躍ったのは事実。利用価値がある奴を殺すほど我は愚かではない、それだけの話だ。お前は毎夜、おとぎ話を語っていればそれでいい」

シェヘラザード「はい。では今宵、この続きをお話しいたします。国王様・・・」



シェヘラザード「今宵のおとぎ話は・・・より一層胸躍るものであると約束いたします」ニコッ

473: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)23:47:05 ID:rbC
シェヘラザードの屋敷

シンドバッド「シェヘラザード!お前無茶しすぎだ!」

シェヘラザード「そうですね、先程はあなたに厳しい言葉を掛けてしまいましたね。ごめんなさい」

シンドバッド「そんな事言ってるんじゃねぇ!危うく殺されるところだったじゃねぇか!何が心配はいらないだ!」

キモオタ「まぁまぁwww結局処刑は免れた訳でござるしwwwいいではござらんかwww」

シンドバッド「・・・まったく、お前が死んだら悲しむ奴が数え切れねぇほど居るんだぞ、それだけは忘れんなよ?」

シェヘラザード「はい。心配かけてしまいましたね、シンドバッド」

ラプンツェル「でもびっくりしたよ。シェヘラザード、剣を突きつけられてたし。やっぱり外の世界は怖いんだねー・・・」

ティンカーベル「でも本当に冷や冷やしたよ!シェヘラザードあんなに勇気あってすごいよ!殺されそうだったのにビクビクしてなかったし」

シェヘラザード「そうでもないですよ?内心、ドキドキしていましたから。ですけど国王にはまだ優しい心が残っていると信じていましたから」

キモオタ「ラプンツェル殿が連れ去られたりで予定がずれたようでござるがwww本来の話の筋には戻ったわけですなwww」

シェヘラザード「はい、そうですね。一安心といったところでしょうか」ニコッ

474: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/07(土)23:59:32 ID:rbC
ティンカーベル「ねぇねぇ、結局は許してくれたけど国王めちゃくちゃ怒ってたよね?結局、このあと【アラビアンナイト】はどうなるの?」

シェヘラザード「何日も何日もかけて国王様におとぎ話を聞かせていきます。次第に心を取り戻していき・・・私が最後の話をすることには、国王は優しさを取り戻して以前のような優しい王に戻れます」

ティンカーベル「シェヘラザードの一生懸命な気持ちが伝わるんだね・・・素敵な結末だね!」

シェヘラザード「いいえ、おとぎ話の力が偉大なだけですよ。おとぎ話は楽しいお話も苦しいお話もつらいお話もあります、ですがそれは聞くものの心の栄養となり・・・性格や感情すら変えます。私はその力を借りているにすぎませんよ」ニコッ

キモオタ「とはいえwwwなかなかできることではないですぞwww」

シェヘラザード「そんなことはありませんよ。それよりも・・・私のおとぎ話の件はこれくらいにして、本題に入って欲しいです。キモオタさん」

キモオタ「おおっとwwwそうでしたなwwwバタバタしてすっかり後回しになってしまいましたなwww」

シェヘラザード「【一寸法師】の鬼さんからの伝言、アリスさんの企みも気になります。昨今のおとぎ話の相次ぐ消滅には私も気になっていることがあります」

シェヘラザード「みなさん徹夜でお疲れでしょうが、もう少しおつきあいください」

483: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)19:44:41 ID:aWQ
キモオタ「なにから話せばいいのやらwwwまずは事の発端から説明した方がいいですかなwww」コポォ

シェヘラザード「そうですね、ティンクさんのおとぎばなしは【ピーターパン】でしたね。あのおとぎ話は確か・・・」

ティンカーベル「うん、消えちゃった。ピーターパンが私を現実世界逃がしてくれたの。でね、キモオタと出会って・・・一緒におとぎ話が消えちゃうのを防ぐのと私のおとぎ話を元に戻すっていう目的で旅をしてるよ!」

キモオタ「おとぎ話は現実世界の人間に忘れられると消滅すると聞いていたのですがな、どうやら人為的におとぎ話を消している人物がいることを突き止めたんでござるよ」

シェヘラザード「異変を物語にねじ込んで結末を変えてしまう。ということでしょうか」

シンドバッド「なるほどな・・・それがお前達が昨日言ってた・・・」

ティンカーベル「【不思議の国のアリス】のアリス。それと【オズの魔法使い】のドロシーとその仲間。あとファミチk・・・青い鳥も一緒にいるみたい」

キモオタ「彼女らはどうやら魔法具をかき集めているようでしてな・・・おとぎ話の消滅と魔法具の収集。わかっている目的としてはこのあたりでござるか・・・」

ティンカーベル「うん、それでね【桃太郎】の世界に行ったときに大鬼・・・【一寸法師】の鬼に出会ったんだよ」

シェヘラザード「彼が、私に伝言があると・・・そういう事でしたね?」

484: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)20:01:55 ID:NRa
ティンカーベル「うん、鬼ヶ島の鬼に捕まったときに一緒の牢屋に入れられてたんだよ、それで一緒に脱出したんだけど」

キモオタ「その後に別行動を取っていたんですがな・・・再会したときは既にアリス殿に襲われた後でござった・・・」

シェヘラザード「彼は無事なのでしょうか?」

キモオタ「今はシンデレラ殿の城で治療中でござるよ。そして大鬼殿は言っておりましたぞ『アリスが魔法具を集めて何かを壊し、ある物を奪おうとしている事』をシェヘラザード殿に伝えてほしいと」

シンドバッド「おい、それって・・・どう考えてもあれだろ。どうするんだ?」

シェヘラザード「・・・・・・」

ラプンツェル「シェヘラザード?どうかした?」

シェヘラザード「いいえ。アリスさんの企みが何なのかはわかりました・・・彼はよくこの事を伝えてくれましたね、お会いしたらお礼を言っておいてください」

キモオタ「アリス殿の企み・・・我々なりに予想はしていたでござるが、言ったい何ですかな?」

シェヘラザード「私の作り出したおとぎ話の世界にはすべて結界が張られています。その中でも強固な結界を持つおとぎ話にある魔法具を狙っているのでしょう」

ティンカーベル「それって、やっぱり・・・」

シェヘラザード「おとぎ話【アラジンと魔法のランプ】の世界に存在するどのような願いでも叶えられる魔法具・・・魔法のランプ。彼女らが狙っているのはこれでしょうね」

485: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)20:19:38 ID:H9R
ティンカーベル「やっぱり!あいつら魔法のランプを狙ってたんだ!」プンスカ

ラプンツェル「ねぇねぇ、魔法のランプってなに?なんでも願いが叶うって本当!?」

シェヘラザード「はい。ランプを擦ると魔神が現れ、どのような願いでも叶えてしまいます。願いの回数を増やす事はできませんが、生命を奪う事も死者を蘇らせる事も人心を操作することも・・・主人が望むがままに願いを叶えます」

シンドバッド「今は、三回だけっていう回数制限があるがな。それを差し引いても魔法具の中ではトップクラスに価値のあるもんだ」

ラプンツェル「なんでも願い事が叶うランプ・・・!すごいね!それがあればどんな病気も治せる!世界にはそんな道具があるんだねー!」ワクワク

キモオタ「ラプンツェル殿のように正しいことに使えれば問題はないのでござるが・・・アリス殿達がそのような事に使おうとしているとは思えませんな・・・」

ティンカーベル「うん、きっと悪いことに使うつもりだよ!そういう奴から守るために、ランプがある【アラジンと魔法のランプ】の世界には強い結界を張ったの?」

シェヘラザード「そうですね。以前はランプが持つ力の大きさを知っていてもそれを奪いに来るような者は居ませんでしたが。・・・実はアリスさんと思わしき少女がアラジンの世界に来たことがありまして」

キモオタ「もう既に手が回っていたという事ですかな!?」

シェヘラザード「はい。その時はなんとか追い返すことができました」

486: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)20:38:19 ID:H9R
シェヘラザード「実はアリスさんが来る以前から、私を含めた何人かの人物は懸念していたんですよ。何でも願いが叶う・・・そのような道具が存在していてはいつか争いや悪事に利用されるのではないかと」

ティンカーベル「その何人かの人って、願いが叶う魔法具を持った人たちのこと?」

シェヘラザード「はい。願い事を叶える能力を持った魔法使いや仙人、神々の類ならば悪に屈することなく断ればいいのですが道具となるとそうもいきません」

シンドバッド「道具は特定の物を除けば意志を持っていないからな、強い力を持つ道具をどう使うかは持ち主次第。本来のおとぎ話の使い方のように正しく使うこともできるが悪用だってできる」

シェヘラザード「【アラジンと魔法のランプ】の作者である私や【一寸法師】でうちでの小槌を持つ鬼さん、【三枚のおふだ】の和尚様。他にも何名かいますが・・・願いを叶える道具を持つもので集まり、対策を練りました。とはいえその道具をなかったことにはできません」

シェヘラザード「鬼さんは元々身体能力も高いですし、和尚様は機転が利きます。それと・・・おとぎ話の消滅と引き替えになる最終手段ですが、こづちも鬼さんの怪力で壊せますしおふだも燃やしてしまえば効果を失います。ですが、ランプはそうもいきません」

キモオタ「溶鉱炉にぶち込むわけにもいきませんしなwww」

シェヘラザード「ですが、幸い私が作ったおとぎ話の数は膨大です、そこから仲間を呼ぶことで対応しようと考えたのですが。侵入者・・・アリスさんに狙われたときにそれが浅はかな考えだと思い知らされたのです」

487: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)21:04:22 ID:H9R
シンドバッド「キモオタの現実世界では【アラビアンナイト】は千夜一夜物語なんて言われてるらしいがあれはなんでかわかるか?」

キモオタ「あれですかなwwwシェヘラザード殿が国王殿におとぎ話を聞かせた夜が千と一回だったのではwww」

シンドバッド「間違いじゃねぇが少し違うな。今では300程のおとぎ話だがな・・・本当は全部で千一のおとぎ話があったんだよ、それを毎夜聞かせてた。今はずいぶん減ったおとぎ話を数夜に分けてシェヘラザードが話してるという流れになってる」

ティンカーベル「元々より減っちゃったのって、アリスにやられたの!?」

シェヘラザード「すべてではありませんが・・・初めての外界からの侵入者に対応が遅れてしまいました。どうやら別のおとぎ話にも同時に侵入者があったところもあったようです。
その結果、多くのおとぎ話の主人公達が殺され・・・おとぎ話は消滅しました。最終的にはランプの魔神を使って強制的に追い出し、その後に結界を張りました。強い強い強固な結界を、私ですら解くことはできず入ることも出ることもできません」

キモオタ「なんという・・・!しかし結界を張ったのならば安心ですなwww」

シェヘラザード「そうもいきません。強固な結界とはいえ魔法による物です、アリスさんが試みようとしているように魔法具や魔力を集めて強い魔力で破壊を試みればおそらく破壊されます。それには膨大な魔力が必要ですが」

ティンカーベル「じゃあ、あいつらが魔法具集めるの邪魔するしかないのかな?」

シェヘラザード「容易く壊せるものではありませんが、その手段は有効ですね。ですが私は、危うく世界を危機に追い込むところでした。そこで苦肉の策でしたが、私はある手段にでました」

シェヘラザード「【アラジンと魔法のランプ】の改変です」

キモオタ「か、改変ですと!?そんな事が許されるのですかな!?」

ラプンツェル(みんななんか難しい話しててわかんないなー・・・)アシブラブラ

488: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)21:25:07 ID:H9R
ティンカーベル「そんな無茶したらおとぎ話消えちゃうんじゃないの!?」

シェヘラザード「おとぎ話は元々の結末から大きく逸れると消滅します。ですが・・・【アラジンと魔法のランプ】の作者は私です。ですからその場に行くことなく、内容を変更することが私にはできるのです」

キモオタ「確かにwww作者に許された特権という奴ですなwww」

シェヘラザード「しかし、これも軽々しく使えるものではありません。私は物語の改変によっていくつかに道具を消して、魔法のランプに使用回数を設けました。作者と言えど一度現実世界で人々に知られたおとぎ話、この程度の改変が限界でした」

シェヘラザード「それに物語の改変は本来の【アラジンと魔法のランプ】を好いてくれた人々達を裏切ってしまうことにもなりました。このおとぎ話を読んで何かを感じてくれた人たちに、私は申し訳ないことをしたのです・・・」ギュッ

シンドバッド「気にするな、必要なことだっただろうあれは・・・」

シェヘラザード「私はそれでもやらなければならなかった。作者として、自分が作り出したおとぎ話の道具で他のおとぎ話や現実世界に害をなすわけには行きませんから」

ティンカーベル「つまり・・・願い事はみっつまでっていう条件にしてランプを前より弱くしたってことだね。それなら少しは被害を押おさえられるもんね!」

キモオタ「ですなwwwしかし結局のところはアリス殿達をどうにかするしか根本的な解決にはなりませんな」

シンドバッド「だがまぁ、状況を理解するってのは戦いにおいて重要だぜ?とりあえず、キモオタ達とシェヘラザードの話をまとめてみるか・・・キモオタ頼むぜ」

キモオタ「我輩の仕事ですかなwwwやむをえんですなwww」カキカキ

490: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)21:55:12 ID:H9R
キモオタ「まとめるとこうですなwww」

・アリス達の目的は「魔法具を集めて【アラジンと魔法のランプ】の結界を破壊してランプを奪うこと」
・その結界は非常に強固、簡単には壊せない。が、無敵ではない。
・ランプの使用制限は無かったが現在は三回までの制限あり。
・【アラジンと魔法のランプ】には出入りできない。結界が壊れれば可能?

ティンカーベル「やっぱり私たちがアリスを倒さなきゃ!今は結界で守られてるけど壊されちゃうかもしれないわけでしょ?」

シンドバッド「俺たちも交代で常に誰かが動けるようにはしてるからな、仮に結界が突破されても易々とランプはわたさねぇよ」

シェヘラザード「はい。それに・・・どうやら昨今のおとぎ話の消滅を問題視した方がキモオタさん達の他にもいるようですからね」

キモオタ「我々の他に協力者がwwwそれはありがたいwww」

シェヘラザード「すぐにお会いできますよ。今は様々なおとぎ話へ向かい、警戒と協力を呼びかけているそうです。相当強い魔力を持っているので、頼りにはなるでしょう」ニコッ

シンドバッド「ああ、だが他人に頼るんじゃなく俺たちはそれぞれできることをするしかねぇな!」

シェヘラザード「はい。それぞれの世界を守ることも大切ですが、おとぎ話は現実世界に無くてはならないものです。必ず守り抜きましょう」

ティンカーベル「それでさ、シェヘラザード!アリスを倒して全部が解決したら・・・魔法のランプ借りてもいい?三つの願いなんて言わないよ、一個だけでいいの!私のおとぎ話を元に戻したいんだ!」

シェヘラザード「そうですね、すべてが解決して平和が戻って結界が必要でなくなれば・・・お貸ししますよ」ニコッ

ティンカーベル「やった!よーしっ!がんばるよキモオタ!」フンス

キモオタ「ちょwwwやる気ですなwww我輩はどこまでも手伝いますぞwww」

491: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)22:11:41 ID:H9R
シェヘラザード「私もできる限りの協力はします。なんでもいってくださいね、キモオタさん」

キモオタ「我々のパーティは個性派ぞろいですからなwwwシェヘラザード殿のような常識人が居てくださると助かりますなwww」コポォ

ティンカーベル「キモオタが一番アレだからね!変な踊りするし」

キモオタ「ちょwwwまだ根に持ってるwww」

シンドバッド「まぁ、なにかあったら言ってくれよ。手伝いにいってやるからよ?その代わりフリーで可愛い女居たら教えろよ?」ハハハッ

シェヘラザード「シンドバッド!あなたはまじめな話だというのにすぐそのような・・・!」

シンドバッド「へいへい、じゃあ俺は一回自分のおとぎ話に戻るぜ・・・っておいおい、ラプンツェルの奴またいねぇぞ!?」

キモオタ「ファッ!?またどこかへふらふらと・・・!?」

シェヘラザード「困りましたね・・・何かトラブルに巻き込まれていなければいいのですが」

ティンカーベル「私、探してくる!」

ガチャッ

ラプンツェル「ただいまー!なんかみんな難しい話してたからちょっと出かけてきたよー」ドサドサ

ティンカーベル「ラプンツェル!いったいどこへいってたの?みんな心配したんだよ!」

ラプンツェル「昨日のコロッケ屋さんのとこ!おじさん何故か半分泣きながら謝ってくれたよ、あとこれ昨日のお礼だって!みんなで食べようよ!」ニコニコ

キモオタ「自由すぎますぞwwwしかし無事でよかったwww」ムシャムシャ

492: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/08(日)22:30:25 ID:H9R
・・・

シェヘラザード「はい、ラプンツェルさん。コロッケだけでは喉が渇いてしまいます、お茶をどうぞ」コトッ

ラプンツェル「ありがとね、シェヘラザード」ニコニコ

シェヘラザード「ひとつ伺いたいのですが、キモオタさんとティンクさんはわかりますがラプンツェルさんは何故この世界に?みなさんがこの世界の結界をすり抜けて来たことと関係があるのでしょうか?」

キモオタ「我々、この世界の結界をすりぬけるために世界移動を【ラプンツェル】のゴーテル殿にお願いしたのでござるよwww本当は後々に送っていただく約束だったのでござるがwww」ガツガツ

ティンカーベル「でもね?ラプンツェル大好きなゴーテルが突然豹変しちゃって、ラプンツェルと私たちをこの世界にいきなり送り込んだの!そりゃあお話の流れだとそうなるけどあれは演技とかには見えなかったよ」モグモグ

ラプンツェル「私が約束を破っちゃったからいけないんだよ。だからちゃんとママに謝らないといけないんだ」モグモグ

シェヘラザード「なるほど、本来の物語で彼女が連れて行かれるのは同じ世界の砂漠でしたね。それがこの世界に、おそらく異変でしょうけど・・・」

ラプンツェル「・・・・・・」ジーッ

ティンカーベル「なんかねコショウの粒が落ちてた。だから多分誰かの仕業だと思う、多分あいつらだけどさ!」プンスカ

シェヘラザード「アリスさん達の持つ魔法具の情報も集めたいですね、そうでなければ対策も練ることができませんし」

ラプンツェル「・・・ねぇシェヘラザード、私お願いがあるんだけど聞いてくれる?」

シェヘラザード「はい?何でしょうか?私にできることでしたら」ニコッ

ラプンツェル「シェヘラザードなら頭いいみたいだからきっとうまくいく方法わかると思うの。あのね・・・」

499: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)20:14:39 ID:eJY
ラプンツェル「私はね、ずっと塔の中で暮らしたの。ママとも塔からでないって約束したんだけどね、おーじとは一緒にママの病気を治す方法を見つけに行こうって約束したから、私はママとの約束を破っちゃったの。そしたらママはものすごく怒っちゃって・・・」

シェヘラザード「約束を破ってしまうことは褒められたことではありませんね・・・怒られても仕方がありません」

ラプンツェル「うん、それはちゃんとあやまる。でもね、塔の外の世界には魔法のランプみたいな不思議な道具もあるんだよね?だったら私はやっぱりおーじと冒険したい!でもね、ママのこと嫌いな訳じゃないんだよ。私はママのこと大好きなんだ」

ラプンツェル「おーじと冒険もしたいし、ママと一緒にいたい。両方選ぶのって出来ないのかなー・・・私はどうしようか悩んでるんだ。なにかいい方法ないかな?」

シェヘラザード「なるほど・・・難しい問題ですね。ラプンツェルさんは一番どうしたいのですか?」

ラプンツェル「私は・・・今まで通りママとお話ししたりしながら塔で暮らしたい。おーじと塔の外を冒険してママ達の病気を治す方法を探したい。どっちも一番だよ、ママもおーじも大好きだからどっちかなんて選べられないよ」

シェヘラザード「本来は何かを選ぶ時、選ばなかった方を手に入れることは出来ないものですよ?」

ラプンツェル「でも、私にはどっちかなんて選べないよ?」

シェヘラザード「・・・・・・」

キモオタ「ラプンツェル殿www気持ちは分かりますがなwwwどちらもと言うのはちょっと難しいのではwww」

500: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)20:28:37 ID:eJY
シェヘラザード「どうしてもどちらか一つだけ選ぶことは出来ないというのですね?」

ラプンツェル「うん、大好きなもののために他の大好きなものを諦めるなんて出来ないよ。そのためだったら何でもするよ!」キラキラ

キモオタ「ラプンツェル殿の無垢な笑顔が直視できませんな・・・・・・」ヒソヒソ

ティンカーベル「おとぎ話の流れだともうゴーテルにも会えないし、塔にも住めないもんね・・・・・・シェヘラザードはどうするのかな?」ヒソヒソ

シェヘラザード「そのために失うものがあったとしても。諦められませんか?」

ラプンツェル「うん、諦められない」

シェヘラザード「・・・・・・でしたら、いっそのこと両方とも選んでしまいましょう。あなたは塔に住み、そこを拠点にして王子様と旅をすればいいのです」

ラプンツェル「ママがそんなこと許してくれるかな?」

シェヘラザード「それはラプンツェルさんがしっかりとお母様を説得することが出来れば、問題ないでしょう」

キモオタ「いやいやいや!シェヘラザード殿!?いいんですかな!?」

ティンカーベル「そうだよ!本来のお話の流れ変わっちゃってるよ!?消えちゃうんじゃないの?そんなことしたら!」

シェヘラザード「・・・・・そうですね、もしかしたら消えてしまうかもしれません。ですが・・・・・・」

501: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)20:48:45 ID:eJY
シェヘラザード「【ラプンツェル】の結末は、魔女に捨てられたラプンツェルさんが王子と再会した時の涙で失明した王子の視力が回復して幸せになるというもの。魔女と和解していないとも、旅に出ていないともなっていません」

キモオタ「そ、それはそうでござるが・・・!」

シェヘラザード「指輪越しにあなた方が国王にした旅の話を聞きました。それを聞く限りでは【裸の王様】や【泣いた赤鬼】にも細かい改変はあったはずでしょう?どのおとぎ話にも『旅人キモータとティンク』という登場人物は本来居ないはずですよ?」

ティンカーベル「それは結果的にそうなって、たまたま消えなかっただけで・・・!【ラプンツェル】も大丈夫って保証なんてないじゃん!?」

シェヘラザード「・・・私は先ほど言いましたね。【アラジンと魔法のランプ】の改変で元の物語が好きな読者を裏切ってしまったと。あれは私の作者としての本音です。
作者は読者に伝えたいことがあるから物語を作ります、完成した物語には必ずメッセージがあります。それを好き勝手に展開を変えてしまえばもうメチャクチャです、作者の想いなど伝わるはずがありません。作者としての私は物語の展開を変えることは反対です」

キモオタ「ならばなおさらでござろう?」

シェヘラザード「ですが、私は作者であると同時におとぎ話の登場人物でもあります。その立場から見ると、こういう気持ちも生まれてくるのです。『何故、私たちおとぎ話の登場人物は運命にあらがえないのか?』と」

ティンカーベル「私たちおとぎ話の登場人物は必ずどこかのおとぎ話に属してる。だからそのおとぎ話の結末には逆らえない。だって結末を変えちゃうとそのおとぎ話が消えて、私たちも消えちゃう。その事を言ってるの?」

シェヘラザード「はい。おとぎ話の登場人物には結末という名前の運命が定められている。それにはあらがうことが出来ない」

502: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)21:18:02 ID:eJY
キモオタ「それはマッチ売り殿の時に痛感しましたからな、理解しているつもりですぞ?」

シェヘラザード「結末がハッピーエンドなら問題はないかもしれません。ですがその【マッチ売りの少女】のような悲しい結末のおとぎ話もあります、その場合はどうでしょう?」

キモオタ「しかしそれは・・・おとぎ話にはメッセージがあるとシェヘラザード殿も言ったでござろう?マッチ売り殿のおとぎ話を聞いて心動かされた子供達は確実にいましたぞ?」

シェヘラザード「はい、それがおとぎ話の本来の姿だと思います。マッチ売りの少女もそれに納得して結末を受け入れたんですよね?ですがすべてのおとぎ話の主人公が彼女のように自分の運命に納得しているわけではないと思うのです」

ティンカーベル「つまりさ、どういうこと?」

シェヘラザード「【アラビアンナイト】の中のおとぎ話は本来千一あります。アリスさんはその中の多くを消してしまいました、しかしすべてではないのです。中には自分に定められた結末に納得がいかずに死を覚悟であらがい、おとぎ話ごと消滅した主人公もいました」

シェヘラザード「現実世界の方々にとっては私たちはたかがおとぎ話の主人公。ですが私たちにとってこの世界は現実世界と何ら変わりないのです。
魔法や不思議なものはありますが、家族がいて友人がいて愛する人がいて笑って怒って悲しんで・・・ですから自分の未来が悲しみに包まれているならそれを振り払いたいのは当然です」

ティンカーベル「うーん・・・私もおとぎ話の世界の住人だから気持ちはわかるなぁー」

シェヘラザード「私は自分自身の結末に何の不満もありません。ただ、おとぎ話の登場人物はもうすこし自由でもいいのではないでしょうか?
少なくともおとぎ話を消滅させてしまうことがなければ、もう少し各々の好きなようにしてもいいと、おとぎ話の登場人物としての私は思うのです」

503: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)21:35:24 ID:eJY
キモオタ「つまり、シェヘラザード殿は作者としてはおとぎ話の改編には反対しているものの登場人物としてはもう少し自由でもいいのではないかというのが本音であると・・・」

シェヘラザード「矛盾しているのはわかっています。でも、ラプンツェルさんのように」

ラプンツェル「・・・・・・?」

シェヘラザード「ただ大好きなお母様と愛する恋人のどちらも失いたくないというのはそんなにわがままでしょうか?おとぎ話の登場人物だから我慢しなければならないのでしょうか?」

キモオタ「・・・・・・」

シェヘラザード「私はそうは思いません。もちろん、自分の希望を通すためにおとぎ話を消滅させては本末転倒です。あくまで消えない範囲で、というのが私に主張です」

ティンカーベル「・・・そういう考えもあるんだねー、おとぎ話が消えるのだけは絶対に防がなくちゃって思ってて、そこまで考えてなかったよ」

キモオタ「我輩は何とも言えませんな。なんとも難しい問題でござるが・・・」

ラプンツェル「うーん・・・私は難しい話はよくわかんないけどね、私はママもおーじもキモオタもティンクもシェヘラザードも好きだよ!だからみんなが仲良くできるように出来たらそれがうれしいな」ニコニコ

ティンカーベル「あはは、ラプンツェルらしいね!」ケラケラ

キモオタ「とりあえずやってみますかなwwwこっちには異変をかぎ分けるティンカーベル殿がいますからなwww様子を見ながら動いて駄目そうならその都度修正していきますかなwww」

504: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)21:55:23 ID:eJY
シェヘラザード「色々と申し上げてしまいましたが、アリスさん達が悪意を持っておとぎ話を消滅させている件に関しては出来る力の全てを持ってくい止めるつもりです。そこだけは誤解しないでいただけると嬉しいです」

キモオタ「問題ないですぞwww要するにシェヘラザード殿もラプンツェル殿の大好きな人と一緒にいるのを諦められないという想いに共感して手助けしてくれているという事でござろうwww」

シェヘラザード「そうですね、少しでも希望があるならそれにすがってもいいと思います」ニコッ

ティンカーベル「じゃあゴーテルに会いに行かないとね、ゴーテルがいいっていってくれたら問題なさそうだし!」

ラプンツェル「アドバイスしてくれてありがとうね、シェヘラザード!」

シェヘラザード「どうか想いを遂げてくださいねラプンツェルさん」ニコッ

キモオタ「では我々は【ラプンツェル】の世界へ戻りますかな・・・!」

シェヘラザード「では私が送ります、アリ王子に魔法のじゅうたんを送ってもらいますので少しお待ちくださいね。それと、キモオタさんティンクさん」

シェヘラザード「アリスさん達と戦う上であなた達二人が重要な立ち位置になることは間違いありません。ですが戦うのは決してあなた達だけではありません、私たち仲間がいることをお忘れなく」

ラプンツェル「よくわかんないけど私も手伝うよ!友達だからね!」

キモオタ「そう言っていただけるとありがたいですなwww」

ティンカーベル「そうだね!みんなで協力したら絶対にあいつら倒せるよ!がんばろうね!」

・・・

506: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)22:13:33 ID:eJY
ラプンツェルの世界 塔の下

・・・

・・・

・・・

ラプンツェル「そういえばさ、私ママに『もう娘じゃない』って言われたんだった」ズーン

キモオタ「大丈夫でござるよwwwあんなのは気が動転していたからだと言いましたぞwwwティンカーベル殿も様子を見に行ってくれておりますしwww」

ラプンツェル「私の話聞いてくれたらいいけど・・・」

キモオタ「・・・大丈夫ですぞ!さぁさぁ、落ち込んでいてはいけませんぞwww笑顔笑顔www」

フワフワ

ティンカーベル「・・・ただいまー」

ラプンツェル「ティンク!ママどうだった?怒ってた!?」

ティンカーベル「怒ってはないよ、大丈夫。でも・・・」

キモオタ「なにやら歯切れが悪いですなwww」

ティンカーベル「とりあえず行こう。妖精の粉かけるから」ファサー

507: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)22:29:15 ID:eJY
ラプンツェルの塔 内部

スタンッ

キモオタ「薄暗いですな、ゴーテル殿は・・・?」

ティンカーベル「下にいるよ、帰ってきたことは話したけどラプンツェルがどうしたいかは何にも話してないからね?」

ラプンツェル「うん。えっと、ママ、ただいまー・・・」

ゴーテル「ラプンツェルや・・・・・・!」ヨロヨロ

ラプンツェル「あの、えっと・・・約束破っちゃってごめんなs」

ゴーテル「すまなかった・・・!すまなかったねラプンツェルや!ワシはお前に酷いことを言ってしまった・・・!」ヨロヨロ

ラプンツェル「私の方が謝らないといけないよ、ママとの約束破ってごめんなさい。だから、私はまだママの娘のままでもいい?」

ゴーテル「もちろんじゃ!ワシの娘はお前だけしかいないんじゃよ!」ボロボロ



キモオタ「どういうことですかな・・・あれほど怒り狂っていたゴーテル殿が・・・」

ティンカーベル「・・・ゴーテルは憎しみの心をアリスに植え付けられたんだよ」ギリッ

キモオタ「なんですと!?」

508: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)22:44:35 ID:RRU
ティンカーベル「あの日私たちがゴーテルの家を出て行った後にアリスが来たんだって。魔法の野菜を奪われそうになったから断ったらなにかされて、正気に戻ったときにはもう私たちもラプンツェルも、切り落とした髪の毛もなかったって」

キモオタ「この世界にも来ていたのでありますな・・・罪のないゴーテル殿とラプンツェル殿の仲を引き裂くとはつくづく許せませんな!」



ゴーテル「すまなかったねぇ、すまなかったねぇ・・・あの時お前に言った言葉はひとつだって本心じゃあないんだよ、信じとくれ・・・」ボロボロ

ラプンツェル「いいよ、もう気にしてないから・・・!泣かないでよママ、私も悲しくなっちゃうよ」ギュッ

ゴーテル「そうじゃな・・・こうしてお前も戻ってきてくれたんじゃ。こんなに幸せなことはない」ナデナデ

ラプンツェル「あのね、ママ。今日戻ってきたのはね、お願いを聞いてほしいからなの」

ゴーテル「・・・おおかたの予想はついておるよ。話してみるんじゃ、ラプンツェル」

509: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/09(月)22:57:17 ID:RRU
ラプンツェル「私ね、ママと今までみたいにこの塔でご飯食べたりお話しして暮らしたい!でもね、おーじと外の世界を旅してママ達の病気を治す方法を探したいの!」

ゴーテル「・・・・・・」

ラプンツェル「ママに嘘ついて外に行こうとしてたことは謝るよ!でも、私はママのこともおーじの事もどっちも大好きなの!だから両方とも一緒にいたいの!だから旅にでていないときはこの塔に戻ってきて、次の旅まではママと過ごしたいんだよ、お願い!」

ゴーテル「・・・・・・キモオタよ」

キモオタ「なんですかな?」

ゴーテル「おとぎ話が消滅する条件を知っているお前達がラプンツェルを止めずにここにつれてきたという事は、当然考えがあってのことじゃな?」

ティンカーベル「確実に大丈夫とは言えないけど、でもこのおとぎ話を消させるつもりはないよ。結末は守るし消えそうになったら修正するよ」

ゴーテル「・・・ラプンツェルや。お前はキモオタとティンクが好きかの?」

ラプンツェル「うん、砂漠の街でも私のこと助けてくれたし大切な友達!」ニコニコ

ゴーテル「そうかい、お前の大切な友達なら信用しても大丈夫じゃな?」

ラプンツェル「うん!キモオタもティンクも嘘なんかつかないよ!だって私の大切な友達だからね!」ニコニコ

527: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)20:56:11 ID:Jg2
ゴーテル「そうかい、お前が信用している友達をワシが疑うわけにはいかんのぉ。・・・それじゃあティンカーベルに手伝って貰おうかね」

ティンカーベル「えっ?私?なになに?」

ゴーテル「すぐにラプンツェルと二人で王子を探しに行っとくれ。王子は昨晩塔から転落したが、今もなおこのおとぎ話が消えていないという事は王子はまだ生きている。おそらくまだ近くにいるだろう、視力を失ったまま遠くに行けるとは思えないからの・・・」

ラプンツェル「おーじが塔から落ちちゃったの!?ティンク!すぐに探しに行こうよ!」アセアセ

ゴーテル「ティンカーベルと二人で空から探せばすぐに見つかるじゃろう?ワシはキモオタと話があるでの、頼めるかいティンカーベル?」

ティンカーベル「もちろん!ラプンツェル、急いで準備していくよ!王子を助けに行こう!」

ラプンツェル「うん!でも準備なんていらない、今すぐに行けるよ!私に妖精の粉をかけて!早く早く!」アセアセ

ゴーテル「これこれ焦るでない。王子ときちんと再会できたら、それからは塔に住んでも旅に出てもいい、おまえの好きなようにしていいんじゃ。その代わり無茶をして怪我などせんようにな?」

ラプンツェル「わかった!じゃあ行ってくるね!」ニコニコ

ファサー フワッ

ラプンツェル「すごい!見て見て!私空飛んでるよ!あはははは!すごいすごい!」ワクワク

ティンカーベル「暴れちゃ駄目!あとスカート   ないように気をつけなきゃ!それじゃあ塔の外行くよー!」フワフワ

・・・

ゴーテル「・・・さて、キモオタよ。二人が王子を探しに行っている間、ワシと話をしようじゃないか。昨日アリスが現れたこともお前に話しておかないといけないからねぇ」

キモオタ「そうしていただけると助かりますぞwwwなにやらまた不思議な道具を使ったようですしなwww」

528: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:01:43 ID:Jg2
キモオタ「しかしwww旅に出たいというラプンツェル殿をゴーテル殿が許すとはwww思いませんでしたなwww」コポォ

ゴーテル「そうかもしれんな・・・ワシは元々ラプンツェルを砂漠に捨てるという運命を背負っておった。そうでなければこの【ラプンツェル】のおとぎ話は消えてしまうと自分に言い聞かせて耐えておった。だが実際はどうだ」

ゴーテル「アリスに良いように利用されて・・・お前達が居なければラプンツェルは【アラビアンナイト】の世界から戻る事が出来ず、この世界は消えていたかもしれない。ワシが利用されたばっかりに愛娘を危険にさらしてしまった・・・!」ワナワナ

キモオタ「しかし、それは魔法具のせいでござろう?どのようなものかはわからんでござるが、ティンカーベル殿はコショウがどうとかいっておりましたな・・・」

ゴーテル「理由は何であれワシがやったことには変わりないんじゃ。ワシがラプンツェルの提案を許可した理由の一つはそのことへの罪滅ぼしじゃ。そしてもう一つは・・・」

キモオタ「なんですかな?」

ゴーテル「本来なら砂漠に捨てられたラプンツェルはもう塔には戻ってこないはずじゃった。しかし、あいつはワシに会いに戻ってきてくれたじゃろ?しかし、世界は崩壊する様子を見せなかった」

ゴーテル「もしかしたら、と思ったんじゃ。ラプンツェルが塔に戻ってきても世界が崩壊しない、ならばワシはこれからも娘と一緒にいることができるんじゃないか?とな、ラプンツェルが王子と再会することが出来ればこのおとぎ話は消えないんじゃないかとな」

キモオタ「シェヘラザード殿も言っておりましたな、このおとぎ話の結末はラプンツェル殿と王子殿が再会して幸せになることだと」

ゴーテル「ラプンツェルが幸せになることがこのおとぎ話の結末であり、ワシがその場所にいてもいいのだとすれば・・・これほど嬉しいことはない。
ワシは愛娘と茶を飲み、たわいもない話をしながらラプンツェルの成長を感じつつ老いていくことが出来る、そんな幸せなことが他にあるかの?」フォッフォッ

キモオタ「本当にwwwゴーテル殿は娘ラブですなwww」

ゴーテル「あたりまえじゃろ、娘のことが可愛くない母親など存在しないんじゃ。それに・・・」

ゴーテル「ラプンツェルはワシの自慢の娘じゃからな」フォッフォッ

529: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:09:39 ID:Jg2
キモオタ「しかし気になるのはゴーテル殿を豹変させた魔法具ですな」

ゴーテル「うむ、アリスめワシが育てている魔法の野菜を寄越せというでな、断ったんじゃが・・・あの娘、トランプの兵士を実体化させるとワシを羽交い締めにしおって、無理矢理コショウを飲み込まされたんじゃ」

キモオタ「しかし魔法で抵抗できなかったのですかな?」

ゴーテル「お主はトランプ兵の恐ろしさを知らんな?アリスの持つトランプ兵は倒しても倒してもキリがない。なにしろ文字通り束になって掛かってくる。逃げようにもあの娘の持つ笛で呼び寄せられてはな・・・成す術がなかったわ」

キモオタ「確かにそれでは厳しいですな・・・」

ゴーテル「あとはもうお前も知っての通りじゃ。ワシはもうなにもかもに憎しみを感じてラプンツェルすら腹立たしく思えてきた。
ようやく正気を取り戻した頃にはワシが切り落としたラプンツェルの髪の毛は消え、窓から見える畑は荒らされ放題じゃった」

キモオタ「野菜はわかるのでござるが・・・ラプンツェル殿の髪の毛などどうするんでござろうな」

ゴーテル「言ったじゃろ、あいつの魔力は髪の毛に集約されておる。切り落とされたとしても髪の毛には魔力が残留する。ラプンツェルは生まれながらに魔力を持った娘じゃからな、例えるならばラプンツェルの髪の毛はティンカーベルの鱗粉に近い」

キモオタ「となると・・・魔力を含んでいる髪に毛には利用価値があると、アリス殿達は考えたわけですな?」

ゴーテル「実際のところ利用価値はあるじゃろうな。髪の毛とは言ってもあの長さじゃ、例えば布地なんぞに編み込めばそれだけで魔力を持つ生地になる」

キモオタ「魔法具をかき集めているアリス殿達もそこに目を付けたと・・・」

ゴーテル「そうじゃな。コショウの正体はワシにはわからんが少なくともあいつらに力を与えてしまったと言うのは事実じゃ。お前達には迷惑をかけてしまったな」

キモオタ「いやいやwww力を得ているには向こうだけではないのでwww我々も戦う力を手にしますしなwwwそれにどうやら我々に協力してくれるらしいおとぎ話の登場人物もいるようでござるしwww」

530: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:20:07 ID:Jg2
ゴーテル「とにかく、アリスは『魔力を高める野菜』と『ラプンツェルの髪』を手に入れた、そしてどうやらアリスは負の感情を植え付けるコショウを持っている」

キモオタ「おそらく我々の知らぬ所でも新たな魔法具を手にしているでござろうし・・・我々もうかうかできまでんな」

ゴーテル「協力者が居ると言っていたな。それが誰かは知らぬが、元々のおとぎ話に縛られずに動けるティンカーベルとキモオタは今回のアリスに企みに対抗する上で重要になってくる」

ゴーテル「いずれお前達はアリスと戦うことになるだろう。プレッシャーを与えるつもりはないが、おとぎ話の世界の未来はお前達に掛かっていると言える。ワシはこの世界からは動けんが、手助けは出来るからのぉ・・・頼ってくるといい」

キモオタ「それはありがたいですなwww」

ゴーテル「・・・さて、ではワシの話は終わりじゃ。ラプンツェル達が王子を捜し出して戻ってくるまで少し時間が掛かるじゃろう。その間ラプンツェルのかわいさについて語ろうかのぉ」

キモオタ「ちょwwwなんwwwでwww」

ゴーテル「お前はもうすぐ現実世界に戻るのだろう?ワシは魔女じゃからな、なかなか娘自慢する機会がないんじゃよ。さぁ、まずは『可愛らしいラプンツェルのおもいで~ママへのはじめてのプレゼント~』から聞かせてやろう。あれはラプンツェルが4歳になろうという時・・・」

キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿www早く戻ってきていただきたいwww」コポォ

・・・

531: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:25:57 ID:Jg2
王子(まったく前が見えない・・・ラプンツェルは無事だろうか?)

ヨロヨロ

王子(ジャムの瓶に紅茶を入れて出すような娘だ、どこかで無礼を働いて酷い目にあって居なければいいが・・・!)

ヨロヨロ ドシャー

王子「くっ!視力を失った事が動く上でこれほど障害となるとは・・・」

王子(どれほどの時間が経過したのだろうか・・・ここはどこだろうか・・・おそらく塔のあった森から抜けられていないはずだが・・・)

オージー!ドコニイルノー?イタラヘンジシテー!

王子「この声は・・・!ラプンツェルか!?」ヨロヨロ

アッ!イマコエガキコエタヨティンク!オージダヨタブン!

王子「ラプンツェルなのか!?ラプンツェル!私はここにいる!」

532: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:30:13 ID:Jg2
ラプンツェル「おーじ!洋服もボロボロだし血も出てる・・・!ティンクー!はやくはやく!おーじを塔まで運ぼう!」

ティンカーベル「うん!でも私たちだけじゃ運べないよ!そうだ、王子に妖精の粉をかけて・・・」ファサー

王子「ラプンツェルにティンク・・・私の目の前にいるのか?」ヨロッ

ラプンツェル「ひどい怪我・・・!両目とも見えないの?大丈夫だよ、私はおーじの目の前にいるよ!わかる?ほら、手を握ってるの私だよ」ギュッ

王子「そうか・・・ラプンツェル、私には君の姿がもう見えない。君は怪我をしていないか?無事でいるのかい?」

ラプンツェル「無事だよ、どこも怪我してないよ!キモオタとねティンクが一緒にいてくれたから大丈夫だったよ!」

王子「そうか、それならばよかった・・・」

ラプンツェル「よくないよ!だっておーじは両目が見えなくなってる・・・私の塔に来たから・・・私と約束なんかしたから!」

王子「自分を責めるなんて君らしくないな。ラプンツェルのせいじゃあないよ、君の姿を見ることが出来ないのは辛いけれど、こうして君と会話はできる。君の歌声を聞くことも出来る」

王子「君が無事ならば、私はそれで十分さ。だからいつかもう一度、君の歌を聴かせてほしい。できれば私だけのために、君の歌を・・・だから私の側にいて欲しい」

ラプンツェル「王子・・・!」ジワッ

533: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:33:42 ID:Jg2
ラプンツェル「何度だって歌うよ!おーじがそうして欲しいって言うなら私はいつだって王子のために歌を歌うよ」ポロポロ

ラプンツェル「そうだ・・・!ママとね、話して仲直りしたんだ!塔にいつでも帰ってきて良いし、おーじと旅に出ることも許してくれたよ!だからね、一緒にママとおーじのママの病気を治す方法を探しにいこう!」ポロポロ

王子「だが・・・この両目では・・・」

ラプンツェル「私たち・・・約束したよ?だから諦めちゃ駄目だよおーじ!もしも目が見えなくて旅が出来ないなら私が先におーじの目が見えるようになる方法を探す!だから諦めちゃ駄目だよ!」ポロポロ

ポタッポタッ

ティンカーベル(ラプンツェルの涙が王子の目に・・・!)

王子「・・・・・・っ!」パアァァー

ラプンツェル「・・・おーじ?」

王子「なんという事だ・・・私は君の歌声に癒された事があったが、君は涙でさえ私を癒す事が出来るんだね・・・」

ティンカーベル「・・・王子、目が見えるようになったんだね!」

王子「ああ。ラプンツェル、君のおかげだ。君が私に為に涙を流してくれたからこうしてもう一度私の両目には光が射し込んできた・・・」

王子「君という名の光が・・・!」

534: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:36:11 ID:Jg2
ラプンツェル「ううぅ・・・おーじ!よかった、よかったよおーじ!」ポロポロ

ギュッ

王子「っと、ラプンツェル・・・僕は無事だった、君のおかげで目も見えるようになった。一緒に旅に行くことだって出来る。泣くのはおかしいだろう?」

ラプンツェル「嬉しい涙だよ、私は大好きなおーじともママとも離ればなれにならなくていいんだ!自分に好きなことを塔の外で思いっきりできるんだ!」

ラプンツェル「おーじともずっと一緒だよ!ねっ!もう一回約束してよおーじ!ずっと一緒にいるって約束!」

王子「ああ、ちょうど私も同じ事を考えていたところだ」

ラプンツェル「じゃあゆびきりだね!私はもうどんな約束もやぶったりしないよ!」

ラプンツェル「だって私は今ものすごく幸せだから、もうなにもなくしたくないもんね!」ニコニコ

・・・

535: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:39:53 ID:Jg2
数時間後 ラプンツェルの塔の下

・・・

ラプンツェル「・・・・・・」ムッスー

ティンカーベル「さっきあんなに笑顔だったのに!?駄目だよラプンツェル、そんな顔しちゃ!」

ラプンツェル「だってキモオタもティンクも帰るっていうからだよ、せっかく仲良くなったのにー」ムッスー

キモオタ「またいつでも遊べるではござらんかwwwひとときの別れでござるよwww」コポォ

ラプンツェル「・・・・・・わかった。じゃあ約束だからね!あと、そうだ、これ・・・あげるっ!」スッ

ティンカーベル「なになに?・・・ラプンツェルの髪の毛?」

ラプンツェル「ママが教えてくれたんだよ、私の髪の毛は長くてきれいだからきっとキモオタ達に役に立つって!」ニコニコ

キモオタ「なんとwwwこれはありがたく受け取っておきますぞwww」

ティンカーベル「元気でねラプンツェル!でもあんまり無茶して王子を困らせちゃ駄目だよ?」

ラプンツェル「大丈夫!でも絶対ぜーったい旅は成功させる!だからキモオタ達もがんばってね!私との約束!」ニコニコ

キモオタ「いいですぞwwwではwww約束ですなwww」コポォ

ティンカーベル「うん!約束!」

ラプンツェル「えへへ、じゃあまたね!ちゃんと約束守ってるかどうか、いつか旅の話してもらうからね!さぼっちゃ駄目だよ?」ニコニコ

・・・
・・

536: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:43:26 ID:Jg2
現実世界 キモオタの住む町・図書館

キモオタ「今回は二つのおとぎ話を行き来しましたし大変でしたなwww」

ティンカーベル「だねー、それにしてもさ、ラプンツェルが幸せそうで何よりだよね!おとぎ話も消えなかったしね」

キモオタ「そうですなwwwしかしwww王子殿の心労はすさまじいことになりそうですなwww」

ティンカーベル「まぁね、ラプンツェルはなんていうか自由すぎるもんね。すぐにどっか行っちゃうし」クスクス

キモオタ「まぁでも大丈夫でござろうwwwなんせゴーテル殿が居るわけでござるしwww」

ティンカーベル「どうかな?ゴーテルは基本あますぎるからなぁー」

キモオタ「っと、ティンカーベル殿wwwありましたなwww【ラプンツェル】の絵本ですぞwww早速確認するでござるwww」コポォ

ティンカーベル「うんうん!早く読もう!」

パサッ

537: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:46:29 ID:Jg2
ラプンツェル

あるところにとても高い塔があり、その塔には一人の娘が住んでいました。
名前はラプンツェルといい、美しい容姿と綺麗な歌声、そしてなにより目を引く長い長い髪の毛をもっていました。
ラプンツェルの養母であるゴーテルは彼女をたいへん可愛がり、守るために塔に閉じこめていました。
塔に出入り口は無く、彼女の長い髪が唯一塔への移動手段でした

しかしある日、塔に三人の客人がやってきます。
旅人のキモータとティンク。そしてラプンツェルの歌声に惚れた王子でした。
四人はすぐに仲良くなり、ラプンツェルは優しい王子に恋をしました。そしていつしか二人でお互いの両親の病気を治す方法を探す旅に出ることを約束しました

しかし、それを知ったゴーテルは激しく怒りました。塔からでないという約束をしていたのに破られたからです
愛娘のはずのラプンツェルを激しく罵倒して自慢だった長い髪の毛をジョキンと切り落とすと、旅人のキモータとティンクもまとめて遠い砂漠の国に捨ててしまいました。

ラプンツェルはゴーテルとの約束を破ったことを反省し、なんとか塔まで帰ってくるとゴーテルに自分に気持ちを正直に伝えました。
そしてティンクの協力を得て王子と再会することが出来ました

ラプンツェルを失った悲しみで塔から落ちて失明していた王子の瞳は再会したラプンツェルに喜びの涙で光を取り戻し
ラプンツェルは大好きなゴーテルと仲直りし、王子と旅に出ることになりました

ラプンツェルはとても幸せでした
ラプンツェルはいつも笑顔で楽しく暮らしました

おしまい

・・・

540: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:50:17 ID:Jg2
キモオタ「ふむwwwとりあえず消えなかったでござるが・・・こうして見ると、シェヘラザード殿の言葉は考えさせられますな」

ティンカーベル「作者としては話を変えるのに反対。だけどおとぎ話の住人としては主人公に幸せになって欲しい。ってやつね」

キモオタ「ですな、もちろん我輩もラプンツェル殿が元の話より幸せになって嬉しいのでござるが・・・」

ティンカーベル「うーん・・・マッチ売りの時は結末自体がマッチ売りが死んじゃうことだったからどうしようもなかったけど、出来る範囲ならいいと私は思うけどなー」

キモオタ「まぁ今すぐ答えがでるものではないですなwwwせっかく図書館に来ているわけでござるしwww他の本も読んでみますかなwww」

ティンカーベル「じゃあさ!あれ調べてみようよ、コショウの魔法具!」

キモオタ「そうですなwww結局ゴーテル殿もよくわからないみたいでしたしなwww」

ティンカーベル「コショウの魔法具はもし使われたら怖いよ。だって感情を操作しちゃうようなもんでしょ?」

スタスタ

司書「あっ、キモオタさん。今日もおとぎ話ですか?」ニコッ

キモオタ「・・・司書殿w」

541: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)21:55:25 ID:Jg2
キモオタ「以前は助かりましたぞw急に読み聞かせをお願いしてしまって」

司書「いえいえ、今日は何か調べ物ですか?お手伝いしますよ?」ウフフ

キモオタ「それは助かりますな、ちょっと探したいものがあったのでござるが手がかりが無くてw是非お願いしたいw」

司書「えっと、確かコショウがどうとか・・・?」

キモオタ「聞いてたでござるか?そうなんでござるよw性格が豹変するコショウが出てくるおとぎ話ってないでござるかね?」

ティンカーベル「・・・・・・」

司書「あっ、それならあれかな?ありますよ、性格が変わっちゃうコショウ。厳密にはちょっと違うかもしれませんけど」

キモオタ「なんですと!?本当にあるんでござるな!なんというおとぎ話ですかな?」

司書「【不思議の国のアリス】です、キモオタさんは読んだことないですか?うちの図書館でも人気ですよ」

ティンカーベル「・・・やっぱりあいつのおとぎ話の魔法具だったんだ!」

543: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)22:00:18 ID:Jg2
キモオタ「その話、詳しく聞かせていただきたい!」ガタッ

司書「は、はい。えっとですね、内容は長くなっちゃうので省きますけど【不思議の国のアリス】は主人公のアリスが不思議なことがたくさん起こるワンダーランドに迷い込む。というアリスの不思議な体験を書いたおとぎ話なんですけど」

司書「その中の一節で、アリスは公爵夫人の屋敷を訪れるんです。そこでは料理人がスープの中にこれでもかって程たっぷりのコショウを入れていて部屋中がコショウの匂いでいっぱいなんです」

司書「そしてその公爵夫人はしかめっ面でイライラしててですね。初対面のアリスに暴言を吐いたり赤ん坊を乱雑に扱ったりとにかく気性の荒い不機嫌な人だったんです」

キモオタ「なるほど、ちょっとイヤな感じの婦人だったわけですな」

司書「ところがそうでもなくてですね。後にアリスは別の場所でもう一度公爵夫人と出会うんですが、今度はにこやかで優しくアリスに接してくれたんです。まるで屋敷にいるときとは別人のようでした」

司書「そこでアリスは性格が一変している公爵夫人についてこう解釈したんです。きっと屋敷で公爵夫人があんなに乱暴だったのはコショウのせいだ。と」

キモオタ「ほう?コショウのせいで乱暴に?そんなことがあるんですかな?」

司書「事実はどうか分からないですけど、アリスなりの解釈じゃないでしょうか?」フフッ

司書「『乱暴な性格になってしまうのはきっとコショウのせい。だったら酸っぱくなるのはお酢のせいで、しかめっ面になるのはカモミールのせい。」

司書「そして楽しい気持ちにさせるのはキャンディなんだ!』・・・と、アリスは思ったんです」

545: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)22:05:01 ID:Jg2
キモオタ「なるほど・・・実際はそれはアリス殿の解釈ではなく、そういう魔法具だったということですな」ボソッ

司書「キモオタさん?どうかしましたか?」

キモオタ「い、いやwなんでもないですぞ!あ、じゃあ今日は【不思議の国のアリス】を借りて帰りますかなw」ヒョイ

司書「はい!じゃあ貸し出しの手続きしますね?」ニコッ

タッタッタッ

ティンカーベル「・・・・・・」

キモオタ「どうしましたかなwww先程から黙っておりますなwww何か考え事でござるかwww」

ティンカーベル「・・・あのさ、あの司書のお姉さんって」ヒソヒソ

司書「キモオタさん、お待たせしました!返却期限は二週間なので忘れないでくださいね」ニコッ

キモオタ「わかりましたぞwでは、我輩はこれでwww」

司書「はい、気をつけて帰ってくださいねー」

ティンカーベル「・・・・・・」ジーッ




司書「バイバイ、妖精さん」コソッ




ティンカーベル「・・・・・・っ!」

キモオタ「どうしましたかなwww帰りますぞwwwさぁ帰りにマックに行くでござるよwwwそれともピザーラにしますかなwww」コポォ

547: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)22:07:32 ID:Jg2
司書「ふふっ、妖精さんに気づかれちゃったな。私に妖精が見えるって事」フフッ

司書「でもこれをきっかけに仲良くなれたら嬉しいなー」フフッ

ショタ「なんだか嬉しそうだね、お姉ちゃん」クスクス

司書「あっ・・・もしかして声にでちゃってたかな・・・?」ワタワタ

ロリ「・・・独り言。言ってた。ちょっと怪しい人に見える」ボソボソ

司書「・・・うん、それはよくないね。反省しないと。でも、二人ともどうやってここに来たの?もう、お姉ちゃんが居ないときは勝手に外出歩いちゃ駄目だって言ったでしょう?」

ショタ「平気だよ、このあたりは僕たちが居た世界とは違って道もキチンとあるし道案内の看板だってある。これだったら迷いようがないよ。道しるべの石ころを用意したけど無駄になっちゃったしね」クスクス

ロリ「・・・そう。お兄ちゃんは賢いから、安心」ボソボソ

司書「うーん・・・でもこの世界は二人の世界とは違っていろいろ危ないこともあるのよ?」

ショタ「お姉ちゃんは心配性だよね、僕たち兄妹が一緒なら大丈夫さ。そうだよね?」

ロリ「・・・うん。平気。お兄ちゃんは先に事まで考えてる、安心」ボソボソ

550: ◆oBwZbn5S8kKC 2015/02/11(水)22:13:15 ID:Jg2
司書「本当かなー?この前教えた交通ルールは大丈夫?覚えてる?」

ショタ「僕たちは道の右側を歩く。横断歩道って所は青い光がついててもよく右と左を見てから道を横切ること。だよね?」

司書「うん、そうだね!偉いよ。じゃあ、もし知らない人がお菓子あげるからおいでって言ったらどうする?」

ロリ「・・・知らない人がそんなことを言ってきたら」ボソボソ

司書「うん、どうするかな?」

ロリ「・・・そいつは魔女。だから絶対に油断しちゃいけない。もしも捕まったら、魔女の隙を見つける」ボソボソ

司書「・・・・・・」

ロリ「・・・そして火のついたかまどの中に突き飛ばす。お兄ちゃんは・・・私が助ける」ボソボソ

ショタ「あのね、グレーテル。気持ちは嬉しいんだけどそれはこの世界では・・・」

グレーテル「・・・大丈夫。お兄ちゃんは私が守る」ボソボソ

司書「もう・・・これじゃあ怖くて帰らせらんないよ・・・ヘンゼルもグレーテルも司書室で待ってなさい。ビスケットとジュースあるから、お姉ちゃんの仕事終わるまで待っててね?わかった?
お仕事終わったら一緒に帰ろう、ね?」

グレーテル「わかった。待ってる。ビスケット・・・好き」

ヘンゼル「うん、なんだかごめんね。お姉ちゃんの仕事の邪魔しちゃったかもしれない」

司書「いいのよ、この世界では二人とも私の弟と妹なんだから。お姉ちゃんに遠慮する弟妹なんて居ないでしょ?だからいいのよ」ニコッ



・・・

アリスの目的が魔法のランプであると知ったキモオタ達
おとぎ話を次々と消すアリス達の行動はおとぎ話全体への影響を及ぼし始める
あらたな協力者。精神操作する魔法具。
そして、現実世界に現れたおとぎ話の住人である兄妹
キモオタ達の冒険は続きます

ラプンツェルとアラビアンナイト編 おしまい

引用元: キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」五冊目